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1950/11/24 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 水産委員会 第1号
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1950/11/24 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 水産委員会 第1号

#1
第009回国会 水産委員会 第1号
昭和二十五年十一月二十四日(金曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 冨永格五郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 川端 佳夫君
   理事 田口長治郎君 理事 林  好次君
      石原 圓吉君    川村善八郎君
      鈴木 善幸君    田渕 光一君
      永田  節君    平井 義一君
      松田 鐵藏君    小松 勇次君
      井之口政雄君
 出席政府委員
        水産庁長官   家坂 孝平君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁次長) 山本  豊君
        農 林 技 官 太田 國廣君
        專  門  員 杉浦 保吉君
十月二十六日
 委員田渕光一君辞任につき、その補欠として田
 中彰治君が議長の指名で委員に選任された。
十一月十六日
 委員天野公義君辞任につき、その補欠として川
 端佳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
 委員田中彰治君辞任につき、その補欠として田
 渕光一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 川端佳夫君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 国政調査承認要求に関する件
 中央卸売市場の手数料問題に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○冨永委員長 これより会議を開きます。
 本日の議事に入ります前にお諮りいたします。
 去る十月三十三日に理事 川端佳夫君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になつておりますが、同君が再び委員に選任されましたので、この際委員長において川端佳夫君を理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○冨永委員長 御異議なしと認めまして、川端佳夫君を理事に選任いたしました。
    ―――――――――――――
#4
○冨永委員長 次に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。
 前国会におきましても国政調査の承認を得まして種々の調査をいたしたのでありますが、本国会におきまして次の事項、すなわち一、漁業制度に関する事項、二、水産金融に関する事項、二、漁業経営安定に関する事項、四、水産資源に関する事項、五、水産行政充実に関する事項、六、漁業無線に関する事項について国政調査の承認を要求いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○冨永委員長 御異議なしと認めます。
 なお国政調査をいたしますためには、衆議院規則第九十四條によりまして、国政調査承認要求書を議長に提出いたさねばなりませんが、その内容その他手続等につきましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○冨永委員長 御異議なしと認めましてさようとりはからいます。
 次にあらかじめ御諒解を得ておきたいと思いますが、ただいま決定いたしました国政調査事件につきましては、当長の承認後におきまして本委員会で取上げる事はもちろんでありますがさらに各事項別々專門の小委員会を設けて愼重に調査するようにいたしたいと思います。
 なおこの機会に御了承を得ておきたいのでありますが、本委員会の定例日を一応火、木、土といたし、その他必要のあるどきは適宜開会いたすことにいたしたいと思いますのでさよう御承知おきを願います。
 次に先般本委員会といたしましては、閉会中漁業経営安定、内水面漁業、戰災漁場等の実体調査のため各地に委員を派遣し、つぶさにその調査を行つたのでありますが、種々の事情により閉会中その報告を求めることが出来なかつたのでありますが、今後の審査の参考のため此の機会に派遣委員より報告を聽取しておきたいと思います。永田君。
#7
○永田委員 国政調査四国、九州班を代表いたしまして、簡單にその調査を御報告いたします。この国政調査に御参加いただきました委員といたしましては松田委員、川端委員、福田委員でありまして、随行者として委員会の中山調査員と水産庁の重田技官を同行せしめ、日程の関係で四国は香川県、愛媛県のみを、九州は大分県、福岡県、長崎県と有明湾関係県を八月十日より二十一日までの十三日間に現地調査を行つて参つたのであります。何しろ調査日数が非常に少いのと、調査の希望箇所が多いため、時間的にはなはだ制限され、地元の漁民の要望通り十分なる調査と、その百パーセントの声を聞くことができなかつたことはまことに残念でありました。しかし参加委員各位の熱心さと地元漁民、水産関係者の方々の絶大なるお力添えによりまして、予定の通り調査を運び、予想以上の効果をあげたのであります。
 その大略を日程順に申し上げますと、八月十三日の香川県の調査は、模範漁村として名のある香川県東端近くの引田町に、朝早くより出掛けまして、同町漁業協同組合の三階におきまして、ほんとうの漁師いわゆる零細漁民と話し合つたのであります。始終何の飾り気のない言葉にて、非常に熱心に訴える彼らの真実の声には、たとい一地方のことであつても得るところが多かつたと思うのであります。多い要望の中からおもなるものをあげますと、瀬戸内海の取締りの徹底、すなわち底びき類似船の全廃を叫んでいたのであります。つけ加えておきたいことは、この町は瀬戸内海二方の違反船があるに対し、一隻の違反船も持つていない町であることであります。その他は沈船等の早急引揚げを強く主張しておられました。長い間委員会にしても問題になつている、紀伊水道を瀬戸内海より分離することには、強く反対していたのであります。その理由として言うところは紀伊水道に大型機船底びき網漁業を許可する前提であることは明白であり、もしそのようなことが行われれば、内海の漁業は極度に経営困難になり、内海の魚族は絶えてしまうということであります。但し紀伊水道の機船底びきを徹底して取締るならば、問題は別に考えるとのことを述べていたのでありまして、紀伊水道問題は取締り問題とあわせて愼重に考え、処置されるよう希望いたしておきます。なお一つつけ加えておきたいことは、内海漁業の取締りに当つている保安部の発言によれば、瀬戸内海の取締規則を早く改正して現実に沿うようにやらない限り、保安庁取締船も、日の前に幾百隻の違反船を見ても取締りの方法がないとのことであります。養殖事業にその期待をかけているとき、この引田町に約三万坪の海水養殖場があり、これが指導の適正により相当の効果があげられると思われるのであります。これもあわせて研究を願いたいと存じます。ただいまは個人所有にして何の養殖事業的の手段は講ぜられていない状態であります。
 八月十三日は愛媛県中の戰災漁場として、吉田浜海岸と、緊急を要する漁港として上灘、下灘の漁港を調査に参つたのであります。吉田浜は飛行場が海岸沿いにあつた関係上、相当の障害物があり、特にタンク等の重量の大きいものがありまして、小さいものは地元民の協力により引揚げたので、ただ大きいものをぜひ処分してくれるよう訴えられたのであります。上灘、下灘の漁港は県庁も相当は問題にしているもので、少し波があれば船を引揚げて置く所もなく、山の勾配も急であり、すなわち海よりすぐ山になつている町であるため、漁港の急速なる修築を特に要望されている所であります。
 八月十五日は大分県の北部の長洲町に参りまして、漁港その他漁業の実態を見たのでありますが、驚いたことには、この辺一帶は干潮には沖合い二キロくらいは干潟に、四キロくらいまでは動力船か航行できなくなる遠浅の海岸線にて、干潟実に五千町歩と言われているのであります。このよう海況であります関係上、その辺の主要都市たる長洲町は、漁業を主とする町にかかわらず、その生命たる漁港の状態は、海水より三尺以上も上にその漁港の底をほしているのでありまして、今まで何ら顧みられなつたのであります。今年よりわずかずつとりかかることになると一言われていますが、この港などは、まず港内に船をつなぐまでは急速に工事を運ぶようにすべきであると考え、すみやかに、そして強力に関係当局にその旨委員会よ力申上入れるべきであると考えられるのであります。またこの辺一帶の干潟の五千町歩という広大なる養殖による利用は大きく、県当局はもちろん、水産庁においてもこれが指導と援助にただちに着手して、漁業の危機を打開するとともに、生産向上まで導くようにすべきと考えるものであります。
 八月十六日は大分県南部地方へ調査の足を延ばしたのでありますが、戰災による漁場の最も荒廃している佐伯湾附近は、不漁と相まつていたいたしい現実を聞かされたのであります。またこの辺もあまり中央の影響を受けていない地域で、漁港の修築を、修築による国庫補助率の引上げを痛烈に訴えていたのであります。
 十八日は福岡県の大牟田市において、有明海区の関係者たる長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県の各県庁の職員と漁業者等のお集りを願い、懇談会を開き、種々御意見を承つたのでありまして、会合された全員は、外海よりの機船底びき船の密漁防止をはかり、漁業の紛争をなくするため、また漁業の複操を調整して有明海の漁業の安定をはかるため、次期国会には必ず單独にて衆議院より提出され、特別海区にしていただきたいとの真剣なる要求がありました。しかし有明海にては機船底びき類似船の許可は絶対反対にて、取締りの徹底を主張していた熊本県のあつた事も付言して置きます。
 八月十九日は長崎県に参り、漁業全般についての意見中、水産物の輸出県であり、北海道に次ぐ水産県だけに、金融の不円滑が深刻に影響している事が漁業の不活躍を来たし、遂には危機をはらんでいる状態で、外貨獲得を目的とする輸出水産業の金融に何かの手を打たねばと感じた次第であります。
 具体的に申し上げたい事はたくさんありますが、それは次の機会に讓りまして以上簡單でありますがこれをもつて報告といたします。
#8
○冨永委員長 石原圓吉君。
#9
○石原(圓)委員 内水面漁業調査の報告を申し上げます。
 班の編成は田口委員、鈴木委員、不肖私、水産庁より黒田竹彌、小關信章、調査員、喜田眞。
 調査日程は八月十日、十一日が日光養魚場及びその周辺の河川、湖沼の実態調査。
 八月十二日、長野県水産指導所(明科)及び犀用、奈良井川の放流事業の実情調査。
 八月十三日、長野県水産指導所諏訪支所、諏訪湖漁業の現情及び天龍川の水源取入口である釜口水門の実情調査。
 八月十四日、富士宮市周辺の海水地帶における民間養鰌場及び静岡県立富士養鰌場を調査。
 八月十五日、十六日、滋賀県立酷ケ井養鰌場及び彦根水産試験場の琵琶湖丸にて琵琶湖及び伺湖に注ぐ河川における漁業の実態調査。
 八月十七日より十九日まで英虞湾における真珠養殖業の実情を調査し、新漁業法の実施に伴う漁業調整につき養殖業者及び関係漁業協同組合代表者と懇談した。
 以上の通り国政調査をいたして参つたわけでありますが、次に三、三点につき詳しく御報告申し上げたいと存じます。
 内水面漁業の実態は沿岸の漁業とはまつたく趣を異にする、すなわち沿海の漁業は全般的には調整が中心であるが、内水面漁業は單なる調整にとどまらず積極的に増殖しなければ成立しないという増殖中心の漁業でありまして、その成果を広く一般に開放、享受せしめ得るという特殊性がありますので、このたびその実態をつぶさに調査し、特にこれが指導態勢を急速に確立するとともに、民間における増殖事業をも強力に推進する必要を痛感した次第であります。これがための具体的対策としまして考えられることは、一、国営及び県営養魚場の拡充強化、三、優良種苗の潤沢に、しかも低廉に供給できる態勢を確立し、内水面漁場の高度利用をはかることであります。
 この一につきましては、現在国営のこの種養魚場としては日光養魚場があるのみであります。しかも日光養魚場は昭和二十四年御料地が物納となり、国の帰属した際水産庁に移管がえになつたものであつて、所管後の日浅く、過去の経営方針より時代の要求に即応した方針に再建するためには、同場の設備の改善充実、あるいは拡充は焦眉の急を要する問題であります。しかして陸封性鱒類等の人工孵化、紅鱒等の品種改良による優良品種の造成及び潤沢なる供給により、河川湖沼の高度の利用のための放流事業の拡充を強力に推進すべきであると考える次第であります。
 次に県営の養魚場の面につきましても、その一例として静岡県立富士養鰌場におきましては、昭和八年設立されたものを、当時豊富なる富士山麓の湧水と広大なる敷地と面積三千二百坪の養魚池を有し、べにます、その他優秀卵一千万粒を採卵し、内水面の増殖をはかるとともに、民間養鱒事業開発の原動力となつていたのでありますが、終戰後極度の食糧不足から来る餌料の銃制、欠乏、加うるに国民生活の不安定による増殖意欲の欠如、その他種々の悪條件に作用され荒廃その極に達したものが、最近に至り、ようやく国民生活も幾分安定するに従い、餌料の統制撤廃その他悪條件の緩和に従い、回復がその緒についた程度であります。すなわち現在蓄養中のべにますの尾数を見ると、当才魚二万五千四百四十尾、二才魚二千百五十尾、三才魚四百八十尾、四才以上一千五百尾でありまして、親魚の不足が第一に見られるのでありまして、当場としても、現在のところ親魚の養成に全力を注いでいる情勢でありまして、試演場本来の目的にはこのままにてはまことに心細い次第であります。かかる現状でありますから、県にのみゆだねるばかりでなく、積極的に強力に推進せしめるため、各府県の増殖事業に適切なる補助助成措置を早急に施すことは、食糧自給態勢の確立の線にも沿い得る適切なる措置と確信する次第であります。
 二、優良種苗を潤沢にしかも低廉に供給できる態勢を確立し、もつて内水面漁場の高度利用をはかることであります。これにつきましては、先に述べました国営及び県営の養魚場の補助政策を加味した拡充強化により、おのおのその水域に適した改良品種の潤沢にして低廉なる種苗の供給ができるわけでありますから、これが適切なる指導の一方法として考えられますことは、内水面漁場管理委員会その他機関の育成強化が強く要望されるわけでありま
 なお琵琶湖産小あゆの配給制度についても、全国河川の放流種苗の過半を占め、独占的供給事業でありまして、これを現在のところ県営にて運営していることは、先に申し上げた優良種苗を、潤沢にしかも低廉に配給するためには、全国的な調整管理の方法をすみやかに確立すべきであると考えられますし、他面海産性稚あゆにつきましても積極的な研究か必要であると考えられる次第であります。
 次に河川の電源開発及び灌漑事業と漁業との調整の問題であります。この両者は根本的に相いれざる点があるのでありまして、困難なる問題でありますが、この解決なくては河川漁業の円満なる発展は期し得ない重大問題であります。現に発電に利用されている河川は約三百二十水系あり、灌漑事業用に河川を水源とするものを合わすと莫大なる数に及ぶのであります。これら河川工作物の設置により、遡河魚類の遡上に及ぼす悪影響はもちろん、その他の被害も甚大であります。これが調整には愼重なる考慮と、適切なる処置がとられなければならないと考える次第であります。
 次に真珠養殖業の問題でありますが、真珠はわが国の特産物でありまして、輸出貿易の花形として外貨獲得の重要なる役割を果し、日本経済の復興に寄與していることはいまさら多言を要しないところでありますが、今真珠の生産商について見ますと、昭和十三年には三十貫を生産していたものが、最近復興して来たとはいえ、本年度においても年間六百貫程度、すなわち五分の一程度でありまして、今後における育成が目下の重要課題であるわけであります。これが復興を阻んでいるものに諸種の悪條件がありますが、その有接の原因といたしましては母貝の不足という絶対的な隘路があるのであります。すなわち昭和十二年度において母貝三十五万貫採取したものが、現在においては潮流その他の関係にて昭和二十五年わずかに五万貫程度で、実にその七分の一という現状であります。これがため真珠養殖業とともに、母貝の生産につき人工的に採苗し育成する真珠貝の養殖業に相当の力が注がれねばならぬのであります。かかる情勢でありますから、必然的に手術を施し、核を挿入した真珠母貝を養殖して真珠をとる真珠養殖業と、簡易垂下式により真珠貝の稚貝を付着せしめ、すなわち人工的に採苗して、これを一定期間垂下式にて育成する真珠貝養殖業との調整が重要課題になつて来るわけであります。もちろん真珠貝養殖業は技術的に進歩の程度の差こそあれ、ひび建養殖業に該当する第一極の区画漁業であるが、真珠養殖業と異り、免許の優先順位は地元地区内に住所を有する漁民団体優先であり、これが漁民団体の円満なる育成に適切なる指導処置が講ぜられ、母貝の増産が意のごとく運ばれねばならぬと痛感する次第であります。一方真珠養殖業につきましても、戰時中におきましては真珠は廃品同様になりましたものが、最近に至りやつと復活して来た次第であります。しかして先に述べましたように、真珠はわが国の特産品であり、重要なる輸出水産物として外貨の獲得に大きなる役割を果しておるのであります。この場合真珠養殖業者と母貝生産漁業組合団体との間に、円満協調なる歩調を合せたところの合理的な養殖計画が立たなければならぬと思うのであります。日本経済の復興に寄與しているわけでありますから、やつと芽を出して来た真珠養殖業に対しても、国家的な合理的な助成方法が絶対に講ぜられなければならないと考える次第であります。以上簡單でありますが御報告いたします。
#10
○小高委員 私の担当いたしました国政調査の概要について御報告いたします。まず御報告に先だちまして、本調査のため調査地における各県の御当局はもちろん、県議会、地元市町村首脳部の方々や県漁連の幹部、地元漁民多数の御援助と御便宜とを賜わりましたことにより、本国政調査の目的が予期以上の成果を攻めることができましたことは、これひとえに地元各位の御熱心な御協力によるものにほかならないのでありまして、特にこの報告の劈頭に、地元各位に対し、深甚なる感謝の意を表する次第であります。
 本班において派遣を命じられました委員は、小松委員と私の二人でありますが、特に冨永委員長の御参加もありまして、それに地元の委員として、広島県の佐竹委員は呉市に、山形県の上林委員は青森県に御参加を願うことになつておりましたが、お二人とも都合上御参加がなかつたのであります。それに專門員室より加藤調査主事を随行いたさせ、水産庁よりは志道経理課長、遠藤技官、竹原技官に同席を願つたのであります。
 調査の目的といたしましては、漁業経営の実態調査、戰災漁場並びに漁港災害及び漁場被害等の実地調査でありまして、調査地は広島県、神奈川県、千葉県、茨城県、青森県の五県で、去る八月十七日より二十六日の十日間にわたり、詳細なる現地の実情を調査いたして来たのであります。以下日程を追うて調査の内容並びに経過について申し上げます。
 まず第一に、広島県呉港周辺における旧艦船の引揚げ解体による專用漁業権の被害を現地において調査するため、県当局のごあつせんにより、海上保安本部の浪切丸に乗船、出雲、榛名、青葉、伊勢、日向の五艦に接近し、引揚げ解体作業の現地を視察したるところ、榛名のはかはいずれも水中爆発によつて解体作業を続行しているので、附近のわち、いわし等の魚族が直撃によつて斃死し、音響振動等による魚群の逃散があつて、いわし網、さわら網、定置網その他打瀬網等による漁獲物は皆無となり、資源は枯渇し、漁場は荒廃して、江田島、大柿町、坂村、大屋村、吉浦町、警固屋町、阿賀町、広町、仁方町、音戸町、渡子、田原、早瀬、倉橋、鳥村、それに下蒲刈、上蒲刈等十六箇町村の漁業協同組合員七千八百五十人に及ぶ零細漁民は、その家族とともに、不漁による生活が極度に疲弊困憊していることを日のあたり見て来たのでありますが、この五艦解体による厖大な資源の活用もさることながら、これによつて生ずる零細な漁民の生活窮状はとうてい見のがすことはできないのみならず、この漁民の大なる犠牲を救う味方は、断じてわれわれ水産人である水産委員でなければならない。私ども水産委員として国会に席を置く者に課せられた責任であると痛感いたしましたので、これらの漁民の窮迫せる実情にかんがみ、被害総額一億三千五十九万円にも上る損害を、国または五艦の買受人が一刻も早くこれを補償する措置を講ずべきであると断期するものであります。また私どもは、ただ單にこの損害を補償するばかりでなく、この解体作業が営利を目的とせる企業であることを思えば、作業終了後における小さな落ち物が、附近の漁場に相当広範囲にわたつて飛散して残ることを想像いたしますとき、これによつて優秀な漁場はかえつて荒廃し、その落ち物のために網をとられ、未来永劫に漁民は泣かなければならないことを警告して、これまた地元漁民の注意を促して来たのであります。ともあれ、私はこのかつての殺人港であつた呉港が、平和日本のシンボルとして漁港基地に転向するならば、必ずや活人港として、内海屈指の重要漁業基地としてよみがえることを信じて疑わないのであります。
 次に神奈川県に移ります。本県は、折柄豪雨でもありましたが、県の御厚意で、自動車をもつて小田原から横浜に至る沿岸における海中障害物の被害並びに漁港施設の状態を調査いたしました。小田原市漁港の築港計画を、鈴木小田原市長初め地元漁民の熱意を聽取したが、大型遠洋漁業の基地として、静岡県焼津港と神奈川県三崎港との中間にあつて、最も重要なる地点としてぜひその完成を急がねばならないことを痛感いたしました。次いで酒匂村小八幡、国府津町、国府村新宿、大磯漁権、平塚市海岸寺に、終戰後無数に設備された製塩所の海水導入管等の放棄されたる残骸により、優秀な地びき網漁場が障害を受けて、その除去に苦慮している実情を見て、気の毒にたえなかつたのであります。ことに国府村新宿では、漁師の軒先に立寄り、四、五名の漁民から直接この問題について泣訴を受けたことは、往年の水戸公が直接百姓から民情を聞いた例にもひとしく、来つたく漁民の力なき実情を見て、われわれ漁民代表なりと自負する者の胸に強く打たれるものがあつたのであります。本問題は、片瀬に至るまで同樣のものがあるが、本委員会では、直接專売局等関係当局を招致して、漁民のため円満な解決をはかつてやらなければならないと思うのであります。次に片瀬町及び横浜市磯子海岸における数十機の飛行機、舟艇その他の沈下物によつて、片瀬では地びき網、本牧沖から野島崎燈台沖に至る一帶は打瀬網、揚繰網等の優秀漁場であるが、これらの落ち物によつて網はとられ、せつかくの漁獲物は逃げるといううき目を見ているので、地元漁民は血の出るような経費を費して、これらの落ち物の引揚げ除去に努力しているが、これには国が補助してやるべきであると思われるのであります。
 次に千葉県に参りましたが、前日の神奈川県と同樣、東京湾の対岸となつております関係上、同樣な問題が内湾一帶に散在しているのであります。県当局の好意によりまして、自動車をもつて八時に千葉市を出発して、姉ケ崎、木更津、青堀、大貫、佐貫、湊、竹岡、保田勝山、富浦、館山と、走行実に百キロに及ぶ海岸一帯を調査いたしましたが、竹岡を中心とする同沿岸一帶は、戰時中機雷源と称された所で、無数の機雷繋留床が放置されており、その他飛行機、内火艇、沈船、錨等の海中障害物によつて、揚繰網、ひき網、いわし流網、打瀬網等、漁業の障害となるばかりでなく、漁船の出入航行にも支障を来して、漁民は多大の迷惑と犠牲をこうむつておるのであります。本県では県費を計上して、二十三年に八十万円をもつしその除去に努めているが、爾来地元漁民においても、木更津のごときは二十三年に六十万円、二十四年に百万円と、莫大なる費用を投じで引揚げ除去に努力しておるのでありますが、とうてい地元漁民の犠牲のみにては取盡せない状態にあるのであります。打続く不漁と多額の出費で、漁民は極度に疲弊し、生活は非常に困窮しているので、これ以上の負担はもはや限度を越えているような実情でありまして、これにはどうしても国庫をもつてこれらの障害物を除去してやることは、国として当然の義務であると考えるものであります。
 次いで翌日は、館山を八時に出発し、富崎村、布良、江見、浜波太、鴨川、天津、小湊、勝浦、大原、大東の外房海岸の漁港施設の状況並びに漁業の実態を調査し、豊海にて九十九里沿岸における演習による漁業制限の結果生ずる実情を調査するなど、走行実に二百キロに余る大コースを踏破して、銚子に到着したのが夜の八時半でありました。困窮せる漁民の実情を思うとき、これくらいの難行に疲れを見せては相済まぬと、大いに漁民の意気を鼓舞して参つたのであります。
 次いで翌朝銚子漁港、外川漁港、名洗避難港築港計画を調査して茨城県に入り、波崎町より鹿島灘沿岸一帯の漁場災害を調査いたしました。波崎、矢田部、若松においては沈船、いかり、鉄骨等の障害物によつて沿岸の地びき網、ひき網、いわし網、えび網に多大の支障となつているが、障害物がいずれも大きいので、漁民の手で処理できず困つておるような状態であります。
 次いで磯浜を経て那珂湊の河口港を視察し、築港計画を調査して平磯町の磯崎漁港において約一時間にわたり、ここで漁民約三十名より磯崎における演習による漁業制限の結果生ずる漁業被害の実情を聽取したのでありますが、いずれも千葉県豊海町、片貝町と同樣の窮状にあることを、本委員会において特に強調いたしたいのであります。
 次いで青森県に参りましたが、予定地の大湊町は県のおとりはからいにより途中横浜港に下車して、ここで大湊町、横浜村、野辺地町の関係者の参集があつておのおの関係地元地区の漁業の実態事情を聽取いたしたのであります。特に大湊は旧海軍要港として使用されておつた関係で、漁業に與える影響はきわめて甚大であります。横浜漁港においては、ちようど築港起工式が挙行されておりましたので、これに参列する機会が與えられ、意義ある横浜漁港発展を祝福することができて欣快たたえなかつたのであります。この陸奥湾はたら漁業優秀漁場として、また帆立貝等の貝類及びのり養殖地として全国有数の漁場と称され、県当局においても大湊に水産試験所分場を置き、もつぱら貝類、のり養殖の実験を行い、斯業の発展を促進することを大いに期待するものであります。横浜港より県当局の好意により、特に県のはやかぜ丸を仕立てて陸奥湾の漁況を聽取しつつ、野辺地を経て小湊港に上陸、同港においては町長初め多数関係者の御参集があつて、商港としての小湊港を漁港に切りかえて更生したいという町民各位の熱心な要望を聽恥したのでありますが、本港はかつて青森、函館間の連絡港として運輸省が地元の協力を経て完成したるもので、二百五十メートルと百メートルの岸壁を有し、深水七メートルもあつて、八千トン級の船が横づけとなり、漁船であれば四、五十トン級の船が三百隻は優に繋船できるという厖大な設備でありますので、このまま死蔵いたしますことは国家のため不利益と考えますゆえに、これを漁港に指定を受け、北海道、三陸方面の中継基地として更生したいとの地元民の切なる要望があつたのであります。
 以上順を追うて調査の経過を御報告をいたした次第でありますが、本班は特に呉港周辺の漁民の窮状、神奈川県、千葉県における東京湾落ち物による揚繰網、いわし流し網、ひき網、打瀬網、地びき網等の漁業障害の問題、千葉県九十九里沿岸並びに茨城県磯崎海外の漁業制限による漁民の窮状、青森県大湊及び小湊並びに茨城県鹿島灘の落ち物による漁業障害、青森県小湊港の更生漁港としての指定、いずれもわが国漁業生産の発展に多大なる影響を與えるものであることを十分に認識して、これら地元漁民の要望に答えることこそ本委員会の使命であると、かたく信じて疑わないのであります。幸い委員各位の御賛同を得ますれば、これらの諸問題解決に委員各位の御協力を賜わりたき次第であります。
 右関東班班長としての私の御報告を終ります。
#11
○冨永委員長 川村委員。
#12
○川村委員 私は北海道班の国政調査の班長といたしまして北海道の調査を御報告申し上げます。九月六日より同月二十五日まで二十日間、函館市を振出しといたしまして、全道の渡島支庁管内、檜山支庁管内、後志支庁管内、石狩支庁管内、留萌支庁管内、宗谷支庁管内、網走支庁管内、十勝支庁管内、日高支庁管内、胆振支庁管内の十支庁管内をくまなく調査いたしたのであります。参加委員といたしましては、永田委員、水野委員、林委員、松田委員、冨永委員、川村の六委員であります。委員部からは菅原事務員が参加いたしました。この二十日間におきまして、道庁当局はもちろんといたしまして、支庁、あるいは関係市町村、関係漁業協同組合並びに関係の漁業団体等の好意によりまして、非常に迅速に、しかも詳細に調査することのできたことをまことに欣快とすると同時に、その好意に対しましては、この席をお借りいたしまして、感謝の意を表する次第であります。
 まず北海道を総論的に申上げまするならば、北海道の面積は東北六県と新潟県を合せたほどの面積があり、かつまた海岸線も同樣これ以上に長いのであります。漁業者の戸数は大体二十万戸、家族を入れますと、大体人口は百万人と算されております。そうして漁民たちはいろいろな隘路があるにもかかわらず、それを克服いたしまして、昭和二十四年度におきましては全国の漁獲高の三八%、すなわち百二十万トン、貫数に換算いたしますと、三億万貫の漁獲をしているという記録を現わしておるのであります。そのおもなる魚族といたしましては、さけ、ます、いわし、いか、さば、ほつけ、たら、かれい、その他諸種の魚族がありまして、まことに魚族の豊富なることは、われわれが十分考えさせられて来たのであります。しかもその処理にあたりましては、万全を盡して漁民は邁進をしておるのでありますけれども、遺憾ながら現在の交通の不便、その他製造加工の施設から行きますと、これを完全に食料化することができないために、魚かす等を生産しておるということを見せつけられて参つたのであります。もちろん鮮魚も相当輸送しておりまするし、あるいは加工の面におきましても、冷凍、カン詰、フイツシユ・ミール、魚油、魚かす等の製造加工もしておりますけれども、盛漁期に至りますれば、海に放魚しなければならないというようなことも、突は函館のいかを見せつけられて参つたのであります。これらの隘路打開のためには、われわれは十分国家においてその施策を講ずるようにしなければならないということを考えて参つたのであります。なおその他の水産業の現在の隘路といたしましては、金融の問題、あるいは資材の問題、あるいは燃油の問題、魚価の問題、漁港の問題、許可制度の問題等におきまして、相当に欠陷がありますので、これらを何とか一日も早く打開して、この非常に大きな生産を、より一層増産せしめるように、本委員会でも考えておかなければならない、かように考えております。
 かような次第でございまして、一々漁業家の経済状態を調査いたしましたところ、漁獲は一戸平均にいたしますと、なるほど内地方面の三倍以上の漁獲はあるのでありますけれども、遺憾ながら魚価が低廉であり、その反対に資材とか、燃油とか、その他漁業に使用するところのいろいろな資材等におきましては逆に高価なために、漁獲が多い割合に、北海道の漁民経済というものはまことに困却を来しておるということを、われわれははつきりと見ることができたのであります。この隘路を打開いたしまして、北海道の漁民は内地方面の技術等をも取入れましたならば、まだまだ北海道の魚田の将来というものにつきましては、まつたく大きな役割を持つているということを、調査の上においてはつきり見たのであります。すなわち新漁田といたしましては、太平洋岸には、根釧魚田あり、襟裳魚田あり、惠山魚田あり、さらに日本海、オホーツク海に至りますと、大島小島魚田、奥尻魚田、武蔵堆、大和堆、その他まだ調査のできておらない無名の魚田もたくさんあることが明らかであります。しかも戰争の後におきましては、彼の北洋の漁場を失い、さらに北千島の漁場を失い、ソビエト方面におきましては、十分な漁業をもつて漁獲しておらないために、さけ、ますその他たら、かれい等の魚族は相当に増殖をされましたので、オホーツク海の資源というものは無限であるとまで言われておるのであります。こうしたような魚田がありますので、将来この魚田の開発のためには国家の施策を十分織込んで、北海道の魚田開発に邁進しなければならない、かようにわれわれは考えて参つたのであります。
 次に漁業協同組合の運営について申し上げますと、漁業協同組合法が制定されましてから約三年になるのでありますが、この法律の建前からいうと、言うまでもなく加入、脱退自由であり、二十名以上であるならば協同組合をつくることができるというようなことから、一箇町村に、はなはだしきに至つては七協同組合がある。少くも二以上の協同組合を有しておる漁村は多数であります。しからばその内容はどうであるかというと、先ほども申し上げましたように、漁業家の経済が逼迫しておるために、同樣に漁業協同組合の経済も逼迫して、運営はいずれも困窮を来しておるのであります。われわれは協同組合長並びに役員諸子に向つては、一日も早く組合の根本精神にのつとつて、隣保共助の精神から、でき得るならばすみやかに協同組合の団結が必要ではなかろうかと、るる説いては参つたのでありまするけれども、中には感情のもつれから、その運びに至らないという所も見受けて参つたのであります。これにつきましては、水産庁当局の協同組合課におきましては、ひとり北海道ばかりでなく、全国の漁業協同組合の育成強化に万全を盡さなければならないと考えるのであります。
 次に漁港関係について申し上げます。北海道の漁港は、現在百七十八港あります。そのうち百二十四港だけ調査して参りました。内訳を申し上げますと、渡島管内では三十一港、松山管内では二十一港、胆振管内では九港、留萌管内では七港、網走管内では十三港、宗谷管内では七港、釧路管内では三港、十勝管内では二港、日面管内では十三港、石狩管内では一港、後志管内では十七港、これだけ調査して参つたのでありますけれども、いずれも完全な漁港ではありません。もちろん漁港の築設当時は、現在のように船型も大きくなかつたし、漁業の方法も違つておつた。いわゆる低かつたというような点から、当時では漁港はこれでもいいというような考えであつたと思いますけれども、今日の漁船の型あるいは漁業状態から考えますと、非常に狭隘を感じておるものの、あるいは吃水が非常に浅いために大きな船舶が入港ができないもの、あるいは接岸施設が完全でないもの、あるいは防波が完全にできない突堤になつておるもの、あるいは漁港の荷揚げをする所、処理をする所の施設におきましては、まつたくできておらないといつてもいい所も中にはあることを見受けて参つたのであります。また漁業が非常に盛んであつて漁獲も非常に多い、また漁民の数も多い。言いかえるならば、漁村として重要な地位を占めておる漁村であつても、漁港がないために今日非常に漁業に支障を来しておるというような所もあつたのであります。これらを思いますときに、これまでの漁港の整備あるいは修築ということについては、その裏に何ものかあつて、実際に漁業の重要性ということを重点に置いて漁港を築設したかどうかということが疑わざるを得ないところもあつたのであります。今後の漁港の修築に対しましては、水産庁当帰の漁港課においてそれぞれ漁港の重要性を考えて、漁港の整備計画を樹立しなければならないと考える次第であります。
 次にこれも漁港と関連するのでありますが、北海道の特殊性ということは常にとなえられております。特に漁港の問題で申し上げておき、漁港課当局によく考慮を拂つてもらわなければならぬことは、御承知の通り、北海道は六箇月間かとうてい漁港の工事はできない。従つて予算措置におきましても、工事の措置につきましても、特別な扱いをしない限りは、内地のように漁港の修築は促進いたしません。冬季間に工事をいたしますと、凍結のためにセメントはばらばらになつて、ほとんど二年か三年で破壊される。現に白糠漁港のごときは、もうほとんど岸壁すらも認めることができないように破壊されております。何ゆえにさようになるまで放置しておつたかということを、つぶさにわれわれが研究してみたところが、すなわち北海道に凍期間のあることを忘れて、むりに漁港の修築をしたというようなことから、寒気にさらされてセメントの結晶が鈍かつたというようなことで、波浪のために完全に壊されて、今ではまつたく船の入ることができないばかりでなく、その残された岩石のためにかえつてその土地の漁業を阻害しておるようなことを見受けて参りましたので、北海道の漁業の予算措置、工事措置については、今後特別な扱いをしなければ、北海道の漁港修築の促進ははかれない。また完全な漁港を修築することができないということを、われわれは見て参つたのであります。
 次に戰災漁場の問題でありますが、茅部郡の鹿部村に一箇所だけであります。ちようど港の日から約五十メートルほどの沖合いに沈没いたしまして、すでにもう外板はありません。わずかにこの地点が沈没した地点であるというようなことが見受けられただけで、実際にそこにどういう支障があるかということまでも容易につかめないような現状となつております。ただ爆彈投下により漁港の突堤が一部破壊されておりますので、これらを早く修繕しなければならなということを、われわれは考えて参つたのでありますが、幸い道庁におきまして、その旨を告げたところ、修繕をすることになつて、満々その工事を進めておるということでありますので、実際問題としては、その漁港の修築、修繕だけ完全にやりますと、漁業に対する面接の被害は今ないというような状態になつております。
 次に問題になつておりまする東北各県の機船底びき網の入会であります。もちろんこの問題については他の委員も非常な関心を持ちまして、いろいろ漁民の意見も徴し、あるいは道庁当局の意見も徴し、さらに道議会の意見も徴したのでありますが、北海道といたしましては、これらが一致して全面的に反対であります。すなわち入漁絶対反対であります。ただ幾分漁民の主張する事柄や、道庁の主張する事柄、あるいは道議会の主張する事柄には、北海道のみの小区域な考えがあつて、全国的な大きな漁業というものからの意見でなく、実際は北海道の関係地区の漁業のみに拘泥をしておりますので、この陳情を受け、あるいは意見を徴した委員におかれましても、北海道の立場から考えますると、もちろんこれは十分に了解ができるのであるけれども、しかし今日本の漁業を全般的にながめまするときに、必ずしも北海道の意見だけをもつてわれわれか国会に臨むことはできないのではないかと考えられたような意見も委員から出たのであります。これを一日も早く解決をつけるにおいては、もちろん水産庁当局におきましては、それぞれ立案をいたしまして、北海道の漁民は申すに及ばず、道庁当局にも、その他各地区においても了解のできる公平な案を見出しまして、本委員会にありまする漁業経営安定委員会において、これをさらに審議をして決定をしなければならぬと私は考えております。ただわれわれが、特に北海道出身の私として遺憾にたえなかつた点は、ちようど日高に調査に行つた際すでに夜間となつたのであります。ちようど漁港のまん中に立ちまして漁民の声を聞いたところが、沖合い指さして、あの通り密漁船が来ておる、これではわれわれはどうしても反対せざるを得ないんだ、どうか各委員においては、この密漁を完全に退治をしてもらいたい、と同時にこの問題が解決つかない限りは、絶対われわれは反対せざるを得ないというようなことを申されましたので、私はその明りを見まして、あれはいかつきである――ちようどそこにいた松田委員も、あれはいかがたいへんつくのでいかつきに来ておるのだから、まさかあれは密漁船でないというように、大体わかりつつも否定して参つたのでありまするけれども、その翌日道庁に参りましたところが、監視船から電報が来て、宮城県の船を二そうつかんだというようなことを、われわれが会議の席上で見せつけられたのであります。まことに唖然としたのであります。しかもその後われわれが調査を手続けて函館に参りましたところが、さらにあとでもう二そう宮城県の船が監視船につかまつたという電報か来たのであります。私は今日持つて参りませんけれども、その電報は私のところにあります。こうしたようなことで、われわれ委員会におきましては、でき得るだけ内地関係各県の要望におこたえを申し上げたい、そうして北海道漁民にも、北海道出身のわれわれが何とかくどいてなだめてやろうという気持で行つたのにもかかわらず、調査のまつ最中に密漁船を四隻も出したところの宮城県の無責任もはなはだしいことを、私は痛感して参つたのであります。その後いろいろ本委員会でも問題になつたようでありますが、特にこの入会の問題につきましては、水産庁は今後処置をとりますのには、漁民の自粛自戒はもちろんでありますけれども、県当同の十分なる責任を追究するとともに、また今後の責任も十分持てるところの案で、北海道並びに本院の関係委員との折衝を続けられるがいいのじやなかろうかということを考えますので、特にこの点を申し添えておきます。
 最後にいろいろ北参海道の漁業状態を見ましたのに、北海道は漁獲が多い、資源か多いという割合に漁業は進歩しておりません。今後われわれは内地方面の技術あるいはその他いろいろな面を調査研究をいたしまして、北海道の新魚田の開発はもちろんのこと、北海道漁民の経済の福祉のために、本委員会並びに水産庁におかれましては、十分その処置をとられまして、非常に狭くなつておりまする内地の方面の漁民も今後北海道に対して移民をさして、北海道の魚田の開発と、さらに食糧の増産をせしめることが妥当でなかろうか、かように考えております。本委員会におきましても、水産庁におかれましても、十分その処置をとられんことを希望たしまして、私の御報告は終る次第であります。
#13
○冨永委員長 この場合委員長より水産庁当局に要望いたします。水産庁当局は、本委員会の開会日程は公報をもつて通知してあるにもかかわらず、定刻に至るも出席せず、もちろんこれが内容についてはいろいろ理由のあることは了承いたしますが、その理由はいずれも事前の注意によつて除去し得るものと考えるので、今後とも十分の注意をいたされて、水産委員会の運営に支障なからしめ、立法行政の円滑なる進展に一段の熱意を傾注せられんことを望んでおきます。
 ただいまの調査報告に関連して、何か政府当帰に対する御質疑があれば発言を許します。
#14
○永田委員 本日は漁港課長がお見えになつおられないようでありますが、代理の方でけつこうであります。私の調査報告の中にありましたところの長洲港の問題でありますが、この長洲港の漁港は、御説明申上げました通りに、干潮時においては沖合いに向つて約三キロの干潟ができる、その中にある漁港であります。しかもそこに駅館川という川がながれておりまして、その河口にあるきわめて不利な條件のもとにある既存の継続事業であります。そこでこの漁港をすみやかに修築して完成しなければ、長洲町の漁業の発展というものは望まれないのでありますが、修築の過程において、技術の面において多少困難の点も認められるということはわれわれも承知しておりますが、水産院庁においては、干潮時においてもこの港に漁船が入れるように、すみやかに工事を進める御意思がありやいなや。
 次に先ほど説明の中にありました通りに、長洲町を中心としたところの豊前の約五千町歩になんなんとする広大な干潟の利用について、水産庁といたしましてはどういうふうな御見解を持つておられるのか、御説明を願いたい。
#15
○太田説明員 長洲漁港の修築は非常にその必要性を感じまして、昭和二十五年度、本年度から着手したのであります。もちろん工事の完成につきましてはわれわれできるだけ促進をはかりたいと思つておるのであります。いずれにしましても予算の関係がありますので、なかなか思うように行かないのでありますが、継続事業につきましてはできるだけ早く完成するように努めたいと考えております。
#16
○山本説明員 具体的の場所を私十分了承熟知しないのでありまして、十分の御答弁はできないのでありますが、しかしお話のように、そういうふうな場所を活用するということは、だれも考えてよいことであると思うのであります。ただ具体的にはどういうふうな活用方法を講ずるのがよいか。あるいは浅海養殖のような面には――水深との関係もありましようが、適するかどうか。こういうふうな点を科学的によく調査研究をしてかからなければならないと思うのであります。よく事情を研究いたしまして善処したいと考えております。
#17
○永田委員 ただいまの次長の御説明でははなはだ遺憾に思うのであります。もつとも、五千町歩の浅海というものは相当昔から地形の変化によりまして生じた場所でありますが、たまたま瀬戸内海の底びきというものが行われるようになりまして、この沿岸の零細漁民はまつたく生計を営むに困難な状態に立至つておるのでありまして、わずかに六百や七百の漁師がざこの二貫匁や三貫匁のものを漁獲いたしまして、これを分配するというふうな状態で、勢い従来は食糧は買つて食つても漁業をした方が利益が多かつたというふうな実情であつた。そこで同じく豊前海における今津町のごときは、にわかに漁業から農業にかわる、すなわら干拓に切りかえつつあるという現実であります。そこでわれわれが水産庁に望む問題は、かような状態を長く放置しておくということが、やがて経済的にも、思想的にもたいへんな悪い結束を及ぼすことを憂うるものであります、従いまして水産庁におきましては全知全能を発揮しまして、この五千町歩の魚田の転換といいますか、回復といいますか、しかるべき強力な指導方針をはつきりされんことを、またそれにつきましてはすみやかに権威ある調査団を派遣しまして、満々実行に移してもらいたい、こういうことを私は強く要望するのであります。今日の段階におきまして調査をしなければわからないというふうななまぬるい返事では、われわれは了解できない。干潟という問題の解決について、今後いかなる方法をもつて解決する意思ありやということを、今日この委員会において回答を得たい。
#18
○山本説明員 御意見まことにごもつともだと思うのであります。近く漁業権の沿岸に関係する制定改革の問題もあるわけであります。海区の委員会もできておりますので、そういう委員会の意向と地元の意向を十分考えなければならぬと思うのであります。また中央で科学的あるいは机の上で考えられる方法も検討いたしまして、両方をよくにらみ合せて、具体的の政策を立てて行くのが穏当ではないかと思います。御要望の点はわれわれの方でも十分拝聽しておきまして、即急に解決をはかつて行きたいと考えておるわけであります。
#19
○石原(圓)委員 今日は農林大臣が見えておらぬのであり度すけれども、一応事務局の方にお尋ねをしておきます。それは中央海区調整委員のことであります。この委員の選任は非常に不徹底なずさんな人達をしたということは、公知の事実であります。これに対して全部の人の入れかえを要求したのは御承知の通りであります。そのときに、結局において農林大臣にまかせるということで、多分農林大臣は善処することと思つて待つておつたところが、第八回国会には何らそれに対する処分がなかつたのであります。水産当局は以西底びきの減船に引続いて、沿岸漁業や以東底びきや、それぞれを整理あんばいするという時期に立ち至つておるようであります。そうしてそれは海区調整委員の意見に水産庁は大いに依存しておるような傾向が見えるのであります。この場合に海区調整委員の質が、もし全国漁民の期待に沿わない場合には、ここに非常な影響の重大な問題が起ると思うのであります。従つて少くとも中央海区調整委員のこの問題は、一つときも早くわれわれの要望を入れで、新しく選ばなければならぬと思うのであります。これに対して事務当局はどう考えておるか、また農林大臣よりその後何らか意見を聽取するとか、何らかの事実があつたかどうか、このことをお尋ねしたいのであります。
 次に漁港の問題であります。漁港法ができて、そうして今満々と種々の問題が進められておるわけでありますが、ここに根本的な問題についてただしたいのであります。それは商港等のいわゆる運輸省の所管に属する港と漁港との区別ということについて、水産庁の漁港の主管の当局はどういう方針をとつておるのか、近来の地方の事実として、運輸省は漁港と見なさるべき所をも、なるべく商港として自分の所管に残して置こうという空気が濃厚で、それに対する策動が行われておる。従つて漁港関係の人々のうち、自分の港は漁港にすべきか、あるいは商港として運輸省に所管の要望をするか、それらのことにおいて非常に迷つておるという事実は、ここに厳然たるものがあるのであります。また実際において、運輸省が商港として多くの予算をとつて、そうしてそれを実現させてやることが、漁港にするよりは早いという事実がはつきりしておる場合は迷うこともないのだけれども、ただ商港に編入するということのみを要望して、そうしてまことにすみやかに港が完成するもののごとき予感を與えつつ誘惑するという事実は厳然としてあるのであります。こういうことでは漁港と商権とを分割して漁港法を制定したことの根本の趣旨に沿わないと思うのであります。その点に対して、今日までどういう方針をとつておつたか、これもいわゆる漁港審議会へ一切まかすというようなちようど漁業の制度のことを海区調整委員等に依存するがごとき、水産庁としては責任回避の方針をとつておるのではないかということをわれわれは非常に杞憂するのであります。従つてこの二つの問題に対して、まず当局の御方針及びその内容の御説明を求めます。
#20
○山本説明員 中央漁業調整審議会の委員の問題だと思うのでありますが、これは前国会の際にもいろいろと皆さんの御批判があつたわけであります。われわれもその批判は肝に銘じておるわけであります。その後三回ばかり開いて参りましていろいろ問題になつた二、三の委員のこと等もありますけれども、全体の空気としては、少しずつではありますが、特に今委員の若干名をすりかえるというほどの意向はないように看取されるわけであります。しかし前提としてのいろいろの御批判のありました点は、われわれとしても十分考えなければならぬと存じておるのでありまするか、大臣と長官とのいろいろの話合いがその後にあつたかという点については、一応静観しておるというような状態はあるわけであります。しかしながら決してそれで放任しておるつもりでありまして、今後の委員会のいろいろの活動状況等も関連あるわけでありますので、それらにつきましても、お気づきの点があれば御批判をいただいて、しかる上でよく考えて行くのがよいのではないかと思つておるのであります。御要望の点は長官及び大臣にもよくお伝えいたしたいと思います。
 第二の漁港の問題でありますが、商港と漁港との区別の点は、当初漁港法しては、まだ、指定すべき漁港をいかようにすべきか、その客観的基準等を現在漁港審議会で練つていただいておりますので、おそらく来月上旬ぐらいには、まず第一次の指定ができるかと考えているわけであります。その際にもただいまの御質問の点がいろいろの議論に上つておりましたが、われわれとしましては、中央では中央での公平な立場から見ましての一応の考えはあるわけであります。しかしながらまたいろいろと地方の事情もあるようであります。たとえば観光的立場で、非常に今まで来ておるような港につきましては、やはり商港としてやつた方が、市当局も非常にその方が熱意がある。またそれは地方民のためにもなるというような考え方も、非常に強硬に持つておるような地方もあるようであります。一例を申しますれば、これは適当であるかどうかわかりませんが、福岡市に漁港を置くか置かぬかというような問題もあるようであります。これらもよく考えなければならぬ点であろうと思うのでありますが、われわれとしましては、いやしくも地方の状況から判断いたしまして、多数の漁民が利益するのだということになりますれば、これは漁港として考えてやるのが親切ではないかという考えを持つております。そういうふうな意味合いで、一応全国何千かの漁港を取上げまして、その商港とのいろいろといきさつがあるようなものにつきましては、あらまし中央の審議会でめどがついた上で、運輸省とよく相談を遂げまして、また地方民の要望が那辺にあるかというようなつくる際にもいろいろ議論になつたと思うのであります。われわれとしましては、まだ、指定すべき漁港をいかようにすべきか、その客観的基準を現在漁港審議会で練つていただいておりますので、おそらく来月上旬ぐらいには、まず第一次の指定ができるかと考えているわけであります。その際にもただいまの御質問の点がいろいろの議論に上つておりましたが、われわれとしましては、中央では中央での公平な立場から見ましての一応の考えはあるわけであります。しかしながらまたいろいろと地方の事情もあるようであります。たとえば観光的立場で、非常に今まで来ておるような港につきましては、やはり商港としてやつた方が、市当局も非常にその方が熱意がある。またそれは地方民のためにもなるというような考え方も、非常に強硬に持つておるような地方もあるようであります。一例を申しますれば、これは適当であるかどうかわかりませんが、福岡市に漁港を置くか置かぬかというような問題もあるようであります。これらもよく考えなければならぬ点であろうと思うのであるますが、われわれとしましては、いやしくも地方の状況から判断いたしまして、多数の漁民が利益するのだということになりますれば、これは漁港として考えてやるのが親切ではないかという考えを持つております。そういうような意味合いで、一応全国何千かの漁港を取上げまして、その商港とのいろいろといきさつがあるようなものにつきましては、あらまし中央の審議会でめどがついた上で、運輸省とよく相談を遂げまして、また地方民の要望が那辺にあるかというようなことも加味して、ていねいにこれを扱つて行かないといけないのじやないかと思うのであります。われわれとしましては、とれるものは全部とりたいという強い希望を持つているのでありますが、しかしこれは予算の関係ともにらみ合せて考慮いたさなければならぬし、ことに一つの商港的、漁港的であつて、区域を二つにわけるということは、やはり慎重に考えてやらなければいかぬと思うのであります。決してなげやりにしておるわけではありませんが、扱いがなかなかむずかしい問題であるということを御了解願いたいと思うのであります。今後も漁港審議会におきまして、われわれと一緒にこの問題は十分齟齬のないように考究し、決定してもらいたいと考えておるわけであります。
#21
○石原(圓)委員 まず中央海区調整委員のことでありますが、ただいまの御説明によると、大体よかろうというような見当のようであります。大体よかろうということははなはだルーズな御説明であります。日本全国の漁民の権利を確定する重大な問題であります。たとえ一人でも資格がない者、不純な者、危險を感ずる背は、よく具体的な調査をして是正すべきであると思うのであります。それでなければ水産庁当局は漁民にに対するほんとうの責任を盡さないことになると思うのであります。たとえば、もし中央海区調整委員となるべき必要なる條件、資格等を控造して、事実無根の資格をつくつて、調整委員に任命される者があつたならば、これはだれが責任を負うか。このことはたとえ一人でも重大な問題であると私は思うのであります。もしそれが水産庁みずからその調査をせずして、外部からそれが発見されて、その事実があかつたならば、一体だれが責任を負うか。さような人たちにこの日本の広大な漁業権をまかすことができるかどうか。ゆえに私は任命された人人その資格調査を急速に、厳密にやることを、ここにあらためて要求をいたします。
 次に漁港の問題であります。私は漁港の資格の問題を言うているのではないので、実質の問題を言うておるのである。漁港法をつくつたほんとうの目的がどこにあるか、漁港を生かして、漁業者の福利を増進するところにあるのであります。ただいま次長の説明されたような、福岡であるとか、さような大きな港は自然に解決の道があるのであります。さような点を言うていないのであります。実質において漁港としてやつて行かなければならぬ性格を帶びているものが、中途半端な商港として編入されるというようなことのために、将来長く漁港として実現が遅れることがあつてはいけない、そのことなんであります。私の開くところによれば、運輸省は、指定港として申告することを全国にわたつて從湧している事実があります。これは商港であるか、商港と漁港と中途半端であるかというような所を目指して、運輸省はしきりに申告を從湧しているという事実があるのであります。しかるに水産庁はさようなことはやつていない。そしてその所の関係者は大いに帰趨に迷うて、遂に商港として申告を運輸省へ出すという事実もあるのであります。このことが正しく区別されなければならない、その区別したものを確固たる理由をつけて、そして漁港審議会に対して審議ざせるということが、水産庁の漁港課の当然の任務であると私は思うのであります。さようなことが欠けていることを私は認めるのでありまして、そのことが漁港法の出発の第二歩において誤つてはいけない。あくまでも漁港は漁港として、この漁港法の範囲でやつて行くことを正しく地方の関係者へも理解をさせ、そしてまたその港の性格も将来性おも判定して、誤らないようにすることが水産庁の任務であると考えるという意味合いから、私は申しているのであります。このことはさらに漁港課を主として十分検討あらんことを強く要望するものであります。
#22
○田口委員 私はただいま長官が出席になりましたから、ただいま重大問題になつておりまする市場の問題につきまして、政府の所見を伺いたいと思うのであります。
 今朝の新聞によりますと、市場の手数料が農林大臣のあつせんで六分五厘に決定したというような記事が出ております。一昨日長官は、農林大臣の命を受けて東京都とこの問題に対しまして、延期させるような折衝をして行かれたと思いますが、新聞記事がほんとうでございますか、あるいは一昨日交渉された結果延期をした、従つて新聞記事が間違つているか、どつちの方でございますか、一応お尋ねいたします。
#23
○家坂政府委員 実は一昨日大臣にかわりまして部長官にお会いしたのであります。その要件は、市場手数料の値上げは延期されたい、こういう実は申出をしに参つたのでありますが、新聞記事があるいはそういうふうに書いてあつたのを私も読んだのでありますが、私どものとつておりまする経過は、要するに一昨日都長官に対しまして、大臣からこの手数料値上げについては延期されたい、かように申し入れる段階になつておるのであります。
#24
○田口委員 本件に関しましては、衆議院の水産常任委員会といたしましては、今年の四月やはり手数料値上げ問題が起りました際に、漁業者の立場あるいは市場の経営内容、そういう点をいろいろ考慮いたしました結果、値上げすべからず、こういうようなことを農林大臣に対して決議をもつて要望いたした次第でございますか、その後漁業者の関係、あるいは市場の内容ということにつきまして、さらに変化を認めないのであります。漁業者関係で申しますと、ただいま長官も御承知の通り、いろいろな資材が非常に値上りをしております。それから市場におきまして魚価が非常に暴落をしております。昨年の十月と本年の十月の一箇月平均を比べてみますと、大体五割値下りをしております。例を以西底びきの魚にとつてみますと、昨年の十月は一箱千五十三円であつたものか、今年の十月平均は一箱五百二、三十円になつておる。少くとも王制程度の値下りができたわけです。そして生産費というものは非常にかさばつておる。こういうような事情から申しまして、おそらく全国の漁業というものが崩壊の一歩手前にある。いわし漁業にいたしましても、あるいは底びき網漁業にいたしましても、もうどこかに金融上の蹉跌がありますと、どれもこれも破産をしてしまう、こういうような事情にあります。この上に市場の手数料を、この崩壊せんとする漁業者にさらに加重せんとすることは、これはどう考えましても、ただいまの漁業状態から時期でないと考えるのであります。また市場関係から申しますと、私らの知つている市場の中には、地元販売で三分の手数料、発送で五厘の手数料をもつて優に楽々と経営をしている。従つて適当な配当もしている、こういうような市場もございます。また東京都内の荷受機関にいたしましても、五分の手数料をもつてやすやすと経営をしている、あるいは極端に申しますと、五分の中で一分だけは生産者に返して、四分の手数料で適当に経営をしている、こういうようなものもあります。大阪にいたしましても、あるいは東京にいたしましても、ただいま御承知の通り、ある荷受機関には非常にたくさん荷物か着き、ある荷受機閥には数量が少い。たとえば大阪に例をとりますと、二つか三つの荷受機関で、ほとんど大阪市に集まる荷の七五%ないし八〇%が集まる。そうして群小の荷受機関で、わずかに二〇%か二五%のものが配分されている。あるいは東京にいたしましても、六つの荷受機関か受けている荷というものは、おそらく七、八〇%あると思うのであります。これは結局におきまして、生産者が荷受機関を信用し、信用した荷受機関に品物を送る、こういうようなことになつております。もしこの手数料の値上げをするということになりますと、値上げをする必要のない八〇%の荷物まで手数料を上げる、そうして一方群小の、どうしても経営に困るというような荷受機関では、おそらく一分や三分の値上げをいたしましても結局経営が不可能にたり、経営が成り立たないというような道程をたどつて行く。それの一時的の救済のために、しかも二〇%の荷物に対して、この八〇%の必要でない優に経営しておる分まで手数料を上げる、こういうような事情にあるのでございます。私はこの生産者の立場、そうして市場の各荷受機関の実態からいいますと、いかにいたしましても、今日手数料を生産者の犠牲において上げなければならぬという、それだけの根拠がはつきりしていない。八〇%の荷物は優に経営をしておる。二〇%の荷物の行く少数の荷受機関を救済するために、何がゆえに生産者が犠牲を拂つて手数料を上げなければならぬか。こういうふうに考えますから、少くとも今日の漁業がある程度進展をし、また市場の内容、市場の経営状態を生産者がよく納得のできるようなはつきりした数字が出て、これならばこの程度はやむを得ない、こういうふうに納得の行く主では、私らは手数料を絶対に上ぐべきものではないというふうに考える次第でございますが、この問題に対しまして、長官はいかなる所見を持つておられますか、お伺いいたしたいと思います。
#25
○川端委員 関連して……。ただいま田口委員から今度の手数料の値上げの問題について、るる事情の御説明がございました。反対する意味の御説がございましたが、私はこの問題について考えまするに、この問題はそもそも第七国会の当初においても、中央卸市場法の問題を再検討してみなければならぬじやないかというような意見が出ておつたことは御承知の通りであります。事前にこういう問題は委員会でも話題になつたわけでありましたが、現行法は非常に古い歴史を持つておる。要する骨董的な存在価値しかないというような存在になつておつた。にもかかわらず、水産庁関係ではこれをそのままに放置しておいたというようなところから、今日のこういう問題が、遠くさかのぼつて考究されなければいかぬというような意味を持つておると思うのであります。なおこの問題を契機にして、中央卸売市場法を改正する必要がふるというふうに考えていますが、この点、あわせてどういうふうな御意向でおられるかということを、ただしておきたいと思うのであります。
#26
○小松委員 ただいまの長官の御答弁では、この市場手数料の値上げ問題について、延期方を大臣の命によつて東京都にお話しになつたということでありましたが、さようななまやさしいことでこの問題が解決すると思われるかどうか、まず私はこの前提のもとにお尋ねしたいと思う。この中央卸売市場の手数料の値上げ問題につきましては、ただいまもお話のございましたことく、卸売業者から、去る第八国会において本委員会にいろいろ陳情のあつたことは御承知の通りであります。当時本委員会におきましてはこれらの問題は行政機関のなすべき問題でありまするので、行政機関たるところの水産庁の善処で常識的な解決をされることを私どもは期待して、この問題を聞きおいたのであります。しかるにその後最近においては、東京都では手数料値上げを決定し、今日は一時猶予されておるでありましようけれども、爾来生産者と卸売業者との間に非常な紛糾を来しておるということは、一に水産庁のあまりにも無能力に基因するのではなかろうかと私は思うのであります。水産庁は今日いかなる解決案をもつて努力しておるか。まずこの点を重ねてお伺いしたい。われわれ委員会といたしましては、いかに行政機関の指導にまつべきものであるといたしましても、今日この問題がかくのごとく政治問題化し、社会問題化した際においては、これを不問に付することは絶対にできないのであります。水産庁のこれが解決調停案を私はここにお示しを願いたい。
 また卸売業者の方々の手数料値上げを御主張になりまするおもなる点は、あの統制時代において、いろいろの関係から市場に赤字が生じておる。その赤字を整理するためにかような値上げをしなければならぬということが一つの原因になつておるように思うのでありまするが、その赤字を整理するために、今日破綻に瀕せんとするところの生産業者を犠牲にして、そうしてかような措置をとつてよいか。御承知のごとく、漁民の負州は今日ますます増しておるのであります。あの減免にいたしましても、物価庁の価格改訂表を見ましても、本年の三月一こうり二万円のものは、今や八万一千何百円になろうとしております。不況の際に一方においては漁業の資材はますます値が上りますし、漁民は非常に苦しい生活に陷つておるのであります。同時にまたさかのぼつて、東京都市場において赤字が生じた。その当時生産者においては集荷、出荷あるいは運送に多大の犠牲を拂つて、生産者もまた莫大の赤字を各府県において生じておるのであります。これらの生産者の赤字に対しては、おのおの生産県のあつせんによつて低利の資金を借入れて、これらの整理の道を立てておるのであります。あの魚価統制時代に、東京都民の希望を満たすためにかくのごとくして犠牲者を拂つた生産者に対して、その生産の犠牲においてこれを整理しようというがごときは、われわれは断じてこれを許さない。大東京はこの生産県の例をまねて、東京都のあつせんによつてこれらの赤字は整理すべきものであると私は思うのであります。もしもかくのごとき状態においてこのまま放置せられるならば、零細なる漁港は、一商業資本のためにまつたく活殺與奪の権を握られることになるのであります、こういう点について水産庁はどういうお考えを持つておるか、しつかりした考えをもつて、私はすみやかにこの問題の解決の衝に当られんことを希望するのであります。水産庁の立場においては市場法の十七條ですか、それらの発動によつて、これらの問題の処置はすみやかにできると思う。水産庁の態度いかんに私はかかつておると思うのであります。また手数料のみならず、われわれの耳にするところでは、市場においてはかきこぼしという悪弊がなお今日行われておるということであります。水産庁はかようなことをお開きになつておるか。過般ここに御陳情になられた方々にも、私は念のために尋ねたところが、そういうことを聞いておると言われた。私の聞いておることが、その通り決して誤りでなかつたことが裏書きされたのであります。だから水産庁に私は申し上げる。千円で売れたものを、その仕切りを一割ないし二割削つて生産者にその仕切り代金を拂うというような悪弊が行れておる。こういう卸売業者はすみやかに整理して、これを健全なるものに仕立て上けて行かたければならぬと私は思う。これらに対して水産庁はどう思うか。このような不卸売業者は徹底的に整理しなければならぬ。こういう点について、重ねて私はここに水産庁の決意をお伺いするのであります。
#27
○永田委員 議事進行について……。この問題はたいへん複雑な問題でありまして、今日の市場法は、先ほど川端委員から御説明がありましたことく、きわめて骨董品的存在であつて、今日の実情に欠けておるということを、われわれは率直に認めるものであります。従いまして本問題の解決にあたりまして残されたる問題といたしましては、市場法第十七峰によるところの農林大臣の強権発動以外に何ものもない、こういう結論になつて参るのでありまするが、本日は一応本会議の都合上この辺でお打切り願いまして、あらためて漁業経営安定小委員会で取上げていただいて、各委員ともひとつ懇談して、同時に水亜庁方面とも協議を重ねまして結論を出していかがと思いますので、動議を出す次第であります。
#28
○石原(圓)委員 ただいまの緊急動議ごもつともであります。但し今日値上げの実行をするところがあつたならば非常にめんどうであると思うのであります。たとえば六大都市のうちの東京都へは長官が行かれてお話をした。その他の五大都市はどういうことになつておるか。もしそういう所でどこか一箇所でもこれを実行した所があつたならば、そのために非常に紛糾が起るのではないか。その起さないということの責任は長官において負えるのかどうか。私はこの問題で長官が都知事のところへ行くということはまことに不見識なことであると思つおります。それに大臣の代理として都知事のところへ行つてこの話をするということは、いかにも不見識のように思うのであります。そういう心構えでは、私は徹底した処置ははなはだ困難であると思うのであります。よつてさしあたり水産庁長官においてはまずこの六分五厘の値上げの実行をしないこと、委員会においてある案が立つまでこれを実行に移さない責任を持つておいていただきたい。そうして小委員会に移すことには異議はないのであります。
#29
○川村委員 先ほど永田議員から第十七條を発動しろという御意見がありまして、それについては機会を次会に讓つておるようでありますが、私はここに至つたら時期を延ばすべきではない。行政措置として当然できることであつて、ただ向うはでき得るだけ農林大臣なり水産庁の気持を緩和してからというようなことで、値上げをするという心構えはもうはつきり考え、それぞれ新聞とかあるいは雑誌等に報道をしておるのであります。もう時間の問題となつております。従つて私は永田委員の動議に賛成をするものであるが、永田委員の動議のうちに次会にというようなことがありましたので、むしろこの席において私は十七條を発動すべしという動議に、永田委員にかえてもらいたいと考えるのであります。まず永田君の御意見を拝聽して、さらに私は発言をいたします。
#30
○冨永委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#31
○冨永委員長 速記を始めて……。
#32
○永田委員 ただいまの私の動議は撤回いたしまして川村君の動議に賛成いたします。従いまして次会に御懇談願いたいと思います。
#33
○冨永委員長 川村委員にお諮り申し上げます。ただいま川村委員から、第十七條を発動して、農林大臣は善処するようにという動議が出ておりますが、これは一応本委員会に農林大臣の出席を求めておりましたが、きようは諸般の事情で出席ができかねる事情にありますので、明日出席を求めて出ていただくことになつておりますから、その上で決議をいたしたいとお諮りを申し上げますが、御賛成願います。
#34
○川村委員 それでは私は永田君の動議に対して賛成をして――ただ即刻という意見を加えたのでありますが、ただいまの委員長のお言葉を信じまして、明日でもその運びをとる。但し委員長に條件をつけておきます。明日必ず農林大臣の出席に対して責任を負うということにして、私の動議は撤回をいたします。
#35
○冨永委員長 時間がありませんので、この程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会いたします。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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