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1950/11/24 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 本会議 第3号
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1950/11/24 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 本会議 第3号

#1
第009回国会 本会議 第3号
昭和二十五年十一月二十四日(金曜日)
 議事日程第二号
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 吉田内閣総理大臣の施政方針に関する演説
 池田大蔵大臣の財政に関する演説
    午後三時三十八分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(幣原喜重郎君) 椎熊三郎君、三宅正一君、林百郎君より議事進行の発言要求がありますが、本日の議院運営委員会で、本日は総理の施政方針演説にただちに入るように決定をいたしておりますので、議事進行の発言は適当の時期にこれを許します。(「議長、それは違う」と呼び、その他発言する者多し)
 内閣総理大臣より施政の方針に関し、引続き大蔵大臣より財政に関しそれぞれ発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣吉田茂君。
    〔「議長」「議長」と呼び、その他発言する者多し〕
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#4
○国務大臣(吉田茂君) 本日ここに提出の……(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)所見を述ぶる機会を得ましたことを欣快と存じます。
 最近、外電は対日講和の近きを報じ、米国を中心として関係諸国間に予備交渉が進められつつある趣でありまますが……(発言する者多し)これは長い間講和を待ち望んで来たわれわれ日本国民にとつて、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)一日もすみやかに、一国とでも多く講和をいたしたいと切望いたしておるわが国民としては、平和国家、民主国家としての日本の再建に……(発言する者多し)さらに一段の努力を傾注すべきときであると信ずるのであります。
 なおこの機会に、政府は、スエーデン国王グスタフ五世陛下の崩御に対し深く哀悼の意を表するものであります。スエーデン国は、戰時中わが国の利益代表国として在外邦人に対し多大の好意と庇護とを與えられたるのみならず、戰後もかわらざる好意を寄せられておることは、まことに感謝にたえません。(拍手)新国王グスタフ・アドルフ陛下は、先年現皇后陛下とともにわが国を訪問せられ、京都、奈良のわが国に保存せられたる東洋文化につき非常に興味を持たれ、わが国に対し深き理解を有せられる方であります。私は陛下の御即位に対し、つつしんで慶祝の意を表するものであります。思うに、日瑞関係は陛下の御即位によりまして、一層親善を加うることを信じて疑わないのであります。(拍手)
 先ごろ予期せざる朝鮮事変の勃発を見たことは、きわめて遺憾のことであります。これはわが国民にも多大の衝動を與えたのでありますが、われわれはまた韓国国民に対しまことに同情にたえざるものであります。(拍手)幸いにして国連軍の適切果断の処置により事変の終熄がはかられつつありましたが、本日マツカーサー元帥みずから陣頭に立つて全軍を指揮し、北鮮の戰闘をただちに終結せられんとする趣であります。(拍手)これにより朝鮮全土のすみやかなる平和回復も期待せられ、まことに慶賀にたえないのであります。(拍手)東亜、ひいて世界の平和のために一日も早く安定が回復することを希望いたしてやまないものであります。
 政府がここに提出の昭和二十五年度の補正予算の大要を申し述べますが、まずわが国の経済の自立性を確立するため、価格調整費は当初予算よりもさらに大幅な減額を行うとともに、災害復旧費、失業対策費等にそれぞれ相当一類を計上することにいたしたのであります。
 公務員の給與につきましては、政府は財源や経済全般への影響の関係につき研究中のところ、今や経済状態も著しく安定の度を加え、また財源にも若干余裕を生じましたので、この際公務員の給與改善につき考慮を拂いました。政府としは今後も引続き行政機構、の簡素化、定員の減少に努め、もつて冗費の節約を一層徹底して行うことはもちろんであります。(拍手)
 なお政府は先般大幅な税制改革を行い、国民の租税負担の軽減をはかつたのでありますが、今なお負担は相当に重いのであります。今後一層の減税を加えたいと考えておるのであります。
 以上が本年度補正予算の大綱でありますが、国民の精神的方面の作興、すなわち文教の振興の重要なること今日にしくものはないのであります。 (拍手)最近、民主的秩序を暴力をもつて破壊せんとするものの行動は国民多数のいるるところとならず、その勢力も逐次衰退しつつあるのでありますが、
 一層この際教育に思いをいたし、健全なる国民思想の涵養をはかるべきものであると、かたく信じておるのであります。(拍手)
 さきに国家公務員法が公布せられましたが、ここに地方自治の直接の担当者である地方公務員に対し地方公務員法案を提出いたすことにしたのであります。またこれによつて中央地方を通じ民主国家にふさわしい公務員制度の完成を期せんとするものであります。
 政府は昨年二月公職資格訴願審査委員会を設置し、爾来同委員会は熱心かつ愼重に審査を進めて参りましたが、その結果、一万有余名に対する特免を発表することを得たのであります。これらの人たが今後わが国の自立再建に貢献せられることは期待いたして誤らないと考えるものであります。
 わが国の経済安定復興のため貿易の舞の案ますます痛感せらるるのでありますが、現在までに二十四の通商協定が成立し、在外事務所の設置、邦人の海外渡航の機会の増加、その他通商振興のための諸問題が漸次解決しつつあるのであります。特に最近輸出が飛躍的に増進いたしておりますことは、わが国貿易の前途のためにまことに賀すべきことであります。(拍手)政府はさらに貿易に伴う資金の円滑なる供給を確保するため輸出銀行を設置する所存であります。また輸出振興の基盤としてわが国中小企業の占める重要性は、政府のつとに認むるところであります。特にその金融については、すでに見返り資金のわくを広げる等の措置をとつたのであります。
 電気事業再編成法案は、前々国会において不幸にして成立することができなかつたのでありますが、本問題は集中排除法に基き一日もすみやかにこれを実現する義務であるのであります。またわが国の電源、ことに水力発電の開発により電力の供給を豊富ならしめることの必要は申すまでもないことであります。かかる事情のもとにおいて、政府は今般電気事業再編成令及び公共事業令をポツダム政令をもつて公布するのやむなきに至つたのであります。(発言する者多し)
 災害対策は、わが国再建のため最も重要な問題の一つでありまして政府としては、これについては最大限の努力を拂つております。すなわち、既定公共事業費及び予備費を支出するほか、今回の補正予算にも相当額を計上いたしまして、すでに発生した災害の復旧と災害防止の応急工事の迅速なる施行に努めるとともに、今後は治山治水費等の増額により、その根本対策を強力に推進し、あわせて農業の振興及び食糧自給度の向上を期したいと考え、その施策に遺憾なきことを期しておるのであります。(拍手)最後に、在外同胞の引揚げについては、従来政府は懸命の努力を傾けておるのでありますが、総司令部当局の多大なる理解と不断の好意により、近く国連総会において正式に討議されることとなつており、すでにわが国よりも国民の代表が非公式に招聘されて渡米いたしております。本問題が国際正義によりやがて解決せらるることを私は確信して疑わないのであります。(拍手)
#5
○議長(幣原喜重郎君) 池田大蔵大臣。
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#6
○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十五年度補正予算案の説明を中心といたしまして、政府の財政金融政策の大綱を申し述べたいと存じます。
 わが国の経済が、国民諸君の絶大なる努力によりまして次第に安定の度を加え、今日では終戦直後の極度に疲弊した姿から回復して、経済再建への道を順調に進みつつありますことは、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)去る六月の朝鮮動乱の勃発を機といたしまして、世界的に軍需資材等の需要は急速に増大しつつあり、この影響を受けまして、本年七月以降、わが国の経済も活況を呈し、輸出と、いわゆる特需の増加は、従来の滞貨を一掃したばかりでなく、新たな生産の増強をも要請しておるのであります。この輸出の伸長等に伴い、わが国の外貨保有高は最近逐次増加して参つておりますが、他面海外の物価高の直接の影響も加わりまして、国内物価はある程度の上昇を示しておるのであります。
 このような状態に対処する今後の財政金融政策の基調は、この機会をとらえ、一面においてはあくまでもインフレーシヨンの要因を排除しつつ、他面経済の自立再建の達成のために、特段十の努力を傾注することにあるのであります。すなわち均衡予算の方針を堅持し、極力経費を節減し、租税負担の軽減を行うとともに、産業合理化の推進、輸出の振興等に必要な長期資金の疏通に思い切つた措置を講じ、また保有外貨の活用によつて輸入の促進に努力し、もつて経済の正常な姿を一日も早く確立しなければならないのであります。(拍手)
 今回の補正予算案は、このような基本的な考え方に基きまして、目下編成中の来年度予算案と一体的な構想のもとに編成されたのであります。その主眼といたしますところは、まず第一に、国民負担の現状にかんがみまして、あとう限りの減税を行うことであります。第二に、輸出の増進等に対処するため外国為替特別会計の所要資金を一般会計から繰入れることであります。第三に、当面緊要な産業資金の疏通をはかるために必要な経費を計上することにあるのであります。第四に、災害復旧費、失業対策費、地方財政平衡交付金の増額等、この際必要やむを得ない使途に充てるための所要の経費を計上することであります。最後に国家公務員の給與の改善をはかることでありまして、その財源のおもなるものは、価格調整費の不用額、一般行政費の節約、租税の自然増牧等であります。今回の補正によりまして、昭和二十五年度一般会計予算総額は歳入歳出とも六千六百四十五億円余となるのでありまして、歳入のうち租税及び印紙収入は四千百五十億円余であります。
 次に補正予算案の内容のおもなるものについて説明いたします。
 まず歳出は、価格調整費において二百六十億円を減少することといたしました。御承知のように、価格調整費を創減して企業の自主性を高め、わが国経済の自立性を確立することは政府の一貫した方針でありまして、本年度当初予算においても前年度のほぼ半額にとどめたのでありますが、その後輸入食糧等の海外価格の値下り、銑鉄や肥料の国内価格の引上げ等によりましてこの不用額を生ずるに至つたのであります。なお来年度におきましては、価格調整費は輸入食糧に対するものだけに限定いたしまして、その額も比較的少額にとどまる見込みであるのであります。
 次に外国為替特別会計への繰入れとして百億円を計上いたしました。前にも申し述べましたように、わが国の輸出貿易は相当目ざましい伸長を示しており、今後も引続き活況が予想されるのであります。これに伴つてわが国の外貨保有高は相当増加いたしますので、外国為替特別会計において、これら外貨の保有に必要な資金に不足を生ずるのでありますが、この不足を日本銀行からの借入れ等の措置によつてまかないますことはインフレーシヨンの原因ともなるおそれがありますので、今回はこれを一般会計からの繰入れにまつことにいたしたのであります。
 次に日本輸出銀行の設立、中小企業信用保険制度の新設、国民金融公庫に対する出資の増加に必要な経費を計上いたしました。この点につきましては後に申し述べたいと思います。
 次に災害の復旧につきましては政府は特に意を用いた次第でありまして、公共施設の復旧のため四十一億円、その他災害救助、文化財、農作物の災害対策等についても相当多額を計上いたしたのであります。他に既定予算の流用をも含めますと、災害関係経費は五十億円以上を増加することになるのであります。なお失業対策につきましては、今後公共事業費の積極的活用によりまして相当数の失業者を吸収できると考えるのでありますが、別途失業対策応急事業費十五億円、失業保険費十二億円余を増加計上することといたしたのであります。
 最後に、国家公務員の給與改善のために所要の経費を計上いたしました。国家公務員の給與改訂につきましては、政府は経済安定に及ぼす影響、財源の関係等を考慮いたしまして、今日までその実施の時期について愼重に配慮して来たのでありますが、わが国の経済状態もようやく安定し、財源的にも余裕を生じましたので、この際人事院勧告の趣旨を尊重いたしまして、来年一月から月額平均千円程度の給與の引上げと、若干の年末手当の支給を行うことといたしました。(拍手)なお地方財政の現状にかんがみまして地方財政平衡交付金を三十五億円増額するごとといたしましたが、これは地方公務員の給與改善の財源にも充当されるであろうと存じます。
 次に歳入について説明いたします。政府は先般国税、地方税を通ずる税制の改革を行い、租税負担の軽減をはかつたのでありますが、国民の租税負担はなお相当に重いのでありまして、できるだけすみやかにこれが軽減を行うことが刻下の急務であり、また現内閣の一貫した方針であります。従いまして、政府はこの際、前にも申し述べましたようにさらに一層の減税を行うこととし、別途必要な法律案を提出することといたしました。
 今回の減税は、所得税を中心とし、酒税、物品税等についても相当の軽減をはかつておるのでありまして、酒税につきましては十二月から、その他は来年の一月から実施の予定であります。この措置による本年度の減税額は約六十四億円でありますが、来年度の減税額は七百億円に達する見込みであります。(拍手)本年度において実施いたしました減税に加えまして、国民の租税負担はここ一両年前に比較いたしまして、著しく軽減することになるわけであります。なお現在予定されている米価引上げの生計費への影響は、この減税によつて吸収し得る見込みであるのであります。
 次に金融問題について一言いたします。現下の金融施策の最も重要な課題は、国際経済の動きに対応いたしまし参て、わが国の経済が規模を拡大し、その活動が活発化して来ましたこの機会を逸せず、この際産業の合理化を一段と促進して経済基盤の充実をはかるため資金の円滑適切な供給を確保することにあるのであります。なかんずく長期資金の疏通が急務であり、このためには見返り資金、預金部資金等、政府部門に蓄積されました資金の再放出が強く要請せられるのであります。また中小企業のわが国において占むる地位の重要性にかんがみ、中小企業金融についても何らかの積極的な方途を講ずることが肝要であります。政府は先般来これら諸問題につきまして鋭意検討、努力を重ねて参つたのでありますが、今般次のような各種の措置を具体化する運びに至つたのであります。
 その第一は、日本輸出銀行を設立して、本年度内に一般会計及び見返り資金特別会計よりそれぞれ二十五億円、来年度においてそれぞれ五十億円、合計百五十億円を出費することといたしたのであります。従来、生産設備等その製造から代金決済までに長期の資金を必要とするものの輸出につきましては、とかく金融の円滑を欠き、海外からの引台いにも応じたい情勢にあつたのでありますが、この日本輸出銀行の設立によりまして、今後生産設備の輸出が大いに促進せられ、またこれに伴い関係産業の発達も期待できるのであります。
 その第二は、従来その運用が国債、地方債に限られておりました預金部資金を、今後新たに金融債にも運用することにいたしたことであります。この結果、預金部資金の積極的活用が可能となり、長期資金の供給に寄與するところが非常に大きいと存じます。(拍手)
 その第三は、重要産業の合理化促進のために見返り資金を活用することであります。この点につきましては、さきにとりあえず十七億円を一般私企業に貸付けるごとにいたしておるのでありますが、このほかにおいてもさらに具体策を検討中でありまして、近く実施の運びに至ると存じておるのであります。
 その第四は、中小企業金融について各般の措置をとつたことであります。まず中小企業に対する見返り資金のわくは従来一・四半期ごとに三億円であつたのを、三倍の九億円に増加いたしました。また中小企業信用保険制度を新設いたしまして、一般会計より本年度五億円、来年度十億円を支出いたします。さらに国民金融公庫に対する政府出資を、本年度十億円、来年度二十億円増加することにいたしておるのであります。これらの措置によりまして、中小企業金融も一般と円滑に行われると信じております。
 最後に資本蓄積の問題について一言いたします。わが国の経済が再建への道を順調に進んでおりますことは冒頭に申し述べた通りでありますが、復興と自立とは一日にしてなるものではありません。ことに長期にわたる戰争と戰後の窮乏とによつて蓄積資本を消耗し、産業設備の老朽化を余儀なくせられましたわが国が、その立ち遅れた産業設備を更新、近代化して各国と競争して参りますためには、今後莫大な資本の蓄積を必要とするのであります。従来その不足は米国の対日援助によつて補われて来たのでありますが、その援助が決して長く期待し得るものでないことを考えますと、資本の蓄積こそ最大の急務であると信ずるのであります。政府は、この目的のために、つとに法人税の軽減、資産再評価の実施、公共事業の拡大等の措置を講じて来たのでありますが、なお今後預金金利の引上げを勧奨し、また証券市場の育成に努め、その他諸般の施策の実行にあたつては常にこの点に考慮を拂う所存であります。
 国土、資源に惠まれないわが国の経済が、その必要とする資本のすべてを蓄積することは至難の事業でありまして、適切な外資の導入がぜひとも必要でありますが、この際最も必要なことは、われわれみずからの努力であります。すなわち、おのおの企業が、また国民の一人一人が、わが国経済の置かれている地位を十分認識して、最近の特殊事情によりまする好景気に楽観することなく、奢侈と冗費を排して将来に備え、資本の蓄積と貯蓄の増加に邁進することであるのであります。このことは、企業と国民みずからを、インフレーシヨンの再発から守るためにも、また外資導入の前提である国際信用の確立をはかる上からも絶対に必要なことであるのであります。この点につきましての国民諸君の絶大な御協力を期待してやまない次第であります。(拍手)
 以上、今回の補正予算につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手)
#7
○議長(幣原喜重郎君) この際暫時休憩いたします。
    午後四時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時五十八分開議
#8
○議長(幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。
#9
○福永健司君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、明二十五日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#10
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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