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1998/12/10 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 労働・社会政策委員会 第2号
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1998/12/10 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 労働・社会政策委員会 第2号

#1
第144回国会 労働・社会政策委員会 第2号
平成十年十二月十日(木曜日)
   午後五時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                田浦  直君
                溝手 顕正君
                笹野 貞子君
                長谷川 清君
                高橋紀世子君
    委 員
                大島 慶久君
                斉藤 滋宣君
                末広まきこ君
                鈴木 政二君
                山崎 正昭君
                今泉  昭君
                小宮山洋子君
                谷林 正昭君
                但馬 久美君
                山本  保君
                市田 忠義君
                大脇 雅子君
                鶴保 庸介君
   国務大臣
       労 働 大 臣  甘利  明君
   政府委員
       経済企画庁国民
       生活局長     金子 孝文君
       労働省労働基準
       局長       伊藤 庄平君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
       労働省職業能力
       開発局長     日比  徹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業における労働力の確保のための雇用管
 理の改善の促進に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○斉藤滋宣君 自民党の斉藤滋宣でございます。
 まず初めに、労働大臣にお伺いしたいと思います。
 今月三日に発表されました七月から九月期の国内総生産は、前月比〇・七%の減少となり、四期連続マイナス成長になりました。今後についても、アメリカ経済の減速、金融機関の不良債権処理に伴う企業倒産の増加など不安定要素も多いとの予測もある中、一昨日発表されました十二月の月例経済報告では、堺屋経済企画庁長官は、低迷状態が長引き、極めて厳しいという判断を示しつつも、新たに、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入りまじり、変化の胎動も感じられると指摘し、家電販売の回復や公共投資の拡大など、景気に底打ちの兆しが出ているとの認識を示されましたけれども、労働大臣には、現在の経済の現状と今後の見通しについてどのような御認識をお持ちなのかお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(甘利明君) 先生のお話にありますように、先般、月例経済報告で経企庁長官が先生お話しのような表現で景気の現状を説明いたしました。これについて何かよくわからないという、わかりにくいという反応が来ておるのでありますが、若干のまだら模様が見えてきたと。これは決して悲観的な材料だけではないということだと思います。
 先生のお話にもありましたとおり、改善を示す動きは、家電販売が全体として下げどまって大型店は好調である、それから公庫の第二回目の募集は前年を大幅に上回って好調だと、これを受けてこのところの公庫持ち家着工は増加傾向にある、あるいは公共投資の効果が出てきているとか、明るい材料もあると。もちろんさらなる悪化材料として、消費マインドが一層冷え込んでいるということとか、あるいは持ち家の方はともかくとしてマンションの在庫は依然として高い水準であるとか、設備投資が大幅に減少しているとか。若干明るい材料とさらに悪い材料とが混在をしているという表現でありました。これはデータとして出ているものを正直に発表されたわけであります。
 私自身は、明るい材料は明るい材料として一つでもあればぜひ発表してもらいたいというふうに思っております。と申しますのは、景気は気からとよく言われますけれども、これはあながち的外れではないわけでありまして、日本全体がだめだだめだの総合唱だと本当にもっとだめになっちゃうという心配がありますから、いいデータが出てきたらこれはぜひどんどん発表してもらって、悲観するばかりではありませんということを言ってもらいたいという思いがあります。もちろん、内に向けては気を引き締めて、対策は迅速に果断にやっていくということは怠りなくやっていかなければならぬというふうに思っております。
 現状がそういうことでありまして、見通しにつきましては、これも先般経企庁長官から報告がありましたけれども、経済見通しの改定試算において経済成長率がマイナス一・八%程度、ただし、これもちょっと大変な要素が加わるかなということのとおりだと思います。今回の緊急経済対策を可及的速やかに実行して、できるだけこの数字を〇・何ポイントでも上回れるように取り組んでいきたいというふうに思っております。
#5
○斉藤滋宣君 ありがとうございます。
 そしてまた、現下の雇用失業情勢は、十月の完全失業率四・三%、完全失業者数二百九十万人、うち非自発的失業者数は前年同月比で三十八万人増加し九十四万人、女性の完全失業者数も初めて百二十万人に達しました。有効求人倍率〇・四八倍、新卒の大学生の内定率は六七・五%と雇用情勢は極めて厳しいものがあります。
 大臣はこのような状況をどのように分析されまして、どのように認識されておられるのかお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(甘利明君) 十月の完全失業率が四・三%で有効求人倍率が〇・四八、いずれも最悪値を更新ないしは最悪値の継続ということでありまして、それは斉藤先生先刻御案内のとおりであります。そして、今年度を通した完全失業率は四・二%というふうに見込まれているわけでありますが、私も毎月毎月雇用失業統計を発表されるたびに非常にどきどきいたしまして、また今月更新するんではないかという非常な心配がございます。
 この失業の数字というのは、御案内のとおり、景気の遅行指標、後追い指標でありますから、景気が底を打ってもまだ油断ができないというところがありますので、できるだけ景気が底を打って立ち上がるという、その鋭角のカーブをそっくりなぞらないようにあらゆる対策を施していきたいというふうに思いますが、今回の緊急経済対策におきましては二つの点が今までと違うというふうに思います。
 一つは、雇用対策ということを経済対策の真正面に初めて据えたということ、これはとてもいいことだというふうに思います。それだけ深刻になったということなんでありますけれども、私は、今回の緊急経済対策には雇用対策ということを大きな柱に据えてくれということを申し上げまして、これを総理が御採択をいただきました。
 それと、もう一点は予算の規模であります。春の総合経済対策のときが五百億でありまして、今回の緊急経済対策は一兆円。中身についていろいろとおしかりもいただいておることは承知しておりますが、いずれにしても、経済対策の中で組み立てた金額をこれだけ大きくすることができたということは、雇用の安定に対する政府の取り組みが本当にこのままではいかぬという、政府全体で取り組んでいくんだという決意表明になったというふうに考えております。
 そしてその中で、雇用活性化総合プランの策定を一兆円ということでさせていただきまして、各般の施策を組ませていただいたということでありまして、この積極的な推進によりまして一刻も早い雇用の創出、安定を図っていきたいというふうに考えております。
#7
○斉藤滋宣君 今、大臣のお話の中にありましたけれども、政府が雇用対策を真っ正面からとらえて対策を練っていただいた。確かに、今回の経済対策につきまして上げ底だという批判もあることも確かであります。しかし、確かに今大臣がおっしゃったように、この春先の五百億円から二十倍の一兆円の対策を講じた。これを精査してみますと、補正予算に三千億は入れるけれども、あとの七千億は労働保険特別会計の方に入っている。言ってみれば、マスコミ等が批判するような上げ底に見えることは確かだと思います。
 しかし、いみじくも景気は気の部分があると先ほどの答弁におっしゃったとおり、やはり雇用対策の中にもそういうアナウンス効果というのはあろうかと思います。一般の方から見れば、確かに全体の事業規模で一兆円の雇用対策というと、ほかの仕事はそのままで一兆円の仕事がふえたというような、そういう理解をされる方もあるかもしれませんけれども、どうも私は、少なくとも今、大臣がおっしゃったように、今回の経済対策の中で一兆円の財政規模をもってして雇用対策に取り組むということについては大いに評価しているものであります。
 そこで、今回のこの一兆円規模の雇用対策をどのような形で、経済対策の中には百万人規模の雇用創出を図るということを言われておりますけれども、各施策がどのような雇用創出をするのか、そしてまたそれぞれの施策がどれだけの数の雇用を生み出すのか、この百万人の積算根拠についてお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(渡邊信君) 今回の緊急経済対策の内容といたしまして、百万人規模の雇用創出及び維持安定、それからこれに対しまする一兆円規模の予算ということで考えているわけでありますが、まず今般の補正予算におきましては約三千億。その中には、今回御審議をいただきます中小企業労働力確保法の施行のための経費を含みますほか、さらに仮に雇用情勢が悪化したときの安全ネットといたしまして緊急雇用創出特別基金というものを六百億の規模でもって造成をするということにしております予算、あるいは雇用調整助成金、これは相当今伸びてきているわけでありますが、そのための必要な経費等、あるいは中高年齢者の能力開発の拡充、こういったものを含みまして三千億計上しているわけでございます。
 また、来年度におきましては、これはまだ目下要求中でございますけれども、この中小企業労働力確保法の施行経費を初め、中高年齢者の雇用の促進を初めといたします失業者の早期再就職の支援、あるいは雇用調整助成金によります雇用の維持安定のための経費、こういったもので総額七千億円近いものを要望しているところでございます。
 この百万人の創出効果でございますけれども、まずこれは経済企画庁の試算でございますが、今般の緊急経済対策によりまして、GDPの押し上げ効果、これを二・三%程度と見ております。これによって創出される雇用が約三十七万人というふうに推計しております。さらに、この雇用活性化総合プランによります雇用の維持安定効果というもので約六十四万人を見ております。これは例えば、中高年齢者の雇用の促進のための措置、あるいは雇用調整助成金によります雇用の維持安定、こういったものをトータルいたしまして約六十四万人程度。合計をして百万人程度になるのではないか、こういった推計をしているところでございます。
#9
○斉藤滋宣君 今回の法改正では、約三百五十一億円の予算をもってしまして年間五万人の雇用創出効果があると見込んでおるようであります。
 そこでお伺いしますけれども、平成七年の改正中小労確法は、経済構造の変化に対応し、従来の雇用維持を中心とした施策から一歩踏み出しまして、雇用機会の創出に向けた施策を打ち出したものと理解していますけれども、その効果はどうであったのか。中小企業新分野展開支援人材確保助成金並びに中小企業雇用環境整備奨励金、それぞれを利用した企業数、そしてまた雇用された人数について御報告願いたいと思います。
#10
○政府委員(渡邊信君) 平成七年に中小企業労働力確保法の改正をいたしまして、今おっしゃいましたような、高度な人材の受け入れに対する助成というものを開始いたしました。また、あわせまして、労働環境の整備等に対する助成も充実したところであります。
 その実績でございますけれども、同法改正法は平成七年十一月から実施されまして、その制度創設以来本年の十月末までの実績を見てみますと、まず高度な人材の受け入れを助成いたします助成金につきましては、支給件数は約八百件、助成の対象となりました高度な人材とこれにあわせて雇用いたしました一般労働者、これを合わせまして約二千二百名。それから、福祉施設等の設置費用に対する助成を行います環境整備奨励金につきましては、支給件数が約六百件、雇い入れられた労働者は約四千三百人となっておりまして、改正によります雇用創出効果は累計で約六千五百人でございます。
 ただ、これらの実績を見ますと、まだ非常に施行されて日が浅いのでありますが、例えば八年度と九年度の実績をそれぞれ比較してみますと、いずれも三倍から五倍程度に今大変速いスピードで伸びているということは言えるかと思います。
#11
○斉藤滋宣君 ちょっとお伺いしますけれども、この七年の中小労確法の改正のときには、御説明では、直接的な雇用は年間一万五千人程度という、そういう御説明ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○政府委員(渡邊信君) 当時、改正法が国会で審議になりましたときに、当時の推計といたしまして、雇用創出効果は年間約一万五千人程度あるのではないかというふうに見ておりました。
#13
○斉藤滋宣君 今、局長から御説明いただいたんですけれども、今のは三カ年の、十年度はこの十月までの速報値だと思うんですけれども、その累計数値で約六千五百人。今私どもが議論しているのは、一年間に一万五千人の雇用効果があるという説明を受けてこの改正法を導入したはずでありますから、これトータルしますと、平成八年度は七百八十六人、平成九年度は三千三百三十四人、平成十年度は十月までの速報値で二千二百八十六人、それでその二つの助成金、奨励金を合わせてこの三カ年の年度途中までで六千四百六人ということであります。
 そうしますと、今まで一万五千人の創出効果が年間あると言っていた労働省の説明と余りにも数字がかけ離れているのではないか。当然のことながら、予算の支給実績も大きく乖離しているのは当然であります。見込んだほどの雇用の創出ができなかった、その原因は一体どこにあったのか。局長はどのようにお考えになっているでしょうか。
#14
○政府委員(渡邊信君) 当時は雇用の創出効果として単年度で一万五千人というふうに見ていたわけですが、この間の景気の一層の悪化というふうなことも大変影響はしていたかと思いますし、また私どものPRといいますか、そういった努力も大いに不足をしていたのではないかというふうに今は考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたけれども、まだ施行後大変日が浅いわけでありまして、八年度と九年度を比べましても、それぞれの助成金が三倍ないし五倍という勢いで現在伸びている、こういった状況にあることも事実でございまして、私どもさらにこれが活用されるように努力をしていく必要があるというふうに思っております。
#15
○斉藤滋宣君 時間がないのであれですけれども、私はこの七月に初めて参議院議員になりましたから議事録でしかわからないんですけれども、平成七年十月二十日の参議院の労働委員会の会議録を読ませていただきますと、この中にも、相当の委員の先生方が果たしてこれだけの雇用効果があるのかということで労働省の皆様方に質問しております。私が見る限りでは三名の委員の方から質問がありました。そのたびに労働省の答弁は、この活用を図るために周知徹底して一生懸命やります、PR活動に努めます、そして相談員も置きますと言ってやってきたにもかかわらず、現状はこういう現状であります。ですから、期待するほどの雇用創出ができなかった中には、今局長の説明にあったとおり、まだ制度ができて日が浅いということもありますけれども、やはり活用の仕方、PRの仕方、そういったところにも大きな問題があったのではないかと私は思います。
 そこで、平成九年十一月に関西の経営者協会が雇用関係助成金制度の改善策というものを取りまとめております。中身につきましてはもう局長御存じでありますからあえて言いませんけれども、そういう提言を踏まえ、そしてまた平成七年の改正労確法のこの利用実績を踏まえて言いますと、やはり今回の新しい改正法についてはこの中から教訓を学びとって、新たにこういう方法で今度の改正法案は実施してみたいとか、このようにPRしてみたい、そういうような前向きの姿勢というのは労働省にあるんでしょうか。
#16
○政府委員(渡邊信君) 今回は施行を来年の一月一日というふうに想定をしておりまして、そういった意味でも大変急いで、急速に広くPRをしなければいけないというふうに考えておりまして、そのための必要な経費もこの三次補正の中に約一億五千万円ほど計上しておるところでございます。そのほか、前にも先生おっしゃいましたが、専門の相談員というような方もさらに新たに配置をいたしまして、例えば今までは、雇用促進センターから各安定所等を回りましても、申請書の取り次ぎをするというふうな仕事しかさせておりませんでしたが、今回は例えば相談員の方が安定所に行きましてそこで申請の受理をする、そこで受理の効果も発生させるというふうなこともいたしまして、一層利用しやすい制度に改めようというふうなことも考えておりまして、こういったいろいろ工夫しながらできるだけ広く急いでPRをしたいというふうに考えております。
#17
○斉藤滋宣君 今回の改正による新たな助成措置の対象を創業及び異業種進出を行う中小企業者に限定していますけれども、今廃業率が開業率を上回っている現状、さらには中小企業が資金調達面で新分野の取り組みが困難な現状を見ますと、雇用機会の創出のための制度というのであれば、業容の拡大に伴い労働者を雇い入れる企業にも対象を広げる、そういったことが効果があるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
 それから、時間がないのでもう一つ意見を言わせていただきたいと思うのですけれども、今まではどちらかというと国の費用で雇用を図る企業を応援する、そういう施策がとられてきたと思います。しかし今、これだけ雇用情勢が悪化してきたとき、我々がもう少し突っ込んで考えなきゃいけないのは、外国等では例が見られるのでありますけれども、やはり国の費用で雇用を確保するような施策というものがどうなのか、そのことをそろそろ議論する時期に来ているのではないのかな、そういう気が私はするわけであります。
 あわせましてこの二点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#18
○政府委員(渡邊信君) 今般の助成の対象を創業やあるいは異業種進出、分社化というふうに限っておりますけれども、これは、これから事業を起こそう、あるいは分社化をして事業を発展させようというようなときには、やはり将来性のある、展望のあるそういった事業にこれから取り組んでいこうということであると思います。そういった分野がこれからやはり伸びていく、期待をされる、そういうことであろうと思いまして、これからの我が国の経済の活力を生み出すようなそういった事業について、これを新しく起こそうとする者について今般助成をしよう、そういうふうに考えているものであります。
 なお、既にある企業が例えば新商品の開発をするといったようなときに、そういったことで業容を拡大していくといいます場合には、平成七年改正におきます高度の人材をそのために雇う、こういった助成は引き続き続けていくことにもちろんしているわけでございます。
 それから、雇用情勢にかんがみまして国で直接雇用を創出するということは、これはかつて試みたことももちろんあるわけでございますけれども、なかなかそれが民間の活力へ引き継がれていくというふうなことに過去ならなかった経験がございますので、その問題はなお慎重に検討することではないかというふうに考えております。
#19
○斉藤滋宣君 どうもありがとうございます。
 このたびのこの改正法案が大いに活用されまして、大変今のこの厳しい雇用情勢が少しでも明るくなるような、そういう一つの道筋が見えてくるような、そういう制度になることを期待しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#20
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。
 ただいま自民党の斉藤議員が労働大臣に対しまして雇用の見通しを中心といたしました御質問を最初にされましたけれども、私も最初に雇用状況の問題につきまして労働大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 労働大臣のお答えにもありましたように、労働指標というのは遅行指標であることはもう間違いがないわけでございまして、今の景気の実態から、景気の変動によってすぐ失業率が急激に上向いてくるというような期待はなかなかできないのは十分わかっているつもりでございます。そういうものを前提にいたしまして、先ほど発表されました政府の経済見通し等に絡めまして、大臣の率直な認識をひとつお伺いしたいと思うわけであります。
 既に発表されておりますように、四月期から二期続きましてマイナス成長〇・七%ずつでありました。このことは国民全体の、国全体の経済が大変な下降局面にあるということを示していたわけであります。
 たまたまさきの経済状況の発表によりますと、いい指標、悪い指標が相半ばして、受けとめ方によっては底を打ったんじゃないかというような受けとめ方ができるような経済企画庁の説明もありました。
 しかしながら、きのう発表されました大蔵省の景気予測調査であるとか各機関が出しているいろいろな経済の実態等のデータを取り寄せてみますと、実は十―十二月期においてもまだ経済はマイナスの局面にあるというような企業の実態が明らかになっている指標が発表されているわけであります。
 先ほど大臣が申されましたように、余り悪いのばかり発表したり主張して国全体の受けとめ方を暗い方向に持っていくのは私も反対でございます。しかし、現実のものをしっかりとらえた上での、後ほど質問いたしますけれども、今度の百万人雇用創出の計画が果たしてこの経済実態に本当に合っているものかどうかというような意味合いもあわせて御質問したいものですから、そういう意味で実態を率直に申し上げたいと思うのであります。
 さきの経済企画庁の発表に基づきましていろいろ私どもも質問いたしましたところ、今の経済実態をそのまま横ばいでずっと続けるということは、底を打ってそこそこもうこれから上がるんだぞという意味での横ばいを期待するわけでございますが、このような経済であった場合に、本年度の経済成長はマイナス二・三%になる、それ以上になるということを言われました。
 これをプラス成長に持っていくということは、この十月期から相当な勢いで我が国の経済が上向いていかなければ、これは水面上に出てこないわけであります。先ほど私申し上げましたように、各機関の発表がこの十一月、十二月に入ってもまだ落ち込んでいる。こういう実態にありますと、雇用というのが遅行指数であるとするならば、雇用についての見通しというのは決して明るいものではまだないわけですね、当分の間。
 そういう意味で、今は四・三という史上最悪の失業率を記録しているわけでございますが、労働大臣は、そういう意味で、年末から年度末にかけまして、この雇用をどの程度の、失業がふえるのか減るのかというような御認識を持たれているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#21
○国務大臣(甘利明君) 経企庁長官の月例経済報告の発表を受けまして記者会見をしましたときに、これを労働大臣はどうとらえますかという質問が来ました。そのとき私は、一言で申し上げると、内に向けては厳しく構えて、外に向けては希望を持ってという表現にいたしました。
 それは、さっき申し上げましたように、全部が暗い、下を向いていたらもっと暗くなっちゃうという思いがあるものでありますから。かといって、決して甘い判断をしてはいかぬ、厳しく厳しく見積もって、打つ手は果断に打っていくと。
 つまり、内に向けて、政策を実行する面に向けては、まだ大丈夫かまだ大丈夫か、もっとやらなくちゃだめじゃないかという思いでやっていきたい。ただ、外に向けては、だめだだめだの連続は言いたくない。かといって、うその発表はできませんから、いい材料があればそれは正直に言ってもらいたいということでありまして、閣内でも、御案内のとおり、勘で物を言うな発言があるように、ちゃんともっと厳しく見ろ厳しく見ろという議論はあるんです。ただ、いい指標があるのは正直に言ってもらいたいというのが私の思いなんですね。
 と申しますのは、実はきのう、物流にかかわる会社の支店長と懇談をしました。彼らは景気の一番の現場にいますからよく把握できるだろうと思いまして、正直なところどうですかと聞いたんです。そうしたら、こういうことを言われました。一つ転機があればわっと反転しますと。それは何ですかと言いましたら、みんな物流にかかわる業者がもう我慢に我慢を重ねておりますと。その我慢というのはどういう我慢かと聞きましたら、要するに、トラックでももうかなり車検期間が何回も来て本当はもう買いかえたい、あるいは倉庫でも穴があいて雨漏りがする、建てかえたい。だけれども、本当に景気は底を打つのと。もっと厳しくなるんだったらむだな投資はしたくない。そのぎりぎりの、本当は設備投資をしたいし買いかえたいんだけれども、まだ将来に向けて底打ち感が把握できない。だから、言ってみれば、本当に打って反転するんですよとなると、一気にトラックの買いかえとか建物の建てかえというのがどっと出ますよということを言われたんです。だから、いい指標が出てきたらちゃんと言った方がいいんじゃないかなというのが私の思いなんです。それはただし、内に向けて政策担当者は相当慎重に構えて手綱を緩めるなという思いが非常に強くいたします。
 失業については、先ほども申し上げましたし、先生よく御案内のとおり、景気の遅行指標でありますから、何カ月かのタイムラグを追って下がってくれば下がってくるし、底をついてもまだこういうぐあいにいきます。ただ私は、そのカーブを、景気がこう鋭角に下がっても雇用はこういうぐあいで後をついていくということにならぬものかと。そこにミスマッチの解消とか失業なき労働移動という政策があるんじゃないかと思うんですね。
 そこで、今回の雇用関連対策においてもその辺の、例えば景気が鋭角に落ちて、上がってくるところをもっと緩やかなカーブで全くそっくり後をついていかないようにする施策はないだろうかということを思いめぐらせまして、いろいろアイディアを出したつもりでございます。先刻御承知のとおり、非自発的失業の数字がふえていますということは、これはゆゆしき事態でありますし、具体的な目標を掲げようということで、百万人という数字も正直かなり無理無理はあると指摘もいただいておりますけれども、とにかく目標を掲げてやっていくという姿勢を何としても見せたいという思いでさせていただいた次第であります。
#22
○今泉昭君 大臣の百万人構想に触れまして、その意欲というのは大変私どもとしても買うわけでございますが、現実の姿として、遅行指標だと、当分やっぱり、はっきりは大臣申されませんでしたけれども、今の失業率が急激に変わるということは考えられない。四・三%まで高まっている失業者の数を減らさなきゃならない。そのためにも、新しい雇用をふやす政策を打ち出していって明るいムードをつくろうではないかと、百万人構想を打ち出されました。確かにこれは結構なんですが、しかし景気がまだまだ底を打ってないで危ないという時期が続くとするならば、早急に実効があらわれるような雇用対策がどうしてもこれは求められるわけです。
 私は、いただきました雇用活性化総合プランを見せていただいているわけですが、政府のキャッチフレーズの中にも、一兆円というこれまでにないような雇用対策の予算を投入したということを言われておりますが、先ほど斉藤議員の話にもございましたように、よくよくこれ吟味してみれば一兆円じゃないんですよね。
 いろいろ私も話を聞いてみますと、当初与党の自民党の中でも雇用対策基金として一兆円ぐらいの資金が必要だというような論議があったやに聞いているにもかかわらず、それがわずか五百億ぐらいに減っちゃっているというような状態で、一般会計からは三千億ぐらいしか出ていかない。残りはみんなこれは実は三事業会計から出すようなものだ。しかも、この三事業会計から出ていくものというのは、実は雇用創出じゃないんですよね、雇用底支えなんです。これ以上ふやさないための底支え資金でありますから、これは創出という意味の雇用対策に盛られるものではないんじゃないかと私は思うわけですね。
 こう見てみますと、新規の雇用創出にどれだけの新しい仕事が出てくるかというと、わずか六万人弱程度のことしか考えていらっしゃらない。百万人というのとはえらい差があるわけなんであります。なぜもう少し、百万人雇用創出なら、新しい仕事をつくる、新しい職をつくるという意味での対策を講じられないのかということに大変疑問を持つわけであります。
 雇用をつくるといいましても、すぐ右から左に出てこないことは私も承知しております。恐らく百万人つくると仮にしたにしても、これは四年なり五年なりかかって、少しずつ雇用構造を変えたりいろんな条件を変えたりして出ていくんでしょう。そういうのは十分よくわかるわけでございますけれども、余りにもこれは、雇用創出というものではない、底支え資金だというふうにしかとれないんですけれども、この点についてはいかがですか。
#23
○国務大臣(甘利明君) 大変痛いところをつかれておるんですが、実は百万人の雇用というその百万という数字に関しまして経緯をお話しいたしますと、先生御承知かもしれませんが、政労使雇用対策会議で、労使から百万人の雇用創出ということをぜひ掲げろという提案がありました。そのときに労使側から、具体的な算定については後追いでもともかくとして、すぐにこれが何万人何万人なんてはじけるはずがないのはわかっている、わかっているけれども、今雇用についてどれだけ真剣に政府が取り組んでいるかその姿勢をまず見せてくれという要請が連合、日経連からありました。
 私も正直思い悩むところはあったんですが、やっぱりここは目標を掲げる以上はそれに向かって達成する努力をすることが義務として課せられますから、よしということで、官邸、経企庁と直談判をいたしました。
 官房長官は大変前向きで、みんなで頑張る、それぞれ労使もできることはいろいろ汗をかくよという話でありましたから、それは別に悪いことじゃないじゃないかというお話でありましたが、実は内情をお話ししますと、経企庁がなかなか受け取ってくれませんでした。経企庁にはやっぱり算定の根拠は何だということを厳しく問い詰められました。
 この中で、緊急経済対策全体がGDPを上げる効果というのは当然あります。それの雇用にはね返る雇用弾性値というのは経企庁もはじけるわけであります。二十四兆になんなんとする事業でありますから、GDP押し上げ効果がこの中の予算のかなりの大宗の部分を占めておりますから、それで持ち上げる効果はある、これが三十何万人かはあるんじゃないかと。それに、今回御審議をお願いをしております中小労確法の改正というのはまさに新しい雇用の場をつくるための法律でありますから、この適用事業者からはじいた人数というのは、算定しますと両方合わせて三十数万人の数までははじけると。
 しかし、雇用創出三十何万人計画なんというのは、はじいても余り政府の姿勢は正直伝わらないわけでありまして、そこで、これ以上失業をふやさない、ほうっておけば失業がふえるわけでありますから、景気の遅行指標でありますから、だからほうっておけば失業がふえちゃう部分を何とか維持できないかと。それも言ってみれば雇用対策の重要な部分でありますから、そこで百万人の雇用の創出と安定ということで、何としても、労使一体となったお申し込みでありましたし、私も政労使雇用対策会議で政府として政労使一体となった心意気は見せるべきだということを強く経企庁長官にねじ込みました。当初は非常にネガティブでありましたけれども、そこまで言うならばということで、ねじ込んだというところであります。
 ただ、まだ産業再生計画というのが一月中に取りまとめをいたします。これはまさに二〇一〇年までに成長が見込まれる産業分野ということで、七百四十万人のプラスが見込まれるということが昨年の行動計画、閣議決定でなされておりますから、それを前倒しでやっていこうという発想でありますから、そこから取りまとめられた中で新たな雇用創出がオンするということを大いに期待をしているというところであります。
#24
○今泉昭君 時間が限られているものですからちょっと先を急ぎたいと思うんですが、雇用の底支えのために三事業会計を使っていらっしゃることもよくわかります。今こういう時期ですから、とにかくどんな手を打ってでも雇用創出のために、雇用悪化を防ぐためにやらなきゃならないということは大いに結構なことですから、私どももそういう意味では大いに側面から協力をしていきたいと思っているんですが、問題はお金なんですよね。
 例えば、雇用者数がどんどん減ってくるという状況の中において、失業保険の会計実態を見てみますと、ここのところどうも、平成六年からずっと赤字のような状態が続いて、果たしてこのようなことだけで今後も失業保険会計がもつのかどうかということ。さらには、三事業会計だってある意味ではばらまきですわね、いい悪いは別問題として。そうでもやらないことには今この失業の危機を乗り切れないからこれは当然必要なんですが、この三事業会計だって余剰金がどんどん減っている、積立金が減っているような状態であります。しかも、雇用の見通しというとまだ相当先ということになるとするならば、これは大変な財政的な問題もあるんじゃないか。
 そういう中において、実は失業保険会計に、両方の会計に対する国庫補助金がここのところ減っているというのはどういうことなんですか。むしろ国庫の補助分を、こういう失業者がふえて、しかも多く出さなきゃならないときには、国が多少保険財政のために余分に出すというならわかるんだけれども、どうもいただいた資料によりますと、何か二年前あたりからですか、国庫の支出金が減っているような状態なんですね。これは逆な意味で雇用に対する政府の姿勢が問われるものじゃないかと思うんですけれども、この点はどうですか。
#25
○国務大臣(甘利明君) 政府から雇用特会に繰り入れる率を変えたわけなんでありますけれども、恐らくそのときに今日の状況が完全に見通せなかったという点はあったかもしれません。そして、先生御案内のとおり、雇用保険、これは三事業も含めましてなかなか厳しい見通しであります。私もそういう心配を抱えながら、しかし今できることをちゅうちょしたらやっぱり大変なことになるなという思いで、労働省としてかなり思い切ったことをやっているわけであります。
 それで、これからその見通しが非常に楽観は特会の会計の上でも許さないのは御指摘のとおりでありまして、とにかくある時点でいろいろと各方面に相談をしなければならないということが来るかもわからないというふうに思っております。
#26
○今泉昭君 願わくば、今、保険料が大変負担増になっていますので、保険料が上がらないような方向でひとつ検討していただかなきゃいけないというふうに思っているところですが、先ほどから話をしておりますように、これだけ膨大な失業者が出ている、失業率が高いという中で、何とかこれ以上多くの失業者を出さないためには、思い切った、ドラスティックな対策を打つ必要があると思うんですね。特に私は、そういう意味で真剣にワークシェアリングの問題をやっぱり労働省としても取り上げる時期ではないだろうかというふうに思うわけであります。
 もう御存じのように、欧米諸国ではこの問題で一九八〇年代から大変な苦労をしているわけでありまして、そういう経験もあるわけであります。さきのドイツのコール政権におきましては、ワークシェアリングのこうこうこういう手を打つことによって三十万人の具体的な雇用を創出するというような計画まで政府が考えるほどに、実はワークシェアリングの問題というのは欧米諸国で大変真剣に論議をされてきているような状態であります。我が国におきましても、恒久的なものではなくしても、緊急避難的な意味でのワークシェアリングの問題を検討するときではないかと思うんです。むしろこういうのが緊急避難的に雇用を保障できるようなやり方ではないかと思うわけであります。
 今までワークシェアリング問題というのは、どちらかといえば企業内におけるところの、あるいは企業間におけるところのワークシェアリングというようなことでございましたけれども、むしろ産業間におけるところのワークシェアリングという大きな網を検討し直す時期ではないだろうか。
 確かに国全体が今不況にあります。とはいいながら、産業によりましては依然として好況なところもあるわけでございまして、長時間の労働をやっているところもあるわけであります。しかも、新しい労働者を雇用するという決断ができない。こういうときには、数少ない従業員でむしろ長時間働かせていこうというような対応策を好況産業も当然とっているわけであります。
 そういう意味で、大きく、産業間におけるワークシェアリングをどうするのか。例えば、そのように多くの長時間労働を抱えているようなところに対しては、もしその仕事自体をほかの産業の手助けをもらうという形でできないとするならば、ペナルティーという表現はちょっとおかしいんですけれども、その長時間労働に対する何らかの資金的な手当てを考えてこの失業対策のための費用の会計に充てるというのも一つの手だろうと思うわけでありまして、ワークシェアリングの問題をもっと具体的に真剣に取り上げる時期じゃないかというふうに考えます。
 かつて労働省でもこの問題をいろんな機関で審議した時期もあったやに聞いておりますし、いろんなデータもそのころのを読ませていただきましたけれども、今こそこの問題を取り上げる時期じゃないかと思うんですが、大臣の見解はいかがでしょう。
#27
○国務大臣(甘利明君) 時間外労働をかなり要請している企業が今、業界があるのかなということがちょっとわからないんですが、今むしろほとんど残業がなくなっている状態ではないかと思います。それで、これは日本の雇用慣行とかなりリンクしている話じゃないかと。先生はよく御承知でいらっしゃるのでありますけれども、長期安定雇用の体制で、残業を雇用のショックアブソーバーに使いながら安定雇用を守っていくという雇用慣行とある部分リンクをしているんじゃないかと思いまして、御指摘はよくわかるのでありますけれども、勉強させていただきますが、現状の中ではなかなか理解が得られるか、ちょっと自信がないというところでございます。
#28
○今泉昭君 時間もすっかりなくなってしまいました。あと三分程度しかございません。最後に実はお願いをしておきたいと思うわけでございます。実は、前回の労働委員会のときにも私この問題を提起いたしまして、労働大臣から、今検討中でございますということをいただいた問題でございます。私は、この問題は早急に検討の結果を出していただかないと、勤労者にとりましてはこれ死活問題なわけでございます。
 それは何かというと、いわゆる労働債権の保障の問題でございます。もうこれは私は釈迦に説法ですから多くは申しませんけれども、企業倒産の処理に関しましては清算型と再建型とあるわけでございますが、再建型の特に会社更生法におけるところの労働債権の順位というのは非常に高いわけでございます。ところが、会社更生法を受けてやっている企業というのは数少ないわけですね。倒産した場合、九割近くがいわゆる会社整理という形でどんどん整理をされていく。その分野において大変多くの人たちが、労働債権の順位が非常に低いがために、実際はもう泣き寝入りしなきゃならないというような状態が実は生まれているわけです。
 具体的に申し上げますと、破産法や和議法によりますと実は給与なんというのは第四番目の債権として定義されておりますけれども、会社更生法によりますと二番目の債権という形で定義されているわけであります。これはほんの一握りの人たちだけなんですよね。大多数は和議法なりあるいは破産法におきまして処理をされていっている。
 ですから、こういう会社倒産の形によっていろんな働いている人たちの債権の保障の差別があってはならないんじゃないだろうか。商法や民法をいろいろ調べてみましても、現行法の優先権の順位を見てみますと、何と商法におきましては、表現もおかしいんですけれども、使用人の雇用債権なんというのは九番目にランクされている。それから、民法におきましても雇い入れ人の給料は十番目という位置づけなんですよね。
 ですから、そういう意味では、そういう中で私どもも実は労働組合の現場にいたときには、具体的に倒産をしていった場合のそこで働いてきた方々の賃金債権やら退職金やらいろんな債権の確保のためにいろんな具体的な工夫をして取り組んできた経過がございますけれども、ほとんど満足に取れないというような状態であったわけでありまして、今倒産をしてそして職場を離れていかなきゃならない方々の債権をどう守るかということは、大変これは重要なことでございますから、ぜひこの問題は、今検討中だからということをいつまでも続けていただくんじゃなくて、早急に内閣の中で、各省庁担当は違うんでしょうけれども、労働大臣の行動力でひとつ実現していただくように最後にお願いをして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#29
○国務大臣(甘利明君) お話はよく承りました。
#30
○山本保君 私は、公明党を代表いたしまして、この中小企業における労働力の確保のための法律について質疑をさせていただきます。
 きのうも実は予算委員会に初めて登板させていただきまして、大分上がってしまってはいたんですが、中小企業に関していろいろお聞きしました。そのとき労働大臣の方からは、私がメーンにしましたNPO型の言うなら産業、新しい産業に対するもう少し私は支援が必要だということが言いたかったわけでありますけれども、今の労働省の考え方であれば、雇用保険というものを一つのてこにすれば、そのようなものにも当然他の業種と同じように応援していいんじゃないかという意味の応援があったのではないかなというふうに思っておりまして、感謝しております。
 ただ、なかなか経済企画庁、それから肝心の通産省がどうもそうではないようでございまして、これはこれからまた続けてやっていきたいと思っております。
 そこで、今、斉藤委員それから今泉委員のお話を伺いまして、いつも労働委員会は本当に勉強になるものですから、用意をしていたものは通告はしてございますけれども、若干変えながら今のところに関連させて私の考え方の中でもお話ししたいと思っているんです。
 まず最初に、大臣、これはきのうの委員会でも評価しているというふうに申し上げたのでございますが、私は短い労働の委員会の経験ですけれども、今の不況の中で雇用状況を何とかよくする、このことが不況脱出の一つの大きな要因であるということをもう私だけではなく皆さんこの委員会ではお話ししていましたけれども、どうも御返事がこれまでは、いやそれよりはまず全体の経済状況が悪いのでこうなんですよというようなことが多かったような気がしておりました。
 そうしましたら、実質いろいろ問題はあるにしましても、しかし先ほどの答弁にもございましたけれども、雇用対策を経済政策の中心に置いたんだと、こういうお話があったわけでございますけれども、この辺についてもう一度お話を伺いたいわけでございます。
 ただ今までのやり方がいけなかったから雇用を中心にしたと言うだけではどうも迫力がないなと思っておりまして、私は自分なりに、本当に私は経済学を専門でやったことがありませんので素人の考えだと笑っていただいてもいいんですが、例えばこれまでの考え方ですと、いわゆる不況というようなものは、これをもってリストラでやるとか、または余分なものがなくなりまして、そして言うなら生産性が高まって、またそのことから原材料費なども下がったりしまして、またこれが逆に好況になっていくというような、こういう理論。それに対してケインズなどが、需要を出せばよろしいんだと。ところが、この需要は穴掘りだろうが何だろうがいいんだ、もう何でもいいから働けばいいんだというような感覚。
 私は、今回の、労働省がこれだけ大臣一生懸命やられたとすれば、どういう理念といいますか考え方を持って雇用対策を、もちろんほかのが要らないという意味じゃないんですよ、しかし雇用対策が他の経済政策の中でも重要だということをどういう理屈で言われるのかなというふうに思っておるわけです。私の考え方もありますが、まず大臣に少しお話を伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(甘利明君) 山本先生の私に尋ねらんとされているところを正確に理解しているかどうかはちょっと不安でありますが、従来、経営者の側の発想からしますと、景気が悪くなって業績が悪化する、そうした場合にはできるだけ自分でリストラをして身軽になってそして立ち上がっていくと、一時的には失業はふえるけれども、やがて自分が雇用の受け皿になり得るんだという発想なんですね。現実にこういう状況下でももうちょっとリストラを楽にしたいという話はいっぱい聞こえてくるんです。
 ただ、その不況の原因の中の大きなものに将来に対する不安が非常に大きい、だから自己防衛に走らざるを得ない。つまり、将来ちゃんと安心した見通しができるならばそれにゆだねて従来どおりの消費生活もするけれども、それがわからない、不安だから自己防衛で自分の身は自分で守らなくちゃいけないというベクトルに向いて消費がさらに落ちていくということになるわけですね。
 将来の不安の要素の中に雇用不安というのが非常に大きい位置を占めているわけであります。だから、経営者側の発想からして、自分が身軽になれば体力を取り戻していつしか雇用の受け皿になれる、だから身軽になる部分では失業がふえるのはそれはやむを得ないんだという発想は、今の状況下では逆に不況を加速するおそれがあるんではないか。
 ただし、じゃ企業にただ黙って抱えていてくださいとだけだったら全部共倒れになっちゃうわけですね。だから、一言で言えば、失業をふやさずにリストラというのはできないのかなというのが私の発想であります。
 一つは、雇用の場自体をつくり出すことが労働政策としても、こちら側で手をこまねいていないで産業政策とタイアップをして、それこそ百人でも二百人でもいいから雇用の場ができないかという発想と、それからリストラを失業率をふやさずにするためにはどうするかということで、労働移動雇用安定助成金というのがあるんですけれども、実はこれは経営者側に、産業界側に言わせると非常に使いづらいという反応でありました。
 私は産業界側を呼びまして、企業に元気になってもらわなきゃ確かに困っちゃう、だけれども失業を出さずに元気になる方法で我々が持っているツールで使えるものはないのかというボールを投げました。それで返ってきたのが、実はちゃんとした雇用の受け取り手を探してくれば相手に助成をするという仕組みはあるんだけれども、今これ非常に使いづらいです、だからこれがもっと縦横にできたらぎりぎりの段階で失業ということで手放さないで構造改革はできると思うという反応が返ってきました。
 そこで、私が省内で、これをもっと使いやすくできる新しい制度をつくってほしいということを提言した次第であります。これは雇用の創出と失業なきリストラといいますか、それを少しでも可能にするんじゃないかと思ってやったわけでございます。
#32
○山本保君 短い時間でお話しいただきましたので、要点だけだと思います。もう少しその辺はこれからもいろいろお聞きしたいと思っておりますけれども、私自身は、ちょっとだけ時間をいただいて考えますと、おっしゃるとおりなんですが、経済全体とは別に今の日本の雇用で特徴があるなと思います四点ほど出してみたわけなんで、考えてみます。
 一つは、やっぱり前から言っておるんですが、今までの終身雇用制が変わってきたことによって、本来なら終身雇用でないところであれば当然移動する場合でもそれほど給料ギャップなどはないことに普通はなるはずでありますし、いい方へ向かっていくのが普通の経済的な感覚であると思いますけれども、これが、今までの日本の固有の制度がもう今や変わりつつある。そこで、リストラといいますか失業してさあ再雇用といっても、ここに給料ギャップがもう完全に大きなものがある。これに対して対応しなくちゃいけないんじゃないか。こういう事業、それが第一であります。
 第二番目は、やはり新しい産業というものを考えなくちゃいけないんじゃないか。これがきのう、またこれから申し上げるNPOもそうですし、私の経験からいきましても、福祉でありますとか、これまでは日本の経済が余り重視してこなかったようなものをきちんと位置づけていくことだと。そういう面で、先ほど御説明は余りありませんでしたけれども、これまでのこの法律が高度な人材というものに絞り、しかもその高度な人材は何か普通労働者と一緒に使わなくちゃいけないというような、こういう何か非常に変な運用がされておったようでありますから、これをやめて、すべからく雇った場合にということによって、これまで重視されていなかったようなものであっても全部入れましょうということであるということで、私はこれも評価したいと思います。
 三番目は、やはりこれは労働者自体の教育訓練、職業能力を高めることでありまして、これは労働省も一生懸命やっているとは思いますが、私はぜひこれは文部省に対してもっと、今の学校教育体系自体が全く意味をなしていないんだということから、今の教育体系自体を組みかえろということを言うべきだと思います。これは労働省としてもうぎりぎりやってやっているんだということから、もっと強く言ってほしいです。私も言います、これは。
 四番目が、新しい労働者といいますか、雇用保険の対象者をふやすことじゃないかと思うんです。さっき今泉委員がシェアリングと言いまして、私はそのとき、ううん困ったなと思っていましたが、例えばパートの方であってもそれから学生さんであっても、これから働くんだという方には、つまり働いていて失業しちゃった場合は雇用保険も出さないでもちゃんと給付金はもらっているという方がおられるんですから、何も働く前に私はお金を出しておきますという方がいたっていいわけであると。それは、今までのようにところてん式の学校制度で考えたらそんなもの出てきっこないじゃないかと思いますが、いやこれからは学校制度はもっとどんどん人生のいろんな場面に広がってまいりますから、そうするとその間々に当然労働を待つ人が出てくる。この人たちは当然一緒になって労働者としてみんなで助け合っていこうというものにしていいんじゃないかということを考えております。
 自分のことばかり言っておってはいけませんので、そんな案もまたこれから考えていきたいなと思っていますが、ちょっともとへ戻りまして一つだけお聞きしたいんです、大臣の方には。
 政労使雇用対策会議、先ほどちらっと触れられましたが、これは今現状どんなような動きをされておるんでしょうか。
#33
○国務大臣(甘利明君) 実はきょうも昼にやってきたところでございまして、きょうで三回開きました。九月二十五日、十一月六日、そして十二月十日、本日であります。
 一回目は総理が出られて初顔合わせのようなものでありまして、政側は私と通産大臣とそれから官房長官、官房長官は出られるときに出るという条件つきなんですが。それから連合は鷲尾会長、あるいは榎本代行、あるいは笹森事務局長が出てこられますが。そして日経連、会長と専務ということで構成をされております。一回目は政労使で合意できるところは積極的に合意を受けて政策として提言をしていこうという話でありまして、二回目のときに百万人の雇用の創出と目標を掲げて、それぞれが努力できるところを努力しましょうよということで一致をしたということでありまして、三回目のきょうは、百万人の具体化がいまひとつ明確ではないではないかということで、これをどう具体的に創出部分を積み増していくかというような話し合いをさせていただきました。
#34
○山本保君 それでは、経済企画庁の方に一問だけお聞きします。
 十二月一日からNPO、この委員会で一月、二月と熱心に議論をしましてでき上がった法律が動き出したわけでありますけれども、この状況と、それから一緒に、今までの議論を踏まえて、このNPOと言われている、非常にあいまいなものでございますけれども、私の概念としましては、まさにきのうも言いましたけれども、もうけ主義ではない、人間連帯とか地域連帯をもとにしたきめ細かなさまざまな、福祉であるとか環境であるとか、こういうものを行う団体なんだと、こう考えておるわけでありまして、このNPOの雇用効果、創出効果というふうなものはどのように考え、読んでおられるのか、お話しください。
#35
○政府委員(金子孝文君) NPO法が十二月一日に施行されまして、法人格の申請が始まったわけです。それで、十二月一日から四日までの累計ですけれども、これは事務所が一県内にとどまる場合には都道府県に申請することになっております。一日から四日までの累計では六十件であります。二県以上に事務所がまたがる場合には経済企画庁が受けつけるということであります。本日まで八件ということになっております。
 それから、雇用効果でありますけれども、そのときにNPOということを考えた場合、二つにNPOを明確に分けておいた方がいいのではないかと思います。というのは、一般にNPOと言った場合に、例えば公益法人とか医療法人だとかあるいは学校法人が入った広い概念でのNPO、それから今回の法が対象としています、ボランティアとかそういう狭い意味でのNPO、その二つがあるということをまず区別することが必要なんではないかと思います。
 私どもの推計によりますと、広い範囲でのNPO、これは付加価値で約十五兆円、これは今GDP五百兆ぐらいありますからGDP比三・一%になります。ただ、公益法人あるいは医療法人、そういうものを除いたいわゆる狭い意味でのNPO、つまりこの法が対象としているものですけれども、それは付加価値では三百億円とかなり小さい。それで、これはGDP比について〇・〇〇六%という規模であります。
 それで、お尋ねの点は雇用者数がどうかということなんですけれども、これは調べてはありませんけれども、二つのやり方で推計をしてみたらどうかということについて御説明をしたいと思います。
 労働省が九年度の委託調査をしていまして、民間非営利組織の活動と労働行政に関する調査研究報告というものが出ています。NPOの有給スタッフのうちNPOの仕事を主な仕事としているという人がいるわけですけれども、それらの方々の平均年収を調べていますが、それが三百万円、もうちょっと低いかもしれませんが、そんなようなところかなと。仮に一人が三百万円ということで考えますと、先ほど付加価値が三百億円と申しましたが、NPOの場合には利益はないわけですから、ほとんどが人件費だと考えますと、この三百億を三百万円で割りますとその結果は一万ということで、狭い意味でのNPO、この法が対象としているNPOでは現在のところ雇用者としては一万人ぐらいなのかなと思います。
 それから、私どもが別途全国の調査をしているわけですけれども、どのくらいの狭い意味でのNPO団体がいるのか、それをやってみますと、大体八万六千団体というのがあります。そのうち有給の事務局のスタッフを有するものが一六%ということになっていますので、それぞれが有給のスタッフが一人だとするとこれも一万ということになりまして、大体一万人ぐらいがいいところなのかなということだと思います。
 そういうことで、NPOの経済規模及び雇用者数は現在のところ小さい数字にとどまっていますけれども、今後、社会変化に伴ってNPOの活動が活発になりましてその規模も大きくなっていくのではないか、こう考えている次第です。
#36
○山本保君 一つだけ。
 今のものはこれまでの構造というものを全く前提として考えられている。私は、まさに今まで欠けていたところがこれからつくられてくるのであろう、こういうふうに思っております。
 ありがとうございました。
#37
○市田忠義君 日本共産党の市田です。
 政府は、雇用活性化総合プランとして総額二千九百五十五億円の補正予算を組まれました。労働省の資料によりますと、総量としての雇用の場の拡大、労働者の就職支援対策、労働力需給のミスマッチの解消、失業中のセーフティーネットの確保に分けられています。
 中小労確法の改正は、このうち総量としての雇用の場の拡大に位置づけられているわけですが、これがどれほどの雇用効果が期待できるか。これは衆議院での質疑でも、先ほどの斉藤委員の質問に対しても、新しい措置で来年度五万人、今ある措置で一万人、合計六万人、そういうお答えがありました。
 前回の改正のときに我が党の吉川議員の質問に対して労働省は、予算上初年度で一万五千人の新規雇用を見込んでいる、こういう答弁をされました。
 先ほど、実際には三年間で六千五百人だった、そうなった理由は何かという斉藤委員の質問に、景気の悪化、PRの不足、施行後日が浅いからだ、こういう御答弁でした。しかし、施行後日が浅い初年度でどれぐらいの見込みかと聞いて、一万五千人という答えだったわけで、私はもっと深い自己検討が必要だというふうに思うんです。なぜ三年間で六千五百人だったのか。何の役にも立たないなんという言い方はしませんが、その効果についてはかなり割り引いて考える必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
 雇用保険の受給資格者が創業する場合に支給される助成金、これはプラス効果は確かにあると思うんですけれども、中小企業の雇い入れに対する助成、これは数年前とは違って、中小企業でも雇用縮小が始まっているわけですから、私はそんなに大きな効果は期待できないと思うんです。職安の実際に求人開拓に回っている人に私は聞きました。人を雇い入れたらこういう形の助成金があると何ぼ言っても、仕事がないのにどうして人を雇えるか、実際に現状をわかっているのだろうか、こういう声があちこちで聞かれるということを聞きましたけれども、私は積極的な雇用をつくり出すということを今真剣に考えるべきだというふうに思うんです。
 そこで、雇用をつくり出すための努力について、具体的な問題についてお聞きしたいと思うんです。政府は、去年五月十六日に閣議決定された経済構造の変革と創造のための行動計画、この中で医療・福祉関連分野でどれだけの労働雇用が生まれると予測しているか、簡潔に御説明ください。
#38
○政府委員(渡邊信君) 医療・福祉関係ではおよそ百三十万人程度というふうに見ております。
#39
○市田忠義君 今言われたように、現在は三百四十八万人で、二〇一〇年には四百八十万人、百三十二万人の新しい雇用が見込まれると。御答弁のとおりだと思うんです。
 ところが、例えば二〇〇〇年から介護保険の実施がされるわけですけれども、介護労働力の不足というのは二十五万人とも言われているわけですが、最近、介護保険制度に関する調査結果という全国市長会の平成十年十一月の調査結果が発表されました。
 それを見てみますと、どんな数字が出ているか。介護保険制度の円滑な実施に疑問を出している自治体がおよそ半分にも達しているんです。例えば、若干の数字を紹介しますと、体制整備が難しい理由として全国の市長さんがどんな答えをしているかといいますと、専門的な知識経験を持つ地域の人材の不足、これを挙げている方が二三・三%、それから担当可能な知識経験を持つ職員の不足が三〇・三%、これを合わせますと五三・六%なんです。
 それから、もう一つの指標を紹介しますと、介護サービスの問題点として、ホームヘルパーの不足を挙げている方が三一・三%、施設整備のおくれが四五・二%。いずれにしても、現状が大変厳しい、自治体としては大変だという声を、これは全国の市の八五・八%の回答率ですから、大変高い数字だというふうに思うんです。
 そこでお聞きしたいんですが、先ほど百三十二万が新たにふえる、そうなるだろうというだけでは決してこの数は達成できないわけで、介護労働力の不足について、雇用促進事業団のポリテクセンターとか都道府県の職業訓練校、これらの人材育成を目的としたコースの定員は全国でどれぐらいか、御説明してください。
#40
○政府委員(日比徹君) 公共職業能力開発施設におきます介護福祉士それからホームヘルパーの今年度の定員は千八百六十人ということで実施いたしております。
#41
○市田忠義君 介護福祉士の育成のための学校というのは何校で何人、ホームヘルパーは何校で何人と、分けて御説明いただけますか。
#42
○政府委員(日比徹君) 介護福祉士養成に関しましては、一校で三十人でございます。それから、ホームヘルパー養成につきましては、三十校で千八百三十人でございます。
#43
○市田忠義君 驚くべき数字です。介護福祉士というのは確かに兵庫に一校あるだけですね。それで定員が三十人。ホームヘルパーは三十校で千八百三十人。
 では、そういう定員に対して応募の状況はどうですか。
#44
○政府委員(日比徹君) 平成九年度ということになりますが、応募倍率三・七倍でございます。
#45
○市田忠義君 甘利労働大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、介護福祉労働についての需要が非常に高い。しかも将来ふえていくと政府も予想しておられる。しかもそうした職業につくために職業訓練を受けたいと希望をする人も大変多い。先ほどの定員に対してどれぐらいの応募状況かという数字からも明らかだと思うんです。
 こういう条件がそろっているのに、欠けているのは政府の積極的な対応だと私は思うんです。この際、いろんな困難な条件はおありでしょうけれども、職業訓練の定員枠を計画的かつ大規模にふやして、積極的にこうした労働力をつくり出すことに全力を挙げるべきではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(甘利明君) 私、大臣に就任をしてすぐ指示をしたことが幾つかあります。そのうちの一つが職業訓練施設を全部点検してもらいたいということでありました。これは県の施設も含めて全部点検せよと。
 そのときなぜそう言ったかといいますと、時代の要請を先取りした訓練カリキュラムがちゃんとしかれているか、二十一世紀を先取りした職業訓練の講座なりがちゃんと開かれているかどうか、全く必要もないようなものばかりでないか、あるいは内容も十年一日変わらないような昔の教材でやっていないか、全部調べてくれという指示を大臣に就任して一週間以内にすぐ出しました。その中には、介護福祉士に関してもちゃんと受け皿を持っているか、あるいは拡大ができないかということも含めてすぐ調査をしてもらいたいという指示を出しました。
 物理的に労働省の予算の枠もありますから、これはぜひ応援をしていただきたいと思うのでありますが、許される範囲内でできるだけ拡大をしていくということは私も思っておりますし、事実そういうふうに成長する十五分野に見合った人材の供給ができるような職業能力のバージョンアップの場をちゃんと設定するようにということはかねてから申しておりますので、ぜひ与野党こぞって応援をしていただきたいというふうに思います。
#47
○市田忠義君 積極的な対応を希望しておきたいと思います。
 ちょっと別の角度の問題を質問したいと思うんですけれども、労働行政のあり方の問題で一つお聞きしたいんですが、雇用保険の基本手当の支給制限期間の問題についてです。
 雇用保険法の三十三条にかかわる問題ですが、正当な理由のない自発的離職者については、職を失っても雇用保険を受給できるまで三カ月間待たされるという、制度上そうなっているわけですが、この問題についてちょっとお聞きしたいんです。
 正当な理由なしの自発的離職者をどうやって認定するか、これは労働大臣が決められた基準が幾つかあるわけですが、失業したときのいわば失業者のよりどころである、そうした場合に備えて保険料を払っていた人が雇用保険の受給の権利が行使できるかできないかということがいわば決められる大事な認定の仕方、これは慎重かつ労働者の利益に有利になるように図るということが私は必要だと思うんです。
 最近の報道で、いじめとか嫌がらせによる退職というのが大変多いです。例えばいじめや嫌がらせによって退職に追い込まれたと、これは本人の意思によらない自発的離職として扱われるべきだと思うんですけれども、そういうふうになっていますか。現行の規定ではそうなっていますか。
#48
○政府委員(渡邊信君) 自己都合で退職をしました場合に、それについて正当な理由があるかどうかということは、今委員がおっしゃいましたように労働大臣が審議会の意見を聞いてかなり詳細な基準を定めているわけでありまして、公共職業安定所長はその基準に基づきまして認定をするということになっております。
 今御指摘の上役等から故意の排斥、著しい冷遇、嫌がらせを受けたと、こういったことによって退職をしたというときには、正当な理由があるというふうにこの基準の中で定めております。
#49
○市田忠義君 では、本人がいじめに遭ってやめたということを申告すれば、それで認定されますか。
#50
○政府委員(渡邊信君) 正当な理由があったかどうか、自己都合かどうかというのはかなり確かに微妙な問題もあるわけでありまして、安定所におきましては、使用者側と労働者側と両方の見解を聞いて判断をするということにしております。
#51
○市田忠義君 そうすると、離職票にどう書かれているかというだけではなくて、窓口でも相当そういう事情も聞いて、実際にそれが正当な理由によるものかどうかということを厳密な検討をするということになるわけですね。
#52
○政府委員(渡邊信君) 双方から見解を聞きまして、これはそうした場合にはさらに安定所で調査をするという運用をしております。
#53
○市田忠義君 例えば十月十六日付の朝日新聞、「人間失格だ、やめろ」、こういう大きなショッキングな記事が出ているわけですが、余り時間がありませんので簡潔にしますが、これは一部上場運輸会社の元課長、四十九歳。
  「おまえは会社にぶら下がっているだけだ」
 「おまえは人間失格だ」一部上場の運輸会社の
 ある支店で営業を担当していた元課長は、今年
 三月から約三カ月もの間、支店の幹部数人から
 口汚くののしられ、退職を迫られた。
  いつものように得意先回りから戻ると、突
 然、総務課長に呼ばれた。「あんたは規律を乱し
 ている。会社をやめろ」
  会社の業績悪化で、ひそかに「クビ切り」が始
 まっているとのうわさはあった。だが、つきつ
 けられたのは予想もしない理由だった。入社し
 て二十六年、こつこつと勤めてきた。成績が悪
 いわけではない。法に触れたり、会社に損害を
 与えたりしたこともなかった。
  しかしそれから連日、会議室で幹部らに囲ま
 れ、非難を浴びた。抵抗すると誓約書を書かさ
 れた。「職務遂行姿勢、職場内における協調性な
 ど、社員として欠如していることを深く反省し
 ……」理不尽だったが、妻や子を思い、署名し
 た。
と。これは、署名したら三カ月間退職を猶予してやると。ところが、三カ月たったら、同じことを繰り返し罵声を浴びせられて言葉の拷問を受けた。「こんな会社、辞めてやる」と思わず叫んで便せんに退職届を書いたと。
 こういう場合、これは自発的退職ですか。どうなりますか。
#54
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申しましたが、労使双方から事情を聞くということですから、特に会社の嫌がらせというようなケースについては、なかなか見解が異なることは実際問題多いと思うんですけれども、それは双方の言い分をよく聞いて判断することになると思います。
#55
○市田忠義君 本当はあといっぱい聞きたいことがあったんですが、時間がなくなったのでもう一問だけ、今と関連して聞いておきたいんです。
 そうしますと、それこそ雇用保険の給付制限がやられるかどうかという、失業者にとっては三カ月も今の状況で雇用保険が受けられないかどうかという、いわばその人の人生がかかった大事な局面ですよね。そういうときに、職安の窓口でそういう人に本当に丁寧に実情を聞き出すと。
 私、飯田橋の職業安定所に行ってきました。きょうはまだ人が少ないということだったんですけれども、それでも二階の求職コーナーや相談コーナーへ行きましたら、本当に人でいっぱいでした。
 それで、飯田橋の職業安定所で聞きますと、一カ月の窓口の相談件数というのはどれくらいあるか。ことしの九月で大体一万五千ぐらいだというんです。二十二日間で割りますと、一日七百人。二時間待ってもらって五分ぐらいしか相手と話ができない。これで、いわば相手の人生相談に乗っている、将来を握っているようなそういう相談に、本当に今の体制ではやれないんだと。大体一人で一日二十人から二十五人いろいろ相談を受けるそうですけれども、病院のように何番目とかいう番号があって待っている。二時間待ってたった五分の相談もあると。
 私は、こういう時期に、確かに国の財政が大変な時期ではありますが、こういう部分にこそやっぱり適切な人をふやして、そういう失業者の要望にこたえられるような行政がやれるように積極的な対応をぜひ図っていただきたい。労働大臣の所見をお伺いしたい。
#56
○国務大臣(甘利明君) 環境としては、行革の真っただ中でありますから、人員増については大変に厳しい査定が行われる中でありますが、今までも必要な増員には努めてきたつもりでございますし、厳しい行財政事情ではありますけれども、これからも適切な措置を講ずるように努めていきたいというふうに思っております。
#57
○市田忠義君 時間が来たので終わりますが、本当に深刻な雇用失業情勢のもとで、こういうところにこそやっぱり行政の光を当てるべきだと。本当に公務員の皆さんが必死で働いている姿をきょうも見てまいりましたけれども、ぜひ適切な人員増のために積極的な対応を大臣に先頭に立ってしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
#58
○大脇雅子君 中小企業における雇用情勢が非常に厳しいものであって、中小企業は過去最悪の深刻な状態の中に、働く労働者と家族が大変不安な日々を送っているということは論をまたないと思います。そうした厳しい状況にあって、今度の中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律、これがどのような効果を及ぼすかということが非常に大きな問題でありましょう。
 十一年度の予算によりますと、三百五十一億で五万人の人が創出されるという予測ということですけれども、現在中小企業では、もはや開業率よりも廃業率が高いという状況にあります。中小企業の場合の創業、分社、異業種への進出というふうに言った場合に、この創業率というものは、今までありまして、現在どのような見込みを立てておられるでしょうか。
#59
○政府委員(渡邊信君) この創業率と廃業率の調査は三年に一度行われておりまして、直近の調査では平成六年から八年についての調査がございますが、この開業率を見ますと、この間、全事業所との比較でございますが、年平均で三・六%ということになっておりまして、廃業率は三・八%で廃業率の方が上回っている、こういったふうな状況にございます。
#60
○大脇雅子君 そうしますと、まず、創業に対する支援ということはなかなかに難しいということも一つありますが、今回の法案では分社化や異業種への進出ということになっているわけです。まず、新分野進出等に係る場合、改善計画というものを出して認定をするわけですが、この改善計画の内容というものが大変重要な意味を持っているということになります。地域的、業種別の特殊事情等への配慮その他、どのようにこの認定基準を運用されるのか、お尋ねいたします。
#61
○政府委員(渡邊信君) 中小企業労働力確保法におきまして、通産大臣と労働大臣は雇用管理の改善についての基本指針を定めるということにされておりまして、今回この改正法を成立させていただきますと、この指針についても改正をするということにしております。
 これは、関係審議会の意見を聞いて改正するわけで、若干先のことにはもちろんなるわけでありますが、地域別等々いろいろな問題があると思いますが、まず、前回この基本指針を改正しましてから後の大変大きな変化の一つは、例えば男女雇用機会均等法の改正された部分が来年の四月一日から施行になるといったふうなことがございます。
 したがって、これからの良好な雇用機会というふうなことを考えます場合にも、雇用管理における男女の機会均等、あるいは募集、採用における機会均等、あるいは男女労働者を問わず職場と家庭との両立が図れるような職場、こういったものについては新しい指針に盛り込みたいと考えているところでございます。
#62
○大脇雅子君 この措置の実効性の確保についてですが、まず分社化というのは、これまでは円高不況とかバブル経済崩壊後の強行された大企業に見るリストラ策の一環としてよく知られた企業の対応策であるということであります。
 例えば、最高裁の判例、平成四年五月二十五日の有名な千代田化工建設における分社化では、会社が不採算部門を切り離すのに伴って賃金が三割下がるということなど労働条件の切り下げが大きな争点であったことを見ましても、本法の改正法が適用される分社化というものについては改正の趣旨が真の意味で貫徹されなければならない。そういう点で、この雇用確保に名をかりたリストラに利用されることがない歯どめについてどのように考えておられるでしょうか。
#63
○政府委員(渡邊信君) 今回の改正は、これから伸びていく発展性のある事業を新しく起こそう、そういった事業、あるいは分社化によってそういったことに挑戦をしよう、そういった分野について支援をしようというもので、それが良好な雇用機会の拡大につながるということを目標としているわけでありますから、例えば分社化に名をかりて労働条件の切り下げを行ったり、人員整理を行ったり、そういったものを助成するということでは全く逆効果になるというふうに思っております。
 そのチェックでございますけれども、これは改善計画を出していただいたり、実際に支給の段階で雇用促進センターがチェックをすることになりますが、そういったところを通じまして、分社化の場合には、分社化をする前後を通じて事業主都合による解雇がないことといったふうなことを例えば運用条件に加えたいと思いますし、また労働条件の面につきましても、改善計画が出された段階でそういったことについては十分チェックをしていきたい、そういった改善計画の審査になるようにしていきたいというふうに考えております。
#64
○大脇雅子君 雇用保険法の施行規則によりまして、特定求職者雇用開発助成金などを出す場合には、雇い入れの日の前日から起算して六カ月前の日から一年を経過した日までの間において、当該雇い入れに係る事業所の労働者を解雇した事業主には出さない、こういうことになっているわけであります。
 しかし、この解雇だけではなくて、例えば希望退職を募って退職を強要したり、あるいは転籍をさせたり、先ほど言いましたような労働条件の切り下げ等に向かわないということについては厳しくチェックをして助成金を出していただきたいというふうに思います。そうしませんと、この分社化による助成金を悪用し乱用するというようなことが発生する危惧がありますので、この点はしっかりと歯どめで通達等をきっちり書かれまして、運用に注意をしていただきたいと思います。
 それから、こうした改正目的を確保するためには、制度内容を十分生かして中小企業の実情をきめ細かく把握して迅速に対応する体制がなければならない、そして制度の適用のフォローアップということも十分必要だと思いますが、その点についてはどのようにお考えなのか、大臣の御見解を伺って質問を終わります。
#65
○国務大臣(甘利明君) 先ほど来御指摘がありますように、幾らいいと思って意気込んでつくった制度でも、ふたをあけて何年かたってみたらほとんど当初の効果がないこともあるではないかという御指摘をいただきました。
 制度をつくってちゃんと周知徹底をする、それから、指導を行ったり援助をしたりしていく要員体制もきちっとつくっていく、これは大事なことでございます。今までもこうしたものに関しまして雇用促進センターにおきまして相談援助を行ってきたところでありますけれども、新たな助成措置に係る相談援助を担当します、このまた名前が一つついているんですけれども、こういうのがいっぱいあってなかなか覚えられないんですが、中小企業新分野進出等推進員というのを雇用促進センターに配置いたしまして遺漏なきを期していきたいというふうに思っております。多様なニーズに応じたきめ細かな対応ができますように指導していきたいと思っております。
#66
○鶴保庸介君 自由党を代表いたしまして、私、鶴保、二、三質問をさせていただきたいと思います。
 段々のお話の中で、今日の雇用情勢とか、かなり大きなお話がありましたものですから、私の持ち時間は十二分ということですので、今回の法律に関連することに絞って手短にお話をお伺いしていきたいと思います。
 まず、大臣にちょっと、これは繰り返しになります。もう本当に各委員の先生方がお話しになっていましたが、本改正案の雇用創出の中身について、百万人雇用計画ということを掲げられて、そしてまたその実績規模は、今聞いておるとちょっと不安になるような数字だというようなことでしたけれども、労働省単品というんですか、一つの省の中で考えること、施策としてでなくて、今回のこの法律も各省庁間のそれこそ連携をとりながら政策を進めていく、そういう視野も必要であろうかと思います。
 まず、その百万人の雇用創出に対しての決意と、それから先ほど私申し上げました各省庁間の連携の様子みたいなものをちょっとお伺いさせていただければと思いますが。
#67
○国務大臣(甘利明君) 百万人の雇用創出と安定に関しましては、今回の緊急経済対策が底上げをするGDPの効果が雇用にはね返る分、それから今回、今現在御審議をいただいておりますこの法律によって生み出す効果、合わせて約三十七万人と算定をいたしております。
 それから、失業をこれ以上ふやさないという意味で、雇用活性化総合プランの大宗を占めます政策でありますが、その政策効果によりまして六十四万人が安定効果として生まれてくるというふうに試算をいたしております。
 それから、あわせて、鶴保先生の今の御指摘で、政府全体として新しい分野の雇用を創出していくという連携をとれというお話でありますが、この点に関しまして、成長する十五分野の前倒し計画といいますか、規制緩和等集中投資を行って、できるだけその芽を育て上げていこうということに関しまして産業再生計画というのがございます。これを、私が聞いておりますところは、一月の中下旬までに通産大臣が指揮をとって取りまとめていくというふうに聞いております。
 この中には、来年度予算のそれぞれの重点配置も含めてできるだけ早急に雇用の創出効果をねらっていくということになると思いますし、この産業再生計画の主務大臣は通産大臣でありますが、総理からは閣議の席上で、他の大臣が全部横並びで補佐するんですが、その中で、労働大臣を初め他の大臣と連携をとりという、わざわざ私の名前を挙げていただきましたものでありますから、通産大臣とよく連携をとりながら、そして他省の関係する大臣とも連携をとりながら、できるだけ効果が早急にあらわれるように取り組んでいきたいというふうに思っております。
#68
○鶴保庸介君 よくわかりました。
 それでは、その予定とそれから効果ですね、今本当に公共投資なんかでも費用対効果ということが叫ばれておりますこの財政難の状況ですから、その事後的な効果分析といったことについて、この予定だからこういうふうになっているというようなことを、今までのその制度もしてきたのかもしれませんが、今回もそれをするのかどうか。そしてまた、今までの制度についての効果分析というのがちょっと不十分だったか、その反省点がいろいろあるのかどうか、またそれについてどんな改良点があるのか。これも時間がありませんので手短によろしくお願いいたします。
#69
○政府委員(渡邊信君) 本法が制定、施行されましたのは平成三年でございますけれども、以後平成七年の改正を経て今般の改正に至っているわけでありまして、先ほど来見通しの甘さを相当指摘されているわけでありますが、私どもとしましてはこの間何点かの事後的な効果分析をしてまいりました。
 例えば、制定当時には中小企業の主に労働不足に対応するということでございましたが、平成七年には新分野に進出することを支援するというようなことで高度人材の雇い入れというものを新たに助成の対象にいたしましたし、今般はさらに創業支援というようなことで一般労働者の雇い入れについても対象にするということにしております。
 また、高度人材についても、当初は職制でいいますと、中小企業ですからなかなかそういった職制はないのかもしれませんが、部長級というふうな要件にしておりましたが、これはなかなか厳しいというようなことで、現在では課長級の人を雇えばいいんではないかというふうに運用面でも改善をしてきております。また、今般は、従来の助成対象がハード面の整備だけであったものですが、これをソフト面の例えば就業規則の作成費用などについても助成の対象にするというふうに、できるだけ事後チェックを踏まえながら制度の改正を考えていきたいとこれからも考えているところであります。
#70
○鶴保庸介君 予算額とそれから支給実績額をちょっと調べてみると、中小企業新分野展開支援人材確保助成金というんですか、一六・五%なんというのが平成九年度は出ておるわけです。最初思っていたよりも使われる方が、利用される方が非常に少ないというようなことを本当に痛感するわけであります。衆議院の方の質疑の中でも、その周知徹底をとにかく皆さんに勧めるようにということを言われていました。
 ちょっと皆さんにも御紹介をさせていただきたいんですが、私の地元の方で、窓口になるのがこれは県に一つしかないんですね。こういう制度を使わせていただくのに、求人をさせてもらって、求人の窓口で教えていただいたらいいんだけれども、実際は後になってそんな制度があったのかということを知って、それからほぞをかむというようなことが多々あるように思います。
 時間がありませんので詳しくは申し上げられませんが、こういったことについて本当に周知徹底方、具体的な方法ですね、リーフレットをつくったりとかというようなことを言われていましたけれども、その辺、決意とともに、これはもう最後の質問になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
#71
○国務大臣(甘利明君) 当初見込みと実績の数値が外れることはありますけれども、余り大きく外れちゃいますと、一体何をやっているんだというおしかりをいただきます。それで、周知徹底が行き渡っていないということのほかに、やっぱり政策が魅力的かどうかということは大きなかぎになります。前回も当然そうでありますけれども、今回はより通産省の政策との合わせわざといいますか、この適用を受ける企業なり個人事業者にとってより魅力的なものに仕上がっているというふうに私は確信をいたしております。お互いの法律の中に相手の法律との連係プレーですよという項目がきちっと掲げてありますし、当然通産省の施策も合わせわざで使われる人もたくさん出てくるというふうに思っております。
 もちろん、施策はよかったけれども知らないがために使えなかったというようなことがないように万全を期していきたいというふうに思っております。
#72
○鶴保庸介君 このたびのこの制度とよく似た雇用保険制度で特定求職者雇用開発助成金といったようなことがあります。
 障害者の方を雇い入れて、三年ほどしたから、その障害者の方の友人をこれまた雇おうかなといいまして、その雇用者の方がその方を雇ったら、障害者の方が会社の中で二人になるということになるわけですね。そうすると、その二人目の方はじゃ助成金をもらえるのかというと、窓口を通していないから、職業紹介所を通していないからだめだと言われたことがあるというふうなことを聞きました。
 後になって制度がそういうふうになっているんだということも含めて全く知られていないということは、本当に残念なことだと思います。求人側の方にしてみれば、一度登録するためにその地域のハローワークに赴くだけで、あとは雇用促進センターなどというようなところへ行く必要もないし、ある場所も知らないというのが実情だと思うんです。
 ぜひともこの周知徹底方、そしてこういう制度がありますよ、何のために政府がこの不景気を打破するためにやっているのかということを、決意を示す意味でも周知徹底方、ぜひとも関係の皆様の御努力をお願いいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#73
○高橋紀世子君 最後になりましたが、なるべく手短に御質問したいと思います。
 このたび労働省提出の労確法改正案は、失業率の低減、ひいては日本の景気回復に向けて、これまでの労働省の守備範囲をさらに広げ、他の省とも手を携えて大変踏み込んだ改正案と評価しております。しかし、私に一つ素朴な疑問点がありますので、これをお聞きしたいと思います。
 まず初めに、労確法が最初に制定された平成三年、一九九一年当時の雇用情勢についてお尋ねしたいと思います。
 当時はバブル経済のあおりを受け、景気は拡大期にあり、とりわけ中小企業にとって労働力の確保は困難な状況にありました。この労確法は、中小企業における労働力確保のための職場の環境整備等、雇用管理面での支援策として施行されたと認識しておりますが、それで間違いありませんでしょうか。労働省の方の御見解を一言伺いたいと思います。
#74
○政府委員(渡邊信君) 平成三年に本法が制定されましたときは、確かに中小企業における人材確保が非常に困難だというふうなことで、雇用管理の改善をすることによって魅力的な職場をつくって労働者の確保に努める、そういったことを目的として本法は制定されました。
#75
○高橋紀世子君 そのことを踏まえた上で、次に今回の労確法改正案提出の背景についてお尋ねいたします。
 今回の労確法改正案は、長引く不況に対する景気浮揚策の柱として特に十一月十六日に策定された政府の緊急経済対策における雇用活性化総合プランの一環として提出された法案と認識しておりますが、間違いありませんでしょうか。労働省の御見解を一言伺いたいと思います。
#76
○政府委員(渡邊信君) 雇用活性化総合プランにおきましては、現在の大変厳しい雇用失業情勢、四・三%の失業率という状況について、需要不足による失業とそれから三%程度の構造的、摩擦的な要因による失業と二種類あるということを指摘しておりまして、それぞれの対策について検討しておるわけでありますが、この労働力確保法の改正もこの活性化総合プランの一環として主に需要不足に対応するために提案をしているというものでございます。
#77
○高橋紀世子君 バブルのあおりを受けていた平成三年当時、つまりそもそも労確法が成立した当時と、失業率が今おっしゃったように四%を超えている現在では、雇用状況に大きな格差があります。今御答弁にもありましたように、現行法はバブル期に労働力確保を目的としてつくられた法であります。一方、このたびの改正は、その当時とがらりと変わった経済状況のもとで緊急経済対策の一つであると思います。何としても中小企業に新事業にチャレンジしてもらい、雇用の創出を促そうとする政策であります。これだけ目的とつくられた背景の違った内容のものを一つの法案の中にほうり込むというのは、国民の本法案に対する正しい理解を妨げ、せっかくの法案の魅力を半減させているのではないかと考えます。
 私は、政府の景気回復に向けての真剣さを国民に示すためにも、むしろ雇用機会の創出に向けた緊急経済対策の目玉の新法案として提出する方がより効果的であったと考えます。この点について甘利労働大臣の御見解をお聞かせ願えればと思います。
#78
○国務大臣(甘利明君) 私は、先生おっしゃるとおり、新法でやりたかったんです。かなり強行に主張したのでありますが、諸般の事情でそれがなかなかかないませんでありまして、その点だけは正直言って残念だったというふうに思っております。
#79
○高橋紀世子君 法律の即効性や効率性も大変大切だとは思いますが、国民一人一人にわかりやすく理解されやすい法律という目線が殊さらに大切だと考えます。
 次に、日系ブラジル人等の外国人労働者の就労問題についてお尋ねしたいと思います。
 厳しい雇用情勢が続く中で、外国人労働者の雇用状態の悪化が予想されますが、その実態についてお聞きいたします。もし、一部のマスコミが報じるように、人手不足を理由に多くの外国人労働者を受け入れておいて、急に景気が悪くなったからといって安易に邪魔者扱いにしているのが事実としたら、大変問題だと思います。将来、政府が外国人労働力の雇用問題にどういうふうに対処していくのかといった国のグランドデザインとともに、この点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
#80
○国務大臣(甘利明君) 先生御指摘のとおり、都合のいいときだけ日本に来てもらいたい、都合が悪くなったら後は知らないというようなことであっては確かにならないのでありまして、そういうことではございません。
 日系人労働者のことに関しまして、雇用の安定とか解雇の予防等雇用管理の改善を図りますために、労働省といたしまして平成五年に「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」というのを定めております。要するに、安易な解雇を行わないよう事業主に対して啓発に努めてきているところでございます。
 外国人全般についてのことなんですけれども、さらに、日系人の求職者の円滑な就職のために、労働省では日系人雇用サービスセンター、これは日系人に対して専門的に職業紹介を行う職安と考えていただいていいのでありますが、これを平成三年に上野とそれから五年に名古屋に設置いたしまして、ここは主に今、日本に来ている日系人でブラジルとかその辺のところ、ポルトガル語とかスペイン語圏ですね、これができる人たちを配置して積極的に職業紹介を行っております。
 日系人は身分関係に応じまして在留資格を得て我が国に在留されているわけでありますけれども、この在留資格というのは、日本人との一定の身分関係があるということを理由として入国、そして在留を認められているものでありまして、基本的な理念に、人手不足を埋めるための労働力として導入するという策ではございませんから、その辺のところはちゃんと雇い入れる側にも徹底をして、安易な取り扱いをなされないように指導しているところでございます。
#81
○高橋紀世子君 外国人の労働者に対しては、国際間の問題につながることでありますし、不況下にはありますが、これからも御配慮よろしくお願いいたします。
 それから、特に障害者だとか弱者の方がこの不況下にあって一番先に犠牲にならないように、ぜひお考えお願いいたしたいと思います。
 これで質問を終わります。
#82
○委員長(吉岡吉典君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、長谷川君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川清君。
#85
○長谷川清君 私は、ただいま可決されました中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党並びに参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    中小企業における労働力の確保のための
    雇用管理の改善の促進に関する法律の一
    部を改正する法律案に対する附帯決議
    (案)
  政府は、雇用機会の創出における中小企業の
 果たす役割の重要性にかんがみ、次の事項につ
 いて適切な措置を講ずべきである。
 一、本法に基づく助成措置、融資制度及び税制
  特例については、その周知徹底を図るととも
  に、中小企業における雇用管理の改善が確実
  に促進されるよう適切な運用に努めること。
 二、本法に基づく助成金等に係る手続について
  は、ILO勧告第百八十九号の趣旨及び関係
  団体の意見等を踏まえ、申請に係る窓口の整
  備や書類の見直し等を行い、助成金等の十分
  な活用が図られるよう努めること。
 三、中小企業の新分野進出等を図るための労働
  政策の推進に当たっては、中小企業政策と一
  体となった総合的な政策を講ずるとともに、
  地方自治体等関係行政機関との連携・協力を
  一層強化すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#86
○委員長(吉岡吉典君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#87
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、長谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、甘利労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利労働大臣。
#88
○国務大臣(甘利明君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
#89
○委員長(吉岡吉典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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