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2000/02/25 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 予算委員会第二分科会 第1号
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2000/02/25 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 予算委員会第二分科会 第1号

#1
第147回国会 予算委員会第二分科会 第1号
本分科会は平成十二年二月二十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      稲垣 実男君    村山 達雄君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      青山  丘君    西田  猛君
      木島日出夫君
二月二十五日
 西田猛君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十二年二月二十五日(金曜日)
    午後四時一分開議
 出席分科員
   主査 西田  猛君
      稲垣 実男君    村山 達雄君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      中川 正春君    松本 惟子君
      青山  丘君    木島日出夫君
      中路 雅弘君
   兼務 渡辺  周君 兼務 赤羽 一嘉君
   兼務 保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         臼井日出男君
   外務大臣         河野 洋平君
   法務政務次官       山本 有二君
   外務政務次官       東  祥三君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    大森 敬治君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君
   政府参考人
   (運輸省海上交通局外航課
   長)           中田  徹君
   政府参考人
   (労働省職業安定局外国人
   雇用対策課長)      及川  桂君
   法務委員会専門員     井上 隆久君
   外務委員会専門員     黒川 祐次君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  岩國 哲人君     中川 正春君
  木島日出夫君     中路 雅弘君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 正春君     松本 惟子君
  中路 雅弘君     木島日出夫君
同日
 辞任         補欠選任
  松本 惟子君     岩國 哲人君
同日
 第三分科員赤羽一嘉君、第七分科員保坂展人君及び第八分科員渡辺周君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計予算
 平成十二年度特別会計予算
 平成十二年度政府関係機関予算
 (法務省及び外務省所管)

    午後四時一分開議
     ――――◇―――――
#2
○西田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、法務省、外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 平成十二年度一般会計予算、平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算中法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。臼井法務大臣。
#3
○臼井国務大臣 平成十二年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 法務省は、法秩序の確保及び国民の権利保全等国の基盤的業務を遂行し、適正・円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。
 法務省所管の一般会計予算額は六千二十七億五千万円、登記特別会計予算額は千八百十五億七千万円、うち、一般会計からの繰入額が七百六十二億八千五百万円でありますので、その純計額は七千八十億三千五百万円となっており、前年度当初予算額と比較をいたしますと、五十二億八百万円の減少となります。これは、一般会計において九十八億一千万円が増加いたしましたが、登記特別会計において百四十五億八千九百万円が減少した結果であります。
 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
#4
○西田主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま臼井法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○西田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#6
○西田主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○西田主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
#8
○中川(正)分科員 民主党の中川正春でございます。
 質疑の時間をいただきましたので、まず冒頭、出入国管理政策と、特に長期滞在、不法滞在というんですか、その問題について集中してお尋ねをしていきたいと思います。
 ちょうどバブルの時期に外国人労働者という形で非常に多くの人たちが労働者として、それも単純労働として日本の中に入ってきました。本来なら、経済がここまで縮んでいるときでありますから、合法的に入ってきている人たちも含めてのことでありますが、この人数というのが当然減っていきながら社会のバランスがとれていくんだろう、こういう感じを私も持っていたんです。
 実は、きのうは地方行政委員会の方で、警察であるとか、あるいは厚生省の関係の現状認識を伺いました。それから、実際、どういう社会的なあつれきがあるのかということを、私自身の体験の中からも感じておるところは、社会がこれだけ荒れてきているときだけに、そしてまた経済が縮んできているときだけに、その緊張感というのが外国人の居住者との間でやはり出てきているな。犯罪もふえているし。それから、労働者として緩衝材になっているところがあって、かつ、不法滞在者というのは表面に出てこられないということから、それがいわゆるアンダーグラウンドの労働市場に回っていって、それがまた社会的なセーフティーネットがないために非常に悲惨な状況にもなってきている、こういうことであります。
 総体的な人数としても、統計上にあらわれている人数もそうですが、実際に感覚として、それぞれの地域で警察あたりがつかんでいる数字もバブルのころから減っていないんだ、時と場所によっては、産業構造が、例えば自動車産業とか電機関連の産業とかというようなところには逆にふえているところもある、こういう現象が起こっております。それが私の感覚なんです。
 法務省としては、統計的なものというのは私ももう既に見せていただいているのですけれども、統計的なものと同時に、実感としてどういう問題意識を持っておられるのか、どういうふうにこの今の状況というのを大臣としてつかんでおられるか、大臣のまず基本的な所見というのをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#9
○臼井国務大臣 委員御質問の中で、詳細にわたりましては総括政務次官の方からお答えを申し上げさせていただきますが、今お話しのとおり、不法残留者に加えて、私どもの統計上把握できない不法滞在者、こうしたものも大変高どまりいたしている状態でございまして、私どもも、そうした不法に日本に在留している者に対しては厳しい姿勢でもって退去手続等もとっておりまして、今後、そうした面についてもしっかりといたしてまいりたい、このように考えております。
#10
○山本(有)政務次官 先生の実感されることと統計数値は合致しているように思っております。
 平成十一年七月一日現在の当局推計によりますと、不法残留者数は二十六万八千四百二十一人で、過去最も多かった平成五年五月一日現在の推定数二十九万八千六百四十六人に比べ三万二百二十五人、約一〇・一%減少しております。
 また、当局が平成十年中に不法残留や不法入国等により退去強制手続をとった外国人は四万八千四百九十三人であり、その違反形態は、不法残留三万九千八百三十五人、全体の約八二%、不法入国は七千四百七十二人、不法上陸は七百十九人、資格外活動は三百十人、刑罰法令違反等百五十七人となっております。
 最近の入管法違反事件の特徴といたしましては、就労期間の長期化及び地方拡散化傾向がうかがわれるほか、悪質なブローカー等が介在し、摘発を免れるため日本人との結婚や日系人を偽装するなど、その手口が悪質、巧妙化しております。
#11
○中川(正)分科員 それで、先ほどの一般的な話から、もっと個別の話に進んでいきたいというふうに思うのですが、そうした数と、それから労働市場が緊迫しているという形の中で、一つ一つ調べていくと、滞在が長期化しているという一つの流れがあります。
 バブルのころに来た人たちですから、それが十年以上になってきている。その結果として、完全にその子供たちも日本になじみながら、これは合法的に滞在をしている人たちでも同じような現象でありまして、リピーターという形で何回も繰り返し日本に帰ってきて、彼らの感覚からいうと、既に本国に帰るつもりはないんだ、日本でこれから一生を終わっていく、そういうつもりなんだという人たちが圧倒的にふえてきている。これは、合法化している人たちの意識がそうなっているわけですから、非合法で今残留している人たちの意識というのも、やはりそんなふうになってきているということですね。
 それに対して、特別に認めてほしいという要望も窓口に対しては相当出てきているということもお聞きをしていますし、この間、そんな形で十六人ですか、許可が与えられたというようなこともあるわけであります。
 そういうふうなことをずっと考えていくと、これは二十六万人からの数ですから、どこかでやはり整理をしていく必要がある。どちらかというと、それぞれの滞在期間が長くなってきただけに、そろそろ、この一、二年といいますか、この今の時期にそれなりの結論を出していかなければいけない、そんな局面に来ているだろうというふうに思うのですね。
 そんな中で、一つは、法務省としてのこの問題についてのさばき方は、出入国管理をどうしていくかという、相当大臣自身に恣意的なといいますか、権限を与えられながら、その中で整理をしている。それはわかるのですよ。それと同時に、もう一つ、例えば、労働省の方でいろいろこれからの経済情勢に合わせた形の外国人労働者の受け入れをどうしていくか。またその職種、例えば介護とかあるいは看護婦さんとかという、足らない職種でこれから伸びてくるものに開放していこうじゃないかというような、そんな議論がこれあり。
 もう一つは、通産省なり経済関連の業界の方からも、これからの日本の経済構造の中で、ある程度の経済成長率というのを確保していくためには、外国人労働者というのは、単純労働も含めてですよ、特に単純労働ということなんですが、相当の規模の労働者を受け入れていくということでないと今の成長率が持続できないんだという議論これあり。それぞれ錯綜しているわけですね。
 それで、大臣のさっきの答弁でいくと、どちらかというと法務省の方は、入管を厳しくして帰す人は帰していこうよ、不法という部分については数を下げていこうということ、そういう意図だったというふうに思うのですが、一つは、そんなことがそれぞれ方向がわからないままに、いわば日本の国策として、日本の戦略として、どういうふうにそれを将来に向かって枠づけをしていくのかということですね。それをどこかでやっていかなければいけないというふうに思うのです。その辺の大臣の問題意識と、これから具体的にどこでその整理をしていこうとしているのか、それをひとつ聞かせていただきたい。これは将来に対して。
 それからもう一つは、先ほどの話で、もう二十六万人、これはざっと統計上といいますかコンピューターで出てくる数ですけれども、ちまたでは、これの倍から三倍ぐらい不法残留、あるいは密航者も含めているのだろうということが言われています。私はこの数字は実感があるのだろうというふうに思うのですが、その今生活している人たちをどうするかということがありますね。
 今の建前でいけば、これはもう帰ってもらわなければいけないんだ、いわゆる合法化はできないんだ、日本としては建前上は合法化をする方向ではないという考え方が背景にあるように私は理解をしているのです。しかし、現実問題を見ていく限り、片方で建前でそう言っていても、バックドアからどんどん入ってくる、それが社会のこれだけの緊張を生んでいくというこの現実がある限り、これは、ただ建前だけで議論できない状況にまでなってきているというふうに思うのです。
 そういうことを踏まえて、建前の話ではなくて、大臣自身がこの現状の問題をどうしていこうとされているのか、この二点、お聞かせをいただきたいと思うのです。
#12
○臼井国務大臣 さきに委員が御指摘をいただきましたとおり、国際化の中で本邦に在留する外国人も大変ふえている。また、不法入国者、不法滞在者というものもふえている。こうした環境の中で、いろいろな外国人による事件というものが一般の市民にも影響してきているということが最近の傾向として見られるわけでございます。
 私どもといたしましては、正式な形でもって在留をしていただいておられます外国人に対しては、日本の立場としてできるだけ温かい対応をしなければならない。一方、先ほど来お話がございました二十七万とも言われるそういった方々、あるいは密入国者、これは私どもは正確に掌握しておらないわけでございますが、そういう人たちに対してはやはり厳しい態度でもって臨むということが日本の社会にとって大変大切なことだと考えておりまして、本年二月十八日に実施されました改正入管法におきましても、そうした趣旨を踏まえて実施をいたしたところでございます。
 私どもといたしましては、既に第一次出入国管理基本計画を策定いたしているところでございますが、これらについても、大変長い期間たっております、社会情勢も大きく変化もいたしておりますので、できるだけ早い機会にこうした新しい基本計画の見直しというものもすべきではないだろうか、このように考えておるところでございます。
#13
○中川(正)分科員 もう少し的確にお答えをいただきたいのですが、将来の話と、それから現実をどう見ていられるかということですね。建前の話はわかりましたけれども。
 大臣、政治家として、現実の話をどう見ていられるか、自分の言葉で一遍話してみてください。
#14
○臼井国務大臣 建前の話をしているわけではございませんで、まさにそうした国際化という傾向は現実のものとして受けとめなければなりませんが、実際上、そうした流れの中でもって大きな問題が起きてきているということは現実である。したがいまして、それに対して、法のもとで入ってこられている方に対しては温かい目でもって見ること、しかし他方、不法に滞在をされている方々等についてはやはり厳しく対処していくべきであるというのが私どもの基本方針であるということを私の考えとして申し上げたところであります。
#15
○山本(有)政務次官 先生のおっしゃるとおり、不法在留、コンピューターではじかれる数字以外にもたくさんおいでで、先生の御意見によれば五十万人ともなんなんとする、この現実はそのとおりであろうと思います。そしてそのほとんどが、長期滞在しながら悪質な仕事についておったり、あるいは、合法的な仕事についておるかもしれないけれども、しかし、不法な入国であることは間違いない。こういうような現実の人たちが五十万人、それはもう否めない事実であろうと思います。
 そこで、我々はこれに漫然と手をこまねいているわけではありませんが、出入国管理における捜査のいわば手段それから施設、そういうものの限界も感じておりまして、特に、盛り場等で逮捕すれば、必ず、警察署がとめ置くところ、あるいは捜査するのに通訳が必要だというような問題点もありますし、また、自治体におかれましても、ごみの処理等々生活する上においての住民の福祉という意味でも大変な問題を抱えているということが現実であろうと思っております。
 そしてさらに、日本という国が今後ますます生産人口が減少していくときにおいて、外国人労働者がいや応なく入ってくる傾向にあるということだけは言えるのではないかというように考えております。
#16
○中川(正)分科員 片方でその不法入国というものに対して厳しく臨んでいく、それでこの法改正があったわけですね。これはこれでいいと。
 もう片方で、例えば最近の在留特別許可の申請に対して、二十一人申請した人たちに対して十六人在留許可を与えたということですね。これは法的にはっきりとした区分をしたわけじゃなくて、人道的にといいますか、その辺のしんしゃくを大臣の裁量に任せながら、この在留特別許可というものがあるわけですね。それで、こうした形で十六人許可された。
 こうした硬軟の使い分けでこれに処していこうという、逆の立場で私が答えるとすれば、そういう手法をとっていかれようとしているんだろうというふうに私は理解できるんですが、ただ、この人道的な部分というのが、これは二十一人出てきて十六人でしょう。ところが、その奥の深いところで五十万人いるわけですね。このさばきをどうしていくかというところまでしっかりいかないと、表面的なこの十六人の話だけでこれは終わっていかない。その分が地方自治体へ向いてすごい圧力で今かかっているわけですね、行政圧力、これをどうしていくのかという形で。
 だから、私に言わせれば、国が、国際的にも、あるいは周辺の経済の状況から見て建前上で厳しく出なければならないとすれば、例えばこの人道的な部分は、これは法務省でこんなごまかしをやるんじゃなくて、地方自治体へ向いて話をおろしていって、地方自治体、コミュニティーレベルではいろいろなその方策ができるわけですから、そこへ向いてその仕組みをつくっていくというか、現実は現実として受けとめながら日本としての仕組みをつくっていく、そういうことが一つ考えられるんじゃないかということと、それから、将来的にはどこかで非合法を合法化していくという時期が、諸外国で踏み切られたようにこれは現実問題としてあるんだろうというふうに思うんですよ。これはもっともっと法務省に対しても圧力がかかってくると思うんですが、大臣、どうもそれに対する事実認識が甘いような気が私はするんですね。
 それをきょうは関心をしっかり持っていただいて、このことについて、法務省だけじゃなくて、この前も自治省にその音頭をとってくださいとは言いましたけれども、これは全体としてひとつそういうことを考えていく組織づくりをしていく必要がある、こんなふうに思うんです。
 そういう問題意識を持ちながらの話なんですけれども、これから、これを取っかかりにしまして、また何回も何回も具体的な提案も含めて細部を詰めていきたいというふうに思うんです。
#17
○山本(有)政務次官 先生御指摘のように、外国人の受け入れにつきましては、地方自治体を含めて、関係各省庁、行政分野が関連していると思われております。特に、労働問題では労働省、あるいは、生活を現実にしているという意味では自治省等でございますが、外国人の入国、在留に関しましては、基本的な施策を法務大臣が出入国管理基本計画として定めるほか、出入国管理及び難民認定法及び関連する法務省令によってその受け入れの範囲や上陸許可のための条件が定められており、それら計画や法務省令を定める際には、関係省庁と協議をすることとなっております。
 法務省といたしましては、これらの協議を通じて各関係行政分野の施策との十分な調整を行い、地方自治体も含め、政府全体として整合性のとれた形での外国人受け入れのための施策の実施に努めてまいりたい、こう考えております。
 それから、さらに先生の御指摘の、一括して何らかの措置ということでございますが、この措置をアムネスティというようにお聞きをするとするならば、一定の範囲の不法滞在者について条件を定めて一律に在留資格を与えるいわゆるアムネスティにつきましては、海外からの新たな不法就労者の流入を助長するおそれがございまして、そのような措置は今のところ相当ではないと考えておるところでございます。
#18
○中川(正)分科員 その政策は前から日本としての意思表示を聞かせていただいているんですが、それは、この現実を見ているとそう言い切れなくなってきますよということだと思うんです。それは認識もいただいておるだろうと思うんですが。
 一つだけ具体的に約束をしていただきたいんですが、そういう状況の中で、これは厚生省の関係なんですけれども、特に医療ですね、本来は社会保険を使って医療の保障をしていくという日本のシステム、これは外国人にもとられていますよということなんですが、現実問題としてはそれに入っていない人がほとんどということですね。そうすると、これは地方自治体の方へ行って、国民健康保険でやらせてくだいよということになると、厚生省は、建前からいったら、これは就労しているわけだから社会保険じゃないといけないよ、こういうことになって、やはり無保険者が問題化している。それが病院へ行って診療拒否を受けている。こういう制度の矛盾と、それからこの問題そのものの持っている体質で、さらに悲惨な状況というのが現実にあるわけです。
 これに対して法務省の方も、ひとつ何とかしろよと、厚生省に対して、あるいは地方自治体に対して問題意識を喚起していただいて解決をしていく、現実にセーフティーネットとして何かつくり上げていくというふうなことをやりますよという約束だけはちょっとしてください。
#19
○臼井国務大臣 今お話しの部分につきましては、他省庁のことでもございますし、ここで私が答えるべきものでもないと思いますけれども、御認識のことは承りました。
#20
○中川(正)分科員 他省庁といっても、これはやはり基本は、問題の出発は入国管理から来ているわけです。だから、ほっておくわけにはいかない。これはもう大臣の所掌ですよ。そこのところを、そうですねという形でもう一回。
#21
○山本(有)政務次官 実は、先生のたゆまざるこういう御指摘に対しまして、内閣官房副長官の方から内閣として御下命を現在受けておりまして、特に、そういう無保険者、さらに介護におけるマンパワーの問題等、これを長期的に研究しろという御下命を受けておりまして、数回にわたりまして、これから厚生省の政務次官と私とで話し合いを持たせていただくということになっておりまして、先生の御指摘のこの問題についても、両省で責任を持って研究、検討をさせていただくようにいたしますので、よろしくお願いします。
#22
○中川(正)分科員 さらに一つだけ気をつけていただきたい事項があるとすれば、この前の厚生政務次官からの答弁の中に、そうした無保険者が病院に行って、それで診療を受けたときに踏み倒した場合、この場合には、それを措置するための補助金を流していますよという答弁がありました。これは一つだと思うんですが、それですべてを解決するということじゃだめだと思うんですね。それは、実際のところはセーフティーネットになっていないんです。本来はもっと深いところに根があるわけでありまして、さっきの長期的なという話じゃなくて、今どうするか、今それぞれの自治体にどういう指示を与えていくか。
 基本的には、まずは国保について、外国人の場合、そういうケースの場合には特別に使わせる、国保でもいいんだ、こういうことで踏み切ってほしいということがまず一番近い道筋だろうと思うんですよ。そういうことをぜひやっていただきたいと思うんです。
#23
○山本(有)政務次官 厚生政務次官と協議しつつ、先生の意をしっかり踏まえてこの研究に当たりたいと思っています。
#24
○中川(正)分科員 早目に終わりましょう。以上です。
#25
○西田主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。
 次に、保坂展人君。
#26
○保坂分科員 社民党の保坂展人です。
 この問題については先週の法務委員会でも、大臣の所信を受けての議論をさせていただきましたけれども、臼井法務大臣の信条として、やはり政治に清潔さがなければならない。信頼。亡くなった三木さんは、信なくば立たず、こういう信念で貫かれたと思うんですが、その点、大臣の信条の一番根底にあるものを伺いたいと思うんです。
#27
○臼井国務大臣 私も政治家として立つ上においては、やはり、自分として、国民の皆さん方に理解をされ、また信頼をされる政治というのが一番の基本だということはよく承知をしておりまして、自分自身としては、その生き方というものを現在まで貫いてきている、このように思っております。
#28
○保坂分科員 実は、脱税事件にもいろいろなパターンがあろうかと思うんですね。大変金額の大きい、大型脱税事件というふうに仮に呼ぶとすれば、こういう事件で国税当局から東京地検が告発を受ける、東京じゃなくてもいいんですが、検察庁が告発を受けるというケースは概してどのようなケースなのかということをお答えいただきたいと思います。
#29
○古田政府参考人 一般的なお尋ねになると思うんですけれども、脱税について告発を受けるようなケースと申しますのは、まず逋脱額の大きさ、それからその手口とかそういうものの悪質さ、そういうものを総合勘案して受けることになると思います。
#30
○保坂分科員 それが幾らという基準があるのかどうかわかりません、要するに、巨額だということも一つの基準だということですけれども。
 わかりやすく答弁をいただきたいんですけれども、こういった事件の場合、いろいろなパターンがあろうかと思います。つまり、税務当局に影響力があるかのように偽装をして、実際には全くないんだけれどもあるかのように偽装をして、多額のいわば指南料、こういうものを受け取っていた場合、こういうケースはどういう罪状に問われるのか。お願いいたします。
#31
○古田政府参考人 実際に何らかの犯罪になるかどうかというのは、証拠、事実関係とかそういうもので決まるわけでございます。
 しかし、非常に一般的に申し上げますと、今委員御指摘のような、本当は何ら影響力もない、あるいは何ら影響力をもちろん使うこともできないというような場合で、あたかも影響力があるというふうなうそを言いまして、それで相手をそのように思わせて現金その他の財物を受け取ったといたしますと、それは詐欺の構成要件に当たる場合があるということになると思います。
#32
○保坂分科員 そうだと思うんですね。ただ、これはなかなか微妙な、いろいろなケースがあると思うんですね、こういう税金に絡んだ犯罪の場合。
 では、いわゆる税務当局に影響力がないのにあると偽装をして、そういう顧客に対して節税しませんかといって多額の顧問料を取る、こういう場合と、実際にうまいこと領収書や架空のものをでっち上げて、いわば脱税を代行してしまう、いろいろなケースがあると思うんですが、こういった場合に、その顧客の側は、例えば詐欺というふうに一般的におっしゃいましたけれども、被害者ということになりますか、それともどういう存在になるのか、その辺、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
#33
○古田政府参考人 確かに事件としては、例えばの話ですけれども、警察官に顔がきくからお金を渡せば何とかなるというようなことで、いわゆる詐欺みたいなものもあるわけでございます。しかし、実際はそういう贈収賄は行われないというふうなケースもございまして、こういう場合には、ある意味の完全な詐欺の被害者ということになるであろうとは思うわけです。
 しかしながら、この脱税の場合には、非常にしばしばあるケースといたしましては、納税義務者になるわけです。そういう場合、やはり何か、いわば今委員御指摘がありましたような工作を施して、それで税金を免れる、大体そういうふうなケースがかなりあるわけでございます。そこはお互いある程度わかっているという場合があるわけですね。そうすると、これは逋脱犯の共犯ということになるわけで、この共犯者の間でそういうことをすることの報酬としての金のやりとりがあったというふうなことになりますと、これは実際の事件としてはなかなか、必ずしも被害者ということは言い切れない場合があろうかと思います。
#34
○保坂分科員 よくわかりました。つまり、顧問料の支払いがあったのかどうかということがポイントだと思います。前者の場合、いわゆる節税というふうに素直に信じて被害者という形でいた場合は別ですが、こういったことは実際脱税だということを暗に知りながらそういうお金を払っていたという場合はやはり問われるんだということだったと思うんです。
 それでは、顧客を、いわゆる脱税指南請負人というんですか、そういう人に紹介するという行為は、後者の場合だとどういうことになるんでしょうか。何か違法行為を問われるということはないんでしょうか。
#35
○古田政府参考人 これまた紹介する方がどの程度何を認識していたかということにかかわることでございますので、一般的には大変、何らかの犯罪を構成するとかそういうことは言いがたいわけでございます。
 ただ、その辺の事情を全部知った上でもし紹介をした、要するに不正な方法を使って税金を免れる、逋脱をする、お互いそういうことをするんだというようなことがわかっておりまして紹介をした、それで実際にそういう脱税行為が行われたということになりますと、それは脱税の手助けをした幇助犯ということになる場合があろうかと思います。
#36
○保坂分科員 そういう可能性も一般論ではあるということなんですけれども、例えば接待、収賄の構成要件を問うときに、コーヒー一杯なのか、それが五万円の料亭なのか、あるいは何回それがあったのかということが問われると思うのですね。
 だから、要は、その顧問料というのが社会的な常識から見て、例えば五百万とか七百万とかそういう多額な、多くのサラリーマンの年収を超えるような金額であった場合。それがまた仮に、税務当局に全く影響力がなくてさもあるかのように装って、そういった構造をどこまで知っていたかという問題もありますけれども、しかし、もともとの原資、いわゆる紹介をした、幇助犯なのかもしれないそういう紹介者に支払った原資が犯罪によって生み出されたかもしれない。つまり犯罪による収益ということも言えるかと思うのですが、そのあたりはどういう解釈になりますか。
#37
○古田政府参考人 実際に支払われたお金、今御指摘のようなそのお金の原資がどこかというふうなことにつきましては、それが実際の問題として出所が正当なお金であるかもしれませんし、いろいろな場合がこれまた想定されるわけでして、一概にそれが犯罪収益になるとかそういう問題ではないと思っております。
#38
○保坂分科員 それでは聞き方を変えますと、詐欺によって例えばある会社をだまして、二千万、三千万、そういうお金を取得した。そのお礼にその二千万、三千万の中から一部を支払った。こういう場合はどうなりますか。
#39
○古田政府参考人 それが何かの犯罪に当たるかどうかという観点からのお尋ねと理解してよろしいのでしょうか。
 これまた、そういう場合にも、結局、そういうお金がどういうところから来ているのかという認識を、受け取った方がどう思っているかということにかかわることになると思います。
#40
○保坂分科員 情を知ってというところがポイントになるのだと思いますけれども、どういう性格のお金が振り込まれたのかということがポイントだと思います。
 今度は、一応この仮定で違うケースを考えてみたいのです。
 税務当局に影響力が一部はあった場合、これは一部はというのは、例えば査察の時期を半年とか三カ月おくらせたとか、あるいは課税額自体を減額したとか、いわゆる影響力の行使が認められた場合に、そういうお金が動いていたとしたらどういう違法行為というふうに言えますか。
#41
○古田政府参考人 現実の問題として、そういう影響力があるというような場面というのはほとんど想定はできないことも多いと思うのですけれども、いずれにいたしましても、それがどういう形で行われたかというようなことに非常に大きく影響されますので、一般論としても、それが何らかの犯罪に当たるかどうか、当たるとしてもどういうものかということをお答えするのは大変難しいと思います。
#42
○保坂分科員 では、これで刑事局長には終わります。
 ちょっと長々とこういった問答をさせていただいたのは、やはり清潔な政治ということを、これはこの間、法務大臣は大変お困りになっていると思うのですね。非常に不本意だという気持ちもおありだと思います。そこのところを私どもも酌んで、余り何回も同じ質問をしませんけれども、どうしても確かめておきたいことがあります。
 タツノレジャーという企業名を先週法務委員会で出しましたけれども、この会社の社長さんと面識があったかどうか。つまり、元秘書の方が脱税コンサルタントに紹介をしたというのがこのタツノレジャーですけれども、大臣は、面識はおありだ、しかし、タツノレジャーの会社の方かどうかはちょっとわからないんだという答弁でしたけれども、その後わかったでしょうか。
#43
○臼井国務大臣 御承知のとおり、新聞等には一切そうした名前は出ておりません。しかし、先般お話をしたとおり、マスコミの方がお電話等でいろいろなことをお話しの際にその社長のお名前も出ましたし、その会社のお名前も出たわけでございます。それらの話を総合して聞いておりまして私の記憶を確かめたところ、恐らく、その該当する方はある団体の役員等もしておられたのでございまして、それらの関連の団体でよくお目にかかる方であろう、こういうふうに思っております。
 したがいまして、そういうふうに申し上げたわけでありますが、ただ、その方が具体的な今お話のあったタツノレジャーの社長さんであるという認識は、実は今回の事件が起きるまでは持っておりませんでした、こういうことを申し上げたのでございます。
#44
○保坂分科員 そうすると、タツノレジャーというボウリング場やプロパンガス業などを営む方、その方に、不本意ながら、大臣の元秘書の方が、現在問題になっている人物、また国税当局が地検に告発をする方針だという記事が各紙に今出ておるのは御承知と思いますけれども、その方に迷惑をかけたというお気持ちはおありでしょうか。
#45
○臼井国務大臣 私は迷惑をおかけした、こう思っております。もしそれが事実であるとするならば、そうしたことが私どもの政治の立場でもってやれるということは通常ないわけでありますが、それを、あたかもそういうことが行われているということを認識させたという点については、私は大変御迷惑をかけたのではないかと思います。
#46
○保坂分科員 前回、金曜日に法務委員会でお聞きをしたときに、パーティー券は何枚か買っておられただろう、政治献金については確認ができませんでしたというお話だったのです。この点はその後確認は、まだできないということでしょうか。それともありましたでしょうか。
#47
○臼井国務大臣 その方とお目にかかった団体は私も大変じっこんな団体でありますので、結構長い期間お目にかかっておりますので、恐らくそういう団体等を通じて券も行っていたのじゃないか、こう思っておりますが、政治献金等についてはないと思います。
#48
○保坂分科員 政治献金はないということなのですが、では、これは業界団体、どのような団体でしょうか。おっしゃれないならおっしゃれないでいいです。
#49
○臼井国務大臣 スポーツ団体であります。
#50
○保坂分科員 この点については、これまで、まさに国税当局の調査によって明らかになってきた事態だと思いますけれども、これが大臣も所管される、もちろん個々具体的な事件について一々指揮をするなんてことは当然ないわけですけれども、しかし、関係においては法務省の外局の検察庁がこれを調べる段階に入るかもしれない。今告発をされるのは、大臣の元秘書やタツノレジャーという、そういう名前はまだ出てきておりません、しかし同一の、本人による一連の行為ということは明らかなので、ここのところは重く受けとめていただきたいと思うのですが、どのようにお感じになっていますか。
#51
○臼井国務大臣 先般も申し上げましたとおり、すべて新聞報道でございますので、確認がしかととれているわけではございません。しかし、そういうことがございましたので、秘書を通じて本人にも確認をいたしました。必ずしも本人の申していることと新聞等に出ていることが一致をするわけではありませんが、しかし、私は、それでは本人が本当のことを言っているのかどうかということは確認できない、こういうことで、先般来からこのことは、むしろこうした場でもってお話しするのは控えさせていただきたい、このように思っております。
 一方、そうしたことが事実であるとするならば、私は、検察当局は厳正中立に、不党不偏の立場でもってしっかりとやっていただけるものと確信をいたしております。
#52
○保坂分科員 それでは、これに対しては、厳正な捜査を行われると私どもも信じていますし、この事実がまだわかりません、まだ全容はわかりません、捜査によってどういうことが出てくるのか、法務大臣が長らく、十年間にわたって使われていた秘書さんのことですから、やはり今後もぜひ注目をしていきたいと思います。
 実は、昨年の国会で大変な議論になった、私どもはいわゆる盗聴法と呼んでおりますが、通信傍受法をめぐって、ちょっと予算の関連で、DVDを使うということが私どものヒアリング、警察庁からの話などによって明らかになってきたわけなんですけれども、国会審議においてはDVD―RAMを使うというようなことは出ていなかったんですね、いろいろ議事録を探してみましたけれども。一応、長いこと刑事局長とこの法案審議の際に一番議論を交わした仲ですけれども、これはテープで録音するということを私ども聞いてきたわけです、与党の時代も野党になってからも。DVDということがどうして今日浮上してきたのか、これについて、いわばDVDを使うということをもし法案審議のときに出していれば全く別の議論になったんじゃないかということを指摘したいんですね。
 具体的に申し上げますと、テープと違いまして、切ったり張ったりするとテープは音質が劣化していきますけれども、DVDは編集が自在にできますよね。それから、コピーでも音質の劣化がないなど、こういうものをいわゆる音声証拠として使うに当たって、法案の前提となるいろいろな点が変わってくるだろうと思うんです。このあたり、では刑事局長、いかがでしょう。
#53
○古田政府参考人 ただいま委員御指摘の、前提の問題といたしましてDVD―RAMを想定していなかったのかということ、これは、国会審議の過程で、衆議院の法務委員会で当時の刑事局長から、DVD―RAMを含む光ディスクも記録媒体として考えておりますという答弁は申し上げております。
 それで、当時DVD―RAMじゃなくて専らテープということでお話をして、なぜそれがDVD―RAMということが出てきたのかということですが、当時といたしましては、それまでの傍受のやり方で使われておりましたのがテープであったわけです。それを踏まえまして、テープということでずっとお話を申し上げていたわけです。
 その後、DVD―RAMという考えが出てきたということは、一つにはDVD―RAMの方がテープより保存性がいいということでございます。それからもう一点は、DVDの方がより高品質、高品位な録音ができる、こういうようなことがございます。それから、取り扱いがやはり何といっても、取り扱いというのは例えば実際の保存とかそういう意味なんですけれども、そういう点ではDVD―RAMの方がテープよりすぐれている。そういうようなことを総合考慮して、DVD―RAMを記録媒体として使用するということを検討するに至ったというふうに私は承知しております。
#54
○保坂分科員 刑事局長、ちょうどいらっしゃらないときだったんですが、その質疑というのは私も覚えていまして、坂上委員が聞いたときにいろいろ羅列した中で一つ挙げたんです、確かに。それは覚えています。しかし、それまでの議論はずっとテープで進んできたんです。それこそ何十回議論しましたけれども、全部テープという前提です。
 一言だけ伺いたいんですけれども、これだけ警察の不祥事が出てまいりましたよね。その中には、絶対持ち出されてはいけない捜査上の証拠、女性の写真、そういうものが脅迫の材料に使われていたということが、一人二人じゃないわけですね。データ、例えば犯歴情報などが持ち出される、あるいはそれが売られる、もう余りに多過ぎてわからないぐらいになってしまった。このDVDは簡単に複製ができます。さらに、コンピューター通信によって一瞬に送達できるわけですね。テープというアナログの情報媒体に比べて、一たん漏れたらぱあっと際限なく行っちゃうんですね。
 そういう意味でいうと、刑事局長に伺いたいんですが、警察の不祥事ということを踏まえてみると、この立法の議論の中で、これを厳格に、あくまでもこの法律どおりに、記録がどこかに漏れたりするようなことはないということを何遍も、当時の、前任の刑事局長が答えてきたんですが、やはりそのところを今回の不祥事を受けて見直すおつもりはないのか、その点はいかがですか。
#55
○古田政府参考人 この傍受につきましては、おっしゃるとおり、傍受の原記録が特に外に漏れるようなことがあってはいけないのは当然でございまして、そのために裁判所に保管をお願いするなど、いろいろな措置をとっているわけでございます。
 ただいま御指摘のような問題を解決するために、例えば改ざんなどが容易にできないように、使った機器がどういう機器であったかが自動的に記録できるようにするとか、種々の方策を実は検討しておりまして、そういう面で今御指摘の懸念のような問題が起こることを防ぐための最善の措置をとるということで考えております。
#56
○保坂分科員 政務次官に伺います。
 この問題で、いろいろ見解が違ったり、議論もしてまいりました。衆議院では余り議論がかみ合わなかったのは残念ですけれども、この法律によって会話が聞き取れるという、やはり大きな権限ですね。そして、そのプライバシーがもし万が一犯罪集団に行ってしまったり、あるいは興信所に行ってしまったり、脅迫の材料になったりするようなことがあったら、やはりこの法律は見直した方がいいと思う。そういう意味での歯どめがもっともっと私は必要だったと思うんですが、この間の警察不祥事を受けて御答弁をお願いしたいと思います。いかがですか。
#57
○山本(有)政務次官 保坂委員が以前法務委員会で御指摘になったエネミー・オブ・アメリカというものを私も拝見いたしました。なるほどという気持ちがございました。特に、神奈川県の不祥事等があればそうお思いになるのもさもありなんという気がいたします。
 したがいまして、この点におきましては、しっかりとした運用を我々が相互にチェックしながら健全な社会を築き上げていく、そんな心構えがうんと必要だろうというように考えておりますので、今後の運用の実態を把握しながら、お互いで考えていきたいというように考えております。
#58
○保坂分科員 政務次官、もう一問なんですが、心構えでやってきたんですよね、警察不祥事も。ただ、心構えでやったにしては、神奈川県警であれだけ大きな事態があったのに、またぞろ、きょうの新聞にも出ています、もう一々挙げませんけれども。そうなると、では、百歩譲って、この立法問題ありと反対しましたけれども、予算がつけられて動いていきますから、そのときに、外部からこれをコントロールする、本当に警察が適正にこれをやっているのかどうかを抜き打ち的にでもきちっとチェックをしていく制度が本来必要だったんじゃないでしょうか。これを、今からでも遅くはないんで、要するに、内部でしっかりやります、今後はちゃんとやりますということを何回も記者会見で言ってきているわけですけれども、本当に大事なのは当事者じゃない外部からの公正なチェックだと思うんです。この点についていかがでしょう。
#59
○山本(有)政務次官 今度新たに特別監察制度も設けられましたし、また警察庁の都道府県警察に対する関与の度合いも変わってくるというように聞いております。中長期の観点に立って先生御指摘のとおり考えてみたいというように思っております。
#60
○保坂分科員 監察官制度も警察内部で監察するわけですね。ですから、我々は、やはり外部、場合によってはそれぞれの公安委員会にきちっと事務局をつけて、警察官が代理して事務をやっているのではなくて、きちっとそこにスタッフも置いてやるというのが本来の民主警察のあり方だと思うんですね。
 これだけよどみが出てきている以上、これは警察の問題、直接法務省ではありませんけれども、その権限を大きくゆだねた立法をされた側の責任として、ぜひ政権与党の中でもきっちりこういう議論をしていただきたいということを要望して、私どもは廃止法案ということでさらに議論を続けていきたいということを申し添えて、私の質問を終わります。
#61
○西田主査 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡辺周君。
    〔主査退席、青山(丘)主査代理着席〕
#62
○渡辺(周)分科員 民主党の渡辺周でございます。
 きょうの第二分科会では、私自身は、法務大臣に対しまして、今般の出入国管理基本計画の見直しについて、製造業を中心とした雇用の現状ということも絡めまして、お尋ねをしたいと思います。
 まず第一番目なんですが、法務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 ことし一月、総理大臣の委嘱を受ける形で「二十一世紀日本の構想」懇談会が取りまとめたいわゆる報告書、これはもう御存じのとおりでありますけれども、この「二十一世紀日本の構想」、タイトルは「日本のフロンティアは日本の中にある 自立と協治で築く新世紀」、こういう報告書が出されているわけであります。
 その中に、移民政策といったような小見出しで、日本に居住する外国人の数が総人口の一・二%を既に超えた、いろいろ社会情勢が大きく変わる中で、この定住外国人政策というのは出入国管理政策の一環で考えられてきたものの、法的な地位、生活環境、人権、居住支援、こうしたことを総合的に勘案した外国人政策は未発達のままで来たのだといったようなことに触れられているわけであります。もちろん、だからといって、移民を促進するような政策を一気に進めるのは望ましくない、しかし、外国人が日本に住み、働いてみたいと思うような移民政策をつくることがこれからの時代の中で肝要である、必要であるといったようなことが提唱されております。
 まず、今回の質問の最初として、所管大臣としてこの報告書をどのように受けとめていらっしゃるのか、その点につきましてお尋ねをしたいと思います。
#63
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、「二十一世紀日本の構想」懇談会におきましてそうした御提唱をいただいているということは承知をいたしております。
 出入国管理行政といたしましては、国際化の進展や少子高齢化等の内外の状況の変化に対応した政策をとることが必要でございますけれども、一方で、移民の受け入れという問題は、我が国社会に多大な影響を及ぼしまして、我が国社会の将来のあり方にもかかわる問題でございます。慎重な検討と国民的なコンセンサスを要するものと考えております。
 いずれにいたしましても、我が国社会の状況にかんがみれば、急激に多数の外国人の移入を受け入れるということは現実的ではないと考えておりまして、どのような分野に外国人を迎えるかという受け入れの範囲などを徐々に緻密に調整しつつ、社会に摩擦をもたらさないような形で受け入れを図っていくということが必要であると思います。
#64
○渡辺(周)分科員 まさに今大臣御答弁いただいたように、移民政策というような見出しで、私はちょっと一瞬ぎょっとしたのです。ヨーロッパなんかの例を見ますと、やはりいろいろな移民を受け入れてきたことが、一種の国内における、例えばナショナリズムの高揚につながったり、当然、雇用の問題も含めてですが、いろいろな形であつれきを生んできた。
 確かに、そういうことでいえば、今おっしゃったとおりに、やはりある程度国民的なコンセンサスが得られる中で、これから将来、例えば人道的な、アジアの国あるいはアフリカでありますとか南米でありますとか、日本の高度な技能あるいは教育を受けて、こういうものを習得して、また国のために将来的に貢献できるような人材をつくるということは国家としては必ずやっていかなければならない。しかしながら、これは日本の受け入れ側にしますと、突然、移民政策などという言葉が見出しとして躍ると、一瞬ぎょっとする。そういう意味で、御配慮をいただいた上で、ぜひともこうした国際国家日本としての役割をやはりこれから担っていきたいな。それは、与党、野党を問わず考えていかなければならない問題なんです。
 そうした中で、今現在では、そのソフトランディングな外国人受け入れという一環として、入管法に基づいて平成四年に定められた出入国管理基本計画を、新たに第二次計画とするために見直しを行っているということでございます。これは、今の「二十一世紀日本の構想」の報告書にあるようなことをまずは政策として具体化をさせることとして、今回、この見直しを行う方針なのか。そしてまた、見直すきっかけとなったのは、この報告書のみならず、どのような社会環境の変化というものがあって今検討されているのか、その点についてぜひとも御見解をいただきたいと思います。
#65
○臼井国務大臣 今委員御指摘の出入国管理計画は、入管法によりまして公正な出入国の管理を行うため、入国管理政策の基本を定めるものでございます。平成四年に第一次計画を定めて以来七年以上を経過いたしておりまして、国際化のさらなる進展や少子高齢化時代の到来、外国人による犯罪の多発、不法滞在者の問題に対する一層強力な取り組みの必要性の高まり、そういった我が国内外の状況の変化や社会の要請の変化に応じ、今後の出入国管理行政の指針を改めて示す必要がある、こうした考えから、今回の第二次計画を策定することといたしたものでございます。
 この策定作業というものは、今委員御指摘の、二十一世紀の構想の報告が取りまとめられる以前から行っていたものでございまして、本計画の策定と同報告とは直接関連するものではございません。
#66
○渡辺(周)分科員 もう御存じのとおり、まさに社会環境の変化という中で、大方の方が指摘されているような将来的な労働力人口の推移ということを考えますと、二〇〇五年をピークとして、その後二〇一〇年には約百二十万人もの労働力人口が減る、こうした先々のいろいろな統計ももとになっているというふうに思うわけであります。
 実は私も、おりますところが静岡県の沼津市というところでございます。地場産業でいいますと水産加工業を中心としているところでございまして、これは非常に大きなシェアを占める地元の地場産業なんですが、こうした中で大変関心の強い問題がございます。
 これは先般の新聞報道に出たのですけれども、農水省の事務次官が、一月の二十日だったでしょうか、二月にも農業や水産分野に就業できる新制度を発足させる、これまで受け入れてきたいわゆる研修制度、それを実習制度にする。この技能実習の対象職種は、平成五年の制度創設時が十七職種、その後段階的に追加をされまして、現在五十五職種となっているんですけれども、この新聞報道等によりますと、こうしたことが現在検討されている。検討されて実現されるというのであれば、いつ、どの時点で実際スタートさせられるのか、大変関心の強い問題でございます。そうした御認識は、後ほどちょっと御見解を伺いたいと思いますが、これからまたさらにこの対象職種が拡大すると考えてよろしいのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#67
○臼井国務大臣 技能実習の職種拡大については、出入国管理計画の見直しは現在幅広く行っておりますけれども、御指摘の技能実習制度の見直しはその一つでございます。
 この制度は、国際協力の観点から、内外の要望にこたえて創設されまして今日まで運営されてきているわけでございまして、各方面から一層の充実が期待をされておりまして、その対象職種についてもニーズに応じて研究してきたところでございます。今後も一層拡充を図ることを、関係省庁とも協力しつつ検討してまいりたいと思います。
#68
○渡辺(周)分科員 実は、この「受け入れ拡大へ」という、これは二〇〇〇年一月十四日の朝日新聞ですか、農業、ホテル業あるいは介護分野というものも検討していきたいと。こうした中で、実際、ぜひとも一日も早くそうした方々をまさに合法的な形で研修生として受け入れて、研修をしていただいた後で実習をしていただきたい、そうした地場産の仕事をしている方々はこういう切実な思いでございます。
 実際、いつごろの段階で、どういう形で技能実習制度を設けていただけるのか。具体的には、どういう制度を考えて、望むべくは、いつごろからこれを受け入れられるようにしたいと。当初は、この新聞報道によりますと、二月にもそうしたいと。もう二月であります。その後は、何か六月ごろじゃないかとかいろいろ言われているんですが、もしここでお答えいただけるものでしたら、このあたりの時期を考えたいとお答えをいただけないかなと思います。
#69
○町田政府参考人 お尋ねの、農業とか水産に関する研修及び技能実習制度の関係につきましては、今、関係省庁と協議し、あるいはいろいろな検討をしているところでありまして、できるだけ早く実施にこぎつけられればありがたい、そういうことで私どもも努力しているところであります。
#70
○渡辺(周)分科員 できるだけ早くということでございまして、今いろいろな関係各省庁と御協議をいただいている。
 しかし、実際、現場では、そういう制度に踏み切られるであろうということで、もう新年度からのいろいろな計画を立てている。これは沼津市の例なんですが、大連に、同じ水産都市として向こうへ行きまして、向こうのちゃんと信頼の置けるところからそういう研修生を受け入れたい。そして、日本のそうした水産加工の技術を学んでいただいて、将来、お国に帰られてからも、ある程度その人たちを核にして、それぞれの産業の発展、品質の向上はもちろんなんですが、同じ水産都市として、両都市間の、あるいは両業界の友好も含めて相互の発展というものを考えたいということで、今大変に準備をしているわけであります。
 それだけに、鋭意努力をするというようなお答えでございましたけれども、ぜひとも早い段階で、一体、これからあと、いつ、どのぐらいの手続的な問題が残っているのか、差しさわりない範囲でちょっと教えていただいて、ちょっとその見通しも、あわせて教えていただければと思います。
#71
○町田政府参考人 今この段階で、いつということを明確に申し上げることは非常に難しいわけですが、私どもの気持ちといたしましては、なるべく早くやりたい、そのように考えております。
#72
○渡辺(周)分科員 気持ちとしてはなるべく早く、もうこれ以上言ってもいたずらに時間が過ぎますので。
 そういう意味では、ちょっとこれに関連する質問としてお尋ねをしたいわけであります。私自身の考え方をちょっと申し上げますと、まさに今の、私の町にかかわらずであります。
 例えば、今大変に失業率が高い。中小企業は人材確保をするチャンスであるというふうに言われる反面で、現実問題として、私の地元はアジの開き、干物の加工が地場産業でございます。そうした中で、こういう経営者の方々とお話をしますと、いわゆるきつい、汚い、危険と言われる、三Kと呼ばれた。これもマスコミの造語で、バブルのころに、こういう三Kと言われる職場で仕事をするということが非常に若者から敬遠されてきたという現実もあります。
 今回、この質問をするに当たりまして、今、非常に雇用情勢が厳しいから、では、人材を募集したら、そういう方々が働き手として来てくれるだろうかということを聞きますと、これは私の地元の静浦の干物組合の理事長さんである井村さんという方、この業界を取り仕切っている地元の方なんですが、今やもう、お父さんがいて、奥さんがいて、息子がいて、同族で水産加工の商売をやっている。今、熟練をされた近所の方がパートで来られる。開き手と呼ばれる、いわゆる干物の、魚の内蔵を、おなかを切ってはらわたを出す水場の仕事です。同族、家族は、朝四時や五時に起きて、氷漬けになっている魚をまずは解凍して、七時、八時には近所のおばさんたち、開き手のおばさんが出てくる。そして、そのはらわたを出す。寒い水場の中で仕事をして、最後は商品にして、パッケージをして、その社長さんや奥さんや息子さんたちが、夜九時ごろ、出荷の回収に来るトラックに乗せるわけです。
 結局、そういう職場環境でありますから、正直言って、募集をかけてもなかなか来てくれない。中には、家族ですらもう嫌がる、嫁さんが来ないなんというところも現実問題としてあるわけであります。もうきれいごととして言っていられないんだと。
 同族で今これだけ、いわゆる日本の食卓の、水産需要を支えているという大変大きな、自分たちはその役目を担っているんだけれども、やり手はどんどんいなくなる。これで同族がいなくなってしまったら、もうこれは、新しく就労してくれる人間というのはどんどん減ってくるんじゃないかということで、大変切実な思いがあるわけでございます。そうした中で、今回この基本計画の検討が進められているということで、期待するところが大であります。
 こういう中小企業の現実、特に地場産業を支えている分野について、大臣は政治家としてどのようにお考えでいらっしゃるのか。
 あるいは、労働省も含めて、この人材の問題。これから恐らく高学歴化が進みます。もう二〇〇九年には全入の時代が来て、今、九歳やそこらの子供が十八歳のころには、もう大学、短大の定員と同じ数になる。全員がこれから長い将来、大卒、短大卒になる。失礼な言い方を省みずに言えば、やはり、そうした水場で寒い思いをして、においもきつい、地場産のものをつくっているところはこれからますます、将来、長い目で見ると、これは水産加工業にかかわらずですけれども、人材がどんどん不足してくるのではないだろうか。
 そうした今の厳しい中小企業の現状を、労働省はどのように御認識していらっしゃるのか。できれば、あわせて大臣も、政治家としてそうしたお声は、大臣はたしか千葉の御出身ですか、千葉も水産加工が盛んな、銚子のような房総半島の町もございます。そんな中で、御所見をいただければありがたいと思います。
#73
○及川政府参考人 中小企業の現実についての御指摘がございました。
 労働省としましては、まず、国内の雇用情勢を見ますと、厳しい雇用情勢の中で、中高年齢者の方々、失業者は、なかなか再就職が厳しいという状況がございます。また同時に、御指摘がございましたように、若年者が仕事になかなかつけない、あるいはつかないといった状況がふえてきているという状況を深刻に受けとめているところでございます。
 そういった状況を踏まえますと、労働省としましては、まず日本人がつきたがらないと言われている分野等におきまして、そういったところでの労働あるいは産業のあり方といったものをきちんと見直した上で対応していくということが重要な課題であるというように考えております。そして、国内で不可欠な産業分野等につきましては、良質な人材が国内において確保されるように各般の施策を講じていくことが最重要の課題というように考えております。
 労働省としましても、そのために、中小企業の雇用管理の改善の支援あるいは高齢者、女性の方々が十分に働ける環境づくり、あるいはさらに、若年者の職業意識の啓発といった点について従来以上に積極的に推進していきたいというように考えております。
#74
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、中小企業、特に三K職場と言われるような職場は大変厳しく、なかなか働く方も見つからない、しかし社会の中ではそういう職場も大変重要な大切な部分を担っている、そういう状況が現実にあるということは、私もよく承知をいたしているところでございます。
 一方、私どもの、現在の政府の基本方針といたしましては、専門的、技術的な分野の外国人労働者というものは積極的に受け入れを進める、いわゆる単純労働者の受け入れにつきましては、我が国の社会全般に多大な影響を及ぼすものであるということから、慎重に検討していくことが必要であるという姿勢をとっているのでございます。その検討の過程におきましては、今まさに御指摘をいただいた社会のニーズと受け入れに伴う問題点を的確に見きわめながら対処していくことが大切だ、このように思っております。
#75
○渡辺(周)分科員 そうした御答弁の原稿ではなくて、恐らく中小企業問題を、地元でもいろいろな陳情、思いを当然受けとめてこられている。その点でもう少し、そういうかしこまった答弁ではなく、ぜひとも政治家として、この現状について法務大臣はどうお考えか、一言いただきたいと思うのです。
#76
○臼井国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、三K職場と言われるそうした中小企業の厳しい職場、そうした中で非常に多くの外国人の方が日本の産業を支えているという現状というものは無視できない、このように思います。先生の御指摘も念頭に入れながらこれから検討していきたいと思います。
    〔青山(丘)主査代理退席、主査着席〕
#77
○渡辺(周)分科員 もちろん、決して私自身外国人をどんどん入れろと言っているのではなく、現実問題として、どれだけ募集をかけても雇用状況は解消されない、そういう職場も当然あるわけであります。いろいろな目的を持って日本の国へ入ってこられる。その反面で、不法な就労者がいたり、あるいは何らかの地下組織のようなところにいつの間にか姿をくらまして、ある意味では日本の治安ですとか秩序を乱すという可能性ももちろん我々は否定をしておりません。
 最近、新聞等を見ていますと、例えば東京を初めとする都市部では、いろいろな外国人同士の犯罪があったり、強盗というと、どうもどこかの国ではないかと思われる片言の日本語で、何か突きつけて早朝のスーパーを襲ったとか。私も、かつて十数年前に新聞記者をしておりまして、東京の都下の方で、毎日、切った張ったという事件記者みたいな、取材で追っかけていたわけですが、その時代に比べても最近非常に、特に都市部を中心とした事件が多いのではないだろうか。
 しかし、それがイコール外国人排斥運動みたいな形になってはもちろんいけないと思いますが、ある意味では、これから将来、受け入れる側もやはり相手国とちゃんとした連携をして、犯罪歴があるとか、向こう側で何か問題を起こしているような人間は、ある程度、我々はそう簡単に国に入れてはいけない。そのかわり、研修生あるいは実習生として、これから最長で三年間、日本の国が受け入れる限りは、どこのだれが、どういう人を何人雇っている、そしてどんな仕事をさせているということは逆にこれからちゃんとしていかれるのではないだろうかという点を考えますと、これからの入管行政というのは配慮をしていかなければならないだろうなと思います。
 先ほどちょっと数字を申し上げました。需給が、将来的には二〇〇五年をピークにして人材というものが減っていく、そうした中で、今申し上げたような特に厳しい職場環境におけるところでは、これからはこうした外国人労働者というものの受け入れ口を研修生、実習生という形で開放していかなければならない。そういう意味では、入管行政もこれから大きな転換点に差しかかってくると考えるわけでありますけれども、先ほど労働省あるいは大臣からも御答弁をいただきました、お考えを聞かせていただきました。中小企業の現実も考慮に入れた上で入管行政というものを今後はぜひとも考えていただきたいと思う次第であります。改めて大臣の御意見をいただきまして、次の質問に移らせていただきます。
#78
○臼井国務大臣 今、御指摘をいただきましたように、私ども、出入国管理基本計画というものをつくりかえようと、現在手続を進めております。そうした中で、今、委員御指摘をいただきました日本の産業の状況、要請というものをしっかり踏まえて計画をつくっていく必要がある、このように考えておりまして、委員御指摘の点も考慮に入れながら、ひとついいものをつくっていきたいと思います。
#79
○渡辺(周)分科員 将来、そうした形で今御検討中の受け入れ分野、そしてまた研修制度の中で、きょうは法務大臣でございますので、これはまた改めて所管省庁等にお尋ねをしたい、あるいはお願いをしたいと思うのですが、やはり語学の習得でありますとか、あるいは日本の生活環境を知ってもらう上で、例えば地域の受け入れの協同組合なんかは場所を借りて一生懸命にそういう研修をやったりするわけです。当然、日本の生活、文化も知ってもらわなければならない。そうした中で、例えば市が補助を出して商工会議所を経由して、生活支援ではありませんけれども、何らかの助成金のような形を出しているようなところもあります。自治体も今、財政的に大変厳しいものですから、将来的にはこうした中での、これはもちろん特定の分野をどうこうしようというよりも、全国でそうしたコスト負担になっている部分についてはこれから御検討いただきたいな、そのように考えているところでございます。
 最後に、もう一つだけ質問をさせていただきたいと思います。これは、時間もあと数分しかございません。いわゆる在留特別許可の基準という点について、最後にお尋ねをしたいと思うのです。
 昨年の九月に、二十一人の在日外国人がみずから出頭したという案件がございました。大臣がいわゆる従来と異なった判断を示された。これは、在留特別許可ということの基準が変わったかどうかということであります。そしてまた、先般の報道にもありましたが、いわゆる裁量という部分において透明性を確保してはどうかというような識者の指摘もございました。ある方は在留許可が認められた、しかしある方は認められなかった、家族の中でも認められた人と認められない人がいる。こういうことが新聞報道等であります。
 私は、もちろんそれぞれの諸事情を、具体的な案件について事細かに知るわけではございませんので、一概にそれの賛否をここで言うことはできませんけれども、許可不許可ということについて、在留許可ということについての透明性の確保、もちろんこれはいろいろな理由はあったかとは思いますけれども、その点につきまして、最後に大臣並びに法務省のお考え、御所見をお伺いしまして、この質問を終わりにさせていただきたいと思います。
#80
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきました在留特別許可につきましては、従来から一般的な基準がないのでございます。そして、今回の私どもの御指摘をいただいたような処分につきましても、方針を変更したということも特にございません。私どもといたしましては、そのときに本人の希望する理由でありますとか、家族状況でございますとか、素行の問題、生活状態あるいは内外の諸情勢等々、家族の事情等も配慮をしながら、できる限りそうしたものをしんしゃくしながら措置をしていきたい、それらのものを総合的な観点から判断をする、こういうふうにいたしておりまして、今後とも、御指摘のような点も考慮しながら、的確な判断をいたしてまいりたいと思います。
#81
○町田政府参考人 ただいま大臣が御答弁になられましたような考え方に基づきまして私ども入管行政をやっております。その中で、大臣が今指摘しましたような諸事情を総合勘案して考えるわけでございますが、わけても、累次にわたり大臣が国会等で御答弁になっておられることは、一つは人道的な配慮、もう一つは他の不法残留者に対する影響、そういったものも重視して考えなければいけないというのが大臣のお考えでありますので、私ども、その意を体しまして一生懸命検討しているところでございます。そして、従来どおりの基本的な考え方で私どもやっているわけですが、社会の情勢の変化、そういったことにも的確に即応していくということも考えている次第でございます。
#82
○渡辺(周)分科員 ぜひとも的確かつスピーディーに、いろいろ社会状況の変化に対応していただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#83
○西田主査 これにて渡辺周君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#84
○西田主査 次に、外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。河野外務大臣。
#85
○河野国務大臣 平成十二年度外務省所管一般会計予算の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は七千七百三十七億千六百万円であり、これを平成十一年度予算と比較しますと百四十一億九千五百万円の増加であり、一・九%の伸びとなっております。
 新千年紀の幕をあけた現在、民族、宗教といった帰属意識の相克を乗り越え、対話と協調により問題を解決していく国際社会の構築に向け、たゆみない努力が続けられなければなりません。また、国際社会の持続的な安定と繁栄のため、社会的公正の確保や、環境、貧困、社会的弱者への対応といった問題に対し、引き続き国際社会が一致協力して対応することが必要であります。こうした課題を前に、我が国は、増大する国際社会の期待にこたえ、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であります。その使命を果たすために、平成十二年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、外交施策の充実強化と外交実施体制の強化の二点を重点事項として、予算の効率的配分を図っております。
 まず、外交施策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 外交施策の充実強化の五つの柱は、九州・沖縄サミットの円滑な実施、平和・安全、人間の安全保障の推進、対ロシア政策の推進、二国間援助等の推進、そして国際文化交流の推進であります。
 九州・沖縄サミットは平成十二年度における我が国外交の最重要課題であり、その円滑な実施に向けて百一億円を計上いたしました。
 次に、平和・安全、人間の安全保障の推進でありますが、我が国の国際的地位に見合った責務を果たすべく、紛争予防・予防外交への積極的取り組み、軍縮・不拡散分野における貢献、さらには人間個人に着目した人間の安全保障の観点から具体的な施策を講ずべく、総額三百三十億円を計上しております。
 また、対ロシア政策の推進につきましては、平和条約の締結を目指し、日ロ関係の一層の進展を図るべく、北方領土関連、支援委員会拠出金等に総額十六億円を計上いたしました。
 次に、二国間援助などの推進でありますが、平成十二年度政府開発援助につきましては、一般会計予算において、政府全体で対前年度比〇・二%減の一兆四百六十六億円を計上しております。外務省のODA予算について見ますと、対前年度比〇・四%増の五千六百二億円となっております。このうち無償資金協力予算は対前年度比一・一%増の二千四百五億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千七十九億円、食糧増産等援助費が三百二十六億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては、対前年度比一・二%増の千七百九十二億円を計上しておりますが、特にシニア海外ボランティアにつきましては、対前年度比三百人増の四百名を派遣すべく予算を計上しております。
 さらに、国際文化交流の推進でありますが、九州・沖縄サミットの成功に向け、沖縄を初めとした我が国の多様な文化の紹介、また、国際社会における正しい対日理解を促進するため日本語普及等文化交流基盤の整備のために六十億円を計上しております。
 次に、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。
 まず、定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心として、本省及び在外公館合計で七十三名の増員を図り、平成十二年度末の外務省予算定員を合計五千二百八十九名といたしております。また、機構面では、在ユジノサハリンスク総領事館の新設等を予定しております。
 さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館施設等の強化及びキルギス邦人誘拐事件等の教訓を踏まえた危機管理体制・海外邦人安全対策の強化のために四百十三億円を計上しております。
 加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断に不可欠な情報通信及び連絡網の整備に要する経費として八十五億円を計上しております。
 最後に、平成十二年五月一日以降に公示される衆議院議員選挙または参議院議員選挙から在外での投票が開始されることとなっており、このための経費として十三億円を計上しております。
 以上が外務省所管一般会計予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する予算説明」を配付させていただきましたので、主査におかれまして、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。
#86
○西田主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま河野外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○西田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#88
○西田主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#89
○西田主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
#90
○中路分科員 きょうは、二つの問題について御質問します。一つは、相模原補給廠に大量に保管されていますPCBの問題、もう一つは、きょう神奈川県の県知事あるいは大和、綾瀬などの七市の市長と県の教育委員会の委員長が外務省、防衛施設庁に抗議に来ていますNLPの問題であります。
 最初のPCBの問題ですが、在日米陸軍の神奈川県にあります相模原総合補給廠に、有毒で人体に有害な毒物指定の、今、国でも製造が禁止されていますけれども、PCBが大量に保管されているということが明らかになりました。
 三月三日付のアメリカ太平洋軍の機関紙の「星条旗」を見ますとレポートが載っていまして、この中では、沖縄の米軍基地から危険な廃棄物が送られてきている、あるいは、百個の変圧器と八十五ガロンのPCB含有物が横須賀から同補給廠に移されてきている等のレポートが出ています。
 恐らく去年の二月ごろから保管をしていると思うのですけれども、この問題で去年の二月十九日に相模原の市長が、防衛施設庁を通じて六項目の質問書を出しました。これについて去年の十月まで全く返事がない、回答がないというので、市長から私の方にも話がありまして、施設庁を呼んで、わかっているところだけでも回答を出すように促しまして、翌月の十一月に回答を出しました。
 このPCBの保管は認めているわけですけれども、その他の問題ですね、保管状態、種類それから搬出先、こうした点について一切まだ回答がない。今、米軍にその情報をとっているところだという回答が来ているだけで、先日市長に会いましたら、その後まだ一切、その未回答の部分は回答がないというのですね。
 私は、こういう市長の要請に十カ月も全く回答しない、このこと自身が大変けしからぬことだと思いますけれども、特に、どういう根拠で搬出をするんだ、国外へ処理に持っていくものですね。施設庁は最後はわからないということで、外務省だと。外務省に問い合わせましてもなかなか返事が来ない。最後は外務省の、私はこんな課があるのを知らなかったのですが、長い名前の、総合外交政策局国際社会協力部地球規模問題課という課があるんですね、ここから返事が来まして、この搬出の根拠は地位協定に基づく外国為替令の特例に関する政令であると説明しました。
 この政令というのは、責任ある米軍が自分の貨物だと言えば自由に持ち出しできる。中身は一切わからないのですね、どんな危険物があろうと、米軍が自分の貨物だと言えば出し入れができるという政令ですから、私は、こうした特例や政令を設けて、事実上国内の法律に反するような行為は大変けしからぬことだと思います。
 しかし、この論議はきょうは一応抜きにしまして、米軍も地位協定の十六条で国内法を尊重する義務があります。国内法のPCB等の廃棄物処理法、この法律を見ますと、市長が要請しているように、保管状態あるいは種類、どのぐらい量があるのか、そして搬出先、こうしたことについて規定があります。例えば、PCBは漏れたら大変ですからコンクリートで屋根つきのものを、倉庫にしろとか、看板を表示しろとか、こういったいろいろ義務づけがあるわけですね。
 あるいは、御存じのように、八六年に沖縄の嘉手納基地で大量のPCBが漏れた事故があって、土の中へ皆入ったんですから、これを取り除くのに六年間かかったんですね。ドラム缶で三百六十六本ですから、輸送機で六年間かかってアメリカへ持ち帰ったという事件もありました。このときは国会で集中的な論議が行われた。その際に、日米の合同委員会で、米軍施設内のこうしたPCBについて速やかに現況を報告するという合意もされています。
 私はこうした点からも、最初に施設庁長官に聞きますけれども、施設庁が現状について全く報告をしない、明らかにしない、この問題は大変けしからぬと思うのですが、今はどういう現状にあるのですか。
    〔主査退席、青山(丘)主査代理着席〕
#91
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のように、相模原総合補給廠に保管されておりますPCBの保管状況につきましては、昨年二月に相模原市長から、PCB含有物の種類、保管状態等に関する照会とともに、国内法に準じた適正な管理をするようにとの要請がございました。
 このため、防衛施設庁といたしまして米側に照会いたしましたところ、昨年十一月にアメリカ側から、PCB含有物につきましては、米軍が作成いたしました国防省日本環境管理基準の規定に基づきまして適正に管理している、また、今後の取り扱いについては現在米側において検討中だというふうな回答を得まして、横浜防衛施設局長から相模原市に対しまして回答をお伝えしたところでございます。
 その中におきまして、先生御指摘のような含有物の種類等につきましては、現在情報提供の作業を鋭意進めているというふうなところでございまして、その旨をあわせてお伝えしたところでございますけれども、私どもといたしましては、米側にさらにその作業を進めてもらいまして、早くその情報を提供してもらうように現在努めているところでございます。
#92
○中路分科員 一年たっているんですよ、調べて報告するというのに。まだ同じじゃないですか。全然回答がわからない状態なんですね。
 これは神奈川新聞が出している一面の記事で、写真が出ているのですが、去年の基地公開の日に中へ入って撮った写真で、倉庫に入らない大型のトランスなどがシートをかぶせて置いてある。これはシートをかぶせて置いてある写真ですね。
 こんなことは認められないのですよ、国内法の廃棄物処理で。さっき言ったように、ちゃんとコンクリートで屋根つきの倉庫にきちっと入れろと。適正に保管するという回答で、中身がわからないじゃないですか。適正にというのは、国内法を尊重するならば、国内法どおりきちっと保管しているということをあなたたちは確かめなければいけない。
 どうしてまだ回答できないのですか、一年もたっているのに。同じ回答じゃないですか。
#93
○大森政府参考人 先ほど御説明しましたとおり、米側の回答といたしまして、アメリカ側といたしましては、アメリカの国内法また日本の法規よりもより厳しいところをとってつくっております国防省の日本環境管理基準、JEGS、これに従いまして米側は適正に管理しているというふうなことでございますので、我々はそのとおりであるということで理解していることでございます。
#94
○中路分科員 量なんかわからないじゃないですか、幾ら保管しているか。種類だって、国内法では三種類に分けているんですよ、どういう種類のものがあるか。だから、適正にという中身が全然わからない。そして一方で、今示したような写真で、こうした周辺の、県営住宅の近くですよ、みんな不安を持っているんですよ、どんな保管をしているか。
 そして、私は二月に市長に会ったんです。これはお話ししますと、市長は外務大臣に訴えたいということで話したんだけれども、忙しくて大臣に会えなかった。それで、そのときに私と話したんですよ。そのときにも、では市の職員がこのPCBに限ってでいいから中に入って、立ち入りして調査をさせてくれという要請をしたけれども、防衛施設庁に難しいといって断られたというので、私は大変憤慨しているんです。立ち入りぐらいできるんじゃないですか。どうですか。
#95
○大森政府参考人 私ども、立ち入りにつきまして地元の方で御要望があることは承知しております。その地元の御要望につきまして、防衛施設庁として拒否するとか認めないとかいうふうなことではございません。私どもといたしまして、地元の御要望につきましては、立ち入りの手続ですとか、そういうところを御説明しているところでございまして、私ども理解しておりますのは、昨年の暮れでございますか、確かに相模原市から御要望がありましたところ、その手続をするのに二週間が必要だというふうなこともあり、その点で、さらに年末でもありましたので、調整が残っているというふうに理解しておりまして、私どもが立ち入りを認めないというふうなことを申し上げているわけでもありませんし、当然そのようなことができるわけでもございません。
#96
○中路分科員 それでは、手続をやれば立ち入りを許可しますね。
 私は、これを外務省に聞いたんですよ。私は、上瀬谷基地に先日入ったんです。そのときに外務省に聞いたら、国会議員は外務省を通じてください、二週間前です。そして、こういう市長なんかがやるときは防衛施設庁を通じて申し込んでくださいということだった。それを私は市長に説明して、私は外務省の許可で上瀬谷に入りましたよ。防衛施設庁は市長に――施設庁だと言ったから行ったんですよ。それも、二、三日前にどうなったと聞いたら、話は二、三日前ですよ、もう一回話しに行ったけれども難しいと言われたというんですよ。
 きょう確認しますけれども、ちゃんと手続をするから、立ち入りについては許可しますね。
#97
○大森政府参考人 先ほど申し上げましたように、あくまでも立ち入りを認めますといいますか、そういうところは米軍の方が持っておりまして、私ども防衛施設庁が、そのような認める認めないというふうなところを申し上げる立場ではございません。
 いずれにしましても、私ども認識しますのは、相模原市の方で、当初、陸軍司令部、座間の方へ立ち入りの請求をしたようでございます。しかし、座間の陸軍司令部としては、在日米軍司令部を通じてやってほしいというふうなことであったようで、若干そのやりとりの上で私ども横浜防衛施設局の方にお話があった。私ども、在日米軍司令部への立ち入り申請につきましての手続の御案内といいますか、そういうものをやること、また、その申請書を出すに当たって二週間の事前の日数が要るというふうなことを御説明しているところでございまして、先ほど申し上げましたように、年末になったということでもあって、その後調整が中断しているというふうなことで理解しています。
#98
○中路分科員 今の経過は私もよく知っているんです。だから、横田の在日米軍のところへ行ってくれということを言われて、そこへ取り次いでくれといって横防に直接行っているんですよ。それはよく知っているんです。
 外務大臣、今経過を御存じなくて、地元の市長が、職員で、全体を見に行くっていうんじゃないんですよ、PCBの問題に限ってでいいからぜひ調査をさせてくれと言っているんで、ひとつ大臣の方から取り計らっていただいて、手続を経て市の関係者が入れるようにしていただけませんか。適正に保管しているといっても、現場を見ないとわからないです。
#99
○河野国務大臣 中路議員と同じように、私も神奈川県で地元でございますから、この周辺のことはいささか知っているつもりでございますし、今お話しの市長も、私は知らない仲ではございません。私のところにも何度か電話もかけてきて、いろいろ事情も聞いております。私自身も、このPCB問題は、市長のみならず、周辺の市民の皆さんからも、こうした問題、大変な不安な問題があるんだということを聞いていることも事実でございます。
 問題は、PCB含有物をどうやって撤去するかということになると、これは議員もよく御承知のとおり大変難しく、年を追うて難しくなってしまって、今やこれを撤去する方法についてはお互い相当な議論を、議論というか知恵を絞らなければなかなか難しいという状況に正直なってきているという状況でございまして、今それをどう撤去するかという以前に、どういうふうに適正に管理させるかということが非常に重要だというふうに、残念ながらそう理解せざるを得ないわけでございます。
 在日米軍は、私どもからの問い合わせに対しても、適正に管理しているということを伝えてきているわけでございますが、これは地元の人が、本当にどういうふうになっているか目で確かめたいと思われる気持ちも、私は理解できます。
 さて、そこで問題は、ではどうやって立ち入りといいますか、中に入ってチェックをするかということでございますが、やはり基地でございますからマニュアルがございまして、関係の地方自治体が環境調査のために施設・区域に立ち入りを行う場合には、日米地位協定第三条に基づいて、施設・区域の管理を行う米軍と当該地方自治体との間での調整を経て行われる、これがまずマニュアルでございます。
 それで、米軍施設・区域の環境に関連して具体的な問題が生じた場合には、周辺住民の方々の不安を解消し、米軍による環境保全措置や事後処理に関する地元の理解を促進するとの観点から、問題が生じた米軍の施設・区域への立ち入りを含めて、関係地方自治体からの要請に対して、現地米軍部隊において可能な限りこれにこたえるべく配慮をする、これまでもしてきた、こう言っておりますが、私は、配慮するべきものだ、こう思います。
 したがいまして、今施設庁からもお答え申し上げましたように、これはもう、見たい、だめだという話ではなくて、御希望があればその御希望を伝えて、ここにもございますように、関係地方自治体と米軍との調整をする。これは恐らく米軍の側にもいろいろ、当日何か催しがある、何があるということもあるかもしれませんから、そうした双方の都合のいい日にちを決めて、そして立ち入り、中へ入っていただく。それがどこまで入っていただけるかということは、またそれはそれで問題があると思いますけれども、そういう方法が必ずあると思います。
 これは施設庁も、今の御答弁はそれを否定しているわけではないわけでございますから、今の中路議員からのお話は否定されたものではないというふうに受け取っていただいて結構でございますし、これは関係地方自治体、とりわけ市長さんなら市長さんが施設庁その他に問い合わせていただけば、これは十分施設庁としても対応するということだと思います。
#100
○中路分科員 今まで対応していないから、特に日米の問題ですから、ひとつ河野外務大臣ももうちょっとやはり、私もそうだけれども、あなたの地元の問題なんですよ。これぐらい外務大臣として一言言わなきゃだめですよ。ひとつよろしくお願いしますよ。
 それで、もう一つ、搬出のことで出ましたけれども、今PCBは、例えば民間のPCBは日本に処理能力ないですよ。電力会社なんかの大手は自社処理できますけれども、一般のは処理能力ないから、今、全国の倉庫に保管されたままなんです。
 この前、厚生省に資料を要求したら、少し前ですけれども、十万個以上、十一万個ぐらい保管されているのですよ。どうしていいかわからない状態。そんなものをまたどんどん持ち込んできて、どうするんですか。そして施設庁は、バーゼル条約の関係があるから検討中だと。そんなことじゃないんですよ。それで最後は、わかりませんと。持ち出す方法もわかりませんと施設庁が言って、それで外務省がさっき言ったような返事を出しているんでしょう。これは、どういう手続にしても、絶対に国外に撤去させなきゃだめですよ。だから、今、どういう方法で手続をやるかということは別にしても、外務大臣として必ず、こうしたものは当然撤去させるということで努力していただきたい。
 あと質問が一問あるんで、ちょっとだけこの問題で一言……。
#101
○河野国務大臣 まず最初に、関係自治体、市長さんからの御要望があれば、私に言っていただければ私が善処いたしますから、御安心をいただきたいと思います。
 それから、撤去の話ですけれども、これはもう中路議員はよく御承知で、今の段階だったら、もう行くも戻るもさまざまな法律でがんじがらめになって、非常に難しい。(発言する者あり)持ち込むからよといっても、今あるものをどうするかということすらもう非常に難しいというのが実態ですよね。しかし、さらばといって、もうこれはどうにもなりませんよというわけにはいかないわけですから、私どもとしても、この処理方についてどうすればいいか、ほっておくわけにはまいりませんから、一生懸命、その方法等について研究をして、問題を解決するために努力をするつもりでございます。
#102
○中路分科員 時間がもう七、八分しかないから、あとまとめて話します。
 NLPの問題。これはもう相模原以上に私も河野さんも三十年来つき合っている問題じゃないですか、御存じだから中身は言いませんけれども。
 先日、十五日から十七日までやった夜間の離発着訓練ですね。これは全く異常なんです、異例なんです。NLPは硫黄島でやるということで、金かけて硫黄島をつくったんですよ。その硫黄島で今度は全くやっていないのですね。日にちが短いとか、距離が長いと。距離が長いというのは初めからわかっているんですよ、硫黄島で訓練をやるのは。それで硫黄島へ持っていきますといって金かけてやって、そして、今度始めるときは全部、硫黄島を使わないで、厚木のそばでやった。しかも、激しい爆音のものはみんな硫黄島へ持っていきますといって、今度は激しいものがみんなこっちに来たのですよ。FA18もそうです、14もそうです、激しいものをやった。
 そして、一番けしからぬのは、高校の入試のまさにその日なんですよ。十五日から十七日。十七日が全部の高等学校の試験日なんですよ。だから、去年の十二月から神奈川県の教育委員会は、この日が試験の日です、体育祭はいつあります、配慮してくれということを要請しているんです。去年の十二月から要請しているんですよ。それで、たびたびまた繰り返し中止を要求してきたんです。
 今度の訓練は、私の方から言いますけれども、キティーホークの甲板を修理して、出動する前の試験、テストの訓練なんですよ。この訓練を一日も二日も動かせない、そんなことはあり得ないですよ。この前、中東へ行くときに、緊急で、連絡しなくて大問題になりました。こういうときとはまた違うんですよ。普通の訓練の日程を半日も一日も動かせない。何カ月も前から地元から要請があって、これについて一言も外務省はアメリカへ物を言えない。言っているかもしれないけれども、結局、何もやっていないのです。英語の試験の九時十五分から四十五分までの間だけちょっとやめたんですよ。それで配慮しましたと。こんなのは配慮と言わないんですよ。十七日にやめるのが配慮なんですよ、配慮といえば。
 私は、この問題で本当に外務省は弱腰だと思うんだね。百万、百五十万の人口密集地の上であんな訓練は世界でどこでやっているんですか。はかったって百十デシベル以上ですよ、物すごく超えているものは、地元の市は。こんなひどいことをやっている。しかも、配慮もできない。延期も中止も要請できない。これではどこの外務省かと言われるんですよ。私は、基地を撤去しろとかNLPを全部やめろと今言っているんじゃないんですよ。こういう日にぶつけた訓練は延期をしなさい、中止をしなさいと、その要求すら対応できないのかということを言っているんですが、大臣、どうですか。
#103
○河野国務大臣 これもまた、同じ地元の議員として、おっしゃることはよく理解できるところでございます。
 ただしかし、中路議員と私と少し理解が違うのは、硫黄島に訓練施設をつくって、そして基本的にはそちらに持っていこうという話をして、これはもうそちらに相当量が移ったことは間違いないんですね。議員は今、硫黄島なんかつくったって何も向こうへ行っていないじゃないか、全部ここにあるじゃないかみたいなことをおっしゃったけれども、これはもう基本的には相当向こうに移ったことは間違いがない。だから、その分だけは、それでいいとは私、決して言いませんけれども、その分だけあの地域全体、年間を通していえば、騒音の回数、量が減ったということは、これはぜひお認めをいただきたいと思うのです。それが第一点。
 第二点は、何だ、外務省は何も物も言えないじゃないか、こうおっしゃるけれども、それはまたちょっとお言葉で……(中路分科員「いや、物を言っているのは知っているんだけれども、全然通らないんだよ」と呼ぶ)いやいや、それは通ることと通らぬことと時にありますけれども、我々は我々なりにやはり言わなきゃならぬときは相当しっかり言っておりまして、それは確かに試験の日が丸々一日、日を変えられればそれが一番先生に褒められたかもわかりませんが、そうはいかなかったことについてはまことに残念なことでございましたけれども、今先生ちょっとお話しになったように、英語のヒアリングの試験の時間とか、やはりヒアリングの時間だけは騒音は絶対困るよというようなことについては、米軍もその点は理解をしたということもあるわけです。いや、そんな一時間ぐらいそうやったから何だ、試験の日はわかっているんだから全部変えろと先生はおっしゃるけれども、これはなかなかそこまでは残念ながら――我々もそういうつもりでおりましたよ。おりましたけれども、そこまではなかなかいけなかったことを甚だ残念には思っているわけでございます。
 私は、在日米軍に対しては、常にお互いに双方の主張にはよく耳を傾けながら、とりわけ近隣、近在の人たちの意見というものにはよく理解をしてほしいということは言っているわけです。こんなことを言うと先生はどうお思いになるかわからぬけれども、私は、米軍に対して、よき隣人としてお互いにやってくれ、生活のマナーについても、そうしたことには十分配慮をしてもらいたいということを繰り返し言ってきているわけです。
 もちろん私は、日米安保条約というものが必要だという立場に立っておりますから、それは先生とは少し考え方が違うかもわかりませんけれども、日米安保条約というものが必要だという立場に立っている私からすれば、安保条約として効果的な、そして機能的に動けるようにしていてもらわなければ困るけれども、しかし、それと同時に、周辺の住民との間の理解とか、あるいは二国間の理解というものが十分なければ困りますということは繰り返し言っているところでございまして、今回もそういうことをでき得る限り通告といいますか申したところでございますが、結果は、今議員がおっしゃったような結果であったということでございます。その点だけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
#104
○中路分科員 時間なので終わりますけれども、一言言っておきますと、空母の艦載機の訓練は、七一年にミッドウェーが母港化されたときに、私は七三年の国会でこのことをやりました。そのときの約束の一つに、厚木基地の上空では艦載機の訓練はやりませんというのは司令官も言ったのですよ。それで、実際には八三年まで十年間やっていないのですよ。それを始めたのですよ。それで、ひどいから硫黄島という話も出てきたのです。
 いろいろ経過があるのだけれども、最初、十七日は予備日だった。試験の日は予備日だった。それを使って、しかも、調べても、約束の時間をオーバーしているのですよ。地元の調査でも、何時から何時までやりますということの時間をオーバーしているのです。だから、いろいろ意見を言われたのだけれども通っていない。もっとひとつこういう問題については超党派の、もう本当ですよ、地元の市長もきょう全部来ているのですよ。アメリカに対して強く抗議をし、今後中止を求めていくことを要請して、終わります。
#105
○青山(丘)主査代理 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、松本惟子君。
#106
○松本(惟)分科員 松本でございます。連日御苦労さまでございます。
 きょうは私は、WTOの問題の中の労働基準の関係と、それからもう一つは、我が国が主体的に行うことのできる国際的公正基準、ILO条約の批准の問題の二点について質問をさせていただきたいと思います。
 昨年、シアトルでWTOの閣僚会議が開催されましたけれども、二〇〇〇年からの新たなラウンドを立ち上げるべく、交渉の枠組みを定める閣僚宣言につき合意することを主たる目的として開催されたというふうに伺っております。しかし、各国間で意見が食い違って、会議最終日に、議長はプロセスを凍結するとして、WTOの会議が突然閉幕をされております。今回、WTOの主要な論点とそれに臨む我が国の政府の見解とをお伺いしたいわけでございます。
 実は、外務委員会では、既にもう御報告や討論があったかと思いますけれども、私の質問の後の問題にもかかわっておりますので、簡単にお知らせをいただければと思います。
#107
○河野国務大臣 シアトルにおきます閣僚会議は、その主要な論点として、投資ルールの策定でございますとかアンチダンピングの規律の強化、それから農業交渉の進め方、あるいは環境問題、労働といったような問題がいろいろ問題点として上がっておりました。これに対して、私どもは、それらを全部包括した状況の中で議論を進めよう、これらのうちのどれか一つを取り出して議論をするとしても、それはなかなか合意が難しいだろうということも考えておりまして、包括的なラウンド交渉を立ち上げるということが大事ではないかということを申したわけでございます。
 しかし、残念ながら、例えば先進国の間でも経済的な議論の対立がございましたし、途上国との間にも合意ができない部分もございましたし、何といっても、百三十五カ国という大変多くの国々が参加をしているわけで、この百三十五カ国の合意を得て前進するということがなかなか難しかったということが実態ではなかったかと思います。
 最後の、今、突如とおっしゃいましたけれども、所定の三日目に、バシェフスキー議長が総会を招集して、まとまらないからサスペンドする、そして、もっと透明性とか効率性とか、そういったことをまた考えなければならないというようなことを言われて、凍結という形で終わったわけでございます。一部新聞等には決裂とか書かれておりますけれども、私は、参加した人間としては、決裂というよりは、どっちかといえば時間切れという感じの方が強うございました。
#108
○松本(惟)分科員 報道によりますと、最も議論が紛糾いたしましたのは農業問題というふうに報道されておりました。遺伝子組み換え食品の問題等々、私ども関心深い問題もございまして、お伺いをしたいところでございますけれども、何せ時間がございませんので、私は、今回は貿易と労働基準の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 大臣は、WTOで貿易と労働基準の問題を取り上げることについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#109
○河野国務大臣 これは、やや一般論で申し上げたいと思いますが、労働の問題は、つまり、ILOという舞台が歴史的にもきちんとした舞台として整っているわけでございまして、そのILOの舞台をそのままにして、またWTOの中に労働問題を取り入れて別の舞台をつくるということが果たして適当だろうかという感じを私は持っておりました。
 労働については、途上国側の不安感というものも非常に強うございましたし、一方、当時シアトルでは、アメリカの労働組合の多数の人たちが集まるという状況でもございまして、この問題が大変大きな問題だというふうには感じましたけれども、これが即WTOの中に労働問題という舞台を一つしつらえるということでいいのかな、そんな感じでございました。
#110
○松本(惟)分科員 おっしゃるように、労働基準の問題は、国連の別の機関がございます。ILOがございまして、実は、ILO条約の策定、採択の作業にも私はかかわった経験がございます。後に申し上げますけれども、相当たくさんの条約が採択をされておりますが、今日のように、世界じゅう市場経済が駆けめぐるという中では、これも後に申し上げますが、ILOだけに任せておいていいのだろうかということがございます。
 さきに、ドイツのシュレーダー首相が日本においでになって、我が国とドイツと交互に意見交換の場を持つというお約束があったやに聞いております。そのシュレーダーさんが、この中核的な労働基準の促進に当たっては、労働基準を保護貿易にリンクしていくという途上国の懸念を、今おっしゃられましたように、払拭していくようにすべきだという見解を表明したというふうに聞いております。
 途上国は、先進国との間で経済競争にさらされているわけでございますから、賃金を含めた具体的な労働条件を先進国並みにするということについては、比較優位を否定されてしまうというような受けとめ方があるように思います。
 しかし一方では、国の発展と労働条件の向上は相互に作用していくものであるという認識も広がっているところであります。OECDでは、一九九六年の貿易、雇用、労働基準に関する研究というものの中で、中核的労働基準の遵守は途上国の長期的な経済発展に貢献するというような結論を出しております。そしてまた、この認識がWTOの第一回会議でも確認をされまして、いわゆる社会条項に関する作業がILOに付託をされたというふうに承知をしております。
 つまり、この間私も国際関係の会議で直接にかかわったこともございますけれども、今大臣おっしゃられましたように、ILOでやるべきだからWTOが直接これを扱うべきではないという意見があり、ILOの方では、たくさん条約があるけれどもなかなかその批准が進まないというようなこともありまして、貿易を進める際に中核となる条約、つまり具体的な労働条件に関することではなく、枠組みとして中核となる条約についてはここでコンセンサスをつくってもいいのではないかというようなやりとりが、つまりボールの投げ合いが大分長いことあったというふうに承知をいたしております。
 そして、一九九八年のILO総会で、労働における基本的原則と権利に関する宣言が採択をされるに至っているわけでございます。昨年開催されましたG8の雇用サミットにおきましても、この中核的労働基準が重要な議題の一つになったというふうにも認識をしております。
 このように、中核的労働基準が貿易とのあり方で大きな議題となっている中で開かれたWTOの会議に、日本政府は外務、農水、通産の三閣僚が出席をされておられますけれども、なぜ労働大臣が御参加をされなかったのか、そのわけを聞かせていただきたいと思います。先ほど大臣、やはり労働関係も大事だというふうにおっしゃられたように聞こえました。
#111
○河野国務大臣 貿易問題というのは大変幅が広いわけでございまして、とりわけ今回のWTOの議論などを聞いておりますと、労働もそうだし厚生もそうだし、中にはもし婦人担当という大臣がおられればそういう大臣も当然御関係がおありでありましょうし、それはもう大変幅が広いことになるだろうと思います。
 しかし、そうは言っても、やはり国と国とで議論をする、最終的なまとめをしなければならないということでありますから、そう五人も十人もというわけにはなかなかいかないということは御理解いただけると思いますが、確かに御指摘のように、今回のように労働が非常に重要なテーマになるということでございますから、労働の専門家といいますか責任者といいますか、そういう方が行かれるというのは一つの考え方であると思います。私もそれを否定はいたしません。
 しかし、今回シアトルにおきましても、もちろん労働省から総務審議官が参加をしておられまして、この労働省の総務審議官は、御自身のかかわるべき場面、かかわるべき議論には必ず参加をしておられたというふうに私は理解をいたしておるわけでございます。
#112
○松本(惟)分科員 審議官がおいでになって活躍をされたというのは伺っておりますけれども、やはり閣僚の一人として、私は貿易と国際的に公正な労働基準のコンセンサスづくりというのは非常に大事なことだと思いますので、今後重要な会議にはぜひ労働の分野からも派遣をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 次に、日本政府はそもそも中核的労働基準を取り上げるということについて消極的であったというふうに伺っております。WTOの会議の途中から、中核的労働基準の共同フォーラムの設置を提案するEUの提案を日本政府は受け入れられておりますけれども、前段ではかなり消極的であったというふうに伺っております。むしろ、前半では反対の立場をとっていたのではないか。これは多分途上国に配慮されたからだろうかというふうにも思いますけれども、途中から農業問題に引っ張られて労働問題につきましてはEUの提案にドッキングした、そういう経過があったということも漏れ聞いております。
 このこと自体、結果的に共同ステートメントを出されたということについては評価をいたしますけれども、日本はやはりアジア諸国に対する影響力を行使することが大変期待をされているわけでございますので、最初からできれば積極的な方向で臨んでほしかったなというふうな気持ちでございます。
 そこで、お尋ねでございますが、この中核的労働基準についての共同フォーラムを提案するEUの提案を受け入れられたときの内容、その中身、それからWTOに関する共同ステートメントが一月にまた出されております。この十二月のシアトルの会議と一月に出されたステートメントというのは同様の視点に立った中身であるというふうに理解してよろしいでしょうか。
    〔青山(丘)主査代理退席、主査着席〕
#113
○東政務次官 技術的な問題でございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思うんです。
 先ほど大臣が申し上げましたとおり、WTOというのは言うまでもなく多角的貿易体制を維持強化するための機関である、だからといって労働問題を中で議論しちゃいけないだとかそういう視点で述べているんではなくて、あくまでも労働問題というのは、一義的には国際労働機関というのがあるんだから、そこで論じるべきなのではないのかという整理を申し上げております。
 そういう意味で、今御指摘のありました共同フォーラムの件ですけれども、WTOの外にILOとWTOの共同フォーラムを設置することを含めた共通作業ペーパーをEUとともに共同で提案させていただいたということでございます。
 今御指摘になりましたとおり、この問題については、途上国を含めた各国の考え方も踏まえつつ対応していきたいというふうに考えております。
 ダイレクトに答えていないかもわかりませんけれども、そういうものだと理解していただければ幸せでございます。
#114
○松本(惟)分科員 細かい中身をきょうお伺いする時間はございませんので、前向きの方向でこれから、WTOの外側に、ILOの問題というよりもILOの中核となる条約、多分、それぞれの他の条約というのはILOの方で扱っていくというのが、おっしゃるように一義的な任務だというふうに思いますから、中核となる条約を含むコンセンサスづくりを進めていくというようなことだと理解させていただきました。
 いずれにしましても、日本は、国際労働基準につきましては、特に公正な貿易ルールの中にこれを組み込むべきであるというふうに考えてほしいと私は願っておりますし、とりわけ、アジアの途上国との関係で積極的な役割を期待されていると思いますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
 続いて、ILO条約の批准促進についてお伺いをいたします。
 これは、我が国が国際各国の一員として、みずから積極的に対応できるものであるというふうに思います。
 現在、ILOの条約では、百八十二が採択をされております。我が国が批准をしていますのはこのうちの四十三条約でございまして、ここ数年の批准状況を見ますと、一九九五年に百五十六号条約、それから昨年に百八十一号条約を批准されております。前者は、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約、それから、数年、その後しばらくゼロで、昨年百八十一号条約、民間職業紹介に関する条約が批准をされています。OECDの各加盟国と比較してみましても、その平均批准数が大変下回っておりまして、国際公正基準についてのルールづくりには余り積極的ではないのかなと思います。
 そこで、ちなみに、北欧諸国は別にいたしましても、十月現在の数字で、フランスが百十五条約、イタリアが百二条約、ブラジルが八十五条約、イギリスが八十一、ドイツが七十六、ロシアが五十六、日本は、先ほど申しましたように四十三というふうな状況でございます。
 私は労働委員会に所属をしておりまして、時々の労働大臣に強く要請もさせていただきましたし、質問もさせていただきました。批准数の少なさにつきましては改善すべきである、そして積極的な取り組みの必要性というものを大臣は繰り返し御答弁をされております。しかし実際には、率直に申し上げまして、実効が上がっていないということを申し上げざるを得ないと思うのですね。
 そこで、まず外務大臣にお尋ねでございますが、我が国のILO条約の批准状況についてどのように受けとめられていらっしゃるのか、お聞かせください。
#115
○東政務次官 これも若干技術的な側面がありますので、私の方から答えさせていただきたいと思います。
 労働行政あるいはまたILOの条約についても極めて精通されている松本先生でございますので、率直に申し上げさせていただきたいと思います。
 御指摘のとおり、ILOにおいては、現在までに百八十二本の条約が採択されておりまして、我が国は、このうち四十三本の条約を批准しております。
 四十三本しか批准していないじゃないか、こういう御指摘であるわけでございますが、我が国が未批准の百三十九本のILO条約の中には、批准のための開放が既に終了しているもの、また、改正条約が既に採択されているもの、ILOにおいて廃棄または改正の候補になっているもの等、我が国が批准を検討する際に対象とされない条約が数多く含まれております。六十六本と私たちは承知いたしております。
 今後、我が国がILO条約の批准を検討するに際しては、このような事情を踏まえつつ、条約の内容についても十分に検討して、批准が適当と考えられるものから取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 なお、先ほど松本先生が言及されました、労働における基本的な原則及び権利という極めて重要な四つの基本的権利に関する原則とそれに対応する七つの基本条約、こういう側面からいきますと、第百三十八号である就業が認められるための最低年齢に関する条約、これが、本二十五日、国会において締結の承認を求めるための閣議決定がなされたことは、御承知のとおりだろうと思います。
 このように、今後とも、こういった事情を踏まえた上で、条約の内容についても十分に検討して、批准が適当と考えられるものから取り組んでまいりたいと思っております。
#116
○松本(惟)分科員 大臣のお考えを伺ったのですけれども、お返事がございませんでした。残念でございます。
 今おっしゃられましたように、私は、グローバル化の競争のもとで社会的公正基準、公正競争を確保していくという上に立ちますと、最低保障し、最低遵守すべき基本的な権利として、結社の自由、団体交渉権、差別の禁止、強制労働の禁止、児童労働の禁止ということで、八つのコア条約、これはやはり先進国として積極的に検討していただきたいと思います。
 時間がだんだん迫っておりますので、用意をしてきたものを飛ばしますけれども、百三十八号条約、きょう閣議決定ということで、このことは大変歓迎すべきことですが、できるだけ早く、優先的に外務委員会におかれまして批准の手続を済ませていただきたいということを、この場をかりてお願いを申し上げます。
 もう一つは、これまで私、百三十八号条約を早く批准してくださいということを申し上げてまいりましたけれども、本当に、どうしてこんなに遅くなるのかなというふうに思います。
 なぜこのようなことを申し上げるかといえば、本当は昨年の通常国会で百三十八号条約が提案されるものと私は思っておりました。ところが、国会に提出されましたのは百八十一号、つまり職業紹介の自由化に関するものでございました。国内法の整備、日本は、非常に国内法との関係を厳密に精査して批准をするから遅くなるんだというふうにいつもおっしゃいますが、それならば、百三十八号条約は、既に昨年、労働基準法が改正されていたわけでございます。それなのに、まだ国会で国内法整備の議論をしている最中の百八十一号を、飛び越えてやったということでございまして、私は、百八十一号を批准するのはけしからぬと言っているのではなくて、それならば一緒に批准をしてほしかったな、これはコア条約の一つですからということを申し上げたいのでございます。
 もう一つ、質問でございます。
 時間がございませんけれども、条約批准の政府側の決定プロセスが非常に不透明だということを申し上げざるを得ません。私どもから見てわかりにくいのです。外務省が主管であることは承知していますけれども、説明を求めますと、外務省の担当課が大変多忙で一本以上は無理と言ったり、それから関係省庁から上がってきていないからと言ったり、担当者によっていろいろなことをおっしゃられて、説明が異なっております。決定プロセスの透明化、批准に計画的に取り組むようにするということは、私は、外務省、外務大臣のリーダーシップが必要と思いますので、この際、お願いをしておきたいというふうに思います。
 時間が迫っておりますので、もう質問をやめにして、私の意見を言わせていただきたいというふうに思っております。
 つまり、百三十八号というのは児童に関する最低就労年齢の制限ですね。これだけやればいいというふうに申し上げているのではなく、やはり我が国がアジアに対する姿勢を示すという意味で大切だということですね。グローバル経済の中で大切である。ただ、規制だけをかけると、これはかつて日本も経験をしておりますけれども、学校に行かないで働かなきゃいけない、一家の働き手として稼がなきゃいけない子供たちがたくさんいるわけですから、ここにはODAの方からまたきめの細かいしかるべき手だてをとっていただきたい。この両方、基準の策定とODAの援助をしていただきたいなというふうに思います。
 最後でございますけれども、引き続いて、最悪の形態の児童労働の禁止及び撲滅のための即時行動に関する条約、つまり百八十二号条約がございます。これは百三十八と連動していると言っても過言ではございませんし、例の、国内法で、児童に関するポルノ、それから買春禁止法とでも申しましょうか、そのこととも連動しているかと思いますが、この条約の批准についての見通しを伺わせていただきたいということが一つ。
 もう一つは、コアとなる条約、あと三本ございますね。百八十二を入れまして、三本クリアしていないのがございますから、その点についての御見解も伺わせていただいて、私の質問を終わります。
#117
○東政務次官 まず、御指摘のILO第百八十二号条約の点についてでございますが、これは、今御指摘にありましたとおり、最悪の形態の児童労働を禁止する条約ということで、強制労働、売春、ポルノ制作あるいは薬物の取引等に児童を使用するという、あってはならない問題でございますが、この点については、政府としては、この条約の意義及び重要性については十分認識いたしているところでございます。そして、その批准につきましては、条約の内容について、今後、国内法制との整合性などについて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
 なお、四つの基本的権利に関する原則にかかわる基本条約において、この百三十八号が批准されれば、あと二つなんだろうというふうに思います。一つは、第百五号の強制労働の廃止に関する条約、そしてもう一つが、百十一号の雇用及び職業についての差別待遇に関する条約。
 第百五号に関しては、もう松本先生御案内のとおり、ILO条約の中身と、また、日本の場合、国内法でいけば、国家公務員の争議行為が懲役刑の対象となる可能性がある、それと抵触してくるんだろうと思います。これは労働省の方がどのようにお考えになるかということになってくると思いますけれども、抵触する部分が出てくるんではないだろうか。
 もう一つ、第百十一号に関しては、広範な差別を禁止する国内法令が日本においては欠如しておりますので、その部分に関しての整合性をどのようにとっていくのかということが一つの課題として存在すると思います。その点を指摘させていただいて、お答えにかえさせていただきます。
#118
○河野国務大臣 最後に私から一言申し上げたいと思います。
 松本議員から、詳細、いろいろ御質問をいただきました。私ども、実は外務省の中で、大臣、政務次官、問題を多少分けて研究をし、担当をしているものですから、東総括政務次官から御答弁をさせていただいていることをお許しいただきたいと思います。
 先ほど議員からお話がございましたように、相当に条約が滞っているのではないかという御指摘がございました。正直言って、相当滞っております。今国会でも十数本の条約を御審議いただきたく、提案をいたしているところでございますが、そこに至りますまでに各省との合い議その他検討を加えているものもまだ相当量残っておりまして、役所を督励して、できる限り早期にすべて批准できればと考えておりますが、国会での御審議のスピードもございますし、プライオリティーを少しつけろという御指示だろうと思いますけれども、なかなかこれまた、それぞれの御担当からはそれぞれ強い御要請もありますし、それから国民世論、動向その他を考えて、多少プライオリティーをどうするか、考えなければならぬところもあるわけでございます。
 しかし、今いろいろ御指摘をいただきました問題は、東政務次官から御答弁申し上げましたように、とりわけコアの部分につきましては、十分その重要性を私どもも認識しているつもりでございますので、できるだけ努力をして責任を果たしたいと思っておりますので、今後ともどうぞひとつ、国会提案のときには御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
#119
○松本(惟)分科員 ありがとうございました。
#120
○西田主査 これにて松本惟子君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤羽一嘉君。
#121
○赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は大変遅くまで御苦労さまでございます。最後の質問者だそうですので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 きょうは限られた時間でございますが、私は、在外邦人の身の安全ということに絞って、幾つかのテーマに沿って質問させていただきたいと思います。
 まず一つは、台湾の大震災、昨年九月に発生をいたしました。私も、公明党の若手議員四名で、九月の下旬に被災地の台中及びその周辺地域に行ってまいりました。それまでの二週間近くを、実は公明党が全国で街頭の募金活動を展開いたしましたものですから、最終的には三千万円以上の募金を党としてお届けをさせていただいたわけでございますが、そのときに気がついたというか、行くまでは余りよくわからなかったことがありました。
 それは、台中の日本人学校が全壊をしてしまった、そこは立地が余りよくないということで、その場所での再建は不可能だ。校長先生ともかなり長い時間話をさせていただきました。在外の日本人学校というのは、いわゆる日本の国内の学校と違いまして、ステータス等々、これは御答弁のときに御説明いただければと思いますが、文部省管轄の学校ということではない。再建自体が原則は自力更生しなければいけない。その場所での再建は危なくてだめだということで、土地も探さなければいけない、また、建物は建てなければいけない。恐らく、当時で五億円以上、六億円ぐらいの金額がかかるのではないか。非常に厳しい状況だ。
 なぜならば、台中というのは台北と違いまして、日本の進出企業も、台北ですとほとんどの企業がある。しかし、台中は極めて限られた、キャノンとか、大手はごくごく少数の地域でありまして、なかなかその中での寄附金だけで五億、六億という金額が集まらないのではないか。こういう非常に厳しい状況があったということを聞かせていただきました。
 私、帰国後すぐに、十月四日に総理官邸で、小渕総理に直接この点も踏まえて何点か御要望させていただきました。非常に状況の厳しい中、今回の予算編成の中で、政治のリーダーシップで、小渕総理、河野外務大臣の決断のもとで、大変よい状況の方に進んでいるというふうに聞いておりますが、その点につきまして、在外の日本人学校のステータスについての御答弁とあわせて御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
#122
○河野国務大臣 外国におきます日本人学校は長い歴史的経過がございます。
 本来、在外に住む日本人は、その子供たちをその国の学校に入学させる。例えば、ニューヨークで仕事をしている人は、子供はニューヨークの小学校に入学をさせる、あるいは中学に入学をさせる。そのことはまた、子供たちにとってみれば、子供の時代にニューヨークで友人ができたとか、あるいは最もアメリカ的な発音をそこで覚えて帰ってくるとか、そういうメリットがあるわけで、かつては日本人はみんなそうやって外国の学校に入ったものだというふうに聞いております。
 しかし、だんだん日本人が多くなってきて、ニューヨーク周辺などは、ある小学校のごときは、クラスのうちの半分が日本人の子弟になってしまう。これではアメリカの先生は、アメリカ人の教育ができないから日本人はもう別の学校をつくってほしいと、大きい声で言ったかどうかは別でございますが、そういう愚痴を言われたというような話も一部では聞きました。
 また、アメリカのような恵まれた環境ならともかくも、必ずしも恵まれた地域ばかりではございません。全く教育の施設が不十分な地域で生活をして子供を育てるという日本の方もいらっしゃるわけでございまして、そういうときにはどうするかとか、さまざまな問題があって、やはり日本人学校をつくろうということで、それぞれの地域で父兄の皆さんが集まって、最初はささやかに、場所を借り、そこに集まって、一緒におられる町の中から先生を探してきて指導を受けるというようなこともあったわけですけれども、だんだんに日本人の数が多くなるということもあって、これは日本人学校というものをちゃんとつくらなきゃいけない。
 しかしそれは、今先生おっしゃったように、日本の国内における学校法人として、あるいは公立の学校としてつくるというようなわけになかなかいかないということもありまして、学校をつくるところから資金をどうやって集めるかというところまで、なかなか苦労が多かったというふうに私は聞いております。
 したがって、これはもう、学校とはいいながら文部省の所管ではなかなかできないということもございまして、外務省から援助をする、そしてまた、教師の派遣や何かについてはまた文部省にも応援を依頼するというようなことから今日に至っているわけでございます。
 ちなみにちょっと申し上げますと、平成十二年度の予算では、外務省として十九億六千百万円、文部省としては二百四十二億四千六百万円、これが計上されているわけでございます。文部省の予算は、今申し上げましたように、教員の派遣でありますとか教材の整備でございますし、外務省の予算は、治安の悪い国におきましてはガードマンの雇い上げに至るまで予算に入っている、こういう状況があるわけでございます。
 さてそこで、今具体的にお尋ねの台中におきます日本人学校の問題でございますが、御指摘のように、昨年九月二十一日に発生した大震災によりまして、日本人学校の校舎は全く使用不能という認定でございます。そして、地形の問題その他もあって、これはもう完全に別の場所に建て直さなければいかぬということになりまして、現在、同校は臨時に現地の幼稚園を借りてそこで授業中でございますけれども、三月には、どうも、当地の御好意によりまして台湾製糖の土地を借りることができるということになりまして、そこにプレハブの仮校舎を建設するということになっております。この仮校舎建設につきましては、大震災という特殊事情を考慮いたしまして、外務省が全額援助するということにいたしております。
 そしてさらに、本年中に台中日本人学校は本格校舎を建設するという予定になっております。これにつきましては、外務省が援助をすることとして、必要な予算を現在御審議いただいている予算案の中に計上をいたしておりますし、文部省も、教材整備のほか、大震災に直面した児童生徒の心のケアを行うカウンセリングの専門家や担当教員の派遣などの支援も考えておられますが、しかし、現地の皆様方の御負担も相当なものであろうというふうに考えておるところでございます。
#123
○赤羽分科員 日本人商工会、たまたま会長が私の出身の三井物産の支店長ということもあって、今大臣御指摘のように、大変御苦労されながら寄附金を集めていらっしゃる。また、実は私の兵庫県の韓国商工会議所というところが、チャリティーで台中の日本人学校再建のための寄附金を募る活動もしていただいている。恐らく、在外の学校を持っている同じ立場の苦労をよくわかっている人たちの御好意だというふうに思っておるわけでございますが、余りこのことは日本の中で知られていないというふうに思うんですね。
 街頭募金を我々もして、先ほど言いました三千万円を超える大変な募金を集めたんですが、これはどこまで行っても、台湾の被災者に対しての募金ということでやったものですから、なかなか勝手に日本人学校の建設のためにということで持っていくわけにはまいらない。一銭もそういうことには使えませんでした。これは同じ日本人として非常に残念だなと。皆さん、そういうことを知っていればそういう思いというのはあると思いますので、ぜひこの民間負担分、二億円ぐらいを予想されているわけですけれども、そこについても何らかのPRをしていただくとか、サイド的なサポートをお願いしたいということが一点でございます。
 もう一つ、私、地元が神戸なものですから、阪神・淡路大震災の被災者の一人として非常に感じたことは、まさにあの直後に各学校が救援避難所と化しました。まさに防災の拠点という意味で学校の役割というのは大きいわけであります。今回は、たまたま台中の日本人の御家庭、直接被害を受けられた方というのはそんなに多くなかった。ですから、学校に何とか集まるというようなこともなかったわけでありますが、今後の災害では、在外邦人の方がそこの日本人学校を避難所として集まるということは十分考えられる。
 しかし一方では、その学校、今大臣丁寧に御説明いただきましたが、その成り立ちからいきますと、防災拠点まで考えての設立はとてもじゃないけれどもしていないはずなんですね。とりあえず、寺子屋というのは変ですけれども、そこからでき上がった。すばらしいところもあると思いますが。
 全世界九十六校あるというふうに聞いておりますので、この点、まず九十六校の日本人学校の現状をぜひ外務省のリーダーシップのもとに掌握をしていただいたらどうだろうか。そして、厳しい現状、状況が出てきましたら、それなりの知恵を使って、文部省管轄下ではないとはいいながらも、非常に大事な役割を担っている学校でもありますので、その点についても前向きな御検討をいただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
#124
○河野国務大臣 御指摘はまことにごもっともな御指摘だと思います。外務省出先機関を通じてできるだけ早く現状を把握するようにいたします。
#125
○赤羽分科員 それと、ちょっと話はずれるんですが、今回は震災だったものですから、海外危険情報というのとはちょっと違うかと思いますが、私、実は平成十年の五月、小渕総理が当時外務大臣のときに、ちょうどインドネシアのことがあったときの質問だったと思いますが、在外邦人の避難について幾つか質問させていただきました。
 当時、いろいろなことがあって、天安門事件のことがあり、いろいろなことを経験しながら、外務省がそのときに、海外危険情報として、御存じだと思いますが、退避勧告とか家族等退避勧告、危険度五、四、三、二、一というような五段階の分類をした。
 こういう中で、私、実は天安門事件のときに三井物産の駐在員として北京にいたときの率直な思いで申し上げたのですが、これは、分類を細かくするメリットというのはもちろんあると思うのですが、駐在員の立場に立っておりますと、例えば危険度四、家族等退避勧告が出た。その次は、五が退避勧告なんですね。ああいう国の状況が悪くなっていくときというのは、極めて急速に悪くなることが常だと思うのですが、そのときに、どうしても日本政府からの認定が若干ずれる、これはもうやむを得ないと思います。
 そこで、危険度四が出たとき、現地ではとてもじゃないけれども危ないという認識があって、会社としても何とかしたいと思ったときに、逆に政府から家族等の退避勧告というものが出たとしたら、絶対に現地の駐在員というのは帰ることができないのですね。どの面下げておめおめ任地を離れるのだと。ただでさえ日本人というのはその任地を守ることに美徳を感じている企業人が多いわけですから。
 私は、こういったことについて、改正後これはもう二年たつわけですか。この二年間、いろいろなレビューをされていると思いますけれども、これを見て、その出し方等々についてもぜひ御検討いただければなというふうに思いますが、私が今言った企業人の思いの話を聞いて、大臣、どう受けとめていただけたでしょうか。
#126
○河野国務大臣 これは非常に難しい話だと思いますね。議員のように現地で飛んで歩いて仕事をしておられる人と、きのう着いてまだ道もよくわからぬ、あるいは言葉も一言もわからぬという人とでは、まるで危険度は違うわけでございます。それからまた、飛行場の周辺にたまたまいる人と、随分と農村部へ入ってしまって、戻ろうと思っても、一日かけなきゃ交通機関の拠点まで行けないという場所にいる人とを、一つの国で五だ、四だ、三だといってみても、ある意味では意味がないという部分もきっとあるだろうと思うのです。
 しかし、他方、例えば旅行社が何とかパックであした出ていくというときには、やはり、ここはもう危険度が三になりました、このままだと四になりますよ、だからもうこれはおやめくださいということで、その旅行社に思いとどまってもらう。これがなければ、旅行社は旅費はあらかじめもらっちゃっていて、ツアーはもうあした行きますよというときにツアーをやめるわけにはいかない、そういうこともあるのだと思うのですね。
 したがいまして、それはどこを起点にして数値をつけるかというのは、実は正直言って非常に難しいのだと思います。まあ少し無責任なような言い方ですが、なれた人にとってはこれは一つのめどだというふうにきっと思っておられるのではないかと思いますし、旅行にこれから行こうという人にとってみれば、かなり決定的な、これはもうだめだという数値になる場合もあると思うのです。
 したがって、では、この数値をどういうふうにすれば非常に効果的かということになると、それは正直言ってなかなか難しいのだと思います。したがって、ただ単に数値を、三になりましたとか四になりましたとかというだけではなくて、多少説明がそこに加えられるということが必要ではないかというふうに、今の議員のお話を伺って私は思いました。
 しかし、これは、この五段階の数値を考えた人、またその数値を発表する人は、またそれぞれの思いがきっとあるだろう。今でも、政務次官が帰ってこられて、東ティモールを何段階目にするのがいいかとか、世界各地で何カ所かそういう場所もあるわけでございまして、それらについては我々も少し、これを下げるかな、上げるかなということで迷っているところが何カ所かあるのですけれども、では、それを動かすことにどのくらいの意味が実際あるかと言われると、それもなかなか頭の中の整理が難しいということもあるのです。
 しかし、今五段階という基準をとにかく設けておりまして、この基準で、いわゆる外国に関係を持っておられる方々、つまり、企業あるいは旅行関係者その他海外との関係が深い方々にはできるだけ説明をしながら、これはこういう意味だなということを少し理解をしていただくということを進めないといけないのではないかというのが、今のお話からの私の感想でございまして、決定的にどうだということまでちょっと申し上げられないのを申しわけないと思います。
#127
○赤羽分科員 それで十分でございますが、私の言いたいのは、これはあくまで勧告ですから、私は、本当に細かい四と五の違いを政府が責任を持つ必要はないと思います。だから、非常に危ないところは五を出しておいて、その後の、家族だけ帰すか企業も全部撤退するかというのは、企業のやはり自主的判断ということが問われるわけですから、政府が四を出したから変な事件が起こってしまったみたいなことは賢明ではないのではないか。そこは私の意見ですので、よろしくお願いいたします。
 それと、そのときにまたもう一つのことを指摘させていただいたのですが、在外邦人の救出のときに、民間機が来る場合には臨時便でよく来られるのですね、JALとかANAが。そのときに、要するに臨時便ですと、当然チケットを買わないと乗れない、出国税を払わなければだめだ、出国手続をとらなければ出ることはできない。
 私も天安門のときに、オープンチケット、チケットを買うのに六時間かかりましたし、手続自体ももうすごいパニックで、出国手続自体も大変な数で、恐らくあれは、第一便のJAL、ANAには余り人が乗れなかったのじゃないかというふうに聞いております。せっかくジャンボが来たのですが、とてもじゃないけれども時間切れで、半分ぐらいは空席で出発してしまった。後で聞くと、その空席分については、臨時便ということなので、そのアカウントというか費用は、航空会社がある程度そのロスを持たなければいけないというふうに聞いておりまして、余り賢くないのではないか。
 片や、アメリカなんかは、そのときもそうだったと思いますし、インドネシアのときも、チャーター便で来られていましたので、パスポートだけ見せれば乗ることができた。あのときも、ジャカルタではなくてハリム空港に着いて、そこに横づけしてどんどんパスポートで乗せていく。
 まさに本当に危機のとき、そういう臨時便ではなくてチャーター便の形式で出ることの方が賢明ではないかという提案をさせていただきまして、そのときは外務大臣から、前向きに検討したい、こういうお話がありました。その後外務省でも御検討されていると思いますが、どうなったのでしょうか。御答弁をお願いいたしたいと思います。
#128
○河野国務大臣 私も、緊急事態ということになれば、その緊急事態に対応する方法をとるということは当然だと思います。もちろん、相手国との関係もございましょう。我が国国内であればそれは相当なことができますけれども、相手国の問題もありましょうから、何が何でもできるということも申し上げられませんが、しかし、最も考え得る素早い対応というものが必要になってくるのは当然だろうと思います。
 チャーター便、日本からそれ専用の飛行機を、臨時便と称して、あるいはチャーター便と称して持っていくから、それまで待っていろという必要はないわけでございます。私は、インドネシアのときでございましたか、あれも、とにかく日本に帰らなくても国外に出るということがまず第一でございますから、そこは、またこれもケース・バイ・ケースと申し上げるようになりますが、恐らくなれた方は一番最寄りのところにまず出るということをお考えになったに違いないし、ふなれな方はとにかく東京へ帰らなきゃいけないというふうにお考えになったかもしれないし、それらについても上手に誘導をする。あるいは、とにかくこの地域が非常に混乱状況なのだから、この混乱を避けるためにはできるだけ早くこの地域から離れるということを考えてほしいという説明がうまくできるといいと思うのですね。
 それから、もう一つはおっしゃるようにチケットをどうやって買うか、もう一つは出国手続がどうやってできるかということ、二つあると思いますけれども、出国手続なども、これは大使館が当然飛行場まで行って、機側でできる限り手続ができるように工夫ができないものかなというふうにも私は思います。
 これは、議員御自身の経験からおっしゃっておられることで、当然在外の館員たちもそうした努力をされるものと私は確信しております。
#129
○赤羽分科員 よろしくお願いいたします。
 あと一点、先ほどの在外の日本人学校に絡むことなのですが、危機管理ということで、要するに学校はスクールバスが必ずあるのですね、そのスクールバスが案外大事だ。日本人が退出するときに空港までの足になることが多いわけですが、そこに防弾ガラスを入れているような学校はなかなかないと思いますが、地域によってはそういったことも、当然それは自己アカウントでということになると思いますが、啓発をするようなこともぜひ考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 あと、きょうは運輸省も多分来ていただいているので、次の、もう時間が短いのですが。
 昨年、十月の下旬に、アロンドラ・レインボー号、パナマ船籍、これがインドネシアの港を出て消息を絶った。それが十一月九日にタイのプーケットの水上警察に保護された。非常に不思議な事件だなというふうに思いました。
 たまたま私、船長が高校の先輩だったものですから非常に心配をしておりまして、いろいろなことも、外務省、運輸省、ちょっと聞いておったのですが、不思議な話だなと思いますが、類似の件数がどのくらいあるのか、現状どのくらいのことがわかっているのか、ごく簡単で結構ですから、御説明いただければと思います。
#130
○中田政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる海賊と申しますけれども、いろいろな態様がございます。船舶に係る窃盗、強盗事件というふうに我々称しておりますけれども、昨年一年間で世界で二百八十五件発生いたしております。その中に、いわゆる今先生が御指摘になったようなアロンドラ・レインボー号のようなハイジャック事件というのは非常に限られております。普通はこそ泥的なものが多うございます。
 このアロンドラ・レインボー号につきましては、船長が日本に戻った際に私どもでヒアリングをいたしましたところ、インドネシアの港を出港直後に五、六人の賊に突然侵入されて、ナイフ、ピストル等で脅迫され、船を奪われた。乗組員全員は拘束をされ、後、別の船に移され、最後はいかだに乗せられて海に放置された、こういう事件でございます。
 船自体は、その後インドの付近でインドの沿岸警備隊に発見されまして捕獲されております。現在、インド警察では、その船に乗り込んでおりました賊十五名を逮捕し、取り調べを行っているというふうに承知しております。
 この事件の全容については、今後関係方面と協力し、ぜひこういった事件が起こらないように努力してまいりたいと考えております。
#131
○赤羽分科員 ぜひインドからこの裁判の結果が出次第、これは外務省の仕事になるかもしれませんが、手口をしっかり分析していただけるようにしていただきたいのが一点。
 もう一点、やはり湾岸国の政府にも働きかけをして、日本単独だとなかなか難しいと思いますね。船籍が日本船籍の日本フラッグということでしたらあれですけれども、多くは日本船籍じゃない船が走っているわけですので、多国間での協力ということがやはり大事だと思いますが、その点について、最後に、外務省としてどのようなお考え、対応をとっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#132
○河野国務大臣 昨年マニラで行われました日ASEAN首脳会議におきまして、小渕総理から、関係国沿岸警備機関等の関係者による国際会議を開こうという御提案を申し上げました。現在、この国際会議の開催に向けまして鋭意準備中でございます。
 このほか、こうした問題はやはり相当深刻な問題だという認識が各国にございますから、多国間の枠組みがいろいろあるようでございまして、国際海事機関、いわゆるIMOにおいて、海賊多発地帯における情報交換のためのセミナーを開催する、あるいはASEAN地域フォーラム、ARFにおきましても海賊問題への関心を表明される、そういったようなことがございます。
 先ほど申し上げました小渕首相提案のこの会議、これは実は、それ以前にもインドネシアのワヒド大統領からもその種の提案があったというふうに伺っておりますけれども、いずれにせよ、国際会議を目下準備中でございまして、現在、外務省、運輸省、海上保安庁など、関係省庁で準備のための調整が行われていると承知をいたしております。
 なお、開催の時期につきましては、四月末ぐらいということで考えておるところでございます。
#133
○赤羽分科員 その四月末に開催される国際会議が、内容が実りある充実したものになられますことを期待しまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
#134
○西田主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る二十八日月曜日午前十時より開会し、外務省所管及び大蔵省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時十八分散会

ソース: 国立国会図書館
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