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1950/12/08 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第7号
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1950/12/08 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第7号

#1
第009回国会 厚生委員会 第7号
昭和二十五年十二月八日(金曜日)
    午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 丸山 直友君 理事 金子與重郎君
      田中  元君    中川 俊思君
      畠山 鶴吉君    松井 豊吉君
      松永 佛骨君    亘  四郎君
      松本六太郎君    松谷天光光君
 出席政府委員
        厚生政務次官  平澤 長吉君
        厚生事務官
        (薬務局長)  慶松 一郎君
 委員外の出席者
        参議院議員   山下 義信君
        参議院参事
        (法制局第一部
        長)      今枝 常男君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
十二月七日
 委員池見茂隆君、船越弘君、松田鐡藏君、亘四
 郎君及び高田富之君辞任につき、その補欠とし
 て首藤新八君、岡崎勝男君、渡邊良夫君、野村
 專太郎君、及び林百郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同月八日
 委員岡崎勝男君及び野村專太郎君辞任につき、
 その補欠として畠山鶴吉君及び亘四郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 理事松永佛骨君の補欠として丸山直友君が理事
 に当選した。
    ―――――――――――――
十二月七日
 旅館業法の一部を改正する法律案(参議院提出、
 参法第二号)
 毒物及び劇物取締法案(内閣提出第一九号)(
 参議院送付)
同月八日
 薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)(参議院送付)
 毒物及び劇物取締法案(内閣提出第一九号)(
 参議院送付)
 旅館業法の一部を改正する法律案(参議院提出、
 参法第二号)
  請願
 一 遺族援護強化に関する(請願池見茂隆君紹
   介)(第三三号)
 二 同(木村俊夫君紹介)(第七七号)
 三 国民健康保険に対する給付費国庫負担の請
   願(田中重彌君紹介)(第三四号)
 四 人口動態調査事務費全額国庫負担の請願(
   岡田五郎君紹介)(第五五号)
 五 医薬分業反対の請願(若林義孝君外一名紹
   介)(第五六号)
 六 医療法の一部改正に関する請願(玉置信一
   君紹介)(第五七号)
 七 理容師法の一部改正に関する請願(山崎岩
   男君外一名紹介)(第七四号)
 八 看護婦養成所に対する国庫補助の請願(山
   崎岩男君外一名紹介)(第七六号)
 九 外地引揚歯科医師免許に関する請願(大石
   ヨシエ君紹介)(第一三九号)
一〇 国立療養所天竜荘に断層写真機設置の請願
   (足立篤郎君紹介)(第二一四号)
一二 療養所における病床回転の根本対策に関す
   る請願(福田昌子君紹介)(第二一六号)
一三 看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試
   験免除に関する請願(寺島隆太郎君紹介)
   (第二一七号)
一四 同外一件(大石ヨシエ君紹介)(第二一八
   号)
一五 同(橘直治君紹介)(第二二〇号)
一六 同(林百郎君紹介)(第三〇六号)
一七 同(柄澤登志子君紹介)(第三〇七号)
一八 同(福田昌子君紹介)(第三〇八号)
一九 同(松谷天光光君紹介)(第三〇九号)
二〇 遺族年金支給に関する請願外二十一件(高
   橋等君紹介)(第二二一号)
二一 看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試
   験免除に関する請願(岡良一君紹介)(第
   三四〇号)
二二 同(門脇勝太郎君紹介)(第三八〇号)
二三 同(大石武一君紹介)(第三八一号)
二四 国民健康保険に対する給付費国庫負担の請
   願(坂田英一君外一名紹介)(第三四一
   号)
二五 日南海岸国立公園指定の請願外二件(田中
   不破三君紹介)(第三八二号)
二六 遺族援護強化に関する請願(川野芳滿君紹
   介)(第三八三号)
二七 一般保健婦の身分保障に関する請願(福田
   昌子君紹介)(第四一四号)
二八 社会保障制度確立に関する請願(青柳一郎
   君紹介)(第四四八号)
二九 宮城県に結核対策模範地域設定の請願(庄
   司一郎君外一名紹介)(第四四九号)
三〇 看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試
   験免除に関する請願(高橋等君紹介)(第
   四九〇号)
三一 同(中川俊思君紹介)(第四九一号)
三二 乳幼児保育施設の増設に関する請願(林百
   郎君紹介)(第四九二号)
三三 高松療あけ渡しに伴う住宅建設費国庫補助
   の請願(小峯柳多君紹介)(第五〇〇号)
三四 神谷町地内に保育所設置に関する請願(林
   百郎君紹介)(第五〇四号)
三五 保育所措置費増額の請願(林百郎君紹介)
   (第五〇五号)
三六 更生資金復元に関する請願(柄澤登志子君
   紹介)(第五二八号)
三七 らい研究所の設立等に関する請願(丸山直
   友君紹介)(第五三一号)
  陳情書
 一 国民健康保険の危機打開に関する陳情書(
   滋賀県医師会長関西医師連盟委員長小林清
   祐)(第八号)
 二 外地引揚歯科医師の免許に関する陳情書外
   一件(新潟市三輪崎四百六十八番地大野喜
   三平外七名)(第一八号)
 三 人口動態調査費全額国庫負担の陳情書(山
   形市役所内鈴木重屹)(第二四号)
 四 同(滋賀県長浜市長加田桂三)(第二七
   号)
 五 遺族福祉に関する陳情書(津市三重県議会
   議長矢野九三)(第五四号)
 六 医薬分業反対の陳情書(千葉市千葉郡医師
   会会長椎名泰三)(第五五号)
 七 医薬品製造業登録の一部権限委譲に関する
   陳情書(仙台市宮城県知事佐々木家寿治)
   (第五六号)
 八 国民健康保険に対する補助金増額の陳情書
   (新潟市新潟県議会議長児玉竜太郎)(第
   五八号)
 九 社会保障制度研究試案に関する陳情書(高
   松市天神前香川県労働者災害補償審査会会
   長須崎正義)(第七九号)
一〇 公的医療機関整備拡充に対する国庫補助の
   陳情書(仙台市宮城県知事佐々木家寿治)
   (第八二号)
一一 伝染病予防注射等全額国庫負担の陳情書(
   東京都議会議長石原永明外九名)(第九六
   号)
一二 市町村の伝染病院、隔離病舎等の施設費国
   庫負担に関する陳情書(東京都議会議長石
   原永明外九名)(第九八号)
一三 無医村に国民健康保險直営診療所設置の陳
   情書(東京都議会議長石原永明外九名)(
   第九九号)
一四 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書
   (東京都議会議長石原永明)(第一〇〇号)
一五 同(長野県下伊那郡阿南地方村議会議員会
   長牧島忠夫外九名)(第一〇五号)
一六 らい療養所病床増設に関する陳情書(仙台
   市東北七県自治協議会長佐々木家寿治)(
   第一一六号)
一七 看護婦養成所に対する国庫補助の陳情書(
   関西経済同友会代表幹事大原総一郎外一
   名)(第一一八号)
一八 はり、きゆう、あん摩、マツサージを健康
   保險扱いとする陳情書(神奈川はり、きゆ
   う、あん摩、マッサージ師会柏木文治)(
   第一四二号)
一九 保健所支所設置費国庫補助の陳情書(鹿児
   島市鹿児島県議会議長増田靜)(第一四九号)
二〇 鹿児島県下南薩地区に国立療養所設置の陳
   情書(鹿児島市鹿児島県議会議長増田静)
   (第一五〇号)
二一 児童福祉法実施に関する国庫補助制度確立
   の陳情書(神奈川県社会福祉協会理事長梅
   崎英雄外十二名)(第一八三号)
二二 遺族援護に関する陳情書(東京都千代田区
   三年町一番地日本遺族厚生連盟会長長島銀
   蔵)(第一九〇号)
二三 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書
   (長野県庁保險課内長野県国民健康保險団
   体連合理事長市川湊)(第二二五号)
二四 公的医療機関整備拡充に対する国庫補助の
   陳情書(宮崎市原公会堂宮崎県医師会会長
   平島今朝義)(第二三九号)
二五 同(福井市福井県医会長林一治)(第二五
   五号)
二六 社会保障制度確立に関する陳情書(仙台市
   宮城県議会議長椛沢敬之助)(第三六三号)
二七 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書
   (長野県国民健康保險団体連合会理事長市
   川湊)(第二六五号)
二八 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書
   (盛岡市岩手県町村会長北山愛郎)(第二八四号)
二九 国立療養所に入所中の生活扶助受給者の救
   護に関する陳情書(札幌市札幌市議会議長
   福島利雄)(第二八八号)
三〇 国立阿久根療養所増床拡張に関する陳情書
   (鹿児島市鹿児島県議会議長増田静)(第
   三〇五号)
三一 新宿御えんにプール建設計画反対の陳情書
   外一件(東京都公国緑地協会理事長北村徳
   太郎外一名)(第三一二号)
三二 国民健康保險に対する補助金増額の陳情書
   外一件(富山県国民健康保險団体連合会理
   事長高原耕造外四名)(第三一六号)
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事の松永佛骨君が理事の辞任を申し出られておりますので、これを許し、その補欠選任について、委員長より指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○寺島委員長 御異議なしと認め、丸山直友君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○寺島委員長 次に、請願の審査に入ります。日程第三二及び第三四ないし第三六の各請願を議題といたします。
 これらの各請願の取扱いにつきしましては、紹介議員が見えませんので、紹介説明、政府の意見聽取、質疑等を省略し、内容は文書表によつて御了解願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
#5
○寺島委員長 御異議なければさよう決定いたします。
 本日の請願日程中、一応審査を終了いたしました各請願の採決をいたします。日程第一ないし第四第六ないし第八、第一○ないし第三七の各請願につきましては、いずれもその趣旨を適当なるものと認め、議院において採択の上、内閣に送付すべきものとし、日程第九の請願は、立法的措置についての請願でありますので、議院において採択すべきものと決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○寺島委員長 御異議なしと認め、さように決します。
    ―――――――――――――
#7
○寺島委員長 次に、本日の陳情書日程の審査入ります。
 これらの陳情書につきましては、その内容の大部分が、昨日審査いたしました各請願とおおむね類似のものでありますから、その説明と政府の意見聽取、質疑等の手続を省略し。内容は文書表で御了解願うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○寺島委員長 御異議なしと認めます。それでは本日の陳情書日程第一ないし第三二の各陳情書は、いずれも委員会において了承ということにいたしますから、さよう御了承願います。
    ―――――――――――――
#9
○寺島委員長 次に、旅館業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。まず提案者より趣旨の説明を聽取いたしたいと存じます。提案者参議院厚生委員長山下義信君。
    ―――――――――――――
#10
○山下参議院厚生委員長 ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明させていただきます。
 現行旅館業法は、旅館業の経営が、公衆衛生の見地から支障なく行われることを、目途とするものでありますが、最近の社会情勢から考えますとき、單に公衆衛生の見地からの取締りのみでは、道徳的社会秩序を乱すがごとき業態の生ずるおそれが多分にありましてまたこれを防止することができないのであります。すなわち旅館の業態が、その付近の社会人心に逆行し、道義的安全感を脅かすようなおそれのある場合に、これを行政措置によつて防止し得る法律的根拠を欠いておるのであります。
 そこで旅館業法は、單に公衆衛生の見地からのみならず、公衆道徳の見地からも、旅館に対して必要な取締りを行い、その経営を真に公共の福祉に適合させることを目的とするものにする必要がありますので、本法の目的について、さような改正をしたのであります。しかして本法の目的の改正に従いまして、営業の許可に関しましても、公衆道徳の見地からも、適否を考慮検討せらるべきことは当然であります。すなわち従来都道府県知事は、旅館営業の設置場所、または構造設備が、公衆衛生上不適当であると認めるときは、許可を与へないことができるのでありますが、今回これを、公衆道徳上、すなわち道徳的社会秩序の上から不適当であると認めましたときも、許可を与えないことができるように改定しまして、正当の理由なしに社会の希望を無視し、社会の道義的安全感を脅かすごときおそれのある旅館経営がなされようとするときは、これを未然に防止し得るの道を開こうとするものであります。
 なお従来この許可に関しましては、許可、不許可のいずれかの措置をとらねばならなかつたのでありますが、今回新たに条件付許可制を認めまして、公衆衛生または公衆道徳の保持のために、必要な条件を付しまして許可を与えることができるようにしたのであります。またすでに旅館を経営する者が、爾後において営業の態様または施設の変更をしたために、その営業が施設の設置場所の附近の状況に照して、公衆衛生上または公衆道徳上不適当となつた場合に、都道府県知事は、営業者に対して、公衆衛生または公衆道徳保持のために必要な命令をすることができるようにしまして、営業者の責任に帰すべき事情変化により、公衆衛生または公衆道徳を害するごとき事態が生じたとき、これを改善防止し得る行政措置の道を開いたのであります。
 右の諸点が、改正の主要な点でありますが、右の改正に伴いまして付随的に改正整備を必要とする二、三の条項があります。すなわち当該吏員の立入り検査、営業の許可の取消し、営業の停止処分等の条項において、それぞれ必要な改正をいたしたのであります。
 以上が旅館業法の一部を改正しようとする理由でありますが、何とぞよろしく御審議の上、すみやかに可決せられるよう希望いたします。
#11
○寺島委員長 次に本案について質疑の通告がございますので、これを通告順に許します。青柳一郎君。
#12
○青柳委員 本法案のねらいとするところは、非常にけつこうでございまして、私ども非常に賛意を表するのでございますが、提案者に承りたい点は、旅館が、公衆道徳の見地から見まして、悪いというような判定をするのは、現実にはどこがするのでございましようか。その監督権はどこに属するものであるか、その点について、まずお伺いいたしたいと思います。
#13
○山下参議院厚生委員長 営業願いをいたしまするのは、御承知のように、都道府県知事にいたすのでございまして、従いまして当該府県知事は、その願いに対しまして、調査をいたします。また事後の営業の態様につきましても、都道府県知事が、ただいま御質疑がありましたような点に対しまして、その判定をする、そのようなことに相なつております次第でございます。
#14
○青柳委員 ただいまの点でございますが、そういう知事の権限を監督する中央官庁というものにつきましては、どこをお考えになつておりますか。
#15
○山下参議院厚生委員長 公衆衛生に関しまするすべての事項に関しましては、厚生大臣が、すべて指揮監督いたしておる次第でございます。
#16
○青柳委員 公衆衛生の点は、よくわかるのでございますが、今回新たに加わりました公衆道徳の見地から行う、取締りも、厚生大臣が監督するというお考えでございましようか。
#17
○山下参議院厚生委員長 御指摘の点は、ごもつともでございまして、私どもの方といたしましても、若干この点考慮いたしたのでございますが、公衆衛生に関しまする行政責任ということになつておりますので、公衆衛生に関するという中には、公衆道徳についての考慮もあわせて公衆衛生に関するものであるという範疇に一応入れて考えてみてもいいのではあるまいか、かように考えておるような次第でございます。
#18
○青柳委員 法文にあります公衆道徳上の取締りを広く解釈いたしまして、厚生大臣の権限として、公衆衛生に関するという点から、やはり厚生大臣をして監督させよう、こういうおつもりであることは、よくわかつたのでありますが、なお私といたしましては、この点は研究させていただきたいと存じます。
 次に伺いたい点は、旅館は、これによつて取締られますが、旅館以外のあるいは喫茶店であるとかいうものについて同じような弊害が起る場合があると思いますが、それらに関しましての取締りに関しましては、いかにお考えになつておられましようか。
#19
○山下参議院厚生委員長 ただいま御指摘の点は、まことにごもつともでございまして、私どもも、單に旅館業法の改正のみをもちましては、ここに提案理由に申し上げましたような希望を、十分全面的に貫徹し得ないのではあるまいかという心配もございまして、御指摘のように、料理店あるいは喫茶店、カフエー等の風俗営業取締法に関連いたしまする法律におきましても、しさいに御検討を願いまして、もし風格営業取締法の上におきましても、同様の趣旨が現行法で運営せられますれば、申し分はないのでございます。もしその点に若干でも本改正案のような趣旨を現行法の上に取入れる必要がありと考えられまして、その方面につきましても、完璧を期し得られますれば、まことにけつこうに考えられるのでございます。一応風俗営業取締法は、私ども厚生委員会の所管でもございませんでした関係上、とりあえず私どもの所管でございまする旅館業法の上で、ことに青柳委員よく御承知のごとく、旅館の名目をもちまして、ややもすると風俗取締り営業に類似したことをいたします弊害を除去いたしたいという考えをもちまして、一応私どもといたしましては、旅館業法の改正案を提案いたした次第でございます。
#20
○青柳委員 次に伺いたい点は、これは事務当局に伺いたいのでございますが、旅館を許可する権能は、旅館業法によつて府県知事に与えられております。その許可を行う際には、当然行政行為として条件をつけ得ると、私は従前から思つておつたのでございますが、それにもかかわらず、第三条に第三項を加えられまして、はつきりとここに条件を付することができるようになりました理由を承りたいと思います。
#21
○今枝参議院法制局参事 ただいまの御質問の点につきまして、お答え申し上げます。まことに、ごもつともな御疑問でございます。私どもも、一般に行政行為について条件を付し得るということは、当然のことと思つております。従つて、その限度におきましては、この第三条の第三項を加えました点は、当然のことを規定いたしことになるのでございますが、ただこの条件につきましては、あとでその条件に違反しました場合に、たとえば営業の取消しとか停止といつたような効果を付与したい、こういう意味もございまして、そういう効果を与えるための条件として、特にここに規定いたしたいという趣旨で、規定いたした次第でございます。従つて、その他の点につきまして、当然条件が付し得ることにつきまして、特に問題を出した、こういう趣旨ではないのでありまして、条件は一般に当然に付し得る、こういうように考えておるのでございます。
#22
○青柳委員 第八条に「第三条第三項の条件」というものをつけ加える必要があるので、この第三条の三項を置くというお話でございますが、それは条件の内容に第八条に関するようなことも置くようになると思うのでございまするが、その点重ねてお尋ねをいたします。
#23
○今枝参議院法制局参事 ただいまのお尋ねの趣旨は、条件そのものにそのようなことを定めておけばよくはなかろうか、こういう御趣旨の御質問かと思いますが、ただこの場合には事柄の重要性にかんがみまして、そういう条件の場合に、そういうことを一々定めませんでも、当然法律効果といたしましてそういう効果が出ますように、その点をはつきりいたそう、こういう趣旨で、規定いたしたのであります。
#24
○青柳委員 しからば重ねてお尋ねいたしますが、こういう種類の法制は、ひとり旅館業法ばかりでなく、他の法制にも出て来ると思うのでございます。その際に、一々こういうふうに親切、丁寧な条文を置く必要がある、こう考えられましようか。
#25
○今枝参議院法制局参事 これは事柄の性質によりまして、あるいはそのように置く方が適当な場合もあるかと存じます。ただこの場合におきましては、必ずこの条件の場合にはそういつた効果を持たせたい、事の性質上、特に条文でそういうことを言いませんでも、必ずそういう効果が伴うようにいたしたい、こういう特殊の趣旨から特に規定いたしたのでございます。
#26
○青柳委員 旅館業法のみにこういう――あるいはほかにもあるかもしれませんが、こういう条文を置くということになりますと、他の法制でも今後前例にもなる。こういうふうに書き上げなければならぬということになりますが、この点につきまして、くどいようですが、重ねてお尋ねいたします。
#27
○今枝参議院法制局参事 これは必ずそういうことを書き上げなければならないという趣旨まで考えたのではありませんで、この場合の事案におきましては、当然そういう考えができるようにした方が適当であろう、こういう考えから規定いたしたわけでございます。従いまして、他の場合におきましても、法律上当然にそういう効果を伴わせた方が適当だと思われるような場合におきましては、こういう規定を置く方が適当な場合も出て来るのではなかろうか、このように考えられるのであります。
#28
○青柳委員 ただいまの点は意見の対立になりますから、その点で打ちやめにして、本日の質問は私はこれで終ります。
#29
○丸山委員 多少重複いたすかもしれませんが、よく私どもにも、のみ込めない点がございますのでお伺いいたします。青柳委員からお話がございましたように、旅館業法と申しまするものが、従来は第一条で、公衆衛生の見地から必要な取締りを行うことを目的としてつくつてあつた法律であつたわけであります。それが今度は、公衆道徳というのがまつたく新しく加わつて来たということになります。それで公衆衛生と公衆道徳でございますが、先ほどの御答弁によりますると、道徳とは、衛生に関するというようなお考えであると思います。私どもが考えておりまする道徳というものの中には、風紀あるいは公共の秩序という問題もあると考えます。また文化あるいは教育というような問題にも密接な関係があるのではないかと、かように考えるのであります。文化及び教育と密接な関係があるとするならば、その限りおいては文部省の所管であろうと考えられますし、風紀または公共の秩序と申しまする点から言いまするならば、これは警察の所管にも関係があることであろうと思うのであります。そういうような公衆衛生と直結するということは、私は少しむりではないかと考えられる。こういうような点までも厚生大臣の所管事項にするということに対して、何ら困るようなことが起らないという御見解でございますか。
#30
○山下参議院厚生委員長 ただいまの御指摘の点は、まことにごもつともでございまして、この公衆道徳上という用語に対しましては、率直に申しまして、御指摘のような問題がひそむわけでございます。従いまして、公衆道徳ということだけに限つて参りますと、もとより行政区分によりまして、厚生省の所管事項でないという点も、御指摘の通りでございます。但しこの場合は、あくまでも公衆衛生上に関連をいたしましての公衆道徳上という点に重きを置くのでございまして、従いまして、ここに申しまする公衆道徳ということも、公衆衛生上の見地と関連を持ちましての公衆道徳上の見地、かような点に重点を置く次第でありまして、この旅館業法の所管行政が、他の行政区分と関連を持ちますることの適否ということも、御指摘の通りの問題であると存じまするが、提案者といたしましては、あくまでも厚生省の所管事項のみの見地から、目的は達し得られるように考えておるのでございます。但し、必ずしも他の所管官庁との連繋、あるいは合議等を拒否する考えはないのでございます。厚生省の所管行政といたしまして公衆道徳上の見地からの行政考慮をいたしましても、行政上の適当な措置の不可能というような事態は起らないで、本法の適用はできるのではないかと、かように考えておるのでございます。
#31
○丸山委員 ただいまの御説明を承つておりますると、私どもが理解しておる公衆道徳というものの範囲と、御説明の公衆道徳というものの中には、そのわくが多少違うものであるという印象を持つのであります。ここにうたわれました公衆道徳という言葉は、公衆衛生の方に関連ある公衆道徳、こういうような御説明のように承つたのでありますが、そういう意味でございますならば、まぎらわしい風紀または公共の秩序ということに関係なく、公衆衛生に関係あるのみであるならば、特にここで公衆道徳という広い範囲の言葉をお入れにならなければならないという必要は、どうして生じたのでございますか。
#32
○山下参議院厚生委員長 ただいまの私のお答えに、多少不備な点がございましたので、いま一応その点をお答えさせていただきますが、まつたく公衆衛生の範囲内で考えられる公衆道徳ということのみに局限いたしますれば、御指摘の通りでございます。私が申し上げましたのを、そういう狭義の公衆衛生の範囲内における公衆道徳ということにのみ、この用語を解釈するということになりますれば、私の言い分が足りませなんだのでございまして、ここで公衆衛生上または公衆道徳上――もとより公衆道徳という建前からも、本法の取締りをするのでございますが、しかしながら、重点といたしましては、公衆衛生上から考慮いたしますることが、あくまでも旅館業法の重点といたしまする点でございまして、公衆衛生上の見地から適当な旅館業が営まれますることを望みますることが、あくまでも法の本筋の目的でございますけれども、そういう望んでおりまする公衆衛生上不当な旅館営業が、公衆道徳上好ましからぬ経営態様に相なりますることも好ましくないことと考えまして、ここに公衆道徳上の取締りを加えた次第でございます。あくまでも公衆衛生上適法なる旅館業の営業を希望いたしますその点が本法の重点である、こういう意味で申したのでございまして、その点誤解を受けました点は、前回のお答えが不備でございましたので、重ねてお答えさせていただく次第でございます。
#33
○丸山委員 厚生省当局にその点をあらためてもう一度お伺いしたいと思います。厚生次官がお見えになつておりますが、厚生省当局は、こういうような所管事項の間に混乱を来しましたり、あるいは多少のむずかしさが伴うというようなことも予想せられるのでございますが、そういうことに対して、厚生省として責任を持つて引受けてやつて行けるというような用意と御自信がございましようか。何かそれについてお考えになつたことがあるかないかということを、ひとつ伺います。
#34
○平澤政府委員 ただいまこの法案の審議の過程でありまして、質疑応答をしておるうちに、この趣旨が鮮明することと私ただいま存ずるのでありまして、実はお尋ねの丸山委員におきましても、率直に申し上げますると、まだ了解点に達していないかのように、私はなはだ失礼ではありますけれども、了解するのでありまして、私も政府といたしますれば、いま少しく審議を進められましてから、責任ある答弁をいたしたいと思う次第でございます。
#35
○丸山委員 ただいま次官からの御答弁の通り、私もまだこの点に関しましては十分なる確信を持つておらないわけであります。従つて私も質問を控えたいと思いますが、先ほど青柳委員から、この点に関する御質問もありましたし、厚生省当局としても、この点に関して確信を持つておらないということがわかりましたので、あらためて今後研究して行きたいと考えております。
 次に、公衆道徳と言いまするものは、言葉は非常にわかりやすく聞こえますが、実は認識によりまして相当の時代的あるいは個人差というものもできる範囲のものであろうと考えるのであります。今の時代における公衆道徳というものと明治時代における公衆道徳というものには、多少の差がありますように、また今の公衆道徳というものも、一般に考えておるもの、また知識のある者とない者によつて違つて来ると同様に、府県知事の間におきましてもある業態を見ましたときに、判定の基準というものがなかなか定めにくい、一定のわくを示して、これをはつきりきめるということができないものであります。従いまして、府県知事の間に、公衆道徳上よろしいとか悪いとかいう判断の個人差、こういうことが起ります場合に、行政庁としても監督に困難を生ずるようなことも起るかと考えるのであります。そういうようなことは、どういうふうに調節ができるとお考えになるのでございましようか。
#36
○山下参議院厚生委員長 公衆道徳というこの字句の解釈でございますが、御指摘のように非常に抽象的な文字でございまして、解釈のいかんによりましては相当広い幅を持ちますわけでございます。しかしまた御指摘のように、あるいは各都道府県によりまして、その解釈、その適用の幅のとり方というものが相違いたします場合もあろうかと存じますが、しかし大体行政当局といたしまして、その時代、その事態、その事情等に良識のある判断を加えまして、適当なる裁量というものは下し得るのではあるまいか。もし公衆道徳という文字を用いて、その公衆道徳に適応いたしまする諸般の判断が絶対に困難であるということに相なりまするならば、すべて公衆道徳上のあらゆる要件というものは、社会におきましては実行不可能ということになります。一応言葉の持つておりまする内容の幅の広いことは、丸山委員の御指摘の通りでございまするが、その事案々々の個々の事態に直面いたしました場合に、その当該監督官庁が良識を持ちまして公衆道徳の適否の判断は十分なし得るものである、かように提案者は考えておるわけでございます。なお專門家の立場からいたしまして第一部長からお答えさせていただきたいと存じます。
#37
○今枝参議院法制局参事 まことに御指摘のように、公衆道徳という言葉は、相当広い観念を持つております。またただいま御指摘のように、時代によつて、またその社会の情勢によつて、変化のあるものというようには考えておるのでございます。しかし、不許可の前提として、法律上の効果を持つような意味での公衆道徳違反というものは、やはりその場合の各般の情勢あるいは世論といつたようなものから総合されまして、おのずから一つのわくが出て来るのではないかと存ずるわけでございます。それで行政庁がこれを認定いたします場合におきましても、十分一般の世論その他の見地からいたしまして、どの程度までがこの場合の法律の要求しておるところかということは、その行政庁の良識によつて、ある程度の一定軌道の上での判断ができるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
#38
○丸山委員 次に、この法律の旅館業法と建築基準法との関連性について承りたいと思います。建築基準十法の第五十二条三項の規定と、この新しく改正せられます法律との間の関連性、調整というものは、どういうふうにいたされるつもりでございますか、お伺いいたしたい。建築基準法第五十二条三項に「特別用途地区内においては、第四十九条並びに第五十条第二項及び第四項の規定に定めるものを除く外、その地区の指定の目的のためにする建築物の建築の制限又は禁止に関して必要な規定は、地方公共団体の条例で定める。」こういう規定があります。「特別用途地区内」と申しますのは、御承知のようにいろいろな住宅地でありますとか、特別工業来地区、遊興地区というものがあるかと考えます。その中にできる建築の制限あるいは禁止というようなものは、建築基準法で一応規制せられておる。また地方公共団体が条例でこの建築基準法について定めることになつております。そうしますと、たとえば、文教地区においては、そういうものをつくつてはいかぬというようなものが、できるわけであります。先ほど指摘いたしました「必要な条件を附することができる」この条件ということが、条例とどういうふうな関連性かできて参りますか、これについての調整と関連性について伺いたい、こういう意味なんです。
#39
○山下参議院厚生委員長 もし御質疑の、要旨をとり誤つておりまして、お答えが間違つておりましたら、あとで訂正させていただきますが、建築の届出のときには、もとより用途をそこに書きあげておりますので、従いまして、いかなる用途のものはいかなる指定地区内には建築を許す許さないということが基準法にお定めになつておりますることは、ただいま御指摘になりました条文、その他の関係の条文で明白でございます。しかしながら、実際は建築に関しまする手続、あるいは許可、不許可と、営業の許可、不許可というものとが、必ずしも一体に相なつておらないのでございまして、新たに建築をいたしませんでも、既成の建築物等によつて営業の許可をいたしまするようなときにおきましては、やはり一応営業許可願いといつた方の、営業取締法の関係に属す次第でございまするので、そういう点におきましては、ただ建築基準法のみによりましては、提案のような目的に沿いがたい、かように考えておるのでございます。
 なお、御指摘の第五十二条第三項の関連に関しましては、今枝部長からお答えさせていただきます。
#40
○今枝参議院法制局参事 ただいま山下委員長からお答えがございましたことで、尽きておるかと存じますが、建築基準法の方でまかないます場合は、建築そのものについてでございます。それと同時にまた特別用途地区の推定という項がありまして、その地区内におきまする場合においてのみ制限禁止ができると、こういうことになるわけでございます。そういう地区内におきまして、建築の方で制限が設けられた場合におきましては、多くそれで目的を達する場合があるかと存じます。しかしまた、たとえばそういつた特別用途地区の指定のない場合とか、あるいはまた建築の見地からは何らかの意味において制限禁止の線に入つて来なかつたというような場合におきまして、さらに営業そのものの見地から、公衆道徳に違反するような場合を阻止する、こういうような場合におきましては、旅館業法の規定によつてこれを阻止して行かなければならないと存じております。従いまして、多くの場合、ただいま御指摘の建築基準法の規定によつて、目的を達することができるかと思いますけれども、さらにこの営業の面からも、そういう規制をする道を開くことによりまして、所期する目的が完全に達成されると、このように考える次第でございます。
#41
○丸山委員 どうもまだ十分に納得が参りませんので、詳しく承りたいと考えまするけれども、時間もございませんし、他の質問者もございまするから、本日はこの程度で打切つておきまして、後日なお再度質問させていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#42
○寺島委員長 次に、毒物及び劇物取締法案を議題といたします。
 本案の質疑はすでに終了いたしておりますので、討論に入ります。金子与重郎君。
#43
○金子委員 毒物及び劇物取締法案につきまして、その要旨には賛成でございます。ただこの法案の内容から見まして、この法律を実施いたしましたときに、いろいろと取扱い並びに末端におきまして疑義が生じて来るということが考えられまするので、その点について強く要望いたしまして、賛成いたしたいと思うのであります。
 その第一点といたしまして、はたしてこの取締りが、毒物劇物を消費しておる末端の階級までできるかどうかということは、非常に問題であります。そこに疑義が出て参りますと、当然そこに取締法を過度に用いたために、営業上の支障というふうな問題が出て参るのであります。たとえば各種の工場におきまして――相当大規模な工場において毒物劇物を取扱う場合には、この法によつてやることは当然でありまするけれども、小規模の、たとえて言うならば、町鍛冶屋が毎日のこぎりを打つのにこれを使うというような場合、あるいは全国的に農山村で病虫害の防除剤として使うというときに、これを譲渡していけないという問題について、はたして実際にこの法が生きて行くかというと、実際生きて行かない。なぜならば、農村における農薬というようなものは、だれもが一定の貯蔵所を持つて、一定の消費量をにらんで買うものでなくて、病気ができたときに、あるいは虫害の起つたとき、これを使うのでありまするから、当然隣りの家からも借りて参りまするしあるいは貸し合いもする、くれ合いもするというのが、実際行われている状態でありますので、この点につきまして、この法案の条文通りに機械的な解釈をして支障を来さないようにしなければならないということがまず第一点であります。
 第二の問題は、販売の許可制、すなわち第八条第三号の問題あります。地方長官が事業管理人の資格を与える場合に、この項目によりますると、試験を受けるということになつておりますが、実際上試験を受けるということになりますると、現在農薬というものは、毒物劇物としての一般関心は少いのでありまするけれども、実際におきましては非常な重要性を持つております。しかもこれを取扱つておる機関がどれくらいあるかというと、全国約三万ぐらいの機関が扱つておる。これらの人たちは薬学校を出た人でもなく、主として農学校事業ないしは女の事務員が店舗で売買しているのが今の状態であります。そうして農薬の問題は、当局者は劇物の問題として考慮されておると思いますが、一般常識といたしましては、非常に軽視されておるのであります。これは量的にも、あるいは実際の配給されておる面から行きましても、非常に膨大なものでありまして、たとえば、今二十五年度におよそ供給されるだろうことを国が計画を立てている数二だけを見ましても、砒素剤が千八百トンであります。それから砒酸石灰が千五百トン、砒酸マンガンが百トン、硫酸ニコチンが百二十トン、水銀剤が五百トン、水銀の塗抹剤が六百五十トン、これだけでも四千六、七百トンになるのであります。しかもそのほかに病害防除として重要な銅剤というものをこの中に包含するならば、銅剤だけでも二千四百トンから消費するのであります。なおこのほかに考えてみまするならば、農産地帯で使うところのホルマリン、昇汞、それから薫蒸剤として使いますところのクロルピクリン、二硫化炭素、こういうものを加えますると、非常に大きな数量であり、しかもこれらのものは、先ほど申し上げたように協同組合の一つの購買品として取扱つておるというのが現状でございます。その現状を、私どもはそのままでよいとは申し上げませんが、これに対して、もしその試験の資格というようなものがむずかしい問題になりますると、ちようど最近現われておるところの看護婦試験と同じように、理想に過ぎて現実の上に非常に支障を来すということが一つと、もう一つ考えなくてはならぬことは、その資格というものをある程度の高いものにしておく、言いかえれば、この第一号にある薬剤師というような形にしておきますると、この農産資材としての農薬が非常に数量が厖大であり、従つてその取扱いマージンが非常に大きなものになりまするから、そこで資格を持つている人たちの商権擁護として、別な経済問題を起して参るのであります。この問題はかつて十数年前から、農村の購買関係と商権擁護運動と、大きな摩擦を来ました例が多々あるのであります。そこで今の法案の程度にそのまま解釈いたしますると、その問題を起して来る。その結果といたしましては、肥料に次ぐ農薬でありまするから、生産上重大なものである。それを遠くの町まで買いに行かなければならない、あるいは農村のために尽そうとする協同組合の業務上に支障が来るということになりますならば、増産運動に非常な影響を持つのでありまするから、この点につきましては、十分省令ないしは通牒によりまして、この弊害が起らないように、農業薬剤に対しては別個な考え方で取扱つていただきたい、こういうことを強く私は要望申し上げます。
 本来ならば、こういう重要な問題がありまするがゆえに、当然私の方といたしましては修正、それができないならば反対すべきでありますけれども、実際上のここの審議の扱い方といたしまして、かりに反対いたしましたところで、現段階としまして多数決で当然この法案は通る。通つてしまうならば、私どもが心配しておる問題がそのまま法令化されることをおそれますから、むしろここに真剣な気持で、まじめに私どもとしては要望いたしておきましたし、かつての質問におきましても、政府当局のそれに対するお答えがありましたがゆえに、その点を強く要望いたしまして賛成いたしたいと思います。
#44
○寺島委員長 これにて討論は終局いたしました。本案を原案の通り決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○寺島委員長 よつて本案は原案の通り可決されました。
    ―――――――――――――
#46
○寺島委員長 次に薬事法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の質疑はすでに終了いたしておりますので、ただちに討論に入ります。
 別に討論の通告もございませんので、ただちに採決いたしたいと存じます。本案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○寺島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 なお本日決定いたしました両法案及び各請願の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○寺島委員長 御異議なければ、さよう決します。
    ―――――――――――――
#49
○寺島委員長 次は旅館業法の一部を改正する法律案を議題となし、引続き審査に入ります。畠山委員の質疑を許します。畠山委員。
#50
○畠山(鶴)委員 私は突然参りましたので、前後の事情もよくわかりませんが、いろいろ各委員からのお言葉を拝聽いたしまして、ごもつともな意見もございますので、これに対しては別に意見を申し上げるものではありませんけれども、私は全国旅館組合の顧問といたしまして、また全日本観光連盟の顧問といたしまして、職掌柄の立場からして、二、三この際営業に関する重点的な点をお伺いしてみたいと思います。
 まず、この公衆衛生ということは、もちろん重要でございますが、厚生省がこの旅館営業の取締りをなさるようになりましてから、別に大した支障はありませんでしたが、このたび新たに公衆衛生と道徳ということが、ここに法律上改正として現われて参りました。在来におきましても、公衆衛生は、県の取締りと厚生省の衛生出張所の二つの面から取締りをされておつたのでありますが、この際公衆衛生と道徳にするという場合は、どういうものに対して――明瞭に言えば、これとこれとこれをこういうふうに取締るんだというようなことをまずお伺いしてみたい。
 第二点におきまして、厚生省がこの旅館営業に関係されるときに、日本全国三万六千の旅館業者は、大きなりつぱな図面を六通つくりまして、しかもこの図面をつくりますのに半箇年もかかつて、数千万円の費用を投じて厚生省あるいは県関係の方へ出しております。しかしこの改正によりまして、衛生設備等を完備するために、こういうような図面をまた六通も、莫大な費用をかけて出すようなことになつたら、業者としてもたいへんである。またそれだけではありませんが、第三点におきましては、これらの取締りはどういう形をもつてするか。たとえば警察が風紀上の取締りに来るのか、あるいは厚生省の出張所が衛生上の取締りに来るかというようなことに大きな問題が横たわつていると思うのであります。旅館におきましては、甲乙丙丁と幾種類にもわかれましてまたその道府県の場所部署によりまして非常に営業の業態が異なつておるのでありますから、これらの甲乙丙丁という場合の取締りに差別をつけるのか、また一律にこの公衆衛生を取締るのかという点もお伺いしたい。それでなければ健全な旅館に対しまして、とにかく官憲がみだりに調査に入る、あるいは厚生省の方がいきなり入つて来て、お客さんに非常に干渉する場合もあるし、また一面から見ますと、いかがわしいような商売をしておる常業者もあるように、私ども見受けております。これらの点につきましては、現在の規則によりましても、十分に取締りができるものであると、私どもは確信しております。今度のこの公衆衛生、風紀という問題は、一体旅館へ入つて、どういうことを設備しなければならぬ――在来でありましても、この厚生省の旅館になりますときには旅館の女中を一々検査をする、検診をするということが大きな問題になりました。とにかく正しい営業者の女中の診断をする。ただ診断をするだけならよろしいのですけれども、どうも淫売か、芸者みたいな扱いのような診断をするというようなことかあつて、大きな問題になつたのでありますが、この法律が改正になりましても、これらの点がはつきりしませんと、業者は営業上の立場から重大な問題が起つて参るのであります。この点を伺いたい。
#51
○山下参議院厚生委員長 公衆衛生上の取締りが、今どういうふうになつているか、国並びに地方庁がどういうふうな現行法の取締りをやつているかということは、厚生省へのお尋ねのようでございましたので、厚生省からお答えがあると存じますが、御指摘になりました風紀上の取締りは、この改正案においてどう扱うのかという点でございます。ごもつともな御質疑でございますが、正常な旅館営業の方々に対しまして、みだりに本法を適用いたしまして、あたかも警察官が売春婦の臨検をするがごとき行為の、取締りをいたそうといたしますることは、この改正案の要旨ではございません。また改正案はさようなことを意味をいたしてはいないのでございまして、その点はつまり旅館の内輪におきましてのいろいろな風紀の問題は、当然これはその当該所管庁の行政事務でございます。この公衆道徳上、その営業の業態が不適当であると認めましたときの、これらの措置につきまする公衆道徳上の観点といたしまするのは、その旅館の業態がつまり旅館みずからの内部におきまして、風紀を阻害しまするような行為がありましても、これは合法的な旅館としての存在には、何らの関係はございません。ただ御承知のごとく風紀の面からのいろいろ法的な関係が生じますることは、前段申し上げましたように、当該行政所管庁の所管事項でございます。そういうふうな合法的な制度の旅館業のその営業の態様が、内部におきまする風紀問題は別途といたしまして、その旅館の設置場所と、その周囲の環境との関係というものが、公衆道徳上、世人の公共の福祉の上に、はたして適合するかしないかということが問題になるのでありまして、そういう場合におきましては、あるいは必要な措置をしていただくというような、都道府県知事ができるだけの弊害防止の、あるいは条件を付し、あるいは措置をお願いする、あるいはそういうおそれのありますような場合には、営業許可を争えないことができるし、また場合によりましては、条件つき許可を与えることもできる、かようにいたしますることが改正案の趣旨でございまして、その営業の内部におきまして、風紀を害しているかどうかという点についての取締りをいたそうとしますることは、本法の目的ではございませず、かつまた改正案はさようなことは含んでおりませんのでございます。但し第七条におきまして現行の当該吏員か立入り検査をすることができまする条文は、改正の諸点につきましても、やはり適用のできますることに相なつておりまするが、これはあくまでも都道府県知事が必要な条件を付し、命令をいたしたその事柄が、公衆道徳上の見地から出した条件、あるいは命令等が行われておるかどうかということを検査をいたします権限が与えられてあるのでございまして、あくまでも旅館の営業上の内部の風紀問題を取締るということは、この改正案の企図いたしております点でもございませず、またさような権限は本法におきましてはない次第でございます。
#52
○畠山(鶴)委員 ただいまの御説明で、一応わかつたような、わからないようでありますが、現在衛生という問題につきましては、厚生省が毎月のように各旅館ごとに調べまして、お前の家は優であるとか、お前の家はAであるとか、Bであるとか、表へ大きな紙で札を張つて行くのです。これによつても、内部の衛生ということにつきましては、一応見解がついておるのである。これをもう一つ進めるという理由は一体どこにあるか。それから在来都道府県知事あるいは警察等が、内部の風紀上の問題を取調べておるのである。それは在来とかわりがないというように聞きましたが、しかし今までにも、警察方面におきまして若い警察官あたりは、ことをわきまえずに、臨検だ、調査だといつて入ることを好んでおるような状態でありますから、もしこの上そういうことがあつたとした場合には、厚生省はそれに対して取締る用意をお持ちでありましようか。また同時に、そういうことでないということが、ここに裏づけられるのでありましようかということをお尋ねしておきたい。
#53
○平澤政府委員 ただいま審議中のこの法案は、公衆衛生の従来のことについては、厚生省といたしましては、ただいま執行しております部分においては何も変化がないのでございまして、御指摘のごとく公衆道徳という問題が新しく加わりまして、公衆道徳の面がどういうふうな基準と相なり、公衆道徳というものの性格がはつきりいたし、それに付随する条項が付加せられるということでありまして、畠山委員から申されました、従来の公衆衛生の関係については、厚生省では何ら変化がないと了解しておるのであります。ただ公衆の道徳に関することについて、今審議の過程にあるということで御了解を願いたいと思います。
#54
○畠山委員 公衆道徳という、その道徳は何を意味しておるかということを先ほどお尋ねしておるのです。私どもは営業しております関係上から見まして、現在の衛生問題は、ずいぶん進歩して十分にこの衛生問題が確立されております。現在不備な点があつたとしたならば、社会道徳上から見ましても、厚生省がもつとこういうふうにしなければならないということは、業者自体もそういう気持でおりますし、そういう認識を持つておるのでありますから、この道徳というものは何と何を意味するかということをお尋ねしたいと思うのです。
#55
○山下参議院厚生委員長 こういうことを申し上げますと、あるいはおしかりを受けるか存じませんが、社会秩序を維持して参りますための要素が、御承知のごとくいろいろ必要でございます、あるいは文化も必要でございます、あるいは法律も必要でございます、政治も必要でございます。当然道徳もまたなくては、社会生活の秩序の維持ができません。従いまして、ここで申します公衆道徳とは、道徳的見地から見ましての社会生活の秩序の保持でございます。従いまして、衣食住とか、その他の物的諸条件におきましては、何らの関係はございませんけれども、しかし道義的な、そういう道徳心から考えまして、人々の道義観を脅かして行く、道徳的な社会秩序の安全観を脅かして行くという事態につきましては、公衆道徳上、道徳的面からの社会秩序の阻害といわなければならないと考えるのでございます。たとえて申しますと、正当な旅館業の営業許可を受けましても、実質的にはそれが売春婦の宿でありまして、常に売春行為が行われておる。その売春行為を取締りますることは当然風紀面でございますので、もとより本法の主用目的ではございません。従いまして、その旅館がたとい内部におきましてそれが常に売春行為をすることをその主用目的とされておりましても、旅館業としては、合法的に存在をいたしております。しかしながら、さような業態というものが、その旅館の所在いたしておりまするその社会地区におきまして、道義上その周囲の人々の道徳的社会秩序、社会生活の上に、はたして何らの影響があるかないかということになつて参りますると、非常な影響があるのではあるまいかということが考えられます。そういうようなおそれのありまする場合におきましては、未然にこれを防止し、あるいはまたそういう業態に正当な旅館業の方がその営業態様を変更されるといつたような場合におきましては、必要に応じまして、その都道府県知事が、たとえば本法の改正で具体的に申し上げますと、社会道徳秩序の維持のために、あるいは衆人の目に触れないような板べいをしてもらいますとか、あるいはかきをしてもらいますとか、そういうようないささかでも弊害を防止し得るような条件を付しましたり、あるいはそういう注文をいたす場合もございましよう。従いましてここで申しまする「公衆道徳上」と申しますることは、正当な旅館業というものに対しまして、できるだけ旅館業の正当な目的のための御経営をお願いするのでありまして、繰返して申しますように、その営業の内部に、いわゆる風紀を文乱されるようなことがございましても、それはただちに本法の取締りの対象に相なるのではないのでございまして、その営業の態様が、その旅館の置かれておりまする場所、付近の社会人の生活の上に道義的な、非常な安全を脅かすというような場合においてのみ、監督官庁であります都道府県知事は、その取締りの上に良識を持ちましてこれに考慮を加えて行くということが、本法の目的とするところでございます。
#56
○畠山(鶴)委員 くどいようで、まことに恐縮でございますが、まだそこのところが、どうもすつきりいたさないのです。公衆衛生という立場から、道徳という文字が入らなくも、一応業者としては、ただいまの取締りで支障はないように私どもは考えております。ただいま道徳上の指摘があつたというその原因は、どこにあつたのでありましようか。今お話のうちで、かりに目隠しをつくるとか、へいをつくるとか、あるいはこういう予防をするとかいうようなお話でありますけれども、それらの点は、現在のままでありましても、私はこういうことは注意してもらいたいという程度にしていただいたら、十分できることだろうと思います。それから昔こういう例があります。取締りが非常にやかましくなりまして、旅館は窓へ目隠しをつけて、外部から見えないようにしろ、しかしお客様は旅館へ来て、前に目隠しをつけて、往来が見えないようにしてあつたのでは、まるで部屋の中にとじ込められたようなことになるからせつかく命令によつてつくつた目隠し等をとつたという例はまだ目新しいことで、あります。それにもかかわらず、また新たにこういう平和国家を建設しようというやさきに、複雑な法律を、いかなる原因によつてつくるかということは、まず私ども業者の立場から考えまして、それこそ社会道徳上から考えまして、何を意味するか、判断に苦しむのでございます。あえて私どもの考えから申しますと、そういうような点でありましたならば、現在のままの社会道徳ぐらいのことは、現在営業しております業者は承知しておりますので、あまり必要でないというように、僭越のようでありますが私どもは考える次第であります。今委員長から御注意もありましたので、私は一応打切りたいと思いますが、決して私どもはこの法律に反対する意味でなくしていかなる理由のためにつくるかということに大きな疑念があるために、本日は特に常任委員にしていただいたような次第であります。どうかこの点も御理解くだすつて厚生省が旅館を取締つて、旅館を育成して、衛生的にりつぱにしていただくということは、もちろんけつこうであります。現在向上しつつある業者の立場から、気持からいたしましても、そういうふうになつておりますので、この機会に申し上げたい。あまり複雑した、こじつけみたような法律は、私どもとしてあまり考えられないので、はなはだ話が当を得ませんですが、委員長の御注意がありましたので、一応私は打切りたいと思います。
#57
○金子委員 議事進行につきまして一言申し上げます。さいぜんから各委員の質問を拝聽しておりますと、社会人心に逆行し、道義的安全感を脅かすというような字句や、あるいはその実施する場合の、丸山委員から質問がありました判定の基準を一体どこへ置くか、それから答弁に常に出て参ります地方の良識によつてとかいうふうな問題、こういつたふうな問題は、どうもわかつたようなわからないような――考え方としては一応わかるような気もしますけれども、これを法律として適用したときに、どんな場合が出て来るか、非常にややつこしい問題がありまして、今の各委員の質問の程度では、私どもにはまだぴんと来ないのであります。これは一応ここらで閉じておいて、次の機会に、もう少しゆつくり練つてから御質問させていただきたいと思いますがいかがですか。
#58
○寺島委員長 この際御了解を得たい点があります。さきに休会中の国政調査のため派遣をいたしました委員各位の報告書につきましては、委員長から議長のもとに適当なる方法によつて提出したいと思いますがら御了承を願います。
 暫時休憩いたします。
    午後零時四十二分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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