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1950/12/03 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会人事委員会文部委員会労働委員会連合審査会 第2号
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1950/12/03 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会人事委員会文部委員会労働委員会連合審査会 第2号

#1
第009回国会 地方行政委員会人事委員会文部委員会労働委員会連合審査会 第2号
昭和二十五年十二月三日(日曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
  地方行政委員会
   委員長 前尾繁三郎君
   理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君
   理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君
   理事 門司  亮君
      池見 茂隆君    大泉 寛三君
      川本 末治君    清水 逸平君
      田中  元君    吉田吉太郎君
      床次 徳二君    山手 滿男君
      大矢 省三君    久保田鶴松君
      木村  榮君    立花 敏男君
  人事委員会
   委員長 田中伊三次君
   理事 松澤 兼人君
      石田 博英君    小澤佐重喜君
      藤井 平治君    益谷 秀次君
      松永 佛骨君    中曽根康弘君
      八百板 正君    加藤  充君
  文部委員会
   委員長 長野 長廣君
   理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君
   理事 圓谷 光衞君
      坂田 道太君    佐藤 重遠君
      高木  章君    玉置 信一君
      若林 義孝君    笹森 順造君
      志賀健次郎君    坂本 泰良君
      浦口 鉄男君
  労働委員会
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 島田 末信君 理事 福永 健司君
   理事 吉武 惠市君 理事 赤松  勇君
      佐藤 親弘君    篠田 弘作君
      船越  弘君    松野 頼三君
      江崎 一治君    今野 武雄君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 大橋 武夫君
 出席政府委員
        人事院総裁   淺井  清君
        地方自治政務次
        官       小野  哲君
        総理府事務官
        (地方自治庁次
        長)      鈴木 俊一君
        総理府事務官
        (地方自治庁公
        務員課長)   藤井 貞夫君
 委員外の出席者
        地方行政委員会
        專門員     有松  昇君
        地方行政委員会
        專門員     長橋 茂男君
        人事委員会專門
        員       安倍 三郎君
        文部委員会專門
        員      横田重左衞門君
        文部委員会專門
        員       石井つとむ君
        労働委員会專門
        員       横大路俊一君
        労働委員会專門
        員       濱口金一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方公務員法案(内閣提出第一号)
    ―――――――――――――
#2
○前尾委員長 これより地方行政、人事、文部、労働各委員会連合審査会を開会いたします。
    〔「異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
#3
○前尾委員長 昨日に引続き地方公務員法案を議題とし、質疑を続行いたします。今野武男君。
#4
○今野委員 大橋法務総裁が急いでおられるようだから、先にお伺いいたします。実は私はこの間人事委員会に出席しておりまして、特別職の号俸を今度切下げるということについての問答があつたわけでありますが、その際社会党の成田委員からの質問に対して菅野官房副長官は、警察官その他は勤務時間が今まで多かつたけれども少くなつた。それは何ゆえかと言えば治安が良好になつたからだ、こういうような答えがあつたのです。それで非常に疑問が起つたわけですが、大橋法務総裁はやはり治安が良好になつたとお認めになつているかどうか、その点を最初にお伺いいたしたいと思います。
#5
○大橋国務大臣 治安の状態につきましては、昨年は御承知の通り平事件、広島事件あるいは国鉄ストその他全国的に非常に大規模な騒擾その他の事件がありまして、天下の耳目を聳動いたした次第でありますが、本年はさような非常に大がかりな事件というものは、今のところ発生いたしておりません。しかしながら各地において特に朝鮮事変勃発以来反戦、反米的な不法な行為等がございまして、警察官としては、これに対して相当の力を割かなければならぬような状態に相なつております。従いまして、警察官の勤務時間としては、昨年に比較して最近の実情は、ふえてこそおれ、決して減少というようなことはないのであります。しかしただ菅野副長官がいかなることを人事委員会において申されましたかは、私存じておりませんけれども、警察官の号俸が従来一般の国家会務員に比較して四号、五号くらい高くなつておつた。それをこのたびの給與の改正にあたつては、その高い程度を従来の半分程度の号俸に切り下げたということは事実であります。そしてこれは警察官の勤務時間が減つたからという理由ではなくて、一般公務員の勤務時間が最近ふえて来ておりますので、これに比較すると絶対的には減少いたしておりませんが、他の一般公務員に比較して総体的に減つている。他の公務員の方が非常にふえて来ている。その割合から言うと、警察官の勤務時間はそうふえておらぬ。さような実情を勘案いたしまして、警察官の号俸の引上げの率というものを、一般の公務員よりも引下げられた次第であります。
#6
○立花委員 法務総裁のお答えの中に朝鮮事変以来、反戦的な不法行為とおつしやつたのですが、反戦的な不法行為というものは、私どもは納得できないのです。御承知のように日本の憲法では戦争を放棄しております。進駐軍が日本に参つておりますのも、日本を平和な国にし、日本から軍事的、専制的なものを拂拭するために来ている。反戦というのは不法というふうには受取れないのですが、具体的にどういうことを法務総裁は反戦とおつしやいますか。
#7
○大橋国務大臣 これは私ども平常使つておりまする職業的な用語を用いましたので、あるいは御了解を願えなかつたかもしれませんが、反占領軍的なという意味を、上の二字に省略したわけであります。
#8
○立花委員 これは重大な問題でございまして、占領軍の占と戦争の戦とは違うのですが、この点どうですか。
#9
○大橋国務大臣 ですからさつきも申し上げました通り、われわれの平常使つている職業語を申し上げたので、それでおわかりにくかつた点はまことに恐縮であります。反占の占は占領軍の占の字を書いております。
#10
○立花委員 私たくさん文書を見ましたし、新聞も毎日読んでおりますが、占領軍の占という字を書いた反占は見たことはない。そういう新しい言葉があるのでしようか。職業語としても私ども聞いたことはありません。
#11
○大橋国務大臣 これはあなたの職業と違いまして、私どもの職業でございます。
#12
○立花委員 私どもの職業は、国会議員としての仕事なのですが、今まで国会の文書を見ましたも、いろいろな日本の文書を見ましても、あなたのいうような反占というのは見たことはないのであります。あなたの方で実際お使いになつている文書を出して見てください。それがあるかどうか…。
#13
○大橋国務大臣 私の申し上げた反占というのは、反占領軍の意味を上の二字に略して用いているので、それ以上私は申し上げる必要はないと思います。
#14
○立花委員 戦争の戦の字を書いた反戦のビラなどで非常に地方で検挙投獄出されているわけですがこういう問題はどうお考えになりますか。
#15
○大橋国務大臣 占領軍に反対するようなビラは、反占領軍的行為として、私が先ほど申し上げました反占に該当するわけであります。
#16
○立花委員 そうすると戦争反対のビラは、これは反占領軍的じやないのでございますか、その点お伺いいたします。
#17
○大橋国務大臣 戦争反対のビラが反占領軍的な意図を持つて出された場合におきましては、これは反占領軍的な行為と相なります。
#18
○立花委員 そうしたら反占領軍的意図でなしの反戦のビラはいいわけでございますか。
#19
○大橋国務大臣 そのビラの内容、また本人のいろいろな情状等から、反占領軍的意図がまつたくなく、いわゆる戦争に反対するというだけならば、これは別にどういうことはなかろうと思います。
#20
○立花委員 実際地方ではあなたの言うような意味でも解釈されておりませんし、またあなたの言うような意味でも実際の検挙なり何なりは行われていないわけです。この点もしあなたの言うようなお考え方がほんとうならば、もつと事実をつきとめていただきたい。たとえば今観念的に二つおわけになつたのですが、それを具体的な事例でひとつおわけ願いたい。どういう場合、こうこうこういう場合は反占領軍的であるが、こういう場合は反戦争的なんだという点を、具体的な事例で示していただかないと、問題がデリケートで複雑で、私どもは初めて聞くのでわかりませんから、その点をひとつ詳細にお聞かせ願いたいと思います。
#21
○前尾委員長 立花君、ちよつと議題から遠ざかつておるようですが……。
#22
○立花委員 いやこれは私どもの方としては非常に大問題です。
#23
○前尾委員長 大問題は大問題ですが、議題と遠ざかつておるようです。
#24
○立花委員 議題と関連があるということを言つておるのです。私どもはたとい国家公務員でありましても、憲法の精神にのつとつて仕事をして行かなければなりませんし、日常の生活もおのずからその線で規制されるのです。ところが地方公務員法によりますと、上からの命令に従わなければいけませんし、上からの祕密を守らなければいけないという重大な規定があるわけであります。その際に何が一体違法行為なのか、何がほんとうに違憲的なのかという基準をはつきりしておきませんと、一々の職務をいたします上に非常に重大な影響がありますので、この点は地方公務員にとりましては関係するところが非常に大きいと思いまして、お尋ねしておくわけであります。
#25
○大橋国務大臣 具体的な実例につきましてお尋ねがあればお答えいたします。
#26
○立花委員 具体的な例につきまして、たとえばこの前の国会におきましては、国連軍に対する協力などは商行為であつて、これはこちらの気に入らない場合は断つてもいいのだというようなことがございましたが、最近の情勢になつて参りますと、たとえば輸送の問題とか、あるいは雇用の問題とか、こういう問題で、これは朝鮮事変と非常に大きな結ばれのあるものであるから、われわれはこういう問題には一切干渉しない方がいいだろう、そういうことでビラをまきますと、これが反戦ビラとなるのです。これはおそらく商行為と言われます以上は、われわれは当然主張すべき権利だと思つてやつているわけですが、最近ではこれらの行為が反戦運動として、反戦ビラとしてやられているわけですが、これがはたして反占領軍的かどうか、その線のところをひとつ明らかにしてもらいたい。
#27
○大橋国務大臣 朝鮮事変に関連して、あるいはたまたまその時期にあたりまして、占領軍が日本国内におきましていろいろな物資の調達をいたしております。この物資の調達につきましては純然たる商行為として観念すべきものと、また占領軍の占領政策とじて調達されるものとあるわけであります。この占領軍の占領政策の遂行のために調達されるという形をとつて調達されておりまする場合、これを妨害する行為は明らかに反占領軍的な目的を有するものと、かように取扱わざるを得ない次第であります。
#28
○加藤(充)委員 ちよつと今のところで関連して……。
#29
○前尾委員長 今野君に継続してやつていただきたいのですが、それでは加藤君。
#30
○加藤(充)委員 これは前からお断りいたしますが、本連合審査会は地方公務員法の内容について、しかもそれと関連のある事項についてだけの質疑を愼重に重ねるところだとは、発言者もよく心得ているのです。そういう意味の関連において、一点関連質問をいたしたいと思うのであります。
 先日来問題になつておりまする地方公務員法案の内容である罰則規定と、重大な関連があるものでありますが、先ほど何か戦争の戦と占領の占との詮議立てが行われていたようでありますが、それについて意図があれば処罰する、こう言われたのですが、意図というものは、ただ心理的な状態だけでこれを意図と言うことができるかどうか、それと関連して質問いたします。大橋法務総裁の発言の中にも例示されておつたようでありますが、神戸の朝鮮人の集団事件、あの新聞の報道のような事件が発起いたしました。そこでお尋ねいたしますが、大体朝鮮人は最近国内の少数民族としてその施策が至つて不十分であり、不親切であり、苛烈苛酷でありますために、まじめな生活の方途がないのでございます。税金だけはとられておりますけれども、保護施策というものはない。納税の義務の追求だけの対象になつておりまして、しかも資金がなくて生業にはつけない。あるいは経営からは就業をロックアウトされているというような問題が起きております。これは戦争以前のできごとで、新憲法以前の問題でありますから、事例やや妥当を欠くとも思いますけれども、しかし本質は同じであります。というのは今までそういうふうですから、戦争中の植民地民族としての取扱いを受けた朝鮮人が、日本の政府の政策、政治のやり方に対して不満を持つていたのは当然であります。不満はないはずだというようなことはおかしいのでありまして、不満を持つのは当然であります。あの当時、御承知のように惡名高き治安維持法というものがございまして、政府に対する一切の不満、朝鮮人が当然持つ経済的な不満すらが、国体の変革というような治安維持法の題目に該当するもの、だといつて、強制的な、むりな思想を受けておつたのであります。私自身が参加いたしました事件につきましても、弁護人としてでありまするけれども、一審においては、朝鮮人の先ほど申しましたような一般的不満が、治安維持法に該当するということをいくら陳弁しても、いくらしからずと言つても有罪の判決を受けましたが、控訴におきましてそれは正しく是正されました。珍しい判決だと思つておりまするし、裁判官は実に偉いと思いますけれども、とうとう無罪ということになつたのであります。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)それで最後に質問の点になるのですが、朝鮮人のそういう問題は今でも続けられておりますので、あの朝鮮人の騒擾などにつきまして、これは反占領軍的な行為であるとか、あるいはいずれにしても好ましくないというようなやり方は、非常に無責任きわまる、他人を責めるに嚴重な一方的な見解でありそういうふうな捜査方針は本質を見誤つたやり方である。私が指摘例示いたしました戦前のあの朝鮮人の待遇とまつたく同じだと思うのでありますが、朝鮮人のこのたびの事件は、大体本質も見ずに、少数民族の取扱い方ということに嚴重なる反省を加え、嚴罰に処するということは、大橋法務総裁も言われましたようでありますけれども、あの二十七日の前日の二十五、六日ごろに、神戸地方検察庁の湯川という検事は、朝鮮人だから嚴罰に処するというような、朝鮮人一般の必要以上の不平不満、反撃を挑発したような言辞を一般的に述べておるのであります。そういう意味合いにおきまして、違法があれば処罰するというようなことと関連いたしまして、その点を今少し明確に御答弁を願い、同時にその中に新しい時代の法務総裁としての大橋君のせめてもの責任ある御回答と決意を、私はお伺いしたいと思います。
#31
○大橋国務大臣 これこれの意図に基いてやつた場合に罰する、こういうふうなことを私が申し上げましたが、それは單にさような意図が心理的な状態としてあるということを外部から一方的に推測することによつて、その意図に基く責任を問うという趣旨でないことはもちろんでございます。これらの意図が遂行的な行為によりまして客観的に表現せられましたる場合に、かくかくの意図に基いてこの行為をやつたものだ、こう断定する、しかもこれは証拠によつて断定しなければならぬものであることはもとよりでございます。しかして神戸の一検察官が、朝鮮人の所業であるから、これは嚴罰するというようなことを申されたように言われておりますが、はたしてさような事実があつたか取調べてみたいと思いますが、私がこのたびの事件について嚴罰の方針を持つて捜査をしろ、こういう命令を出しておりまする理由は、民族のいかんという問題ではなく、事案の性質上各地に伝播し、あるいは今後も計画的に行われるというようなことを、推測するに十分なる理由ありと思料いたしまして、これに対しましては民族のいかんにかかわらず、また行為者のいかんにかかわらず、事案の性質上これを嚴重に処断すべきものである、かように申し上げた次第でございます。
#32
○加藤(充)委員 一応言葉はわかつたのですが、実際上はこれは往々にしてむずかしいことであり、しかも従来の実例から行くと、大橋総裁などはそのチャンピオンで、ルールを違反して踏み込むことが多いようであります。そういうような法律の適用の問題は実にむずかしいということで、世界の今までの実例からいろいろ憂慮されておるのであります。私はオバー法というような法律について、これはアメリカのメリーランド州の州法らしいですが、これはアメリカの実例で、大橋さんの方が詳しいでしようから、指摘があつたら、私の思い過しは訂正しますけれども、このオバー法についても、一九四九年七月に州巡回裁判所のジヨセフ・シャーボーという判事は、法律は災害に関する明白、重大かつ緊急の危險のおそれある行為を処罰し得ることとなつておつて、思想、宗教的信念または政治的意見の領分に踏み込んではいけないのである。法は明白なる行動を罰するが、思想は罰しないのであると言つております。これは大橋総裁の答弁と同じように、言葉自体は非常に簡單でありまするけれども、先ほど発言者が指摘しましたように、これの適用はむずかしいものであるということを指摘しておると思います。また北米の最高裁判所のロバート・ジャクソンという判事が、これもアメリカの例ですから大橋さんの方が詳しいかもしれませんが、いかなる世にも政治、民族、主義、宗教、その他の意見に関する事項において、何が正当であるかを決定することはできないし、また市民を強制して言語または行為により、彼らの信念を克服せしめることはできない。しかるにもかかわらず往々にしていろいろ危惧されておりまするような法律ないしは地方公務員法あるいは国家公務員法にすでに盛り込まれましたこういうような罰則規定については、まさしくアメリカにおいてすら有識者あるいは裁判所関係の、今例示したような諸氏が憂慮しておりまするように、非常に適用のむずかしいところがある。濫用であり、圧制であり、まさしく民主主義を蹂躙するような方向に持つて行つてしまう。こういうようなことになることを指摘しておると思うのでありますが、今申し上げましたような事例について、大橋法務総裁の博学な点から、この指摘が間違つておれば、御反撥なりあるいは指摘されましたような事例があるということでありますれば、その発言に関連いたしまして、最後に大橋総裁の御所見を承つておきたいと思います。関連質問は今のところこれで終ります。
#33
○大橋国務大臣 罰則の適用につきましては、これを運用して刑罰を科する、また裁判その他の手続をとるというような場合にあたりまして、注意すべきいろいろな事項につきまして、加藤君の今お述べになりました点は、私もまつたく同感であります。今後さような線に沿うて検察を生かして参るべきであると考えております。
#34
○今野委員 さきの大橋総裁のお答えに対していろいろ問題がある思いますが、一つ一つ片づけて行きます。今お話になりましたことは重大問題です。たとえば戦争に反対する、あるいは平和を守れというビラをたれかの手によつて町に張つたとする。そうすると、今のように推測でこれが占領軍を誹謗する目的で張つたんだということになりますと、心から平和を願い、心から戦争の惨害を身に感じて、それではどうにもならぬと考えている人たちが、そういう行動をした場合に、これはそういう人をみなひつくくるということになると思う。それじや検察力はいくらあつても足らない。日本人はみな戦争に心から反対なんだ。ですから戦争の危險が身に迫まれば迫るほどそういう事例は多くなると思う。さつきの大橋総裁のお答えの、最近反戦的な不法行為が多くなつて来たという言葉の中にも、こういう戦争が身に迫つて来たということが出て来ておると思う。その点はつきりしてもらわぬと困ると思う。どこまでが限界か、さつきの話ではさつぱりわからない。この点もう一度はつきりしていただきたい。
#35
○大橋国務大臣 占領軍に対し反抗し、あるいは占領に対し妨害しようというような意図が、その行為によつて遂行的に表現されておることについて、十分なる確証がある場合におきまして、これは反占領軍的行為であるというふうに扱うことになります。
#36
○今野委員 具体的に平和を守れとか、戦争反対、そういうビラの場合にどう扱われておるのですか。
#37
○大橋国務大臣 戦争反対と書いたビラ一枚を見て、これをもつて反占領軍的なりとすることもできましようし、また反占領軍的でないと見るわけにも参りません。それがいかなる意図によつて、いかなる場合に、いかなる人によつてなされた行為であるかということを見まして、その意図が反占領軍的意図であるということが、証拠によりまして客観的に結論されたときに、これが反占領軍的行為として扱われるものであります。
#38
○今野委員 そうすればその人は戦争に、心から反対していても、そういう行為をやつてはならぬ人と、やつてもいい人と、こういうふうにわかれるわけですか。
#39
○大橋国務大臣 人によつて申しましたのは、非常に誤解を生じやすいと思いますから取消したいと思います。私が人によつてと申し上げましたる趣旨は、その人の平生の行為、またしばしばさような反占領軍的な行動に出ておるというような点が、この意図を推測される一つの有力な材料になるという意味において申し上げたのであります。しかし誤解を生ずるといけませんので、人によりということは取消させていただきます。
#40
○今野委員 そうするとたとえば私なら私の場合をとつてみますると、平和を求める学者たちが集まつておる、そこへ私が出かけて行く。戦争防止のためにどうしなければならぬかということについて論議されておるところへ出て行く。そういうことをやると、あなた方は私なら私の今までのいろいろな言辞く行動から見て、そういうところへ出る資格はないと認定するわけなんですか。
#41
○大橋国務大臣 今野君は十分にそういうところに出る資格はおありであると考えます。
#42
○今野委員 そこのところは私なら私という一例を申し上げたのです。今私はその資格があると言われたが、そうすると資格がない人がいるわけですね。これは法務総裁の認定によつて、あの人はそういうところに出る資格があるとか、あの人は資格がない、こうなると、これは何か法律でもあるのですか。そういう法律があつて、その基準によつてはつきりわかるのなら、みずから資格がないと遠慮することもありましよう。しかしそんなことははつきりわからないのです。
#43
○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたる通り、人によりということは私の言い誤りでありまして、これは取消させていただきます。そこで私はそのかわりに申し上げたいことは、その人の他の行動とあわせて考えてみてという意味で、人によりということは取消していただきたいと思います。
#44
○今野委員 まだ納得できないのです。他の行動によりということは同じことだろうと思うのです。そうすると今までのいろいろな行動によつて、今度は新しい行動をすることに掣肘を受けることになる。そういうことははたして許されることかどうか。これは憲法や何かの問題になると思うのですが、はたして許されることかどうかということです。
#45
○大橋国務大臣 従来の行動により、その意図が引続き行われる場合におきましては、これはやはり罪となる場合があります。
#46
○今野委員 この点についてはいつまでやつてもきりないと思いますので、もつとよく考えてもらいたいと思います。今の返答ではどうしたつて納得ができない。
 次にお伺いしたいことは、先ほど法務総裁は、菅野副長官の言うことは少し違うのじやないかというふうにもとれることをおつしやるのですが、あの席には淺井人事院総裁も出ておられたのですが、そのことが特別職の給與の問題について大問題になつた。次の日もそれが大問題になつた。そこでこれは聞き誤りでも何でもないわけです。ところが私は今日大橋さんの話を聞くと、菅野副長官は人事委員会で治安がよくなつたと放言をしたとしか考えられないわけですが、その点はしかと大橋さんの言う通りであるかどうか、大橋さんの見解によれば、治安はよくなつていないとわれわれ解釈していいかどうか、この点について伺いたい。
#47
○大橋国務大臣 私は治安としては昨年以来改善されておるという菅野副長官の話はそれでさしつかえないと思います。私の先ほど申し上げましたのは、警察官の勤務時間が昨年に比して特に減少はしておらないということをあわせて申し上げたわけであります。
#48
○今野委員 私その点だけについて淺井さんにお伺いしたいのですけれども、たしか人事院から出された法案の要綱の中には、勤務時間が減つておるというふうに書いてあると思うのです。そしてまたそういう説明もなされたと思うのですが、淺井さんはそのとき、これは勤務時間が問題じやないのだという点を非常に力説されたわけです。その点いかがお考えになりますか。そうするとあそこの法案に述べられた根拠、勤務時間が減つておるということが大きな根拠だつたのですが、その根拠はまつたくうそであるということになると思うのですが、その点いかがでございますか。
#49
○淺井政府委員 警察官の勤務時間が減つておるということは、政府側にもなかつたように思います。つまり警察官以外のものの勤務時間がふえておる、それで平均して来た、こういうような説明であつたように思います。その点は今野さんにお聞き誤りがあつたかと思います。
#50
○今野委員 そこで大橋さんに伺いたいのですが、そういうふうに改善されておるということになると、それでは何のために―たとえばこの間も群馬県の澁川あたりで、国警の大規模な演習をやつたようです。その前には上田でやり、今年になつてまたあらためて澁川で大規模な、催涙弾なんか使つて両方にけが人が出たほど真に迫る演習をやつた、こういうことは何のための必要からやるのか、治安がよくなつたらそういうことをやつて、人々を驚かす必要はないと思うのであります。非常に町民は驚いておるようです。その点かえつて治安を乱すような行為をやつておるように私は思うのですがいかがですか。
#51
○大橋国務大臣 澁川その他でやりました警察官の訓練が、その地元の町民諸君を驚かしたということがありますると、これはきわめて遺憾でありますが、すべて警察官といたしましては、せつかく国民の御負担によつて給與を受けておるのでありますから、できるだけ警察としての能率を上げるように、平素からその訓練に十分注意をいたしておるわけであります。各地でやります訓練もやはりさような意味でやつておるわけであります。それが治安の悪かつた前にはやらなかつたじやないか、治安がよくなつた今年になつてなぜやるかという御質問でありますが、最近治安がよくなりましたので、警察官もかように訓練をするだけの余裕を生じて参つたのであります。
#52
○今野委員 どうもあまりお答えがひどいので、その点もう一つお伺いいたします。それは戦争前にもいろいろ軍隊でもつて演習などやりますときに、いわゆる想定なるものをつくつてやつておつたわけであります。たとえば陸軍はソビエトと戦争をするという想定のもとに、あるいは海軍はアメリカと戦争をするという想定のもとに、いろいろな演習をずつとやつておつたわけであります。これは非常に軍国主義的なやり方なので、そういうことに対して私どもは心配をしていたのでありますが、しかし単なる心配ではなくして、実際にああいう戦争に入つて行つたわけであります。やはりそういう仮想敵をつくつてやる演習のときには、必ずそれをやるわけであります。今度の場合にも仮想敵をつくつて、そうして国警隊員の一部分は仮想敵になつて、演習をやつておる。それはそういうおそれが十分にあるからという説明書きでやつておるわけであります。それでなければ国民の税金をあんなにたくさん使つてやる必要はないわけであります。これは浪費であります。もしそうでないとするならば、そういうような演習をするからには、やはりそれが実現されるという見通しをもつてやつておる、新聞紙などを見れば正しくそういうふうにだれにも受取れるわけであります。でありますから、今のお答えはその点で少しおかしいように思うのでありますが、もう少しはつきりとどういういきさつで、ああいうことをやらなければならないか、このことをお答え願いたいと思います。
#53
○大橋国務大臣 すべて演習におきましては、ある想定のもとに演習の計画を立てるのが、演習の性質上当然のことであります。軍隊ならば仮想敵をつくるし、また警察の演習におきましては、仮想犯人なるものをつくつて演習をする。これは演習の性質上当然のことでありまして、なぜ仮想敵をつくつたかと言われましても、それ以上お答えするわけには参りません。
#54
○今野委員 私のお伺いしたいのは、そのときになぜ労働者を仮想敵にしたかということです。これが一つ。もう一つはそのためにどのくらいの費用を使つたか、その費用はどこから出たか、この点についてもお伺いしたいと思います。
#55
○大橋国務大臣 労働者が仮想犯人であつたかどうかは私まだ存じません。費用の点につきましては後に取調べてお答えいたします。
#56
○今野委員 また同じ問題についてお伺いしたいのですけれども、ともかく治安が改善されておるとすれば、なぜ今のようなことに加えて警察予備隊をつくつたか、警察予備隊をつくつた趣旨は、将来やはりそういうようないろいろな騒擾事件が起るという見通しをもつてつくつたようになつておりますし、また一般もそういうふうに考えておるようでありますが、その点お伺いいたしたいと思います。
#57
○大橋国務大臣 従来とても警察力につきましては、有事の場合におきましては非常な不足を痛感いたしておるわけであります。現在治安が幾分改善いたしましたところで、警察力全体としての不足は補われておらない。かような
#58
○松本(七)委員 そうすると二十八條の分限の規定においては、これは訴願の道は全然ないのですか。
#59
○藤井政府委員 分限の場合におきましても、その意に反して降任され免職されるということにおきまして、本人にとりましては不利益な処分であることはかわりがございませんので、この場合も懲戒と同様に審査を請求することができるわけであります。
#60
○松本(七)委員 二十八條の分限の場合、「勤務実績が良くない場合」と書いてございまするが、これは判定はだれがするのですか。
#61
○藤井政府委員 勤務実績がよくないかどうかということは、実際問題といたしましては、任命権者が行うことに相なると思うのであります。しかしながら、任命権者がこれを行います場合におきましても、それが恣意的に流れてはならないことは当然のことでありまして、ここにはつきりと掲げられておりまするように、勤務実績がよくないという場合に、免職ができるということの規定の精神、この分限規定がそもそも職員の身分保障であり、やたらに首を切られないということの保障であるという点から考えまして、慎重な判定をいたさなければならないことは当然でございますが、判定自身は、個個具体的の場合には、結局は任命権者に帰することに相なると思いまするが、その判定がはたして正しかつたかどうかということは、第三者的な、いわゆる準司法的な権限を有する人事委員会なり公平委員会が、最終的にこれの判定が正しかつたかどうかということを決定することに相なるわけであります。
#62
○松本(七)委員 そうすると、たとえば教職員の場合は、教育委員会がそういう判定をすることになるのですか。
#63
○藤井政府委員 お説の通りであります。ただつけ加えて申し上げておきますが、今御指摘がございました二十八條の第三項におきまして、職員の意に反する免職等の手続、効果は、本法に特別の定めがある場合を除いては、條例で定めなければならないというふうに相なつておりまするので、手続等につきましては、さらに客観的なある基準を設けることは、條例によつて道が開かれておるということを、御承知置き願いたいと思います。
#64
○松本(七)委員 そうすると、第四十條の勤務成績の評定の場合ですが、これも教職員の場合などには、任命権者が勤務成績を評定するという建前となつておるわけですから、いわゆる教育委員会であろうと思いますが、教育委員会が勤務成績の評定をやることは、不可能じやないかと思いますが……。
#65
○藤井政府委員 勤務成績の評定につきましては、四十條の二項で―これは原則規定でございますが、人事委員会は、勤務成績の評定に関する計画の立案でありまするとか、その他勤務成績に関して必要な事項について、任命権者に勧告ができるごとになつておりまして、どういう方法でこれをやつて行くべきかというような点につきましての大わくは、人事委員会が定めることに相なつておるわけであります。そのわく内におきまして、それぞれの任命権者が個々具体的な職員につきまして、勤務成績の評定を行つて行くわけでありますが、この点につきましては、御指摘の教員に関しては、現在教育公務員特例法の規定で、勤務成績の評定について特例が設けられておるのであります。この規定を読んでみますと、その十二條に今お尋ねのありました危惧の点がないような措置が講ぜられております。すなわち「学長、教員及び部局長の勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、大学管理機関が行う。」というふうに書いてあります。これは大学についてでございますが、このようにいたしまして、大学管理機関がやることに相なつておるわけであります。ただその他の一般の教員の勤務成績の評定につきましては、御指摘のように、とうてい教育委員会がすべての評定を行うことはできないのではないかという点は、ごもつともの次第であると思います。ただ勤務成績の評定の最終の責任は、やはり任命権の一つの発動でございまするので、任命権者が負うわけでありますが、先刻松本委員から御指摘がございましたような、任命権の一部の委讓というようなことをもちまして、勤務成績の評定の中でも、ある部分についてはそれぞれの下部の機構にこれをゆだねて行くということもできましようし、また手続の愼重を期しまする際に、最終には任命権者が行うけれども、それの内申制度というようなものをとりまして、教員の直接の上級監督者等に内申権を認める等の措置を講じますことによつて、適正な運営ができますることを期待いたしております。
#66
○松本(七)委員 その内申制度というのがうまくいけば適切になるが、下手をすると責任がはつきりしないで妙なことになるおそれが多分にある。そこで聞いておるわけですが、たとえば勤務成績評定を、今政府委員が言われた四十條の二項の、勤務成績の評定に関する計画の立案、必要な事項を任命権者に勧告するという規定で、人事委員会が任命権者である教育委員会に対して、勤務成績の評定は校長が、やつたらよかろうというようなことを勧告することができるのですか。
#67
○藤井政府委員 この勧告は、先刻も申し上げたかと思いますが、勤務成績の評定制度自身の大きなわくと申しますか、そういう具体的な評定自体ではなくて、計画のわくをきめるということになりまして、そのきめられた計画の採用を、それぞれの任命権者に勧告をするということに相なるわけであります。その点につきましては、国家公務員の場合におきましても、完全な勤務成績の評定制度は、いまだでき上つておりませんで、現在これは研究中であるというふうに聞いておりますが、この場合想像せられまするのは、今御指摘がございましたように、内申というような制度をとると、その内申者の恣意によつていろいろ実相を曲げられることになるというような心配も実はあるわけであります。しかしながら、この点につきましては、内申ということがもしとられるといたしましても、もう少し客観的な判定のできまするような様式を定めまして、そこに恣意が入らないように、また恣意が入つたといたしましても、それはどこに入つたのかということが、ただちにあとからわかるような適切な措置が講ぜられて参るというふうに、私は考えておる次第であります。
#68
○松本(七)委員 具体的に言うと、そういう点は今後人事委員会で勧告するということになるのですか。
#69
○藤井政府委員 その通りであります。
#70
○松本(七)委員 それから第三十八條の中に、「又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」ということになつておりますが、たとえば学校の先生が勤務時間外に原稿を頼まれて、原稿を書いて原稿料をもらうというような場合はどうなるのですか。一々これも任命権者の許可を受けなければ書けないということになるのですか。
#71
○藤井政府委員 お答えいたします。今具体的にお示しになりました原稿料の問題でありますが、これはこの法律でもつて規制する対象といたしましては、あまりに事柄が重要性がないと申しまするか、それほどやかましく論じなくても、よろしいというふうになつておりまして、現在国家公務員の場合におきましても、原稿料をもらうこと、執筆をすること自身は別に許可を要しないということになつております。また地方公務員の場合におきましては、そもそも地方団体の特殊性にかんがみまして、この三十八條の一項に当るものは、国家公務員についてはこれは絶体禁止でありまして、許可を得ても営利事業に従事することはできないということになつておりますが、その点については若干地方の実情に合うように緩和をいたしております。そういう点もございますし、今御指摘のありましたような原稿料をもらつて執筆をするというようなことは、任命権者の許可を一々受ける必要はないというふうに解釈いたしたいと思います。
#72
○松本(七)委員 なお相当範囲残つておりますが、私一人時間をとつても何ですから、一応これで打切つて、なお必要があれば先に延ばして留保しておきたいと思います。
#73
○若林委員 先ほど松本七郎君の質疑に対して政務次官から御答弁があつたのでありますが、明確を欠いたように思いますので、一応念のために伺つておきたいと思います。二十四年度の年末の手当について別途に考慮しなければならぬというのでありますが、今度の三十五億の平衡交付金の中には七億二千万円が入つていないのでしようか。あるいは入つておるか。将来はこういう性質のものについても別途に考慮するというのか。あるいは今度は全然入つておらないのだから、別にこれを考えて支拂うのか。現在のところはつきりこれだということで地方に支弁するのでなければ、国が地方公共団体に負う債務になつておると思うのですが、これをひとつ明確にしていただきたいと思います。これが今度の平衡交付金の三十五億の中に入つてないとすれば、別に債務を弁済する方法を講じなければならぬと思いますが、そこを明確にしていただきたい。
#74
○小野政府委員 若林さんにお答え申し上げます。昭和二十四年度末に出しました手当のあと始末でございますが、これにつきましては、先ほども申しましたように、本年度の補正予算に計上される予定になつておりまする地方財政平衡交付金の増額分の中には入つておりません。従つて何らか別途の措置によりまして、これを処理して行く必要がある、かように考えております。
#75
○若林委員 その別途の措置というのは、三十五億の中から地方に対して支拂つて帳消しにせよという意味ですか。また別に昨年度の七億二千万円というものを地方へ名目をつけてお出しになる意味の別途であるか。これをお聞きしたい。
#76
○小野政府委員 地方財政平衡交付金の算定をいたします場合には、いわゆる三十五億なるものは、二十五年度において生じた財政需要を織り込んでおるわけでありますので、従つて二十四年の分につきましては、法律の扱いから行きましても、どうしても入れるわけには参らないわけであります。従つて政府としましては、関係各省の間で十分に協議しまして、何らか他の適当な方法によつてこれを解決して行くようにしたいというので、実は昨日もこの点について寄り寄り協議を始めておるような次第であります。
#77
○若林委員 それで大体明確になりましたので、早急に七億二千万円を御考慮願うように御努力願いたい。
 それから第二條の地方公務員の定義と申しますか、「地方公共団体のすべての公務員をいう。」とあるのですが、この條項によつて、教育公務員特例法による職員もみな含まれることになるのですか。
#78
○小野政府委員 この法律案では、地方公務員とは何かという定義をいたしておりません。これは国家公務員法におきまして、国家公務員についての定義をしてないのと軌を一にしておるのでございますが、地方公務員というものが、地方公共団体の公務に従事しておるものであり、また地方住民のために全体の奉仕者としてやつておるという点につきましては、実質的にある程度定義づけられるのではないかと思います。ただいまお話がありました教育公務員につきましては、この法律案の第二條の点から申しましても、ここにあります通り、「地方公共団体のすべての公務員をいう。」ということになつておる点から考えまして、この中に包攝されておるものである、かように解釈しております。
#79
○若林委員 次に任命のことでありますが、教育公務員の特例法の十五條で、公立学校の教育公務員の任命権者は教育委員会であることは明確になりました。また任用の基準というものが教育職員免許法によつて免許状制度によつて行われておる。しかるに地方公務員法案の十八條では、競争試験によつて任用するということが明確にされておるわけであります。読んでみますと、公務員法の方が優先するというふうな文字を使つておるところがあるのですが、教育公務員はいずれの法律に従つて任用されるか、明確にしていただきたい。
#80
○藤井政府委員 お答えいたします。ただいまの点でありますが、これは第二條には、地方公務員に関する従前の法令等の規定が、この地方公務員法に牴触する場合には、この法律の規定が優先するというふうになつております。私たちの解釈といたしましては、教員につきましては御指摘のように免許状の制度がございますし、現在教育公務員特例法におきましても、採用または昇任というものは選考によることが明らかにされておる、これは教育公務員の性格に基きまして当然のことであるというふうに考えておりまするので、この規定自身は本法の規定に矛盾をしない、その特例であるというふうに解釈をいたすわけであります。従つて教育公務員法そのままで、その面は適用があるということに相なるわけであります。
#81
○若林委員 大臣がおいでになりましたから、先ほどの点とちよつと重複しますけれども全国民の注視しておることでありまするので、ひとつ大臣から一度お答えを願いたいと思うのであります。大体補正予算に盛られておりまする三十五億の今年度の平衡交付金のうち、他のことについては大体了承いたしたのでありますが、昨年度の年末手当に関する七億二千万円に対しては、ただいま政務次官からは、これだけは法律上その七億二千万円を三十五億の中の算定基礎に入れることができない。そこで別途支出することを考慮いたしておるということの御答弁があつたのでありますが、地方財政に重大な影響を持つておることでありますので、早急にこれを支出する運びをとつていただくことを希望するのでありますが、大臣から、一度この七億二千万円について明確にお答えを願いたい。
#82
○岡野国務大臣 若林委員の御質問にお答え申し上げます。先般来七億二千七百万円が大分問題になつておるのでございますが、それは文部省の予算としまして出ておつたのでございますが、そんなことも考慮されたのでございましようが、七億二千七百万円は削られて、そうして平衡交付金は三十五億になつた、それで三十五億と七億二千七百万円の関係とおつしやれば、おそらく政務次官も私と同じ答弁をされたことと思いますが、三十五億の中には七億二千七百万円は入つていないことは確かでございます。それじやその七億二千七百万円をどうするかということにつきしては、文部大臣並びに大蔵大臣ともよく協議しまして、早急に何とか考慮しなければならぬということで、寄り寄り話合いをしつつある次第でございます。現状といたしましては、これだけは御答弁できると思います。
#83
○若林委員 それで大体安心できたのでありますが、どうぞ至急にそれができますようお願いをいたしたいと思うのであります。
 それから次に先ほど松本君からも御質疑があつたのでありますが、教職員の政治活動云々ということであります。私も特別に教職員のごとき社会の範となる者に対して、こういうきゆうくつないろいろな制限的なものを設けることは、不本意と思うのであります。なお民主政治が発展して行く上におきましては、社会の師表たるべき教職員が先頭に立つて、堂々たる選挙運動を国民に見せ、教員の常識に反せざる堂々たる態度をとられることはよいと考えるのでありますが、しかしながら現在の実情としましては、松本委員のお考えになつておるような態度が教職員の中に見られると思えないのを残念に思うのであります。たとえてみれば、本会議においてある社会党の議員が、こういうことを発言しておるのであります。日教組は社会党のものであると言うておるのであります。私は一党一派の專属に教職員組合がなるようなことがあつてはならぬという気持を持つておるわけであります。これは日教組を冒涜するもはなはだしいものである。おそらく良識のある教職員は、すようなぐあいにに持つて参りたい。それには単に任命権者のみの制度ではなしに、人事につきまして専門的な機関を置いて、しよつちゆう人事行政の運営について関心を持ち、また必要な措置ができるような機関を設けることが公正なやり方ではないかへかように考えておる次第であります。
#84
○加藤(充)委員 今のに関連して質問いたしますが、新聞にある世間の論評の一部ですが、国家公務員法による公務員の組合活動、あるいは政治活動に関して、地方公務員法の規定の方が進んでおるのではないかというようなことを、これはばかげたことですが、言つております。その点についてお尋ねしたいのです。というわけは国家公務員法では詳細の制約を結局人事院規則に白紙委任をしておる。この白紙委任によつて憲法を蹂躙するよろな、憲法に抵触するような、いろいろな基本的人権制約の人事院規則ができております。しかし意見の開陳はここでは差控えますが、地方公務員法では、その点が国家公務員法とやや違いまして、大体法律としての地方公務員法で規定をしておる。その他については市町村條例に讓つておるというようなことになつて、法律という形式できめている点が、非常に法治国家的な、法治主義的な建前を示しておる。その点が進歩的であるというふうに言われております。そうしてその点からむしろ人事院規則に讓つている点を、国家公務員法の内容として規定すべきではないかということが言われておりますが、私はその点で、実はこれは形式的な判断論評であつて、むしろ地方公務員法においてはもつとひどいのである。こういうふうな疑いを持つわけであります。その点についてお尋ねいたします。市町村條例に讓るという点でありますが、この点については市町村條例もせつかく法でおきめになつた、この点を質的に踏み越えて侵害するような、越権の條例は持つべきではないという精神で、今申し上げたような地方公務員法と国家公務員法を比べて、やや具体的な規定をお設けになつたのか、その点をお尋ねしたいと思います。
#85
○小野政府委員 今回の地方公務員法案のやり方が進歩的であるかいなかということは、御批判におまかせしなければならぬと思いますが、少くともこの法律案の基本的考え方から申しますと、地方公共団体というものは、全国に一万数百あるということは御承知の通りで、同時にまたその自主性をできるだけ尊重して行かなければならぬ。しかしながら一面重要な事項につきまして、やはり法律でもつて直接規定することの必要なものにつきましては、この法案中に規定を設けることが妥当であろう。しかし自主権の尊重という点から申しますと、できるだけ当該公共団体の條例にゆだねるということも考えなければなりませんので、かれこれこの聞の調整をはかつておる点が、この地方公務員法案の一つの特色と申してよいかと思います。ただいまお話になりました、しからば地方公共団体において條例をきめる場合に、どういうふうなやり方をするであろうかという御質問のように思うのでありますが、この点につきましてはこの法律案の第三十六條第五項をごらんになりますと、その趣旨が現われておるのでありまして、この規定は結局、政治的な行為の制限について申し上げますならば、職員の政治的中立性を保障する、こういうことによりまして、結局におきましては公共団体の行政が公正に運営されると同時に、職員の利益を保護するということを目的とするものであるという趣旨でやらなければならぬ、こういうことになつておりますので、従つてたとえば市町村等において條例を設けます場合におきましても、この趣旨からいつて包括的な條例を設けるというのではなしに、やはり個々具体的にその政治目的に伴うところの政治的行為は、どういうものであるかということについて、規定する建前をとるべきである。またそうすべきであると私どもは考えております。
#86
○加藤(充)委員 御指摘のように三十六條を不勉強の私は、今読み直したのですが、第二項の一号から五号までの間にもずいぶん具体的な規定があります。これ以上に私どもは別にさらに市町村條例で定める必要はないと思うのでありますが、この例示的な規定で一から四に掲げられましたほかに、どんな場合がありますか。一般的で答弁の限りではないと言われますけれども、第五号を設けました点からいえば、設ける必要があるのでありましよう。必要の内容としては、たとえばそれは必要な例示的行為としてあげられるか。その点を承りたいと思います。
 なおこれで終りますから、ついでに重ねて質問いたします。大体において自主性と言われましたが、自主性というものはこれは古いなりに自主性もございます。また新しければ新しいなりに自主性というものがあります。自主性も質的に発展するものであります。これが文化社会なり、政治社会なり、ないしはこの法制上の発展の当然の性格だと思うのでありますが、現在のような市町村の状態で、その自主性をそれなりに尊重するということは、自主性尊重という抽象的、一般的な面からいいますと、はなはだ民主的のように見えますけれども、その裏返しは依然として封建的なボスのかたまりであるような市町村自治体の実態を、自主性という形で肯定なさつて、その間に足踏みさせるか、あるいはさらに自主性尊重という陰に隠れて逆転せしめるという方向すらも、これは単に共産党の議員が危惧するばかりでなく、一般公知の事実として、正に憂慮されておる傾向だと思うのでありますが、あわせで自主性尊重ということで、市町村條例にまかされたという点については、今申し上げたような点に問題がある。第五号の具体的な規定に基いてやることになりますと、むしろこれはそれ自身不十分であり、それ自身問題がありまするし、大いに論争をかわさなければならぬし、脱皮してもらわなければならない点がありますけれども、大体から言うと、まあ淺井さんを総裁に仰いだ人事院の規則よりも、もつと苛烈な、もつと反動的な、封建的な規定を第五号に便乗してやる。従つて国家公務員法の規定よりも実際は地方公務員において、ボスの自主性をそのまま尊重されて、苛酷なものになつて来て、先ほど冒頭に申し上げましたように、自主的には地方公務員法の規定の方が、国家公務員法のそれよりも苛烈になると私は思うのであります。そしてそういう危愼を持つ十分な根拠を持つております。その点について御返答をお願いしたいと思います。
#87
○小野政府委員 地方自治の現在の行き方は、住民自治が強くなつて参つておることは御承知の通りでありまして、要は地方公共団体が健全に運営されるかいなか、当該地方住民の自治意識の程度いかんによることと思うのであります。特に條例によつてきめられるということは、その地方、住民によつて選ばれました議会において、これを十分に審議いたしまして、それによつて決定されることになりますので、ただいまお尋のような方向に進んで行くものとは私どもは考えておりませんし、さようなことがあつてはならないと思うのであります。なお具体的にどういうふうな政治的な行為をきめるであろうということにつきましては、何分全国一万数百の都道府県市町村の態様でございますので、ここで抽象的に申し上げることは困難であろうと存じます。
#88
○江崎(一)委員 ただいま政務次官から本法案についての御説明があり、また加藤君の関連質問についての説明もあつたのですが、それでもなおかつ地方公務員がこの人事委員会、あるいは公平委員会の活動によつて、利益が保障せられるということについては、われわれ納得ができない。この法案を見ますと、表面はもつともらしい形をしているのだけれども、その実は、実質的にはこれは地方公務員の労働者の弾圧法になる危険が十分にある。この点についてそういうことにならないという保障が與えられるごとについて、あなたは自信かあるかどうか。その点についてお話を願いたいと思います。
#89
○小野政府委員 ただいまの弾圧法であるかいなかの御意見は、これはあなた御自身の御意見として承つておく程度にいたしたいと思うのでありまして、少くともこの地方公務員法案の立案に当りましたものとしては、さような考えは毛頭持つておりません。
#90
○江崎(一)委員 私のお伺いしている点は、これが彈圧法になる危険があるということをわれわれ考えているので、そうでないという立証をしてもらいたいと要求しているのであります。
#91
○小野政府委員 政府といたしましては、これは地方公務員制度を確立いたしまして、近代的な人事制度を運営して参るようにいたしたいという確信のもとに、提案をいたした次第でございます。
#92
○今野委員 先ほどの地方公務員の待遇について、ちよつとお伺いしたいのですが、先ほどのお話によると、條例でもつてそういうことは十分改善できるようになるというお話でありますが、さしあたつて條例もまだできていない今日、一般の公務員のベース・アップ、あるいは年末手当の支給、こういうようなことは当然今国家公務員に準じてやらるべきであるというふうに考えますけれども、その点は淺井さんはいかがお考えでありますか。
#93
○淺井政府委員 この点は昨日予算委員会で私が御質疑にお答えした通りでございまして、ただいまお示しの通りでございます。
#94
○今野委員 それに対して今の人事院としては、何も施すべき手というものはないわけですか。
#95
○淺井政府委員 地方公務員に対しましては所管外でありますし、国家公務員それ自体につきましても、予算ということは人事院の所管外でございます。
#96
○今野委員 私大橋さんが来てから質問したいと思いますけれども、しかし今の点について政務次官の方から、その点はできるかどうかお答え願いたいと思います。
#97
○小野政府委員 ただいま淺井さんからお答えがございましたのと全然同様でありまして、所管の地方公務員の問題につきましては、地方自治庁が担当してやる建前になつているわけであります。ただ人事院の方が先輩でございますので、従つて地方公務員制度の計画立案、あるいは実施の途上におきまして何かと御知恵も拝借したい、技術的な御援助を仰ぎたい、かような心組みを持つているわけであります。なお地方公務員の給與の点につきましては、もちろん地方団体の財政の問題等もございまするが、この地方公務員法の考え方が、行政に携わる職員といたしまして、能率的に、かつまた安定して継続して、ずつと地方住民に対してサービスを提供する、こういう意味合いから私どもといたしましても、これが保護保障につきましては、できるだけの今後とも盡力をいたしたい。かように考えている次第でございます。
#98
○今野委員 私お伺いしたいことは、将来はこれによつて、いろいろと保障される道があるということでありますけれども、さしあたつての問題が非常に大きい問題だと思います。地財委の意見書にも、八十三億が出なければ、とてもこれではやつて行けなくなるだろうというふうに言われているわけであります。そうすると、そういう建前ではあつても現実にはやつて行けなくなるという見込みがこれは私の想像ではなくして、各自治体の長及び責任ある地財委の意見として出ているわけであります。その点に対して政府はやつて行けるとあくまでおつしやるかどうか。ほかの方法が講ぜられることを希望しておるということを盛んに言われておるのでありますが、希望だけでは飯は食えない。そうすると現実には地方自治はやつて行けなくなるというわけでありますが、その点については政府としては、どうお考えになりましようか。
#99
○小野政府委員 ただいまお話のように地方財政委員会といたしましては、昭和二十五年度において新たに発生いたしました財政需要を計算いたしまして、これだけの財源措置をする必要があるという意味の意見書を出しておるのは御承知の通りであります。私ども地方自治庁といたしましては、地方財政委員会の資料なり意見なりに基きまして、従来からこの問題に関しましては相当議論を重ね、また努力をして参つておるのでありますが、政府といたしましては、予算あるいは財源の関係等から考えまして、ただいま御審議を願つておりますような程度の地方財政平衡交付金の増額をいたさざるを得ないような事情に置かれておりますが、一面地方公共団体に対しましては、あとう限り財源の捻出につきまして、せつかく努力をしていただく必要があろうかと考えておりますので、財源の措置につきましては、一面国家財政の許す限りにおきまして、政府もこれを援助して行くと同時に、地方公共団体におきましても、できるだけその運営について創意、くふうをしでもらいまして、財源の捻出に盡力をしてもらうというような一つの兼ね合いでもつて、何とかごの場の窮状を乗り切つて行くようにして参りたい。なお今日におきましてもせつかくこの点につきましては、地方自治庁と地方財政委員会と協力いたしまして、努力を進めているような次第でございます。
#100
○今野委員 そういう点について、従来の国家公務員に対しての福祉とか、利益とかいう点については、淺井さんも御努力なすつているとおつしやつておりますけれども、さつき江崎君も指摘しておつたように、とかく調査が遅れるとか、いろいろなことのためにあとあととなつて行くのです。ですからその間にだんだんとあとあとが続いて行くものですから、その間に公務員、ことに下級公務員の生活は、実にひどい状態に落ち込んで来ているわけです。そういう状態のもとで国家公務員法が運用されている。そうすればどうしても取締的な行動を制限する面だけが強く出て来るということになる。それと同じように公務員の生活について、見通しがはつきりしないという状態のもとで、この公務員法が実施されるとなると、やはり制限の面だけが浮んで来て、その裏づけとなる生活の面、それが少しも実行されない。その結果は恐るべき地方自治体の腐敗といつたようなものが出て来るわけであります。でありますから、そういう観点から、今の待遇とかそういう問題について、私は特に関心があるわけであります。
 そこで二、三の事例について申し上げますと、私の聞き及んでいるところでは、たとえば大分県などでは、県の税金や何かでまかない得るものは教育費だけである。ところが今度キジア台風によつて四十五億の損害を受けている。これを復旧することはとてもできない。そして災害復旧のために一億何千万かの金が出たけれども、どうにもならぬ。これでは地方財政というものは投げ出さざるを得ないような状態だ。こういうことも言つております。私の出身の神奈川県あたりでは、それほどひどくはないのですけれども、御承知でもありましようが、各市町村において、町会または村会などを開いて、この平衡交付金の問題については、これがなければどうにもならないから、何とかしてくれということを盛んに運動しております。これらについて若干の割引すべき点があることは、私どももよく知つております。しかしながら程度が違うのです。ですから、もしそういうような保障が得られなければ、地方公務員法を実行することは、裏づけがないために、いたずらに腐敗をまし、地方自治をぶつこわすということを、かえつて促進することになるように思われるわけであります。その点について政府のほんとうの確信を、ひとつ聞きたいわけなのであります。
#101
○小野政府委員 地方自治制度の改革が、新憲法制定以来行われて参つておるのでありますが、地方公務員制度は残された問題だつたのであります。従いまして地方自治制度全体の改革の一環として、この問題を取上げることにいたしたのは御承知の通りでございます。この場合において、地方公務員制度自体の確立と相まちまして、地方公共団体の財政の確立ということが、当然行われなければならぬわけであります。これらの点を見通しまして、御承知のように地方財政の改革を取上げて、今日進んでおるわけで、ありまして、いわば地方財政並びに地方自治制度の自主性がますます強化されようとする途上にあるわけでありまして、なお行政組織なり、その他行政事務の問題につきましても、再検討を加える段取りになつておりますので、将来の問題といたしましては、私の考えをもつてしますならば、地方自治制度全体の改革の基盤が樹立されることによりまして、ただいま御心配になつておりますような点につきましては、将来において確立されて行くという見通しを持つておりまするし、またそうなくてはならないと考えておる次第であります。
#102
○今野委員 頭の中の構想としては、そういう御説明は考えられるが、先ほど申したような幾多の実例、これは大分ばかりでなくたくさんあるわけであります。東北に参つてもそうです。そういうような実例に対して対処するというのが、現在の政治の問題なのです。その政治的な問題に対しては何らなさるところなくて、頭の中ではそう考えるけれども、かえつて逆転しやしないかという点が、われわれの心配する点なのであります。この点について心配がないか、こう質問しているのでありますから、もつと現実的に、現在こういう事情である。だからその心配はないというふうに言つてくださらぬと、安心ができぬわけなのです。これは私ばかりではなくて、多くの議員もそういうお考えだと思うので、ぜひお聞かせ願いたいと思うのです。
#103
○小野政府委員 その点にはちよつと先ほど触れたので、地方財政制度等につきましての改革の途上にあるという点について申し上げたのでありますが、現実的な問題として、たとえばお話になりました地方財政平衡交付金の配分の問題であるとか、災害復旧費に伴う地方負担の問題であるとか、そういう問題のあることはお説の通りであります。従いまして地方財政平衡交付金制度も、本年度すなわち昭和二十五年度から初めて実施されたような事情にもありますので、この間についてなお改正を要するような点も、中にはあると私も考えております。そういう点につきましては、地方財政委員会においても検討を加えつつあるような次第であります。個々具体的の地方公共団体の実情に照しまして、地方財政委員会といたしましては、できるだけの御相談にも応じ、またあとう限りの技術的な援助その他の方法によつて、これらの問題を解決して行くようにして参りたい。かような心組みを現に持つておる次第であります。
#104
○門司委員 ちよつと関連して……小野政務次官の答弁がありましたが、今の答弁の内容は、ほとんど地財委に関係した答弁であつて、私はこういう機会には、所管の地財委の委員長を呼んでもらつて、責任ある答弁をしてもらいたい。
 もう一つは、大臣がおいでになるはずでありますが、大臣は今一体どこにおりますか。予算委員会を衆議院でも開いておりますが、参議院の地方行政委員会は、今私の情報では、行政書士法をやつておると思います。行政書士法に対しては、必ずしも大臣の出席を要求しないと思つておりますが、ひとつ大臣をお願いします。
#105
○前尾委員長 督促しましよう。淺井人事院総裁に対する質問で、松澤さんの方にお譲り願います。松澤兼人君。
#106
○松澤委員 淺井人事院総裁に承りたい。この地方公務員法によりますと、特定の都市に人事委員会を置くごとになつております。そこで私どもが非常に心配することは、各委員と同じように、結局この委員会というものが、ボス化しやしないかということを心配するのであります。そこで人事院は、この地方公務員法に対しまして、どの程度までの御協力をお與えになりましたか、立案に対しましてどの程度まで、いろいろの御相談を受けたか、その経緯について承りたい。
#107
○淺井政府委員 人事院といたしましては、別に詳細な点にわたりまして、地方自治庁に協力したことはございません。ただ数回連絡があつたということでございます。
#108
○松澤委員 そこで先ほどの問題でありますが、こういうことを私の口から申すことは、どうもいけないのでありますけれども、われわれ日本人は、何となく委員会制度というものになれていないか、これを活用することが非常に不得手な国民ではないかと思うのでありまして、たとえば地方の公安委員会にいたしましても、あるいは教育委員会にいたしましても、これは事実上一つの行政機関となつておるのでありますが、現実は必ずしもそうではなくて、その下に警察長なり、教育長なりというものがあつて、委員会は浮き上つたようなかつこうになつておるのであります。人事院総裁として、都市にこういう人事委員会が設けられた場合に、はたしてこの地方公務員法がねらつておるような、近代的で科学的な公務の運営ができるとお考えになりますか。この点について伺いたい。
#109
○淺井政府委員 委員会制度、すなわちコンミツシヨン・システムと申す行政機関が、最近わが国においてもだんだんできて参つたのでございまするが、この運営になれていないということは、まことにお示しの通りでございます。しかしながらもしも行政官庁の長が、ただ一人の独裁制をとります場合と比較いたしますれば、私はより民主的な運営がここに保障される、かように存じております。それからまた地方公務員法にしましても、国家公務員法にしましても、公務員法というものを運営します場合におきましては、その專掌機関がどうしても必要になつて参ると思つております。ただ地方の人事委員会をいかにいたしまするか、われわれ人事院の場合は、まことに国会初め監視の目がきびしゆうございまして、たちまち松澤さんの方から弾劾案等も提出されるようなことになりますけれども、地方の委員会の人選はよほど気をつけなければならぬと存じております。
#110
○松澤委員 ときどきそういうやじを飛ばして……。
 それではもう一つお伺いしたいことは、国家公務員法の改正によりまして、臨時人事委員会が人事院となつたのでありますが、このいきさつについて発表してさしつかえない限り発表していただきたいと思います。
#111
○淺井政府委員 これは二十三年七月二十二日のマッカーサー元帥の書簡に基くことは、すでに発表いたしました通りでございます。この元帥の書簡の第一点が、準司法機関としての人事行政機関を置く。この臨時人事委員会の権限強化が人事院となつて現われたもので、第ニは御承知のごとく団結権、団体交渉権の規定に関する部分であると思います。
#112
○松澤委員 問題をかえまして、もう一つお伺いしたいことは、マツカーサー元帥の公務員制度に関する書簡の中に、ある場合は政府職員という言葉が使つてあり、ある場合は公務員と使つてあるのであります。またある場合は国家公務員というふうにも使つてある。この全体の書簡というものは、主として国家公務員に対して言われていることであると思うのでありますが、この点はいかがでありますか。
#113
○淺井政府委員 必ずしもさようではありませんで、これはあの場合地方公務員にも適用されておる部分があるように存じます。
#114
○松澤委員 大きく考えれば、必ずしも地方公務員が含まれていないとは言えないのでありますが、しかし全体の調子というものは、たとえばルーズベルト大統領の言葉をかりて言つたことなど、こういうようなことは国家公務員と政府あるいは国民の関係というものが、非常に強く出ていると思う。従いまして私たちはこの書簡を読んだ感じからいたしますと、地方公務員に対しましては、それほどまで強く言つていないじやないか、こう思うのであります。従いましてどこまでも私どもは地方には地方の自主性と申しますか、それに立脚したところの人事行政が行われなければならないと思うのであります。従いましてここで法律の中におきまして、人事院は一定の期間―七箇月以内でありますか、人事委員会の事務局の職員が八箇月以内でありましたか、特別の研修をしなければならないという規定があつたと思うのであります。これは人事院においてどういう特別の研修をなさるお考えでありますか、その基礎的な研修の内容をお示し願いたいと思います。
#115
○淺井政府委員 これはすでにやつておりまする人事行政、人事管理に関する一般的な技術的な研修以外の何ものでもありません。もし御要求がございますれば、人事院でやつておりまする研修の資料等を提出いたしてもよろしうございます。
#116
○松澤委員 それではその書類をひとつ出していただきたいと思います。そこでさらにお伺いいたしたいことは、この地方自治庁公務員課から提出されました書類によりますと、都道府県及び五大市の人事委員会は、委員が三名でありまして、事務局の職員は二十名ということになつておりますが、二十名で府県の人事管理をやるということは非常に困難であると思います。人事行政の専門家である淺井人事院総裁は、はたして府県の人事委員会の人事機構というものが、この程度のもので十分やつて行けるとお考えでございましようか。
#117
○淺井政府委員 その数字は私は初めて承つたのでございます。詳細は存じませんが、少し少いのじやないかということを感じます
#118
○松澤委員 それによりますと、従来の職員十名と新規の者十名ということになるのでありましようが、合計二十名、それから都道府県及び五大市を除いた他の都市におきましては、事務職員が十名ということになつておるのであります。人事院があれだけ大きな機構と優秀な人材を集めて、人事行政をやつておりましても、とかくいろいろと批判があるのであります。従つて地方においてわずか十名くらいの者が、委員会三名の委員の下にあつて人事行政の近代的、科学的な運営をするということはとうてい困難ではないか、かように考えるのでありまして、この点さらに人事院総裁のお考えを伺いたい。
#119
○淺井政府委員 どうも所管外のことを、私が批判いたしますことは、はなはだ困難でございますけれども、人事院の方から見ますれば、職階制その他いろいろのことをやらなければならぬために、地方の方におきましても相当の人間がいるのじやないかと思います。ただ人事院の場合は、新しいものをつくり出すためでございますけれども、地方公務員の場合は、すでに人事院でやりました職階制等を利用することができると思いますから、この点は違うと存じます。
#120
○松澤委員 それでは総裁に対する質問を終ります。
#121
○今野委員 関連して……。
#122
○前尾委員長 関連ばかりでなしにやつてください。
#123
○今野委員 今のお答えですと、国家公務員に対して人事院できめたものを、いろいろと準用したりしてやるから、人数が少くてもよいかもしれぬということなんですけれども、その点小野さんどういうようにお考えですか。同時にそういうことをやれば―さつき自主性とか言つておりましたけれども、一定のひな型にずつとかえて行くという傾向は、市町村の小さな町や村の実情に即しないことを、ずつと当てはめて行くという従来の画一行政の弊というものが、ますますはげしくなるように思うのですけれども、その点についても所見を承りたい。
#124
○小野政府委員 先ほど来御質疑を伺つておつたのでありますが、淺井総裁からお答えのように、人事院の方は新しくいろいろな諸制度をつくりあげて行かなければならぬために、相当の人手がいることは私も同感なのであります。ただ今今野さんから、それではその人事院でつくつたものをまねして行くということでは、自主性がなくなるではないか。こういう御心配のようでありますが、しかしよいものはできるだけこれを取入れてやつて行くということは、決して自主性に影響を及ぼす問題ではないと私は考えておるのであります。同時に、先ほど町村というようなお話がございましたが、人事委員会は、この法律では都道府県及び五大市には必ず置く。言いかえれば相当仕事も複雑であるし、また職員の数も多いというところには、ぜひ置いていただきたい、かようになつておる次第であります。
#125
○今野委員 人のまねをするといつても、まねをすることはやはり創作をすることと同じくらいに骨が折れる。それ以上に骨が折れる。ことに実情に即してやるということになればかえつて骨が折れる。自分でつくり出すよりも骨が折れる。その点では納得できません。たとえば人事院なども給與の問題、あるいは職階の問題について級別定数ですか、いろいろなことを申しておりますが、この職階の調査研究などが、非常に困難であるということを聞いております。同じように東京都などでも、そういうことを実際にやるとすれば、相当困難だろうと思うのです。そういうことが今言われた人員で、はたしてできるかどうか、その点お伺いしたい。
#126
○小野政府委員 五大都市、または都道府県等におきましても、それぞれ規模の大小もございますので、必ず二十人で行くかどうかということは、正確には言いかねるかと思うのであります。大体この程度で行くのではないかという意味での数字でございますので、御了承を願いたいと思うのであります。
 なおまた、この大切な仕事を進めて行きます場合におきましては、幸いに地方自治庁が、この法律が制定されますと、できるだけ協力したり、あるいは技術的な助言をやつてもよろしいということに相なりますので、人事院とも連絡をとりまして、仕事がうまく参りますように及ばずながら盡力いたしたいと考えております。
#127
○今野委員 今の問題は大体そのくらいにしておきたいと思いますが、ただ私おそれるのは従来もそうだつたが、教育委員会や何かたくさんできましたけれども、実際はこれは財政的にも能力がない。そのためにいろいろな法に規定してあるところを実行するという点になると、福祉的な部分とか、公務員の利益に関すること、そういうようなものはなかなか実行できないで、かえつてこまかいがしかし重大な、弾圧的な、弾圧的なと言つてはいけないがそういう制限的な部分が、非常に強く出て来るわけであります。今度も十分な用意なしにこれをやつた場合には、やはりそういう部分だけが、実際上は発動されるということがおそれられるわけでありますが、その点自信を持つてそうではないと言えるかどうか、お伺いしたい。
#128
○小野政府委員 御心配のような点もあろうかと考えますので、人事委員会なり、公平委員会を設置する場合におきましても、吏員職員の研修であるとか、いろいろな準備をいたしたいと考えております。また先ほども申しましたように、この法律案にありますように、地方自治庁もできるだけの協力をするようにして、御心配のないようにして行きたいと存じますし、政府も、さような事態を起さないという確信を持つて、この問題の処理に当りたいと考えております。
#129
○今野委員 そういう事務職員などの研修によつて、その弊を除くように努めるというお話でありますけれども、それは何を研修するのですか。まただれが教えるのか知らないけれども、今まで日本にはそういう官衙があまりなかつたと思うのでありますが、人事院でそれを御担当になつて、そうして研修を進めるというふうにお考えになるのですか。それとも外国の例にならつて研修されるということになるのですか、ちよつとお伺いしたいと思います。
#130
○小野政府委員 どこでやるかという仰せでございますが、地方自治庁が人事院と相談をしてやつて参る、かような考えでございます。
#131
○今野委員 その点はそのくらいにいたしておきます。
 次に大橋さんが帰つて来られたので、大橋さんにお伺いしたいと思うのであります。先ほど治安は改善されたということを言われたのでありまするが、自治体警察その他の国家警察、こういうものをみな含めて考えますと、戦前よりも現在の方が多くなつているように、われわれは思うのであります。この警察その他警察的な仕事をする人の数について、もし大ざつぱな数字でもおわかりでしたら、一応お知らせ願いたいと思います。
#132
○大橋国務大臣 戦前に比較いたしますると、相当増加をいたしております。
#133
○今野委員 どの程度ですか。
#134
○大橋国務大臣 五割ぐらい増加になつておることと存じます。数といたしましては、警察官の数はただいま十二万五千ということになつておりますが、これは戦前の警察官の数に比較いたしまして、五割程度増加いたしておると思います。
#135
○今野委員 警察官はそうでありまするが、消防もそれに協力するということになつているようでありますが、それも含めるとどうなりますか。それからそのほかに、数はわかつておりますが警察予備隊がある。そういうものも含めたらどうですか。
#136
○大橋国務大臣 そういうものを全部含めますと、大体倍くらいになると思います。
#137
○今野委員 そうすると二十五万ですか。
#138
○大橋国務大臣 警察官は十二万五千でございます。警察予備隊は七万五千でございます。そのほかに消防関係のものが若干ございますが、これは専務の職員のことですから、いわゆる公務員として取扱うべきです。それで、地方公務員または国家公務員として取扱うべきものは、今はつきりした数字は覚えていませんが、それらを合計して二十四、五万くらいになるのではないかと思います。
#139
○今野委員 そんなものですか、ちよつとおかしいな。少し足りないように思いますが、それはよくお調べいただきたいと思います。私はそのほかにまだあると思います。その実例をあげますが、これも相当な数になると思います。それはどういうものかというと、たとえば横浜の日本石油の工場に参りますと、YPMというしるしをつけた猟銃を持つた人たちがおる。ある人に聞くと、この猟銃を持つた人は補助憲兵だということでありますが、そこだけでもつてこれが百七、八十名おります。定員は二百名だと思います。これは神奈川県のいたるところにおります。鶴見の操車場にもおりますし、その他いたるところにおりまして、あちらさんの憲兵の将校が指揮しております。いろいろ事情を聞いたところ、外国人はいかなる事情があつても撃つてはならない。そうすると日本人だけを撃つのかと言うと、そうだという本人の話でありました。そういう命令を受けているということであります。そうするとこれもやはり軍事警察的なものでありますが、これが神奈川県だけでも数千人に上ると思いますが、どのくらいおりますか、お伺いしたい。
#140
○大橋国務大臣 今お尋ねになりました点は、これは総司令部関係の使用人でございますので、その数は私から申し上げるわけに参りません。
#141
○今野委員 わからないというのならばしかたがないからこれはこのくらいにしましよう。
 次にお伺いしたいのは、三十六條で政治行為が制限されており、三十七條で争議行為の禁止というようなことがあるわけであります。こういうように制限がされているということになると、これは自治性を重んずる法律としては、非常にこまかい点まで規定しているように思うのです。そこで選挙のことは特に具体的に出ているわけであります。それで私もひとつ具体的にお聞きしたいのですが、教員でもうちに帰ると普通の人です。たとえば女の先生が井戸端会議で、一体だれに投票したらよいのだろうかということで名前を言つた。そういうときにはやはりこれにひつかかることになるのでしようか。
 それからたとえば夫婦の間でこういうような話をしたときに、やはりひつかかることになるのですか、これは非常にこまかいようですが、こまかいところを規定しているから、ちよつとお伺いしたい。
#142
○小野政府委員 この法律案の三十六條で書いておりますところは、いわば政治的な行為をするという場合に、政治的な目的が前提になつておりますので、この点をお考えくださるならば、夫婦がそういう話をすることが該当するか否かということは、おのずからおわかりになると思います。
#143
○今野委員 今の答えはずいぶんおもしろい答えだと思います。そうすると夫婦の間でも、ここにあるような目的をもつて話をしたときには該当するいうのですか。
#144
○小野政府委員 この点につきましては、少し法律的なことになりますが、第三十六條第二項の第一号をごらんになつたらよいかと思うのであります。「公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。」こういうことになつておりますので、夫婦で話し合うことが勧誘運動なりや否やは、こういうことによつて判定を下すわけでございますが、そうでないとすればこれには該当しないことになるわけでございます。
#145
○今野委員 その点について大橋さんにちよつとお伺いしたい。
#146
○大橋国務大臣 夫婦間におきまして、選挙の際に候補者についていろいろ語り合うということは、それが特別の政治運動として行われますようなことは、まず考えられないと思いますので、かような場合には実際問題としてこの條項を適用するようなことは考えられません。
#147
○今野委員 そうすると井戸端会議などの席でそういうことをやるとどういうことになりますか。
#148
○大橋国務大臣 井戸端会議となりますと、多数人に対しまして選挙の候補者について話し合うごとになりますので、それが単に候補者について話し合うというだけならばいいのでありますが、投票を得、または投票をさせないというような目的を持つて、勧誘運動をしているというような話し方で話をしておりますと、これは当然この條項にひつかかることになります。
#149
○今野委員 これは非常に微妙なことになるわけであります。実際問題としてはたとえば教員が、教員というものは地方では相当権威ある知識人ということになつている。そうするとその人の所へどうしても来るのです。これは教員に限らない。役場の人などが近所におれば、この人に投票しようと思うのだが、どうかというようなことも聞かれるし、いろいろなことがあるわけです。そういうときにそれについて答えてはいかぬことになるわけですか。
#150
○大橋国務大臣 誤解を受けたくないということになりますと、答えなければ絶対にひつかからないことは確実なのであります。
#151
○今野委員 こういうことが大規模に私たちの身辺で行われているのであります。今度の教育委員の選挙でもそうでありますが、一村をあげて―ほかの候補者に二人が三人入つたのです。それで大騒ぎした例があります。私の隣村です。それはなぜかと言えば、皆これに入れろといつたのに、三人ばかり共産党の候補者に入つたというので大騒ぎをしている、こういうような例がある。実際足腰の立たない人までもリヤーカーなんかでひつぱつて来て投票させている。これは明らかな選挙違反であります。それを公務省が先に立つてやつている。これが現実のありさまです。今度の教育委員の選挙を見ましても、都市では、都市のインテリや、あるいは労働者はあの教育委員会の制度に失望して、非常に棄権が多かつた。ところがいなかに参りますと、投票率が多い。これはどうしたわけかといえば、結局そういう狩り出しというものが、たくさんあつたということの雄弁な証拠です。そういうことがやたらにあるのでありますが、しかしこういう規定がしてあると、ある者に対しては見て見ぬふりをする。ある老に対しては著しく取締る、こういうようなことが、ほんとうに目に見えるようにわかるわけであります。従つてこの規定は現在の予想のもとにおいては、実際悪用されるおそれが十分あると、私ども考えられるわけであります。その点、そういうことはないという保障が、どこにあるかお聞きいたします。
#152
○大橋国務大臣 この條項につきましては、これが刑罰に触れるというような性質の問題ではありませんで、これはいわゆる職員として解雇されるというような措置が、あるかないかという関係の條項でございまするが、お示しのようにこの各項の運用にあたりましては、その認定については十分に公平なる角度から、また真にその事実の有無について、しつかりした調査をして運用すべきものである。またその運用の適正をはかるためには、この法案中にもいろいろこれに関連する諸規定もあるわけでありまして、今、今野君のお話のように運用のいかんによつては、非常に不公平なことになりやすい條項であります。従いましてこれは十分に公平に運用するようにしなければならぬ。こう考えるわけであります。
#153
○今野委員 どうも保障ということまでは行かなかつたようでありますが、現実にこの法律ができます。そうすると私の理解では、法律ができると、地方の警察官あるいは検察官というものか、この法律があるからといつて、すぐ発動するわけです。そういうような点から発動の仕方に不公平が起るということを、私は危惧するものであります。そうすると、これはもう警察やあるいは検察庁の問題になるわけでありますけれども、ともかく従来でもこの選挙違反の明白な事実があつても、これはどうにもならなかつた。いわんや今度はこういう地方公務員が、それに携わつておるという場合には、そのおそれが十分あると思いますが、その点どうですか。
#154
○小野政府委員 この法律の運用の問題になつて参りますので、私からお答えをいたしたいと思います。第三十六條の政治的行為の制限につきましては、公務員関係の点から考えまして、罰則の規定は適用はないことにいたしております。従つてただいま御指摘のような警察の問題であるとか、あるいは検察庁の問題はございません。同時にこれは懲戒処分の対象となるのでございますが、懲戒処分と申しましても、戒告から免職までのいろいろの処分の方法がございますので、従つてすべてのものが免職をされるということにはならないので、その情状によつて任命権者が判断するであろうと思います。その場合に、もし当該職員が不利益をこうむつたという理由のもとに、人事委員会に審査を請求する道も開かれておりますので、この点についての保障の措置は、この法律案によつて可能である。かように考えております。
#155
○今野委員 それから私この点で非常に疑問に思うことがありますので、もう一つ考えをお伺いしたいのです。それは今度特別都市設置が大分ありました。そのときに都市での選挙があつたのです。私の選挙区では横須賀などがありました。また近くでは横浜などがありましたけれども、そのときに市長やその他の人々が先頭に立つて、そうして団体をつくつて賛成投票をさせよということを電車の中にも張りめぐらしますし、あちらこちらに塔を立てて非常な運動をしたものです。こういうことは自治体としてやつておるのでありますが、これは公の選挙であるには間違いないのですが、この規定とはどんな関係になりますか、お伺いしたい。
#156
○小野政府委員 ただいまのお話は、憲法に申しておりまする普通地方公共団体のみに適用される特別法の賛否の投票の問題であろうと思います。その場合におきまして、何分かような特別法の賛否の投票は、一般地方住民でも、ややともすると関心が薄くなるおそれがあります。従いましてかような場合に啓発運動と申しますか、さような意味合いにおいて、できるだけこれを理解、周知徹底せしめるために、こういう措置をとつたところもあろうかと思うのであります。ただこの場合において、いわゆるこの第三十六條にいう政治的な目的を持つて勧誘運動をしたかどうかということにつきましては、個々の職員の行為について判断をしなければならぬと考えます。
#157
○今野委員 それは市の吏員やなんか使つて、やはりそういう大規模な賛成投票をせよということをやつているのです。だから勧誘運動どころではないのです。ひそかに勧誘するというどころではなして、非常に大つぴらにやつているわけです。これはどうもわれわれ疑義があつたわけですけれども單に投票をしなければいけないというだけでなく、明白に賛成投票をせよということなんです。その点もう少しはつきり伺いたい。
#158
○小野政府委員 その点につきましては、第三十六條の第二項にございますように、この規定に定まつているような政治的の目的を持つているものとは、私ども考えられないのでございます。さような意味合いにおいて処理してしかるべきものであろうと考えます。
#159
○今野委員 そうすると、それは公の選挙ではあるけれども、政治的な目的を持つた選挙ではないとおつしやるのですか。
#160
○小野政府委員 その点につきましては、ここに第三十六條第二項に掲げておりますような政治目的がないものであると、私は考える次第であります。
#161
○今野委員 これは「地方公共団体の執行機関を支持し」云々と書いてあります。これに抵触するのではないですか。
#162
○小野政府委員 これは当該地方公共団体の執行機関を支持し云々、そういう目的をもつてやる場合、あるいは逆に反対する目的を持つてやる場合、こういうことになつておりますので、当該地方公共団体の執行機関を支持したり、あるいは反対したりする、ただいまのお話では賛成ということになれば支持する、こういうふうな目的を持つているものとは、解釈できないと考えます。
#163
○今野委員 そうすると、ああいうことは大つぴらにやるべしということになるのですか。結果においてはやはり執行機関を支持するということを求めていることになるわけでありますか、その点はそうではないとおつしやるのですか。
#164
○大橋国務大臣 私からお答え申し上げます。特別都市法案の類につきまして、市役所の吏員を使用いたしまして、これに賛成の投票を勧誘せしむるということになりますと、その勧誘いたします行為は、この三十六條第二項の一号に該当いたしますし、またそれを勧誘するように命じたといたしますと、その行為は同條の第三項に該当するものと思います。但しそれが選挙がある、あるいはまた投票が行われる。それから投票を求められている事案の内容がこういう事項であるというような、事件の内容を周知徹底させるという範囲にとどまります場合は、もとよりこの條項に該当しないと存じます。しかしお話のように一歩進みましてこれに賛成の投票をしろとか、あるいは反対の投票をしろというような段階に相なりますと、今後この法案が成立いたしました場合には、この條項によつてひつかかる、こういうふうに観念いたします。
#165
○今野委員 非常に重大なことだと思うのでありますが、そうすると今後はひつかかるけれども、今までのはひつかからない、こういうことですか。つまりこれにはひつかかるけれども、今までは当然さしつかえなかつたのだということになりますか。
#166
○大橋国務大臣 現在法律がないのですから、ひつかかりようがないわけでして、そういう意味で法律のできた後には、この法に該当する。こういう意味で申し上げたのであります。
#167
○今野委員 それでは選挙の点はそのくらいにいたしたいと思います。
 そこでこの政治行為の制限、あるいは争議行為の禁止、これはやはり憲法に規定されている基本的人権の制限であろうと思うのでありますが、その点について大橋さんの御意見を伺いたいと思います。
#168
○小野政府委員 私からお答えいたします。
 地方公務員もまた憲法上の公務員であることは御承知の通りでございます。従つて全体の奉仕者たる地位を持つておるわけでございます。さような意味合いにおきまして、公務員たる本質から言いまして、かような制限はやむを得ないと考えております。
#169
○今野委員 そうすると、私基本的人権の制限かどうかということを聞いたのですが、今のお答えですと今までいろいろと政治活動をやつていた、たとえば教員がこういうものについて勧誘したりなんかした、こういうことは憲法に違反する。そういうふうに受取られるのでありますが、その点どうですか。
#170
○小野政府委員 現状におきましては、いまだ地方公務員制度自体の確立ができておりませんために、この点につきましては問題が残されておつたのでございますが、国家公務員制度と相まちまして、地方公務員たる地位、本質にかんがみてさような措置をすることが妥当である。かような考え方から、この法律案の中に規定を設けることにした次第であります。
#171
○野村委員 議事進行について……。若干まだ質疑残留の人もあるようですが大体公報の予定の審議を、昨日来愼重に審議し続けて来られましたので、残部は委員長において善処せられ、委員会の質問はこれをもつて打切りにし、この連合審査会は、この程度で散会せられんことを望みます。
#172
○前尾委員長 連合審査会はきのうまでの予定でありましたが、本日までさらに引続いて参りました。大体連合審査の目的も達せられたと存じます。各委員長とも協議しまじた結果、連合審査会はこれにて終りたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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