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2000/03/23 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第14号
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2000/03/23 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第14号

#1
第147回国会 本会議 第14号
平成十二年三月二十三日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  平成十二年三月二十三日
    午後一時開議
 第一 中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 産業技術力強化法案(内閣提出)
 第三 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 河川法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 産業技術力強化法案(内閣提出)
 日程第三 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 河川法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 産業技術力強化法案(内閣提出)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、中小企業指導法の一部を改正する法律案、日程第二、産業技術力強化法案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長中山成彬君。
    ―――――――――――――
 中小企業指導法の一部を改正する法律案及び同報告書
 産業技術力強化法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中山成彬君登壇〕
#4
○中山成彬君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、中小企業指導法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、昨年秋の臨時国会における中小企業基本法の抜本改正等を踏まえ、我が国経済の活力の源泉である多様な中小企業者がそれぞれのニーズに応じて経営資源を確保することを支援するため、
 第一に、従来の、国、都道府県等が中小企業を上から指導するという考え方を、中小企業の自助努力を行政が支援するという考え方に改めること、
 第二に、都道府県等が行う中小企業支援事業等においては、ワンストップサービス化を推進しつつ、各種中小企業関連団体との連携や民間事業者の活用を図ること、
 第三に、従来、国、都道府県等が行う中小企業指導事業において経営の診断を担当する者の資格であった中小企業診断士制度を、広く中小企業の経営の診断、助言の業務に従事する者一般への資格制度に転換すること
等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月八日本委員会に付託され、同月十日深谷通商産業大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。同月二十一日質疑を行い、討論の後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 次に、産業技術力強化法案について申し上げます。
 本案は、我が国の産業技術力の低下が懸念されており、より創造性に富む研究開発を可能とする体制を築くことが極めて重要になっているとの認識のもとに、第一に、産業技術力が我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であり、産学官が一致して産業技術力の強化に取り組むことを基本理念として定めるとともに、産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、大学及び事業者の果たすべき責務を明らかにし、施策の基本となる事項を定めております。
 第二に、国公立の大学や試験研究機関の研究者について、その研究成果を活用する営利企業の役員を兼ねることが研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することを明確にするほか、民間から国公立大学に対する委託研究等に係る資金の受け入れ及び使用の円滑化など、産業技術力の強化を支援するための各種措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十三日本委員会に付託され、同月二十一日深谷通商産業大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。昨二十二日質疑を行い、討論の後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長仲村正治君。
    ―――――――――――――
 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔仲村正治君登壇〕
#9
○仲村正治君 ただいま議題となりました運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、特殊法人等の整理合理化の推進及び高度船舶技術を用いた船舶等の実用化を図るため所要の措置を講ずるもので、その主な内容は、
 第一に、造船業基盤整備事業協会は、この法律の施行のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は運輸施設整備事業団が承継すること、
 第二に、造船業基盤整備事業協会の業務の一部を運輸施設整備事業団に移管するとともに、高度船舶技術を用いた船舶等の製造に必要な資金の借り入れに対する債務保証業務を同事業団の業務として追加すること、
 第三に、造船業基盤整備事業協会が買収した土地等の管理、譲渡等の業務を、当分の間、運輸施設整備事業団が行うこと
等であります。
 本案は、二月八日本院に提出され、三月七日本委員会に付託されました。本委員会においては、三月十日二階運輸大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十二日質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 河川法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、河川法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長大口善徳君。
    ―――――――――――――
 河川法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大口善徳君登壇〕
#13
○大口善徳君 ただいま議題となりました河川法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地域の実情に応じた河川の管理を推進するため、町づくりや地域づくりの中心的主体であり、住民に最も身近な行政主体である市町村が河川管理に一層参画できるようにするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、指定都市の長が指定区間内の一級河川及び二級河川のうち一定の区間について河川の管理を行うことができる制度を導入すること、
 第二に、市町村長が指定区間外の一級河川について河川工事または河川の維持を行うことができるようにすること
であります。
 本案は、去る三月七日本委員会に付託され、翌八日中山建設大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日質疑を行い、同日採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対して附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#16
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この二つの法案は、金融システムの一層の安定化と利用者の保護を図るため、国民の基本的な貯蓄であり生活保障の手段でもある預金及び保険について、ともに、破綻処理制度の拡充、セーフティーネットの財源の充実及び経営基盤の強化手段の整備を行うものであります。
 まず、預金保険法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の金融システムは、預金保険法、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法の枠組みを用いて官民一体となって不良債権の処理や金融機関の再編、整理等に集中的に取り組んだ結果、安定化してまいりました。
 このような状況のもと、金融機関の破綻処理のための恒久的な制度を整備するとともに、交付国債の増額及び預金等全額保護の特例措置の一年延長等を行うことに加え、当該特例措置終了に向けての環境整備の一環として協同組織金融機関の経営基盤の強化のための措置をあわせて講ずることにより、我が国の金融の機能の一層の安定化及び破綻金融機関の的確な処理を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十三年四月以降の金融機関の破綻処理制度として、破綻処理の迅速化、多様化を図るため、破綻金融機関に係る合併等に対する資金援助の適用範囲を拡大するとともに、破綻金融機関に対する金融整理管財人による管理、破綻金融機関の業務承継、金融危機に対応するための措置等の制度を設けることとしております。また、金融機関について民事再生手続の特例等を設けることとしております。
 第二に、預金保険機構に交付する国債を、既に交付している七兆円に追加して六兆円増額するほか、平成十三年三月末までとなっている預金等全額保護の特例措置を一年延長し、平成十四年三月末までとするとともに、流動性預金については、当該特例措置終了後も、平成十五年三月末までの一年間、全額保護することとしております。
 第三に、協同組織金融機関の経営基盤の強化を図るため、個別の協同組織金融機関による優先出資の発行を可能とし、これらの金融機関について、金融機能早期健全化法に基づく資本増強の適用条件を見直した上で、その適用期限を一年延長するとともに、平成八年の預金保険法改正前の破綻処理に伴う債権回収事務を整理回収機構に円滑に一元化するための措置を講ずることとしております。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の保険業を取り巻く環境は厳しいものとなっており、各保険会社にあっては、競争力の強化、事業の効率化と同時に、一層の経営の健全化の確保が必要な状況にあります。
 このような状況のもと、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定の見直しを行うほか、保険契約者等を保護するための特別の措置等を整備するとともに、相互会社の更生手続の特例等を設け、さらに、生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証を可能とする措置の恒久化を図ること等により、保険会社の経営基盤の強化及び破綻保険会社の的確な処理を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、保険相互会社について自己資本の充実、再編等が円滑に行われ得るよう、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定を見直し、端株の一括売却制度の導入により、売却代金の交付による社員への補償を可能とすることとしております。また、組織変更と同時の株式発行等による資本増強を可能とすることとしております。
 第二に、破綻処理の迅速化、多様化を図るため、保険契約者保護機構の子会社である承継保険会社による保険契約の承継等を可能とすることとしております。また、株式会社のみを対象としている更生手続について相互会社への適用を可能とするとともに、保険会社の更生手続の特例として、監督庁による更生手続開始の申し立て等を可能とすることとしております。
 第三に、これまでの破綻処理により基盤の揺らいだ生命保険契約者保護機構のセーフティーネットとしての機能の維持を図るため、生命保険会社各社の負担能力を超える等の場合には、平成十五年三月末までに破綻した生命保険会社の破綻処理費用について政府による補助を可能とするとともに、生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証を可能とする措置の恒久化を図ることとしております。
 以上、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げました次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#18
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。北橋健治君。
    〔北橋健治君登壇〕
#19
○北橋健治君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました預金保険法等の一部を改正する法律案、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、両案につきまして、小渕総理並びに関係大臣に質問いたします。
 小渕総理、けさの朝刊をごらんになられて、どのようにお感じになったでしょうか。十一カ月ぶりに不支持率が支持率を上回りました。今や、小渕総理の経済政策、いわゆるオブチノミックスは完全に破綻していることが国民の前に明らかになってきたからではないでしょうか。(拍手)
 小渕総理就任後、国と地方の借金は実に百十六兆円もふえました。しかし、GDPは実に十五兆円も減少しているのであります。今年度の公約、〇・六%成長の達成は、もはや各方面から絶望視されております。総理が辛うじて望みをつないでいるはっきりとしたプラス成長という公約も、名目成長率がマイナス〇・四%を下回るのが確実という状況を考えると、到底達成は望めません。
 財政赤字をふやし、GDP、国内総生産を減らすオブチノミックスによって、国民は今三つの深刻な不安におびえております。
 まずその一つは、一向に景気が回復しないことによる失業の不安です。完全失業者は依然として三百万人を超え、企業のリストラが加速していることから、さらに増加する兆しさえあります。就職前線は依然として超氷河期でございます。
 二つ目は、老後の不安であります。昨日与党が採決を強行した年金改革法案は、夫婦で生涯の給付額が一千万円も目減りするという天下の悪法であります。これほど国民の不安を著しく増幅するものはありません。
 三つ目が、増税と将来の悪性インフレへの不安であります。財政破綻が目の前にある現在、構造改革を断行することができない小渕政権には、将来の大増税の道しか残されていないのではないでしょうか。
 国民がこのような三つの不安を抱えている限り、個人消費が上向くはずはありません。経済はますます不振をきわめることは明白であります。
 小渕総理は、景気回復という一兎を追うと言われましたが、一体どうやってこの一兎を捕まえるというのでしょうか。オブチノミックスというのは、結局、不安と経済不振のイタチごっこにすぎないではありませんか。小渕総理に反論があれば、お伺いしたいものであります。
 さて、構造改革を断行できない小渕総理という事実を何よりも雄弁に物語るのが、今回政府から提出された預金保険法等の改正案であります。一昨年の金融国会において、民主党は、いわゆるペイオフの凍結が解除される二〇〇一年三月末までに不良債権処理を完了させ、金融不安を一掃すべきであると主張し続けたのであります。何よりも改革のスピードが要求される時代だからこそ、六十兆円という巨額の公的資金の投入もあえて我々は認めたのであります。
 しかしながら、小渕総理は、この間、長銀に四兆円、日債銀にも三兆円などと、破綻した銀行に湯水のごとく税金を投入し、大手銀行に七兆円以上の公的資金を資本注入しておきながら、ペイオフの凍結解除は結局先送り、これでは納税者は到底容認できません。小渕総理は、はっきりとしたプラス成長という公約のみならず、今や国際公約でもあったペイオフの凍結解除をも破棄したのであります。小渕総理の責任は極めて重大と言わざるを得ません。
 国会であるいはそれ以外の場で何度も、ペイオフの凍結解除は予定どおり実施すると公言されてきた小渕総理及び宮澤大蔵大臣にお尋ねしますが、みずから約束されたこの重要な公約を破棄した責任を一体どのようにお感じになっているのか、反省の弁を率直にお伺いしたいと思います。あわせて、なぜ一国のリーダーたるお二人が、やると決めたことをやめざるを得なくなったのか、国民に対してきちんと御説明をいただきたいのであります。
 さて、今回提出された預金保険法改正案は、越智前金融再生委員長の在任中に立案されたものであります。越智前委員長は、金融機関の検査に手心を加えると言わんばかりの発言をし、国民の厳しい批判を浴びました。さらに、日本の金融行政に対する内外の信頼を著しく損ねた責任は極めて重大であります。まさに政官業癒着という自民党守旧派の体質を体現する閣僚だったと言わざるを得ません。そのような閣僚が関与した法案を国会で急いで審議する価値がどこにあるのでしょうか。
 谷垣金融再生委員長にお尋ねをいたしますが、本法案を改めて点検し直すお考えはないでしょうか。越智前委員長の仕事内容を何の疑問も持たれずにそのまま引き継ぐのか、国民が注目しているところであり、きっちりとお答えをいただきたいと思います。
 また、越智前委員長を任命した小渕総理は、任命権者の責任として、少なくとも、谷垣委員長に対し越智前委員長の仕事をすべて再点検させるように指示するべきではないか、お考えをお伺いしたいと思います。(拍手)
 大手銀行に対しては、資本増強のためを大義に七兆円を超える公的資金が投入されました。しかし、その根拠法である早期健全化法は、民主党が指摘してきたように、資産査定や引き当て率などの基準が甘く、金融不安を解消するには極めて不十分なものでありました。案の定、その結果、大手銀行がみずから約束した中小企業向け融資の拡大という約束はほとんど守られておりません。貸し渋りも依然として解消しておりません。ペイオフの凍結解除を先送りせざるを得ないということは、まさに我々の指摘が正しかったことを如実に証明するものであります。民主党の提案する早期健全化法が成立していれば、このような失態を演じることはなかったはずであります。
 小渕総理、宮澤大蔵大臣、谷垣金融再生委員長にそれぞれお尋ねいたしますが、大手銀行の資本増強に七兆円を超える税金を投入しておきながら、なぜこれまで金融不安を解消できなかったのか、その理由をはっきりとお答えいただきたいと思います。あわせて、民主党は、法案審議に際しては大手銀行の頭取を国会に参考人として招致すべきであることを、この際つけ加えておきます。
 さて、ペイオフの凍結解除の理由として、信用金庫や信用協同組合の経営不安も指摘されております。そして、本法案では、信金や信組について早期健全化法に基づく資本増強が容易になるよう適用要件を見直した上で、その適用期限を一年延長することとしています。しかし、そもそも早期健全化法は、金融システムに重大な支障が生ずるおそれがある場合、つまり、システミックリスクに限って、かつ存続可能な金融機関にのみ資本注入を実施する制度であり、資金量の小さな協同組織金融機関に適用するというならば、納税者、国民に納得のいくような十分な説明が必要だと思います。宮澤大蔵大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
 次に、金融再生法は、事後的な損失補てん、いわゆるロスシェアリングの規定がないことが欠点だという批判が一部にありまして、本法案に取り入れられております。しかしながら、このような批判は、我々は的外れだと考えます。すなわち、破綻した金融機関の資産を厳格に査定し、不良債権はすべて整理回収機構に売却すれば、優良資産だけが残り、事後的な損失補てんなどといった措置は必要ないはずであります。
 一説では、長銀の資産査定の際に、本来第三分類や第四分類にすべき多くの貸し出しを第二分類にしたといいます。だからこそ、譲渡先のリップルウッドに足元を見られ、二千五百億円を超える株式含み益をただ同然で取得されたばかりか、将来の損失まで穴埋めしなければならないような契約を強いられたではないですか。このロスシェアリングの規定は、破綻した金融機関の資産を買い取ろうという金融機関のモラルハザードをもたらすものであり、いたずらに国民負担の増大につながるものだと言わざるを得ません。宮澤大蔵大臣、谷垣金融再生委員長の明快な御見解をお伺いいたします。
 さて、金融再生法には、金融機関の財務内容の透明性を確保するため、厳格な資産査定とその公表義務を課しております。しかしながら、金融再生法の金融整理管財人制度や承継銀行、ブリッジバンク制度、特別公的管理銀行制度が預金保険法に今回移行されるに当たり、本法案にはこれら財務内容の透明性確保に関する規定は見当たりません。まさにつまみ食いと言わねばなりません。ペイオフが、本来預金者に自己責任を求めるという意味合いを持つものであることを考えれば、金融機関にディスクロージャーを徹底させることは今後ますます重要性を増すものであります。なぜこの規定が抜け落ちたのか、宮澤大蔵大臣の釈明の弁を求めたいと思います。
 いわゆるシステミックリスクが予想される場合の例外的措置として、早期健全化法に基づく資本増強や、二〇〇二年三月末までの時限措置となっているペイオフコストを超える特別資金援助、そして金融再生法の特別公的管理銀行制度に相当する特別危機管理銀行制度が、今回預金保険法に移行されることになっております。
 しかし、システミックリスクの定義について、金融再生法では他の金融機関の連鎖的な破綻を発生させるおそれがある場合など具体的に規定してあったものが、今回、抽象化、簡素化されており、裁量の余地を大きく残した点は問題であります。そして、システミックリスクのおそれがあるときはペイオフコストを超える特別資金援助も可能となっておりますが、システミックリスクの認定が裁量にゆだねられている以上、事実上、永遠にペイオフを実施しないことも可能ではありませんか。これは極めて問題であります。まさにペイオフそのものが換骨奪胎されたというほかありません。
 しかも、預金保険料だけで危機対応業務に係る費用を賄えない場合、政府は財政措置を講ずることができるとしておりますが、国民負担は際限なく増加をしていくおそれがあります。
 宮澤大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、本法案で想定しているシステミックリスクとは一体どのような事態を指すのか、具体的に御説明を願いたいと思います。また、国民負担の際限ない増加につながるおそれはないのか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
 今回の改正の最も重要な点は、生命保険会社の破綻処理費用として四千億円の公的資金を投入することであります。まず第一に、なぜ公的資金を投入する必要があるか、小渕総理にその理由をお尋ねしたいと思います。
 これだけの公的資金を投入するということは、破綻の危機に瀕している生命保険会社が現実にあるということだろうと考えますが、生命保険会社の経営の実態についても、谷垣金融再生委員長から御説明をお願いしたいと思います。これだけの国民の税金を使う以上、国民に対して、明快な、誠意を持った御答弁を期待します。
 さて、生命保険会社は、業界全体で、この七年間に実に十兆円の逆ざやに苦しんでおります。つまり、政府が銀行救済のためにとった超低金利政策のツケが、生命保険業界を苦しめる一因となっていることは明らかであります。
 そして、この超低金利政策はまた、預金者、とりわけ高齢者の生活を非常に苦しめております。超低金利政策がどれだけ家計から利子所得を奪い取ったか。一九九一年度の家計の利子所得は三十二兆円もあったのに対し、一九九七年度には十九兆円にまで激減しました。その間、銀行の業務純益は、三兆円から六兆円に倍増しているのであります。まさに、超低金利政策という預金者を苦しめる政策を選択した当局の責任は、今、重大であります。
 小渕総理及び宮澤大蔵大臣にお伺いいたしますが、超低金利政策という史上例を見ない金融政策を続けてきたことについて、現時点でどのようにお考えでしょうか。また、いつまで続けることが適当だと考えておられるか、御答弁を求めたいと思います。
 しかしながら、超低金利政策の犠牲になった生命保険業界という図式を、すべての生命保険会社に当てはめることはできないと思います。中には、株式や債券の運用に失敗したり、不動産融資に手を出して不良債権を発生させたりといった単純な経営の失敗というケースも間々あるでしょう。このようにいろいろなケースの経営の失敗があるにもかかわらず、どの会社の保険契約者も同じように公的資金の恩恵を受けるということは、公平性という観点から見て問題ではないかと考えますが、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 最後に、一言申し上げます。
 国民が苦しんできたこの平成大不況は、バブル崩壊による金融不安から始まりました。そして、橋本前総理による九兆円の負担増が引き金となり、財政構造改革の失敗がその不況に輪をかけ、その後継者である小渕総理の無為無策によって、我が国発の世界金融恐慌さえ現実のものとなる寸前まで行ったのであります。そして、我が国は現在でも、小渕総理の経済失政により、苦しみ、もがき続けているのであります。
 この平成大不況から脱却するには、何よりも構造改革が不可欠でありますが、加えて、史上空前の金融不安をもたらしたその原因と真相を解明し、あわせて責任者の責任を厳格に追及すべきであります。
 そこで、我々民主党は、前総理秘書がかかわったとされる富士銀行不正融資事件を初め、金融犯罪について、国会で徹底した真相究明を行うべきだと考えます。このため、民主党は、一九三〇年代の米国の例に倣い、日本版ペコラ委員会を設置することを強く求めるものであります。小渕総理の御見解をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 北橋健治議員にお答え申し上げます。
 種々御主張の上、景気回復を実現するための経済運営についてお尋ねがありました。
 平成十一年十―十二月期の実質GDPは、季節調整済み前期比で一・四%のマイナスとなりましたが、これは一時的要因による面が大きく、本年に入ってから、消費、生産、企業収益等の面で明るい動きも見られております。
 このため、我が国経済は、おおむね政府経済見通しで描いた回復過程をたどっているものと考えており、平成十一年度は、おおむね実績見込み程度の成長の実現を期待いたしております。
 私は、極めて厳しい我が国財政の状況に思いをいたし、財政構造改革という重要な課題は決して念頭より去ることはありません。しかしながら、今重要なことは、せっかく上向きかかってきた景気を本格的回復軌道に乗せ、着実に国力の回復を図ることであり、このことがむしろ内閣の責任を果たすことであると考えております。
 政府としては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、揺るぎない経済の構造改革を推進するため、経済新生対策を初めとする諸施策を引き続き推進してまいります。
 ペイオフの解禁時期の問題につきましては、与党間における真摯な議論の末、昨年末、一年延期することが適当である旨の合意がなされたところであります。
 本件につきましては、政府といたしましても、我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、与党間の合意も踏まえ、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当と判断したところであります。
 政府といたしましては、平成十四年三月末までの間、与えられた枠組みを活用してさらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要と考えております。
 越智前委員長の仕事についてのお尋ねがありました。
 金融再生委員会は、これまでも明確なルールに基づき公正かつ透明性の高い金融行政を行うとの基本理念のもと、破綻金融機関の迅速かつ果断な処理及び公的資本増強などを着実に実施してきたところであります。今後とも、公正、透明性の一層の向上に十分留意しつつ、市場及び国民から信頼される金融行政の確立に努めてまいりたいと考えております。
 早期健全化法による資本増強と金融不安についてお尋ねがありました。
 金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みが整備され、その的確な運営が図られているところであり、また、公的資金による資本増強を契機として、いわゆるジャパン・プレミアムが解消されるなど、内外の信頼が回復されつつあり、我が国金融システムの安定化は進んでいると認識いたしております。
 政府としては、我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の改善を確実なものとすること等によりまして、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、昨年末の与党間の合意を踏まえ、ペイオフの一年延長の措置をとることが適当と判断したところであります。
 政府としては、平成十四年三月末までの間に、与えられた枠組みを活用してさらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要と考えております。
 生命保険会社の破綻処理費用として公的資金を投入する理由についてお尋ねでありました。
 今回の生命保険契約者保護機構の財源対策は、保険契約者の保護及び生命保険に対する信頼の確保を図るとともに、生保危機に端を発する金融市場の不測の混乱を防止する、このことを目的として行うものでありまして、仮に、今後生命保険各社の負担能力を超える破綻が生じた場合には、その破綻処理費用について、時限的に政府による補助を可能としたものであります。
 次に、低金利政策についてお尋ねがありましたが、低金利により金利収入が減るなどの影響を受けておられる方々のいることは十分承知をいたしております。
 他方、我が国経済は民需の動向が依然として弱い状況にあり、金利の低下が設備投資や住宅投資、ひいては雇用等の面で景気の下支えに貢献していることも否定できないと考えております。
 いずれにしても、金融市場調節方針の決定等の金融政策は日本銀行の所管事項であり、日銀政策委員会金融政策決定会合において、現在の景気や金融市場の動向等を総合的に勘案しつつ、適切な対応がなされているものと考えております。
 金融犯罪に関する日本版ペコラ委員会の設置についてのお尋ねでありますが、委員会の設置にかかわる問題は国会において御議論いただくべき事柄であると考えております。
 いずれにいたしましても、御指摘の富士銀行不正融資事件を初めとする金融犯罪については、その関係者に対し、民事、刑事上の厳格な責任追及が行われたものと承知をいたしております。
 以上、お答え申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) たくさんの御質問がございましたので、できるだけ簡潔に一つ一つお答えを申し上げます。
 ペイオフの解禁を一年延期することに決めましたのは昨年の暮れでございますが、おっしゃいますように、従来、政府はずっと十三年の三月ということを申し上げてきたわけでございます。
 それで、起こりました変化はやはり信用組合の問題でございました。御承知のように、信用組合は従来都道府県の監督下にございまして、国は全くその内容を検査しておりませんのでわからないわけでございますけれども、大体年に二十、三十ぐらい倒産し、合併をしたりしておりまして、しかもその中身がわからないということであったわけでございますけれども、昨年の法律の改正によりまして、このたび、この四月から国が監督をすることになりました。
 幸いにして、金融監督庁、財務局の検査体制がかなり整ってまいりましたので、ことしの四月から移管になりますと、内容は、恐らく決算書類ができますのは六月だと思いますが、それに対してそういう国の検査をいたしまして、信用組合のうちあるものは破綻処理をする、また早期是正措置をする、また、必要があれば公的資金の援助もできるということの仕事を六月から始めまして、どうも来年の三月までに終わるということは、これはやはり無理だなと。
 しかし、それだけのことができるようになりますから、それならば、おっしゃいますように地方の金融機関等は中小企業と非常に縁が深いところですから、やはりこれも一つの国の金融のシステムの中へ抱きかかえていくことがいいのだろうということを思いまして、あえてそのための時間をちょうだいをしようといたしたわけでございます。現在かれこれ三百ぐらい残っておりますので、一年半もございましたらそれだけの仕事は多分できて、国のシステムの中へ抱き込むことができると思います。
 なお、これについて、一年ペイオフ解除を延期すると国際的な信用を失うというようなこともございましたけれども、G7等でもそういうことはございませんでしたし、我が国の実態は大体理解されておる。また、大銀行についての資金援助は予定どおり十三年の三月に終わりますので、そういう意味で失うところはないという考えでいたしたものでございます。御了解をいただきたいと存じます。
 なお、次に、早期健全化法により随分大銀行に金をつぎ込んだんだろう、それでもなお、この今の様子ではどうかねというお話でございます。
 それは、銀行、証券会社がつぶれましたころのことを考えますと、いわゆるジャパン・プレミアムというものが発生しまして、日本の銀行は外国で金を借りるのに特別なプレミアムを取られるということがございました。それから随分いろいろ金も入れましたが、今日、幸いにしてそういうことはございませんし、日本の金融機関あるいは金融システムの危機だということを今恐らく考えている人はいないだろう。
 その点はまあまあ安定したと思いますが、ただ、銀行がもう少しちゃんと仕事をしてもらいたいなということは私も思っておりまして、やはりそこは、けがが治って立ち直るのに手間がかかっている、そういう感はございますけれども、金融システムのピンチというものはおかげさまで解消いたしたと思います。
 それから、信用金庫、信用組合でございますが、今でも早期健全化法は適用されるんですけれども、これらには優先出資証券の発行が認められておらないものでございますから、いわゆる資金の増強をすることができない。これらはみんな中小企業向けの融資で地域に密着しておりますから、やはり助けられるものは助けた方がいいと考えまして、このたび、優先出資証券の発行はできることにいたしまして早期健全化法の適用をやろう、こういうことを考えたわけでございます。
 それから、これは総理がお答えになられましたが、おまえも答えろという御注文がございました。
 ロスシェアリングは、確かにある意味でなじまないというふうに多分おっしゃっていらっしゃるんだと思いますけれども、破綻金融機関の資産がどれだけあるかということはお互いになかなかわからないことでございますから、これが決定しませんと受け皿がなかなか名乗りを上げてこない、どうしてもそういう問題がございます。どれだけ精緻に計算しても、その間に劣化をするという危険がございますから、そこで受け皿にも安心してもらうためには、将来お互いに思わなかったような劣化が生まれたときには、それはある程度やはり見ましょうということでないとなかなか手を挙げてこないという問題に対応しようとしたわけですけれども、文字どおりロスシェアリングでございますから、片方だけがロスを受けるのではなくて、お互いにシェアする、一部を補てんするわけでございますから、そういう意味でのモラルリスクは少ないだろうと考えております。
 それから、金融機関の透明性、あるいは預金者の自己責任等々、これらについての規定は平成十年につくりましたいわゆる金融システム改革法に大体みんな入っておりますので、それでカバーされておると考えております。
 それから、システムリスクのことでございますが、これは確かに非常に難しい問題だと私も考えております。こういうことはもう二度とないとは思いますけれども、法律の条文によりますと、措置が講じられなければ、我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときに、金融危機対応会議の議を経て内閣総理大臣が判断する、かなり重い規定になっておりますから、そうしょっちゅう発動することはできませんし、また重過ぎて絶対に発動できないということでも問題でございましょうから、金融危機対応会議の議を経て総理大臣が判断、まあ今考えております限り、こういう事態が再度我が国に訪れるとは思いませんけれども、そういう趣旨の規定でございます。
 それから、超低金利政策、これは御承知のように昨年の二月から日本銀行が始められた政策で、これは日本銀行が決められることですが、私自身は、非常に有用な役目を果たしてきている。確かに、金利で暮らしていらっしゃる方には非常な苦痛をお与えしていることは存じておりますから、その点はそうでございますけれども、しかし、設備投資あるいは住宅投資、雇用の面で、低い金利というものは私は大変にポジティブな役割を果たしておると思いますし、またそれは多少長期金利にも影響を与えておりまして、国債の金利等も今のようなところでとまっておるというふうに考えております。
 民間の資金需要が出てまいりますれば、自然にこういう状況は変わってまいると思いますけれども、それは日銀の政策委員会に決定をしていただけばいいことではないかと思っております。
 それから、もう一つ最後の問題は保険契約の問題でございますけれども、このたびの措置は、保険会社の救済というよりは契約者の保護、生命保険に対する国民の信頼の確保と申しますか、それから生保危機に端を発する金融危機というものを防ぎたいというような趣旨でございます。
 なお、破綻した会社の経営責任は、今回の改正法案において、金融機関の破綻の場合と同じように、保険管理人に対しまして破綻保険会社の経営者に対する民事上、刑事上の責任追及を義務づけることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕
#22
○国務大臣(谷垣禎一君) 北橋議員にお答えいたします。
 まず、預金保険法改正案を見直すべきではないかというお尋ねがございましたが、この法案は、一つは、預金全額保護の特例措置終了後に恒久的な制度を整備する必要がある、そのあり方を示した昨年十二月の金融審議会答申、これを一つ踏まえております。
 それからもう一つは、先ほど、総理、大蔵大臣もお触れになりましたけれども、一部の中小機関につきまして、経営の一層の実態把握を図って、その改善を確実なものとすることなどによって、より強固な金融システムの構築を図る必要がある、この観点からなされた与党三党の合意が昨年ございました。
 この二つを踏まえまして大蔵省とともに作成をいたしまして、御審議をお願いしているところでございます。
 この法案につきましては、私としては、政府として十分な議論、検討を行った上で作成したものと考えておりますので、よろしく御審議を賜りたいと考えております。
 それから次に、大手銀行の資本増強に七兆円を超える税金を投入しておきながら、なぜ金融不安を解消できなかったのかというお問いかけでございました。
 これも、総理、大蔵大臣の御答弁にもございましたように、我が国の金融システムは、二年前の金融国会におきましてつくっていただいた早期健全化法それから金融再生法の枠組みを活用して、官民一体となって不良債権の処理や金融機関の再編などに集中的に取り組んできた結果として、日本の金融システムに対する信認は、現在、回復しつつあって、一時期と比較して確実に安定性を取り戻してきている状況にあると考えております。
 その上で、先ほど大蔵大臣もお触れになりましたけれども、一部の中小機関、これの改善を一層確実なものにする必要があるということから、信用組合等についても資本増強を可能とする優先出資法等の改正を含む法案を今国会に提出して、御審議をお願いしているところでありますが、与えられた猶予期間中に、金融再生法や早期健全化法、あるいはこの改正法による枠組みなど、それに加えまして金融監督庁による厳正な検査監督を通じて、より強固な金融システムの構築に向けて最善の努力を図ってまいりたい、このように考えております。
 それから、ロスシェアリングについてのお尋ねでございますが、宮澤大蔵大臣からも詳しく御答弁がございました。今まで、破綻金融機関の資産の内容に対する不安から承継先がなかなかあらわれない、こういうことがございましたので、今回この仕組みの導入をお願いしているわけでありますが、宮澤大蔵大臣が御答弁で申された、モラルハザードの危険はリスクを負担することであるから余り心配しなくてよいということにつけ加えまして、この仕組みによって営業譲渡の迅速化が図られるならば、時間の経過による資産の劣化の防止などによって、破綻処理に要するコストも軽減されることが期待できるのではないかと考えております。
 なお、議員御指摘の、長銀が保有すべき資産として適当であるか否かの認定が甘かったのではないか、こういうことでございますが、金融再生委員会といたしましては、金融再生法に基づく金融再生委員会告示にのっとって、債務者の債務の履行状況及び債務者の財務内容の健全性などに基づいて、債務者の実情に応じて適切に判定を行ったと考えております。
 それから、生命保険会社の経営状況についてのお尋ねでございましたが、生命保険会社につきましては、有価証券含み損益の改善も見られるものの、引き続き保有契約高の減少や運用利回りの低下などに見られるような厳しい経営環境にあるというふうに認識しております。
 このような中で、各社におきましては、経営効率化の推進、自己資本の充実など経営基盤の強化、あるいは資産構成の組みかえ等に努めているところである、このように聞いておりますし、また、そのように認識をいたしております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#23
○副議長(渡部恒三君) 矢島恒夫君。
    〔矢島恒夫君登壇〕
#24
○矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、預金保険法等の一部を改正する法律案外二法案について、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 まず最初に、預金保険法等の一部改正案についてであります。
 日本共産党は、一貫して金融機関の破綻処理への公的資金投入策に反対し、アメリカの教訓にも学んで、金融業界の自己責任で処理するよう求めてきました。
 ところが、本法案は、これまでのやり方を反省するどころか、従来の金融業界支援のための公的資金投入の規模と期限をますます拡大しているのであります。そして、現行の預金の全額保護措置の期限を当初予定していた二〇〇一年三月末から一年延長することを口実にして、公的資金による破綻銀行処理策を二〇〇二年三月末まで延長することを提案し、あわせて、現在預金保険機構に交付されている七兆円の国債に新たに六兆円を積み増ししようというのであります。
 政府は、九六年に信用組合の破綻処理に公的資金を投入する仕組みをつくって以降、その対象も、金額も、投入の手法も拡大し、今や六十兆円規模の公的資金投入策を実行するに至っています。この公的資金枠は、来年度予算と本法案により七十兆円となるのであります。
 政府は、信用組合への公的資金投入策をつくったときは、信組以外には入れないと言いながら、それを踏みにじって対象を銀行に広げ、交付国債七兆円を含む十七兆円資金枠をつくったときも、これが底をつくことはないと説明してきました。ところが、今回、七兆円では足りなくなったから六兆円積み増そうというのであります。これは、政府みずからの言明を繰り返しほごにし、公的資金枠を拡大してきたそのやり方を今回またもや繰り返そうということではありませんか。総理、この責任は極めて重大であります。総理はこの事態を一体国民にどう説明するつもりですか。
 今回の交付国債の積み増しに当たって、宮澤蔵相は、これが足りないなんていうことはちょっと考えられないと述べています。しかし、今日までに、長銀につぎ込んだものを含め、約四・八兆円の交付国債を償還しています。さらに、今後、日債銀に約三兆円を使い、引き続き、国民銀行など五銀行、八信金、二十三信組の処理が控えています。受け皿金融機関の二次ロス補てんなど、資金援助の対象も拡大し、公的資金の使用期限を一年延長したことで支出増も当然想定されるのではありませんか。もうこれ以上の増額はしないと断言できるのですか。結局、足りなくなったら、また国民に負担を求めていくのではありませんか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 二〇〇〇年度予算は、当初予算で史上最高となる二十三兆円もの巨額の赤字国債の発行を予定していますが、その二割に当たる四・五兆円が交付国債の償還金であります。我が国の危機的財政状況に銀行支援のための財政支出が与えている影響をどのように受けとめておられるのか。銀行支援策は、我が国の財政破綻を一層加速させることは明らかではありませんか。
 この間の経過で、一たん財政資金による銀行支援の蛇口を開けば、果てしない国民負担につながるということは明らかで、破綻処理の資金が足りなくなったら、国民に負担を押しつけるのではなく、預金保険料率の引き上げを含め、銀行業界の負担を検討すべきであります。総理はそう考えなかったのですか。見解を求めます。
 既に国民負担は九兆円を超えることが確実であり、今回、最大十三兆円もの負担を国民に求めています。総理は、銀行には負担能力はないが国民には負担能力があると考えているのですか。明確な答弁を求めます。
 さらに問題なのは、本法案が、金融危機への対応という名目で、新たな恒久的な財政資金投入の道を開いていることであります。
 本法案は、二〇〇一年三月以降も、金融危機への対応として、ペイオフコストを超える特別資金援助や預金保険機構による資本注入、特別公的管理と同様の特別危機管理を恒久措置として新設し、そのために政府が財政措置をとることを可能にしています。
 法案では、金融システムが危機的状況となったときに、これらの措置をとるために、必要資金を政府保証つきの借り入れや債券発行で賄い、事後的に金融機関から負担金を納付させることにしています。その上で、予算の定める範囲内で「当該業務に要する費用の一部を補助する」ため、財政資金の投入をするとしています。しかし、どうして財政資金を投入する必要があるのですか。借り入れで当面賄い、事後的に金融機関から負担金を取る仕組みがあるのならば、財政資金を投入する必要はないのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 また、本法案では、財政資金投入を行う場合は、金融機関の負担金だけで費用を賄えば「金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」に限るとしています。しかし、そもそも特例措置は、重大な信用不安があるときに行われるものであります。しかも、それを判断するのは政府であります。安易な財政資金の投入となることは明らかだと思いますが、総理の見解を求めます。
 財政資金投入の道を開けば、金融業界の中に安易な財政資金への依存心が生まれます。本来なら担えるはずの負担さえ避けようとするのではありませんか。今政府がすべきことは、財政資金投入の仕組みづくりではなく、金融業界の中に自己責任原則を確立することです。今回の措置は、その妨げとなるものではありませんか。総理の認識を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 この間、政府がやってきたことは、超低金利を異例の長期にわたり継続し、預金者にしわ寄せを押しつけるとともに、公的資金投入に道を開き、その額をますます拡大し、国民負担を強めてきたことであります。そして、巨大銀行をますます巨大化する大型合併再編を推進してきました。この間、大銀行は、中小企業などに対する貸し渋りや、貸しはがしと呼ばれる血も涙もない回収をほしいままにしてきました。また、悪徳商工ローンなどに対して、一ないし二%という低金利で資金供給者の役割を果たしていることが明らかとなっています。
 政府は、これらの大銀行にどういう指導監督をしたのですか。大銀行を甘やかすだけ甘やかし、当然やるべき監督と指導の強化を怠ってきたのではありませんか。越智前金融再生委員長の言動も、単に一大臣の失言という性格のものではなく、この間の政府の金融監督の姿勢を図らずもあらわしたこと以外の何物でもありません。国民の金融機関と金融行政に対する信頼を回復させられなかった政府の責任は大きいと言わざるを得ません。
 総理はその責任をどう考えているのですか。大銀行を甘やかす行政から厳しくしつける行政へ転換することこそが国民の期待にこたえる方向ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 本法案は、巨大銀行には甘い一方、信用金庫、信用組合など地域中小企業を対象とした金融機関に対しては厳しい姿勢で臨んでいます。そして、整理淘汰を一気に進めようとしています。すなわち、本法案は、信用組合等に対する優先出資を認め、公的資金による資本注入の対象にしようとしています。
 言うまでもなく、信用金庫、信用組合など協同組織金融機関は、本来、会員、組合員の相互扶助のための金融機関であり、基本的には構成員である中小企業の出資によって支えられているものであります。
 したがって、たとえ出資が不足する場合でも、会員や関係者の出資をふやすことによって対応すべきであり、いたずらに外部からの資本注入に頼るべきではありません。優先出資とはいえ、外部からの資本注入が行われると、配当原資の確保のために収益拡大が優先課題となり、中小企業や地域経済への貢献という信用組合等の本来の機能が損なわれることになりませんか。
 地域金融機関は、地域性、共同性を一層発揮する方向でこそ生き残りの道を開くことができるのだと思います。アメリカの地域再投資法のように、地域経済の金融ニーズへの貢献を金融機関の評価の基準とするなど、そのための環境をつくることが政府に求められているのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 また、優先出資による資本注入はどのような基準で行われるのですか。資本注入を受けた信用組合も健全化計画の提出を求められるため、合理化を迫られ、また優先株の償還財源の確保のために一層収益拡大に走らされることになり、従来からの取引先である中小企業を切り捨てたり、地域経済を顧みない経営に追いやるおそれはありませんか。総理の見解を求めます。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正法案について質問いたします。
 景気低迷と低金利のもとで、生命保険会社は今深刻な危機にあると言われています。しかし、今日の事態を招いた第一の責任は、投機的分野での乱脈な資金運用を行ってきた保険会社の経営陣にあります。さらに、これに対して適切な指導監督を怠ったばかりか、生命保険会社の実態を隠ぺいしてきた政府にも重大な責任があります。その点を政府はどのように認識しているのか、総理の明確な答弁を求めます。
 既に日産生命及び東邦生命が破綻しましたが、両生命保険会社とも保険契約者に一方的に犠牲を押しつけて処理しました。このこと自体重大問題であります。ところが、今回提出されている改正法案は、早期是正措置の名によって、破綻前に契約条件の変更ができるようにしようとしているのであります。これは、破綻しそうだという名目で契約者に犠牲を一方的に押しつけ、保険会社を救済し、保険業界の再編を推し進めようとするものではありませんか。
 これは、社会保障制度が極めて不十分な我が国で、老後の生活を守るために、あるいは健康を損ねた場合の保障のためにと長年積み上げてきた国民のささやかな願いを断ち切ることにもなるのであります。これは、憲法に定められた国民の財産権に対する重大な侵害ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 経営者がみずから招いた失敗を保険契約者、国民の犠牲によって切り抜けようとすることは断じて許されません。保険業界内部で解決するのが当然であります。税金投入をやめ、保険契約者保護機構を業界の負担で強化すべきであります。総理の明快な見解を求めます。
 最後に、重ねて銀行や生命保険会社への公的資金投入をやめるよう訴えるとともに、預金保険法等三法案は国民生活に深くかかわる重要法案であり、慎重な審議を行うよう強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 矢島恒夫議員にお答え申し上げます。
 まず、交付国債の増額についてのお尋ねでありました。今回の預金保険機構に交付する国債の六兆円増額は、平成十年二月に現在の枠組みを設定したときには想定していなかった長銀、日債銀の処理に要する金額の見込みが六兆円台であること等を勘案して決定したものであります。したがいまして、長銀、日債銀の処理を除けば、現行の七兆円の枠で十分であり、預金保険機構に交付する国債をさらに追加することは考えておりません。
 交付国債の償還が与える影響についてお尋ねでありましたが、金融システム安定化、預金者保護を図るため、今回の預金保険法改正案によって預金保険機構への交付国債を六兆円増額し、あわせて、平成十二年度予算においては、その償還財源として四・五兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れる措置を講じております。
 今回の措置によりまして、金融システムの安定化の最終局面を乗り切るための準備が整ったものと考えており、今回の予算をもって、金融システム安定化に向けて必要な措置は確保されたものと確信いたしております。
 預金保険料率の引き上げを検討すべきとのお尋ねですが、金融機関の預金保険料率の引き上げにつきましては、現在の金融機関の保険料負担が平成七年度以前の七倍と極めて高い水準になっていることなどから困難であると考えられ、預金等の全額保護に万全を期し、国民の不安を生じさせることのないよう、交付国債の増額によりまして財源の手当てを行うことといたしたものであります。
 金融危機への対応に係る政府の財政措置に関するお尋ねでありますが、例外的措置の発動に係る費用は金融機関の負担金で賄うことが原則であり、財政措置を講ずるのは、あくまでも「負担金のみで危機対応業務に係る費用を賄うとしたならば、金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」に限っているところであります。
 危機的な事態における例外的措置に関して、財政資金が安易に投入される可能性が極めて高いのではないかとのお尋ねでありますが、例外的措置は、個々のケースごとに金融危機対応会議の議を経た上で内閣総理大臣が判断をするという厳格な手続を踏むこととしておりまして、御指摘のように安易に財政資金の投入につながるということにはならず、したがって、金融機関のモラルハザードを助長するものではないと考えております。
 貸し渋りや貸しはがしの問題についてお尋ねですが、政府におきまして、これまで信用保証協会等の信用補完制度の拡充等のさまざまな措置を講じる一方、各金融機関に対して、さまざまな機会を通じて貸し渋りの防止等の要請を行ってきております。
 また、金融行政の転換についてお尋ねでありましたが、現在、金融機関の経営に市場規律と自己責任原則を徹底させることを基本に対応しているところでありますが、引き続きこのような努力を続け、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政を確立し、我が国金融システム及び金融行政に対する国民の信頼の確保に努めてまいる所存であります。
 米国の地域再投資法のように、地域経済の金融ニーズへの貢献を金融機関の評価基準としてはどうかとのお尋ねでありますが、金融機関の個々の取引は民間当事者間の私的契約上のものでありまして、基本的には、法律で義務づけるような性格のものではないと考えております。
 しかしながら、各金融機関がそれぞれの地域において、中小企業への融資を初め、地域経済の発展のためさまざまな貢献をすることは望ましいことと考えており、これまで、早期健全化法に基づく地銀、第二地銀への資本増強に当たりましても、地域経済への貢献について金融再生委員会において評価を行い、配当率等の条件に反映させているほか、経営健全化計画において中小企業向けの貸出残高を原則として増加させることにしているなど、地域のニーズに応じた運用がなされていると承知をいたしております。
 また、優先出資による資本注入についてのお尋ねでありましたが、優先出資を活用した協同組織金融機関に対する具体的な公的資金増強のあり方につきましては、今後金融再生委員会において検討がなされるものと考えておりますが、その際、償還財源確保のための収益計画のみならず、従来同様、地域経済への貢献や中小企業向け貸し出し状況等を視野に入れつつ、地域の実情に応じた適切な運用がなされることを期待いたしております。
 生命保険会社の経営実態と監督責任についてのお尋ねでありますが、生命保険会社各社は、運用利回りの低下などに見られる厳しい経営環境の中で経営効率化の推進等に努めているところと承知をいたしております。
 政府といたしましては、これまでも、検査やモニタリング等を通じて生命保険会社の業務の健全かつ適切な運営の確保等に努めてまいりましたが、今後とも、検査結果等を踏まえつつ、必要に応じ早期是正措置を発動することも含め、適切に監督を行っていく所存でございます。
 保険業法改正案の早期是正措置は、保険契約者に犠牲を一方的に押しつけるもので、憲法に定められた国民の財産権の侵害ではないかとのお尋ねであります。
 今回の保険業法改正案におきましては、行政命令である早期是正措置により契約条件の変更等を可能にする規定は設けておりません。
 他方、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律改正案におきましては、保険相互会社への更生手続の適用によりまして、債務超過に陥る前の早期の手続開始や契約条件の変更等の権利調整を可能といたしておりますが、これは、会社更生法と同様の規定にのっとり、司法手続のもとで行われるものであり、憲法に定められた国民の財産権に対する侵害であるとの御指摘は当たらないものと考えております。
 保険契約者保護機構の財源対策は、公的資金の投入ではなく業界の負担で行うべきではないかとのお尋ねでありますが、現行の生命保険契約者保護機構の財源は、生命保険各社の負担により総額四千六百億円が拠出されることとなっており、今回の財源対策におきましてはさらに総額一千億円の追加拠出を行うこととなっております。
 このほかに、既に生命保険会社は日産生命の破綻処理費用として総額二千億円を負担していることや、生命保険業界を取り巻く厳しい経営環境を踏まえますれば、業界負担を強化することにはおのずから限界があると考えております。
 こうしたことから、今回の改正によりまして、今後の生命保険各社の負担能力を超える破綻が生じた場合には、その破綻処理費用について時限的に政府による補助を可能といたしたものであります。
 以上、お答え申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#26
○国務大臣(宮澤喜一君) 預金保険機構に交付した国債でございますが、このたびの六兆円で十三兆円になるわけでございます。それで、これから処理すべきもの。御存じの長銀、それから日債銀、あとは余り大きくございません金融機関、信用組合等が十近くでございます。その程度でございます。そして、今これから大きな破綻が出るというふうには考えませんので、これで十分であると思っております。
 なお、財源としては、国債整理基金に四兆五千億円、それからNTTの売上代金が一兆四千億円ぐらい、ほぼ六兆円相当額を用意いたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○副議長(渡部恒三君) 横光克彦君。
    〔横光克彦君登壇〕
#28
○横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、小渕総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 まず最初に、小渕総理にどうしてもただしておかなければならないことがあります。それは、ペイオフ解禁を延期する妥当性のみならず、何らの理由も見出せないからであります。
 例えば、延期へとかじ取りをするきっかけになりました昨年末の与党三党の合意文書を幾ら子細に読み取ろうといたしましても、預金者保護に触れた箇所が一言一句見当たりません。このことは極めて不可解と言わざるを得ないのであります。それゆえにこそ、経営基盤が概して弱いと言われております信用組合等を保護するためにとられた措置という見方が一般的になってしまったのではないでしょうか。
 私自身は、信組の体力に関して、この見方を必ずしも支持するものではありませんが、今回の措置が、信組は押しなべて経営基盤が脆弱であるとの烙印を押しかねない副作用を生じさせてしまった、その罪は決して軽いものではありません。
 何より、地域に根づく中小企業の皆さんを支えるために地道に精進し、真剣にペイオフの解禁に備えてきた多くの信用組合の皆さんにとってはありがた迷惑以外の何物でもないと、同情を禁じ得ないのであります。
 今回の解禁延長が、いかなる経緯で、かつ、どのようなねらいのもとに提案されたのか、国民が納得できる説明を求めるものであります。
 百歩譲って、中小企業の保護に万全を期す観点から、つまりは善意かつ善良な借り手対策として検討される価値、意味があったとしても、体力が尽きかけた金融機関を延命させればさせるほど、自己資本比率の維持のみが至上命題となり、結果的には正常な貸出先企業への融資は細るばかりという、当然の論理的帰結にたどり着かざるを得ないのであります。
 地元に密着する地域金融機関としての重要性を深く認識するのならば、総ぐるみの保護策ではなく、不健全な機関には早急に退場を促して、健全な金融機関に営業を引き継がせることこそが、善良な借り手対策の本旨にかなうと断言し得るのであります。明確な答弁を求めたいと思います。
 政府案では、地銀、生保など機関投資家が買った金融債や銀行間取引も全額保護になります。このように、本来自己責任が問われるべき金融のプロ筋までもが国民負担で守られる、そんな大甘な状態が一年余計に続くことになります。
 この預金の全額保護のために、今用意されております六十兆円が来年度からは七十兆円になります。預金カットの不安はなくなるものの、全額保護の原資は公的資金であり、将来増税として国民にはね返る事態は容易に想定できるものであります。また、個人預金者の大半は一千万円以下とも言われております。予定どおり凍結解除が行われたとしましても全額保護されるという現実も見過ごされてはなりません。つまりは、富裕層やプロを保護するために国民大衆は税金を搾り取られるという、容認しがたい結末が用意されていると厳しく批判せざるを得ないのであります。
 延長される一年の間に生ずる支出に関しては一切国民に負担を求めることはしないと明言できますか。明確な答弁を求めたいと思います。(拍手)
 この混乱を招いた張本人は、小渕総理、あなたにあると言わざるを得ません。ペイオフ延期論者でありました越智通雄氏を、事もあろうに金融再生委員長に任命しただけでなく、金融機関の検査について配慮を加える旨という言語道断の発言を行い辞職に追い込まれるような人材を登用するだけの見識しか持ち合わせていなかったことをはしなくも露呈したからであります。
 この失態にかんがみ、かつ謙虚に反省するのならば、本案にあるペイオフ解禁に係る凍結部分の撤回こそが総理としての責任ある対応となるのではありませんか。明確な答弁をお願いいたします。
 次に、谷垣金融再生委員長にお尋ねをいたします。
 この四月から、信用組合等に対する検査監督権限が都道府県から金融監督庁に移ることをとらえて、信用組合の検査や処理が来年三月末までには間に合わないなどの理屈が延期論者のよりどころになっていたとも聞いております。
 しかし、使命感に燃える監督庁の皆さんがそんな弱音を吐くとは信じられません。現に、監督庁の職員には、当初の期日までに十分に検査、処理は可能であったという声も聞いております。この点に関し、再生委員長の率直な見解をお述べください。
 自社さ政権が九五年にペイオフ延期を決めたのは、一に、金融機関の破綻処理に当たり、善意の預金者に損失を求めることについては明確な国民的コンセンサスが形成されていないこと、二に、金融機関が不良債権問題を抱えており、信用不安が醸成しやすい状況にあったこと、三に、ディスクロージャーが実施途上にあり、預金者に自己責任を求めるに足る情報が提供されていないことなどから、預金者に対して直ちにペイオフという形で経営破綻による損失の分担を求めることは困難であるという認識から、やむを得ざる選択でありました。
 ただし、できるだけ早期に、遅くとも五年以内に、預金者についても自己責任を問い得る環境整備を完了することを命題とした上で、五年間に限って臨時異例の措置がとられたのであります。
 したがって、政府の課題は、五年間というみずからが設定した期間内において、金融自由化以降にふさわしい、透明で安定的な金融システムをいかに構築していくかにあったはずです。
 この方針が確固不抜のものであることは、九八年十二月に設置されました金融再生委員会が、破綻処理において預金者が完全に保護される二〇〇一年三月末までに、揺らぐことのない強い競争力を持った金融システムを再構築するという大方針を鮮明にしたことからも明らかであります。
 金融監督庁としては、来年三月末までに万端の準備を整えるよう各金融機関に強く求めてきたでありましょうし、先ほども申し上げましたように、その目算も立っていたはずであります。にもかかわらず、今回の与党三党の合意は、確たる論拠も示さず、一片の紙切れで、九五年以降の、国民の意向、批判等を真摯に受けとめつつ、不退転の決意で積み重ねられてきた公約をいとも簡単に葬り去ったのであります。まさに没義道もこれにきわまったと断ぜざるを得ないのであります。
 金融監督庁がこれまで行ってきた取り組み、努力からも、到底認めがたい内容に違いないはずです。何より、かなえの軽重を問われてしかるべき事態に至ったと認識すべきではありませんか。
 再生委員長におかれましては、政府内においてどのような主張をされてきたのか、明確にお答えください。
 最後に、宮澤大蔵大臣にお聞きいたします。
 延長の論拠は、経済の混乱を招かないためというもっともらしい体裁を整えているかに見えます。しかし、冷静に検証すれば、実際は金融安定化に逆行する愚策であることは明白であります。
 例えば、一年間といえども、問題のある金融機関の処理をおくらせると、その資産をさらに劣化させて、最終的な処理に要する費用が膨張せざるを得ないのは、どのように理屈づけしようと糊塗し得るものではありません。この一つをとってみても、延長の非を強く与党に訴え、見直しを求めていく責務が、財政を預かる大蔵大臣にはあったはずです。見解を求めます。
 金融庁発足までの間、企画を担わざるを得ない大蔵省としては、準備おくれの信組等のツケを全金融機関に負わせるような延期論にくみするのではなく、当該信組等の再編や構造改革を促す果断な政策の構築こそが求められていたはずです。
 政府原案のままでは、システムの弱い輪に合わせるという護送船団方式が忌まわしくも生まれ変わったものと断ぜざるを得ません。全面延長の愚を避け、システムの脆弱な部分を政策措置等で強化する手だてこそを追求すべきだったと確信いたします。明確なる答弁を求めるものであります。
 また、ペイオフ解禁後であっても、システミックリスクが起こりかねない緊急時には、預金の全額保護などの特例を復活できる例外的措置も用意されております。しかし、安易な救済策に利用されるおそれがあるだけでなく、最悪の場合は財政資金をつぎ込まざるを得ないにもかかわらず、その発動基準は極めてあいまいです。
 動かしてしまえば理屈は後からついてくる、そういった発想は無責任のそしりを免れません。発動基準に関しては、政省令の範囲におさまる課題と言えるかもしれませんが、最大限、審議過程の中で明らかにして、国民的な評価を仰ぐ必要があると考えます。見解をお示しいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 横光克彦議員にお答え申し上げます。
 ペイオフの解禁時期の問題につきましては、与党間における真摯な議論の末、昨年末、一年延長することが適当である旨合意がなされたところであります。
 本件につきましては、政府といたしましても、我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について、経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、与党間の合意も踏まえ、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当と判断したところであります。
 ペイオフの凍結はもとより預金者保護のための措置でありますが、政府といたしましては、平成十四年三月末までの間に、与えられた枠組みを活用して、さらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要と考えております。
 不健全な金融機関の退場と健全な金融機関への引き継ぎが善良なる借り手対策に資するとの御指摘でありますが、信用組合等を含めた金融機関は、ペイオフ解禁までの間に、不良債権の抜本的処理、資本基盤の充実、経営のスリム化、再編、提携による収益力の強化などを通じて、効率的かつ安定した金融機関として預金者や市場から十分な信認を得られるよう最大限の努力をすることが求められており、今後も、これを緩めることなく、厳しい努力を続ける必要があると考えます。こうした金融機関の努力が実を結ぶことが、ひいては資金の円滑な供給に資するものと考えており、政府としても、より強固な金融システムの構築が図られるよう最善の努力を払ってまいります。
 ペイオフ解禁の一年延長に伴う国民負担に関するお尋ねでありましたが、現在、預金保険法、金融再生法及び金融機能早期健全化法の法的枠組みを活用すること等により、官民一体となって金融システムの安定化のために懸命の努力が行われているところであり、今回の決定によりその努力がおろそかになることはないと考えております。
 また、金融機関の破綻処理について申し上げれば、金融監督庁設立後現在までに検査の一巡していない信用金庫及び信用組合についても平成十二年度末までには検査が一巡する見込みであり、仮に経営状況の回復の見込みがないと判断されるものがあれば、金融再生委員会及び金融監督庁において、できるだけ早期に破綻処理を行うこととなります。したがいまして、ペイオフ解禁の一年延長に伴って国民負担が大きくふえることはないと考えております。
 ペイオフ解禁の凍結を撤回すべきではないかとのお尋ねでありましたが、金融再生委員長がその職を辞任するに至ったことは、任命権者である私として、まことに残念かつ遺憾であると考えておりますが、ペイオフの問題につきましては先ほど申し上げましたとおりであり、ペイオフ解禁の一年延期を本法案の中から撤回する考えはございません。
 いずれにいたしましても、現下の我が国の重要課題である金融システムの再構築につきまして、内閣として万全を尽くすことにより、その責務を果たしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#30
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、信用組合というのは、従来、大体年に二十か三十ぐらいずつつぶれておりまして、それは、政府としてはしかし監督権限がないものでございますから、どうもやむを得ないことであったわけでございます。
 それが、この四月から政府が監督をすることになりますので、やはりそれはきちんとして、全部残そうなんと思っていませんで、それは当然破綻処理をするものもありましょうし、早期是正措置もありましょうし、公的資金もあるかもしれません。それは、四月に権限が監督庁に移りましても、恐らく決算が六月でしょうから、そこから来年の三月までにそれだけのことをしろというのは、非常に監督庁は増強されましたし、財務局も一生懸命やっても、ちょっとやはり無理であろう、こう考えました。
 しかし、ほっとけばいいじゃないかということも、やはり地方の一つの大事な存在ですし、中小企業に関係はありますし、こうなりましたら、やはり国の検査のもとに、いいものだけが残っていくというふうにした方がいいんじゃないかという判断をいたしたわけです。
 もちろん、一年延ばしましても、銀行についての公的資金導入なんというものは延ばすわけではございませんから、それに、今の状況でどこかに大きな破綻があるというような感じもございませんから、私は、失うものはないのではないか。対外的な評判というようなこともございましたけれども、結局そういう問題にもなりませんでしたので、かえって、信用組合というものが最終的にやはり政府の検査を受けてきちんとしたものに、残るものは残っていくというのは、私は地方のためにもいいことではないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、いわゆる、法律の中で、システミックリスクがあるとき、文章を申しますと、例外的措置が講じられなければ、我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用の秩序に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められたとき、まあこういうことは再度我が国にはないであろうと思いますが、しかし、その場合でも、総理大臣が金融危機対応会議を開かれて判断されるという規定でございますから、こういう規定はあるがいいか、ないがいいかということになると思いますが、やはり万一のことを考えて、発動を重い条件にするということでいいのではないかというふうに政府としては考えたわけでございます。(拍手)
    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕
#31
○国務大臣(谷垣禎一君) 横光議員にお答えいたします。
 信用組合の検査、処理とペイオフ延期との関係についてのお尋ねがございました。
 我が国の金融システムにつきましては、先ほど北橋議員にもお答えしたところでございますが、二年前の金融国会で御議論いただきおつくりいただいた法の枠組みを用い、官民一体となって取り組んでまいりまして、その結果、安定化してきている状況にある、こう考えております。
 しかし、先ほど宮澤大蔵大臣からも御答弁がありましたように、現在、都道府県の監督下にありまして、この四月から検査監督権限が国に移管される信用組合などの一部の中小金融機関につきましては、経営の一層の実態把握を図って、その改善を確実なものとすることなどによって、より強固な金融システムの構築を図る必要があると考えております。
 信用組合等の協同組織金融機関につきましては、今まで優先出資証券の発行が認められていないという優先出資法上の問題に加えまして、早期健全化法の要件が必ずしもこうした信用組合などに適用しやすいものとなってはいないといったことから、早期健全化法の資本増強の仕組みを活用することが難しいまま今日に至っておりますが、今回御審議をお願いしている法案には、優先出資法などを改正して協同組織金融機関につきましても資本増強を可能とする内容を盛り込んでいるところでございます。
 いずれにせよ、与えられた猶予期間中に、現行法の枠組みに加えまして、今お願いしている法の改正の枠組みも活用して、国による厳正な検査監督を通じてこういった中小金融機関の健全性の維持向上に努めて、より強固な金融システムの構築に向けて最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
 それから、ペイオフ延期の経過についてのお尋ねでございますが、これも、きょうも御答弁いたしたところでございますけれども、去年末の与党三党間における真摯な議論を踏まえまして、一部の中小金融機関について、経営の一層の実態把握を図って改善を確実なものにしていこう、こういう観点から与党間の合意がなされたわけでございまして、政府としても、この与党間の合意を踏まえまして、十分に検討、審議をして、関係法案を作成し、そして、ただいま御審議をお願いしているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
#32
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#33
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小渕 恵三君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        通商産業大臣  深谷 隆司君
        運輸大臣    二階 俊博君
        建設大臣    中山 正暉君
        国務大臣    谷垣 禎一君
 出席政務次官
        大蔵政務次官  大野 功統君
ソース: 国立国会図書館
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