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1998/12/10 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 経済・産業委員会 第2号
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1998/12/10 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 経済・産業委員会 第2号

#1
第144回国会 経済・産業委員会 第2号
平成十年十二月十日(木曜日)
   午後五時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     益田 洋介君     海野 義孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         須藤良太郎君
    理 事
                成瀬 守重君
                畑   恵君
                簗瀬  進君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                上野 公成君
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                小山 孝雄君
                中島 眞人君
                中曽根弘文君
                平田 健二君
                福山 哲郎君
                本田 良一君
                前川 忠夫君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                西山登紀子君
                渡辺 秀央君
                水野 誠一君
   国務大臣
       通商産業大臣   与謝野 馨君
   政府委員
       通商産業大臣官
       房審議官     岡本  巖君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       通商産業省環境
       立地局長     太田信一郎君
       中小企業庁長官  鴇田 勝彦君
       中小企業庁次長  殿岡 茂樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   説明員
       労働省職業安定
       局次長      戸苅 利和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○新事業創出促進法案(内閣提出、衆議院送付)
○小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、益田洋介君が委員を辞任され、その補欠として海野義孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(須藤良太郎君) 新事業創出促進法案及び小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。(拍手)
 余り盛大な拍手をされますと足が震えるんですが、大臣、御苦労さまでございます。朝から予算委員会でお疲れだと思いますが、新しく通産省として新事業創出促進法案を提出されましたので、ベースになる問題を含めて若干お聞かせいただきたいと思います。
 まず、通産省として今度の法律を出されたバックグラウンドといいますか、認識を少しお伺いしたいと思います。
 私は、日本における中小企業というのは、戦後既に五十数年経過をしておりますが、さまざまな時代の中で日本の経済、産業を実質的に支えたのは中小企業だという理解を実はいたしております。もちろん、自動車産業であったり、あるいは電機産業といったような花形産業あるいは大企業というものがいわゆる日の当たるところにあったとすれば、それを支えた中小企業というのは、むしろ日の当たらないと言うとそこで働いた人たちあるいは経営者の皆さんに申しわけないんですが、陰でそれを支えてきた、そういう役割を中小企業の皆さん方は果たしていただいた、私はそういう理解をしています。
 と同時に、これまでも例えば東京一極集中を避けるという意味もありまして、これは政府や通産省も地域における産業の育成やあるいは地場産業の育成といったような問題についても積極的に取り組んでこられた、あわせて、さまざまな中小企業が地域の特性なりあるいはそういうものを生かした中でそれぞれの地域でしっかりと根づいてきた、そのことも日本の経済やあるいは国民生活にさまざまな面で貢献をしてきた、私はこう考えています。
 さらに、技術の面で見ましても、大企業ではなかなか思いもつかないような斬新な技術を開発する、そういう中でいわゆる小回りのきかない大企業の持たない分野あるいは持てない分野のすき間を埋めるというと適切な表現ではないかもしれませんが、そういう形で私どもの生活にさまざまな面で貢献をしていただいたのが私は中小企業だろうと思います。
 しかし、そういう今申し上げたようなさまざまな私たちにとっては大変ありがたい存在であった中小企業が、周辺を含めまして、ではそれだけの温かい目で、あるいはそれなりの評価を受けてきたんだろうかということになりますと、これは今の実態は甚だ厳し過ぎるんじゃないかというように感じます。
 もちろん、それは例えば最近の銀行問題、金融に見られるような貸し渋りの問題もそうですけれども、これは貸す側の銀行にもあるいは一理あるかもしれません。あるいは、すべての中小企業が私は健全だとは必ずしも言い切っていませんから、そういう面ではさまざまに言い分はあるんでしょうけれども、その割には僕は中小企業というのが少し冷遇され過ぎてはいないか。もちろん、大企業というのはほうっておいてもある意味では自分で生きていきます。ところが、中小企業というのはさまざまな条件を整えてやることによって公正な競争ができるという条件にあるわけです。
 そういう点で、私は少しく、この後の新しい法律のバックグラウンドとして、中小企業の存在の意義とかあるいはこれからの中小企業に対する期待とかそんなような問題について、大臣の方から最初に御所見を承りたいと思います。
#5
○国務大臣(与謝野馨君) 日本の中小企業のすばらしさというのは、例えば東南アジアに参りましていろんなお話を伺いますと、これらの国々は、日本のような中小企業を持ちたい、産業のすそ野を広げたいということを常に言われます。これは、先生御指摘のように、中小企業にはいろんな意味での厚い技術蓄積もございますし、大企業が機動性に欠けているということに比べますと、中小企業は大変機動性に富む、そしてダイナミックな存在であろうと私は思っております。
 先生御指摘のように、社長ばかりでなく、中小企業で働いておられる方々というのは日本の勤労所得者の大宗を占めておられるわけでございまして、そういう意味では、政治が中小企業に対してさらに関心を持ち、さらに手厚い政策をとっていくという必要性は大変大事なところだろうと私は思っております。
 我々は今回、金融、技術、人材、あらゆる面で、今考えられるいろんな政策をこの法律に盛り込んでそれを実現しようとしておりますが、やはりその原点は、日本の活力、ダイナミズム、それから今までの成長、また二十一世紀に向けて日本が豊かな社会を引き続き継続していくためには日本の健全な中小企業の際立った活躍、活動が必要である、それが我々の原点でございます。
#6
○前川忠夫君 私も、今大臣からお話がございましたような基本的な認識については共通であり、共有できるんじゃないかと思います。
 そこで、これは今回の法案だけではなしに、さまざまな景気の浮き沈みのときによく言われることは、中小企業や何かに雇用の受け皿的な機能をこれまでも随分期待してきたと思うんです。もちろんそれにこたえられた時期もあった。それから、働く人たちの流れを見てみますと、大企業から中企業、中企業から小企業というのが比較的多いんです。ほとんどと言っていいでしょう。中小零細企業から大企業に仕事を変わっていった人なんというのはほとんどいないんです。特殊な技能を持っている人は別ですけれども。そういう意味で、いつまでも今の中小企業にそういうものを求めるのは本当に中小企業にとっていいんだろうかという思いがあるんです。
 それは二つの理由があるんです。一つは、労働条件の面でかなりきついわけです。もともと中小企業というのは、ある意味ではかなりコストを削って削ってそれで例えばメーカーならメーカーに納める、そのことによって経営を成り立たせるという機能があると私は思うんです。それからもう一つは、労働集約型の中小企業じゃもう成り立たない。やっぱり人を整理していかなきゃならない、少なくしていかなきゃならない。そこに、今のような雇用の環境の厳しいときに、中小企業に助成金や補助金を出すから人を雇いなさいと言っても本当にそれが実現できるんだろうかという思いが実はあるわけです。
 そういう問題について、今度の法律の中で中小企業を対象にしている、これは労働省の所管の部分もありますけれども、かなり大きなウエートを置いて考えておられるようですが、本当にそれで中小企業というのがこれから生き残っていけるんだろうかという思いが僕はあります。
 さきの国会では大店立地法等さまざまな議論がございました。商業、流通、サービス等におきましても、大企業からむしろ中小企業に人が流れる。本来、中小企業あるいは中小の商店というのは街づくりの基盤にならなきゃならない。ところが、そこも経営が苦しい。こういう実態の中で、いつまでも中小企業やこういうサービス業に人の受け皿になってもらうという発想はそろそろ転換をすべきなのではないかというふうに僕は思うんですが、いかがでしょうか。
#7
○政府委員(鴇田勝彦君) 先ほど大臣の方からもお答えいたしましたように、中小企業というのは雇用吸収力の面でも、現在総従業者数の八〇%の雇用の吸収を事実として果たしているわけでございます。もちろん、現下の経済環境が大変厳しい状況にございますから、そういった中小企業について、我々としては、中小企業に期待をいたします持ち前のバイタリティーとかきめの細かい新商品開発、新サービスの提供、あるいは新たな技術開発等々に臨んでいただきたいということで、本法案も含めまして諸種の対策をとらせていただいておるわけです。
 一つ統計的に申し上げさせていただきますと、雇用面で平成六年から動きがございます。平成六年をピークに七年、八年と従業員規模五百人以上の大企業では雇用の規模が減少してきております。ただ、四百九十九人以下の企業、これは中小企業の定義にぴったり当てはまる数字がございませんので借用させていただきますが、平成六年から九年にかけましてこの数年間着実に雇用を増大させてきております。こういった面でも、中小企業の雇用の動きといたしましては、結果的には雇用全体に大変大きな寄与をしているわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、現下大変厳しい状況にございます。先生御指摘のように、小売商業者も含めまして、生産、販売の減少に伴いまして、我々中小企業対策を推進している立場からしますと、従来は雇用の過剰感というのはなかったわけですが、一部の統計では雇用の過剰感というのも最近出てきている状況にございます。特に昨年の十二月以降でございますが、従業員数五百人未満の企業では雇用者数が十一カ月連続で徐々にではありますが減少傾向がございます。これは現下の経済情勢でございますので無理からぬところと考えております。
 我々といたしましては、機動的なマクロ経済運営を緊急経済対策等で行いますとともに、中小企業政策におきましては非常にきめの細かい金融対策、これは御承知のとおり十月一日から貸し渋り保証制度等も発足させてございます。それ以外に、本法案の中にも盛り込ませていただいております日本版SBIR制度の導入による技術開発とか事業化の促進など、こういった対策を講ずることによって引き続き中小企業政策が結果としても雇用増に貢献をいただきたいというような気持ちで施策を推進しているところでございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
#8
○前川忠夫君 そこで、現在の中小企業の実態と景気の判断について通産省の見解をお伺いしたいんです。
 一昨日の経済企画庁の月例経済報告、私も資料をいただいて見ておりましたが、景気判断としては大変厳しいけれども、変化の胎動がうかがえる、こういう表現になっていたと思うんですが、個人消費が回復をしない限りは、個人消費に対する見方というのは非常に厳しいんです。確かに家電の、特にいわゆる白物といいますか箱物のような部分については回復の兆しが見えるとか、あるいは軽自動車等については確かに対前年比では大幅な伸びを示しているということは事実のようですけれども、消費全体が低迷をしているという事実、これから考えますと、なぜなんだろうと。この月例経済報告でも、収入の減少があって財布のひもがかたいという評価をされておられるわけです。
 私は、景気をよくするための幾つかの材料の中に、お金がないんじゃなくて、先行きの不安というのがやっぱり一番大きいんじゃないか。それは、例えば今申し上げましたような雇用の不安、本当に大丈夫なんだろうかという不安。実はけさ方もある業界の皆さん方と朝食会でいろんなお話をしておったんですが、これはタクシーやハイヤーの組合の皆さん方なんですが、中堅以上の大手の企業でも依然としてまだ資金繰りが厳しい。特に、ああいう業界ですから、まさに自転車操業と言うと自動車屋さんに申しわけないんですが、そういう厳しい実態が依然として続いている。労働組合の皆さん方が何とかしてほしいと今言っているわけです、このままじゃ会社がおかしくなりそうだと。これは本当に小さい企業じゃないんです。そういう組合の幹部の皆さんの意識というのはやっぱり組合員の皆さんに伝わるわけです。そうすると雇用の問題についての不安というのは広がります。とすると、何かあったときのためにということで多少無理をしてでも買い控えをしておくかと。
 それから、今、予算委員会、第三次補正については決着を見たようでありますが、年末にかけて来年度の予算編成が行われます。その中で年金やあるいは医療の問題についても恐らく政府ではきちっと議論されるんだと思いますけれども、少なくとも今の状況の中で、私は、年金の掛金を引き上げるとかあるいは医療費の財政事情が厳しいから医療費をまた引き上げるなんという乱暴なことはされないと思いますけれども、こういう先行きの不安が消費を停滞させているかなり大きな原因だと思うんです。この問題が解決をしませんと、私は、先ほど申し上げたような景気を回復軌道に乗せるというのは非常に難しいんじゃないか。
 特に、流通関係の実態を見てみますと連続マイナスです。一時期といいますか、十二月に入って大手のスーパーで消費税分の還元セールというのをやったらお客さんが来たというお話ですけれども、これは長続きするものではないだろうというふうに思います。そうしますと、やはりしっかりした景気対策をやるということが大事でありまして、そういう点では現在の不況の最も深刻な影響を受けているのは中小企業なんではないかというふうに私は考えるわけです。
 この辺の中小企業の実態についてぜひ通産省の見解をお伺いして、その上でこれからこの実態をどこでとめようとされておられるのか、もちろんこれは政府全体の問題ではあると思いますが、通産省としての見方、見解についてお聞かせをいただきたいと思います。
#9
○政府委員(江崎格君) 今、民需の低迷しております背景として先行きに対する不安があるという御指摘がございましたが、この点につきまして私から先にお答えいたします。
 先生の御指摘のとおりでございまして、現在の民需、個人消費あるいは設備投資、住宅建設が低迷しているという背景に、家計とか企業のマインドの冷え込みというのがございます。その背景としてまさに先行きに対する国民の不安があるということかと思います。
 私どももこれは非常に強く認識しておりまして、今回の緊急経済対策におきましても、先行き不安の払拭をするということのために、従来なかったことですけれども、複数年次にわたりまして景気の回復の道筋を示すという努力をしておりまして、十一年度だけではなくて十二年度、十三年度にわたる回復のパスを示すという努力をしたつもりでございます。
 それから、今、雇用の問題もお触れになりましたけれども、百万人規模の雇用の創出あるいは安定を図るということで、対策に雇用活性化総合プランといったようなものも織り込んでおります。
 それから、御指摘の先行き不安ということに関しましては、年金の改革ですとかあるいは医療保険の改革、こういったことにつきましても、他省の関係でございますけれども、制度改革を目指しまして現在、次の通常国会に向けて法案を提出するという準備が進んでいるというふうに承知をしております。
 それから、同じく先行き不安を払拭するという観点では、所得税を中心とした税制改革などにつきましても現在検討が行われておりまして、これらにつきましても実現いたしますと先行き不安の払拭に寄与するんではないか、このように考えております。
#10
○前川忠夫君 そこで、今度の法律とある意味ではセットというふうに考えていいんでしょうか。労働省の方にお伺いをしたいんですが、職安局の方、お見えでしょうか。
 労働省が現在の雇用の状況についてどんな認識を持っておられるのか、まずお伺いをしたいんです。
 今度の緊急経済対策の中で、雇用活性化総合プラン、いわゆる百万人の雇用を創出しようということで新しい経済対策を打ち出されたわけですが、問題はこれまでの、つまり今度の経済対策以前の問題です。
 現在の雇用の状態というのは急に起きたわけではありません。何年も前からと言ってもいいくらいの状態でだんだん悪化をしているんです。今では有効求人倍率は〇・五を切っていますし、失業率も四・三を実質的には超えているんじゃないかというふうにさえ実は言われています。
 これまで、例えば短期で見まして、ことしに入りましてからでも第一次補正あるいは第二次補正をやってまいったんですが、そのことの効果については労働省はどんな評価をしておられるのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
#11
○説明員(戸苅利和君) 最近の厳しい雇用失業情勢に対しましては、四月の総合経済対策の一環として雇用調整助成金の拡充を初めといたします雇用の維持安定対策、それから生涯職業能力開発促進センターにおける離転職者向けの訓練の拡充、積極的な求人開拓等々によります離職者の再就職の支援、それからベンチャー企業への支援等による新規雇用創出対策、そういったものを柱といたします緊急雇用開発プログラムを策定いたしました。これの具体的な実施につきましては、補正予算が成立いたしました翌日の六月十八日から実施いたしたところでございます。
 緊急雇用開発プログラムの効果について主要な点を申し上げますと、一つは求人開拓でございます。これにつきましては、求人開拓推進員を全国のハローワークに配置しまして、ハローワークの職員と一緒に事業場に直接出向いて求人開拓を行ったわけです。十月の実績を申し上げますと、そういう格好で事業所訪問によって新たに確保いたしました求人数は約十万七千件であります。十月の新規求人の約二割を占めているという状況でございます。
 それから、各種の助成金の状況でございますが、高齢者ですとかあるいは障害者ですとか就職困難な方の雇い入れを支援しようということで特定求職者雇用開発助成金制度を設けているわけですが、これにつきまして、従来五十五歳以上を対象にいたしていたわけですけれども、六月からは四十五歳まで要件を引き下げたわけであります。引き下げました結果、六月から十月にかけまして新たにこの助成金の対象になりまして就職した四十五歳から五十五歳の労働者の方は五万人でございます。そういう意味では、五万人の中年齢層の雇用につながったというふうに考えております。
 それから雇用調整助成金、雇用の維持を図ろう、失業の防止を図ろうという対策でございますが、これにつきましても支給内容の充実を図ったということで、実施前の五月には休業ですとか教育訓練ですとかそういったものの実施計画をハローワークの方に提出いただいた件数が四万件であったんですが、十月には約六倍の二十五万人ということで大幅な増加を遂げているということでございまして、そういった意味で雇用の維持安定なり再就職の促進にかなりの実効を上げているんではないかというふうに考えております。
#12
○前川忠夫君 それでもなおかつ失業率が四・三、あるいは有効求人倍率が〇・五を切るような状態というのは、もしやらなかったらもっとひどくなった、多分こういう反論がされるんだろうと思います。
 そこで、今度の緊急経済対策の中で、経済対策の効果として約三十七万人、それから雇用活性化総合プランで六十四万人、いわゆる百万人の雇用創出計画というふうに言われているわけですが、この具体的な根拠についてお伺いをしたいんです。
 さまざまなプランがこの中には盛り込まれておりますが、果たしてこれがどれだけの人員に相当するのかというのは定かでありません。もちろん、計算をすることがなかなか困難な対策もありますから、私もそうむちゃなことを申し上げるつもりはありませんが、百万人というのは少しアバウト過ぎはしないかという気がするんです。
 例えば、GDPの押し上げの効果が二・三%、これは経企庁の試算ですが、それによる雇用弾性値〇・三なり〇・七というものをベースにして三十七万人という数字が一つは出てきている。
 それからもう一つは、労働省の今やっておられます法案の具体化によって六十四万人ということのようでありますが、そう細かいことは結構ですから、実際に積み上げて出てきた数字なのかあるいはアバウトな数字なのか、その辺だけちょっとお答えいただけますか。
#13
○説明員(戸苅利和君) 一つは、三十七万人でございますが、これは今、前川委員おっしゃったとおり、計算は経済企画庁の方で行っているものであります。具体的には、今お話しのありましたように、今回の緊急経済対策で、一年間で実質GDPの押し上げ効果が二・三%である。それから、GDPが一%上昇したときに雇用者数がどれだけ増加するか、これが雇用の弾性値でありますが、雇用弾性値を、一般には〇・三から〇・七と言われているんですけれども、企画庁の計算では一番かたいところで〇・三を使って計算をいたしておるわけです。この緊急経済対策の策定時点におきます、これは九月になりますが、九月の雇用者数、これが五千三百四十一万人であります。それにGDPの押し上げ率百分の二・三、これを掛け、さらに先ほど申し上げた雇用弾性値の〇・三を掛けると三十七万人という数字になります。これはそういう意味ではかなり弾性値をかた目に見た数字ではないかというふうに私ども考えております。
 それからもう一つは、残りの六十四万人でございますが、これは大きく二つに分けて考えておりまして、一つは先ほども申し上げました高齢者、障害者等の就職困難な方々の就職を促進しようということで、事業主の雇い入れに伴う賃金コストの負担を軽減しようという制度でありますが、特定求職者雇用開発助成金であります。それから、その他地域関係の各種助成金、そういったものを合わせまして、労働者の就職支援対策によりまして約三十四万人の雇用創出が図れるだろう。それから雇用調整助成金、それから新たに行おうとしております中高年齢者の失業なき労働移動を助成するための中高年労働移動支援特別助成金というのを今度の補正予算でお願いをいたしておりますが、この二つを合わせて雇用の維持安定が二十九・四万人であります。
 就職支援対策で三十四・二万人、雇用の維持安定対策で二十九・四万人、それから先ほど申し上げた三十七万人で百万人規模というふうな計算になっております。
#14
○前川忠夫君 計算上では確かにそういう計算が出てくるんでしょうが、私がいろんな産業のそれぞれの実態をいろいろお聞きしてみますと、いわゆる非自発的な失業者というのが非常に多くなってきています。要するに、これは解雇であったりあるいは希望退職であったり、いわゆるリストラと言われる人たちです。こういうリストラに遭った人たちというのが結果的には例えば先ほど最初に申し上げたような大企業から中小企業あるいは零細企業という形で流れていくわけですが、先ほども申し上げましたように、もうそろそろ中小企業も限界じゃないかという感じがするんです。
 一つ、これは労働省の見解をお聞きしておきたいと思うんですが、私がかかわっている業界の中に大変深刻な業界がございます。名前を申し上げてもいいんですが、アルミの業界です。これは建設、特に住宅着工戸数が減少したこともありまして大変深刻になっている。アルミの場合も大手から中小零細までさまざまです。アルミの建材に関しては、雇用調整助成金を受けようという場合には業界としての申請が必要なんです。これは事業所が全国に散らばっていますから、地域指定も受けられない。中小のある企業がもうどうにもならなくなって申請をしたけれども、業界の中ではまとまらなかったと、こういうことなんです。どうも、これはあくまでうわさでありますけれども、大手のメーカーにしてみれば、この際中小を整理していくにはいいチャンスだというようなうわささえ流れるほどなんです。
 これはアルミじゃありませんが、ほかのところでは大手の何千、何万という企業が業種指定を受けて雇用調整助成金を受けている。本当に欲しい中小の零細企業が受けられないという仕組みを改善するお考えはございませんか。
#15
○説明員(戸苅利和君) 雇用調整助成金は、先生御存じのように、景気の変動ですとか産業構造の変化ですとか、そういったことで一定の特定の業種につきましてそこに属する相当数の事業場が事業活動の縮小を余儀なくされる、その場合に、自宅待機でありますとかあるいは教育訓練ですとか出向ですとか、そういった格好でとにかく失業させずに雇用の維持を図っていただこうということで設けておる制度であります。この経済上の理由によってそういった事業活動の縮小を余儀なくされているかどうかということの判断のよりどころとして業種の指定を行っているというふうなことにしております。
 業種の指定に当たりましては、今お話ありましたが、業界団体ですとかあるいは当該事業の所管官庁ですとか、そういったところのお話も十分お聞きし、指定基準に基づいて客観的に今指定を行っているということであります。
 ただ、正直申し上げて、今、前川委員お話しのように、業界によってはどうも不況業種の烙印を押されるのが不本意であるとか、いろいろな理由で指定基準に合致しているにもかかわらず指定を忌避するというか、そういった動きが全くないわけではないとは思います。ただ、最近やはり雇用調整助成金に対する理解というのも非常に広がってきているのではないかというふうに私ども思っておりまして、ここのところ雇用調整助成金については適用対象業務が大幅に増大をしております。もしそういったことで、本当は雇用調整助成金を必要とする事業場が多数あって指定基準に合致しているということであれば、指定に当たって業界の方々とよく話し合い、あるいは事業所管官庁とも相談して対応するということが一つあるのではないかというふうに思っております。
 それから、非常に厳しい雇用情勢なものですから、やはり中小企業にも雇用調整助成金を使おうという動きが非常に強くなっておりまして、ことしに入ってから中小企業の利用度というのは非常に高まってきておるわけであります。そういったことに対応して、実情に合いました指定の方式がないかということで、今回の雇用活性化総合プランの中におきまして、例えば中小企業が集積しているような産地とか、そういうふうなことに着目しまして、地域を限った業種指定、そういったものも考えてみようということでやっておるわけであります。とにかく実情に合った指定ができるように機動的、あるいは業界ともよく話し合った指定ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
#16
○前川忠夫君 苦しんでいるところにもう少し温かい目を向けてもらいたいと思うんですよ。
 例えば、業界というのはどこの業界でもそうです。私もいろんな業界を知っていますけれども、大体大手が会長を引き受けたり役員はみんな抱えているわけです。そこへ小さい企業が持ち込んでいったって、そう簡単に業界の中でうんと言ってくれないんですよ。例えば私が労働省へ飛び込んでいったところで多分だめだと思うんです。ある意味ではルール違反ですね、今の仕組みの上では。どうしたらいいんですか。先ほどのお話のように、例えば地域でまとまっていればそれは救われますよ。そうでない限りはだめですね。
 ですから、一番最初に僕は通産大臣にお伺いをしたように、苦労している割には中小企業に対していろんな部分でまだ冷たいところがあるんですよ。そういうきめの細かさをやっぱりしていただかないと、幾らさまざまな法律で中小企業のことを考えていると言われても、現実に企業を経営している皆さん方やあるいはそこで働いている皆さん方からはなかなか評価をされないんです。この問題は具体的な問題ですから、いずれ改めて労働省の方ともお話し合いの機会を持たせていただきたいと思います。
 これ以外にも二、三の業界から実は話を聞いているんです。もちろん、さまざまな業界でこういう制度があるというのを、さすがに皆さん苦しくなっていろんなことを調べたんでしょう、こうすればああなるということをいろいろと調べておられるようです。ところが、だめだというケースが幾つか実は私のところにも届いておりますので、改めてひとつ労働省にも御協力をいただきたいと思います。こういう席でいきなり踏み込んだ話はちょっと無理だろうと思いますので、改めてやらせていただきたいと思います。
 そこで、通産省にお伺いをしたいと思うんですが、私は、今度の新規事業の創出に係るこの法律というのは、今緊急的にやらなければならない部分と、それから中長期的にやらなければならない部分がちょっと混在をしているんじゃないかというふうに思うんです。
 つまり、緊急的にというふうに申し上げたのは、とりあえず起業数をふやす、業を起こすことを奨励するというような仕組みを何とか拡充したいという思いですね。と同時に、そのことによって将来的に新しい産業やあるいは技術やさまざまな部分の芽を育てたいという、これが本当に両方うまくマッチをするものなのかどうか、一つの法律の中でですよ。
 これまでの通産省のお考えからいきますと、よくこれだけいろいろ考えるなというぐらいまさにたくさんの法律をつくりますね。ところが、今度の法律に関して言えば、性格の違うものが混在しているような気がしてならないんですが、その点はいかがですか。
#17
○政府委員(江崎格君) この新しい事業の創出促進策でございますけれども、現下の厳しい雇用情勢を考えますと極力短い期間のうちに雇用の機会をふやさなきゃいけないという要請があると思いますし、一方、開業率が低下しているという構造的な問題にも対応しなきゃいけないということで、両方とも非常に重要な課題だと思っておりますが、今回御提案しておりますこの新事業創出促進法案、これは委員まさに御指摘のように実は二つのことを視野に置きまして、両方の政策的な意義を有するものというふうに私ども認識しております。
 問題は、二つの政策的な意義のために必要な施策が相矛盾する場合には、二つのことが混在するというのは非常に問題だと思いますが、私どもが御提案しておりますこの新しい事業起こしという手法によります雇用の創出とか、あるいは開業率の向上というような目的のためのこの具体的な事業起こしという施策は、かなりの部分両方の目的に共通していることが多いというふうに思っております。つまり両方のための施策がトレードオフの関係にはない部分が多いというふうに思っておりますので、そういう点で御懸念の点は余り心配ないんではないかというふうに思っております。
 現に、この御提案しております対策でございますけれども、短期的な対応としましては、今回十兆円を超える規模の緊急経済対策を決定しまして、その予算案を受けまして、その予算を執行するということのための法案でもございます。
 一方、中長期的な対応を図るということのためにまたこうした事業起こしというものをお願いしているわけでございますけれども、ただ、この中長期の対策というのは今回の法案に盛り込まれたことだけではなくて、ほかにも私ども、例えば連結納税制度ですとか、あるいは株式交換制度の問題ですとか、あるいは民間の研究開発を促すような試験研究の税制ですとか、こういったいろいろな制度とあわせてもちろん実行したいというふうに思っております。
 それからさらに、「経済構造の変革と創造のための行動計画」という閣議決定をした行動計画がございますけれども、これに盛られた規制緩和といったような施策もあわせて講じていきたいというふうに思っております。
 繰り返しになりますけれども、両方の政策的な意義を持つ具体的な手段というものが相矛盾しない関係にあるというふうに私どもは思っておりますので、御懸念の点はないんではないかと、このように思っております。
#18
○前川忠夫君 全く相反するというふうに私は考えているわけではないんで、緊急にやらなければならない課題と、中長期にわたって国として考えていかなければならないものが混在をしているところにこの法律のあいまいさがあるんじゃないですかということを指摘しているわけです。
 つまり、雇用の問題というのは景気の問題に連動するわけです。ところが、新規産業とか新しいものをこれから生み出していこうというのは、そんな急に言ったって生まれるものじゃないんですよ。そういうところのあいまいさがこの法律の中にはあるんじゃないですかということをお聞きしているわけです。決して相矛盾をしないとおっしゃるけれども、私たちはそう受け取るんですがいかがですかというふうにお聞きしているわけです。
#19
○国務大臣(与謝野馨君) 御指摘のとおり、新規産業を創出するというのはそう容易なことでは実はないわけでございまして、やはり日本の経済をマクロでよくするということが日本全体の雇用という問題を解決するための最も不可欠な条件だろうと私は思っておりまして、その点は先生のおっしゃるとおりだと思います。
 一方では、中長期的には現在の産業だけでは吸収できない雇用というものもあるわけでございまして、そういうものに対してどういう物の考え方をするのかといえば、それは新規の分野をつくり出していくということを考えざるを得ないと私どもは思っております。
 これは、新規と申しましても、全く新しい技術によって新しい分野が生まれるというものと、あるいは幾つかのアイデアを組み合わせて消費者のニーズに合ったような新しい事業を起こすということもあるでしょうし、また場合によっては地域の特性を生かした新しい事業というものもあるだろうと思います。
 そういうことをすべて考えましても、新しい業を起こすというのは、まず一番大きなネックになりますのは、そういう業を起こそうとしたときの資金の問題だろうと私は思っております。日本人も新しい業を起こそうと思っている方々がいっぱいおられると思いますが、まず直面するのは、自分はやりたいんだけれどもなかなか開業資金とかそういうものが手に入らない。まずお金の面。それから、自分は技術は持っているんだけれども経営のノウハウがないとか、そういう人材を確保する、経営のノウハウの問題もございます。これらに対して今回の法律は対応しようという精いっぱいの努力をした法律でございまして、その点をぜひ先生には御理解をしていただきたいと、そのように思っております。
#20
○前川忠夫君 実は私は前から、通産省のさまざまな法律で共通する部分があるものについてはできるだけまとめたらいかがですかということを再三申し上げてきたんです。
 ですから、今度の法律の中に、例えばテクノポリス法だとかあるいは頭脳立地法だとかというものを廃止してこの中に吸収をしていくという、こういうことは私自身は基本的には賛成なんです。賛成なんだけれども、私の言い方が悪かったら訂正をさせていただきますが、今の緊急経済対策、つまり厳しい経済情勢あるいは雇用の問題があるということで、何か無理やりこの法律を関連づけて、この際だからというようなものと、それからこれまで通産省がいろいろやってこられたものとをドッキングさせたためにおかしくなってしまったんではないかという印象を依然としてぬぐえない。
 これは、この議論をやっていても水かけ論になりますからこれ以上申し上げませんけれども、少なくとも私は、行政が新しい業を起こそうとしている人たちにどういうことができるんだろうかと。今、大臣の方からは、例えば開業資金であったりあるいは保証であったりさまざまな部分で、いわゆる立ち上がりの段階、支援をしていただきたいという思いは確かにあると思います。
 と同時に、もう一つ、これは非常に大事なことなんですが、大企業との関係です。つまり、大手の企業というのは、あるもうかる仕事があるとなると一斉に参入してくるんです。もちろん大企業だけではありません。タイミングが非常に大事なんです。と同時に、新しく物をつくった、すばらしいものだといっても、売らなければいけないわけです。いわゆる販路です。ところが、そういう部分については大手がしっかり押さえちゃっているというケースの場合には、どこかにそれを乗せなければならない。その場合の競争条件についてしっかりと行政というのはチェックをしてほしい、不公正な競争やあるいは不公正な取引が行われないようにしてもらわなければいけないということだろうと思うんです。このことが担保をされていませんと、私は、新しく業を起こして、技術を持っていて、あるいは新しい製品のアイデアを持っていても、よしやってみようということにはなかなかならないんじゃないか。つくることはできても、それは売らなければ何にもならぬわけですから。そういう部分についてはこれからもさまざまな法律の部分でカバーをする努力をぜひこれはお願いをしておきたいと思います。
 そこで、先ほど申し上げました、今度の法律の中に吸収をされると言うと表現がいいのかどうかわかりませんが、法律の評価について幾つかお聞きをしておきたいと思います。
 通産省の新しい法律をつくるという場合に、次々とつくってということを先ほど申し上げましたが、ある意味では法律であってもやっぱりスクラップ・アンド・ビルドが私は必要なんじゃないか。そういう意味で、この中に吸収をされるテクノポリス法ですとかあるいは頭脳立地法、いろいろな批判はもちろんないわけではありませんが、それなりの成果を上げてきたんじゃないかというふうに私は見ているんですけれども、通産省としての見方、それから新しい法律の中にまとめ上げることによってどんな問題が起きるとお考えなのか、その点についてお聞きをしておきたいと思います。
 それから、あわせてもう一つ、ついでですがお伺いしますが、中小企業庁から出していただいている施策総覧、毎年来るたびに私も見るんですけれども、よくまあこれだけいろいろのさまざまな施策が考えられるなというぐらいにあるんです。これ目を通すだけでも大変ですし、とても覚えようという気はしません。必要なときにばっと開いて見るだけなんですが、この中にいろんな手続が書いてあるんです。正直申し上げますと、手続大変です。専門の方がおられる中小企業はいいんですけれども、なかなかそういう企業ばかりじゃありません。
 それから時間です。これは通産省の所管ではありませんのであえて申し上げておきますが、建設省の所管で、ある業者が新しいパイプといいますか、下水関係の新しいパイプの処理施設のあれを考案したんだそうです。公共事業にそれを活用してほしいということで申請を出した。これは審査があるわけです。ところが、書類を出して審査をやっているうちに、ある大手の企業が全く、ほとんど同じ、図面を見せていただきました、全く同じものをつくって早々と認可を受けてしまって、最初に申請したところはだめになったということがある。
 ですから、手続の問題というのは、ただ煩雑だというだけではなくて、スピードの問題を含めてこういう法律をつくる際にはぜひこれはお考えをいただきたい。このことについてもし感じることがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#21
○政府委員(太田信一郎君) 前川先生の御質問のうち、前半のテクノポリス法と頭脳立地法を今回どういう経緯で吸収して、新しい法律の中でどういうふうに生かしていくのかということにお答えしたいと思います。
 御案内のように、テクノポリス法は昭和五十八年に制定させていただきました。頭脳立地法はその五年後の昭和六十三年に制定しております。いずれの法律も、地方自治体が主体的に企業誘致あるいは地域産業の技術の高度化を通じてまさに自律的な発展を遂げるための集積をつくっていく、そのための法律でございまして、おかげさまというか、十年、十五年たちまして、先ほど前川先生言われましたように、それぞれの地域の特色を生かしながら非常に研究集積、産業集積が形成されてきたと思っております。
 数字を一つ引かせていただきますと、テクノ地域というのは二十六地域ございますが、全体の工業出荷額の伸び率が全国平均値五九%に比べて八四%、これは昭和五十五年から平成七年の数字でございます。それから、頭脳地域についても二十六地域ございますが、これは頭脳というのは産業の高度化に役立つ十六の特定事業の集積を図るわけですが、例えば研究所というのがございまして、その研究所のシェアが平成元年では大体一〇%だったのが平成七年には二〇%になっております。
 ということで、申し上げたいのは、そういう数字でも伸びていますし、特に非常に多彩な、多様な発展をそれぞれ地域の資源を生かしながらやっている。もちろんその企業誘致で招いた企業によって支えられているところもあるということも確かでございます。
 いずれにしても、現下の経済情勢は非常に厳しいわけでございまして、雇用機会をできる限り生み出していくことが必要である。すぐにどんどん企業が出てくるというわけではございませんが、やはり企業が生まれる、新しい事業が生まれるというのは、人材なり技術なり情報が集まっている集積から出てくることが多いわけでございまして、そういう意味では、せっかくこういう形で育ってきているテクノ集積、頭脳集積を産業の生まれる苗床としてぜひとも生かしていきたいということで、まさにその意味においては今回御提案させていただいている新しい法案の趣旨に沿うものと考えているところでございます。
 その場合に、集積を位置づけるとともに、私ども支援体制において、先ほどもお話がありましたように、研究開発から販路開拓というか事業化に至るまできめ細かい支援体制をとることが必要である。プラットフォームという言葉で呼んでおりますが、そういう体制を各都道府県あるいは政令指定都市ごとにつくっていただければというふうに考えているところでございます。
#22
○政府委員(鴇田勝彦君) 先ほど先生の方から、中小企業対策の手続面での迅速化とか、あるいは簡易化の御指摘がございました。
 我々も、現在、去る七月から中小企業政策全般について見直しの作業を来春にかけてやっております。その中の一番大きなテーマの一つが、できるだけこの施策を、施策総覧を全部読まないでもわかるような、大ぐくり化をしてわかりやすくしよう、条件がわずかに違うものについてはなるべく統一しまして、中小企業者の方が施策総覧を見てすぐわかるような、そういった体系にしようと一つ考えています。
 同時にまた、貸付手続とかいろんな申請手続についても簡易化をしようということで、今作業を進めております。まさにいろいろ財政当局から予算をとってどんな施策をつくりましても活用されない、あるいは敷居が高いということになりますと意味がありませんので、この点については引き続き作業を続けさせていただきたいと思います。
#23
○前川忠夫君 さまざまな地域の皆さんとの懇談会で必ず出るのはそういうことなんです。ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 そこで、中小企業が業を起こす場合に、先ほどのお話のように資金の問題や何かがあります。もちろん国や何かで支援をいただくというのは、これは一つの手法で、頭から私も否定をするわけではありませんが、これとてもやっぱり限界が私はあるような気がするんです。
 先ほども予算委員会の質疑を私もテレビで見ておりまして、林芳正議員と宮澤大蔵大臣とのやりとりを見ておりまして、私の感じはこういうことなんです。今、日本はなぜこんなにおかしくなっちゃったんだろう。つまり、日本というのはさまざまな優秀な技術、技能があります。勤勉な国民性という点もほかには引けをとらない。お金もあるわけです。個人性の資産というのが千二百兆円と言われていて、けたが大き過ぎてちょっと私どもにはぴんとこないんです。しかも、この千二百兆円というそのお金は、もちろん全部が銀行じゃありませんけれども、ほとんど利息がつかないで寝ているんです。これを活用しない手はないんじゃないかという思いがあるわけです。
 その場合に、先ほどの予算委員会の議論ではありませんが、確かに堅実に堅実にというその意識というのはやっぱり働くわけです。つい十二月の初めからでしたか、銀行が投資信託の業務を始めるということで、銀行の方もいろいろ対応しておられるようですが、銀行だからかたいんだろう、いわゆる元本保証だと。こういうことの質問や、あるいはそれに対してどうこたえるかというふうなことの議論をやっている場面がテレビで映っておりました。
 私は国民の皆さんに、アメリカ並みにとは申し上げませんけれども、新しい業を起こす方々にもう少し支援をするような、そういう環境づくり、例えば、今度の中にも例のストックオプション制度の拡充ですとか、あるいはこれまでもエンジェル税制ですとか、さまざまな手だては講じておられますけれども、長い目で見た場合に、皆さん方の持っているさまざまな資産というものがどういう形で生かされるのが皆さん自身の、つまり国民のためにもなるんだというような、意識改革といったらちょっとオーバーになりますし、国としてやっていいのかどうかはわかりませんけれども、そういう問題について何か大臣御感想ございましたらお聞かせをいただければというふうに思うんです。
#24
○国務大臣(与謝野馨君) 先ほどの予算委員会での林議員と宮澤大蔵大臣の質疑は大変興味深いものがございました。あの中で一つございましたのは、先生今言われたように、国民性と申しますか国民の性格と申しますか、大変堅実な部分が日本人にはあって、なかなか際どいところには投資をしないというような国民性があるんではないかと。私もそうではないかなと実は思っております。アメリカのように一獲千金というような感じはなかなか日本の社会の土壌の中にはないんだろうと思います。
 あの中で宮澤大蔵大臣がもう一つ指摘をされておられましたのは、保証協会の保証、特別枠の設計をデフォルト率五%ということで設計をしたのならば、ベンチャーキャピタルも何らかの形で五%ぐらいのデフォルト率で設計はできないのか、そういうこともそろそろ国として考えた方がいいよということをおっしゃっていたんだろうと思います。
 ちょうどお昼休みに入りましてから同じことを立ち話で宮澤大蔵大臣が言われておりまして、国民がなかなか率先してそういう方面に出ていかないということであれば、国といいますか、国というのは国民の総体のことでございますから、国としてそういう方面に若干の冒険心を持って出ていくというのも私は一つの方法あるいは方向ではないか、そのように感じたわけでございます。
#25
○前川忠夫君 今、例の年末ジャンボ宝くじを売っております。あれは夢を買っているんだと思うんです。賞金額がも大きくなったから入ってくるということをもちろん期待している人はいるかもしれませんけれども。それから、もちろんこの宝くじだけじゃなくて、パチンコ産業というのは、日本独特の産業があれだけの巨大な産業になっているわけです。だから、あれもある意味では夢ですね。ざっとナンバーがそろったらじゃらじゃらと出てくるんじゃないかという夢ですね。
 私は国民性というふうにあれしましたけれども、例えば中小企業に投資をするということは夢を買うことだというような意識になっていただくということが必要だと。それで最初に戻るわけですよ。その割には中小企業に対するさまざまな仕組みが少し冷た過ぎやしませんかと。いろいろやっているというふうに言われますけれども、少し冷た過ぎるんじゃないか。よし、おれもやってみようという気になかなかなり切れない。また、やろうという人に、おまえやめとけと言う人は、恐らく十人に相談したら十人やめとけと言うかもしれませんが、百人聞いて一人ぐらいはまあやれよと冷やかしで言う人がいるかもしれません。今はそういう状態だと思うんです。
 ですから、新しく業を起こす人たちに夢をかけるようなそういう環境づくりにやっぱり国というのは私はなるべきだと。そのことが次の、例えばアメリカで今新しい時代が始まったというふうに言われていますけれども、恐らくあれまでの間にはさまざまな苦悩が、もちろん政府もあったでしょうし、あるいはさまざまな業界の人もあったでしょうし、あるいは業を起こした人にもあった、あるいはそういう投資をした人にもあったでしょう。結果的には今花開いているわけです。そういう条件をやはり日本の中でもつくり上げていくべきなのではないかというふうに私は思います。
 最後に、中小企業共済制度の意義とそれから中小企業事業団の問題を質問しようと思いましたが、ちょっと時間がありませんので、一言要望だけ申し上げておきます。
 私は、この種の共済制度というのは、例えばお預かりをした資産を運用するわけですから、そのときの金融市場によってさまざまに見直しをしなければならないという事情、それからこういう制度を利用したいという方々もそういういろいろさまざまな仕組みがあるのはわかります。ただ、余りいろんな、例えば通産省の所管だけでもまだほかにもあるわけです。こういう共通する制度についてはできるだけまとめる努力というのを私はやっていただきたい。
 と同時に、例えば貸出金利を変えるあるいは運用のための利率を変えるという場合でも、ほかの制度との連動性というのは当然あるわけです。いずれあそこもおかしくなるはずだよと言っていてしばらくすると出てくるというのではやっぱり困るので、私は、この種の制度というのはある意味では信頼性に基づく、共済というのは特にそうですから、ぜひその点を踏まえてこれからの運用をお願いしたい。これは要望として申し上げておきたいと思います。
 以上で終わります。
#26
○海野義孝君 公明党の海野でございます。
 今、前川委員の方から大分突っ込んだ話が進んでおりますので、私の方からは新事業創出促進法、それからもう一つの小規模企業共済法等の一部改正の二法案について少し御質問申し上げたいと思います。
 今もお話がありましたとおりで、大変環境は厳しいわけでございます。そういった中で、今回の法案の目的、新しい事業に挑戦する人を支援していこう、あるいは深刻化する雇用問題に対応しよう、あるいは市場経済の主体をふやしていこう、こういうようなことで雇用問題と、今後の創業者、そういった方たちをふやしていこう、両面を求めた法案であるというような感じがするわけです。
 大変ここ長期にわたって不況であるということ、こういった中で、先ほどのお話にもありましたけれども、なかなか国民がリスクテークをしない、こういうような環境下にあろうかと思うんです。そういった中でやはり問題は、我が国の開業・廃業状況、こういったものとアメリカの状況と比べますと彼我の差というのは大変極端である。特に近年、我が国におきましては開業率と廃業率を比較しますと廃業の方が上回る。こういう状況でいきますと、言えば企業数が先行きどんどん小さくなっていくということでありまして、かつての我が国の戦後の経済拡大等を見ますと大変対照的な状況になってきておるということでございます。
 いろいろその背景はあろうかと思うんですけれども、直接お聞きしたいのは、我が国でいろいろと試みますけれども新しい創業というのがなかなか活性化しない。その原因を挙げていただき、そして今回の法案でこれに対しての具体的な対策についてこうこうであるということを簡略御説明いただきたいと思います。
#27
○政府委員(江崎格君) 日本でなかなか新規創業が活発に行われないということの原因でございますけれども、この春に発表されました中小企業白書にも指摘されておりますけれども、四つほどのことが言われておりまして、一つが資金調達面で、新しく創業しようというとなかなかその調達に困難を来すということ。それから人材の問題でございますけれども、これも人材の発掘あるいはその育成が難しいということも言われております。それから技術開発面におきましても、新しく事業を起こしていくという場合に、その技術開発の点で非常に困難に遭うということが言われております。それから四点目としまして、経営とか販売についてのノウハウが不足しているというようなことが指摘されております。
 今回御提案しております法案におきましては、私どもこれらのことへの対応ということを念頭に置きまして、一つは、創業者などが行います試作品の開発などに対しまして中小企業事業団による助成制度を創設するということを考えております。それから、同じく資金の面でございますけれども、新たに事業を始める創業者を対象にしまして、新しく債務保証制度を創設するということを念頭に置いております。それから、人材の問題でございますけれども、これは開業間もない中小企業の人材確保を少しでも円滑にするということで、ストックオプション制度の特例を創設するということを盛り込んでおります。それから、中小企業に対しまして特に重点的に研究開発予算を投入するということも盛り込んでおりまして、これは研究開発、技術面の支援をしようということでございます。それから、全般的な情報、経営、販売等のノウハウの不足に対する対応といたしまして、地域におきましてインキュベーター施設がございますが、この整備を図るとか、あるいはテクノポリス財団などによります新事業支援機関の統合・ネットワーク化を図るということを考えました。
 これらによりまして研究開発から事業化までの一貫した支援策を提供するというようなことで、今五つほど申し上げましたけれども、こうした国の施策によりまして創業時における制約要因を克服したいということを考えた法案でございます。
#28
○海野義孝君 簡潔に一応御説明いただきましたけれども、私も何回もこの法案をいろいろ読んでみましたけれども、なかなかわかりにくい面があります。今回のこの法案に関係して、今回の補正予算の中では具体的にどういった項目についてどのぐらいの予算措置を考えておられるか、その点おわかりでしたらちょっとお聞きしたいと思います。
#29
○政府委員(岡本巖君) お答え申し上げます。
 今度の補正予算において、この法案に直接関係するものとしまして百二十四億、密接に関連するものといたしまして八十三億、計二百億余の補正予算をお願い申し上げているところでございます。
 主要なものとしましては、中小企業事業団によるベンチャー予備軍発掘・支援のための事業でありますとか、あるいは新規開業に対する債務保証を行う産業基盤整備基金への出資、それから地方におけるインキュベーター整備のための地域振興整備公団に対する出資の追加等でございます。
#30
○海野義孝君 今の中では一番大きなあれは何でございますか。
#31
○政府委員(岡本巖君) 金額的には産業基盤整備基金による債務保証、それから一部同基金で新しい事業を起こす会社に対して呼び水的に出資を行うという、その両方の目的のための出資の追加百一億というのが一番大きい項目でございます。
#32
○海野義孝君 来年度の予算の中で景気対策の臨時緊急特別枠というのが設けられていると思うんです。その産業再生計画の具体化に向けての施策を中心に今回の法案は立案されているのではないかと、このように思うわけですけれども、産業再生計画の中での具体的なものとしてはこの法案の中ではどの関係になるんでしょうか。雇用問題でしょうか、ちょっと教えてください。
#33
○政府委員(岡本巖君) 産業再生計画で目指しておりますところは、十五分野を初めとする新しい事業を伸ばしていく、そのための技術開発の投資を国の予算においても民間の研究開発投資においてもふやしていく、そのための税制のようなものも視野に入れておりますし、それから新しい事業を起こしていくための一連の規制緩和のようなもの、それから日本の産業の競争力を強化する、あるいは事業の効率化をさらに進めるための基盤としての物流の合理化をさらに進めるとか、情報化をさらに大きく進めるための投資を拡大していくとか、そういった広範な内容を含んでおるわけでございます。
 その産業再生計画の中の重要な一つとして、私どもは新規の開業支援というものを位置づけておりまして、この法律はその新規開業支援ということに向けて、個人による事業の新しい創業、それから既存の企業の経営資源を活用しながら行う分社化という対応における新規事業というものを支援する、そういうことを中心にして御提案申し上げているものでございます。
#34
○海野義孝君 先ほど補正予算の中で今回の法案に関係します予算としましては百二十四億円と、そのようにお聞きしました。これは補正予算の中ということでありますが、今おっしゃられたことからいいますと、これから予算編成をしていくわけですけれども、平成十一年度の中では今おっしゃったような問題についての、やや長期的な視点に立って相当大きな規模での予算を今お考えになっているかどうか、その辺はどんな感じでしょうか。
#35
○政府委員(岡本巖君) まさに先生御指摘のとおり、私ども、一連の今申しましたような技術開発のための国の研究開発予算の拡大でありますとか、情報化のための新しいインフラ整備のための予算とか、そういったことではより大きい金額の予算要求もいたしております。
 他方で、今回補正予算の中でお願いをし、それを実施するためにということもあって本法案を御提案申し上げているものでございますが、直接及び密接関連で二百億強でございますが、少しでも急いでそれを実施に移して、新しい雇用機会の創出ということに向けての政府の支援策をできるだけ早く実施に移すという、そういうねらいのもとに本法律を御提案申し上げている次第でございます。
#36
○海野義孝君 ちょっと次のことを、これ私いろいろ調べてみたんですが、アメリカではいわゆるSBIR制度、小規模企業のイノベーション関係の研究調査という制度で、連邦政府で十一の省庁及び関連機関、こういったところの研究開発の予算というのが九六年の十二月に二%から二・五%に増枠になったということで、この分を中小企業向けに支出することを義務づけていると。この点が事実かどうかという点。
 それから、この制度によりまして中小企業の効率的な技術開発の促進に役立っている、いわゆる研究開発型のベンチャー企業の育成に寄与しているということが言われているようであります。何か我が国におきましてもこういった制度の日本版の導入、さっきもちょっとその辺のお話が出ていたようでありますが、検討されたと。しかしながら、今回の法案におきましては、特定補助金等の中小企業等への支出機会の増大のための努力ということを盛り込むにとどまっているというようなことだと思うんです。アメリカではかなり思い切ったそういう研究開発予算を中小企業に支出するということを義務づけているようですけれども、こういった方式を我が国に導入するについて、どうもちょっと今回の法案ではやや不足というか、何かいろいろ条件の面でネックというか障害があるのかどうかというような点をお聞きしたいと思うんです。
 それと、通産省としまして、このアメリカのSBIR制度、これをどう評価されているか、その点についてお願いします。
#37
○政府委員(鴇田勝彦君) ただいま御指摘いただきましたSBIR制度、米国で一九八二年に立法化が図られております。それから十数年がたっておるわけですが、我々としましては今回、この第三章におきまして「中小企業者の新技術を利用した事業活動の支援」という、法案の中に一部用意をさせていただいておりますが、参考にさせていただきましたのは、まさに委員御指摘のように米国のSBIR制度でございます。
 その後、先に評価の方を申し上げますと、これSBIRだけが原因なり役割を果たしたということではないかもしれませんが、私どもいろいろ米国のベンチャー輩出のぐあいを調べさせていただきますと、例えば一九九二年から九六年までの四年間に日米間で中小企業が雇用を新たに創出したそういった統計を見てみますと、米国の場合には九二年から九六年の五年間で千百八十三万人の雇用増が中小企業において見られておりますが、我が国におきましては二百六万人ということで約六分の一ぐらいのウエートになっております。
 具体的にこのSBIR制度にのっとりまして、米国におきましては、例えば八三年、法律ができた翌年の中小企業向けの研究開発委託費というものは、当時、邦貨に換算をいたしまして我が国と同じような十億円程度だったわけですが、委員御指摘のように、九七年には二・五%という目標といいますか義務づけもございまして千四百億円という実績になっております。
 私ども日本におきましては、過去八三年には十億で同じだったんですが、九七年の実績で申し上げますと、純粋に中小企業向けの技術開発予算というのは六十二億円程度でございますから、これは二十五分の一ぐらいの格差がこの十数年の間に生じてしまったということでございます。
 ということで、本法案にいわゆる日本版SBIR制度を提案させていただいておるわけでございますが、このSBIR制度の構築につきましては日米間でいろいろ制度の違いがございます。
 例えば、米国の予算制度におきましては、我が国の単年度予算主義に対しまして、プロジェクトごとに多年度にわたりまして予算が設けられる、計上されるというような点も一つございます。それからもう一点は、先ほど申し上げたように、ベンチャーキャピタルの中小企業の研究開発なり起業家に対するお金の流れというのが大分彼我の差がございまして、これは米国の場合で九六年、ベンチャーキャピタルの投資額百億ドルでございますから約一・二兆円と計算をいたしますと、それに対して我が国では約二千四百億円しかございません。こういった点も我々が制度を構築するに当たって考慮した点でございます。
 したがいまして、第一には起業家のための法制度といいますか枠組みを、この法案の中では中小企業投資育成会社の投資基準の特例を設けてございますし、あるいは信用補完制度についても法的な手当てをして特例を設け、実際に開発が行われた後の企業化、実用化がされやすいようにしたいと考えております。
 もう一点、二・五%のターゲットといいますか目標でございますが、米国におきましても制度発足当初は〇・二%ぐらいで始まってきております。私どもも、今回の法案の中で、通産省及び研究開発予算を持っておられる省庁との間でいろいろ話し合いをしまして、法律上、申し上げますと特定補助金等という、中小企業向けに活用されるべきそういった補助金とか委託費を指定いたしまして、これは政令で指定をいたしますが、それに基づきましてそれらの当該年度における支出の目標額というのを各省連携の上で閣議決定をして目標値を設定いたします。こういった手法によりまして、具体的に目標値及び結果の実績値についても法律上公表させていただく。目標実施には、先ほど申し上げたように閣議決定ということで、各省大臣連携の上で、合意の上で決めていただくということでございますので、米国の制度と全く同じ形にはなっておりませんが、我が国の制度、土壌に合ったような形でこういった制度をつくらせていただきたいと考えております。
#38
○海野義孝君 大分詳しくいろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。
 問題は、先般この委員会でもやりました中心市街地活性化等の問題につきましても、たしかあれも十一省庁ぐらいが関係してきているということでその辺の縦割り行政の問題と、横断的な予算のそういった配分等についての問題点があるんです。何かアメリカの場合は、十一の省庁あるいは関係機関等それぞれ比較で、そういった点では横断的に、二・五%という中小企業向けの研究開発の助成といいますか、そういったものが行われているように思いますので、我が国でもそういった点がやっぱり問題ではなかろうかと思います。これは御答弁いただかなくても、そういった点を今後はひとつ前向きに改善していただきたいと思います。
 次に、これもさっき前川委員の方からもお触れになっておりましたけれども、産業立地に関連したいろいろな法案がこれまでも次から次へと出ては消え出ては消えというようなことであるんですけれども、今回もまたテクノポリス法それから頭脳立地関係、これが廃案になって新しい法案に一本化されていく、こういうことであります。そういったことは、それはそれでと思いますけれども、その前に、この点については十分な評価といいますか、そういったことをまずするということがやはり大事ではないかなと思うんです。
 特に、昭和五十八年に制定されたテクノポリス法、それから六十三年に制定された頭脳立地法、これはいずれも昨年たしか修正もされているというふうに記憶しているんですけれども、それが今回新しい新事業創出促進法案が成立すれば発展的に解消する、こういうことであるんです。確かに、たまたま両法ともに二十六地域においてそれなりに地域の核となって技術とか産業が育ちつつあるという点は評価できるし、割合効果も高いということも先ほどのお話の中にもありましたけれども、具体的な予算を投じられてその効果という面で法律を廃止されるに際して評価を総括すべきじゃないか、こう思うんですけれども、どのようにこれ具体的に対処されているか。
 それから、法律を廃止するについての経過措置という点で、これは一体具体的にいつまでにどのようにされるかという点、お願いいたします。
#39
○国務大臣(与謝野馨君) テクノポリス法及び頭脳立地法に基づいて地方自治体が地域の特性に応じて創意工夫を生かした取り組みを行った結果、各地域に特色ある産業集積や研究集積が形成されつつあります。これらの地域においては、バブル経済の崩壊や産業の空洞化の進展等我が国経済環境の変化にもかかわらず、例えばテクノ二十六地域全体の年間の工業出荷額が昭和五十五年から平成七年の約十五年の間に約二十兆円から約三十七兆円へと約十七兆円増加をしておりまして、これは八四%の伸びでございます。
 これに対しまして、投入されました支援策の方は、地方自治体による団地造成、テクノポリス財団等の産業支援機関による進出企業や地元企業に対する支援といいました企業誘致や内発的発展に向けた自主的、主体的な取り組み、あるいは国による税・財政上の支援策等、さまざまな支援策が講じられてきたわけでございます。
 新法は、テクノポリス法、頭脳立地法の成果でございます産業集積また研究集積を新たな事業を創出する苗床として最大限活用するとともに、起業家が求める支援施策を適時適切に提供するための総合的な支援体制の整備を既存の地域の産業資源の活用を図りながらあわせて行うものでございまして、二つの法律の成果を踏まえた上で施策の充実を図るものでございまして、廃止はされますけれども、新法制定に伴いまして地域における新事業創出の動きが加速されるということを期待して法案をお願いしているわけでございます。
#40
○政府委員(太田信一郎君) 海野先生が御質問になられた経過措置の点については、当然のことながら、私どもとしては、新しい法律を制定された暁には、それぞれの都道府県がテクノ地域、頭脳地域を新しい集積地域として設定されることを期待はいたしますが、仮にそうでない場合には、当然経過措置が設けられておりまして、原則平成十六年度末まで、いろんな形で支援させていただいている措置は有効となります。
#41
○海野義孝君 大臣から御丁寧に御説明いただきましたけれども、これまで両法による計画地域というのは、同一地域を対象に実施されているという事例が見てみますと確かに多いわけなんです。
 または、地域産業を含めて、新たな事業の創出に関する法律への統合と施策の一体的推進のためにということであります。産業立地政策と地域振興施策との総合的というか、あるいは有機的連携をこれによって推進するということはわかりますけれども、これまで、両法によりまして企業誘致とかあるいは公共投資、租税特別措置法等によるいろいろな手だてを講じられてきたわけですけれども、そういう両法によって地域経済を支えてきた時代というのがもう過ぎたというような認識でいいのか。そういうことではなくて、むしろ新法によってそういう地域における新しい高度技術の開発を地方自治体においてこれから基本計画に沿って進めていく、そういう面であるのか。
 これまでの法案というものがここで発展的に解消というけれども、私は、それはそれとして、さらに基本的な産業政策というか、そういうものについてもっと議論する方がより有要ではないかというふうに思うんですけれども、大臣その辺どうですか。
#42
○国務大臣(与謝野馨君) 確かにこの二十年間、我々が余り予想しないことが起きたと私は思っております。
 それは、何といってもアジアの国々がある一定水準の技術を取得して、そして大変な勢いで伸びてきたわけでございます。アジアの国々が担った産業分野というのは多くは日本と共通している部分がありました。また、日本の産業も生産拠点をこれらの国々に移したという事例がたくさんありまして、いわば生産拠点が空洞化されるという現象も一方では起きたわけでございまして、これらは比較的想像しなかった事柄ではないかと私は思っております。
 しかしながら、それでもやはりテクノポリス法、頭脳立地法は、私は結果的にはよく頑張って結果を出したと思っておりますし、ただいまの出荷額のほかに、やはり地域の経済をある意味では活性化し、雇用を確保し、それなりの私は目的を達成してきたというふうに積極的に評価いたしたい、そのように思っております。
 ただ、先ほど前川先生にも御答弁申し上げたんですが、新規新規と言って新規だけに夢中になっておりますと、実は新規というのは大変時間がかかります。立ち上がりというものはそう簡単なものではございません。一方では、失業率が四・三%になって雇用不安が起きているということでございますから、やはり既存の産業の力も強くする、雇用吸収力も強くするという政策も一方では並行してとっておりませんと、まだ見ぬ新規産業にすべてをかけて物事をやっていくというのはそう賢明なやり方ではないというふうに思っておりまして、やはり基礎としては、日本の経済をマクロ的によくするということに腐心をしなければならないということも一方ではあるのだろうと私は思っております。
#43
○海野義孝君 この法案につきましては、十年以内にまた見直しをするというふうなこともたしか盛られておったと思いますので、そういう意味では、これからの十年というのは、この法案が具体化したときに効果を発揮するということを期待したい、このように思います。
 時間もあと数分ですので、もう一方の法案の小規模企業共済法関連について一問だけちょっとお聞きしたいと思います。
 近年大変金利が激動しておるということでありまして、今急激に金利は低下している、預貯金などはほとんどもうただ同然みたいな金利になってきているということなんです。
 そういったことで、実は共済制度における共済金の運用による予定利率というのも五年ごとに見直しをされているということでありますが、平成六年に次いで今回見直しをする。これまでの四%、実質的には運用利回りは三・六ぐらいというように資料で拝見しましたけれども、この四%を二・五%にするという問題でありますが、中小企業事業団が運用しているということで、要するに年間六十億ぐらいの補助金をもらっている、こういうことなんです。
 今回、四%から二・五%にというようなことにつきましては、類似制度の中小企業退職金共済とかいろいろな共済、これはたしか今三%ぐらいだと思うんですけれども、そういった中で、これは一応四%から二・五というようにかなり下げられるんです。一方では、貸付制度における金利は具体的にどうされるかという問題と、これを機に、そういった中小企業事業団の運用について、専門家あるいは外国のそういった運用業者、いろいろなものを含めてより効率的な運用等について十分にお考えになったかどうか。
 それから、思い切って二・五に下げられるということについては、これまでの経営状況からして、それからもう一つはそういった類似制度の予定利率等々から見て、これは私はいささか予定利率を下げ過ぎるんじゃないかというような感じもするんですけれども、その辺についてはどんなお考えでしょうか。
#44
○政府委員(鴇田勝彦君) ただいま委員から三点御質問を受けたと思います。
 第一点は、今回の事業団法の改正をいたしまして、契約者に対する還元融資制度につきまして改善を図ることといたしております。福祉対応貸し付けということで、事務所やあるいは住宅のバリアフリー化を図るための資金、あるいは介護施設等々を購入される資金について共済契約者については特別低利の融資を差し上げようという制度でございます。
 全体といたしまして運用金利を四・〇から二・五に下げます。したがいまして、従来、一般貸付制度とか、創業転業時貸付制度、それぞれ四・五%、三・八%でやっておりましたが、この運用金利の引き下げに見合った形でこれらについても引き下げを行う予定でございますが、新たに設けます福祉対応貸し付けにつきましては、現下の財投金利一・一%、これに毛が生える程度の低金利で貸し付けを申し上げようという前提にいたしております。数字については現在財政当局と折衝中でございますので、いずれにいたしましても二・五%をはるかに下回る低金利で新たな貸し付けを開始したいと思っております。
 第二の点でございますが、実際にこの共済制度を運用しております事業団の管理といいますか、そういった諸経費の節約あるいはリストラについてでございます。
 御承知のように、資料もごらんいただいたと思いますが、今、共済金の運用資産、掛金の累積でありますが、これは二年ごとに一兆円のベースでふえてきております。したがいまして、貸付件数あるいは手続のコストというのは上がってきております。
 また、片や、衆議院の商工委員会でも御指摘をいただきましたが、運用についてより効率的な資産運用をすべきであるということで、そういった運用面での専門家をできれば配備したいというような人的な面での増要因がございますが、これについてはほぼ横ばいということで抑えさせていただいております。
 それから、実際にお国からいただきます補助金、事務コストにつきましても大蔵省の大変厳しい査定を受けておりまして、その中で必要な人数なりあるいは必要な機能を確保するように従来からも努力をいたしております。これからもやらせていただきたいと考えております。
 それから第三点目の話は、運用利率四%を二・五%にいたしますというのは、現在いろいろやっております資産運用につきまして、今後五、六年程度の間の見通しを何種類か立てさせていただきました。現行の四%でやりますと、繰越欠損金というのが十年度でほとんどありませんが、十六年度には七千六百億ぐらいになってしまうということで、これはもういじらざるを得ないということでございます。御提案をいたしております二・五%ベースでやりますと、繰越欠損金というのが十三年度から十六年度にかけましてほぼ千数百億、欠損ではありますが安定をいたしますので、その限りにおいては小規模企業共済制度の運営基盤に大きな害はないだろうということで、ぎりぎり二・五%という運用金利を設定いたしました。
#45
○海野義孝君 終わります。ありがとうございました。
#46
○山下芳生君 新事業創出促進法案について質問をしたいと思います。
 まず、大臣の新事業創出についての御認識を伺いたいのですが、私も新事業の創出を促進すること自体は中小企業と地域産業の発展にとって必要なことであると考えております。
 そのために、例えばベンチャー企業に対する創業初期、いわゆるアーリーステージからの支援体制を充実させることでありますとか、あるいはアメリカに見られるように、地域の大学や公的な研究機関あるいは金融機関あるいはまた専門家、ボランティアが力を合わせて、資金や物的担保はないけれどもアイデアや意欲は持っている起業家をいわば地域ぐるみで育てていく、そして地域に新しい産業を根づかせていく、そういう体制をつくることも大事だということを当委員会でも問題提起させていただいてまいりました。
 そこで、新たな事業創出についての必要性や重要性について大臣の認識を伺いたいと思います。
#47
○国務大臣(与謝野馨君) 新たな事業を起こすというのは相当勇気の要る話でございますし、ただ意欲だけあっても事業は起きないわけでございます。やはり、そういう新しい事業に対する意欲というのは新しい技術によって支えられている場合もありますし、アイデアを組み合わせて消費者のニーズに合わせたような事業を展開するという場合もありますし、地域が必要としている、あるいは地域の特性を生かした事業をやろうという場合もありましょうし、いろいろなものがあるわけでございます。
 しかしながら、ただただ意欲だけではだめでございまして、新しい技術に基づいて事業を起こそうという場合には新しい技術に対する確固たる確信も必要ですし、それを支える技術者も必要であるわけです。
 そういうことに共通してありますことは、今先生おっしゃったように、立ち上がりの時期というのが最も大変なわけでございます。立ち上がって失敗する場合もありますし、立ち上がって成功する場合もあるでしょうが、少なくとも立ち上がるというところまでは、先生言われたような地域で応援するということも一つの方法、あるいは国がいろいろな制度をつくって応援するということも一つの方法。立ち上がりのところの支援というのは共同体でやる必要があると私は思っております。そういう意味では、どういう応援をするのかといえば、立ち上がりのときの事業資金とかあるいは技術とか人材の確保とか経営のノウハウとか、いろいろ新しい事業に必要な環境整備、適当な言葉かどうかわかりませんが、必要な環境と申しますか必要な要素というものを一定限度国や地域社会が用意することだろうと思うわけでございます。
 すべて用意しますとこれはベンチャーにはならないわけでして、あるスタートの立ち上がりのところを少しだけ助ける、後は自分で立って進んでいく、そういう私はイメージを持って今回の新規企業の創出ということをイメージしているわけでございます。
#48
○山下芳生君 非常に共通する認識であるなというふうに思いました。
 そこで、本法案についてお伺いしたいんですが、本法案はそういう点では個人に対する創業支援など評価できる部分ももちろん入っております。同時に、疑問を抱かざるを得ない問題点も私はあると思っているんです。
 その一つが創業支援の問題で、法案には「創業等」という定義があります。三つの類型が書いてある。一つは、「事業を営んでいない個人が新たに事業を開始すること。」。二つ目に、「事業を営んでいない個人が新たに会社を設立し、」「事業を開始すること。」。ここまでは理解できるんです。今大臣がおっしゃったように勇気のある必要なことですし、立ち上がりが大事だということで、それに対する支援だと思います。問題は、三つ目に、「会社が自らの事業の全部又は一部を継続して実施しつつ、新たに会社を設立し、」「事業を開始すること。」、こうあるんですが、ここには企業が既存の事業部門を子会社化あるいは分社化することも含まれているというふうに聞きました。
 そこで伺いたいんですが、なぜこういう分社化が「創業等」という概念に含まれるんでしょうか。
#49
○政府委員(岡本巖君) 私ども今回御提案申し上げている法律の中で、創業ということで、今先生御指摘のとおり、個人による創業に加えて既存の企業の分社化という形のものを創業と位置づけて法律が予定している支援を適用するということにいたしているわけです。
 そこにおける基本的な考え方は、既存の企業というのが、大企業あるいは中堅、中小ともにでございますが、人の面あるいは設備の面、技術の面、これは既存の特許でまだ使われていないようなものも含めまして技術の面あるいは資金の面、いわゆる経営資源という面で既存の会社というのが新しい事業というのを起こすのに必要なものを備えている。これを新しい事業に向けて戦略的に活用していただいてチャレンジをしてもらうというのがねらいでございます。
 加えまして、それを分社化という形でやるところに着目して法律上位置づけて支援を適用するということにいたしているわけですが、その考え方というのは、経済雑誌とか経済学者の方々もいろいろ御指摘なされているような三つの要素があろうかと思っております。
 一つが経営責任の明確化ということでございます。それから二つ目に、意思決定の迅速化ということで、消費者あるいはマーケットの新しいニーズというものにこたえて迅速に事業化の意思決定をして取り組んでいくという意思決定の迅速化という面でございます。三番目に、スペシャリティーを有するような人材を適切に処遇するための環境というものを新しい分社化という会社において用意することができるであろう、そういう三つの要素がしばしば指摘されているわけでございますが、そういうことに着目して私どもは既存の会社が分社化という形で取り組むものをこの法律の中に位置づけて支援をしていくということにいたしているものでございます。
#50
○山下芳生君 既存の企業が経営資源を生かして新しい事業に活用する、これは創業というふうに私も理解できるんですが、広辞苑を引きましても、「創業」とは「事業を新しく始めること。」と、やっぱり新しい事業がないとどうも創業というイメージが私は理解できにくいんです。
 もう少し突っ込んで聞きますけれども、いずれにせよ法案では分社化を創業等とみなす、さらに一定の要件を満たせば事業革新法によるさまざまな支援措置を講ずることになる。これは間違いないですね。
#51
○政府委員(岡本巖君) 本法及び事業革新法の支援措置の適用があり得るケースでございます。
#52
○山下芳生君 そこで、事業革新法を見ますと、事業革新とは何かということが厳密に定義をされています。
 第二条に、「「事業革新」とは、」「事業の分野又は方式の変更であって、次に掲げるものをいう。」「一 新商品の開発及び生産」「二 新たな生産の方式の導入又は設備の能率の向上」「三 新たな販売の方式の導入」「四 新たな原材料、部品」「の使用」等々ですけれども、事業の革新というのはこういう内容を含んでいるんだという定義があるんです。
 そこで伺いますけれども、この定義に基づく事業革新の内容が伴わなければ今度の法案による創業等とみなされる分社化に対して支援措置が受けられないんでしょうか。
#53
○政府委員(岡本巖君) 新法で支援対象として位置づけておりますのは、目指しておりますのは、法律の二条にあります創業というところの定義にあるそういう態様を既存の会社が分社化という形をとって、先ほど申しましたような意味において三つの意義を有しているというふうに私ども認識しておりますが、そういう態様で事業をやっていくもの、これを創業と位置づけて支援の対象としようと考えているものでございます。
#54
○山下芳生君 つまり、現在の事業革新法で言う事業革新を伴わない既存の事業部門の分社化も支援されるということですね。
#55
○政府委員(岡本巖君) 既存の事業を分社化という形で引き続きやっていくという場合も、私ども、今度の法律の対象にするということで考えております。ただ、その点でぜひ申し上げておきたいのは、単なるペーパーカンパニーをつくるとか損切りなり不良債権をそこに寄せるための分社化をやるとかそういうものはだめで、法律上もその特定会社の従業員を活用するあるいは特定会社の技術、設備、その他の資源を活用するものに限るということで明記をいたしているわけです。そういう内実を伴った創業というものをこの法律で支援の対象にしてまいる考えでございます。
#56
○山下芳生君 もちろん、不良債権の処理とか損切りというだけじゃなくて、今やっている事業が分社化される、そこに労働者ももちろん移動されるわけですから事業は営むわけです。しかし、現行の事業革新法で言うそういう内容は伴わなくても分社化そのものが今おっしゃられたそういう意義があるとみなして支援すると。
 これは大臣、大臣が冒頭述べられた新しい事業を創造するということに含めてしまっていいんでしょうか。
#57
○政府委員(岡本巖君) 重ねて御答弁させていただきますが、巨艦タイタニックの一部門として事業の経営責任というものを、独立採算でやっているわけではございませんから明確には自覚しない、そういう態様でやっていたものを、真剣に事業の経営責任を自覚し、それから給与の体系その他においても本当にコアになるような方々は外から有為な人材を持ってきて事業のさらなる発展というのを目指してやっていく、そういう内容を伴うような既存事業を分社化という形でやっていくものというのも十分考えられますので、そういうケースについては私どもはそれなりの政策的意義ありと考えて今回の法律の適用対象になる創業として位置づけたいというふうに御提案申し上げているものでございます。
#58
○山下芳生君 なかなか私は理解できないんですけれども、今さまざまな企業や産業分野でそういう分社化によるリストラというのが流行しております。そこで一体どういう事態が進行しているか。
 例えば、日立製作所はエアコンや冷蔵庫などを製造している部門を七月一日付で別会社化いたしました。従業員約二千五百人のうち製造部門の約一千人を新会社日立栃木テクノロジーに出向、転属させました。そこで、やはり労働者の労働条件がかなり下がっています。五十歳未満は出向扱い、五十歳以上の方は新会社へ転属させられて賃金の三〇%がカットされるというふうに聞きました。それから東芝でも、東芝三重工場が今の敷地内に新会社をつくる。そこへ約三百名を移籍させるわけです。その労働条件は約二割の賃金ダウンとなる。それから、繊維産業でもユニチカ、繊維事業部門の分社化などで全従業員の三分の一に当たる千二百七十人の削減を今提案されているそうです。賃金は、三十歳以上四十五歳未満で基本給の一〇%、四十五歳以上の人は二〇%の賃下げの提案だそうです。
 これはどれも既存事業部門の分社化なんですが、ほとんど例外なく分社化に伴って賃金カットなどの労働条件の切り下げが行われている。新事業の創造はなしに既存事業の部門の分社化だけで、あるのは労働条件切り下げ、こういうリストラ、分社化まで支援していいのかなと私は率直に思うんですが、これは大臣、いかがでしょうか。
#59
○国務大臣(与謝野馨君) 今の場合ですと、実は冷蔵庫、家電というのは国際競争力を失いつつあるのだろうと私は思います。東南アジアでも立派な冷蔵庫、立派なテレビをつくっておりますし、恐らく当該の会社は、場合によってはその部門から撤退をしてもいい、あるいはその部門をやめてしまってもいいというふうに考えても不自然ではない。現に生産拠点を海外に持っているわけですから、そういう経営判断もあり得るわけでございます。
 しかしながら、経営者としては、雇用を維持するということもまた経営者の責任であって、その事業部門を継続して雇用を確保するためには一体どういう方法があるかといえば、それは分社化をして若干賃金体系を変えるということ以外にないという、私の想像ですけれども、恐らく経営判断をされたのだろうと思います。
 そこで、いっそのことやめてしまった方がいいというふうに物事を進めていくのがいいのか、あるいは若干労働条件を低くして、それを労働組合の皆さんに御理解いただいて事業を継続していくのがいいのかということは、恐らくやはり労使の話し合いによって決まってくることだろうと思います。
 そこで、そういう分社化というのは、順風満帆のところが分社化をするというケースというのは比較的少ないのだろうと思います。分社化は分社化の事情があって、大変苦しいところで分社化をするわけでございますから、ある意味ではそこで新たな立ち上がりというふうにお考えいただければ今回の法律の対象になるということは私は不自然なことではない、私自身はそのように理解をしております。
#60
○山下芳生君 私は、やはり企業の社会的責任という面からも企業の経営形態の変化というものは見なければならないと思うんです。
 国際競争力が激しくなっているのはこれは事実です。しかし、それを理由にして、だからといって、海外にどんどん生産拠点を移転していく。これまで地域経済の中で重要な役割を担い、また下請企業からいろんな支援を受けてきた企業が本当に何の相談もなく海外に出ていくということが起こっておりますけれども、それでいいんだろうか。また、労働者に対しても企業は雇用の責任ということを果たすべきであるし、それがなかったら地域経済に対して大変大きな打撃を与える。日立も、今言った例だけじゃなくて、全体で四千人の人を減らすということが、今地域の、町全体の問題になっているというふうに聞いています。
 だから私は、そこはおのずから経営判断という面だけで見るわけにはいかない企業の社会的責任という側面があると思うんです。である以上、そういう企業の分社化に対して支援する限り、総合的なそういう観点を持って、政府として支援するんですから、やらなければならないんじゃないか。一方的に、経営の判断はこうだ、仕方がないであろう、分社化に当てはまるから支援しようなどということでは、これは長い目で見て地域の皆さんの理解を得られないし、やはりそういうことを続けていくことが総理がよく言う不況の環を逆に促進することにもなるんじゃないか。
 そういう観点が必要だという御認識はいかがでしょうか、大臣。
#61
○政府委員(岡本巖君) 私ども、この法律の中で、支援の対象として読みかえで事業革新計画の承認という手続に結びつけているわけでございます。支援の対象はそういう形で特定をすることにいたしておりますが、その際には、法文の中にも書いておりますけれども、実際の運用として申し上げれば、労働者、多くの場合は組合だと思いますが、組合の方々の御理解をいただいてその上で分社化という形での新しい事業に乗り出していく、そういうものを私どもは支援の対象として承認していくということで、そういった趣旨の要件を法律の中に、事業革新法のときからそうでございますけれども、明定をさせていただいておるところでございます。
#62
○山下芳生君 労働組合の理解と協力を得るという条文があるのは承知しております。しかし、理解と協力があればいいというものでもないと私思うんです。もっと広い意味で地域経済に対する責任という側面も考慮しなければならないんじゃないか。同時に、失業の予防、雇用の安定に努めなければならないという条文もあります。
 しかし、私、お手元にお配りした資料を見ていただきたいんですが、現行の事業革新法に基づいて承認された企業が、その後、従業員をどのように維持してきたのか、あるいは維持しなかったのかという資料であります。これは、承認企業というのは現在百十五社ありますが、上場など六十二社、数字がわかるものをリストアップいたしました。
 これを見ますと、事業革新法で承認された企業全体を合わせますと、九五年三月で四十二万一千三百八十二人の雇用があったのが、三年後、九八年三月には三十六万四千五百六十人と、五万六千八百二十二人減っております。三年間で一三%雇用が減った。雇用を維持したのは二社だけなんです。これは、経企庁の九七年の資料ですけれども、製造業全体が過去三年間で大体マイナス二%。ですから、製造業全体、他の企業と比べてみても、この承認企業の方がうんと雇用を減らしているということが明らかになっているわけです。
 こういう企業というのは、設備投資のための減税でありますとか産業基盤整備基金による債務保証などさまざまな支援措置を政府から受けている。そして、失業の予防、雇用の安定に努めなければならない、こう法文では書かれているそういう承認企業なんです。それがほかの企業以上に猛烈な人減らしを行っている。
 これは私は大臣にぜひ考えていただきたいんですが、公的資金による資本注入された銀行が中小企業に貸し渋っていることが非常に国民的な批判を呼んでおりますけれども、これよく似ているんじゃないか。政府の支援を受けた企業、雇用の安定維持ということをやらなければならない、努力しなければならない企業が、逆に他の企業よりも人を減らしている。これでは国民の理解を得られないんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。大臣、どうですか。
#63
○政府委員(岡本巖君) ちょっとその前に。
 突然いただいた資料でございますが、多分会社四季報の従業員の数で各社の九五年と九八年の数字を対比されたものかと理解いたしますが、四季報に掲載されている従業員の数というのは当該会社単体の従業員ということでございましょうから、この間、多くの会社がグループ経営ということでそれこそ子会社をつくっていろんな分野に事業を展開するという面もありますでしょうから、そういった点をあわせて評価するという必要があるんではないかと思いますのが第一点でございます。
 それから、これは先生ももう十分御承知かと思いますが、この間、アジアの金融危機でありますとか昨年来の大変な信用収縮でありますとか、日本経済全体の内外にわたる非常に大きな経済的な環境の変化というものがございますので、そういう事情もあわせ勘案して評価すべきものかと私ども考える次第でございます。
#64
○国務大臣(与謝野馨君) 個人的には私はこのように考えております。
 人によっては、アメリカ型の市場経済原理がいい、こう言われて、何か日本の雇用慣行とかあるいは経営というものが時代おくれのように言う方もおられますが、日本の例えば労働慣行の終身雇用制度というようなものは私は大変すぐれた制度だと個人的には実は思っているわけです。例えばアメリカのように少し不況になるとすぐレイオフするというような大変不安定な労働慣行というのは、私は、日本の社会には余り定着しづらい、あるいは日本の国民性にはやや合わないような制度だろうと思っております。
 ところが、ここ数年と申しますか、ここ七、八年、大変そういうことがもてはやされまして、一方では経営者の間でリストラばやりになりまして、何か自分の企業をスリムにすることが大変いいことだというふうな錯覚に陥った経営者が実はたくさんいたんではないかと思います。
 実は、リストラというのはその一つの企業にとってはバランスシートをきれいにするという意味では大変いいわけですが、全部の会社がリストラをやるということは全部の会社で不況運動をやっているのとほとんど同じことでございまして、いわば合成の誤謬ということがここで発生するわけでございます。
 そういう意味では、私は、リストラリストラといい、また分社化といい、何か企業経営を合理化していくということが大変近代的な経営というふうに錯覚に陥ることよりは、経営者は従業員の雇用を維持する、そういうやはり社会的責任もまたあるということは自覚していただかなければならないと心の底から思っております。
#65
○山下芳生君 今大臣が懸念されている合成の誤謬というんですか、それを私はこの法案が加速させる懸念を本当に抱かざるを得ないということを申し上げて、終わります。
#66
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。私は、まず最初に、小規模企業共済法の改正問題について御質問いたします。
 今回の法改正の中心的な問題は、制度の根幹であります共済金の引き下げでございます。その理由は、市場金利が歴史的に例を見ない低水準に低迷をしているということから、現行四・〇%の予定金利が確保できないからこれを二・五%に下げるんだ、改定せざるを得ないと。これは平成七年に続いて二回目の共済金の引き下げでございます。小規模な個人事業主が加入者の大半を占めているこの共済制度、加入者にはこの低金利政策の責任はございませんね。
 政府がつくっておりますこのパンフレットを私は見せていただきました。「中小企業事業団のご案内」というところにこんなふうに書いてあるんです。「小規模企業の個人事業主や会社等の役員が廃業・退職した場合、その後の生活の安定や事業の再建などのための資金をあらかじめ準備しておく」ためにこういう共済制度ができたんだと。そして、「この制度はいわば、国のつくった「事業主の退職金制度」といえるものです。」とちゃんと書いてありますよ。「国のつくった」というふうに書いてあるわけです。
 私は、ここまでPRをしていらっしゃるのであれば、こういう低金利政策に何ら責任のない方々の共済金の引き下げというふうにするのではなくて、低金利政策の是正とともにこの共済金の支給に必要な財源を出資金だとか補給金の増額などで、まさに国の責任で行うべきだと考えますが、大臣いかがですか。
#67
○国務大臣(与謝野馨君) 共済制度というのはいわば助け合い運動でございまして、実は税の世界とは全く違う世界にあるものだろうと思っております。
 四%が二・五%に下げたというのは大変残念なことでございますが、お預かりしているお金を四%で回すということを約束すること自体多分できないことを約束することになるんだろうと思っておりまして、二・五%で回せと言われても果たしてそういう商品があるのかといえば、二・五%の商品ですら実は私は心配をしております。
 しかし、いつまでも今の低金利時代が続くということも実は考えられないと思っております。これは五年、十年の単位で考えますと、世界の金利水準、五%から一〇%の間ということにだんだん戻ってくると思いますが、ここ当分の間は日本は低金利時代が続くということはやむを得ない。低金利時代が続くということは四%の高い利回りの運用先を確保するということが不可能だということを意味しておりまして、二・五%で運用するということは精いっぱい頑張った数字であると私は思っております。
#68
○西山登紀子君 平成七年に続いて今度またそういうふうに下げるということになりますと、やっぱり将来に不安を持たざるを得ないわけです。私は、国が国の退職金制度だというふうにこうしてちゃんとPRもしているわけですから、そこはやはり責任を持っていただきたいというふうに思います。
 次に、貸し渋り対応の特別保証制度の問題についてお聞きをしたいと思います。
 資料を配らせていただいておりますので見ていただきたいと思いますけれども、十月一日から実施をされて二十兆円の枠を確保したというこの貸し渋り対策の特別保証制度の実施がどのような形で行われているかということで、私は少しグラフにしてみました。十月末時点で保証の申込件数が三千件以上の都道府県を選びまして、こうしてグラフにしてみたんです。かなりアンバランスがございます。それでは十一月末になってどうかといえば、やはりアンバランスはあるわけです。正されておりません。そして、この申請件数というのは十月末が十五万四千二百二十四件が十一月末には四十万百三十九件、非常に高い申請率、もう殺到しているという状況が出ているわけです。
 この申請件数に対する承諾率はではどうかというふうに見てみますと、十一月末で全国平均は七八%なんです。これ十一月末が白い棒なんです。十月末が黒い棒でございます。十月末、スタートして一カ月のときに申請件数に対する承諾率の一番高いのが愛知県でございます、七五・三四%。一番低いのは京都でございまして、一八・四八%。それが十一月末になってどうなったかということですが、申込件数に対する承諾率の一番高い県は青森県、率は九二・〇九%いっているんです。低いのは千葉県で、十一月末で五一・一二%でございます。しかし、十月末に一番最低でした京都は、頑張りましたけれども、五五・六四%ということで、まだ半分少ししかいかないわけです。私は何も竹を割ったように真っすぐしなさいと言っているわけじゃないんです。しかし、十月一日から相当の力点を置いてスタートしたはずのこの制度がどうしてこんな大きなアンバランスが生じるのでしょうか。なぜなのかというのが一つです。
 ぜひ実態を把握していただいてこの是正をしていただきたいし、まだまだ承諾率もうんと低いですから、私の地元の丹後ではつい最近でも資金繰りがうまくいかなくて自殺をされている方もいらっしゃるんです。ですから、やっぱりこれは急を要します。大臣、これはぜひ早急に原因を調べてこのアンバランスを是正すると同時に、このおくれを正していただきたい。大臣にお答えいただきたいと思います。
#69
○政府委員(鴇田勝彦君) 御質問の点で、事実関係について私の方からまず御説明を申し上げたいと思います。
 委員が整理されましたこの棒グラフ、私どもが差し上げた資料をビジュアルに分析されて大変ありがたいことだと思っておりますが、まさに委員が御指摘になりましたように、本制度は十月一日に発足をいたしまして、言葉は悪いんですが、私どもの期待したさらに以上の四十万件という申し込みの件数が出ております。
 したがいまして、ここにございますように、各県の協会ごとに実際の承諾率に差が出てきているのは事実だと思います。この件について分析を詳しくさせていただきたいと思いますが、まず第一に考えられるのは、やはり従来に対しまして約五割以上のペースで保証の申し込みがふえておりますから、事務処理体制の問題というのが確かにあろうかと思います。一言で申し上げまして、現在私どもといたしましては、各協会ごとの事務処理体制につきましていろいろ実態を御報告いただいて、それに対する対応の仕方等々についてもいろいろ御指導なり御相談に応じているところでございます。
#70
○西山登紀子君 時間がないのでまとめて大臣にお答えいただきたいと思うんですが、今対応をとっていらっしゃると言うんですけれども、このアンバランスの原因あるいは立ちおくれの原因はたくさん、複数の原因があると思います。私たちも調べました。幾つかあると思います。
 しかし、その中で最も大きいのはやはり体制です。五十人でやっていたのを今は百人でOBの方々も寄せて一生懸命やっているという実態を私はある信用保証協会で実際聞いてまいりました。ですから、そういうふうにするために人的な保障が必要です。自治体もプラスで人を派遣したりやっております。ですから、この自治体や各保証協会に対する人件費あるいは事務費の補助、これをちゃんとしないとこういう事態が解決できない。これ大臣にはっきりお答えいただきたい。
 もう一つ大臣にお伺いしたいんですけれども、この特別保証制度の保証がついているのにまだ貸し渋っているという例が私たちが調査したものでも、これはサンプル調査ではありますけれども、五十件調査をしたうち十一件がまだ貸し渋られている、こういう事態があるんですよ。大臣、先日のこの委員会の大臣の御答弁でも信用保証協会の保証というのはこれは非常に最高のものなんだとおっしゃったではありませんか。ところが、こういうことがある。これは新種の貸し渋りですよ。是正をしてください。
#71
○国務大臣(与謝野馨君) まず一点目は、必要な事務費というのはきちんと補助をして各県での事務処理がそういう費用の面でおくれるということのないようにするというのは、先生御指摘のとおり、当然やらなければならないことです。
 ただ、二つ目の問題の、保証がついたのに貸し渋っているというのは何かよくわからない事例なんで、もう少し詳しくその例をお話しくださればお答えのしようがあると思うんですが。
#72
○西山登紀子君 時間がないので、こういう例があると。
#73
○国務大臣(与謝野馨君) 後ほどお知らせください。
#74
○委員長(須藤良太郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後七時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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