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2000/02/01 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第5号
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2000/02/01 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第5号

#1
第147回国会 本会議 第5号
平成十二年二月一日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成十二年二月一日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 柳沢伯夫君から、二月九日から十七日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
#5
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。二見伸明君。
    〔二見伸明君登壇〕
#6
○二見伸明君 私は、自由党を代表し、小渕総理の施政方針演説等政府四演説に関連し、我が党の考え方を申し上げつつ、総理の御所見を伺いたいと思います。
 私は、西暦二〇〇〇年という節目の年は、今世紀中にやるべくしてやれず、先送りをしてきた難しい課題に挑戦し、決着をつけると同時に、相互理解に基づいた平和で安定した国際社会の構築を目指す、志の高い日本につくり直す助走の一年であるべきだと考えております。こうした観点から、私は、日本という国の形を若干申し述べ、小渕総理の御所見を伺いたいと思います。
 十数年前、中国人の経済学者と中国の社会主義について議論したときのことです。彼は私にこう言いました。日本は資本主義社会ではない、会社主義社会だ、中央官庁のOBが大手企業の中枢の役員として天下りをする、そして後輩が高級官僚として経済政策を立案する、官僚のOBと現役が官民に分かれ、手を携えて日本経済を管理運営している、これこそ中国社会主義の理想の姿だと言うのであります。私は唖然としました。しかし、彼の発言は日本の一面を鋭くついたものだと思います。
 私は、日本という国の形をこう考えています。
 第一の柱は政治のリーダーシップです。
 激変する内外の諸情勢の中で、国は国の意思、政策を、あいまいにではなく、はっきりした形で早急に示さなければなりません。当然、政党のリーダーは、こうする、こうすべきだという、黒白をはっきりした方針を示すことが要求されます。そして、政党のリーダーも政党も、自分たちが決めた方針に全責任を負わなければなりません。政治のリーダーシップは、責任の明確化と表裏一体をなすものだと思います。
 私は、民主政治の具体的な担い手は政党だと考えています。特に議院内閣制のもとでは、政府・与党一体であり、政党の役割は大きいものがあります。小選挙区制のもとでは、各党は党首を先頭に、理念、政策を掲げて、総理の座を目指して戦います。有権者は、候補者の人柄よりも、どの党の党首を総理大臣にし、その政策を実行させるかという観点から投票する、これが成熟した政党政治だと思います。
 議院内閣制が政府・与党一体であるということは、政府の方針は与党の方針であり、与党の政策は政府の政策であるということです。議院内閣制とは、別言すれば行政の責任は与党にあるということです。官僚は、与党の政策を忠実に執行する実務者です。政府委員制度の廃止と副大臣、政務官の導入は、その具体化であります。この結果、国会は、野党が与党に論戦を挑み、与野党がディベートする場になりました。これが国会の本来のあり方です。
 政府委員制度廃止は、民主的に選ばれた政治家が官僚を駆使して政策を実現する、政治主導の政治の具体化であります。日本政治史上初めてのことであり、永遠に記録される歴史的な快挙であります。これを大事に、理想に近づけるのは政治家の使命です。
 自由党が、総理と野党党首との議論の場、クエスチョンタイムを設けることに固執したのも、委員会の座席の配置までこだわり、与党と野党の対面式に改めたのも、本来の理念を具体化するためであります。
 これは、国会議員にとっても大きな意識改革が要求されます。政治がリーダーシップをとるということは、政党の政治責任が重くなることでもあります。それを、党が決めたことだから政府は拘束されないとか、政府が決めたことでも党は関係ないというようなことが行われたのでは、国民は政党を信用しなくなります。
 それは、民主政治の土台を崩すことにもなりかねません。あいまいで無責任な政権や政党は、国民から見放されることになります。決めたことは実行する、そして結果を国民に判断してもらう、これが民主主義であります。
 私は、かつて自民党長期政権の絶頂期、政党法が議論されたとき、国家による政党への干渉ではないかと反対したことがあります。
 私は、政党は国家から干渉されず自由な存在であるべきだという考えは今でも変わっておりません。しかし、政党は、単に政党助成金を受け取る主体ではなく、健全な民主政治を支える主体者であります。大きな責任を有することを明記した政党法を検討してもよいのではないかと考えております。
 ここで、衆議院議員の定数削減について、野党の対応について述べたいと思います。
 衆議院の議席を二十も削減するということは、これは大変なことであり、日本の政治史上初めてのことであります。
 共産党は、定数削減について、私たちとは真っ向から対立する理念を持っています。私は、共産党の考えとは違います。彼らの理念は受け入れないけれども、一つの見識ではあると思います。共産党は、野党の抵抗の手段として審議拒否をしたのだと私は思います。
 不可解なのは民主党の対応です。
 民主党首脳の発言からすると、定数削減には賛成であります。私たちの考えと大きな隔たりはありません。それが、自自公連立を崩したい、景気回復などどうでもいい、衆議院を解散すればよいという国民不在の党利党略の政治的思惑だけで、理念、政策の全く異なる共産党と手を組んで、手続論だけを振り回して審議拒否をしているわけであります。これは民主主義ではありません。アナーキズムです。政治不信を助長し、ファシズムの台頭にもつながりかねないことを民主党に指摘しておきたいと思います。(拍手)
 民主党も本音は定数削減に賛成のようですから、いつまでも土俵の外にいるのではなくて、そろそろ眠りから覚めて国会においでになってはどうかなというふうに私は思っております。
 私は、お互いに他党の意見をまじめに聞くことは大切である、大事だと思います。しかし、理念、政策をないがしろにして、ひたすら他党に迎合し、全会一致を模索するのが政党政治だというのではそれは誤りであります。むしろ、違いを明らかにして、選挙で有権者の判断を受けるのが本当の民主政治であります。
 第二の柱は、自立した個人に支えられた国民主役の民主社会です。
 私は、阪神・淡路大震災の際、多数のボランティアが現地で活躍する姿を見、自発的に社会のために尽くそうとする精神は健全だと感激しました。一方、国家社会を自分の利益のために利用しても、社会貢献に無関心なエゴイズムな人間が多いことも事実であります。
 自立した個人をつくるためには、私は、総理も教育改革の重要性を強調されていますが、教育制度のみならず、教育基本法の改正を含めて抜本的に再考する必要があると考えています。
 教育基本法は、昭和二十二年三月に施行されました。教育基本法に書かれている文章は、別段間違っているわけではありません。しかし、欠落している大事な部分があります。
 一つには、国家社会と個人とのかかわり合いのことであります。
 当時は終戦直後であり、日本軍国主義、国家主義への反発から、国家社会に貢献するとか社会的責任というようなことは言いにくかったのではないかと思います。愛国心という言葉さえはばかられた時代があったのであります。
 個人と国家を対立したものととらえれば、無政府主義になります。個人を国家に隷属させれば、国家主義になります。総理が、個人と公を、縦ではなく横の関係ととらえたのは、言い得て妙だと思います。
 公の概念が確立しなければ、私の概念も確立しません。公私の概念を確立する中で、国民が主役という考え方とは似ても非なる利己的なポピュリズムを見抜く目を養い、社会に責任を負う、あるいは、国家権力者に奉仕するのではなく、日本という国家社会に貢献する自立した個人を育成する教育改革をすべきだと私は思います。(拍手)
 二つに、歴史教育の重要性が欠落していることです。
 岩手県立大学長の西沢潤一さんは、真の民族主義者は真の国際主義者であり、真の国際主義者は真の民族主義者であると述べています。至言だと私は思います。各国とも歴史教育を重視します。歴史を通じて、誇りを持った民族、国民を育成したいからであります。それが中途半端なひとりよがりの民族主義を生み出したことも不幸な歴史的事実でもあります。
 私はかつて、信憑性に疑いはありますけれども、魏志倭人伝を読み、祖先は中国と比べて未開人だなと感じました。しかし、最近の研究からは、縄文人は、行動範囲も海を利用してすばらしく広く、グルメで、文字こそないけれども、高度な文明社会であったことが明らかになっています。
 律令制を取り入れながら、宦官と科挙を拒否し、中国の属国にならなかったこと、中国の文字を日本風に使い、平仮名を発明し、華麗な平安文化をつくったことなど、古代日本人の精神の格調の高さと柔軟性を示したものだと私は思います。
 ゆがんだいびつな歴史観ではなく、我が国の歴史に誇りを持つことによって、我が国の誤りも真っ正面から見詰めることができると思います。他を尊敬し、思いやる、自立した個人こそ二十一世紀の日本人であると思います。
 第三の柱は、国際社会の平和と安定に積極的に貢献する国ということです。別言すれば、国連の平和活動に全面的に参加、協力することであります。
 私は、このことは、口で言うのは簡単だが、日本人の最も嫌いで、でき得れば避けたい、逃げたい、嫌なことだと思っています。
 司馬遼太郎に「在りようを言えば 山椒魚」というエッセイがあります。司馬さんは、井伏鱒二の名作「山椒魚」の冒頭の文章、「山椒魚は悲しんだ。彼は彼の棲家である岩屋から外へ出てみようとしたのであるが、頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである。」を、日本的心理を思い合わせて、こう述べています。「この場合、岩屋は、日本人の鎖国心理であるに相違ない。鎖国心理は、いまもつづいている。なにしろ明治後も、日本は世界の舞台で責任のあるしごとをやったことがないどころか、できれば岩屋のなかでひっこんでいたいと無意識下で念じつづけている。」
 私は、湾岸戦争のとき、自分を含めて、日本が慌てふためいたことを恥ずかしく思っております。PKOは非常に大事な活動だが、PKFの凍結も解除できず、東ティモールにも派遣できない現実を見たとき、日本人の鎖国心理の打破は容易ではありません。
 自由党は、昨年一月の自民党との協議で、「国連の平和活動への参加については、国際連合の総会あるいは安全保障理事会の決議があり、かつ要請がある場合は、積極的に参加・協力する」という政策で合意しました。
 また、さきの三党連立に当たっての政策協議でも、「武力行使と一体化しない平和活動への参加・協力の道を開くため、速やかに所要の法整備を図る」という合意を行いました。自由党は、この三党合意に基づき、国連平和協力法案のたたき台をつくりました。
 私は、合意した三党が知恵を出し合いながら、国際社会で評価される法整備をする、これが三党が国の内外に約束したことであります。これが実現すれば、世界で信頼され、尊敬され、必要とされる、この国の形の柱の一本ができ上がります。
 第四の柱は、結果の平等ではなく、機会の平等を保障した、自由な市場経済原理を中心とした経済体制です。
 これは、お上にすべてを依存してきたこれまでのシステムを変革することになります。企業は創意工夫を発揮し、多様な商品を消費者に提供することになります。企業も個人も自己責任を伴うのは当然です。これは消費者の立場から考えると、消費者主権の社会ということになります。
 しかし、自己責任といっても、判断するに十分な情報が得られなければ責任のとりようがありません。私は、情報の開示、公正公平な市場ルールの確立、何度もチャレンジできる機会の平等の保障と同時に、セーフティーネットの整備が必要と考えています。これがなければ、自由放任の弱肉強食の殺伐とした社会になってしまいます。規制緩和は着実に進めなければなりません。
 第五の柱は、地方分権です。
 これについては多言を要しないと思います。私は、今注目を浴びている住民投票は、地方分権が確立されれば解決されると考えています。それは、国家的プロジェクトなど本来国が責任を持たねばならないものを除いて、大半の公共事業は地方が主体的に行うことになるからです。事業の正否、これは首長選、地方議会選挙で争われることになります。しかし、住民の意思を確認するため、経過的措置として、住民投票になじむもの、安全保障、エネルギー政策等住民投票になじまぬものを仕分ける必要はあると思います。
 私は、我が国の形を法的に規定するのは憲法だと思います。憲法調査会は、まさに日本の形を決める議論の場になります。私は、個人の尊重と基本的人権、国民主権、国際協調、平和主義の基本的理念を堅持しつつ、日本は二度と侵略戦争はしないことを当然のこととし、内閣法制局の難しい憲法解釈などなくても、憲法の条文を読めばだれでも容易に理解できるものにしたいと考えております。
 以上の点について、総理の所見をお伺いいたします。
 当面する問題について、若干お尋ねします。
 景気回復と財政再建について伺います。
 日本経済が当面している問題は、景気回復、来年度末六百四十五兆円に及ぶ借金、二十一世紀に活力ある経済を確立するための経済構造改革です。
 私たち自由党は、昨年七月、十二年度の予算について、経済再生のため重要な期間と位置づけ、構造改革を進めるとともに総需要を喚起することが重要である、来年度は性急に財政再建路線に転換すべきではない、平成十一年度と同程度の景気刺激型予算を編成すべきである、それが産業競争力強化、雇用対策を十三年度に円滑につなげることにも役立つとの見解をまとめました。
 どうやら民主党は、財政出動による景気刺激策を、財政赤字を拡大するだけであり、構造改革を先送りすると非難しております。だから直ちに景気刺激策をやめて財政再建路線に切りかえるべきだというのであれば、大変なことになります。財政再建路線と言えば耳当たりはいいですけれども、言葉をかえれば増税も視野に入れた緊縮予算、不景気予算であります。病み上がりまでいかない、どうやら病気が好転したのかなという病人を、体にいいからといってジョギングをさせるようなもので、暴論と言わざるを得ません。
 もし民主党が景気刺激と経済構造改革を二律背反と考えるのであれば、それは誤りだと申し上げたいと思います。自由党は、景気対策と構造改革は矛盾せず補完し合うものだ、むしろ中期的には構造改革がやりやすくなると考えています。
 すなわち、景気対策で一定の経済成長を持続することによって、衰退産業やリストラ企業などの労働力や資本を受けとめる受け皿、情報通信、環境、福祉関連などの発展産業などの育成も可能になるのであります。
 財政再建にしても同様です。確かに十二年度は、その瞬間だけを見れば財政赤字は拡大します。しかし、それによって景気が回復すれば、十三年度以降、さらなる景気刺激のための国債発行は要らなくなります。さらに、経済成長によって法人税、所得税などは増収になり、財政赤字は縮小します。まさに十二年度の経済政策こそ、オーバーな表現をすれば、日本経済の命運がかかっていると言えると思います。
 自由党は、以上の考え方をもとに、十二年度の経済運営に間違いがなければ、十三年、十四年度予算は景気中立型でも民間主導の自力回復に支障がないし、そのもとで経済構造改革は進み、財政赤字は改善されると考えています。そして、十五年度以降六年ぐらいの期間をかけて、財政再建に真っ向から取り組むべきだと考えています。これは、総理の諮問機関である経済戦略会議の考えでも一致いたします。総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、安全保障に関連して二、三申し上げたいと思います。
 まず、有事法制です。自自公三党では、総理に対し、立法化を前提としない研究という縛りを解き、速やかに立法化を図るよう求めることで一致しました。
 領域警備についても、第一義的には領海は海上保安庁、陸上は警察で対処するものの、手に余った場合には自衛隊が警察、海上保安庁と密接に連携して速やかに対処し得るよう、現行の法制度のもとでの対応を強化するとともに、所要の法整備を図るべきであるということも合意しております。
 さらに、PKF本体業務の凍結解除も三党は合意しています。三党プロジェクトチームでは、いわゆる参加五原則は堅持した上で、東ティモール型などにも参加できるようにするなど、新しい事態にも対応できるような内容に改めるべきではないかという認識で一致いたしております。あとは総理の決断だけであります。
 サイバーテロ対策について、危機管理の観点からお尋ねします。
 最近、人事院、総務庁、けさの報道によると参議院も対象になっているようでありますけれども、国家機関のホームページが次々とハッカーによって侵入され、その内容が書きかえられるという事件が起こりました。
 これは、政府のシステムの信頼性にまさしく冷や水を浴びせる出来事でありました。もしもサイバーテロ集団によって原子力施設や防衛施設に侵入され、データが改ざんされたり破壊された場合どうなるか。また、電力など、ライフラインをつかさどるシステムに混乱を引き起こされたらどうなるか。私は、この点における日本の取り組みは、過日、サイバー安保計画を発表したアメリカなどと比べても、まことに貧弱と言わざるを得ません。危機管理の立場から、政府の見解を伺いたいと思います。
 私は、平成十二年度の予算の中で、地味だけれども国民が安心して暮らせる施策の含まれていることを評価したいと思います。例えば、バリアフリーの町づくり、踏切事故を撲滅し、町づくり、自動車の排ガス対策にもなる、全国に三万カ所余もある鉄道踏切の立体化、高架化です。これは昨年、自民党、自由党で合意し、さらに自自公三党で合意したものであります。
 ところで、私は、将来の暮らしに安心感を持てるようにするためには、基礎年金、介護、高齢者医療という社会保障の基礎部分を確固たるものにしなければならないと考えています。
 社会、生活スタイルの変化、人口構成の急激な変化の中で、国民は、社会保障の将来について、また自分自身の将来に漠然とした不安を抱えています。働く世代にとっては、保険料負担が増加する一方で、それに見合う給付は受け取れないのではないかという不安が常につきまとってきます。
 我が国はこれまで、負担の引き上げと給付水準の引き下げという財政的均衡に終始してきました。これでは、安心と安定を感じられる人生設計はできません。それは社会保障に対する不信を増幅させることにもなりかねません。ひいては、自分の老後は自分で守るという自己防衛に走り、消費低迷の要因にもなります。
 私は、少子高齢化社会という現実をも踏まえれば、現行の狭い保険集団の中で基礎的な社会保障を支えるのは、大幅な保険料引き上げがない限り、限界に来ていると感じています。将来的には維持は不可能であります。将来的ビジョンを明確に示し、社会保障制度の革命的な変革が今私は求められていると思います。
 我々自由党は、国民全体が支え合う理念のもとに、基礎年金、介護、老人医療の財源は、消費税を福祉目的税に改めて充てるべきだと主張をしてまいりました。この考えは、今後とも変わるものではありません。これにより、現在給料から天引きされている社会保険料は、基礎年金、介護、高齢者医療に関してはゼロになります。可処分所得をふやすことが可能になります。総理の諮問機関である経済戦略会議も私たちと同じ考えです。
 ところで、自自公三党は、二〇〇五年目途に、年金、介護、高齢者医療の包括的枠組みを構築し、財源は公費負担をおおむね二分の一にすること、消費税は福祉目的税とし、基礎年金、介護、高齢者医療の財源にすることで合意しています。三党の合意は、当然政府を拘束します。政府・与党一体となって具体化に取り組むべきではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 最後に、連立政権について申し述べたいと思います。
 政治学原論的にいえば、連立政治とは、相違があることを前提に、お互いに協調することによって当面の重要課題を克服するための政治であります。選挙では、政党間の政策の相違を強調することによって自己の勢力拡大を図っても、選挙後は、重要課題を解決するため、共通点を見出して妥協、協調していく、いわば不一致の一致を基礎として成立するものであります。
 ドイツにおきましては、キリスト教民主・社会同盟と自由民主党による連立政権では、その基本的方向は連立形成前に取り交わされた政策協定に基づいて、政権成立時に既に決まっているのであります。自自連立、自自公連立も同じであります。政権成立時には、政策の基本的方向は決まっているのであります。このとき合意した事項の実現を目指し、三党が全力を挙げて取り組むのが連立政治の本来のあり方であります。国民も、その点に注目するのです。
 政府委員制度の廃止、総理と野党党首との討論の場もできました。しかし、これ以外に、安全保障、規制緩和、通信料金の大幅引き下げなどの経済構造改革、社会保障など、国の基本にかかわる重要な合意事項がかなり残されています。これに真摯に取り組むことが、国民の信頼をかち得る王道だと思います。
 衆議院の任期は十月十九日です。残された日数は多くありません。
 自由党は、小沢党首を先頭に、三党合意実現を目指し、全力で取り組んでまいります。総理は自民党総裁として、より一層精力的に取り組むよう指示していただきたいと思います。二十世紀の最後の一年を実りある、輝けるものにしたいと私たちは考えています。
 作家の城山三郎さんは小渕総理に、政治家には志が必要であり、局面局面の目標ではなく、もう少し凜としたものを、政治家の本懐は志だと言われたと聞いております。私も政治家の端くれの一人として、城山さんの言葉を肝に銘じたいと考えております。
 以上で質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 二見伸明議員にお答え申し上げます。
 冒頭、二見議員は、西暦二〇〇〇年という節目を、今世紀中にやるべくしてやれずに先送りしてきた多くの課題に挑戦し、決着をつけ、志の高い日本につくり直す助走の一年とすべしと述べられました。その上で、日本のあり方につきまして、豊富な御経験、高い見識に立った積極的な御主張、御提言をいただきました。連立政権を支える二見議員、そして自由党の高い志と確固たる政策を拝聴させていただきました。
 私としても、この連立政権の使命、原点を改めてしっかりと踏まえ、国政に全力で取り組んでまいります。
 まず、二見議員から、政治のリーダーシップについてのお尋ねがございました。
 先般の政府委員制度の廃止と今国会から設置される国家基本政策委員会における党首討論の実現は、我が国政治史上画期的な改革であります。この改革に当たり大きな牽引力の役割を果たされた自由党に、改めて敬意を表する次第であります。(拍手)
 議員御指摘のとおり、こうした改革により政治のリーダーシップが高まり、政治の責任、そして政党の責任が格段と重くなることは、全く同感であります。
 その関連で、政党法の制定についての御提言がありました。
 政党の社会的責務の重要性は議員御指摘のとおりではあります。しかしながら、政党がその期待される役割を十二分に果たしていくためには、政治活動の自由が最大限尊重される必要があります。したがいまして、一般法としての政党法の制定につきましては、慎重な検討を要するものと考えますが、まずは、国会におきましても御議論をいただきたいと考えております。
 二見議員から、国家社会と個人とのかかわり合いあるいは公の概念について触れられた上で、抜本的な教育改革の必要性、また、西沢潤一学長の言葉を引用されつつ、歴史教育の重要性についてのお尋ねがありました。
 施政方針演説において、我が国の目標として教育立国を目指すことを掲げ、志を高く掲げ、さまざまな分野で創造力を生かすことのできる人材を育成することをこれからの教育の大きな目標と位置づけております。
 昭和二十二年に教育基本法が制定されて以来、これまで政府としては、臨教審の答申も踏まえ、また、橋本内閣の六大改革の一つとして教育改革を位置づけるなど、これを推進してまいりました。
 しかしながら、いじめや不登校、いわゆる学級崩壊など、教育全般についてさまざまな問題が提起され、また、教育改革も先進各国の共通の悩みとなっており、二十一世紀に向け国民的に議論を重ねていくことが大切であると認識しております。
 私自身といたしましては、例えば生涯学習、地域社会と家族、さらには個と公、すなわち個人とパブリックとしての公の両立という視点から、教育をどのように考えるのかといった問題意識を持っているところであります。
 今後、広く国民各層各界の意見を伺い、教育の根本にまでさかのぼった議論を行うため、教育改革国民会議を早急に発足させ、社会のあり方まで含めた抜本的教育改革を内閣の最重要課題として、全力で取り組む所存であります。
 教育基本法につきましては、制定以来五十年余りを経ており、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、幅広く議論を積み重ねていくことが重要であると考えております。
 歴史教育については、子供たちが、日本の歴史や文化を大切にし、郷土や国を愛し、日本人としての自覚と誇りを持って国際社会の中で生きていくことができるようにすることは極めて重要であります。我が国の子供たちがしっかりとした歴史理解を持つよう、教育の充実に努めてまいる所存であります。(拍手)
 国連の平和活動に関する法整備についてのお尋ねがありました。
 私は、施政方針演説におきまして、国連の平和活動への一層の努力を進めてまいりたい旨述べたように、二見議員の御意見に賛同するものであります。
 政府としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、憲法の枠内で貢献することが必要と考えており、このような観点から、三党合意や今後の国会の御審議等を踏まえつつ、法整備について検討してまいりたいと考えております。
 セーフティーネットの整備等を前提としつつ、結果の平等ではなく機会の平等を保障した、市場経済原理を中心とした経済体制との関係で、今後の経済運営についてのお尋ねがありました。
 これからの我が国経済社会におきまして、個人の自由と自己責任が基本的な行動原理となり、多くの人々が夢に挑戦し、その中から新しい創造性が生まれるべきだと考えております。
 そこでは、すべての人に対し公正な機会が与えられているほか、失敗をした場合、最低限の安全ネットと再挑戦の可能性が確保されていることが前提となります。
 また、御指摘のように、このような自由な市場経済原理を中心とした経済体制を整備するためにも、規制緩和を着実に進めていく必要があると認識をいたしております。
 さらなる地方分権の推進についてお尋ねがありました。
 御指摘の公共事業につきましては、国と地方が適切な役割分担のもとに協調、協力して事務を進めることが必要であるとの観点から、これまでも、地方への権限移譲、補助金等の整理合理化などを進めてきており、第二次地方分権推進計画に沿って、統合補助金を創設し、直轄事業の一層の基準の明確化を進めるなど、公共事業の適切な遂行に取り組んでおります。
 今後とも、地方自治は大転換の時期を迎えているとの認識のもと、内閣を挙げて、地方分権推進計画等を踏まえ、地方分権の推進に積極的に取り組んでまいります。
 憲法改正についての御提言がありました。
 憲法に関する問題につきましては、条文上の表現ぶりも含めて、これまでに各方面からさまざまな意見が出されているものと承知をいたしております。
 議員御自身はこのたび設置された衆議院の憲法調査会の委員となられましたが、いずれにいたしましても、憲政史上初めて国会に設置された同調査会において、将来の我が国の基本的あり方を見据えて、幅広く熱心な議論が行われますことが大切であると考えております。
 今後の経済運営の方針について、景気対策と経済構造改革は補完し合うものであり、構造改革を進めるとともに、今なお総需要喚起策をとることが必要との御指摘がありました。
 日本経済新生のために、二見議員御指摘のとおり、景気回復と経済改革を同時に進める必要があると考えております。
 政府は、あらゆる分野の施策を大胆かつ迅速に総動員して、景気回復と構造改革とに尽力してまいりました。この結果、最近の我が国経済は緩やかな改善を続けておりますが、民間需要の回復力はまだ弱い状況にあります。
 こうした状況のもと、政府は、経済新生対策などを力強く推進することにより、民需主導の自律的な景気回復を実現してまいります。
 また、これまで取り組んでまいりました金融システムの改革や産業競争力の強化、規制緩和など、構造改革の推進、定着に一層の努力をしてまいります。さらに、意欲あふれる中小・ベンチャー企業への支援や金融対策にも万全を期してまいります。
 十二年度予算につきましては、経済運営に万全を期する観点から編成をいたしたところであります。
 私は、これらの諸施策により、単に景気を立ち直らせるだけでなく、本格的な景気回復と構造改革の二つをともに実現するために、力の限り立ち向かってまいりたいと存じます。(拍手)
 財政再建への今後の取り組みについて、具体的に将来をも展望しつつお尋ねがありました。
 私は、極めて財政状況を重く受けとめており、財政構造改革という重要な課題を忘れたことは片時もありません。
 しかしながら、私は、今、景気の本格的回復と財政構造改革という課題の双方を同時に追い求めることはできない、いつも申し上げておりますように、二兎を追う者は一兎をも得ずとなってはならないと考えております。財政再建は極めて重要ではありますが、足元を固めることなく、景気を本格的な回復軌道に乗せる前に取りかかるという過ちを犯すべきではありません。
 平成九年秋以降、五四半期連続のマイナス成長という戦後初めての厳しい局面を経験した我が国経済が、経済新生対策を初めとしてこの連立内閣で取り組んできた諸施策の効果もあり、ようやく最悪期を脱し、緩やかな改善を続けております。十二年度予算は、まさにこの動きを本格的な回復軌道に乗せるためのかぎとなる予算であり、議員御指摘のように、日本経済の命運がかかっていると言えるものでもあります。したがって、まずは十二年度経済運営を間違いなく行っていくことが重要であります。
 財政再建の実現は容易な課題でないことは十分承知をしておりますが、我が国の潜在的国力を顧みれば、私は決して悲観しておりません。我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政、税制上の諸課題について議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という課題に真正面から、将来の展望を見据え、取り組んでまいりたいと考えております。
 有事法制についての御指摘がありました。
 有事法制は、我が国への武力攻撃などに際し、自衛隊等がシビリアンコントロールのもとで適切に対処し、国民の生命財産を守るために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであると深く認識しております。
 また、いわゆる領域警備につきましては、政府といたしましては、三党合意を踏まえ、自衛隊と警察機関との連携要領の策定等、現行の法制度のもとでの対応強化を進めておりますが、今後とも、自衛隊の対応のあり方や関係省庁間の連携について、法的な観点も含めさらなる検討を行い、万全を期してまいりたいと考えております。
 さらに、PKF本体業務の凍結解除につきまして御質問がありました。
 我が国が国際的な安全保障の確立に貢献することは、平和への重要な課題であることは申すまでもありません。そのためにも、目下、三党派間で行われている凍結解除に向けた真摯な御議論が、さらに積極的に進むことを強くお願い申し上げる次第であります。
 次に、先週、幾つかの政府機関のホームページについて改ざん事案が発生したことを踏まえて、サイバーテロの対策に関する御質問がありました。
 原子力施設や自衛隊関連施設あるいはライフライン関係のシステム等について、現時点では、システム構成が全く異なり、同列に論ずることはできないと考えておりますが、政府としては、こうした問題にも対応すべく、ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画を先月決定したところでありますが、なお、改ざん事案の発生にもかんがみ、本計画のもとでの情報セキュリティー対策については、さらに積極的に推進強化をしてまいりたいと考えております。
 次に、三党合意に言及されつつ、社会保障についてお尋ねがありました。
 施政方針演説でも申し上げましたように、今後少子高齢化が急速に進行する中で、制度ごとに縦割りで検討するのでなく、実際に費用を負担し、サービスを受ける国民の視点から、税制を初め関連する諸制度まで含めた総合的検討が求められております。私は、いわゆる団塊の世代の人々がやがて高齢世代の仲間入りをすることを考えますと、最後の検討機会との思いで、先般、社会保障構造の在り方について考える有識者会議を設置し、横断的な観点からの検討をお願いしているところであります。こうした議論や与党の協議等も踏まえながら、将来にわたり安定的で効率的な社会保障制度の構築に全力を挙げてまいります。
 最後に、連立政権のあり方について、議員はドイツの事例などを引用しつつ、相違があることを前提に協調することにより、当面の重要課題を克服することが重要である旨指摘をされました。その上で、今般の三党連立政権の合意事項の実現を目指し、真摯に取り組むべきであると述べられました。
 私は、連立政権の真髄は相互信頼と互譲の精神にあると信じます。その上に立って、合意事項の実現に向け、三党間でさらに真剣に取り組んでいくことを強くお願いいたしますとともに、私としてもしっかりとした対応を行ってまいりますことをここに申し上げ、答弁といたしたいと思います。(拍手)
#8
○議長(伊藤宗一郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小渕 恵三君
        法務大臣    臼井日出男君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    中曽根弘文君
        厚生大臣    丹羽 雄哉君
        農林水産大臣  玉沢徳一郎君
        通商産業大臣  深谷 隆司君
        運輸大臣    二階 俊博君
        郵政大臣    八代 英太君
        労働大臣    牧野 隆守君
        建設大臣    中山 正暉君
        自治大臣    保利 耕輔君
        国務大臣    青木 幹雄君
        国務大臣    越智 通雄君
        国務大臣    瓦   力君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    清水嘉与子君
        国務大臣    続  訓弘君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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