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1950/11/28 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第3号
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1950/11/28 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第3号

#1
第009回国会 予算委員会 第3号
昭和二十五年十一月二十八日(火曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 小坂善太郎君
   理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君
   理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君
   理事 川崎 秀二君 理事 稻村 順三君
   理事 風早八十二君
      青木 孝義君    麻生太賀吉君
      天野 公義君    井手 光治君
      江花  靜君    尾崎 末吉君
      角田 幸吉君    甲木  保君
      川端 佳夫君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    坂田 道太君
      塩田賀四郎君    島村 一郎君
      庄司 一郎君    鈴木 明良君
      玉置  實君    苫米地英俊君
      永井 英修君    中村  清君
      中村 幸八君    松浦 東介君
      南  好雄君    井出一太郎君
      今井  耕君    北村徳太郎君
      中曽根康弘君    早川  崇君
      鈴木茂三郎君    戸叶 里子君
      西村 榮一君    水谷長三郎君
      林  百郎君    横田甚太郎君
      小平  忠君    黒田 寿男君
      小林  進君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 大橋 武夫君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        文 部 大 臣 天野 貞祐君
        厚 生 大 臣 黒川 武雄君
        建 設 大 臣 増田甲子七君
        国 務 大 臣 岡野 清豪君
        国 務 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  西川甚五郎君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
        厚生事務官
        (保険局長)  安田  巖君
        農林政務次官  島村 軍次君
        林野庁長官   横川 信夫君
        経済安定政務
        次官      小峯 柳多君
 委員外の出席者
        專  門  員 小林幾次郎君
        專  門  員 園山 芳造君
        專  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)
 昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2
 号)
    ―――――――――――――
#2
○小坂委員長 これより会議を開きます。
 質疑に入ります。庄司一郎君。
#3
○庄司委員 当初便宜上法務総裁にお尋ねをしておきたいと思います。法務府がただいま議題と相なつておりまする補正予算の中に、あるいは刑務所あるいは少年院あるいは成人矯正院その他刑を受けたる者に対して刑を行う、あるいは釈放後においていわゆる司法保護的措置を行つて、再び再犯あるいは累犯をなからしめんがための若干の費用等も要求されておるようでございますが、文化国家としてこいねがわくは犯罪者を絶滅し、あやまつて罪を犯し、あるいは刑余の人となつた者はこれを保護して、善良なる、反社会性のない国民に指導誘掖して行くということは当然のことでありまするが、最近はなはだ不本意ながら、犯罪者の統計は日に月にふえるような傾向を見ている。特に青少年の犯罪というものが著しく激増しておるようなただいまの情勢のもとにおいて、法務総裁はそれぞれのあなたの所管もろもろの機関を通して、いかなる方法のもとにおいて、釈放者をして再び犯罪に陷らしめず、善良なる日本国民としての、いわゆる改過遷善の生活に入ることができ得るような措置をとりたいと念願されておるか、最初その一点についてお伺いしたいと思います。
#4
○大橋国務大臣 犯罪の減少をはかりますることは、文化国家といたしまして最も大切なことであると存じます。しかしてそれがためには従来の実情から考えまして、再犯の予防ということに重点を置くことが最も適切であると存じまするので、いわゆる刑余者等の更生につきましては、最善の努力をしなければならぬと考えております。これがために、特に法務府といたしましては、更生委員会を置いておりまするので、これらの機関を督励いたしまして、常時この釈放にあたりまして十分なる保護を加えまするとともに、その後の再犯者の実情につきましても、常時適切なる指導を行つており、またこれがために必要なところのいろいろな施設、特に再犯者に対する職業の指導、こういつた方面にも努力いたしたい、かように存じておる次第であります。
#5
○庄司委員 大体のお心構えについては了承いたしましたが、犯罪者を未然に防止し、あるいは刑務所あるいは少年院であるとか、そういう矯正関係の、いわゆる昔の言葉で言えば懲役的な立場より解放された者を、改過遷善して行くという上においては、ぜひそうした人々の現在より将来にかけて希望と光明というものを把握させなければならない。やけを起させてはならない。いわゆる自暴自棄的な境遇に彼らを陷れることがあつてはならないということは、むろん法務総裁も御同感であると思いまするが、さてここにあなたの所管されておる事務関係において大きな一つの社会問題が残つておる。それはせつかく昭和二十二年第四国会かにおいてでき上りました刑法の一部改正のもとに行われましたるいわゆる前科抹消の法律、刑法第一編、第六章第三十四條の第二項、この刑法第三十四條第二項は、法務総裁御承知のごとく、一定年限を経過せるところの釈放者をいわゆる刑名簿と称する登録名簿より根本的にカツト・オフ、抹消する。そうして過去の冷たい言葉で呼ばれたところのいわゆる前科者をまつたく登録制度より抹消してしまう。かようなあたたかい愛のこもつた立法であります。しかるにこの刑法の改正実施以来、ちようど三、四日前に偶然満三周年の記念式が行われましたが、この三十四條という法律の恩典、すなわち受刑者がかつて裁判所において刑の言い渡しを受けましたその原裁判の判決を過去にさかのぼつて、罰金刑の者は満五箇年の後において、あるいは重刑、禁錮刑を受けたいわゆる実刑を受けた者は満十箇年後において、その間に禁錮刑以上の再犯、累犯等がもちろんなかつた場合には、裁判の判決を根本的に取消しをする、同時に検察庁は市町村の戸籍寄留の役場に対して、何がしは十年前の犯罪が、判決の言い渡しが取消しになつたのである。根本的にいわゆる青天白日の身の上になつたのである。こういうような意味における通牒を発して、戸籍面よりこれをまつたく抹消する制度、手続、取扱いに相なつているのでありますが、現在このあたたかい愛の制度が実施されて満三年をけみするといえども、いまだこの立法の精神が普遍化しておらないのであります。ために、心なき検察庁の検事などには前科何犯であるようなことを書いて裁判の起訴の條項として、裁判長よりおしかりをこうむつているような関係にある。また心なき警察官あるいは功名手柄を誇るところの警察の探偵官などは、新聞社の社会部の諸君にこういう前科者の大物をとらえたというように吹聽して、そのことが毎日の新聞に前科何犯というように現われて来る。また前科の抹消にならないものであればそれは余儀ないことでありますけれども、せつかく刑法第三十四條第二項の恩典に接して、過去の惡の記録が許された者をいまだに前科者扱いしているということは、彼がほんとうに更生されて行く、あるいは更生して行こうと努力しているその道程において、その精神努力を破壞することになるのであります。このために職業を求める場合、あるいは結婚の場合、その他の場合、あるいは三親等内のいろいろな関係においても、その前科なるものが災いをして、その人間あるいはその家族に至るまでいろいろな支障迷惑を與えている現状であるのであります。法務総裁は、かようにこの前科者を保護するところの愛の立法が、現行法律及び制度として相なつているにかかわらず、どういう方法をもつて、検察庁あるいは警察あるいは市町村戸籍寄留役場等々に対して、この保護政策の普及徹底を指導御奨励なされているか、具体的に指導奨励された実例があるならば、お示しを願いたいと思います。
#6
○大橋国務大臣 ただいま庄司委員より御指摘に相なりましたる通り、改正刑法におきましては、三十四條の二という事項を新たに起しまして、一定期間が経過いたしましたる場合、いわゆる過去の前科というものは当然抹消せられる、これが法律上の効果として規定をせられてあるわけであります。しかしながら従来の社会の因習の久しきために、この法律の規定は單なる一片の規定をもつていたしまして、十分に効果を発揮するに至つておらぬことは、まことに御指摘の通りでございまして、これはきわめて遺憾に存じまするとともに、私ども関係者といたしましては、この法律の精神を生かすために、十分の努力をいたさなけれなばらぬ責任を痛感いたしておる次第でございます。しかしてこの精神を生かして参るということになりますると、どうしても一般社会の人々のいわゆる前科者に対する理解ある態度というものが必要となつて参るわけでありまして、法務府といたしましては、機会あるごとに関係機関を通じまして、社会一般にかような新しい法の精神を生かして行くように呼びかけいたしておるような次第でございます。なおまた法務府所属の検察庁、刑務所その他の関係機関に対しましても、同様あらゆる機会を利用いたしまして、その精神を吹き込んでおるような次第でございまするが、今後におきましても十分なる努力をいたしまして、一日も早くこの精神を單なる規定でなく、真に社会の実際の上に生かすように努めなければならぬと思つておるのであります。特に各市町村役場において管理いたしておりまする犯罪人名簿というものには、この前科の登録がいたしてあるわけでありまして、これにつきましては、従来この刑法の改正が行われましたるにもかかわらず、なかなかこの精神を生かして、名簿からその氏名を抹消するという運びをつける方法が、国難ではなかろうかということが予想せられておつたのであります。たまたま昨日庄司委員から本日のこの委員会におきましてこの問題を御質問になるということを承りましたので、昨日も法務府におきまして関係者を集めまして、いかにすれば市町村役場のこの前科の抹消の手続を円滑に取運ぶことができるであろうかということを研究いたしたのでございますが、その結論といたしまして、従来刑の言い渡しあるいは刑を執行いたします際におきましては、所管の検察庁より関係市町村役場に通知を出しておつたのでありまするが、この刑法三十四條の二の精神になつておりまする抹消の期間が経過したということを確定いたしまするためには、どうしても刑の執行が終つた場合、これを市町村役場に通知してやるということが必要になるわけであります。これについての手続が従来なかつたのでございます。今回御質問の趣旨を生かすためには、どうしてもそういう通知の手続を、いかに手数を要しましてもこれを実施しなければ、この新法規の精神を生すことはできませんので、万障を排してこれを実施するようにいたしまして、今後は刑務所その他適当なる機関から遅滯なく関係市町村役場に、前科抹消に必要なる期間の時期を、市町村役場が知ることのできますようなそういう通知を発するようにいたしまして、前科抹消の手続を実施せしめたい、かように考えた次第でございまして、これを急速に実施に移したいと考えておりまするので、御了承を願いたいと存じます。
#7
○庄司委員 ただいま法務総裁のお答えで、御趣旨のあるところ、また急速に善処さるる旨のお答えを得て満足であります。願わくは、三十四條の改正を見るまでは、約十年という長い間本院において前科抹消運動が展開され、十年の長い歳月をけみしてようやく実を結んだ改正案でございますので、その結果ができるだけその立法の精神にかないますように、そこにはあたたかい血が流れることができるように、一層の御奮励を要望してやまないのであります。
 最後にもう一点法務総裁にお伺いしたいのは、警察予備隊に関してのことであります。警察予備隊が編成されてこのかた、多分所期の目的達成のために健全なる訓練、運営が行われておると思いまするが、ある特定の政党が特にこの警察予備隊の公休日等において、お前方は近き将来において朝鮮その他戰争の第一線にかり立てられる、そういう状態にあるのである、だから君方は予備隊なんかを早くよした方がいいじやないかというような宣伝が行われておるといううわさを私は耳にしておるのであります。私の郷里の二キロ以内にも予備隊が数千名おるのでありまするが、さようなことを往々にして耳にしておる。そこでやはり年の若い予備隊員の中には、さようなある特定な者の煽動といいましようか、デマといいましようか、そういうものに乘ぜられて、浮き腰になつておる者も中にはないではない。そこでこうした機会に、国会を通して法務総裁には警察予備隊のほんとうの使命のあるところをよく述べられて、きわめて最近においてさような戰争にかり立ててやるというような御意思のないことは、私自身はよくわかつておりまするが、さような惡宣伝のためにまどわされ乘ぜられ、心の中において不安あるいは多少の動揺を持つ者もないではありませんので、いま一度はつきり明快に警察予備隊のほんとうの使命のあるところを、ひとつ御声明を煩わしたい。
 なお警察予備隊が編成されてまだ日も浅いのであるが、今回一般公務員等に対するところのボーナスでありますか、賞與金わずか半箇月程度のものが出るやに伺つておりますが、予備隊等に対する年末の手当というようなものはどういう関係になつておるか、参考のために承つておきたいと思います。
#8
○大橋国務大臣 警察予備隊は文化国家、平和国家また民主国家としての上が国の復興をはかりますために、国内の治安を確保するために設けられたものでございます。従いましてその使令といたしまするところは、あくまでも国内の治安ということを目的といたしておる次第でございます。従いましてこれが国外におきまする戰争のために使用されるというようなことは、断じてあり得ないことでありまするし、また現在のわが国の憲法から考えましても、さようなことはあり得ないということは申すまでもない次第でございます。一部の少数の人々の宣伝として、警察予備隊が将来国外に派遣されて、そして外国との戰争にかり立てられるのではないかというような風評があるやに伺つておりますが、これはまつたく警察予備隊の目的というものを理解しない者の、ためにする宣伝にほかならぬ次第でございます。
 また警察予備隊に対しまして、一般公務員と同様に、年末においていわゆる年末手当というものを支給するかどうかということについての御質問でございますが、この問題につきましては、ただいま政府といたしまして、十分に研究をいたしておるような次第でございまして、まだお答えを申し上げる段階に至つておりません。
#9
○小坂委員長 庄司君に申し上げますが、あなたの御要求の大臣は、まだ見えていない方がおりますから、いずれ見えましてからお願いすることといたしまして、時間の取合せ上、安本長官が見えておりますので、北沢君に発言を一時讓りたいと思いますが……。
#10
○庄司委員 私は農林大臣を呼んでおります。建設大臣……。
#11
○小坂委員長 わかつております。それでその方々が来るまで……。
#12
○庄司委員 農林大臣が見えませんでも林野庁長官が見えておりますから、林野庁長官に一点だけ発言をお許しを願います。
#13
○小坂委員長 それでよければ庄司一郎君。
#14
○庄司委員 農林大臣がまだお見えになりませんので、農林大臣の代理として、林野庁長官にただしておきたいことがあります。
 東北地方における国有林野が、全国の国有林野の約三分の一を保有しておることは御承知の通りであります。どういう関係で東北六県だけで全国の国有林野の三分の一を保有しておるかというならば、言うまで心なく奥羽二十一藩が時の薩長土肥藩閥政府に反抗をして、反乱軍という判定のもとに、奥羽二十一藩の藩主の持つておるすべての山々が、明治五年までの間にとられてしまつたのである。そこで東北地方における農民は、自分の住宅の軒下に国有林がありますのでたきぎにも困つておる。枯木一本とるのにも、これが盗伐と言われることになつたのであります。そこで東北地方は、昭和十二年以来長い政治運動をやつて、この広漠たるところの東北の国有林野を、地元関係町村に拂い下げてもらいたい、あるいは貸し付けていただきたいということを要請して参りました。しかるところ、だんだん、特に現内閣となつて以来、よく東北の国有林野を御調査くださいまして、本月の去る二十日において、大体林野庁より仙台農地局の方に所管がえに決定せるところの国有林野が七万二千八百一町歩、これが所管がえとなり、所管がえと同時に、それぞれ東北六県あるいは市町村、森林組合その他の各公共団体等に逐次これが拂い下げられる、あるいは貸し付けられるというような状態に相なつたということを聞いておりまするが、はたしてそのことが事実であるか、また東北六県の六県別、この所属がえの反別等を御承知であるならば、参考までにまず承りたいと思います。
#15
○横川政府委員 ただいまお話の東北六県に特に国有林の比率が多いということはお話の通りであります。私ども東北六県、特に東北六県の農民のために国有林の利用をはかる機会を與える。先ほどお話の通りに七万二千余町歩の国有林野を開放いたしますことは事実であります。ただいまその府県別の数字を持ち合せておりません。いずれ機会を見て申し上げたいと思いますが、さらに来るべき通常国会におきまして、国有林野整備法を提出いたしまして、御審議をお願いすることにいたしますが、その要旨は林業の目的を体しまして、地方の産業助長のためにする土地は、これを開放する、あるいは独立した小団地、あるいは境界が錯綜しております土地等につきましては整備いたしまして、これを開放することにいたしますし、また地元薪炭材の供給のために、従来委託林制度というようなものを設けておつたのでありますが、従来の縁故特売あるいは簡易委託林制度をも含めまして共有林というようなものを設けまして、できるだけ地元民の生活あるいは産業に寄與するように国有林を運用して参ることにいたしております。
#16
○庄司委員 林野庁長官は、東北六県の六県別所属がえ反別はただいまお手元にないという意味のお答えのようでありますが、本委員の内偵するところによると、決定されたる七万二千八百一町歩のうち、岩手県が三万四千六百四十二町歩、福島県が一万二千八百五十町歩、青森県が八千五百十五町歩、秋田県が八千百八十一町歩、山形県が八千百二十五町歩、宮城県が四百八十八町歩、かようなことにすでに決定済みであるという内偵をしておるのであります。林野庁長官は、ただいま資料がお手元にないと見えて、今即答いたしかねるという意味のお答えのようでありましたから、このことは追究はいたしません。しかしながら仙台農地局と東北六県の知事等との協議によつて、最小限度林野庁に要請しておる所属がえの反別は八万九千六百六十六町歩と相なつております。そこで現在決定済みのものが七万二千八百一町歩でありますから一万六千八百六十五町歩がまだ未決定と相なつておるような計算に相なるのであります。そこで未決定の分の一万六千八百六十五町歩をすみやかなる期間において、仙台農地局あるいは東北六県の知事等の会議に付して、その所属がえをすみやかに施行されたいという希望を述べると同時に、今回の地元県あるいは市町村等に対する拂下げは、まことに偶然なものではありませんで、ただいま申し上げたように、昭和十二年東北興業株式会社法なるいわゆる当時の国難会社の立法がされ、その時代より猛烈果敢に東比六県が請願あるいは陳情いたして来たのであります。ゆえにこの分配もまた公平でなければならない。しかるに岩手県だけが三万四千六百四十二町歩、あるいは福島県の一万二千八百五十町歩、青森県の八千五百十五町歩――秋田、青森のおのおの八千町歩以上、ひとり宮城県が四百八十八町歩、私は宮城県の選出でありまするから特に深き関心を持つのであります。物平らかならざればすなわち鳴ると孟子様が言つた通りであります。どういう経緯関係かわかりませんが、かような内定がはたしてほんとうであるとするならばまことにこれは公平を欠いた、鳴らざるを得ない結果になるのであります。幸いにも一万六千八百六十五町歩がまだ未配当になつておりますので、林野庁長官におかれてはよくこの点を勘案されまして、物平らかならざればすなわち鳴るというようなことがないように、幸いに残つておる一万六千八百六十五町歩の分配方については最も良心的に、そうして政治的には平衡持平に御善処あられんことを切に要望してやまないのであります。来議会には国有林野整備法なる法律の御提案という御計画、まことにけつこうであります。ただわれわれは、拂下げをして木を切つて、これを地方自治体の一時の財源にするというような小さなことは考えておりません。そこにはりつぱな施業案を立てて、欝蒼たるところの森林を再びわれわれは培養して行かなければならないのであります。そういう意味において、どうか多年の懸案である、長い間忍苦努力の結果から得たところの東北六県のこの国有地の――われわれから言えば水平運動であります。再び東北地方にこれが還元する。この還元についてはあくまでも公平を期し、宮城県だけが四百何町歩というようなことであつてはならない。まことにこれはけしからぬことであるとわが輩は憤慨しておるのでありますが、まだ幸いに一万六千八百六十五町歩が残つておりますので、このとつておきの方をよこしていただいて、東北六県に政治上の愛の普遍化を要望してやまないのであります。
 委員長。私のあと要望しておりますお方がお見えになつておりませんので、一応あとの方は保留さしていただきまして、これをもつて終ります。
#17
○小坂委員長 よろしゆうございます。尾崎末吉君。
#18
○尾崎(末)委員 安本長官に二、三お伺いいたします。
 第一問は、昨日御説明があつたようでありましたが、私少し遅れて参りまして、十分に聞きそこねましたので重ねてお伺いするのであります。昭和二十六年度の国民所得の見積りを先般新聞紙上で見ますと、第一次の見積りにおいて三兆二千三百八十億であつたものを、去る十八日かに、さらに一千五百四十億程度増大をするという見込みで、合計三兆三千九百二十億円という案を向うさんの方に提出せられた、こういうことが出ておつたようであります。そこでこの数字は大体において間違いないかどうかということをまず伺つておきたいと思います。
#19
○周東国務大臣 新聞でごらんになつたというお話でありますが、私新聞のことを存じておりません。国民所得につきましては、昨日申し上げましたよう目下いろいろな点から検討をいたしておるのでありまして、大体は三兆二千億前後におちつくのではなかろうかと考えておる次第であります。
#20
○尾崎(末)委員 そこで、大体においてということでありますので、はつきりした数字はいまだ発表ができない点もあろうかと思いますので、この点だけを伺つておきます。それは、朝鮮事変によつて生ずる影響のために、いわゆる特需関係によつて相当国民所得が増大した。こういう点がもとよりあるはずでありますが、そういうものをどういう方法で調査されて見積られるのであるか、この点を伺つてみたいのであります。
#21
○周東国務大臣 国民所得は物価の上昇並びにそれによる国民所得の増加、賃金の状況とそれから生産上昇率等を勘案しまして決定するのでありますが、こまかい見積り計算等につきましては、必要があれば別の機会に係の方から説明いたさせます。
#22
○尾崎(末)委員 私が御質問申し上げる趣意は、結局この種の見積りというか、調査というか、そういうことが実情に沿つてやられるのであればむろん国民も満足するのでありますが、ややもすると机上プランによつて調査や見積りがなされることが今まで往々にあつた結果、国民に與える影響が非常に大きかつた。こういう点を心配いたしますので、どういう方性で見積られるのか、こういう質問をいたしたわけでありますが、少くとも安本では実情に即して調査見積りをやつておる、こういうように了解してよろしゆうございますか。
#23
○周東国務大臣 お話の通り、これにつきましては、国民所得の計算をなすについて特に專門家も集め、しこうして先ほど申しました生産の上昇率、賃兼金物価の上昇率、所得、收入、そういう全般にわたりまして具体的に検討して一応の決定をいたす運びになつております。
#24
○尾崎(末)委員 そこでこれに関連しまして伺つておきたいのでありますが、いわゆる特需景気と申しますか、特需品のある地方、特需品が生産及び販売せられる地方におきましては、相当にこのために潤つておるようでありますが、特需品に縁故のない地方におきましては、物価の値上り等の影響、また資材等の入手難、そういうことで相当に困つて、潤うどころか逆な影響を與えているようであります。これに対して何らかの方法を考えておいでになりますかどうか、その点を伺つてみたいと思います。
#25
○周東国務大臣 お話のように、特需関係の景気の及ぼすところは地域的にもたいへん違つておると私も思います。しかしながらこの景気から来る影響に関しまいて、たとえば地方の工場等において、原材料が特需景気のある地方に片寄つて、ほかに行かぬではないかというようなことも御質問の中に含まつておると思いますが、一例をあげますれば、中小企業の原材料の供給等に関しましては、でき得る限り、多少の片寄りがあるにしても、活動し得るような方法をとるように努力をいたしております。金融的措置につきましても、積極的に動いている部分に余計に行くということはおのずから起ると思いますけれども、だからといつて他の方面についての金融措置を放棄して顧みないというわけではないのでありますから、御了承を願います。
#26
○尾崎(末)委員 その点は了承いたしました。そこで方面をかえまして、二十六年度か道路、河川、港湾等のような方面のことは、すべて新規事業に関して経済安定本部の方で立案に当られるようになつた、こうい方針であると聞いておりますが、その点いかがですか。
#27
○周東国務大臣 このことは二十六年度からでなくして、従来からも予算の編成等におきましても、公共事業に関しましては、経済安定本部において一括し、まとめて総額を決定し、内容を決定し、順次これを認証して各省にまわすという行き方で従来とかわつておりません。
#28
○尾崎(末)委員 従来のやり方は一応承知をいたしておつたのでありますが、特に来年度からは安本の方がこういう方面に向つて強い発言権というか、強い責任というか、こういう方面を負つて行かれる。こういう方針が新しくきめられたと聞いておるのでありますが、そういうことはないのですか、どうですか。
#29
○周東国務大臣 従来の通りであります。
#30
○尾崎(末)委員 そこで関連して伺つておきますが、従来安本がややもすると各省の下敷になつておつたような感がありましたのが、周東安本長官が長官になりましてから、非常に強い力を持たれたので、私どもは非常に心強く思つておるのでありますが、この重大な責任を持つておられる安本で、その後新しく画期的な安本としての御計画についての御構想等がありますれば、その構想についてきわめて責任のある御構想を伺つてみたいと思います。
#31
○周東国務大臣 御質問の御趣旨をとりかねますが、公共事業に関しまして、これは関係各省とともに日本の国土保全のため、また積極的に土地改良等日本の資本蓄積の面に向つて思い切つた施設をしたいということに関しましては、全閣僚一致の考え方であり、私どもはその線に沿い、その線を生かすべく本年度予算並びに三十六年度予算に努力いたしたのでありますが、現在の財政状態から見て、十分満足とけ行きませんが、かなり国土は保全並びに資本蓄積の面に向つて、公共事業費の増額をなし得たと考えております。但しこれに開しまして、公正事業というものの性質からいたしまして、金がふえるだけで実質的に有効適切に効率が上らぬということがあつてはなりません。その旅行に関して嚴正な監督のもとにこれを施行して、いやしくも非違なからしめることに努めたいと考えております。
#32
○尾崎(末)委員 安本長官に対しましてはあと一点でやめますが、災害復旧費等は国庫が全額負担をしてやつて行くという今の方法でたいへん国民も喜んでおつたのでありますが、来年度からは一部を地方に負担せしめる方法にかえられました。その根拠はどういうところにありますか。それを伺つておきたい。
#33
○周東国務大臣 お話の災害費等に関して、全額国庫負担を来年から一部地元負担にかえたのはどうかという御質問であります。りくつから申しますと、私どもも金がありさえすれば、国庫で全額負担をして進めることが一つの行き方かと考えておりましたが、しかし結局このことは財政との見合いであり、一面国民の負担を軽減する一つの方法として、減税ということを実行して参らなければなりませんので、その面からいたしましておのずから歳出に制限を受ける。そうすると一部の点については全額負担ができるが、他の分についてはなかなかその点が困難になることになり、また全額負担を実行して、やむなく一事業地区十五万円以上のものに限るとしてみますと、それではなかなかまとまりにくいから、一郡をまとめて十五万円以上にしてくれというような要望が出たりしまして、そういたしますと、全部を全額国庫負担でやると同じことになる。これは実際の財政から実行困難であり、かたがた一面におきましては、実際上全額国庫負担でやるといたしますれば、地元の責任観念がおのずから薄くもなり、少々のことは事前に防止し得るようなものでも、災害で崩れれば全額国庫負担でやつてくれるということで、ともすると怠慢のきざしの出ることもあるいはあるかもしれませんし、むしろ一部を負担せしめて、国土の保全、災害復旧に努めることがよろしいと考えて財源等を見合せて、来年から一部を地元に負担せしめることを考えている次第であります。
#34
○尾崎(末)委員 御答弁の趣意は一部わかつたようでありますが、なお半分ほどわからないのであります。ということは、財源等の関係で一部のものを地方に負担せしめる、こういうことはわかるのであります。しかしながらあとの御答弁にあつた中の二点でありますが、災害というものはいわゆる地元負担等の経済力のある地方だけに来ればむろんさしつかえないのでありますが、災害はどういう貧弱な町村にもあるいは財源のゆたかな町村にも起るのであります。財源のゆたかなところでありますならば、一部地方負担で復旧をすることはもとより困難でないのでありますが、財源の貧弱な町村等に大きな災害があつた場合、地元負担ができない。そのために国庫の方に災害の復旧の補助を頼むこともできない。こういうようなことがあつちこつちに起りがちなのでありますが、そういうことに対しましてはどういうお考えを持つておいでになるのであるか。このことに対して責任ある御答弁を伺つておきたいのであります。
#35
○周東国務大臣 お話の点はごもつともな点でありましで、これにつきましてはまだ成案は得ておるわけでありませんで、そういう場合も考えつつ、あるいは過去における災害による関係と地元の税收入との割合とか、あるいは例年災害を受けた地区とかというようなことについて、多少の負担についての区別をしたらどうかということについては研究はいたしております。しかしただいままだはつきり申し上げる時期に至つておりません。
#36
○小坂委員長 尾崎君に申し上げますが、建設大臣が見えましたから、もし何でしたら庄司君と一時かわつていただきたい。
#37
○尾崎(末)委員 そこで安本長官にもう一問お尋ねいたします。まだはつきり方法は立つていないが、さつき申し上げました貧弱町村等に対しましては、実情に応じて何らかの方法を講じたいと考えておるとおつしやいますが、これはできますれば、やはり全額国庫負担に持つて行くことが一番いいと思うのであります。地元がそれを許さない場合におきましては、今御答弁になつたようなやむを得ない事情のところに向つては、ぜひとも国庫が全額負担をするか、あるいはまた大部分の負担をするかというようなことの実現をぜひとも急いでお願いしたいということと、それから災害に名をかりてよからぬ手段等をもつて便乘をして来るようなこともあるかもしれない、こういうことでありましたが、そういう面につきましては監督なり監査なりの方法を嚴重に立てますれば、そうした弊害は除かれるのでありますが、そうした方法については十分の手を打つていただいておいて、さつき申しましたなるべく国庫負担で行く、こういう方向へ努力をしていただくように希望をいたしておく次第であります。
#38
○周東国務大臣 先ほどお話申し上げたような点について、積極的には考慮はいたしておりますが、その他にも今お話になつたような点について、災害ということだけについての問題でありませんが、やはり地方における財政状況等はよく考えまして、平衡交付金等の交付についても考慮を加える、こういうように考えております。
#39
○尾崎(末)委員 それでは大蔵大臣、農林大臣その他に対する質問はあとまわしにいたします。
#40
○小坂委員長 では庄司一郎君にかわつていただきます。
#41
○庄司委員 増田建設大臣にお伺いしたいと思います。それは昭和十一年に創立されたその当時の言葉で言えばいわゆる国策会社であるところの東北興業株式会社、政府も持株を持つておられ、あるいは政府が総裁とか副総裁とかあるいは理事というような重役を任命されておる形の会社、ただいまわが国には北海道拓殖と多分この二つしかこういう性格の会社は残つておらないと思いますが、この東北興業株式会社が創立されました当時の当会社の目的はあらためて申し上げるまでもなく、殖産興業、文化、交通、運輸すべての点において遅れがちな東北の産業を振興してやる、こういう建前のもとに、当時国会においてしばしば決議案が上程せられ、あるいは東北振興調査会というような官民合同の会合も持たれまして、政府出資のもとに、また東北六県の各公共団体等が株主となつてでき上つた会社であることは、増田さんも御承知であると思うのであります。ところがこういう性格の会社は、ただいま全国にたつた二つしかないのである。特に東北興業会社の場合は、北海道拓殖と違いまして北海道の方は、北海道総合開発審議会であるとか、あるいは北海道開発庁であるとかいうような機構が誕生してそれぞれ北海道の開発のために努力されておることは、まことにけつこうなことであります。北海道長官をされた増田さんがもつぱらお力を添えられたものと私は想像して喜んでおりまするが、東北興業の場合は今や元のように当会社に対する政府の補助もなければ、あるいは社債先行に対する利子の補給金制度というようなものも撤廃をされまして内容はまつたく純然たる営利会社、あたりまえの株式会社と違わぬところの性格に変更されて参つたのであります。その結果当会社は七十三の傍系子会社を持ち十三の直営会社を持つておつたのであるが、戰争中よりいろいろ財界及び経済界、産業界の変遷に伴いまして、今や政府の補助もなければ、社債発行の権限も持たない、あるいは利子の補給もない孤立無援の状態の東北興業会社となつてしまつておるのであります。特にその姉妹会社である東北水力発電会社は、永井柳太郎君の有名な豊富低廉なる電力、これが国家管理のもとに統合されてしまいまして東北興業会社なるものは、政府が総裁以下を任命されて指導監督されておる、増田建設大臣が直接主管大臣と承つておるのでありますが、この会社の前途に対して現在どういう手を政府は打たれて保護助長されんとするものであるか。前の通常国会において、本院は内閣総理大臣に直接お尋ねをいたしましたところ、北海道開発庁と同様な意味において東北興業会社を政府はでき得るだけ援護、保護、助長してもつてその結果においては、東北地方における産業の開発に寄與させたいという意味の御答弁が、この予算総会においてあつたのであります。よつて私はその後約一箇年の間政府がどういう手を打たれて、この会社の更生、援護のために善処されるかということを待望しておつたのでありますが、その後私の耳には何ら新しいニユースが仏わつて来ない、当会社は北上川の上流に、いわゆるアメリカのTVA的な工事をやりたい、独自の自家発電をもつて肥料、その他の生産のために寄與したいという念願を持つて、いろいろ政府に陳情、請願されておるそうでありますが、特に直接当会社の指導、監督権を持たれておる増田さんにおかれては、どういう手をもつて当会社を興し、つまり東北六県の産業の開発に寄與させようというお心構えであるか、最初その一点をお伺いいたします。
#42
○増田国務大臣 東北の振興開発について、きわめて御熱心なる庄司さんの御質問中の御意見に対して私は全然同感でございます。
 元来泉北は、北海道と多少は違いますが、資源的に見ますと、いわゆる未開発地域が相当残つておるのでありまして、これを総合的見地から開発するために、十六年前に東北庁を時の議会において創設したものと心得えております。それが結局東北振興事務局といつたような、きわめて小さい官庁となり、さらに行政整理を受けて、全然消滅してしまつたということは、私は非常に遺憾といたします。しこうしてこの東北地方につくつた会社が、お説の通り、二つあるのでありまして、東北興業と、それから東北振興電力株式会社とあります。あとの会社は、御承知の通り日発、あるいは配電等に統合されてしまつたのであります。東北興業は今日も存在し、しかも公益的の性質を持つておる、單なる営利会社とは私は考えておりません。公益的の東北の総合的開発なり、振興という重要な任務を担当した営利会社である、こう考えております。もとより採算もとれなくてはいけませんから、監督官庁たる建設省におきましては、採算もとれ、しかも東北全体の開発なり、振興に役立つ意味においてこの会社に活動してもらいたい、こう考えております。しかしながらただいまのところ、ことに終戰後におきましては、それぞれの子会社なりあるいは会社自身の経営がうまく参つておりません。笹木野の石灰窒素というものは、ある程度採算上利益でございますが、おおむね赤字というような状況で、監督官庁たる私どもといたしましても、非常に苦慮をいたしておるのであります。しかるに御説のごとく、ただいま北上川にTVA類似の総合開発が必要であるという意味において、その糸口として見返り資金によつて従来やつておつた事業の継続事業として、あるいは新たに糸口をつくる意味において、湯沢ダムと猿ケ石のダムの建造に着々邁進いたしておる次第であります。これはもとより河水統制という見地から始めたものでございますが、しかし各種の方面に役立ついわゆる総合開発を目途としなくてはならない、こう考えております。電力はもとより相当出るわけであります。この電力を利用活用いたしまして、肥料の製造を東北興業といつたような公益的な性質を持つておる営業者だ担当さした方がよろしくはないか。單なる普通の営業者をしてやらしめずに、しかも御承知のごとく東北六県の自治団体は、すべて東北興業の株主でございまするから、結局公共団体的の営利会社である、私はこういうふうに心得ております。そこで今度の猿ケ石、湯沢、すなわち北上川の水力資源の開発されたその水力を活用して、東北興業がりつぱに成立つて甘くようにしたならば、東北の振興にも役立つのではないか、こう私は考えまして各閣僚に対しましても、この北上川水力による電気は、他の会社よりも優先して東北興業に使わしてもらいたい。そうして東北興業が赤字から黒字に転換するようにいたしたいということを、産業大臣にもそれぞれ申入れをしておりまして、産業大臣、財政大臣いずれも私の説に同感の意を表してくれております。しかしながら、ただいまこの水力を使いまして肥料工業をやつて、はたして採算がとれるかどうかという点につきましては、安本を中心として通産省の電力局、それから私の方の管理局等においてせつかく研究中でございます。まだその結果は出ておりませんが、私は原則論的に北上川の水力、河水の統制によつて生ずるところの電力は、東北興業に使わせまして、そうして東北興業が公益的の営利会社として成立ち得るようにいたして参りたい、こう考えておる次第でございます。
#43
○庄司委員 もう一点だけ、ついでに建設大臣にお伺いしたいのは、現行法律規則となつておりまする市町村の災害補助工事等に関連する問題でありまするが、市町村等において、災害による一箇所総工事費十五万円以下の箇所に対しては補助をしない、こういうようなことに相なつておるそうでありまして、最近全国の町村長の大会等においても、これはまことに困つた御規則である。町村によつては、災害によつてたとえば本年の八月三日、四日の東北地方における災害等においては、一町村において一箇所七万あるいは十万、つまり一箇所十五万円以下の程度の被害を受けた場所が、三十箇所以上に上つておる町村もあるのであります。しかるに一箇所十五万円以下という限定であつては、災害を受けて、いとど市町村財政に悩んでおる町村にとつて補助の対象とならないということはまことに困つたものである。ぜひひとつ改正されてさような町村等に対しても、補助の恩典を受け得るように政府にも善処方を依頼したいというような声は、各町村長の一致されたるところの熱烈なる要望であるのであります。かような点に関して建設大臣はどういう御所見であるか、この点だけお伺いして私の質問を終りたいと思います。
#44
○増田国務大臣 お説の点は私も全然同感でございます。でき得るならば、昔のように七万円以上は国庫で負担する、こういうことにいたしたいのでございますが、もつとも七万円以上のときは国庫においては三分の二、地方においては三分の一をそれぞれの罹災地府県市町村において負担いたしておつた次第であります。しかしながら今度の災害関係の法律によりますと、十五万円以上でないと全額国庫負担になりません。そこで十五万円以下のものはその府県なり、その市町村の負担でございますから、市町村によりましては、十万ぐらいの災害がお説の通り二十箇所も三十箇所も起きている。しかもその隣の村は十七万円の災害が一箇所起きた。その十七万円は全額国庫負担であるけれども、十万円の災害が二十箇所起きれば二百万円の災害であるのにかかわらず、隣接町村の甲村と違つて乙村においては全然その乙村の税負担によつてこれをまかなわなければならぬ、こういうような状況で、しかも貧弱町村である場合にはいたしかたがないから、災害関係の復旧をいたさずに放置してある。こういうような機械的な悪結果を招来いたしております。私といたしましては、災害というものはできる限り早く復旧する。せんだつての本会議においてもどなたかの御質問にございましたが、災害を復旧いたしたところで、病気がなおつたにすぎないのである。マイナスをゼロにしたにすぎない、こういう病気でございますから、あらゆる歳出科目に優先しても災害復旧は急ぎたい、こう私は考えておる次第であります。そこで財政とのにらみ合せでございますが、本年度の四百七十億を全部支拂つたといたしまして、まだ過年度災害、すなわち二十四年度の災害が五百億、借金が残つておる次第であります。五百億支出しませんことには、マイナスからゼロになつて来ない。そこへ、ことしのジエーンなりキジアの台風が起きて参りまして、建設省関係だけで申しましても、五百四十二億という数字になります。これはもつとも本年度の予備費なり、これから皆様に議決していただく四十一億のうち建設省関係のものが相当支出されましようから、それを見合いますと、四百七、八十億と思いますが、それから一千億近くの災害が復旧されずにマイナスの状態に放置されているこういうことは非常におもしろくないのでありまして、そこで先ほど尾崎さんの御質問にございましたが、われわれ大蔵大臣あるいは安本長官とともに、国庫においてはもしできれば三分の二、地方が負担できれば三分の一、貧弱町村等は四分の一ぐらいしか負担できない場合がございましようが、そういうふうにいたしまして、でき得る限り早く災害を復旧いたしまして将来の災害に備え、あらかじめこれを防ぎたい、こう考えておる次第であります。ところによつては国庫負担ということは非常にこれは美名であるけれども、今のような貧弱町村はまるきり困つてしまう。むしろ三分の二の時代の方がよほどありがたかつた。十五万円以下は何となれば全然見てくれないのであるから、こういうことを言つて非常につぶやく貧弱府県市町村等もあるそうでございます。今度三分の一かりに罹災地府県市町村等になつてもらうということになりますというと、よほど早く災害が復旧できる。すなわち事業分量が非常にふえますからして早くマイナスの状態を、病気のなおつた状態に招来し得る、こういう見地から、われわれは災害の国庫負担ということは来年度は考え直そう、こう言つておる次第であります。どこどこまでも災害を早く復旧して、将来の災害の予防をいたしたい、こういう見地でございます。大体全額国庫負担という制度が改まつて、罹災地府県市町村が三分の一、四分の一になることになりました。その場合、私は一つの條件を持つております。すなわちその年の税金でまかなうということは府県市町村としてはむりであるからして、起債によつて災害復旧をいたす、そういうことがそれぞれの関係方面で許されることを私は期待しておるのであります。もしこれが許されませんと、その年のタツクスでその年の災害を全部まかなう。災害は数年に一ぺんくらいしかおそらくないでございましようから、その年の税金でまかなわせるということは、いかにも貧弱府県市町村にはむりでございますから、ぜひともそういう点は起債というようなことを條件にしてほしい、私はこういうことを安本長官にも、大蔵大臣にも要望いたしております。その條件を満たされない場合には、国庫負担にまた再び返つて来てもいたしかたがない。全額国庫負担といたすべき問題である、こう考えております。それから全額国庫負担でない場合でも、たとえば三分の一というような機械的なことをしてはいけない。場合によつては四分の一という場合もあろうし、あるいはその府県市町村の当該年度の税額に比べて、圧倒的に災害が多いというような場合は、場合によつては全額負担とするというようなことも考慮しなくてはならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。そういたしまして、全額を国庫で負担しなくてもよろしいけれども、三分の二負担すればよろしいという事態になりますれば、十五万円を昔のように七万円くらいに下げて参りたい、法律を改正していただきたい、こう考えておる次第でございます。
#45
○小坂委員長 北沢直吉君。
#46
○北澤委員 私は貿易の問題を中心としましてまず周東長官の御所見を伺いたいと思うのであります。
 今日、日本が当面しておりまする最も大きな問題は、何と申しましても、講和條約の締結と日本の経済自立の達成であろうと思うのであります。いかに講和條約を結びましても、日本の政治上の独立と日本の安全保障を確保しましても、経済の自立がなければ、日本の完全な独立を確保し得ないのであります。現在アメリカは西ヨーロツパの国に対しまして、いわゆるマーシャル案によりまして経済上の援助を與えておりまする結果、西欧各国の経済については、アメリカはいろいろの点において指示権を持つておるわけであります。どうしても日本が経済上の自立を達成しなければ、講和條約を結びましても、日本がいろいろな点で外国から制約を受けるということはやむを得ないのであります。そういうわけで、私は講和條約の締結と経済自立の達成は、これは一つのものであるというふうに考えておるわけであります。この間の総理大臣の施政方針演説並びに大蔵大臣の財政演説の中におきましても、日本の経済の自立の点につきまして強調せられておりますことは、私はまことに同感であります。そこで日本の経済の自立の問題でありますが、日本は御承知のように、終戰以来、今日まで米国から約二十億ドルの経済の援助を受けておるわけであります。いわゆるガリオア資金とか、あるいはエロア資金というような形におきまして、この五年間に約二十億ドルの経済上の援助を受けておる。これによつて今日の日本の復興がもたらされるわけであります。ところがアメリカにおきましては、本年七月から来年の六月に至りますところの一九五二年の会計年度におきまして、アメリカの歳出は約七百億ドル、そのうち国防費が五割でありまするが、この多額の歳出をまかなうために、米国は五十億ドルの増税を断行しようとしておりますが、それでもなおかつ百五十億ドル以上の赤字が残つております。そういう点から申しましても、アメリカにおきましても、海外に対する経済援助をだんだん減らして行こうというふうな空気になつておりまするところへ、過般のアメリカの中間選挙におきまして、共和党が大勝したという結果、この対外援助を再検討すべしという議論は、アメリカにおきましては、ますます強くなつておるようにわれわれは見ておるわけであります。もちろんアメリカは、外国に対しまする経済上の援助はだんだん減らしましても、一面におきましては軍事上の援助、これはますますふやそうというふうに考えておるように思われます。特に大西洋條約参加国の軍備を拡張するためには、どうしてもアメリカが軍事的性質を持つた経済援助をしなければいかぬということで、アメリカの援助のもとに、西欧各国の軍備拡張が大々的に行われる趨勢になつておるわけでありますので、結局私は、アメリカの諸外国に対する経済上の援助というものは、量的にも質的にも、経済援助は今度軍事援助にかわる、こういうふうに量的にも質的にもだんだんかわつて来つつある状況にあると思うのであります。そういうわけでありますので、日本はいつまでもアメリカの経済援助に期待をかけておることはできないわけであります。どうしても日本経済の自立をなるべく早くはからなければならぬということは、いまさら申し上げるまでもないのであります。ところが過般の朝鮮動乱を契機としまして、世界の経済に大きな変化が来ました。特に世界全体におきまして、先ほど申しました軍備拡張の空気が非常に高まつて参りました結果、従来の買手市場というものが、今度は売手市場になりまして、従来日本が非常に心配しておりました日本の輸出増進という点も、今度は日本の輸出が非常に増進されるというふうな空気になつたわけであります。従いまして、朝鮮事変以来の特需の状況あるいは一般の輸出の増強というのが、日本の経済の自立をはかるのに非常に都合よくなつたわけであります。従いましてわれわれは、遠からずして日本の国際收支、国際貸借というものはバランスをとるようになりまして、ここに日本経済の自立が達成されると思うのであります。そこで一つ問題なのは、過般アメリカのグレイ委員会がレポートを出しまして、特に朝鮮動乱以来の日本の経済が非常によくなつて、そして今の状態では明年の中ごろには、日本の国際收支はバランスがとれるようになる。従つて日本に対するアメリカの経済援助というものにつきましても、愼重に考え直さなければならぬというふうなことが、このグレイ委員会のレポートにも出ておるようであります。そこで問題は、こういうふうに日本の経済自立の問題につきまして、グレイ委員会のように楽観していていいかどうかという問題であります。どうも私どもの見るところでは、このグレイ委員会の報告のように、楽観はできないのではないかと見るわけであります。この間ドツジさんが日本に到着しましたときに出しました、あの声明書によりましても、この朝鮮動乱による日本の景気というもの、特に特需の景気というものは、これは一時的な現象であつて、決して楽観してはいかぬというふうに書いてあります。それからまた二、三日前のニユーヨーク・タイムズの社説を見ましても、グレイ委員会の報告は楽観に過ぎるというようなことが出ておるわけでありまして、私どもの考えでは、来年の半ばにおきましては、日本の国際貸借のバランスがとれて、そうしてアメリカの援助もなくてよろしいというふうな状態になるとは考えられないのであります。これに対しまして、安定本部の周東長官はいかにお考えになつておりますか、この点を伺いたいと思います。
#47
○周東国務大臣 お話のグレイの報告の問題でありますが、これはまだその内容についても、その取扱い等につきましても、公式には話を聞いておりませんからわかりません。しかし新聞に出たところから想像してみますると、今お話のように、日本は最近朝鮮事変等によつて非常に景気がよくなつて来ている。この分で行くと来年七月ごろには、戰前よりもやや下まわるところで生活水準を維持しつつ自立できるであろうというような報告があつたようであります。しかしそのあとに続けてグレイは、しかしこのことは結局日本の輸出市場の確保なり、原材料の輸入の確保が、上つかりとできるかいなかにかかつておる。従つてもしこのことが完全に行かずに、輸出生産工業の拡大もなく、原材料の輸入もうまく行かないとすれば、そういうように必ずしも行かぬであろうというようなことが付記してあるのでありまして、必ずしもいかなる場合においても、常に援助打切りというかつこうではないように伺つております。しかし確実な内容をまだ聞いておりませんからわかりませんが、そういうことから見まして、日本の経済の将来は、やはり一に輸出関係、輸入関係にかかつておると私は思います。
 翻つて、しからば来年の六、七月ごろに自立ができるかどうかという問題になりますると、私どもの見るところでは、まだ来年の七月ごろに、完全に、適当な生活水準を維持しつつ国際貸借のバランスをとり得るとは考えておりません。ただいまいろいろ研究しておりまする問題、自立審議会等の結論も出ておりませんが、それによりましても、二十八年度において自立の目標を立てつつやつておりますにもかかわらず、資金面においてまた原料面等において、かなり困難な事情を伴つておる、かように考えておる次第であります。
#48
○北澤委員 そこで伺いたいのは、日本の国際貸借につきまして最も関係の深い特需の関係、それから輸出貿易でありますが、この特需と貿易のここ一、二年先の見通しについて伺いたいと思います。
#49
○周東国務大臣 特需の問題でありますが、これは最近かなりふえております正確な数字は今持ちませんが、大体物品関係における契約において三百億円余りですか、それにサービス関係、鉄道、自動車の車両の修繕とか、あるいは労務の提供というようなものが二百億くらいで、約五百億くらいになつておるようであります。従つて今後これがさらにどのくらいになるかという見通しでありますが、これはなかなか確実な見通しをつけることは困難ですります。今後の動乱状態における形がどういうふうになるかという問題もありましようし、また動乱の終息した後において、それではどうなるかということになれば、私はやはりある程度朝鮮の動乱後における経済上の跡始末というようなことに対しましても、ある程度日本がその仕事の一部をかつがなければならぬのじやないかとも思います。従つてそういうふうなものをかれこれ考た合せまして、見通しを立てるについて、どのくらいふえるであろうということを今日から予測することは、ちよと困難であると思うのでありますが、いずれにしても今日の状態は五百億くらい増加になつております。
#50
○北澤委員 ただいま特需の問題につきましては、お答えがあつたのでありますが、輸出貿易の見通しについて伺いたいと思います。
#51
○周東国務大臣 輸出につきましては、実は今年の正月ごろから見まして、非常にふえて参つております。むしろ今年の三、四月ごろは輸出が伸びずに、輸入が多くてどうも受取り勘定が少くて、支拂い勘定が多くて、困つているという状態でありましたが、最近の状況はお話のように、輸出は特需をまじえまして最近の資料によりますと、正確の数字は別にいたしまして、十月、十一月の現在におきまして約七千万ポンドぐらいの輸出になつてあります。これに対して輸入の方がむしろ四、五月をピークとしてだんだん下つて参りまして、ここに私どもの非常な心配があります。今後の問題として、輸出があまりふえまして、輸入が伴わないということになれば、結局国内における必要な材料が足りなくなるということでありますので、この点は極力努力いたしておりましたが、最近八月、九月、十月と、今度また上昇の道をたどつておる。一時六千二百万ドルにさがりましたのが、六千八百万ドル、六千九百万ドルというように上昇しておる。十月は想像でありますが、七千万ドルを前後するのではないか、こういう状況であります。この点は私ども将来の自立経済を立てる上におきまして、輸出入がバランスすることが問題である。幸いにと申しますか、今御案内のように、輸出はどんどんふえているが、それは結局従来内地にあつたストツクがある程度はけたということもありましようし、今まであつた原材料で製品を出したものもありましう。今後はどうしてもこれを維持しつつ、なおまた内需に対して圧迫を加えぬ程度に、原材料その他が積極的に大幅に輸入されることが必要であります。従つて今日の努力は輸入に対する対策にかかつております。この間ここですか、ほかですか、ちよと申しましたように、輸入に関しましては、今までいろいろ障害なつておりました輸入の手続に関して相当改革をしたのであります。自動許可制の設置もそのことであります。長期先物契約もそのことであります。また輸入外貨資金の増加につきましては、四―六の外貨が一億六千万ドル余でありましたが、次の七―九は約四億四百万ドル、十―十二は約三億八千万ドル、合計いたしまして最近は八億ドルと決定をいたしております。要は今後は、金は集めた、実行上の手続を鞭撻し進めることが、これからの仕事であろうと思います。いろいろ在外事務所あるいは支店の設置を許可し、あるいは先物契約の許可をということが、漸次効果を発揮して来たのであろうと想像いたしております。
#52
○北澤委員 ただいまの御答弁で、今後の特需の見通し、及び貿易の見通しの大体がわかつたのでありますが、日本の国際收入については、この特需及び輸出貿易というものが大部分を占めておりますが、そのほかにいわゆる見えざる貿易と言われております船賃の收入とか、保險料の收入とか、あるいは観光客の落す金とか、そういうふうないわゆる貿易以外の国際收入の見通しはどうなつておりますか、それを伺いたいと思います。
#53
○周東国務大臣 貿易外收入につきましては、大体一億ぐらいを予定いたしております。
#54
○北澤委員 次にお伺いしたいのは、貿易の問題についてでありますが、先ほど申しましたグレイの報告によりますと、来年の中ごろには日本の国際貸借はバランスがとれる、こういうわけでありますが、戰争前の日本の貿易状態というものをよく見ておりますと、何と申しましても日本の貿易の対象になる地域は、アジア大陸、中国及び東南アジアというものが、日本の貿易のマーケツト――日本の物を買い、あるいは日本に原料を売る貿易の対象の地域としましては、結局このアジア大陸が大部分を占めておつたわけであります。御承知のように中共との貿易というものは、なかなか思うよう参らぬのでありますが、このグレイ報告によりますと、中共の貿易がないままで行つても、来年の中ごろになると日本の経済自立はできる、こういう結論になつておるわけであります。そこで伺いたいのは、前々から問題になつておりまする日本と中国との貿易、これが一体どういうふうになつておるか、また将来の見通しはどうかという点について、伺いたいと思います。
#55
○周東国務大臣 中共との貿易ということに対しましては、公の貿易協定なんかは結ぶ段階でないのでありますが、実際問題としては、香港を経由して事実の取引は多少ながらあるようであります。
#56
○北澤委員 それでは政府の見解によりますと、中共との貿易はあまり発展しなくても、日本の経済の自立は達成されるというお考えでありますか、この点を伺いたいと思います。
#57
○周東国務大臣 先ほどのグレイ報告に関してはお話を申し上げた通りでありまして、私どもはまだ来年の六、七月ごろに自立には達しない、かように考えております。将来の問題といたしましては、従来戰前における日本の貿易の状態から見まして、中国貿易は相当重要な地位を占めておつたことは事実であります。将来もまたしかりであろうと思いますが、しかし最近の国際間における貿易の状況というものは、必ずしも以前の通りを踏むべきではないということもありましよう。従つてかつての市場がかわつて、新しい市場を開拓することもありましよう。従つてそれらすべてを考えに入れてわが国の国際收支貸借を考えて行くべきであると考えます。しかし中共の東亜における日本との貿易関係における地位というものは、十分尊重して考えられるべきであると考えます。
#58
○北澤委員 次の点に進みますが、経済の自立と申しましても、單に国際收支のバランスを得るというだけでは、私は真の意味の経済自立じやないと思います。来年の中ごろに日本の国際收支がバランスを得るとしましても、これは戰前の日本の国際收支に比べて大体その半分くらいのレベルで日本の国際收支かバランスを得るということだろうと思うのであります。そうすると、われわれ国民の生活水準というものは、戰前に比べて相当低い。国際收支のレベルが戰前に比べて半分であるばかりでなく、終戰後海外から約七百万の人が日本に帰つて来て、人口もふえました。従いまして、日本の国民の生活水準というものは相当下つていると思います。従つて日本のほんとうの経済の自立をはかるというためには、單なる国際收支のバランスでなく、相当程度の国民の生活水準を確保するという見地に立つて、国際收支のバランスを得なければならない。こういうふうに考えますが、この点に対する大臣のお考えをお尋ねいたします。
#59
○周東国務大臣 この点につきましては、自立経済の目標は、適当なる水準を維持しつつ、国際收支のバランスをとることであるということは、私が一番初めに申し上げましたので、常にバランスだけを生活水準を離れて考えてはおらないということは、御承知を願つておきたい。生活水準をどの程度に持つて行くかということについては、一足飛びに戰前の通り百パーセントに返すことは困難でありましよう。おのずからそこに段階はあると思いますが、来年の六月ごろ、もしグレイの報告通りとすれば、私は八十%しか戰前の回復はないと思いますが、これでは私どもはいかんじやないかと考えておるのであります。この点もあわせて申し上げておきます。
#60
○北澤委員 ただいまの御答弁で、政府の経済自立に対するお考えを伺つたのでありますが、こういうふうに日本が経済の自立を達成する段階にありますので、アメリカは日本に対して経済の援助を與えなくてもいいというふうに考える傾向がふえておると思います。ただいま申しましたように、ある程度の国民の生活水準を維持しながら、日本の経済のバランスをとるというためには、今後相当の期間にわたりまして、アメリカから経済上の援助ではないが、クレジツトあるいは借款という形において、あるいは政府のクレジツトあるいは民間の外資の導入、こういう形において、アメリカから資金の援助を受ける。これまでのようなガリオアとかエロアという意味ではなくても、対等の立場において日本がアメリカから金を借りるということが、私は必要だと思うのでありますが、この点についての政府のお考えを伺いたいと思います。
#61
○周東国務大臣 お話の通りだと思います。とにかく日本としては、でき得る限り早い機会において、まつたくの自立的な立場において、国内の生産を増強し、また輸出入のバランスをとり得ることが必要でありますけれども、しかしこの点は生活水準との見合いもございますし、また七十年蓄積しました資本を、数年の間に瓦解消滅させたものであります。これを急速に復活することも困難であります。自己資本だけでは困難な点があると思います。その点でお話のように、外資の導入、クレジツトの設定ということをあわせ考えつつ、一日も早く自立経済の達成に持つて行くことが、至当であると考えております。
#62
○北澤委員 そこで伺いたいのですが、政府も盛んに外資の導入そういう点を強調されておりますが、最近の外資の導入の状況は一体どうなつておりますか、その点を伺いたいと思います。
#63
○周東国務大臣 この点につきましては、一つ技術援助等の関係と、直接投資の問題とあるようであります。昨年でありましたか、通りました。技術援助に関する問題について、最近はすでに技術特許等の貸與契約等ができましたものが、十四、五件に上つておると考えております。なお今日まだ申し上げられませんが、外資委員会等において、すでに調査決定をいたしておりますものが二十件くらいに上つております。これは関係方面の許可を得次第できるものであります。その他審査中のものも同数くらいに上つております。だんだんと実際に技術援助のための貸付という形が進んで参るようであります。しかし投資関係においては、今数字を覚えませんが、いわゆる外資導入に関する法律に基いて、増資とか、あるいはかつての既発株を一定の制限のもとに持つということも大分進んでおりますが、今的確な数字を覚えておりません。将来に向つては私はもう少し導入を容易ならしめるために、外資導入に関する法律をある程度改正したいと思つております。特に株券の持ち方等についても、十分考慮して行つてみたいと思います。
#64
○北澤委員 外資の導入の点につきまして、もう一点伺いたいのでありますが、日本が外国の資本を入れるためには、いろいろ考えなければならぬ点があると思います。しかし最も大きな点は、日本が国際通貨基金に入る、国際復興開発銀行に加入するということが、最も大きな問題だと思います。政府はたびたび日本が国際通貨基金に加入する時期は早いというふうに言われておりますが、日本がこの国際通貨基金あるいは国際復興開発銀行、いわゆるブレトン・ウツズ協定に加入する見込みは、一体どうなつておりますか、その点を伺いたいと思います。
#65
○周東国務大臣 つけ加えておきますが、さつきの株式投資の問題について、今日約七億くらい入つております。今の国際通貨基金加入の問題でありますが、これはできるだけ早く加入することが適当であると考えて、努力しております。これはいろいろ日本の内部における準備金の問題もありましようし、まだその時期に至つておらないことを遺憾と思いますが、ぜひとも早く加入ができるように努力いたしたいと思つております。
#66
○北澤委員 先ほどもちよつと触れたのですが、アメリカの日本に対する対日援助の問題ですが、先ほどのグレイの報告にもありますように、来年の七月以後、一九五二年度のアメリカの予算におきましては、あるいは対日援助がなくなるかもれぬとわれわれは考えるのであります。そうしますと、日本の見返り資金――日本の産業の開発に非常な貢献をしております見返り資金というものに、直接の関係を持つて来るわけでありますが、一つの仮定で申訳ありませんが、もし一九五二年度のアメリカの予算に対日援助というものがなくなつた場合におきまして、明年度の日本の予算の見返り資金というものはどういうふうになりますか、この点を伺いたいと思います。
#67
○周東国務大臣 重ねて申しますが、北澤さんはグレイ報告によつてなくなることを断定的にお考えですが、私どもはまだ来年の六月ごろにそういうことになつても、非常に困る、自立がまだ困難だということを繰返しておりますし、またグレイ報告それ自体においても、内容において、そのことは一にかかつて日本の輸出生産工場の生産増強、あるいは原材料の輸入ができるかどうかということにあるのであつてそれができなければこれもむりであろうということが付記されております。そういう面から見まして、私どもは来年で打切られることは困る。ぜひそういうことのないように努力したいと思いますが、しかしそのことの報告自体が、まだ向うの方でどう取扱われるか、内容がどうなるかということは決定いたしておらぬようであります。公式にまだとつておりませんから、仮定のもとではちよつと議論ができにくいのじやないかと思います。
#68
○北澤委員 大蔵大臣にお飼いした方がいいかと思うのでありますが、そういうふうなわけで、政府におきましては日本の貿易の増大という見地から、輸出の画期的な増進をはかるとともに、一方輸入の確保という点につきましても、いろいろ考えられておるようであります。私は輸出におきましても輸入におきましても、特に考えなければならぬことは、日本の貿易が海外においていろいろな面で差別待遇を受けておる。あるいは関税の面において、あるいは船の面において、いろいろな点において差別待遇を受けておるということが、日本の貿易がなかなか伸びない一つの原因であろうと思うのです、昔のように通商の自由ということが世界全体に行われておるならばいいのでありますが、今日なかなか通商の自由というものは確保されないのであります。特に今日のように世界が軍備拡張の競争をするというふうな時代になりますと、至るところにおきまして非常な売惜しみということがありまして、日本が所要の原料を輸入しようと思いましても、なかなかうまく行かぬという状況であります。日本が経済の自立を達成する、これが日本の生命線であります。日本の経済自立を達成するという見地から申しますと、私は世界全体において通商自由の原則が守られることが非常に必要だと思います。私は、できれば今度の日本の講和條約などにおきましては、通商自由の原則あるいは機会均等の原則がはつきり規定されることを特に希望するわけであります。今度アメリカから各国に出しました例の対日講和條約に関する七項目の中にも、例外の場合を除いては日本に最惠国待遇を與えるというふうなことが書いてあるようでありまして、私は日本の貿易の増進をはかり、日本の経済の自立をはかるためには、どうしても通商上の機会均等ということが必要であろうと思うのでありますが、そういう点について政府はどういうお考えを持つておられますか、お伺いいたします。
#69
○周東国務大臣 まつたく同感であります。そのことを達成いたします上におきましても、できるだけすみやかに講和條約が締結されて、元のように国家が世界の一員となることを望むものでありまして、そのあかつきにはおそらく通商の自由ということは認められるであろうし、また認めてもらうことを私どもも希望いたすものであります。
#70
○北澤委員 安本長官に対する私の質問はこれをもつて打切ります。
#71
○小坂委員長 午後は一時半より正確に開会いたしまして質疑に入ることといたします。これにて休憩いたします。
    午後零時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
#72
○小坂委員長 これより会議を開きます。
 質疑を継続いたします。庄司一郎君。
#73
○庄司委員 農林省の政府委員はどなたが来ていらつしやいますか。
#74
○小坂委員長 農林政務次官が来ていらつしやいます。廣川農林大臣は微恙のため退庁いたしましたので、政務次官にひとつ答えてもらいます。
#75
○庄司委員 農林当局にお伺いをいたします。ただいま議題と相なつておりまする補正予算中歳出の中に、麦増産に関する予算を一億四千余万円を要求されておるようでございまするが、麦の増産計画は、農林当局において昭和二十六年度あるいは昭和二十五年度においてどの程度の増石を御計画なされておるものであるか。しこうして私どもが既決予算として協賛を與えておりまする農林、特に増産関係の予算等も了承しておりまするが、今回特に麦の増産に関して、農林省が要請されておる一億四千余万円の支出の方途いかん。どういう方面に使用される目的であるか、そうしてどの程度の麦の増産を確保されんとするものであるか。これは廣川農相であれば、例の一割増産云々を宣伝されておるために、特にお伺いしたかつたのでありますが、農相の御都合によつてお代理のようでありますが、御承知の範囲内において御答弁を願いたいと思います。
#76
○島村政府委員 御承知の通り政府は主要食糧の一割増産を計画いたしまして、わが国食糧の自給態勢の確立をはかつておるのでありますが、今回の増産計画は、主として民主的に各農家の自覚に基く増産を主体に考えておるのでありまして、なおまた従来のごとく割当制は廃止し、同時に各農家に対する割当を行うことをやめましていわゆる低位農家の増産並びに病鼠害対策とか、あるいは技術の改善とか、あるいは土地改良とか、あるいは酸性土壤の改良というような部面に対して、主としていわゆる單位になつておるところの増産を期することを主体といたし、先般各関係団体との協力も得まして、推進をいたすことにいたしているのであります。今回の補正予算中に上つておりますら麦の増産対策は、お話の通り一億四千余万円でありまして、その細別は酸性土壤の矯正対策をいたしまして、これに六千三百万円、種子の消毒補助に対しまして千八百七十五万円、それから麦のさび病及び白澁病等に対する薬剤散布に対しまして四千百万円、雪腐れ病の薬剤散布に対して千六百八十七万五千余目、合せて一億四千万円であります。もちろんこれのみをもつてはなかなか困難であることはもちろんでありまするが、従来の病蟲害の常時発生地域及び酸性土壤の改良によつて相当の増産を期せられることが考えられると思うのであります。既往の実績から見まして、その目標を二千六百万石に目標を置いて増産をいたす計画になつておることを御了承願いたいと思います。
#77
○庄司委員 ただいま農林政府委員より増産目標が二千六百万石である旨のお答えがありました。その目的を達成し得るならば、まことに国家のためにけつこうございますが、御承知の通り二千六百万石という数字は、麦類の場合においてはわが国開闢以来の大増産でなければならないのでございまして、戰前においても大体二千三百万石程度が最高の生産であつたのであります。終戰後においては、逐年労力あるいは肥料等の事情が好転して参りまして、やや二千二百万石あるいは二千三百万石近い生産というものをあげ得るようになりましたけれども、二千六百万石を麦類だけにおいて増産をなしあとうということは、まことに容易ならざるところでありまして、農林省は農林省の中に食糧増産対策本部なるものを設けられて、それぞれあの手この手をやられておるようでございますが、ただいま御説明のように、單に酸性土壤の改良であるとか、あるいは種子の消毒だとか、あるいは雪腐れの病の予防であるとかいうような消極的な面だけでありましては、とうてい麦類だけに関する限り約四百万石の増産というものは可能性がないのであります。しからば二千六百万石を増産せんと欲するならば、やはり根本的には、既決予算にも多少計上されておりますが、農地のよりよき改良、改善というものが基本的な條件でなければならぬことは、政府におかれても御承知の通である思うのであります。特に麦類の場合においては、これはやはり水田の二毛作を普及奨励することによつてのみ、私は所期の目的を達成することができ得ると考えておるのであるが、水田の裏作、水田に麦類を植えて二毛作によつて増産するという食糧増産対策本部あるいは農林当局の御計画があるならば、一応お示しを願いたいと思うのであります。
#78
○島村政府委員 ただいまの御意見はまことにごもつともであります。もちろん私が先ほど説明を申し上げましたのは、補正予算に上つておりまする数字、さしあたり必要なる部面についての農林省の予算面に現われた数字を申し上げたのでありますが、前段申し上げました通りに、運動は国民運動として自主的に盛り上る力によるということがきわめて必要であるのでありましてさような見地から考えまして、一割増産運動を全国的に展開いたし、特に麦類の増産に関しましては、二十六年度の増産目標を二千六百万石に置いておる以上、この際ただちに本年のまきつけからその方法をとらなければならないという関係から、以上申し上げたような予算の、少額ではありますがさしあたりのものを計上いたしたのであります。しかしながらこれはお話の通りに、單作地帶におきましても、将来寒冷地帶に麦の品種によりましては相当裏作の作付をし得る品種も選定され、来年度におきましてはこの採種圃の計画も国会に御承認を経るような予定にいたしておるのであります。かくのごとくいたしまして、御意見の通りに従来の裏作地帶のみならず、さらに技術の改善によつて裏作地帯を創設するの考え方をもつて、それぞれ各技術面はもちろん、土地改良等による計画も着々と進行をしておるのであります。公共事業費の問題は当然これに伴う問題でありまして、来年度の予算におきましては相当額増額を計上しておるのも、その一の現われであると御了承を願いたいと思います。
#79
○庄司委員 増産をほんとうに具体化するために、それぞれ計画が進捗しておるから云々というようお答えのようで、たいへんけつこうでありますが、わが国の今きわめて狭小になつた四つの島国において、特に水田が三百十万町歩であるとか、あるいは畑地は三百何十万歩であるとか、多少の開拓、開懇によつて一箇年に約五、六万町歩の開墾はされておるけれども、その反面においては平地が約四万町歩つぶれ地になつておる。こういう狭い耕土をより高度にするためには、どうしても水田の二毛作あるいは三毛作の利用活用にまつほかはない。関東、関西、四国、九州の気温の暖かい地方においては、もう大体において二毛作が普及されている、ひとり残されたる、ただいま政府委員の申された寒冷地帶、東北地方、あるいは長野県あるいは新潟県、裏日本関係の地域、こういう地方においてはまだ水田の二毛作、裏作というものが普遍化しておらない。そういう地方にこの二毛作を普及して増産をさせるという上においては、ぜひ土地改良費というものが、そういう寒冷地帶にやはり均霑して行かなければならない。従来御承知の通り單作地帶と称されておりました地域の多くは、いわゆる寒冷地帶である。寒冷地帶でありましても三毛作が絶対に不可能ではない。現に福島県の盤城の平市附近においてこれは北緯三十七度でありますが、そこには水田の二毛作によつて、反当り二十八俵の麦がとれておる。これはまことに世界的な、稀有な大なる増産であります。もちろん肥培管理の面においてもそのよろしきを得出たであろうことは言うまでもありませんが、一反歩当り二十八俵とれているいわゆる寒冷地帶もある。また私の地方の宮城県地方においては、二毛作において反当り平均十五俵とれておる。こういう所はきわめて簡易なるところの排水工事によつて水落しをよくし、灘田を乾田化することによつて反当り十五俵平均とれている。でありますから、農林省が多少の手を貸して、多少の土地改良費を市町村に均霑させて、農民諸君の盛り上る増産意欲にこたえるならば、容易に麦に関する限りは、あるいは御予定のごとく二千六百万石の増産を見ることができ得るであろうと私は思うのであります。ついてはきわめて消極的な酸性土壤を改良するとか雪腐れ病をどうするとかいう枝葉末節の問題、これも大切なことには違いないけれども、より根本的な、基本的問題は土地の改良である。乾田化することである。その乾田化するためには、どうしても土地の改良、農地の改善ということが基本條件でありまするがゆえに、従来のような微温的なもめであつてはならない。そこで念のためにお伺い申し上げておきたいのは、二十六年度の二千六百万石の麦類の増産その地米の問題、水田一切について土地の改良費の増額等に関して、どんな構想をただいま農林省は持たれておるか、さような構想を具体化してこれを予算化して、これを二毛作をまだやつておらない地方に均霑さして、もつて土地の改善、改良をはかることにおいて、初めてこの所期の目的を達成することができ得るのである、かように考えますので、大体この土地改良のために、あるいは五箇年計画あるいは十箇年計画のもとに国土の総合開発とにらみ合せて、わが国の土地改良改善のために、どういう御計画を持たれておるか念のために伺つておきたいと思います。
#80
○島村政府委員 食糧増産運動は、ひとつ国内自給態勢の問題ばかりでなく、農家経済の安定ということを主眼に置いて、各般の目標を定め、運動方針をとつております。お話の問題である麦類増産に関する施策のうちで、ただいま予算面に現われておりまする数字は、お話の通り、ある面から見ますると、むしろ消極的であるとも考えられるのでありますが、しかしこれらの被害を防止しあるいは酸性土壤の改良等による事業費は、これはきわめて有効適切でありまして、従来これらの事業を施行しない場合と比較いたしまして、非常な増産効果が上げられるという点から取上げたにすぎないのであります。御案内の通り、その他の土地の改良が基本的要件であることはもちろんでありまして、わが国の土地の改良は、用排水あるいは冷水田もしくは暗準排水を要する土地等を合せますと約百八十八万町歩の土地を持ち、なお拡張をいたしまする予定地は六十九万町歩であわ、これらのものを合せますと、年額相当の増産量を上げることができるのであります。御指摘になりました麦の改良に関しましては、米麦あるいはその他の作物も含めた問題でありますので、これを内訳的に申し上げることは、この際麦のためにどれだけの改良を要するかということは、なかなかわけることは困難であろうと思うのであります。しかしながら、これらによつて湿田が乾田になり、その結果麦の作付が相当できるということは、特に単作地帶、東北地帶におきましてはきわめて重要なことであり、これらを施行するために、先ほども申し上げたような、まず麦のつくり得る土地、品種を選ぶということを先決條件といたしまして、この品種改良が大体成功いたして参つておりまするので、これによつてまず植付可能の種子の問題が解決し、さらに雨の多いところにおきましては植付までの整地工事、耕転工事に非常に手数を要し、かつそのために播種の適期を失うというような問題に対しましては、近代農業の見地から考えましても、小型のトラクターを入れて、そして表土を深くして、雨の間を縫つてまきつけを修了したいという問題までも考えておるのであります。技術面に関しまする問題は、非常に広汎にわたるので、ただその一、二の例を申し上げたにすぎないのでありますが、御指摘の土地改良に関しましては、従来農業関係、特に農地局関係の経費は、わずかに三十三億円にすぎなかつたのでありますが、今回の二十六年度予算中には、おそらく補正予算として五十数億のものが計上されることを期待しておるような次第であります。これらの費用は、むしろ重点的に施行されるということにも相なると思うのでありますが、しかしそれによつて麦作の増産対策にも役立つ面も相当出て参るのであります。全体にわたる排水工事を行うことによつて麦作の増産が相当考えられることも、お話の通り期待できると思うのであります。要するに土地改良が増産対策の基本であることに対しては、まつたくお話の通りでありまして、同感であると同時に、さらにこの問題に対しては、御協力を得て積極的の施策を行うよう、目下熱心に取上げて、それぞれ行いつつあるような次第でありますので、御了承願いたいと思います。
#81
○庄司委員 来年度はさらに土地改良関係の予算を五十数億確保したい、そういう御計画の御答弁がありまして、その点は了承いたしました。
 次にもう一点、政府は来年度より早場米奨励金を廃止するやのうわさがあるというので、全国の産米生産農家が非常に不安、焦燥の状態にあるようでありますが、農林省は来年度においては、早場米供出の奨励金を絶対に廃止する御意向でありまするか。あるいは従来の一部を廃止されるというような御意向でありましようか。この際全国民諸君の不安の念を一掃するために、あらためて御声明を要望するものであります。
#82
○島村政府委員 早場米の奨励金は、二十五年度におきましては、六十億の計上があり、従来の例に従いまして、それぞれ都道府県にある程度の割当をいたしまして、現に施行中であります。来年度の予算には、その半額三十億側を計上される予定に相なつております。従いまして、お話にありました来年度の廃止ということは、現在考えておりません。ただ将来ある程度まで統制の解除が、このごろ考えられておりますように進行をいたしますると同時に、また国際価格へのさや寄せ等によつて価格の安定──安定と申しまするか、この統制方式から米麦の価格がはずされるということになりますれば、早場米奨励金というものの意味は相当かわつて参ると思うのであります。もちろん自由経済当時には、御案内の通りに端境期における米が相当高価に売買され、かつ早場米というものの真価も、一般消費者がよく知つておつたのであります。従いまして、端境期であるという需給上の問題以外に、これらの地方の米が相当優良であり、かつ味もよく、他の單作地帶以外の米に比較して優秀であるということ等から考えましても、これらの早場米地帶の米は、一般市場にほうり出された場合におきましても、相当高価に買つてもらえるというようなこと等を考えまして、いろいろ政府の部内においても目下検討を進めておるのであります。早場米奨励金のさしあたりの二十六年度の予算は、ただいま申し上げたように三十億で、半額にはなりますが、継続の予定になつておることを御了承願いたいと思います。

#83
○庄司委員 来年度は本年度の六十億半減しする旨の、まことにこれは悲しい御回答であると思います。全国の農民諸君がこれを聞かれて非常に落胆されることであろうと思うのであります。早場米の奨励金制度は、農民に対する一種の感謝的な、ボーナスとも見られるものであります。願わくは、予算を半減して三十億にするというようなことを、朗報大居士の農林大臣のおられる農林省におかれては、つとめて避けられるように、強く要望申し上げて、農林当局に対する質問を終ります。
#84
○島村政府委員 ただいまのお答えのうちにつけ加えて申し上げておきたいことを忘れましたので、つけ加えたいと存じますが、早場米の奨励金は、六十億から三十億に減ぜられますが、しかし今回の米価決定には、それらの早場米奨励金その他が、パリテイーの上にアルフアーとして加わつて、全国の農家を潤すということに価格の決定が相なることと存じまするので、この点をつけ加えて申し上げておきます。
#85
○庄司委員 厚生大臣にきわめて簡單に二、三のお尋ねをしてみたいと思います。
 その一点は、過般社会保障制度審議会において、一年有半の長い御努力をもつて、相当完璧に近い、内容のゆたかなる審議決定書ができ上りまして、政府の方にそれぞれ答申されたものと了承しておりまするが、厚生大臣はこの社会保障制度審議会の決定されたる答申案を、どの程度まで、現下におけるわが日本の厚生行政の面において、さしあたり――むろん財政とにらみ合してやらなければならぬことでありましようが、現段階においてどの程度まで、明二十六年度の厚生関係の予算面に取入れて実施したいとお考えになつておらるるか。最初この一点をお伺い申し上げます。
#86
○黒川国務大臣 お答えいたします。社会保障制度審議会から勧告が出ましたについて政府におきましても、御承知の通り関係閣僚懇談会を設置いたしまして、鋭意その勧告の線に滑うて実施すべく検討中でございます。なお厚生省といたしましては、六月に社会保障制度審議会から緊急試案が示されましたので、最初の厚生省の来年度の予算は、その線に沿うて計画したのでございます。ただ国家の財政上、ごらんの通りの、現在の程度の予算案ができておるのでございますが、懇談会もできましたことでございますし、できるだけ勧告の線に沿うて進んで参りたいと考えております。

#87
○庄司委員 でき得る限り勧告案の線に沿うて善処したいという、きわめてアブストラクトな御答弁では承服ができません。そこで第一、具体的な問題として、結核患者を全額国庫負担で全部治療してやるというような、厚生行政の画期的な政策を即時断行する御意思がございませんか。
#88
○黒川国務大臣 お答えいたします。結核患者を全部全額国庫負担において治療するということは、最も望ましいことでございますが、来年度予算におきましては、強制入院患者に対しては、全額の国庫負担をいたすようになつております。
#89
○庄司委員 ただいまのお答えでは、一歩前進というところで、けつこうでございますが、逐次社会保障の線に沿うて強力にお知りを願いたいと思います。
 第二にお伺いしたい点は、引揚者、あるいは生活保護法の対象となつておる生活困難の同胞諸君、あるいは、未亡人であるとか、そういう御諸君のために、ただいまのように住宅金融公庫を利用するのに、土地を持たねばならない、あるいは七万五千円の頭金的なものがなければ、金融が不可能であるというような状態のものであつてはならない。厚生省の部内において、社会保障の線に沿うて、何か厚生住宅というような御構想のもとに、きわめてささやかな、七坪半か八坪くらいの小住宅を何万戸か建てて、頭金もいらない、いわんや土地を所有する心配もない、そういう條件のもとに、いわゆる新聞の報道によれば、厚生住宅というような仮称のもとに構想を練られておるやに伺つておりまするが、その御構想はまことにけつこうであると考えます。いわゆる住宅金融公庫ができ上りまして金融をされましても、土地がない人がきわめて多い、あるいは七万五千円程度の頭金の持合せのない方々がきわめて多い。こういう場合において、全額政府の出資において、そういう住宅をつくつて、気の毒な同胞に提供するということはまことにけつこうな、高度な社会政策の現われであると私は考えておりますが、さような御構想があられても、建設省関係とよく練り合われてお互いに各省割拠的な弊害を除去せずんば、なかなか御計画の実現は至難であるとも考えておりますが、そういう点にも触れて、ひとつ明快に御所見の御発表を願いたいと思います。
#90
○黒川国務大臣 お答えいたします。初め厚生省におきましては、来年度、厚生住宅の構想をもちましてただいまおつしやいましたように、七坪半くらいの小住宅を相当数建設の予定で予算の要求をいたしたのでございます。しかし厚生省所管としての、その厚生住宅ということについての予算は、今のところとれておりませんが、建設省関係におきまして増田建設大臣が特に好意を持ちまして、厚生省と相談の上、厚生住宅を相当数建設するということになつております。
#91
○庄司委員 ただいまのお答えでございまするが、ぜひさような御構想がすみやかに実現さるるように、御努力を強く熱願してやまないものであります。
 さて厚生大臣に最後の質問でありますが、今回政府公務員諸君あるいは公務員に準ずるところの御諸君等に、年末のボーナス的な意味において、半箇月分政府が支弁されるというような法律が本日提出されるそうでございます。まことにこれはけつこうなことであるが半箇月というようなけちなことを言わずに、せめては一箇月分ぐらいどつと、自由党の大きな腹を見せて、何とか御心配を願いたいと思います。いろいろ諸般の事情があれば半箇月でもしかたがないが、さてそれに関連していまだシベリアからあるいは中共から、帰りたくとも帰ることのできない国家の犠牲的な諸君、いわゆる在外同胞の中には、軍人軍属もあれば、政府機関関係のサラリーマンもある、あるいは民間会社の職員もある、あるいは自由職業の諸君もあられるでしよう。これらの在外同胞、今や五たびの冬を迎えんとするこの同胞の留守御家族の諸君の各家庭の生活の状態を熟視するときにおいてまことに御同情にたえない、涙なきを得ないところの境遇の御諸君が多いのであります。そこで従来の一箇月三百円のそれらの関係の俸給を、一千円に値上げしてやるとか、そういうあたたかい手が伸ばされておるようであるが、さしあたりこの年末を越えて、それらの留守家族に、ひとつ何とか平等愛を発揮されて、若干の越冬資金といいましようか、ボーナスという言葉はあるいは当らないかもしれませんけれども、何とかあなたの御努力によつて出ないものでしようか。
    〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕
これは三、四日来、特に全国の留守家族の方々が連絡協議会というような名のもとに上京されまして、あるいは大臣もお会いくださつたかとも思いますが、まことに悲痛な叫びをあげておるのである。かような御諸君に、御家族に対して、何らかの手を打つて行きませんならば、やはり思想の惡化というものを見ることがあり得るのである。生活困難の結果、お互いの平和なる考えが動揺する。あるいはわれわれの念願せざるところの方面に走るというような傾向も、決してないではない、そういう気の毒な方々、まだ帰らざる同胞が、約四十万程度あるというような調査になつでおるようでありまするが、そういう方々に、ひとつあなたの御奮鬪によつて、金額の多少は別問題として、何とかひとつ年末に際してあたたかいクリスマス・プレゼントを贈るくふうがないものでしようか、こういうことは命がけで、直劍で、それこそ鬪いとつていただきたいと私は念願するものでありまするが、御所感はいかがでございますか。
#92
○黒川国務大臣 実は私もそういうお考えについては同感であります。昨年度も参議院におきまして在外同胞引揚特別委員会でその問題を非常に検討され、その実現に努力されたのでございますけれども、関係方面の御了解を得ることができず、実現できなかつたのでございます。本年もお言葉通り努力いたしたいと存じますが、ただいまのところ、実現は困難ではないかと考えておる次第でございます。
#93
○庄司委員 ただいまのところ困難であるというような状態であるが、その困難を克服して真劍に、命がけでおやりになつて多数の気の毒な同胞を助けてやつてください。それであつてこそ政治家の仕事である。私の厚生大臣に対する質問は終ります。
#94
○西村(久)委員長代理 尾崎末吉君。
#95
○尾崎(末)委員 農林政務次官と厚生大臣とどちらを先にしましようか。時間の御都合は……。
#96
○西村(久)委員長代理 厚生大臣の方から先に御質疑を願います。
#97
○尾崎(末)委員 厚生大臣に二、三御資問申し上げます。
 まず第一に、昨今の一番大きな問題となつておることでありますが、給料生活者以外の農民及び商工業者等が組合員となつておるところの国民健康保險は、最近受診率が非常に高くなつておるのに反して、保險料の未徴が非常にふえて来まして、財政的に危機に立つておる、こういうことでありまして、これは私この夏全国の地方町村を三十数箇町村、他の問題でもまわつて見たのであります。その際どこの町村に参りましても、この国民健康保險の問題については、悲痛な声をあげておるようでございますが、この行き詰まつた状態を何とかして救済する対策をお立てになつていらつしやるかどうか、そのことをまずお尋ねいたします。
    〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
#98
○黒川国務大臣 国民健康保險の経済が非常に逼迫しておりますことはよく私も承知しております。その原因は、国民健康保險の利用が非常にふえて参りましたのと、保險料がどうも思うように徴收できない、こういう点にあると思います。しかしこの国民健康保險の経営の主体は各市町村でございますので、所によりますと、非常に運営がうまく参りまして、この制度を喜んでおられる所も多いようでございます。しかし厚生省といたしましては、医療給付につきまして、市町村の保險当局がもつとこまかに検討いたしまして診療報酬の適正化をはかり、そうして收支の均衡を得せしむるように指導いたしております。なおこのために明年度におきましては、事務費も大体必要額だけの国庫補助をいたし、また直営診療所の設置補助費も増額するように考えております。
#99
○尾崎(末)委員 この来年度の事務費を政府の方で見てやるという程度では、今の行き詰まつた状態を打開することはとうてい困難と思われるのでありますが、何らか将来のことは、今御答弁になりましたように、指導よろしきを得て対策を立てて行くといたしまして、現在のこの行き詰まつた状態を、何とか国庫補助その他によつて打開する方法がないものかどうか、大いに積極的に御努力を願いたいと思つておるのでありますが、今言う何とか打開する方法はないかどうか、その点について重ねて御構想を伺つておきます。
#100
○黒川国務大臣 その点につきましては、日夜鋭意研究検討中でございますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
#101
○尾崎(末)委員 厚生大臣の日夜鋭意御考慮に対する信頼をいたしまして、大いに積極的にその実現に御努力を希望いたしておきます。
 それから結核予防の対策及び治療の対策等につきまして特に最近国民もその声を大きくいたしておるのでありますが、もとより社会保障の政策といたしましては、ひとり結核だけではないのでありますけれども、結核の予防並びに治療等の対策を初めとして、社会保障の政策について、現在一番重点的なものがどういうふうになつておるか、またこれに対して、この後どういうふうに社会保障の政策について努力を拂つて行かれようとしておられるのか、そういう点についての大体を伺つてみたいと思います。
#102
○黒川国務大臣 来年度の予算につきましては、社会保障制度の一環でありますところの結核対策について重点を置いたのでございます。なかなか国家財政上厚生省の要望するだけの予算はとれませんでしたけれども、まず結核の予防を第一にし、検診、予防について相当額の予算を得たのであります。また早期治療等につきましては新薬並びに外科手術その他について四分の一国庫補助、そうして四分の一が都道府県の補助、そうして御当人が半分負担する、その程度まで進んでおりまして、先ほどもお答え申し上げましたように、強制入院の結核患者につきましては全額医療費を負担する、その程度まででございます。
#103
○尾崎(末)委員 そこでこの問題につきましてもう二点伺つておきたいのであります。国営結核療養所につきましてこの夏中あちこちの実情を見て来たのでありますが、例を引いてみます。ならば、国営療養所に対しまして、一つの、ヘツドがあくのを待つて一人の入院患者を收容することができるというのに対して、所によりますと三十八もの申込者が来ておる。三十八人の中からどの一人をとるかということで非常に困つておる。これは例外でございますが、そういうところもおるようでございます。この国営療養所のベツドをふやすということについて、二十六年度におきましてはどの程度の予算をとつておいでになるか。また数にいたしましてどういう程度の数をふやすことができるか、そういう点を伺つておきたい。
#104
○黒川国務大臣 お答えいたします。お話の通り現在療養所におきましては、申込み後早くて三箇月あるいは六箇月、長いのは一年間も待たされてやつと入院ができる、入院ができた場合にはもう病状もかなり進んでいるという状態でありまして、まことに遺憾千万でございます。本年度におきましても相当数のベツドをふやす予定でございますが、来年度はただいまのところ二万一千床だけ病床がふえることになります。
#105
○尾崎(末)委員 あともう一問でやめたいと思いますが、長年あるいは賛成だ、あるいは反対だと言つて叫ばれて参りました医薬分業の問題であります。医薬分業の問題が来年度あたり本ぎまりになるように聞いておるのでありますが、この医薬分業は單に医薬を分業いたしただけでは、その目的を達成することは困難だと思われるのであります。例を申しますならば、医薬を分業といたしましても、お医者が自分の隣に薬店を経営する、こういうようなことになつて参りますと、かえつて患者の負担というものは高くなるような結果になる。こういつた弊害が、單なる医薬分業でありますならば、相当に出て来ると思う。そこでこういう点について何か特にこういう弊害を除去するように必要な対策を立ててお置きになつて、しかる上に医薬分業をおやりになるのであるかどうか。大体今の具体的な計画について伺つておきたいと思います。
#106
○黒川国務大臣 お答えいたします。医薬分業につきましては、御承知の通り厚生省において臨時医療報酬制度調査会とそれから医薬制度調査会の二つの調査会ができておりまして、現在のところは、はたして医薬分業すべきであるかどうかということのまだ結論に達しておりません。しかし医薬分業すべしという結論に達しまして、その方法が示されましたならば、厚生省といたしましても日本の現状に沿うように、そして国民全体の利益になります方法において医薬を分業したい、こういう考えでおります。
#107
○尾崎(末)委員 厚生大臣に対する質問は大体これでおきましてあとに譲ることにいたします。
 次に農林大臣のかわりに農林政務次官に質問をしたいと思います。この点は農林大臣でないとあるいはどうかと思いますが、一応農林当局としてお伺いいたします。
 まず第一に、新しく米価が五千五百円余りに決定せられることに相なつたようでありますが、この米価の決定は政府部内におきましても、パリテイー計算によらない、実情によつたやり方をやつた方がいいじやないかという考え方と、やはりパリテイー計算によつてきめた方がいいじやないかという意見とがあつたように思うのでありますが、今回新しく決定せられようとする五千五百円余りの米価は、どういうやり方でおきめになつたのかということをまずお伺いしてみたいと思います。
#108
○島村政府委員 米価の問題につきましては、ひとり農林省のみならず、物価庁及び安本等の関係当局と協議をしまして、大蔵省の予算上に関する問題等もあわせて決定したのでありまして、現在までの過程におきましては、まつたく意見の一致を見たのがお話の通りに五千五百二十九円に相なつたのであります。この決定の方法といたしましては、従来御承知の通りにパリテイー指数を主体として決定されておつたのでありますが、農民の側から申しますと、他の物価と同様に生産費計算によるべきだという主張は多年強いものがあり、かつこれらに関してはその主務官庁である物価庁においても相当研究を進められて参つたのであります。農林省といたしましては、やはりこの決定にあたりましては、農民の立場から生産費を償う再生産に役立つ米価の決定を多年要望して参つたような経緯もありますので、本年度は強くそういう問題に対する主張をいたして参つたのであります。いきさつの点はそのくらいに申し上げますが、決定をいたしましたその算定の基礎は、従来のパリティーの指数一八二・二にプラス、アルフアーが加わつているのであります。このアルフアーは金額にいたしまして四百五十幾円だと考えますが、これは従来の決定に比較しましては異なつた決定方法でありまして、すなわち従来の超過供出に対する奨励金あるいはまた早場米の奨励金、その他報償物資等に関する農民の報償的な供出制度の強化、すなわち食糧管理法の強化によつてきめられましたいろいろな報償制度等が、従来なされておつたのでありますが、それらの金額を従来の実例にかんがみまして、パリテイー指数一八二・二に加えるのに一割五分の数字、これが四百五十幾円であつたと思いますが、その数字を加え、それに俵代百九円を加えました数字がすなわち五千五百二十九円でありまして、これが明日の米価審議会の議を経て近く決定に相なることと存じております。
#109
○尾崎(末)委員 農民が待望しまた米価が五千五百二十九円に上りましたことは、農民としては非常に喜んでおることと思うのでありますが、この問題につきましてはその米価の支拂い等をできるだけ迅速にやつていただくように希望を申し上げておきまして、次の問題に移ります。
 昨年あたりから全国の農業協同組合が瀕死の状態に陷つておりまして何とかこれを救つてやらなければいけないという声は、昨年あたりから非常に強くなつておるのでありますが、政府におきましては、この農協を現在の状態から救済するということについて、何らかの対策を立てていらつしやるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#110
○島村政府委員 農協の問題に対しましては、御承知の通り本年春の決算期、すなわち昨年度の決算当時から非常な赤字を来しまして諸拂い停止をやつた組合も相当あるのであります。そこで世間の農協に対する信用が非常に薄らいだような感じがないでもないと思うのであります。私はこの際農協の立場から国民に対しあるいは世間に対して余談でありますが一言申し上げてみたいと思いますることは、他の企業体と違いまして、半公益的にやつておる農協の施設が、従来の農業会当時あるいはまた農業会後におきましても、政府の統制経済のわく内において政府にかわつてやつておつたというようなために、たとえば農具の割つけを受けて、その割つけをされました農具が、価格の下落によつてストツクになつた。それが農協に引継がれて、それがいわゆる滯貨物資として今日まで来たというような点も相当あるのでありまして、今日の不振の問題の原因もさような点に多くあつたのであります。そこでこれらの問題を解決するためには、他の企業と違いまして、ことに農協に対する対策を考えなければならぬということで、従来から農民としては強く主張して参つたのであります。ところがこの農協の赤字の問題は、今年春以来諸拂いの停止にならぬための金融工作、金融上の措置といたしまして別途に大蔵省及び日銀、農林中金等が中心となり、協同組合陣営がそれに参加いたしまして、これらの問題に対する応急の対策委員会というものをつくつて、ここで相当の議を練つた上で諸拂い停止にならないような方策をとつて参つたのであります。その結果は、普通の企業体はおそらくただちにこれは破産の状態にあつたのでありまするが、さようなことなくして今日解散をしたという例をほとんど見ないということは、農村のために、また国民経済のために非常に感謝せねばならぬとわれわれも考えおるのであります。ところがその後における情勢を見ますると、諸拂い停止あるいは赤字の問題は漸次解消されつつあるのでありますが、基本的に申しますると、現在の農協の出資金は、従来の産業組合当時に比較しますると、わずかに七分の一にしかすぎないのであります。またその資産は全体の数字から申しますと、きわめて薄弱でありまして、これらの強化は農協自身が再建計画を立てるという前提のもとに立たなければならぬと思うのであります。そこで政府におきましては本年の春の対策協議会等の議を中心といたしまして、第一には農業協同組合法の改正によつて本年度の補正予算におきましても、農協の検査拡充費、わずかでありますが、八百万円ばかりの計上を願い、かつまた報償物資に関する法律は、前の議会において通過を見まして、五億六千万両の報償物資の値下りに対する対策も補正予算に計上されておるのであります。今後の問題といたしましては、前国会以来問題になつておりました農協全体の資産に対する運用金と申しますか、資産はきわめてわずかであり、かつその滯貨というものは、農業会時代から続いた滯貨が今日まで農協に吸收されずにおる。それに対しましては結局運転貸金に困り、資金が固定しておるということであると思うのでありまして、この固定資産に対しまして、今後農村の零細なる資金を集めた貯金の運用さえ不十分であるという点等を考えまして、別途に大蔵省と協議を進めまして、一面においては農協自身の再建対策を考え、同時に他面国家といたしましても、この農協に対するこれらの問題を解決するために法律案を提出いたしまして、そしてこれの持続というか、他の資金方法に考えまして、長期にこれらの問題を解決するような方法を目下研究中であり、おそらく通常国会には提案になるものと期待をいたしておる次第であります。なお将来の問題といたしましては、現在の農村の金詰まりの実情にかんがみまして、長期資金の道も、先日本会議において述べられましたような方法が講ぜられましてかれこれ合せて農協の再建整備、農協の再建方策、育成に対しましては、農林省としては極力これの実現を期することを強く要望し、その熱意に対しましては、他の仕事もさることながら、最も強くこの問題を取上げているような次第であります。
#111
○尾崎(末)委員 ただいまの御答弁によりまして、相当農協のために力強い感じを持つたのでありますが、御答弁の中でいわゆる農協のみずからの再建に必要なる計画と、これに対応いたしまして、政府の方で将来長期の資金等に対するところの御計画、この点はまことにけつこうだと思いますので、この新しい法律案によるところの資金対策等は、ぜひできるだけ早めに実現をさしていただきたいと思うのであります。
 ただもう一つつけ加えて伺つておきたいと思いますことは、長期の問題は一応わかりましたが、短期の農業手形、その他に対しての融資、その他の方法をもつて、当面いたしておるの窮境――御答弁がありましたように、農協が解散するところまでは行かずに、立ち直りかけた、その点ももとより私はこれを認めますが、しかしながら一方には、破産、解散の一歩手前まで行つているところが相当多いようでありますので、おそらくは年末等におきましては、相当以上の困つた状態に立ち至るであろう、こういうふうに考えられますので、農手その他に対するところの短期応急の措置を、何とか一つやつてもらう方法を考えておられるかどうかという点が一点。
 それから大蔵大臣にもこのことは強く質問してみたいと思ふのでありますが、預金部資金の二百七十億というものを、これを適当に使うという方法が関係筋とも了解の上にでき上つたという今日でありますが、農協に対する不信用あるいは経営の不振、こういうものからいたしまして、農協の組合員でありながら農協を利用しないで、貯金、その他のものは郵便貯金に持つて行くというのであります。こういうやり方が非常に強くなつて参りまして、そうした金というものが中央にみな集まつて参る、そのために地方の資金は非常に枯渇いたしましてだんだん困つて行くという状況が、農協を元として地方に大きな影響を與えておるのでありますから、預金部資金なり、その他の方法をもつて、長期の問題の解決になお一層の御努力を願いたいということと、さつき申しました当面応急の対策について何かお考えがないか、この点をもう一つ伺つておきたいと思います。
#112
○島村政府委員 今日の金融情勢から申しますと、短期資金はある程度得られるといたしましても、ただちに償還しなければならぬ。ところが農協の問題は、むしろ短期の問題でなくして、この従来からの不振が続いた結果が、今日に出ておるというのが大きいのでありまして、前段申し上げました点は、そのウエイトから考えたその主体の問題を申し上げたのであります。もちろんお話のような短期の資金、特に農手等に関する問題については、相当の注意をし、かつこれらの融通によりまして、農民の経済に相当の潤いを来すべきであることもお話の通りでありますので、これらに関しましては、各種の現在まであります制度の活用はもちろんのこと、ちようど米の出まわり期でありますので、農林中金を督励いたしまして、できるだけ短期融資の道を講じてもらうような方法を講じておるのであります。御質疑の御趣意に合わないかも存じませんが、春以来の災害等に対しましても、できるだけさような措置を講じて、少しでも農村の金融に役立つようなことをやつております。現在中金でやつております短期融資の問題は、もちろん金融ベースに乗らないとか、あるいは手続がむずかしい、特に農手に関する手続等は非常にむずかしいというようなことで、相当非難のあることも承つておるのでありまして、これらの問題は、むしろ事務的に解決すべきものといたしまして、それぞれその都度提案をいたしておるところであります。元来この農協の再建の問題は、私が申し上げるまでもなく、地方の農協は、経営者の信用の点と、それからわずかの注意と、組合員の協力によつて再建のできることは、幾多の例があるのでありまして、お話のような郵便貯金に流れるとか、あるいは他の金融機関に流れるということは、農協の従来の不信用が一つの大きな原因であつたようにも思うのであります。組合員と理事者との間の結びつきが今後一層強くなり、かつそのための信用回復によつて、漸次それらの問題も解消することを念願しつつ、短期融資の問題も漸次解決して参りたい、かように考えておるところであります。
#113
○尾崎(末)委員 他の質問者もありますから、もう一点でおきますが、先ほど庄司委員の質問に対しまして御答弁があつたのでありますが、それに関連しての一点であります。それは土地改良に関する問題であります。来年度の土地改良費に大体五十億円程度の予算を確保して、土地改良に努力いたしたい、こういう趣意の御答弁があつたのでありますが、これはまことにけつこうなことでありますから、ぜひとも五十億円程度以上のものを確保して御実行願いたいと思うのでありますが、私がここに伺つてみたいことは、農林省は各省からの所管の予算というだけでなく、土地改良につきましては、国土総合開発の一環の事業として、特別の予算を立てて、これをもつて土地改良に努力をして行く、こういうことの構想があるかないか。ございますならば各省所管の予算だけをもつていたしましては、先ほども御答弁の中にありました酸性土壤、特に九州の南端などに多いところの酸性土壤の改良等につきましては、とうてい月並のやり方によつていたしましてはその目的を達成することに困難なことが多いのでありますから、そういう実情にかんがみまして、国土総合開発の一環としてでも、特殊のやり方をもつて土地改良の積極的な努力をやつて行く、こういうことについての何らかの御計画があるかどうか。先ほどの庄司委員の質問に関連することでありますが、この点をひとつ伺つてみたいと思います。
#114
○島村政府委員 お話の通りでありまして、われわれの考え方を率直に申し上げますと、生産手段の土地に関する、その主体になるものは国土の全体の総合開発が当然考えられなければならぬのでありまして従来のようなばらばらと申しては失礼でありますが、さような考え方のもとに立つことをなるべく矯正し、一つの河川の改修にあたりましても、これを総合的に開発するという考え方から、たとえば利根川改修に関し、あるいは最上川改修に関しては建設省その他とよく協議を進め、安本の総合開発計画に従つて農林省としてはその計画の範囲内において考えておるのであります。さらにまた今回の公共事業全体のうちで、この総合開発に関するような重点的事業を取上げて、事業を執行することが適当と考えまして、なるべくさような大規模にして、しかも有効なる総合開発にふさわしいような計画を取入れて、予算に計上いたしたい、かような考えを持つております。以上お答えいたします。
#115
○尾崎(末)委員 大体厚生大臣並びに農林政務次官に対する質問を終り、またあとは大蔵大臣その他に対する質問を保留いたしましてこれで終ります。
#116
○小坂委員長 苫米地英俊君。
#117
○苫米地(英)委員 まず厚生大臣にきわめて簡単な問題でありますが、しかし深刻に憂えられている問題について二、三お尋ねいたしたいと存じます。
 近ごろ国民健康保險が非常に普及して参りましたことは、まことに国民のために喜ぶべきことであると存じます。しかしこの国民健康保險が現在までのところでは、勤労者のため、勤め人のための国民健康保險であつて、一般国民にはこの恩典に浴しておらないものが相当数あるのであります。伝えられるところによりますと、一般国民健康保險というものをお始めになるという話でありますが、この点について、はたしてそういうお考えがあるかどうか、まずお伺いいたしたいのであります。
#118
○黒川国務大臣 お答えいたします。その点はただいま協議中でございますから、もうしばらく……。
#119
○苫米地(英)委員 この国民健康保險の進展に伴いまして、中小私立病院が非常な苦況に立たされておることは、先ほど尾崎委員も申された通りであります。戰後に病院の設備等につきまして非常にりつぱな基準が設けられ、着着整備せられておりますととはまことにけつこうなことであると存じます。私がアメリカにおいて経験した病院の設備に比べては、まだまだ遠いものがありますけれども、しかし現在政府が要求しておりますところの施設、それははたして今日疲弊困憊しておるところの日本国民の定めの病院として、あまり理想的に高過ぎて実情に適しないのではないかと考えられるのでありますが、この点はいかがでございましようか。
#120
○黒川国務大臣 お答えいたします。一般の中小私立病院が非常に国民健康保險の利用者が多くなりましたために困つておりますことは、結局保險料の徴收が思うように行かぬためでございます。政府といたしましてもこの徴收について極力指示をいたしまして、あるいはまた保險料率を現在一戸当り大体千二百円くらいになつておりますが、これはどうしても千八百円くらいになりませんと困難であろうかと思いますが、なお一方におきましては保險税というような構想もただいま持つておるような次第でございます。
 なお医療の向上をはかりますことは最も必要でございますので、その設備の充実等につきまして、医療法は最低の基準をきめましたのでございます。ところが千五百もございます病院の中には、なかなかその基準に達しないものも少くないのでございます。ただ医療法におきましても三年または五年の猶予期間がございますので、できますならば最低の基準までには達していただきたい、こういう考えでございます。
#121
○苫米地(英)委員 厚生大臣のお考えはごもつともでございまして、なるべくりつぱな基準に達するように余裕も與えておりますし、その目標に到達することをわれわれも念願いたすものでありますが、現在のように中小私立病院が圧迫せられておつては、とうていその目標に到達することが困難であると私は考えるのであります。その第一は国立病院、公立病院は公の経費をもつて経営せられており、しかも税金というものが免除せられておるのであります。しかるに中小私立病院におきましては、ところによつてはその八、九割までが健康保險の患者であり、その健康保險の患者の拂うべきものが、今も大臣が仰せになりましたように、保險金の経費が集まらないために、支拂いが非常に遅延しておる。三箇月も四箇月も遅延しておるというような状態であります。もちろん遅延した場合には、これに対して銀行から融資する便宜も講ぜられておるのでありますが、それには金利がかかる、金利を支拂わなければならない。その金利は病院の負担になる。しかもその支拂いが遅れておつて税金が拂われないというのに、税の方は不遠慮に取立てる。遅れれば一般納税者と同じように、そこに延滯金をとられる。こういう状態では、中小企業というものは将来抹殺してしまうという御方針ならば別でありますけれども、何らかの方法を講じなければ、成立たないのは当然であると思うのであります。そこでまず第一に、支拂いの問題でありますが、金が集まらないから抑えないのだ、これは事実その通りでございます。けれどもこれではいたずらに病院に対して支拂いの遅れているしわ寄せをしておるその結果を、中小私立病院、弱いものにおおいかぶせている、こういう結果になるのであります。この点については大臣も御苦心になつておるということでありますからして、なるべく早くその実現をしていただきたいのでありますが、同時にこの金のやりくりのために銀行から金を借りる金利、また国家に納めるところの税金というものに対して、金利は国家が負担するとか、税金は、支拂われない期間だけは、無條件で延期してもらえるとかいうような方法を講じていただくわけには行かないものかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
#122
○黒川国務大臣 まことにごもつともな御意見でございます。医療法人を認めてそうして法人格を與えながら、病院に対しても同じく税金を課するということは、その公益的の存在の価値に対しましてもどうかと考えられますので、御趣旨の線に極力沿うように努力いたしたいと思います。
#123
○苫米地(英)委員 大臣は、ただいま法人格を有するところの病院であるがゆえに、将来考えるというお話でございますが、現在非常に逼迫しておる問題でありますがゆえに、どうかゆつくり研究してということでなくて、すぐに大蔵省ともお打合せの上、この問題を解決していただきたいと希望を申し上げておきます。
 それから次に入院料についてでありますが、その食費は現在百円と押えられておるのであります。ところが入院患者が小さい病院で十人くらいあると仮定いたしまして、これの買出し、料理等のためには少くとも二人の使用人は使わなければならない。その使用人はとまり込みであり、食事を病院が持つて、そうして給料を二、三千円はどうしても拂わなければならぬ実情であります。であるといたしますというと、その使用人に対する経費が、一日どうしても四百円ないし五百円はかかるのであります。今四百円と見ましても、これを十人に割るというと、一人当りが四十円になる。この経費を差引きますというと、残りはわずか六十円であります。この六十円をもつて、政府の規定してやる二千何百カロリーという食事を供給するということは、現在の経済状態においては、まつたく不可能に近いものと存ずる次第であります。しかも現在公務員の給與が引上げられ、また物価が上昇しておる中に、ひとり病院の食費は百円で押えられておつて、やかましいこの報告を出すだけでも非常に人手を要するのであります。しかも入院の部屋代などは貸間の何分の一にもつかない安い値段で押えられておる状態であります。これは結局この中小私立病院というものを絶滅して行くような傾向になる、その道のりをたどつておることは明らかであるのでありますが、こういう入院料の決定また食費の決定というものは、そのときどきに応じて敏速に改訂せらるべきであると思うのでありますが、これに対する規定等もありますならば、お知らせを願いたいのであります。またできることならば、現下の状況にかんがみてなるべく至急これを改めていただきたいと存ずる次第であります。
#124
○安田政府委員 入院料の中の食費でございますが、これはただいまお話のは社会保險におけるところの点数のことだと思うのであります。それでこの入院料のうちで、食費を幾らにするがということは、社会保險の方の医療審議会というものがございまして、それにかけてきめるようになつておりすす。従いまして今お話のように、いろいろと事情がかわつて参ります場合には、それに応じて直して行くような方法をとつておるわけであります。現存はお話のように、大体普通のところで百円でございまして、それから六大都市等でございますというと、百十円でございます。先般完全給食をいたしました場合には十二点ということで、普通のところで百二十円、東京都でありますと百三十二円、こういうふうな値上げをいたした次第でございます。
#125
○苫米地(英)委員 もう一点だけお伺いいたしたいのでありますが、この保險におきまして医者の方から、その何点、何点という報告をしなければならないことになつておるのであります。ことに医薬分業などということを控えまして医者は何とかして自分のもらう点数をふやそうという努力をしておる。これは病院の方から見るともつともでありまのうが、その中には相当不当なものがあり、迷惑を患者にかけておる部門もあると思うのであります。しかもこれを審議するところにおいて、必ずしも公正なる審議をしておるとは見えないところがあるのでありますが、この審議する機関は何とか政府で監督をされて、もう少し敏速に、しかも公正にこれを運用するような、何かごくふうでもございますかどうかを伺いたいのであります。
#126
○黒川国務大臣 お答えいたします。ごもつともな御意見でありまして政府におきましてもますます監査を嚴重にし、そうして敏速にいたしますように努力いたします。
#127
○苫米地(英)委員 続きまして文部大臣に若干の質疑をいたしたいと存じます。先般新聞の傳えるところによると、大臣は修身科というものが必要であるというようなお考えを持つておられるらしい。また本会議における御答弁を伺つても、同じやうな傾向が見えるのでございますが、この国民道義の向上、人格の陶冶ということに対しては、いろいろの科目を設けることも必要でありましようが、同時に優良なる教員があるということが必要なのでありますが、悲しむべき事実は、現在はほとんど下級の学校においては、教育労働者はあるけれども、先生はおらないような状態なのであります。まずこの点が十分に改善せられなければ、国民道義の高揚ということは、言うべくして達せられないことであると信ずる次第であります。さらに上大学より下小学校に至るまで、現在の授業はまことに欠陷が多いのであります。もつと端的に言えば、教員が熱意をもつて生徒を指導するという気持に欠けておる。のみならず上級学校におきまして、授業が非常に行われておらないのであります。これは下級の学校においても同様であります。大学においては、学生がアルバイトをしておるとか、スポーツに熱心であるとか、また政治活動に夢中になつておるとふいうようなことにかてて加えて、教授の欠席が非常に多いのであります。戰時中学徒の素養が非常に低下している上に、現在のような状態が継続いたしますならば、日本の文化の向上ということは期し得ないと思うのであります。戰前には年間を通じて授業日数の報告などを徴しておりましたが、今そういうことをやつておられるかどうか、承知いたしておりません。しかしたとい授業日数が規定以上にありましても、このブランクの時間が非常に多くて日数において欠けるところがなくても、その日その日の授業が非常に欠けておるということでは、これは教育の非常な欠陷になると信ずるのでありますが、こういう点について、何か大臣におかれて施策を持つておられるか、もしくは実施しておられるか、そういうことをまずお伺いいたしたいのであります。
#128
○天野国務大臣 ただいま申されましたように、確かに修身科というようなものを設けたら、それでもつてただちに道徳教育が振興するというわけでないことは、私も十分に承知いたしております。そうではなくて、修身と申しますか、道徳教育というものは、どうしてもすべての先生が、自分が教育者だという自覚を持たなければならないのであつて、ただ科目を教えさえすればよいというのではなくて、それが同時に人間育成として常に道徳的な意味を持つのだという、そういう自覚がなければならないということは、私が常常主張して来たことでございますが、それにつきましては、どうしてもよい先生、教育者、ことに義務教育などにおきましては、ほんとうに教育を愛し、教育に身命をささげ、そこに生きることの意義と喜びとを見出すというような教師を、どうしてもつくり出すことが必要であると思うのであります。そういう点においては、現在決して十分だとは私は考えておらない。それには、一方においては教育者の待遇をよくする、そして教育界に人材を集める。またこれはすでに実行いたしましたけれども、育英資金の増額というようなことによつても、とにかくも教育界に人材を集めるということと同時に、従来の教員の養成の仕方というものにも、私は幾多の欠点があると思つております。そういう点を十分改革して、そしてよい教師をまずつくり出そうという考えでございます。
 それから第二番目に、いろいろのことでもつて十分な授業も行われておらないということででありますが、今の社会が非常に経済的な不安を持つておつて学生でもアルバイトをするとかいうようなよんどころない事情にあるために、欠席も学生の側にも多くなり、また先生の方にも、現在非常に俸給が低いために、それだけではとうてい生活できない。従つて内職をするとか、あるいはいろいろな、学問とはそうさして影響のない執筆をするとかいうような余儀ない事情に置かれておると思います。だからこういう点においても、教員諸君も大いに自粛しなければなりませんけれども、同時に教員の待遇をよくするというようなこども、私はぜひしなければならないことだと思つております。そういうようにして、ぜひこの教育者は、教育に自分の身命をささげて、教育を一つの手段として自分の名誉心を満足さすとかいうのではない、そういうりつぱな教育者を、今後ぜひ育成して行きたいというように考えております。
#129
○苫米地(英)委員 今大臣の仰せになりました事柄は、私もまつたく同感であります。ただそれをいかにしてやつて行くかということが問題なのであつて、抽象的に申しますれば、ただいまお話の通りであります。しかし現状のままで、社会の実情がこうであるからして、実情のかわるのを待つというのでは、あまりに芸がなさ過ぎると思うのであります。また待遇が惡いから内職が必要だというお話もありましたが、これもごもつとものところがございます。しかしこれは公然認めらるべきことではなくて、現在は昔とは違いまして、昔は教育者は確かに冷遇せられておりました。一般公務員より冷遇されておつたことは事実でありますが、現在は一般公務員と同じ待遇を受けておるのであります。しかるに、もし教育者の待遇が惡いがゆえに、内職することが当然だということになりますならば、一般公務員も内職することが当然だということになりまして、国家の行政はそこは遅滯を免れないということになるのであります。この点につきましては大臣はどうお考えになりますでしようか。
#130
○天野国務大臣 私がよい教師を育成しようということを抽象的に述べたということでございますが、実はその方法はいろいろ考えております。ただあまりこまかいことになりますから今述べなかつたのでございますが、たとえば学芸大学に関しても、その教科目というようなものについて、もつと考え方を改善するとか、あるいは義務教育の教師も、その供給する源をただ学芸大学に限らないで、諸方のどういう学校からでも、義務教育を熱心にやろうという人であれば採用するとか、いろいろそういう方法を考えておるわけでございます。それからまた今の時勢が直るのを待つというのではなくして、現に育英資金を増額するとかいうような方法でもつて、学生ができるだけアルバイトをしないでもやれるようなことは、私の力の及ぶ限りはいたしつつあります。それから内職を当然というわけではございませんで、大学教授などには少し事情の違つた点があると思います。やはり大学教授となれば、自分の相当の書物なども持つておらなければやれないとか、いろいろな事情があつて、当然とは申しませんが、しかし私は余儀ない点もあると思つております。そういうような関係から、できるだけこの大学教授などの待遇も一日も早く改めて行きたい、そういう考えでございます。
#131
○苫米地(英)委員 私は大学教授の待遇については、さらに考慮すべき幾多の問題があることは大臣のお考えと同様であります。また大挙教授が学問にこもらずに、社会のために働くということも必要であり、かつ当然と考える次第であります。しかしながら自分の本職であるところの仕事を休んで講演に行くと、休む先生は一人ですけれども、そのために時間の浪費をする学徒は非常に多いのであります。こういうことに対して大臣は、どういうふうにこれを改善しようとお考えになつているかを私は伺いたいのであります。
#132
○天野国務大臣 私は大学の教授であつても、自分の職務を怠つてよいという考は毛頭ございません。職務は十分勤めなければなりませんが、しかしまた自分の生活のためにはある程度の内職と申しますか、物を書くとか、いろいろなことをするということも、今の時代においては余儀ないことではないかと考えております。講演というようなこともその場合によることであつて、みだりに学校を休んで講演ばかりしていることが惡いということは論を要しないと思います。けれども、時としては、やはり地方の要求に応じて、大学の教授が地方に出て講演をされるというようなことがあつても、それを一々不都合だとは考えておりません。
#133
○苫米地(英)委員 どうも食い違つているようでありますが、私は自分の職務を忠実に果した余暇において著述をすることはもちろんいいことであるし、講演に出かけることももちろんよいことである。また場合によつては授業を休んで講演に出かけることもいいのでありますが、大臣は現況においてあまりに先生に休みが多過ぎるということをお考えにならないかということを伺いたいのであります。
#134
○天野国務大臣 それは今おつしやる通りで、一般に休みが多いということが言えるかもしれません。そういう点については私も非常に遺憾だと思います。
#135
○苫米地(英)委員 大臣は遺憾だと仰せられますが、こういう問題はただ遺憾だというだけではならないので、それに対してどういうふうにしてこういうことを改善して行くかという御抱負が伺いたいのであります。
#136
○天野国務大臣 遺憾だということは、同時にそれをぜひ改善したいという意味を含んでおるつもりでございます。学長を督励し、ぜひそういうことのないようにいたすよう努力いたす考えでございます。
#137
○苫米地(英)委員 その点は了承いたします。
 次にこの予算の配分について伺いたいのであります。旧制大学と新制大学とを比較いたしますと、新制大学の方が設備万端惡いことはもちろんであります。従つて新制大学をつくつた趣旨から申しますならば、この設備の惡いところを助成して行くということが必要であると私は考えるのであります。従つて研究設備、研究所というようなものがないところにはこれを新設させる、現にあるところはこれを助成して発展さして行くというようにありたいものだと思いますが、現実を見ますというと、旧帝国大学に対しては非常に豊富な研究資金その他を割当てて、新制大学に対してはきわめて貧弱なものが割当ててあるように思われるのでありますが、この予算はどういう基準で、どういうふうに分配せられましたか。もし大臣、こういうこまかいことを御存じなければ、事務当局からでもよろしゆうございますから、これをお示し願いたいのであります。
#138
○天野国務大臣 旧制大学に重くして、新制大学に軽くするということはないということでございます。それはどういうことかというと、旧制大学は講座の数も多いし、従つて人数も多いということから、予算も多くその方に用いるということであつて、ことに旧制大学には戰災にかかつたところなんかがあつて、そういう費用がたくさんかかるとか、あるいは新しく教養部というものを設けましたために、その費用がかかるということで、新制大学に薄く、旧制大学に厚くということはないと事務当局が申しております。
#139
○苫米地(英)委員 今そういう差別待遇はないという御説明でございますが、それではその基礎になる数字を御提出願いたいと思います。私の承知しておるところでは、相当そこに甲乙があるやに考えられるのであります。研究費、講座料その他一切のものについで平等の基礎の上に分配されるとはどうしても考えられないものがあるのであります。
 それからまだ文部大臣にお伺いしたいことがたくさんありますが、時間の都合でもう一点だけお伺いしておきたいと思います。大学の教授、助教授になるのには條件がありまして、教育に従事した年限、著書もしくは業績といような標準で認定せられておるらしいのでありますが、新制大学のあるところでは、たとえてみれば講師は一名であるとか、助手は割当ててないとかいうようなことでありまして容易に新しい助教授、教授を養成することができないような状態になつておるのであります。この点は先ほども予算の振当てについて申し上げたところでありますが、ここらにおいても新制大学は将来発展して行くところの教授、助教授養成の手足がもぎとられておるように見えるのであります。教授、助教授等を将来養成して行くために、この点についてどういうふうにお考えになつておりますか、大臣の御所見を承りたいと思います。
#140
○天野国務大臣 新制大学と旧制大学の間にそういう不公平な取扱いはしてないということは、今度数字的に示せということでございますから、後に文書で提出いたします。
 それから旧制大学と違つて新制大学には教授も助教授もあるいはまた講師なども非常に手薄だ、これを将来どう考えるかということでありますが、これは実に残念なことには、日本の教授力といいましようか、そういうものは七十一の大学を十分やつて行くのには今のところ手不足なのであります。だからしてそれを養成するのはやはり旧制大学の力をかりなければあとは養成できないと思うのです。私はそのためにたとえば特別研究生とか特別研究奨学生とかいうような制度を設けて、特に多額の奨学資金を出してそういう人を養成するとうにいたしております。しかしそれば従来からの大学でないとその養成ができませんから、その仕事は従来の大学に頼んでいたしております。
#141
○苫米地(英)委員 その点について私は文部省の大学教授任用の條件が、旧制大学に委託して研究すればそれで満たされるとお考えになつておるとすると、実情から少し違つておりはしないか、こう考えるのでございますが、この点はいかがでございましよう。
#142
○天野国務大臣 私はどうも御質問の点が十分理解できないことがございますが、やはり従来の総合大学のような学者のたくさんいるところでないと、新しく学者を養成して行くことは私はむずかしいように思います。そういう意味で、現在それだけの人がおらないのですから、そういうものを新しく養成して行くよりしかたがない。そのためにただいまも申しましたように特別研究生というようなものをたくさんつくつてそれを従来の教授力の豊富な総合大学において育ててもらおうという考えなのでございます。
#143
○苫米地(英)委員 大臣は少し誤解されているようなのでありますが、文部省にそういうところで養成されたものを教授にしていいという條件がありますか。文部省の條件は大学を卒業して三年以上教育の経験がなければいけない。旧制大学でいくらいい学者ができても、その経験をさせる場所がなければならないのです。それからあとの著書とか業績とかいうことは旧制大学でできるだろうと思うのです。そういうりつぱな学者ができたならば、新制大学の講師なり助手なりにつけて、教育の経験を持たせなくちやならぬじやないか。しかるにそういうものを吸收する地位ができていない。私はこう申すのであります。
#144
○天野国務大臣 よくわかりました。資格というのは文部省では大学設置委員会というものに委託して審査をいたしております。ところが今のところ人がないのですが、それは今私の申したような仕方でもつて養成しよう。しかし新制大学におけるそういう定員が不足だということ、それはできるだけ今後充実して行きたいと思つております。今のところは確かに不足でございます。
#145
○苫米地(英)委員 つまり私は旧制大学においてりつぱな学者を養成し得るということは否定いたさないのであります。ただその者に職を與えなければ資格ができない。りつぱな著述ができるとか、りつぱな業績ができるということを待つておつたのでは非常に長い年月がかかる、こう申すわけであります。そこで私は新制大学においては、財政の都合もございますので、急に定員をふやせなどということを申すのではありません。なるべく早く財政の許す限り定員をふやして、りつぱな教授を――学問的には旧制大学でもけつこうでありますが、それを新制大学の方へ早くまわして、りつぱな新制大学をつくるように御努力を願いたい。こう申しておる次第であります。これだけの希望を述べまして、私の文部大臣に対する質疑は終りたいと思います。
 次に岡野自治庁長官にごく簡單なことを一つだけお伺いいたしたいと思います。それは平衡交付金のことでありますが、平衡交付金が一定の基準が設けられまして、それによつて嚴格に算出せられており、それが全面的に見て大体公平であると私は考えておるのであります。しかしながら北海道のごときところにおいては、必ずしもその基準によつては、全国的な基準というものが公正に行かない実情にあることは御了承の通りだと思うのであります。たとえてみれば、道路をつくる場合にも一平方メートル幾らとかいうような基準によりますが、何百年、何千年もかかつて開拓した内地と北海道とは非常に違つておるのであります。山を切り開き、樹木を伐採して行かなければならないばかりではなく、沼沢地を埋め立てて行かなければならない所もあるのであります。また橋をかけるとしても、御承知の通り北海道は自然の河川が多くて、堤防のできておらないところがある。従つて両岸何里かの間に土を盛り上げてやつて行かなければ橋をかけるところまで行かない。橋をかけるとしても非常な泥土などがありまして、経費がよけいにかかる、こういうような実情があるのでありますから、北海道のようなところに対しては、あの嚴格なる基準で行かれたのでは、道民が非常に困るのであります。
 もう一つ給與につきましても、北海道というところは、寒冷地手当があるとか、石炭手当があるとか、御考慮をいただいておることは、まことにありがたいことでありますけれども、地方の財政が窮迫している今日、これを全部地方に負担させるということになると、やはり平衡交付金においてせわを見ていただかなければならないと思うのでありますが、こういう点について特別の御考慮をいただけるかどうか、この一点だけをお伺いしたいと思います。
#146
○岡野国務大臣 お答えを申し上げます。ただいまの細説の通り、財政委員会といたしましては、平衛交付金を配付するにつきましては、非常に厳格なるこまかい規定を設けまして配分しておるわけでございます。しかしただいま御説の通りに、北海道のごとく特別の事情のあるところ、それに対しては、また特別の交付をするという方式になつておりまして、それに対しては、本年度で申しますれば、百五億の予算が平衡交付金にとつてございます。でございますから、ただいま仮決定をいたしておりますのも、また御説のよ。うなこともあり、風水害とかいうようなこともございますから、いずれ来年の一月になりまして本決定をするときに、いろいろ地方の事情をよく考慮いたしまして、本決定をいたすことになりますし、もしそれでもいけない場合にありましては、予備にとつてありますところの百五億の予備の平衡交付金のうちから援用する、こういうことにしておりますから御了承を願いたいと思います。
#147
○苫米地(英)委員 それから起債のことでありますが、北海道は昨年は預金部に道民が預け入れた金額に準じた起債を許してもらうことができなかつたのであります。一例をあげますと、昨年札幌の医科大学が校舎をつくるために一億円の起債をお願いしたのですが、とうとう認められなかつたのであります。その理由には大学の起債というものは全国的に許さないのだというのが理由であつたのであります。ところが北海道はこういうことに対して本特別の事情があるのであります。なるほど北海道大学というものがあり、そこに医学部がありまして医者は養成せられておるのであります。しかし北海道大学で養成せられております医者は、多くは渡り鳥であります。南方から来て教育を受けて南方にもどる人が多いのであります。北海道の寒冷地にとどまつて北海道の医療に従事するという人はきわめて少い。こういう欠陥を補うために、札幌医科大学というものが道立でできたわけでありますが、文部省においては校舎をいつまでに建てろという。ところがその経費は容易にできない。道庁が起債をしてやりたい。これを許されないということになりますと、まことに窮境に入るわけでありますが、この起債についても何か特別の御考慮金いただけるかどうか伺つておきたいのであります。
#148
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。起債の点におきましても、全国特殊の事情がいろいろございまして、わくとして與えられたものは三倍あつても五倍あつてもほとんど足りないような情勢になつておる次第でございます。でございますから、御説のようなこともよく心得まして財政委員会の方といたしましてできるだけお心に沿いたい、こう存じております。しかしただいまのところすでにもう御承知でもございましようが、地方財政は起債のわくの点において本年度非常に苦難をしております。本年度は御希望に沿うことはできないかとも存じます。また明年度でもひとつ考えることにいたしましよう。
#149
○苫米地(英)委員 この起債のわくは、その地方の住民がいかに預金に努力しておるかということが当然反映せられるところである。政府もそうするということを従来言うておられたのでありますが、北海道の場合は、その例外になるというお考えでございますか。
#150
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはひとり北海道のみならず、ほかの方面にもいろいろな特殊の事情がありまして、非常に起債を許していただきたいという希望が殺到いたしておるのでありますが、それを十分考慮いたしまして、最も急を要するものに対して起債を許して行きたいと存じまするただ一応御説明申し上げておきますが、本年度起債がなかなか差上げられないということは、本年度地方債としまして、三百億のわくをもらつておつたのです、それを大蔵大臣のたいへんな御努力によつて七十億増してもちつて、三百七十億実はいただくことにして、各地方へ割当てつつあつたのでございますが、何かの行き違いでその七十億がまだ十分認められておらぬのです。実は三百五十億ほどすでに割当済みになつておるにかかわらず、その五十何億というものが正式には関係方面の御了解をまだ得ておらない、こういうような状態でございますから、ことは何さまむずかしい問題だと思いますが、来年度は努力いたします。特にお願い申しておくことは、今御列席の大蔵大臣に、その辺をあなたからお願いをしていただきたいと存じます。
#151
○苫米地(英)委員 ただいま大臣の仰せられたことは、かすかに漏れ承つておることで、よく承知しておるのであります。ただ道民が不満としておるところは、わきの地方よりも預金に対する比率が低く割り当てられておるということなのであります。その点をひとつ御考慮願いたい。こういうわけであります。これをもつて一応自治庁長官に対する質問は終りたいと思います。
 続きまして大蔵大臣に一点だけお伺いしておきたい、またお伺いしておかなければならないと思うのでありますが、御承知の通り電力問題がああいうふうに決定いたしました。これは私は長い目から見てまことにけつこうなことだと存じておるのでありますが、さしあたり北海道はこのために道民が非常に不安を感じておる。御承知でもございましようが、数時的に表を見るというと、九州が一番料金が高くて、次が北海道ということになつております。ところが割当のわくの関係から、実際消費者の拂つておる金は北海道が一番高くなつております。こういうような事情で道民は非常に今度の再編成について不安を感じておるのでありますが、それにつきまして、この北海道の電源開発ということは北海道にとつてのみならず、全国的に見ても産業振興の上に欠くべからざるものだと信ずる次第であります。ところが伝えられるところによるというと、北海道開発費というものも、あるいはせんだつて伝えられた数字よりもまだ減少するのじやないかということでありますが、総額が減つて来たのでありますからして、そういうふうに動いて行くということはむしろ当然であるかもしれませんけれども、どうか電力編成にからんでも、また資源の開発という点からも、北海道開発費というものは十分同情ある御考慮を大蔵大臣にお願いいたしたいと思うのであります。これは公共事業費であつて来年度の予算に盛り込まれるものでありますけれども、この電力再編成にからみまして、今いくらか大臣のお見通しなり、またこの北海道開発に対する大臣の熱意なりをお漏らしくださいますならば、道民は非常に安心することであろうと感じましてこの点をお伺いする次第であります。
#152
○池田国務大臣 電力再編成の問題につきましては御承知の通りの状態になりまして、見返り資金から予定しておりまする本年度百五十億円の支出は一日も早くできるように努力いたしたいと考えております。なお北海道開発につきましての問題で、従来本年度見返り資金から出します公共事業費にダムの建設がございましたが、ただいま来年度予算に関しまして話をしておるところでは、いわゆる一般会計の公共事業費も、私が考えておるのより少し減るのではないか、あるいはまた見返り資金から本年度百五十億円出しました分につきましても、なかなか困難な事情があるような実情でございまして、実は苦慮いたしておる状況なのであります。いずれにいたしましても北海道総合開発の点から申しまして、北海道開発は最も力を入れなければならぬ問題であるということは、私も十分承知いたしておりますので、できるだけその線に沿つて行きたいと考えております。
#153
○小坂委員長 尾崎末吉君。
#154
○尾崎(末)委員 時間の関係もありますので、ごく簡單に三、四点お伺いいたします。
 政府は私企業への融資について画期的の措置を講ずることに格段の御努力を願つた、その結果本年度見返り資金金融の総額一千五百八十一億円のほかに、新たに今後十五箇月間に私企業に二百七十億円を振当てられることになつたということはまことにけつこうなことでありますが、その二百七十億円の使途は輸出銀行に七十五億円、中小企業に四十八億円、私企業に三十三億円、企業の整備合理化に百十四億円、このうち二十五年度内の合理化の資金は三十億円である、こういうのでありますが、その通り了承してよろしゆうございますか。
#155
○池田国務大臣 ただいま今年度並びに来年度二十六年度の見返り資金の使用につきましては検討を加えておるのでありまして、正確な数字は申し上げられません。ただ予定しておりました中小企業への一・四半期三億円は九億円にふやします、これは来年度も続けて行きたいと思います。それから輸出銀行の今年度二十六億円、来年度五十五億円、これもきまつております。それから私企業に予定しておりました四十三億円は、これは先般申し上げましたように六十億円になります。そのほかはきまつておりませんが、私は今年度におきましてそういう金を見返り資金の今のフアンドから出すか、あるいは従来見返り資金が国鉄あるいは電気通信の方に貸しておつたのを、預金部で肩がわりして見返りへ持つて行つて、そういうのを出すか、今検討をいたしておるのであります。なおお話のありました私企業をもつとふやすとか、あるいは合理化資金に出すとかいろいろな点がございますが、ただいま検討中でまだお話申し上げる段階に至つておりません。きまればさつそく申し上げたいと思います。
#156
○尾崎(末)委員 大体いまだ発表の時期でないということでありますので、この問題はあまりつつ込んだことを御質問申し上げることは遠慮いたします。ただ特にこの問題について希望いたしておきますことは、もし私が申し上げたような段階に至りますならば、こういうことを希望いたしておきたいのであります。私は前の国会並びに前前の国会の二回の本委員会におきまして、池田大蔵大臣に対して預金部の金を有効に使用する道を講じてもらいたい、その使途はなるべく地方に多く融通してもらいたい、こういうことを希望しておつたのでありますが、そのことがさきに申しますように、もし預金部の金をもつて公企業に融通してあつて、見返り資金等の肩がわりをするというようなことがもしでき上つた際には、どうぞひとつ地方になるべく多くその資金を還元するということについての特段の御考慮をお願いしたいという程度にして、この問題のつつ込んだ質問をやめることにいたします。
 そこで簡單に次に移りますが、金利の問題であります。結局低金利の政策が行われなければ、真に正しい意味の経済の安定は期せられない、こういうふうに思うのでありますが、低金利の政策について一体どの程度まで金利を下げようという御構想があるのかどうか、おさしつかえなければその点を伺つておきたい。
#157
○池田国務大臣 預金部の金はできるだけ地方に還元いたしたいと考えております。まず第一にやはり地方債を引受ける、そうしてまたわれわれが待望しておりました預金部が金融債を引受ける制度、この制度が実現しましたときには、やはりこれは農林中金の金融債とか、商工中金の金融債を重要視して行きたいと考えております。
 次に金利の問題でございますが、私は金利はできるだけ低いほどいい、こういう考えを持つておるのであります。今の世界の金利市場を見ましても、日本は高過ぎます。日銀の公定割引分合が一銭四厘になつておるのでありますが、実際一般市中銀行の貸出しは、手形の種類によつて違いまするが、二銭四厘とか二銭六厘、こういうふうに相なつておるのであります。政府は金利の低下をはかりますために、先般も預金部の貸付につきましては九分一厘ないし九分四厘を六分五厘に率先して下げております。従いまして見返り資金の金利につきましても七分五厘をできるだけ下げる。また一般市中銀行に対しましても、できるだけ金利を下げるように勧奨いたしておるのであります。貯蓄増加、資本蓄積のために、定期預金の金利につきましては、預金利子を一年分五分程度に、三厘程度上げたいと思つております。貸出しの方はできるだけ下げるように考えて行きたいと、機会あるごとに金融界に勧奨しておるのであります。何分にもまだ金融制度あるいは機関が今過渡的な状態でございまして、実際金利が公称金利よりも高いのがあるのであります。われわれはまずこういうところから改革して行かなければならぬというので、せつかく努力を続けておるのでありまするが、結論といたしまして、とにかく金利はできるだけ早い機会に、できるだけたくさん下げたいという念願で進んでおります。
#158
○尾崎(末)委員 次に伺つておきたいと思いますことは、いわゆる金融債によりましてなるべく地方に多くの金を還元して行きたい、こういう御方針につきましては全幅の賛成をいたすものであります。つきましては、この農林及び漁業等に貸し付ける金融は期間が長いほどけつこうだと思いますが、大体長期の金融といたしましては、最大何年くらいの期間にせられるのであるか。それからそのやり方は、元の農工銀行とか、勧業銀行とかというようなああいうところでやつたようなやり方によつて、いわゆる貸付金の返済を受ける等のことは、ああいうやり方でやる方法をとられるのであるが。この二点についてお伺いしたい。
#159
○池田国務大臣 ただいま計画いたしておりまする農林水産金融の問題につきましては、私はやはり長期で、低利でなければならぬと考えております。大体十年ぐらいの期間で貸し付ければならぬと思つております。そうして金利も、やはり事業によりまするが、できるだけ安く、一般の貸付金よりももちろん安い金利で行くように計画いたしております。貸付の問題にいたしましても、昔、勧業銀行でやつておりましたように、組合の共同担保とかいうようないろいろな方法で、やつて行きたい。農林、水産と申しましても、土地改良の方でも、採算のつくものはこの貸付でやつて行こう、あるいは非常に叫ばれておりまする農林の不動産担保金融につきましても、ある程度道を開かなければいかぬのじやないか、こういうふうな気持で進んでおります。
#160
○尾崎(末)委員 大体不動産担保による長期の金融等につきましても、ぜひともその実現を希望いたすのであります。
 最後に一点伺つてみたいと思いますことは、先ほど建設大臣の御答弁の中に、災害復旧に要する起債を許してもらうようにいたしたい、こういう意味の御答弁があつたのでありますが、むろん大蔵大臣もそういうお考えでおられることと思いますが、その点を伺つて私の質問を終りたいと思います。
#161
○池田国務大臣 先ほど岡野国務大臣からも答弁いたしましたように、地方の財政の状況を見まして、私は今年度におきましても、今三百七十億を予定しておるのでありますが、それに加うるに少くとも五十億くらいはふやしてもらうように交渉を始めております。平衡交付金が地方団体の要望せられるほど出すことができなかつたのでございますから、何としてもこのつじつまは起債の方で合せて行かなければならぬと思います。従いましてある程度災害復旧のための起債も予定することは当然だと考えております。
#162
○尾崎(末)委員 時間の関係がありますから、本日のところ質問をこれでおきます。
#163
○小坂委員長 本日はこの程度にとどめまして明日は午前十時半より開会いたします。
 これにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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