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1999/11/18 第146回国会 参議院 参議院会議録情報 第146回国会 外交・防衛委員会 第4号
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1999/11/18 第146回国会 参議院

参議院会議録情報 第146回国会 外交・防衛委員会 第4号

#1
第146回国会 外交・防衛委員会 第4号
平成十一年十一月十八日(木曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     吉村剛太郎君     鈴木 正孝君
     八田ひろ子君     立木  洋君
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     吉村剛太郎君
     松前 達郎君     久保  亘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事
                鈴木 正孝君
                武見 敬三君
                小山 峰男君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                佐々木知子君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                山本 一太君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                海野  徹君
                久保  亘君
                吉田 之久君
                荒木 清寛君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                山崎  力君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  瓦   力君
   政務次官
       外務政務次官   東  祥三君
       外務政務次官   山本 一太君
       防衛政務次官   依田 智治君
       防衛政務次官   西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       外務省経済協力
       局長       飯村  豊君
       外務省条約局審
       議官       小松 一郎君
       運輸省海上交通
       局長       高橋 朋敬君
       海上保安庁次長  長光 正純君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇千九百九十九年の食糧援助規約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出)
〇千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理
 事会決議によって承認された千九百九十四年の
 国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、八田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。
 また、昨日、松前達郎君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(矢野哲朗君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に鈴木正孝君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(矢野哲朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 千九百九十九年の食糧援助規約の締結について承認を求めるの件及び千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に外務省経済協力局長飯村豊君、外務省条約局審議官小松一郎君、運輸省海上交通局長高橋朋敬君、海上保安庁次長長光正純君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(矢野哲朗君) 次に、千九百九十九年の食糧援助規約の締結について承認を求めるの件及び千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。
 両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○武見敬三君 この条約及び協定の二件に関しましては、既に内容については了としておりますので、一般質疑に早速入らせていただきたいと思います。
 今、実は、我が国に、世界保健機関、WHOのブルントラント事務総長が訪問をされておられます。その一つの目的は、WHOの神戸センターで開催をされました若者と女性の喫煙がいかに健康に被害を与えるかというシンポジウムに基調報告をされるために日本に来られたものであります。
 このブルントラントさんとたしか外務大臣はお会いになられたということを伺っておりますが、こうした国際的に、既に医学的にも認知されたこうした喫煙の健康被害について改めて周知徹底し、その問題を国際的に協力しつつ解決をしていこうというキャンペーンだと思います。
 こうした禁煙運動とも申し上げてよい国際社会、特にWHOのイニシアチブについて、外務大臣はどのように受けとめられてブルントラントさんとお会いになったのか、伺いたいと思います。
#9
○国務大臣(河野洋平君) 最初に申し上げますが、私は実はたばこを吸いません。したがって、ややそういう立場で申し上げることになるかと思います。
 ブルントラント女史、つまりWHOの事務局長でございますが、ブルントラントさんとお話をいたしまして、事務局長からは、たばこの問題は経済的な意味もある、つまり喫煙者を減らしていくということは経済的にもいろいろメリットがあるんだということもお話がございました。そしてまた、妊産婦あるいは家庭内における喫煙というものはやはり健康問題にも非常に影響があるということを言われまして、WHOの事務局長が非常に積極的にこの問題に取り組んでおられる。
 私は、これまで余りこれだけ正面切ってこの問題に取り組まれた方はいないと思うんですが、非常に正面から取り組んでおられるということを知りました。
 そして、特に私には、G8の中でもこの問題、たばこ対策の先進国はアメリカ、イギリス、フランス、カナダだと。日本もそのグループに入ってほしいというようなことを言っておられました。
 私は事務局長に、日本も輸送機関あるいは企業の中では相当ノースモーキングという運動は徹底してきていますよと。しかし他方、女性の喫煙者というものはかなりのスピードでふえております。それは、言ってみれば女性の社会進出が非常にふえている、そのスピードとパラレルといいますか、そのスピードは似たような感じすらいたしますということを申し上げて、とりわけ女性であるWHO事務局長からこういう話をされるということは、そういう意味で意味があると思いますということを申し上げました。ただし、私の立場は中立的でございますということを申し上げた次第でございます。
 我が国はWHOに対して、これまでの実績、例えば地球上の疾病率を下げていくとか、いろいろな病気に積極的に対応してきたWHOの姿勢というものを評価して相当な額の拠出もしているわけでございますから、WHO活動というものに我々は無関心でいてはいけないというふうには思います。
#10
○武見敬三君 外務大臣、実はたばこの健康被害については医学的にかなりもう既に検証されているということははっきりと言えます。
 その上で、自国の中ではたばこについて非常に厳しい規制をしておきながら、輸出する際には野方図という国が実はございます。私は、こういうのは決して健全ではないだろうと思います。したがって、たばこの輸出入等についても何らかの政府の対応というものが求められてきているんじゃないかと思います。
 例えばイギリスの場合には、在外の大使館、総領事館等々を通じて、こうした自国のたばこの輸出については、それを奨励するような役割は一切負わないことというのが政府の中で決められております。
 このような形で、できる範囲の中からイギリスの場合には政府がイニシアチブをとって、こうした民間によるたばこ輸出というものに一定の歯どめをかけようという努力までされているわけであります。
 私は、少なくとも日本もそうした対応を外務省に率先してとっていただいて、在外公館を通じてそういうことには一切かかわらないというような一つのラインを引いていただくことが必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
#11
○国務大臣(河野洋平君) これはぜひ厚生省にも、今、武見議員がおっしゃったような医学的見地に立って一定の判断を明確に下していただきたいと思います。
 もし、そういうことが明確であれば、厚生省も何らかの対応をなさると思いますし、またそれに伴って、それ以外にも対応すべきことが起きてくるのではないかというふうに思います。
#12
○武見敬三君 同様な質問で恐縮でございますが、せっかくお二人の政務次官がいらっしゃいます。
 こうしたWHOの禁煙に関するあるいは喫煙の健康被害に関するイニシアチブというものを本来日本の政府としてどう受けとめるべきだとお考えになるのか、短くて結構でございますが、御返事をいただけないでしょうか。
#13
○政務次官(東祥三君) 私は、ヘビースモーカーと言ってもいいかわかりませんが、大変たばこを吸います。
 そういう立場でこの問題について議論できるのかどうかというそこの資格の問題があると思いますが、ブルントラント事務局長にもお会いさせていただきまして、そして、私はヘビースモーカーであり、今、武見先生から御指摘あった健康に対しての悪影響といいますか、この問題について否定するデータは一切ありません、他方において二つ問題があると思いますと。
 一方は、なぜ世界じゅうでたばこのない国というのはないのかと。歴史的な背景があり、たばこの持つ医学的、そういう側面のみならず、やっぱり精神的な部分というのはあるんではないのかと。私は精神的スタビライザーだというふうに申し上げておきました。しかし、それが説得力があるかどうかはわかりませんが、医学の側面から見た場合、おっしゃられるとおりなんだろうというふうに思います。他方において、やはり喫煙者がどれだけ日々自分自身の命を、医学的見地から見た場合寿命を短くしているかどうかはわかりませんが、それはやはり嗜好の一つであり、また自己責任の範疇でとらえなければならないんだろうと。
 ただし、私がたばこを吸うことによって周りにいる方々に喫煙者と同じような、また分煙というんでしょうか、周りにいらっしゃる方々にその煙を吸うことによって医学的に悪影響を与えるという、そういう研究も進んでいるというふうに聞いております。そういう意味からしますと、できるだけ私も気をつけているんですけれども、周りにいらっしゃってたばこが嫌いな人の前では基本的に吸わない。ブルントラントさんといるときも吸っちゃおうかなと思ったんですが、基本的に嫌だということですから、その場では吸いませんでした。そういう意味では、分煙の領域をちゃんとつくってそしてやっていくということも必要なんではないのかと。
 ただ、一般論として申し上げれば、武見先生がおっしゃられるとおり、たばこを吸うこととそして医学的に極めて深い悪影響を与えるという、そういう研究をどんどん進めていただいて、その面における国際協力というのはぜひ推進していかなければならないんだろうというふうに思います。
 以上です。
#14
○政務次官(山本一太君) 私は、河野外務大臣と同じようにたばこを吸いません。
 政務次官就任以来、最初の三週間で四カ国ぐらい出張させていただきましたが、どの国際線の飛行機に乗ってもほとんどたばこを吸うスペースがない、こういうことで、この問題に対する世界の考え方の流れというものを身をもって経験いたしました。
 先生がおっしゃった外務省が率先してという件でございますけれども、これは関係各局とよく相談をしながら、国民的な合意を形成する議論を深める中で考えていくべきではないか、このように思っております。
#15
○武見敬三君 それでは、たばこの質問はここまでといたしまして、実は最近、東南アジアで海賊が頻発しております。
 それで、特にマラッカ・シンガポール海峡を航行する我が国の船主がオペレーションしております一千トン以上の船舶というのは約七千隻、全体の一六・九%に上っているわけであります。
 こうした安全航行というのは、我が国の国民生活にも直結する非常に重要な課題であるということはおわかりいただけるだろうと思います。したがって、まずこうした海賊の被害の実態というものはいかがなものかということについて、運輸省の海上交通局長からその現状の説明をいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 国際海上輸送にかかわる犯罪につきまして情報収集を行っている民間組織でございます国際商業会議所国際海事局というのがございます。IMBと言われておりますが、その調査によりますと、全世界における船舶に対する窃盗、強盗等の発生件数でございますけれども、九七年で二百四十七件、九八年で百九十二件、九九年は九月までの実績でございますけれども、百八十件でございます。地域的には、東南アジアが各年の約半数を占めているという状況でございます。
 一方、運輸省が調査いたしました日本関係船舶に対する窃盗、強盗等の事件の件数でございますが、九七年で十八件、九八年で十九件、九九年につきましては十月までの実績で二十三件と増加しているという状況でございます。
 最近五カ年間それから本年十月までの日本関係船舶にかかわる事件、全部で八十七件ございますが、これについて中身を見てみますと、発生海域別では、インドネシア周辺海域で三十八件、マラッカ・シンガポール海峡で八件発生しておりまして、全体の約七割が東南アジア海域で発生いたしております。また、その事件のほとんどはいずれかの国の領海内で発生しておりまして、その三分の二が港内、港の中または港の付近のものでございます。公海上で発生したと思われるのは三件というふうに把握しております。
 日本関係船舶にかかわる事件のいわゆる代表的な事例を少し申し上げますと、航行中等に武装した強盗に襲われて金品、積み荷、船舶用品等を奪われたケース、それから港内等に停泊中の船舶等に賊が忍び込んで船の備品や乗組員の私物を盗むという、こういったケースが多くなっております。
 特別な事例といたしまして、いまだ事実の解明には至っておりませんけれども、昨年九月に発生いたしましたパナマ籍の貨物船テンユウ号の事件とそれから今般のアロンドラ・レインボー号事件のようないわゆるシージャックも発生しておりまして、この五年間では二件というふうに把握しているところでございます。
 以上でございます。
#17
○武見敬三君 御指摘のとおり、確認されている案件だけでも近年激増しております。
 日本財団がことし四月に実施した国内の船会社を対象としたアンケート調査を見てみますと、報告されていない部分もかなりございまして、実態はその十倍ぐらいもあるのではないかというようなことが言われているわけであります。これは当然日本としても見逃せない事案でありまして、いかに我が国の船舶の航行の安全を図るかということは、やはりいま一度こうした観点から取り組まなければならない大きな課題になってきたというように思うわけであります。
 そこで、外務大臣にまず基本的なことでお尋ねをしたいわけでありますけれども、こうした海賊事件の激発状況というものをどのように認識されて、そして外務省としてこれにどのように積極的に取り組む姿勢をお持ちなのか、そしてその再発防止のために、例えば具体的にどのような手だてをとることをお考えになっておられるのか、伺いたいと思います。
#18
○国務大臣(河野洋平君) 海賊事件といいますか、海賊の出没について大変心配を我々もいたしております。
 今、参考人から御報告を申し上げましたように、事件は、事案といいますか、毎年激増しているわけでございます。ただ、今もお話がありましたように、海賊という言葉の響きは、どうも我々は海の上でよそから船に乗って襲いかかってきて持っていってしまうということをすぐイメージするわけですけれども、今お話がありました何十件あるいは百何件という事案の中には、港に停泊中の船に乗り込んで船員の私物を持っていってしまうという、いわゆるこそ泥と言うのにはもう少し大きい事件かもしれませんが、そういうものも含まれているわけでございます。
 そういう事件であれば、これは港がはっきりしているわけですから、つまり国がはっきりしているわけですから、その国と話し合うということが割合とできると思うんですが、先般のアロンドラ・レインボー号のように、出たときの港はインドネシアで、はっきりしませんが恐らくインドネシアの沖合で海賊が乗り込んできて、そして乗組員がおろされたのはたしかインド沖かどこかで、そのおろされた人間が助けられたのはタイ沖で、しかも船の船籍はパナマでしたか、パナマ船籍で、乗組員の中に日本の乗組員が二人、それ以外にはフィリピン人が乗っているということで、これはどういうふうに事件の主体といいますか、問題のポイントをどこにするかということはなかなか難しいと思うんです。それからまた、船荷がどこのものであるかということもございます。
 したがって、これまでも、問題はあっても具体的になかなか、その問題についてこれはこうやるんだよという、各省で話し合って決まったということがどうも余りはっきりしていない。しかし、これだけ事件が激発いたしますとそんなこと言っておられませんで、しかもこれはいろいろな機関がないわけではございません。IMOでございましたか、その他の機関でいろいろ相談もするし、どういう扱いにするかということについても今説明会がどんどん進んでいるという状況であります。
 外務省としては、やはりそれぞれの地域の大使館を通じてこの問題についてきちんとフォローをして、当該の領海、問題が起こった領海の国に対してこうした事件の処理について協力を求めるという作業を一生懸命やっているわけでございます。
 例えば、先般日本に来られましたインドネシアのワヒド大統領に対しましても、私は会談の中で、大統領、海賊の問題についてもひとつ十分協力を、我々も連絡をいたしますので、ぜひこれが再発防止のために御努力願いますということを申し上げました。大統領は、ええ、海賊ですかというふうな話でございましたけれども、ああいう島のたくさんある国でございますから、なるほどそういうこともあるだろうとすぐ御理解をいただけたようでございますが、それぞれの国に対して注意を喚起する、あるいは協力を要請する、そういう迅速な連絡というものをやっていくということが何より大事だというふうに思っておりまして、これは外務省、運輸省それぞれ十分連絡をとって対応しなければならぬと考えております。
#19
○武見敬三君 まさに連絡ということでありますけれども、やはりこういう事件が発生したということは、迅速に対応して解決をするという必要性が極めて顕著という意味で、やはり危機管理の対象になる問題だと思います。特に、今回のアロンドラ・レインボー号というのも日本人の船長と機関長が乗っていたわけでもありますし、邦人の安全にもかかわる深刻な事態であったわけであります。
 したがいまして、こうした事件が発生したときに、いかに迅速にその事件の発生を確認して関係国、関係機関と連携をとりその解決の任に当たるか、またその場合に我が国の海上保安庁がどこまで関係国と連携しながら直接事案の解決に当たることができるのか、こういったことをやはり正確にきちんとルール化して、そして関係各国との間に合意を取りつけておくということが極めて必要であるというふうに考えます。
 その意味で、今回のアロンドラ・レインボー号というのは二十二日に事件が発生しているわけでありますけれども、二十六日に所有する邦人企業が保険会社にこの事件を連絡して、そしてそこから法律事務所に依頼が行き、法律事務所からシンガポールの法律事務所に連絡がとられる、そしてこの海賊報告センターに報告がされるということになっております。そして、二十七日になって在マレーシア大使館からIMBの海賊報告センターに対して事実関係についての照会が行われて、上記事実について確認をされていると、こういう経緯なんだそうです。
 これをそのまま了とするのか、あるいはより迅速にこういう事件が発生したときにその船主をも含めて事前に連絡をとり合い、いや事前じゃなくて船主に対しては平素よりこういう事件が起きたときに我が国政府に対しても直ちに連絡するためのルールをつくったり、いろいろとまだまだしなければならないことがあって、それをすることによってこういうまず事件の発生についてより迅速にその事実確認ができるようにしておくというようなことなどを含めて、私は相当にやらなければならないことが危機管理という観点からもある事案ではないかという認識を持ったんでありますけれども、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(河野洋平君) 武見議員御指摘のとおり、事件がこれだけ発生するということを考えれば、我々もこの問題を放置するわけには決していかないと思います。当然のことだと思います。
 しかし、正直申し上げまして、現在海賊事件だけを想定したマニュアルというものがつくられているかというと、まだそこまでは行っておりません。少なくとも今回の事件を契機にいたしまして、この種の事件発生の際の対応策について具体的にどういう手順を踏んでやるかということを検討しなければならないというふうに思います。
 これまで、海賊の問題については、七月から運輸省主催で海賊対策会議というのが既に五回開催されておりまして、外務省もこの会議には参加をいたしております。この会議におきます検討の成果を踏まえて、先ほども申し上げましたが、運輸省などとも緊密に連絡をとり、討議をし、結果を出したいというふうに思っておるところでございます。
#21
○武見敬三君 海上保安庁の方にお尋ねをしたいと思います。
 今回のアロンドラ・レインボー号の事件に際しましては、これは海上保安庁も事件解決のためにフィリピン沖まで出向いてその役割を担われたというようなことを聞いているわけでありますけれども、例えば海上保安庁の設置法に基づいて、一体どこまでこうした日本の船舶の航行安全のために海上保安庁の船舶というものは出向いていってその任に当たることができるのか、そして同時に、その役割規定というものの中にどのようなものが含まれているのか。
 例えば、公海上であった場合に、たまたまそういう海賊事件というものを確認したという場合に、海上保安庁は直ちにそうなりますと事件現場に駆けつけていって、実際に武力を行使してそうした解決の任に当たるところまですべて法的な現行法の枠組みの中で対応し得るものがあるのか、そういったことをちょっとお尋ねします。
#22
○政府参考人(長光正純君) 先般の事案に対しましては、先生御指摘のとおり、私ども巡視船、航空機を出動させたわけでありますけれども、お尋ねの法的な整理でございますけれども、海上保安庁は、「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧する」、これを目的として設置されておりまして、その設置法上、「法令の海上における励行、海難救助、海洋の汚染の防止、海上における犯罪の予防及び鎮圧、」その他海上の安全の確保に関する事務をつかさどることを任務としております。ここに言います「海上」とは、従来から、我が国の領水あるいは日本の沿岸水域といった限定されたものではなく公海一般に及ぶものと解釈しておりまして、法的には海上保安庁の行動範囲の限定はないというふうに考えております。
 一方、海上における捜索救助の関係につきましては、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約というのがございまして、これによりまして世界的な協力体制の確立が求められております。例えばでございますけれども、北太平洋における捜索救助に関しましては、我が国とアメリカ合衆国との間で二国間協定を結びまして、我が国は我が国周辺の千二百海里に及ぶ海域の責任を担っているところでございます。
 こうしたこと等から、通常、海上保安庁では本邦周辺海域において活動しているところでありまして、また、私どもの勢力であります巡視船、航空機もその能力がこうした海域において十分に任務遂行できるものとなっているところでございます。
 今回のアロンドラ・レインボー号の海難に際しましては、同号が何らかの事件に巻き込まれ、あるいは海難に遭遇している可能性等を勘案しまして、本邦南方海域で哨戒業務に当たっておりました巡視船及び航空機をアロンドラ・レインボー号の輸送航路に沿わせて東南アジア方面まで、先ほど申し上げましたけれども、同船の捜索救助活動に当たらせたものであります。今後もこのような巡視船、航空機の能力を活用いたしまして、必要に応じてこれらの事案に的確に対応してまいりたいというふうに思っております。
 それと、そういった際にどういったことができるのかということでございますけれども、いわゆる公海上での海賊行為と申しますか、そういった行為に対しましては、当該船舶の船籍国でありますとか、そういったことによって取り扱いがいささか違ってまいろうかというように思っておりますけれども、私どもの法律の許された権限内において、そういった行為に対しては鎮圧等の事実行為あるいは現在我が国では法律として世界一般に海賊行為に対して取り締まる国内法はございませんけれども、そういった中で私どもに与えられた任務というものを全力を挙げて遂行していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#23
○武見敬三君 最後に、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。
 我が国の海上自衛隊の船舶等がたまたまこういった海賊事件みたいなものを確認して物理的に解決のための任に当たり得るというようなケースにおいて、実際に我が国海上自衛隊の場合は法的にこういう問題に対処し得ることは可能なんですか。
#24
○政務次官(依田智治君) これは、自衛隊の場合は、一義的には結局警察行動というのは海上保安庁がやる、それで海上保安庁をもってしても対応できない場合に自衛隊が対応するというのは自衛隊法八十二条で、海上警備行動でございますが、この理論でもいろいろ議論されておるところでございますが、出くわしてもその際に海上警備行動が発令されていなければ、やはりその範囲内において、だれもいなければ監視するとか若干の強制力を用いない程度の行動をするということで、いろいろ海保に連絡したりするというような行動にとどまるのじゃないか。もし、それによって今直ちにこういう措置をとれということであれば、法の手続によって海上警備行動を発令していただければその範囲において立入検査とかそういうことはできる、こういうことでございます。
#25
○武見敬三君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、海賊という言葉を使うと何かおかしな話のようになるかもしれませんけれども、これはやはり我が国の船舶の航行の安全及びエネルギー資源の安定供給という問題とも絡む実は非常に重要な案件であって、かつまたこうした問題に危機管理という観点からも迅速に対応する、そういう法的な整備というものが実はきちんとできていないというのが実情だということを実はこの場で申し上げたかったためにこの問題を取り上げたと、まさに問題提起のための質問であったという御理解をいただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
#26
○小山峰男君 民主党・新緑風会の小山峰男でございます。よろしくお願いします。
 最初に、まず食糧援助規約につきまして質問させていただきます。
 この規約につきましては、二十二条の規定に基づきまして六月二十五日に暫定適用の通告を行っております。また、発効したのが七月二日ということでございまして、なぜ暫定適用をすることにしたのか、その経緯について御説明をいただきたいと思います。
#27
○政府参考人(小松一郎君) 事実関係を御説明申し上げます。
 委員の御指摘のとおり、一九九五年の食糧援助規約はその有効期間が本年六月三十日までになっておりましたことから、世界の食糧問題への取り組みに関する九六年の世界食糧サミットにおける検討などを踏まえまして、食糧援助委員会において新たな規約の作成交渉が行われまして、本年四月十三日に九九年の食糧援助規約、今お諮りをしている条約でございますが、作成された次第でございます。
 それで、これを国会にお出しするに当たりましては、テキストが確定している必要がございます。二国間条約でございますと、署名によってテキストが確定するということでございますが、食糧援助規約のように国際機関で作成されました条約ということになりますと、手続的にはその機関が、これが真正なテキストであるということを認証謄本という形で確認をいたしまして、それをもとに和文を作成し、法制局審査を受けて国会に御提出をするということになるわけでございます。
 この四月十三日に九九年の食糧援助規約が作成されたという経緯はございますが、この認証謄本の作成がおくれまして、それから途中で誤植が発見されたようなこともございまして、実際に確定したのが十月となっております。他方、その間、この種の条約でございますけれども、繰り返し改正とか延長が行われていますものでございますので、切れ目のない運用を確保することが必要であろうということから、政府に法律、予算で与えられました権限の範囲内で暫定的に適用を行ってきたということでございます。
 これは、事情は日本だけではございませんで、議会制民主主義をとっております国においては大体共通の事情がございますので、日本だけではなくてほかの国についても暫定適用を行ったようなものがございます。また、そのための暫定適用の根拠規定が条約には置かれているところでございます。
#28
○小山峰男君 今、経過は承知したわけでございますが、いずれにしましても四月十三日に作成されていると。それで暫定適用が六月二十五日、実際に開始されたのが七月ということでかなりこれは時間がたっていると。そういう意味では、でき上がったのが十月だというお話があったわけでございますが、継続だから軽視されているような、あるいはそのままいくからいいというような形で安易に扱われているような印象を受けるわけです。
 ことしもあと一月ぐらいになってやっと国会承認が出てくるということ自体、やっぱりこれは非常に問題だというふうに思っておりまして、この辺、政務次官に聞きますか、大臣に聞きますか、今後の取り扱いについてお話しいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、この手の条約はできるだけ早期に国会にお諮りをするというのが原則だと思います。
 この条約、協定等をお諮りをするのが大変おくれたことは申しわけないことだと思いますが、今政府参考人が申し上げましたように、種々の事情があったこともぜひ御理解をいただきたいと思います。できるだけ速やかに国会にお諮りをするという原則を、我々は、条件さえ整えばできるだけ速やかに国会にお諮りをするという原則はこれから先も大事にしていきたいと思っております。
#30
○小山峰男君 ぜひそういう姿勢でお願いしたいと思います。これは次のコーヒー条約についても同じような問題が言えるわけでして、若干国会がなおざりにされているのかなという印象を受けていますので、今後ぜひ気をつけてお願いをしたいというふうに思います。
 ところで、我が国の食糧援助ですが、方式としては二国間援助、あるいはWFPというんですか、世界食糧計画等を通じた、国際機関を介して援助するという二つの方式で行われているようでございますが、近年、国際機関を通じた食糧援助というのが量的に大変ふえてきているというふうに聞いております。
 なぜ国際機関を通じた食糧援助の方がふえてきたのかという理由と、それからこの二つの方式をどういう根拠で二国間でやるのかという、その理由を御説明いただきたいと思います。
#31
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、二つのやり方がございます。そして、二国間の援助の方が、顔が見えるといいますか、日本がやっているということが相手国に対して非常にはっきりするという意味で二国間援助をできるだけやるべしという意見も国内に非常に強いわけで、私どももそれは大事なことだと思っているわけです。
 ただ、一方で食糧援助を求める側のことを考えますと、例えば国境線を越えて難民が動いたために食糧援助が必要になるというようなことになりますと、必ずしも二国間というわけにいかない。国境線をまたいで食糧支援を求めてくるというようなことがあったりいたしまして、なかなかすっきりと二国間援助というだけでいかない場合がございます。紛争が起きたり、あるいは難民があちこち移動する、そういうものに対する援助ということになるとなかなか二国間援助というだけではできないものがございます。
 そこで、そうしたときにWFPという国際機関を経由して食糧の援助をするということが起こってくるわけでございまして、もう一つ申し上げれば、WFPを通じて行う食糧援助の方が迅速にできるということも技術的にあるようでございまして、先般来、バングラデシュであるとかインドネシアでございますとか、そういう地域に対します緊急の食糧支援という場合には、国際機関を経由して食糧支援を行うというケースがある。
 近年、しばしばそういうケースがあるものですから、今議員御指摘のように、国際機関を通じた援助が少しそちらの方が多くなっているではないか、そちらがふえてきているではないかという御指摘は、そうしたケースが多くなってきたというところに原因があるということでございます。
#32
○小山峰男君 次に、国際コーヒー協定の関係で二、三御質問させていただきます。
 これも日程等の問題があるわけでございますが、一九九一年の十月から一九九四年の九月にかけて、この時代には一年ごと三次にわたる延長が行われたというふうに聞いておりますが、そのときは延長文書が国会に提出されずに行政取り決めという形で処理され、国会の承認の対象になっていなかったというふうに聞いておりますが、今回の二年延長が国会承認対象として提出されたというのはどういう理由か、その違いを説明していただきたいと思います。
#33
○政府参考人(小松一郎君) 御説明申し上げます。
 御案内のとおり、日本国憲法七十三条三号でございますが、条約を締結することは内閣の行う事務である、こういうことをまず定めまして、ただし事前に、時宜によっては事後に国会の承認を経ることを必要とする、こう定めてございます。
 ここに定めております条約という言葉の範囲でございますが、従来政府から繰り返し御説明しておりますように、日本が締結をいたします外国や国際機関との間で法的な権利義務関係を設定するすべての文書をここで言う条約ではない、国会の承認を求めることを必要とするものが条約である、こういう御説明をしているわけでございます。
 しからば、どういうものが国会の御承認を必要とする要因であるかということでございます。
 これについても、繰り返し政府から御説明しておりますが、これは時間の関係もございますので全部は申し上げませんが、主要な点を申しますと、まず新たな立法を必要とするような条約でございますとか、財政事項を含む、すなわち既に御承認をいただきました予算、または法律で認められた以上に財政支出を負う義務を国に負わせるもの、こういうものは国会の承認事項になる。これは、そういうことを約束いたしますことによって立法府である国会の御意思を拘束するということになりますので、そういうものを含んでいる場合には、国会の御承認を必要とするという御説明を行っております。
 そこで、今の過去に行いました同種の延長、一年の延長の場合にはなぜ国会承認が必要なかったのかという点とも絡むわけでございますが、多年度にわたりまして分担金を拠出する義務を負うということになりますと、今申しました観点から、立法府としての国会の御意思を拘束するという観点から財政事項に当たるということになるわけでございますが、一年ということになりますと、このコーヒー協定は年度が十月から九月でございますから、そういう年度になっておりますので、既に春の段階でその年度に支払うべき分担金について、既に国会の議決でその予算をいただいているという場合には、その一年分の分担金を支払うということは国会の御意思を拘束することなしにできるわけでございます。したがいまして、過去の一年間の例につきましては、行政取り決めとして処理をさせていただいております。
 ただ、今回のコーヒー協定の延長につきましては二年間の延長でございますので、そうすると二年目の分担金の拠出義務をここで約束するということは、今申しましたような意味で国会の御意思を拘束するということになりますので、国会の承認を必要とすると考える次第でございます。
#34
○小山峰男君 そうすると、一年の場合には十月から来年の九月までで既に当初予算で支出分が組んであるから国会承認は要らないんだ、そういうお話でいいわけですね。
#35
○政府参考人(小松一郎君) 従来行いました延長につきましては、それ以外に国会の御承認をいただくべき事由を含んでおりませんので、今、委員のおっしゃったとおりでございます。
#36
○小山峰男君 政務次官に聞きたいと思いますが、これ二年間延長して、暫定的に延長し、新しい協定の作成というのが今協議されているというふうに思うわけでございますが、その内容はどんな形のものになりそうか、まだ協議中だと思いますが、その辺の関係はどうですか。
#37
○政務次官(東祥三君) 今現在わかっている段階について、進捗状況等も踏まえた上で御報告させていただきたいと思うんです。
 小山委員御指摘のとおり、九四年協定の有効期間の延長についての決議が採択されたときに、有効期間の延長とともに、明年九月三十日までに新協定の案文を作成する、その目的のために交渉部会を設置することも決められました。そして、その第一回目の交渉部会会合が今月の二十九日、三十日両日にわたりまして、ロンドンにあります国際コーヒー機関本部において開催される予定になっております。
 この交渉部会では、これまでの国際コーヒー理事会等で検討されてきた国際コーヒー機関の活動を活性化するための措置等、具体的に言えば国際コーヒー会議の設置だとか民間部門諮問委員会の設置あるいはまた消費振興委員会の設置等を、新協定の案文にどのように盛り込むかといった点が主な論点になるのではないのかというふうに考えております。
#38
○小山峰男君 現在の延長された協定の中身を見ますと、分担金の支払いだとか情報の提供だとかというようなことで、あえてこの協定を結ばなくてもいいような中身が多いというふうに思っておりますが、場合によれば、この二年間は延長しないでおいて、新たな協定が本当に必要かどうかという判断をその時点でしてもよかったのではないかというふうに思いますが、大臣どうですか。
#39
○国務大臣(河野洋平君) 確かに小山議員が御指摘のように、この国際コーヒー協定にはいわゆる経済条項というものは余りございません。しかしながら、一方で供給の安定及び価格の安定ということになりますと、この協定のもとでコーヒーに関する経済的及び技術的な情報の収集あるいは交換及び公表が行われて、コーヒー経済の透明性を高めるということにはなるわけでございまして、この点に着目をしているわけでございます。
 九四年協定は、こうした活動を通じまして我が国を含むコーヒー消費国に利益をもたらすと同時に、コーヒーの生産に依存する開発途上国の経済発展にも貢献するという意義を持っているというふうに私どもは考えているわけでございます。
 また、我が国は世界第三位のコーヒー消費国でございまして、そのほとんど一〇〇%を輸入に依存しているということでもございます。国際コーヒー協定に基づく生産国と消費国との協力関係は我が国のコーヒーの安定的輸入に極めて重要だということから、この協定を極めて重要な協定というふうに認識しているわけでございます。
#40
○小山峰男君 新たな協定につきまして今協議中だということでございますが、本当に協定としての必要性あるいは意味があるものとして、いろいろ協議をして締結するのならするという形にしていただきたいというふうに思っております。
 若干、申し上げた順序を狂わせたりいろいろしますが、時間の関係もありますので、次に東ティモール情勢についてお聞きしたいと思います。
 先週の委員会におきましても、UNTAETの行う平和維持活動に対するいわゆる参加問題ということがいろいろ論議をされておるわけです。政府は、現在の時点では東ティモールへの我が国のPKOの参加については、参加五原則を理由として行うんだというような言い方を今挙げているというふうに思うわけでございますが、具体的にどういう状況があって今のPKO、平和協力法上問題になるのか、具体的にちょっと教えていただきたいと思います。
#41
○国務大臣(河野洋平君) 議員も御承知のとおり、東ティモールの独立それから国づくりと申しますか、これらのプロセスを支援するために我が国としてもさまざまな面でこれを支援しようという考えでおるわけでございます。
 議員御指摘のように、我が国の国連平和維持活動への参加ということでございますが、これは従来から国連平和維持活動への参加につきましては、憲法、国際平和協力法の枠内で行われること、国内の支持を受けるものであること、さらに国際社会からも評価されるということが重要だと。さらに、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整え得ること、そして我が国が適切に対応することが可能な分野であること、こういったことを現地調査その他の結果を踏まえて、さらには国連当局あるいは国際的な機関とも十分打ち合わせをして総合的に判断をしよう、こういうことになっているわけでございます。
 現在、このUNTAETに対します我々の考え方といたしましては、我が国が今申し上げましたように国際平和協力法に基づいて人道的な国際救援活動に参加するに当たって、PKO五原則などの国際平和協力法上の要件を満たしているかどうかということの確認が必要でございます。
 現在、東ティモールにおきますUNHCRの活動がこの五原則を満たしているかどうかについては、具体的な要請を踏まえて現地の状況を確認し総合的に判断をすべきだというふうに考えているわけでございまして、現在の東ティモールの状況につきましては、まだ私どもに十分これら五原則さらには四条件を確実にクリアできるという確信が持てるだけの情報がないというのが現時点での状況でございます。
#42
○小山峰男君 この五原則あるいは四原則等がつくられた時代と、やっぱり情勢がかなり変わってきているというふうに思うわけです。今後、地域紛争が大変多様化してくるだろうし、またPKOをめぐる国際環境というものも大変変化してくるだろうと。だから、これはあのとおり原則で何事もしていくというようなことが時代に合わなくなっているのかなという感じもするわけです。
 だから、弾力的な対応あるいは本当に実効のある、現地の皆さんが必要としているような支援ができるような形というのが考えられなければならないだろうというふうに思っておるわけでございますが、今後の我が国のPKOの協力のあり方、そういうものに含めて、もう一度大臣のお話をいただけますか。
#43
○国務大臣(河野洋平君) 議員がおっしゃったように、時代が大分進んできて変わってきているんではないかという御指摘でございますが、時代の変化というよりは、東ティモールについて言えば、これまで我が国がPKO活動で参加をした地域の状況とこれは相当違うと考えなければならないと思います。
 まず、全く新しい国づくりをしようというわけでございますから、そこでどこを対象に、例えばどことどこで停戦の合意が行われるのかとか、あるいは受け入れ国のオーケーがあるかどうかとか、そういう議論はなかなか当てはめにくい状況に今あるということだと思うんです。
 しかし、私どもは、日本の法律、憲法あるいはその他の法律に照らして、やはり効果的にPKO活動ができるという状況を確認しなければ出せないということ、私はこの一点は崩したくないというふうに思っているんです。まあ、とにかく大変なんだから行ってみろという、そういう状況ではないというふうに思いますし、今の状況の中でも我々が貢献できる場所、貢献できる場面というのは十分ございますから、効果的に日本がそうした面での貢献をするということが重要だと思います。
 例えば、今、東ティモールの臨時行政機構の中に、日本から高橋さんという方が相当ハイレベルのポジションを得て、人道支援あるいは緊急復興についてオペレーションの責任者になられるわけですけれども、こうした仕事については、我々は積極的に支援をしたらいいというふうに私は思っております。
 東ティモールは、徐々にではありますけれども、恐らく多国籍軍の活動によって治安を取り戻してくるに違いない、そういう状況になれば、復興計画について我々が貢献をする場面というのはやってくるだろうというふうに思いますし、そうした我々がやり得る場面にしっかりと出ていってやるということが大事だというふうに実は思っているわけでございます。
#44
○小山峰男君 今回、ワヒド大統領も来日されているわけでございますが、外務大臣も会談をしたということでございますが、その中では具体的にどんな話が出て、今の東ティモール等についての話等も含めてどんな話が出たのか、教えていただけますか。
#45
○国務大臣(河野洋平君) 大統領とのお話し合いの中では、私は大統領に対して、我が国を初めとして世界の国々がテレビその他を通じてインドネシアの大統領選挙というものをしっかりと見ましたよと。
 大統領選挙、副大統領選挙、いずれも実に透明性の高い選挙が行われて、そこで選ばれたということを心から祝福しますということを申し上げて、そこからいろいろお話をしたわけですけれども、大統領からは、まだ国内の統一という点で、例えばアチェ州の問題とか、まだまだやらなければならないことがありますと。それからまた、経済政策でも我々が考えなければならないことがありますと。外交面でも、自分はいろいろ考えていますというようなことをるるお話がございました。
 私は、やはり何といってもアジアにおけるインドネシアの存在というものは、やはりインドネシアの安定がアジアの安定に極めて重要な影響を与えるので、できるだけ早くインドネシアが安定した状況になってほしいというふうに考えておりまして、メガワティ副大統領との間のコンビはまことにインドネシア全体に対して非常に安定した政治状況をつくり出しておられるというふうに私も思い、大統領からもそういうお話がございました。
 東ティモールの問題は、やはりこの問題はインドネシアにとっても非常に重要な問題だと。自分たちは東ティモールの独立、国づくりというものに対して十分配慮をしたいと。一番問題なのは、例えば、いろいろおっしゃったうちの一つは、外に出ている難民が東ティモールに戻るときに、それがスムーズに戻れるように考えなきゃいけないというようなことも話されました。
 恐らく、私思いますのに、東ティモールから出ている難民は西ティモールに大変多く難民が出ているわけですから、西ティモールから東ティモールへ難民が戻るときのいろいろな作業はインドネシアがまず主体的にお考えになって、難民を帰していくときに外国がお手伝いをする部分があればお手伝いをするということを考えなければならないだろうというようなことをお話をした次第でございます。
#46
○小山峰男君 どうもありがとうございました。
 時間ですので、山本政務次官にもちょっとお願いしておいたんですが、この次にまた質問させていただきます。それでは海野議員にかわります。
#47
○海野徹君 外務大臣に若干御質問をさせていただきたいわけなんですが、北朝鮮に関連しまして、外交姿勢といいますか、外務大臣の個人的な見解を含めてお話をお伺いさせていただけたらありがたいと思っております。
 まず第一には、北朝鮮との国交正常化の早期再開の環境が今どの程度整っているのか、全く整っていないのか。正常化を求める声がかなりありますね。委員会でも議論されていると思います。昨年、昨年というよりも、前高村外務大臣もあらゆるルートを通じてその旨努力するというようなことを田先生の質問にも答えていらっしゃる。九五年に四党の方々が行って、支障はないんじゃないかという話が相手側からも出た。あるいは、三党で二年ほど前に行かれたときも、非常にそういう正常化再開の意欲を感じたというようなことも聞いておりますし、個人の方もいろいろ接触していらっしゃるという情報もあります。
 そういう中で、現時点でどの程度進展しているのか、全くそれが変わっていませんとおっしゃるのか、その辺の背景を含めてお答えいただきたいと思います。
#48
○国務大臣(河野洋平君) 昨年八月の北朝鮮によるミサイルの発射事件というのがございまして、この発射事件の後ではとても国交正常化交渉というものは、話し合いはできないだろうという時期が当然あったと思います。
 そうしたことから我々は、韓国、アメリカと一緒に話し合いをしまして、アメリカをしてベルリンにおきます米朝会談というものが行われて、その米朝会談の結果、この米朝会談が行われている間はミサイルの発射はしないという言質をとって、そして大分機運が変わってきたというふうに思います。米朝会談は引き続き行われて、まだその結果は承知をしておりませんが、さらに前進をする可能性も私はあるのではないかというふうに見ております。
 そういう状況の中で、日本に対しましても、北朝鮮の外務大臣の記者会見とか政府声明とかいうものが日本に対して出されておるわけですから、これらを考えれば、国交正常化へ向かって環境は昨年の八月、九月に比べれば大分進んでいると考えていいと思います。
#49
○海野徹君 外務省はミニストリー・オブ・フォーリン・アフェアーズといいますから、海外の情勢とか事態というのを入手して、それで外交を行う。要するに、その情報、情勢を入手しながら、それを分析してやるのが外交だということでありますし、相手の強さとか弱さとかそういうものを全部把握した上で戦略的な組み立てをしないことには、これは外交とは言えないというようなことを私は思っております。
 そういった意味では、今、外務大臣がおっしゃったように、そういう御答弁をいただけるということは、相当に分析も進んでいるし情報も入っているということで理解してよろしいんでしょうか。
#50
○国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮は、一般的に言えば、情報が最も少ない国の一つでございます。
 ごくごく少ない情報を集めて分析をするという作業は非常に難しい作業でございますけれども、しかし、昨今は、つまりアメリカでありますとか中国でありますとか、幾つかの国がやはり北朝鮮との間の話し合いをしておられるわけでございまして、あるいはまた韓国は民間の経済人が相当な行き来をするということもあって、情報は、徐々にではあるけれども、そう多くはありませんけれども、以前に比べれば情報は外に出てきているというふうに私は思います。それらを集めて判断をしているという状況にございます。
#51
○海野徹君 北朝鮮という国は、我々と価値観も制度も体制も全く異なる国なんです。ほかの国に脅威を与えることについてある意味では何とも思っていないんではないか、そんな国であるなと私は理解しているものですから、そういう国とつき合うということは大変なことだと思うんです。可能な限りいろんなルートから、いろんなチャンネルからそういう情報を集めて分析する、これが外交の基本的な姿勢だと思っておるんです。引き続き御努力をお願いしたいと思うんです。
 これは、北朝鮮からちょっと離れてお聞きしたいんですけれども、外交というのは個人的な信頼関係が基本にあって、指導者層の個人的な信頼関係があれば外交は良好な方向へ行く、これは歴史的な事実があると思うんです。これは国と国というよりも、まず指導者層の個人的な信頼関係、それが結べない状態にあるかなということを非常に私は危惧しております。
 ディプロマシーという、ディプロマというのはギリシャ語で二つに折った紙という、これはあくまで、ある意味では親書ですね。親書というのは二人の関係ですから、そういう大変すぐれて個人的な信頼関係が基礎にあって外交というのは結ばれていくんではないかと。そういった意味では大変やりにくい国かなと。その辺が戦略的に外交を展開できない、北朝鮮に対して、最大の私は要因ではないかなと思うんですが、外務大臣はどうでしょうか。
#52
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、体制が全く違います。しかし、それは体制が違うということをお互いに認め合って話し合う以外にないわけです。私と同じ体制になってくださいといって話し合うというわけにはいかないわけでございまして、お互いの体制を認め合う、そしてお互いの体制の中にあって、いってみれば国際的なルールあるいは国際社会の持つ意味というものをお互いに認めるということでなければならないんだろうと思っています。
 議員御指摘のとおり、確かに、外交で重要なことの一つに、個人的な信頼関係をたくさん、もうあらゆるレベルの信頼関係をつくるということは一つ重要なことだと思います。それは、例えば経済活動をするお互いの最先端での信頼も大事だと思いますし、それから双方の一番トップ同士の信頼関係というのも大事だと思います。
 しかし、その信頼関係が一つだけでは、一つの信頼関係で全部を決めるということにはなかなかならない。しかし、さればといって逆に信頼関係がなければこれはもう全然話にならないわけですから、お互いに信頼関係を築くための努力というものを真摯に積み上げていく、進めていく、そういうことが何より大事だというふうに思っております。
#53
○海野徹君 これは北朝鮮に関しての直接的な質問ではございませんが、外務大臣としての御見解をお伺いしたいと思うんです。
 日本は戦後、イデオロギーに基づくものじゃなくて、経済的な支援、外交面で要するに経済力を使ってきたということがあるかと思うんです。
 それが最近、昨年までの問題のように、例えば金融問題の処理、これは二つ側面があったと思うんです。パニックの防止という側面と、あるいは適正な責任処理という、その二つの側面があったんですね。パニックの防止についてはやられたと思うんです。責任処理においては、どうも最近またあやふやになってしまって今後どうなるかわからない。ということになると、自己決定も自己改革もできない日本というのは大いに失望感が今あるんではないかと。そういった意味でも、要するに経済的なオファーをしてもそれがなかなか外交面での機能を果たせなくなっているのではないか、信頼感が喪失してきているのではないかと思うんです。
 例えば、インドとかパキスタンの核の問題、せっかくいろいろこちらが援助をしても、もうそういうものが出てきちゃうわけですから、いま一度外交政策というものを見直す必要があるのではないか。ただ、経済的な基盤をつくるために一生懸命努力しているだけではいけないんじゃないかと思うんですが、その辺、外務大臣、どうでしょうか。
#54
○国務大臣(河野洋平君) 全く抽象的なことを申し上げるのをお許しをいただきたいと思うんですが、私は、これからの外交政策が少し形を変えていくとすれば、それはやっぱり人権とか、つまり人権という意味において民主化とか、そういう問題がやっぱりあるんだろうと思うんです。その最も基本的な人権をどうやって守っていくかということを考えると、そこにはやはり一定の経済力というものがあった方が人権は守れるだろうと私は思っているんです。
 経済援助というものが、どうも金で外交をやっているじゃないかという御批判が一部にありますけれども、私は決してそうは思わないのでございまして、経済的な支援によってその国の国民の生活レベルがその一定のところまで上がるならば、そこから人権を尊重しようという主張が強く出てくるし、あるいは時によっては民主化への希望も強くなってくる可能性があるわけでございまして、そのレベルまで達しなければ、それはもうそういう議論すらなかなか出にくいということもあるんだろうと思うんです。
 したがって、私は、日本の国が国際社会に貢献できる、我々のできるものということから考えれば、経済的支援というものもまた重要ではないかというふうに思っているわけでございます。
#55
○海野徹君 次の質問に入りたいと思います。また北朝鮮に関連する質問をさせていただきますが、今度超党派で訪朝団が結成されるというような話です。
 政府としても、改善に道筋をつけるというのが最大の目的であるから、全面的な支援をして成果を期待しているというような新聞報道があります。政府の関係者がそういうようなお話をしているんではないかと思うんですが、具体的に全面支援といいますか、あるいはある程度、要するに先ほど言った情報というか事情を把握しているからある程度の成果が期待できるという、そういう交渉のシナリオというものがあってのそういう報道になっているんでしょうか。その辺について、お伺いします。
#56
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと私正確に記憶がありませんが、政府関係者から、今度の、議員がおっしゃっているのは村山訪朝団のことだと思いますが、村山訪朝団に対して政府が全面支援をしているということは政府側は言っていないと思います。
 村山訪朝団はあくまでも政党レベルといいますか、議員のレベルでの訪朝でございまして、これについては政府としては村山訪朝団から何かお問い合わせがあるとかということであれば、それは我々としてそれに対して持っている知識を提供するということはありますけれども、これはあくまでも政党レベルの話として訪朝団は行動をしておられる。また、そういう認識を私どもいたしております。
 ただ、今申し上げたように、何かお問い合わせがあるとか御要請があるということであれば、そのお問い合わせに対して我々ができることはするという今スタンスでおります。
#57
○海野徹君 何紙かの新聞紙上でそういうような表現をされているわけなんですが、それは今のところないということでありますし、ある意味では成果を期待するだけの交渉のシナリオを持ち合わせているわけではないということでありますか。
#58
○国務大臣(河野洋平君) 総理もおっしゃっておられたと思いますし、私も申し上げましたけれども、私は村山訪朝団の訪朝というものに期待をしています。
 その期待は、やはり全党が参加をする、しかも元総理が代表される訪朝団がこういう状況の中で訪朝されるということにはそれなりの重い意味があるだろうというふうに思っております。それによって扉が開かれるということもあるだろうと思っておりますから、村山訪朝団の実現といいますか、訪朝には我々として大きな期待を持っているということは申し上げております。
#59
○海野徹君 期待の中身がわかりましたし、それでは、だれか外務省の職員が同行するというようなことも、今のところはそういうものは考えておらないということですね。
#60
○国務大臣(河野洋平君) これまで幾たびか政党、議員外交といいますか議員レベルで、あるいは与党レベルで幾つかの政党が一つになって訪朝をなさったケースがございまして、そのときにも最終的に外務省に対して世話役としてだれか行けという御指示、御要請がございました。そして、累次の訪朝団には外務省から事務方が同行したケースがございます。今回ももしそういう御要請があれば、それは考えたいと思っております。
#61
○海野徹君 それから、総理の親書を携えてというような報道もあります。前回、海部元総理も親書を携えてその当時も行ったかと思うんですね。今回またそういう報道が、ニュースがありますと、総理の親書という意味で大変重い意味を持つと思うんですが、その辺について、意味合い、中身についても大臣としてはどの程度御見解を持っていらっしゃるんでしょうか。
#62
○国務大臣(河野洋平君) 総理の親書を持って行かれるかどうか私は確認しておりません。この話はまだ私どもは正式に承知をいたしておりません。
#63
○海野徹君 わかりました。
 それでは、ある雑誌に今の北朝鮮の指導者から朝鮮総連に対して朝鮮総連の改革を含めて四項目のメモがあったと。その一項目の中に朝銀問題があった、これが訪朝団招請の条件だというような記事がありました。北朝鮮の問題を専門的にやっているジャーナリストからも同じような話がありました。
 過日、この委員会でも私はお話しさせていただいたんですが、それは、朝銀問題は、朝銀信用組合に公的資金を一兆円入れる、それが招請の条件だというような話を複数から関係者が聞いているんですが、しかも、それはある意味ではアメリカにも報告済みで、そういう方向で行くということでアメリカのクリントン政権にも報告済みであるというような話も伝わってきたんですけれども、その辺についての御認識は、外務大臣どうでしょうか。
#64
○国務大臣(河野洋平君) 私は全く承知をしておりません。村山訪朝団の訪朝に条件があるとか、あるいは訪朝についてだれかの了承を得るとか、そういったようなことがあるというふうには私は全く承知をしておりませんし、ちょっと情報のニュースソースがどこにあるか私はよくわかりませんけれども、そういうことはにわかに私は御返事を申し上げられないと思います。
#65
○海野徹君 では、最後に御質問させていただきます。
 前回、外務大臣が外務大臣に御就任されていたとき、やはり四党の合意文書、それについては政府は制約されませんというような答弁をされておりました。今回も超党派で行かれていろんな話をする、これ関係改善へ向けての環境整備をしてこられると思うんです。その辺でどういう合意がなされるかわかりませんが、公的資金一兆円の投入というのは大変国民の議論を呼ぶと思うんです。それについては十分外務大臣としても注視をしていていただきたいということを要望させていただいて、質問を終わります。
#66
○益田洋介君 まず最初に、外務大臣にお伺いします。
 過日、アメリカの上院では包括的核実験禁止条約、CTBTの批准案につきまして否決をしたわけでございます。これは非常にショッキングなニュースでございましたが、その際我が国政府がアメリカ政府に対して送ったメッセージというのは、深い憂慮の念を伝えると。こういったたぐいの認識でよろしいのかなと私は思うんですが、このことによって日本は今非常に危険な戦略的な立場に置かれているんじゃないかというふうに思うわけでございますが、この深い憂慮の念というのは一体どういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。
#67
○国務大臣(河野洋平君) 私がアメリカの国務長官にお出しをした書簡は、ここにいる山本政務次官に持っていっていただいたものでございますが、深い憂慮の念という言葉は使っておりません。
 それから、私のあのときの心境からいいますと、十月の初めにウィーンで行われましたCTBTの会議におきまして、私の前任者でございます高村大臣が議長としてCTBTを世界的にさらに進めようということでイニシアチブをとられたわけでございまして、そのときにさらにCTBTを世界的に進めるために重要な役割を果たすのは、核保有国であるアメリカがこのCTBT、包括的核実験禁止条約を批准なさるということが非常に重要だというふうに認識をしておりましたし、当時アメリカの国務省の関係者も批准をするということを言っておられたわけですから、私どもとしては当然アメリカは批准されるものと思っておりました。
 それが、ニュースを聞いて、否決されたというニュースでございましたから、もう正直非常に残念だと、非常に残念だと。これはアメリカの議会の賛否でございますから、それ以上言いようはないわけですが、極めて残念だという気持ちでございましたから、率直にそういう意味のことを書簡に書いて山本政務次官に持っていっていただいたわけでございます。山本政務次官はその書簡を持って国務長官と会って我々の気持ちを伝え、アメリカがこれからどうなさるかということについてオルブライト長官のお考えを伺ってきたということでございます。
 もし必要であれば、山本政務次官からその訪米についての状況を御説明させていただきたいと思います。
#68
○益田洋介君 ぜひ、山本政務次官に補足的な説明をお願いしたいと思います。
#69
○政務次官(山本一太君) 益田先生が今おっしゃった、アメリカの上院のCTBT否決のニュースを受けまして、もうほとんどその日だったと思いますが、大臣に呼ばれまして、とにかくできるだけ早くアメリカに行って日本政府の気持ちを伝えてきてほしい、アメリカに対して引き続きCTBTの上院批准について努力をしてもらうように強く要請をしてほしいということで、その日は飛行機がなかったものですから、次の日の飛行機でアメリカに行ってまいりました。
 長官には大臣のお気持ちを率直にお伝えをしまして、オルブライト長官の方からはそこまであなたに言われなくてもいいというような御反応もあって、かなり最初はちょっと緊張した雰囲気だったんですが、はっきりと日本の立場を御説明申し上げまして、オルブライト長官の方からは、これは政権側としても計算したことではなくて、一種自分たちのやり方にも誤算があったという率直な反省のお話もございましたし、これは起こってはならないことだったというお話もございました。
 日本側としては引き続きアメリカの強い政権側の働きかけを望むということをお伝えしたところが、少なくとも世論に働きかける等いろんな手段を使ってこの問題を引き続き解決できるように努力をしていきたいということと、日本に対して、改めてインド、パキスタンを含むほかの国についても積極的な立場をとって、ぜひともこのCTBTの実現に向けて努力をお願いしたいというふうなお話がございました。
#70
○益田洋介君 ありがとうございました。大変御苦労さまでございました。
 大臣、最近も私はイギリスから来た友人と会って話をしたんですが、客観的に見て、今日本は非常に、言い方はちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども、危険な隣人とおつき合いをせざるを得ない状況にあるというふうな見方をしていると。中国はつい先ごろ台湾を核でおどかすようなことをいたしましたし、北朝鮮はミサイルの開発あるいはほぼ間違いなく核の開発を進めていると。
 そういう中にあって、日本は一九四五年以来、日本の安全保障というのはアメリカの核兵器とそれから海軍力でもって担ってきてもらっているわけでございます。その核の傘のもとにいなくなるということになれば、単に他国の核の脅威にさらされているのかあるいは自国で核を持たざるを得ないと。もちろん後者は選択できませんので、日本の現在置かれている立場というのは最良の立場であろうというふうに思いますので、ぜひとも、日本はこの発効促進会議議長国という立場でございますので、引き続きアメリカに、アメリカの場合は政府と議会と意見が必ずしも一致しないというのは別に驚くことじゃありませんけれども、山本次官が今おっしゃったように、世論の形成を初めとして、ぜひ日本も、期待されておるわけでございますので、側面的ではございますが、積極的にこれからもぜひ批准に向けて上院の皆さんも納得するような方向の御努力をお続け願いたい、そのように考えるわけでございます。
 次に、WTOでございます。中国にとりましては九五年のWTOの発足当時に加入するのが絶好の機会だったわけでございますが、残念ながらアメリカとの間の交渉がまとまりませんでした。その後、九五年の六月に李登輝台湾総統が訪米をするとか、あるいは、ことしの五月のベオグラードでの中国大使館の誤爆事件、これはNATOと言っていますが、実質的には司令官もアメリカ人でございますし、中国側はアメリカに爆弾を大使館に撃ち込まれたという認識を持っている。これは在日中国大使館の若い方々でもそういう一致した認識を持っているわけでございます。
 そういうことで、米中交渉は何度か挫折せざるを得なかった過程がありましたが、WTOの前身でありますガットに加盟の申請をして以来、中国が実に十三年の長きを経てやっとこのたび加盟が実現するという運びになったわけです。一方で、加盟後、中国にとっては段階的にマーケットをオープンしていくわけでございますから、それなりに新たな義務と責任というものが生じてくるわけでございます。
 そういった状況でございますので、日本を初め、特に日本が大事だと思いますけれども、中国ができるだけスムーズに国際経済と一体化していけるようにいろいろな形での支援をしていく必要があろうかと思いますが、この点、外務大臣はどういうふうにお考えですか。
#71
○国務大臣(河野洋平君) WTOに関する米中会談が行われた当初は、とても見込みがないのではないかという予測が一般的だったと思うんです。これをアメリカ側は、交渉の予定を延ばして、帰国を延ばして、非常に熱心な交渉をして、最終的に米中は合意をつくり上げた。これは本当に双方にとって大変な出来事だったというふうに私は思います。この六日間にわたる精力的な作業というものが実ったということは喜んでいいことだというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕
 しかし、これから中国が正式にWTOに加盟するのにはまだ作業は残っているわけでございまして、この残された作業に日本としても、側面的に協力をするということができればしてまいりたいというふうに思っております。
#72
○益田洋介君 その協力の一つは、懸念されておりますのは、加盟によって国有企業の改革が相当大幅にダイナミックに進められなきゃならないわけでございますので、そのために失業が生じたりあるいは社会不安が生じたりということが予測されるわけでございます。
 特に、今国会は中小企業国会というふうに言われていますが、私は、中国における中小企業の育成というのは、これはもちろん雇用の促進も伴いますし、非常に重要なことであると思います。
 一つ考えられますことは、日本の協力の手だてとして、例えば中小企業庁が中国経済の実態調査を実施したり、あるいは管理組織の再編、それからそれに伴う法の整備、そういったものについても日本は協力ができると思いますし、さらには中小企業のネットワーク、工業団地ですとか工業組合、こういったものは日本で非常に発達しておりまして、こういったものの発達を受けて我が国においては中小企業を中心として戦後経済復興したわけでございますから、こういった点で相当の協力ができるのではないか。政府ベースであれ民間ベースであれ、相当温かい手を差し伸べてあげないと、中国の経済というのは逆に悪化してしまうのではないかというわけでございます。
   〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
 日本がこういうふうなことで協力をすることによって、中国における日本のイメージというのが変わってくるでしょうし、結果的には中長期的には日本にとって大きな利益をもたらすことになるんじゃないかと思いますが、この中国における中小企業対策、これは外務大臣、どういうふうにお考えですか。
#73
○国務大臣(河野洋平君) 中国の国営企業というものの存在、これがどういうふうに変化していくかということは中国経済にとって極めて重要だと思います。それに伴って中国の中小企業というものが育っていくかいかないか。こうしたことがきちんとできれば外国からの投資もふえていくでありましょうし、中国にとって今この中小企業がきちんと活動できる状況をつくっていくということは非常に重要だというふうに考えております。
 今、議員は中小企業問題に対して日本からいわゆる民間も含めて協力が相当できるのではないかという御指摘、協力しなければいけないという御指摘でございましたが、私もそう思いますが、と同時に、国際的に見ますと、ECを初めとして中国との交渉がまだ残っているところがございます。こうした国に対しても日本から側面的に交渉をするように、交渉を積極的に行うように慫慂していくような協力の仕方もあるだろうというふうに思っております。
#74
○益田洋介君 民間資金を活用したインフラ投資というのは活発になってほしいと私も個人的には思いますが、つい先日起こったことでまだ私たちの記憶に鮮明なのは、広東国際信託投資公司、いわゆるGITICの、これはノンバンクでございましたが、破産で相当日本の都銀あるいは商社等、投資をしたものが焦げついて返済の見通しが立っていないのが現状である。十三日と十四日に広東省で開かれました第一回の経済顧問会議でもこのことは大きなテーマとして取り上げられた、しかしやはり解決の糸口はつかめなかった。こういうのを見ていますと、海外の投資家が簡単に中国に投資をしてくると私は思えないんです。相当長い道筋が必要じゃないか、信頼の回復のためには、そんな気がするわけでございます。
 一方で、支援策の中で問題になるのは、やはり地球環境問題にウエートを置いた形での支援策を講じていく必要がある。例えば日本海側には、防衛庁長官はよく御存じでしょうけれども、酸性雨というのは中国側から吹いてきた風で降って、相当公害問題が生じているわけでございます。ですから、二酸化炭素の排出権取引というのが国際環境ルールのベースになっていくわけでございますが、こういったものを考えてみますと、植林事業というのが相当必要になってくるんじゃないか、中国本土で。この辺でもやはり日本が協力できるのではないかというふうに考えますが、環境問題を考えた支援策ということについて、外務大臣はどういうようにお考えですか。
#75
○国務大臣(河野洋平君) 今、議員が御指摘の植林問題につきましては、小渕総理が訪中された折に、植林、緑への協力ということを言われまして、今、日中間で相当規模の大きい緑化対策を計画中でございます。これは相当長期間にわたって中国を緑化していく運動を日中双方でやろう、こういうことでございまして、これには若い方々にも参加をしていただく。さまざまな人たちの参加を得て中国の緑化に取り組もう、こういう提案がございました。まさに、今、議員がおっしゃったように、環境問題は日中協力の中の大きな柱の一つというふうに承知をしております。
#76
○益田洋介君 日本海側の出身でございまして選挙基盤をお持ちの防衛庁長官、この辺はいかがお考えでしょうか。
#77
○国務大臣(瓦力君) 大変光栄でございます。
 私も、前に建設大臣を務めておりまして、中国へ参りまして住宅の問題、そしてまた河川の問題、技術協力をどうするかという住宅等の問題で中国を訪ねましたが、今、委員御指摘のとおり、環境問題というのは中国でも問題にはなっておりますが、やはり当然我々として協力を惜しみなくしなければならぬ問題が幾つかあると思います。
 委員が御指摘のように、日本海側にそういったことが昨今、やはり季節風に乗っていろいろ参るわけでございますので、関心も深いわけでございますから、これは国境を越えて、日本海、それぞれ海を越えて協力体制をとることは、地球的な環境問題につながることとして大変重要だと考えております。
#78
○益田洋介君 ありがとうございます。
 月末にアメリカのシアトルでWTOの閣僚会議が開かれます。その際、一つの大きなテーマとなると考えられていますのは特恵関税の対象拡大、これを最終的には閣僚宣言に盛り込みたい、そういう方向で今調整が進められているというふうに伺っておりますが、WTO加盟百三十五カ国のうち三分の二の国はいわゆる開発途上国でございまして、日本も積極的に取り組まなきゃいけない課題であるわけでございます。
 今、国連が指定した関税より低い優遇関税率を適用してほしいという国は四十八カ国でございまして、我が国の場合は四十八カ国のうち四十二カ国に対して特恵関税供与対象国と認定しているわけでございますが、ただ問題はその内訳でございまして、優遇関税を適用する対象品目でございます。
 鉱工業品については対象が全部で千品目でございますが、そのうちゼロ関税の措置をとっているのが九百七十三品目。ほとんどの品目について鉱工業製品については日本はゼロ関税を認めているわけでございます。しかし、一方で水産食料品、農水産品といいますか、については対象が二百品目であるのに対して、わずか九十四品目しか認定をしていないのが現状であります。
 ですから、我が国としては特恵関税の拡大そのものについて否定はしておりませんが、例えば個別的なアフリカ沖でとれるような水産物の無税化をもし認めるようなことになれば、国内産業に大きな影響を与えるだろう。これは非常に頭の痛いところで、通産省ももちろん、農水省も頭を痛めているのではないかと思われます。
 外務大臣、この点はどのようにお考えでしょうか。
#79
○国務大臣(河野洋平君) まさに議員御指摘の、後発開発途上国産品の問題は大きな問題だろうと思います。先般、日本を訪問されたWTO関係者の方々何人かとお目にかかりましたけれども、特に熱心にこの問題を話される方もいらっしゃいました。
 今、議員がまさにおっしゃったように、こうした後発開発途上国産品の特恵関税の問題は、我が国の農林水産業者の方々の意見というものは、極めて厳しい意見を持っていらっしゃるということも考えなければなりません。こうした問題を踏まえて対応していかなければならないというふうに思っているところでございますが、他方、アメリカを初めとして先進諸国の対応というものは日本とはいささか違った状況になっております。こうした国とも十分話し合い、議論を尽くして検討をしたいというふうに思っているところでございます。
 シアトルの会議におきましても、これは極めて重要なテーマの一つになることは間違いないというふうに考えまして、目下私自身勉強をしているところでございます。
#80
○益田洋介君 日本の国内産業の保護ということももちろんございますが、グローバライゼーションがあらゆる分野で叫ばれている現在でございますので、大臣もいろいろと頭の痛いことがあるかと思いますが、ひとつ元気でお出かけいただきたいと思います。
 次に、先日、無事に事件は終息したわけでございますが、キルギスの日本人鉱山技師拉致事件、これはさまざまな教訓を我が国政府にも残したわけでございます。
 外務省は、事件発生後すぐに安全対策タスクフォース会議というものを設置してアフリカやコーカサス諸国に調査団を派遣して、ODAの実施のために世界各地に派遣されている援助要員の安全対策を具体的に強化しなきゃいけないというようなことで真剣な話し合いが持たれている。具体的には、現地の治安対策の専門家に依頼しての情報収集とか、あるいは衛星電話の増設とか、さまざまなことが検討されているようでございますが、この点は外務大臣、今後どのようにして対応されていかれるのか、お考えをお聞かせください。
#81
○国務大臣(河野洋平君) 邦人保護は外務省にとって極めて重要な仕事でございます。邦人保護と一口に言いますけれども、いろいろなケースがございます。
 旅行者に対する保護、それからそれぞれの地域に定住をして仕事をしておられる、勉強をしておられる方々に対する保護、それから今回のキルギスのように、つまり人里から離れてそれほど情報量の多くないところで仕事をされる、そういう方々に対する保護といいますか情報の提供と申しますか、そうしたことをそれぞれ考えていかなければならないと思います。
 今回の場合には、キルギスには我が国は大使館もないというような状況から、技術援助のために出かけていっておられるこれらの人たちに対するバックアップの体制というものが必ずしも万全な体制とは言えなかったかもしれません。これらの人々には、例えばいわゆる電話機を持っていただいて電話による交信ができるとか、できる限りの情報の交換をするというようなことを考えてはおりましたけれども、それでもやはり大使館もない場所にああした人たちが仕事をしておられるということを考えますと、もう少し安全対策に十分な注意を払うべきではなかったかという反省も実はございます。
 しかし、こうしたことを踏まえて、じゃ一体何がこれからできるかということを考えましても、世界じゅうのそうした国に大使館が開けるかというと、なかなかそういうわけにもいかないというわけでございまして、兼轄をしております周辺国の大使館からできる限り出張の回数をふやすとか、本省からの出張回数をさらにふやすとか、そうしたことで情報を提供する、あるいは周辺の情報を集めるという努力が当面直ちにでき得る状況ではないかというふうに思っている次第でございます。
 旅行者その他一般の方々に対しては、例えばインターネットを利用して情報を提供するというようなことも考えなければなりません。でき得る限り我々の持つ情報を素早く提供するという作業が必要だと思いますが、これらについては先般このキルギスの事件を踏まえて、その反省にも立って、今後の安全対策といいますか情報提供について従来のやり方を改良するための作業を目下始めたところでございます。
#82
○益田洋介君 ありがとうございました。終わります。
#83
○立木洋君 最初に、外務大臣が先般行われました所信に関連して質問させていただきたいと思うんです。
 御承知の、アメリカで朝鮮民主主義人民共和国、つまり北朝鮮に対する政策の再検討というのが去年十一月、大統領から指示されて、ペリー博士を中心に再検討チームが出されて、八カ月間検討をやってこられたと。新しいペリー・プロセスというものが出されました。この関係の文書というのを私は大体目を通しました。先日の同僚議員の質問で、大臣の方からペリー・プロセスについては全面的に支持をするという趣旨の説明がありました。中身を見てみますと、四つのとり得るべき政策が存在するけれども、それはすべて拒否しております。
 御承知のように、第一には、これまでアメリカが北朝鮮に対して行ってきた十年間にわたる政策、それを維持し、踏襲するという態度はとらない。それから二つ目の問題としては、北朝鮮を徐々に弱体化させる、こういう政策もとらない、それは戦争の危険があるからだと。三つ目の点としては、北朝鮮の政治的、経済的な改革を進めるようにアメリカが促進するようなやり方もしない、これも極めて強い抵抗があるからだと。最後の問題は、安全保障と物質的な保障を取引するような政策も相手の脅威を奨励するようなものになるからこれもとってはならない政策だということを明確に、四つのとり得るべき可能性をもすべて拒否した上で二つの道というのを提起しました。
 これは非常に私は重要な内容だろうと思ったんです。交渉ということを前面に立てて、それに基づいて核兵器開発の計画、あるいは長距離ミサイルの開発等々の問題について検証可能な形で、それも中止を求める話し合いを進めていくと。もしそれができない場合であっても、第一の道に戻れるように、直接力を使ってやるような道ではなくて、交渉の道を我々としてはとっていく、これを非常に強調しております。
 これについて全面的な支持を表明された大臣、そしてさらには、言葉遣いが正確でないかもしれませんが、共同歩調をとると言われたのか、協力、共同すると言われたのか、そういう趣旨のことも指摘されました。
 このペリー・プロセスの最も基本的な点だというのを大臣がどういうふうにお考えになってそういう答弁をなされたのか、最も心髄だと思われる点を述べていただきたい。短くて結構です。
#84
○国務大臣(河野洋平君) そう簡単には申し上げられませんが、お許しをいただいて。
 私は、アメリカは相当思い切って考え方を変えたと思います。それは、アメリカは例えばソ連に対する封じ込め政策というものも必ずしも成功したとは思えない。ベトナムとのやりとりについてもアメリカはどう思っているかわからない。それは私の見方でございますが、必ずしもベトナムもアメリカのやり方が成功したとは私は思わないんです。
 そういう、封じ込めたり力で撃破するというやり方は成功しないということを、アメリカはアメリカなりにいろいろな意味で頭に入れて、そして北朝鮮政策というものをペリーさんは考えられたのではないかというふうに私は思うんです。
 これは、金大中韓国大統領もまたいわゆる包容政策をとるときに、金大中大統領は太陽政策といいますか話し合い、一方で抑止ということを両方考えながらも、問題というものは話し合いで解決できるのだ、戦って問題が解決するとは思わないということを恐らく考えておられるに違いない、これも私の推測でございます。
 そうしたことを考えると、アメリカは北朝鮮政策というものを、従来の考え方というものを変えて、つまり、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、北朝鮮の体制を変えてやろうとか、北朝鮮を包囲して、封じ込めて勝利しようとか、そうしたことを考えるのではなくて、むしろ話し合いの相手として北朝鮮の存在というものを認めて、そして話し合いによって問題を解決しようというふうに考え方を変えたのではないかと。
 しかし、その一方で、それはただ単に話し合うというだけではなくて、十分アメリカはアメリカなりの準備も整えながら、しかし話し合いという政策を前面に出されたのではないかというふうに私は見ているのでございます。
#85
○立木洋君 そういう交渉の道によって可能な方向に進んでいくことができるのならば、それで東アジアにおける永続的な平和の道を切り開いていきたい、そういう平和共存の道にまで到達できるように努力をしていきたいということも強調されているわけですね。
 この問題というのは、考え方が非常に重要で、その場合に、この道に沿って互恵的なやり方で、北朝鮮が脅威であるというふうに感じられるようなことをもこちらの側からはとらないようにしていく、段階的にそういうものを解消していくということも強調していますし、あるいは挑発的な態度があったとしても、我々はそれに対応するのに慎重で、そして十分にいわゆるそういう問題で真剣に対応できるような形で交渉を進めていくように努力をしたいということも述べているわけですね。
 これは、もう大臣御承知のように、アメリカの国内でも強い反対があります。これは軟弱だと、北朝鮮にそんな態度をとるのはだめだという意見があります。日本でもそういう意見があります。私は、紹介するだけここに材料ありますけれども、きょうは述べませんが、そういう問題がある。
 だけれども、この道に対して全面的に支持をする、そしてそれに対して共同歩調をとっていくということになるならば、この問題に関してそういう歩調の道をとっていくということになるならば、問題は、先ほど来のお話がありましたように、たとえ大きな意見の違いがあっても、それを力で解決するという政策ではなくて話し合いによって解決していく、その道のために努力をしていくというふうに強調されたものだろうと大臣の話を私は受け取りました。
 そこで、今、北朝鮮のいろいろな資料を見ていると、日本に対するいろいろなメッセージもあります。ただ、一方ではそういう問題とは異なったメッセージもある。
 御承知のように、空中給油機の導入の問題に対しては極めて厳しい意見があります。批判がある。また、TMD、戦域ミサイル防衛、それの導入、アメリカとの共同技術開発の問題についても厳しい批判がある。こういう道は、やはり我々に対する敵対的な行動だというふうにみなさざるを得ないという指摘まであると。
 そうすると、そういう相手が脅威に感じるようなことについては、段階的に解消していくことが望ましいというペリー・プロセス、つまり交渉を最優先していくということを考えるならば、外務大臣のお立場として、これは防衛庁長官にお尋ねしているわけじゃないんですけれども、長官は長官のお考えがあるでしょうけれども、外務大臣としてのお立場として、こういう問題に対しては今後どういう対応をとっていく必要があるというふうにお考えになるのか。
#86
○国務大臣(河野洋平君) 私は、日本の態度は対話と抑止なんですね。対話だけではないんです。対話を望むけれども、一方で抑止ということもきちっとやるということが当然必要だと思うんです。
 これは韓国でも同じです。幾ら太陽政策、包容政策といっても、韓国は韓国なりに非常に厳しい戦略の補強もするし準備もしているわけです。アメリカだって、ペリー報告を出しながらも米韓共同訓練というものは従来どおりやるわけです。それは、何も話し合いをするんだからといって何にもやらないわけじゃない。
 まして日本の場合には、日本の安全というものを考えれば、日本の安全保障のために計画的に着々と準備をしたものは準備をしていくということは、これはあって当然なんであって、話し合いましょう、私は何にもしませんよといって話し合いを求めるということではないと私は思うんですね。
#87
○立木洋君 アメリカの考え方が大分変わってきていると大臣さっき言いましたね。それに共同歩調をとっていくというふうに述べたのも大臣ですよ。日本が対話と抑止、あるいは抑止と対話というのか、両方をとるということを主張してきたということも、これは私は知っています。しかし、アメリカがなぜそういうふうに今の状況で変化をしてきたのか。交渉ということを重視して、そしてその道から外れないように、第一の道に戻るように可能な限り努力をしていくということがアメリカとしては今強調されている。
 それに対して共同歩調をとるならば、いわゆる抑止と対話、対話と抑止というどちらでも結構ですけれども、しかし、その問題で両方やるんだといって相手に刺激を与えて、いわゆる挑発的な行動になるというふうなことがあえてあるならば、その問題について一項あってしかるべきだろうと、いわゆる共同歩調をとるということであるならばですね。
 先日、ペリー博士が十一月四日に日本の記者と会見しています。何をお話しになっているかというと、弾道ミサイル攻撃に対応する目的で日米が共同技術研究を進めている戦域ミサイル防衛、TMDについては、日本にはお勧めできないと言ったんです。そして、中国との軍拡競争を引き起こす可能性があるということまで指摘して、それは日本にはお勧めできない、やらない方がいいんじゃないですかという趣旨のことを述べている。
 このペリー調整官の発言を、大臣どうお考えになりますか。
#88
○国務大臣(河野洋平君) 私は、アメリカの考えているところは、やはりどうやって話し合いに持ち込むかということが一番大事なんですね。
 アメリカはなぜこの問題をこんなに重要視しているかということの一つに、やっぱり核の拡散というものを防がなきゃいかぬということがアメリカにとって極めて重要な問題の一つです。もちろん、それは核の拡散だけではありません。韓国に対し、日本に対し、アメリカ本土に対し、北朝鮮の脅威というものをどうやって防ぐかということは非常に重要ですけれども、それと同時に、核の拡散ということもアメリカは何としても防がなきゃならぬという非常に強い気持ちがあるんだろうと思うんです。したがって、この問題にはアメリカは相当真剣に取り組んでいると私は見ているんです。
 この問題に相当真剣に取り組んで、北朝鮮を何としても話し合いの場に出てもらって、同じテーブルに着いて話し合いをしたいという非常に強い気持ちがあると思うんですね。その北朝鮮をしてテーブルに着かそうと思えば、どういうやり方が北朝鮮がテーブルに着く一番いいやり方かということについてペリーさんはいろいろ考えているというふうに私は思うんです。したがって、抑止と対話といいますか、アメリカのやり方もまたそういうやり方です。
 もう一つ、議員が御指摘になったTMDについてのペリー発言ですけれども、私はペリー発言を見て、ふうん、へえっと、ちょっとこれは音が余り、字になると違ってくるから、そうかなと実は思いました。しかし、その後、国防長官自身がプレスステートメントを出されて、発言の真意は違うということをどうも説明をされたようです。これを見ると、今、議員がおっしゃったような、TMDを日本に勧めないという発言は真意ではないということを、ペリーさん自身がプレスステートメントでその真意を説明しておられますね。
 その真意を見るというと、ペリーさんは、私は国防長官当時、日本にTMDの調査研究においてアメリカとの協力を勧めました、私は現在もこの方向は日本政府にとって賢明なものだと信じています、インタビューでの私の発言はTMDを配備する将来の決定の可能性について言及したものです、配備する決定は脅威という観点から考慮されるべきだと思います、その時点で云々と。つまり、その時点でもう少し考えろと、こういうことを言ったんですよということをペリーさん自身が修正しておられるんです。
 ですから、その修正前の発言をもとに議論をするのは余り意味がないだろうと思います。
#89
○立木洋君 ペリーさんもその後いろいろな経過があったんでしょう。そのことは言いません。
 問題は、ベルリンでの協議が行われまして、そして結局、交渉の間じゅうは我々の方ではミサイルを発射しないといって北朝鮮が述べたと。そういうものを受けてクリントン大統領は九月十七日、経済制裁の一部を解除していわゆる緩和措置をとりましたね。この間、それに続いて日本でもチャーター便の問題に関して、先般の大臣の御答弁の中でも述べられたようにそういう措置もとられた。ここで今、ペリー・プロセスの問題について、極めて重要な状況のもとで一定の変化が出てきている。
 同時に、今そういう背景の中で、同僚議員に対して先ほど答弁がありましたように、確かに一定の変わり方をしてきている、状況の変化があってですね。そういうものを極めて重視して交渉に重点を置いた形で、日本がこれまで繰り返し、私たちも要求してきましたように交渉のルートをつくって、それはいろいろなレベルでの交渉のルートがあるでしょう。現に、非公式の交渉についても再開しているという報道もありました。
 それは、どういうレベルでどうなっているかというようなことは述べられないでしょうけれども、しかし、いろいろな形で交渉のレベルを、ルートを開設し、話し合いをし、本当に話し合いをしながらそういう道を探求していくということは非常に重要になってきているというふうに思うわけです。
 そういう意味で、対話と抑止という問題についてのいわゆる重点、私は一定の変化を、日本政府もペリー・プロセスに全面的に支持を与え、共同歩調をとるという意味においては一定の変化があるというふうに見ることは可能じゃないかと思うんですが、いや変わっていないというふうにおっしゃるのかどうか、そのことを一言、この問題についての最後に述べていただきたい。
#90
○国務大臣(河野洋平君) 我が国が対話と抑止ということを申し上げているわけで、我々はこの対話と抑止という考え方に基づいて、ペリー博士がペリー・プロセスについていろいろ考えられて案をおつくりになるときに、我が国の意見も述べてあるわけですね。
 ですから、私は、ペリー・プロセスの中には、我が国の対話と抑止という考え方もまた一定量含まれているというふうに思いますので、ペリー・プロセスについて私はこれを評価しております、支持しておりますと、こう申し上げたわけです。
#91
○立木洋君 誤解されていたらいけないから、私たちも、北朝鮮のいろいろな問題が多々存在している、我々と同調できない、同意できない見解をも存在している、北朝鮮との間に、ということだけは述べておきたいと思います。しかし、そのことがあるからといって、先ほど大臣が言われたように意見に違いがあるからといって対話を軽視するということがあってはならない、外交の基本姿勢として。そのことは改めて確認をしておきたいと思うんです。
 同時に、対話を進めていくという限りにおいては、抑止という問題を政府がとっているという点について我々は多分に異論を持っています。違う見解を持っています。しかし、この問題については、我々は事が起こらない限り我々の方から攻撃をすることはないということぐらいは明言してもいいのじゃないかと思うんです。しかし、これはきょう答弁はお聞きしません。考えていただきたい。
 防衛庁長官、きょう答弁をいただかなくて、いろいろむしゃくしゃしているかもしれませんけれども、ひとつ十分に考えていただくということできょうはおさめておきたいと思うんです。大臣、考えておいてください。
 次に、食糧援助規約の問題について政府参考人にお願いしてあったんですが、この内容、最近の状況を見てみますと、国連開発計画の一九九七年度の報告、貧困と人間開発によりますと、約八億四千万人の人々が飢えに存在している。これは当時の報告ですが、食糧の確保もままならない、ほとんどサハラ以南のアフリカにある後発開発途上国に住む人々のうち三分の一近い人々は四十歳まで生き延びることが難しい、こういう報告まであります。
 それから、つい五日ほど前ですか、ローマで行われたいわゆるFAOの第三十回総会で、食糧と農業の状況についての中でも、いわゆる栄養不足の人々の人数を削減するという目標に非常に遠く及ばない、達成の状態に、そういう報告さえつい数日前に行われており、食糧問題というのは非常に国際的にも緊張した状態にあるということを見ることができます。
 そういう点で、今度の九九年の規約の内容を見ますと、九五年の食糧援助規約では一千万トン以上の食糧援助をするという一定の目標を掲げておりました。それが今度の九九年規約では、「適当な水準の食糧援助が供与されるようにすること。」といって、一千万トン以上というのがなくなっています。これをどういうふうに解釈したらいいのかということが一つ。
 それからもう一つは、贈与の対象国について、これまで九五年の規約では、後発開発途上国以外に一人当たりの所得の低い国その他の重大な経済的困難に直面している開発途上国というふうな国々を挙げていましたけれども、今回の規約では後発開発途上国以外の飢餓に困っている国々についての表現というのがなくなっています。これらの問題について、どういうふうな考え方からそういう条文上の変更が行われたのか。
 それから同時に、今の状況から考えて、先般行われたこの国際会議で、今後の食糧援助の問題についてより積極的に進めていくという方向は明確にされているのではないかと思うんですが、そこらあたりの会議での結論と、それから日本での食糧規約、食糧援助に対する基本的な考え方、これを一言答弁していただきたいと思います。
#92
○政府参考人(小松一郎君) 御質問のうち、九五年規約と九九年食糧援助規約との関係、変更点につきましてまず御説明をさせていただきます。
 九五年規約では、御指摘のとおり、累次の食糧援助規約に倣いまして、毎年一千万トン以上の食糧を援助するという七四年の世界食糧会議の目標の達成を確保することが目的として明記されておりました。
 しかしながら、今回御承認を求めております九九年規約の作成交渉におきましては、一九九六年に行われました世界食糧サミットの宣言などを踏まえまして、食糧援助の量のみならず、その効果及び質の改善並びに加盟国間の協力にも十分考慮を払うこととすべきとの意見が大勢を占めまして、世界の食糧安全保障に貢献すること及び食糧に係る緊急事態などにおける開発途上国の食糧上のニーズに対応するための国際社会の能力を改善することが規約の目的として定められております。
 また、援助対象国の点についての御質問でございますが、九九年規約におきましては、特に最も弱い人々の貧困及び飢餓を緩和するとの観点から、食糧援助の対象となる受益国の範囲を九五年規約に比し若干狭めておりまして、DAC分類上の後発開発途上国、低所得国、低中所得国及びWTOの食糧純輸入開発途上国に受益国としての資格を認めるとしたところでございます。
 今申しましたような変更点はございますが、九九年規約におきましても加盟国全体として九五年規約とほぼ同水準の年間最小拠出量が設定されております。したがって、今次の規約におきましても、加盟国が世界の食糧問題の解決のために積極的役割を果たすことを約束するという従来からの食糧援助規約の意義には変わりがないと考えております。
 食糧援助につきましての姿勢全般につきましては、同僚の政府参考人の方から御説明させていただきます。
#93
○政府参考人(飯村豊君) 我が国といたしましては、開発途上国を中心に多くの人々が慢性的な栄養不良、これは八億三千万、FAOの統計によりますとおられますけれども、栄養不良に直面している現状は人道的な見地からも看過し得ない問題というふうに考えておりまして、食糧援助がぜひとも必要であるという考え方でございます。
 このため、これまでも食糧不足国に対しまして、米、小麦等の輸入に必要な資金の無償供与、いわゆるKR援助、さらには世界食糧計画、WFPへの拠出等を通じて、例えば平成十年度におきましては百七十二億円を超える食糧援助を行っているところでございます。
 今後とも、途上国からの要請を踏まえまして、ODA予算あるいは既存のスキームを十分に活用して、国際ルールにのっとりつつ途上国の食糧問題への協力に努力してまいりたいというふうに考えております。
#94
○立木洋君 コーヒー協定で一問だけ。
#95
○委員長(矢野哲朗君) 時間ですので簡潔に願います。
#96
○立木洋君 簡潔にやります。
 東政務次官にお聞きしますが、一九六四年にUNCTADが始まって以来、商品協定をつくって経済的な格差を国際的に排除していく、なくしていくという努力は進められたのですが、いろいろ調べてみても、商品協定というのはうまくいっていないのがなかなか多いんですね。
 それで、このコーヒー協定の場合、前回いわゆる経済条項というのが外されている、いわゆる輸出の割り当て制度、これが外されている。この間、うまくいったのかどうか、コーヒー協定で。そのことをちょっとお尋ねして、商品協定に対する今後の日本の基本的な考え方という問題を答弁いただきたいと思うんです。
#97
○政務次官(東祥三君) 立木委員がおっしゃられるとおり、今回の一九九四年の協定においては、いわゆる価格安定メカニズム、いわゆる経済条項、これが含まれていないというのは御指摘のとおりなんだろうと思うんです。
 ただ、御案内のとおり、まだいわゆるモノカルチャー経済、コーヒー経済にその所得あるいはまた輸出額の相当部分に依存している発展途上国というのは大変多い。だから、そういう意味で、その経済条項がなくてもいいのかという、そういう議論というのはあると思うんです。
 他方、御案内のとおり、一九六五年以降の世界経済、とりわけ発展途上国のいろいろな発展段階を見ている限りにおいては、経済条項そのものを入れなくても、いわゆる物、いわゆるコーヒーならコーヒーにかかわる情報が十分に収集され、またその情報が公表されることによって、その経済条項を入れなくても代替できるのではないのかというふうに考えることもできると思うんです。
 他方においては、日本というのは世界三番目の消費国でございます。そしてまた、先ほど申し上げました消費国に利益をもたらすとともに、コーヒーの生産に依存する開発途上国の経済発展に貢献するという意義は失われていないんじゃないのかと、失われていないというより有しているのではないのかと、そういうふうに基本的に我々として考えております。
#98
○田英夫君 委員長のお許しをいただいて、先ほど立木委員もあるいは海野委員も北朝鮮問題に触れられました。実は、私は何も通告しておりませんけれども、参議院の委員会、特にこの外交・防衛委員会は、せっかく外務大臣、防衛庁長官、四人の政務次官がおられるという、こういう状況の中で、個々の委員が政党、国会側からただ一方的に政府とやりとりするんじゃなくて、横の議論もできたら将来大変有意義だなと、衆議院とは違ったやり方ができるんじゃないかと、今そう思っております。
 その意味で一言私見を申し上げれば、いろいろもう多方面の問題に触れられました。アメリカや韓国のことにも触れられましたが、私はあえて言いたいのは、中国の唐家セン外相と話したことがあるんですが、北朝鮮あるいは朝鮮民族、南北含めた、そういうこの民族とつき合うにはどうしたらいいか、どういう配慮が要るかというようなことも一つ論点に、配慮の中に入れなくちゃいけないんじゃないのか。これはむしろ唐家セン氏が言った言葉ですが、非常に誇り高い民族だと、この誇りを傷つけるようなことは外交上してはならないと、こういう言葉を言っておりまして、大変私は感銘を受けたんですが、きょうは時間がありませんし、通告外でありますから、その程度の意見を申し上げておきたいと思います。
 きょう通告いたしましたのは核兵器の問題です。これもこの十五分間、今もう既に十二、三分しかない中で取り上げられるような、議論できるような問題でないことは十分わかっておりますから、最近の問題についてだけ河野外務大臣初め皆さんの御意見を伺いたいと思うんです。
 実は、CTBTのアメリカの批准否決という問題については、既にもう同僚委員が触れられておりますし、山本政務次官からお答えもありました。私も質問しようと思いましたが、これは先ほどの御答弁で済んでおりますが、このアメリカの否決というのは本当に核廃絶という点ではかり知れない影響がある。人類に対する影響と言ってもいいぐらい大きなものがあると思います。
 この点で河野外務大臣は、特にどういうことを心配しておられるのか、どういう影響を考えておられるのか、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(河野洋平君) 包括的核実験禁止条約を批准する国々の中で、やはり何といっても大事なのは、核保有国がこの条約を批准するということが非常に大きい意味があるのは、これは疑いのないところであります。
 しかも、その核保有国の中でも最もパワフルな国であるアメリカがこの批准を否決したということは、やはりそれ以外の国に対して著しくこの条約が説得力を欠くということになりはしないかということが一番の心配でございます。
 さらに、核軍縮を主張する国々が心配をいたしますのは、NPTの見直しを求める会議が来年四月に開かれるわけで、これに対する影響というものが出てくるのではないかということもまた考えられると思うんですね。いずれにしても、アメリカは核軍縮に対して大きな信頼を損ねたという意味で、あの批准否決は大変大きかったんではないかというふうに思うんです。
 私は、このアメリカが失った信頼をぜひアメリカに取り戻してもらいたい。それは、先ほど山本政務次官からもお話を申し上げましたけれども、オルブライト国務長官は、批准は否決されたけれども、アメリカはこのCTBTを批准するしないにかかわらず核実験をやらないということを明言されたということも、アメリカがその信頼を取り戻そう、あるいは維持しようと考えておられる一つの行動だろうというふうに思っております。
#100
○田英夫君 国際的な核廃絶への道のりというか段取りという意味でいうと、NPT、CTBT、カットオフ条約と、この条約をずっと進めていくということはもうほとんど合意できていたと言ってもいい。この段取りがまず狂いますね。CTBTがおかしくなるわけですし、カットオフ条約に進めるかどうかというふうなこと自体もおかしくなってくると。
 そういう意味で、私はこの条約を進めることによって核廃絶に到達できるというふうに実は思っておりません。これは今合意できているその段取りというのは一部にすぎないと、こう思っております。それで、その条約によるものも、今申し上げた三つだけじゃなくて、その先に核兵器の先制不使用条約というものが必要じゃないだろうか。
 これは既にそういう議論が起こっていることは御存じのとおりですけれども、この点については政府はどう思っておられるのか。中国はもう核を持ったときから先制攻撃はしないと言っているわけですが、この先制不使用条約というものについてはどう考えておられますか。
#101
○国務大臣(河野洋平君) 私は、田議員と少し意見を異にいたします。それは、私はやはり国際社会の中で核軍縮、そして究極的な核廃絶を目指すためには、条約を繰り返し繰り返し国際社会の中でお互いに認め合い、それが半歩でも一歩でも前進をしていくということが核廃絶に近づく道、それはかなり遠い道だとは思いますけれども、そういうことだと私は思っているんです。
 これは恐らく田議員もおわかりいただけると思いますけれども、これが幾らやってもなかなかそううまくいかないよと言ってしまったのではこれは進めないわけですから、これは遠い道であるかもしれないけれども、やっぱりこの道を進めていくということしかないのだろうと思うんです。その点だけはぜひ御理解をいただきたい。
 私は、これでもう七年目になりますか八年目になりますか、究極的核廃絶についての国連決議を出して、国連では多くの国々に賛成をしてもらって進めてきているわけですが、そのときに私なりのジレンマがあるのは、同じものを出せば必ずみんなが賛成して通るんだ。しかし、同じものを毎年出してもそれは余り意味がない。やっぱり少しでも前進させた決議に、それを毎年少しずつでも前進させていきたい。ところが、前進させるとそこでなかなかその決議が採択されなくなる。そのぎりぎりのところを探りながら少しでも前進をさせたいと。
 今回もまた、後ほどあるいは御質問があるかもしれませんが、東京フォーラムをベースにして少しでも日本から出す決議案を前進させたいと思って努力をしたわけですが、そうやって少しでも前進をし、なおかつ賛成者をふやしていくという努力をこれから先も続けていきたいと考えていることを一つまず申し上げたいと思います。
 それから、核の先制不使用というのは、もう随分長いこれも議論でございますが、核の先制不使用というのは一体どういう意味なのかということについて、まだまだ議論が整理されていないというふうにまず思います。
 それから、アメリカがこの核の先制不使用について、簡単に賛成しないというと少し言葉は悪いんですけれども、アメリカがそれに同意をしないことの一つは、やはり同盟国に対する責任とか義務とかということも一方であるのだろうというふうに思っておりまして、この問題は確かに議員御提案のとおり一つの議論として重要な議論だと思いますけれども、現状ではなかなか進まないというふうに私は見ております。
#102
○田英夫君 私も条約を積み上げていくということを否定してはおりません。これは重要な一つの段取りだと思います。
 あわせて、例えば非核地帯を、今既に南半球は全部、南極条約も考えますと南極大陸まで含めて非核地帯だというような、そういう方法も進める必要がある。
 今の先制不使用という言い方、これは実は今申し上げた非核地帯条約、一九六〇年代に既にできたトラテロルコ条約でその中心になりましたメキシコの当時のロブレス外相自身から聞いた話ですが、日本の非核三原則を参考にしたんですと、もう一つ加えましたと。それは、核保有国が、我々の非核国だけが集まった中南米、そこに対して核攻撃をしないということを約束する、それを附属議定書で署名をさせるということが新しいことですという、つまり非核四原則にしたという知恵ですね。それとほぼ同じ、つまり核保有国が非核国に対して攻撃しないという、先制攻撃というのは核保有国同士の問題もありますけれども、この場合は核保有国が非核保有国は攻撃しないというそういう考え方、これは一つの知恵だったと思うので、そのことをちょっと意見としてつけ加えておきます。
 既に、今、外務大臣が言われましたが、日本の究極的核廃絶決議、この間、ことしも第一委員会で採択されましたけれども、東京フォーラムの報告書でアメリカとロシアは戦略核兵器の弾頭をそれぞれ千発に削減すべきだというのが東京フォーラムの結論の中に出てきておりますね。これは私は画期的なことだと注目をしていたんですが、もちろん政府と東京フォーラムとは違いますけれども、どうしてこれを日本の決議案の中に入れなかったのか、その理由をこの際、伺いたいと思います。
#103
○国務大臣(河野洋平君) 東京フォーラムは政府と少し違いますけれども、やはりあの東京フォーラムの議論というものを非常に重要視、大事な議論として、少なくとも私は見ておりました。あそこで書き上げられたものは、それなりに核軍縮にとって重要なものであるというふうに思います。
 ただ、しかし、これは私のちょっと個人的な意見で恐縮でございますが、国連において最後に核に関する決議が何本か出まして、日本が出した究極的核廃絶の決議、それから新アジェンダ、さらには例のABMに関する決議、これらが出たわけですが、そのABMに関する決議についても、これはアメリカとロシアとの間でやってもらうべきもので、それをこの国連の場で持ち出すということがいいかどうかという、これはそれなりの議論があったわけです。
 東京フォーラムの中でも、米ロの核を千発にすべしという議論もややそれに近い議論かなという感じを私は正直持ちました。しかし、それは東京フォーラムという一つのフォーラムの中で議論された上ででき上がったものでございますから、そのABM云々という決議とは少し性格が違うというふうに言えばそう言えないこともありません。
 先ほど申し上げたように、なぜ入れなかったかという御質問に答えるとすれば、我々は究極的核廃絶の決議を毎年のように出し、それを少しずつ前進をさせながら、これが否決をされるということは余り好ましいことではないという気持ちも正直あったことは事実で、結局、東京フォーラムの中身についてそれじゃ全然入れなかったかというと、そうではなくてかなり入れた。入れた結果、中国を初めとして幾つかの国は反発をして賛成をしなかったということもあるわけです。
 今度の決議は、賛成国は多うございましたけれども、核保有国のうちの三つの国が賛成をしなかったということが従来とは少し違った採決であったわけでございまして、そのことについて我々はどう考えるかというのは、これから我々の問題だと思っております。
#104
○田英夫君 もう時間がなくなってしまい残念ですけれども、新アジェンダ連合に対する対応でまた棄権をされて、河野外務大臣は大変悩まれたということを聞いておりますが、その辺も伺いたかったんです。
 それから、今言われた、時間がありませんからもう余り触れませんけれども、これからの問題の一つとして核保有国に対する態度、今度は三つの国に反対されてしまって中国は棄権している、こういうことになってくると、せっかく配慮したはずなのに、外務省の基本的態度は、核保有国とは対決姿勢をとらないという、そういう中で究極的に廃絶しようということであったはずなのが、今度そこがちょっと狂いましたねと私は見ているんですが、その辺は次の機会に譲ります。
 ありがとうございました。
#105
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと一言だけ。
 今申し上げましたのは、三カ国は棄権でございます。反対ではなくて棄権でございます。
#106
○山崎力君 私もペリー報告絡みの質問から入らせていただきます。
 これは、そちらにいらっしゃる山本外務政務次官とともにアメリカ、韓国を訪れたときにアメリカの国務省、国防省あるいは共和党の上院議員、そういった方たちとの話の中で感じたことなんですが、あのペリー報告のもとになった不可解な地下施設、これは原子力、原爆開発関係ではないかという疑いで、査察とは向こうは認めていないんですが、見学なのか査察なのかはともかくとして、行ったと。そのことの具体的な中身というものについて非常に公表していない部分がありまして、余り触れてほしくないというのを私は感じたわけでございます。
 このことについては、事前にといいますか、直後に前任者の高村外務大臣にお聞きしたんですけれども、そこのところは言わないでくれというふうに言われているというふうな御答弁をいただいた記憶があるんですが、かえってむしろそうなってくると、何なんだあれは、こういう気持ちになっているんですが、その辺のところを河野外務大臣、どのように引き継いで、かつまたお感じになっているか、その辺からお聞かせ願いたいと思います。
#107
○国務大臣(河野洋平君) 山崎議員の御指摘の地下施設というのは金倉里の施設ということだろうと思いますが、五月にアメリカがこの施設に参りましていろいろ見たわけですが、その結果、この施設は米朝間で合意された枠組みに違反するものではない、こういう結論を報告をされたわけでございます。私もそういう報告を受けたというふうに引き継いでおります。
#108
○山崎力君 結論だけで、これは私が個人的にアメリカ国務省の担当者から同じ質問をして聞いたんですが、その結論を信用しろ、我々を信用しなさい、あれは核関連施設ではないと我々は結論づけたんだからと言うだけなんですよ。大きさがどうでこうで、こういうあれだからこれは具体的には無理なんだというデータ的な裏づけが全くなしなんです。まさに信頼するかしないかだけの問題。
 これは、ある意味においては非常に民主的な、みんなで考えて政府もデータを公表してやるという感覚からすれば、非常に閉鎖的なといいますか、情報公開にある意味では反した部分であろうというふうに私自身は感じたんですが、その点、僕と同じ言葉を聞いているはずの山本外務政務次官の方から、もし何かあればコメントをいただきたいと思います。
#109
○政務次官(山本一太君) 山崎先生と御一緒にアメリカ出張させていただきまして国務省の高官にお目にかかったときに、先生からこの質問が出たこともよく覚えておりますし、相手方の答えも、今、先生がおっしゃったようなことだったというふうに記憶をしております。
 結論からいいますと、河野大臣のおっしゃったことに尽きるというふうに思っておりますけれども、いずれにせよ、アメリカ政府はもう少し詳しい話もちらちらしていたと思うんですが、施設の今の大きさとかあるいは規模、形状などから考えて機材が据えつけられたとか、それに関連した施設としてのなかなか機能を果たせないんではないかということで、これはその意味では合意された枠組みには反していないという答えもそのときにたしか政府高官の方からあったというふうに記憶をしておりまして、そういうことではないかと考えております。
#110
○山崎力君 その辺のところは韓国側からもお聞きして、あの大きさのものでは原爆開発等の原子力施設をつくるにしては規模が小さいということは聞いている、ただし、それでは何のためにああいうのをつくったのかは我々もよくわからない、こういう説明があったわけです。
 そこの結論だけで、形状とか何とかというのは要するに数字が入っていないんですよ。それから形状も入っていない。岩盤がむき出しなのか、コンクリートを巻いているのか、真っすぐなのか、四角い穴なのか丸い穴なのか、曲がっているのか、勾配がどうなっているのか、そういったことが出ていないということは恐らく、私のこれは個人的な感想ですが、要するにそういうことを公表することによって、アメリカ内部のそういった専門家がこれだったらできるぞとか、こういうふうに工夫すればこういうことじゃないかというふうな、余計な詮索を避けるためにデータを隠しているんじゃないかというふうに勘ぐってしまうような説明の仕方だったわけです。
 ですから、むしろアメリカの国務省としては、とにかく北を刺激しないで、振り上げたこぶしの査察といいますか、それをおろしてやるための一種の儀式的なものをしようとしたんだけれども、そうすると疑問が残ってしまうから、国内的にも、だから我々の方にも信用しろというふうに言っているんではないかなというふうな気がして、その数字の公表を避けるという理由が、どうもそこのところの説明が、今まで納得できるような説明が来ていないというところが非常に私は懸念材料として持っているんです。その辺について、大臣いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(河野洋平君) アメリカからは、担当者が、先ほども申し上げましたように、現地を見てきた後、報告があったわけです。
 その報告は、今、議員がおっしゃったように、縦横何メートルで何がどうでというような詳細な報告があったというふうには私は承知しておりません。ただ、自分が見た範囲ではあの場所がそういうことに使われるとか、そういうことができる場所とは全く考えられませんという、そういう報告があったというふうに承知しております。
#112
○山崎力君 その辺は前の高村さん時代と変わらないわけですが、そこで、どうしても僕みたいな感覚で見ると、何でそこまで数字を出さないんだろう、出せば余計その辺がはっきりするのにということに対して、公表を避けているということに対しての疑念というのはどうしても残るんだということを、私自身、これは皆様方からの答弁聞いても消えることがないということは、残念ながら申し上げなくてはならないと思います。その問題は、今後もまた何かが出てくればそういったことになろうかと思います。
 続いて、飛びますが、今度は西ティモールへの自衛隊機派遣検討問題です。これは、食糧輸送のためということで、自衛隊機はそういうのに適している部分があるというのは承知しているんですが、逆の見方で、何で民間機ではだめなんだろう、民間機で食糧を運んだっていいではないかと。何かそういったときに民間機、日航機あるいは全日空機に要請して人員を避難させるということもあり得るわけですが、食糧を運ぶのにも民間機は使えるはずなんだけれども、何でこの際自衛隊機なんだろうということの御説明といいますか、考え方がちょっと伝わっていないような感じがするので、その辺の検討をどういうふうにされたか教えていただきたいと思います。
#113
○国務大臣(河野洋平君) 西ティモールのクパン県及び同県のエルタリ空港の状況を見て、同地において一定期間、迅速かつ安定的に空輸を行うためには、空輸に関する技術あるいは能力、経験などを有する専門組織による対応が必要である、こういうことが期待されているというふうに聞いております。そうした期待にこたえ得るのは何かというのが我々の判断でございます。
#114
○山崎力君 ということは、もし仮に西ティモールの空港施設が国際線の大きな飛行機、ジャンボでも飛んでいるような大きなあるいは設備の整った空港であるならば、自衛隊機でなくていわゆる民間機を使用するということも考えられるということなんでしょうか。
 それとも、やはり情勢その他から見て、こういうふうなことになった場合は、今後自衛隊機を使うという政策をこれからも続けるんだということなんでしょうか。
#115
○国務大臣(河野洋平君) ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、この場合には、先ほど申し上げましたように、UNHCRから我々に対して期待されているものは、空輸に関する技術とか能力とか経験などを有する専門組織をもって対応できるということが非常に強く要求されているわけです。
 仮に、議員がおっしゃるように、民間のチャーター機でいいではないかというならば、これは恐らくUNHCRは日本に対して資金援助を求めて、その資金で自分がチャーター機をチャーターするということだってあり得るわけで、我々はあくまで幾つかの選択肢を考えて一番いい選択をしようと思っておりますが、現時点ではそうお答えする以外ありません。
#116
○山崎力君 ということは、UNHCR側の要請に応じたから、要請の内容が自衛隊機を使うのにという形の要請であったから今回は自衛隊機を派遣することにしたと、そのように理解してよろしいわけでしょうか。
#117
○国務大臣(河野洋平君) あくまでも今回要請をしてきておりますのはUNHCRでございまして、UNHCRは今申し上げたようなことを期待して日本に対して支援を求めてきているということでございますから、その期待に一番ぴったり合ったものを我々が考えるということでございます。
#118
○山崎力君 時間が参りましたので、次の質問にさせていただきます。
 これは、もう前からの懸案でございますけれども、西村発言のときからのいろいろな経緯の中で、以前からも私だけでなくてその辺のところと関係ある人がどうするんだという、国の外交方針の問題なんですが、非核三原則というのがございまして、その中で、核をつくるとか持つとかというのは、これは日本側の、政府等の自発的な気持ちですから、これは政府で何とでもなる話だと思うんですが、持ち込ませないというのがございます。
 その持ち込ませないというのは、相手のあることでございまして、自分たちの考え方を貫こうとすれば、何らかのそこに無理やりといいますか、持ち込もうとする者に対して摩擦を生じざるを得ないと。そのときに、極端な話でいえば、実力をもってその搬入を阻止するということでなければ、これは非核三原則の持ち込ませないということは担保されないと思うんですが、その辺の議論というものが今まで余りなされていなかったような気がするんですが、その辺について、大臣いかがお考えでしょうか。
#119
○国務大臣(河野洋平君) 私は、大事なことは日本が非核三原則をとっておるということを国際的に周知徹底するということがまず大事だと思うんですね。持ち込ませずというのは日本の政策として極めて重要な政策だということを承知の上で来る者がいるかどうかということだと思います。
 私は、今の状況からいって、まず大事なことは国際的に我が国の政策を周知徹底せしむることだ、それが何より大事なことじゃないかというふうに思います。
#120
○山崎力君 最後に一言。
 この問題でいえば、関係者は十分承知していることなんですが、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡等に不必要な公海部分がある、このことの背景にあるのは非核三原則の持ち込ませないことであるということを否定できる論理というのはほとんどないと私は聞いております。その辺のところで、そういった形で、いびつな形で持ち込ませないということをやっている国であるということは、これはやはりある程度時期が来た場合においては考えなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
 まさに、いろいろ説明はされていますけれども、宗谷海峡の真ん中の、日本海側部分の真ん中に公海部分をつくるのはともかく、日本海側の領海のところをあけて公海部分をつくっているということは、これはもうそれ以外の何物でもないというふうに理解せざるを得ないわけで、その辺が周知徹底なのかなというふうな気も私はしているわけでございまして、時間の関係で御答弁は結構でございますが、そういう疑問があるということを御承知おき願いたいと思います。
 終わります。
#121
○佐藤道夫君 先ほど同僚議員の質疑にも出ていたことなんですけれども、海外にいる日本人、一時旅行中とか長期滞在あるいは短期滞在、いろんな形態があるということでしたけれども、その人たちの生命、身体、財産の安全の確保をすることが在外公館に与えられた、ひいては外務省に課せられた最大の仕事だろうと思うのであります。連日パーティーでお忙しいとは思いますけれども、しかしそれをおろそかにしたのでは外務省の、在外公館の存在価値はない、こう言われても仕方がない。
 そういう観点から、二つの問題を私は取り上げさせていただきたいと思います。
 一つは、二年前のペルー国内での早稲田大学学生二名がペルー国軍に殺害されたというあの事件であります。
 実は、これは私、前にもこの委員会で取り上げたんですけれども、そのときの高村外務大臣の御回答が法律的にまことになっていないとしか思えなかったので、再検討してほしいということを私申し上げておりましたが、大臣が再検討する前におかわりになったらしいので、新しい大臣の所感をというか所見を、責任のある御回答をお願いしたい、こう思うわけであります。
 このケースは、御記憶だろうと思いますけれども、二名の早稲田大学の学生がペルー国内を旅行中に、いかだに乗って川下りをしておって、軍隊の駐留地の前を通りかかったら呼びとめられて上陸するように言われて、別に軍隊ですから何の不安も抱かずに上陸をしたらいきなり殺害されてしまった、こういうケースで、まことにもって許しがたい大変な犯罪だと思います。軍人が職務の執行に名をかりてやったことですから、これ軍隊の犯罪即ペルー国の犯罪、ペルー国が殺したんだと言ってもいいわけですよ。
 これ日本の場合で考えてごらんなさい、すぐわかりますから。ペルー国から学生が日本に遊びに来まして、自衛隊駐屯地の前をぶらぶら通りかかったら、中から何人かの自衛官が出てきて、ちょっと来いと言われて入っていったらいきなりそこで殺されちゃったと。大変な問題でありましょう。ペルー国はもう国を挙げての大騒ぎになって、日本に厳重抗議をする。対応はどうするか、こういえば、やっぱり速やかに謝罪をすること、犯人を処罰すること、それから御遺族の方々に謝罪をすること。この際に、犯人の自衛隊員たちは金がない、貧乏人だから仕方がない、我慢してくださいよと、これは絶対言えないわけですよ。日本国としてきちっとした賠償をする、これは当たり前のことです。
 このとき高村外務大臣は、いや、やることはやりましたけれども、あとはもうペルー国に要求しても何もやることがないんです、御遺族の方々が個人の立場でペルー国を訴えるしかないんですと。その際に、多少ペルー国の法制に明るい弁護士の世話ぐらいはしますけれども、それだけでございまして、あとは何もできませんと。なお、参考までに、ペルー国には国家賠償制度がないんだそうですよ。だから訴えてもむだでしょうと言わんばかりのことでした。
 こんなばかげたことは絶対あり得ないわけなんですよ。なぜそんな法解釈が出てくるのか。もう国家法人説のころから裁判の当事者は国家であることは当然なんでして、それから使用者責任というのが昔からこれまた言われておりまして、使用者が、使っている者の不法行為につきましては、選任、監督の責任があれば賠償の責めに任ずると。国家賠償制度が法制化されているか、されていないかなんてことは関係ないのでありまして、国際法の、あるいは国内法の常識として、そういう場合、国家は賠償の責めに任ずる、これだけのことなんですが、なぜか日本国はペルー国に対し何の要求もしようとしない、国として。これはもう遺族個人の問題ですから勝手にやりなさいとほうり投げている。こんなことが許されるのだろうかと思うわけですよ。不思議で仕方がない。なぜこんな解釈が出てきて、何もやろうとしないのか。
 口の悪い人は、あそこのフジモリ大統領は日系人であるから、こんなことで日系大統領の評判を落としたらえらいことだから、これは知らぬふりをしているんだと言う人もいますし、事件が起きたときは橋本内閣だったんですね。橋本さんは慶応大学ですから、彼はあのとき、これはもう重大な不注意だということを言ったわけですよ。しかし、早稲田大学出身の総理大臣が誕生しましても全然解決はしない。今や自民党は早稲田の時代と言ってもいいので、そこにおられる外務大臣も早稲田大学なので、どうして後輩がこういう目に遭ったときに、皆さん方が集まってこれは何とかしようと、先輩としての責任だということでそれぞれの立場を使ってペルー国政府と交渉をする、外務省をして交渉させるということで、これ物事を一歩でも解決しようという気にならないのか不思議で仕方がない。
 やっぱりフジモリ大統領に傷はつけたくないという変な思惑があるんでしょうか。こんなことはしかし関係ないわけですからね。フジモリ大統領をサポートすることと、大変不幸な目に遭った御遺族の方々にペルー国政府にかけ合ってきちっとした賠償をさせることと関係ないことであります。
 私、これも高村外務大臣に言ったんですけれども、ペルー国に対するODAが年間八十億だというんですよ。それなら一億円ぐらい差し引いて、そしてそれを遺族に差し上げなさい。ペルー国だって納得すると思うんですよ。うちは金がないから払えないと、こう言っているんでしょう、多分、内々に交渉すれば。それならODAから差し引いてそれを回すと。十分考えられる対応でありましょう。
 いずれにしましても、殺害された学生の遺族の方々がまことにもって気の毒千万としか言いようがない。もうかわいそうなことだけれども仕方がない、あきらめなさいと、これでおしまいになさる気なのかどうか、政府のしっかりした回答を承りたいと思います。
#122
○国務大臣(河野洋平君) 私の前任の外務大臣は法学部で法律の専門家でございました。その法律の専門家に議員が質問をされて、どうも答弁納得がいかぬといって政治学部の人間に法的な問題をお問いかけになりましても、それ以上のいい答えが私の知恵にはないのでございますが、しかし私は、きょうもう一度、佐藤議員はこの問題について一度ならず二度、この委員会で御提起になっておられます。私は、ひとつこの委員会の委員の皆さんにも、この問題、やっぱり真剣に聞いていただいて、どうするかということをひとつ御相談をいただきたいと思うんです。
 それは、今の外務省の、少なくとも外務省に与えられている権限、権能の範囲では、恐らく高村大臣が御答弁を申し上げた以上のことはないんだと私は思うんです。
 ただ、今も佐藤議員がおっしゃったように、確かにこの問題は、ペルーの軍人によって日本の学生が殺害をされたという事件でございます。確かに政府は、自後、ペルーに対していろいろと物は言いました。そして、ペルー政府は恐らく相当この問題を重大視して、相当迅速に対応をされたというふうに聞いております。
 そしてさらに、フジモリ大統領から橋本総理あての親書で、被害者に対する哀悼の意を表明される。ペルーの司法当局は、昨年九月、犯人の元軍人に対して厳罰の判決を下して、既に刑は確定しておる。この刑は、最高で禁固二十五年。ペルーには何か死刑がないそうで、終身刑の次に重い刑が二十五年だというふうに私、説明を受けておりますが、こういう司法は判断を下したと。
 一方、損害賠償の問題について言うと、民事賠償としては、元軍人七名に対して、御遺族へ二万ソルといいますから邦貨で九十万円の連帯支払いを命じた、こういうことになっているわけです。
 確かに今、議員がお話しのように、日本の学生がペルーへ行って軍人に殺害されて、九十万円の賠償で終わりということでいいかどうか。確かにそれはペルーと日本の経済力にも差がありますし、ペルーにはペルーの法律があって、その法律に基づいて向こうは判断をしておられるわけですから、法律どおりに向こうは処理をされたというふうに思うんですね。その法律どおりに処理を向こうはされた。
 我が方は、我が方としてやれる範囲はどこまでかというところが一番今問題になっているわけでございまして、高村大臣からも御答弁申し上げたように、御遺族からの損害賠償の請求が行われれば外務省としても側面的協力を行いますということは申し上げているわけですが、さて、それでいいのかどうかということについては、我々に与えられている権能からいえば、それが現在でき得る限度だと。これは幾ら役所に確認してもそういうふうにしかなりません。
 ということになれば、それ以上の知恵を皆さんの御議論の中で出せるかどうか、ひとつ十分お知恵を拝借したいと、むしろ私はお願いをしたいと思います。
#123
○佐藤道夫君 何回聞いてもそういう答弁に終始するんですけれども、少なくともそれぞれの最愛の御子息が殺害された、この遺族の憤激いかほどなものなのか、もう察するに余りあるわけであります。しかし、相手は貧乏国で金もないから仕方がない、もうこれで我慢しなさいよと、そういう役人答弁で一体親御さんたちが納得するんだろうかどうだろうかと基本的に思うわけですよ。
 しかも、外務省がどれだけの努力をしたか。どうも、聞いている限りにおいては、余り努力もしていない。とにかくペルーは貧乏国で、幾ら言ってみたって金も出ないんだから仕方がないんですよということで終わっているような気がしているんですよ。
 先ほど言ったように、年間八十億、ペルー国に供与しているんです。それだけの金が向こうに行っているんですよ。そのお金を受け取っておりながら、遺憾ながら金がないから払えない、九十万円しか出せない、こんな理屈が通るんだろうか。常識の話と言ってもいい。
 そこで、国会で議論されたらいかがかという御提案でもありますので、参考までに、両外務政務次官のこの問題に対する、国会議員として、また政務次官としての御見解を承っておきたいと思います。いかがでしょうか。
#124
○政務次官(東祥三君) 率直に申し上げます。
 今、河野外務大臣が言われたところに尽きるんだろうというふうに今の段階では思います。
 ただ、これは今、委員のお話を聞いて、私はこのとき余り深く理解していなかったんです、この事件が起きたときに。今、るる委員がお話をしてくださいまして、極めて説得力ありますし、それに対して本当に政府として、それ以上のことができないのか、またどういうことをやってきたのかということを踏まえた上でしか発言することができませんので、次回までこの点についての私自身のコメントは差し控えさせていただきたい、またその猶予をいただきたいと思います。
#125
○政務次官(山本一太君) 大臣と、それから総括政務次官がおっしゃったことに尽きると思いますので、今つけ加えることはございません。
#126
○佐藤道夫君 依田防衛政務次官にお伺いいたします。
 依田次官は当委員会の委員でもあられまして、この前、私の議論も聞いておられまして、この問題につきましてそれなりの検討をしておられると思いますので、率直な、役人答弁を離れて日本人としてのお考えを述べていただければ大変ありがたい、こう思います。
#127
○政務次官(依田智治君) 今、日本国内でも犯罪の被害者をどう救済するかというのが大きな問題になっていまして、我々も、政務次官でもひとつこれを研究しようということになっているんですが、国際的にこれからグローバルな社会の中で被害者というものが相当出ている。これはそれぞれの国のあれによっても違いますし、やはりこういう問題については、国としてしっかりと研究しておく必要があるんじゃないかという問題意識を持っております。
#128
○佐藤道夫君 どうもそちらサイドに移られますと、言うことに率直さを失うような気がしておりますけれども、いずれにしろ前向きに検討してください。大変私は被害者の立場ということを同情申し上げておるわけで、こういう問題を提起しておるわけであります。
 それからもう一つ、キルギスの問題を聞こうと思いましたけれども、遺憾ながら時間と、こういうことなので、これは次回に譲らせていただきたいと思います。
 以上です。
#129
○委員長(矢野哲朗君) 他に御発言もないようですから、両件の質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、千九百九十九年の食糧援助規約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#130
○委員長(矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#131
○委員長(矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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