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1950/11/30 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第2号
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1950/11/30 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第2号

#1
第009回国会 厚生委員会 第2号
昭和二十五年十一月三十日(木曜日)
    午後一時五十九分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 松永 佛骨君 理事 金子與重郎君
   理事 岡  良一君
      高橋  等君    田中  元君
      丸山 直友君    亘  四郎君
      柳原 三郎君    福田 昌子君
      林  百郎君    松谷天光光君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 黒川 武雄君
 出席政府委員
        厚生政務次官  平澤 長吉君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (医務局次長) 久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (医務局看護課
        長)      金子  光君
        参  考  人
        (看護婦制度審
        議会会長)   林   塩君
        参  考  人
        (看護婦制度審
        議会委員)   橋本 寛敏君
        参  考  人
        (看護婦制度審
        議会委員)   河村  郁君
        参  考  人
        (看護婦制度審
        議会委員)   湯槇 ます君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
十一月二十八日
 委員岡延右エ門君及び本間俊一君辞任につき、
 その補欠として田中元君及び大西禎夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月三十日
 薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)(予)
 毒物及び劇物取締法案(内閣提出第一九号)(
 予)
同月二十八日
 遺族援護強化に関する請願(池見茂隆君紹介)
 (第三三号)
 同(木村俊夫君紹介)(第七七号)
 国民健康保險に対する給付費国庫負担の請願(
 田中重彌君紹介)(第三四号)
 人口動態調査事務費全額国額負担の請願(岡田
 五郎君紹介)(第五五号)
 医薬分業反対の請願(若林義孝君外一名紹介)
 (第五六号)
 医療法の一部改正に関する請願(玉置信一君紹
 介)(第五七号)
 理容師法の一部改正に関する請願(山崎岩男君
 外一名紹介)(第七四号)
 看護婦養成所に対する国庫補助の請願(山崎岩
 男君外一名紹介)(第七六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十九日
 国民健康保險の危機打開に関する陳情書(滋賀
 県医師会長関西医師連盟委員長小林清祐)(第
 八号)
 外地引揚歯科医師の免許に関する陳情書外一件
 (新潟市三輪崎四百六十八番地大野喜三平外七
 名)(第一八号)
 人口動態調査費全額国庫負担の陳情書(山形市
 役所内鈴木重屹)(第二四号)
 同(滋賀県長浜市長加田桂三)(第二七号)
 遺族福祉に関する陳情書(津市三重県議会議長
 矢野九三)(第五四号)
 医薬分業反対の陳情書(千葉市千葉郡医師会会
 長椎名泰三)(第五五号)
 医薬品製造業登録の一部権限委譲に関する陳情
 書(仙台市宮城県知事佐々木家壽治)(第五六
 号)
 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書(新
 潟市新潟県議会議長児玉龍太郎)(第五八号)
 社会保障制度研究試案に関する陳情書(高松市
 天神前香川県労働者災害補償審査会会長須崎正
 義)(第七九号)
 公的医療機関整備拡充に対する国庫補助の陳情
 書(仙台市宮城県知事佐々木家壽治)(第八二
 号)
 伝染病予防注射等全額国庫負担の陳情書(東京
 都議会議長石原永明外九名)(第九六号)
 市町村の伝染病院、隔離病舎等の施設費国庫負
 担に関する陳情書(東京都議会議長石原永明外
 九名)(第九八号)
 無医村に国民健康保險直営診療所設置の陳情書
 (東京都議会議長石原永明外九名)(第九九
 号)
 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書(東
 京都議会議長石原永明)(第一〇〇号)
 同(長野県下伊那郡阿南地方村議会議員会長牧
 島忠夫外九名)(第一〇五号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国政調査承認要求に関する件
 小委員及び小委員長選任に関する件
 参考人選定に関する件
 看護婦制度に関する件
    ―――――――――――――
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本件につきましては、本日の委員会において看護婦制度に関する問題などの調査をする必要上、時間的にも余裕がございませんでしたので、委員長において、理事の各位にそれぞれ御了解を得まして、一昨日委員長より調査する事項といたしまして、公衆衛生、医療制度、社会保障、婦人児童保護に関する事項といたし、調査の目的といたしましては、ただいまの事項の実情を調査し、対策を樹立するためとし、調査の方法といたしましては、小委員会を設置し、関係各方面より説明を聽取し、その資料を要求するなどの方法を行うために、調査期間を本会期中に限定いたしまする調査要求書を提出いたした次第でございますが、昨日議長の承認があつたのでございます。本調査要求書を事後承認することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○寺島委員長 異議なきものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○寺島委員長 次に看護婦制度に関する件を議題とし、本件に関し、参考人の選定についてお諮りいたします。本件の調査の方法につきましては、看護婦制度審議会の委員の方々の御出席をお願いいたしたいという希望が、委員各位より申し述べられておりますので、第一に、看護婦制度審議会会長林塩氏、同委員橋本寛敏氏、同じく湯槇ます氏、河村郁氏、以上の四名を参考人として本委員会に出席をお願いいたしまして、御意見を聽取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○寺島委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○寺島委員長 この際わざわざ御出席をお願いいたしました委員の方々に対しましては、委員会を代表いたしまして委員長より厚く御礼を申し上げますし何とぞ隔意なき御意見の御開陳を願いたいと存じます。
 看護婦制度に関する件の発言、通告順によつてこれを許します。松谷天光光君。
#7
○松谷委員 初めに委員長にお尋ねいたしますが、先ごろの委員会におきましてお願いいたしておきました、看護婦制度審議会においての経過と申しますか、審議の内容につきましての報告を、一応伺わせていただきたいという趣旨のお願いをいたしておきました。この委員会までにいただけるものと思つておりましたが、いまだ手元に届いておりませんが、この点はいかがでございましようか。
#8
○寺島委員長 お答えいたします。文書印刷の都合上、若干手間どつておりますが、なるべく本委員会の開催時間中に間に合わせるように、厚生当局を督励いたしておりますから、間もなく参ることと存じまするが、暫時その問題を離れまして御質疑を願いたいと存じます。松谷先生の御意見は明確にお伝えいたしまして、さように取運んでおります。
#9
○松谷委員 審議会の報告なども拝見いたしまして質問させていただきますと、なお質問が的はずれにならないと考えておりましたが、その点質問の内容が非常に粗雑になると思うのでございますが、せつかくお出ましをいただきました審議会の委員の方々に非常に御迷惑をおかけする点があるかと思いますので、この点は深くおわび申し上げておきます。
 たいへん失礼でございますが、先ほど委員長がお読み上げくださいました本日出席いただいております審議会の委員の方々のお名前をもう一度復調していただきたいと思います。
#10
○寺島委員長 申し上げます。参考人として御出席をいただいております各位は、会長の林塩氏(日本赤十字社看護婦課長)同じく委員といたしまして橋本寛敏氏、次に湯愼ます氏(聖路加女子專門学校主事)、河村郁氏(神奈川県看護婦指導所長)、以上の四名でございます。
#11
○松谷委員 初めに審議会の模様から伺わせていただきたいと思います。その前に委員長にお伺いいたしたいのは、大臣がきようは御出席くださつておられますが、大臣の御予定の時間はどのくらいでございましようか。
#12
○寺島委員長 大体一時間前後この委員会に御出席の後、参議院に向われたいということでございます。
#13
○松谷委員 それでは先に審議会の方から伺わせていただきたいと思います。一番初めにお伺いしたいのは、審議会ができましたのはいつごろでございましようか。そしてまた審議会の委員の選定はどのようにしてなされておりましたでございましようか。適当な方から伺いたいと思います。
#14
○林参考人 ただいまの御質問に対しまして、お答えをいたします。会ができましたのは二十五年の八月二十三日でございます。審議委員の選定については、厚生省の方から選定をされております。
#15
○松谷委員 そこで今日まで何回ぐらい審議会をお開きいただきましたでございましようか。あるいは一週に一回だとか、あるいは隔日だとか、あるいは月に何回であるとか、大体の模様でよろゆうございます。
#16
○林参考人 大体定例審議会といたしまして二週間に一回開催しております。
#17
○松谷委員 今日までの大体の審議の重点と申しますか、あるいは経過などを、簡單にお伺いいたしたいと存じます。
#18
○林参考人 大体審議会の内容とか、あるいはそれについての経過は、委員長の方へ報告が出ておると思いますので、それをお読みいただけばわかると思いますが、印刷が遅れておるそうでございますので、その大体を申し上げたいと存じます。そこで取上げました問題を申し上げます。ただいままだ審議中でございますので、厚生省の方に出します決定は何もございませんが、大体そこで審議いたしました議題を申し上げます。
 第一に、看護婦免許に甲種と乙種の三種あることの可否。
 第二、旧看護婦規則によつて免許を得ている既得権者は、業務自体については甲種と同様に認めていながら、国家試験を受けられるようにしている不合理。
 第三、保健婦、助産婦が、看護婦に基礎を輝き、そのかわつた形としての看護業務をするものであるとの解釈からすれば、両者にそれぞれ看護婦と同性格の国家試験を課することの不合理。
 第四、乙種に看護婦免状を與えながら、その業務内容を制限している不合理。
 第五、看護婦の職務を独立した專門職とすることを目的としながら、医師、歯科医師にその権利を與えている矛盾。
 第六、保健婦助産婦看護婦審議会の機能、特に国家試験に関する事務につき改善の要がある。その一としまして、国家試験に関する事務について。
 第七は、保健婦助産婦養成所入所資格が、甲種看護婦国家試験合格なので、少くとも六簡月内外のむだが生ずる不合理。
 第八、現状から勘案して、保健婦助産婦養成期間が長期に失する。
 第九、新しい観点から見た医療のあり方からして、看護婦教育の内容を改良する必要、同じ目的で保健婦、助産婦の教育内容も変更する必要がある。
 こういうふうな議題でございますが、ただいままでに審議しております問題は、甲、乙二種の問題がよいか惡いかという問題、それから国家試験の問題でございます。なお御参考までにもう一、二項ございますから申し上げます。
 第十、專任管理者の名称は不適当であるから改正する必要がある。
 第十一としまして、看護婦を一本にする場合の対策であります。
 以上十一項が議題でございます。
#19
○松谷委員 私今聞き漏らしておつたら失礼と思いますが、審議会においては既得権者に対する扱い、これは特に御審議の課題としてはお入れにならないのですか。
#20
○林参考人 既得権者に対して、こういう問題を取上げております。旧看護婦規則によつて免許を得ている既得権者は、業務自体については甲種と同様に認めていながら、国家試験を受けられるようにしている不合理というのを取上げております。
#21
○松谷委員 ただいまの御説明で、大体課題としてお取上けいただいていることはわかりました。
 次に、その課題につき度して、審議会が今どの程度まで審議を進めておられるか。もちろん結論が出ておらないことは、私も十分了承いたしておりますが、そこで大体審議会が今までお扱いくださつたいろいろの意見がおありだろうと思います。大体どういうような意見があるかということを伺えれば。
#22
○林参考人 委員の方々の御意見としまして、まず第一番に甲、乙の丙種あるということは不合理である、それを一本にしたいという御意向でございました。
 それから国家試験の問題については、大体の御意見はまとまるようでありますけれども、それについては、まだ今審議中でございます。甲、乙の問題は、これは一本にせねばいけないのではないか。甲、乙が一本になりました場合には、既得権者の問題も解決するというように考えられております。
#23
○松谷委員 重ねてお尋ねするようでありますが、そういたしますと、審議会が甲と乙とあることがよいか惡いかということを論議するということは、もうすでに解決済みでございまして、そして甲と乙との二本建であることはよくない、やはり甲、乙を一本にした方がいいという基礎にお立ちになつて御審議をお進めになつているというふうに解釈してよろうゆうございますか。私どもが今まで承つておりました審議会の御審議の基礎というものは、大体甲と乙と二本建で行くことがよいのか、あるいは一本で行くことがよいのかということも、審議会の基礎としてはまだはつきりといたさない、それをまずどちらにしたらよいかということを審議することがまだ決定していないというふうに伺つておりましたが、ただいまの御説明をいただきますと、すでにその点は解決済みでございまして、そうして甲、乙一本というようなところまでお進めいただいておるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
#24
○林参考人 それは審議会でただいま審議中でございますので、いずれの問題も決定はしておりません。ですから、大体の審議の方向としまして、甲、乙両方あるのは、これはいろいろた問題がございますので、まず委員の方々の御意見では、これは一木にするのが建前ではないかというような御意見でございました。
#25
○松谷委員 今の御説明をいただきまして私は非常にうれしく感じました。まだ審議会がそこまでお進めいただいていないように何つておりましたので、きようは実はその点をいろいろお話を伺いたいと思つておりましたが、そこまで大体の御意見が進まれておられるということでございますれば、私の質問は省かせていただきます。
 なお審議会の、その甲と乙との存在が不合理であるというふうに考えていただけた一番おもな原因は、どういうところにありましたでしようか。これは私逆になりますが、審議会がそこまでお進みいただけた、その甲、乙を二本建にしているという矛盾――審議会ではどういう点を矛盾としておつきくださり、お考えくださいまして、そういうふうに甲、乙を一本にしなければならないという意見に到達したのでありますか。
#26
○林参考人 お答えいたします。大体これは実際上の問題で、各病院におきましても、各看護の業務を行つて行きます上に甲、乙二つあるということは、実際上非常にさしつかえる面がございます。事実そういうことについて、いろいろ委員の方から意見がございました。
#27
○松谷委員 たいへんに抽象的なお答えで――もちろん実際的に非常に不便であるというのと同時に、こういう点はやはりお考えがあつたのでございましようか、現在の甲種の看護婦養成機関が、非常に高等なものであるということによつて、将来の看護婦数というものに対する一つの不安というものを、審議会はやはりお認めでございましようか。あるいはそういう点は別として、ただ実際上の非常な矛盾、あるいは実際上のいろいろ具体的な困難な問題が起きて来るという点からなのでございましようか。
#28
○林参考人 それは将来の数とか、現在の看護婦教育の程度が高いということよりも、実際の業務上の問題に両方あるということは、たとえて申し上げますと、乙種看護婦であれば、こういう業務はできないというふうに規定されているということが実際上非常に因る、こういうふうな問題からでございます。
#29
○松谷委員 次に既得権者に対する国家試験の問題、これをお聞きしたいのであります。まだ国家試験の問題については、あまりお話が進んでおられないというふうに伺つておりましたが、現在のところ、既得権者が国家試験を受けなければ甲種になれないという、この看護婦だけに対する一つの特別扱いというものに対して、審議会はどのようにお考えでございましようか。
#30
○林参考人 その甲、乙の問題が解決しますれば、この国家試験の問題も、割合にわかりやすく解釈できるのでないかという審議会の意見でございます。やはりただいまの既得権者が、既得権者として一つの看護という方面では、ただいまいたしております仕事は認められる。それが必ずしも乙種になるわけではございませんし、また将来に国家試験を受けて甲種というふうなものになるわけでもございません。たとえて申しますと、私は既得権者でございます。既得権者ではありますが私は乙種ではございません。そういう意味で看護婦を一本にしました場合にはそういう問題が解決する。既得権者に対しましては、私ども委員の意見としましては、非常によい扱いをされておるというふうに考えておりまして、国家試験はこれがある方が、既得権者に対する非常な恩典ではないかというふうに委員は考えております。
#31
○松谷委員 ただいまのお話のように、甲、乙が一本になりたときには、もちろんそうした現在ありますほどの矛盾というものは、あるいはなくなると思います。しかし現在、少くともただいまでは甲、乙の二本建であります際に、その矛盾は一層大きく出来るのではないかと思います。それが今お話のように、既得権者は、業務においては確かに甲の業務が資格として與えられておりますが、しかしその経済的な保障、あるいは身分的な保障というものにおいては、甲でもなければ乙でもない、その中間である。号俸などを調べさせていただいても、その中間に既得権者の号俸があるというように、業務は甲としての業務がえられるにもかかわらず、その技術資格というものは、やはり甲、乙の中間的な存在で非常に宙ぶらりん的な何か不安な状態にあるというのが、現在の矛盾している一つの線ではないかと思います。また今、既得権者に対して国家試験というものが一つの恩典であるというふうなお話でございましたけれども、これは私が考えると、既得権者の中でも、日赤であるとか、あるいは聖路加であるとかいうところの看護婦さんとされては、従来の高級な課程をお進みいただけた方々に対しては、あるいは国家試験という問題は、あまり難関ではないのかもしれませんけれども、一般養成を受け、資格を獲得された既得権者の方々の間では、国家試験というものが、やはり一つの大きな関門として、今日一つの不安をもたらしておるのではないかと思います。そうして看護婦さんだけが、あらためて国家試験を受けなければ、甲種というその立場をも保障されないというときに、その補習教育も、国家の財力から十分な補習機関さえも與えられておりませんし、あるいはまた現在の看護婦さんの定員数その他の不足から参りまして、一つの病院から、希望している試験を受けるだけの勉強の余裕がない。あるいは試験期間三、三日にいたしましても、病院からその仕事をはずして出るということが、その病院の業務にさしつかえるというような幾つもの問題がそこに出て参りまして、現在の希望者の大部分は受けられないという今日の状態を見ましたときに、看護婦さんだけに国家試験をしなければ新法令による身分の保障が與えられないということは、非常に私は不合理だと思うのでございます。やはり他のものと同じように、ある程度の補習機関、あるいはある程度の修業年限数によつて、国家試験という新たな関門を通ることなしに、やはり経験年数その他で、甲種なら甲種、あるいは一本の線になれば、その新しい線の資格が獲得されるということが、一つの方向としていかがかと思うのでございますが、そういう点については、どういうお考えでございましようか。
#32
○林参考人 ただいま御質問のございました俸給の号俸については、私ども宙ぶらりんだとは存じておりません。と申しますのは、まだ甲種の卒業生は出て来ておりませんし、それからまた国家試験がこの十月にございましたので、今後それがどういうふうになりますかというところまでは、まだ審議会では取上げておりませんから、甲、乙の間の宙ぶらりんということは、少し妥当ではないように考えます。
 それから既得権者の中にいろいろな種類がございますし、法律が改正になりまして、看護の業務の内容が非常にかわつて参りました。これは病院内容をよくするために、看護状態をよくするために、看護婦がせねばならないことは、病床に横わる人々に対する看護のお仕事だろうと考えますので、その人たちの資質をよくすることは、将来国民の保健の上に、あるいは看護の上に、大きな影響がございますので、ある意味で看護婦既得権者は全部こぞつてもう一度勉強し直さなくてはならないのではないかというふうに、私ども職業の立場から考えます。それから看護婦にも、過去にいろいろございました、いろいろな方面で看護婦教育を受けております。この際教育を受けられない人たちのことも一応は考えてみました。そしていろいろ講習会もしております。それを通じまして習う機会もあるように考えております。それからまた厚生省の方でも、非常にそれには努力をしてもらつております。そういう講習会によつて、再教育というものが進んでされております。それから第一回の国家試験の結果は、非常に若い、かつてそういつたいわゆる看護婦の高等教育というものを受けない人の中から、相当出て参りました。私どもとしては、こういう人たちの脈々として向上しようという気持を助成する意味においても、国家試験を置いておきまして、その人たちの資質の向上に役立てたい、こういうふうに考えます。これは職業上の観点からでございます。
 それから旧看護婦に対する保障は、これは法律によつてちやんと保障されております。既得権者の権権というものは、保障されておりますので、それが社会的に、あるいは業務上の地位を失うということのないように、審議会は考えております。以上お答えいたします。
#33
○寺島委員長 厚生大臣は参議院の関係がありますので、この際厚生大臣に対する質問を先にさはんで許します。通告順によりまして松谷君。
#34
○松谷委員 厚生大臣にお尋ねいたしたいと思います。大臣は、現在問題になつております看護婦さんの制度の問題につきまして、現在の法令に対してどのような御見解でございましようか。これで満足である、これで進みたいという考えでございますか、あるいはまた他のお考えをお持ちでございますか。まず一番初めにその根本的な問題を何つておきたいと思います。
#35
○黒川国務大臣 実は就任後まだ日が浅いために、十分の知識がございませんので、常識から考えまして、甲乙二種の看護婦があり、また従来の経験ある看護婦の方々という三種の看護婦の制度がありますが、甲乙の看護婦があつてはいかぬとか、いろいろな意見を今伺つております。私といたしましても、考えがないとは申し上げませんが、審議会の結論を得ました上で、改むべきことは当然改むべきであると考えております。甲乙二種の看護婦制度ができましたことも、関係方面の熱烈なる支持によるということも開いておりますけれども、審議会の決議いかんによりましては、相当に努力いたしまして、この改正もまたやむなきことであろうと存じます。
#36
○松谷委員 それでは厚生大臣も、やはり現在の法令のいろいろな欠点をお考えくだすつて、近く審議会の結論をしんしやくの上、改正のお覚悟があるというふうに解釈いたします。
 次に、現在の看護婦さん、既得権者の方々に対して、現在の法令では、国家試験を通過しなければ、甲種としての資格が與えられないということになつております。またかりに同じ国家試験を受けましても、既得権者が合格いたしました場合においては、高等教育を受けて甲種になられた方と、その俸給において差があるというようにうたわれておりますか、こり既得権者に対する扱い方に対して、大臣はいかがにお考えになりますか。
#37
○黒川国務大臣 私は既得権者に対して相当の敬意を持つておるものでございます。従来の尊い経験を生かすことこそ、医療制度の向上にも非常に役立つものでございますので、既得権者は相当に保護指導すべきものであると考えております。
#38
○松谷委員 今お答えいただきました、既得権者を尊重し、既得権者に対して補習助成をしたいというお話は、まことにけつこうだと思います。ただその補習教育を実施します場合の問題は、やはり予算になつて参ります。そういう補習教育を国家が責任をもつてなさるお考えがございますかどうか、そしてその予算を獲得なさる大臣の腹がおありになりますかどうか。それから先ほどお尋ねいたしました国家試験についての大臣のお考えを伺えなかつたのでございますが、一緒に伺わせていただきたいと思います。
#39
○黒川国務大臣 国家試験につきましては、私は従来の経験ある看護婦の方方は、相当に資質が優良であると存じますので、国家試験をお受けになれば当然及第されるものだと信じております。なおその修養あるいは補導につきましての国の予算は、少い額ではありますけれども、とつておりますので、漸次指導教育の方に使つて、全部の方方が国家試験に合格なさるように努力したいと存じております。
#40
○松谷委員 ただいま、国家試験は受ければ全部が通るという大臣のお考えのようでありますが、今年の試験はたいへんにやさしかつたというお話も伺つております。しかし既得権者の方々の中には、相当の御年配の方々もおられるように考えますが、そうした場合に、相当年を重ねられた方々が試験を受けるということは、第一に精神的にも相当の打撃ではなかろうかと思いますし、先ほどの御説明を伺つておりましても、試験を受けられた方々は、大体年齢においてもお若い方々が多かつたというところにも、やはり試験制度の持つておりまする一つの問題点があるのではないかと思います。あるいはそうした試験が記憶力をためす場合があるとしたときに、技術的には相当優秀な方であつても、試験には合格されないというものが相当数出るのではないかと思います。ことに他の職業と違つて、相当の頭脳がいるとともに、やはり技術というものが相当の役立ちをする業務においては、試験よりも、むしろ先ほど大池のお話のように、補習教育に重点を置かなければ、既得権者の質の向上はないのではないかと思います。受ければみな及第するということは、既得権者に対して、少し愛情の足りないお考えではないか。もう少上受ける立場、ことに年齢を重ねられた方々の立場にお立ちいただいて、もう一度お考えをいただきたいと思います。そして国家試験に対する大臣のお考えをもう一歩進めていただきたいと思います。
    〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
 なお国家試験について、もう一歩大臣が深くお考えくださる御意思があるかどうかということを、あとで伺わせていただきたいと思います。
 それから補習教育の点について、これは国家が責任を持つて予算もとりたいというお話でございますが、私としては大臣のその説明をそのまま信じて喜びたい。しかし従来からの経験から参りまして、補習教育に必要な額を大臣が予算の中から獲得していただくということは、相当の問題だろうと思います。今日の厚生予算の中でも、一方においては保險料率の上昇もしなければならないということも、大臣お考えでおられる。その一方において、この補習教育に十分な予算をおとりいただけるということも、私どもはそう簡單にそのまま受取るわけには参らないような気がいたします。今ここに補習教育に必要な額について話を進めて参りますと、はつきりいたすと思いますが、こまかくなりますので、予算の問題については、あとで久下次長に質問させていただき、補習教育予算について結論を得たいと思いますが、その補習教育の予算その他の問題について、大臣は大蔵当局とも御相談になつたことがあるか、あるいは大蔵当局と相談なしに、厚生大臣のお考え一つで、あるいは厚生省内の予算で補習教育の予算がとれるものかどうか、その点を伺わせていただきたいと思います。これが第二点であります。
 その次には、かりに予算がそろいましてその補習教育の機関が設置されて来ましても、現在の看護婦さんの定員不足というようなものでは、補習教育かなかなか完全に行われるとは考えられません。ほんの一つの例をとりましても、鵜島の方の病院では、直二名の定員のところに五十一名よりないという所もございますので、先ほどから申しておりますように、二、三日の試験に出かけるのでさえ、その病院では業務の遅滞を生ずるから、出かけることができないという現状もございます。まずこういう看護婦さんの定員の不足から補つて行かなければならないという場合に、厚生大臣はその数の不足、あるいは定員に満ちていないために起つて参ります労働過重を初めとして、そうした補習教育さえ受けられないという欠陥を補うために、何かお考えをお持ちでございましようか、あるいはそういう点をお考えなしに、補習教育だけやれば、看護婦さんの既得権に対する問題が解決するというふうにお考えでございますか、この問題を三点としてお伺いいたします。
#41
○黒川国務大臣 第一点の、現在の既得権者でありますところの看護婦の方方は、ほとんど全部合格されるだろうと申しまことを、松谷さんは、私が非常に冷たいようにおとりになつたようでありますけれども、むしろ私は、あたたかい気持でそう申し上げたので、全部合格されるように御当人も努力し、厚生省としましても、それを指導するのがほんとうであろう。松谷さんの御熱意より以上の熱意を、私は持つておるつもりでございます。
 それから第三点の、指導に要します予算でございますが、来年度は少い額でございますが大体七百万ぐらいはとれております。これはやはり大蔵省と交渉いたしましてとります予算でありまして、漸次これはふやしで行くことにして、極力努力いたす考えでございます。
 第三点につきましては、私まだその点は考えておりませんから、次長からお答えいたさせます。
#42
○久下説明員 第五点は私からお答え申し上げます。看護婦の不足に対する対策についてというようなお尋ねに伺いましたが、お話の通り各病院におきまして、必ずしも十分に看護婦を深川できない実情であります。もちろん全部が全部というわけではありませんけれども、そういう実情にあります。しかも将来を見通しますときには、看護婦の不足が、私どもの予想でもかなりはつきりしておるように思います。そこで私どもとしましては、三十六年度におきましては、看護婦の養成所をできるだけ奨励してつくつて参りたいと思いましたので、予算の要求をいたしましたところ、きわめて少額ではありますが、昭和二十六年度の予算で甲種看護婦の養成所四箇所分だけ――一箇所一百万円の補助金でありますけれども、建設費の補助が事務的な折衝で承認をされておる現状でございます。私どもとしては、もつと数多く要求いたしたのでありますが、とにかく初めてのことでございまして、甲種看護婦の養成所に対しまして、四箇秋分だけ補助ができるような建前になつております。これを足場といたしまして、逐次この方面についても努力をいたして参りたいと存じます。
#43
○松谷委員 久下次長に対する御質問にあとに合わさせていただくことにいたしまして、大臣になお一点お伺いいたしたいのは、既得権者に対して国家試験をするということは、むしろ愛情ゆたかに考えた場合の結論なんだというお話でございますが、他の業種の方方が、たとえば一例をとりますど、弁護士の方も、新しい国家試験を受けてその資格を獲得されるのでないというのに対して、看護婦さんだけが試験を受けなければその新しい身分の保障がないという、ここに看護婦さんに対する一つの特別な扱い、あるいはお医者様に比べて別な扱いというものが、看護婦さんに対する、極端にいえば苛酷な一つの関門が與えられているのではないか、この他の業種と看護婦さんとの間に、やはり一つの矛盾があるのではないかと思いますが、この点を大臣はいかにお考えでございましようか。
#44
○黒川国務大臣 看護婦の任務は、非常に重大なことでございますので、それを尊重し、向上するために試験があつても、私はそれほどそれが看護婦の方々に対して残酷なしうちではないと思います。先ほど林会長からもお話があつたようでございますが、経験者の方々は、試験を避けるよりも、むしろ試験を進んで受けるお気持のようでございます。なお先ほど今年は非常に若い方が多くて、年取つた方が少かつたというお言葉でしたが、それは初めてのことでございますから、そうなつたのだろうと私は考えております。
#45
○松谷委員 ただいまのお話――どうもたびたび重複して伺うようで恐れ入りますが、非常に看護婦さんが重要な仕事である、これは当然だれもがそう考えることと思いますが、看護婦さんが重要であると同時に、私はより以上に重要なのはお医者様だと思います。人の生命に直接にメスを振い、直接に病気の有無を診断しなければならないお医者様にその制度がなくて、看護婦さんがお医者様以上の立場と申しますか、扱いを受けなければならないということは、この点私としては何か納得できないものがございます。もちろん従来の看護婦さんの経て来られた教育内容について云々というのならば、別でございます。それならば補修教育で補えるのではないか。ことにまた看護婦さんのお仕事というものは、先ほど申しましたように、ただ紙の上に一つの記憶力をプリントする、それでその看護婦さんの技術というものが定まるものではないと思います。たとえば、くだらない例でございますが、今若い看護婦さんが、既得権者の中から試験をお受けになる、そうして合格して甲種をおとりになつた。あるいはそれに対して年をとつた、ある病院の婦長さんが国家試験をお受けになつていない、この場合にその婦長さんと、ただ紙の上の試験を通られて、その甲種を獲得された若い看護婦さんと、一体どちらがほんとうに看護婦としての資格をお持ちであるか、質的な向上をしておいでになつていると大臣はお考えでございましようか。くだらない例でございますけれども、試験を受けなければならぬ、ことに看護婦試験を受けなければ甲種の身分を獲得できないという、そこに何か矛盾はお考えになりませんですか、重ねてお尋ねしておきたいと思います。
#46
○黒川国務大臣 ただいまおつしやいました、年取つた婦長さんが試験を受けないで、一方若い方が受けて甲種の看護婦になる、そういうことに対してどう考えるかというお尋ねでございますが、私は自分が年取つているせいかもしれませんが、経験のある婦長に対しては、絶大なる敬意と信頼を持つておりますので、何ら私自身としては、試験を受けられないからどうという考えは持つておりません。また将来とも持ちたくないと思います。要は松谷委員のお聞きになりたいのは、私が看護婦の方々に対して、十分の同情と熱意があるかという一点に盡きるかと思います。私は誓つてすべての看護婦の方方に対して、熱心にこれからも研究いたしますし、そうして十分なる同情を持つて接して行きたいと考えております。
#47
○青柳委員長代理 大臣のおられる時間があと十五分ぐらいで、通告者が三人もおられますから、どうぞ簡潔に。
#48
○松谷委員 ただいま大臣の御答弁で、非常に熱意がおありになるということを伺いまして、非常にうれしく思います。ぜひその御熱意をもつて、甲、乙の問題の解決、あるいはまたただいまの国家試験の問題も、なお一層御研究くださいまして、もう一歩お考えを深めていただきたい、このことを重ねてお願いいたしまして、私の質問を終ります。
#49
○青柳委員長代理 福田委員。
#50
○福田(昌)委員 橋本先生にお尋ね申し上げたいと思います。これは看護婦制度覇議会の審議の内容にもとるかと思いますが、アメリカの看護婦制度と、アメリカの現行の看護婦制度に対して、大衆がどういう考えを持つておられるかというようなことの、アメリカの現状をお話していただきたいと思います。
#51
○橋本参考人 ただいまの、アメリカはどんな制度であるか、それから大衆はその制度に対してどう思つておるかという御質問でありますがその問題については、私よりも看護の業務について、あるいは看護の教育について特別に研究されました湯槇さんがここにおられますから、陽極さんからお聞きになつた方が適当ではないか、湯槇さんは実際看護婦の教育にも携つておられるからして、その方がかえつて適当ではないかと思います。
#52
○青柳委員長代理 大州はあと十分ぐらい上かおられないので、大臣に対する質問を行つて、その他の質問はあとまわしにしようということになつておりますから、それはあとからお願いいたします。
#53
○福田(昌)委員 先ほど林会長の看護婦制度審議会の御意見では、既得権者に対して試験制度があるということは、むしろ恩典であつて、看護婦の資質の向上のためにいいことだというような、非常に高邁な御意見がありましたが、それに対しまして厚生大臣も御賛成をなすつたようでございます。体看護婦制度審議会というのは、どういう目的のためにつくられた審議会であるかということを、厚生大臣のお品から承りたいと思います。
#54
○黒川国務大臣 看護婦制度審議会は、看護婦制度の改善向上のために設けた審議会であります。
#55
○福田(昌)委員 と申しますると、看護婦制度の改善向上となりますと、一般の看護婦さんの声も十分尊重なさるというように解釈してよろしいわけでありますか。
#56
○黒川国務大臣 その通りでございます。
#57
○福田(昌)委員 と申しますると、少し私の調査が間違つているかもしれませんが私が看護婦さんの末梢の方々に、一々お会いいたしましてお聞きした範囲におきましては、看護婦さんの既得権者の要望といたしまして、資質の向上に国家試験をしてくれることは自分たちの特典である、非常に喜ばしいことであると考えておられる看護婦さんは、実は一人もなかつたのでございます。そういう声からいたしますると、審議会としてお取上げになつておられる声は、一般大衆看護婦さんの声とは、非常にかけ離れて、いわば程度の高い、また非常に尊敬申し上げる高邁な思想から来た声だといわなければならないと思うのであります。そういう大衆とかけ離れた声を尊重される審議会は、この際御反省を願いたいと思います。
#58
○黒川国務大臣 十分皆様方のお考えを伺つて善処したいと思います。
#59
○福田(昌)委員 看護婦制度にだけ国家試験をお設けになつておられますが、他の既得権者の職業、たとえば医者とか、弁護士、学校の先生というものに対しまして、一応国家試験が問題になつたことがありましたが、そういう人たちは全然国家試験を受けないで、既得権者としての当然の尊重が與えられておりまして、看護婦さんだけに與えられないということに対して、厚生大臣は不合理とお考えになつていらつしやいませんでしようか。
#60
○黒川国務大臣 先ほど松谷委員にお答えした通りであります。
#61
○福田(昌)委員 それでは厚生大臣非常に不合理だとお考えになつて、看護婦さんの立場も尊重しておられる、従いましてそういうお気持でありましたならば、私は一刻も早くこの審議会の審議の内容を十分に、しかも早急に審議いたしまして、早く結論をお出しになるのが大臣のお気持であり、また看護婦さんの立場を御考慮になる大臣の親心であろうと思うのであります。そういう意味で、一体この審議会は、いつごろ結論をお出しになるお考えであるかということを、大臣から承りたいと思います。
#62
○黒川国務大臣 今年末までには何とか、まとめたいと考えます。
#63
○福田(昌)委員 と申しますると、十二月一ぱいでございましようか。
#64
○黒川国務大臣 そうでございます。
#65
○福田(昌)委員 その十二月一ぱいに結論をお出しになりましたら、その際はどういう処置をおとりになるのでありますか。
#66
○黒川国務大臣 その上は厚生省においてその審議の結果について検討いたしまして、そうして善処したいという考えであります。
#67
○福田(昌)委員 厚生大臣のありがたいお言葉で、さぞ看護婦さん大衆も、心配している事項に対して喜ばれると思いますが、どうか厚生大臣もそのお気持をもちまして、看護婦のために御考慮願いたいと思います。それとあわせまして、私は一言この審議会の内容に触れさせていただきたいと思いますのは、ただいま林会長からのお言葉を聞いておりますと、実に高邁な尊敬すべき向学心に燃えた御意見と思いまするが、いかんせんその方向が大衆のレべルとは多少かけ離れて、ずれがあることを、しみじみと感じたのであります。従いまして、どうか審議会は、あくまでも看護婦一般大衆の水準において審議の方向を決定して、結論を出していただきたいということを要望申し上げます。
 これは審議会とは別なことになりますが、大臣にお尋ね申し上げたいのは、看護婦さんの素質の向上のために、従来講習会が設けられておつたのでございますが、これまで行われました講習会の方法と予算、それと今後二十六年度において考えておられまする方法、また予算そういうものの概略を御説明願いたいと思います。
#68
○黒川国務大臣 久下次長から答えさせていただきたいと思います。
#69
○福田(昌)委員 もう一点だけ質問します。先ほど林会長のお話によりますると、既得権者は、甲種看護婦と同じ仕事をしておる。しかし待遇は甲種看護婦でもないし乙種看護婦でもない立場にある。試験を受ければ甲種看護婦と同じような待遇になるというふうにも聞きとれるお言葉であつたのでございますが、私が先般厚生省の看護課でお尋ねいたしました御意見によりますと、既得権者は甲種看護婦の国家試験を受けましても、その待遇におきましては、新しい甲種看護婦の養成機関を出た看護婦の方と同等の待遇を受けないということを、はつきり聞いておるのであります。職階制によりまして、既得権者の立場は甲種看護婦と同じところには置かれないということを、はつきり明言されたのであります。両者のお言葉に食い違いがありますが、どちらがほんとうであるか、お尋ねいたしたいと思います。
#70
○黒川国務大臣 差別をつけることはございません。お答えいたします。
#71
○福田(昌)委員 私は看護課の課長さんだつたと思うのですが、聞いたのですが、課長さんの御答弁を願いたいと思います。
#72
○金子説明員 お答え申し上げます。既得権者と甲種看護婦学校の卒業生とは、待遇が違うと申し上げましたのは、初任給の点でございます。既得権者が国家試験を受けまして、甲種看護婦とまつたく同等の資格になりました場合に、その人たちが国家試験にパスしたからといつて、即日に待遇を改善するという考え方は、ただいま持合せておりません。これは国家試験を受けるために努力して、本人自身がそれだけ資質が向上いたしますので、当然本人の実力において待遇が改善されることと思いますので、病院あるいは雇用者側に対して、国家試験をパスした待遇については考慮してもらいたい、ときを見て上げてもらいたいということは話をしております。
#73
○福田(昌)委員 ただいまの看護課長のお言葉によりますると、この新しい制度の学校を出た方と、既得権者とは、試験を受けても待遇は違うという解釈にとれるのでありますが、それでも大臣の御答弁通り同じなのでございましようか。私は自分の耳を疑つておりますから、お尋ねいたします。
#74
○久下説明員 大臣にかわりまして私からお答え申し上げます。結局私どもは看護婦の待遇を考えております。少くとも私どもは、直接国立の病院あるいは療養所をやつております関係もございまして、そこに働いておられる看護婦さんの給與を考えます場合には、常にその基礎となつておりますところの素養を問題にしておるのであります。従来とも検定試験とか、あるいは中学を卒業して三年間の看護教育を受けた方々と、それから高等女学校を出で專門学校程度の看護教育を受けました方々とは、初任給の差をつけておるのであります。さような意味合いにおきまして、甲種看護婦養成所を卒業いたしました方は、従来の專門学校を卒業したと同じ程度の、具体的に申しますと、初任給五給の一号というような待遇を與えることにしておるのであります。しかしながら、それは今申し上げた通り、従来の素養に対して言つておるのでありまして、たとえば具体的には、各病院でどの人を婦長にするかというような場合に、甲種看護婦である者を優先するというような考え方は持つておらないのでございます、従来の看護婦さんでも、りつぱな能力を持つておる方であれば、婦長さんになるというように、考え方におきましては、何ら差異をつけておりませんし、また同時に、たまたま今年の秋が初めてでございますが、看護婦さんの一部の方が国家試験におそらく合格するであろう――相当多数の方が合格するだろうと思うのでありますが、全体から見ますと一部でございます。そうした方々が、国家試験に合格したからといつて、すぐに待遇をかえるというようなことは、全体の看護婦さんの実情から申しまして、適当でないのじやないかという意味合いにおきまして、さしあたり看護婦国家試験に合格されましても、待遇の方には――たとえば現在四級の三号なら三号の俸給を受けておられる看護婦さんが、国家試験に合格したからといつて、すぐに五級に上げるというようなことはしない。そのかわり、六級何号という俸給を受けておられる看護婦さんが、国家試験にかりに不合格になりましても、そのために俸級を下げるというようなことはしないというような意味合いにおきまして、実質的には、初任給の場合に、今申した学力を基礎において差は設けますが、それ以外におきましては、大臣が申し上げました通りに、何ら差異をつけないでおきたい。ただ看護課長が申し上げた通り、何回か国家試験を行つて参りまして、既得権者の多数の方が国家試験に合格して、看護婦の免許をとられたというようなあかつきにおきましては相互の間の差等もなくなりまするので、その時期においては、私どもとしては何らかの措置を考えなければならぬと思つております。さしあたりは、従つて初任給以外に差がないという大臣の御言葉の通りであります。
#75
○福田(昌)委員 非常にごもつともな御意見でございまして、なるほどと存じます。しかしこの学制改革と申しますのは、終戰後の一つの政策として行われたものでありまして、古い看護婦さんが、実は看護婦さん御自身としては、大学程度の教育を学びたい人もあつたでありましよう。また新制高等学校程度の教育を学びたい人もあつたでありましよう。しかしその時には、学びたくても、そういう制度がなかつたのであります。しかしそういう制度がなかつた時代に学校を卒業した人と、新しい制度ができてからそれを卒業なすつた生徒と一緒くたにいたしまして、ただ漫然と同一の水準に置いて、待遇の差別をつけるということは、ちよつと一考を要する問題ではないかと私は考えます。もし看護婦さんに対して、さつき厚生大臣のほんとうにありがたい親心をお示しいただいたお言葉を頂戴いたしましたが、そういう親心があるならば、こういうところにこまかく反映さしていただきたいものだと私は考えるのであります。停止大臣にくれそれもお願い申し上げたいことは、具体的なこういう末梢にわたる待遇の差別の問題と、それから看護婦制度審議会というものが、一般の看護婦さんの水準からかけ離れた、あまりにも高邁な方々によつてこの制度が考えられておるというところに、多少お考えをいただかなければならぬ点があるということを、私は厚生大臣に申し上げたいのでございます。私の厚生大臣に対する質問はこれで終ります。
#76
○林(百)委員 私は看護婦制度にはしろうとですが、黒川さんは看護婦制度のことを研究なさつたことがございますか、それからまず伺います。
#77
○黒川国務大臣 ただいま勉強中でございます。
#78
○林(百)委員 アメリカの看護婦さんの制度をごらんになつたことがございますか。
#79
○黒川国務大臣 不幸にして、まだアメリカに参つておりません。
#80
○林(百)委員 そうすると、やはりあなたは日本の厚生大臣だから、日本の看護婦さんに一番いいように看護婦制度をつくろうとお考えになつておいでになりますか、どうですか。
#81
○黒川国務大臣 もちろん、その通りでございます。
#82
○林(百)委員 そこで、これは私もしろうとで、この委員会へ来て非常にふしぎに思うのですが、まずこういうことをお聞きしたいのです。看護婦制度については、厚生省は国会では自分の意見を吐いてはいけないようになつておるのですか。厚生省側の見解というものは、国会では発表できないようになつているのですか。
#83
○黒川国務大臣 先ほどより、できるだけ意見は発表しておるつもりでございます。
#84
○林(百)委員 そうすると、この前、久下医務局次長とかいう人が、看護婦制度については、厚生省の考えはお話するわけにいかないと言つたのは、これは大臣の方針とは違うわけですね。
#85
○黒川国務大臣 大臣の意見とは違うとも申されますし、ほんとうは久下次長としては、申し上げにくいことであろうと思います。大臣としては、何を申し上げてもけつこうだろうと思います。
#86
○林(百)委員 そうすると、大臣はしやべつていいが、久下医務局次長はしやべつてはいかぬというふうにとつていいわけですか。
#87
○黒川国務大臣 省できまつておりませんことは、事務局において、なるべくそういうことはしやべらないように、私は常々頼んでおります。
#88
○林(百)委員 そうすると厚生省としては、看護婦制度の現行法について、いろいろの意見がありますが、これについては、まだ何も考えておらないということですか。
#89
○黒川国務大臣 先ほどからたびたび申し上げますように、審議会の意見がまとまりましたならば、あらためて厚生省としての意見をまとめますが、現在厚生省に職を奉じております者が、看護婦制度について全然考えていないということはございません、十分考えておりますが、発表の程度に至つておりません。
#90
○林(百)委員 そこがまつたくおかしいのです。看護婦制度審議会というのは、われわれ審議会制度をいろいろ知つておるのでありますが、これはやはり政府の施策を固めるための諮問機関だと思うのです。ですから、厚生省は一応看護婦制度審議会の意見を参考にはしますが、厚生省は厚生省としての独自の見解があるはずだと思うのです。たとえば、現行の看護婦法について、厚生省としてはこう考えておる、しかしこれについては、審議会の意見も参考にしたいということだと思う。ところが、あなたの今日の答弁、それからこの前の久下さんの答弁を聞いておりますと、まつたく主客転倒しまして、審議会の意見がきまるまでは厚生省は何も言えないということは、われわれ納得できないのです。だから、あくまで看護婦制度に対する責任は厚生省にあるのだ、しかしその厚生省が看護婦制度について今後の対策を考えるについては、諮問機関として一審議会の意見を参考にするということでないと、われわれはわからぬのですが、その辺は審議会がおもで、審議会の意見がなければ、厚生省というものは意見をつくることができないものかどうか、お聞きしたいと思います。
#91
○黒川国務大臣 林委員のおつしやる通りでございます。
#92
○林(百)委員 おつしやる通りなら、審議会の意見は審議会の意見として、私は厚生省の看護婦制度についての責任ある意見をお聞きしたいのです。大体あなたも今後いろいろ関心を持たれればおわかりだと思いますが、看護婦の人たちからいろいろな意見が出ております。これは圧倒的に今の看護婦制度については、改正してもらいたいという意見が出ているわけです。それに対して、現段階で厚生省がどういうことを考えているかということですね、それを将来どういう方向へ持つて行きたいかという厚生省の主体的な意見を、聞かせてもらいたいと思います。
#93
○黒川国務大臣 先ほどから松谷委員、それから稻田委員にお答えいたしました私の言葉で、十分林さんは御承知だろうと思いますが、今せつかく審議会で審議中であります。はつきり申しまして、厚生省の意見はこうだということがまとまつてもおりません。それですから、今はつきりそういうことを申し上げまして、審議会のせつかくの審議のおじやまになつてはいかぬ、そういう気持でおります。どうぞしばらくお待ち願います。
#94
○林(百)委員 大体わかりました。そこでこれは黒川さんも御存じの通りに、試験を受けさせて、それからあらためて選ぶというのですが、これは先ほども松谷さんからの意見もありましたが、私も実は弁護士なんですが、ある一定の時までに資格をとつた者は、その既得権というものは尊重されるわけです。今後のものは、こういう新しい試験を受けろということになつても、既得権というものは、どこの社会でも認められるのです。看護婦だけが今までの既得権を無視されて、試験に合格しないと、仕事は甲の仕事をしているが、待遇は乙だということは、これは一般の常識にはずれておると思うのです。その点が一つと、それから弁護士の制度、あるいはそのほかの制度から見ましても、たしか講習は受けさせます。講習を受けて知識の向上ははかりますが、もし政府がせつかく技術を向上させるように設けた講習をみずから放棄して顧みないというような者に対して、どういう処置をとるということは考えられますが、講習を受けて試験を受けなければ、今まで持つている既得権まで認めないということはないわけです。その点も看護婦に対しては、医者だとか、弁護士だとか、あるいはそのほかのあらゆる技術者、こういう人の糾問の一般の常識から考えて、特に酷のように思いますが、この点は将来厚生省としては考えるつもりがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
#95
○黒川国務大臣 既得権者でありますところの看護婦の方々は、何ら既得権を侵害されていないのでございます。従来の待遇、これからの待遇も決してかわりません。ただ試験を受けて合格すれば、甲種看護婦と同等になるということでありまして、従来の看護婦の方々で、今の高等学校程度を出ていない方、あるいは小学校だけの方もありますでしようが、勉強の結果、試験を受けて合格なさると、甲種と同等の待遇を受ける、これだけでありまして、むしろ既得権の侵害じやなくて、そういう方々には、そういう権利をおあげしておるようなものであると、私は今考えております。
#96
○林(百)委員 試験を受けさせるということは、その人に與える資格に沿うだけの技術を持つておるかどうかということを試験するわけでしよう。ところが既得権者というのは、仕事は甲の仕事もできるのですが、待遇だけを試験でふるいにかけて行くということは、仕事だけは甲と同じ仕事をする、待遇は乙並にしておけ、こんな不合理なことはないと思う。仕事は甲の仕事をさせるに足るだけのものがあつたか、試験も何もなくて、それは甲の待遇にしたらどうか。ことに看護婦の人たちの養成が非常に必要で、看護婦の人たちの意欲を向上させるというときに、しかもこういう社会的に非常に重要な仕事を持つておる看護婦さんたちが、現実にお医者たちのところでどういう待遇を受けているかというと、これは私が言うまでもなく、下女だとか女中さんを兼務しておるのです。これは医者の飯もたいたり、くつもみがいたり、はなはだしいのは、さるまたも洗つたり、そうでいながら、しかも甲とじ仕事をしていながら、待遇は乙だなんということは、たださえ封建的な看護婦の制度の中に、依然として待遇の点においては非常に封建的な制度をそのまま置くことになる。昨日も賃金の問題をお聞きしましたが、平均しておそらく二、三十円だというのです。これは日本の樹で一番賃金の低い女工さんたちより、もつとひどい待遇を受けておるわけなんです。だからこの際むしろ、仕事が甲の仕事をするなら、待遇もやはり甲並にしてやつて、待遇を向上させながら、看護婦の意欲を高め、看護婦さんたちをたくさんつくつて行くということが大事であると思う。これはおそらく日本の看護婦さん全部が望んでおるところである。あなたは先ほど、私は日本の厚生大臣だから、日本の看護婦さんを幸福にするように立法するというなら、ぜひひとつこれをしてもらいたい。もしあなたがこれができないというのであれば、あなたは日本の厚生大臣ではない。(「ソビエトか」と呼ぶ者あり」ソビエトならこんなことはしないはずですが、どこかよその国の厚生大臣である。
#97
○黒川国務大臣 林委員に申し上げたいのは、甲、乙の看護婦制度がありますが、そのほかに既得権者の看護婦という何がふりまして、既得権者の看護婦が乙の待遇を受けるということはないのでございます。甲の待遇あり、乙の待遇あり、別に既得権者の待遇がある。その点をよく誤解のないように、ひとつ十分に林委員におかれましても御研究あらんことを切に希望いたします。
#98
○林(百)委員 私の方も十分研究しますが、黒川さんも保健婦、助産婦、看護婦法の五十三條を見てください。「第五條に規定する業をなすことができる。」「前項の者については、その従事することのできる業務の範囲以外の事、項に関しては、この法律のうち乙種看護婦に関する規定を準用する。」とちやんとあるのです。あなたもきよう帰つたら、よく読んでください。仕事は五條に規定する川と同じ仕事をする。しかし仕事以外の取扱いは、乙種看護婦だと書いてあるのです。これをひとつよく読んでください。これが非常に問題になつているのです。ですから、これはあなたとこれ以上ここで問答はしませんが、当委員会としても、自由党の皆さんとも御相談しまして、これは党派を越えて、日本の看護婦さんの地位を向上させるために努力したいと思いますが、こういう点をひとつ厚生省としても、ぜひ真剣に考えていただきたいと思います。これが一つ。もう一つは、やはり審議会におきましても、それから厚生省の立案におきましても、関係方面の意向を非常に気にしているようですが、しかしこの看護婦制度ぐらいのことは、これはやはり日本の国の自主性を持つて、日本の国の看護婦さんが今まで社会的に置かれたその実情に沿つた立法をしてもらいたい。これは決して占領政策違反にならないと思うのです。この点もよく実状を関係方面へ、あなた自身も訴えて、看護婦さんの声もよく率直に聞いていただいて、やつていただきたいと思います。それと、もう一つは、私たちは一般の看護婦さんたちの御意見を聞くのですが、審議会の中に出ておる看護婦さんの皆さんは、大体甲の看護婦の資格のある人、とにかく日本の国の一般水準の看護婦さんとは別格な人たちがいるために、むしろ既得権者の実情が十分理解できないという声があるわけです。それは審議会の皆さんを前に置いて、こういうことを申し上げては失礼ですが、一般の下の者の声としては、そういう声があるわけです。ですから、審議会の御意見も大事かもしれませんが、やはり一般の八方から十万の看護婦さんたちの意見も聞いて、ぜひ真剣にこの既得権者の待遇の問題を考慮してもらいたい。国会の方でもこれに協力しますから、ひとつ腹をすえて、ぜひ練り直してもらいたいと思います。どうぞお願いします。
#99
○黒川国務大臣 乙種の待遇をするとおつしやいましたけれども、これはただ届出だとか、そういう手続の場合が乙種と同じにするということで、收入だとか、そういうことは別でございますから、その点をひとつ御了解願いたい。そのほかのことはおつしやる通りであります。私も大いに決意をいたしておりますから、御安心くださつてよろしいと思います。
#100
○林(百)委員 重大な決意を持つて、日本の看護婦さんたちの実情を改善するために努力するから、安心してまかせろと言うから、まあ腕のほどを拝見してしばらく……。
 なおあと同僚の委員の皆さんから質問もあると思いますが、どうも五十三條の解釈は、大臣の言うような解釈は実際はないようです。仕事はやはりこうなるにしても、届出とか何とかいうことでなく、待遇まで乙並の待遇にされるということが実情のようです。これはあらためて同僚委員から久下さんに御質問したいと思います。私の質問はこれで終ります。
#101
○青柳委員長代理 松谷委員から、追加して大臣に希望を述べたいというお話でありますか、これを許します。松谷委員。
#102
○松谷委員 先ほど福田委員のお話の中にも出ておりましたし、今林委員も触れておられましたが、看護婦制度審議会の委員の決定でございますしこれは厚生省が、ことに大臣が御指名になつたと伺つておりますが、そう解釈いたしますと、この委員を御決定になつた基準を実は伺いたいと思うのであります。その基準と申しますか、御決定になつたその意図でございます。これはいろいろお選びになつた筋がおありと思います。そうなりますと質問になりますから、希望だけという委員長からのお話でございますので、私の希望といたしましては、先ほど来他の福田、林両委員のお話のように、そのメンバーを拝見いたしますと、非常に質的にもお高い委員の方々が列席されておられるように、メンバーから参りまして拝見いたします。この審議会の人員というものは、ふやすことはできないのでございましようか。これは厚生省の、おそらく省令でつくられたか何かと思いますが、大臣のお考えで人員をふやすことができますれば、より低い人に――大分言葉が惡くなりますが、より低い教育を過去において受けられた看護婦さん、その最も試験を受けさせなければならないと厚生省がお考えになつておられるような立場の看護婦さんの代表をもなおお加えいただいて、そうして審議会を進めて行かれるのか妥当ではないか。もちろん意見を聞いてとおつしやるのでございましようが、なお聞くと同時に、そういう方の代表も加えていただきたいと思いますが、これに対して厚生大臣はどうお考えでございましようか。やはりどうも質問になりますが、私の希望としては加えていただきたい。できるかどうかということだけひとつ伺わせていただきたい。
#103
○黒川国務大臣 この委員の指名は、大臣が医務局長に委嘱しまして、医務局長から指名いたしたものでございます。もちろん責任は私にございます。それからあらゆる方面の看護婦さんというお言葉でございますか、全国の協会がございまして、その方からも相当にお入りになつておりますから、御希望通りに審議会かできているんじやないかと私は存じます。
#104
○松谷委員 あらゆる点からお考えくださつて、各方面の方々、看護婦さんの代表というお話でございましたが、メンバーを拝見いたしますと、たいへんお偉い方たちなんです。みな相当高いお役をお持になつた方々です。私はできますならば平看護婦さん、こういう方々も審議会にお加えいただきたいと思うのでございます。もちろんお立場の、何々課長とか、あるいは何々係長とか何々部長とかそういう方々か一般の方々の意見を代表するという、そのおつもりでございましようけれども、そこにやはり幾らかそういう点がおのずから――どんなにすばらしい方でおありになりましても、やはりその立場にあるということが、幾らかそこに齟齬して来る点があるのではないかと思いますので、平看護婦さんの方々の参加ということをお考えいただけないものでございましようか。
    〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕
#105
○黒川国務大臣 十分に御希望を承つて、私対処させていただきます。
#106
○松谷委員 すると大臣はお考えいただけるという御返事をいただいたと見てよろしゆうございますか。
#107
○黒川国務大臣 よろしゆうございます。
#108
○金子委員 動議に入る前にひとつ……。先ほど委員の諸氏からいろいろ質問がありまして、答弁をお聞きしておつたのでありますが、これは非常に割り切れない問題があります。それは当局や厚生省の方では、今度の法令を実施されました場合に、従来の既得権者に対して何ら差別がないとおつしやつているのでありますが、一方委員の方々の御質問は、差別だとおつしやる。これはこういうふうに考えられれば、よくわかることだと思います。お前は今まで仕事をやつて給與においても何ら差別はないんだ、しかしながら、その一点をとられると差別ないということなんですけれども、例を別にとりまして、今度は試験を受ければ甲種医師の免状をとらせる、しかしながらそれをとらない人は乙種医師になるのだ、こういう法令がかりにできたとしますと、なるほど今までのお医者さんは、試験を受けなくてもちつとも待遇はかわらぬ、しかしながらその上に乗つかるものができるという間隔ができると、これは結論として差別待遇になる。言葉のあやで、こういうふうな御議論はおやめになつて、問題はこれをさかのぼつて行くと、甲乙のあることかいいかどうか、また甲というものをどうしてもつくらねばならぬ理由がどこにあるかということが、今度の問題になるとして――だから審議会の方々にも意見になつてはなはだ失礼でありますが、ばかの問答みたいなことはおやめになつて、一方は差別しているんだ、一方は差別しないのだ。差別しないのだといつても、その上にまたかりに違うものができたということになると、かりにお医者さんたちが開業されて專門の結核なりあるいは外科なりということで一般的にやつているものを、いまさら試験を受けなければ甲種の医師になれないということにしたとするならば、そこに差別問題は必ず起つて参ると思います。これはほかの方面においてもあることであります。二、三日前の討議にありました諸種の問題でも、みなそうだと思います。従つてこの問題は、掘り下げて参りますと、甲乙をつくることがいいか惡いかということになると思います。これは意見になりますか、動議の前に申しておきます。
 それからきようは時間も遅れておりますし、松谷さんからなお補足があれは別でありますが、この問題は非常に重大な問題でございますので、審議会の專門の方々の意見と同時に、国全体のその仕事に携わつている人たちの実際の理想は理想とし、実際問題として今看護婦がなくて困つている事態であります。またそれに対して給與をやればよろしいといつたところで、その給與はだれが出すかといえば、国民が出すのであります。現在医療問題が非常に国民の大きな圧力になつている場合に、たくさんの看護婦の待遇をよくするということは、話としてはわかると思いますけれども、実際上患者か出せるかどうかということにかかつて参りますので、これはぜひともこれに関する特別小委員をつくりまして、至急この問題に対して御研究願いたい。こういうことをお願いいたします。
 それから最後に、これは委員長のおはからいでけつこうでありますが、本会議終了後でもけつこうであります。今日六万からの署名を持つて代表者の人たちが陳情に見えておりますから、短かい時間でけつこうですが、この席で委員の方に陳情を許されるようにお願いいたします。
#109
○寺島委員長 この際お諮りいたします。本件の調査に関しましては、笠子委員の御意見もありましたので、小委員会を設けまして調査をいたすことが適当なりと存じますが、看護婦制度に関する小委員会を設置するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○寺島委員長 御異議なければ看護婦制度に関する小委員会を設けることに決します。
 次に小委員及び小委員長の選考については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○寺島委員長 御異議なしと認め、小委員の数は本名とし、
   青柳 一郎君  高橋  等君
   松井 豊吉君  松永 佛骨君
   丸山 直友君  亘  四郎君
   金子與重郎君  福田 昌子君
   林  百郎君  松谷天光光君以下本名の委員を看護婦制度に関する小委員に指名し、青柳一郎君を小委員長に指名いたします。
 ちよつと速記やめて。
    〔速記中止〕
#112
○寺島委員長 速記を始めて。
 それでは暫時休憩いたします。
    午後三時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十八分開議
#113
○寺島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 看護婦制度に関する件を議題とし、参考人に対する質疑に入ります。松谷委員。
#114
○松谷委員 看護婦制度に入ります前に、ちよつと久下さんにもお願いしとうございますし、委員長にもお願いいたしたいと思います。それはただいま久下さんからのお話、あるいは陳情の方のお話で、病院に対する特別号俸削減の問題、これは次長さえ、けさお聞きになつたので、まことに私はけしからぬことだと思います。この前特別号俸の増加のために、久下次長初め、厚生省としても非常に御努力くださつておることは、十分了承いたしております。それにもかかわらず、削減するときは何ら一言のあいさつもなくして、厚生省をよそにして削減をしておられる。こういう現在のやり方に対して、私は厚生省は、相当買価を持つてこれに対して交渉していただきたいと思います。厚生大臣初め久下次長の今後の御努力も予期いたしますが、なお厚生委員会も厚生当局に協力させていただいて、厚生省、厚生委員会一本になつて、ひとつ現内閣に、この問題に対する強い要求をしたいと思いますので、きようからおそらく交渉を始めてくださると思いますが、その経過などについて、できるだけ早い機会に、厚生委員会に御報告をいただきたいと思います。そしてまた私ども適当な処置を、ことに與党の先生方にもお願いして、何とかこれを削減しないで行けるような方向に持つて行きたいと思いますので、委員長にもお諮りをいただきたいと思います。
#115
○寺島委員長 どうぞ本論に入つて質疑をしてください。
#116
○松谷委員 先ほど看護婦制度審議会の会長でいらつしやる林会長の御意見は承りましたが、今日せつかく御出席いただいております他の三名の委員の方々がおいでになられます。先ほどのお話で、甲乙二本建の問題に対する意見は、大体一致しておいでになるように伺いましたが、あと第二の問題でございます既得権者に対する国家試験の問題について、他の三名の方々の御意見も、この際に伺わせていただきたいと思います。林会長の御意見は、先ほど伺いましたので、委員長お諮りいただきたいと思います。
#117
○寺島委員長 それでは聖路加病院の院長をせられております橋本先生の概活的な御意見をひとつお願いいたします。
#118
○橋本参考人 国家試験を行つていいか惡いかという問題でありますが、審議会で審議が、あるいは議論が進んでおりまして、まだ終つておりません。私個人の意見を聞きたいとおつしやるのでありますか。
#119
○松谷委員 さようでございます。
#120
○橋本参考人 それでは個人の意見を申上げます。審議会でも述べておりますところと同じことを申し上げるのでありますが、第一番に考えておかなければなりませんことは、今度新しい看護婦の制度ができまして、教育の方法も違い、またその免許の制度も違いましたのでありますが、今度われわれの考えておる制度は、看護婦の業務内容において、これまでとは違つておるということを第一に考えなければならないと思います。これまでの看護婦は、少数の例外はありましたけれども、その業務内容は、今世界共通の概念とは違つておりまして、制服は同じように白い着物を着ておりますけれども、やつている仕事は、少くとも病院におきましては、ほんとうの看護は家族及び付添いにまかせて、看護婦は主として医師について診療の介輔に重きを置いております。従つて今度新しい制度ができましたにつきましては、どうしても何かこれまで違つた業務内容を持つておつた人が勉強をして、向上して、そして向上したしるしが現われるような方法かなければならぬと私は考えております。国家試験という形式をとりましてもそのかわつたことがはつきり現われることにおいて、向上心を促し、自分で勉強して行くという結果になるということを私は考えております。業務の内容が通うということは明らかでございます。いかがでございますか、この辺でよろしゆうございますか。
#121
○松谷委員 そういたしますと、橋本先生もやはり、既得権者にも試験制度を設ける方がよろしいというお考えでいらつしやいますか。
#122
○橋本参考人 私はそう思つております。
#123
○寺島委員長 少々お待ちください。今河村先生はちよつと。
#124
○松谷委員 それではあと先になりますが、御説明を承りますのをあとにさせていただきまして、その間に林会長に質問させていただきたいと思います。
 先ほど御説明をいただきました中で、林会長は、既得権者、あるいは甲乙、その間に俸給的な相違はないというお話でございましたけれども、やはり法則によりましても、先ほど来各厚生委員の方から出ておりましたように、新教育を受けて国家試験を受けた方が、六級の一号になられるのに対しまして、既得権者が試験を受けましても、六級の一号にはならない。これははつきりと久下次長も言われておりましたように、やはりそこには相違があるのではございませんでしようか。それからまた、私が今まで聞いておりますところでは、試験を受けない既得権者、それから甲あるいは乙というような場合には、やはり既得権者は五級の一号より受取れない、こういうような話を聞いておりますが、それには相違がございますのでしようか。あるいは先ほどのお話では、甲はまだ試験を受けたばかりで決定がないというようなお話でございましたが、私どもは、すでに甲の俸給は大体六級の一号である、こういうふうに聞いておりますが、私の聞き違いでございましようか、その点をもう一度伺わせていただきたいと思います。
#125
○林参考人 それにつきましては、先ほど厚生省の金子課長から、たしか御説明があつたと思うわけでございますが、甲種看護婦既得権者が国家試験を受けまして、そうしてパスしました場合は、その待遇については、急にはなれないというようないろいろな條件がございますが、必ずそれでとまつているわけではございませんと思います。それにつきましては、審議会といたしましては、まだそこまで審議をいたしておりません。そういうふうな、はつきりと何級になつてどうするというところまでは、まだ審議をいたしておりませんのですが、大体私の常識程度で考えてみましても、その辺は既得権者を守る意味においても、この試験をパスした人に対しても、急に上げないというのは、そこに心づかいがあるわけでございまして、そうしてそのところまで、まだ行かないのです。既得権者と試験をパスした人との間にあまり開きをつけない方がいいのではないかというような心づかいから、していることと思いますが、急にそういうようにはなりませんが、おいおいその人の技能に応じて上げて行くことはできると思つております。しかし審議会としては、それをはつきり取上げてはおりません。
#126
○寺島委員長 先ほど松谷委員の御質疑に対して、神奈川県看護指導所長をしておられます河村郁さんの御意見を一括して伺いたいと思います。
#127
○河村参考人 このように看護婦の問題を国会でお取上げくだすつたということは、私看護婦でございますので、たいへんありがたく思つております。松谷先主の御質問は、中座いたしましたので伺つておりませんから、ヒントをはずすかもしれないのでございますが、審議会のことは、林会長から申しましたので、私は審議会委員の一人といたしまして考えていることを、お聞きいただけましたら、ありがたいと思います。
 私どもは三十有余年間、看護婦という名前一つで働いて参りましたが、今までには甲乙どころでなく、甲乙丙丁というように、五種類も、六種類もの養成過程を経た者が、一つの看護婦という名称で働いており、その給與の問題につきましても、それぞれの経歴、それから実際に監督指導にあるところのお医者さんであるとか、経営者の人たちの認めるところによつて給與されておつたのでありまするけれども、この新しい法律で甲と乙と二種類にしたというところに、私は非常な問題が起きて来るのだと思つております。
 先ほど来、審議会の私どもといたしましては、既得権者は保護されておる、認められておるのだということを申しますし、陳情せられておる方々は、差別されておる既得権を認められるべきだということでございますし、それから金子先生は、それは違うというような三つの御意見がございましたが、私は新しくこの法律ができます当初から、甲はこういう養成過程を経て甲の資格をもらい、乙はこういう過程を経てもらう。しかし既得権者はどこまでも既得権者として、業務の上においても少しも不安を、持つものではないということを確信しておりまして、皆さんが差別々々とおつしやるけれども、それは考えていない。なぜならば、法文には、既得権者が甲種の国家試験を受けなければならないというような、義務づけられたものは何もございません。どこまでも新しい看護婦のあり方というものが要請されて、養成所の制度の改革でございますとか、教育のあり方が検討されて参りましたし、また国が要求されるよい看護婦、高い程度の看護婦にならなければならないし、またよい看護婦になりたいのでございますから、よりよい、より高い看護婦の制度ができるということは、喜ぶべきことでございます。そのために、私ども既得権者が受けなければ、お前は看護婦として低くすると言われたならば、私などは憤然と反対をしたいはずでございますが、法文のどこを見ましても、少しもない。ただ先ほど恩典だという意味のことを言われましたが私は恩典というほどにも思いませんが、とにかく既得権者の人たちが、自分は経験も積んでおるし、相当だと思うけれども、新しく養成されて来た人たちに比べてどうであろうか、また私は古くなり過ぎておりはしないだろうか、また若い人の場合には、自分は看護婦の資格はとつたけれども、はたして現在認められておる看護婦のような力を備えておるだろうかというふうに、自分の職業に対する自信を高め、あるいは自覚をするために、試験を受けたいと思つたときに、既得権者は養成の過程のいかんにかかわらず、受けることができるという点は、確かによいと思います。また一方に、皆さんの反対するところの、既得権が侵されるという点は、これは別の方法で幾らでも――資格のある人たちが、新しい高いものができたから低くなるというような、たとえば給與の面なんかにおきましても、従来給與というものは、その人の経歴であるとか、その資格を得るに至つたところの養成過程というものが考慮されており、また勤務年限というようなことにもよるのでございますから、ある場合は、非常に初任給が低かつたために、相当勤務年限の古い婦長さんの方が、新しく出た人たちより割の惡いということは、間々ございましようけれども、一面には、自分たちの仲間の看護婦が高くなるという点において、私は何と申しますか、ひがむべきではないというような考え方で、国家試験というものは受けて、そして甲になる。しかし受けなければならないというように、義務づけられてはいないという、確信を持つておるのでありますから、いいと思つております。ただ先ほど金子先生が、偉い者が出れば何となしに低められるとおつしやいましたが、私どもは、学士の先生が博士に比べて信頼ができないというような心理のあることを、今日勉強いたしました。先ほどから審議会会長の林先生のおつしやるように、審議会り結論は出ていませんので、今日以後におきまして、そういう心理過程を研究いたしますが、これからの研究の結果は別といたしまして、私といたしましては、既得権者は、甲の国家試験を受けなければならないとは義務づけられておらないから、やはり看護婦が向上するという意味合いにおいて、国家試験はあるべきだと思います。国家試験を受けないからといつて、別の面で不利にならぬように、審議会としては十分検討しておるのでございます。
 もう一つつけ加えさせていただくなら、問題は甲乙三種あるということか間違いだと思います。看護婦は、学歴があり、知識がある者が甲であり、それに足りない者が乙と言いますけれども、一旦病人を看護いたします場合、あるいは保健指導をいたします場合、その人の学歴であるとか、そういうものは、大切な要素ではございまするが、人に奉仕するところの精神があるかないか、あるいは看護という職業にどういう意味合いで自分が携わつておるかという、そういう物の考え方で、よい看護婦、惡い看護はきめられるべきでございます。やはり看護婦というものは甲乙二種でなく、一本になつて、甲も乙もなく、従来のように看護婦は看護婦でけつこう、それで甲の看護婦になる人は甲種の養成過程を経なければ看護婦になれない。それから既得権者は、その人が好んで職業についておるが、少しも甲種とかわらないところの業務をやつていることかでき、たまたま自分の力をためすために、向上した限度をはかりたいために、国家試験を受けるならば、道は開かれておるので、これでよいと私は思つております。たいへん粗雑でございますが。
#128
○松谷委員 河村先生の御意見を承らせていただきました中で、御質問申し上げたいことも多々ございます。この問題は非常に重大な問題だと思いますが、とても短かい時間、ここでお互いに討論いたしましても、解決のできる問題ではないと思います。ただ不幸にして私の考えておりますことと、河村先生の考えておられることが、どうも今日お話したところでは平行線で終るのではないか、やはり考えている観点が相違しているものがあるのではないかと思います。ただ私はこれからの非常な問題は、経済競争のはげしい中に、既得権者がどこまで保護されて行くかということが、一番大きい問題だろうと思います。その際に、先ほどの金子先生のお話のように、やはり既得権者というその名前は厳然として存在いたしましても、経済競争の中に省き込まれて行かなければならないような制度を今日つくつてしまつたのでは、大きな誤りではないかと思います。やはり現在のものの上に新しいものかできるということは、そこにどうしても差別かできる、これは金子先生のおつしやる通りだと思うのでございます。その点は、審議会の方でもなお一層深く掘り下げて御審議を重ねていただきたい。また先ほど来陳情も受けましたし、面接委員の方々のところにも、多くの陳情が参つておることと思いますが、そうした全国の八方から十万の看護婦の声を、どうぞ審議会の代表の方方も十二分にごしんしやくくだすつて、全体の師得権者の方々が、より幸福なよい道を築けるように、御審議の経過をお運びいただきたいということを、心からお願いいたしたいと思います。またこの問題は、小委員会もできましたので、委員長にもお願いして、また時機を得まして、早い機会に審議会の方となお懇談をさせていただく機会を持たせていただきたいと思います。それまで私の質問は留保させていただきます。
#129
○福田(昌)委員 先ほどお願い申上げておきましたアメリカの看護婦制度と、アメリカの大衆がこれに対してどういう考えを持つておられるか、お聞きしたいと思います。看護婦さん自体をどういうふうに考えておられるかということだけを、御説明願いたいと思います。時間がおそいので、こういう質問を出すのは、私も考えてのことですが、アメリカのそういう様子は、三は聞かせていただけないと思いますから、お聞かせ願いたいと思います。
#130
○林参考人 私もアメリカには行つて参りましたけれども、御存じのように非常に大急ぎでございまして、ちよつと行つただけでは、全部はつかめないと私は思います。実はこれについて、はつきりアメリカではこうしているというようなことは申し上げられないことと思います。言いますと間違うじやないかと思う点がございますので、私の見ました範囲のことを申し上げさせていただきます。
 ただアメリカも、いろいろな問題を持つております。それから制度も、日本のように国家として法律化しようとしておりますけれども、あの国は大きい国でありますので、州々でそれぞれ違つたものを持つているらしゆうございます。私が参りましたところは、ほんの一部でございまして、これがアメリカの看護婦だと申し上げると間違うじやないかと思いますので、申し上げかねるわけであります。そういうことを前提といたしましてお聞き願いたいと存じます。
 私が参りましたのは、南部の方でございます。そこでどういうふうになつているかということでございますが、大きい病院から小さい病院まで、それこそピンからキリまであるようでございます。しかし看護婦が看護の業務をしているということは確かでございます。私向うの病院で一緒に看護の勤務をいたしました。学校の内容も見て参りました。病院がどういうふうに経営されているかという面は、やはり看護業務に関係がございますので、見て参りました。それから州の、日本で申しますといわゆる国家試験、こういうものがどういうふうに行われているかということも見たのでございますが、これは一州に限ります。その後ニユーヨークに参りまして、ニユーヨークの大きな病院を、長くおられませんでしたのでざつと参観させていただきましたが、これについても、どうなつているかということは、今のような理由で申し上げかねるのです。但し私が見て参りましたところでは、看護婦が看護をしているということは確かであります。と申しますと、おかしいのでございますが、先ほど橋本先生からお話がございましたように、日本では看護婦が実際面として看護しておらない状態でございます。それは一般の看護婦の人たちは、先ほどどなたか委員の方がおつしやつたと思いますが、実際問題としては女中的な仕事をしている。非常に哀れな状態である。女中か何かわからないような存在であるとおつしやいましたが、それは確かにそうでございます。私どもといたしましては、アメリカでは看護婦が一つの職業として確立しているという点は確かだと思います。そうして入院患者が看護婦の看護を全面的に受けているという点を見まして、これはうらやましいと思つて参りました。向うではレジスタード・ナース――RNと申しまして、州の試験を受けて通つた者を正式の看護婦として認めております。そうでなければ看護婦と言わない、こういうふうになつております。しかし病院の実情、あるいはいろいろなことから補助者がおります。それはプラクテイカル・ナースと申しますか、そういつた養成年限のやや少い者であります。それが少いからといつて、その人は決して個人として人格が別に下だというわけでございません。いわゆる看護婦の下だというわけでございません。そこに專門職業家としての看護婦、いわゆるRNというのと、補助者、プラクテイカル・ナースというのと、大体において二通りあるようでございます。ブラクテイカル・ナースに対して、州である一定の試験をしておりますところと、しておらないところとございます。アメリカは、御承知のような自由の国でございますから、必要に応じてそれを制度化して行つてよろしいようになつております。これが看護婦の制度でございます。各病院では、看護婦の業務はこれこれというふうに、ちやんときまつておりまして、入院患者が全面的に看護を受けられる。それからその他の病院の仕事は、ほかの者がしております。看護の專門家としての職業家である看護婦のする業務は、きまつております。付添いは、もちろん家族の付添い、その他の付添いが病院にはおります。これが病院の状態でございます。それから社会に出ました場合に、看護婦が実際に保健指導教育をしておりますので、看護の点は非常に向上していると思うわけであります。私どもとしては、そういつた看護状態を日本にも徐々に実現したいと思つて帰つたわけであります。そうして入院患者の看護、あるいは保健指導なんかが行き届いて行き度すれば、ずいぶん社会が幸福になるのじやないか。理想的で、高邁だと言われますけれども、そういうように考えましてアメリカを見て参りました。御参考までに申し上げましたが、それが全部でないかもしれませんが、私の見ましたところではそういう状態でございます
#131
○福田(昌)委員 どうもありがとうございました。
#132
○寺島委員長 参考人各位に、本委員会を代表いたしまして委員長から一言お礼を申し上げます、
 公私御多忙のところ、わざわざ御出席くださいまして、終始熱心に御討議くださいましたことを感謝いたします。
 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。
    午後四時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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