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2000/04/14 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 労働委員会 第7号
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2000/04/14 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 労働委員会 第7号

#1
第147回国会 労働委員会 第7号
平成十二年四月十四日(金曜日)
    午前九時四十八分開議
 出席委員
   委員長 赤松 広隆君
   理事 谷畑  孝君 理事 能勢 和子君
   理事 穂積 良行君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君
   理事 河上 覃雄君 理事 大森  猛君
   理事 笹山 登生君
      大村 秀章君    木村  勉君
      小林 多門君    白川 勝彦君
      田中 昭一君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    福永 信彦君
      松本 和那君    村岡 兼造君
      渡辺 具能君    石橋 大吉君
      中桐 伸五君    松本 惟子君
      西川 知雄君    寺前  巖君
      青山  丘君    畠山健治郎君
      土屋 品子君    藤波 孝生君
    …………………………………
   労働大臣         牧野 隆守君
   労働政務次官       長勢 甚遠君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    ―――――――――――――
四月十四日
 笹山登生君が理事を辞任した。
同日
 大森猛君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月三十一日
 雇用創出対策の実施に関する請願(鍵田節哉君紹介)(第一〇八六号)
 同(北村哲男君紹介)(第一〇八七号)
 同(近藤昭一君紹介)(第一〇八八号)
 同(松本惟子君紹介)(第一〇八九号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一一六八号)
 同(島津尚純君紹介)(第一一六九号)
 同(葉山峻君紹介)(第一一七〇号)
 同(細川律夫君紹介)(第一一七一号)
四月五日
 解雇規制・労働者保護法の制定に関する請願(石井郁子君紹介)(第一二三〇号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一二三一号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一二三二号)
 同(辻第一君紹介)(第一二三三号)
 同(中島武敏君紹介)(第一二三四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一二三五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一二三六号)
 労働時間の男女共通の法的規制とパートタイム労働法の抜本的改正等に関する請願(大森猛君紹介)(第一二三七号)
 同(寺前巖君紹介)(第一二三八号)
 同(東中光雄君紹介)(第一二三九号)
 雇用創出対策の実施に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第一二四〇号)
 同(中野寛成君紹介)(第一二四一号)
 同(山元勉君紹介)(第一二四二号)
 同(安住淳君紹介)(第一二九四号)
 同(石橋大吉君紹介)(第一二九五号)
 同(上原康助君紹介)(第一二九六号)
 同(奥田建君紹介)(第一二九七号)
 同(河村たかし君紹介)(第一二九八号)
 同(五島正規君紹介)(第一二九九号)
 同(日野市朗君紹介)(第一三〇〇号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第一三三五号)
 同(木幡弘道君紹介)(第一三三六号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一三三七号)
 同(肥田美代子君紹介)(第一三三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

    午前九時四十八分開議
     ――――◇―――――
#2
○赤松委員長 これより会議を開きます。
 この際、去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。
 理事の辞任についてお諮りいたします。
 理事笹山登生君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○赤松委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に大森猛君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○赤松委員長 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として労働省職業安定局長渡邊信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#7
○赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中桐伸五君。
#8
○中桐委員 民主党の中桐です。
 前回の雇用保険に関する質問に続きまして、追加の質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、前回質疑をすることが時間の関係でできなかった問題で、短時間労働被保険者の所定給付日数の問題について質疑を行いたいと思います。
 この短時間労働被保険者に対する保険給付、いわゆる求職者給付については、平成元年の改正で導入をされたという歴史がございますが、その新たに導入をされたときに、短時間労働被保険者の給付日数とそれ以外の被保険者の給付日数において、五年以上の被保険者期間の被保険者については格差がある、その格差はいかなる理由で設けたのかという質疑がございました。
 その質疑の際に、政府は、格差を導入した理由について、給付と負担の保険原理が一つあるということ、それから、有効求人倍率が短時間労働被保険者の場合にはそれ以外の被保険者に比べて高い、そういう理由、結局、失業給付をもらったり短時間労働者として勤務したりということを繰り返すという理由があるんだろうと思うんですが、そういう理由が挙げられております。
 そういう質疑が導入当初あったんですが、それ以来十年近くたっていますが、その後の状況を踏まえて、この点について検討をしたいと思います。
 この短時間労働被保険者というのは、これから就労人口が、少子高齢化ということで非常に大きく変わってくるということがありますし、その中で、女性の労働者や高齢者の就業が非常にふえてくるということが考えられます。女性あるいは高齢者の場合どうしても短時間労働という形を選択するケースがふえてくると思いますが、そういう今後の労働市場を想定しますと、この短時間労働被保険者に対する求職者給付について、単に保険原理だけで格差を設けていいのか、あるいは有効求人倍率が高いという理由でそういう格差を設けていいのかどうかということについては検討する余地があると思うんですが、この点について、今回の改正の時点でどういう検討がなされたのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。
#9
○長勢政務次官 短時間労働被保険者であった者に対する所定給付日数についての現行の制度の考え方はお話のとおりでございまして、現行制度では、大体でございますが、一般被保険者の給付日数に比べまして約七割程度の給付日数ということになっておるわけでございます。
 これは、おっしゃるような保険原理といいますか、財政との関係もありますし、また、労働市場が、求人倍率等が一般被保険者とは違う状況にあるということから設けられたものでございますが、今後、お話のありましたように、短時間労働者の労働市場というものがますます大きくなり、また重要になってくる、そういう中で、求人倍率等々も変化をしつつありますし、また、それ以上に、そういう重要な方々に対する雇用保険法上の処遇というものも考えていかなきゃならぬという観点から、今回の改正案におきましては、おおむね一般被保険者であった方々の八割程度の給付日数に、一般の労働者の所定給付日数との差を縮小するという方向で策定をさせていただいております。ぜひ御理解を賜りたいと思います。
#10
○中桐委員 今の政務次官の御答弁によりますと、七割程度の格差から八割程度に縮小したということでございますので、その点については、これからの労働市場において短時間労働に従事するという働き方を選択する方々のために十分配慮をされたというふうに考えますが、一つは、これから時間がある程度経過してくれば、五年以上十年、あるいはそれ以上にわたって長期に短時間労働者として勤務をする方がふえてくると思いますので、そういう方々のいわゆる失業給付の請求状況なり、有効求人倍率は最近一を超えているようでありますが、そういった状況と、失業等給付の受給等の行動について、今後経験がふえてくると思いますので、十分分析をした上で、この格差が不当な格差にならないように配慮していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思うんですが、前回の質疑のときに、大臣に私は、雇用保険三事業が事業主負担のみによって運営をされているということについて、その理由をお伺いいたしました。
 その理由によりますと、対象とする雇用対策上の課題は企業行動に起因するところが非常に多いということがあるので、事業主負担ということで財源を担保してこの三事業を運営しているというお答えであったというふうに考えます。
 この三事業については、雇用調整助成金の解説をしている、労働省の職業安定局が出版をした本の中にも紹介がございます。かつて、OECDが一九六九年から一九七二年にかけて、日本の雇用対策について検討をしたことがある、その結果について、職業安定局の「雇用調整助成金に関する詳説」という、説明をした本の中に紹介があるんです。つまり、これまで景気後退というものに対して、積極的な労働市場政策と私は呼びますが、失業の防止対策等、いわば失業者が出た場合の受動的な求職者給付、失業給付を行うということから一歩進んで、失業防止を含む積極的な雇用対策を進める必要があるけれども、日本の場合はまだそういう体制になっていないということが指摘をされたということが、これは労働省職業安定局が出版をした本の中に紹介されているんです。
 さて、前回の質疑の中で、企業行動に起因するところが多いということで三事業、つまり雇用安定、積極的労働市場政策の事業を雇用三事業として新たに拡張してきたということなんです。しかし、企業行動だけではなくて、前回の質疑の中でも、失業という状況、雇用が失われるという状況は、国の政策とも密接な関係があるので、国の財源を当然投入して失業給付等には対処してきているという答えもあったわけです。
 そういうことから考えると、いわゆる三事業は企業行動に起因するところが多いから事業主負担でという運営では、OECDも指摘しているように、日本も、これから安定的な経済成長ということになってきますと、当然、構造的失業の問題や、あるいは積極的な労働市場政策というものが求められてくる、その場合に、事業主のみの負担による三事業の財源では、これから積極的労働政策の遂行をする上で、財源に限りが出てくるだろうというふうに私は考えるわけであります。
 そういう意味で、一般財源の投入というものも含めて積極的労働政策を展開していかなきゃいけない。もちろん、三事業に含まれている事業だけでは積極的労働市場政策は不十分なわけですが、そういうことから、その辺の将来的な政府のこの点に関する姿勢というものをお伺いしたいと思います。
#11
○牧野国務大臣 ただいま御質疑のありました、国が責任を持って一般会計からやるべきではないかということにつきましては、基本的に、私自身も、そうだろう、こう考えております。
 一般会計にお願いするのは、国の責任において対処すべき施策、国民全体の共同連帯によって対処すべき施策、つまり雇用対策法等に基づく施策、その他の雇用政策のうち、基礎的、基盤的施策の予算措置、これは基本的に一般会計をもって賄うべきではないか、こう考えております。
 具体的には、そのときそのときの情勢に応じまして一般会計に要求する、こういうようにいたしております。
#12
○中桐委員 その都度要求ということでございますけれども、雇用保険というものが、いわば失業者の受動的な雇用政策から積極的な雇用政策まで含んだものとして機能するようにしていこうという方向に踏み出していると思います。
 そういう意味においては、国の負担ということからいえば、幾ら投入をしても三分の一が限度だろうという当初の設計というものも私は理解できるわけでありますが、そういう範囲内で、国の積極的労働政策における財源投入という方向、日本の経済構造を考慮しながら、そういう方向でこれからもぜひ対処していただきたい、こういうふうに思っているところであります。
 時間がございませんので、次に移りたいと思います。
 先ほどの質問との関連でございますけれども、大臣は、その都度一般財源の予算編成の中で積極的労働政策を考慮していきたいという前向きのお答えでございました。
 その中で、平成十二年度の予算によりますと、若年者雇用対策、つまり、雇用保険をまだ払っている状況ではない、雇用保険料を納める前の状態の高卒の方あるいは大卒の方の失業、構造的失業とも呼ばれておりますが、そういう失業の問題について、今回の平成十二年度の予算では七十億ほど平成十一年度よりも増額をして、百八十四億の予算を計上されております。この予算の枠が適切なのかどうかということについては、その根拠も含めてお伺いをいたしたいと思いますが、そういった若年者の対策については、これは公的財源をもって投入をするということにしないと、雇用保険三事業では対応できない問題であるというふうに思うんです。その点、この平成十二年度の予算を踏まえて、大臣の見解をお伺いいたします。
#13
○牧野国務大臣 御指摘の若年者の雇用対策費につきましては、これまでも、雇用保険三事業のみならず一般会計による財源措置を講じてきているところでございます。
 平成十二年度予算におきましても、若年者雇用対策費百八十五億円のうち、大学や高校の未就職卒業者の早期就職支援対策などにおいて一般会計により二十億円の財源措置を講じております。
 今後ともできる限り一般会計予算の確保に努めるとともに、これらの一般会計による施策と労働保険特別会計による施策を総合的かつ効果的に実施することにより、若年者雇用対策の充実には最大の努力をいたしたい、こう考えております。
#14
○中桐委員 ぜひそういう方向でお願いいたします。
 時間がありませんので、次に移ります。
 次は、これも一般財源の投入が大変重要になってくる、積極的雇用対策に入ると思います、障害者の雇用対策についてお伺いをしたいと思います。
 この労働省並びに日本障害者雇用促進協会というところで発行されておる平成十一年度版の「障害者の雇用促進のために」という冊子によりますと、平成十一年三月末現在で、公共職業安定所に求職の申し込みをしたけれども就職することができていない障害者が十一万六千人に上っている、そういうふうに記載がございます。
 障害者の雇用については、今景気が悪いという状況なので、雇用状況においては特に大きなしわ寄せがもたらされていると予想されるわけであります。そういう中で、この障害者の雇用促進というものについては、積極的労働政策の一般財源を投入してやらなければいけない重要な課題であるというふうに考えます。これは、現在の法定雇用率を達成するべく事業主に障害者の雇用を義務づけるという法律の枠内だけではこの問題はカバーできないだろうというふうに私は思っておりまして、そういう意味では、今後障害者の雇用対策について一般財源を投入しながら十分な対応をしていかなきゃいけないだろうと思うんです。
 その場合、先ほど、職を求めても就職できないというかなりまだ深刻な状況があるというふうな中で、ノーマライゼーションとの関係で雇用というものの場を拡大していくということが大変重要だと思うんですが、そういう方向へ、いわば生活支援の施策から雇用支援の方向へ重点的に政策の配慮をしていく必要があると思うんですが、労働大臣、いかがお考えでしょうか。
#15
○牧野国務大臣 平成十二年度の国の障害者雇用対策関係予算は、総額で四百九億円になっております。このうち、一般会計から五十六億円、労働保険特別会計からは三百五十三億円。このほかに、日本障害者雇用促進協会の実施する障害者雇用納付金制度に基づく事業、十二年度予算額で二百三十一億円がございます。
 このうち一般会計につきましては、前年度に比べ四億円、八・二%増となっており、具体的には、事業主団体に委託し障害者に対する職場実習及びトライアル雇用の実施を内容とする障害者緊急雇用安定プロジェクト、厚生省と連携しまして雇用支援と生活支援を一体的に提供する障害者の就業・生活支援の拠点づくり、三番目といたしまして、医療機関等と提携し精神障害者に対し就職活動に関する知識や方法を身につけさせるジョブガイダンス事業等を実施しております。
 今後ともできる限り一般会計予算の確保に努めるとともに、一般会計、労働保険特別会計、納付金制度による障害者雇用対策を総合的、効果的に実施する、このように決意いたしております。
#16
○中桐委員 それでは、最後の質問ですが、積極的労働政策の重要な要素に、教育訓練給付という新しいプロジェクトがございます。これについては国庫負担が入っていないというプロジェクトとして理解をしているんですが、時間がありませんので、一般財源を投入すべきか否かという問題については、今回の議論はパスいたしまして、次の機会に回したいと思うんです。
 ただ、この教育訓練給付が導入されて、聞くところによりますと非常に人気があるというふうなこともお聞きしておりますが、その教育訓練給付が本当に有効に機能しているんだろうかという問題がございます。その効果判定、効果測定をしっかりやっていく必要があるのではないかと思うんです。失業等給付の一つであるということで受給者の被保険者番号というのも把握できるということもあるということでございますので、それを通じて効果判定、つまり教育訓練給付を受けた者が就労に移行していけているかどうか、そういうことを評価していくべきだと思うんですが、その点についてどうお考えでしょうか、政務次官の方にお伺いします。
#17
○長勢政務次官 教育訓練給付は、平成十一年三月から支給を開始したところでございまして、大変人気もございますし、累計で十三万人に及ぶ方々が受給をされておるわけでございまして、訓練対象等も拡充を図る、この定着化をさらに進めていきたい、このように思っておるところでございます。
 先生の御指摘は、これが雇用の安定あるいは再就職の促進に有効な役割を果たしていくようにその効果を絶えず検証すべきではないか、こういうことでございまして、この給付につきましても、失業給付の一つでございますので、コンピューターでの一元的管理を行っておるところでございますから、その効果等について検討をする方策を考えることは十分可能だと思いますし、進めるべきことだと思います。
 また、あわせて、これがより有効に活用されるような指定なり、あるいはその他の方法についても検討すべき課題であろうと思っておる次第でございます。
#18
○中桐委員 ぜひしっかり評価をして、よりよい政策にしていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
#19
○赤松委員長 松本惟子君。
#20
○松本(惟)委員 私は冒頭に、最近の雇用失業情勢につきまして労働大臣にお尋ねをいたします。
 総務庁が三十一日に発表いたしました労働力調査によりますと、二月の完全失業率四・九%、これは、統計を開始いたしましてから、一九五三年以降最悪の記録になっております。このうち、倒産とかリストラなんかで非自発的失業が百十五万人で、十四万人ふえたということでございます。三月につきましては、学卒未就職者等の増加によりまして五%を超えるのではないかというふうにも言われております。
 この間、労働省といたしましてもさまざまな対策に取り組まれたわけでございますけれども、五%を超える可能性も予測されるような大変深刻な事態の中で、新たな対策が求められているのではないかと私は思いますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
#21
○牧野国務大臣 御指摘のとおり、完全失業率は四・九%という、調査を始めましてから戦後最高の失業率になっております。
 今そういう状況にありますが、政府におきましては景気対策のために最大の努力をいたしておりまして、見通しとしては明るいという方向で、決定していただきました予算を十二分に有効に使用しなきゃならない、こういう方向に行っております。
 私どもとしましては、失業率が五%を超すなんということは想像してはいけないことでありますが、そういう可能性もありますし、したがいまして、今私どもがとっております政策をいかに有効に活用して失業率を低下させるか、こういう点で、現在実施いたしております諸施策につきまして、あかんところはあかん、再検討すべきは再検討すべきだ、こういう考え方で、現在、諸政策を洗うべく事務当局に命じているところでございます。
#22
○松本(惟)委員 ありがとうございました。
 では、続きまして、雇用保険法の改正法案についてお伺いをいたします。
 改正案の大きな柱の一つは、一般求職者の求職者給付の重点化ということでございます。
 現行の給付体系を見直し、一般の離職者に対する所定給付日数と、倒産、解雇等による離職者に対する所定給付日数を分けた上で、一般の離職者に対する給付日数を全体として圧縮して、他方でいわゆる離職を余儀なくされた特定受給資格者に対しては十分な給付日数を確保する、このような内容になっております。
 具体的に給付日数を見ますと、全体の給付水準を大幅に低下させていますので、一見重点化がクローズアップされて見えますけれども、しかし、実際は、現行に比べて幾つかの年齢層で三十日がプラスされたにすぎません。
 これで果たして離職を余儀なくされた就職支援の緊要度の高い者に対する十分な給付日数というふうに言えるかどうか。諸外国の例を単純に比較することはできないといたしましても、国民生活白書の中でも、我が国の失業給付期間が他の国に比べて決して長くないことが示されております。
 重点化を図るというのであるならば、障害者等の就職困難者の給付日数を含めてもう少し引き上げないと十分な給付日数とは言えないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#23
○長勢政務次官 今般の改正におきましては、給付の重点化を図っていくということで、関係審議会における公労使三者の合意のもとに、あらかじめ時間的余裕を持って再就職の準備ができる方々については給付日数を圧縮する一方で、再就職の準備を行う時間的余裕のない状況下で離職を余儀なくされた方々には手厚い給付を行うというふうに体系を改めさせていただいておるところでございます。
 所定給付日数がもっと長くあるべきではないかという点も含めた御質問だと思いますけれども、限られた財源の中で重点化を図るということで、特に中高年層の倒産、解雇等による離職の方々に手厚い給付が行えるようにしたという点に御理解を賜りたいと思いますし、あわせて、今度の高齢者雇用安定法の改正等も含めまして、再就職の促進等により一層の充実を図ることにより、雇用保険の受給者の再就職に万全を期していきたい、このように思っております。
#24
○松本(惟)委員 お答えいただきましたけれども、私の主張は主張としてお心にとめておいていただければというふうに思います。
 次の質問でございますが、昭和四十九年の雇用保険法制定当時の資料を拝見いたしますと、現行制度のように年齢などによる就職の難易度に応じて給付日数を定めた理由として、次のように言っています。我が国の雇用慣行と労働市場の状況からすれば、就職の難易度を決する最も大きな要因は年齢であることにかんがみ、年齢を中心に所定給付日数が決められていたというふうにされております。就職困難者等個別事情によっても配慮されておりましたけれども、基本的には年齢による区分けであったと言えます。
 今般の改正は、年齢による区分けに加えて、むしろ離職を余儀なくされたかどうかという離職の事由によって重点化を図ろうとするもので、その意味では、求職者給付のあり方が根本的に変わろうとしているのではないかと私は思います。この改正の直接的な動機には、保険料の負担と給付など、先ほど述べられました雇用保険財源の問題があるといたしましても、底流には、これからの雇用保険のあり方を根本的に見直していくことにむしろ力点があるのではないかというふうに思います。
 しかし、そうであるとしたならば、求職者給付のみならず、雇用保険全体の仕組みについても見直しが必要であるのではないか。
 例えば、在職中から再就職活動を促進していくとすれば、就職促進給付について、再就職手当の日数についての技術的な見直しだけではなく、移転費とか広域求職活動費などほとんど活用されていないものがありますが、こういったものにつきましてもリニューアルが必要でしょうし、雇用保険三事業につきましても、同僚委員がさきにも幾つか述べておりましたが、能力開発についてより重点化されるような仕組みが必要ではないかというふうに私は思います。この点についての御見解を伺いたいと思います。
#25
○長勢政務次官 今回の求職者給付の見直しは、おっしゃるとおり、年齢を基本とするものから、さらに離職事由も含めた形で必要な方々に重点的に給付が行えるようにしようという観点からの見直しでございます。こういうことにあわせて、再就職手当制度等についてもより抜本的な見直しを図ったらどうか、また雇用保険三事業についても、能力開発等さらにやるべきことがあるのではないか、こういう御意見であると思います。
 再就職手当につきましては、御案内のとおり、今一応の改善を図らせていただいておるところでございますが、先生の観点もあるようでございますし、また雇用保険三事業につきまして、今後能力開発等々がもっともっと充実をしていかなければならない、効率的な制度にしていかなければならないということはおっしゃるとおりだろうと思っておりますので、今後さらに検討を進めさせていただきたいと思います。
#26
○松本(惟)委員 四十九年の改正そのものについての評価は別といたしましても、改正の思想というか基本的な考え方とか枠組みが大変明確だったように私は思います。それに比べますと、今回の改正は制度設計のちぐはぐなところがあるのではないかというふうに思うわけであります。今後、審議会等で改めて御検討されることになるでしょうけれども、述べましたようなトータルな検討に取り組んでいただきますよう、つまり、経済、雇用動向の変化に合わせた、シフトをしたような、そういったものとして体系的にしっかり取り組んでいただくようにお願いをしておきたい、そう思います。
 次の質問ですけれども、離職理由の確認について伺いたいと思います。
 事業主が作成をする離職証明書における離職事由と離職者本人の自己申告をもとに判断をするということになっておりますけれども、両者が異なった場合どうするかが問題だというふうに思います。
 この点について、さきの委員会で、客観的資料や事業主や離職者の両方の主張を吟味して慎重に判断をする、その運用について通達等でマニュアルをつくるというふうな御答弁がございました。失業給付に関することでありますから、迅速に処理をされるようにすべきだと思います。一月も二月もかかるようでは、事実上給付制限されたようなものではないかと思います。
 いつまでに判断をするのか、その歯どめはどのようにお考えになっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#27
○長勢政務次官 離職理由の判断をいつするかということでございますが、現行の給付制限についての判断におきましても、安定所の窓口におきまして、受給の手続の後、四週間以内に設定されます最初の失業の認定日に行うということを原則にいたしております。今回の改正におきましても、現行と同様に、初回の失業の認定日までに、いわゆる受給手続後少なくとも四週間以内には離職理由の判断を行うということにしたい、そういうことになるだろう、このように思っております。
#28
○松本(惟)委員 お答えのように、初回のときに判断をなさるということでございますけれども、仮にその決定に不服がある場合、通常の労働保険審査官への審査請求を行うようなことになるのかどうか、確認的に伺っておきたいと思います。
#29
○長勢政務次官 御指摘のとおりでございまして、都道府県労働局に配置をいたしております雇用保険審査官に審査請求を行っていただくということになります。
#30
○松本(惟)委員 続いてでありますが、特定受給資格者となるかどうかは離職をしている者にとっては深刻な問題だと思います。離職理由について事業主との間で主張が異なった場合の判断基準が明確でなければならないというふうに思います。そうでなければ、その取り扱いをめぐって、職安の窓口で大混乱が起こるのではないかと危惧をしているわけでございます。
 基本的には、労働者の自己申告を第一義的に尊重するというふうにすべきであると思いますけれども、この点につきましていかがでしょうか。
#31
○長勢政務次官 離職理由の確認が大変重要な問題であるということは、重々認識をいたしております。この確認に当たっては、いわゆる離職票における離職理由と離職者本人の自己申告をもとに判断をすることになりますし、また、それが異なる場合には、客観的資料を求め、両者の主張などを十分に吟味した上で慎重に判断をいたすことにいたしますけれども、その際には、離職者本人の申し立ても十分に尊重される、こういうふうな事務手続にしたい、決して不当に不利なことが生じないように、十分気をつけて適切に運用してまいりたいと考えております。
#32
○松本(惟)委員 離職者の自己申告を十分に尊重するということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、離職を余儀なくされた者の範囲についてお尋ねをいたします。
 現行法では、正当な理由のない自己都合退職について一定の給付制限が行われております。労働省の説明によりますと、大ざっぱに言いまして、正当理由があるものの六割のうち、半分くらいが定年退職等で、残りの三割が解雇、倒産等余儀なくされたものというふうになっているとのことでございました。
 その三割に一体どこまで含まれるのか。具体的には関係審議会でこれから検討されることになると思いますけれども、私は、家族的責任を有する労働者の場合について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 離職を余儀なくされた者の範囲について、法案にも例示されている、倒産、解雇その他の労働省令で定めるものということでございますけれども、当委員会における政府側の答弁を聞いていますと、例えば、時間的に余裕がなくて離職をした方、そういう意味で再就職に大変困難な方というように、時間的な余裕があるかどうかが一つのメルクマールとなっているようでございますが、そのように理解してよろしいのでしょうか。
#33
○長勢政務次官 基本的にそのような観点から考えておるところであります。
#34
○松本(惟)委員 それでは、認定基準の中の正当理由ありとされている中に、「父もしくは母の死亡等家庭の事情の急変により退職した場合」や「配偶者等と別居生活を続けることが困難となったことにより退職した場合」等があります。
 時間的に余裕がないという点では、例えば家庭事情の急変も含まれると思うのですが、どうでしょうか。
#35
○長勢政務次官 いろいろなケースもあると思われますので、その事情によって慎重に、また、関係審議会の御意見を踏まえて検討することになると思います。
 その際、先生お話しのように、家庭の事情といいますか、家庭が社会に大変重要な場であり、その家庭責任を果たすということも大変重視をすべきではないかという観点も十分傾聴に値するお考えでございますので、いろいろなケースがあると思いますが、単に家庭の事情があるからということだけではなかなか今、法の予定する基準に当たらないのではないかと思いますが、離職の実態を踏まえながら、関係審議会において十分慎重に御議論いただきたいと思います。
#36
○松本(惟)委員 政務次官のお答え、大変含蓄のあるお答えであるというふうに承っておきたいと思います。
 私は、家族的責任に対する配慮につきましては、単に個人の問題ではなくて、今日では社会的な責任があるというふうに価値観が変化をしつつあるのではないかというふうに思います。
 御承知のように、東亜ペイント事件の最高裁判決が、配転命令権の限界、乱用基準を示して以降、多くの下級審判例がございますが、この判決の判断枠組みに沿って配転命令の当否を判断しております。
 最高裁判決は、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に労働者の生活に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制限に行使することができるものではなく、これを乱用することの許されないことは言うまでもないとしつつも、その乱用の判断基準については、労働者に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利乱用になるものではないと述べております。
 その後の幾つかの下級審の判断もおおむねこの判決にのっとったものですが、例えば大阪地裁決定では、七十歳の病弱の母親がおり、その面倒を見る必要があった事情が考慮されて、転勤命令は乱用に当たると判断をされております。
 ことしの一月ですけれども、ケンウッド事件というのがありまして、その最高裁判決も同様の考え方に立ってはいますけれども、未就学児を持つ労働者の現実に置かれている立場に十分な配慮が必要だという裁判官の補足意見が添付をされております。
 つまり、今までは特にひどい事例について権利の乱用となるとしてきましたけれども、それ以外につきましても、労働者の家庭責任に対する配慮が必要であるというように、考え方に変化が見られているのではないかと私は思います。
 もう一つ指摘をしておきたい点がございます。御承知のように、一九八一年に採択されましたILOの百五十六号条約は、ジェンダーフリーの立場から、育児、保育、介護といった家庭責任を負う労働者が労働生活と家庭生活との調和を図るような措置を講ずることを求めました。これを受けて、我が国でも、九一年に男女労働者を対象とする育児休業法が制定をされまして、さらに、九五年には同法の改正として育児・介護休業法が制定をされました。
 政務次官が同法の制定に御尽力されていたことはよく承知をいたしておりますし、私の申し上げることにつきまして同感いただけるかと思いますけれども、同法の制定は、家族的責任による休業が日本の労働契約法制の中に初めて持ち込まれたという意味で、私は、画期的な意義があったというふうに思っております。
 今や、労働関係も、育児や介護など家庭責任との両立のあり方と無関係には成立し得ないのです。男女共同参画基本法の中にも指摘されているように、今日、女性が男性と平等に職場に進出できる条件を充実させる必要があるとともに、男女平等で家庭、社会生活に参画できる条件整備が求められているわけでございます。今回の雇用保険の見直しに当たっても、このような社会の流れや労働立法の変化等について十分な配慮が必要なことは言うまでもないことだというふうに思います。
 そこで、改めてお尋ねをいたします。余儀なくされた者の範囲につきまして、今後関係審議会で審議されるわけですが、例えば、父もしくは母の死亡等家庭の事情の急変により退職した場合や、配偶者等と別居生活を続けることが困難となったことによって退職した場合、また結婚に伴う住所の変更等によって通勤不可能になったことにより退職した場合など、家族的責任を含めた家庭の事情による場合につきましても、社会的責任重視という考えに立って、時間的に余裕なく離職した者と同等に扱うことが必要と考えますが、いかがでございましょうか。
#37
○長勢政務次官 家庭責任に対する配慮を企業においても一種の社会的責任として重視をしていかなきゃならぬということは、非常に必要なことだと思いますし、今回の雇用保険法の施行に当たっても、そういう観点も踏まえて考えるべきではないかということは、先生の一つの立派なお考えだと思います。
 それにつきまして、抽象的には先ほども申し上げたとおりでございますが、今、具体的にいろいろなケースでお話しになりました。先ほど申し上げましたように、いろいろなケースがあると思いますので、また、今言われたことだけで私ここで軽々にいいとか悪いとかと言う立場にもございませんので、離職の実態等々を踏まえて、関係審議会において、先生の観点も踏まえて十分に御検討いただいて、先生の御趣旨が生かされるような方向で結論を出していただければありがたい、このように思う次第であります。
#38
○松本(惟)委員 時間が参りましたので、最後に申し上げておきたいことが二つほどございます。
 一つは、今るるお答えをいただきまして、家族的責任を持つ労働者に対する血の通った御答弁があったかと思いますが、二十一世紀、今後の雇用保険制度にふさわしいものとするための審議となりますよう、審議会の審議がそういった方向で深められますように期待をいたします。
 あわせまして、今回、育児休業、介護休業の給付金が積み増しになりまして、評価をいたすものでございますけれども、家庭と仕事の両立支援を充実させていくためには、お金の問題だけでは解決できないというふうに思います。
 そういった意味から、私、たびたびこの委員会で、大臣の所信に対しても申し上げさせていただきましたけれども、均等法の整備をして性差別禁止法の方向へ向かっていくわけですけれども、仕事と家庭の両立支援法の制定が必要ではないかというふうに思います。その際、勤務時間の短縮だとか家族看護のための休暇の制度が大変急がれているというふうに思いますので、そういった意味合いから、今後、両立支援策、両立支援法の方向に向けてお取り組みをいただきたい。
 実は御答弁いただきたかったのですが、時間が来てしまいましたので、考え方だけ述べさせていただいて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
#39
○赤松委員長 畠山健治郎君。
#40
○畠山委員 二十九日の参考人の意見等を踏まえながら、本議題について引き続きお尋ねを申し上げたいと思います。
 前回の質問で、現行法の四条の三に基づく労働大臣権限の執行実績ゼロ、この理由についていろいろとお話がありましたが、それで法が死文化されておるということが許されるわけにはまいらないかと思います。問題は、定年延長が労使関係にゆだねられて、労働者の社会的権利として法定化されていないこと、そのために大臣権限の立ち入る余地がない、そう言いたかったのではないだろうかというふうに思えてならないわけであります。
 そうであるならば、今回の年金改正も踏まえ、まず、年金支給開始年齢まで働く意思と能力のある者の雇用を保障し、そのための計画的、段階的な取り組みを促進する仕組みを確立する、こうした政策体系に転換しなければ今回の改正も有効なものとはならないのではないだろうか、そう思えてならないわけでありますが、いかがでしょうか。
#41
○牧野国務大臣 定年の引き上げ等による六十五歳までの安定した雇用の確保を計画的かつ段階的に推進していくことが重要であることは、先生今御指摘のとおりでございます。
 労働省としましては、継続雇用に関する事業主の努力義務の強化について、その実効性を確保するため、段階的な定年の引き上げを行う事業主に対する助成制度を設けるとともに、高年齢者等職業安定対策基本方針において、各企業が六十五歳までの安定した雇用の確保のための制度の整備に計画的かつ段階的に取り組む必要があることを明記し、その周知徹底に努めてまいりたい、こう考えております。
#42
○畠山委員 いろいろ議論があるところでありますが、時間がございません、先に進みます。
 前回、個別財政的観点から、負担引き上げや給付の引き下げを図ることについて、その妥当性を国民全体の租税並びに社会保障負担率の観点からお尋ねをいたしましたが、この点に関し、一九五九年、昭和三十四年の社会保障制度審議会答申は当然御案内のことと存じますが、六一年からの国民皆年金制度の発足を踏まえ、当時の審議会長は、内閣総理大臣に対しての答申でこう申し上げておるのですね。
 時代の要請に応じてその都度創設された我が国の各種社会保障制度を総合調整しつつ、全体として均衡のとれた社会保障制度の育成を図るべきだとの観点から、その給付の内容及びその水準、関係者の費用の負担能力等が十分勘案されていなければならない、こう言っておるわけであります。
 今回の諮問がこれらの点について慎重な検討を加えることもなく唐突としてやられたというふうなことにはならないのかな。とすれば、審議会の答申を軽視しているというふうに思えてならないわけでございます。この批判は、国民皆保険制度を現在の介護保険制度の発足に置きかえればそのまま現在にも当てはまるわけでありまして、これまでの答弁は、現在も生きるこの歴史的批判に対して何ら説得力がないというふうに言わなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#43
○牧野国務大臣 雇用保険制度も他の年金、医療等とともに社会保障の一部を構成しているものでございまして、全体としての国民負担を極力抑制していくべきことは非常に大切なことだ、こう考えております。
 今先生おっしゃったように、この件につきましては各般の御議論があることは十分承知いたしております。私ども、今回の改正によりまして給付について必要な見直しを行うとともに、労使の負担増を極力低く抑えることとしたものでございまして、今後とも、他の社会保障制度との関連も考えながらこの制度の適切な運営に当たらなければならない、こう考えております。
#44
○畠山委員 くどいようですが、当時の審議会長はさらにこうも言っておるのですね。失業保険法の改正については、給付内容の低下を伴うことなく、保険料率の引き下げと同時に国庫負担の割合を改めようというのであるが、このことは、一見、失業保険の後退を意味するがごとくにもとれ、これに強い反対があるのはむしろ当然とも考えられる。したがって、政府としては、給付の改悪は絶対に行わないこと、各年度において保険財政に赤字を生じた場合、従来の国庫負担率の限度まで保障する等の処置を講ずるべきであろう、こうおっしゃっておるわけであります。
 これはまた今回の改正にそのまま当てはまるのではないでしょうか。弾力条項の発動あるいはそれを超える料率引き上げが求められるような場合、国庫負担のあり方も含め、財政的見地のみに偏らず、社会保障制度全体の中で負担のあり方を検討すべきではないかと考えますが、再度の御見解を求めたいと思います。
#45
○牧野国務大臣 先ほど答弁いたしましたとおり、社会保障全体の関係からさまざまな論議がございまして、私どももそれぞれのお立場の方の御意見は十二分に尊重させていただいております。
 しかし、万般の意見がございまして、そういう意味から政労使三者集まりまして審議会で十二分に検討させていただきまして、今回の改正は今御説明いたしておりますような内容で差し当たり実施させていただきたい、こういうことでございます。
#46
○畠山委員 くどいようですが、いずれ社会保障のあるべき全体像の中で評価をしてもらわなければいけない、考えてもらわなければいけないことであろうかと思います。ぜひひとつ、今後ともこのことを忘れずに取り組みをしていただきたい、かように考えます。
 高年齢者等の再就職援助にかかわる九条から十一条、とりわけ十一条関係の改正案のみを見ますと、その実効性には疑問を持たざるを得ないと思えてなりません。これまで労働大臣は、継続雇用制度の導入、改善計画に対し、計画作成指示権、勧告権を持ちながら、何ら有効活用をなさらなかった。
 ところが、今回の再就職援助計画では、対象を四十五歳以上の中高年齢者に拡大をしておきながら、計画作成に当たっては、現行法に言う要請にとどまっております。これで果たして実効性が伴うだろうか、甚だ問題だと思わざるを得ないわけでありますが、いかがでしょうか。
#47
○牧野国務大臣 今回の改正によりまして、特に再就職援助計画につきましては、公共職業安定所長による作成要請が的確に実施されるよう、公共安定所における離職予定者の迅速的確な把握に努めてまいります。
 また、再就職援助計画制度が早期に普及し、その実効が上がるよう、事業主による再就職援助に関する指針を定めるとともに、再就職援助計画に基づき再就職活動のための休暇の付与等を行う事業主への助成措置も設けることといたした次第でございます。
#48
○畠山委員 なぜ義務規定としないのか、疑問は消えることがございません。それは、くどくど申し上げておりますように、返す返すもこの五年間、指示権、勧告権の不行使という部分が結局こういう結果にならざるを得なかったのではないだろうか、こう言わざるを得ないからでございます。
 そこでお尋ねをいたしますが、現行法による定年、解雇にかかわる援助計画の作成実績は、労働省が要請で満足するほどに計画作成が十分なされ、職安に提出されておるのかどうか、その実績、計画内容について御説明をいただきたいと思います。
#49
○長勢政務次官 現行の再就職援助計画制度の実績という御質問でございます。
 平成十一年度におきます再就職援助計画の提出事業所数は三千五百八事業所、これにより把握した離職予定者数は五万二千五百六人となっております。公共安定所におきましては、これをもとに求人情報の提供等所要の対応を図り、また事業主に対する助言ということを行っておるわけでございます。現行の制度は今回の改正制度とも若干違う面もありますので、十分かどうかというお尋ねもございましたが、今までこれに基づきまして各般の対策を講じてきたところでございます。
#50
○畠山委員 再就職援助計画の作成に関する十一条の一項に言う労働省令は、この計画作成をどのような事業所に行おうとしておるのか、また二項のそれは計画内容と手続とされておるわけでありますが、その場合、事業主はまず対象者全体の援助計画を作成し、次いで個々の労働者の援助計画を作成する、これが省令の主たる内容だと思います。
 そうしますと、職員の過半数を代表する組合などと事業主との計画作成に関する関係はどうなるのでしょうか。条文や説明を聞く限りでは、協議ではなく話し合いにすぎません。ただの話し合いでは、労働者の意思は何ら保障されないことになるのではありませんか。一方的につくられてしまう可能性があるのではないでしょうか。それで援助というふうに言えるのでしょうか。説明いただきたい。
#51
○牧野国務大臣 改正後の再就職援助計画の作成に当たりましては、その内容となる基本的事項について労働組合等の意見を聴取すべきこと及び労働者本人の求職活動に関する希望をあらかじめ聴取すべきことを省令で規定をいたす予定に現在いたしております。
 労働組合等の同意を要件とすることにつきましては、現時点で労使間のコンセンサスを得ることは困難であると考えておりますが、労働省としましては、再就職援助計画制度が適切に活用されるよう、事業主に対し、制度の趣旨の周知徹底を図るとともに、再就職援助計画の作成について必要な助言指導を行ってまいる、こういうように予定いたしております。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#52
○畠山委員 大きな疑問点でございます。ただの話し合いにすぎない手続では、この援助計画は、先般の参考人答弁でも指摘されておりますように、解雇促進計画ともなりかねません。
 確かに、解雇に当たっては四つの要件が必要となっておりますことは、判例で確立されております。しかし、この要件を満たせば解雇できることになります、逆に。しかも、その上、再就職援助計画も最終的には一方的につくることができる。こうなれば、事業主にとっては、実に都合のいい手段が法的に保障されたということにもなりかねません。
 改めてお伺いをいたしますが、このような危惧が生じないようにするためには、少なくとも援助計画作成に当たっては、労使の合意形成を図るとともに、この計画作成によって解雇が促進されることのないような適切な措置を講ずるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#53
○牧野国務大臣 再就職援助計画の作成に当たりましては、第二条の五に定める高年齢者等職業安定対策基本方針において、労使間で十分な協議が行われるよう明記いたしたい、そしてこの計画の作成により安易な解雇等が促進されることのないよう指導を徹底してまいりたい、このように考えております。
#54
○畠山委員 時間がございませんので、先を急ぎます。雇用保険の給付変更についてお尋ねをいたします。
 六十歳以上六十五歳未満の給付日数を削減し、三十歳未満と中高年失業者について三十日ふやすところにあるわけでありますが、この措置と雇用対策法とは果たして両立することになるのでしょうか。
 雇用対策法第一条は完全雇用を基本とし、そのために雇用対策基本計画を定めることとしております。これと社会保障の重要な柱である雇用保険とを重ね合わせた場合、定年と年金制度が結合していない現段階で六十歳定年の給付日数を削減することは、順序が逆ではないのかというふうに思われますが、いかがでしょう。
#55
○牧野国務大臣 今般の雇用保険法の改正は、定年退職者を含め、離職前からあらかじめ再就職の準備ができるような者に対する給付日数は圧縮させていただく一方で、中高年齢層を中心に、倒産、解雇等により離職した者には十分な給付日数が確保されるよう再構成することにより、再就職の促進を図るものでございます。
 政府としましては、雇用保険法及び高年齢者雇用安定法の改正を含め、必要な雇用対策その他の対策を講ずることにより、完全雇用という目標の達成に向けて、私どもとしては最大の努力をさせていただきたい、このように決意いたしております。
#56
○畠山委員 雇用保険はいわば掛け捨てとされておるわけでありますが、実際には被保険者期間と給付日数とはワンセットになっておるわけでありますね。
 ところが、六十歳以上六十五歳未満については被保険者期間とは関係なく給付日数が削減されるということは、この制度の基本転換ではないのかと考えられてなりません。参考人の意見でも明らかにされておりますように、定年後の再就職の難しさを直視すると、木を見て森を見ない制度変更ではないかと思われます。
 また、そうした転換が許されるならば、九十七万人にも上る世帯主たる失業者について、失業者個人のみに着目するのではなくて、その家族構成に着目した給付形態も考えられるのではないだろうかと考えますが、いかがでしょう。
#57
○牧野国務大臣 私どもも、先生のような御意見、いろいろな方々から、今回の改正に対して十二分に配慮すべきでないかという御意見もちょうだいいたしております。
 今回の改正につきましては、政労使三者による審議会において一応の決定をいただきましたので、さらに今後運用を見まして、この審議会に諮って貴重な御意見をちょうだいすることができれば、こう考えております。
#58
○畠山委員 時間がございませんので、一言だけ申し上げたいというふうに思いますが、これだけの大きな変化に激変緩和措置がなされておらないというところに、私どもはある種の不思議さえ感ずるわけでありますが、一言だけこのことについてお答えをいただきたいというふうに思います。
#59
○牧野国務大臣 御承知のとおり、現在の完全失業率は四・九%と非常に高い失業率でございまして、私どもといたしましては、その内容等も十二分に検討させていただきまして、皆さんの御要請にこたえられるように、諸制度の修正等についてはさらに検討を進めてまいりたい、こう考えております。
#60
○畠山委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。
 時間になりました。ありがとうございました。
#61
○赤松委員長 寺前巖君。
#62
○寺前委員 まず最初に、北海道の有珠山の噴火災害での雇用問題について聞きたいと思います。
 地元の職安では、巡回相談などでその周知徹底のビラを配布しておられるようです。すなわち、雇用調整助成金を本日から適用し、雇用保険のみなし措置は既に行っているという問題についてです。しかし、そのみなし措置の申し込みはただの一件もないというのが今日の実情であるだけに、実態をよく見る必要があると思います。
 自宅待機してくれと言われたが、事業主も労働者も避難所暮らしになり、それも転々と移動を余儀なくされ、お互いどこにいるのかさえわからない状態である。洞爺湖タクシーの労働者は、四月分給料は払うが、五月からは雇えないと、既に解雇を通告されているようです。最も雇用労働者の多いのが噴火口に近い温泉街だが、ホテルや旅館は立入禁止区域、再開できるかどうかはっきり言えない。
 当面は、事業主と連絡がとれずにいる労働者の場合の措置はないのだろうか。一時帰宅した人も職場がない人もいる。避難している労働者からは、このまま解雇されても離職票は出してもらえるんだろうかという不安が寄せられています。伊達市の職安分室の方も、離職票が発行されないで失業する場合が出てくることも考えられるということも言っています。その場合、何らかの措置が講じられないのか。温泉街の中小のホテルなど、避難先に賃金台帳など持ってきているかどうかの心配もあります。直近の給与明細があればよいとか、方策はないのだろうか。
 避難区域が狭くなったとはいえ、雇用労働者の多い温泉街地域の何千人もおる人々は当面戻れない状態だ、生活費にも事欠く事態になっている。どう対応されるのか、局長さん、御説明をいただきたいと思います。
#63
○渡邊政府参考人 有珠山の噴火災害に関しまして幾つかの御質問がございました。
 まず、雇用保険のみなし措置でございますけれども、事業主と連絡がとれないというふうに労働者の方から安定所に申し出があった場合には、安定所におきまして事業主と連絡をとるように努力をするということにしております。そういった努力によって基本手当の支給ができるというふうにしたいと思っております。
 また、仮に事業主の方が行方不明であるというふうなことで離職票が発行されないというケースも考えられるわけでありますが、こういった場合には、安定所長が事実確認をいたした上で速やかに離職票を交付するという措置をとりたいというふうに考えておりますし、また、賃金台帳がなくてなかなか賃金が確定できない、確認できないという場合には、労働者が保管しておられます給与明細表に基づいて安定所長が離職票を交付するという措置をとりたいというふうに考えております。
 また、雇用労働者の多い温泉街地域の避難住民の生活問題、雇用問題でございますが、被災地域において休業をやむなくされておられる、強いられております雇用労働者に対する対策といたしまして、本日から六カ月間、北海道伊達市、虻田町及び壮瞥町に所在する事業所の事業主を雇用調整助成金の対象といたしました。これによりまして、これら地域に所在する事業所の事業主が休業等の措置をとるときには雇用調整助成金が支払われるということになりまして、こういったことによって対応していきたいというふうに考えております。
#64
○寺前委員 緊急地域雇用特別交付金というのがあります。道庁でも検討しておられるようですが、今回解雇される旅館、ホテルのパートさんは六百人からおられると報道されています。同時に、こうした失業者だけではなくして、今回、農業、漁業に従事している方々が休業せざるを得ない事態になっています。ホテルに就職の決まっていた学卒者の方々もおられます。こういった方々も交付事業の対象にすることができないものだろうか。道任せにすることなく、労働省としても緊急に対応すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○渡邊政府参考人 北海道におきましては、今御指摘の観光関連労働者などにつきまして雇用就業機会の確保を図るために、緊急地域雇用特別交付金の活用について現在鋭意検討中であるというふうにお聞きをしておりますし、労働省といたしましても十分にその相談、協議に乗りたいというふうに考えております。
#66
○寺前委員 次に、雇用保険の本体問題について聞きたいと思います。
 総務庁が三月三十一日発表した労働力調査によると、二月の完全失業率は四・九%で、三百二十七万人。現行調査を始めた一九五三年以降で最悪の記録となっています。
 この二月までの一年間の完全失業者の月平均の数、一方、同じ期間の月別の雇用保険受給者の実人員の平均数はどうなっているでしょうか。
#67
○渡邊政府参考人 本年二月までの過去一年間の完全失業者の平均は三百十九万人、この期間の失業保険、雇用保険の受給者実人員の平均は百七万人というふうになっております。
#68
○寺前委員 完全失業者の約三分の一の人が雇用保険の給付を受けながら求職活動をしているという勘定になります。雇用保険財政が急速に悪化したことを理由に、今回の雇用保険法の改正は、保険料の労使折半負担分について五割増しの引き上げが行われるようです。被保険者一人当たりの年間保険料額は現行では約一万八千八百円ですが、二万八千二百円になるから、年間九千四百円も労働者負担がアップすることになります。
 そこで、三月二十九日、当委員会の参考人の陳述で、国庫負担率を引き下げてきたことが雇用保険財政悪化の原因だという発言がありました。一九九一年度以前の求職者給付の国庫負担率は二五%でした。一九九二年度からそれが引き下げられているわけですが、この九二年度から二〇〇〇年度末の予定額を含めて、この間二五%の国庫負担率を維持していたとすれば、国庫負担額は総額幾らになると計算されますか。
#69
○渡邊政府参考人 一九九一年度の国庫負担率は、御指摘のように四分の一ということでございました。この率に基づきまして、九二年度から二〇〇〇年度まで、その差額を累計いたしますと、約一兆二千億円ということになります。
#70
○寺前委員 二〇〇〇年度の雇用保険の求職者給付費を見ますと、年間二兆三千六百十七億円と書いてありました。考えてみると、今の一兆数千億円のお金というのは莫大なお金になっています。
 一九九二年度の完全失業者は、労働省資料によると百四十六万人となっているんです。それが、それ以後、三十万人ふえ、十九万人、二十二万人、九万人、十一万人、五十八万人、二十三万人と、とどまることなく年々ふえて、今日の事態になっています。
 ところが、保険財政を見ますと、九四年度百九十九億円を皮切りに赤字がずっと広がっていって、今では一兆四千八百二十八億円になっています。それにもかかわらず、この間に、国庫負担率を九二年度に二二・五%に引き下げられました。九三年度には二〇%に、さらに九八年度には一四%にも引き下げられています。
 このような雇用保険財政の運営を見ていると、大失業時代に入っていこうというのに、何の備えも国の財政からは見られないじゃないか。大臣、いかがなものでしょうか。
#71
○渡邊政府参考人 今、雇用保険の財政について御指摘がございましたが、国庫負担率を下げた時代には労使の負担率も下げるというような措置もとっていたわけでありまして、かつては給付よりも積立金の額の方が相当多いというふうな状況であったわけであります。そういった状況を踏まえて、労使の負担、国庫の負担を下げるというふうなことを行ってまいりましたが、この近年急激に、先ほど御指摘のように雇用保険の財政が悪化する、こういった状況を踏まえて、労使の負担、国庫の負担についてそれぞれアップを図るという今回の措置に至っているというふうに理解をしております。
#72
○寺前委員 毎年毎年失業者がふえてくる、予算的に見ると赤字がどんどんふえていく、そういう見通しを持ったときに国庫を減らすというようなやり方でよかったのかと私は聞いているんです。だから、これはだれが考えたってまともな財政運営にはなっていないよということを私はあえて指摘せざるを得ないと思うんです。
 総務庁の昨年二月、八月の労働力調査特別調査によると、六カ月、すなわち百八十日を超える失業者が完全失業者の四割を超えると発表しております。また、労働省の職業安定業務統計、各年十月にやりますが、それによると、一九九九年十月で、高年齢者のうち六十歳から六十四歳までの有効求人倍率というのは〇・〇六、すなわち百人のうち六人しか求人がない。一九九〇年十月時点の有効求人倍率〇・二五と比べると、格段の差になってきています。異常な就職難の時代に今日入っているというふうに言えると思うんです。
 そこで、資料配付をさせていただきましたか。資料の方をごらんいただきたいと思うわけです。
 就職難のときに一般の離職者と倒産などの理由によって何で分けなければならないのか。今日、先ほども説明したように極めて困難な就職の段階のときに、だれが好んで自己退職などするようなことが生まれるだろうか。それは、部分的にはあるかもしらないけれども、圧倒的にそういうふうに考えるわけにはいかないと思うんです。日本の雇用保険制度始まって以来、一般と倒産とによって保険の制度を変えるというのはかつてないことであるだけに、これ自身が異常だと言わなけりゃならないと思うんです。
 ところで、その資料を見てください。
 一般の離職者は、現行よりほとんど三十日から百八十日の給付日数の削減になっています。多い人では、現行より六割の給付削減の日数になります。倒産などの離職者などの場合は、若い人では三十日ぐらいの給付の改善はありますが、六十歳以上の人は、多い人で百二十日の給付削減になるのです。
 二枚目の資料を見てください。
 今回の法改正で、就職困難な人に対する個別延長給付の制度がなくなります。これを加味すると、倒産などの離職者に対する給付日数は、少ない人で三十日、多い人で百八十日の削減になります。
 局長さん、この表に誤りがありますか。
#73
○渡邊政府参考人 現行と改正案の比較は、このようになっております。
#74
○寺前委員 こう見てくると、掛金は上がるわ給付は悪くなるわ、これが今日の失業時代にふさわしい雇用保険のあり方だろうか、私は疑問に思わざるを得ないんです。大臣の見解を聞きたいと思います。
#75
○牧野国務大臣 当委員会におきまして、今先生がおっしゃったような内容を意味する御質問が何回もございました。
 私どもとしましては、具体的には、中高年齢層を中心に、倒産、解雇等により離職した者には手厚い給付を行うこと、また、定年退職者も含め、離職前からあらかじめ再就職の準備ができるような者につきましては給付日数を圧縮する、このような措置を講じたわけであります。
 これらにつきましては、実は安定審議会におきまして政労使すべてのいろいろな御意見がございましたが、ここで、当分の間こういう改正によって事態に対処しようという御決定をいただきまして、差し当たり、まずこれでやりましょう、こういうことに決定いたした次第でございます。
#76
○寺前委員 あなたは私の言っていることを少しも聞いていないと私は言わざるを得ない。大変な失業時代になっておるのに、給付が、離職を余儀なくされた人を特別優遇していると言うけれども、何も優遇していることになっていないじゃないかということをあえて今表を見せながら説明をしているのに、そんな受け取り方では、私は、今日の失業で苦しんでいる方々の期待にこたえる政治をやるということにはならないとあえて言わなければならないと思うんです。
 そこで聞きますが、現在、離職者が自発的かそうでないかによって三カ月の給付制限という措置がとられることになっています。ただし、自発的退職といっても、いろいろな事情によってやめざるを得ないことになっている人があります。そこで、職安の窓口では十九項目の認定基準に基づいて世話をしておられます。この制度は引き続き堅持されるのでしょうか。また、その結果は給付日数にも影響することになりますね。局長さんの御説明をいただきたい。
#77
○渡邊政府参考人 現行の給付制限の基準と考え方と、新しい給付日数の削減あるいは見直しということについては、その考え方を異にしおりまして、待期に関する現行の制度については現状のとおり維持をするということにしております。
#78
○寺前委員 そうすると、自発的だと思っていた人が、相談で認定基準が変わってくる、それは、今度は自発的でないというところから変わるんだから給付日数も変わる、連動するということになりますね。ならないんですか、そこはどうなんです。
#79
○渡邊政府参考人 今回の給付日数の見直しにおきます倒産、解雇といった事由にどういうものが含まれるかということにつきましては、今後関係審議会において十分議論していただきたいというふうに考えているところでありまして、必ずしも自発、非自発といったことだけではなくて、あらかじめ予見できるかどうか、そういった離職であるかどうかということをこれからは基準として判断されるというふうになりますから、従来の給付の待期ということとは必ずしも一致しないというふうに考えております。
 いずれにしましても、そこの振り分けあるいは考え方については十分な御議論がこれから必要になろうかというふうに思っております。
#80
○寺前委員 これから検討されるというのですから、本当に慎重に、今日のこの事態にふさわしい取り扱いをしていただきたいということを強く望んでおきたいと思います。
 先日、私は埼玉県の浦和職安に行ってきました。大勢の人の面前で係官と求職者の面談をやっています。そういう職安の事務所の姿ですから、面談が相談窓口でなされておりますけれども、多くの人の見えるところで行われるわけですから、これはプライバシーがどうなるんだろうかと私は不安に思いました。聞いてみると、草加でも大宮でも川口でも大同小異だというお話でした。こんな事態を放置しておいて、一方でプライバシーを守るということを言っておっても、職安自身があの体制では困るじゃないか、私はそう思いました。
 局長さんにお聞きしたい。ああいう事態をいつまでも放置するんですか。改善する準備に入っているんですか。いかがなものでしょう。
#81
○渡邊政府参考人 私どもも幾つかの職業安定所を見て回っておりますけれども、現在、大変来所者数が多くて待ち時間が長いといった問題、それから今御指摘のありましたように、相談していることが隣の方で聞こえてしまうんじゃないかといった問題、確かにあるかと思います。安定所によりましては、現在相談窓口で隣との間につい立てをつくるというふうな努力をしているところもありますが、これは各安定所に任せるのではなくて、私どもとしても、十分プライバシーの保護について配慮するように措置をしなければいけないというふうに考えているところであります。
#82
○寺前委員 ぜひ計画的に、しかも一人一人にとっては一刻も早く措置してもらわなければならない事態の内容であるだけに、積極的な措置を望みたいと思います。
 雇用保険の給付を現在受けていない完全失業者が、計算をしてみると、先ほど言いましたように、全体の三分の二になります。三月二十九日の参考人発言の中で、雇用対策法の職業転換給付金を今こそ一般離職者に発動すべきだという意見が出されていました。私も、この三分の二の人たちが、雇用保険もないのにどんなふうにして生活をしながら仕事を探すのだろうか、しかも求人が少ないということになってきているだけに、これは大変だ、考えてみたら雇用対策法の職業転換給付金を今こそ発動すべきときが来ている、そういうふうに感じました。局長さん、いかがなものでしょうか。
#83
○渡邊政府参考人 雇用保険の給付を受けていない、対象とならない求職者につきましては、今おっしゃいましたように、雇用対策法によります職業転換給付金の制度があるところであります。この制度におきましては、就職が特に困難な障害者の方、母子家庭の母等の失業者や、あるいは国の政策等によりまして離職を余儀なくされた炭鉱の離職者、本四架橋離職者等を対象にして、失業中の生活の安定を図るための給付を行っているところであります。
 こういった性格でございますから、保険の対象にならない一般の求職者全般がこの対象になるという制度ではもちろんございませんで、その中におきます特に就職困難者等について現在措置をしているということでありまして、こういった考え方は今後とも維持していくというふうに考えております。
#84
○寺前委員 私は、かつて職安局長をやっておられたところの有馬さんの「雇用対策法の解説」という本を読みました。そうしたら、その本には、雇用対策法の意義が書いてあって、完全雇用の達成のために政府の政策目標でこれをやるんだと。中身をよく読んでいくと、雇対法の十三条では、国及び都道府県は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、労働者がその有する能力に適合する職業につくことを容易にし、及び促進するために、求職者その他の労働者または事業主に対して、職業転換給付金を支給することができるとして、求職者の求職活動の促進とその生活の安定を図るための給付金を支給するということであって、何も障害者とかそういうものに絞らなければならないということは少しも指摘しておりません。速やかに完全就職に向かってやるところにこの法律の目標があるんだ、意義があるんだということを強調しておられます。
 ですから、私は、やはり先ほどの解釈ではなくして、積極的に検討してもらうように、これは大臣にお願いをしたいと思うのです。大臣いかがなものでしょう。
#85
○牧野国務大臣 先ほど渡邊局長からも答弁いたしましたとおり、雇用対策法第十三条で規定する職業転換給付金については、特にその必要がある者に対して支給することにいたしておりまして、具体的には、就職が特に困難な障害者、母子家庭の母等の失業者、あるいは国の政策等により離職を余儀なくされた炭鉱離職者、本四架橋離職者等を対象として現在支給いたしております。
 この法律がこのような趣旨の制度でありますために、給付金の支給対象は限定的なものとなっており、給付金の目的を達成するために必要な対象者に対して適切に支給してきている、こういうことでございまして、先生のお気持ちはわからせていただきますが、制度としてはこの制度で私どもは実施いたしていきたい、こう考えております。
#86
○寺前委員 あなたは私の提起している問題についてわかっていないと言わざるを得ないです。当時のことを、私は関係者の本を読んでみたのですよ。そうしたら、今適用している範疇の方向でやるなんて一言も書いてない。だから、今のこのときだからこそ適用を考えるべきだ、だから検討しなさいということを言っているんだ、だから素直に私の提起を研究してほしいと。研究もできないのですか、いかがでしょう。
#87
○牧野国務大臣 私としましては、現在の諸制度をフルに利用させていただいて努力する、それぞれの制度の趣旨を体しましてベストを尽くさせていただきたい、こう考えております。
#88
○寺前委員 研究もできないというのはちょっと異常だと言わなならぬと私は思うわ。あえて、当時の法制定のときとは今のやり方は違うよと言っているんだから、研究ぐらいされて当然じゃないんだろうか。
 最後に、もう時間が来ましたので、局長さんにお聞きしたいと思います。
 特定求職者雇用開発助成金というのがやられています。助成対象となった労働者が果たして助成期間が終わって安定的にその仕事についているんだろうか、一年たってみて、さらに経過した段階で引き続き雇用されてうまくいっている、そういうふうに言い切れるんだろうか。私の知る限り、調査をしてみると、もう後は野となれ山となれということになってきているんじゃないだろうか。この助成制度のあり方について改善を図るべきじゃないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
#89
○渡邊政府参考人 いわゆる特開金の制度ですが、これはあくまで常用就職として一年間以上というか、雇用していただくということを前提にして一年間の賃金の幾らというふうに助成をしているものでありまして、その趣旨とするところは、常用就職を図る、促進するということでございます。
 この助成金の適用につきましては、その適用状況を本省が全部とっているということではありませんけれども、例えば、一度この助成を受けられてまた次に助成を受けるという事業主については、過去の離職状況等を安定所において調査をしておりまして、離職者が多いというようなときには改善を指導し、それが達成されないときには次回からの助成を差しとめるというふうな措置をとっている例はあるというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、この助成金等々につきましては、三事業の見直しということで検討する必要があるというふうに思っておりますので、そういった検討の過程でこの問題も検討してまいりたいと思います。
#90
○寺前委員 時間が参りましたので終わりますけれども、大臣、もう一度素直に、この就職難のときです。特に、六十歳からになると百人のうち六人しかない。圧倒的な人が、今、半年以上も仕事を探して疲れています。そういうときに、掛金は上がるわ給付は下がるわでは、今の時代にふさわしい制度だなと言うわけにいかない。あなたの大臣のときにそういう改悪をするんですから、私は、あえて忠告を申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#91
○赤松委員長 鍵田節哉君。
#92
○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。
 本会議の質疑、また委員会質疑、参考人質疑などたくさんの質疑が出てまいりまして、議論もかなり深まってまいったというふうに思います。しかし、これから施行に向けまして、さらに中職審などの議論を経て省令などもつくられ、よりこの法律の実効性を上げるための準備がされていくわけでございますので、今まで議論をされました幾つかの点で、これから深めてまいらなくてはならないそういう準備のための議論の参考にするために、確認の質問を何点かさせていただきたい。
 まず、雇用保険関係で三点御質問をいたします。
 企業によりましては、希望退職の募集という方法でリストラを進めるところがあるわけですけれども、このような希望退職の募集は、企業が限られた募集期間内に整理要員数を定めあるいは特定の者に働きかけて応募させるといったことが実態であります。仮に労働者が自主的に応募することになったとしても離職を余儀なくされた者として取り扱うべきではないかということにつきまして、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
#93
○牧野国務大臣 いわゆる希望退職の募集は、時限的な措置として退職金の割り増し等を併用しつつ定年前に退職する者を募る、こういう制度でございますが、離職後の再就職のための十分な準備を行えない中で労働者がこれに応募することが多くございまして、実情を考慮するならば、このような者は離職を余儀なくされた者として解雇により離職した者と同様に扱うことが適当である、こう考えております。
#94
○鍵田委員 それでは、二番目でございますが、いわゆる早期退職優遇制度は恒久的な措置として運用されているのが実態でありますが、一般的に制度を利用して退職した者が離職を余儀なくされた者とはならないというふうに考えております。ただし、名称は早期退職優遇制度であっても、募集期間を限定したり、整理要員数を定めあるいは特定の者に働きかけて応募させるなど、その運用実態が希望退職であるという場合には、これを利用して退職した者は希望退職に応募した者と同様に取り扱うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#95
○牧野国務大臣 先生の御指摘、お考えと同じように考えております。
#96
○鍵田委員 それでは次に、特に冷遇や排斥、いわゆるいじめなどがあったことにより退職した者を離職を余儀なくされた者として取り扱うこととした場合、冷遇、排斥といった事実そのものについて、事業主と離職者本人との主張が異なる場合があり得ますが、このような場合には、弱い立場にある労働者側の言い分を十分に尊重するような措置を講ずべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#97
○牧野国務大臣 事業主と離職者本人との主張が異なる場合には、できる限り客観的な判定が行えるよう、職場関係の資料や証言を収集するとともに、離職者本人の申し立ても改めて聴取する、このような手続を講ずることにより適切に対処してまいりたい、こう考えております。
#98
○鍵田委員 次に、高齢者雇用の関係について四点質問をいたします。
 まず最初に、高齢法第四条の二の改正の趣旨は、定年の引き上げ、希望する者全員を対象とする継続雇用制度の導入または改善の促進であると考えてよろしいでしょうか。
 また、例えばこれらの措置の義務化など、さらに前向きな対応を検討すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#99
○牧野国務大臣 高齢法第四条の二の改正は、定年の引き上げ及び希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入または改善の促進を基本とするものでございまして、労働省としても、これらの措置の促進に特に重点を置いてまいります。
 また、今後の高齢者雇用対策の実施状況を踏まえつつ、六十五歳までの安定した雇用の確保のための施策の充実強化に努めてまいりたい、こう考えております。
#100
○鍵田委員 次に、定年退職者を対象とする再就職援助については、定年の引き上げや希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入の努力がなされたにもかかわらず、これが困難な場合とられるべき次善の措置として位置づけて対応すべきだと考えますけれども、これについていかがでしょうか。
#101
○牧野国務大臣 中高年齢者の雇用の安定の確保につきましては、その経験や知識等を生かして継続雇用の促進が基本となる、こう考えられております。しかし、これが困難な場合には、できる限り失業を経ない円滑な労働移動が実現されるよう、再就職援助対策の強化が不可欠である、このように考えております。
#102
○鍵田委員 再就職援助計画の作成とか交付などにつきましては、その内容や手続が安易なリストラを促進することのないよう、事業主が行う援助のうち、労働者に共通する基本的な事項については、労働組合や労働者代表の適切な関与が行われることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、再就職援助計画の内容に労働者本人の希望を強く反映させるべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
#103
○牧野国務大臣 事業主が講ずる再就職援助措置のうち、労働者に共通する基本的な事項につきましては、労使間で十分な協議が行われるよう、また、再就職援助計画の作成に当たっては、あらかじめ労働者本人の希望を聴取するよう、関係手続の明確化を図りたい、こう考えております。
#104
○鍵田委員 最後に、中高年齢者の厳しい雇用情勢にかんがみれば、中高年齢者に対する求人の確保が重要であります。民間職業紹介事業所などの協力も得まして、募集時における年齢制限の緩和に向けた指導や啓発を強化するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#105
○牧野国務大臣 中高年齢者に対する求人確保は極めて重要な課題である、このように考えておりまして、民間職業紹介事業所等の協力も求めつつ、求人の年齢制限の緩和に向けた指導、啓発につきましても最大の努力をいたしたい、こう考えております。
#106
○鍵田委員 以上、お聞きをしまして大臣からお答えいただきましたが、そういう姿勢で今後の中職審の審議、さらには省令づくりに向けて努力をしていただきたいということを申し添えまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#107
○赤松委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#108
○赤松委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、雇用保険法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
#109
○大森委員 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、失業手当の給付日数が大幅に削減されることであります。
 今日の雇用失業情勢は、これまでの自民党あるいは自自公連立政権の失政によって、失業者は戦後最悪の四・九%、三百万人を大きく超えるに至っています。しかも、再就職までの失業期間もますます長期化しており、とりわけ高年齢者への求人倍率は極端に低く、失業期間六カ月以上が六割に達しています。今でも失業給付の受給期間を終わっても再就職ができず、一たん失業すれば、それは社会的死を宣告されるという実態であります。
 このような状況があることを知りながら、給付日数を三百日から百八十日に、実に四カ月分も切り縮めることは到底認められるものではありません。失業者の茶わんをたたき落とすような法改悪は、人道上からも許されるものではありません。
 この改悪によって、失業者は生活と再就職活動の保障を脅かされ、本人の能力と意思に反して劣悪な労働条件の再就職を強制されることになります。これは憲法で保障された職業選択の自由を大きく侵害し、労働条件の下降移動を保険制度の面から強要することになるのです。
 第二の反対理由は、失業の理由によって給付に差別を持ち込むことであります。
 今日の失業情勢のもとでは、倒産や解雇による失業であろうとその他の事情による失業であろうと、再就職の困難さに違いはありません。にもかかわらず、定年や転職希望の失業者に対しては、自己都合退職者として給付を大幅に削減する差別を持ち込むことは認められません。
 高年者雇用安定法によるたかだか三十日分の再就職支援措置をもってしても、四カ月の差別をつける代替措置にはなり得ないのであります。
 今より少しでもよい賃金や労働条件のところへ転職しようとすることは、憲法に保障された幸福追求の権利であります。この国民の基本的権利を敵視し、自己都合退職者の烙印を押しつけ、現行の三カ月の給付制限に加え、さらに経済的に制裁を加えるという給付日数の削減は到底認めることができません。
 第三の反対理由は、保険料の引き上げであります。
 バブル崩壊後、失業者が増加していたにもかかわらず、財政改革法などによって雇用保険会計への国庫からの繰り入れを、それまでの二五%から一四%までに引き下げたのは政府であります。今日の雇用保険会計の窮迫はまさに政府の責任そのものであります。その政府責任を棚に上げ、労働者への五千億円の給付削減に加え、四千億円もの負担増を強いることは到底認められるものではありません。
 以上述べましたように、今回の法改悪は、労働者に給付の大幅削減と保険料の引き上げのしわ寄せを行うことによって雇用保険財政の再建を行おうとするものであります。
 今必要なことは、給付期間の延長、また、これ以上失業者をふやさないために解雇規制法の制定、そして雇用を拡大するためサービス残業を根絶することなのであります。
 以上のことを要求して、反対討論を終わります。
#110
○赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#111
○赤松委員長 これより採決に入ります。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#112
○赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#113
○赤松委員長 この際、本案に対し、城島正光君外七名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合並びに土屋品子君及び藤波孝生君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。城島正光君。
#114
○城島委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、今回の法改正が一般の離職者に対する求職者給付の給付日数の圧縮等、雇用労働者に重大な影響を及ぼす内容を含むものであること等にかんがみ、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
 一 政府は、今後とも、保険当事者の参画を促進しつつ、セーフティネットとしての雇用保険の健全運営の確保に万全を期するとともに、雇用失業情勢の変化に機動的に対応した雇用対策の充実強化に努めること。
 二 倒産、解雇等による離職者として手厚い所定給付日数の対象となる者の具体的範囲を定めるに当たっては、離職の実態を十分踏まえつつ、中央職業安定審議会において明確な判断基準を示し、その周知徹底を図るとともに、運用に当たっては客観的事実と離職者本人の申立に基づき、明確かつ合理的な判断を行うこと。
 三 雇用就業形態の多様化に対応するため、パート、派遣労働者について年収要件等に係る適用基準を見直すなどし、その周知徹底を図るとともに、労働保険事務組合等を活用しつつ、一層の加入促進に努めること。
 四 離職を余儀なくされた中高年齢者を中心に民間教育訓練機関への委託を含め多様な教育訓練機会の提供に努めるとともに、教育訓練給付制度の充実や訓練延長給付制度の訓練内容の充実等により、その効果的な活用が図られるように努めること。
 五 今般の給付体系の見直しに関連し、六十五歳までの安定した雇用の確保、中高年齢者の再就職の援助・促進等が着実に図られるよう万全の配慮を行うこと。
 六 雇用保険三事業の各種給付金等について、その実効性を検証の上、政策目的の重点化を図りつつ、整理合理化に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#115
○赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#116
○赤松委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#117
○赤松委員長 次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#118
○赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#119
○赤松委員長 この際、本案に対し、能勢和子君外八名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、日本共産党、保守党、自由党、社会民主党・市民連合並びに土屋品子君及び藤波孝生君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。能勢和子君。
#120
○能勢委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  急激な高齢化の進展の中で、高年齢者の雇用就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
 一 高年齢者等職業安定対策基本方針策定に当たっては、雇用と年金との接続の確保に特に配慮し、企業における六十五歳までの安定した雇用の確保のための制度の整備、定年、解雇等により離職する中高年齢者の円滑な再就職の実現等に向けた実効ある内容を定めるよう努めること。
 二 企業において、高齢化や年金制度の状況等を踏まえた定年の引上げや継続雇用制度の導入、職域開発、再就職援助等が促進されるよう、高年齢者等職業安定対策基本方針の周知徹底に努めること。
 三 高年齢者の雇用の実情について、毎年度定期的な把握を行うとともに、これを踏まえ、六十五歳までの雇用の安定の確保を図るため、事業主への援助の強化を図るとともに、助成金制度等の見直しについても必要な検討を行うこと。
 四 中高年齢者に対する求人の増大を図る観点から、求人の年齢制限については民間の職業紹介事業者の協力も得つつ、その緩和指導を強化すること。
 五 厳しい雇用環境の下にある中高年齢者の雇用の安定を確保するため、在職中の労働者に対する相談活動についての機能強化を含め、職業指導、事業主指導に必要な公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#121
○赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#122
○赤松委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、両附帯決議に対し、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。牧野労働大臣。
#123
○牧野国務大臣 ただいま御決議のありました両法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#124
○赤松委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#126
○赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十五分散会

ソース: 国立国会図書館
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