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1950/12/05 第9回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第009回国会 本会議 第9号
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1950/12/05 第9回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第009回国会 本会議 第9号

#1
第009回国会 本会議 第9号
昭和二十五年十二月五日(火曜日)
 議事日程 第八号
    午後一時開議
 第一 裁判所職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 裁判所職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 所得税法臨時特例法案(内閣提出)
 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案(内閣提出)
 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方公務員法案(内閣提出)
    午後三時十三分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 裁判所職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、裁判所職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長安部俊吾君。
    〔安部俊吾君登壇〕
#4
○安部俊吾君 ただいま議題と相なりました裁判所職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 このたび連合国最高司令官の覚書によりまして連合国人に対する日本国の民事並びに刑事裁判権が拡張されました。これに伴いまして高等裁判所以下の裁判所に通訳等の事務に従事する裁判所事務官及び裁判所技官を増員する必要を生じました。また同様の理由によりまして、検察庁及び刑務所等におきましても、新しく連合国人にかかる犯罪事件の処理に当る検察官及び通訳等の事務に当る検察事務官または法務府事務官を急速に増員する必要があります。よつて裁判所職員の定員に関する法律中に規定する裁判所事務官の定員を四十八名、裁判所技官の定員を一名増員し、また行政機関職員定員法中に規定する法務府職員の定員を六十七名増員しようとするものであります。以上が提案の要旨であります。
 さて当委員会における質疑といたしましては、第一に、連合国人に対する裁判権の拡張によつていかなる事件が増加する見込であるかとの質問に対しまして裁判所から、刑法犯の事件と、連合国財産の不法所持などの特別法事件とで、合せて約六千件増加すると思うとの答弁がありました。次に、外国人で日本弁護士の資格の承認を受けた者は何名いるかという質疑に対しまして、現在承諾を與えたものは三十三名であつて、そのうち三十一名はアメリカ人であるという答弁がありました。
 かくて、十二月四日質疑を終了し、討論省略、ただちに採決に入りました。その結果、政府原案の通り全会一致で可決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 所得税法臨時特例法案(内閣提出)
 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#7
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、所得税法臨時特例法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案の四案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#8
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 所得税法臨時特例法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。
    〔夏堀源三郎君登壇〕
#10
○夏堀源三郎君 ただいま議題となりました所得税法臨時特例法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案に関しまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 以上の四法案が提出されました趣旨は、本年すでに国税、地方税を通ずる税制の大改正を行い、国民租税負担の軽減、合理化をはかつたのでありますが、国民の租税負担は現在なお相当重いものがありますところ、明年度予算におきましても、また本年度補正予算におきましても相当の減税財源を生ずる見通しを得ましたので、まず本年度補正予算に関連しまして、所得税につきまして、昭和二十六年一月一日から同年三月末日までの間に支拂われる給與に対する源泉徴收税額を暫定的に軽減し、また砂糖消費税、揮発油税及び物品税につきましても昭和二十六年一月一日から軽減を行い、間接税負担の適正化をはかろうとするものであります。
 まず所得税法臨時特例法案について申し上げます本案は、さしあたり給與に対する所得税の源泉徴収税額につき暫定的に軽減を行う特例を設けることとし、すなわち基礎控除を年三万円、扶養控除を年一万五千円、税率を、課税所得金額五万円以下に対する百分の二十から始まり、百万円を越える金額に対する百分の五十五に至る超過累進税率として計算した場合の税額程度までその負担の軽減をはかろうとするものであります。しかして、これがため、給與の金額並びに扶養親族及び不具者の有無及びその数に応じて、所得税法別表第二の源泉徴収額表の月額表または日額表の各甲欄に掲げる税額から、それぞれこの法律の別表に定められた一定額を控除した税額によつて源泉徴収することといたしたのであります。なお申告所得税の執行状況を改善する一助としまして本年分に限り、農業所得者以外の納税者について、確定申告書の提出期限及びその納期を一箇月延長し、公平かつ適正な課税を行うことができるようにいたそうとするものであります。
 次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案におきましては、国内産砂糖の価格の値下りのため砂糖消費税の負担が相当重くなつておりますので、その税率を引下げることとするほか、砂糖消費税延納の際の担保の範囲の拡張を行うことといたしておるのであります。
 次に揮発油税法の一部を改正する法律案におきましては、揮発油税は揮発油の供給の増加及び代用燃料価格の下落等によつて税率がきわめて重いものとなりましたので、今回その税率を約三五%方引下げるとともに、従来の従価税率を従量税率に改めようとするものであります。
 最後に物品税法の一部を改正する法律案におきましては、本年一月改正後における課税物品の生産、取引の実情及び一般日常生活の正常化等を考慮しまして、事務用品及び日常生活用品と認められる一部物品の課税を廃止するとともに、税率を、第一種物品については現行の百分の七十ないし百分の十を百分の五十ないし百分の五とし、第二種物品については、おおむね現行の三分の一程度に軽減することとするほか、家具、漆器等若干の物品に対する課税最低限の引上げ及び新設については命令をもつて定めることといたそうとするものであります。なお最近における納税状況にかんがみまして、物品税延納の際の担保の範囲の拡張等所要の改正を行うことといたしておるのであります。
 以上が各法律案の大要でありますが、今回の税制改正による減収額は、源泉徴収の所得税において約五十六億三千万円、物品税において約八億一千万円、砂糖消費税において約八千五百万円となり、一方酒税において、税率引下げに伴う酒類の消費増加等により一億二千九百万円の増収が見込まれますので、結局税法改正による減税額は百計六十三億九千七百万円となるのであります。
 以上の四法案のうち所得税法臨時特例法案外二法案は、十一月二十八日、本委員会に付託せられ、物品税法の一部を改正する法律案は十一月三十日付託せられ、それぞれ政府委員より提案理由の説明を聽取し、十一月二十八日より十二月四日に至るまで、ほとんど連日にわたり質疑を行い、また所得税法臨時特例法案については十一月二十九日公聽会を開く等、愼重審議を続けたのであります。質疑応答及び公述の詳細に関しましては速記録を御参照願うことといたしますが、その間において特に重要と認められる数点について要約御報告申し上げます。
 まず、今回の減税措置によつても、米価その他の物価の値上りのため勤労世帶の生計費負担は増大するのではないかとの質問に対して、大蔵大臣より、今回の税法改正により米価の値上りによる生計費負担の増加は十分に相殺されると思うが、その他の物価の値上りに対しては、民間における名目賃金の増加、公務員給與ベースの改訂により、今後の情勢にもよるが、大体カバーできるのではないかという答弁がありました。
 次に、農業所得及び営業所得について勤労所得と同一に見るべきではないかとの質問に対しては、勤労控除を農民に認めれば、中小企業者との権衡の問題もあり、勤労所得者との関係も起つて来るのであり、かたがた扶養控除等を考慮すれば農民の負担は必ずしも重いものとは考えられないとの答弁がありました。
 次に、所得税の減税は来年度も行うかとの質問に対しては、政府は所得税全体について、今回の暫定減税案と同一内容の改正法案を通常国会に提出の見込みである旨を答弁せられました。
 最後に公聽会におきましては、公述人として、日本橋税務署長梅津勘蔵君は本案に対し賛成の旨、全国金属労働組合執行委員渡辺三千夫君は反対の旨、日本国有鉄道労働組合中央執行委員西孝雄君及び中小企業連盟常務理事稻川宮雄君は、さらに控除率の引上げを要する旨、また慶応大学教授、租税研究協会理事高木壽一君は、扶養控除を一万八千円に引上げるか、さもなければ課税所得五万円以下を一八%に引下げることを要望せられ、なお課税所得五十万円超を百万円超とする改正点は、自発的貯蓄ができる保証のない限り納得できない旨の意見を開陳せられました。
 次いで質疑を打切り、本五日、討論採決に入りましたところ、西村委員は自由党を代表して四法律案に対し賛成の意を表せられ、宮腰委員は国民民主党を代表しまして、四法律案に対し希望條件を付して賛成の旨を述べられ、田中織之進君は社会党を代表しまして、揮発油税法の一部を改正する法律案及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対しては希望條件を付し賛成、所得税法臨時特例法案及び物品税法の一部を改正する法律案に対しては反対の旨を述べられ、米原委員は共産党と代表して四法律案に対し反対の旨討論せられました。
 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて四法律案はいずれも原案通り可決されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。川島金次君。
    〔川島金次君登壇〕
#12
○川島金次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました四法案のうち、揮発油税法並びに砂糖消費税法の一部を改正する法律案を除く所得税法臨時特例法案及び物品税法の一部を改正する法律案に対しては、以下述べまする理由によりまして反対の意を表明するものでございます。(拍手)
 まず所得税法臨時特例法案は、ただいま委員長からも報告のありましたことくに、明年一月一日から三月末日までの間に拂われまするところの給與すなわち勤労所得に対する基礎控除を年額三万円に、扶養控除を年一万五千円に引上げ、さらに税率においてそれぞれ若干の改正を行わんとするものでありまするが、今日の日本経済の実情と、その経済のもとに生活を営みまする国民勤労大衆の生計の実態にかんがみまして、政府のこの程度の改正によつては、政府がみずから言つておりまするところの税法上の減税にはなりましても、実質的に国民負担の軽減には絶対にならないのであります。(拍手)
 政府は、さきの施政及び財政演説において、日本経済は著しく安定、回復の度を加えたと述べました。はたして著しく安定と回復の度を加えておるでありましようか。なるほど政府の編成いたしまする財政面においては依然として超均衡予算が強行され、その形式的、数字的の形においては安定の姿を見せておりますが、一たびこの政府の財政経済政策下における社会的な現象に目を転じてみますならば、そこには失業者の増大、貧困要保護者の増加、年末を控えて深刻な金融難を訴える中小企業者の叫び、あるいはまた同じく年の瀬を控えて熾烈なる生活の要求から、賃上げの闘争や、あるいは越冬資金要求の痛切なる叫びが、ほうはいとして全国に湧き起つており、さらにまた税収の面においては、実に驚くなかれ、一千億円というわが国租税史上空前の巨額に上る滯納額を見ておるなどは、実に勤労者を初め中小企業及び零細耕作農民、漁民等の窮乏のほどを立証する以外の何ものでもなく、これをもつてしても、なお政府はわが国経済が著しく安定と回復の度を加えたとうそぶくに至りましては、まさにおのれを欺き人を欺くのはなはだしきものといわなければならぬのであります。(拍手)このような独善にしてかつ欺瞞を事といたしまする政府の財政経済政策の一環とし今次取上げられて参りました税制対策が、真に苦難にあえぐ中小企業、農村、漁民を加えた勤労大衆の実質的負担の軽減をはかろうとするいささかの熱情と誠意のないのは、けだしまた当然の事柄であろうと思うのであります。(拍手)
 政府は、今度の改正案によつて、たとえば年收十五万円で夫婦二人の者の場合に、かりに米価の値上りを計算に入れても、なおかつ実質的手取り賃金はふえると説明いたしておるのであります。しかし米価以外の一般物価の上昇は、これをまつたく無視しておるといわなければならぬのであります。これに関し、大蔵大臣の池田さんは、先日の財政演説の中で、最近における一般物価の上昇率は一四%に及んだと、大蔵大臣自身言明されておるのであります。なお最近東京銀行協会が調査いたしました一般物価上昇率を発表いたしたところによれば、実に驚くなかれ一八%に及ぶ物価の騰貴を見ておると発表いたされておるのであります。かりに、いま一歩しりぞきまして、大蔵大臣の池田さんが言明された通り物価上昇率は一四%であるといたしましても、これをもつてはたして勤労者の実質的手取りが少しでもふえるとすれば、それは天勝の奇術以外の何ものでもないというべきである。(拍手)ここにも政府の欺瞞政策が遺憾なく暴露されておると断ぜざるを得ないのであります。
 かくのごとき税制改正案でございまするから、先ほどあなた方の委員長自身がこの壇上から報告された通り、自由党の多数の人がみずから委員会に招聽した公聽会の公述人の五人ことごとくが、この税制改正案に大きなる不満を持つておるということは、すでに政府の今次のこの税制改正案がいかに熾烈なる国民の要求と隔たりの多いものであるかということを明らかに立証しておると思うのであります。(拍手)われわれは、税制対策に対する一貫した方針といたしまして、税金は少くとも納税国民の最低生活を脅威いたしてはならないという一貫的な方針を堅持いたしておるのでございます。わが憲法におきましても、国民がひとしく最低生活を保障されることが実に国民の権利であるということは、いうまでもございません。しかるに、今日の税制、ことに所得税は、この国民の最低生活を脅威し、遂に税がその最低生活費に食い込んでおるというところに重大なる欠陷と問題があるのであります。
 そこでわれわれは、この一貫いたしました税制対策に対する主張に基きましてなお一面今日の国民所得の趨勢並びに国民経済の現状と、もとより財政上の事由とを勘案いたしまして、基礎控除は少くとも年額四万円、扶養控除は少くとも年額二万円、この程度に引上げを断行し、さらにまた勤労控除のごときに至りましても、三十万円までの間には二〇%の控除率を認め、さらにさきのシヤウプ勧告にもありましたように、耕作農民や中小企業のように自己の肉体の労働によつて所得を得ておりますところのこれら階層に対しても、同じく勤労控除を少くとも一〇%程度認めて、これによつてこそ初めて働く勤労大衆の生活の安定が側面的に確保されるものであるという主張をわれわれは持つておるのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 さらにまた政府は、この税制改正にあたりまして、さきに国民の前に半ば約束したと同様な生活協同組合あるいは農業協同組合等のごときに対する所得税の改正をも行うべきであつたはずにもかかわらず、これに対しては何ら手を染めておらないということにつきましても、われわれは生活協同組合あるいは農業協同組合等のごとき、大衆の生活の安定と防衛とを目標にしてその活動を営んでおりまする階層の名におきまして政府に強力な警告を発し、この事柄を一日もすみやかに実現すべきであるということを強く要求いたす次第であるのであります。
 このような立場におきまして、わが党は、今次政府が提出いたしました所得税の臨時特例に関する法律案はよろしく撤回いたし、あらためて国民大衆の要望に沿う税制改制案をもつてこの議会に出直すべきであるということを、強く大衆の名において要求する次第であります。(拍手)
 第二に物品税につきまして……。
#13
○副議長(岩本信行君) 川島君、時間が参りましたので簡潔に願います。
#14
○川島金次君(続) わが党におきましても、もとより物品税の改正は、国民とともにひとしく期待し、努力を続けて参つておるものでございます。しかるに、今次政府の提案されました物品税の改正の内容を見ますと、大衆生活に必要欠くべからざるものと、あるいは大衆の生活に不急不要のものと差別をなくいたしまして、一律一体に同率の減税をはかりたところに大きな問題があるようにわれわれ信ずるのでございます。少くともわれわれは、物品税はでき得べくんば全廃したいとの主張を持つておるのでございますが、今日の財政経済の実情からいたしまして物品税を存続するという建前であるといたしますならば、できるだけ大衆生活にとつて必要欠くべからざる品物に対する課税はこれを撤廃し、その反面に、生活に不急不要の、いわゆるぜいたく品に対しましてはできるだけ高率の課税を行うことこそが、政府の口ぐせに言う、国民に対す耐乏生活を要求する趣旨にも沿うものであると私は確信いたすものであります。しかるに物品税の改正案は、先ほど申し上げましたように、高級なるものも、大衆の生活に必要なる品物に対しても同率の軽減をはかつております。この事柄は、物品税の対策に対する政府の資本家的な態度がここにも露骨に現われておるものであるということをわれわれは強く指摘せざるを得ないのでございます。
 以上の理由によりまして、政府はすべからく、これもまた所得税臨時特例と同様にこの案を撤回いたし、さらにもう一度熟考し、大衆がいかなる点に物品税の改正を要求いたしておるかということに十分の勘案をせられて出直すべきであるということをも、あわせて強く要求いたす次第であります。
 以上、わが党の本案に対する態度を明確にいたしまして反対討論を終るものでございます。(拍手)
#15
○副議長(岩本信行君) 奧村又十郎君。
    〔奧村又十郎登壇〕
#16
○奧村又十郎 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま提案されました税法四案に対しまして賛成の意見を述べるものであります。(拍手)
 日本経済を早急に自立いたしますがために、はなはだ困難な国家財政を切盛りいたしながら、政府は本年度においてすでに九百億円の減税を断行し、今回の補正予算におきましては六十三億円の減税を計画し、なおまた来年度予算におきまして七百五十億円の減税断行を計画しておるのでありまして、これら減税の立法措置の一環といたしまして今回のこの法律案が提案されておるのであります。従つて、われわれ国民の負担軽減をこいねがうものといたしましては、この法律案に対しては、だれ一人として反対するものはないはずであります。(拍手)共産党、社会党の諸は反対しておられる。私は、共産党はともあれとして、社会党の諸君が一体どういう理由で反対しておられるのか、これを検討してみたいと思うのであります。
 社会党の諸君の御反対の理由は二つあるように考えるのであります。すなわち一つは、減税を計画しながら、その裏にいわゆる税收の水増しを計画しておるじやないか、すなわちこれは、とりもなおさず実質上の減税ではないじやないか、こういう御議論であります。これは、せんだつての総理大臣及び大蔵大臣に対する社会党の水谷君の代表質問演説の中に現われておるのであります。川島君も、ただいま、そういうことを申しておられるのであります。
 この水谷君の代表質問では、どういうことを言つておるか。政府は六十三億円の減税を掲げておるが、一方に六十八億円の水増し税收を予定しておる、これはすなわち減税のための減税だ、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいであるということを申しておるのであります。さらにまた、明年度政府は七百五十億円減税を計画はしておるが、結局これまた水増し税收を予定しておるのであつて、つまるところは、これは勤労大衆の負担をしわ寄せをさせるものであるということを申しておられるのであります。しかし水谷君ともあろう方が、一体今回の補正予算書をよく御検討になつて、かかることを申されたのであるか。この補正予算の中には、なるほど源泉所得税におきまして二百五十六億円、法人税において百八十六億円の自然増收を見込んでおります。また一方におきまして、申告所得税におきましては三百三十二億円の自然減收を見込んでおります。差引六十八億円の自然増收を見込んでおるのであります。従つて、これら自然増、自然減が一つく一つはたして水増しであるか水増しでないか検討して行くことに問題があるであろうと思うのであります。
 そこで、まず源泉所得税の二百五十六億円の増收であります。これは給與所得の増加に起因するものであります。試みに、昨年の九月から今年の九月へかけましての賃金の上昇率を調べてみようと思うのであります。労働省の調べによりますると、全産業名目賃金におきましては、昨年九月を一〇〇といたしますると、今年九月は一一七で、一割七分の上昇であります。逆にCPI、すなわち消費者物価指数を調べてみますると、これは九三に下落しております。従いまして、実質賃金は一二五・八、すなわち二割五分の上昇を示しておるのであります。従いまして論より証拠、次第に源泉所得税が増收になりまして、特に今年の八月以来は、源泉所得税は毎月百億円を突破して收入が増加して来ておるのであります。従つて、今回の税收見積りの千百八十三億円は一月百億円に満たないのでありまして、決して水増しとはいえないのであります。(拍手)
 またこの源泉所得税の増收の理由につきましては、まだ一つ大きな原因があるのであります。すなわち、最近申告所得税の大口納税者が、どしどし会社あるいは法人企業体に変更して来ておることであります。たとえば今年の夏、大蔵委員会が国政調査をいたしました際に、名古屋国税局において調べてみますと、この局管内におきまして、昨年の大口所得者第一位から六位までの個人所得者のうち四人までの人が、今年は株式会社に組織がえをしておるのであります。従いまして昨年まで申告所得税を納めておられたこれらの方々は、今年は源泉所得税及び法人税に振りかわつておられるのであります。この傾向は、全国的に次第にふえて来ておるのであります。従いまして、源泉所得税の自然増收は必ずしも勤労大衆のみにしわ寄せをしておらないということがわかるのであります。(拍手)
 次に申告所得税の点であります。御承知の通り、昨年度の申告所得税の当初予算は千九百億円であります。しかし、昨年の臨時国会におきまして、自然減收を二百億円と見積つております。今年の三月におきましては、税法上の減で二百億円減を認めております。しかも、この補正予算におきましては三百三十二億円の自然減を計上いたしまして、現在わずかに千百七十億円の見積りをしておるのであります。昨年の当初決定と比べてみますと七百三十億円の減收を見ておるのであります。これはもちろん、合算課税の廃止あるいは基礎控除の引上げ、あるいは扶養家族控除の引上げ、これら税法上の減もありますが、そのほかに中小企業の不況、農村の不振からいたしまして、大幅な減收をここに明らかに認めておるのであります。
 社会党の諸君は、みずから勤労者の政党であると言つておられる。従つて源泉所得税については、この増收について非常に御反対になつておられます。しかし申告所得税なるものは、その九割までは農民と中小企業者の税であります。この申告所得税の大減收につきまして社会党が一日もお話にならぬということは、社会党は農民や中小企業者の政党でないといわれてもさしつかえなかろうと思うのであります。(拍手)
 次に、法人税におきましては百八十六億円の増收を見込んでおります。しかしこれにつきましては、現在までどうでありますか。この十月末の実績を調べてみますると、予算に対しまして、すでに現実の税收は七七・六%をあげておるのであります。昨年と比較しますと、昨年の同期は予算に対してわずかに五一%、昨年に比して二六%増收を現実にあげておるのであります。(「苛斂誅求だ」と呼ぶ者あり)これはもちろん、朝鮮の事変の関係上、特需の影響あるいは輸出の好調などの好影響などの事情もありまするが、一方におきまして税法が非常に合理的になつて参りまして、各事業会社が正当に利益を計上いたしまして、一方に納税し一方に資本蓄積を行つて行こうとする正常な状態に立ち返つて来ておる証拠であります。(拍手)この点は、わが党内閣におきまして、その施策が着々と効果をあげつつあるものであると私は考えるのであります。(拍手)この法人税は、申すまでもなく大資本、大会社の負担する税でありまして、ただいまそこら辺で苛斂誅求と申されましたが、この法人税の増收こそは、むしろ共産党、社会党の諸君が最も望まれるのが当然であるはずであります。(拍手)
    〔「もつととれる」と呼び、その他発言する者多し〕
#17
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#18
○奧村又十郎君(続) もつととれると申しますが、もつととれるほどに堅実に税收を見込んであるということを申し上げたのであります。もしかりに社会党の水谷さんが、これらの補正予算を十分に検討してこのことをお話になつたとするならば、これこそは国民大衆を欺いた言葉であると言えるのであります。(拍手)また一方、もしこれらのことを知らずしてああいう演説をなさつたとするならば、かりそめにも社会党の財政通、元の商工大臣たる者が、何と甘い演説をしたことか。(拍手)これこそは水谷さんの発明言葉、サツカリン演説であつたと言えるのであります。(拍手)
 社会党の諸君の第二の反対の理由は、減税のし方が足らぬということであります。そこで、今日の大蔵委員会の討論におきましては、社会党の田中君は、基礎控除四万円、扶養控除二万円、これは川島君もここで主張しておられますが、こういう大減税をしなければならぬ、従つて、かかる小規模な減税では出直して来いというお言葉であります。これは、まことにけつこうであります。
#19
○副議長(岩本信行君) 奥村君に申し上げます。時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
#20
○奧村又十郎君(続) 一体その減税を実現するがためには、財源をどこから出して来るのか。基礎控除を千円引上げんがためには、三十億円の減税の財源が必要であります。また扶養控除を千円引上げんがためには、六十億円の財源が必要であります。社会党の諸君の要望通りにするがためには、六百億円の財源が必要であります。社会党の諸君は、やれ公共事業費をふやせ、やれ平衡交付金をふやせ、いや給與べースを上げろと言いながら、一体この六百億円の減税の財源をどこから出して来るのか。(拍手)共産党の宣伝演説ならわかりますが、かりそめにも一旦は政局を担当した社会党なるものが、そういう財源の裏づけのない無責任なことを言うということは、はなはだ遺憾であります。国会の審議権を尊重しろという決議をせられる社会党の方々なら、もう少し勉強して出直して来られたいというのであります。(拍手)
 私は、申告所得税の確定申告一箇月延長の件について申し上げたいと思うのであります。従来、税務当局が更正決定をいたしまする場合には、実額調査によらずに、いわゆる推定あるいは見込みの決定をやつたということは確かにあります。またはなはだしいときには割当課税をやつておつたのであります。かようなことでは、納税者にはなはだ不服を與え、異議申立てが続出したのであります。かような見込み推定の決定をやりましたから、異議申立てを受けまして、実際調べてみると、根も葉もない決定であつた。すなわち誤謬訂正がはなはだ多いということは事実であります。しかし政府が……。
#21
○副議長(岩本信行君) 奥村君――奥村君、結論を願います。
#22
○奧村又十郎君(続) かようなことをやらんとするならば、おそらく納税者の不信を買い、申告納税制度そのものを政府みずから蹂躙することになるのであります。この際におきまして、政府はこの態度を一掃いたしまして、実額の調査をして善処せられたいのであります。それがための確定申告の一箇月の期限延長は最も時宜に適した方法でありまして、これによつて十分の御調査をされ、善処せられたいと思うのであります。
 私の討論はこれをもつて終ります。(拍手)
#23
○副議長(岩本信行君) 米原昶君。
    〔米原昶君登壇〕
#24
○米原昶君 私は、日本共産党を代表しまして、ただいま上程されました四つの法案に対し反対の意見を述べるものであります。
 ただいま奥村君は、水増しの増税ではないということをしきりに弁解されましたが、予算書を見れば明らかのように、税金は当初予算より五億円増加しておるのであります。税金が増せば増税であります。税金が五億円増しておるのにこれを減税というのは、日本の文字の読めない、どこかの国の人だと言わざるを得ないのであります。しかも、この増税をごまかすために、委員会におきましては、政府がさまざまの資料を提出して来たのであります。たとえば勤労所得税では、米が値上りしても、このやり方によつて一%と少しは税金が安くなると言つている。米の値上りだけと比較しておるのであります。最近における諸物価の高騰、地方税の増徴を考慮に入れるならば増税となることは明らかであります。さらに農民、中小企業者に対する申告所得税につきましては、この名目上の減税さえ何も今度はやつてないのであります。しかも参委員会におきまして主税局長みずから、本年度の予定申告よりも農民に対しては一八%、中小業者に対しては二五%を多く見積り、水増しを行うということを公然と認めておるのであります。これは明らかに増税である。
 自由党は、この増税案に養成しておるのであります。このとんでもない増税案に皆さんは賛成しておるのであります。こんな重い税金は拂えません。すでに十月末までに、差押えは百十万件に達し、三百億円が差押えられておるのであります。今後この年の瀬を控えて、国税、地方税と合せてさらに四千億円が徴税されようとしております。すでに疲弊のどん底にある農民並びに中小業者の生活が、まつたく根底から破滅し、植民地奴隷になることは明らかであります。
 しかるに、朝鮮事変勃発後、一部独占資本は数信、数十倍に達する利潤をあげておるのであります。これら独占資本に課すべき法人税について、委員会において明らかになつたことは、この法人税の見積りを昨年度と同じやり方でやつておる。六月において朝鮮事変が勃発したことを全然考慮に入れず、事実上は、これらの大独占資本家に対して公然と脱税を認める結果になつておるのであります。かくて、この税制改正案は、国連協力の名によつて事実上の戰時態勢を強化するための税制改革であることは明らかであります。
 この税制改革をさしずしましたドツジ氏は、昨日帰朝するにあたつて談話を発表して、その中で、資本蓄積にならぬような減税はするなということを言つておる。ここに、この戰時態勢のための、独占資本擁護のための、人民收奪のための税制であることが明らかになつておるのであります。同時にまた、この税制がたれのさしずによつて、どこの国の利益のために行われておるかも明らかであります。われわれは、日本民族の名において、かかる植民地的税制に絶対に反対するものであります。(拍手)
#25
○副議長(岩本信行君) 宮腰喜助君。
    〔宮腰喜助君登壇〕
#26
○宮腰喜助君 私は、国民民主党を代表いたしまして四法案に対して、強い希望條件を付しまして賛成の意を表するものであります。
 第一に、所得税法臨時特例法案に関して申し上げます。――私は、この四法案について具体的な問題について討論を申し上げます。
 今回の改正は、シヤウプ勧告に基き、一応減税になつてはおります。源泉徴收において基礎控除三万円、扶養控除一万五千円の引上げとはなつております。また税率において多少減税になつております。しかし、昨年度より主食の値上り、他の生活必需物資の値上りより見て国民生活の安定を考慮したという政府の考慮は、この点に至り多少誤算があるように考えております。形だけの減税をしても、生活必需物資が値上つては、何ら国民負担を軽減するものではありません。ことに五万円以下の所得者に対しては、旧法と同様に百分の二十となつております。このような小所得者に対しては、免税すべきか、あるいは百分の二十を百分の十に改むべきだと考えるのであります。また青紙申告のごとき問題につきましても、世間一般人は非常に記載がめんどうなため届出が少く、これが届出をなさないために税の認定をされまして、重税をかけられておるものが非常に多いと考えるのであります。この際政府は、何人にも記載のできる簡易表をつくるべきであると考えるのであります。
 また最近の国民生活の不安定、並びに重税と金融難のため納税成績が惡く、約一千億に及ぶ滯納となつておるのであります。政府は、これを強硬にに納税せしめんがために相当むりな徴税の結果、倒産・解散したために従業員を整理したところもあるのであります。そこで納税に関しては、なるべく納税者の業務を持続させ、税源を失わせざるように、法律によりこれらの滯納者に納税計画書を出さしめて、円満なる徴收をなさしむべきであると考えるのであります。また本来ならば源泉徴收をなさしむべき、たとえば一人大工あるいは左官、とび職のような、一般勤労者よりも所得の少いものも相当あります。またこれが労働組合にも加入ししおるのでありますけれども、一般所得者と同列にして、一つの事業家として税を徴收しておるのであります。これがため、地方税たる事業税をも負担して、不公平なる結果を招来しておるのであります。政府はよろしくこの種の業者には企業協同組合をつくり、源泉徴收をなさしむべきだと考えるものであります。
 第二に、砂糖消費税法の一部改正であります。今回は輸入砂糖及びあめ、ぶどう糖の甘味品増加により国内産糖の価格が値下りを来し、その負担が相当重くなつておるので軽減せしめんとするために提案されたものであります。しかし、白砂糖は無税で、黒砂糖、白下に関しては税を負担せねばならぬということは――国内砂糖産業発達のためにも白砂糖と平等に取扱うべきであると考えるのであります。他方水あめ業者に対する考慮も一層必要であるのであります。水あめ業者は、物品税が高税率なため、正規の業者がやみ業者の脱税者のために圧迫を受けまして、全国の生産工場の閉鎖されたものは相当あります。この点も十分今後考慮せねばならないと考えるものであります。
 第三に、揮発油税法の一部改正に関する法律案であります。今回の改正は、揮発油税は、従来の従価税率、すなわち小売価格百分の百であるものを従量税率に改正し、税率を百分の三十方引下げたのであります。このような下げ方ではまだ不十分ではありますが、一応今後の修正をお願いするものであります。希望條件といたしましては、このガソリン税なるものは、目的税、すなわち受益者負担金のごとく、道路改修費として今後使用してもらいたいと希望を申し上げておきます。
 また物品税法の一部改正に関する法律案に対しましては――本来税制は、間接税より直接税に移行するのが近代税制の根本原理であります。今回政府で提出された案を見ますと、まだまだ国民生活の必需物資にしてなお減税にならず、依然として重税を課されておるものがあります。他方、生活必需物資でなくして減税されておるものもあるので、物品税の税対策として矛盾するものも相当あります。現在の日本の国民経済よリ考えてこれを他の消費者に転嫁することは非常に困難なので、生産者が負担を余儀なくされるものが相当多く、日本産業発達に重大な影響を及ぼしているのであります。従つて業者の中には、物品税を脱税せんとする者が非常に多くなりつつあるのであります。従つて、税制に対する考え方が間違つた方向に向けられるおそれがあるので、政府は物品税の減税並びに廃止に関しては嚴格なる調査と公平なる処置を特にお願いすると同時に、今後大幅に減税されんことをお願いするものであります。また最近、物品税に関して、割当等の方法により、各税務署より納税者に対して強力に要求される場合をたびたび耳にするのであります。物品税の賦課徴收の根本方針に誤りあるものであります。これは一例ではありますが、家具の全国物品税のごときは、二十五年度の徴收に関する予算表には四億四千二百万円となつておるにかかわらず、すでに十億も突破して徴收されておる事実があるのであります。この点より考えても、物品税は大幅に引下げることが可能であります。政府は今後の改正で大幅に減税されんことの希望を述べまして、私の討論を終りたいと思います。(拍手)
#27
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 まず所得税法臨時特例法案及び物品税法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○副議長(岩本信行君) 起立多数。(拍手)よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び揮発油税法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○副議長(岩本信行君) 起立多数。(拍手)よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#30
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案及び特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#31
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案、特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員長田中伊三次君。
#33
○田中伊三次君 ただいま議題となりました国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案並びに特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果の大要について御報告を申し上げます。
 まず国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案につきまして御報告を申し上げます。
 御承知のように、国家公務員に対しましては、その生活上の特殊事情に基きまして、古くより年末には賞與を支給することが例となつておりましたが、経戰後は、諸種の事情から、従来の賞與制度はやめることとなりました。しかしながら、年末における生活事情の特殊性はいまだ解消したわけではございませんので、毎年年末には、賞與にかわるべき何らかの給與の増額措置をとつて来たのでございます。しかしながら、これらの措置は、御承知のごとくにその年度限りの臨時措置として行われたのにすぎないのでございますから、毎年年末が参りますと、この種の年末手当の支給問題をめぐりましてしばしば困難な紛議を重ね、またこれがためには公務員の諸君も安心して年末に処することができないというような、まことに気の毒な実情を繰返して参つたのであります。そこで、以上のような事情にかんがみ、かつまた人事院の勧告もあることで、年末給與の趣旨に従いまして、本年度以降は年末手当をあらかじめ予算に組み込みまして公務員諸君の給與の改善をいたし、生活安定の一助とすることにいたしたいというのが、政府の本法律案を提案して参りました理由でございます。
 次にこの法律案の内容を簡單に御説明申し上げますと、第一に、年末手当の支給の範囲は一般職及び特別職の国家公務員の全部といたします。ただ一部の、常時勤務に服さない非常勤職員につきましてはこれを除外することにいたしておることでございます。第二点は、年末手当の額は給與月額の二分の一を最高といたしまして、その年中における在職期間に応じて支給額に若干の差別を設けておることでございます。第三に、その支給の日は原則として毎年十二月十五日ということにいたした点でございます。以上がこの法律案のおもなる要旨でございます。
 次に特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。従来、特別職の職員の給與については、一般職の職員の給與との権衡におきましてその給與がきめられておつたわけでございますが、今回一般職の職員の給與が改訂されることになつたので、特別職の職員につきましても、一般職同様、この法律に所要の改正を行い給與の改訂を行うとともに、あわせて国会閉会中に新たな特別職の職員となりましたものをもこの適用範囲に加えて参ろうというのが、この法律案の提案理由でございます。
 この改正要旨は、国会閉会中新たに特別職の職員となり、政令で定めておりましたものをも適用の範囲に加えるということが第一点、第二点は、内閣総理大臣等の給與については、一般職の職員の給與改訂との均衡をはかる目的から、かつその職務内容に応じて別表を改正いたした点でございます。第三は、首都建設委員会の委員などの給與は、従来一日千円の範囲内で手当が支給されておつたのでございますが、これも一般職の非常勤職員である委員であるとか、顧問であるとか、参與であるとかいうような人々と同じように、一日千八百五十円に改めることにいたしました。第四に、食糧配給公団の特別手当を、一般職の公団職員と同様に、従来の三割を一割に改めるということにいたした点であります。
 この両法律案は、十二月四日それぞれ人事委員会に付託となりまして、同日政府の提案理由をただちに聽取いたしまして、引続いて質疑に入つたのでございます。
 詳細なことは速記録に讓りますが、そのうち特に重要と考えます点を一、二点拾つてみますると、質疑応答のおもなるものとして、まず国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案について申し上げます。
 人事院の意見によると、年末賞與は給與月額の一箇月分だと言つておるのに、半月分にしたのは一体どういうわけかという質問がございました。これに対しまして政府からは、それは多いのに越したことはないのだが、しかしながら、予算の関係上半月分以上は断じて支給することができないという財政事情であるから承知をしてくれという答弁がございました。またこの法律案の第一條に「常時勤務に服さない者であつて政令で定めるものを除く。」ということが書いてあるが、この年末手当の支給範囲から除外されるものとして想定されている種類の人々はどういうものかということの質問がございました。これに対しまして、そういうふうに予定されておる者は、未帰還の職員、それから帰還後いまだ身分が保留中である人々、それから停職、休職期間中の者、また職員団体のうち専従者、非常勤職員、給與の支給を受けていない人々、こういう人々を予定しておるという答えがありました。しかしながら、非常勤職員の中でも、一年以上勤務をして、いわば常勤的職員として取扱つてやりたいような人々がたくさんあるが、そういう人々に対してはどうなさるのかという熱心な質問がございました。これに対しましては、本来この法律の趣旨から申すと支給のできない者ではあるけれども、しかしながら、その法律の趣旨をでき得るだけくみとることとして、賃金の割増し等の方法によつて、実質的にはこの法律に準じて相当額の給與を受けることができるように措置いたしたいという誠意ある答弁がこれに対してございました。
 次に特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案について、おもな点を一点だけ御報告申し上げます。
 この法律案において、内閣総理大臣などの高給の俸給者については大幅な増額をしておるじやないか、しかるに進駐軍の労務者についてはそういう扱いをしておらないのはどういうわけかという質問がございました。これに対して政府からは、進駐軍労務者に対する支給條件並びに支給方法については、規定によつて特別調達庁の長官と大蔵大臣との間で協議をして支給することになつているから、その協議の際にでき得る限り善処するという、これまた誠意のある答弁がございました。このほか詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
 本日質疑を終了いたしまして、この両法律案を一括して議題とし討論に入りましたが、藤枝泉介君より自由党を代表してこの両法案に賛成の意を表明せられ、平川委員は国民民主党を代表せられ、成田委員は日本社会党を代表せられ、加藤君は日本共産党を代表せられ、岡田君は労働者農民党を代表せられまして、それぞれこれに対して反対の意向を表明せられました。
 続いて採決に入つたのでありますが、起立多数をもつてこの両法律案はそれぞれ可決すべきものと議決せられた次第でございます。
 この段御報告を申し上げます。(拍手)
#34
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。平川篤雄君。
    〔平川篤雄君登壇〕
#35
○平川篤雄君 国民民主党を代表いたしまして、両案に対してわが党の基本的の態度を申し述べて反対いたします。
 先般の給與法案の討論において指摘いたしました通り、この法律にいたしましても、その成立の過程において、あるいは今後の実施上の問題において、本来の給與政策を所管いたしますところの人事院の本質というものを政府みずからが破壞している点を遺憾ながら認めざるを得ないのであります。(拍手)
 次に内容につきまして、本案は半箇月分の年末手当を支給することになつておるのでありますが、わが党は一箇月分の年末手当を支給することを妥当と認め、従来さように実現することに努力を続けて来たものであります。政府におきましても、財政的に困難であるという理由しかないのであつて、実際は一箇月分やりたいという意を表明しておられるのであります。しかしなら、われわれ国民が知つております範囲におきましては、かつて予算を編成する過程におきましては、数学的に明らかに一箇月分というものが計上せられておつた段階があり、かつしばしば政府当局も、公務員に対して一箇月分の手当を約束をいたしておつた事実があるのであります。さようなことを考えますときに、財政的の理由をもつてこの一箇月分が不可能であるということは納得が行かない点であります。またこれに準じて支給せらるベき地方公務員の年末手当につきましては、平衡交付金の問題がまだはつきりいたしておりません。一つの例をあげれば、文部当局のごときは、明らかに平衡交付金の中には教職員に対する年末手当の支給分が加わつておるということを申しておつたりいたしまして、政府自体の中にも私は納得の行かない意見の不一致があるように考えざるを得ないのであります。(拍手)
 そもそも減税であるとか、あるいは公務員の優遇であるとか、教育の振興であるとか、あるいは農村を救うという問題につきましては、吉田総理以下しばしば説かれたところでありまして、これは自由党内閣の基本的な、大事な題目であつたろうと思うのであります。この給與関係の問題につきましても、同じく国民ひとしく自由党の英断を期待いたしておつたのであります。しかるに、現われて出ました予算案というものには、ただいまあげましたような点が一向ないのであります。われわれは、ここにおきまして、自由党が公約いたしております農村を救う予算、教育を振興する予算、公務員を優遇する予算、実質的な減税になるそうした意味の予算案を編成いたしましてわれわれ司令部に対しましても直接折衝を開始いたしておつたのであります。これに関連いたしまして、一箇月分の給與を支給するがごとく年末手当の法案を改正せんと私どもは意図いたしたのであります。しかるに御承知のように、昨夜の予算委員会並びにそれに続きました本会議というものは、われわれのかかる努力を無視いたしまして一方的に、独断的に暴力的にこれを阻止いたしましたことは、国民ひとしく知つておる事実であります。(拍手)
 われわれは決してむりな予算修正案を考えておつたのではない。二十四年度の剩余金あるいは外国為替特別会計に繰入れる分を中止いたしましたり、あるいは本年度の債務償還費の未済分を一部これにまわすというような点で財源を求めまして、予算の総わくの中においてこの修正をいたそうと考えたのであります。八千五十八円べースといたしまして一月より実施する、年末手当は一箇月分を支給する、あわせて六十二億八千万円の修正案を考えておつたのであります。われわれは、このような点につきましては、おそらく自由党の諸君といえども、政府といえども、皆さんの公約にそのまま沿つた修正案でありますので、必ずや賛成を得られるものと確信をいたしておつたのであります。(拍手)
 われわれは、今この予算の修正にあたりましてここに思い起すのでありますが、本日私どもの提出いたしました地方公務員法案に対する修正案が、折衝の結果了承を得られまして、ただいま委員会において審議中でございます。私は、ポツダム政令をもつて例の電力再編成を断行いたしましたために、国内にほうはいとして起つております自由党政府の国会審議権を尊重せよという声、これに応じまして、かかる修正案というものが、前例乏しい一つとして了承を得られたものであると考えておるのであります。このように具体的に、現実的に現われておりますことを冷静に判断いたしますならば、われわれの修正案というものは、必ずこれは了承を得られて議決せられることになつたろうと確信をいたしております。(拍手)しかるにそれが中道において、諸君たちのはなはだ暴力的な行為によつて阻害せられたということは、国会のため、国のため、まことに残念にたえないのであります。(拍手)
 われわれは、かかる見地から、今後といえども参議院の活動を通じまして、本年末手当法案の修正と、それの裏づけになります予算の修正を必ず実現すべく最後まで闘う意思を表明して反対意見といたします。(拍手)
#36
○副議長(岩本信行君) 藤枝泉介君。
    〔藤枝泉介君登壇〕
#37
○藤枝泉介君 自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております二つの法案に賛成するものでございます。
 まず年末手当の法律でございますが、年末のわが国の生活事情、あるいは職員の給與の状態その他から考えましてある程度の手当を支給することが望ましいことは当然なのでありますが、終戰後この制度が確立されておりませんために、毎年末いろいろ困難な問題が生じておりましたことは御承知の通りであります。しかし、今回公務員の給與改善の一環といたしまして年末手当の制度が確立されましたことは、まことに妥当な処置であろうと思いまして、全面的に賛成するものでございます。この手当の制度は、去る二日、本院を通過いたしました給與改訂の法律案と一体をなして政府の給與改善の体系をなすものでありまして、この意味において理解するならば、本法案が公務員の生活の改善に重要な意義のありますることを御了解願えると思うのでございます。
 今回の手当が、その額が半月分であるというところに反対の諸君の問題があるようでございます。確かにこの種の手当は多いほどよろしいとは言えましよう。しかしながら、一面この問題は、国民負担並びに国の経済・財政状態ともにらみ合せなければならぬことはいうまでもないのであります。この法案は国家公務員のみに関するものでございまするけれども、おそらく地方もこれにならうこととなるでありましよう。もちろんこれは地方の負担においてなされるのでありまするけれども、中央地方を通じての国民の負担は決してさ少ではないのでございます。従いまして、これらを勘案いたしましてこの程度の額にとどめましたことは、目下の中央地方を通じ、この財政状態としては妥当なる処置と考えるのでございます。
 なお、この法律案が給與の体系をくずすものであるという反対論があるのでございまするけれども、今回の年末手当は決して一般職のみではないのでありまして、各種の特別職にも適用されるものでありますから、各種のこの給與の法律に本法律案と同様の條項を一々挿入するの煩を避けまして、一括して別個の法律案といたしたのにとどまります。これが実施にあたりましては、一般職及び各種の特別職の所管に応じてこれを行うものでありまして、何ら給與体系を乱すものではございません。またこの点では決して戰前の賞與的、恩恵的なものではございませんで、一年を通じての給與の一環といたしまして、その支給の時期をわが国の生活慣習に合致せしめんとするものでありますから、むしろ給與体系を整備したものといつてさしつかえないと思うのでございます。
 次に特別職の法律案でございますが、これは去る二日、本院を通過いたしました一般職の職員の給與改訂に準する処置でありまして、一般の給與改訂と同様の趣旨におきまして賛成をいたすものでございます。(拍手)
#38
○副議長(岩本信行君) 成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
#39
○成田知巳君 ただいま議題になりました二法案に対しまして、社会党を代表して一括反対の討論をいたすものであります。
 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、さきに本議場におきまして、一般職の給與改正法律案に対して同僚松澤議員から詳細に反対理由を述べておりまして、これとほぼ同様でございますので、年末手当の法律案についてのみ反対の要旨を申し上げたいと存じます。
 さきに人事院は、私たちから見ますとまことに謙虚に過ぎるとさえ思われますところの八千五十八円べースと、一年十三箇月分の支給の勧告を政府になしたのでありますが、この控え目の勧告さえも政府並びに與党は無視、蹂躪いたしまして、勧告とはおよそほど遠い政府原案を、今国会、衆議院を多数をもつて通過させたのであります。ただいま提案になりました年末手当法案を拝見いたしますと、その額は半箇月、しかも先ほど委員長報告にもありましたように最高半箇月でありまして、短期勤務者は給料の一割五分しか與えられない。平均しては、はるかに半箇月分以下という、まことにすずめの涙ほどの年末手当であります。
 申すまでもなく、国家公務員が罷業権、団体交渉権をあるいは剥奪され、あるいは制限されておる現状におきまして、マ書簡にもあります通り、あるいは国家公務員法にも規定しておるがごとく、政府は公務員の福祉のために十分の努力を拂う重大な義務があるのでありまして、人事院勧告が尊重されなければならないゆえんもまたここにあるわけであります。しかるに政府は、人事院勧告を無視することを常習といたしまして国家公務員より奪うものは奪い、與えるものは與えないという、まつたく片手落ちの態度に終始しておるのであります。(拍手)
 真偽のほどは、つまびらかにいたしませんが、聞くところによりますと、さきの内閣改造にあたり、政務次官選考におきまして、党に対して、いかなる形かは存じませんが、有形無形に功績のあつた人がその選考から漏れようとしたときに、その人は党の幹部に申し出て、とるものはとる、與えるものを與えないのはけしからぬと仁義を切られたそうであります。その仁義が採用された。とるものはとり、與えるものは與えるという当然の論理が次官選考の際尊重される以上、国家公務員に対しましても、罷業権、団体交渉権を奪う以上、同時に勧告の趣旨に従い一箇月分の手当を出すことは当然の帰結だといわなければなりません。(拍手)
 先ほどの人事委員会における藤枝議員の賛成討論の一つの理由といたしまして本法案が通過すれば、同様地方公務員にもこれに準じて年末手当が出されるという、まことに奇妙きてれつな議論をなされておるのであります。御承知のように、昭和二十五年度の補正予算を見ますると、平衡交付金の増額はたつた三十五億円でありまして、そのうちには半箇月分の年末手当も含まれておらないということを、政府自身はつきり答弁いたしておるのであります。御承知の通り、地方行政委員会におきましては、自由党の諸君も加えまして満場一致で平衡交付金八十三億増額の地財委の勧告を採択いたしておるのであります。去る二日の国会審議権擁護の決議におきまして、倉石氏は、電力再編成にあたつてはポ政令が出たがやむを得ない、しかしながらそれ以外においては、自由党も国会審議権の尊重において他党に劣るものではないと発言されております。もししかりとすれば、幸い予算案についてはポ政令のごとき強行手段がとられておりません。国会審議権確立の熱意に燃ゆる自由党の諸君は、今こそ右決議に基いて平衡交付金八十三億の増額を予算化し、その実を示すべきであります。(拍手)もし半箇月の年末手当さえ地方公務員、教職員がもらえないというに至つては、正月を迎えまして、一合の酒も一片のもちさえも買うことができないでありましよう。いくら文部大臣が君が代を謳歌して、君が代を歌えと言つても、正月にもちも食べられなくてどうして君が代が歌えるかと問いたいのであります。
 民主的労働組合の圧力と輿論に屈服した結果とはいえ、政府は国鉄職員に対しまして一箇月分の年末手当支給を決定いたしております。よろしく百尺竿頭一歩を進めまして、国家公務員にも一箇月分の年末手当を支給すべきここを私は要求して、反対の討論を終える次第であります。(拍手)
#40
○副議長(岩本信行君) 加藤充君。
    〔加藤充君登壇〕
#41
○加藤充君 私は、ただいま一括上程されました両法案について、日本共産党を代表して反対の意見を開陳するものであります。
 まず国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案について申し上げますが、国家公務員の給與の問題は、制度上人事院の専管に属するところであり、年末手当も給與であります。しかるに、この法律案では年末手当を固定化しておりますが、これは人事院の給與体系にももとり、人事院の根本的な権限を不法に侵奪したものだといわなければなりません。かかる態度とやり方は明らかに憲法無視、憲法蹂躙であり、吉田内閣のフアツシヨ的やり方をみずからこの法案に暴露したものでありまして、これがわが党の反対の第一の理由であります。
 次に、さきに通過しました公務員の新給與は断じて千円アツプにはならないのであります。現在受けている月給の五割、三割、一割五分という、ちようど、ごまめの三つ切り、切身の一きれのような年末手当では、お正月は絶対にお祝いすることができないのであります。(拍手)どうせ出すなら、わずかなものですから、三つ切りなどにいたさずに出すべきだと思いますが、その上に税金の年末調整などということで、この手当は、そのせめてもの、けちな一きれすらも実際待ち焦がれた公務員の口には入らないという結果になるのでありまして、こんなものを給與の改善、生活安定の一部などと政府は説明しておりますが、これはまつたく勤労者を愚弄するもはなはだしいものであります。人事院の勧告にも十三箇月分とあつたのを低い給與にしてしまつたのでありますから、せめて年末の手当といたしましては、少くとも二箇月分は出すべきであると考えるものであります。しかもこれを全国の公務員が一致して要望し、待ち焦がれておるのでありまして、これが反対の第二点であります。
 さらに政府は、いつも出せない出せないと言つているのでありますが、出せないのでは断じてありません。その証拠に、政府も当初一箇月と言つていたのが、先ほど申し上げましたように最高で半箇月になつてしまたのであります。その根本の原因は、吉田内閣の朝鮮戰争介入などのために諸負担が加わり、その諸負担を、せめてもの公務員の年末手当の中に食い込まし、子供たちのせめての心待ちの、そのお年玉すら奪つたということは、まことに残忍なことであります。下級公務員の子供たちがクリスマスの夢からさめたときに、靴下に何も入つていないのを見ましたところのその淋しそうな顔が、自由党の皆さんの心の中には浮ばないのでありましようか。家庭の一切まで暗くし、子供のせめてものお年玉まで奪つてしまうような戰争介入のための低賃金政策には断固として反対せざるを得ないのが、わが党の根本的態度であります。
 次に特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案にも、わが党は断固反対であります。理由はきわめて簡單であります。特別職の下級職員には、調整号俸の切下げなどによりまして、不法不当にも給與の切り下げられる者があるのでありまするけれども、この法律案はそれを無視いたしまして、高級職員のみの給與を、しかも大幅に増額したものであつて、下に薄く上に厚いという官僚政策の露骨な表現であるからであります。
 以上、簡單に二法案についてのわが党の見解を明らかにし、反対理由を申し述べた次第であります。(拍手)
#42
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
#44
○福永健司君 この際暫時休憩せられんことを望みます。
#45
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
 この際暫時休憩いたします。
    午後五時休憩
     ――――◇―――――
    午後六時五十六分開議
#47
○副議長(岩本信行君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
  地方公務員法案(内閣提出)
#48
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、地方公務員法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#49
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方公務員法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
#51
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました地方公務員法案につきまして地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のごとく国家公務員につきましては、昭和二十二年十月、国家公務員法が制定せられまして、民主的かつ科学的な人事行政制度が確立せられ、明治以来多年の伝統のもとに築かれました官吏制度は根本的な変革を受けることとなつたのであります。そこで、ひとしく国民全体の奉仕者でありまする地方公務員につきましても、国家公務員と同様な理念と体制を導入いたしまして、すみやかに統一的な地方公務員制度を制定すべきことが期待せられて参つたのでありまするが、種々の理由によりまして、それが遅延して今日に至つたのであります。しかし地方自治制度が、行政、財政の両面にわたる数次の改革により、おおむね憲法の所期する体制を整備して来た今日、ひとり自治行政運営の直接の担当者である地方公務員の制度につきましては何ら根本的な改革が講ぜられず、わずかに、すでに死文と化しました従来の官吏に関する諸規定及び昭和二十三年七月の政令第二百一号によつて暫定的に規制せられている状態で、このままこれを放置することは、はなはだ当を欠くところであり、さらに近く地方行政調査委員会議の勧告に基き、地方公共団体の権能がいよいよ強化せられ、その責務がますます加重せられることが予想せられる今日、これに備えて地方公務員制度の整理確立をはかりますことは一日もゆるがせにできない急務となつて参つたのでありまして、以上の見地から、今回ようやく成案を得て本法案が提出せられたのであります。本法案の内容につきまして、国家公務員法との相違を明らかにしつつ簡單に御説明申し上げたいと思います。
 まず本法案は、第一條に示すがごとく、地方公共団体の人事行政に関する各般の根本基準を確立することにより地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営を保障し、もつて地方自治の本旨の実現に資することを目的とするものでありまして、その点、同じく全体の奉仕者たる国家公務員の場合と本質的に相違はなく、国家公務員法に盛られている近代的公務員制度の精神は、当然そのまま本法案にも取入れられているのであります。しかし形式からいたしますと、地方公共団体の自主性あるいは多様性を考慮して煩瑣な規定を避け、その実施の細目は、大小さまざまな地方公共団体の実情に応じた自主的処理にゆだねる方針のもとに立案されているのであります。さような関係から、條文におきましても、国家公務員法が本則百十一條であるのに対し、本法案は六十二條に圧縮されているのであります。
 内容からいいますと、まず本案の適用範囲についてであります。地方公務員には地方公共団体のすべての公務員が包含されるのでありまして、その種類、態様及び職務の性質と本法の精神とをにらみ合せ、これを一般職と特別職にわけ、この法律は一般職にのみ適用するこことしており、この点は国家公務員法と同様であります。ただ異なる点は、地方公共団体の各種委員会の委員、参與、顧問、嘱託等を一般職とせず、特別職として本法の適用を排除したことであります。なお非常勤の消防団員及び水防団員の職も特別職とされておりますことはもちろんであります。さらに交通事業、電気事業、ガス事業及び上水道事業、すなわち地方公共団体の経営する公営企業に従事する職員につきましては、国の場合すでに国有鉄道及び專売に関して一般公務員と別個の法的規制が行われているのと同様、公営企業の組織、会計経理に関する事項とともに、職員の身分取扱いに関しても別に法律を制定することとし、それまでの間は従前の例によることとしているのであります。
 次に本法の具体的運用に関しましては、国家公務員法におきましては、法律で相当詳細な規定を設けるとともに、その実施について必要な事項はすべて人事院規則及び人事院指令で定める建前をとつているのでありますが、本法案におきましては、法律には根本基準のみを定め、実施上必要な事項は、地方公共団体がみずからの責任と創意において制定する條例、規則あるいは地方の人事委員会規則または公平委員会規則で定めるものとしているのであります。これは地方公共団体の自主性を尊重し、かつその多様性を生かそうとする本法の根本思想に基くものであります。
 次に、国の場合における人事院に相当する人事行政機関としては、地方公共団体の規模、財政力、職員数等に格段の差異ある実情に応じまするため、次のように種々の方式を認めているのであります。すなわち第一に、都道府県及び五大市には、各個に三人の委員からなる人事委員会を置くこととし、第二に、五大都市以外の一般の市においては、人事委員会の設置は任意とし、單独に設置しても、共同して設置してもよく、また便法として他の地方公共団体の人事委員会に事務を委託してもよいこととし、第三に、以上の措置をとらない市及び一般の町村におきましては、公平事務のみを所管する公平委員会を設置することとし、この場合にも共同設置、または他の地方団体の人事委員会あるいは公平委員会に事務を委託する方法を認めることとし、第四に、人事委員会の委員は、人事院の人事官が常勤であるのに対し、常勤、非常勤いずれでもよいこととし、公平委員会の委員は非常勤としているのであります。なお人事院については予算要求上の特別措置を認めているのに対しまして、人事委員会についてはこのような特別の取扱いを認めていないのであります。
 以上申し述べましたような人事行政機関が、地方公務員の職階、任免、給與、研修、不利益処分の審査など、主として人事行政の総合的企画及び調整に関する事項を処理することを使命といたします点は国の人事院の場合と同様でありまするが、その権限におきましては、後者が、任命権者が懲戒処分を行わない場合みずから職員を懲戒手続に付する権限を有する点及び前述の予算要求権を有する点並びにその有する給與に関する勧告権が義務的である点が異なつているのであります。
 次に本法案の実質的内容でありまする地方公務員に適用される基準につきましては、いわゆる平等の取扱いの原則及び情勢適応の原則を掲げて、その根本精神を宣明いたしておりますことは国家公務員法とまつたく同様でありまするが、その個々の内容につきましては若干の相違が認められるのであります。すなわち、まず職員の採用及び昇任は、国においては競争試験によることを原則とし、選考によることを例外としているのに対し、地方公務員については、人事委員会を置かない地方団体においては、競争試験または選考のいずれによつてもよいこととしており、また職階制についても、人事委員会を置く地方団体においてのみ実施すべきものとし、かつこれに関する計画は條例で定めることにいたしているのであります。
 次に服務については、地方公務員が住民全体の奉仕者たる性格に基く一定の規制は、おおむね国家公務員法に準じて規定されているのでありまするが、特に政治的行為の制限につきましては、職員の政治的中立性を保障し、地方公共団体の行政の公正な運営を確保するとともに、職員の利益を保護するところにその目的がある旨を明らかに規定いたしているのであります。
 また国家公務員法が、具体的制限事項の詳細をほとんど全部人事院規則に委任し、その違反には罰則を付することといたしておりまするのに対し、地方公務員法では、具体的制限事項としては、法律中に、現在国家公務員に禁止されている政治的行為のうち特に重要なものを掲げるとともに、その他は條例にゆだねる建前をとつているのでありまして、その違反につきましても、單に懲戒処分をもつて臨むにとどめ、罰則を付さないこととしているのであります。なお特に、何人も職員に対し禁止されている政治的行為を行うよう要求し、あるいはそのために不利益を與えたりすることを罰則をもつて禁じているのであります。
 さらに地方公務員の福阯及び利益の保護につきましては、共済制度、退職年金及び退職一時金の制度、公務災害補償制度の確立を要請するとともに、人事行政機関に対し勤務條件の改善を要求し、さらに不利益処分について審査の請求をする道を開く等、国家公務員とほぼ同様の保護を加えんとしているのでありますが、労働関係調整法及びこれに基く命令は職員には適用されないことになつているのであります。
 次に地方公務員が結成加入する職員団体につきましては、おおむね国家公務員法の定めるところと同様とし、労働組合法及びこれに基く命令はその適用を排除しているのであります。従つて団体協約の締結は行い得ないのでありまするが、法令、條例、規則などに抵触しない限りにおいて当局と書面による申合せを結ぶことは認められているのであります。なお、いわゆる労働三法中、労働基準法は、地方公務員の本質に抵触する規定を除いては原則として適用されることとしてあります。船員法についても同様であります。
 さらに第五十七條には、職員のうち、その職務と責任の特殊性に基いて特例を必要とするものについては、この法律第一條の精神に反しない範囲で法律で特例を設けることができることといたしてありまして、さしあたり公立学校の教育公務員、警察、消防の職員等がこれに該当するものと考えられているのであります。
 最後に本法施行の順序については、この法律の規定は実施可能な限度において逐次施行する建前をとり、原則としては公布後二箇月から施行するものとし、準備を要する事項につきましては、八箇月、一年六箇月または二年というような施行期日の差をつけているのであります。
 以上は本法案の内容の説明でありまするが、本法案は、十一月二十一日、提案と同時に本委員会に付託せられました。もとより本法案が地方公務員の身分、服務、福祉等に重大な影響を及ぼすのみならず、地方行政の運営、ひいては地方住民の生活と深いつながりを有し、その影響の広汎なものがあるのにかんがみまして、本委員会も愼重な態度をもつて審議に当つたのでありまして、十一月二十四日政府の提案理由の説明を聽取いたしました後、連日審査を続行し、この間十一月三十日及び十二月一日の二日にわたり公聽会を開き、学識経験者、地方公共団体の理事者側並びに公務員側等各方面を代表する公述人十四名から貴重な意見の開陳を聞いたのであります。さらに十二月二日及び三日の両日は人事委員会、文部委員会、労働委員会との連合審査会を開き、広汎な面からの論議が行われたのであります。委員会の質疑の内容、連合審査会並びに公聽会の論議、意見等につきましては、論点が広範囲にわたつておりますので、詳細は速記録について御承知を願いたいと思いまするが、ここに質疑のうち重要と思われる論点の二、三を申し上げてみたいのであります。
 まず総括的な質問におきまして、地方財政のいまだ確立に至らざる現状、特に給與ベースの引上げ、年末手当の支給という地方公務員の待遇に直結する問題に関しその財源措置が重大な問題となつている現状に関連して、本法策の実施上の効果が論議せられたのであります。また本法案は立法の趣旨において公務員の利益保護の規定であるか取締り規定であるか、取締りないし制限の面が強過ぎるのではないかが論点となつたのであります。さらに国家公務員法制定の当時から見て、現在は労働組合運動その他の情勢に著しい変化が認められるにかかわらず、本法案によつて公務員の政治的活動の制限を一層強化し、かつ労働三法の適用を排除または制限して労働運動を抑圧するごとき措置を法制化する必要は、はたしていずこにあるか、これを実施することは、かえつて本法の趣旨に逆行する効果を生じはしないか、ことに行政事務と直接関係のない單純労務者のごときは少くとも本法の適用を除外すべきではないか等の質疑が行われたのであります。政府は、これらの質疑に対しまして、地方財政の確立が途上にあればこそ、地方公務員の利益を保護するため本法の施行が一層必要とされるものであること、また本法は取締りを本旨とするものではなく、公共の福祉に奉仕する公務員の性格からその服務の中立性を確保することは、むしろ公務員の利益を保護するゆえんであるとの観点に立つものであること、特に国家公務員法との調整をはかる上からも本法案の成立を必要とすること、さらに單純労務者については、国家公務員法と関連してその取扱いを研究の上将来適正な措置を講ずる意向であることなどを答弁しておるのであります。
 次に逐條審議に入りまして、まず第一に人事機関の問題が多く論議の対象となつたのであります。国の人事院の現在までの実際の活動に照して、地方の人事機関がはたしてその機能を十分に発揮できるか、遊離した存在となるおそれはないか、またその権限の強化、たとえば不利益処分の裁定権を與えるごとき措置が必要ではないか、さらに人事委員会の構成について、公平の見地から、委員は政党人を排除すべきではないか等の質疑があつたのであります。
 次に、職員に適用される諸種の基準につきまして最も問題となりました点は、政治的行為の制限並びに争議行為の禁止についてであります。これらの制限ないし禁止と憲法の規定する基本のほか、地方の上級吏員が特別職として政治活動の自由を有しながら、一般吏員のみがこれを制限されておる点、職員の団体に理事者と対等の立場で交渉する権利を認めない点、職員に対して政治的行為を行うよう要求したり、そそのかしたりする一般国民に罰則を適用する点、民間企業と同一形態の公営企業に従事する職員並びにそれ以外の單純労務の従事者をもひとしく争議行為禁止の対象にする点など、繰返し論議されたのであります。政府は、政治的行為の制限については国家公務員の場合に比して制限を緩和しておるのであつて、地方の條例による制限も、包括的規定をもつてさらに大幅な制限を加えしめる趣旨ではない点を明らかにし、労働組合法、労働関係調整法の適用を排除したのは労働運動の抑圧を趣旨とするものではなく、公の奉仕着たる公務員にふさわしい労働関係のあり方を規定する趣旨である旨を強調しておるのであります。
 以上、質疑応答の一端を御紹介申し上げたのでありまするが、質疑は本日をもつて終了し、続いて国民民主党及び日本社会党から修正動議が提出せられたのであります。民主党の修正案の内容の要点は、
一、人事機関の委託制を認めないようにすること。
二、人事機関に、審査権のほかに判定権あることを明確にすること。
三、第三十六條の政治的行為の制限を、一部を除き、大体職員の所掌事務の影響の及ぶべき区域内に限定すること。
四、第五十五條の「申合せ」を「協定」に改めること。
五、第五十七條の特例の適用さるべき職種の範囲を一層具体的に明示すること。
 その他若干の修正を加えんとするものであります。
 日本社会党の修正案の要点は、
一、人事機関に、職員団体の協定に関する勧告要求についての審査、勧告権を與えること。
二、政治的行為の制限の大部分を、勤務時間中または地方公共団体の庁舎もしくは施設内に限定すること。
三、一定の條件または事情のもとでは団体交渉権を認め、その不履行に対し人事機関に勧告を要求し得ることに改めること。
四、第五十七條の特例の適用さるべき職種を、一層具体的に明示すること。
五、罰則において職員に政治的行為を要求しまたはそそのかす等の行為に対する罰則を排除すること。
 その他若干の修正をいたすものであります。
 右両修正案につきましてはそれぞれ趣旨の弁明があり、質疑を行いました後、原案並びに両修正案を一括討論に付し、国民民主党の床次委員及び日本社会党の松澤委員からそれぞれ原案に対する反対、日本共産党の木村委員から原案並びに修正案に対する反対、自由党の野村委員から修正案に対する反対、原案に対する賛成の討論がありました。続いて採決に入り、両修正案は否決せられ、原案が多数をもつて可決すべきものと議決せられた次第であります。
 以上をもつて御報告を終ります。(拍手)
#52
○副議長(岩本信行君) 本案に対しては山手滿男君及び成田知巳君外一名から、成規により修正案が提出されております。
 この際修正案趣旨弁明を許します。山手滿男君。
    〔山手滿男君登壇〕
#53
○山手滿男君 私は、国民民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたところの地方公務員法案につきまして国民民主党の修正案の提案理由の趣旨を弁明すると同時に、政府原案に対しまして反対の意を表明するものでございます。(拍手)
 まず最初に、国民民主党の方から提出いたしましたところの修正案を朗読いたします。
  地方公務員法案の一部を次のように修正する。
 (1) 第七條第二項中「人事委員会を置き、若しくは他の地方公共団体との契約によりその地方公共団体の人事委員会に委託して第八條第一項に規定する人事委員会の事務を処理させる」を「人事委員会を置く」に改める。
   同條第三項本文中「人事委員会を置き、又は他の地方公共団体に委託して第八條第一項に規定する人事委員会の事務を処置させる地方公共団体」を「人事委員会を置く地方公共団体」に、同項但書中「公平委員会を置き、又は他の地方公共団体との契約によりその地方公共団体の人事委員会若しくは公平委員会に委託して第八條第二項に規定する公平委員会の事務を処理させる」を「公平委員会を置く」に改める。
 (2) 第八條第一項第九号及び第二項第一号中「審査し、」の下に「判定し、」を加え、同條第七項中「決定」を「決定(判定を含む。)」に改める。
 (3) 第十一條第一項中「二人以上」を「全員」に改める。
 (4) 第三十六條第二項に次の但書を加える。
    但し、管轄区域(所掌事務の関係区域を含む。)の定のある機関に勤務する職員は、当該区域外において、教育機関(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する公立学校をいう。)に勤務する職員は、その通学区域の定のある場合においては当該区域外において、通学区域の定のない場合においてはその設置者たる地方公共団体の区域外において、その他の機関に勤務する職員は、その機関の所在する市(特別区を含む。)町村の区域外においては、第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治行為をすることができる。
 (5) 第四十七條中「審査を行い、」の下に「事案を判定し、」を加える。
 (6) 第四十八條中「審査」を「審査、判定」に改める。
 (7) 第五十五條第二項中「申合せ」を「協定」に改め、同條第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。
  3 前項の協定は、当該地方公共団体の当局及び職員団体の双方において、誠意と責任をもつて履行しなければならない。
 (8) 第五十七條中「職員のうち」の下に「、公立学校の教職員(学校教育法に規定する校長、教員及び事務職員をいう。)、單純な労務に雇用される者その他」を加える。
 修正案の全貌は以上のようでございますが、修正点のおもなるものを簡單に要約して申し上げますると、その重要なるものの第一点は、政府原案の政治活動に関する三十六條の制限のことに関してでございます。政府原案は、地方公務員の政治活動を全面的に禁止しようと意図しておるのでございます。われわれは、地方公務員の職権の直接の影響力の伴わない地域にまでも地方公務員の政治的中立性を要求し、そうしていたずらに地方公務員を卑屈にするような状態に追い込むということはきわめて不自然でございまして、むしろこれは地方公務員の職権の影響力が及ばないところでは自由に行わしむるというふうにこれを持つて行きたいと考えておるのでございます。(拍手)詳細に申しますると、今朗読いたしましたように、管轄区域の定めのある機関に勤務しておりまするところの職員は、その当該地区においてはできませんが、当該地区の外におきましてはできる。あるいは教育機関に勤務いたしておりまするところの職員は、もしその場合に通学区域の定めのある学校に勤務しておるということになりますると、その通学区域の定めのあるものは、その通学区域の中におきましてはこれはできないのでございまするが、そのほかの区域におきましては当然これを許すという態度でございます。こういうようなことでございまして、とにかくその機関の存在する市町村の区域外におきましては政治活動の自由を十分に認めるというふうにいたしますることによりまして、地方公務員の政治的意欲を、進んでわが国の民主化のために大いに貢献させようと考えておるのでございます。(拍手)
 また修正の重要なる第二点は、原案第五十五條の職員団体と当局との交渉に関しまして両者が單に書面による申合せを結ぶというふうなことではなくして、「協定」という文字を入れることによりまして、しかもその協定は双方が誠意と責任をもつて忠実に履行しなければならないという規定を挿入することによりましてこの当局と職員組合との申合せ、協定というものが非常に重みを加える、そういう響きを出させようとしたのでございます。これは言いかえますならば、職員の保護に全書期するとい趣旨からわれわれの配慮が現われておるのでございます。(拍手)
 さらにそのほかに、人事委員会の機構あるいは決定その他につきましても、ただいま朗読いたしました通りに相当の修正を加えました。さらに單純労務者につきましては別途にいろいろな措置がとられることを希望いたしておるのでございまして、この修正案は、われわれは現実とよく調和いたして、新しい日本の建設に貢献し得ることを確信するものでございます。(拍手)
 今日地方公務員法の制定にあたりまして、二つの相反する議論が行われ、相反する立場が主張されておるのでございます。すなわちその一つは、左翼政党の諸君がしばしば口にされることなのでございまするが、地方公務員を單なる一般労働者と同様に考えまして、一般労働者に適用されるところの労働三法をそのまま地方公務員にも適用いたしまして、罷業権の裏づけを伴うような団体交渉権までもこれに付與しようとするような態度でございます。さらにもう一つの主張は、今日政府によつて提案されておりまするような、この原案のような地方公務員の政治活動とか団体交渉権などというふうなものを全面的に禁圧いたしまして、地方公務員をまつたく機械的な道具と化せしめようというような官僚的な、封建的な考え方でございます。われわれは、このような左右両極端の一方的な考え方には絶対に承服することができないのでございまして、ただいま申し上げましたような修正案を提出したのでございます。(拍手)
 今日三十万になんなんとしますところの地方公務員諸君が、その本質におきまして勤労者であることは当然でございます。しかし、勤労者であるという立場のみを強調するのあまり、地方公務員であることによりますところの公共性を無視いたしまして、手放しに政治活動を自由にし、罷業権までも認めてはばからないというような立場は、これはもとよりわれわれは承服することはできないのであります。憲法第十五條は、すべて公務員は全体の奉仕者であつて、決して一部の奉仕者ではないと規定をいたしておりますが、これはすなわちその公共性を強調したものと私どもは考えるのございます。地方公務員は、国民としての権利をすべて有すると同時に、公務員でありまするがゆえに、それらの権利を公共の福祉のために利用する責任がある。国民といたしましては一個人として尊重され、その個人的権利の行使を許容されるのでございますが、それは公共の福祉を害せず、かつ全体の奉仕者であつて、決して一部の奉仕者でないということと矛盾しない限度においてのみ許されるというふうに解釈すべきであろうと私は思うのでございます。この公務員としての公共性のゆえにこそ地方公務員諸君の政治的な自重が要望されるのでありまして、私は、地方公務員諸君を單なる労働者と同一の人のように取扱うということにつきましては、そういう左翼的な偏両者の方々のお考えになつておるような考え方には決して同意することができないのであります。
 しかしながら、一方政府原案に盛られておりますような、地方公務員の政治活動を全面的に禁圧いたしまして、一方的に、機械的に盲従のみをしようとするようなことはいかがでありましようか。今日、すでに公務員諸君は、労働組合の結成にあたりましても、破壞的な、極左的な支配を十分に克服されておるのでございます。また地方の僻遠の地におきましては、公務員諸君は穏健にして進歩的な輿論の造成者でございます。(拍手)健全な民主化の推進者であり、民主化のにない手であることを私どもは確信をいたしておるのでございます。(拍手)
 こういう実情を政府は全然顧慮することなく、いたずらに地方公務員の政治的活動を全面的に禁止しようとするのでありまして、こういうことになりますと、地方は再びボス的な一部の人人の跳梁にまかす結果になるのではないか。この法案によつてできますところの人事委員会というようなものに何か地方のボス的な勢力が食い込んで、一旦食い込んだ以上は、これが力を得るおそれが十分にあるのでございます。こういたしますと、ようやく緒につこうといたしますところのわが国の民主化は、とうてい期し得られないのでございます。(拍手)
 それだけではございません。こういうことになりますと、地方公務員はいたずらに萎縮することになるのでございまして、政府は、この法案は決して取締りだけを考えている法規じやないんだ、地方公務員の保護のために、地方公務員の利益のためにこの法案を用意したんだと、いつも主張されるのでございますけれども、しかし実際には、この地方公務員法というものが保護法ではなくて取締り法になつてしまつて、地方公務員の不平不満はいよいよ増大いたし、遂には極左的な、陰險な反動分子の活動に絶好の温床を與える結果になることをわれわれはおそれるのでございます。(拍手)でありますから、私どもは、この政府原案に対しましては絶対に賛成することができません。われわれは、こういうふうな基本的な考え方で、より高い大乘的な観点に立ちまして、公務員の、勤労者ひいては一般市民としての権利の尊重と、一方においては公務員の公共的特殊性より来る制約とをよく調和せしめて政府原案を徹底的に修正し、皆様の御賛同をかち得ることができることを確信いたしております。(拍手)
 これらの諸点のほかに、私どもは、この地方公務員法案が、国家公務員法、そのほかの関係において幾多のきわめて不備な点があることを痛感いた
すのでありまするが、特に今日は、地方公共団体はきわめて財政的に難澁をきわめております。地方税の徴收はいよいよ困難をきわめようとしておる。これに加えまして、平衡交付金はわずかに三十五億しか出されないというのであります。年末賞與あるいはべース・アツプの問題はどうなるのであろうか。全国百三十万の地方公務員は、きわめて不安な気持でこの東京の空をながめておることであろうと私は思うのでございます。(拍手)地方財政委員会の委員長は、八十三億はどうしても出してもらいたい、こういうことをはつきり申しております。それが三十五億しか出ないのでございます。地方起債の問題も同様でありまして、起債のわくは、きわめてきゆうくつなる三百億、そうしてわずか百二十億くらいの増額すら四苦八苦というような状態で締め上げられておりまして地方財政の実情は想像以上のものがあるのであります。地方行政委員会におきましては、先般この点にかんがみまして、いろいろ質疑をかわしたのでございますが、今日地方公共団体としてやるべき工事の繰延べもやつており、あるいは法定外のいろいろな課税の強行をするというふうなことで当面を糊塗しているのが実情なのであります。(拍手) この地方公務員法を成立せしめて地方公務員の保護をするなどと、政府は大きなことをおつしやるのでございますが、そういうことは、それ自体まことに噴飯物であろうと思います。(拍手)先般地方行政委員会におきまして、全会一致で、だれ一人反対する者なしに、この窮乏せる地方財政を確保するという決議案を提出して可決いたしたのでございますが、本院はこれをどういうふうに取扱つて行こうとするのでございましようか。私どもは、この地方公務員法を上程し、審議をするそのさ中におきまして、どうしてもこういう問題をまず根本的に考えてからこの法案を通すことが必要ではないかということを痛感するものでございます。(拍手)
 これを要しますのに、政府は地方公務員の政治的中立性を確立するという半面に公務員の利益を保護すると申されるのでありますが、この法案では全然その効果はあがらないと思うばかりでなく、むしろこれは時代逆行のものでございまして、(拍手)私どもはこの政府原案には絶対反対をすると同時に、われわれの提出いたしましたところの修正案には、ぜひ皆さんの心からの御賛成をお願いしたいと思う次第でございます。
 以上をもつて私の趣旨弁明といたします。(拍手)
#54
○副議長(岩本信行君) 門司亮君。
    〔門司亮君登壇〕
#55
○門司亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております地方公務員法案に対します私どもの修正の案を提出いたしまして、その趣旨の説明をいたさんとするものであります。最初に修正の案文を朗読いたしまして、後にその趣旨を申し上げたいと思うのであります。
  地方公務員法案の一部を次のように修正する。
 (1) 第八條第一項第十一号を第十二号とし、第十号の次に次の一号を加える。
   十一 協定に関する勧告についての職員団体の要求を審査し、及び必要な勧告をすること。
  同條第二項に次の一号を加える。
   三 協定に関する勧告についての職員団体の要求を審査し、及び必要な勧告をすること。
   同條第三項中「第九号及び第十号並びに」を「第九号から第十一号まで及び」に、同條第七項中「第九号及び第十号」を「第九号から第十一号まで」に改める。
 (2) 第三十六條第二項中「左に掲げる政治的行為」を「勤務時間中又は地方公共団体の庁舎若しくは施設において第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をしてはならず、また、職員は、これらの目的をもつて第四号に掲げる政治的行為」に改める。
 (3) 第五十二條第三項中「(以下本節中」を「(この法律において」に改める。
  同條第五項に次の但書を加える。
   但し、地方公共団体の長によつて認められ又は條例によつて定められた條件又は事情の下においては、第五十五條の規定により認められた行為をすることができる。
 (4) 第五十五條の見出しの「(交渉)」を「(交渉及び協定に関する勧告の要求とに改める。
  同條第二項中「申合せ」を「協定」に改める。
  同條に次の四項を加える。
  4 職員団体は、第二項の規定により結ばれた協定を当該地方公共団体の当局が履行しないと認めたときは、人事委員会又は公平委員会に対して、当該地方公共団体の当局にその協定を履行すべき旨の勧告をすることを要求することができる。
  5 前項に規定する要求があつたときは、人事委員会又は公平委員会は、事案について口頭審理その他の方法による審査を行い、その結果に基いて、当該地方公共団体の当局に対し、必要な勧告をしなければならない。
  6 第四十八條の規定は、前二項の場合に準用する。
  7 地方公共団体の当局は、正当な理由がなくて、第一項の規定による職員団体との交渉を拒んではならない。
 (5) 第五十七條中「職員のうち」の下に「、現業の機関(事業その他の企業を含む。但し、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第六條に規定する公営企業を除く。)に従事する者で、管理的又は監督的地位にある者及び機密の事務を取扱う者以外のもの、單純な労務に雇用される者、公立学校の教職員(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する校長、教員及び事務職員をいう。)その他」を加える。
 (6) 第六十一條第四号を削り、同條第五号を第四号とし、第六号を第五号とする。
 (7) 第六十二條中「第六号」を「第五号」に改める。
 (8) 附則第一項中「第六号」を「第五号」に改める。
 (9) 附則第二十項中「(昭和二十三年法律第百九号)」を削る。
以上が、私どもの提案いたしました本法案に対する修正の案文であります。
 私は、今朗読いたしました各條文についての一応の修正の意見を申し述べておきたいと思うのであります。八條中に、協定に関する勧告についての職員団体の要求を審査し、及び必要な勧告をする、ということを規定いたしましたのは、五十五條の修正において協定をすることができるということを決定いたしますると同時に、人事院に対しまする労働者の要求を提訴することのできる規定を設けて参りましたので、必然的に第八條に規定されておりまする人事委員会の職務の範囲をここに規定する必要ができて参りましたから、かく修正をいたしたのであります。
 さらに第三項の協定に関する問題は、これは当然公平委員会等においても同一の趣旨が考えられて参りまするので、この條項をさしはさんだのであります。
 次に第三十六條に掲げてありまする問題は、政府原案によりますれば、地方公務員の政治的活動というものは全面的にこれを禁止いたしておりまして、ただ投票だけが許されるというような、きわめて日本人として、ことに知識人として政治に最も関心を持つておりまするそれらの諸君の政治的活動を大幅に制限しようとするその行為に対しまして、われわれは公務員の中立性を考えまして、当然でありまする勤務時間中または公共団体の建物のうち等において特定の政党の運動をするということは、公務員の中立性と相関連いたしましていかがかと存じまするので、これのみを禁止するということにいたしまして、他の條項のすべては、日本国民として與えられておりまする憲法に定めた基本的の人権をここに当然認めることが正しいと考えて、かく修正をいたして参つたのであります。(拍手)われわれは、こういう観点に立つて次の問題を検討しなければならないと思うのであります。
 次に五十二條に「(以下本節中」とありまするものを、「(この法律において」と改めて参りましましたのは、この五十二條の規定は特に重要な規定でありますことのために、われわれはこれを單なる法律の一節と解せずして、この法案全体にこれを考えることが至当と考えて挿入いたして参つたのであります。
 次に五項の規定に但書を加えましたのは、これは国家公務員法と同調する意味においてこの條項を挿入して参つたのであります。
 次に五十五條の見出しに対しまして「(交渉)」という文字を「(交渉及び協定に関する勧告の要求)」と改めて参りましたものは、原案におきましては、労働者の基本的の権利であり固有の権利でありまする労働三法の適用を大幅に禁止いたしておりまして、労働者が持つておりまする当然の権利が、そこに非常に大きく制約されて参つておるのであります。このことは、單にわれわれはこの法の建前においてこれが制約されたということのみならずして、この地方公務員法のほんとうの政府原案のねらいの最大のものがここにあつたのではないかと考えまするがゆえに、以下少しく意見を申し述べたいと考えておるのであります。
 地方公務員に対しまして、單に選挙による者、あるいはごく少数の特定の者、いわゆる議会の議決を経て選任するというようなきわめて特定の者だけが政治活動ができて他の公務員全体が政治活動ができないということになつておると思いまするが、よく諸君に考えていただきたいと思うことは、今日地方の公共団体は、中央の官庁とその趣を非常に異にいたしておりまして、住民と密接不可分な関係にあり、かつ内容は私企業とまつたく同一の行為を行つているということは、諸君も御承知の通りであります。私企業と同一の事業に従事しておりまする者が、一方においてはみずからの地位の向上と、さらにみずからの生活権擁護のために労働者に與えられた労働三法によつて保護され、一方においては、ただ経営形態が異なるということだけにおいて、同じ産業に従事し、同じ事業を営みまする者が、そのみずから持つておる固有の権利を束縛されて、みずからの地位の向上と生活安定のために労働者の持つ基本的の人権が十分に発揚できないということは、労働者にとつてきわめてへんぱな行為であるということを、はつきりと知らなければならないのであります。(拍手)
 およそ日本の国において、能率の上らないものを、われわれはお上の仕事、お役所仕事としてこれを表現いたしておつたのでございまするが、このゆえんは一体どこにあるか。すなわち産業に従事いたしておりまする者あるいは公務に従事いたしておりまする者が、公務であるという建前の上において、多くの労働運動、労働活動が、みずからの生活権を擁護することが制約される、みずからの力においてみずからの生活権を擁護することができないという、この環境に置かれておりまする日本の従来の行き方というものは、労働階級を卑屈にして、ただ時間だけを勤めればいいというような、きわめて労働者として無責任な観点に追いやつたということは、御承知の通りであります。今また再びこれを制約いたして参りまして、このすべての権益をとつて、再び昔の官業の仕事、いわゆるお役所仕事というような状態が現出されて参りますならば、その場合に、一体だれが損をするかということであります。
 地方住民は、今日非常に苛酷なる地方税の徴收によつて真に血の出るような思いをし、あるいは差押え、競売等によつて親子心中をなし、あるいは首くくりをし、あるいは夜逃げをしなければならないというようなこの社会の悲劇を現出するまでに苛酷な税の取立てが行われております。その税金の上にすべての地方公共団体の施設は行われ、事業は行われておるものであります。その行われております事業が、お役所仕事というようなことにおいて、なおざりにされるようなことになつて参りますならば、地方住民の税金に対しまする観念は一体どうなつて来るか。納めた税金が最も公平に、大幅に地方住民に還元されることこそが望ましい姿でなければならない。しかるに、これがまつたく没却されて、お役所仕事を再びここに現出して参りますならば、損をする者は地方住民であると同時に、またみずからの力において制約されてみずからの権利を、主張することのできない労働階級と地方住民がきわめて大きな損をするということになつて参りまするならば、一体この法の第三十六條の條項は明らかに惡法であると申し上げても決して過言ではないでありましよう。われわれは真に労働階級の立場を思い、輿に住民諸君の赤裸々なる気持をここに露出いたして参りまするならば、やはり働いております地方公共団体の、これらに従事いたしております、まつたく私企業と同一の事業形態にありますものにつきましては、これを一般労働者と同じような取扱いにすることが正しい理論であり、またそうでなければならないと確信いたしておるものであります。(拍手)
 さらにつけ加えて申し上げておきまするが、諸君は、今日地方の公共団体が行つておりまする、あのくみとりの作業に従事いたしておる者、あるいは道の清掃に従事いたしておる者、あるいは農耕に従事いたしておる者、あるいは川の渡船に従事いたしておりまする者が、地方自治法に定めておりまする都道府県知事並びに市町村長の代理的行為をなすということが、どこに一体発見できるか。これらの諸君には、明らかに一個の労務者として、労働者として労働三法の適用をすることこそが、私は法の建前においては正しい理論であると申し上げなければならないのであります。(拍手)われわれは、かくのごとき意味において、ここに規定いたしておりまするものを挿入いたして参つたのであります。
 こういう状態下にありまする労働運動に対して、これを大幅に制約いたしておりますることのために、この五十二條の規定の中に、職員団体が交渉することができるという規定はございまするが、これは一方づいた交渉であつて、その理事者側に何らの義務づけをしたものはない。また交渉した者が申合せをするということの規定はございまするが、日本人の観念から申し上げまするならば、協定と申合せには非常に大きな隔たりがあるということであります。関係方南のサゼスチョンによりましても、協定あるいは申合せはいずれにも解釈できるような字句に相なつておるということは御存じの通りであります。従いましてわれわれは、少くともこの項におきましては、働いておりまする地方公務員の立場を考慮いたしまして、これに有利なように、当然これを協定と改めることが親切な行き方であり、また妥当でなければならないと考えておるものであります。(拍手)これをことさらに中台せとして、日本人の通念からする、きわめて弱い話合いの形に追い込むというところにごの法律を作成いたしました者の反動性が現われておるということを、はつきりと知らなければならないのであります。
 われわれは、この協定を実行いたしますることのために、おのおのが申し合せをいたしましたその事項に対してはこれを忠実に履行するためにも、ぜひこれを協定と改め、そうしてその協定に対しまして、もし不履行の場合におきましては、人事委員会に職員組合はこれを提訴し、それの審査要求をなし、さらに人事委員会は、その審査に基いてその事項を当局者に勧告するという規定を定めなければ、一方づいてほとんどその申合せというような事項は履行されないであろうということを私は深く憂えるものであります。従いまして、われわれはその條項をここに挿入いたして参つたのであります。さらにこの條項に挿入いたしたものにつきましては、往々にいたしまして地方公共団体の理事者等がいろいろな難くせをつけて、職員団体の要求に応じない、交渉に応じない場合等がございますることを憂慮いたしまして、ここにわれわれは、その正当な理由なくしてはそうしたことのできないような規定を設ける、同じ立場に立ちまする理事者と職員組合との間の均衡を保つ上に、ぜひこういう條項を挿入しなければならないと考えておるものであります。
 次に五十七條の規定でありまするが、五十七條の規定は、前に申しましたような現業に従事する者、私企業とまつたく同じような行為をいたしておりまする者に対しましては、特別の法律をぜひ必要としなければならない。従いまして、本法にありまする、ただ單に特殊的事情のもとに働いておる者を別にするというような、あいまいな規定にあらずして、ここで現業並びに単純労務に服する者、さらに公立学校に奉職しておる教職員に対しては別の法律をもつてこれを定めるという明確な線をぜひここに出しておかなければ、次の法律制定の際に、それらのものがもし脱落するようなことがありまするならば、きわめてここに危険性を伴つて参りますので、その規定を挿入いたして参つたのであります。
 次に六十一條の四号であります。これは先ほどの委員長の説明によりますると、公務員に対しましては罰則はないと申されておりますが、実は六十一條の四号の規定におきましては、寄附金その他金品の募集に関する罪にあつては三年以下の懲役または十万円以下の罰金に処するということが明記されております。従いまして、これは政府も申されておりますように、もしこの法案において公務員に対して罰則を設けないとするならば、この規定はぜひ削除しなければならないといたしまして、われわれはここに削除いたしているのであります。
 以下附則その他につきましては條文の整理をしたにすぎないのでありますから、さよう御了承を願いたいと思うのであります。
 われわれがかくのごとき修正案を提出しなければならなかつたその理由をさらに申し上げたいと思いきすことは、この法案が保護法であるといわれておりながら、地方公務員に対します保護の規定はきわめてわずかであつて、その大部分が大体取締り規定であり、いわゆる労働運動の高圧的抑制と、さらに政治的な大幅の制限以外の何ものでもないということであります。(拍手)
 従つてわれわれは、どの点に対してはきわめて不満なので、もし政府がほんとうに保護法であるという基底の上に立たれるとするならば、何ゆえに地方財政の充実をはからないか。
 現在、地方財政委員会が要求いたしておりまする――きわめて謙虚な立場に立つて、みずから節約するものは節約するとして政府に要求いたしておるものは何であるか。諸君も御承知のように、わずかに七百九十億の雑費の中から、地方公共団体は百分の五の節約をしておる。四十億をみずから節約して、なおかつ負担することのできない、政府の当然行わなければならない義務である――これは淺井人事院総裁が予算委員会においてはつきり言つておる。すなわち、政府のべースが上るならば、この政府の施策に応じて地方公共団体の公務員の給與も上げることが正しいということを淺井人事院総裁は言つておるではないか。政府のこの施策において当然上げられて参りまするのが千円といたしましても、このべース・アツプによつて当然必要になつて参りまする四十三億円の財源と、さらに、たといこれが半月分に規定発しましても四十五億の手当の財源と、さらに法律改正後において当然負担いたしまする十六億と、さらに補正予算に伴いまする当然の地方負担である十九億と、合せて百二十三億の中で四十億を節約し、残りの八十三億だけはぜひ出してもらわなければ、地方の公共団体のこれらの諸君の、地方公務員の越年資金ざらに賃金の昇給ができないという、この切実なる願いを何ゆえに三十五億と限定して、八十三億を政府はけつたのか。もしこの法案において保護法というならば、労働階級のこの切実なる願い、いわゆる生活を擁護する賃金、越年資金に対して一大斧鉞を加えた政府は、明らかにこの法案が保護法と言えた義理ではないということをはつきりと認識してもらいたい。(拍手) 私は時間を制約されておりますので、さらに十分意見を申し述べることはできませんが、最後に申し上げたいと思いますることは、本法案施行の筋目であります。本法案施行の期日において、政府の言つておりまする保護法であるとするならば、その保護法であるべき人事委員の設定あるいはその他の規定をまず設けなければならないはずでありまするが、人事委員の決定、人事委員の研修等におきましては、これを八箇月後に譲り、さらにそれの実施は、地方においては一年六箇月あるいは二年後において実施するという規定を設けて、労働三法の適用に対しまするところの抑圧と、さらに政治活動の禁止にのみ何ゆえに二箇月の期間をつけたかということであります。政府はほんとうにこれが保護法であると言うならば、この規定は逆でなければならない。一方において保護法の制定をしないで、そういう設備をしないでおいて、ただ取締り規定だけを、しかも最小限度八箇月と規定してあるものが、その面だけを二箇月に規定したということは、そもそもその本心はどこにあるかということである。これを私は遺憾なく暴露するならば、おそらく自由党の諸君は、明年の春行われまする地方選挙に備えて、百三十万の地方公務員の政治活動を禁ずることがその目的であろうことを、はつきりと私は申し上げる。(拍手)おそらく私の推察は……(発言する者あり)諸君がやじるところによれば的中しておるものであるということを、ここに私ははつきり申し上げる。従いまして本案は、労働階級の生活権を擁護するものにあらずして、労働階級の地位の向上と、與えられた基本の権利と、雇用の権利を明らかに束縛し、剥奪し、さらに政治的権力を大幅に禁止いたしまして、自由党の持つ反動性と、次の選挙を有利に闘う陰謀以外の何ものでもないということを、私はここにはつきりと申し上げるのであります。(拍手)
 私どもがここに本法案に対して修正の意見を出して参りましたものは、ます根底から申しますならばいろいろな徹底した修正案を出すべきでありますが、現下の日本の情勢において、諸般の事情がそれを許さないとするならば、われわれのこの修正案は、われわれにとつては最も消極的であり最小限度のものであるのであります。従いまして、真に諸君が、労働者の、地方公務員の地位の擁護と生活権の擁護、さらに本法案の趣旨にありますようにこれが保護法であるとするならば、少くとも諸君はこの修正案に賛成すべき義務と責任があるということをはつきり申し上げまして、私の提案理由の説明を終りたいと思うのであります。(拍手)
#56
○副議長(岩本信行君) 質疑の通告があります。これを許します。大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
#57
○大矢省三君 私は、前尾委員長に対して、この重要な法案の審議過程においてはなはだ遺憾な点がありましたので、その点をこの機会にお伺い申し上げたいと思うのであります。
 申すまでもなく本臨時国会は、補正予算が最も重要であると同時に、この地方公務員法の制定を各方面から重大視し、また非常勤を合せて四百数十万に余る地方公務員の最も関心を持つておつたものであります。従つて、この法律の審議にあたつては、保護法であるだけに、また十分の審議を盡さなければならぬと思うのであります。しかるに、この重要なる予算案を初め、さらにこの審議にあたつて前尾委員長のとつた態度というものは、日本のこの民主主義国会の運営の将来について私ははなはだ遺憾に考えるのであります。
 すでに皆さんの御存じの通りに、自由党は圧倒的な多数を持つておるのであります。従つて、これを十分審議して、民主主義の原則によつて採決をいたしまするならば勝つのであります。しかるに、一昨々日のあの連合審査会の結果、並びにまた昨日のごときは、與党が出て来ないのであります。また今日も中途において、質疑を多数で、いわゆる暴力をもつてこれを阻止したのであります。(拍手)ことにこの法律案の後半が、罰則その危きわめて第三者に重大な内容を持つておることは、皆さんもすでに御承知の通りであります。これは公務員の中立性をあくまでも維持するために、第三者がこれに対して誘惑し、そそのかした場合には懲役三年、十万円以下の罰金に――第三者がこれに抵触するのであります。こういうふうな内容を持つた法律でありまするから、これを十分審議すべきであるにかかわらず、これをしなかつたことであります。
 私はおそれる。もしこういう重大な審議――国民に関係あり、地方自治体の円満なる発展のためにこしらえられたこの法律が、かような状態で審議されるならば、日本の地方公務員なり、あるいは国民の間に、国会に信頼を置かなくなつて、いわゆる直接行動に出るような、国会信頼するに足らずという意見の台頭して来たときには、一体どうなりますか。かつて日本の労働運動に、戦前には議会否定のサンジカリズムの思想が横溢したことは御存じでしよう。今ようやくにして民主主義が確立し、国会を信用しようとするこの情勢にあつて、国会が十分審議ができないというようなことで、どうして一体法を守り、国会を信用することができますでしようか。私は、特にその点で、これがはたしてこの運営の仕方において、あるいは委員長として万全を期したかどうかということについての心境をお伺いしたいのであります。
 いま一つ重大なことは、予算委員会においてもこれが問題になつたのでありますが、先月の二十五日でありますか、地方財政委員会野村委員長の名をもつて、政府を通じて、内閣を通じて国会に意見書が出ておるのであります。それが二十九日地方行政委員会にまわりまして、そのときに自由党も賛成いたしまして、満場一致これが決定して、この勧告案について、政府にようしくこれの措置をしろということの決定が見られたのであります。その決定のいわゆる実行方法、これの手続については、これまた満場一致前尾委員長に一切を託したのであります。その後一体いかなることになつているか、はたして内閣に、さらにまた関係深い予算委員会にこれを通達したかどうか、それに努力したかどうか、このことであります。
 今晩の毎日の夕刊を見ますると、政府は五日の閣議において、こういうことを決定したということであります。平衡交付金八十八億に増額、閣議決定という見出しによつて五日の閣議において、地財委から提出された本年度の平衡交付金追加増額に対する意見書を承認した、これは地財委で、さきに本年度補正予算に関連して八十三億円の平衡交付金の増額意見書を提出したものを、さらに五億円を増額して八十八億円に決定したということであります。この八十八億円に補正予算の増額が決定されたということでありまするが、それは前尾委員長が努力の結果そういうことになつたのか。私が前尾委員長になぜこれを尋ねるかと申しますると、今保護法と称するこの地方公務員法が審議されているときに提出された地財委のこの意見書の中に、今年の年末の賞與、賃金のベース改訂にあてがつた数字がちやんと載つておるのであります。それを合せて八十三億の意見書でありまするから、きわめて重大な関係を持つこの法律が真に保護法であるならば、まず先に私はそれを決定すべきではないかと思います。(拍手)
 こういう事情でありまするから、私が前尾氏に尋ねたいことは、この今日の閣議決定の八十八億円が正しいのか、あるいは確実なのかどうかということであります。今申しましたように、この法律に重大な関係を持ちますから、私は岡野国務大臣に対して、この閣議決定ははたして正しいのかどうかということをあわせてお聞きしたい。それからこの二点を、今後これの運営の上に、さらに法律の権威を保つために、またこの法律の精神であるところの保護法の精神から言つて重大な裏づけになるところの予算関係に対して、私は特にわれわれが満場一致決定して一任をした前尾委員長にお尋ねを申しまして、私の質問を終ることにいたします。(拍手)
    〔前尾繁三郎君登壇〕
#58
○前尾繁三郎君 お尋ねの第一点は、審議の経過が非常に私の手落ちのようなお話でございました。日数は少かつたかもわかりませんが、御存じの通り、先ほど私が御報告申し上げました通り非常に慎重審議をしていただきましたことは、大矢さん自身がお認め願えると思います。連合審査につきましても、一日の予定を二日に延ばしまして、しかもまた委員外質問も許すというようなことで、十分審議を盡したつもりであります。なおまた今日は質疑の打切りはいたしました。しかしそれは、暴力でやつたというやうな事実は絶対にないのであります。しかも非常に質疑が十分行われまして、繰返し同じような問題にわたつて参りましたので質疑の打切りをいたしたような次第でありまして、決してそういうことはありません。
 なお二日にわたりまして公聽会を開き、また先ほどの罰則等もありますので慎重審議を盡すべきだというお話がありましたが、これは御存じの通り、法務総裁も数回出席していただいて審議を盡したのであります。私は今回の地方公務員法は十分審議を盡していただいたと思つておりますし、私も決して手落ちがなかつたと確信しております。
 第二点は、地方財政確立の件について決議いたしまして、皆さんの御趣旨の通りその決議案を議長に報告し、なおまた内閣官房長官、大蔵大臣、また予算委員会にも参考として送付いたしました……。
    〔発言する者多し〕
#59
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#60
○前尾繁三郎君(続) 従つて私としましては、皆さんの御趣旨を十分忠実に執行して参つたつもりであります。
 なおまた先ほど……
    〔発言する者多し〕
#61
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#62
○前尾繁三郎君(続) 本日の夕刊に平衡交付金のことが出ておるそうでありますが、私はそのことにつきましては、先ほど夕刊に出ておるという話を聞いただけでございまして、それ以上のことは何も存じません。(拍手)
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
#63
○国務大臣(岡野清君) ただいまの大矢君の御質問に御答弁申し上げます。地方財政委員会から、五億円また平衡交付金を増してくれ、こういうような意見書が出たことは確かでございます。それを閣議においては受付けました。新聞に出ております八十八億円に閣議決定をしたという事実はございません。御答弁申し上げます。(拍手)
#64
○副議長(岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。
 これより討論に入ります。龍野喜一郎君。
    〔龍野喜一郎君登壇〕
#65
○龍野喜一郎君 私は、自由党を代表いたしまして、今回提案せられましたる地方公務員法案に対し全面的に賛意を表するとともに、その理由を鮮明にし、ここに本員の所信を申し述べたいと存じます。(拍手)
 地方自治法附則第一條第二項の明文によりますれば「別に普通地方公共団体の職員に関して規定する法律は、昭和二十三年十二月三十一日までに……
    〔発言する者多し〕
#66
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#67
○龍野喜一郎君(続) これを国会に提出しなければならない。」と規定せられておりますることは、すでに各位の御承知の通りであります。しかるに……
    〔発言する者多し〕
#68
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
#69
○龍野喜一郎君(続) 荏苒今日まで、片山社会党内閣においても、また芦田民主党内閣におきましても、いかなる理由か提案を躊躇いたしておつたのであります。これはおそらく、本法案の及ぼす政治的影響に恐れをなした結果ではなかろうかと想像いたされるのであります。はたしてそうであつたとするならば、はなはだお気の毒ながら、その政治上の信念の脆弱さに驚かざるを得ないのであります。わが吉田内閣は、民主国家の基本である地方自治確立のため、前国会においては、確固たる信念のもとに万難を排し地方税法案を提案し、その成立を見たことは、まことに御同慶にたえない次第であります。今国会においても引続き、歴代内閣のなし得なかつた地方公務員法案を決然として提出いたしたのであります。その政治的良心と、その政治的責任感には心から敬意を表する次第であります。(拍手) さきに……
    〔発言する者多し〕
#70
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#71
○龍野喜一郎君(続) 国家公務員法が制定せられ、民主的、科学的なる公務員制度が確立せられましたことは、従来とかく情実と旧弊、非能率と動脈硬化の標本のごとく誹謗せられておりましたわが国官界の弊風を改め、清例なる職場に面目を一新せしめましたことは、何人も異論のないところであります。しかるに、国家公務員と本質的に何らの差異なき地方公務員についてはこれまで放任せられておつた。これは何といつても吾人の了解に苦しむところであります。地方公務員は、国家公務員に比べまして、その素質及び給與についてとかく遜色ありといわれておつたのでありまするが、なかんずく町村吏員のごときは、まことに同情すべき境遇にあることは各位の御存じの通りであります。すでに地方自治法が制定せられ、また地方税制が確立され、地方自治に関する諸制度は、おおむねその体制を整えたのであります。しかしながら、いかなる制度を完備いたしましても、これを運営する人によつてその生死が左右せられますことは、ものみなしかりであります。ここに地方公務員に関する根本法を定め、もつて地方公務員の基本的権利を確保するとともに、また全体の奉仕者としての義務を明確化いたしましたることは、地方自活確立土最も喜ぶべきことであります。これによつて初めて地方制度に関する万般の諸制度は完備せられ、地方自治の画期的進展を期し得られることを確信いたす次第であります。(拍手)
 以下進んで、私は本法案賛成の具体的理由を申し述べたいと存じます。
 まず第一は、本法案はあくまで地方公務員の地位を保障したことであります。すなわち、地方公務員は法律または條例で定めた事由に該当する以外は罷免または不利益処分を受けることがないのみならず、かりに不利益処分を受けましても、あくまでもその理非曲直を争う道を開いたことであります。換言すれば、地方公務員が全体の奉仕者としての職責を果す限りは、何ものにも屈せず、阿諛せず、毅然として職務に精進することができるのであります。このことは、たとい物質的には恵まれないといたしましても、一生をその聖職にささげしめ、公務員たるの高邁なる誇りを堅持することができるわけであります。今日地方公務員の現状を知る者にとつては、まさにわが意を得たりと快哉を叫ぶところでありましよう。
 第二は、その任用が受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行われなければならない、すなわち成績本位の原則を確立いたしたことであります。従来の地方公共団体の人事がはたして公正妥当に行われておつたか、遺憾ながら行われていない。しかも陳腐な、月並的な情実因縁に左右せられ、有能良識の士には逃げられるというような、とかくの非難があつたことは、いなめない事実であります。これがため有為なる人材を求めることが困難であるばかりでなく、いわゆる適材適所に配する人事の妙諦を発揮し得なかつたのであります。本法案の実施により、職員の採用、昇任は原則として競争試験により、特に採用試験はすべての国民に対し平等に公開せらるべきことを定め、任用の公正明朗をはかつたことは、まことに天窓を開いた感があり、人材おのずから地方自治体に集まり、かくして地方自治行政運営の人的欠陷を補うことができろのであります。
 第三は、地方公務員の給與、就業時間その他の勤務條件の基準を明確化したことであります。新憲法下、労働者の権利が確保せられましたることは各位の御承知の通りでありますが、公務員に関する限り勤務無定量の因習が必ずしも拂拭できなかつたのであります。この事実にかんがみ、本法案は、労働三法中労働基準法の規定は、地方公務員の本質に抵触する規定を除き全面的にこれを適用いたし、もつて職員の勤務條件を條文化したのであります。それにもかかわらず、一部の間には、あたかも労働に関する法律が一切適用せられず、地方公務員の動務條件につきましては何らの保障もないような議論をいたす者もありまするが、これらは條文のすべてを咀属し得ざる者の根拠なき反対論でありまして、公務員たるの定義をよく了承する者にとつては、あえて問題とするに足らないところであります。
 第四は、地方公務員の福祉及び利益保護の制度を確立いたしたことであります。すなわち共済制度、退職年金及び遊戯一時金の制度及び公務災害補償制度を規定し、職員が後顧の憂いなくその職務に精励することができるようになりましたことは、一面職員に輝かしき希望を與うるとともに、事務の能率も一段と高まるであろうことを信ずるものであります。
 以上申し述べました諸点より見ましても、本法が世上地方公務員保護法あるいは身分保障法ともいわれておるゆえんでありまして、本員が本法案に率先賛意を表する理由もまたここに存するのであります。
 かくのごとく地方公務員は、本法案によつて、あらゆる角度からその地位を保障せられ、かつ保護を受け、なお職員としての権利を與えられるわけでありますが、地方公務員はあくまでも公務員であります。単なる個人ではない。従つて、全体の奉仕者としての当然の制約あるいは義務が生ずることはやむを得ない次第であり、しかして、その制約及び義務を遵奉する責任があるのは申し上げるまでもないところであります。しかるに、これに関する諸規定を強調するのあまり、一部には本法案に対し、あるいは地方公務員取締法だとか、あるいは弾圧法だとか称する論もありますが、これこそ一般大衆を惑わす牽強附会の弁と申すべきでありましよう。国民大衆の望むところは、公務員がその職務に精励すると同時に、国民全体のため忠実にその義務を履行することであります。ことさらに権利のみを主張し、義務を放擲することは人倫の冒涜であり、まさに民主政治を破壊するのほか何物でもないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 本法案に対する反対の第一点は、政治活動の制限についてであります。その論拠とするところは、日本国民が憲法に保障せられたる国民の基本的権利を侵すものであるというところにあるのでありまするが、本問題は、すでに国家公務員法制定の際十二分に論議し盡された案件でありまして、公務員に対する政治的活動の制限が、公共の福祉擁護のため当然受くべき制約であることは、憲法解釈上の定説であります。(拍手)また実際問題として、もし地方公務員の政治的活動に無制限なる行動を許したならば、勢いのおもむくところ、円滑なるべき自治体は、政争のためさんたんたる結果を生ずるのでありましよう。思うに、かの大正、昭和の初期における闘争激甚なりしころの状況を知る者にとつては、その弊害まさに慄然たらざるを得ないのであります。
 過ぐる六月の参議院議員改選の当時、一部の地方公務員が、選挙のため職場を放棄し、運動に狂奔し、世の顰蹙を買い、公務員のあり方について深甚なる批判を受けたのは、つい最近のことであります。(拍手)地方公務員に対す政治的中立性を望むことは、決して時の政府の要求ではない、国民大衆自体の要求でなければならぬ。かるがゆえに、地方公務員法案はこの問題を率直に取上げて、地方公務員に対し政治的行為の制限をなしたのであります。これは党人としての立場を離れ、吾人の双手をあげて賛成するところであります。
 次に、地方公務員法において職員に対し労働法並びに労働関係調整法の適用を排除したことに対し、労働者としての基本的権利る剣舞するものであるという議論もありまするが、これまた公務員の本質を理解せざる煽動的議論であるといわざるを得ないのであります。公務員の使命たるや、私が申すまでもなく全体社会の共同福祉を増進するための制度であり、一般私企業の資本家対労働者のごとく、その関係は単なる利益の分配関係ではないのであります。重ねて申し上げます。公務員はすなわち全体の奉仕者でなければならぬ。これらの職員に対し、私企業同様に労働三法の一切を容認することは、住民全体に対する奉仕にあらずして、むしろ法的拝戰を許すがごとき結果となり、事象のおもむくところ、迷惑するものはひとり住民大衆ではありませんか。この建前より、本法案が、勇敢に、あくまで地方公務員の本来の使命達成のため、国家公務員と同じく労働関係法を排除したことに対し満腔の賛意を表するものであります。
 もつとも私企業と相似点を多分に有する公営企業に従事する地方公務員に対し、いわゆる労働三法を全然削除することの必ずしも妥当でないことは、私も同感であります。本法案が、その附則第二十において、別途法律の制定を予想し、もつて国営企業の場合とその取扱いを同調しようとしていることは、各位のすでに御存じの通りであります。
 なお本法案提出について地方財政の見地から一部反対の意見があるようでありますが、なるほど今日の地方公務員の物質的待遇は決して十分であるとば申されません。これがため、政府も国会も全力をあげて目下鋭意検討中であるし、必ずしも解決すべき問題がないとは言わない。だからといつて、地方公務員に対しその根本法を制定することを否認する論拠とはならない。むしろ、かかる現状であればこそ、まず地方公務員の権利と義務を明確ならしめ、もつて地方公務員をして安んじてその職責遂行に万遺憾なからしめる制度をこそ確立すべきであると信ずるのであります。與えられるものが十分でないから、その義務は果さなくともよいというような思想は、全体の奉仕者として常に責任と誇りを持つ全国百三十万の地方公務員大方諸賢に対する、むしろ侮辱であるといわざるを得ないのであります。私は一日も早く本法案の施行を念願してやまないものであります。
 さらに一言申し添えておきますが、本法の実施によつて、かねがね悩みの種であつた赤旗行列が消えてなくなるということは、地方行政庁の能率向上の上からも、けだし大いなるプラスであろうと信ずるところであります。(拍手)
 以上をもつて私は本法案に対する全面的賛成意見の結論といたします。(拍手)
#72
○副議長(岩本信行君) 立花敏男君。
    〔立花敏男君登壇〕
#73
○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案並びに修正案に対して絶対反対の意見を述べる次第であります。
 本法案の委員会における審議中において、自由党は一方的に審議を打切り、わが共産党のごときは、ほとんど逐條審議を行つていないのが実情であります。しかも、かかる制限された審議の範囲においてすら、なおこの法案の反動的なることが非常に明瞭になつたのである。
 まず内容における反対の点は、第一に、地方公務員の貧困な生活をまつたく無視しておるということである。自治体警察官及び地方公務員中には、六千三百円ベースはおろか、いまだ三千七百円ベースに苦しんでおる者が多数あるばかりでなく、給料の遅配さえ起つておるのが実情である。ほとんどすべての地方公務員が月々二千円ないし三千円の赤字生活に困窮し、売るものもなく、内職に懸命にならざるを得ない状態である。勤務時間後、夜間の肉体労働、アルバイトをしておる多数の公務員あるいは教職員のあることを何と見るか。また健康破壊は深刻なものがあるのである。一方、役徳と称するところの腐敗は各地方自治団体に広汎に普及しているのが実情である。かかる生活の窮状をよそにいたしまして地方公務員に対しては年末手当及びペース・アツプの改善に要する財源措置を拒否し、窮迫している地方財政に押しつけたのである。
 しかも第二の点は、かかる窮状によるところの地方公務員に対して基本的人権を剥奪し、生きるため、働くための最低の生活保障を要求する権利すら奪い去つたのである。(拍手)
 さきに国家公務員に対しまして、ポツダム政令による抑圧を加えた。これよりさらにひどい政治活動の禁止であるばかりでなく、生殺與奪の権のフアツシヨ的掌握を企図しているといつてはばからないのである。これは、かつての天皇陛下において官吏、公務員を縛りつけたところの服務紀律よりもさらにひどい状態の再現であつて、ポツダム宣言、極東委員会の十六原則の完全蹂躪であることはもちろん、憲法を無視し、基本的人権を剥奪するものであることは明らかである。民族の自主性、国会の自主権を放棄している恥ずべき買弁政策は、公務員に服従と奴隷の道をしいるものである。(拍手)
 反対の第三は、全国百八十万に上るところの地方公務員に対しまして、一方的に上司の命令に無條件に服従するところの專制を行わしめ、かつ軍隊的至上命令を強要している。このことは、彼らをして現在の独占資本家、支配階級が企図しているところの人民大衆に対する收奪と弾圧の具に供せんとすることは明らかである。以上の結果、かつて存在したところの天皇制官僚機構よりさらにひどいところの植民地的、買弁的官僚機構が復活され、公務員の奴隷的善良が欠くべからざる公務員の資格として強要され、地方財政の破綻の深刻化と相まちまして、民族独立と自主性は完全に蹂躪されんとしております。(拍手)
 次に地方公務員法立案の意図について反対の要点を申し述べる。
 まず第一の反対理由は、この立法意図が明らかに一党一派に偏したところの、民主勢力の抑圧を意図しておるということである。人民の信望を失い、自信を喪失しつつあるところの反動勢力は、来年春、四月行われますところの地方選挙における民主勢力の進出を排除せんとして本法案の立法を企図し、通過を企てておるのであつて、このことは政治活動の禁止のみが、わずか二箇月の猶予期間をもつて実施されることによつて、きわめて明瞭であります。(拍手)
 第二に、中央における戦時的財政確立のためには地方財政の負担を加重し、多大な犠牲を地方住民にしいようとしておる。そのためには、平衡交付金を一方的に削減し、地方公務員に極度の餓死的低賃金を押しつけ、地方事業の緊縮、たな上げを強制せんとしておる。
 第三には、産業の軍事的再編成と、かつての軍需産業の復活、軍事基地の設置拡充に即応せんとするものである。たとえば京浜、阪神あるいは北九州等の巨大軍需産業の所在地を中心といたしまして、周辺の市町村が天くだり的に併合せられんとしておる計画が進められておる。かくのごとき軍事的植民地化に即応するために、かつてなき地方行政制度の大改革が計画され、公務員の隷属的屈従が絶対に必要となつているのである。このためにこそ地方公務員法が今や支配階級にとつて絶対必要であるということが明瞭になつておる。
 ここで一言民主党並びに社会党の修正案に反対の態度を表明しておきたい。民主党の修正案は、単なる字句的修正にすぎないのであつて、それは断じて修正の名に値するものではないと考える。社会党の修正案は、民主党のそれに比すれば一歩を進めておることは争えない。しかし遺憾ながら、われわれは社会党の修正案に同調することができないのであります。その理由の最も大なる点は次の二つである。第一に、政治活動の制限を容認していること、第二に、団体交渉の否定もこれを容認しておることであります。われわれは、以上の二点において、修正部分に対してすら同調することができない。われわれは、むしろかかる区々たる修正案が、民主政党の手を通じて国会に提出することによつて、かえつて盛り上りつつあるところの大衆闘争に改良主義的動揺を與えるとともに、水をぶつかけるものであるということを断言せざるを得な、(拍手)迫りつつあるところの革命的情勢の中で最も恐るべきものは改良主義的、日和見主義的態度であることが、この機会にわれわれ民主政党によつて銘記されねばならないことであろう。(拍手)
 これを要するに、本法案の本質は、明らかに内外反動勢力の日本の植民地的支配の政策に通じている。今やわが日本においては、あらゆる部面において、かかる植民地化政策に対して重大なる抵抗、レジスタンスが生れつつある。人民は、地方税の八割の納税を拒否することによつて明らかに抵抗を示しつつあります。また全国一万に達するところの都道府県、市町村は一致団結いたしまして、代表を国会並びに政府に送つて、吉田反動内閣の打倒を明らかに呼号しつつあります。(拍手)かかる全国的攻撃の中で、この国会内部にも――国会内部にも重大な動揺と抵抗が生れた。国会審議権の尊重がその一つであり、昨日行われましたところの二十五年度補正予算の審議における予算委員会よりの野党側委員の総退場も、またその一つの現われにほかならないのである。先般本会議に国会審議棒尊重決議案が提出されましたことは、最も端的にこのことを証明しておるものであるが、しかもあの決議案の内容の重大な点は、ポツダム政令濫発政策反対が中心である。しかも、ポツダム政令の中で最初に発令され、しかも最も反動的なのは、このポツダム政令二百一号である。この今提案になつておりますところの地方公務員法案は、この最も反動的な二百一号のポ政令の焼直しにすぎないのである。(拍手)われわれが、かかる反動的な地方公務員法に賛成することができないのは、まさに当然であるといわなければならない。(拍手)
 最近の世界情勢は、明らかに吉田内閣の単独講和の方針を不可能なつしめる方向に進みつつある。人民の抵抗運動は、世界の民主勢力によつて成功的に闘われつつある。(拍手)たとい本法案が自由党その他反動勢力によつて国会を通過せしめられたといたしましても、地方公務員法のみならず、地方公務員法案を提出したもの、また地方公務員法案を提出せしめたもの、その一切を含めてすべての内外反動勢力は、人民自身の実力によつて完全に葬り去られる日が刻々と迫りつつあることを断言いたしまして反対の意見にかえたいと思います。(拍手)
#74
○副議長(岩本信行君) 中原健次君。
    〔中原健次君登壇〕
#75
○中原健次君 私は、四党派、すなわち農民協同党、社会革新党、公正倶楽部並びに労働者農民党を代表いたしまして、ただいま議題となつている地方公務員法案に対して反対の意見を申し述べたいと考えます。
 本来公務員は一般の労働者とは違う、こういう説明がしばしば用いられまして、公務員に対して特に格別の強制的な、自由を抑圧するための諸措置が行われて参つたのでありまするが、公務員は決して労働者でないのではなく、公務員はいわゆる生産手段を持たず、自己の勤労によつて得た收入が、その生活をささえておるわけでありまして、すなわち自己の勤労による生活者は、おしなべて自己の勤労による生存権、生活権、これをみずから守るの権利があるわけであります。ここに上程されておりまする地方公務員法は、その労働階級がみずからを守るため当然行使すべき団結権あるいは罷業権に対しまして、これを拒否するの方向に出ておるわけでありまするが、由来団結するの権利、罷業を行うの権利は、理論的にも、また歴史的事実においても、これは当然労働者階級に共通する自衛権として永久に保障されたものであります。
 本来労働階級が、そのようやくみずからの身につけておる労働権を守りながら、自己のささやかな生活を守りまするためには、その相手方である、いわば経営者あるいは資本家その他それに相当する者に対しまして、場合によれば圧力を加えるの道が與えられなければ、これを守ることはできないのであります。しかし、この国家公務員法並びに地方公務員法のごとき、このような法の制定を見まするならば、その当然行使すべ罷業権あるいは団体交渉権等の剥奪から、労働者は自己の権利を主張するのすべての方法を失わされることになるのでありまして、そのような條件のもとにおきましては、その相手方は、ただその場のがれの適当な言葉をもつてそこをつくろいながら労働者の要求を拒否し続けることが可能なのであります。その実例は、さきにしばしばなされました人事院の給與ペース引上げに関する勧告、あるいは国鉄の裁定に対する諸経験を通して見てもわかりますように、これら公共事業あるいは公務に従事いたしまする一切の勤労階級は、その当然の要求をすら、自己の実力を行使することによつて確保するの道が狭められておるのであります。このような條件のもとにおきましては、勢い、せつかく與えられた生存を守るための団結権あるいは罷業権の行使ができないために、みずから当然確保すべき入たるに値するの生存権を確保するの理想は、残念ながら高嶺の花となるほかはないのであります。
 さらに職員団体の組織の問題に関しましても、地方公務員法はいろいろ入念に制約を加えておるようでありますが、この組織の問題に対する最も見のがすことのできない一点は、結成するの自由、加入するの自由、あるいは結成せざるの自由、加入せざるの自由、入念にもこのようなことが規定されておるのであります。これが規定のねらうところは、いわゆる労働組合の結成を否定する方向へ押しやろうとする意図を含むものであることは申すまでもありません。さらに団体交渉の問題にいたしましても、ようやく団体交渉をすることができるかのごとき文字が見受けられますけれども、この法によりますならば、団体交渉をする権利は両者対等ではない、こういうことがはつきり規定されておるのであります。本来労働階級は、その相手方との交渉にあたりましては対等の権利を確保することによつてのみ初めて労働階級の主張は飼い得るのであります。(拍手)しかるに、この地方公務員法によれば、対等ではないとわざわざ明記いたしてあるのであります。
 さらに団体協約の問題に関しましても、団体協約の締結はこれを許さない、こういう一文があることを思えば、この職員団体の組織の問題は、ひつきようするに労働組合組織の否定以外の何ものでもないのでありまして、このような條件のもとにおきまして、はたして地方公務員諸君が、今日の飢餓窮乏から自己の生活を護るための主張、要求、闘いがなし得るでありましようか。おそらくそれをなし得ないことをはつきり制約づけるためのねらいが地方公務員法の本質であると私どもは断ぜざるを得ない。(拍手)
 さらに、この公務員法によりまするならば、一般職と現業員との間をわざわざ分断いたしまして、いわば労働者の組織され得る態勢を寸断して、組織をはばみ、組織を弱体化せしめることをもつてねらいといたしておるのであります。さらに加うるに嚴重なる職階制を設けまして、その職階支配のもとに地方公務員を隷属せしめんとする意図が秘められてあるのであります。所詮このようなことは、民主的活動を封鎖して封建的、奴隷的関係をつくり上げ、いわば古い帝国主義日本の時代における役人を再現せしめんとする意図を内蔵するものであります。(拍手)
 さらに、このように主張すれば、それを救済するために人事委員会あるいは公平委員会等の制度を設けることを規定していると言うかもしれない。しかしわれわれは、その文字をもつて欺瞞されることはできない。断じて欺瞞されない。この人事委員会並びに公平委員会の本質は一体何であるか。一番わかりやすい問題を指摘いたしますならば、この三人委員会の選任の手続は一体だれの手に握られているか。地方公共団体の長が、地方公共団体の長の意思によつてこれを選任することができるような関係に置かれておるのであります。この地方団体の長が地方団体の長の意思によつて三人委員を選考することができるということになれば、どのような結果に陷るであろうか。言うまでもなく、地方ボス中心とする、あるいは保守反動勢力の意図を中心とする方法によつてこれらの三人委員が選考されるであろうことは、今から火を見るより明らかなる点であります。(拍手)このような事情の中に、この人事委員会あるいは公平委員会が、給與、勤務時間あるいは厚生福利制度等に関する研究を日常続けて、その結果を作成し、あるいは報告するの義務が負わされておる。そのような、何と申しますか、単なる作成、報告というような立場をもつてする人事委員会がどれだけの仕事ができるかは、今から明らかに想像することができるのであります。
 さらに、いわゆる給料表の問題に関して、給料の適否について、もし増減の必要があるという結論が出た場合には、これに関して、地方の長あるいは議会に対してその勧告を発することができることになつておるようでありまするが、これもそれぞれ規定を入念にしておるだけでありまして、これらの人事委員並びに公平委員会の成果が、あるいはこのような機関の機能の力がどのようなものであるかについては、いまさら指摘を要しない。国家公務員法による人事院の今日までとつて参りましたあらゆる経験を通じて、われわれははつきりその効力のないものであるということを実証することができるのであります。(拍手)これはひとり私どものみではない。全国百八十万の地方公務員を初め、すべての労働階級は、この無力なる経験を熟知いたしておるのであります。
 さらに平等取扱いの原則という條項があるようでありますが、この平等取扱いの原則につきましても、はなはだ理解上がたい点が多々秘められておるのであります。なるほど文字によれば、人種、信條、性別、身分、門地、これらに対しては差別してはならない、あるいは政治的意見、政治的所属団体による、それを理由としての差別はできない、こういうことを、まことがましく規定しておりますが、この文字は、われわれがしばしば経験いたしておるごとくに、結局單なるお題目にすぎず、実質的にはあくまで思想の自由を侵害し、あるいはこれをそぎ、あるいは政治団体等の関係についてもいろいろ難くせをつけて参りました、いわゆるレツト・バージ等の経験によりまして、あるいはこの持つておりまする内容の反動性をはつきりここに指摘することができるのであります。(拍手)このような内容を盛り込みました地方公務員法、この地方公務員法か、いまさらわが日本の地方行政の民主化を確保するための法律だなどとは、われわれ聞いてあきれざるを得ないのもあります。(拍手)
 これを要約いたしまするならば、地方公務員法は、組織を分裂せしめ、現業員あるいは非現業員を寸断して労働組合の強力なる結成を阻止し、これを破壊し、そして団体交渉権、罷業権を剥奪いたしまして、いわば労働階級を奴隷的低賃金の鋲に縛り込まんとする惡法であることを、われわれははつきり指摘しなければならぬのであります。(拍手)
 さらに政治的発言力に対しまする制約、これのごときは、もはや議論の余地がないほどに、あまりにもはつきり、現段階における資本家、官僚、これらを一連とする支配階級が労働階級に対して一切の活動力を與えまいとする、剥奪しようとする意図の現われであることを言うことができるのであります。これが、今日わが日本の支配階級が考えているように、すなわち低賃金、労働強化、この一環をこの際確保することによつて――しかも地方公務員には、さきに国家公務員に與えたその制約をそのままに與え、そうしてこれを一般企業の労働者へも波及せしめるための意図を内包したものであるということを指摘することができるのであります。(拍手)何がゆえに独占資本を中心とする日本の支配階級はこのような計画にあらゆるうき身をやつしたかと申しまするならば、今日わが日本の置かれているもろもろの諸情勢によりまする国連協力への、その正体をはつきり現わすための一環の政策だということを私は指摘することができるのであります。
 このような諸点の上に立ちまして、ただいま議題になつておりまする地方公務員法案に対しまして、私は四党派を代表して反対の意をはつきりさせておきます。(拍手)
 さらに修正案も出ておるようでありますが、なるほどこの修正案については、いろいろ苦心された点を私どもも認めることができる。しかしながら、せつかくの苦心による修正案にかかわりませず、この地方公務員法が持つておる反動的本質、労働階級を圧殺し、低賃金、労働強化を確保し強要するための鉄の鎖の本質は断じて解消せぬのであります。(拍手)その本質を消すことはできぬのであります。かかるゆえに、吾人は、このせつかくの御努力による修正案に対しても同調する意思を持たないことをつけ加えておくのであります。以上で終ります。(拍手)
#76
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず成田知巳君外一名提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#77
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて成田知巳君外一名提出の修正案は否決せられました。
 次に山手滿男君提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#78
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて山手滿男君提出の修正案は否決せられました。
 次に政府原案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を原案の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#79
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて地方公務員法案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
 明六日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後九時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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