くにさくロゴ
1950/12/01 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第3号
姉妹サイト
 
1950/12/01 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第3号

#1
第009回国会 厚生委員会 第3号
昭和二十五年十二月一日(金曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 松永 佛骨君 理事 金子與重郎君
   理事 岡  良一君
      高橋  等君    田中  元君
      中川 俊思君    松井 豊吉君
      丸山 直友君    福田 昌子君
      木村  榮君    松谷天光光君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 黒川 武雄君
 出席政府委員
        厚生政務次官  平澤 長吉君
        厚生事務官
        (保險局長)  安田  巖君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (薬務局長)  慶松 一郎君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
十二月一日
 委員林百郎君辞任につき、その補欠として木村
 榮君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月一日
 船員保險法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二一号)
十一月三十日
 外地引揚歯科医師免許に関する請願(大石ヨシ
 エ君紹介)(第一三九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 健康保險法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三号)
 船員保險法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二一号)
 薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)(予)
 毒物及び劇物取締法案(内閣提出第一九号)(
 予)
    ―――――――――――――
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 まず薬事法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法案の両案を一括議題とし、審査に入ります。政府の提案理由の説明を求めます。黒川厚生大臣。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#3
○黒川国務大臣 ただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案について、その提案理由を説明いたします。
 医科器械、歯科材料等の用具、おしろい、クリーム等の化粧品は、その品質いかんによつては、保健衞生上重大な関係がありますので、現行薬事法においては、その製造業者、輸入販売業者及び不良または不正表示の用具、化粧品について取締りを行つているのであります。医薬品につきましては、同法第三十二條及び第三十三條において、基準の制定及び国家検定を行い得る旨の規定により、製造、輸入、販売の取締り、下健、不正表示医薬品の取締りのほかに医薬品による保健衞生の完璧を期している次第であります。用具及び化粧品については、その基準の制定並びに国家検定の法的な措置をとることが困難であるため、今回薬事法の第三十二條及び第三十三條を改正いたしまして、これを行い得るようにすることが必要であると考えるのであります。
 もちろん用具または化粧品であつても、品目によつては必ずしも基準を定め、国家検定を行わなくともさしつかえないものがあると考えられますので、保健衞生上危害を防止する必要のあるとき、これらの最低基準を設け、また最低基準のある用具、化粧品について国家検定を行わんとするものであります。
 なお現行法では用具及び化粧品の販売業者には、公務員が立入り検査を行い得ないことになつておりますが、これらの業者についても立入り検査を行い、検定制度とともに、保健衛生上の万全を期するとともに、財産権尊重の趣旨から、不良の疑いのあるものについて無償で收去する規定を改め、「無償」の字句を削ることが望ましいと考えるのであります。
 以上が薬事法の一部を改正しようとする趣旨であります。何とぞよろしく御審議の上すみやかに可決せられるよう希望いたします。
 次に議題となりました毒物及び劇物取締法案について、その提案の理由を説明いたします。
 青酸カリのような毒性の強いものまたは苛性ソーダのような劇性の強いもの、これらはそれぞれ毒物または劇物として現在その製造業者、輸入業者及び販売業者を対象とする毒物劇物営業取締法が制定されているのであります。しかしながら現行法においては、製造業者、輸入業者は都道府県知事に届け出で、販売業者はその許可を受ければ、営業を行つてよいことになつており、保健衞生上密接な関係を有する毒物及び劇物の貯蔵、陳列等の取扱いの基準がなく、また最近問題となつております四エチル鉛のような毒性の強烈なものについての十分な取扱い規定がないため、毒物劇物の取締上遺憾の点が多いのであります。
 さらに現行法においては、毒物劇物の営業者のみの取締規定であるため、営業者でなくて業務上毒物または劇物を取扱う者は、法の対象外に置かれていたので、工場、事業場から毒物、劇物の横流れが行われ、凶悪な犯罪の手段に用いられる危險が多く、保健衞生上安全を期しがたいように考えるのであります。
 そこで製造業、輸入業については厚生大臣に、販売業については都道府県知事に登録せしめるとともに、一定の期間を限つて登録の更新を行わしめ、登録にあたつては法律で貯蔵取扱いに関する基準を定めて、これに適合するもののみを登録せしめることによつて、常時毒物及び劇物営業者の実態を把握することが必要であります。また営業者以外は毒物の販売授與を禁じ、四エチル鉛のような毒性の強烈な毒物については、その製造、輸入、販売、貯蔵、混入等の技術上の基準を定めへ製造所、営業所、店舗には、薬剤師その他法律で定められた資格を有する事業管理人を置くとともに、毒物劇物の容器被包に詳細な表示を行わしめることによつて、営業者でなくとも一定の毒物、劇物を取扱う者には、貯蔵取扱い、表示に関して、営業者に準じてこの法律による取締りの対象とすることが必要であると考えるのであります。
 以上が毒物及び劇物取締法を制定しようとする理由でありますが、何とぞよろしく御審議の上すみやかに可決せられることを切望いたします。
    ―――――――――――――
#4
○寺島委員長 次に健康保險法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き通告順によつて質疑を許します。岡良一君。
#5
○岡(良)委員 厚生大臣に二、三点お伺いいたしたいと思います。この健康保險法の一部改正法律案、ただいま議題となつておりまするこの改正そのものは、ほんの字句の修正という点でありますが、しかし問題は私は非常に重大であると思うのであります。御存じのように、すでに十月十六日付をもつて、社会保障制度審議会は正式に政府に対して勧告をしておる。その中では、特に医療の保障については大きな重点としてうたつておられますし、また十一月六日の、参議院の厚生委員会における大内会長のお話によりますると、この制度のねらいとするところ、特に医療、保險においては、被保險者の負担を軽からしむると同時に、また医療を担当するものに対しましても、納得の行く報酬を與えることが大きなねらいであるということを、はつきりと主張しておられるのであります。にもかかわらず、今度政府の方では、こうした被保險者の負担を高くする、あるいはまた医師会の方では先般十一月二十五日の官報をもつて、薬治料はこれを引下げるということで、社会保障制度審議会の勧告、あるいは大内会長の主張せられる点とはまつたく逆行しているような方法を講ぜられて保險財政の赤字をしのがれるということになりますると、これは一体政府が社会保障制度というものに対してどの程度の誠意を持つておられるか、あるいは厚生大臣がどの程度の責任を持つておられるかということについて、私ども重大な疑義をはさまざるを得ないのであります。そういう点で、いささかこの改正法律案そのものとは離れまするが、社会保障制度審議会の勧告にまつごうから弓を引くような措置を講ぜられることについて、二、三点お伺いしたいと思うのであります。社会保障制度審議会の勧告に対して、政府の方ではいかなる受入れ態勢を講ぜられるか、その点をまずお伺いいたしたいのであります。
#6
○黒川国務大臣 社会保障制度審議会の勧告を受けましたので、政府といたしましては、関係の閣僚懇談会を設けて、その下に幹事会、内閣に社会保障制度審議会を設けまして、目下極力勧告案について検討中でございます。
#7
○岡(良)委員 懇談会を持たれるということは、新聞でも拜見いたしたのでありますが、私をもつて言わしめれば、いまさら何の懇談会であるかと言いたいのであります。すでに一昨年ワンゲル調査団が社会保障制度に対する勧告を発しておる。しかも社会保障制度審議会は、昨年五月から一年有余にわたつてつぶさに努力を重ねられて、その勧告がなされておるのであります。政府としては、その間の経過なり結論についても、十分御検討のことと思うのでありますが、一体関係閣僚懇談会というものは、いつまでに、どういうふうな手続で成案を出されようとするのか。大内会長のお話によれば、少くとも昭和二十六年にはすつかり手はずを整えて、昭和二十七年にはフルに運転をすべきであるということをもつて、あの社会保障制度審議会の勧告の前文における、すみやかなる実現を要求するということは、そういう意図であるということを言つておられますが、一体関係閣僚懇談会は、どういうような手順で、この社会保障制度のフルの運転に対して、どれだけの具体的な決意を持つておられるか、そのお運びについての構想を承りたい。
#8
○黒川国務大臣 閣僚懇談会についてでございますが、極力検討をいたしまして、早急に勧告の線に沿うて実現したいという熱望を持つております。ただ勧告案につきましても、その実施に移すにつきましては、国の財政関係もありますし、その実現についてのいろいろな方法、手段もございますので、いましばらく御猶予を願いたいと思います。なお厚生省といたしましては、実は来年度の予算は、御承知の通り審議会から研究試案が六月出されましたので、この試案に基いて初めは予算案を作成したのでございます。ところが、やはり国の財政関係その他から御承知のような予算案ができたのでございますが、厚生省といたしましては、一日も早く勧告の線に沿うて実現したいと考えております。
#9
○岡(良)委員 岡崎官房長官の、十一月六日の参議院厚生委員会における御説明明によりますと、関係閣僚懇談会の事務的なものは、簡略して各省の次官が当るということを答弁しておられますが、現在もそのように相なつておるのでありましようか。
#10
○黒川国務大臣 その通りでございます。
#11
○岡(良)委員 社会保障制度審議会の審議の過程において、成案を得るための手続上きわめて大きなチエツクとなつたものは、各省のセクシヨナリズムであるということは、当時しばしば新聞雑誌等に指摘されておつたところであります。かつまたある次官のごときは、この制度審議会の勧告を無視して、総司令部は反対である、あるいは社会主義的であるというふうなことを言つておる次官もある。そういうような次官の諸君によつてこの幹事役、プロモーターが形成されておるということになりますと、関係閣僚懇談会のプロモーターを、そういういわゆる官庁のセクシヨナリズムなり、また社会保障制度そのものに対してきわめて不勉強な諸君、あるいは認識の足りない諸君がその中に立ちまじつてやるということになりますと、おそらく私の想像では、審議会結成以前に逆転してしまうのではないかという懸念を私は非常に感じておるのでありますが、そういう点について、厚生大臣としては自信を持つてやられる御決意があるかどうか、これは国務大臣としてのあなたの政治的信念を伺いたい。
#12
○黒川国務大臣 御承知の通り、私は官僚出身でもございませんし、機構の改革について、国家が認めて、これを最も適当とする機構に改正することにつきましては、私自身としては何らやぶさかなものではございません。
#13
○岡(良)委員 先ほどのお話でありますが、私ども仄聞いたしますると、八月下旬の厚生省省議では、大体この試案要綱にのつとつて、国保についても健保についても、給付費は一般には二割、また結核については五割負担をするということが決定している。私どもも国政視察の旅に出ておるときに新聞でそれを拜見しまして、実はほつとしたのであります。ところが、帰りましたところ、閣議でもつて厚生省のこの御趣旨が全面的に認められなくなつた。事務費だけはどうやら生きているけれども、給付費は全部削られてしまつたというようなことを承知して、私は非常に失望したのでございます。一体閣議においてどういう事情でこれが拒否されたかという点、あるいは大蔵省当局といろいろ御折衝になつた点等を大臣及び局長、次官の方から、その間の経緯について具体的に承りたいと思います。
#14
○黒川国務大臣 お話の通り、来年度の予算につきましては、被用者保險の方の給付も二割国家補助、国民健康保險の方も給付費について二割の補助を受けるという案を立てました。両方を合せまして、金額にして約百億に達するのでございます。その後事務折衝の結果、二割が一割になり、遂に被用者保險の給付費の方はとうてい望めない。それではせめて国民健康保險が今非常に困つておるので、五分でも給付してもらいたいということを、事務当局も私も非常に熱心に折衝いたしました。ところが、ただ事務費において、国民健康保險の方は全額、被用者探險の方は八割、こういうふうに決定になりまして、閣議をもつて、財政上ただいまのところ五分の給付費も困難であるというようなことになりまして、私の主張は通らなかつたのであります。私といたしましては、それではせめて赤字の補填でもしてくれないか、来年度の分だけでよろしいが、まず来年度は赤字の補填をしてくれないかということを主張いたしましたが、それも遂に通らなかつたのであります。御了承願います。
#15
○岡(良)委員 通らなかつた理由は一体どこにあるのかということを、実はお尋ねしたいのです。大内審議会会長のお話によれば、大体あれを全面的にフルにやるとすれば八百五十億いる。このうちで大体社会保障関係の費用として三百五十億出してあるから、五百億ということになるのでありますが、こういう程度のものは、国の財政規模から見ても、また国民所得から見ても、あるいは日本国民の生活の実態から考えてみても、どう考えてみても、これは出し得るのだ、こういうようなことを大内教授などは言つておる。私どもは社会保障制度審議会の会長としてよりも、日本における財政学の権威として大内教授の考えを支持したいのです、また信頼したいのでございますが、一体なぜ大蔵省の方では聞いてくれないのか。その理由は、大臣が納得の行く理由で、聞いてくれなかつたのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
#16
○黒川国務大臣 国の財政事情の理由によつて断わられたのでございます。それから現在の予算案におきましては、そういうことはすべて削られておりますが、そういうことを復活するとか、あるいはまた復活要求をするという点につきましては、これからの閣僚懇談会において熱心に主張いたしまして、幾分でも目的を達したい、せめて来年から幾分でも目的を達成したいという決心をしておるのでございます。
#17
○岡(良)委員 しかしそれにしても、せつかく省議でもつて決定をされ、給付費の負担については予算も通るように決定をされながら、今度保險財政の赤字だということで、逆に保險料率を引上げて、労働者の負担をふやすとか、あるいは医療担当者の薬治料を引下げるということになると、まつたく二月、三月の間に、大臣のお心がうらとはらに行つてしまうというようなかつこうになつておる。先般ある雑誌で、大臣の社会人として、生活人としての心境をお書きになつた随筆を読んで、非常に敬意を表しておるのでありますが、しかしどうも政治的な信念が、社会保障制度について、どの程度にあなたは責任を持つておられるか、誠意を持つておられるかという点を、実は私は疑わざるを得ないのであります。どう見ても、こういうようなことをするということは、これはもう常識上許されないことのように思うのですが、どうですか。そこのところを、はつきりとあなたのお気持をお聞きしたい。
#18
○黒川国務大臣 実際お説の通りであります。社会保障制度審議会の勧告があつたのに、今度保險料率を上げるというのはいかにも矛盾しておるように考えられますが、何を申しましても、この審議会の勧告の線に沿うてどういうふうに進むべきかということが、まだ具体的にきまつておりませんので、とりあえずこういう料率を引上げて、赤字補填という策をこしらえたわけでございますが、一方はまだ先ほど申し上げました通り、本日から薬価の点数を減じまして、そうして被保險者の負担を軽くすることも講じておりますので、それでひとつ差引にして御了承を願いたいと考えるのであります。詳しいことは、ひとつ保險局長からお答え申し上げます。
#19
○岡(良)委員 しかし、それにいたしましても、こうして千分の大十に引上げましても、大体年間十五、六億くらいですが、月々三億以上の赤字になつておるのですから、三十六億以上も赤字だということになると思います。十五億引上げたつて大したことはない。薬治料を一日二剤四点を三点に引下げましたところで、これも一億二、三千万ぐらいに私の計算ではなるのですが、やはりこれは赤字は赤字なんですよ。こういうことをそのときどき糊塗的な便法を講ずるということでは、保險の健全な運営はとうてい期せられないと思う。これは差引と言われますけれども、結局差引にはならぬと思うのですが、その赤字をどうするおつもりなんですか。
#20
○安田政府委員 この料率を千分の五十五から六十に上げまして、お話のように今年度が三億余り、それから来年度が料率の引上げだけのことを考えますと、これもまたお話のように十五億ばかりだと思うのであります。しかし標準報酬が自然に上つて来ることも見込んでおりますので、それらを入れますと、やはり来年度におきましては二十四、五億の増收になるわけでございます。そこで今年度三億で、純粹の赤字が八億ばかりになるのでありますが、それを来年に追い送つて二十六年度の收支を計算いたしますと、今の予定いたしました標準報酬と、ここで御審議願つておりますところの千分の六十に、千分の五だけ上げるということによりまして大体バランスがとれるという計算になるわけであります。とりあえずのところは、二十六年度末までは一応見通しは立つておるわけであります。
 なお薬治料のことでございますが、これは御承知かと思いますけれども、薬の値段がだんだん下つて参りました。それに従いまして、現在の薬治料というものが、薬の原価を基準にした料金になつております関係上、薬の値段が下れば薬治料が下る、こういうような仕組みなのであります。しかし御承知のように、一番下の一剤でありますと二点、その場合薬価が十五円以下ということを言つておるわけでありますが、そういうふうに一番下の方にミニマム・スタンダードがありましてつつかえ棒になつておりますから、現実に下つた実情に照しまして、それを下げた方がよかろうという社会保險の医療協議会の方で答申を得ましたので、それに従つてやつたような次第であります。
#21
○岡(良)委員 安田局長、あるいはまた大臣にお尋ねしたいのだが、なるほど御説明のようなかつこうで、保險の收入と支拂いとのバランスが合う。しかし、これは社会保障というものの根本的な考え方だと思うのですが、セキユリテイーはインシユアランスじやないと思います。これはある意味において富の再分配でしよう。ですから、これは国民の出した税金でその再分配をするのですから、健康の保障をするというのは、これはいわゆる私企業の保險会社の経理の考え方で、あなた方が社会保險を扱われるということになると、これは根本的に違うのではないか。特に社会保障制度審議会が発足して、社会保障に関する勧告を出されておるわけでありますから、セキユリテイーをインシユアランスとして、私企業と同様に保險收入のバランスシートを合せて行こうというような考え方で、あなた方がおられるとすれば、これはまた何をか言わんやだと思います。私は安田保險局長を責めるのではないのですが、あなたのお考え、抱負を聞いておると、そういうふうな感じがするのですが、これは一体そういうふうなお考えなんですか。
#22
○安田政府委員 別に保險屋のようなつもりでおるわけではございませんけれども、やはり社会保障と申しましても、どういう方法によりまして財源を得るかということについては、いろいろ方法があると思います。一般の税で全部とりまして、それをまた国民の医療サービスのような形で出して行くような方法もございましよう、あるいはまた目的税のような形でとる場合もありましよう、あるいは保險料のような形でとる場合もありましよう。しかしすべてを全部税でまかなうというところには、現在の保險制度ではまだ行つておらぬわけでございます。それで、そういうような制度をどうするかということは、社会保障制度審議会の勧告が十月十六日ですかに政府にございましたので、それに従いましてこまかいことをきめて行かなければならぬ。現在といたしましては、そこまで行つておりませんから、とにかく国庫負担も現在ない現状におきましては、私どもといたしましては、今の社会保險、健康保險を運営いたしておりますが、その運営がとまらないように、大きな破綻を来さないように、とりあえずの措置をとる。あとは大臣がただいまたびたびおつしやつたように、根本的な問題を今考えておる、こういうことでございますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
#23
○岡(良)委員 なお薬治料の問題が出ましたので、これは私ども医者がこういうことを言うと、非常に手前みそのようで、非常に遺憾でありますが、御答弁の中にありましたので、一言この際甲させていただきたいのですが、薬治料というものは、私は非常に矛盾したものだと思います。薬治料というものの中には、薬の原価も含まれておりますが、同時に医者の技術に関する報酬が当然やはり含まれておるものだと思うのですが、これは商品じやないと思います。商品を買うために拂う金ではないのであつて、技術に対する報酬がやはり含まれておると思うのです。そうでなければ、大体平均三円五十銭の原価しかしないものを、十五円だとか二十円だとかいうようなことは、言えた義理ではないのです。やはりそこに医者としての技術報酬というものが含まれておるのだと私どもは考えるのです。ところが、それを厚生省の方では、薬の原価が下つたから引下げるのだということを言われるが、そういうことになれば、薬治料というものは医者の技術というものではなくまつたく商品――医療行為というものを一種の商品として考えられるというような考え方のように思うのです。この点われわれ医療に携わつている者としては、やはり相当道義的な責任感を持つて働いておるので、それをそういうふうに取扱われるということが、まず一点非常に残念な次第なんです。それから特に政治的に見ましても、臨時診療報酬調査会等ができまして、技術に対する公正な評価ということについては、厚生省が音頭をとつて、いろいろ民間の諸君を集めて研究中なのです。そのやさきにこの薬治料を引下げられるということは、しかも薬の原価が下つたから引下げるということも、これは第二点として、いわば非常に天くだり的な、非民主的なやり方じやないかと私は思う。それから特に薬の原価ということについて申しましても、朝鮮動乱による特殊需要というものは、これはもう内地の必要とする薬品に対して殺到して来ておる。だから、現在薬の原価はどんどん上りつつある。かつては横ばいであり、また下落もしておりました。今年の五月ぐらいまでは一箇月に平均約二割ぐらい下落しておりました。厚生省の統計計でも一割下落しておる。しかし最近はどんどん上つておりまして、硼酸などは二倍になつておるというような状態です。どんどん上つておる。だから、そういうふうに非常に物価変動がはげしい。しかもインフレの方向に向いつつある。国内的にも国際的にもこうした形に向つておるときに、單に薬剤原価が二割下つたからというので薬治料を下げるということは、実際問題としてもふに落ちない。そういう点について、安田保險局長はどう思われるか、承りたいと思います。
#24
○安田政府委員 技術料の問題が出たのでございますが、今の薬治料のきめ方は、仰せのように薬の原価も入つておりますし、技術料も入れたものを薬治料と称しておるのだと思います。それが薬価を基準にしたきめ方に、現実にはなつておるのでありまして、御承知のように、一剤の原価が十五円以下でありましたならば二点で、十五円を増すごとにまた二点ずつ加えるようなことになつております。従いまして、たとえば薬価が従来三十五円ぐらいであつた場合は六十円であつた。それが今度三十五円が二十八円に下れば今度四十八円になるというふうに、自然に、自動的に下がるような仕組みになつておるわけであります。でありますから、その点では、今のきめ方が悪いと仰せになれば、これは別問題でありますけれども、一応なかなかつかみにくいものでありますから、そういう形で技術料を含めて薬治料をきめてある。その今の制度の考え方から行けば、一剤の單価というものが、従来五円何がしだつたものが三円なにがしに下つて来たということになりますと、これは当然下つて来るのが普通の常識じやないかということが、社会保險の医療協議会における主たる理由であつたように思うのであります。次に、現在せつかく臨時診療報酬調査会で標準薬治料というものを調査されておりますから、私どもは医者の標準薬治料そのものに反対するつもりはないのであります。もし薬が下つたにもかかわらず、その薬治料を下げないということになると、逆に医者の技術料の方の幅が広くなつたという意味におきまして、技術料に触れたようなことになるのではないかということも言えるのではないかと考えております。そういう技術料自身をここで問題にするという考えは、毛頭なかつたのでありますから、どうぞ御了承願います。
#25
○岡(良)委員 これはほんとうに手前みそで、一応これで打切りたいと思うのですが、今度大石さんや委員長も行かれるのですから、よく見て来ていただきたいと思うのですが、本年の二月に、カルフオルニア州においては医者の技術料は初診料は四ドル、再診料二ドルということに法律できめております。これはたいへんなものです。至るところ実際医者の技術というものは、高く評価されておるのですから、こういう点はひとつこちらの方からも行つて、よく見て来ていただきたいと思うのです。実際厚生省の方では、薬の値が下つたから薬治料を引下げると言われますが、私どもとしては、こういうみみつちい医者です。残念しごくなんですが、やはり一生懸命やつておるのですから、その辺のところをやはりよく考えてもらわないと非常に困るのであります。しかもこの手続においても、その理由をるる申し述べまして、厚生大臣のお耳へは何度も入れておるはずだと思います。にもかかわらず、一方的にやられるということになりますと、やはり医療担当者の社会保險への協力の気構えにおいて、大きく水をかけられたように実際なる危險があるのでありますから、そういう点は、よほど愼重に御考慮願いたいと思います。
 それは別といたしまして、こういうようなわけで、先ほど来るるお話を承つたわけでございますが、第一社会保障制度審議会の勧告の受入れ態勢の関係閣僚懇談会のるいわゆプロモーターが、しかも各省の次官であるというようなことではとうていできつこないと思うのです。やはり黒川厚生大臣が唯一最高の責任者としての国務大臣を兼ねられて、それが指揮して、エキスパートを集めた審議室が、どんどん制度の立法化なり何なりやつて行く、こういうように運ばなければ、百年河清を待つような思いをするのですが、そういうふうに持つて行けないものでしようか、どうですか。
#26
○黒川国務大臣 私にそうしろという各閣僚の希望がありましたら、私は極力やります。さつきおつしやいましたように、いろいろな機構とか、そういう関係がありますので、なかなかそう参らぬのじやないかと思うのです。おそらく林副総理も入つておられますので、どちらにもつかない、公平なる判断ができると私は信じております。
#27
○岡(良)委員 どうも非常にたよりなくて困るのです。それからこれは大臣の御見解を承るのですが、社会保障制度審議会の設置法によると、勧告は政府になすことになつております。しかしこれは、立法の方は国会だと思うのです。だから当然これは、政府にもしていいが、国会にもなさるべきものじやないか。そうすれば国会でも特別委員会か何かをつくつて、やはり政府と大いに協力してやるという体制ができるわけで、これを政府になされるということだけでは、まつたく立法府の面目まるつぶれのかつこうなんだが、この辺のところはどういうものなんでしよう、大臣の御見解を承りたいのです。
#28
○黒川国務大臣 それは審議会の会長にお尋ねいただいた方がよろしくないかと思いますが……。
#29
○岡(良)委員 社会保障制度審議会の設置法では、たしかそうなつているのだが、これは非常に奇怪だと思うのです。しかしこれは委員会の問題でもないから、これ以上申しません。
 そこで結論として申し上げたいのですが、そういう事務的なつじつまを合せるために、この前にも千分の四十五を五十五に引上げた。またぞろ赤字だ、またこれを引上げるということは、この間堤委員が請求しまして、各国の医療保險の労働者の負担を見ますと、大体千分の六十、五十というところなんです。それで日本も千分の六十に上げてもさしつかえなかろう、こういう御議論が出るかもしれませんが、この国は、チエツコ・スロバキアにしても、オーストラリアにしても、イギリスはもとよりのこと、フランスにしても、これは全部最低賃金制がしかれておるのです。人事院の勧告でも、五人世帶のベースは、これはカロリー計算で一万二千円なければ食えないと言つておる。ところが日本は、最高の鉱工業の平均賃金にしても九千円ちよつとです。こういうところで千分の六十ということは、絶対当てはまりませんよ。そういう意味で、千分の六十ということは、非常な負担なんです。しかも社会保障制度審議会の勧告もあつて、保險料率も引下げて、お手やわらかにやろうじやないかということを会長自身が言つておるときに、政府がこういう法案を出されるということは、これは政府のためにも、自由党のためにも、また時代の要請という観点から見ても、まつたく矛盾したことだと思うのです。これはどうです、大臣、この法案を政府として撤回されるという御決意を持つていただきたいのですが、どうですか。
#30
○黒川国務大臣 お説の通り料率を上げるよりもむしろ下げたいのが、気持といたしましてはほんとうでございます。それで早急に社会保障制度審議会の勧告の線に沿うて、対策を講じまして、でき得るならば、今お上げ願つても、またしばらくしてそれを下げるということも、決してそういうことにおきましては、面子にとらわれてどうということは私は考えておりません。
#31
○岡(良)委員 まあいろいろ話は平行線で盡きないので、この程度でやめたいと思いますが、ひとつ重ねて大臣にお願いをしたいのは、あの随筆に見られるあの淡々たる御心境、縁の下の力持ちになるという御心境、あれに裏づけられた政治的勇気をもつて、ぜひともこの社会保障制度の問題に対して、あなたの歴史的な足跡を残すくらいの勇気を持つていただきたいということをお願いして、私の質問をこれで終ります。
#32
○青柳委員 私は本日この問題につきまして、二、三御質問をいたしたいと思います。
 まず第一点は、厚生省御当局は、社会保障制度審議会の審議の途中におきまして、審議の内容をも勘案いたし、来年度の予算要求として健康保險、国民健康保險に対して、国庫から相当額の補助を、医療給付費にもらいたいという要求をせられたのであります。またさらにその後におきまして、社会保障制度審議会の勧告を総理大臣に対してなされたのであります。そこで大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、大臣は、厚生省は主としてこの医療の短期保險を主として管掌しておる役所でございますので、今後厚生省としてなり、あるいはまた社会保障制度の閣僚懇談会なりにおかれまして、なお医療の短期保險につきまして、この給付費に国から金を補助してもらうということにつきまして、今後とも努力をするというお気持になつておられると私は思うのでございます。先ほど岡委員の質問によりまして、来年度の予算においてそういうことが実現しなかつた経緯はわかつたのでございますが、今後大臣はやはり医療給付につきまして国から補助を仰ぐための十分な努力をされる御決意を持つておられるかどうか、その点につきまして承らせていただきとうございます。
#33
○黒川国務大臣 お説の通り、給付費の点につきましても、私の努力がまだ足りなかつたと存じますので、より以上に一層努力する決意でございます。
#34
○青柳委員 一昨日でございましたか、この法案を提出する理由で大臣は申されておるのでありますが、「この改正は、保險制度の趣旨から申しますと、あまり好ましい措置とは考えられないのでありますが」云々とあるのであります。いかにも良心的な、非常に黒川大臣らしい説明の仕方であると私は思うのであります。ここで事務御当局にお尋ねいたしたいのでございますが、やむを得ない措置というまでには、いろいろ考えられたと思うのであります。赤字克服のためには、いろいろな方法があろうと思います。その方法について事務当局は十分な検討をせられまして結論をここに持つて行かれたものであるということが、ここではつきりしておるのでありますが、その経緯につきまして、いろいろ考えられた対策につきましての考え方を、できるだけこまかく御説明をいただきたい。これが本委員会におきまして、本案を審議する一番重要な点であると思うからであります。
#35
○安田政府委員 保險経済の均衡を得るために、料率の引上げをお願いいたしたわけでございますが、これを提案する前に、そのほかの方法について何か考えなかつたかというお話でございます。私どもも保險制度そのものの趣旨から申しまして、料率を上げたり、あるいは保險の給付を制限いたしますことは、本意ではございませんので、その点については、私どもは私どもなりに十分研究をし、勉強いたしたつもりであります。実はこの前も申し上げたのでありますが、社会保險の審議会でこういう重要な問題につきましては御討議願つたわけであります。そのとき、最初やはり料率の引上げは反対だということでもつて、一応否決になつたのであります。否決になりましたけれども、豊しかしこの保險経済の危局を乗り切るのに、ただ否決の上つばなしでは困るというので、いろいろ御相談願つて、むしろ審議会自体で何か名案を考えていただきたいということで、いろいろと御審議つたわけであります。それは第一回の審議会から三日ぐらいおきまして、たしか四日目ぐらいだつたと思うのでありますが、そこでいろいろ御審議願いましたことは、結局国庫負担の問題であるとか、あるいは他の積立金の運用の問題であるとか、あるいは長期の借入れの問題であるとか、あるいはまた普通の保險経済のバランスを合せるために考えられるところの給付面をどうしたら縮減できるかというような問題を、十分研究いたしたのであります。たとえて申しますと、一部負担というような制度をつくつてみたらどうかということであります。一定の額より少いところの医療給付について、本人が持つ。労災保險では、たしか三百円以下のものは自分で持つようになつておつたと思いますけれども、そういうような制度を百円なり、二百円なり、三百円程度のところでつくりまして、それ以下のものは自分で持つというふうにしてみたらどうか。大きい病気になつたら困るけれども、二、三百円程度ならいいじやないかという考え方もあるのであります。そういうことも考えてみたのであります。それから往診療というのが、相当の額になつておりますが、これを一部負担にしたらどうかということも考えたのであります。また医療費について一割なり二割なり、国民健康保險のようなやり方で一部負担をしてみたらどうかということも考えてみたのであります。それから注射というのが大体医療費の三十七、八パーセントを占めておるのでありますが、これを一部負担をさせてみたらどうか。これを一割、二割、三割、四割、五割の場合にどうなるかというようなこと。それから歯科の方に参りまして、歯科に現在補綴と申しまして、金や銀を入れてやるのですが、これが本人については全額給付になつておりますけれども、そういう特殊のものは一部負担をするようにしてみたらどうかというようなこと。それからまた家族給付というのがございます。これは当初はなかつたのですが、戰時中に保險経済が非常に楽になりましたので、ひとつ家族給付もやつてみようということで現在入つて来たのでありまして、当初は料率にこれを見込んでなかつたというようなこともあります。そういう沿革を知つておる者だけは、家族給付をのけたらどうか、のけましたならば、非常なりつばなバランスがとれるのであります。そのほかいろいろ考え得る案を出したのであります。また標準報酬の方にありましても、最低限度が今二千円でありますが、二千円ぐらいで相当たくさんの給付を受けておるわけであります。二千円の掛金に対して、四倍も五倍も現在において給付を受けておるのであります。そういう人は二千円を上げて三千五百円を最低限度にしたり、四千円にしたらどうかということも考えてみたのであります。それらをいろいろ御説明申し上げたのでありますが、結局審議会の人があとからいろいろ考えまして、現在の被保險者の個々の事情から申しますと、かえつてその方が困る、それならばむしろ千分の五十五を千分の五くらい上げた方がまだがまんができはしないか。いろいろ考えました末に、悪いことであるけれども、これが一番影響が少いじやないだろうかということで、この案を通してもらつたわけであります。なおまた社会保障制度審議会にも、この案をかけたわけでありますが一社会保障制度審議会におきましても同様な議論が出まして、岡委員、青柳委員がおつしやつたような議論が出たのであります。しかし結局におきまして、ほかに今すぐ間に合う方法がない。そういたしますと、はなはだ不本意ではあるけれども、この破局を何とか一時糊塗するためにでも、こういう方法はやむを得ぬだろうというような答申を、実はこしらえていただいておるわけであります。これらの審議会の審議の模様及びそれがもたらして参りましたところの答申の内容が、今私の申し上げたことをよく物語つておると存ずるのであります。
    ―――――――――――――
#36
○寺島委員長 ただいま船員保險法等の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりましたので、本案を議題とし、黒川厚生大臣より趣旨の説明をお聞きいたしたいと存じます。黒川厚生大臣。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#37
○黒川国務大臣 ただいま議題となりました船員保險法等の一部を改正する法律案を御審議せられるにあたりまして、本法案の提案の理由を御説明申し上げます。
 今回の改正の主眼とするところは、最近の船員保險事業の実績に徴しまして、船員保險制度の運営の適正化並びに船員保險経済の健全化をはからんとするのでありまして、標準報酬の最低額を適正額まで引上げること、低額年金を増額するごと、最近の傷病給付の実情にかんがみ、これに対する財政の不均衡を是正するため、幾分保險料の引上げをしたことであります。その他厚生年金保險法の関係條文の調整を行うため、改正をいたそうとするのでございます。
 これがこの改正法律案を本国会に提出した理由でありますが、その改正内容の要点につきまして御説明申し上げます。
 第一に、標準報酬でありますが、船員保險における標準報酬は、従来最低二千円を第一級とし、最高二千四百円を第十九級として、十九の段階になつているのでありますが、最近における船員給與の実態に即応せしめるとともに、適正な保險給付と保險経済の安定の資とするため、この最低二千円を当分の間三千五百円として措置するようにいたしました。
 第二に、保險給付の改善でありますが、昭和二十二年十二月前に発生した障害年金及び遺族年金の額は、職務上の事由によるものにつきましては、昭和二十三年九月から五倍にした額で増額支給したのでありますが、今回さらにこれを二倍に引上げ、また職務外の事由による障害年金は、現在まで財政上の理由によつてそのままにしていたのでありますが、今回これも職務上と同様にするため、十倍にした額まで増額して支給し、最近の経済情勢に即応せしめることといたしました。
 次に、船舶が滅失または沈没した際におきまして、被保險者が行方不明となつた場合、三箇月後死亡推定によつて保險給付をする場合の最終標準報酬月額を、その海難のあつた日の属する月の標準報酬月額としました。これは従来解釈によつて死亡推定の原因となつた事故の発生した日の属する月の標準報酬月額として、改正法案と同様の趣旨で運用しているのでありますが、これをこの際明文化いたしまして、法律関係を明瞭にいたした次第であります直
 第三に、保險料率の改正でありますが、最近の経済情勢のもとにおきましては、医療費及び受診率の増加等によりまして、傷病給付に対する費用が著しく増加いたしましたので、保險財政の均衡を保持するため、主として短期保險における保險料率を若干引上げたのであります。すなわち全部給付を受ける者一六%、失業保險金を受けない者一四%、その他任意継続被保險者の資格に関する規定と年金、一時金の受給者に同順位者が二人以上ある場合において、その人数によつて等分して支給する規定につきまして、厚生年金保險法等の規定と同様にいたした次第であります。
 以上、船員保險法等の一部を改正する法律案の内容の要点につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞすみやかに御審議の上可決されるようお願い申し上げる次第でございます。
#38
○寺島委員長 再び健康保險法の一部を改正する法律案について、質疑を続けることにいたします。青柳委員。
#39
○青柳委員 大臣にお尋ねいたします。ただいま保險局長から、健康保險の財政赤字乗切りのために各種の方策を考え、その方策についてごひろうをいただいたのであります。われわれといたしましても、本法案を審議するためには、これらの方策につきまして、なお十分検討しなければならぬと思つておりまするが、結論的に局長も言われましたように、被保險者の側から見た場合には、ただいまいろいろ考えたような方策は、とるべからざるもののように思うという結論のように、ちよつと考えるとなりそうであります。なおこれにつきましては、私どもも愼重に研究いたしたいと思います。そこでお尋ねいたしますが、このほかに方策はある。今まで健康保險の赤字は、昨年が十億、本年は二十八億と予想せられております。この赤字を乘り切るために一つの方策をとつた、それは国庫の歳計剩余金をもつて埋めてもらつて、それでもつてどうやらやつて行つたという方策が残されておるのでございます。この方策をなお続けるといたしますれば、おそらくは来年度の年度末におきましては、赤字五十億ということに相なろうかと思うのでございまするが、その間におきまして、ただいま大臣が言明せられました医療給付費に国の補助金をもらうという策がうまく実を結ぶというようなことになりますれば、この方策もりつぱな一つの方策であり、今までやつた方策でもあるのであります。こういうことにつきましての大臣の御意見を、最後に承らせていただきます。
#40
○黒川国務大臣 先ほどから申し上げました通り、給付費につきましては、来年度の予算案におきましてはひとまず認められなかつたのでございますけれども、今後社会保障制度審議会の勧告に基きましてできました閣僚懇談会におきまして、極力主張いたしまして、何らかの目鼻をつけたい、こう考えておる次第でございます。
#41
○青柳委員 こまかい問題はまだありまするが、その点は保留させていただきまして、本日は私はこの程度で質問を終らせていただきます。
#42
○寺島委員長 金子與重郎君。
#43
○金子委員 大臣はお忙しいようでありますから、簡單に二、三の点を御質問申し上げます。本年度におきまして、大臣が非常にお骨折りになつたにもかかわらず、国保に対する医療給付の二割の予算を要求したが、どうにもならなかつた、結局は事務費の国庫負担に終つたというようなお話を承つておるのでありますが、今度の社会保障制度審議会から出ました案は、單に医療だけでなく、すべての線に向つて非常に厖大な予算を要するような構想になつておりまして、おそらく実行するならば七、八百億以上の金が必要じやないか、こういうふうな問題であり、しかもその後における経緯を伺いましても、まだ何らの目鼻がつきかけておらないというのでありますが、そういたしますると一体その勧告案によりますところの根本的な、憲法二十五條の線による新しい感覚の日本の社会保障制度というものは、一体いつからでき上る見通しでありますか、その見通しがかりについておるとするならば――おそらく来年度なら来年度中にこの見通しがつくということであるならば、健保の料率の問題にいたしましても、ただいまかかりました船員保險の料率にいたしましても、これらのこまかしい法案は根本的に新しいものに打ちかわるのでありますから、今この料率を上げたからといつて、健全な発達を維持できるとも思いませんので、いつそのこと別な方法でこの際これを解決した方がいいのじやないか。また、すぐそれができない、当分審議会の勧告案というものは空文になる見通しがあるということであるならば、この際国保に対しても、健保に対しても、船員保險に対しても、すべての現在行き詰まつておる制度に対しまして、ほんとうに半恒久的に真劍に練り直さなければならない、こういうふうに考えておるのであります。その点に対する政治的なゼスチユアやなんかでなくて、ことに国民全体の人たちが、保險事業が行き詰まつておりますので、この点の見通しを大臣の覚悟を通して御披瀝願いたいと思います。
#44
○黒川国務大臣 先ほども申しました通り、厚生省といたしましての来年度の予算につきましては、社会保障制度審議会の現在の試案に基いて初め立案したということは、先ほど申しました通りであります。その節にも、まず来年度を準備期間といたしまして、来年度はまず結核対策からやつて行こう、二十七年度から本格的に社会保障制度を実施して行きたい、こういう考えでやつておりまして、ただごらんの通りに、予算案におきましては、わずかに結核関係におきまして少し進展することができたということにとどまつておりますが、先ほど来たびたび申し上げましたように、これから勧告について水分検討いたしまして、できるだけすみやかにその線に沿つて実施に移したい、こういう考えであります。どうぞ御了承願いたいと思います。
#45
○金子委員 話が審議会の勧告案に触れましたから、その点について、一、二大臣個人の覚悟でけつこうなのでありますが、それをお伺いしたい。私の考えでは、ああいうふうな勧告案が出ておりますけれども、実際問題といたしまして、国の経済の全面的な立場から見たときに、とうていあれを一気にやつて行くなんということは、日本の国情ではできぬと思うのであります。そこで、審議会の案としては一応出したが、あれを実施する点になりますと、非常な難点が予算的な面から出て来ると思います。そこで来年度は結核からと言いますけれども、結核はむしろ社会保障の本質的なものよりも第二次的な――病気としては第一次的なものでありますけれども、社会保障の国民制度という点から行きますと、第二次的な問題だと思うのでございます。私の考えといたしましては、あらゆる社会保障制度のうち、まず予算の許す限り取上げなければならぬものは、国民の健康に対する保障だと思うのでありまするが、あのたくさんの種目のうち、もし予算に許されないとするならば、大臣はどの点、どの線をまず重点的に取上げられるお考えであるか、その点をお伺いいたしたい。
#46
○黒川国務大臣 結核対策は、社会保障制度の一環でございまして、結核対策に私の初めに予算案として要求しました額がとれますと、自然健康保險にも、国民健康保險にも、それが潤つて参りますので、結局社会保障制度の確立に役立つものであります。それで実は結核を大いに主張したのであります。
#47
○金子委員 ただいまの結核対策が、間接に関係するということはよくわかります。しかし今度の本格的な保障制度の勧告に対して、養老の問題、あるいは失業の問題、あるいは健康の問題がありますが、それらのうち、予算によつて限られるとすれば、均等に仕事をお始めになることが妥当と思われるか、それともその中の健康なら健康の問題をまず重点的に取上げる必要があるか、その取上げ方でございます。私どもの考え方といたしましては、健康の保障ということをまず第一に重点的に取上げるべきではないかと思うのでありますが、大臣はどうお考えになりますか。
#48
○黒川国務大臣 お説の通りでございます。
#49
○金子委員 もう一点お伺いしたい。この社会保障制度審議会の案に対しもて、私は非常な疑問を持つておるのであります。その疑問のことにつきまして、過日の委員会で大内委員長にも申し上げたのでありますし、その後におきましても、審議員の数名の方においでを願いまして、保障制度の内容についていろいろ検討させていただいたのでありまするが、私が一番納得の行かない問題は健康保險につきまして、依然として国保と健保の二筋の系統を立て、国民を被用者と一般国民にわけて、そこに利害関係の違う、いわゆる差別をしておるということであります。今までの保險というものは、国家が保障するという観点に立つた保障制度ではありませんので、その制度の中に、職域別によるその職域の救済的な、あるいは補助的な感覚も多分に盛られて、おのおの別個な歴史的な発展をして参つたのでありますが、しかし今度新しい国家の立場から保障制度を考えて、国民を機会均等に平等に取扱う立場から行きまする保障制度が、しかも被用国民と一般国民というふうなわけ方をしておる理由がどうしてもわからない。その理由を聞きますと、ただ一点なのであります。その理由というのは、現段階において、使われておる社会暦の人たちは、使つておる人たちが半分の保險料を負担するから、それでこういうふうな待遇ができるんだ、一般の人はそれができないんだ、こういう理由以外に、私の知る範囲では何ものもないのであります。ところが私が考えてみまするのに、一般国民というもの――日本では過小農や農山漁村民、あるいは大工、左官というふうな、直接工場や役所に使われておらない社会層の人たちが非常に多いのであります。しかも、これらの人たちの経済状態はと申しますと、使われておる人たちに比べて、生活の安定度がよいとは、絶対に言われないのであります。山の中で炭を焼いて暮しておる人たち、あるいは山村におつて三反百姓をしておる人たちが、はたして使われておる国民に比べてどれだけ生活が安定しているかというならば、逆に被用国民よりも一般国民に属する人たちこそ、何とか保障制度の恩典にあずからせなくちやならぬと思うのであります。しかるにああいうふうな審議会の案ができた。そうしてこのできたことにつきまして、私はどういう理由でできたかということを聞きますと、さいぜん申し上げたごとく、わからないとするならば、おそらくこの結論というものは、今の保障制度をできるだけ問題なくつじつまを合せるように寄せ集めたんだという感が一つ、もう一つは、そうするような結果が出たことは、審議会委員個々の人たちの感覚の問題だと私は想像しておるのであります。なぜ感覚かと申しますと、私はあの審議会委員の方々の名簿によつて、その人たちはどういう生活環境によつて今日人となりをしたかということを調べてみますと、――これは今の大臣ではなく、かつての大臣がきめたものでありまするけれども、あるいは議会が一部きめたのでありますけれども、それらの人たちのほとんど九九%というものは、サラリーをもつて人となりをした人たちで構成しておるのであります。あの審議委員の中で、みずから農民と一緒にくわをとつて生活の根拠とした人もない、みずから商人となつて暮した人もなければ、炭燒きをして暮した人もないのであります。そうして被用国民としての生活態度を、自分の生活感覚に持つておるのであります。その意識が働くからして、私どもがこの案を見ますると、むしろ憤懣を感ずる程度にまで考えるのでありますけれども、あのサラリーマンの人たちから考えれば、あれは憤懣にはならないのであります。そういうふうな点から考えましたときに、どういうことがあろうとも、今度国家が保障するというならば、百姓だから、くわとる農民だから、あるいはハンマーとる労働者だから、あるいはかまを持つ労働者だからというて、差別をつけるべきじやない。しかも一方の被用者は、国家の保障制度のほかに、休んでも給與はもらえる、あるいは何箇月間は給與をくれる、手当をくれるというふうな、特別な一つの契約上の給與があるのであります。しかるにほかの一般国民は、百姓にいたしましても炭燒きにいたしましても、魚をとる漁師にいたしましても、それらの人たちは、自分の病気で休んだあくる日から一銭の收入もないのであります。工場に勤めておる人たちは、保險にあずかれると同時に、一定の俸給はもらえるのでありますが、たんぼや山で生産する人たちは、休んだ時から同時に無收入なのであります。にもかかわらず、国家の社会保障の面からいつて、この給與が低い、恩典が低いということは、どう考えても私は納得できない。この保障制度は、なるほど日本の医療に対する権威ある人たち数人が集まつて審議したかしれないけれども、これがはたして正しいか正しくないかということに対して、私は最近農林漁村関係の団体の人たちを糾合いたしまして、この問題に対して特に考えてみた。決して我ではない。今までの政治のあり方として、こういうふうなものをつくるにいたしましても、結局結集がよくて、それが政治力になつて、強かつた人たちが勝つておるんだ。そうして黙つて田畑に働いておる社会層の人たちが、いつもしわ寄せを食つている。その点で今研究会をつくらせておるのでありますが、そういう点から行きまして、今度の社会保障制度を、今審議中だ、まだ相談中だということでありますので、私は特にこの点に対してこういうふうな私の考えを述べまして、これに対する大臣の考え方をお伺いしたいのであります。
#50
○黒川国務大臣 ただいま、はなただけつこうなお説を伺いまして、大いに私のこれからの勉強の資にしたいと思います。ところでそのうち、たびたび申し上げますように、来年度の予算につきましても、実は初めは孤児あるいは遺族の年金というようなことも計画したのであります。数字も孤児、遺族に対して四十億くらいの額を計上して、御趣旨に沿う方に持つて行つたのでありますけれども、ただいまのところ、それも認められないでいる次第であります。
#51
○金子委員 最後に簡單に今日かかつておりますところの保險の問題につきまして、御相談的な話でありますが、ごらんの通りこの委員会は非常になごやかで、厚生大臣の人格の通りの委員会であります。自由党さんはどの委員会でも絶対多数で、数で押すのでありますが、厚生委員会だけはそういうことはあまりやりませんで、いつもなごやかなうちに、與野党の差別がわからない程度に、今日まで二年有余審議して参つたのであります。そこでこの法案をつぶすというようなことは困ることだ、しかしながら目の前に社会保障の問題がかかつておりまするがゆえに、むしろこの委員会の人たちが先達になつて、との人たちで議会中の人たちの調印をもらい、このくらいの金は今年出せということを決議いたしまして、当局にかわつて努力したならば、安田さんの気持もよくわかるし、非常に好ましい結果が出るのじやないか。窮余の策として今年こういう臨時の予算措置をとつたのだから、次の社会保障制度を早く急がなければならぬということにもなりますので、法案をつぶすというのではなくて、これにかわるべき予算をとる方法について、国会議員の全部で相談ができたならば、おそらく私は、できるのではないかと思うのでございます。自由党の方々とわれわれが一緒になつて、国会議員の四百何人か全部の調印をもらつて決議したら、このくらいの予算は、そう多額のものではないのですから、できるのではないかということを私は考えておるのです。大臣はどうでございますか。
#52
○黒川国務大臣 十分検討させていただきます。
#53
○寺島委員長 次に健康保險法の一部を改正する法律案に関する黒川大臣に対する質疑の分について、福田昌子君の発言を許します。
#54
○福田(昌)委員 大臣にお尋ねいたしたいのです。失礼な質問になるかとも思いますが、社会保障制度閣僚懇談会というものの責任はだれであるかということと、それからその運営でありまするが、今日まで何回ぐらい会議が開かれて、どういうことが研究されたかということと、第三点としては、大衆は社会保障制度の確立ということを非常に急いでおりまするが、この懇談会というものは一体いつごろ結論をお出しになる予定であるかということ、第四点は、この懇談会というものと二十六年度の予算とはどういう関連があるか、二十六年度の予算的措置において、ある程度の影響力を持つものであるかどうか、そういつた点を承りたいと思います。
#55
○黒川国務大臣 懇談会の主任は、林副総理が当られることになつております。懇談会は数回開きまして、全般にわたつて研究いたしました。それから早急に結論を出しまして、来年度の予算に対して変更を生じました場合には、新しい予算の要求をいたしたい、こう考えております。
#56
○福田(昌)委員 私、大臣が内閣でおとりになつておりまする社会保障制度に対しまする態度、ことに社会保險に対しまするお考えというものを承つておりますると、一向社会保障という保障の精神によつていないという気がするのでございます。いやしくも社会保障という名がつけられました以上は、社会保險に対しましても、もう少し保障の精神を生かすべきだと思います。今日内閣でお考えになつておる社会保保障というものが、社会保險と社会福祉の寄せ集めであるということに盡きるならば、あえて社会保障制度などという看板をかけるのは、一国民に対してのはなはだしい欺瞞政策であるといわなければならないと思うのであります。従つて私は、社会保險に対して大臣は社会保障の精神をどの程度に生かすおつもりであるか、また社会保障という精神を生かすためには、どういうことをしなければならないと思われるかということをお伺いしたいと思います。
#57
○黒川国務大臣 先ほどから私いろいろ申しておりますから、おわかりのことと思います。
#58
○福田(昌)委員 わかつているように思うのでありますが、わからないところもありますので、はつきり承りたいと思います。
#59
○寺島委員長 本日はこの程度にて散会いたします。次会は明日午後一時より開会いたします。
    午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト