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2000/04/14 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 商工委員会 第10号
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2000/04/14 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 商工委員会 第10号

#1
第147回国会 商工委員会 第10号
平成十二年四月十四日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君
   理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君
   理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君
   理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君
      小野 晋也君    岡部 英男君
      奥田 幹生君    奥谷  通君
      粕谷  茂君    小島 敏男君
      古賀 正浩君    桜井 郁三君
      新藤 義孝君    田中 和徳君
      竹本 直一君    中野  清君
      中山 太郎君    古屋 圭司君
      細田 博之君    村田敬次郎君
      茂木 敏充君    森田  一君
      山口 泰明君    枝野 幸男君
      渋谷  修君    島津 尚純君
      中田  宏君    中山 義活君
      松沢 成文君    山本 譲司君
      赤羽 一嘉君    西川 知雄君
      藤田 スミ君    青山  丘君
      小池百合子君    塩田  晋君
     知久馬二三子君
    …………………………………
   議員           枝野 幸男君
   議員           石毛えい子君
   通商産業大臣       深谷 隆司君
   国務大臣
   (経済企画庁長官)    堺屋 太一君
   経済企画政務次官     小池百合子君
   通商産業政務次官     細田 博之君
   通商産業政務次官     茂木 敏充君
   政府参考人
   (司法制度改革審議会事務
   局長)          樋渡 利秋君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (経済企画庁国民生活局長
   )            金子 孝文君
   政府参考人
   (通商産業大臣官房長)  佐野 忠克君
   政府参考人
   (通商産業省生活産業局長
   )            横川  浩君
   商工委員会専門員     酒井 喜隆君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  樽床 伸二君     枝野 幸男君
  金子 満広君     藤田 スミ君
  北沢 清功君     知久馬二三子君
同日
 辞任         補欠選任
  枝野 幸男君     松沢 成文君
  藤田 スミ君     金子 満広君
  知久馬二三子君    北沢 清功君
同日
 辞任         補欠選任
  松沢 成文君     中田  宏君
同日
 辞任         補欠選任
  中田  宏君     樽床 伸二君
    ―――――――――――――
四月十三日
 弁理士法案(内閣提出第八七号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
四月十四日
 消費者契約法案(菅直人君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一八号)
は委員会の許可を得て撤回された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 消費者契約法案(内閣提出第五六号)
 消費者契約法案(菅直人君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一八号)
 消費者契約法案(菅直人君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一八号)の撤回許可に関する件
 弁理士法案(内閣提出第八七号)(参議院送付)


    午前九時二分開議
     ――――◇―――――
#2
○中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、消費者契約法案及び第百四十六回国会、菅直人君外三名提出、消費者契約法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として、大畠章宏君の質疑の際に警察庁生活安全局長黒澤正和君、西川知雄君の質疑の際に経済企画庁国民生活局長金子孝文君、吉井英勝君の質疑の際に経済企画庁国民生活局長金子孝文君及び通商産業大臣官房長佐野忠克君、塩田晋君の質疑の際に通商産業省生活産業局長横川浩君、知久馬二三子君の質疑の際に経済企画庁国民生活局長金子孝文君及び司法制度改革審議会事務局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
#5
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
 消費者契約法案について質問をさせていただきますが、この消費者契約法については、私ども民主党も昨年の十二月に法律案を提出しておりまして、現在、商工委員会の委員の皆さんの御理解をいただきながら、民主党案と政府案を並行して審議させていただいております。今回の消費者契約法というのは、一般の市民の皆さんからも大変注目されている法律案でありまして、私どもとしても、大変大きな法律案だと受けとめて今日まで法律案の質疑をしてまいりました。
 堺屋長官もよく御存じだと思いますが、日本の国の成り立ちあるいは経済の発展というものを考えますと、どちらかというと、物をつくる、提供する側が非常に先行しまして、消費者側に立った視点というのは後追い的に推移してきたように感じています。
 過去を振り返りますと、砒素ミルク事件あるいはまたさまざまな商品の欠陥による被害というものが広がって、それに対する個別法で対応してきたということでございますけれども、それではもう対応し切れなくなったということで、特に最近では、消費者の方々の苦情というのがこの五年間ぐらいで倍増している、三十二万件になっているという話もあるのです。そういうことから、消費者の立場に立った契約法というものの制定が必要だということで今日に至ってきていると思います。
 きょうは、民主党の枝野提案者も来ておられますが、順番からいえば民主党案を聞いてから政府案というのが順番かなとも思うんですが、やはり政府の方もかなり本腰を入れてこの消費者契約法というものをお出しいただいていますので、当初、民主党案の提出者に聞いて政府案と考えておりましたが、政府案の提出者の方に聞いて、それから民主党の提出者に聞くという順番で、提出をされた法律案の内容について質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、きょうは総括質疑ということでありますから、これまでの質疑というものを振り返りながら質問をさせていただきますが、本法律案の提出に至る経緯あるいは意義についてどのように考えながらこの消費者契約法というものを提出されたのか。まず、政府案の提出者であります堺屋経企庁長官にお伺いしたいと思います。
#6
○堺屋国務大臣 お説のごとく、日本は明治以来、産業発展に努めてまいりました。特に戦後は、規格大量生産を推進するという立場から、政府がさまざまな規格基準を定め、それによって規制を行い、規格基準の定まった大量生産を進めてまいりました。
 ところが、現在我が国では、国民の自由な選択を基礎とした公正で自由な競争の行われる市場メカニズム重視の社会を実現しようと構造改革を進めております。こうした中で、政策の基本原則が、事前規制から、市場参加者が遵守すべき市場ルールの整備へと転換しつつあります。こうした中で、消費者のための新たなシステムづくり、制度づくりが重要になってまいりました。
 一方、消費者取引の分野におきましても、消費者、事業者の間の情報力、交渉力の格差を背景に、消費者契約トラブルが増加しております。消費者が事業者との間で締結する契約に関するトラブルがふえております。
 こうしたことにかんがみまして、平成五年に、製造物責任法の審議を終えた国民生活審議会におきまして、消費者取引上の問題等の検討を開始し、平成十年一月には試案を公表し、各方面から幅広い意見を聴取してまいりました。その結果、平成十一年一月には、本法の早期制定とそのためのコンセンサスの形成を求めた報告が取りまとめられまして、同年六月から幅広い関係者から成る検討委員会を設置し、平成十一年十一月三十日、「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」と題する立法提案を受け取るに至りました。
 こうした中で、昨年十二月十日には、民主党が消費者契約法案を国会に提出なさいました。
 これらの検討を踏まえて、民主党の消費者契約法案も参考にしながら、関係各方面との調整を行いつつ、公正で予見可能性の高いルールを策定するという観点から、法律の制定の仕方につきましてさらに検討を加えた結果取りまとめられたのが、この政府提案でございます。
 本案は、消費者と事業者との間の情報力、交渉力の格差が、消費者と事業者との間で締結される契約である消費者契約のトラブルの背景になっていることが少なくないということを前提といたしまして、消費者契約に係る意思表示の取り消しについて民法の要件の緩和を図るとともに、その抽象的な要件を具体化、客観化したものであります。
 これにより、事業者の不当な勧誘によって締結した契約から消費者が離脱することを容易にするとともに、消費者の立証負担を軽くするといったような意義があると考えております。
 また、民法では、消費者の利益を不当に害する契約条項を無効にするかどうかが信義則違反、公序良俗違反という抽象的な要件で判断されておりますが、本法案では、無効とすべき条項をより具体的に規定し、不当な条項の効果を否定することを容易なものとしております。
 以上のような経緯と内容で提出させていただいているわけでございます。
#7
○枝野議員 お答えをさせていただきます。
 まずは、今の大臣の御答弁の中で、我が党の案も参考にというようなことも言っていただきましたことを率直に評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 私どもといたしましては、野党の立場としては、我々の考え方をきちんとまとめて法案を国会に出し、そのことによって、政府・与党が御参考にしていただいて、いいものができるということが野党としては一つの大きな意義だというふうに思っておりますので、その点お認めいただいたということで、率直に受け入れたいというふうに思っております。
 この経緯でございますが、私ども民主党は、二年ほど前に結党されましたとき以来の理念は、生活者、納税者、消費者という、これまでどちらかというとないがしろにされてきた立場から政治をきちんととらえていこうということが結党の理念でございます。
 そうしたことから、結党後直ちに、党内に、当時の伊藤英成政調会長の強い指示で、消費者問題のプロジェクトチームを立ち上げさせていただきました。その中で、今の大臣の話とも重なりますが、PL法ができた中では、やはり消費者取引というものが消費者行政の中で一番緊急を要する最大テーマだろうということで議論を重ねてまいりました。
 特に、私どもの立場からは、従来の民法が大変古くなっておる、これだけ資本主義があるいは産業、経済が発展することを想定しない中で、明治時代に民法がつくられ、基本的にはその民法のルールで消費者取引が規制をされている。したがって、いわゆる法規制ルールではなくて、行政的な部分でいろいろと手当てを経済企画庁を中心にしてしてこられたことについては評価をいたしますが、やはりなかなか限界があるだろう。特に、今規制緩和の時代で、行政が裁量的に規制をかけて消費者を保護するのではなくて、明確なルールに基づいて消費者を保護するという観点からすれば、例外のない一般ルールをきちんとつくるということが大切だろうということで法案作成をしてまいりました。
 率直に申し上げれば、政府の側からもうちょっと早い段階で法案が出てくるのではないかというようなこともございましたが、なかなかいろいろな調整に手間取っておられたようでございます。
 それならば、我々の立場としては、先に法案を提出させていただくことで、なかなかおくれて困難をきわめておったいろいろな調整、政府内の作業というものを早く進めていただく効果もあればいいのではないだろうか、あるいは、あるべき法律とはこういうものだということがお示しできればいいのではないだろうかということで、昨年、野党としてこれだけの法案をつくるのは非常に苦労をいたしましたが、法案を出させていただいた。
 並べて見ていただいた中で、我々の案にも至らないところはあろうかと思いますが、政府案、民主党案、それぞれどこが問題なのか、どこをどうすればもっとよくなるのかという国民的な議論が起こってくれればいいなというふうに思っておりましたが、それなりの成果は上げられているのじゃないか、こんなふうに思っております。
#8
○大畠委員 政府案、そして民主党案の基本的な考え方と経緯等々については理解することができました。
 現在は、経企庁長官も推進しておられますが、規制緩和による自由競争、一定のルールというものを厳しく守らなければならないというわけでありますが、いずれにしても自由競争の時代に入ったと思います。この商工委員会でも、政府案と民主党案が並行して審議をされるというのは大変私はいいことだと思うのですね。その中で論議をしながらよりよいものにしていこうということだと思うのです。
 そこで実は、民主党案の方は、枝野さんからお話しありましたが、どちらかというと消費者寄りに偏り過ぎているのじゃないか、したがって、中小企業や小売業に対しては厳し過ぎるのじゃないかという批判も一方であることは事実です。それから政府案の方は、逆に今度は、小売業とか中小企業の立場に立ち過ぎて、もうちょっと消費者の立場に立ったらどうかというような意見もあるのです。
 そこでまず、政府と、そして民主党、両方にお伺いしたいのですが、提出者でありますから、自分の法律案が一番いいんだというのはわかるのですが、政府案の評価できるところ、あるいは、堺屋長官からもお話しありましたが、民主党案も参考にしながらつくったということでありますが、政府の方から見て民主党の評価できるところ。けなすことは幾らでも、これはお互いにけなし合うことはあれですから、評価できるところ、お互いに評価できるところはどんなところかということを、政府と民主党、双方にお伺いしたいと思います。
#9
○堺屋国務大臣 民主党案と政府案との比較でございますが、まず民主党案は、政府案と同じように消費者と事業者との間の情報力、交渉力の格差にかんがみ、消費者契約に係る民事ルールを規定するものであり、この趣旨、発想といいますか、趣旨と目的においてはほぼ同じである、この点は、民主党さんの案も非常に我々の意に沿ったものだと思っております。
 ただし、民主党案における民事ルールの詳細については、その大きな部分が内閣総理大臣が定めるガイドライン、指針あるいは政令にゆだねておりますことから、政府案との比較を正確に述べることは難しいと思います。つまり、政令あるいは総理大臣の指針にゆだねているところが多いということです。
 民主党さんの案は、国民生活審議会における検討を踏まえまして、平成十年から議員立法に着手され、消費者契約法をさきの臨時国会に提出されたということは非常に高く評価しておりますが、そういう点では、ちょっと総理大臣の権限にゆだねているところがかなり多いだろうという気がします。
 今回御審議していただいております政府案は、消費者、事業者の情報力、交渉力の格差を背景に、消費者契約に係るトラブルが増加していることに着目してつくったものでございますが、政府の基本的原則を市場ルールの整備へと転換していくことが求められている中で、これまでの消費者問題を総括した上で、六年間にわたります幅広い関係者との検討を経て策定されたものでございます。
 政府案の内容につきましては、昨年十二月に国会に提出されました民主党さんの案も大いに参考にさせていただきまして、そのすぐれたところは十分に反映させつつ、できる限り内容を明確にして、予見可能性の高いものにした、こういうつもりでおります。
 また、去る四月五日に行われました本委員会における参考人質疑におきまして、中小企業の代表であります井田全国商工会連合会専務理事が述べておられますように、現在の政府案は、通常の事業を行っている中小企業者から見てぎりぎりのところでまとめられているのではないか、こういう評価をいただいております。
 中小企業者等の意見等、幅広い国民的コンセンサスを踏まえれば、政府案のとおり立法していただくことが最善だと認識しているような次第でございます。
#10
○枝野議員 お答えをさせていただきます。
 私どもの立場から、特に政府の立法の過程を見させていただく中で、二点、結果的に非常によかったなということで、率直に評価をいたすべきだと思っております。
 一点は、例外をつくらなかった。いろいろな分野から、消費者契約法の例外をつくってほしいというかなり強い声があったことは理解をいたしておりますが、例外をつくってしまいますと消費者契約法としての意味がある意味ではなくなってしまうと言ってもいいのではないだろうか。一般ルールをつくるということがまず出発点であるということですので、そうした意味で、最終的に例外をつくらなかったということは高く評価すべきであると率直に認めたいと思います。
 それからもう一点は、政府案の方の第十条にあります、これは若干いろいろと修飾がついてわかりにくくはなっておりますが、いわゆる不当条項についての一般規定を最終的に盛り込んでいただいた。このことによって、率直に言えば、私どもとしては民主党案をぜひ通していただきたいけれども、政府案にも反対しにくいなというレベルになったんではないかということを思っております。
 あと、実は、法律的なテクニカルな面で言えば、やはり政府案の方がいろいろ整理がされているというふうに思っております。ただ若干、一点だけ付言をさせていただければ、中小企業の皆さんのさまざまな不安というようなことがあるということについては、その不安については私たちも十分理解をしているつもりでおりますし、不安を持たれることがもっともであるというところまでは同感でございます。ただ、現実に法律をきちんとお読みいただき、その内容をきちんと理解していただければ、恐らく、商売をされている方、特に中小零細の、商売を普通にされている方の九九%の方にとっては、この法律ができることは、何の関係もない。
 つまり、町の雑貨屋さん、八百屋さん、魚屋さんが普通に商売をする上では全く関係がないということであるにもかかわらず、何か、この法律で新しい義務、責任が発生するのではないかということを、普通にまじめにやっている業者の方が不安を持たれるということは大変残念であります。
 現実に、私はPL法のときも、大部分の方にとっては影響はありませんよ、これでもし皆さんが大変だ大変だと騒げば騒ぐほどPL法対策という本を書く弁護士がもうかるだけですよというふうに申し上げましたが、今回も同じであると思っておりまして、もちろん悪徳業者にとっては大変大きなダメージを受ける法律でありますが、大部分のまじめな中小零細企業の方は、変に不安を持たれると、やはり今回も解説書を書く弁護士をぼろもうけさせるだけということになるんではないかというふうに思っております。
 そうした意味で、私どもの法案に対する不安というものは、ある意味では誤解に基づいているということについては自信を持っております。
#11
○大畠委員 堺屋長官からも率直な御意見をいただきましたし、また、枝野提出者からも率直な御意見を賜りました。
 特に民主党案に対して、小売業や中小企業に対して厳し過ぎるんじゃないかという批判に対しては、枝野さんの方から、そういうことはありません、九九%のいわゆる真っ当に商売をしている人にとっては全く影響がない法律案だということで、悪徳業者にとっては非常に厳しい法律案だけれども、通常の商売をされている方に対しては全く影響がないという話でございました。万が一そういうことで困る方がいたら、枝野さんも弁護士の一人でありますから、そのときはぜひ適切な救助策をやっていただきたいと思います。
 それでは次に、言ってみれば今回の両案とも、消費者トラブルというのが非常に近年ふえてきた、もちろん社会的な変化というものがあって、複雑な社会でありますから、だまそうとする人、あるいはうっかりだまされてしまう人というのが非常にふえている、時代的な背景もあるかもしれませんが。今後、消費者トラブルというのはどういう推移をするのか、特に、この法律というものが非常に有効に働いて、減少するのかどうかということも含めて、政府の方の見通し、そして民主党の方の見通しというものをお伺いしたいと思います。
#12
○堺屋国務大臣 この消費者契約法案は、消費者と事業者との間で締結される契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決することを目的として、消費者の利益の擁護を図ることを目的としておると同時に、事業者が勧誘行為や契約行為の見直しを進める等、積極的な対応がなされることになっております。こうしたことによりまして、特定分野を対象とした個別法と相まちまして、消費者トラブルの発生防止に役立つものだと期待しております。
 一方、この法律が施行されるに伴いまして、消費生活センターの苦情相談あるいは苦情処理体制の整備を進めますれば、本来救済されるべき消費者のクレームがより顕在化することも考えられてまいります。こうした場合には、消費生活センターなどに寄せられる苦情相談件数が一時的には増加することもあろうかと思いますが、このことは、この法律及び消費生活センターなどの本来の機能が十分に発揮されてきたことだと考えていいのではないかと思います。
 ちなみに、大畠委員の御尽力もございまして、当委員会の審議を経て平成六年に成立いたしましたPL法、製造物責任法においては、平成七年七月の製造物責任法施行以後、各地の消費生活センター及び国民生活センターが受け付けました製品事故に係る苦情相談件数は、法施行後一年間に、法律施行前に比べて倍増いたしました。件数で申しますと、施行一年前が三千七十一件でございましたが、その一年後には五千七百六十五件と、ほぼ倍増したわけであります。しかし、その後は双方いろいろと研究、注意が進みまして、減少傾向にございます。一方、拡大損害を伴った苦情相談件数は、このPL法施行後からほとんど変わっておらず、全体として安定した推移になっています。
 こういった製造物責任法の例を見ましても、消費者契約法が施行されますと、消費者トラブルは一時的に増加することが考えられますが、他方では、この法律の要件に該当するトラブルについては公正かつ円滑な解決が図られるようになることでしょう。そうすると、事業者も消費者も、そういうことを前提にして、用心深くといいますか、公正な取引の方向が定着する、これが大きく期待できるところだと思っております。
#13
○枝野議員 お答えをさせていただきます。
 トラブルが増加をするかどうかという、そのトラブルの意味にもよると思うんですが、つまり、実際に今トラブルがすべていろいろなところで表に出てきているわけではなくて、泣き寝入りをしている方もたくさんいらっしゃる。そういった意味での実態数という意味では、私は、短期間を見れば実はそんなに変わらないんではないだろうか。
 つまり、今度法律ができて、先ほどの大臣の御答弁の最後の方にありますとおり、この趣旨あるいはルールというものが徹底をして、その教育的効果がいろいろな意味で出てくる段階では、私は、最終的には減少に向かうというふうに思っておりますが、法律ができたからといって、潜在的なトラブルの数というものはすぐに変わるものではないというふうに思います。
 むしろ、大切なことは、そのトラブルがきちんと表に出てきて、救われるべき人は救われる、救われるべきでない人は救われない、その仕分けがしっかりとしてくるということによって、表に出てくる件数はかなりふえるでありましょうし、そのことによって、救われる方はふえるであろうというふうに思っています。そして、そのことが繰り返されることによって、いわゆる悪徳商法は割に合わないんだというようなことが広まっていく、その結果として数が減少に向かっていく。これがこの法律の持つ意味だと思います。
 ただ、ここは民主党案の宣伝をさせていただきますと、民主党案ではそういうことになるというふうに思っておるんですが、政府案の場合、特に契約締結過程についてきちんと網羅的に網をかけることができておりませんので、この審議の中でも言われておりましたいわゆる恋人商法であるとか、そういったさまざまないわゆる悪徳商法について、この法律の網から外れてしまう部分が出てくる。そうすると、悪徳業者というのは常に知恵を絞ってまいりますので、ますます巧妙化をしていくということが若干の心配であります。
 そうした意味では、消費者も、あるいは消費者センターを初めとしてこれに対応する関係者が、この法律の抜け穴を一生懸命探していく悪徳業者に対して一層知恵を絞っていかないと、なかなか、その部分での効果というものが小さくなってしまう心配というものは持っております。
#14
○大畠委員 枝野さんがおっしゃるように、消費者トラブル件数というのは一概になかなか定義が難しいかもしれませんが、いわゆる表に出ないトラブル、いわゆる泣き寝入りしている消費者の方もたくさんいるんじゃないかという感じがします。したがって、そのトータル件数がふえるか減るかというのは余り重要でないかもしれませんけれども、いずれにしても、そういう実際の被害者の人にできるだけ表に出てきてもらう、要するに、今長官からも枝野さんからもありましたが、あいまいなルールじゃなくて明確にしていって、そしてその明確なルールをもとにするとこれは被害者として認定してもらえるというものを、今までちょっとあいまいだったと思うんですね。
 今回消費者契約法である程度明確にしてくると、これに照らすとやはり私は被害者なんだということをきちんとすれば、一時的には確かに被害件数がふえるかもしれない。それは、今まで泣き寝入りしたり訴えても仕方ないかとあきらめた人が表に出る、そのことが逆にこれからの対策にはやはり重要じゃないかという感じがしまして、今の両者のお話については理解ができるところであります。
 そこで、ルールを決めてもそのルールをどう実効性のあるものにするかということが結局重要だと思います。いわゆる具体的に、消費者契約法というものを実社会のそういう、きょうも多分どこかで消費者トラブルに巻き込まれている人が発生しているでしょう、そういう方々をどうやって救済していくか、あるいは未然に防止するためにどうしたらいいか、そういう具体案というものもこれは重要であります。
 ともすると立法府の方は、法律さえつくれば、後はうまくやってくれという話が多いんですが、ここら辺、政府並びに民主党としては、民主党も将来といいますか次の政権をとると言っていますから、政権をとった場合に、例えばこの法律案が通ったとして、どういうふうに具体的にやっていくのかということも含めて、政府と民主党にお伺いをしたいと思います。
#15
○堺屋国務大臣 消費者と事業者との間で締結される契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決することによりまして、消費者の利益の擁護を図るために、本法の法制化を急ぐとともに、この法律ができました場合の実効性を高めるために、関連する諸施策を適切に講じていくことが大切だと考えております。
 具体的に申しますと、消費者契約法のできました後、施行後は、平成十二年度の予算措置といたしまして、消費者契約に関する啓発、教育事業、あるいは情報提供体制の充実、消費生活相談員への研修、関係各界との連携体制の構築など、この法律の実効性を確保するための各種事業を積極的に行うための経費、これが八千二百万円でございますが、盛り込んでおります。
 こうした予算措置を活用し、消費者契約法の逐条解釈、いわゆるコンメンタールという解説書でございますが、こういうものを作成いたしまして、各方面への説明会の実施、あるいは消費者相談に携わる方々への研修の実施や、消費者団体や事業者団体との連携体制の充実に努めていきたいと考えております。
#16
○枝野議員 お答えをさせていただきます。
 実効性確保に向けまして、まず民主党案の中には、この法律の趣旨から反しない範囲で盛り込めることとして、不当条項について内閣総理大臣によって排除の勧告ができるという規定も盛り込ませていただいております。
 ただ、いずれにいたしましても、実効性を真に確保するためには、いわゆるルールをつくることだけではなくて、そのルールを守らせる仕組みということが重要であるという意味では、この法律の外の部分の方が半分以上のウエートを実は占めるんだろうと思っています。
 そうした意味では、一つには、やはり消費者センターを中心とする行政的な相談のシステムというものに対してきちんとお金をかけて、人を配置してということをさらに徹底をしなければならないだろうというふうに思っております。
 それからもう一つは、いわゆる司法制度の改革というものがこの法律の実効性をきちんと担保する上ではやはり不可欠の要素であろう。裁判が長過ぎるし、お金がかかるということは、被害に遭った消費者にとっても、あるいは訴訟を起こされる事業者にとっても、メリットの全くないことであります。安い費用で、短い期間で裁判所できちんと決着がつくということができれば、消費者トラブルに対する国民の対応というものは全く変わってくるだろうというふうに思っておりまして、ここはこういった視点からの司法改革を急がなければならないというふうに思っております。
 それからもう一点、若干忘れられがちでありますが、私は、最近言われております警察改革の話というものが実はこれにも大きくかかわってくるのではないだろうか。つまり、民事不介入というところがここまで入ってきてしまっていいのかというふうに思いますけれども、どうしても取引にかかわるトラブルというものに対しては、残念ながら、警察がそもそもシステムとしても小さ過ぎるということがあります。
 社会の変化に伴いまして、公安中心の警察から、粗暴犯やこういった経済事犯に対して、多くの場合、恐喝であるとか脅迫であるとかあるいは詐欺であるとかという刑事法的にも違法であるケースが少なからず悪徳取引にはあるわけでありますから、そこに対して迅速的確に対応できるような警察システムの人の配置の大きな変化ですとかそういったことをやっていく、これによってこのルールが守られることが短期間で達成できるのではないだろうかというふうに思っております。
#17
○大畠委員 基本的にはそういうことだと思います。政府の方からは八千二百万円ほどの予算をいろいろ組みながらやっていきたいという話でありましたし、枝野提出者からは、司法制度あるいは警察のあり方等々もいろいろ改善をしていきたいという話がございました。
 そこで、今ちょうどこの法律案の提出に至る経緯、お互いの法律案の利点、あるいはまたこの法律案が施行をされた場合の社会的な傾向、それから実効性を確保するための具体的な方策について伺ってまいりましたけれども、ここで、細かな質問に入る前に、結局、長官からもお話がありましたけれども、法律をつくる、そして法律の運用あるいは全体的な消費者の行政というものがどうあるか。
 国があって県があって市町村があります、それで消費者があって業者がいますね、そこら辺をどういうふうに包含しながら、トラブル対策といいますか、消費者のトラブルが多発しています社会現象に対してどういうふうに網をかけて、最終的に正常な社会といいますか、だまして得した場合には必ず処罰されるんだよとかいう話だと思うんですが、結局そういう社会の公正さあるいは秩序というものが保たれるようにしていこうとされているのか。グランドデザインを、経企庁と民主党に、両方にお伺いしたいと思うんです。
#18
○堺屋国務大臣 大変重要な御指摘、質問だと思います。
 きのうも天網恢々疎にして漏らさずというお話がございましたけれども、従来、日本の消費者行政というのは、政府が前面に出ていって、こういう基準のものでなければ危険だ、こういうものはつくっちゃいかぬと事前にいろいろと取り締まりをするというような観点で行われておりました。ところが、これだけ自由競争の世の中になり、消費者の選択の幅を広げるということが消費生活の重要な部分になっている、そういう中で、市場ルールを確立しなきゃいけないということが大変重要だと思います。
 そこで、消費者行政全体の体系から見ますと、一方においては、平成七年七月に、大畠委員にもお世話になりました、安全ルール、製造物責任法というのが一方の柱としてでき上がっております。今回、消費者取引の分野での消費者契約法の立法ができますれば、この製造物責任法といわば車の両輪のような形で、消費者行政の総合的な被害防止ということで重要な役割を果たすのではないかと思っております。消費者政策において非常に重要な部分、これまた来年になりますと政府機構も変わりまして内閣府の中に国民生活局というのができますが、そこの一番重要な二つの、車の両輪になってくると思います。
 また、国と地方との関係についてのお話もございました。
 消費者保護基本法には、その精神にうたわれておりますのは、同法によれば「国は、経済社会の発展に即応して、消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」とこの法律の二条に定められております。その一方で、地方公共団体に対しましても「国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者の保護に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」こう書いてございます。まず国の義務がありまして、各地域別には、地方自治体もその義務を負うということでございます。
 消費者契約法案を策定いたしまして、この消費者保護基本法の精神に沿ったものとしてこれが考えられているわけでございますが、地方自治体におかれましても、本法が成立いたしますれば、適切な情報の提供、苦情処理体制の充実、トラブル情報の集積、分析などにおいてこの法律が実効性を確保するための適切な措置をとられるように支援してまいりたいと考えております。
#19
○枝野議員 お答えをさせていただきます。
 まず、前提といたしまして、民主党は、連邦分権型の国家にこの国の形を変えるということを目標といたしておりますし、これを一刻も早く達成することが、消費者行政に限らず、さまざまな意味があるというふうに思っております。
 そうした観点から、本来のあるべき姿としては、国がやるべき仕事としては、例えば消費者保護という観点からすれば保護のためのルールをつくる、あるいは地方公共団体がそこにどれぐらいのウエートをかけなければいけないのかという指針をきちんとつくるということが国の仕事でありまして、実際にトラブルに対してどう対応するのかという仕事は、本来は地方自治体の仕事である。
 この委員会でも御議論がありましたけれども、それは、基礎自治体、現在の市町村を中心に行うのか、広域自治体、現在の都道府県やあるいは道州というものが中心になって行うのか、ここについてはこれからさまざま検討していかなければならないと思いますが、いずれにしても、そうした部分は地方の仕事、国はルールづくりというのが本来あるべき姿であるというふうに思っております。
 そのことによりまして、国の方はきちんとしたルールづくりということに徹し、そして現場の自治体が、地域の具体的な案件に直接かかわるところが権限と予算を持って対応していくということによって、消費者行政というものがうまく回っていくのではないだろうかというのが一点であります。
 それから、もう一点、その場合の国の仕組みの中で、これまでの行政の仕組みが、例えば住宅については建設省が消費者行政も産業行政も両方やる、あるいは食品については農水省が消費者行政もあるいは産業行政も両方やるという仕組みがずっと続いてきたわけでありますが、これからは、視点は全く違うだろう。物をつくる、提供する側の役所と、それを受け取る側、消費者のサイドの役所ということをもっと明確に分けていくことがこれからの視点として一つ必要なのではないだろうかというふうなことを思っております。
 ただ、これは、我々が政権をとらせていただいても、五年ぐらいかけていかなければ連邦分権型国家にはなりません。その間は、国が予算の多くの部分を握っておるわけでありますし権限も握っておるわけでありますから、その五年間にも消費者トラブルを防いでいかなければならないということを考えますと、この場合には、かなり行政の役割を大事にしていく、市町村の財源をきちんと確保していくということがやはり不可欠なんであろう。
 具体的な仕事の仕方は、都道府県ないし市町村のところに裁量の幅を大きくすべきだと思いますが、今の予算配分の仕組みの中では、市町村も都道府県も消費者行政、消費者センター的な部分のところにかけるお金がどうしても減っていくということは、市町村、都道府県の立場からすればある意味では必然的なことだと言われても仕方がない状況でありますので、ここに、いろいろなところにばらまいてむだに使われている税金をこういうところにしっかりと回していくということが、今、当面は一番大事なことだろうと思っています。
#20
○大畠委員 堺屋長官、そしてまた枝野提出者、大変ありがとうございました。
 この消費者というものに着目をした法律といいますか政策といいますか、そういうふうなものはこれまで非常に欠けていたことは事実であります。
 先ほども冒頭に申しましたように、物をつくるというものを中心として経済が動いてきたんですが、これからは消費者というものが中核になった形の生産というのが始まるんじゃないか。提供する側の社会の中で、その提供された中から消費者が選択するという時代から、消費者が求めるものをいかに提供するかという、経済論理も多分そうなってくるんだと思うんですね。
 今社会的に大きな問題となっておりますのは廃棄物問題でもございますが、とにかく、物をつくったら必ずどこかで捨てなければならない。そうすると、捨てる場所がなくなってきたんですね、きのうもちょっとあるところでそんな論議をしてきましたが、まさにそういうことからいっても、私は、経済通であります堺屋長官から先ほどこの消費者行政についての一つのグランドデザインを提示していただきましたが、そういうグランドデザインが実現できるようにぜひ頑張っていただきたいと思うんです。
 そこで実は、今回の法律案について具体的に少し入らせていただきますが、きのうですか、前回のこの商工委員会の中で堺屋長官が、今回の政府提出の法律案は、網の目で例えますと、余り細か過ぎると目詰まりして実効性が上がらなくなっちゃう、したがって、適切な目の粗さにして今回法律をつくりましたということなんですね。ところが、民主党の方は、目が余りにも粗過ぎるんじゃないか、目が粗過ぎるから、その網の目をくぐり抜けちゃうものに大変問題があるんじゃないかと。
 くぐり抜けるのはほとんど看過できるというものであればいいんですが、どうも政府の今回のこの法律案は網の目が粗過ぎて、民主党がターゲットにしているようないわゆる悪徳業者なんかがその目をくぐり抜けちゃうんじゃないか、そういう話があったんですね。
 そこで、確かにこれは難しいんです。余り細かくし過ぎるとえらい網にかかっちゃいまして、そうすると、もうにっちもさっちもいかなくなるという心配もありますね。しかし、私は、確かに長官のおっしゃるように、実際このくらいの目の粗さがいいんじゃないかというのはわかるんですが、これは、実際に海にその網をおろしてみないとわからない。そうなってきて、結局、何回も論議がありましたが、では、その網をおろしてやってみて、目詰まりするのか全く魚がかからないのかわかりませんが、様子を見て、修正しようあるいは見直しをしようというのは、これは当たり前なんですね。
 ところが、それに対して民主党の方は、三年をめどにまあ見直しをしたらどうかと言うんですが、長官の方は、いや、その期限を明確にするのはどうか、必要があれば見直しをするんです、必要があれば見直しをするのでと、ここら辺はどうも堺屋さんらしくなく、執拗に何かあいまいな答弁を繰り返しているんですね。多分裏方の方が、そんなことを言われちゃ困ります、せっかく法律をつくるんですから、つくった途端に見直しなんて長官に言われちゃうとうちの方のメンツがないんですというので、後ろの方でも何かにこにこしている人がいますが、多分そこら辺から、長官、絶対に答えちゃ困りますというので、どうも、かゆいところの周りをぐるぐる回って答弁されたような感じがするんですね。
 やはり長官、政府がつくったこの網を実際に海に入れてみて、そして、その必要があればと言うのですが、おおよそ三年ぐらい網をかけておいて、それで一匹か二匹しかとれないというときはこれは問題ですから、もちろん必要があればその前に前倒しで見直してもらうことが必要なんですが、どうですか、やはり三年ぐらいをめどに見直しをします、このくらいじゃないと、せっかく消費者の人が注目しているのに、どうも業者の方々に配慮し過ぎて、とにかくこれをやってしばらくは見直しをしないからとしか、長官の話を聞いていると私はそう聞こえてしようがないんですよ。
 この見直し問題について、改めて長官と枝野提出者、もしも長官の方で、いや、前と同じですというなら前と同じで結構なんですが、とにかくもう一度、明確なといいますか、消費者に対してわかりやすいお話をいただきたいと思います。
#21
○堺屋国務大臣 経済の流れについての認識は大畠委員と全く同じでございまして、日本が、規格大量生産の時代から多様な知恵の時代に変わってきた、その中で消費者選択が重要になってきた、これが、こういう法律が大きな意義を持ってきた、この認識は全く同じでございまして、大変うれしく思います。
 本法の施行をいたしますと、どのようなトラブルが起こるか、地方の消費生活センターあるいは中央の、国のやっております国民生活センター、これを結びますPIO―NETなどでいろいろと整理して、どんな問題が出てくるか、こういう施行状況をとらえて、その後の運用に資していきたいと思うのです。
 そこで、見直すべきかどうか、見直し条項を期限を切って、三年というような期限を切って入れるべきかどうかという問題でございますが、これは別に企画庁の事務方が言っておるのではございませんで、私自身考えますのに、世の中の変化が非常に速いものですから、やはり状況が変わってくると見直しすることは必要だと思います。
 それが、三年がいいのか五年がいいのか、どういう時期で起こるのか、これは大変難しい問題でございまして、一方においては消費者契約にかかわる内容、どんな新商売が出てくるのか、どんな業態が出てくるのか。例えば、インターネット、Eコマースの関係だけでも今非常に動いています。そのそれぞれについて、またそれに関する法律の研究、法制度の研究も行われています。
 そういった星雲状態が非常に広がっている中で、何年とこう切ることは、これは非常に、この法律の安定性と同時にまた柔軟性の足も引っ張るのじゃないか。だから、変化がはっきり出てきて、改正が必要だという状況になったときに改正するという姿勢を保つ方がいいのではないか。
 こういう現在の状況で何年目とか何年間とかいうようなことを初めから制定いたしますと、それを前提として、何年たったらこれは変わるからこうというような動きが出てまいりますので、やはり自然といいますか、世の中の技術的、産業的な変化、消費者の態度あるいは消費情報の普及、そういったものを見きわめながら、この改定というものも、決して否定するわけではございませんが、社会の状況に応じて考えていくべきで、今ここで年限を入れるのはいかがなものかと考えております。
#22
○枝野議員 お答えさせていただきます。
 今長官からお話のありました、社会が変化したから見直すということについては、これは期限はつけられない話で不断に行わなければならないのだろうということは私も同感でありますが、しかし、そもそも、今回期限をつけた検討条項をつけるべきではないかということについては、変化ということの意味だけではなくて、二つ意味があるというふうに思っております。
 一つは、いわゆる団体訴権、差しとめ訴訟、これについては審議会の中でも議論があったというふうに聞いておりますが、結論が出せなかったし、それはもっともなことだろう。民事訴訟体系全体にかかわる問題ですので、むしろこれは、経済企画庁というよりは、法務省にしっかりと検討していただかなければならない課題だというふうにも思いますので、これが積み残されている。この積み残しのものをしっかりやろうとすれば三年程度かかるのではないだろうかということ。そして、三年程度の期限を切らないと、この話については、実はずるずると法制審などのところでも延びてきている話でありますので、期限が要るのじゃないかというのが一点であります。
 それからもう一点は、この法律に対する評価であります。
 政府案に対しては、消費者の立場からちょっと足りないのじゃないかという声がありますし、民主党の案に対しては、事業者の立場から厳し過ぎるという声があります。いずれにしろ、見方が分かれております。これに対しての評価は、やってみれば決着がある意味でつくわけであります。
 我々民主党案を通していただいても、先ほどの話のとおり、九九%の中小零細企業の皆さんには全く影響がないと確信を持っておりますので、やってみたら、三年、ほら、全然平気じゃないですかということが言えるつもりでおりますが、いずれにしろ、やってみた上で、例えば事業者の方から、もしかすると、これじゃ厳し過ぎて、実際に中小零細企業はばたばた倒れますよということであるならば、そちらの方向の見直しがあるかもしれません。
 いずれにしろ、今意見が分かれていることについて決着をつけるためには、三年ぐらいやってみれば、実際、今PL法は、私はあの当時与党でありまして、かなり事業者の方々の反対を押し切った一人のつもりでおりますが、そのとき地元で、あんな厳しい法律、ほかのところはいいけれども、枝野さん、困るよということをさんざん言われていた事業者の方が、あれから五年ぐらいたちまして、どうですか、ところで、そういえばPL法はと。ああ、そういえば、ほとんど影響ないねということを大部分のまじめな事業者の方から今、五年たって言っていただいております。
 恐らく消費者契約法についても三年ぐらい、政府案でも、施行していただければ、全く影響なかった、ではもうちょっと厳しい形にしてもらっても大丈夫だねということになるのではないか。そういう見きわめに、三年程度すれば、今分かれている見解の違いというものについて決着が出せるという意味で、期限を切って、今分かれている意見の集約を図るべきではないか、こんなふうに思っています。
#23
○大畠委員 枝野さんからも今、差しとめ請求の問題、団体訴権の問題についても言及がありましたので、それもちょっとお伺いしたいのですが、その前に、長官から、年限を切るのはどうか、必要があればきちっと見直しますよというような趣旨の話をいただきましたが、見直しをするか見直しをしないかというのは、結局、実態はどうなのか、実態というか、法律案を実際の海におろしてみてどうなのか、その結果がわからないと私たちも判断できないのですね。
 そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、今回の法律が成立した後、政府の責任において、この法律の立法趣旨が適正に果たされているかどうか、国会に報告してもらいたいという声があるのです。その結果を聞いて私たちも、政府だけじゃなくて、私たちも立法の責任者として判断したいと思うのですが、この法律の施行をした後、状況を国会に報告するということについては、政府の方はどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#24
○堺屋国務大臣 この法案が成立いたしまして、施行されますと、その実施状況につきましては、今後とも、消費者センターと国民生活センターをつないでおりますPIO―NETの拡張を図りまして、消費者契約に関する苦情相談等の実態把握に努めてまいりたいと考えております。
 また、そのようにして把握した情報を、消費者契約法の施行状況についてのフォローアップにも役立てるとともに、消費者契約に係る紛争防止のための是正策に資するよう可能な限り公表していきたい、全体に、世間一般に公表していきたいと考えております。公表いたしますと、国会における各般の御審議にも十分御利用いただけると考えております。
#25
○大畠委員 そうすると、一般にも公表するというのですから、これは当然、国会の方にももちろん報告するということととらえてよろしいですね。
#26
○堺屋国務大臣 一般に公開いたしますから、その公開情報を御利用いただければ、何の支障もなく国会の審議にも資していただけるものだと思っております。
#27
○大畠委員 一般に公開するということはもちろんでありますが、私たちは立法者なんですね。この消費者契約法というのは今審議しているのですよ。この法律がどのくらいの効果を上げるかというのを、一般に公開するといって、私たち立法者、いわゆる議会には報告しないということですか。どういうことなんですか、それは。
#28
○堺屋国務大臣 公開情報にいたしますので、御質問ございますれば、その都度、明確にお答えできるものと思っております。
#29
○大畠委員 一般に公開するということはそれでいいですよ。いいですが、長官だって、今は大臣をされて政界の一部におられますが、やはり私たちは、立法したらその法律に責任を持たなければならないのですよ。
 だから、議会じゃなくて一般に公表しますからと、後ろの方でどういう入れ知恵をしているのかわからないけれども、そんな話では困るのですよ。立法者にきちっと法律の施行状況については報告するというのは当たり前じゃないですか。なぜそこで、あいまいというか、一般に報告しますから、PIO―NETで報告しますからと、そういうふうな答弁しかできないのですか。再度ちょっと答弁を求めます。
#30
○堺屋国務大臣 消費者契約法についての問題というのは、非常に一般的にも関心の高い問題だろうと思います。したがって、十分な情報を世間全体にも公表することが必要だと思います。その中で、国会で御審議いただいて、特に御質問がございますれば、決して隠し立てしないで、先生方、委員の方々の御満足いただけるように、重々お答えできるようにしたいと思っております。
#31
○大畠委員 どうも大臣、まあわかりますがね。
 小池政務次官、私は小池政務次官の議事録をいろいろ読ませてもらったんですね。平成八年のころの小池さんの質問なんかを見ていますと、非常に歯切れがいいんですね。あの当時の小池さんのはつらつとしたといいますか、非常に元気のよかった姿がこの文面を見ると思い浮かぶんですが、どうも、政務次官のいすに座ると発言がいま一つ曇りがちであります。
 この当時を思い出しながら、どうですか、今大臣からは、どうもあいまいな、かゆいところの周りをかいている感じなんですが、複雑だと言うんですが、私はやはり法律を通した議会に内容についてはきちっと報告するのは当たり前だと思うんですが、政治家小池百合子さんとしてちょっと答弁してください。
#32
○小池政務次官 今もはつらつとしていると思っておりますが……。
 政務次官であれ、また、そうやって御質問をいただく立場であれ、それぞれの立場の責任をしょって、そしてまたそれを実行するというもう一つの責任を負っているわけでございますから、座るいすが変わったからといってころころ変わるというのは、私はおかしいというふうに思っております。よって、私はこれまで不明朗な答えをしたことはないというふうに自負いたしておりますし、また、大畠さんも、では政務次官のときはどういうふうな御答弁をなさったのか、改めて検討させていただきたいというふうに思っております。
 今、国会報告をするかしないかということでございますけれども、むしろそれは国会の方のこの委員会の問題ではないかというふうにも思いますので、要は、ディスクロージャー、どういう問題が出てきて、そしてどういう分野のものがこの消費者契約法案絡みで今後出てくるのか、その情報を行政として御提供し、そして、それを国民の立場に立ってどのようにして是正をしていくのかということをお考えいただくのがこの立法府の立場ではないかというふうに思います。ですから、必要な情報は当然出すということを申し上げているわけです。
#33
○大畠委員 私は、要するに、国会に報告するかどうかということの一つのルールを明確にしておきたいなと思ったのは、ともすると、法律をつくるとあいまいになってしまうときがあるんです。法律をつくるときはみんな熱くなるんです、こうやってやろうと。法律が通ってしまうと、次々と事件が起こるものですからそっちの方に目が行ってしまって、どうもその法律が実際にうまくいったのかうまくいかないのかというのがあいまいになってしまう。したがって、こういう問題はきちっとフォローアップする仕組みをつくっておくべきだろう。大臣はかわるんですが、行政の皆さんはルールが決まればきちっとやるんですよ。ルールがあいまいだったら、あいまいなままになっちゃうんですよ。
 したがって、私は、こういう問題については、今長官からも、委員会から要求があったらそれは答えますとお話がありましたが、それで私は結構だと思いますが、後ろで聞いている行政の皆さんも、この問題はいわゆるフォローアップが重要なんです。どうなったか、そして、問題があればそれに対して適切な対応をしなきゃならないので、私はそれでちょっときつく言っているんですが、長官並びに後ろの方で聞いている官僚の皆さんも、きちっとフォローアップして、状況を把握して、適切な改善が必要なときには改善をするという姿勢はずっと貫いていただきたいと思います。
 そこで、先ほど差しとめ請求と団体訴権について枝野議員からもお話ございましたけれども、この問題、私も非常に重要なんだろうと思います。
 いわゆる司法制度なんかも改革しなきゃならないと思うんですが、どうも消費者が泣き寝入りしちゃうのは、まあこのくらいはいいか、言ってもしようがないとか、あるいはこの話を表に出すと笑われるだけじゃないかとか、こんなものが、今市町村という単位におり始めているような感じがするんです。例えば市町村の役場なんかに行ったらすぐわかっちゃうわけですよ。あの人が今度だまされたんだってとか、被害に遭ったんだってと。
 そういうことで、どうもここら辺の仕組みがいま一つなんですが、この差しとめ請求と団体訴権について、政府の方はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#34
○堺屋国務大臣 これも以前お答えしたところでございますけれども、消費者契約法の実効性を確保するために、各種の紛争解決方法を有効に働かせ、公正な救済がなされる必要があります。中でも、紛争の究極的な解決手段としての裁判制度が、消費者としての国民にとって本当に利用しやすいものかどうか、これが大切なところでございます。
 この点に関しまして、現在行われております司法制度改革に係る検討によってこうした観点も十分取り上げられるだろうと考えて、期待しております。
 他方、拡散被害の防止や救済策でございますが、消費者全体の利益を侵害する行為や契約条項の差しとめ、消費者団体の訴権などについては、諸外国において認められているケース、これはドイツのケースがございますが、そういうケースもございますが、日本の民事訴訟法の考え方では、消費者団体には当事者適格や訴えの利益がないので訴権が認められない。これは民事訴訟法全体の構造からして非常に、ドイツの場合はこういう団体に認めるというのがございますが、日本は現在の民事訴訟法の考え方全体にかかわっております。
 仮に、新たな立法によって対応しようといたしましても、どのような理論的な根拠、どういうような団体がどういう訴権を持つかという法理論的な根拠、あるいは、どのような要件のもとにどのような団体に認めるか、これは団体の性格というものにかかわります。また、判決の効力がどの範囲に及ぶのかというようなさまざまな問題が出てまいりまして、これは日本の司法制度全体に非常に大きくかかわってまいります。
 したがって、今司法制度全体の改革案を別途検討しておりますが、そういった中で検討していかなきゃいけない、この問題だけで容易に解決できないところだと思います。
#35
○大畠委員 この件については先ほど枝野提出者の方からも言及がございましたが、枝野提出者に、この差しとめ請求と団体訴権についてということと、それから、契約取り消しの問題で、政府案の方では第七条で、「第四条第一項から第三項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。」という条文なんですが、この契約取り消しの時効についても、ちょっと基本的な考えを伺いたいと思います。
#36
○枝野議員 まず、今の団体訴権の話なんでありますが、大臣がおっしゃられた、いろいろな問題点がある、難しい点があることは事実だというふうに私も思っています。ただ、だからやらないとか、だから先でいいんだという話ではないと私は思います。
 それから、司法全体にかかわるのも事実なんでありますが、今司法制度改革という分野でなされていることは、民事訴訟法の団体訴権などというところとはちょっと違う次元の、弁護士の数をどうするとかそういう次元の話でありますので、これは、そことは別に、急いで特に何とかクリアできないかという視点から、できないからまあいいやじゃなくて、何とかやりたいんだけれどもいい知恵はないかという視点からやるべきではないだろうか。それであれば、三年ぐらいあれば、もしかすると、結論的には難しいという結論かもしれません、でも結論を出すことはできるんではないだろうか、そんなふうに思っております。
 それから、今御質問ございました取り消しの時効なんでありますが、私どもは、追認することができるときから三年、契約のときから十年ということで提案をさせていただいております。
 これについても、実は関係者の皆さんの誤解があるのではないだろうか。つまり、契約をして何年もたってから突然取り消しだなどと言われることがあるのでは、特に中小零細企業としては、不安定でとてもじゃないけれどもやっていられないよという声があるやに聞いております。
 したがって、六カ月ぐらいで、あるいは三年ぐらい、五年ぐらいでということのようでありますが、これは、契約をして、取り消しの原因があるからといって、時効まで全く権利が残っているというケースは、逆に言えば私は少ないというふうに思っています。例えば物だったら、例えば食べてしまったり使ってしまったりというような場合にはいわゆる法定追認のような形になりますので、そこで今さら取り消すという話には基本的にはならないケースの方が圧倒的多数だというふうに思っていて、時効まで取り消し権が残っているケースということの方が例外だと思います。
 しかしながら、そういうケースについては、逆に言えば、その段階でも取り消すことを認めないとアンフェアじゃないかというようなケースが、例えば非常に長期の契約も消費者契約の類型の中には入っておりますし、そういったことを考えますと、私は、三年、十年というのは決して長過ぎはしないというふうに思っています。
 六カ月ということですと、実際のトラブルがあってからの当事者の方の行動ということを考えてみますと、一番最初は、あれ、こんなひどいことになっていたんだ、どうしようかと家族や友達に相談をし、そうしたら、消費者センターに行ったらいいんじゃないのとか、弁護士会に行ったらいいんじゃないのということを言われ、そういったところをごちゃごちゃ、しかも家庭を持って、仕事を持っていたりすると行く時間もないから、行こうと思ったら一カ月、二カ月過ぎちゃったということは決して少なくないケースであります。
 消費者センターであるとか弁護士会まで行けば、たどり着けば、取り消しの内容証明を送るとかということはできるかもしれませんけれども、この場合にも、相手方の所在地がはっきりしていなかったりしたらどうするんだとか、いろいろな問題が出てまいって、六カ月で取り消し権行使をしろというのは、実は具体的なケースを見ますとなかなかしんどい。実際には、これじゃ時効でみんな救われてしまう悪徳業者が出てくるのではないかというふうに思います。そういった意味では、ここは何とか延ばしたい、延ばしていただければというふうに思います。
#37
○大畠委員 わかりました。
 この問題について長官にもお伺いしようと思いますが、これは前回の委員会でもいろいろ議論されていて、大体話はわかっておりますので、これはちょっと割愛をさせていただきたいと思います。
 それから次に、消費者センターというものに対する御認識をお伺いしたいと思います。
 今、この消費者センターとPIO―NETというのが非常に連携をとって、実態をよく把握する、あるいは、いわゆる裁判外の紛争処理機関としても大変有効に働いているという話なんですが、いかんせん、長官も御存じのように、国もお金がないんだけれども、地方自治体もお金がなくなってきたんですね。そこで消費者センターの縮小、削減、閉鎖というのが非常に進んでいるという話を伺っております。
 これがなくなると、結局裁判に訴えるしかなくなって、裁判になりますと数百万円かかるというので、結局、まあこのくらいは我慢しておくかとかいうのでますます悪徳業者がはびこるということにもなりかねませんので、この消費者センターというものに対してどのようにその実態をとらえているのか。
 特に、消費者センターを閉鎖するところは、消費者保護基本法の第十五条に、「市町村は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。」という文言がありまして、これをベースに、県ではなくて、これは市町村の問題なんだということで、市町村に押しつける傾向も出てきているような話を聞いています。
 しかし、市町村には立入調査権とか事情聴取権あるいは営業停止命令権なんというのはないのでありまして、市町村が取り組んだとしても悪徳業者対策としては非常に十分な力を発揮できないという意味では、やはり経企庁としても、この消費者センターの位置づけというものをもっと強く認識をして対処しなければならないと思っていますが、この件についての政府の御見解を伺います。
#38
○小池政務次官 消費者センターの縮小、削減、閉鎖の実態、これについての私どもの認識でございますけれども、もちろん、この消費者契約法の施行に伴いまして、消費生活センターの役割は一層高まっていくということについては、私どもも認識をいたしております。
 一方で、今御指摘ありましたように、市町村での消費生活センターの拡充、そして行政の効率化を背景にいたしまして、一部の都道府県ではございますけれども、消費生活センターの縮小の動きがあることは認識をいたしています。
 これは、先ほど枝野議員の方も、国とすればルールづくりをすればいいというお話もございました。また、今回の法案がそのルールづくりでございまして、実際に現場ということでバックアップ、実行に入っていただく消費生活センター、これはやはり各都道府県において自主的に判断される事項であるという認識はきっちり持っておかないといけないと思っております。
 それで、一方でこうした消費生活センターの縮小の動きが適切な苦情処理を妨げることになってはいけないということで、それぞれの自治体の方に経済企画庁からもそういったことがないようにという形で要請をさせていただくと同時に、国民生活センターによります相談員の研修とか相談業務に関する情報提供など、この辺はきっちりと連携をとってまいりたいというふうに考えております。
 それから、幾つか今御質問がまとめてあったのでお答えしておきますけれども、ADR、裁判外紛争処理機関の整備、これについても重要であるということ、その整備充実が必要であるということを認識いたしております。
 こういうことで、消費生活センター、そして弁護士会仲裁センターなどのいわゆるADR、裁判外紛争処理機関の充実、有効活用は望ましいというふうに考えております。
 以上です。
#39
○大畠委員 先ほど、はつらつとしていたと言ったんですが、小池さんは非常に現在でもはつらつとされていますが、発言内容がどうだったのかという話でありますから、それは誤解がないようにしていただきたいと思います。今の答弁を聞いていましても、非常に元気に御活躍されていますから。
 さて、そのときに、具体的な問題の一つに、今回の法律案で、いわゆる網の目の話があるんですが、具体論としていろいろな事象を私も聞いております。不退去、居座り問題。あるいは、恋人商法や霊感商法は対象外と長官も前回の委員会でもおっしゃっていましたが、居座ったセールスマンに帰れとか、喫茶店とかそういう事務所に入ったままなかなか出してもらえない、そのときに、帰りますとかあるいは帰ってくださいとか、そういうふうに言わない限りこの法律案の対象にならないというんですが、どうもそこら辺が、実際の被害者の方々の立場からすれば、この法律ではなかなか救ってもらえないんじゃないかという声なんですよ。
 いわゆる監禁状態とは、私は帰りますと言ったのに帰さないとか、そういう発言がなければ監禁状態とは認められないというんですが、この困惑行為というものは非常に難しいんです。難しいんですが、実際の被害に遭った人の話なんかを聞くと、そういう事例がすごく多いんですね。例えば小池さんだったら、帰りますとか帰れと言えるかもしれない。しかし、気の弱い人はなかなか言えない。そういう人が大体被害者になっちゃう可能性があるんですね。
 どうも私は、今回の法律案の網の目の粗いのはわかりますが、気の弱い方々が大体こういう詐欺まがいの商法にひっかかるわけでありまして、ここら辺にもっと手を差し伸べた法律案にしていいんじゃないかという声があるんですが、この点について政府の方の御意見をいただきたいと思います。
#40
○堺屋国務大臣 実際の取引といいますか、セールスの場では、これは大変難しい問題になることはあると思うんです。話が弾んで長くいるということもございます。そういうときに、本人は、本当は帰ってほしいけれども、口ではまあまあごゆっくりなんというようなことがよくございまして、一時、コマーシャルに、新幹線なんか待たしといたらよろしおすがなと言って、後ろでほうきが逆さまに立っているというコマーシャルがございましたが、なかなかそこはわかりにくい意思でございます。
 ただ、私たちの言っておりますのも、はっきりと、帰れ、あるいは帰してくれ、帰りますと言葉ではっきり言わなくても、いろいろなケースがあります。
 例えば、時間的な余裕がないという旨を消費者が、もう私たちは出ていかなければいかぬから、時間がないのですというような告知をした場合、あるいは今取り込み中でとてもお話は伺えません、これ以上はお話は伺えませんといったようなケース。あるいは、交渉を有利にするための駆け引きのためではなくして、消費者が契約を締結しない旨を告知した、そういった場合、ずうっと居座っているということになりますと、退去すべき旨の意思を表示したというようなケースが出てこようかと考えております。
 ただ、第三者に口頭以外の手段によって消費者が意思を表示した場合、これが一番難しいケースでございますが、これでも、明らかに帰ってくれ、あるいはこれは買う気はないと動作で示すというようなことになりますと、これも退去の意思、そういう意思の表示ということになろうかと思います。
 なお、消費者が怖くて言えないというケース、この間もどこかの裁判で、怖くて言えなかったというのが出ておりましたけれども、そういうときには、強迫の規定に入ってくると考えられます。
 そういうようなさまざまなことを考えていきますと、このケースで明確に区別できる、一般法として扱うのなら、こういうようなケースで定めておくのがいいのではないかと考えております。
#41
○大畠委員 ここら辺も、今長官から話がありましたけれども、具体的に法律案を適用して、結局どうなのだろうか。やはり被害が減らないとか、あるいはふえた減ったではなくて実際上の被害者の人をなかなか救済できないというような訴えが出てきた場合には、先ほどの見直しの話になりますが、ぜひ実効性あるものにするために、今いろいろケースを並べられましたけれども、弱者救済と言っていいのかどうかわかりませんが、世の中にはやはり気の弱い人がいて、長官も気の強い人のお一人かもしれません、長官は多分こういうものにはひっかかる可能性は全くないと思いますが、とにかく、そういう人を食い物にしている、いわゆる悪徳業者がいるわけですよ、これを何とかしてもらいたいというのが庶民の願いなんです。この法律案を適用したときに、どうも実効性がいま一つだというときは、即見直しをするようにぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
 もう一つ、ちょっと時間の関係で中間を飛ばしますが、マルチ商法とモニター商法あるいは海外オプション取引等々の話があるのですが、マルチ商法というのは大体、青年がひっかかりやすい。モニター商法というのは女性の方、主婦の方がひっかかりやすいという話でずっと来ているわけですけれども、きょうは警察庁の関係の人も見えていますが、とにかく、どうやったらそういう悪徳業者に対する警告になるかというと、まずこんなことでやったら業者が摘発をされましたと新聞に出るとか、あるいはこれだけ被害がふえているのですというものが世間に出るとか、そういうものが非常にこの種の犯罪を防止するものになると私は思うんです。
 マルチ被害苦情訴えの近年の動向ですとか、あるいはマルチ商法に対する摘発の近年の動向等々について、これは警察庁と関係省庁にちょっとお伺いしたいと思うんです。
#42
○黒澤政府参考人 お答えいたします。
 近年におけるマルチ商法の摘発動向でございますけれども、マルチ商法につきましては、訪問販売法でありますとか刑法の詐欺罪等の刑罰法令に触れるものにつきまして摘発を行っているところでございます。平成九年以降では、九年が一事件十二名、平成十年は三事件十六名、平成十一年は二事件十名を検挙いたしておるところでございます。
 それから、モニター商法の摘発状況でございますが、近年、消費者生活センター等に寄せられる相談も増加しておると承知をいたしております。昨年中の摘発状況でございますが、刑法の詐欺罪に当たるものなどにつきまして二事件十一名を検挙いたしておるところでございます。
#43
○細田政務次官 御指摘のありましたとおり、近年、いわゆるマルチ商法につきまして消費者からの苦情相談件数が急増しております。平成七年度において国民生活センターへの相談件数は六千二百七十五件、平成十一年度の速報値では約一万五千件ということでございます。違法と思われるものについては適宜警察への情報提供も行っております。
 通産省としては、これまで消費者保護のために、訪問販売法の厳正な運用や消費者への普及啓発に努めてきたところでございますが、こうした件数が大変ふえておる。特に、学生や未成年者からの相談が急増しておりますのは、やはり失業率ですとか不況ですとか、いろいろなこととの絡みもあるのではないかと思っておりますが、引き続き、法の適正な運用、消費者の啓発に努めるとともに、消費者相談室とか国民生活センターなどを通じまして、情報収集、動向注視を行ってまいりたいと思います。
#44
○大畠委員 今の状況を聞きますと一万五千件、六千件から一万五千件にかなりふえているのですね。それで、摘発が先ほど聞いたら二件とか何件という話なんだけれども、実は私もこの問題をやっていまして、これは平成十一年の三月に質疑をしましたが、このときに、言ってみれば、捕まえても軽い罪の場合には警察官の方も何となくやる気がしないというのも一つの背景にあるのじゃないかと思うんですね。
 今回の罰則強化、これは平成十一年、去年のあれですが、罰則強化で、一年以下の懲役を二年以下に直したり、百万円以下の罰金を三百万円以下に直しましたが、要するにこれでも不十分だと私は思っていたのですよ。警察庁として、凶悪犯罪とかいろいろ内部的な問題があるのかもしれませんけれども、もうちょっとこういう、言ってみればちょっとした、凶悪犯罪じゃないかもしれませんが、非常に精神的にダメージを受ける事件に対して、一万五千件もあるのに二件とかなんかの立件というのでは、ほとんどやっていないのと同じじゃないですか。
 このときの答弁の中に、「改正法の施行前でありましても、国民の取り締まり要望を踏まえつつ、違法行為については重点的な取り締まりを徹底してまいる所存でございます。」と、このときに倉田さんという、これは警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室長という人が答えているわけですよ。答えているんだけれども、どうも答えただけで実際にはやっていないのじゃないかという感じがするのですが、再度、なぜそういう検挙件数なのか、再答弁を求めたいと思います。
#45
○黒澤政府参考人 この種悪質商法につきましては、大変重要な私どもの課題の一つと考えておりまして、今御紹介がありましたように、鋭意取り組んでおるところでございます。しかしながら、実績は今委員御指摘のとおりでございます。
 私ども、いろいろな体制あるいは技術の面、そういったことにも配意をいたしまして、今後とも違法行為につきましては厳正に対処してまいる所存でございますし、また、こういったことについて大変お困りの一般市民の方が多いわけでございますので、組織を挙げまして取り組んでまいりたいと思います。
 なお、この種事案につきましては、なかなか正面から法の規定に違反しないように工夫されている場合も多いというようなこともあろうかと思いますが、この辺の諸問題をもクリアいたしまして、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
#46
○大畠委員 警察庁の方で動きにくいんだったら動きにくいと、あるいは法律で不備があるなら不備があると言ってもらいたいんですね。とにかくこのままでは、今回法律案を改正しましたけれども、いろいろなマルチ商法、モニター商法というのは後を絶たないわけであります。いわゆるやり得、やったって、せいぜいちょびっとしか捕まらないからもうやっちまおう、そういう業者がいるわけですよ。例えば、今回法律案が改正されましたけれども、法律をきちっと守っていこうという、枝野さんの話でいえば、九九%の業者というものは影響もないし、本当によくやっているんだと思うんです。一%かもしれないけれども、悪徳業者がいるわけですよ。ここのところをどうするかなんだ。
 私は、ずっといろいろ数年この問題をやりましたが、やはり一罰百戒ですよ。うまいことやろうと思ったら捕まっちゃった。これは新聞に出ますね、こんなことをやって警察に逮捕された。これは、ほかの同じことをやっている、おれもひょっとしたら捕まるかもしれないな、それは非常に大きな影響力を与えます。したがって、それが二件ぐらいだと、捕まったら運が悪いと諦めるかと。一万五千件もあって二件だから、ほとんど捕まらないと同じですよ。
 そういう意味では、私は、どういうふうにしたら警察が動きやすくなるのか。警察官が少ないんだったら少ないと言ってくださいよ、法律が悪いんだったら法律が悪いと言ってくださいよ。なぜ一万五千件で二件ぐらいしか立件できないのか、もう一度答弁してください。
#47
○黒澤政府参考人 ただいま申し上げましたが、被害実態につきまして、よく実態を把握いたしたい。それから、大変巧妙な事案が大変多うございますので、そういった問題点をも私ども鋭意クリアいたしまして、また、関係機関とも緊密な連携をとりまして、成果の上がるようにしてまいりたいと思います。
 なお、悪質商法に係る被害者の実態等につきましては、これで法制度がいいのかとか、いろいろな議論がなされることがございます。そしてまた、委員からお話がございましたように罰則の強化等も行われてきておるところでございますけれども、法令の規定の整備が図られることが検討されます場合には、そのような検討がなされます場合には、私ども、取り締まり等を通じて承知しております実態あるいは問題点につきましても、関係省庁に対しまして所要の協力を行うなどいたしたいと考えておるところでございます。
#48
○大畠委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#49
○中山委員長 西川知雄君。
#50
○西川(知)委員 改革クラブの西川でございます。
 公明党と改革クラブにおきましては、本法案が製造物責任法と車の両輪をなすという極めて重要な法案であることにかんがみまして、いろいろな方からの意見を直接聴取いたしました。その結果、情報、交渉力の格差、これを法の目的の中に明示する、また、適用除外を設けずにすべての消費者契約を対象にする、不当条項に一般条項の規定を盛り込む、こういうようなことを政府にも要請いたしまして、これが現法案には取り入れられております。
 こういうことで、現在の案は、国民生活審議会の報告において示された各界のコンセンサスを踏まえつつ、消費者と事業者の間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみて、消費者の利益の擁護、これを最大限図るようにした内容であるというふうに思います。
 ところで、いろいろな審議がございました。これが、後でまとめて逐条解説書とか、それからまた裁判とか、また裁判外の紛争処理規範としていろいろと出てくるわけでございますが、今までの審議で十分明らかになっていない点、これを中心に、将来の予見可能性、これを明確にする趣旨の質問をいたします。時間の関係がございますので、答弁は簡単に、しかも、法律的な問題もたくさん聞きますので、場合によっては政府参考人から簡潔に答弁をしていただきたいと思います。
 すぐに始めますが、第二条、定義がありますが、ここで、国とか県、市町村、このような公法人とか特別法における特殊法人、これが「事業者」に含まれるのかどうか。また、非営利法人、そして、例えば私、弁護士でございますが、そういうような専門的職業、こういうものを有している者、これも「事業者」に当たるかどうか。当たるか当たらないかで御答弁をいただきたいと思います。
#51
○金子政府参考人 お答えいたします。
 本法においては、消費者と事業者の間で締結される契約であれば、私益、公益の区別や営利、非営利の区別を問わず本法の対象となります。ということで、おっしゃったところは対象になります。
#52
○西川(知)委員 ということは、そういうふうな公法人とか特殊法人、非営利法人、または専門的職業を持つ者も「事業者」に当たるということでございます。
 次に、第三条、これはいろいろと議論になったところでございますが、この二項、消費者はその消費者契約の内容について「理解するよう努めるものとする。」こういうことが書いてありますが、例えば、理解するように努めなかったという場合に、自分たちの取り消し権、これが制限されることになるのか。また、損害賠償を求めた場合に、過失相殺ということで、過失相殺の理由になるのかどうか、これは長官、お答え願います。イエスかノーで結構です。
#53
○堺屋国務大臣 これは努力規定でございますから、これによって法律的な効果が削減されることは一切ございません。
#54
○西川(知)委員 ということで、この取り消しについての抗弁にならない、また、過失相殺の原因にならないということがここで確認されたわけでございます。
 次に、第四条でございます。
 これは、民法の九十六条の詐欺、強迫、これとの関係がございます。この概念と、誤認または困惑、これは若干法律的な用語が違うようでございます。その九十六条と、そして誤認または困惑、これとの法律的な関係、これを御説明願いたいと思います。
#55
○堺屋国務大臣 本法におきます誤認、困惑の類型は、民法の詐欺、強迫の要件とはそれぞれ要件を異にしております。
 本法第四条は、民法の詐欺、強迫に比べて、単に具体化、明確化しただけではなしに、民法の規定に比べて、消費者がその意思表示の取り消しができる場合を拡大したものと考えております。
#56
○西川(知)委員 皆さんには表が見えないと思いますが、消費者契約法に該当するもの、これが丸だとすると、こちらの詐欺、強迫に該当するもの、これはこうやって重なっている、こういうふうに理解するべきだ、こういう長官の御答弁であったということを今ここで確認をさせていただきます。
 そこで、次に第八条に行きます。
 第八条は消費者契約の無効条項でございます。これは余り質問がなかったようでございますが、消費者の権利を不当に制限することになる条項、これにつき明確な要件を立てて、それを法的に無効にするということで、極めて重要な意義を有するものでございます。
 まず、八条の趣旨がどういうものかを少し明確にしていただきたいということと、また具体的にどういう条項が無効になるのか、これを言っていただきたいと思います。
 そして、それに絡んで、次のような事例について無効となるかどうかということもあわせてお答え願いたいのです。例えば、事業者が故意または重過失がある場合を除いて、損害賠償責任、これは契約金額の三割とか四割を限度とします、こういうような消費者契約がつくられたとした場合に、これは無効となるのかどうか、これもあわせてお答え願いたいと思います。
#57
○堺屋国務大臣 まず第一の、事業者が消費者契約において、民法等の任意規定に基づいて負うことになる損害賠償責任を契約条項によって免除または制限している場合は、第八条では、消費者が損害を受けた場合に正当な金額の損害賠償を請求できるように、その条項の効力を否定し、民法等の任意規定に基づく損害賠償責任を事業者に負わせることとしています。
 具体的に申しますと、例えば、いかなる理由があっても一切損害賠償の責任を負わない、事業者に故意または過失があっても一切損害賠償の責任を負わないというような条項は、本法の第八条第一項第一号、第三号に該当し、無効になろうかと考えております。
 また、事業者は商品に瑕疵があっても一切損害賠償、交換、修理いたしませんというような条項は、八条の第一項第五号によって無効になると考えております。
 また、第八条第一項第二号、第四号の「一部を免除する」とは、事業者が損害賠償責任を一定の限度に制限し、一部のみの責任を負うことを意味しております。
 したがって、事業者の債務不履行や不法行為について、事業者に故意または重大な過失があった場合には、第八条第一項第二号、第四号に違反し、これは無効になります。一方、事業者に故意または重大な過失がない場合には無効とならない、こういう仕掛けになっております。
#58
○西川(知)委員 それでよくわかりました。これからの裁判とかそういう紛争の処理の前例ということについての今の法案での公式的な見解だ、こういうことでございます。
 そこで、九条の一号でございますが、これは消費者の義務を不当に加重することになる条項について要件を規定しておりまして、「無効とする」というふうに書いてございますが、その一号で「平均的な損害の額を超えるもの」ということが書いてありますが、これは余り明確でございません。「平均的な損害の額」というものは何かということを御答弁願いたいと思います。
#59
○金子政府参考人 「平均的な損害」とは、同一事業者が締結する多数の同種の契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額という趣旨であります。
 具体的には、解除の時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い、当該事業者に生ずる損害の額の平均値を意味するものであります。
#60
○西川(知)委員 それでは、次は十条に行きます。
 これは消費者の利益を一方的に害する条項の無効ということで、我々も、またいろいろな消費者団体の方も、法案に盛り込むべきであるという要請が出ていた条項でございます。
 そこで、これは政府案として出ておりますので、まず、この十条のような規定が必要となるという理由をちょっと明確にしていただきたいということ。
 それから、十条によって無効となる条項、具体的にどんなものか、これを挙げていただきたいと思います。
#61
○堺屋国務大臣 十条は一般条項と言われるものでございますが、これが必要な理由は、第一に、第八条、第九条は、無効とされるべき条項を具体的に定めておりますが、同条に該当する条項以外は無効にならないという反対解釈が起こってまいる心配がございます。同条において無効になるもの以外にも、民法第一条第二項に反する場合、これは信義義務の条項でございますが、そういう場合には効力が否定されるべき条項があり得るということを明確にする必要があったからであります。
 第二は、民法第一条第二項は、契約条項に基づき権利行使をするときにはその権利の行使は信義則に反するものであってはならないということを意味しているにすぎず、当該条項の効力について何ら規定しているものではございません。
 したがって、以上の二つのことから、特約がない場合の秩序づけ機能を有する任意規定から乖離していることを判断根拠として、権利の行使及び義務の履行に関する指導原理である民法第一条第二項の信義則を判断基準として、契約条項の有効、無効の判断をする趣旨の第十条を規定した、こういうわけでございます。
#62
○西川(知)委員 雑則までのところで、今まで明らかになっていなかったこと、これを今政府からも明らかにしていただきましたが、具体的な例というもので少しお尋ねをしたいと思います。幾つかピックアップをしてまいりました。
 例えば、借金をして契約しても五年後に必ず利益が出る、こういうふうに言われて変額保険とかそういうものに加入をさせられる場合がよくあるわけですが、配当が悪く、例えば損害が出たという場合、取り消しが認められるのかどうか、またこれは無効なのかどうか。ここら辺について、具体的な例として御答弁をお願い申し上げます。ちょっと簡単に、なぜというのだけ御説明もお願いします。
#63
○金子政府参考人 今の例でありますけれども、利益が出るかどうかということについては、将来における変動が不確実な事項であります。これについて、断定的な判断、つまり、借金して契約しても十年後に利益が出るということを言っておりますので、これは第四条第一項第二号の要件に該当し、取り消しが認められることになると思います。
#64
○西川(知)委員 今の場合は取り消しが認められるということでございます。
 二番目の例として、これも私もいろいろな、国会報告会の座談会なんかでよく聞く話でございますが、子供の教育のことで非常に熱心な方が多いということで、高額な教材を購入してしまった、ところが解約をしたい、こういう話はよくございます。
 例えば、小さな子供用の教材が非常に有効だということで、真夜中、十一時とか十二時ごろまで家に来られて、説明を聞かされた。それで、もうみんなで休みたいし子供も寝るので早く帰ってくださいと言っても帰らないということで、困ってしまってやむなく契約したけれども、後で見ると余り役に立ちそうにない。こういうことで契約を解約したいという事例、これは取り消しができるんでしょうか。すなわち解約できるんでしょうか否かということをお尋ねしたいと思います。
#65
○金子政府参考人 この場合でありますが、子供が寝るので帰ってくださいと言ったわけでありまして、消費者がその住居から退去すべき旨の意思を表示しています。それにもかかわらず事業者が退去しなかったわけでありますから、第四条第三項第一号の要件に該当し、取り消しが認められると思います。
#66
○西川(知)委員 それから、これは別の例でございますが、例えば、店頭でいろいろな物を売っている。これを、きょうはお買い得だ、買わなきゃ損だよというふうに勧誘されて、どうしようかなと考えて、一たんは断って立ち去ろうとしたけれども、これはきょう限りだ、これだけ安くなることはもうありませんよ、買わなきゃ損だよ、こういうふうに何回も言われたので、帰りにくい雰囲気になって購入をしてしまった、こういう場合はどうですか。
#67
○金子政府参考人 きょう限りのバーゲン、買わなきゃ損だよと連呼することでありますけれども、これだけでは、勧誘している場所から消費者を退去させないことには当たりません。したがって第四条第三項第二号の要件に該当しないので、取り消しは認められないと思います。
#68
○西川(知)委員 まだまだいっぱいありますけれども、その辺にしておきます。
 それから、ちょっと十一条をごらんください。十一条は、消費者契約の申し込み等々の条項については、「この法律の規定によるほか、民法及び商法の規定による。」というふうに書いてありますが、その民法及び商法の規定というのはどの条項を具体的に指すのでしょうか。
#69
○金子政府参考人 まず、契約締結過程の取り消しに係る本条及び第四条の規定に関するものといたしましては、例えば民法第百二十条、これは取り消し権者のことを規定しています。それから民法百二十一条、取り消しの効果。民法百二十二条、取り消すことができる行為の追認。民法百二十三条、取り消し、追認の方法。民法百二十四条、追認の要件、及び民法百二十五条、法定追認の規定がこれに該当すると思います。
 それから、不当条項、これに関する八条から十条までの規定に関するものとしては、例えば民法五百七十二条、売買契約における担保責任を負わない旨の特約に関する規定。民法六百四十条、請負契約における担保責任を負わない旨の特約、及び商法第七百三十九条、船舶所有者の過失による損害賠償責任、堪航能力がないことによる損害賠償責任を規定していますけれども、その規定などがこれに該当すると思います。
#70
○西川(知)委員 十一条の二項は、消費者契約の申し込み等々の条項の効力について、「民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。」ということですが、具体的にその個別法の規定とは何か、御説明を願います。
#71
○金子政府参考人 別段の定めでございますけれども、これは、民法及び商法以外の法律中の私法規定でありまして、この消費者契約法の規定と要件が抵触する規定を指します。
 例えば、具体的に申しますと、宅建業法三十八条、これは、契約当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額の予定の上限を契約代金の二割と定めているわけでありますけれども、この条項は消費者契約法第九条第一号に抵触いたします。この場合には、消費者契約法案の第十一条第二項の規定によりまして、宅建業法三十八条が契約法案第九条第一号の規定に優先することになります。
#72
○西川(知)委員 そこで、次に、附則のところをちょっと確認しておきます。
 これは、「平成十三年四月一日から施行し、この法律の施行後に締結された消費者契約について適用する。」というふうに書いてありますが、まず、施行を十三年四月一日にした理由を御説明願います。
#73
○堺屋国務大臣 本法の施行期日でございますが、各界から広く早期制定の要望をいただいているほか、地方自治体からも、地方自治法九十九条第二項に基づく要望が百団体ほど寄せられているなど、この制定を喫緊の課題としているところでございます。
 一方、一連の金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバンなどがございまして、平成十三年の四月までにほぼ完了することに伴い、多種多様な金融商品、サービスが取引されておりますが、これらに関するトラブルに対する手当て等も講じる必要がございます。
 新しい制度の内容を周知し、それに対する準備をする期間として一年程度というのを設けまして、平成十三年四月一日と定めさせていただいたところでございます。
#74
○西川(知)委員 一つ確認ですけれども、勧誘は平成十三年の四月一日以前に行われて、契約は四月一日以降に締結された、これについては適用があるのかどうか、お答え願います。
#75
○金子政府参考人 附則に「この法律の施行後に締結された消費者契約について適用する。」とありますけれども、一般的に民事法におきましては、行為者に義務を課するもの、もしくは人の権利を制限するものは、法の適用について不遡及とするということが原則になっております。この附則は、本法についてもその適用は施行後に締結された消費者契約に限定するという趣旨を規定しております。
 ただし、平成十三年四月以降に締結された消費者契約である限り、勧誘が平成十三年四月一日以前に行われたものとしても、本法案の規定は適用されることになります。
#76
○西川(知)委員 大変細かいことも全部聞きましたが、今までの審議で必ずしも明確になっていなかったところも、今後の裁判とか裁判外の紛争処理のために役に立つということで、今の質問をした次第でございます。
 大変画期的な法案で、政府の担当者も一生懸命この法案の作成のために努力をしてもらったわけでございますが、これからは、いろいろな、消費者、事業者、それから各種の裁判外の紛争処理機関とか、地方自治体の消費者行政担当者とか、また、学校教育においてもこのような問題点そして重要性をぜひ周知徹底していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#77
○中山委員長 吉井英勝君。
#78
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 これまでの委員会の中で、法律案に即しまして、問題点であるとか、あるいはどのようにこれを生かしていくかという、いわば逐条解説にも生きてくる、そういうものという立場からの質問も進めてまいりました。きょうは、この法律を実効性あるものにするための取り組みについて伺っていきたいと思います。
 裁判外処理機能を果たすものとしての消費生活センターの役割は大事ですが、そのためには、一つは、身近なところに消費生活センターを配置していくという問題、もう一つは、実際に第一線で相談に乗り、献身的に頑張っておられる消費生活相談員の待遇を抜本的に改善していくように取り組んでいくという、私はこのことが大事だと思うのです。
 この二つが本当にこれからこの法律を生かしていく上で大事だというふうに考えておりますが、消費者の身近なところにセンターを増設していくことなどを考えたとき、今、逆に、地方分権と言って国が財政力の弱い地方へ責任だけ移していって、地方の方は、今財政も大変ですから、行革だと言って事務所の縮小や人減らしの動きの方が現実で、ですから、センターがふえたり待遇が改善されるということはなかなか厳しい状況にあります。
 そこで、経済企画庁における消費者行政関係経費の生活情報体制整備等交付金の方を見てみますと、九六年度以降二〇〇〇年度までの五年間で毎年減額が続いて、五年間で三〇%の減。もっとも、二〇〇〇年度につきましては、カウントの仕方も若干違ってくるということで考えても、二十数%の減にはなります。
 それから、それに伴って、地方公共団体の消費者行政関係予算の推移という資料、これも経企庁の方で取りまとめて届けていただきましたが、こちらを見ても、二〇〇〇年度はまだ取りまとめはありませんから、九六年度から九九年度へ毎年減額が続いていって、ですから、この四年間で見ても一九%の減少、今年度を入れれば二十数%台というところになるでしょうが、そういうふうに、実際にはなかなか財政面では厳しい現状にあるということが言えると思います。
 まず、これを確認しておきたいと思います。
#79
○金子政府参考人 二つの点について数字のお尋ねがありましたので、お答えいたします。
 まず、経済企画庁が地方の消費生活センターに交付しております生活情報体制整備等交付金、この予算額ですけれども、九六年までには増加傾向にありましたが、九七年より減少傾向に転じております。それから、交付金の予算額を見ますと、九六年度は約五億六千万円、これが二〇〇〇年度には三億九千万円と、この五年間で三〇%減少しているということで、委員御指摘のとおりだと思います。
 それから、各都道府県及び市町村の消費者行政関係予算でありますけれども、経済企画庁の調べによりますと、九六年度より減少傾向に転じておりまして、九六年度が約百九十一億円、九九年度の当初予算額が百五十五億円となっておりまして、この四年間で約一九%減少しております。
#80
○吉井委員 それで、私、国の予算に示されたこの消費者行政の後退がやはり地方の取り組みを後退させているというふうに思うわけです。
 この間の議論の中で、地方交付税の基準財政需要額にカウントするという強調もされました。しかし、これはあくまでも人口十万人規模を想定した、その場合の消費者行政であったら幾らと数字上カウントするということだけでありまして、交付税というものの特性上、どんぶり勘定になって地方に来るものであって、もちろん裕福な団体であれば不交付ということになってまいりますが、それで、入ってから、これは一般財源ですから、やはり国の消費者行政の政策経費が後退していくと地方も後退していく。私は、こういうことをきっちり見た上で、せっかくこの消費者契約法をつくるからには、これを生かしていくためには、それを機能させていく国の方から始めて、まず予算の抜本的な拡充というものを考えていかなきゃならぬと思うんです。
 この点について大臣の方に、こういう裁判外処理機能を果たしていく、その力を強めるためにも、この予算の抜本拡充という問題について考え方というものをまず伺っておきたいと思います。
#81
○金子政府参考人 一つ、数字の点について御理解をいただきたいと思いますので、発言させていただきます。
 先ほど、生活情報体制整備交付金、これが五年間で三〇%減少したと申しましたが、この生活情報体制整備交付金というのが大きく三つに分かれておりまして、一つは、PIO―NET端末機設備運営費、これが一つあります。それからもう一つが商品テスト機器整備費、第三番目が情報提供・消費者啓発費等、こうなっております。
 その中で商品テスト機器整備費、これが最近大きく減少しています。その背景といたしましては、九五年の製造物責任法の施行に伴いまして、製品事故に係る地方消費生活センターの原因究明機能を強化するため、九四年度より商品テスト機器整備事業を開始いたしました。九六年度までに各都道府県とも一応の整備が進んだことがありまして、九七年度以降、その予算を大幅に減少させているということがトータルの減少につながっているわけでありますけれども、先ほど申しました二つのこと、これが消費者契約法にも絡むと思うわけですけれども、PIO―NET端末機の整備運営に関する経費及び情報提供・消費者啓発等経費につきましては、その予算額は、トータルとして減る中でも一貫して増加傾向にあります。
 そういう中で、経済企画庁といたしましては、厳しい財政状況でありますけれども、効率的な予算配分に努めているということを御理解いただきたいと思います。
#82
○堺屋国務大臣 今局長がお答えいたしましたように、それぞれの時期によりましてその仕事の波がございます。委員御指摘のように、この消費者行政というのは非常に重要なものでございますので、国としても大いに力を入れていきたいところでございますが、財政事情もございますし、各都道府県の事情もございます。委員御指摘のように、これからこういう法律ができますれば、できるだけ財政面でも努力していきたいと考えております。
#83
○吉井委員 実態を見れば、例えば広島であれば、県と三市にしかセンターがありませんね。大阪府のセンターも小さいところへ縮小していきました。奈良県などでは、県のセンター自体をもうやめるかという議論その他も出ているようでありますが、いずれにしろ、地方自治体の方で本当に財政を理由にして後退があり、前進させなきゃいけないときに後退の動きがあり、そして、PIO―NETの話がありました。
 実際は、これを本当に生かそうと思ったときには、それぞれのところで相談員の方たちが受けた情報などを、これを入力する実務なども含めて全国的に充実させていかないと余り意味がないといいますか、効果が十分出ないわけですね。そういう点でも、今でも待遇は非常によくない中で頑張っていただいているわけですから、もっと待遇の改善とかしないとこれは前進しないんだ、私は、そういう実態というものをきちんと踏まえた上で考えていかなきゃならぬということを強く申し上げておきたいと思います。
 だからこそ大臣が、財政状況が厳しい、厳しいだけでなくて、本当にこれを財政面からも前進させるんだ、そのことを示さないと、消費者契約法、法律はつくっても、現実に生かしていくという点ではそんな明るいものになってこないという厳しさがあります。
 さて、国民生活センターについて見てみますと、理事長と理事一名は経済企画庁の確実な天下りの受け入れポストになっております。私、これは不思議に思ったんですけれども、経企庁を退職して天下った方が理事長になると、一時金合わせて年間二千二百万円ですね、最近八年間在職した方が受け取られた退職金が約六千四百万円ということを聞いておりますが、これは間違いございませんか。それで、現場で苦労していただいている消費生活相談員の方の待遇は一体どういう状況にあるのか、これもあわせて伺っておきたいと思います。
#84
○金子政府参考人 国民生活センター理事長の給与でございますけれども、平成十年九月の閣議決定「特殊法人の役員の給与について」に基づく改定によりまして、平成十年度より年間で二千四百万円、平成十一年の退職金の実績額は四千二百万円、こうなっております。
 それから、生活相談員の待遇についての御質問であります。
 これはなかなか比較するのが難しいわけですけれども、生活センターで働いています消費生活相談員の報酬、これを平成十年度の経済企画庁の調査、これに基づきまして、いろいろなデータがあるわけですけれども、その最低額のものにつきまして、一日八時間、月十七日の労働時間と仮定しまして給与月額に相当する額に換算してみますと、十万円未満の自治体は一割強、十万円以上十五万円未満の自治体は五割強ということになっております。
 ただし、地域によって日給、月給等給与の支払い方法、一カ月当たりの勤務日数、今も仮定で推計したわけですけれども、勤務態様がいろいろ異なりますので単純な比較は困難であり、この結果については十分幅を持って見る必要があるのではないか、こう考えております。
#85
○吉井委員 調査報告書がありますが、それによりますと、国民生活センター理事長や理事の給料の大体十分の一以下という消費生活相談員の方、これが圧倒的に多いわけですね。正規職員は皆無と言っていい状況で、みんな非常勤、パートという扱い。月十万未満の方が三割、月十万から十五万円未満の方が四割。ボーナスのある方が一七%で、時間外手当のある方が八%、通勤手当のある方が二五%。失業保険、厚生年金については六割の人がないという状態。実態としては、その待遇というのはこういう状況ではありませんか。これは、企画庁、つかんでおられますか。
#86
○金子政府参考人 今御指摘の数字については、経済企画庁としては把握しておりません。(吉井委員「つかんでみえる」と呼ぶ)つかんでおりません。
#87
○吉井委員 これは全国の相談員の方たちの調査報告書の中にきちんとありますから、そういうものはきちっと把握して、私は、本当にそんなことも知らないのかと今びっくりしましたが、これはそういうところからきちんと把握して取り組むということにしないと、この法律をつくっても魂を入れるということになっていかないと思いますね。
 そこで大臣、消費者契約法を実効性あるものにするには、私は、相談員の方の待遇の改善に、本当に抜本的な改善に真剣な努力を尽くすべきだと思うのですね。これは大臣に伺っておきたいと思います。
#88
○堺屋国務大臣 御指摘の点、私も、企画庁長官としてはほとんど初めてだと思いますが、大阪府の消費者センターも参りました。国民生活センターの施設も参りました。そして、相談員の方々、あるいはACAPと言われる企業の方で消費者問題に対応しておられる方々、この方々とも既に何回もお目にかかって、消費者問題にはこれまでになく、特段に力を入れているつもりでございます。
 ただ、相談員の方々の待遇というのは自治体の方でお決めいただいておりますので、委員おっしゃるように、こういうものの重要性を自治体の方々にも深く理解していただいて、それにふさわしいようなものになればいいと思っておりますけれども、そのようにお願いしていきたいとは思います。
#89
○吉井委員 自治体の方に基準財政需要額の中でカウントするだけということで、そのカウントも本当に待遇改善に生きてくるようなものになるのかとか、私は、そこはやはり国の方できちっと考えて、そして国の方の財政支援も含めてどういう形で現実的に待遇が改善されていくのか、そのことに本当に真剣でまじめな検討というものが国の方に求められると思います。ですから、地方に言っておきたいというだけじゃなしに、私はそういうことではもうだめだと思いますよ。
 経済企画庁の方は、国民生活センターへの天下りポストの確保には熱心なんですが、相談員の待遇改善には余り関心を向けてこなかった。実態を御存じないということで驚いたのですが、実は同様の問題は各省庁でも見られるわけですね。
 例えば、ここは商工委員会ですから商工分野について関係したところを聞いておきたいと思いますが、全国各地の自転車競技会へ通産官僚が天下りをしておりますが、通産省から届けてもらった近畿自転車競技会の名簿、全国みんな見ておったら大変ですから、近畿だけに絞って見ておきたいと思います。
 例えば、一九九六年七月現在、副会長は通産OBの西泰次郎さん。次の副会長には、九八年に通産OBで理事の吉村文一さんが就任される。九六年十月一日に通産OBの小川幸治さんが参与で採用され、四カ月を経た後、翌年の九七年二月より監事に就任。また、九八年より通産OBの橋本健氏が理事に任命される。会長は一貫して本省の方の通産OBですから、九八年度以降、自転車競技会役員の中で通産省出身者は七名中四名がずっと維持されている。
 通産省の官房長、こういう状況にあるのじゃありませんか。
#90
○佐野政府参考人 お答えをいたします。
 今、吉井委員御指摘の近畿自転車競技会の役員の構成でございますが、全体で、私たちの把握のところで平成八年度以降近畿通産局OBで近畿自転車競技会に勤務する役職員は、平成八年度で四名、平成九年度、これは四月一日現在でございますが、二名、平成十年度は三名、平成十一年度三名で、十二年度三名という数字になっていると存じております。
#91
○吉井委員 それは会長以外のところでおっしゃったので、会長は一貫して本省のOBの方だということを先ほども通産省の方から聞かせていただきましたから、七名中四名ということになります。
 この天下りについて、近畿通産局と近畿自転車競技会の間で、何に基づいて、どんな取り決めによってこういう天下りというものがなされていっておるのですか。
#92
○佐野政府参考人 自転車競技会では、その人材に、競輪実施のための審判や自転車の検査、選手管理など、現場で経験を積まれた方が大変多うございます。従来から、そういう中で、総務、管理部門等の分野では、幅広い経験を積み、また法令の解釈だとか運用に知見を有する通産局のOBを役員等として迎え入れることによって、これらの公務で培った知識、経験を有効活用して、競技会の円滑な運営が図られているものと理解をいたしております。
 御指摘の近畿通産局と近畿自転車競技会との間におきましては、平成八年の七月に、近畿自転車競技会の人事方針について了解事項に係る文書が残されているということを私たち承知いたしております。これは、近畿自転車競技会における当面の、先ほど申し上げました法令の解釈、運用に知見を有する通産局のOB等の役員の受け入れに関しまして、両者で意見交換した内容について、当時近畿の自転車競技会の会長が交代を控えていたこともございまして、備忘録的に文書で残されたものだというふうに思われます。
 以上でございます。
#93
○吉井委員 通産省は随分競輪がお好きなところだなと思いましたけれども、自転車競技会は自転車競技法第十三条に基づく法人なんですが、会長、副会長、監事は通産大臣の任命、理事は通産大臣認可、だから、通産局の意向で天下りポストを決めることができるということになってくると、これは全く通産省の天下りにとって都合のいいところだなと思いましたが、今の了解の相手方の会長も、先ほど通産省の方からお聞きすると通産省本省のOBだということですから、了解事項を交わした相手方も通産OBなら、了解事項の片方の当事者は現役の通産の方、これで了解事項などという文書を交わして天下りを実現している。
 伺っておきたいのですが、これは全国の通産局で、こういう形でそれぞれの地域の自転車競技会に天下りをするという形になっているのですか。
#94
○佐野政府参考人 まず、御指摘の近畿通産局と競技会との間の了解事項の中身でございますが、若干触れさせていただきますと、基本的には近畿通産局のOBの数を減らしてできるだけ競技会の出身者をふやしていこうという内容が盛り込まれているものでございます。それが第一点でございます。
 第二番目に、この了解事項というのが、競技会の中において通産省が認可をしたりするものであるから、結果的には押しつけのような形になっているのではないかという御疑念でございます。
 確かに、この競技会そのものは自転車競技法という法律に基づく法人でございますので、通産省がそこの部分について通産大臣の許認可に係らしめているところは事実でございますが、今押しつけではないかという御疑念を持たれていることについては、私たちとしては大変遺憾でございまして、近畿の自転車競技会に再就職している通産局の職員につきましては、これらの職員が通産局での長年の勤務を通じて培ってきた法令の解釈だとか運用に関する知見や総務、管理等の分野での幅広い経験が同競技会において評価された結果再就職されたものというふうに理解をしているところでございます。
 また、このような形のものの、競技会全体につきましては、私、先ほど申し上げたような形で、適材適所の考え方においてなされるべきであると考えておりますし、この観点から、通産局の職員につきましても、その能力、適性のいかんを問わず競技会の役員に任命させることをあらかじめ約束させたかの印象を与えるような、また誤解を招くような文書が作成されたことそのものにつきましては適切ではなかったというふうに思っております。
 なお、三番目の点でございますが、各通産局についてこういうことがあったのかということの御質問でございますが、昨晩、各通産局に対して個別に問い合わせをいたしました。その結果、今回御指摘のありましたような、近畿であった了解事項のような文書は存在しないということの報告を受けております。
 以上でございます。
#95
○吉井委員 天下りについて、他の通産局はこういう証文をつくったところはない、大阪は異例というお話ですが、この異例な了解事項を文書にして、印鑑をつかれた通産局の方は、今の大阪の知事になっていらっしゃる方です。太田さんです。
 自転車競技会の会長、副会長、理事、監事の待遇ですね。会長は年収二千万で、副会長が年収千九百万で、理事が千六百万、監事が千四百万。
 官房長、いろいろ経験を生かしてというお話ですが、通産省が昨年夏に産業活力再生法、いわゆるリストラ支援法というのをつくりました。今これで日産の二万一千人のリストラ、東芝の九千人など、大量解雇、リストラ、雇用不安が進んでいるときです。失業率は四・九%になっていますが、このリストラ支援法をつくるのとあわせて、通産省の方で、リストラされる労働者の次の就職先をこのような了解事項を交わして確保して、働く皆さんの生活の保障を行ったという例はありますか。あったら聞かせてください。
#96
○佐野政府参考人 今おっしゃった日産自動車等のリストラの件で、民間企業の御事例を挙げられたのかと存じますけれども、その点について、特に通産省がそのようなことをしたことはないと存じます。
 ただ、通産省といたしましては、産業再生法、それから、いろいろな意味において、新しい経済構造改革の中でできるだけ雇用不安のないように、協力できるところにつきましては、いろいろな形でそういう雇用の拡大または新しく雇用機会を生み出していくということについては努力をしている点については、大臣が再三申し上げているところでございます。
#97
○吉井委員 通産省はこの自転車競技会、農水省は競馬の同様の競技会、運輸省は競艇の方の同様の競技会、こうして今、近畿のような証文を書いているかどうかは別にして、現実には天下りの方がどんどん行かれている。
 全国各地で、今場外車券売場とか馬券売場とか舟券売場が問題になっております。地域の生活環境や教育環境の悪化に反対する住民やPTAの皆さんの運動が起こっているのですが、それを進めているこの自転車競技会の方、そこへ通産官僚が天下っていく。この団体の許認可は通産省が持っている。ですから、地域住民が、こういうところにつくっては困ると幾ら陳情に通産省なり農水省なり運輸省なりに行ったとしても、それはなかなか住民の声が受けとめられないということになるのは本当に当たり前のことかなと私は思いますね。
 そういう中で、九八年六月には伊勢崎市の場外車券場建設をめぐる通産OBの汚職、逮捕もありましたが、こうした場外舟券、車券、馬券という問題は今も各地であります。私の方の東大阪市でも、舟券売場計画が出て住民の反対運動が起こっておりますが、天下り先の団体を持っているからなかなか住民の声にこたえられない。
 そこで、経済企画庁長官、国民生活センターだけじゃなしに、各省庁にまたがって多数こういうことが存在するわけですが、こうした天下りの実態というのは、本当にこういうことをやっておったのでは国民の支持や理解は得られないと私は思うのですよ。実際、消費生活相談員の待遇改善も考えない国民生活センターへの天下り問題。国民にはリストラ支援法をつくって持ってくるのだが、自分たちは天下りポスト獲得の証文づくり。私は、こういうやり方では本当に行政は信頼されないことになると思いますよ。
 せっかく消費者契約法をつくって、そして裁判外で解決する機能も強めよう、そして本当に相談員の方の待遇も改善し働いてもらおう、またセンターももっと身近なところへ、地域で活用しやすいようなところへということを考えているときに、実際には天下りの方にかすんでしまって、そこがそうならない。
 私は、この点では、これは単に通産省だ経企庁だという話じゃなくて、政府としてこういう問題については是正を図るべきだ、こういう天下りのやり方についてはやはり厳しくこれをやめるということで対処をしていくべきだというふうに思います。大臣に、最後にこの点について質問しておきたいと思います。
#98
○堺屋国務大臣 それぞれの官僚もその経験を積んでまいりまして、その人材、能力、経験というものはやはり社会のどこかで生かすべきだと考えております。それが、それぞれその場、例えば今委員が例に挙げられたようなところで適切かどうかという議論はもちろんあるでしょうが、やはり社会の人材として経験を積んだ人がそれ相応に一定の年齢まで働ける世の中、これは必要だろうと思います。
 そういう意味で、不適材不適所でなしに、適材適所であれば、これは十分生かしていくべきだ。それが度が過ぎているかどうか、このことについてはいろいろの具体的な例で議論がございますのでその具体的な方に譲らせていただきたいと思いますが、一般論としては、やはり役人として能力を積み経験を積んだ人もそれなりの人材として社会で役立っていくのが、悪いことではないと考えております。
#99
○吉井委員 もう時間が参りましたのでこれで終わっておきますけれども、天下り問題について、そっちは心配するけれども、弁護するけれども、実際の相談員の方の待遇改善について真剣な取り組みがないということは、本当に許せないことだと思います。
 時間が参りましたので、質問を終わります。
#100
○中山委員長 塩田晋君。
#101
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 最初に、自由党としての、議題になっております消費者契約法に対します基本的態度を申し上げたいと思います。
 消費者と業者との間におけるトラブルが非常に頻発しております。年間五十数万件にも上る苦情があり、また処理件数も数十万という中で、消費者のトラブルの多発に対する対策が必要であるということ、それから、個別規制の限界があり、包括ルールはどうしても必要であるという観点、そしてまたグローバルスタンダードとしての契約法という観点から、この消費者契約法が必要であるということを認識しておるところでございます。
 そして、情報の格差と交渉力、これが消費者の側は非常に劣っておりますので、その格差是正という観点からもいろいろな方策が必要であると考えております。取り消しの問題あるいはまた契約条項の無効といった法律の条文で今回提出されておるわけでございますが、これは必要なことだと考えております。
 また、従来の保護される消費者という観点から、行政ができるだけ立ち入らないで、権利の主体となる消費者という観点から、安全である権利、あるいは知らされる権利、あるいは選ぶ権利、意見が反映される権利、救済される権利、対等である権利、こういった観点からこの法案が構成されておるということにつきましては賛成をするものでございます。消費者の保護から消費者の自立へ、そして参加へと向かう、これは大きな前進であると考えておるところでございます。
 この法律案によりますと、商品、サービス、すべてにわたっての契約にこれが適用されるわけでございますが、労働契約については除かれておるところでございまして、これも適切なものと考えております。
 今、自由党は、現時点では野党という立場でございます。しかし、小渕総理が自由党の小沢党首と平成十年の十一月十九日にいわゆる自自連立の合意をいたしまして、それ以来、小渕総理の大変な御決断とすぐれた洞察力、また党内への説得等々、非常に御努力をされまして、その成果が上がってきたことを認めるものでございます。経済のみならず、政治の改革、国会の改革におきましても画期的なものが成果として得られたというふうに認識しておるところでございます。
 その小渕総理が、まだまだ山積する問題を残しながら急病に倒れられまして、入院加療中でございますが、一日も早い御回復をお祈りするものでございます。私も、個人的にも非常に尊敬をしておった小渕総理でございます。今日の状況を非常に心配しながら療養に努めておられることと存じます。
 そこで、この法案、また、次に出てまいります弁理士法案につきましても、連立合意の中で、予算につきましてもその編成に、また法案につきましても三党の協議をいたしまして、その議を経て、内閣、また閣内協力もしておりましたから、閣議でも決定され、国会に提出されておるその法案でございます。
 そういった立場から、この連立がいつまで続いておったかということでございますが、これは若干前にさかのぼりますけれども、自自公の連立政権になりましてからも、憲法調査会等もいろいろ協力によりましてこれが成立しているわけでございます。この自自公連立というのは、四月一日にいわゆる三党首の会談がございまして、そこでいろいろ議論されたわけでございますが、自由党といたしましては、四月三日の自由党全議員総会でもって、その結果を踏まえて協議をし、その結論を持って改めて三党首の会談に臨むというところで、残念ながら小渕総理の容体の異変があったわけでございまして、その三党首会談に持ち込む結論を出せないまま、また回答できないままに推移をしておったわけでございます。
 小沢党首にいたしましても、連立政権の離脱ということは、その三党首の会談の中でも、またその前にも後にも一切言っていないわけでございまして、その状態の中で連立政権がなお続き、合意が有効であるというふうに思っておるところでございます。
 これが自然に解消、消滅したのは、小渕内閣の総辞職、すなわち四月四日の総辞職、そして四月五日の森内閣の成立によって自然にこれが消滅したというふうに考えるところでございますが、それまでに、我々は、三党で法案も予算も審議をし、共同で作業をし、これをつくり上げてきたわけでございまして、この消費者契約法もその重要な一つの法案でございます。
 したがいまして、筋を通しまして、我々は与党としてこれを決定し、また国会に提出するという手続を経てこの法案が現在審議されておるわけでございますので、この法案の成立につきましては、我々自由党といたしましては責任を持っておる、このように考えております。先ほど申し上げました趣旨から、この消費者契約法をできるだけ早く成立させて、消費者のために実施されるように願うものでございます。
 そこで、今までこの商工委員会におきまして、各党各派の議員の皆さん方から質問がほとんど出尽くすぐらいに熱心に討議されておりますので、あえて重複を避けて、若干残っている問題、あるいは確認をすべきと考えております問題につきまして御質問をし、また意見を申し述べたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 そこで、消費者契約法の中で、いろいろと国民生活審議会で六年にわたりまして審議をしてこられた結果がここに集約され、関係者の大方の同意を得てこれが法案として提出されておるわけでございます。その審議会の審議の過程でも議論になったと聞いておりますが、まず医療の関係、お医者さんの関係でございますが、その消費者契約法との関係についてお伺いをしたいと思います。
 医療における契約、患者とお医者さんとの間の契約というのはいつ始まるのか。
 それから、その契約の内容につきましてもいろいろと問題があると思うのですね。
 消費者契約法の問題になる医療のトラブルというのが、医療ミスといいますか手術ミスといったことについては民法上の問題等で損害賠償等の問題になってまいりますけれども、例えば、消費者契約法にも出てくる文言で、将来における不確実な事項につきまして断定的判断を提供するようなことが、あるいはあるのではないかと思います。
 例えば、この手術をすれば必ず治りますよとか、あるいは、この薬を投与すれば痛みはなくなりますとか、そういういろいろな話が患者とお医者さんとの間であると思うのですね、あるいは家族を含めまして。そういったことにつきましては、この消費者契約法の取り消し、無効等の問題、例えば手術ミスがあって亡くなっても損害賠償しませんとか、そういったことも消費者契約法の関連ではあり得ると思うのです。
 そういったいろいろな医療における契約の問題で、消費者契約法との関係はどうなっているか、包括的に御説明をいただきたいと思います。
#102
○堺屋国務大臣 自由党さんの消費者契約法に対する態度を御説明いただきまして、ありがとうございました。提出時に与党であったということで、御賛同いただけるのはまことにありがたいことだと考えております。
 消費者契約法と医療との関係でございますけれども、この消費者契約法は民事ルールでございまして、委員御指摘がございましたように、労働関係を除いてすべて消費者契約の対象としております。したがいまして、医療関係者も事業者であり、患者が消費者ということで、その対象になろうかと思います。したがって、医療についても、伝染病とか患者が入院を強制される行政処分のようなものはちょっと違うようでございますけれども、医療機関と患者との間には契約が存在するということでございます。
 その契約はいつできるかということでございますが、医療関係者におかれましては応招義務などがございます。通常の医療におきましては、受け付けの終了時点で、医療機関が医学界のその時点その時点の一般水準に従って患者の疾患に最適の治療方法を選択し実施するということを内容とした一個の抽象的かつ包括的な診療契約、すなわち民法の上で申します準委任契約が成立するというふうに考えております。
 このことから、本法の第四条の規定による取り消しの原因となる行為は、受け付けまでの医療機関の行為、受け付けまでの行為というふうに考えております。したがいまして、医療の過誤あるいはインフォームド・コンセントの問題は契約を締結した後の問題でございますので本法とは関係がない、こう考えております。
 さらにいろいろ御質問ございましたら、医療の点につきまして、もう少し分けて聞いていただいた方が答えやすいと思います。今、契約の問題で申し上げますと、まずそういうことでございます。
#103
○塩田委員 将来における不確実な事項につきまして断定的判断を提供するような場合、例えば先ほど申し上げましたような事例ですけれども、こういった問題については、ちょっと細かいでしょうか。お答えいただきたいと思いますが。
#104
○堺屋国務大臣 一般に第四条の断定的判断というのは、価格変動による利得、例えば、この株を買ったら上がるよとか、この商品先物取引をしたら確実にもうかるよとか、そういうようなものを前提としております。したがいまして、お医者さんがこういう治療をすれば多分治るよというようなことをおっしゃった、それが患者の側に断定的に聞こえたといたしましても、それは受け付けまでに結びました医療契約の取り消しにはならないと考えております。
#105
○塩田委員 それはそうだと思いますが、もし医療のミスがあったり治らなくても損害賠償しませんとかといった契約は、もちろんこの消費者契約法で無効ということになるのでしょうか。
#106
○堺屋国務大臣 契約条項につきまして、例えば、医療によって生じた結果に対して一切異議は申しませんと一筆書くことがよくございますが、そういう承諾を患者からとられるような場合がございますけれども、こういう場合は、本法第八条第一項第一号もしくは第三号の規定により、その条項は無効になります。つまり、故意、過失があるということになれば、これは話は別だということになります。
#107
○塩田委員 ありがとうございました。
 それでは次の質問でございますが、本法の諸外国における法制はどのようになっているか、これは重要な項目についてで結構でございます。例えば不実告知とか、あるいは断定的判断、不利益事実の不告知、不当条項等につきまして、諸外国の例と比較してどのようになっているか、お伺いいたします。
#108
○堺屋国務大臣 これは各国法制がそれぞれ違いまして、慣習法によるところ、あるいは判例法によるところ、いろいろございます。
 その中で拾っていきますと、本法案の第四条第一項第一号に規定しております、事実と異なることを告げる、いわゆる不実告知によって契約の取り消しを規定されている例としては、イギリスに不実表示法というのがございます。これは一九六七年につくられた法律でございます。
 それに対しまして、御審議いただいておりますこの法案の第四条第一項第二号において規定しております断定的判断、ただいま話題になったところでございますが、それから第四条第二項において規定しております不利益事実の不告知、片一方でもうかる可能性が高いと言いながら、値下がりすることがあるものをあえて言わなかったというようなことについては、実体法上の取り消しを規定している例が外国にはあると承知しておりますが、これはあくまでも実体法上の取り消し規定でございます。
 また、この法案の第八条から第十条で規定している契約条項につきまして、こういう契約は無効というような条項を並べておりますが、西欧諸国、西ヨーロッパ諸国においては、不公正な契約条項の効力を否定するルールが広く立法化されております。一九九三年に、ヨーロッパユニオン、EU指令によりまして、その内容の整合性が図られました。
 また、アメリカにおいても、第二次契約法リステートメントというのがございまして、これが一九七九年に確立されております。ここで確立されました非良心性の法理に反する契約条項の適用が裁判所によって制限されております。これは判例集でございますが、判例に言う非良心的な法理により特定の契約条項が裁判所によって制限されております。また、故意または重過失により引き起こされた損害に対する不法行為責任を一方的に免除する条項等は強行できないこととされているものと承知しております。
 このように、欧米諸国におきまして、総じて消費者契約の適正化のための民事ルールは整備されてきているわけでございますけれども、各国の置かれている状況を反映いたしましてそれぞれ特徴があり、基本的にはそれぞれの国のトラブルの状況、取引の実情を踏まえて整備されているものと承知しております。
 本法の非常に特徴なのは、契約条項、契約の段階の問題と、それから無効条項、この両方を体系的に備えている。この点では諸外国の法律よりもきちんとした法体系を持った立法になっている、その意味で世界に冠たるものだと私は考えております。
#109
○塩田委員 ありがとうございました。
 最後に、通産省の関係についてお伺いをいたします。
 最近のことでございますが、衣料関係、繊維関係でございますが、いわゆる原産地表示を虚偽の表示をする。すなわち、海外から輸入した衣料品につきまして、日本でメード・イン・ジャパンというふうに張りかえたり書きかえて、消費者に錯誤を与えるというか誤認をさせる、そういう取引が消費者との間に、小売店、百貨店等で行われている場合があると聞いておるわけでございますが、そういう場合に、この消費者契約法の関係はどうなのか、それ以外の法律でもって規制されている問題かどうか。
 それから、これに関連しまして、消費者契約法の問題だと思うのですが、例えば、そういう原産地表示はしていない、メード・イン・ジャパンとも書いていないけれども、これは国産品ですよと言って売る。随分安いなと思いながら買っていく。こういうケースもある。
 あるいは、大売り出しで、国産品大量入荷、激安でというようなことが後ろに書いてあるといった場合、これは国産品ですねと消費者が言った場合に、ここに書いてあるとおりですよ、国産品です、表示はしていなくてもそういう説明をした。そう思って帰ったところ、事実は海外からの輸入品であった。こういったこと。
 消費者の利益の擁護という面から、いいものはいいわけでしょうけれども、そういったことが行われているとすれば、これは消費者契約法上はどうなのか、他の法律との関係はどうなのか、御説明をいただきたいと思います。
#110
○堺屋国務大臣 先ほど私言い間違えたらしい、言ったことと思っていたことと違ったようでございますので、ひとつ修正をさせていただきます。
 不利益事実の不告知について、実体法上取り消しを規定している例が海外にあるとは承知していると言ったそうでありますが、承知していないということでございまして、ちょっとそこは逆でございますので、訂正させていただきます。
 今の御質問でございますが、輸入品を国産品と表示していても、これは単に陳列、並んでいるというだけの場合でございましたら勧誘という行為にはならない。したがいまして、それだけでは第四条第一項の要件に該当しないので、取り消しは認められない。単に置いてあるだけだったらそうだと思います。
 ただし、委員が今おっしゃいましたように、それを、事業者、売り手の方が虚偽表示を用いて、生産国、例えば国産品と誤認させるような形で消費者に説明をして販売する場合には勧誘に当たりますので、重要事項、国産品というのが重要事項でございますと、真実に異なることを告げた、そういう意味で取り消しが認められる。これは、書いてあるだけじゃなしに、確かに国産品だよとわざわざ言った場合は不実告知になるから取り消しになる、こう考えております。
#111
○塩田委員 通産省の関係、御説明をお願いします。
#112
○横川政府参考人 通産省の生活産業局長でございます。
 消費者契約法以外の部分につきまして答弁をさせていただきます。
 衣料品の原産地の虚偽表示につきましては、これを規制するものといたしまして二つの法律がございまして、虚偽表示の是正のための法律上の措置がとられております。
 一つは、不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景表法でございます。それからもう一つが、不正競争防止法でございます。前者、景表法に基づきまして、公正取引委員会によります排除命令でございますとか警告、これらに従わない場合の懲役、罰金等が規定をされております。また、不正競争防止法におきましては、司法的な措置といたしまして、差しとめ請求、損害賠償、罰則、こういったものが定められておるわけでございます。
 通産省といたしましても、具体的な虚偽表示の事例がございました場合には、公正取引委員会など関係機関との密接な連携のもとで十分な対応を図ってまいる所存でございます。
#113
○塩田委員 通産省としては、繊維関係の所管省庁として、十分にその辺を配慮して指導していただきたい。指導という言葉は中小企業基本法の関係から大きく転換ということですから、消費者利益の擁護という立場からひとつ支援をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
#114
○中山委員長 知久馬二三子さん。
#115
○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。
 私は、さきの委員会で積み残しとなりました部分についての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、司法制度を消費者のために利用しやすいものにするということで、少額訴訟事件手続ができるようになりまして、その実績をお伺いしたところなんですけれども、利用件数も、十年よりか十一年と事件の数が上がっております。この実績から見ますと、消費者は簡単で早く解決することを望んでいると思うのでございます。
 そこで、司法制度改革の検討状況についてどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。くどいようですが、消費者が本当に利用しやすい司法制度改革という視点から検討すべきだと思うのでございます。どのように進められているのか、お聞かせ願いたいと思います。
#116
○樋渡政府参考人 司法制度改革審議会事務局長の樋渡でございます。
 司法制度改革審議会は、昨年十二月に司法制度改革に向けて論点整理を決定、公表し、検討すべき論点項目を明らかにしているところでございます。その中の、国民が利用しやすい司法の実現等につきまして、本年一月の審議会におきまして、今後重点的に検討すべき論点が確認されましたが、先日来委員が御指摘されております消費者に密接に関連するさまざまな論点といたしましては、例えば訴訟費用負担の軽減、法律扶助の充実、裁判利用相談窓口の設置、証拠収集手続、証拠方法等に関する手続法等の見直しの要否等も取り上げられているところでございます。
 当審議会におきましては、本年中の中間意見の公表を目指しまして、各論点につき、国民的見地に立った調査審議を進めているところでありまして、来年七月には最終意見を取りまとめる予定でございます。
 また、当審議会の委員は国民各層から選ばれておりまして、消費者問題に詳しい有識者の方も含まれておりますことから、委員御指摘の観点からも十分な検討がなされるものというふうに考えております。
 以上であります。
#117
○知久馬委員 ありがとうございました。
 特に利用者である国民の視点に立って多角的視点から司法の現状を調査分析し、今後の方策を検討するとおっしゃいました。やはり、利用者である国民、消費者の視点に立って、利用しやすい制度改正をお願いしておきたいと思います。
 続きましては、契約法案の第七条の取り消し権の行使についてお伺いするものでございます。
 まず最初に、この第七条では取り消し権の行使期間の制限について、「追認をすることができる時から六箇月」とされています。この件につきましては多くの方から質問があったと思いますけれども、この「追認をすることができる時」というのはどの時点を指すのでしょうか。そして、不退去、監禁の場合、誤認の場合と具体的に説明をいただきたいのです。
 なぜかといいますと、この基本的なことをしっかり認識していないと、本当に消費者が泣き寝入りする場合が出てくるのではないかと思いますので、この点につきまして、具体的に、よく理解できるように説明をお願いしたいと思います。
#118
○堺屋国務大臣 まず、追認することができるときということでございますが、本法におきましてこう書いておりますのは、短期の取り消し権の行使期間の起算点を定めました民法第百二十六条に倣いまして、「追認をすることができる時」こう書いたわけです。この意味は、民法百二十四条第一項により、取り消しの原因である状況がやんだとき、例えば監禁状態、威迫の状態、誤認の状態が終わったときであります。
 だから、これは値上がりするよと言われたとかいうときでございますと、それが間違ったと気がつくまでにかなりかかるときもあります。それに気がついたとき、この状況がやんだときと考えていただいて結構だと思います。
 具体的に、本法第四条の取り消しは、消費者が、事業者の重要事項について事実と異なることを告げたことにより誤認していたことに気がついたとき、または、事業者が消費者の住居または業務を行っている場所から退去しないこともしくは事業者が勧誘をしている場所から消費者を退去させないこと、家へ来て帰らないとかあるいはお店へ連れ込んで帰さないとかそういったことで消費者が困惑をしているとき、それから脱したとき、家から帰ったときですね、そういったときにこれが始まると考えられます。
 それで、消費者が誤認したままでその代金を払った、そういうことは関係なしに、はっきりとうそをつかれていた、あるいは帰されなかったということが外れたときが始まりのときと考えていただいて結構だと思います。
#119
○知久馬委員 ありがとうございました。では、こういうことですね。消費者が誤認したままお金を払うことは追認にはなりませんということですね。それで、普通で考えれば、消費者がお金を払うという行為は商品、サービスの対価を支払うのであり、契約の単なる履行で、法案で言う追認とは誤認に気づいたときと考えてよいですね。確認のために。
#120
○堺屋国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、自分がだまされていた、間違えていた、監禁されていたとはっきり気づいたときでございます。
#121
○知久馬委員 そこで、消費者が追認したことの立証責任は事業者側にあると考えますが、その点についてはどうでしょうか。また、消費者にとってこのことの持つ意味はどうでしょうか。それをお伺いしたいのです。
#122
○堺屋国務大臣 消費者が追認したことの立証については、その立証責任は事業者側にあると考えております。
#123
○知久馬委員 それで、消費者にとってこのことの持つ意味というのはどういう意味かということについて、ちょっともう一度。
#124
○金子政府参考人 トートロジーになるかもしれませんけれども、消費者が追認できるようになったかどうかということについて、自分で証明するわけじゃありませんから、そういう面で、それは事業者側の証明責任になるということでありますから、消費者側の立証責任は非常に軽いということであります。
#125
○知久馬委員 では次に、追認できるときから六カ月間では短いという声が非常に強いわけでして、消費者団体やここの各委員さん方の中でもその点については指摘があったと思いますけれども、私も、なぜ六カ月間にされたかというその根拠等があればお聞かせ願いたいと思います。
#126
○堺屋国務大臣 この消費者契約法は契約一般ではなく消費者契約、つまり事業者が必ず一方の当事者であり、一方が消費者という契約を前提としておるわけでございます。
 このため、短期の行使期間をどのようにするかにつきまして、まず第一には、民法にいろいろの意思表示の場合を想定しておりますが、取引社会の実情において、比較的短期間のうちにその請求、弁済がなされていることから、早急に法律関係を安定させる必要がある。例えば、事業者と消費者の間には、大変金額の張るものもございますけれども、物事が変化する、あるいは商品が劣化するというようなものもございます。そういうものまで含めて考えますと、六カ月というのは、これは通告だけすればいいわけですから、決してそれほど短くない期間だと思っております。
 第二番目に、消費者契約においては、みずからの誤認に気がついたときもしくは困惑の状態から免れたときより六カ月でございますので、これは特に内容証明とかそういうことじゃなしに、その意思を通知していただければいいわけでございますから、決して短過ぎる期間ではないと思います。
 第三番目に、関係法といたしまして民法百五十三条というところがございますが、そこに債権者の催告後、その効力を確定させるために必要な裁判上の請求期間を六カ月以内としているため、裁判外で行使できる形成権たる取り消し権については、短期の行使期間と同程度にすべきではないか。
 こういうようないろいろな配慮から、六カ月ぐらいでこれをとめておかないと、取引関係の安定性というのを一般的に損なう部分がかなり出てくるのじゃないか。そういうことで、追認してから六カ月以内に、決してそんな難しい手続ではなしに、通知をしていただければいいということにしております。
#127
○知久馬委員 今、三点についてお話があったのですけれども、やはり本当にうっかりしたとかということもありますし、その間にそれがわかったにしても、手続をするのに半年間ではやはり短いような気がいたします。
 それはそれとして承っておきますけれども、それでまた次は、同じように取り消しの行使期間を契約締結から五年とされました。これについても具体的な根拠になるところを教えていただきたいと思います。
#128
○堺屋国務大臣 本法案の対象となる消費者契約におきまして、契約当事者の一方は事業者でございますが、事業者の行う取引は反復継続して行われる性格がございます。したがいまして、これが非常に長引いてまいりますといろいろとその事業者に支障を来すというようなことがございまして、早期に安定する方がいい、しかし、余り早期にしますと消費者の権利が守れない、その間でどの点をとればいいかということでございます。
 そういったことを踏まえまして、この取り消し権の行使期間を具体的にどれぐらいにすればいいか。これは国民生活審議会でも学者の方々、消費者の方々、事業者の方々、いろいろなケースを挙げて議論がございました。その結果、「当該消費者契約の締結の時から五年」という定めをしたものでございます。
 商取引の安定化という本法案と同様の趣旨を持っております商法におきましては、商事債権にかかわる消滅時効を五年と定めております。同法の五百二十二条も参考にいたしまして、商契約が五年ならこっちもそのぐらいで切れなきゃいかぬだろうということでつくったものでございます。
#129
○知久馬委員 ありがとうございました。
 では次に、最後の質問になりますけれども、全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETの拡充についてお尋ねいたします。
 消費者契約法の施行状況についてしっかりと把握するために、国民生活センターと消費生活センターを結ぶオンラインネットワークシステムであるこの全国消費生活情報ネットワークシステムの拡充を図ることの必要性は言うまでもないことだと思います。
 五日の及川参考人の意見陳述の中にも、契約法のフォローアップ体制ということをしっかりとしていかなければならないということをおっしゃっておりました。このPIO―NETの情報入力の仕方も消費者契約法の内容にあわせて改定すべきではないでしょうか。この点についてお伺いいたします。
#130
○金子政府参考人 お答えいたします。
 PIO―NETは、消費者契約法の施行に伴ってますます重要なものになっていくと思われます。そういう形で、消費者契約法が制定された後には、PIO―NETは、今申し上げた消費者契約法の施行状況のフォローアップを行うということでも当然重要ですけれども、消費者契約法に基づいた紛争解決、それが適切に行われるということでもまた非常に重要でありますし、さらには、消費者契約法にかかわらず、契約に係るトラブルが非常にふえているわけですから、そういうトラブルを防止するための適切な施策を実施するという、いろいろな面においてPIO―NETの役割は一層高まっていく、こう考えます。
 そうして、こうしたPIO―NETがこのような役割を適切に果たしていくためには、おっしゃるように情報入力について、契約に係るトラブルの把握、分析がより的確にできるように検討すべきものではないか、こう考えております。
#131
○知久馬委員 そこで、市町村レベルでは、PIO―NETに入力することの財政負担があるという原因で入力を意図的に減らすという動きもあると聞いておりますが、実情はどうなっているのでしょうか。把握なさっていらっしゃいますでしょうか。その点についてお聞かせください。
#132
○金子政府参考人 私どもの知る限り、消費生活センターにおけるPIO―NETへの情報入力は適切に行われるものと承知しております。
#133
○知久馬委員 PIO―NETの情報入力は消費生活センターの消費生活相談員が当たっていると思いますが、四日の質問でも明らかになったように、この待遇は決して十分ではありません。PIO―NETの情報は、消費者契約法を初め立法作業の資料にもなるものでありますから、これは国の仕事を地方にお願いするものではないかと思うのであります。
 そこで、現状はどうなっておりますのでしょうか。国として、地方に仕事をお願いする以上、十分な負担、補助ですけれども、それを行うべきではないかと思うのです。少なくとも情報入力のための人件費は国がすべて負担すべきではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
#134
○金子政府参考人 ここで、PIO―NETの機能について十分な御理解をしていただくことが必要だと思います。
 これは、一つは、収集された苦情情報が国において消費者保護施策の実施のいろいろなデータとして用いられるということは当然ありますが、また地方にとっても、先ほど御説明しましたように、地方消費生活センターでの苦情処理に活用され、十分に役に立っているということだと思います。そういう面で、このPIO―NETというものは、国と地方が協力をし合って維持管理していくべきシステムではないか、こう考えているわけであります。
 それで、現在、国、私どもといたしましては、PIO―NETのためにはコンピューターが必要なわけですけれども、そのコンピューターの経費、まず国、ホストコンピューターがありますから、それは当然私どもの経費として見ているわけですけれども、地方もコンピューターの端末が必要ですから、その借料を負担しておりますし、それから相談情報の伝送料というものも負担しています。それのみならず、今おっしゃったような情報入力のための経費、これも交付対象としております。
#135
○知久馬委員 ただいま交付対象というのは、国が何分の一か、県が何分の一とか町が何ぼというような形の中での負担になるわけでしょうか。その辺、もう一度ちょっと。
#136
○金子政府参考人 現在整備しております事業の中で、市町村に対する交付金があるわけですけれども、それにつきましては、今申し上げたものについて二分の一の補助をしているということであります。
 ただ、申し上げたように、このシステムというのは国と地方が協力して維持管理していくシステム、つまり、それは国にとっても役に立ちますし地方にとっても役に立つということですから、そういう面で費用負担もまたそういうことであるかな、こう考えております。
#137
○知久馬委員 いずれにいたしましても、やはり消費者が本当に守られるという法律でなければならないと思いますので、その点を要望しておいて、時間が来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#138
○中山委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま審査中の第百四十六回国会、菅直人君外三名提出、消費者契約法案について、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可することと決しました。
    ―――――――――――――
#140
○中山委員長 内閣提出、消費者契約法案について議事を進めます。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#141
○中山委員長 この際、本案に対し、吉田治君外二名から、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の三派共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
    ―――――――――――――
 消費者契約法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#142
○吉田(治)委員 私は、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表し、政府提出の消費者契約法案に対する修正案について、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 近年における消費者トラブルの増加、経済のサービス化、国際化の進展、高齢成熟社会の到来などの動向にかんがみ、個別法による対応や行政指導型の規制ではなく、消費取引における契約締結過程及び契約条項についての包括的な民事ルールの立法化が必要であり、消費者契約法を成立させることには積極的意義があります。
 しかしながら、政府提出の法案の以下の諸点を勘案し、より実効性があり、国民にとって意義のある制度とするために、修正案を提出するものです。
 政府提出の法案の問題点は、一つ、消費者にも理解努力義務を課しており、場合によっては消費者が不利になるおそれがあること。二つ、契約取り消しの対象となる契約締結過程に関して、誤認類型については、不利益事実の不告知を故意としたり、消費者が通常考えるべきものに限るなどと限定を狭めていること。三つ、困惑類型については、不退去、監禁に限定していること。四つ、取り消し権の行使期間が追認可能時から六カ月、契約締結時からの消滅期間が五年と、ともに短くなっていること。五つ、今後の検討条項を欠いていること。
 次に、修正案の要旨を御説明いたします。
 第一に、消費者に対する理解努力義務は削除することとします。
 第二に、第四条関連の不当な勧誘による契約の取り消しについては、消費者が理解できる範囲での重要事項の不提供、威迫、消費者の私生活や業務の平穏を害すること、消費者の判断力不足に乗じることなど幅広い規定を設けています。
 第三に、取り消し権の行使期間が追認可能時から三年、契約締結時からの消滅期間を十年にすることとしています。
 第四に、三年後を目途として検討を行い、裁判外紛争処理機関の強化など必要な措置を講ずる旨の規定を附則に盛り込みます。
 以上が、修正案の提案理由及びその要旨であります。
 委員各位の御賛同のお願いを申し上げて、提案理由説明を終わります。
#143
○中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#144
○中山委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
#145
○吉田(治)委員 私は、民主党を代表して、野党三会派提出の修正案を含め、政府提出の消費者契約法案に対する賛成討論を行います。
 民主党は、結党から四カ月後の一九九八年八月、消費者保護プロジェクトチームを設置し、消費取引における契約締結過程及び契約条項についての包括的な民事ルールの立法化作業を進めてまいりました。党独自の消費者契約法案を取りまとめ、昨年十二月十日、第百四十六国会に提出するに至りました。
 その後、本委員会におきまして、政府がおくれて提出した法案と同時に審議をいたしました結果、政府案が民主党案を参考にしてつくられたという認識も得ました。民主党案に触発されて、消費者と事業者の情報力、交渉力の格差の存在が明記されたこと、適用除外がないこと、不当条項に一般条項が入ったことは妥当と考えます。このような審議の経緯を踏まえ、民主党案を撤回し、他党の方々とともに政府案の修正案を提出することといたしました。
 政府提出の法案を成立させることは一歩前進ではありますが、問題点も幾つかあります。民主党の対案を踏まえてつくられた野党会派提案の修正案を実現することにより、一層実効ある制度になると考えます。
 例えば、消費者に対する努力義務規定を削除することによって、消費者がいたずらに不利な状況に陥ることはなくなり、裁判などにもよい影響を与えるものと考えます。
 また、消費者の私生活や業務の平穏を害し、困惑させる言動を契約取り消しの対象となる不当勧誘の一つにしたことは、電話によるしつこい勧誘行為を抑制することに通じると受けとめています。
 さらに、三年を目途として検討を行い、裁判外紛争処理機関の強化などの必要な措置を講ずる旨の規定を盛り込んだ附則条項を追加しており、実施状況を見ながら法律を再構築していく道を開いていることは有意義だと考えます。
 以上が、野党会派の修正案を含め、政府原案に賛成する理由でありますが、政府・与党に対して幾つかの苦言、注文を述べさせていただきます。
 繰り返しになりますが、民主党が独自の法案を提出して、三カ月もおくれてやっと政府案が提出されたことは、政府・与党の政策決定能力のなさを如実に示しているものと言わざるを得ません。民主党案が先に出たなら、それをすぐに審議して、昨年中にでも成立させるのが筋だったと考えます。与党に意見があるのなら、堂々と民主党案に対する修正案を出すべきだったと私は強く申し上げます。
 我が党の質問でも取り上げましたが、政府案に文句が出ないように経済企画庁が関係団体に圧力をかけたとの疑いが出ています。経企庁は法案の説明でむっつり大工の例ばかり挙げていましたが、経企庁によってむっつりを強いられた人たちがいたということがあれば、ゆゆしき事態だと考えます。
 最後に、団体訴権の検討等を盛り込んだ附帯決議について、政府が誠実に取り組むように注文し、私の討論を終わります。(拍手)
#146
○中山委員長 吉井英勝君。
#147
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、消費者契約法案に対する野党三党派提出の修正案及び修正部分を除く政府原案に対する賛成の討論を行います。
 日本共産党は、本会議及び本委員会での質疑において、消費者契約法が実効性あるものとなるために、
 法の目的として、事業者と消費者の情報等の格差是正を明確にすること、
 消費者に対する情報提供義務と書面の交付を事業者に義務づけ、消費者の理解努力規定を削除すること、
 契約取り消し要件は、重要事項の不実告知や監禁などに狭く限定せず、広く適用できるものとすること、
 不当勧誘行為は、被害の実態に合わせて、威迫、困惑行為を広くとらえ、法律が活用しやすいものとなるようにすること、
 無効条項に、日弁連などの示しているブラックリスト、グレーリストを盛り込むこと、
 契約取り消しができる時効は、不実告知や不当勧誘行為などに気づいたときから三年、契約したときから十年とするべきこと、
 被害の未然防止のために、団体訴権等を盛り込むこと、
 裁判外での紛争を解決する機関を拡充すること
などを主張してまいりました。
 これらは、実際に被害の相談や解決に当たっている消費者団体や弁護士の皆さんの主張とも一致するものです。
 消費者契約法が、こうした消費者や日弁連などの声にこたえた積極的なものになるよう、野党三党共同の修正案がぜひとも全会派一致で可決されるよう、与党並びに自由党の皆さんの御賛同をお願いいたします。
 以上で、修正案及び修正部分を除く政府原案に対する賛成討論とします。(拍手)
#148
○中山委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#149
○中山委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、消費者契約法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、吉田治君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#150
○中山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#151
○中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#152
○中山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、日本共産党、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
#153
○吉田(治)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    消費者契約法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法が、消費者と事業者との間に情報の質・量及び交渉力の格差が存在することにかんがみ、消費者利益の擁護のための新たな民事ルールを定めようとするものであることの意義を十分に認識し、本法施行に当たり、消費者契約に係る紛争の防止とその公正かつ円滑な解決を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 立法趣旨や各条項の解釈等、当委員会の審議を通じて明らかにされた本法の内容について、消費者、事業者、各種の裁判外紛争処理機関、都道府県及び市町村自治体における消費者行政担当者等に十分周知徹底すること。
 二 消費者契約に係る紛争の簡易、迅速な解決を図るため、裁判外の紛争処理機関の強化を図ること。
   特に、
  (一) 国民生活センター、都道府県及び市町村自治体に設置された消費生活センターが、消費者契約に係る紛争の解決について果たすべき役割の重要性にかんがみ、その充実・強化を図ること。都道府県及び市町村自治体に対しても、その住民が身近な消費生活センターで消費者契約に係る適切な情報提供、苦情相談、苦情処理が受けられる体制を確保されるよう要請すること。
  (二) 消費生活センターにおいて、消費者契約に係る紛争(トラブル)について相談、あっせんを行っている消費生活相談員は、その専門的な知識を基に本法を活用した消費者利益の擁護のために重要な役割を果たすことが期待されることにかんがみ、その育成・人材の確保及び本法のみならず民法や各般の個別法を総合的に活用できる専門性の向上のため、適切な施策の実施を行うこと。
  (三) 都道府県等において条例で設置されている苦情処理委員会が、消費生活センターと手続的連続性を有しながら、消費者契約に係る紛争を解決するための公正かつ中立的機関として活用できることにかんがみ、高度に専門的な紛争の処理能力を向上させるため、苦情処理機関の要請に応じて専門家を地方に派遣するなど、その活性化のための支援策を講ずること。
  (四) 消費者契約に係る紛争が裁判外で適切に解決されるための手段を十分確保するため、各地の弁護士会が設置する弁護士仲裁センターが消費者契約に係る紛争解決に当たり、利用しやすいものとなるよう、日本弁護士連合会に協力を要請すること。
 三 紛争の究極的な解決手段である裁判制度を消費者としての国民に利用しやすいものとするという観点から、司法制度改革に係る検討に積極的に参画するとともに、その検討を踏まえ、本法の施行状況もみながら差し止め請求、団体訴権の検討を行うこと。
 四 本法の施行状況について十分に把握し、消費者契約に係る紛争防止のための是正策に資するため、国民生活センターと全国の消費生活センターを結ぶオンライン・ネットワーク・システムである全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO―NET)により消費者契約に係る紛争及びその解決の実態についての情報を正確に収集、整理し、その情報を可能な限り国会等に公表するとともに、PIO―NETの拡充を図ること。
 五 消費者が本法を活用しつつ、自己責任に基づいて主体的・合理的に行動できる能力を培うため、消費者が、本法をはじめとする民事ルールの意義・役割、契約に関する的確な知識や契約に当たっての消費者の役割について理解を深め、判断能力を向上させることができるよう、学校教育などにおける消費者契約に関する消費者教育の支援に積極的に取り組むこと。
 六 電子商取引の進展など消費者契約の内容や形態が急速に多様化・複雑化してくることを踏まえ、また本法が主として裁判等の規範としての性格を有することにかんがみ、消費者契約に係る判例に関する情報及び消費生活センター等の裁判外紛争処理機関における処理例の情報の蓄積に努め、本法施行後の状況につき分析、検討を行い、必要があれば五年を目途に本法の見直しを含め所要の措置を講ずること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#154
○中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#155
○中山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、堺屋経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。堺屋経済企画庁長官。
#156
○堺屋国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#157
○中山委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#159
○中山委員長 次に、内閣提出、参議院送付、弁理士法案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。深谷通商産業大臣。
    ―――――――――――――
 弁理士法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#160
○深谷国務大臣 弁理士法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 情報や知識が大きな付加価値を生み出す知恵の時代を迎え、我が国産業の国際競争力を強化し、中小企業等の活性化を図るためには、創造活動の成果である知的財産を保護することに加え、これを積極的に活用して収益を生み出し、新たな創造活動の源とするための仕組みを構築することが必要であります。
 本法律案は、かかる情勢を踏まえ、知的財産の事業化や取引活動を支援する知的財産専門サービスの重要な担い手である弁理士について、規制改革による競争促進、国民へのサービスの向上の観点から、その業務を規制する弁理士法の全面的な見直しを行うものであります。
 なお、本件につきましては、昨年十二月に工業所有権審議会より、弁理士法の改正等に関する答申が提出されており、本法律案はこの答申を踏まえた内容となっております。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、弁理士の業務の見直しであります。具体的には、工業所有権に関する仲裁事件の手続の代理、契約の締結の代理等の業務を弁理士の業務に追加するとともに、弁理士の独占業務を一部縮減し、権利が確定した後の特許料の納付手続等の業務を開放することとしております。
 第二は、弁理士の試験の見直しであります。具体的には、弁理士の業務拡大に対応して試験科目の充実を図るとともに、弁理士の量的拡大を図るため、選択科目の見直し等試験内容の簡素合理化を図り、さらに、一定の資格を有する者に対する試験の一部免除規定を創設することとしております。
 第三は、特許業務法人制度の創設であります。総合的かつ継続的な専門的サービスの提供を図るため、弁理士の事務所の法人化を解禁することとしております。
 第四は、その他弁理士の業務の適正化を図るために、弁理士の職責の明確化、懲戒制度の整備、罰則規定の整備等を行うものであります。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#161
○中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十四分散会

ソース: 国立国会図書館
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