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2000/04/28 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第17号
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2000/04/28 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第17号

#1
第147回国会 法務委員会 第17号
平成十二年四月二十八日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 武部  勤君
   理事 笹川  堯君 理事 杉浦 正健君
   理事 与謝野 馨君 理事 横内 正明君
   理事 北村 哲男君 理事 日野 市朗君
   理事 倉田 栄喜君 理事 木島日出夫君
      太田 誠一君    奥野 誠亮君
      金田 英行君    熊谷 市雄君
      左藤  恵君    菅  義偉君
      園田 博之君   田野瀬良太郎君
      桧田  仁君    藤井 孝男君
      御法川英文君    保岡 興治君
      山本 幸三君    山本 有二君
      渡辺 喜美君    枝野 幸男君
      佐々木秀典君    坂上 富男君
      安倍 基雄君    青木 宏之君
      西村 眞悟君    保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         臼井日出男君
   金融再生政務次官     村井  仁君
   法務政務次官       山本 有二君
   大蔵政務次官       大野 功統君
   労働政務次官       長勢 甚遠君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    細川  清君
   政府参考人
   (大蔵大臣官房審議官)  福田  進君
   政府参考人
   (大蔵省金融企画局東京証
   券取引所監理官)     新原 芳明君
   政府参考人
   (労働大臣官房審議官)  石本 宏昭君
   法務委員会専門員     井上 隆久君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十八日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     山本 幸三君
  金田 英行君    田野瀬良太郎君
  熊谷 市雄君     桧田  仁君
  古賀  誠君     御法川英文君
同日
 辞任         補欠選任
 田野瀬良太郎君     金田 英行君
  桧田  仁君     熊谷 市雄君
  御法川英文君     古賀  誠君
  山本 幸三君     加藤 紘一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第八八号)


    午前九時三十一分開議
     ――――◇―――――
#2
○武部委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君、大蔵大臣官房審議官福田進君、大蔵省金融企画局東京証券取引所監理官新原芳明君、労働大臣官房審議官石本宏昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村哲男君。
#5
○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。
 既にこの法案については、新聞報道で先に先に報道されまして、見通しがあるように思いますが、私どもの態度は、まだ審議、実質はきょうから始まりますので、そしてまた、一体とされておるという労働委員会の承継法の問題もあります、まだまだ未知数でありますし、内容によってはそう成立というふうに決まったわけではないと思っておりますので、しっかりと審議をしていきたいと思っております。
 ところで、今回の会社分割法、商法の一部を改正する法律案、会社分割法と言っていきたいと思いますが、それをこの商法の中に創設するという趣旨について法務大臣にお伺いしたいと存じます。
#6
○臼井国務大臣 企業間の国際的な競争というものが非常に激化している現代社会の経済情勢のもとにおきましては、企業がその組織の再編成により経営の効率性というものあるいは企業統治の実効性、そういったものを高めることによりまして競争力を強化する必要があるわけであります。私ども政府は、この要請にこたえるために、平成九年には会社合併法の合理化をいたしたわけでございまして、また平成十一年には株式交換・移転制度の導入をそれぞれ内容とする商法改正を行ったのでございます。企業の組織の再編成のための法整備というものを逐次行ってまいってきたところでございます。
 今回の商法改正法案というものは、会社がその営業の全部または一部を他の会社に承継させる会社分割の制度を創設することを内容としているものでございまして、企業の組織再編のための法整備の一環として行われるものでございます。
#7
○北村(哲)委員 それでは、この趣旨については今伺いました。
 そうしますと、今回の分割法というのは今までの日本の会社、商法あるいは会社法の中でなかった新しい法制であります。それについて、創設する分割の類型として、新設分割という言葉と吸収分割という言葉、そして人的分割という言い方、物的分割という言い方、それぞれ違うと思うのですけれども、この類型と相互の関係をわかりやすく、一体どういうことになるのだろうかということについて、余り詳しいことはたくさん言われてもわかりにくいのですけれども、こういう形になるのだと。
 今、私たちの頭の中には株式会社がある、そして会社を分けるときにはいわゆる合併、吸収合併とか、それから何とか合併があったり、あるいは営業の一部分を譲渡する、そういう概念は頭の中にあるのですけれども、吸収分割あるいは新設分割、今度は人的分割、物的分割となったら、なおわけがわからなくなりますので、そのあたりの説明をお願いしたいと思います。
#8
○細川政府参考人 まず、お尋ねの新設分割と吸収分割の区別の問題でございますが、新設分割は、分割会社の営業を新たに設立する会社に承継させるという形態のものでございます。これに対して、吸収分割は、分割会社の営業を既存の他の会社に承継させる形態でございます。
 次に、人的分割と物的分割でございますが、これは私どもが使っているいわば講学上の用語でございますが、まず人的分割は、営業を承継する他の会社が発行する株式を分割会社の株主に割り当てる形態でございます。物的分割は、新たに発行する株式を分割会社に割り当てる形態でございまして、この物的分割を行いますと、新設された会社は、株はすべて分割した会社の所有になりますので、結果的には子会社ができるということになるわけでございます。
#9
○北村(哲)委員 続けて、今の点について伺いますが、例えば新設分割をして、その新設分割の中の一つの形態として人的分割というのがある、この新設分割は新しい会社をつくります、しかし、その会社が人的分割という場合は新しい株主ができるということになりますね。それで、物的分割の場合は新しい株主じゃない、株主は前の会社のままだという形になるのだと思うのです。
 そうすると、例えば新設分割をしながら、その分割会社で人的なものと物的なものと併用することもあるのですか、そのあたり。
#10
○細川政府参考人 まず、新設分割について例をとって御説明申し上げますと、この新設分割についても、人的分割と物的分割との両種類があり得るわけです。それから吸収分割についても同じです。ですから、四通りがあり得るわけでございます。
 まず、例えば新設分割をいたしまして、その会社の株式を分割した会社自体に割り当てるというやり方です。これだと親子会社になりまして、いわゆる分社化になります。そうではなくて、その新設分割のときに、新設会社が発行する株式をもとの会社の株主に割り当てることができます。そうすると、株主が共通の会社が二つできるということになりますから、これをいわば兄弟会社という場合もあります。そういう場合もございます。それも物的分割でございます。
 吸収分割の場合にも、新しく発行される株式の割り当て先は、もとの分割した会社の株主に割り当てる場合と、それから分割した会社自体に割り当てる場合と両方あります。
 ですから合計四通りがあるということになります。
 さらに、御提案申し上げている商法の規定では、明文上は書いてありませんが、当然の解釈として、いわゆる人的分割と物的分割を併用した形もできます。それが最後の御質問だったかと思いますが、例をとって申し上げますと、会社が新設分割をして、その株式を、一部を分割した会社に割り当てて、それから残りを分割した会社の株主に割り当てる、そういうことも可能でございます。
#11
○北村(哲)委員 そうすると、今四種類と言われましたけれども、四種類の倍あるわけですね。八種類になるか十六種類かわかりませんけれども、よろしいです、それはわかりました。両方もある、一方もある、四種類が基本。それで、両方もあるということですね。
 それでは、この分割に関して債権者保護の手続が規定してありますが、これは、勤めている従業員の人たちもその債権者保護手続の対象になるということは確かなんですが、一体どういうものがその保護の対象になるのでしょうか。
#12
○細川政府参考人 分割会社と労働契約、民法上、商法上は雇用契約といいますが、これを締結している従業員のうち、例えば、その契約から生じた未払い賃金債権が現にあるという場合には、債権者でございます。それから、社内預金債権があるという場合も債権者になります。それから、既に勤務した期間に対応する退職金債権というものは具体的にもうあるのだというふうに解釈されておりますので、そういう労働者についても、やはり債権者保護の対象となる債権者に当たるわけでございます。
 したがいまして、こういった労働者の方が異議を述べた場合には、債権者を害するおそれがない場合を除き、分割会社は弁済とか担保の提供をしなければならぬということになるわけでございます。
#13
○北村(哲)委員 ただいまの答弁で、弁済あるいは担保の提供というのは、これは商法に規定されていることで、百条か何かを援用しておられるのですけれども、そこには、債権者を害するおそれがない場合を除きと今答弁されたのですけれども、そんなことは書いていないのですけれども、そんな条件がついているのですか。どういうことでしょうか。
#14
○細川政府参考人 やや不正確でございまして、商法百条で規定しておりますのは、要するに、債権者であればすべて異議を申し立てることができます。その場合に、商法百条で決めておりますが、弁済が安全だという場合には、ここにありますように、弁済とか担保の提供等はしなくてもいいということでございました。
#15
○北村(哲)委員 ちょっと意味がわからないのですけれども、弁済、担保の提供を受けることができるという規定があるのですけれども、債権者を害するおそれがない場合とわざわざ条文にないことを今言われたということは、どういうことを指しているのでしょうか。
#16
○細川政府参考人 百条第三項が会社分割の場合にも準用されるわけですが、この場合に、ただし書きを見ていただきますと、「合併ヲ為スモ其ノ債権者ヲ害スルノ虞ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ」と言っています。「此ノ限ニ在ラズ」という意味は、本文がこの限りでないという意味でございますので、「弁済ヲ為シ若ハ相当ノ担保ヲ供シ又ハ其ノ債権者ニ弁済ヲ受ケシムルコトヲ目的トシテ信託会社ニ相当ノ財産ヲ信託スルコトヲ要ス」というところが適用がないということになるわけでございます。
#17
○北村(哲)委員 それでは次に、分割の効果として権利義務が包括承継をされるという御説明が今までありました。包括承継とは一体どういうことかということの説明と、それから、なぜ包括承継になるのかというその根拠なんです。
 というのは、包括承継でなければ、私は今、働いている従業員の立場のことを聞くのですけれども、本来であれば民法六百二十五条が適用されて、個々の労働者の同意を得なければ恐らく地位の移転はないと思うのですけれども、しかし、講学上、相続とか合併とかというふうに、そのもの自体が、実態が変わらなくて主体が変わった場合はそのまま継続するわけですから、これはいわゆる包括承継ということですね。それは地位が移らないからなんです。移ることにならないから別に承諾は要らないんだけれども、今回は分割してもとの会社から別の会社に移るわけですから、本来であれば当然個々の労働者の承諾あるいは同意を得て移るべきところを、ただこの法律をぽんとつくって、包括承継だから同意は要らないんだという御説明では、そのままではストレートに納得できないので、一体どういうことになるのか。そして、どういう理由によって包括的に移ってしまうのか、同意なしに移ってしまうのかということの説明をいただきたいと存じます。
#18
○細川政府参考人 まず、包括承継の一般的意味でございますが、これは、前主の権利義務の全部または一部を一括して法律上承継するという意味でございます。
 会社の分割は、合併と同じように、有機的一体となって機能する組織的財産としての営業を移転するものであって、営業譲渡と違いまして、その対価が支払われることはありません。営業譲渡というのは、要するに、個別の財産の集積である営業を売買等によって個別に移転するという意味でございます。したがいまして、営業譲渡の場合には対価は支払われますが、会社分割におきましては、分割会社またはその株主に株式が割り当てられるということになりまして、これは組織法上の行為でございます。そのために、その法律上の性質を包括的承継としているわけでございます。
 そして、債権者保護手続をとることによって、免責的な債務の引き受けも債権者の個別の承諾を得ずに可能となるわけでございます。営業譲渡の場合には個別の財産の移転行為が必要ですので、これは個別に債権者の同意がなければ免責的に債務を引き受けられないということになるわけでございます。
 こういったことによりまして、会社分割手続を迅速に行うことができるようになるということと、それから、営業を単位として権利義務の一括移転を認めることによって、法律関係の明確化や会社に雇用されている労働者等の保護にも資することになる、こういうふうに考えたところでございます。
 会社分割が包括承継であることの根拠条文でございますが、商法改正法案の三百七十四条ノ十と三百七十四条ノ二十六でございます。これには権利義務を承継すると規定しておりまして、これは合併に関する商法百三条や相続に関する民法八百九十六条と同じ規定ぶりになっておりますので、これによって包括承継であるということが明らかになるというふうに考えております。
#19
○北村(哲)委員 今の三百七十四条ノ十をぽんと一項つくっただけで、労働者の地位は風前のともしびというか、すっと移ってしまうという、民法の六百二十五条という、同意権というものがすっとなくなってしまうということについて、まだ疑問が残ります。
 ところで、この改正法案の三百七十三条、一番最初の条文は三百七十三条になるのですけれども、そこにはわざわざ「会社ハ其ノ営業ノ全部又ハ一部ヲ設立スル会社ニ承継セシムル為新設分割ヲ為スコトヲ得」というふうに「営業」という言葉を使っておられます。今法務省は、営業そして営業譲渡という言葉を使われました。この営業という概念は、今まで営業譲渡のときに使っておったいわゆる営業と同じものであるかどうかということです。
 すなわち、今までの判例上確立されている営業というものは、営業、販売の機会あるいは営業上の秘訣、経営の組織等の経済的価値のある事実関係を加え、一定の営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産というものを営業というふうに、最高裁で判例上確立されていると思うのですけれども、それとこの新設分割の場合の営業ということは同じ概念であるか、まずそこを聞きましょう。同じ概念と聞いてよろしいですか。
#20
○細川政府参考人 ただいま北村先生が御指摘の営業の概念は、最高裁判所の大法廷の判決にある概念の定め方でございまして、私どもはこの会社分割法制におきまして営業という言葉を使っておりますが、それと全く同じ意味に使っているわけでございます。
#21
○北村(哲)委員 全く同じ概念であれば、いいですか、同じことをやるわけですよ。営業の全部を引き継ぐ会社に渡すということ。それであれば、営業譲渡と同じものを、移転して新しいものをつくる場合、今までは営業譲渡という概念でやっておった。そうすると、個々的な労働者の同意を必要とする、あるいは労働組合との交渉が必要になってくる。にもかかわらず、今回この法律によって、そういうものを全部飛ばしてしまって包括承継をしてしまうということについて、今までのことで、新しい法律をつくることによってそういう権利が失われてしまうということについてはどのような説明になるのですか。
#22
○細川政府参考人 ただいま御指摘のとおり、営業というのは両者に同じ概念でございますし、また、重要な営業の譲渡につきましては株主総会の特別決議が必要でございますので、そういう点で、手続的においても類似した点があることは御指摘のとおりでございます。
 しかし、法律的性質を考えてみますと、営業譲渡は商人が行う取引行為の一つでございまして、売買、例えば営業上の売買とかそういった売買等に関する規定、つまり民法とかそういった取引に関する規定によって要件及び効果が規律されるものでございます。これに対して、会社分割は合併と同様の組織法上の行為でございまして、商法の定める組織の再編成に関する規定によって規律されるものでございます。
 このことから、まず営業譲渡においては、譲り受け会社から譲渡会社に対して当然に対価としての金銭が支払われることになりますが、会社分割においては、設立会社あるいは承継会社から分割会社に対して対価的な給付がなくて、株式が発行されるということになるわけでございます。
 営業譲渡に基づく権利義務の承継は、これは法律上は特定承継でございますので、営業譲渡契約に従って個別の権利移転の行為が必要になってまいります。ですから、先ほど申し上げましたように、労働者の契約については労働者の同意が必要になってまいりますし、免責的な債務引き受けは債権者の個別的な同意が必要だということになってくるわけでございます。
 これに対して、会社分割に基づく権利義務の承継は、先ほど申し上げましたように合併と同様の包括承継になりますので、法律上当然に生じることとなります。そういうことでございまして、この大量的な処理をするには、会社分割をすることが適当だということでございます。
 それで、労働者につきましては、有機的一体としての営業が移転するわけですから、要するに、平たく言えば職場が移転するわけですので、そこに従事している労働者も原則としてそこに承継されるのがかえって労働者の保護になるというのが私どもの考え方でございます。
#23
○北村(哲)委員 包括的に承継されるのがかえって労働者の利益になると言うけれども、利益にならないと思う場合もあるわけですから、だから聞いているわけです。
 今民事局長は、合併とそれから営業譲渡の、同じような形だけれどもどこが違うかということのお話もされました。しかし、営業譲渡というのは、有機的一体として機能する財産ですね、結論的に言えば。そうすると、当然、今、個々の財産というよりも人も含めてということが通常考えられるということはそのとおりだと思うのですけれども、人も含めて、例えば今のようにいろいろなコンピューター作業とかそういうソフトとかいうと、これは機械、物というよりもむしろ人が財産。ですから、営業という概念には当然ノウハウ、それから人、物の財産、すべて含まれるものと理解していいと思うのです。当然だと思うのですが、それを今までは、それ一体として譲渡する場合でも、やはり個々の労働者の同意は必要としたのですよ。
 今回は、同じものを新しい法律で移転するについて必要ないと言われるわけですね。それが今局長は、必要ないことがかえって利益だというふうな言い方をされた。移るのが当然だと。今までは、それでも営業譲渡については、一人一人のあるいは労働組合の意見を聞きながら、同意を得てしなければならなかった。それを、今回は包括的に移るんだから同意は要らないんだというふうに言われる、それが利益だと言われる、それがわからない。私は、反対の場合も、利益の場合もあるでしょう、だけれどもそうじゃない場合もあるから、やはり同意というものを残しておく必要があるのではないかと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
#24
○細川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、営業譲渡の場合には、個別の権利の移転行為が必要だということで民法六百二十五条が当然適用になるわけですが、会社分割の場合には、これは合併と同様に組織法上の行為でございますので、これは六百二十五条の適用がないというふうに言わざるを得ないわけです。
 私が先ほど申し上げたことは、要するに、団体的な処理をする場合に、体制としてどちらが労働者の保護になるかといえば、職場が移るので、その職場と一緒に移転する方が大多数の労働者には利益になるのだろうということを申し上げたわけでございます。
#25
○北村(哲)委員 それは、聞いても同じことだと思いますけれども、私は、そうじゃない場合もいろいろあるから、やはり機械とか物は物は言いませんから、移ろうと移るまいと同意は必要ないですよ。だけれども、人間はやはり立場が移るのですから、そこのところを何とかしていかなくてはいけないというのが私たちの視点。
 ところで、この前からの答弁で、分割法と今労働委員会にかかっております労働契約承継法とは一体であるというふうな説明をしておられます。一体という趣旨について、まずお伺いしたいと存じます。
#26
○細川政府参考人 今回の商法改正法案の附則の第五条をごらんいただきますと、「会社の分割に伴う労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護に関しては、別に法律で定める。」ということになっております。それから、承継法につきましては、これは第一条で、会社分割に伴う労働者の保護に関して規定をするんだというふうに規定しているわけでございます。そういうことを称して一体だと言っているわけですが、商法改正法案によれば、分割による承継の対象となる営業に従事した労働者に係る労働契約は、他の権利義務と同様に、分割計画書に記載されることによって当然に承継されるわけです、先ほど申し上げているとおり。
 しかし、会社分割法制が導入され、現実に運用される場面になりますと、労働契約の承継について、商法の改正法案が予定しているところ、あるいは私どもが考えているところとは異なる事態が生ずるおそれもあるというふうに考えますので、そういう場合には個々の労働者に不利益が及ぶ場合もあり得る。そこで、附則第五条で、このような労働者の不利益を解消し、保護するために、別に法律による措置が必要だということを明らかにしまして、そういった認識を表明いたしまして、そして、法律と商法とが双方一体となって会社分割に伴う労働契約の承継に関する取り扱いが規律されるべきことを明らかにしたということでございます。
 労働省の法案もそういう趣旨でつくられているものと理解しているわけでございます。
#27
○北村(哲)委員 二つが一つになって機能するということだと思います。
 そうすると、片一方が成立しなければ不完全な法律だというふうにも思えるし、なぜ二つに分けなくてはいけないのか。これは会社分割をすることによって労働関係がいろいろと複雑になってくるし、いい場合も悪い場合もあるから十分そこの保護を図らなくてはいけないというのが恐らく承継法だと思うのですけれども、ここで、日本の法律は、なぜ個々の法律でしなくてはいけないのか。これは外国の例、例えばドイツなんかはもう一つにして、一つの労働関係を含めた商法というものをつくっているというふうに聞いております。なぜ日本だったら、商法をやって、一体となると言いながらよそでつくって、万一できなかったら不完全法として施行してしまうということになってしまうではありませんか。どうしてそれを二つに分けて、片一方はよそに任せておいて、よそがサボったらできないじゃないですか、実際に。できないじゃない、不完全な法律になって、困る人が出てくるのじゃないですか。
#28
○細川政府参考人 企業の組織再編について外国の法律の御指摘がございましたので、私どもで知る限りを申し上げますと、フランスでは、商法中に会社分割法制の規定がありますが、企業移転に際しての関係労働者の労働契約の存続については、商法ではなくて労働法典の中で定められております。また、ドイツでは企業再編法という法律がございまして、これは会社法とは別ですが、その中で会社分割法制が定められているわけですが、関係労働者の労働契約の存続につきましては、企業再編法ではなくて民法中に一条の規定があるということになっております。
 それで、我が国の法律の体系は、会社の私法上の規律については商法が規定する、それから労働関係については、社会政策的観点から、公法的な規律を含む労働法が規律しているということに、そういう法体系になっておりますものですから、これを一緒に規定するというのは、法体系上はなかなか難しい問題、大きな問題があるということです。別の法律でも、定められておれば法律は法律ですから、それは全く効果が変わらないわけでございまして、そういう我が国の法体系から見れば、別に定めるのが適当ではないかというふうに思っております。
 それから、別に成立してはどうかということなんですが、政府としては、両法案を提出いたしまして、両法案とも速やかに成立していただきたいというふうに切望しているわけでございます。
#29
○北村(哲)委員 一つの法律だったら、九割よくても一割悪かったらやはり通らない場合だってあるわけです。一部の人の利益を害して、どうしてもだめな場合はだめな場合があるわけですね。今の場合、商法が六か七の場面だとすると、一つの体系としては四くらいを恐らく承継法が占めている、あるいはもっと少ないかもしれませんけれども。そうすると、社会を規律する法律として三分の二の法律しかできない、不完全な法律しかできないという事態が起こる。また、逆に言うと、商法が通らなくて承継法だけが通るということはあり得ないと、しかし別にだったらあり得るわけですよね。
 だから、一つ聞きますけれども、ここの商法は通って承継法は通らないということがあった場合、この商法は機能するのか、現実に適用できるのか。もう一つ、逆に言うと、承継法だけが通って商法が通らなかったら、承継法は機能するのかどうか。それをちょっと言ってみてください。
#30
○細川政府参考人 まず申し上げたいのは、政府といたしましては、両法案とも提出しているわけでございますから、両法案とも速やかに御審議いただいて、成立することを期待しているわけでございます。
 そして、まず御質問の後の方からお答え申し上げますと、承継法案は、会社分割が行われた場合に適用される労働契約の保護に関する規定でございますから、商法が通らなければ会社分割がそもそもないわけですから、成立しても適用される場面がないということは、それは明らかでございます。
 今度は逆に、商法が成立して承継法が成立しないという場合でありますと、しかしこれは、商法としては会社分割法制があるわけですから、当然に、成立して施行されればそれは機能するわけでございます。その場合に、労働者の保護に関する部分はどうなるかといえば、これは既存の労働法規が適用されるということになるわけでございます。
 繰り返して申し上げますが、政府としては両法案を提出しておりまして、両法案とも成立することを強く期待しているわけでございますので、よろしくお願いいたします。
#31
○北村(哲)委員 よろしくお願いしますって、ここは法務委員会ですから、よろしくお願いされてもどうしようもないのですけれども。
 非常に何か理屈は合うようだけれども、そうすると、通りそうな都合のいいところだけは一つの法案として出して、そして難しそうなところは別の法案に、二つに分けてやれば、片一方は通って、片一方は通らないというふうな妙なことがあるような気がするのです。
 これはなぜかというと、商法体系は組織法ですから、ある程度いいかもしれない。しかし、現実の、生身の人間がいる、労働者を抱える承継法については、いろいろ立場があって難しい場面が多いと思うのですよ。そうすると、通りにくい、国会の中でも議論になる問題があると思うのですよ。難しいものをよそに置いておいて、易しそうなものだけ先に通って、これは機能するのだなんというような妙な理屈だと思うのですけれども。
 理屈はわかりました、それは確かに。組織法ですから、それは機能するかもしれません。しかし、残された人たちは、もし、万一、そこが問題が多くて通らない場合は、非常にちぐはぐな形で社会が進んでしまう。だから、両方通ることを期待されるのは結構ですけれども、そこのところはやはり法務省としても最大限協力するというか、よろしくお願いしますと言われたけれども、逆に言いますよ、よろしくお願いしますよ、本当に。承継法がどこが問題なのか、問題点を正して、成立するようによろしくお願いしたいのはむしろこっちだと思うのです。その辺は僕の意見ですけれども、ぜひよろしくお願いしておきます。
 今のままではなくて、いろいろ問題があるようですから、さまざまな、解雇制限の問題とか労働組合との事前協議の問題とか、そういうものについて、知らぬ、それは労働委員会の問題だとか労働省の問題だとか言うよりも、むしろそこのところは一体として努力していただきたいというのが私の希望でございます。
 ところで、労働省の方にお伺いしたいと思います。
 承継法二条というところに、承継される営業に主として従事するという人については包括承継をされてしまうと言いますが、主として従事するか、あるいは従として従事するかということは、何を基準に、どのように判断するのでしょうか。あるいは、そのときに勤めている人たち、労働者の意見もその判断基準になるのかどうか、そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。
#32
○長勢政務次官 御質問の、主として従事するかどうかの基準は労働省令で定めることになるわけでございますが、労働省令におきまして、分割計画書等の作成時点において、当該労働者が従事している業務の状況、また分割計画書等の作成時以前の一定期間従事した業務の状況等を勘案して決定するということを、省令で規定することを考えております。できるだけ客観的な基準を設けたい、このように思っております。
 また、具体的な適用に当たって、その基準の適用についても、さらに指針等で具体的な判断の方法等をお示しをし、労使間で紛争が生じないように、その明確化を図ってまいりたいと考えております。
#33
○北村(哲)委員 続けて、承継法三条の趣旨ですね。これはいわゆる異議権ということになると思います。承継されない人については異議を述べることができるけれども、承継される人には異議権あるいは同意権を認めないということなんですけれども、その点についてはどういう説明をされるのでしょうか。
#34
○長勢政務次官 先ほど法務省からも御答弁があったようでございますが、承継法三条の趣旨は、承継されます営業に主として従事する労働者については、商法が会社分割において合併と同様包括承継の効果としておることを前提として、分割計画書等の記載に従って当然に承継されるということを規定しておるものでございます。
 これらの労働者につきましては、合併と同様に、雇用及び労働条件の維持が図られていること、承継後もほとんどの場合に分割以前についていた職務と同じ職務に引き続きつくと想定されていることなどから、実質的な不利益はないと考えられますし、また、円滑、容易な会社分割の必要性が要請されているということも考えますと、労働者の同意を前提としないで当然承継として差し支えない、こういうふうに考えておるところでございます。
#35
○北村(哲)委員 重ねて労働省にお伺いしたいと思うのです。
 今回は会社分割法でありますけれども、今までに産業活力再生特別措置法という産業活力法あるいは民事再生法という審議の中で、やはり企業再編、これも一種の企業再編なんですけれども、その中で、どうしてもリストラといいますか企業の再編によって労働者の立場が弱くなるということで、たびたびの附帯決議が行われました。
 例えば、今の産業活力再生特別措置法では、「企業の組織変更が円滑に実施され、かつ、実効あるものとなるためには、従業員の権利義務関係等を明確にする必要があることにかんがみ、労使の意見等も踏まえつつ、企業の組織変更に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと。」そういう附帯決議がありました。民事再生法でも同様の附帯決議がありました。
 これは、今回分割法ができた、恐らく最後の再編法と言われているのですけれども。そこで、確かに承継法はつくられたけれども、分割に関してのみのある意味の保護法はあります。しかし、ここの、今まで再三附帯決議で言われているように、組織変更に伴う労働関係上の問題というと、何も分割だけではなくて、営業譲渡の問題、合併の問題、さらにそれ以外の再編の問題もあります。
 こういう問題を取り残して分割だけに限ってやっておるから、恐らく労働承継法ではそこが問題になると思うのですけれども、一体労働省は、その問題、例えば営業譲渡の問題に対して、労働関係上の問題、法的措置というものをどのように考えておられるのか。そういうスケジュールがあるのか、今回取り残したのであれば。
 今回やらなかった、私どもは、今やっていただきたい、これからよその委員会のことを言うのは差し出がましいかもしれないけれども、この法律をつくるに際してぜひお願いしたいという気持ちがあります。ですから、この法務委員会でも、まあ、そこも含めて保護法を入れるべきであるということを言ったのですけれども、やはり法務委員会ですから限界があります。ぜひ労働委員会の方でつくっていただきたいのですけれども、特に営業譲渡に関しての法的措置ということについてはどう考えておられるのか、御説明をお願いします。
#36
○長勢政務次官 御指摘の産業再生法あるいは民事再生法の附帯決議は承知をいたしております。そういうことがございましたので、昨年十二月に学識経験者の方々に集まっていただきまして、企業組織変更に係る労働法制等研究会を開催して検討を行っていただいたところでございます。
 研究会におきましては、労使からの意見も聴取いたしましたし、また、諸外国の法制ですとか判例、事例等を総合的に勘案して検討が行われまして、その結果として報告がなされておりますが、合併及び営業譲渡については現行法により対応することが適当であり、一方、会社分割については立法措置を講ずることが適当、こういう結論をいただいたところでございます。
 労働省におきましては、この結論を踏まえて、今回、労働契約承継法案を策定いたしまして、国会に提出させていただいているところでございます。
#37
○北村(哲)委員 私は、労働委員会じゃないのですけれども、労働省にお願いしたいのは、やはりどうしても企業再編、分割法だけに限らず、そのほかについての手だてというのはどうしても必要だと思いますので、さらに御検討をお願いしたいと存じます。
 ところで、法務省に移ります。
 商法三百七十四条二項五号という条項があります。この中に「権利義務」という言葉があります。すなわち、分割をなす会社より承継する権利義務に関する事項は分割計画書に記載しなければならないという条項でありますけれども、その権利義務の中には、普通の債権債務とか雇用関係なども当然入るのだというふうに先回答弁されました。そうであるならば、もし労働組合あるいは労働者の人たちがそこを明確にしてほしいという要望があるならば、この中に雇用関係という言葉を挿入して注意を喚起するというか、皆様にわかりやすいようにするということは必ずしも不当ではないし、できるのではないかと思いますけれども、局長の御見解を聞きたいと思います。
 先回は何か、入れる必要はないようなことを言われたように感じますけれども、入れてもいいのではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
#38
○細川政府参考人 前回のこの委員会で、ただいま北村先生御指摘のとおり、承継する権利義務には、雇用契約上の地位も当然に含まれると御答弁申し上げました。そのことは変わりません。
 私どもが法案を出す場合には、すべての場合に同様ですが、最善のものを求めてつくってきたつもりでございます。それで、ただいまのことは、当然に解釈上入ることが明らかなので、簡潔を旨とする商法中には規定する必要はないのだというふうに考えていたわけです。したがって、これを例示的に記載する必要もないというふうに考えていたわけなんですが、いろいろ御議論を伺いますと、雇用契約が含まれるということを明示することによって、分割会社で働く労働者が営業とともに承継会社に移ることができることがより明らかになって、労働者の方々の不安を払拭することができるということであれば、当然のことを明らかにするということですから、私どもとしては特に反対するという立場ではないと申し上げたいと思います。
#39
○北村(哲)委員 簡潔を旨にすると言われても、法律は法律家が読むのではなくて、普通の人が読んでわかるようなものがいいと思いますので、わかりやすく、特に利害関係を持っている人が、これは自分たちに関係があるんだなということがわかるのが一番いいと思いますので、私どもはそれを修正することをやはり求めていきたいと思っております。修正というよりも、加えていくことを求めていきたいと思っていますが、今の御答弁で大体わかりました。
 それではもう一つ、この分割計画書の中で、労働契約が承継されるという場合に分割計画書の中に書くことになるのですが、これを、分割契約書の中に労働契約が承継されるというふうに、抽象的にはわかるのですが、どのように具体的に記載されるのか。個別的な労働者を特定して記載すべきではないかという具体性の問題なんです。
 先般の御答弁でこれはされたと思うのですけれども、必ずしも個々の権利義務を個別的に特定してその帰属先を明らかにする必要がないようなことを言われたのですけれども、私はかなり問題であろうと思います。分割契約書に書く場合は、相当具体的に書かれる必要があると思いますけれども、どのようなふうに理解すればよろしいでしょうか。
#40
○細川政府参考人 御指摘の改正法案三百七十四条第二項第五号、それから三百七十四条ノ十七第二項第五号は、ただいま御指摘のとおり、分割会社から設立会社または承継会社に承継される権利義務に関する事項を記載事項と規定しているわけでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、当然に労働契約もこの中に含まれるわけですが、この承継される労働契約については、私が申し上げましたのは、必ずしも労働者を名前を挙げて個別的に記載するまでの必要はないけれども、少なくとも承継される労働契約の範囲が特定されるということが必要であると言っています。ですから、名前を記載しなくても、完全に特定される方法であればそれでもよい、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#41
○北村(哲)委員 それならば結構です。
 次の質問に移りますが、分割によって新設された会社に承継される労働者の労働契約は、今までの御説明では、包括承継という名のもとに、個別的な労働者の同意なしに当然のこととして新設会社に承継されるというふうに言われました。そういう理解をします。
 しかし一方、雇用契約の基本法である民法の六百二十五条は、使用者の権利を第三者に譲渡する場合は、その労働者の承諾を必要とするというふうに規定してありますね。
 そこで、身分が他の会社に移転する前に、今までは、普通の場合は、営業譲渡の場合は承諾が必要であった、しかし、今回は全然ない。その中間に、せめて協議をする機会とかそういうものを、その空白部分に協議するようなことを入れて、新しい身分の内容について協議したい、条件について協議したいという趣旨で、事前に労働者あるいは労働組合と協議することを会社に義務づけたらどうだ、それが労働者側の当然の要求であろうという意味で、民主党は今与党に働きかけているわけですよ。法務省には言っていません。与党に言っております。
 だから、法務省の見解を聞きたいのですけれども、その趣旨をこの分割法の中に入れることの妥当性、商法の整合性の問題とかそういうものについて、それじゃ商法は壊れてしまうとか、趣旨が失われてしまうということがあるかないかということについてお伺いしたいのです。
#42
○細川政府参考人 ただいまの御質問は、商法のどこかの部分に、会社が労働契約の承継について労働者と協議するという規定を設けた方がいいのではないかということだと思います。
 私どもは、先ほど申し上げましたとおり、政府として法案を提案する以上、最善のものを目指してつくったつもりでございます。したがいまして、それは、直ちにそれがいいということは到底言う気持ちにはならないわけですが、考えてみますと、民法第六百二十五条は、先ほど来北村先生がおっしゃっておられるとおり、個別の同意が承継に必要だということになっておるわけであります。
 今度は包括承継でございますので、それは同意も何も要らないということになっておりますので、では、先ほどおっしゃったように、中間的措置あるいは代償的措置としてそういう協議を義務づけてもよろしいのではないかと言われますと、それは、労働者と会社が協議するということですから、それ自体は、民法や商法の体系に全く反して、入り切らない問題だ、そこまで言うつもりは私はございません。
 ですから、それから先は、今先生がおっしゃったとおり、これは私どもに先生がおっしゃっているのじゃなくて、民主党としては与党と御協議なさっているわけですから、あとは政治家同士でお決めになることだ、こういうふうに思っております。
#43
○北村(哲)委員 法務省は最善の案を出されたと言いますから、最善よりもさらにいいものをつくりたいというのが私たちの意向でございますので。
 それでもう一つ、今労働者と協議をすることはあり得ることというふうなお話だったのですけれども、労働組合と協議をするというふうにしようとすることは、やはり商法ののりを越えることになりますか。
#44
○細川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、商法は会社の組織に関する私的な権利義務の体系でございまして、労働者の保護については、公法的な側面を持ち、社会政策的考慮から定められている労働法規の守備範囲だというふうに考えているわけです。
 したがいまして、商法中に労働組合と会社が協議するということは、これは幾ら何でも無理ではないか。現在の商法の体系ではできない。ですから、そういうことがあれば、私としては断固として反対と申し上げたいと思います。
#45
○北村(哲)委員 断固として反対と言われても困るのですが、では、労働者でいいでしょうけれども、労働者と協議するならそれは別にいい、商法ののりを越えていないと。
 しかし、個々の労働者と協議をするという規定を設けても、現実には、その労働者が労働組合に所属しておれば、結局労働組合と協議をすることになるのではないか。これは、民法の六百二十五条でも同じですよね。個々の労働者と協議をすると言いながら、労働組合をつくっている場合は、労働組合がそれを代理して会社と協議をすることは当然の流れなんです。それは、規定としては労働者と協議をするというふうに規定してあっても、百人も千人もいる場合には、それを代表する労働組合と現実には協議をすることになるんだと思うのですけれども、そのあたりは労働省にお伺いしたい。そのあたりの法理といいますか、それは当たり前のことというふうに私どもは思うのですけれども、その理屈というか、それはそれで当然と解釈していいかどうかについて御説明をお願いします。
#46
○石本政府参考人 ただいま御質問の内容は、商法自体の解釈についての問題でございまして、かつ修正に係る問題でもありますので、労働省として解釈を示す立場にはないと考える次第でございます。
#47
○北村(哲)委員 それでは、もう一つ別の質問をしてみましょう。
 通常の場合、労働者の同意を必要とするという民法の六百二十五条の問題があります。しかし、現実には、例えば営業譲渡の場合は六百二十五条の適用があるのですけれども、その場合、一人一人と協議をするのではなくて、普通は労働組合と協議をするのですけれども、それは労働省、普通にそれが行われていることは認められますでしょう。
#48
○石本政府参考人 お答えいたします。
 ただいまの御質問につきましても、商法そのものの解釈あるいは対応の問題でございまして、私どもとして、こういうことになるというふうに解釈を示す立場にはないと考えております。
#49
○北村(哲)委員 おかしいですね。だって、会社と労働組合が協議をするという基本は、労働法は民法の特別法ですよ。それをうちの関係じゃないというふうに断られるというのは、僕はおかしな話だと思うのだけれども、では、労使交渉とかそういうものは一体何を根拠にやるかといえば、それは民法がもとになってやるので、極めて妙な答弁だと思います。
 もう一度、何とかそのあたりは、そんなに遠慮されることはないんじゃないですか。普通は、個々の労働組合員とするのも、大体労働組合を結成して、労働組合が過半数を代表する場合は、労働組合と協議をすれば個々の労働者に全部その協議というのが及ぶというふうな労働法の世界なんですけれども、基礎はやはり民法なんですよ。ですから、当然そういうふうになると思うんだけれども、それをもう一回お答え願えますか。
#50
○石本政府参考人 お答えいたします。
 重ねて同じ答弁で大変恐縮ではございますが、御質問の内容は、いずれにいたしましても商法そのものの修正に係る問題でございまして、私どもとして解釈を示す立場にないということを何とぞ御理解賜りたいと思っております。(発言する者あり)
#51
○武部委員長 御静粛に願います。
#52
○北村(哲)委員 ちょっと法務省に聞きます。
 承継法はこの商法改正が親法になってつくられるわけですよね。だから親法の関係、それで、しかも親法は商法でありながら民法との関係があるわけですから、じゃ、その辺を法務省はどう考えますか。そんな今みたいな答弁で、当たり前のことと考えられることについてどう考えるかと言ったら、お答えする立場にありませんでいいんですか。民事局長、どうですか。
#53
○細川政府参考人 労働省からの御答弁は、修正協議に係っているところをお答えするのは適当じゃないとおっしゃったので、私から、民法、商法のことだけに限って、どうなるかということをお話ししたいと思います。
 私どももその点については昨晩いただいたので十分詰め切っておりませんが、協議というのは、民法、商法の世界では、代理人がやることは何も禁止しておりません。通常の場合と全く同じです。それから、民法、商法の世界では、代理人の資格については全く制限がございません。それを考えていただければ、民法、商法の世界ではおのずから答えは明らかだというふうに考えております。
#54
○北村(哲)委員 非常にえんきょくに言われました。すなわち、労働組合が委任を受ければ、当たり前のこととして交渉できるという話なんですよ。ちょっと修正の方が先にやられて、私は一般論としても聞いてもよかったんですけれども、それは失礼しました、労働省ですね。
 余り修正のことばかり頭に言われたので、お答えできませんで、失礼したんだけれども、一般論としてはそうであって、仮の話ですよ、まだ修正も何にも出していないんですから。だから仮の話ですけれども、たとえ労働者と協議をするといっても、現実にはそれの委任を受けた労働組合が前面に立って、そして、それが過半数労働者であれば、その話は恐らく労働法の法理によって個々の労働者を拘束するという話になるし、幾つかの労働組合があれば、それと協議するという形になっていくと私は思います。
 時間が終わりましたので、とりあえずここまでで終えたいと思います。また次の機会に残したいと思いますので、よろしくお願いします。
#55
○武部委員長 日野市朗君。
#56
○日野委員 今、非常に興味深い論争がございまして、私もいろいろな思いを込めて、それを伺っていたわけであります。
 そこで、やはり私もこの点についてはいろいろ思うところがありますが、そう構えずに聞いていただきたいんです。細川さんにしては珍しく色をなした答弁を言われておられたので、そんなに気にしないで聞いてもらいたい。
 実は私は、法務省としては商法典というものは非常に大事にしたいと思っておいでになると思います。
 基本的に、私はいつもここに六法全書なんか持ち込んだことはないんですが、六法全書なる本を持ってきました。この本は重いですから、いつも持って歩かないんですが。六法というのは何なのというような話がよくあるわけですね。その中には、憲法から始まって商法も入っているというようなことで、商法典というものを大事にされる。これは、私は法務省のお立場としてはそうあってしかるべしだというふうに思っております。
 ところが、実は、私はきょうは二〇〇〇年版の六法全書を持ってきましたが、二年前の六法全書を使っていたんです。そこで、さて今度の商法の改正案を見ましたら、こう書いてあるわけですね。「商法等の一部を改正する法律」と書いてあって、「第一条 商法の一部を次のように改正する。 目次中「第六節ノ三 資本ノ減少」を」、こう書いてあるわけです。それで、さてさて、その古い六法を開きましたら、そこのところは全部削除になっているんですよ。これはいかぬということで、慌てて二〇〇〇年版を買ってまいりました。
 ここ数年、非常に商法を切ったり張ったりということを繰り返してまいりまして、大体第六節というのは、これは定款変更の規定がずらっと入っていたんですな。そして、これによりますと、第六節ノ三に今度は会社の分割を入れるということなんですが、そこのところの規定というのはすっかりなくなっていて、第六節ノ二というところに、そこのすっかりなくなったところに、完全親会社の制度の規定を入れたんですね。そして、わずかにそこのところに二カ条分あいていた。二カ条があいていたわけですな。そこのところに会社の分割の規定をどんと入れてしまったものだから、規定自体もおかしくなっちゃっているんですね。おもしろい形というかな。
 三百七十三条及び三百七十四条を次のように改めるとして、新設分割のことが書いてあるわけですね。そして、ずらっと枝番号をつけた。その枝番は無量、三百七十四条ノ二十三、二十四、二十五、二十六、二十七、三百七十四ノ二十九と続いているわけね。これはちょっとおかしい。こうなってくるとちょっとおかしいと思いませんか、どうです。ちょっと感想だけ聞いておきます。
#57
○細川政府参考人 商法は、会社制度の基本を定める法律で、日野先生御指摘のとおり、いわゆる六法という基本法の一部でございます。
 しかし、最も経済情勢、社会情勢の変化の影響を受ける法律でございますので、商法については大変改正が相次いでいるわけです。平成元年から見てみますと、実に五回改正しております。その結果、既存の法典の中に新しい条文を入れますと、必然的に枝番になってしまいます。中には、もっとごらんいただきますと、私から正直に申しますが、枝番にさらに枝番がついているものもあるわけでございます。
 これは、今回の整備法案を見ていただくとわかると思うんですが、商法というのは基本法ですから他の法律で多数引用をされておりまして、この枝番をやめて条文をずらしますと、膨大な数の条文を変えるということになって、今までのを利用する方に非常に不便になってしまう。そういうことで、新しい部分は枝番を入れているわけなんです。
 読みにくくなっているのではないかと言われれば、そういう面があることは私どもも否定いたしませんが、いずれこれはどこかの段階で整理しなければならないということは私どもも思っております。
 そもそも商法は、片仮名で漢文調でございます。私なんかは古い人間ですから、これはわかりやすいのですけれども、若い方にはだんだん読みにくくなっているという面もあるので、現代語化ということも視点に入れなければならないというふうに思っています。
 御指摘の点はよく私ども理解いたしましたので、ただいま申し上げたように、将来の課題としてやはり検討していかなければならないというふうに思っておるところでございます。
#58
○日野委員 本当にわかりにくい。わかりにくいばかりじゃなくて、こうなってくると法律の体をなしていないのじゃないかという感じが私はするのですね。そして、無理やり押し込むものですから、どこかあいているところはないかというので探して、そこの中に入れていくわけでしょう。これもまた、大体商法の目次ともう合わなくなってきている。そういうことも私は指摘しなくちゃいかぬ。今局長言われましたけれども、何でこんなに、句読点もついていない片仮名の文章、これをずっと並べて、これで一つの商法典でございます、こう言っているのは、私はかなり問題だというふうに思っているのですよ。
 今おっしゃったとおり、何でこんなふうになっているかといいますと、それは、平成元年から五回とおっしゃったですか、ずっと修正に修正を加えてまいりました。それは大体会社法とその関連だけです。ですから、私、見てみますと、会社法というのは、局長さんがずっと言っておられるように、これは商人の組織ですな、私法的な商人の組織を規律しているわけですね。ですから、本当はこの商法の中で一番中心的な部分は、会社関係の法律だろうと私は思います。私も、会社法という本がいっぱい出ている、注釈会社法とか出ているわけで、最初は会社法という法律があるのだと思っていた。ところが、それはそうじゃなくて、商法の一部にすぎない、こういうことでございますね。
 それで、これだけ組織法である会社法が変わってきているというのは、それだけ経済がずっと大きく動いているからなんですね。それをこの商法典の枠の中だけに押し込めてしまうのはもはや無理な時代が来ているのじゃないか、こういうのが私の率直な感想です。ヨーロッパなんか、特にドイツなんかは、企業組織変更法というような形で、組織の変更は組織の変更でまた別にやっている。そして、それと労働関係の問題なんかは、EU指令に基づいて、それと組み合わせた形で規定をしている。私は、むしろそっちの方がふさわしいのではないか。これだけ経済がさまざまな形で動いてきますと、会社をめぐってのいろいろな現象というのがいろいろな形で起きてくる、それにこういう商法典にとらわれていると対応できないという時代が来るのではないか、もう既に来ているのではないかな、そういう感じがいたします。
 私としては、今まで、例えば民事再生法であるとか民事特別調停法、これは政務次官が一生懸命かかわってやられた、あれなんかでもやはり労働関係の規定というのが入ってきている。そして、民事再生法にしても特別調停法にしても、これは非常に大事な法律で、私法の領域を規律していく法律だ。そこに既に労働法的な措置、これが入り込んできているというのはもう紛れもない事実であって、その傾向というのは私はこれからも強まっていくのだろうと思う。
 ですから、私は、今この商法典であるという一つの枠を守って、そしてその中に、それは私法の領域だけをきちんと規律していくのですという局長さんの考え方というのは、私も法律で飯を食ったことのある人間ですから、わからないではないです。しかし、それでこれからいいのだろうかな、どうなんだろうかなという考え方を嫌でも持たざるを得ないわけですね。この点について、これは法律、法典のあり方の問題ですから、ひとつ大臣、政治家の方のお答えを聞きたいし、それから局長さんの考えも聞きたい。お二人から聞きたい。
#59
○山本(有)政務次官 先生の御質問を、会社の組織再編に関して、その取り扱いを規定する部分を商法典から切り離し、企業法と労働関係とを一体化して特別の法律をつくることの方が今の時代に合っているのではないかという御質問としてとらえさせていただきますと、企業の組織再編に関しましては、例えばフランスでは、会社分割法制につきましては商法中に規定がございますが、企業移転に際しての関係労働者の労働契約の存続につきましては、商法中ではなく労働法典に定められております。ドイツでは、企業再編法に会社分割法制の規定がございますが、関係労働者の労働契約の存続につきましては、企業再編法ではなく民法中に規定されているものと承知しております。
 このように、企業の組織再編とこれに伴う労働関係の取り扱いに関する法律につきましては、各国の法体系の特質等を踏まえまして規定されているものと存じております。
 ところで、我が国におきましては、会社の私法上の規律につきましては商法が規定し、労働関係につきましては、社会政策的観点から、公法である労働法が規律するという法体系となっております。この点に照らせば、我が国におきましても、会社の組織再編に関する私法上の規律を商法典から切り離し、労働関係を規律する法律と一つの法典にするということは、今のところ適切でないものと考えておりまして、将来の検討課題、こうしたいと存じます。
#60
○細川政府参考人 会社等の法人の組織法をどこに規定するかというのは、各国の法制はさまざまでございます。例えば、民法中に法人に関する規定がある国もございますし、それは主としてナポレオン法典を承継している法典ですが、そういうふうになっておりますし、また、会社法だけを別途の法典にしている場合もあります。それから、ドイツのように、ただいま総括政務次官からお答えがありましたように、会社法のほかに企業再編法があるというところもございます。
 ですから、会社法の部分を他の商法の部分から切り離して、独立して新しいものにするということは、それは考えられることではございますが、それを労働法規と一緒にするということは、ただいま総括政務次官からお答えがあったと同じように私も考えているところでございます。
#61
○日野委員 ドイツの一九九四年の企業組織変更法、条文を持ってくればよかったなと今思っているところですが、これには、やはり労働契約、それから労働者とのいろいろな協議についての規定があるのです。私は、これは全く不思議じゃないと思うのです。
 といいますのは、ヨーロッパの幾つかの国では、いわゆる共同決定、これがかなり幅広く行われています。ですから、役員の中に労働組合の役員が入り込んでいく。または、主として監査役会と労働組合とが協議を持つ。または、自主的にテーブルに着いて、共同で労働問題についての協議をする。よくオーストリアあたりではこんなことを言うのですね。労働問題は、うちの国ではグリーンのテーブルクロスがかかった円卓の上で協議するのですよ、そこで決めてしまいます、こんなことを私にオーストリアの人たちが言っていたのは、非常に私にとっても興味深い、印象深いことだったのです。
 そういった制度が、ギリシャだとか北欧三国だとか、そのほかにも、当時の社会党政権があった国では主としてそういう形をとったりして、そういう共同決定という形がいろいろありまして、会社の組織、会社の運営についてまでいろいろ労働者が意見を述べる、協議をしていく、そういう形というのがあったものですから、私はそれは別に不思議ではないと思っておるのです。
 それはさておいて、こういうふうに時代がどんどん進んでいくということになりますと、やはり商法典の中に労働関係についての一つのシステムが入り込んでいくということを特に嫌う必要はないのだと私は思っています。それは私法的な法人の規律でありますよ、私法的な営業形態の規律でありますよということは、それはそれとして、やはりここのところでは、そういう労働組合というような言葉が入り込んでいくこと、労働組合とその営業との関与ということを嫌うということは必要のないことではないか、もっと大胆にそこのところは取り入れる努力をしてもいいのではないかというふうに私は思います。
 先ほどのお話を伺っておりますと、局長さんとしては、私法の分野で代理の考え方が入り込むということは結構だ、そう考えていいのだろうというようなお話がありましたので、私はそこのところはもうこれ以上は余り深入りしたくないと思う。
 だけれども、私はこれだけ申し上げておきたいと思いますよ。
 労働組合法を見てみますと、労働者という定義はあります。しかし、使用者という概念が今非常に不明確になってきていると私は思うのです。特に、完全親会社とか持ち株会社というのが出てきますと、一体、労働組合としては、だれが使用者なんだ、だれときちんとした話をすればいいのかということについて、その使用者の概念というのが非常に明確さを欠いてきたと思う。
 私は、こういう点を考えるならば、なお一層そこらは、これは私法的な分野に限らずに、ちゃんとそういった公、公法的な、私はそんなに公法的というほどまでのこともないのだろう、こういうふうに思いますが、そういう概念、考え方、それを入れても構わないのだろうというふうに思っていますが、その点についてはいかがでしょうか。労働省でもいいですよ。それから、局長さんでもいいです。ひとつ、お答えいただけませんか。
#62
○細川政府参考人 労働組合法上の使用者の概念が不明確な場合があるという御指摘でございます。
 これは私どもの直接の所管事項ではないので何とも申し上げにくいのですが、要するに、私が先ほど来申し上げておりますのは、やはり労働組合との問題は、基本的に、民法、商法の世界では個別的な権利義務の関係で、要するに対等な当事者の個別的な関係を規律しているのだということになっておりますのに対して、労働法制におきましては団体的な取り扱いをしているというところが大きく違って、その効果も、民法の世界では損害賠償とか契約解除とか、そういう世界になってくるわけなんですが、労働組合法上は不当労働行為等の特別の公法的な制度があるということで、やはり現在の法体系を前提にしますとなかなか融合しにくい面があるということを申し上げているわけでございます。ですから、これは日本の法制全体に対する非常に大きな問題です。
 また、共同決定法のことを言われましたが、これももちろん私どもの所管ではありませんけれども、これをどうするかということになれば、日本の経済社会に対する非常に大きな問題です。
 ですから、そういうことをすべて考えると、これはなかなか難しい問題であるということしか申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
#63
○日野委員 答えではなかったのでしょうが、局長さんの該博な知識を伺うことができた答弁だな、こう思っております。
 では、この問題、非常に興味深いところですが、これにとらわれていると先に進みませんので、今度は大臣にちょっと伺います。
 こういう企業の再編がずっと相次いでおります。こういう企業の再編成ということについての経済界の要望というものを、私も理解しないではないのです。わかる。ただ、私は幾つかの問題点を感じているのですが、特にその中で一つ、企業が再編成をされていく、そして今度は企業の分割を俎上にのせているわけです。
 法務省としては、企業の分割について、その方法だけを提供するのであって、その目的とか動機とか、そんなものは関係ないというような答えになればなったで、それはしようがないことです、法務省がやることは。ただ、これは政治家としての大臣に伺っておきたい。
 日本の企業、古い企業には皆、家訓を持っておるところがありますね。家訓というのは、読んでみると結構おもしろいですよ。その中には、やはりきちんと言っていること、やはりしっかりした企業だなと思われるようなところで言っておるのは、まず労働者を大事にしろ。奉公人という言葉を使ったりなんかしていますが、労働者を大事にしなさいよ、それから取引先を大事にしなさいよというようなことを言っています。それから、社会に対して自分たちは貢献をしているのだということを忘れないように、こんなことなんかが書いてあります。これは非常に考えさせられる部分だな、私はこう思っています。
 現在の企業だって同じですね。企業と、さっきから営業の問題が論じられておりましたが、営業というのはやはり、法務省が主張しておられるし、最高裁も言っているようなんですが、経営をやっていく一つの組織体として社会に存在をし、そして活動をしていく、有機的なつながりを持った一つの組織体です。その中で、私は、労働者に対する責任、下請を初めとする取引先に対する責任、社会に対する責任、それから国家に対する責任、そういった責任を現代の企業はきちんと果たしていかなくてはいかぬのだと思っています。
 ややもすれば、そろばん勘定に走って、帳簿上の数字をいかに上げていくか、収益を上げていくかということに走って、これらの責任を忘れたらいかぬと私は思うのですね。この点について、大臣、どのようにお考えになっておられますか。
#64
○山本(有)政務次官 先生御指摘の点につきまして、会社の組織再編に伴いまして多数の利害関係人に影響を与えるとの点は、まことにそのとおりだと認識しております。
 特に、会社が負っている社会的責任をも考えますと、会社は組織再編に関して関係者に不利益が及ばないように十分に配慮すべきところがあると考えておるところでございます。
#65
○日野委員 お答えとしては、私が話したことに対する肯定的なお答えをいただきました。それはそれとして評価するのです。
 ただ、一つの会社というものが存在している場合、今度はそれを分割しようというのですね。今までの存在した会社、まあ第一勧業銀行でいいでしょう、第一勧業銀行、富士銀行それから興銀、それぞれが存在している。それぞれ果たしている役割というのは、これは単に債権債務の移動であるとか、そこにおける労働者の移動であるとか、それから資本の移動であるとか、それのみにとどまらない大きな存在感を持って存在している。それをどのようにカバーすることができるかというのは、これは大事な問題だと実は思うんですよ。人の心なんというのは数字に表現しようがないわけであって、そういうものをどのように大事にしていくかというところがなければ、私は、今はっきり言って、みずほフィナンシャルグループを例に引きました。恐らくそれがこの会社分割法制の適用第一号ということになるんでしょうから、それを例に挙げますが、そういうところの人の心というものは数字でははかれないと言ったんですが、そういったところはどういうふうに埋まっていくんでしょうか、ここいらが私は大事なところだと思う。
 これは少し回りくどい話になるかもしらぬが、やはり日本の伝統であるとか文化であるとか商取引の慣行であるとか、すべてにこれは影響していくので、そういうところを考えますと、会社の分割という形、もちろん、分割が行われる場合はきちんとそれに対応するシステムが必要だけれども、私が今言った伝統、文化、そういったものをどうやって埋めていくのかという点を考えますと、会社の分割というものに対して非常に強い懸念を持つ。その点についてはどうお考えになりますか。
#66
○山本(有)政務次官 大変次元の高い御質問でございます。なかなか答弁しづらい点がございますが、例えば金融機関というと、他の産業にも影響が大であり、かつその金融機関の中でもメガバンクと言われる大変強大な会社組織が合併し、かつ分割されるということになりますと、当然そこに、効率化を追求しての結果とするならば、ある程度融資だとかある程度影響だとか、他の産業にまたまた影響力があるだろう。その中で、例えば伝統工芸産業というようなものが切り捨てられるという先生のような御懸念があり得るとするならば、それはまさしく、この法律の中以外の話かもしれませんけれども、影響は企業社会、社会性、その中で責任を持ってそういうものの措置を考えなきゃならぬ時代が来ておるだろうと思います。
 例えば、日本の産業構造の中で生産部門が随分落ちてきております。それは、熟練工に対するいわば厚みが減ることによって海外にその熟練技術が移転していって、日本にはもう残らないという空洞化の現象が起こった、こう仮定するならば、まさに先生の御指摘のとおりだろうというように考えるところでございます。
#67
○日野委員 この法律が通ってしまえば、後は法務省としては企業の分割や何かについては関連するところはないわけでありますが、私はそういう点を心配しながら、企業の再編成ということをずっと続けてこられた、そして今度は分割というところまで、新たな局面に入ろうとしているわけですね。そして、大体これで一回りするんだろうなんと言う人もいますが、私はそうは思いません。やはり経済なんというのはころころ変わりますから、経済がどんなふうに進んでいくかによって、またいろいろなニーズが浮かんでは消えするわけでしょう。そういうときに、私は法務省にどっしりしていてもらいたいんですよ。
 みずほフィナンシャルグループが旗上げをしたい、その準備のために急いでやらなくちゃいかぬから頼むわというようなことで企業形態の再編などということに軽々しく手を染めるべきではないのであって、経済状況なんかをきちんと判断した上で、そしてこういう企業の再編などというものは行われるべきであろうというふうに私は思いますので、注文をつけておきます。
 では、ちょっと労働関係について、一番最初のところでも話したんですが、さっき使用者概念ということについては局長さんの方から、法務省側からお答えになったんですが、今承継法の論議が並行的に進んでおりますね。労働省としては、労働者の立場については承継法の中にいっぱい盛り込んであるんだから心配要らぬのだ、こう思っておられるんじゃないかと思うんですね。そして、会社の分割という包括的な権利義務の移転が行われる以外の場合であっても、判例によって守られているから労働者の保護というのは大丈夫なんだ、こういうふうな主張をしておられるわけでしょう。どうなんですか、ちょっとそこのところを聞かせてください。
#68
○長勢政務次官 企業の分割に関しましては、労働者の保護のために今承継法を提案させていただいておるところでございます。
 御指摘は、営業譲渡等のような場合の企業組織の再編に伴って、労働者の保護をどのようにするかという点での御質問だろうと思うわけでございますが、特に解雇につきましては、御案内のとおり、合理的な理由を必要とするということが判例の法理でございますし、特に整理解雇につきましては判例上も四要件というものが明示をされておりまして、これを満たすことが整理解雇が有効となることが判例として確立をしておるわけでございます。したがって、分割を含めまして、企業組織等の再編、これだけを理由に解雇するということは、このような判例法理から見まして許されないことになるであろうというふうに考えておりまして、特段の立法措置は必要ないというふうに我々としては考えているところでございます。
#69
○日野委員 労働省としてもいろいろ研究会なんかをやられて勉強されたことは、私も多とします。そして、承継法の中でも随分いろいろ努力をなさったことはよくわかるんですが、会社分割という一つの土俵の中での話としては、よく努力をされたことは、その点、評価するべきところは私も評価をいたします。
 しかし、さっさから私が問題として挙げておりますように、企業の責任ということを考える場合、労働者に対する責任ということがまず優先的に考えられなくちゃいかぬですね。労働債権というのは優先債権になっているということからもよくわかるように、法律全体として労働者の立場というものは重要視する、企業としても、労働者に対する企業の責任というのは、最も重いものの一つとして位置づけられているわけなんですね。
 ところが、企業の組織変更というのはいろいろ法制上も行われてきた。これは、法制上規律できるものであればむしろ問題は少ないんですが、そこにひっかかってこないようなものがいっぱい出てくると思うんですね。営業譲渡の形にしてもいろいろな形で行われる、それから、やはり使用者と労働者との力関係、これは労働者の方が弱いというような立場からして、こういう企業の組織変更に伴う労働者の保護というのはやはり優先的に考えられなくちゃいかぬ。それを理由とする解雇というものはやはり制限していかなくちゃいかぬ、こういう考え方に私は立つんですが、どのようにお考えですか。
#70
○長勢政務次官 いわゆる整理解雇等につきまして、社会通念上、合理性があることが必要であるということが判例の示すところでございまして、企業組織の再編に当たってもこの基準が当然適用されるべきものでありますし、そういう方向で使用者も御理解いただかなければならない、このように思っている次第であります。
 労働省といたしましても、当然、この四要件を含めた整理解雇に当たっての使用者のありようについて周知徹底を図り、またそれに応じた対応をするように指導してまいりたい、このように思っております。
#71
○日野委員 今の対応してまいりたいというのは、それについての検討を進めていきたい、こういう御趣旨でしょうか。
#72
○長勢政務次官 先ほど申しましたように、立法措置としては、先生御指摘の研究会の報告にもありますとおり、当面必要ないという考え方でおりますが、具体的に四要件、判例の示すところの基準が守られるように努力をしてまいりたいということを申し上げた次第でございます。
#73
○日野委員 そういう努力をしてまいりたいということは、その四要件の立法化にも実は取り組まなければならないんだろうと私は思うんです。
 というのは、言うまでもないことですけれども、判例が生きるときというのは、個別の訴訟の場においてなんですよね。ですから、現実に訴訟が起きたときでは、労使関係というものはうまく機能しないというのが実情だと思います。例えば、解雇無効の訴訟を出して勝ったからといって、では、もとの企業に戻ってちゃんとその人がやっていけるかというと、やっていけないというのが現実の姿ではないかと私は思う。
 だから、最初から法律という形で、その四条件のようなものを法律の中にきちんと書いておけば、最初からそれがきいてくる、こういうことになると思いますので、ぜひ法律化していくということに御尽力をいただきたい、そういう努力を労働省としてもしていただきたい、こう私は思うんですが、いかがでしょう。
#74
○長勢政務次官 具体的に裁判になった場合には今先生御指摘のような事態になるではないかということは、実態としてよく理解できないわけではございません。しかし一方で、判例が集積をされておるといいましても、解雇の理由や態様等というものは極めて多様でございますから、この判断基準を、四要件をそのまま立法化したとしても、裁判等で争わざるを得ないという事態にまた立ち至るわけでございますから、一律的な立法というものも技術的には議論すべき点が山ほどある、このように私は思っておる次第でございます。
 そういうことも含めますと、将来の問題として検討の対象になるんだろうとは思いますけれども、何よりも、労使間でそういう問題が起きないように、四要件をきちんと使用者の方々にも理解をし、対応してもらうように我々としては努めていきたい、それに専念をして頑張ってまいりたいと思っております。
#75
○日野委員 私としては、企業の再編成、それを理由とする解雇などが起きないような処置をきちんととることは、このような激動する経済社会の中で、労働者の保護、労働関係の保護、これを目的としている労働省として果たすべき役割である、大きな役割であるということを強く指摘しておきたいと思います。
 この問題だけをやっていますとほかの問題に入れませんので、労働省のお答えはお答えとして、まず私は注文しておきたい、こういうふうに思います。何しろ、経済現象がいろいろ出てきますと対応できないところが必ず出てきます、判例というものは。そういうことに対する対処をぜひとも私は労働省に努力をしてもらいたい、このことを注文しておきます。
 さて、商法等の一部改正案であります。三百七十四条ノ三、四、五について伺います。
 三百七十四条ノ三では、分割に反対の株主に対しては、公正な価格をもって買い取るという株式買い取りの制度が規定してありますね。これの「承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」というのはどうやって決めるんですか。
#76
○細川政府参考人 承認の決議がなかりせば有すべき公正なる価格というものは、要するに、会社分割等が公表されなかったならば株式が有すべきであった価格でございます。
 手続でございますが、まず会社と株主の協議によることになりまして、協議が調わないときは、株主の請求により裁判所が定められるということでございます。この手続は、通常の訴訟手続ではございませんで、いわゆる非訟手続により行われるわけでございます。裁判所は、必要な場合には、この価格を決定するために公認会計士等の専門家に鑑定を依頼するということも可能であることとされております。
 この決め方でございますが、会社の純資産、収益性、配当率、事業の将来性、株主の持ち株割合等、一切の事情を考慮して行われるわけですが、取引価格のある、つまり市場価格がある株式につきましては、通常は取引所の相場等、つまり公表される前にあった相場等を考慮して決めることになると思います。それから、取引所の相場のない株式につきましては、いろいろ裁判例を見てみますと幾つか方式がありまして、まず類似会社との比較をして決めるやり方、これは収益還元法によるやり方、あるいは純資産方式、つまり純資産がどれだけあって、その株が何株あるかというやり方、そういうことでやっておるわけです。
#77
○日野委員 大体そこらはわかるんです。
 ただ、私、ショックを受けたのは、光通信の株が大暴落になっちゃって、何か一週間か十日ぐらい前までは世界の何ぼの大資産家と称されたあの社長さんが、今や光通信の決算で赤字を計上するというような事態になっていますね。そうすると、この公正なる価格の決め方というのは難しいぞと。今株価が安定しているときの感覚でこの条文を運用することはできないな、こんなふうに思うんですが、どうなんでしょう。
#78
○細川政府参考人 これは、株価が乱高下しているという会社の株については、なかなか裁判所で評価する場合には難しいであろうということは、御指摘のとおりだと思います。通常の場合は、公表される前の一定期間の平均株価というものを見て決めるということになろうかと思いまして、ただ、そういう非常に希有な事例につきましては、これはやはり裁判官が英知を働かせて決めていただくということになると思っております。
#79
○日野委員 光通信の場合は世間の耳目を聳動したわけですけれども、その程度に至らなくたって、株価の乱高下というのは希有なことではないんですな、このごろは。ここいらの運用は裁判所に任せられるんでしょうけれども、非常に不安を覚えるところですね。
 それから、まず三百七十四条ノ五を聞きましょう。ここでは、資本を決めるときに財産の評価の話が出ていますな。資産の評価、これはどのようにして決めますか。特に、不良債権なんかは一体どのように評価していくんでしょうか。
#80
○細川政府参考人 改正案では、会社分割により承継される資産の評価につき特段の明文の規定を置いているわけではないので、基本的には、公正なる会計慣行によって評価されるということになります。
 一般的には、要するに簿価が基準になって、設立会社の資本の額、承継すべき会社の資本額は、承継される財産の価額から債務の額を引いた範囲内で決めるということになっているわけです。その価額は、先ほど申しましたように、公正なる会計慣行によって解釈しろというような商法の規定がありますので、そこで定められることだと思います。
 いずれにしても、承継される資産の価額が分割の日の時点においての時価を上回ることは相当でないというふうに考えていますので、公正なる取引慣行の内容としては、基本的には時価以下主義ということになろうかと思っています。
#81
○日野委員 特に、今度は会計基準が変わりますので、ここの部分は非常に重要な部分だというふうに思います。
 それから、異議を述べた債権者に対する弁済の問題がありますね。三百七十四条ノ四にありますが、これは弁済をしなくちゃいかぬ、この場合、催告をするわけですね。知れたる債権者に各別にこれを催告する、ちゃんと言っておきなさいよ、こうなるわけですな。それで、その場合も、単純な金銭債権であればこれはいい。金銭債権以外のものについてはどういう評価をしますか。
#82
○細川政府参考人 これは、他の場合の債権者保護手続と共通の問題でございます。資本減少とか合併といった場合の、各債権者の保護手続における債権者と同じように解釈すべき問題ですが、この債権者に非金銭債権が含まれるかどうかということにつきましては、かつては、これは古い大審院の判例ですが、昭和十年二月一日の判決で、非金銭債権も含まれる、こう言っていたわけなんです。ただ、これは債権者保護手続をしないと、当時の商法では合併等、その債権者に対抗することができないという規定であったんです。だからそういうことが可能なんですが、現在の法律では、そこが昭和十三年に改正されまして、要するに、弁済、担保の供託等が異議がある債権者に対する保護規定になったわけですから、基本的には、非金銭債権というのは債権者に当たらないというのが現在の学界の通説でございまして、私どももそのように考えておるわけでございます。
#83
○日野委員 問題は、労働者の金銭債権になったものはいいけれども、それ以外の労働者との契約、そういったものについて若干不安を覚えるのが、私がこんな質問をする一つです。
 それからもう一つは、これは資本に関係する部分ですから、私は、その点はきちんとした解釈の基準といいますか、きちんとした考え方というものをお話しいただいておいた方がよかろうと思うので質問をさせてもらった、こういうことです。
 それから今度は、ちょっと税制のことについて話を伺いたいというふうに思います。
 会社の合併をする場合、幾つかの税制上の問題が出てまいりますね。会社の設立登記の登免税がまず出てきますし、それから所有権、担保物件と抵当権の登免税、それから移転、それから譲渡所得税の問題が出てくるだろうし、それから消費税の問題もこれは出てきますな。これらの税金の問題、これは今後の会社の合併に非常に影響があります。いやでもあると思う。
 これらについて、大蔵省の方としてはどう考えておられるのか。現在の税制ではどういうふうな形になりますか、それから将来の見通しとしてはどう考えておられますか、二つに分けて伺います。
#84
○大野(功)政務次官 商法改正法案の中で、会社分割法制度が創設されるわけでございますけれども、会社分割に対して税制上どう扱っていくのか、これは大変難しい問題でございます。
 結論から先に申し上げますと、公正中立、まず公平、それから中立、こういう観点から、十三年度の税制改正の問題としてただいま鋭意検討しているということでございます。
 まず、何が難しいかといって、どういう形で分割が行われるのか、これはよく見きわめなきゃいけない。分割といっても、吸収分割になるのか、新設分割になるのか。さらに、それに応じて株式はどういうふうになっていくのか。あるいは、会社がホールディングカンパニーとして持ったら、つまり子会社になった場合、それ以外の場合。いろいろなケースがございまして、先生、現在の法制でどうなるかというのは、やはりそこは詰めていかないと結論が出ない。どういう新しい形、姿になっていくのか、分割の問題をとったってそうです。
 それから、先生も御指摘になりましたけれども、資産、負債がどういうふうに継承されていくのか。それから、もう一つは会計原則、会計がどういうふうに処理されていくのか。こういうことを本当に明確に認識していくことがまず第一に必要でございます。
 それから、税制上の問題につきましては、もちろん現在の例えば合併、現物出資等の資本取引等との整合性、これは大変大事な問題でございます。
 それからもう一つは、引当金の問題がありまして、貸倒引当金あるいは退職給与引当金の問題。雇用者の分かれていくことに案分比例してこの引き継ぎが行われたら問題はないんですけれども、そうじゃない場合、どうするんだということも考えていかなきゃいけない。
 それから、所得税法、法人税法の問題ですが、株式譲渡益、見なし配当等についてどうやるんだろう。株式をそのまま継承すれば何らそこに現実の利益は出てこないんでしょうけれども、新たに株式を出した場合に、それはやはりみなし配当という問題も出てくる。
 ということでございまして、極めて広範にわたる、多岐にわたる検討を加えていかなきゃいけないということでございますので、ちょっと今の先生の御質問に対しては、検討中である、これしか物が申し上げられませんで、申しわけございません。
#85
○日野委員 それはわかるんですね。税制上は非常に難しい問題がいっぱい、それこそ複雑にあります。
 ただ、私がここでお話ししておきたいのは、ややもすると税制論議というのは企業に甘い。合併のときもそうでしたな、企業に甘い。もうけようとしてやるわけですから、それは税制を甘くしてやる必要は毛頭ないのだ、このことは、私、ここで一つ注文をつけておきたい。
 それから、今ちょっと大野政務次官の方から話が出たのでこれもちょっと聞いておきますが、局長、資本準備金については規定がありますな、資本準備金。それ以外の準備金それから引当金、こういったものはどういうふうに会社の分割のときに承継されていくものですか、その基準はあるのですか。
#86
○細川政府参考人 改正法案は、第二百八十八条ノ二について新しく改正規定を入れております。この規定は、三項から五項、それから第一項の三ノ二と三ノ三ということになっているのですが、要するに、ここで言っておりますのは、分割差益は基本的に資本準備金とするということを言っておりますが、人的分割の場合には、一定の限度で、分割する会社の利益準備金または留保利益を、承継する会社に結果的に引き継ぐことはできるということにしております。
 その原則は、分割する会社にあった利益準備金、留保利益の額を、分割後に二つの会社のものを足してそれを超えることはできないという一つの原則があります。それからもう一つとしては、より拘束性の強いものから拘束性の弱いものに変えることはできないという原則を決めております。これは、要するに、留保利益を利益準備金に変えるのはいいけれども、逆はできないということが原則で、ごちゃごちゃ書いてありますが、そういう趣旨でございます。
#87
○日野委員 時間がないのでとんとんと伺います。
 今度は、関係法律の整備に関する法律の問題です。これは随分ありますな。こんなにあるのかねと思って私もびっくりしたのですが、百五十本ありますな。これの作業も大変だったのですな、本当に御苦労さまでございます。
 そこで、まず銀行法について伺います。
 銀行法十三条が改正になりますね。信用供与等限度額というのが銀行にはあります。銀行が合併をやった場合、一応合併の場合はこの額が守られなくたっていいというふうになっているのですが、これは一体いつまで続くのかというのが一点です。いつまでもそれでいけるわけがないだろう、どういう手当てをするのですかというのが一点。
 それから、自己資本比率、これはどうなさるのですかという点です。これは、そのほかに証券取引法だとか保険法だとかいろいろあるのですけれども、もう時間がないからやめます。銀行法一本に絞ります。
#88
○新原政府参考人 お答え申し上げます。
 銀行法の適用除外の承認につきましては、法律上、特に期限の定めはございません。ございませんけれども、適用除外の承認に当たりましては、金融監督庁の事務ガイドラインがございまして、「今後の信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めるとともに、速やかに解消する場合を除き、定期的に計画の履行状況を報告させるもの」というふうにされているところでございます。
 以上でございます。
#89
○村井政務次官 自己資本の問題につきましてちょっとお触れがございましたので、金融機関が仮に分割されたといたしましても、私ども、現在まだ金融機関の体質の強化というところに一生懸命腐心しているところでございますけれども、そういう観点から、自己資本比率あるいは保険会社におけるソルベンシーマージン、こういったものにつきましては、現在と同じようにきちんとした規制をしてまいりたい、そんなふうに考えております。
#90
○日野委員 緩める気持ちはない、こういうことですな。はい、わかりました。
 では、終わります。
#91
○武部委員長 西村眞悟君。
#92
○西村(眞)委員 自由党の西村でございます。
 この法案は、実務界また実業界で、時宜を得たものとして待たれている法律でございますので、お手元にある質問順序に従って、基本的なことからお聞きしたいと存じます。
 なぜ会社の分割が必要なのかといえば、言うまでもなく、現下の経済情勢、それは国内にとどまらず、メガコンペティションの時代で、しかも電子技術の発達によって、Eメール等々で契約交渉、成立、決済までが国境を越えて発達した情報技術で行われているという前提の情勢下で、国際的な競争力を向上させるために、企業の再編、組織的な再編はもはや待ったなしであるという現下の状況であります。
 この共通認識のもとに、法案の提出理由の説明は既にいただいておりますが、提出に至る経緯、また、その立法のさらに具体的な問題意識を持った御趣旨を再度説明していただけますでしょうか。お願いします。
#93
○臼井国務大臣 今、委員いろいろお話しいただきましたけれども、この商法改正案というものは、会社がその営業の全部または一部を他の会社に承継させる会社分割の制度を創設するということを内容といたしております。
 企業の間の国際的な競争が激化しております現代の社会経済情勢のもとにおきましては、企業がその経営の効率性や企業統治の実効性等を高めることによりましてその競争力を強化する必要があるのでございまして、政府は、この要請にこたえるために、企業の組織の再編成のための法制度の整備を行うことを目的といたしまして、平成九年には合併法制というものの合理化をいたしましたし、また、平成十一年には、持ち株会社の創設のための株式交換、株式移転の制度の導入をそれぞれ内容とする商法改正というものを行ったのでございます。今回の会社分割法制の創設を内容とする商法改正法案も、それらの一環として位置づけられるものでございます。
 会社分割法制の創設につきましては、平成十一年の三月三十日に閣議決定をされた規制緩和推進三カ年計画において、平成十二年度をめどに結論を得るということにされておったわけでございますが、産業競争力会議等におきまして、企業の競争力の回復のための組織再編のための法整備を急ぐべき、そうした要望が経済界を中心として強くなってまいりましたことから、当初の計画というものを一年前倒しをするということにいたしまして、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会の商法部会の審議を経まして、今国会に本法案を提出いたした次第でございます。
#94
○西村(眞)委員 まさに、国際的な場で活動する企業の状況がこの法案の早急な、実務的な実行を求めているということは、承知いたしております。
 次に、具体的に内容について質問いたしますけれども、企業組織の再編は、現商法下でも制度はございまして、営業譲渡、現物出資、資本減少等の制度があって、新設分割についてもこれらの制度を組み合わせれば可能なわけですね。営業の現物出資による会社設立とか、また、吸収分割についても、営業譲渡で同じ目的が達成できると思います。
 それで、この法律が提案されてくるわけですが、新しく会社分割という今御趣旨を説明いただいた制度を設けたのは、既存の、今申し上げた営業譲渡、現物出資、資本減少、合併等の会社組織再編の制度に対して、新しくこの会社分割制度を設けなければならない理由は那辺にあるかということについてお伺いします。
#95
○細川政府参考人 ただいま西村先生から御指摘がございましたように、いわゆる分社化を行うためのやり方としては、現行法でも、営業の現物出資の方法によって行うことはできます。これは、現在御提案中の商法改正法案では物的分割に当たるわけでございます。
 ただ、現行法で現物出資等の方法によりますと、今回の法案では裁判所の検査役の選任あるいは調査というのは要しないということになっているなど、会社の分割の手続が合理化されるという面がございます。
 それから第二番目で、今度の改正法案では、人的分割という制度を設けることといたしております。これは、現行法の商法の現物出資等の方法によってはすることはできないわけでございます。
 そういった点で新しく制度を設ける利点があるわけでございます。
#96
○西村(眞)委員 人的分割という概念と物的分割という概念を今御説明いただきましたけれども、その人的分割とはどういうものかという御説明をいただきたいと存じます。
#97
○細川政府参考人 人的分割と物的分割とは、設立会社または承継会社が分割に際して発行する株式をだれに割り当てるかという問題でございまして、分割した会社が株式の割り当てを受けるのが物的分割で、分割した会社の株主が株式の割り当てを受けるのが人的分割でございます。
 ですから、結果的には、物的分割をいたしますと、これは親子会社の子会社ができるということになります。それから、人的分割をいたしますと、株主が共通のいわば兄弟の会社ができるということでございます。
#98
○西村(眞)委員 新しい概念であると思います。
 それで、この人的分割が具体的にどのように利用されるかという点に関してですが、金融再編の象徴的出来事である大手銀行の再編もこの人的分割制度の利用で考慮の方向であるというふうに聞いておりますが、その具体的な内容がもし御承知ならば、御説明いただきたいと存じます。
#99
○細川政府参考人 現在、報道等に一般的に知れ渡っておりますのは、いわゆるみずほフィナンシャルグループの分割の問題でございます。
 単純化いたしまして、A銀行、B銀行、C銀行という既存の三つの銀行があるといたしまして、それぞれが別個、独立の銀行となっている、そして、いずれも法人部門それから個人部門、投資部門を持っている、そういうことを前提として御説明申し上げます。
 そこで、これの場合は、まず組織の再編成の第一段としては、これらの銀行が共同して新たに持ち株会社を株式移転で設立いたしまして、A銀行、B銀行、C銀行がすべて一つの共通の持ち株会社の子会社になってしまうということになるわけです。そうしますと、この段階では各銀行はそれぞれ独立の存在でございまして、かつ、先ほど申し上げました三つの部門をそれぞれ持っていると。ですから、それぞれの銀行が重複した部門を持っているということになります。
 そこで次に、組織の再編成の第二段階で、各銀行がホールセール、リテール、インベストメントという部門に特化する必要があるということになってくるわけですが、まずA銀行が法人部門に特化するということ、B銀行が個人部門、C銀行が投資部門の銀行になるといたしますと、今度は、これらの銀行が一緒になって人的分割型の吸収分割を行うことになります。そこで、B銀行、C銀行の法人部門をA銀行に吸収分割いたします。それから、A銀行、C銀行の個人部門をB銀行に吸収分割する。それから、A銀行、B銀行の投資部門をC銀行に承継させます。この場合は、人的分割をいたしますので、その発行される株は、共通の持ち株会社が株主ですから、唯一の株主ですけれども、すべてその株主のところに行くわけです。
 そうしますと、それぞれの会社はそれぞれの個別部門ごとに特化いたしまして、その株はすべて共通の持ち株会社が所有する、すなわち、商法上の完全親会社に割り当てられるということになるわけで、そういうことによって営業部門の重複が解消されるとともに、グループによる組織の再編成が完成するということになるわけでございます。
#100
○西村(眞)委員 従来の商法を学んだ者としては、発想の転換をしなければ、なかなかそのダイナミックさについていけないような感じがいたしますけれども、そういうふうな実務界の具体的な必要性があるということはよくわかりました。
 次に、物的分割についてでございますけれども、先ほどのお答えで、従来の制度よりも手続を合理化できるんだというふうなお話がありましたが、手続合理化、これがもう実業界の求めるところであるということは承知しておりますが、具体的に御説明をお願いします。
#101
○細川政府参考人 現行法で定めております営業の現物出資による場合には、まず第一に、営業の現物出資の履行後、会社設立の手続が完了するまでの間、これは営業を停止しなければならないわけですね、検査役が調査するために。それから、その検査役は裁判所が選任していただきまして、弁護士さんが多くの場合は選任されるわけですが、その方が公認会計士さん等を補助者に使って検査をするということになりますので、なかなか確定期限でいつまでにその調査が終わるということは予測することが困難だと。したがって、経営者としては、将来の予測がつけにくいというところに問題があると言われているわけでございます。
 それから、これは大事なところですが、第三に、免責的な債務の引き受けについては、債権者の個別の承諾を得なければなりません。それで、極めて膨大な数の債権者がいるときには、これはなかなか実際上はできないということになるわけでございます。
 これに対して、本改正法案による会社分割におきましては、分割の登記によって会社が設立されますと、承継した営業は直ちに営業することができます。したがいまして、営業が停止されることがありませんから、第一番目の問題はございません。それから、検査役の調査を要しないこととしておりますので、二番目の問題もございませんし、また、分割の効果として、債権者保護手続を経ますと、債務を含めた権利義務が包括的に承継されますので、債権者の個別的同意が不要だということになります。
 そういうことで、今までの三つの問題点が解消されて、円滑に分社化ができるということになるわけでございます。
#102
○西村(眞)委員 検査役の検査を要しないという、合理的であることは合理的でございますけれども、検査役の検査というのは、やはり資本充実の原則を確保するために今あるんだと思います。
 この検査役の検査は、資本充実の原則という大観点から、ここでは必要ないんですが、本法案は、その点についてはどのような手当てをして資本充実の原則が毀損されないようにしておるのかということについて御説明いただきたい。
#103
○細川政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、現物出資の登記には検査役の調査が要ることとされておりますが、これは、資本充実の原則の観点からのものでございます。
 一方、現行の商法は、合併とか株式交換等の組織的な行為による資本の増加、いわゆる資本取引でございますが、これにつきましては検査役の調査を必要としておりません。合併の場合には、消滅会社から移転する純資産の額を、株式交換の場合は子会社の株式が表章する子会社の純資産の額を、それぞれ存続会社または完全親会社の資本増加の限度額とすることによりまして、資本充実が害されないように配慮しているところでございます。
 また、改正法案では、会社分割が合併、株式交換等と同様の組織法的な行為でございますので、これらと同様に、分割会社から承継会社に承継される純資産を基準といたしまして、承継会社の資本増加の限度を定めることとしています。
 さらには、承継される純資産の価額の評価につきましては、これは分割会社において各年度における決算があるわけでして、そこでは、監査役、会計監査人、取締役会、株主総会によって審査されるということになります。こういったことで、最終的には適正な評価がなされるということと考えておるわけでございます。
#104
○西村(眞)委員 会社分割は会社の基本的なあり方に重大な変更をもたらすということでございますから、会社に関与する、会社のオーナーである株主、また会社の債権者の保護についてのこの法案の配慮を、順次お聞きいたします。
 株主にとっては、自分の持っている会社がその組織に重大な変更を与えられて、人的分割においては分割会社の株主が承継会社の株主にもなる、物的分割においても分割会社の営業が他の会社に引き継がれるわけですから、いずれにしても重大な影響を受けるわけでございまして、この株主保護というふうな商法の株式会社制度の大原則は、会社分割というダイナミックな動きの中でどのように保護されているのかを御説明いただきたい。
#105
○細川政府参考人 御指摘のとおり、会社分割は株主に対して大きな影響がございます。
 そこで、改正法案におきましては、まず、分割の詳細を定めた分割計画書または分割契約書について、株主総会における特別決議による承認を要求することとしております。
 また、分割に反対の株主に対しましては、投下資本の回収という経済的救済を与えるために、自己の有する株式を、分割承認の決議がなければ有したであろう公正な価格で買い取るべき旨を請求することのできる権利を付与しております。これはいわゆる反対株主の株式買い取り請求権でございます。
 それからさらに、事後的な救済方法としては、分割に無効の原因がある場合には、株主は分割無効の訴えを提起することができることとしているわけでございます。
 それから、株主がこういった権利の行使に際しての判断資料を提供するということが大事でございますが、改正案では、取締役は、分割計画書等を株主総会の会日の二週間前から会社分割の後の六カ月を経過する日まで備え置く、それから、分割に関する事項を記載した書面は、今度は分割の日からさらに六カ月間経過するまで、それぞれ本店に備え置くということにしているわけでございます。
#106
○西村(眞)委員 先ほど、従前の営業譲渡の制度よりも会社分割が非常に合理的であるという部分はお聞きしておるわけですが、今、株主保護という観点から、従前の営業の現物出資等の制度よりも今回の会社分割による保護の方が厚いのか、それとも薄いのかということについて、御説明いただきたい。
#107
○細川政府参考人 現物出資による分社の場合には、株主等のために、事前あるいは事後に情報を開示することを義務づけている規定がございません。また、現物出資をするには、原則として、株主総会の決議を経る必要もないわけですし、反対する株主の株式買い取り請求権も認められていないわけでございます。
 これに対しては、分割制度による場合には、先ほど申し上げましたとおり、事前、事後の情報の開示の義務がございますし、分割計画書、分割契約書は株主総会の特別決議によらなければならない、あるいは分割無効の訴えという事後的救済方法もあるというところに、株主の権利の保護も厚くなっているわけでございます。
#108
○西村(眞)委員 次に、債権者保護、株式会社は物的有限責任の原則のもとに運営されておるわけですから、債権者がどのように保護されているかというのは株式会社法の大原則でございますが、これは会社が二つに分かれてしまうわけですね。債権者に重大な影響を及ぼす。債権者の担保財産、それも運命が二つに分かれるわけですから重大な影響を及ぼすわけですけれども、この改正案において、株主保護の観点からどのような配慮がなされておりますでしょうか。
#109
○細川政府参考人 御指摘のとおり、会社分割は会社の資産に変状を生じさせ、資本の減少をもたらし得るものでございますから、債権者について影響があることは、まさに御指摘のとおりでございます。また、免責的債務の引き受けについても、個別の承諾を得ない、必要でないということといたしますので、会社の債権者を保護する必要があるわけでございます。
 それで、これについては、株主とほぼ同様でございますから、会社分割の内容を事前に開示する、それから、債権者保護手続を設けて債権者に異議を述べる機会を与える、そして、異議があれば原則として弁済、担保の提供を行う、それから、分割無効の訴えの提訴権者に含めるということにしています。
 さらには、本来、債権者保護手続上、個別の催告をされるべき者が催告されなかった場合には、分割の当事者の双方に対して債権があるという形にしているわけでございます。
#110
○西村(眞)委員 双方に対して債権があるという形での保護というのは、ある意味では私は印象的なんでございますけれども、これはこの債権者保護がより厚くなっていると理解していいのでしょうか。また、会社の基本的な変更、合併と比較した場合は、より厚いのかどうかということについてお答えいただきたい。
#111
○細川政府参考人 まず債権者保護のやり方として、会社が通常定款で定めておる公告方法によるときは、個別の催告はなくてもいいということが合併については商法に規定がありますが、この会社分割については、より影響が大きいと思われますので、原則として個別の催告が要るんだということにしております。それから、先ほど申しましたように、催告を受けなかった場合には、債務が双方の会社について発生するということがございますので、そこで従来の合併よりもより手厚くなっているというふうに考えております。
#112
○西村(眞)委員 よくわかりました。
 次に、先ほども問題になっておりました雇用契約の観点からお聞きいたします。
 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案が、別途労働委員会で審議されておるわけでございますけれども、この会社分割によって、分割会社で働いていた労働者に関する雇用契約はいかになるのかというのがこの法務委員会でも関心の一つであるということは御承知ですから、この観点について、雇用契約がどうなるのかということについてお話をいただきたい。
#113
○細川政府参考人 商法改正法案におきましては、会社分割による承継の対象とされた営業を構成する労働者に係る労働契約は、分割計画書等に記載された場合には、分割の効力の発生により、その労働者の同意なくして当然に承継されることとなります。
 そして、この法案を受けまして、現在労働委員会で御審議中の労働承継法案では、承継の対象とされた営業に主として従事した労働者に係る労働契約が分割計画書等に記載されていなかった、つまり承継の対象とされていなかった場合には、その労働者は異議を述べることができる。異議を述べたときは、その労働契約は分割により当然承継されることとなります。
 それから今度は、承継の対象とされた営業以外の営業に主として従事した、つまり承継の対象とした営業に従として従事したという方につきましては、その労働契約が分割計画書等に記載されて当然承継されるものとされても、その労働者は異議を述べることができる。異議を述べたときは、その労働契約は分割に承継されないで、従来主として従事した営業の方にそのまま残る、そういうことになっているわけでございます。
#114
○西村(眞)委員 労働者の主体的な選択の余地が残されるということでございますね。
 この労働者の保護に関して、労働契約上の労働者の地位、これはある意味では債権であるわけですね。それは先ほどお伺いした債権者保護の手続、これに関して、労働者も債権者保護の手続の対象になる債権者であるのか否かということについて、確認的に御質問いたします。
#115
○細川政府参考人 分割の当事会社と労働契約を締結する労働者のうち、労働契約から生じた未払い賃金債権や社内預金債権、既に勤務した期間に対応する退職金債権等を有する労働者については、債権者保護手続の対象となります。
#116
○西村(眞)委員 あらかじめお渡しした質問項目はこれで終わりまして、ただ、修正案というものがこの委員会が始まってから私の手元に参りました。これは法務省とは違う政治の場での修正案ですから、法務省の見解をちょっと参考までにお伺いしたいと思います。
 私もこれを持ち帰って党内で判断するということになりますので、この場では当然法務省の考えをお聞きするのが順序であろうと思いますのでお聞きしますが、これは商法という基本法の中の改正でございますね。権利義務、分割会社から承継する権利義務ということを基本法が言いますと、例示をするというふうなことよりも、すべて入るわけですね。私の感覚では、基本法に例示するという例は他にあるんだろうかというふうに、私は先ほどこれを拝見してぱっと思ったんです。
 体系的な整合性というものは、基本法においてはやはり維持されねばならないというのが私の考えでございますが、基本法に権利義務と言う場合に、例えば何々の権利、例えば何々の権利、例えば何々の権利と個別的に例示を始めますと、これは際限がありません。しかし、この基本法には例示という形での修正の提案があるとお聞きするので、基本法に権利義務とある場合に、その権利の内容は何か、義務の内容は何か例示する例は他にあるのかどうかということについて、あらかじめ質問するとは申しておらなかったので失礼ですが、今そういうことをお答えできましたらば、ちょっと教えていただけませんでしょうか。
 それからまた、もう一つ、附則第五条の修正案、これは事前に労働者と協議することを会社に義務づけるということですね。これもまた基本法における整合性という観点からお聞きしたいんですが、例えば他の包括承継、合併などの場合にこういうことは入っておるのかどうかということですね。仮に入っていなければ、同じ包括承継の中で、合併には入っていないけれども会社分割には入っているということは体系上いかに理解すべきなのかというように思って、質問にあらかじめ申しておきませんでしたけれども、今お答えいただけるならば、法務省としてのお考えをちょっとお聞きしたいと存じます。
#117
○細川政府参考人 基本法中に例示の例があるかということでございますが、これは、ただいま御提案中の商法の一部を改正する法律案の三百七十四ノ十一に例示の例がございまして、「取締役ハ第三百七十四条ノ四ニ規定スル手続ノ経過、」云々云々「権利義務並ニ財産ノ価額及債務ノ額其ノ他ノ分割ニ関スル事項ヲ記載シタル」とございますから、商法中の、今回提案しているものの中にも例示があるわけでございます。
 そして、修正案は、政治の世界の話ですが、申し上げますと、要するに、権利義務の中に労働契約という契約上の地位が入っていることがわかりにくいという御意見があることは確かだというふうに思っているわけでございます。
 それから、第五条の協議の点について、合併に入っているかということですが、合併は一つの会社がすべて他の会社と法人格が合一化しますので、これは労働者がほかに行きようもない、全部一つになってしまうんです。ですから協議の余地はないと私は思っているんですが、ですから、そういうことで合併にはないわけです。
 ところが、この分割の場合には、分割する会社と分割によって設立する会社あるいは承継する会社、二つできますから、そのどっちに行くかというのが大変問題になるということで、協議ということも、民法六百二十五条ではもともとは個別の同意が要ったものですから、そこのところは民法、商法の体系も、先ほど北村委員の御質問にもお答えいたしましたが、整合しないということはないというふうに申し上げたところでございます。
#118
○西村(眞)委員 これで質問をやめます。ありがとうございました。
#119
○武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#120
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。木島日出夫君。
#121
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 商法等の一部を改正する法律案、いわゆる会社分割法と、労働委員会で審議をしております会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案、一括して私は質問したいと思うんです。
 中心テーマは、企業分割において雇用された労働者の法的地位はどうなるか、雇用や労働条件が本当に守り抜けるのかという点について質問をしてみたいと思います。
 最初に、企業分割と労働者の雇用や労働条件を守るという関係についての法務大臣の基本的な姿勢についてお伺いをいたしますが、既に行われた衆議院本会議の答弁で、法務大臣から、会社分割によるリストラ強行のおそれについての質問に対して、「労働契約上の地位も、分割計画書等に記載することによりそのまま承継されることとされており、また、労働契約承継法案によって適切に労働者の保護が図られますので、御懸念には及ばないと考えております。」こういう答弁をされております。
 中身については、私はこれから細かく法務省当局や労働省当局にお伺いしますが、基本的なスタンスとして、法務大臣として、今回商法改正法案を出し、企業分割法制が新たに日本の企業法としてつくられることになるわけだが、企業分割によって、労働者の雇用や労働者の従前の権利、労働条件、これがいささかも切り下げられたり首を切られるようなことがあってはならない、そういうスタンスに今いるということは答弁願えますか。労働者の地位はどうなってもいいというスタンスなのか、そこを、まず基本的なスタンスをお聞きしておきたいと思うんです。
#122
○臼井国務大臣 この企業分割の新しい法制というのは、かねてから私どもが、国際化の中における企業のあり方、企業がしっかりとそれに対応していくためにはどうあるべきかということについて努力をいたしてまいりましたその一つの流れの中にあるものでございまして、企業がしっかりとこの国際化の中でもって繁栄をしていくということは、ひいては労働者のためにもプラスになる、こう考えております。
 今回、この会社分割法制を導入するに際しましては、いろいろな配慮をいたしまして、働く労働者に不利益を及ぼさないような配慮をいたしているところでございます。例えば営業単位の分割にいたすとか、そういうことも配慮しておりまして、委員御指摘をいただきました点につきましては、私は心配ないと考えているのでございます。
#123
○木島委員 私は、心配ないかどうかはこれからただしますので、労働者の地位を脅かしてはならぬという立場にきちっと立っているのかどうなのか、その姿勢を一言言ってほしかったんですが、言っていただけるのなら。
#124
○臼井国務大臣 委員御指摘のような姿勢に立って、これからやってまいりたいと考えております。
#125
○木島委員 それでは、その件について、具体的に法案に則してお聞きしたいと思うんです。
 既にこれまでの質疑の中で、法務当局から、今回新たにつくり出される企業分割によって、分割会社の営業の全部、一部が移動する、新設される、あるいは既存の企業、会社に承継されるということでありますが、そこで、承継される対象である営業、この基本的な概念について、非常に基本的な大事な部分ですからお聞きします。
 先ほど答弁の中にも、本法で対象となる営業、分割会社から切り離される営業というのは、商法二十四条以下のいわゆる営業譲渡の営業と同じだ、昭和四十年九月二十二日最高裁判決で定義された営業と同じだと答弁がありました。
 最高裁判例では、営業とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産、得意先関係等の経済的価値ある事実関係も含むという、そんな概念が既に確定判例として確立していると思いますが、本商法改正法案の企業分割における、会社分割における営業というのもそういうものとして位置づけていると、改めて法務当局に確認をしておきたいと思うんです。それでよろしいですか。
#126
○細川政府参考人 本法案に用いております営業の概念は、従来の営業譲渡における営業の概念と同じでございまして、この点は御指摘のとおりでございます。
#127
○木島委員 次も確認でありますが、それでは、その営業の概念の中には、分割会社と雇用関係にある労働契約、個別的労働関係、集団的労働関係、そういういわゆる雇用関係も営業の概念の中に当然含むと考えてよろしいですね。確認です。
#128
○細川政府参考人 営業は、ただいま木島委員から御指摘のとおり、有機的一体としてのものでございますので、労働関係についてもこれに含まれるわけでございます。
#129
○木島委員 それでは次に、この会社分割法で想定している営業なるものの規模についてお聞きしたいと思うんです。
 最小限度というものは法律上想定されているんでしょうか。これまでの答弁の中で、有機的一体として機能する財産ということであるから、個々の機械とかバス一台とか、そういう個々の財産という概念ではないという答弁がたしかあったかと思うんですが、それでは、その営業の規模、最小限度というのは想定しているんでしょうか。例えば、製造機械数台とそれを使用する労働者数名のみを大きな企業体の中から切り取って分離する、いわゆる細切れ分割といいますか、そういうのも営業の概念に当たれば、立派な営業の承継として企業分割の対象になるとお聞きしてよろしいんでしょうか。
#130
○細川政府参考人 営業として有機的一体として機能するものであれば、その規模の大小は問わないわけでございます。最高裁大法廷の判決の事案も、これは製材工場の事案でございましたが、要するに、規模の大小は問わないということです。しかしながら、営業として構成できるものではなければならないということでございます。
#131
○木島委員 それでは次に、営業として構成できるものであれば、生産メーカーなら一定のまとまった製造にかかわる物的設備が承継されるが、労働者は、承継される会社に現に存在する労働者を使用すれば足りる、そういう場合もあり得ますね。労働者は抜きにして、財産、設備等のみ切り離して承継を受ける会社に移す、そういう場合も、一緒についていく労働者はゼロという場合も、それが有機的一体として機能する財産と認められれば立派な企業、会社分割であり、それはこの法律によって想定されているいろいろな形の一つの形態である、そうお聞きしてよろしいんでしょうか。
#132
○細川政府参考人 営業と営業用財産とは異なります。したがいまして、営業を構成する物的財産のみを取り出した場合には、それは営業ではございません。営業というからには、営業用財産のみならず、営業の組織、仕入れ先関係、得意先関係その他の、その営業が有機的一体のものとして機能するに必要なものが含まれるわけでございます。したがいまして、労働契約でも、これがなければ有機的に一体として機能できない場合には、当然に営業に含まれるわけでございます。
#133
○木島委員 それでは、仮に労働者が一緒に承継されなくても、財産なりいろいろな関係だけでも、判例で言う有機的一体として機能するものなら、それは企業分割として立派に成立する、会社分割として成立すると聞いていいですか。
 具体的に言いますと、大阪で、ある信用組合の事件が今係争中であります。経営が破綻をして、その金融機関で働く労働者全員を首切って、そして支店ごとに分割して、融資先、銀行の建物、支店の建物、什器、備品、ノウハウ、そういうものを切り売りして受け手の金融機関に譲り渡している、それが争われているのですね。あれは、まだこの商法改正ができる前ですから、もちろん営業譲渡という概念でありますが、営業の概念は同じですからね。労働者がだれもついていかないようなものはこの商法で言う営業の承継ではない、そう言い切っていいんですか。
#134
○細川政府参考人 有機的一体として営業が機能するためには、労働契約を含むことが大部分だと思います。したがって、労働者が一人もついていかない営業ということがあるかどうかわかりませんが、実際上考えられる事例はまれであると思います。
 しかし、純理論的にお答えいたしますと、承継対象とされた営業に従事している労働者が完全に欠けた場合であっても、その余の財産の集合体のみで営業を構成しているという評価ができる場合には、そういう場合には営業というふうに言うことができると思います。
#135
○木島委員 要するに、できるという答弁ですよね。今答弁の中で、労働者がだれも行かないような営業の承継というのはまれだとおっしゃいましたが、まれじゃないからこそ私は質問するんです。現にあるから、心配だから質問しているんですよ。
 要するに、分割会社が労働者を全員首切って、会社の経営が厳しいという理屈で全員首切って、そうすると残るのは財産ですよ。そして、銀行なら債権者との関係でしょう。製造会社ならいろいろな下請との関係でしょう。商業ならいろいろな顧客との関係でしょう。さまざまなノウハウや物的なものが有機的一体として機能する財産としてある、しかし労働者は全員解雇していて引き受け手の会社の労働者を使えばいいんだ、そういう使われ方を大いにされる懸念を私は感じているからこそ、それができないならできないと今はっきり言っていただければ、労働者の権利保全にとって非常にいいことだと思ったので聞いたんですが、そういうことも会社分割としてはあり得るということをお認めになりました。
 私は、そうしますと、まずこの法案が成立すると非常に悪用されるんじゃないかということを本当に心配しておりますので、次に具体的な問題について立ち入ってお聞きしたいと思うんです。
 それでは、営業という概念は、商法の営業の譲渡と本改正法案による会社分割の営業の承継とでは同じ概念だと。そうすると、営業の譲渡で言う譲渡と本改正法案で言う営業の承継、分割における営業の承継と、どこがどう違うんですか。何がどう違うんですか。
#136
○細川政府参考人 先ほどの答弁に若干付加させていただきますが、巷間、営業譲渡の名前のもとに営業用財産の譲渡が行われているということがあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、繰り返しになりますが、営業として機能するために必要な労働契約というものは営業の中に含まれるんだということを、改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 そこで、先ほどの会社分割と営業譲渡の差異でございますが、営業譲渡は商人が行う取引行為の一つでございまして、売買等に関する民法や商法の規定によってその要件及び効果が律せられる特定承継の性質を持つものでございます。これに対して、会社分割は商法による組織法上の行為でございまして、合併と同様、包括的承継の性質を持つものでございます。
 以上のような法律的な性質の差異から、まず、営業譲渡においては、譲り受け会社から譲り渡し会社に対価としての金銭が支払われるわけでございますが、会社分割におきましては、営業の承継の対価はなく、分割会社またはその株主に対して株式が割り当てられることがあります。
 それから、営業譲渡におきましては、譲渡の対象となる営業に含まれる債務を免責的に承継させるためには、債権者の個別の承諾が必要であるのに対し、会社の分割の場合にはこれは不要でございますので、債権者保護手続を要すること等の相違があるわけでございます。
 それから、先ほどの答弁にもう一つ追加させていただきたいのは、ただいま木島先生の御心配になるような事態を想定して労働承継法案が提出されているということを御理解いただきたいと思います。
#137
○木島委員 法の概念として、営業の譲渡は取引上の概念である、会社分割における営業の承継というのは組織法上の概念である、よって、営業の譲渡の方は個別的権利関係の承継だ、会社分割における営業の承継というのは包括的な承継だと。理論的、観念的、法律学的には私もその違いはよくわかります。しかし、その違いによって、承継される労働者の雇用契約上の地位が違うという理屈は出てくるんでしょうか。
 具体的に聞きます。先ほど来の質疑の中でも明らかです。営業の譲渡の場合は民法六百二十五条の基本原則が適用される。営業の譲渡の場合には、その譲渡する会社に働く労働者の個別的同意がなければ、営業を譲り受ける会社の方に労働者は移籍されない。確立した民法六百二十五条の解釈があり、判例があり、これはいささかも揺らいでいません。同意なき移籍というのは許されない、法律上成り立たないわけですね。
 ところが、本件会社分割における営業の承継の場合は、先ほど来の民事局長の再三の答弁にもありますし、本会議における法務大臣の答弁もありますが、包括承継なんだから移籍される労働者の個人的な同意は不要だ、必要ない。同意がなくても、分割契約書、分割計画書にその労働者が名前が載ったり、その労働者が載っているということが特定されれば、有無を言わさず同意なき移籍が可能なんだ、そういうことですね、ずっと今までの答弁を聞いていますと。
 営業という概念は同じだと。では、営業の譲渡と分割における営業の承継との違いは、組織法上の考えか取引上の概念かの違いだ、それは理屈の上ではわかりますよ。しかし、実際その違いが何で――そこで働く労働者が承継される場合ですよ、譲渡の場合は一緒に譲り渡されていくわけですから。労働者の地位から見て、何で片っ方は同意が必要で、企業分割の場合は同意が必要なくて労働者を移せるというふうに言えるんですか。
 民法の基本原則というのは、法人格が違う二つの会社に労働者が移動させられるときには、基本原則として労働者の同意がなければ法人格が違う法主体に労働者の権利は移らぬという、その根本的な原則を定めたのが民法の六百二十五条でしょう。もうちょっと説明してください。
#138
○細川政府参考人 民法六百二十五条は個別的な承継に関する場合の規定でございまして、包括的承継の場合には適用はありません。このことは合併の場合を考えてみればおわかりいただけると思いますが、合併の場合には本人の同意なく当然に承継されるわけでございます。
 会社分割についてもこれは同様でございます。そして、会社分割によって、労働契約が承継されることによって、その内容は従前のとおりに承継されるわけですから、労働契約が一方的に解除されたり契約条項が変更されたりすることはないわけでございます。
 また、会社分割は営業を単位として行われるため、ほとんどの場合には労働者は分割前と同じ職場につくものと考えられますから、労働者の保護は実質的に図られていると考えております。
 なお、イギリス、フランスでは労働者の同意なくして労働契約が承継されまして、分割による労働契約の承継について労働者は原則として意見を有しないものとされているわけでございまして、こういう立法例は外国にもあるわけでございます。
#139
○木島委員 今の法務省の考えは、この商法の改正から理論的に純粋に導かれる考えだということですね。同時に、並行的に審議されている労働契約承継法があろうとなかろうと、成立しようとしまいと、この商法改正ができれば、移籍する労働者の同意なくして労働者は営業の一部分として包括的に譲り受ける会社に身分が移動していく、商法からおのずと出てくる考えだという立場ですか。
#140
○細川政府参考人 これは、商法自体がそのように決めていると私どもは考えております。
#141
○木島委員 それでは、さらに突っ込んで聞きます。
 先ほど労働省からも答弁がありましたが、実はこの企業分割法、会社分割法ができたときに一番心配なのは労働者の雇用、地位だと。それで、労働省の中に企業組織変更に係る労働関係法制等研究会がつくられ、学者の皆さんが審議をし、そしてことしの二月十日、その研究会報告書が出されたわけであります。
 その研究会が労働者側からも意見を聞きました、使用者側からも意見を聞きました、そして使用者側の意見の中にこんなのがあるということが報告書に書かれております。「上記の会社分割に際し、本来、民法第六百二十五条が当然適用されるところ、」だから、使用者側がこの研究会で述べたところによると、使用者側も、商法改正による会社分割に際しても、本来、民法第六百二十五条が当然適用されるところ、そう思ったというわけですよ、財界、企業家も。「「ところ、労働契約の承継等に関する法律により、はじめて労働者の個別同意が不要となり、労働契約は原則として当然に承継される。」というのであれば、このような法律は会社分割を簡易・迅速にするものとして理解できる。」こういう意見が企業家の方からこの研究会で語られているのですね。
 要するに、商法改正だけなら民法六百二十五条は排除されないのじゃないか。本来、相変わらず、移籍される労働者の個別同意がなければ、会社分割といえども勝手に労働者を移すことはできないのじゃないかと考えている、しかし、その懸念を払拭してもらうために、別途労働契約、雇用契約承継法をつくってもらってそっちの方で、いや、そういう場合には労働者の個別的な同意は不必要なんですよとはっきりさせてもらえれば、それは非常に結構なことだ、そういう意見を述べている。
 もう一つ非常に大事な、これは研究会の報告書としての結論部分でこんなことを指摘しているのです。「会社分割法制における労働契約の承継については、部分的包括承継とされており、労働関係上特段の法的措置を講じない場合には、当該労働者の同意なく承継できる法制とされているが、」さっき民事局長が答弁したとおりですね。その後が大事なんですよ。「この法制に係る裁判上の解釈として、事例によっては実態としての営業譲渡との類似性から、民法第六百二十五条第一項(使用者がその労働契約を譲渡するに際して労働者の同意を必要としている。)が類推適用される可能性は否定できない。」研究会報告はこう言い切っているのですよ。「このため、労働契約の承継をめぐって、関係者に混乱が生ずるおそれがある。」
 意味はわかるでしょう。商法の改正によって会社分割法制だけをつくったのでは、原則は民法六百二十五条の適用がないから労働者の個別同意がなくても移籍させることができるのだが、実態として営業譲渡との類似性があるから、そうはいっても六百二十五条が類推適用される可能性は否定できないのだ、関係者に混乱を生ずるおそれがあると。
 そこで研究会報告書は、「以上の点から、格別の立法措置を講じない場合には、会社分割法制は、労働契約の承継について労働者の保護や労働関係承継のルールの明確化に欠けることとなるのではないかと考えられる。」と。だから、保護はともかく、ルールを明確にするためにも労働契約、雇用契約承継法というものをつくって、民法六百二十五条はもう適用はないのだ、個別労働者の同意なくしても新設会社あるいは既存の営業を譲り受ける会社に分割会社から労働者を移籍できるのだというふうにはっきりさせた方がいいという意見書なんですね。
 そうすると、この考え方は、民法六百二十五条が適用されるかどうかまだまだあいまい、商法だけではあいまい、そこで同意なき移籍を可能とさせることをはっきりさせるためにこそ雇用関係承継法が必要なんだという立場で物が書かれ、その研究会報告を受けて労働省が別途労働契約承継法をつくったのじゃないかと思うのですね。
 労働省にお聞きします。やはり労働省は、そういう立場で物を考えて労働契約承継法をおつくりになったのでしょうか。
#142
○石本政府参考人 お答えいたします。
 先ほど委員の御指摘されました企業組織変更に係る労働関係法制等研究会報告は、御指摘のとおりでございます。私どもとしましては、この研究会の報告を受けまして、労働省において法務省と連携しながら今回の労働契約承継法案を提出させていただいているものでありまして、この会社分割による権利義務の承継は、合併における場合と同様、いわゆる包括承継に当たるものでございまして、民法第六百二十五条の規定は、労働契約承継法案に明らかなように、会社分割制度においては適用されないこととされていると考えております。
#143
○木島委員 労働省の考えは変な考えですね。あなた方がつくった研究会の報告の考えと違って、法務省の頑固な、かたくなな解釈の上に乗っているというのは本当におかしな立場だと私は思います。
 それはともかく、同意なき移籍が強要されるということは、今までの日本の労働者の権利、地位にとって大変な転換なんです。大改悪、大転換と言わなければなりません。
 これまでは厳然として、法人格が違うところに労働者が身分を移されるときには絶対的に労働者の同意がなければできないのだというのを、当たり前のように法律も解釈されていたし、民法はそうだったし、そのように労使慣行が行われていたし、それをやらずに移籍させれば、それは裁判所によって当然無効というふうに確立していたものなんですよ。その労働者の一番大事な権利を、今回、商法で、会社分割法をつくることによって、包括承継だから労働者の同意がなくて移籍させることができるんだなんという、私に言わせればそんなものはへ理屈ですよ。
 組織法か取引法かなんという、そんなのは、取引者にとっては大事なんでしょう。会社経営陣、会社株式にとっては、単なる取引法か組織法かは大事なんでしょう。しかし、そこで働く労働者の地位にとっては、そんなのどうだっていいのですよ、形は一緒なんですから。営業の譲渡も分割による営業の承継も、その労働者にとっては、その会社から違う会社に移されるのだという決定的な違いなんですから、それを、同意が今までは必要だったという法律、制度から、同意なくしてやれるのだというのは、これは完全な労働者の権利剥奪法なんですよ。
 私は、そういう立場に法務省が立って商法を立案したのだから、ではせめてそれに歯どめをかけて、労働者の地位、権利を守ろうじゃないか、労働者の同意を必要とする法律を労働省でつくろうじゃないかというのなら、この労働契約承継法の中に、そういう場合も民法六百二十五条は適用になるのです、包括承継とはいっても、労働者の同意がなければ、その労働者はもとの分割会社から新しい承継会社に身分は移るものじゃないのですよ、そういう法律をつくるべきだったのじゃないでしょうか。そんなのはないのですね、この承継法の方に。何でそういう大事な権利を守ってあげなかったのですか、労働省。
#144
○石本政府参考人 お答えいたします。
 労働契約承継法案におきましては、承継営業を主たる職務とする労働者でありまして労働契約が承継されることとされた方につきましては、合併と同様に雇用や労働条件の維持が図られていること、それから承継後も、ほとんどの場合に、分割以前についていた職務と同じ職務に引き続きつくと想定されているといったことから、これらの労働者の方につきましては実質的な不利益はないと考えております。
 また他方、円滑、容易な会社分割の必要性が要請されることをあわせかんがみれば、当然承継として差し支えないと考えております。
 さらに、民法第六百二十五条との関係につきましても、この規定は、権利義務の承継につき包括承継とされる合併には適用されないとする解釈が確立しておりまして、部分的包括承継として構成されております今回の分割法制にも適用ないし類推適用がないとすることは、法理上も問題はないというふうに考えております。
#145
○木島委員 労働省がそんな答弁をしていてはいかぬと私は思うのです。組織法上、包括承継だから、労働者の個別同意なしに同意なき移籍を認めてもいいんだなんということは、それは商法上の考えであって、労働省は労働者の地位、権利がどう守られるかを考えるべき役所だと思うので、おかしいと思うのですね。
 それで、先ほどの法務省の答弁も今の労働省の答弁も、いずれも、今私が問題にしているような場合には当該労働者の保護に欠けるところはない、そっくりそのまま営業とともに労働者の地位も移るんだから、当該労働者の保護に欠けることはないとおっしゃいます。私は、その考えがもう根本的に間違っていると思うのです。
 それはなぜかというと、こういう場合が当然想定されるからなんですよ。分割会社は、国際競争に勝ち抜くために分割するわけですね。そうすると、一番想定されるものはどういう分割のやり方かというと、その企業体の中に採算部門と不採算部門があるでしょう。会社は企業競争力を高めるために不採算部門を切り捨てたいわけですよ。不採算部門を切り捨てて、それとともに労働者を首切っていきたい。そうすれば採算部門、優良部門だけが残って、その企業は国際競争力が高まるわけですから、それを考えるわけですよ。まさにそれをやりやすくするためにこそ今回の会社分割法制が急がれたわけでしょう。そうしたら、企業分割による営業の承継として、その会社の中の不採算部門が移された、大いに想定されるわけです。
 そうすると、たまたまその不採算部門の中で主たる労働に従事している労働者が、黙って、自分の同意もなしに、切り捨てられる運命にある不採算部門とともに新会社に移されたのでは、それは、遠からず自分が首を切られる、労働条件が切り捨てられるというのがむざむざ目の前に見えながら異議も言えないということになるのじゃありませんか。
 まさに労働者にとって、そのもとの分割会社に残るか、新しくできる承継会社あるいはどこかの既存の引き受けてくれる承継会社に移されるかというのは、その分割の形によって、優良部門が行くのか不採算部門が行くのか、そういういろいろな形態があるでしょう、会社の思惑もあるでしょう、そういう形によっては決定的に不利益になる。あるじゃありませんか、想定されるじゃありませんか。私が言ったような例は想定されませんか。
#146
○細川政府参考人 御提案申し上げております商法改正案では、会社の取締役が株主総会の後に備え置いて株主、債権者に開示すべき文書として幾つか挙げておりますが、その中で、「各会社ノ負担スベキ債務ノ履行ノ見込アルコト及其ノ理由ヲ記載シタル書面」を備えることとしております。
 これは、各会社、すなわち分割する会社または分割を承継する会社、この双方がいずれも債務の履行の見込みがあるということを要件としているわけでございますので、この会社分割の結果、債務の履行の見込みがなくなる、例えば債務超過になって債務の履行の見込みがなくなる、そういうような分割はできないということになっておるわけでございます。したがいまして、不採算部門で、当然企業が立ち行かなくなるということがわかっている場合には会社分割はできないということになるわけでございます。
#147
○石本政府参考人 労働省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、労働契約承継法案によります措置によりまして労働者保護が図られておりますし、また先生御指摘の懸念につきましては、繰り返しますが、今回の分割によります問題につきましては、合併と同様に雇用及び労働条件の維持が図られる、承継後も分割以前についていた職務と同じ職務に引き続きつく、この分割を理由にした解雇は適当ではないということをこれまで申し上げているところでございます。
#148
○木島委員 民事局長が、会社がやっていける見込みがあるということが会社分割の要件になっているから大丈夫なんだなんて、全くそんなの観念論ですね、空論です。分割のときはどんな絵柄もかけますよ。つぶすなんということは、腹の中に思っていても、表に出すときは、それは見えないようにして出すわけです。
 私は長野県なんです。長野県の佐久というところに高見沢電機という会社があるんですね。これは富士通の関連会社ですが、会社の中を真っ二つに分割しまして、そして新しい会社をつくって、千曲通信というんでしょうか、そっちに全員労働者は行けというんですよ。そして、行った労働者はもとの高見沢電機の賃金の四〇%カットなんですよ。それで強制されているんですね。それで、高見沢電機の方の労働組合は闘い抜いてそれを拒絶して、百人ぐらい相変わらず昔の労働条件を守って頑張っていますが、電機の部品の製造メーカーですが、一つの会社の中を真っ二つに割っちゃっている。壁をつくって、機械も二つに分けて、労働者を二つにふるい分けて、もとの高見沢電機の労働者と新しい千曲通信の労働者を分けちゃって、同じ労働をしておりながら、新しい方に行った労働者は会社の圧力のもと四割賃金ダウンで働かされる、こういうのが現にあるんですよ。
 だから、新しく設立される会社あるいは営業を承継する既存の会社、それが分割計画、分割契約のときにやっていけるという見込みがあるからといって、それでその会社が将来絶対大丈夫なんというのは断じて言えないわけですよ。むしろ、労働条件を切り捨てるあるいは一部労働者にやめてもらう、そういう条件が整えばその会社はやっていけるということになるんでしょう。そういういろいろなリストラ、合理化のやり方、企業分割法制を利用したやり方というのはあるし、まさに、そういうことを考えているからこそ、日本の資本はこういう法律を早くつくらせようとしているんじゃないですか。
 ですから、私は、この商法並びに雇用承継法によって承継される労働者が、もとの会社に残るか新しい会社に行くか選ぶ権利がない、そういう状況をつくり出すというのは、本当にとんでもない権利の切り捨てになるということを強くお話ししておきたいと思っています。
 雇用承継法を全部私もじっくり研究してみましたが、例外的な二つの場面についてのみ当該労働者の選択権があるだけでしょう。その二つの場合というのは、一つは、承継される営業に主として従事する労働者が分割計画書等に承継の記載がないもの、そういう労働者と、それ以外の分割会社の労働者で、持っていかれると思っていない労働者が分割計画書等に新設会社に承継するという記載がされた、そういう本当に例外的な二つの種類の労働者についてのみ、異議を出して、行かない権利あるいは行く権利が認められているだけですよ。
 それ以外ほとんどの部分が、労働者は分割会社に残るか、新設あるいは承継を受ける会社に移籍させられるか、どっちかにさせられるわけですが、自分の意思で選択することができないわけです。そうでしょう。そういう仕組みであるということは間違いないでしょう、法務省。
#149
○細川政府参考人 民法六百二十五条は、使用者は……(木島委員「六百二十五条の話じゃないです。労働者の……」と呼ぶ)ですから、これは適用がないわけですから、したがいまして、営業に従事している労働者については分割計画書等の規定に従ってそれが当然に承継される、したがって、同意はその点については不要であるということは、再三申し上げているとおりでございます。
 なお、先ほどの事例で、分割して二つの会社になって片っ方が労働条件が切り下げられたという御指摘がございましたが、これは各個の事例ですから私は知りませんが、会社分割法制を用いたものではないことは明らかでございます。会社分割法制におきましては、これは包括承継でございますので、労働契約が承継された場合は、従来の労働契約のまま、そのまま承継されるわけでございまして、会社分割によって労働条件が一方的に変更されるということはあり得ないわけでございます。
#150
○木島委員 だから、さっきの私の佐久の話は、たまたま幸いにしてまだ日本の社会には企業分割法がないから、会社が無理やり労働者の同意をとった形にして、新しい会社に強制的に、事実上の強制ですな、行かせて賃金を四割ダウンさせているという話なんですよ。今度は、この法律ができたら、そういう場合に同意なんかなくたって賃金何割カット、そういうところへ無理やり移籍させられるということが始まるということ、そういう権限を会社に与える法律が商法改正であり、労働契約承継法になっているということを指摘しているんです。
 次に、解雇の問題についてお聞きします。
 再三これまで法務省は、法務大臣も含めて、日本には今整理解雇の四要件がある、裁判所でそれが判例として確立されているから、今回の会社分割法をつくっても労働者の雇用は守られるんだという答弁でありますが、そんなことも全く机上の空論だということを私は指摘したいと思うんです。
 なぜかというと、確かに答弁にあるように、この企業分割法ができたときに、企業分割そのものによって労働者は首を切れないでしょう。分割会社が二つの会社に分かれる、あるいは三つ、四つに分かれるときに、その分割会社で雇用される労働者はどこかには配置されるわけですね。もとの会社に雇用が継続するか、新しい先に同意なく移籍させられてしまうか、いずれにしろ、分割それ自体によって労働者の地位が失われるということは、法律上ないでしょう。
 しかし、さっき言ったような会社のねらいからして、不良部門、不採算部門を寄せ集める、そこへ労働者を持っていく、そして一年か二年やらせてみて賃金を二割ぐらいダウンすれば、不良部門だから経営はやっていけるが、もとの会社のままの賃金、労働条件だったら赤字ですから、一年、二年たったらもう会社経営が破綻して倒産。破綻すれば全員解雇。そういう場合には、最高裁の四要件なんというのは成り立つはずがないんですね。会社がぶっつぶれる寸前ということになれば、全員解雇だって裁判所は認めるでしょう。そういうことがまさにねらいとしてあるわけでしょう。
 だから、私は、最高裁判例で四要件があるから労働者の地位は守られるんだなんというのは真っ赤な偽りじゃないかと言わざるを得ないと思うんですが、どうですか、法務省。
#151
○細川政府参考人 再三申し上げておりますとおり、会社分割では承継される労働契約は従前の労働条件のままに承継されるわけでございまして、会社分割によって労働条件が一方的に切り下げられるということは、法律ではあり得ないことでございます。
 また、先ほど申し上げましたとおり、分割につきましては両当事会社が債務の履行の見込みがあることを要件としておりますので、その見込みのない分割は許されません。したがいまして、当然、つぶれるということではないと考えております。
 会社が倒産した場合には会社自体が業務ができなくなるわけですから、その場合には、労働者の解雇といいますか、職を失うという状態が生じますが、それは会社分割や合併とか再編とはかかわりないことでございまして、要するに、経営がうまくいかなければ労働者の雇用の安定が図れないということだと考えております。
#152
○木島委員 そこをお認めになるんでしょう、やはり最後は。分割のときの採算の見込みがあるかどうかなんという、ほんの一瞬の、そのときだけにしがみついて、だから同意がないのにそっちに移籍させられている労働者の地位は守られるなんというのは、日本の経済社会の中でありようがないんですよ。
 では、こう聞きましょう。不採算部門が分割によって切り離された、この経営が破綻したとき、こちらの不採算部門の方に移籍させられた労働者の雇用を、採算部門として残った既存会社、分割会社、そっちが守る、雇用を引き受ける義務は法律上あるんですか。
#153
○細川政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、債務の履行の見込みがない場合には会社分割ができないわけですから、それを前提として御質問なされても、私どもはお答えしようがないわけでございます。
#154
○木島委員 答えられなくたって、そんなの引き受ける義務はないのですよ、法律上。資本上、分割会社と承継会社は別会社なんですからね。資本が別だ。親子関係で今度は分割といった場合は、労働者はちょっと闘う権利はあるでしょう。しかし、親子関係じゃなくて兄弟関係で分割が行われたときは資本は別だというので、そういう場合は恐らくなかなか、生き残った優良部門だけで構成された会社に、雇用を守れ、あんた、分割が悪かったのじゃないかということで雇用を承継させることは、非常に困難だと思うのです。
 また逆も成り立つのです。優良部門だけが切り離されていってしまったという場合、残された分割会社がいわゆる不採算となって経営が破綻した、こういう場合に、では残った方に雇用されている労働者が、優良部門だけ持っていかれてしまった、しかし自分は意見を言う権利はないのでしょう、この法律で。残されたのが不良部門だけで、それで破綻した、首を切られた。では、優良部門の方の会社、新設会社か承継会社か知りませんが、おれの雇用を守ってくれ、そう言う権利はありますか。権利があるかどうかだけ、法務省に答えてもらいましょう。
#155
○細川政府参考人 雇用契約は、雇用契約を締結している会社との間の契約関係でございますので、法人格否認の法理等が適用のない限り、他の会社に対して雇用を要求する法律上の権利はないわけでございます。
#156
○木島委員 時間ですから終わりますが、今、おわかりのように、この企業分割法制、会社分割法制ができて、これが自由自在に使われますと、労働者は自分の意思にかかわらず、既存会社、分割会社に残されるか、新しい会社に強制的に移籍させられるか。そして、いずれにしろ不良部門なり不採算部門に行かされた労働者は、有無を言わさずやはりリストラ、合理化の憂き目に遭う。それを守る仕組みがこの商法改正にも労働関係承継法にも全くないということだけ指摘して、きょうのところは質問を終わります。
#157
○武部委員長 保坂展人君。
#158
○保坂委員 社会民主党の保坂展人ですが、まず基本的なことから法務省民事局長に伺います。
 労働者は会社分割にどのように関与、権利行使ができるのか。それぞれの場面での具体的な内容と根拠条文を簡単にお示しいただきたいと思います。
#159
○細川政府参考人 御提案申し上げております商法改正法案上は、労働者が労働者としての地位に基づいて会社分割手続に関与することは想定しておりませんが、当該労働者が未払い賃金債権や社内預金債権、あるいは既に勤務した期間に対応する退職金債権等を有する場合には、債権者として事前備え置き書面の閲覧、謄写をすることができる。これは三百七十四条ノ二と三百七十四条ノ十八に規定してございます。それから、債権者保護手続の対象となります。これは三百七十四条ノ四と三百七十四条ノ二十で規定しております。
 それから、事後備え置き書面の閲覧、謄写をすることができます。三百七十四条ノ十一と第三百七十四条ノ三十一で規定しております。なお、この事後備え置き書面については、株主、債権者のほかに利害関係人も閲覧することができることになっておりますので、労働者はこれを閲覧することができます。
 さらに、労働者が先ほど申し上げましたような債権を有する場合には、分割無効の訴えを提起することができることとなるわけでございまして、この点は三百七十四条ノ十二及び三百七十四条ノ二十八に規定しているところでございます。
#160
○保坂委員 御丁寧にありがとうございます。
 先ほどの木島委員とのやりとりを聞いていまして、私に対する法務省の説明でも、そもそも債務履行の見込みがない不採算部門のいわば計画分割のような、そういうことはあり得ないことであるということを再三聞いておりました。
 したがって、そういうことだろうというふうに理解をしておったのですが、調査室でつくられたこの黄色い表紙の調査資料、これは「金融財政事情」、去年の六月十四日の都銀懇話会が出した「会社分割制度の研究」というのがあります。民事局長、四十二ページをちょっとごらんいただきたいのですが、下の方に、アメリカにおいて不良債権を分離する一類型として会社分割が活用されたということが紹介をされ、さらに、いわゆる分社化の場合は経営リスクを負担し続けるという問題があると。そこで、「銀行における「企業分割」のニーズの一つである不良債権の分離については、リスクを遮断することが本来の目的であり、親子関係の残る「分社化」では、その目的を達成することができない。」それは都銀懇話会の極めて正直な記載ですよね、去年の。これはどういうことでしょう。
#161
○細川政府参考人 これは都銀懇話会が懇話会としての御希望を述べられたのだろうと思っておりまして、私どもとしましては、やはり不採算部門を切り離して間もなく倒産してしまう、そういうようなことは適当でないというふうに考えましたので、やはり解釈上、組織法上の行為、合併等については債務超過になっている会社なら合併できないとかいう法理があるのですが、そのことをはっきりさせなければいけないということで、債務の履行の見込みがあることという積極的な要件をつけ加えたわけです。
 私どもの意図といたしまして、この企業分割法制が、労働者の地位を脅かしたり解雇される、そんなことを目的としてやっているわけではないわけで、その点、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
#162
○保坂委員 それでは民事局長、簡潔に、この都銀懇話会は間違った御希望を出したということで確認してよろしいですね。御希望は御希望であって、今回は違いますよということですね。つまり、不良債権処理のという……。
#163
○細川政府参考人 これは、この文章だけ卒然と読みますと、私もちょっとよく理解できないところがあるのですが、少なくとも先ほど申し上げたような意味で、私たちの意図していることとは違うというふうに考えております。
#164
○保坂委員 それでは、言いかえれば、銀行が不良債権処理のために会社分割制度を大いに活用して、リスクを回避して、不良債権処理のためにこの制度を使うということはもう想定外、あり得ないことだということで確認してよろしいですか。
#165
○細川政府参考人 どうも、不良債権処理のために企業分割制度を使うという具体的イメージが私にちょっとわかないものですから、何とも言いようがないのです。正直に申し上げまして、そういうことでございますが、もう少し考えてみたいとは思っております。
#166
○保坂委員 世の中、建前と本音というのがありまして、やはり企業分割の中で、私もきのう相談を受けたケースで、極めて採算のいいバス路線を抱える会社があるそうですね、五十人ぐらいの。これは分社化なんですが、それが、一たん全員やめてもらう、そして相当の退職金などを払う。そして、全部今度新契約で、これは同意は問うていますけれども、ハンドルを握り続けたいのであれば、賃金はやはり四割減ぐらいでしょうか、こういう金額を示されて大変動揺しているという話を聞いております。今、会社分割制度がない中で、こういう企業再編、競争に対抗するためにということでいろいろ起きているので、その辺は、ではまた後ほどお聞きします。
 働く人、労働者といってもいろいろな立場がある。パートであったり、有期間雇用だったり、それぞれあるのですね。臼井法務大臣は前回の答弁で、会社分割においては、営業譲渡の場合と違って、会社の権利義務が営業単位で丸ごと引き継がれる、したがって、もう労働者の労働契約上の地位は基本的にそのまま継承されるので、一応その答弁どおりだとすると、正社員の場合は大丈夫というふうに我々も考えています。法務省の説明としてはそのとおりなんですが、それでは、先ほども触れたパートあるいは有期間雇用、いわゆる非正規雇用労働者についてこれらの保護というのは同様になされるのかどうか、どうでしょう。
#167
○細川政府参考人 御指摘のようなパート社員、あるいは有期契約で雇用されている、先生のお言葉をかりれば非正規雇用労働者の労働契約も、これは正社員と同じでして、労働契約である以上、分割計画書等の記載に従って、分割により営業とともに承継されるものでございます。
#168
○保坂委員 こういった人たちの場合、正社員に比べると大変立場が弱いですね。待遇や給料も極めて厳しい状況です。これらの雇用を抱える企業に対して、会社分割を企業が行うときに、十分注意を喚起する必要があるのではないかということですが、その点に関してはいかがですか。
#169
○細川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、分割自体を理由として、非正規労働者であっても労働条件が理由なく不利益に変更されることはないわけですが、御指摘のような問題があることはわかりますので、会社分割法制が成立した場合には、こういった分割法制の趣旨ということを十分周知徹底してまいりたいと考えております。
#170
○保坂委員 それでは、派遣労働者というスタイルもあるわけですね。派遣労働者の場合は、直接の契約は別の派遣元の会社というふうになると思うのですが、会社分割によってなお期間が残っている、全体の契約があと半年残っているなどの場合、会社分割を機に、中途だけれども打ち切ってくれないかなどの影響が起きてくるのではないかという心配もあるのですが、派遣労働者について伺います。
#171
○細川政府参考人 派遣労働者は、先ほどのパートとか期間の契約の労働者とは労働契約の内容が違っておりまして、営業部門に派遣労働者が従事している場合には、これはその会社と派遣元の会社が契約しているということになります。したがいまして、分割会社は、分割計画書等に派遣元事業主との間の労働者派遣契約を記載することによって、分割の効果として当該労働者派遣契約を承継会社に承継させることができることとなります。
 この場合には、派遣労働者は、承継会社が分割により承継した当該営業部門において、分割前と同様の状態で職務に従事することとなると考えております。したがいまして、先ほどのような事例は、分割によって当然生ずることではなくて、それは派遣元と派遣を受けている会社との間の協議なり契約に関する事柄でございます。
#172
○保坂委員 それでは、ちょっと時間も限られていますので、けさの新聞ないし先ほど与野党から修正案というものをいただきまして、いろいろとよく二つのものを読ませていただきました。
 そこで、先ほどのやりとりにもあったのですが、民事局長は、商法に労働者と書くことはあり得ても、労働組合は断固反対というお話がありましたが、商法で労働者と書いたときに、労働者とはどういう意味内容を指す存在なのか。
#173
○細川政府参考人 労働者と申しますのは、基本的には労働組合法上の概念、労働法規上の概念でございます。雇用契約とは基本的には重なるわけですが、若干の出入りがございまして、例えば、家族労働に従事している雇用契約というのは、多分労働者にならないのではないかと思います。それから逆に、有償委任とか請負というような形であっても、場合によっては労働者になる場合があるのであろうと私は思っておりますが、これは私どもの所管の法律ではないもので、そういうことでお聞きいただきたいと思います。
#174
○保坂委員 所管の法律ではなくても正しいことは言わなければいけないとは思いますけれども、職種、役職で区別されましょうか。管理職も労働者と考えていいですか。これは労働省ですか、どうですか。
#175
○石本政府参考人 お答えします。
 取締役等、役員でなければ当たると思います。
#176
○保坂委員 それでは、また民事局長に伺いますが、労働者個人あるいは労働者の複数のグループあるいは労働組合が、労働者との協議ということを根拠にして、会社分割に伴う労働契約の承継等に関して、この規定をもとに事前協議ができるというふうに解釈できるのでしょうか。つまり、ちょっと省略していますけれども、こちらの方にある、事前に労働者と協議することを会社に義務づけるという趣旨の提案がこの後出てくるというふうに聞いておりますので、あえてお聞きしたいと思うのです。
#177
○細川政府参考人 この修正は、政治家同士のお話し合いの中から出てきたものでございまして、私ども、つい昨晩最終的に知ったわけでございます。ですから、現時点での考えを申し上げますと、これは民法、商法の世界だけに限って申し上げますと、労働者というのは、交渉等について代理人を選任することは自由でございます。それから、代理人がだれかということは、民法、商法については何ら制限はございません。そういうことを申し上げたいと思います。
#178
○保坂委員 それでは、同じように法務省として、雇用契約というふうに言った場合に、これは当然自然的に労働契約も含まれるのかどうか。このあたりはいかがでしょうか。
#179
○細川政府参考人 先ほど申し上げたとおり、雇用契約は大部分が労働契約でございます。ですから、お答えとしては、含まれることがほとんどの場合であるということになります。
#180
○保坂委員 それで、今回の会社分割に至る道のりはかなり何段階もありまして、幾つもの法律を我々も審議してきたと思います。最近の民事再生法のときには、民事再生手続を理由として労働組合との団交を拒否した場合は、手続自体を却下する理由となるという明快な答弁をいただいたように思います。
 民事局長に伺いたいのですが、今回の会社分割をめぐって二つお聞きします。労使紛争が以前から続いていて会社が分割されていくケース、それから二番目は、会社分割が理由になって労使紛争が勃発するケース。この二つのケースで労働組合側が団交を求めたときに、この団交を拒否する、あるいは、形だけ一回協議の場を持った、だけれども後は知りませんよ、いわゆる団交で言うところの不誠実団交、形式団交などの形をとったときに、この手続自体はどのように解釈されるのか。
 とりあえず法務省としてのお答えを聞いてから、労働省に聞きます。両方聞きますから、まず法務省に。
#181
○細川政府参考人 これは、労働組合法の解釈の問題でございますので、本来政府として責任を持ってお答えすべきは労働省でございます。しかし、あえてお答えを求められましたので、私が法律家としての意見を申し述べさせていただきますと、労働者が団体交渉を行うことを義務づけられる事項の範囲は、労働組合法が労働者に団体交渉権を保障した目的から、あるいは憲法二十八条の趣旨から判断すべきものと考えております。
 一般的に、労働者の労働条件その他の待遇や当該団体労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものということがこの団体交渉の事項でございます。ですから、こういった団体交渉事項について使用者が理由もなく団体交渉を拒否するということは、労働組合法上の不当労働行為に当たると私は考えておりますが、誤っていれば労働省に訂正してもらいたいと思います。
#182
○石本政府参考人 前後して申しわけございません。お答えいたします。
 ただいま民事局長のお答えの趣旨でよろしいかと思いますが、いずれのケースにつきましても、使用者は誠実に団交に応じる義務があるという点をまず基本に置きまして、先ほどのようなケースの場合に、不当労働行為を生じ得るケースもあり得るというふうに考えております。
 失礼いたしました。いずれのケースにおきましても、使用者は労働者等と誠実に団交していくことが必要であるということを申し上げたいと思います。
#183
○保坂委員 では、労働省に伺いますが、民事再生法の審議のときには、団交拒否は不当労働行為であるというふうにお答えになっているのですが、団交拒否は不当労働行為ですか。
#184
○石本政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおりでございます。
#185
○保坂委員 そうであれば、きょう傍聴されている方も多いのですけれども、多くの方が心配されているのは、要は会社分割ということが、これだけ厳しい価格競争、それから長期的な不況、製造業の不振などで、やはり労働現場、雇用環境への大変な影響を生むだろう、ずばり生むだろうと私は思いますよ。生むだろうから、分割の計画プランが示されたときに、もともと労使関係がぎくしゃくいっていたところにもう決定的な亀裂が入る。これはもう絶対に許せぬ、分割反対ということで団交を求めても、そもそもこれは会社の意思決定事項なので、これに関してはそんな団交には応じられませんよといったような紛争が容易に予想できないですか、労働省。
 予想の範囲外と言ったらちょっと労働省として、もうすぐ看板は変わるのかもしれませんけれども、役割はずっと続けてもらわなければ困るので、はっきりお答えいただきたいと思います。そういうことを予想しているのかどうか、全くしていないと言われるのであればちょっと疑ってしまうのですけれども。
#186
○石本政府参考人 ただいまの御指摘の点につきましては、会社分割を利用して、例えば御指摘のような、労働組合の弱体化を図るといったケースがあった場合についてお答えいたしますが、そのような場合は、私どもとしては、例えば組合員の排除あるいは組合そのものの壊滅といったことを目的とした会社分割は、労働組合法の第七条、まさに不当労働行為でございますが、これに照らして、許されないと考えております。
 ただ、実際にそのようなことが行われた場合は、当然に不当労働行為としまして、労働委員会から、例えば団交の応諾命令あるいは陳謝等の掲示、いわゆるポストノーティスと言っていますが、こういった救済命令が出される場合があると考えております。
 ただ、個別具体的事案によりまして、どのような命令が出されるか、あるいは……(保坂委員「はい、わかりました」と呼ぶ)ということと考えております。
#187
○保坂委員 私は今、労働省はやはりさすがだというふうに褒めたくなったのですけれども、「ただ」以降がちょっとがっかりしてしまったのですね。「許されないものだ。」というふうにはいきませんか。「ただ」はとれませんか。
#188
○石本政府参考人 御指摘のとおり、そのようなケースがあった場合は、労働組合法に照らして、許されないと考えております。
#189
○保坂委員 少しうれしい答弁でした。
 中小企業の問題について、法務大臣に私の心配を本会議で申し上げました。御存じだと思いますが、我々が毎日通っている国会のテレビがありますね。あれの電気通信工事にかかわった、親子で職人さんをやって、工務店をやっている方、何人かが被害に遭ってしまったのですね。衆議院事務局は支払っているのです。支払っているのだけれども、そこの次の中間業者が倒産をしたことで、私が電話でお話をした方は六百万円未払いですよ。これは払ってもらえないのですね、現在の制度上。そして、これは運よく、訴訟に共同提訴するという形で一五%回収できて、ですから、六百万の一五%ですから九十万円ですか、その程度回収した。これは非常に幸運なケースだと言われています。
 さて、そこで法務大臣、民事再生法の附帯決議などにも強くこの点は、我が国の法整備はされていないのだ、特に企業分割全体がいろいろな意味で、中小の、弱小の業者あるいは中規模の企業を含めて、影響を与えるだろうということが言われているのですね。この点について、今回の分割法とは別に、衆参で附帯決議を民事再生法のときにされていますので、法務省として努力されているのかどうか。これは、倒産法制の一つの、手当てをしなければならないのではないかという声が出ていると思いますが、いかがでしょうか。
#190
○山本(有)政務次官 先生御指摘のように、会社分割によって下請企業の権利を侵害してはならぬということは当然でございます。また、この法案でも、分割によりまして、下請企業の契約上の地位が理由なく一方的に変更されることはないというように措置されております。そして、このことをもって、契約の内容に変更がない以上、下請企業の権利侵害はないもの、そう信じておるところでございます。
#191
○保坂委員 それはそれで、会社分割の場合、そうあってほしいし、それを貫きたいのですが、現実に、我々議員として――相当長い期間続いていますよ、あの工事は。そして、たまたま、これはあるテレビ番組で、何気なく見ていたらその番組があったのですよ。それで、職人さんが出てきて、国会議事堂を見上げながらおっしゃっているわけですよ。国会の工事をしてお金がもらえないなんて信じられなかった、どうしてもらえないんだと言ったら、法律がないそうですと。法律はどこでつくるんだといったら、この国会ですね。こういう話なんですね。
 やはり我々、恥ずかしいというふうに、正直、思いますよ。しかも国会の工事なんですから。そういうことがやはり起こっているので、これは工務店の方が、確かに名義は社長かもしれない、しかし、親子でトラックを運転してきて、一日汗だらけになって働く、こういう者をやはりきちっと保護をする、事実上の労働債権として扱うということも僕は必要だと思います。そういうことについて努力をなさる意思があるかどうか、大臣にお願いしたいと思います。
#192
○臼井国務大臣 今委員御指摘のような、工賃の支払いというものが受けられない業者が生ずる、そういったような事態があったということは大変遺憾なことでございます。倒産法制におきましては、倒産した請負業者との間に債権債務関係のない末端の下請業者の債権を保護するということは、制度上困難でございますけれども、このような下請業者を保護するという観点から、法務省の立場で、何らかの方策をとり得るかについて今後とも検討してまいりたいと思っております。
#193
○保坂委員 それでは民事局長に。
 民事再生法のときに、中小企業者の、今まさに再生債権の弁済などに対して、中小企業者の事業の継続と従業員の労働債権の確保に配慮がされるようにちゃんとやろうではないかということがありますね。それから、その前のところにも、諸外国の法令等を勘案するなどやはり検討しようではないかという決議も、これは参議院も似たような決議をされていますけれども、そういう努力はどうでしょう。されるのでしょうか、法務省としては。
#194
○細川政府参考人 この点につきましては、民事再生法の審議の際に保坂先生から再三御指摘があって、私もお答え申し上げましたが、時間がありませんので簡単に申し上げますと、私どもとしては、こういった労働債権を含めて各種債権の優先順位、それから下請債権の問題、そういったものはなかなか難しい問題がありますけれども、この点について、倒産処理手続を現在改正さらに検討を続けておりますので、そういった中で引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#195
○保坂委員 前通産大臣もお隣にいらっしゃいますけれども、中小企業の保護といえば政府全体としてこれは行ってもらわなければならない。必ずしも法制度の整備だけではないとは思いますが、しかしそれも大事だというところで、法務大臣、いかがですか。これだけ企業再編、そして下請も含めていろいろな影響を受けるというときに、政府として、より中小企業、下請の保護ということに、これを念頭に置いた政策の推進が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
#196
○臼井国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおり、私ども法務省としては、何らかの方策をとり得るか否かについて今後とも検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#197
○保坂委員 大臣、とり得るか否か検討してまいりたいというのは、文字にして読み直してみると内容がちょっと薄いかなと思うのですが、いかがですか。
 要するに、これだけの企業再編、そして、この会社分割が、即失業者の波を生み出さないまでも、やはり長期的にはかなり大きな影響をもたらすだろうと我々は思います。そういうことについて、特に雇用は、製造のラインなんか見ると、やはり中小下請、どんどん外注化が進んでいるわけなので、そういう影響もやはり出るだろう、これは当然認識していただかなきゃいけない、これに対して取り組んでいただきたいと思うのですね。いかがでしょう。
#198
○山本(有)政務次官 先生御指摘の立法作業でございますが、現行法におきましても、公正取引委員会所管の下請代金支払遅延等防止法、これによりまして、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるという法律がございます。さらに、建設業法におきましては、これは建設省所管でございますが、不当に低い請負代金の禁止、あるいは下請人に対し相応の下請代金を一カ月以内に支払わなければならないことなどを規定しておる法律もございます。
 したがいまして、今後、これら法務省の所管法律の実施の推移を見ながら、先生の御指導をいただきながら検討していきたいと思います。
#199
○保坂委員 済みません。もう時間過ぎていますが、今次官が言われたのは、私も研究しました。そういう、もう全部当てはめてみてもだめだそうです、国会テレビの件は。だめなんです。ですから、もらえていないのですよ。だから、政府としてぜひこれは研究していただきたい。やはり国会でつくったら初めて不払いを受けちゃったなんということを放置しておくべきじゃないということを申し上げて、終わります。
    ―――――――――――――
#200
○武部委員長 この際、商法等の一部を改正する法律案に対し、与謝野馨君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党及び自由党の五会派共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。北村哲男君。
    ―――――――――――――
 商法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#201
○北村(哲)委員 商法等の一部を改正する法律案に対する修正案提案理由説明をいたします。
 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明いたします。
 第一は、分割計画書及び分割契約書の記載事項である設立会社または承継会社が分割会社から承継する権利義務に関する事項として、雇用契約等を例示することとするものであります。これは、雇用契約上の地位が分割計画書等に記載すべき分割によって承継する権利義務に含まれることを明らかにするものであります。
 第二は、本法律案の附則中に、分割会社は、分割に伴う労働契約の承継に関して、分割計画書または分割契約書を本店に備え置くべき日までに、労働者と協議をすることとする旨の規定を設けるものであります。これは、会社の分割により分割会社の労働者に係る労働契約を設立会社または承継会社に承継させるかどうか等について、事前に労働者と協議をすることを会社に義務づけることにより、労働者の保護を図ろうとするものであります。
 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#202
○武部委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#203
○武部委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております両案及び商法等の一部を改正する法律案に対する与謝野馨君外四名提出の修正案審査のため、来る五月九日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る五月九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十五分散会

ソース: 国立国会図書館
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