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2000/05/10 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第19号
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2000/05/10 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第19号

#1
第147回国会 法務委員会 第19号
平成十二年五月十日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 武部  勤君
   理事 笹川  堯君 理事 杉浦 正健君
   理事 与謝野 馨君 理事 横内 正明君
   理事 北村 哲男君 理事 日野 市朗君
   理事 倉田 栄喜君 理事 木島日出夫君
      太田 誠一君    奥野 誠亮君
      加藤 紘一君    金田 英行君
      熊谷 市雄君    熊代 昭彦君
      古賀  誠君    左藤  恵君
      菅  義偉君    園田 博之君
      桧田  仁君    藤井 孝男君
      宮島 大典君    保岡 興治君
      山本 有二君    渡辺 喜美君
      河村たかし君    佐々木秀典君
      坂上 富男君    石井 啓一君
      安倍 基雄君    青木 宏之君
      西村 眞悟君    保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         臼井日出男君
   法務政務次官       山本 有二君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    細川  清君
   政府参考人
   (労働大臣官房審議官)  石本 宏昭君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   法務委員会専門員     井上 隆久君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十日
 辞任         補欠選任
  熊谷 市雄君     桧田  仁君
  古賀  誠君     熊代 昭彦君
  渡辺 喜美君     宮島 大典君
  枝野 幸男君     河村たかし君
  漆原 良夫君     石井 啓一君
同日
 辞任         補欠選任
  熊代 昭彦君     古賀  誠君
  桧田  仁君     熊谷 市雄君
  宮島 大典君     渡辺 喜美君
  河村たかし君     枝野 幸男君
  石井 啓一君     漆原 良夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第八八号)


    午前十時一分開議
     ――――◇―――――
#2
○武部委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに与謝野馨君外四名提出の商法等の一部を改正する法律案に対する修正案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君、労働大臣官房審議官石本宏昭君、労働省労働基準局長野寺康幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
#5
○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典です。
 商法改正の審議もいよいよ最終の局面を迎えたと認識をしております。
 きのう、私どもは、参考人の方々から御意見を拝聴いたしました。今、企業が国際化の中で大きな変革を求められております。そしてまた、きのうの参考人からも御意見がありましたけれども、日本の企業に関する法制、特に株式会社を中心にする企業形態のあり方などが、例えば株式会社の場合に、本来の機能を十全に発揮できるようなものになっているかということについては、考えなければならない要素が多々あるのではないだろうか。また、法制としても、そういう企業の本来あるべき姿、あるいは株式会社の社会的な機能などを十分に生かすものになっていない面があるのではないかということで、今回の法改正についても必然性があるという御指摘があったようにも思われます。
 確かに、片方で企業の再編の形態として合併という形がある、それからまた営業譲渡というようなことも決められているにもかかわらず、その反対概念である分割ということについては、法制上整備されていなかったということはいかがなものかという思いがするわけでありまして、直に分割ということも考えられなければならないとは思う。この点については、先進諸国ではもう法整備もできているということでありますから、私どもも必要性を認めるにやぶさかではありません。
 しかし、そういう企業の再編に伴っては、さまざまな問題、特にそれにまつわって利害関係を持つ株主、あるいは債権者、債務者、そして、とりわけそこを雇用の場とする働く人々の権利関係がどうなるか、それに消長を及ぼすということが必然的に避けられないわけでありますけれども、当然のことながら、それに対する整備、あるいは不安感をなくすということが極めて大事なことだろうと思います。
 また、このところ我が国は長い不況の中にあって、企業も必ずしも上昇機運にあるとは言えない中で、企業の合理化、特にその中で、経費の削減の第一として雇用者の解雇、あるいは労働条件の切り下げなどということが行われているのは疑いのない事実でありまして、それだけに、働く場をなくする方、あるいは雇用条件の切り下げによって生活を苦しくさせられている方、こういう方々の不安というのは非常に大きなものがあると思います。
 それだけに、私は、この会社分割を主眼にする今回の商法改正が、これまでの審議の中でも強く指摘されておりますように、そこで働く人々のリストラというか削減というようなことを目的にするような、あるいはそれに威力を発揮するようなものであっては絶対ならないだろう、そういう不安を解消しなければならないと思います。
 そういう観点から、きょうは限られた時間でありますけれども、最終的に確認的な意味で、あるいは同僚議員からのこれまでの質問で重複する部分もあるかと思いますけれども、お許しをいただきながら、確認的な質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 これまでの論議の中でも指摘をされておりますように、企業分割によって労働者の解雇などには消長を来さないような配慮をするんだということが言われておりますが、私はどうしても、商法の中でそうした労働者の地位の保全関係にまで細かい配慮をするというのは、商法本来の目的からいって無理だろうと思います。
 そうすると、ここで掲げられるべきは、この間、与野党同僚議員あるいは理事の御努力もあって修正案が今出されておりますけれども、この辺の集約でやむを得ないのかな。その他の具体的なこと、細かいことについては、やはり労働者保護法制というものがこの商法とは別に立てられなければならない。これについては、今、労働委員会の方でも審議をされている。ここで大きな成果が得られることを私どもとしては期待しているわけですが、それにしても、この商法における場面でもやはりできることは手当てをしておく必要があるだろうと思うんですね。また、その手当てがなされようとしているわけです。
 そういう労働者の解雇の規制に関して、法律で決めるべき事項、それからまた裁判所の判例でも、これまでも、企業再編などを理由にするような解雇というのには問題があるんだ、認められないという判例が確立していると思うんですけれども、そういう判例についても、これから、いろいろな必要性に応じて会社の分割をしようとする会社が多く出てくるだろうと思いますけれども、それに当たっては、やはりそうした視点をしっかりと企業者に認識をしてもらわなければいかぬと私は思うんですね。
 そこで、そういう一般的な企業経営者あるいは事業主などに広くそうした趣旨を徹底する必要があるんじゃないかと私は思いますけれども、これについて、政府としてはその周知徹底の方法についてどのように考えておられるのか、まず、これについてお尋ねをしたいと思います。
#6
○臼井国務大臣 会社分割それ自体を理由とする解雇というものができないということは、整理解雇に関する確立された判例法理により明らかであると考えておりますが、会社経営者や労働者にその趣旨を周知するということは大変大切なことだと考えておりまして、私ども法務省といたしましても、今後さらにこの周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
#7
○佐々木(秀)委員 御趣旨はわかるんですけれども、具体的にどういうメディア、あるいはどういう手法で徹底していかれるということなのか、その辺についてお考えがあるのかをお聞きしたいんですが、これは労働省の方がいいかな。
#8
○野寺政府参考人 今、法務大臣がお答えになったとおりでございますけれども、具体的には、労働省の場合、解雇に関しましては、解雇をめぐりますいろいろな法制、さらに先生御指摘の確立された裁判判例等につきまして、リーフレットをつくってございます。
 この中でわかりやすく解説しておりますけれども、これを全国三百四十七の監督署に置きまして、御相談に見えた方に御説明しながら配付すると同時に、事業主等々の集まりにおきましても、必要に応じまして御説明をしながら、御理解を求めるという方法をとってございます。
#9
○佐々木(秀)委員 そういう方法を通じてということももちろん必要ですけれども、大きなメディアを通じての広報活動もぜひやっていただきたいし、それからまた、何といっても、今度のこの会社の分割というのは経済界からの強い要請もあってこれに応じているわけですね。ですから、それを要請された経済団体なども、これはもう積極的にやってもらわなければいけないと思うのですね。
 私は、大きな企業の場合にはそれだけの広報組織を持っておられるし、割合徹底していけるのだろうと思うのですが、心配なのは中小企業なんですね。日本の企業の九五%以上を占めているのは中小企業。中小企業といっても、零細まで含めるといろいろあるわけです。きのう、私、参考人に対する質問の中でも言いましたけれども、同じような株式会社といいながら、その内実を見ると非常に違っているのですね。一人会社というか、社長一人で何でもやっていく個人企業みたいなものだけれども、形だけは会社の形態をとっている。
 しかし、そういう中でもやはりこういう分割の問題なんというのは出てくる可能性があるし、そう言っては大変失礼かもしれませんけれども、そういう小さいところの企業者というのは、企業経営に一生懸命の余り、そういういろいろな法律に目を通すとか、新しい制度ができてもそれを勉強する暇もないというようなことも多いわけです。
 これは、中小企業に関係する団体などもあるわけですね。ですから、そういう団体などを通じても周知徹底を図るように、ぜひこれはお願いしないと、せっかくよい定めをしても、それが徹底しないで逆に使われて、これまでの審議の中で懸念されるように悪法化するなどということもないではないわけですから、そういうことのないようにぜひお願いしたい、このことを要望しておきたいと思います。
 そこで次に、会社の分割に当たって、分割する会社の事業者は、例えばその会社、企業に労働組合がある場合とない場合があるでしょうが、大体、かなりの会社、企業には労働者の皆さんで組織する労働組合があると思うのですが、そういう場合には事前にその労働組合との協議を行うというように考えていいものでしょうか。このことも、一つは広報をそういうようにやっていただかなければならないということとも関連するわけですけれども、この辺についてはどう考えたらいいですか。
#10
○山本(有)政務次官 先日、本委員会に提出されました修正案附則第五条第一項には、会社に対し労働者との間で協議を行うことを義務づけたものである規定がございます。したがって、組合の明文はございませんけれども、会社が分割を行うに当たりましては、労働組合と自発的に協議するということは、これにより妨げられるというものではなくて、むしろ会社分割の円滑な実施に資するものと考えれば、そういうような事前に労働組合と協議するということが、労使慣行として形成されることが大変望ましいことであるというように理解しておるところです。
#11
○佐々木(秀)委員 今の次官の御答弁はまさに私もそうだと思うのですね。労働組合といっても、一つの企業の中で幾つもの労働組合があったり、それぞれにまた事情もあったりしますけれども、しかし、やはり労働組合に労働者の働く皆さんが結集をしているということは確かなことであります。
 そうすると、その労働組合が、結集する働く皆さんの気持ちを統一してというか、掌握していることは間違いないわけですから、これを無視するということは、私は少なくとも労使慣行上あり得ないことだろうと思うし、これは尊重していかれるべきことだろうと思うので、事前に労働組合がある場合には労働組合との協議を誠意を持ってするということを、これまた徹底していただくような御配慮をぜひお願いしたいと思っております。
 それから、本件に関する与野党の共同修正案ですけれども、会社の分割に当たって、分割する会社の事業主は労働者と事前に協議するものとする、今のお話のように、労働組合ととは書いてないけれども、労働者と事前に協議するものと定めている。
 この場合に、今のお答えとも関連するのですが、きのうの修正案提案者のお話だと、対象になるのは全従業員だ、全労働者だというお話でしたけれども、個々の労働者の皆さんと一人一人、例えば何百人もいる労働者の皆さんと会社が事実上話し合いをするなんということは、物理的にも不可能だろうと思うので、それにかわるものとして、今次官お話しのように、労働組合がある場合には労働組合との事前協議というようにやっていく方がいいのではないか、こうそこから類推して考えられるわけです。
 そういう労働組合がある場合には、労働組合がその交渉の当事者となって、いわば全従業員というか大多数の従業員の皆さんを代弁する立場、代理する立場で協議をする、こういうように認識していいわけですか。これは修正案提案者にお願いします。
#12
○北村(哲)委員 委員のおっしゃるとおり、会社が自発的に労働組合と協議することは、これはもう自由なわけです。
 しかも、確かに商法上は対象はすべての従業員、個々的な従業員ですけれども、労働組合はそのためにあるので、一人対会社では圧倒的に力の差がある、だから個々の労働者は労働組合をつくって、そこに自分の労働条件などの交渉を委任して対等な立場で会社と交渉する、そういう構造になるわけですから、労働組合に委任してその労働組合が交渉するという形になるのは当然の成り行きだと思うし、個々の従業員はそうした方がむしろ自分たちの権利は守り得るという形になると思います。
#13
○佐々木(秀)委員 よく了解いたしました。
 その次ですが、これはきのうの質疑の中でも出されていたことですし、それからまた、労働委員会の方に私ども民主党から出している、分割あるいは企業の再編に伴う労働者保護の法制の中では、分割だけではなしに企業の再編、つまり営業譲渡だとか合併だとか、こうした組織の編成がえ、あるいは企業形態が変わるというようなときにも、今論議されているような労働者保護の法制というのは法規上明確にする必要があるのじゃないだろうかという議論がなされております。
 これについては昨日の参考人の方からもお話がございましたし、御紹介もあったわけですけれども、ヨーロッパ諸国では割合そうした法の整備がなされているのじゃないかという御指摘がございました。特に、ドイツなどではドイツ企業組織変更法という法律があって、ここでは分割だけではなしに合併だとか営業譲渡の場合の労働者保護の規定もある、フランスだとかその他でもある、それからEUの方でもそういう配慮がなされておるというような御指摘がございました。
 それで、これまで政府としては、それについて考える必要はあるけれども、今回の場合にはそこまで法制上予定することは困難だということで見合わせているようなお話もあったのですけれども、この点について、今後政府として何らかの方策を考えていかれるような準備があるのかどうか、その点についてもう一度確認をしたいと思うのですが、いかがですか。
#14
○石本政府参考人 ただいま先生御指摘のEUの制度も含めまして、労働省におきましては、企業組織変更に伴います労働者の保護等につきまして、研究会を設置して検討してまいりました。
 若干繰り返しになるかと思いますが、合併におきましては、雇用労働条件がそのまま維持されるといったことで、労働者に不利益が生ずる場合がほとんど想定されないのではないかといったことで、立法措置を講ずることは不要である。また、営業譲渡におきましては、労働者の承継に当たっては、譲り渡し会社と譲り受け会社の合意とともに、民法六百二十五条の規定によりまして労働者本人に同意が求められているといったことで、現時点で特段の立法措置を講ずることは必要ないのではないかといったお考えもいただいておるところでございます。
 私どもとしては、現段階では、合併、営業譲渡につきましては、現行法や判例法理により労働者保護が図られているのではないか、これらの法律や判例法理の周知徹底に努めることが適当ではないかというふうに考えておりますが、御指摘の営業譲渡等の企業組織変更に対応した労働者保護に関する諸問題の検討につきましては、商法改正案あるいは労働契約承継法案についての国会の御審議なども踏まえまして、対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
#15
○佐々木(秀)委員 今のお話だと、これまでも研究会をつくって検討はしてきたということのようです。そうすると、今にわかに具体化ということは困難であるにしても、今後、私が指摘したような問題については、さらに政府としても検討して、何らか具体的な法制をつくる準備というか、そういう心づもりはある、こういうように聞いてよろしいのか、その点はどうですか。
#16
○石本政府参考人 ただいま申し上げましたように、私どもとしては、現時点では合併や営業譲渡については特段の立法措置は不要というふうに考えておりますけれども、御指摘の企業組織再編に対応しました労働者保護に関する諸問題につきましては、法案についての国会における御審議等も踏まえまして、積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
#17
○佐々木(秀)委員 御指摘のように、確かに民法の規定はあることはあるのだけれども、これは、まずまず最大公約数的な基本原則を定めただけなんですね。それからまた、判例で確立しているとはいっても、きのうも御指摘がありましたけれども、これが必ずしも一般の方々、特に企業家に周知徹底しているとは思えない向きもあるです。そして、何といっても裁判例というのは、ある具体的なケースについての判断、それを広く敷衍していこうということなものですから、かなり直接的でないところもあるのですよ。
 そうすると、やはり個別法あるいは雇用全体の問題にかかわるような、例えば労働法なり、あるいは労働関係の別な立法なり、あるいは企業関係法の特別法としての法律などによってその関係を明記する方が一般に周知徹底しやすいのではないかと私には思われるわけです。
 難しい問題もあるかもしれませんけれども、ぜひ研究を続けていただいて、何といってもヨーロッパ諸国のすぐれた先例があるわけですから、それを十分に検討していただいて、もちろん我が国には我が国の事情があるということもわかりますけれども、その諸外国の先例を生かしながら、我が国に見合ったいい法制措置をとるということで努力をしていただきたいと思うのですね。私どもも、そのための協力を惜しみません。どうぞひとつその点はよろしくお願いしておきたいと思います。
 仮に、こういうような、さらに今の問題で検討するような研究会なり、あるいはそれにかわる審議会なりというようなものを置かれるような場合には、当然のことながら、各利害関係者の代表をそのメンバーに入れていただくことになるんだろうと思いますが、そういう場合には、例えば労働組合が推薦するような方を、それは労働組合の方に限らず、研究者を含めてですけれども、ぜひ登用していただくということもお考えいただきたいと思います。この辺についての御配慮というのはいかがなものでしょうか。
#18
○石本政府参考人 昨年の十二月に、私ども、今回の分割法制に伴います労働契約承継法案の検討に当たりましても、労使の御意見というのは大変に重要でございまして、そういった意味で、御意見は十分に賜ってまいりたいと思います。
 ただ、御指摘の点につきましては、国会の御審議等もさらにあろうかと思いますし、さまざまな御意見を踏まえながら、先生の御指摘も十分に頭に置いて進めてまいりたいというふうに考えております。
#19
○佐々木(秀)委員 例えば、それを検討する場がどういう形で置かれるかにもよってきますね。それによって、国会承認の人事案件になるのか、あるいは労働大臣の諮問機関ということになるのか、それによっても任命などが違ってくると思うのです。
 いずれにいたしましても、それこそ、その身分あるいは労働条件に直接にかかわり合いを持つ多くの労働者の皆さん、その気持ち、あるいは不安感をなくするというようなことは非常に大切なことだと思いますので、どういう形であるにせよ、そういう方々を代表する方をぜひ入れていただいて、十分にその御意見を聞くということが非常に大事なことだろうと思いますので、その点の御配慮を欠かさないように強く要望しておきたいと思います。
 次に、修正案の提案者にお尋ねをいたしますけれども、分割に当たっては分割計画書がつくられるわけですが、必要的な記載事項として、債権債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項が書かれることになっておりますね。ここで言っているところの雇用契約ですけれども、これは非常にアバウトな形なんですが、この範囲はどういうことまで及ぶのか、これを明らかにしていただけますか。
#20
○北村(哲)委員 まず、この雇用契約は、分割計画書に記載されることによって承継会社に移転するのですが、移転する雇用契約の内容は、分割会社との間であったものと全く同じものなんです。その内容は当事者間の合意によって定まるものでありますが、確立された慣行として雇用契約の内容となっているものは、今までどおり承継会社に承継することになります。
 雇用契約とは、通常、労務の提供とこれに対する報酬の支払いに係る個別の契約すべてを指すものであって、明文化された契約の内容はもちろんのこと、ただいま申し上げた慣行として確立されているもの、あるいは当事者間の合意をされているものすべてを含むと言っていいと思います。
 以上でございます。
#21
○佐々木(秀)委員 法務省の方にお尋ねをしたいと思いますけれども、今の分割契約書に絡む問題ですけれども、この分割契約書は、その働いている従業員、労働者は事前に閲覧ということができるのでしょうか。できるとすればどういう場合なのか、どういう場合にはできないのか、その点、いかがでしょう。
#22
○細川政府参考人 御指摘の分割計画書等の事前備え置き書面でございますが、この閲覧権利者は、改正法案の中では、株主及び会社債権者と定めているところでございます。
 これは、事前開示の意味が、債権者保護手続や株主総会決議における権利行使の前提として必要となる情報を提供するということにあるわけでございます。
 したがいまして、労働者が、例えば従業員持ち株会のように株主であるとか、あるいは債権者保護手続の対象となる債権者である場合、つまり、未払い賃金債権がある、あるいは既に勤務した期間に対応する退職金債権がある、あるいは社内預金債権がある、会社に対してそういった債権を有する場合には、その労働者も事前備え置き書面の閲覧等を求めることができるのでございます。
#23
○佐々木(秀)委員 そうすると、労働者も債権者であるかどうかという側面でということになるわけですかね。つまり既往の、既に発生した未払い賃金、これがまだ払われていないというような場合だとか、あるいは、退職をしたけれどもその退職金が払われていないとか、この場合にはもう既に退職しているから従業員とは言えないのかもしれないけれども、そういうような場合には債権者として閲覧ができるんだ。そうすると、この先の労働関係が不安になるから見せろというようなことではだめなわけですかね。
#24
○細川政府参考人 先ほど、既に勤務した期間にかかわる退職金債権と申しましたのは、これは就業規則等で退職金が一定の期間に応じて支払われるべきものだということが確定している場合には、退職していなくても、現に勤務していても、過去の分に対する退職金債権というものが、要するに退職を条件とする債権でございますから、そういう債権があるんだというふうに一般的には理解されております。
 したがいまして、通常の場合の労働者はそういう債権がありますので、債権者として事前備え置き書面を閲覧することができるということになるわけでございます。
#25
○佐々木(秀)委員 ただいまの点はそれでは了解いたしました。
 次に、これも法務省にお尋ねをいたしますが、これもこれまでの審議の中でさまざまな不安、心配からお尋ねがあったわけですけれども、分割というのは、その企業が生々発展するために、各部門をそれぞれ独立の会社として生かす方が大いに伸びて発展性があるんだという方向ばかりだったらいいんだけれども、中には、どうも余り採算がとれなくてよくない、だからここのところはひとつ本体の方から切り離してしまおうというような、本来の企業分割の法制の目的からは外れるような、きのうも悪用というような言葉が出たわけですけれども、そういうような不採算部門を分離させるために分割をするということはこの法制上は認められない、こう言っていいんでしょうか。この点、ひとつお答えください。
#26
○細川政府参考人 先ほど御説明申し上げました事前備え置き書面の中に、各会社の負担すべき債務の履行の見込みがあること及びその理由を記載した書面があるわけでございます。この債務の履行の見込みの有無といいますのは、個々の債権者の債権につき、その弁済期においてその履行を行うことができるかどうかとの判断に係るものでございます。この判断をする上では、承継される財産の価額及び債務の額が重要な要素となりまして、会社分割後に分割会社または設立会社等が債務超過となるような場合には、この債務の履行が見込みがないものとして分割が許されないことになるわけでございます。
 この点の規定は、当初私どもが公表しました試案にはなかったわけですが、やはりこの分割が、御指摘のような場面で乱用といいますか悪用されるというのは困るという御心配もありましたので、こういう規定をわざわざ置きまして、分割によって双方の会社が債務超過になるような場合にはそれはできないんだということを明らかにしたわけでございます。
#27
○佐々木(秀)委員 今の点はそれで結構だと思いますが、局長、もう一回付加いたしまして、先ほどの例の分割計画書の事前閲覧、これは労働者としての場合なんですけれども、これをちょっと補充的にお尋ねをしたいんです。
 さっきのお答えだと、確かに未払い賃金の問題だとか退職金の問題だとか、その個々の労働者の具体的な金銭債権について確かめるというようなことで事前閲覧請求がいいというお答えをいただいたんですが、そういう具体的な金銭債権以外の非金銭的な債権というのもないではないわけですね、これは他の一般債権者にも関係すると思いますけれども。
 そういうような場合、そういう非金銭的な債権、あるいは個々の当事者である労働者個人の問題ではないけれども、もう少し広げて、しかしその個々の労働者にも非常に利害関係が出てくるというような債権を持っている場合にも事前閲覧ができるかどうか、それについてはいかがですか。
#28
○細川政府参考人 これは会社分割だけの問題ではございませんで、合併や資本減少の場合にも債権者保護手続がとられますものですから、そこで共通に問題となる問題でございます。
 この点につきましては、かつて大審院の判例では、金銭債権も非金銭債権も含むんだという裁判例があるんですが、ただその時代は、債権者が異議を述べた場合には、例えば合併とか減資を、その債権者に対抗できないというのが商法の規定であったわけです。ところが、その後、その商法の規定が変わりまして、債権者保護の手続の、異議を述べた場合の対応というものは、弁済、担保の提供、その他要するに金銭債権の対応に限られることになったわけです。
 ですから、現在の解釈といたしましては、非金銭債権はこの債権者保護手続の対象とならない。はっきりと、例えば非金銭債権が損害賠償請求権に転化しているとか、そういう場合には債権者保護手続の対象になるんだというのが現在の考え方で、私たちの立法につきましても、その考え方を前提としてつくっているわけです。
 ですから、そこで労働者の労働契約というものの承継がどうなるかということが問題になりますので、労働省と一体となりまして、労働者の労働契約の承継に関する法律等もつくった、そういうことでございます。
#29
○佐々木(秀)委員 やはり商法だけではここはカバーできない、それは当然なんですね。だから、承継法の方でも問題があるということで私どもも対案を出しているわけですが、そういうことを加味してやはり考えていただく、措置を、法制をしていただきたいものだと思っておるわけです。
 そこで次に、この分割については、手続的な瑕疵があった場合、あるいは内容的な問題もあった場合に、分割無効の訴訟を起こすことが規定されているわけですね。この分割無効の訴えですけれども、これは当事者適格の問題ですが、労働者もこの原告適格を持つことになるのか。つまり一定の場合には分割無効の訴えを起こすことができるのか、できるとすればどういう場合か。それについてはどうですか。
#30
○細川政府参考人 この点につきましては、改正案の三百七十四条ノ十二が定めているところでございまして、分割無効の訴えの提訴権者は、株主のほか、分割を承認しなかった会社の債権者等でございます。債権者保護手続で異議を述べなかった債権者はこの分割を承認したものとみなされますので、結局、この提訴権者たる債権者は、異議を述べた債権者ということになります。
 したがいまして、労働者が提訴権者となるのは、その労働者自身が株主である場合、または債権者保護手続の対象となった債権者で、異議を述べた債権者でございます。先ほど申し上げましたように、未払い賃金債権、既に勤務した期間に対応する退職金債権、これは退職前でも結構ですが、それから、社内預金等、会社に何らかの債権がある場合、そういう方が提訴権者となれるわけでございます。
#31
○佐々木(秀)委員 最後の質問になりますけれども、きのうも同僚委員から出ていた質問なんですけれども、簡易分割制度がございますね。この簡易分割を繰り返してやれば、事実上の、普通にきちんとした手続でやるべき通常の分割がこの簡易分割方式で行われていくと、例えばそれを理由にする人員整理などの目的に使うなどということになりはせぬかという心配もあるわけです。
 そういうような簡易分割制度の反復の方法、それによって通常の分割方式を換骨奪胎するというか、脱法的な行為ということにもなるわけですけれども、これを防ぐということはできるんでしょうか。
#32
○細川政府参考人 簡易分割と一般の分割の差異は、簡易分割におきましては株主総会の特別決議が不要である、その点だけでございまして、その他の点は全く通常の分割と同じでございます。
 したがいまして、簡易分割の場合にも債権者保護手続は必要となりますし、また、分割の対象は営業に限られているわけですから、簡易分割といえども、営業ではなくて個々の財産を切り売りするようなことはできないわけでございます。ですから、簡易分割を反復して行うということは、実際上はそういうことをやる実益もないし、なかなかできにくいものではないかと思っているわけです。また、労働者の保護につきましても、簡易分割と通常の分割とは差異はないわけでございます。
 ただ、御指摘のような脱法行為があったといたしますれば、その場合には手続の乱用ということになりますので、会社分割の無効原因となり得るというふうに考えておるわけでございます。
#33
○佐々木(秀)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、いずれにいたしましても、こういう企業の再編によってそこで働く労働者の皆さんがどうなるかということは非常に重大な問題でございます。
 どうか、ここで出された意見を十分に政府としては御配慮いただいて、それで商法の中で規定をするには足りない部分は、ぜひ労働委員会の方で御審議になっている労働保護法制の方でしっかりとやっていただくように、特に労働省来られているわけですけれども、そういう御配慮をお願いしたいし、政府としてもその点に配慮して対処していただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#34
○武部委員長 木島日出夫君。
#35
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 これまで私は、この会社分割法制度が、ある会社の不採算部門を切り離してそこに労働者を有無を言わさず移籍をさせて、そのために同意なき移籍という制度に転換するわけでありますが、そして結局それが成り立たなくなって、もろともに全員解雇とか、そういうふうに使われるという、この問題点を指摘してきたわけであります。
 それに対して、法務省の民事局長からは、そうはならないんだという理由に、三百七十四条ノ二の一項第三号の「各会社ノ負担スベキ債務ノ履行ノ見込アルコト及其ノ理由ヲ記載シタル書面」が備え置かれるから、債務の履行の見込みがないような分割はできないんだからそんなことはないんだという、その最大の理由に三百七十四条ノ二の一項三号を述べておりますので、きょうはその問題を詰めてお聞きしたいと思うんです。
 まず、今の答弁でも明らかですが、この「各会社ノ負担スベキ債務ノ履行ノ見込アルコト」の「債務ノ履行」というのは、分割時に既にある債務ということですね。それは、分割されて新設されるあるいは承継を受ける会社が背負い込む債務の履行見込みがある場合ですね。営業分割後、新たに発生した債務の履行の見込みではありませんね。
#36
○細川政府参考人 これは、分割時に存在する債権のことを言っているわけでして、ですから、分割時に分割会社に残る債務、それと分割時に新設会社等が承継した債務、これらについて弁済の見込みがあるということでございます。
#37
○木島委員 そうすると、これまで私が指摘した問題の答えに全くなっていなかったじゃないですか。分割時には、しっかりした貸借対照表で資産もあって、また労働者の債務もない、それなりの債務がない、しかし、不採算部門で半年、一年営業してみたら、大変な赤字をつくり出してしまって経営が破綻した、そういう場合には、結局その会社は成り立たない、破綻だ、そうすると労働者の首切りという方にもつながっていく、そういうことを防ぎとめることはできないじゃありませんか。
#38
○細川政府参考人 商法で規定をしておりますのは、分割の要件でございます。したがいまして、分割時に債務の弁済の見込みがあることを要件としているわけでございます。分割後、新しくそれぞれ別の会社となった会社が、その資産等をもって今後どのような経営をしていくかは、それは経営者あるいは会社の持ち主である株主の判断にゆだねられているところでございます。
#39
○木島委員 明らかになったと思うんですね。法務省の立場は、分割時の債務さえきちっと履行されていれば、分割した後、その会社の経営が悪化して赤字になった、そういう場合には何ら責任がない、そういう無責任な今回の改正だということが明らかになりました。そこが、今回の会社分割法制で、そこにほうり込まれる労働者が一番心配しているところなんですよ。そういう労働者の雇用と労働条件が果たして保全できるかどうかこそが最大の問題だったはずです。
 労働省をお呼びしていますが、そういう場合に、労働者の雇用と労働条件の切り下げなしに権利と生活を保全できる仕組みが別途出されている承継法その他にございますか。
#40
○石本政府参考人 労働契約承継法におきましては、合併と同様の承継を図る、つまり、労働契約の内容はそのまま承継するといったことが規定されております。その債務の履行の見込みと雇用の確保等につきましては、先ほど民事当局からお話のあったとおりだと私どもは考えております。
#41
○木島委員 要するに、全然ないということですよ。まさにそこが一番の根本問題じゃないか。要するに、リストラ、合理化、首切り、それをしやすくするための企業分割法制、会社分割法制度をつくってやるというところにこの法律のねらいがあった、まさにそれが仕組みとしても、今私が指摘したように、厳然としてあるということじゃないんでしょうか。
 これまで何回か論議した中で、債務履行の見込みある会社にのみ分割が許されるんだからそんなことはないんだというのは、全く通らない理屈だったということが明らかになったと思うんです。
 では、改めて法務大臣、こんな形で労働者の地位と権利と雇用が保全されないような分割法制をつくるということはいかがなものかと、私は改めて大臣の認識を伺いたいと思うんです。どうでしょうか。
#42
○臼井国務大臣 御承知のとおり、この分割法制、企業分割の法制というのは、かねてから私どもが、企業が社会の大きな変化に対して迅速に対応できる組織変更というものを目指して行ってきた一連の法制の締めくくりとも言えるものでございまして、そういった意味におきまして、企業の迅速な組織変更というものを考えているわけでございます。
 同時に、今回、各委員からいろいろ御指摘をいただきましたように、そのことが労働者の解雇とかそういった不利益につながることがあってはならないということで、かねてから御説明をいたしておりました。
 会社分割の対象というものは営業単位でなければならない、あるいは、先ほど来お話がございましたように、その営業の移転とともに、営業に従事する従業員というものも新しい会社に引き継がれるということがあったり、あるいは、先ほどお話がございましたように、分割後の双方の会社が債務の履行の見込みがないような分割は認められない、あるいは、未払い賃金債権あるいは社内預金等、債権等を有する労働者というものはその債権者保護手続の対象とされる、弁済というものが確保されるんだ等々、そういった要件を設けまして、労働者というものがしっかりと引き続き企業の中で働いていけるようなことも考えているのでございまして、先生御心配のような向きは、私どもはないと確信をいたしているものでございます。
#43
○木島委員 未払い賃金その他が履行できない、そんな分割は認められないというのは、それは当たり前でしょう。
 そんな場面じゃないのですよ。そんな労働者の未払い賃金なんかはない、しかし、分割されるそちらの方の企業体に移動すれば、それは間違いなく採算が合わないから将来必ず破綻するというのは、大体現場で働く労働者は見えてくるわけですよ。そういうところに、同意なしに、主たる業務に従事しているということのみをもって移籍させられる、これはやはりとんでもないことだ。
 これまでの百年間の民商法、日本の法制度のもとでは、会社が違うところへ移籍させられる場合には、少なくとも本人の同意がなければそれはできなかったという厳然とした法律があり、それが裁判でも認められ、それが慣行としてもそういうルールのもとにあったのですよ。そのルールが今回外されるというわけでしょう。だから決定的だと言うわけです。
 昨日、この委員会にお越しになった労働法学者も、民法の六百二十五条第一項は強行規定だと言うのです。その強行規定たる民法の六百二十五条第一項を、特別法をつくって、しかも労働者の権利をより高めるための特別法なら意味はわかるけれども、労働者の現にある強行規定で保護されている権利を損なうような、失わせるような特別法をつくり出すなんということは信じられない、労働法学者としては信じられない、そういう趣旨の御発言がきのうここでありました。本当に信じられないのですよ。
 そんなことは許されないと私は思うのですが、そこで大事なのは、そういう不採算部門が切り離されて、そこに移管される運命にある労働者にとっては、同意するかしないかの権利をやはり付与しなきゃだめだと思うのですね。そこで、修正案提案者の皆さんから協議という修正が提案されております。
 改めて自民党の提案者に聞きたいのですが、その協議というのは何のために協議するのですか。労働者がしっかり自分の意見も言い、そういう採算、先行き見通しのないような企業には行きたくない、そういう不同意を言いたい、そういう労働者の意見をしっかり聞くためにこそ協議というのは行われるんだと私は思うのです。そして、場合によってはその労働者の意向も会社が受けて、ではあなたが行きたくないと言うのなら、もとの企業に、分割企業、前の企業に残留していいですよ。そういう可能性があるからこそ協議というのは意味があると思うのです。
 提案者、どうでしょう、そのためにこそ協議というのはなされるのではないですか。
#44
○与謝野委員 先生の御質問は、協議は何のために行うのかという御趣旨だと思いますが、修正案附則第五条第一項の協議は、会社に、分割に伴う労働契約の承継に関して、労働者との間で誠実に協議することを義務づけるものでございまして、労働者の意向に配慮するための措置でございますが、協議の成立までも要求するものではないと思います。
#45
○木島委員 きのう私指摘したのですが、主たる業務に従事するか否かというのは大変難しい微妙な問題で、労働省もまだ省令の骨格すら、方向すら定まっていないという答弁がありました。
 だから、そこは決定的なんですね。主たる業務に従事している労働者は、同意なしに新会社に移籍が強行される。主たる業務でなければ、その分割される部門にかかわりを持っていたとしても、無条件では新しい会社に移籍はされない。しかも、名指しじゃないというのでしょう。分割契約書等には、移籍すべき労働者の名前は名指しでは書かれなくてもいいんだというのでしょう。
 そうすると、自分が果たして主たる業務に従事しているかどうかだって争いが生じるわけですよ。そうしたら労働者は、いや、おれは営業部門だ、おれは事務部門だ、何もこの現場の分割される営業にどっぷりとつかっている労働者じゃないということで、会社と意見が食い違うことだって大いにあり得る。そういう場合に、当該労働者が協議で、おれは主たる業務に従事している労働者じゃないぞ、本体の方の会社に残るべきだというようなことで協議をやれば、恐らく苦情があるでしょう。
 それでも会社は、取締役会が決めた、あなたは主たる業務に従事する労働者だから、同意なしに新しい会社に行くべきだと強行する。そうすると、労働者のそういう不満のはけ口、あるいは権利保全のための道筋というのは全然ないということになるんですか。
 改めて、自民党の提案者、これは協議の問題です。
#46
○与謝野委員 この修正案は事前協議を義務づけております。実際、この法案は労働者と書いてございますけれども、事実の問題としては、労働者個人個人と協議をするのではなくて、労働者を代表する労働組合と協議をするということが、通常、今後予想されることだろうと私は思っております。
 そういう中で、こういう事前協議を義務づけているということは、それ自体労働者の権利を守るということにつながるわけでございまして、具体的な事例に適して、このような場合はこのようになるということは申し上げられませんけれども、全体、修正案の趣旨は、労働者の権利を守るという方向で修正案を提出したわけでございますし、労働者と書いてございますけれども、当然のことながら、労働者の集合体であります労働組合が重要な役割を果たすということは、私は当然のことだろうと思っております。
#47
○木島委員 それでは、原案について聞きます。法務省に聞きます。
 ある営業体が分割されて新しい会社に移管される、そのときに、その営業体の中で主たる業務に従事する労働者は同意なしに移籍させられるのですね。しかし、その労働者にとって行くべき新しい企業は、もう間違いなくこれは破綻する、不採算部門で、そんなものが見えている場合もある。あるいは、自分はどう考えたって主たる業務に従事する労働者じゃないと考える、もとの会社に残留したい。そういう労働者の要求を貫く方途はこの法案にあるんでしょうか。あるいは、この商法以外で権利を保全する道筋というのは日本の法体系の中にあるんでしょうか。これは法務省答えてください。
#48
○細川政府参考人 先ほど来御説明申し上げていますように、前提として、分割した会社が当然倒産するという前提はとり得ないと考えております。
 これは新しく会社を設立した場合に、我が国の商法では最低限一千万円の資本金を要求しておりますが、それをいかに使って企業を存続させるかどうかというのは、株主とその委任を受けた経営者の責任であります。これは市場経済の基本的原則でありまして、外国でも同様でございます。ですから、その点は先ほど申し上げたとおりでございます。
 次に、労働者の転籍についてでございますが、これは諸外国の法制でも、EUについても、特に転籍について異議権はEU指令についてもございませんし、フランスやイギリスでも当然それは異議権はないわけでございます。それはなぜかと申しますと、営業自体が移転しますと、その人の職場が移転するわけですから、それとともに承継される場合には職場が従来と同様に同一の労働条件で続いていくということで、それが適当である、したがって、それを原則とすべきだということであります。
 主たる業務として移転する営業に従事したかどうかという問題は、基本的には労使の協議、先ほど来御説明ある修正案によって、協議によって合意に達せられる場合が多いと思いますが、そうでない場合には、最終的には裁判所の判断によって、これは主たる業務に従事していなかったということで、したがって転籍はなかったんだという判断があろうと思います。したがいまして、その点については最終的には客観的な判断になる、このように理解しております。
#49
○木島委員 そうすると、こう聞きましょう。
 会社分割が行われて、主たる業務に従事しているということで新会社に移籍させられた労働者も、どちらの会社を被告にするんでしょうかわかりませんが、自分は主たる業務に従事していないという理由を述べて地位保全の裁判は起こせる、そして、それは裁判で勝訴すれば移籍をしなくてもよろしいと伺いました。その場合、被告はどっちの会社になるんですか。ついでに確認しておきます。
#50
○細川政府参考人 それは、当該労働者が現に所属していると主張する会社を被告とするわけでございます。
#51
○木島委員 では、もう一歩突っ込んで聞きましょう。
 さっき私が、最初の設問です。自分には労働債権として未払い賃金はない、未払い退職金もない、しかし、間違いなく行く先は不採算部門で、これは行ったら遠からず会社が破綻して倒産しかねない、そう労働者としては予想される。そういうときに、それを理由として移籍を拒絶してもとの分割会社に残留するんだ、そういうことを理由としてもとの分割会社を被告にして地位保全の労働裁判は起こせますか。そしてまた、それは勝訴する可能性もありますか、この法体系で。
#52
○細川政府参考人 先ほど来御説明申し上げておりますように、債務の履行の見込みがあることが要件でございます。ですから当然に、倒産するということが前提となっているわけではございません。
 ただ、その債務履行の見込みの理由等が全く虚偽であったという場合には、会社分割無効の原因となり得ますので、その場合には分割会社を相手にして、要するに、まず分割無効の訴えを提起した後に、分割会社に対して地位確認の訴えを提起することができるということになります。
#53
○木島委員 前の同僚委員からの質問でも明らかですが、未払い賃金のない労働者は、債務履行の見込みがないことを理由として無効の訴えを起こせないんでしょう。原告になれないとさっき答弁したばかりでしょう。
 そしてまた、この法律を見ると、会社分割無効の訴えを起こせる期間は六カ月以内だけですよ。六カ月たってしまったら無効の訴えを起こせないでしょう。この法律はそうなっているでしょう。一年後に破産したら、無効の裁判を債権者だって起こせないんですよ。ましてや、さっき答弁のように、労働者などには未払い賃金がない限り無効の裁判は起こせない。全然権利救済の道筋がないじゃないですか。閉じられてしまう。本当にそれでいいんですか。そういう法体系になっているんですか、この商法等雇用承継法全体として。
#54
○細川政府参考人 ただいまの御意見は、私どもがとっていない前提に基づくものでございます。
#55
○木島委員 答弁拒否しちゃだめですよ。そんな前提に立っていないといったって、そんなのはあるじゃないですか。不採算部門だけ切り離されて、これだけの物体と労働者と、この営業をやったら必ず赤字になるなんというのは、見える場合が幾らでもあるじゃないですか。
 そういう場合に、それが見えたときに、その労働者は、おれは行きたくないと地位保全の裁判を分割会社に対して起こせるのか。(発言する者あり)そうですよ。起こせないのかということ。そういう権利救済の道筋すらこの商法改正は奪っているのかということ。それが同意なき移籍の問題につながるんですよ。民法六百二十五条一項が適用されるかどうかにもかかわる問題だから、私は詰めているんですよ。大事な分野ですよ。これからそういうことはあり得ますから。答えてください。
#56
○細川政府参考人 先ほど来御答弁申し上げているとおり、分割につきましては、債務の履行の見込みがあることを要件としているわけでございます。したがいまして、分割の当初からその会社が立ち行かないということは前提となっていないわけでして、その後の会社の経営は、経営者と株主あるいは従業員との努力によってどうなるかにかかるわけでございます。それは一般の企業、分割があるなしにかかわらず、すべての企業について同様の問題でございます。
 なお、提訴権者につきまして先ほど申し上げましたのは、要するに、債権者保護の対象になる債権者であると申し上げました。その中には、既に働いた期間に対応する退職金債権は、まだ退職していなくても既に債権として債権者保護手続の対象となると申し上げましたので、多くの場合は退職金債権があるのが労働者は通常でございますから、そういう場合には、分割無効の訴えの提訴権者となることができるわけでございます。
#57
○木島委員 答弁していないよ、これ。一番大事なところですよ。当該労働者に未払い賃金がなければ、あなたが言う商法三百七十四条ノ二の一項第三号の債務履行の見込みのないことを理由として分割無効の裁判を起こせないわけですよ、その労働者は。しかも、仮にそういう奇特な債権者がいて、労働者のために分割無効の裁判を起こそうとしても、六カ月たったら起こせない仕組みですよ、この商法は。
 しかも、将来危なくなるなんというのは、労働者はわかりますから。今局長は、そういうことを想定していない法律だという理屈じゃ答弁拒絶理由にならぬですよ。現に、そんなことは想定できるわけですから。
 そういう場合に、個別労働者が、おれは分割される部門に働く主たる業務に従事する労働者だが、この法律だったら、民法六百二十五条一項の適用がないから無理やり移籍させられる、同意なき移籍をさせられるという仕組みになっている。しかし、そういう見通し等について、会社の判断とおれの判断は違う、見込みがないでもいいでしょう、そういうことを理由にして、行けない、そんなつぶれるのがわかるような、想定されるような新しい会社に移籍できないといって訴えを起こすことができるのかどうか。それだけですよ。
 勝訴できるかどうかは裁判所でしょう。それはいろいろな判断があるでしょう。訴えを起こすことは可能なのかと聞いているんですよ。そういうのは門前払いされてしまうのか。この商法体系、民法体系、民事訴訟法体系ではどうなるんだ、労働法体系ではどうなるんだ、それぐらい答えてくれなきゃ審議終結できないでしょう。一番根本問題ですから。そういう訴えすら起こせないのか。そうなったら大変な法体系をつくり出すことになるわけですからね。
#58
○細川政府参考人 単に主観的に倒産のおそれがあるというふうに考えただけでは地位保全の訴えを提起する理由とならないということは明らかであると思います。
 当然に労働契約が承継される事態というのは、例えば合併の場合も同様でありまして、そういった場合にでも、やはり将来会社が経営がうまくいかないからという理由で合併を阻止するということはできないわけでございますし、また、かつて、営業譲渡につきましても、営業譲渡に伴いその営業に従事する労働者が当然に承継されるという学説が非常に多数説であって、例えば済生会中央病院の事件のように、裁判例でもかつてはそういう説が主流であったわけでして、そういう場合には今回と全く同様の事態が起こっていたわけでございます。
 したがいまして、今回の法律もそういった考え方によっているわけでございまして、それから、先ほど来申し上げておりますように、外国の法制でもそういうことがあるわけですから、特段問題のあるものではないというふうに考えております。
#59
○木島委員 主観的に、勝手に労働者が先行き見通しがないというだけでは地位保全の訴訟は起こせないだろうと答弁されました。
 そうすると、非常にこれは重要答弁で、それでは、ある程度客観的に、この分割される部分はどうも先行き見通しがなさそうだというのを、客観的にいろいろな資料を携えて、よって自分は移籍するわけにはいかないという裁判を起こせるというふうにお聞きしてよろしいわけですね。
 あとは裁判所の判断事項なんでしょうが、非常に筋も通っている、一年ぐらい裁判やってみれば、そのうちつぶれちゃうこともあり得るわけですから、現につぶれちゃったような場合には、やはりその労働者が言っていたのが正解だったということで、その地位保全の民事訴訟は勝訴して、当該労働者はもとの、分割前の会社に堂々と地位が保全される、こういう道筋になると聞いてよろしいですな。詰めておきましょう。それで質問を終わります。
#60
○細川政府参考人 何度も申し上げていますように、分割の発足当初におきましては、これは経営が立ち行かないという状態でないことを法律が要求しているわけですから、それを客観的にあらかじめ証明するということは、それはできないことじゃないでしょうか。その後に経営が悪化したというのは、これは分割の要件とはかかわりないことでございます。
#61
○木島委員 どうもさっきの答弁の筋とちょっと違うようですね。
 さっきは、労働者が主観的に先行き見通しがないというようなことを理由には裁判を起こせないかのごとき答弁をしたわけでしょう。非常にそれは重要なところなんですよ。裁判に勝つかどうかはまた別の判断ですよ。それは裁判所がこの商法をどう読むか、民法六百二十五条一項の適用を、この商法と別途承継法が成立したとして、どう読むかはまた裁判所が判断するでしょう。そういう訴訟を起こせるかどうかというのは、非常にこれは根本的に大事なものだ。
 今、私はそれは起こせるというふうにお聞きをしましたので、そういうふうに信じて、もう時間が来たということですから、質問は終わらせていただきますが、全体として、今度の会社分割法は、今まで日本の社会に厳然として守られてきた労働者の基本的な権利を根本からそぎ取ってしまうものだ、断じて認めるわけにいかないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
#62
○武部委員長 保坂展人君。
#63
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 私たちはまだまだ審議が足りないというふうに思っていますが、最後の質問者というふうになりましたので、ここは法務大臣に率直な、総括的な問いを幾つか問いたいというふうに思います。大臣、よくお聞きいただきたいと思います。簡単な問いかけです。
 毎日新聞の社説に、「会社分割 働く人々の「保護」忘れるな」、「会社分割を認める法制化は、一連のリストラ支援の総仕上げともいうべきものだ。」これは、きのう、連合の参考人もそのようなことをおっしゃっています。
 リストラ支援の総仕上げというべきものという見方があることに対して、大臣、御承知でしょうか、どういう見解をお持ちですか。
#64
○臼井国務大臣 その記事は不明にしてまだ拝見しておりませんが、先ほど来お話を申し上げておりますとおり、国際化の中で企業の形というものを極めて迅速に変えていくという法制も必要でございまして、それら一連の法制の中の、今回その一つであるということで、先ほど来お話をいたしておりますとおり、そのことによって労働者の立場というものは害されてはならないということで、私どもも最大限の配慮をいたしているつもりでございます。
#65
○保坂委員 そういう配慮はありがたいんですが、リストラ支援の総仕上げという見方について、それは間違いだ、こういうふうにお考えですか。それとも、そういう面もあるが努力する、こういうことですか。
#66
○臼井国務大臣 私どもはそうした立場はとっておらないのでございます。
#67
○保坂委員 それでは、三月三十一日の日本経済新聞で、「失業率 最悪の四・九%」、これから一カ月以上たっていますからそれ以上数字は上昇しているわけですけれども、ここで牧野労働大臣が、この原因について、「企業のリストラと中小企業の倒産の増加」と語って、「企業が国際競争力をつけて利潤を確保するには、非自発的離職者の増加も、ある程度やむをえない面もある」と語っているんですね。
 法務大臣、同感ですか。
#68
○臼井国務大臣 申しわけございませんが、他の大臣の発言に対して私がここであえて申し上げる必要はないと思います。
#69
○保坂委員 大臣、これはそういうことはできないですよ。これは労働委員会で同時に進行しているのは御承知のとおり。そして、今回の商法改正が雇用に重大な影響をもたらすだろうと我々は懸念しているし、労働組合からのそういう声もある、働く人からの声もあるんです。
 大臣はリストラ支援策の総仕上げではないというのであれば、つまり、こういう見解は持たないと言ってくださいよ。同じ政府、閣僚の中で全く違う見解があるんですか。
#70
○臼井国務大臣 現実の社会の中で、そうしたリストラをしなければならないような企業というのは現実にあると思います。
 私どもが今法案としてお願いをしております企業分割においては、そうしたものとは別の考え方、企業がしっかりとやっていき、従業員もその中でしっかり働いていく、それをいかにして両立させるかということを考え、この法制をお願いすると同時に、従業員のこともしっかりと会社側でもってお考えを聞きながら実行していくという配慮もさせていただいている、こういうふうに考えておりまして、今回、今先生が御指摘のリストラ対策ということではないと私どもは確信しております。
#71
○保坂委員 法務大臣、労働大臣が公の場で、記者会見で言っていることなんですね。「企業が国際競争力をつけて利潤を確保するには、非自発的離職者」、つまりリストラです、「の増加も、ある程度やむをえない面もある」。
 これに対して同じ見解ですか、違うんですか。これはやはりはっきり言ってもらわないと困ります。
#72
○臼井国務大臣 私は、その御発言の事実というものを実はまだ確認しておらないわけでございますが、先ほど私が申し上げましたとおり、現実にはそうせざるを得ない企業というのもあるだろう、それは現実だと思うんです。私としては、今回の法提案に対しては、そういったものは全く念頭にないということを申し上げているのでございます。
#73
○保坂委員 それでは、非自発的離職者の増加、問題はここですよ、最後、「やむをえない」、やむを得ないのかどうかですよ。我々は、やむを得ないと言ってもらっては困る。そこのところ、どうですか。
#74
○臼井国務大臣 大変恐縮ですが、法務大臣としては、そういう現場の企業の動きについて言及をするということは差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。
#75
○保坂委員 これは閣内できちっと見解をまとめて、政府見解を示してください。こういう重大問題、これはだれから見ても、経営をしている側から見ても、かなり日本社会の会社の骨格が変わっていく法案ですよ。労働省は商法改正をいわば母体としながら承継法を作成しているわけですから、こういう問題について、政府の見解を出せますか、大臣。
#76
○臼井国務大臣 大変きつい御追及でございますが、労働大臣の発言でございますから、そのことの真意についてはぜひとも労働省の方に御確認をいただきたい、このように思います。
#77
○保坂委員 では、労働省審議官、来ていますよね。やむを得ないのですか。一言。
#78
○石本政府参考人 私も、先生御指摘の大臣の御発言、手元に持っておりませんが……
#79
○武部委員長 どうぞお渡しください。
#80
○石本政府参考人 これまで私が牧野大臣にお仕えした経験から申し上げれば、大臣は、雇用が一番大切であるということを常々申し上げ、また経営者団体とのお話し合いも、中高年、若年者対策も含めて、できるだけ人員削減をしないようにというふうなお言葉をいただいておりまして、「やむをえない面もある」というふうにこの新聞では書いてございますが、面もあるが、できるだけ失業しない形で次の雇用確保につなげていくことが大切であるというふうなことを言われていると私は信じております。
#81
○保坂委員 では、大臣、若い人の失業率の増加、特に新卒で就職できない、こういう方たちが大変ふえている。どういうふうに把握されていますか、現状を。
#82
○臼井国務大臣 今御指摘の点については、大変重要な問題と考えておりまして、私ども政府としても、雇用問題については、労働省を中心にして幾つもの施策を行いながら、この改善に努力をいたしているさなかでございます。
#83
○保坂委員 失業率の上昇と失業者の増加と、いわゆる犯罪、社会不安、強いて言えば社会が安全で安心して人々が暮らせるということが脅かされるという面とは、どうしても私は相関関係があると思うのですね。
 法務省としても、省庁再編の中で名前が変わらない法務省ですけれども、大いに自己改革してもらわなければ困るという気がとてもしております。つまり、労働省の問題だから、通産省の問題だからというふうに言っていられない、もっと大きなネットを商法改正で今回出しているのですね。そういうところまできちっと配慮していただくならば、そこのアンダーラインを引いた、牧野労働大臣のやむを得ないということの真意もきちっと確かめてください。大臣、決意はいかがですか。
#84
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、これからも省庁を超えた大きな枠組みの中でもって対応しなければならない問題、先ほどお話ございました青少年問題にしても、恐らくそうだと思います。そういうことはますますふえてくると思います。そういうことに対しては、しっかりと対応していかなければならないと思います。
#85
○保坂委員 提案者にちょっと次に伺っていきたいのですが、きのう聞いた点と同じなんですけれども、結局は労働者との協議ということで、我々は、本当に一歩前進、しかし労働組合だとなおよかったなとは思っていますが、ここのところで先ほどの木島委員とのやりとりを聞いていて、協議というのは合意を必ずしも前提にしていないという与謝野提案者の答弁がありました。
 これは北村議員に聞きますけれども、成立を前提としない協議であれば、通告とどういうふうに区別できるのか、ここはどうでしょうか。
#86
○北村(哲)委員 協議をしなければいけないということは、たしか、いわゆる同意約款とかいうものと協議約款というのがあるのですけれども、合意を前提とするものと、協議をするということ。通告は単に言えばいい。しかし、協議をするということは協議をする義務ですから、その協議の中には誠実協議義務というのがありますから、誠意を尽くさなければ協議をしたことにならないわけです。合意に達しなくてもやむを得ないけれども、その間重要な事項については誠意を持って協議をするという義務が生ずる、簡単に言えばそういうことですよね。それでいいですか、とりあえずは。
#87
○保坂委員 また、自民党の立場から労働者の保護にかなり幅広く目配りをいただいたということで、私は、与謝野議員の質問に、これは私の質問の予定の過半数をされているなということで改めて感心をしたのです。しかし、今の協議のところですが、労働者との協議ということまで盛り込むという、社会的な、商法改正でリストラのあらしが吹き荒れるのではないかという不安があることを与謝野議員も御承知だと思いますけれども、そこのところで協議ということを入れた。しかし、協議は必ずしも合意なり終結を前提とするものではないということでよろしいんでしょうか。
 やはり協議というのが、誠意を尽くしてと北村議員も言われましたけれども、どういう内容になるのか、形式的な協議、あるいは一応その場をつくりましたよということに終わってしまうのではないかという懸念が私どもは非常に強いのですね。そこは、修正を考えられた立場でいかがでしょうか。
#88
○与謝野委員 協議と書いてありますことは、使用者側も労働者側も協議を当然の法理として誠実に行うということが前提になっておりまして、合意に達しないということを前提に協議をするということは、多分日本のよき労働慣行の中では私はあり得ないんだろうと思います。
 しかし、この商法改正の中では、労働法の分野まで踏み込んで物事を書くわけにはまいりませんでしたので、事前の協議を義務づけるという一点に絞って物事が書かれているわけでございます。
 どういう話し合いが使用者側と労働者側で行われるかということは、労働法そのもの、労働法体系そのもの、あるいは今まで裁判所が下した判例、あるいは社会一般に通用しております労働慣行等に照らして協議が行われるはずでございまして、そこには合意ということは書いてございませんけれども、それは当然のことでございまして、協議をした結果、合意ができない場合もありますし、合意ができる場合もある、両方がありますから協議というふうに書いてあると私は思っております。
#89
○保坂委員 では、時間がないので簡潔にもう一問いただきたいと思うのですが、今回の商法改正という大法案、これの審議のされ方というのが、労働省マターである、あるいは労働法制の分野であるといって労働委員会で承継法をやっている。しかし、こちらの方は本案で商法改正。しかし、商法改正の附則のところに、まさに労働者との協議という、労働省は何をやっているんだろうなという気が私はしますけれども、そういうことを与謝野議員など与野党の中で盛り込まれたことを私は評価しています。
 評価はしていますけれども、国会審議のあり方として、与謝野議員、どうでしょう、連合審査というのは形だけだという御持論のようですけれども、もっとこれは、労働大臣も出てきて、法務大臣もいて、合体してやるべき内容じゃなかったんですか。修正提案者としていかがですか。
#90
○与謝野委員 国会の時間が十分あれば、もちろん連合審査というものは、一つの法案に関して異なる委員会が共同で委員会を開催するということは国会でも通常とられている審議の方法でございますので、この法案も時間的な余裕が十分あればそのような方法をとることもあり得たことでございますけれども、法務委員会は商法、民法の体系の中から物事をどう判断していくかということを審議すべき委員会でございましたので、商法、民法の立場からは連合審査の必要はないというふうに私どもは判断したわけでございます。
 ただ、他の案件に関して当然二つの委員会をまたがる案件というものはあるわけでございますから、そういう場合は、国会の審議のあり方として、連合審査というのは当然今までも行われてきましたし、また今後も行われるべき案件は出てくるんだろうと思っております。
#91
○保坂委員 残り少ないので、労働省に伺います。
 これまでの修正の議論の中で、まだまだ手当てがされていない分野として私どもずっと指摘を続けてきたのは、中小下請で働く皆さんが親会社の分割によって雇用の影響を受けた場合に、例えば団体交渉権等を有することができるのかどうか、この辺は非常に不明確です。
 それから、持ち株会社が新たに設立をされて事業分野が分割をされ、分割をされたところの会社の社長、経営陣が事実上その支配力を持っていない、実際には持ち株会社だという場合に、持ち株会社との団交権があるのか、この二点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
#92
○石本政府参考人 中小下請企業の問題でございますが、私どもといたしましては、営業を構成する場合には下請契約も承継されるといったことを考えておりまして、必ずしも中小下請企業が淘汰されるというふうには考えておらないわけでございますが、これまでに、私どもとしては、この中小下請企業につきましては、中小企業労働力確保法に基づく雇用対策、あるいは解雇権の行使を制限する判例法理の周知徹底といったことで、御心配のないように確保を図ってまいりたいと思いますが、御指摘の使用者性の問題につきましては、判例におきまして、例えば雇用主以外の事業主、事業者でありましても、一部使用者性が認められる判例がございます。団体交渉応諾義務が生ずる場合もあると考えておりまして、そういった意味で、元請企業と下請中小企業の場合にもこれは適用されるだろう。
 また、持ち株会社と子会社との関係でも団体交渉応諾義務というのを認めるのは一般的には困難だと考えておりますが、先ほど申し上げました判例におきまして、一部使用者性が認められるケースもございますので、そういった場合、団体交渉応諾義務というものが生ずる場合もあり得るというふうに考えております。
#93
○保坂委員 最後に法務大臣に伺います。
 この法務委員会の席上で、私、たびたび中小下請の問題を出しました。例の国会テレビの問題も出しましたよね。それから、倒産法制などでここは空白だということに対して、山本政務次官からも極めて積極的、前向きな答弁もいただいて、期待するところ大なんですが、法務省がこれまで分野として受け持ってきた分野とは比べ物にならないくらい大きな影響を持つ法案提出を現在するようになってきているし、省庁改革の中で、確かに、下請中小企業の問題は法務省の問題かというとそれは首をかしげてしまうかもしれません。しかし、ではこれはどこの省の受け持ちだということを言っていられないぐらい切迫している状況があります。
 国務大臣としても、しっかりこの問題は、この審議の中でどうしてもやはりなかなか手が届かないですね、こういう中小企業の働く人たちの問題は。大臣にぜひ決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#94
○臼井国務大臣 今回の会社分割法制におきましては、雇用契約や下請業者との間の契約関係というものも分割に伴い営業とともに承継される、会社が一方的に解除することができない等々の配慮もいたしておるわけでございますが、御指摘の下請業者の保護等については、現行の倒産法制においてこれに資する制度が設けられているところではございますが、法務省としては、この観点からさらに何らかの方策をとり得るかどうか今後とも検討を続けてまいりたい、このように考えております。
#95
○保坂委員 残念ながら時間になりました。本当にもう少し修正が徹底すればという気持ちを残しつつ、この法案にはなかなか賛成できないということで、終わります。
#96
○武部委員長 これにて両案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#97
○武部委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。
#98
○木島委員 私は、日本共産党を代表して、商法の一部を改正する法律案並びに同法施行に伴う関係法律整備法案に対し、反対討論を行います。
 会社分割を容易にするための本法案は、ここ数年にわたって財界が進めてきた経済のグローバル化への対応を口実にした企業再編のための法制度の改変の総仕上げとなるものであります。それは、戦前の財閥の弊害の教訓から独禁法で禁じられていた持ち株会社制度の解禁から始まり、企業合併法制の合理化、完全親子会社関係創設のための株式交換・移転制度の導入、そして、今回の分割法制の合理化へと続くものであります。
 そのねらいは、独占大企業の国内、国際競争力を強化するために、労働者や下請企業を切り捨て、再編するというリストラ、合理化を容易に推し進めることができるようにしようとするものであり、認めるわけにはまいりません。
 これら一連の法制度の改変は、商法の基本的な諸原則を破壊するだけでなく、債権者や労働者に一方的に犠牲を強いるものであり、我が党は強く反対してきたのであります。
 本法案に反対する第一の理由は、会社分割の際の分割計画書、分割契約書に記載する権利義務に関する事項について、労働契約や労働協約について詳細な記載が義務づけられておらず、また、労働者の事前の同意を要するとの規定がないことであります。その結果、民法六百二十五条第一項の同意なき移籍の禁止という基本原則がじゅうりんされ、労働者の地位を決定的に後退させるものであり、強く反対するものであります。
 反対の第二の理由は、下請企業や取引先企業にとっても、分割計画書、分割契約書に記載する権利義務に関する事項について、明確な記載がない場合には、継続的な取引契約関係が承継されないおそれもあり、そのことを通じて、下請企業や取引企業の切り捨て、再選別につながり、ひいては単価の切り下げ等にも利用されかねないという点であります。
 現実に、大企業の下請の場合には、その会社のほとんどの受注を当該親会社に依存しているケースが多いわけで、言いなりにならない下請企業は本法案の成立によって容易に切り捨てることが可能になるというとんでもない構造になっているのであり、到底認めるわけにはまいりません。
 反対の第三の理由は、一般的な手続は株主総会の特別決議によることとされていますが、総資産の二十分の一以下の小規模な分割には、株主総会を省略して、取締役会の決議だけでできるという簡易分割の手続を定めていることであります。これでは、株主総会の特別決議という重い枠も事実上全くの飾りにすぎなくなってしまうことであります。現に、工場のごく一部分だけを切り離して営業譲渡して、結果として労働者の首切り、労働条件の切り下げを行うといった例もあるのであります。このような極めて安易にリストラ、合理化を推し進めることを可能とする本法案は、株主、債権者の保護など商法の諸原則を破壊し、労働者の雇用と権利を脅かすものであり、認めるわけにはまいりません。
 最後に、与党三党と民主党から提出された修正案についてでありますが、事前協議条項の追加は労働者の権利保全にとってないよりましでありますが、同意なき移籍を強制しようという本法案の危険な本質を変えるものではありません。
 分割計画書等に労働契約の文言を加えることも、もともと本法案の権利義務の中に含まれていたことは政府答弁でも明らかであり、労働者の権利保護にとって新たな改善と言えるほどのものではありません。
 我が党は、別に抜本的な解雇規制法案と企業再編に伴う労働者保護法案を対案として提出しており、労働委員会に付託されております。同時に提出しているサービス残業根絶特別措置法案を含め、労働者の雇用と労働条件を守るためには、これらの法案を成立させることこそが緊急に求められているということを主張して、反対討論といたします。
#99
○武部委員長 保坂展人君。
#100
○保坂委員 社会民主党を代表して、政府提出の商法等の一部を改正する法律案及び関係法律の整備に関する法律案及び五会派提出の修正案、いずれも反対の立場から討論を行います。
 東西冷戦の崩壊後急速に進んだいわゆるグローバリゼーションの波に、世界じゅうの労働者が激しく揺さぶられています。日本でもあらゆる産業でリストラのあらしが吹き荒れ、労働者は職を奪われ、下請中小企業の整理淘汰が進められています。特に日本は労働者の権利保護が欧米と比べると極めて弱く、史上最悪の失業率のもとで全国の勤労者はうめき苦しんでいるのが現状です。私たちは、これらの弱い立場の勤労者、中小企業、零細企業の権利を守る立場から、この間の審議に臨んでまいりました。
 この会社分割のための商法一部改正は、経済界からの強い要望によるものだということであります。私たちももちろん、産業競争力の観点を無視するわけにはいきません。しかし、国際競争力の名のもとにリストラ、再編ばかりを優先させることの危険性については、やはり強く指摘せざるを得ません。
 実際に、会社分割法制を利用して持ち株型経営が本格化すると、我が国の企業社会は、一握りの持ち株会社の利潤追求のために、多くの中小企業や労働者が絶えず不安定な状態に置かれる弱肉強食型ジャングルルールの社会になっていくという懸念を抱くものであります。
 具体的には、会社分割を理由とした整理解雇規制があいまいであり、下請中小企業の取引契約保護策は何ら措置をされていません。さらに、持ち株会社の団交応諾義務や分割により重大な影響を受ける零細下請事業者に対する保護策も講じられていません。
 別途、労働契約の承継等に関する法律案の審議も行われている最中でありますが、仮にこの法律が通ったとしても、分割による企業再編の波から労働者を守ることができるのか全く疑問であります。
 五会派共同提出の修正案につきましては、民主党の要求を入れたものであり、これらの努力、与野党の努力に敬意を表するものであり、その方向については私どもの気持ちに沿うものでありますが、しかし、協議が形式にとどまり、一方的な通告に終始するおそれもまだまだ含んでいるというところで、残念ながら賛成することができません。
 以上の理由で、私ども社会民主党の反対討論といたします。
#101
○武部委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#102
○武部委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、与謝野馨君外四名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#103
○武部委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#104
○武部委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#105
○武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#106
○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました商法等の一部を改正する法律案に対し、杉浦正健君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。杉浦正健君。
#107
○杉浦委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 分割の当事者となる会社の株主及び債権者等の保護並びに企業経営の健全化を図るため、分割に際しての備置き書面に透明性のある情報開示がされるよう指導に努めるとともに、反対株主の株式買取請求権及び債権者保護手続並びに分割無効の訴えの制度等の趣旨の周知に努めること。
 二 会社分割に伴う労働契約の承継に関して、会社が労働者と事前協議をすべきものとする制度の周知を図るとともに、本制度が労働者の意思を尊重する趣旨であることの周知に努めること。
 三 会社分割制度が労働者解雇の手段として利用されることがないよう、会社の組織の再編成のみを理由として労働者を解雇することができないとする確立した判例法理について周知を図ること。
 四 経済構造改革の進展に伴い、幅広い経営選択が行われており、これらにより会社組織の多様な再編成が行われていることにかんがみ、企業の再編成に伴う労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護方策に関しては、立法上の措置を含め、その対応の在り方について更に検討すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#108
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 杉浦正健君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#109
○武部委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。臼井法務大臣。
#110
○臼井国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#111
○武部委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#113
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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