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2000/03/24 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 労働委員会 第5号
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2000/03/24 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 労働委員会 第5号

#1
第147回国会 労働委員会 第5号
平成十二年三月二十四日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 赤松 広隆君
   理事 谷畑  孝君 理事 能勢 和子君
   理事 穂積 良行君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君
   理事 河上 覃雄君 理事 笹山 登生君
      大村 秀章君    木村  勉君
      小林 多門君    桜田 義孝君
      白川 勝彦君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    福永 信彦君
      村岡 兼造君    山口 泰明君
      渡辺 具能君    石橋 大吉君
      中桐 伸五君    松本 惟子君
      西川 知雄君    青山  丘君
      大森  猛君    寺前  巖君
      畠山健治郎君    土屋 品子君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   労働大臣         牧野 隆守君
   厚生政務次官       大野由利子君
   労働政務次官       長勢 甚遠君
   政府参考人
   (経済企画庁調整局長)  河出 英治君
   政府参考人
   (労働大臣官房政策調査部
   長)           松崎  朗君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  松本 和那君     桜田 義孝君
同日
 辞任         補欠選任
  桜田 義孝君     山口 泰明君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     松本 和那君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

    午前十時三分開議
     ――――◇―――――
#2
○赤松委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る二十九日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済企画庁調整局長河出英治君、労働大臣官房政策調査部長松崎朗君及び労働省職業安定局長渡邊信君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#6
○赤松委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村勉君。
#7
○木村(勉)委員 現在、雇用状況といいますか、この一月の完全失業率が四・七%、人数で三百九万人ということで、三百九万人というと名古屋市の人口に匹敵するわけでございますから、大変厳しい状況にあるわけでございますけれども、私は、この完全失業率四・七%という数字について素朴な疑問を持っておりますので、ちょっとお聞かせをいただきたいなと思います。
 一つは、今、バブルが崩壊して戦後最大の不景気な中での四・七%という数字と、バブルの最絶頂期、一九八九年、今から十一年ぐらい前ですか、このときの失業率も二・三%ぐらいあったわけです。あのころは人手不足だと言われていたのですけれども、あのときの人手不足の最絶頂期に二・三%あって、今最悪のときに四・七%というのは、どうもちょっと数字的に納得いかないといいますか、構造的なものがあるのでしょうけれども、好況期に二・三%もあった失業率というのは何なのかということと今の不況期の四・七%と、その辺、わかりやすい、我々が納得しやすい説明をしていただきたいというのが一つ。
 もう一つは、最近、アメリカの失業率と日本の失業率が逆転したと言われてちょっと騒がれておりますけれども、それにしても四・何%台の違いであって、本当に〇・幾つの違いでしかない。片やアメリカは未曾有の好景気の中での四%台、日本は戦後最悪の不況期での四%台となっている。これもちょっと理解しがたいので、失業率の統計のとり方に相違があるのか、こういう状況をもっとわかりやすく説明いただきたいと思います。
 三番目は、この四・七%、三百九万人の中で、実際には、若い人で親のすねをかじっていて、自分は就職したけれどもどうもちょっと希望に合わないということで気軽に職を辞してしまった人もおりますし、また、経済的に余裕があってそんなにあくせく働かなくてもいいんだ、いい職があれば働くんだというような方もおられようかと思います。しかし、また反面、雇用されて給料をもらえなければ一家が支えられないという、失業することによって本当に生活困窮者になってしまう人たちもいるはずですね。三百九万人のうち、職につかなければ生活に困ってしまう本当の失業者というのは何万人いるのか、その辺をまずお聞かせいただきたいなと思います。
#8
○長勢政務次官 おはようございます。
 完全失業率の中身のお話だと思いますが、完全失業率は、景気循環的な、わかりやすく言うと景気が悪いので失業者がふえるという部分と、年齢とか職種によりましていろいろミスマッチが起こる、また就職に至るまでに若干のタイムラグがあるというような過程で起こる、そういう意味での構造的な要因と二つが相まざって四・七という数字になっている、このように私ども理解をいたしております。
 ちなみに、一月の完全失業率は四・七%ということでございますが、これを推計いたしますと、需要不足失業、景気が悪いという点に起因するものが一・二%程度、構造的、摩擦的失業と類するものが三・五%程度というふうに私どもとしては分析をいたしておるところでございます。
 趨勢的にいいますと、年齢なり、職種なり、あるいは職業意識なりということに伴うミスマッチによる構造的、摩擦的失業率というのは高まってきておるというふうに考えられるわけでございまして、それに今回の景気低迷が加わって高い率になっておると思います。
 ちなみに、今先生お話ありましたように、若年者が一番完全失業率が高いわけでございます。これはいろいろな要因もあろうかと思いますが、職業意識についての変化も趨勢的に変わってきておるということが大きく影響しておるのではないか、このように思うところでございます。
 三百万人の内訳については、参考人から答弁させたいと思いますから、よろしくお願いいたします。
#9
○松崎政府参考人 先生御指摘の完全失業者の内訳でございますけれども、これは一月の数字で申し上げますと、先ほど御指摘のとおり三百九万人ということでございますが、これを理由別に見ますと、倒産それから解雇、そういったことによりますいわゆる非自発的な失業者が百一万人ということでございます。また、自分や家族の都合によりますいわゆる自発的な失業者が百十七万人ということ、さらに、その他の理由ということで、例えば専業主婦等で仕事を探しておられる方、そういった方が六十九万人というふうな数字になっております。
#10
○長勢政務次官 済みません。アメリカのことについての御質問がありましたので。
 アメリカの失業率は、最近の数字では四・二というふうに聞いておりますが、そういう意味で、おっしゃるとおり大差があるわけではございません。アメリカは、かつては日本に比べて相当高かったわけでございまして、これは雇用慣行等が日本と大分違う、また社会構造も大分違います、そういう基礎的な部分として大きく違っておるところもあると思いますので、アメリカは景気が今大変いいわけでございますね、そういう中でも、日本は逆転されたといってもこの程度の差でとどまるということになっておるんだと思いますので、先生御指摘のとおりだと思います。
#11
○木村(勉)委員 そうすると、好況期の二・三%というのは、やはりその中に構造的なものだけじゃない失業者も上乗せされていたんだということでよろしいんですか。
#12
○長勢政務次官 求人がどれだけあっても、やはり就職するまでに若干のタイムラグがあったり、行きたい人と行きたくない人がおられたりという部分が、これはどういう時代になってもその部分は残る部分としてあるというふうに理解をしていただきたいと思います。
#13
○木村(勉)委員 問題は、非自発的な百一万人の本当に就職をしないと一家を支えられないという方々に、いかに雇用の機会を与えて生活の安定を図ってもらうかということが労働行政の大事な柱だろうと私は思うわけでございます。四・七%になった原因は、今までの経済政策の失敗が要因だという指摘も一部にされております。私は決してそうは思わないのですけれども、しっかりと労働行政が支えてきたからこの四・七%で済んでいると思うのですけれども、こういう批判に対して、労働省としてはどういう見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#14
○長勢政務次官 近年雇用失業情勢が大変厳しいわけでございますが、バブル崩壊後の産業構造の大きな変化の中でこういう状況が起きてきておるわけでございます。
 これに対しまして、政府としても、一昨年四月以来、四度にわたって総合的な雇用対策を取りまとめて雇用対策に全力を挙げてきました。その結果、まだまだ悪いわけではございますが、この雇用対策というものが相当の下支え効果をもって今日になっておる、このように思っております。あわせて経済対策にも全力を挙げてきたわけでございまして、この政策の背景をなす産業構造の国際的な変化の中でこうなっておるというふうに思っておりますので、我々としては、産業政策、雇用政策あわせて全力を挙げてきたつもりでございます。
#15
○木村(勉)委員 私は、今までの政府の労働政策を高く評価しているものでございます。こういう状況を見ました場合、やはり雇用面でのセーフティーネットというものをしっかり構築しておくことが大事なわけでございまして、その中核をなすのは雇用保険であります。この保険の受給者も増加してきておりますし、財政状況も大変厳しくなってきているというようなことでございますけれども、この財政が破綻したら大変な社会不安を及ぼすわけでございますけれども、雇用保険財政の状況は今どのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。
#16
○渡邊政府参考人 雇用保険の財政の現状でございますけれども、近年、雇用保険につきましては、収入の方がふえませんで、失業情勢を反映して給付の方がふえていくという状況で、赤字が続いているところでございます。
 平成十二年度の予算についていいますと、収入は一兆六千八百億円を見込んでおりますが、支出が三兆一千六百億円で、赤字が一兆四千八百億円というふうに見込んでいるところでございます。この赤字につきましては、現在は積立金を取り崩すことによって補てんをしておりますが、積立金残高は、平成十二年度末で二千七百億円となるという見込みでございまして、このまま推移すれば十三年度の給付に支障を来す、こういったふうなところが現状でございます。
#17
○木村(勉)委員 このたびの雇用保険の一部改正で、深刻な人たち、特に先ほど指摘された百一万人の方々に対して、給付日数等を延長してしっかり支えようということでございますけれども、本当に困っている人たちに対する手厚い施策がなされているのかということの概要をちょっと御説明いただきたいと思います。
#18
○長勢政務次官 今般の改正によりまして給付日数を見直すことにいたしておるわけでございます。現行制度では、給付日数は年齢に応じて手厚くするという仕組みになっておるわけでございますが、勤労者意識の変化などによりまして労働移動も増加をする、こういうことから必ずしも合理的ではなくなってきている。特に、定年退職者を含む六十歳以上六十五歳未満の年齢の方々につきましては、中央職業安定審議会、公労使三者で構成されておりますが、そこにおける議論におきましても、これらの年齢層の方々に係る給付額が全体の給付額の約三五%、相当割合を占めているということですとか、あるいは他の年齢層の方々に比べて支給終了となる割合が極めて高いということに照らして、この方々についての所定給付日数のあり方も見直す必要があるということが議論されてきたところでございます。
 さらに、最近の雇用失業情勢、今後の労働移動の増加等を考えますと、再就職を容易にするための施策が非常に重要でございますし、そういう整備も図られておることを考えますと、むしろ離職の理由に着目をして、現行の給付日数の体系を見直しをしていくことが必要である。特に、倒産、解雇等によって離職をされた方々、再就職に非常に困難を持っておられる方々に対する給付に重点を移していくことが必要である、こういう考え方に基づいて給付日数の見直しをしておるところでございます。
 いずれにしても、定年退職者など、あらかじめ再就職の準備ができるような離職をした方々に対する給付を見直す一方で、倒産や解雇等により離職した方々に必要な給付を行うということによって、より効果的な求職者の再就職支援を行う体系にしたい、こういうことで御審議をお願いいたしておるところでございます。よろしくお願いいたします。
#19
○木村(勉)委員 今後の雇用失業情勢について楽観をすることはできないと思うのであります。セーフティーネットである雇用保険としては、厳しい事態も想定し、それに対応できる備えだけはしておく必要があります。今回の改正は、当面どの程度の失業率をにらみ、どのように収支改善が図られるのか、また、将来、どの程度の失業率まで持ちこたえられると見込んでいるのか、お答えをいただきたいと思います。
#20
○渡邊政府参考人 今回の改正案では、保険料率を千分の十二、国庫負担率を二五%に引き上げることとしております。これは、最近の雇用失業情勢を踏まえまして、失業率を四%台の半ばというふうに想定をしておるものでございます。この前提のもとで、国庫負担率及び保険料率の引き上げにより、収入は、現行の制度に比べて七千億から八千億円の増になると見込んでおります。二兆四千億円程度でございます。それから、今総括からお答え申し上げました、求職者給付の重点化等によりまして、支出の方は五千億円程度減になるということを見込んでおりまして、保険の収支は、およそ二兆四千億円程度で収支均衡するというふうに見ております。
 なお、この制度にはプラス・マイナス千分の二という弾力条項がございまして、仮に、一定の要件を満たして、千分の二ほど保険料率を上げざるを得ないというふうになって、千分の十四というふうに保険料率がなった場合には、失業率で見まして五%台の半ばまで維持できるというふうに想定をしております。
#21
○木村(勉)委員 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。
 最近、リストラばやりでございまして、ある企業が労働者の首を切ったというだけで株価が上がるというような、ばかげた状況があります。リストラは首切りだけじゃないわけですけれども、リストラというと即首切りにつながってくる風潮にあるわけですけれども、やはり経営者というのは、収益を上げると同時に雇用を維持する、社員の生活を守っていくということが大事なわけで、それは、今までの日本の経営文化と言ってもいいようなものがあったと思います。それが今、少し崩壊しつつあるわけでございます。
 私は、これは憂うべきことであって、企業というのは利益と同時に雇用の責任も果たしていくということがしっかりしなきゃならぬ、こう思うわけでございまして、そういった点について、労働大臣はどうお考えになっていますか、お答えいただきたいと思います。
#22
○牧野国務大臣 先生御承知のとおり、現在、設備過剰、債務過剰、それから労働過剰、こう言われておりますが、雇用の問題が一番大切でございまして、機械だとかお金の問題は何とか解決できるわけでございます。
 そういう点から、私は、就任以来、企業の社会的責任というものを強く皆さんに訴えさせていただいて、特に、担当している団体である日経連、それから労働組合の中核である連合の両方の会長に対しまして、企業の社会的責任という点から、雇用の安定については最大の努力をしてほしいと強くお願いいたしまして、昨年十月ですが、両方から雇用安定宣言を出していただいたところであります。そして、個々の大手企業等でリストラを発表しておられる方については、ぜひ解雇という最悪の手段は避けてほしいと強く訴えまして、それぞれ、転職だとかいろいろな形で、解雇は考えていない、こういう返事をいただいております。
 私どもとしましては、最大の努力をいたしまして、解雇というような状況にならないようにあらゆる施策を集中して行使したい、こう考えております。
#23
○木村(勉)委員 では、これをもちまして質問を終わります。ありがとうございました。
#24
○赤松委員長 河上覃雄君。
#25
○河上委員 おはようございます。公明党・改革の河上でございますが、きょうは二十分でありますので、早速質問に入らせていただきたいと思っております。
 今回の雇用保険法の改正の最大の柱は、給付日数体系の見直し、この点にあると思います。従来の、年齢のみに依存しました給付日数体系を見直して、離職の理由に応じて給付日数にめり張りをつける、給付の重点化を図るというものでありますが、例えば、四十五歳以上五十九歳以下、勤続二十年以上の者で比較をしてみますと、離職理由によって、片や百八十日、片や現行よりも手厚い三百三十日と、百五十日間の差が生じることになるわけでありまして、このような差を制度的に設けることは、私としては、今般の改正の趣旨から、合理的なものであると考えております。
 ただし、個々の受給資格の決定に当たって、仮にその判断が合理的なものでなかったとしたら、この差が大きいだけに、その結果として生ずる労働者にとっての不合理というものはそれだけ大きいものになるわけでありまして、この不合理を避けるためには、どのような失業者に手厚い給付を行うのかという基準、これを適切に定めることが必要になろうと思います。倒産及び解雇が基本となるであろうと考えておりますが、例えば、あらかじめ年齢が定められた早期退職優遇制度等、雇用契約の終了についての事業主の働きかけが認められる状況下で離職を余儀なくされたような場合が基本的にこれに該当するであろう、こう考えるわけでございます。
 ただ、現実の問題といたしまして、雇用契約の終了についての企業の慣行がどうなっているんだろうか、また、労働者の離職の実態がどうなっているのかということ、これを考えてみますと、さまざまな実態があると考えます。この実態というものをしっかり踏まえず、安易に広く設定すればいいということでは、かえって財政の負担も招来することになります。
 私は、この基準の設定問題については、基本的なところは十分議論するとしても、極めて具体的な点について、ここで性急かつ拙速に陥らないことが大切であろう、こう考えます。
 そこで、今後、この実態を十分踏まえながら、労使で慎重に議論をしていただき、できる限り客観的な基準を策定する、それを合理的に運用していくということが極めて大切なことと考えますが、この考え方に対する御見解をいただきたい。
#26
○長勢政務次官 まことにお説のとおりであると思っております。この基準を、先生御指摘の考え方できちんとしたものにしていく必要がございますので、具体的な範囲につきましては雇用保険法施行規則に規定することにしておりますし、その制定に当たっては、今後関係審議会においてさまざまな実態を踏まえて十分な御検討をいただきたい、このように思っております。
 また、それを具体的に現場で運用することにおきましても、さまざまな実態があるわけでございますので、労働者の意思にかかわらず不幸にして離職されるという方々とそうでない方々との実態を、事業主あるいは離職者の主張も十分に吟味をして判断をしたい、また離職者本人の申し立ても尊重される事務手続を考えたい。こういうことで、適切に運用することで今後しっかりやっていきたいと思います。
#27
○河上委員 ただいま申し上げましたことは労働者の視点からの合理性の確保ということでございますが、もう一点重要なことがあります。
 それは、今回の改正でいわば中高年のリストラ層への給付の重点化が図られます。これが逆に安心して労働者をリストラしてくださいというリストラ促進になっては本末転倒だということであります。また、例えば労使が互いに意を通じて解雇を装い、事実上の退職金の肩がわりにしてしまうような実態が出るとするならば、これは厳に戒め、避けなければならない問題であろうと思っております。
 何も性悪説に立てということを申し上げているわけではございませんが、その意味では、本来の趣旨に沿った適切な制度運営を図るという視点から、労働者のリストラ促進や偽装解雇というような、今般の手厚い給付措置をいわば逆手にとった対応がなされないための歯どめということをきちんとしておくべきだ、このように考えますが、いかがでしょうか。
#28
○長勢政務次官 おっしゃるとおりでございまして、この点は法の趣旨を改正の趣旨も含めてきちんと理解をいただくような努力をやらなければならない、このように思っております。事業主説明会などいろいろな周知、広報の機会もございますので、その場で雇用保険制度の趣旨、受給手続、離職理由を偽った場合などの不正受給の処分等々につきまして、受給資格者あるいは事業主に対する周知徹底を一層図ってまいりたい、このように思っております。
 また、解雇等による離職者を一定数以上生じさせた事業主に対しては、労働者を雇い入れる場合に賃金の一部を補助する特定求職者雇用開発助成金等の助成対象から外すというようなことも検討いたしておりますので、これらの措置を通じて御指摘のような脱法行為の防止に取り組んでまいりたいと思います。
#29
○河上委員 前向きな御答弁をいただきました。さまざまな意味で今回の改正に当たりまして労使ともに負担をすることになるわけでありますので、安定的な雇用保険財政の運営からいたしましても、ぜひともしっかりとこれらの歯どめ策、対応をお願いしたいと思います。
 次に、今回の改正の中で、法律の改正事項以外にも雇用環境を取り巻く状況変化に対応した対策がいろいろと講じられるというふうに伺っておりますが、その一つに、雇用就業形態の多様化に対応いたしました雇用保険の適用基準の見直しという課題がございます。
 雇用保険が適用になるのは雇用労働者でありますけれども、一口に労働者と言っても、単なるアルバイトも含めましてその態様というものはさまざまであります。このために、被保険者となる適用範囲について、がちっとした法令ではなくていわば通達レベルの適用基準にゆだねられているということは、私といたしましては十分理解できるところでございますが、ただ、通達レベルでの適用基準だといっても、これが安易な運用をなされたのでは困るわけでございまして、この点はしっかりと押さえておかなくてはならないと思います。
 雇用保険の被保険者数は、平成十年度平均で三千三百九十六万人、対前年度比マイナス〇・五%と初めて減少に転じたところであります。この事態は、厳しい雇用失業情勢ということもあると思いますが、ある意味では雇用就業形態の多様化が進んで、雇用保険の被保険者数とカウントできない、こういう形での就業者がふえているということもあるのではないかと考えるところでございます。
 そうしてみますと、現在の適用基準は、大まかに、週所定労働時間が二十時間以上、二つ目に一年以上の雇用見込み、三つ目に年収九十万以上見込める、この三つであると承知はいたしております。パートタイム労働者の増加に加えて、派遣法の改正によって派遣先での就業が原則として一年以下に制限されること等を踏まえれば、適用基準の見直しという問題は時宜を得た妥当なものと考えます。
 そこで、具体的にこの適用基準をどう見直すのか、また、さらにその実効性を上げるために新たな適用基準のもとで積極的な加入促進に努めるべきであろう、その方向をどう考えるのか、労働省に確認をしておきたいと思います。
#30
○長勢政務次官 先生から雇用保険制度の安定的、適切な運営について貴重な御提言をいただいて、敬意を表するところでございます。
 今お話しの短時間労働者及び登録型派遣労働者の適用につきましては、現行制度は今おっしゃったとおりでございますが、今般の制度の見直しにおきまして、雇用就業形態の多様化に対応して、先ほどおっしゃいました年収九十万以上という年収要件に係る基準は廃止をするということにしたいと思っております。また、登録型派遣労働者につきましては、労働者派遣法の改正も踏まえまして、短期の派遣就業を繰り返すような場合についても適用対象となることを明確化することとしたいと思っております。
 なお、具体的なこれらの基準の見直しにつきましては、今後中職審において御審議をいただくことになるわけでございます。
 これらの新たな適用基準については周知徹底を図って、また、労働保険事務組合の活用等によりまして雇用保険の適用促進に努めてまいる考えでございます。
#31
○河上委員 ありがとうございました。
 もう一つの点につきましては、今回の改正で育児・介護休業給付の給付率を二五%から四〇%へ大幅に引き上げる判断をされたことは大いに歓迎をいたしたいところであります。
 ただし、仕事と子育ての両立のための環境がこれで整ったということにはならないわけであります。確かに育児休業の取得促進の上で休業中の経済的援助を行うことの意義は大きいと考えております。しかし、その後の雇用継続までにらんで考えてみるならば、なお課題というものは山積をしているわけであります。
 例えば一般論として、原職に復帰することがその後の本人の能力発揮や職場の定着には望ましい、そのためには代替要員の確保などについての事業主の配慮やそれに対する支援というものが不可欠であると考えますし、二つ目には、復帰後についても短時間勤務制度など子育てに配慮した勤務時間に関する制度の充実が必要であると思います。さらにもう一点、育児休業だけでなく、子供の看護のための休暇の普及促進も必要になってくるのではないか。
 このように考えてまいりますと、果たして現行の育児休業だけですべて対処し切れるかどうかという疑問も出てまいるわけでございまして、少子高齢化が進行する中で、仕事と子育ての両立のための雇用環境を整備するため、現行の育児休業法についての法的整備ということも視野に入れながら制度の充実を検討していく必要があるのではないかと私は考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
#32
○長勢政務次官 仕事と子育ての両立のための雇用環境を整備するということはこれからの大変大事な事項であるというふうに認識をしておりまして、少子化対策推進基本方針でありますとか新エンゼルプランにおきましても、御指摘の育児休業制度の充実に向けた検討、短時間勤務制度等子育てに配慮した勤務時間に関する制度の拡充に向けた検討、子供の看護のための休暇制度のあり方についての検討等を行うこととしておるところでございます。
 これに基づきまして、現在、育児休業制度や短時間勤務制度等、育児・介護休業法の施行状況の調査を行っておるところでございまして、労働省といたしましては、今後、この調査結果を踏まえまして、少子化対策推進基本方針等に基づき、関係者の御意見を伺いつつ、法的整備も含めまして幅広い観点から検討を行い、必要な措置を講じてまいる考えでおります。
#33
○河上委員 ぜひとも具体化できるような御努力をいただきたいと思います。
 雇用保険の最後の質問になりますが、失業給付の不正受給という点をお尋ねしたいと思います。
 今回の改正につきましては、給付と負担の両面から制度の再構築を図ることといたしております。労使の保険料を引き上げるということになるわけでありまして、セーフティーネットとしての制度の安定的運営を確保するという観点から、こうした痛みを共有し合うことはやむを得ない措置であろうと考えます。
 しかし、被保険者の理解というものを十分に得るためには、制度自体に対する信頼性、これを高めていくことが極めて重要だと私は考えておりますが、この観点から、制度の悪用、特に失業給付の不正受給を防止することは大きな課題であると思います。不正受給というものを野放しにしていくことは許されません。
 失業給付の不正受給に対して厳格に対処する必要があると考えますが、これまでの不正受給の事例等を通じて、その防止策についてどうお考えになっていらっしゃるのか、労働省の御見解をお尋ねしたい。
#34
○長勢政務次官 失業給付の不正受給に対して厳格に対処しなければならないということは言うまでもないことだと思っております。
 不正受給の大半は、就職をしておるにもかかわらず、それを届けないで給付を受け続けるということが大半だと承知をしておりますが、こういうのは、普通はコンピューターシステムの中で大体わかるわけでございますけれども、これを偽って行われたりあるいは間違われるというようなことがあっては効果は発揮しないわけでございますので、こういうことについてのきちんとした指導を行うとともに、安定所の専門職員による、不正行為の疑いのある受給資格者の家庭訪問、あるいは離職者の多い事業所等に対する事業所への立入調査の実施等によって早期摘発に今までも努めてまいりました。
 今後とも、各種届け出の一層の厳正な審査ですとか窓口体制の強化ですとか、あるいは職業能力開発施設との連携等に努めましてこの摘発に努めますとともに、この不正受給に対しましては、不正に受給された額は当然返還してもらうと同時に、さらにその場合に納付命令制度というものもございます。こういう厳格な処分を行い、不正受給の防止に今後とも努力してまいりたいと思います。
#35
○河上委員 もう一問、本当は高齢者雇用安定法の再就職援助についてお尋ねをしたいと思っておりましたが、私の質問と答弁から見ますと多分時間が超えますので、これで終えます。ありがとうございました。
#36
○赤松委員長 青山丘君。
#37
○青山(丘)委員 私は、平成十年三月の雇用保険法改正で、教育訓練給付制度を創設する際にやはり質問いたしましたが、その際私は、自助、共助、公助、こういう言葉を申し上げました。すなわち、今後の我が国社会においては、第一に、自分でできることは自分でやっていかなければいけない、第二に、足らざるところは助け合いをしていくべきである、第三は、それでもなお足らない場合は公が支援をしていく、こういう、自助、共助、公助という枠組みを、今後、政策の基本に据えるべきであろう、そう申し上げました。
 その観点から、労働者の主体的な能力開発の取り組みを基本に据えて、それを支援していく教育訓練給付制度については、時代の流れをとらえたものだと私は評価をしてきました。特に、最近の我が国経済社会の動きを見てまいりますと、この主体的な能力開発が一層必要になってきているという気が私はしております。
 ここで、求職理由別の完全失業者数の推移を見てまいりますと、自発的失業は、十年前は五十万人台でありましたが、最近では百万人を超えている。これは自発的失業でありまして、バブルのころであったら自発的失業はあっても、あってもというのは変な言い方ですが、多くあってもまあ理解ができる。今のように不景気のときでありますと、あえてみずから転職していこう、こういう人たちが百万人を超えているということは、今の経済社会がそれだけ大きく変化していて、労働者がそれに乗りおくれまいとしていることのあらわれであろうと私は受けとめております。実はこれは自助の例でありまして、自助に目を向けていく必要が大いにあると私は考えてきたからであります。
 一方で、最近の産業構造の変化や経済のグローバル化の流れは、企業の栄枯盛衰のスピードを速めてきております。多くの企業ではリストラを余儀なくされておりまして、そういう場合に労使一丸となって雇用を守っていく、維持に努めていく、こういうことは当然であって、これは実は共助であると思いますが、それでもなお不幸にして離職を余儀なくされる者が増加するということが懸念されるわけであります。それに対しては公助がきちんと対応していかなければならない、公助の必要性が強く出てくるわけであります。こういうふうに考えてきますと、セーフティーネットとしての雇用保険のあり方も、時代の変化に合わせて見直しをしていくことが求められていると私は思います。
 今回の給付体系の見直しで、給付を全体として圧縮しつつ、離職理由に応じて給付の重点化を図っていく、ここが重要なところですが、現下の経済社会の変化を踏まえたものだというふうに理解をすべきものでしょうか。今般、給付の重点化を図っていく、こういう考え方の基本に流れているものをぜひひとつお話しいただきたいと思います。
#38
○長勢政務次官 今般、給付体系の見直しをさせていただいておるわけでございます。先ほども御答弁申し上げましたけれども、現行給付制度は、年齢に応じて手厚い給付日数を行うということで定めておりますが、これについては、公労使三者構成の中職審におきましても、特に定年退職者を含む六十歳から六十五歳の方々の給付額というものが全体の三五%にもわたる、また支給終了の割合も大変高い等々、見直す必要があるのじゃないかというような議論もあったところでございます。また、今お話しのような雇用状況の変化等に応じまして、むしろ離職の理由に着目をして見直しをし、真に必要のある方々に対して給付を重点化していくということがいいのではないか、こういうことで今回の改正に至ったものでございます。
 具体的には、現行の給付日数の上限と下限にも配慮しながら、定年退職者などを含めまして、離職前からあらかじめ再就職の準備ができるような者に対する給付日数は、離職者みずから再就職に備えての準備を行うことが可能でありますので、これらを圧縮する一方で、中高年齢層を中心に、倒産、解雇等により離職した方々には十分な給付日数が確保されるようにというふうに再構成をさせていただいております。
 また、これにあわせまして、定年退職を予定している方々に対する再就職援助対策について、高年齢者雇用安定法の改正によって充実をするということも行うことにしておるところでございます。
#39
○青山(丘)委員 御答弁にありましたように、定年退職者については、自分が再就職したいという意思を持たれる場合には、いつごろという予見がある程度可能でありますから、それなりの見通しでそれなりの取り組みが考えられるわけですけれども、倒産、解雇という場合になってきますと、これはなかなか予見が難しい。しかし、そういう人たちこそ本当に支援を求めていきたいということになってきておるという考え方は、私は非常に妥当性が高いといいますか合理性があると見ております。
 今お話がありましたように、従来の給付体系というものは、年齢が進めば一律に手厚い給付を行っていく。年齢だけで給付日数を決定するということは、時代の変化に伴って、必ずしも合理性を有するものではだんだんなくなってきておるのではないかという考え方は、やはり私は強く出てきておると思います。
 今の時代に最も深刻で支援の必要性が高いというのは、やはり中高年のリストラ層と申し上げてはこれは失礼かもしれませんが、突然職を離れざるを得なかった人たちにどう対応していくのかということは、これは公助の面で非常に重要な段階に来ておるので、私は、そういう意味で、給付の重点化というものに合理的な考え方があると思っております。
 今も申し上げましたが、定年退職者であっても、定年というのはあらかじめ予見できるものですから、定年前から主体的に再就職の準備をできるだけしていっていただくことも必要ではないか。私は、本来的に、その職についていて次の職のことを考えていくというのは、さてどうかな、日本人の職業意識としては私自身も少し自己矛盾を感じますけれども、そんなきれいごとを言っていられるような状況ではないというふうに考えますと、これはやむを得ないことであろうと。
 そういうふうに考えていきますと、在職勤務中に十分な求職活動を行っていくということが必要ですから、時間を確保していかなければならない。あるいはそういう取り組みをしていくことに対する会社の中での理解も必要になってくるということになれば、事業主の協力も必要になってくる。
 と同時に、やはり職業安定所の役割は一層重要になってきておりまして、職業安定所が積極志向でこういう人たちへの対応をしていっていただく必要が今出てきておる。消極志向と積極志向と申し上げるのは、実は私自身の物の考え方かもしれませんが、離職を余儀なくされた方が新しい職を求めてきておられるので何とかそれにこたえていこうというのは、消極志向の職業安定所の役割。もっとよいところを探してあげなければいけないと思っていただくところが、職業安定所の重要な役割。積極志向の考え方が今必要だというふうに私は思っております。
 求められたものに対応できる、それだけではなくて、求められたものによりよく対応できるという考え方がこれからもっと必要になってくるのではないかという気がいたしますが、労働省、いかがでしょうか。
#40
○長勢政務次官 中高年、リストラの方々に重点を置いた給付日数の見直しを考えておるということについては、先ほど申し上げたとおりでございます。同時に、中高年齢者を取り巻く雇用失業情勢は大変厳しいわけでございまして、一たん失業されますと、再就職が大変厳しい、困難であるという状況でありますから、できれば在職中からの求職活動によって、失業を経ないで早期に再就職ができるようにすることがこれからの重要な課題である、このように考えております。
 今回の改正法案におきましても、定年、解雇等により離職をする中高年齢者について、在職中からの再就職活動を円滑にするため、一つは、事業主による再就職援助の努力義務を規定するとともに、在職中からの再就職活動を円滑にするための再就職援助計画制度を拡充することにいたしております。また、事業主が求職活動のための休暇を与えた場合には、一日五千円、三十日を限度といたしまして事業主に対して助成を行う、そういう制度を設けることにいたしております。そして、これらの対象となる在職求職者に対しましては、公共職業安定所におきましても積極的に再就職の支援をやっていくという方向で今考えておるわけでございまして、ぜひこういう方向で頑張ってまいりたいと思います。
#41
○青山(丘)委員 高齢者の再就職の環境というのは決して生易しい状況ではない、よくわかっています。それだけに、ひとつぜひ積極的な再就職への支援に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 高齢期になりますと、雇用としての再就職以外にもさまざまなニーズがありまして、これまでの知識や経験を生かして、起業すなわちみずから事業を起こしていく、そういう希望を持っておられる方もありまして、そうしたさまざまなニーズに適切に対応していく必要が出てきております。多くの高齢者の方がみずからの希望を持ち、みずからの意欲に応じて積極的に社会に参加をして生き生きと活動していただくことが、実は活力のある社会だと私は思っております。
 今後、みずから起業する、すなわち事業を起こしていくという高齢者に対して、労働省としてはどのような支援を行っていこうとしておられるのか、伺っておきたいと思います。
#42
○渡邊政府参考人 現在、中小企業労働力確保法に基づきまして、新しく事業を立ち上げるときの採用助成等を行っておりますが、もちろん高齢者の方が事業を起こされるときもこの対象になるわけでありますけれども、今般、新たに第二次補正で、六十歳以上の方が三人以上共同して、知識、経験を持ち寄って事業を起こすというときの助成措置をお認めいただいておりまして、三分の二、五百万円を限度として事業の立ち上げの助成をするということにしております。第二次補正では五十件、三億六千万円をお認めいただいておりますが、十二年度予算では、三百件、十八億の枠をお認めいただいております。これは大変な反響がありまして、現在二千五百件ぐらい照会があっております。
#43
○青山(丘)委員 時間がなくなりましたので最後の一問になると思いますが、実は私は、高齢者に限らず、今後みずからの事情や都合で転職しようとする者について、あまねく在職中からその準備をしていただくことがだんだん必要になってきておる時代だと思っております。
 今般の雇用保険制度の改正では、法律改正項目には入っておりませんが、教育訓練給付の支給限度額を引き上げていくというふうに聞いております。そういうことは在職者にとっては非常に大きな支援になってまいります。
 労働省の民間教育訓練実態調査によりますと、事業主によるところの、これまで一生懸命やってきた企業内の訓練の実施率が年々低下しているようでありまして、そうなってまいりますと、労働者自身が主体的に能力開発を進めていかなければならないという状況になってきておると思います。
 これと同時に、労働者の主体的な能力開発の取り組み自身を支援していくことで労働者のエンプロイアビリティーを高めていく、こういうことがより重要になってくると私は思います。
 そして、実はこの問題で御所見があったら御答弁いただきたいのですが、今回の雇用保険制度の見直しは、主として労使折半の保険料に基づくところの失業等給付の見直しが中心になっております。それは雇用を取り巻く状況変化に十分対応したものとして私は評価しておりますが、雇用保険制度にはもう一つ重要な柱がありまして、雇用保険三事業があります。
 三事業は、失業等給付に附帯する事業として、いわゆる失業の抑制、失業等給付の縮減、これに資することが求められておりまして、雇用調整助成金に見られるように、失業の予防や雇用の維持に重点が置かれてきました。ただ、失業の抑制の意義も変化しつつあって、今日の時点では一定の失業はもう避けられないのではないか、問題は、いかに失業なき労働移動を達成していくのか、あるいは新たに積極的に雇用をどう創造していくのか、創出をしていくのか、こういう側面に政策の重点を移していく必要があると私は思っております。
 そこで、積極的な雇用対策を講じてこられておりますので三事業の財政状況もなお厳しくなってきておると聞いておりますし、三事業の給付金が非常に複雑で利用しにくい、こういう声があります。三事業について、雇用を取り巻く状況変化に応じて政策目的の重点化を図っていく、給付金等の整理合理化をしていく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか、大臣。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#44
○牧野国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、私自身、就任以来三事業の中身を検討いたしてまいっておりますが、制度をつくりましてもほとんど利用されていないものもございますし、これらの中身を見ますと、実は条件が非常に厳しいというものがあるわけでございまして、相当程度見直さなければならないな、このように考えております。
 それから、今先生おっしゃった失業なき移動という制度でございますが、先生のおっしゃるとおり、そこが非常に大きい問題でございますので、私どもも、人材移動特別助成金というものも昨年七月から実施いたしておりますし、また、中小企業労働力確保法に基づきまして、創業、異業種進出を行う中小企業に対する雇い入れ助成等、積極的に失業なき労働移動や雇用創出に一生懸命努力いたしているという現状でございます。
 先ほどおっしゃったとおり、いろいろな補助金がいっぱいあるわけで、しかも同じような名称で、なかなか普通の方は了解するのが難しいのではないか、こういう点も危惧いたしておりまして、実効性を十分見定めまして、平成十三年度予算での措置も視野に入れまして、この三事業の整理合理化、そして効率的な、また効果的な執行に努力してまいりたい、こう考えております。
#45
○長勢政務次官 自己啓発についての御質問についてお答えを申し上げます。
 労働者の方々が主体的に能力開発に取り組むことを支援していくということは、今後極めて大事な課題であるというふうに理解をしております。
 先生からも御指摘がございましたが、このため、労働省におきましては、労働者が自発的に教育訓練を受けた場合に負担した費用の一部を労働者に直接助成する教育訓練給付制度を実施しておるわけでございますが、来年の一月からを予定しておりますけれども、支給額の上限を二十万円から三十万円に引き上げるという充実を図ることにいたしております。
 また、これに加えまして、事業主の方々の援助というものも大事でございますので、事業主の方々が有給教育訓練休暇を付与されるとか、受講費用を援助されるといった場合にはその方々に助成するとか、あるいは行政におきましても、事業主、労働者などに対しまして、相談あるいは情報提供といったような体制を強化するという仕組みを行っておりまして、一層の強化を図ってまいりたい、このように考えております。
#46
○青山(丘)委員 終わりますが、現下、労働行政は我が国にとっては非常に重要な仕事でございます。日本はすぐれた労働力を持った国、資源はなくても国際競争力は世界一をずっと続けてきておったのでありますが、九三年からはがらがらと国際競争力を弱めてきておりまして、今や世界第十六位、アメリカがずっと一位を維持しておるようですが、やはり、産業技術力も高いけれども、すぐれた労働力を持っておる国として日本はよみがえっていかなければなりませんので、今のお考えをひとつぜひ積極的に進めていただきたいと思います。終わります。
#47
○鍵田委員長代理 次に、中桐伸五君。
#48
○中桐委員 民主党の中桐です。
 私は、雇用保険制度に関する一般的な観点から質問をしたいというふうに思います。
 雇用保険制度というものの果たしている役割というのは、社会保障の一環をなすというふうに理解をしておりますが、その中で、雇用政策という分野で極めて重要な役割を持っているというふうに思います。
 そこで、まず大臣にお伺いいたしますが、雇用失業情勢と雇用保険の財政の動向、特に保険料率、そういったものの見通しです。労働省の資料によりますと、四・六%で、支出見込み額が二・四兆円という形になっておりまして、均衡保険料率はそのとき千分の十一・八という形になっております。
 今回の改正を行って、さらに今の経済状況あるいは国際経済の状況、そういったものの中で、最終的には、財政の見通しは、保険料率という観点から見て一体どういう見通しになるのか、まずお伺いしたいと思います。
#49
○牧野国務大臣 雇用状況でございますが、一月の完全失業率は四・七%と相変わらず高水準にありますし、また、今非常に心配しているわけですが、本年三月末の新規学卒予定者の就職内定率、非常に危惧いたしているところでございまして、こういう状況を踏まえまして、安定した雇用保険の運営がなされなければならない、こう考えております。
 雇用保険につきましても、今先生御指摘のとおり、単年度で一兆数千億円の赤字を出す、こういう状況に直面しておりまして、このままの状況が続けば、料率その他も現在どおりにいたしますと平成十三年度の給付に大きく支障を来す、こういうことが予定されておりまして、そういう観点からも今回の改正をお願いいたしている次第であります。
#50
○中桐委員 最初に確認をしたいことは、社会保障のセーフティーネットとして、雇用における非常に重要な役割を雇用保険制度は持っているというふうに理解をするわけですが、その場合、セーフティーネットというものは、経済の状況によって手直しをいろいろするというのは余りよくない、私はそう思うわけです。
 しかし、今までの経過を見てみますと、経済政策の失敗という点の議論はここではするつもりは全然ありませんが、さまざまなグローバリゼーション等の環境の中で、経済の状況というのは相当ドラスチックに変化をするんですね。そういうときに、セーフティーネットとして雇用面での重要な役割を果たしているこの雇用保険制度の財政というものは、若干その基金等において余裕ができるという状況があっても、そう簡単に保険料率を上げたり下げたりするというのはよくないというふうに思うんです。
 そういう点から、四・七%という完全失業率がよくなっていかないという状況がある中で、これ以後さらに悪化した場合には、今の保険料率では、労働省の試算でも、ようやくにして今の二・四兆円の財政支出の担保ができるという状況にある今日にあって、これは、どの程度もつんですか。失業率がどのような状態になったらまた保険料率の問題を取り扱わなきゃいけないというような状況になるのか、その点についてお伺いしたいと思うんです。
#51
○牧野国務大臣 今御審議いただくわけでありますが、失業給付にかかわる保険料率を千分の十四まで引き上げることができることといたしておりますが、大体、私どもとしては、失業率五%台半ばまでは今回の改正によって確保されるもの、このように考えております。
#52
○中桐委員 五%半ばというところまで今回の改正でカバーできる。そうすると、将来の予測はなかなか難しいんですが、当分の間というか、五%半ばまでは大丈夫というふうに見込みを立てて改正をするということで理解してよろしいんですか。
#53
○牧野国務大臣 現在の失業率は四・七%でありますが、これが今後どこまで伸びるかということは非常に難しゅうございますし、私どもとしましては、ことしの目標にしましても、四・七%を四・五%にする、こういう目途でやっておるわけでございまして、これ以上失業率がふえるということは私どもとしては望んでおりません。最大の努力をいたしたい。
 しかしながら、世の中何が起きるかわかりませんから、セーフティーネットとして、労働者の皆さんが、自分はこういう場合にはきちっと保険金がもらえるなと、安心感と言うと失礼になりますけれども、そのような、心配ないという気持ちは持っていただきたい。こういうことで、一応念のために、今回の改正によって五%半ばまでは心配要らないと大きく一つの基本を定めていきたい、こういうことで御審議いただいている次第であります。
#54
○中桐委員 時間が十分ありませんので、将来見込みの議論をしておりますと時間が経過いたしますので、次の質問に移ります。
 次の問題として議論したいのは、雇用保険に対して国庫負担が導入をされているわけでありますが、当初は失業保険という形で国庫負担が三分の一という形でこの制度はスタートした。その後四分に一になり、それが一時さらに減って、そしてまた今回の措置で四分の一というふうにする。求職者給付の国庫負担率の経過であります。
 そこで、求職者給付において国庫負担が導入をされた、その理由をまずお聞きしたいと思います。
#55
○長勢政務次官 いわゆる失業給付という制度につきましては、いろいろ歴史的な経過もあるところでございますが、主として労使の共済的な性格がありますので、労働者及び使用者が負担する保険料で財源が賄われておるわけでございますが、あわせて、保険事故である失業の発生というものも、労使の問題だけではない、政策的な観点とも無縁ではないということ、また失業された方々の生活保障あるいは再就職促進というものには国としてもそれなりの義務を負っておる、役割を果たさなければならないということにかんがみまして、国庫も失業給付に要する費用を負担するということにしてきたものと理解をいたしておる次第であります。
#56
○中桐委員 ということは、失業に対するセーフティーネットとしての給付については国が責任を持っている分野がある。つまり経済政策とかさまざまなものによって失業というのが生じてくる、そういったことも含めて、国の責任というか、そういうものがあって国庫負担が導入されたというふうに理解してよろしいですか。
#57
○長勢政務次官 労使の共済という性格にプラスして、国においても応分の役割があるという考え方に基づくものと思っております。
#58
○中桐委員 わかりました。私もそのように考えるんですが、日本の場合の失業保険の制定の過程、それに対しまして、労使の共済制度がベースにあって積み上げてきた例えばヨーロッパなんかの失業保険制度の沿革というのは大分違った歴史的過程をとっておりますが、目標とか理念とかいったものについては同じ考え方に立っているというふうに思います。そこで、この運営についてまた議論を後ほどさせていただきます。
 さて、失業給付、求職者給付については国庫負担が導入をされているんですが、その国庫負担の導入というのは、先ほどの議論からの関連ですが、当初三分の一でスタートして、四分の一になり、さらにそれが少なくなり、今回四分の一に戻すという形なんですが、国の責務というのは、そういう経済政策あるいは国の経済の状況によって国庫負担率というのは変更するような考え方で労働省はこれからも対処するおつもりなんでしょうか。
#59
○長勢政務次官 国の役割または時代によっては、あるいは大きく変化することも将来全くないとは言えないかもしれませんが、当面の状況下では、現行の四分の一というものは堅持すべきものと理解をしております。
#60
○中桐委員 それでは、次の問題に行きます。
 一九六六年に雇用対策法が導入され、先ほど青山委員の方からも議論がありましたが、これまでのいわば受動的な、失業者に対するセーフティーネットとして給付をするというものから、より積極的に雇用の安定や能力開発のための環境整備やそういったものに対して、いわゆる三事業と言われている制度が第二次雇用対策基本計画を制定する中で導入をされて新しい雇用保険制度になり、その三事業というものが導入をされたということとして理解をしておりますが、この三事業というものを導入するに当たっての国の責務というのは、従来の失業保険における三分の一の国庫負担というものから国のより積極的な労働市場政策という形へ転換をした、転換をしたというかより幅広い雇用対策のシフトに変えていったというわけであります。
 では、先ほどの、国の雇用政策について、失業給付ということに関して国の責務があるということなんですが、この三事業の導入に当たっては、国の負担はしないで、三事業は事業主負担のみとしたという理由をお聞きしたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
#61
○牧野国務大臣 先生御指摘のとおり、現行の雇用保険制度は、昭和四十九年の法改正によりまして、失業保険給付を行うための失業保険制度から、失業の予防、労働者の能力開発の向上等の雇用保険三事業もあわせて行うための雇用保険制度、こういう方向に実は発展してきたわけでございます。今後も引き続き雇用創出のための支援策等を積極的に展開すべき役割をこの制度は持っている、こういうように考えております。
 保険三事業は失業の予防等を図るためのものですが、その対象とする雇用対策上の課題は企業行動に起因するところが非常に多いわけでございまして、また、当該事業の実施に伴い企業が一定の利益を受けるということも考えられるわけでございまして、こういう観点から、事業主負担で行うものというように考えているわけであります。
#62
○中桐委員 そうしますと、次の質問も含めて議論をしたいと思うんですが、私は何回か労働市場政策という点の議論を委員会でしてきたんですが、先ほど青山委員の方からも問題の指摘がありましたが、労働市場政策という観点から見ますと、積極的な政策と受動的政策というふうに分類をされて、そして、OECDがエンプロイメントアウトルックというので年々統計を出している。
 その積極的と受動的というものの分け方ですが、受動的労働市場政策というものについては、基本的には失業給付という形で失業した人のセーフティーネットとして求職者に給付をするというのが大半を占めている。そのほか、このOECDの統計によりますと、労働市場政策としての早期退職制度というふうなものに関する支給のコストもこの中に入っているというふうな統計でありますが、これが受動的労働市場政策。
 それに対して積極的労働市場政策というのは、公共職業サービス。職業紹介だとか職業相談、職業指導、こういったもの。それから二つ目に、職業訓練。そして三つ目に、若年者を対象とした学校から職場への移行をスムーズに行う、そういったもの。そして四点目に、雇用助成。失業者の雇用促進、雇用者の失業防止のための賃金助成、これは先ほどの三事業のものにも入るわけですが、こういったもの。それから障害者対策。以上五つに積極的労働市場政策として統計で分類をされています。
 そこで、私が次に問題にしたいのは、この積極的労働市場政策と受動的労働市場政策のOECDの統計による各国の比較というものがございます。その中に、公的支出、国庫負担等が含まれるわけですが、公的支出がGDPに占める割合というものの統計が出されております。
 それによりますと、まず、労働市場政策にかかわる公的支出のGDPに占める割合というのは、一九九九年の統計ですが、この統計にある先進国の中でGDPに占める公的支出の割合が一番低いのはアメリカで、〇・四三%。それに次いで低いのが日本、〇・五二%。そしてヨーロッパあるいはオーストラリア、ニュージーランド、北欧のスウェーデン、こういったところになるとそれぞれ一%をすべて超えているという状況であります。
 しかし、さらに日本の特徴の大きな点は、積極的労働市場政策が労働市場政策全体の公的支出の中に占める割合が一七・三%、それに対してアメリカは四一・九%。つまり、積極的政策と受動的政策でいきますと、アメリカに比べて積極的労働市場政策は日本は非常に対策が薄いということになっております。全体の公的支出はアメリカよりやや多いですが、その内容は、積極的労働市場政策というのが日本の場合は少なかったというわけであります。これは、日本的な労使慣行であるとかさまざまなことはありますが、しかし、一九九九年ですから、今、日本は経済構造の非常に大きな転換点にあって、相当深刻な雇用失業情勢が生み出されつつある、その点でいうと、欧米が経験している状況に今直面していると思います。
 そういう中で、一九九九年の統計で、日本の積極的労働市場政策は非常に見劣りのする状況になっている。例えばスウェーデンでは五一%、つまり半数を超える国の支出が積極的労働市場政策に向けられているということであります。
 そこで、私お伺いしたいのですが、先ほどの三事業にしろ、積極的労働市場政策の一分野であります。その三事業が含まれているこの積極的労働市場政策、教育訓練はもちろん重要なコアになるわけでありますが、そういう政策について、これから雇用失業情勢が一挙に好転するという状況は、私はなかなか難しい状況にあると思います、そういう中で政府はどう考えているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#63
○長勢政務次官 これからの雇用失業対策として、能力開発といいますか、職業訓練初め、先生のお示しの積極的労働市場政策を強力に進めていかなければならない、こういう方針でおることは、再々御説明を申し上げてきておるところでございます。
 なお、今公的支出の国際比較の観点からの御指摘でございます。このOECDのデータの数字的な状況は今先生お示しのとおりでございますが、中身についてきちんとしたものが正確にはわからない部分もございます。いずれにしても、一般的に失業率が高い、また雇用制度や慣行も違う、こういう欧米諸国と、長期雇用慣行のもとに企業内において効率的な人材育成が行われるシステムの存在を前提とした我が国の雇用対策とで、公的支出の率その他で単純に比較することが適当であるかどうか、若干疑問というか、よくわからないというのが正直なところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、引き続き先生御指摘の積極的な労働市場政策に全力を挙げてまいりたい、このように考える次第でございます。
#64
○中桐委員 今政務次官おっしゃったように、国際統計からいきなり断定は、私もするつもりはありません。しかし、例えば、今まで大きな政府とか小さな政府の議論がありましたけれども、私は、規制改革が大きな政府の問題点として一番大きな最重要な問題だった、今でも問題なのですが、そういうふうに思っております。
 むしろ、セーフティーネットとかそういった点については、私は、日本の制度の歴史的沿革が企業社会というものを中心にしてできてきたという傾向もございまして、横断的な、ルール型のセーフティーネットという点からいうと、相当の構造改革をしなければいけない、そういう問題があると思います。
 私は決して、公的な部門、例えば公共職業安定所をやたらと強化してそこに国の予算を膨大に投入しなさいということを単純に言っているわけではありません。官民の協力とか、そういったネットを十分つくりながら、しかし、やはり積極的労働市場政策という点においては、なかなかコンセンサスがまだ十分なものが得られていないのではないか。積極的労働市場政策というと、雇用を流動化させてというふうな形で、何かしら誤解をされる面もありますが、そういうことではなくて、失業なき労働移動というふうなものを十分やれるとか、あるいは、若い人に起こっている構造的失業をどういうふうにきちんとやるかとか、そういったことをもっと重点的にやる必要があるというふうに主張しているわけであります。
 そういう点について、国際統計の比較がどうのこうのというよりも、私は、それが一つの現状を示しているというふうに思いますので、ぜひ積極的労働市場政策の検討をもっと強力にやっていただきたいと要望しておきたいと思います。
 その点と関連いたしますけれども、失業給付における国庫負担の問題。先ほどは、五%半ばまではこれで大丈夫だという安心感を持っていただくという大臣の答弁がありました。私は、この国庫負担の問題についても、実は、失業が長期化したり、いろいろ失業の内容も変わってきていると思います。単なる失業率だけの問題ではなくて、失業期間が長期化するとかいった問題も含まれておりますから、そういった解決しなければいけない問題にこれから直面すると私は思っております。
 そういうことから、これは私の考え方ですが、国庫負担はやはり当初の三分の一、つまり、国の責任が三分の一、使用者三分の一、労働者三分の一というのはなかなかよくできたバランスではないかと思うので、こういう形で本当に安心をしてもらうための国のセーフティーネットというものをつくった方がいいのじゃないか。そういう意味では、国の負担は三分の一に将来していった方がいいのじゃないかということが一つ。
 それから、先ほどの、三事業を事業主負担に求めるという理由の説明は半ば理解をしますが、それは積極的労働市場政策に入っているわけでありますから、いわゆる失業等給付における国庫負担の問題よりも、よりこれからの雇用失業情勢に対応する対策としては、一般会計をもっとここに投入すべきだ。規制改革をやって、大きな政府であったものを改革するということと同時に、これによってさまざまな問題が起こってまいります。そこにおけるセーフティーネットという点からいうと、ここはやはりしっかりと、国の責務ということを先ほどもお答えになられたわけですから、一般会計からの投入をもう少し、教育訓練給付にしてももっと工夫が要るだろうし、そういったことで、いわば若い人の構造的失業も解決するための、一般財源をベースにする政策を強化していくというふうなことが必要だと思いますが、それについていかがお考えでしょうか。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#65
○牧野国務大臣 御承知のとおり、こういう制度あるいは政策の内容等につきましては、労働者代表それから雇用主代表及び公益代表からなる中央職業安定審議会、ここで十二分に御議論いただきまして、それに基づいて私どもは具体的な政策を決めさせていただく。
 それからもう一つ、雇用保険三事業の運営については、保険料を負担している事業主代表の意見を聞く場を設けておりまして、いろいろ関係者、負担についてもまた意見がおありですから、私どもとしては、まず、こういう場で十二分に御審議いただいて、その方向で施策を形成させていただく、これが第一のことであります。
 そして、積極的な雇用市場政策、これらの政策をベースにして、例えば今、研修なら研修につきまして、あるいは新産業につきまして、産業構造自身がどういうように変化していくか、これを見ながら、私どもとしては、雇用創出にしましても、あるいは研修にしましても、こういう全体の動きを見ながら、ここに重点的に我々としてはサポートしてその方向を確立していく、こういうように考えて実行いたしている次第であります。
#66
○中桐委員 この公的な支出、国庫負担、一般会計の投入について、今大臣のお答えになった点はちょっと最後に議論をしようと思っていたところなんですが、その一般会計からの投入ということについてはどのようにお考えなんですか、積極的労働市場政策との関係で。
#67
○牧野国務大臣 平成十二年度におきまして、雇用対策関係経費として総額四兆三千四百億円を計上しておりますが、この内訳といたしまして、一般会計が約四千五百億円、労働保険特別会計雇用勘定が約三兆八千七百億円となっております。
 また、平成十一年度の補正予算におきましても、緊急地域雇用特別交付金ということで一般会計から二千億円、それから新規・成長分野雇用創出特別奨励金ということで一般会計から九百億円、それから中小企業地域雇用創出特別奨励金ということで同じく一般会計から五百十億円、そして特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金ということで一般会計から三百二十一億円、これだけ予算措置いたしておりまして、私どもとしては、一般会計から、名目がつく限り、要求すべきものは要求したい、こういうことで努力をいたしております。
#68
○中桐委員 雇用創出のための財源を言っているんじゃないんです、私が質問しているのは。今申し上げましたように、公共職業安定所の機能だとか、あるいは職業訓練だとか、若者の構造的失業に対する対策だとか、雇用の助成だとか、障害者の対策だとかで、つまり雇用創出の経済政策のお金は別なんです、私が言っているのは。積極的労働市場政策でも、失業者が出たらそれに給付をしますというだけではなくて、失業なき労働移動が円滑に行われるような仕組みだとか、若い人に今日本でも起こっている構造的な失業を解決するための対策だとか、そういうものへの一般財源の投入が日本では余りに少ないじゃないですかと言っているんです。
 だから、そういう意味で、これはやはり、事業主と労働者が負担している保険料だけではだめだから国の一般支出が必要だということを私は申し上げているので、そういう一般的な雇用創出は、これはこれで必要なんですけれども、それとは違うことを今質問しているんです。
 その点についてのお答えと、先ほど大臣がもうさきに一番最後の質問に対するお答えをしていただいたんですが、遠藤政夫という行政に随分経験の深い人だそうですが、「雇用保険の理論」という本の中に、先ほどの、雇用保険制度の運営というものについて、青山委員からも経営者側の意見というようなものが紹介をされておりました。関西の経営者協会からは、もうちょっと雇用調整助成金の情報の開示と、それに対するアクセスの公平性のようなものを担保してくれというふうな文書がありますし、それから、ちょっと古い文献ですが、労働者側の団体から、雇用保障委員会というふうなものをつくって労使参加の問題を解決すべきだという要求も過去出されてきている、しかし、なかなか難しい問題があるけれども、これは前向きに労使とのコミュニケーションと協議の場をできるだけ拡大する必要があるだろうとこの本にも書いてある。
 そういうことから、また、最近の世界の趨勢は、ステイクホルダーといって、当事者参加による運営というものが非常に重要だという流れになってきている、ヨーロッパなんか特に。そういうことからいっても、雇用保険制度の運営について、もう少し日常的、恒常的にその当事者が参加をして、より適切な運営が行われるようにすべきだと私は思います。
 やはりそういったものに対する政府の支援というのは非常に重要なのではないか。もちろんその中に政府が参加をしてコーディネーターとしての役割をすればいいと思いますが、そういった点についてはどうお考えですか。
#69
○牧野国務大臣 皆さんの意見を関係者一緒になって相談する方向だ、これはもう当然でございまして、先ほど申しましたとおり、政労使三者が集まって方向を決めていく、その決められた方向で私どもは具体的な政策の運営に当たる、こういうことで、そういうように意見を十二分に聞くということは当然のことだと思います。
 それから三事業についても、これは使用者側だけが負担しているお金でございますが、使用者、経営者全体、皆さんがどういうような形で新しく雇用を拡大していくか、安定していくか、こういう点について御意見を聞いてやっているところでございます。
 また、一般会計の問題でありますが、先生おっしゃるとおり、現在の雇用失業情勢を見ますと、積極的な労働市場政策というのは進めなきゃならないのは当然でございまして、私どもとしては、できる限り一般会計の予算の確保に最大の努力をいたしたい。
 従前は、特別会計があるから、一般会計は非常に苦しいし、そちらの方で賄ってくれぬかというような空気が実はずっと続いておりまして、したがって、一般会計でより多くとるということは今まで非常に難しかったわけでありますが、先ほど申しましたとおり、現在の雇用失業情勢を見ますと、やはり政府も出さなきゃいけないということで、先ほど数字を申し上げましたが、そのように一般会計からも出していただいている、こういう状況でございます。
 したがって、私どもとしましては、一般会計による施策と特別会計の雇用保険三事業、これを総合的に効果的に実行していきたい、こう考えております。
#70
○中桐委員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので、質問を終わります。
#71
○赤松委員長 松本惟子君。
#72
○松本(惟)委員 私は、高齢者雇用対策について、まず初めに労働大臣に、高齢者雇用対策についての基本的な御認識を伺いたいと思います。
 超高齢化社会の到来が二十一世紀の初頭に予想されます中で、年金制度、医療制度、介護保険制度など高齢化対策についてのさまざまな施策が現在提起をされています。六十五歳現役社会構想というのもその一つかと思いますが、少なくとも六十五歳までは現役として働くことができる社会が構想されていると思っています。
 しかし一方で、企業の採用は相変わらず若者が中心でして、高齢者の雇用は大変厳しい状況に置かれています。バブル崩壊後のリストラや合理化の中で真っ先に対象となりましたのは中高年でございますし、意欲と能力を持っていても、有効求人が示していますように、高齢者の能力を十分活用される環境には至っていないのが現状でございます。こうした状況を背景に、今回雇用保険法と高齢法の改正案が提案されているわけでございまして、この審議を通じて二十一世紀の高齢化社会にふさわしい高齢者雇用の施策が実現できることを私は願っております。
 そこで、冒頭申しましたように、まず労働大臣に、高齢者雇用対策についての基本的な御認識を伺わせていただきたいと存じます。
#73
○牧野国務大臣 急速な高齢化が進展いたしておりまして、将来にわたって我が国経済の活力を維持していくためには、高齢者の皆さんが長年培ってこられた知識や経験を生かして、経済社会の担い手としてできる限り活躍していただく、これは基本的なことであると考えております。
 したがって、将来的には、意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現する、これが必要でございまして、そういう見地から、向こう十年程度の間においては、六十五歳定年制の普及を実行できるように目指したい。少なくとも、高齢者が継続雇用または他企業への再就職などを含め何らかの形で六十五歳まで働き続けることができることを確保していきたい、このように考えております。このため、今回高齢者雇用安定法の改正をお願いしているわけでありますが、この中で、六十五歳までの雇用確保のための対策の充実を図るとともに、中高年齢者の再就職の援助措置の充実等をぜひ図らせていただきたい、こう考えております。
#74
○松本(惟)委員 ありがとうございました。
 そこで、電機連合が昨年の十二月に発表いたしました人生八十年時代のライフデザインに関するアンケート、こういった調査がございます。
 六十歳以降の雇用のあり方について一番多い意見といたしまして、定年六十歳で希望者が再雇用などで働けるようにすべきと言っているのが四九、約半分でございます。それから、六十五歳定年を実現すべきであるというのが二四%ございます。定年後の展望については引退という選択も含めまして多様な意見がこの中に出ておりますし、それから柔軟性のある勤務形態への期待が高くて、六十五歳定年制の内容が柔軟な勤務になるならば、実質的には希望者は再雇用で働ける制度と変わらないというふうに考えていることがこの調査の中でもわかります。
 働く意欲と能力のある高齢者につきましては、年齢に関係なく雇用の機会を与えるという意味でエージレスの社会が理想的でありますし、少なくとも六十五歳まで定年を延長するということが望ましいと思います。しかしながら、現実には、高齢者の継続雇用を事実上阻止することになる年功的な賃金制度、処遇制度、こういったことを何も見直すことなく取り組むということは大変困難な実情であることも、取り組みをなさっている現場から伺っているわけでございます。ある一定の年齢になりますと、高齢者自身の就業能力にも大きな個人差がございますし、一律に規定することは難しい状況にあるのかなというふうに思います。
 したがって、私たちは、中期的な視野に立って、世界に類を見ない超スピードで進む高齢化社会に向けての個々人の働きがいとか生きがいといった人生そのものの過ごし方を見据えて考えていかなければなりませんし、エージレス社会の実現に向けてそれに対応できるよう、現在の雇用環境、そして処遇システム等を見直していく必要があるのではないかというふうに思われます。その意味で、当面の差し迫った対応と将来あるべき姿の双方をにらみながら取り組んでいくことが重要ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
 そこで、次に、高齢者等雇用安定法の改正法案の内容について具体的にお伺いをさせていただきたいと思います。
 改正法案第四条の二、つまり「定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置」の、雇用する労働者について六十五歳未満の定年の定めをしている事業主は、高年齢者の雇用確保措置として次のことを講ずるということがこの法律では努力義務になっているわけでございます。その一つは当該定年の引き上げでございます。二つ目には継続雇用制度の導入または改善、三つ目に、その他の高年齢者の六十五歳までの安定した雇用の確保を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならないものとすること、このようになっています。
 そこで、ここに言います三番目のその他の措置ということにつきまして、希望者全員を対象としない勤務延長や再雇用制度が含まれていると解釈をしていますけれども、どうでしょうか。これは質問でございます。
 それから、現行の高齢法におきまして、継続雇用制度という場合に、希望者全員が六十五歳まで働くことができる制度を意味しています。労働省の調査によりますと、こうした継続雇用制度を有している企業の割合が、六十五歳以上定年企業と合わせまして一八・一%。一八・一というのは現状出されている数字でございますが、しかし、この割合が年々低下をしているのが実態であります。平成九年が二一・六%、平成十年が二〇・三%、そして平成十一年が一八・一というふうになっておる。
 雇用管理調査報告によりますと、勤務延長制度について、原則として希望者全員と答えている企業割合が二九・五%で、平成九年と比較しますと三ポイント減っています。逆に、会社が特に必要と認めた者に限定すると答えている企業を見ますと、四四・二%から五五・一%に増加をしております。再雇用制度についても同様の傾向が示されております。
 こうした現状を見るにつけましても、従来からの考え方に後退があってはならないと冒頭大臣が御認識を示されましたけれども、やはり六十五歳まで元気で働ける人が働いていけるようなシステムをきちんとつくるという方向に後退があってはならないというふうに思います。定年の引き上げ、希望する者全員を対象とする継続雇用制度の導入ということであると考えてよいのかどうか、本条の趣旨について再度お伺いをさせてください。
#75
○長勢政務次官 先ほど大臣から御答弁されましたとおり、十年ぐらいをめどに、六十五歳まで働きたい人は全部働ける社会の実現を目指してやっていかなきゃならない、こういう方針で今回の法案も提出させていただいておるわけでございます。
 従来、現行の制度では、定年後において継続雇用を希望する個別の労働者について、それをやるように努力義務として規定をしておりまして、これをさらに今回強化をいたしまして、定年延長あるいは継続雇用という制度としてつくっていかなきゃならない。全員をそういうふうな形で雇用するような制度をつくるようにということを努力義務として制度化することが今回の法案の趣旨でございます。
 したがいまして、希望者全員が継続雇用される制度を今回の法案の趣旨としておりますので、今お示しのように、全員ではない継続雇用制度ということではなくて、希望する者全員がというところに制度化の趣旨がございますので、我々としてはそういう形での政策を推進していきたい。具体的にも、希望者全員を対象としない継続雇用制度については、継続雇用定着促進助成金の対象とはしないということもしておるわけでございます。
 なお、その他の措置という意味についてのお尋ねでございますが、新しい第四条の二は、今申しましたような趣旨は明確でございますが、ただ仮に、そういう制度化が十分でない場合においても、一人でも希望される人は個別にも継続雇用を進める努力はやってもらわなきゃならない、こういう趣旨でその他の雇用確保を図るために必要な措置と書いておるわけでございまして、この主たる目的は当然全員が定年の引き上げあるいは継続雇用されるというところにあるということでございます。
#76
○松本(惟)委員 その方向でしっかりと取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
 ここで今ある法律について伺いたいと思いますが、資料の中を見まして気がついたことですけれども、労働大臣が継続雇用制度の導入とか改善に対する計画の作成を指示することができ、またその計画が不適当であると認めるときには、事業主に対して変更をも勧告することができるというふうになっています。これは現行制度でございます。割とふわっとした規定の割には変更の勧告ができるというふうになっておりまして、法律的に少々バランスが悪いようにも感じられるわけですけれども、それはともかくといたしまして、改正法ではこの部分が削除されていますけれども、その理由はどうしてなんでしょうかということでございます。
 そしてまた、勧告が現行法の四条の三に明文化されておりますけれども、条文化されて以来こういった勧告が行われたことが現実にあったのでしょうか、どうでしょうか。この二点についてお聞きしたいと思います。
#77
○長勢政務次官 まず、簡単な方からお答えをさせていただきますが、第四条の三の規定に基づく大臣による計画作成指示につきましては、希望者全員の継続雇用制度が相当程度普及した段階で実施することが適当であると考えておりましたので、希望者全員を六十五歳まで継続雇用する制度の普及率は約二割にすぎなかったわけでございますので、これまでこの計画の作成指示を行ったことはないというのが現状でございます。
 なお、今回の法改正案では第四条の三を削除することとしておるわけでございますが、これは、今回の法改正で継続雇用に関する制度の整備を六十五歳未満定年を定めるすべての事業主の努力義務とすることにより、制度整備に関する個別の指示制度が不要となったことによるものでございます。当然、この法改正後におきまして、こうした努力義務が的確に履行されるように必要な指導に努めてまいりたいと考えております。
#78
○松本(惟)委員 最後の方におっしゃいました、この法律が的確に運用されるように御努力をしたい、その意欲を受けとめさせていただきたいと思います。ルールですから、つくった以上はやはり着実に進めていっていただきたいなと思います。
 次に、定年の段階的な引き上げを促進するために、継続雇用制度奨励金を拡充したり、それから定年延長職業適応助成金を新設するというふうになっておりますけれども、そうした助成金の拡充等により、六十五歳までの継続雇用が実現していくのはいつごろでしょうか。これは大臣に伺いたいと思います。
 と申しますのは、七三年に定年を六十歳へ持っていくということで、五歳の引き上げに実に二十五年もかかっているわけでございます。したがって、後ほどまた伺いますけれども、年金制度との連動の関係もありまして、これはやはりしっかりと段階的に着実に進めていただきたいという思いを込めて、大臣に再度お伺いをさせていただきます。
#79
○牧野国務大臣 先ほど十年という御返事をさせていただいたわけですが、前の六十歳定年引き上げに非常に長年月かかったわけでありますが、今回の場合は情勢が変わってまいりまして、特に社会保険制度を段階的に六十五歳、こういう状況になってまいりまして、御承知のとおり、ことしの春闘におきましても、労使間で、六十五歳までどうするかということが非常に大きな相談事項になってきておるわけです。
 したがって、私どもとしましては、今回は、毎年一年ずつ延ばしてもいいですよ、それは労使間で決めていただければいい。あるいは、一遍に六十五歳まで延ばしますというときには、それで結構ですよと、それを助長するために企業の方でいろいろお金がかかるでしょうから、一定の助成金を差し上げますと。また、継続雇用の問題につきましては、これは労使間でことしは一年間ということで決めたと言えばそれに対して出しますし、それをまた翌年一年延ばすというときにはまたそれに対して出す。こういうことで、私どもとしては、六十五歳まで継続雇用ができるようにきちっとこの制度を確立していきたい、こう考えています。
#80
○松本(惟)委員 取り組みをしっかりとしていただきたいと思います。
 次に、再就職援助計画でございます。
 定年に引き続きまして、再就職援助計画の作成について、現行制度では、公共職業安定所長は、離職をする高齢者等の職業の安定を図るために必要があると認めるときは、援助計画の作成を要請することができるというふうにありますけれども、現状はどのようになっているでしょうか。
#81
○長勢政務次官 制度は御指摘のとおりでございます。実績でございますが、平成十一年度におきます再就職援助計画の提出事業所数は三千五百三十五事業所、これにより把握いたしました離職予定者数は四万九千九百二十二人という状況でございます。
#82
○松本(惟)委員 改正案では、中高年齢者の再就職の促進等の措置の対象を、高年齢退職者から四十五歳以上の在職求職者まで拡大をして、事業主は再就職援助に関して必要な援助を講じる努力義務が課せられています。再就職援助計画の作成等がリストラ促進に悪用されるのではないか、これは別の議員からもさきに御質問の向きがございましたけれども、私もそのような危惧を持っているものでございます。
 そこで、これを防ぐために、労働組合や労働者代表の関与が行われる必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。また、条文では、当該労働者等が再就職を希望するときとして、当該労働者の意思を尊重することとなっております。また、中職審の建議におきましても「安易な解雇等が促進されることのないように配慮すること。」というふうになっていますが、この指摘をどのようにお受けとめになっていらっしゃるのかも伺わせていただきたいと思います。
#83
○長勢政務次官 再就職援助計画の作成義務をかけているわけでございますが、これは、定年あるいは解雇等によって離職された中高年齢者が、できる限り失業を経ないで再就職ができるようにするために、在職中からの求職活動をきちんとできるように支援する、このための制度でございます。
 したがって、今お話しのような、安易な形で使われたりあるいは別の形で逆利用されるというようなことがあってはならないものであると考えておりますし、また、労働組合あるいは労働者代表がそういうことに関与をするというか意見を聞くということも重要なことであると思っておりますので、いずれ、この法案を通していただいた後、再就職援助計画の作成については手続等を労働省令で定めることになっておりますが、その中で、労働組合等の意見を聞くということも十分に入れて、労使間で十分話し合った形にしていくようにしていきたい、このように考えておるところでございます。
#84
○松本(惟)委員 労働組合や労働者代表の関与については省令の中に定めるというふうに受けとめさせていただいてよろしいですか。
#85
○長勢政務次官 いずれ審議会等の御意見も聞かなきゃなりませんが、今のところそういうふうに考えております。
#86
○松本(惟)委員 ありがとうございました。
 雇用保険法の改正につきまして、基本手当の所定給付日数について、一般の離職者に対するものと、倒産、解雇等により離職を余儀なくされた者とに分けて給付されることになっています。離職を余儀なくされた者の区分につきましては、政省令等で基準を明確にするというふうにもなっています。定年など、あらかじめ予定された失業と、解雇など、あらかじめ予測することが不可能な失業に区分けをする、あるいは、自発的失業と非自発的失業により区分して失業給付の見直しが図られることになっているというふうに理解をしております。
 他方で、定年、解雇等によって離職が予定されている高年齢者等のうち、離職後再就職を希望する者については、離職前からの再就職援助が行われるようにして、失業を経ないで再就職できるようにする、そのための助成措置として在職者求職活動支援助成金を新たに設け、助成金を支給することになっています。
 ここから質問なんですけれども、仮に、二十年以上勤めて六十歳で定年によって失業した場合、現行制度では所定給付日数は三百日です。ところが、改正法では、いわば一階部分のみで、百八十日となっています。再就職援助は、こうした削減に見合うものとなっているのかどうか。政策的な整合性が何らかの形で図られていると思いますが、先ほどからの議論の中でおっしゃられたようにも思いますが、もう一度、そこのところを大臣の方から伺わせていただければと思います。
#87
○牧野国務大臣 今般の雇用保険の求職者給付の改正は、倒産、解雇等により離職した者に対する給付の重点化を図るとともに、これに伴い、定年退職者等あらかじめ離職することが予定されている者につきましては給付日数を削減する、こういうことになっております。
 また、高年齢者雇用安定法の改正につきましては、再就職が依然として厳しい状況にあることを踏まえ、定年等により離職する中高年齢者について、在職中から十分な求職活動が可能となるよう、再就職援助計画制度の拡充、在職者求職活動支援助成金の創設等、国や事業主による支援の仕組みを整備いたしまして、中高年齢者の円滑な再就職を支援することとしておるものでございまして、両法案の政策的な整合性はとられている、私どもとしてはこのように考えております。
#88
○松本(惟)委員 厳しいところに給付の重点化を図ることによって組みかえを行ったというふうに理解をいたしますけれども、この保険の性格から無理なのかなという気もいたしますけれども、高齢者の方々は自分の人生設計を立てて働いておられるということから見ますと、何らかの経過措置はとれないものかなという気持ちを持っております。これはお答えは要りませんので、私の考えとして申し上げさせていただきたいと思います。
 次に移らせていただきます。
 雇用形態の違いによる差別について伺いたいというふうに思います。
 現行法では、六十歳未満の定年年齢を定めることは違法、無効というふうになっております。この規定によりまして、そういう定年年齢を定める就業規則あるいは労働協約あるいは労働契約は、その部分については効力が否定をされるということであります。
 問題は、有期雇用契約の更新について、六十歳を下回る年齢による制限を設けることが許されるのかどうかということでございます。
 この点について、ある電機メーカーの事件がございまして、準社員の就業規則に、一定の年齢に到達する場合には契約更新は行わない旨の規定が置かれており、一定の年齢というのは五十七歳とする旨の労使確認がございまして、この場合に、満五十七歳に達したパートタイマーの雇い入れが有効かどうかが争われたわけであります。判旨は、原告等のパートタイマーと正社員の間では、担当業務、残業、転勤、昇進、研修の有無、内容について実質的な差があること、有期雇用契約は雇用調整のために必要であることなどから、正社員の定年六十歳に比べて三年程度の差がある本制度を公序良俗に反するとは言いがたいということになったわけであります。
 雇用形態の違いによって年齢の点で格差を設けることが妥当かどうかにつきましては、別に問題として議論があるところだというふうに承知もしておりますけれども、一定の年齢を五十七歳としたことについて、高齢法第四条の趣旨に照らして、これをどのようにお考えになるのか、尋ねたいと思います。
#89
○長勢政務次官 趣旨に反するかという御質問でございますから、法の規定は重々御承知のとおりだとは存じますが、高齢法第四条では、事業主がその雇用する労働者の定年を定める場合には、その定年は六十歳を下回ってはならない、こういう規定でございます。
 定年という定義でございますけれども、期間の定めのない雇用契約において、労働者が所定の年齢に達したことを理由として自動的にまたは解雇の意思表示によってその地位を失わせる制度ということでございますから、御指摘の裁判例、正確にはわかりませんけれども、一年の有期契約を反復更新しておるというものでございますから、そういう契約が期間の定めのない雇用に転化しているような場合を除いては、新たな雇用契約の締結についての年齢制限の妥当性の問題でございまして、高齢法第四条に直接かかわる問題ではない、こう言わざるを得ないと思います。
 趣旨としていかがかという御質問でございますが、いろいろな事情、状況に応じて判断されるケースもあると思いますので、特に今回は具体的な事案でのお尋ねでございますので、正確にはお答えできません。
#90
○松本(惟)委員 今後、こういったさまざまな雇用形態が出てくることと思います。パートタイマーの問題も含めまして、均等待遇その他、先ほど同僚議員が、横断的な社会的基準は、日本は非常におくれているのではないかというようなことも発言ございましたように、こういった問題につきましても、ルールをはっきりしていかなきゃいけない課題であるというふうに私は認識しておりますので、きょうはここでとどめさせていただいて、次に移らせていただきたいと思います。
 年齢差別禁止につきましてです。再就職の最大の壁は、能力ではなくて、年齢であるというふうに思っております。
 総務庁の労働力特別調査報告、これは平成十一年に出ておりますけれども、完全失業者三百二十万人を仕事につけない理由別に見てみますと、求人の年齢と自分の年齢が合わないというのがトップで、何と六十九万人ございます。次いで、希望する種類の仕事がないというのが四十八万人、条件にこだわっていないがとにかく仕事がないというのが四十万人。
 これをまた年齢階層別に見ますと、二十五歳から三十四歳以下の年齢では、希望する仕事がないというのが最も多くて、三十四歳以降は、求人の年齢と自分の年齢が合わないというのが最も高くなっております。特に、五十五歳以上では失業者の過半数が、求人と年齢が合わないというふうに答えています。一定の年齢を超えますと面接も受け付けない企業が多いということも出ているわけでございます。
 そこで、質問ですけれども、アメリカでは年齢で採用を決めてはならないとする年齢差別禁止法があります。この点について、六十五歳現役社会政策ビジョン研究会の「高齢者が参加する経済社会とそれに対応した労働市場の展望と課題」におきましても、次のように指摘がなされております。年齢差別禁止法のような法的手法を用いることも一つの考えではある、この場合には、一定の年齢に達したことを退職事由とする定年制について、その見直しが求められるというふうに言っております。
 年齢差別概念をいきなりそのままの形で導入をするということは、私も現在消極的な立場をとらざるを得ないわけでありますが、しかし、例えば、事業主は、中高年齢者をその採用に際して年齢に基づいて差別しないように努めなければならないとか、事業主は、労働者の採用に当たり中高年齢者に均等な機会を与えるように努めなければならないというような努力規定を高齢法に明記することは決して無理なことではないし、法的にゆがんだりすることもないと思いますし、不可能ではなかろうと思うのですが、いかがでしょうか。時間が迫りましたので、端的にお答えいただければと思います。
#91
○長勢政務次官 端的に答えさせていただいて恐縮でございますが、御趣旨は理解はできるわけでございますが、法制化という意味では、現段階では社会的コンセンサスができていないのではないかな、こういうふうに思っております。
 今後の検討課題だと思いますが、同時に、求人の受け付け等におきまして、安定所において十分求人者に対する指導は行っておる状況でございます。
#92
○松本(惟)委員 検討課題にぜひしていただければというふうに思います。
 時間が迫りましたので、用意をしました設問を少し割愛させていただきますが、お願いをしておきたいことが一つございます。
 それは、先ほどもるる申し上げましたように、やはり中高年の方々が仕事を探すということは大変な状態になっておりまして、求人と求職のミスマッチなんかもございます。これを現在の公的職業安定所だけでやりおおせるかどうかという点につきましては、ちょっと心配な点もございますので、いわゆる民間労働力需給調整機関との連携を十分に図っていただいて、そして実効を上げていただきたいというようなことをお願いしておきたいと思います。
 次に、労働大臣にもう一点お伺いをしたいのですが、改正案が定年引き上げや継続雇用制度の導入を制度的に求めるとしても、あくまでも事業主の努力義務になっています。他方で、公的年金は、来年から二〇一三年にかけて基礎年金の繰り延べが確定をしております。報酬比例部分についても繰り延べられようとしているわけでありまして、年金と雇用の継続についてどのような認識をお持ちなのか。また、六十五歳までの雇用の確保を進めていくために、法改正とあわせてどのような施策を講じることで雇用の確保の実効性を高めようとしていらっしゃるのか。先ほどからもお伺いしましたけれども、これもまた端的に大臣のお答えをちょうだいしたいというふうに思います。
#93
○牧野国務大臣 急速な高齢化が進展しているわけでありますが、将来にわたって我が国の経済の活力を維持していくために、雇用分野や社会保障分野を初め、経済社会の諸制度を高齢社会に対応したものへと見直していくことが急務である、こういうふうに考えております。その際には、雇用と年金の連携を十分に図っていくことが特に重要である、こういうように考えております。
 先ほども御返事申しましたが、今春闘におきましても、平成十三年度からの年金支給開始年齢の段階的な引き上げをにらみつつ、六十歳以降の雇用延長に向けた労使の真摯な話し合いが進展しておりまして、電気機械産業や繊維産業等の大手企業を中心に、六十五歳までの雇用延長についての大枠の労使合意に達している、こういう企業もふえてきているのが実情でございます。
 私どもとしましては、こうした状況を踏まえまして、高年齢雇用安定法の改正を行うとともに、継続雇用定着促進助成金を拡充し、また、定年を段階的に引き上げる事業主に対する助成措置等を創設することといたしております。これらの政策を効果的に運用することによりまして、今まで以上に実効ある六十五歳までの雇用確保対策を講じてまいりたい、こう考えております。
#94
○松本(惟)委員 それでは、関連いたしまして、厚生省の方にお尋ねしておきたいと思うんです。厚生政務次官にお願いをいたします。かけ持ちで御苦労さまでございます。
 老齢基礎年金の支給資格期間を満たした人が六十歳になったときに、六十五歳前であっても、希望して請求すれば老齢基礎年金が支給をされます。その額は繰り上げた年齢に応じて一定額が減額されることになっておりますけれども、減額率が大きいということであります。六十歳で四二%の減額がなされるわけですね。それが一生続くわけでございます。
 この減額率につきまして、平均余命とか賃金、物価の動向を勘案して計算されていると聞いておりますけれども、ヨーロッパ諸国のように六十歳前に繰り上げ支給はできない、また、ドイツにおきましては減額率が一八%だというふうに聞いています。それに比べても、日本は減額率が大きい。これでは繰り上げ支給を受けることができないと思います。見方によれば、繰り上げ支給に対してのペナルティーが科せられているというふうに思わざるを得ません。
 今回の年金法の改正には反対ですけれども、仮に改正されるとしまして、報酬比例部分の給付水準が下がり、さらに二〇一三年から六十歳から六十五歳に段階的に引き上げられることになっております。そうなりますと、従来にも増して、繰り上げ支給の制度についてより利用しやすいように見直すことが私は必要であろうかというふうに思います。
 高年齢期は、部分年金あるいは部分雇用を希望をする人もいれば、六十五歳を超えても第一線で働きたい人もございます。そうでなくて短時間就労がいいという人もいます。中には早期に年金生活に入っていくことを希望する人もいます。大切なのは高齢者が主体的に選択できることだというふうに考えます。
 年金の繰り上げ支給の減額率の見直しについて、さらに前向きに取り組んでいただけるかどうか、お考えを聞かせてください。
#95
○大野(由)政務次官 老齢基礎年金の繰り上げ減額率についてでございますが、さきの臨時国会の衆議院厚生委員会におきまして、老齢厚生年金の一階部分の支給開始年齢の引き上げ、つまり平成十三年度でございますが、その年度にあわせて新規裁定者については見直すということで早期に検討を開始する、このように厚生大臣が答弁をしたところでございます。
 その際、昭和三十六年当時用いた生命表以降の平均余命の延びを考慮すれば、繰り上げ減額率は、現在四二%でございますが、これがあらあら三五%前後になる、このように答えたところでございますが、今委員も御指摘でもございました、また年金改正法案の審議の中でもこうした論議が繰り返されまして、こうした経過を重く受けとめまして、繰り上げ減額を選択した方とそうでない方との公平性、また、スライド率、死亡率なども総合的に勘案した上で、この三五%をさらに引き下げる方向で検討をしてまいりたい、このように思っております。
#96
○松本(惟)委員 時間が参りましたので、終わりにいたします。ありがとうございました。
#97
○赤松委員長 本会議のため、この際、休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十七分開議
#98
○赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。城島正光君。
#99
○城島委員 民主党の城島でございます。
 私の方からは、午前中の同僚議員の質問に続きまして、今回の雇用保険法改正の特に目玉というか中心的になっております、給付日数等を含めた求職者給付の重点化にかかわる部分を中心に質問をしていきたいというふうに思います。
 その前に、既に午前中も少し意見として出ておりましたけれども、現下の雇用情勢、依然として大変に厳しい状況が続いているわけであります。しかも、失業率が高いというだけではなくて、かなり失業が長期化をしているということもありまして、こうした失業の長期化の中で、一番大事な雇用創出策を、政府として、最大のテーマだと思いますが、現状、どういう考え方をこの雇用保険との関連の中でお持ちになっているのか。また、再就職に結びつく職業訓練あるいは教育訓練の充実、拡充、こういったことをどのように行うことで失業期間をできるだけ短縮化していく、いわゆる失業期間が長期化しないということに対応しているのかをまず大臣に御質問させていただきたいと思います。
#100
○牧野国務大臣 議員御指摘のように、現在の雇用情勢は非常に厳しゅうございまして、一般的に、失業期間が長期化いたしております。平成十一年で見ますと、完全失業者が三百十三万人、長期失業者、一年以上仕事がないという方が七十万人、率といたしますと二二%という非常に高い数字になっております。
 このため、政府は、一昨年四月以来、四度にわたり総合的な雇用対策を取りまとめ、これに基づきまして、雇用の創出、安定、再就職の促進に全力で取り組んできたところでございます。
 具体的に主な雇用創出政策としては、創業、異業種進出を行う中小企業に対する雇い入れ助成策、あるいは地方公共団体における臨機応変の雇用就業機会の創出等を図っております。
 また、失業を余儀なくされた方々が早期に再就職が図られるよう、必要な職業能力を身につけるための能力開発に努めております。具体的に申しますと、今後雇用の増加が期待される情報通信関係や介護等の分野を初めとして、専修学校等の民間教育訓練機関等も活用して職業訓練の実施に努めているところでございます。
 今後とも、これらの施策を積極的に推進いたしまして、雇用の創出、安定を図り、国民の雇用不安が払拭されるよう全力で取り組んでまいりたい、こう考えております。
#101
○城島委員 それでは、今回の特に給付の見直しについての質問に入らせていただきたいと思います。
 今回の法改正では、現行の給付日数の体系を基本的に見直すということが特徴になっておりまして、特定受給資格者という概念が新たに出てきているわけでありまして、この新しい概念をつくり出した理由、背景をまず御質問したいというふうに思います。
 特に、倒産、解雇等による離職者がこの特定受給資格者ということになっておりまして、一般の受給資格者とは異なる所定給付日数が適用されることになっているわけでありますが、このように受給資格者ごとに給付日数が異なるというこの取り扱いが今までの雇用保険の概念からするとちょっと異質であり、問題かなというふうに思われることも結構多いというふうに思いますので、この辺も含めて御質問をさせていただきたいと思います。
#102
○長勢政務次官 失業した場合の所定給付日数は、本来、求職者の再就職までの間の必要性に応じて長短が決定されているものであります。
 現行制度でも、例えば身体障害者等の就職困難者については一般の離職者とは異なる所定給付日数が定められているということもありますなど、離職者の類型に応じた所定給付日数というものもあるわけでございます。
 今回は、年齢のみに応じた所定給付日数から特に再就職に時間を要する方々に重点を置いた給付に体系を直したいという趣旨で、離職を余儀なくされた者を特定受給資格者として、それ以外の離職者よりも手厚い給付の対象とするということにしたわけでございまして、必要性に応じた給付日数の設定という考え方に照らし、これからの雇用情勢に応じた妥当なものと考えておるところでございます。
#103
○城島委員 もう一度確認ですけれども、受給資格者ごとに給付日数が異なるということについては、雇用保険制度として、今までの概念でいくとやはり異質なものがあるわけですよね。そこは、法的なものからいうと、要するに、余儀なくされた者に重点的に厚くしたいということが特に一番大きな理由だというふうに理解していいのでしょうか。
#104
○長勢政務次官 おっしゃるとおりでございます。
#105
○城島委員 そうしますと、この改正給付日数についてちょっと見てみますと、現行の所定給付日数というのは、年齢及び在職期間に応じて、最低で九十日、最高で三百日となっているわけであります。日本が批准しているILO条約の要請を満たすのが、最低基準が九十日であるわけなので、九十日という水準はそういう面でいうと下限ぎりぎりだということだと思います。
 したがって、給付日数の下限が九十日であるということはそういう点からいっても当然だというふうに思うのでありますけれども、今回の改正によって、一般の離職者、余儀なくされた離職者でなくて一般の離職者については最高でも百八十日というふうになっているわけなんです。これは最高三百日と百八十日という大きな差があるところでありますけれども、特に、一般の離職者については最高でも百八十日ということになっていることについてはどういう御見解を政府としてはお持ちか、お尋ねしたいと思います。
#106
○長勢政務次官 先ほど御説明いたしましたように、倒産、解雇等により離職した方々に対する給付の重点化を図るという観点に立って、現行の給付日数の上限と下限といったものも配慮しながら、定年退職者を含めまして、離職前からあらかじめ再就職の準備ができるような方々に対する給付日数については圧縮をするということにいたしまして、最高でも百八十日といたしたところでございます。これについて、中職審等でも、公労使、それぞれの立場からいろいろ御意見をいただいたところでございますが、給付の重点化を図っていくということで御理解いただいて、この提案に至った経緯でございます。
#107
○城島委員 そうした中で、離職を余儀なくされた者については、四十五歳以上六十歳未満、二十年以上勤続ということでありますと、最高で三百三十日という給付日数になっているわけであります。それ以外の者について見ると給付日数が低下をすることになるわけでありまして、こうした給付日数が大幅に縮減されるという部分も出てくるわけですね。そういった部分においても、雇用保険のいわゆる一番重要なセーフティーネットとしての役割というのは十分果たされるというふうにお考えなんでしょうか。
#108
○牧野国務大臣 求職者給付につきましては、就業意識の変化等による労働移動の増加等に伴いまして、年齢に応じて手厚い給付日数を定めることが必ずしも合理的でなくなってきております。また他方、再就職を容易にするための施策の整備が図られること、こういう状況を踏まえまして、離職の理由に着目して現行の給付日数の体系を見直し、倒産、解雇等により離職した者に対する給付の重点化を図る、こういう内容であります。
 そして、先生御指摘の雇用保険のセーフティーネットとしての役割についてでありますが、あらかじめ時間的余裕を持って再就職の準備ができる者、こういう人については給付日数が圧縮されることになりますが、高年齢者雇用安定法等により、再就職を容易にするための施策の整備が図られるわけであります。再就職の準備を行う時間的余裕がない状況下で離職を余儀なくされた者に対しては手厚い給付がなされること等から、セーフティーネットとしての役割は的確に果たされるもの、こういう状況になる、こう考えております。
#109
○城島委員 その辺が、セーフティーネットとしての役割がこれで十分今までどおりある面では果たされるかどうかということが一つ大きなこの法案のポイントだというふうに思います。
 さらに重要な点は、これは午前中河上委員も述べられておりましたけれども、今回の特徴である、離職を余儀なくされた者というものと一般の離職者というのが極めて大きな差が出てくる。そうしますと、この基準が、合理的でかつ納得性があって、しかも同じようなことで判断にばらつきがないということが、どうしても必須なことになってくるわけであります。もし、その辺に問題があるとすれば、これこそ大変大きな混乱を生ずることになると思うのですね。
 ですから、今回、あえて二つに、一般というものと余儀なくされた人ということで分けた以上は、この基準づくり、あるいはそれがどちらへ入るかというものが合理的にかつ統一的にしっかりされなければならないのが、今回の法案の中でも一つ大きなポイントではないかというふうに思うわけであります。
 したがって、そうした観点から少し具体的な質問をしてみたいというふうに思います。
 特に、離職を余儀なくされた者というものが手厚くなるわけなんで、この範囲について質問をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、その離職を余儀なくされた者として定める対象者、これは当然、倒産、解雇といったようなことで離職を余儀なくされるという人が入るというのは、これはだれでもわかるわけでありますが、一般的に、離職を余儀なくされた者として定める対象者の考え方について、具体的に入る前にその考え方について御説明をいただきたいというふうに思います。
#110
○長勢政務次官 御指摘のとおり、離職を余儀なくされた者の範囲をどうするかということがこの制度のかなめの大事な点だという認識でおります。
 この対象者の考え方でございますが、法案でも例示されておりますとおり、倒産、解雇といったことが中心でございまして、そこにあらわれておりますように、時間的な余裕がなく離職した方、そういう意味で再就職に大変困難な方を想定しておるわけでございます。
 これらの方々の具体的な範囲をどうするかにつきましては、雇用保険法の施行規則で定めることにいたしておりますが、具体的には、今後、関係審議会においてさまざまな実態を踏まえつつ十分に検討いただいて、合理的なものとして確定をし、省令を定めたい、このように考えております。
#111
○城島委員 具体的にはこれからの重要な検討になるということであるわけでありますが、そのためにも現段階で幾つか確認をしておきたいというふうに思います。
 まず一点目は、いわゆる希望退職というものをどういうふうに扱うかということについてお尋ねしたいと思います。
 希望退職というのは、私の理解では、典型的には、応募期間を決めて、そして退職における条件を提示した上で、本人の希望に応じて退職を募るというのが一般的であるわけでありまして、いわゆる恒常的な通常の退職、定年退職とはかなり異質ではないかというふうに思うのですね。
 したがって、こういった希望退職による退職者、私はこれは余儀なくされた者に入るのではないかなというふうに思うのですけれども、これは今のところどのような御見解があるのか、承りたいと思います。
#112
○長勢政務次官 今後、関係審議会で検討いただくわけでございますけれども、おっしゃるとおり、希望退職の実態、形態というのはさまざまでございますから、一概にこの場でこうとも言えませんけれども、希望退職に応じて退職をする方々というのは、あらかじめ時間的余裕を持って再就職の準備ができない状況下で離職をせざるを得ないという場合も多いと思いますので、希望退職の募集の仕方その他ともいろいろ絡むとは思いますが、離職を余儀なくされた者となり得る場合も多いのではないか、このように思います。
#113
○城島委員 わかりました。
 それでは、ちょっとそれに近い制度であるのですけれども、大体今大手の多くの企業で制度化されている早期退職優遇制度といったことを活用して退職した場合についてはどうなのかなというのが次に、疑問というか問題として出てくると思うのです。
 この早期退職優遇制度というのは、その企業においてはきちっと恒久的な制度として設けられているわけでありまして、それに応じて退職した場合は、いわゆる優遇措置ですから、退職金等についての上積み措置の対象となるというのが一般的な制度ではないかと思うのですね。
 だから、そういった制度の中では、この制度は今のところどういうふうに考えられるのか、お尋ねしたいと思います。
#114
○長勢政務次官 いわゆる早期退職優遇制度というのは、一般的には恒久的な制度として運用されているのが実態でございますから、それの適用を受けたいという方も、あらかじめ準備ができるというか、考えて応募できるわけでございますから、そういう意味で、この制度を利用して退職される方というのは、一般的には離職を余儀なくされた方というわけにはいかないというか、該当しないということになるのではなかろうかと今考えております。
#115
○城島委員 確かに一般的にはそういうことなんだろうと思うのですけれども、これも、後の方のことにもなってきますが、自己申告との中で判断を真剣に、丁寧に扱わなければいかぬのかなというふうに思うのですね。
 普通に利用するというか、普通の場合は今おっしゃったようなことだと思うのですけれども、場合によっては、この制度というものを使ってというのでしょうか、会社が奨励する、かなり肩たたき的に奨励をするようなことがなかったのかどうかというようなことを含めて、いわゆる退職勧告みたいなことにこれがかなり使われたのかどうかというようなことを含めて、この部分については、この早期退職優遇制度というものを利用した退職だったということだけで画一的に判断するというのは、それは非常に危険な制度じゃないかなということを思っているのですね。
 したがって、この場合は、本人の自己申告というものがこの確認の上で極めて重要な制度ではないかというふうに思っているのですが、その点はいかがでしょうか。
#116
○長勢政務次官 これから審議会で議論する中で、いろいろなケースを議論していただくことになると思いますので、省令の定め方についても、いろいろな工夫も要ることも生ずるかと思います。今イメージとして考えておることをとりあえず申し上げておるというふうに御理解いただきたいのでございます。
 そういう意味で、単に早期退職制度がマルかカケかという決め方だけで済むのかどうかという問題もありますし、それから、その適用に当たっても、今おっしゃられました自己申告をきちんと前提にして運用していくということが必要であろう、こう思っておりますので、先生おっしゃるように、不合理、不公正のないようにきちんと対応していきたいと思います。
#117
○城島委員 この辺もぜひ、場合によっては、早期退職優遇制度を利用したんだけれども、本質的には希望退職の募集に応じたようなケースなんだというようなこともかなり出てくると思いますので、そういう点で、慎重な取り扱いが求められる制度ではないかというふうに思っています。
 それから、少し細かくなるわけでありますけれども、家族的責任を有する勤労者の場合で、非常に判断が、ぶれるというんでしょうか、判断する人によって見解が違うようなことになりかねない幾つかの想定されるケースがあるというふうに思うので、あえてちょっと具体的な事例を申し上げたいと思うんです。
 例えば御両親のどちらかが死亡される、突然亡くなられるというような家庭の事情の急変、家庭事情が急変することによってやむを得ず退職せざるを得ない。あるいは、配偶者あたりを中心として、配偶者等と別居生活を続けることが困難となる、したがって退職せざるを得ない。あるいは、結婚に伴う住所の変更等によってどうしても通勤が不可能になったということによって退職をするといったような、家族的責任を有する労働者の場合は、引き続き就業していくことが困難であるという、これはまさしく働く側の事情というんでしょうか、使用者側の責務に負うところではないのでありますけれども、家族的責任というものを含めた場合に、家庭の事情によるこうした場合は、画一的に、使用者の責任ではないんじゃないかということで一括して一般の退職というふうに認められやすいケースではないかと思うんですね。
 しかし、光の当て方によっては、これは、本人の積極的な選択ということじゃなくて、家族あるいは家庭の責任者として、責任ある立場として見たときに、働くサイドからすると離職を余儀なくされたという光も当てることができる。そういう点でグレーゾーンと言った方がいいかもしれませんが、そういうケースだというふうに思うんですね。しかし、こういったところが、倒産とかいうことだとすぐわかるわけでありますが、なかなか判断が難しいし、場合によっては、判断するところによって判断そのものが違ってくるおそれがある一番大きなところじゃないかというふうに思うんですね。
 したがって、こういう、使用者側の責任ということはほとんどないんだけれども、しかしながら家族的な責任を有する労働者そのものがそうした理由によってやむを得ず離職せざるを得ないといったようなことについては、現状で結構ですけれども、どういう御見解をお持ちなのか、ぜひ承りたいと思います。
#118
○長勢政務次官 城島先生、大変論点を整理して御質問いただいておりますので、私どもも今の段階でそこまできちんとした議論を正確にしているわけではございませんが、今回の改正法で、離職を余儀なくされた者というもののイメージとしては、倒産あるいは解雇といったように法文上も例示しておりますように、使用者の事情によって時間的余裕なく離職した方々というものを想定して考えておるわけでございますので、御指摘のような点はまさに個人のお立場での事情によるものでございますから、現段階で言えと言われますと、ちょっと該当するというわけにはいかないのかなというふうに考えております。
#119
○城島委員 一般的にはそうなんでしょうけれども、もう一つ、先ほど、新しく二つに分けられた中で、それこそ再就職までの時間的な概念を、時間軸を入れられていますよね。
 そうしたときに、十分な時間があればいいんですけれども、さっきあえて申し上げたのは、御両親の死亡等というのは急なケースですよね。そういうのが突然起こってくる。余り次の職を探すまでの時間的余裕はないようなケースに、私は家族的責任の中でもあえて限定したと思うんですけれども。そういう面で、企業側のあるいは使用者の責務はないんだけれども、個人的な事情にしても時間的余裕が余りない。そういう、家族的責任を有して、なおかつどうしてもかなり突発的な感じで退職せざるを得ないというようなところについては、私はやはり余儀なくされたという範疇に入れていくということが大事ではないかなというふうに思うわけであります。
 まして、二番目に例を挙げました、配偶者等との別居生活を続けることが基本的に困難になったようなケースということでいいますと、当然、どちらかが転勤になる、しかもそれが突然転勤になる、そういった観点からしても、夫婦の仕事の両立へのケースとしても、そういう点でやはり離職を余儀なくされたというふうに言えるのではないか。また、そういうふうな認定をしてこれを支えていくことが大事ではないかなというふうに思っているわけなんです。
 一般論としてよりは、そういうふうに突発的に、しかも期間的に余り相当な期間の経過がないようなケース、さらには今申し上げましたように、突然配偶者のどちらかが転勤になるようなケースということは家庭的な責任からいってもやむを得ないという理由が一番大きいんじゃないかというふうに思うので、こういったケースはやはり余儀なくされた者として扱うという方向でぜひ検討していただきたいなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#120
○長勢政務次官 個人的な事情にあっても突発的なものは考えたらどうかという御意見だと思いますが、突発的というのはどの期間かといったら、亡くなると言われてましても、急に亡くなる方もおられますし大分長く寝込んで亡くなる方もおられるとか、それじゃその基準はどうするかとかという問題もありますし、やはり、雇用保険法、労使が出し合って共済するという枠組みの中での制度であるということも含め、また法の趣旨に沿った適正な運用を確保するという運用上の問題も含めながら検討すべき問題ではないかと思います。
 そういう意味で、今先生のせっかくの御意見ではございますが、個人の事情まで含めるということになりますといろいろ問題も多いんじゃないかと今は思っております。いずれにしても、関係審議会で十分御議論をいただきたいと思います。
#121
○城島委員 この辺はちょっとまだ今のところ方向性が一致しないのでありますが、次の具体例に移らせていただきます。
 もう一つ同じようなケースで、深夜業に従事する労働者が、例えば結婚といったような理由で深夜業以外の業務に転換を希望した、しかしながら業務編成等の都合などによってそれがかなわないということで、深夜業のままでなければならないといったときに、そういう理由で離職せざるを得なくなったといったような場合は、その間のこうした事情あるいは労働者の自己申告あるいは会社としての対応といったことを確認した上でありますが、こうしたケースも、相当な理由があるということの中で離職を余儀なくされた者ということで認定をしていくということができるのではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
#122
○長勢政務次官 先ほどのケースと似たような分野だと思いますが、例えば結婚等によって深夜ができなくなったという事情による場合もあるかもしれませんけれども、今の時点で言えと言われれば、一般的にはちょっといかがかなという思いでおります。
#123
○城島委員 これもそうかもしれませんが、ちょっと平行線かもしれませんが、この辺は非常に個々で、いろいろな事情で違いがあると思うので、画一的にはなかなか難しいというふうに思うんです。
 そうすると、もう一つ、企業による故意の排斥によって退職した、例えばセクハラなんかもそうだと思いますけれども、そうした者あるいは採用条件と実際の労働条件が著しく相違したことによって退職した者、これは退職を余儀なくされた者という概念でよろしいんですね。確認でございます。
#124
○長勢政務次官 企業による故意の排斥により退職したというケースは、これは一般的には、雇用契約の当事者である事業主からやめろと言われた、そういう意思表示があったとみなし得るケースが多いと思いますので、離職を余儀なくされた者として取り扱うことになるのではないかなという気がいたします。
#125
○城島委員 そうしますと、もう一つ、今具体的事例を挙げましたけれども、人によって判断が異なったりするとこれは大変大きな問題になるというふうに思うので、その上からも自己申告が非常に大事だというふうに思うんですけれども、労働者の自己申告を尊重するというのは具体的にはどういった手続をとっていくのかについて質問したいと思います。
#126
○長勢政務次官 離職理由の確認という問題でございますが、現行手続上、離職理由の確認に当たっては、事業主が作成する離職証明書、いわゆる離職票でございます、における離職理由と、離職者本人の自己申告をもとに判断することといたしております。
 この両者が異なるという場合には、客観的資料や事業主及び離職者の両者の主張などを十分に吟味した上で慎重に判断を行うことになりますが、その際、離職者本人の申し立ても尊重される事務手続を考える運用にするようにしていきたいと考えておるわけでございます。
#127
○城島委員 そういうことの中で、今もおっしゃいましたけれども、仮に、事業主と労働者の主張が大きく違う、大きくでなくても違いがあるといった場合は、具体的にどういう事実確認をしていくのか。
 通常考えますと、労働者側というのはやはりどうしても弱い立場にあるわけなんで、私の経験からすると、労働者の方が正直に申告するケースが多いんじゃないかというふうには思うんです。そういったことからいっても、本人の、労働者側の自己申告というものをぜひ尊重していただきたいと思うんですけれども、事業主と労働者の主張が異なる場合はどういう事実確認をどういう感じでされていくのか、お尋ねします。
#128
○長勢政務次官 両者のお話を聞くと同時に、その裏打ちといいますか、事実関係をどういうふうにやるかということは、そのケース、ケースによって違うと思います。関係者のお話を聞くこともあるでしょうし、あるいは実態上から判断ができる場合もあると思いますが、いずれにしても、そのまま事業主の方をうのみにするということはなく、離職者の方々のお話も聞いた上できちんとした判断をするということでございます。その運用のやり方については、今後いろいろ通達等の中で、マニュアルづくりの中で工夫すべき点もあろうかと思います。
#129
○城島委員 かなり時間が迫ってまいりまして、一点だけ、ちょっと先ほど確認を漏れたところがありますので、判断のところでもう一つ重要なところを落としておりました、質問させていただきます。
 いわゆる定年退職の扱いというのは、基本的にはもうわかっておりますけれども、ただ、定年退職者についても、定年退職に備えて実際に行った本人の再就職活動の経過、企業側の再就職活動に対する援助措置があるかどうかといったようなことについての本人の自己申告を踏まえて、これも十分な確認を行ってほしいと思うんですね。
 というのは、本人は十分な再就職の意思があるんだけれども、実質的に再就職の準備がそういった制度がなかったりすることによってできなかったといったようなケースも、これは恐らく結構あるんだろうというふうに思うんですね。ですから、単純に定年退職者だからということだけじゃなくて、今ちょっと論議しましたような、本人の自己申告の中でそういう意思だとかあるいは企業の現実の実態といったことをしっかり把握した中で、画一的じゃなくて、定年退職者の中でも今言ったようなケースでは、離職を余儀なくされた者として扱うなどの柔軟な対応が必要だというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
#130
○長勢政務次官 今回の高齢法の改正によりまして、再就職準備について事業主にきちんとした対応をしていただきたいということをお願いするわけでございますので、当然そういうことを我々も強く主張してまいりたいと思います。
 しかし、再就職準備計画がないからといって、定年というのはその時期がわかっておるわけでございますから、再就職準備の活動ができなくなるということではありませんので、これは離職を余儀なくされた者という方に分類をするということは適切ではないのではないか、このように思っております。
#131
○城島委員 時間が参りましたので終わりますが、今のようなケースでは、特に今回の高年齢者雇用安定法改正の趣旨も踏まえた中で、ぜひそういう検討を行っていただきたいというふうに思います。終わります。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#132
○鍵田委員長代理 次に、大森猛君。
#133
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。本会議に続いて雇用保険改正案について質問をさせていただきます。
 本会議でも述べましたけれども、小渕内閣による経済失政、そしてそのもとでの大企業の解雇、リストラ、そのためにさらに一層消費が落ち込み、また景気の回復が遅れる。こういう悪循環が進んでいる一方で、失業者の状態も、有効求人倍率もなかなか伸びないという大変深刻な状況で、生活できない、生きていくことができないような状況が現にあるのではないか。
 そういう中で、生活と再就職活動を支える、保障するこの雇用保険制度、その重要性が新たに今増してきていると思うわけなんですが、逆に、今回の改正案は、こういう生活と再就職活動を支える、保障する雇用保険制度の概念そのものを根底から変えることになるんじゃないかと、強い危惧を私も持っているものであります。そういう立場で具体的に質問をしてまいりたいと思います。
 まず、大臣に単刀直入にお聞きをしたいんですが、もともと、一九四七年に失業保険制度が設けられた、その基本的な目的は一体どういうものであったのか。そして、その後、雇用保険と変わりましたけれども、現在もその目的は引き継がれているのかどうか、この点、率直にお聞きをしたいと思います。
#134
○牧野国務大臣 雇用保険制度の前身である失業保険制度は、その目的として、被保険者が失業した場合に失業保険金を支給して、その生活の安定を図るということをはっきりと掲げておりました。
 その提案理由説明によりますと、「失業保険制度は社会保障の一環として、その重要な役割を持つものでありますが、生活保護法のような単なる社会救済制度と根本的にその性格を異にするのでありまして、職業紹介機関の運営と密接不可分の関係を保持させることによつて、失業者に就業の機会を与えようとする積極的な意味をもつている」、こういうように説明されております。
 このような、生活の安定と再就職の促進という目的は、現行の保険制度においても明確に規定されている、こういうように考えております。
#135
○大森委員 生活保障と再就職の活動の支援という目的は変わっていないという御答弁でした。
 そこで、まずお聞きをしたいのですが、今回、給付日数が変更させられます。失業者を失業理由によって区別して二つに分けるわけでありますけれども、倒産、解雇等による離職者の場合、例えば四十五歳以上六十歳未満、二十年以上の加入者については、現行では三百日。これを三百三十日に三十日間延長するわけなのですが、延長する理由は何でしょうか。
#136
○渡邊政府参考人 今回の雇用保険の給付の改定は、給付の重点化を図るということでございまして、解雇、倒産のように、急に離職を余儀なくされる、こういった方については給付を厚くしよう、特に四十五歳から五十九歳の、いわゆる働き盛りといいますか、こういった方についての給付を重点化するということで、ここの部分につきましては従来よりも給付を多くしておるということでございます。
#137
○大森委員 だから、給付を延長した理由は何ですか。
#138
○渡邊政府参考人 解雇や倒産のように、ある日突然離職を余儀なくされたという方につきましては、それから求職活動が始まるわけでありますから、その間の生活保障を十分見ようということでございまして、そういったことで従来よりも給付を手厚くしておるということでございます。
#139
○大森委員 解雇や倒産による離職者というのは以前からもあるわけで、それを、今までは三百日で、今回三十日延ばしたのは、やはり、この年代が非常に再就職が厳しいということがあるから延ばしたのでしょう。そういうことだと思うのです。
 次に、一般被保険者の休職者給付、それから普通の失業者への失業給付、こっちの方は、最高三百日分が百八十日分へ、四カ月分削減されるわけですね。
 例えば、五十五歳、月収三十五万円、被保険者期間が二十年以上の場合、三百日だとすると、受給可能な給付総額は一体どのぐらいになるのか、そして、今回の改正で一般給付となった場合に、受給可能な給付額はどれだけ縮減されることになりますか。
#140
○渡邊政府参考人 ただいまのケースで申し上げますと、現行制度で見ますと三百日分の給付ということになりますから、受給可能な給付額は二百十万円ということになります。
 今回の改正で、これがいわゆる解雇、倒産でない離職ということになりますと、百八十日分ですから百二十六万円で、現行に比べますと八十四万円の減ということになります。
#141
○大森委員 労働大臣、今お話があったように、五十五歳で失業者になって、失業手当が二百十万から百二十六万と八十四万円削減されることになるわけですね。五十五歳といえば、多くの方がまだ大学生など抱えている場合も少なくないと思うのです。そういう失業者から、給付期間を十カ月から六カ月に短縮して八十四万円も縮減をしてしまう、これは失業者の茶わんをたたき落とすようなものじゃないか。
 これは労働大臣に質問通告ということでお知らせをしていませんけれども、こういうことについて、大臣、そういうことをお思いにならないでしょうか。
#142
○牧野国務大臣 具体的には、現行の給付日数の上限と下限に配慮しつつ、定年退職者を含め、離職前からあらかじめ再就職の準備ができるような者に対する給付日数は、離職者みずから再就職に備えての準備を行うことが可能である、これを圧縮する一方で、中高年齢層を中心に、倒産、解雇等により離職した方々には十分な給付日数を確保されるように給付日数を再構成する。これらの点につきましては、十人十色のいろいろな御意見があるわけでございまして、私どもとしては、そういう点を十二分に踏まえまして、審議会で御審議いただいた、これに基づいて決めさせていただいた、こういうことでございます。
#143
○大森委員 自己都合といってもそれこそさまざまな理由がありまして、本当にやむにやまれず、みずから定期的な収入の道を閉ざさざるを得ない状況も、今日の状況の中では多々あると思うのですね。そういう失業者から八十四万円も縮減してしまうということについての大臣の感想をお聞きしたかったのですが、全くその面では感想がお聞きできませんでした。大変遺憾であります。
 雇用保険法の第一条の目的は、労働者が失業した場合、必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図る、こう規定しているわけなのですが、この目的条項と今回の法改正での給付削減との関係は一体どうなるのか。給付日数の削減を行う率直な理由はどういうものでしょうか、お聞きしたいと思います。
#144
○渡邊政府参考人 先ほど来、今回の給付の見直しの趣旨、目的に関する御質問かというふうに思います。
 この雇用保険の目的は、先ほど議論に出ていましたように、生活の安定、それから再就職の促進ということでございますが、これは並列的なのではありませんで、再就職するまでの生活の安定ということが基本的な目的であります。したがって、まず再就職をどういうふうに促進していくのか、図っていくのか、これが第一義であろうかというふうに思います。その間の生活の保障を図るものがこの雇用保険の制度であるというふうに認識をしております。
 こういったことから考えますと、定年退職でありますとか、あるいは自分の意思で転職を考えた、こういった場合にはあらかじめ離職の時期というものは想定できるわけでありますから、再就職の目標を立てる、それに従って就職活動を行える期間が長くなるということで、解雇や倒産によりまして急にその職を失うといった方の就職活動期間に対する考え方とはやはり基本的に異なったものがあるのではないか、こういったことが関係審議会でも議論されまして、解雇、倒産等のようにあらかじめ離職が想定できないケースと、定年退職や自己転職のようにあらかじめ離職の日が想定できる場合とを区分して、給付日数を見直しをしようということで審議会の御議論がまとまって、今般のような提案になったというふうに理解しております。
 また、こういったことの背景には、高齢化の進展あるいは労働移動が増大するといったことを踏まえまして、例えば、三千数百万の被保険者の中で、六十歳から六十四歳の方は一〇%未満でありますが、受給になりますと、受給額の三五%ぐらいを六十歳から六十四歳の方が受給しておられる、こういった給付と負担とのアンバランスといったこともいろいろと議論されまして、今般のような給付の見直しになっているというふうに理解をしております。
#145
○大森委員 あれこれおっしゃいましたけれども、給付を短縮するということについての直接の理由については一言も、最後の方で若干関連することをおっしゃいましたけれども、先ほど来おっしゃっている中職審の審議会の答申なりあるいは雇用保険部会の報告なり、冒頭にまず書いてあるのは何かといったら、財政問題ですよ。収支の改善、厳しい財政状況、この見直しの視点の第一に書かれておるのが財政問題、まさにそこからこれは来ているんじゃないですか。
 そこで、もう時間もあれですから具体的にその点でお聞きをしたいんですが、平成十一年度のこの雇用保険会計、赤字をどれぐらい見込んでいらっしゃるでしょうか。
#146
○渡邊政府参考人 十一年度におきましては、約一兆二千億円の赤字を見込んでおります。
#147
○大森委員 約一兆二千億円ということです。こういう赤字の原因、これはもう本会議でも指摘をしたように、経済失政による失業者の増大と、そして二年前を初めとして国庫負担を大幅に削った、こういうところに、国にこの赤字の原因があることは明らかでありますけれども、では、この赤字をどう解消するか、これが今回の最大の見直しの視点だと思うわけなんですが、そこでこれも具体的にお聞きしたいと思います。
 給付費総額を削減する、それから労働者に係る保険料も引き上げるということが大きなウエートを占めていると思うんですが、一般求職者の給付費の削減総額、それから労働者に係る保険料引き上げ総額はそれぞれどのぐらいになりますか。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#148
○渡邊政府参考人 今回の給付の見直しによりまして、給付の方は約五千億円の削減になるかと見込んでおりますし、負担の方につきましては、労使折半ですが、現行の千分の八を千分の十二にするということですから、ほぼ五割の負担増となるかと思います。(大森委員「総額は幾らですか」と呼ぶ)
 総額では、労使双方ですけれども、七千億から八千億円の増になります。
#149
○大森委員 八千億だとすれば、労働者の側は約四千億、そうですね。労働者の負担増は、給付費の総額が五千億ですね、労働者の保険料の負担引き上げ分が千分の十二で約三千億ですか、こういうことになるわけですね。それで合計八千億ということでよろしいですか。
#150
○渡邊政府参考人 給付の削減分が総額で約五千億、負担の増が総額で約七千億から八千億円ということでございます。
#151
○大森委員 そうしますと、折半ですから労働者の側でいえば三千五百億から四千億ということになるわけですね。そうすると、八千五百億から九千億労働者の負担はふえる、こういうことになるわけですね。これは当然そうなるわけなんですが、それでは国の方はどうなるか。肝心のこういう赤字をつくり出した国の負担増は一体どうなるか。
 今回、一四%から二五%に、これは皆さん上げるとかおっしゃっていますけれども、これは本来の本則に返すわけなんですが、一四%から二五%に戻すという場合、平年度ベースで計算したら、国庫から繰り込む額はどのぐらいふえるんでしょうか。
#152
○渡邊政府参考人 国庫負担につきましては、現行の約三千億が約四千億円程度になろうかと推定をしております。
#153
○大森委員 そうしますと、一四%から二五%に上がるわけだけれども、給付費総額全体が相当落ち込むわけですから、国庫負担の方はわずか一千億しか上がらない。一兆二千億の赤字を解消するのに、労働者に対してはその大半の大体八千五百億から九千億負担をかぶせて、国の方はわずか一千億円。この赤字の原因をつくったのは一体労働者なのかということになると思うんですよ。その点いかがでしょうか。
#154
○渡邊政府参考人 御指摘のように、財政が大変逼迫をしておるということがやはり今回の改正の大きい動機の一つであることは間違いございません。
 ただ、その背景といたしましては、単に最近の景気の動向を反映して雇用保険の受給者がふえているというだけではなく、先ほど来議論になっておりますように、労働者の意識の変化等も背景にいたしまして、バブルのころよりもさらに自発的な転職がふえているというように、やはり我が国におきまして労働移動が随分と増加をしてきておる。あるいは高齢化が相当進展をしてきた。こういった大きな背景があって、雇用財政にこれが大きい強い影響を与えているというふうに理解をしております。
#155
○大森委員 そういうところに逃げ込んだらだめだと思うんですよ。
 これは、二年前の雇用保険の改正の審議の際にも、私ども、このままいけば大変なことになるから国庫負担率の削減はやめるべきだと強く主張いたしました。残念ながら、財革法のもとでそれをやられて、財革法の方はその直後に凍結になったわけですよ。凍結の時点でもとに返す、その辺のことを当然やるべきじゃなかったか。
 本来、失業というのは、これは労働省もたびたび説明してきたように、個々の使用者や労働者の責任の範囲を超えた、政治的、経済的、社会的な諸要因によって起こるんだ。だから国がきちんと国家的な課題として考慮されなくちゃならないと。これは本当に、こうした現局面においても、この雇用保険会計は確かに危機的状況にあるわけですから、そういう立場で臨むべきだと思うのであります。
 そういう立場から、九八年の場合は、本則二五%をそのままにして附則で一四%ということにした、国の財政が大変だからという理由でそういうことをやられたわけなんですが、今は国の財政はそれよりもさらに一層ひどくなっているけれども、今度は雇用保険会計が大変だから、例えば、本則は二五%であるけれども、今回はもう四〇%、五〇%に国庫負担をやれよという発想は出てこないんですか。
 銀行等にはそれこそ六十兆、七十兆の公的支援を投入する枠をつくったり、一銀行に何兆円も投入する。ところが一方で、こういう働く皆さんが本当に安心して働くことができる、その一番基本的な雇用保険制度というセーフティーネットに対しては、わずか一千億しか出さない。労働者に対しては八千五百億も、赤字の大半を押しつけてしまう。そういうやり方は、この雇用保険制度の本来の趣旨からいっても間違っているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#156
○渡邊政府参考人 この雇用保険制度は、基本的には労働者と使用者の共済制度として組み立てられているものでありまして、やはり失業事故に対してはこの労使の共済制度の中で処理をしていくということが基本であろうかというふうに思います。
 また、この際一般会計を投入して財政を支えたらどうかという議論も、審議会においても随分行われたというふうに聞いておりますけれども、一般会計の財源もその多くは労働者なり使用者なりが税として納めたものでありまして、一般会計でいくのか雇用保険における保険料でいくのかということについては、一般会計でいったからといって労使の負担がその分軽減されるというものではないのではないかというふうな議論もあったところでございます。
#157
○大森委員 単に労使の共済制度ということでこの雇用保険制度を片づけるのは、先ほど労働大臣が冒頭に答弁をされた失業保険制度の創設以来の基本的な理念にも反するものじゃないか。やはり、国が基本的な国の責務としてこれを進める。それが極めて厳しい状況にあれば、それに対して国がもっときちんと責任を持つということが必要じゃないかと思うんです。
 さらに問題は、求職者給付費を五千億円削減する、その給付費の削減の問題であります。
 そこでお聞きをしますけれども、いわゆる非自発的失業者への給付費と自己都合退職者への給付費、例えば平成十年度でいってそれぞれどのぐらいの額になるでしょうか。
 それから、あわせて、今回の改定を行った場合、五千億円を削減するその場合、当然労働省としてはもう計算もされていると思うんですが、今回の改定案での区分でいえば、一般と特定のそれぞれの給付費がどの程度伸びたり縮んだりするのか、これをお答えください。
#158
○渡邊政府参考人 現行の制度におきましては、正当な理由があるかないかということで大別しておりますが、現行におきましては正当な理由がないというものが四割程度でございます。
 改定を行いました場合の試算ですけれども、解雇、倒産等による離職者の占める割合が三割ぐらいになろうかというふうに推定をしております。
#159
○大森委員 そうすると、ちょっと今初めの方を聞き漏らしたのですが、今後、解雇、倒産が約三分の一になっていくだろうということですね。つまり特定受給資格者が三割程度になるのじゃないか。現在ではそれはどのぐらいですか。
#160
○渡邊政府参考人 現在は、正当な理由のない離職につきましてはいわゆる待期期間をかけておるわけであります。したがって、現在の分類と改定後の分類はイコールということではございませんが、現行でいきますと、正当な理由があるというものが約六割ということでございます。
#161
○大森委員 そうすると、現在の六割をいわば三割にするというわけですね。つまり、自己都合が今四割程度を七割近くにするということになるわけですね。
#162
○渡邊政府参考人 ただいま申し上げましたように、現行の仕組みと改定後の仕組みは必ずしもイコールというわけではございませんけれども、あらあら申しますと、現在正当理由があるもの六割のうちの半分くらいが定年退職とか契約に期間が付されているというふうなことで、解雇、倒産等に今後入ってこない、こういうことで、約三割くらいが解雇、倒産等による離職ということになるのではないかというふうに推計をしております。
#163
○大森委員 先ほどもこれは質問がありましたけれども、当然労働省としては、給付日数を大幅に削減した自己都合等を拡大する方が給付費を削減する上で大いに効果があるということになるわけなんですが、そういう点で、自己都合退職扱いを従来よりも拡大適用するおそれも十分あるわけですね。そういう点からも先ほどお話があったわけなんです。
 そこで、現行の自己都合退職の判断基準、これは平成五年の一月十四日の中職審の了解事項ですか、これについて、そういう自己都合退職を拡大適用するような変更はもちろんあってはならないし、それに歯どめをかける何らかの措置が当然必要になってくると思うんですが、その点、いかがでしょうか。
#164
○渡邊政府参考人 改正後の基準といいますのは、解雇、倒産のようにあらかじめ離職が予測できたものかどうかということが大きなメルクマールになって基準が形成されていくと考えておりますが、その具体的な基準のあり方については関係審議会において十分御議論いただきたいと思いますし、先ほどの質疑でもありましたけれども、解雇、倒産のみにこれが限定されるものではないというふうに思っております。そういった議論を受けまして、具体的には省令でその基準を定めることにしております。
#165
○大森委員 関連してお聞きをしておきたいのですが、現在でも、給付制限が伴う自己都合という認定をされる際に、窓口では相当なトラブルが起こっているわけですね。これは私も職安の窓口の方々にもいろいろお話を聞きましたけれども、現在でも大変なトラブルが起こっているわけですね。本当に大変な思いをして職安の第一線で皆さん働いていらっしゃるわけなんです。
 そこで、今回、自己都合退職になれば給付日数が大幅に削減されるということで、その認定にかかわって、今までは据え置きだったのだけれども、今度は給付日数そのものが削減される、ですから、現場の職安の皆さんも一様に、従来に比較できないトラブル、困難が予想される、こう言われているわけです。現場でやっていらっしゃる人が実際にそうおっしゃっているわけです。
 この点で、今現在、労働保険審査官が全国に置かれているわけですが、私も聞いてびっくりしたのですが、例えば静岡県と神奈川県かけ持ちで、二県で二人しかいない。神奈川県というのは労働者がすごくたくさん集中している県ですが、そこで、静岡とかけ持ちでわずか二人の雇用保険審査官です。それから、東京に至っては、東京と山梨、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城と一都六県でわずか四名、こういう状況になっているわけですね。
 これは、こういうトラブル等の発生を現にもう現場の皆さんがおっしゃっている状況の中で、こういうような配置で本当に大丈夫だろうかということはだれしも考えると思うのですが、その点、御答弁をお聞きしておきたいと思います。
#166
○渡邊政府参考人 雇用保険をめぐるトラブル、処分につきまして争いますときに雇用保険審査官に審査請求をするわけですが、この件数は平成十年度でも六十一件ということでございまして、現在、全国に二十一名配置しておる雇用保険審査官におきまして対応できているというふうに考えております。
 今後、解雇、倒産等の事由に入るのか入らないのかということにつきましては、これは確かに受給者の権利、利益にとって大変大きな問題でありますから、そういったことをめぐるトラブルが発生しないように、資格基準というものは客観的に明確なものにする必要があるというふうに考えております。
#167
○大森委員 その点はぜひ、対応する行政の体制としてしっかりした体制をとらなくてはいけないということがあるし、加えて、自己都合退職の判断基準についても、これまでできるだけ労働者を救済する見地で行政の運用は行われていたようでありますけれども、そういう面から自己都合退職の判断基準について今後も対応する必要があるのじゃないかということを思います。
 同時に、これは本会議でも質問して、小渕首相の答弁がなかったのですが、給付日数の削減ということで現実にどういう効果をもたらすか。これは結局、給付日数が削減されることによって、よりよい仕事につこうという意欲がどうしてもそがれてしまうということで、いわゆる労働条件の下降移動を引き起こすことになっていくと思うんですね。この点、給付日数の削減が労働条件の下降移動を起こすことにならないかという心配などは労働省の方は一切されなかったのでしょうか。
 ちなみに、午前中からいろいろ言われているわけなんですが、在職求職者という新しい言葉を持ち出してやっていますけれども、私は、四カ月縮減することにかわり得るような措置は一切とられていない。これまでにも在職中の一定の雇用流動化を支援するような措置がありましたけれども、ほとんど見るべき効果はないと思うのです。
 今、高年法で盛り込まれている一日五千円、最大三十日、そういうものが確かに保障されている。まず第一に、これは午前中の委員の発言でもあったように、今の仕事をしながら同時に求職活動が本当にできるかという根本的な疑問と同時に、しかも、それを制度的に支えるのは、わずか三十日、一日五千円、それも使用者にでしょう。四カ月の給付日数の削減がそれにかわり得るものでは決してないということを申し上げて、そういうもとで四カ月も給付日数が削減された場合、結局これはもうしようがない、この辺で我慢しておこうという現象をさらに巻き起こすことになるのじゃないか、この点いかがでしょう。
#168
○渡邊政府参考人 今般、高齢法の改正で、在職中からの就職活動の支援ということを規定しておりますが、これは労働者個人個人が在職中に求職活動をするというものではありません。もちろんそういったことも自由にやれるわけですが、事業主がそれに対して援助をするように、あるいは再就職の支援について事業主が個人別の計画をつくるということを規定しておるわけでありまして、労働者が仕事をしながら、仕事を終わった後で自分で探すということだけを規定しているものではありません。事業主が支援をし、国もこれに対して支援をするということでございます。
 それから、急な倒産、解雇等による離職でありますと、短期のうちに再就職しなければいけないということで、意に沿わない再就職ということもあり得るかと思いますが、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、あらかじめ離職の日が予測できる方については、十分な期間を持って、しかも先ほど申しましたようないろいろな事業主あるいは国による助成も受けながら再就職活動をする、そういった助成も強化しながら、雇用保険制度の改正といわばセットにしてそういった体制をつくっていこうということで考えておるところでございます。
#169
○大森委員 労働条件の下降移動ということでお話がなかったんですが、日本労働研究機構の調査によると、一つの年代だけですが、例えば四十歳から四十九歳にかけては、離職前三十七・九万だった月収が、離職後は三十二万五千円と五万円以上大幅に減収になっているわけですね。今、百八十日に給付日数を縮減して、こういう労働条件の下降移動が拡大されないと職安局長言えますか、断言できますか。
#170
○渡邊政府参考人 日本労働研究機構の平成十一年三月の調査結果によりますと、ただいまおっしゃいましたように、手元にある数字は、離職して再就職した場合の平均月収が三十万円から二十五万四千円に低下をしているということになっております。
 ただこれは、恐らく再就職の期間が短いからというふうな問題ではなくて、我が国の賃金体系、雇用慣行等から見て、途中転職、途中採用というものがやはり不利になっている、こういったもっと大きな問題が背景にあってこういう結果になっているのではないかというふうに認識をしております。
#171
○大森委員 それは職安局長の勝手な推定であって、今の三百日という中でもこういう状況が起きているわけですから、これが短縮されることによって、私は一層下降移動が強まるということを指摘しておきたいと思います。
 いずれにしろ、今日のリストラ、失業、解雇、雇用失業情勢というのは、これは日本共産党はたびたび指摘をし、また要求もしてまいりましたけれども、一番重要なことは、リストラ至上主義、こういう状況が日本列島を席巻している。そういう中で大量にどんどんつくり出されている状況に対し、きちっと今ルールを確立する、このことが一番重要ではないかということで、改めて、ヨーロッパ並みの解雇規制、あるいはリストラ、解雇から働く労働者を守る、そういう労働者保護法などを制定するよう強く要求をして、私の質問を終わりたいと思います。
#172
○赤松委員長 畠山健治郎君。
#173
○畠山委員 大変な雇用不安、失業の中でございますので、幾つか基本的な問題についてお尋ねをいたしますが、極めて限られた時間でございますので、率直かつ明快な答弁を求めたいというふうに思います。
 まず第一点は、春闘の問題と経済の整合性との関係についてでございます。
 残念ながら、春闘は、現在のところ軒並みに昨年を下回るのは間違いないというふうに見なければならない状況にあります。これによって、さらにリストラ、失業、消費支出の低下が起こり、新たなリストラを生む悪循環はさらに加速されるんではないだろうか、かように考えられます。しかも、今月十五日に公表された通産省の産業経済動向調査では、依然雇用でプラス三三、設備でプラス三〇という高い過剰水準にあることを指摘されております。
 となれば、この悪循環を断ち切ること、これこそが労働省の現下の最大の課題と言えるんではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。と同時に、この相場は、第四・四半期にも影響し、さらには来年度公約である一%成長の土台を崩し、政府の政策的整合性を脅かすものと考えなければならないというふうに考えます。この点についての労働大臣並びに経済企画庁の御見解を承ります。
#174
○牧野国務大臣 御承知のとおりの状況でございまして、非常に厳しい状況にある、こう考えております。
 したがいまして、私どもとしましては、本年の見通しの一%成長、それと失業率の推定四・五%というものに対しまして、それを実現すべく最大の努力をしなければなりません。当然のことながら、セーフティーネットとして失業保険をきちっと制度として確立し、さらにいろいろな雇用の創出につきまして、具体的に、中小企業を中心にして助成金を渡して新たに確保するとか、情勢に対処する教育訓練、技能訓練について最大の努力をさせていただく、こういう覚悟でございます。
#175
○河出政府参考人 お答えをいたします。
 春闘におきますところの現在の状況は、ただいま大臣が報告されたとおりでございます。
 ただ、来年度の雇用者所得を見る場合には、いわゆるベースアップだけではなくて、所定外の労働時間ですとか、ボーナスですとか、これからの労働力需給、景気情勢、いろいろな要素をやはり総合的に勘案して見る必要があろうと思っております。ちなみに、最近の所定外労働時間、これは昨年の十―十二月期は前年と比べて一・四%ふえておりますし、この一月も三・三%ふえておる、こういう状況も注目していく必要があろうかと思っております。
 したがいまして、来年度の経済見通しと関連します雇用者所得と消費につきましては、今申しました要因だけではなくて、これからの消費者マインドも含めて、さまざまな要素を考えていく必要があろうと思っております。
 なお、十二年度の政府見通しにつきましては、雇用者所得につきまして、雇用者の増加も含めて〇・五%程度の増加、消費につきましては一・〇%程度の増加と、非常に緩やかな増加を見込んでいるところでございまして、現状におきましてはこれを変更する必要はないというふうに考えております。
#176
○畠山委員 このことについてもいろいろまだまだ議論したいのですが、時間がございません。先を急ぎます。
 雇用保険法の適用対象事業所数、並びに加入義務がありながら未加入となっておる事業所はどれぐらいあるのか。また、ここ数年来の年度別加入状況をお知らせいただきたいと思います。
#177
○牧野国務大臣 雇用保険の被保険者となる労働条件で就業しながら、被保険者の届け出がなされていない者もいると考えられることから、今回の制度改正を契機に、私どもとしましては、マスコミ等を利用して、労働者及び事業主に対する制度の周知徹底を図らなければならないと思っています。特に、事業主の皆さんに対しては、事業主説明会の開催、労働保険事務組合の活用、事業所調査等を通じた指導により、雇用保険の加入促進に努めてまいりたいと思います。
 具体的な数字が御必要でしたら、政府参考人から答弁させます。
#178
○畠山委員 では、数字は質問が終わるまでに出してください。
 数字はともかく、本案に定める中高年者を対象とする雇用継続、再就職援助は、雇用保険加入事業主を対象としている以上、いまだ多くの雇用主が未加入の状況では本案の効果は限定されてしまうことになるわけであります。一層の加入促進を図るために、例えば人材派遣事業所への拡大とか、あるいは雇用保険未加入者解消計画を策定、実施する等、積極的な対応がなければならないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#179
○牧野国務大臣 雇用保険の被保険者となる労働条件で就業しながら、被保険者の届け出がなされていない者もいると考えられることから、今回の制度改正を契機に、マスコミ等を利用し、労働者及び事業主に対する制度の周知徹底を図るとともに、特に、事業主に対しましては、事業主説明会の開催、労働保険事務組合の活用、事業所調査等を通じた指導によりまして、雇用保険の加入促進に努めてまいりたいと思います。
 現在の適用事業所数は約二百万事業所、三千四百万人でございます。(畠山委員「未加入は」と呼ぶ)雇用保険の被保険者となり得る人は三千五百六十万人でございます。平成十年度平均で、雇用保険の被保険者数は三千四百万人でございます。
#180
○渡邊政府参考人 これは、未加入の事業所数ではなくて労働者数のあくまで推計でございますが、百六十万人ぐらいの労働者が未加入ではないかというふうに推計をしております。
#181
○畠山委員 現行法四条の三では、継続雇用制度の導入または改善に関する計画について、事業主に対し、計画策定の指示と、必要な勧告権を大臣は持っておるはずであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、事業主による導入または改善計画の策定実績、並びに、事業主に対する計画作成の指示並びに必要な勧告は何件なされておるのか、お伺いをいたします。できれば、年度別にお伺いをいたします。
#182
○赤松委員長 渡邊職業安定局長。
#183
○畠山委員 求めていないよ。大臣にです。
#184
○渡邊政府参考人 その前にちょっと答弁させていただきたいと思います。
 現行法で規定されております継続雇用の計画の作成でございますが、これは、継続雇用というものがある程度世の中に浸透して、そういった状況を見ながら計画作成命令を発しようという方針をとっておりまして、残念ながら、まだ、二割程度が継続雇用制度を導入しているという現状でありますから、これにつきましては、命令を発したりあるいは改善命令を出したりといったことは、あるいは勧告を出したという実績もございません。
#185
○畠山委員 この条文が施行されたのは一九九五年ですよね。既に五年経過をしております。実績ゼロとは、労働省は、一体何ということをなさったということですか。この種の計画作成を盛り込んだ法律は、例えば身障者の雇用促進等に関する法律第十五条のように、ほかにもあるんではないですか。にもかかわらず、これについては実績ゼロとは、とても納得できません。しかも、現行法の二条の四では、必要な施策を総合的に推進する責務を国が負わされておるのであります。法の定めた権能を執行しなかったことに対する行政の怠慢、法の死文化行為ではないんですか。労働省の責任は免れないと考えますが、いかがでしょう。
#186
○牧野国務大臣 六十歳定年については、平成十年四月から義務化されたところでありますが、労働者が希望すれば六十五歳まで雇用する制度を有している企業の割合は二割になっており、六十五歳までの確保を定年の引き上げや継続雇用制度の導入によって促進していきたい。
 したがいまして、改正案では、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を事業主の努力義務とするものであり、当該制度は、労働協約や就業規則その他これに準ずるものに定める必要があります。また、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等に係る指針を定め、この指針に基づき助言、指導を行うこととしております。また、定年の引き上げに対する助成措置の拡充策等により、その実効性を確保していきたい、こう考えております。
#187
○畠山委員 答弁になっていません。現行法で既にやらなきゃならないということになっているのに、雇用延長のために五年間の経過措置が今まであったわけですけれども、そして、やらなきゃならないということを今ちゃんと定めてあるんです、それが実績ゼロとは一体どういうことなんですか。
#188
○赤松委員長 畠山健治郎委員に申し上げますが、委員は政府説明人として局長を要求されておりませんが、労働大臣のみに答弁を求めるということであればそのように委員長として仕切りますが、背景説明その他で局長の方から説明したいという申し出もありますが、いかがいたしましょうか。
#189
○畠山委員 いや、原則大臣にしてください。
#190
○赤松委員長 では、原則大臣ということで、大臣が原則御答弁をいただき、原則ということは、補足的な説明はよしということに委員長として理解をいたしますので、そういう形で御質問、御答弁を願います。
 渡邊局長。
#191
○渡邊政府参考人 数字について申し上げたいと思います。
 先ほど、法律に基づく勧告等は行っていないと申し上げましたが、実質上、事業主に対する雇用延長の指導助言というものはもちろん行っているわけでございまして、この実績を見ますと、平成十年度実績で二万七千百十七件という事業主に対する指導を行っております。
 それから、雇用延長に向けましては、助成金制度を設けまして、六十五歳の継続制度を導入したときの奨励金、あるいは、高齢者の雇用の実績が一〇%を上回る事業主に対する助成、こういった助成措置を加えながら、労働行政としましては、六十五歳現役ということを目指しまして、実質的にはそういった助成、指導を行ってきておるところでございます。
#192
○畠山委員 とても納得できません。したがって、引き続き議論を重ねてまいりたい、機会を改めて質疑を続けてまいりたいというふうに思います。いずれにしても、やれないことを法制化したと言わざるを得ないんですね。やっていないわけです、実績ゼロですから。これでは、二重、三重にも労働省の責任は重いと言わなきゃいけないというふうに思うんです。
 しかも、そういう状況でありながら、今回の法改正で、四条の三は全文削除しているんです。そして、どうなったかというと、確保措置のための諸条件の整備に対する公共職業安定所長の勧告権だけを残すということなんですね。明らかに法の後退、行政責任の後退というふうに言わざるを得ない。いかがですか。
#193
○牧野国務大臣 改正案では、先ほども申し上げましたとおり、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を事業主の努力義務とするものでございまして、当該制度は、労働協約や就業規則その他これに準ずるものに定める必要があります。
 このため、私どもとしましては、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等に係る指針を定め、この指針に基づき助言、指導を行うこととしております。
#194
○畠山委員 答弁が全然絡んでいません。この五年間やるべきことをちゃんとやっておれば努力目標がもっと進んでいなきゃならないはずなんですね、定年延長に向けて。それが実績的にゼロですから、何をなさっているんですかというふうに言っているわけですが、お答えになっていません。
#195
○渡邊政府参考人 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、労働行政といたしましては、助言、指導やあるいは助成措置の活用によって六十五歳ということを目指してやってきたわけでありますが、やはりこれがなかなか伸びていかない背景には現在の大変厳しい経済情勢があって、そういったものが大きなブレーキになっているということもあるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、現行法がきちんと行われていないということは大変遺憾に思っております。
#196
○畠山委員 それでは、この議論は引き続き機会を改めてやらせていただくということにさせていただきます。先に進みます。
 今国会では、年金財政の観点から年金法が強行されております。はたまた本案では、雇用保険財政の観点から負担率の引き上げや定年退職者に対する給付の削減等々がなされようとしております。
 そこで、労働大臣にお伺いをいたしますが、社会保障制度を構成する個別の制度が個々の財政的観点からのみ負担や給付を変更することについて、どのようにお考えでしょうか。
#197
○牧野国務大臣 雇用保険にかかわる負担も他の年金、医療等とともに社会保障負担の一部を構成しているものでございまして、全体としての国民負担を極力抑制していくべきことは重要なことである、まずこう考えております。
 今般の雇用保険制度の改正は、給付についての必要な見直しを行った上で労使の負担増を極力低く抑えることとしたものでございまして、今後とも制度の適正な運営に努めてまいりたい、こう考えております。
#198
○畠山委員 それでは、再度お尋ねをいたします。
 九三年の臨時行政改革推進審議会答申では、租税及び社会保障負担率についてこう言っているんですね。高齢化のピーク時、つまり二〇二〇年ごろにおいて五〇%以下、二十一世紀初頭時で四〇%台半ばをめどとすることと言っております。ところがこの二月、大蔵省の財政構造改革を進めるに当たっての基本的な考え方では、二〇〇〇年度の国民負担率は三六・九%としながらも、財政赤字を考慮した潜在的国民負担率は既に四九・二%と指摘をしております。潜在的とはいえ、既に負担率は高齢化時のピークに達していることになります。
 しかも、新年度から公的介護保険制度も発足するわけでありまして、社会保障にかかわる個々の制度がそれぞれの財政的視点からのみ給付や負担率を変更することは、政策的整合性を損なうものではございませんか。労働、厚生両省は来年一月から一つの省になるわけで、当然制度間の政策的整合性、つまり負担率のあり方を示す義務があるんではないでしょうか。改めて労働大臣にお尋ねをいたします。
#199
○牧野国務大臣 このたびの行政機構改革によりまして労働省と厚生省が一本になることになりました。事務的にはどのような形で調整せられるべきか、それぞれ並行してやっておるわけでありますから、そういう点で、どう調整するかということを今事務的に検討を進めておりまして、政策的な調整が行われて実行される、こういうことを私どもは促進していきたい、こう考えております。
#200
○畠山委員 時間になりましたから終わりますが、この点も今後議論を重ねてまいりたい、このことを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
#201
○赤松委員長 次回は、来る二十九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会

ソース: 国立国会図書館
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