くにさくロゴ
2000/03/10 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第10号
姉妹サイト
 
2000/03/10 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第10号

#1
第147回国会 本会議 第10号
平成十二年三月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成十二年三月十日
    午後零時三十分開議
 第一 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
     ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案(内閣提出)及び高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案(玉置一弥君外二名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時三十三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長岡島正之君。
    ―――――――――――――
 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔岡島正之君登壇〕
#6
○岡島正之君 ただいま議題となりました地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 本案は、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づく地震対策緊急整備事業の実施状況にかんがみ、その有効期限を延長する等の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年延長し、平成十七年三月三十一日までとすること、
 第二に、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、中央省庁等改革関係法施行法等の関係法律について、所要の改正を行うこと、
 第三に、その他所要の規定の整備を行うこと
を定めております。
 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
 以上が、本案の提案の趣旨及びその内容であります。
 本案は、昨九日の災害対策特別委員会において内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって成案と決定し、これを委員会提出法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ、速やかに御可決くださるようお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案(内閣提出)及び高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案(玉置一弥君外二名提出)の趣旨説明
#9
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案及び玉置一弥君外二名提出、高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案について、趣旨の説明を順次求めます。運輸大臣二階俊博君。
    〔国務大臣二階俊博君登壇〕
#10
○国務大臣(二階俊博君) 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、諸外国に例を見ないほど急速に高齢化が進展し、平成二十七年には国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となる本格的な高齢社会が到来すると予測されていること、身体障害者が社会のさまざまな活動に参加する機会を確保することが求められていること等から、高齢者、身体障害者等が自立した日常生活及び社会生活を営むことができる環境を整備することが急務となっております。そのためには、公共交通機関を利用した移動の果たす役割が極めて大きいことから、その移動について、所要設備の整備等により身体の負担を軽減し、その利便性及び安全性の向上を促進することが不可欠となっております。
 このような状況を踏まえ、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化を促進するための各般の施策を総合的に講じることが必要であるため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、主務大臣は、移動円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動円滑化の促進に関する基本方針を定めることとしております。
 第二に、公共交通事業者は、旅客施設の新設や大改良あるいは新規に車両等の導入を行うときには、これらを移動円滑化のために必要な一定の基準に適合させなければならないこととするとともに、既にその事業の用に供している旅客施設及び車両等についても、当該基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
 第三に、市町村は、多数の旅客が利用する鉄道駅等の旅客施設を中心とした地区について、基本方針に基づき、移動円滑化のための事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができることとし、基本構想が作成されたときには、関係する公共交通事業者、道路管理者及び都道府県公安委員会は、これに即して事業を実施するための計画をそれぞれ作成し、これに基づいて当該事業を実施することとしております。また、国及び地方公共団体は、基本構想に定められた駅前広場、通路等の一般交通用施設や駐車場、公園等の公共用施設の整備等必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
 さらに、基本構想に定められた事業を促進するため、土地区画整理事業の換地計画において定める保留地の特例措置、また、主務大臣の認定を受けた計画に基づく公共交通事業者による事業に関する助成を地方公共団体が行う場合の地方債の特例措置を講ずることとしております。
 第四に、主務大臣は、公共交通事業者による移動円滑化のための事業の実施に関する情報の収集、提供等を行う法人を指定することができることとしております。
 その他、移動円滑化を促進するに当たっての国、地方公共団体及び国民の責務を定めるとともに、運輸施設整備事業団が移動円滑化のための事業を実施する公共交通事業者に対して補助金を交付することができることとしております。
 以上が、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 提出者前原誠司君。
    〔前原誠司君登壇〕
#12
○前原誠司君 高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 高齢者や障害者等移動について制約を持っている人々は、長い間公共交通機関や道路の利用について、大変な制限を受けてきました。一九八一年からの国連・国際障害者の十年は、ノーマライゼーションの理念を広め、バリアフリー社会をつくろうという動きを示した時代でしたが、我が国の取り組みは十分なものではありませんでした。交通の分野でも、すべての人がいつでも安全に利用できる公共交通機関及び道路等の整備があらゆる人たちの社会参加の前提であるとの訴えは、法的な裏づけもないまま今日に至っております。
 スウェーデンでは、一九七九年に交通事業者に対し障害者の移動可能性を確保する義務を課す法律が、またフランスでは、一九八二年に障害者を含むすべての市民に対し交通権を認め、移動制約者についてはその実現のための特別な措置をとるという内容の法律ができており、一九九〇年、アメリカにおけるADA法、そして一九九五年、イギリスの障害差別法など、欧米に比べ我が国のバリアフリーへの取り組みのおくれは明白であります。政府案も、今までなかった法制化の試みとしては評価できるものの、ノーマライゼーションの理念が明確でなく、主に都市部での施設整備に偏した立法措置になっております。
 ここに私たちが提出した法律案は、高齢者、障害者等、移動制約者の自立とあらゆる分野の活動への参加を促進するため、移動制約者が円滑かつ安全に公共交通機関等を利用することができる施策を定めることにより、本来だれもが持っている移動の自由を最大限確保することを目的とし、出発地から目的地までの間を他の人々と同等に利用できるようにすることを明確にうたっております。自立と社会参加の拡大は、高齢者、障害者等、移動制約者により多くの生きがいを与えるのはもちろん、我が国の経済活動全体に好影響を与えるものであることも申し添えておきたいと思います。
 次に、この法律案の主要点について、特に政府案との相違に重点を置いて御説明申し上げます。
 第一は、基本指針の作成についてであります。主務大臣は、移動の自由を確保するための施策推進のための基本指針原案を、移動制約者等の意見を聞いた上で作成し、国民から意見を聞き、国会承認を受けるものとしております。
 第二は、公共交通事業者、道路管理者等が講ずべき措置についてであります。主務大臣は、移動制約者等の意見を聞きながら整備基準を定め、交通事業者、道路管理者、都道府県公安委員会等は基本指針等に基づいて整備計画を定め、それを実施するものとしております。駅などの施設につきまして新設、既設の区別は設けず、また、政府案で除外しているタクシー事業者も含んでおります。すなわち、出発地から目的地までの例外ないバリアフリー化を目指すものであります。また、施設の大規模な改善については必ず移動制約者等の意見を聞くなど、当事者参加を明示しております。
 第三は、市町村の措置についてであります。ナショナルミニマムとして国が責任を負う部分と、上乗せ、横出しとして市町村が講じる措置を明確に区別しております。地域の実情に応じ、市町村整備指針を定め、公共交通事業者はそれに即して地域整備計画を作成し、認定を受けることとしております。さらに、市町村は、公共交通機関では対応できないような制約を持っている人、あるいは公共交通機関がカバーし切れない地域の人々に別途のサービス、いわゆるスペシャル・トランスポート・サービスを提供する旨を定めております。交通のバリアフリー化をくまなく実現するためには、福祉タクシー、ボランティアによる移送サービスなど、ドア・ツー・ドアの移動手段について、どこの市町村でも対応できるような計画的施策が必須であります。
 第四は、情報の提供についてであります。移動制約者が安全かつ円滑に移動できるようにするため、理解しやすい方法により必要な情報を提供できるように努めるものとし、バリアフリー情報の提供と情報のバリアフリー化を推進するよう規定しております。
 第五は、財政上の措置についてであります。交通のバリアフリーという政策課題の重要性にかんがみ、国が公共交通事業者に対し、バリアフリー施設の整備に要する費用の四分の三を補助するよう規定しております。
 第六は、国会への報告についてであります。内閣は毎年国会に対し、移動の自由を確保するための施策を報告しなければならないとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 民主党は、この法案を作成するに当たりまして、各地でのシンポジウムやパブリックコメントを実施し、数多くの意見をいただいた上で作成をさせていただきました。高齢者や障害者の思いをできる限り実現するため、ぜひとも真剣な御議論をいただきますようにお願いをいたしまして、私の趣旨説明といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案(内閣提出)及び高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案(玉置一弥君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑
#13
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石毛えい子君。
    〔石毛えい子君登壇〕
#14
○石毛えい子君 民主党の石毛えい子でございます。
 私は、ただいま議題となりました政府案、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案に対して、民主党を代表して質問をいたします。
 本題に入ります前に、三月八日、日比谷線中目黒駅構内で多くの死傷者を出す脱線事故が発生しました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に哀悼の意を表しますとともに、けがを負われた方々の一日も早い御回復を心よりお祈りいたします。事故原因の究明と今後の安全対策の一日も早い確立を望みます。
 そこで、質問通告はいたしておりませんが、運輸大臣にお尋ねいたします。
 今回の事故にどのように対応し、対策を講じるおつもりなのか、その点についてまずお聞かせください。
 さて、政府案は、これまで移動環境の整備が不十分なために社会参加をあきらめざるを得なかった人たちに、おくればせながらも必要な移動環境を整備し、一九八一年の国際障害者年以来の世界的な潮流に沿うものと評価するところであります。
 これまで、障害者に代表される移動に制約を持つ人たちは、当然に持つべき移動の自由、社会参加の権利を侵害されてきました。障害者の社会参加と平等、自立した生活を営むための支援を進め、すべての人たちがともに暮らせるバリアフリー社会を着実につくり上げなければなりません。
 そのためにも、だれもが、いつでも、どこへでも、分け隔てなく、安心して移動できる公共交通システムの整備は、社会参加の前提条件として必要不可欠です。不平等な移動手段しか提供できない環境下では、日本の社会が目指す公正で平等な参加と競争が実現できません。世界的潮流が障害者の権利の実現という方向で進み、日本でも高齢化が急速なスピードで進む中、政府案の持つ歴史的意義は大きいと私も評価はいたします。
 そこで、運輸大臣に改めてお伺いいたします。
 この法案の基本的理念は何であるのでしょうか、これまでの日本の高齢者施策、障害者施策との関連でお聞かせ願います。
 また、民主党案は移動制約者の移動の自由の確保を法の目的としていますが、政府案では、高齢者、身体障害者等の移動の利便性の向上としています。ここで「等」とはどのような人を意味しているのでしょうか。また、移動の利便性とはどのような内容を指しているのでしょうか。私は、移動に制約を受けている人たちが制約を受けていない人と実質的に同等の行動を行えることが大切であると考えますが、この点についてもお尋ねします。
 バリアフリー化を成功させるかどうかのかぎを握るのは、障害者や高齢者の当事者が、バリアフリーの基本整備方針などすべての計画の初期段階から参画できるかどうかです。
 例えば、阪急伊丹駅に関する阪急伊丹駅アメニティーターミナル整備検討委員会には事業者も障害者も入った形で検討が行われ、エレベーターの位置変更や動線を大きく変更して完成しました。ここで事業者の大英断のみならず、当事者参画が大きく寄与した成功例です。
 民主党のパブリックコメントでいただいた話の中には、ノンステップバスは駅の東口に到着するのに、そこには段差があり、エレベーターは西口にあるという笑えない失敗例も寄せられました。このような失敗例を防ぎ、むだをなくすには、法律案や事業計画への初期段階からの当事者参画が不可欠です。当事者は、情報と体験の宝庫、バリアフリーの専門家とも言えます。そして、民主党のパブリックコメントには当事者参画を求める声が当事者の方々から数多く寄せられました。
 小渕政権には、日本で最初の車いすの郵政大臣八代英太議員もいらっしゃいます。この法案を成立させる前に、私たち議員は、選挙区に戻り、障害のある当事者の方々と一緒に町に出てバリアをチェックする必要があると私は思います。
 介護保険制度では、ニーズを熟知した市民自身が策定計画に参画することを位置づけ、これは今後の市民社会を形成する上で非常に意義あるものと評価をいたします。ぜひこの法律でも、法案が成立する前に当事者とともにバリアチェックを行っていただき、より実効性のある法にしていただきたいと願います。
 そこで、お尋ねいたします。
 政府案では、初期段階からの当事者の政策参画、すなわち、主務大臣による基本方針の策定、公共交通事業者が作成する移動円滑化基準、市町村が立案する移動円滑化基本構想の策定など、そしてバリアフリー化の事後的な評価にどのように当事者参画を位置づけるおつもりなのか、運輸大臣にお伺いいたします。
 バリアフリー推進においては、公共交通機関のみでなく、町全体、つまり面のバリアを除去する発想が必要です。
 乗降客の多い拠点交通機関のバリアフリー推進は、もちろんそのスタートとして大変大きな意味を持ちますが、その先には、点と点を結ぶ線、線の集合体である面、つまり町全体のバリアフリー化が視野になければなりません。
 今話題の木村拓哉主演「ビューティフルライフ」というテレビドラマ、大臣、ごらんになったことはございますでしょうか。常盤貴子演じる主人公は車いす利用者ですが、彼女は道路のバリアによって目的地に約束どおりにたどり着けなかったり、けがをする場面など、いかに障害者の日常生活でのバリアが大きいかがあらわされています。また、バリアを経験する障害者自身が後ろめたさや負い目を感じなければいけないという場面も描かれ、これは、いかに障害者の権利が社会の中で保障されていないか、その反映であることもうかがえます。
 政府案では、公共交通機関のみでなく、旅客施設を中心とした一定地区での道路、駅前広場、通路その他の施設の整備等について重点整備地区を指定するとしています。そして、これらの地区において、移動円滑化の意義、位置、区域に関する基本事項を基本方針に定めるとしています。
 そこで、建設大臣にお尋ねいたします。
 この指定にも当事者参画を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、近い将来、ハートビル法を義務化し、全面的なバリアフリーの町づくりへと進めるお考えがおありになりますかどうか、お尋ねいたします。
 アメリカの障害を持つアメリカ人に関する法律、いわゆるADA法では、公共交通がすべての障害者にとってアクセス可能となるよう、既存の交通機関を使えない障害者にスペシャル・トランスポート・サービス、いわゆるSTSを提供し、スウェーデンの社会サービス法においてもコミューンにSTSの提供を義務づけるなど、STSは交通バリアフリーの重要な役割を果たすものであることは明らかです。政府案において、STSについてどのような考え方を持っているのか、伺います。
 政府案は重点整備策が中心になっていますが、障害のある方などの基本的権利を実現するバリアフリー化のためには、拠点である駅やターミナルだけでなく、町中の道路、点と点を結ぶ線、さらには面、出発地から目的地までの全面的バリアフリー化の総合計画が必要です。今述べましたSTSのほかにも、道路の段差等について定めた道路構造令や、駅のプラットホームと電車のギャップと段差についての普通鉄道構造規則などの改正も必要です。法案が成立した場合にこれらを見直すつもりがおありになりますかどうか、お伺いいたします。
 こうしたことを含めて、総合的視野に立ったバリアフリー化が政府案ではどのように位置づけられようとしているのでしょうか。あわせてお聞かせください。
 先日の日比谷線脱線事故に思いをはせるとき、私は、あの車両の中に、車いすの障害を持つ方や視覚障害者、聾者、知的障害者、精神障害者の皆さんがいらっしゃったのではないか、こう自問せざるを得ませんでした。今何が起きているのか、安全確保のためにどうしたらいいのか、現場での職員や他の乗客の対応、わかりやすい表示、情報提供などなど、ハード、ソフト両面でのバリアフリー化は、とりわけ緊急時には人の大切な命にかかわっています。
 また、緊急時でなくても、全盲の三分の二の方々が駅のプラットホームから転落した経験があると言われています。視覚障害者に対応した券売機が特定の駅にあるというような情報だけでなく、具体的にどこにあるのか、何口の何番目の券売機がそれに該当するのかということがわからなければ、結局は立ち往生してしまうという実例も枚挙にいとまがありません。転落防止さく設置など、日常における障害者の安全確保と情報提供の仕組みについて早急に整備を行うべきです。
 政府は今後、安全確保を踏まえて、どのように障害がある人たちへの情報提供を進めようとしているのでしょうか。また、世界的に広まっているユニバーサルデザイン、この考え方に立てば、障害の各種別に的確に呼応した環境整備を充実させ広範化することが、障害を持たない人々にも使いやすい設備や安全で暮らしやすい生活の実現につながることになります。今後、これらの施策にユニバーサルデザインの考え方をどのように反映されようとなさっているのでしょうか。この点もお伺いいたします。
 政府案は、新駅のバリアフリー化は義務化していますが、既存の駅を網羅するものではないとしています。既存の駅が余りにもたくさんある都市圏でバリアフリー化が阻まれています。出発地から目的地まで途切れないバリアフリー化を推進するためには、事業者負担は軽くはありません。この点、民主党案では、国による補助を規定しております。国が十分に予算措置を講ずる必要があると考えますが、どのような措置を考えておられるのか、お伺いいたします。
 私たち民主党の法案も政府案も、目指す方向は同じではないかと考えます。目指すべきバリアフリー社会に向けてどのような方策を進めることが最も効果的であるのか、国会の中で真剣に議論し、相互のよい部分を合わせてこの法案を成立させるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 省庁縦割りでも官主導でもない、政治主導による交通バリアフリーの法律を国会の力で成立させるよう、与党も野党も知恵を出し合ってつくってまいりましょう。当事者の意見を十分に聞き、現場も体験した上で、実効性のある法律をしっかりとつくり上げるために私たち政治家がイニシアチブをとるべきです。私もそのために全力を尽くす覚悟であることを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣二階俊博君登壇〕
#15
○国務大臣(二階俊博君) 石毛議員にお答えをいたします。
 まず、去る三月八日に発生しました営団日比谷線中目黒駅での脱線事故について申し上げます。
 お亡くなりになりました四名の方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々に衷心よりお悔やみを申し上げます。また、現在入院加療中の方々には、一刻も早い回復をお祈り申し上げます。
 御指摘のとおり、事故の原因究明につきましては、現在、事故調査検討会及びその検討会のもとに設けられました専門家によるワーキンググループにおきまして調査中でありますが、今回の事故の徹底的な原因の究明、これに対応した再発防止策を早急に確立するとともに、被害者の方々に対する対応に万全を期すよう、帝都高速交通営団を指導してまいりたいと考えております。
 次に、本法案の基本的理念についてお尋ねがございました。
 本法案は、高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的といたしております。
 次に、本法案における「高齢者、身体障害者等」のいわゆる「等」とはどんな意味を持つのか、どのような人を意味するのかというお尋ねがございました。
 「等」とは、お年寄りや体の御不自由な方々以外で、日常生活または社会生活に身体の機能上制限を受ける妊産婦やけが人などの方々を指しておるものでございます。
 次に、移動の利便性の内容についてお尋ねがありました。
 高齢者、身体障害者等の方々は、公共交通機関を利用して移動する際に身体の負担を負うこととなりますが、本法案では、その負担を軽減することにより移動をより容易にすることを移動の利便性としております。御高齢の方々や身体御不自由な人々が安心して安全に公共交通機関を利用できるように努力することが最も大事なことと考えております。
 次に、本法律の実施及びその事後評価についての当事者の参画についてのお尋ねでございました。
 施策の実施に当たって高齢者、障害者等の御意見を聞くことは当然のことであり、これまでも、施設整備ガイドラインの作成等に当たっては、これらの皆さんの御意見を伺い、それを反映してきたところであります。今後も、基本方針、移動円滑化基準の策定に当たりましては、閣議決定したパブリックコメント手続を実施することにより、高齢者、障害者等だけではなくて、広く国民の皆さんの意見を聞いて、その意見を十分反映してまいりたいと考えております。
 また、八代英太郵政大臣について言及されましたが、実は、一昨日、八代英太郵政大臣とともに、交通バリアフリーの問題につきまして、駅の現場に二人で伺うことを計画いたしておりましたが、鉄道の事故等、思わぬことが発生いたしまして、来週以降に延ばしておることでございますが、必ず八代英太議員とそうした交通の現場に私自身も赴いて、十分調査をしてまいるつもりでございます。
 また、基本構想については、作成主体である市町村が、住民の福祉を実現する主体として、高齢者、障害者等の意見を十分に聴取するものと考えております。必要があれば、国が定める基本方針の指針となるべき事項におきましても、市町村がこれらの方々の意見を聞くべきことを規定することを考えております。
 さらに、公共交通特定事業計画につきましても、同様の措置をとることが考えられます。
 したがって、これらにより利用者、障害者等の参加は確保されているものと考えております。
 また、バリアフリー施設の整備の評価の仕組みにつきましては、既に運輸省として、高齢者、身体障害者等の参加を得て、公共交通ターミナルのやさしさ指標評価委員会を発足させ、駅のバリアフリー基準を作成し、それに基づき、本年一月からの駅のバリアフリー度の評価を開始したところであり、今後、全国の主要駅においてこの評価を引き続き行ってまいります。
 次に、スペシャル・トランスポート・サービス、すなわち、身体障害者等を個別に、あるいはこれに近い形で輸送するサービスについてのお尋ねでありますが、このような輸送サービスの重要性はますます高まるものと考えておりますので、促進方策などの検討を進めていく所存であります。
 次に、法案成立後の駅プラットホームと車両のギャップ及び段差の解消に対する取り組みであり、目の御不自由な方々がホームから転落するということにつきまして、私自身もよく関係者から伺っておるところでありますが、駅のホームと車両とのギャップ及び段差については、現在の普通鉄道構造規則では、旅客の安全かつ円滑な乗降に支障を及ぼさないよう、車両の床面がホームの高さより低くならないことを前提に、できる限り小さくすることを規定しております。鉄道事業者は、この規定に基づき、たわみ量の少ない空気ばねを使用し、床面を低くした車両の導入等により、ホームと車両の段差ができる限り小さくなるよう努めているところであります。
 運輸省としては、法案成立後も、新車の導入、駅の新設、大改良時等に合わせて、鉄道事業者に対し引き続き強力に指導してまいります。
 次に、総合的視野に立ったバリアフリー化を政府案ではどのように位置づけしようとしているかということでありますが、この法案では、運輸省、建設省、警察庁、自治省の四省庁の密接な協力のもと、駅などの旅客施設や車両等だけではなくて、駅前や周辺の道路、信号機等についても、市町村の作成する基本構想に基づいて一体的にバリアフリー化を推進することにいたしております。これにより、交通施設やその周辺の総合的なバリアフリー化が進むものと考えております。
 視覚障害者の安全確保のための駅における情報提供のあり方についてでありますが、本法案に基づき作成される移動円滑化基準では、視覚障害者が、駅の出入り口からホームに至るまで、安全かつ円滑に移動できるよう、誘導・警告ブロックの適切な設置や、音声によるわかりやすい情報提供などの措置について定めることにいたしております。
 また、本法案に基づく鉄道事業者による職員の教育訓練や、国民の皆さんの協力などを通じて、ソフトの面でも柔軟かつ適切な情報提供がなされるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者関連の施策にユニバーサルデザインの考え方をどのように反映するかということでありますが、ユニバーサルデザインとは、すべての人が使えるようにデザインするという考え方であると理解しております。
 高齢者、身体障害者等を含めて、すべての人々が使いやすい公共交通機関を整備していくことが重要であると考えておりますので、交通事業者が遵守することになる移動円滑化基準の策定などに当たっては、ユニバーサルデザインの考え方を十分に踏まえてまいりたいと考えております。
 次に、既設駅のバリアフリー化の予算措置についてのお尋ねでありますが、高齢者や障害者の安全かつ円滑な移動を確保するため、駅のバリアフリー化は緊急の課題であります。
 鉄道事業者によるバリアフリー化設備の整備を支援し、既設駅のバリアフリー化を推進するため、平成十二年度の政府予算においては約八十億円を計上しているところであります。今後とも、市町村や鉄道事業者、政府が一体となって、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、どのような方策を進めることが最も効率的であるか、国会で議論し、よりよい成果を得ることを目指すべきだという御指摘でございますが、この点につきましては、まことに御指摘のとおり、本格的高齢化の時代を迎え、その到来までの限られたこの短い時間に、できるだけ効率的にバリアフリー化を進めることが極めて重要な国民的課題であると認識しております。
 今後、審議の場において議論を尽くし、国民の皆さんの納得と、最大限の関係者の満足が得られるような結果を導き出せるよう、運輸大臣として努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣中山正暉君登壇〕
#16
○国務大臣(中山正暉君) 石毛えい子先生の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 御質問、三点ばかりあったように思いますが、まず第一点でございますが、重点整備地区の指定に際しての、障害者等の当事者の参画についてのお尋ねがありました。
 重点整備地区につきましては、市町村が、地域における高齢者、身体障害者等の方々の移動の実態、旅客施設の周辺における官公庁施設、それから福祉施設等の立地状況などを把握、検討して、基本構想において定めることといたしております。
 このような市町村による基本構想の作成の過程において、地域における高齢者、身体障害者等の方々の意見は反映されることとなるものと考えておりますが、必要があれば、主務大臣の策定する基本方針においても、市町村が基本構想を作成するに当たっては高齢者、身体障害者等の意見を聞くべきことを規定することを考えております。
 それからまた、第二点目でございますが、ハートビル法の義務化についてのお尋ねがございました。
 広く民間の建築物を対象としてバリアフリー化の義務づけを行うには、現段階では十分な国民的コンセンサスが得られていない、かような認識をいたしておりまして、このような現状を踏まえて、当面は補助、それからまた税制、それから融資等による誘導措置を活用することにより、積極的な建築物のバリアフリー化を推進してまいりたいと思っております。
 第三点目でございますが、出発地から目的地までの全面的なバリアフリー化のための道路構造令の改正についてのお尋ねであったと思います。
 本法案におきましては、高齢者や身体障害者などの移動が多く予想される重点整備地区において、移動円滑化のために必要な道路の構造基準を策定し、重点的かつ一体的な事業を実施することといたしております。
 御指摘の出発地から目的地までの全面的バリアフリー化についても大変重要と認識いたしておりますので、重点整備地区の整備状況を勘案しつつ、必要に応じて道路構造令の改正を行い、バリアフリー化の推進に努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#17
○副議長(渡部恒三君) 赤羽一嘉君。
    〔赤羽一嘉君登壇〕
#18
○赤羽一嘉君 公明党の赤羽一嘉でございます。
 質問に先立ちまして、去る三月八日発生いたしました営団日比谷線脱線衝突事故におきまして、事故に遭われ御逝去された方々の御冥福を衷心よりお祈りいたしますとともに、あわせて、負傷された方々の一日も早い御快癒を心から願い、お見舞い申し上げるものでございます。
 私たち公明党は、事故発生直後、党内に対策本部を設置し、直ちに事故現場に直行いたしました。政府におかれましても、事故の原因究明は当然のこと、被害に遭われた方々への補償救済に万全を期すとともに、その再発防止につき総力を挙げて取り組むことをこの際改めて強く要望いたすものであります。
 さて、私は、公明党・改革クラブを代表し、ただいま趣旨説明のありました、内閣提出、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案、民主党提出、高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案につき、運輸大臣並びに民主党法案提出者に質問いたします。
 我が国の急速な高齢化により、二〇一五年には四人に一人が六十五歳以上になるという本格的な高齢社会の到来が目前に迫っております。また、身障者の方々の数も全国に三百万人程度と推計され、だれもが自由に安心して通行、移動できる町づくり、鉄道やバスなどの交通機関の整備を急ピッチで進めてほしいとの声が高まっております。
 私たち公明党は、これまで、党の重点政策や予算編成に対する要望、国会審議を通じ、交通機関のバリアフリー十年プランや公営住宅のバリアフリー化など、バリアフリーの町づくりを一貫して訴えてまいりました。
 こうした主張が実り、昨年度第二次補正予算には、一、幅の広い歩道の整備や歩道の段差の解消、二、鉄道駅へのエレベーター、エスカレーターの設置、三、無公害ノンステップバスの導入支援などなどのバリアフリー化予算が盛り込まれ、国による本格的取り組みが開始されました。例えば、阪神・淡路大震災を契機に、特に高齢化率の高まった私の地元のJR兵庫駅でも、このたびエレベーターが設置され、周辺住民の皆様から大変に喜ばれているところでございます。
 今般、国家国民のため、将来を見据え、必要なところに必要な予算を使うことになる本法案が提出されたことは、日本の政治が今、国民生活に配慮した国民本位の政治に着実に転換しつつあるという点で、大変大きな意義があります。昨今、一部に、連立与党の政策に対しばらまきと安易なレッテルを張る傾向がありますが、こうした与党三党の取り組みを真摯にお受けとめいただきたいのでございます。
 このバリアフリーの問題は、国のみならず、地方公共団体、事業者、さらには広く国民一般が社会的連帯の精神のもとに一体となって進めていかなければならないものであります。今後、本格的な福祉社会の構築に向けた流れが一層強まることが期待されるところであります。
 このような状況を踏まえて、今回提出された政府案と民主党案を比べてみると、大局的な観点からは、目指す方向についてそれほどの違いは見当たらず、御審議の過程で民主党の皆様にも十分閣法に賛成していただけるものと確信をしております。
 まず、バリアフリー化の実施に向けた基本的な考え方についてお伺いいたします。
 民主党案では、優先順位をつけずに全国津々浦々の交通機関、道路のバリアフリー化を進めていくようであります。しかし、駅だけでも全国に一万、バスは六万台、特にタクシーは二十六万両もあります。これをすべてバリアフリー化するというのは、その思いは理解できますが、現実的に、国や地方の財政事情、また交通事業者の厳しい経営状況を考えるとき、その実効性について大いに懸念されるところであります。
 また、民主党が算出されている年間六百五十億円の経費で間に合うものとは到底考えられませんが、絵にかいたもちにならぬよう具体的にどのように実行されようとするのか、端的に御答弁いただきたいと思います。
 私は、公共交通機関や道路のバリアフリー化を進めるためには、現実的な視点に立って、まず利用者が多いところ、そして高齢者、障害者の利用施設が集まっている地域から順次実施していくことが効率性や実効性の観点から必要であると考えますが、この点について、政府案では公共交通機関のバリアフリー化をどのような考え方を持って進めていくのかについて、運輸大臣に御答弁いただきたいと思います。
 次に、義務づけの内容についてお伺いします。
 私は、交通機関のバリアフリー化は既に存在している既設の旅客施設についても実施していく必要があると考えます。しかし、既設の旅客施設は、新たに建設されるものとは異なり、制約条件も多いことが想定されます。政府案では、既設の旅客施設のバリアフリー化についてどのような考え方で取り組んでいかれるつもりなのか、運輸大臣の御答弁をお願いいたします。
 次に、地方公共団体の役割についてお伺いします。
 私は、交通機関のバリアフリー化については、国、地方公共団体、交通事業者、また交通事業の従事者、利用者などの関係者の協力と協調により促進を図っていくべきであり、各地方公共団体が主体性を持って関係者間の調整を行いながら、地域の実情に即したバリアフリー化の実施を促進していくことが重要であると考えます。
 国は整備の目標や統一的な基準を定めるといった基本的方針を定める役割、そして、地方公共団体は地域住民の福祉の増進を図るという役割、また、交通事業者は利用者の利便の向上を図っていくという役割をそれぞれ担っていくべきであると考えます。この点から、公共交通機関のバリアフリー化に際しては、地方公共団体、特に市町村の役割が重要になるものと考えます。
 民主党案のように、国が定めた基準に従い、交通事業者、道路管理者、都道府県公安委員会がそれぞれ独自のバリアフリー事業を実施することでは、地域が真に求めているバリアフリー化が実現するとは到底思えません。
 地域ごとに地方公共団体が主体性を持ってバリアフリー化を推進することこそが、これからの地方分権の時代に対応するものであり、地域住民の福祉の増進のためにも必要なことであると考えますが、この点に関する政府の考え方について、運輸大臣の御答弁をお願いいたします。
 また、公共交通機関のバリアフリー化を進めていくためには、点としての旅客施設のみのバリアフリー化を実施するだけではなく、旅客施設周辺の駅前広場や道路、信号機などをあわせてバリアフリー化していくことが必要であると考えます。
 ここで大事なことは、それぞれのバリアフリー事業が整合性かつ一体性を持って実施されることであります。
 民主党案では、国の基準のもとに、交通事業者、道路管理者、都道府県公安委員会が個別にバリアフリー化を推進することになり、全国で各事業がばらばらに実施されることが懸念されます。単に当事者が問題ありと判断した場合にのみ調整を行うというのでは、整合性のとれた一体的なバリアフリー化が実施されるとは考えられません。政府案では、一体性を持ったバリアフリー事業の推進に向けてどのように考えているのか、運輸大臣の御答弁をお願いいたします。
 最後に、繰り返しになりますが、高齢社会の到来を迎える我が国にとって、公共交通機関のバリアフリー化は待ったなしの課題でございます。運輸大臣より、この問題に積極的に取り組まれる力強い御決意と、並びに民主党の対案につき総括的な御評価をお伺いし、私の質問を終了いたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣二階俊博君登壇〕
#19
○国務大臣(二階俊博君) ただいま赤羽議員からも鉄道事故に関する言及がございました。
 事故の徹底的原因の究明、再発防止策、被害者の方々の救済措置に万全を期するようにという御意見であろうと思いますが、既に総理からも全く同じような趣旨の、いわゆる事故の徹底的な原因究明と同時に、再びこのようなことがないように再発防止に特に力を注ぐこと、そして、被害者の方々に対する救済措置には心を込めて対応するようにという指示がございました。運輸省としても全力を尽くす決意で努めてまいりたいと思いますが、議員各位の一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。
 まず、赤羽議員の御質問でございますが、公共機関のバリアフリー化をどのような考え方を持って進めていくかについて御質問がございました。
 本法案では、交通のバリアフリー化の推進に当たっては、国及び地方公共団体の予算、交通事業者の投資余力に限りがあることから、利用者が多い主要駅や、高齢者、身体障害者等の方々の利用する施設等のある駅及びその周辺のバリアフリー化を進めていくこととしております。
 具体的には、二〇一〇年までに、一日当たりの乗降客数が五千人以上である駅等の旅客施設のバリアフリー化を実現することを目標としております。これが達成できれば、延べ利用者数の九割をカバーする旅客施設のバリアフリー化が進むものと考えております。さらに、バス車両につきましては、新規導入の際にバリアフリー化を義務づけることにより、おおむね十年ないし十五年で低床化されたバスに代替されることになります。これらにより、陸上交通の重要な部分のバリアフリー化が実現できるものと考えております。
 次に、既に設置しております旅客施設のバリアフリー化に対する取り組みの考え方についてお尋ねがございました。
 既存の旅客施設につきましては、バリアフリー化の設備を整備するための改造に際して物理的な制約等があるわけでありますが、大幅な改修を伴うことがこれまた多く、膨大な経費を必要とするという問題があります。
 御指摘のとおり、既設の旅客施設のバリアフリー化は最も重要な問題であると認識しております。したがいまして、既設の旅客施設のバリアフリー化につきましては、努力義務ではあるものの、市町村がイニシアチブをとって旅客施設及びその周辺をバリアフリー化するための基本構想を作成する場合には、交通事業者を初めとする関係者は協力することとしております。さらに、成案が得られた場合には、具体的な事業計画を作成し、バリアフリー化を実施することを義務づけております。
 次に、地方公共団体が主体性を持ってバリアフリー化を推進することについてのお尋ねがございました。
 赤羽議員の御意見のとおり、地域におけるバリアフリー化の推進に際して市町村が果たす役割は極めて重要なものがあります。この認識のもとに、本法案におきましては、市町村が主体的にバリアフリー化を推進する地区及びその事業等について定める基本構想を作成することができることとしております。
 基本構想が作成された場合におきましては、交通事業者、道路管理者及び都道府県公安委員会は、この構想に即して事業計画を作成し、バリアフリー事業を実施しなければならないこととしております。すなわち、市町村が主体的に構想を作成し、関係者を調整した上で、地域の実情に応じたバリアフリー化を実現することができるものであり、御指摘のとおり、まさに地方分権の考え方を導入しているものであります。
 次に、一体性を持ったバリアフリー事業の推進についてでありますが、本法案におきましては、運輸省、建設省、警察庁及び自治省の四省庁の密接な協力のもと、必要な措置を講ずることとなっておりますが、具体的なバリアフリー化の実施に際しては、地域の実情に最も精通している市町村が中心となって、交通事業者、道路管理者、都道府県公安委員会の協力を得て、整合的かつ一体性を持った地域のバリアフリー化を進めるための基本構想を作成し、これに即して関係者がバリアフリー事業を推進するスキームを盛り込んでいるところであります。これにより、整合性のとれた一体的な交通のバリアフリー化が効果的に推進されるものと考えております。
 最後に、交通のバリアフリー化に取り組む決意と民主党案に対する評価についてであります。
 我が国においては、本格的な高齢社会の到来を間近に控えておるわけでありますが、一方で、従来の社会資本整備は量的な面を中心に進められてきましたが、これと同様に、質的な面につきましても一層重視すべき局面を迎えております。このために、交通機関におけるバリアフリー化を促進することが喫緊の重要課題であると認識しております。
 今後とも、交通のバリアフリー化を推進するため、関係省庁、地方公共団体、交通事業者等と緊密かつ十分な連携をとりながら、交通機関のバリアフリー化に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、交通施設の改善とともに、人の心の改善につきましても必要であるという御意見でございますが、私も、交通のバリアフリー化を推進するためには、旅客施設や車両等に関する施設整備や交通従事者の適切な対応だけではなくて、さらに広く多くの、国民全般の深い御理解と御協力が必要不可欠であることを特に痛感しておるものであります。その観点から、本法案におきましては、国民の皆さんの協力について規定するとともに、国の責務としても、広報活動等を通じてバリアフリー化に対する国民の理解を一層深めるよう努めてまいる決意であります。
 民主党案につきましては、政府と同様に交通のバリアフリー化の重要性を強く認識されてこのような法案としてまとめられたことに対しまして、まず敬意を表したいと思います。運輸省といたしましては、政府案が最善なものであると考えております。今後の国会審議において十分論議いただきたいと考えております。(拍手)
    〔金田誠一君登壇〕
#20
○金田誠一君 赤羽議員からは、大綱二点御質問をいただきました。
 まず、お尋ねの見込み額の関連についてでございますが、実際には、法案成立後指針あるいは基準をつくり、その中で精査されるべきものでありますが、ここでは、私たちがおおむねの試算をいたしました結果についてお答えをいたします。
 鉄道駅につきましては、一駅で何台ものエレベーター等が必要な駅からスロープをつけるだけで足りるものまでさまざまであります。これらを勘案し、およそ十年で整備すると仮定し、四分の三という国の補助率を乗じますと、年間約三百三十九億円の財政支出が必要になります。バスについては、ノンステップバスを十年で二分の一整備するとの仮定で、年間約百七十四億円。タクシーについては、平均的耐用年数である三年で、車いす、健常者ともに兼用できる車両を二分の一整備するとの仮定で、約百十二億円といった計算になってございます。
 いずれにしても、欧米に比べて著しく立ちおくれている我が国の現状からして、これを具体的に推進するには、高率の補助による計画的な推進がぜひとも必要な施策であると考えているところでございます。
 次に、実効性についての懸念が指摘をされましたが、交通事業者の方々におかれましても、バリアフリー化は社会的要請でもあり、補助制度の拡充によって十分意欲的に対応していただけるものと考えております。
 また、今後さらに移動制約者の数が増加する点を考慮した場合、高齢者、障害者の自立と社会参加の機会を増加させることが新たな交通の需要を掘り起こすことになるため、バリアフリー化は交通事業者の経営面から見ても決してマイナスの効果ではないという点も強調しておきたいと思います。
 いずれにせよ、基本指針、整備基準のもとに交通事業者の手で整備計画がつくられるのですから、おのずと優先順位を明確にしながら、実行可能な部分から計画的に整備されることになるのは当然である、このように考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○副議長(渡部恒三君) 平賀高成君。
    〔平賀高成君登壇〕
#22
○平賀高成君 初めに、営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で犠牲になられた方々に心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案について質問をいたします。
 我が国では、国際障害者年から既に十七年も経過をしているにもかかわらず、交通バリアフリー化の改善整備は極めて不十分な現状であると言わなければなりません。我が党は、国際障害者年を契機に、障害者団体や地域と結び、エレベーター、エスカレーターなど、バリアフリー化の促進のために一貫して取り組んでまいりました。
 今回、障害者団体を初めとする国民の世論と運動と相まって、政府が法制化することになったことは前進であります。しかし、本法案は、理念、基本方針、整備計画、公共交通事業者の責務、障害者や利用者の参加という点で不十分さを持っております。
 以下、交通バリアフリー法案の内容について具体的に質問をいたします。
 第一は、本法案の目的、理念についてであります。本法案の目的に、高齢者、障害者等の移動について、移動の自由と安全確保は基本的権利であることが明確になっていない問題であります。
 高齢者、障害者等すべての人がみずからの意思で自由に移動でき、社会参加ができる福祉の町づくりを進めることが重要です。高齢者、障害者等すべての人々が自由かつ安全に移動することは基本的な権利です。既に欧米では、移動の制約は差別であるとして、法的に基本的権利と規定しています。法案の目的に、高齢者、障害者等すべての人の移動は基本的権利であることを明記すべきではありませんか。
 また、法案は、対象範囲について、障害者基本法第二条で、障害者の定義として「身体障害、知的障害又は精神障害」と定められているにもかかわらず、「高齢者、身体障害者等」と狭めて規定し、知的障害者、精神障害者が含まれていないのはなぜでしょうか。すべての障害者を対象範囲とするべきではないでしょうか。運輸大臣の明確な答弁を求めます。
 第二は、国が定める基本方針、整備計画についてであります。
 法案では、国が、移動円滑化の促進に関する基本方針で整備計画の目標に関する事項を定めるとしています。これは、実効性確保にとって重要です。政府は、目標に関する事項について、検討課題であるとして明確にしておりませんが、運輸大臣は、国会で、乗降客が五千人以上の駅等は二〇一〇年までに整備すると答弁をしています。
 バリアフリー化の実効性を確保するためには、乗降客が五千人以下の駅等についても含めて、既存のすべての施設設備を対象とした整備計画を持つべきではないでしょうか。運輸大臣の答弁を求めます。
 第三に、実効性を確保するための公共交通事業者の責務についてであります。
 事業者に対して、鉄道駅等の旅客施設の新設、大規模改良、車両の新規導入などの際、交通バリアフリー化の整備基準への適合を義務づけることは前進であります。この基準が、高齢者、障害者等の納得いくような完全なバリアフリー化の整備水準となることが重要です。
 法案では、このような重要な基準がすべて省令にゆだねられています。しかも、省令で決めるに当たって、公共交通事業者の財政力や技術力を考慮しなければならないとしていることは、公共交通事業者の責任を弱めることにつながることが懸念されます。高齢者、障害者等の全バリアフリー化への国の責務を果たす上でも、事業者の責務を強めるべきではないでしょうか。
 さらに、大規模改良施設の要件、その基準、その判断の妥当性について、だれが決定するのかという問題であります。大規模改良施設と規定されると、事業者は、五千人以上の駅であっても、改良される時期まで事実上整備を行わないことになります。これまでも、大規模改良を行うことを口実に、整備が全く進んでこなかったわけです。
 大規模改良を本当に実効あるものにするためには、大規模改良施設の要件、その基準、その判断の妥当性について、国民の前に明らかにし、公共交通事業者の判断任せにしないで、国が検証し、責任を持って決定するようにするべきではないでしょうか。
 第四に、既存施設の整備についてであります。
 公共交通施設のバリアフリー化が進まないのには、既存の施設設備等の整備の問題があります。既存施設の現状を見ますと、JRのエレベーター整備率はわずか四・四%であり、エスカレーターの整備率も七%にすぎず、JRの整備が決定的におくれています。JR、私鉄大手では、総駅数六千四百四十五駅のうち、エレベーターの設置は四百五十駅で整備率は七%、エスカレーターの設置は七百六十駅、整備率一一・八%であり、法案の実効性を確保することができるかどうかは、これらのJRなど大手鉄道事業者にゆだねられていると言っても過言ではありません。バリアフリー化を進める上で、大手鉄道事業者の社会的な責任は重大になっているわけです。
 法案では、新設、大規模改良、重点整備地区が優先的に整備されることになり、既存の施設は放置される危惧があります。したがって、既存施設の整備についてJR等の公共公通事業者に義務化し、すべての既存施設の整備計画の目標と期限を明確にさせることが必要です。その上で、優先順位を決めながら計画的に整備していくべきではないでしょうか。
 さらに、高齢者、障害者等の乗りおりを容易にするためにバスの低床化の整備も必要です。歩道と段差がなく、乗りおりを可能にするノンステップバスは、九八年度末で全国的に四百四十一台導入されています。しかし、乗り合いバス全体から見ると、車両数全体の〇・七%にすぎないものです。政府は、ノンステップバスの導入についても目標を決めて計画的に進めるべきではないでしょうか。
 第五に、基本方針等の策定に際して、利用者、障害者等の意見が反映する場がないことについてであります。
 法案の骨格を占める基本方針や移動円滑化基準、重点整備地区、基本構想、公共交通特定事業計画は、いずれもバリアフリー化の実効性にかかわる重要な柱になっていますが、これらを策定する際に、利用者、障害者等の意見が反映する場がないことであります。利用者、障害者等が参加し、意見を反映できるように審議会あるいは協議会などのシステムを確立するべきではないでしょうか。また、整備した後に、当事者も参加して評価、改善できる仕組みを考えていくべきではないでしょうか。運輸大臣の答弁を求めます。
 第六に、バリアフリー化されても移動困難な人たちのための代替輸送確保、人的支援等のソフト面の充実についてであります。
 バリアフリー化が進められても、それでも移動困難な人たちがおります。欧米においては、代替輸送を確保するため、STS、スペシャル・トランスポート・サービスの制度が実施されています。法案では位置づけられておりませんが、我が国でも、国に先駆けて自治体や事業者、ボランティア団体等で一部実施されています。しかも、公共交通機関の改善までの過渡的な移動手段としての役割もあります。STSは国として真剣に検討すべき課題ではないでしょうか。
 また、公共交通事業者は、駅のホーム要員を減らすなど、高齢者、障害者等が自由かつ安全に移動することに逆行しているのが現状です。
 視覚障害者等の半分以上の人が、ホームからの転落を体験しています。視覚障害者が駅のホームから転落し、電車にはねられ死亡する事故が後を絶ちません。視覚障害者の事故防止対策は急務です。誘導・警告ブロックを駅入り口からホームまで設置することやホームドアの設置などの対策を行うとともに、当面、事業者側の駅員、乗務員、一般旅客など、人的サポートの強化を図るべきではないでしょうか。
 最後に、公共交通事業者であるJR等は、駅舎の新改築、南北通路、駅前広場等の整備を全く費用負担せず、自治体に負担させることが常態化しております。法案では、自治体負担三分の一が基本になっています。バリアフリー化の整備に関して起債を発行できることになっていますが、地方財政が大変なもとで、自治省はどのような自治体負担の軽減措置を検討しておりますか。自治大臣の答弁を求めます。
 次に、民主党案について伺います。
 厚生省の調査によると、身体障害者の外出状況は、外出したことがある人が八六%、そのうち、ほぼ毎日外出する人が四三%と最も多く、週二、三回の人を合わせると、全体の六〇%を超えています。外出する上で困ることは、交通機関の利用が不便が三〇・三%、道路や駅が利用しにくいが一八・八%になっており、交通機関によるバリアが半分に達しています。この調査からも、今後ますます障害者の公共交通機関の利用が増加することになります。
 こうした実態から、三つの点について伺います。
 その第一は、交通バリアフリー化を整備していく上で、利用者、障害者等の当事者が参加し、意見を反映できる仕組みを確立することが必要であると思いますが、その重要性についてどのように考えておりますか。また、制度の見直し、バリアフリー化後の施設整備の評価についても当事者が参加できるようにすべきであると考えますが、民主党の見解を伺います。
 第二に、公共交通のバリアフリー化を整備促進していく上で、JR、大手民鉄などの公共交通事業者の責任と役割が重要になっていますが、社会的に果たすべき事業者の責任について民主党はどのようにお考えでしょうか。
 第三に、既存のすべての施設を整備の対象とし、計画的に整備を行っていくべきであると思いますが、どうでしょうか。
 日本共産党は、高齢者、障害者団体の皆さんとともに、高齢者、障害者等の社会参加の前提となる公共交通のバリアフリー化促進のために、全国で運動を進めてまいりました。今後とも、高齢者、障害者等の社会参加のために、移動する権利の確立とその充実のために奮闘していく決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣二階俊博君登壇〕
#23
○国務大臣(二階俊博君) 平賀議員にお答え申し上げます。
 まず、法案の目的に、高齢者、障害者等、すべての人の移動が基本的人権であることを明記すべきとの御指摘がございました。
 移動の権利については、憲法上明示されているものではなく、学説、判例においても確定されたものではないと承知しております。また、仮に、憲法の理念を踏まえて、移動の権利に関する新たな立法措置を講ずるとしても、法律をして規定するためには、その内容を明確化する必要があると考えます。
 しかしながら、いかなる交通サービス水準を享受することが移動の権利であるかについての社会的合意はまだ形成されておらず、その内容については明確になっていないことから、移動について権利として本法案に規定することは適当ではないと考えております。
 次に、本法案の対象範囲に知的障害者、精神障害者が含まれていない理由についてのお尋ねでありましたが、本法案の目的は、公共交通機関を利用する際の身体の負担を軽減することにより、その移動の利便性及び安全性を向上させることにありますが、どのようなバリアフリー施設の整備により知的障害者や精神障害者が移動を円滑にできるようになるかについては、必ずしも明らかになっておりません。したがって本法案の対象とはなっていないものであります。
 次に、この法律の対象をすべての障害者とすること、また、基本的人権としてすべての人を対象とすべきとの御指摘がありましたが、本法案に基づく具体的な措置は、公共交通機関を利用するすべての人の移動の利便性などの向上につながるものと考えておりますが、すべての障害者を対象とすること、また、すべての人の移動を基本的人権と位置づけることは、先ほど御説明申し上げましたとおり、この際は適当ではないと考えております。
 次に、乗降客が五千人以下の駅等も含めて、既存のすべての施設整備を対象とした整備計画を基本方針に定めるべきではないかとのお尋ねがありました。
 基本方針において定める目標の内容については、今後広く関係者の意見を聞いて定めるものであります。目標を定める場合には、国及び地方公共団体の予算、公共交通事業者等の投資余力には限りがあること、急速な高齢化等を踏まえて、一定の期間内にバリアフリー化を緊急に講ずることが必要であることなどから、実行可能なものにする必要があり、既存のすべての施設を対象とすることは現実的には困難であります。
 したがって、優先順位を決めてバリアフリー化を推進する必要がありますが、その場合、一日の乗降客数が五千人以上であることとすれば、全旅客施設を利用する利用者の九割をカバーすることとなるので、目標としては一つの考えであると思っております。
 次に、バリアフリー化に関する国の責務を果たす上で、大規模改良の要件や基準、その判断の妥当性について、省令に定めるものではなくて、事業者の財政力や技術力を考慮して、事業者の責務をゆるがせにすべきでないとの御指摘がございました。
 大規模改良の要件等につきましては、技術的な事項であり、省令で定めることが適当と考えております。また、交通機関のバリアフリー化は、国、地方公共団体、交通事業者、交通事業の従事者、利用者等の関係者の協力と協調により促進を図っていくべきものであり、あらゆる施設整備を事業者に義務づけるといった規制を中心にして進めていくべきものではないと考えております。
 すなわち、国による規制は一定限度にとどめ、多くの国民の皆さんの御理解と御協力を得て、社会的連帯を促進する枠組みを地域の実情に即してつくることがバリアフリー化を進める上で最も重要であります。
 次に、公共交通事業者が行う旅客施設の工事の大規模改良への該当性に関する判断についてお尋ねがありました。
 大規模改良の要件等については、省令を定める際に、閣議決定に基づくパブリックコメント手続を実施することにより、その過程の公正さと透明性を確保しつつ、客観的で明確な基準を定めることといたしております。公共交通事業者が行う工事が大規模改良に該当するかどうかは、この客観的で明確な基準に基づき、国が最終的に責任を持って判断することになります。
 次に、すべての既存施設について整備計画を明確にし、公共交通事業者に対し整備を義務づけるべきであるとの御指摘でありますが、すべての既存施設について整備を行うことが望ましいのは極めて当然のことでありますが、国及び地方公共団体の予算、公共交通事業者の投資余力には当然限りがあることでありますから、すべての既存施設についてその整備を義務づけすることは困難であると考えております。したがいまして、既設の旅客施設のバリアフリー化については、努力義務といたしております。
 しかしながら、既にある施設のバリアフリー化を促進することが重要であることにかんがみ、市町村がイニシアチブをとって旅客施設及びその周辺をバリアフリー化するための基本構想を作成する場合には、公共交通事業者等を初めとする関係者は協力することといたしております。そして、成案が得られた場合には、公共交通事業者等は具体的な事業計画を作成し、バリアフリー化を義務づけることとなっております。
 次に、ノンステップバスの計画的な導入についてのお尋ねでありますが、一定の目標を定めた上で積極的に進めていく所存であります。
 施策の実施に当たり、高齢者、障害者等の意見を反映すること、また、その成果について評価する仕組みの必要についての御指摘がございました。
 施策の実施に当たって、高齢者、障害者等の御意見を聞くことは当然のことであります。これまでも、施設整備ガイドラインの作成等に当たってはこれらの皆さんの御意見を伺って、それを反映してきたところであります。
 今後も、基本方針、移動円滑化基準の策定に当たりましては、閣議決定に従いましてパブリックコメント手続を実施することにより、高齢者、障害者等だけではなくて、広く多くの国民の皆さんの意見を聞いて、その意見を十分に反映してまいりたいと考えております。
 また、基本構想及びこの中で定められることとなる重点整備地域については、作成主体である市町村が住民の福祉を実現する主体として高齢者、障害者等の意見を十分に聴取するものと考えております。必要があれば、国が定める基本構想の指針となるべき事項におきましても、公共交通特定事業計画につきましても、同様の措置をとることが考えられます。
 また、バリアフリー施設の整備の評価の仕組みにつきましては、既に運輸省としては、公共交通ターミナルのやさしさ指標委員会を発足させて、駅のバリアフリー基準を作成し、それに基づき、ことし一月からバリアフリー度の評価を開始しているところであります。
 スペシャル・トランスポート・サービスにつきましても、このような輸送サービスの重要性はますます高まるものと考えておりますので、促進方策など、検討を進めていく所存であります。
 最後に、視覚障害者の駅ホームからの転落防止についてでありますが、本法案に基づき作成される移動円滑化基準では、駅の出入り口からホームまでの経路について、安全かつ円滑に移動するための措置について定めることにいたしております。
 本法案には、鉄道事業者による職員の教育訓練や国民の皆さんの協力についても定められており、ハード面のみならず、人的な面におきましても今後検討してまいりたいと思います。
 いずれにしましても、交通弱者の皆さんを国民全体で支えていく、心を寄せ合って協力し合うということが何よりも重要であると考えております。
 以上申し上げて、答弁といたします。(拍手)
    〔国務大臣保利耕輔君登壇〕
#24
○国務大臣(保利耕輔君) 地方公共団体の負担の軽減措置についてのお尋ねであります。
 自治省では、現在、地方公共団体が交通事業者に対して鉄道駅のバリアフリー施設の整備経費やノンステップバスの購入経費を補助する際等に、地方交付税措置を講じております。バリアフリー化の円滑な実施を図るため、今後とも地方公共団体の負担軽減措置を講じてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    〔玉置一弥君登壇〕
#25
○玉置一弥君 平賀議員にお答えを申し上げます。
 私どもにお聞きをいただきましたのは三点でございます。
 まず一点目、当事者参加の重要性と当事者参加の位置づけについてお答え申し上げます。
 民主党では、現在移動が困難な方々が、法律を策定することによって移動が自由になり、社会参加が進むようになるかを確認するために、十二月から一月にかけて、法案骨子の段階でパブリックコメントを実施いたしました。百十件を超える御意見をいただき、当事者参加の拡充、情報のバリアフリー化、STSの義務化等の修正を行ったところであります。
 私たちは、法案骨子の段階でパブリックコメントを行って本当によかったと思っております。実際にどのような場面で不便を感じておられるか、どのような解決を望んでおられるかなど、よくわかるようになりました。
 また、このような経験を踏まえ、国が定める基本指針についても、移動制約者の意見を聞き、国民の意見も踏まえて国会が承認するという民主的な手続を採用し、バリアフリー化の進め方や内容についても、当事者の意見を十分に聞くこととしております。
 また、公共交通機関整備基準の策定の際にも、移動制約者の意見を聞いて策定する旨、法律で明記しております。
 さらに、実際の駅などの施設のどこをどのようにバリアフリー化するかという点については、事業者が、一定規模以上の施設につき整備計画を定める際にも、移動制約者の意見を聞くこととし、御指摘の阪急伊丹駅のように、最初から当事者が十分に話し合うことにより、移動制約者が利用しやすい施設が整備できるように措置しております。
 事後的なチェックについても非常に重要であると考えております。民主党が行ったパブリックコメントに対する意見の中にも、ノンステップバスは駅の東口に到達するのにエレベーターは西口にあるというような笑えないような話もありました。このような失敗例もきちんとチェックして、今後に生かす方策を考えなければなりません。
 したがって、民主党案は、事業者の国に対する報告義務、内閣の国会に対する施策の報告義務などを法律上盛り込んでおり、必要に応じて基本指針の見直しがなされるようになっております。実際の現場で、当事者がしっかりと話し合いをしてよい施設をつくることが求められており、法律上、このような制度が組み込まれていることが重要であると考えております。
 二番目の、バリアフリーを進める事業者の責任についてであります。
 バリアフリー化を進める当事者は鉄道事業者やバス事業者などであり、その事業者が責任を持って計画を立て、施策を進めていくことが必要であると考えております。また、町全体の高齢者、障害者の実態に合わせたバリアフリー化の推進に、地方公共団体のコーディネーターとしての役割は特に大きいものがあります。
 民主党案では、政府の策定する基本指針、公共交通機関整備基準に基づいて、事業者が公共交通機関整備計画を移動制約者の意見を聞きながら策定することとしております。どのような施設からどのように整備していくかについては、事業者の創意工夫により進められることになります。ただし、事業者が計画を策定しない場合、計画が基本指針、整備基準に即していない場合、計画を実施しない場合などについて、主務大臣が勧告や命令を発することができるよう措置しております。
 また、施設の整備だけではなく、現場での対応など、ソフト面での対応も事業者に責任を持っていただく必要があります。公共交通機関整備計画の中にも、移動制約者による円滑かつ安全な利用に関する啓発及び知識の普及に関する事項を定め、移動制約者が分け隔てなく安心して移動できるような対応を行ってもらうこととしております。
 このように、ソフト面、ハード面の両面にわたって事業者の責任は非常に重要であり、国が支援をしつつ、事業者が責任を持ってバリアフリー化を推進するシステムとなっております。
 最後に、既設の設備に対する整備についてであります。
 民主党案では、政府案とは異なり、既存の設備についても最終的にはすべてバリアフリー化をすることとしております。ただし、いきなりすべての施設をバリアフリー化することは不可能であることから、計画的に推進することが必要であると考えており、国の定める基本指針に基づき具体的な施策を推進することとしております。
 民主党の法案に対するパブリックコメントの中にも、既存の施設についても義務化をしてほしいとの意見が数多く寄せられており、民主党案はこのような当事者の意見に沿ったものであると考えております。
 ちなみに、鉄道の駅につきまして、今後十年間で大部分の駅をバリアフリー化することを想定しており、その他の施設や設備につきましても、その程度の期間に多くの施設がバリアフリー化されることとなると考えております。
 既存の施設についてすそ切りを設けることになれば、都市部のみにバリアフリー化がされた施設が集中することになり、都市に住まない人たちにとって何の恩恵もない法律になりかねません。
 民主党としては、すべての人が円滑かつ安全に移動できる社会を実現し、高齢者、障害者の社会参加を推進することが最も重要な政策の一つであると考えており、すべての施設のバリアフリー化を法律で義務づけすることといたしました。
 以上でございます。(拍手)
#26
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        運輸大臣    二階 俊博君
        建設大臣
        国務大臣    中山 正暉君
        自治大臣    保利 耕輔君
 出席政務次官
        運輸政務次官  中馬 弘毅君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト