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1950/11/29 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第3号
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1950/11/29 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第3号

#1
第009回国会 通商産業委員会 第3号
昭和二十五年十一月二十九日(水曜日)
    午後二時十六分開議
 出席委員
   委員長 小金 義照君
   理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君
   理事 中村 幸八君 理事 今澄  勇君
      今泉 貞雄君    小川 平二君
      澁谷雄太郎君    高木吉之助君
      永井 要造君    中村 純一君
      福田  一君    南  好雄君
      村上  勇君    砂間 一良君
      田代 文久君
 委員外の出席者
        資源庁次長   岡田 秀雄君
        通商産業事務官
        (資源庁鉱山局
        鉱政課長)   讚岐 喜八君
        專 門 員   谷崎  明君
        專 門 員   大石 主計君
        專 門 員   越田 清七君
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 江川電源開発促進に関する請願(山本利壽君紹
 介)(第三八号)
 電気事業再編成反対に関する請願外一件(佐々
 木更三君紹介)(第三九号)
 測量法による工業技術庁地質調査所の測最予算
 増額の請願(田渕光一君外二名紹介)(第七八
 号)
 資源調査費国庫負担の請願(山崎岩男君外一名
 紹介)(第八一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任
 鉱業法施行法案(内閣提出第四号)
    ―――――――――――――
#2
○小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。
 法案の審議に入ります前にお諮りいたすことがあります。前回の委員会におきまして御指名いたしました小委員のうち、若干の変更をいたしたいと思います。それは、地下資源開発及び合理化に関する小委員会の永井要造君を小川平二君に、中小企業に関する小委員会の小川平二君を永井要造君に、また中村幸八君を阿左美廣治君に、さらに繊維に関する小委員会中、小平忠君を福田一君に変更いたすことであります。以上それぞれ変更いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小金委員長 御異議がないようでありまするからさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○小金委員長 次に鉱業法施行法案を議題といたします。これより質疑に入ります。質疑は通告の順によつて順次これを許します。中村幸八君。
#5
○中村(幸)委員 私は、先日来行われました委員会において鉱業法案並びに採石法案に関連いたしまして、鉱業法施行法案についての質疑も一通りはしたのでありまするが、なお若干お尋ね漏れの点もありますし、さらに鉱業法案の修正点等にも関連しまして、これから二、三点お尋ね申し上げたいと思います。
    〔委員長退席、多武良委員長代理前席〕
 第一は、鉱業権の存続期間の問題についてでありますが、実は私どもは先般来の委員会の質疑応答を通じまして、この存続期間についても相当な修正を加えたいという考えを持つておるのであります。すなわち採掘権につきましては、原案におきましてその存続期間が三十年でありますのを無期限にしたい。また試掘権につきましては、原案におきましては存続期間が二年であり延長一回限り許すということになつておりますが、私どもといたしましては、その存続期間を四年とし、さらに必要に応じて一回二年の延長を認めるようにしたい、かように考えておるのであります。そういたしますと、これに伴いまして現存いたしておりますところの試掘権につきまして、権衡上やはり二年の延長を認める必要があると思うのでありますが、この点について政府のお考えを承りたいと思います。
#6
○岡田説明員 鉱業法の御審議の最中におきまして、鉱業権の存続期間を、試掘権につきましては原案が二年となつておりますものを四年にする、また採掘権につきましては三十年に限定されておるものを、旧法と同じように無期限にしたらどうかという強い御要望もございまして、当時の私どもの答弁におきましても、一応原案として立案いたしました趣旨等につきましてはるる申し上げたのでございまするが、院議をもつてさように御修正に相なりますにおきましては、それもまた十分な理由のございますことでございまして、私どもといたしまして、特別にどうこう申し上げることはないというふうに御答弁したように存ずるのでございます。そうなりますれば、権衡上から申しまして、従来の試掘権が、原案におきましては残存期間になつておるのでありますが、それを四年にいたしまして、一回二年の延長を認めるというようになりませんと、権衡がとれぬかと思います。鉱業法の方における御修正が成立いたしますれば、施行法につきましても同様にいたさねばなるまいかと存じております。
#7
○中村(幸)委員 ただいまの御答弁で大体了承したのであります。なお現存する試掘権が二年の延長を認めることになるといたしまして、それはおそらく鉱業法施行の日から二年の延長ということになるのじやないかと思うのであります。そうすると、鉱業法施行の日がいつになるかということが大きな問題になつて来るのでありまして、現在試掘権が四年の存続期間の満了によつて消滅しておるものが毎日々々あるわけであります。従つてこの新法施行の日が遅れますと、その間に消滅するものがたいへん気の毒ということになると思うのであります。新法施行については、政府においてもいろいろ準備もあることと思うのでありますが、いつごろ新法を施行せられる予定となつておりますか、この点承りたいと思います。
#8
○岡田説明員 いつ本法が施行になるかという点につきましては議会におきまする御審議の模様がいかように相なりまするかということが最も決定的な要素であろうと考えるのであります。かりにこの臨時国会でおきめ願えるといたしまするならば、二月一日程度には施行できるかと存じております。
#9
○中村(幸)委員 二月一日に施行の御予定になつておるようでありまするが、実は今日以後二月一日ごろまでに消滅する試掘権が相当あるのであります。これらは、先ほど申しましたような気の毒な事情にありますので、これらを救済するという考えから、政府においてもできるだけ各種の準備を整えられまして、これを一月の中旬あるいは一月の初めに施行するように、ぜひとも御努力願いたいと思うのでありますが、その点ができますかどうか、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
#10
○岡田説明員 お話のように、新法の施行が遅れれば遅れるだけ試掘権の消滅して行くという状態がふえることは、まことにお気の毒なので、ございまして、私どもといたしましても、でき得る限り施行の日を早めるように、最善の努力を盡したいと存ずるのであります。いつごろになるということをはつきり申し上げることはいささか困難でございまするけれども、お説によりまして、二月一日を多少でも短縮する、たとえ一日でも早く施行するように努力したいと思います。
#11
○中村(幸)委員 次に今回の追加鉱物についての優先権の問題に関連しましてお尋ねいたしたいのでありまするが、施行法案の五條に、「新法の施行の日の六箇月以前から引き続き追加鉱物を掘探している者又はその承継人が」云々とあります。六條の方には、「新法の施行の日の年以前から引き続き追加鉱物の取得を目的とする土地の使用に関する権利を有している者又はその承継人」こういう規定になつております。つまり追加鉱物についての、現在掘採している者あるいは掘採する契約をすでに持つている者、これを保護する規定と思うのでありますが、この日が問題になるのでありまして第五條の場合には「六箇月以前から引き続き」、六條の場合は「一年以前から引き続きとありますけれども、実は今度の鉱業法の改正が早くから民間に漏れまして、新法施行を見越しまして、追加鉱物の既得権を得るために、何も知らない土地所有者を欺いて、むりやりに、土地使用権の契約、あるいはともかく一応形だけでも石灰石等を掘採しているような体裁を整えている者があるように聞いておるのであります。こういう土地所有者でもない、また鉱物の発見についての功労者でもない単なる早耳の策謀家を施行法が保護するという結果になるのであります。従つて、この五條の六箇月、あるいは六條の一年という日数を、もう少し早くから実際掘探しているか、あるいは権利を持つておつた者に限る必要があるのじやないかと思いますが、この点御答弁願いたいと思います。
#12
○岡田説明員 お話のございましたように、この法律の施行を事前に、察知いたしまして、これを不当に自分の利益に悪用するという意味合いは、土地所有者をごまかして権利をとつた者もあるいは想像し得るところでございます。しかしながら、現に追加鉱物を掘つている者につきまして、大箇月以前からということにいたしておるのでございますが、六箇月間引続きまして、しかも正当なる権限に基いて追加鉱物を掘つておるといたしますならば、まずこれはまじめにやつている、また土地所有者以外の者であるといたしますならば、土地所有者との間にちやんと話合いがついて円満に、しかも権限に基いて掘つていると認められるわけであると思うのでありまして、六箇月では短いから一年がよいかということになりますと、特にその辺の線を引くりくつもむずかしいかと思うのであります。あらゆる新しい法律をつくりますときに、過去にさかのぼりますして今のことを規定いたすのも多少は例外的な事柄にも属するわけでございますので、現に正当なる権限に基いて六箇月以前から掘つておるという事実がありますれば、これはまず保護してやつてしかるべきでないか、一年以上あるいはその前から掘つておらねばならぬというのも、多少法律制定の趣旨から申しましてさかのぼり過ぎるのではなかろうか。但し現に掘つておらぬで、権利だけ持つている者につきましては、現に掘つている者と同一の期間でこれを律しまするのは、これはまたいささか権衡上もぐあいが悪いと存じますので、片一方を中年、片一方を一年といたしたわけであります。但し権利を持つております場合においては、その権利が追加鉱物を掘ることを目的としているということが明瞭に認められる場合でありませんと、その権利を保護する必要のないように規定いたしておるのでありまして土地所有者もその権利を與えました相手方が、鉱物を掘るのだということを十分に認識いたしまして、契約なわをいたしたとしますならば、しかもそれが一年さかのぼつた前からやつておるということでありますれば、これは一応土地所有者に優先しまして、この者に鉱業権を與えることにいたしましても、大して支障を来すということにならぬのじやなかろうか。まあいずれにしましても、契約または慣習の内容が追加鉱物を掘るということが明瞭になつておるということを條件としておるわけでありますから、その辺で悪弊を防止し得るのじやないかと考えておるわけであります。
#13
○中村(幸)委員 次にお尋ねいたしますことは、今回の鉱業法案が施行になりますと、石炭石以下七種のものが新しく鉱物として追加されるわけでございます。そういたしますと、この区域内に追加鉱物がある土地所有者、あるいは何らかの権利を持つておる者、あるいはまた現に石灰石等を掘採しておる方々が、権利を剥脱されてしまうのではないかと非常に心配をしておられるように聞いておるのであります。
    〔多武良委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで今度の鉱業法施行法には、この点につきましては、経過的な保護規定を置きまして、以上の方々のために万全の措置をせられておるようでありまするが、この委員会を通じてはつきりともう度どういう保証をしておられるか、別に心配はないのだということをひとつ御言明になつていただきたい。
#14
○岡田説明員 土地の所有者でありますとか、その土地に対しまして追加鉱物を掘ることを目的とした権利を持つておる者でありますとか、あるいは現にその追加鉱物を掘つておるも者、この者を保護する規定といたしましては、まず第に現に追加鉱物を採掘しておる者に対しましては、新法施行後六箇月の間引続き採掘することを認め、その期間内に出願いたしたのは優先的に処理することといたし、また新法の特例といたしまして他の鉱業権との重複設定のことも特に認めることにいたしておるのであります。追加鉱物を取得するために、土地の権利を有しておる者に対しましては、新法旅行後六間月以内に出願をいたしますならば、ただいま申し上げました、現に追加鉱物を堀採しておる者に次ぎまして優先的に処理をいたし、ただいま申しました現に採掘してるものもの以外の鉱業権との重複設定をも特例的に認めることといたしておるのであります。土地所有者に対しましては新法施行後六箇月以内に、先ほど申しました現に採掘しておる者、並びに土地に対して鉱物を掘採する権利を持つておつた者、その以外の者に対しましては土地所有者の出願が優先することを考えまして、土地の通産局長は、現に掘採しておる者、または採掘の権利を持つておる者以外の者から鉱業権の出願がございましたときには、ただちに土地所有者に対しまして通知いたしまして、そしてその通知に基きまして、土地所有者が一箇月後に出願しをいたしますならば、現に採掘しておる者、または権利を持つておる者に次ぎまして優先的に出願が処理されるという仕組みを考えておるのであります。また現に鉱物を採掘しておる者、または権利を持つておる者らが出しまして出願につきましては、先ほど申しましたように、例外的に重複設定を認めることといたしましたために、重複出願の調整、あるいは重複設定の場合の採掘の制限、及び採掘方法の協議に関する規定を設けまして、両者の間の紛争を適当に処理し得る方法を考えたのであります。それから新法施行の際に追加鉱物を現に採掘しておる者、または土地の権利者から代償を受けていた土地の所有者に対しましては、新しく優先的に出願をして鉱業権者となつた者から、相当の補償金の請求をなし得ることといたしたのであります。また現行砂金法によりまして、その鉱区内で砂金をとる権利を持つております採掘権者に対しましては、新法施行後三箇月内の掘採の継続を認めまして、その期間内に通商産業局長の実際に金をとつておるのだという意味の確認を受けましたときには、新法の特例といたしまして砂金をとることができるようにいたしたのであります。大体の点につきましては以上のような方法で保護するようにいたしております。
#15
○中村(幸)委員 ただいまの御説明によりましてよくわかりましたが、土地所有者、あるいは土地に関して権利を持つておる者、あるいはまた現に追加鉱物を掘採しておる者、こういうような者に対するいろいろ行き届いた保護規定を置かれてれおるいうことにつきましては多とするものでありますが、ただいまの御説明によりましても、本法施行後六箇月の期間経過後は、現に石灰石等を掘採しおる者も法の命ずるところによつて出願をして権利を獲得しなければ以後は掘採ができない。あるいはまた本法施行後六箇月を経過した後においては、鉱業権設定の出願についても、一般的な規定によることになりまして、場合によつては何らその土地に縁もゆかりもない第三者に権利をとられてしまう。そして自分の土地にりつぱな鉱物が存在するにもかかわらず、みすみすそれを他人にとられてしまう。こういう結果にもなるのであります。今までは自分の土地の所有権の権能として掘採できたものが、爾後は掘採できない。いわばこれは一種の財産権に対する制限になるわけでありますが、根本的に考えますと、これは憲法違反になりはしないかという点もおそれるのであります。この根本問題について明瞭にお答えを願いたいと思います。
#16
○岡田説明員 この問題につきましては、本法立案中、審議会等におきまして、非常に重大な論議がかわされたのでございます。審議会の中には各省関係者なり大学の先生なり、多数の人がおられまして、これが憲法との関係がどうであるかということを慎重に審議されたわけであります。その審議の経過につきましては、私不幸にしまして実際にその席におりませんで、その空気を親しく知つておりません関係から、その審議会に終始出席いたしましてその辺の呼吸を十分にのみ込んでおります讃岐鉱政課長からお答えさすことにいたしたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
#17
○小金委員長 お諮りいたします。説明員讃岐鉱政課長に発言を許したいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○小金委員長 それでは讃岐説明員。
#19
○讚岐説明員 鉱業法に新しく法定鉱物を追加することが憲法に触れるかどうかという問題につきましては、これはさきに鉱業法案審議の際に鉱山局長からも御説明したのでございますが、憲法との問題につきましては、鉱業法改正審議会におきましても、相当問題になりまして、大いは論議されたところでございます。結論を申しますと、新鉱業法の第二條、「国は、まだ掘採されない鉱物についてこれを掘採し、及び取得する権利を賦興する権能を有する。」という鮮明な規定が設けてあるのでございますが、この第二條が成立するかどうかということが、結局追加鉱物を法定することが憲法に触れるかどうかという問題と同様になると思います。この鉱物を新しく鉱業法の鉱物に規定をいたしまして、土地所有者が今まで自分のものだと思つておつたものを、実際上は取上げることになるのでございますが、鉱業法改正審議会で出ました結論では、鉱物というものは元来国が支配しているものである。それはわが国古来の思想であるというところに立脚しまして、鉱業法の制定される以前の日本坑法、鉱業條例等にもそのことが出ておる。つまり有用の鉱物は常に国が支配しているのでありまして、鉱業法の鉱物としてあげているのは、その時代々々における価値判断からそれだけを鉱業法の鉱物にすれば足りるのであつて、その他のものは放任してあるのだという考え方でございます。つまりこの七種の追加鉱物につきましては、従来鉱業法に規定されておりませんでしたから、従来は土地所有者が自分のものだということで考えておるのでございますが、これは元来国の支配するものであるけれども、従来はそれまで法律で規定して、国のものだとする必要がなかつたからそうしてあつたにすぎない、そういうことで、現在この鉱業法案提案のときに至りましてこの七種の鉱物が非常に重要なものであるから、今後これを鉱業法の鉱物として取上げて行く、こういうことで、これは憲法第二十九條の第二項であつたと思いますが、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と書いてある趣旨にも反しない、こういう見解でございます。
#20
○中村(幸)委員 ただいまの御説明で、追加鉱物の規定は憲法違反にならないということでありまして、一応了承いたしたのであります。
 次にお尋ねいたしたいことは第十三條の「補償金」の問題であります。契約または慣習によつて、代償をこれまで受けておつた土地所有者は、新法施行後新しく権利を取得した者に相当の補償金を請求ができる、こういう規定になつておるのであります。この「相当の補償金」というのが問題でありまして、何が相当だかということが非常に問題であろうと思うのであります。土地所有者から言えば今まで毎年使用料あるいは採石料というようなもので受けておつた金額そのままのものを、永久に受けるということを主張する者もありましようし、また鉱業権者の側から言えば、せつかく追加鉱物になつたのだから、できるだけその補償金を少くしてもらいたいというのが希望でありましよう。その間の話合いをつけるといととがなかなかむずかしいと思うのであります。結局両者の話合いがつかないで、この第四項にありますように、「通商産業局長の決定を申請する」ということになる事例が多かろうと思うのでありまして、この場合に通商産業局長はいかなる基準をもつて御決定になるおつもりであるか、鉱害賠償の方法あるいは範囲についての基準というものについては、地方鉱害賠償基準協議会であらかじめ定めて、これを公表するという規定になつております。この土地使用の補償料の問題についてはそういう機関を設置されておらないようでありますが、その点について政府のお考えを承りたいと思います。
#21
○岡田説明員 先ほど讃岐鉱政課長から申し上げましたように、この法律によりまして新しく追加鉱物にいたしたということは、従来もこの新しい追加鉱物につきましては、国が支配する権能を持つておつたのだけれども、そのときどきの経済事情なり、その他の状況から見て、特に法定鉱物とする必要がないから一応これを放任いたしまして、土地所有者の自由にまかしておつた。それが追加鉱物になりましたときに国の支配が及びまして、これを土地所有権から切り離して鉱業権の対象とすることになつたということを申したのでありますが、その法理論を真正直に当てはめまするならば、本法施行と同時に新追加鉱物は鉱業権の対象になるわけでありまするから、土地所有者と関係が切れる、従つて土地所存者に対してはもう知らぬということでよろしいというへりくつにも相なるかと思うのでありますけれども、しかしながら、土地所有者が従来善意無過失にそういうふうに考えて参りました慣行から、法律ができたからというて、もうその日限りで土地所有麦は何らの権能もないんだというのは社会の実情に合いませんので、土地所有者に対しましては相当の補償金を請求する権能を認めたわけであります。しからば相当の補償金とは何ぞやという問題に相なるわけでありまするが、過去におきまして数次にわたつて鉱業法の改正に伴いまして追加鉱物をいたした事例があるのでございまするが、その場合におきましても、常にかような規定を設けて参つたのでありまして、幸か不幸か土地所有者と鉱業権者との間におきまして円満な話合いができたのが通例でございます。今度の新法立案にあたりましても、全国の通商産業局に調査をしてみたのでございまするが、局長の決定を求めて来た事例はほとんどなかつたように存ずるのであります。従いまして私どもといたしましては、この條文に基きまして、土地所有者と新しき追加鉱物の鉱業権者とが円満な話合いをしていただくことを念願しておりますが、万一まとまらぬときは、その仲裁役として通産局長が介入してあつせんするというふうな気持にいたしておるのであります。鉱物の分量なりあるいはその土地の状況並びに両者の間の従来からの行きがかりなり、いろいろな事情がからみ合つておると存ずるのでありまして、一定の基準を設けて相当の補償金の決定方の一応の目安をつけておくということはまあ非常にむずかといかと思うのであります。ただ私どもで一応考えておりまするのは、租鉱権の放棄の場合に、六箇月以前に通告するか、あるいは六箇月分の租鉱料を抑えというようなことがあるのでありまして、必ずしもこれと同一の事例とは申しがたいのでありますけれども、これらのことを常識的に考えてみますれば、一年とか二年とか、あるいは三年とかいう程度でまとまれば一番常識的なようにも考えておるのでありまするけれども、具体的な基準と申しまするものは、今のところちよつときめることがむずかしいかと、かように考えております。
#22
○中村(幸)委員 基準をきめることはなかなかむずかしいこと私も思うのでありますが、しかし土地の所有者等は非常にこの点を心配いたしておるわけであります。できるだけあたたかい親心をもつて――今まではともかく土地所有権の権能としてかつてに採掘ができたのでありますが、これができなくなる、しかも一方において補償金をとつておつたのが将来はとれなくなるというような気の毒な事情にもありますので、できる限りこれを六箇月とか一年とかいうようなことでなくて、相当長期にわたつての使用料というようなものも見込んで決定する必要があるんじやないか、かように考えますので、今後の善処方を特に希望いたしまして私の質問はこれで終ることにいたします。
#23
○小金委員長 次は阿左美廣治君。
#24
○阿左美委員 ただいまの中村委員の御質問に関連いたしまして第十三條の補償金の点につきまして二、三質問をいたしたいと思います。従来まで石灰石等は法定鉱物でないために、石灰石等を採掘する場合は、土地の所有者と一定の契約に基きまして採掘いたした例が多かつたのでありますが、今度鉱業法の改正によりまして新たに石灰石は法定鉱物に追加されたため、従来のような制限はなく、自由に採掘いたしてもよろしいようになりまして、今後は鉱業法に基きまして国家の保護により採掘せられることは、石灰石等の重要性よりしましてきわめて時宜を得たことと思いますが、一方これらの追加鉱物を産出させた土地の所有者の立場から考えますと、十分考慮して、その上に不測の損害を與えないように規定すべきではないかと思つておりましたが、幸いこの鉱業法施行法案が第十三條に補償金の規定をあげてありますことは、きわめてけつこうなことであります。しかしながら條文の内容につきましていまだ納得の行かない点がありますので、以下数点につきまして政府の明快なる答弁を望むものであります。
 第一に、ただいま中村委員の御質問で、相当の補償金につきましては、御答弁を聞いたのでありますが、請求できまする相当の補償金とは、一時的のものであるか、それともある一定の期間請求してよいものか、または半永久的のものか、すなわち請求いたしたことによる有効期間につきまして、政府はいかなる構想をお持ちになつておりますか、これについてお伺いいたしたいのであります。
#25
○岡田説明員 先ほど中村委員の御質問の場合にもお答えいたしたのでございますが、私どもといたしましては、相当の補償金の内容は、土地の所有者と鉱業権者との間の話合いでおきめ願うことを期待いたしておるのであります。先ほども申したのでございますが、過去におきましても、鉱業法の改正に際しましては、新しく鉱物を追加した例が数次にわたつてあるのでございます。その際におきましても、ここの十三條とほとんど同一の経過規定をおいたのでございますが、その実際を調べてみますと、鉱山監督局長なり、それぞれ名前はかわつておりますが、政府機関の方へ決定なり裁定なりを申し出た事例は絶無でございまして、ほとんど全部が両者の円満なる話合いによりまして、相当の補償金がきまておるのであります。今度の場合におきましては、従来の場合より土地所有者と鉱物との関係がより密接であるということは私どもも了承いたしておりますので、あるいは過去の場合よりはこの問題で多少はごてつくことが多いかとも思うのでありますが、やはり原則といたしまして、両者の話合いでやつていただきたい。特にその鉱業権に基きまして鉱物を採掘するにいたしましても、土地の所有者との間において意思の疏通と申しますか、円満を欠くようなことがございますならば、その鉱業の実施は、すなおには参らないのであります。従いまして鉱業権者といたしましても、いたずらに土地所有者に対しましておかしげな態度をとることは考えられないのでございます。常識ある決定がなされることを期待いたしますると同時に、そうなるであろうと存ずるのであります。万一紛争が起きました場合に、局長の決定を申出て来るわけでありますが、局長がどういうふうに裁定するであろうか、あるいは一時的の補償にするか、あるいは半永久的な補償にするか、あるいは二、三年あるいは四、五年というふうな有期限的にやるかということは、ちよつとここでは私として申し上げかねるのでございますが、要するに過去の契約の内容なり、鉱物の保存量なり、その品質であるとか、あるいはその所有者の土地の状況がどうであるか、いろいろな條件をにらみ合せまして、両者のよき仲介者として、実情に合う結論を出していただきたいと思つておるのであります。先ほどは租鉱権の放棄の例を引用いたしたのでありますが、租鉱権の放棄の場合には、六箇月以前に予告するか、または六箇月分の租鉱料を積むか、どちらかしなければ租鉱権を放棄することができないという規定が鉱業法の中にあるのでございますが、これがこの場合に適切に該当するとは思うておりませんが、通常の場合におきましては、何年分というふうな補償がなされることが常識的ではなかろうか、かように考えておるわけでありますけれども、るる申し上げましたように、第一次的には両者の円満なる解決を願い、もし持ち込んで参られました場合におきましても、そのとき、その事例の持つておりまする特質に応じまて、決定がなされなければならぬと思うのであります、具体的にどうということは、現在のところちよつと申し上げかねるように存ずるのであります。
#26
○阿左美委員 次に私は、この規定は、従来土地所有者が一定の契約に基いて金銭をとつておるものが、この鉱業法の改正によりまして石灰石等が法定鉱物となつたことによりまして、これらの今までの契約が無効になることによつていろいろの問題が起る、つきましては、ただいまの御答弁によりましても、無用の摩擦を避けるための一時の処置ではないか、こういうように考えております。これについて御説明願います。
#27
○岡田説明員 先ほど御答弁申し上げました中の最後の方に申し上げたのでありますが、私どもといたしましても、常識的に申しますれば、鉱業権者と土地所有者との間で話をして一定の金を支拂つてそれで終りになるというふうに、あまり将来にわたつて問題を残さぬ方が適当であろうと存じますが、すべてそうなるかどうかということにつきましては、その具体的事例によつてそれぞれ異なつて来るかとも思うのであります。全部がそうなるとも申し上げかねますし、あるいは鉱業権者によりますれば、将来にわたつても一定の歩合式に拂つてやるということを了承する者があるかもしれないと思うのであります。その辺はそのときどきの実情によつてきまるのではないかと存じております。
#28
○阿左美委員 なおお伺いいたします。補償金の額は、従来契約に基きまして取得した金額と比べて、どの程度の補償金を政府はお考えになつておられるか。ただいまいろいろ御説明をお伺いいたしましても、はつきりしない。この内容につきまして御指示がいただけるものならば、なお重ねて具体的にお伺いをいたしたい。
#29
○岡田説明員 先ほど来繰返して申し上げております通りでございまして、具体的にどうということは申しかねる点を御了承願いたいのでありますが、従来の契約なり、あるいは慣習の内容というものが、この相当の補償金を決定する上に有力なる材料になるということは間違いないと思うのでありますが、たとえば年にして何ぼという契約であつた場合に、それを何年分のものを出すか、あるいは鉱業をやつておる間中、一年ずつ何ぼという形でやるか、その辺につきましてはあくまで両者の協議にまたざるを得ないのであります。かりに決定の申請がありました場合において通商産業局長が決定する場合におきましても、両者の言い分なりあるいは関係者の聽聞等もいたすわけでありまして、そういう聽聞に現われて参ります意見のぐあいなりいろいろの状況によりまして千差万別であろうと思いますので、どの程度の金額が妥当であるかということにつきましては、今ここで一般に通用し得るような意味合いにおいてお答えすることはちよつといたしかねるように思います。
#30
○阿左美委員 なおお伺いをいたしますが、従来一定の地域に対し一定の契約に基いて採掘をいたしておる者が、新たに鉱業権者になつた者に対しまして補償金を請求することができると思いますが、これについてひとつご説明を願いたいと思います。
#31
○岡田説明員 現に土地がありまして、その土地所有者である甲なら甲という人がある。乙という、所有者の土地の中で追加鉱物を掘つている人がある場合、その掘つている土地に対してさらに丙という者が鉱業権を設定した、その場合に、従来から掘つておつた者が丙という新しくできた鉱業権者に対して補償金がとれるかと、こういう御質問でございますか。
#32
○阿左美委員 そうです。
#33
○岡田説明員 さようでありまするならば、それはとれないのでございます。と申しまするのは、現にある土地におきまして、追加鉱物を採掘しておる人は、本法施行後六箇月間内に出願をいたしまするならば、若干の例外はございますけれども、一切の者に優先いたしまして鉱業権がとれる仕組みになつておりまするから、そのことをやつていただきまするならば、自分の掘つている土地へ第三者が鉱業権を持つということはないわけでございます。その方で救済してございまするので、補償金の問題は規定いたしておらぬのでございます。
#34
○阿左美委員 どうもいろいろ伺いましても、この補償金の規定は、政府側におきましても考え方がまことにはつきりいたしておらないように考えますので、今後いろいろの問題を残すことと思います。すなわち土地所有権者とは、所有権を指しておるのでありますから、今後はこの補償金は従来の採石料などを全然問題の対象にする必要はなしという考え方を持つ鉱業権者が出て来ると思います。現に私のおる秩父あたりにいたしましても、石灰石の採掘は相当深部を掘つております。このような場所でも土地の所有権者は補償金を請求することができるのか、またはその場合政府の考え方はどうでありますか。地上権というものは、所有者にあると思いますが、石灰石を採掘する場合に、地上から深部に対して採掘をする、こういうような場合には、相当所有権を尊重すべきものがあると思いますが、こういうような場合におきましても、この補償金というものの請求はできないのですか。
#35
○岡田説明員 かりに石灰石の採掘が、地下の深い方に向つて掘つておる場合におきましても同様でございまして、土地所有者は鉱業権者に対して補償の請求ができるわけであります。なお深部を採掘いたしますために、地上の土地に鉱害を加えるようなことが起きますれば、これは第十三條の規定とは別に鉱害の賠償としての問題で、別途土地所有者と鉱業権者との間に問題が起きますけれども、その鉱害の問題は別でございますが、深部を掘るとか浅いところを掘るとかいうことによりましてこの十三條の補償には別に区別は、ございませんか。
#36
○阿左美委員 次に第十三條の第三項に、土地所有者の請求に対して鉱業権者が正当なる理由がなければ承諾を拒むことができないとありますが、正当の理由なくして拒んだ場合は、政府はこの鉱業権者に対していかなる措置をおとりになりますか、お伺いいたします。
#37
○岡田説明員 正当なる理由がなければ拒むことができないと申しておりますのは、たとえて申しますれば、土地所有者が常識から考えてもとうてい考えられぬ程度の高い補償金を請求したというふうな場合がありますれば、一応これは拒むことができると思うのでありますが、その場合におきましては土地所有者は通商産業局長に申請をしていただきまして、そこで局長が仲介者となりまして、あつせんをいたすことに相なるわけでございます。
#38
○阿左美委員 以上をもちまして私の質問は終りたいと思いますが、この補償金の規定につきましては、石灰石等を採掘する者は土地所有者もひとしくこの條文に対しましては不安な気持を現在も持つておられるのであります。しかも政府側の考え方もまだはつきりいたしておらないように考えられますので、同一の土地所有者の地域に、別の鉱業権者が鉱業権を設定した場合、鉱業権者にも補償金を請求ができるのですが、すなわち十三條の第一項に書いてある新法施行の際の内容につきましては、特別な政府の御考慮を本案にうたつた以上は、これが運用についてはしつかり腹をきめてやられんことを切望いたしまして私の質問は一応終りたいと思います。
#39
○小金委員長 ほかに御質疑はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○小金委員長 別段御発言がないようでありまするから、本法律案に対する質疑はこの程度をもつて打切ることといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○小金委員長 御異議がないようでございますから、さよう決定いたしました。明日は午後一時から本委員会を開会する予定であります。
 本日はこの程度をもつて散会いたします。
    午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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