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2000/01/31 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第4号
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2000/01/31 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第4号

#1
第147回国会 本会議 第4号
平成十二年一月三十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  平成十二年一月三十一日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。森喜朗君。
    〔森喜朗君登壇〕
#4
○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、小渕総理の施政方針演説に対し、総理及び関係閣僚に質問いたします。
 質問に入ります前に、総理の施政方針演説初め政府四演説に対する野党の態度について、一言申し上げたいと思います。
 野党三党は、特定の法案が気に入らないからといって、その法案の審議を拒否するばかりか、内閣総理大臣の最高の政治方針を国権の最高機関が聞き取るという国会議員としての崇高な責務を放棄いたしました。政府の予算に対して、野党は白紙一任するというのでしょうか。議会人としての自殺につながりかねない暴挙を敢行し、議会史に恥ずかしい点を残してしまった野党に対し、強く猛省を促すものであります。(拍手)
 今後とも、与党三党は結束し、国会をサボタージュするという少数の横暴で国会を私物化しようとする野党に対し、毅然たる姿勢で粛々と国会を運営していく決意であります。
 西暦二〇〇〇年を迎え、記念すべき新しい千年紀の幕が開きました。同時に、ことしは二十一世紀へと導く重要な節目の年となります。全世界の人々にとって、新たな世紀が平和と繁栄に裏打ちされた輝かしい時代の序章を刻むか、混迷と停滞の暗雲に覆われた不安な滑り出しとなるか、宇宙船地球丸の命運を占う船出となりました。
 我が国は、二十一世紀も地球丸のかじ取りとして、国際社会の中で大きな責任を負うことになるでしょう。まずは今、日本丸に押し寄せる荒波を乗り切るため、経済新生を初め未来に向けた構造改革を勇気を持って断行すべきときであります。
 さて、心配しておりました年末から年始にかけてのコンピューター二〇〇〇年問題も、大きな混乱もなく西暦二〇〇〇年を迎え、新しい千年紀、ミレニアムの幕が開きました。二十世紀の象徴の一つでもあるコンピューターは、我々の生活に大きな便宜を与えてくれましたが、一つ作動を誤れば社会生活に大混乱を招来させます。ロボットや機械に支配され、科学技術に埋没しかねない二十一世紀社会を見せつけてくれたように思います。人間が機械を支配するのか、科学技術に人間が支配されるのかの問題を提起してくれたと同時に、文明と人間のかかわりをも提起してくれたのではないでしょうか。
 ところで、本年は、二十世紀の幕を引き、二十一世紀の開幕を準備する重要な節目となる年でありますが、幕が引かれようとしている二十世紀は、まさに激動の世紀でした。見方によっては、血なまぐさい戦争の世紀ととらえるかもしれませんし、コンピューターに象徴されるように、驚異的な進歩を見せたテクノロジーの世紀と呼ぶ人もいるかもしれません。
 我が国においては、明治維新以来、先人の血のにじむような努力で近代国家としての基礎を築き上げ、第二次大戦後は、焦土と化した荒廃の中から、欧米先進諸国に追いつけ追い越せを目標に、経済復興を最優先する政治方針のもと、科学技術の発達や工業化の進展、さらに勤勉な国民の力によって驚異的な経済成長をなし遂げ、あらゆる面で国民生活は向上し、その恩恵に浴することができ、平和で豊かになった世紀と言えます。
 しかし、その一方で、環境破壊、公害という負の遺産も背負うことになりました。また、経済的利益追求第一主義が、お金や物を得るためなら何でもありの社会風潮を醸成し、人心の荒廃を招いていることもまた事実であります。児童への虐待や非行の増加、家庭崩壊が顕著になっていますし、カルト的な宗教が起こす犯罪も多くなっています。二十一世紀を目前にした今こそ、お金や物の豊かさをありがたがる社会から、本当に人間らしい心の豊かさを大切にする健全な社会へ転換するチャンスにすべきではないでしょうか。
 今求められているのは、日本人としての自覚のある国民をどう育てるかということであります。すなわち、道徳、倫理をどうはぐくむかであり、他人を思いやる心、正義感、家族愛、郷土愛、地域愛、国を愛する心、地球環境を大切にする心を持った、バランスのある健全な人格を身につけた人材の育成であります。我が国の文化、歴史、伝統や、師弟愛、家庭教育、人との出会い、仲間同士の切磋琢磨、そういうものを蓄積し、その上で人格が形成、陶冶されてこそ、真の健全な国家社会になると私は確信しております。これこそ、総理のおっしゃる富国有徳の国家社会、すなわち、経済的な富に加え、物と心のバランスがとれ、しかも活力にあふれ、品格や徳のある健全な国家、健全な社会、健全な家庭をつくることになると思いますが、総理はいかがお思いでしょうか。
 また、国民的課題として取り組まなければならない子育て対策や、職場の生活と休暇時の自然の豊かな地方の生活とを両立させるため、新しい住宅政策の仕組みと大胆な交通体系の改革、並びに年金、医療、介護や財政構造の抜本改革が必要であります。こうした取り組みにより、二十一世紀に向けて、国民一人一人が余裕を持った生活体験をすることができ、みずからの力でみずからの未来を切り開くことのできる喜びを実感できる経済社会が構築されるのではないでしょうか。
 さらに、今政治に最も求められているのは、二十一世紀に向けて国民の安心をしっかりと確保することだと考えます。
 いや応なくやってくる少子高齢社会に多くの国民は不安を抱いています。年金や介護保険、医療はどうなるのか、教育改革は実現するのか、日本経済は本当に再生し新生への道をたどっていけるのか。こうした国民の不安を払拭し安心を担保するには、必要な法案や政策を迅速に処理する体制が必要なことは言うまでもありません。そのためには、何といっても安定した政治基盤が必要不可欠であります。
 小渕総理の英断によって、自自連立、さらに自自公・改革クラブ三党派の連立政権が実現しましたが、この連立政権によって、かつてなら数国会かかるような数多くの重要案件を迅速に処理し、国民生活の安定確保に大きく貢献することができました。私は総理の英断を高く評価する者の一人ですが、改めて連立政権に対する総理の御所見を伺いたいと思います。
 総理は、施政方針演説の中で教育改革を内閣の最重要課題として位置づけられましたので、私もまず教育問題についてお伺いします。
 私自身、十六年前、文部大臣としても教育改革の先頭に立って努力した経験もあります。
 これまで我が国の教育は、日本の経済発展を支える人材を大量に供給するなどすばらしい成果を上げてきました。しかし、昨今の社会の現象、いじめ、校内暴力、学級崩壊などの深刻な問題も抱えています。改めて、学校は何のためにあるのか、教育は何のために行うべきなのか、そのことを率直に問い直すべきであります。
 戦後の日本の教育を振り返ったとき、大きな反省すべき課題があると考えます。
 その第一は、戦後教育を支えてきた基本的理念、すなわち、平和、平等、自由、権利を考えてみることです。平等の行き過ぎは悪平等、個性の軽視と画一化であり、自由や権利の無秩序な主張は義務や責任の軽視となります。他人と違うことや個性の発揮を恐れる子供たち、特色の乏しい公立学校、画一的で工夫の足りない授業、校長も新入りの教師も全員平等の職員会議、子供におもねた児童の権利の尊重と責任の軽視などの憂うべき事態の改革は、教育に対する人々の理念の転換なくしては実現はあり得ないと思います。
 第二の課題は、人間として、日本人として持つべき豊かな心と人間性を十分に育んできたかという点であります。
 戦後教育で欠けていたものは、思いやりの心、奉仕の精神、父母や祖先を敬う気持ちなどの涵養、日本のすぐれた文化や伝統の尊重、国旗・国歌への敬意や国を愛する気持ちを大切にすることなどであります。戦争の反省や軍国主義排除を盾に、教職員組合によって先人の教えに学ぶ道徳教育が破壊されてきた結果、倫理観の乏しい人間が大量に生み出されてしまったのではないでしょうか。(拍手)
 これは、教育の三本柱である知徳体の中で最も大切な徳育を怠り、母性の優しさより父性の厳しさを軽視してきた戦後民主主義教育の結果とも言えないだろうか。
 このことは、単に教育の制度を改革するだけでは解決するとは思えません。人間が、社会秩序を守り、家庭、学校、社会それぞれの生活の中で最低限の規範をどのようにして身につけたらよいのか、だれがそれを教えたらよいのか。制度も仕組みも大切でありますが、教育とは、人間が人間を教える崇高な営みであります。人間が人間を教えることには、謙虚さがなければなりませんし、責任も持たなければなりません。現在の世相を見るにつけ、教える側の教師に大きな問題があったと言わざるを得ません。そして、家庭内における大人の責任、さらには金もうけ優先のテレビや出版物による社会環境の悪化が、子供たちの心身に悪い影響を与えていることも看過できないことであります。
 江戸時代に広く寺子屋の教科書として使われていた「実語教」では、父母は天地のごとしと教えておりました。父母は天や地のように恵み深いものだ、だから、しっかりと勉学に励み仕事に励んで恩に報いなければいけない。少なくとも昔の人たちはごく当たり前にそう考え、教え、実践していました。
 親孝行は我がため子孫のためとも言いました。親から大いなる恩を受ける、それを親の期待にこたえて精進努力するという形でお返しをする。結果として、子供は親以上の幸せを得ることができ、親もそれを喜んでくれる。その子供が親になったときには、より大きな慈愛を子供に与えることになり、さらに大きな恩返しの喜びをその子からもらうことになるという意味であります。
 ところが、現代はどうかといえば、この恩と恩返しの循環をみずから断ち切ってしまう人たちが多数を占めるに至っています。つまり、家庭が崩壊しているということであります。
 このように考えたとき、私は、総理の主張される有徳の国づくりの基礎はまさに人づくりにあると思いますし、このことに対し、今こそ広く国民的議論を巻き起こしていくべきであろうと思います。(拍手)
 自民、自由、公明・改革クラブの三党派は、連立に向けての政策合意の中で、教育改革国民会議の設置を提案いたしました。これを受け、総理は、幅広い国民各層から教育改革に関する意見を求めた上で、三月中に国民会議を発足させ、二十一世紀の教育百年の大計を策定する決断をなさったことは、まことに時宜を得たものであります。
 また、教育改革は今や先進国共通の重要課題となっており、この四月には、我が国主導でG8教育大臣会合を日本で開催予定と伺っております。有徳の国づくりを掲げる総理の教育改革にかける思いと改革にかける決意のほどをお伺いいたします。さらには、総理は教育基本法の見直しについても御発言しておられるようでありますが、この際、あわせお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、景気対策や中小企業対策を初めとする政府の経済運営につきまして質問いたします。
 まず、景気対策ですが、小渕総理のリーダーシップのもと、政府・与党が一致協力し、金融、財政、税制など各般において必要な施策に果断に取り組み、迅速、効果的に実行してきた結果、我が国経済は最悪期を脱しつつあると言うことができます。
 しかしながら、経済の現況には依然として厳しいものがあり、手放しで景気回復を喜べる状況にはありません。国民所得の約六割を占める個人消費は、厳しい雇用情勢を反映して一進一退といった足踏み状態にあり、民間設備投資も、依然、対前年度でマイナスが連続している状況にあります。このように、経済の主役であるべき民間の経済活動が本格的な回復軌道に乗っているとは言えず、現在の景気は、各般の政策によってようやく水面上に顔を出したという状況であると考えます。
 こうした状況を踏まえれば、これから小渕政権が取り組むべき課題は、上向きかけてきた景気を腰折れさせることなく、民需主導の力強い回復軌道に乗せていくことであります。そのためには、景気の下支えを行いつつ、同時に、将来の自律的な発展の礎を構築していくことが必要であるということは言うまでもありません。まさに、今まで以上の厳しいかじ取りを迫られている状況にあると考えますが、今後の経済運営についての総理のお考えをまずお伺いしたいと思います。
 第二に、財政問題について伺います。
 我が国の財政は、先日の施政方針演説でも述べられておりますが、極めて厳しい状況にあり、国と地方を合わせた財政赤字の対GNP比は一〇%を超えるに至っております。
 一方で、我が国の当面の最優先課題は、いかに経済を立て直していくかということであって、総理御自身も言われるとおり、二兎を追う者は一兎をも得ずという事態に陥ることは厳に回避しなければなりません。経済が本格的な回復軌道に乗ることをきちんと見届けた上で、その次のステップとしての税収入をも勘案して期間を定め財政問題に対応していくという対応こそが、責任ある政策対応であると考えております。
 また、財政問題については、単に収支均衡を図ればよい、公債の発行が抑制されればよいという数字合わせの議論にとどめるべきではありません。画一的な歳出抑制を掲げるだけでは、むしろ財政の機能不全への不安感を増大させこそすれ、我が国財政に対する内外の信任の回復を図ることは不可能であると考えます。
 この際重要なことは、硬直的であり非効率であるとの批判が強い我が国の財政制度、予算制度そのものについて抜本的な見直しを行い、真に必要な事業に適時適切な予算配分が行われるような柔軟性と効率性を兼ね備えたシステムにしていくことであります。そのためには、予算編成の手続や仕組みのあり方、事業の評価システムのあり方、複数年に及ぶプロジェクトへの対応のあり方、国と地方の関係のあり方など、幅広い視野を持ってこれに臨むことが必要であります。すなわち、単なる財政再建ではなく、その名のとおり財政構造改革であることが必要であります。
 こうした点も含めて、総理の財政構造改革に対する基本的な取り組み姿勢をお伺いしたいと思います。
 第三に、中小企業対策について伺います。
 小渕総理は、さきの臨時国会を中小企業・ベンチャー国会と位置づけ、中小企業基本法改正を初めとして、中小企業の事業活動を活性化するために諸施策を強力に講じられてきましたが、このような本格的な対策は、二十一世紀を迎える我が国の経済の新生に当たって、まさに時宜を得たものであったと考えております。
 特に、中小企業基本法の改正は、これまでの格差是正の理念に基づく中小企業施策を三十六年ぶりに大改正するものであり、意欲あふれる中小企業の自助努力を支援するとの理念のもと、中小企業の多面性に着目し、それぞれにきめ細かい対策を行うことにより、中小企業が活力を持って経済の担い手として発展するための政策体系への再構築を図っており、また、あわせて行われた中小企業の範囲の改定は、経済の実態に沿った形で中小企業の定義を直したものであると言えましょう。
 また、特別信用保証枠の延長、十兆円の枠の追加は、依然資金調達において厳しい状況の続く多くの中小企業の皆さんにとって、まさに時宜を得た施策と言えます。
 創業・ベンチャー施策につきましては、公的保証による社債発行の促進のための施策、投資事業組合への公的機関からの出資を可能とする制度を創設するなど、創業、成長のための事業環境整備につきまして尽力されております。
 さらに、中小企業税制についても、事業承継税制の改革、留保金課税の抜本的改革等、大きな前進をするものと考えております。
 一方で、このような中小企業政策の転換は、中小企業の選別支援であり、小規模企業の方々を初めとする弱者切り捨てであるとの批判がございます。我々といたしましても、さきの国会で、深谷通商産業大臣が多面的な中小企業に対してきめ細かな施策を講じていくとの方針が述べられており、小規模企業の方々に対する支援が手薄になることはないものと考えておりますが、総理からも、今回の施策の転換は決して弱者切り捨てではないということを確認させていただきたいと思います。
 次に、社会保障政策について質問いたします。
 我が国においては、高齢者世帯の年収の約六割が公的年金、恩給収入であり、今や年金のない老後生活は考えられないほど、公的年金は高齢者の生活の主な支えとなっています。また、病気や負傷した場合には、医療保険により、だれでもいつでも自由に医療機関を選択して医療のサービスを受けることができます。
 しかしながら、これから迎える二十一世紀においては、諸外国にも例を見ない速さで少子高齢化が進展し、社会保障の給付とそのための国民の負担の増大は避けられない状況にあり、施策の充実が求められる一方で、国民の将来の老後の生活に対する不安の声にも根強いものがあります。
 我が党といたしましても、責任与党として、本年四月からスタートする介護保険法を円滑に実施するための特別対策など、真摯に議論を重ね、その取りまとめに努めてきたところであります。また、平成十二年度の予算においても、今後五カ年間の介護サービス基盤の整備を含む総合的なプラン、ゴールドプラン21を開始することとなったところでもあります。
 そこで、総理にお伺いいたします。本格的な少子高齢社会の到来を迎え、社会保障の給付と負担の増大が見込まれる中、安全の支えとしての役割を担う年金や医療、介護などの社会保障制度を今後どのように構築していくのか、総理の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 また、参議院で審議中の年金改正法案の早期成立を図らなければなりませんが、今国会には、従来から関係者の間での議論が積み重ねられてきた確定拠出型年金の導入のための法案が提出されることになっています。老後の生活を保障する公的年金の改正や確定拠出型年金の導入について、総理はどのように取り組まれているのか、そのお考えをお聞かせください。
 次に、少子化対策について質問いたしたいと思いますが、ことしの一月三日の読売新聞の「ミレニアム・インタビュー」におきまして、今、毎朝NHK連続テレビ小説「あすか」のお母さん役で活躍されている女優の紺野美沙子さんが、非常に示唆に富んだ話をしておられ、私も大変感銘を受けました。その新聞を私はここで少し読み上げてみたいと思います。
  はっきりしているのは、以前と比べて、若い人の価値観が一段と多様化し、暮らしの中で優先するもの、おおげさに言えば「人生の目的」が人それぞれ大きく違っていることです。結婚や子育てが一番ではなくて、それぞれが最優先するものを別に持っている。
  若い女性に、なぜ子供を欲しがらないのか尋ねたところ、「子育てにはお金がかかるから」「自由な生活を束縛されるから」といった答えが上位を占めました。
  自由な生活を楽しみたいという気持ちは理解できないわけではありません。ただ、それが本当に大切なことなのか。むしろ十代、二十代、あるいは三十代も含め若い世代は、何が一番大切なのか分からず、もがいているのではないかという気がします。
  私は、「これが大切」などと押しつける気持ちは毛頭ありませんが、ただ、私自身は、いま四歳になる息子を産み育てた体験から、育児は何事にも替え難い大切な仕事だと実感しました。
  世の中の母親はみんな知っていることなんですが、赤ちゃんは言葉を持つまでは、人間というより、何か「エイリアン」のような存在で、それこそ二十四時間、フルオープンで向き合わなければならない。子育ては苦労が多くて大変です。だけど、昨日できなかったことが今日できるようになったとか、毎日、発見があり喜びがある。私自身、そうした体験を経て、育児の喜びを知りました。
  結婚や出産は、あくまでも個人の自由です。社会が強制することではありません。それを前提としたうえで、もし、女性に結婚や出産をためらわせるような要因が社会の中にあるなら、それを取り除いていく社会全体の取り組みが必要だと思います。
以下、彼女の考え方をこの新聞に網羅してございましたが、非常に教えられることが多くございました。
 政府においては、昨年暮れには、少子化対策推進に当たっての基本方針を決定し、それを踏まえ、関係施策の具体的な目標を掲げた計画、いわゆる新エンゼルプランを策定し、計画的に整備を進めることとしております。加えて、児童手当については、与党三党合意を踏まえ、支給対象年齢の延長などを行うことになりましたが、少子化問題は、紺野さんの指摘のとおり、人間が人間を産み育てることの喜びを持つ人間の価値観ということにも取り組まなければならないと思います。まさにこれも教育です。
 総理は、少子化対策を進めていくに当たって、その基本的な考えは何か、まず初めに何から取り組み、その後どのように取り組んでいくのかをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、医療制度について厚生大臣に具体的にお伺いします。
 これまで、医療制度の抜本改革については平成十二年度までに実施することとされていました。しかしながら、今回の予算編成においては、給付と負担の一部の見直しなど、抜本的な改革とはなっていないとの指摘があります。今後、医療費が増嵩する中、診療報酬、薬剤給付、高齢者医療、医療提供体制などいわゆる医療改革の四つの柱についてどのように改革を進めていくのか、丹羽厚生大臣の所見を伺いたいと思います。
 次に、沖縄の問題についてお尋ねいたします。
 本年、二〇〇〇年七月に日本で開催される主要国首脳会議、サミットの首脳会合が沖縄で開催されます。現在、沖縄県では県民挙げてその成功に向けて懸命な努力が行われており、サミットの開催が契機となってさらなる沖縄県の発展が期待されます。
 今後は、小渕総理がサミットの議長国としての責任を果たすためにも、政府がサミット成功に向けて万全な体制がとられるよう尽力されることをまずもって強く要請いたします。
 次に、沖縄米軍施設・区域の整理、統合、縮小問題への取り組みについてであります。
 普天間飛行場の移設問題については、稲嶺沖縄県知事と岸本名護市長の英断によって、移設候補地がキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域とする旨の受け入れの表明が行われました。こうした中で、沖縄県及び地元から、住民生活や自然環境への特別な配慮、移設先及び周辺地域の振興、沖縄県北部地域の振興並びに駐留軍用地跡地の利用の促進等の要請が寄せられております。
 政府としては、この問題の解決を図るべく、沖縄県にとっては県内移設という苦渋の選択をみずからの責任で指導力を発揮して行った稲嶺知事、岸本市長及び沖縄県民の気持ちとその努力にこたえるためにも、昨年十二月二十八日の普天間飛行場の移設に係る政府方針の閣議決定に従って、沖縄県側から提出されている要望を真摯に受けとめ、今後の沖縄振興に役立つよう努力していくことが重要であろうと考えます。
 サミットへの取り組みと普天間飛行場の移設及び沖縄振興策の推進について、小渕総理と青木内閣官房長官・沖縄開発庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、幾つかの重要政策について質問してまいりましたが、小渕連立内閣の喫緊の課題は経済新生であり、現在の景気動向から判断いたしますと、難しい経済運営を迫られているのではないかと思います。
 しかし、昨年十一月に策定した事業規模十八兆円余の新生経済対策が軌道に乗り、さらに一般会計総額が過去最大の八十四兆九千八百億円余の平成十二年度予算が成立、執行され、また平年度ベースの減税額九千七百二十億円の平成十二年度税制改正が施行されていけば、平成十二年度も年度後半には本格的な回復軌道に乗り、平成十三年度からは、民需を中心とした自律的な回復から新たな成長軌道に乗せることで、日本経済の長期的発展は確実なものになっていくと確信いたしております。
 我々政治家に課せられた責任は、景気回復が確かなものとなり、国民の皆さんが安心して生活できるようにするためにも、平成十二年度予算案及び平成十二年度税制改正法案の一日も早い成立を図ることにあると考えますし、そのために全力を尽くす覚悟でおります。(拍手)
 さらに、自由民主党といたしましても、総理の、多くの方々とお話しし、その意見に耳を傾け、国民の英知を集め、決断することは決断し、果敢に実行するという政治姿勢に基づいてまとめられた「二十一世紀日本の構想」懇談会報告書の諸提言や、施政方針演説の中に掲げられた、創造、安心、新生、平和、地球の五つの挑戦について真摯な議論を重ね、より具体的な政策を立案し、その実現に向けてたゆまぬ努力を続けていきたいと考えております。
 総理におかれましては、二十世紀から二十一世紀へのかけ橋となる時代の歴史に残る指導者として、引き続き全力投球していただきたいと思います。
 私も党執行部を代表して、難局に当たる決意を重ねてここに表明するとともに、我々は、自由党、公明党・改革クラブともども一致団結をして、小渕連立内閣を支えていくことをかたくお約束申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 森喜朗議員にお答え申し上げます。
 冒頭、森議員から、今回の施政方針演説に対する野党の態度につきまして、国会議員としての崇高な責務を放棄するものとして強く猛省を促すとの御発言がありました。もとより、私にとりましても初めてのつらい体験でもあり、まことに残念なことでありました。
 もともと国会は議論をする場であります。私としても、日本の国や政治のあり方、政策について、国民の前にこれを提示し、堂々と議論し、それを、よかれと思った政策について果敢に実行していく、これが政治の責任であると考えております。
 今国会は、西暦二〇〇〇年の新しい千年紀に入って初めての国会であります。それだけでも大きな時代的意義を有しておりますが、それに加えて、この国会から国家基本政策委員会が設置され、党首討論が行われることになっております。国民の多くの方々はこの党首討論に強い関心を抱いておられるはずであります。憲法調査会も設置されました。国会の役割が一段と大きく変わるものと期待されていることをしっかりと認識すべきと考えます。
 森議員は、世界そして日本の二十世紀の光と影を指摘されましたが、今後は本当に人間らしい心の豊かさを大切にする社会に転換し、そのためには、日本人として自覚ある国民を育てることが求められるとも述べられました。
 私は、施政方針演説におきまして、「自立した個人がその能力を十二分に発揮する、そのことが国家や社会を品格あるものにする」と申し上げました。森議員が御指摘されるように、日本人としての自覚を持ち、バランスのある健全な人格を身につけた人材の育成は、かねがね申し上げております富国有徳の国の基礎となるものと確信いたしております。
 そのような思いに立ちまして、施政方針演説において教育立国を具体的な目標に掲げ、抜本的な教育改革を内閣の最重要課題として取り組むことにいたしたところでございます。
 次に、連立政権についてのお尋ねがありました。
 社会保障、生活、経済など全般にわたる政策をスピーディーに実行することが必要であり、そのためには安定した政治基盤が不可欠であるとただいま申されました。
 私は、まさにそのような思いで、昨年一月自自連立政権を、さらに昨年十月からは公明党の御参加をいただき、三党連立政権を樹立したところであります。三党の協力により、昨年の通常国会及び臨時国会において、経済、安全保障、政治行政改革を初め国政全般にわたり大きな成果を上げることができました。
 今後とも与党三党の強い結束のもとで必要な政策を遅滞なく推し進め、三党連立による成果を得たいと願うものであります。(拍手)
 森議員から、初当選以来一貫して教育問題に取り組んでこられ、また文部大臣としての経験も踏まえ、戦後日本の教育を振り返りながら、教育とは一体何かを問いかけつつ、教育改革についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたとおり、施政方針演説において、これからの我が国の目標として教育立国を目指すことを掲げました。我が国の明るい未来を切り開き、同時に世界に貢献していくためには、創造性こそ大きなかぎであり、創造性の高い人材を育成することがこれからの教育の大きな目標でなければならないと考えております。
 今後、広く国民各界各層の意見を伺い、教育の根本にまでさかのぼった議論を行うため、三党派間の合意により教育改革国民会議を早急に発足させ、社会のあり方までを含めた根本的な教育改革を内閣のこれまた最重要課題として、全力で取り組んでまいる所存でございます。
 昭和二十二年に教育基本法が制定され、以来、これまで政府として、昭和六十二年の臨教審の答申や橋本内閣の六大改革の一つとして教育改革を位置づけるなど、教育改革を着実に推進してまいりました。しかしながら、いじめや不登校、いわゆる学級崩壊など、教育全般についてさまざまな問題が提起され、また教育改革も先進各国の共通の悩みとなっており、G8教育大臣会合が開催されることもあり、二十一世紀に向け、国民的議論を重ねていくことが大切であると認識しております。
 教育基本法につきましては、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、これらについて大いに議論する中で、制定以来五十年余りを経ており、家庭教育や生涯学習の観点も含め、幅広く議論を積み重ねていくことが重要であると考えております。
 今後の経済運営の方針についてお尋ねがありました。
 民需主導の力強い回復軌道に乗せるために、景気の下支えを行いつつ、同時に将来の自律的発展の基礎を構築していくことが必要との御指摘がありました。
 我が国経済は緩やかな改善を続けております。大胆かつスピーディーに実施してきたさまざまな政策の効果があらわれつつあり、またアジア経済の回復などもよい影響をもたらしております。しかしながら、民間需要の回復力はまだ弱い状況にあります。
 こうした状況のもと、政府は、昨年秋に決定いたしました経済新生対策などを力強く推進することにより、公需から民需への転換を図り、設備投資や個人消費など民需主導の自律的景気回復を実現してまいります。
 また、これまで取り組んできた金融システムの改革や産業競争力の強化、規制緩和などの構造改革の推進、定着に一層の努力をいたしてまいります。さらに、意欲あふれる中小・ベンチャー企業への支援や金融対策に万全を期してまいります。
 予算編成に当たりましては、経済運営に万全を期す観点から、公共事業や金融システム安定化、預金者保護に十分対応を行うとともに、総額五千億円の経済新生特別枠を初め、新しい千年紀にふさわしい分野に重点的、効率的に資金を配分することといたしました。
 私は、以上のような諸施策により、森議員御指摘のように、単に景気を立ち直らせるだけではなく、本格的な景気回復と構造改革の二つをともに実現するため、力の限り立ち向かい、かじ取りに誤りなきよう万全を期してまいりたいと考えております。(拍手)
 財政構造改革への取り組みについてお尋ねがありました。
 私は、十二年度末の債務残高が六百四十五兆円にもなることを重く受けとめており、財政構造改革という重要な課題を忘れたことは片時もありません。
 十二年度予算の編成においても、二十一世紀に向けて真に必要な施策に、限られた財源の中で、重点的、効率的配分を行ってまいります。
 しかしながら、私は、今景気を本格的に回復軌道に乗せるという目的と財政構造改革に取り組むという重要課題の双方を同時に追い求めることはできない、二兎を追う者は一兎をも得ずとなってはならないと考えております。
 そこで、私は、まず経済新生に全力で取り組みます。我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政、税制上の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に向かってまいりたいと考えております。
 財政を考えるに当たりましては、例えば議員御指摘のような柔軟性と効率性を兼ね備えたシステムなど、幅広い視野を持って構造にまで踏み込んだ取り組みが重要であると考えております。
 次に、中小企業政策の転換についてのお尋ねがございました。
 私は、さきの臨時国会を中小企業国会と位置づけました。中小企業の活力が日本経済の新生のため不可欠と考えたからであります。そして、中小企業基本法を三十六年ぶりに改正し、意欲あふれる中小企業の自助努力を支援する政策体系を再構築いたしました。
 具体的には、創業・ベンチャー企業の支援を行うとともに、小規模企業を初め、全国五百万の中小企業の皆様に活躍していただくため、都道府県ごと、そしてより身近な地域ごとに支援拠点を置き、中小企業の皆様が抱えるさまざまな経営の悩みを相談できる体制を整備することといたしました。また、特別保証枠の十兆円の追加と一年間の期間の延長など、金融対策に万全を期してまいります。したがいまして、弱者切り捨てでないのは当然のことでございます。
 社会保障制度の今後のあり方についてお尋ねでありましたが、来るべき二十一世紀に向けて、社会保障制度を、国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済との調和がとれ、将来世代の負担を過重なものにならないようにしていくことが必要であり、このため、年金、医療などの改革を進めてまいりたいと考えております。
 少子高齢化が急速に進行する中で、制度ごとに縦割りで検討するのでなく、実際に費用を負担し、サービスを受ける国民の視点から総合的な検討が求められております。私は、いわゆる団塊の世代の人々がやがて高齢世代の仲間入りをすることを考えますと、最後の検討機会との思いで、先般、社会保障構造のあり方について考える有識者会議を設置し、横断的な観点からの検討をお願いし、将来にわたり安定的で効率的社会保障制度の構築に全力を尽くしてまいります。
 公的年金の改正と、確定拠出年金の導入についてのお尋ねがありました。
 現在審議中の年金改正法案は、公的年金について将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立ったものであり、国民の公的年金に対する信頼を揺るぎないものとするため、一日も早く成立をお願いしたいと考えております。
 また、公的年金に上乗せされる企業年金等につきましては、従来の確定給付型だけでは、中小企業や自営業者への普及、労働移動への対応といった点について十分対応できなくなっていることから、新たな選択肢として、確定拠出型年金制度を導入することが必要であると考えます。このため、平成十二年度中の導入を目指し、今国会に法案を提出いたしたいと考えております。
 次に、少子化対策についてのお尋ねがありました。
 議員が御引用されました紺野美沙子さんは、私が主宰をいたします少子化への対応を推進する国民会議の委員をお願いいたしておりまして、昨年六月の第一回の会議の際にも、子育ては確かに大変だけれども、とてもおもしろく、かけがえのない大切な仕事、このことが働く母親として私の実感ですと、子育ての楽しさを一人でも多くの人に伝えたいという趣旨のお手紙と「「怪獣」のそだてかた」というみずから書かれました御本、子育て体験をつづった御本をいただきました。
 私も、少子化対策を進めるに当たりまして、二十一世紀の我が国を、若い男女が家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会にするということが大変重要であると思います。
 このため、仕事と子育ての両立を図り、安心して子育てができるよう、さまざまな環境整備を進めるという考え方に立って、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどに沿って、保育、雇用環境の整備や児童手当の拡充など、総合的な少子化対策を実施することといたしております。
 次に、サミットへの取り組みについてお尋ねがありました。
 私は、施政方針演説でも申し述べたとおり、九州・沖縄サミットの開催を万感の思いを込めて決断したものであり、森議員が御指摘されるように、その開催を契機に沖縄県の発展が期待されるところであります。
 二〇〇〇年という節目の年に開かれる九州・沖縄サミットは、我が国にとって最重要の外交課題であり、沖縄県を初め各自治体と緊密な連絡をとりつつ、政府として万全の体制で臨む考えであります。
 普天間飛行場の移設及び沖縄振興策についてのお尋ねがありました。
 稲嶺知事及び岸本名護市長を初めとする関係者の皆様の御決断に対し、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。
 政府といたしましては、昨年末の閣議決定、普天間飛行場の移設に係る政府方針に基づき、今後、県や地元の意見を十分お聞きしながら、代替施設の建設に当たり安全、環境対策に万全を期するとともに、地域の振興に全力で取り組み、地元の期待にこたえてまいります。あわせて、沖縄の二十一世紀の新しい発展の基盤を築くべく、その諸課題の解決に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上、御答弁申し上げましたが、御指摘をいただきましたように、すべての問題につきましても、御激励をもちまして、懸命に努力することを改めて国民の前にお誓いをいたしますとともに、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させていただきます。(拍手)
    〔国務大臣青木幹雄君登壇〕
#6
○国務大臣(青木幹雄君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、サミットへの取り組みについてのお尋ねでございますが、先ほど総理がお答えをいたしましたとおり、二〇〇〇年という節目の年に開かれる九州・沖縄サミットは最重要の外交課題であり、その成功に向け、沖縄県を初め各自治体と緊密な連絡をとりつつ、政府として万全の体制で臨む決意であります。
 次に、普天間飛行場の移設及び沖縄振興策についてのお尋ねでございます。
 政府といたしましては、昨年末の閣議決定の着実な実現に向け、全力を挙げて取り組んでおります。先般一月二十日には、私の主宰により、稲嶺沖縄県知事や岸本名護市長を初め、北部地域の代表にも御出席をいただき、特に関係の深い省庁の事務次官に対し積極的な取り組みを要請するとともに、政府、県、地元一体となって取り組むことを確認いたしました。
 こうした中で、閣議決定で設置が決まった協議機関等につきましては、北部振興等の協議機関を二月上旬にも発足できるよう、関係者間で鋭意調整を現在行っておるところであります。全力を挙げて取り組んでいく決意であります。(拍手)
    〔国務大臣丹羽雄哉君登壇〕
#7
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私に対しましては、医療制度の抜本改革についてのお尋ねでございます。
 今後の急速な高齢化などによる医療費の増加を考えますと、医療制度の抜本改革は、当然避けて通れない課題であります。
 このような認識に立ちまして、森議員も御指摘になりましたけれども、これまで、診療報酬体系、薬価制度、高齢者の医療制度及び医療供給体制の見直しの四つの主要課題について検討を進めてきたところであります。
 来年度におきましては、長年の懸案でございます薬価差の縮小とあわせ、医療の質の向上などを図る観点から、薬価と診療報酬の改定を行うとともに、老人一部負担につきましては月額上限つきの定率一割負担制を導入するなど、今回の予算編成で抜本改革に向けて第一歩を踏み出すことができた、こう考えているような次第でございます。
 我が国は、昭和三十六年から世界に冠たる国民皆保険制度を維持してきており、国民の方々及び関係者の方々の御理解を得ながら、今後とも医療制度の改革の実現に向けて一歩一歩着実に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 神崎武法君。
    〔神崎武法君登壇〕
#9
○神崎武法君 私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、総理並びに関係大臣に対し御所見をお伺いいたします。
 最初に、衆議院定数削減問題についてであります。
 今月二十七日、衆議院本会議で定数削減法案が可決されました。野党が欠席のまま可決されましたことはまことに残念ですが、この問題は、与野党選挙制度等協議会、そして政治倫理・公職選挙法改正特別委員会で一年以上議論されてきた問題です。
 昨年十二月十四日の衆議院議長の、閉会中においても一分一秒惜しんで協議を行っていただきたいとの裁定を踏まえ、私たちは何度も閉会中審査を求めてまいりましたが、野党側は一度も審議に応じようとはしませんでした。
 さらに、与党三党派は、六回にわたり理事会、理事懇談会で、さらには四回の幹事長・書記長会談で、審議を始めるよう野党側に粘り強く呼びかけてまいりました。しかし、残念なことに野党側のかたくなな審議拒否姿勢は変わらず、話し合いは平行線をたどりました。私たちは極めて丁寧かつ慎重に対応してまいりました。
 地方議員はこの四年間で実に約二千三百人の定数を削減しております。また、国家公務員は十年間で二五%削減することになっています。現下の厳しい経済状況の中で、民間企業も血のにじむような思いで経営合理化を進めております。本来ならば、国会議員みずからが改革の先頭に立ち、まず範を示すべきところを、野党の思惑で超党派で実施できないことはまことに遺憾であります。(拍手)
 今月十七日に放映されましたNHKの世論調査におきましても、六割以上の方が衆議院の定数は減らすべきだと回答しており、もはや国民の世論となっています。この声を野党はどのように受けとめているのでありましょうか。
 民主党は、定数削減を求める国民の期待にこたえ、またみずからの身を切る決意を明確にして行政改革などの諸改革を推進するとの考えを昨年から表明し、比例定数の五十削減を主張していたではないですか。なぜ、五十削減には賛成できて、二十削減には賛成できないのでしょうか。それとも、定数削減の方針は撤回したとでも言うのでしょうか。
 その上、不可解なことは、どうして定数削減そのものに反対している共産党や社民党と共闘できるのでしょうか。政略的な思惑を優先させ、この問題を駆け引きに使うこと自体、党利党略そのものであると断ぜざるを得ません。(拍手)
 野党の皆さん、野党の良識を発揮して、ともに改革の方向に向かって前進しようではありませんか。そして、待ったなしの経済再生のために、お互いに全力を挙げようではありませんか。
 私たちは定数削減の早期実現に全力を挙げる決意です。定数削減をめぐる問題について、総理のお考えを承りたいと存じます。
 昨年十月に連立政権が誕生し、あすで百二十日を迎えます。一部野党に、巨大与党など、議員数が多いからそれがいけないとの余りにも無謀な御批判があります。しかし、私たち与党が国民のために何をなしたのか、国民のためにどのような成果をつくったのか、その実績を見ていただいた上で判断することが大切であります。
 三党派の協力関係は、多くの重要課題について、プロジェクトチームのもとで法案作成や審査が緊密に行われており、着実に成果を上げてきていることは国民の皆さんも御理解をいただいていると確信するのでありますが、総理の三党派連立政権についての評価をお伺いいたします。
 総理、私たちは今、二十一世紀まであと三百数十日、第三の千年紀、ミレニアムのスタート台に立っております。総理は施政方針演説の冒頭で、二十世紀から二十一世紀へと時代が移ろうとするそのとき、私は、あすの時代を担うこの子供たちのために何ができるのか、何をしなければならないのか、一人の政治家としてそのことをまず第一に考えると述べられました。
 公明党は、結党以来、中道主義の政治を一貫して掲げてきました。中道政治とは、端的に言って、生命の尊厳に立脚し、人間を最も大切にする人間主義であります。
 また、国際的視野においては、戦争の世紀であった二十世紀から、新世紀を平和の世紀とするために、一国平和主義的生き方を離れ、全人類的視野に立った世界平和主義、相互繁栄主義の立場を標榜してまいりました。
 先端技術のインターネットは、たった一人の人間が、世界の隅々まで情報を収集したり、全世界へ情報を発信することが可能になってきています。一人の人間の命は地球の重みを持つと言われてきましたが、影響力の点でも、情報通信技術の発達は、一人の人間の力で意思、情報がまさに瞬時にして地球上の民族すべてに広がるという時代を現出しています。まさに二十一世紀は、一人一人の人間の力が最高に発揮されていく時代を迎えています。
 そのような意味から、先日発表された総理の私的諮問機関、「二十一世紀日本の構想」懇談会の最終報告は注目に値します。「二十世紀が「組織の世紀」だったとすれば、二十一世紀は「個人の世紀」となるだろう。」「主役は個人であり、個人が社会を変え、世界を変える。そうした中から新たな社会が生まれ、日本が生まれる。」という記述に強く感銘をいたした次第であります。
 神奈川県警の一連の不祥事、またジェー・シー・オーの臨界事故、新幹線トンネルの崩落事故、さらに幼児や女性への猟奇とも見える殺人、傷害事件の続発など、かつての日本人には見られなかった精神構造の崩壊ぶりが顕著なのであります。
 このように、モラルの荒廃は世紀末に近づくほどその度を増していることはだれの目にも明らかであります。とりわけ、政治家、官僚、さらに企業人など、特に責任ある立場にある人々にあらわれていることが事態の深刻さを物語っています。
 民主主義が二十一世紀以降も繁栄し共存する唯一の政治システムであることは、だれも否定し得ないでありましょう。しかし、個々人が自由と放縦を履き違え、精神や規範の崩壊をとどめることができないならば、我が国の崩壊もこれまた自明の理であります。
 特に近年は、日本の未来を担うべき青少年にこうした傾向が特にうかがわれることに、驚きを禁じ得ません。平成九年に日米中の高校生を対象にしたアンケートで、本人の自由にやってよいと思うことを尋ねたところ、親に反抗することについては米国が一六%、中国一四%に対し、日本の高校生は実に八五%です。学校をずる休みすることでは、日本六五%、米国二一%、中国九%など、日本の若者に放縦の傾向が強い事実があります。
 既に経済の分野では、二十一世紀は人間主体の頭脳産業の時代と指摘されています。アメリカの著名な経済学者レスター・C・サロー氏によれば、現在は、知識主義経済の創成期、後世の歴史家が第三次産業革命と呼ぶはずの時期なのであります。日本は教育制度の大胆な改革をしなければならないとしております。
 総理は施政方針演説で、五つの挑戦のトップに創造への挑戦を掲げ、創造性の高い人材を育成するために社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革の必要性を強調され、内閣の最重要課題として教育改革に取り組む決意を示されました。政府は教育改革国民会議を近々発足させますが、教育改革の方向性について総理の御見解をお伺いいたします。
 また、青少年育成対策も非常に重要な課題と考えます。学校教育問題とは別に、特別プロジェクトを編成し、抜本策を講じるべきだと考えます。この点について総理の御見解を伺います。
 次に、地球への挑戦についてお伺いいたします。
 総理は、平成十二年度を循環型社会元年と位置づけ、地球環境に大きな負荷を与えてきた、大量生産、大量消費、大量廃棄という我が国の社会のあり方を見直すための基本的な枠組みとなる法案を提出するとありました。私たちは、既に昨年十二月、独自の循環型社会形成推進法案を提案いたしました。
 循環型社会における循環とは、ワンウエーの使い捨ての流れをリサイクルさせる製品の循環のことだけではなく、ごみ、廃棄物問題を狭義にとらえるのではなく、地球温暖化問題や大気汚染問題などの二十一世紀に解決していかなければならない環境問題の根本原因である浪費型社会のあり方を変えることであります。
 私たちが考える循環とは、この地球という大自然の循環のことであり、この循環の機能を維持し、損なわず、回復しつつ、持続的に発展することができる社会をつくっていくことが二十一世紀の我が国及び世界の政策課題であると考えます。同時に、新しいビジネスチャンスも、循環型社会づくりを視野に開けてまいります。
 新しい循環型社会づくりの法案は、新しい発想により進めていかなければなりません。私は、この機会を逃してはならないと考えます。官僚主導の法案づくりではなく、幅広く国民各層の意見を聞きつつ、二十一世紀にふさわしい、環境に配慮した社会構造への転換を進める、実効性のある循環型社会法案を作成すべきであります。総理の御見解を伺います。
 高度情報通信社会のあり方について伺います。
 IT革命、いわゆる情報通信技術の進展は、今や国の生存をも左右しかねない重大な現実として目前に突きつけられており、しかも、それは、単に機器や技術等のハード的な整合性にとどまらず、一国の制度や仕組みなど、ソフト面での国際標準化を相互に不可避にしております。それらの標準化に乗りおくれれば、それはそのまま、国際競争における我が国の劣後を意味するという段階に至っているのであります。
 また、IT革命の進行は、一方で、そのリアルタイム性、グローバル性、経済効果、生活の多様性、利便性の向上、身障者等の自立支援等々、今後の社会生活において不可欠な数多くの長所を持つと同時に、それとは裏腹に、プライバシー保護や情報保存技術、あるいは二〇〇〇年問題やハッカーなどの不正アクセスに見られるような社会的脆弱化等が、あわせて大きな課題として浮き彫りにされ、その解決が迫られております。
 私は、それらを十二分に認識しつつも、二十一世紀を、だれもが、いつでも簡単に利用でき、暮らしの豊かさに直結する、人に優しい情報通信社会とする以外に、我が国が今後生き延びる道はないと考えます。そうした見地から、私たちは、昨年来、情報通信立国を目指す署名活動を全国的に展開し、インターネット利用環境から見て情報通信立国への最大の懸案である通信料金の引き下げや、また国民本位の行政の実現や経済再生、産業振興の牽引役とするために、電子政府の早期実現などを提案してきたところであります。
 総理の高度情報化社会構築に関する御決意並びに御見解をお伺いいたします。
 次に、新生への挑戦についてお伺いいたします。
 世界は大競争、変化の時代にあり、そのスピードはますます加速度を増しております。そうした中、我が国経済はバブルの後始末に時間がかかり、世界の新たな産業革命ともいうべき潮流にややおくれをとった感がありますが、今ようやく大競争に向けた体制がとり得る状況になりつつあります。
 すなわち、小渕内閣になってからは、金融再生法、早期健全化法を初めとする金融システムの安定化対策の実施、自立社会を先取りした大幅恒久的減税、貸し渋り対策を初めとする中小・ベンチャー企業支援、切れ目のない景気刺激対策など、政府としてでき得る限りの対策を的確かつ大胆に実施した結果、平成十一年度は三年ぶりのプラス成長が確実なものとなりました。足元の景気も、日経平均株価が一万九千円前後まで回復し、また設備投資など各種の経済指標も着実に改善の方向へと向かいつつあります。
 私たちは、昨年十月、金融不安を解消し、景気の回復と日本経済の立て直しを図り、安心、活力ある社会を実現するため、三党派による連立政権の樹立を決断いたしました。そして内閣の一員として、平成十一年度第二次補正予算、平成十二年度予算案の策定にも参画してまいりました。
 私たちが加わった連立政権の経済対策の結果、ようやく景気の本格的回復に向けた曙光が見えてきたことは、三党派連立政権の大きな成果であります。
 しかし、油断は禁物であります。今、政治が最優先に取り組むべき課題は、我が国経済を本格的な回復軌道につなげるとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築くための諸施策を推進し、よって公需から民需へとうまくバトンを渡すことができるよう、平成十二年度予算の早期成立を期していくことであります。また、それが国民の強い希望でもあります。議員各位におきましても、現下の経済情勢を踏まえ、国民の意に反して党利党略で予算の成立をおくらせることのないよう、協力を強く望むものであります。(拍手)
 平成十二年度予算については、景気対策に最重点が置かれておりますが、同時に、私たちが掲げる国民のための政治を反映する予算になっております。
 具体例を挙げますと、未就学児までの児童手当の拡充、育児・介護休業手当の大幅拡充、ゴールドプラン21による介護基盤の整備、新エンゼルプランによる保育対策の拡充、循環型社会実現に向けた環境対策、さらには減税の延長を含めた住宅対策などが盛り込まれています。
 さらには、長期的な展望に立って、情報化、高齢化、環境対応、町づくりなど、二十一世紀に向けたミレニアムプロジェクトとして、重点的、効率的な予算配分がなされており、構造改革への確かな芽が数多く盛り込まれております。
 さらには、行政改革もおろそかにせず、国家公務員を四千七百四十五人純減しております。
 自民党、自由党そして私たち公明党・改革クラブのそれぞれの持ち味が出たものと自負いたしております。
 小渕総理の我が国経済の実情についての認識と今後の経済運営の基本的な考え方、また平成十二年度予算案の持つ重要性、意義についてお伺いいたします。
 最近、平成十二年度予算に絡めて、積極財政か財政再建かという二者択一的な、誤解を招くような議論が与野党の一部から出されております。
 私は、積極財政すなわち来年度予算のような景気対策予算と財政再建とは、相反するものではないと考えるものであります。私は、かねてより、経済再建なくして財政再建なしと主張してまいりました。
 九七年の金融危機以来、日本経済は長く非常事態ともいうべき状況が続いており、財政政策においても、少なくとも本年度、来年度はスクランブル態勢で取り組むべき重要な時期であり、そうであるならば、まずは経済再建が最優先されるべきであることは当然の帰結であります。
 もちろん、我が国財政の危機的な状況を決して無視してよいわけではありません。むしろ今は、積極型の財政出動によって公債の拡大があったとしても、公共事業など公需主導の経済状況から一日でも早く脱し、民間が自力で経済を引っ張っていける経済環境をつくり出す対策が、結果として財政再建への王道であり、近道にもなり得ると考えるものであります。また、民間主導の自律的な成長軌道に一度乗ったならば、新たな景気対策に費やす費用も必要なくなるだけでなく、歳出削減など本格的な財政再建も可能となるのであります。
 米国の例を見るまでもなく、IT革命ともいうべき規制緩和、構造改革に向けた経済再建をまずは先行させ、その結果、ニューエコノミーという議論も出るほど、空前の景気拡大が今もって続いております。民間主導の景気拡大は、当然のごとく自然増収をもたらします。米国は、九二年度には二千九百四億ドル、約三十兆円あった財政赤字も、九八年度には黒字へと転換したのであります。もちろんこの間、包括財政調整法による財政再建への努力もありますが、景気拡大による自然増収が大きく貢献したのであります。
 もちろん、財政再建の道筋について、規制改革、行政改革、歳出削減、公共事業の見直し、国と地方の役割分担のあり方など、本格的な議論を進めていくことは極めて重要であります。要は、タイミングを間違えてはすべてが水泡に帰すのであり、私たちはこれまでの失敗を断じて繰り返してはならないのであります。
 小渕総理は、デフレ政策を全面転換し、今日までの経済状況にまで持ってこられた功労者でありますが、私の主張についてどうお考えか、明確な答弁をお願いいたします。
 中小企業対策についてお伺いいたします。
 我が国経済の屋台骨であり、貴重な財産である中小企業の方々の元気なくして、我が国の本格的な景気回復はあり得ません。私たちはこうした認識に立って、中小企業向けの特別保証制度枠の三十兆円への追加拡充を初め、ベンチャー企業総合支援センターの設置、中小企業の資金調達の多様化対策、事業承継税制の拡充など、税制面での支援などの実現を図ってまいりました。
 このほど日本商工会議所は、特別保証制度の効果について、七千件の倒産が未然に防止され、その結果、六万人の雇用維持に役立ったと報告しております。一部マスコミは、この制度の追加拡充について、連立政権によるばらまき政策の典型のように扱ってきたわけでありますが、的外れな指摘を証明するものでありました。
 このたび私たちは、さらに中小企業の方々の声を政策に反映するため、実態調査を行っているところでありますが、その結果を踏まえて、後日、政府・与党内で御議論をいただきたいと考えているところであります。
 先国会は中小企業国会と位置づけられて、総理はその先頭に立ってこられましたが、中小企業対策についての小渕総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねいたします。
 昭和三十六年に制定された農業基本法が、農業と工業における生産や所得の格差是正を目的としていたのに対し、昨年制定された新しい食料・農業・農村基本法は、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興という四つの基本理念を掲げ、我が国の農業の基本方向を示す画期的なものとして高く評価するものであります。
 しかし、我が国農業は、先進国で最も低い四〇%の食料自給率に端的にあらわれているように、農業従事者の著しい減少と高齢化、後継者不足、耕作放棄地の拡大、農産物価格の下落等の深刻な問題を抱えていることも見過ごしにできないところであります。
 我が国農業のこうした課題に対処するには、政府全体として取り組むことが重要だと考えます。中長期的に世界の穀物需給の逼迫が強く懸念される中、食料の安全保障は重要な課題であります。
 その意味で、我が国の食料自給率をどう引き上げていくのか。また、私たちの主張が実り、新たに中山間地域の生産農家に対し直接所得支払い制度が導入されましたが、この直接支払いの意義等を含め、総理の、農業の抱える問題解決と日本農業の今後の再生に対する決意をお尋ねいたします。
 次に、安心への挑戦について伺います。
 少子化は先進国に共通する悩みとなっております。特に我が国においては、少子化のみならず、高齢化も世界に例のないスピードで進行しており、既に平成十年には、六十五歳以上の老年人口が十五歳未満の年少人口を上回りました。こうした逆転現象は、西欧諸国でもまだ起きてはおりません。このことは、世界の中で、少子化への早急な対策を強く迫られているのが我が国にほかならないということをあらわしております。
 この問題については、年々国民的関心が高まり、九七年度厚生科学研究の一環として行われた、少子化社会における家族等のあり方に関する調査研究では、国を挙げて積極的に取り組むべきであるとの回答が二八・五%、個人の望む結婚や出産を阻んでいる要因を取り除く限りにおいて対応を図るべきとの回答が七〇・一%にも上るなど、何らかの支援を求める意見が多数を占めておりました。
 私たちが子育て支援策の拡充を大きな課題として取り組んでいるのも、まさにこのためであります。与党の中にあって、総合的少子化対策の一環として、仕事と子育ての両立を支援する保育サービス、育児休業給付が大きく前進しました。そして、私たちが主張してまいりました児童手当も、支給対象者が三歳未満から小学校に上がるまでに拡大することになりました。
 また、育児休業手当の給付水準は、二〇〇一年一月から、休業前賃金の現行二五%から四〇%へ大幅に引き上げられることになり、また、育児休業中に安心して育児に専念し、職場復帰をしやすくするための育児休業代替要員確保等助成制度の創設も決まりました。与党の少子化対策は着実に実を結んでおります。
 今度の児童手当制度の改革を含む総合的な少子化対策は、社会全体で取り組まなければなりません。今後の適切かつ効果的な推進について、総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、社会保障制度の改革についてお伺いいたします。
 昨年十月に三会派の間で交わされた連立政権合意書の中で、社会保障については、二〇〇五年を目途に、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築することとし、それに必要な財源のおおむね二分の一を公費負担とする、負担の公平化を図るため、消費税を福祉目的税に改め、社会保障の財源に充てるとされております。
 社会保障制度の再構築については、既に社会保障制度審議会から、平成七年の勧告と平成九年の報告で一応の方向性が打ち出されておりました。しかし、これに対する政府の対応はおくれており、少子化社会にふさわしい社会保障の将来像はいまだに示されておりません。
 昨年末に、政府は三党派による連立政権の成立を受けて、小渕総理の私的諮問機関として、社会保障構造の在り方について考える有識者会議の設置を決定し、ことしの秋口にも一定の結論がまとめられることになっております。懇談会発足に当たり、総理は、国民が安心して暮らせる社会保障制度の構築は、二十一世紀の本格的な少子高齢社会に向けて、安心へのかけ橋として非常に重要であり、国民全体の理解を深める議論を行う観点からこのような会議を開催することになったと述べられておりました。
 改めて指摘するまでもなく、我が国の社会保障が現に制度疲労を起こしており、再構築が必要なことは明らかであります。社会保障の再構築について、総理は具体的にどのような道筋で進めていこうとされているのか、お考えを伺います。
 次に、平和への挑戦で触れられていた七月に開催される九州・沖縄サミットについてお伺いいたします。
 新しき千年紀のスタートという節目の年に行われる今回の九州・沖縄サミットにおいては、新たな世紀に世界が直面する諸課題とサミットが果たすべき役割を見据え、我が国は議長国として、二十一世紀を見据えた今後の国際社会のあり方について積極的に議論を推進していくことが期待されております。政府は、九州・沖縄サミットの成功に向け、万全の準備を期していくべきであります。
 九州・沖縄サミットがアジアの地で行われるサミットであるという観点から、グローバルな中にもアジアの視点を踏まえつつ、新しき世紀に向けた明確なメッセージを打ち出す重要な機会となります。総理は先月、東南アジア諸国を訪問され、サミットに関し各国首脳と意見交換を重ねてこられましたが、アジア唯一のサミットの構成国として、また議長として、総理はどのようなイニシアチブを発揮されようと考えておられるのか、お伺いしたいと存じます。
 今回、サミットが初めて沖縄で開催されるということは大変意義深く、この機会を通じ、沖縄の位置づけについて提案しておきたい点がございます。
 沖縄県に過度に集中した在日米軍基地の整理縮小については、国が責任を持って解決を図っていくことは当然であります。私は沖縄を、米軍の東アジア戦略のかなめ石としての位置づけを二十一世紀も固定化するのではなく、日本の平和戦略の象徴の島としての役割を明確にすべきであると考えます。その意味から、国連にアジア本部またはアジア平和センターの創設を働きかけ、その拠点を沖縄に誘致することを政府として前向きに検討してはどうでしょうか。サミットを通じ、平和の拠点島沖縄を世界に宣揚することを強く提案するものであります。(拍手)
 さらに、経済、雇用を初めとする各方面にわたる沖縄と本土との格差を是正し、自立的発展の基礎条件を整備することは、政府としては最重要の課題であります。沖縄の持つ地理的、文化的特性と、古くから受け継がれてきた万国津梁の精神のもとで築かれてきた県民特性を積極的に生かした沖縄経済振興の具体化が急務であります。
 そこで、現在政府が検討を進めている沖縄経済振興二十一世紀プランの策定状況と今後の見通し、また、平成十三年度末に期限が切れますポスト第三次沖縄振興開発計画についてどのように考えておられるのか、総理にお伺いしたいと存じます。
 次に、日ロ関係についてお伺いします。
 昨年末にロシアのエリツィン大統領が突然辞任いたしました。東京宣言及びクラスノヤルスク合意を初めとする一連の合意及び宣言に基づき、本年中に北方四島の帰属問題を解決し平和条約を締結するというこれまでの基本方針に影響を与えるのではないかと大変懸念をいたしております。今後の日ロ関係の見通しについて、総理にお伺いをいたします。
 日朝関係についてお伺いいたします。
 昨年十二月、朝鮮労働党の招請により、我が党を含む日本国政党代表訪朝団が平壌を訪問し、日朝両国間の関係改善に向け合意しましたことは、大変有意義でありました。政府は、今回の合意を踏まえ、国交正常化のための政府間会談を早急に軌道に乗せるなど、朝鮮半島の平和に向けて積極的な関与を行うべきであります。今後の国交正常化交渉と両国間に存在するいわゆる人道問題の解決の進展について、総理の見解をお伺いいたします。
 また、あわせて、北東アジアにおいては、ASEANのような対話の場がありません。昨年十一月、総理は、日中韓の三カ国首脳会談を提唱し、実現を見ましたが、このような対話の場を拡大、充実するお考えはないか、お伺いいたします。
 今月二十一日、公明党・改革クラブと自由党は、永住外国人に地方選挙権を付与する法案を衆議院に提出いたしました。この法案は、満二十歳以上の永住外国人に対し、地方公共団体の議員及び長の選挙権を付与することを目的としております。
 国内ではここ十数年来、永住外国人の大半を占める在日韓国人を中心に、地方参政権を求める運動が続いてまいりました。私は、この法案の早期成立は、これまでの不幸な歴史を改善していく上でも喫緊の課題であると認識しております。
 戦後、日本の繁栄のために懸命に働き、日本人と全く同じように税金を払いながら、基本的人権の骨格である参政権が与えられていない、これは大きな人権問題であります。一昨年来日された金大中韓国大統領も、国会での演説、小渕総理との会談でもこの問題に触れておられました。総理も幅広い検討を約束されました。私たちは、この通常国会で一刻も早く成立するよう全力を挙げるものであります。
 総理、新しい千年紀のスタートに当たり、我が国を人権先進国とするためにも、また、日本の中でさまざまな差別と迫害の中で生き抜いてこられた方々の願いをかなえるためにも、早急に実現されるべきです。総理の前向きな答弁を求めます。(拍手)
 最後に、総理、衆議院解散・総選挙の見通しについてお伺いします。
 この通常国会では、三会派による初めての平成十二年度当初予算を編成いたしました。景気の底は打ちましたが、日本経済が安定した成長軌道に乗ったわけではありません。予算の早期成立によって経済再生への道筋を確実にすることが至上命題であります。国会の混乱で予算成立がおくれれば景気回復の足を引っ張ることになり、それは政治の責任放棄と言わざるを得ません。
 そして、この予算案の効果がある程度発揮され、経済が安定軌道に乗りつつあるしかるべきときに、国民に信を問うべきであると考えます。
 解散・総選挙について総理のお考えを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 神崎武法議員にお答え申し上げます。
 まず、議員から、定数削減についてこれまでの経緯と与野党の対応の御説明をいただいた上で、改めて定数削減の早期実現についての決意の表明がございました。また、野党のかたくなな審議拒否について、政略的思惑、党利党略と強く批判をされました。
 国会での定数問題の歴史をひもときますと、そのほとんどが増員の歩みであります。定数削減は、与野党を問わず、国会議員にとって文字どおり身を切る思いの伴うのは当然であります。
 しかしながら、神崎議員が指摘されますように、国家公務員の削減、地方議員の定数削減、民間の経営合理化への取り組みなどを踏まえ、また、国民世論の声を十分勘案し、国会においてまず改革を進めることが大切であると考えます。
 定数削減は与党三党の合意であり、また、与党として国民に対して方針を示したものであります。私としては、国民の期待にこたえ、定数削減が速やかに実現することを強く期待いたしておるところであります。
 次に、三党連立政権が着実に成果を上げ、国民の理解をいただいているとされた上で、連立政権の評価についてのお尋ねがありました。
 私は、昨年の三党連立政権の樹立に際し、三党が責任を共有する立場から互いに切磋琢磨し、よりよい政策を練り上げ、相協力して実行していくことは国民の皆様にもお約束いたしたところであります。もちろん、三党は別々の政党であります。おのずから主義主張、考え方、政策に違いのあることも事実であります。しかし、その調整をしながら国民の大多数の利益、公共の福祉を追求するのが連立政権の真髄だと存じます。
 三党連立政権で臨んだ昨年の臨時国会におきまして、第二次補正予算の成立、中小企業施策の抜本的見直し、拡充などの経済政策、原子力に関する安全規制、防災対策、いわゆるオウム真理教対策関連法など、国民の安全確保のため大きな成果を上げることができました。今後とも、三党の強い結束のもとで、丁寧かつ明朗で透明性の高い与党内の協議に立って必要な政策を遅滞なく推し進め、三党連立による成果を上げたいと願うものであります。
 神崎議員から、教育をめぐる事態の深刻さに触れ、また、レスター・サロー氏の言葉を引用しつつ教育改革についてのお尋ねがありました。
 施政方針演説におきまして、これからの我が国の目標として教育立国を目指すことを掲げ、志を高く持ち、さまざまな分野で創造力を生かすことのできる人材を育成することをこれからの教育の大きな目標と位置づけております。
 昭和二十二年に教育基本法が制定されて以来これまで、政府としては、昭和六十二年の臨教審の答申や橋本内閣の六大改革の一つとして教育改革を位置づけるなど、教育改革を着実に推進してまいりました。しかしながら、いじめや不登校、いわゆる学級崩壊など、教育全般についてさまざまな問題が提起されておりまして、二十一世紀に向け、国民的議論を重ねていくことが大切であると認識しております。
 私自身としては、経済社会情勢の大きな変化や国際化の進展する中で、例えば生涯学習、地域社会と家庭、さらには個と公、すなわち個人とパブリックとしての公の両立という視点から、教育をどう考えるのかといった問題意識を持っておるところであります。
 このため、広く国民各界各層の意見を伺い、教育の根本にまでさかのぼった議論を行うため、三党派間の合意による教育改革国民会議を早急に発足させ、社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革を内閣の最重要課題として、全力を挙げて取り組む所存であります。
 また、青少年育成対策につきまして、その重要性に触れられ、抜本策を講じるべきとの御指摘がありました。
 子供の健全な発達を支えていく社会を築いていくことは極めて重要な課題であると認識しており、学校、家庭、地域の三者の共同作業であすの日本を担う人材育成が進められるよう、ただいま申し上げました教育改革国民会議の場におきまして、青少年の育成についても幅広く御議論を行われるものと考えております。
 議員から、現在の浪費型社会のあり方を抜本的に改革し、二十一世紀にふさわしい環境に配慮した社会構造に変換すべきとの御主張がされた上で、循環型社会構造構築のための法案についてのお尋ねがありました。
 政府としては、幅広い国民からの御意見をいただいた中央環境審議会などの政府の関係する審議会の報告も踏まえ、緊急課題である廃棄物・リサイクル対策の基本的枠組みとなる法案を取りまとめておるところであります。
 高度情報化社会の構築について、情報通信の光と影を指摘された上でのお尋ねがございました。
 私は、IT、情報技術革命は、二十一世紀の社会の構造を根本から変える可能性を秘めているものと認識いたしております。また、IT革命は、情報通信ネットワークを通じて経済社会のグローバル化を一層進展させるものと考えられます。このような認識のもとで、議員が述べられました、二十一世紀を、だれもがいつでも簡単に利用でき、暮らしの豊かさに直結する、人に優しい情報通信社会とするとの御指摘を踏まえつつ、我が国の立場を生かしながら、国際的調和の確保や国際基準についての議論に積極的に取り組み、合意形成に向けてのイニシアチブを発揮していく所存であります。
 次に、経済政策についてでありますが、まず、我が国の経済の実態にかかわる認識及び今後の経済運営の基本的考えについてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、各種の政策効果やアジアの経済の回復などの影響で緩やかな改善が続いております。しかしながら、民間需要の回復力はまだ弱い状況にあります。
 こうした認識に立ちまして、政府は、昨年秋に決定した経済新生対策などを力強く推進することによりまして、御指摘のように公需から民需への転換を図り、設備投資や個人消費など民需主導の自律的景気回復を実現してまいります。また、これまで取り組んできた金融システムの改革や産業競争力の強化、規制緩和など構造改革の推進、定着に一層の努力をしてまいります。さらに、意欲あふれる中小・ベンチャー企業の支援や金融対策に万全を期してまいります。
 私は、次に申し上げる平成十二年度予算も含めた諸施策により、単に景気を立ち直らせるだけでなく、本格的な景気回復と構造改革の二つをともに実現するために、力の限り立ち向かってまいります。
 平成十二年度予算の重要性、意義についてのお尋ねがありました。
 十二年度予算は、経済運営に万全を期するとの観点に立ちまして、与党三党派の御議論を踏まえて編成し、このたび御審議をお願いいたしております。
 具体的には、現下の経済金融情勢にかんがみ、公共事業や金融システム安定化、預金者保護に十分な対応を行うとともに、長期的な展望に立って、総額五千億の経済新生特別枠を初め、御指摘のありました環境対策、少子高齢化対策など、新しい千年紀にふさわしい分野に重点的、効率的に資金を配分することといたしたところであります。
 私は、経済新生対策を踏まえて編成した十一年度第二次補正予算を着実に執行していくこととあわせ、三党派が力を合わせてつくり上げたこの平成十二年度予算によって公需から民需への転換を図り、民需主導の自律的景気回復を実現させることができると考えます。十二年度予算は、まさに本格的な景気回復のかぎを握るまことに重要な予算であり、早期の成立をぜひともお願いするものであります。(拍手)
 財政構造改革への取り組みについてのお尋ねがありました。
 しばしば申し上げておりますように、健全なる財政がもとより重要であることは申し上げるまでもありません。私は、十二年度末の債務残高が六百四十五兆円にもなることを重く受けとめており、財政構造改革という重要な課題を片時も忘れたことはありません。
 しかしながら、私は今、景気を本格的な回復軌道に乗せるという目的と財政構造改革に取り組むという重要課題の双方を同時に追い求めることはできない、二兎を追う者は一兎を得ずとなってはならないと考えております。御指摘のありましたように、まず経済新生に全力で取り組むことこそ、結果として財政再建への王道たり得るものであるとの考えには、まことにそのとおりと考えております。
 施政方針演説でも申しましたとおり、八〇年代半ば、未曾有の財政赤字に苦しんできた米国が、今や史上空前の黒字を記録することとなり、その使い道をめぐって大論争が起こっているほどであります。不可能とも言われた米国の財政再建が実現したのは、さまざまな改革とともに、百六カ月に及ぶ史上最長の景気回復があったからでありまして、財政再建は極めて重要でありますが、足元を固めることなく、景気を本格的な回復軌道に乗せる前に取りかかるという過ちを犯すべきものではありません。
 我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政、税制の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に向かってまいりたいと考えております。
 中小企業対策についてのお尋ねでありましたが、議員御指摘のとおり、中小企業は我が国の屋台骨であり、貴重な財産であります。中小企業の元気なくして我が国の本格的な景気回復はありません。このような考え方につきまして、私も全く同感であります。
 このため、さきの国会を中小企業国会と銘打ちまして、中小企業基本法を初めとする中小企業関係法律の成立と貸し渋り特別保証の拡充等に全力を尽くして中小企業対策に取り組んできたところであります。引き続き、中小企業は経済の活力の源泉であるとの認識のもと、意欲あふれる中小・ベンチャー企業への支援や金融対策に万全を期し、経済新生に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、農業についてお尋ねがありました。農業の抱える問題の解決と日本農業の再生に関するものであります。
 世界の総人口が爆発的に増加し、食料の確保が地球的規模の課題となる中、御指摘のように、我が国は農業の担い手の減少、過疎化、高齢化による農村の活力低下等の問題を抱えております。
 このため、食料・農業・農村基本法に基づき、食料の自給率の向上に向けた生産、消費両面にわたる取り組みを通じ、国内農業生産の増大を図ることを基本といたしまして、食料の安定供給を確保するとともに、中山間地域等への直接支払いの実施等により、耕作放棄を防止し、国土環境の保全など、農業、農村の多面的機能の十分な発揮を図ってまいります。
 少子化対策についてのお尋ねがありましたが、少子化対策につきまして、仕事と子育ての両立を図り、安心して子育てができるよう、さまざまな環境整備を進めることが必要と考えております。
 二十一世紀の我が国を、家庭や子育てに夢や希望を持つことのできる社会にしようとする基本的な考え方に立ち、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどに沿って、保育、雇用環境の整備や児童手当の拡充など、総合的な少子化対策を実施することといたしております。
 社会保障の再構築の道筋についてお尋ねがありました。
 社会保障制度につきましては、少子高齢化の進行により給付と負担の増大が見込まれる中で、国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済との調和がとれ、将来世代の負担が過重なものにならないよう制度の効率化、合理化を進めていく必要があると考えております。
 このため、まず、安心して信頼いただける年金制度の構築のために、現在国会で御審議をいただいている法案の一日も早い成立をお願いしてまいりたいと考えております。また、医療保険制度の抜本改革につきましては、関係者の合意の得られるものから段階的に実施するとともに、本年四月からの介護保険制度の円滑な実施に向け、万全を期してまいります。
 少子高齢化が急速に進行する中で、制度ごとに縦割りに検討するのではなく、実際に費用を負担し、サービスを受ける国民の視点から、総合的検討が求められております。私は、社会保障構造のあり方について最後の検討機会との思いで、先般有識者会議を設置し、横断的な観点からの検討をお願いし、将来にわたり安定的で効率的な社会保障制度の構築に全力を挙げてまいります。
 次に、九州・沖縄サミットについて、新たな世紀に世界が直面する諸問題とサミットが果たすべき役割を見据えて積極的に議論を推進すべきであるとの御指摘がありました。
 全く同感であり、七年ぶりにアジアで開催される九州・沖縄サミットでは、グローバルな視点に立ちつつも、アジアの関心も十分に反映した、明るく力強いメッセージを発信する機会といたしたいと考えております。
 また、先般私が東南アジア訪問をいたしましたように、今後ともサミットに向けてアジア諸国との対話を一層強化してまいりたいと考えております。
 沖縄を我が国の平和戦略の象徴として位置づけるべきであり、沖縄に国連関係施設を創設するか、誘致すべきかであるとの御指摘がありました。
 本件につきましては、我が国が、国際の平和と安全の確保に重要な役割を担う機関として国連を重視してきたことを踏まえまして、神崎議員の御指摘も参考にしながら、検討してまいりたいと考えております。(拍手)
 議員より、沖縄の県民特性を積極的に生かし、自立的発展の基礎条件の整備こそ極めて重要との御指摘がありました。政府としても全く同様の認識であります。
 御指摘の沖縄経済振興二十一世紀プランにつきましては、昨年六月に行った中間報告に基づき、逐次その実施を図っているところであります。また、その際、今後の検討課題とされました沖縄国際情報特区構想等についても、その具体化に向けて鋭意検討を進めておりまして、加えまして、昨年十二月二十八日の閣議決定も踏まえ、最終報告を取りまとめていきたいと考えております。
 また、ポスト第三次沖縄振興開発計画につきましては、新たな時代に向けた沖縄振興新法の実現をも視野に入れつつ、目下そのあり方について調査審議を進めておるところであります。
 日ロ関係につきましては、昨今の日ロ関係改善の趨勢は既に歴史の流れとなっており、政権の交代にかかわらず推し進められるべきものであると考えております。
 先週末に行われました私とプーチン大統領代行との電話会談におきましても、日ロ関係に関するロシアの政策の継続性が確認されております。
 政府としては、東京宣言やクラスノヤルスク合意等の合意及び宣言に基づく平和条約の締結を含め、日ロ関係の全面的な発展に今後とも努力してまいります。
 日朝関係についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、村山元総理を団長とする日本国政党代表訪朝団が成果を上げられ、これを契機として、昨年十二月に日朝赤十字会談及び国交正常化交渉再開のための予備会談が行われました。この中で、人道問題についても一定の進展が見られました。
 政府としては、できるだけ早く国交正常化交渉再開のための予備会談を行い、もって日朝間で本格的な対話を実施、その中で人道及び安全保障の問題につき真摯に話し合って、双方が互いに前向きの対応をとり合うようにしてまいりたいと考えております。
 北東アジアで日中韓三カ国首脳会談のような場を拡大充実させるべきではないかとの御指摘がありました。
 昨年、私の提案によりまして、日中韓の首脳による御指摘の会談が史上初めて実現いたしましたが、これは、今後北東アジア地域の対話と協力を進めていく上で重要な第一歩であったと評価しております。
 私は、北東アジアの平和と繁栄のために、かねてより六者協議の実現を主張いたしております。このような協議の実現は、関係国の意向等もありまして必ずしも容易ではありませんが、神崎議員の御意見も踏まえ、今後ともその実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次に、永住外国人に対する地方選挙権付与に関する法案についてのお尋ねがありました。
 この法案については、一月二十一日に公明党・改革クラブ及び自由党から国会に提出されておるところであります。現在、自民党において真剣な検討が進められていると承知をいたしております。
 私といたしまして、公明党・改革クラブ、自由党の御意見や、御指摘のありました韓国側の関心の大きさについて十分理解しておりますが、いずれにしても、自民党における真摯な議論の行方を見きわめたいと考えております。
 最後に、解散・総選挙についてのお尋ねがありました。
 日本経済は、これまで各般の諸施策により、最悪期を脱し、緩やかな改善を続けているとはいえ、自律的景気回復には至っておりません。日本経済を再び後戻りさせることは絶対にあってはなりません。本格的な景気回復を何としても実現しなければなりません。このため、平成十二年度予算の早期の成立が日本経済の新生への道筋を確実にするために必要不可欠であり、この点をしっかりと踏まえて取り組んでまいらなければならないと考えております。
 他方、言うまでもなく、解散は実際上内閣総理大臣に与えられた大権でもあります。解散して国民の信を問うべき事態に立ち至ったと判断されるときには、これはちゅうちょすることなく断行すべきであると考えております。
 以上、御答弁申し上げました。(拍手)
     ――――◇―――――
#11
○野田聖子君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二月一日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 野田聖子君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小渕 恵三君
        法務大臣    臼井日出男君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    中曽根弘文君
        厚生大臣    丹羽 雄哉君
        農林水産大臣  玉沢徳一郎君
        通商産業大臣  深谷 隆司君
        運輸大臣    二階 俊博君
        郵政大臣    八代 英太君
        労働大臣    牧野 隆守君
        建設大臣    中山 正暉君
        自治大臣    保利 耕輔君
        国務大臣    青木 幹雄君
        国務大臣    越智 通雄君
        国務大臣    瓦   力君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    清水嘉与子君
        国務大臣    続  訓弘君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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