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1998/12/10 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 財政・金融委員会 第2号
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1998/12/10 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 財政・金融委員会 第2号

#1
第144回国会 財政・金融委員会 第2号
平成十年十二月十日(木曜日)
   午後五時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     益田 洋介君     海野 義孝君
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     斉藤 滋宣君
     海野 義孝君     益田 洋介君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         勝木 健司君
    理 事
                石渡 清元君
                金田 勝年君
                伊藤 基隆君
                益田 洋介君
                池田 幹幸君
    委 員
                石川  弘君
                岩井 國臣君
                斉藤 滋宣君
                西田 吉宏君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                平田 耕一君
                浅尾慶一郎君
                広中和歌子君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                三重野栄子君
                星野 朋市君
                菅川 健二君
   衆議院議員
       発  議  者  大野 功統君
       発  議  者  井奥 貞雄君
       発  議  者  小池百合子君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       北海道開発庁総
       務監理官     斎藤 徹郎君
       沖縄開発庁総務
       局長       玉城 一夫君
       金融監督庁長官  日野 正晴君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君
       大蔵省関税局長  渡辺 裕泰君
       大蔵省金融企画
       局長       伏屋 和彦君
       郵政省貯金局長  松井  浩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第五局長   小川 光吉君
   参考人
       日本開発銀行総
       裁        小粥 正巳君
       北海道東北開発
       公庫総裁     濱本 英輔君
       沖縄振興開発金
       融公庫理事長   塚越 則男君
       日本銀行総裁   速水  優君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○日本開発銀行法等の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に益田洋介君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(勝木健司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日の委員会に、日本開発銀行法等の一部を改正する法律案の審査のための参考人として日本開発銀行総裁小粥正巳君、北海道東北開発公庫総裁濱本英輔君及び沖縄振興開発金融公庫理事長塚越則男君の出席を、また財政及び金融等に関する調査のための参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(勝木健司君) 日本開発銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○日出英輔君 それでは、質問をさせていただきます。
 まず初めに、この法案の動機となりました民間金融機関の貸し渋りの実態を伺いましてから、法案の中に入ってまいりたいと思っております。
 貸し渋り対策という形で緊急経済対策に盛り込まれております。世間では貸しはがしとか大分激しい言葉もだんだん出ているわけでありますが、どうも実態がいまいちよくわからない、そういうような感じがいたしております。大変激しい言葉で言われている方もおりますし、少し曙光が差しているんではないかというようなことを言われる方もおります。
 金融監督庁に伺いたいと思いますが、今実態は一体どうなっているのか、これをできますれば民間金融機関の中、都銀なり地銀なり、少し特色を持たせて実態面についてお触れいただきたいと思います。
#8
○政府委員(乾文男君) お答えいたします。
 最近の民間金融機関の融資動向についてのお尋ねでございますけれども、ちょうど昨日、日本銀行が十一月の貸し出しの動向を発表いたしました。それによりますと、全国銀行につきまして、十一月で見ますと、対前年度に比べまして四・〇%の減ということでございまして、前月までに引き続きましてマイナスとなっているわけでございます。
 その内訳は、日本銀行の発表した統計によりますと、今お尋ねの都銀ではマイナスの五・〇%、それから長信銀ではマイナスの八・二%、信託ではマイナスの九・七%、地銀ではプラスの〇・二%、第二地銀ではマイナスの一・二%といったような状況になってございます。都銀、長信銀、信託をいわゆる主要行というふうに我々言っているわけでございますけれども、主要行の中でも長信銀、信託につきましては、例えば金融債でございますと調達の方で少し苦戦しているということもありまして、ややマイナス幅が大きくなっているというふうに思われるわけでございます。
 ただ、これはいわゆるバランスシートの数字でございますけれども、この貸し出しの中には、債権を償却したものが落ちているとか、あるいは債権を流動化したものが落ちているという要因もあるわけでございます。債権の償却でございますとその債務というものが残る場合も残らない場合もあるわけでございますけれども、例えば債権の流動化でございますと、BSからは落ちますけれども、債務者に対するいわゆる融資というものは引き続き行われているわけでございます。
 これをもう少し丁寧に見ますと、そうした不良債権の償却、債権の流動化等といった特殊要因を勘案して見ることも必要かなというふうに考えてございまして、実は日本銀行も今回からそうした特殊要因を調整した後の数字も発表しております。それによりますと、先ほどのマイナスの四・〇%というのは実質ではマイナスの一・二%ということでもってマイナスの度合いが軽減されているということになるわけでございます。
 私ども金融監督庁といたしましても、日本銀行の統計とは別に、主要十八行につきまして生の数字を、十一月でございましたか、ヒアリングを行ったわけでございます。ことしの上期、四月から九月までの数字がどのようになっているかということをヒアリングいたしました。これは主要十八行合計の数字でございますけれども、外国向け、ユーロ円貸し出し等は除きまして、また今申しましたように不良債権の償却、債権の流動化等を除きまして見たものは対前期比で一・九%の増加というふうになっております。対前年比では三・一%の増加となっております。
 それから、日銀の統計にはありませんけれども、私どもはそのうち中小企業向けはどうなのかということを聞きましたところ、中小企業向けは対前期比で〇・二%増、対前年比では〇・五%増というふうに、わずかではありますけれどもふえている、こういう姿になっているわけでございます。
 それから、よその省の数字も引用して恐縮でございますけれども、一方、借り手から見ました金融機関の融資態度がどう見られているかということでございますが、通産省が最近発表いたしました数字があるわけでございます。
 まず、中堅、大企業の方は、民間金融機関から貸し渋りを受けているとする中堅、大企業の割合は二割弱ということでございまして、七月以降ほぼ横ばいとなっているというふうに発表されております。そして、中小企業の方でございますけれども、民間金融機関からの融資条件が厳しくなった、それからサービスが低下したとする中小企業の割合は、最新の統計、十一月中旬で見まして三四・三%というふうに、四カ月ぶりに前月に比べましてわずかながら減少したんですけれども、やはり三割台半ばの高い数字にあるというふうな数字が出ているところでございます。
 以上でございます。
#9
○日出英輔君 今伺いますと、まだまだ大変厳しい状況だけれども少し曙光が見えてきたというふうな感じにも受けとめられたわけでありますが、いずれにしましても企業の資金調達の八割を占めます間接金融の世界で機能不全的な異常な事態が起きているということは大変なことでありまして、引き続き金融機関への指導監督につきましてはしっかりとお願いしたいと思っております。
 そこで、法案に入りたいと思います。
 提案者にお伺いしたいわけでございますが、この法案を見まして二つの点で実はびっくりしたわけでございます。一つは、昨年の九月に特殊法人の整理合理化につきましての方針が出ておって、開銀につきましては十一年の通常国会で法律改正を行うということで廃止をし、同時に新銀行を設立するということが言われておりますし、もう一つは、設備投資中心の融資をやってきた中で、長期運転資金のような設備投資と切り離された運転資金制度などが載っているという意味で、二重にかなり異例なことであるなというふうな思いをしたわけでございます。
 もちろんこれは今の貸し渋り対策への何とかしたいという情熱といいますか、政治主導がなさしめたことだと思っておりますが、こういったことに至りました立法の趣旨につきまして提案者からお伺いしたいと思っております。
#10
○衆議院議員(大野功統君) ただいま日出先生からかなり異例のことじゃないか、こういうことでございました。私も提案者といたしまして異例なお願いをしている、こういう感覚でございます。
 しかし、今も貸し渋りの現状の御説明がありましたけれども、やはり今の信用収縮の現状に対しまして、貸し渋りや貸しはがしという現状に対して断固闘っていかなければこれはどうしようもない状態でございます。断固闘っていくのが政治家としての現在の責務でございます。
 そういう意味で、背景について見ましても、例えば設備資金が落ちて、そして運転資金の需要がかなり伸びている、それから社債の発行状況、これは償還期限が平成十年度に来るのを見ましても大量に参っております。これは通常の年ですと五兆円とかいう数字でございますが、平成十年度には七兆円近い社債の償還が来ている、こういう状態、さらに日本の企業の格付が残念ながら下がってしまった、社債発行条件が極めて厳しい、こういう状況があります。こういうことをすべて解決していかなければならない。
 日出先生おっしゃいましたとおり、特殊法人の整理合理化、歴史の流れからいいますと行政改革は当然のことであります。しかしながら、歴史の流れに反しても私たちはやらなきゃならないことだと思っております。
 また、第二点の設備資金と離れた長期運転資金という問題であります。
 この点につきましては、この法律というのは、これまでの歴史の中で日本開発銀行というのは基幹産業の開発資金を融資するんだ、こういうところから出発しておりますけれども、近年だんだんと設備資金に付随した人件費とかリース料とか保険料とかあるいは固定資産税とか、こういうものに広がってきて、最近の例で言いますと原材料にまで広がってきております。
 歴史的に見ますと、これからは例えばソフトの開発という問題が出てまいります。ソフトの開発というのは恐らく設備資金というカテゴリーには入らないんじゃないか。そういう意味では、私は何か新しい、予告編のような感じがすると思っております。つまり、設備資金と運転資金の境目がだんだんなくなってきているんじゃないか、枠がとれ始めてきているんじゃないか。このことは、例えば財政法四条の公共事業に対する国債の発行と、それから特例債、赤字公債の発行との境目がどうも最近なくなってきているんじゃないか、こういう意味で私は第二の点につきましてはそういう感覚はいたしますけれども、これは私の個人的見解かもしれません。
 いずれにしましても、そういう事情を考えれば、この問題は臨時的、緊急的、時限的な措置として断固やらなければいけない問題だと思います。そういう意味で時限立法にさせていただいている次第でございます。
#11
○日出英輔君 そこで今、提案者の大野先生からお話がございましたが、平成十三年三月末までとした理由というのはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
#12
○衆議院議員(大野功統君) まず、今申し上げましたように新しい銀行をつくれ、こういうような閣議決定がなされております。日本開発銀行、北東公庫とも廃止して、日出先生御存じのとおり、地域整備の方向あるいは生活関連の問題、民間ではできないものを助けてやろう、こういう方向が打ち出されております。そういう方向に対して逆の方向へ行くわけですからこれは時限であらなきゃいけない、このことはおわかりいただけると思います。
 ただし、なぜ十三年三月三十一日までか。これは一年では短かろうし三年では長いかなというようなことでございまして、例えばさきの臨時国会で成立いたしました中小企業信用保険法の一部を改正する法律、これがやはり平成十三年三月三十一日、それから今国会で議員提案としております破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案、これも平成十三年三月三十一日、このあたりに一致して手に手を組んでやっていこう、こういうことで十三年三月三十一日とさせていただいております。
#13
○日出英輔君 もう一つ伺いたいのでございますが、緊急経済対策を見ましたときに、「中堅企業向けの貸し渋り対策を抜本的に強化する」と、中堅企業という言葉が出ておったわけであります。
 今まで中小企業対策というのは昨年来かなりの手厚さで順次拡充されてきておりますが、中堅企業対策というのは少し耳新しい感じがいたしたわけでございます。言われてみますと、中小企業対策に比べて中堅企業対策というのは何か遅かったというように、私は門外漢でありますけれども、そういう印象を受けたわけでありますが、逆に中堅企業対策として貸し渋り対策を考えましたときに、今回の法案で言われておりますようなことで十分なのかどうかということについてはいかがでございましょうか。
#14
○衆議院議員(大野功統君) まず、中小企業対策に比べて中堅の方がおくれぎみになっているんじゃないか、こういう御質問でございます。
 企業統計を見ますと、いわゆる資本金一億円未満が中小企業、一億円から十億円未満が中堅企業、十億円以上を大企業、こういたしますと、一億円未満の中小が、数でございますが百八万ございます。それから、一億円から十億円までが二万五千ございます。十億円以上のいわゆる大企業と考えられますものが五千社ちょっとございます。
 何といっても数で言いますと圧倒的に中小企業が多い。しかも、信用収縮とか貸し渋り、貸しはがし、これに一番深刻に影響を受けておるのが中小企業でございます。したがいまして、昨年来うんとこの中小企業のところに力を入れて、そしてきめ細かく対処してきておるところでございます。例えば、信用枠の拡大にいたしましても、十月に実施して、十月、十一月とわずか二カ月間で既に七兆二千億円の拡大があった、このことは日出先生も十分御存じのことだと思います。したがいまして、中小企業対策をきちっとやる。
 ただ、中堅企業はどうなっているんだということになりますと、先ほど申し上げましたように、例えば運転資金の需要もふえてきた。先ほど社債のことも申し上げましたが、社債につきましても、本年度、平成十年度に償還期限が参ります三千件のうち二千件は中堅企業のものだ、こういう事情があるわけでございます。
 昨年来、中堅企業対策につきましても頑張ってきているわけでございますけれども、例えば昨年十二月に実施いたしましたいわゆる二十一世紀を切り開く緊急経済対策でございますが、この中で、先ほども若干触れましたけれども、設備投資資金及びこれに付随する一定の非設備資金、人件費、賃借料、保険料等、これをやっておりますし、また設備投資に係る返済資金の融資制度を創設したとか、こういうこともやってございます。また、ことしの十一月十六日の緊急経済対策におきましても、さまざまな運用上できる問題、これをやってきているわけでございます。一々申しません。代理貸しとか転貸資金とか、こういうことをやっております。
 最後に、今度の法律で十分かと。今度法律を変えなきゃできないこと、つまり長期運転資金を貸し付けましょう、社債の償還資金の貸付保証をやりましょう、こういう問題であります。一体それで大丈夫なのか、こういう御質問でございます。
 この点につきましては私は大丈夫だと思っています。なぜ大丈夫か。それは、現在、中堅企業向けの貸付残高が四十七兆円、そのうち開銀、開銀というのは中小も入っておりますし、大企業も入っておりますが、開銀の平成九年末融資残高が十六兆円強でございます。これに対しまして、今回の信用収縮対策といたしまして五兆一千億程度を考えている。十六兆円強に対して五兆一千億円程度を考えております。
 貸し付けの方、融資の方は三月三十一日まででございます。保証の方はそれを超えてということもありますが、こういう大幅な貸付枠、信用収縮対策をやっておりますから私は大丈夫だと思っておりますけれども、もし大丈夫でなければ、また我々国会議員として、政治家として考えて、やはり日本の景気を悪くしないようにする、このことは頑張っていかなきゃいけない、このように思っております。
#15
○日出英輔君 今、開銀のお話が出ましたので、ちょっと開銀総裁に伺いたいと思います。
 昨年十二月に金融環境対応融資制度という何かおとなしい名前のあれですが、貸し渋り対策だと思っておりますけれども、これの窓口を開いて逐次その後も拡充してきたという話をホームページ等で見させていただきました。
 十二月に実施されましてからの実績といいますか、そういったものはどういうふうなことになっているのか、伺いたいと思います。
#16
○参考人(小粥正巳君) ただいまお尋ねの金融環境対応融資制度でございますが、昨年十二月にこの新しい制度をスタートさせまして、先月十一月までちょうど一年間でございますが、速報値で数字を申し上げたいと思います。
 まず、この融資制度の対象になる中堅企業とこれに対する日本開発銀行の融資実績は一兆五千六百三十億円、これは前年同期比で二三%増でございます。件数で見ましても千二百九件、前年比で三四%増となっております。
 ただ、これは対象となる企業のすべての融資実績でございますから、中には実質的に必ずしも貸し渋り対応ではないものもございます。そこで、もう少し分けて申し上げてみたいと思います。
 まず、この金融環境対応融資制度そのものを直接適用したもの、これはこの間に千二百五十一億円、件数で百五十件、こういうことになります。ただ、私どもの実務といたしまして、この制度を直接適用しなくとも、既存の融資制度を活用いたしまして内容的にはまさに貸し渋り現象に対応した実質貸し渋り融資の実績、これを拾い上げて集計いたしますと、この間に六千四百二十三億円、件数にして四百五十八件、こういうことでございまして、申し上げましたように、私どもの融資のかなりの部分が実質貸し渋り対応に活用されている、こういうふうに御理解いただければと思います。
#17
○日出英輔君 そこで、法案の中身に少しずつ入っていくわけでございますが、今回の措置で長期運転資金でありますとか社債償還資金の貸し付けといったようなもの、あるいは法案の中身ではありませんが、今回この一環として代理貸しとか転貸資金融資とかいうのが出てきております。
 例えば、代理貸し一つとりましても、趣旨としては窓口業務を円滑にする、あるいは迅速化する、趣旨はそういうことだと思いますが、一般に開銀の皆さん方の審査能力その他と代理機関となります民間金融機関のいろんな仕事の仕方等が違いますので、なかなかその趣旨のとおり迅速化しない、むしろうまく進まない。もちろん、一定期間すれば動いてくるんだろうと思いますが、今喫緊の課題であります貸し渋り対策に、例えば十二月の問題とかあるいは年度末の対応とか、こういったところにうまく対応できるかどうか、ちょっとそういう心配がございます。
 そこで、一つずつ伺いたいのでございますが、先ほど提案者の大野先生からもお話があったわけでありますけれども、例えば長期運転資金の貸し付けの関係、これはいろんなタイプの長期運転資金関係のものが法案でも出ております。こういったものにつきましては、今度の貸し渋り対策で今までやってきた対策に加えて例えばこういう形で使ったら有効ではないかとか、こういったものは今現在考えられているのでございましょうか。
#18
○参考人(小粥正巳君) 今次の法改正が実現をいたしますと私どもが長期運転資金に対応できる、こういうことになります。従来のように設備投資に関連をしたという限定なしで対応できるということになります。
 それでは具体的にどういう需要があるのかというお尋ねでございますが、先ほど大野先生からもお話がございましたように、ここのところ設備投資がかなり落ちております。しかし、設備投資に直接関連がありませんでも、例えば企業としては健全な企業がこの時期に製品の納入をする、そしてそれが売却できまして代金が入金をするまで、その間に当然かなり長期の運転資金が必要になります。これには私どもは現行法ですと対応できないわけでございます。これは当然民間のメーンバンクが対応すべきところでございましょうけれども、その民間銀行が例えばどうしても資金繰りが不足をしている、あるいは自己資本比率維持のためにこれ以上貸し出しができない、そういうニーズが最近の企業金融の実情を私ども窓口から見ておりますとかなりあるように思われます。
 そこで、もし今回の法律改正が実現いたしまして、設備投資と関連のない長期運転資金の融資が認められますと、私どもの実感といたしましてかなり広い対応が可能になるのではないか、こんなふうに考えております。
#19
○日出英輔君 今のお話で少し理解ができなかったんですが、製品の納入から代金の入金までの間の運転資金というふうにお話しになりましたが、これは一年以上の資金でございますね。今のような事例の場合はどのぐらいの期間ということになるのでございましょうか。
 例えば、今の話でなくても、一年以上というのは逆に言うと何年ぐらいまでの間のもので長期運転資金を考えたらいいのか、あるいはどういうのがそういう中で有効なものなのかといったあたりをもう少し敷衍してお話しいただきたいと思います。
#20
○参考人(小粥正巳君) ただいま私は一例として、健全な企業が製品の納入から代金入金までの間をつなぐ長期運転資金と申し上げました。私どもが今回法律改正が実現しますと対応できることになります長期の意味は御案内のとおり一年以上でございますが、それでは長い年でどのぐらいまであるのか。私どもいろいろ実務的に聞いてみますと、これは一番長いもので恐らく五年程度であろうと。したがいまして、一年以上五年程度まで、しかし運転資金でございますから設備資金のように特に長いものというものは多分ございません。
 一方、一年より短い短期の運転資金というものの需要も当然ございます。ただ、短期の運転資金につきましては、私ども実は取引先の預金口座を持っておりません。あるいは企業の日々の資金繰りの面倒を見るための短期資金調達のノウハウも手段も持っていないわけでございまして、もちろん今回の法律案の御趣旨も長期でございますから、私どもここははっきりと区別をいたしまして、短期の運転資金はあくまで民間銀行で対応されるべきものと考えております。
 もう一つ、私ども、長期の運転資金がこの法律改正によって対応できるようになりましても、例えば後ろ向きと申しますか、赤字運転資金のようなもの、つまり私どもの融資はあくまで事業の遂行が政策的に意義がある、政策的に支援すべき事業の遂行ということを考えているわけでございますから、例えば償却前赤字の企業がございまして、たとえそこに融資をしてもその事業が有効に遂行できる見込みがない、こういう場合の運転資金は今回の法律案の御趣旨には沿わないものであろう、こんなふうに考えております。
#21
○日出英輔君 それから、社債償還資金の関係でございますが、中堅企業対策として社債償還の関係というのは有効なんでしょうか。先ほど大野先生のお話しの数字が中堅企業の話でおっしゃったのか全体としての話をおっしゃったのか、ちょっと私は聞き取れなかったのでございますが、特に中堅企業の社債の関係では今どのぐらいの資金需要があるというふうに読んでいますでしょうか。
#22
○参考人(小粥正巳君) 先ほどの大野先生の御説明では、まず一般的に企業が社債を発行しておりまして、その償還期が来たときに通常であれば借換債という形でつないでいくと。しかし、借換債としてつなぐためには現在の起債市場の状況が非常に悪い、あるいは企業の格付の格が下がっている、そういう悪条件が重なっておりますので、全体的に社債の償還資金の需要がここのところでどうも固まって大幅に出てくる、まずこういうお話がございました。大野先生の御説明でも、一方、社債発行企業が、もちろん大企業もございますが、少なくとも件数でいえば最近の実績をとりましても全体の三分の二程度は中堅企業の発行になるものだと、こういう御指摘もあったと伺いました。
 そこで、お尋ねがございましたのでそこをもう少し補足させていただきますと、中堅企業の場合には社債と申しましてもいわゆる私募債、公募債ではない私募債が多分一般的であろうと思われます。先ほど大野先生の御説明にございました十年度の国内債の償還予定額が約七兆円でございますけれども、ある統計に基づきますとその一三%程度、ですから一兆円弱が中堅企業による私募債であろう、一応そういう推計ができるわけでございます。なお、十年度の償還予定の国内債約三千件のうち三分の二に当たる約二千件が中堅企業の発行するものと、こういうお話は全くそのとおりでございます。
 もし今回の法律改正によりまして私どもが社債償還資金融資ができるようになりますと、少なくとも件数ではかなり多い中堅企業が償還期を迎える社債を持っております場合に、先ほど申し上げましたように、借換債の発行が公募、私募を問わず非常に難しくなっているという状況が間違いなくございます。したがいまして、社債償還資金融資の需要は大企業だけではなくて広く中堅企業一般にもかなり発生している。したがいまして、時限的な対策としては、長期運転資金需要と並んで現下の状況では大変需要があるであろう、私どもそんなふうに見ております。
#23
○日出英輔君 それから、北東公庫の総裁にちょっと伺いたいと思います。
 都市銀行でもあり地域銀行としても巨大な拓銀が破綻をしたり、あるいは東北では徳陽シティ銀行が破綻しているような状況であります。総裁から見ての感じでございますが、全国的な貸し渋りの話につきましては先ほど金融監督庁の方からお話がありましたけれども、北海道、東北と限った場合に、貸し渋りの実態的な感じといいましょうか、どういうふうにお考えになっているのか、どういうふうに見ておられるのか。
 それに対して、今回の法改正で出てきたもの、あるいは法改正に伴いましてあわせて措置する幾つかの運転資金や社債のほかに、返済資金とか転貸資金の融資あるいは代理貸しの拡充、こういうのがありますが、こういう対策は北海道や東北の貸し渋りの実態という中で有効に動くというふうにお考えなのかどうか、その辺の感じをぜひとも伺いたいと思います。
#24
○参考人(濱本英輔君) 北海道、東北の今の感じを申し上げるようにということでございますが、二つ申し上げてみたいと存じます。
 私どもが承知しておりますところ、北海道の例でまいりますと、法人企業数約十二万と言われておりますが、この十二万の中で北海道拓殖銀行が融資していた、つまり取引先であった企業の数というのは、いろんな調査があるようでございますが、一つの調査によりますと約四割、その中で拓銀がメーンバンクであったものがその半分というデータがございます。それだけの震度を持った事件であったというふうに私どもも実感いたします。
 それから、東北、北海道をひっくるめまして都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、こういったグループの融資残高を見ますと、前年同期と比べまして最近の状況というのは時を経ますほどに確実に右肩下がりになっております。北東公庫の場合には、規模は限られたものではございますけれども、予算措置をいただきまして右肩上がりで対応させていただいております。したがって、一件一件の審査をしてまいります段階で、先生から今お尋ねがございました感じというものを具体的に感じ取っておるという気がいたします。
 それから、差し当たりまして今回御措置いただきますことが果たして東北、北海道において機能するや否やというお尋ねでございますけれども、これにつきまして、例えば差し当たり社債の償還期を迎える企業にはどういう企業があるか、これは私どもは東北、北海道については承知いたしております。また、これまでのいろんな融資をめぐります話し合いの中で、こういったお金が必要だといった話は私どもの情報として蓄積してございます。
 したがいまして、本法案成立の暁におきましては、なるべく早くそういった企業から期待を聞きまして対応したいと思っておりますし、すぐにでも対応できるものが幾つかあるということは申し上げてよいと存じます。
#25
○日出英輔君 それから、せっかくでございますので沖縄公庫の総裁に伺いたいのでございますが、私は昨年沖縄を三回ほど一年間の間に回っている間に、沖縄が失業率が本土に比べてかなり高いにもかかわらず非常に明るい感じを受けたわけでございます。去年の十一月以降も二度回っております。貸し渋りという話が非常に大きな経済問題になっているだろうと思って私もお邪魔をしましたが、二度とも何か印象としては全く違った感じだったわけでございます。
 私の受け方があるいは間違ったんじゃないかとは思うんですが、沖縄における貸し渋りの実態といいますか、そういうことにつきまして、実感ベースで見た場合にどういうふうな感じをお持ちなのか、あるいは今度の法案の改正で出てきました幾つかの措置でございますが、これがこういった沖縄の貸し渋りの実態にうまく動くものかどうか、その辺につきましてぜひともお伺いしたいと思います。
#26
○参考人(塚越則男君) 沖縄における貸し渋りの状況についてお尋ねでございます。
 貸し渋りに当たるかどうかということは別といたしまして、最近の日銀の調査によりますと、金融機関の貸し出し態度につきまして、厳しいとするものが緩いとするものを二一ポイント上回っているというようなことがございますし、また地元金融機関の貸出残高もこのところ前年比マイナス傾向で推移をいたしております。また、私どもの窓口に来られる相談とか申し込みの状況を見ましてもかなりふえておりまして、こういうところから見まして、程度の差はございますものの、沖縄における金融の状況というのは全国と同様厳しい状況にあるのではないかというふうに思っております。
 また、御審議いただいている法律によりまして沖縄公庫に新たな機能として中堅企業等に対する長期の運転資金等を加えるということになるわけでございますが、公庫はこれを貸し渋り対策に有効に機能させることができるかという御質問でございます。
 沖縄公庫は、御案内のように、沖縄県一県を対象といたしまして、本土の日本開発銀行その他一銀行五公庫等の業務を一元的にやる総合的な政策金融機関ということになっておりまして、従来から中小企業資金あるいは生業資金、それから環衛資金といったような資金につきましては既に運転資金の融資を行っておりますし、また代理貸しもずっとやってきておるわけでございます。
 昨年秋以来、累次の貸し渋り対策が講ぜられまして、沖縄公庫としましても積極的にこれに取り組んでまいりました結果、中小企業資金、生業資金、環境衛生資金等におきましては、これらの資金の平成九年十二月から本年十月までの間における貸付実績が対前年比で四六・一%増と非常に大きな伸びを示しております。この増加の大部分は運転資金需要でございます。私どもはこの間こうした資金需要の増大に対しまして代理貸し付けの活用によって、つまり資金枠を拡大する等によって対処してまいりました。
 こういった経験からかんがみまして、今回私どもの立場で申しますと、いわゆる産業開発資金と申しますが、本土の日本開発銀行の業務に対応する資金につきましては長期運転資金の融資ができない、それからまた代理貸しもやっていないといういわば空白があったわけでございますが、今回措置していただくことによりましてこの空白が埋まるということでございます。
 中堅企業にとりましても、やはりこういう運転資金に対する需要も強いということであろうと思いますので、こうした経験にかんがみまして今回の措置は必要かつ有効なものだというふうに考えますし、また沖縄公庫といたしましても、これまでのノウハウを活用して有効に機能させることができるというふうに考えております。
#27
○日出英輔君 今、三行につきましていろいろとお話を伺ってきたわけでございます。
 大蔵大臣にちょっと伺いたいのでございますが、今回の一連の措置は政治主導の極めて異例なものだとは思いますけれども、それだけに貸し渋り対策を何とかしようという、緊急経済対策における小渕総理の気持ちがそのままあらわれているような気がいたしております。ただ、何か結果として、市場で資金調達ができない企業向けのつなぎ融資的な性格のような感じもちょっと見受けられるような気がいたすわけであります。
 代理貸しあるいは転貸資金その他、十分にノウハウはおありになるとは思うのでございますが、緊急に、例えば年末、年度末という対応なんか考えますと、何か結果として償還されないもの、あるいは不良債権が増加するおそれと言った方がいいのかもしれませんが、そういう心配もあるような気がするのでございますが、これらの点につきまして大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後何度か不況がございまして、その都度、中小企業の金融ということはしばしば問題になりました。また、普通の年でも年末に問題になることもございまして、中小企業向けの金融の措置については政府としても政府機関としましてもかなり経験を積み重ねてきておったわけでございます。
 その間、中堅企業はむしろ我々の日本の復興の誇りであって、政府が世話をやくようなことはめったになかった、面倒をおかけになるということもなかったように思います。それだけに、今回のいわゆる貸し渋り、金融拘束というのはかなり異常なものである、中小企業を超えて中堅企業に及んできたように思います。
 恐らく金融機関としても心ならずもの場合もあると思います。長いことおつき合いをいただきながらという、あるいは言われた方は、思わない、思いもしなかったというようなケースがあちこちにありますことを承知しておりますが、それだけに、この中堅企業の処理というのは政府は今まで考えたことがほとんどありませんで、対応する道も実は持っていなかったのでございます。
 緊急経済対策をやりますときに、どうしてもここをどうかしないとどうもうまくいかないという意識を私ども持ちましたが、幸いに国会の方におかれましてこういう提案をしていただきまして、政府としてはまことに時宜にかなったことでありがたいことだと思っております。
 そこで、おっしゃいますように幾つか問題がございます。
 一つは、モラルハザードの問題というのは、私はないわけではないだろうと思いますけれども、ただ考えますと、開銀にしましてもあるいは各公庫にしましても、一つ一つの件数をお扱いになるわけですから、その行き先というものはかなりモニターがおできになるはずでございます。わからないうちにみんなの中で一緒に処理しちゃったというようなことは恐らくありませんで、したがいましてその点はぜひモニターもお願いをいたしたいし、また審査等々のときにも当然でございますがお願いを申し上げたいと思っておりまして、そういう意味ではモラルハザードと言われる部分は多分御努力いかんでは最小限にとどめられるのではないかと思っております。
 それからもう一つ、しかし開銀にしましても二つの公庫にしましても、今までこういうお仕事をなさっていない方々でいらっしゃいますから、急にこういうお願いをするということは恐らく非常に御迷惑なことであると思います。きっと各行とも内部の配置転換をされたりいろいろして何とか間に合わせてくださるであろう、そこはエキスパートでございますからきっとやってくださると思いますが、たまたま年末、年度末というときにかかります。御迷惑なことだと思いますけれども、政府としてもぜひ三行によろしくお願いを申し上げたいという気持ちでございます。
#29
○日出英輔君 本法案をどういう形でどういうふうに御質問しようかと思って呻吟をしたのでございますが、今伺いまして、大変異例ではあると思いますが、私は評価に値するというふうに思っております。
 そうなりますと、年末、年度末の貸し渋り対策の機動的な実施ということでございますから、今までになく開銀なり他の二公庫の場合、大変御努力を要するかと思っております。
 ただ、私は、何か感じといたしますと、そこまであれだとすれば、法案に関係していない例えば代理貸しの点でありますとか幾つかはもう少し前に実施するなり準備することができたのではないかという気もしないのではないのでありますけれども、これはない物ねだりでございます。
 それからもう一つは、特殊法人の整理合理化の方針が出ておりますので、通常国会における法案の扱いでございますけれども、新しい法案との関係は慎重に調整をする、この特殊法人合理化の方針はやっぱり貫かれなければいけないというふうに私は意見として持っております。これは答弁は結構でございます。
 私の質疑は以上でございます。
#30
○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤であります。
 開銀法等の一部を改正する法律案に対する質問の前に、実は本委員会が十一月十九日から二十日にかけて国政調査のために九州へ行きまして、その報告はさきの委員会で私の方から詳細を述べたところでございますけれども、それに関して大蔵省に対して質問をいたしたいと思います。
 九州で門司税関の業務について説明を受けましたが、私は実にこの内容が大変重要な問題を含んでいるんじゃないかということについて知ったところであります。
 直接の事実は、平成九年四月十五日、門司税関の細島税関支署が北朝鮮籍船舶から覚せい剤五十八キロ九百五十グラムを摘発したということであります。検査官は、ハチみつ缶十二缶が船おろしされたけれども、食糧不足と言われている北朝鮮からのものであるということと、大阪在住の輸入業者が急いで引き取りに来たことについて不審を感じて厳重検査をしたところ、十二缶すべてからハチみつの中に隠匿されていた覚せい剤を七十袋発見し、摘発したのであります。中に浮かび上がらないようにして隠されておったようであります。
 これは税関組織と税関職員が中央から第一線に至るまでその任務の重要性を十分に認識し、緊張感で貫かれているということを示す事実だとして、私は高く評価するわけであります。
 聞くところによりますと、細島支署は非常に少数が配置された支署だと聞いておりますし、社会悪物品を水際で防ぐ努力が全国津々浦々で日夜続けられていることを示す事実だろうというふうに思っております。
 最近は第三次覚せい剤乱用期と言われていて、税関による摘発も年間三百件とか四百件という大量のものが摘発されておるようでありますけれども、最近におけるこれらの事実はどのようになっているのか、まずこれをお聞きしたいと思います。
 さらに、税関が押収するものは一件当たりの量が非常に多い。一件当たり百または二百キロというような場合もある。さらに多い場合もある。警察、税関全体の摘発の中で、税関が摘発する量は六〇%に及ぶというふうなことも聞いております。これはまさに水際の作戦で押収する非常に効率的な、大量の社会悪物品を押さえているという事実があるわけでございます。
 さらに、調べますと、税関で受け取る、受けている税収が年間四兆円、国の一般会計税収の七%から八%という割合を占めておるわけでして、大変な業績の上に成り立っているというふうに私は感じます。
 さてそこで、全国の税関組織・機構については、まず第一線を重視した強化が図られるべきではないか。業務量の増加、日本社会の安全の確保に向けた人員の増加配置が、財政状況が厳しい中であっても重要視され、優先的に行われるべきではないかというふうに思いますけれども、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) それでは、最初に現状を政府委員から御説明申し上げまして、後で私から方針を申し上げたいと思います。
#32
○政府委員(渡辺裕泰君) 税関でどのような水際取り締まりを行っているか、その実績はどうかというお尋ねでございます。
 国内押収量に占めます水際における密輸押収量を申し上げますと、例えば覚せい剤でございますと、平成四年から八年までの累計で日本国全体では千五百四十キログラムを押収しておりますが、そのうち税関で押収しております部分が千六十五キログラム、約七割でございます。大麻が千九百四十五キログラムのうち千百四十六キログラム、約六割。それから、麻薬類につきましては、三百三十一キログラムに対して二百四十四キログラム、約四分の三でございます。それから、向精神薬が日本全体で六十五万錠に対し税関の分が四十二万錠、約六五%ということでございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、ここ数年の平均を見ますと、日本国全体の押収量の大体六割から七割を税関で水際で押収しているという実態にございます。
 これに対します税関の定員は十年度現在で八千二百七十一人ということになっております。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきまして伊藤委員に御指摘いただきましたことを非常にありがたいことに思っておりまして、実は私もかねて気にしておりましたところでございます。
 ただいま政府委員が申し上げましたが、覚せい剤、大麻などの国内押収量に占めるいわゆる水際における摘発分が六〇%ないし七〇%に及ぶということでございます。我々の知らないところで大きな災害が未然に防がれているということでございますが、同時にまた武器の問題もございますようでありまして、両方合わせますと、税関職員諸君が果たしてくれております我が国の安全あるいは治安、国民生活等における役割は非常に大きゅうございます。
 ともすると、税関というのは関税を取るところである、あるいはお客さんの荷物を検査するところといったような認識がまだまだ世の中には多うございますが、いろいろ機械化をし、業務運営の効率化をしたりいたしておりますけれども、大変に人が足りないようでございまして、配置転換等要員確保には一生懸命私どもも努力をいたしておりますが、今後なお定員確保につきまして努力を重ねなければならないと考えておりまして、その節にはまたお力添えをお願い申し上げたいと考えております。
#34
○伊藤基隆君 大蔵大臣の御認識については私も全くそのとおり感じたわけでありまして、ありがとうございました。
 さて、開発銀行法等の一部を改正する法律案の問題でございますけれども、本来、政策金融機関としての長年にわたる活動が見直されて、平成十一年の通常国会ではこれを廃し、スリム化した新銀行への継承が義務づけられているところであります。
 法改正によって平成十三年三月三十一日までの緊急措置としての今回の提案であります。その要因としては、主に中小企業に対しての民間金融機関の貸し渋り、そのための政府としての対応というふうに認識しておるところでありますが、幾つかの問題、六点にわたって、まず開銀総裁にお尋ねしたいと思います。
 まず第一に、政策金融機関としてこれまで融資を行ってきた日本開発銀行でありますけれども、現行の融資対象企業、特に資本金、従業員数等、企業規模に関する条件をお伺いしたいと思います。
#35
○参考人(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは私ども開発銀行がこれまで対象にしてまいりました企業の具体的な規模要件等でございますが、原則としてはいわゆる中堅企業等、こういうことでございます。
 少し具体的に申し上げますと、例えば製造業、建設業、不動産業、運送業、ソフトウエア業等におきましては資本金一億円超かつ従業員三百人超、これが中堅企業及びそれ以上、こういうことになります。同じく業種で若干の区別がございます。卸売業につきましては資本金七千万円超かつ従業員百人超、小売サービス業におきましては資本金五千万円超かつ従業員五十人超、もう一つ鉱業につきましては資本金一億円超かつ従業員一千人超、つまりこれより下の企業でございますと中小企業ということになりまして、その中小企業の定義の上限より上の階層、これが原則として融資対象、こういう仕組みでございます。
#36
○伊藤基隆君 今回の改正によって新たな対象や案件がふえるということでございますが、特に改正の理由に「中堅企業等に対する」とあります。改正後の融資対象企業はどのようになるのか、例えば大企業も含むのか、その資本金や従業員数等企業規模に対する条件について、これ以上ということだけでなくて、具体的にお聞かせいただきたい。
#37
○参考人(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは今回御提案の法改正が実現をしました場合に対象が変わるかということでございますが、この点は原則として中堅企業等、以上ということでございますが、改正後も対象となる企業規模は変わらない、こういうふうに理解をしております。
#38
○伊藤基隆君 続いてお尋ねします。
 これまで日本開発銀行の融資としては、開発銀行単独でなくて、民間金融機関からの融資の補完に徹するという協調融資の原則があります。融資額の範囲はプロジェクト所要金額の三〇から五〇%ということになっておりますが、一方で現状の貸し渋りを考えてみますと、それは端的に言えば民間金融機関の融資が行われない、または引き揚げられているということであって、そうすると原則である協調融資を行うには無理が出てくる場合が出てくると思います。
 そこで、その条件が改正後どのようなものになるのか、お伺いしたいと思います。
#39
○参考人(小粥正巳君) ただいま御質問のように、開銀の現在の融資業務における融資比率、これは御指摘のようにまさに民業補完の原則でございまして、個別融資制度について上限が定められております。これは区々でございますが、三〇%から五〇%程度、五〇%が上限、こういう仕組みが現状でございます。
 ところで、いわゆる貸し渋りに対応するために、昨年の十二月、金融環境対応融資制度を設けたわけでございますが、その後、本年二月の経済対策におきまして、ただいま先生の御指摘のように、融資比率を従来同様に上限五〇ということでそのまま置いておきますと支障が生ずる場合がございます。確かに民間側が出たくても出られないという場合もございますので、そこで民間金融機関との協調融資に支障が生ずる場合で特に必要なものにつきましては、全体としての上限である五〇%をケース・バイ・ケースで時に超えて弾力的に対応すること、これを認めたわけでございます。
 そして、特に法改正と直接関係はございませんけれども、今回の緊急経済対策におきましても、この措置を狭義の金融環境対応融資だけではなくて既存の融資制度全体に、ただいま申し上げましたような民間金融機関との協調融資に支障が生ずる場合で特に必要と認められる場合には弾力的な運用をしていく、こういうことと承知をしております。
 ただ、当然のことでございますけれども、弾力的な対応を行うに当たりましては、ただいま御指摘をいただきました本来の民業補完の原則、これは十分にわきまえてまいりたいと思います。具体的には、必ず企業にはメーンバンクと申しますか、取引先企業の実情をよく承知をしている民間銀行が取引先として当然あるわけでございまして、その意向、対応ぶりを確認しながら適切に対応していきたいと考えております。
#40
○伊藤基隆君 続いて御質問します。
 今の質問とも関連するわけですけれども、融資に当たっての担保について、現行の担保の有無と保証条件、それが改正によってどのように変わるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#41
○参考人(小粥正巳君) 融資に当たっての担保の徴求の仕方が改正が実現した場合にどう変わるか、こういうお尋ねでございますが、原則としては私どもの貸し付けはあくまで対象事業の採算性あるいは事業主体の信用力などを十分審査しまして、その上で必要な債権保全策をとって最終的に融資を行うということをしております。その必要な債権保全策の内容が御指摘の担保の徴求であり、あるいは保証人を求める、そういうことになるわけでございます。
 したがいまして、この考え方は基本的には変わらないと理解をしておりますけれども、ただし担保について余り形式的な取り扱いはすべきではないという理解でございまして、例えば通常、担保は土地、建物のような不動産が多いわけでございますが、私どもは、例えば企業の事業性そのもの、知的所有権あるいは債権、そのような不動産以外の資産につきましても担保として積極的に評価をしていく、こういうことをこれまでの事業の展開においても既に行っております。
 したがいまして、不動産以外の担保の活用を図る、具体的には例えば今申し上げましたような内容でございますけれども、そういう点で今回の緊急経済対策に基づく私どもの対応といたしましては必ずしも不動産担保にこだわらない判断をしていきたい、こういうふうに考えております。
#42
○伊藤基隆君 これまで日本開発銀行の行う融資は借り入れ申し込みから審査事務手続に数カ月を要してきたというふうに聞いております。しかし、このたびの改正をもたらした経済状況は早急かつ膨大な対応を必要としておりまして、この点から審査体制はどのようなものとなっているか、お伺いしたいと思います。
 また、改正により申し込みが殺到しても厳格な審査は果たして可能なのか、この辺についてもお伺いします。
#43
○参考人(小粥正巳君) ただいま審査体制についてのお話がございました。私どもは、これまで法律上の大きな原則でございます償還確実性、この原則を踏まえて先ほど申し上げました審査手法を活用して対応してきたわけでございます。
 ところで、今回、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、政策金融機関として非常に大きな新たな任務を課せられているわけでございます。したがいまして、端的に申し上げまして、従来どおりの審査をしていくためには人員のやりくりというものが大変窮屈になっているということは事実でございます。
 ただ、今回の対策はあくまで時限の措置でございますから、確かに業務は大幅に拡充せざるを得ませんけれども、私どもとして、特にこういう政府関係機関についてこのような事態でなくとも業務遂行上の効率化が強く求められている現下でありますから、そのために直ちに人員の増加を求めるということは適当ではないと考えておりまして、内部のかなり踏み込んだ人員配置の見直しを含めまして、可能な限り内部努力で対応してまいりたいと思っております。
 ただ、それにも限りがございますので、内部努力でどうしても対応できない部分につきましては、例えばアウトソーシングと申しますか、外部にいろいろ臨時に業務のサポートをしていただく、そのような対応もあるいは今後考えていかなければいけないかと、そんなことも検討しているわけでございますけれども、いずれにいたしましても今後とも私ども償還確実性の原則を貫いていくためにはやはり審査はきちんと行っていかなければいけないと考えております。
 それからもう一つ、先ほど来代理貸しのお話がございますけれども、実は私ども、今まで制度はございましたが代理貸しは行ってまいりませんでした。しかし、今回、法律改正によりまして長期運転資金の対応が可能になりますと、私どもはこの部分につきましては、中堅企業に限りまして長期運転資金については都銀から地銀までを含むかなり広い範囲で民間金融機関のいわば貸付審査能力をお願いする、そういう意味で代理貸し制度を大いに活用していきたい。それによりまして、今御指摘がございましたが、開銀は従来、審査はきちんとやる、それは結構だが時間がかかり過ぎると。確かにこれまでそういう御指摘もいただいておりますが、長期運転資金の部分について民間金融機関にいわば助けていただくと申しますか、代理貸し制度の活用は、先ほどアウトソーシングというような言葉を申し上げましたけれども、いわば外の力を活用させていただく、そういうことで私どもとしてはかなり期待をしている手段でございます。
#44
○伊藤基隆君 関連して、審査基準についてでありますけれども、国会にオープンにされるものなのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 そして、特に回収に懸念のあるとされる第U分類企業は幅が広いわけでありまして、限りなく健全な債権に近いものから大きな懸念を持たざるを得ないものまで含んでいるようでありますけれども、この第U分類企業も融資対象となるのか。
 以上、基準についてお伺いしたいと思います。
#45
○参考人(小粥正巳君) 第U分類企業が私どもの融資の対象になるかというお尋ねでございますが、ただいまのお尋ねはいわば要注意先の企業が対象となるかと、こういうお尋ねであろうかと理解をいたしまして申し上げたいと思います。
 この要注意先の企業の中も、具体的によく審査をしてまいりますと、例えば金利減免あるいは棚上げ、元本返済猶予等を現に行っているという企業がございます。こういう場合には、恐らく先ほど申し上げました私どもの原則であります償還確実性に懸念のある場合がかなりあるのではないかと思われます。しかし一方で、いわゆる要注意先企業の中でも、確かに業況は不安定である、低調である、こういう場合でも、再建計画、リストラが非常に積極的に行われている、その事業性あるいはキャッシュフロー等を洗っていきますと債務の償還が確実という確認がとれそうである、そういうケースもあろうかと思います。
 したがいまして、そのような場合には、要注意先の企業の中でも私どもが審査をきちんといたしまして、今申し上げましたような意味で融資を行うことが可能である企業も当然あろうと思います。そこを審査によってよく選別をして対応していきたい。したがって、機械的に要注意先の企業は対象にならないというようなことを考えているつもりはございません。
 それから、私どもの審査の基準一般についてのお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、一件ごとに企業の事業性、将来性あるいはキャッシュフロー等の審査を実施し、あくまでこの審査に基づいて何遍も繰り返して申し上げました償還確実性が確認できるかどうか、これが融資判断そのものでございます。したがいまして、この基準というものを明確に文言で表現をするということは実はなかなか難しゅうございます。
 率直に申しまして、そのことがまさに融資判断の最終的なエッセンスと申しますか、その点は先ほど来申し上げておりますようなこれまで審査をきちんとやってきたという私どもの伝統もございます。それに基づいて何よりも償還確実性の確認をあらゆる面からチェックして、それが認められれば、特に今回のような緊急の要請下でございますので、私どもも時には踏み込んであえてリスクをとるということも当然考えなければいけないと思っております。
 ただ、リスクをこれまで以上に踏み込んでとるためには、当然のことながらリスクに対するバッファーも必要でございます。具体的には私どもの自己資本についての増強をしていただきませんとなかなかそういう対応もできかねるわけでございまして、これはまた別途資本の増強につきましてはお願いをしているところでございます。
 いずれにしましても、現下のこの緊急的な政策要請に対しまして、私どもは審査のノウハウ蓄積を精いっぱい生かしながら、償還確実性の原則を踏まえて対応していきたいというところでございます。
#46
○伊藤基隆君 それぞれの個別的な問題について開銀総裁にお伺いしましたけれども、ちょっと質問通告をしていませんが、若干、公的セクターの金融システムのあり方についても開銀総裁の考え方をお伺いしたいと思います。
 きょうは開銀と北東公庫と沖縄振興開発公庫においでいただいておるわけですけれども、先ほど答弁の中でも民業の補完ということを触れられておりました。しかし、昨年の暮れから今日までの状況を見ると、民業の補完とは民業が積極的にやっている分野を侵さない範囲で補完するという意味合いであったわけですが、今日は民業がやっておらない、または避けているところに対して積極的に補完をしていくという姿に変わっているというふうに思います。
 公的セクターの金融システムが社会的な不安または経済的な不安、危機という状況のときに果たすべき役割というものを今日の開銀その他の公的セクターがまさに如実にあらわしているんじゃないかというふうに思っています。民間における長期融資と公的セクターの長期融資は質的に全く違うわけでありまして、私は融資というよりは社会的なそういった資金の存在のような概念で見るべきではないか、社会の安定上非常に重要になっているんじゃないかというふうに見られます。
 ですから、私は、先ほど大野衆議院議員からの御答弁の中にも今日的状況について触れられたわけでありますが、平成十一年に組織改編するということでありながらも、今回の改正によって役割の補強を行うという社会的な要請があるわけです。そういうものなんです。
 では、昨年の八月から秋にかけて公的セクターについて日本の議論はどうであったか。財投不要論が公然と言われていました。その言った人たちが今財投不要論を公然と言うべきだと、そのとき信念を持って言ったのなら、ということだろうと思うんです。
 しかし、貸し渋りはある意味では民間金融機関にとってはまさに市場原理にのっとった判断だろうというふうに思っています。公的な役割よりは自分の企業を守らなきゃならないというのを第一義的に考えるというのは、それは当然の姿勢というふうに私は思っておりますけれども、そのときに、今果たしている公的セクターないしは地銀が今地域で果たしている役割との共存共栄の日本の地場の企業の資金融資というものを守っていくべきじゃないかというふうに私は思っています。
 ただ、大野衆議院議員の説明にもございましたけれども、多分に不安がございます。それは共通しているんです。私たちもこれは必要だと思っていますけれども、不安がある。それは、運転資金の融資が使途を伴わない資金の融資、これが先ほど触れられた社債償還資金の融資とか転貸債資金融資ということも含めて、将来、開銀そのものが膨大な不良債権を抱えたまま不良債権受け皿銀行に成り下がってしまうんじゃないかというおそれが一方にあるわけです。
 ですから、これは法律によって縛ることが可能かと思って聞いても、やはり始めればかなり積極的になってくるわけでありますから、そうしますと、今後、公的金融セクター、公的セクターがどれだけ運営を厳しくやっていくか、自己規律をきちんとやるかどうかということだと思います。昨今あらわれた民間金融機関における経営のずさんさ、これは外部の社会悪とも言われる団体との癒着みたいなことまで起こってきましたけれども、そのような社会から指弾を受けるようなことが運営上、経営上起こってはならない、このことについてきちんと戒めなきゃならない、そこにかかっているわけでありますから、それについて開銀総裁の所見をまずお聞きしておきたいと思います。
#47
○参考人(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますけれども、私ども政策金融機関はその時々の政策の要請に対応して業務を行ってまいるわけでございますが、基本的に我が国は市場経済の社会を持っておりますし、先生の御指摘のように、これは法律にもございますが、開銀を初めとして政策金融機関はあくまで民業が主であり、その補完というものが基本であるという、これは私ども大きな筋道としてそのように心得ております。
 ただ、先ほど来、今回の時限の立法に至った背景、考え方については、御提案者の大野先生のお話にもございましたように、現下のこの経済金融情勢のもとで大変緊急に私どもに求められております課題には何とか私どものこれまでの蓄積を動員いたしまして懸命に対応をしていかなければいけないと考えているということは先ほども一部申し上げたところでございます。
 そして、今回の法改正による業務の拡充は、申すまでもなく、あるいは先ほど来御説明がありましたように、信用収縮によって資金調達に支障を来している民間企業のそれぞれが行っております事業の遂行について私ども政策金融機関が政策的な支援を行う、そこに目的があるわけでありますから、そのことがいかなる意味でもその企業の取引先銀行である金融機関の救済を目的とするものではないわけでありまして、そのことは当然でございますけれども私ども十分に留意をいたしまして、御懸念のような状況が起こらないようにこれからの業務の遂行には十分留意をしてまいりたいと考えております。したがいまして、今回の措置を法律改正後実施するに当たりましては、開銀の融資対象になる資金の使途、内容等についても十分確認を行いまして、繰り返して申し上げております償還確実性に万全を期してまいるつもりでおります。
 それからまた、民間との協調体制というのは、どのような状況のもとでも私どもだけが企業の資金調達の手段になる、端的に申せば開銀のような政策金融機関が企業のメーンバンクの機能を果たすということは私はあるべきではないと思っておりますので、民間のメーンバンク等が開銀が取引をしようとする相手先企業にどのぐらい例えば支援をされるのか、協調融資体制がどのように運用されていくか、そこを十分に確認をして、あくまで民間金融機関との協調に配慮しながら現下の緊急要請に私どもでできる限りの対応をさせていただく、そういう考え方で対応しておるところでございます。
#48
○伊藤基隆君 ここで大蔵大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、今回の改正では平成十三年三月三十一日までということでございますが、この期限の根拠はどういうところにあるのか。また、景気の状況の改善が見られない場合、平成十三年四月以降の延長があるのかどうか。そして、特例措置の廃止後に融資先企業は民間金融機関から資金調達ができるのか。それができない場合、倒産する企業が続出するようなことになったときに日本開発銀行は不良債権を抱え込むことになるけれども、それを防ぐ手だてはあるのか。この点について大臣からお聞かせいただきたいと思います。
#49
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども御指摘をいただきましたが、このたびの措置についてはその基本的な意味合いをお認めいただいておる傍らで、しかしこういうことをやっていったときに起こり得べき危険ということについても御指摘がありまして、それは国会のお立場としては私はまことにごもっともであると思います。
 このたび補正予算の基本になりました緊急経済措置そのものがいろんな意味でかなり通常ではやらないこと、あるいはむしろやってはならない種類のことをいろいろに含んでおります。例えば信用補完でございますけれども、非常に大きな信用補完制度を導入いたしまして、場合によって国が、国と申しますか、結局国でございますが、信用保険機関が五%ぐらいの代理貸しは覚悟しなければならないといったようなかなり思い切ったことを導入いたしておりますし、またこのたびの開銀の措置も国会がお考えいただきましたことと同じことで、本当は開銀がこういうところへ出てくる筋合いのものではございません。民業圧迫と言われておったのはついこの間のことでございますので、そういう意味ではまことに非常なことをいろいろいたしております。
 それで、私の気持ちの中では、平成十三年三月と申しますのは二〇〇一年三月でございますが、これはいわゆるペイオフに移る時期でございます。預金保険機構がただいますべての預金を一〇〇%保証いたしておりますけれども、こういうことがいつまでも続いてよろしいわけはない。しかし、今としてはこれは何としても堅持をいたさなければなりませんので、ああいう大きな公的資金の導入もお認めいただいておるというようなことで、あれこれ考えて、二〇〇一年の三月というのが私は我が国のこのたびの殊に金融をめぐる異常な事態の終期でなければならないであろう、こう考えております。
 まだ時間がございますので、きっとそれは可能である、二〇〇一年の三月を延ばすというようなことを考えるべきではないだろうと考えております。したがって、今回のこの平成十三年三月もその同じ時期にというような気持ちで恐らく国会においてもお考えいただいたのではないか、私どもはそういうふうに考えております。
#50
○伊藤基隆君 時間がありませんので、端的に会計検査院にお伺いします。
 開銀、特にこの運転資金及び代理貸しに対する検査でございますが、設備資金融資については、一件ごとの検査を開銀の融資については行っていると。しかし、今日までの経過の中で中小企業金融公庫方式をとるというふうに聞いております。すなわち、一件ごとでなくて一年ごとに一括して行う、また代理貸しについても一件ごとの十分な検査を行い得ないというような状況が起こってくるというふうに私は思っています。したがって、これは会計検査院の検査権限、または検査責任の放棄にもつながるんじゃないかというふうにも懸念をしております。
 運転資金または代理貸しについて会計検査院はどのような検査をやろうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
#51
○説明員(小川光吉君) お答え申し上げます。
 会計検査院としては、従来、設備資金につきまして、貸付対象機関であります開銀あるいは北東その他中小公庫、そういうところの本部あるいは支店、そういうところで書類を見させていただきまして、審査の適切さあるいは貸付金の回収状況、そういうところを検査させていただいておるところでございます。
 しかし、運転資金につきましては、中小公庫の方で運転資金貸し付けが行われているわけですけれども、そこの部分については必ずしも今まで十分に検査してきていないというところがあるわけでございます。設備資金につきましては実際に物があるというようなことでございますけれども、運転資金については物がないというふうな事情もございます。
 したがいまして、第一義的には貸し付けの任に当たられます開銀さん、そういうところで審査を適切にやっていただくことはもちろんでございますけれども、今後、我々としましても、この運転資金の検査に当たりましては事前にかなり調査検討を加えるなどの措置が必要であろう、そういうふうに思っているところでございます。
#52
○伊藤基隆君 終わります。
#53
○益田洋介君 まず最初に、小粥開銀総裁にお尋ねいたします。
 この参考資料というのが参議院の財政・金融委員会調査室から十二月付で出ておりますが、これはお手元にございますか。――ございませんか。では、数字を申し上げます。わずかな数字でございますので、ちょっと御記憶願いたいと思います。
 「民間銀行、政府系金融機関の貸出残高の伸び率について」ということで数字の統計がございます。資料をお持ちの方は十六ページでございます。
 九七年の第四・四半期における民間の貸出残高と九八年第三・四半期における民間の貸出残高の伸び率は減少が二・二八%。九七年第四・四半期はマイナス〇・一五%であったのが九八年の第三・四半期にはマイナス二・四三%になっている。間違いございませんね。それで減少が二・二八%。しかし同時に、政府系の金融機関の貸出残高の伸び率も減っているわけでございます。すなわち九七年第四・四半期に四・〇五%であったのが九八年の第二・四半期には三・一九%まで下がっておりまして、減少が〇・八六%ということでございます。
 いわゆる貸し渋りといいますか、ここで言っている貸出残高の伸び率というのは、民間だけじゃなくて政府系の金融機関もかなりの割合で減少しているという実態がここに明らかにされているわけでございますが、この原因についてどういうふうにお考えか。また、こうした傾向は正しいのかどうか。さらに三点目は、この政府系の貸出残高の伸び率の減少が食いとめられるのか、そのための今回の法案であるのか、実効をどのようにお考えになるのか。この三点について、まず総裁にお伺いいたします。
#54
○参考人(小粥正巳君) ただいまの御質問でございますけれども、今私も手元にいただきました。こちらの財政・金融委員会調査室でお調べになった数字でございますが、先生の御指摘のように、民間銀行の合計が九七年第四・四半期にマイナスであり、そのマイナス幅が九八年の最近期にはさらに拡大している。つまり、その残高としては明らかに減少しているということは、私も今この資料を拝見しましてそのとおりであると確認をさせていただきました。
 一方、政府系でございますが、これによりますと、九七年第四・四半期はプラスの四・〇五%となっております。九八年の第三・四半期については現在は数字がまだございませんで、その一つ前の九八年の第二・四半期はその残高の伸び率が御指摘のように四・〇五が三・一九に減っておりますから、この点は確かに伸び率はマイナス、伸び率自体は減っておりますが、ただ両方とも残高の伸びという意味では増加でございますから、これは見方を変えますと、絶対水準、残高そのものは、政府系金融機関はもちろん総合計ということと理解をいたしますけれども、増加をしている。ただ、増加のいわばテンポが、伸び率が少し落ちていることはそのとおりでございます。
 実は開銀もこの中に当然入っているはずでございますが、多分、政府系の金融機関の中には例えば住宅金融公庫のような非常に残高の年間伸び額が大きいものも入っておりますでしょうし、私ども、申しわけございませんが、全体を掌握しておりません。ただ、例えば私自身がおります開発銀行につきましては、先ほども若干ここ一年の数字というものを申し上げましたけれども、私どもの手元の数字では、私どもの業務の伸び自体は、例えばこの一年間、貸し渋り対応を中心としてかなり伸びているという実情にあると考えております。
#55
○益田洋介君 ありがとうございました。
 それでは、この表は政府系の合算でございますので、小粥総裁の開銀について、このデータに基づいた九七年第四・四半期からできれば九八年第三・四半期までの貸出残高の実績を当委員会に提出していただきたいとお願いしておきます。
 委員長、よろしゅうございますか。
#56
○参考人(小粥正巳君) ただいま私どもの開銀につきまして私が今手元に持っておりますのは、昨年十二月以来のいわゆる緊急環境対応融資制度の対象になっております中堅企業等、これは市場からの資金調達能力が強いいわゆるトリプルAクラスの企業を除いた中堅企業等でございますが、その融資実績の期末の残高比較で最近一年間の数字がございますけれども、先生の今のお尋ねは、九七年の第四・四半期と一番直近期である九八年の第三・四半期、現在進行中でございますが、その比較ということでございますので、これは若干数字が異なることになると思いますから、別途ただいまの御指示に従って提出をさせていただきます。
#57
○益田洋介君 ありがとうございました。
 それでは、今回の法改正がなされればどれぐらいの貸し出し増というのをお考えなのか。シーリングというのはお考えなのか、あるいはもうケース・バイ・ケースでいかれるのか。その辺の将来の貸出計画、そういったものをお持ちならばあわせてお聞かせ願いたいと思います。
#58
○参考人(小粥正巳君) 今回の時限の法律改正が成立をしたとしまして、私どもが当面の貸し渋り対応にどのぐらいの融資実績が上げられるかということでございますが、これは一つは、今回当国会にかけられております政府の第三次補正予算案の内容といたしまして、この緊急経済対策の内容についていろいろな措置が講じられることになっております。
 それによりますと、私ども開発銀行の今回の緊急経済対策に基づく融資につきましては、これは直接的には資金運用部資金、財投資金の供給増という形であらわれておりますけれども、目指すところといたしまして私どもが承知しておりますのは、開銀の融資額について約三兆円程度、それから債務保証について約二兆円程度、こういう数字を私どもはいただいているわけでございます。
 ただ、私どもの業務の実感といたしまして、今回法律改正が実現したといたしますと、先ほど来お話がございます社債の償還資金の融資あるいは長期運転資金の融資、こういう私どもが従来対応していなかった新しい業務が拡充されるわけでございます。これはニーズが相当にあるということは先ほど実感としても申し上げました。そのとおりであろうと思いますが、そのうちどれくらいをその比較的短い期間の間に具体的に融資実績として対応できるかというのは、これは私、ただいまのところ明確なめどを必ずしも持っておりません。
 これは新しい業務でございますし、ニーズがあることは間違いありません。私どもとして、先ほど来申し上げております償還確実性の原則をしっかり踏まえながら、しかしできるだけぎりぎりの対応をしてまいりたい。そして、その実績につきましてもいわば目標の大きな数字があるわけでございますけれども、その目標に少しでも近づくべく努力を重ねてまいりたい。私どもとしてはただいまそういう申し上げようにとどまるということは御理解いただきたいと思います。
#59
○益田洋介君 次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 同じくブルーのカバーのついた参考資料でございますが、一ページに「平成十年十一月十六日の緊急経済対策においては、中堅企業向けの貸し渋り対策を抜本的に強化する」、これが目的である。
 私が気になるのは、特に今不良債権を抱えて問題になっておりますゼネコン業界、先日、日本国土開発という会社が経営破綻に陥った。この建設業界というのはすそ野の広い業界だというふうに承知いたしておりまして、例えばゼネコンと言われる会社の下には中小の請負業者というのがあるでしょうし、資材の供給あるいは運搬、その他大変多くの方が関与しているので、こういう会社が破綻を来すということは非常に社会的な問題になる。失業率も当然ふえてくる。非常に嫌な傾向が見られるような、破綻を見るとそうしたタイプの業界であるというふうに理解しておりますが、やはり中小零細企業に関しても今回の法律改正によって手を差し伸べていかなきゃいけない。中堅企業向けの貸し渋りの抜本的対策とうたわれているけれども、これは中小の小もあるいは零細企業も含めるべきじゃないか、私はそう思うんです。
 私が開銀にお願いしたいのは、この貸し渋り対策についても、中堅企業に限らず、零細、小企業についても当然対応をお願いしたいと思うわけでございます。この点、大蔵大臣のお考え、また今回の法律の改正に伴ってそうしたタイプの零細企業についても開銀が手を差し伸べるように御指導していただく御所存があるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#60
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、開銀の問題につきまして益田委員が御提起になられましたが、この点は一般的な市中銀行等々に対する公的資金の導入との関連におきまして金融監督庁が各行の経理内容を調査しておられることとも関連をいたすわけでございます。
 私の思っておりますことは、ゼネコンと言われますと非常にうさん臭い印象を与えます。また、そういうことが過去においてなかったとは決して申しませんけれども、しかしそういうことを離れまして、まじめな企業としてのゼネコンというものを考えますと、ただいま益田委員の言われましたように、その下には下請もございますし、大きな資材の納入もございますし、また実は地方の中小のいわゆる請負業にもつながっておるわけでございます。
 したがいまして、ゼネコンであるがゆえに行うべき処理あるいは救済を行わないというようなことは私はあっていいことではない、まじめな企業であればまじめな企業として救うべきものは救う、またつけるべき金融はつける、それがあるべき姿と考えております。また、それによりまして、昨今、本当に来年あたり心配されます不況からくる雇用不安というものにも対応することができると私は考えておりますので、ただいまお尋ねの開銀の今回の問題も含めまして、ゼネコンなるがゆえに、それだけの理由をもって差別をするというようなことには私は賛成でありません。
#61
○益田洋介君 ゼネコンの問題が出ましたが、日本国土開発の経営破綻というのは、昨年七月の東海興業、多田建設、また八月に至っては大都工業、それからことしの七月の浅川組に続く準大手ゼネコンの引き続きの倒産でございます。
 国土開発の場合は、経営再建計画をまとめましたが、メーンバンクの三井信託銀行が融資を拒否いたしまして、同時に準メーンの東海銀行も同調し、資金源を切られて破綻に至った。ところが一方では、青木建設が破綻に至るのではないかという風評がありましたが、これはあさひ銀行、日本興業銀行などが総額約二千億円に及ぶ債務免除、債権放棄をした、そしてこれを救済したわけです。
 この上場企業の破綻に至るまでの、とりわけこうしたゼネコンについては判断基準を政府として明確にされなきゃいけないんじゃないか。何でそういうことを言うかといえば、青木建設の場合は非常に高名な自由民主党の政治家の方がバックアップをされていた、姻戚関係もおありになると。ここでは詳しいことを申し上げませんけれども、そういうことが基準になるのではまずいんじゃないか。ですから、そんなことを言われないように明確に監査をするなり、将来的に抜本的な会社の立て直しができるという見通しがつくならば、これは銀行の問題かもしれませんけれども、二千億円も債権放棄するというのは銀行の判断だけで、今これだけ貸し渋りをしたりあるいは債権の回収をしている銀行が多いところで、考えられないことなんです。
 ですから、政府として、どうしても立ち直れないものは引っ張っていってもしようがないわけでございますけれども、明確に基準をお示しになるべきじゃないか、私はそう思いますが、大臣、いかがですか。
#62
○国務大臣(宮澤喜一君) 建設省のお立場が別途にあろうかと思いますけれども、基本的にはそういうことに政治が関与すべきでないことはもとよりといたしまして、この際政府が何かの物差しをもって関与するということは私には危険が多過ぎるように思われます。政治が云々ということはもう論外でございますから、そのことには触れません。
 ただいま国土開発の話を出されましたが、確かにあの会社は創業以来のことを考えますと三井信託がメーンであったというふうに聞いております。その後、東海銀行も多少あったのでございましょう。しかし、結局その間で再建がならなかったというようなことと、私も詳しくは存じませんが、聞いておりますけれども、同じようなことは幾つかの会社についてきっとあると思います。関係の金融機関が債務免除をする、それによってあとの金融機関も再建に協力をする、あるいはそういうことができなくなるといったようなこと等々は、ゼネコンであるがゆえにと申しますよりは、一つの企業として金融機関との関係においてそれが再建されるかされないか、これはやはり企業間の問題、金融機関との関連として私は考えるほかないのであろうと思います。
 ただ、一つだけ申し上げることができるといたしますと、金融監督庁は各金融機関の融資の実態について最近はかなり正確に把握をしておりますから、そういう立場からの是正の勧告といったようなことはもちろんできないことではありませんし、またその結果としてどれだけの公的資金の導入が適当であるかというようなことの判断の材料にもなるということはあり得ることであって、これはある意味で公的な関与が間接的ながら行われる部分であろうかとは存じます。
 ただ、そのことは、一般に言われるように公的資金がゼネコンの救済のために使われたというようなこととは全く関係のないことであって、不良債務の区分の仕方、引き当ての仕方、落とし方等々についての金融監督庁の仕事の範囲であると。それを除きますと、特定のゼネコンが破綻をする、会社更生をする、あるいは救済をされるといったようなことは金融機関あるいは関係企業との間のいわゆる私企業間の問題であろうと。そこに政府あるいは政治がそれ以上関与することは私は恐らく余り好ましいことではない、私見でございますけれども、そう思っております。
#63
○益田洋介君 ありがとうございました。
#64
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 まず提案者にお伺いします。
 この法案は中堅企業の貸し渋り対策ということで出されたわけですが、長期運転資金についての債務保証をするということが入っております。そうしますと、これは中小企業における特別融資制度のねらいと同じようなものをここに持たせるんだと、そういうことだと思いますが、御確認願います。
#65
○衆議院議員(井奥貞雄君) 池田先生にお答えをいたします。
 本来ならば私企業でありまする民間企業が融資をすべきでありますけれども、御高承のようにこういった金融情勢の中でございまして、開銀の融資等はその目的に照らして、これまでそれぞれ御議論がございましたが、設備投資に限定をして事業に必要とされる長期資金の範囲に限定されてきたわけでございます。
 くどいようでございますけれども、対象資金の具体例でございますが、設備資金に関連して必要とされる人件費とか、それから賃借料、保険料、固定資産税、リース等々でございまして、これを対象にしてきたわけでございますが、もうこれだけでは範囲が狭いわけでございます。そして、現在の金融情勢、経済情勢の中にあって、信用収縮の影響は今お尋ねのように中小企業のみならず中堅企業にも及んできているわけでございまして、中堅企業向けの貸し渋り対策を抜本的に強化していって中堅企業に円滑な資金供給を図ることが重要な課題だと考えております。
 そして、今回の開銀法の改正案は、企業の資金需要に機動的に対応するために、時限的な措置として、設備投資との関連の有無にかかわらず長期運転資金の融資等を実施するために所要の措置を行うものでございます。
#66
○池田幹幸君 非常に質問時間が短いので、できるだけ答弁は短くするよう御協力をお願いしたいと思います。
 そうしますと、今中小企業で起こっておるような問題がやはりここでも起こるんじゃないかということになるわけです。先週、私は大田区の方に下請問題でちょっと調査に行ってきたんですけれども、そのときに、金属加工の下請といっても仕事もない中で結構立派にやっているところなんですが、ここが特別融資を申し込みに行ったそうなんです。そうしますと、これは都市銀行ですが、融資するけれども既往債務の分を今返せと迫られたというんです。そのときの支店長代理の発言が、この貸し付けは、中小企業の特例貸し付けですけれども、安定資金は半分は銀行のためにあるのですからねと、こう言われたそうなんです。まさに公然とこういうことを言うという実態なんです。
 今度の場合、この法案でいきますと、中小企業よりももっとこの債務の振りかえという危険が起こるんじゃないかと思うんですが、そういったことについて開銀はこれをチェックすることができますか。
#67
○参考人(小粥正巳君) 私ども、今回の法改正によりまして社債の償還資金あるいは長期運転資金に業務が拡充されることになりますと、今御指摘のようなある意味でモラルハザードの一例と申しますか、その資金が、私どもが資金を使っていただきたい貸し渋りがあってお困りになっている企業にではなくて、実は取引先の金融機関に流れてしまう、そういう事態が起こったのでは、これは私どもの業務としても目的を達することができないわけでありますから、先ほど来申し上げております審査機能を十分に活用いたしまして、資金の使途、目的については大変厳しくチェックをいたし確認を行います。そしてまた、民間金融機関のお話をよく聞きながら、いやしくも今御懸念をいただいたような例えばつけかえ等によって融資対象企業が結果として十分資金供給が受けられないような事態がないように努めるつもりでございます。
 それからまた、代理貸しのお話を先ほど来申し上げております。代理貸しは、特に私ども中堅企業に対する長期運転資金について行うつもりでありますが、これは民間金融機関に与信の判断をしてもらう、融資の実行までお願いをする、そのかわりに仮にその債権が滞った場合には民間金融機関に一定の保証責任を果たしてもらう、そういう契約のもとに行うわけであります。もし対象とする資金が代理店である民間金融機関の自己の資金回収を目的とする、肩がわりである、こういうことはもともと私どもが行おうと今準備をしております代理貸しの契約の対象外になっております。そういうものは当然排除されるはずであります。
 それからさらに、仮に代理貸しが実行されました場合、その後私どもがこの点についてチェックをする必要があると考えますと、これも契約の内容として、開銀あるいは開銀が指定をいたします会計監査人が代理店である民間銀行の帳簿書類等を検査することが可能になっております。そういう契約を結ぶつもりでおりますから、ただいま御指摘のような不正な取り扱いについては厳しく対応をすることができると考えております。
#68
○池田幹幸君 そのことについては後でまた問題にしたいと思うんですが、返済資金の貸し付けのことについてまず伺いたいと思うんです。
 まず、この法律の大前提になっていますのが、貸し渋りがあるということが前提になっているわけですね。貸し渋りがなければこんな運転資金を貸し付ける必要はないということなんですが、そうしますと、金融機関が無理難題を言って資金の回収にかかってきた、そういうときに返済資金の貸し付けという制度が設けられますと、そういう無理難題を言ってきたのに対して、貸してやるよ、返すために金を貸してやるよということになるわけですね。そういうことですね。
 うなずいておられますので次に進みますが、今問題になっておる貸しはがしということなんですけれども、貸しはがしをされようとしているときにその返済資金を貸し付けるということになる、これもそのとおりですね。そうしますと、結局これは最終的には貸し渋りあるいは強制的な回収をやっておるそういった銀行のために、銀行救済に金を使うということになるんじゃありませんか。この点について提案者のお考えをお聞きしたいと思います。
#69
○衆議院議員(大野功統君) 私、四年間スイスにおったことがあるんですが、スイスでよく聞いた話の中で、銀行というのは天気の日には傘を何本でも貸してくれる、雨が降ると一本も貸さないどころか貸した傘まで取り上げていく、こういうことでございます。小雨ですと、春雨じゃぬれていこうと頑張れるのでありますけれども、今もう未曾有の大降り、どしゃ降りでございます。こういうところで、もうかっていればもちろん返せるわけでありますが、今おっしゃったような貸し渋り、貸しはがし、これを政府が面倒見てやっているじゃないかという御指摘でございます。
 私は、この未曾有の大どしゃ降りに国として傘を貸してあげるのは当たり前じゃないか。ただ、先ほどから議論されておりますように、償還の確実性、これはもう基本でございます。償還されないものまで貸すわけにはいかないだろうと、この一点に絞っていわば政府として傘を貸してあげる。ただ、その傘は必ず償還、返してもらえることが確実だ、こういう状態でなければならない。もうかれば返せる、しかし自己資本比率等の関係で借りるものも借りられない、しからば社債はどうかというと、企業の格付が下がり社債市場が極めて困難である、こういう状態を考えまして、またさらに中堅企業にそういう手を差し伸べることがひいては傘下にあります中小企業の経営並びに雇用情勢に好影響を与えるとすれば、私は政府としてそのような傘は貸してあげるべきだ、このように思います。
#70
○池田幹幸君 中小企業や中堅企業が貸し渋りに遭っているときに手を差し伸べるということについて私たちは反対するものじゃないんです。それは賛成なんです。
 問題は、そういうむちゃくちゃな貸し渋りをやっている銀行のそういった行為はとがめないで、貸し渋りに遭っているということが確認できれば、むちゃくちゃな要求に対して、それは返すなら貸してやりましょうということで、結局は銀行はそのまま無罪放免される。それどころか、先ほどのような振りかえまでやってしまう。ある面ではこれも振りかえですよね。これでは、片一方で六十兆円の枠をつくって公的資金を注入して銀行を支援するということをやりながら、さらに今度は開銀という政府系金融機関を使ってまたまたさらに追加した優遇措置をとってやるということにしかならないということを私は指摘したいと思うんです。
 今必要なのは、不当な行為をやる銀行に対してそういったやり方をやめろという指導をすることじゃないですか。そういった担保なしにもういいよいいよという形で貸していくということは許されることじゃないと私は思うんですが、提案者はどうお考えですか。
#71
○衆議院議員(大野功統君) おっしゃるとおり、先ほども申し上げました市場原理に基づいた行動というものに対して、政府としてあるいは国としてどこまで関与するか。もちろんそのような問題をモラルとか社会正義とかいった観点から判断することはできます。しかし、それを法律上どうのこうのと言うことはなかなか言いにくい話でございます。しかし、私は、もし仮にそういう現象があれば国会で大いに討議して、そして場合によっては勧告するなりなんなりということもあっていいんじゃないか、このように思いますが、これは監督官庁の問題だと思います。
#72
○池田幹幸君 このようにして認めてしまいますと、今の銀行の行動を見てみますととんでもないこともやりかねないと私は思うんです。というのは、貸し渋りに遭っているか遭っていないかというのは開銀がその借り手を調査して判断するわけですね。そうしますと、借り手の企業が、これは私は主に中堅企業というよりも大企業が非常に多いと思うんです、開銀融資先として。これは銀行グループに入っているわけですけれども、その銀行と示し合わせて、私は貸し渋りを受けていますということを言えば、そのまますんなり金を貸していく、そういうことになりかねないと思うんです。そういうおそれは考えられませんか。もしそういったことが起こったときに、これに対する対抗措置というのはここにありますか。
#73
○衆議院議員(大野功統君) 民間金融機関と開銀とがぐるになってやれば簡単にいけるんじゃないか、こういう御指摘でございます。
 そういうことは断固あってはならない話でございまして、もし仮にそういうことが起これば政府系金融機関、開銀の責任として鋭く追求していかなきゃいけない、そういうことは断じてあってはならないことでございます。
#74
○池田幹幸君 それをどうやって調べるんですか。調べようがないんじゃありませんか。この特別融資についてそういった調査をする権限というものを特別に開銀に与える、特に民間銀行と裏で示し合わせてということになれば、開銀にとっては調べようがないんじゃありませんか。
#75
○国務大臣(宮澤喜一君) それは常識で考えまして、開銀も節穴じゃございませんから、そのくらいのことがわからなくちゃ私はとても務まらぬと思いますね。
#76
○池田幹幸君 それでもって、節穴じゃないからということでオーケーということになれば、これはもう何も公的な担保をしないですべてのことがハッピーだということでやられるわけですが、決してそういうことではないというふうに私は思うんですね。実際、開銀よりもむしろ民間銀行の方がシビアですよ、金を貸し付けるときに、物を見るときに。あるいは民間銀行を監督する監督庁の方がシビアに見られると思うんだけれども、今中小企業の段階で起こっておる問題というのはほとんど摘発されない。政府の側はほとんど摘発しない。むしろ我々の側からこんなことが起こっているということを言って初めて問題になっているというのが実態だと思うんですね。そういった点で、私はそれについては今の大蔵大臣の答弁については納得できません。
 次に進みたいと思います。
 これは提案者の方の衆議院における答弁なんですが、中堅企業を中心に貸し付けると言ったけれども、中堅企業に重点的に回すという担保がこの法律にはないじゃないかということに対して、それはそのとおりだ、しかしながらその法律の精神にのっとってそういうのは問題にしていくんだということをおっしゃっておられます。そうだとするならば、問題にする問題の仕方はどういったことがありますか。
 時間がありませんので私の方からの要望を申し上げておきたいと思うんですけれども、そういったことであるならばせめて貸し付けの内容を公開する、この特別融資に関しては。そういったことでなければなかなか問題にするといっても納得できないんじゃないでしょうか。
#77
○衆議院議員(大野功統君) まず、具体的に今回は代理貸しという制度を運用上導入いたします。開銀が代理貸し制度を導入して代理貸しをする場合に、その代理貸しの対象、借り手は中堅企業に絞っていく、こういう運用上の工夫を凝らしてもらう、このことをまず申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、仮に大企業が入りましても、それは先ほども申し上げましたように、中堅企業あるいは中小企業にまでそのメリットは波及していくわけでありますから、私は経済全体としてとらえて、目的、精神はあくまでも中堅企業中心だと。しかし、おっしゃる意味は恐らく、大企業を排除していないじゃないか、こういうことだと思いますけれども、そういう意味では経済全体としていい効果が必ず生まれてくる、このことを御指摘申し上げたいと思います。
#78
○池田幹幸君 一言だけ申し上げます。
 何だかんだ言われるけれども、私はこれを運用すると結局は銀行救済という形に落ちついていくものだと。それからまた、貸し付けの対象にしても中堅企業にできるだけやるという、それはもう提案者の希望として期待としてそれがあるだけで、実態はなかなかそういったところにはいかないんじゃないかということを申し上げて、終わります。
#79
○三重野栄子君 三重野栄子でございます。
 法律案に関連をいたしまして、大蔵大臣並びに郵政省貯金局長にお尋ねいたしたいと思います。
 まず、大蔵大臣に不良債権増の回避策と政府系金融機関の不良債権額の公表基準等々につきましてお尋ねを申し上げます。
 今回の法改正は貸し渋り問題の解消に資するために臨時あるいは時限的に民から官へのリスク移転を行うものでありますが、これによりまして政府系金融機関の不良債権が増大することが懸念されます。十一月七日のNHKニュースによりますと、住宅金融公庫や国民金融公庫など政府系金融機関が抱える不良債権の総額は、平成九年度千二百三十億円余りふえて初めて一兆円を超えたと伝えておりますが、財投システムの崩壊が危惧されているところであります。
 また、参議院財政・金融調査室の参考資料の十一ページにもありますけれども、緊急経済対策に盛り込まれました貸し渋り対策に関しまして三点問いがあるわけです。一連の貸し渋り対策等の効果の評価、中堅・中小企業への対策、また将来政府系金融機関の不良債権増などの問題は起きないかなどの質問に対しまして、専門家たちの意見も今回の貸し渋り対策全般については一定の評価を下しておりますけれども、しかし政府系金融機関の不良債権増というのは共通の危惧となっております。
 そこで、民間金融機関側の体力が弱体化し貸し渋り問題を惹起する中、政府系金融機関の役割が高まってきたわけでありますが、融資に当たっての償還確実性の原則等は当然守っていくべきだと考えております。そうしたことは当然といたしまして、そのほかに今言われております不良債権増の回避策、そういう問題につきまして大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国は、国民性といたしまして、金を借りましてそれを延滞するあるいは貸し倒れになるということに非常に神経質な国民でございます。それはふだん国民金融公庫、一番零細な金融機関でございますが、これの貸し倒れというものが非常に小さいということでもわかるわけでございます。したがいまして、そういうことがございますから、今回のようにいわゆる信用補完について四十兆円というような大きな枠で政府が乗り出す、その場合、最終的には五%ぐらいな代位弁済があるかもしれないと考えておるようでございますけれども、それだけのことは私は我が国であってこそできるのであって、よその国ではなかなかできないことだろうというふうに考えております。
 したがって、基本的にはそういう相手方、国民相互間の信頼というものがありませんといろいろできないわけでございますけれども、何分にもこういう時世でございますから、いろんな事情で弁済不能というケースがふだんよりは幾らか高いかもしれない。それはやむを得ずそういうことはあり得ることだろうと私は思っていまして、政府だけがリスクを一切負いませんというわけにはいかないかもしれない。負いたいと言っておるわけではもちろんございません。
 しかし、大事なことは、仮に金融機関が一つあって、政府が保証の位置に立つ、その際、相手にもリスクを負わせるということ、リスクがもし起こったときはあなたもリスクを負いますよ、政府も負いますということにしておきませんと、全部をこちらがかぶるということではいけませんので、そういう形でリスクをできるだけ相手方にしょわせる、分けるということは極めて大事なことと思っています。今度のような緊急事態における措置といたしまして、政府は一切リスクはかぶりませんというようなことは、やっぱりそれは政府も多少のことはやむを得ない、しかし国民の税金でございますからそれをどうやって少なくするかというふうに考えてまいりたいと思っております。






#81
○三重野栄子君 ぜひそのように、できないかもわからないけれども、国民が心配しないような方にお取り計らいをお願いしたいというふうに思います。
 次に、不良債権のディスクロージャーの問題でございますが、開銀など一部の政府系金融機関を除きまして、政府系金融機関の不良債権額の公表基準は民間金融機関よりおくれているようでありまして、早急に改善を行うべきであると考えます。この点につきまして、ぜひこの場で大蔵大臣に改善の道筋を明言していただきたいと思います。よろしくお願いします。
#82
○政府委員(溝口善兵衛君) 政府系金融機関の延滞債権等につきましては、平成八年三月から貸借対照表の脚注として官報の記載を行っておりますが、民間に比べまして不足している部分は確かにございます。ただ他方で、政府系金融機関の貸し付けは、開銀の場合に見られますように長期のものであるということがございまして、やや性格が民間金融機関とは違いますものでございますから、全く民間金融機関と同じようにやっていいか、そこはよく検討しなきゃいかぬ問題があるわけでございまして、そういう特殊性を踏まえながら、引き続き政府系金融機関のディスクロージャーにつきましては充実をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、個別には、開発銀行などの例で見ますように、先ほどの延滞債権以外に、ディスクロージャーを主体としたレポートにおきまして、不良債権、破綻先債権でありますとかリスク管理債権のようなものは数字を既に公表しているところでございます。
#83
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
 それでは、貯金局長にお尋ねいたします。
 郵貯の資金運用部への預託義務が廃止されまして自主運用という形になれば、当然、政府系金融機関等が発行することとなる財投機関債の購入も一つの選択肢になるのではないかと思います。郵政省におきましてはことしの七月に資金運用研究会が設置されまして、財投機関債購入などのいろいろな議論がされたと思いますけれども、現在までの検討状況についてお伺いいたします。
 なお、この財投システムの崩壊を危惧する声が国民の中に大変多くなっているわけでございますけれども、原資の大部分を構成する郵便貯金、簡保等は国民の貴重な財産でございますから、本当にこれは守られるのかな、なくなるんじゃないかなという心配もございますので、その二点について御答弁をお願いいたします。
#84
○政府委員(松井浩君) お答え申し上げます。
 本年の六月十二日に中央省庁等改革基本法が公布、施行されたところでありますが、その中で郵便貯金資金の預託義務を廃止して全額自主運用することが決められております。
 これを踏まえまして、全額自主運用後の郵貯、簡保資金の運用のあり方につきまして、有識者にお集まりいただきまして郵貯・簡保資金運用研究会を開催し、検討していただいているところでございます。
 具体的には、九月十四日に第一回の研究会を開催いたしました。その後、これまで四回開催しておりまして、財投改革や省庁再編後の郵貯、簡保の資金運用の制度的枠組みについて議論してきたところでございます。さらに具体的に申しますと、運用原則の考え方、運用対象のあり方、公的分野への資金供給のあり方、地域還元のあり方、そういったことを中心に議論を深めてきたところでございます。
 御質問の財投機関債につきましては、現在、大蔵省を中心に検討されているところでありまして、具体的な発行条件等がまだ示されておりません。明らかになっておりません。
 いずれにいたしましても、その条件が明らかになった後に郵貯・簡保資金運用研究会においても検討していただきたいと私どもとしては考えておるところでございます。
 二点目でございますが、財投システムの崩壊が言われるという状況下でどうだろうかというお話でございました。
 財投機関の運営につきましては、それぞれ所管省庁がございます。その責任において適切に管理されているものと私どもとしては理解しているところでございます。一方、私どもの郵便貯金資金は全国津々浦々の郵便局を通じて預金者の皆様からお預かりした資金でございますが、資金運用部資金法の規定によりまして、日常の払い戻しあるいは預金者に対する貸し付けに必要な資金以外はすべて資金運用部への預託が義務づけられております。この資金につきましては、預託の条件に従いまして、預託期間が経過しましたら大蔵省から郵政省に返済されるということになっております。そういう状況でございますので、仮に財投機関の経営に何らかの問題が生じたといたしましても、郵便貯金の預金者に負担が求められるということはないものだというふうに考えております。
 また、簡易保険の財投運用でございますが、これまで滞りなく元利払いが行われております。今後とも財投機関の償還確実性には十分配意して適切な資金運用を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
#85
○三重野栄子君 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#86
○委員長(勝木健司君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君が選任されました。
    ―――――――――――――
#87
○星野朋市君 自由党の星野でございます。
 私は主として提案者の小池百合子議員にお尋ねをいたしたいと思います。
 この開銀法の改正、これがどうして行われたかという背景について、私は小池先生と一緒にやってきたものですから、そのいきさつを若干述べてみたいと思うんです。
 ことしの通常国会で、三月三十一日に主要十八行に一兆八千億円という公的資金が注入された。大体二兆円近い金が入ればその十二・五倍の二十兆から二十五兆の金が計算上は出る、こう言われたのが、一向に金が出なかった。
 先ほども政府委員から御答弁がありましたけれども、今も日銀は通常の三割近い金をじゃぶじゃぶ出している。ところが、銀行貸し出しは特殊な事情があるというものの、十一月は四%マイナスですよ。十月は三・幾ら。これは特殊事情がある。例えば十一月は国鉄の債務を一般会計につけかえたとか、円高になったから外国為替のいわゆる貸し出し、これが円ベースでいくと目減りしたとか、そういうことがあって実質は一・二、十月は一・一だと。こう言いながらも、実際にはお金は日銀から出ているのに、貸し出しがそういうふうに減っているんです。これが実態なんです。
 それで、前国会、臨時国会のときに、このままじゃしようがないと。自画自賛になりますけれども、自由党は信用保証協会という手があるじゃないかと。それで我々は勉強したんです。代位弁済率は二%ぐらいだと。それじゃここに十兆ぐらいつぎ込めばかなり中小企業は救われるんじゃないか。そうしたら、政府はさるものですよ。ぱっとこのアイデアを受け取って、何と十兆の倍の二十兆出すと。だけれども、これがよかった。直ちに十月、十一月だけで三十万件以上の申し込みがあって、今七兆ぐらいの貸し出し、これだけ救われたわけです。
 ところが、さらに我々が考えたのは、健全化スキームをやっている最中にそれじゃ中堅企業というのはどうするんだ、これが非常に難しいんじゃないか。それで、資本金五億までの中堅企業、融資金は三億だと、こういう案を出したんですが、自民党は、ちょっと待てよ、これは開銀マターになりかねないからと言って、一呼吸置いて今度出してきた。
 これが実態だと思うんですが、小池先生、どうお考えですか。
#88
○衆議院議員(小池百合子君) お答え申し上げます。と申しましても、もう質問の中に既にお答えが含まれていたのではないかと思うわけでございます。
 実際に中小企業を対象といたしました貸し渋り対策として信用保証の拡充が大変効率よく進んでいるというふうに聞いているところでございます。今回は中堅企業を対象とした貸し渋り対策の一環でございますが、星野委員もそうでございますけれども、何よりも民間企業の現場を踏まえてその上で何ができるかということを凝縮したのが今回の議員立法だというふうに思っております。
#89
○星野朋市君 私は昭和三十年代に開銀の資金を既にもう利用したんです。昭和三十年代なんというのは銀行にまだお金がなかったんですね、全然。それで、他店券かぶりなんというのを一週間ぐらい続けたことがあるんですけれども、そうしたら開銀の還元融資という制度があるということで、一億円都市銀行から貸してもらいまして、かなり楽をした思いがあります。
 それから、御存じのように、開銀は基幹産業に融資をしておったんですが、オリンピックの開催のときにホテルにかなり開銀のお金が流れた。ニューオータニのあの建物が一番それを象徴しているんですけれどもね。オリンピックが終わった後そういう需要がなくなりましたから、開銀融資はじゃどこへ行ったかというと、要するに低開発地域または地域振興という名目でこのお金が流れた。私はそれを見て早速申し込んで、数億の金を借りて茨城県の土浦に大工場をつくった経験があります。
 総裁、開銀融資のいいところは審査が非常に厳重だと、こういうことだったんですが、私は余りそう感じなかった。私はちゃんと返しましたから問題はない。
 それで、開銀融資の一番いいところというのは、きょうどなたからもこれは出ていませんけれども、利息が後払いなんですよ。これは大きいんです。特に金利の高いときなんというのは、この利息後払いというのは企業にとって大変いい。これは今度の場合も同じことでございますか、総裁。
#90
○参考人(小粥正巳君) 利息をお支払いいただく方法につきましては、従来と同様でございます。
#91
○星野朋市君 私は経験があるからこういうことを言えるのでありまして、きょうもこの法律の焦点ともいうべきところは日出議員も大野先生に答弁を求めましたし、伊藤先生は宮澤大蔵大臣に質問して答弁を求められた。多少ニュアンスの違うところがございますけれども、なぜこれがいわゆる時限立法なのか、二〇〇一年三月までなのか。小池先生はそれについてどうお考えですか。
#92
○衆議院議員(小池百合子君) なぜ二〇〇一年までの時限立法かということでございますが、本法案の提案理由の御説明のところでも信用供与を確保するための緊急措置であるということを申し述べているわけでございます。
 また一方で、二〇〇一年の四月からはペイオフが実施されるという現実も迫ってきて、貸し渋りの問題を産業が抱えると同時に、今金融機関は大変な再編淘汰の時代に入ってきている。それが今の貸し渋りの不幸の原因でもあるのかもしれませんし、また次の新しい形を生み出す、きのうだれかが使っておられましたけれども、胎動ではないかというように思うわけでございます。
 ということで、二〇〇一年の四月までにあらゆる金融システムの対策を完結しなければならないということでございまして、むしろ逆算という意味で二〇〇一年の三月までの時限立法とさせていただいたところでございます。
#93
○星野朋市君 時間が来ましたので、これで終わります。
#94
○菅川健二君 私は質問する相手の党がございませんので、独自の見解を申し上げたいと思います。
 まず、この議案に先立ちまして金融改革の法律がいろいろ審議されておりました前の財政・金融委員会で大変いろいろ問題になったことでございますけれども、金融ビッグバンに伴いまして消費者にいろいろな被害が出てくる、その保護対策をどうするかということが議論されたわけでございます。
 御案内のように、この十二月から投資信託の銀行での窓販が始まったわけでございますが、次々と新しい商品が出てまいっておるわけでございます。御案内のように、イギリスでは十二年前に証券分野での自由化を進めたときに金融サービス法の制定をいたしたわけでございます。
 我が国におきましても、金融関連のいろいろな詐欺事件といいますか、そういったものは変額保険とかワラントを代表するもの等が後を絶たなかったわけでございますが、それよりも今度のビッグバンによってはるかに多くの被害といいますか、そういったことが起こる心配があるわけでございます。これは自己責任といっても、素人に自己責任を負わせるにしては余りにも重たいことが多いわけでございまして、この際ぜひ金融サービス法の制定を急いでいただきたいと思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
#95
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる規制解除というのは、国民の皆さんが規制の結果役所からいろいろな干渉を受けて、それは自分たちにとって結局不幸であったという反省のもとに行われつつございますから、したがって消費者御自身も自分の責任で事をなしていかなければならないということが当然、半面でございます。
 しかし、金融というのは問題になりますとかなり専門的な知識も必要といたしますし、また一般に消費者についての例えば製造物責任といったようなことは法律がございます。ですから、だからといってガイダンスが要らないということにもやっぱりなりませんでしょう。消費者のためになるようなそういう何かのことは備えておく方が本当だろうと思いますから、干渉にわたらざる、またわたらない精神においてそういうものが考えられることが必要であろうと思います。
#96
○菅川健二君 ぜひ早く推進を図っていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、本題でございますけれども、開銀法等の改正につきまして、ほぼ議論は出尽くしたわけでございますが、私たまたまきょう昼、地元での会合がございまして、大蔵大臣もよく御存じの方、銀行関係の会長さんとか頭取をやっておられる方から話を聞いたわけでございますけれども、端的に言うと、開銀法を改正になるのは結構だが民業を圧迫してほしくないなということと、運転資金については素人なんで、十分に審査能力があるのかなというような疑問が出たわけでございます。
 これらの点につきましては先ほど来お話がございまして、それについては心配ないということだと思うんですが、総裁の方で一言お答えいただきたいと思います。
#97
○参考人(小粥正巳君) 今回法律が改正されますと、私どもの業務が拡充をされます。したがって、私どもとしてはいわばこれまで経験のない分野ということになります。
 特に長期運転資金につきまして、民間の金融機関経営者からただいま御指摘のような感触があるということでございまして、私ども、一つはそれに対する対応ということでもありますけれども、長期運転資金につきましては先ほど来申し上げてもおりますが、中堅企業につきましては、今回新たに開銀として導入いたします代理貸し制度によりまして、むしろ本来は設備投資と直接関連のない長期運転資金は民間銀行において経験、ノウハウが当然豊富でございますから、ある意味では時限ではございますけれども、今回、代理貸し制度を活用して、むしろ融資判断も第一義的に民間金融機関にお願いをする、そして最終的な保証責任につきましては融資判断をお願いする民間金融機関に重くその割合を分担していく、そういう方法が民間から御懸念の開銀にとって経験不足の分野に対する一つの対応方法かと、こんなことを考えているわけでございます。
#98
○菅川健二君 先ほど星野議員が中小企業の信用保証の二十兆円対策について誇らしげに言われたわけでございますが、この中堅企業版だと私の方は受け取っておるわけでございます。
 そうしますと、中小企業の場合は御案内のように事故率というのは一〇%を見込んでおるわけでございます。それだけかなり踏み込んでおるわけでございますが、中堅企業においても事故率一〇%程度踏み込むという覚悟でおやりになるのか。仮に覚悟でやった場合は、政府として、大蔵省として全部それについて財政的に面倒を見るのかどうか、その辺をお聞きいたしたいと思います。
#99
○参考人(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは特に長期運転資金についてのお尋ねと理解をいたしますが、これにつきましては、私が先ほど申し上げました中堅企業については、長期運転資金はまず第一義的に法律が成立いたしました後できるだけ早くスタートさせたいと思いますけれども、民間金融機関に代理貸しという形で対応していただきます。
 そういたしますと、問題はただいま御指摘の事故率でございますが、この代理貸し制度におきまして、さっき私が申し上げましたように、融資判断から融資の決定、実行に至るまで民間の銀行にそれは担当していただく、そのかわりいわゆるモラルハザードを防ぐために、先ほど私が定性的に申し上げました保証責任割合は民間金融機関側に重くお願いをする、そういう契約を結ばせていただくということでございます。
 これはまだ発足をしておりませんから、一つの例で申し上げますと、既に代理貸し制度を一般的に実行しております中小企業金融公庫におきましては、伺うところ、民間側に八、公庫側に二という八対二の割合と承知をしておりますが、それを例として私どもも考えていくべきではないか。これによりまして、安易な民間金融機関の融資判断によって代理貸しが行われ、その結果として事故率が高くなるということは、これはかなりはっきりとした歯どめとして作用するのではないか、私はこういうふうに考えております。
#100
○政府委員(溝口善兵衛君) 今回の貸し渋り対策に伴いまして、リスクを抱える融資を開銀等が行うことになるわけでございますけれども、それに対してどういう対応を大蔵省はとるのかという質問がございましたが、その点につきましては、今回の補正予算におきまして、開銀、北東、沖縄の三機関におきまして自己資本を充実するための経費として約三千三百億円を計上しておりまして、この中の一部はそういうリスクに対応するためのものでございます。
#101
○菅川健二君 最後にちょっと水をかけるようで恐縮でございますけれども、五兆円の枠があるということで、総裁はできるだけ目標額を達成するように努力すると言われたわけでございますが、経済というものは御案内のように生き物でございますので、五兆円以上必要な場合もあろうかと思いますし、またはるかに必要でない場合もあろうかと思います。余りまじめに目標達成のために無理をされないように、ひとつ自然体でこれに対応していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#102
○参考人(小粥正巳君) 大変御配慮のあるお言葉をいただいたわけでございますが、ただ私ども政策金融機関として大変重い課題を背負っているわけでございますから、私どもとしては懸命にこの目標に少しでも近づくべく努力は最後までしていくつもりでございます。
 ただ、御指摘のように無理をする、それは私どもやるべきではない。一つの無理のゆえんは償還確実性の原則を踏み外すということが無理につながると思いますので、再三申し上げておりますように、審査をきっちりやらせていただき、償還確実性の原則を踏まえながらぎりぎりの対応に努めてまいりたい、こういうことで御理解をいただければと存じます。
#103
○菅川健二君 終わります。
#104
○委員長(勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#105
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、日本開発銀行法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案は、銀行による貸し渋り対策の一環として、開銀の業務として、長期の運転資金の供給等、業務の拡大を図ろうとするものであります。本法案が銀行から貸し渋りを受けている中堅企業に対しても適用され、この限りではこれらに対する支援策になり得るものです。しかし、本改正案は、これまで設備資金に限られていた大企業への長期資金の貸し出しを運転資金やその返済資金にまで拡大するほか、専ら大企業が利用する社債償還資金の貸し出しの制度を創設するなど、大企業向け業務を新たに拡大するものであります。
 また、長期運転資金の使途は何ら制限されていないため、これが投機的に運用されない保証はありません。返済資金の貸し出しの名のもとに、バブルによってもたらされた不良債権の開銀による肩がわりをも許すものであります。
 以上の理由をもって本改正案に反対するものであります。
#106
○委員長(勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 日本開発銀行法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、伊藤君から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤基隆君。
#108
○伊藤基隆君 私は、ただいま可決されました日本開発銀行法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    日本開発銀行法等の一部を改正する法律
    案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべき
 である。
 一 今回の措置が、貸し渋り対策として、臨時
  特例的な措置であることを踏まえ、平成十三
  年三月末までの時限を徹底すること。また、
  特殊法人改革の趣旨を引き続き尊重し、民業
  補完の原則を遵守すること。
 一 日本開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖
  縄振興開発金融公庫の融資等に当たっては、
  償還確実性の原則の趣旨を踏まえ、これらの
  機関の健全性の保持に努めること。
 一 日本開発銀行等においては、明確な融資選
  定基準を事前に作成するとともに、融資審査
  について十分な体制整備を図り、適切な信用
  リスクの把握に努めること。特に融資の際、
  事業収益の回復が見込まれない企業に対する
  運転資金を対象除外とすること。なお、日本
  開発銀行等からいわゆる代理貸しを委託され
  る民間金融機関においても、融資選定基準を
  遵守すること。
 一 日本開発銀行等においては、本法施行の時
  より、不良債権の状況について、半期毎を目
  途にこれを主務大臣に報告・公表に努めるこ
  と。
 一 日本開発銀行による民間金融機関の債権の
  譲り受けの実施に当たっては、民間金融機関
  の不良債権の付け替えとなる事態を回避し、
  また、日本開発銀行等による融資が、民間金
  融機関の資金回収に充てられる事態を回避す
  ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#109
○委員長(勝木健司君) ただいま伊藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(勝木健司君) 多数と認めます。よって、伊藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
#111
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ十分配慮してまいります。
#112
○委員長(勝木健司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#114
○委員長(勝木健司君) 次に、財政及び金融等に関する調査を議題といたします。
 日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件につきまして、日本銀行から説明を聴取いたします。速水日本銀行総裁。
#115
○参考人(速水優君) 本日は、日本銀行の金融政策運営につきまして説明の機会を与えていただきましたことを厚くお礼申し上げます。
 本年四月に新しい日本銀行法が施行されまして八カ月が経過いたしました。新法は、日本銀行による政策運営の柱として、独立性と透明性という二つの理念を掲げております。中央銀行が独立して金融政策の責務を担っていくためには、その背後に国民からの揺るぎない信認が必要となります。また、そうした高い信認を得るためには、政策決定過程の透明性を確保していくことが不可欠でございます。私どもはこの点を強く念頭に置きながらこれまで政策運営に当たってまいりました。
 アカウンタビリティーの向上の一環として、金融政策決定会合の議事要旨の公表などに加えまして、このほど日銀法第五十四条に基づいて初の半期報告書を国会に提出いたしました。本日は、半期報告書に基づいて、日本銀行の金融政策運営につきましての私どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。
 まず、本年の日本経済の動向でございますが、一言で申しますと、景気の低迷と不良債権問題の重荷が相乗的に経済状態を悪化させてきたように思われます。
 設備投資や個人消費などの民間需要が弱い状態を続けるもとで、企業は大幅な減産を継続してまいりました。この結果、企業収益が悪化し、雇用・所得環境も一段と厳しさを増してまいりました。物価も年央以降軟調に推移しております。このように、日本経済には、民間需要の落ち込みが生産や所得の減少をもたらし、これが再び民間需要を減少させるというマイナスの循環が働いております。
 金融面を見ますと、民間銀行の融資姿勢は、不良債権問題に伴う実質的な自己資本の目減り、銀行自身を取り巻く資金調達環境の厳しさ、さらには企業業績の悪化による借り手のリスクの高まりといったような要因が複雑に絡み合って、昨年末以来、一段と慎重なものとなってまいりました。こうした金融面からの制約は中小企業の設備投資などに悪影響を与え、景気の下降圧力をさらに強める要因となっております。
 この間、金融システム安定化関連二法の成立や総合経済対策の決定など、さまざまな手だてが講じられてきましたが、民間経済の力が一段と弱まったことや、夏場以降、金融システムに対する不安が再び強まったことなどから、景気の悪化にはなかなか歯どめがかからなかったのが実情でございます。
 こうした情勢を踏まえまして、日本銀行は、九月九日の金融政策決定会合におきまして、経済がデフレスパイラルに陥ることを防止し、景気の悪化に歯どめをかけますために、一段の金融緩和に踏み切りました。
 具体的には、金融調節運営の目安としております無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標を、平均的に見て公定歩合〇・五%をやや下回るというかつてのものから、〇・二五%前後というところまで引き下げました。
 御存じのとおり、九五年九月の公定歩合引き下げ以来、我が国の金利水準は極めて低い状態が続いてまいっております。そうしたもとで、金利収入に多くを依存している家計にとりまして大変厳しい状況にあることは私どもも十分承知しているつもりでございます。しかし、現下の経済情勢のもとでは、やはりまずもって金融面から経済活動を下支えしていくことが重要となります。投資採算を改善し企業収益や資産価格を下支えすることが経済の悪化を食いとめ、ひいては雇用や所得によい影響を与えることになります。私どもとしましては、そうしたマクロ的な視点に立ちまして九月の金融緩和を決定したものであります。
 また、こうした金融調節方針のもとで、日本銀行は、金融市場に対して潤沢な資金供給を行い、市場の安定に努めてまいりました。特に、金融システム不安が根強く続くもとで、年末、年度末越えの市場金利に強い上昇圧力がかかっていることを踏まえまして、長目のオペレーションを積極的に実施してまいりました。
 ただ、こうした思い切った金融緩和の継続にもかかわらず、民間銀行の金融仲介機能の低下を背景に、企業の資金調達環境は依然厳しい状況が続いております。日本銀行では、このような企業金融の実態を踏まえまして、先月十三日、さらにオペレーション・貸し出し面からの新しい三つの措置をパッケージで決定したわけでございます。
 第一には、コマーシャルペーパー、いわゆるCPオペをさらに積極的に活用することとしまして、買い入れ対象となるCPの期間を拡大した次第です。第二には、企業金融を支援するための臨時貸出制度を創設し、今月から実施することといたしました。第三に、民間企業の債務である社債や証書貸付債権を金融調節の中で一層有効に活用するため、これらを根担保とする手形オペレーションの導入について検討を進めることとしました。
 私どもとしましては、日本銀行の資産の健全性に留意しつつ、今回の措置により企業金融の円滑化に最大限の努力を払ったつもりでございます。
 冒頭に述べましたように、現在の日本経済は金融面と実体経済面とが相互に強い連関を示しながら低迷を続けております。日本銀行は、そうした情勢を踏まえまして、金融政策面から、金融市場に流動性を供給し、あるいはその供給の仕方を工夫することによって対応を図ってきた次第であります。
 ただ、日本経済が活力を取り戻すためには、そうした流動性の面からの対応に加えまして、我が国金融システムの早期立て直しを図り内外からの信認を回復すること、また即効性のある需要を追加することが同時に必要となります。
 金融システム問題につきましては、十月に金融機能早期健全化法が成立し、それに基づいて主要銀行の多くが公的資本取り入れの意向を表明いたしております。こうした動きや国際的な信用収縮懸念の後退もありまして、金融市場の不安感は最近になって徐々に鎮静化の方向にあるように見られます。また、年末に向けての企業金融も、金融政策面からの対応や政府によるさまざまな措置の効果もあって、ひところに比べ幾分緩和してきたようにうかがわれます。
 このほか、外資や異業種間を含めて金融業界再編の動きも目立ってきております。私としましては、こうした金融機関自身による経営改善努力を率直に評価したいと思います。ただ、一たん大きく毀損された金融システムを健康体に戻すのは決して容易なことではありませんので、引き続き各方面からの粘り強い努力が不可欠と考えます。
 実体経済面では、四月の総合経済対策に基づく公共投資が明確に増加してきています。私どもも、その効果が本格的にあらわれてくるにつれて、今後、景気の悪化テンポは次第に和らいでくるものと見込んでおります。ただ、国内の需給ギャップは既にかなりの大きさに達しておりますために、当面、厳しい経済状態が続くことに変わりはありません。したがって、現時点では、緊急経済対策に盛り込まれた需要追加策などが早期かつ着実に実行に移されていくことを強く期待している次第でございます。
 さらに、このように金融、財政の両面から経済活動を下支えするもとで、景気が本格的な回復に向かうためには、やはり企業や家計のコンフィデンスがしっかりとしたものとなることが必要になります。そのためには、民間経済に新しい息吹が生まれることが重要であり、経済の構造改革を引き続き力強く推し進めていくことが大切であります。もしそうした努力を怠れば、日本経済には巨額の財政赤字だけが残されることにもなりかねません。
 世界を見渡しますと、米国経済は次々と生まれる技術革新のもとで長期にわたる成長を謳歌しております。欧州では、長年の悲願であった通貨の統合がいよいよ明年一月に実現します。世界は激しく動いています。日本経済もそうした国際的なダイナミズムのうねりを真正面から受けとめて、みずからの構造改革を実現し、新たな発展を目指していくことが必要です。そのことは、我が国自身にとっても、アジアにとっても、さらに世界にとっても重要なことと確信しております。
 この点、金融面でも、金融市場の一層の整備、育成を進めていくことが待ったなしの課題となります。そのことが国内のみならず海外から見ても円の使い勝手をよくして、真の円の国際化に資するものと考えます。
 日本銀行としても、これらの課題の達成に向けて、今後とも中央銀行の立場から全力を挙げていく考えです。
 また、日本の中央銀行として、物価の安定や信用秩序維持のための業務を運営していくに当たっては、日本銀行自身の財務の健全性を維持していくことが重要な課題となります。このことは一国の信用にもかかわることでございますし、中央銀行として常に守らなければならない原則と考えております。今後とも資産内容の健全性維持に努めるとともに、政策・業務運営の機動性を確保する観点から、資産の流動性にも最大限の配慮を払っていく考えであります。
 このような日本銀行としての決意を申し述べまして、私からの説明とさせていただきます。
 国民の皆様並びに議員各位の御理解と御支援をよろしくお願いいたす次第でございます。
#116
○委員長(勝木健司君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後八時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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