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1999/11/25 第146回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第146回国会 厚生委員会公聴会 第1号
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1999/11/25 第146回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第146回国会 厚生委員会公聴会 第1号

#1
第146回国会 厚生委員会公聴会 第1号
平成十一年十一月二十五日(木曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 江口 一雄君
   理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君
   理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君
   理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君
   理事 福島  豊君 理事 岡島 正之君
      伊吹 文明君    石崎  岳君
      遠藤 利明君    大村 秀章君
      鴨下 一郎君    桜田 義孝君
      鈴木 俊一君    砂田 圭佑君
      田中 和徳君    田村 憲久君
      戸井田 徹君    根本  匠君
      堀之内久男君    松本  純君
      宮島 大典君    家西  悟君
      石毛えい子君    五島 正規君
      土肥 隆一君    中桐 伸五君
      古川 元久君    青山 二三君
      久保 哲司君    吉田 幸弘君
      鰐淵 俊之君    児玉 健次君
      瀬古由起子君    中川 智子君
      笹木 竜三君
    …………………………………
   公述人
   (淑徳大学社会学部教授)
   (日本福祉大学客員教授) 坂巻  煕君
   公述人
   (武蔵大学社会学部助教授
   )            国広 陽子君
   公述人
   (上智大学文学部教授)  山崎 泰彦君
   公述人
   (日本労働組合総連合会事
   務局長)         笹森  清君
   公述人
   (慶應義塾大学総合政策学
   部教授)         竹中 平蔵君
   公述人
   (DPI(障害者インター
   ナショナル)日本会議障害
   者権利擁護センター所長) 金  政玉君
   公述人
   (日本経営者団体連盟専務
   理事)          福岡 道生君
   公述人
   (全国労働組合総連合副議
   長)           鈴木  彰君
   厚生委員会専門員     杉谷 正秀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十五日
 辞任         補欠選任
  桧田  仁君     桜田 義孝君
同日
 辞任         補欠選任
  桜田 義孝君     桧田  仁君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一一八号)
 年金資金運用基金法案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一一九号)
 年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二〇号)

    午前十時二分開議
     ――――◇―――――
#2
○江口委員長 これより会議を開きます。(発言する者、離席する者多し)着席をお願いいたします。着席をお願いします。着席をお願いいたします。――これから公聴会を開会いたします。
 第百四十五回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに第百四十五回国会、内閣提出……(発言する者、離席する者多し)着席をお願いいたします。――着席をお願いいたします。――着席をお願いいたします。
 第百四十五回国会、内閣提出、国民年金法案等の一部を改正する法律案、年金資金運用法案及び……(発言する者、離席する者多し)着席をお願いいたします。着席をお願いします。着席をお願いします。
 既に公述人の皆さん方も着席しておりますので、会議を進めたいと思います。どうぞ着席をお願いいたします。――着席をお願いいたします。着席をお願いいたします。(発言する者、離席する者多し)既に会議が始まっております。よろしくひとつ着席をお願いします。――再度申し上げます。ただいまより委員会を開会いたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、第百四十五回国会、内閣提出、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案について公聴会を行います。(発言する者、離席する者多し)
 この際、御出席の公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案に対する御意見を拝聴し、各案審査の参考にいたしたいと存じますので、忌憚のない御意見をお述べいただきます。お願いを申し上げます。
 御意見は、坂巻公述人、国広公述人、山崎公述人、笹森公述人の順にお一人十分程度でお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。
 念のため申し上げますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、公述人は委員に対し質疑を行うことはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をお願いしたいと存じます。
 それでは、まず坂巻公述人にお願いをいたします。(発言する者、離席する者多し)――どうぞ着席を。着席をお願いいたします。着席をお願いいたします。――それでは、坂巻公述人、お願いいたします。恐縮でございます。
#3
○坂巻公述人 年金という日本国民すべてに重大な影響のある問題を議論する場であります。国会議員の先生方の中に、さまざまな意見の対立があることは重々承知しております。しかしながら、あした採決かどうかということに関しては、私どもが関知するところではございません。私は、ここで私の考えを申し述べ、そしてそれを皆様方に、法案をどうするかということで、十分な議論をしていただきたいというふうに思っております。
 若い学生たちとつき合っておりますと、常に出てくるのが、私たちが年をとったときに年金はもらえないのでしょうという疑問であります。そしてまた、さまざまなマスメディアが年金危機説を書いております。夫婦二人でこれだけ損をするとか、四十五歳以下は確実に損だ、こういう論調がさまざま出てきております。しかし、まず私は基本的に年金を損得で考えるということは誤っているというふうに考えております。幾ら出して幾らもらう、損だ得だということで年金を考えることは大いなる誤りであります。
 御説明するまでもなく、年金というのは世代間の扶養でありまして、かつては親に子供は仕送りをした。今仕送りをしている子供たちがどのぐらいいるか、恐らくほとんどいないと思います。先生方の中でも親御さんにきちんと月々仕送りをしている方がどのぐらいいらっしゃるか、学生でしたら、手を挙げてください、こう言うんですけれども、きょうはちょっとそれが言えません。しかしながら、なぜそれが可能かといえば、公的年金制度ができてかなり成熟度が進んできた、それなりに年金というものが高齢者の生活を支える基盤になっているということだと思います。
 しかしながら、今までの制度をそのままで将来も維持できるかといえば、少子・高齢化が急激に進んでいることも説明するまでもございません。かつては数少なかった百歳老人がもう一万一千人を超えております。きんさん、ぎんさんも百歳以上の高齢者を並べますと、ベスト三十にも入らない、そういう時代になっているわけであります。そうなれば、当然、若い世代に負担がかかるのは当たり前のことでありましょう。世代間の扶養といいましても、若い世代に非常に重たい負担がかかっているのであります。かつて「親孝行したくないのに親はいる」という川柳がございましたけれども、まさにそういう状況になっているわけであります。
 日本経済新聞の調査によりますと、年金制度の将来に九七%の国民が不安を抱いている、あるいは保険料というものの負担が重いと考えている国民が七八%もいるという数字が出ております。となれば、この負担感と将来への不安感を何とか変えていかなければならない、それが今緊急の課題でありましょう。
 確かに、年金というのは高齢者の生活の支えであります。年金があることによって安心して年がとれる、これはすばらしいことだと思います。であるから、一層、この制度をつぶすわけにはいかない、年金を破綻させるわけにはまいりません。
 高齢者だけではございません。ある老人雑誌を見ておりましたらば、おばあちゃんが川柳を書いておりました。「年金がたまったかいと孫が聞き」という川柳でございました。まさに孫の世代まで年金というものを頭の中に入れている時代であります。
 とするならば、この年金を将来も安定的な、あるいは将来も頼りがいのある制度にするということは、まさに政治の緊急な課題でありましょう。そして、その一端が私は今回の改正だろうと思います。もちろん、今回の改正が私はベストとは思っておりません。しかし、問題が大事だから次の世代に先送りをしていく、問題を先送りしていく時代ではないだろうというふうに思っております。
 今回の改正の基本点の一つは、高齢者の年金の受給額を減らしていく。どんどん減らすわけではございません。五%の、段階的に減らす、ある程度年金を我慢してもらう。そして、若い世代の保険料を抑える、過重な負担を少し和らげる、これが基本でございます。これも将来高齢化がどんどん進み、子供の数がますます減っていったならば、恐らくこれでは済まないかもしれません。
 しかしながら、これからの年金受給世代は、年金の額を我慢していただくということはやむを得ない選択だろうと思います。現在年金を受けている方の金額をカットするわけではないのであります。これから年金を受給する世代というのは豊かな社会に育った世代でございます。戦争も知らない、高度経済成長の恩恵もフルに受け、高学歴になり、豊かな生活を楽しんだ世代が、将来年金しか頼るものがないというような生き方をしていただきたくない。年金もさることながら、自分で自助努力もする、この二つが相まって豊かな老後が送れるというふうに考え方を変えていただきたい。
 そして、そのツケを未来の子供や孫に回すのではなく、もちろん、ある程度の負担は賦課方式をとっている以上は仕方がないことかもしれませんけれども、若い世代に過重な負担をかけるということを潔しとしない、私はそういう生き方をすべきだろうというふうに思います。
 支給開始年齢も六十五歳という形でレールが敷かれました。これもまた、私は当然のことだろうと思います。昭和十七年に厚生年金ができたときには五十五歳の支給でありました。しかしながら、昭和二十二年の平均寿命は男で五十、女の方で五十三・九歳であります。そのときに五十五歳からの支給であります。そして、厚生年金の支給が六十歳になった昭和二十九年、このときの平均寿命は、昭和三十年でありますが、男で六十三・六、女で六十七・七五でございます。こういうときに、六十歳の支給が決まったわけであります。現在は、御存じのとおり、男子で七十七歳を超えております。女子で八十四歳を超えている。そのときに、六十歳の支給というのが果たしてリーズナブルな数字であるか、私は、六十歳から六十五歳というのは、平均寿命の延びを考えれば当然のことだろうと思います。
 しかしながら、その前に大前提がございます。ただ年齢を延ばすのではなく、六十を過ぎても働きたい人は働けるような社会環境、あるいは年齢に関係なく働きたい人は働ける、そういう社会環境をつくるということが大前提でありましょう。ただ年金を延ばすのではなく、六十を過ぎても七十を過ぎても、働きたい人が働けるような環境をいかに整えるか、これも政治の課題だろうと思います。
 問題は、さまざまな難しいことを先送りすることでありましょう。保険料を凍結したという法案が通りました。確かに、高齢者から保険料をこの不況のときに取るというのは過酷な要求かもしれません。しかしながら、そのことによって年間三兆円の保険料が入ってまいりません。これはだれが負担するかといえば、次の世代が負担せざるを得ない。延ばせばそれがまた後に大きな額となってはね返ってくるわけでございます。
 国庫負担にしても、やはりいち早く二分の一にしていただきたい。三分の一から二分の一にする、これは前の改正のときにも約束をしていることでございます。不況のときといいながらも、それを二分の一にするということを一刻も早くやっていただきたい。この保険料の凍結と国庫負担の増額ということを、かなり先のことと言わずに即やっていただきたいと私は思っております。
 もう一つの考え方は税方式でございます。空洞化対策と言われておりまして、国民年金を税金で賄えばそういった問題は一気に解決をするということで、税方式の考え方が各所から言われております。政府・与党の間でもその辺はまだ議論の一致がしてないようでありますけれども、私は、基本的には税方式というのは反対をしております。
 年金というのは、自立自助と相互扶助のシステムであります。二十一世紀、三人に一人が高齢者になったときにどういう高齢者像を私たちは描くのか。依存してだれかの世話になって生きる高齢者を求めるのか、できるだけ自分の力で生きようという高齢者をふやすのか、この二つの選択肢だろうと私は思います。
 税方式にすれば、仮に六十五歳になれば黙っていても国から一定のお金がいただける。こういうシステムが果たして自立した高齢者にふさわしいかどうか、私はふさわしくないと思っております。やはり自分自身で保険料を掛け、それを自分の老後に充てていく、そして、国も半分は税金でそれをサポートしていく。自立と自助と公助という三つがあって初めて豊かな老後が送れるのだろうと私は思っております。
 その意味では、二分の一の国庫負担は早急にやっていただきたいと同時に、活力ある長寿社会をつくるためには、これからの高齢者は自立の精神と相互扶助の心を持った高齢者になっていただかなければなりません。それが社会保険というシステムを導入する一つの理由だろうというふうに私は考えております。
 さらにまた、世代間の公平ということがしきりに言われます。今の高齢者はいい思いをする、掛けた保険料よりは何倍もの年金をもらっている、そういう議論が言われます。これは厚生省の出した資料にも私は問題があるだろうと思います。一九二四年生まれという年齢で区切りまして、幾ら保険料を払った、その人が平均寿命まで生きれば幾らもらえるという数字を出しております。確かに一九二四年生まれはこの計算でいけば八倍の年金をいただける、これから生まれる子供たちは出した保険料にとても及ばない年金しかもらえない、こういう数字がひとり歩きをしております。
 しかし、世代間の平等というのは、幾ら払って幾らもらうということだけではかれるのだろうかというふうに私は思います。今の七十、八十の方たちが若いときどういう苦労をされたのか、そういうことを数字で出せません。しかしながら、そういう方たちの働きがあって今日の繁栄する日本があるのであります。そして、その方たちの若いとき、今の若者と今の七十、八十のお年寄りの若いときとを比べれば、果たしてどっちが幸せだったか。もちろん、マイカーとかさまざまなもの、そういうものを比べても、今のお年寄りとこれからの年をとる若者世代を比べれば、若者世代の方がはるかに恵まれた若い時代を送っていることは、言うまでもないことであります。そういうことを勘案せずに、幾ら出して幾らもらう、だから不平等だ、高齢者ばかりがいい思いをするのはけしからぬ、こういう議論は、私はいささか問題があるのではないかというふうに思っております。
 時間が来てしまいました。十分というのは大変短い時間でございます。公的年金、国民みんなが自分の問題として受けとめる年金でございます。これをただ単なる損得で、あるいは自分さえよければという考えで議論をしたのでは、日本の未来は私はないだろうと思います。その意味では、痛みを分かち合うのは、高齢者も分かち合う、若い世代も分かち合う、そして、税金という形で国も痛みを担う、こういう三つがあって初めて公的年金制度というものは充実をするのでありましょう。
 その意味で、年金への不信感というのは、とりもなおさず日本の政治に対する不信感であります。政治が信頼できないから年金が心配なんだ、こういうことになってくるだろうと思います。残念ながら、一番大事な財源問題について、税でするか、保険料で見るかということについては、まだ政府・与党の間でも意見の一致を見ておりません。こういう大事な問題を抜きにして議論を進めていくことに、一抹の危惧を感じる次第であります。
 年金という問題を、そういうことはないと思いますけれども、党のためとか選挙のため、自分の当選のためとか、そういう段階で議論をしていただきたくない。むしろ超党派で国民のための議論をしていただくことをお願いして、私の最初の発言を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、国広公述人にお願いをいたします。
#5
○国広公述人 きょう私がここに参りましたのは、午前中の授業があるわけですけれども、それにかえてここを傍聴するようにと学生に申して、そして来ました。それは、年金の不安とか年金への不信というものが若者の政治不信に直結しているというふうに感じているからです。
 そこで学生たちが見たのは何だったか。皆さんはそのことを一番感じていらっしゃると思います。こういう形で、年金の問題の内容が議論される前に、審議がきちんとされないで、どなり合いという形で進んでいることを私の学生は見てしまいました。
 私は、国会というのは、自分のことではなく次の世代を考えて、そして人々のためを考えて議員になった人々がきちんとした資料に基づいて論議する場だというふうに、そうあるべきだというふうに学生に教えてまいりました。それを見せたくてここに連れてきたわけです。非常に残念です。
 年金不信というのは、老後の生活保障がなくなるのではないか、あるいは自分の納めた保険料が返ってこないのではないか、そういう不安もありますが、もう一つは、年金のあり方というものがきちんと国民の目に見える形で論議されていないのではないか、どこか自分たちにはわからないところで決まっているのではないかという不安が大きいと思います。ですから、きちんと人々がわかる言葉で、特に若い人たちがわかる情報をもって論議していただきたい。それから、そのプロセスも人々が納得できる形でやっていただきたいというふうに強く思います。
 私は、審議会委員として年金審議会に参加し、この間論議をしてきました。その際にも、年金制度についてきちんとしたビジョンを示し、具体的な根拠を持って、それがいかに厳しい現実であっても将来像を示すということが誠実な態度であるというふうに考えて、そうした論議を求めてきました。それが十分に行われているとは言いがたい現状があります。
 さらに、景気が思わしくないということで保険料を凍結する、それが、当面はいいかもしれませんが、後で保険料の負担増となってはね返ることを国民は皆知っています。
 それから、二分の一国庫負担といいながら、いつから、どんな財源をそれに充てるかということがきっちりわかる言葉で明らかにされていない。これは私は、与党についても野党についても同じだと思うのですけれども、それを一番私たちは知りたいのですね。いつ、どういう形で、どういう負担が具体化するのかということです。二分の一税負担あるいは全額税負担ということを求めながら、増税について論議をしない、そういう野党のあり方にも非常に大きな疑問を感じます。これらすべてのことが、年金の不安や年金の不信ということにつながっていくということを、まず申し上げておきたいと思います。
 現役世代が四に対して年金世代が一であることが、いずれ二人が一人を支えるようになるということについては、もう多くの人が自覚していると思います。そういう予測を厚生省は発表しました。単純に言えば、今のままでいけば、年金の保険料を倍にするか、あるいは受給を半分にするかという両極があって、それは現実的ではない、それでは政治は何をしているかわからないということで、その両方の妥協策を考えたのが今回の改正案だと思います。それがなるべく多くの人に納得できる形でやっていこうというのが改正案だと思うわけです。
 ですけれども、その妥協案がだれにも痛みを与えないような形でやることは無理です。先ほどの坂巻公述人がおっしゃったように、両方が痛み分けをする形でこれからを乗り切っていかなければならないわけです。
 そして、出生率についても景気についても、そう簡単には上向きにはならないことは、私たちはよく知っています。ですから、いつか景気が回復したら保険料の凍結をやめて、同時に基礎年金の国庫負担を二分の一までふやすというのがいつかということについて、覚悟しなければいけないわけですね。
 その覚悟をどういうふうにいつすればいいのかというのがわからない状態のままその約束をされても、不安なままだということだと思います。もっとひどいことになるのを予測しながら、今さえ切り抜ければいいというようなやり方、それは一層不安を招くだけです。厳しい現実というのをはっきりと知った上で、それに備える努力をするというのが庶民がやってきたやり方です。そのことをよく理解していただきたいと思います。おいしそうなニンジンとか、いつかは大きいパイがあるよというような言い方では不安は解消されません。
 人口の半分は女性です。年金の受給者というのも、実際には女性の方が多いわけです、長生きしますから。したがって、女性の年金不安というのが深刻になっているということが、国民全体の年金不安にも通じるんだということも理解していただきたいと思います。
 女性は何を不安に思っているか。まず、子供を産みにくい、育てにくい社会というのを実感しています。これは特に若い人ですね。それから、自分が働き続け、自分の老後を豊かにするだけの賃金や年金を持つことが非常に難しいことを知っている。これは働いている女性たちが一番よく実感していると思います。それから、これまでのように、年功序列や終身雇用の夫を支える側に回っている、そういう主婦であるということではこれから安心していられないということを、結婚して今仕事を持っていない女性たちは非常によく実感しています。それから、年金制度というのがこれまで、男性、特にサラリーマンの男性、妻が専業主婦という男性をモデルにして、女の一生のことは重視しない制度であったということも薄々と感じております。こういうことが年金制度の論議の中できちんと言われたかどうかというのが問題です。女性と年金という問題です。
 ことしの六月に、男女共同参画社会基本法というのが成立しまして、二十一世紀の社会は男女共同参画でやっていくんだ、そういうことを重視するんだというふうに決めました。では、老後は男女共同参画社会というのにふさわしいものになっているかどうかということを、ちょっと資料を持ってきましたので、見ていただきたいと思います。
 資料の二番目というところを見ていただけばいいかと思いますが、厚生年金の老齢年金の平均金額というのが、厚生省で発表されているものを持ってきました、平均すると十七万円ですが、男性は二十万円、女性は十万円と半分です。これは、どうしてこうなるかというと、年金裁定の基準になる標準報酬月額というものの平均が、男性が多くて女性が非常に少ないということです。
 ですから、その結果どういうことになっているかというと、この資料の2の(4)を見ていただきたいと思うのですが、厚生年金の老齢年金月額の階級別分布というのを見ていただくとわかりますが、女性は年金が五万から十万というところに半分以上がいっているわけです。この現実というのがあれば、女の人たちは、働いていても、えっ、年金はこれしかないのということでして、当然不安になるわけです。これをいじらないのか、このことは問題ではないのかと思うのですけれども、その辺がきちんと言われていないと思います。
 それから、重要な問題として、第三号被保険者の問題というのが、前回からずっと言われてきていることなんですけれども、いわゆる夫に扶養される女性ですね、これが年金保険料を納めないということですけれども、これについては、一体、三号というのはどういう人たちなんだろうかということで、グラフにしてみたものがあります。それが、二ページ目の4の資料を見ていただきたいと思います。
 二十から二十四歳の女性では、三号という人はほとんどいません。二号あるいは一号で、自分で働いて自分の保険料を納めている人がほとんどです。それが、三十から三十四歳になると、二号の被保険者はがくんと減ります。保険料を納めない人になるわけですね。そして、その状態はずっと続いています。それで、五十歳以上になると、三号が減りながら一号がふえます。これは何かといいますと、夫が定年になったりして、夫が二号でなくなるから、妻は一号になるわけです。つまり、収入がなくなった夫と暮らしていても、保険料は一号になれば納めるという形になっているわけです。
 このように、働く能力があり、働く力があり、働く意欲がある女性たちが三号という形で保険料を自分で負担しないという形になっているのが今の日本社会のあり方で、これは二十一世紀の男女共同参画社会ということと合っているのか、違っているのか、そのことと年金制度は関連がないのか、あるのか。私はもちろんあると考えています。
 現在の論議では、三号被保険者というのが、二号の女性や共働きの人あるいはシングルの男性が三号分を負担しているわけですから、それが不公平だというような論議がありまして、そして、それを税にすれば解消できるというふうな論議も一方でありますけれども、根本的には、それが問題だというよりも、むしろ女性が年金保険料を負担できないような状況になってしまう社会のあり方全部が、二十一世紀には向いていないということだと思います。
 皆さん、想像していただきたいのですが、例えば女の人がたくさん子供を産むようになったとします。半分は女性が生まれるわけです。その半分の女性がみんな三号被保険者になったら、保険料を負担する人はふえないわけです。そういう社会は二十一世紀の日本社会にとって望ましいでしょうか。望ましくないのですね。
 そういう視点から、三号問題、いや、女性の年金の問題というのはもっと重要な問題として論議されるべきでした。でも、残念ながら、今回先送りされました。そのことについて述べて、私の公述を終わりたいと思います。(拍手)
#6
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、山崎公述人にお願いをいたします。
#7
○山崎公述人 本日は、年金改正法案につきまして所見を申し述べる機会を与えていただきまして、心からお礼申し上げます。
 私は、本法案につきまして、条件つきで賛成という立場であります。
 賛成する理由の一つは、立案過程におきまして、審議会の議事録の公表、年金白書の刊行、有識者や学生を対象にした調査の実施など、従来にも増して情報の公開を進め、合意形成に努められたという努力を評価するからであります。
 もう一つは、改正の基本的な方向につきまして、世論だけでなくて、専門家の間でも実は意見が大きく割れていたということであります。例えば、基礎年金の税方式論、厚生年金の積み立て方式論や民営化論など、年金制度の枠組みそのもののドラスチックな改革を求める主張が台頭しました。また、女性の年金のあり方につきましても、見直しを求める主張が高まっています。しかし、そのような主張も、国民的な合意を形成するには至っていないということもまた客観的事実であります。このような現状からしますと、現行制度の基本的枠組みを前提として改革を模索する以外にないという制約であります。そのような制約のもとで、本法案は現実的な選択肢として提案されたものと理解しています。
 しかしながら、最終的には国会でお決めになることであります。本国会において審議を尽くされ、以下で申し述べます諸課題につきまして、将来への展望を切り開く道筋をつける努力を最後までしていただきたいと願っております。それが条件つきの賛成の条件という意味であります。
 さて、本法案は、制度の仕組みに関する五つの改善措置と四つの給付抑制措置から成っております。
 改善措置のうち、総報酬制の導入、国民年金保険料の半額免除制度の導入、学生に係る国民年金の保険料納付の特例、育児休業期間中の事業主負担分の免除は、いずれもこれまでの懸案の課題にこたえるものとして高く評価できるものであります。ただ、いま一歩踏み込んでいただきたい点があります。それは、育児休業と並んで介護休業につきましても、社会的支援の強化という観点から、被保険者並びに事業主の保険料負担を免除していただきたいということであります。
 また、給付の抑制措置につきましては、世代間の給付と負担の公平を図る上で、給付の一定のスリム化は避けがたいものと考えておりますが、さらに次の二点について審議を深めてくださいますようお願い申し上げます。
 第一点は、支給開始年齢の引き上げに並行して、積極的な高齢者雇用対策を推進していただきたいということであります。その際、高齢者を雇用する企業の事業主負担を軽減するなど、年金制度の側でも企業努力を評価する仕組みを導入していただきたいということであります。
 第二点は、基礎年金の水準にかかわるものでございますが、基礎年金につきましては、六十五歳以降も従来どおり生活水準の上昇に合わせて年金額を改定していただきたいということであります。
 本法案では、六十五歳以降の年金額の改定は物価スライドのみでありますから、将来的には基礎年金のみでは老後の基礎的生活費を賄うことも困難な状況になるのではないかと懸念しております。しかも、今後は、介護保険のみならず高齢者医療につきましても、保険料並びに利用者負担の双方において、高齢者にも応分の負担をしていただこうという方向で改正が模索されているように思います。私はそれが望ましい方向だと考えておりますが、その前提になるのは、生涯を通して一定の安定した年金水準を確保することであります。ただし、厚生年金の報酬比例部分については、本法案のとおり物価スライドにとどめることもやむを得ないと考えております。
 結局、基礎年金までも給付抑制措置の対象にせざるを得なかったのは、自営業者等の第一号被保険者の保険料負担増を緩和するためという財政的な理由によるものと考えざるを得ません。しかし、物価スライドに一本化し、国庫負担の割合の二分の一への引き上げを図ったとしても、ピーク時の保険料は月額一万八千二百円、つまり、現在より約五千円ふえるのであります。
 私は、我が国の社会保障は将来ともに社会保険方式を基本として発展を図るべきだと考えていますが、その場合の最大のネックになるのが自営業者等の保険料徴収であります。特に、国民年金の保険料納付は、形式的には強制ですが、実質的には任意というのが実態であります。低所得者に対しては免除制度があります。問題は、負担能力がありながら保険料を納付しない人が数多く存在し、しかもそれが放置されていて、まじめに納めている人々の間で年金制度に対する不信感を生んでいるということであります。国民年金の適用と保険料徴収につきましては、地方分権一括法により機関委任事務が廃止され、国、つまり社会保険庁の直接執行事務に切りかえられますが、これを機会に保険料徴収について有効な対策を考えていただきたいのであります。
 また、国民年金については定額保険料という逆進性が問題点として指摘されていますが、本法案では、一定の所得以下の人につきまして保険料の半額免除制度を創設することとしています。これにより、自営業者等の保険料負担は、所得に応じて、全額免除、半額免除、そして全額納付の三段階になります。この考え方を発展させて、将来的には、多段階の所得段階別免除方式、つまり、実質的な所得比例の保険料方式に移行させることを検討すべき時期に来ているように思います。介護保険の第一号被保険者の五段階の所得段階別保険料や、国民健康保険の所得割保険料の仕組みが参考になるように思います。
 最後に申し述べたいことは、今後の年金政策におきまして特に重要なことは、支え手をふやすという観点だと思っております。そのためには、高齢者や女性の就業を促進し、さらに、少子化対策を強化することが長期的には極めて重要でありまして、年金制度としてもこれに積極的にかかわるべきだと考えております。
 高齢者雇用につきましては、先ほど述べたとおりであります。
 女性の就業につきましては、税の配偶者控除、年金の第三号被保険者制度、さらに健康保険の被扶養者制度の見直しを進め、租税並びに社会保険制度の仕組みを就業に対して中立化すべきであります。厚生省としても早急に検討の場を設けるということでありますから、大いに期待しております。
 少子化対策につきましては、高齢者扶養の基礎的な部分を社会化した現代社会にあっては、次の社会を支える子供は社会の子として、高齢世代への資源配分とバランスのとれた支援措置、つまり、育児の社会化を進める必要があります。
 社会化の手法といたしましては、順送りの世代間扶養の仕組みを採用し、全国民共通の制度となっている基礎年金制度の中に、児童手当や保育手当などの育児支援事業を組み込むのが最も適切ではないかというふうに考えております。そして、財源としては、被保険者の保険料のほかに、介護保険と同様に国庫負担などの公費を重点的に投入していただきたいと願っています。これによって、若い世代の年金意識が高まり、年金制度に対する信頼を高める効果も大いに期待できるように思います。
 以上で私の意見陳述を終えます。(拍手)
#8
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、笹森公述人にお願いをいたします。
#9
○笹森公述人 連合事務局長の笹森です。冒頭の、この委員会の幕あけの模様を見ておりまして、まことに残念であります。
 私は、きょうは、一般公募をさせていただきまして、この公聴会に出席をさせていただきました。と申しますのは、今まで、働く者八百万を組織している連合が、全雇用労働者、ひいては全国民のために、将来の先行き不安を解消する社会保障の問題、特に年金の問題について各政党に連合の立場からいろいろ御要請をさせていただきました。きょうも資料として先生方の方に配付をさせていただいておりますが、少子・高齢化に向かう、支えなければならない分母が少子でどんどん崩れていく、支えられる側の高齢者が極めて重いかせになってのしかかってくる、その中で、社会保障は、年金が極めて大きな根幹の部分になるはずです。そこに、大きな太い枝として将来の老後の不安を支える介護保険や医療保険の制度が、葉が茂らなければいけない。すべての社会保障の根本は年金制度というふうに連合は位置づけているわけです。そこに税制が絡まって、どういうような負担をし、それに対してトータル的にどういうような保障がされるのか、そのことが明確にトータルビジョンとして描かれないと、国民の先行き不安は解消されないわけです。そういう思いの中で各政党にお願いをしてきた経過があります。
 連合としては、年金審議会の中でも二年間にわたる論議をさせていただきましたが、最終的に極めて不当な厚生省の扱い方によって、年金審議委員労働側代表三名を退席させ、その上で最終的には辞任をさせる、そういう行動に出ざるを得ない羽目にも追い込まれたわけです。審議会で二年、加えて自自が連立になられてから半年、そういう時間的な経過の中で、前国会でこの法案が提案をされ、この臨時国会の中で論議をされる段階に至って、今までの約三年にわたる論議が、本当に中身を決めなければならない国会の中で、これだけの短時日の日程で何の論議が充実的にできたのかということを私の立場からは指摘をせざるを得ない。
 加えまして、本日の公聴会、先ほどの各理事のやりとりを伺っておりますと、理事懇の後、委員長裁決で、最終的な明日の衆議院法案可決の日程が決められたようであります。
 となりますと、きょうのこの公聴会で陳述人がそれぞれの立場で意見を申し上げ、その内容が反映をされる時間があるのか。これは極めて難しい日程になっているわけで、採決、通過を前提とし、意見を聞きおく程度という中での公聴会であるとすれば、公聴会を冒涜するもの以外の何物でもないということを私は考えております。
 本日は、働く者の立場の中から、まじめにこの長い年月積み上げてきた全労働者の願い、改悪につながらない年金改正になるような思いで、資料も提出をさせていただき、その具体的な中身について、私も補足をする立場できょう意見を言わせていただきたいというふうに考えておりましたが、採決前提で聞きおく程度ということであるならば、意見だけ申し上げても何もならないというふうに思います。
 したがいまして、一般公募で応募し、意見を申し上げたいという意思で本委員会に出席をさせていただきましたが、これからの意見陳述についての権利を放棄させていただき、以降の論議については退席をさせていただきます。失礼をおわびいたします。(拍手)
#10
○江口委員長 ただいまの御意見でございました。それぞれ代表のお立場がございます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上で公述人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○江口委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
#12
○田村委員 自由民主党の田村憲久でございます。
 まずもって公述人の皆様方には、大変お忙しい中を貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 冒頭、いろいろと混乱があったわけでありまして、皆様方には深くおわびをさせていただく次第であります。
 さて、今いろいろと皆様方から御意見を伺ったわけでありますけれども、やはり年金に対する不安感、不信感というものが非常に、若い方々を中心に国民に多い。これはいろいろな原因があろうかと思うわけでありますけれども、今まで政府等々が出してきたいろいろな計画が、どうもそのとおりにいかない、破綻を来してきている。もちろん、そこには少子化という国民全体の問題もありますから、すべてがすべて計算違いであったというわけではありませんでして、これは国民がみずから自覚をしなければならない、そういう責任もあろうと思うわけであります。
 そんな中で今回の年金改正、これはもう御承知のとおりであろうと思いますけれども、給付水準を厚生年金の場合五%引き下げるとか、それであって保険料の方はピーク時で何とか年収ベースの二〇%で抑えようとか、支給開始年齢を段階的に六十五歳に上げていこうとか、いろいろな改正が盛り込まれておるのですが、これでいけば、ピーク時であっても、要は今の若い世代であっても自分が掛けた年金の保険料以上にはもらえるよ、皆さん方の老後の生活を基本的には保障できますよ、そういうような改正案であるのじゃないのか、私はそういうふうに思うわけであります。
 そこで、今お話をいろいろといただいたのですが、坂巻先生と山崎先生に、今回の改正案の御評価というものを改めてお聞きをいたしたいと思います。
#13
○坂巻公述人 お答えいたします。
 年金という、社会が激動しているときに、百点満点の回答は無理だと思います。これから世の中、少子化がもっと進むかもしれませんし、景気がもっと悪くなるかもしれません。当然、そのときには手直しせざるを得ませんけれども、少なくとも今の時点でツケを将来に残さない安定したシステム、どこまで安定かわかりませんけれども、少なくとも二〇二五年をにらんで、年金受給者は勤労世帯の平均賃金の六割程度は保障できる年金額、五%下がりますけれども、そして同時に、保険料も余り高くならないという制度でありますから、私は合格点をつけてよろしいかというふうに考えております。
 以上です。
#14
○山崎公述人 先ほど申しましたように、今の与えられた条件のもとではやむを得ない選択肢だと思いますが、将来に展望を開くという点ではかなり問題を残している改正案だと思います。それは幾つか申し上げましたが、一番大事な点は、やはり支え手をふやすということだと思います。
 今、専業主婦千二百万人が保険料負担をしないで給付の権利を得ているわけですから、おみこしの絵でいえば、高齢者と同様に女性もおみこしの上に乗っかっている、こういうことであります。この千二百万人の相当な方々が支える側に回れば、絵柄は随分変わるということであります。それが一点。
 もう一つ、年金、医療、介護、総合的な枠組みをつくろうということで自自公で合意をされたということでございますが、そういう観点からいいますと、年金のスリム化というものが、実は医療や介護の負担に転嫁するという要素があります。
 つまり、先ほど申し上げましたが、基礎年金の水準が下がりますと、高齢者に介護や医療の負担を十分にしていただけない。したがって、医療や介護での現役世代の負担が高まるという要素がありますから、やはり総合的にお考えいただく必要があるというふうに考えております。
#15
○田村委員 ありがとうございます。
 国広先生にお聞きをいたしたいのですけれども、女性のこれからの年金の問題、男女共同参画社会に入っていく中で、今もお話があったのですが、第三号被保険者を中心に、今までどうも女性の年金の問題が軽んじられてきておったんじゃないのか、そういう御意見をいただきました。
 もちろん、これからますます女性の方々が社会に進出をしていっていただかなければ、年金制度自体もたないと私も思っておるわけでありますけれども、この男女共同参画社会においてのふさわしい年金制度、システムというものをどういうふうにお考えになられておられるのか、お願いいたします。
#16
○国広公述人 先ほど申し上げましたように、現状は非常に女性が給料が低いとか、いろいろな形で年金の負担者になりかねる状況はあるわけですね。それから、負担者であっても、収入が少ないから少額しか負担できない。これが、両方、男の人も女の人も同じような賃金を得られるような、そういう形になるということは長期的にはあり得るし、目標にある程度すべきだと思うのですが、短期的な問題というのもあると思います。
 私が今考えているものは、例えば今、年金権というのは分割できないわけですが、夫婦ですごくギャップがあるわけですから、例えば離婚しなければいけない、もちろん、しなければいけない事態になったときは非常にハッピーなわけではないですから、もめるわけですけれども、そのときに分割可能な形にしておく。それから、基礎年金によって、所得再配分機能があるわけですけれども、この基礎年金をもう少し充実させて、男女の所得格差というものが年金に直結しないような形に考えるというようなことがとりあえず必要かと思います。
 もちろん、三号被保険者に負担していただくということも必要だと思います。というのは、現実には、先ほどお見せしましたように、第三号被保険者というのはある程度年齢の高い、そして、夫の収入が高い人でなければあり得ないわけですね。特に子供を育てた後というのはそういう状態になります。それから、子供がいなくても第三号であるということもあるわけですから、これはちょっと放置するのはいかがなものか。なるべく早く第三号被保険者も、育児休業法とか男女雇用均等法で選択して主婦になる人もいるわけですから、そういう人にも負担してもらわないというのは、幾ら何でも不公平だということは言えると思うのですね。
 ですから、なるべく早く第三号被保険者の問題に手をつけることは重要かと思います。
#17
○田村委員 もう時間の方がだんだんなくなってきておるわけでありますけれども、今のお話で、第三号被保険者の問題、いろいろな問題があるのですが、税方式を主張されておられる方々もおられます。税方式によって第三号被保険者の問題も、また基礎年金、国民年金の未納者の問題も解決するのじゃないか、そういうことを言われる方がおられますけれども、今の問題に関連して、国広先生、そこら辺のところをどうお考えになっておられるか、お願いいたします。
#18
○国広公述人 よく聞いていただいてうれしく思います。
 第三号被保険者問題というのは、第三号被保険者が負担しないからほかの人に、夫以外の人にもいっぱい負担させているわけですけれども、これが不公平だということだけではないと私は思っています。
 つまり、先ほど資料で示しましたように、女性が働けるのに、能力を持っているのに働けないという問題も含んでいるわけです。だから、単に税で第三号被保険者の負担を、自身も負担するというか、結局、専業主婦であって所得がなければ夫の収入から税金も負担することになるわけですから、これは本質的には変わらないわけです。
 そうではなくて、例えば、女の人が退職しなくても、先ほど見ていただいたように女の人もほとんどが就職するわけですから、それがやめなくてもいいような、育児休業だけでは恐らく不十分なんでしょうね、それは、保育の問題を充実させるとかして働ける。
 あるいはもう一つ重要なのが、働いていた人がやめますね、やはり子供のためにやめなければいけない状況が現実にありますから。けれども、必ずその人は子育ては終わるわけです。そのときに復職できる。今は復職できてもみんなパートなんですね、それも百三十万以下のパートです。そうしますと負担できない。百三十万円以下の収入というのは、月々にすれば十万ちょっとです。無収入の状態から比べれば十万ちょっとの収入を受けることは非常にプラスです。けれども、これがそのまま六十近くまで続くんですね。そうしますと、この人の年金はふえないんです。そうですね、働いても年金は基礎年金だけ。
 これは非常に卑近な例ですけれども、私がそういう時期があったんです。そうすると、一生懸命子供も育て家事もやりパートをしている私と、隣の奥さんと、つまり、そういうことはしないでちょっと優雅に暮らしている奥さんと年金が同じということなんです。四十代の既婚女性の七割近くはパートなどで働いていますね。こういう人たちがそういう状態になっているということです。ですから、百三十万円以内で働いている女性を被扶養者と位置づけて、年金を負担させないというのも問題だと思います。
#19
○田村委員 ありがとうございました。
#20
○江口委員長 福島豊君。
#21
○福島委員 本日は、参考人の皆様方には大変お忙しい中、国会までおいでいただきまして御意見をお聞かせいただきましたことを心より感謝申し上げます。ちょっと風邪を引いておりましてお聞き取りにくいかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 山崎先生に御質問をしたいと思いますけれども、先ほど基礎年金の水準の問題につきましての御言及がございました。私どもも、これから高齢化が進んでいく中で、介護にしましても医療にしましても、高齢者の負担というものがやはりふえざるを得ない、そういう状況だろうと思っております。それに対応するような基礎年金の水準の見直しというものは当然あってしかるべしだ。
 これは厚生省の方とお話ししますと、介護のことは介護の中でやってくれ、医療のことは医療の中でやってくれ、年金の世界は別だという意見もあるのですが、先生がおっしゃられましたように、それぞれの制度を立て分けるというようなことではなくて、特に高齢者に関しては包括的な検討をするべきだ。ただこの場合に、では、基礎年金の水準はどうあるべきなのか、介護保険で保険料が徴収をされることになれば、それをそのまま上乗せするというのでは、何のために保険料を導入したのかどうもよくわからぬという話もあります。ですから、そこの基礎年金の水準というのをどう考えたらいいのかということについて、先生のお考えをお聞かせいただければと思います。
#22
○山崎公述人 これは非常に難しい問題だと思いますが、今提案されています一人六万七千円、夫婦十三万四千円という水準は、夫婦で見ますと、高齢者世帯の衣食住の基礎的生活費プラス保健医療費にぴたりなんでございます。ですから、夫婦世帯で見ますと、ほぼ妥当なのかなという感じがしております。ただ、改正案では物価スライドのみにとどまりますから、内々の数字ですと、賃金上昇との乖離が二〇%開くまでは物価スライドにとどめるということですから、一人六万七千円の八掛けということになりますと五万四千円、夫婦で十万八千円というところまで下がりますから、基礎年金とは一体何だろうかというレベルにまで下がってしまう。介護や医療で負担をしていただくのが非常に困難な数字かなというふうに思います、それが一つ。
 それからもう一つ。仮に今の六万七千円、夫婦で十三万四千円という水準を、将来ともに賃金スライド等をすることによって維持したとしても、問題は、途中で未納の人がいます、それから繰り上げの人がいます、そういうことで、かなりの人が満額にならないということもあるわけでございまして、そういう意味では、少なくとも今の水準を維持する努力をすることと、それからもう一つは、やはり若いときの未納をなくすということも非常に大事だと思いますし、安易な繰り上げはやはりやめていただくということも大事だと思います。
 以上でございます。
#23
○福島委員 先ほど国広先生から御指摘がございましたが、女性の問題、第三号被保険者の問題も含めて、今回の年金改正案では積み残しになっておるのですね。
 今回は、少子・高齢化がこれ以上進んでいく中で、少なくとも給付と負担のバランスをとるというところだけにある意味では限定された改革で、一応そこのところはこれで大丈夫だ。次の改革というのは、少なくともこの女性の問題をきちっと解決するということ。それから、山崎先生がおっしゃられましたように、少子化対策とのリンクをどうするのか。ここのところに決着をつける。そういう改革を引き続き速やかに私は行うべきであるというふうに思っておりますが、国広先生の御意見、そしてまた、山崎先生の御意見をお聞かせいただければと思います。
#24
○国広公述人 先ほど申しましたように、女性の年金の問題はもちろんすぐにでも手をつけなければいけない問題だというのは確かです。ただし、少子化に対して年金がどのように対応するかということは非常に微妙だと思います。
 つまり、例えば子供をたくさん産んだ人は年金をまけてあげるとか、何かそういうようなことをするのは私は年金にはふさわしくないと思います。それは税制なり育児手当のような形で独自に行うべきだと思います。
 というのは、子供というのは損得とかかわらせて論じてはいけないと思うのです。子供を育てることが喜びである、楽しいということがやはり基本ですから、それが、子供を持つと得だ損だという論議にすりかえられるのは、私自身は嫌なんですね。
#25
○山崎公述人 老後の保障につきましては、年金、医療、それから介護も社会全体で支える、しかも、保険という仕組みで支えるということでございます。我々の老後を支えてくれるのは、今の子供あるいは将来生まれてくる子供たちでございまして、子供を産むのは、我々、全くお国のために役立てようというふうなことで産んでいるわけではございませんが、結果として、子供というのは先輩世代を支える義務をいずれ負うことになるわけでございます。
 そうすると、今の児童福祉の体系は、児童手当も保育所にいたしましても、いずれも所得を条件にして、支給する、しない、あるいは保育料を徴収するということになっておりますから、基本的には弱者対策ということになっておりまして、私は、高齢者扶養を社会化した以上は、次の社会を担う子供も所得に関係なく社会の子としてみんなが支え合うという仕組みにすべきだと思います。そうしますと、やはり年金と同じようにみんなで応分の会費を払う、子育て会費を払う。これは、子供のいる人いない人に関係なく、子育て会費を払う。具体的には、保険料という形で応分の負担をしていただき、その部分に公費を重点的に投入するというのがいいのではないかというふうに思っております。
 今、平成十六年までに国庫負担の割合を二分の一に引き上げるということになっております。ただ、その財源の見通しがまだ十分につかない。できるだけ早くという声が強いのですが、その時期もはっきりしないという状況なんですが、仮に私のような提案が受け入れられるとすると、私は、子育て支援という観点から、まず、その部分に先行して国庫負担を思い切ってつけていただきたいということでございます。つまり、一律に二分の一に引き上げる展望を持ちながら、差し当たって、子育て対策を年金制度でやり、その部分に国庫負担なり税負担を重点的に投入するという階段を踏んでいただきたい。優先順位をつけていただきたい。やはり高齢者介護と育児支援というのが、これから社会保障で最も重点を置く分野だと考えているからでございます。
#26
○福島委員 損得で子供を育てるわけではない、私も子育ての最中でございますが、そう思います。ただ、社会全体として見れば、将来を支えてくれる人に経済的な支援があってもいいと思うし、それが、産むか産まないかということに直結する話ではないと思うのですね。また、世代間の公平ということを考えれば、将来世代というのはある意味では不公平があるわけです。それを何らかの形で穴埋めする、そういう考え方があってもいいのではないか、そんなことを私は思っております。
 それで、坂巻参考人にお尋ねをしたいのですけれども、この世代間の公平、不公平、私は先生とちょっと意見を異にいたしております。大阪大学の八田先生の試算だと、保険料の額と年金の受給額とを比較すると、大体七千五百万ぐらいの格差がある。私からもうちょっと下ぐらいになりますと、逆になるわけでして、それを比較すると七千五百万ぐらいになる。確かに、先輩世代は大変御苦労されたというのもよくわかります。ただ、そこのところが、具体的な数字が余りにも大きくなると、なかなか年金制度に対して理解を得られないという側面も出てくるんじゃないか。ですからこそ、少子化対策もビルトインしたらどうかというような考えを私は持っているのです。
 そこまでの不公平というのは果たしていかがなものかという私の率直な、若い世代だからそう思うのかもしれませんが、先生のお考えをお聞かせください。
#27
○坂巻公述人 確かに、厚生省の出した資料によりますと、八倍の年金をもらうとか、一九八〇年生まれは〇・九二、出したお金よりはもらえないという数字がひとり歩きをしております。
 これは、二つ問題があると思うのですね。御存じのように、保険料は半額が企業負担でございます。そうしますと、その企業負担をどう評価するかでこの数字も変わってまいります。この厚生省の出した数字というのは、企業負担の部分も含めての数字でございますから、本人のポケットに入ったものから出す部分でいくと、少し違ってくるのですね。学者によっては、企業負担も本来当然、給料に入るべきものだから入れていいんだという方もいらっしゃいますけれども、私は、今の日本の企業が黙っていても企業負担分をくれるとは、それほど甘く思ってはおりません。法律があるから嫌々ながら出しているんだろうというふうに思っておりますので、この数字自体に問題があることが一つ。
 それから、先ほど申しましたように、公平というのは金額じゃないし、絶対的な公平なんということは世代間にあり得ないと僕は思うのです。やはり、ある意味では世代間の扶養、高齢者を敬うという部分が当然含まれてしかるべきだろうと思います。今、現実に、七十、八十の人は、戦争で家を焼かれたり、命をかけて戦った方だっておられるわけですから。そういう方たちがたくさんもらって、それはおかしい、おれたちはほとんどもらえないんだと言って、高学歴で、マイカーを駆使したり、遊び歩いているような若者がたくさんいるわけでありますから、そういう方たちと金額だけで比べるのは全く意味のない比較だというふうに私は思っております。現実に、私が就職したときには初任給は九千何ぼでございまして、そこからかなりの保険料を払っているわけでございます。
 やはり、幾らもらっているという、生活水準に合わせた、本当に負担が重いのかどうか、それを議論いたしませんと、世の中の変化とかそういったものを一切勘案せずに、金額だけでの世代間公平論というのは、私はナンセンスな議論だというふうに個人的には思っております。
 以上です。
#28
○福島委員 以上で、持ち時間を終わりましたので、質問を終わります。大変ありがとうございました。
#29
○江口委員長 吉田幸弘君。
#30
○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。
 参考人の皆様、お忙しいところ、大変貴重な御意見を伺うことができました。心より感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、理系の人間でございまして、研究をやるにしても、まず仮説というか目標を立てる習性がございまして、まず、三人の参考人の方に同じ質問をさせていただきたいと思います。
 そもそも、社会保障、この意味合いはいかがなものか。極端な比較をさせていただきますと、これは平時のものなのか、困ったときのものなのか。この概念というか、そのことをまずお伺いをしたいと思います。
#31
○坂巻公述人 お答えいたします。
 社会保障につきましては、昭和二十五年に社会保障制度審議会が最初の勧告を出しております。そのときには、社会保障というのは、憲法に保障された国民の健康で文化的な最低限度の生活を維持する。やはりある意味では、非常時の救済という形で書いております。しかし、平成七年に新たな勧告を出しておりまして、その中では、社会保障の役割というのは、すべての国民に安全と安心の生活を保障するものなんだというふうに考え方を変えております。
 私は、これだけ豊かな国になり、そして高齢化という、国民だれもが今まで経験したことのない社会に到達するときに、社会保障というのを特定の人のためのものというふうには考えておりません。すべての国民が、あるときには社会保障の受け手になり、そして同時に、支え手にもなり得る、そういった制度であろうというふうに思っております。
 以上です。
#32
○国広公述人 私も同じです。国民が長生きするようになりまして、働けない時期を長く予測しなければいけない時代になっているわけです。ですから、そうした時代を安心して生きられるための、年金の場合はそうですし、社会保障であるべきだというふうに思っています。
#33
○山崎公述人 非常にいい問題を出していただいたと思っているのですが、困ったときのものというのは、具体的に言うと、生活保護に典型的にあらわされるわけでございますが、今の社会保障というのは、むしろ困る可能性のある生活上の事故が起きたときに困らないように事前に給付をする、そういう意味で、坂巻先生がお話しになりましたように、むしろ安全と安心を保障するものというふうに私は考えております。
#34
○吉田(幸)委員 今三人の方々から御意見というか、いわゆる定義、世の中の変遷に伴い社会保障の定義も変わってきた、したがって、それを否定するものではない、このような御意見をちょうだいしたわけでございます。
 一方、我が国の経済状況、現在の状況を考えると、さほど明るいものではない。しかし、国民の中で、豊かさあるいは安全というか、将来に対する心配事をなくしたい、これは、ある意味では人間特有の欲望の部分もあるのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
 その中において、今回の改正に関しては大方適当な範囲内での改正案である、これは私の理解にありますが、一方、実は連合の笹森さんを含めてお伺いしたかった内容であるんですけれども、先ほど笹森さんのごあいさつの中でありましたように、社会保障、医療、年金、福祉、これらの中で年金が社会保障の柱になるというようなこと、そのことを述べられたと記憶しておるわけです。
 私はどちらかというと、国として、国民に対してしっかりと、これだけはという約束事としては、やはり医療を挙げたいというふうに思っているわけであります。子供が生まれる前は、妊娠したときはそれこそ男かなとか女かなと、あるいはきれいな顔で、健康でと。健康でというか、顔とか頭のいい子というような要求をするわけです。ところが、分娩室に入ると、五体満足で、こういう言葉に変わるわけですね。ですから、やはり人間が生活をするに当たって、私自身は、医療の部分をとにかく手厚く、社会保障の中でこのことをずっと言っておるわけなんです。
 ただ、そうはいっても、年金のことに関して、大きな犠牲を年金の方に求めるものではないという考えも持ち合わせております。その点に関しての質問でございますが、医療と年金、どっちに比重を置くべきなのか、このことに対して御意見をいただきたいと思います。
#35
○坂巻公述人 大変難しい質問でございまして、医療と年金、どっちが大事か、そう言われると困ります。両方なければ困るものでございまして、やはり健康で長生きをしたいというのが人間の希望でございます。健康で長生きするためには、経済的な保障も必要でありましょう。したがって、どっちがどっちとは私はバランスでは言えないと思うんですね。
 現に社会保障の給付費がどういう分野で使われているかといいますと、例えば全額を十とすると、御存じのとおり、年金に五、医療に四、福祉に一なんですね。これを五、三、二にしようというのが政府の方針で出されております。そうしますと、医療だけではない、介護も含めましてもっと福祉の面でも必要でありますから、要は財源をどういうふうに効率的にバランスよく配っていくかということだろうと思いますね。
 ですから、年金を充実するために医療が手薄になっても困りますけれども、医療のような、非常に構造的にさまざまな問題を抱えている、御存じのとおり、日本の医療保険には年金と違って非常に複雑な要素がございます。端的に言えば、現物給付、出来高払いというようなシステムの中でどんどん医療費が膨らんでいく、そういった制度的な問題をきちっと詰めませんと、解決しない。
 しかし、年金の場合は、少なくとも高齢化率という、少子化と高齢化という人口構造でかなり先が見通せるわけですね。その意味では、見通せる部分できちっと筋道を立てていく、そして、その政策的な保障のもとに医療というものに今度は改めて取りかかっていく、そういうプロセスをできれば同時に踏んでいただきたいと思いますが、御存じのとおり、医療保険の改革というのは遅々として進んでおりません。
 したがって、まさに先生方は、年金だけではなく、その部分でもしっかりと御発言いただき、変えていただきたいと思いますけれども、どっちが得か、どっちが優先かと言われると、いささか困ったもので、両方大事だということでお答えしておきます。
 失礼いたしました。
#36
○国広公述人 長生きをすれば病気になる率もふえる、危険もふえるというのは当たり前のことだと思うんですね。ですから、両方切り離して論じること自体の無理というのを私は感じます。医療か年金かという選択をしなければならないような事態は避けたいというふうに思いますけれども、それを両方含んでバランスよく考えていっていただきたいと思います。
 それは、私が個人的に自分の老後を考えても同じですね。年金がないとなったら、もう心の問題は不安で不安で病気になってしまうというふうに思います。
#37
○山崎公述人 年金も医療もそれぞれ大事であります。ただ、将来のことを考えますと、ある程度自助努力を期待する、そういう意味で、それぞれ一定のスリム化は避けがたいというふうに思っております。むしろ、国民の不安からいいますと、介護だとか育児、こういったところに相対的に重点を置いていくべきだと思いますが、一点だけ気になっていることがあります。
 それは、まさに年金、医療、介護の統一的な対応が必要だということでありますけれども、介護保険、あるいは今の病院の医療でもそうでございますが、施設に入った場合、大体五、六万円の月々の負担ということになります。ところが、二十万円前後のいわばサラリーマンが施設に入ったとき、あるいはその遺族が施設に入りましても、十数万円の年金になります。これは基礎年金と遺族年金を合わせての数字でございますが、その場合に、実は年金がたまることになるわけでございます。こういったところにメスを入れるというのが、私は、自自公の合意事項だというふうに理解しております。
 ですから、年金か医療かというのではなくて、合理的にそれを組み合わせるという発想が必要なんだろうというふうに思います。
#38
○吉田(幸)委員 三名の参考人の方、両方大切と。もちろん両方大切ではあります。私は、年金について論じている中において医療というふうに言ってしまったわけなんですが、いずれにしても、両方大切なのは百も承知でございます。また、連係して考えていかなきゃいけないということも大切であると思います。
 その中において、今回の改正、将来に向けての社会保障全般の財源の確保の見通しをしっかりと立てて、この範囲内での改正、私の意見としては、適当な範囲ではないかと。また、参考人の方々からも、そのような理解を大方いただけているのではないかというふうに解釈をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
#39
○江口委員長 山本孝史君。
#40
○山本(孝)委員 民主党の山本孝史です。
 冒頭、本日お越しいただいております公述人の皆さん、そして傍聴をいただいております皆さん、大変、この国会というところが、審議をするのではなくて、物事を先、先へと推し進めていくだけのいわば通過機関になってしまっている、そういう姿をお見せするようなことになってしまったのは、責任者の一人としても、まことに申しわけのないところだというふうに思います。
 笹森公述人はお帰りになってしまって、私はこんな公聴会は見たことがありません。委員長に強く抗議申し上げますが、二度にもわたって強行で日程をお決めになる。そして、その結果として参考人が退席をされてしまわれる。与党の皆さんは、これから修正案をお出しになろうとしておられる、その修正案すら、まだここの国会には出ていない。案だけは出ていて、しかも、きょう、本来であれば、その修正案も含めて公述人の皆さんには御意見をいただくのが、私は常道だろうというふうに思います。その手続すらすっぽかして、先へ先へと行かれる。大変に視野が狭くて、先行きの見通しの悪い、今の自自公三党の連立政権そのままの姿の国会運営をされるということは、私は決して国民の望んでいる姿ではないと思います。
 今回のこの国会の審議の一番の問題は、基礎年金の将来像をどう描いていくのか、この点にあったと思います。五年前の改正のときの附則について、この五年間ずっと議論が続き、そして審議会の中では、税方式か社会保険方式かの議論は、いわば門前払いのような形になって余り審議は深まらなかったというふうに思います。
 しかし、年金制度の安定のためには、基礎年金をどうするかという議論が一番大切だというふうに私は思います。ところが、この国会で、先ほど国広公述人がおっしゃいましたように、二分の一にする時期あるいは財源について明確にされていない。そして、坂巻公述人がおっしゃいましたように、財源をどうするのか、与党の中でも意見が一致をしていない。この五年間、一体何をしてきたのか。
 今回の、この春の改正で、保険料を凍結して、そして五年先までの間にまた何かをしようということになって、結局この十年間、基礎年金というものは手がつかずにきたではないか。保険料を結局は抑えただけではないか。それは改革というものに値するのだろうか、これは値しません。
 そういう案を今審議している中で、基礎年金の問題は何も出ていないじゃないですか。そういうところで、委員長もずっとそこの場所で審議の内容を聞いておられて、それでも強行で採決をしようというようなことが本当に年金制度の将来の安定につながるのか、私は大変に不満に思います。
 そういう意味で、せっかくの機会ですので、貴重な御意見をお持ちの三人の先生方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、坂巻先生にお伺いをしたいと思いますが、税方式には反対だという御意見を述べられました。早く二分の一にすればいい、こうもおっしゃいましたけれども、なぜ三分の一ではなくて二分の一なのか、なぜ四分の三ではなくて二分の一なのか、そこはどういう整理をされておられますか。
#41
○坂巻公述人 お答えいたします。
 例えば介護保険ですと、ドイツは全額保険料でやっております。日本の場合は、御存じのように半額国庫負担でございますね。やはり保険料と税というものをうまく組み合わせているシステムだというふうに思っております。
 その意味でいいますと、基礎年金の部分、今三分の一でありますけれども、やはり同じ社会保障制度の中で、介護保険が二分の一で年金が三分の一、そういう制度間のばらつきというのは、私は原則的にはおかしいと思っております。
 したがって、まず二分の一までは早急に引き上げる。なぜ引き上げるかといえば、当然保険料の負担を軽減するため、これからの世代の負担を軽くするために国民みんなでその部分を背負っていこう、高齢者も含めて背負っていこうというのが二分の一の意味でございます。
 では、これ、四分の三でなぜいけないのかということになります。私は、先ほども申しましたけれども、社会保険の精神というのは、自立の精神と互助の心を持った人がそれを支えるわけであります。やはり二分の一というのは、私は限界であろうと思います。社会保険方式をとる以上は、それを超えますと、もう自立の精神という形にはならない。要するに、全部お国が面倒を見てくれるものだ、税金で見てくれるものだという考えが広がりかねないと思うんですね。
 二十一世紀、三人に一人が六十五歳以上の、今六十五というと元気な方がたくさんいらっしゃいます。そういう方たちが、先ほども申しましたけれども、とにかく六十五になれば全部お国がお金も下さるということで、自立の心も互助の心もなくす社会というのは、決していい社会ではございません。むしろ、できるだけ自分の力で生きていこう、そしてまた、いざ困ったときにはお互いに助け合おうという心を持った高齢者がたくさんふえる社会が成熟社会だろうと私は思います。
 そうしますと、当然出てくる未納の問題とか空洞化の問題、確かに、現実に保険に入らない方もいらっしゃる、あるいは納められない方もおられるでしょう。納められない方には何らかの手当てを講ずるべきだろうと思います。その意味では、今回の改正でも保険料を半額という形で制度をつくりました。しかし、確信を持って入らない方、あるいは、そんな年金など当てにできないという方がいるから税でその人を面倒を見ようというのは、私はおかしいと思うんですね。本来、人間の自己選択、自立というのはそういうことでありまして、みずからそれを忌避する人たちを、では税金で面倒を見ましょうというのは、私はちょっと問題があるだろうと思うんです。そういう意味では、私は、税負担は二分の一が限度というふうに考えております。
 以上です。
#42
○山本(孝)委員 これは大きな議論でして、大臣とこの議論をしますと、大臣はほとんどうまくお答えになれないので、こういう場所でこういう話をしなきゃいけなくなってしまうんですが、本来的に、今実は、保険料を払う側は賦課方式になっているんですね。受け取る側は社会保険方式になっているんですね。そういう意味合いが非常に混在しているわけです。
 税負担であろうが社会保険料負担であろうが、総額として国民が負担しているのは全く同じです。それをどういう形で負担をし合うのが一番望ましいのかという形を考えていく。そのときに、あなたは払っていなかったのだからもらえないよと言いながらも、片一方では消費税であれ所得税であれ、税金は払ってきているわけですから。諸外国の例を見ていても、居住年数で年金を受け取る資格要件をつけている国もあります。だから、坂巻先生とやっていると時間がなくなりますので、必ずしも先生おっしゃっている形にはならないと私は思います。
 昭和五十二年の社会保障制度審議会の、基礎年金という部分は、国民皆年金制度をつくるのであれば、これは税方式でなければできない、所得比例の目的税というものにすべきだという議論があって、それ以来、残念ながらその理念は実現されていないで、この形になっているわけですね。山崎先生もそこをずっとごらんになってきておられるというふうに思いますけれども、あの社会保障制度審議会の建議というのは、私は一つの出発点だったと思うんですが、先生はどういうふうに評価をしておられますか。
#43
○山崎公述人 私は、日本の社会においては、やはり、保険という仕組みを基礎に置く社会保障というのが国民になじむのではないかというふうに考えております。これは、別に年金だけでなくて医療や介護も我が国は保険方式でやっているわけですが、それを全額税方式へという主張はあります。ある意味で、自由党の主張は極めて明快だと思っております。
 私は、介護保険の創設過程もずっと見てまいりました。今回の、国民から見るとかなり混乱した状況というのも見ておりまして、そこで感じましたことは、税金で払う、つまり、ただにすれば国民は喜ぶのではない、応分の負担をして、それに伴ってきちっと権利としてサービスを受けたいという声が高まり、まさに今回の見直しについて民主党は反対した側だと思うんですね。私は、非常にこれは健全な考え方だと思っております。
 したがって、介護保険の今回の見直しに見られた動きからも、国民はやはり応分の負担をして助け合うという仕組み、そして、それに対して公が支援をするという、自助と互助と公助の仕組みというものを受け入れているというふうに考えております。
#44
○山本(孝)委員 高齢期になっての医療なり介護なりの現物給付をする場合、しかもそれは、一定の方たちが受ける場合と、年金のように現金給付ですべての人が受けるというようなものと、私は恐らく性格が違うのではないかというふうに思います。
 そういう意味で、事年金は、先ほど笹森公述人がおっしゃいましたように、やはり、すべてのもとになっていて、今度はその年金から介護なり医療の保険料を払うわけですから、年金の水準というのはとても大切、とりわけ基礎年金の水準は大切だと思うんですね。
 そういう意味で、もう一度山崎先生にお伺いをしたいんですが、基礎年金はスライド制にした方がいいとおっしゃいました。高齢者にも応分の負担を求めるのがいい、こうおっしゃったわけですね。あわせて、今の水準は妥当ではないか、こうおっしゃいました。生活保護水準でいけば、地方の県庁所在地のところが生活保護の生活扶助水準とすれば、大体同じぐらいの水準になってきます。妥当だとおっしゃったのは、そういう点もあるのかと思います。
 妥当だと言いつつも、賃金スライドはやっていくんだ、高齢者の負担を、応分に負担をしてもらうんだというあたりの、先生の頭の中ではどういう整理をしておられるのか。
 例えば、今、介護保険料が入ってきました。これから高齢者の医療保険も入ってくるでしょう。ここで大野政務次官は、そうした高齢者自身の税あるいは社会保険料の負担については、年金では手当てはしないというお考えを述べられたわけですけれども、その考えと、今先生が公述されておられる基礎年金のお考えと、どういうふうに連係をしておりますでしょうか。
#45
○山崎公述人 私が先ほど申しましたのは、今回の改正法案ですと、一階、二階ともに六十五歳以降は物価スライドにとどめるということでありますけれども、基礎年金については、少なくとも従来の、つまり、国民一般の生活水準の上昇に合わせて今後とも改定していただきたいということでございます。
 ただ、二階を物価スライドにとどめるのは、一定の給付のスリム化が避けがたいとすると、やむを得ないと考えております。したがって、物価スライドにとどめるということは、高齢者医療も介護も高齢者に応分の負担をしていただくという政策をとりにくくなるということで、まず年金できちっと保障して、それでサービスの費用の一部を高齢者に買ってもらうという姿が望ましいと考えているからであります。
 要するに、私の言いますことは、今の水準を維持していただきたいということでありまして、これは、少なくともということで、もし財源の余裕があるとすれば、もう少し高くあるべきではないかなというふうにも考えております。ただ、それはまさに、保険料がどうなるのか、国庫負担がどうなるのかということにも密接に絡む問題だと思いますが、何とか今の水準は維持していただきたい。
 基礎年金というのは、ある意味で国民連帯の象徴的なものでございますから、ここに手をつけるのは大きな問題だというふうに考えております。
#46
○山本(孝)委員 お三方にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今のように給付水準を上げていけば、当然それは保険料の多さ、あるいは国庫負担額の大きさということになって、結局は若年層の負担に戻ってくるわけですね。ですので、新たな高齢者負担を求めると言いつつも、若年者の方が結局それは負担をし直す。これが消費税ですと、その形にならないんですけれども、保険料でやっている限りはそういう形は続くわけですね。ですから、財源の形は何がいいのかというのは非常に問題がある。ここが大いに議論、その議論をこの委員会でしたいんですけれども、なかなかその話にならずに、採決してしまおうとしておられる。それが残念です。
 お三方にお伺いしたいのですけれども、山崎先生がおっしゃいました、ドラスチックな意見も国民的合意を形成するに至っていないというお話。これは、実は、国民的合意を形成するのは政治の場の我々の仕事であって、ここの議論を通じて国民的合意の形成に努めていかなければいけない。でないと、また空白の十年になってしまうと思うわけです。
 しかし、今の保険制度、とりわけ基礎年金、一階部分ですね、今の保険制度のあの仕組みを維持したままでこのドラスチックな改革というものをやっていこうとしても、二階部分を含めてもそうですけれども、結局のところは、給付の抑制か保険料の上げしかないのではないかというふうに思うわけです。そういう意味で、私は、ドラスチックな改革というのは、文字どおり、やはり国民の基本年金といいましょうか、一階部分をきっちりもらえるという体制をつくるんだということだと思うんですね。
 徴収すればいいんだ、厳しく取り立てればいいんだとおっしゃいますけれども、これはなかなか今までできてこなかったという現実があって、ほっておけばもっともっとさらに進んでいくと思います。半額免除制度というのをつくるのは、いわば二流の国民年金をつくるといいましょうか、厚生省としてはもう基準を下げてもいいんだという、ナショナルミニマムを一つ下に置いているような形がして、私は決していい話ではないと思うんです。
 そういう意味では、税負担をちゃんと入れながら、みんなが年をとったら最低これだけはもらえるという、国民の一階部分のきっちりとした改革、それは今のあの枠の中でやっていって本当にできるんだろうか。私は、やはり税方式でないとできないのじゃないかというふうに改めて思っているわけですけれども、最後にその点、先生方お一人ずつ、短目に少しお話をいただきたいと思います。
#47
○坂巻公述人 お答えしたいと思います。
 私は、先ほども申しましたように、税負担二分の一、そして残りの保険料をみんなで支えていくという、自助、互助と公助のバランスが大事だと申し上げました。
 確かに、基礎年金の金額が低いと申しますけれども、その負担が今は御存じのとおり月にたしか一万三千三百円ですか、これは、大学生の子供が二、三人いたならば本当に大変なんですね。基礎年金をふやすためには負担をふやさなきゃならないということになりますと、とてもじゃないけれども、負担はふやせません。そうなりますと、基礎年金の部分を急激に上げるということはまず不可能です。
 それを税金で見る、消費税で見るということが今しきりに言われておりますけれども、国民感情からいたしますと、消費税というのに何か膨大な金額の滞納があったり益税があったり、果たして本当にそれが使われているのかどうか、国民は知る由もございません。そうなりますと、保険料でやれば、特別会計でありますから、少なくとも自分の出したものがどこまで使われるかはしっかりと数字の上でわかるわけでございますけれども、それを消費税というような形で納めた場合に、目に見えてこないということになってまいります。その辺をどう先生方がクリアされるかということだろうと思うのですね、消費税のあり方を通じて。それが明確になっていけば、またそれは国民の支持、それがいいという方も出てくると思います。
 私は、税制で未納者を救うとか、あるいは確信的に入らない方までも強引に入れなければ成り立たないというふうには考えておりませんで、やはりそこは自己選択というものを残すべきであろう。豊かな社会というのは、さまざまな生き方が自己選択できる社会ではないかと思うのですね。
 どんなにすばらしい福祉が充実しても、あるいはどんなに立派な老人ホームができても、そこに入りたくないという人には、入らないで済むようなことをしなければならない。一人一人が自分の考えに基づいた自己選択のできる生き方ができる社会というのが私は望ましい社会と思っておりますから、公的年金に入らないとか、年金など信用できないから私は入らないという方には、そういう選択肢を残すことがいい社会であろうというふうに私は個人的に思っております。
 以上です。
#48
○国広公述人 私は、ドラスチックな改革が必要だと思っています。
 今の基礎年金は、どういう形になっているかというと、二号と三号をセットにして考え、それ以外の人を一号というふうに位置づける考え方です。つまり、サラリーマンと、サラリーマンに扶養される妻以外は自分で納めるわけですけれども、その中には、失業者とか低所得の人とか、大変たくさんの納められない人というのが入るわけです。しかも定額ですから、これは、空洞化といいますけれども、どだい無理な話で、もともとそういう制度になっているわけですね。
 それから、月額一万三千三百円ですが、受け取れるのが六万七千円ですか。そうしますと、所得の非常に多い人はそんなものは当てにしないですから、当然入らないということになります。ですから、これは空洞化というよりも、最初の基礎年金の設計自体にその問題がはらまれているというふうに考えます。
 ただし、税にすれば解決するかというと、今、税というふうに言われているのは、一方では、企業が基礎年金部分の負担を逃れたいという問題もありますから、簡単に税にすることには、私はやはり疑問を持ちます。ですから、企業が負担しているものを何らかの形、別の形で取る、そして、一号、二号、三号というような形で制度を分断化するような形ではなくて、本来は、所得に応じた保険料を負担していくということで所得再分配をするような基礎年金制度に改めるべきだと思います。
 ただし、私は税の専門家でもなく、年金制度そのものの専門家でもありませんので、こういうことを申し上げますと、クロヨン問題ですか、所得の捕縛自体が難しいからそれはできないというふうに専門家は言われます。でも、それができないこと自体が問題なわけです。
 サラリーマンの方は、年金の負担が重いとか、一号は不公平というようなことをおっしゃいますが、私のところに取材などでいらっしゃるマスコミの方に、では、あなたは今どれだけ年金保険料を払っているか知っていますかと言うと、知らないです。つまり、税金についても年金についても、企業任せといいますか、そういう形になっているから、知らないわけです。知らない中で重いとか軽いとかいう話をしているわけですね。
 自分で確定申告をしていれば、所得もはっきりしますし、税金も年金もはっきり自分でわかる。それが、本来の自立した国民あるいは市民のあり方だというふうに考えています。ただ、この論議はされていないということです。
#49
○山崎公述人 私が、介護保険を推進された民主党として、基礎年金をすべて税にという主張をされるとすれば、それは矛盾があるのではないでしょうかというお話をしましたことについて、年金はすべての人が受け取る、それに対して医療や介護は特定の人に支給されるものである、したがって、性格が違うのではないかというお話だったように思います。つまり、特定の人がサービスを受けるものであればそれは保険がなじむけれども、すべての人が受け取るものについては税でもいいのではないか、このように理解しましたが、私は、実は年金も同じだと思います。
 六十五まで生存できるかどうか全くわからない状況で、我々は今保険料を納めています。結果的に多くの人が高齢期まで生存し、年金を手にしますが、しかし、年金を手にした途端に亡くなる人もいますし、百歳を超えるまで年金を受け取る方もいますから、保険の対象とする事故としては、病気になることも要介護者になることも高齢者になることも全く同じだというふうに考えております。
 それから、仮にすべて税にした場合懸念されることでございますが、まさにそれは懸念でございまして、国会でお決めになればいいことでございますが、日本人としては、恐らく、すべて税金でといったことになったときに給付制限をなさるのではないかということでございます。そして、税負担が上がるにつれてますます給付制限が強まっていくのではないか。つまり、今、保険方式で行っている年金や医療や介護の給付やサービスを比較的自由に所得制限なく受けているわけですが、そのような寛大な心に日本人は全額税方式にした場合になれないのではないかということを懸念しております。
 以上でございます。
#50
○山本(孝)委員 ありがとうございました。
 時間になってしまったのであれですけれども、保険料の方が取りやすい、税は取りにくい、これが厚生省の理屈なんですよね。そういう意味で、ここはその理屈に惑わされずにきっちり議論することが大切で、その議論には余りくみしないでいただきたいなというふうに思います、年金目的消費税という考え方もありますし。
 最後に、学生の半額免除といいましょうか、猶予ですか、学生猶予なんというのは、もともと払えない人に保険料を払えと言ってきたのが間違いであって、自分たちの政策の間違いをしっかり認めてから、そういう制度の説明はしていただきたいものだというふうに思っております。
 きょうはありがとうございました。
#51
○江口委員長 瀬古由起子さん。
#52
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 公述人の皆さんには、きょうは大変御苦労さまでございます。きょうの公聴会が、あした採決を前提とした公聴会になるということになれば、皆さんの声がある意味では聞きおくだけになってしまう、こういうことは本当に許されないことだと思います。これから協議をされるようですけれども、私たちとしては、公聴会に御参加いただいた皆さんの声がしっかりとこの法案の審議の中に生かされるように、最後まで努力して頑張っていきたいというふうに思います。その前提に立って質問をさせていただきます。
 今回の年金の改定では、大体国民の多くは年金で生活設計、生涯設計を立てているわけですね。その生涯設計が、例えば五年前の年金改定のときにはこういくのだろうなと思っていたら、今回はそれはもうやめて変えてしまう。こういうことになれば、年金というのは一体何なのだ、政府は一体何をやっているのだという国民の不信感が生まれてくると思うのですね。ましてやその額が、ある人によっては今回の改定によって一千万ぐらい減ってしまうということになれば、これは大変な事態になってしまう。こういう点では、今逃げ水年金と言われているのですが、こういう改定の仕方、国民に不安をさらに増幅させるようなやり方についてどうお考えかということを、三方にぜひお聞きしたいと思います。
#53
○坂巻公述人 お答えいたします。
 今の御質問は、恐らく、五年に一度の財政再計算の時期に毎回のように給付水準の引き下げと保険料の値上げということで繰り返される、これが国民の不信感をあおるのではないかというお考えです。確かにその一面があると思います。
 しかしながら、年金というのは、世の中の動きや少子化の家族の状況とか子供の数、そういった外的な条件によって大きく変わってまいります。そのときに、それでは十年に一回の改定でいいのかといえば、その差は非常に大きくなって出てくるだろうと思うのですね。したがって、私は五年に一回の財政再計算の意味をしっかりと国民に知っていただきたい。
 年金というのは、御存じのとおり、四十年とか長い期間で制度設計ができているわけですけれども、四十年前と今とではまるで社会が変わってくるとなれば、その都度手直しをしていかなければひずみはますます大きくなってまいります。五年ごとの財政再計算は、そのひずみをなるべく早い時期に少しずつ少しずつ変えていこうという趣旨でつくられている制度でありますから、それはむしろ制度の安定には非常に役に立つ制度だろうというふうに私は思っているのですね。これを十年に一回や二十年に一回にしたりいたしますと、さらに保険料を急激に変えなければならないとか給付を急激に下げなければならないということになってまいります。
 むしろこういう形で、将来展望も少しずつ、こういう給付の削減と負担の率を定めて、同じ重荷をしょっていこうということが繰り返されれば、今働き盛りの世代も、年金だけでも頼れない、やはり自助努力も必要だという形で、自分の人生設計もそれに合わせてできるだろう、そういう意味では、私は、財政再計算というのをむしろ積極的に評価をしていただきたいというふうに思っております。
 以上です。
#54
○国広公述人 年金保険料の負担が上がり、そして給付が下がるということを知れば、全く無知であれば不安になり、あるいは怒りを覚えるというのは当然だと思います。
 しかし、先ほど申し上げましたように、長寿化と少子化、それから女性の労働力率がさほど上がらない、賃金も上がらないという状況のもとで保険料がふえ給付が下がるということは、ある程度はむしろ納得しなければならない面もあると思います。そして、納得しなければならない面もあるにもかかわらず、不満しか国民が持たないような状況にあるとすれば、それは適切な情報が開示されていない、あるいはそういう事態を理解するような教育なりがなされていないという面もあるのではないかと思います。
 それは、もちろん、たくさんの年金をもらえて負担はちょっとしかしなければいいようなハッピーな世界が描けるものであるならば、それはいいのですけれども、そういう幻想を一方でばらまいて、もし、改革のたびに悪くなるというふうに解釈せざるを得ない状況に、そういう情報しか国民が持っていないとしたら、それは、審議の過程なり年金審議会の審議も含めて、あるいは厚生省の情報の出し方も含めて、年金というものについての知識をきちんともっと国民に知らせるべきだというふうに私は思います。
#55
○山崎公述人 国民の不安を高める改正であるかどうかというのは、実は世代間で随分受けとめ方が違うように思います。
 どの世論調査を見ましても、若い世代の人は、圧倒的に多くの人が給付はある程度スリム化しても構わないから負担のことを考えてくれと。それから高齢世代の方は、今もらっている給付なりサービスは何とか維持してほしい、そのかわり、後の世代の負担が増加するのもやむを得ないというわけで、これは受けとめ方がさまざまだというふうに思っておりますが、何度も申し上げていますように、ただ、基礎年金だけはやはり将来ともきちっと守るべきだというふうに思っております。
 つまり、どんなことがあっても、非常にわずかなお金でございますが、一応何とか、今でいいますと、六万七千円という生活の支えがあるのだという、最低の安心感だけは将来とも持たせる社会保障としての年金であってほしいと願っております。
#56
○瀬古委員 今、情報公開の問題なども出されていましたが、この改定案が出されるに当たって年金審議会が行われて、実際には、この年金審議会では、先ほど国広公述人が言われましたように、十分将来像が出なかったわけですよね。そういう中で、妥協的に今回出されてきた。
 しかし、本来で言えば、本当にこれだけの負担をしなきゃならぬのかということを、もっと徹底して、将来像も含めて出し合う。積立金だってこれだけたくさんあるんだけれども、これで本当にこれだけ取らなきゃいかぬのかとか、先ほどからお話がありましたように、女性だとか高齢者がもっと働きやすい環境をつくっていけば、ある意味で働き手をふやせば、もっと年金の支え手がふえるわけですから、これだけ負担しなくていいじゃないかとか、いろいろな議論がもっとあるというふうに私は思うんです。
 そういうことも含めて、将来はこうあろうというものが、残念ながら年金審議会でも煮詰まらなかったわけですね。煮詰まらない段階で、例えば一定の時期に一定の微調整をするということはあり得るわけですが、ある意味では、今回の改定はかなり大きい、国民にとっては衝撃的な負担になってくるといいますか、給付の制限ということも含めて、ありますので、この点は審議会のメンバーとして参加されていた国広公述人はどのようにお考えでしょうか。
#57
○国広公述人 二年間審議いたしまして、最初の一年は比較的根本的な問題、制度の問題について話し合ったと思います。ただし、きょうの冒頭でもわかりましたように、日本の政治は儀式化している面がありますよね。審議会の審議にもその面は私はある程度あると思います。根本的な議論がしにくいということです。
 では、審議会が日程が詰まった段階で何かを出さなければいけない、後、頻繁に開かれて、根本的な問題をやっているかといえば、残念ながらやっていないわけですよね。そのことは私は非常に残念に思います。スケジュールで必要な時期には開かれるけれども、その後、今、国会はこういうふうになっているということは、つまり、対応する厚生省の方も大変なんでしょうけれども、そういう現実的なことはいろいろあるでしょうが、でも、こういう時期にこそ根本的な議論をしたいなというふうに思っております。
 根本的な議論をするようにという委員の方々の意見はたくさんありましたけれども、それが十分にいかなかったのは、本当に私自身も力不足だと思って、残念に思っております。
#58
○瀬古委員 審議会も十分な審議が行われたとは言えない、その上国会の審議まで不十分だったら、それを押しつけられる国民というのはたまったものじゃないわけで、そういう点では、本当にどうあるべきかという審議を、これだけ国民生活にとっては最重要の課題ですから、やっていかなければならないというふうに思います。
 そこで、坂巻公述人にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほどの公述の中で、六十歳過ぎても働ける社会環境が必要だというふうに言われました。
 今回、年金の支給が六十歳から六十五歳にだんだん、基礎年金の部分もそして比例報酬の部分も引き上げられていくわけですよね。では、実際に今の雇用の状態はどうかといいますと、企業のリストラなどで六十歳までいかない前にやめざるを得ないという方がたくさんあるわけです。そういう点では、年金の支給と雇用の関係はやはり接続していかなければ、それは当然不安が起きてくるというふうに思うんですね。その点はどのようにお考えでしょうか。
#59
○坂巻公述人 先ほど、この問題の前の御質問で、年金審議会で十分な議論をしてこなかったという御意見がございました。
 私は、十分な議論をかなりしたと思っております。そして、情報公開にいたしましても、例えば年金審議会の議論はすべて公表されました。それから、年金白書を出し、世論調査をし、学生の意見を聞きという形で、今までに比べればかなりの部分を情報公開したと私は思います。ただ、それが国民に十分理解されているかどうかは別でありますけれども、そういう情報公開をした上で、二年半、三年近く議論をいたしましたけれども、要するに、意見の一致を見なかったということであります。
 それは当然のことかもしれません、抜本的な改革となれば、いろいろ意見がございますから。きょう連合の方が退席されたと同じような状況が繰り返されました。考え方の相違とか意見の相違で一本化できないがために、抜本的な改革というのが出せなかった、それの前の段階で十分な議論はしたというふうに私自身は思っております。
 さて、これからの雇用との関係でありますけれども、今の年金の改定というのは今すぐの問題ではございません、御存じのとおり一応二〇二五年をめどにして考えている改正であります。したがって、これから世の中がどうなるかわかりませんけれども、鶏が先か卵が先かわかりませんけれども、先ほど申しましたように、平均寿命がどんどん延びているときに、いわゆる人生五十年時代の年金の発想でいいのだろうかという疑問からいくならば、どちらが先かということになれば、若い人の負担を考えれば、やはり年金の給付をある程度これからの年金受給者は我慢をしていただく、そして、若い人に過重な負担をかけないというような形で決意を示すことの方が、私は大事ではないかというふうに思っているんですね。
 その意味では、今の年金にしましても、保険料を先送りしてみたりという形で、次の世代に先送りをして当面の負担を避けようという考え方が、介護保険も含めて非常に多いように思います。それも一つの政治的な判断だろうと思いますけれども、今国民は、ただでいいとか、安くするからいいんだという時代ではないだろうと思います。
 やはり、情報をきちっと公開すれば、これ以上にもらってしまって子供や孫の世代にツケ回しをしていいんだろうかとお年寄り自身が考える、そういうレベルの国民だろうと私は思っておりますので、甘い話ばかりを振りまくような政治の行動というのは、私はいささか疑問に思っているということをつけ加えて、発言を終わらせていただきます。
#60
○瀬古委員 審議会で審議をしてもなおかつ将来像の一番重要な問題で意見の一致を見なかったという場合には、私は、そのまま直接、今回のような法案の出し方ではなくて、もっと審議の仕方といいますか、将来像を出すためにどうすればいいかという国民的な討論のあり方があっても、いいんじゃないかというふうに思うんですね。そういう点でも、審議の仕方というのがまだまだ、もっと煮詰まるような取り組みをすべきだったというふうに私は考えています。
 将来、二〇二五年になれば変わるんじゃないかという見通しを今お話しされたんですが、それも、今リストラをすればするほど企業に補助金を出すみたいな、援助してやるような法律ができている時代ですから、そういう点では大変厳しい状況だというのが現実の世界だと思うんです。
 最後に、国広公述人にもう一度お聞きしたいと思うんです。女性の場合でも、今雇用の状況がどうなっているかといいますと、ますますパートや不安定雇用になって、賃金の水準はうんと引き下がっている、こういう状態で、女性の賃金が下がれば男性だってまた引き下がってくるという状況があるわけですね。その点では、今の女性の年金をうんと引き上げるという点でもかなり抜本的な改善をやらなければ、実際には引き上がっていかないんじゃないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
#61
○国広公述人 先ほど申し上げましたように、男女の賃金格差が非常に大きい日本、その中にあって基礎年金にどういうふうに所得再配分の機能を持たせていくかということが、私はポイントだと思います。
 先ほど審議会で十分な論議をしなかったというのは、十分な論議はしたんですね、もちろん。ですけれども、根本的なところをする余裕がないままだったということなんで、そこは誤解がないようにしていただきたいと思います。もう疲れるぐらい議論はいたしました。
 ただ、こういう場でも根本的な議論についてはこれだけ対立があるように、非常に大きい問題なのにもかかわらず、非常に大きい問題としてそういう枠で論議するような、税金と年金全部を含めた形で二十一世紀の日本社会のことについて議論する、そういうことについてはもちろんできていないということです。
 それから、女性の年金については、男性ももちろん厳しい状況にありますが、特に女性が今さらに厳しい状況にあるということは十分承知しています。そして、この問題をどうやって議題に上げていくか、国会でももちろんそうだと思うんですが、そのためにどういうことが必要かということを私自身は考えていますし、そういうことを皆さんに知っていただきたくて、きょう出てきたわけなんです。
#62
○瀬古委員 どうもありがとうございました。終わります。
#63
○江口委員長 中川智子さん。
#64
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 公述人の皆様方には、きょうはありがとうございました。またそして、冒頭にあのような形で大変不快な思いをされたことを心からおわびしたいと思います。
 と申しますのは、公述人の方に来ていただいて御意見を伺うというのは、その御意見をしっかりと審議の中に生かして、よりみんなが納得した形で、この大変重い法律であります国民年金の問題を議論しよう、そしてまた地方公聴会、今回は中央公聴会ということで、地方の皆さんにもしっかり御意見を伺いたい。今回は、年金の本体だけではなくて年福事業の問題、そして基金の問題、さまざま三法案がかかっております。そちらに対しても、まだまだ議論が始まったばかりです。
 にもかかわらず、あす採決ということを最初の朝の理事会で提案されましたものですから、それに対しては、一切私たち野党は受け入れられないということで、強行的に、きょうの公述人の皆さんの意見を伺うということが、全く意見の一致を見ないうちに始まったということに対して厳重に抗議いたしました。
 いつもは仲よくにこやかに、本当に粛々としている厚生委員会ですが、ここまで怒るということはよっぽどひどい事態なのだということを、ぜひとも心に刻んでいただきたいと思います。
 まず、国広参考人に伺いたいのです。
 女性の年金問題というのは本当にずっと議論されていたはずです。また多くの、国民の半分、天の半分を支えている女性が一人一人の人間として認められる、そのこと自体、やはり年金をみずから受け取れる、離婚とかいろいろな問題があっても、将来に対して不安がなく、一個の人間として生きていられる、そのためにも女性の年金問題というのは、本当に抜本的な改革の中で、ぜひとも審議会の中で今回出していただきたかった。
 議論はされたとおっしゃいますが、なぜ今回このような形で手をつけられずに先送りされたのか、そこのところを詳しくお伺いしたいと思います。
#65
○国広公述人 この件に関しましては、私だけではなくほかの方にも聞いていただきたいと思うのですけれども、議題には上がりました。これはずっと議題に上がっていることですね。ですけれども、十分な意見の一致を見なかった。十分な意見の一致を見ないだけでなく、例えば一番端的な例である三号被保険者問題のことについて言いますと、三号被保険者という当事者の方は審議会の場にはいないわけです。それから、三号被保険者であった経験を持つ女性、女性しかほとんどいないわけですけれども、それも私一人で、あと女性であってもそういう方はいらっしゃらないとかそういうことがありまして、この三号被保険者の問題というのが、これは千二百万人いるわけですから、いかに切実な問題であり大きな問題であるか、そのことが認識されにくいということがあります。
 逆に言えば、三号被保険者を妻に持つような男性たちはたくさんいらっしゃるわけですよね、ここにももしかしたらたくさんいらっしゃるかもしれない。そうすると、三号被保険者の一体何が問題なの、うちの妻はちゃんとやっているし、いいじゃないかというふうに基本的に思われている中で、議論がうまくかみ合わないということがあります。
 それからもう一つは、三号被保険者の問題について言えば、三号に負担してもらおうか、そのままでいいかという基本的な形になるわけですが、三号が負担するということは、現実には三号は二号とセットですから、二号の、つまり、サラリーマンの負担がふえるということになるわけですよね。実際には三号の妻を持つ夫たちは負担増ということで、非常に警戒的になるわけです。
 ですけれども、女性の側からすれば、三号自身の側からいえば、私が三号だった時期というのもかなりあるのですけれども、団塊の世代の場合、特に改正前に任意加入という形で、妻で無職であっても自分の年金が欲しいということで保険料を払っていた時期があります。それが、八五年の改正で、払わなくてもいいよということになったわけなんですね。そういう時代があるのに、払わなくてもいいよとなった、これは何なんだ、この大盤振る舞いは。
 そのことで、実際には、三号であって負担していなくても、夫が負担していると信じている女性もたくさんいるのです。それから男性も、僕は妻の部分を負担しているよと思っている方もたくさんいるのです。ですから、それは事実が違うわけですよね。でも、そのところから議論を始めないと、あるいは認識を持っていただかないとこの議論が始まらないということ、そのことへの認識が私は弱かったと思います。
 それから、二十一世紀に男女共同参画社会にしなきゃというふうに、先ほどどなたかもおっしゃってくださいましたが、男女共同参画社会基本法というのが必要な日本というふうに考えなければいけないわけですよね。もしそうなっていれば、そんな法律は必要ないわけですから。
 それで、男女共同参画というのは、女性も男性も同じように自分の意見を尊重されるということなんですね。ところが、ここの委員会を見てもわかりますように、女性は少ないです。それから、ここには三号の方はいらっしゃらないですよね。公述人にもそういう人は呼ばれない。私は委員会の方で、ここに出ることになって、今まで厚生委員会で女性で公述したことはありますかというふうに聞きましたら、それはいないということでした。
 ですから、そういう事態の中では女性の問題というのはメーンの話題にというか議題になりにくいし、なったとしても、何か簡単にパスされてしまうということは間々あることだと思います。それが私は基本的な問題だと思います。もし女性が審議委員の中に半分いれば、もっと事態は当然違ったと思いますし、ここでも違う。女性の年金、確かに女性は受給者の半分以上を占めているわけだし、すごく重要なのに、なぜそんなに重視されなかったのかということ自体への疑問も、ここでも起きないだろうと思います。その経験をしていらっしゃる方は、それはよくおわかりだと思います。
 そういうのが今の二十世紀の終わりの日本の政治の現状であり、年金問題を論じる場の現状だということを申し上げておきたいと思います。
#66
○中川(智)委員 私も八五年のときに夫が払っているとずっと思っておりました。私もずっと三号でした。自分で会社を起こして初めて年金のことを見たときに愕然とした。
 国広公述人にお伺いして、そして両方に、坂巻参考人、そして、今笹森さんがいなくなったのでちょっとわからなくなった、山崎参考人、私、旧姓山崎と申します、山崎参考人にお伺いしたいのですが、女性のこの三号問題ですね。これに対しての、本当に審議会でも圧倒的に少ない、そして当事者が呼ばれない、そして国会も、衆議院五百人のうち女性は二十五人、五%です。このバランスの悪さの中で、女性の問題をきっちりと男性がわかってくださって一緒にやってくれないと、これはもう本当に議論する場にさえも座れないという状況があります。ぜひとも御両方にも今の同じ質問でお答えをいただきたいと思います。
#67
○坂巻公述人 三号の問題というのはとても大きな問題でございまして、これはただ単に家庭の主婦から保険料を取ればいいとか取らなければいいという問題ではないのですね。要するに、社会保障というのを個人単位で見るのか、世帯単位で見るのかという根本問題にかかわってくるわけです。
 例えば、三号も普通のお父さんと同じように保険料を払って個人として年金に入るというシステム、それは考えられますけれども、御存じのように医療保険というのは扶養家族という形で奥さんを見ておりますね。医療保険の保険料は、奥さんの分とか子供の分は全部お父さんが一括して医療保険として払っているわけです。そうすると、同じ社会保障の制度の中で、年金は個人にしよう、個人単位で払え、そのかわり医療は家族だという形になりますと、同じ制度の中で、社会保障という一つの中で、個人単位と世帯単位が混在してまいります。まさに根本にかかわる問題だというふうに私は理解しているのですね。
 私は個人的には個人単位でいくべきだと思いますけれども、個人単位を突き詰めていくと、日本の家族の問題だとか家族のあり方の問題まで広がってまいります。ですから、そう簡単に女性の三号を、年金審議会の三年の議論の中で結論を出すということは非常に難しかった。
 したがって、これは特別な委員会をつくって、むしろ女性にたくさん入っていただいて、もちろん男性も入らせてもらいますけれども、女性自身がリーダーシップをとった議論の中で考えていただきたいというのが年金審議会の結論だったわけでございます。
 ですから、責任を女性に負わせるわけではございません。私は、女性も自立をすべきだと思っておりますし、個人単位と思っておりますけれども、では医療保険はどうするのかとか、あるいは、それを突き詰めていけば、家族のきずなをどう考えるのかとか、いろいろなところに広がってまいりますから、事はそう簡単なテーマではないということを私自身は思っております。
 ということで、私の話を終わらせていただきます。
#68
○山崎公述人 坂巻先生がお話しになりましたように、保険料を払わせるかどうかというよりも、女性に働いてもらわなければいけない、あるいは、働く意欲をお持ちの女性が、いろいろな税金や社会保険のことを考えると、ついつい就業調整してしまう、これが問題だと思うのですね。
 ですから、形式的な公平論からいうと、場合によれば今の三号被保険者の制度はいい制度かもわからないのですが、将来に向かって、女性にもっともっと働いていただく、そういう社会をつくるという観点からすると、やはり問題があるということでございます。つまり、家庭にとどまっている方が年金も医療も税金も有利だ、こういうことでございます。それは見直さなければいけないのではないかなと思います。
 それからもう一点は、今意見の不一致はありますが、将来的には個人単位化の方向に向かう趨勢にあるということは確かだろうと思います。その一例が実は介護保険の第一号被保険者の扱いでございまして、この一号被保険者の世界では、健康保険や年金に見られるような、夫の被扶養者であるとか息子の被扶養者であるという扱いは全くないのでございます。第一号被保険者は、夫、妻それぞれ個人単位で応分の負担をしていただくという仕組みでございますから、そういう意味で、介護保険というのは新しい時代の潮流にこたえる大きなステップになっているものと私は思います。
#69
○中川(智)委員 結局、高給サラリーマンの妻になるのが一番得よねみたいな感じで、今のままでいって、女性の労働市場、雇用条件、税の壁、そういうさまざまな制度が一歩も前に進まないということがあります。いろいろな議論は年金審議会でもし尽くされたとおっしゃいましたが、では、なぜ抜本改革が出てこなかったのか、その議論は何のためにあったのかということで、それはまたこの委員会でも同じことが言えると思います。
 ともかく、しっかりとこの問題をこれからも審議するために現場で頑張ります。きょうはありがとうございました。
#70
○江口委員長 笹木竜三君。
#71
○笹木委員 笹木竜三です。
 質問をさせていただきます。
 先ほど他の委員の意見の中でちょっと出ていた年福事業団のことと、年金の基金の運用についてお話しいただきたいわけです。
 報道されていますように、年金福祉事業団、二十五兆円を自主運用していて、一兆二千億円を赤字、穴をあけている。今度それを、さらに百四十兆円を言ってみれば自主運用する、公的年金のほとんどを運用することになる。
 これについてなんですけれども、昨日もあるいは先週も、私も他の委員もいろいろ意見を言っているわけですけれども、我々から見ても非常に不安だ。今、日本の民間でも、この資産の運用ということは、他の国を見習いながら、さらにその技術を高めていこうと一生懸命努力をしているわけですけれども、日本の政府は最もおくれている。資産の評価がえさえも、破綻していると言われている部門でも、二十三年間一回もしていない。あるいは、金融資産についても、その運用の実態さえも部門によっては全く明らかにならない。こういうところが二十五兆円からさらに百四十兆円も責任を持って運用するということ、このことを公述人の皆さんは非常にいいことだと感じておられるのか、安心できるのかどうか、その点について、まず感想をお聞きしたいと思います。
#72
○坂巻公述人 年金の運用でございますけれども、確かに、余り利殖にたけていない厚生省のお役人がそういうのをうまく運用できるかどうかというのは非常に疑問に思っておりますし、あるいは年金福祉事業団がそれで赤字を出す、これもまた許せないことだろうと思います。
 したがって、私は、年金福祉事業団の解散は賛成でございますし、当然、赤字を出した責任をとってもらいたいというふうに思っております。高い給料をもらいながら天下りして、赤字を出しましてやめましたでは済まないだろうというふうに私は思っておりまして、普通でしたら、株主訴訟などを起こしてもいいくらいの感じを持っているわけです。
 しかしながら、それでは今の運用を財投に任せていいのかということになってまいりますと、私はいいと思っておりません。財投でそういう資金がどこに使われるかといえば、どうしても道路をつくったりという形になってまいります。いわゆる建設型の投資という形にほとんどが使われてきております。やはり年金の原資は国民の生活を豊かにするために使っていただきたい。道路が、間接的に豊かになると言えば言えますけれども、もっと直接的な、例えば子供の教育費であるとか住宅、老人ホームの建設、そういった国民の生活を豊かにするために財投を使っていただければ私はそれでいいと思いますけれども、今、大蔵省にそれを預けてということになれば、どうしても建設型の財投にならざるを得ない。その意味では、それを自主運用することによって、少なくとも国民生活に向けた運用ができるのではないかというふうに私は期待をしております。
 したがって、今回の資金の運用を厚生省サイドに持ってくるということについては、もちろん運用の仕方に厳しい情報公開とチェックをする必要は十分にありますが、私は、いいことだろうというふうに思っております。
#73
○笹木委員 他のお二人の方にさらにつけ加えて、今の御意見もあったわけですけれども、年福事業団、過去の失敗が資金運用部からの借り入れの逆ざやの問題だけだったのかどうか、その一点が原因だったのか、私はそうは思いませんけれども、その点。
 もう一点は、年福事業団の過去の運用については、厚生省の方とか大臣は、例えば注意義務違反に反するものじゃないという判断をされています。ということは、過去の年福事業団のような運用を今後百四十兆円についてやっても、注意義務違反にはならないということになります。これで安心ができるのかどうか。責任の問題とあわせて、一言ずつで結構です、お答えいただきたいと思います。
#74
○国広公述人 情報公開をして、しっかりした運用をすれば責任問題は生じないかといえば、責任問題はあり得ます。この責任を一体どういう形でとるかということについては、私も疑問に思っています。
 一体どういう形で責任がとれるのかということです。国民に対してその責任をとるということは、大臣にしてもできないだろう。では、どうすればいいのか。私も、財投ですることがいいとは思わないわけですね。ではどうすればいいかというときに、アイデアが専門家からも出てこないのが現状だと思うのです。だからこそ、政治の場でその不安を、私も含めて国民は不安です、ですから、十分論議して、もしうまくいかなかった場合はどういう責任のとり方があるのかをしっかり論じていただきたいと思います。
#75
○山崎公述人 年金資金は加入者のお金でございますから、加入者の十分な意向を反映し、かつ専門家の意見を聞き、適切な運用をされるように願っております。
 そういう意味で、加入者のお金ということは、保険者が基本的に責任を持って運用するのが筋だというふうに考えております。
#76
○笹木委員 どうもありがとうございます。
 時間がなくなったので終わりますけれども、この運用の問題ですとか、先ほどお話があった医療、年金、介護を総合的に考える、あるいは限られた財をどうやってもっと経営的に計画していくか、その前提が議論されていない面が今回の法案にはかなりあると感じています。我々もしっかり議論していきたいと思っています。
 きょうはありがとうございました。
#77
○江口委員長 これにて午前の公述人に対する質疑は終了いたしました。
 公述人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時三十分から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十四分開議
#78
○江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、御出席の公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案に対する御意見を拝聴し、各案審査の参考にいたしたいと存じますので、忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。
 御意見は、竹中公述人、金公述人、福岡公述人、鈴木公述人の順に、お一人十分程度でお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えいただきたいと存じます。
 念のため申し上げますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、公述人は委員に対しまして質疑を行うことはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず竹中公述人にお願いいたします。
#79
○竹中公述人 御紹介をいただきました竹中平蔵です。きょうこういう機会を与えていただきましたこと、まず感謝申し上げます。
 時間が限られておりますので、ポイントだけ手短に申し上げたいと思うんですけれども、私は経済学者でありますので、世界が今どうなっているか、その中で日本がどうなっているか、その中での個人の生活、年金がどうあるべきかというふうに、大きいところから考えるくせがついているんですけれども、東西冷戦が終わってから、やはり世界の経済が全く変わってしまったという点は大変重要かと思います。
 東西冷戦の時代には、この地球上で市場経済、マーケットの中に生きている人間というのは大体二十七億人ぐらいしかいなかったと思いますが、今それが六十億近くになってしまった。物すごい市場圧力、その競争から我々はもう逃れられないところに生きている。かつ、その中で、日本は高齢化社会を間違いなく迎えているということなわけです。
 そうすると、我々はいや応なしに競争しなければいけない社会に住んでいる。だれでもしんどいわけでありますけれども、競争しなければいけない。競争社会であるからこそセーフティーネット、個人の安全のよりどころというのは大変重要になってくる。その中核に、言うまでもなくこの年金の問題が位置づけられているわけです。
 ところが、今の年金はどうなのか。私の学生に何人かに聞いてみたことがあります。君たち、年金払っているかと聞きますと、かなりの割合の人が払っていないわけです。どうして払わないんだと聞きましたら、答えは簡単であります。もらえるかもらえないかわからないようなものをどうして払えますか。
 何を申し上げたいか。今の制度は、よく経済学者が使う言葉ですけれども、持続可能か、サステーナブルかどうか。今の制度は、明らかにサステーナブルではないというふうに国民の多くが思っているというポイントがあると思います。
 ちょっとこれは原則論からぜひ議論させていただきたいのですけれども、では一体そもそも年金というのは何だろうかということになります。これは、もちろんハンディキャップを負った方々の議論というのは別途しなきゃいけないわけでありますけれども、そうじゃない、健常者といいますか、普通に頑張れる人間の話だと思って聞いていただきたいのでありますけれども、年金というのは何だろうか。
 我々は、自分であくまでも生きていかなければいけない。老後も自分で支えるというのが原則です。しかし、人間、いつ死ぬかわからない。いつ死ぬかどうかということのコントロールは人間ができないわけです。だから、死んだら困るからということで我々は生命保険に入ります。しかし同時に、我々は予想に反して長く生きてしまう可能性もある。死ぬリスクをカバーするのが生命保険であるのに対して、生きるリスクを担保するのが実は年金であるというのが基本的な議論の出発点であろうかと私は思います。それ以外、やはり自分で支えるんだというのが議論の出発点でなければいけないのではないか。その生きるリスクを担保するための制度が年金である。
 現状、どうなっているかといいますと、これは言うまでもありませんけれども、実態的にはこれは賦課方式と言われる方式になっている。若い世代がお金を出して、それが高齢者の方に回って、世代間での移転が行われているという仕組みになってしまっています。今のような仕組みだと、基本的には二つの大きなリスクを抱えているというふうに経済学者の目からは考えられる。
 二つのリスクというのは何か。
 まず第一は、市場変動のリスクです。プールしたお金をマーケットで運用して、その市場が変動するから、間違いなくマーケットの変動リスクというのはもう避けられない形で我々は負っています。
 もう一つは、人口変動のリスクというのを負っている。つまり、若い人からお金を取ってお年寄りに回すということをやるならば、人口のバランスが変わったらこのシステムそのものがリスクにさらされるということになります。言うまでもなく、高齢化というのは、この人口変動のリスクを決定的に大きなものにしてしまっている。だから、事態はいわゆるサステーナブルではなくなっているということになります。
 では、この問題を解決するにはどうしたらいいだろうか。実は、理論的な答えというのはもう私は完全に決着を見ていると思います。これ以外の解決策はないというところは明らかです。それは、今の賦課方式を積立方式に戻すしかないということです。積立方式に戻したならば、理論上、この人口変動のリスクはゼロにすることができます。長期的には、やはりその方向を目指していくしかないということになるのではないでしょうか。
 しかしながら、その賦課方式を積立方式に戻すに当たっては、理論的に二つの問題点が出てきます。
 まず第一の問題点は、今現実に賦課方式でもらっている人をどうするのか。きょうこれから積立方式でやりますということになると、積み立てていない人はもらえないということになってしまいます。
 もう一つは、ある特定の世代に二重払いが生じるという問題が出てきます。きのうまでは賦課方式で、あなたは、若い人はお年寄りの分を払いなさいというふうに言われていた、ところが、きょうから積立方式になったので、今度は自分の分を積み立てなさいというふうに言われたら、これは、特定の世代に二重負担が生じてしまいます。これをどのように解消するかというのが、実は制度改革の根幹ではないかと思います。
 私は、もう既にこの制度が賦課方式として出発している以上、最低限の部分は賦課方式として続けざるを得ないと思います。最低限の部分、いわゆる一階部分を賦課方式で続けなきゃいけないということになるならば、これはもう税でやるべきではないだろうかというのが基本的な考え方ではないでしょうか。
 一方で、個人のニーズというのは非常に多様化しているわけですから、それ以外の分、一階部分、基礎的な部分以外については、それは個人の責任において積立方式でやりなさい、そういうふうに実は制度変革を長期的に持っていかざるを得ない、それ以外に長期的な解決の姿というのは出てこないのではないかと私は思います。
 したがって、今の制度をサステーナブルにするためには、繰り返して言いますけれども、最低限としては一階部分を賦課方式として続ける。しかし、賦課方式であるならば、これはもう保険ではなくて税でやるというのが長期的な解決策だ。
 申し上げたいことは次のようなことです。
 我々の年金制度の改革というのは、かなり長期を見据えた大がかりなものとして取り組まなければいけない。これは皆さんにとってはもう釈迦に説法かもしれませんけれども、実は、そのためにはかなり時間がかかる。その時間がかかるための仕組みの検討を、かなりの国民的な議論として積み上げていかなければいけない。
 しかし、これ以上時間がかかるということに関しては、実質的に多くの人がサステーナブルではないと思っている今の制度がこれ以上悪くならないような暫定措定はとっておかなければいけない。実は、皆さんが御審議しておられる今回の改革案というのは、まさに、今申し上げたような趣旨からいくと、支持できるものではないかというふうに思います。
 平成十六年をめどにして根本的な見直しを行う、そのときに財源の問題も含めて考える、しかし同時に、今の時点で、財源が、この財政がこれ以上悪化しないような歯どめ措置は講じておく。そのためには、一部国民が苦しい思いをしてでもやはり給付水準を適正化して、しかし、今の消費の落ち込みということを考えると、可処分所得がこれ以上減らないようにという意味で保険費負担の引き上げは少し待ったをかける、これはベストの解決とはとても思えませんけれども、長期の制度改革に取り組むための暫定措置であるというふうな位置づけで、ことし、少なくとも今の時点での改革に我々は取り組むべきなのではないかと思います。
 重要な点は、日本の政府が、国会が、国民に対して、この実質的に行き詰まった保険をサステーナブルに戻すという強い意思と計画を持っているというメッセージを送ることではないかと思います。
 考えてみますと、バブルが崩壊してからの日本経済というのは、国民に非常に大きな不安感が広がってきました。この不安が広がったというのが一つのキーワードであります。この不安の根底に実は年金の問題というのが一つあったと思うんですけれども、しかし、この不安を解消するために政府は、頑張ってかなり多くの政策をとってきたわけです。
 しかし、この不安を解消するために、政府が、国民に対して、消費者に対して、ある意味で非常に親切過ぎる政府をつくってしまって、リスクを丸抱えしているというふうにも実は映るわけです。
 これは今回の年金とはそれますけれども、実は、日本が去年からことしにかけて行った政策というのは、ある意味で、信用保証協会のその枠の増強というのが典型ですけれども、マーケットにある信用リスクを全部政府が丸抱えして取り込んで、緊急事態としてこれをしのいでいるという状況にあります。
 そうした中で何が出てきたかといいますと、不安感のほかに、実は、将来に対する非常に大きな国民の負担感というのが出てきたのではないかと思います。
 今は緊急事態で、ある程度政府が力を発揮するのはやむを得ないけれども、その先にあるのは財政の赤字、これは、一般会計の赤字ないしは年金財政の赤字。それは結局のところ、子供たちを含めた我々の方、国民の負担に頼らざるを得ないわけですから、不安感が負担感に変わりつつある。この不安感と負担感のバランスをいかにとるかというのが、ここ数年間の日本経済の政策のかじ取りの大変重要なポイントではないかと私は思います。
 今民間の市場は物すごい勢いで変化をしています。ことしに入ってからの銀行のメガマージャー、一部大企業のリストラ等々、やはりマーケットは待ったなしで動き出している。それに比べると、残念ながら、政策的な枠組みのつくり方、社会的な枠組みの設定ということにおいてはその変化が非常におくれていて、民間のリストラが進めば進むほど政策のおくれが目立ってきているというような状況が続いている。
 その意味では、今回の年金の改革というのは大変重要でありますし、その方向性としては、とにかくサステーナブルな事態に戻すというような意思を国民及びマーケットに示すということが必要なのではないでしょうか。長期の制度改革を見据えた、当面の負担をこれ以上ふやさないような措置という意味での改革を支持させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
#80
○江口委員長 ありがとうございました。
 次に、金公述人にお願いをいたします。
#81
○金公述人 きょうは、貴重な時間をいただき、大変ありがとうございます。私の方のテーマとしては、無年金障害者の問題について発言をさせていただけるということでございます。
 私、障害当事者団体の権利擁護の仕事を担当しておるのですが、さまざまな障害を持つ当事者の方からいろいろな相談が寄せられます。その中で最近特に感じられることは、精神障害を持つ方から相談が来る中で、年金問題にかかわることがやはり多くあることを感じます。例えば、年金の運用の問題も確かにありますけれども、無年金問題にかかわることが最近非常に多くあるなということを感じておるわけです。
 どういうことかといいますと、例えば、職場に勤めていて、精神的な病気が進行して職場に勤められなくなった。本来でいえば障害厚生年金の対象者であるはずなんですが、そういうこともなかなか申請ができなくて、退職をして、次にどうするかというようなときに、病気が進行してそれどころではなかったというようなことで、いつの間にか無年金状態になってしまった、一体どうすればいいんだろうというような相談が寄せられることがあります。
 そういったことも含めまして、無年金障害者の問題というのはさまざまなケースで生じております。
 この問題は、私たち障害者団体の長年の懸案で、幾たびもこの問題の解決に向けて取り組みを重ねてきております。
 御存じのように、前回の改正時も、国会の附帯決議で、無年金障害者の救済については、福祉的な措置も含めて速やかに検討することとありました。残念ながら、その後、これといった具体的な検討が進んでいないということを、私たち、私自身も外国籍の無年金障害者の一人でありますが、非常に残念に思っております。
 きょうは、改めて、皆様にこの無年金障害者の問題をしっかりと御議論いただきたいという思いで発言をさせていただきます。
 無年金障害者の問題には、主な事例が幾つかあるかと思います。全体的な総数としては、はっきりとした実数は本格的な調査がされていませんので、つかんでおらないのが実情だと思いますが、全国的におおむね八万人から十万人ぐらいの無年金障害者が存在するのではないかということは言われているようです。
 主な事例について言いますと、まずは、学生無年金の問題があります。
 これは、もう御存じのように、任意加入の時代が長くありました。任意加入のときに未加入で、その間に病気とか事故に遭って障害を受けた方、そういった方がいまだに学生時の無年金問題としてずっと残っているわけですね。この問題というのは、私たちは、任意加入だから本人が入ろうと思えば入れたじゃないかということで簡単に済まされる問題では決してないと思います。あくまでも実情がどうであったのかということから私たちは見ていかなければいけないというふうに思っております。
 それは、例えば任意加入時に、学生の場合の加入率というのはわずか一・二%でしかなかったということがあります。これは周知徹底がなされていなかったということもありますとともに、そういう学生においては、収入が非常に不安定であって、保険料を納めていくことがなかなかできないということが状況としてあっただろうと思います。
 もう一つの事情としては、これはだれだってそうだと思いますが、学生、二十歳になってからあと二、三年たてば、大体が就職をして、勤めて厚生年金に入るわけですから、一年、二年の間に重い事故だとか病気に遭うなんということはだれも考えもしないわけですね。その時期に障害、病気に遭ったために障害者になった、それで未加入であったことによって年金が出ないということは、問題としては非常に深刻な問題であり、早急に改善されるべきであろうと思います。
 次に、任意加入時のサラリーマンの主婦の無年金問題も続けてあります。
 サラリーマンの専業主婦の場合、保険料の納付そのものが経済的には負担であるということが背景に当然あるかと思います。今では保険料納付は免除されて強制加入になっておりますけれども、今後、例えば夫が転職をしていくときに、主婦の方が役所にきちんと届け出をしなかった場合に、何かの事情でうっかりして届けをしなかった間に病気だとか事故に遭って障害を受けた場合、やはり無年金になってしまうという問題がこれからも残っております。
 続きまして、海外の長期滞在中に病気、事故に遭って障害になった方。
 この方の場合は、国民年金制度においては居住要件というものがございますから、国内居住ということでない海外滞在中の病気とか事故においては、そのときに障害を持った場合には無年金になってしまいます。
 最後に、このレジュメの中では、国籍条項による外国人障害者の無年金問題というふうなことで挙げております。
 私自身がその当事者であります。私は、二十歳になったら、当時はまだ障害福祉年金といっておりましたけれども、当然日本人の同じ仲間たち、同じ障害者と同じように、二十前の障害であれば福祉年金が受けられるだろうと思っておったのですが、国籍条項が当時はありましたから、受けられません。
 そして、一九八一年に国籍条項が廃止されて、そのときに私としては、やっと年金が受けられるようになった、当時まだ定収入、定職を持っていませんでしたので、そういった意味では非常に期待を寄せて役所の方に出向きましたところ、改正時点で私は二十六歳であったのですが、二十を過ぎていた外国人の障害者は、経過措置がとられなかったために、年金は出ませんという扱いだったわけです。
 私たちとしては、全国各地にも私たちと同じ仲間がおりますけれども、二十歳になって、国籍条項があって年金が出なかった、そして国籍条項が廃止されて、やっと年金が出ると思って期待をしたところ、二十を過ぎているということだけで今度はまた年金が出ない、ある意味ではダブルパンチのような思いがしまして、当時非常に気持ちの上で打ちひしがれたといいますか、将来の不安を含めて非常に精神的に落ち込んだことを今でもよく覚えております。
 この問題については、基本的に外国人の障害者も、世代を通じて日本社会に定住しておりますので、生活状況としては日本人の無年金障害者の方と全く同じであります。
 そういった問題について、私たちは、各地の無年金の外国人障害者の人たちと連絡をとりながら、取り組みを進めてまいりました。そして、各自治体でも、外国人障害者の無年金問題を契機に、重度の心身障害者、日本人の無年金者の方も含めてですが、そういった方たちを対象に特別給付金の実施をする自治体がふえてきております。
 現在時点で、百九十自治体に上っておりますが、この特別給付金の実施というものは、あくまでも国の制度が改善されるまでの間の措置として、無年金状態によって生活が困窮している当事者の生活を支援するためという趣旨から特別給付金の実施がなされておるわけであります。自治体においても財政難は当然あるわけでして、やはり早急に国の制度の改善、無年金障害者の救済に向けた取り組みが急がれるのではないかというふうに強く思っております。
 この無年金問題についてはそのほかにもさまざまなケースがありますが、ここでは主な事例を挙げさせてもらいました。
 ただ、私自身も今無年金ではありますが、年金制度に加入をして保険料を納めることはできるわけです。ただ、実際問題、毎月、月額一万三千円ぐらいの保険料を納めなきゃいけないというふうになりますと、どうしてもやはり経済的な負担が非常に強くあります。そういった意味では、ついつい滞納になってしまう。そういった実情が常について回るものですから、保険料納付ということが非常に負担になってしまって、三分の一以上の滞納期間を持った中で、病気とか障害になった場合の障害無年金問題というのは現在もありますし、また、今後も絶えずそういった無年金障害者を生み出していくということは、何ら状況としては変わっていないというふうに思わざるを得ないところでございます。
 この無年金障害者の問題については幾つかの考え方があるかと思いますが、非常によく聞かれることとしては、無年金状態で、年金が出なくて生活がそんなに大変であれば、生活保護の申請をすればいいではないかという意見も根強くあることは、私たちも承知しているところであります。
 ただ、この生活保護を受ければ、では無年金問題は解決されるのかということでありますが、私たちは決してそうは思っておりません。あくまでも障害者の自立において無年金問題をどう考えるのかということであると思います。
 生活保護といった場合には、まず二つの側面から考えておく必要があると思っております。
 それはどういうことかといいますと、第一点目には、在宅の障害者の多くは、やはりまだまだ家族と同居しながら生活をしているという実情であります。ですから、扶養家族の中に組み込まれて、家族が世帯主になって生活保護を受けたことで無年金状態が解消されるかといえば、決してそういうふうにはなりません。自立といった観点から見ても、全く無縁の状態で生活保護を受けるということになるわけです。そういったことが一つあります。
 もう一つの側面、これが一番大事なことだと私たちは思っておりますけれども、現在、障害者雇用がまだまだ大変立ちおくれている中で、いわゆる常用労働者ということで、仕事をしながら安定した生活収入を得ている障害者の数というのは、全国でもまだ四十二、三万人ぐらいです。二十を過ぎた青年障害者の割合でいいますと、その割合というものはわずか八%ぐらいにしかなりません。圧倒的多数は、在宅生活の中でも安定した収入が得られない中で、自営業をやったりだとか家の手伝いをやったりだとか、臨時雇いであったりだとか、そういった非常に不安定な状態で生活をしている、または働きたくても働けない状態にあります。
 そういった方たちが家族から離れて自立生活をしていこうと思っても、やはり親から離れるということは非常に大きな自己決定と権利意識というものが必要になってくると思います。
 そういったときに、自己決定と権利意識を持つためには、やはりさまざまな社会的な経験が必要でございます。社会的な経験をするためには、言うまでもなく、そのための最低必要な経費というものがかかります。そのためにも、やはり年金を支給されて、年金を使いながら自己決定と権利意識を持つためのさまざまな社会的な経験を積み重ねていく、そのことによって、将来、家族から離れて、自分自身の自立生活を営んでいくための出発点になるわけですが、その時点で必要な経費として年金の支給ということはどうしても欠かすことができません。そういった観点から、改めて無年金問題の解消に向けてぜひ御検討していただきたいと思います。
 私は、公的年金制度、特に国民年金制度において、二十前の重度の障害者に対しては福祉的な措置で障害基礎年金が支給されていること、もう一つは、一九八六年四月に基礎年金の導入に伴う無拠出の障害年金が大幅に引き上げられたこと、そのときの理念、考え方をもう一度しっかりと認識していただいて、改めてこの無年金障害者の問題の改善、解消に向けてぜひ積極的に御検討いただいて取り組んでいただきたいと思います。
 時間が若干延びましたが、そういうことで私の発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
#82
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、福岡公述人にお願いをいたします。
#83
○福岡公述人 御指名をいただきました日経連の福岡でございます。
 今回の年金改正法案について、基本的には賛成の立場から御意見を申し述べます。
 今、公的年金制度の見直しを行うに当たりまして、私たちが念頭に置かなければならない最も重要なことは、制度を支える社会経済環境が大きく変化しているということだと思います。
 我が国の年金制度が、今日諸外国に比して遜色のない制度となってきておりますのは、かつての高度成長とピラミッド型人口構成、つまり小さな三角形を大きな台形で支えてきたからであります。小さな三角形は受給側でありますし、大きな台形は負担側でございます。
 ところが、今日、少子・高齢化の急速な進行によりまして、人口構成が著しく変化しまして、円筒型、さらには逆ピラミッド型に近づくことが予測されておりまして、現行の給付水準のままでは現役世代が到底負担し切れないことは、だれの目にも明らかであります。今回の改正で、この人口構成の急激な変化にどのように対応するかが極めて重要な課題になっていると考えます。
 また一方で、我が国の経済は、バブル経済崩壊後の低迷からいまだに抜け出せない状況にありまして、現在は財政出動が主力でありまして、自力回復にはもう少し時間を待たなければなりません。
 そして、問題なのは、経済が正常に戻ったとしましても、それは従来の高度経済成長ではなくて、成熟経済へと経済体質が変化しているということであります。このように経済体質がはっきり変わったということを十分認識する必要があると思います。
 さらに、厳しい国際競争にさらされている企業にとって、また国民の立場においても、これ以上の社会保障負担の増大には耐えられない状況になっております。
 日経連は、かねて経済社会の活力を維持するために、国民負担率を五〇%ないし四五%以下に抑制し、自助、共助、公助のバランスある中福祉・中負担の実現を求めてまいりました。そして、公的年金については、現行の年金給付水準を維持したままでは、将来の保険料率が現在の二倍にも達するため、年金以外の税、社会保障負担を考慮しますと、月収の二〇%を超える年金保険料負担は到底耐えられない、給付水準の見直しは避けて通れないと主張してまいりました。
 日経連では、公的年金の改革に関し、昨年九月に提言を行いました。その中で、一階を全額税方式とし、現行保険料部分を目的間接税財源とすること、二階を積立方式に転換することなどを提言いたしました。さらに、企業年金に関しましても、昨年五月に提言を取りまとめ、その中で、企業年金の抜本改革、税制の中立性の確保、確定拠出型年金の創設などを主張してまいりました。
 そして、年金制度を支える幾つかの重要な基盤が大きな転換期を迎えている現在、この改革を進め、将来の現役世代に過重な負担を課さないよう、負担と給付のバランスを図り、年金制度を長期にわたって維持、安定させるために、早急に抜本的に年金制度を見直すことが我々にとって重要な問題であると認識しております。
 以下、今回の年金改正法案における主な点について意見を述べたいと思います。
 まず、厚生年金の報酬比例部分の五%適正化についてでございます。
 日経連は、さきに申し述べましたように、厚生年金の保険料負担を月収の二〇%以下にとどめるということを目指しておりまして、それを達成するためには、給付の水準を、二十年から三十年かけて中長期的に二割から三割程度削減する必要があると考えております。改正法案における五%適正化に踏み出すことは、このような方向に沿ったものと考えております。
 次に、スライドについてでございますが、改正法案では、基礎年金、厚生年金の額について、六十五歳以降は物価スライドにとどめるとしております。この措置は、現役世代と受給世代の負担と給付のバランスをとるための措置であり、やむを得ないものであると考えております。
 第三は、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げについてであります。
 改正法案では、今直ちにではなく、十四年後の平成二十五年度から、女性はさらにその五年後の平成三十年度から、報酬比例部分の支給開始年齢を段階的に六十五歳に引き上げることとしております。現行制度での世代間の負担と給付のアンバランスの是正、今後も少子化が続き、また平均寿命がさらに延びる見込みがあることなどの観点から、このような措置が必要だと考えます。
 第四に、六十歳代後半の在職老齢年金制度の導入についてでございますが、賃金や報酬の高い人に年金が満額支給されることについて、現役世代の理解が得にくいということであれば、やむを得ない措置と考えます。
 このように、日経連としては、今回の改正法案の重要な改正点について基本的に賛成でありますが、幾つかの問題点もあると考えておりまして、その点について述べさせていただきます。
 まず、国民年金についての半額免除制度の導入と学生に対する保険料納付特例の創設でございます。
 この措置は、現行の費用負担体系のもとでは一歩前進なのかもしれませんが、これによって国民年金の空洞化問題の抜本的な解決策になるとは思えません。私どもが主張するように、やはり現在の一階について全額税方式にするのでなければ、根本的な解決にはならないのではないかと思います。
 また、私どもが申し上げている案を実行すれば、働く女性の立場から指摘されております専業主婦の問題も解決いたします。
 次に、育児休業期間中の厚生年金保険料の事業主負担の免除についてであります。これについては、かねて我々が是正を求めていた内容の改正でございます。
 ところで、改正法案では、平成十五年度から総報酬制を導入するとしておりますが、これについては日経連は反対の立場にあります。
 一つは、賞与は安定した財源とは言えないということ、第二は、総報酬制を導入しますと、負担と給付の格差が拡大するということ、三つ目には、総報酬制は退職金を廃止して賞与に上乗せした企業に重い負担を課することになるなどの問題点があるからでございます。
 次に、厚生年金基金など企業年金関係について述べさせていただきます。
 今、企業年金を取り巻く環境は大きく変わっておりまして、運用低迷による利差損の発生や年金資産の下落による含み損の発生などによりまして、巨額の積み立て不足に悩む企業が多くなっております。また、来年四月から、新たに退職給付についての会計基準が導入されます。このため、特に厚生年金基金制度を実施している企業にとりましては、新会計基準では代行部分の積み立て不足まで企業の積み立て不足として認識されることになるため、極めて深刻な問題となっております。
 日経連は、厚生年金基金の代行部分を国へ返上できる仕組みを創設することを昨年来求めているところでございます。ぜひ二〇〇一年三月期決算までに実現してほしいと考えております。
 また、現在、政府・与党において検討なさっております確定拠出型年金については、この十二月の税制改正の方針に入れていただき、明年の通常国会での早期成立を期していただきたいと存じます。
 ところで、今回の法案では、厚生年金基金についての改正も予定されておりますが、特に、上場株式の現物拠出については、ぜひ早期に実現していただきたいと考えます。これの実施は、公布の日から三カ月以内の政令で定める日からとなっていますが、速やかに実施できるようお願い申し上げます。
 最後に、今後の課題について申し上げます。
 今回の改正法案では、一階の財源の税方式への転換だとか二階の積立方式への移行といった基本的な問題の解決が示されておりません。また、改正法案では、一階の国庫負担割合について、平成十六年までの間に二分の一へ引き上げるということになっておりますが、その財源が明確ではありません。
 今回の改正法案をこの臨時国会において速やかに成立させていただいた上で、今申し上げた一階の国庫負担を二分の一に引き上げる問題、さらに、できるだけ早い段階で、一階を全額税方式へ転換させるとともに、二階を積立方式に切りかえていくなどの抜本策に具体的に取り組んでいただきたいと存じます。
 あわせて、来年の通常国会で確定拠出型年金法案(仮称)を成立させていただき、さらに、二〇〇一年三月までに厚生年金基金の代行部分の返上などが可能となる手だてを講じていただくようお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#84
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、鈴木公述人にお願いをいたします。
#85
○鈴木公述人 御指名いただきました全労連の鈴木です。
 政府が今国会に提出をしました年金改正案、これは、過去三次にわたる系統的、連続的な国庫負担の圧縮など、労働者と国民の立場を無視した年金大改悪の総仕上げとも言うべきものであり、年金制度での国の責任を、労働者、国民の自己責任に置きかえるという性格を持っていると思います。国民の命運を決する重大な問題であります。
 私、きょうはあちらで午前中の討論をお聞きいたしましたけれども、連合の笹森事務局長が年金審議会での審議の経過も踏まえて退席をされたように、もし、労働者、労働組合の意見が、単に聞きおくだけということで、審議軽視の採決だけが先行する、そういうふうな事態になるならば、これはゆゆしい問題であるというふうに思います。ぜひとも民主的な、国民の声を聞く審議をお願いしたいというふうに思います。
 私は、全労連を代表させていただきまして、この年金改悪案に反対する立場から、以下、四点にわたって意見を述べさせていただきたいと思います。
 第一は、支給開始年齢の繰り延べ中止を求める意見であります。
 政府案に言う年金支給開始年齢の六十五歳への繰り延べ、これは職場における定年制の実態を見誤っており、何の根拠も道理もないものではないか、こういうふうに思います。
 今、労働者と国民は、長引く不況と異常なリストラ、人減らし、合理化、こういうもとで、失業率の劇的な上昇と失業期間の長期化、不安定雇用の急激な増加にさらされております。この間の消費税増税と医療、年金、福祉の連続的な改悪に加えまして、来年の春には、介護保険の保険料がことしの春の賃上げ分をすべて吹き飛ばしてしまおうとしています。
 そのもとで、労働省の雇用管理調査が明らかにしていますように、大企業の四〇%が早期退職優遇制度というものを持ち、定年年齢前の退職者が四四%に及んでいます。
 きょうは資料を三つほどお配りしておりますけれども、資料の三のところにこのあたりの事情を読み取っていただける資料を用意いたしています。
 今日の最悪の雇用情勢は、全国各地で、多くの労働者を定年前に職場から締め出して、そして定年制を急激に形骸化、崩壊させています。九八年の有効求人倍率は、全年齢でも〇・四九に落ち込みましたけれども、六十歳から六十四歳の層では何と〇・〇六、つまり十六、七人に一人しか仕事がない、こういう状況であります。
 全労連と国民春闘共闘が、この間、各地の職安の前で、働きたい皆さんのアンケートというものを実施してまいりました。その資料は、資料の一と二ということでお渡ししてありますのでごらんいただきたいと思います。
 札幌で集約した千八十人分と東京で集約いたしました千六百八人分の求職者の実態を申し上げますけれども、会社都合で解雇された人が、札幌では四八・四%、東京では四四・六%であります。五十代と六十代で仕事を失った人たちが、札幌で四三%、東京では五三%に及んでいます。そして重大なことは、定年まで勤め上げて、そして今職を探しているという、定年退職できた人は何と札幌では七・二%、東京でも一六・二%にすぎません。
 お配りした資料の中には、アンケートに答えられた多くの切実な声が載せられていますので、ぜひともお目通しをいただきたいというふうに思います。
 こうして、支給開始年齢の繰り延べは、定年前の退職と就職難にさらされている中高年労働者に、はかり知れない不安と深刻な打撃を与えています。さらに、三十代の若い労働者にとっても、保険料を数十年間払い続けても、六十代の前半では年金がゼロだ、ようやく六十五歳から受け取ることになっても、年金総額が現在の水準よりも一千万以上も低くなってしまうということでは、冗談じゃない、こういうふうに怒って、そして年金不信に落ち込んでいくという実情が広がっています。
 私たちは、このような報酬比例部分の支給開始年齢繰り延べの撤回を強く求めずにはいられません。同時に、二〇〇一年から開始されることになっています基礎年金の支給開始年齢の繰り延べ計画をぜひとも凍結し、国民年金の六十歳からの減額率も改善するようお願いしたいと思います。
 第二の意見でありますけれども、賃金スライドを直ちに実施すべきであるということを申し上げたいと思います。
 政府案に言います賃金スライドの廃止は、九八年現在、二千六百二十七万人の年金受給者の暮らしに直接大きな打撃を与えるものであります。
 厚生省は、賃金スライドの廃止によって、六十五歳から年金を受給して、七十五歳になった人の年金額は月二万円低くなる、さらに八十五歳になったときには月五万円低くなるという試算をしております。これは、長い間保険料を払い続けてきた人々の老後を、事もあろうに国が約束を破って押しつぶすに等しいものであるというふうに思います。それは、先輩たちの困難を直接目の前で見せつけられる青年たちに、深刻な将来不安と年金不信を植えつけてもおります。私たちは、年金への賃金スライドを速やかに実施することを求めます。
 第三でありますけれども、年金給付水準の五%切り下げに反対する意見を述べさせていただきます。
 今回の年金改悪案は、保険料の据え置きを強調していますけれども、それは事実とは言えないと思います。改悪案には、一時金や、さらには六十九歳までの在職者から保険料を新たに徴収する計画が掲げられておりますし、将来の年金水準を二〇%から二五%引き下げるという従来の改悪プランの根幹はあくまでも貫かれているからであります。
 さきに言いましたように、リストラ、合理化、そして失業と生活破壊にさらされ、働き、生きる力を奪われ、過労死だとか餓死、自殺、こんな事態にまで追い込まれる、そういう仲間さえ続出しているときに、改めて保険料引き上げと給付の引き下げを行うなどということがどうしてできましょうか。
 年金給付水準の五%切り下げは、労働者、国民の老後の暮らしと見通しを奪い、働く意欲を奪うものであり、私たちはこれを到底認めることはできません。
 最後でありますけれども、基礎年金の国庫負担二分の一の即時実施を求めたいと思います。
 今回の改悪案は、基礎年金の国庫負担割合について、二〇〇四年までに二分の一への引き上げを図る、こういう附則をつけておりますけれども、これは、九四年に全与野党一致で確認をしました年金改悪法の附則と附帯決議の実施を引き延ばすことによって、まずみずからが提案する附則そのものの信憑性をも損なうものであります。一層重大なのは、この引き延ばしによって、政府と国会の国民に対する責任をあいまいにしていることであります。
 今回の年金改定は、少なくとも、さきの附則と附帯決議を全面実施する改定でなければなりません。それは、年金をめぐるさまざまな利害や考え方の違いを超えて、すべての与野党の皆さんと労働者、国民が一致して確認をし、そして共通して切実に求めていることにほかならないからであります。
 失業と不安定雇用の増大、失業期間の長期化が年金保険料を支払えない人々を急増させています。既に無年金者が百万人に迫り、未加入者、未納者、免除者あるいは未届けの被扶養配偶者など、無年金者予備軍あるいは減額年金者の予備軍は一千万人に近づいています。これらの事態は、国庫負担を基本とする救済を急務としていると思います。その意味で、私たちは、基礎年金の国庫負担二分の一の即時実施を求めるものであります。
 以上述べましたように、政府が今回提出しました年金改悪案は、リストラに苦しむ労働者に追い打ちをかけるものであり、到底容認できないものであります。国会で徹底審議を尽くしていただいて、労働者、国民の声をぜひとも反映していただきたい、このことを申し上げまして、私の公述といたします。(拍手)
#86
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 以上で公述人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#87
○江口委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
#88
○田村委員 きょうは、公述人の皆様方、大変お忙しい中を貴重な御意見ありがとうございます。心から御礼申し上げます。
 今お話をお聞きいたしておりまして、竹中先生、福岡先生、お互いにお話しいただいたところによりますと、この年金の今回の改正制度、長期的にはどうも不安感があるけれども、しかしながら、短期的には、やはり早く整備をしないことには国民生活に支障を来すであろう、そこで賛成である、そういうような概要、趣旨であったろうと思うわけでありますけれども、その中で、やはり一番のポイントというのは、継続性が非常に危ういというお話であったろうと思います。
 この保険制度における年金制度、これ自体、今回の改正によって私は継続性というものをある程度担保できたのであろう、実はそう思っております。
 といいますのは、竹中先生のお話にありましたけれども、一つは、市場変動リスク、これは確かに、百兆円を超える年金マネーを、果たして国が、もちろん専門家を入れるとしても、安心して、安全に運用できるのかという問題はあると思いますが、ある程度長いスパンで見れば、平らにしていくと、短期では上下があるにしても、長期のスパンでいえばある程度運用できるであろう、そう思うわけであります。
 そしてもう一点、人口の変動リスクでありますが、これは、今までの年金の改正がこの問題を大きく見誤ったというところで破綻をしかけてきて今回の改正になったわけでありまして、ここをどう見るかというところであります。
 これに関しても、人口問題研究所の、今までの中で一番低位を中位とする、低位を中位とするという言い方はおかしいんですが、今まででいけば一番厳しいなというような合計特殊出生率の数字を中位に持ってきて、それを参考にして今回シミュレーションを組んでいるという点からいきますと、逆に、もっと少子化が進んでいけば日本の国自体の存続が危ういわけでありまして、ここら辺のリスクの問題もかなり私は今回はとってきているんじゃないのかな、こういうふうに思うわけであります。
 しかも、将来、掛けた以上にもらえるのかどうなのかという不安感が今ありますけれども、もちろん企業の負担部分をどう見るか、実は午前のお話の中にもあったんですが、これが要するに労働者の所得ですよという議論もあるのかもわかりませんけれども、少なくともこういう制度がなければ、企業はその分を負担しないであろうということを考えれば、この企業の分というものを入れなければ、個人の払っている保険料だけを見れば、掛けた以上には必ず返ってくるわけでありまして、多分民間の保険会社の運用利率よりもいいんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 私は、そこら辺のところが非常にこの制度自体が継続性があるという根拠になってくるんじゃないのかなと思うんですが、お二人は、基礎年金の税方式を言われるわけでありますが、そこら辺、どういうふうにお考えになっておられるのか、ちょっとお聞きをいたしたいんです。
#89
○竹中公述人 今の田村先生の御質問にお答えさせていただきます。
 まず、基本的には賛成なんだなということですけれども、もう全くそのとおりだと思います。
 重要な点は、先ほども申し上げましたけれども、今の制度は実はサステーナブルではなくて、このサステーナブルではない、持続可能ではない制度を、政府の強い意思でもって持続可能な体制に戻したいんだという強いメッセージを国民と市場に送っている、この点が確かに大変重要な点だと思います。
 それともう一つ、例えば、国民から見るとたくさんもらえればいいに決まっているわけです。しかし、今までの制度というのは、実は、ある意味で日本の経済が奇跡の経済であった、世界に類を見ないような非常に高い成長率、これはいわゆる右肩上がりですけれども、奇跡の経済であったから、自分が払ったよりもはるかに多いものをみんなもらい続けてきたわけです。でも、これは、奇跡の経済が今普通の経済に戻ろうとするとき、もっとよこせと言ったって、そんなもの出るはずがないわけですから、これは、普通の経済になったんだ、そういう中で我々は生きていきましょうというメッセージをも政府は国民に送っているんだと思います。これはこれで、同時に非常に重要なことだと思います。
 質問の後半の、では制度は本当にこれで持続可能になったであろうかということでありますけれども、これはやや技術的な問題を伴うと思いますからより精緻な議論が今後なされる必要があると思いますけれども、日本の名目成長率と名目金利、名目的なリターンの関係、財政の問題というのは常に名目成長率と名目金利が今後どうなるかによって非常に大きく振れてくるわけですけれども、今の現状を見るならば、それはやはり持続可能になったとは私自身は実は思いません。
 これは、今回の試算でも、五%の給付水準を適正化するに当たってもある一定の名目成長率を前提にしているわけですけれども、私はそれは達成できない可能性がかなり高いのではないかと思っているんです。ですから、まだまだ厳しい状況が続くというふうに見ているんですけれども、しかし、少なくとも、これ以上悪くならないような歯どめはしばらくかけたというような評価はできるのではないだろうか。
 したがって、平成十六年までに抜本的な制度の見通しをつくった組みかえを行うというふうに意思表示しておられるところが、私は大変評価したいところでありまして、その点を含めてですけれども、この問題について少し歯どめをかけるという意味でのプラスの効果は大きいのではないかと思います。
#90
○福岡公述人 さっき私が申し上げたように、やはり人口構成の問題というのは非常に大きいわけでありまして、一つは、一階建ての問題に関して、これはもう払えない方もいるわけですけれども、三分の一の方が結果として払ってないというようなことで、年金の空洞化が言われておりますが、その空洞化の問題よりも、今年金を負担しております現役世代の人が、自分が年金をもらう時代が来たらもらえないんじゃないか、こっちの不安の方がはるかに、もちろん前の問題も重要なんですが、こっちの問題もより一層大きな問題だと思っています。
 したがって、私がさっき申し上げました、人口構成がかなり変わっても年金が持続できていける制度にするためには、一階建てのところを広く浅く目的間接税で負担していただくものにして、そうすれば次期の人も、必ず自分の時代ももらえるということになる。二階のところは、残念なことに全体のバランスが崩れておりますから、その調整は二階のところでせざるを得ないというふうに思っています。
 ただ、こういうことについて国民の世論形成をするのにはかなり時間がかかると思いますし、いずれにしましても、時間がたてばたつほど今の状態というのは悪くなって、まさにモラルハザードというものはだんだん広がっていくわけでありますから、私は、今回、とにもかくにも階段を一歩上ったことには間違いないわけで、そのことを早く実現していただいて、それで国民的議論を本当に真から起こして、みんながこの問題は自分の問題として、目的間接税にならなきゃならないんだと思い込んでいただくように御努力をよろしくお願いいたします。
#91
○田村委員 実は、私どもも自民党総研というところで、この基礎年金税方式、二階部分を積立方式、検討をいたしました。一見非常にすばらしい方法じゃないかなと思うわけでありますが、問題は負担の問題であります。
 一つは、目的税化、目的間接税というお話がございましたけれども、消費税になってくるんであろう。これがかなりパーセンテージが高くなってくる。多分、現段階でも、五・何%、八・何%、これは消費税の税収によって違うわけでありますけれども、なってくるわけであります。これをどう国民の皆さんに御理解いただくか、この問題。
 そしてもう一つは、積み立て不足の問題であります。二階建て部分の積み立て不足、移行時の積み立て不足だけで三百三十兆円かかります。これをどう解消するか。もちろん、五年や十年という話じゃありませんで、数十年という規模になってくると思うんですが、我々が試算した中では、福岡公述人には怒られるかもわかりませんけれども、企業の負担部分だけは今までどおりもらったらどうだ、これをずっと移行部分に回していけばどうだというような実は議論もしてきたわけでありますが、それでも何十年という大変長い期間が必要になってくる。なかなかこの穴埋めは難しい。
 これがネックになって、我々としても、これはいけるねというところまでいかなかったわけでありますが、この二点に関して、何かお考えがあればお聞きをいたしたいと思います。お二人にお願いします。
#92
○竹中公述人 そういう試算を積み重ねられておられるというのは大変敬意を表したいと思います。
 実は、我々経済戦略会議、私自身、経済戦略会議のメンバーをさせていただいたものですから、そこで、年金ではないんですけれども、今の財政赤字全体についてどのぐらいの将来の消費税負担が出てくるかということを試算したことがあります。実は、それだけでいっても相当の負担増になるんですね。その意味では、これは数字だけ申し上げますと、今の五%の消費税を一四%ぐらいに引き上げないと、今の財政赤字の問題というのは子供たちにとんでもない負担をかけてしまうということになる。
 したがって、結局のところ必要になってくるのは、年金、社会保障基金、それと国、地方を合わせたトータルな意味での中期財政見通しというのをしっかりとつくって、その中で議論するしかないんだと思います。残念ながら、中期財政見通しというのを大蔵省もつくっていないし、議会もつくっていない。これはぜひやっていただきたいと思うんですね。その中で、今、田村先生が御指摘になったような問題、結局これはだれかが負担しなければいけないわけですから、どれだけの負担とどれだけの給付を国民が望むかという一つの選択肢がようやく示されるのではないかと思います。
 法人税に関して言うならば、私自身は、実は、法人税の負担というのはやはり減らしていただきたいというふうに思います。
 それは、これだけグローバルな厳しい競争の中で、依然として日本の法人税負担はまだ高い。特に、これは、国税としての法人税は高くないんですけれども、地方税が高いわけです。これは、この部分も実は消費税に回していかなければいけないし、年金まで含めると今後さらに法人の負担が高くなるということが予想されますので、本当にいい企業が海外に出てしまわないためにも、私は、年金を含めた法人税の負担というのは、グローバルなスタンダードの中で低くしていくという方向を志向せざるを得ないのではないかと思います。
#93
○福岡公述人 私は、目的間接税と申し上げているのは、年金目的以外に使わない間接税という意味で目的を限定しているわけでありまして、今の消費税とは性格が違うと思っていますが、議論を進めるために、消費税に上乗せするというふうに仮定いたしますと、確かに消費税はふえるわけであります。
 ただ、一方で、いわゆる社会保険料、これが今の一七・三五%が大体一三%、四%ぐらい下がることになりますから、そういう意味では、そこは御理解いただけることではないか。
 それからもう一つ、いわゆる二階建ての方なんですが、これを積立方式に持っていくというのは、今先生が御指摘のとおりでありまして、やはり五、六十年かかる話だろうと思います。しかし、そういう方向に向けてこれを改正していかなきゃならないんじゃないかというふうに思っているということでございます。
#94
○田村委員 どうもありがとうございました。
#95
○江口委員長 久保哲司君。
#96
○久保委員 公明党・改革クラブの久保哲司でございます。
 きょうは、四人の参考人の皆さん、大変にありがとうございます。貴重な御意見をお伺いいたしました。今後、我々の審議の参考にさせていただきたい、このように思う次第であります。
 限られた時間、十分間でありますけれども、ちょっとお伺いをさせていただきます。
 社会保障、一つは年金、一つは医療、一つは来年から始まる介護も含めた福祉、そういうトータルな意味での社会保障というのがあるわけでありますけれども、その中で、今回我々は年金というところに焦点を当てています。社会保障そのものの中で、年金、医療、介護、それぞれが大事であり、また、それぞれが結果としてやはり給付と負担が常に伴う、こういう形のものだと思います。
 先ほど福岡参考人の御発言の中に、自助、共助、公助というお言葉が出てまいりましたけれども、保険も何もなかった時代というのは、ある意味じゃ自助の時代、自分のことは自分でと。そこから一歩、今度、ある意味で公助というのが前に出てきている。そんなこと言うたって税金が山ほどあるわけやないやないか、そこはお互い助け合わぬといかぬやないかという感じで、今、共助という言葉が多分に使われる、そういう時代になってまいりました。
 そこで、一つは、年金に視点を当てながらでありますけれども、社会保障全般について、自助、共助、公助、今さら自助というのはないんだろうと思いますけれども、共助、公助、この共助というところは、保険方式というのはまさに共助、助け合い、税金を突っ込もうというのは、ある意味では公助という仕分け方もできるかと思います。
 一方で、年金でよく言われますのは、どうしようもない、嫌でもやってくる少子化社会を考えたときに、給付を受ける側と拠出する側のアンバランス、先ほど竹中先生がおっしゃった、まさに人口変動のリスクというのが今もろにやってきておるわけです。
 そんな中で、一つは、今四十年間掛けましょうという話でありますけれども、例えば中卒者であれば十五歳から働き始めることが可能なわけであります。この方々に例えば四十五年間掛けていただく、こういう仕組みをつくれば六十歳から支給できるじゃないか、こういうお話があります。一方、高卒で働き始める方であれば、四十五年間掛けていただくとすれば、六十五歳まで持っていかぬでも、六十三歳ないし二歳で支給開始が可能になるではないか、こういった見解をお述べになる方も一部ございます。
 先ほど申し上げた共助、公助という点で、今後の制度の将来像を考えたときにどちらに重きを置くべきか、もう一つは、四十五年間掛けていただくという方法だってあるではないかという意見がございますけれども、これについての見解を、竹中参考人、福岡参考人そして鈴木参考人からそれぞれお伺いをしたいと思います。金参考人には後でもう一問させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
#97
○福岡公述人 自助、共助、公助、今先生から御指摘のあったとおりなんですが、今の掛けた年齢との関係というのは、私はちょっと理解ができないところがあるいはあるかもしれないと思うんですけれども、そういうお考えももちろんあるだろうというふうに思います。
 ただ、私どもが考えますのは、さっきも申しました、現役世代の負担の方に非常にウエートを置いて考え過ぎているのじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、それぐらい考えております。というのは、非常にいいことなのですが、平均余命年数がぐんぐん延びていきますので、結果的に負担側の負担というのが非常に大きくなっていくわけでございますね。そこのところが、一方的に負担側に来る形がいつまでいいのかということを考えますと、そこの境目を明確にしていかないといかぬというふうに考えると、どうしてもこれはやはり六十五歳なら六十五歳というふうに後ろに延ばしていくしか方法がないのじゃないかというふうに考えていることが一つ。
 それから、自助、共助、公助という側面では、こういう個を確立する時代に入ってきたわけですから、そういう意味では、自助というもののウエートを、先生が御指摘になりました、以前の、戦後の自助とはまた違った意味の新しい市民社会における自助というものを、やはりもっと大きく大胆に考えていくべき時代に入ったのじゃないかというふうに思っているところでございます。
#98
○鈴木公述人 御質問の趣旨が私にはよくわからなかったのですけれども、年をとって、後の後まで支払って、長い間掛金を掛けるということもいいのではないか、こういうお話だったというふうに思うのですが、そういうことですか。(久保委員「わかったところだけお答えください」と呼ぶ)そうですか。
 もちろん、私たち働く者はお互いに助け合うということを私たち自身やっていきますけれども、私たちが求めている社会保障への要求というのは、やはり、私たちが一生懸命納めている税金を基本に据えながら、老後が送れる基本的な保障をしていただくことだというふうに考えております。そのようなことでよろしいでしょうか。
#99
○竹中公述人 今の久保先生の御質問は、政府がまさに何をやるべきかという非常に本質的な、大変重要な御質問だと思います。私は次のように思います。
 よく市場か政府かという問いかけを日本ではやるのですけれども、その問いかけそのものは実は間違っていると思うのですね。日本語で公私という言葉と官民という言葉は違うわけですね。公私の私に当たるのが私は市場だと思います。つまり、私的なものはマーケットで配分しなさい。しかし、私的なものだけではなくて公的なものがあるから、それはマーケットではない別の仕組みが必要でしょう。しかし、その公的なものを全部政府でやる必要なんか全くありません。だから、公私の私と官民の官、これは市場と政府という問いかけですから、違うものを比べているということになるのだと思うのですね。
 さっきの十五歳から働くというのは、私は非常にいい設問だと思うのですが、要するに、十五歳から手に職をつけて働きたいという人もいれば、今のこのIT革命の時代に、私は大学院まで行って博士号を取ってから仕事をしたいと思う人もいるわけです。そういう多様な生き方をしてくる段階では、公がやる部分、特にその中で政府がやる部分というのはやはり最低限のものにしていって、あとは自分でできる範囲で、まさにこれは自助ということになりますし、一部そのものの中には共助というものが出てくるのだと思いますけれども、それをふやしていかざるを得ないということなのではないでしょうか。
 価値観が多様化しているというふうによく言いますけれども、それを本当に認めるのであるならば、できるだけ私にゆだねる、あと公のものについては、その中で官がやるものはできるだけ小さくしていく、それが世界的な傾向であると思うし、結局のところ、個人の満足を最大化してコストを最小化していく唯一の方法ではないかと私は思います。
#100
○久保委員 ありがとうございました。
 それでは、金参考人に。先ほどの公述、ありがとうございました。私も、この問題でいろいろな方とお会いして、まさにそのとおりだと思います。
 そんな中で、前回改正のときに附帯決議を衆参ともにやりながら、なお国は何もしていないじゃないか、こういう声も多々あるわけでありますけれども、参考人がまさに取り組んでおられる中で、先ほどこういう問題点がありますよということをずっとおっしゃっていただきましたけれども、こうすればできるのだ、こうやったらできるじゃないかという、今お困りになっている部分についての、言うならば解決策といいますか、そんなものがもし今頭の中におありならばちょっとお述べになっていただけぬかな、こう思います。
#101
○金公述人 こうしたらできるではないかということでいいますと、それは、言いたいことはたくさんあります、こうすればいいということについては。
 ただ、現実の今の公的年金制度、保険原理というものの枠組みでつくられている制度の中で、無年金障害者の問題をどう解決するかということについては、私ども、長年の取り組みを積み重ねてきた結果、確かに制度との関係においては非常に難しい点を感じております。
 私どもは、そういった意味では、どこが判断基準になるかといいますと、先ほども、特に生活保護との関係で申しましたように、障害者の自立にとって、年金の支給が可能であれば、無年金に放置されている障害者の方に年金の支給を講じてほしい、しかし、今の年金制度の保険原理の枠組みのもとでどうしてもできないというのであれば、前回の改正時の福祉的な措置も含めて所得保障のあり方として検討するということにありましたように、そういった幅の広い選択肢も当然あると思います。
 そこで、やはりどういうことが考え方の出発点に立つかといいますと、やはり障害を持つ当事者にとって、福祉的な措置であれ、年金制度の枠組みの中での問題解決であれ、それが障害者の社会的な自立にとってどれほどプラスになるのか、一歩でも二歩でも経済的な所得保障という意味でプラスになるのかということが私たちの判断基準になろうと思います。
 ですから、そういった意味で、内容の問題が一番大事ですので、自立のためにそれが役立つものであれば、経済的なサポートという意味での意味のあるものであれば、私たちは柔軟に考えていくことは十分にあり得ると思うのです。
 ただ、その場合にも、やはり障害を持つ当事者団体、特に無年金に置かれている当事者団体との積極的な協議を通じて、何らかの解決策というものをともに目指したいなというふうに私たちも考えておるところであります。
#102
○久保委員 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#103
○江口委員長 鰐淵俊之君。
#104
○鰐淵委員 私、自由党の鰐淵と申します。皆様大変御苦労さまでございます。
 まず私は、結論から申し上げます。私ども自由党では、基礎年金、高齢者医療、介護は税方式でいくべきであるという結論に達しております。その中で、私は長い間こうしたことに携わってまいりましたので、常日ごろ考えておることを申し上げたいと思います。
 竹中さんがエッセンスを申されました。やはり国民が将来漠然とした不安を持たないということ、国民一人一人は、相当なお金を持っている人もいるのですが、そういう不安感がブレーキになって消費生活がかなり制約されているということが一つあります。それから、将来、こういった保険その他に対する負担、この負担感が重荷にならないような仕組みにしていかなければならない、こう思います。
 そこで、今、国民一人一人、健康保険それから年金、雇用保険、今でいう介護、四つのこういう支払うべき要素のもの、社会保険料があります。この社会保険料は、働いている人はわかるのですが、これは全部天引きされます。いや応なしに、これは強制徴収ですから、嫌だと言っても払わなくてはいけません。
 ところが、そういう恵まれた環境に働いている方は天引きされますが、天引きされないのは普通徴収といいまして、市役所が一人一人訪問して徴収する。本当は切符を出してすぐ払ってもらうようになっているのですが、なかなか払ってもらえない。国民年金などは、四割未納です。検認率は四割なし。その四割のうちの二割くらいは所得がないですから免除になっているとかというふうになっておりますが、いずれにしても四割払わない。
 そうすると、国民年金など、一万三千三百円払わない人が四割いて、給付が多いわけです。払う人よりはるかに多い。ですから、この国民年金制度はもう破綻していると私は思います。今政府は、本当は一万三千三百円をもっと上げなくちゃ、今の年金を支給できないんですから、もう破綻状態です。したがって、三分の一を二分の一にするということは、まさにいわゆる税金を投入するという、我々で言う税方式に近づけていくということなんです。
 しかし、それでもなおかつこの未納は解決しません。もう五割を超えているような未納の県があると伺っております。
 私は、市町村の職員に聞くのですが、市町村の職員は、今、介護保険その他でも、制度がちょっと狂っているとかいろいろとクレームをつけておりますが、一番の問題は何かといいますと、もう税方式でやってくれた方が一番いいと言っているんです。一番簡単であるし、あとは認定とか福祉の充実の方に意を注げる。いわゆる賦課徴収、未納処理、これに対して市町村の職員、都道府県、社会保険庁を含めて、大変な数と事務費がかかります。これが全くゼロになります。
 ですから、そういうことを考えますと、今の市町村の不満は、既に保険料を取るという法律が決まっておって、ソフトができて、さあ取るぞというときに制度が変わったから、これは困るぞと言っているわけであります。
 ですから、特に健康保険のうち、今どこの健保でも大変なのは老人保健の拠出です。約四割拠出していると思います。そうすると、私どもは今五十二万国民健康保険払っていますから、二十数万円老人保健に拠出しています。
 それから、介護保険はどうなるかといいますと、介護保険は六十五歳以上、私たちの町でも試算が出ておりますが、三千五百円か六百円。年間四万円です。あるいは、二号保険は千五百円。これは会社も千五百円払います、使用者も払いますから三千円になります。
 そうしますと、この健康保険、介護保険、雇用保険、基礎年金、全部入れたらこれは大変な負担になるんです。恐らく三十万を超えると思いますね。
 それであれば、私どもは、税方式でやって、しかもそれを間接税でとにかく充当する。そうすると、皆さん、消費税上がるから反対と言う人が多いのですが、実は社会保険料で直接強制的に納入している方がはるかに多いのです、消費税を納入しているより。なぜならば、私どもは、食べたり飲んだりするものは軽減税率を使う、福祉の関係も軽減税率を使う。あとは八%から一二%くらいになると思います。
 しかし、可処分所得を見ましたら、私たちの、市民の可処分所得は二百四、五十万ですが、その中から貯金だとかなんとか全部引いて、本当に消費するのは幾らかということになりますと、百五十万か二百万いかないと思います。それは、一〇%の消費税でも十五万ですね。
 十五万というのは、とうに私どもは健康保険で二十万以上お支払いしているのですから、介護保険その他がうんと負担になってきます。そして間接税でやりますと、例えば消費税で取ってもいいのです。消費税は、買うか買わないかは御本人の考え方です。買えば消費税を払う、買わなければ消費税は要らない。しかし、食べるものは軽減税率ですから、心配はない。福祉もそうです。ですから、その辺の差し引き勘定をよく国民に説明する必要がある。
 私は、帰りますと、地元で全部説明すると、みんな誤った考え方、介護保険を掛ければ、最後は子供の世話にならなくても介護保険で全部やってもらえるんだ、ほとんどのお年寄りはそう思っています。ところが、あれは掛け捨てで、本当に給付の対象になるのは一割です。私どもの町で三万人の六十五歳以上の方がおりますが、そのときに給付の対象になった、調査に上がったのは三千八百人、しかし、認定をやりますと、自立ではじき出る人もいますから、まあ一割ということになります。
 私は、そういう意味でこの年金というものを考えた場合には、今言ったように、将来の国民の負担感が軽減されること、いわゆる負担感が少ないということ、それから公平であるということ、それから将来に不安を持たれない、そういうぐあいに考えております。
 そういった観点から、ぜひ福岡さんの方からひとつ御答弁いただきたい。
 それからもう一つ、鈴木さんの方は、確かに支給開始年齢が早い方がいいし、それから賃金スライドで多くもらう方がいい、これはだれしもそうだと思います。
 ところで、開始年齢を低くし、それから賃金のスライドその他も実施する、五%引き下げもだめだという、その財源をどこから捻出されようとしているのですか、その財源の捻出先をきちっと明快に教えてください。
#105
○福岡公述人 今鰐淵先生からありましたお話は、全く同感でございます。
 目的間接税という主張につきましては、実は企業の立場というだけではなくて、国民負担率を大体五〇から四五%ぐらいにしなきゃいかぬというのは、国際競争力の問題、企業の活力という問題があるんですが、もう一つは、実は国民の活力という問題があります。例えば、給料袋を開きまして、あれも引かれた、これも引かれたということで、五〇%以上引かれて、かつその中から現役世代は、住宅ローンは払わなきゃいかぬ、教育費はということになりますと、もう元気が出なくなっちゃうんですね。
 そういう意味で、私どもは、先ほども申し上げましたように、目的間接税で広く薄く負担していただくということ、もちろんたくさん収入のある人はたくさん消費税を払うわけですから、そういうことで考えていくべきじゃないかというふうに思います。
 年金以外の問題については、ちょっとこの場での議論は差し控えさせていただきます。
#106
○鈴木公述人 公平感の問題というふうなことでいいますと、私たち、この十年間の税金や社会保険料を納めてきた推移というのをちょっと調べてみたわけです。
 十年前、消費税はなかったわけでありますけれども、それが今十二兆何がしというふうなところまでいっております。それでは、所得税はそのかわり減税をされたのかというと、なかなかそうはいかなくて、当時十八兆円ぐらいだったのが二十一兆円ぐらいに、三兆円ぐらい大きくなってきています。
 そしてさらに社会保険料、労使で折半だとしてトータル五十兆円ですけれども、それが今七十兆円ぐらいまで膨らんできております。労使で十兆円ずつぐらい負担をしてきたというふうなことになるんだろうかと思っています。
 ところが、片方で法人税の流れを見てみますと、当時二十兆円ぐらいだったものがおおむね十兆円ぐらいに、税率も引き下げられて、抑えられてきています。ですから、そういうふうな流れを追っかけてみますと、やはり労働者の負担感というのは大変なことになっているというふうに思っています。
 そういうふうな中で、本当に公平感、つまり支払った税金にふさわしい待遇をしてほしいという要求は切実であるわけです。私たちは、そういう意味で、年金の財源をめぐっては幾つかの論点を持っています。
 とりわけ財源をめぐって、保険方式なのか、それとも税方式なのか、与党の中でも御意見が分かれているというふうなことでお聞きをするわけですけれども、この点で本当に納得ずくでないと、将来に禍根を残さない制度というものはでき上がらないだろうと思いますので、拙速に事を進めるというよりも、じっくりと論議を、審議をしていただきたいというふうに思うわけです。
 とりあえず、私たち、三つぐらいの財源問題を考えています。
 一つは、やはり雇用拡大、そして賃金の引き上げ、これが年金財政安定のかぎだというふうに考えます。
 ただ働きだとかいわゆるサービス残業だとか、こういうふうなものが広がっているわけですけれども、こういうものをなくして、高齢者だとか女性の雇用を拡充する、拡大する、あるいは労働時間の短縮等ワークシェアリングを推進して失業と不安定雇用を一掃する、こういうことで年金の被保険者を大きくふやす、それが直接保険料の増大につながることになるというふうに考えます。
 さらに、中小零細企業への適切な助成が必要ですけれども、それをやりながら、保険料、掛金は労使負担割合を三対七というふうな方向で進めていけば、年金の財政は、国庫負担に加えて事業主、経営者の皆さんの負担の援軍を得てさらに安定をするというふうに思います。これが一つであります。
 それから、基本的には既に納められている税金の使い方の問題ということになるのだと思いますけれども、国庫負担の大幅な拡大というのが必須の条件だ、こういうふうに考えています。
 厚生省の試算で、例えば基礎年金の国庫負担を二分の一にするためには二兆二千億円必要だというふうに言われています。それは、政府が大銀行の救済のために備えた六十兆円のうちのわずか四%程度で賄える金額であります。国と地方自治体は今、毎年五十兆円という財政を公共事業費として使っているわけですけれども、その金額は、先進六カ国を合わせた金額よりも大きいという莫大な金額であります。これをいわば国民生活改善のために回すならば、社会保障のために回すならば、これで大きな財源が生まれてくるというふうに思います。さらに、大企業が特権的に減免税をされているというふうな状況も現実にあって、ある試算では、これを廃止すると初年度で二十三兆円以上、毎年五兆円以上の財源が生まれる、そういう分析もあります。
 このような形で、税金の使い方の流れを変えることによって、国庫負担の大幅増額は可能であるというふうに考えています。
 あともう一つの財源というのは、年金そのものが積み上げてきている膨大な積立金の計画的な活用の問題だというふうに思っています。
 現実に、非常に大きな、五、六年分の年金が支払えるような金額が積立金として積み立てられているわけですけれども、これをどのような使い方をするのか。一方的に保険料の負担というふうなことで賄うのではなくて、真剣な論議の中で方向性をつくり出すということが必要だ、こういうふうに考えております。
    〔委員長退席、田中(眞)委員長代理着席〕
#107
○鰐淵委員 時間がございませんので、これで終わります。私どもが懸念しているのは、無年金者が相当出る、これの対策をどうするかということが一番頭の痛いところだ、こう思っています。
 以上です。
#108
○田中(眞)委員長代理 次に、石毛えい子さん。
#109
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 公述人の皆様、きょうはお忙しいところを本当にありがとうございます。
 私は、公述人の皆様には大変恐縮でございますが、御意見をお伺いいたします前に、江口委員長に物を申したいと思ってここに、順番を待ちましたけれども、交代されてしまいましたので、大変残念な思いがいたします。
 私は、まだ一年生議員、経験三年ということもあるかもしれませんけれども、公聴会が終わったら採決というような国会慣行に対しましては、一年生議員だからということではなく、そもそもそのこと自体がおかしいというふうに思っています。それを委員長が強硬に進めようとしたという、午前中から始まりました公聴会のあり方に対するさまざまな問題点というのは、これからよく踏まえていただきたいと思いますし、公述人の皆様には大変恐縮ですけれども、そのことをやはり申し上げざるを得ないと思います。
 そこで、本題に入らせていただきますけれども、まず、DPI障害者権利擁護センターの金さんにお伺いしたいと思います。
 実は、この厚生年金の国会審議、大変審議時間が短いわけですけれども、その中でも無年金障害者の方の質問というのは、各委員の方から随分なされました。
 厚生省の回答はおおむね二つだったと思います。厚生大臣、政務次官、政府参考人ですか、政府委員の方ということになりますか。一つは、調べる方法がないと言うが、人数に関して言えば大体十万人ぐらいじゃないか、もう一つは、国民年金は保険方式をとっているので、保険料を納めていなければ受給権がないというのはしようがないんだという、これに終始していたと思います。
 後半の問題は後ほどお尋ねしたいと思いますけれども、前半の十万人ぐらい、きょう金さんは八万から十万人ぐらいというふうにおっしゃられましたけれども、私は、二十歳以上の障害者の人数、多分障害者手帳を持っておられる方等々で五百万人を超えておる、それから、障害基礎年金を受けていらっしゃる方が百六十四万人というこの差から見ますと、手帳を持っていらっしゃる方が全部基礎年金の受給者ではありませんから、差というわけではないですけれども、十万人よりはもっと多いのではないか。
 金さんのお話の中に、百九十自治体が特別給付金をお出しになっていらっしゃる。それらの実態から勘案してみると、無年金障害者十万人というのはどうなんだろうか。
 もう一つつけ加えますと、今国会で私は非常に気になるのですけれども、第一号被保険者の未加入者三割から四割という問題だけじゃなくて、未加入者の中で、金さんがきょう一番最初におっしゃられた、厚生年金に加入されているときに障害をお持ちになられて、その治療やら何やらで一生懸命になっている間に退職になって、その後、年金に加入する機会を逸しているとか、そこで未加入になっている人数というのは物すごく多いのですね。そんなことを考えますと、私はもっと多いのかなという感想を持つのです。
 もちろん、正確な人数は厚生省自体が把握をしていないわけですから、正確にというのはお聞きするつもりはありませんけれども、この特別給付金などの状況から勘案してどんなふうにお考えになりますか、もう一度その点をお尋ねしたいと思います。
#110
○金公述人 ただいまのお話の自治体における特別給付金のことに関してですが、これには経緯がありまして、先ほど簡単にお触れしましたけれども、在日外国人の無年金問題への取り組みから自治体の特別給付金ということの実施が始まっております。それは自治体ごとの施策の問題にかかわることですが、在日外国人といっても、オールドカマー、ずっと定住してきた外国人といえば、ほとんどが在日韓国・朝鮮人、その歴史的な背景も踏まえて、地域の住民として無年金状態で生活に困窮しているのであれば、高齢者の問題も含めて、自治体としての何らかの手当てが必要であろうということから始まっております。
 そういった中で、私どもが各地で一緒に取り組みをしていく中で、自治体によっては日本人の無年金障害者を対象にしまして、その場合には制度の名称も重度心身障害者特別給付金という名称になっておりまして、日本人の無年金障害者の方も含めて対象にしております。
 それは、私たちも、無年金障害者は日本人の方にもたくさんいるわけですから、できるだけ広く対象にするようにということを続けて要望しておるのですが、日本人の無年金障害者の方も対象にしている自治体というのは、今のところ、私たちの調査の範囲では、大体百九十自治体の中で四分の一から四分の二、要するに三割から四割ぐらいになるであろうと思います。やはり大体がある程度条件がついておりまして、例えば生活保護の受給者は除外するとか、幾つかのそういうものがありますので、自治体の給付金の受給者のところから数がどれほど上がってくるかというのが、それは非常に難しい面があるかと実情では思います。
 先ほど石毛議員が御指摘された、厚生省が言われておる十万人ぐらいの概数で無年金障害者が存在するであろうということですが、私もそれを聞いておりましたので、先ほどの話ではそのまま申しましたけれども、私どもの実感、当事者側の実感では、やはり潜在的にはもっと多いであろうというように思います。
 保険料滞納によって、そのときの期間で事故、病気に遭って無年金に至ったという方は、やはりもっと潜在的にはいるのではないかなと思いますので、保険料納付ということを前提に無年金障害者の問題を見ていくとやはりなかなか解決策というものは見出せないのかなというふうに実際上は非常に感じております。
 ですから、そういった意味では、無年金障害者としてずっとその状態で放置されている問題については、やはり何らかのそういう税方式、福祉的な措置も含めて検討が必要なのではないかなというふうなことは感じております。
#111
○石毛委員 金参考人にもう少しお尋ねしたいと思いますけれども、私は、政府の答弁が、保険方式だから、保険料を納めなければ、基礎年金も四十年の間に二十五年納めなければ受給権は発生しない、そういう問題になっているわけですけれども、そうすると、保険方式に基づいてこの制度を運営するという以上、きちっと保険制度に乗り切れる仕組みをつくらないと、要するに、情報を持っていて、それなりの所得があってという人しか保険方式には乗り続けられないというこの矛盾はどうするのかということに対しては、政府は全然答弁にならないわけです。
 私の非常にシンプルな思考からしますと、九一年の強制加入になるまでの間に、例えば任意加入の学生さんが無年金になった、ではそこを遡及して、要するに福祉的措置でも何でもいいですから、保険料をさかのぼって納める仕組みをつくって受給権を発生させるようにすればいいじゃないか、そういう手だてだってとれるでしょう、そういう思いが、考えが一つありますということ。
 それから、国籍条項による外国人障害者の方の無年金問題は、またちょっと違うかなというか、外国人の方の日本の軍属に関係された方々などにつきまして、最近はたしかいろいろな意味で救済の裁判の判例や何かがぼつぼつ出始めているような思いもありますし、日本の歴史のプロセスから、推移から考えてみますと、国籍条項の問題というのはもっとまた別の見方があるかな。だから、それがあるからこそ、先ほどの金さんのお話では、自治体の特別給付は在日韓国人、朝鮮人の方々の運動に、要求にこたえた自治体がというふうに答えられたのですから、そのことを敷衍化していけば、日本の政府もそれなりにそのことに対する見解はもっと表明していかなければならないだろう。そういう意味では、解決の方向というのは幾つかパターン化して考えられるのかしらという思いもあります。
 そのあたりについて、先ほど久保議員の質問にもちょっとお答えになられましたけれども、もう少しお伺いできればと思います。
#112
○金公述人 今御指摘されたことですが、私たちも幾つかの選択肢は当然あってしかるべきだと思っております。
 例えば、任意加入時の無年金のままになっている方の場合、さかのぼって保険料を追納すればということも一つの選択肢だろうと思います。ただ、その場合に、やはりどうしても今現在の本人のさかのぼって追納できるだけの所得、収入が確保されているかどうかということにもかかわることですから、その辺はその人その人の経済生活の状態に合わせた追納のあり方がやはり検討をされるべきであろうと私どもは思っております。
 あと、保険方式とはいいましても、一方では無拠出の部分がきちんと残っているわけですね。二十前の障害の方には、二十になったら無拠出の障害基礎年金が出ている、その事実がやはりあるわけですから、そこは政策的な判断に属する問題ではないかというふうに私たちは考えておりまして、現に保険方式だからということで、輪切りのような形で、無年金者を一くくりにどんどん切っていくようなことでいきますと、やはり公的な年金制度の信頼性というものからいっても、むしろ信頼性の方が先に崩れていくということはどうしても避けられないのかなというふうなことは私たちも思っております。
 あと、在日韓国・朝鮮人などの定住外国人の無年金問題についても、やはり昨今のそういった戦後補償の絡みも含めまして、非常に大きな動きになってきております。判例も確実にそういう方向に進んでいると思いますので、ぜひともそれを踏まえていただいて、私たちも御検討をお願いしたいというふうに願っております。
#113
○石毛委員 ありがとうございました。
 続きまして、福岡公述人にお尋ねさせていただきたいと思います。
 先ほど来の御主張で、年金の一階部分は全額税方式というお考えをお伺いいたしましたけれども、この方式をとるとしますと、現在では、基礎年金の三分の二の部分は第二号被保険者等々からの繰り入れの部分があるわけで、この中には保険料の事業主負担分も含まれておりますから、全額税方式というふうになりました場合に、では現在の事業主負担部分についてはどのようにお考えになりますかということが一点でございます。
 それから、今回の年金法の改正案の中で、女性の年金の改正につきましてはほとんど触れられていないということを私自身は大変残念に思っているわけですけれども、いわゆる第三号被保険者の中には、現在パートタイマーで働いていらっしゃる方が、統計によりましても二割を超えておられる、そういう実態になっております。
 それで、お尋ねさせていただきたいことは、第三号被保険者に含まれているパートの皆さんの第二号被保険者としての年金加入について、どのようにお考えになられますかという、この二点でございます。
#114
○福岡公述人 第一点の御質問でありますけれども、先ほど申しましたように、いわゆる基礎年金を目的間接税にするということの意味については御理解いただいたのじゃないかというふうに思います。そのことによりまして社会保険料は下がるわけでございます。これは企業側も、もちろん勤労者側も下がるということになるわけですが、そこのところについて、経営側の方は負担が軽くなるのじゃないかということなのです。
 先ほど来何回も申し上げていますように、人口構成が急激に変わってくる中で安定的な年金制度をどうするかという視点から申し上げておるし、かつまた一号保険者のいわゆる空洞化問題に対応するため、さらには三号保険者の専業主婦の問題に対応するため、それから社会保険料を少し思い切って下げるという観点、それからもう一つは一号保険にかかわる事務負担、取り上げる方も大変御苦労なのですが、大変な御苦労をかけてしかも千八百億かけている、こういった問題を解決するために申し上げているわけで、ゆめ経営側のいわゆる負担を軽くするためにこういうことを申し上げているわけじゃないということをまず御理解いただきたいのです。
 経営側は、御承知のように、社会保険料、法人税、その他地方税、いろいろな負担をしておりまして、かつ国際競争の場裏で、ある意味では必死になって頑張っておりまして、そこで雇用の場をつくり出すために大変な努力をしております。そういう雇用の場をつくり出すことによって、これは結果的には国民に還元できることになるということで、循環しているということについてぜひ御理解いただきたい。
 それから、二番目の問題でございますが、この問題につきましては、一つは設計の問題かもしれないとは思うんですが、例えばの話、今のままで、一万三千三百円というものを据え置いたままで、三号保険者のパートの人、例えば九十万ぐらいの所得の方を二号保険者とした場合に、二号保険の二階の幾らをもらうかということになりますと、負担に比べて、刻みの問題かもしれませんけれども、非常に大きな額をもらうことになっちゃって、これはいわばほかの人の負担が莫大な負担になっちゃうという問題がございます。
 以上でございます。
#115
○石毛委員 ありがとうございました。
 もうぎりぎりですけれども、竹中参考人に、時間がございませんので、簡単にお答えいただきたいと思います。
 女性の年金につきましてはどのようなお考えをお持ちかということをお教えいただければと思います。すごく漠然とした質問で恐縮でございます。
#116
○竹中公述人 それではこちらも簡単に、漠然とお答えしますけれども、女性のといいますか、特に家庭にいらっしゃる女性のという意味が大変含まれていると思いますので、基本的には、そういった家庭内労働というのは市場価格では換算されないわけですね。それをやはり換算した上で、それに見合った年金が出せるような仕組みが必要だと思います。
 それをどうつくるかというのは、今後、非常に長い議論をしなきゃいけないと思うんですけれども、今のような三号被保険者というのをそのまま続ける方がいいのか、それをもう少し明示的に市場価格であらわすような仕組みをつくるのか、今は便法としてその第三号があると思うんですけれども、それをもう少し実態に即したような形で議論していく。そうしますと、御質問にありましたパートを、ではどうするのかというようなものが、自動的にといいますか、自然にその中に含まれてくるのではないかと思います。
#117
○石毛委員 ありがとうございました。
 アンペイドワークの評価などともかかわって、大変重要な点を御指摘いただいたと思います。
 終わります。
#118
○田中(眞)委員長代理 児玉健次さん。
#119
○児玉委員 きょうは本当に御苦労さまです。日本共産党の児玉健次でございます。
 皆さん方からいただいた御意見をこの後私どもの国会審議の中で十分に生かしていく、そのために慎重な審議をする、間違ってもこの公聴会を通過の何らかのステップにするようなことをしないために全力を尽くしたい、こういうふうに考えます。
 最初に、福岡公述人と鈴木公述人にお伺いしたいと思います。
 先ほど福岡公述人は、社会経済状況の大きな変化ということをお述べになって、少子・高齢化、私は、高齢化というのは祝福すべき問題だし、少子は克服すべき課題だと。それを一緒に述べることについては、私自身はそのようにはいたしませんが、政府の統計によっても、一九九〇年と二〇〇〇年と二〇二〇年の三ポイントをとりまして、就業者数と総人口の比率、簡単に言えば、働いている人がお年寄り、子供を何人扶養すればいいか。〇・九という、一人までいかない、一人弱を支えればそれで十分というのが政府の正式の人口統計でして、その点は、これまで国会で随分議論したところでございます。
 そこでお伺いしたいんですが、先ほど鈴木公述人からは、年金財政のことを考えるときに、雇用の前進と、そして働く国民の収入の前進、それが保険財政を豊かにしていくというお話もありました。
 厚生省によれば、平成九年度四月の被保険者数は三千四百十七万千人でした。二十四カ月後の平成十年の三月、三千二百九十五万七千人です。百二十一万四千人も数が減っています。標準報酬月額を厚生省の資料で三十一万六千何がしと見れば、実に八千億円、厚生年金に対する保険料が減じております。このような深刻な社会経済情勢の大きな変化は何によってもたらされたのか、その点を福岡さんと鈴木さんにお尋ねします。
#120
○福岡公述人 さっき、一番最初に申し上げたとおりなんですが、一番大きな理由というのは、やはり人口構成の変化ということ、高齢化というのは先生御指摘のように非常にすばらしいことなんですが、一方で、少子化というのは、これは大変意見が分かれているところだろうと思うんですね。私なんかはもっともっと子供が生まれる社会にならなきゃおかしいんじゃないかと実は思っているんですが、かといって、戦争中みたいに産めよふやせよというわけにはこれはいかない。
 特に、私のところに、東京経営者協会に女性経営者の会というのがございまして、そこで、女性の立場からの意見をいろいろお聞きしますと、これは実にいろいろ分かれておりまして、随分私も洗脳されまして、どうも男が悪いんじゃないか。というのは、家事参加率なんというのは、世界で見ますと、日本は圧倒的に低いんですね。そういう意味では、ここにおられる、児玉先生は違うかもしれませんが、大体中年以上はみんな責任がある話じゃないかという気がして、若い人は違うみたいでございますけれども。この辺から全部考え直して、少子・高齢化問題の、特に少子化問題に相当力を注いでいかないといけないんじゃないかと実は思っているんです。
 しかし、少子化問題、一番大きな問題は保育の問題。これは、日本の場合の特性でございまして、諸外国は大体働く場所と生活の場所が一緒でございますが、日本は……(児玉委員「恐縮ですが、被保険者数が百万人減った、そのことについてどうお考えかと伺っております」と呼ぶ)ですから、そういうことの結果だと思うんですということしかちょっと申し上げようがありません。
#121
○田中(眞)委員長代理 では、鈴木公述人、お願いできますか。質問に合った答えをしてください。
#122
○鈴木公述人 大変なリストラ、合理化、これが原因だと思います。
 この間、不況を理由としているわけですけれども、雇用の状況というのは大変な状況を迎えています。既に、政府統計で見ても三百二、三十万という失業になっているわけですけれども、それだけではなくて、不安定雇用というのが物すごくふえています。パートタイマー、短時間雇用、こういう仲間たちは一千数百万人というふうな状態になっていますし、このような人たちが公的な年金の土俵からほうり出されている、そこに受け入れられていない。しかも、これまで企業の中でずうっと、いわば年功序列ということも言われましたけれども、働き続けてきた人々が、先ほど私の発言でも申し上げましたように、定年を待たずに職場を追われるという状況が軒並み出てきている。
 一部の調査によりますと、大きな企業だけで数十万というふうな人減らしがこれからも計画をされているということになっています。統計を見てみましても、毎年毎年二十万あるいは三十万というふうな人たちが職場を追われていくというふうな実態が生まれています。
 ここのところにしっかりとメスを入れて、そこのところを正していくことによって、今のいわば年金を支える人々の減少、そして年金財政の困難ということを克服する上で大きく貢献できるのではないか、こんなふうに考えています。
#123
○児玉委員 金さんにお伺いしたいと思います。
 無年金障害者の問題は、この委員会でも随分各会派、真剣に議論してまいりました。昨年二月、参議院本会議で、私どもの上田耕一郎参議院議員が当時の橋本首相に対して、金さんが先ほどおっしゃったその問題で質問をしたら、橋本首相は、各方面の御意見も十分伺いながら検討を行います、こう申しました。そして、つい先日、十一月十六日ですが、衆議院本会議で私が同じことを小渕首相に対して尋ねました。いろいろ述べましたが、最後のくだりは橋本さんと全く同じでした。各方面の御意見も十分伺いながら検討を行う。
 そこで、金さんにお伺いしたいんですが、各方面というとき、金さんなどが所属されているグループというのは、最も意見を聞かなきゃいけないグループの一つだと私は思うんですが、政府から何か意見を聞かれたことがあったかどうかという点が一つでございます。それからもう一つは、もしなかったとすれば、どのような場の設定を皆さんは望んでいらっしゃるか、その二つについてお尋ねいたします。
#124
○金公述人 基本的に私たちは、私たちの意見、主張なり要望、提言を含めて、聞いていただける場があれば、どこにだって出かけて述べたいというふうにいつも思っております。
 ただ、現在のところ、この無年金障害者の問題につきましては、政府、厚生省からだとか、いわゆるヒアリングの御案内などのそういうものは受けておりません。私自身がかかわったものとしては、きょうこの場が初めてだというふうに言わざるを得ないと思います。
 それで、どういう場があればということなんですが、確かに今現在、国レベルにおきましては障害者基本法に位置づけられています中央障害者施策推進協議会というものがございます。そこには確かに、障害者団体、家族団体、福祉分野のそれぞれの識者の方たちで構成されて、国の審議会として活動しておられるということは承知しております。
 ただ、そういった場だけにとどまらず、各課題で各当事者の方がおられるわけですから、そういった場にとどまらない、さまざまなそういう協議の場というものがもっと仕組みとして、中央障害者施策協議会の中であれば、幾つかの小委員会に分かれて、例えば無年金問題だったら年金問題、所得保障の問題、交通、町づくりの問題、介助保障の問題、いろいろな課題があるわけですから、もっといろいろな切り口から参加できるような仕組みづくりというものがやはり必要ではないかというふうに思っております。
#125
○児玉委員 あと四分しか時間がありませんので、簡潔に、もう一度福岡公述人と鈴木公述人にお伺いしたいんです。
 先ほど福岡さんは目的間接税とおっしゃった。福岡さん御自身が年金審議会委員でいらっしゃいますから、昨年八月三十一日の第二十五回年金審議会を覚えていらっしゃると思うんです。そこで厚生省がこういう資料を配りました。基礎年金、今三分の一国庫負担ですね。それを基礎にして、この後一分の一まで税を入れていくとすればどうなるか、それをあなたのおっしゃる目的間接税ないしは消費税で充てればどうなるかというと、それにかかる費用六兆六千億、うち二分の一の三・三兆、企業負担分が国民に移る。それで、厚生省の担当者は、企業が負担していた分、その分国民の負担が増加するということについて議論が要るのではないかということですと。
 私は、まさにそうだと思うんです。高齢化社会をみんなで支えようと言っているときに、企業の負担だけが軽くなるというのはいかがなものか。その点についてお伺いしたい。
 それから、鈴木参考人には、積立金の今後について、労働者の立場でどのようなお考えか。
 以上でございます。
#126
○福岡公述人 先ほど御説明したとおりなんですが、もちろん企業の負担を軽くするために目的間接税を主張しているわけではないということは御理解いただけたと思います。
 それから、現実の今の世界的な環境の中で日本の企業の置かれている立場というものを考えますと、非常に厳しい立場に置かれております。雇用情勢が今日こんな大変な状態、言えばバブルがはじけて十年間いまだに脱出できないというようなことの中に、企業を取り巻くいろいろな、税制その他非常に負担が重過ぎるという問題が実はあるわけであります。ここでいえば、企業を少し元気の出る姿に仮にして、それから雇用を生む場にして、それで税金を取り上げるということでお考えいただければいいんですが、もっともっと企業、鶏に卵を産ませて云々ならいいんですが、鶏の足をかじろう、鶏の毛をむしろうという施策が今は続いているものですから、雇用の場なんか生まれっこないんですね。
 そういうこともよくお考えいただいて、全体的に御判断をお願いしたい。よろしくお願いいたします。
#127
○鈴木公述人 年金の積立金、国民年金、厚生年金だけでも百四十兆円というふうに言われているわけですけれども、これをいわば運用して、それでそれを回しながら大企業の利益に大いに貢献をして、そこで経済的な刺激を与えて経済全体を発展させていくというふうな使い方をしながら運用益を年金のために使う、こういう考え方が今までの年金財政、積み立てる根拠にもなっていたし、それを運用していく根拠にもなっていたと思います。随分それを繰り返してきましたけれども、効果がないということが明らかになってきて、そしてそれに対する見直しの論議が既に始まっているという意味では、もうこのような財政投融資を基本に据えたようなやり方は見直さなきゃならないということははっきりしてきていると思います。
 しかも、その金額は、先ほどもちょっと触れましたけれども、年金の五、六年分が蓄積をされているという状況で、これは諸外国と比較をしてみましても、諸外国は大体一年分ないしはそれ以下というところで運用されているのが普通であります。
 日本の積立金の状況も、このような範囲で回していけるものにしていくというふうな立場に立ちますと、この膨大な積立金を計画的に活用していくというふうな条件が生まれるというふうに思います。計画的にじっくりと活用していきますと、受給者の数が最高になるのは二〇二〇年から二〇四〇年というふうに言われていますから、そのところまでじっくりとやっていきますと、その後は、状況が大きく変わっていくというふうなことも含めて、長い目でこの積立金の活用というものには見通しが立つ、こういうふうに考えております。
#128
○児玉委員 ありがとうございました。
#129
○田中(眞)委員長代理 中川智子さん。
#130
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 きょうは、本当にお忙しい中、ありがとうございました。
 きょうは、本当に不正常な状況で公述人の方々からお話を聞くという場面を迎えております。実は、あした採決というのを与党の方から提案されまして、金さんなどはこのような場で本当にみずからの言葉で訴えるのはきょうが初めて、そのような形であした採決という状況が今あります。
 そこで、私は、金さんに年金審議会のメンバーですかという質問をしようかと思ったんですが、とてもじゃないけれども、そんなのじゃなかったということがよくわかりまして、その質問はもうしません。
 実は、五年前の附帯決議で、無年金障害者の方はとても期待を持たれたと思います。附帯決議というのが衆議院でも参議院でもつき、この無年金障害者の問題をしっかりと立法の場で解決していく、そのような期待を持たれたと思いますが、その附帯決議がいまだに何の形にもなっていない、今回も見送られてしまったということに対して、国会に対する、そして厚生省に対する思いを、もう少しみずからの言葉で伺いたいと思います。
#131
○金公述人 私どもは、前回の改正の折に、今おっしゃられた附帯決議がありまして、何度も厚生省の担当部局とは交渉をしてまいりました。
 年金制度の中での解決なのか、それとも福祉的措置による解決なのか、そのことに一体厚生省としてはどのように対応するのかというお話なんですが、本来であれば、年金問題ですから、当然年金部局との交渉になるわけですが、福祉的措置であれば年金制度から手が離れるわけで、年金部局からは、それは離れていきますというような話もありましたし、福祉的措置ということから社会局の関係部局の方に行きますと、それは年金問題の中での話なのでそこでまず話をしてもらいたいというような話もありました。ですから、ボールのやりとり、行ったり来たりということで、この間、ずっとその繰り返しであったと思います。
 私は、はっきり言って、このノーマライゼーションプラン、障害者プランの中での所得保障の項目でこの問題だけが上がってきているというのが実情なんですね。ただ、やはり障害者プランがそもそも何であったのか、何であるのかということをもう一回きちんと問い直していただきたいというふうに思います。
 今現在は、もう二〇〇二年、アジア太平洋の障害者の十年の終了が予定されていますが、障害者プランも二〇〇二年で一応終了時期です。その後、ではどのように障害者プランそのものが練り直されていくのか、それともそこでもうとまってしまうのか、そういった危機感なども私たちは持っております。
 そういった中で、改めてこの所得保障の問題というものを、やはり私たち自身もきちんと提案していかなきゃいけない必要もありますし、障害者のことだけではなくて、これからの福祉社会における所得保障のあり方の中で、ノーマライゼーションプラン、障害者プランの中に改めて所得保障の問題をきちんと位置づけなきゃいけないと思っています。
 ですから、厚生省の方も、どこかの部局だけへ任せるとかという話ではなくて、総合的な窓口、調整機能を持つ実行力のある窓口をきちんとつくっていただいて実施していかないと、障害者プランそのものも進んでいかないのではないかというふうに思っておりますので、そういうことは思いとしては強く持っております。
    〔田中(眞)委員長代理退席、委員長着席〕
#132
○中川(智)委員 金さん、続けて申しわけないんですが、本当に、生活をどのようにされていらっしゃるのかということをいつも思うんです。金さん自体じゃなくて、いろいろ仲間の方が、無年金、しかも障害をお持ちになっている、そして結局、家族の負担の中で生活していらっしゃる。一つ二つ、御友人の例でも結構ですが、本当に、生活そのものをどのように立てていらっしゃるのか、もしよろしければ、現場の生活の御苦労をお話しいただきたいと思います。
#133
○金公述人 二つの状況があると思います。
 一つは、雇用との問題もあるのですが、現状では、無年金、年金の受給者というのは、本来重度障害者の方が多いわけですね。その場合ですと、一般雇用できない場合は福祉的就労というようなところになるわけですが、そういった場合でも最低賃金の適用を除外されていますし、そもそも労働省から離れた福祉的就労ですので、例えば作業所とか授産施設などの仕事をしていても、工賃という名目で毎月一万、二万、三万ぐらいのものしか収入としては得られないわけですね。
 そういったところにも入れない、在宅の中で家族と同居して悶々と生活をしておられる方、そういった方が、毎月六万から八万の年金が出ないということは、もうその親がかりの中で一生暮らすかあとは施設に入っていくしかない、そういった状況にならざるを得ないと思います。
 ですから、そういった意味でも、私、先ほども最初に発言しましたように、やはりまずは年金があって、そこで自分のいろいろな社会的な経験を積んでいくための必要経費として年金を活用して、その上で、現行制度ではやむを得ず生活保護をとるしかない場合もありますけれども、その場合でも、本人自身が世帯主になって生活保護の申請をする。そういった意味では、権利意識をきちんと、家族、親族の扶養は自分は要らないんだという自立意識を持っていくためにも、そういった経験をしていくためにもまずは年金が必要であろう、それに見合った措置が必要であろうというふうに思っております。
#134
○中川(智)委員 ありがとうございました。
 次に、竹中公述人に伺いたいと思いますが、今回は三法案が提出されています。年金一本、本体だけではなくて、実は今回は、年金資金運用基金法案、そして年金福祉事業団の解散及び業務の承継等ということで、そちらの不安も非常に大きいわけなんでございますね。
 百四十兆が運用方針次第で、本当に市場がゆがんでしまう、経済そのものがゆがむ大きなあれを抱えている。一方では、百万坪の十三カ所のグリーンピアの問題で、赤字を抱えたまま解散、それ自体の中身もきっちりと情報公開されていないということで、この三つの法案が審議されている中で、慎重審議をということをずっと野党としては訴えているわけですが、竹中参考人、年金法案本体以外のこの二つの法律に対してどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#135
○竹中公述人 今の御質問は、財政投融資の改革を含めた公共部門のあり方をどうするかという非常に基本的な問いかけだと思います。
 私は個人的には、財政投融資、もっと言いますと、民主主義社会において、複雑な制度は悪い制度であるというふうに思っておりますので、財政投融資そのものを抜本的に見直さなければいけない、その中では、当然のことながら、この根幹にある郵貯の制度そのものを見直さなければいけないと思っておりますので、今回、世界的な規模の一つの運用機関投資家が政府の管轄のもとにできるということに関しては、積極的な支持は実は余りしたくありません。
 ただ、今回のあくまで暫定的な、先ほど申し上げましたように、年金制度そのものを長い期間かけて改革しなければいけない、そのための暫定措置としてそれに付随するものとしては、ではとにかく今の保険制度としてあるものをどうするかというのはある程度現実問題として考えざるを得ませんから、そのためには、積極的な賛成はできないけれども、苦肉の策としてある程度受け身的に認めざるを得ない制度であるのかなというふうに思っております。
 ただ、重要な点は、これを機会に財投制度そのものの抜本的な見直し、特に、そういった世界の有数規模の機関投資家が国の管理のもとにできてしまうということの矛盾をぜひ御検討いただければ、私は大変ありがたいというふうに思っております。
#136
○中川(智)委員 それでは、鈴木公述人に伺いたいんですけれども、やはり私たちの不安、不満というのは、どんどん先送りされてしまう、約束したことも、三分の一から二分の一というのも、これは国会の意思として約束された、それも先送り、そして、財政というか、財源がないと言いながら、一方では介護保険であのように一兆以上もばらまいていく、何なんだこれはというようなところがあると思うんです。
 今回、いろいろな問題が棚上げされて、負担増や給付削減を求めやすい二号の年金で当面の財政均衡を図ったことに、本当に合意できないという思いがあるんですが、そこの思いをもう少し怒りを込めて、よろしくお願いいたします。
#137
○鈴木公述人 年金が逃げ水だというふうな言い方があります。本当に一生懸命働いて、いよいよ年金だというふうに考えるとどんどん遠のいていく。自分自身の若い仲間たちもそうです。自分たちの暮らしの設計をいろいろ考えてみる、そうするとどんどん遠のいていく。いろいろな方々のさまざまな価値観があって、年金というものを頼りにされない人もいるというふうなこともおっしゃったりしますけれども、年金を本当に大切にしながら生きていこうとしている仲間たちが圧倒的に多数であるということを、本当に力を込めて訴えたいというふうに思います。
 そういう意味では、気軽に負担をふやしながら事を進めていくなんということだったらだれでもできると言ったらできるわけですけれども、そうではなくて、やっていけることは何なのか、今ある国の財政の中で、どのようなやり方ならば満足できるものが生まれていくのかというふうな立場での、本当に心を込めた審議が必要だというふうに思います。そのような立場でぜひとも御審議をお願いしたいというふうに思います。
#138
○中川(智)委員 本当にお忙しい中、どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#139
○江口委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
 公述人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 これにて公聴会は終了いたしました。
 次回は……(発言する者、離席する者多し)明二十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会

ソース: 国立国会図書館
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