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1999/11/18 第146回国会 参議院 参議院会議録情報 第146回国会 交通・情報通信委員会 第3号
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1999/11/18 第146回国会 参議院

参議院会議録情報 第146回国会 交通・情報通信委員会 第3号

#1
第146回国会 交通・情報通信委員会 第3号
平成十一年十一月十八日(木曜日)
   午後一時一分開会
   ─────────────
   委員の異動
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     大沢 辰美君     筆坂 秀世君
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     筆坂 秀世君     畑野 君枝君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         齋藤  勁君
    理 事
                景山俊太郎君
                釜本 邦茂君
                簗瀬  進君
                弘友 和夫君
                渕上 貞雄君
    委 員
                岩城 光英君
                加藤 紀文君
                鹿熊 安正君
                鈴木 政二君
                田中 直紀君
                野沢 太三君
                山内 俊夫君
                谷林 正昭君
                寺崎 昭久君
                内藤 正光君
                日笠 勝之君
                畑野 君枝君
                宮本 岳志君
                戸田 邦司君
                岩本 荘太君
   国務大臣
       郵政大臣     八代 英太君
   政務次官
       郵政政務次官   小坂 憲次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   政府参考人
       郵政省放送行政
       局長       金澤  薫君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第四局長   増田 裕夫君
   参考人
       日本放送協会会
       長        海老沢勝二君
       日本放送協会専
       務理事・技師長  長谷川豊明君
       日本放送協会専
       務理事      松尾  武君
       日本放送協会理
       事        芳賀  譲君
       日本放送協会理
       事        板谷 駿一君
       日本放送協会理
       事        笠井 鉄夫君
       日本放送協会理
       事        山田 勝美君
       日本放送協会総
       合企画室[経営
       計画]局長    三枝  武君
       日本放送協会経
       理局長      加藤 陽三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表
 及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第
 百四十五回国会内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(齋藤勁君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨十七日、大沢辰美君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。
 また、本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(齋藤勁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、本日の委員会に郵政省放送行政局長金澤薫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(齋藤勁君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、本日の委員会に日本放送協会の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(齋藤勁君) 日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。八代郵政大臣。
#8
○国務大臣(八代英太君) ただいま議題とされました日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書について、その概略を御説明申し上げます。
 本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 平成九年度の貸借対照表の一般勘定については、平成十年三月三十一日現在、資産合計は六千百五十一億三千六百万円、負債合計は二千五百四十六億五千七百万円、資本合計は三千六百四億七千九百万円となっております。
 資産の内容は、流動資産一千六百十九億三千三百万円、固定資産四千三百二十六億四千百万円、特定資産二百五億六千万円であり、負債の内容は、流動負債一千六百三十億三千八百万円、固定負債九百十六億一千八百万円となっております。また、資本の内容は、資本三千六十五億七千六百万円、積立金四百四十五億五千万円、当期事業収支差金九十三億五千百万円となっております。
 また、受託業務等勘定については、資産合計、負債合計とも、九百万円となっております。
 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千二百十七億九千六百万円、経常事業支出は六千二十一億一千万円となっており、経常事業収支差金は百九十六億八千六百万円となっております。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は九十三億五千百万円となっております。
 また、受託業務等勘定については、経常事業収入は三億九千九百万円、経常事業支出は三億二千百万円となっており、経常事業収支差金は七千七百万円となります。これに経常事業外収支差金一千八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は五千八百万円となっております。
 以上につきまして、監事の意見書においては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認められております。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#9
○委員長(齋藤勁君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。海老沢日本放送協会会長。
#10
○参考人(海老沢勝二君) ただいま議題となっております日本放送協会の平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと六千百五十一億三千六百万円で、その内訳は、流動資産一千六百十九億三千三百万円、固定資産四千三百二十六億四千百万円、特定資産二百五億六千万円、このうち固定資産の内容は、建物一千二百四十億六千五百万円、土地二百八十六億六千三百万円、機械及び装置一千四百二億六千四百万円、放送衛星八十九億八千五百万円、その他の固定資産一千三百六億六千二百万円でございます。
 当年度末資産総額を前年度末と比較しますと、八十九億五千六百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく新放送施設の整備、番組制作設備の整備等によるものでございます。
 一方、これに対する負債総額は二千五百四十六億五千七百万円で、この内訳は、流動負債一千六百三十億三千八百万円、固定負債九百十六億一千八百万円、このうち固定負債の内容は、放送債券三百三十六億円、長期借入金二百六十四億二千八百万円、退職手当引当金二百七十一億九千万円、その他の固定負債四十四億円でございます。
 当年度末負債総額を前年度末と比較しますと、三億九千五百万円の減少となっておりますが、これは未払い金の減少等によるものでございます。
 また、資本総額は三千六百四億七千九百万円で、この内訳は、資本三千六十五億七千六百万円、積立金四百四十五億五千万円、当期事業収支差金九十三億五千百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し、九十三億五千百万円の増加となっております。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ九百万円でございます。
 次に、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は六千二百十七億九千六百万円で、前年度と比較し、二百五十六億四百万円の増加となりました。これは主として、受信契約の維持、増加に努めた結果によるものでございます。
 なお、有料受信契約件数は、四十五万件増加し、当年度末には三千五百二十四万件となりました。
 次に、経常事業支出は六千二十一億一千万円で、この内訳は、国内放送費二千四百三十二億八百万円、国際放送費六十七億五千六百万円、契約収納費五百六十九億一千六百万円、受信対策費二十億一千二百万円、広報費二十八億八千四百万円、調査研究費八十億二百万円、給与一千四百七十一億一千三百万円、退職手当・厚生費四百九十四億七千五百万円、一般管理費百四十二億七千万円、減価償却費五百四十四億四百万円、未収受信料欠損償却費百七十億六千六百万円となっております。
 これは、前年度と比較し百三十二億八百万円の増加となりましたが、主として放送番組の充実に伴う事業運営費の増加等によるものでございます。
 以上の結果、経常事業収支差金は百九十六億八千六百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は九十三億五千百万円となりました。
 なお、当期事業収支差金については、全額、事業収支剰余金として翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 次に、受託業務等勘定の経常事業収入は三億九千九百万円で、経常事業支出は三億二千百万円となりました。
 その結果、経常事業収支差金は七千七百万円となり、これに経常事業外収支差金一千八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は五千八百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#11
○委員長(齋藤勁君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。増田会計検査院第四局長。
#12
○説明員(増田裕夫君) 日本放送協会の平成九年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
 同協会の平成九年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成十年六月十二日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年十二月四日内閣に回付いたしました。
 同協会の九年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
#13
○委員長(齋藤勁君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次発言を願います。
#14
○山内俊夫君 私は、自由民主党の山内俊夫でございます。
 きょうは、八代郵政大臣並びにまたNHK会長、お出ましをいただきましてありがとうございました。
 きょう私の質問は、ちょうど三十分ずつ、この次に岩城委員が控えておりますので、私の質問はNHKだけに限らさせていただきます。郵政大臣については御容赦のほどお願いを申し上げたいと思います。
 今回、決算ということで、私も昨年こちらへ出てまいりまして委員会に入らせていただいたのですが、いきなり決算を、それなりに意見もあったんですが、なかなか意見を申すことができませんでした。今回、一番バッターをやらせていただきます。
 特にNHKにおかれましては、一九九六年だろうと思うんですが、行革委員会の方から有料化というような方針の答申が出たと思うんですが、それに対して筆坂委員が前回、昨年の十月一日の委員会で、財政的な自立を図っていくというところに受信料制度のよさがある、まさにNHKというのはそこらあたりでNHKらしさがあるんじゃないかという質問に対して、会長は、NHKは国民のための放送局であるから受信料制度を堅持していきたいという答えを出されております。私も全く同感でございまして、NHKらしさ、やはり国民の公平さ、いろんな意味から私はNHKは受信料制度でいってほしいなと思って、そういった背景のもとに今回質問をさせていただきます。
 受信料制度で今後やっていくとなったら、どうしても受信料の値上げとか、健全経営をやっていくためにはいろんな問題点が出てきます。例えば収納率のアップとか受信料のアップとかいろんな問題がその都度出てくるかと思うんですが、今回、受信契約に関して少し質問をさせていただきたいんです。
 特に、最近BS1、BS2という衛星を使った放送が大変伸びてきておりまして、その中で衛星契約の比率が大変高くなってきております。カラー契約全般からいきますと、平成二年度が大体二千九百十万件ぐらいだったと思うんですが、平成九年度二千五百八十万件と、約三百三十万件ぐらいダウンをしております。けれども、衛星に関してはこの間ほぼ六百四、五十万件伸びてきておりまして、受信料も千円ぐらい高いわけでございますから、当然収入的には安定をしてくるということで、この衛星契約、カラー契約、この方面について今後の展望、考え方、NHKのあり方というものをお聞かせいただけたらと思うんです。
#15
○参考人(海老沢勝二君) 今先生の御指摘のように、私ども、視聴者、国民の立場に立って放送するということで、受信料制度は我々の基本をなすものだろうということで、公平負担ということでいろいろ努力しているというところでございます。
 おかげさまで、こういう経済が不況の中でも、私どもの受信契約は順調に伸びるといいますか、年平均二%の割合で伸びております。これは我々に対する国民の信頼がそうさせるものと私思っておりますが、それと同時に、今衛星放送の方が年間百万世帯ぐらいずつふえております。そういう中で、私どもできるだけ多くの契約を結ぶということで努力しておりますが、残念ながら今全体の七六%にとどまっております。そういう中で、今衛星がNHKの新しい財源として、我々はこれをさらに向上させようと今思っているところであります。したがって、地上波と衛星波、いわゆる総合力といいますか、一緒になったものをふやしていけばNHKの収入も伸びていく、そういう構図になっております。
 いずれにしても、こういう厳しい経済情勢の中でこれを維持していくというのには、我々のさらなる努力が必要だろうと思っております。
#16
○山内俊夫君 衛星放送の受信が伸びれば当然健全経営に寄与していくということになろうと思います。今の報告でもそのようにお聞きをいたしておりますけれども、実は最近、衛星事業の収入等、これは平成四年度にほぼ四百六十億、平成九年には八百八十億で約四百二十億ぐらい伸ばしてきております。
 ところが、平成四年には約七百万件の機材等、これはNHKの推計数字だと思うんですが、受信機材の件数があるんですが、それに対して受信契約は実は五百万件だったんですね。ですから、約二百万ぐらい少ない。今度平成九年になってきますと、機材は千二百九十万ぐらい出ているということで、これもあくまでも推計ですが、それに対して契約が八百七十万件ですね。ですから三百六十万件、このように少し差が拡大してきておるかなと思うんですが、これに対して、なぜこんなに差が出てきたのかなと。いろんな要素はあろうかと思うんですけれども、簡潔にお答えいただけたらと思うんです。
#17
○参考人(芳賀譲君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、当初は普及がありますと一年おくれぐらいでその普及数についての契約はとれてきていましたけれども、年々普及をしてから契約に至るまでの時間差が生じてきておりまして、十年度で申し上げますと、私どもは普及は千三百二十七万と、こういうふうに思っています。ただ、無料対象もございますから、有料対象で申し上げれば一千二百四十一万かなと、こう思っております。これに対して契約が九百四十三万で、先ほど会長が申し上げましたとおり、契約率七六%であります。
 この普及と契約の乖離でございますが、最近はケーブルを通じてごらんになったり、それからマンション等で共同受信でごらんになる、この方々につきましてはアンテナを発見するということが大変難しゅうございますから、そのまず発見把握に時間がかかっております。この乖離のおよそ五三%はこういうことで発見ができていないものでございます。
 そのほか、生活時間帯等々が多様になってまいりまして、お客さんになかなかお会いすることが難しゅうございます。これが四割ぐらいございます。そういうものに面接をし契約に至る、ここの時間が相当要しているということでございます。
 これに対して私どもは、夜間、休日訪問をしていく、それからケーブルテレビの事業者の方に取り次ぎをお願いするとか、あるいは電気店のところで受信機を販売する時点で契約をお取り次ぎいただくとか、そういうふうな措置も講じます。それからまた、フリーダイヤル等でお客様の受信申し出、このこともお願いをする。こういうことで契約の促進に努めてきているところでございます。
 今後とも、公共放送受信料制度のPR、理解促進をいたしますとともに、さらにケーブル事業者あるいは電気店につきましても協力をいただくということを進めてまいりたいというふうに思いますし、今後デジタル技術を活用しましてお客さんの発見、把握に時間差をできるだけなくしてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
#18
○山内俊夫君 ありがとうございました。
 その発見に努めていくということに関して、多分訪問集金という人たちもかなり寄与されておるだろうと思うんですね。ただ、訪問集金という場合は、これは非常に人件費がかかってくるやに私は聞いておりますし、訪問集金の現在の状況を少しお知らせいただけたらと思うんです。といいますのは、やはり口座振替というのは、今もお話がありましたように、大変便利な制度でありますし、非常にコストが安くなってくるということもありますので、訪問集金の現況に関して少しデータ等々御説明あればと思うんですが。
#19
○参考人(芳賀譲君) 今の訪問集金は、シェアで申しますとお客様のうちの一三・五%のお客さんに対して訪問集金を実施しております。これにかかる経費は、およそ九十三億円ほどかかっておりまして、集金額が九百五十二億でございますから、その割合でいいますと約一〇%ということになります。口座でやる場合は大体七%ぐらいで済んでおりますから、この差は三%出ております。
 これは、口座のお客さんが多くなるにつれまして訪問集金のお客さんが点在化をすることになります。それから、口座にならないお客さんの大半が、単身の方々とかそれから共稼ぎの方々など、生活時間が不規則な方が多うございまして、したがいまして面接に大変手間暇がかかる、繰り返し訪問する必要がありまして。こういう理由で集金活動の効率が低下をしているということになります。
 したがいまして、先生御指摘のとおり、今後、口座振替とか継続振込というのをやっておるんですが、こういう間接化、これを高めていく必要があろうかと思いまして、最大限努力をしてまいります。
#20
○山内俊夫君 今御説明ありましたように、確かに口座振替というのは非常に効率がいいということ、また継続性も出てくるということで、これはもうひとえに受信料金の値上げ阻止に大変役立っていると私は思っております。そういった意味からも大いに進めていただきたい。
 そして、口座振替というのは、平成三年度ですが、ほぼ七八・五%ですね。十年度が大体八三%までアップしてきておりますが、この場合、これを促進するということについてはいろんな要素があろうと思うんですね、割引率を高くしてやるとか。先ほど説明ありましたようにケーブル業者に代行していただく、それとかマンション等に戸数に対してもう一括契約する。それに対する割引率が大変寄与してくるんではないかなと思うんですが、その割引率に対する考え方というもの、将来的な考え方をちょっとお聞かせいただけたらと思うんです。
#21
○参考人(芳賀譲君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、この口座利用者に対する割引が口座利用率を高めるのに大変大きな貢献をしてきたことは事実でございます。そのことによって安定した受信料の収納あるいは効率的な収納が可能になってきております。
 口座に対する割引をつくりましたのは、実は昭和五十九年でございまして、お客さん一人当たり月額五十円安くするということで現在まで至っております。そして、先生御指摘のとおり、現在は口座を利用しているお客さんは八三%ということになりまして、NTTあるいは東京電力の口座利用率を上回るところまでまいっております。
 しかしながら、最近、これが高率になってくればくるほど、さらに高率にすることが大変難しくなってきているなということが実感でございます。私どもとしては、新しい御契約をいただくときには必ず口座にしていただけませんかというお勧めをしておりますし、その際残念ながら御理解いただけなかったお客さんに対しては、文書あるいは電話でもさらにお願いをしていくというようなこともやりまして、口座振替の利用拡大に努力しているところであります。
 その際、さらに割引額を拡大することによって利用者の増加を促進するということは大変魅力的な施策の一つであるというふうに考えておりますが、一方で、この一人当たり月額五十円の割引額ということによる減収額が大変多くなっておりまして、平成十年度決算で見ますと約百七十六億円減収ということになります。したがいまして、今後、デジタル時代に備えまして財政を安定化させていくということと同時に、この割引による減収額が受信料収入にどれだけの影響を与えるのかをさらに十分に検討して慎重に判断していきたい、こういうふうに考えているところであります。
#22
○山内俊夫君 確かに百七十六億円というのは大きな数字だろうと思いますけれども、今後、先ほど話がありましたように、やっぱりBS放送等々の契約が伸びてくればかなり売り上げ増も見込めるということもございますので、ぜひそのあたりのケースバランスをうまく見ながら、できるだけ割引率を高めてほしいなと思うところであります。
 二つ目の大きな質問に、実は私、前回NHKさんに質問させていただいた中で副次収入のあり方ということを少し質問させていただいたんです。それで、副次収入というのは、私はNHKが持っている技術とかノウハウ、そういったものをできるだけお金にかえられるようなものにしたらどうかというような質問をさせていただきました。
 実は先般、NHKの研究所の起工式にもお邪魔させていただいて、そのときに内部を見学させていただいたんですが、立体映像とかデジタル映像の大変進んだ技術、これは私、NHKが持っているすばらしいノウハウだろうと思います。また、特に高い技術は、これはもう世界的にもトップクラスじゃないかなと思っております。そういった意味で、この研究所が早く完成して、なおより技術力を高めてほしい。
 けれども、それには大変なお金がかかる。だから、そのお金がかかることを、今まで清貧の思想は確かにいいというような話がありました。ですから、一般国民からいただいているお金で、できるだけ安く、なおかついいものを提供しようという思想は私は大変すばらしいことだなと理解しているんですが、こういった時期において、社会経済、または非常に多様化して複雑化してきた今日において、私はNHKが持っている技術、NHKが持っているノウハウというのはある程度遠慮なく、ビジネスに行き過ぎてはいけませんけれども、NHKらしさを確保しながら少し収入増を図っていく。そのために副次収入というのは大変大きなウエートを占めてくるかと思うんです。
 去年質問させていただいたときは約六十六億円というお金だったんですが、今回データを見させていただきますと八十一億円という副次収入が上がっておりますが、これはまだ平成九年度ですから、十年度には例の「だんご三兄弟」があって、これだけで多分十億ぐらい入っているだろうと思いますけれども、それがしょっちゅうというわけにはいきません。それより、もっと技術を高め、その技術を副次収入につなげていきたいというような私も希望をしているわけなんですが、この副次収入の内訳というのを少しお知らせいただけませんでしょうか。
#23
○参考人(長谷川豊明君) お答えいたします。
 平成九年度のNHK全体の副次収入は、ただいま先生がお話しになったように、八十一・四億ということでございます。その中で、特に先生御関心のある技術関係の副次収入は幾らかということの御質問だと思いますが、それは九年度は全体で三・一億でございます。
 さらに、その内訳を申し上げますと、技術協力費と言っておりますけれども、これは衛星放送の技術を外部に協力している、そういうものに伴う協力費でございますが、それがそういう衛星関係を含めまして一・六億、それからハイビジョン受信機などほかの特許による収入が一・五億、合計で先ほど申し上げました三・一億が技術関係の副次収入という数字になっております。
#24
○山内俊夫君 ありがとうございます。
 そうなんですね、結構いい技術を持っているし、特に特許なんか見させていただきますと、一千四百三十九件今NHKが保有していますね。平均すると年間大体二百件ずつ特許を取得いたしておりますが、比較的その割には余り収入がないなという気がいたします。
 このあたり、もう少しNHKが持っている技術の活用という観点、そして副次収入を上げるという観点、それでなおかつ受信料を極力抑えていくという観点から、活用の方法というんですか、今後の特許のあり方について少し御回答いただけたらと思います。
#25
○参考人(長谷川豊明君) まことに収入としては少ないのではないかということで御指摘でございます。
 私どもも同感でございまして、特に最近になりましてこの特許収入についての企業及び国の関心が高まっております。例えば、国におきましても、国公立大学の特許をある機関をつくってそれを活用して収入を得るというような、そういうシステムも昨年度でき上がったところでございます。そういう環境下におきまして、私どもNHKとしても、今持っている特許をできるだけ提供し、それで副次収入を得るということに施策を強めなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
 具体的には、デジタル化に向かいまして私どもの開発いたしましたPDP、壁かけテレビでございますけれども、こういうものや、BSなり地上のデジタル放送がこれから始まりますけれども、その関係の技術、そういうものについて一部特許を持っておりますので、そういうものを提供して副次収入を得ていきたいというふうに考えております。
 また、先ほど申し上げました国公立大学における技術移転の機関がございますけれども、そういう機関を通して特許を提供しているわけでございますけれども、私どもNHKとしては、そういう機関としてNHKエンジニアリングサービスという公益法人を持っております。その機関は、NHKの技術の持っているノウハウを世の中に提供して副次収入を得るという活動が主な活動でございます。こういう機関の活動もこれからも強めて副次収入の増大に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
#26
○参考人(海老沢勝二君) 先生御指摘のように、もっとNHKは技術の特許料で収入を上げたらどうだという意見、私も多くの方からそういう意見を賜っております。
 私どもはこれまで、御承知のように受信料という視聴者、国民からの負担によって成り立っているわけでありますから、受像機、いわゆるテレビの受像機とか放送機器を普及させるという普及の方に重点を置きまして、できるだけ普及するために特許を取らないで技術移転していく、そういう方針をこれまでとってきました。
 そういう中で、今アメリカ等でも特許の問題が非常に大きくクローズアップされております。そういう面で、私ども今、技師長が説明しましたように、こういう特許をどういうふうに活用していくか、これから具体的にさらに検討させていきたいと思っております。
#27
○山内俊夫君 今御説明いただきましたように、やはり特許の活用という観点でもう一度しっかりと見直していただきたい。
 なぜそれを言うかといいますと、やはりNHKの技術というのはもっともっといいものが私はあると思います。それを拡大、拡張していくためにどうしてもお金というのは要りますから、NHKの技術開発というのは私は本当に期待をしておるところでございますので、これに関してはNHKの考え方を聞かなくて結構でございます。ぜひ私の方からも要望しておきたいと思っております。
 それでは、余り時間がございませんので、大きな三番目の問題を質問させていただきます。
 まず、ちょうどこの時期になってきますと、我々が大変楽しみなのはNHKの「紅白歌合戦」でございます。これはNHKの最大の国民的行事に私はなってきているかなと思います。私も二十年、三十年前、毎年紅白を見るのがまず第一の楽しみだったということで、特にことしは二〇〇〇年問題を間近に控えた、十一時四十五分に終わるかとは思うんですが、多少ことしはどうも十二時ぎりぎりまで何かメニューをつくられているようで、大変ことしの紅白も注目を浴びていると聞いております。
 ただ、最近少し視聴率が低下をしてきておる、全体的にしてきているんじゃないか。その陰りの原因としては、視聴者の多様化という問題もあろうと思います。それと、他局もNHKを何とか駆逐しようということで、頑張ろうということで大変力を入れた番組がふえてきておりますし、少しまた内容もマンネリ化も見られるんではないかなという気がするわけですが、ちょっと最近の視聴率の推移というのをお知らせいただけたらと思うんです。
#28
○参考人(松尾武君) 先生御指摘のように、平成からやや下降化現象というのが見えました。ところが前年、昨年でございますが、平成から一部、二部構成にしておりますけれども、それの最大の視聴率をとりました。ちなみに五七・二%でございます。国民の六割ぐらいから七割近くが楽しんでおるということになるわけで、ある意味では紅白に対するさらなる期待がまた深まってきたというふうに認識をしております。
 したがって、今年は五十回を迎えるわけでもありますので、五十回を迎えますので特大紅白ということで七時半から十一時四十五分まで長時間にわたる紅白をしたい。現在、時代のニーズに合った形での新しいあり方というものを検討しております。
 以上でございます。
#29
○山内俊夫君 私は少しマンネリ化があるかなという質問をさせていただいたんですが、確かに多様化で、国民も少し飽きてきたのかなという気配はあったんですが、その年によって多少いろんな工夫によってカバーされているというようにお聞きいたしました。
 私が考えますのに、出演者の歌手、この出演決定、このプロセスについて余り我々一般国民はわかっていないんですが、その決定に至るまでのプロセスというのは大体、アバウトでも結構ですが、どういうシステムで決定をされているのか、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。
#30
○参考人(松尾武君) 簡単に申し上げまして、まず第一に、NHKの放送文化研究所が無作為に全国三千六百人の人々からアンケートをとります。これは曲と人でございます。それからもう一つは、各地方局にお願いをいたしまして一万人アンケートというのを実施しております。これは各地方局ごとに、大体五十局ございますので、二百人ずつアンケート用紙に記入をしていただくということで、まずトータルなアンケートが手元に入ってまいります。その上に、これは全国のCDとかカセット売り上げとか有線放送のランクとか、それからカラオケのリクエスト、これが全部データで毎月出ております。場合によっては週で出ているのもあります。そういうのを最終的に平均化いたしまして、それとNHKに対する貢献度、それから御本人が出る出ないということがありますので、今ポップス系は大変にテレビに出ない出演者もおります、そういうものを除外しながら決めていくということでございます。
#31
○山内俊夫君 私の持ち時間がほぼ到達をいたしましたので、余り詳しく説明を求めるわけにはいきませんけれども、確かに今放送文化研究所のアンケートとか一万人アンケートとかという形でそれなりのベースは決められているというのはわかりました。
 ただ、例えばこういうアンケートを受けた人はわかるんです、私のところにことしアンケートが来たなというのでわかるんですが、国民が、じゃ、どこで決めているんだろう、どういう形で決まっているんだろう、私も何か参加したいねと。最近の国民というのは参加意識が大変強いものですから、いろんなイベントをやりましても、必ず参加意識を、どう参加させるかというようなことをよく言われるんですが、これは最後に、もうお答えは結構でございます、ちょっと時間がオーバーしてまいりましたので。
 提案的な形でお願いしたいのは、プロ野球もオールスターなんかは投票しておりますね。ずっとアプローチを公表しながら、新聞等々で発表しながらそれなりに盛り上げていく。これも一つの手法なんですが、NHKは非常に地味なものですから、そのあたり国民に対して、官製はがきじゃ、これ買い占めして、出たいプロダクションが、銭を持っているところががばっと集めて投票するとそれがぐっと上ってしまうので、そのあたりの細かいやり方はいろいろあると思うんですが、何か国民に対してアプローチをかけるという方法論、これをぜひ考えていただけたらと思うわけでございます。これは要望にとどめておきます、私の時間が一分ばかりオーバーしてまいりましたので、岩城先生に迷惑をかけちゃいけませんから。
 ことしの紅白は二〇〇〇年問題を抱えております。これも多分紅白の中でもいろいろ話題にもなるかと思いますが、東京都内は何か数十万人の方々が、関係者が宿泊をしているということで、これも経済活性化の一つになっているんではないか。東京のホテルは全く今とれない状況になっておりますが、ぜひNHKにはことし紅白を頑張っていただいて、すばらしいNHKになっていくことを私も期待いたしまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#32
○岩城光英君 私は、これまで二回NHKに対する質問をいたしました。いずれも地域に身近な放送の充実、これを主なテーマとして質問させていただきました。
 現在、全国の市町村がそれぞれ個性と魅力あふれる地域づくりのためにそういう工夫を重ねております。そうした中、地域文化の承継や創造あるいは地域からの情報発信、こういったことに放送メディアの果たす、特にNHKの役割は大きいものと重ねて申し上げさせていただきます。
 本年四月から、NHKが全国八つのブロック別に、午後五時台でありましょうか、生放送の地域情報番組を一斉にスタートさせました。各ブロックとも地域の密着を目指した手づくりの地域情報番組に工夫を凝らしていることを評価したいと思っております。
 そこで、今後も地域放送のさらなる充実に向けてどのようにお取り組みになるのか、まずお伺いをいたします。
 あわせて、関連することだと思いますが、NHKは放送七十五周年、これを記念しまして「二十一世紀にのこしたいふるさと日本のことば」事業に取り組んでおられます。これもとてもいい企画だなと、こんなふうに受けとめております。子どもたちがおじいさんあるいはおばあさんからいろんな話を聞くことは、地域の文化を見つめ直すなど意義のあることだと思っております。
 私も、市長時代に「市民が学校にやってきた」、こういうタイトルのもと、その地域のおじいさん、おばあさんに学校においでいただきまして、子どもたちに直接昔話やその地域に伝わる伝統芸能あるいは遊び等、そういったものを教えていただく機会をつくりました。核家族化が進み、また世代間の対話、こういったものが少なくなっている現在、非常に大切なことだと思っております。
 特に若い世代にありましては、方言とかふるさとの言葉を話すことを恥ずかしがる、そういった傾向がありますけれども、私はそうであってはいけないと思っております。自分のふるさとの言葉に胸を張ってほしい、こう考えております。ふるさとに誇りを持つということは、そのふるさとの発展の原動力になるわけでありますし、その前提になりますのがその地域に伝わる歴史、伝統、文化、そういったものを正しく理解することだと思っております。
 そういった意味で、この企画が単なるお国言葉の記録にとどまらないで、日本語の研究にも役立つようなすばらしい事業であってほしい、こう願っておりますが、現在、どのような進捗状況でありましょうか。また、これからこのデータをどのように活用されていくお考えなのか、お伺いをいたします。
#33
○参考人(松尾武君) 地域放送の充実ということは御指摘ごもっともであります。
 我々も、以前はややもすればやや中央集権的な要素というのが大変強かった時代もございます。しかしながら、今日、地域の自主性というものをおもんぱかりまして、できるだけ地域の局長が独自で番組をつくっていくということを積極的に行っております。したがって、五時台、六時台は地域の時間として各放送局がその地域の事情に従って制作をしてくださいということで、東京は首都圏ということを含めて情報の時間帯として放送しております。
 したがって、今後とも、地域については地域の事情に応じてさらなる努力を続けていけるような、言ってみれば時刻表をつくっておきたいというふうに思っております。
 それから、二点目のお国言葉でございますが、ことしはそれを収集するということに努力をいたしました。全部で三万六千語のデータが蓄積できました。これは、お年寄りの方々にじかにしゃべっていただいて、言葉というのは生きておりますので、ただ記録にとどめるだけじゃなくて、しゃべっていただいてそれを収録するということも含めての作業でございます。
 ことしで大体各地域基本的なところは終わりましたので、来年度これを番組化するということで、教育テレビの中に一こま、三十分ぐらいがいいと思いますが時間帯を設けて、それを一年間かけて各地域の特色あるお国言葉というものを紹介していきたい。
 それは、今は点の作業になっていますので、今度はそれを線に変えていきたい。言葉の変化というのは必ずあるわけで、それは昔のルーツみたいなもの、民族の移動みたいなもの、そういうものが大きな意味を持ってまいります。したがって、将来的には、点で持ったそういう一つの素材を今度は線に置きかえていく。例えば「ありがとう」というのはどういう系列下でどういうふうに発展して変化しているのかというようなことに結びつけて、さらなる言葉についての研究をしていきたいというふうに現在は思っております。
 以上でございます。
#34
○岩城光英君 いい事業ですので、ぜひとも成果が上がるように期待をしております。
 次は、子供たちのために良質な番組を提供してほしい、こういった観点からの質問をさせていただきます。
 いじめとか不登校とか子供たちをめぐるさまざまな問題がございます。健やかに子供たちに育ってほしいというのは私どもの共通の願いだと思います。
 ところで、先般、赤坂の劇場で「友情」という舞台を見ました。私も初めから終わりまで涙をこらえるのに苦労をいたしました。読売新聞の「編集手帳」に次のような内容の記事が載っております。
  白血病に侵された中学生の少女と、その同級生たちを描いた舞台「友情」を見た。二時間余の上演中、客席では鼻をすする音の途切れることがなかった。
  抗がん剤で頭髪を失った少女に同級生たちが示した友情、それは同じように頭をツルツルにしてしまうことだった。そんなストーリーを演じるため、出演者全員、本当に頭を丸めている。
  東京・赤坂のシアターの客席は二百席に足らない。みずみずしい坊主頭から彼らの意気込みがよく伝わってくる。テーマは重く胸に沈むが、同時に、いい涙を流したというそう快さも残った。
 その後は省略させていただきますが、何でこんな話をさせていただいたかと申しますと、一昨日、今ちょっと席を外されていますが、岩本委員の質疑の中で、視覚とか聴覚とかそれから五感、そういった話題になりました。対面の論理とかいう話もありました。ただあいさつするよりは握手をした方がより印象に残るとか、そういった内容の質疑が質疑の中であったわけであります。つまり、本で読むよりも生の舞台を見た方が強い印象に残ります。
 そういう意味で、テレビが子供たちに与える影響というのはすごく大きいんだと私は思っております。自分の子供を見ましても、幼児のころですが、いっぱしの大人びた口をきいたり、それからいろんな物事を知っているのは、これはよい悪いは別にしましてもテレビから学んでいることが大きいものだと、こんなふうに思っておりました。新聞や本なら自分から能動的に読もうとしなければ読めないわけでありますが、テレビの場合、どうしても受け身で、それでストレートにさまざまなものが入ってまいるわけであります。
 私が子供のころ、今、大相撲が中継されておりますが、大相撲が終わった後だと思いますから六時ごろだったと思いますが、いろんないいドラマがあったように記憶をしております。今でもさまざまな主題歌が頭の中に浮かんでくるときもあります。例えば、「ホームラン教室」というのがありました。子供たちが野球を通して友情の大切さを学んでいく、そんな内容のドラマだったかと思います。もう一つは「ポンポン大将」。これは「ポンポン大将」という主題歌なんですが、タイトルは違うかもわかりませんけれども、焼き玉エンジンの船の船長さん、これを桂小金治さんが演じていた下町の人情話でありました。こういったものを、私どもは夕食を食べながら家族でそのドラマを見、そしてドラマが終わった後いろんな話し合いをしたものです。
 NHKでは、現在は教育テレビで子供向けの番組、「少年少女アワー」として午後六時から七時十分までの間、集中的に番組を編成して放送しているようでありますが、私は、全国の子供たちがその時間になりますと必ずテレビの前に集まって、そしてテレビの前に座ってそのドラマとかいい番組を見、次の日学校の教室でいろんなことを話し合う、そういういいドラマなど、子供たちに感動を与えてくれるような、そういう番組をNHKさんにつくっていただくようより積極的に取り組んでいただきたい、こう願っておりますが、いかがでしょうか。
#35
○参考人(海老沢勝二君) やはり青少年の健全な育成といいますか、これはもう永遠の課題であります。数年前、青少年の犯罪が非常に多発しました。そういうことで、私ども去年の初めから局内に少年少女プロジェクトという組織をつくりまして、これからやはり質のいい少年少女向けの番組をどうつくるかということで大分議論をし、そしてこれまで教育テレビを中心にいろんな番組を少年少女向けのをつくってまいりました。
 ことしの四月から、少年少女「ドラマ愛の詩」というタイトルで毎週土曜日六時から、今「ズッコケ三人組」というパートツーにこれはなりましたけれども、そういう面で現代の少年少女たちが関心を持つようなドラマをつくって好評を得ております。
 いずれにしても、二十一世紀を担うのは今の子供たちでありますから、そういう面で、先生御指摘のように、みんながテレビの前でそれを見、話題にするようなものということで今いろんな番組の開発も急いでおります。十二年度の番組編成を今考えております。そういう中で、一層そういう少年少女向けの質のいい番組の制作ということでいろいろ検討を進めております。
 いずれにしても、私ども教育放送、ことし四十周年を迎えたわけでありますので、それをきっかけに、今改めてそういう少年少女向けの番組開発ということを進めているということを御了解願いたいと思います。
#36
○岩城光英君 ぜひともそういった方向でこれから取り組んでいただきたいと思っております。
 八代大臣、今のお話、私自分の気持ちを申し上げましたが、大臣はどのようにお受けとめになりますでしょうか。
#37
○国務大臣(八代英太君) 今委員から「友情」の舞台のお話が御披露されましたが、私、見てはおりませんでコメントはできないわけですけれども、恐らく感動の舞台であったろうと思います。そういう良質の舞台であれ、あるいはまた放送であれ、あるいはいろんな意味におけるものがいかに青少年に多大な影響を与えるか、また、そういうものの大切さというものを私たちもひしひしと感じております。
 ちょうど一回り年代が違うものですから、私どもの小さいころは、「君の名は」というラジオで一週間毎日が落ちつかなかったというようなことがあります。これは私たちとは年齢が違って、兄や姉たちの問題。私たちは、「笛吹童子」とか「鐘の鳴る丘」とか、こういうようなものを聞きながら感動したり、あるいは朝の「尋ね人の時間」ということで、満州で行方不明になった方々をNHKが呼びかけたとか、そういう戦後のいろいろなものの中にラジオというものの役割も大きかったと思います。
 テレビはまた、一方通行の対話、会話ということになりますので、ラジオの場合は一つの想像ができますけれども、テレビはそこに画面と相対する中に、しかも暮らしの中でだんだん大きくそのウエートを占めておるだけに、青少年向けの放送に関するいろんな調査研究も活発に行われているようですが、郵政省でも、昨年五月から青少年と放送に関する調査研究会を開催いたしまして、昨年十二月に青少年向けの放送番組の充実等の提言を受けております。
 この提言に基づいた具体的方策を検討するために、放送事業者と共同で青少年と放送に関する専門家会合というものを開催いたしまして、一つは、青少年向けの放送番組を充実する、一週間に最低三時間ぐらいはやってほしい。それから、青少年に配慮する時間帯、先ほど来午後五時から九時までという話がありましたが、まさにそこは一家団らんで、三十分のテレビよりも五分の会話という話もありますけれども、そういうことに向ける努力も必要でしょう。あるいはまた、視聴者も率直な意見を述べて、やはり視聴者がすべて番組を、コンシューマーズモニター制度のようなものも最近各局でも持っておりますから、そういう意味でもいろんな充実の仕方はあるだろうと思いますし、そういうものに対しまして私たちも一生懸命やることが大切だと。そのくらいやはり青少年向けに各放送事業者が真剣に考えていくときではないかな、そんな思いがするところでございます。
#38
○岩城光英君 ありがとうございました。
 胸がわくわくするような、そして次回が楽しみだという番組づくりに努力をしていただきたいと思っております。
 ところで、子供たちに夢あるいは感動を与えるという点ではスポーツも全く同じものを持っていると私は思っております。そのスポーツの一つでありますサッカーのワールドカップの放送権について、この問題について質問させていただきます。
 ワールドカップ日韓大会がおよそ二年後に近づいてきておりまして、世界有数のスポーツイベントを間近で見ることができるということで、国民が大いに期待をしているわけであります。そんな折、先般のABU、アジア・太平洋放送連合総会におきましてワールドカップの放送権料問題が議論を呼んだと、このように伺っております。
 国際サッカー連盟から権利を落札したヨーロッパのメディアグループが、これまでにない高い値段、一大会当たり約三百億円という法外な値段を各国の放送機関に提示しているということでありまして、ABU加盟のアジア各国はほとんどが契約できない状況でありました。また、日本としてもかなり厳しい状況にあると聞いております。
 日韓共同開催という歴史的にも非常に意義のある大会でありまして、ぜひとも国民一体となっての盛り上がりのもと成功に導きたいと私も願っておりますが、やはりそのためにはテレビでの放送はぜひとも行ってほしい、こんなふうに考えております。
 交渉事でありますので公にできない部分もあろうかと思いますが、その後の交渉の状況はどのようになっていますのか、お伺いしたいと存じます。
#39
○参考人(海老沢勝二君) 二〇〇二年の日韓共同主催によりますワールドカップサッカーの放送権料の問題でありますが、まず日本の状況を御説明し、その後ABU関係のことを説明させてもらいます。
 御承知のように、日本はこれまでNHKが独占的に放送連合の一員として放送してまいりました。今度の二〇〇二年は日韓共同主催ということで非常に民放各社も放送したいという意向がありましたので、オリンピックと同じようにジャパン・プールといいますか、ジャパン・コンソーシアムということで、NHKと民放五社、合わせて六者でそういうコンソーシアムをつくりました。窓口を日本は一本化して交渉に当たろうと。つまり、放送権料の高騰を防ごうということでそういうプールをつくりました。
 それに対して、放送権利を取得しましたいわゆるスポーツマーケティングのISLというスイスに本社がある会社の方から、非公式ながら去年の十一月に、期待値といいますか、こういうことを期待しているという、全くこれは表に出さないといいますか、非公式ということで出ました金額が、二〇〇二年の大会と二〇〇六年の大会、合わせて二つの大会で一緒に契約を結びたいと、その金額は、六億五千万スイス・フランといいますると、一スイス・フランが八十五円と換算しますと五百五十億ぐらいになります。それにサッカーの場合は源泉徴収税といいますか、税金が一割かかってまいります。そうしますと、六百億ということとしますと、今先生がおっしゃられるように二〇〇二年だけで三百億という金額になるわけです。
 御承知のように、来年オーストラリアのシドニーで開かれますオリンピック、これがジャパン・コンソーシアムが、我々が契約したのが一億三千五百万ドルでございます。大体日本円にして、百十円として百五十億円になります。これの倍になるという金額であります。
 ちなみに、去年のフランスでのワールドカップサッカーは、NHKが支払ったのが日本円で五億五千万です。ですから、ざっと五十倍以上の値段ということでありますので、我々とてもそういう金額では話にならないという態度を示してきました。
 これに対してISLの方は、それならばこの話はなかったこととする、今後日本のコンソーシアムとは交渉しないという態度を示して、その後交渉は一度も開かれておりません。その間、ISLの株主になっております電通の方から仲介の労をとるというような話がありましたけれども、私どもの方は今静観しているという態度でございます。
 一方、今度の十一月の初めに開かれましたシドニーでのABU総会、いわゆるアジア・太平洋放送連合、これは五十一の国と地域から百二の放送機関が加盟しておる放送連合であります。もう三十六回目になった歴史を持った団体でありますが、その中で、アジア各国、中近東を含めて、放送権料はどうなっているんだという質問がスポーツ委員会あるいは番組委員会、理事会、総会等でも相次いで出ました。
 といいますのは、これまでABUが代表して放送権をとっていたところが、今度の交渉ではISLの方、いわゆるマーケティング会社の方はABUとは交渉しないということで交渉を拒否しております。各放送局ごとに交渉するんだ、個別交渉するんだという姿勢を示して、今それぞれの放送機関にいろいろ打診をしているというのが現状であります。
 それを見ますと、日本でもありましたように、これまでの放送権料のやはり数十倍という値段を言っております。といいますのは、三年前の入札で四つのグループが競争入札してこのISLグループが取得したわけですが、それがこれまでの十倍の値段で落札しております。そういう関係で、やはり十倍以上の値を言ってきているというのが現状であります。
 これに対してアジア各国の方では、非常に高い放送権料ではそれは負担できない、いわゆる放送できないというので、ABUが総体としてFIFA、国際サッカー連盟にいろいろ異議を申し立ててほしい、何らかのアクションをしてもらいたいという意見が出て、私、ABUの会長でありますので、私の方からFIFAのブラッター会長あてに書簡を送りました。
 FIFAは、御承知のようにすべての国のあらゆる人たちがサッカーが見られるようにというのがもう大前提でありますし、サッカーの普及が憲章にもありますので、そういう面でブラッター会長に対して私の名前で、アジアの多くの人たちが軽い負担、安い負担で一般放送、いわゆる有料放送でないこれまでの放送で見られるようにしてもらいたい、これはアジアで初めての大会でありますし、サッカーの普及という意味合いからもそれに御尽力をお願いしたいという文章をおととい、十六日付でクアラルンプールにあります事務当局の方からブラッター会長の方に内容証明つきで郵送したということであります。
 そういう中で、今ヨーロッパ、南米、いわゆるサッカーが非常に盛んな国では一、二交渉がまとまったということを聞いておりますけれども、イギリス、フランス、ドイツ等についてはまだ話がまとまっていないということを聞いております。
 我々としては、いずれにしてもこれは非常に国民的な関心がある問題でありますし、我々もぜひ放送したいわけでありますけれども、そういうオリンピックよりも相当上回る金額ではとても応じられないということで、焦らず慌てず、じっくり構えて交渉しようと、そういう態度であります。
 ちょっと長くなって失礼しました。
#40
○岩城光英君 日本はもちろん、アジアにとりましても交渉が非常に厳しいということが今よくわかりました。
 そうはいっても、日本で開催される大会でありますので、日本国民がテレビで見られないというのは非常にこれは残念なことになりますので、何とか粘り強く交渉されまして打開策を講じていただければと思っております。
 郵政大臣はこの問題についてはどのようにお考えでしょうか。
#41
○国務大臣(八代英太君) 今、海老沢会長からその経過を伺いながら、何かジャパン・マネーがねらわれているような、そんな感じがしないでもありません。しかし、いずれにいたしましても、日本がワールドカップ、もちろんまたシドニーのオリンピックにもサッカーは出場権を獲得していますし、そういう意味では応援はしたい、見たい。見たいけれどもこんなに高い放送権料でいいのかという思い。まさにこれから粘り強く、ひとつこれにまつわる海老沢外交を期待したいということでございまして、これは放送事業者の経営の問題になりますので感想までに述べさせていただきます。
#42
○岩城光英君 オリンピックもそうですが、ワールドカップもこのような形で非常に高い放送権料になってきております。
 そこで、イギリスでは、一九九六年に放送法を改正しまして、いわゆる指定イベント制度と申すのでしょうか、オリンピックなど国民的なスポーツイベント、これを特別の指定行事として、有料テレビ事業者による独占中継放送権の取得を禁止して、それで一般の国民が無料で放送が受信できるような、そういうふうな内容に改めているということでありますが、こういったこともこれから日本でも考えていくことが大事なのかなと、そんなふうにも思っております。何分よろしくお願いしたいと存じます。
 次の質問は、BSデジタル受信機のメッセージ機能について伺います。
 国民からの受信料で運営されておりますNHKにとりまして、受信契約の公平さ、これを確立することは言うまでもありません。いよいよ来年の末からBSデジタル放送が開始されるわけですが、本放送の開始に合わせまして、受信機の設置状況の確認を的確に行うためメッセージ機能ICカード、これをデジタル受信機に搭載する予定と伺っております。これは、デジタル受信機を設置、使用しますと画面に連絡を促すメッセージが表示され、電話やはがきの連絡をもとに受信契約の確認や勧奨を行うものでありまして、衛星受信契約率の向上が期待できるものと受けとめております。
 この先さまざまな課題が出てくるものとは思われますが、今後どのようにこの計画を進めていかれるのか、お伺いをいたします。
#43
○参考人(山田勝美君) お答えします。
 御指摘のとおり、公平な受信契約、これが受信料制度の根幹であるということは十分NHKは認識しております。そのためNHKとしては、せっかくのデジタル技術でありますから、これを活用しようということで、テレビの画面に衛星放送受信の連絡をお願いするメッセージを表示しようじゃないかということで検討をしております。
 このメッセージは、あくまでも受信の確認というのが目的でありまして、メッセージをごらんになって電話あるいははがきでNHKの方に御連絡をいただければ、受信契約の有無にかかわらず直ちにこれを消去するという仕組みになっております。その上で、御契約がまだお済みでない方につきましては、通常のこれまでNHKがやってきた営業活動ということで、電話あるいは訪問によって契約をお願いするというふうなことを考えております。
 これによりまして、これまで人手で確認、例えばパラボラアンテナがついているかどうかというような確認をしていたわけですけれども、この受信確認が非常に効率的に行われるということで、受信料の公平負担をこれを利用して一層徹底していきたいということであります。
 このメッセージ機能を活用したBSデジタル放送の受信確認につきましては、制度面あるいは運用面などでさまざまな課題はあるわけですけれども、この方法によりまして、BSデジタル放送事業者共通のインフラとして共同でこれを管理運営していこうじゃないかということで、現在、委託放送事業者を中心にしまして、これはCASという、英語でコンディショナル・アクセス・システムと言うそうなんですけれども、これを、協議会をつくってやっていこうということで、その法人化の準備室というのができておりまして、その中で費用負担のあり方とか、どういう形態でこれをやっていこうかというような話を今一生懸命やっている最中でございます。
 それで、NHKとしては、この準備室にとにかく参加をして、いろいろな検討状況を踏まえながら、視聴者の方には特別な不快感を与えない、それから手続に過度の負担が視聴者にかからないようにということを考えながら、これを基本にして円滑な導入に向けてこれから努力していこうということであります。
 以上であります。
#44
○岩城光英君 時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。
#45
○簗瀬進君 まず冒頭に、通告の質問の順番とは若干異なりますけれども、フジテレビの高視聴率番組「愛する二人別れる二人」、随分昨今の新聞をにぎわしているようでございます。国会の委員会の場で番組の内容にわたる質問をするときは、私たちは大変慎重に行うべきだと思います。何となれば、まさにテレビ報道もこれは表現の自由という憲法に保障された権利を持っているわけでありますから。しかし、その権利であっても、乱用にわたる場合は、これは残念ながら指摘せざるを得ない場合も出るのではないのかなと。
 冒頭にこのような前置きをさせていただきまして、どうもテレビというのは大変バーチャルな中でリアリティーを私たちに感じさせる、ある意味ではすばらしい力を持っているわけであります。そして、その力を使ってより真実を的確に伝えようと思っているうちはいいんですけれども、さらにそれをもっと効果的に伝えようということでいろんな作為が入ってくる、そしてその作為の延長上に一種のやらせというようなものが出てしまうのではないのかなと思っているわけであります。
 この番組のやらせの問題、一部のマスコミ等で報道されておりまして、その真実等についてはこれからしっかりとそれぞれの関係者が明らかにしてくれる努力を続けていただけるものと私は確信をいたしておりますけれども、放送行政全般について御指導をなさらなければならない郵政大臣としての御所見を冒頭にまず伺わせていただきたいと思います。
#46
○国務大臣(八代英太君) 放送法におきましては、事実の原則に基づきまして表現の自由を確保して、公共の福祉に適合するよう規律することが規定されておるわけでありますが、いろんな放送事業者がいろんな番組を制作する中で、今般の「愛する二人別れる二人」については、いろんな報道の中にあって、結局これはやらせの最たるものである、それによって大変悲しい結末も迎えたというようなことが報道されておりました。
 フジテレビからは、結果として視聴者の皆様の期待を裏切ったことから番組を終了することにしたという報告を私どもは受けております。しかし、これは報道番組というジャンルではない、単なるバラエティー、娯楽番組である、しかしそれにおいてもこういう社会的な反響を呼んだということは残念ながらという思いがいたします。
#47
○簗瀬進君 私もバラエティー番組は大好きでございまして、好きな番組は必ずビデオでチェックをする。そして、言うならば今のテレビを見ている人たちが、つくられたスターではなくて、本当に身近にいる人の中でこんなにすばらしいスポーツの力を持っていた人がいたのか、こんなにすばらしいウイットを持っている人がいたのか、こんなことを感じさせていただけるということでは、視聴者の参加というのは、私はこれからのテレビメディアの大変有効な武器であって、これを健全に育てていっていただきたいという気持ちはやぶさかではないわけであります。
 そんな観点に立ちまして、今回のフジテレビの一件等も含めまして、これからNHKとしても、先ほど確認をさせていただきましたが、関根放送副総局長さんが番組向上協議会というところに所属をなさって、民放の皆さんとともに番組のレベルアップ、あるいは誤った方向に流れないようにということをチェックなさる、そういうお仕事も続けているようでございます。
 そんな観点から、今回の問題についてのNHKさんの御所見も賜りたいと思います。
#48
○参考人(松尾武君) やはりやらせということについては、NHKも以前「ムスタン」という問題がありました。その時点を含めて大変反省をいたしまして、番組基準ハンドブックであるとか放送ガイドラインであるとか、それから各現場に倫理委員会を設けて、ジャーナリストとしての倫理向上ということに努めて今日まで参っております。
 そういう中で、民放連と一緒になって向上協議会の中に放送倫理に関する懇談会というのを設けております。向上委員会というのはあくまでも番組全般の向上を図る委員会で、特に放送倫理に関する委員会も別建てで設けております。
 したがって、今御指摘のように、この向上協議会の中の二つの委員会、どちらでもいいわけでありますが、両方でやっても結構なんですが、問題を提起して、再びこういうことが起こらないように放送界としてきちっと現場レベルの向上心の問題も含めながら検討していきたいというふうに思っております。NHKからもぜひ提案をしたいというふうに思っております。
#49
○簗瀬進君 それでは本論の方に移らせていただきたいと思います。
 私も実はNHKの決算について質問をするのは初めてでございまして、一応ことし一月からずっとNHKさんについてどんな新聞記事が出たのかということをチェックをさせていただきましたが、何といってもやっぱりデジタルに関係する記事が非常に多いように感じます。ある意味で私は、これは放送の一種の歴史的な転換点を迎えたのかな、そういう認識をこの新聞記事からも強く感じさせていただくわけであります。というのも、二〇〇〇年の末にはBSのデジタル放送が、それから、計画によりますと二〇〇三年ぐらいでしたでしょうか、東京、阪神、名古屋地域においては地上波のデジタルも始まる、こういうふうな状況でございます。
 なぜこのデジタルが大変重要な意味を持っているのかなということを考えてみますと、結局今までの通信と放送という二分法、この二分法をデジタルが乗り越えるといいますか、その垣根をなくしてしまう、それにつながっていく、だから大変重要な歴史的な意味を持っている。ある意味では、高度情報化時代の本当の意味での決め手といいますかターニングポイントがこのデジタル放送であるのではないのかなという認識を持つわけであります。
 通信ということは今までどのような定義がなされていたかといいますと、特定の者の間の情報の受信ないし発信、言うならば電話で象徴されるように一対一で話をお互いにやりとりできる。特定しているわけです。そして双方向であります。
 ところが、放送はラジオから始まるわけでありますけれども、ラジオあるいはテレビというように一方向であります。いわゆる発信者が、テレビ局等の大変な設備、装置を持っているところに限られておりまして、そして一方的に情報を流していく。受け手の方はそれを受けるだけであるというわけでありますから、通信の双方向性と比べますと、これは単方向であります。
 こういうふうな違いを持っているところの中で、今までの法律というのは通信と放送というようなものを分けてそれぞれの法体系を整えてきた、これが歴史的な流れであります。
 先ほどの先輩委員の御質問の中にもあったように、例えばデジタルの中にメッセージ機能が入っていくという形になりますと、不特定多数というよりも特定の人に対する特別のやりとりというようなものがそこで可能になってくる。でありますから、放送が今まで単方向であってそして不特定であったというようなものが、特定で双方向になってくる。
 逆に、今度は通信の側で言ってみますと、例えば通信の範疇で今いろいろな意味での規制の対象になる、例えばインターネットあるいはパソコン通信、こういうようなものを見てみますと、通信でありながら、例えば私も毎週一回自分のつじ説法をニフティというようなもので発信をいたします。これはニフティの掲示板に載せれば不特定多数の人が全世界で見ることができる、こういうふうなことでありますし、発信者の私はIDで特定をされておりますから、私に対して返り返事が来るというような形になれば、当然これは返り返事が来る。こういうふうな形にもなっていまして、通信の今までの形がここでもやっぱり変わってくる。
 こういうふうな、デジタルが出ることによりまして、しかもそのデジタルが1と0というこういう大変幅の狭い中で大変な情報量を送れる、そしてコンピューターとの親和性といいますか、それが一番それによって広がってくる。まさにインターネットと放送の融合、あるいはインターネットから放送への参入、こういうふうなことも行われてくる。こういうふうなことで、デジタルはやっぱり革命的な意味を持つんだろうなと思うわけであります。
 それを飛躍をさせていきますと、今度は通信と放送という二分法で分けてきたこの法律の組み立て自体が徐々に時代に合わなくなってくるんじゃないのかなということで、やはりこれからは、二十一世紀がもう目前に来ているわけでありますから、その辺を見越した、放送と通信というこの二分法で組み立てられてきた今までの法体系というようなものをアウフヘーベンするような、乗り越えるような、そういう法の仕組みというようなものを考えていくということが高度情報化時代の日本にとってまず必要なことなんではないのかなと私自身考えるわけでありますけれども、郵政大臣のお考えをまず聞かせていただければと思います。
#50
○国務大臣(八代英太君) 今、簗瀬委員御指摘のように、まさにこれからはマルチメディア、デジタル放送、あらゆる分野における情報通信の革命的な時代が二十一世紀はやってくると言っても過言ではありません。そういう意味での放送と通信の融合ということもこれからいろいろ議論になってくるだろうと思っているんです。
 これは、例えばケーブルテレビ回線なんかを利用したインターネットといった機能が出現している状況なんかを見ましても、現行法制のもとでこれは適切に対処はできるのではないかというのが私の考え方。これは小坂総括政務次官とは若干、若さと老いの違いみたいなものがありまして、私の方がちょっとテンポは遅いんですがね。そこで、現行法制度では通信、放送サービスの実態に応じた規律をそれぞれ持っておりますし、それぞれのサービスの特性は基本的には変化していないということに立っておりますし、現行法制度は適切にそれで対応できるのではないかと。
 そうはいっても、今、簗瀬委員がおっしゃったように、長期的には二〇一〇年ごろには放送の大半がデジタル化になる、これはもう避けて通れないということを私たちも考えております。そうなってきて、光ファイバー網もそのころには全国網羅されるだろうということになってきますと、双方向のいろんな意味での通信と放送というものが入り乱れるような状況になっていくということを考えますと、通信と放送のあり方もおのずとそのあたりでは議論はしていかなければならない時代が到来するというふうに思っております。
 したがいまして、電気通信審議会通信政策部会というのがございますが、そこで二十一世紀の情報通信ビジョンの策定に当たっては、二〇一〇年ごろを一つのターゲットにいたしまして、各界各層の有識者の方々の御意見を伺いながら、その融合の問題を含めた放送と通信のあり方等々も含めた検討を進めていきたいものと、私はこのように思っておりますので、小坂総括政務次官の一応考え方もちょっと御披露いただければと思います。
#51
○簗瀬進君 今、小坂総括政務次官の方の御指名もございました。私もかつて小坂さんとはいろんな交流もあったわけでありますが、政務次官の大変なコンピューターに対する造詣の深さにはいつも端倪すべからざるものを感じておるわけでありまして、世代間の差というよりも、もっと突っ込んだところでもうちょっとやっぱり進展の度合いを進めていくべきなんではないのかなと。
 そうしないと、どうももたもたしているうちに、これはアメリカはもう相当進んでおります、日本と若干事情が違いますけれども、とにかくアメリカは情報戦略を国家戦略の一番の中心に置いている。情報戦略がきちんとしておるならば、軍事も経済も二十一世紀になってもやっぱりアメリカがリーダーシップをとれるんだ、こういうふうな大変な確信を持っておるわけです。
 そういうアメリカがこの分野でかなり先を行こうとしているということなので、私はもう一つさらに進んだ法体制というようなものを日本で考えていくべきではないのかなと思っておるわけでありますが、総括政務次官のお考えを聞かせてください。
#52
○政務次官(小坂憲次君) 御指名ありがとうございます。
 簗瀬委員とはずっとインターネット等におきましても本当に初当選のころからいろいろと話し合ってまいりました。私も衆議院の逓信委員会に所属をいたしておりまして、数年前から同じような主張をしてまいりました。ただ、私ども政治家でございますから、現実と法律のずれというものを常に見詰めていかなきゃいけない、そしてそこのギャップを埋めていくのが私どもの仕事だと、こう認識して現実を見ておるわけでございます。
 今日、通信、放送の二つの体系をとっておりますのは、これは通信の秘密の保護の必要性という問題と、そして社会的な影響力の大きさ、あるいは周波数の有限希少性というような、こういった観点から通信と放送という二つの体系に分けてこれを規律してきているところでございます。
 委員御指摘のように、最近融合と言われるような状況が幾つか出てきております。
 一つは、サービスの融合でございます。これはおっしゃったように、インターネットのホームページのようにこういったものが出てきて、通信と放送の中間的な領域がそこに生じてきたということ。それからまた伝達手段の融合でございますが、これは同一の伝送経路を使って放送と通信が流れていくという、こういうような状況になってまいりました。また、ケーブルテレビの事業者が通信サービスも始めるように事業体の融合ということも起こってきておりますし、またテレビの受像機を利用してインターネットの画面を取り出すように端末の融合ということも起こってきているわけでございます。
 こういった現象を見るときに、現状の法制がこれで十分にカバーできているかといえば、これはそろそろ考えなきゃいけない時期に来ている、これはもうそのとおりでございます。
 ただ、法律を改正する際には、その現実とのギャップが限界に来ているかどうかという点になるわけでございまして、その観点の判断は、現行の法制が産業のこれからの発展に阻害になっているとか、あるいは実際のそういった放送とか通信の運用に対して阻害要因となっているかどうか、こういった点を注意深く見なきゃいけないと思っております。
 その点におきまして、私は今、今日この状態が直ちに今すぐやらなければいけない状態まで来ているかといえば、まだ両方の法規制で何とか規律できているところにある。しかし、これが、今おっしゃるように新たな体制に分かれていくということはこれから注意深く見守りながら、放送のデジタル化の進展を十分に見て、そして二〇一〇年にはもう完全にアナログ放送がデジタル化するという年限を迎えております。そういうものをにらみながら、これから何年ぐらいでというふうになるのかは今すぐに明確には申し上げられませんが、そういった年限ではなくて、その現象をしっかりと見ながら、委員の皆様と御相談をしながら決めていかなきゃいけないことだと認識をいたしております。
#53
○簗瀬進君 ある意味では大変な模範解答をいただいたわけでありますけれども、私は納得いきません。
 立法者たるもの、弊害が生まれてから直すといった、そんな態度でよろしいんでしょうか。まさに時代の先を見て、みずから政策的なインセンティブを発揮しながらこの仕組みをつくっていくといった、そういう先見性、洞察力。弊害が出てから、いろんな人からいろいろと言われてようやくやる、そういう対応をずっととっているから、日本の情報化というのは、もとはアメリカよりも進んでいたはずなのにこんなにおくれちゃったんじゃないんですか。
 私は、かつては一緒に行動をともにさせていただき、政治改革を論じ合ったこともありますけれども、今の小坂総括政務次官のお話を聞いて若干がっかりしました。弊害が出てから直す、こういうふうな態度でいいんでしょうか。私は違うと思います。まさに先は見えているんです。その見えている方向に確信がおありになるんだったら、なぜ今やろうとしないんですか。お答えいただきたい。
#54
○政務次官(小坂憲次君) 簗瀬委員は私とずっといろいろ議論をしてまいりましたので十分に御存じの上でおっしゃっていると思っておりますが、私が今申し上げたことも、弊害が出ているようならばと、こういうふうに申し上げたわけでございまして、弊害が出てきて、それを容認して法案を変えるというようなことではなくて、政治家はそういう現象を常に注意深く見て、出てくるなというふうに考えたときにもう当然行動しなきゃいけないときもあるでしょう。
 しかし、その弊害が、現状を維持する、その法体系を維持することとの両方のにらみ合いによってその得失のバランスを見ていかなきゃいけませんから、その判断をするところはやはり政治家みずからの決断なんだと。そのために私ども政治家が政策決定に関与していく今回の新たな制度改正の一つの意味もあると思っておりますから、委員の御指摘のその意味合いというのは私も十分理解いたしておりますので、そういった意味で政治家としての判断を下していきたい、このように考えております。
#55
○簗瀬進君 この問題は一つの見解の違いというようなものも、あるいは立場の違いというようなものもあるかもしれませんのでこの辺にさせていただきます。
 ただ、この問題はいろいろ波及してくるわけです。どこに波及してくるかというと、私はまず放送の方の受信料の法的根拠が揺らいでくるんじゃないのかな、それからもう一方で、今度は通信の方の電話料といいますか通信料といいますか、それに対する不満というようなものをさらに強烈にあおってくるんではないのかなと、この二つの波及効果を持つんじゃないのかなと思うんです。
 まず第一番目、受信料の法的根拠、放送法三十二条では、ちょっと読んでみますと、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と、このようなことで受信料の法的根拠が放送法三十二条には定まっておるんです。はっきりとは書いておりませんが、放送というのは、結局そこに機械があって、そして放送局が電波を常に流し続けているならば、聞こうと思えば聞けるはずだから、だから聞かなくても受信料を払っていただきたいと。こういうふうな放送の不特定性から、あるいは放送の単方向性から選別が基本的にはできない、チャンネルというようなことはありますけれども、そういう特色からこの受信料の法的根拠というのはあるんじゃないのかなと。
 という形になりますと、通信と放送が融合してきて、放送の中でも個別選好ができるという形になると、CATVに払うお金とそれからインターネットが仮に放送に参入してきてインターネットに払うお金、向こうに払うお金とそれからこのNHK、NHKは見ないで、こっちはちゃんと毎日チェックしているんだからこっちは払うけれども、NHKさんは見ないから私お金払いたくありませんよと言われてくる可能性は出てくるんじゃないのかな。
 私はそういう意味では、この放送と通信の融合性というのは受信料の法的根拠を揺るがせる、不安定にするんではないのかな、こういうふうな理論的な一つの問題点が出てくるのではないのか。
 これについてNHKとしての御見解、あるいはその上でなおかつ受信料を取るとするならば、その法的な根拠といいますか、受信料を取られる側の納得をどういう根拠でとっていくのか、その辺についての御説明をお聞かせいただきたいと思います。
#56
○参考人(海老沢勝二君) 今の先生の時代認識といいますか、最近のデジタル技術の急速な進展あるいは規制緩和等によっていわゆる情報革命が今進んでおります。そういう中で我々放送事業者も、そういう放送と通信の垣根が低くなる、いわゆる融合する時代、そういうことは十分我々も認識しながら業務を推進しているわけでありますけれども、そういう中でいわゆる対価主義といいますか、見るから払う、見ないから払わないというそういう方も最近若い人たちを中心に若干出てきている嫌いはあります。
 そういう中で、我々受信料制度をどういうふうに維持していくかということでありますが、私はこういう通信と放送の融合時代で、我々自身もそういうインターネットとかあるいは新しい通信施設とか、そういうものを放送するためにいろいろ取り入れていく、それを活用していくということはもう今までもやっているわけでありますし、今後もいろいろな面で新しい技術を導入しながら放送と融合の時代を乗り切っていこうと今思っております。
 ただ、放送、通信、新聞と、それぞれいろいろな特性があると思うんですね。放送は放送という特性がありますし、新聞は一覧性でいろいろな情報が考えながら見られるとか、あるいはインターネットについてはそれの特性がある。私はそれぞれがその特性を生かしながら一種の自立といいますか、それができています。そういう中でお互いに利用し合おうといいますか、そういう時代だろうと思っております。
 私どものやはり基本はソフト、いわゆるコンテンツといいますか、放送の内容の問題だろうと思っています。ですから、我々はそういう新しい技術で伝送路をいろいろなCAテレビだとかいわゆる光ファイバーとか衛星とか使いますけれども、問題は視聴者、国民がそれを取り入れている内容が問題であって、私どもは七十五年の歴史の中で常に新しい番組の開発、ソフトの充実ということを心がけてきておるわけであります。そういう面で、私はこういう多メディア・多チャンネルという時代になればなるほど質のいい番組をつくるものが生き残るだろうと思っております。そういう面で、我々はそのための人材の確保、人材育成が大事だということを常々言っておるわけであります。
 そういう面で、こういう多メディア・多チャンネル時代になれば情報がはんらんし、過剰な情報が飛び交って、そして本当に視聴者、国民の生活に役立ち、また心を豊かにするような番組ができるかどうかが私、勝負だろうと思っております。そういう面で、私どもは常に質の高い番組を一本でも多く制作し、そしてそれを提供するのが我々の使命であり、今後もそういう姿勢でいけば、視聴者、国民もNHKに対して信頼をし、受信料を払ってくれるだろうと思っております。
 ただ、我々が、今より番組の質が低下し、ほかの事業者より番組の質が落ちてしまえば、NHKはなくなるだろうと思っております。そういう面で、常にいいソフトを、ほかの放送事業者におくれをとらないといいますか、それをさらに上回るようなものをつくっていくことによって視聴者の信頼をかち得るように、これからも努力することが最大の課題だろう、そう思っております。
#57
○簗瀬進君 再び議論はいたしませんが、いずれにしてもこのデジタル化が私は間違いなく受信料の法的根拠に対する疑念の念を高めていくという方向に影響を出してくると、こういう指摘はさせていただきたいと思います。
 したがって、それに対して受信料を、さらにこの仕組みを維持しようということになれば、質の高いということをおっしゃっていただきました、そのとおりだと思います。しかし、さらにそれにプラスすることの、より高い公共性、より高い社会性というようなものがこの受信料の納得を取りつける際の一つの方向性になってくるんではないのか。しかも、その社会性というふうに言ったとき、今までの社会とは違うわけです。今までのように均質な社会がとおんとあって、これに一つのものをつくって社会性だよというふうに言っている時代じゃない。多様化している社会における社会性を高めるという大変難しい、ある意味ではどこかで自己相反している部分があるかもしれませんけれども、そういう挑戦をしていかなければならない。そんな課題がNHKに出てくるんではないのかなと思いますので、御指摘をさせていただきたいと思います。
 それからもう一つ、これは郵政大臣にお尋ねしたいんですが、これは通信、放送の融合ということで、今度は通信の方の話なんです。
 先ほど申し上げましたように、通信というのは一対一で、個別的であって双方向であるから、より強いサービスを個人的に与えているのでそれの対価をと、こういうふうな話になってくるわけです。そこに今までの、言うならば通信料金の従量制という、時間によって料金が上がっていく、こういうふうな一つの背景があったんではないのかな。
 しかし、先ほど申し上げたように、例えばこれからのインターネットにしても、あるいはニフティ等のネットワークにいたしましても、一定の掲示をずっと不特定多数の人に告知し続ける、こういう今までの通信とは違った性格がそこに出てくるわけです。インターネットのウエブサイトはいつも、もちろん頻繁に更新はされますけれども、一定時間それがずっとそこに掲示されている。だから、そういうようなものに対応したサービスに対する対価という形になると、これは従量制ではやっぱりこれもまた納得がとれなくなる。定額制ですよ。
 まさに、例えば先日も私ワシントンに行って、あそこでインフォウェブのアクセスポイントがありまして、これは日本のサーバーですけれども、そのアクセスポイントがワシントンにある。ワシントンでアクセスしながらインターネットをチェックした。そうしたら、どんなに時間がかかっても九十五セントです。ワシントンは市内は定額料金で九十五セントなんです。ホテルからかけても九十五セントで、延々とアメリカの上院、下院のウエブサイトも、それから日本の例えば自分のホームページまで含めてチェックできる、こういうふうな状況になっている。
 まさにここまで行きますと、情報こそ産業の必要な水だ、こんな感じになってくるわけです。
 定額制であるから資本力のない人たちもアクセスができるようになる。従量制だと金を持っている人は時間が気になりません。だから従量制でも余り痛痒はないと思います。だけれども、例えばベンチャーとか、あるいは資本力のない人がインターネットのウエブサイトから自分のビジネスチャンスをとろうとしたときに、血眼になって探す。そのときに、時間がどんどんかさむにつれて値段が上がってくるようだと、やっぱりこれは産業活動は、あるいはビジネスチャンスは、資本力のない者に対しては情報がハンディになって大変な不公平になってくるんですね。こういうふうな一面も持っていると思います。
 まさにそういう意味では、ちょっと話は横にそれましたけれども、放送と通信の融合というものの中で、より通信料金、特に電話等についてはインターネット等の環境に対しても定額制がもっとさらに、特に市内のアクセスについてはもう定額制でいいんじゃないのかな、こういう強い御指導をやっぱりすべきなんではないのかなと思うんですけれども、いかがでありましょうか。
#58
○国務大臣(八代英太君) 今まさに世界の潮流はインターネット時代、またインターネットがもう国のボーダレス、超えた形で普及しておりまして、日本でも大変な速度でインターネットの普及は高まりつつございます。
 ラジオは五千万人の聴取者を獲得するのに三十八年かかったそうだし、テレビは十五年ぐらいかかったけれども、インターネットは五千万人を獲得するためにはもうわずか四年でなし得たというぐあいですから、これからこの問題は大変大きな課題になっていくだろうと思いますし、今おっしゃった定額料金制を我が国も導入するということはまさに御指摘のとおり重要課題と私も考えております。
 NTTは、インターネット用通信料金として、本年九月から学校向けに、十月から一般向けに、上限時間つきの定額制サービスを開始いたしました。まだこれはテスト段階です。また、十一月からは、東京と大阪の一部地域において、これも試行錯誤の一端かもしれませんが、オープンしっ放しで月額八千円と、こういうふうなことをやっているわけでございます。
 それでもまだ高いと、それじゃますますインターネット時代にブレーキをかけるよ、こういう意見もいろんなところから出ているわけでございまして、私たちは、やはり新しい二十一世紀の情報通信産業の未来、インターネットビジネス時代の到来ということを考えていきますと、ますます完全定額制への方向を目指して、さらに料金の低廉化ということについてはなお一層の努力はしていかなければならない。御指摘のとおりだと思っております。
#59
○簗瀬進君 次の質問に移ります。
 先ほど来、同僚の山内委員の方から、NHKの事業料収入あるいは副次収入等についての精細な質問もあったところでございますが、今事業料収入あるいはNHKの収益構造についてはやっぱりいろんな黄色信号がつき始まったんではないのかな、こういう指摘も出されているところであります。
 その第一番目は、やっぱり稼ぎ頭のBS放送の伸びがどうもとまってきたんではないのかな、こういうふうな指摘がございます。ちなみに、今回は平成九年度でございますけれども、既に出ております平成十年度の収支決算が公表されておりますので、八、九、十と、こういうふうに比較してみますと、例えば平成八年度決算では衛星契約増加は七十九万件、これが平成九年度になりますと六十二万件、そして平成十年度では若干持ち直しましたが六十七万件、そういう意味で、どうも伸びが随分下がってきたんではないのか。そこに、先ほどの質問の中にも出ていたように、例えばCATV等、そこからBSを見ている人などはなかなかチェックが難しい、こういうふうな話も出てきているんではないかなと思うわけであります。
 いずれにしても、デジタル化というようなものが第二番目の黄色の信号になると思うんです。デジタル化でいろんなところが入ってきますから、そうすると、やっぱりNHKの言うならば一つのポジションが相対的に低くなってきます。これもやっぱり黄色信号の二つ目の理由だと思う。
 それから三つ目は、やっぱり地上波デジタル化のための相当膨大な設備投資、三千億あるいは五千億等の説明がされておりますけれども、今の収益構造の中でこれをひねり出していくというのはなかなか大変なんじゃないのか。
 こういうふうに考えてみますと、なかなかこれからNHKの受信料を基本にして経営を行っていこうという体制というのはいろんな困難を抱えているんではないのかなと思います。
 そういう中で、まず第一番目にデジタル化のための設備投資。以前の委員会でもこれは聞かれてはおります。しかし、現時点でどのように御計画をされているのかということをもう一回チェックさせていただきたいと思うんです。
#60
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、このデジタル化時代を迎えて、まずBSをデジタル化しよう、このBSのデジタル化を成功した後、地上デジタル放送に本格的に乗り出そうという方針を今立てております。
 地上デジタルも早くやりたいわけでありますけれども、御承知のように周波数の確保、つまりチャンネルプランの作成が、日本の場合は外国に比べて非常に電波が込み合っているというような事情から、郵政省、民放、NHK三者で共同していろいろ今調査をしているところであります。それに先立ってBSをデジタル化することによって文字どおりのデジタル時代に突入させようということであります。
 そういう面で、それを前にして、今BSの、衛星のアナログの方の普及がちょっと伸び悩んでいることは事実であります。というのは、一つの買い控えといいますか、次のデジタル化が目前に迫っているものですから、当然そこにアダプターなり、また新しい受信機が出てくる。その様子を見てからと、いわゆる国民のニーズが今とまっているということも影響しているだろうと私は見ております。
 そういうことで、今NHK、民放あわせてこのBSデジタル放送の普及促進を図ろうということで、この前、郵政省も含めてそういう協議会を持ちました。そして、これから一千日で一千万件の普及をしようということで、これからいろんな面でBSデジタルの利点といいますか、メリットというものを国民に周知徹底させよう、そういうキャンペーンをこれから本格的にやるという方針であります。
 そういうことで、私はNHKと民放が一緒になって多チャンネルでデジタル放送をやれば、それに対する視聴者、国民のニーズはふえてくるだろうと見ております。それによってNHKの受信料収入をアップさせたいというのが基本的考えであります。
 御承知のように、私会長に就任して二年半近くになりますけれども、就任のときに、平成十二年度、つまり二〇〇〇年末までは受信料を値上げしないで、内部の改革を進めながら、経費の節減を図りながら受信料を二%前後伸ばすことによってこのデジタル時代に対応しようという方針を打ち出しております。したがって、十二年度も値上げをしない、現行の料金で今予算を組んでいるところであります。
 私も、こういう経済情勢でありますから、受信料の値上げというものはなかなかできるような情勢ではないという認識を持っておりますし、そういう中でこれから地上デジタルをやる場合には、今先生も御指摘のように、五千億前後の資金が要ることは、我々もそういう計画を持っております。
 この五千億のうち、いわゆるここにあるカメラだとかVTRとか、いわゆる番組制作の予算は三千億を我々は見ました。そのうち千五百億ほど使って、今スタジオをデジタルハイビジョン化する、カメラもハイビジョン化するということをしております。あと残りの千五百億は、今の受信料の中でいわゆる老朽施設の更新というような形で取りかえていけば新たな負担をかけないでできるだろうと見ております。そのほかの三千五百億。三千億は、いわゆる視聴者に電波を送り届けるいわゆる送信設備の方に三千億かかってしまうということであります。それと五百億は、各放送局、五十の放送局から電波を出す送出施設、これが五百億かかります。そういう面で、地上デジタルのためには新しく三千五百億の資金が必要である。これは今のNHKの受信料制度では非常に苦しい状況だということはもう言うまでもありません。
 そういう面で、この地上デジタルについては、我々自身、いわゆる放送事業者だけの市場経営に基づけば二十年、三十年という長い時間がかかってしまう。これを急速に、情報に格差がないようにできるだけ早くやるためには、公的資金なり何らかの措置が必要だろうと、そういう今考えでいるところであります。
#61
○簗瀬進君 実は、私はずっと昔から大河ドラマが大好きでございまして、一番最初が、あれは「花の生涯」から始まったんですよね。あのころからずっと見させていただきました。今は「元禄繚乱」で、若干視聴率が伸び悩んでいていろいろと波紋があるというふうな話も聞きますけれども、実は私はあのドラマが大好きです。今までの忠臣蔵等の番組と比べますと、かなり突っ込んで、例えば戸がけ破られないように竹をこうやってみたりとか、ああいうのは初めて見させていただきまして、非常になるほどと思わせていただいておるわけであります。
 昨日でありますけれども、インターネットのNHKオンラインというところで「元禄繚乱」というようなものを開いてみました。そうしたら、「バーチャル江戸探検」というコーナーがございまして、吉良邸に入れるようになっているということで、ちょっとそこをダウンロードしてみたのがこれなんですけれども、(資料を示す)全部ここに白い枠がありまして、これをクリックすればそこが拡大されまして、そしてちゃんとソフトが行き渡っていれば、そこを歩くような感じで自分が探検できるんです。
 ところが、それに入るためにはどうしても五百円のファンクラブ会員にならなければだめだというようなことが障害になっておりまして、ついつい私も五百円払ってしまったわけであります。ということで、やっぱり好きな人はどんどんそういうふうな形で、現時点でも副次収入としてこれを集めていく工夫というのはできるのではないのかなと。
 それで、ちょっと決算の方を見てみますと、副次収入が意外に、先ほどのお言葉ではあるんだけれども、平成九年度決算では八十一億、十年が七十二億、十一年が六十六億と下がっているんです。それから、事業収入に占める比率というのが一・三三%、一・一六%、一・〇五%と、これも下がっております。
 経済の状況もあるだろうと思うんですけれども、やっぱり知恵は出しようだと。いいコンテンツを持っていれば、そしてそれをやみくもにみんなに押しつけるようじゃなくて、やっぱり私のように好きなのはとうとう入ってしまうというふうな、そういうごく自然な形で収入増加をする方法があるんではないのかなと思うんですけれども、これについての工夫あるいは取り組みについての御方針をもう一回聞かせていただければと思うんです。
#62
○参考人(松尾武君) NHK本体とそれから関連団体の仕事と二つ分けてあります。
 NHK本体で申し上げますと、あくまでも放送を補完するということも含めながら新しい形はないかというので、インターネット推進プロジェクトというのを立ち上げまして、これはもう去年来立ち上げておるんですが、その中で、インターネットと放送の関係、これも具体的に番組も進行しておりますけれども、そういうものを絶えず検証しておるということでございます。
 大河のインターネットでページをめくっていくと、結果的には関連団体の方のページへ入ります。その中で現在、御指摘の「元禄」の有料化ということでニフティと連動してやっております。それには多少仕込みにお金がかかるということもあって、とても受信料でそういうことを負担するわけにはいきませんので、しかるべき方法でお金を集めているということでございます。
 そういうことに関する新たな事業でございます。NHKの関連を含めてインターネットに対する新たな事業開発ということを、今積極的に取り組むようにさまざまな提案募集を、関連団体は関連団体ごとに、またはそれをチームワークでもって連動しながらやっていると。本体は、先ほど申し上げましたようにインターネット推進委員会ということで、放送とどうリンクするかということで研究をしているということが実情でございます。
#63
○簗瀬進君 次の質問に移ります。
 「デジタルの時代がやって来た」と、このような大変すばらしいパンフレットをいただきまして、(資料を示す)これで随分勉強させていただいておりますが、「アナログからデジタルへ」、そして「デジタル放送の特徴」といたしまして、ここに高品質化、多チャンネル化、高機能化、マルチメディア化と、四つ出ているんです。1、0の信号、まさにデジットでずっと信号が送れるようになるわけですから、アナログのような波ではありませんので、非常にそういう意味では電波の利用範囲が広がってくる、そしてクリアになってくる、それから壊れない。
 ここら辺に入っているわけなんですけれども、デジタル化の中でこれは四つ挙げておりますが、NHKとして今後戦略的にどの部分を一番特化させていくべきなのかという発想を持つべきなのではないかなと思います。まさにそれはここにあるマルチメディア化なんです。先ほど言った放送と通信の融合ではありませんけれども、これからデジタルテレビとそれからコンピューターが極めて親和的に連動することができるような時代になる。これをどういうふうに戦略的に組み上げていくのかというようなことが一番大切なことなんだと。
 それに一番やっぱり戦略的なプライオリティーを置くべきなのではないのかなと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
#64
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、放送技術研究所で、先生御案内のようにBS、いわゆる今の衛星放送、それからHDTV、ハイビジョン、これはNHKが世界に先駆けて開発し推進し、そしていい方向へ来ているということであります。
 そういう中で、これからのデジタル時代に向けて、私どももそういうデジタル技術を活用するためにこのハイビジョンの受像機、あるいはそれを、高画質化、高音質、それから多機能というものを持っているわけでありますから、これをインターネットに接続するとか、そういう面でマルチメディア化ができるということで、私どもISDBという統合デジタル放送サービス方式を編み出して、いろんな情報を統合しながら、視聴者に役立つようなそういう今番組づくりをしているわけです。
 その一つがやっぱりデータ放送でありますし、また将来は、いわゆるサーバーといいますか、番組を貯蔵する、そういうものを今開発しております。そういうことによって、いろんなこれまで蓄積した番組を再活用するとかあるいは新しい番組をまた再編集して使うとか、いろんなやり方が出てきます。そういう面で、これからの時代は高画質化と同時にマルチメディア化するのはもう当然であります。そういうことで、私どもも今部内でそういう面でのプロジェクトをつくっていろんな研究を重ねております。
 そういう面で、私ども公共放送として先導的役割を果たすという決意のもとに、いろんなそういうマルチメディア化するためのソフト開発を進めているということであります。
#65
○簗瀬進君 まさにデジタル化によってインターネット等の連動といいますか、融合が可能になる。そういう観点で、私はNHKのお持ちのいろんなウエブサイトをチェックさせていただいたんですが、その中で、「地球法廷」というようなものが目にとまりました。
 私は、これは大変すばらしい取り組みなんではないのかなと、ぜひここにいらっしゃる委員諸兄も「地球法廷」、これはなかなかいいぞということで後でごらんになっていただければと思うんですが、ここにちょっと自分の興味のところだけダウンロードしてまいりましたけれども、まさにこれはテレビとインターネットのウエブサイトを連動しようという私は先駆的な試みだったんではないのかなと思います。
 開設の趣旨のところを読んでみますと、衛星テレビ「BS1がオープンしたこのホームページ「地球法廷」は、人類共通の深刻で未解決の問題に、市民の英知と希望を見いだしたいという願いによって開設されました。」と、こういうふうな大変志の高い出発がございまして、多くの市民の意見をここに巻き込む、そしてその問題提起のいろんな資料もまずはつける、そして市民の皆さんからいろんな書き込みをしてもらう。さらにその市民は、日本国民のみならず海外の人も可能になっている。そして、その上で、最終的にはそれを集約して番組づくりに生かしていく。
 まさにそういう意味で、テレビとインターネットの連動というようなものを、先にインターネットで意見を集めて、その後テレビをつくるというふうな形で行われているわけであります。
 今まで、「核と人類」、それから「生命操作を問う」、「遺伝子操作を問う」、現在は「教育を問う」、その前は終わりまして、今「教育を問う」というようなものをやっています。
 このホームページを見たら、なかなか問題提起もしっかりと資料がついた形で出ておりますし、それから、現時点ではそれぞれこれは若干の調整はしているのかもしれませんけれども、各論点ごとに、例えば、「あなたはどう思いますか?」と。「少年犯罪は厳罰か保護更生か」、「いじめがなくならない」、「学校教育では自由が制限される」、「仮想現実が子どもをむしばむのか」等の議論が、「自由か規制か」というふうなところで議論されております。二千五百人ぐらいの書き込みがずっと入ってあって、全部それが検索できるようになっているんです。これを教育についてやられている。
 もう一つは、「自由か規制か」というのと、ここにあるように「エリート主義か平等か」、大変子供たちにもわかりやすいそういう内容にもなっておりますし、それから現時点では二十代以上はだめよというそういう書き込みの部分もつくられている。やっぱり年を経るにつれて随分進化してきているなという感じも与えるわけであります。
 私は、現時点で、言うならばEコマース等のコンピューターを使った経済的な取引とか、そういう点についての情報ルールづくり等の試みというのは意外に行われているんですが、一番コンピューターのもとになっているコミュニケーションのツールとしてそれを使ったら何ができるのかということの取り組みをNHKはまさに馬力をかけてかなり力を入れてやっているなという感じがするわけで、私はこの中で相当いろんなことをお学びになったのではないか、いろんな教訓も得たのではないのかなと思うんですけれども、時間がありませんので簡単にその辺をまとめて聞かせていただければと思います。
#66
○参考人(松尾武君) 簡単に申し上げます。
 今先生のごらんになったのはBS1でございますが、地上波を含めて多くのインターネットを使って、それを結果的には全部放送に返す形で利用しております。
 一番端的な例が、ボランティアネットというのをつくっております。これはインターネットでもって、ボランティアをした結果さまざまな情報交換をその中でしつつ、最終的に「ボランティアまっぷ」というところできちっと取り上げながらやっているということで、これに対するアクセスも大変多くございます。
 今後も、地上波、衛星波を含めてそういうふうに双方向で考えながら、言ってみればいろんなアンケートに答えてもらい、市民のいろんな要素を的確につかみながらそれを番組の中に反映させていくということの一つとしてインターネットを活用していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#67
○簗瀬進君 さらに、いろいろな例えば書き込みをしているとバトルとかけんかが書き込みをしている人の間で起こったり、それをどう裁くかとか、結構これ苦労するんです。私もFNETDというネットワークをやっていろんな体験を積んでおりますけれども、これをやっぱり正面から努力をしていただくことによっていろんなノウハウも得られるんではないのか、ぜひこの努力を続けていっていただきたい、このように思います。
 それで、実はこの「地球法廷」はインターネットで情報をとって、それを番組にと、こういうふうな、ある意味ではインターネットが先で番組が後。私は、これから逆に、番組が先で、その後インターネットに来てまた番組に戻る、こういうふうな順番も成り立ち得るんではないのか。
 先ほど来、私は受信料の新しい法的根拠をどう求めていくのかと、こういうふうな議論をしてまいりましたけれども、最終的にはこのNHK、これは大変すばらしい国民が支えている情報の公共財だと、私はそのような位置づけをすべきだし、NHKもそういう観点で物を考えていただきたい。
 しかも、放送と通信が融合してくるというふうなことで、国境を越えてテレビの画面が行くということについては外交上のいろんな問題も出てくるかもしれません。しかしながら一方で、インターネットとテレビがつながることによって、国境を越えた地球市民といいますか、そういう人たちのコミュニケーションの仲立ちをNHKがすることも可能になるような時代が来るんではないのか。まさにテレビ、NHKが流す画像を中心にした、それとインターネットという国境を越えた人たちのコミュニケーション、これを連動させることによって一種の国際貢献が私はできるのではないのか。
 外交において最も大切なことは何かといえば、まずは信頼の醸成です。お互いの誤解というようなものをいかに乗り越えていくのかということ。まさにベルリンの壁はテレビが崩したというふうに言ってもいい。
 それを考えてみますと、まさにNHKは、国民の情報公共財としてこの新しいデジタル化時代に画像とそれからインターネットを融合させながら国境を越えた地球市民のコミュニケーションの仲立ちをするといった、そしてそういう形の中で一種の国際貢献をしていく。まさに外交の一番出発にくる信頼醸成というようなものも国境を越えてそれで可能になる。こういうふうな取り組みも私は可能になるんではないのかなと思います。
 今、平成九年度の事業報告書の中で国際放送の部分を見てみます。テレビとラジオについてはお金の出方が違うということについては、これは私も承知しておりますけれども、国際放送も、先輩のラジオ国際放送と比較をいたしまして随分と番組内容が充実をしてきた。
 しかし、私はさらに、先ほど申し上げたNHKはまさに情報の公共財だと。情報の面を通した国際貢献がこれからはデジタル時代にはある意味で可能になるんではないのかな、それをNHKが率先してやりながら、そこに国民の納得を得た上で受信料をいただいていく、こういうふうな構造というようなものがつくれないか。
 そういう意味では、この国際放送の内容も、まさに今申し上げたような新しいデジタル化時代、情報を通した国際貢献、情報を通して地球市民のネットワークといいますかコミュニケーションの媒介をできないかといった、そういう新しい取り組みというようなものを大きなプロジェクトとしてやっていくべきなのではないのかなと、個人的にはこのような一つの夢を持っているわけであります。
 いろいろな難しい問題点もあるだろうと思いますが、この辺について積極的な取り組みができないか、最後に会長さんに。
#68
○参考人(海老沢勝二君) 私どもNHKは国民の信頼によって成り立っておるわけでありまして、そういう面で、今先生がおっしゃるように、NHKは国民の公共財でありますし、また文化財だろうと自負しているわけであります。
 そういう中で、日本国民の公共の福祉なり文化の向上に尽くすのは当然でありますけれども、もう一つは、やはり国際的な貢献を果たす役目を我々は持っているだろうということで、テレビによる国際放送も今一日二十四時間で全世界に放送できるまでになりました。
 そういう中で、私ども今、日本賞という教育番組の世界的なコンクールを開いております。これのスローガンが、教育番組に託されているのは地球の未来ですと、そういうタイトルでやっております。
 そういう面で、この青少年問題を含め、環境の問題、いろんな問題があります。そういう面で、これからの番組制作に当たっても地球的な規模で物を発想しないといけない時代だろうという認識を持っております。そういうことで、先ほど先生から指摘がありました「地球法廷」とか、インターネットを活用しながらいろんな新しい取り組みを今しているわけであります。
 そのほか、開発途上国に対してこれまで私どもの番組を二万五千本ほど提供しております。評判になりました朝の連続テレビ小説の「おしん」などは五十四カ国で放送されました。あるいはドキュメンタリーの「シルクロード」とかいろんな番組を無償で提供するのも、これも国際貢献だろうと、こう思っております。
 そのほか、災害というのは、これは前のトルコ、台湾での義援金の呼びかけとか、いろんな問題も我々はやっております。
 これから、そういう衛星を使いまたインターネットを使いながら地球的な規模での番組の交換なり意思の疎通なり相互理解なり、いろんな面で工夫していく時代だろうと。そういう面で、私ども高い志を持って、今先生が指摘するような点についてさらに具体的な方法を見出していきたいと思っております。
#69
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 NHKの決算の審議は本当に久しぶりでございますから、ちょっと勘が鈍っておりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうの昼のNHKニュースで、フジテレビの「愛する二人別れる二人」ですか、この番組が、放送中止にすると、こういうのが大きく報道されておりました。先ほど同僚議員からもこの件について何点かお尋ねがあったようでございますが、私からも何点かにつきまして郵政大臣また放送行政局の皆さんにお尋ねをしたいと思います。
 まず、フジテレビからは、いつ、だれが、どういう報告をされたか、現況をお聞かせ願いたいと思います。
#70
○国務大臣(八代英太君) 御指摘の「愛する二人別れる二人」につきましては、フジテレビから、結果として視聴者の皆様の期待を裏切ったと、この番組は終了することとしたということはきょうの午前中──よろしいですか、ちょっと。
#71
○政府参考人(金澤薫君) 放送行政局長の金澤でございます。
 きょう、尼野取締役から私どもの地上放送課長がお聞きしたということでございます。
#72
○日笠勝之君 だから、報告があったと、大臣が言ったのと同じ報告ですか。ただ中止するというだけで、中身について、こういうことだから中止するというその前提条件がなければ、ただ中止するだけじゃEメールでもいいわけでしょう。
#73
○政府参考人(金澤薫君) 三月八日放送分については、夫は別人であったということをフジテレビとして確認しました。それから、別人が出演した経緯、出演と出演者の自殺の因果関係等については、プライバシーや人権の問題もあって完全に解明することは非常に困難だったという報告がございました。七月以降につきましては、書類、写真などによって完全に確認できた人のみ出演してもらうように対策を強化したというふうなことがございました。
 きょう、その番組については、このような経緯もあって中止するという報告を受けたわけでございます。
#74
○日笠勝之君 これ郵政大臣、放送法上何か疑義がございますか。
#75
○国務大臣(八代英太君) これは、言ってみれば報道番組とは違いまして、バラエティー番組といいましょうか、言ってみれば最近の番組にはこれでもかこれでもかというような内容のものがないわけではありません。そういう意味では、一つの番組づくりの、番組のものというとらえ方をして、これはやっぱり自主規制という形でしょうし、この番組は取りやめる。視聴者からの抗議も殺到した、スポンサーもおりるといういろんな背景があったと思いますが、したがってこの番組をやめたと、中止したと、こういう報告を受けたことは一つのフジテレビの私は見識だろうと、このように思っております。
#76
○日笠勝之君 そうすると、郵政省とすればこれで一件落着と、後は何もないということになるんでしょうか。
#77
○政府参考人(金澤薫君) 若干放送法の適用関係について補足させていただきたいと思いますけれども、放送法第三条の二第一項第三号にございますのは、「報道は事実をまげないですること。」というふうな規定がございます。まず、これは報道であることということが前提になっておりまして、「事実をまげない」とは、故意、重過失があることというふうな前提でございます。
 フジテレビとしては、今回の事情関係については知らなかったと言っておりますし、番組そのものは報道ではないと、娯楽番組に類するものというふうに主張しているところでございます。
 私どもとしては、今後のフジテレビにつきましては、この番組の中止をもちましてひとまずこの問題についてはその処理が終わったものというふうな理解でございます。
#78
○日笠勝之君 そうですね、何となくすっきりはしないと思いますがね。
 というのは、電波というのは希少有限の国民共有の財産じゃないんでしょうか。
 ちなみに、フジテレビ、キー局ですが、年間の電波使用料は幾らですか。年間の電波使用料、キー局フジテレビ。
#79
○政府参考人(金澤薫君) 手元に資料がございませんので、また後ほど調査してお知らせいたします。
#80
○日笠勝之君 いや、だれか知っているでしょう。五万円ぐらいじゃないの。じゃ、後で調べてください。そう大した金額じゃありませんよ、年間の電波使用料。
 問題は、この番組は、きのうきょうどうもやらせじゃないかとかいうんじゃないみたいですよね。おまけに出演者の一人が自殺をしているとか、人命にも関係したんじゃないか、公共の電波を使ってやらせ番組をやった。バラエティーだからいいでしょうというわけにはいかないんじゃないかなと。
 先ほども放送番組向上協議会を早期に招集してやろうというようなお話もあったかに聞いておりますが、これは倫理の問題、こういう問題に行き着くんじゃないか、こう思います。これは海老沢会長、放送番組向上協議会はNHKさんも正会員になっておられます、民放連も正会員ですが、ずっと理事さんを見ますとNHKの方が多いですよね。これは何かそういうところでこの問題について協議をしようとか、他山の石として今後こういうことがないように検討するとか、そういうことはお考えですか。
#81
○参考人(海老沢勝二君) 我々放送事業者にとっては、放送倫理というものはもう常に頭のど真ん中に置いてきちっと対応しなきゃならない課題であることは言うまでもありません。そういうことで、数年前にNHKと民放で、共同で放送倫理基本綱領というものをつくりました。そういう中で、我々放送事業者が国民の信頼を得るためには、やはりきちっとした姿勢で番組をつくっていこうということで規定を置いているわけであります。
 それと同時に、それより前に放送番組向上委員会ということで月に一回ずつ識者を招いていろいろお話を聞き、あるいはまた内部の委員の先生方でいろんな議論をし、そしてNHK、民放あわせてひとつ質のいい番組をつくろうということでこれまで活動を続けております。
 この問題については、私十二時のニュースで見ただけで、これからどういうふうに放送番組向上協議会が対応するか、まだ具体的に話をしておりません。
 今、先生から御指摘がありましたので、あそこには専務理事もおりますし、常駐の理事が、これからどう対応するのか民放さんとも協議しなきゃならない課題でありますので、いずれにしても我々としては視聴者の立場に立つといいますか、視聴者にいいものをお送りするというのが我々の使命でありますから、そういう観点から対処しなきゃならないだろうと思っております。
#82
○日笠勝之君 わかりましたか、キー局の電波使用料。──ああ、そう。じゃ、後でよろしいです。
 この問題の最後に、郵政大臣、放送行政を預かる郵政省、その最高責任者として、やらせの番組、過去にもいろいろありました。大臣は、バラエティーであれいわゆる報道であれ、先ほどから申し上げている公共の電波を使ってのやらせというものに対してどのような基本的なお考えを持っておるか、それをお伺いしたいと思います。
#83
○国務大臣(八代英太君) 今手元にフジテレビの宮内編成制作局長から、「三月八日放送の「愛する二人別れる二人」に出演されたご夫婦のうち、ご主人が別人であったことがフジテレビの調査で確認されました。 バラエティ番組とはいえ、結果として視聴者の皆様の期待を裏切ったことをお詫びし、番組を終了させて頂きます。」、こういうコメントがあります。
 これはさておいて、バラエティー番組というのはいろんなとらえ方をする。私もかつて、「どっきりカメラ」という番組がありまして、何回もひっかけられました。やっぱりびっくりして、それはその場であっと言って、「どっきりカメラ」という看板が出てくるからお笑いで終わっちゃうんですが、愛とかあるいは親子の問題とか心に絡む問題というものがやらせであるようなことになっては大変私は残念なことだというふうに思います。
 私はあの番組を見たことはありませんけれども、巷間伝えられることによると、何か評論家の方々がいて、二人が曇りガラスの向こうでちょうちょうはっしとやって、別れた方がいいだのどうするんだの出ていけだの、何か罵倒をやると。こういうことが、これがまたやらせであったなどということになっていきますと、それはもうテレビの自律性の問題も含めて、やっぱりあってはならないことという思いがあります。
 また、私もそのテレビの中で生きてきた一人として、昨今のテレビというものにはそういう意味でちょっと行き過ぎのところがないわけではない、私そんな個人的な感じは持っておりますが、何よりも自主規制を重んじながら、公共の福祉を考えながら、そしてまた一方では報道の自由という、その中の責任は重いということを痛感しております。
#84
○日笠勝之君 では次に、今度はNHKさんの方へちょっと話題を振りますが、さきの国会で行政情報公開法、それから中央省庁等改編基本法の法律が続々通りました。その中で、特殊法人というものに対しての記述がそれぞれあるわけでございます。
 例えば、行政情報公開法でも、補則に、いわゆる特殊法人も「保有する情報の開示」「提供が推進されるよう、情報の公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」というのが四十二条にあるわけであります。もちろん、これNHKがその対象になるかどうかということはわかりません。何かNTTは対象を拒否したというふうにきょうの新聞に出ておりましたけれども。
 これが対象になるならないにかかわらず、特殊法人という立場上、やはり自助努力というのはこれは大事なんだろうな、自助努力。今後ヒアリングもあるかと思いますが、どういう今自助努力をされておられるか、情報公開に対して。
 それからもう一つは、中央省庁等改編基本法の中でも、ぴったりと同じ四十二条なんですが、いわゆる整理合理化ということがうたわれております。どういう観点で整理合理化に努めておられるか、以上二点、簡潔に御答弁いただければと思います。
#85
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、特殊法人として今事業運営しております。その前は、もう先生御承知のように社団法人ということでありましたけれども、NHKは時の政府から独立した、表現の自由、言論の自由が保障された機関として国民を基盤にして成り立っている企業体でありますので、そういう面で、ほかの特殊法人、いわゆる国の代行をしている法人と違って、我々はもっと自主性を持った企業体として今運営しているわけであります。
 そういう面で、今度の法人情報の問題については、我々自身が自主的に取り組むべき問題であって、それの対象外といいますか、別な扱いをしてもらいたいというのが我々の立場であります。
 そういう中で、私どもはやはり報道機関、言論機関として我々が自主的に情報公開するのが国民に対する我々の使命だろうという観点に立っております。そういうことで、私は会長就任以来、「改革と実行」とともに、「公開と参加」ということを経営の理念に掲げております。そういう面で、受信料で運営しているNHKでありますから、できるだけ情報を公開していこう、開示していこうというのが基本的な姿勢であります。そういう面で、今インターネットなりいろんなメディアを使ってNHKの財務状況なり番組の内容なりいろんな問題をできるだけ公開の方に踏み切っております。
 それと同時に、もう一つは経営委員会の議事録の公開というような問題もよく指摘されますけれども、おとといの十六日に経営委員会で、経営委員会の審議の内容について公開していこうということを決めました。その具体的な、どこまで内容を公開するか、あるいはいつからやるかということはこれからの経営委員会の話し合いに今ゆだねられております。
 いずれにしても、こういう世の中の大きな流れでありますから、我々は自主的にいろいろな問題で、法律でなくて我々自身がいろんな面で国民の信頼にこたえるような形で情報を公開していきたいと思っております。
#86
○日笠勝之君 もう一つの特殊法人の整理合理化、いわゆる行革の観点からの御決意というか取り組みというか、この分もあわせてお願いしたいと思います。
#87
○参考人(海老沢勝二君) 特殊法人はいろいろ今見直しが迫られております。そういう中で、私どもも国民の受信料で成り立っているわけでありますから、そういう面で我々は常に国民に向かって開示していかなきゃいかぬ立場でありますし、そういうことで、NHKの予算、決算というのはもう国会の承認を得る立場であって、これはもう世界に例のない放送機関だろうと見ております。そういう面で、一般的な特殊法人じゃなくて全く世界に例のない理想的な私は特殊法人だろうと、そういう認識を持っております。
 効率化につきましては、そういう面での特殊法人としての効率化、合理化といいますか、それはもうたゆまざる努力を今重ねております。
 昭和五十四年の当時、今から二十年前ですけれども、職員が一万六千九百二十人おりました。それを四千人ほど効率化しまして、今一万二千六百五十五人と、二五%削減しております。そういう面で、今も二百人前後の要員の純減を図っております。ただ、問題は、これによって番組の質の低下を招いてはいけませんので、いわゆる間接部門といいますか、放送に直接かかわらない部門についての合理化、効率化を、今進めております。
 それと同時に、やはり経費の節減といいますか、これを行って、平成九年度、十年度合わせて二百九十億ぐらい、三百億近い経費の節減を図っております。十一年度も八十七億程度の削減を今見込んでおります。
 そういうことで、特殊法人の我々としては、できるだけ受信料を値上げしないようにするために、そういう合理的な、あるいは効率的な運営を今図っているところであります。
#88
○日笠勝之君 特殊法人として他に類を見ない立派な効率化をやっておられる、そうは思います。思いますが、何点か、ではちょっとお聞きします。
 例えば、先ほどおっしゃいました要員が二十年間で二五%ですか、削減されたと。政府も行政改革で十年間で二五%減らそうと。先取りをされている、こういうふうには思いますが、日本放送協会の本体だけじゃなくて、関連団体の人数まで入れますと、これはふえているんじゃないんでしょうか、関連団体まで入れますと。ですから、本体の要員は少なくても、関連団体へ出向とか、そういうようなことで配置転換をすれば、本体はスリムになっても関連団体は、どうも私が持っておる資料によりますと、例えば平成八年から平成九年になりましても二十四名ふえておりますし、平成九年から平成十年になりましても九十四名ふえておると、関連団体だけで。
 ですから、これがいわゆるテクニックかもしれませんが、協会本体の職員は削減、しかし関連団体はふえる。また、本体は減る、しかしアウトソーシングで物件費ということで、給与じゃなくて物件費ということで回せば、本体はスリムのように見えますよね。しかし、アウトソーシングでいわゆる人材派遣業から人に来てもらえば、要は変わらないわけです。そういう意味の効率化、本当の効率化というものは一体どうなのかなと。
 ですから、私が言いたいのは、本体の要員は削減されても、関連団体まで含まれた連結決算、連結納税じゃありませんが、全体での要員の削減、要員の移動はプラス・マイナスで削減はどうなっているか、そこを考えないと本当の効率化とはならないんじゃないかなと、こう思いますが、会長、いかがですか。
#89
○参考人(海老沢勝二君) 今先生から関連団体が数がふえているんではないかという御指摘でありますが、私ども、放送法が改正になって、NHKも副次収入を上げる、あるいは効率的な仕事をするという意味でそういう株式会社をつくることが認められて、先ほど話しました副次収入の増加を図るというふうなことも考えて、関連会社を今二十数社持っております。
 平成十一年度、ことしの三月末現在で、関連会社四千九百十一名おります。そのうち、協会から出向しているのが七百十九人であります。それから、いわゆる退職者の再雇用、我々は転籍と言っておりますけれども、これが千二百六十一人、それから関連会社、団体が独自に採用しているいわゆるプロパーが三千人足らず、二千九百三十一名ということで今構成しているわけであります。
 そういう面で、協会から出向というこの部分は、先ほど言いました四千何百から比べますと相当減ったという数字だと思います。そのほか今、御承知のように私ども衛星第一、第二、ハイビジョンという新しい三つの波を抱えながら全体で運営しているわけであって、そういう面では、私どもとしてはかなり効率化をしたというふうに思っております。
 ただ、関連会社はNHKの委託業務のほかに独自の業務をかなりやっております。今、関連会社は二千四百億ほどの売り上げを持っておりますけれども、NHK関連の方は一千億前後の仕事をしております。
 そういう面で、これから関連会社との連結決算でもう少し全体を見てみたらどうだという意見もありますので、そういう関連会社との連結決算についても、どこまでの範囲でやっていいのか、私どもも厚生文化事業団とかあるいはNHK学園とかいろんな法人を、いわゆる学校法人とか特殊法人を持っていますので、その辺を除いてどうできるのか、その辺も検討してみたいと思います。
#90
○日笠勝之君 それからもう一つは、国家公務員の場合、御存じのように、期末手当〇・三カ月減ということで、ことしの公務員の皆さんは、全体が給料が下がるという非常に懐の寂しい年末を迎えようとされておるわけでございます。
 これは、単純平均でございますので何とも言えませんが、先ほど会長読み上げられました意見書についての説明の七ページ、給与というところで一千四百七十一億一千三百万円、これを先ほど申されました人数で割りますと、一人当たりが一千百三十万円ぐらいになるのかなと。一人当たり年間一千百三十万。放送行政を所管する、NHKも一種の放送行政の対象ですが、現業の特別会計を外しました郵政省の一般会計職員の年間の給料は七百五十五万で、一・五倍なんですよね。俗に、監督とは言いませんが、監督する方が七百五十五万、平均一人当たり、NHKの方が一千百三十万で一・五倍。これは郵政大臣、どう思われますか。
#91
○国務大臣(八代英太君) うらやましい思いがします。
#92
○日笠勝之君 私、これ以上のことは言いません。それに見合った仕事をされておると確信を持っておりますが、公務員にもいよいよ給与というところへ手をつけて行革をしなければならないという時代に入ったということ、このようなこともよく今後の人事の中で、もちろん労使の問題があるでしょうけれども、考えざるを得ない。
 先ほど申し上げたように、公務員はどんどんどんどん減る。そこは、だから郵政省の職員も同じことですよね。その中でNHKだけが職員の給与がふえていくということになれば、受信料を払う側に立てば、一体どうなっているんだ、こういう声が起こるだろう。起こる前にやはり対策をとるのが、これが危機管理能力でありますから、ぜひ、会長以下執行部の皆さんの、経営者の皆さんの今後の対応も、ちょっと念頭に入れておいて対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
#93
○参考人(海老沢勝二君) 今NHK職員の給与が高いんじゃないかという御指摘がありましたけれども、我々マスコミに従事する職員のあれとしては、NHKは高くないと私は思っております。それは、やっぱり民放との比較、新聞社との比較からしますと若干低くなっております、我々の方が。そういう面で、やはり質のいい人材を確保し、そして質の高い番組をつくるためには、余り低ければ人材は集まりませんし、それができなくなるしかありませんので、その辺はひとつ御理解願いたいと思っております。
 それから、郵政省はNHKの一般的な監督権はありません。いわゆる法律に基づいた中での監督権であって、そこをひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
#94
○日笠勝之君 それは、確かに私の言い過ぎで、監督権はございませんが、放送行政を預かる側として何らかの関係はあるわけでございます。
 それでもう一つ、事業収入でございます、受信料。相当ふえたと、こういうことですが、実質は受信料の有料でふえたのは一億円ぐらいですよね、平成八年から九年に比べますと。あと副次収入が相当ふえておるということですが、平成九年の予算ベースでいくと、有料は、予算では四十六万新しく契約をとりますと。決算でいくと四十五万人だと。衛星カラーは、平成九年予算段階では八十万の新規契約を頑張りますと、こういう予算でございましたが、決算は六十二万。
 予算というのは精密なデータをもとにきちっとした積算根拠があるわけでしょう。特に衛星カラーなんか八十万の予定が、決算が六十二万ということで十八万のマイナスということになっておりますが、原因は那辺にあるのか、どういう分析をされておられるか、お聞きしたいと思います。
#95
○参考人(芳賀譲君) お答えいたします。
 NHKでは受信料収入の確保を最重要課題というふうに位置づけていますが、その柱として、衛星契約及び契約総数、これの増加のために最大限の努力を払ってきているところでございます。
 平成九年度のところについて申し上げますと、長野冬季オリンピックがございました。この普及効果が期待をされたわけでありますが、やはり長引く不況によりまして、実は前年度、八年度は百十万ほどの普及があったというふうに思いますが、それを下回る普及にとどまっております。そういうことと、それから次第に、先ほども申し上げましたけれども衛星放送の普及自体が、ケーブルあるいは集合住宅での普及がふえてございます。したがいまして、そのため発見、把握に時間がかかってきて、残念ながら六十二万の実績になってしまった、こういうことでございます。
 それから、総数増加のところも、これはまともに不況の影響を受けておりまして、ホテルあるいは事業所の倒産とか閉鎖というのが多々ございます。そのほか、集金とか契約でお客さんのところにお願いに上がっているのですが、話はわかった、しかし残念ながら金がないのでまたにしてほしいと、こういうことで一件当たりの労働が非常に効率が悪くなっている。総体として、活動量、日数とか訪問軒数は落ちていないんですが、残念ながら成果に結びついていないところがあるということでございます。
 今後、こういうところにつきましては、さらに制度の理解を、放送あるいはそのほかのところを含めまして御理解をいただく努力をしていくと同時に、やはり私どもは放送を見ていただいてお金をいただく商売でございますから、いい番組がこんなにあるんだということをお勧めをして、受益感を持っていただいて、その中でお支払いをいただく、こういう方向で努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます
#96
○日笠勝之君 もう一つ、受信料集金コストでございますが、四千人ぐらいのいわゆる集金をされる方がいらっしゃって、その経費が八百億円ぐらいと聞いておりますが、大体そういう数字でしょうか。
#97
○参考人(芳賀譲君) およそ八百億ちょっと欠けるわけですが、それには営業の職員の人件費も入ってございます。したがいまして、それを除いたところが実際に地域スタッフの方々の処遇、それから領収書の発行でありますとか、それから口座振替の手数料でありますとか、それからコンピューターを使ってやっておりますから、そういうものの運用経費等々すべて入った費用でございます。
#98
○日笠勝之君 六千億足らずぐらいの受信料収入ですが、それで八百億円のいわゆる徴収コストがかかると。
 イギリスなんかと比べましてどうなんでしょうか。また、まだNHKとして努力する素地があるのかどうか。どういうところへ目を向ければコストが低くて徴収が上がるのか、どういうふうにお考えなのか、その点もあわせてお聞きしたいと思います。
#99
○参考人(芳賀譲君) お答えいたします。
 NHKの十年度の決算ベースで見まして、受信料収入に対する経費、営業経費率と申し上げていますが、一二・九%でございます。これに対しましてBBC、ちょっと前の数字でありますが、六・二%でございますから、私どもの方がまだまだ相当高いということで、国会に対しましてもこの営業経費率を下げるということをお約束しながら年々努力を重ねてきているところでございます。平成元年度の決算で見まして一七・八%ございましたけれども、これが十年には一二・九%まで圧縮をしてきています。
 実は、もっと速いペースでいくつもりでやってきたんですが、途中、阪神大震災がございましてストップして、かえってふえてしまったという経緯があって、それを取り返すべく努力をしてきているところですが、やはり単身世帯とか面接困難な世帯がふえているということがございまして、そのためにロードがかかる。しかし、営業経費の最大はやはり人件費でございます。この人件費をどう削減していくかということでございますので、なかなか難しいところはございますが、さらに努力はしてまいりたい、こういうふうに思っています。
 また、口座振替とか継続振り込みとか、間接集金を進めますと安定収入につながりますし、コストも下がるということでございます。このことをやっていきたいと思っています。
 それからもう一つは、コンピューターシステム、今現用のものはあるんですが、さらにこれをバージョンアップをするということの中で、お客さんの御要望に応じた、あるいは生活時間帯に応じた効率的な訪問活動等々ができるようなことを考えておりまして、携帯端末というんですか、ハンディーターミナルを持ちながらそういうこともできる。
 そういうことをやることによって、今後とも営業経費率については極力下げてまいりたいというふうに考えておりますが、先ほど述べましたように不況あるいは単身世帯の増など、非常に難しいところがあるというのも実態でございます。
 なお、BBCがなぜこんなに六%前後でできるのかということでございますが、BBC自体は、受信料の支払いは実は郵便局へお客さんが持ってきて支払うシステムになっていまして、訪問して契約をいただいたりお支払いをいただくという行為を一切しておりません。それから、今NHKで大変経費がかかっております、移動世帯をフォローしてまた新しく御契約を継続していただく、このためのコストが相当かかるわけでありますが、BBCでは、お客さんの転居情報は郵便局から入手ができることになっているんです。これは法律で決まっているんです。それから、電気店から受信機の販売先、この情報もいただける、こういうことになっております。こういうことが相まって営業経費率を低くするシステムができております。こういうことでございます。
#100
○日笠勝之君 そうすると、毎年毎年、附帯決議でコストをかけずに徴収を上げろということはシステムそのものを考えないかぬのかなと、議員の私たちの責任かなというような気もいたしてくるわけでございます。
 現実に、この寒い中それこそ一軒また一軒と訪ねて、中には怒号、罵声を受けながら一生懸命やっておられる集金人の方もいらっしゃいますし、また過疎地域でははるか山の上の一軒にわざわざ歩いていってお願いをしているというのも聞きました。そういう本当に第一線の皆さんの御苦労もあるわけでございますが、今後もさらなる、いろんな意味での総合的な努力をされて、徴収が上がるように頑張っていただきたいと思います。
 最後に、先ほど申し上げました、金澤局長、わかりましたか。
#101
○政府参考人(金澤薫君) お尋ねのフジテレビの電波利用料でございますけれども、平成十年で三百六十万ということでございます。
#102
○日笠勝之君 三百六十万でしたか。はい、わかりました。
 ちなみに、携帯電話一台の年間の電波使用料は五百四十円でございますから、一台が。それから見れば、キー局の電波使用料がいかに安いか。オークションでも入札でも何でもやってもいいんじゃないかという声もあるぐらいでございます。ですから、規律をきちっと守らなきゃいけない。国民の公共財産を安く借りて営業しておるわけです。ですから、やらせだとか後ろ指を指されたりするようなことはやっちゃいけないということが言いたかったわけでございます。
 さらなる番組の向上にNHKも頑張っていただきたい、またいろいろそういう意味ではリーダーシップをとっていただきたいということをお願いして終わりたいと思います。
 以上です。
#103
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。どうぞよろしくお願いをいたします。
 我が党は、今回決算が審議されている一九九七年度のNHKの予算については反対をいたしました。この反対討論を九七年三月二十五日の参議院逓信委員会で我が党の上田耕一郎議員が行っております。そこでは、「反対する理由は、国民の受信料収入で運営されている公共放送として、消費税増税について国民大多数の理解が得られていない状況で、消費税の増税分を受信料に転嫁する値上げを行うからであります。」と述べた上で、「消費税増税を含む九兆円の国民負担の増大は、日本経済の原動力である個人消費や中小企業の設備投資を落ち込ませるなど、日本経済に大きな打撃を与えることは間違いありません。このような状況で、直ちに消費税増税分を受信料に転嫁することは認められません。」と指摘しております。
 その後、消費税増税が強行され、事態は我が党が指摘したとおり、日本は深刻な不況の底に突き落とされたことは周知の事実であります。
 九七年の決算を見ますと、NHKもその影響を大きく受けた様子がうかがえます。NHKの受信料収入に大きく貢献してきたBS放送の受信料の伸び、九七年度の予算では八十万件となっていたものが、先ほどもお話がありました決算では六十二万件と、十八万件下回っております。この落ち込みについて、先ほどの御答弁でも長引く不況ということも触れられました。
 もちろん消費税の増税はNHKの責任ではないとはいえ、受信料に安易に転嫁することは日本経済にとってもNHKにとってもよくないというのが我が党の指摘でありました。そして、現に当時消費税増税分の料金転嫁を見送ろうとする自治体の努力、企業などの努力もありました。また、政府機関でも、例えば郵便事業のように消費税増税分を郵便料金に転嫁せずに今も頑張っているというところもございます。
 ところが、今回の決算を見ますと、予備費を全額残すなどの経営努力で経費削減に努められている。その内容の賛否はともかく、九十三億五千百九十三万円の黒字決算となっております。これは、予算で消費税転嫁分とされた百十億に迫るものではないかと思います。
 海老沢会長にお伺いしますが、この決算の結果は、その当時の国民の消費税増税反対の声にこたえてこうした転嫁見送りの努力をする余地があったということを示しているのではありませんか。
#104
○参考人(海老沢勝二君) この消費税導入につきましては当委員会でもいろいろ論議をいただきました。私ども、消費税を徴収しようということで予算を組んだわけであります。
 一応黒字が出ましたけれども、これは私ども経営の効率化といいますか合理化、いわゆる経費の節減をやっていこうということで、平成九年度は百数十億の経費節減の結果がこういう黒字につながったというふうに思っております。
 といいますのは、私、会長に就任して、これまでの番組のつくり方を抜本的に見直してみよう、あるいはいろいろな物資の調達なりその辺もこれまでのやり方をひとつ見直してみようということで、そういう努力の結果がこういう黒字につながった、そういうふうに思っております。
#105
○宮本岳志君 我々は、そもそもNHKの受信料に消費税を課税すること自体が不当だと、そして消費税課税の対象から外すことを主張してまいりました。そして、九七年以前も以降も、予算案の内容に国民の立場から見て問題がなければ、消費税が転嫁された受信料を前提とした予算案であってもこれは賛成をしてまいりました。
 そして、九七年度の予算審議の中で上田議員も表明したように、九七年度の予算についても、NHKの予算全般については賛成、容認する、しかし消費税増税分の受信料への転嫁が入っているということで反対の態度をとったものであります。したがって、今回の決算については予算の執行、まさに決算内容に問題がなければ賛成の態度をとることにしております。
 そこで、決算内容について聞きますけれども、予算総則第四条に基づいて、国内放送費から財務費に一億八千万、国際放送費に一億三千万、計三億一千万円を流用して当初予算減になっております。九〇年代に入ってこうした予算操作で国内放送費を減額させたことはかつてありましたか。
#106
○参考人(笠井鉄夫君) お答え申し上げます。
 平成九年度においては、国会で御審議いただきました予算収支に定めております予算総則第四条に基づきまして国内放送費の一部を流用させていただきました。
 御指摘の流用でございますが、平成元年から平成九年度までの間に国内放送費から他の費目へ流用させていただきましたのは三回ございます。一方、国内放送費を増額させていただいた回数は三回ございます。
 以上でございます。
#107
○宮本岳志君 四条の流用で国内放送費は三億一千万円当初予算よりも減額をされました。しかし、予算が減額されたのだが、決算では一層の経費削減をやって、その減額された予算に対しても十三億七千八百万円の予算残となっております。こんなことは、少なくとも九〇年代に入って一度もなかったことであります。
 例えば、先ほどお話があった九五年の決算などを見ますと、赤字予算であったにもかかわらず国内放送費は当初予算をオーバーをして、逆に四条流用によって辛うじて予算残額をプラスにしているわけであります。これと全く対照的だと。
 九七年度の努力の中身ですけれども、例えば私ども聞いておりますのは、九八年の一月に「新春名作ドラマ館」という名前で、過去の名作ドラマに、その前に脚本家のインタビューをつけ加えるだけで再放送を行い、その後もたびたびこうした手法で再放送を行っているということを聞いております。もちろん、アンコールを希望される視聴者の方々もおられると思うんですが、放送の質の低下だと指摘する声も私どもに伝わっているわけであります。
 今、放送事業者の間には、先ほど来議論されてきましたように、地上放送のデジタル化という問題がございます。しかも、郵政省は二〇一〇年までに何が何でもというような、そういう姿勢も感じられるところでございます。そのための費用捻出のために必要な放送経費まで削減すれば肝心の放送内容の質が低下することにもなりかねないと思うんです。
 国内放送費の経費削減の努力、これは適切なものであったとお考えになるのかどうか、一つ海老沢会長にお伺いします。
#108
○参考人(海老沢勝二君) 職員がそれぞれの部署で、それぞれの番組づくりの中でいろいろ努力をし、削減したわけであります。私は非常に適法だというふうに思っております。
#109
○宮本岳志君 ぜひそう指摘されることのないように、一層質の充実に努めていただきたいと思います。
 NHKの受信料の免除基準の変更について一問、これは郵政省にお伺いしたい。
 実は愛知県岡崎市のある学校から、教育委員会から職員室と応接室のテレビを撤去しろとの指示で撤去したと、こういう話を聞いて大変驚きました。調べてみますと、「日本放送協会放送受信料免除基準の変更について」という文書が出てまいりました。「小学校、中学校、幼稚園等の校長室、職員室に設置されたテレビ受信機の免除措置廃止につきましては、衆参両院における日本放送協会平成十一年度収支予算等の審議の際に、慎重に議論を重ね、全会一致により、ご承認いただきました。」、こう書いてあります。
 これが撤去しろという指示とともにおろされたら、つまり、まるで国会が全会一致で撤去を支持している、こういうふうに受け取られかねない事態だと思うんです。
 確かに、ことしのNHK予算の審議でこれが議論され、我が党は公共放送としてのNHKの性格に照らして、受信料制度への国民の理解を広げるとともに受信契約の確実な締結と収納の確保に努める、これは当然との立場から免除基準の変更に異を唱えなかったのはそのとおりであります。本委員会でもそういう趣旨の附帯決議が全会一致で採択をされております。
 しかし、これが学校の職員室や応接室からテレビを撤去させようなどという趣旨のものでなかったことは各会派共通の思いだと思います。現に三月十五日、衆議院逓信委員会での審議でも、民主党の委員がこの実施に伴って自治省や文部省からの対応を求めたのに対して、野田前郵政大臣は「むしろこれからは、それぞれの行政の角度からとらえていただくのが望ましい」と答弁をされました。
 そこで郵政省にお伺いしますが、この措置に伴って行政の角度からの対策を自治省や文部省にきちんと働きかけたのですか、いかがですか。
#110
○国務大臣(八代英太君) 小中学校等の校長室あるいは今おっしゃった応接室、職員室に設置するテレビについては、免除の本来の趣旨である学校教育の用に供するものとならなくなってきた、こういうことで、御審議も踏まえ、利用実態を踏まえて文部省及び自治省に対して免除の廃止を働きかけてまいりました。これが一つです。
 このような考え方をもとにいたしまして、NHKから受信料免除基準の改正の申請を受けましてこれを認可した、こういうことでございます。
 なお、委員御指摘のとおりいろんなところ、それは愛知県のケースかもしれませんが、北海道なんかにもそういうところがありました。テレビの視聴料は千三百円でございますから、撤去しろではなくて、校長室、職員室にあった場合には、ひとつ公共放送という建前でお支払いいただくことを私たちもお願いしたい、このように思っているところでございます。
#111
○宮本岳志君 職員室にテレビがなければ、例えば災害などの発生に気づくのがおくれると子供たちが避難するのがおくれるといったことも、これはあり得ることであります。郵政省は、全学校へのインターネットということに大変熱心でございますけれども、職員室にテレビもないようで何がインターネットだという声も出かねない事態だと思います。そういうことのないように、よく各省庁連携して事に当たっていただきたいと思います。
 そこで、次に、昨日衆議院で我が党の矢島委員が取り上げた災害時における聴覚障害者への情報保障の問題でございます。
 九月三十日の東海村での臨界事故に際して、聴覚障害者に情報が保障されなかったことが大問題になってまいりました。
 昨日大臣は、矢島委員が、茨城県知事や野中官房長官の記者会見など繰り返し放送された内容などは、第一回目の放送は無理でも、二度、三度と録画を流すときには字幕をつけられるではないかと質問したのに対し、ニュース原稿の自動音声認識技術の問題として御答弁されたと思うんですね。
 そうではないんですよ、私たちがあそこで言いたかったのは。これは、いわゆる従来の字幕放送の話じゃなくて、録画で流す場合、最初は無理でも、二回目、三回目に時間的におくれて一定時間余裕のある場合には、ワープロのように手打ちで打ち込んででも字幕がつけられるではないかということをただしたんです。現に十月二日に日本テレビが流した茨城県知事の会見には字幕がつけられていたということを確認しております。こんなことは技術的に簡単なことだと思うんですが、もう一度大臣、お願いいたします。
#112
○国務大臣(八代英太君) 十月一日の午後、全日本ろうあ連盟から電話で依頼を受けまして、これを受けてすぐ、NHK及び民放五社、これは日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京に電話でもってそのことの御連絡を申し上げました。なお、全難聴、これは難聴の方々の団体ですが、その皆さんからもファクスで依頼を受けました。
 こういうときにそれぞれ各局が対応していただいて、テロップで放送するとかなるべく字幕スーパーは長目にやっていただくとかいろんな工夫で対応していただきまして、いわゆるテロップによるニュース速報を随時放送したとか、あるいは通常番組において繰り返しテロップをやったとか、いろんなことを各社がそれぞれの形でもって、手話番組も放送したり文字の多重放送もしたり、取り組んだようでした。
 その報告は、全体細かくは受けておりませんけれども、そういうことを踏まえて、今おっしゃるように一つの報道がある、それがまた同じスタイルでまた次に放送がある、そういう場合には、そのときテロップに流したものをそのまま録画すればそのまま下へ同じような形でできるわけですね。ですから、そういうことの一つの工夫もあるでしょう。しかし、最初の録画と若干中身が、緊急性によって新たなニュースが入ったという場合には、これはまた最初からやり直さなければならない。
 その場その場によって緊急時の対応の仕方はいろいろあるだろうと思いますが、確かに聴覚に障害がある人、あるいはお年寄りの皆さんのそういう難聴の人たち、もう五百万、六百万とも言われていますから、そういう緊急時における対応というものは素早くやるべきだ、こういうことをきのう申し上げたところでございます。
#113
○宮本岳志君 もちろん、ニュースにどう字幕をつけるかという問題はこれまた後からお話をしたいと思うんですが、とにかく野中官房長官や茨城県知事は二度も三度も記者会見をしたわけじゃないんですから、恐らくその一度の記者会見の様子を後のニュースでも録画の形で流されたと思うんです。だから、あの記者会見の直後のニュースはそんな打ち込んでいる間がないにしたって、一時間後のニュース、二時間後のニュース、同じ一時間前、二時間前の録画を流す場合には打ち込めるではないかという趣旨をお話ししましたもので、ぜひその方向で努力をお願いしたいというふうに思うんです。
 きょうはNHKのホームページから一部持ってまいりました。「いざという時のために万全を期します。」、こういう表題で、こう述べられております。
  いま起きていることをリアルタイムに伝えられる、それが放送が持つ最大のメリットです。そして、そのメリットを最大限に発揮できるのが緊急報道・災害報道だと言えます。とりわけ災害において、NHKは報道機関としては唯一、「災害対策基本法」で国の指定公共機関に定められています。「地域の人たちの生命・財産を守る」ということが、NHKの災害報道に課せられた使命であり、NHKで働く者の合い言葉です。
こう書かれております。
 会長、ここで述べられている生命、財産を守るべき地域の人の中には障害者も入ることは当然だというふうに思います。こういうNHKの使命から見て、リアルタイムとはいかなくても、せめて二度目、三度目の放送の際には字幕をつけていく、こういう努力をするのは当然ではないかというふうに思うんです、日本テレビでもやっているわけですから。災害対策基本法で国の指定公共機関に定められているNHKとして、どうか前向きの御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#114
○参考人(海老沢勝二君) 今御指摘のように、我々公共放送として、特に非常災害時については全力を尽くす機関でありますし、そういうことでこれまでもやってきましたし、これからもやるつもりでおります。
 そういう中で、障害者に対する字幕放送なり手話放送なり、これはもう我々は力を今入れているわけでありますけれども、若干そういう面で十分でなかったという反省もしております。そういうことで、今後はできるだけ迅速に、素早く対応できるように体制の整備を図っていきたいと思っております。
#115
○宮本岳志君 前向きな御答弁をいただきまして、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 次に、手話放送について。これも、今お伺いしているのは皆、災害時の問題であります。手話放送についてお伺いしたい。
 それで、災害時の放送については、あの阪神大震災のときの事例を調べてみました。そうしたら、サンテレビでは地震四日後の一月二十一日には、関連報道番組で手話通訳がワイプ方式、つまり右下画面に手話通訳者が出るという形で挿入をされました。関西テレビでも、一月二十五日の「アタック600」という番組の一部、それから二十六日、二十七日、二十八日は「阪神大震災情報」という番組、三十分間の放送時間中通して、これまたワイプ方式で手話通訳がついたわけであります。聴覚障害者の中には文字を読むことが苦手だという方もいらっしゃいまして、手話放送の要望も非常に高いんです。
 今回、放送行政局が十一月九日付で出した各局の対応状況例というのを見せていただいたら、「手話番組も放送」とありました。それで、NHKについて詳しく調べてみて、これは本当にあきれたんです。つまり、教育テレビ、ウイークデーの午後八時四十五分から十五分間、これはいつもの「手話ニュース八四五」という、別に災害があろうがなかろうがやっている手話番組の話であります。これで努力したと。つまり、何かふやしたということにはならないと思うんです。阪神大震災のときにはサンテレビや関西テレビもワイプ方式という形で入れたわけですから、やはりニュースにそういう形で手話を入れる、そういう対応をすべきではないでしょうか。
 いかがですか、NHK。
#116
○参考人(松尾武君) 緊急時における手話の導入ということについては、以前からいろいろ議論をしております。
 率直に申し上げて、画面の大きさ、手話ニュースで申し上げますと画面の半分を使って手話を伝えております。それぐらいにしないとやはり手のこういう動きが正確に伝わらない。したがって、丸ワイプで右下へちょっと乗せるのは必ずしも正確な情報が伝わらない、その場合に緊急時にかえって混乱をする可能性もあるのではないかということも一方にあります。それと、今私どもはできるだけ文字情報をふやしていこうということで、例えばL字画面というのも開発いたしました。絶えず字幕で一定の情報を流していくということもあわせてやっております。
 ですから、今後緊急時におけるあり方というのは、まだまだデジタル化時代では別の方法論というのも開発されるかもしれない、要するにデータ放送とのリンクということもあります。そういういろんな要素も出てきますので研究をさせていただきたい、前向きに研究をさせていただきたいということでございます。
#117
○宮本岳志君 ぜひ御研究いただきたいし、またもちろんワイプ方式に対する評価はここで争うつもりはございません。それならNHKがとっておられるような手話ニュースの枠を広げるとか回数をふやすということもできたはずでありますから、ぜひしっかり前向きの御研究をお願いしたいと思うんです。
 災害時における障害者の情報保障という問題は、人の命と安全にかかわる大テーマであります。八代大臣は、一九八〇年一月三十日の参議院本会議で次のように述べられました。当時の日本社会が健常者を標準にしてつくられているということを指摘した上で、
その底には、歩ける人、目の見える人が標準であり、ノーマルであるという暗黙の了解があるのであります。それは、裏を返せば、歩けない、目が見えない、聞こえない、知恵がおくれているといったハンディキャップのある人は、特殊な存在であり、少数であり、大多数の規格に合った五体満足と言われる人々のために多少の犠牲になってもやむを得ないという暗黙の了解であります。いや、暗黙ではなく、あからさまの場合もしばしばあるのであります。
大臣がこうおっしゃってから二十年の歳月が流れようとしております。しかし、ここで大臣が指摘されたことはいまだ過去のものになったわけではないと思うんです。
 今、障害者の中から、安全への不安、情報保障の不十分さに対する不安が大きく出されております。Y2Kと言われる西暦二〇〇〇年問題、これもあと五十日後に迫ってきているわけであります。新技術ができたらとか、新しい機械を何とかというような議論ではとても間尺に合わない問題でもあります。これは基本的人権にかかわる問題として、郵政省もNHKもそして民放も、本当にともに全力を挙げて取り組んでいただきたいということをぜひ強調しておきたいと思います。
 次に、字幕放送、つまりこれは、いわゆる従来から議論してきた字幕放送についてお伺いをいたします。
 私は、去る十一月七日に私の地元大阪で開催された「聴覚障害者のキャプショニング 字幕放送シンポジウム」、これに参加をさせていただきました。郵政省からも放送行政局放送政策課放送番組流通促進室長、大変長い肩書きですが、この方が御参加されて報告をされておりました。
 そこで痛感したんですけれども、生番組の字幕付与を自動音声認識装置だけで考えることに無理があり、この字幕の問題が総放送の四〇%という枠をなかなか出られない原因があるのではないかということなんです。シンポジウムにはNHKからも参加されて、私と並んでごらんになられたと思うんです。発言内容を要約筆記者がそのままパソコンに打ち込んで、そしてリアルタイム字幕で画面に映し出すシステムが活用されておりました。
 このシステムは、八代大臣も本年の六月四日、衆議院議員会館で行われた障害者放送協議会主催の著作権シンポジウムでごらんになったと思いますが、あれと全く同じシステムでございます。正確さ、速度ともにその技術の向上は目覚ましいもので、参加した字幕制作の専門家からもかなり優秀だと、ほとんど間違いなくちゃんとついている、こういう感想も聞かれたところであります。
 シンポジウムでは、話し手の音声と手話通訳とリアルタイム字幕が同一画面上でCS放送で実況中継される、まさに生の番組に字幕をつけることが可能であることの証明として強力なメッセージを発したものだと思います。
 これまでも、我が党は字幕放送について繰り返し質問してまいりましたが、いつも答えは新技術の開発、つまり自動音声認識装置の開発を待つというものでございました。これが総放送時間の六〇%の生放送への字幕付与の障害になってきた。こういう装置が開発されれば、もちろんその装置を使えばいいと思うんですが、せめてそれまでの期間、聴覚障害者に生番組を我慢させるのではなくて、直ちにこの要約筆記によるリアルタイム字幕を真剣に検討すべきだというふうに思うんです。
 そこで、NHKに提案をさせていただきたい。
 実験放送と言いたいところですけれども、NHKはまだこの技術についてごらんになっていないという御回答もいただきました、しっかり検証されていないという。そこで、ぜひ一度NHKにおいてこの技術の到達点の検証をしていただきたい。これには要約筆記問題研究会の皆さんからも全面的に協力するとの御意向をお伺いしております。これはNHKの決断次第ですぐにでもできることですから、どうか海老沢会長、前向きの御検討をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#118
○参考人(松尾武君) その要約筆記については、障害者連絡会等々で私も具体的に見ております。
 生活情報、ニュースというものは、話題が多方面に及んでいる。ニュースは三十秒とか四十秒ぐらいで次の項目へどんどん入ってまいります。したがって、要約筆記者の要約能力というのが、一つの会議でいろんな意見が出て、テーマは大体こんなことですよと言いながらわかって打ち込むのと、そのたびに海外の名前もあれば国内の名前もあればという、そういう大変難しい、熟練度というんですか、そういうものが要求されてくるのではないか。
 私どもも認識装置というものの開発というのはそれはそれで一方ににらみますが、要約ということがニュースの中で許されるのか。要約をされることによって誤解をされてしまったらどうするんだという問題があります。これは要約者の主観が入ります。これに対しての保障をどうとれるのかというところが、中途半端な情報だったら送らない方がいい、かえって混乱してしまうということも一方にありますので、今その装置を私は知っておりますから、これも具体的に、今やっと筆記者が何人か本当にワープロで打てるようになったので、そう数はいらっしゃいません。それもボランティアでやっていらっしゃる方もいらっしゃいます。
 そういうことも含めて、研究の材料にさせていただきたいというふうに思っております。一度始めましたらやめることができません。継続的にそれをやっていかなきゃいけないということがあります。その辺も含めて開発研究ということでお願いしたいと思います。
#119
○宮本岳志君 誤解のないようにこれは御説明させていただきたいんですが、要約筆記問題研究会と研究会の名前がついております。もちろん全く要約しないということじゃないんですけれども、今は先ほどお話があったようにパソコンで打ち込んでキーボードで打ち込みますので、かつては手で書き取っておりましたので要約するということが主眼になりましたけれども、今はほとんど話し言葉のまま打ち込むという技術のことを指しております。
 そのシンポジウムでも、その言葉のままで出ておったのをごらんになったと思いますので、ただ単に要約という言葉で障害にならないようにお願いしたいというふうに思っております。こういうことをやろうと思えば当然コストがかかる、これはもう重々わかっております。そして、それがなかなか進まない原因になっているということも承知をしております。
 そこで、NHKにお伺いいたします。
 NHKの事業収入に対する字幕放送予算の割合は、十一年予算ベースで一体どれぐらいですか。
#120
○参考人(笠井鉄夫君) お答えいたします。
 平成十一年度予算における字幕制作費でございますが、五億一千万円でございます。事業収入予算総額六千三百五十四億五千万円に対しまして〇・〇八%でございます。
#121
○宮本岳志君 先日、アメリカ、カナダを参議院の調査団として訪問させていただきました。
 アメリカでは九六年、テレコミニュケーション法で、九八年以降制作されるテレビ番組ソフトは二〇〇〇年までに二五%、二〇〇二年五〇%、二〇〇四年七五%、二〇〇六年には九五%字幕つきにする、こういうことが決められています。つまり、二〇〇六年までには深夜に放送される番組やローカルの情報番組等一部の番組を除いて、ケーブルテレビもローカル放送まですべての番組に字幕がつくということになっております。
 もちろん、アメリカでも字幕制作費は安くはありません。放送局の負担も大変だということで、放送事業者は全収入の二%を超えて字幕制作費を負担する必要はないということになったんです。つまり、アメリカでやられているコスト議論というのは二%という議論であります。日本はNHKでさえ〇・〇八%、〇・一%を切るような状況なんですね。だから、本当にこの予算の増額のために頑張らなきゃならないというふうに思っております。来年度の予算に向けて一層抜本的な努力をお願いしたいし、これは予算の問題ですから、また予算の審議でNHKにお伺いをしたいというふうに思っております。
 次に、民放についてもあわせてお伺いをします。
 九八年度から一般予算で字幕番組、解説番組等の制作促進費が交付されております。これも放送行政局長にお伺いしますけれども、九八年と九九年、それぞれ幾ら交付されましたか。
#122
○政府参考人(金澤薫君) 九八年度においては一億二千万円を助成いたしました。また、九九年度におきましては、交付決定時において三億九千万円を助成することを予定いたしております。
#123
○宮本岳志君 一億二千万と三億九千万、実に三倍以上ということであります。
 では、次にお伺いいたしますけれども、同じ九八年、九九年、民放の放送、キー五局合計でいいですが、字幕付与可能な番組のうち、どれだけに字幕がついたか、お答えください。
#124
○政府参考人(金澤薫君) 郵政省は、地上民放テレビ局に対しまして毎年七月の一週間について実態調査を行っておりますが、それによりますと、字幕付与可能な放送時間に占める字幕放送時間の割合でございますが、民放キー五局平均で九八年調査時は五・三%というふうになっております。九九年調査時は七・一%というふうになっております。
#125
○宮本岳志君 これはわずか一・三倍と。先ほど三倍以上交付金がふえたのに、単純にいかないという面もあるのかもしれませんけれども、字幕放送のふえ方というのは民放においては一層、本当に少ないわけです、一・八%、増加分は。せっかくの補助金が正しく使われているのかという声も出ております。
 この補助金ができたことで飛躍的に字幕放送がふえる、これは本当に聴覚障害者の皆さんは期待をされておりましたので、民放はこれまで負担していた字幕制作費を減らして税金に頼っているのではないか、こういう声すら出ております。
 このような低い数字では、二〇〇七年に一〇〇%という郵政省の目標、これも到底クリアできないということになります。いずれにせよ、日本におけるコスト論というのは本当にこういう低い話でありまして、国、そして事業者、力を合わせてこの問題に取り組む必要があるということを私は指摘しておきたいと思います。
 最後に、こういう問題では本当にライフワークとしてその先頭に立って頑張ってこられた郵政大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#126
○国務大臣(八代英太君) だんだん高齢化社会になってまいりますと、高齢者でも難聴で苦しむ方もいらっしゃるということを含めますと、すべての人が難聴対象になっていくだろうという思いでは、字幕放送というものも非常に大切になってくるだろうと思います。
 いろんな技術革新も行われておりまして、私も先般見ましたら、むしろ要約筆記とか、それから言葉を手話でやるとかという時代をもう超え始めておりまして、むしろ音声をアダプターがキャッチしてそのままアダプターによって画面にその言葉が文字放送されるという、逆の考え方ですね、つまり音声を吸収してそれが字幕になっていくという。これはもう一人一人がそのアダプターが必要であれば、自分のテレビにつないでそれをやるということで、そんな研究開発もされておりますし、まさにこれからマルチメディア、情報弱者ということのいろいろな問題点を考えていきますと、あらゆる角度から研究することは大切だな、こんなふうに思っておりますし、一層の研究に対する努力をしたいと思っております。
#127
○宮本岳志君 ありがとうございました。
#128
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 経営委員会の議事録の開示の問題について御質問申し上げます。
 私は、本年の三月二十三日の本委員会におきまして、経営委員会の議事録開示問題について質問をいたしました。
 そのときに海老沢会長は、経営委員会の情報公開をどこまでやるのか、この委員会の模様をお伝えするとお答えでございました。残念ながら、まだ明確にそのことはなっていないようでありますけれども、積極的に開示をすべきだという考えを持っているわけでございますけれども、その結果についてどういう見解をお持ちなのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#129
○参考人(海老沢勝二君) 今、渕上先生からお話がありましたように、ことしの三月二十三日の本委員会での先生の御質疑につきまして、私は早速、経営委員長にこの委員会の審議の模様をお伝えいたしました。
 その後、経営委員会といたしましては、どのような形で議事録を開示するかどうか、検討を重ねてきました。実はおととい、十六日の経営委員会で、御指摘のように経営委員会の議事録を開示するという基本的な考えを決めました。具体的にいつからそれを開示するのか、あるいは具体的な内容をどこまで開示するのか、その辺はこれからさらに検討を重ねたいということで須田経営委員長の方から私の方に報告がありました。
 そういうことで、経営委員会としては原則的に議事録を開示するということになったということを御報告申し上げます。
#130
○渕上貞雄君 検討をしていただきましたことに感謝を申し上げます。
 同時にあわせて、放送と通信の融合の時代、デジタル化時代におきまして、これから先の放送のあり方、そしてNHKとして、公共放送としてどういう方向を向いているかというのはやはり国民の最大の関心事だと思いますので、どうか積極的なこれから先の開示問題について御協力いただきますことをよろしくお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、地域放送の問題について、先ほど同僚議員の方からも質問があっておりましたけれども、結局、NHKといたしましては、地域放送の充実が大きなこれから先の経営上の柱になっていくのではないか、こういうふうに思っているところでございます。だとすると、一方では地方の要員、ここ十年以上ずっと減らされているというのが現状ではないかというふうに思いますし、そのように聞いております。
 したがって、充実をするというのは、ただ単に放送時間の枠だけをふやせばいいということではないのではないか。地域の話題や問題、それから地域の抱えるいろんな課題について丹念に掘り出していくということは大事なことではないかというふうに思いますし、地域ごとの個性あふれる中身の濃い番組というものをどのように具体的に制作をしていくかということは大事なことであり、これから先ますます地域放送というのは重視されていく時代だというふうに思います。そのためには、やはりきちんとした体制というものが必要であろうと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。
 また、地域放送の充実ということは、ただ単に私は時間帯を広げればいいという問題でもないと思います。したがって、そこは時間帯と同時にあわせて中身を充実しなければならないというふうに私自身思いますが、NHKはどう考えておられますでしょうか。
 同時にあわせまして、きちんとした体制とあわせて人、それと同時に経費を具体的にやはり地域に落とさない限り充実した番組というのはできないのではないかというふうに思っているところです。
 そこで、人口が三千万人近くおるというような首都圏と地方のように非常に少ない百万人以下というようなところでは、むしろ夕方二時間の時間をとればいいということだけでも私はないと思います。したがって、そのエリアにおける人口問題と含めてやはり話題の多寡というんでしょうか、人口が少なければ話題が少ないということでもないと思います。やはりそこのところは環境によって違ってくるのではないかというふうに思っているものですから、ただ単に時間帯を設定するということだけではなしに、地域の独立した非常に自由な編成というものが大事なことではないか。地域の特色を生かそうとすればするほど地域の独自性というのをやはり求めていかなくてはならないというふうに思っているところです。
 かなりこの地域放送というのが私は定着し、人気番組になりつつあるということも聞いておりますから、その点いかがでございましょうか。
#131
○参考人(海老沢勝二君) 今先生の御指摘の点、私も共感する部分が多々あります。
 私も九年ほど九州の放送局で仕事をさせていただきました。そういうことで、地方の事情は割合に知っているつもりでおります。そういうことで、これから多メディア・多チャンネルになれば、なるほど地域放送を重要視しなければならないということで、平成十年度から十二年度の三年計画で、地域放送を充実するためにはどうするかということで要員の再配置あるいは予算の配分等についていろいろ今改革を進めております。それぞれの地方にはそれぞれの文化がありますし、いろんな独自性があります。ですから、一律に要員を配置するとか予算ではなくて、やはりめり張りのついたといいますか、そこの県の放送局の特色に応じてやらなければならぬということは言うまでもありません。
 そういうことで、私どもいたずらに五時から七時までということではなくて、六時から七時までは各局でやっておりますが、五時台につきましてはそれぞれのできるところからといいますか、それだけのニュース、話題があるかどうか、あるいは力があるかどうか、その辺を十分勘案しながらやっていくということを原則にしております。そういう面で、五時からはいわゆる管中体制といいますか、九州なら九州、中部地方なら中部地方、四国なら四国ということで管中体制を組みながらそこに各ローカルが入っていくというような仕方で今やっております。
 いずれにしても、これからやはり地域のニュースというものを大事にしなければいけませんし、また全国一律にこれから衛星放送、BSが流れますから、ますます地上波は地域放送を充実強化するのが我々の使命だろうと思っております。
 そういう面で、今予算編成をやっておりますけれども、十二年度につきましても、予算の配分についても地方のそういう実情に合わせながら配分するつもりでおりますし、要員についても、これまで沖縄とかあるいは関東地方の水戸とか、そういうところの要員も大分ふやしたりいろいろ工夫をしております。
 そういう面で、今先生御指摘の部分は十分我々も認識しておりますので、できるだけその地域の住民に役立つ、また心豊かになるような番組づくりに一層努力したいと思っているところであります。
#132
○渕上貞雄君 次に、受信料制度の維持の問題について先ほど同僚の簗瀬議員の方から法的問題も含めて具体的な指摘がございました。来るべきデジタル時代における公共放送としてのNHKの受信料制度というものをやはり堅持していかなくてはならないが、堅持するかどうか、その具体的な検討をされているかどうか、まずはお伺いをしておきたいのであります。
 やはり、収入の格差という問題が情報の格差になって、収入の多いところはより多く、少ないときはより少なくというような情報であってはならない、こういうふうに思うものでありますから、NHKとしての公共性、社会性というものを十分満たしていくためには一律にそういう情報というのを提供していくことは非常に大事なことである。その大事な情報を提供していく源になるのはやはり受信料ではないかというふうに思います。
   〔委員長退席、理事簗瀬進君着席〕
 そうすると、NHKとしてはやはり財政上の自立ということも考えていかなくてはならないのではないかというふうに思うのであります。
 一方で、CSデジタル放送などは有料放送が一般的になりつつあります。そうすると、聴視者の意識というものも次第に、選択をし、見たものには払うけれども見ないものには払わない、先ほど会長もおっしゃっておられましたけれども、いわゆる対価といいましょうか、そういうものの意識というものが大きく聴視者側も私は変わってきているというふうに思います。そうすると、そういうものが高まってくればくるほど払わない人も出てくるというようなことになっていくのではないか。そのときに今のような体制で、受信料制度だけを守っていけばいいのかどうなのか、やはり検討していかなくてはならないというふうに思います。
 先ほどはその法的な根拠としての法三十二条の問題ということがとらえられておりましたけれども、ここは私は質問通告していないのですけれども、郵政省として、先ほどの意見、それから皆さん方の御意見を聞いていると、法全体の、全体まで行かないにしても法の見直しをしなければ、今の放送・通信融合時代になってきたデジタル時代における法のあり方というのはやはり検討していかなきゃいけないのではないかなと、先ほど同僚議員の質問の中でそういうふうに感じたわけです。
 ですから、大臣としてどういうふうにお考えになっているのか、もしよければ御答弁いただきたいというふうにも思っているところでございます。今後、大変競争は激化してくると思います。そのときに今のような体制でいいかどうか、見解をお伺いしたいと思います。
#133
○参考人(海老沢勝二君) こういうデジタル化、多メディア・多チャンネルになりますと、これまでの放送事業者のほかに外国の資本なり、あるいは商社なりメーカー等、これまで放送に直接かかわりなかった企業体が放送に進出し、いわゆる規制緩和によってもいろいろな面で大きな変換期を迎えて、いわゆる市場原理に基づく自由な競争時代になりました。そういう面で、見たものに払うという対価主義的な考えが出てくるのはもう世の習いと思いますけれども、そういう中で私は、先ほど申し上げましたように、いろんなものが出ますと、そこに番組の画一化あるいは番組の質の低下というものは当然出てくると思います。
 私ども公共放送というのは、やはりそういう中で国民の共通のよりどころといいますか、ユニバーサルサービスという言葉に置きかえてもいいんですけれども、基本的な情報なり報道、教育、教養、娯楽という多くの分野のものをバランスよく総合的に情報に格差がなく出すのも我々の使命だろうと思っております。そういう面で、私どもは視聴者、国民の共通のよりどころとしての公共放送というものを守っていかなきゃならないということを今決意を新たにしたわけであります。そのためには、国民から公平にいただく受信料制度が最もふさわしいやり方だろうと今思っております。
   〔理事簗瀬進君退席、委員長着席〕
 ただいま先生御指摘のように、こういう変化の時代になってくると、それだけでもうまくいかないのではないかという御指摘、私もそういう面では、いろんな面で検討するといいますか、勉強しなきゃならない課題であるということは十分認識しております。そういう面で、これからどのような時代になるのか、どうすれば公共放送、NHKを守っていくことができるのか、また発展できるのか、さらに研究を重ねていきたいと思っております。
#134
○国務大臣(八代英太君) 二十一世紀はまさに情報通信時代の到来だという思いを持ちますと、片や通信というのは日本におきましてはNTTが一つの大きな存在であり、片やNHKが放送という分野における大きな存在であり、まさに双璧という思いがいたします。この二つがしっかり地を固めていくことこそが国益につながるであろう、こういう思いを持ちますと、これから通信と放送の融合等々の問題も含めましていろいろ多岐にわたるマルチメディアの時代等々を考えていきますと、またBS放送も新たに来年十二月から始まるわけですが、そういうことを踏まえましても、いろんな角度からこのことは議論をしていかなきゃならないと思います。
 しかし、NHKはやっぱり視聴率競争のような民間放送とは違いますから、本当に日本の伝統文化というもの、あるいは視聴率に惑わされることなく公共性を第一にして、私たちの言ってみればメディアの資産であるというとらえ方をしますと、あまねく多くの皆さんに聴視料という形で御負担をいただきながら私たちの文化というものを守っていく、また先導を果たしてもらいたいと、こんなふうに思っておりますので、今の融合という問題も、いろいろ懸念はあるかもしれませんが、私たちは両方分担した形の法律の中でしっかり対応はできるだろうと、こういう見通しを現段階では持っておるところでございます。
#135
○渕上貞雄君 公共放送としてのNHKの使命と責務を果たすように、今後もひとつどうぞ大臣の御指導をいただきたいと、こういうふうに思っておるところです。
 次に、デジタル時代の公共放送というのはこれから先問題になってくるであろう、こういうふうに思うわけです。
 二〇〇〇年の十二月から始まるBSデジタルテレビ放送は、民間各局も参加して大激戦の時代に向かうと予想されます。そこで、多額な設備投資もありますけれども、デジタル時代における公共放送のあり方がやはり今後問われることになるのではないかというふうに思います。
 それは、一部では、受信料に立脚をしている公共放送、これが民業圧迫になるのではないかという意見も実はないわけではありません。したがって、デジタル分野に進出をするに当たって一定程度やはりNHKを規制すべきではないかというお話もありますけれども、この点の問題点について、いかがお考えでしょうか。
#136
○参考人(海老沢勝二君) デジタル時代になるとNHKが巨大化し民業を圧迫するというその説は私は当たらないと見ております。
 といいますのは、NHKは受信料で運営しております。この受信料も大幅な値上げができる時代ではありませんし、そういう中で私どもの放送業界の中でのシェアというものは年々減ってきております。
 CSデジタル放送がもう三百チャンネルやっている時代、あるいはCAテレビがどんどんふえてきている時代、今民放さんも、去年は不景気で若干減りましたけれども、最近またよくなってきたということを伺っております。そういう中で、NHKの受信料の割合からいきますと、平成五年に一九%ぐらいあったシェアが今は一七%まで下がってきております。といいますのは、やはり我々にはそれだけの限度があります。
 ただ、そういう中で創意工夫といいますか、番組の質の向上の中で、民間放送なりほかの事業者よりいいものを出すという、そこに我々はすべてをかけているわけであります。そういう面で、産業的にあるいは事業的に民業を圧迫するということはあり得ないと思っております。ただ、問題はやはりソフトの競争力だろうと思います。ソフト競争力は負けないということでやっております。
#137
○渕上貞雄君 終わります。
#138
○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。
 本日の大詰めでございますが、ひとつまたよろしくお願いいたしたいと思います。
 NHKの決算につきましての審議、私は二回目でございますが、昨年は、地方行政から出てきたばかりということで、海老沢会長にNHKの大河ドラマについて、いわゆる大河ドラマは、これは地方から見ますと地方の活性化に非常に役に立っている、ぜひその点の御配慮をいただきたいということでその辺の質問をさせていただきまして、会長から大変前向きの御理解をしていただきましたし、私自身、地元が加賀百万石でございますので、その辺の御理解もいただけたかなと。ことしの正月にそれに関連してテレビドラマも企画していただきまして、大変ありがたいことだと思っております。さらに、これが大河ドラマとしてそれほど遠い将来でなく実現させていただけるのかなという期待を持っているところでございます。
 本日は、質問はそのことではなくて、先ほどから出ておりますデジタル放送についての準備状況といいますか、先ほどからの御質問で、BSデジタルは来年十月に打ち上げて十二月から放送開始というようなお話も伺いますし、その後、三年後になりますか、地上デジタル。先ほどから議論が出ておりますBSデジタルと地上デジタルの相互関係というのは、お話を聞けば聞くほど非常に難しく、大変複雑なような感じがいたします。これがうまく機能するにはさらにこういう場でいろいろ議論しなきゃいけないのかなというような気がいたしますが、そういうことについて審議できるだけの時間がございませんので、本日は、BSデジタル放送の開始に当たって、その準備体制についてちょっとお伺いをいたしたいなと思っております。
 まず第一に、放送する側の準備の状況ですが、今私の聞くところを申し上げたわけですが、来年やると言われるわけですけれども、実は皆さん御存じのとおり、先般、国産の大型ロケットHU、これが打ち上げ失敗に終わって、運輸省の衛星が軌道に乗せられなかったということがあるわけでございまして、ああいうニュースを聞きましてちょっと実は心配になったわけです。
 このBSも新たに打ち上げられるわけですので、そういう心配は当然であると御理解できると思うんですが、ひとつ来年からの放送に当たっての準備の日程といいますか、それと同時に、そういう打ち上げる衛星について先般の大型ロケットのような心配がないのかどうか、あるいは、もし打ち上げが失敗した場合にいわゆるスケジュールがどうなるのか、どんな影響があるのか、その辺をひとつ御答弁願いたいと思います。
#139
○国務大臣(八代英太君) 来年十月予定のBS4の後発機の打ち上げなんですが、先般のHUロケットの失敗はまことに残念でございます。しかし、悪い後には必ずいいことが起きるということを信じて、これは成功するものと私は確信をいたしております。
 なお、先生御指摘のような事態がもし万々が一発生した場合のこともそれは対応として当然考えなければいけないんですが、BS4後発機の予備機をできるだけ早期に打ち上げるよう最善の努力を払わなければならない、これが基本にあると考えます。
 そして、予備機の打ち上げまでの間の臨時応急的な措置としては、現在運用中の衛星を活用するということも技術的には可能でございますので、それも考えられます。この場合には、NHK等の衛星所有者の意向も十分伺った上で、そしてその方策が可能かどうかも緊急にこれは検討しなければならない、そういう思いで、スケジュールは変えない方向でという思いでございます。
#140
○参考人(長谷川豊明君) 先生御指摘の、万一今度BSデジタル放送のためのロケットが失敗したらどうするかと。
 今大臣から御答弁がございましたけれども、NHKとしても、万一失敗の場合は予備機、半年後になると思いますけれども、打ち上げに万全を期していただきたい、基本的にそういう考えでございます。
 なお、大臣の御答弁の中に、それまでのつなぎとして、現在運用中の予備機もございますが、そういうものの活用ということも一つはあるではないかというお話でございます。
 この準備の段階で私どもが今考えておりますのは、順調にいけば来年の十二月から放送を開始するわけですが、その前にできるだけ視聴者の皆さんに受信機になれてもらう、あるいは受信機のメーカーさんにきちんとした受信機をつくってもらうという意味で、できるだけの試験電波を出そうとしております。来年三月に受信機のテストのための信号を出します。それから、七月には先生御承知のように沖縄サミットがございまして、そこでデジタルの試験放送をBSで出そうとしておりますし、また九月にはシドニー・オリンピックもございますので、そういうデジタル放送の試験放送を計画しております。
 そういう中で、万一本番の衛星が失敗しますと、その時点で何もできなくなっちゃうというのが本当にいいのかどうか。そういう試験放送をずっとやってきておりますので、引き続き試験放送をやった方がいいのではないかということもあるかと思います。その点は、視聴者なり国民の皆さんの御要望を聞きながら、その時点で郵政省及び関係の機関と御相談させて決めていきたいというふうに考えております。
#141
○岩本荘太君 ありがとうございました。
 私も失敗を仮定するのは余り好きな方じゃないのでこういう質問はしたくはなかったんですが、再々申し上げましたように、先般の事故もございましたのでさせていただきました。ともあれ、八代大臣同様、私もぜひ成功することを祈っている一人でございます。
 それで、次に見る側の準備といいますか、視聴者側の体制といいますか、今受信機についていろいろ研究されているということはお伺いいたしましたけれども、それと同時に、何か聞くところによりますと、昔は個別受信というのが非常に多かった、ところが最近、共同受信が半分にも上がってきて、ほぼ個別受信と折半してきたというようなお話も伺っているわけです。
 個別受信の場合は、受信機をかえて、あるいはアンテナを工夫すればいいんでしょうけれども、共同受信の場合、何か共同で電波をとって、それが個々の受像機に行く間の容量の問題があるというようなことを伺うんですが、まず今の受信をしている実態、その辺をもし教えていただけたらと思います。
#142
○参考人(芳賀譲君) お答えいたします。
 衛星放送は、十年度末で御案内のように千三百二十七万件の普及というふうに推計をしておりますが、実は個別受信と共同受信、この内訳、受信形態別の普及数は正確には把握できていません。
 と申し上げますのは、個別受信のお客さんであっても、そこにケーブルテレビの線が引かれてそこへお入りになるというような方もございますし、それを正確にフォローしていくということになりますと大変な手間と経費がかかってまいります。したがって、正確ではないんですが、それでは私どもの仕事にも差し支えますので、一定のサンプル調査を行っております。
 それによりますと、先生御指摘のとおり、地上放送の場合につきましては既に都市型のケーブルテレビとか障害共聴でありますとか集合住宅、何らかの意味で有線系で見られている方々がおよそ五割ということになります。衛星放送のみに限って申し上げますと、およそ三割の方々が有線系でごらんになっている、こういうことでございます。
#143
○岩本荘太君 私ちょっと先ほど議論の過程で言い忘れたんですけれども、前提として、地上放送を見ている人がBSに変わるのじゃないかなというような感じを持っているわけです。したがって、五割と三割の議論で、三割というのが、分母がどうかちょっとわかりませんけれども、衛星放送を見ている方というその分母がどのぐらいの大きさかはちょっとわかりませんけれども、BSデジタル放送が本当に具体化すれば今の地上放送を見ている人のほとんどがそちらに移行されると思うので、そこの中に五割の共同受信をされている方がある、こういうふうな理解ができるのじゃないのかなと思うんです。
 したがって、その方々が今のままで、あるいはちょっと手を入れただけで簡単にBSを見られるかどうかということが、これからの普及といいますか、受け入れに対する大きな要素になるのじゃないかと思うんですが、その辺は先ほどもちょっとお伺いをいたしましたけれども、容量等の関係でどんなものかをちょっと。
#144
○参考人(長谷川豊明君) 先生の御指摘は、今度BSデジタル放送が始まるけれどもケーブル等で受けている方はどういうふうになるんだろう、ケーブルに容量があるからその辺どうするんだという御質問と理解させていただきました。
 まず、衛星放送を今現在どういう形で受けているかということについては、個別受信、いわゆるパラボラアンテナで受けている方が七二%。トータルで千三百二十七万受けている方がいらっしゃるんですが、それの七二%の方がパラボラアンテナで個別にアンテナの上で受けている。残りの約三〇%、そのうちの二一%はいわゆるCATV、都市型CATVなりあるいは小規模のケーブルテレビで受けております。それから、残りの七%の方は、いわゆるマンションとか共同住宅の中で屋上にアンテナがあって、そのビルの中をケーブルでやっているというような形で受けているのが衛星テレビの全体の比率でございます。
 まず、衛星デジタル放送が始まったらこういう方々がどういうふうになるだろうということですが、個別アンテナで受けている方はアンテナはそのままで結構でございます。そのかわり、今テレビで受けている前にBSデジタルチューナー、前はアダプターと申し上げておりましたけれども、別にデジタル用のチューナーを買っていただければブラウン管はそのままでBSデジタル放送が受かるわけでございます。
 問題は、先生の御指摘は集合住宅の方とそれからCATVの方は一体どうなるんだと。
 この七%のまず集合住宅の方は、いわゆるマンションなどの方式はBSデジタルチューナーを買っていただければ基本的には受かります。要するに、個別アンテナの方と同じように受けることができます。大部分の集合住宅のものは、九九%、これは技術的にちょっとややこしくなるんですけれども、IF方式と言っていますけれども、まずIF方式をとっていますので、集合住宅の方は個別アンテナの方と同じようにデジタルチューナーを買っていただければそのまま受かるということでございます。
 問題なのはCATVの二一%の方なんですが、現在CATVをごらんになっている方は、主に地上のテレビをCATVでごらんになっている、あるいはBSのアナログ放送をCATVで受けているという方でございます。こういう方がデジタルのBS放送を受けるには、ケーブルの空きチャンネルと申し上げておりますけれども、あいているところが少ないという実態がございます、ケーブル業者によっては。したがって、それからBSのデジタル信号をそのまま通せないということになります。
 そういう方のために、できるだけ空きチャンネルが少なくても通るようなデジタル放送用のケーブル用の信号方式を今開発しております。これは、郵政省さん並びにメーカー、私どもも含めてケーブルにデジタル放送が通るようなケーブル用のデジタル方式、そういうものを開発しております。
 技術的にちょっと表現が難しくて申しわけありませんが、六十四カムと言っていますが、六四QAMという方式でございます。そういうものが開発されますと、空きチャンネルが少なくとも、多少あればBSのデジタル放送が通ります。それから、どうしても空きチャンネルがなければ、少しケーブルを、広帯域化と言っていますけれども、少し周波数の高い方まで通るようなちょっと改修をしていただかなきゃいけませんが、そういうことをするとBSのデジタル放送を通す形にできます。その上でさらに、ややこしいんですが、そういうふうにした後、各CATVに御加入している皆さんはBSデジタルチューナーに相当するケーブルテレビ用の信号変換器をお買いいただかなきゃいけない、こういうちょっとややこしいことになります。
 整理させていただきますと、一番の問題は、ケーブルテレビに入っている方のBS受信をするために新たな技術開発をして、ケーブル事業者さんにもそういうものを採用していただくということをこれから関係方面等に働きかけながらやっていかなければいけない、これが課題かというふうに考えております。
#145
○岩本荘太君 CATVというのはやはり地方に私は多いんじゃないかなと、難視聴なんかを解消するということから。そういう観点から見まして、今のお話を聞くと何となく追加投資は要らないような感じがいたすんですが、それはしかしいつの時期かという問題もあると思うんですね。
 現実には来年から始まるわけですから、それに間に合うのかどうか。間に合わなかった場合は、やはり地方だけおくれて見なきゃいかぬというのは、ちょっとこれは、先日も御質問で申し上げましたけれども、地域間格差の問題もありますので大変だと思うんです。
 これはNHKの問題じゃないと思います。むしろ郵政省だと思いますが、来年に向けての視聴者の、特に共同受信、今のお話でCATVがその中心だということでございますけれども、その辺の対応についてどのような御方針なりお考えを持っているか、お聞かせ願いたいと思います。
#146
○国務大臣(八代英太君) 今NHKの方から説明がありましたように、BSデジタル放送受信アダプターをつければ、これはもう集合住宅の場合にはできる、それからまた共同のパラボラアンテナのようなものを立てれば、これはまた集合住宅でも、かなりまた難視聴地域でも受けることができる。
 こういうことですが、他方、難視聴対策施設を含むケーブルテレビにおいては、BSデジタル放送を受信するにはケーブルテレビの広帯域化、広い帯のようなエリアなんですけれども、それのシステムやデジタル化が必要なため当面はBSデジタル放送をアナログ方式に変換して送るというようなやり方で、若干そこに画面の質とかそういうものはちょっと違いがあるかもしれませんが、そういうような転換方式なども考えられます。
 また、郵政省はまず、そういう意味ではすべての人が同じようにそうした放送を享受できるということを考えていかなければいけませんので、これから研究開発や技術基準の策定に向けて一生懸命努力をしていきたいと思います。もうすべて一億二千三百万、いきなり来年の十二月からというところには若干不安もないわけではありませんので、ひたすら努力をしたい、こう思っております。
#147
○岩本荘太君 郵政省に頼るといいますか、放送事業は所管でございますからお願いするしかないわけでございますけれども、NHKも公共事業の放送事業者としてやっぱり立場があると思いますので、しっかりその辺も見きわめていただきたい。やはり日本全国が同じような条件で暮らせる、こういうことの配慮をお願いいたしまして、一分ぐらい余りましたけれども、これで質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#148
○委員長(齋藤勁君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 日本放送協会平成九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#149
○委員長(齋藤勁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#150
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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