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1999/11/17 第146回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第146回国会 運輸委員会 第3号
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1999/11/17 第146回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第146回国会 運輸委員会 第3号

#1
第146回国会 運輸委員会 第3号
平成十一年十一月十七日(水曜日)
    午前九時二十二分開議
 出席委員
   委員長 仲村 正治君
   理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君
   理事 菅  義偉君 理事 森田 健作君
   理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君
      衛藤 晟一君    小里 貞利君
      木村 隆秀君    久野統一郎君
      栗原 裕康君    坂本 剛二君
      中馬 弘毅君    中野 正志君
      望月 義夫君   吉田六左エ門君
      渡辺 具能君    奥田  建君
      今田 保典君    佐藤 敬夫君
      永井 英慈君    前原 誠司君
      石田幸四郎君    岩浅 嘉仁君
      寺前  巖君    平賀 高成君
    …………………………………
   運輸大臣         二階 俊博君
   運輸政務次官       中馬 弘毅君
   政府参考人
   (運輸大臣官房技術審議官
   )            藤森 泰明君
   政府参考人(運輸省鉄道局
   長)           安富 正文君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   参考人
   (西日本旅客鉄道株式会社
   代表取締役社長)     南谷昌二郎君
   参考人
   (財団法人鉄道総合技術研
   究所理事)        佐藤 泰生君
   運輸委員会専門員     長尾 正和君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 陸運に関する件(山陽新幹線トンネルコンクリート問題)
 派遣委員からの報告聴取

    午前九時二十二分開議
     ――――◇―――――
#2
○仲村委員長 これより会議を開きます。
 陸運に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に山陽新幹線トンネルコンクリート問題について質疑を行います。
 まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として西日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長南谷昌二郎君及び財団法人鉄道総合技術研究所理事佐藤泰生君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 引き続きお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として運輸省鉄道局長安富正文君、同大臣官房技術審議官藤森泰明君及び労働省労働基準局長野寺康幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
#5
○仲村委員長 去る十月二十七日及び二十八日の両日、山陽新幹線北九州トンネルコンクリート剥落事故の実情調査のため、福岡県に委員派遣を行いました。
 この際、派遣委員から報告を聴取いたします。石破茂君。
#6
○石破委員 山陽新幹線北九州トンネルコンクリート剥落事故の実情調査について御報告を申し上げます。
 去る十月二十七日から二十八日までの二日間、山陽新幹線北九州トンネルで発生したコンクリート剥落事故の実情調査のため、福岡県に派遣されました。
 この際、派遣委員を代表して、私からその調査の概要を御報告申し上げます。なお、詳細はお手元に配付されております報告書を御参照ください。
 派遣委員は、武部勤君、実川幸夫君、玉置一弥君、細川律夫君、江崎鐵磨君、寺前巖君そして私の七名であります。
 まず、今回現地調査を行うに至った経緯でありますが、去る六月二十七日に発生した山陽新幹線福岡トンネル内でのコンクリート剥落事故後、JR西日本においては、全トンネルの点検を行い、八月四日に安全宣言を発したにもかかわらず、その二カ月後の十月九日に北九州トンネルにおいて再度コンクリート剥落事故が発生したことに加え、事故を教訓とした社内連絡体制の改定が実地に生かされなかったことは、同社の危機管理意識の欠落とも言え、まことに重大な問題であると認識をいたしております。
 また、両トンネルの事故や高架橋からのコンクリート剥落等から、これらに共通した問題が存在をするのではないかと考えられたことからも、剥落事故現場を視察し、JR西日本から説明を聴取するとともに、剥落事故全般に関して関係者と隔意のない意見交換をすることが必要ではないかと判断したからであります。
 十月二十七日夜、小倉に到着した後、直ちにJR西日本福岡工務所において、運輸省、JR西日本及び鉄道総研から、コンクリート剥落事故の原因、今後の対策等に関する説明を聴取し、質疑応答、意見交換を行いました。
 まず、運輸省安富鉄道局長から、コンクリート剥落事故に対する運輸省の取り組みについての報告を受けました。
 運輸省からは、事故発生後、JR西日本に対し、事故原因の究明及び再発防止策の策定とその結果報告を指示したこと、また、省内にトンネル安全問題検討会を設置し、鉄道トンネルの点検方法、補修方法等保守管理のあり方について検討を進めていること等の報告がありました。
 次いで、JR西日本からの説明でありますが、説明に先立ち、南谷社長から、両トンネルのコンクリート剥落事故に関し、七月二十六日の視察の際に万全の対策をとっていると申し上げたにもかかわらず事故が再発したことについておわびの発言がありました。
 次に、同社池田建設工事部長の説明でありますが、このうち、トンネルコンクリート剥落防止に向けた取り組みについては、福岡トンネル事故後に緊急打音点検を実施し、コールドジョイント下部に濁音があったすべての箇所において剥落防止工事を行い、今後のコールドジョイント部の保守管理については、トンネル安全問題検討会での成果を反映させていきたいとの考えであること、また、北九州トンネルについては、剥落箇所と同種構造のコンクリート打ち込み口について点検を実施し、三カ所の不良箇所をハンマーでたたき落とす措置をとったこと及びコンクリート打ち込み口は基本的にすべて除去する方針であること、十月二十五日から十二月十五日までの間に山陽新幹線の全トンネルを対象とした総点検を実施中である旨の説明がありました。
 高架橋を含めた山陽新幹線のコンクリート構造物問題への取り組みについては、昭和六十三年度より社内に設置したコンクリート委員会において調査検討を行い、中性化に対する対策としてライニング工法を実施するとともに、点検を継続して行っているとの説明がありました。
 今後の取り組みとしては、山陽新幹線全高架橋の構造診断をこの十月から一年の予定で実施するとともに、在来線を含め点検によって既にたたき落とした箇所の補修を今年度中に完了する予定であること、剥落したときに危険が大きい高架橋の張り出し部については年度内に剥落防止ネットを設置する等の措置を講ずる予定であること、さらに、コンクリートの状態を検査するための非破壊検査手法の適用可能性について、年度内を目途に検証するという説明がありました。
 山陽新幹線建設当時の工事施工状況については、施工業者に事故後ヒアリング及びアンケート調査を行い、コンクリートの品質管理及び施工管理状況、コールドジョイントについての認識等について分析しつつある旨の説明がありました。
 次に、鉄道総研の佐藤理事及び小山副本部長からの説明でありますが、まず、福岡トンネル事故の原因は、覆工コンクリート打設中にコンクリート材料の供給に中断を生じ、アーチ下部にコールドジョイントが形成され、型枠脱型時の影響等の要因によりコールドジョイント下側の内部に不連続面が形成され、これを流路として漏水が供給され、骨材の劣化の進行、不連続面の拡大が起こり、最終的に列車振動等により剥落したと推定されること、北九州トンネルについては、かなり早い段階で突起部と側壁本体に不連続面を生じ、側壁とアーチ部との打設継ぎ目を介して漏水が不連続面に供給され、経年とともに劣化の進行、不連続面の拡大が起こり、これが全体を支えていた両端部にも徐々に進行し、最終的には自重により剥落に至ったとの現時点における原因推定についての説明を受けました。
 次に、今後におけるトンネル検査方法及び剥落対策工事方法については、今回の事故につながったコンクリート内部の不連続面等はこれまでに同種の剥落事例がなく、剥落の可能性がある現象とは認識されていなかったことから、今後かかる部分の検査のあり方について再検討を行うこと等について説明を受けました。
 今後の課題として、検査方法としては、現在の目視検査、打音検査の基準を整備するとともに、これらにかわる非破壊・定量的な検査・診断システムの導入及び技術開発の必要性、また、剥落対策工事方法については、FRP等の新材料を生かした工法についての設計法を確立する必要性等について説明を受けました。
 さらに、高架橋等のコンクリート構造物に関する分析を行った結果等をもとに、劣化状況に応じた最適な工法について検討を行っていくこととしている等の説明を受けました。
 以上の説明を聴取した後、質疑応答や意見交換が行われましたが、その主な事項として、打ち込み口の突起部の除去だけではなくほかの箇所にも目配りすべきではないか、人に頼る検査方法ではなく、もっと効果的な点検・補修方法はないのか、現在行われている耐震補強工事や剥落防止工事で十分なのか等の質疑がありました。
 これらについては、今回の総点検で考えられるあらゆる項目について綿密かつ徹底的な点検を実施していくこと、また、検査方法については鉄道総研、営団地下鉄、日本道路公団の新しい検査機器について十分に研究し、検査体制を早急に整備したいこと、これまでに行ってきた耐震補強工事や予防的な剥落防止工事で問題ないと考えており、新たに点検項目に加えてきちんと点検を行っていきたいという説明がありました。
 このほか委員からは、事故の原因にはトンネルの工法、施工上の問題、社会的な背景等が考えられること、コンクリートの劣化がなぜ起こるかはトンネルに限ったことではないことに留意する必要がある等の意見が出されました。
 説明を聴取後、北九州トンネル内のコンクリート剥落事故の状況及びコンクリート打ち込み口のたたき落とし作業実施状況を視察し、終了後記者会見を行い、午前三時過ぎに全日程を終了いたしました。
 私どもは、今回の視察に当たり、まず、JR西日本における事故再発防止対策、さらには乗客対応等危機管理態勢が極めて不十分であったと大変遺憾に思った次第であり、これについての同社の深い反省と今後の改善が強く望まれます。また、政府における前回の事故以後の対応につき、さらに適切な対策がとり得なかったのかという思いを抱きました。
 次に、今回発生した事故の現場を見て感じましたのは、現在主として行われている目視や打音点検で、コンクリート剥落の原因となり得る事象を事前に発見し、事故を未然に防止し得るのか、より効果的方法による点検が行われるべきではないかということであります。
 また、今回の事故では幸い乗客に死傷者は出ませんでしたが、剥落の規模や発生の場所、時間等によっては大事故につながる可能性があったことを実感するとともに、今回の事故は極めて重大であると改めて認識した次第であります。
 JR西日本では、年末までの間、総点検を実施することとしております。この点検は、運行ダイヤの一部を休止するものでありますが、今後、新しい要因を発見したときは、点検・補修方法の見直し等適時適切な対策を検討すべきであると考えます。また、これらの作業に関し、必要な資金調達、人員及び機器の確保等に関し問題が生ずる場合には、政府において、その支援措置を講ずる等適切に対処すべきであると考えます。
 このたびの両トンネルにおけるコンクリート剥落事故は、建設時期やトンネル掘削工法も類似していること等から、建設時の施工方法、コンクリートの中性化現象等共通した背景や材質構造上の問題があるのではないかという懸念を抱かせます。運輸省におきまして現在行われている検討会におきましては、これらの問題についての結論が早期に出されることを希望いたします。
 トンネルのみならず、新幹線高架橋や道路トンネル、橋梁についてもコンクリート剥落が報告をされております。このように連続して起こっているコンクリート剥落事故を契機として、関係者におかれましては、相互に連携して十分な研究を進めることにより、剥落原因の研究や処理対策等について解明していく必要があると考えます。
 今後は、関係者により、原因の究明と再発防止のための抜本的な対策を講ずることによって、国民の不安を払拭することが必要であり、当委員会においても今後十分な審議を行うことにより、迅速的確に安全対策が講じられるよう政府及び関係機関を督励していくべきであると考えます。
 以上が調査の概要でありますが、深夜早暁にもかかわりませず、調査に御協力をいただきました政府関係機関、JR西日本及び鉄道総研の皆様方に感謝の意を表しまして、報告を終わります。
 なお、お手元の報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に参照掲載していただきますよう委員長にお願いいたしたいと存じます。
 以上です。
#7
○仲村委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。
 お諮りいたします。
 派遣委員からの詳細な報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
     ――――◇―――――
#9
○仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
#10
○石破委員 大臣、総括政務次官、また参考人の皆様方、本日は御苦労さまでございます。若干の質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど派遣団の報告でも申し上げましたが、私ども当時の委員は大変に残念な思いを抱きながらこの調査に赴きました。すなわち、前回の福岡トンネル剥落のときも、同じように私ども剥落現場に参り、コールドジョイント部を視察し、深夜早暁、いろいろなことを見てまいりました。そして、その後に、いわゆるという言葉を使いますが、いわゆる安全宣言が出され、向こう十年間は大丈夫であるというようなことを聞き、私どもが視察をしたことも有意義であったというふうに思ったところでございました。にもかかわらず同じような事故が起きた。大変無念で、やるせない思いを抱きながら、皆が調査に参ったことでございました。その節は大変大勢の方々にお世話になりました。この場をかりまして御礼を申し上げます。
 しかし、実際に現場に行ってみまして、百聞は一見にしかずと申しますけれども、こんなにトンネルは傷んでいたのかという思いを強くした次第でございます。恐らく、大臣も同じ認識をお持ちではなかったかというふうに考えます。
 つまり、ぼろぼろという言葉がありますが、これは急に起こったものではない、長い時間をかけてひびが入り、そこが空気や水に触れて劣化をし、傷んできて、剥落をしたのだろうというふうに今回の北九州事故については思っております。そのときに、想定外であったという言葉が出ますと、大変に意外な感を持ちます。
 最近、想定外というのがはやりでありまして、東海村においてもそう、そしてまたHIIロケットにおいてもそう、想定外、想定外というお話が出てくる。想定外という言葉を国民はある意味で嫌悪の感を持って受けとめておるのではないか。少なくとも、政府そしてまた公共交通機関、そういうものに携わる者は想定外であったという言葉は使うべきではないと私は思っているんです。ありとあらゆる知見と、そしてまたありとあらゆる想像力を働かし、ありとあらゆる方法を試みた上で、それで想定外という言葉は使われるべきものであって、今回のようなことに想定外という言葉は私は使っていただきたくない、ぜひお願いをいたしたいと存じます。
 そしてまた、これは後知恵みたいなお話なのかもしれません。後からだったら何でも言えるということはあるのかもしれません。しかしながら、私も今回多くの文献を読みましたが、その中でこういう言葉がございました。元新幹線営業部長の方のお話であります。
 我々はかつて、線路というものは刃物なのだ、ちょっとした油断が事故につながる、そのように何度もたたき込まれたものだ、そしてまたコンクリートを使う際に、海砂だけは絶対にだめなのだというふうに言われた、それがなぜ使われるようになったのか、ひょっとしたらば、問題が起きるにしても遠い将来のことだというような意識がもし組織に蔓延をしていたとすれば、この病は重いのだ。
 外部の方ではありません。実際に新幹線総局営業部長をなさっておられた方がそのように御発言なさっておられるのを私は見まして、大変に唖然としたことでございます。
 私どもは鉄道というものが今後さらに重要になるであろう。モーダルシフトという考え方もあります。省エネという考え方もあります。定時性もすぐれております。私どもは鉄道事業が、そしてまたJR西日本がさらに国民に信頼される機関として発展していくことを心から願っております。そういう思いで質問をさせていただきますことをお許しをいただきたいと存じます。
 私は何度かこういうお尋ねをいたしました。確たる返事が帰ってこなかったので、もう一度お尋ねをいたします。
 今回の事故にしても、福岡トンネルにしても、死傷者は出なかった、先ほど報告で申し上げたとおりであります。では、もしこれが仮に、福岡トンネルでいえば、新幹線の屋根に当たらないで線路に落下しておって、それがもっと大きな塊であったとして、そこへ時速三百キロで新幹線が入ってきた。スカーティングプレートという障害物をのけるものが新幹線前部には設置をされておって、そのときのお答えは、それがはね飛ばしますから大丈夫ですよというお答えであった。しかし、私は釈然としないものを感じた。それが一体どのような大きさのものでもそうなのか。そしてまた、そのときに対向して同じように新幹線が高速で突っ込んできたら、これはどうなるのか。テレビにおいても、新聞においても、それは脱線転覆、大事故だというふうに言われておる。国民はそれを聞いて不安に思っておる。それは本当に大丈夫なのか。想定外ということは言わないでいただきたい。その点について、お尋ねをいたしたい。
 そして、第二点は、福岡トンネルにおいて落下したのは〇系の新幹線であった。一番古いというか一番オリジナルな新幹線であった。私どもは新幹線に乗るたびに思うのですけれども、かなり頑丈なものであったはずです。屋根の部分にはエアコンでありますとか、いろいろなユニットが取りつけられて、頑丈な屋根のように私どもには思える。しかしながら、それが軽量化による高速化によって、五〇〇系であるとか七〇〇系であるとか、そういうものが非常に軽い新幹線になっておる。四割ぐらいは重量が軽減をされておるはずであります。巷間言われるのは、〇系であったから大丈夫だと。大丈夫だと言っても、結構テレビなんかで見ますと、大変な破壊ぶり、ある意味で大破と言ってもいいでしょう。それが五〇〇系であっても、七〇〇系であっても、同じように屋根の強度があり、落ちたとしても何の問題もなかったのか。私はそこについて明快なお答えをいただいていないのです。
 先ほど申し上げましたように、新聞、テレビ等は大事故につながっていたというふうに喧伝をいたしております。
 今回の北九州の事故にいたしましても、大丈夫です、あれは問題ないのです、下に落ちただけですからという話ですが、線路からそれはわずかしか離れていなかった。あそこの北九州トンネルというのは三百キロで走るのだそうですね。そうしたらば、風圧や何かの拍子ではね飛ばされ、相手の車両にぶつかったとしたらどうなるのだろうか。私はその点についても、数値をもって明快なお答えがいただきたいのであります。
 さらには、運転席を直撃したらどうなるのかということについても、これはありとあらゆる想像力を働かせれば、そういうことはないとは私は思いません。そういうことについてのお答えをいただきたい。
#11
○南谷参考人 まず冒頭に、このたび二度にわたりトンネルにおきましてコンクリート剥落事故を起こしましたことにつきまして、とりわけ、一回目につきましてしかるべく対応措置をとったにもかかわらず、二度まで発生させたということにつきまして、まことに申しわけなく、これは私どもとしても新幹線の信頼性を大きく損ねるものということで、国民の皆様にも、また利用者の皆様にも御不安の念を抱かせた点につきまして深くおわびしなければならないと思う次第でございます。
 さて、今石破先生からの御指摘の点でございます。いろいろなケースを我々としても考えなければならないということで、私ども現在知り得る限りのことをきちんと申し上げたいと思いますが、まず、線路上に落下した障害物について、車両の排障器はどのような性能を持っているかという点でございます。
 まず、この排障装置は、排障板とその裏面にありまする緩衝器をもって構成されております。障害物をはね飛ばす機能は排障板が受け持っておりまして、この設計上百キログラムまでははね飛ばすことができるということでございます。これを超える重量の障害物につきましては、排障板に変形が生ずるということになります。排障板に変形が生じた上で、排障板の裏面にございます緩衝器でこれを吸収するという構造になっておりますが、設計上おおむね一トンの衝突エネルギーの吸収が可能ということになってございます。そういうのが排障器でございます。
 それから、車両の構造上、屋根の上に落ちた場合どうなのかという御質問でございますが、五〇〇系、七〇〇系につきましては、これは高速化のために軽量化をいたしておりますが、従来の新幹線車両と同様に、車両の最高速度に見合った形で、動揺あるいは車内外の圧力変動、自重も含めた荷重等に対しまして十分な強度を確保した構造設計を行っておりまして、〇系と比較しまして、私どもは大差ないと考えております。
 仮に福岡トンネル事故と同様の状況に遭遇した場合に、車体はある程度ダメージは受けると考えられますけれども、客室まで影響が及ぶかどうかの点につきましては、その可能性は私どもとしては低いと考えております。ただし、その角度によりましていろいろなケースは考えておりますので、これはあくまでも可能性は低いというお答えをする以外になかろうかというふうに思います。
 なお、二百キログラムのコンクリートブロックが二メートル上空から垂直に落ちてきたと想定した場合、構造上十分にそのエネルギーを吸収できるという試算結果もあります。この条件下では、屋根にはへこみができますが貫通はしないと考えられます。なお、いわゆる高速で走る場合の衝撃等がそれにさらにありますので、いろいろな想定は考えなければなりませんが、私どもとしては可能性は低いのではないかなというふうに考えております。
 それから、仮に福岡トンネルにおきますようなコンクリート塊がちょうど走行前面に、屋根の上ではなくて、例えば運転席を直撃したらどうなるかというようなことを仮に想定したらどうなるかという御質問かと思います。
 この点につきまして、私どもの運転席の前面ガラスの強度は、実はトンネル走行中に受ける圧力あるいは圧力変動に耐え得ること並びに鳥などの衝突に耐え得ることを基準にしております。大体一・八キログラムと想定いたしておりますので、今回のような大きなコンクリート片による衝撃は、私どもとしては実は想定はいたしてございません。
 いずれにしましても、このような事態にならないようにトンネル安全総点検を実施いたしまして、補強、補修の必要な措置をまた講じなければならないというふうに考えておるところでございます。
 以上、お答え申し上げます。
#12
○石破委員 そうしますと、これはこう考えていいのですか。マスコミで言われておる脱線、転覆、要するに素人がイメージするとそういう感じがするのですね、そういうことは全くない。とにかく今ありとあらゆる実験をやってみて、ありとあらゆるデータから、つまりこれはもう数値だけでは、机上の計算だけではだめなんでしょうね。実際にやってみないと何が起こるかはわからない。世の中、そういう不安を感じておるわけだが、それは、実際に何か実験をしてみられた上のことですか。
 つまり、先ほどの、物を排障板によってのけ、そして一トンを超えればそれを吸収可能というお話でしたが、これをはね飛ばしたときに、対向する新幹線の方にそれが行って、その後どうなるんだということは考えられたことがありますか。そのことについても大丈夫ですか。くどいようですが。
#13
○南谷参考人 今の御質問でございますが、例えばすれ違いの最悪の状態でそういう事情が生じたときにどのようなダメージを受けるか、これは実は実験は許されないわけでございますし、私どももこういったものに関してあくまでも机上の想定をする以外に手だてはございません。
 東海道新幹線が開業する前に、実は線路上に放置された大型の鉄製のボンベをはね飛ばした、ぶつかったというケースがございまして、それを教訓にして排障器が設けられたというふうに私ども聞いておるところでございます。
 そういう意味では、一応私どもとしてはできる限りの防護策は講じてはおりますが、しかし、あらゆる最悪の場合、ケースを考えたときに、出会い頭ということは、私どもとしては想定はしたくないというのが正直なところでございます。
 そういうことのないように、三たびこういうことを起こさないように、これからも全力を挙げて保守点検に全力を尽くして、信頼の回復に努めてまいりたいというふうに思う次第でございます。
#14
○石破委員 くどいようですが、マスコミにそれそれわあわあ言われておって、JRから、そんなことはないんだというようなことがきちんと私は提示されていないと思っているのですよ。
 つい先日、一週間ぐらい前でしたか、某テレビでもそのような番組があった。ごらんになったかもしれません。あれは間違いです、そんなことはありませんということをおっしゃることも、私は公共交通機関をお預かりになる方の責務だと思いますよ。ぜひその点はお願いいたしたいと思いますし、もちろん社長がおっしゃいますように、実際に実験することなんて許されないし、私は、それをやってくださいなんということを申し上げているわけではありません。しかしながら、可能な限り実際に近い実験、コンピューターシミュレーション、そういうことはなさっていただきたいし、またその点について改めて機会を設けて承りたいと思います。
 次に参りたいと存じます。
 いわゆる安全宣言が出されました。あれは一体何だったのでしょうか。そんな宣言はした覚えがない、あれはマスコミが勝手に安全宣言だと言ったのであって、我々としては安全宣言をした覚えがないという話なのかもしれません。また、あれはコールドジョイント部についての安全宣言なのであって、ほかの部分について安全宣言はした覚えがないという話なのかもしれません。あれはいかなる意思の表明であったのですか。承ります。
#15
○南谷参考人 いわゆる安全宣言ということでございますが、さきの参議院の委員会におきましても、私いわゆるその言葉についてちょっとこだわった答弁をさせていただいたことがございますが、これはまあ言葉の上でございまして、趣旨としてはとにかく、お客様に安心してお乗りいただけますということを申し上げたわけでございますので、内容の意味において大同小異であろうというふうに思う次第でございます。
 そういう意味では、私どもが福岡トンネル後の対応策の後に、少なくとも御安心してお乗りくださいということを申し上げたことは間違いないわけでございますし、その後また再び北九州トンネルで、理由のいかんはあれ、現に大きなコンクリートの塊が落ちていたということは事実でございます。そういう点で、私どもとしてはまことに残念でございますし、また申しわけないというふうに思う次第でございまして、この点については弁解の余地はないというふうに思っております。
 今、御質問のように、何について安全と宣言したのかという御下問でございます。
 私どもといたしましては、先ほど委員が想定外という言葉は聞きたくないということで、まことに申しわけのうございますが、実は、コールドジョイントがいわゆる弱部であるという点については残念ながら認識がございませんでした。それ以外の部分に関しては、定常的な検査の中で把握しておるというふうに思っておりました。これは、まことに率直に申し上げますと、そういうのが実態でございます。そういう意味で、コールドジョイントという弱部が新たに認識されたということをとらえて、その面に集中しまして対応策をとったということもまた事実でございます。
 そういう意味で、今回二度目の落下があったということは、今から考えれば、従来からの点検のあり方そのものに対して反省を加えざるを得ません、こういうことになろうかと思います。現在、改めて総点検をいたしている次第でございますので、この点についてはまことに至らなかったというふうに思います。率直におわび申し上げたいと思います。
#16
○石破委員 これは言葉ですから、かぎ括弧つきなのかいわゆるなのか知りませんが、今の社長の話は、安全宣言というようなことをしたということだと受けとめさせていただいてよろしいかと存じます。
 私は、前回の福岡トンネルの後、いろいろな土木工学の雑誌を読んでみたんですが、かなり以前からコールドジョイントという言葉は出ているんですね。今回本邦初演じゃないですね。土木工学雑誌なんかをいろいろ読んだりコンクリート工学の本を読みますと、私は専門家でないから知りません、後ほど渡辺委員からそういうのは御質疑があろうかと思いますが、コールドジョイントは危ないよという指摘はかなり以前からなされておったことだと思います。そして、それは関係者の方であれば容易に手に入るものであったと思います。
 今、社長からおわびの言葉がございましたが、私はこれ以上申しません、ぜひ全知全能をもって安全の確保に御尽力をいただきたいと心からお願いを申し上げ、繰り返して申し上げますが、想定外という言葉は本当に使っていただきたくないのであります。
 大臣にお尋ねをいたします。この安全宣言というもの、あえて安全宣言と申しましょう、これを運輸省の指示に基づいていろいろな点検をなし、そしてJRがお出しになった。しかし、公共交通機関における事故後の安全ですよというような意思の表明については、何らかの公の裏打ちというのが必要なのではないだろうか。民間企業を信じないわけではありませんけれども、いろいろな手だてを持っておられる、そして最終的な責任を負っておられる運輸省として、そういうことについて何らかの裏打ちをする必要が今後はあるのではないだろうか、一民間企業の安全宣言ということだけでは足りないのではないかというふうに私は考えますが、大臣、いかがですか。
#17
○二階国務大臣 安全宣言の問題につきまして、まず、御答弁の前に、先ほど山陽新幹線北九州トンネルコンクリート剥落事故の実情調査報告を、当時の委員長であり団長であられた石破委員からちょうだいいたしました。その御熱意に対しまして、心から感謝を申し上げておきたいと思います。
 今のお尋ねの安全宣言の問題でありますが、今、JR西日本が、延べ四万九千人の人を総動員して安全の確認の努力を行うということを誓っておりますので、私はその作業状況を見守っておるところでありますが、やがて、十二月十五日を一つのめどにして、安全の確認についての報告が運輸省になされるであろうと思っております。それを運輸省の技術陣が総点検いたしまして、さらに、コンクリート問題の検討委員会を設置してございますので、その学者、専門家等の意見を聴取した上で、安全宣言を運輸省として正式に公表したい、調査の結果をすべて明らかにしたいということを考えておる次第であります。
 今石破委員御指摘のとおり、この際、JRからの御報告があったからということで、そのままそれをもって安全を確認したというのではなくて、運輸省で検討の上、先ほど申し上げましたように、トンネル委員会の諸先生の御判断を仰ぐ、その結果判断をしたい、このように思っております。
#18
○石破委員 大臣、今後はこのような問題について、運輸省としても責任を負う、国として国民に対して責任を負うというような意思の御表明ととらえて相違ございませんか。
#19
○二階国務大臣 先ほども委員の御質問の中にございましたように、このことは幸いにして人身事故に至っていないということが一つの大きな救いでありますが、私は、運輸省内で鉄道局に指示をする際に申し上げておることは、ここで人身事故が発生しておったという緊張感を持って対応するようにということを常に申し上げております。
 私は、その観点から、運輸省自身が安全について大きなかかわり合いを持っておる、その責任を持っておるというふうに判断をいたしております。
#20
○石破委員 それでは次に進みます。
 いわゆる瑕疵担保責任というんですか。要は、東海道新幹線というのはほとんどこういうことは起きない、しかし、山陽新幹線にこういうのは集中をしておるわけですね。時あたかもオイルショック後で、急いで開業せねばならなくて、物は足りなくて、物は高くなっている。工事誌を読みますと、無理に無理を重ねた工事であったというような記述すらあります。
 私は、視察した後、新聞記者の皆様、マスコミの皆様から、国の責任はどうなんですかということをよく聞かれました。つまり、JR西日本にしてみると、東海道新幹線はちゃんとしているのに、ある意味できずのある新幹線を買ってしまったということはあるんだろうと思います。こんなことをお答えは要りませんが。
 これは、国鉄がつくり、国鉄が持って、それが新幹線保有機構に行きとかいうふうに所有権は転々としておるわけですね。しからば、いろいろな瑕疵に対しての責任、瑕疵担保責任、それについての特約、このことについての整理した見解を鉄道局長から承りたいと存じます。
#21
○安富政府参考人 お答えいたします。
 山陽新幹線につきまして、先生御指摘のように、昭和五十年に新大阪―博多間が全線開業いたしましたが、これはもちろん国鉄が所有していたわけでございます。その後、国鉄改革時に新幹線保有機構に所有権が移転されまして、平成三年に同機構からJR西日本に売却されたわけでございます。そういう意味で、現在はJR西日本が所有しているという形になっております。所有権はこういうことでございます。
 一方、山陽新幹線に係る権利義務関係につきましては、国鉄改革時にその権利関係については新幹線保有機構に移り、現在は運輸施設事業団に移っている、一応そういう権利関係の状況でございます。
 こういう前提のもとに、山陽新幹線に何らかの瑕疵があるとした場合に、JR西日本に係る法律上のいろいろな責任関係がどうなるかということをちょっと整理しますと、一つは、同新幹線の売買契約に係るJR西日本に対する瑕疵担保責任というのが、現在は運輸施設事業団が有することになります。ただ、当時売り主であった新幹線保有機構とJR西日本との間で結ばれました鉄道施設の譲渡契約書に基づく契約上、同施設について瑕疵があった場合においても請求権等はないものという形の記述がございます。
 それから、仮に当該瑕疵が建設会社のいわゆる施工不良によるものであるという一つの認定を置いて、これを不法行為を構成するとした場合には、民法第七百二十四条により、損害を受けたJR西日本が損害賠償請求権を持つことになります。
 ただ、当該請求権は、いわゆる不法行為のときから二十年を経過すると消滅するという法律上の規定になっておりまして、既に時効が成立しているという状況でございます。
 なお、もう一つ考えられますのは、山陽新幹線の瑕疵に係る請負契約、ゼネコンに対する請負契約に基づいて、建設会社に対する損害賠償請求権というのがあるわけですが、これは、先ほども言いましたように、権利義務関係は運輸施設事業団に移っておりますので事業団が有することになりますが、同請求権についても、民法六百三十七条で、目的物の引き渡し時より一年以内に行うということで、これも時効が成立しているという状況でございます。
#22
○石破委員 法律関係はそういうことだろうと思います。これも何となく釈然としないものを感じるんですね。それは私だけではない、省内においてもそういう議論はあるだろうと思いますよ。こういうものについての瑕疵担保責任、そしてまた特約の存在、そういうものがどういうものであるのかについて、これは立法政策の問題ですが、また今後議論をさせていただきたいと思います。何となく、それでいいのかなという気が正直言って私はするのですね。
 それから、最後に承ります。公的支援についてであります。
 自自公三党において、この新幹線というのは国家的プロジェクトである、よって財政支援も含めて検討すべきであるということで、補正予算においてもいろいろなものが盛り込まれております。その詳細の御説明は要りませんが、さて、民間会社であるJRに対して、そのJRから要請があれば支援を行うというようにたしか大臣はおっしゃっておられたかと思っております。
 これはJRにお尋ねしたい。どういう場合に支援を要請されるのか。そしてまた、国としてはいかなる理由で、いかなる根拠に基づいて支援を行うか。それは、ある意味で要請があろうがなかろうがやらねばならないものであって、つまり黒字であればいいのだけれども赤字であればとか、そういういろいろな問題があるわけですね。黒字であろうが赤字であろうが、国民に対する安全というものを確保するためにはそれはやらねばならない場合があるのではないかというふうに私は考えておる。しからば融資ということも考えられる。阪神大震災のときはそうでしたね。
 そのあたりについて、JR並びに運輸大臣の御見解を承りたいと存じます。
#23
○南谷参考人 財政支援の問題でございますが、私どもといたしましては、当社の資産として既に譲渡されたものでありますので、当社として責任を持って管理に当たる必要があると考えてございます。
 現在のところ、お国に対しまして財政支援等の要請はいたしておりません。では、しからばどういう場合に要請をするのかということでございます。
 私ども、実は阪神・淡路大震災という大きな災害を経験いたしました。あの当時、当社のほかに民営鉄道会社三社ばかり被害を受けたわけでございますが、その中には、自力で復興、復旧された社もあれば財政支援を受けられた社もございます。そういう意味では、私どもとしましては、あの当時、全面的に自社の資金でもって復旧をいたしたわけでございますが、一部開発銀行からの融資を受けたわけでございます。いわゆる財政支援という形では受けておらないわけでございます。
 そういう意味では、私どもとしまして、資金上、財務上可能である間は、まず第一義的に当社が責任を持ってやるというのが、これは株式会社の運営の基本であると思っております。そういうもとで、なおどうしても会社として、例えば資金が不足して運営が正常にできないという見通しがあった場合にはお願いする場合がないとは言いませんが、私どもといたしましては、現在のところ、十分私どもの体力でもってこれはカバーし得るというふうに判断をしているところでございます。
#24
○二階国務大臣 ただいまJR西日本の南谷社長からお話がありましたとおりで、国鉄から引き継いだ鉄道施設等については既にJR各社の所有になっていることでありますから、鉄道施設等の維持、補修に必要な費用については、第一義的にはJR各社が負担すべき性格のものであると考えております。
 今回の山陽新幹線コンクリート剥落事故については、まず、トンネル安全問題検討会において、徹底した事故原因の究明を行うとともに、万全の安全確保策を確立すべく目下検討しているところでありますが、今後、その検討結果によって必要な対策を整理し、それに要する費用等を算定して、JR西日本と御相談をしてまいりたいと思っております。
 事故発生後直ちに、JR西日本の南谷社長に運輸省にお越しを願ったわけでありますが、その際私の方からも、国民の大多数の運行の利便ということと安全の確保という両面から考えて、JR西日本が財政的に困窮であるというがゆえにこの安全の確保がなおざりになってはならないという観点から、JR西日本の南谷社長に対し、財政的なことで必要があれば、運輸省は政府関係筋とも御相談の上対応したいという旨を申し上げました。それに対して、今お答えになったとおり、今は自力でやれるところまでやろうという決意でございますから、JR西日本の対応に期待をしておるところでありますが、もしJR西日本の財政力を上回るような問題が発生しましたときには、政府としては十分な財政的な援助を考えてまいりたいと思っております。
 仰せのように、阪神大震災の場合にも、その復旧に要した費用が千二十億円であったかと思いますが、それらにつきましては、今南谷社長からお話しのとおり、当時は日本開発銀行の超低利融資を行ったところであります。今日は政策投資銀行において、その対応を図るべきものが算出されれば、我々はそれに積極的に対応してまいるつもりであります。
#25
○石破委員 時間が超過しました。おわびを申し上げます。
 現場で御苦労なさっておる皆様方に心から敬意を表しまして質問を終わります。
#26
○仲村委員長 次に、渡辺具能君。
#27
○渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。引き続きまして、トンネル事故について質問させていただきます。
 二階運輸大臣におかれましては、先般の運輸委員会のごあいさつの中で、こういう決意を述べられました。「運輸行政の基本的課題であります安全の確保に改めて万全を期する」、こうおっしゃって、大変私ども力強く思っているところであります。
 私は、この安全問題については今こそ真剣に運輸省は取り組まなきゃいけないのではないかというふうに思うわけです。それはなぜかといいますと、今運輸省では、いろいろな部門で規制緩和が進んでいて、自由競争が展開されようしている。そういう経済的規制を外す中で、ますます必要になってくるのが社会的規制ではないか。つまり、その中の中心部分をなすものが安全問題ではないかというふうに思うわけです。そういう意味で、安全に対する行政機能というものを運輸省は今こそ強化すべきではないかというふうに思うんです。
 さきのごあいさつの中で、運輸大臣は、正式な名前は別にいたしまして、いわゆる安全戦略会議というものをみずから提唱されて設けられたというふうに聞いております。大変力強く思うわけでございます。ただ、この議長が事務次官ということでありますが、そこまで決意を表明していただいたのなら大臣みずから議長になっていただいてもよかったし、あるいは総括政務次官のお名前もないようなんですけれども。まあそれはそれといたしまして、この戦略会議という名前、戦略という言葉をお使いになったことについて私は大変敬服をするわけです。
 安全というのは、単に点検するだけではなくて、将来起こり得る事故を予測して、安全対策についても戦略的にやる必要がある、そういう思いで私は戦略会議とみずからお呼びになったのかなというふうに思うわけでございますが、後の質問をするにつきましても、ここで改めて運輸大臣の安全に対する取り組みの決意を伺っておきたいというふうに思います。
#28
○二階国務大臣 特に港湾技術の権威者であります渡辺委員からの御質問でございます。改めて安全問題について御理解を賜ると同時に、私どもも、その期待にこたえて懸命に頑張ってまいりたいと思っております。
 まず私は大臣就任の際の官邸における記者会見において、交通分野においては安全が第一だということを申し上げるとともに、夕刻直ちに運輸省に赴き、運輸省の幹部を集めまして、安全についての取り組みを真剣に行おうということを決めたのが十月五日であったと思います。その後、再びJRの事故が発生したわけでありまして、JRの問題が発生した後に安全戦略会議を行ったのではなくて、その以前にそういう対応をいたしておりました。
 そこで、大臣や政務次官がこの会議にメンバーとして参画していないのかということでありますが、大臣、政務次官、国会その他の日程とかいろいろなことで、日程を大臣の日程に合わせておりますと、委員も御承知のとおりなかなかスピーディーに動かない。したがいまして、私や総括政務次官あるいは政務次官が随時出席できることは当然でありますので、事務次官を議長といたしておりますが、私みずからがすべての責任を担って総指揮、先頭に立つ決意でありますことを改めて表明しておきたいと思います。
#29
○渡辺(具)委員 ただいまの御決意で、大変力強く思いました。よろしくお願いをいたしたいと思います。
 私は、このトンネルについて前回も質問させていただきました。そのとき私が申し上げたのは、この問題は極めて技術的な問題である、この際、この技術的解明を徹底的にすることが今後の安全対策にとって一番必要なことであるということを申し上げたわけです。これに対して川崎前運輸大臣には賛同、賛意を示していただきまして、今回の処置はとりあえずの応急処置であった、これからは根本的問題を詰める、こういう御答弁でございました。
 私は、その中で、前回の議事録、ここにあるのですけれども、前回の質疑は八月五日だったのです。この委員会で私が質問する前日に、JR西日本は安全宣言を出されたのです。私は、質問する前日の夕刊で見て初めてそれを知ったのです。私は、委員会でこの安全宣言は問題ではないかということを申し上げた。さきに紹介した川崎運輸大臣の御答弁は、まさにそういうことをおっしゃっておられると思うのですね。安全宣言をするからには根本的問題を詰めなければいけないということはよくわかっている、そういう意味だったというふうに思うのです。
 ところが、JR西日本の受けとめ方が全然違っていたのではないか、そこで川崎運輸大臣が答えられたことを真摯に受けとめておられなかったのではないかというふうに思うのです。
 それは、今回の事故の後、改めて安全宣言の撤回をされたわけですけれども、そういうことを見ますと、前回の安全宣言は、まさに安全宣言のつもりだったのかという思いがするわけでございます。前回あれだけみんなで質問をして、今後きちんとやってもらわなければ困るということを言ったにもかかわらず、あのときのことがもう、安全宣言だった。そういうふうな認識がこの事故を起こしているのではないか、あのときせっかく答弁された川崎前運輸大臣の御答弁を真摯に受けとめておられなかったのではないか、そこにJR西日本と運輸省に認識の差があるのではないかというふうなことを思うわけですけれども、この点についてJR西日本に伺いたいと思います。
#30
○南谷参考人 福岡トンネル後の対応策につきまして、私どもといたしましても、山陽新幹線の全トンネルの緊急点検を行いました。二千四十九カ所で改めてコールドジョイントを確認し、その全コールドジョイントにつきまして打音点検を行ったわけでございます。その上で、濁音箇所三百カ所に対しまして、予防的措置として鋼材による工事を行いました。そういうような補強工事に対しまして、一応、トンネル検討会におきまして当面の措置としてそれはよかろうというお墨つきもいただきながら、実はやってまいったところでございます。
 先ほども私お答え申し上げましたけれども、私どもの頭の中に、今から考えればそれが問題だったというふうに思うわけでございますが、それまで認識されてこなかったコールドジョイントという弱部に対して、それに集中して対応策をとっておった、それ以外の部分に関しては、従来からの点検でもって万全であるというふうな確信を実は持っておったわけでございます。そういったことが結果として第二の事故を起こしたということにつきまして、これは言いわけがきかない、弁解の余地はないというふうに私ども思っておりますので、そういう意味では、まさに遺憾であり、申しわけないというふうに思っている次第でございます。
 そういう意味では、私どもがお客様に安心してお乗りいただけますということを明確に申し上げたことは事実でございますし、その後にまた二度目の事故があったということもまた事実でございますし、そういう事実を深く受けとめまして、改めて今総点検をしている次第でございますので、御理解のほど、よろしくお願いしたいと思います。
#31
○渡辺(具)委員 ただいまの御答弁、矛盾があるんですね。
 先ほど、石破委員に対する答弁の中にもありましたけれども、従来のところは大丈夫だと思っていた、コールドジョイントのところが弱点なのでそこを補強したから大丈夫だと思ったというのが御答弁の趣旨ですけれども、前回の委員会では、あの剥落事故、剥離事故はコールドジョイントだけの弱点では起こらないとおっしゃったんです。そのほかにいろいろな要因が加わってあれが落ちたんだろう、コールドジョイントだけだったらあれは落ちなかった。
 私はあのときに、恐らく支保工の設置面が非常に大きいので、それが一つの理由になっているんじゃないかということも申し上げたわけで、あのとき、それも含めて、JR西日本の方は確かにほかの要因があったとお答えになったわけだから、その要因が何であるかを解明しないで安全宣言するというのは問題があるのではないか。そういう誠実さのなさがやはり今回の事故につながっている。あるいは、連絡体制が悪かったという話がありますけれども、運転休止命令が間に合わなかった、そういう問題もありますけれども、そういう点にあらわれているんじゃないかというふうに私は思うんです。
 私も今しゃべりながら思い出したのですけれども、あのとき私は設置面が問題であるということを申し上げて、その仮説が証明できるかもしれないことがある、それは打音調査をされて、悪いのが三百カ所ですか、そういう三百カ所がどういうところに分布しているか、ひょっとしたら支保工のところに分布が多いのではないか、もしもそうだとしたら私が言っている点が当たっているかもしれない、したがってその点を報告してくれとお願いしたのですよ。いまだに運輸省からも、もちろんJR西日本からも報告がないわけです。私は、あのとき時間がなかったので報告しますという回答をいただかなかったので報告してくれないのかなというふうに思うわけですけれども。
 そのほかにも、テストピースについて、こういう項目の調査をしてくれということも申し上げた。それについては、私はとっくの昔に答えが出ていると思うのです、テストピースの結果ぐらいは。そういうものについて全く報告がないわけです。
 私は、今度の事故なんかについていろいろ勉強しておられると思う。そういうことだって、常々我々委員に、多少は理事会なんかで説明をあっているのかもしれませんが、報告ぐらいあってもいいんじゃないか、普通でもそれぐらいの報告があってもいいんじゃないかと私は思います。ましてや、私がこの委員会で質問したことについて報告がないということは大変遺憾に思うわけです。
 私は、ここで今回は回答をいただいておこうと思うのです。ちゃんと報告してくれますか、前回の委員会でお願いした報告事項について。
#32
○南谷参考人 実は、コールドジョイント、弱部につきまして、その後、私どもとしましてもサンプリング的に試料をとりまして、その試料をもちまして学術的な検討を加え、トンネル検討会において御審議をいただいている最中でございますので、そういった事柄の整理の後、これはまた改めて御報告申し上げたいと思います。
#33
○渡辺(具)委員 いやいや、私はそういうことを言っているのじゃないのです。調査報告で、全部がわかって報告してくれと言っているのじゃなくて、あのとき私が申し上げたのは、打音調査の分布で悪かったところがどういう分布をしているかということがわかれば、私が指摘した原因であるかどうかがわかりやすいのでということ。それはもうわかっているはずじゃないですか。補修工事をしたところがどういう分布かというのはわかっているわけだから。それは、委員部か何かを通さないと回答いただけないのですか。
#34
○南谷参考人 今の先生の御指摘の支保工との絡みかと思います。支保工との絡みにつきまして、今のコールドジョイントあるいは濁音の箇所がどのような分布になるかということにつきましては、内部のその箇所が支保工がある場所であるかどうかという確認の仕方というのは実はなかなか難しいということもございます。
 しかしながら、現在わかり得るところで、とにかく判明したものにつきましては、私ども改めて御報告申し上げたいと思います。
#35
○渡辺(具)委員 本質的でない質問をしたのですけれども、ぜひそういう点については報告をいただきたいというふうに思います。
 余り時間がないので、本質的なことにだんだん触れていきたいというふうに思うんです。ついては、こういう事故に対する運輸省の役割というものを考えてみたいと思うんです。
 先ほど石破委員からもそういう関連のお話がありましたが、この辺が今後大切になるのじゃないかと私は思うんです。それで、運輸省は今回の事故に関して、一連の安全点検に関する指示だとかあるいは警告を発しておられる。私はそのペーパーをもらったのですが、おもしろいことに気がついたのです。
 例えば、最初の事故のときは九州運輸局の鉄道部長からJRの鉄道本部長に渡っているのですね。ところが、今回の事故が重なったのでようやくそこで本気になられたのか、今度は鉄道局長から南谷社長に向かって発せられておるわけです。私は、だから、事故を重ねないと運輸省も本気にならないのかなという気が若干するわけです。
 それはそれといたしまして、その指示のペーパーには何も書いてないのです。とにかくしっかりやれとしか書いてないのですね。わかりやすい言葉で言うと、よく点検をしなさいということしか書いてない。監督官庁としてそれでいいのだろうかなというふうに私は思うんです。
 例えば、これは低俗な話で申しわけないけれども、プロ野球の試合で、監督が出ていっていろいろ指示するじゃないですか。ピンチになったピッチャーに対して、ここは真っすぐで攻めろ、カーブで攻めろ、やはりそれが監督なんですよね。監督がわざわざ出かけていって、ただ、しっかりしろじゃ、これは監督じゃないと私は思うわけですね。
 ところが、残念ながら運輸省には今それ以上のことができないのじゃないか、そういうことができるバックグラウンドがないのじゃないかなというふうに私は思うんです。だから、先ほどもちょっとお話にありましたけれども、JRがこういう補修をした、こういう点について点検をしたということがあれば、やはり運輸省がみずから技術的に検討して、いや、それじゃだめだ、こうしなさい、そういう指示がなされないと、いつまでたってもこの手合いの事故はなくならないのじゃないかと私は思うんです。やはり事業者というのは経営者の立場を離れることができないわけだから、そこを離れた監督というのが要るというふうに私は思うんです。
 確かにそういうことができるためには技術的なバックグラウンドが要るのだけれども、そういう技術が一朝一夕にできるとは私も思わないのです。JRの技術というのは、国鉄の技術なんだけれども百年の年月をかけて蓄積したのだ。それに対抗しなさいと言っているわけじゃない。でも、検査技術は蓄積できるというふうに私は思っておるのです。
 例えばわかりやすい話で言うと、昔の船舶局は、造船技術はそれほどあったとは私は思わない。だけれども、検査技術はあったのですよ。ちゃんと独立に、インディペンデントに検査できる技術はあったと私は思う。だからちゃんとした安全が確保できたと私は思うんですね。
 例えば、船舶局の先輩に聞いたのですけれども、そういう技術を蓄積するためにやはり努力をされているんですね。船舶も打音検査をやるんですよ。打音検査というのは最近軽視しがちな意見が出ていますけれども、私は、総合的な検査方法としてあれは非常にいい方法だと思っている。ところが、船舶技官には音を聞いてこれは危ないなという技術力があったのですよ。感覚があったのです。
 私は、そういうものぐらいはやはり、何も役人が直接持てと言うのじゃないのだけれども、いろいろな形で持てるのじゃないかというふうに思うんです。果たして、今の鉄道局にそういう能力のある人が何人いらっしゃるか。それほどいないとしたら、JRがこうします、ああしますと言ってきたら、ああそうかそうか、よきに計らえとしか運輸省として言えることがないのじゃないかというふうに私は思うわけです。
 ぜひ、そういう点での体制を今後考えていくべきではないかというふうに私は思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
#36
○安富政府参考人 先生おっしゃるように、鉄道の安全技術、鉄道の抱えております技術関係の問題については幾つかあるかと思います。技術開発の問題であるとか、あるいは具体的な構造物、車両等をつくったりする場合の事前審査であるとか、あるいは先生おっしゃるように、後の安全監査、そういうものについて幾つかの側面があるかと思いますが、我々としては、現在本省、地方局で二百人余りの職員で実施しております。
 ただ、残念なことに、直接現場で施設等を実際につくったりあるいは車両、施設の点検を常時やっているわけじゃないので、その技術の習得にはいろいろ限界があるということも我々十分認識しております。我々としては、そういう点を補う意味で、一つは研修であるとかあるいは現場への職員の出向であるとか、そういうことをやってきておりますし、また、これからも自分たちの技術では十分賄えないというものについては、その道の専門家を構築してその情報をとるというシステムを考えてきております。
 ただ、おっしゃいますように、今後さらに我々として、事業規制の問題にしても安全行政ということについて力点を置いていかなきゃいけない。特に、事後的な安全規制をどうするかということが非常に重要になってまいりますので、その点、先生の御指摘も踏まえて、安全体制の技術力の向上ということについて再度いろいろ考えていきたいというふうに考えております。
#37
○渡辺(具)委員 意外とあっさり同意いただいたので、私せっかく次の矢を用意していたのですけれども、必要なくなった面もありますが、今回多少御指摘をさせていただきたいのです。
 例えば今度の、運輸省でお持ちになっている、根本的な原因をちゃんと追求しようというトンネル安全問題検討会というのがありますね。あの調査委員会はトンネルだけでしょう。事故はトンネルの中で起きるとは限らないのですよね。今度はほかのところで起きるかもしれない。そのときに、運輸省はどういうつもりなんだろうか、迅速に対応するためにどういうふうに考えておられるのだろうかというふうに思うんです。あのトンネル問題検討会も、行政組織の中に組み込まれたという感じのものじゃないですよね。そういうパラダイムじゃないということが私はやはり問題じゃないかと思うんです。
 そして、私はこれは一つ重要な欠陥があるのじゃないかと思うのは、あのメンバーを見てみたのです。おたくのトンネル検討会のメンバーを見てみたら、全員で二十三名ですよ。二十三名のうち、十四名がJR等の事業者代表なんですよね。監督する立場の、場合によってはいろいろ厳しいことも言わなきゃいけないはずの検討会が事業者代表と一緒の検討会で、ちゃんとした監督すべき意見が出るのだろうかというふうに私は思うんですね。
 例えば、今度の事故現場の視察なんか、私は前回は見せていただきましたが、今回は残念ながら見ることができませんでしたけれども、私はあの現場視察でつくづく思ったのです。あれを見に行くでしょう、そうしたら、機関車に乗せていただいて、ライトで照らすところを見るわけです。JRの方が見せてくださるところしか見られないのです。それで何が検査だと私は思う。
 私は、あの新聞記事を見たときに、二階運輸大臣が行かれて、懐中電灯で照らしてほかのところを見られたという記事が出ておりました。あれを見て、さすがに二階運輸大臣だなと思ったのですね。やはり自分の目で違う場所を、全体を見るということが私は大切だというふうに思うんです。
 新聞記事によると、鉄道局からも技術の高官が見に行かれているようですが、私は残念ながらそういう方と話す機会がないので、どういう調査をされたのかわからないんだけれども、例えば、JRの方に案内してもらって、照らしてもらったところを見るだけでは監督できないと私は思うんです。やはり、JRの人が作業しているところに行って、真っ昼間みたいに明るくするわけでしょう、恐らくJRの方があそこで補修するときは。それぐらい全体的に照らして中を見ないと監督できるわけないじゃないですか。向こうがつくったものを監督するんだからそれ以上に、注意深く、その気になって見なきゃいけないというふうに私は思うんですけれども、そういう体制についても私はぜひちゃんとやっていただきたいというふうに思うんです。
 私は、今回事故があったので参考までに、航空だとか海上、自動車等の安全体制のパラダイムをいただいたんですね。その中で、航空なんかは、もちろんこういう場合のものは人身事故にも至った大きな事故だから少し取り組み方が違うかもしれないけれども、鉄道だって、人身事故は今回幸いにして起こしていないけれども、起こす前にやはり注意しないといけないわけで、そのための組織が大切だから私は申し上げるわけです。
 航空は、航空事故調査委員会というものが法律でちゃんと組織化されているんですね。それから、海上については海難審判庁があって、これも法律でちゃんと位置づけられた組織になっている。そこで、いかに事業者が何と言おうと、専門家が来てそうじゃないということを言うわけですよ。だから監督できるんですよ。私は、今の鉄道がもたれ合いになっているなんということは思いませんけれども、残念ながら、気持ちはあるけれどもそれができないでいるんだろうと思うんです。自動車なんかは、これは法律ではありませんけれども、交通事故総合分析センター、そういう制度がビルトインされている。ところが、鉄道については、そういう制度というかパラダイムが全然ないんですよね。それではなかなか監督できないんじゃないか。
 私のところにきのうかおとといか質問取りに来てくれた若い補佐官の人と、私は長時間話しましたよ。彼らはやはり、監督したい、しかし技術力がないのが残念だ、技術力を涵養したいということを言っていました。私は、それは正直なところじゃないかと思うんです。こういうことをこの場で言うのはちょっと申しわけないけれども、そういうことをおっしゃっているわけですよね。私は、もっと高官の方と話したい、その辺をどう思っておられるか話したいなというふうに思ったんですけれども、残念ながら上の人がどう思っているかわかりません。
 私は、そういう取り組み方をしないと今後事故はなくならないというふうに思うんです。事業者とは違う、インディペンデントな立場で、きちっとした体制をつくることがこういう事故を根絶させるために必要ではないかと私は思うんですが、最後に、大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#38
○二階国務大臣 先ほども申し述べましたが、渡辺委員から大変示唆に富んだ御意見をちょうだいして、今後大いに参考にして対応してまいりたいと思っております。
 鉄道技術は、御承知のとおり、土木、電気、機械及びこれらの運用技術等複雑なシステムの技術でありますから、今御質問にもありましたように、運輸省の今の技術陣だけでどれほどの対応ができるかということの御指摘でございます。
 我々は、この御指摘を受けて、研修や現場機関への出向等常に鉄道の技術職員の技術力の向上に努めるとともに、あわせて、学識経験者等の御協力をいただきながら、鉄道の安全技術行政を的確に推進する体制を整備してまいりたいというふうに今改めて痛感をいたしております。今後、各方面の御意見をちょうだいしながら、今回のこの事故を契機に、運輸省の鉄道に対する監督行政を改めてまいるように努力していきたいと思っております。
#39
○渡辺(具)委員 二階運輸大臣から誠実な御答弁をいただきましたので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。特に、私が先ほど申し上げた、事故等に対応するための鉄道局のそういう制度なり仕組みなりパラダイムをぜひこの際根本的に考えてつくっていただきたい。そうしないと事故はなくならない。どうかそういうことを含めて検討していただいて、誠実に、真摯に対応していただいて、事故が今後起きないことを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#40
○仲村委員長 次に、玉置一弥君。
#41
○玉置委員 この山陽新幹線の事故以来、物が落ちるとすぐ新聞に載るような事態が続いておりますけれども、二階運輸大臣になられまして、特に安全、それから緊急危機管理、これはもう昔から一番得意なところだと思いますので、そのことを中心にいろいろお聞きをしていきたい、かように思います。
 また、本日は南谷社長、そして佐藤理事さん、大変お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。私ども、運輸の仕事に携わっているという意識でこの委員会を務めさせていただいておりますが、やはり国民の皆さんが安心して利用できる交通ということで、ごく当たり前なんですけれども、ずっと見ていますと本当にそれに携わっている方々の御苦労がいつもよくわかるわけでございまして、片方ではしっかりしてくれと言いながら、本当に御苦労さんという気持ちはたくさんございます。その辺、余り責めてばかりいるからあいつは悪いやつだと思わずに、本当の皆さん方の御苦労を思いながら、なおかつ、こういうところが問題ではないかという提起でございますので、御容赦をいただきたいというふうに思います。
 先ほどの報告にもございましたように、先日私ども、委員会で北九州のトンネルを視察させていただきました。大変多くの方が深夜にその仕事に携わっておられまして、それが延々と続くのか、あるいは一応十二月十五日で終わるのかということで、非常に片方では終わってほしいなという気持ちもありますし、あとは、要するに、企業としていわゆる収益性というのが非常に大事でございますから、それを見ながらどこまで安全性を追求するかという問題になってまいりますので、今度は事業計画の中に組み込まれた安全対策ということになってくると思います。そういう意味では、今は緊急対策で、その後はやはり恒久対策ということになってくるかと思いますが、この辺をまず解明をしていきたい。
 まず一つは、その当時の報告の中でお聞きしましたのは、六月、十月とたび重なる剥落の事故ということでありました。六月の当時で、報告を受けて対応されたのが非常に遅かったような話があったから、連絡方法を変えてみようというか、そういうことをされたんですが、それでも二時間以上、電車がとまるまで大分かかっていますね、二時間十分ぐらいかかっていますということで、要するに運行に対しての判断がおくれてしまったということであります。
 この辺のことをJR各社から大臣の方にまずどういう報告がされて、どういう対応をされたのか、それから、西日本の中で、六月と十月とどういうふうに違えたのかということをちょっとまずお聞きしたいと思います。
#42
○安富政府参考人 それぞれ、六月、それから十月の福岡、北九州トンネルにつきましては、当初の福岡トンネルの場合、翌日でございましたけれども、当方に連絡がございました。直ちに、大臣等も含めまして御指示を仰ぎまして、我々としても、JR西日本に対しまして原因究明と再発防止対策について指示したところでございます。さらに、北九州トンネルの場合には当日直ちに我々の方にも連絡がありまして、同様に指示をしたところでございます。
 その後、そのJR西日本の対応措置を我々としても入手しながら、今後の対応を具体的にどうしていくかということで、大臣とも相談しながら、先般の北九州事故の場合にはさらに安全総点検の再徹底ということを加えて指示して、そのほかの、JR西日本だけに限らない、JR東海あるいはJR東日本、それから、ついては在来線も含めまして、それぞれ必要な指示をしたところでございます。
#43
○南谷参考人 六月の事故の際、それから十月の事故の際でございますが、実は、六月の事故の際には連絡体制に私ども不備があったということで、その後、連絡体制を改めまして強化したわけでございます。しかしながら、残念ながらその趣旨が必ずしも十分徹底をしていなかったために、始発列車が動き出してからとめるという結果になったことはまことに遺憾でございます。
 私ども、こういった事故があった際には、まず、事象が発見されましたら直ちに、乗務員につきましては直接東京の指令所に連絡をいたしますし、地上社員の場合には地区の指令を通じまして東京の指令所に連絡をいたします。東京指令所におきまして、そこでまず第一義的な判断をいたしまして、当面その東京指令所で処理できる事柄であるかどうかという処理をした上で、必要があればさらに本社の安全対策室に連絡する、こういうことにしておりまして、必要があれば対策本部を設置して、対策本部の指揮下に東京の指令所が入る、こういう手だてを講じております。
 実は当初、この東京の指令所からの連絡体制につきまして、新大阪に私どもの在来線も含めた指令所がございまして、そこを経由して、それから私どもの幹部に連絡をするというルートをとっておったわけでございます。これがどうしても遅くなる、事態への対応が非常に時間がかかるということで、東京の指令所から直接幹部の方に連絡が行くルートを新たにつくりまして、対策本部の必要性があればすぐに対策本部をつくるし、必要な判断を下すという体制をとったつもりでございますが、残念ながらそこの部分に関しまして時間をやや要してしまったということ、先ほど申し上げたとおりでございます。
 その点につきまして、改めて実は社内で確認いたしまして、私ども、もう一度その点について改めて趣旨を十分伝えまして、現在そういう対応をとっておる次第でございます。
#44
○二階国務大臣 ただいま鉄道局長から御説明を申し上げたとおりでありますが、私は、十月十二日にJR西日本の南谷社長に大臣室にお越しをいただきまして、新幹線のトンネルの安全総点検を強く指示するとともに、この際徹底した安全対策の確立を求めたところであります。
 現場における安全体制を確立し、その徹底を図ることが第一であるとの観点から、現場における点検作業や始業前に毎日行っておる確認業務に幹部職員が立ち会うべきであるということをこれまた改めて要請いたしました。同時に、運輸省の技術職員も点検作業等の現場に派遣するように指示したところであります。
 私が察するところ、安全点検等につきましても、JRの職員とともに、またJR以外の点検を専門にしておられるような方々も参加をして毎日おやりになっているようでありますが、あの始業前の点検、いわゆる確認業務が、JRの幹部職員やあるいは少なくともそのJRを所管しておる運輸局等に何らかの形で通報、連絡されるような体制にして、安全の確認について、常に運輸省もJRもともに責任を担い合っていることが確認できるような状況が必要ではないかということを、私は素人ではありますが、現場に参りまして強く感じてまいっておるところであります。
 今後におきまして、安全の確認についてのマニュアルをさらに再点検して、今後このような事態が生じないように一層努めてまいりたいと思いますが、目下のところは、トンネル安全問題検討会において徹底した事故の原因究明及び安全確保策の確立を図るとともに、トンネルの安全策についてJR西日本を初め鉄道事業者を厳正に指導監督することにより、鉄道の安全輸送に対する国民の皆さんの信頼の回復に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#45
○玉置委員 六月二十七日は九時二十四分に運転が停止をされまして、十三時三十分に運転が再開をされた。それから、十月九日は六時十分に運転が停止をされて、八時三十分、新大阪―岡山間、九時、岡山―広島間、十六時、広島―博多間というふうに順次再開をされたということでございます。
 徐行運転と通常のスピードと両方ありますね。どういうふうな基準で再開をし、徐行それから通常のスピードというのはどういうときにオーケーが出るのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
#46
○南谷参考人 七十キロの徐行をかけておりますときには、その運行中であっても徒歩による巡回が可能な状態ということになります。それ以上の速度で運行する場合には、一切地上社員が軌道内に立ち入らないという原則で実はいたしております。
 したがいまして、その発生した状況及び態様によりまして、全面的に点検が必要であるという場合には列車をとめて点検をいたすということでございますし、それによらないで、地上の引き続きの検査でもって足りる場合には七十キロ徐行というケースもございます。
#47
○玉置委員 二階大臣は、阪神大震災の後、危機管理体制についていろいろ研究されました。
 そこで、先ほどからも話が出ておりますが、JR各社だけではなく、運輸省、航空各社、自動車、高速道路等々も含めまして、運輸交通体系の危機管理というものが本来確立されていないとおかしいと思うんですね。先ほどの話で、航空機は航空機でありますということであります。船舶は船舶ですね。それぞれに、部門別でもいいし、どういうふうな形で交通危機管理をしなければいけないかということについて、まず大臣のお考えを聞きたいと思います。
#48
○二階国務大臣 安全戦略会議を設けました趣旨は、まず、三万七千の運輸省のすべての職員の協力を得るととともに、その関係企業がちょうど二十万社ぐらい存在をいたします。そこに働く人々の数は三百五十万人と言われております。私たちは、各般にわたる運輸交通関係の安全を期するために、それらの組織を総動員して安全の確保に御協力をお願いしたい、こういう考えであります。
 同時に、今後、今玉置委員御指摘の航空の問題、あるいは私鉄の問題、また船の問題、陸海空にわたる運輸省が責任を担う各関係の交通機関について、改めてこれまた安全の総点検とともに、安全に対する運輸省としての基本的な方針をこの安全戦略会議において結論を導き出したいというふうに考えております。
#49
○玉置委員 安全戦略会議は大変関係者が多いわけでございますが、航空とか船とかそれぞれありますけれども、例えば陸上交通について、要するに分野別協議会といいますか、そういうものをつくられるという計画はあるのかないのか。そういうふうにしていかないと、ほかは部門別になっていますけれども、逆にその他わっと集まって論議のしようがないというような形になると思いますので、自動車関係は道路交通ですけれども、道路交通と鉄道というふうに分けて、将来こういう安全検討委員会的なものがつくられるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
#50
○二階国務大臣 御指摘の点、大変参考になるわけでございまして、今後、私たちの安全戦略会議等におきまして一定の方向づけをして、御意見を参考にしながら、安全の確立に一歩前進をさせたいというふうに思っております。
#51
○玉置委員 今回の事故は、まだ軽微なうちに警告を発しているというふうに思うわけでございます。先ほどの質問の中にも、最悪の場合を予測していないというようなお話がありましたけれども、やはり各段階においていろいろと想定をし、それに対応する訓練を日ごろからやっていかなければいけない、こういうふうに私は考えております。
 緊急危機管理ということで、災害が起きた場合は、多分運輸大臣が災害対策の本部長になられるのですね。それで、各省というか、要するに横の関係と縦の関係が動き始めるということであります。
 例えば、トンネル内で大事故になった場合、それから鉄橋、それから普通の高架橋、それから普通の平地、こういろいろ分けて考えて、それの軽度といいますか重度といいますか、最悪の場合はもうむちゃくちゃになると思うのですね。航空機と一緒だと思うのですね、新幹線も。そして、軽微な場合は前回の事故程度ということになってくるわけであります。
 緊急危機管理というのは、いろいろな場合を想定して体制をとらなければいけないし、その訓練をして、緊急危機管理に当たる人たちをいわゆるリストアップして、その人たちが職場を指導したり、各省とも連携をとったり、地元との連携をとったりということがありますね。
 そこで、JRと運輸省の連携がどうなっているのか、それから該当する都道府県、市町村、それから消防、そして自衛隊、警察、あるいは民間のボランティア、この辺の体制を含めて、どういうふうに考えておられるのかというのをまずお聞きしたいと思います。
#52
○安富政府参考人 先生御指摘のように、鉄道等の大事故が発生した場合、我が方でも一つのマニュアルを持っております。基本的に、災害対策基本法に基づきまして定められました運輸省の防災業務計画というのがございまして、この中に、列車の衝突等により多数の死傷者が生じたような事故が発生した場合の応急対策ということで規定されております。
 事故発生時の応急対策としては、今先生の方からも御指摘がありましたように、初期情報を官邸初め関係機関へ連絡、あるいは事業者に対して被害がそれ以上拡大しないようにするための防止策を講ずるように指導するとか、あるいは負傷者の救助、救援活動に関する指導、関係機関への協力要請、これは消防庁とか地方自治体もあると思いますがそういうところへの要請、あるいは現地への担当職員の派遣、場合によっては、それが大規模で広範なことになる場合には、各省庁の連絡会議あるいは非常災害対策本部の設置といったようなことについて定めております。
 さらに、我々としましても、いつ事故が起こるかということがございますので、別途、重大な事故、事件等が発生した場合の省内及び官邸等への連絡手順ということで、鉄道局など担当局のそれぞれから省内あるいは官邸への連絡体制を明確にしておりますし、そのための緊急連絡先一覧を常に携行するというような形で万一の場合に備えているところでございます。
 ただ、今先生の方から御指摘がございましたように、安全戦略会議の中でいろいろ今後マニュアル等についても見直しをするということで考えておりますが、大事故の場合あるいは小さい軽微な場合に同一の形というのではなくて、それぞれの事故のレベルに応じた初動対応というのがそれぞれあるかと思いますので、さらにきめ細かいマニュアルということを我々としても今後検討していきたいというふうに考えております。
#53
○玉置委員 ただいま新幹線が通っている都道府県がございますね。そういうところとの協議とか、それから警察庁との協議とか、消防庁との協議とか、そういうものが実際になされているかどうかという点はいかがですか。
#54
○安富政府参考人 実際に事故が起こりましたときには、それぞれ当該事故の地域における自治体、あるいは消防庁、警察、もちろん事業者も含めましてですが、それぞれの関係者と十分協議をしながら、具体的な救援あるいは救出、さらには事故の原因究明等についていろいろ協議をしてまいっておるところでございます。
#55
○玉置委員 では、具体的に言いますが、トンネル内で剥落事故のために新幹線がそれに乗り上げて衝突した、そこへ相手がまた反対側から走ってきてぶつかった。両側から行けなくなるのですね。こういう場合はどちらからどういうふうに救出に向かうのか。それから、例えば、それでトンネルが崩れたということになった場合にどういう処置をするのか。そういうマニュアルはありますか。
#56
○安富政府参考人 今先生がおっしゃいましたような具体的な事象、今個別の具体的なお話をなさったわけですが、どういう事故が起こるかというのはなかなか想定しがたいところがございます。
 幾つかの想定を置きながら我々としても考えなければいけないと思いますが、今おっしゃったような形での事態について、具体的な形でマニュアルがあるかといいますと、現在のところございません。トンネルのどっちから入るとか、どういう形で崩れたトンネルを掘り起こしして救出するかというようなその具体的なところのマニュアルは現在のところございませんが、その現場の状況を見ながら、我々としては、警察とかあるいは消防庁、地元と十分協議しながら、そのときに最適な対応というのはどういうことになるのかということを検討しながら進めていくことになるかと思います。
#57
○玉置委員 運輸大臣に聞きます。
 今お聞きになったとおりでございまして、その場で今考えている中身を実行していこうと思うと、大分時間がかかりそうなんですね。考えているだけで、みんな寄ってもらって、どうしようか、どうしようかと言っているだけで終わってしまうというふうに私は非常に危機感を持ったのです。
 想定をするというのは、これは当たり前の話で、そんなことは起こり得ないということが東海村でも起こっていますし、いろいろなところに起こっているわけですね。それから、我々が、トンネルでちょろっと落ちただけでこんな大騒ぎをするのは、そのうち大きいのが落ちるのじゃないか、あるいはそれをはね飛ばして、はね飛ばしたものが対向の車両にぶつかって大事故につながるという可能性は多いわけですね。
 そういうことを考えると、当然、それを受けて立つ姿勢というものがなければならないというわけでございまして、今鉄道局長さんがお答えになったような内容で運輸省が本当に対応できると思っているのか。それから、大臣の昔おつくりになった危機管理体制、私も十分読ませていただいて参考にしていますけれども、あれから見るととても対応できないんですね。ということで、もうちょっと想定も含めて。
 それから、問題は、消防庁、地元消防、それから都道府県、市町村に対してだれが要請をするのか。それから、みんな寄って混成部隊になると、今度は指揮官がだれかということになるんですね。例えば、消防庁の方が警察の指揮で動くのか、あるいは消防庁の指揮で警察が動くのか、あるいはJRが指揮をするのか、都道府県が指揮をするのか、これは災害にとっては一番重要なことなんですね。
 それから、ボランティアの方の扱い。日本海のオイルタンカーの事故のときにボランティアの方がたくさん来られた。仕事を見つけるのに苦労したということがあります。そういうふうにボランティアの方が来られたときに、その人たちにどういうふうに仕事のお手伝いをしていただくのかということも必要だと思うんです。
 そういうふうに今までの経験の中でも問題点がいろいろ指摘をされていますが、まだ全然マニュアル化もされていないし、検討もされていないということなんですけれども、これについていかがでございましょうか。
#58
○二階国務大臣 恐らく玉置委員から、阪神・淡路大震災のときの危機管理という問題を想定しながらの御質問をちょうだいしていると思いますが、大規模な鉄道事故が発生した場合には、災害対策基本法に基づきます防災基本計画鉄道災害対策編というのに沿って、鉄道事業者から速やかな連絡を受け、関係省庁や都道府県の協力のもと、被害情報等の収集、連絡を行うなど、初動対応を迅速に図ることがまず第一だと考えております。
 これらの対応の総指揮をとる立場にある運輸大臣としては、大規模な被害が発生した場合に、関係機関の協力による広域的な支援が必要と認められ、政府の非常災害対策本部が設置された場合には、その本部長として、円滑な救助救援活動、緊急輸送の確保、迅速な現地調査等について必要な指示を与え、関係省庁を含む総合調整の先頭に立つという立場からいたしますと、今委員御指摘のようなことにつきまして、常日ごろからマニュアルの総点検等を行い、その遵守状況等につきましても日ごろから対応していく必要があるということを痛感いたしております。
 阪神・淡路地震の際には、ちょうど当時の東北大学の学長の西澤先生が、卒業式でのごあいさつであったかと思いますが、災害危機管理に際しとっさの判断を行うというためには、常日ごろからそうしたことに対しての考えを持ち合わせていなくてはだめだということで、社会に出てそうした対応ができるような社会人になってもらいたいというふうな訓辞をなさっておったことを、阪神・淡路地震のちょうど後でございましたから、私はみずからにも身にしみるような思いでその訓辞を拝見したことを覚えてございます。
 今委員御指摘のようなことにつきまして、運輸省として、一層心を引き締めて危機管理対応の強化について努力をしてまいりたいと思います。
#59
○玉置委員 日本の安全保障と同じく、ふだんから想定をし対応する体制を整備し、それに携わる人たちの訓練というものが必要なんですね。マニュアル化するというのは非常に大事なことでございます。要するに判断基準ですね。情報等は、やはりその訓練なんです。それがなければ判断できないし、間違うということなんですね。
 そういう意味で、日常から、ないにこしたことはない、そのための安全点検でございますけれども、やはり最悪の場合も想定をした訓練というものが必要だと思いますので、ぜひ各社に、マニュアルづくりと、それからやはり訓練をやっていただくように御示唆を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#60
○二階国務大臣 御指摘のとおり極めて重要な問題でございますので、安全を第一とする運輸省といたしまして、早急に再点検をいたしたいというふうに思っております。
#61
○玉置委員 では、南谷社長さんにお聞きします。
 今こういうお話でございまして、マニュアルをつくっていろいろな訓練をしておかなければいけないということでございますが、JR西日本さんとしてはどういうふうに対応されますでしょうか。
#62
○南谷参考人 私どもといたしまして、鉄道事故、これはあってはならないのでありますが、やはりいろいろな大小の事故が過去この鉄道の歴史の中でございました。そういう意味で、事故、災害に備えたマニュアルにつきましては、私ども、規程を整理いたしまして対応しているところでございます。
 本社におきましては、危機管理体制強化を目的といたしまして本社内危機管理マニュアルを実は定めておりまして、これも常に更新をいたしております。ただ、先ほど玉置委員がおっしゃったような具体的な場面場面を想定したというところまで実はやっておりませんで、新幹線での列車事故等大きな災害や事故を想定した本社対策本部設置方ということでこれを整理しておりまして、関係省庁なりあるいは自治体であるとか消防庁であるとか自衛隊であるとかとの連絡はだれが行うのかということを詳細に定めたマニュアルを実は持っておりまして、そういった場合には即応できるようにやっております。また、毎年一回必ず非常招集訓練を行っておりまして、これが機能するかどうかのチェックもいたしておるところでございます。
 また、支社に対しましては、本社から、鉄道事故及び災害応急処理準則というものを定めて、これに基づいて、事故及び災害等の場合の処置、連絡あるいは非常招集並びに支社及び現地対策本部の設置方、組織、業務についての基本的な項目を定めたものを規程に定めておりまして、支社においてこのマニュアルを備えつけるように具体的に定めておるところでございます。
#63
○玉置委員 運輸省もJR西日本も管理職の方がよくかわられるんですよね、二年たつと皆かわっているという感じです。そんな体制の中で本当にできるかどうか、ちょっと心配なんですよね。ですから、やはり日常から訓練されていればどこに行っても同じだと思いますので、その辺をぜひ徹底していただきたい、こういうふうに希望しておきます。
 それで、トンネルの剥落事故の技術的な面でちょっとお聞きをしたいと思います。
 私も親戚にトンネルの専門屋がおりまして、もう八十何歳です、国鉄のOBなんですけれども、今回のことについてどう思うかということを聞きました。
 基本的には、やはり工事を急いだことに大変大きな原因がある。これはコンクリートの養生ということについての影響というのがあります。それから、アーチ部と足の部分、それの強度が違うんじゃないか。ということは、アーチ部を先にコンクリート打ちします。後で足部の打ち込みを行うということで、厚みが違う可能性もあるということですね。それから、足の打ち方が、型枠を次々使っていかなければなりませんから、急ぐために早く外したんじゃないかということ。言えば、早くやろうとすれば、何カ所も一遍にやってだっと離してまた何カ所もやるということですよね。非常に長い部分を一緒にやるということになると、固まりぐあいからいって強度が非常に弱いものができ上がるということですね。
 それから、今回のように、コールドジョイントという言葉がありますが、いわゆるつなぎ目ですよね。つなぎ目を丁寧にやれば、コールドジョイントになってしまえばだめですけれども、その前段階ぐらいであれば、要するに施工の仕方で十分カバーできるということなので、それができていないのじゃないか、概略こういう話がございました。
 そこで、鉄道総研さんにまずお伺いをいたしたいと思いますが、今回の事故、二通りあります。一つはコールドジョイント部分ということと、それから打ち込みのところ、打ち込み部分というか突起部ですけれども、この二つがありますが、まず、それぞれをどういうふうに今見ておられるか。
 要するに、我々は、全体の工事施工が、非常に急いだ、そして煩雑だという面から見て、もっとぼろぼろいっぱい出てくるのじゃないかという心配をしているのですね。そういう面も含めまして、検査結果、今までにわかっている限りをちょっともう一度、前の発表とダブりますけれども、その辺を取りまとめてお願いしたいと思います。
#64
○佐藤参考人 お答えいたします。
 まず、鉄道総研でございますけれども、両トンネルの事故発生直後からJR西日本より調査の御依頼がございました。また、いろいろな御質問や御相談がございました。鉄道総研関係者一同、一刻も早く原因究明できるように、また再発防止ができるように御支援、御協力を申し上げているというのが現状でございます。
 今御質問のございましたことでございますけれども、福岡トンネルにつきましては、コールドジョイントのところにクラックが入っておりますので、やはりこれが原因だったということは明らかであろうと思います。
 事故の後の原因と推定におきましても、覆工のコンクリート打設中、コンクリート材料の供給に中断がやはりあったろう。アーチの下部、アーチの型より少し低いところでございますけれども、そこにコールドジョイントができた、やはりこれがまず第一の問題であろう。
 それからあとは、そのところだけで事故が起きたということではなくて、やはりその後に、打設時のいろいろな状況、例えば、締め固めが不十分であったとか支保工が揺れたとか、あるいは脱型時にけれんをかけたり剥離剤をつける、そういうところが十分でなかったとか、こういういろいろな要因が重なったことによってこの部分に不連続面が形成されていったということであろう。
 それから、今御指摘のコールドジョイントはもう一つ条件がございまして、コールドジョイントを水が流れてきたのじゃないか。したがいまして、その水が流れてきたところの下部に漏れてきた水が供給されましてそこに浸透していった。水が浸透していきますとやはり骨材の劣化ということができてまいります。これが進行いたしまして最終的に不連続面が広がっていったということであろう。こういう状況になりますと、もう落ちる寸前までいくわけでございますので、最終的には、振動だとかあるいは空気圧の変動みたいな外の条件がありまして、そして残念ながら崩落に至ったというふうに考えるのが適当だろうというふうに思っております。
 それから、北九州トンネルでございますけれども、まだ詳しく調査をしているところでございまして、今の段階での推定しかできておりませんが、なぜここのところにこのようなコンクリートを打つ場所ができたかということについての経緯というのでしょうか、そういうものにつきましては鉄道総研でデータを持っておりませんので、なぜこれができたか、そこにあったかということについては私どもの方ではわかりかねます。
 しかし、比較的早い段階でここの部分に、突起部と側壁本体の間に何らかの不連続面ができたろう。そして、側壁とアーチの打設継ぎ目を介して水が漏れてこの部分に供給されていったに違いないだろう。そして、長年このような状態が続くことによって劣化が進みまして不連続面が拡大していった。だんだん拡大していきますと、列車の振動とか空気圧の変動が繰り返し起こってまいりますので、こういう状況によりまして不連続面の両端部にそれが行き着いて、そして残念ながら最終的に剥落したろうということを考えているわけでございます。
 したがいまして、今御質問のありましたような事柄、やはりコールドジョイントとか打ち込み口とかというのは、なぜこういうことで起こったかについてのデータは持ち合わせておりませんけれども、原因の一端であるということは間違いないだろうというふうに考えております。
#65
○玉置委員 剥落事故が広島以西に集中しているということでございますが、いろいろ原因があると思うのです。
 それで、まず一つは、当時の工事設計とか施工監督は国鉄の新幹線工事局がやったと思いますが、設計は問題ないと思いますけれども、いわゆる施工、工事発注と監督がどういうふうになされてきたかということはどこで把握されていますか。
#66
○南谷参考人 山陽新幹線のトンネルの建設におきましては、地形、地質等の調査結果に基づきまして設計、積算及び施工監督を当時の国鉄が行っておりまして、工事の施工は工事請負契約書に基づきまして請負会社が施工いたしておりました。施工に当たりましては、土木工事標準示方書によりまして監督員たる国鉄が必要な指示、検査、立ち会い等を行いまして、一方、請負会社は図面及び示方書に基づき監督員の指示に従って施工することとされておりました。
 当時の施工会社に対しまして、先般、私どもといたしましても具体的な施工状況等についてアンケート調査をいたしたところでございますが、アンケート調査では、当時の資料を添付して回答いただいた会社もあれば、資料がないということで回答いただいた会社もございます。
 また、内容につきましても、実はこれは千差万別でございます。したがいまして、現在このアンケート調査を踏まえまして、各社ごとに個別に、コールドジョイント等に対する認識でありますとか施工状況でありますとか、あるいは指導監督の当時の内容等につきまして、これらを中心にヒアリングを進めているところでございます。
 当社といたしましては、十二月十六日朝に終了するトンネル安全総点検結果を踏まえまして、引き続き調査を行うことといたしておるところでございます。
#67
○玉置委員 この間、二階運輸大臣も南谷社長も佐藤さんもトンネルの現場をごらんになりました。私があのとき見て思いましたのは、非常に丁寧になされている部分と粗雑な部分と、極端にあらわれているわけですね。
 昔の国鉄の土木屋さんに聞きましたら、やはり監督次第だという話なのです。だから、このとおりやるかどうかというのは、要するに、下請さんを結構使っていますから、施工業者の監督と当時の国鉄の監督とがきちっとやっていればちゃんとできるのだ、だから、よほどその部分に現場の作業者の皆さん方と監督との意思の疎通がなかったのじゃないかと。ということは、かなり追い込まれて、いいかげんにやったのじゃないか、簡単に言えばそういうことなのです。
 この辺についてはどういうふうな追求をされているか、ちょっとその辺を。見てもわかるのですね。明らかにちゃんとやっている部分とそうでない部分があるということなのでして、よくあんなので工事の許可が出たなと思いますよ。現場を見てそう思いました。だから、あれは監督責任しかないのじゃないかと思います。
 運輸省、だから、知らぬ顔じゃなくて、運輸省も当時の国鉄の元締めですから、その辺を考えると、南谷社長の方と両方にちょっとお話をお伺いしたいと思います。
#68
○南谷参考人 今、私どもとしては、当時の実情を把握するのになかなか苦慮しておりまして、そういう意味では、言うならば出口調査といいますか、現状を把握しつつ、施工業者からその当時の監督体制はどうだったかということを、現在問い合わせ、質問し、解明をしておるところでございます。
 御指摘のように、非常にできばえのいいところと、見るからに漏水が多い箇所がございます。実際には、地甘の性質によりましてある程度やむを得ない部分もあろうかと思いますので、一概にすべてそれが施工によるものとは考えにくいところでございます。しかし、当時の事情といたしまして、山陽新幹線の開業が、当初は四十九年十二月ということで予定されておったわけでございますが、それがおくれにおくれて五十年三月に延ばしたという実は経緯がございまして、一たん延ばした予定日をもう一度おくらすということは、これは多分当時の考え方としてはあり得なかっただろうということで、工事を全体として急がれたという背景はあったかと思います。
 また同時に、当時オイルショックの直後あるいは最中でございまして、いろいろと当時の方々にお伺いしますと、資材であるとか人員の確保に大変御苦労されたという事情もあったやに伺っておりますので、そういった背景もまた影響しているのではないかなと私ども推測をしているところでございます。
 何分もう既に時間がたっておりますので、私どもとしても、詳細な個別の状況の把握について苦慮しているところでございますが、できるだけまたこれは把握に努めてまいりたいと思っております。
#69
○安富政府参考人 ただいまのJR西日本の方から、建設会社に対する当時の状況について、ヒアリングをするということで調査を進めているということでございました。
 これにつきましては、JR西日本の方とも、またその調査内容について報告を求めてお互い認識を一つにしたいと思っておりますが、我が方としましても、建設会社の協力を得まして、トンネル及び高架橋の施工に係る当時の管理体制であるとか、さらに監督体制が具体的にどうであったかというようなこと、さらには、当時の施工状況、施工上のどういう問題点があったのか、それに対してどういうふうに対応したのかという問題、あるいは、当時の工事と現在の工事との技術的な問題はどういうことであるのか、そういう点について詳細にヒアリングを現在実施しているところでございます。
 それがまとまりましたら、今後、トンネル安全問題検討会等にそういう中身につきまして御報告して、施工上の問題について明らかにしていきたいというふうに考えております。
#70
○玉置委員 一番最初は六月ですよね。ということで、もう四カ月はたっているわけでございまして、何らかの方向を出していかないと次の対応がなかなかできないと思うのですね。その辺はちょっと急がないといけないんだと思いますが、大臣、なかなか結果が出てこないのですけれども、この辺はどういうように思いますか。
#71
○二階国務大臣 十二月十五日ということが既にもう目前に控えておるわけでございます。安全の確認をしていく上におきましても、今委員から御指摘のありましたような問題点をつぶさに調査し、それまでに一定の方向づけをしたい、またするべきだということを考えております。
 先ほど来運輸省からも、またJRからも見解が述べられておりますが、それぞれ施工業者等につきましては、既にもう二十年以上を経過しておるということから、責任の追及ということに関しましては、法的には難しいわけでありますが、道義的には、それぞれの企業がどの部分を担当したかというのは工事日誌にきちっと明記されておるわけであります。最近は、土木学会の方からも、これからは工事の責任者等も銘板に明記すべきだというような意見がなされているということを新聞で私は拝見をいたしましたが、それも一つの方法だと思います。いずれにしましても、その工事を担当した会社はまだ現存しておるわけでありますから、私はその責任を感じて一層の協力を願いたいということをそれぞれの団体に強く申し入れを行っております。
 したがいまして、これからは、既に運輸省もまたJRも対応をしておるようでありますが、私は、セメントの関係につきましても、やはりその間の関係者というのは明らかになっておるわけでありますから、そういう関係者も積極的に協力をされて、まさに新幹線非常事態と言われておる状況を打開していくために、すべての関係者が一致協力して速やかに結論を導くということに努力をしていかなくてはならないと思っております。
 ですから、そうした面につきまして、運輸省としては、各関係者に協力を求めて、JRが今対応しておることについて、運輸省側からのさらに強力な支援をしてまいりたいというふうに思っております。
#72
○玉置委員 あれだけのでき、ふできが同列で並べられて比較されるというのはちょっと珍しいんじゃないかと思うぐらい、いいところと悪いところの差があるのですね。あれを今まで放置されてきたということは、よほど無理してやれという話をしてきたんじゃないか。だから、当時の国鉄、新幹線工事局員は、もう何でもいいからつくってくれ、あとは責任持つみたいなことを言ったんじゃないかというような気がするのですよね。そのぐらい放置されているわけです、ずっと長年、二十五年も。
 だから、そういうことで考えていきますと、本来であれば点検を何回もされているわけですから、あれだけ差があったらやはり問題視するというのは当たり前で、要するに工事の発注にさかのぼって当然やるべきだったと思うのですよね。だから、言ってみれば、JR西日本がスタートした時点で引き受けたわけですから、そのときの点検が本当になされたのかどうか、逆にそういう問題が出てくるのですね。
 そこでやはり指摘をしておけば、瑕疵担保責任の話も、いや、こんなのをもらったらうちはできませんよと本来言うべきですよ、西日本は。だから、ちゃんと完成して補修されたものが来るということであればいいのですけれども、実際に点検されたかどうか、一番最初からあんなふうになっていたのか、最近なったのか、その辺はわかりますか。
#73
○南谷参考人 実は、山陽新幹線のトンネルにつきましては、でき上がった国鉄時代におきましても補修が行われたという実績がございます。私どもとしても、トンネルも高架橋につきましても、発足後毎年修繕費を投入しまして補修を行っておりまして、必要な箇所についてはきちっと手当てをしてまいったところではあります。そういった資金は、大体二百億円ぐらい入れております。
 とりわけ、コンクリート問題に関しまして、六十三年に既に私どもの会社の中でもコンクリート検討会をつくっておりまして、実は問題意識としては持っておった。それに応じた体制はとったつもりでございます。私どもとしては、これは言いわけになりますが、万全な体制をとっておったつもりだったわけでございます。しかし、結果として事故が起こったということでございますので、申しわけないと思います。
 そういうことでございまして、私どもとしては新幹線を発足当初お引き受けして、帳簿上はこれは保有機構の財産ではあるものの、リース料を払いメンテナンスは私どもがやるものであるということで実は発足いたしておりました。そういう意味では、この問題に関して、もしふぐあいのところがあれば私どもが直す、修繕をしてきちっと安全に使用するという考え方でおりましたものですから、こういった問題が今日発生するということ、そこまでは思い至らなかったというのも事実でございますので、まずできる限り私どもとしてできることをやってまいりたいなと思っているところでございます。
#74
○玉置委員 先ほどの論議の中から、瑕疵担保責任の話が再三出ておりますが、大臣おっしゃるように、確かに道義的な問題で処理していかなければいけない問題だと思うのですね。
 それと、西日本さんはいわゆる営利会社でございますから、株式会社ですね。公共交通を抱える営利会社というか、非常に微妙な立場なんですね。ということは、やはり株価を意識して社長は運営しなきゃいかぬということになるので、今のは収益の中からいわゆる修繕費を出しているわけですね。今回の総点検も、延べ四万九千人という大変な人がこの仕事にかかわる。ざっと計算するとこれだけで二百億ぐらいかかるのかなという感じがしますけれども、五百億弱ぐらいの税引き後の利益の中で二百億も食われたらこれまた大変だなという感じがするんですよね。
 そういうふうに考えていきますと、やはり、片や株式会社でございますから、いわゆる民間会社としても一つの限度がある。先ほどもお話が再三ございますが、本来の瑕疵担保責任ということではなく、社内の会議ではここ二十年以上もたせるようなことをやるんだという話をされております、そういうのもちゃんと聞いておりますけれども、収益に影響すると、では従業員のボーナスはどうだとか役員賞与はどうだとか、逆にそこへ踏み込んでいくわけですね。だから、余り、ああそうかというふうに我々も楽観するわけにいかない、やはり仲間の話がございますから。
 そういう人たちのことを考えると、やはり、ちゃんとしたものをつくって二十年以上もたせるためにどのぐらいかかるんだという想定を、検査で早く仕上げてほしいと思うんですね。これは鉄道総研さんの力もかりないといけないと思いますし、JR西日本とかJR各社がやはり協力して、総点検を今されているわけですから、そこで見ていかなければいけないと思います。この辺についていかがでしょうか。
#75
○南谷参考人 先ほど来、当面の修繕については当社がまず第一義的にやります、こう申し上げておりますが、私どもとしましても、御指摘のように株式会社でございますし、株主に対する説明責任もございます。また、従業員に対しても、きちんと団体交渉の席でもこういったものに関して説明をしなければならないというふうに考えております。
 そういう意味では、どのような原因でもってこういった剥落が起こったのか、あるいは、もしさらに大規模な修理が必要であるとすれば、そういったものの原因がいかなるところからよって来るものであるかということについて、やはり私どもとしてもきちんと明らかにしなければならないと思います。
 そういった場面で、建設当時における施工不良であるということが明らかになった場合に、ではどうするのかということになろうかと思いますが、私どもは、そういう場合には、先ほど来この問題は法的に非常に難しい面はあるわけでございますけれども、なおどのような手段があるのか、必要な手だてについて、さらに検討をしてまいりたいと思っております。
 そういったことにつきまして、やはり私どもとしても、株主あるいは従業員に対する説明責任ということをきちっと、またあるいは、御利用の皆様にも御説明をしなければならないという義務がございますので、そういった観点から、そういった検討もまたあわせて今後してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#76
○玉置委員 では、技術的な面でもう一回鉄道総研さんにお伺いします。
 今回、トンネル部分、高架橋部分と分けて、高架橋の方も調査されていると思いますが、海砂の使用があったのかどうか、それから、普通はあり得ない話なんですが、なぜそういうのを使われたのかということ、それから、今の話で、要するに工事施工上の問題点が可能性としては非常に多いのか、あるいは、これはもう要するに時間がたてば風化してきて劣化するというのが原因なのか、その辺を簡単にまとめてお伺いしたいと思います。
#77
○佐藤参考人 まず、御質問のありました海砂のことについてお話し申し上げたいと思います。
 海砂につきましては、福岡トンネルの場合でございますけれども、塩分のイオン濃度が非常に低いということ、それから、貝殻などは入っていなかったということから、福岡トンネルの方は使われていなかったであろうというふうに考えております。ただ、北九州につきましては、貝殻の混入が見られますので、これは海砂を使用したろうというふうに見ております。
 ただ、一九八六年に土木学会でコンクリート標準示方書というのがございまして、これを見ますと、鉄筋コンクリートに用いるコンクリート中の塩化物イオン量というものについては規定がございますけれども、今回の場合の、トンネルみたいな覆工コンクリートは、これはもともと無筋でございますので、この場合については影響がないので特に規定されなかったというふうに考えております。そういうこともございますので、海砂を使ったということと今回の問題というのはちょっと別の問題というふうに考えた方がよろしいのではないかというふうに思っております。
 それから、高架橋につきましては、恐らく海砂を使ったものがあるんじゃないかというふうに思っておりますが、まず、今私どものところに置いております委員会のところで、JR西日本さんの方からいただきましたデータをとりあえず御説明申し上げて、そして、これからの方針について委員会の皆様からアドバイスをいただいたというのが今の状況でございますので、これからまだその問題については議論されるだろう、そういうふうに思っております。
#78
○玉置委員 トンネルの事故は、本当にどこまで大きくなるかわからない、それから、どこまで続くかわからないということなので、かなりの大修繕になると思いますが、ぜひ一日も早く安心をさせていただきたいと思います。それと、やはり株式会社ですから、何年でやるかというのを、安全性との兼ね合いがありますが、その辺も十分考えていただきたいというふうに思います。
 ちょっと時間をいただいて、あと五分しかございません、正確に言うと四分しかございませんが、バリアフリーの関係ですね。川崎運輸大臣にはバリアフリーのことを聞いたことがあるんですが、二階運輸大臣のバリアフリーに対する考え方というものを最後に聞きたい。これは私ども、予算のつけ方からいきまして、あるいは民鉄、JR、それからバス、タクシーといろいろな業界のヒアリングをやりまして、そのときにお聞きしましたのは、やはり安定的に予算づけをしていただいて、少なくとも補助をいただきたい、その補助が定期的にあれば大いに我々は事業計画の中に取り込んでいきたい、こういうお話がございました。
 そういうことでございますから、まず運輸大臣のバリアフリーの置き方、方向、それから予算に対してどういう姿勢で臨むかということをお聞きして、終わりたいと思います。
#79
○二階国務大臣 委員も御承知のとおり、いよいよ高齢化社会の到来でございますし、障害者の社会参加の要請の高まり等を背景にいたしまして、私たちは、高齢者や障害者が鉄道や軌道を安全かつ円滑に利用いただけるような鉄道駅のバリアフリー化は緊急の課題だというふうに認識をいたしております。
 このため、政府において、さきに生活空間倍増戦略プランを策定しましたが、段差が五メートル以上あり、かつ、一日の乗降客数が五千人以上の鉄道駅、約二千駅ございますが、これにつきまして、原則として二〇一〇年までに所要のエレベーター、エスカレーター等を整備するとともに、具体的な設置目標を決めてバリアフリー化の推進に努めてまいりたいと考えております。
 鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの整備については、平成十年度の補正で約八十億円、十一年度の当初予算で約四億円の予算が認められておりますが、平成十一年度二次補正の要望、来年度当初予算においても所要の額を要求しているところであります。
 運輸省としましては、先ほど申し上げましたように、二〇一〇年までの目標を達成すべく、今後、必要な予算の確保に懸命に努力をしてまいりたいと思っております。
#80
○玉置委員 終わります。どうもありがとうございました。
#81
○仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
#82
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は、参考人の御両名、大変お忙しい中御出席、大変御苦労さまでございます。
 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 今回、六月二十七日そして十月九日と、不幸にして、原因は違いこそすれ同様の新幹線トンネルのコンクリート剥落事故が起きてしまったということに対して、考え方を幾つかに分けて整理をして考える必要があるのではないかというふうに思います。
 一つは、最初に起こったときに対する認識というか、事の重大性、責任感をどれだけ感じたかということが率直に申し上げて一つ目。
 二つ目は、なぜ事故が起きたのか。特に、原因は違いこそすれ、同僚議員が何回も質問されているように、近接している地域で起こっている、それも連続して起こっている。こういったことについて原因究明が大事だ、これが二つ目だと思います。
 三つ目は、やはり危機管理体制はどうだったのか。一回目が起きた、予防はできなかったのかどうか。また、一回目の教訓は生かされたのかどうかということだと思います。
 そして四つ目は、今後の再発防止はどうしていくのか。
 こういうふうに分けて考える必要があるのではないか。先ほどから御質問に立たれている議員も同様の趣旨で恐らく質問されている方が多数ですし、なるべくダブらないような質問をしたいと思います。
 まず、事故の認識、責任論ということについてお伺いしたいのですが、正直に言いまして、石破先生の質問に鉄道局長が御答弁だったかと思いますが、法的に責任がないと。それは多分そうでしょう、日本の法律では。しかし、それで本当に事が済むのですか。やはりそういった対応ですと、何か石破先生も、こんなのでいいのかなという御様子でしたし、私は、全日空のハイジャックのとき質問をさせてもらったときにも、基本的には、第一義的には事業者の責任だ、こういう対応をされたので、当時は野党でもありましたし、どなりつけたことを思い出しておりますが、やはりそういう認識が再発を呼んだのではないか、こういうふうに言わざるを得ないなと感じておりました。
 ただ、大臣が先ほどの御答弁で、そうじゃない、道義的にという。施工業者は多分存在していますから、徹底的に調べて整備新幹線の施工業者から外してもらうぐらいの断固たる決意を持ってやっていただきたいと私は思いますし、そのような御答弁もありましたので、運輸省の方からは、大臣からは繰り返し聞きません。
 JRに確認したいのですが、八月四日、いわゆる安全宣言がされた。そして、私、十月十五日、御社のペーパーをいただきました。九日及び十日夜の二回にわたり点検した、剥離、落下のおそれがある他の設備についても点検を行い、特に問題がないことを確認しました、こういうペーパーが出ているのですね。一回目の事故のときには予想外の問題だった、二回目も予想外の問題だった、そのことについて点検を行い、特に問題がないことを確認しました、こう書かれたこと自体、私はその認識に甘さがあったのではないかというふうに思わざるを得ません。その点が第一点。
 それでもう一つは、JR西日本の人事についてのことで、鉄道本部長を更迭した、こういう措置がとられておりますが、あの方は専務兼任の鉄道本部長ですね。専務の方は現在残っているわけですね。そういうことは本当に更迭処分ということになるのか。別に専務をやめさせろということを言っているのではなく、どういう御認識で専務専任にされたのか。私は、この事故に対する問題認識と関連してくる対応ではないかというふうにも思いますので、この二点について、JRの方から御答弁いただきたいと思います。
#83
○南谷参考人 御指摘のように、私ども十月九日の事故後、直ちに列車を抑止いたしまして点検をいたしたわけでございますが、その際、今回の原因は、実はいわゆる打ち込み口の剥落であるということが判明をいたしたわけでございますので、同様の打ち込み口のあるトンネルにつきまして点検を実施いたしまして、必要なたたき落としを三カ所行ったところであります。
 私どもとしましては、念を押すという気持ちから、九日、十日の二晩にわたりまして、打ち込み口というものがいわゆるトンネルの構造物には直接関係ない突起物であるという観点から、言うならばトンネルに後づけをした構造物について、急遽私どもとしても、いわゆる漏水といなど剥離、落下のおそれのある他の設備についてもあわせて点検を行ったということで、念を押したつもりでございます。
 なお、それでも私どもとしまして、既に一回目の剥落、コールドジョイントに対する対応策でもって、あとは私どもの平素の点検の中で確実にやっていくんだという決意を申し上げたわけでございます。しかし、結果としてこういった事態が発生した事実は大変重く受けとめなければならないというふうに思いますし、再三申し上げておりますように、言いわけのきかない事実が発生したわけでございますので、合わせまして二度にわたる剥落事故の反省を踏まえまして、改めて総点検の体制を組みまして、現在総点検をしているところでございます。
 現在、総力を挙げて点検をしておりまして、打音検査といたしましては大体六三%ぐらい十五日現在で進捗をいたしておりまして、いわゆるはつり落としの作業を含めまして、トータルとして大体四割、四〇%程度の進捗で現在進めておりますので、十二月十五日という定められた期間内にとにかくこれを完遂いたしまして、また御安心いただきたいということが言えるように、何とか努力してまいりたいと思っております。
#84
○赤羽委員 今、JR西日本挙げて、大臣の指示のもとで、終電近くを一部運休して全力を挙げてやっているということは本当に大事なことだと思うのです。国民の理解も十分得られていることだと思いますので、これは大臣の御決断というのは高く評価されるところだというふうに思っております。
 今御答弁にもありましたが、これはちょっと運輸省に聞くべきことかもしれませんが、打ち込み口、突起物というのは余り必要ないものだ、たたき落としたと。これは全部つくっていればいいですよ、八カ所だけそういった施工をしている。これも、国鉄の従来の工法とは違っている、請負業者の変更承認願によりそういった工法が採用された、ここのいきさつというのはどうなっているのですか。
#85
○南谷参考人 ただいまの件につきまして、私どもの方からお答えいたします。
 実は、コンクリートの打ち込み口といいますのは、当時のトンネルの掘削あるいは覆工の工法といたしまして、まずアーチ部をつくりまして、その後から壁面を施工するということで、二段階に分けて工事をしているわけでございます。そこに、アーチ部とそれから側壁部の継ぎ目のところにどうしても弱点が出るということで、従来の工法、あるいは大部分のそれまで行われてきた工法は、作業上どうしてもコンクリートを後から壁の部分に入れるものですから、すき間ができるわけでございますので、すき間に後からコンクリートを詰める充てん法という方式でやるというのが基本的なやり方でございます。
 ただやはり、充てん法をやりますと、後からまたこれが弱点になるということもございまして、当時の国鉄の現場の作業の中で、現地の工事区長段階でもって、作業方式の改良として、一つの方式としてこれが行われたというふうに伺っております。
 したがいまして、同じ山陽新幹線の工事の中でも、広島以西、あるいはトンネルによっても、その工法がとられたところととられないところが実はございまして、型枠をつくりまして、そこから注ぎ込むという方式をとったわけでございます。これがきちんとした工法でやられておれば、非常に頑丈にできれば、何も取り去る必要もないし、一体のものとして形成されれば問題はないわけでございますが、中にはそれが弱部にかえってなってしまったという事実が今回ございました。
 そういう意味で、私どもとしては、打ち込み口というものはトンネルの構造物には基本的には必要ないものであるということで、基本的にはそれは撤去するということにしております。ただ、中には完全に一体化してでき上がっているものも実はございまして、それを壊すことがかえって壁面に損傷を与えるおそれがあるような箇所に対しましては、これはそのまま残すということも、現場の実態を見ながら、私どもこれからやってまいりたいというふうに思っております。そういうやり方で現在やっている最中でございます。
 それからあわせまして、先ほどの御質問で答弁を漏らしまして大変失礼いたしましたが、鉄道本部長の処分でございます。
 これは、実は私どもとして、今回、私の直属の配下の者をこういう形で異動しなければならなかったというのは大変心苦しい思いをしましたけれども、私自身も実は減給ということで、あるいは専務の櫻井につきましても三カ月の減給処分ということをあわせて行いました。鉄道本部長のポストを外すということは、私どもにとっては大変厳しい取り扱いをしたというふうに思っておりますし、そういう意味では、そのことで世の中の皆様方に対して私どもの姿勢を、まず管理責任として私ども考えておるんだということを御理解賜ればという思いでやったものでございまして、もしまたいろいろ御指導賜れればありがたいと思います。
#86
○赤羽委員 それで、今回北九州の方で剥落した箇所について、前回の工事の中でコールドジョイントの部分を目視、打音という検査をざっとやっていったと。その中で、今回剥落した部分について目視したところ、変化が認められたのかどうか、それを見なかったのかどうか、見たけれども変化が認められなかったのかどうか、打音は対象にしていなかったから打音はしていないというようなお話も伺いましたが、見た目の形状としてはどうだったんですか。
#87
○南谷参考人 この部分に関しまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる継ぎ目部分でございますので、通常の点検において異常があれば、これはチェックをしていく対象であります。
 そういう意味で、現地の担当者といたしましては、目視によりまして変状の有無を確認いたしておりまして、漏水があったことも認めております。ただ、担当者も職務経歴既に二十年もたっておりまして、ベテランだと私ども信じておりますけれども、本人の判断では、まだ打音検査には至らないだろうということで、これを結果として見過ごしてしまったということでございます。
 そういう意味では、検査のあり方自体について、全体としてのマニュアルといいますか、検査体制といいますか、これは検査の担当者に責任をかぶせるというのはちょっと私どもとしてはなかなかそこまではいかないであろう、むしろ、私どもとして、こういうものに対する取り組みの面でやはり甘さがあったのではないかなというふうに思っている次第でございます。
#88
○赤羽委員 漏水は認めておった、ところが、打音をするまでもないという判断がその方にあったと。
 後ほどまた聞きたいと思うのですが、やはり打音検査の問題というのは、一つは個人差、判断の差というのが出てくる。個人の中でも、疲れているときと疲れていないとき、夜中やる作業ですから、そういう差も出てくるので、そこら辺の技術開発、人間の能力の劣るところをカバーできるような開発が必要なのではないかということを、ちょっと後ほどさせていただきたいと思います。
 総研の方にちょっと確認をしたいのですが、一つは、今回のこの八カ所の施工方法、施工のやり方自体に、施工の方法に問題があったのかどうか、もしくは施工が不良だったのかどうか。剥落したところ、トンネルの突起部、打ち込み口のところですね。それはどうなんでしょうか。
#89
○佐藤参考人 お答え申し上げます。
 打ち込み口があったということが事故の原因そのものになったかどうかということは、恐らくなかっただろうと思います。
 要するに、打ち込み口があったということが事故になったのではなくて、その打ち込み口と壁面との間に不連続面がありまして、その不連続面に漏水が入ってまいった。その漏水があったことによって、さらにその不連続面が広がってまいりまして、残念ながら両端部までそれが行き着いて落ちたのだろうということだと思います。
 したがいまして、打ち込み口の問題そのものにつきましては、必ずしも事故になるということは言えないというふうに思っております。
#90
○赤羽委員 それは、施工方法ではなくて施工不良。あえて言うならば、施工不良だったということですか。
#91
○佐藤参考人 やはり打ち込み口そのものと壁面の間に不連続面があるというのは異常な状態でありまして、そのようなことは施工上やはり許されない問題であるというふうに考えております。
 したがいまして、そこに不連続面があったということがやはり問題である。不連続面があったということは、逆に言いますと、施工の問題がそこにあったというふうに理解しております。
#92
○赤羽委員 わかりました。
 時間も限られているので、本当はJRの方、先ほどの御答弁にありましたが、今回も伝達に時間を二時間要してしまって、始発列車を抑止することができなかった。こういうことについても、やはりどれだけの教訓が生かされたのかな。関係社員に十分浸透していなかったためという。何か最近の神奈川県警じゃないのですから、そういうことをやっていたら、いつまでたっても安全だという担保なんかできないのではないかということにつながるのじゃないかと思って、この点はよろしく本当に徹底していただきたいということで、質問は避けておきます。
 再発防止で、今申し上げました打音についての個人差、能力差を埋めるだけの技術開発の見通しをどう考えているのか。これは総研の方がよろしいのですか。
#93
○佐藤参考人 点検方法に関する技術開発についての御質問でございますけれども、現在行われている方法は目視検査と打音検査でございます。これは非常に方法はすぐれておりますが、御指摘がありましたように、個人差があるということ、その他問題があるというふうに認識しております。
 したがいまして、目視検査にかわる方法、あるいは打音検査にかわる方法は何かあるだろうかということが今後の技術開発の見通しになるわけでございます。問題になるわけでございます。
 目視検査にかわる壁面を撮影するシステム、これにつきましては、ある程度、レーザーを使ったり、あるいはCCDカメラを使ったりして映像を撮って判定するということができるというふうに考えております。
 また、打音検査をどのように定量化し、客観化するかということが一つの問題でありまして、これはやらなければいけない。
 ただ、打音検査にかわるべきいい方法が現在あるだろうかということにつきましては、ちょっと明確には今のところ考えておりません。当面、打音検査を補足するような覆工内部の構造の非破壊検査システムをそれにつけ加えていくということであろうというふうに考えております。
 このようなことを踏まえまして、全体的に総合的な診断システムをつくり上げていくということが今後の課題になろう。しかも、それを早急に行うということが必要であろうというふうに思っております。
#94
○赤羽委員 私も素人ですからよくわかりませんが、打音をする、それを聞き取るのは機械がやるとか、打音をする方を機械がするとか、別の方法を考えるということよりも、今御答弁にもありましたけれども、そういったことが具体的な緊急の対策につながるのではないかというふうに思いますので、開発の方、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
 それで、今回、この事件をきっかけに、鉄道総研の中に山陽新幹線コンクリート構造物委員会というものが設置されましたね。八月十二日に設置されたと思いますが、このメンバーは機械の権威者を集め、その目的は、山陽新幹線のコンクリート構造物の剥落等を防止するとともに健全性を維持するための方案を確立する、こういうふうに聞いております。これはトンネル安全の方ですか。
 ではまず、コンクリート構造物委員会は、八月十二日設置以後、現在まで何回開催されたんですか。
#95
○佐藤参考人 お答え申し上げます。
 山陽新幹線コンクリート構造物委員会というのは、確かに鉄道総研の中に組織しておりますが、これは、主として高架橋の問題について御指導いただくための委員会でございまして、委員長は新潟大学の長瀧重義先生でございます。委員は、大学のコンクリートの専門家の先生のほかに、新幹線構造物の維持管理を行っておりますJRの方々、それから鉄道公団、運輸省の方々、それから阪神高速道路公団の専門家と鉄道総研というふうになっております。
 この問題は、今申し上げましたように、JR西日本からいただいた高架橋の調査結果をもとにしまして、今後の方針その他のアドバイスを第一回行ったところでございます。また、現地調査も一回行っております。
 こういう状況でございます。
#96
○赤羽委員 八月十二日以後一回だけの開催ということで、今後、その開催の予定というのはどのようになっているのか。
 それと、例えば、ちょっとこの人は適当かどうかということはわからないんですが、岩波新書で「コンクリートが危ない」という本を出された千葉工業大学の小林先生、あれだけ大々的に世の中にコンクリートが危ないと言っているわけですから、その人をメンバーにするかどうかは別にして、意見を聞くのか対決するのかは知りませんが、そういったことをちゃんと決着をここでつけるぐらいの思いがなければ、今もう世の中本当にコンクリートが危ない、危ないと思っていますよ。この辺はどうなんですか。何か都合のいいメンバーだけを呼んでやっているような感じがしますけれども、その辺はどうなんでしょう、事実は。
#97
○佐藤参考人 確かに、今いろいろとお話がございまして、いろいろ御指導いただいていることは事実でございまして、お話のありました小林先生につきましても、昔御指導いただいた経緯がございます。
 しかし、この委員会そのものを若手でもって活発にやりなさいという気持ちもございまして、この御後継者であります先生をこの中にお招きしておりますので、先生のお考えもこの中で入ってくるだろう、そういうふうには認識しております。
#98
○赤羽委員 それと同時に、運輸省もトンネル安全問題検討会を八月十一日発足したわけでありますが、これも聞いている限りでは、きょう現在二回の開催。回数を多くやればいいというものではないと思いますが、何となくふわっとしてやっているんじゃないか、これはこちらの受けとめですけれども、本当にどういった目的で、どれだけの思いでやっていくのか、これは発足させた背景もいろいろあると思いますが、その点を大臣から。
#99
○二階国務大臣 今回の山陽新幹線のトンネル剥落事故については、トンネル内におけるコンクリート片の落下という鉄道運行の安全に直結する重大な、かつまた緊急のテーマであることから、このトンネル安全問題検討会を運輸省が立ち上げたわけでございます。今、赤羽委員御指摘のとおり、通常は年度内に結論をお願いするというふうなことのようでありましたが、私はそれを前倒しにやってもらいたい。
 同時に、先般各委員の先生方に対しまして私はお一人お一人に書簡を差し上げ、今委員会等でのこうした御論議、また社会の要請、国民の皆さんが安全に対して大変な不安感を持っておられるこの現状を一日も早く打開していくために、事あるごとに運輸省としてもトンネル安全問題検討会ということを掲げて、この対策の大変重要な役割をこの検討会にお願いしておるわけでありますから、委員の諸先生におかれましてはその責任をさらに痛感されて、一層の研究の成果を早く御提示いただきたいと。お願いしておいた側から大変失礼かと思いましたが、あえて失礼を省みず私は先般書簡を差し上げたわけであります。近くこれらの委員の数名のメンバーをお招きして、もう一度私自身が直接語りかけるつもりにいたしております。
#100
○赤羽委員 どうもありがとうございます。力強いそのくらいの政治的リーダーシップで、ぜひしりをたたいて、お願いしながらしりをたたくのはあれですが、運輸省がリーダーシップを持ってやっているんだということを、国民に情報開示していくということで安心が与えられる、安心が生まれるものだというふうに思っております。
 再発防止について、もう時間がありませんからあれですが、事故の防止、トンネルがおっこちてこないようにするという側面と、もう一つは、先ほど玉置委員から御質問ありましたが、発生した場合の対応をどうするか、こういうやはり両方の側面をしていくということが車の両輪のようなものだというふうに思っております。
 やはりもっと、先ほどの御指摘にもありましたが、具体的なケースを想定してこうしていくということ、これは別に敵国を何か想定してやるから秘密にしなきゃいけないというような話じゃなくて、国民のために考えることですから、想定していても、恐らく本当に起こった場合にはなかなか想定どおりにできないものだろうというのは、私は阪神・淡路大震災の被災地の議員としてもそう思っております。それはやはり今から想定をしてケーススタディーしていくということをやらなければ、また万が一起こったときに、何をやっていたんだ、いや、実は予想外のことでしてと、また今回の繰り返しになってしまうのではないかというふうに思いますので、その思いでこのトンネル安全問題検討会とかの位置づけをされているんだと思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 私もあと三分ぐらいですが、実は公明党も今週の日曜日から三日間訪中団を派遣いたしますが、その中でいろいろ言われております北京―上海の高速鉄道について、こういう新幹線絡みだからちょっと特段お許しいただきまして一言だけお聞きしたいんです。川崎前大臣もこの春行かれておりますが、このプロジェクトに対する運輸省の現状の認識と今後の展望というか意気込み、取り組み方針について御開示いただければというふうに思います。よろしくお願いします。
#101
○二階国務大臣 御指摘のプロジェクトにつきましては、北京―上海間千三百キロメートルに高速鉄道を建設しようというものでありまして、現在、中国政府内で関係機関が種々検討を行っていると承知いたしております。
 また、先般、技術の関係の代表者の皆様が私を訪ねておいでになりましたので、我が国の新幹線は世界で最も高速、大量、高密度の輸送を実現している鉄道システムであり、今トンネルの崩落事故等が新聞、テレビ等で伝えられて御心配であろうかと思いますが、少なくとも人命、人身の事故としては三十五年間無事故を誇ってきたこの新幹線の技術陣に対する信頼は運輸省としては揺るいでいないというお話を御説明申し上げ、御理解をいただいたところであります。北京―上海間の都市の分布と沿線の状況は、我が国のちょうど東京―博多間と類似をいたしております。北京―上海鉄道につきましては、新幹線の技術、ノウハウが貢献できるものと私は考えております。
 もともと、歴史あるいは伝統文化の面におきましても中国からたくさんの教訓を私たち日本民族は得ておるわけでございますから、新幹線のこの技術がもしお国の発展に寄与することができれば、我々は喜んで積極的に協力したいという旨を私からも伝えておきました。
 我が国としては、このプロジェクトには官民挙げて御協力をいただく、これによって二十一世紀の中国と日本との間のまさに友好のシンボルといたしたいというふうな熱意を込めて、運輸省としては、関係省庁、民間関係者と連携し、積極的にかつ真剣に対処をしてまいりたいと思います。
 このたび仰せのとおり公明党議員団が訪中されるということを伺っておりまして、また中国における御活躍に期待をいたしたいと思っております。
#102
○赤羽委員 どうもありがとうございました。終わります。
#103
○仲村委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#104
○仲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。寺前巖君。
#105
○寺前委員 山陽新幹線コンクリート問題についてお聞きをしたいと思います。
 運輸行政の中で最大の使命は、安全をしっかり確保することだ、これは運輸大臣からのお話にもありました。交通機関の中で最も近代的で、事故は絶対に起こらないだろう、そういう安全神話ともいうべき事態にあった一つに新幹線が昔からありました。ところが、事故が相次いで起こるどころか、安全だと宣言をしてまた事故が起こる、いよいよ不信の念は広がっております。とりわけ山陽新幹線のコンクリート落下事故は、国民、利用者に大きな不安を抱かせています。
 こうした事態に対し、いち早く私も現地に出向いて、満身創痍の山陽新幹線コンクリート対策について、政府、運輸省にも申し入れをやりましたし、いろいろな指摘をやってきました。
 特に、六月の福岡トンネル事故後に、JRが点検結果に基づいて安全宣言を出す。しかし、私みたいな素人でも、待てよという感じを受けました。コールドジョイント周辺だけに目を向けておっていいんだろうか、いや、もうコンクリートの事態はただごとでない、トンネル、高架橋の打音検査を含めた全面的点検に入らなかったら、寿命の問題もこれは重大だぞ、とすると、列車をとめてまで考えるという対策をしなければいかぬのじゃないだろうか、これは新しい運輸大臣にもお話をしたところです。
 ところが、指摘は、ますます実感を伴うような形でだんだん広がってきていると言わなければならないと思うんです。
 そこで、きょうは、私は今三つの不安を持っていますので、三つの不安について聞きたいと思うんです。
 一つの不安というのは、今の総点検をおやりになっているこのやり方、果たして安全を確保するような点検のやり方と言えるんだろうか、点検あって点検なしということにならないだろうか、この不安が一つの問題です。
 もう一つは、その点検に総動員をかけておられる。いろいろな分野の人たちが大量に点検の仕事にお入りいただいて御苦労をかけていますけれども、さて、その人たちは安全な姿で仕事をおやりになっているだろうか、急ぐ余りに結果として大変なことがまた次に起こってくるんじゃないかという不安を感じます。
 三つ目に、五回も警告を出しているのに安全宣言でどうなんだとこの前の委員会で問題になりました。大臣は、どっちもどっちだ、こうおっしゃった。どっちもというのは、会社のこともそうだし、何回も警告書を出すという運輸省の行政の側も問題やないかと。そうです。私は、監督をして、そして運輸行政を進めておられる政府の側に対する不安をやはり持たざるを得ない。
 この三つの問題を、監督責任を含めて、感ずるものです。
 そこで、第一番目の不安の問題は、現地で大量の人が作業をしておられますが、その大量の人というのは、この間現地へ行きましたときに資料をいただきました。
 施設関係で千百六十九名。当社社員三百七十九人、JR東日本、東海、四国、九州それぞれのところから応援も出していただき、グループ会社など六百人、コンサル六十人。電気関係を入れると千九百十五人になる。延べ人員は四万九千人だ。こうやって資料をいただきました。それから、必要な保守用車両、一日当たり何ぼ動くんだ、二百四十一台だ。モーターカーが六十七台、トロが百三十九台、諸車が三十五台。だから、そういう総点検をやろうとすると、それにふさわしい施設が関係してくる。電気関係のモーターカー二十八台を入れると二百六十九台。延べ台数にして一万二千六百四十台だ。これだけのものを動かしていこうと思ったら、よほど管理をよくしないと大変なことになるなという感じを持たざるを得ないわけです。
 そこで、この仕事をやっている人たちの問題、どうなっているだろうか。私は、地方にあるところの労働組合の新聞で何か書いておられることはないだろうかと見ておると、こういう新聞記事がありました。
 たった三十分の説明で、全員が未経験者、私たちがトンネルたたいてわかるものだろうかという不安を抱きながら当日を迎えた、作業開始現場で、実際の点検の見本や打音の違いなどの一切の手本も示されずにすぐ作業を開始した、ここに書いてあるのです。
 また、私のところに次のような内容の手紙が来ました。
 私たち在来線保線屋にはコンクリート打音検査というものはありません、新幹線保線での指示も、たたいて異音を感じたらマークして、記録係に知らせるという簡単なもので、その作業法、打音の感覚や判断も個人によって違うと思う、それで検査済みにするという事態に私は疑問を感ずるという作業をやっている人の手紙です。いやいや、これはえらいことだ。
 始業開始は細かな打音検査が時間がたつに従って手抜き打音検査になっていく、鉛筆しか持ったことのない人が長時間もハンマーを持って、しかも立ちっ放しの姿勢での業務では、今日ではもういいかげんにしてほしいと言わざるを得ない、そんな手紙も来ました。
 ずぶの素人さんが多く参加してコンクリートをたたいているその実態。浮きがあるのか、その判断をこの素人の人に任せて点検をしていくというようなことで、チョークでそこの場所をマークしていく、記録係がそれを記録していくだけで、さて、これでわかるのだろうか。この人たちはどのくらいの強さでたたいておられるのだろう。どんな音がしたら異常なのかということがわからない素人の判断でいいものなんだろうか。私、本当に、この総点検でいろいろな専門家も入れておられるか知らぬけれども、焦るが余りにこんなやり方でいいのだろうかということを、やっている人の手紙などを通じて感ずるのです。
 きょうはJR西日本の社長さんもお見えですから、社長さん、こんな実態、絶対ないとおっしゃられますか。いかがでしょうか。
#106
○南谷参考人 このたびの安全総点検につきましては、私どもとしましても、またとないこれはチャンスであります。またとないチャンスといいますのは、こうした総動員体制でもって、トンネルの全表面をたたけるという体制を組むことはなかなか容易なことではございません。そういう意味では、この機会に徹底した点検をしなければならないという決意を固めている次第でございます。
 実は、私自身もその幾つかある作業班の点呼場に夜出かけていきまして、もう既に十あるうちの八つ、点検、点呼に立ち会ってまいりまして、現地の社員あるいは応援のJR他社の方、あるいは業者の方に声をかけてまいっております。また、必要に応じて、トンネルの中に私も入って実際に見ております。その際、訓示をする際に私必ず申し上げておりますのは、決して急ぐな、これはこういう機会に徹底してやってくれということを口が酸っぱくなるほど言っておるつもりでございます。
 今寺前委員から御指摘があったようなことはないと私は信じておりますし、あってはならないと思います。もとより、総動員体制をとっておりますので、その中にいろいろな者が実際に打音の作業に入ることがありますが、しかし、このチーム編成は、あくまでも点検班のチーム編成といたしまして、点検責任者、打音担当者あるいは保守用車責任者、保守用車オペレーター、手元作業者、こういったいろいろな職務分担をする者で構成するわけでございまして、その中で、とりわけ点検責任者及び打音担当者のうちの一人は必ずJR西日本の土木系の社員を配置いたしまして、確実を期しておるところでございます。
 作業に応じて、それは打音そのもの、コンクリートをたたく際に他の方に応援をいただくこともありますが、しかし、その聞き取りあるいは記録というのはJRの経験を持った社員が対応している、こういう体制で組んでおりますので、今回の機会を大切にして総点検の実を上げてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#107
○寺前委員 やっている人が不安を感じて言うているんだから、これは私は、素直に聞くような体制にむしろせないかぬじゃないかと思いますが、さらに私のところに別な手紙でこういうのがあります。
 点呼の場で社員が、これまで十二月十五日までに措置をしなければならない箇所をAランクとちゃんと位置づけて記録をするようになっていた。ところが、その仕事が始まる前の訓示でこういう話が出た。Aランクの数が外部に漏れたら大変なことになると。最初にやったときには物すごい、何千という種類のAランクのマークが出ている。こんなことをやっておったら十二月十五日までに対策を組んでいくことができないじゃないかとみんなの話題になっている最中での訓示であっただけに、そうだとみんな感じた。ところが、大きく分けて二回の変更が行われた。昨晩もまた、従来出しておった内容について、A、B、C、ところによってはDという形で、これは不明というランクをつくっていたけれども、あの不明のランクはやめるというまた連絡があった。
 私は、それは進歩として整理をしていくということはいいと思うのですけれども、この十月の途中から始まって十二月十五日までの総点検の中で、内部の文書によっても口頭でもぐらぐら変わるような態度で、果たして責任あるやり方だということができるのだろうか、ちょっと不安になるものなんです。
 だから、私はそういう意味でも、現場の監督者自身も、こんなやり方では不安だということを感じているというふうに感ぜざるを得ないのです。とすると、真剣に、どこに問題があるのか。
 今社長さんは、期日を限定して、そのために急ぐというようなことにならないように慎重にやりたいという旨のお話があったけれども、それだったら、本当に真剣に、素人の皆さんから、いろいろな人から出ているこの意見を吸収するという特別なアンケートをやるなり、名前をわざわざ出してまでといったら言いにくい人もようけおるかもしらぬから、無署名などで積極的な意見を聞くというやり方をやらなんだら、やった総点検が、総点検あって総点検なしということになるじゃないか。いかがでしょうか、社長さん。
#108
○南谷参考人 総点検の判断基準につきましては、極力、要にして簡素でわかりやすい基準を私ども定めておりまして、判断基準が変わるということはないように実は努めておるところでございまして、今回の総点検におきましては、すべてのトンネル覆工を対象に打音点検を行うというまず第一の原則に基づきまして、アーチクラウン部やアーチ側壁接合部、変状箇所等の重点箇所については入念に打音点検をする、あるいは点検結果により、はつり落としや鋼板等による補修などの必要な措置を行う、さらにはトンネル内の諸設備につきましては固定状況を確認するという基本方針に基づきまして、一貫して実施しているところでございます。
 判断基準を欠いていることはございませんが、しかし、よりわかりやすく、個人の判断差が出ないような指導というのは徹底をいたしておるところでございますので、先生御指摘のような問題が生じないように、私どもとしてもこの点につきましては十分徹底をしてまいりたいというふうに思います。
#109
○寺前委員 率直な意見を聞きなさいよという問題提起のお話のお返事がなかったんだが、大臣、その点、いかがお聞きになっていたでしょうか。
#110
○二階国務大臣 JRの事故以来、再々にわたって私どもは、JR西日本南谷社長初め幹部にも、総点検の実態等についても様子を伺うといいますか、報告を受けながら対応いたしております。
 今日のところ、点検責任者、打音検査の担当者、保守用車の運転者等によってそれぞれ点検班のチームを編成し、打音検査は、経験や技術を有するJR西日本の社員が中心に、JR他社、さらにOB等の技術者を活用しながら実施をしており、他社の技術者による場合も点検責任者のJR西日本の社員が必ず確認を行う等明確な責任のもとに実施されているとの報告を受けてございます。
 私ども運輸省といたしましても、JR西日本にのみすべてをお任せしておくというのではなくて、常に運輸省の技術職員が現場に赴いてJRの点検状況等を調査しながら対応するという取り組みを行っておりますが、先ほど来南谷社長も申しておりましたとおり、寺前委員御指摘のようなことがないように一層努めてまいりたいと思っております。
#111
○寺前委員 ないようにと言われても、私は、具体的に出ている声を聞くという体制をひとつ大事にしていただかなかったらあかんのやないかということを聞いているんですわ。その点はいかがでしょうか、大臣。
#112
○二階国務大臣 現場として、多くの関係者の御意見、また今の投書のようなことはJRにも恐らく届いておるわけでありましょうから、そういう御意見を十分体しながら万全を期していくということは重要なことだと思っております。
#113
○寺前委員 すっきりしてほしいと思うんです。
 第二の不安の問題というのは、これは、私、どんな車でやっているんだろうかなということをまず見たんです。置いてある写真を撮ってきてくださった方があるんで、その写真を見たら、こんなんで大丈夫なんだろうかなという写真なんです。
 委員長、ちょっと大臣に見てもらいます。
 それを見ると、これも手紙の中にあったんです。トンネル内の打音検査で高いところの作業はトロッコの上にパイプで足場を組んで行っているが、揺れがひどく危険です、この足場は恐らく安全基準を満たしていないと私思いますと書いてあるのがあるんです。それから、地上から四・四メートルの一番上の作業台に手すりがない、足場から四十五センチの高さにロープを張っているだけ、落ちそうで怖い、人が落ちるほどのすき間があると。これは板の上のすき間のことなんだろうな。
 だから、僕は、臨時に、一生懸命おやりになっているから、こういうことが起こるんじゃないだろうか。しかし、私みたいな専門家でない人間でも、これは労安法上ええのかなと思うんですよ。
 例えば、手すりは七十五センチ以上のところに、すき間は三センチ以下でなければならないと労安法上、規則の五百六十三条にある。そうすると、この上の高さは何ぼあいてるかということになると、これは七十五センチもあらへんな。だから、怖いというのは当たり前だ。もたれるところもないという不安な状態でいいのかいな。
 だから、それを見てもらったらわかりますよ。これは不安定な状況の姿じゃありませんか。だから、これだけの大量の動かし方をやったら必ず生まれることやと思うんです。だから、これは労働省としてもよく監督しなかったらいかぬ問題だと思うんですが、労働省、お気づきになっているでしょうか。
#114
○野寺政府参考人 今先生の写真を拝見させていただきました。
 このような場合の台車でございますけれども、今先生御引用になりましたけれども、例えば安全衛生法に基づきます安全衛生規則五百六十三条第一項の三号というところで、若干先生御引用になりました作業床の規定がございます。この写真を見ただけでは何とも判然といたしませんけれども、この関係につきましては、私ども、関係する局、署を通じまして、安全衛生法あるいは規則上問題がないかどうか指導監督等を実施いたしておりますし、今後もこの期間中にわたりまして適切な指導監督をしてまいりたいというふうに思っております。
#115
○寺前委員 大臣、お見せしただけでわからぬかしらぬけれども、それを見ただけでも不安を感じるでしょう。いかがお感じでしょうか。
#116
○二階国務大臣 私も現に点検車あるいは作業車あるいはまた足場を組んではつり落としをやっておる現場等をつぶさに見てまいりまして、関係の皆さんが大変きびきびと、そして使命感に燃えて打音検査等に対して懸命に取り組んでいる姿に、私は、事故は事故としながらも、関係者の今日の安全点検に対する熱意に対して敬意を表したい思いでございます。
 したがいまして、今労働省からも御答弁がありましたが、そうした状況について私どもも十分意を用いながら委員の御指摘の点についてきちっとした対応をしてまいりたいと思っております。
#117
○寺前委員 だから、やはり安全問題についてはきちっとしてほしいということを言っているわけです。
 それから、三点目の不安というのは監督責任の問題なんです。これは五回も警告を出したということに対して、前回平賀議員からも問題が出たし、参議院でも出ておりましたが、何で鉄道事業法の二十三条に基づく改善命令を出して運輸省みずからが乗り出していくという姿勢をとらないんだろうかということが私は気になるんです。だから、何か言うて報告を求める、何か言うて報告を求める姿勢ではあかんじゃないか。
 さっきもちょっと不安の紹介をやりましたけれども、ああいう不安が出てくるという事態は、監督行政そのものの中にみずから乗り出していくということの弱さから来ているんです。それをやはり、法に基づくところの改善命令をやるんだという立場から対処していくということが出発になると思うんです。
 そして、そういう態度からいくならば、実施計画どおり的確に実施されたかどうかどう判断するのか、点検終了後のチェックは具体的にどうするんだとか、報告を受けると言うが、運輸省としてどのような報告を提出せよと指示を出しているのか、こういうようなことについて、また都合のよいような判断基準を出されたら困るんだから、こういうふうに判断基準をやりなさいとか、いろんなことについて運輸省みずからが乗り出していって提起をするということが必要になっているんじゃないだろうか、私はそう思う。運輸大臣、いかがですか。
#118
○二階国務大臣 山陽新幹線のトンネルのコンクリート剥落事故につきましては、運輸省としては、JR西日本に対し、早急な原因究明、これがまず第一である、そして安全確保策を講じるように指導しておるところでありますが、今後、安全の総点検完了と同時に、運輸省及びトンネルの委員会が安全総点検の結果の報告を受け、そして、運輸省としての責任ある報告、国民の皆様にその経過を公表できるようにいたしたいというふうに考えているものでございます。
 今山陽新幹線の百四十二のすべてのトンネルに対して打音検査を行うことにいたしておりまして、ちょうど東京から浜松までの距離だというふうに御理解をいただければ結構でございますが、その点について、私どもは、今JR西日本が懸命に取り組んでいるこの状況の中でそうした強権的な事業改善命令を出すのではなくて、JR西日本が過去に出されております警告書の重みを十分に改めて認識をしていただき、今後とも私たち運輸省としては厳正な指導監督を行うことで対応していきたいと思っております。
#119
○寺前委員 ともかく、七十二年ほど前ですか、東京の地下鉄が浅草のところからずっと走ってますわな。あれは一定で、不安やなとだれも感じない。ところが、十年、二十年にして不安を感じるようなトンネルになっている。これを比較したときに、どんな監督指導で、どんな工法で、どんな施工でやってきたんだろうかって、だれだってこの違いは歴然としてくるんですよ。
 ところで、今度、とんとんとんとんたたいて打音検査をやっていたら、その中からドンゴロスが出てきたり、その中からセメント袋が出てきたり、ベニヤ板が出てきたり、あるいは丸い鉄が出てくるということが作業工程の中で出てくるわけでしょう。だから、このトンネル自身がおかしいなってみんな不安になってるところに、打音をやり出したら、途端に今度はそこにはいろんなものがほうり込んであるという事態が出てきている。これ事実でしょう、出てきたの。社長さん、どうです。
#120
○南谷参考人 一部のトンネルにおきまして、コンクリートのはつり作業の際にアーチと側壁の接合部にセメント袋あるいは木片の切れ端があったという報告を受けておりますが、これはトンネルの強度に影響を及ぼすほどのものでないという報告もあわせて受けておるところでございます。
#121
○寺前委員 もう一々言いわけのように、出てきたのは事実だけれどもと、そういうことだけ言う。
 すると今度は、コンクリートのあれを見ていると、今度は塩分を含んだところの海砂を使っておったと。そして、アンケートをとったら、四分の一の会社から、いや、やってましたって、もう昔の話だからって正直に言うところも出てきたんでしょう。
 そうすると、海砂を使っているようなものだったら、これはその当時の契約ではどうなってるんや。海砂はよく洗いなさいという契約がちゃんと文書に書いてある。そうしたら、それに違反することが行われておったんや。いろんなものがほうり込まれておったり、そして、そうやって違反行為が行われておった。あの当時の監督というのは一体どうやったんやというて、昔の行政に対する監督が今問われているわけでしょう。
 そして今度は、私がさっき言うように、三つの不安を私自身が持ってきている。その不安に対して、みずから乗り出していってやるんだという姿勢でなかったら、どっちもどっちだと大臣に言われておったって、それは責任ある行為にはならないと思うんですよ。
#122
○仲村委員長 寺前委員、お約束の時間が経過しておりますのでお急ぎください。
#123
○寺前委員 いや、もうこれで終わります。
 それで、この二、三日前の新聞を見ておったら、「「危機意識低すぎる」 営業優先姿勢に疑問」だという見出しまでつけられて、「安全不信のトンネル続く」とまで書かれたんだ。そうなってきたら、私は改めて大臣に最後の質問をしたいと思うんです。
 それは、十二月十五日、年末年始のあれを前にして必死になって、皆さんの御努力は御努力、だけれども、不安を解消するために、焦りの余りもらいの少ないことにならないようにしなければ悪いな、そこのところは厳密に指導監督を責任を持ってやっていただきたいということを要望したいと思うんです。大臣、いかがですか。
#124
○二階国務大臣 議員御指摘のように、早く運行、同時に、安全宣言を急ぐ余りにそういうずさんなことになってはいけないという御提言でございますが、我々はそれを十分受けとめて、そして国民の皆さんの新幹線に対する不安を一日も早くぬぐい去るという私たちの使命に向かって懸命に努力をいたしたいと思います。
#125
○寺前委員 ありがとうございました。
#126
○仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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