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2000/04/11 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第23号
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2000/04/11 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 本会議 第23号

#1
第147回国会 本会議 第23号
平成十二年四月十一日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号
  平成十二年四月十一日
    午後二時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
 第一 商業登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
 日程第一 商業登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    午後二時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
#4
○不破哲三君 前首相の突然の病気で政権交代となりました。私はまず、厳しい病床にあって病と苦闘されている小渕前首相にお見舞いを申し上げます。
 私は、日本共産党を代表して、内外国政の諸問題について新首相に質問いたしますが、政策の問題に先立って、今回の新内閣成立について一言しておきたいことがあります。
 前首相が入院して国政を離れてから、臨時首相代理が決まるまでの三十二時間に起こったことについて、政府としては許されない空白が生じたこと、国民に真実が報告されなかったことなど、批判とともに多くの疑問が出されています。昨日、官房長官の釈明がありましたが、それで疑問が解消されたとは言えず、臨時代理の指名のいきさつなど、さらに疑問が深まった面さえあります。これは、日本の政治に対する内外の信頼にもかかわることであり、秘密主義でほおかむりすることなく、問題の全経過にわたって真実を明らかにする態度で臨むことを首相に強く求めたいのであります。(拍手)
 そして、有珠山噴火の問題であります。現地の住民の皆さんの御苦労にお見舞いを述べるとともに、関係者の奮闘に敬意を表するものであります。
 この噴火災害では、長期の大型災害になる危険が大きいと聞いています。予知の成果を生かし、先を見通した対策を先取り的に実施して、住民の不安にこたえる必要があります。当面の問題と同時に、いつの災害の場合でも個人補償の対策が重要になりますから、この面でも政府の積極策を求めたいのであります。
 また、火山国日本として、系統的な火山対策が必要であります。特に火山の監視の問題では、今回は北海道大学の研究、観測体制に助けられましたが、有珠山でも、長期化する火山活動にふさわしい監視体制の強化が求められています。全国的には、気象庁が要注意と定めた活火山の大部分が、極めて貧弱な監視体制か、あるいは体制なしの状態に置かれているのが現状であって、監視、予知の体制の抜本的な充実、増強が必要ではないか。首相の見解を求めるものであります。(拍手)
 日本経済の問題に移りますが、まず、雇用問題です。
 私は、昨年十一月とことしの二月、この本会議で雇用問題を取り上げ、ヨーロッパ諸国ではほぼ共通のものとなっている解雇規制のルールづくりに取り組むこと、労働時間の短縮、とりわけサービス残業の一掃を軸にした雇用拡大、この二つを雇用対策の柱にすることを提言しました。その際、この問題で社会経済生産性本部が行った試算、サービス残業をなくせば九十万人の雇用がふえ、残業全体をなくせば二百六十万人の雇用がふえるという試算も紹介しました。しかし、率直に言って、政府の側は無反応で、従来型の雇用対策なるものを繰り返すだけでした。
 その結果はどうだったか。事態はこの数カ月にもいよいよ深刻化し、二月の完全失業者数は三百二十七万人、失業率は四・九%と、過去最悪の規模を記録しました。政府自身、状況が今後さらに悪化するだろうことを認めています。雇用危機をそのままにして景気の好転を唱えても、国民の目にはそれは空論としか映らないのであります。
 このことは、問題の核心からそれた雇用対策が無力だということを実証したものであります。雇用を大規模に直撃するリストラやサービス残業など長時間労働を大企業の勝手任せにするのでなく、解雇に対する世間並みの社会的な規制を行うためのルールづくり、違法のサービス残業を現実に一掃するための体制づくりに今こそ取り組むべきではないでしょうか。特に、最高裁が、ことし三月二十四日、いわゆる電通過労自殺訴訟で、サービス残業を容認する企業の姿勢に厳しい判決を下したことを国政に生かすことは、とりわけ重大であります。
 日本は、資本主義諸国の中でも、国民の生活や権利を守るルールが弱いことで国際的にも有名になっていますが、雇用問題への取り組みを通じて、世間並みのルールを持った経済社会づくりに一歩を踏み出そうではありませんか。
 次に、財政危機の問題であります。
 今年度予算の成立で、日本の借金の総額が六百四十五兆円、国民一人当たり五百十万円以上にも上ることが確実になりました。この借金財政からどうして抜け出すつもりなのか。国民が新内閣に聞きたい第一の問題もここにあります。
 今の財政危機は、歴代自民党政権が進めてきた、世界に例を見ない異常な浪費型の財政が生み出したものであります。実際に使えるお金が国、地方合わせて五十九兆円程度しかないという状況のもとで、年間五十兆円もの規模で公共事業を進めてきたというゼネコン優先の財政運営は、その中心をなしています。ここを根本から改めない限り、財政を再建の軌道に乗せることはできません。
 そこで伺いたい。
 首相は、まずは我が国経済を本格的な回復軌道に乗せた上で財政の構造改革に取り組むと言明しましたが、財政再建の課題を先送りするという前内閣の姿勢を、ここまで来てもなお継承するつもりなのか、これが第一点であります。
 また、構造改革という際、公共事業五十兆円に象徴される税金のこの異常な使い方について、財政再建の立場から根本的な再検討を行う意思があるかどうか、これが第二点であります。
 政府は、公共事業五十兆円は景気対策のために必要だと弁明してきました。しかし、景気面でも、最大の問題が個人消費の低迷にあることは今では明白になっているではありませんか。国民の生活面での消費は、一人一人をとれば大きくはないが、一億二千万人の全体をとれば日本経済を動かす最大の力で、実際に個人消費は国内総生産の六割を占めています。これは民間設備投資の四倍に当たる規模で、ここが冷え込んだままで活気ある経済が生まれるはずがありません。
 ところが、政府の財政は個人消費の拡大に力を注ぐものになっていない、これが問題であります。
 宮澤内閣以来数えて十回にも及ぶ景気対策は、すべて公共事業が中心で、総額百二十五兆円の対策費のうち七十一兆円が公共事業につぎ込まれました。その重荷が消費税増税や社会保障の負担増にしわ寄せされ、国民の消費購買力は圧迫されるままでした。
 ヨーロッパ諸国やアメリカでは、社会保障の公的負担は、国でも地方でも財政の主役で、公共事業への支出に対して三倍から六倍にもなるのが当然のことになっています。日本では全く反対で、社会保障への国と地方の支出は年間約二十兆円、公共事業への支出総額のわずか五分の二という低水準であります。この現状を改め、財政面でも、国民生活を支える社会保障が予算の主役を占めるように大きな切りかえを行うべきであります。
 首相は演説の中で、老後の安心を確保すべく社会保障構造改革を推進すると述べられましたが、さきの年金改悪に見られるように、現実に進んでいるのは、国民から将来の希望を奪う改悪の連続であります。老後の安心の確保という言葉を一時の空文句に終わらせないためには、財政の裏づけの保障こそが肝心であります。
 財政政策を社会保障中心に切りかえてこそ、個人消費を冷え込みから抜け出させ、市場を国民生活の大もとから活気づけることができるのであります。
 財政問題について、もう一点聞きたいと思います。
 政府は現在なお財政再建のプログラムを示していませんが、関係筋から聞こえてくるのは専ら増税による財政再建で、特に消費税の税率アップが問題になっています。
 長い不況下で国民生活が困難なときに、国民生活を直撃するような増税は問題外であります。経済政策としても、消費税増税は個人消費支出に最悪の影響を与えるものであって、橋本内閣の五%増税が不況の引き金になった経験から教訓を酌み取る必要があります。
 首相は財政再建にかかわる項目として税制のあり方の見直しを挙げましたが、首相もまた、国民全体、特に低所得者に大きな被害を与える消費税増税を視野に入れているのかどうか、明確な見解を伺いたいのであります。
 社会保障の問題の中で、今差し迫った問題として取り上げたいのは、四月から実施が始まった介護保険の問題であります。
 厚生省が発表した全国からの苦情の集計を見ても、利用者の負担の重さと提供されるサービスの不足とが目立っています。私たちも、党として、介護保険ファクスを設置しましたが、全国からそれを裏づける多くの声が寄せられています。
 中でも、地方で訪問看護の仕事をしている看護婦さんの訴えは痛切なものでした。訪問看護の一時間八百三十円、一時間半で千二百円という負担が払えず、訪問を中止したり、回数を減らす人が多い。デイサービスやショートステイも、一割の利用料に食事材料費負担を加えると負担は重い。看護婦さんに来てほしいけれども、少ない年金の中ではとても何千円のお金は出せないからあきらめるというひとり暮らしの人。長生きして悪いねえと一緒に説明を聞いた家族に謝るおばあさん。どれだけ貧乏人から金を取るのかと怒り出す人。仕方がない、もう食べるお金を減らすしかないね等、悲しい言葉をあちこちで聞く。ケアプランは、必要とされているサービスとは関係なく、利用者の負担能力との相談で決めるケースが過半数です。
 同じような声は、全国至るところで聞くことであります。
 私たちは、これまでも、制度の現状の抜本的な改善を求めていろいろな提案をしてきました。多くの期待と希望を担ってせっかく実施に至った介護保険の制度ですから、国政に携わる者には、これが高齢者の新たな苦しみと負担の原因とならず、老後を支えるしっかりした制度の一つとなるように、実施の現場での切実な声を受けとめて、改善の真剣な努力を尽くす義務があると思います。
 その点では、まず実態の調査を早急に進めるとともに、一つ、政府の責任で利用料負担を軽減する対策をとること、二つ、サービス不足の解消のために具体的な目標を定めて全力を挙げること、三つ、介護を希望する者の生活実態が反映できるように介護認定の制度の改善を図ることなどを少なくとも当面緊急の問題として求めたいのであります。
 さらに、問題点がこれだけある状況のもとで、予定どおり半年後に高齢者からの保険料の徴収を開始してよいかどうかも、実態に即して検討をすべき大問題であります。このことを含め、介護保険制度の矛盾を大きくしている根本には、財政的な基盤の貧しさがあることを改めて指摘したいと思います。
 こういう国民的な事業を発足させるためには、国がそれにふさわしい財源を確保して事を始めるのが当然でした。ところが、現実には、国の費用負担を二千三百億円も削減するという、全く反対のやり方でこの制度が始まりました。この問題点は以前から繰り返し指摘したことでありますが、森首相に、その点の思い切った是正を図ること、その財政的な裏づけを大きくしながら、高齢者とその家族の切実な声にこたえる改善の措置に真剣に取り組むことを重ねて要求するものであります。(拍手)
 次に、外交・安保の問題であります。
 我が党は、国の進路として、安保条約の廃棄を目指しており、二十一世紀には、軍事同盟や基地のくびきから抜け出すことが避けられない国民的な課題となることを確信しています。しかし、その実現には国民多数の世論の支持が必要であります。私たちは、安保廃棄を目指し、国民多数の支持を広げる努力をしながら、それが実現に至る以前にも、平和と主権への国民の願いに立って当面の諸課題の解決に力を尽くすものであります。その立場で、幾つかの問題を取り上げたいと思います。
 アジア外交の問題であります。
 私は、この本会議で、北朝鮮との一連の問題を解決するためにも国交正常化の交渉が必要だということを主張してきました。昨年十二月の超党派の議員団の北朝鮮訪問とそこでの合意がきっかけとなって、交渉がいよいよ始まったことを歓迎するものであります。前途には外交的にいろいろ難しい問題もありますが、昨日、南北間で首脳会談開催についての合意が発表されたことは、朝鮮半島と東アジアの平和にとっても、また日朝交渉にとっても、先の展望を明るくするニュースでした。粘り強い交渉で道理と筋道の通る解決に努力されることを首相に要望するものであります。
 次に、中国問題であります。
 ここでは、台湾問題に対して日本がどういう態度をとるかが重要になってきています。台湾問題については日本の世論でもさまざまな意見がありますが、この問題の平和解決を望むというのは、多くの国民に共通する気持ちだと思います。
 先日、曽慶紅氏を団長とする中国共産党代表団と話し合う機会があり、平和解決の立場を貫くことが日本国民の共通の要望であることなど、私たちの考えを率直に話しました。
 このときも痛感したことですが、台湾問題では、国際法上の枠組みと、私たち自身の政治的な判断、要請とを明確に区別して対処することが極めて重要であります。
 国際法上の枠組みというのは、一つの中国という原則であり、台湾問題を中国の内政問題と位置づける立場をかたく守るということであります。特に日本は、世界の多くの国々の中でも、一つの中国の立場を堅持すべき特別な歴史的責任があります。それは、日本が、中国から台湾を切り離して、五十年にわたってその台湾を自分の植民地にしてきた国であり、さらに、五十五年前、連合国の決定に基づいて、台湾をほかならぬ中国に返還した国だからであります。
 その日本が一つの中国の立場を国際政治のあらゆる場で堅持してこそ、日中関係の長期的な視野と展望を持った発展があることを、アジア外交の一つの核心をなす問題として銘記したいと思います。この国際法的な枠組みをきちんと踏まえてこそ、台湾問題の平和解決への国民的な要望なども、アジアの平和を望む立場からの政治的な要請として、率直に話し合うことができると思います。
 日中関係の根本にかかわる台湾問題、言いかえれば一つの中国の原則について、どういう見解をお持ちか、首相の基本姿勢を伺いたいのであります。
 安保条約そのものにも、緊急の幾つかの問題があります。
 第一は、米軍基地のための日本側の財政支出の問題であります。
 一九七八年度に始まった思いやり予算は、日米地位協定によれば、当然、米軍が負担すべきものを、いわば思いやりをもって日本側の負担としたものであります。アメリカ政府は思いやりという言葉を嫌っているとのことですが、これが条約外の負担だということは、だれも否定することのできない明白な事実であります。しかも、その負担が次第に内容を拡大して、米軍の戦闘機能にかかわる施設の建設や、訓練の費用にわたるものまで日本側の負担に計上されるようになり、二〇〇〇年度予算では二千七百五十五億円にも達しています。
 今問題になっている特別協定は、思いやり予算に体裁をつけるために後から持ち出された取り決めでありますが、その特別協定も期限が来た今、アメリカの言い分がどうあろうと、きっぱりと打ち切るべきではありませんか。(拍手)
 第二は、米軍基地の存在が日本の国民に及ぼしている被害の問題であります。
 最近、アメリカ政府と米軍は、厚木基地の周辺で米軍とその家族が被害を受けている公害問題を取り上げ、日本政府にその解決を求めてきました。ダイオキシンなどの公害が事実であれば、周辺の住民にもかかわることであり、住民の安全への対策を含めて適切な対応をするのは当然であります。
 しかし、その米軍が、基地の存在とそこでの訓練などによって日本国民に大変な被害を与えながら、住民の抗議にも誠意ある態度をとらず、日本政府も問題の解決に乗り出そうとしないのは全く理解できないことであります。
 厚木というのは、米軍の夜間離発着訓練で周辺の住民が耐えがたい騒音被害を受けている地域であります。この訓練は東京の横田基地でも青森県の三沢基地でも絶えず行われており、被害にさらされている住民の総数は百万人を超えるとも推定されます。低空飛行訓練による全国各地の被害を合わせると、この数字はさらに大きいものになるでしょう。
 私たちの調査によると、米軍が人口の密集地で夜間離発着訓練を行ったり、地域指定も明確にしないまま低空飛行訓練を勝手気ままにやったりしているという事例は、ヨーロッパのアメリカの同盟国はもちろん、アメリカ本国にもないことであります。
 安保条約が存在しているもとであっても、基地公害から国民の安全を守ることは、国民を代表する日本政府の当然の義務ではありませんか。米軍基地や訓練地域周辺の住民が多年にわたって悩み抜いてきた基地公害の問題を解決するために、政府の責任を果たすことを強く求めるものであります。
 第三は、小渕前首相と質疑を積み重ねてきた日米安保条約下の核密約の問題であります。
 私は、アメリカ政府が情報公開法に基づいて公開した外交文書の中から、核密約の事実を示す九つの文書を小渕前首相にお渡ししてきました。それには次の事実が示されています。
 一九六〇年一月、日米両国政府が現行の日米安保条約を結んだとき、核兵器の問題にかかわる秘密の取り決めを結んだこと。その内容は、日米間に事前協議の約束はあるが、アメリカの軍艦や飛行機が日本に立ち寄るとき、これをアメリカ側はエントリーあるいはトランジットと呼んでいますが、そういう立ち寄りのときには事前協議の対象にはならないこと。つまり、核兵器を積んだ飛行機や軍艦でも日本の港湾や飛行場に自由に出入りできること。この秘密の取り決めを、アメリカ政府はその後も日米間の最も基本的な取り決めの一つとして扱っており、横須賀がアメリカ第七艦隊の空母の母港になったときにも、核兵器を積んだままでの母港化としてこれを強行したこと。これらが主な点であります。
 これが日米関係の真実を示しているとすれば、事は極めて重大であります。歴代の政府は、核兵器を積んだ軍艦や飛行機の日本への立ち寄りは行われていないと説明し続け、核を持ち込ませないという条項を含む非核三原則を日本の国是だとして強調してきました。しかし、日米両国政府の間に、立ち寄りは別だという秘密の取り決めがあり、それに基づいて核兵器を積んだ軍艦や飛行機が自由に日本を出入りしているのだとしたら、現行安保条約のもとで四十年間にわたって日本にはアメリカの核兵器が持ち込まれ、被爆国日本が核戦争の基地になってきたことになります。そして、政府は四十年にわたって日本の国民をだまし続けてきたことになります。しかも、立ち寄りという名目で核兵器を持ち込むこの仕組みは、今もそのまま有効に存続しているのであります。
 私が前首相に提示した文書は、すべてアメリカの政府、軍関係者あるいは関係当局の署名のある公式文書で、しかも、アメリカ政府の責任で、政府の公文書として公開されたものであります。前回の党首討論のときに、私は、秘密取り決めの文章そのものを全文記載したアメリカの政府文書を入手できたので、次にはこれをお渡しすることを約束しました。この約束を、私は森首相に対して近く果たすつもりであります。
 詳細な議論は党首討論の機会に譲ります。ここでまず求めたいのは、関知しない文書といった式の答弁で問題をそらすのではなく、私がアメリカ政府の責任で公開された公式文書によって問題を提起しているのだということを率直に認めて、首相として、秘密取り決めが存在したのかどうかについて、責任ある調査を行い、国民と国会の前に真実を明らかにする勇気ある態度をとってほしいということであります。
 次に、沖縄サミットの問題であります。
 米軍基地の集中地帯である沖縄であえて主要国のサミットを開くということは、沖縄問題に対する政府の基本姿勢が改めて問われることであります。
 森首相が首相に就任する以前に、沖縄問題での発言が問題になりました。その発言を聞いたときの私の感想は、率直に言って、沖縄の心を全くわかっていない政治家だということでした。そのあなたが首相になって沖縄サミットを主催する立場に立つ、私自身の経験を含めて、どうしても言っておきたいことがあります。
 私が沖縄を初めて訪問したのは、一九七〇年十月、まだ沖縄がアメリカ占領下にあったときでした。日本共産党員の沖縄上陸は原則的にはまだ禁止されており、復帰に先立って国政参加選挙が実施されたことから、共産党員でも国会議員と秘書だけは上陸が認められることになったからでした。
 そのとき私たちは、那覇市に日本共産党国会議員団沖縄事務所を設けましたが、琉球政府の屋良主席がその事務所開きに駆けつけてくれて、お祝いの言葉として述べた次の言葉を、私は今でも忘れることができません。それは、祖国復帰は決まったが、沖縄にはあるべきでない不当な現実が存在している、この現実を乗り越えるために共産党の皆さんの力をかりたいという言葉でした。
 あるべきでない不当な現実とは、米軍基地の体制のことであります。三十年たった今日になってもいまだに乗り越えられないでいますが、このあるべきでない現実をできるだけ早く乗り越えたい、ここに沖縄の人々に共通する沖縄の心があると私は思っています。(拍手)
 あなたは、屋良主席が言ったあるべきでない不当な現実を、当たり前の現実、沖縄の人々がいつまでも我慢して当然の現実だと見ているのではありませんか。もしそうであるなら、私は、そういう政治家には、沖縄から世界にメッセージを発信するなどということを云々する資格はないということを強調したいのであります。
 そして、改めて、戦後五十五年間、米軍基地のはざまで暮らすという異常な状況のもとに置かれてきた沖縄に対して、あなたが首相としてどういう政治姿勢で臨むつもりなのか、率直に伺いたいと思います。
 さらに、具体問題を一つ伺いたい。それは、名護市での基地建設の問題であります。
 一昨年の沖縄県知事選挙で、自民党の応援を受けた現知事は、この基地は使用期限を十五年とする旨、県民に公約しました。自民党がこの候補を応援した以上、これは国民に対する自民党の公約でもあります。
 ところが、前内閣は、昨年十二月の閣議決定で、沖縄からのこの要請を重く受けとめ、米国政府との話し合いの中で取り上げることを決定しましたが、その後の日米交渉では、沖縄にこういう意見があると伝えただけで、それを実現するための本格的な話し合いは何らやってきていません。
 使用期限についての公約というものは、県知事にとっても、これを支援した自民党にとっても、その公約が達成されない限り基地建設を進めないというだけの重い意味を持っているはずであります。それを選挙の宣伝材料として口にしただけだというのであるならば、それこそ沖縄の心を踏みにじる態度ではありませんか。
 自民党自身が責任を負うこの公約について、アメリカと真剣に交渉する意思があるかどうか、首相の責任ある答えを伺いたいのであります。
 最後に、解散・総選挙の問題であります。
 前回の総選挙以来、国民の審判を抜きにした政権交代や政権を支える政党の組み合わせの変更が果てしなく続いてきました。こういう事態の繰り返しは、民主主義の政治のもとでは許されることではありません。私は、早急な解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきことを要求して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(森喜朗君) 不破哲三さんから小渕前総理に対するお見舞いをいただきまして、お礼を申し上げる次第でございます。
 前総理が突然病に倒れられて、総理臨時代理が決定されるまでの間の経緯についてお尋ねがありましたが、それにつきましては、昨日、鳩山議員の質問の際、官房長官から詳細に御説明したところでございます。
 私としては、予測しがたい突然の状況のもとで、官房長官が中心となって、国政の遂行に支障なきよう懸命の対応がなされたものと考えております。
 また、現内閣の正統性に対する御指摘もありましたが、小渕前総理の病状が深刻な状態に陥ったことを受け、憲法第七十条の規定に基づく内閣総辞職が行われ、その後の衆議院、参議院本会議において私が内閣総理大臣に指名されたものであり、その正統性には何ら問題はないと考えます。(拍手)
 災害対策についてのお尋ねがありました。
 今回の有珠山における対策につきましては、これまでの火山観測施設の整備及び今回の監視体制の強化並びに噴火前の避難措置により、人的被害は生じておりません。現在、不自由な生活を余儀なくされている避難者の方々のニーズにこたえるべく、政府一丸となって施策を講じているところでございます。災害対策を推進するに当たって、予防的施策は非常に重要であり、今後とも監視予知体制を初めとする各般の防災施策の一層の充実に取り組んでまいる所存であります。
 サービス残業や解雇の規制についてのお尋ねがございました。
 御指摘の最高裁の判決は、労働者が恒常的に長時間業務に従事し健康状態が悪化していることを認識しながら、負担軽減の措置をとらなかった使用者の損害賠償責任を認めたものであります。政府としては、その趣旨を尊重して、職場における健康確保対策を実施するとともに、労働基準法に基づく時間外労働の限度基準を遵守させること等により、長時間労働の抑制やサービス残業の解消に努めてまいります。
 また、解雇については、裁判例の考え方を踏まえ、労使間で十分に話し合われるべきものであり、一律に規制することは適切ではないと考えます。
 財政構造についてのお尋ねでありますが、極めて厳しい我が国財政の現状を見れば、財政構造改革は必ず実現しなければならない重要課題であり、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを確認した上で、速やかに取りかからなければならない課題であります。ただ、まずは緩やかな改善を続けている我が国経済を本格的回復軌道に確実に乗せることが重要であり、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という財政構造を是正すべきではないかというお尋ねがございました。
 財政状況が極めて厳しい中にあって、財政を考えるに当たっては、幅広い視野を持って、歳出の構造にまで踏み込んだ質的な側面からの取り組みが重要であると認識しております。こうした認識のもと、公共事業についても、時代のニーズや要請を見通しつつ、必要な分野、事業への戦略的、重点的な投資を行っております。
 御指摘の社会保障の水準については、我が国の社会保障給付は、その財源の相当部分が保険料収入であり、これを含めた給付費全体で見れば、主要先進国と比較しても決して低くないレベルであり、国、地方を合わせた公共事業費の一・五倍程度となっております。
 いずれにせよ、今後とも、社会保障に関しては、高齢化の進展に伴い社会保障給付費の増加が見込まれる中で、必要な給付は確保しつつ、社会保障制度改革を推進し、制度の効率化、合理化を進めてまいりたいと考えております。
 社会保障の充実についてのお尋ねでありますが、社会保障については、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、必要な財源を確保しながら、持続的、安定的で効率的な制度を構築することが必要だと考えております。このため、さきに設置された社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、国民の理解を得ながら、年金、医療、介護などの諸制度について横断的な観点から検討を加えてまいります。
 なお、個人消費については、一昨年四月以来の四度にわたる雇用対策等の国民生活の安定のための施策や、昨年からの恒久的減税の継続など、各般の諸施策を講じてきており、これらを通じて有効需要が創出され、国民の購買力の向上につながるものと考えております。
 財政再建に関連して、消費税を含む税制のあり方の見直しについてのお尋ねがありました。
 先ほども申し上げましたとおり、財政構造改革については、まずは我が国経済が民需中心の本格的な回復軌道に乗ることを確認することが必要であり、現時点では、その中身について具体的に申し上げられる状況にはないと考えております。いずれにせよ、消費税を含む将来の税制のあり方については、今後の少子高齢化の進展など、経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 介護保険制度についてのお尋ねでありますが、関係者の懸命の御努力もあって、大きな混乱もなく制度をスタートすることができましたが、今後、現場の声に耳を傾けながら、引き続き円滑な実施に努めてまいりたいと考えます。
 利用者負担については、低所得者の負担上限を一般より低くするなど配慮を行っており、介護サービスについては、ゴールドプラン21を踏まえ、必要な支援に努めてまいります。また、介護保険制度が国民に信頼される制度に育つよう、公平、公正な要介護認定の実施に努めてまいります。
 介護保険の財政基盤についてのお尋ねでありますが、介護保険の財政は、制度を実施する市町村を国、都道府県、医療保険者等が重層的に支える仕組みであり、国庫負担の割合については、これまでの老人保健制度や老人福祉制度の負担割合を踏まえて設定したもので、適切なものと考えております。
 また、政府としては、このほか、制度を円滑に実施するための特別対策として、公費により、高齢者保険料対策、低所得者対策、基盤整備の推進などを講じているところでございます。
 日朝関係についてのお尋ねでありますが、政府としては、韓米両国との緊密な連携のもと、北東アジアの平和と安定に資するような形で第二次大戦後の正常でない関係を正すよう努めていく方針であり、先週ピョンヤンにおいて約七年半ぶりに再開した国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。その際、御指摘のような日朝間の難しい諸懸案についても、その解決に向けて全力を傾ける決意であります。
 台湾をめぐる問題についてのお尋ねでありますが、我が国は、日中共同声明において、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認し、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する旨明らかにしており、この立場を堅持しております。
 同時に、我が国といたしましては、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望しており、早期に両岸間の対話が再開されることを期待しております。
 在日米軍駐留経費負担についてでありますが、在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のため重要な意義を有してきたところであります。
 政府としては、今後とも、厳しい財政事情にも十分配慮しつつ、日米安保体制の円滑で効果的な運用の確保のため、在日米軍駐留経費負担について適切に対応していく考えであります。
 米軍機の訓練についてのお尋ねでありますが、米軍機の飛行訓練は、日米安保条約の目的の達成のための訓練の重要な一環であると認識しております。
 他方、米軍は、他国においてと同様に、我が国においても当然に公共の安全に考慮し活動することになっております。政府としては、米側に対し、訓練に際しての安全確保に万全を期すとともに、地元に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れてきております。
 なお、政府は、米軍の施設の運用に伴う地元住民の負担の軽減等のため、生活環境の整備等に関する法令に基づき各種施策を行ってきており、今後ともその推進を図ってまいります。
 いわゆる核密約の問題及びそれに関する調査についてのお尋ねでありますが、これまで貴党から提示された文書については、党首間討論の場で小渕前総理が申し述べてまいりましたとおり、そのようなものについてコメントすることはできません。いずれにせよ、歴代の総理、外務大臣が繰り返し明確に述べてきておりますとおり、事前協議に関する安保条約の関連取り決めは、岸・ハーター交換公文及び藤山・マッカーサー口頭了解のみであり、それ以外に密約といったものはありません。
 沖縄の米軍施設・区域に関する問題への対応についてのお尋ねがありました。
 全国の米軍施設・区域の約七五%が所在することにより、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々にさまざまな御負担をおかけしていることは、私としても十分認識をいたしております。政府としては、こうした沖縄県の方々の御負担を可能な限り軽減するため、日米両国政府が最大限努力して取りまとめたSACO最終報告の着実な実施に向け、引き続き最大限努力してまいる考えであります。
 普天間飛行場代替施設の使用期限の問題についてお尋ねがありました。
 政府としては、閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめて、これを河野外務大臣及び瓦防衛庁長官より米国政府関係者に対して取り上げてきたところであります。
 政府としては、閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していく考えであります。また、政府としては、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
 最後に、解散・総選挙についてお尋ねがありました。
 私としては、小渕前総理が全力を挙げて取り組んでこられた経済新生を実現することが重大な責務であると考えています。まずは、予算の早期成立の効果を減殺しないように、予算関連法案の早期成立に全力を尽くし、予算の速やかな執行に万全を期していくことが必要であります。
 また、北海道有珠山噴火対策について対応に遺漏なきを期することはもとより、九州・沖縄サミットの成功に向け、議長国としての主体性が発揮できるよう準備に万全を期すことも必要であります。
 したがって、衆議院の解散は現時点では全く考えておりませんが、衆議院の解散権は、実際上内閣総理大臣に与えられた大権であります。国家国民の立場に立って、国民の信を問うべき事態になったと判断されれば、ちゅうちょなくこれを断行する考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 野田毅君。
    〔野田毅君登壇〕
#7
○野田毅君 私は、保守党を代表して、森内閣総理大臣の所信表明に対して質問をいたします。
 質問に先立って、このたびの有珠山の噴火によって不自由な避難生活を余儀なくされておられる地元住民の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、連日対策に奔走されておる市町村、消防、警察、自衛隊を初め関係者の皆さんには、心から御労苦をねぎらいたいと思います。
 また、小渕前総理には、沖縄サミットを前に突然の病に倒れられた御無念を思いますと、まことに胸の痛む思いを禁じ得ません。一刻も早い御回復を心からお祈りを申し上げます。
 さて、まず初めに、森総理、御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。私たち保守党は、連立与党の一員として、森内閣を微力ながら全力で支える決意であることを冒頭に申し上げておきます。(拍手)
 私たちは、今回自由党から保守党として独立をいたしました。率直に言って思いは複雑であります。
 昨年一月、小渕総理のもとで自由民主党、自由党の連立内閣がスタートし、私は自治大臣として微力を尽くしてまいりました。この内閣は経済を破局から救うことに成功したほか、日米防衛協力のガイドライン法、中央省庁再編と地方分権一括法、組織犯罪対策三法等懸案となっていた重要法案が次々と成立をし、さらには国旗・国歌法も成立させることができました。赫々たる成果を上げたのであります。
 昨年秋、これらの実績を踏まえていわゆる自自公三党の連立政権がスタートしたのでありますが、この政権においても、国会議員の定数削減や憲法調査会の設置など、画期的なことが実現したのであります。私たちは、これだけの成果を上げてきた三党の連立体制は、これを離脱によって壊すのではなく、さらに発展させ、新たに強固な形で、力強く政治責任を果たすべきであると決断したのであります。
 特に、二十一世紀への新しい日本の国づくりをする上で、山積する内外の諸課題に迅速かつ果断に対処するためには、政局の安定と連立与党を構成する各党間の信頼を基礎とした協力関係が不可欠であります。従来の三党連立よりも数は減りましたが、より強固な結束をすることによってより効果的に政策を遂行できるものと確信いたしております。
 さて、森内閣がいよいよスタートしました。国民は、森総理に対して、経済回復の軌道をさらに確実なものにすること、政治空白をつくることなく迅速に課題に取り組むことを期待しています。
 そこで、まずお伺いしたいのは、九州・沖縄サミットへの対応であります。
 沖縄サミットには、小渕前総理は格別の思い入れをしておられたことは周知のことであります。小渕前総理は、沖縄に対する思いと同様、アジアに最も近いこの地において、ぜひアジア各国の考えも世界に発信しようと苦心しておられたと聞いております。二十一世紀を前に、日本の総理として世界にどのような発信をしようとしておられるのか、お伺いをいたします。今月末から連休にかけて各国を歴訪される計画と聞きますが、サミットの準備に万全を期して、ぜひ森構想なるものを練り上げていただきたいと思います。
 昨日、南北朝鮮の首脳会談が六月に開催されることが発表されました。極めて意義深いことであり、朝鮮半島の平和体制構築に向けて歴史的な刻印が記されることを期待します。同時に、ここに至るまでに、金大中大統領の一貫した太陽政策と南北双方の努力の積み重ねに心から敬意を表するものでありますが、加えるならば、日米両国の連携のとれた背後からの支援も、いささかながらこの結果にあずかっていると考えます。
 クレオパトラの鼻ではありませんが、沖縄に駐留米軍がいなければ、半島情勢の歴史は大きく変わっていたかもしれません。その意味で、沖縄に世界の指導者が集まったこの機会に、我が国の国際社会への寄与は、決して経済的側面だけではなく、米軍のプレゼンスを日本が提供することによって、平和と安定への役割をも果たしていることを認識してもらうべきであると考えます。
 そして、この日本の役割は、沖縄県民の大きな苦痛と協力の上に成り立っていることを、この機会に多くの日本の国民にもっと知ってもらうように、政府も我々政治家も努力しなければならないと考えます。森総理の所見をお伺いいたします。
 次に、緊急事態に対する危機管理体制について伺います。
 小渕前総理が緊急入院されてから内閣総辞職に至るまでの間で、緊急事態への対応のマニュアルが問題となりました。しかし、経過及び今後の対処方針について、昨日の青木官房長官の本会議の答弁でよく理解をいたしました。青木官房長官、一連の過程の中で本当にお疲れさまでございました。
 問題は、高度に発達した今日の社会においては、さまざまなケースの危機が予想されるにもかかわらず、全体として危機管理体制の欠如が顕著なことであります。
 今日まで、大規模自然災害や大震災、オイルショックへの対応や原子力関係施設の事故等一定の分野では、後追いながら整備されつつありますが、全体としてまだまだ不十分であります。特に、国防と治安関係の分野におけるおくれが目立つのであります。
 本来、国民の生命財産を守るためにこそ国家としての第一義的役割があるはずでありまして、これは単に政府の責任というだけではなく、国会における立法を必要とする点で、与野党を通じて政治家も共同責任を負うべき問題だと考えるのであります。いわゆる有事法制は平時においてこそ整備されるべきものと考えます。
 また、サイバーテロやバイオ、化学物質によるテロなどについて、世界各国は、共通の課題として極めて深刻に受けとめ、対策を本格的に検討しております。国際的協力体制が早晩必要となることは目に見えております。
 国防、治安関係分野における緊急事態対応と危機管理体制の構築に、ぜひ早急に取り組むべきであると考えます。総理の所見を伺います。
 次に、経済と財政の問題について伺います。
 一昨年秋は、まさに金融恐慌寸前の状況にありました。それをしのいだのは、まさに小渕総理の決断と自自連立の合意であったと思います。すなわち、金融機関の早期健全化法の成立と、貸し渋り倒産旋風から中小企業を守るための特別信用保証制度の創設という金融サイドからのてこ入れ、そして、十兆円規模の減税と公共投資の追加という財政サイドの両面からのてこ入れによって危機を脱することができたのであります。
 ここ当面の情勢は、企業収益の改善や設備投資の動きに明るい期待が持てるけれども、まだ民需主導の自律的回復軌道に乗ったと見るのは尚早だと考えます。さらに、バブル崩壊の後遺症は深く、フロー面における判断だけでなく、バランスシートの改善状況を十分に勘案しなければ本当の状況判断はできないと思います。
 九〇年代における資産価格の下落は約千三百兆円、国民一人当たり一千万円になります。ここからくる不良債権の重圧からいまだ卒業しておりません。金融機関の与信機能低下の背景は、自己資本比率の問題とあわせて、すべてここからきているわけであります。地価が下がり続けているということは、不良債権が一方では積み上がっているということでもあります。私は、地価が底を打って初めて経済政策転換のときを迎えるべきだと考えております。堺屋長官の御見解をお伺いします。
 ところが、最近、経済回復のめどが立ったから急いで財政再建に着手すべきだという議論がふえてきました。もちろん、財政再建そのものは常に心がけるべき大切な事柄であります。ただ、過去においてこの言葉を用いて行われたことは、当面の財政収支の帳じりをよくすることに力点があって、最も大切な財政の構造を改革することとはほど遠いことであったということには注意を要すると思います。
 本来、財政再建とは、単に目先の歳出規模を減らすことや、単純に公共事業性悪説に加担することではなく、いわんや、単純な増税路線でもありません。歳出歳入の構造を抜本的に改革することによって、財政赤字の拡大を防ぐ仕組みをビルトインすることであります。もちろん、国と地方を通ずる改革の大業をなし遂げなければなりません。内閣をかけるだけの大仕事になると思います。総理の御決意を伺います。
 歳出の構造改革については別の機会に申し上げたいと思います。
 きょうは、社会保障との関係について申し上げます。財政構造改革を行うためには、社会保障の構造改革と密接不可分のものとしてとらえる必要があります。
 我が国の社会保障は、社会保険料によって賄うという社会保険制度によって成り立っておりますが、私は、既に、現行のこの制度は機能不全に陥っていると思います。受益と負担をリンクさせることによってモラルハザードを防ぐことを建前としておりますが、少子高齢化の急速な進展によって給付の急増に保険料の引き上げが追いつかなくなったことは明らかであります。このままでいくと、給付水準の大幅引き下げか保険料の大幅引き上げをせざるを得ず、加入者は保険を離れて自助努力の世界に走る傾向が出ていることは明らかであります。
 現在、年金で三分の一、介護で二分の一という国庫負担をもってしてこのありさまであります。この国庫負担というのが、社会保険の受益と負担の関係を崩すだけではなく、国の財政赤字、すなわち借金の原因そのものでもあるわけです。もはや、この問題に目をつぶってはいけないと思います。
 財政構造改革と社会保障構造改革は、まさに一体不可分のものであります。英国では、社会保険庁と国税庁が統合されたそうです。国民から見れば、税であれ社会保険料であれ、本人の意思にかかわりなく強制的に徴収されることに変わりはないのです。消費税の使途を基礎年金、老人医療、介護という基礎的な老後の生活安全保障に限定するという消費税の福祉目的税の議論も、そういう脈絡の中で私たちは問題提起をしているのであります。消費税を消費の大きさを基準とする社会保険料ととらえれば理解は早いと思います。そして、名称も社会保障税と改めるべきだと思います。総理の見解を伺います。(拍手)
 最後に、私たちは、党名を保守党と名づけました。保守の心とは、人間のあり方や地域社会のあり方の基本として、心のつながり、きずなを大切にするということであり、ともに支え合うという精神を意味すると考えております。そこから家族愛や隣人愛、郷土愛や地域の連帯、そして祖国愛という発想につながり、当然、伝統や歴史、文化を大切にする精神につながっていくのです。
 現行憲法の中に、家族に関する規定はたったの二つしかありません。子女に対して教育を受けさせる義務と婚姻の自由、この二つであります。親が我が子を養育する義務や、家族が支え合い助け合うべしとの規定はありません。家族のきずなの大切さは、憲法にも教育基本法にもありません。憲法に規定する以前の、当然のことであったのかもしれません。しかし、このままでは、日本人としてのアイデンティティーはおろか、家族のアイデンティティーさえ失われかねないと危惧します。
 既に、昨今の風潮として、学級崩壊ならぬ家族崩壊現象が広がっています。私たちは、保守の心を大切にして、二十一世紀のできるだけ早い時期に新しい憲法と教育基本法をつくることを目指しております。総理の見解を伺います。
 本年四月から介護保険がスタートしました。家族の愛情に支えられた介護の姿が失われないように願っております。
 最後に、森総理、政策は時を選びます。必要なタイミングで的確な政策を打つことが肝要であります。ツーレートは敵であると考えます。断じて行えば鬼神もこれを避くという言葉があります。日本経済の新生と大胆な構造改革に挑戦する総理のリーダーシップを期待して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(森喜朗君) 野田議員に、私に対する祝意をいただきまして、まことに恐縮でございます。
 冒頭、野田議員から、保守党の設立と今般の連立政権樹立の経緯について御説明がございました。
 今般樹立いたしました、自民、公明・改革クラブ、保守三党の連立政権は、これまでの自自公連立政権の大きな成果を踏まえ、安定した政局のもとで国民の負託にこたえようとするものであります。
 私は、国民の期待にこたえ、山積する諸課題の解決に成果を上げていくためには、安定した強力な政権の枠組みが不可欠であると考えております。前連立政権の一翼を担われた自由党が連立から離脱する一方で、連立の維持強化に向け志を一つにする議員が保守党をつくられ、新たな連立に参画されたことは、国政を担うこととなった私にとってまことに心強い限りでございます。
 特に、自民党、公明党の連立を確認されたものの、自由党の連立を断念せざるを得ない、その直後に小渕前総理は緊急入院をされたわけであります。恐らく、今、病と闘っておられて、こうした保守党の大きな御決断によって三党連立を支えていくというこのお考えをこの本会議場で野田議員がお示しあったことは、小渕前総理にとってはこの上もない喜びであろう、そのように推測をいたし、心から御決断に対して感謝を申し上げる次第でございます。(拍手)
 今後は、三党相互の信頼をもとに、緊密な連携を図りつつ、現下の難局に対処してまいる所存でございます。
 九州・沖縄サミットにおいてどのような発言をするかとのお尋ねでございますが、私としては、二十一世紀がすべての人々にとってよりすばらしい時代となるという希望を世界の人々が抱けるような明るく力強いメッセージを発信すべく、議長国として積極的にイニシアチブを発揮していきたいと考えております。
 また、サミット前にG8各国首脳との会談を行うことを含め、各国と緊密な信頼関係を築きつつ、サミット準備に万全を期してまいりたいと考えております。
 九州・沖縄サミットにおいてアジア地域の平和に対する我が国の貢献をアピールすべきこと、及び、米軍施設・区域の集中による沖縄県民の方々への負担の軽減への取り組みに関する御指摘がありました。
 議員御指摘のとおり、沖縄におけるものを含め、日米安全保障条約に基づき我が国に駐留する米軍の存在は、我が国の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠であり、有効に機能してきたものと考えております。
 本年七月に九州・沖縄サミットが開催される際には、各国指導者が沖縄に一堂に会することとなりますが、この機会をも通じ、安全保障面を含めた我が国の国際社会への寄与についてアピールしてまいりたいと思います。
 また、米軍施設・区域が集中することによる沖縄県の方々の御負担については私も十分認識いたしており、政府としては、こうした沖縄県の方々の御負担を軽減するため、引き続きSACO最終報告の着実な実施に最大限努力していくとともに、このような取り組みについて国民の方々の御理解をいただくための努力も続けていく考えでございます。
 危機管理に関してのお尋ねがございました。
 国の安全と治安を維持し、国民の生命財産を守ることは、政府の最も重要な責務であると認識しております。緊急事態への対応につきましては、政府としては、我が国に対する重大な危機が発生した場合やそのおそれがある場合において、我が国としてとるべき必要な対応策について研究を行っているところであります。
 また、危機管理体制の構築につきましては、情報集約機能の強化、関係閣僚の緊急参集体制の整備、内閣危機管理監の設置などにより、その充実に努めてきたところであります。
 いずれにせよ、我が国の危機管理体制を一層堅固なものとすることは極めて重要であり、危機に際して政府全体が一体となって迅速かつ的確に対応し得るよう、今後とも努力してまいる所存であります。
 財政構造改革についてお尋ねがありました。
 極めて厳しい我が国財政の現状を見れば、財政構造改革は必ず実現しなければならない重要課題であり、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを確認した上で、速やかに取りかからなければならない課題であります。ただ、まずは緩やかな改善を続けている我が国経済を本格的回復軌道に確実に乗せることが重要であり、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。ただいまの野田議員の御意見につきましても十分参考にさせていただきたいと思います。
 その上で、財政構造改革については、単に財政面のみの問題にとどまらず、税制や社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係や経済社会のあり方まで視野に入れて取り組むべき課題であると考えております。
 社会保障構造改革と消費税の福祉目的税化についてのお尋ねがございました。
 急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くためにも、持続的、安定的で効率的な社会保障制度を構築していくことが必要であると考えております。このため、さきに設置された社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、政府としては、国民の理解を得ながら、税制など関連する諸制度を含め、年金、医療、介護などについて、その給付と負担のあり方や財源の問題等、横断的な観点から検討を加えてまいります。
 野田議員から、家族のきずなの大切さが大事であるとの趣旨から、憲法、教育基本法を二十一世紀のできるだけ早い時期に策定すべきだとの御主張がございました。私も、家族愛を初めとするみずからのよって立つところを大切にする気持ちは極めて重要であると考えます。
 我が国憲法は、すべて国民は個人として尊重されるという理念のもと、基本的人権に関する具体的な規定を置いておりますが、特に第二十四条において、婚姻は、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない旨を定め、また、家族に関しては、個人の尊厳と両性の本質的な平等に立脚すべき旨を定めております。
 このような基本的人権に関する規定のあり方も含めて、憲法に関する問題については、これまでも各方面からさまざまな意見が出されております。特に、今国会から、憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、我が国憲政史上初めて、国権の最高機関たる国会に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的あり方を見据えて幅広く熱心な議論が行われているところであり、私としてもこれを十分に見守ってまいりたいと考えております。
 また、保守の心に関連して、教育基本法についてお尋ねがありました。
 所信表明演説でも申し上げましたとおり、戦後の我が国の教育を振り返れば、思いやりの心や奉仕の精神、日本の文化、伝統の尊重など、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという観点は必ずしも十分でなかったと思います。また、議員御指摘の家族のきずなを大切にする心をはぐくむということも重要と考えます。
 先般、教育改革国民会議が発足したところでありますが、教育全般について議論する中で、こうした観点も踏まえ、教育基本法の見直しについても幅広く大いに議論し、検討していくことが必要であると考えております。
 介護保険により、家族の愛情に支えられた介護の姿が失われるようなことはないかとの御指摘がございました。
 国民が豊かで安心して暮らせる社会をつくる上で、家族の支え合いや地域の助け合いが重要であることは御指摘のとおりであると考えております。
 この四月からスタートした介護保険制度につきましては、社会の最も基本である家族が長期の介護のために疲れ果てて崩壊してしまわないよう、介護の負担を国民皆で支え合う制度として導入されたものであり、むしろ家族の愛情に支えられた介護を支援しようとするものであると考えております。
 日本経済の新生と大胆な構造改革に挑戦すべきとの御指摘がありました。
 日本経済新生のためには、景気回復と経済の構造改革を車の両輪として進める必要があり、単に景気を立ち直らせるだけではなくて、本格的な景気回復と構造改革の二つをともに実現することが重要であります。政府としては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくよう全力を尽くします。
 あわせて、二十一世紀型社会資本の戦略的な整備や規制改革の一層の推進、科学技術の振興などの構造改革を強力に推進し、また、IT革命を起爆剤とした経済発展を目指すなど、二十一世紀における新たな躍進を目指した政策に取り組んでまいります。
 日本経済の新生と大胆な構造改革は、輝かしい二十一世紀を切り開いていく上で避けて通れない課題であり、強力なリーダーシップのもと、必ずやその実現を図ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣堺屋太一君登壇〕
#9
○国務大臣(堺屋太一君) 野田議員より、経済政策転換の時期についてのお尋ねがございました。
 我が国経済は、全体として需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱しておりません。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響もございまして、景気は緩やかな改善を続けております。企業の活動にも積極性が出てまいりまして、自律的回復に向けた動きも徐々にあらわれております。
 一方、資産価格でございますが、株価は昨年秋以来上昇してまいりましたものの、土地の価格の方は多くの地域において下落が続いております。土地の資産価格が下落いたしますと、資産を新規に取得する人々には取得しやすくなる一方、担保価値が下落し、経営条件が悪化し、金融機関の貸し出し態度が慎重になるなどの影響がございます。資産価格の動向については、今後とも慎重に見きわめる必要があると思っております。
 今は、経済の健全化が第一でございまして、民需中心の新しい発展軌道に乗せることをまずやらなければなりません。その前に経済政策の方向を変えて、景気の腰折れを招くような過ちを犯すべきではございません。政府としては、まず経済を本格的な回復軌道に乗せることこそ肝心である、そのために経済運営に万全を尽くしたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#10
○副議長(渡部恒三君) 二見伸明君。
    〔二見伸明君登壇〕
#11
○二見伸明君 私は、自由党を代表して、総理の所信表明演説に対して質疑を行います。
 まずもって、現在闘病中の小渕前総理に、心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い御回復をお祈り申し上げております。
 また、有珠山噴火により避難生活を送られている皆様にお見舞い申し上げ、疲労、心労はいかばかりかとお察し申し上げるとともに、後方支援体制の強化や必要な行財政措置を講ずるよう、強力に求めてまいります。
 私は、四月一日の夜の小沢党首と小渕前総理の二人だけの会談の重みを感じております。
 小渕前総理は、政策合意の課題にしろ、その他の課題にしろ、自分といっちゃんとはほとんど考え方をともにしている、自分に任せてもらえるなら、君と二人で力を合わせて何としても実行したい、しかし、三百名以上の大世帯を抱えて、なかなか微力で一緒に実行できないのが残念だ、申しわけないと言われました。小沢党首も非常に感激して、我々自由党も私自身も、政策の方はほどほどわきへ置いて、お互いに和気あいあいやれば角が立たずに丸くおさまるということは知っているが、私どもとしては、今日の時代、日本、そして日本の政治に求められているのは明確な理念とそれに基づく政策の実行だと主張して自由党を結成し、今日まで至っている、本当に総理には御苦労、御心配をおかけして申しわけないと申し上げたのであります。
 三月二十五日に沖縄で収録された民放のテレビでも、小渕前総理は、本格的な改革をやりたい、社会保障制度など本格的な改革をやらせてもらえるかどうかと述べられたのであります。本音の部分では小沢党首と改革の志を同じゅうしながら、自民党内の古い勢力の圧力に抗しかねて改革を断念せざるを得なかった小渕前総理の苦衷は、察するに余りあるものがあります。(拍手)
 二十一世紀の世界の荒波に、制度疲労を起こし改革の力も意欲も失ったぼろ船同然の日本丸が一億二千万人の命と財産を乗せて乗り出すことの危うさを感じているのは、私だけではないと思います。森総理の所見を伺いたいと思います。
 連立のあり方について伺います。
 連立政権の前提は、具体的な重要課題を解決する政策合意です。平成十年十一月十九日の自自合意では、「いま直ちに実行する政策」として、政治行政改革、安全保障、消費税の福祉目的税化など、具体的な重要課題に取り組むことになりました。
 その結果、政府委員制度の廃止、副大臣制の導入、公務員の二五%削減、党首討論を行う国家基本政策委員会の設立、衆議院議員の定数削減など、重要な課題が自自両党間で血のにじむような激論を経て実現したのであります。まさに自由党の強い働きかけで、日本の政治史上画期的な改革ができたのであります。自自連立に際し、マスコミは、政界を活性化させ対立軸構築に向かうならばとの留保条件つきながら、肯定的な評価をしたことはゆえあることだと思います。
 今回の三党連立は、まず四月五日に連立合意がありました。しかし、連立政権が具体的に何をするのか、政策合意はありません。これは連立ではありません。これほど野合政権以前の、数だけ寄せ集めた政権というのを私は知りません。高い理想も、夢も、希望も感じられないのであります。森総理の御所見を承りたいと思います。
 次に、国家が非常事態になったときの危機管理について伺います。
 小渕前総理が倒れたということは、まさに日本の非常事態そのものであります。ところが、きのうの官房長官の答弁によれば、二日に小渕前総理を見舞った際、既に断層写真などで病状の進行を確認しているにもかかわらず、事態を隠し、閣僚には諮らないで、森幹事長、野中幹事長代理など五人の党役員のみに知らせたのは異常なことです。直ちに医師団が病状を発表し、それに基づいて緊急閣議を開き、臨時首相代理を置き、万全の体制を整えるべきだったはずであります。
 なぜ閣僚に連絡をしなかったのか、また、森幹事長は閣議を開くよう助言しなかったのか、青木官房長官と森総理のお答えをいただきたいと思います。
 報道によれば、四月二日夜、官房長官が記者会見をされた直後、自民党の有力者間では既に後継総理を決めていたとのことであります。三役である池田総務会長も排除した密室の談合によって後継総裁を決めるなど、まさにスターリン時代の共産党も顔負けであります。
 自民党は政治の空白を避けると言っているが、臨時首相代理が決まるまでの三十数時間、日本の政治は空白だった。国内的には自衛隊の最高指揮官がいない、国際的には世界の平和に大きな影響を持つサミットの議長がいない。大事件が勃発しても最高決定する総理がいない。総理が倒れるということは、国家の最大の非常事態。あなた方はそれがわからない。こんなお粗末な政治家がいますか。
 あなた方の頭にあるのは、日本国、日本国民のことではなくて自分の権力維持だけではないでしょうか。こんな政治が、先進諸国に信用され、尊敬されると思うのですか。先進諸国の軽べつの眼のもとで沖縄サミットは開かれるのです。沖縄サミットにかけた小渕前総理の思いを台なしにしたのは、あなた方ではありませんか。総理、青木官房長官の御所見を承りたいと思います。こういう変な決め方をして反論も言えない自民党の諸君の程度を私は疑いたいと思います。
 連立の合意が実現しないのであれば、連立政権は単なる政権維持のためだけの数合わせであります。小渕前総理の御病気による内閣総辞職という思いがけない幕引きではありましたが、私ども自由党は、政策合意が実現できないのであれば、政権にあるのを潔しとせず、堂々と野に下り、改めて立党の原点に立ち返るという決断をいたしました。
 今後、自由党は、理念と基本政策を高く掲げ、我々に共鳴いただける方々と、そして国民の皆様方とともに、日本国のために力強く闘ってまいる所存であります。(拍手)
 その第一は、日本と日本人のあり方であります。
 最近、本来国民の生活と安全を守らなければならない警察官や、人を教え導かなければならない教員など、公務員の不祥事が頻発しております。また、親子であろうとも衝動的に殺人に及んだり、みずからの欲求を満たすために簡単に人を傷つけたりするなど、凶悪犯罪が増加しており、同時に犯罪の低年齢化が進んでおります。
 個々の事件には、確かに組織機構上の問題や情報開示のおくれ、社会背景があることは当然でありますが、根本原因は、日本人全体のモラルの低下、倫理観の欠如であります。私は、これらの報道に接するとき、我が国は今まさに滅びゆかんとしているのではないかとの危惧を抱かざるを得ません。
 我が国は、明治維新のころより国家百年の計を立て、他の先進国に追いつき追い越すことを目標としてまいりました。また、戦後は、敗戦から立ち直り、経済的に豊かになることを目標としてまいりました。この意味において、特に戦後政治は、保守勢力であれ革新勢力であれ、まずもって近代化を目指してきたと言っても過言ではありません。
 衣食足りて礼節を知ると申します。今我が国は、バブル経済を経て、衣食足り過ぎて礼節を忘れるとも言うべき事態になっております。これはすべて、戦後政治が置き去りにしてきたものであって、その代償は余りにも大きかったと言わざるを得ません。近代化、経済発展という大義名分のもと、主義思想を軽んじ、対立する問題点をあいまいにして、志を喪失させてきたのであります。
 自由党は、二十世紀が終わろうとする今こそ、日本と日本人のあり方を問い直さなければならないと考えております。それは、我が国固有の歴史、伝統、文化への意識を再生させること、そして、人が人として生きていく上での原点である共同体、家族のきずなを確かめ合うこと、その上で、人として、してよいことと悪いことを見きわめることが、本当の意味において自立をしていくことにつながるのであります。
 また、歴史と伝統の再生は、急速にグローバル化が進んでいく現在において、世界に出て活躍していかなければならない日本人のために自己説明の手がかりを与えることになります。よき日本人であって初めてよき国際人であることができ、これによって本当の国際貢献、国際協調が可能となるのであります。
 第二は、日本と日本人のあり方を問い直した上で、自立した個人が伸び伸びと活躍できる場を提供することであります。
 政府や民間同士の行う規制なども、自立した個人が節度を持って活動するのであれば、必要最小限にとどめられるはずであります。個人個人の努力と才覚が実を結ぶ社会をつくり出さなければなりません。また同時に、万が一の病気や老後の生活を心配しなくてもよいよう、社会保障のビジョンを明確に示し、国民生活のセーフティーネットは国の責任で保障をし、人生設計を描きやすくしなければなりません。
 確かに、保険方式はこれまで一定の役割を果たしてきました。しかしながら、少子高齢化が進行する今日では、増大する高齢者に対する給付を減少する現役世代の保険料で賄う社会保険方式は限界に達しており、社会保障制度への不信とも相まって未納者がふえ、空洞化が進行しております。
 基礎的社会保障の財政基盤を強化するとともに、負担の公平化を図るため、消費税を福祉目的税に改め、その全額を基礎年金、高齢者医療、介護の財源に充てるべきであります。
 消費税方式は、それぞれの消費規模に応じて社会保障負担をしてもらうという点で、消費を賦課標準とした社会保険料であります。完全捕捉困難な所得を賦課標準とする医療保険料や、収入、資産、消費とも関係なく頭割りで一定額の保険料を徴収する国民年金保険料より、簡素、合理的かつ公平であります。また、消費税方式にすることによって、社会保険料は引き下げ、廃止が可能となり、これが給与等に反映され、一種の直接税の減税効果ともなります。
 また、消費税方式にすれば、今より給付と負担の関係が明確な制度となります。財政的理由で社会保障の給付水準が右往左往することのないものになり、政府内部での財政均衡論から離れて、国民的議論によって決定することができます。
 所得税などの減税は、消費税率引き上げで賄うのではなく、スリムな政府をつくる行革減税によって行い、そのきっかけともなるのであります。
 今後、少子高齢化が進行し、給付水準を維持するためには、将来的には負担はふえざるを得ませんが、その場合でも、飲食料品、福祉関連用品には軽減税率を適用すべきであると考えております。
 消費税の福祉目的税化は、社会保障制度の抜本的改革の根幹をなすものであります。
 第三に、国際貢献についてであります。
 私たちは、個人の自立だけではなく、国家としての自立、自己責任について真剣に考えなくてはなりません。国際安全保障、地球環境保全を初め、人類と地球のために積極的に貢献するべきであります。
 冷戦が終結して十年が経過したとはいえ、我が国周辺は依然として不安定、不透明な状況にあります。冷戦時代は、日本の安全を守ることが西側全体の安全を守ることでもありました。日本が防衛努力をせずとも、一方的にアメリカが我が国を防衛することが当然という環境でありました。冷戦が終わり、我が国は、我が国自身の防衛をみずからの責任において遂行していかねばなりません。
 また、国連を中心に世界各国が共同して世界の安全を確保するために行動を起こそうという中で、活動に参加しない、金だけ出して平和のために汗をかくことをしないような姿勢では、日本は国際社会の中で生きていくことはできません。国連の平和活動への参加については、国際連合の総会あるいは安全保障理事会の決議があり、かつ要請がある場合は、積極的に参加、協力すべきであります。
 また、自由党は、日本国憲法の理念に基づき、我が国が急迫不正の侵害を受けた場合に限り、国民の生命及び財産を守るため、武力による阻止または反撃を行うものとし、それ以外の場合には、個別的であれ集団的であれ、自衛権の名のもとに武力による威嚇または武力の行使は一切行わないことなどを中心とした、安全保障基本法を制定すべきことを今後とも強く主張してまいります。憲法九条一項の精神は堅持するということであります。
 第四は、財政構造改革であります。
 財政再建、すなわち財政赤字削減の決め手が景気回復であることは論をまちません。これに対し、財政構造改革は景気に関係なく絶えず行うものであります。情報通信、環境、福祉など成長分野における規制緩和は、民需主導の景気回復、民間経済の活性化につながるとともに、公的セクターの仕事減らしにもつながります。
 行財政改革の基本は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、国、地方を通じて効率的で簡素な政府をつくることです。公務員を二五%削減し、消費税を介護、高齢者医療、基礎年金に限定することも、別言すれば、財政構造改革の中核であります。我が国経済が民間主導の回復軌道に復帰すれば、当然、税の自然増収も期待することができます。
 これらについて、総理に御所見を伺います。
 朝鮮問題と日朝交渉について伺います。
 昨日、金大中大統領が今年六月十二日から三日間北朝鮮を訪問し、ピョンヤンで金正日総書記と首脳会談を行うと発表されました。朝鮮半島分断以来初めての南北首脳の会談であり、南北対話の推進は朝鮮半島の緊張緩和に向け大きな意味を持つものと考えます。
 しかし、北朝鮮は、年明けにイタリアと国交を樹立し、我が国ばかりではなく、オーストラリアやフィリピンなどとも国交正常化交渉を始めております。これは経済支援や食糧援助を先進国からより多く引き出すための戦略であることは明らかであり、南北首脳会談に当たっての北朝鮮の動きを冷静に見守るべきであります。
 そして、五月下旬に東京で行われる次回の日朝正常化交渉に当たっては、安易な妥協を排し、拉致問題やミサイル発射問題などで毅然たる姿勢を示していくことが必要でありますが、これらの点についての総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 自由党の基本的な考え方は、二十一世紀の日本の大きな骨格をつくる大事な政策だと思います。与党の中でも、官僚に毒されない人はこの政策がよくわかると思います。
 以上をもって私の質問は終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(森喜朗君) 二見議員から小渕前総理に対しますお見舞いをいただきまして、お礼を申し上げる次第でございます。
 冒頭、二見さんから御発言ございましたことについて総理として意見を述べよということでございますが、二見さんのお述べになりましたことは、少なくとも小渕前総理と神崎代表、小沢代表お三方のお話し合いの中にはそうしたことはなかったというふうに承知をいたしております。
 三党とも、政策を推進するに当たり、政策合意に大いに実績を上げたし、十分の成果も上げ得た。しかし、残された政策合意についてこの国会中に結論を出せという自由党側の御要望に対して、小渕総理としては、この二カ月の間にそのことをすべて仕上げるということは難しいのではないか、そういうお答えがあって、いわゆるこの三党の連立のこれからの運営については御一緒にすることは難しいのではないかという結論が出され、そして、公明党と自民党の政権はそのまま維持するが自由党の離脱はやむを得ないという御判断を小渕総理はされた、このように私は報告を受けております。
 したがいまして、二見議員がお話しになりましたことについては、我々も承知をいたしておりませんし、もし小渕前総理と小沢代表とのお二人の間にあったお話だとすれば、それは小沢代表御自身からお聞きする話であれば、また私もお聞きしなければならぬと思いますけれども、二見さんからそのようなお話を一方的にされて、そしてここで私の見解を求めるということは、私にとってはそれにお答えをするそういうすべはない、こう申し上げざるを得ないと思います。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、小渕前総理としては、これからの自由党の皆さんの離脱ということを前提にして、どういう政権運営をしていこうか、そういう思いの中で倒れられたことは事実でありまして、その中で保守党が、自由党の中から大勢の皆さんが参画をしてくださって、そして引き続きこの政権を維持していこうという御判断を示してくださったことは、恐らく今病床にある小渕総理もどんなに喜んでおられるだろうかということだけは私は申し上げられるのではないかと思います。(拍手)
 二十一世紀に向けた改革への取り組み姿勢についてのお尋ねがございました。
 戦後五十余年を経て、グローバル化、情報技術革命、少子高齢化といった時代の大きなうねりの中で、戦後の我が国の驚異的な発展を支えてきたシステムや物の考え方の多くが時代に適合しないものとなっております。
 しかし、私は、これまでの幾多の苦難を見事に乗り切ってきた我が国は、直面する課題を必ずや克服することができると確信しております。次なる時代への改革をちゅうちょしてはなりません。
 そして、そのためには、政治が強力なリーダーシップを発揮することが必要であります。小渕前総理も、まさにこうした認識の上に日本経済の新生など五つの挑戦を掲げ、果断に政策に取り組んでこられました。私は、このような小渕前総理の志を引き継ぎ、経済の構造改革、社会保障制度改革、教育改革を初め日本経済の新生と大胆な構造改革に果敢に挑戦し、輝かしい二十一世紀を切り開いていくよう全力を注ぐ決意であります。
 次に、連立政権についての御質問もございました。
 今般樹立いたしました自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党による連立政権は、これまでの連立政権の成果を踏まえながら、強い信頼関係に立脚した安定した政局のもとで、二十一世紀への新しい日本の国づくりを目指した各般の政策を積極的に推進することを目的とするものであります。現下の重要課題は、経済の新生と大胆な構造改革に挑戦していくことにあります。三党の強い信頼関係を基礎に、緊密な連携を図りつつ、三党一丸となって山積する課題に果敢に挑戦し、国民の皆さんからの負託にこたえていくことがこの連立政権に課せられた使命であると考えております。
 四月二日夜の対応について御指摘がありました。
 その前夜、自自公連立が事実上解消された事態となり、党内関係者でその後の対応について協議をしていた折に、官房長官から、小渕総理が過労のため入院、検査中である旨の話がございました。心配するほどのことではないとのことでありましたし、その時点で特段の助言はいたしませんでした。また、そうした協議の場で後継総理の問題について話し合ったことはございません。
 日本と日本人のあり方について御指摘がありました。
 戦後、我が国は驚異的な経済発展をなし遂げました。しかし、他方で、思いやりの心や奉仕の精神、文化、伝統の尊重など、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむといったことに十分に意を払ってこなかった面があるように思います。私は、日本人として自覚を持ち、他人を思いやる心、正義感、家族愛、郷土愛、地域愛、国を愛する心を持った、創造性豊かな立派な人間を育てることが大切であると考えております。我が国の文化、歴史、伝統や、人との出会いや仲間同士の切磋琢磨を経験しその上で人格が形成されてこそ、我が国を心の豊かな美しい国家とすることができるものであると考えております。
 社会保障のビジョンと消費税の福祉目的税化についてのお尋ねがありました。
 急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くためにも、持続的、安定的で効率的な社会保障制度を構築していくことが必要であると考えております。
 このため、さきに設置された社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、政府としては、国民の理解を得ながら、税制など関連する諸制度を含め、年金、医療、介護などについて、その給付と負担のあり方や財源の問題等、横断的な観点から検討を加えてまいります。
 国連の平和活動に関する法整備についてのお尋ねでありますが、政府としては、我が国自身の平和と安全を維持するのみならず、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、憲法の枠内で貢献することが必要と考えており、このような観点から、今後の国会の御審議等を踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。
 安全保障基本法を制定すべきではないかとのお尋ねがありました。
 いわゆる安全保障基本法の制定については、各種御議論のあることは承知しておりますが、今後の国会における御議論等を踏まえつつ、その要否について検討してまいりたいと考えます。
 自衛権の行使についてでありますが、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の発動については、我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他に適当な手段がないこと及び必要最小限の実力行使にとどまるべきことという三要件に該当する場合に限られていると解しております。
 国、地方を通じて効率的で簡素な政府をつくることなどについてもお尋ねがありました。
 現在、政府は、国の規制の撤廃、緩和、地方への権限移譲などの地方分権の推進等により、国の行政組織及び事務事業を減量し、国の果たす役割を重点化するとの考え方で行政改革に取り組んでおります。このような取り組みは、国、地方を通じた行政の簡素効率化に資するものであると考えております。
 また、国家公務員の定員については、これまでの国会等での御議論や閣議決定の方針に従って、独立行政法人化を初めとしたさまざまな改革努力により、十年で二五%純減を目指した定員削減に最大限努力してまいる所存であります。
 北朝鮮情勢等についてのお尋ねがありました。
 最近の北朝鮮の外交姿勢について、その真意は那辺にあるかは定かではありませんが、北朝鮮が国際社会との接触をふやすこと自体は、基本的に好ましいことではないかと考えます。
 このような中で、我が国としては、約七年半ぶりに再開した国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。もちろん、その際、主張すべきは主張していくという姿勢で交渉に臨み、拉致容疑問題やミサイル問題を初めとする日朝間の諸懸案の解決に向けても全力を傾ける考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣青木幹雄君登壇〕
#13
○国務大臣(青木幹雄君) 二見議員にお答えをいたします。
 四月二日においては、自自公連立が前夜事実上解消されたことを受け、その後の対応について党内で協議をしていたことは事実であります。その話の中で、小渕総理が過労のため入院、検査中だが、心配するほどのことではない旨の話も私からいたしました。
 このように、病状がわからない段階であったので、正式に病状を見きわめてから発表、連絡すべきとの私の判断のもと、検査結果が出るのを見守っていたところでありまして、各閣僚にお伝えしなかったことは事実であります。
 臨時代理の問題につきましては、その後、四月二日の午後十一時半の記者会見後に、総理が午後十一時三十分ごろ昏睡状態となられた旨、連絡がありましたが、私といたしましては、四月二日午後七時に総理とお会いした時点で指示を受けておりましたので、万一災害等の緊急事態が発生した場合には、その時点で直ちに臨時代理に就任し、内閣の責任を果たす準備はきっちりと整えていたところであります。
 なお、御指摘の四月二日における協議の場で後継総裁の問題について話し合ったことは一切ございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○副議長(渡部恒三君) 土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
#15
○土井たか子君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、森内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。今回は、国民の負託にこたえなければならない国会を構成する議員の一人として、どうしてもはっきりさせておかなければならないことがございます。
 森新総理の所信表明演説を聞きまして、私が共感を持ったのは、ただ一点でございます。それは、急病に倒れ、退陣を余儀なくされた小渕前総理大臣の一日も早い御回復を祈られたくだりであります。
 もともと、政治家の仕事というものは、休むことを許されない激務であります。とりわけ、日本全体の責任を負う内閣総理大臣の日常は、想像を絶する過酷なものと言わねばなりません。政策において対立し、時に激しいやりとりをした仲ではありますけれども、日本の現在と将来を真剣に議論し合った同時代の政治家の一人として、私は、小渕恵三前総理大臣の一日も早い御健康の回復を心よりお祈りする次第でございます。
 さて、小渕内閣の後を受けた森新内閣であります。森総理みずから天命と称し、日本新生をうたった内閣ですから、本来大きな期待を寄せたいところでありますし、襲名の披露にはお義理でも拍手をしなければならないものです。しかし、甚だ残念ながら、この内閣の不思議きわまりない成立の過程を見、また空虚としか言いようのない所信表明演説を聞きまして、そのような期待は少しも抱くことができなかったことを率直に申し上げざるを得ません。日本が今直面している経済その他の大きな危機に対して、この内閣は果たして的確に対処できるのだろうか。私は、深い疑念を抑えることができません。
 森総理が事実上内定したのは、小渕前総理が急な病に倒れられた後の空白の二十二時間においてであります。四月二日の深夜、青木官房長官の記者会見が行われるまで、国民はもちろん、大多数の政府関係者や国会議員も、総理大臣の異変について全く知りませんでした。そして三日、青木官房長官が総理大臣の臨時代理に任ぜられたのですが、その過程は今もって不可解です。昨日の青木官房長官の御答弁でも、なおかつ不可解です。
 国政に全責任を負う内閣総理大臣は、日本にただ一人です。そして、総理大臣も人間である以上、健康、事故その他不慮の出来事がないとは言い切れません。だからこそ、不測の事態に備えて、内閣法九条は以下のように定めております。「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」総理の代理をする者は「予め指定する国務大臣」とはっきり書いてあるのです。
 では、青木官房長官は、あらかじめ指定を受けていた国務大臣だったのでしょうか。そのようには承知いたしておりません。副総理が任命されていたならば、その副総理が臨時代理の指定を受けていると考えるのはごく自然のことですが、小渕内閣では、副総理は任命されていませんでした。
 だれが、どのような権限において、青木官房長官を臨時代理に任命したのでしょうか。昨日、官房長官はこの本会議場で、二日の夜に、小渕総理から、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼むとの意向が示されたと言われましたが、総理の臨時代理を指名されたという明確な確認がなされているとは言えません。
 報道によれば、二日、総理の御病気を知って集まられたのは、青木官房長官のほか、森自民党幹事長、亀井自民党政調会長、野中自民党幹事長代理、そして村上自民党参議院会長の五人とあります。官房長官を除けば、みんな自民党の幹部であります。このやり方は、公私を全く転倒しているとしか言いようがありません。
 総理大臣とは、公人中の公人であります。この公人の代理を選ぶのに、なぜ私たる政党、しかも一政党の幹部だけが集まって協議をし、どういう権限によって、あらかじめ指定されていない方に就任の要請をしているのでしょうか。前自民党幹事長である森総理大臣及び青木官房長官にお聞きします。
 このやり方は、法をないがしろにし、政府を私物化しているのではありませんか。圧倒的な与党の数さえあれば政治の最も根本的な原則であっても軽んじてよいとのおごりがあるからこそ、このような密室の決定ができたのではありませんか。さらに言えば、密室の協議を行ったのは、自民党の中の主流各派閥の幹部であります。幾ら緊急の事態とはいえ、ここまで政治を私してよいのでしょうか。
 病のために総理の職を引かれた前例として、戦後七人目の首相であり、自由民主党第二代総裁であった石橋湛山氏があることはよく知られております。一九五六年十二月、総理の地位につきながら、肺炎に倒れ、医師から二カ月の療養を求められると、首相の国会欠席は公約たる国会運営の正常化に背くとして、翌五七年二月、辞任されたのであります。
 もちろん、小渕前総理とは病状は異なりますが、このとき石橋総理は、五七年一月、岸信介外相を総理臨時代理に指名、同時に、その指名について、官房長官を通じて衆議院の議院運営委員会に了承を求めております。同年二月五日の第二十六回衆議院議院運営委員会は、官房長官の出席を求めて、総理大臣の臨時代理の権限について詳しく議論もしております。
 こうした前例を振り返るまでもなく、総理の御病気あるいは執務不可能という事態が生じたとき、直ちに国会に報告し、臨時代理などの措置についてその了承を求めるというのは、余りにも当然のことであります。なぜなら、内閣総理大臣は、国会の議決によって指名されたものだからです。総理の権限の源は、国権の最高機関であり国民の代表で構成する国会以外にはないからです。
 今回、私の確認した限り、議院運営委員会には何の連絡もなかったと聞いております。総理が職務にたえないという医師の診断書が示されたということも聞いておりません。議長への通知をしたと言われるのは、どんな通知方法をとられたのか釈然といたしません。甚だしい国会軽視、いや国会無視ではありませんか。国会の無視は国民の無視であります。この点が一番の問題です。(拍手)
 総理を指名したのは国会です。与党でも、ましてや自民党や自民党の派閥でもありません。この余りに常識的なことがいつの間にかこの国では忘れられ、軽んじられているという思いを禁じ得ません。
 また、憲法六十六条は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定めております。そのためには、まず緊急臨時閣議を開くべきだと思いますが、閣議は開かれたんですか、いかがですか。憲法と関係する諸法条に明確に違反したこのやり方は、国家のなりわいそのものを比較第一党である自民党がみずからの手で崩していると言わねばなりません。なぜ国会に対する速やかな報告を行わなかったのか、総理と官房長官の明確な答弁を求めたいと思います。
 一国のリーダーである内閣総理大臣がひとときでも不在である時間などあってはならないことです。外国紙から、日本の政治システムは、予期せぬ混乱に直面すると特にみすぼらしく見えるなどと書かれる事態は、世界の先進国と自任し、民主主義を掲げている国として不名誉きわまりないことではありませんか。国際的に影響力の大きい日本の政府代表として、森総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 もう一つ、森新政権に清新さが感じられないのは、政策の論争や合意を通じてではなくて、ただ自民党の派閥間の密室の談合によって生み出された旧態依然たる政権だからです。
 小渕総理は、政権の維持に最優先の目標を置いた自自公連立政権をつくりましたが、そのまま引き継いだ森総理が、幾ら新生をうたい、口当たりのいいキャッチフレーズを披瀝されても、しょせんその正体は理念なき談合政権以外の何物でもないことが国民に見えているんです。余りに時代おくれで非民主的な政治のありさまです。そして、この森政権の姿こそ、この十年の政治改革とは何だったかを示す惨たんたる象徴にほかなりません。
 選挙制度を変えれば自民党の派閥はなくなるはずだったのではありませんか。選挙にお金がかからなくなり、政党中心の政策論争が活発に行われるはずだったのではありませんか。自民党の各派は、それぞれ選挙を前にして数億円を集める集金パーティーを五月中旬まで次々にホテルで行う予定と発表されております。小渕前総理の事態を受けて中止となったパーティーがあったとは聞いておりません。
 政治改革で設けられた政党助成金を十分もらった上に、企業からの献金も続けてもらい、パーティーを開いてそこでもお金を集める。お金を出す中には、公的資金を投入された銀行や公共事業で潤うゼネコンがあります。十年前とどこが変わったんですか。話が違うじゃありませんか、もっとひどくなったじゃありませんかと国民のだれしもが思っております。
 森総理の所信表明の中に公務員倫理法に触れた部分があります。不祥事の続く公務員の綱紀の粛正と倫理の向上を求めておられる。
 確かに、公務員の倫理問題は深刻であり、綱紀の粛正は必要でしょう。その点、私も同意します。しかし、当の公務員たちが今何と言っているか御存じですか。じゃ、政治家はどうなんだ、自分たちは全部抜け穴をつくっておいて、一番の問題は自分たちじゃないか、こうであります。政治家がみずからを厳しく律してこそ、公務員の倫理を問う資格と説得力が生まれるのではないでしょうか。総理、いかがですか。
 厳しい財政事情の中で、閣僚の俸給の一割を国庫に返納することを初閣議で申し合わせ、昨日の総理の御答弁では、個人的見解とされながらも、国会議員の歳費カットについて、国民に対して政治家としての姿勢を示すという意味において極めて意義があると言われました。この気構えがあるのなら、まずは集金パーティーを自粛されることだと申し上げます。いかがですか。(拍手)
 政治家の倫理問題を私が言うのは、単に政治家個人のお金に対するモラルを問うているのではありません。このような政治姿勢で、一体日本の現在の難局を乗り越えることができるのかと問うているのです。
 二〇〇〇年度末に残る六百四十五兆円の借金、しかも、このままではさらに悪化することが確実視されていますが、このただごとでない財政をどう立て直すのか、あるいは高齢少子化で破綻を免れない年金などの社会保障のシステムをどう立て直すのか、リストラと不正規雇用の増大で不安定化する社会をどう安定させていくのか、どれもこれも先送りの許されない深刻な問題が私たちの前に山積しております。いずれも容易なことでは解決しない難問であります。
 この難問に対処していくために絶対に必要な条件とは何か。それは、政府や政治家に対する国民の信頼であります。政治家が、自分だけあるいは一部の地域や企業だけのためでなく、全体の利益を考えて行動していると国民が心の底から信じてこそ、問題の解決に参加し、本気で努力し、犠牲を払うのだと思います。
 小渕内閣を継承すると言われながら、選挙を意識して、健康保険法の改正は困難と早くも見送ろうとされる姿勢、これだけ世間を騒がした相次ぐ警察の不祥事に、不退転の決意で改革を公約されたはずの警察法改正案の出し直しが難しいと言われていることは、問題の先送りがまた始まったわけで、どうしてこれで新生日本丸のかじがとれるのか、心もとない気がいたします。
 警察不祥事の根底にあるのは組織の病理です。神奈川や新潟の県警本部ぐるみの乱脈ぶりに国民は怒り、治安を維持し犯罪と厳しく対決するはずの警察が捜査資料を盗み出して女性をおどしたり、職務上の犯罪が放置されたまま、憲法で保障された通信の秘密を侵す盗聴法の施行を政府は今凍結するべきです。警察組織が外部から公平にチェックされ、国家公安委員会が十分な機能を取り戻し、国民の警察への信頼回復が果たされるまで盗聴法は棚上げとして、警察改革の決意を示してはいかがでしょうか。
 そして、有珠山のことが気にかかります。
 被災者生活再建支援法の適用が考えられますが、阪神・淡路大震災の教訓からすれば、何よりも被災者の声に耳を傾けて、自助努力の回復のために、縦割り行政の調整にとどめないで、独自の予算と人員を持って、各省庁機関を統合し得るような災害救助のための常設機関の設置が望まれます。また、義援金は免税とすることが考えられてもいいのではありませんか。総理の御見解を求めます。
 ところで、昨日、朝鮮半島の南北の首脳がこの六月にピョンヤンで会談を行うという、衝撃的な、そして喜ばしいニュースが飛び込んでまいりました。半世紀にわたる厳しい対立を考えるならば、両国首脳の決断は、まさに世界史的な決断と言えましょう。これも、さきの村山元総理を団長とする超党派の訪朝団の成功が大きな契機になったことは間違いありません。私は、こうした決断を行った両国首脳の勇気と志に対し、この会談が民族の和解と東アジアの平和につながることを願うとともに、日朝間の関係正常化に向け大きな前進となることを願うものであります。
 なぜ沖縄に一万六千ものアメリカ海兵隊が常駐する必要があるのか、それは朝鮮半島が不安定だからと説明されてきました。その前提が大きく変わろうとしているのです。総理、海兵隊の普天間基地の移転は、もはや必要がなくなるのではないんでしょうか。あるいは、少なくとも、沖縄の県知事を含め沖縄住民の最低限の条件とも言える移転基地の十五年期限は、まさに現実的なものとなったのではありませんか。お答えをお聞かせください。
 沖縄サミットをだれが仕切るかというようなことが今度の選挙のテーマではありません。我が党は、もとより早期の解散・総選挙を求めてまいりました。国民の信を受けていない自公保・森政権が、選挙管理内閣として、解散を決断され、早期に国民の審判を仰ぐことを強く求めて、私は、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(森喜朗君) 臨時代理指定の経緯についてお尋ねでありますが、内閣総理大臣臨時代理については、内閣法第九条によりまして、総理が指定することとなっております。今回は、青木官房長官が小渕前総理から、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼む旨の指示を受けており、今回の臨時代理の指定はこの指示を受けたものであり、党の幹部との協議で決められたという事実は一切ございません。
 また、国会に対する報告、臨時閣議の開催についてのお尋ねがありました。詳細は官房長官から御答弁申し上げさせていただきますが、政府としては、適切に対応したものと考えております。
 内閣総理大臣が不在である時間があってはならないとの御指摘がありましたが、青木官房長官は、四月二日午後七時に小渕前総理とお会いした時点で指示を受けておりましたので、万一災害等の緊急事態が発生した場合には、その時点で直ちに臨時代理に就任し、内閣の責任を果たす準備はきちんと整えられていたと考えております。
 森内閣として、より一層の危機管理の徹底を図る観点から、現在、内閣総理大臣に事故あるときまたは欠けたときの対応につき、あらかじめ内閣総理大臣臨時代理を置くことを含め検討を指示しているところであり、可及的速やかにその結論を得て対処する方針であります。
 政治改革に関連し、政治資金パーティーについての御質問がありました。
 政治改革の理念は、政策本位、政党本位の政治制度を目指すものであると考えます。最近では、こうした理念を踏まえ、国民世論に十分に配慮して、衆議院議員の比例定数の削減、政治家個人への企業・団体献金の禁止などの措置が講じられたところであります。
 政治資金は民主政治に必要なコストでありまして、そのコストを賄うのは、党費や個人からの寄附などの個人からの拠出、企業、団体からの寄附、政党交付金の三つの柱によるものであります。
 政治資金パーティーについては、民主主義のコストともいうべき浄財を広く薄く集め国民の信頼にかなう政治活動を行うため、各政党、政策グループ等が開催することは、政治資金規正法にのっとり行われている限り、基本的には問題ないと考えております。
 私としては、国民の政治に対する信頼を確立するためには政治家一人一人の政治倫理の確立が重要であり、政治資金については、国民の疑惑を招かないよう、政治資金の透明性の確保が何よりも大事になると考えております。
 警察改革及び通信傍受法について御質問がありました。
 警察の制度及び運営全般についての見直しにつきましては、現在、警察刷新会議においても精力的に御議論されているところであり、政府といたしましても、これら各方面の御意見を伺いながら、適切に対処してまいる所存であります。
 通信傍受法は、組織的な犯罪をめぐる現下の国内外の状況にかんがみ、この種犯罪に適切に対処するために必要不可欠な法整備を図ったものであり、組織的な犯罪と戦う上で極めて重要なものであると考えております。また、通信傍受の適正確保のため、法律上、極めて厳格な要件が規定されており、警察においては当然適正な運用を行うものと考えております。したがって、通信傍受法の施行の凍結は全く考えておりません。
 南北首脳会談に関連し、海兵隊の常駐や普天間飛行場の移設、返還問題への影響についてのお尋ねがありました。南北首脳会談につきましては、これが実現すれば、史上初めてのこととして画期的な意義を有すると考えており、政府としては、これを歓迎し、全面的に支持いたします。
 災害対策機関の総合化を図るべきではないか、義援金は免税とすべきではないかという御質問でございますが、いずれも突然の質問でございます。土井議員から、あらかじめの御質問の中にはこれが加わっておりませんでしたので、今後検討してお答えを申し上げたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣青木幹雄君登壇〕
#17
○国務大臣(青木幹雄君) 土井議員にお答えをいたします。
 臨時代理への就任の経緯についてのお尋ねでありますが、内閣総理大臣臨時代理については、内閣法第九条により、総理が指定することになっております。
 今回は、四月二日午後七時ごろ小渕総理にお会いをした際に、私が総理から、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼むとの指示を受けており、これはまさに、内閣法第九条で規定されているような事態が生じた場合には臨時代理の任に当たるようにとの指示を当然含んだものと考えております。
 今回の臨時代理の指定は、この小渕総理の指示を受けたものであり、党の幹部との協議で決められたという事実は一切ございません。
 また、法律上の臨時代理の指定に際し、閣議を開くことは求められておりませんが、四月三日午前九時に臨時代理の指定を受けた後、同日昼に臨時閣議を開催して、私が臨時代理の指定を受けた旨報告し、了解をいただいております。
 また、国会に対する報告についてのお尋ねでありますが、内閣総理大臣臨時代理の指定については、法律上その旨を国会に通知する規定はありません。しかし、その重要性にかんがみ、従来よりの慣例上、衆参両議院を代表する衆参両院議長に対し通知しているところであります。今回も同様の手続にのっとって、指定の当日、文書で通知を行っておりますので、政府としては適切に対応したものと私は考えております。(拍手)
#18
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 商業登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#19
○副議長(渡部恒三君) 日程第一、商業登記法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員会理事横内正明君。
    ―――――――――――――
 商業登記法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔横内正明君登壇〕
#20
○横内正明君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における高度情報化社会の進展にかんがみ、電子計算機により処理された情報を電気通信回線により伝達して行ういわゆる電子取引等を確実かつ円滑に行うことができるようにするため、登記官においてこれらの情報の作成者を確認する方法の証明を行う電子認証制度並びに公証人において電子計算機等を用いて電磁的記録の認証及び確定日付の付与の事務を行う電子公証制度を創設しようとするものであります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る三月三十一日本委員会に付託されたものであります。
 委員会においては、四月四日臼井法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#21
○副議長(渡部恒三君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#23
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        法務大臣    臼井日出男君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    中曽根弘文君
        厚生大臣    丹羽 雄哉君
        農林水産大臣  玉沢徳一郎君
        通商産業大臣  深谷 隆司君
        運輸大臣    二階 俊博君
        郵政大臣    八代 英太君
        労働大臣    牧野 隆守君
        建設大臣    中山 正暉君
        自治大臣    保利 耕輔君
        国務大臣    青木 幹雄君
        国務大臣    瓦   力君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    清水嘉与子君
        国務大臣    谷垣 禎一君
        国務大臣    続  訓弘君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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