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1950/11/28 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会農林委員会連合審査会 第1号
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1950/11/28 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会農林委員会連合審査会 第1号

#1
第009回国会 通商産業委員会農林委員会連合審査会 第1号
昭和二十五年十一月二十八日(火曜日)
    午後二時三分開議
 出席委員
  通商産業委員会
   委員長 小金 義照君
   理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君
   理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
      神田  博君    澁谷雄太郎君
      高木吉之助君    永井 要造君
      中村 純一君    福田  一君
      南  好雄君    加藤 鐐造君
      砂間 一良君    田代 文久君
      小平  忠君
  農林委員会
   委員長 千賀 康治君
   理事 小林 運美君
      河野 謙三君    幡谷仙次郎君
      原田 雪松君    吉川 久衛君
      足鹿  覺君    深澤 義守君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       首藤 新八君
        通商産業事務官
        (資源庁鉱山局
        長)      徳永 久次君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (農地局長)  佐藤 憲次君
        通商産業事務官
        (鉱山局鉱政課
        長)      讃岐 喜八君
        通商産業委員会
        專門員     谷崎  明君
        通商産業委員会
        專門員     大石 主計君
        通商産業委員会
        專門員     越田 清七君
        農林委員会專門
        員       難波 理平君
        農林委員会專門
        員       岩隈  博君
        農林委員会專門
        員       藤井  信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 鉱業法案(内閣提出、第八回国会閣法第一九
 号)
 採石法案(内閣提出、第八回国会閣法第二〇
 号)
    ―――――――――――――
#2
○小金委員長 これより通商産業委員会、農林委員会連合審査会を開会いたします。
 本日は農林委員長と協議の結果、私が法案の所管委員会の委員長である関係上、本連合審査会の委員長の職務を行うことに相なりました。御了承を願います。
 ただいまより鉱業法案、採石法案を議題といたします。まず当局より両法案の趣旨及び立案の経過について説明を求めます。首藤通産政務次官。
#3
○首藤政府委員 ただいま議題となりました鉱業法案並びに採石法案の提出理由を申し上げます。
 鉱業法は、鉱業を規律する基本法で、現行鉱業法は、明治三十八年制定せられ、その後十数回の改正を経て今日に至つているのでございます。時代の進歩、経済の発達及び関係法律の改廃によりまして、現行鉱業法は広汎な修正を必要とするに至つたのでございます。
 政府といたしましては昭和二十一年から現行鉱業法の改正準備に着手し、昭和二十二年に、当時の商工省に学界、業界その他の関係者を委員とする鉱業法令改正委員会を設けまして、鉱業法の改正についての意見を諮問し、昭和二十四年三月にその答申を得、またその目的のために、アメリカから来朝されたアメリカ鉱業法の專門家の助言をもちまして、この法律案を立案した次第であります。
 今回提案いたしました鉱業法案は、鉱業資減を合理的に開発することによつて、公共の福祉の増進に寄與するという根本目的においてはもちろん、鉱業権を中心とする法律の基本的に構成におきましても、現行鉱業法と根本的な相違はないのでありますが、鉱物資源を一層合理的に開発し、鉱業と一般公益及び他産業との調整をはかり、かつ、法律の運用を愼重にして、国民の権利の保護に遺憾のないようにすることを目標として立案いたしました結果、現行鉱業法の單なる改正でなく、現行鉱業法にかわる新たな鉱業法の制定を提案いたすこととなつたのであります。
 この法律案が現行鉱業法と異なつている主要な点を申し上げますと、その第一は、鉱業法上の鉱物に石灰石、ドロマイト、けい石、長石、ろう石、滑石及び耐火粘土並びに在来砂鉱法の適用を受けました砂鉱を追加したことであります。石灰石以下七種の鉱物はわが国の重要なる地下資源であり、将来ますますその需要の増加が予想されますので、この際これらの鉱物を鉱業法上の鉱物とし、法律の保護、監督のもとに、その合理的な開発をはかろうとするものであります。また砂鉱は、従来砂鉱法の適用を受けておりましたが、砂鉱法はその内容において鉱業法とほとんど同様でありまして、今後も特に別の法律にする必要が認められませんので、砂鉱法を廃止して、鉱業法に統合することといたしました関係で、鉱業法上の鉱物としたものであります。
 第二は、鉱業権の存続期間等に関するものであります。現行鉱業法では、試掘権は四箇年、採掘権は無期限となつておりますが、この法律案におきましては、試掘権は元来が鉱物の存否及び採掘の価値があるかどうかを確認する作業を行うための権利でありますので、その存続期間を二箇年とし、さらに試掘を継続する必要が、ある場合には、一回限り二箇年の延長を認めることとして、採掘に適する場合は、すみやかに採掘権に移行させることとしたのであります。採掘権につきましても、一つの鉱区の開発は、一定の期間で終了するものでありますから、一応その存続期間を三十箇年とし、その後も採掘の価値がある場合には、存続期間を更新できることとしたのであります。また鉱業権者の鉱業実施の義務を明確にし、やむを得ない事情で鉱業を実施しない場合は、あらかじめ認可を受けさせることとしたのであります。
 第三は、租鉱権に関するものであります。現行鉱業法におきましては、鉱業権者でなければ鉱業を行うことができないことになつております。しかし旧重要鉱物増産法及び旧石炭鉱業権等臨時措置法におきましては、鉱物の増産をはかるため、許可または決定に基いて鉱業権に使用権を設定し、鉱業権者以外の者が鉱物を掘採することを認めたのであります。これは臨時的な増産の必要のために認められた制度であつて、必ずしもそのまま基本法たる鉱業法に取入れるべきものではないのでありますが、現実においては、鉱業権者がその鉱区の一部で他人に残鉱の收取等を行わせることが、鉱物の経済的な開発利用のために適切なる場合がありますので、そのような場合に限つて、当事者の合意により租鉱権を設定して、租鉱権者が鉱業を行うことを認めることにしたのであります。
 第四は、鉱業に関する勧告または協議に関するものであります。旧重要鉱物増産法及び旧石炭鉱業権等臨時措置法には、隣接鉱区相互間の増減、鉱業権の交換売渡し、事業設備の譲渡等について広汎に国が関與する規定があつたのでありますが、この法律案におきましては、鉱床の完全なる開発のため、やむを得ない必要がある場合には通商産業局長は、隣接せる鉱区相互間の増減について勧告をし、当事者の申立があつたときは、当事者間の協議にかわる決定をすることを認め、鉱区が密集し、錯綜する地域における鉱業権の交換売渡しについては、通商産業局長に交換売渡しについての勧告をすることだけを認めたのであります。また現行鉱業法では、通商産業局長は、理由を示して施業案の変更を命ずることができることになつておりますが、この法律案では、通商産業局長は、鉱床の完全な開発のため、やむを得ない必要があるときは、まず施策の変更を勧告し、勧告が聞かれなかつた場合に初めて変更を命ずることとしたのであります。
 第五は、土地の使用及び收用に関するものであります。現行鉱業法では、鉱業権者に他人の土地を使用する権利を認め、土地の所有者の請求があつたときに限つて、その土地を收用することになつておりますが、鉱業上の土地の使用には、恒久的でかつ土地の形質を変更してしまう場合が多く、この場合にいつまでも使用の状態を続けることは、現状に適しないので、特定の鉱業上の目的に他人の土地を利用し、その土地の形質を変更し、しかもその土地を将来長く鉱業上の目的に供さなければならないときは、その土地を收用できることとしたのであります。なお従来は鉱業のための土地の使用及び收用については、すべて鉱業法に規定をされておりましたが、この法律案では若干の特別の定めをするほか、すべて土地收用法の規定によることとしたのであります。
 第六は、鉱害の賠償に関するものであります。鉱業を行う者が、鉱害について特別な賠償義務を負う場合、及びその賠償義務を負う場合、及びその賠償を金銭または原状回復によつて行うものとする点においては、この法律案も現行鉱業法と同様でありますが、従来から土地及び建物について被害の発生を予想して、損害の賠償をした後に、その土地または建物が第三者に讓渡された場合の賠償の対抗力について問題があり、時として二重の賠償をする結果となるような場合がありましたので、土地または建物に関する損害について、予定された賠償額の支拂いは、政令で定めるところにより、登録をしたときはその後その土地または建物について権利を取得した者に対しても、その効カを生ずることとして予定賠償の効力を明確にするとともに登録によつてそれを公示し、第三者が不測の損害を受けないようにしたのであります。また鉱害の賠償を公正適切に行う資料とするため、通商産業局長は、地方鉱害賠償基準協議会に諮問した上で、鉱害の賠償の方法、範囲等に関する基準を作成して公表することができることとし、さらに現実に鉱害の賠償について争いが生じたときは、裁判所の調停の前に、一般公益を代表し、または各産業について知識経験のある者のうちから、通商産業局長が指定する仲介員の和解の仲介を受けることができることとしたのであります。
 第七は、通商産業局長の権限の行使に関するものであります。この点につきましては通商産業局長が、この法律案に基く重要なる処分を行う際には、あらかじめ関係者に対し、公開による聽聞を行うこととして処分を公正適切にすることをはかつているのであります。
 第八は、土地調整委員会による鉱区禁止地域の指定及び通商産業局長等の処分に対する裁定の申請の制度に関するものであります。鉱区禁止地域の指定と申しますのは、一定の土地で鉱物を掘採することが、一般公益または農業、林業もしくはその他の産業と対比して適当でないと認めるときは、土地調整委員会が鉱物を指定して、その土地に鉱業権の設定を禁止する制度であります。また裁定の申請と申しますのは、鉱業に関する出願、土地の使用または收用に関する申請等に対する処分について、その処分が公益上または農業、林業もしくはその他の産業に対する関係から、不当であるという点で、不服のある者に、土地調整委員会の裁定を申請して、その処分の取消しまたは変更を求める道を開いた制度でありまして、ともに鉱業とそれ以外の土地の利用との調整を、公正な第三者の立場で決定しようとする制度であります。
 以上述べました点が、この法律案が現行鉱業法と異なる主要な点で、その他の点につきましては、大体において現行法の原則をそのまま認めているのであります。
 なお、この法律案の施行に伴う経過措置及び関係法律の改正につきましては、別に鉱業法施行法を提出ずることにいたしております。
 以上この法律案が現行法と異なる点を明らかにしつつ、この法律案の提案の理由を御説明いたしましたが、これをもつて今後のわが国の鉱物資源開発のための基本的制度とし、鉱物資源を合理的に開発することによつて、公共の福祉の増進に寄與しようとするものであります。
 何とぞ愼重御審議の上、可決されんことをお願いする次第であります。
 次にただいま議題となりました採石法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
 言うまでもなく鉱物、岩石等の地下資源は、一国経済の重要な基礎をなすものでありまして、しかも人工的に再生産することのできないものでありますので、諾外国においても、その国の実情に応じて、これらの掘採取得について特別の法律を制定し、その合理的開発をはかつているのでございます。
 わが国におきましては、重要な、鉱物につきましては、鉱業法が適用され、それらの鉱物は、土地の所有権の内容から除外され、出願に基いて設定される鉱業権によらなければ掘採できないこととするとともに、鉱業の目的に必要な土地の使用権等を認めることによつて土地の所有者と個々に契約を結ばなくても、鉱物の掘採ができることにしているのであります。しかるに岩石及び鉱業法の適用を受けない鉱物につきましては、従来その採取に関して特別の法律の規定がなかつたため、その採取を行おうとする者は、みずから土地を所有している場合のほかは、土地の所有者との債権契約によるか、あるいは土地を買い取らなければならなかつたのであります。その結果土地の所有者と契約を結ぶことができないか、あるいは土地の買取りについて承諾を得られない場合は、岩石等の採取を行うことができず、有用なる資源の開発を阻害することが往々あつたのであります。
 さらに債券契約による場合は、土地の転売によつて採取の権利を失つたり、または契約期間の満了に際して、その更新を拒絶されたり、不当な代償の支拂いを要求されたりいたしまして、採取を継続することができなくなる危険がありますので、これらの事業者は、安心して事業の設備に資本を投下して、岩石等の合理的な開発を行うことができない現状にあるのであります。しかし岩石及び鉱業法の適用を受けない鉱物のうち、ある種のものは、いずれも重要なる地下資源であり、建築事業用、工業用等各方面に重要な用途を有するものでありまして、これらの有効なる開発の成否は、わが国経済の復興の影響するところもきわめて大なるものであります。
 以上申し上げました理由に基きまとて、この法律案におきましては、その採取につき特別の法律の制定を必要とするこれら岩石及び鉱物を、第二條において「岩石」とよび、またこれらの採取事業を「採石業」ということといたしまして、本法の適用を受けることとし、採石業者の権利の安定を期し、岩石資源の有効な開発をはかつているのであります。
 しからば、この法律案においては、いかなる方法によつて採石業者の権利の安定をはかつているかと申します。と、鉱業法においてその適用を受ける鉱物につきましては、それらの鉱物は土地の所有権の範囲外のものとされているのでありますが、この法律案にいう岩石につきましては、明治以来のわが国の鉱業立法の沿革や、一般の社会的な観念に従つて、土地の所有者の支配下にあるものとしているのであります。しかしその採掘に関する権利を確立するため、新しく採石権という土地に関する物権を創設したのであります。これによつて他人の土地で岩石の採取を行おうとする者は、土地を買い取らなくても、採石権という確実な権利によつて岩石の採取をすることができることとなるのであります。
 なお採石権は、個人間の任意の契約によつて設定されるのが原則でありますが、岩石の探取を行うことが適当な土地について、土地の所有者等が、採石権の設定に同意しないときは、岩石の採取を行おうとする者は、通商産業局長に申請し、その決定によつて採石権の設定を受けることができることにしているのであります。しかしその土地が鉄道、軌道、道路、水道、運河、港湾、河川、湖、沼、池、橋、堤防、ダム、灌漑排水施設公園、墓地、学校、病院、図書館等の公共施設の敷地または用地であるとき、建物の敷地であるときは、決定の申請はできないこととし、またその土地を農業、林業その他の産業のために使用する方が、岩石の採取のために使用するよりも有益の場合、または岩石の採取が公益を害する場合には、採石権を設定する決定は行わないこととしているのであります。そのほかその決定については、関係者の公開による聽聞を行うとともに、土地調整委員会の承認を要することとし、かつ決定に不服のある者は、土地調整委員会の裁定を申請できることとしているのであります。なお採石権の讓り受けまたは採石権の存続期間の更新につきましても、同様に通商産業局長の決定によりまして、採石権の讓り受けまたはその存続期間の更新をすることができることとしたのであります。
 また採石業を行うためには、岩石の運搬等の目的に他人の土地をどうしても利用しなければならない場合がありますので、これらの場合について鉱業法と同様の手続によつて、他人の土地を使用することができることとしているのであります。但し、鉱業の場合と異なつて、採石業者は、土地の所有権、採石権その他何らかの形で土地の利用権を持つているのでありますから、使用の目的については、鉱業の場合に比して著しく狭く限定しているのであります。
 なお岩石の採取によつて、土地の陷没、土砂の流出等が起り、公益を害する場合が考えられますが、このようなときは通商産業局長が防止のため必要な命令をなし得ることとする等、事業に対する若干の監督的な規定を置いたのであります。
 以上この法律案の提案の趣旨と大要とを御説明いたしましたが、政府といたしましては、今後この法律案の施行によりまして、わが国の岩石資源が法律的な基礎の上に立つて合理的に開発され、ひいてはわが国経済の復興に資するところのあることを期待しているものであります。
 何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。
 ただいま鉱業法の提案理由のうちで、近く鉱業法の施行規定を出すというふうに申し上げましたが、すでに先般提案いたしましたので、さよう御了承願いたいと思います。
#4
○小金委員長 これにて政府当局の説明は一応終りましたので、質疑に入ります。
 なお本日出席せられた関係当局の方方は、通商産業政務次官首藤新八君、資源庁長官始関伊平君、同じく次長岡田秀雄君、鉱山局長徳永久次君。それから農林省からも農地局長の佐野憲次君が見えております。
#5
○千賀農林委員長 私ども農林委員のものは、特にこの御審議に共同審査をお願いしたのでありますが、その目的は土地に関するものでございますから、ひいては林業、農業等に影響があるのでございます。そこで、林業あるいは農業上から見まして、鉱物資源採掘とどちらが重いか、その重いか軽いかの判定を何人がやるのか、その点が非常に気になりますので、特に今日は審議を重ねたいと思うのでございます。
 ただいま首藤政務次官の御説明を承りましたが、大体通商産業政策上からごらんになつた鉱業法並びに採石法、これは私らでもうなずくことができるのでございますが、先ほど私が申しました点になりますと、最後の判定は調整委員会の判定をまつのだ、こういう一本のようであります。そこでこの調整委員会の組織が、はたしてわれわれの満足に値するかどうかということが大分問題になるのでございますから、調整委員会の組織について、一応もう少しわれわれにわかりますように詳しく御説明願いたいと思います。
#6
○徳永政府委員 実はまだ国会に提案されておりませんが、土地調整委員会法が提案されましてその際に法律に詳細に規定されることになります。ただいまお尋ねがございました委員会の組織はどういう構成になつているかということでございますが、一応閣議決定いたしました案によりましてお答え申し上げておきます。ただあらかじめお断り申し上げておきますが、この法案は法務府から提案されることになつておりますけれども、本日法務府からお見えになつておりませんので、便宜上、かねて私から申し上げたいと思うのであります。
 土地調整委員会が最後にきめることになりますと、その委員会がどういう構成になつておるか、それ次第だというような感じのお尋ねでございますが、この土地調整委員会は、鉱山の関係、あるいは農林の関係の利益代表が集まつた委員会というような感覚ではないので、ございまして、第三者的な公平な判断をするという機関としてつくられる委員会であります。ただ事案が鉱業のことに関係がございまするし農業あるいは林業その他の産業にも関係がございます。そういうことにつきまして、十分な知識なり経験のある人を求めることが適当となることは当然のことであります。その予定されております案の中にそれをどういうぐあいに書いてあるか便宜読み上げましてお答えにかえたいと思つております。土地調整委員会法の第七條に「委員長及び委員は、人格が高潔であつて、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、且つ法律又は経済に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということに相なつておるわけであります。従いまして委員長及び委員の資格要件につきまして、鉱業の知識を持つていなければいかぬとか、あるいは農業の知識を持つていなければいかぬとかいうように限定的には実は書かれていないわけであります。ただ委員会が最終的な判断をするにいたしましても、事務スタッフとしての補佐と申しますか、そういう者が、全然この紛争の問題になりますようなことにつきまして常に経験がないということも適当ではないのでありまして、そこらの点から委員会の事務局につきましては、特にまた規定が設けられておりまして、第二十條に委員会の事務局に置かれる職員中には、鉱業、採石業、農業、林業、その他の産業、またはこれらの産業に関する法令についての知識経験を有する者、及び弁護士の資格を有する者を加えなければいけないというように、事務局の職員につきましては、それぞれの知識経験を持つておる者を加えるということを法律要件として規定いたしておるわけであります。さらに補足いたしまして申しますと、この土地調整委員会が紛争の事案になりました問題の裁きをつけます際に、いろいろな聽聞会を開くわけでありまして、その聽聞会を開きます際に、それぞれ関係のある方面の利害関係人を喚問した上でいろいろな結論を下すという手続が、これは事項によりましていろいろと詳細に規定されておるわけでございます。
#7
○千賀農林委員長 土地調整委員会の中央機関の構成は大体わかりましたけれども、各出先におきまして紛争が起る。または紛争が起きなくても、国家的に見てこの事業は着手することが適当であるか、あるいはその利益よりも国家の損失の方が多いかという判定をする人がなければならないように思います。そうしますとだれが一体出先におきまして判定指導をするのか。その点を伺います。
#8
○徳永政府委員 鉱業法の中にただいまお尋ねになりましたような点に触れてある仕組みなり、手続につきましてお答え申し上げます。鉱業権につきましては、先ほど問題になりました土地調整委員会が、農業、林業、その他の関係の公益と対比いたしまして、鉱物を採掘することが適当でないと認めます地域につきましては、土地調整委員会が鉱区禁止地域というものを設定できるという仕組みが一つございます。それは鉱業法の十五條にあるわけであります。それが大きくこれこれの土地には鉱業権はいかぬというようなことになつておりまして、その地区におきましては、鉱業権の設定、登録の手続等を進めまする通産局長は全然鉱業権の設定が許されないことに相なつておるわけであります。
 それから第二の問題といたしましては、農業、その他の関係については、地表に近い鉱物を掘ります問題につきまして、いろいろ問題が起るわけであります。これにつきまして第二十五條に石灰石とかドロマイト、耐火粘土とか砂鉱のような地表に近い部分に存します鉱物につきまして、採掘権の設定の出願がありまして、その鉱物を掘りますことによりまして土地の利用を妨げると認めました場合は、通産局長は、その採掘権の設定の出願をした土地の区域の所有者にそのことを通知いたしまして土地所有者からそれに対する意見書を出していただくというような手続をとることを義務づけておるわけであります。これが大きく法律で、土地所有者等の権利者の利益を尊重いたしまして、入れておる規定でございます。また役所間の問題になりまするが、ただいまのは通産局長が土地所有者の意見を聞く程度でございますが、役所間の問題といたしまして、地方の問題につきましては、それぞれ鉱業権の設定の出願がありました際に、通産局長は関係の都道府県知事の意見を聞かなければならないということに相なつております。條文といたしまして二十四條にそのことが規定されておるわけでございます。それからさらに、通産局長は、出願地におきます鉱物の掘採が、農業、林業、その他の利益を損ずるというふうに認めました場合に、その部分につきまして出願を許可してはならないという規定が三十五條に入れられて詰るわけでございます。その他第五十三條には一旦許しました鉱業権につきましても、その後の状況によりまして農業、林業、その他の関係から見まして公共の福祉に反すると認めました場合に、問題になります鉱区の部分につきまして減少しましたり、あるいは鉱業権を取消さなければならないというような責任を持たしておるわけでございます。ただ今お尋ねのございましたように、これを実施する者は何人かということになりますと、これはそれぞれ通産局長が出願、登録等の手続をいたしますが、ただいま要点を読みましたごとく、通産局長は法文によりましてはつきりと土地所有者の意見を聞きましたり、あるいは都道府県知事に協議をいたしましたり、そういう責任を持たされてもおりまするし、またその判定につきまして最終的に問題がありました場合には、先ほど問題になりました土地調整委員会において、それが最終的に決定されるというような仕組みにでき上つておるわけであります。
#9
○千賀農林委員長 大体わかりましたが、通産局長は都道府県知事の意見を聞かなければならないということでありますが都道府県知事がノーという答申を出しておる。それを通産局長が無視してイエスという判定を下して許可することができるか、その許可は有効であるか、無効であるか、その点ちよつと伺います。
#10
○徳永政府委員 この條文にございまする協議に反して処置いたしました場合の法律的な効果についてのお尋ねでございますが、似たような事例は他の法令にもいろいろと、ほとんど各省と関係の深いような條文等につきましては、それぞれ協議義務というものが課せられておるわけでございますが、純法律的にお答え申し上げますると、協議は協議といたしまして、その協議が今お尋ねのごとくノーと出ました場合に、当該の責任者でありまする通産局長としては、ノーとは出ておりまするが、それがなおかつイエスと認むべきものであるというふうに判断確信いたしました場合には、それをイエスというふうに処置いたしましてもそれは法律的には有効であるというふうに、純法律的な解釈は相なるものと了承いたしております。ただ鉱業権の設定の場合につきまして、私前から通産省で行われておりますことをいろいろお聞きしておりまするが、都道府県知事との協議が円満に行われないで、強行したというような例はほとんど耳にしていないのでございまして、都道府県知事の協議に対する回答につきましても、この協議がノーと出ました場合にも、それがあるいは場合によりまして、都道府県知事が事態の十分の御了解が行かなかつた場合もございましようし、事実問題といたしまして、さような際には重ねていろいろと御相談申し上げるというようなことをいたして、話合いの結果といたしまして、納得の上でノーとすべき場合にはノーとし、イエスとすべき場合にはイエスとするというような運営をとつておるというふうに了承してはどうかと思います。
#11
○千賀農林委員長 通産局が大体信念を固めるのには、都道府県知事があるきりのようでございまするが、都道府県知事は大体一県のつかねをしておるので、この鉱業法によつて起るところの影響は、上流はある県にあつて、その川の下流は別の県に入つておるとか、あるいは一年の間、おもにこちらからこちらに風が吹くという季節風の関係からいつて、風上はA県であつて、風下はB県である。こういうふうな場合、あるいは地下水の場合においても、さような場合もあるのでありまするが、都道府県の知事は大体職柄として自分の県以外にまで職権をもつてものを裁定する権力がないのであります。今あなたの御説明を聞いておると、都道府県の知事からそれに不服があれば、ただちに調整委員会に来るのだということで、そこに農林省の関係の発言の機会がないらしいと思います。農林に関しますところの日本の行政上の最高の権威は、何と申しましても農林省でありましてここが判定をしなければ、他の判定におきましてはそれ以上の正しい判定ができるはずがない。都道府県の知事で裁定のできなかつたときには、農林省の裁定を受けなければならないとか、あるいは土地調整委員会の中にもつと強力に農林省の発言権がなければ、日本の人口の半分と言われる農業並びに林業の関係国民はどうも安心して、この法に委託ができぬような気がするのでありますが、その点について何かお考えがありましようか。
#12
○徳永政府委員 ただいまのは、鉱業実施に関連いたします農業、鉱業との関連において起ります問題すべてに通ずる一つの問題として、農林省と通産省がどういうぐあいに連絡しておるか、都道府県知事だけでは不十分で、農林省にいろいろお話しなければいけないのじやないかというようなお尋ねであると思います。いろいろ問題になります、たとえば鉱害問題というような問題につきまして、この新法の中にも賠償の事由をつくるとかいうような際に、協議会をつくるというような仕組みをとつております。
    〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕
 それからさらに行政的に、現状におきましては、そういうものの対象につきまして地方は地方並の協議会なり、あるいは調停に立ちます場合の活動する機関があるわけでありますが、さような際におきまして、今御指摘がございましたように、それぞれ地方は地方並にただ知事さんが何もかも御存じになつておるから、知事さんだけということではございませんので、知事さんの部下であり、同時に農林省と緊密に連絡しておられる都道府県の農地部関係の方々とは、緊密に連絡をとつておるわけでございまして、また現行法で申しましても、たとえば先ほど申しました鉱業禁止区域というような問題は、現行法におきましては行政運用としてあるわけでございますが、そういう事項につきましても具体的に農林省関係の行政と非常に縁の深いことについて紛争の起つておりますようなものについては、それが本省で解決しなければならないというようなケースについては、農林省と十分御相談申し上げて事を進めておるというのが現在の実情でございまして、私ども極力それぞれの專門家の御判断なり御意見なりを聞かせていただくことに努めておるわけでございまして、そう御心配になるように、農林省の意見を無視して、また聞かないで処置するというようなことは毛頭考えていないことを御承知を願いたいと思います。
#13
○千賀農林委員長 過去においてはあなたのおつしやつた通りであるかもしれませんが、将来におきまして私の質問するようなことが杞憂に終らずに、事由が出て来る場合に、法制上それがどこかでそういう運行はいけないのだとはつきり指摘できる基準がなければならないと思うのであります。基準のないものを、過去においてはかような慣習であつたから、新らしい法案においてもかような慣習で行くからまず安心してくれということでは、今つくられる法律といたしましては万全であると言つてわれわれが礼讃するわけには行きません。その点について私の言うことを何か反証すべき條順がどこかにあるかないか。やはりあなたは過去の慣習によるということだけでお済ませになりますか、いかがでありますか。
#14
○徳永政府委員 具体的な例で申し上げたいと思いますが、たとえば新法で考えております地方の鉱害賠償基準協議会というものを設けておるわけであります。これは地方ごとにできるものでございます。従いましてその構成員はおのずから地方の関係官庁の役人に相なると思うわけであります。その際にわれわれ通産省といたしましては、権限を現地に委任いたしまして、現地で探す方が適当であるというような考え方から、地方ごとにそういう機関をつくるということに相なつておるわけでありますが、これは同時に農林省の場合におきましても同じようなことが言えると思うわけであります。その際にどうなりますかと申しますと、われわれ通産省といたしましては、地方の出先機関に、その協議会には農業、林業関係につきまして農林省の支分部局あるいは地方自治体の農業、林業関係の部長さん、その他というものを当然にメンバーに入れるごとく訓令を出すつもりであります。また農林省とされまして、日ごろから出先機関、支分部局あるいは地方の農林業関係の方には本省の意思なり考え方なりは終始徹底いたしておることと思いますが、そういう協議会におきまするその支分部局の職員あるいはその他の自治体の職員につきまして、ある程度の連絡なり指示なりという権能は農林省はお持ちのわけでありまして必要に応じて本省の指示が徹底するごとくなさるものと了解いたしておるわけであります。
 それから先ほどもちよつと触れました土地調整委員会で、これは條文にははつきり書いてございませんで、非常に抽象的に書いてございますけれども、紛争になりましたケースにつきまして、当該地域において利害関係人を審問した上というようなことが出ておるわけでありますが、これはちようど国会の公聽会におかれまして、鉱業法に関連いたしまして、非常に広くいろいろなところの御意見を聞かれると同様に、問題によりまして当然に農林省の当面の責任者の御意見というものが聞かれるというようなことは、たれたれを呼ばなければならないというふうに具体的に書くことは、條文としていかがかということでできてないと思いますが、事案によりまして当然になされるというふうに了解してさしつかえないのじやないかと思います。
#15
○千賀農林委員長 ただいまのは解釈であつて、どうも利害関係人を呼ぶのだというその中に、農林省がここに一本入つている。これは全国民の利害関係人の代表だというふうな見方はこじつけであつて、おそらくこの利害関係というのは、一つの山を掘ると、近所の百姓や地主が困るとか、あるいは道路を使われる人が道路を惡くされて困るとか、そこを掘つて川を埋められてはその下の川が詰まつて困るとか、これが害の方で、利益はもちろん当事者でありましようが、それくらいなものを指すのであつて、農林省が利害関係人の中に入るということはどうも考えられないことであります。私は先ほどから質問を続けておりましても、どうも農林省が最高権威であつて、府県知事のさらに上級の最も適当な判定者であるということが一つ落ちているような気がするのであります。
 さらに別な方面に展開をいたしまして、鉱害であるとか、あるいは土石採取の被害者、かような被害のできたときに、その人たちに補償する方法としては、大体金銭に見積つて、金銭でこれを計算して支弁する、こういうことのように思いますが、私の考えている通りで間違いありませんか。
#16
○徳永政府委員 鉱業法ではただいまお尋ねのありました損害賠償の点につきましては、百九條以下に一章を設けて規定しているわけであります。今お尋ねの点につきましては、大筋として書いてありますのは第百十一條に相なつております。その一項は「損害は、公正且つ適切に賠償されなければならない。」二項として「損害の賠償は、金銭をもつてする。但し、賠償金額に比して著しく多額の費用を要しないで原状の回復をすることができるときは、被害者は、原状の回復を請求することができる。」三項として「賠償義務者の申立があつた場合において、裁判所が適当であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、金銭をもつてする賠償に代えて原状の回復を命ずることができる。」というぐあいに規定されております。一口に申しますれば、賠償は金銭賠償を原則としており、原状回復は例外であるというふうな規定に相なつているわけであります。
#17
○千賀農林委員長 土石のごときは少い例でありましようが、石炭のごとく、集団的にある炭鉱地方を掘る場合には、その附近にある農地に及ぼす影響というものは非常に大きなものがございます。近くの例を言えば、熱海の向うの丹那トンネル、これは炭鉱ではなくトンネルでありますが、結局炭鉱が集団すればあの丹那村と同じような形になつて参ります。トンネルのできない前には、あの峠も相当谷には永が豊富にあつて、いわゆる美田沃野か散在しておつたのでありますが……。
    〔多武良委員長代理退席中村(幸)委員長代理着席〕
丹那トンネルができて以来というものは、すつかりその水が上つてしまつて、全部上の丹那村の百姓は畑作百姓に変貌してしまつた。こういうように一村をあげて、あるいは一地方をあげて、炭鉱のために変貌しなければならないというような例は、炭鉱地帶に行けば相当あるだろうと想像されます。かような場合に、個人の賠償は大体金で行くことを原則とする。非常にわずかな例として、工事によつて原形に直すというような場合もあり得るのだというこの法律の目的らしいのでありますけれども かような場合は、ほとんど個人が相当な金をもらいましても何にもならない、やはり農耕を続けて行くのには集団的にこれを他の方から水を引いて、再び水田の耕作が可能だという、土木農業のいわゆる公共事業的な対策を立てなければならないのであります。かような場合の賠償としては、個人に行くよりもやはり農林省のごときが好意的な介在をいたしまして、その対策を講ずるということが非常に必要だと思つておりますが、かような場合でも、やはり個人を中心にしてその個人が欲するならば、お前たちかつてに組合でもつくつて、それで対策をとれというような他人扱いの案のように考えられますが、かような場合にはやはり先ほど申しました、相当に権威のある農林当局がこれを計画して行かなければ十分な対策はとり得ざるものであると思います。この点についてあくまでこんな方法でよいとお考えになりますか、どうですか。
#18
○首藤政府委員 ただいまの鉱害に対する賠償の方法ですが、金銭賠償にいたしました原則的な理由は、鉱害の多い場合に原状回復ということを規定いたしますれば、当然鉱業権者か破産してしまつて、かんじんな鉱物の開発ができないという不安がありますので、一応金銭賠償ということに限度をきめたのであります。しかしながらただいま御指摘の農林省がこれに介在して適切な処置をするのがほんとうではないかという御意見でありますが、ごもつともな御意見でありまして、現在においてもいわゆる農地に損害を受けた場合においては農林省の方もこれに介在いたしまして、政府の方においても若干の賠償をいたしている。そうして農家の損害品を軽減するような方法をとつておるのであります。今後もその方法を引続き継承して行きたい、かように考えております。
#19
○千賀農林委員長 今までのお話によりますと、大体農林省に対する考え方の目方が軽い、こう断定せざるを得ない。もう少し農林省に対して発言権を多くしませんと、適時適切に鉱物採取によつて起るところの農家の災害の救済が行われないように思います。大体補償基準協議会の方にかかつて法律的な争いをするというようなことは、この補償基準協議会の性格からいつて公平な立場の人が上に立つて、各行政に通じた人がその下におつて、法律の取扱いについて万遺漏なきを期するというようなことですが、これでは適時適切ということでなくて、もうすでに災害が起つてにつちもさつちも行かなくなつて、初めてこの協議会でごたごたやるということは、これはもうあとの祭りであつて、現在鉱物採取は重要である。これも国力発展に必要であるけれども、今自給食糧の増産ということはなおさら大事な点で、この点に関して若干お考えが足りないような感じがいたします。
 さらに採石法に移つて参りますれば、鉱業も一つでありまするが、ある山に粘土が出るとか、あるいは岩があるとかいうことによつて、これが採掘権が設定できるのだということになりますと、今までと違つて非常に地主があわてます。どこの山でもここに指定されているような鉱物は大なり小なりたいてい日本の山にまあるのであります。ところがまごまごしておつたならば、他人に設定をされてしまうので、これではたいへんだから今のうちに自分で設定をしよう、かような地主の行動が今沛然として起きて来るだろうと思います。しかしながら試掘の期限はある指定をされた期限であつて、それ以上延長いたしましても二年でもう本掘をしなければその権利は消滅する、こういうふうになつておりますから、その地主諸君はこれが本掘だというわけで、試掘だか本掘だか、その区別ははつきりおそらくわかりますまいと思いますが、とにかく自分の山は地上権であるとか、あるいは採掘権であるとか、いろいろな動揺があつてはたいへんだから、みな大なり小なり自分の山をほじくり出して来る。こういうような行為が急に起つて参りますと、今度は治水上におきましても、あるいは治山の上におきましても、その下流のいろいろな公共施設の保護にいたしましても、ずいぶん支障が起きて来るだろうと思います。この点について私の考えは杞憂であると断定をしてよいような、何かお考えになつたことがありますか、伺います。
#20
○徳永政府委員 ただいまのお尋ねは鉱業法に追加いたしましたもののみならず、採石法にも関連してのお話かと思います。採石法はただいま政務次官から提案理由としてその内容の概略を御説明がございましたが、採石権の設定と申しますのはこれは非常な例外でございまして、鉱業権とは異なつた扱いをとつているわけであります。原則は採石権というものは、土地所有者と石を掘りたいという人の話合いによりまして行われることを通常といたしているわけであります。ただ例外として、場合によりまして、その話合いがうまく行かない場合に国が採石権を設定するという道を開くという程度にとどまつているわけであります。しかもその採石権を国が関與しまして讓渡決定いたします場合につきましては、こういう場所は採石権を認めるといけないということも列挙してございますし、またさらにそういうことを考えました趣旨をこの際私から敷衍いたしまして申し上げたいと思うのでありますが、これよくよくの場合として考えた例でございます。と申しますのはこれまで採石業というものが日本におきまして鉱業と比べて同じ地下資源でありながら相当大勢のものがありつつも、それが近代工業の形にまで健全に育たなかつたゆえんのものに、その事業の基礎が非常に不安定であつた点があるわけであります。その点をさらに申し上げますと、たとえば石を掘ります際に、土地所有者との話合いによりまして十年なら十年という契約で仕事をいたしているわけでございますが、この採石の事業は、非常に地上の狭い関係、あるいは製品の規格登録ができていないといういろいろな点から、仕事自体が非常にむらがある仕事でございますが、それを拔きにしましても、目先ちようど期限が来ましたような際に、その採石業がある程度もうかつているというように土地所有者の方から見られました場合に契約の延長が両当事者の間にスームスに話が進みませんで、非常に惡い場合を考えますと、土地所有者が法定の期限が来ました際に、高い採石賃を要求して、ほとんど契約継続不可能なようなことを言われるような場合もありますし、あるいは契約の継続を認めなければその人はやめなければならぬので、続いて土地所有者がこの仕事を、しようということを考える場合もあるわけであります、さようなことから、採石業をやりますのは、その仕事に相当長年の時間をかけてしなければ回收できないような、大きな施設をやつて仕事をするということで、非常にあぶなくつてできかねるというような事態もあるわけであります。これは非常に稀有な場合を申したわけでありますが、もちろん現在では相当土地所得者と円満に話がつきながら相当施設をやつているところもあるのであります。おしなべて考えて見ました場合に、その進歩が鉱業に比べまして遅れているゆえんのものは、その権利の非常に不安定なところにあるのではなかろうかということが考えられますので、そういう場合を考えまして、土地所有者の土地の石を掘ることでございまするし、土地所有者の権利は相当尊重いたさなければ相ならぬわけでございますが、その両者の利害の調節につきまして円満に話がつきかねますと、その場合々々によりまして役所が中に立ちまして、その場合の探石料その他につきまして仲立するというようなことを考えたわけでございます。従いましてこれができました結果といたしまして、何も土地所有者の、それが合理的な要求ができなくなるような法案では全然ないのでございまして、むしろ危險として考えましたことは、場合によりまして不当な要求のために事業が円滑に進まないということが考えられますので、そういうことのないようにということだけを考えましたわけでございまして、この法案によりまして、土地所有者としまして今までの権利が非常に弱くなる、あるいは将来弱くなるならばというような懸念をお持ちになるようなことは毛頭考えもいたしておりませんし、また何ら規定されてないわけでございます。ただ何と申しますか、今御指摘のございましたように、法律はさような趣旨ではできておりますけれども、非常に定規的にといいますか、しろうと的に聞きまして、今度は採石法というものができそうだというようなことで採石業者の立場が強くなるのだというようなことから、法の十分の理解のないことに基きます誤解はあるいはあるかとも想像いたさないわけではございませんが、私どもといたしまして問題のありますような地帶につきましては十分法の趣旨というものを御説明申し上げまして、誤解のないようにいたすつもりであります。この点につきましては私どもばかりでなしに、農林省その他からも御相談に応ぜられたり、あるいは説明をいたしたりするようなことも十分にあるのじやないかと考えられます。
#21
○千賀農林委員長 すこぶる簡單に考えられておりますが、この問題はそんな簡単な問題ではありません。ある種の政党が第三次農地計画をやるのだということだけで、日本中の山がどのくらいの速力を加えて丸坊主に切り拂われたか。そんなはずのないことが、事実かくのごとき結果を起して行くのであります。これは何といいましても、この法がある前とつくられてからとを比べますれば、個人の所有権というものは大いに縮小されておる、侵害をされたことは間違いありません。今までは、その中の土石は山主が掘らせないと言えば、いくら千万両と山に積んでも掘ることはできませんでしたが、この法律は、かようなものをだれか第三者が裁定とかなんとかいつて、それが不場当な要求であるとかいう断案を下せば、他人に自分の山を掘り返へせるのです。個人の権利が相当縮小されたことだけは間違いありません。そこでかようなチャンスに、この取扱いが誤解といいましようか、正解か知りませんが、大きくこれが人の口から品に伝わつて参りますれば、相当の影響が起ることは間違いないのであります。これは一つの例でありますが、愛知県のまん中になりましようか、三河と尾張の近所には、本節という――ここではおそらく耐火粘土に指定しておる鉱物の方に扱われておるのでしようが、粘土が地下四、五十尺から百尺くらいのところにあるのであります。高級の耐火れんがをつくるとか、あるいは耐火度の強い陶磁器をつくるというときには、なければならない土でありますから、今までといえども相当に大きな資本を投じて掘られておるのであります。これの存在はほとんど全四三河の奥地に広がつておるのですが、これかいよいよ鉱物に指定されたということから、自分がやらなければだれか手をつけるぞということになつたら、今までだれか買いに来たら思い切つて金を請求しよう、おれの土地は先祖伝来の土地で、ただ山林として木を育てるのじやなしに、その下にはたくさんの木節が眠つておるのだというように非常に自分の土地を過大評価しておる地主諸君は、おそらくこの法律によつて震駭するに違いないのであります。かような場合に、われわれの想像もつかないようなここにいろいろな波紋を起すことは間違いありません。おそらく私は、先ほど申したような事情をこの方面に起すだろうと思います。起すとすれば、その場合にその附近の森林の受ける損害、またその附近の河川の受ける損害、その下流の耕地の受ける損害、これらは枚挙にいとまがないほど深刻になつて行くのであります。しかしながらかような点についていまさらいろいろ意見を申せば、結局この法案の撤回ということ域外にないが、すでに閣議においても通すことにおきめになつておるようでございますので、私はあえてこの法案の撤回を要求するのではありません。しかし軽々にこれを決議し、法律として世の中の上におおいかぶさつて参りますれば、相当影響があるということをここに予断をいたしまして、なおかつこの取扱いについては、最善の注意がなければとんでもないことがあちらでもこちらでも起きて来るということを警告申し上げます。私はこれで終ります。
#22
○中村(幸)委員長代理 深澤義守君。
#23
○深澤委員 採石法にもあるいは鉱業法にも適用されておりますが、土地所有者が通産局長の決定に対して不服がある場合には、土地調整委員会というものにとつて裁定をすることになつております。この土地調整委員会というものは初耳でありまして、ただいまの鉱山局長の御説明によると現在閣議決定されて近き将来において法案として出すのだ、こういうことでありますが、まだ国会において審議もしない、決定もされておらないその法案を根拠にして、土地調整委員会というものを裁定の機関にするのだろうことがこの法律で決定されておるわけでありますが、これは政府として、土地調整委員会法というものが国会で当然通過するのだ、この通り成立するのだという前提のもとにお考えになつておるのかどうか。こういうやり方が、はたしてこの法案の構成上正しいのかどうか。その点について、まずお伺いしたいと思います。
#24
○首藤政府委員 お答えいたします。この調整委員会法案がまだ未提出であるのだが、これを先行するのはおかしいじやないか、かつまたこの法案を提出した場合に、通る見通しがあるのかどうかという御意見かと存じますが、少くとも政府といたしましては、この採石法案は御協讃を願えるものと考えておりまするとともに、この採石法案が幸いに協讃を経まして通過いたしますれば、当然それに付随して立法された調整委員会法案でありますから、これまたこれと同様に御協讃を得るものという見通しを持つておるものであります。
#25
○深澤委員 これはわれわれは少くとも並行審議でなければならないと考える。一方の非常に重大な限権を持つておるところの法案がまだ国会に提出されないにもかかわらず、それを基礎とするところの法案が審議されるということは、少くとも法案の審議の上において筋が通らない、こう考えるわけであります。当然国会に提出されて並行にそれが審議されなければならない、こういう見解をわれわれは持つておるのでありますが、その点はどうですか。
#26
○首藤政府委員 ごもつともな御意見でありますが、先ほども局長から申し上げました通り、採石法案並びに鉱業法案は通産省の所管として御審議願つておるのでありますが、調整委員会の法案は法務の方から提出するということになつておりまして、所管が違いますので、御説のごとく並行的な御審議が願えないという状態になつておりますので、この点御了承願いたいと存じます。
#27
○深澤委員 そこで私は一つ重大な疑問を持つのであります。この土地調整委員会の法案がよし通つたといたしましても、もしこの採石法あるいは鉱業法によつて農地がその適用を受けた場合に、農地に対してはすでに農地調整法というのがあります。そうしてそれを採石法並びに鉱業法の適用をするということになりますれば、土地の改廃の手続をしなくちやならぬということが農地調整法によつてきまつておると思います。そうすると農地委員会の農地改廃の問題とその権限と、それから土地調整委員会の裁定と、いずれが法律上優先するかという問題が当然起つて来ると思う。これについてどういう見解を持つておられるか。その点についてお伺いしたい。
#28
○徳永政府委員 法律の建前を御説明申し上げますと、農地を鉱業用の土地に、たとえば使用などをするという権限は、鉱業法の中に掲げられております。しかしながらそれが農地であります場合には、使用されますためには当然に農地調整法によります手続をふまれまして、それがさしつかえないということに相なりますれば、使用できますことはもちろんのことであります。従いまして鉱業用の用地ということにその必要性が一応きまつたといたしましても、農地調整法によりまする手続は農地調整法の見地から検討されましてその事情によつてさしつかえなかろう、あるいはぐあいが惡いというふうな判断が下されるように相なると思うのであります。ただそれが、事態がそういうぐあいに順調に行きました場合にはよろしいのでありますが、鉱業の立場からどうしてもその土地でなければぐあいが惡いということが言われまた、農地の関係からはどうしても鉱業に割くわけには行かないということが言われまして、どちらにもきまらないということに相なりますことは、立場をかえた見方から来る結論として衝突するということでございまして、俗に申しますれば、どちらかに、結論は一つでなければならないわけででございます。そこでこの土地調整委員会法という考えは、そういう物事の判断をそれぞれの立場々々から判断するということに考えないで、全体を総合的に考えてその土地を農地として利用する方がより適当なのか、あるいは鉱業用として利用した方がより適当なのかということを判断してきめる役所として、新しくつくられることに相なつておる委員会であります。その紛争になりましたものが、両方の話合いがつかないということで、どちらかがひつこんだ場合にはそのままに相なりまするが、どうしてもまとまりがつかぬというようなことに相なりました場合に、どちらかの立場からこれが土地調整委員会の議案に持ち上げられることがあるわけでございます。その際に、土地調整委員会はそれにつきまして十分の民主的な手続を経まして、その上で判断いたしまして結論が生れました場合にはその結論は場合によりまして鉱業法に影響し、場合によりますれば農地調整法に影響する。すなわち土地調整委員会のきめましたものは、それぞれの法律に基きまする行政処分と申しますか、それにかわる効果を持つというような仕組みのものになるわけでございます。
#29
○深澤委員 ただいまの解釈では、農地調整法による農地委員会の決定というものにも優先する効カを土地調整委員会の裁定が持つというようなぐあいに説明されているのでございますが、その点について、そこに農林省の農地局長がおいででありますから、どういう考えを持つておられるかお伺いいたしたい。
#30
○佐藤説明員 ただいま鉱山局長から御答弁があつた通りであります。
#31
○深澤委員 そうすると、今の明確な答弁ようりに、民主的な公選によつて選ばれた農民の代表によつてつくられた農地委員会の決定も、この土地調整委員会の裁定の前には結局何らの力がないということになりますので、これはわれわれ大問題だと考えます。この問題については、土地調整委員会法の方で当然問題になると思うのです。
 その次に採石法を見ますと、今まで採石業者に対してこれだけの法律的な裏ずけがなかつた。ところがこのたび採石業について、土地の所有権に対しても制限を加えるというような重大な権限を持つた法律がつくられて来たという、その根本原因に何か非常時的な態勢がその裏にあるのかどうか。採石業というものについて、土地所有権を制限してまで採石業者を擁護し、採石事業をやらなくちやならないような事態があるのかどうか。その点を明確にお伺いいたしたい。
#32
○首藤政府委員 裏に特殊な事情があるかという御質問でありますが、それはないのであります。しかしながら今日までの経過から考えまして貴重な資源を、地主の何といいますか、先ほども千賀委員から言われましたが、要するに先祖伝来の土地であるとか何とか、一種の封建的な考え方から、値段のいかんにかかわらず離さないというようなことで、貴重な資源の開発が遅れ、そうしてその遅れたことによつて日本経済の発展に寄與できないというようなうらみが相当ありますので、それらの溢路を打開いたし、急速に国家経済の発展に資したい。公共の利益増進のために、かような貴重な資源を一日も早く開発したい。それにはこういう立法をすることが適当であるという考えのもとにつくつたのであります。
#33
○深澤委員 採石法等の対象になる土地は、必ずしも封建的な地主の土地の所有ばかりでないと考えます。こういうような法律をつくらなければならない必要に迫られたという事例が現在日本にあるのかどうか。ありましたら、それを具体的にお示しを願いたいと思います。
#34
○徳永政府委員 私、ただいま一々記憶いたしておりませんけれども、具体的にそういうことの必要があつた事例につきましては、実は通産委員会の方には参考資料としてお配り申し上げたと記憶しておるわけであります。これはただいまのお話にもございましたように、土地所有者のほとんど大半は――大半と申しますか、今お話が出ましたように、土地所有者がすべて封建的な考え方で、このじやまをするというような考え方の人ばかりではないと思います。事実は土地所有者との円満な話合のもとに行われている例もたくさんあるわけであります。しかし反面に、私先ほど抽象的な例として申し上げたのでありますが、さような例が実例としてあちらこちらにあるわけでございます。そういう点から、こういう問題の解決に何らか特殊な立法をしていただきたいという要求は、関係の業界から国会に対しましても、数年にわたりまして請願その他が行われておつたわけでございます。政府といたしましては、もつと早く措置するのが筋合いであつたと考えるのであります。この法案なり法制がたまたま鉱業法の改正の時期とも関連しておりましたので、新鉱業法の明文、その他との相当深い縁もございますので、その成行き、動向というようなことから実は遷延されておつたというようなことでございます。
#35
○深澤委員 私は山林等は別といたしまして、農地等の問題についてはある程度平地におきましては、封建的な地主の土地所有というものが解消しておると思うのです。従つて問題になるとすれば現在の耕作者の土地が問題になるわけです。それで首藤政務次官の今の御意見によると、封建的な地主が先租伝来の土地であるというような理由によつて、鉱物資源、あるいは採石の業の対象になる土地を守つておるのにこれを適用するのが主眼点となるのかどうか。その点をもう一度お聞きしたい。
#36
○首藤政府委員 私はただ一つの溢路の例としてそれを申し上げておるのでありまして、ほかにもそれに類する理由がたくさんあると考えるのであります。たとえば価格のいかんにかかわらず土地を掘鑿したくないという地主もある一面においてかりにあるといたしましても、
    〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
価格の点で採石業者がとうてい採算がとれないというような高い値段を主張する。こういうことからせつかくの資源が開発できない事例が相当多いのじやないかと考えておるのであります。
#37
○深澤委員 ただいま鉱山局長の御答弁によりますと、長年業者等からそういう申請があつた。そういうことがこの法案をつくられる根拠になつておるようであります。しかし單に業者の要望というだけの問題ではなしに、政府自体がこういう法案をつくらざるを得ない幾つかの全国的な根拠が私はあると思う。具体的にそれをお示しになることがなかなか困難であろう思うが、こういう法案をつくらなければならない代表的な事例があつたらお示しを願いたい。
#38
○徳永政府委員 ここに二、三の資料が見つかりましたので例として具体的に申し上げます。一つの採取権そのものが設定されませんために仕事ができなかつた例でございます。長野県に鉄平石採取業というものがあるわけであります。そこにおきまして戰時中採算がとれませんで懇請によりまして、関西石材株式会社と申しますのが経営を引受けて来たのでありますが、終戰後になりまして鉄平石の需要が増加いたしまして、その関係でその当時として非常にもうかると見られまして土地所有者から採取権を不法に回收されまして、石が取れなくなつてしまつたという事例があるわけであります。
 それから第二の例といたしまして土地の所有者の反対によりまして、採石業の実行が困難になりました実例でございます。それにもいろいろな場合がございますが、非常に高価な採石料を要求された例でございます。東京都下の古里村の昭和石材鉱業所の採石場におきまして、石採取のため昭和二十二年以来土地の長期の借用、あるいは買入れを希望いたしておるわけであります。当時御承知のように公定価格があつたわけであります。土地所有者から公定価格の数倍の額を要求されまして、会社としては生産が全然着手できなかつたという場合がございます。それから愛媛県の大島地区一滯、宮窪村地内におきましても似たような土地所有者間の争いによつてできなかつた例があるそうでございます。また愛媛県の越智郡大山村におきまして、山からの歩合金が生産高の二〇%にもなりまして、欠損の際にも同額の歩合を要求されるというようなことから、継続が非常に困難に陷つておるという事例があるようであります。今のは採石料の不当な要求の事例でございます。
 また経済的に成立たないような短かい期間に区切られた例でございますが、香川県の例でございますけれども、従業員数の限定、措用期間を一箇月とし、期間終了後は山歩合の値上げを要求されまして、従業員数のうち病気で就業不能の場合といえども代理人の従業を許さないで、山歩合は定額通り要求されて、それを否定すれば立入りを禁ずるというような例になつたこともあつたようでございます。
 それから存続期間の更新に関する例でございますけれども、これは方々にあるようでございまして、岩石採掘の契約期間到来の際、地主側から採石有望なのを見越しまして、変地とか山歩合金の不当な要求をされましたが、香川、愛知、滋賀、島根、徳島というふうに相当広範囲にあるようでございます。以上二、三の例として具体的に申し上げます。
#39
○深澤委員 この採石あるいは鉱山の事業のために被害を受けている地帶は非常にたくさんあり、また福岡県のごときは深刻な被害のあることは私が申し上げるまでもないわけです。その原因というものは、ただその採石とか、あるいは鉱山とかいう業務のために、その他の條件を全然無視して強行したところにその大きな欠陷があるのであります。従つてその採石法にいたしましても鉱山法にいたしましても、ただ鉱山業あるいは採石業、これのみに重点を置いて、総合的にやらないところから多くの欠陥が生れて来ると思う。特に採石法のごときは鉱業の方は地下資源でありますが、これは土地自体を結局つぶして行くことでありますから、従つて農業、林業等に関係する問題が今後この法律の出ることによつて非常に出て来ると思う。特にこの採石法の提案理由の中に、最後の裁定の場合において、その土地を採石業に利用するか、それとも農業、林業に利用するか、どつちの力が有益であるかという見地から、この問題を裁定しようとすることになるのであります。それともそれが大きな国家の産業としてどちらが当面重要であるかという見地から裁定をするのか。その基準について政府として大体のお考えがあるだろうと思うから、その点をひとつ伺いたい。
#40
○首藤政府委員 この点は国家という大局から見まして、公衆の利益増進という観点から、いずれに決定することが多くの利益を與えるかという点に重点を置いて、最後の判定が下されると考えております。
#41
○深澤委員 それから鉱業法の中で、外国人に採掘権を與えるという規定があるようであります。私まだしろうとで、その点は十分に調べておりませんが、外国人に権利を取得させることがあるかどうか、どういう場合に取得させるのか、その点をひとつ伺いたい。
#42
○徳永政府委員 これは鉱業法の新法の第十七條に規定されております。それは「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。」これは本文で御座います但書に、「但し、條約に別段の定があるときは、この限りでない。」ということに相なつておるのであります。條約は法規に優先する効果を持つわけであります。條約自体も国会の承認にかかる事項でございます。そこで、特例ができました場合には、それによるという趣旨において規定されている。ただ私どもが起案者として考えております趣旨は、外国人に鉱業権を認めます場合には、相互主義によりまして、相手の法制も、外国人に、すなわち日本人に鉱業権の取得を認めるということになつているような国の国民、あるいはその国の法人に対して日本も法益を與えるという趣旨において認めるというふうに考えております。
#43
○深澤委員 私は非常に不可解に思うのであります。どういう條約が出るかわからないのに、そういうものを予定して、外国人にも日本の鉱業権を許すということを、この鉱業法にどうしてきめる必要があるかと私は考える。現在の日本としては、戰争に負け、今後いろいろな條約をきめるにしても、外国の大きな勢力のもとに、非常に不利な條件できめられなくちやならぬということは往々にしてあると思う。そういうことを予定して、鉱業法に外国人の鉱業権の取得をあらかじめ予定してきめておるということは、実に見識にかかわると思います。そういうことはまつたく今後の日本の重大問題であると私考えるのですが、起案者として政府はその点についてどういうぐあいに考えられておるか。そういうことを予定して鉱業法にこうきめられたのか、その点をひとつお伺いしたい。
#44
○徳永政府委員 通商航海條約でどういうことに相なりますか、将来條約でいろいろきめられることになる問題だと思います。ただこの法律の改正の際に、政府としてまたこの法案の作成に御援助をいただきまして審議会の各委員の方々の御意見その他によりまして将来の鉱業権のあり方につきましては、相互正義ということがよいのであろうということが大体の結論であつたわけでありますが、その結論を條文に表わすについてどういう表現がよろしいかが、最後に技術的な問題と相なつたわけであります。事は條約にも関係のあることでございますので、私ども外務省の條約局長にも十分の御相談を申し上げたわけであります。條文としての表現は、ここに提案申し上げているような書き方が一番適切であろうということに相なりまして、法制局にもそのような趣旨で相談いたし、きまつたわけです。
#45
○深澤委員 それはかつての日本が経験したように、たとえば満洲におきまして、鉱山の権利を日本が握つたということは、そこの経済の実権を握つたことになるのであります。いやしくも今後日本が自主独立の形で行く場合において、日本国内の鉱業権を外国人に獲得させる、日本領土の一部の権利を外国人に取得させるという問題については、重大問題であるとわれわれは考える。それを、国内に適用するところの鉱業法の中に、あらかじめ将来を予定して盛り込むということは、まつたく日本政府の意思が那辺にあるかということを考える。相互互惠の平等の立場に立つて行くのだと言うが、日本人も外国の鉱業権が持てるのだ、そういう條約をつくつた場合にはよいのじやないかといいますが、では、日本国で、アメリカへ行つて鉱業権を持ち得る力があるかどうかという問題であります。向うの方では日本の鉱業権を握る力もあり、資力もあるでしよう。しかし日本人がアメリカで鉱業権を持つ実力がありますか、そういうことを考える場合において、こういうことをこの法案に盛ることは、まつたく卑屈な隷属的な考え方であると考える。その点について、首藤政務次官にもう一ぺん明確な御信念を私はお伺いしたい。
#46
○首藤政府委員 私は必ずしも日本がこういう條約を結ぶことによつて、損失を受けるものとは考えていないのでありまして、むしろこういう條約を結ぶことによつて、日本の経済にはプラスになる面が多いのじやないかという考え方を実は持つておるのであります。ただいま深澤委員はアメリカの例をとられましたが、通商航海條約は、一アメリカに限つておるものではないのでありまして、世界各国を対象として考えておるのであります。従つて、かりにアメリカとの間には御指摘のような事情がありまして、おそらくこちらから開発はできないかと考えますけれども、ちつと速記を……。
#47
○小金委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#48
○小金委員長 速記を始めてください。
#49
○深澤委員 ただいま政務次官からいろいろお話がありましたが、われわれが外国人に日本の鉱業権を與えるという法律をつくつておるとすれば、その強い力が完全に日本を支配するということをわれわれは心配するのです。必ずそういう結果になることをわれわれは予言してもはばかりません。ところが、そういうことを隠蔽するために、あるいは南方の国々との契約も今後できるだろうということでごまかしておられるが、そうじやなくて、結局大きな外国の資本主義的な、独占的な支配に日本を提供する道を開いているのだといいうことをわれわれは断ぜざるを得ない。そういう点について政府は一体どういうぐあいに考えておるか。
#50
○首藤政府委員 これは見解の相違でありますので、かれこれ申し上げるとはいかがかと思いますけれども、ただいま深澤委員は、戰前のような、要するに侵略主義的な考え方を持つておるかというような御意見でありますけれども、侵略と鉱業の採掘とは必ずしも関連性がないのでありまして、平和国家の建設にあたりましても、経済的な観点から、かような條約を結んでも、国家のために決して不利でないというふうにわれわれは確信を持つておるのであります。しかもしばしば深澤委員はアメリカということを対象とされての御意見でありますが、しかしこれは講和條約ができますれば、單にアメリカだけが対象ではないのでありまして、世界各国との平等な條約が必然的に締結されるというふうに考えておりますとともに、先ほど来繰返して申し上げまするごとく、相互主義であります。従つて決して日本だけが一方的に採掘されるというような状態でないのでありまするから、御指摘のような御心配はない、かように確信いたしておるのであります。
#51
○深澤委員 今の問題を論じて行くと、講和問題になりますから、それは大きくなりますが、あなた方の政府は單独講和主張せられておる。今後当然完全に日本との経済関係が結ばれ日本経済が発展しなくてはならぬ中国あるいはソ同盟とは講和を拒否せられておる態度をとつておる。こういうような問題に結局発展して行くわけです。従つてアメリカに結びつくところの講和、アメリカとの密接な経済関係の上に立つた講和、そういう状態の中で、こういう鉱業法の中において外国人の権利を取得することを許す法律をつくることは、隷属の道を開くものである。われわれは将来必ずそうなるということをはつきりここで断言せざるを得ない。従つてこの鉱業法から外国人の権利取得の問題を抹殺すべきである、私はこういう意見を持つておるのですがその点もう一ぺんひとつ……。
#52
○首藤政府委員 ただいまこの法案から外国人の採掘権を削除せよという御意見でありまするが、削除する必要は断じてないと思います。
#53
○小金委員長 ほかに御質疑がございませんか。
#54
○砂間委員 関連して……。先ほど深澤委員の質問に対しまして首藤政務次官は、採石法等の場合におきまして、これが農業や何かと利害粗対立した場合にどういう見地から土地の調整等について判定を下すかということにつきまして、国家的見地に立つて公共の利益、福視という立場から判定するということを申されました。そのお答えはただ言葉通りに聞いておりますとまことにごもつともだと思うのでありますが、しかし現在の日本の置かれている状態を考え合せてみますと、御承知のように占領下でありまして、国家的見地公共の利益ということが、ともすれば実際問題といたしましては占領政策と密接な関連を持つて来るのであります。たとえば今度の朝鮮事変が始まりまして以来、鉄道の輸送を一つとつてみましても、貨車等が特需向けにたくさん使用されておりまして、国内の輸送が非常に逼迫しているような状態をつくり出して行く。これも国家の必要というようなことで、特需向けの方にどんどん使いあげられて行つております。そういう日本の置かれている現実の事態を考え合せてみました場合に、この採石二つとつてみましても、必ずしも日本の土木工事あるいは建設事業にさしあたつて必要でないものであつても占領下であるという特殊事情からして、農民の利益も顧みられずに、採石ということがどんどん強行されて行く心配が私は非常に多いと思うのです。と申しますのは、たとえば今の道路建設一つとつてみましても、これは御承知のように、今の道路計画は、マッカーサ上元帥の道路建設の覚書によつて、大きな道路があつちこつちにたくさんつくられて行つておるのであります。そのために占領下にあるという特殊事態からいたしまして、そういう採石の需要が非常に大きくなつて来る。ことにこの夏以来そういう方面の需要が激増して来ておると思うのでありますが、それを国家的見地とかあるいは公共の利益というような言葉でカムフラージユして、そうして日本の農民の耕地などがどんどんつぶされて行くことになりましたなりば、これは決して日本の国のためになることではないと思うのです。そういう点につきまして、この土地調整委員会の運用の問題が非常に重要になつて来ると思うわけでありますが、それがまだ未提出である。先ほど首藤政務次官の御説明によりますと、所管が違う、あるいは法務府でやることだからわしや知らぬというふうな御説明でありましたけれども、しかしここに提出されております採石法案及び鉱業法案等は、これは政府提出の法案でありまして、少くとも政府が国会に押出する以上は、これは閣議で十分検討して、そうして法務総裁も通産大臣もみな一致の上で出されておると思うのです。その政府提出の法案であるにもかかわらず、この採石法等と並行して当然審議さるべき土地調整委員会法案がまだ未提出であるということは、私どもといたしましてはまつたく了解に苦しむわけなのです。それで大体いつごろそういう法案をお出しになるつもりかということをお尋ねしたい。それから先ほどの国家的見地という問題につきましても、日本の国民の利益を守る、あるいは農民の利益を守るというふうなことを十分お考えになつておられるかどうかということにつきまして、私はこの機会に政府の信念というか、見解をはつきりと承つておきたいと思います。
#55
○首藤政府委員 土地調整法案は多分来週早々法務委員会の方に提出されることと存じているのであります。その予定で手続を進めているわけでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
 なお特需の関係の輸送等につきましては、現在の日本の置かれた段階ではやむを得ない事態だと考えますとともに、日本は少くともアメリカの入つた国連軍のために治安が確保されているのでありまして、もしこれらの輸送が不円滑であり、また軍事基地の設定が遅れるというような事態になりまして、それが国連軍の戰局にどういう影響を及ぼすか、そしてそれが日本の治安にどういう影響を及ぼすかという点に思いをいたした場合、多少の土地や農地が荒されましても、これは国家全体の上から見まして、片一方の方がはるかに国家的だという考えを持つているのであります。
#56
○砂間委員 ただいまの首藤政務次官のお答えは、これは実に聞捨てならない重大な発言だと思います。と申しますのは、日本がアメリカが入つているところの国連軍に協力するのはあたりまえだというふうな御意見であります。しかし今朝鮮で戰われている戰争は、あれは日本は全然関係のないことなんです。日本は国連にも加盟していない。国連に協力する何らの義務はない。それにもかかわらず日本が土地を荒されても、国民が輸送のために犠牲や負担をこうむつても、それはあたりまえだというようなことを政府を代表して言われるということはとんでもないことだと思う。これこそ朝鮮の侵略戰争に日本を巻き込み、そうしてその負担と犠牲を日本国民に背負わさせることになる。しかもそれは外国の侵略戰争のために日本が道具に使われることになる。もし朝鮮の事態が不幸にして大きく発展して行つて第三次世界大戰ということになれば、日本はいやでも応でもその戰争に巻き込まれざるを得ない。こういう事態に立入ると思うのです。われわれはもうそういう戰争を極力阻止するために、そして真に世界の平和とあわせて日本の平和を維持する。そういう政策こそ今の日本政府はとらなければならぬ大方針だと思う。少くともそれこそ憲法の精神だと思う。それをねじ曲げて、戰争放棄をしたあの憲法の精神に反して日本を戰争に引きずり込むような政策を強引に押し進めて、それがあたりまえだということはとんでもない。今の首藤政務次官の発言は取消していただきたいと思います。
#57
○首藤政府委員 日本の憲法は御承知の通り国内法であります。日本は現在占領されている国でありますから、占領軍からいかなる命令がありましても、これを忠実に履行しなければならぬ義務を負うているものであります。従つてただいまの輸送の溢路等につきましても、これらは占領軍からの命令によつて、日本がその命令を忠実に守つている、履行しているというのでありまして、日本が積極的に自発的にそれを進んでやつているという事情ではないことを御承知願いますれば、私の申し上げたことは御理解できると考えているのであります。
#58
○砂間委員 憲法はこれは日本の国の憲法でありましよう。そうしてこれは日本の国民の総意を盛つたものであるから、少くとも日本政府はその憲法の方針に沿つて政治をやつて行かなければならないものだと思うのです。しかし占領下に置かれている、そのことは事実であります。従つて占領軍の命令があればそれを実行して行く義務があるわけでありますということは百も承知しております。しかしその場合であつても明らかに日本にとつて不利なこと、日本を破滅に導くような、もう一ぺんあの侵略戰争の血の海に日本を引きずり込む、そういう不当な要求がもしかりになされたとするならば、たといそれが占領軍の命令であつても、日本の国民の利益を守つて、そうして日本の平和と独立を達成するために努力して行かなければならない。日本の政府としては、もしそういう要求があつたとしても、それに対しては極力これをそうならないように努力して行くのが私はあたりまえだと思う。私はきのうの通産委員会でも申したことですが、あの西ドイツのアデナウアー首相でさえも、不当だと思うことに対してはそれを拒絶するという意気込みを持つてやつている。今の首藤政務次官の答弁のように、もう占領軍の言うことだつたらどんな不利なことであつても一から十まで聞いてやらなければならぬということでは、まつたく卑屈な売国的な態度だと思う。
#59
○千賀農林委員長 議事進行について発言があります。私は今日通産委員会と農林委員会との合同審議をするためにここに来ておるのでありますが、ただいま伺つておりますと、委員長はこの議案には全然関係のない共産党の宣伝のごとき演説をあまり寛大にやらせ過ぎると思うのであります。これは時間の経済上すこぶる私は不満足でございますので、適当に議事の整理をなされるよう要求をいたします。
#60
○小金委員長 簡單に御答弁願います。
#61
○首藤政府委員 国連軍の目的と日本国民大多数との意見とは一致いたしておるのでありまして、日本国民の希望に沿うように国連軍は行動しているとわれわれは考えおるのであります。従つてただいま砂間委員の御指摘になつたように、日本国の独立あるいは日本国の発展をはつきり阻害するような命令がありましたならば、できるだけの努力をいたしまして、そういうことのないようにいたすのが政府の義務だと考えておりますが、ただいまの国連軍の行動は、少くとも日本の独立、日本の発展のために寄與するところが非常に大きい、かようにわれわれは考えておるのであります。
#62
○小金委員長 鉱業法案及び採石法案の審議から少し逸脱しているような向きもありますので、この際ただいまの砂間君の御発言は、通産委員会においてもなおまだ時間もございますので、やることもできますから、この程度で打切つていただきたいと思います。
 それから今土地調整法案が準備中だとい御説明がありましたが、これは他の委員会にかかるかもしれませんけれども一応今のところ鉱業法案及び採石法案の問題と関係する点が多いと思いますので、多分通産委員会にかかると私予想いたしております。他の委員会にかかつた場合においては、合同審査をお願いいたしますから、そのときあらためて御発言を願いたいと思います。
#63
○千賀農林委員長 この際伺つておきたいことは、採石法案の中にれき岩ということがありますが、れき岩というのはどういう意味でございましようか。れき岩を採掘する目的は、一つの形をなした岩石を採掘するのか、れき岩の中のれきを採掘するのか。れき岩の存在は日本の全国土の上にあると思いますが。いわゆるつぶてとして町に敷いたり、コンクリートの中に入れたりするために採掘するのをれき岩とするか、この点を伺つておきたい。
#64
○讃岐説明員 れき岩と申しますのは水成岩でありまして、砂利及び砂が、粘土及び酸化鉄分等で流落せられて生じた岩石というふうに定義がなつております。まとまつた形で採掘することを目的とするものであります。
#65
○千賀農林委員長 まとまつた形ですか。その使用は別々にして使用するものですか。まとまつた一つの石で庭石のように使うものを言うのですか。
#66
○讃岐説明員 まとまつた形で使用するのであります。
#67
○千賀農林委員長 そうするとぐりともがらとも申しますが、れきですね。これは畑にたくさんあつたり、川原にたくさんあつたりいたしますが、これは両法案の中には入つておりますか。
#68
○讃岐説明員 入つておりません。
#69
○千賀農林委員長 わかりました。
#70
○小金委員長 それでは御質疑も終了いたしましたから、連合審査はこの程度にて終結いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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