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1950/12/01 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 経済安定委員会 第3号
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1950/12/01 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 経済安定委員会 第3号

#1
第009回国会 経済安定委員会 第3号
昭和二十五年十二月一日(金曜日)
    午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 圖司 安正君
   理事 志田 義信君 理事 多田  勇君
   理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君
   理事 勝間田清一君    岩川 與助君
      寺本  齋君    奈良 治二君
      渕  通義君    細田 榮藏君
      宮原幸三郎君    村上 清治君
      有田 喜一君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 大橋 武夫君
 出席政府委員
        経済安定政務次
        官       小峯 柳多君
 委員外の出席者
        経済安定事務官
        (総裁官房経済
        計画室長)   佐々木義武君
        経済安定事務官
        (物価庁第一部
        総務課長)   高橋 時男君
        専  門  員 圓地與四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
十一月三十日
 労務用物資割当制度の存続に関する請願(野村
 専太郎君紹介)(第一八五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 経済自立計画に関する件
    ―――――――――――――
#2
○圖司委員長 ただいまより会議を開きます。
 経済自立計画を議題とし、質疑を行います。志田君。
#3
○志田委員 昨日お尋ね申し上げました点以外に、引続いて安本当局に御質疑を申し上げたいと思います。
 実は最近のニュース・アンド・ワールド・レポート誌によりますと、合衆国の対外援助が終局に近づきつつある。そのために、これにつれて西ドイツやその他の対外援助を受けておる国はもちろんのこと、日本においても産業や貿易の面において、非常に活気を帶びて来ておるという報道が出ております。特にドイツと日本においては、にわかに景気が出ておるというようなごとが書かれておりまして、戦後の各国の生産が非常に増加して来ておるということが、年産比率によつて示されておりますが、それによりますと一九五一年の中ごろまでには、日本の経済は自立できるものと、外国のコレスポンデントは報道しておるようでありますから、五十一年の中ごろまでに自立経済が成立つ、国民の収支の一応のバランスがとれるというふうに見ておるのでありますが、これについての安本当局のお考えをお伺いいたしたいと思うのであります。
#4
○小峯政府委員 今御発言のありましたような内容は私どもも聞き及んでおります。多分グレー報告ということではないかと思いますが、この報告によりますと、お説のように最近日本の輸出も特需を含めて非常に殷賑になつているので、来年の六月ぐらいには国際市場は非常に多くなり、従つて七月からの予算年度では、もう補助はいらないだろうというような見解も述べられているようであります。しかしこれはまだ正式に政府には伝達されておりません。その内容につきましても、私どもの方の事務当局でその報告も入手いたしまして研究しておりますが、それについて一言申し上げたいことは、私どもが自立経済というふうに考えておりますのは、国際収支がバランスするというだけでなしに、生活水準の問題があるわけであります。言いかえますと生活水準を犠牲にして、国際収支のバランスだけがとれるということは、見かけ上は事実でありましても、実際上の事実にはなるまいと思うのであります。御承知のごとくに、また昨日志田委員から御質問がありましたように、最近の貿易も、また特需も相当上つてはおりますが、しかし問題は、どうして輸入原材料の確保ができるかという問題にかかつておつたようであります。輸入原材料が順調に入手できますれば、日本の経済の内容的な進歩発展もあるわけでありますが、これにはやはり相当問題があります。もし輸入原材料が思うようになりませんままに、輸出だけが好調を続けますと、その輸出は当然磯餓輸出の形になるわけでありまして、生活に対する非常な圧迫になると思います。ですから、形の上だけでは、あるいは国際収支がバランスするかもしれない。今御指摘のような見方もできるわけでありますが、これは内容のことまで考えますとなかなかむずかしい。従つてそういう報告があつたということは承知いたしておりますが、昨日来申しましたような基本構想で、まだ私どもは来年の七月から援助がなくなるということでは、自立経済はまかない得ないものという見解に立ちまして、作業を続けている次第であります。
#5
○志田委員 自立経済の基本の問題を構想している安本当局が、一九五一年の中ごろまでに自立できるかどうかということにつきましては、相当いろいろな観点から疑いのあることは、私たちにもよくわかるのであります。そこでもし一九五一年の中ごろまでに、日本の自立が可能であるとして、その場合に従来のアメリカからの日本に対する援助費の総額と、かねて日本が占領費として支出しているものの相殺ということが考えられているかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
#6
○小峯政府委員 かりに日本が必ず自立ができるということになりますと、もう援助資金は大幅に減らされるか、あるいは出ないに近くなると思います。ただ終戦処理費の問題は、講和の問題に関連がありましようから、ただちにそれが相殺云々のことではなかろうかと思いますが、結果においては、どうもそういう形になることも考えられると思います。しかし私どもは先ほど申し上げましたように、そういうことになりますと、ますます事態がむずかしくなる。形の上では一応つじつまがあつても、内容はなかなかむずかしいという見地に立ちまして、できるだけ援助のことは引続いてしていただくように要請するつもりであります。また非常に様子が急変いたしまして、たとえば講和の問題でも済むような場合だは、援助資金はなくなるか、違つた形におけるコンマシャル・ベースの設定、あるいはまた違つた意味の未開発地域に対するアメリカの政治の一環としての援助に期待ができるし、またその実現するように十分要調もするし、努力もしたいと考えております。
#7
○志田委員 そこでお尋ね申し上げたいのは、昨日の大蔵委員会におきまして論議されているのでありますが、日本がプレトン・ウツヅ協定に参加できる実力ができたということを、大蔵十臣が発言しているようでありますが、これに対する安本当局のお考えをお漏らし願えればありがたいと思います。
#8
○小峯政府委員 大蔵大臣がどういう意味でそういうことをおつしやつたか、私どもはまだ内容について承知いたしておりませんが、結局ブレトン・ウツヅ協定に加入いたすにいたしましても、根本は日本の経済的信用が問題になると思います。そういう意味から申しますと、ここ一箇年くらいの日表経済の推移というものは、手前みそのようでありますが、自由経済方式の、まじめな経済努力が経済面に現われで来たということは、高く評価されて行くのではないかと思います。そういう意味で経済的信用が、ひところから見るとよほど上つて来たということを基本にいたしますれば、大蔵大臣のような意見になるのだと考えております。
#9
○志田委員 いろいろこの自立経済の構想を練つて行く上において、最近アリカ及びその他の国々は、ややもいたしますれば、軍拡的な方向に向つているかと思われるのでありまして、その買付等につきましても、そういう傾向が多々あるのでありますが、現在アメリカその他が、日本にいるバイヤーを通じまして、そういう軍拡的な方向において求められておられる品物については、どんなものがあるのかお尋ね申し上げます。
#10
○小峯政府委員 私は直接の軍拡物資というような形よりも、むしろ現実に現われている繊維商品の輸出の面、言いかえますれば今度の軍拡の動きでもつて、最初に諸外国の国民の頭に来ましたことは、やはり日常生活品に対する戰争中の記憶であろうと思います。そこでまた世界的な繊維の生産設備というものが、大ざつぱに見て、戰前の四割から四割五分くらいじやないかと推定いたされますが、最初に頭に来ました問題は日用品であります。そこで繊維に対する買占めの傾向が、直接間接かなり出て来ているのではないかと思います。従つてその現れといたしまして、軍拡の間接的な影響で、日本の繊維に対する需要はふえている。今の輸出の殷賑の根本的な要因は、繊維製品、特に人絹の織物、あるいは綿織物などの輸出が急増している。私は軍拡の影響というものは、その製品としては間接な影響だと考えております。なお直接のものにつきましては、特需の面に相当出ておりますが、一般の輸出の面については、間接的な影響だと考えております。
#11
○志田委員 織物関係のことはまことにその通りだと思いますが、金属関係におきましての原料入手につきましては、今後貿易を増大するに必要な方法として、どんなことをお考えになつておられるか承りたい。
#12
○小峯政府委員 御承知のように鉱石にいたしましても、粘結炭にいたしましても、国内ではとうていまかない切れませんので、世界的なこの軍拡の時代に処しまして一番悩みの問題は、やはり鉄鉱の原材料その他の資材であります。方向としましては、なるべく先物を契約するという技術的な問題もありますが、買付の地域をなるべく広汎に、まとめて買わずに、買えるところからはどこからでも買うというような方法で、買付先の物色とその拡大を考えておりまして、今のところ割合に順調に行つているような感じであります。但しスクラップ、銑鉄のような直接の軍事資材というものは、非常にきゆくつになりまして、そのため日本の鉄鉱業というものは新しい事態に処して、新しい構想で運営しなくてはならぬのではないかという感じがいたします。
#13
○志田委員 そういうふうに原料を入手するということが日本の貿易を増大するに必要なことは論をまたないのであります。そこで私のお伺いしたいのは、大分情勢も変化して参りまして、中共貿易に対しても、原料入手の面については真剣に考えなければならぬ事態が来ているように思うのでありますが、その点について御説明をいただければ幸いだと思います。
#14
○小峯政府委員 御説のようなことはあろうと思います。しかしそのためにもう急激に百八十度転換してやるという妙策があるわけではありませんので、買付ける場所をさつきも申し上げましたように、なるべく末端のローカルな地方まで手を伸ばして、あとう限りの原材料を入手するよりほかに、方法はないと考えております。
#15
○志田委員 最後にお尋ね申し上げたいのは、いろいろこうい特需景気その他が出て参りまして、すでに敗戦以来の日本経済の中では、今が経済的には一番自立に近づきつつあるような景気を来しつつあると思つておるのでありますが、そういう場合インフレに対する気構えというようなものも相当あろうと思います。経済バランスの上において、年末通貨量の問題について、安本はどのようにお考えになつているか。さらに昭和二十六年の輸出入に関する通貨の問題についても、どういうふうにお考えになつておられるか、お尋ねいたします。
#16
○小峯政府委員 私は昨日のこの委員会でも申し上げたのでありますが、安定計画が、明らかに世界の環境の変化に応じて、金融的な締め方から来る通貨安定から生産をふやして、物でもつて安定をはかるということに、多少焦点が移動しなければならぬと考えております。しかし金融をゆるめたからといつて生産が上るわけではなしに、むしろ直接生産にならぬような思わくなどを予想するような、金融政策をとつてはならないと思います。そういう意味で直接生産に響くような金融に対しては、できるだけ積極的にかじをとつて行くことが必要であろうと思います。具体的な現れとしては、これは輸出に関する金融でありまして、これは直接日本の経済発展に関係があるものですから、この点に特に重点を置いて考えたいと思うのであります。そこで年末通貨の問題でありますが、通貨発行審議会もまとまつて、また閣議にもかけまして、一応三千九百億円というものをきめているのであります。しかしこの場合一言申し添えたい点は、今年の通貨の発行限度というものは、去年のそれとは少し違うということであります。この発行限度というのは、それ以上発行してはいけないというものではもちろんございませんで、発行証を出せばできるという仕組みになつております。正賞のところ今年の年末通貨は、とても三千九百億で収まるとは考えておりません。内輪に見ましても四千百億、あるいは見方によりますと四千二百億、四千三百億というふうに見ている人もあるようであります。私どもはそういう事態が予想されましてもその期間がきわめて短い、おそらく限度外発行になるのは、二週間そこそこだというふうに読んでおりますので、むしろ限度は低目に押えて、先ほど御指摘のように、インフレの気構えもないわけではありませんから、通貨の発行限度を四千億台にしますよりも、三千九百億ということにしておいて、あとのアロアンスを見るということにして、一応三千九百億というふうにきめましたが、それに準拠して金融を引き締めるということは、毛頭考えておりません。
#17
○志田委員 御説明の点はよくわかります。一回の流通経済秩序というものは、この通貨量の適正いかんにあることは、政務次官も御承知の通りだと思います。そこで三千九百億円で一応押える、しかし民間におきましては、今次官は四千二、三百億ということを言つているが、四千五百億くらいまで行くのではないかと言つております。さきには大蔵大臣は四千五百億くらいまではいいじやないかということで、ドツジ氏と交渉して、その交渉の結果まとまつて、この国会が召集されたものと私は思つておつたのであります。しかるに今日の新聞等を見ますと、ドツジさんはどうしても三千九百億くらいで押えなければならない、これは財政資金の動き等もあるでありましようが、それで押えなければならぬというような、強い発言をしておられて、その点について大蔵大臣があと三、四日より日本におらないというドツジさんに交渉を続けている、これは私は非常に重大な問題と思うのでありまして、すでにもう十分その点についての経済バランスと通貨量についての打合せは済んで、そして臨時国会がそのために召集せられたと、私たちも解釈いたしておりましたし、また財界におきましてもさように解釈をいたしておつたのであります。しかるにここで三千九百億で一応押えて行く。しかしかつて日銀の一万田総裁がここでも述べられたように、勢情の変化によつては三千九百億が四千二、三百億、あるいは四千五百億になつてもいいのだというようなお考えであるようでありますが、そういう限度外の発行を、来年のいつの期間において安本は吸収できると考えて、つづめ得られる自信を持つておられるのか。その期間を承りたいと思います。
#18
○小峯政府委員 先ほど申し上げましたように、三千九百億ときめて限度外発行を年末、年始にかけて予定いたしておりますが、当然に一月の中ごろからは、数字が相当収縮するであろう。しかしここで私どもが注意して見ております点は、この一月の通貨の収縮ぶりは、そう急激であるまい、言いかえれば出ました通貨が、なかなか収縮しないだろうという見方を持つております。それは御承知のように、すでに生産規模が拡大いたしまして、増加運転資金の点などもありますものですから、来年の通貨の収縮はそう今までの型通りには行くまいだろうという考え方を持つております。そこで限度の発行に対しましても、必要があれば、必ずしも三千九百億をいつまでもがんばつて持つて行くという考えはいたしておりません。
#19
○志田委員 私は一国の国民の経済の価格の体系づけを考える場合におきまして、もちろん国際的な変動によりまして通貨量はかわつて行く、これに無関係ではあり得ないということは、よくわかりますから、そういう限度外の発行においても考慮して政策を立てられることは、必ずしもドツジさんにおしかりを受けるいわれはないと思うのであります。問題はその限度外の発行をどこで吸収して、インフレになる憂いをとめるブレーキの措置を講じて行くか。私はそれが必要と思うのでありまして、その期間を来年の一月の中ごろから、何週間くらいにとめるお考えであるか、その点をお尋ねいたします。
#20
○小峯政府委員 非常に專門的な御質問のようですが、もし国民経済と通貨の関係だけを申し上げますと、通貨の回転速度の問題、あるいは信用取引の程度の問題などの影響がありまして、必ずしも通貨と経済規模とを、端的に結びつけることは、多少問題が残つているのではないかと思います。しかし今までの経済の動きを見ておりまして、実は正常の増加運転資金に対する金融までまかなわれていないような気がいたします。そこで私どもは三千五百億でなければならぬとか、三千九百億でなければならないというように、通貨の面だけで経済のコースを考えることは、むしろ無理なのではないか、それよりは一般の金融機関の貸出しの状態を、完全にコンマーシャル、ベースに乗せることを監督しさえすればよいのであつて、通貨の面だけで経済規模の問題を制約しない方がいいと思います。先ほどもちよつと触れましたように、私どもの安定政策が通貨安定から入つていることは御承知の通りであります。しかしその通貨安定は、国際物価高のために、通貸安定自身が少し怪しくなつて来ているのであります。実はせつかくかち得た通貨安定を堅持して、内容的な安定にまで発展させますためには、どうしても生産を確保する以外に方法はありません。伸びる輸出で得た外貨資金を十分使つて、輸入原材料を確保する道をとる、同時に直接遊びなく生産にまわる金融だけは、むしろ積極的にやる段階に行きませんと、せつかくかち得た通貨安定さえ犠牲にするような面も出て来ると思うのであります。そういうことを詳細に検討いたしまして、私は通貨の限度というものを、そう神経質でなしに――もちろん無條件に触れておるものではありまするが、少し構想をかえて通貨の問題を検討してもいいじやないかと思うのでございます。しかしそれに関連して、先ほどドツジさんの御意見で三千九百億で押えたような御発言がありましたが、実は私も通貨安定審議会に出席いたしてその状態を知つておりますが、三千九百億はむしろこちら側から一応出したのであります。というのは、ドツジさんのねらいが大体わかつたものでありますから、あまり四千億ということを出して、インフレだという印象を与えたくない。実はむりをせずに、正常な資金を出して行こうという建前で、多少数学に対する感覚的な考慮もありまして、三千九百億円にきめたわけであります。特に三千九百億に対してドツジ氏から強い発言があつたというふうには、私どもは承知いたしておりません。
#21
○志田委員 ややもしますると、この通貨の適正量につきましては、通貨政策の目標からだけ見まして、調節その他によつて通貨の膨張さえ抑圧すれば、それで行けるんだという考え方をするのが、最近までの金融界の傾向に見えているのであります。そこで今次官がおつしやつた正常な増加運転資金がまかなわれていないという考え方に対しては、私どももまことに同感であります。一体この三千九百億も、昨年度から見ますれば大した膨張だと私は思いますが、その三千九百億の年末通貨が、中小企業に対して果して末端まで流れて行く通貨になるかどうか。その点についてのお考えを払われて、それだけの通貨膨張を考えておられるかどうか。それをお尋ね申し上げます。
#22
○小峯政府委員 中小企業金融の問題が出ましたが、これは非常にむずかしい問題でありまして、どなたもこれに触れるのでありますが、私どもその仕事を実際やつてみまして、なかなかかゆいところに手の届くようには参りません。なぜかと申しますと、中小企業金融、特に小企業金融になりますと、純粋な金融ベースだけではまかない切れないのでありまして、むしろ社会政策的な経済政策を、多少、はみ出したところでこの問題を見るほかはないと考えるのでありますが、幸いに商工中央金庫とか、国民金融公庫とかが、じみではありますが、そういうような一番問題になる中小企業金融、小企業金融の面を、かなり活溌に担当してくれておるように思います。その他の金融は、特に中小企業だけを対象に金融を考えるのではなく、一般の経済構造の中における中小企業というものは、系列を整備してかかりますれば、職事のときと同じような関係ではありませんが、小売と卸の関係、あるいは親工場と子工場の関係というふうな面を、もう少し新しい角度から編成し直して、その中から流れたものが、当然下のつながりを通じて流れて行くというふうな径路を通して考えるのが、金融政策としては一番常道だと私は思います。その他特に問題になりますのは、今申し上げましたような国民金融公庫とか、商工中金だとか、あるいは最近は無盡も相当資金量を擁して活動してくれておりますので、こういうものに特に重点を置くような考え方、従つて商工中金に対する別わくの日銀融資などを考えておるのも、その一環と御承知願いたいのであります。
#23
○志田委員 歳末にあたりまして、特需景気に酔うておる人たちは、ひとしく大企業に属する方々のように私たちは思つております。中小企業は相かわらず今日におきましても彷徨しており、明日の生業をいかに持続するかということについて、苦心をしておるのでありますから、安本当局が正常な通貨を膨張させて、そうして困難な点をうまくやろうというためには、どうしてもこの中小企業を通じて金融問題を考えていただきたいと思うのであります。それで今金融公庫の問題も出ましたが、二十六年度の予算において、大藏省がわれわれの要求によつて認めていただきました三十億の農林漁業金融公庫の問題が、ドツジさんの押れるところとなりまして、これがまだ解決つかないような状態であります。昨日あたり聞くところによりますと、これを六十億円くらいにしても、中金に委託して、何とか方法を講じようかというようなことも政府は考えておるそうでありますが、安本はその点について、どのような考えを持つておられるでしようか、お漏らし願えれば仕合せだと思います。
#24
○小峯政府委員 農林水産金庫の問題でありますが、これも御発言のありましたように、特別な金庫でこの仕事をやることを初め政府は企図いたしまして、その折衝も続けて参つたのであります。しかし別の新しい金融機関をつくるということは、金融政策全般の問題から、多少関係筋で首をひねるところが事実ありまして、今日の段階で固まつておりますのは、見返り資金を特殊のわくにいたしましてこれを農林中金に委託する、そして今までの農林中金の金融も、土地改良などに使うには、あまりにも短期の金融でありましたので、今度は相当思い切つて長い期間、また金利の点も考慮いたしまして、見返り資金からの特別なわくでもつて、実際の金融業務は農林中金をして行わしめるということに話が進んでおるようであります。私どもも実は形だけにこだわるわけではありませんで、実際上の目的に合致すればいいという考え方をしておりますから、このやり方に対して私どもは了承しておるわけであります。
#25
○志田委員 私はこの問題はなかなか大きなことになるのじやないかと心配しておりますので、心配のあまり申し上げる次第でありますが、どうかひとつ日銀券の発行限度などにつきましても、財政資金の動きと市中銀行の金の動きをよくお調べ願つて、日銀の考えておるだけがうまい資金運用でないと思いますから、その点は特にその間の事情を熟知しておられる政務次官の識見に信頼いたしまして、その点についての今後の運営の問題に、愼重な考慮を払われるようにお願い申し上げます。政務次官に対する質疑はこれで終了いたしたいと思います。
 次いで大橋法務総裁が見えられておりますので、昨日来質疑を保留しておきました件について、大橋法務総裁の御見解を承りたいと思います。昨日実は本委員会で安本当局にも御質疑申し上げたのでありますが、朝鮮の復興に対しまして、日本から日本の技術と資材がすでに協力しておるということが、二十五年十一月十二日のUP発電ホープライト東京支局長から報通せられて、それが日本経済新聞に逆送されて出ております。それでこの事変が起きて以来、朝鮮に日本の技術者で、国連の要請いるいは大韓国政府の要請によつて渡鮮し、朝鮮の復興に協力しておる者があるかどうか。それを法務総裁にお尋ね申し上げたいと思います。
#26
○圖司委員長 この際お諮りいたします、ただいま志田委員よりの大橋法務総裁に対する質疑は、問題の性質上秘密会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○圖司委員長 御異議ございませんから、秘密会にいたします。傍聽の諸君の退場を命じます。
     ――――◇―――――
    〔午後二時三十九分秘密会に入る〕
    〔午後二時四十七分秘密会を終る〕
     ――――◇―――――
#28
○圖司委員長 それでは引続き質疑を行います。竹山祐太郎君。
#29
○竹山委員 私が昨日政務次官に情勢の変化の問題を申し上げたのは、要するに自立経済が非常に方向がかわつて来て、率直に言えばむしろ準戰時体制に入つておるように考えられる。従つて国内の自給経済というものを、今までのように政府が輸出さえできればいいのだというような甘い考え方でやつておるのは、非常に危険であるということを、国民はみんな痛感しておる。その意味で私は、あと勝間田君の質問もありますから、きようはおもに食糧の点だけで一応質問を申し上げておきたい。今米価審議会が非常に難行のようでありますが、政府が提案をしております今回の米麥を含む価格決定の理由といいますか、数字に伴う政府の見解を若干伺つておきたい。
#30
○小峯政府委員 米価審議会にかかつております米価は、御承知のように五千五百二十九円の生産者価格であります。この米価の問題につきましては、二十六年度予算の編成が議に上りまして以来、いろいろな角度から議論されたのでありますが、この米価の決定に使います材料というものは、お立場お立場でかなり違つておるように思います。竹山委員はこの方面の専門家でありますから御承知であろうと思いますが、生産費を基礎にしてやろうとか、あるいはパリティーの指数でやろうというような考え方がいろいろあるようであります。また大蔵大臣が盛んに言われますように、国際価格へのさや寄せの問題を、一つのよりどころにしようというような見方もあつたのであります。今回五千五百二十九円としてきめましたその数字の構成の仕方は、一応パリティー指数を中心に置きました。しかし米価は、農業政策上できるだけほかへの影響が食いとめられる限り、高くしなければいかぬというふうな建前で、過去のきまつた米価以外に附加された報奨金のようなものを一括計算いたしまして、それが大体どのくらいの割合になつておるかというような数字を一応出しますと、一割五分くらいというふうな計算になりますので、パリティー指数ではじき出した数字に、一割五分だけのものを加えるという方法で、五千五百二十九円というものが出たと承知いたしております。
#31
○竹山委員 麥の方をついでに……。
#32
○小峯政府委員 麥の方は対米比価の問題できめておると思いますが、詳細なことは説明員から御説明いたします。
#33
○高橋説明員 私から補足させていただきます。麥につきましては、ただいまのところ閣議決定では、来年産麥から供出を行わない、但し政府は一定数量を限つて買い上げる、それ以外のものは農民が自由に売買してよろしい、こういう方針に決定いたしております。幾らで買い上げるかということでございますが、予算上、大体現在パリティー指数一九五くらいになるのではないかということを一応考えまして、それに二十七円十六銭の基本米価をかけまして、それは対米価が従来は小麥で申しますと八一・三、大麥が七〇、それを六四と五四にいたしまして、その価格で買い上げることになつております。
#34
○竹山委員 今の対米比価を変更した数字的な根拠を伺いたい。
#35
○高橋説明員 対米比価の問題につきましては、従来いろいろの論議があつたのであります。基準年次におきまして、大体六四及び五四になつておつたのでありますが、戦時中麥の増産等の関係で、一つは食糧というものが、生産の側から申しますと、米の生産にも限度があるという関係から、麥の増産を奨励するために、だんだんに比価が上げられて来たという実情もあるようでございます。他方消費の面から申しますと、食べる味ということに関係なしに、一単位当りの数量から、どれだけのカロリーが人体に撮取されるかというような、單にカロリーから換算して、カロリーが同じものであれば、大体同じ価格であるというような計算をとりました。これはいもについても同じでございます。そういうふうに生産の面及び消費の面から、実際上われわれが感じておる米と麥とのメリットといいますか、品質の開きがだんだんと縮められて来た。その結果、最近になりまして食糧事情がやや好転して参りましたので、値段があまり開かないものであれば、米を食べた方が得である。憂の配給は辞退する、こういうことになりまして、毎月大体五万トン近くの小麥粉等の、麥関係の配給辞退があるのであります。この情勢をいつまでも放任しておくと、いたずらに売れないものを政府が高く買い上げてしまうという状態にも陷りそうでありますし、まただんだんと主食の統制も平時的な姿に還元して行くためには、やはり対米比価も平時的な姿にもどして行くのが自然の趨勢ではないか、こういう考慮に基いて、六四、五四ということに、一応決定いたしておる次第でございます。
#36
○竹山委員 数字的な根拠はあまり説明がないのですが、もう少し数字的に伺いたいのと、それから今のは生産者の買入れの。パリティーですが、小麥粉の消費者に対する。パリティーについて……。
#37
○高橋説明員 小麥粉につきましては、生産者は六四、五四とただいま申し上げた通りでありますが、消費者価格パリティーにつきましては、従来前年度までは小麥粉、米は一〇〇対一〇〇でございましたが、本年消費者価格から一〇〇に対して九五と開いたわけでございます。今度一月から実施しようとしております消費者価格におきましては、予算上の算出根拠といたしましては、現在小麥粉九五でありますものを、八一・七に下げ、それから精麦につきましては、対米比価が現在九五でありますものを七六、九に下げる、こういうふうに考えております。これは現在の消費者価格十キロ当り小麦粉四百二十五円、精麥四百円をそのまますえ置きますために、現在の精麥価格四百四十五円を予算上五百二十円に上げるという計算にいたしてありますので、五百二十円とすえ置き、価格四百二十五円との開きが、計算上八一、七ということになつております。
#38
○竹山委員 今説明を聞いておつても、要するに配給辞退が出るというのは、小麥粉の対米比価が高いからだといら説明なのですが、小麥粉自身はすえ置きにして生産者のパリテイーを下げて、買上げ価格だけを下げるということの理由をもう一度伺いたい。
#39
○高橋説明員 これにつきましてはいろいろの御論議もあろうかと存じますけれども、主食相互間の生産者価格、消費者価格、ともにだんだんと、経済の自然な姿へ一歩ずつ近づけて行くという方針に基いております。
#40
○竹山委員 自然の状態という意味は、現産者価格を安くして消費者価格は安くしなくてもいいというのが、自然の状態ですか。
#41
○高橋説明員 大体基準年次の生産者価格相互間の開きなり、消費者価格の相互間の開きなりに近づけて参るというところを理想といたしておるのでありますが。何分にも戦時中及び戦後を通じてやつて参りました相互間の開きを、一挙に基準年権の姿に返すということも容易ではございませんので、徐々にということになりますと、食管の予算等の関係、それから本年度と来年度の持越しの関係、プール計算等の関係によりまして、かならずしもただちに理想的な姿に参らないわけであります。
#42
○竹山委員 そうすると、結論的に申しますと、今年の六四なり五四なりというのは、大した理論的な根拠はないのだが、だんだんと麥を安くして昔のような安い麥に押しつけていこう、こういう考え方なのですか、重ねてお伺いしておきます。
#43
○高橋説明員 生産者価格につきましては、基準年次が大体六四及び五四ということになつておりますので、もしパリティー指数というような方式を今後も長く採用するとしましても、比価においては小麥なり大変がこれ以下に下るということは、現在のところ考えられないのではないかと思います。
#44
○竹山委員 どうして今年急に基準年次に切捨てて行かなければならないかという、一般的な理由を伺いたい。
#45
○高橋説明員 麥につきましては供出制度がございませんので、政府が農民の希望に応じてこの価格で買上げることになりますから、実際の市価かどのくらいになりますか、まだ見当はつかないのでありますが、もしもこれより安くなるということであれば、政府がこの価格で買い出動に出ますれば、一種の恣意価格になると思います。
#46
○竹山委員 基準年次の農業の生産費その他の構成というようなものと今の状態を、教府は同様にお考えですか。
#47
○高橋説明員 農業の現産状況につきましては、基準年次と現在とにおきましては、第一に小作料等の関係は、農地改革という大きな変革がございまして、相当にかわつておりますし、また他の面でも、肥料の価格あるいはその他相当かわつておりますが、てれは理論的にいろいろ問題はございますけれども、農業パリティー指数方式をとつておりますので、その点につきまして特に農民に不利であるということにならないと考えております。
#48
○竹山委員 そうすると、政府はこのパリティーで――きのうも農林大臣は予算委員会で言うております、生産費を十分償うとお考えなのですか。
#49
○高橋説明員 米につきましては、農家の詳細なる実態調査を、長年にわたつて継続的に行つておりますので、正確に出ておるのでありますが、麥につきましては、遺憾らがらその規模が、米よりもさらに地方的あるいは農家ことに、経営の規模あるいは土地の生産力の相違等々もございまして、生産費がどの辺であるかという正確な資料は、まだ理論的に出ていないように存じておりますが、米については生産費が出ておりまして、今度きめられようとしております五千五百二十九円は、パリティー方式をもつていたしましても、生産費を償うということは十分に言い得ると思うのであります。その米を主柱にいたしまして、その主柱から比率をもつて麥価をはじき出すということになつておりますので、理論的に、間接ではありますが、麥の生産費も、この価格をもつて十分に償えると言い得るのではないかと思います。
#50
○竹山委員 そのパリティーの出し方が、生産費の方から出した対米比価であるのか、消費者の米に対する小麥の希望的な、漠然たる要求から来るパリティーなのか、その辺をもう一度伺つてみたいと思います。
#51
○高橋説明員 この基準年次における麥の米に対する比価というものは、生産者側から見た生産費と、それから消費者側から見た消費メリットといいますか、米と麥と食べて、どちらかおいしく、どちらが腹持ちがするか、それから生産者から申しますと、米をつくる場合の労力と、麥をつくる場合の労力と、どちらがよけいかかるか、そういう生産者と消費者の両方の立場からながめて、自然経済の法則に従つておのずから落着するところがあり、その落着するところが、たまたま六四程度であつたというところが実情ではないかと考えられます。それでパリティー指数論になりますと、パリティー指数に御承知の通り、農家の生計費的なものと、経営費的なものの両方の品目をとりまして、その基準年次と現在との価上り倍率を発見いたしまして、それの平均指数をとつたものでございますので、そのパリティー指数で米価をはじき出し、そのはじき出した米価から、さらに対米比価をもつて換算した麥価というものは、理論的には必ずしもすつきりはいたさないと思うのでありますが、生産費としてはやはり償い得る価格ではないかと考えます。
#52
○竹山委員 何回聞いてもぐるぐるまわしでよくわからないのでありますが、そうすると、生産費のことも考慮してあるということなのですが、その基準年次の数字は六四なのですか。
#53
○高橋説明員 六四であります。
#54
○竹山委員 そうするとそういう偶然的な数字をとつたということなのだが、これは何か伝え聞くところによると八・八・六四ということを聞いておるが、そういうところから出た六四なのか、率直て伺いたい。
#55
○高橋説明員 私の方では、前々から対米比価について、大蔵省方面からも、農林省方面からも、いろいろ議論言ちかけられまして、いろいろ研究いたしておりましたが、六四というのは事実でございまして、それをとつたかけであります。
#56
○竹山委員 そういう歴史的な、偶然的なものを、やかましいパリティーの米価にかけて出すということが、政府の最後的な決定の方針なのですか、伺いたい。
#57
○高橋説明員 先ほども申し上げまし、たように、大体食糧事情が全般に緩和して参りましたので、他の経済分野がだんだんに統制が緩和されて少くなりつつあるときに、農民についてのみ、その生産物の相当な分野が、供出制度というがごとき煩瑣な統制に苦しめられておるということは、経済全体の運行とも、やや均衡がとれていないという関係から、食糧事情の緩和ともにらみ合せ、とりあえず婆から統制を緩和して参る、その際に一ぺんに完全にはずして、あと政府があずかり知らぬということがあつては、また農民に不測の損害を与えることになるかもしれないから、農民の希望に応じて買上げる制度を存置しようじやないかということで、ああいう閣議決定を見たものと思ふのであります。
#58
○竹山委員 非常に驚き入つた話で、一番問題の対米比価というものが、そういう偶然的な、ただ昔の数字を持つて来たということでは、どうもわれわれには納得が行きません。ですからその点はあとから資料として、基準年次のときの食糧の情勢、それから一般物価の関係、その他これに関連する数字についてお出しを願つて、もう一度質問をいたしたいと思います。
 実は私はこういうことを、政務次官の前で、数字のこまかいことを申し上げて恐縮なんですが、今度の政府の決定した食糧政策の中で一番の問題は、この対米比率の問題であります。われわれは米価の問題について、率直に言えば、ここで百円、二百円の問題をそうやかましく言わぬでもいいという意味ではないけれども、問題は米価の問題にあるのではない。日本の食糧政策の一番の重点は麦なんです。一体麦の国内増産を政府はやろうとするのか、やろうとしないのかということがはつきりしないのであります。一体この基準年次々々々々というけれども、まるで、国際情勢、国内情勢の違つた今、急にただ偶然的に、昔の基準年次の対米比率を持つて来て、それをおつつけて国民を納得させようとしたつて、これは絶対にできるものではない。だから私は少くともこの重大問題を決定した政府は、この対米比率のよつて来る基本的な考え方というものをしつかりしておいて、そうしてそれに基いて、国内の食糧生産というものが、その裏ずけによつてどう進んで行くかということを、はつきりときめてかかるということが当然だと思つている。それでなくつてもこの問題はたいへんなのに、今朝鮮事変等の関係で、きのう政務次官もお話のように、情勢はこんとんとしてわからない。わからなければわからないほど国内の食糧の需給度を確保しなければならぬという情勢にある。しかもそうなれば米の国内増産というものは、大して金はかかつてもそれほど急に期待はできない。問題は麦だ。その麦の増産を極力やらなければならぬと政府はいつている反面に、この対米比率を急激に下げるということは農民には徹底しません。しかしながらこれはかつての農業恐慌のときに、日本の国内産の麦が現在の三分の一ないし四分の一に減つておつたということを諸君が御承知がないから、こういう簡単な、事務的な数字を持つて来て平気でおられる。こういうことで日本をまた元の農業恐慌のどん底に陷れて国内生産を三分の一、四分の一に減らしても平気でおられる。このことについては、私は一番の根本問題をきよう伺つたのですが、どうしても納得が行きません。しかしこれ以上私はこの問題でねばるのも恐縮ですからやめますが、この問題は重大問題でありますから、政府部内でよく御相談を願つて、はつきりと納得の行くような資料をいただいた上で、次会に私の質問を続行したいと思いますので、これで私の質問は勝間田君に譲ります。
#59
○圖司委員長 勝間田君
#60
○勝間田委員 自立経済の問題について政府に御質問申し上げたいと思います。この前安本長官から自立経済の構想を実はお聞きしたのでありますが、私はそこに疑問に思う一つの点は、何と申しましてもいろいろの條件というものが、今非常に変動する状態になつて来た。御存じの通りに輸入などは、非常にむずかしい問題になつて来ている。しかも外国の方でどんどん輸出統制を始めて来ている。それから同時に最近の特需というような問題が、非常に大きな要素を持つて来て、サービスを入れても、御存じの通りに九月でしたか、十月末現在で、約一億三千万ドルであつたと思いますが、そういうものが出て来ておつて、今後の特需というものがどの程度になるかということは、相当楽観を許さない問題だと私は考える。そうしてしかも輸出と、特需と、内需との関係などについて、しつかり安本がやつているかというと、私はきのうの予算委員会の質問なんかを見ても、どうもこれらの調整というものについては、きわめて不熱心だというような感じがいたしました。そのような状態も起きて来ている。従つてここで一つの国際収支のバランスをとつて行くのだとかいうことをいわれてみても、はたして條件がそれを許すかどうか、もし許すとすれば、私はもつと、安本に確信のある経済態勢というものを整えておかなければ、机上のプランに終つてしまうのだという関係になつてしまうと思う。私はあぶはちとらずになつてしまうと思う。いわゆる国内的な自由主義経済のもとにおいて、外国需要はどんどん変化をする。そういう中で一体どういう形でこの自立経済をなし遂げて行こうとするのか、私は実はそこが非常に疑問に思うわけであります。この点についても、おそらく安本でお考えになつていると考えますけれども、ひとつお考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
#61
○小峯政府委員 自立経済に関する基本的な問題の御質問を受けまして、実はまことに同感であります。いろいろ問題はあるようでありますが、私どもが自立経済を考えます場合には、国際収支のバランスだけを考えてはいけないと思います。御意見もそうだと思います。国際収支のバランスを考えることも一つの要件ではありますが、同時に生活水準の問題も出て参りましよう。また経済の循環を合理的に確保するというような、経済技術上の問題ま出て来ると思います。ただいま御指摘の内需と特需、輸出の関係が非常にあいまいだというような問題も、生活水準の維持の問題にも関連して来るのだと考えるわけであります。まだ作業の過程でありまして、御指摘のような非常にむずかしい條件の中でやつておりますものですから、その辺のつきとめ方がまだ不正確になつていることは、まことに遺憾でありますが、私どももむずかしいことを承知しながら、また形の上だけの国際収支を考えたくないといつて、こういう激動期に、それでは自立経済をやることが無意味かというと、必ずしもそうは考えませんで、むずかしい激動期であればあるほど、一応のレールだけは敷いてみたい、そうしてそのレールを敷くことによつて、激動する條件からどれだけゆがんで来るか、はみ出して来るかというものをつかまえますと、おのずから経済政策の焦点というか、問題がつかみ出されはしないかと思う。自立経済の計画の目的といたしましては、一つは平時でありますれば、敷いたレールの上に、それに準拠して汽車を走らせて行けると思います。また激動する場合には、その経済の自立をはかつて行くためには、どういうところにどういう問題が出て来るかという、いわば鏡のような働きもするものだと考えまして、この作業を進めているわけであります。なおまた自由経済に対する御批判がありましたが、私どもは自由経済ということをいいましても、何から何まで放任するような考え方は全然持つておりません。もしそうだとしますれば、自立経済作業自体が、すでにナンセンスになるのでありまして、こまかい企業活動とか、あるいは消費者選択の自由というような問題を最大限に確保しながら、必要な経済計画、あえて経済計画といいます意味は、計画経済ではないという意味でありますが、経済に対する計画性だけはふやして行くということを、どうしても考えなければならぬ。自由放任の経済というものが、今日の段階としてあり得るものでないというような考え方でありますことを、申し添えておきたいのであります。
#62
○勝間田委員 小峯次官の大経輪はよくわかりましたが、私はそこでつつ込んでひとつ考えていただかなければならぬと思うことは、現実に起つて来ている問題が実はあるし、しかもそれが固定化するおそれが非常にあるということである。そういうときには、私は一応の目標は立てておつても、やはり現実を処理することを忘れてはならぬと思う。特にウイークな点だと考えるのは、日本の鉄の場合、鉄というものを現在の内需、特需その他の條件から考えて行つてみて、一体どう確保して行くかということは、刻々に起つて来ている。きのうなど通産大臣に、一体スクラップの輸入はどうなつているかと聞いてみると、たいへん心配ですと言う。心配ならどうするのですかと言つたら、海の中から軍艦でも引揚げてみたいと言う。それで一体日本の製鉄事業というものが、現在の客観情勢の中で、しかも自立経済を保つて行こうという中で、やつて行けるものかどうかということを私は疑問に思つているのです。こういう問題については、いわゆる造船という問題もあるし、船舶という問題もあつて、朝鮮事変その他がどうなるかわかりませんが、傭船がきわめて困難になるという場合もあると思いますので、これにアダプトして行く政策をとるためには、一体どうしたらいいかという問題があると思う。そこで現在の激変する條件に対する態勢をとつて行く、日本の経済の基本的な力をつけて行く、あるいはそれに対応した一つの日本の、早く言えば弱体的な條件を救つて行くという処置がとられ、そこに能勢が整つて行かなければ、せつかく安本で案をおつくりになつてみても、私は案のできる前に、案自身が崩れて行くのではないかという感じがします。安本は現在の特需、内需その他の関係から見て、現在の主要物資、あるいはその他の日本の産業の脆弱な点、これについて一体どう手を打つているか。これを私は聞きたいと思う。たとえば棉花、羊毛の点など、が、来年の春を契機として、もうすでに買付期に人つているのだけれども、現在ニュージーランドとか濠洲等の状況から見て、非常に困難である。これも最近の横尾さんの話だと、混紡するとか、人絹を入れる、スフを入れるということを言つておられるが、これでは洋服が惡くなる。惡くなるのにそういう形でいいのかどうかということが非常に問題になるのでありますから、この最近の状態に対して、安本は主体性の確立のために、一体どういう努力をしておられるか。私はおもな品目をあげて、ひとつここでお答えを願いたいと思います。
#63
○小峯政府委員 率直に言つて、私どもの自立経済に対する一番問題の点を御指摘いただきまして、まことに同感であります。ただ自立経済を考えます場合には、世界が今日のように正常に長く続くものであるというふうに考えて、言いかえれば特殊な考え方をして持つて行くのがよいか、あるいはまた国際経済の一員として、平常な経済の中に参加する形を一応考えてみるのがよいかということを考える必要がある。お説のように世界の情勢は非常に激動しておりますし、おそらくまた形勢もかわると思います。また戰時経済らしいものの姿に、近くなるようなことも考えられますが、そうかといつて未確定な條件のありますものを非常に大きく評価して、国際経済に依存しなければ立ちにくい日本経済というものを、封鎖的に考えて行つてよいかどうか、その辺に実は根本の問題があると思います。鉄鋼の問題一つを取上げましても、平炉生産による鉄鋼の生産は、世界経済が平常であるということが條件になるのでありまして、もし世界経済が戦時経済に移行し、この状態が長く続くとすれば、どうしても銑鋼一貫の仕事を考えて行かなければならぬのであります。従つて今日私どもといたしましては、一応正常な世界経済に加入することを考えつつ、世界の情勢を見きわめながら、描いた図面のゆがめられるところだけを、筆を加えて行くようにしたらどうだろう、今右せんか左せんかということを、きつぱりと自立経済の上に織り出す時期には来ていないと思う。従つて自立経済の計画も、平常な姿で進めておるのであります。ただその場合には、先どお話が出ましたが、スクラップの問題などは、沈船の引揚げをやりたい、あるいはまた老朽した機械は、法律によつてでもつぶして加工するような方法を講じて行きたいと思いますが、なおしばらく時期を見る必要がありはしないかと思います。もし根本的に、世界の経済が戰時経済に移行するということになりますれば、日本の経済を確保するのに一番必要な問題は、何をおいても船の確保というような問題になるのではないかと思います。もちろんそういう見通しもないではありませんが、まだきつぱりと右、左をきめるのには條件が熟していない、一応の腹づもりはありますが、まだそれを自立経済の上に具体的に織り出すまでに熟していないという見方で、作業を続けている次第であります。
#64
○勝間田委員 非常な悲観的な根拠に立つというわけではありませんけれども、現実に進んでいるという状態だけは正視して行かなければならぬと思います。最近の諸外国の状態は、もちろん安本が一番よく御存じになつているわけでありますが、その状態に対する対質が非常に遅れているように思います。それから依然としてまだ輸出というようなことに眩惑されている。これはエード資金というものがあるから、輸出の方でセーブをして行こうという考え方は、どうもあちらさんに対しては申訳ないということになるかもしれませんけれども、実際に輸入の見通しがつかないような輸出を強行して行く場合には、国民生活に非常に大きな影響を及ぼすのでありますから、そこにやはり調整が必要になつて来ると思います。そういう点をよく考えて行きますと、案をおつくりになる上には、その條件である船であるとか、発電であるとか、食糧増産であるとか、あるいは貿易の収支の増加というような、問題の基本的なものが非常な危殆に瀕しておるのであるから、その危殆に瀕しているのを、やはり着実におつかみになつておらないと、案をお立てになつても非常に困難になりはしないかという感じがいたします。この問題については質問というよりもむしろ私の希望でありますけれども、そういうところをひとつはつきりとおつかみ願いたいのであります。
 それからもう一つの問題は、もちろん安本はお考えになつているわけでありますが、所得の配分問題の発表がないわけであります。所得をどう配分して、そのうちどの程度の国民生活の水準が維持できるか、その維持については、どの程度のものが可能になつて行くか、また拡張再生産には、どの程度のものができて行くかというところの、所得配分を早くはつきりさせて、そちらの面からする制約をこの際お考えになる段階ではないかと私は思います。この問題がはつきり出て来で、この前われわれに示された一つも資本蓄積の具体的な手段をどうするかということに、また問題が移つて来るように思います。この前には、資本蓄積の手段というものが若干あつたと思いますけれども、それでもまだ私は非常に検討の余地があると思う。現在の態勢、現在の機構のままで、一体目的とする所得が形成せられて、資本蓄積が可能になつて行くかというと、必ずしもそうではない。そうしてそこに要求されるべき経済態勢というものが、はつきりときまらなければならない。この問題については安本は当然研究されているわけでありますけれども、はつきりしているならばこの際御発表を願いたいし、また問題になつている点は、どういうところであるかということを御発表願いたいと思います。
#65
○小峯政府委員 御指摘の点は、計画室長からお話していただきますが、私どもがやつてあります自立経済計画は、一応三箇年という目標で、その目が出て来るかということ、言いかえれが出て来るかということ、言いかえれば目標を立てて出て来たとを修正して、また目標をかえるというような方法でやるつもりあります。また御指摘のように、目標自体はむりだ、端的に申しますと、目標の期間をずらすか、あるいは生活を犠牲にするか、あるいはまた輸入を含んでの外資の導入を考えるかというように、どこかにそのゆがみを吸収するところがありませんと計画が成立たぬのであります。私どもは三箇年でどんなむりをしても、どうしてもやるというのではなく、三箇年の絵を描いてみて、出て来るいろいろな障害を、どういう形で吸収するかということを考えておるのでありまして、今お説のような点も、目標をきめます場合に、作業の過程において起つて来る問題ですから、逆にまた目標を修正するようなことも考えられるわけで、そう固定的に、是が非でもという考え方はいたしておりません。これだけ申し上げまして、技術的な問題は室長から答弁いたさせます。
#66
○佐々木説明員 計画を計数的に非常に精密につくり上げまして、これを一つの固定的なものとなぞらえまして、それに対していろいろ問題を考えるというやり方は、今度はあまり考えないで、むしろ計数的な面は総合的に、ある程度の、バランスがとれるという体制を考えればよいのではないかという考え方で、計数の点はそれほど深くやらぬつもりであります。従いまして大体今までで、ほぼ計数の検討は終えつつあります。今後どうなるかと申しますと、ただいま御指摘がありましたように、計数の点よりもむしろそれにからむ諸問題、またその諸問題をどう解決するかという政策の問題に重点が移りつつあります。従つて今度の自立経済の報告書も、おそらく資本主義各国でやつておるように、計数そのものを発表するのではなくて、こういう対策、こういう問題を解決すれば自立できるのだという、問題の所在を明確にするという点に重点が置かれるかと思つております。
 最後に御指摘がありました国民所得の点並びに資本蓄積の問題でありますが、これは今一番問題になつておるのでありまして、ただいままでの計算では、どうしても鉱工、農林、建設等からの所要資金と、なかなかかみあわせができませんので、もう一ぺん供給力そのものを、政策の面から検討しようじやないかというので、個人消費並びに個人蓄積を、どういう対策で行つたならば、ある程蓄積できるのか、あるいは企業の自己保留分を、どういうふうな方途を講じたならば確保できるか。あるいは財政資金等を、どの程度にすれば民間蓄積との兼ね合いが合理的になるか、あるいは外資を入れるとすれば、今の援助にかわつて、どういうものを期待すればよいかといつたような、政策的な問題と申しますか、蓄積方法あるいは機構の問題といつたようなものを中心に置いて審議を進めまして、そういうものがある程度固まつて参りますと、それによりまして、逆に供給力の方を、いろいろ勘案して行くというような対策をとつたらよいかと思つて、一応その方法で進めております。一方需要面の鉄とか、電気とかいう面に関しましても、ある程度計数面を終えまして、電気でありますれば、一番問題点は、やはり資金難でありますけれども、従来のようにこれだけ資金がいるという投げつぱなしなやり方ではなく、その資金をかりに調達するとすれば、自己保有分でどの程度まかなわれるか、そのためには料金制度をどの程度までに改正すればよいか、その改正した料金制度によつて各産業に与える影響はどうか、それは是正するための価格政策というか、そういう点までつつ込んで考えて参りまして、それに応じた対策を立て得れば、こういう計画というものはなし得るのだ、そういう立て方にしたいと思つております。従つて貿易の点に関しましても、お説のようにできるだけ貿易政策というものを、現実から離れず、現在やつておる手をそのまま拡充し、付加いたしまして、なし得る限りの政策でもつて、貿易の目標を達成したいという考え方であります。情勢の激変に応じましては、その都度できました政策の修正なり、あるいは地域配分なりというものをいたしまして、どういう激動が来ましても、それに対応するような、弾力性のある政策を立てたい、こういうように考えております。
#67
○勝間田委員 私もいわゆる計数上の数字をあまり合せることに汲々として、日本の経済のさつき言つたような脆弱な点を、早く言えば過少評価してやつて行くような行き方は、私はむしろ好まないので、ある程度までのポイントというものをはつきりさせて行つて、その條件をどう確立させて行くかという点に、むしろ支店を置いて行かれた方が、ほんとうの日本の自立にふさわしい形になるのではないかと考えるのであります。ただこの場合に一つ問題になつて来るのは、生活水準を先に確保するか、あるいはある程度の資本蓄積をする場合においては、生活水準を犠牲にするかというような点が問題につて来ると私は思う。もちろん両方兼ね合いだという議論も成立つわけでありますけれども、しかしスタンド・ポイントをどつちに置くかについては、かなりの議論があると私は思う。それで経済循環を順調ならしめて、それから生活水準をよくし、貿易収支のバランスをとるという形の中でも、やはり生活水準というものを、最小限度どの程度のものを確保するかという、最小限度確保すべき生活水準は、やはり明らかにして行かないと、国民がついて来ないと私は考える。そこで実際最後の三箇年の後における雇用水準は、一体どの程度に考えておるのか、またそれは先ほど次官のおつしやつた通りに、ある程度までは犠牲にしなければならないかもしれない。巻間伝えるところによりますと、何か三箇年後には、かなりたくさんの失業者を出して、しかも生活水準をもう一ぺん切り下げなければならぬというような結果になりそうだということも聞いておりますが、それではすべてを生活に押しつけてやつて行こうという形になつてしまうのであつて、あまり賛成した議論ではないと私は思いますが、この間の問題についてはどう考えておりますか。
#68
○小峯政府委員 根本の考え方といたしましては、ドツジ氏の指摘されるように、七十年で蓄積したものを非常に破壊したわけでありますから、もし生活水準に、非常な絶対的な重点を置きますと、なかなか自立の速度がむづかしいと思います。さればといつて生活を犠牲にして云々ではないと思いますので、非常にあいまいな言い方かもしれませんが、さつきのお言葉をそのまま返しますと、兼ね合いの点がありますので、一応三年でやるといたしますと、今御指摘のような点も出て来ると思います。ですからそれをどういうふうな面で補うか、一応構想の中では、生活水準は、基準年次に比べて八九%ぐらいの数字を考えております。しかし多少でもそういう数字のずれが出ておりませんと、七十年の蓄積を比較的短期に回復することはむずかしいのではないか。あなたの方の党のお考えから行きますと、何としても生活が主だということにおなりになると思いますが、私どもは多少それを犠牲にしても、やはり自立を早めたい感覚から行けば、こういうふうな考え方を持つております。といつても生活を無視してよいということにはなりませんので、最大限度どういうふうにして、この生活も維持しながら持つて行くか、その兼ね合いのところに、一つの多少感覚的な肌の違いが出て来ると思います。
#69
○勝間田委員 まだその数字は出ませんか。
#70
○佐々木説明員 まだ正確な数字は計算しつつありますが、勝間田委員の来られる前に、次官から少しお話がありましたが、グレーの報告等が兼ね合いまして、ただいま輸入が毎月非常に減つておるのでありますが、最近十月以降持ち直しております。そこで前に、この四月で九千万ドル程度入つて来たのが、九月には五千三百万ドルと非常に落ちた。そういう落ちた計数でもつてかりに自立したというかつこうになりますと、今輸入物価の値上りが大体十二、三パーセンと思いますが、非常に低い輸入の規模で自立するというかつこうになりますので、それでは実際何の目立かほんとうはわからない自立になると思いますから、ただいま御指摘がありましたように、單に国際収支のバランスをとつたという現象だけでもつて自立とは決して見ないで、あくまでも一定の生活水準を確保した上での強い自立経済というふうに考えたい。極力生活水準を上げながら、従つてまた輸入の規模も大きく、従つてまた生産の増強も相当大きく見ました規模で自立したいと思いまして、目下計算中であります。ただ先ほども申し上げましたように、資金の面からの調整が非常に困難でありまして、資本蓄積との兼ね合いが非常に困難な状況になつておりまして、最後的な見通しはまだはつきりいたしませんので、その生活水準をどこまでも上げて行きたいという意図との調整がどうなるか、今のところまだはつきりいたしません。
#71
○勝間田委員 私もそうだろうと思うのです。そこで今年あたり、一年度の輸入貿易をどのくらいに見ておるのでしようか。私もよくわからないけれども、現在の状態だと、たとえば十億ドル程度だ、こういうことになつて来て、それで先ほどもお話があつた通りに、輸入物価が一、二割上つて来るということになりますと、去年が大体九億ドルだつたと私は思うのでありますが、そうだといたしますと、去年の水準よりも今年の輸入水準の方が、実際の輸入物資は落ちるのではないかと思いますが、一体どうでしようか。
#72
○佐々木説明員 去年に比較いたしまして、実質的な物量的な輸入面が今年は落ちるということは、おそらく今のところではないだろうと思います。まだ計数ははつきり当つておりませんけれどもしかし朝鮮事変以後いろいろ打ちました手が、最近非常に効果が出て参りまして、物によつては輸出入の非常に困難な物資もありますけれども、全体的に見ますと、十月以降非常に活発に輸入が入つて来るようであります。
#73
○勝間田委員 これは少し数字的の議論をするわけでありますけれども、今年のすなわち、歴年で考えて行きますれば、結局今まで公示した金額と、実際の認証した金額との比率を見て来て、今までの外貨予算が、たとえば九、十二の四億二百万円等も加えて、おそらく十二億ドル程度ではないかと思いますが、それのまた認証ということになつて来ると、よく行つて七割七、八分、惡く行つて六割五分程度で七割前後だと私は思います。しかしそれが実際の輸入額をそこに持つて来て、輸入物価が値上りしておるということを考えると、そう佐々木説明員のような楽観論は許されないような気がするのです。そうなつて来ると十五億ドルの輸入のバランスとか、いろいろなバランスを云々されても、一番脆弱な点はそこにある、それがあるとすれば、それに対する国内対策なり、対外政策の確立というものを持つて来なければ、先ほど申しました通りもう立案しつつある間に條件が崩れて行くということになるのではないかと私は思うのでありますが、いかがでしようか。
#74
○小峯政府委員 実は一番むずかしい、また当面の問題なのでありますが、御承知の通り、昨年に比べると輸入を促進する手は相当打てておると思います。たとえば外貨資金の割当の問題なども、昨年から比べると、よほどゆとりのある弾力性のあるものになつて来ておりますし、時勢が時勢でありますから、先物の契約も相当進めるようにしておりますが、外貨資金がふえておることは御指摘の通りであります。これは輸出が伸び特需が伸びておるという点もあるだろうと思いますが、私どもは、大体十二億ドル程度の輸入があるだろうと押えております。いろいろ輸入條件の改善いたしますが、世界のマーケットがバイヤーズ・マーケットからセラーズ・マーケットにかわつたということもあるのであります。そうしたことを考えますと、やや輸入貿易も期待できる程度のところまで来ております。今まで打つた手で、この二、三箇月の数字が一番惡かつたのでございますが、先月あたりの数字から持ち直して来ているような感じがございます。先行きの問題としては、世界情勢の見方について愼重にしなければならぬのでありますが、私が先ほど申した通り、その見通しとしては、いろいろあるだろう思います。しかし当面の問題として、輸入にそう影響のあるようなものはあるまいという見方で、物量としては、昨年の輸入より下まわることはないように見ております。
#75
○勝間田委員 今の十二億ドル物量で入つて来るということでありますが、十二億ドルということになりますと、これは会計年度でありますか、歴年度でありますか。
#76
○小峯政府委員 会計年度であります。そうしてその十二億ドルも、もし物価が上がれば量が減るという懸念もあるのでありますが、物価が上がれば十二億ドルがさらに伸びるという見方もいたしております。
#77
○勝間田委員 会計年度ならば十二億ドル程度のものはできると思うのでありますが、それはやはり輸入物価という点が考えて行けると思うのであります。しかしいずれにいたしましても、会計年度で十二億ドル程度の輸入があるということになつたならば、たいへんけつこうな話だと実は私思うわけでありまして、今までに初めて輸入の見通しについての話を聞いたわけであります。
 それからもう一つの点は、これは検討済みだと私は思うのでありますけれども、この前の自立経済の中では、造船等についての補償あるいは補助金的な性格のものが、やはり必要だというような考え方に立つている。これは従来の池田大蔵大臣あたりの考え方とは根本的に違つて来ているわけでありますが、実際から行けば、自立経済を立てて行くには、三箇年計画にしても四箇年計画にしても、その過程においては、やはりそういうものが若干必要だと思うのであります。たとえば最近における無蓋貨車だとか、船だとかいうようなものの値段が非常に高くなつている。しかも御承知の通りに最近の特色は、原料高で製品安というかつこうをとつておりますが、これは外国の原料も入つて来て、こつちが高くなつているからそういう形をとつて来ているのであります。こういう過程においては、助成政策というものを実はとらなければならぬと思うのでありますが、しかし現在の予算編成等についての傾向は、それと逆行している傾向があるが、「この自立経済の上においての助成政策というものを、どう見ているかということをお尋ねいたします。
#78
○小峯政府委員 私どもは、原則としましては、やはり経済を自由にして自然の状態を見きわむべきだと思つております。しかし自立経済を立てる上には、先ほど佐々木説明員からお話がありましたように、自然問題がはつきりして参ります。この問題を解決しなければ自立経済は達成できないというようなものに対しましては、その問題を突き詰めて、それに対するある程度の助成政策をすることは当然だと思うのであります。短期間に効果をあげるためには、普通の流れの自然の経済の上に、やはり政治的な奨励策を加えるということが必要だと思うのであります。しかしそれは最小限度のものにしなければならぬと思います。またなるべくそういうことがなくなる状態が理想だとは思いますが、どうしても政策的に押し進める場合においては、その助成に関するような手を、多少加えて行く必要がありはしないかと考えております。
#79
○勝間田委員 助成政策として、具体的にはどういうものをとつて行きますか。
#80
○小峯政府委員 どうしても必要なものは、当面鉄鋼の問題であります。これは、私どもが補給金をはずして行くことをきめておいて、こんなことを言うと、まことにおかしなことになるかもしれませんが、残しておきたいと思うのはやはりそんな点だと思います。ことに造船のお話がありましたが、造船の材料に対する補給金は、造船が国際的な商品でありますだけに、やはり多少考えなければならないと思います。これは閣議で一ぺんきまつたものでありますが、その後の推移を見て、必要があればもう一ぺん再考しようじやないかということが、閣議の意向の中にも内包されておつたわけであります。
#81
○勝間田委員 そうすると鉄鋼というものは、銑鉄になるのか、あるいは鋼材にまで及ぶわけでありますか、その点を伺います。
#82
○小峯政府委員 これは先ほどちよつと触れましたように、日本の鉄鋼体制を、銑鋼一貫で行くか、平炉で行くか、そのウエイトの置き方でも違います。銑鉄に対してはある程度補給を加えるし、造船に対しても、その使用鋼材は特殊の規格材でありますから補助を与える。それで造船に対しては鋼材でありますが、一般としては銑鉄の問題になると思います。
#83
○勝間田委員 それからもう一つ、これは大事な点だと思いますが、資本を投資する場合において、最近はつきり出て来たのは、協調融資のやり方だと思います。これはやはり政府の出資というものと、民間の市中銀行の融資というものを結びつける、こういう形をとつて行こうというのでありますが、一体こういう形というものは、やはり一つの恒常化するというつもりでありますかどうか、その点を伺いたいと思います。
#84
○小峯政府委員 私どもは金融も、できればコンマーシャルベースの金融でやることが一番よいと考えております。しかし日本の経済の現段階におきましては、まだ手放しのコンマーシャルベースで、金融を切盛りできるはずはない。従つてある程度まで特別な政策金融というものを加味したい。そういう意味で協調融資をやつておるわけでありまして、自立経済をやる限りはこういう形を残して行きたいと思います。
 なお復金の問題につきましては一時いろいろな意味で非難されましたが、今は新しい角度で、ある程度、こういう政策的な金融がなければ、日本の経済をまかない切れぬというような問題が出て参りまして、復金の問題などは、多少最近まだ問題になつておるのであります。大体の見通しとしましては、コンマーシャルベースの金融をやりたいのでありますが、日本経済の現段階から、なお政策金融も多少は加味して行きたい。しかし将来それをなくすことが理想でありますが、ここ数年間は、その政策金融を、全然離してよいというところまでは行くまいと思つております。
#85
○勝間田委員 これは大蔵省にお聞きした方がよいと思いますが、安本も御関係だと思いますから伺います。輸出銀行の協調融資の率はきまつたのでありますか。
#86
○小峯政府委員 この率につきましては、やはりいろいろ七十三円にしようか、八十二円にしようかというような意見があります。しかし輸出銀行自体が、非常に政策金融的な性格のものでありますから、できれば見返り資金から入れる分を最大限度にしたい、最小七〇%ぐらいにしたいということで、おそらくその線で進んでおるかと思います。
#87
○勝間田委員 いわゆる協調融資をやつて行こうという形は、早くコンマーシヤルベースに押しつけて行きたいという考え方になると私は思うのでありますが、これがあまり強くいわれるようになると、政府出資なり、政府資本の性格が、現状とは非常にそぐわないものになつて来るのではないかと思うのでありまして、今度の造船の場合においてのごときものは、私はあまりに強行し過ぎたような感じがいたします。しかし融資の問題はそれだけにいたしまして、忘れておつた問題でお尋ねしたいと思つておつたのは、やはり貿易の問題でありますが、政府貿易というものをやめるという考え方が今の考え方で、これがいいものかどうかということを私は非常に疑問に思う。たとえばシャムならシャム米というものが政府独占で輸出されておる。その取引の場合には、どうしても相手国が政府であつてほしいというような問題もありますし、それから沖縄だとか、韓国に対する中継ぎ貿易とかの独自なものもありましよう。私はここでガリオアなどの問題も含めて考えて参りますと、政府貿易を全部民営に移してしまつて、そうして貿易特別会計というものをなくしてしまうのだという考え方は、現実ではもう違つて来ておるのではないか、私は実はそう考えるのでありまして、この問題については、一体政府は今どういう考えで進まれようとするのであるか、その点を伺いたいと思います。
#88
○小峯政府委員 全体から見まして、日本の経済復興計画が自由主義の原則にのつとつて始まつておりますことは御承知の通りでありますが、私は先ほども申し上げましたように、これだけではいかぬ面が非常にあると思います。ことに御指摘の輸入の問題は、世界の情勢が非常に変化いたしておりますし、場合によりますれば、食糧の備蓄だとか、あるいは非常に量の大きい、あるいは重量の原材料の輸入につきましては、少し民間とは違つた形で確保する必要もあろうと思います。そういう意味から言いまして、必要最小限度の政府貿易は、むしろ経済安定のためには必要だと私どもは考えております。ただそれをどのくらいの割合にするか、どういう品物についてこれを行うかについてはいろいろ議論がありましよう。私は今の段階では、今の経済情勢に備えて、全部政府貿易をなくするということには、むしろ反対すべきではないかと考えております。
#89
○勝間田委員 小峯さんの考え大賛成ですから、その点全部やつていただきたいと思うのごありまして、今の大蔵省の考え方は実態というものを少しも考えておらない。通産大臣はきわめて弱い大臣ですから、ひとつ安本ががんばつてやらないと、こういう実態を見失う懸念が多分にある。そこで今度は政府貿易というものをやめ、貿易特別会計が廃止されるのが三月三十一日になるといたしますれば、それにかわるものはどうなるか。
#90
○小峯政府委員 これは私個人の考え方と御承知願えればいいのでありますが、たとえば産業復興公団のようなものがありますが、そういうふうなものをつくつて同じようなことがやれはしないか。動乱が始まつてから私どもが一番苦慮しました点は、輸入の問題でありまして、先ほど申しましたように、日本の経済が輸入のベースで切られることになりますから、どこまで輸入が確保できるか、非常に苦慮したわけであります。それであの指令を出したのでありますが、これを一般民間貿易にまかすということになりますと、個人的な思惑もありまして、その実現が遅くなるのであります。そんな場合に、ある種の材料については何かまとまつた力でやる方がよかろうというような考え方もありまして、その当時から産業復興公団のようなものを、もう少し模様がえをして、そういうことに当らしたらどうかということもあつたのであります。まだ政府部内できまつた意見にはなつておりませんが、そういうふうなことも考えていいのではないかと思つておる次第であります。
#91
○勝間田委員 最後にお尋ね申したいと思いますが、長期開発と地方開発と、今度の新しい自立経済というものを、どういうように結びつけて実行されて行きますか。
#92
○小峯政府委員 これは自立経済と総合国土開発の関連だろうと思います。御承知のように、日本の経済構造は、相当国際貿易に依存しなければならないということが習慣的にいわれております。しかしそういうことを無條件に受入れるにはあまりにも今までの国内資源に対する検討がゆるかつたと思います。そこで総合国土開発委員会あるいは中央の計画、地方の計画相まつてでありますが、日本の資源というものをもう一ぺん洗い直してみますれば、必ずしも輸入でなければならぬというふうに考えなくていいものも出て来るだろう。また依存度ももう少し少くできるものもあるであろうというような考え方でありまして、これはまつたく両々相まつてやらなければならぬ問題だと思います。しかし実際問題としましては、自立経済の方が、比較的結論を急いでおります関係上、多少そこに齟齬を来しておるようには思いますが、この二つが裏と表で進んで行きませんと、自立経済、また日本経済のほんとうの姿は出て来ないというふうに考えております。
#93
○圖司委員長 ほかに御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。次回は来る五日午後一時より開会いたします。
    午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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