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1998/12/03 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 法務委員会 第1号
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1998/12/03 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 法務委員会 第1号

#1
第144回国会 法務委員会 第1号
平成十年十二月三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         荒木 清寛君
    理 事         石渡 清元君
    理 事         大野つや子君
    理 事         円 より子君
    理 事         大森 礼子君
    理 事         平野 貞夫君
                阿部 正俊君
                有馬 朗人君
                井上  裕君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                吉川 芳男君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                藁科 滿治君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                海野  徹君
                松岡滿壽男君
                斎藤 十朗君
                中村 敦夫君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     松岡滿壽男君     菅野 久光君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     石渡 清元君     服部三男雄君
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     足立 良平君
 十二月三日
    辞任         補欠選任
     足立 良平君     角田 義一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                大野つや子君
                服部三男雄君
                大森 礼子君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                井上  裕君
                岡野  裕君
                吉川 芳男君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                藁科 滿治君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       法務大臣     中村正三郎君
   政府委員
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       法務省矯正局長  坂井 一郎君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       法務省入国管理
       局長       竹中 繁雄君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       文部省学術国際
       局長       工藤 智規君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   白木  勇君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (人権擁護の推進に関する件)
 (少年法改正問題に関する件)
 (防衛庁汚職事件に関する件)
 (死刑執行に関する件)
 (婦人補導院の活用に関する件)
 (家庭裁判所の休日・夜間利用に関する件)
 (政党助成制度の見直しに関する件)
 (受刑者の処遇に関する件)
 (国会議員の刑事事件の処理に関する件)
 (裁判官の行政機関への出向に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十月十六日、岸宏一君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として井上裕君及び千葉景子君がそれぞれ選任されました。
 また、去る十一月二十七日、松岡滿壽男君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
 また、去る十一月三十日、石渡清元君が委員を辞任され、その補欠として服部三男雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(荒木清寛君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に服部三男雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(荒木清寛君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、法務及び司法行政等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(荒木清寛君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○大野つや子君 おはようございます。自由民主党の大野つや子でございます。質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 ことしは世界人権宣言が国際連合において採択されてから五十周年という意義深い年に当たります。
 二十世紀に入り、世界は二度の世界大戦を経験しました。特に、第二次世界大戦では、近代兵器がその威力を見せつけ、多くの人命が奪われたばかりでなく、人種的な迫害、虐殺など、人権をじゅうりんするさまざまな行為が起こりました。そのため、戦後になって人権に対する考え方が世界的に見直され、人権の保障が世界平和の基礎であることが認識され始めました。そして、人権の保障をさらに効果的にするためには、人権を国際的にも保障していくことが必要であると考えられるようになりました。その結果、昭和二十三年十二月十日の第三回国際連合総会で、基本的人権を確保するためにすべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準の宣言が採択されました。これが世界人権宣言です。
 世界人権宣言は、生命、身体の安全、その他多くの基本的人権についての基準を示し、すべての人がいかなる事由による差別をも受けることなくこれらの人権を享有できるようにすべきであると宣言しています。世界人権宣言が採択されてから五十年たった今でも、世界や我が国にはまだまだ解決されなければならない人権問題が数多く残っています。私たち一人一人がその解決を目指して一歩一歩努力していかなければならないと思っています。
 このようなことから、本年が五十周年というこの機会に、世界人権宣言を記念する行事を盛大に開催し、積極的に広報することが必要と思われますが、政府においては五十周年記念の行事をどのように計画しているのか、お伺いいたします。
#9
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 ただいま委員が御指摘されましたように、ことしは世界人権宣言が昭和二十三年十二月十日の第三回国連総会において採択されましてから五十周年という年に当たります。
 国連は、世界人権宣言五十周年を記念するため特別総会を招集しますとともに、我が国政府にも、世界人権宣言の意義を一層広く周知させるため記念行事を催すように奨励してきております。また、我が国の人権擁護委員制度につきましても、昭和二十三年七月十七日に発足して以来、我が国において世界人権宣言の意義を国民に広く浸透させるなど、人権思想の普及、高揚に努めてきております。この制度も創設五十周年を迎えまして、その歩みは国際社会における人権の歩みと一致しております。
 そこで、この機会に、国民を挙げて世界人権宣言の意義と重要性を再認識しますとともに、人権教育のための国連十年国内行動計画に沿って基本的人権尊重のための教育、啓発に対する取り組みの強化を図ることを目的に、本年十二月を世界人権宣言五十周年、人権擁護委員制度五十周年記念月間に定めますとともに、各種の記念行事を実施することとしまして、去る九月二十五日の閣議におきましてその旨の報告を行ったところでございます。
 具体的には、本月十日に記念式典を開催しますとともに、世界人権宣言に関するシンポジウムの開催、テレビ、出版物等による広報、ポスター、リーフレット等の配布を行うこととしております。また、法務局、地方法務局及び人権擁護委員並びに地方公共団体が連携協力しまして、世界人権宣言の周知のための全国キャンペーンを実施しているところでございます。
 以上でございます。
#10
○大野つや子君 次に、人権擁護推進審議会の審議状況についてお尋ねしたいと思います。
 基本的人権の尊重は、日本国憲法の最も重要な基本原理の一つであり、民主社会の基本となるものであると私は九月二十二日の法務委員会で申し上げました。これまで我が国では、日本国憲法の最も重要な精神である基本的人権の尊重が社会生活で実現されるようさまざまな活動を行ってきました。今日、国民の間に人権意識はかなり普及してきたことは否定できないと思います。しかし、今なお、みずからの人権のみを主張し、他人の人権を顧みない風潮が見受けられ、またさまざまな人権問題も依然として根強く残っている状況となっております。
 このような状況の中、昨年三月に法務省に設置された人権擁護推進審議会の審議に寄せる期待は大きいわけでございます。そこで、この人権擁護推進審議会の最近の審議の状況等につきましてお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 人権擁護推進審議会の審議状況について御説明いたしますと、昨年五月に、法務大臣、文部大臣、総務庁長官から、人権教育、啓発に関する施策の基本的事項について、また法務大臣から、人権侵害による被害者の救済に関する施策の基本的事項について、それぞれ諮問がされまして、その後、委員からのプレゼンテーションや各種人権課題に関するヒアリングを行うなど、現在、衆議院及び参議院の各法務委員会の附帯決議を踏まえまして、人権教育、啓発に関する施策を中心に調査、審議がなされ、これまでに十九回の会議が開催されたところでございます。
 最近の審議状況としましては、人権尊重の理念、人権教育、啓発の現状、人権教育、啓発のあり方などを主要なテーマに設けまして、各テーマごとに議論を深めているところでありまして、引き続きこのような形で調査、審議がされることになっております。事務当局としましても、当審議会の運営が円滑に進むよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#12
○大野つや子君 先月ジュネーブにおいて開催されました規約人権委員会の最終見解についてお尋ねいたします。
 国際人権規約は一九六六年、昭和四十一年の国際連合総会において採択され、我が国では昭和五十四年に批准しているところであります。この国際人権規約は、経済的、社会的及び文化的権利に関するA規約、市民的及び政治的権利に関するB規約とから構成されておりますが、先月開催されました規約人権委員会において、B規約に関する日本政府の第四回報告に対する審査が行われ、同委員会の最終見解が採択されたところであります。
 その最終見解によりますと、我が国には人権侵害を調査し、不服に対し救済を与えるための制度的仕組みを欠いているとの指摘がされております。この点につきましてどのように受けとめていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
#13
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 我が国では、法務省の人権擁護部門の職員と人権擁護委員が相協力しまして、基本的人権が侵害された疑いのある事案について、これを人権侵犯事件として調査し、その調査結果に基づき被害者の救済を図るため関係機関等に勧告等を行うなど、事案に応じた適切な処理を行っているところであります。
 ただ、ただいま申し上げました勧告等には法的効力がありませんので、果たしてこのような現行の救済制度で十分であるのかどうか、法的措置の必要性も含めて、今後は、先ほども述べました人権擁護推進審議会で具体的に検討されるものと考えているところでありまして、その答申も踏まえまして制度の充実に努めてまいりたい、そのように考えております。
 以上でございます。
#14
○大野つや子君 次に、この規約人権委員会の最終見解によりますと、日本の人権擁護委員について、法務省の監督下にあり、またその権限は勧告を発することに限定されていることから、政府の権力乱用を抑止し、個人の権利擁護を確保するための制度的仕組みを備えていないとの指摘がされております。この点につきましてもどのように受けとめていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
#15
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 人権擁護委員は、人権尊重思想の普及、高揚を図りますとともに、人権侵犯の疑いのある事案について、これを人権侵犯事件として調査、処理するなど、法務大臣の指揮監督のもと、法務省の人権擁護部門と一体となりまして人権擁護活動に中立公正な立場で取り組んでいるところであります。
 なお、この人権擁護委員制度のあり方につきましても、今後、先ほど述べました人権擁護推進審議会でも具体的に検討されるものと考えているところでありまして、その答申も踏まえて制度の充実に努めていく考えでございます。
#16
○大野つや子君 規約人権委員会の日本の人権擁護委員は法務省の監督下にあって政府から独立していないから実効性を欠くとの指摘に対し、人権擁護委員は、法務大臣の指揮監督のもと、法務省の人権擁護部門と一体となって人権擁護活動に中立公正な立場で取り組んでおり、政府から独立していないからといって実効性が損なわれてはいないという御答弁であろうかと思います。
 その上で、規約人権委員会の最終見解についてもう一つ伺いたいのでございますが、同委員会から人権侵害の申し立てに対する調査と救済のための独立した仕組みを設立することを勧告されたことに対し、どのように受けとめているのでございましょうか、お尋ねいたします。
#17
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 独立した人権擁護機関の設置につきましては慎重な検討が必要であると考えておりますが、ただいま委員御指摘のとおり、規約人権委員会から人権侵害の申し立てに対する調査と救済のための独立した仕組みの新設を促す勧告がされております。
 先ほど述べました人権擁護推進審議会では人権救済制度のあり方について調査、審議されることになっておりますが、この調査、審議の中でも、ただいま言いました規約人権委員会からこのような勧告がされている、そういう事実も踏まえまして今後調査、審議が進められるのではないか、そのように考えているところでございます。
#18
○大野つや子君 次に、少年の非行問題についてお尋ねしたいと思います。
 近年、社会の耳目を引く少年の凶悪重大な事件が発生したこと等を契機として、国民の間には少年の非行問題についてかつてないほどに高い関心が寄せられており、各方面において議論がなされているところでございます。私といたしましても、次代を担う青少年が社会の中で健全に成長することは非常に重要なことであると考えております。このような少年非行の問題には心を痛めているところでございます。
 この問題についてはいろいろな角度から対処すべき問題であると考えておりますが、どのような対策を講じるべきかということについては、まずもって少年非行の動向や特質等を明らかにし、分析、検討を加えることが重要であると考えております。この点、ことしの犯罪白書においては少年非行を取り上げて分析しているということで、まことに時宜を得たものと思っております。
 そこで、少年非行の動向及び特色はどのようなものであるのか、また最近の少年犯罪の傾向として凶悪化、低年齢化を指摘する声が大変多うございますが、実際に少年非行は凶悪化、低年齢化しているのでしょうか、法務大臣にお伺いいたします。
#19
○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、ことしの犯罪白書では少年犯罪問題を一つ大きく取り上げました。それは、おっしゃられますとおり、少年非行に対する国民の関心が大変高まり、それに対するいろいろな対策が必要じゃないかということも論じられているという背景がございます。
 今のお話でございますが、戦後、二十六年、三十九年、五十八年、三回の少年犯罪の増加のピークがあったわけでありますけれども、昭和五十九年以降減少傾向にございました。それが平成八年からまた増加に転じているわけでございます。
 最近の非行の特徴は、いわゆる社会的規範意識の低下だとか、対人関係がうまくいかない、希薄になる、そうしたことの中で抑制力のようなものが欠けて短絡的な行動傾向があらわれるというようなことが指摘されております。
 また、凶悪化ということでございますが、凶悪犯の動向も犯罪白書に細かく御報告してございますが、平成元年以降、殺人の検挙人数はおおむね横ばい傾向でございますが、強盗の検挙人数は増加傾向を示して、特に平成八年以降は急増をしているわけでございます。
 また、非行の低年齢化についてでございますが、交通による業務過失、交通事故等でございますね、そういったものを除いた年齢層別の少年刑法犯の検挙人員及び人口比を見ますと、いずれの年齢層においても平成八年、九年と二年連続して増加、上昇しておりますけれども、十八、十九の年長少年の平成七年から九年の検挙人数の増加件数が四千件台であるのに対して、十四、十五の年少少年及び十六、十七歳の中間少年の増加件数はそれぞれ一万件を上回っておるわけでございまして、やはり委員の御指摘のような傾向が見られるということだと思います。
#20
○大野つや子君 それでは次に、少年法改正問題についてお伺いいたします。
 先ほど申し上げたとおり、少年非行についてはさまざまな意見があり、社会、教育を初めとする多くの問題点が指摘されておりますが、その中に少年法改正問題がございます。この点は我が党においてもさまざまな角度から議論をしておりますが、法務省におかれましても、現在、法制審議会において少年審判における事実認定手続の適正化の問題を議論していると聞いております。
 少年が事件を起こしましたときは家庭裁判所の審判において処分が決定されるのでありますが、私は、少年に対し適切な処分を行うためには、その前提として、その少年が何をしたのかきちんと確定されることはとても大切なことだと思っております。この点について、もし今の家庭裁判所の手続に改善すべき点があれば改善すべきであると考えております。
 そこで、事実認定の問題について法制審議会においてどのような審議がなされているのか、審議内容と審議の状況につきましてお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(松尾邦弘君) 委員お尋ねの少年法につきましては、本年七月九日に法務大臣から法制審議会に対しまして、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図るための少年法の整備についての諮問が出されたわけでございます。法制審議会少年法部会におきまして、本日までに八回の審議を経ております。現在も答申に向けた精力的な審議が続けられているという状況でございます。
 この審議状況についてもう少し申し上げますと、これまでの間に問題点につきまして一通りの論議が終わった段階でございます。現在、その論議を踏まえまして、事務当局においてこれからの議論のたたき台といたしまして、大きく挙げますと主として五点ということになっておりますが、これを取りまとめたところでございます。
 一点目は、少年審判に裁定合議制度を導入するということでございます。現在は一人の裁判官による審判ということでございますが、これを複数ということにしたらいかがかということでございます。
 二番目は、これまで検察官は家庭裁判所の手続に関与していなかったわけでございますが、一定の場合には検察官及び弁護士たる付添人の双方が関与した審理を導入したらいかがかと。これが二点目でございます。
 三点目は、現行法で最長四週間とされております観護措置期間を、一定の要件を満たす場合にはこれを十二週間まで延長するということと同時に、観護措置決定及び更新決定に対しまして不服申し立ての手続を設けようということでございます。
 四番目は、検察官に、審判に関与した事件につきまして決定に影響を及ぼす法令の違背あるいは重大な事実誤認を理由とする抗告権を与えたらいかがかということでございます。
 五点目は、保護処分終了後における救済手続でございますが、現在はその規定を欠いているところでございますので、そうした場合の救済手続を設けること等、今申し上げましたことを内容とします五点を試案として提示いたしておりまして、少年法部会としての答申の作成に向けて現在論議を続けているという状況でございます。
#22
○大野つや子君 ただいま法制審議会の審議について大変詳しく御説明いただきましたが、一点だけ、検察官関与についてお尋ねしたいと思います。
 先ほどのお話ですと、これまで家庭裁判所では検察官は手続に関与しなかったのが、審判手続に関与することを議論しているということですが、検察官が手続に関与する必要性はどのあたりにあるのか、お伺いをしたいと思います。
#23
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの検察官の関与の問題につきましては、現在法制審議会の少年法部会で審議中の事項でございます。法務当局としては、最近における少年審判の実情を見ますと、非行事実の認定上問題があります一定の事件については検察官の関与が必要だということでございますが、主としてその内容は三点ということになろうかと思います。
 一点目は、証拠の収集あるいは吟味における多角的視点の確保ということにあろうかと思います。
 二点目は、裁判官と少年側の対峙状況を回避させる必要があるということにあろうかと思います。もうちょっと申し上げますと、現在、一人の裁判官と少年側との審判ということでやっておりますと、否認をするような場合にはどうしても裁判官が追及するというようなことになりまして、そうした対峙状況が必ずしも適切ではない場合もあるのではないか。そのために検察官を関与させることもこれを回避させる一つの手段ではなかろうかということでございます。
 三点目は、こうした事実認定手続を一層適正化することによりまして、少年審判における事実認定に対する被害者を初めとする国民の信頼の確保ということが必要だということもあろうかと思います。
 今申し上げたようなことで検察官を関与させる必要があるということで、現在少年法部会で審議中ということでございます。
#24
○大野つや子君 今お話に出ましたが、被害者の立場からこの問題を考えてみたいと思います。
 少年審判は手続が非公開となっております。非行を犯した少年が社会の中で立ち直るためには、やはり成人とは違った特別な配慮は必要であると思います。が、他方で少年事件の被害者の側から見れば、その事件がどのようになり、少年がどのような処分を受けたかといった点については知る機会がなかったのではないかと思います。この点、少年事件の被害に遭われた遺族の方から事件の真相が知りたいといった声が上がっていると聞いております。私も子を持つ母の心情は十分に理解できるものであります。
 そこで、法務当局にお伺いいたしますが、少年事件においてもやはり被害者への配慮は必要ではないかと考えておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか、またこういった点は法制審議会で議論されているのでしょうか、お伺いいたします。
#25
○政府委員(松尾邦弘君) 少年審判でございますが、現行の少年法第二十二条によりましてこれは非公開ということになっているわけでございます。この理由を考えますと、これは人格的に未熟で可塑性に富む少年の情操を保護し、少年時代の非行によって長い将来にわたってその少年が不利益を受けることを回避しようという必要性があるということと同時に、少年法は少年の健全育成を期するということを基本としておりますので、非行を犯した少年に対しまして、その性格の矯正あるいは環境の調整に関する保護処分を行うことによりまして少年の改善更生を図るということを目的としております。そうした要保護性を審理し、教育的、保護的措置をとるという少年審判の特性によってこれを非公開ということで行っているものということでございます。
 しかしながら、他方、国民の間におきましては、犯罪による被害を受けた者に対する配慮を求める声が先生御指摘のとおり近年とみに高まっておるところでございます。このような声に誠実にこたえることが関係各方面においても求められているところであると思います。警察や検察庁におきましては、このような声にこたえる一つの方策として、現在、被害者等に対し事件の処分結果等についての連絡、通知を行うようになったところでございます。
 法制審議会におきましても、少年の健全育成の観点を踏まえつつ、被害者に対する配慮の必要性を考慮いたしまして、被害者から申し出があります場合には家庭裁判所が少年審判の結果等について通知するという制度を導入したらいかがかということを一つのテーマとしてやはり議論しているところでございます。
 以上でございます。
#26
○大野つや子君 少年は社会を映す鏡であり、少年非行の問題は社会、教育を初めとするさまざまな問題が重なり合っており、総合的な対策、検討が必要であろうかと思います。法務省におかれましては、現在、審判手続の改革問題について法制審議会で議論しているということで、この点については一定の結論が出されることとなろうかと思いますが、次代を担う少年たちにとってその健全な成長のために最もふさわしいあり方を政府全体として引き続き考えていく必要があるのではないかと思っております。
 以上で私の質問を終わらせていただきますが、予告しておきました質問は次回に回したいと思っております。
 本日はありがとうございました。
#27
○千葉景子君 冒頭、ちょっと一点お尋ねをいたします。
 このところの防衛庁をめぐる腐敗や疑惑というのは泥沼の様相を呈しておりまして、どこまで発展をしていくのかまだまだこの先がわからない、こういう状況でございます。そういう中で、先般、富士重工業の会長が逮捕され、贈賄の容疑ということで新たな事件が発覚をいたしました。まず、この概要について御説明をいただきたいと思います。
#28
○政府委員(松尾邦弘君) 急なお尋ねですので。
 富士重工の元専務と会長でございますが、贈賄の容疑で逮捕されたことはお尋ねのとおりでございます。
 被疑事実の概要でございますが、救難艇というのがございますが、これを改良する機種の選定とその製造に絡んで……
 ちょっとお待ち下さい。
#29
○千葉景子君 通告はしてあったと思いますが。
#30
○政府委員(松尾邦弘君) どうも申しわけありません。ただいまの点について、もう一度正確に申し上げます。
#31
○千葉景子君 後ほどまでに改めて概要をあれしておいてください。
 それと、まだこれ以外にも新しい機種の受注などにも不透明な部分があるやな、こういうことも指摘をされています。今後の捜査のあり方、捜査状況、見通しなどについてもお尋ねをしたいということで質問通告はさせておいていただきましたので、私の質問が終わるころまでに、もしきちっと把握できるようでしたら後ほど御回答いただきたいと思いますが、いかがですか。
#32
○政府委員(松尾邦弘君) 今でもよろしゅうございますか。どうも失礼しました。手元に資料が見つかりませんでしたので。
 ただいま御質問の事件でございますが、逮捕した贈賄の被疑者は富士重工業の元代表取締役専務と現会長でございます。
 被疑事実の要旨でございますが、被疑者両名は航空機製造等を目的とする富士重工業のそれぞれ役員でございますが、平成八年十月三十一日、防衛庁の政務次官室におきまして、防衛政務次官として、海上自衛隊の装備に関すること、航空機など装備品等の調達、研究等に関すること等の防衛庁の事務を統括するなどの権限を有する防衛庁長官を助け、政策及び企画に参画し政務を処理するなどの職務を担当していた中島洋次郎に対し、かねて同人が被疑者両名から装備品等である海上自衛隊の救難艇、これはUSlA改ということでございますが、の試作製造分担の決定等に際しまして同会社に有利な取り計らいを得たい旨の請託を受けたことの報酬として現金五百万円の供与をし、もって上記中島の職務に関しわいろを供与したというものでございます。
 以上でございます。
#33
○千葉景子君 先ほど指摘をさせていただきましたように、この事件のみならず、いろいろな調達問題あるいは航空機の受注などについてはその他にも疑惑があるのではないか、こういう指摘やあるいは意見、報道などもされているところです。
 今後の捜査についてどのような態度で臨まれていくのか、御見解をお示しいただきたい。
#34
○政府委員(松尾邦弘君) 先生お尋ねのこの事件につきましては、それぞれ十一月二十六日と十二月一日に先ほど申し上げました両名を先ほど申し上げました被疑事実で逮捕・勾留中でございます。
 具体的にいかなる捜査状況あるいは捜査の方針等について言及するには適さないと思いますが、一般論として申し上げれば、検察当局は適正に捜査を遂行するというふうに考えております。
#35
○千葉景子君 今はその程度であろうかと思いますが、ぜひ適切な捜査をしていただきたいというふうに思っております。
 さて、本日、先ほど大野理事の方からもいろいろな御質問がありましたが、先般、規約人権委員会におきまして日本の報告に対する最終見解がまとめられ、十分その点については御承知のところであろうかというふうに思っております。そこできょうは、この規約人権委員会のさまざまな指摘などを中心にしまして質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、この規約人権委員会の最終見解ですが、私も外務省の方から訳をいただきまして読ませていただきました。この中で、日本がこの委員会に大変大きな代表団を出席させて、この規約に基づく義務に対して真剣さを示しているということで感謝の意が表せられているところでもございます。代表団を出席させて関心とかあるいは真摯な態度を示されたのであろうと私も確信をいたしているところでございますけれども、まずいところを何とか説明しようということであれこれ代表団が行ったわけではないというふうに思います。
 その他、NGOの出席などにも感謝の意が表され、そしてまた、この間のさまざまな国内の取り組みについてもプラス評価をされているところが多々ございます。これは、それぞれ政府やあるいは国会の議論などを通じて、あるいはNGOを含めて取り組みをしてきた一定の成果を評価されたということで、私もぜひこういう姿勢をこれからも積極的に進めていく必要があるということを感じているところですけれども、その反面、大分いろいろな問題点が指摘をされていることも事実でございます。とりわけ、委員会としては第三回目の報告の検討の後に発せられた勧告がなかなか履行されていないということに対して遺憾に思うという総括的な見解も表しているところでございます。
 個々の問題点については順次御質問をさせていただきますが、この最終的な見解に対してどのような御認識、そしてまた受けとめ方をされていらっしゃるのか、まず大臣にお尋ねをしたいと思います。
#36
○国務大臣(中村正三郎君) 今、千葉委員から肯定的な意見もあったというところを御指摘いただきまして大変ありがたいと思いました。大抵、この国連規約人権委員会の話になりますと、日本がきちっとやっていないんじゃないかという話が大きくクローズアップされるんですが、評価されたところもあるということを御指摘いただいて大変ありがたいと思います。
 そうして、この人権委員会の最終見解で、例えば死刑だとか嫡出でない子の地位を初めとする法制度だとか、人権救済の仕組み、矯正施設等における処遇のあり方など法務省にかかわりがある幾つかの事項の指摘を受けているわけであります。
 委員御指摘のとおり大変広範にわたるものでありますけれども、その中には我が国の法制度だとかいろいろなこととのかかわり合いのあるものもあり、また御説明もし、もっと御理解をいただかなきゃいけない部分もあると思うんですが、さはさりながら、この人権ということは極めて重要なことでありますから、その内容について慎重に検討いたしまして、規約の趣旨を尊重しつつ必要に応じて適切に対処してまいるべきだというふうに考えております。
#37
○千葉景子君 私たちも、この見解というのは決して政府のみならず立法機関である国会などにもある意味では注文がつけられた、あるいは指摘がされた、そういうふうにも受けとめているわけでもございまして、ぜひ今後真摯な議論ができますように大臣にもそのようなお心づもりでいていただきたいというふうに思います。
 それともう一点、この総括的な問題で指摘がされておりますのは、人権の保障と人権の基準というのは世論調査によって決定されるべきではないと。日本政府のこの報告などについて、締約国の態度を正当化するために世論の統計を繰り返し使用することは懸念されるということが指摘をされています。これは私は大変重要なことであろうと思うんです。
 というのは、人権というのは決して多数の意見で左右すべきものではない。むしろ、少数の意見をきちっと尊重し、人間一人一人に奪われてはならない人権というものを保障するということですから、世論の動向で人権は保障するんだ、いやこれは制約していいんだということになったら、これは大変な問題でございます。
 そういう意味で、私はこの指摘は大変重要なポイントではないかというふうに考えておりますけれども、大臣いかがでしょうか。人権ということを考えるときに、世論調査という問題を大臣としてはどう御認識なさっているのか、御見解をお聞きいたします。
#38
○国務大臣(中村正三郎君) 委員、まさに人権問題の一番難しいところを御指摘されたと思うわけでございます。
 世論というものを完全に無視すれば、これは民主主義は成り立たない。国民の意思によって選ばれた国会があり、そこで立法を行い、その法律に基づいて私どもは行政を行うわけでございますから、そういう意味では無視すべきものではないわけでありますけれども、人権の持つ本質的なそもそもの問題を考えますと、多数によって少数の人の人権が侵害されてはいけないと、御指摘のような面があるわけでございますから、極めて難しい問題だと思います。
 そういう中で、法務省といたしましては、このB規約による規約人権委員会の勧告を国民によく知っていただくとか、そうした人権問題の本質の意識高揚を図るとか、こういうのをあらゆる機会をとらえて啓発活動をやるべきだと思っているわけであります。しかし、やはり最終的にはどうしても法律に従って行政をやるわけでありますから、国会における幅広い御議論が必要であろうというふうに考えております。
#39
○千葉景子君 幅広い議論という意味での世論ということは私も否定するものではございませんが、やはり世論調査というのは、調査をした結果、むしろそれが行政にとってのみずからを省みるある意味では材料として使っていくべきではないか、この人権問題などについては。やっぱりまだまだ十分に情報が伝わっていない、あるいはそういう教育的な場が少ない、そういうことも逆に言えば世論調査から見えてきたりするわけですから、この指摘にあるように、だからまだこの問題については進めなくていいんだよということではなくて、世論調査というものを使う使い方、そういうものについて改めて今後私たちも含めて考えておくべき問題だというふうに思っております。
 さて、個別の問題をお尋ねさせていただきたいというふうに思います。まず最初に、死刑問題についてお尋ねをさせていただきます。
 大変重い問題でございまして、私も常日ごろからいろいろな観点から考えさせていただいておりますが、今回、十一月十九日でしょうか、三名の死刑確定者の執行が行われたということが公表をされました。法務省からこのような発表がされるということは初めてのことでございます。
 今回、執行されたことを発表されるということに至った理由、それはどういうことなのでしょうか。これまではたび重ねて、やはりその事実を公表すべきではないか、こういうことも指摘をさせていただいてまいりましたが、なかなかそういうことには至らなかった。今回、執行の事実を公表されるやに至ったその理由というのはどういうところにあるか、お聞かせいただきたいと思います。
#40
○政府委員(松尾邦弘君) 死刑の執行に関しましては、従来、お尋ねのようにその事実を公表してこなかったわけでございますが、その理由は何点かございます。
 一点目は、これは理屈の問題といえばそういうことになるかと思うんですが、刑罰権の本来の作用というものでございまして、刑種を問わず、それをいつどういう形で執行したかということについては公表してこない。つまり、刑の執行そのものが刑罰権の作用でございまして、それを超えてその執行の事実を殊さらに公表するのは適当でないという考え方が基本にございます。
 そのほか、特に死刑の問題では、その刑の執行を受けた者あるいはその関係者に不利益や精神的な苦痛を与えるということがその刑種の重大性とも相まって相当でないかと。それから、やはり他の死刑確定者の心情の安定を損なう結果を招きかねないというようなことなど、問題がいろいろございましたので公表を差し控えてきたわけでございまして、この基本的な考え方自体は現在も変わっているわけではございません。
 ただ、しかしながら、情報を公開することによりまして刑罰権の行使が適正に行われているということについての国民の理解を得られるという要請も一方であるわけでございます。
 そうしたことを考慮いたしまして、公表することによる弊害が少ないと認められます執行の日と、それから執行を受けた人数に限って今回公表するという方向で踏み切ったわけでございます。
 以上でございます。
#41
○千葉景子君 やっぱり日本の社会が刑罰の一つとして死刑という制度を存置させているわけでもございます。その執行が適正に行われているのか、あるいはその刑罰というのが本当にどういう形で行われているのかということを知るというのは、その制度を持っている国、国民としてもある意味では当然のことではないかというふうに思うんです。そういう意味では第一歩なのかなという気はいたしますけれども、この問題についてはまた今後も引き続き議論させていただきたいと思います。
 そこで、きょうは少し、これまで死刑という問題についていろいろ議論をさせていただいておりますが、意外とそのそもそもの具体的な事実とか、どういうものなのかということがほとんど知られていない、私自身も知らない部分というのがたくさんあるわけです。そういう中で議論するというのはいささかいかがなものか、何か机上の空論になってしまうような気がいたしますので、多少その辺、今後の論議の基本になるような意味で何点かお聞きしたいと思うんです。
 今回は、その公表によりまして初めて三名の確定者が同日に執行をされたということがわかりました。これはその同日に執行が行われるというのは偶然の一致なんでしょうか、それとも特別に何かこの日三名を同時にやるという根拠みたいなものがおありなんでしょうか。そこのところを御説明いただきたいと思います。
#42
○政府委員(松尾邦弘君) 先生のお尋ねに真正面からお答えすることになるかどうかちょっとわかりませんが、死刑の執行に関しましては個々の事案につきましてまず記録を十分に精査するという作業がございます。その精査のポイントは、刑の執行の停止あるいは再審に当たる場合に該当しないかとか、あるいは非常上告の事由がないか、さらには恩赦を相当とする情状等の有無、これらにつきまして慎重に検討するということになります。これらの事由がないと認められました場合に初めて死刑執行命令を発するということになるわけでございます。
 今回、三名につきましてこうした手続を経まして検討を遂げたことから、死刑執行命令を得て所要の手続を経て執行したということでございます。
#43
○千葉景子君 どういう手続をもって執行に至るのかということは確かに御説明をいただいたんですけれども、私のお聞きしたいことについてはちょっと直接お答えいただいていないような気がするんです。
 これまでも、公表はされておりませんでしたけれども、いろいろな情報等で確認をさせていただいてきたことによると、おおよそ同日に何名かが執行されるということが私は大変多かったように思うんです。順次その資料を精査してそして執行に至るということを考えますと、どうも私はここはよくわからないんですよ。そうすると、もし仮に大丈夫だということになれば、順次手続が進んでいくような気がするんですけれども、何かここにはとりわけた意図というか、そう言いたくはありませんけれども、何か恣意的な配慮みたいなものがあるのではないかと逆に勘ぐりたくなる部分もあるのですけれども、もう一回お聞きしますが、どうですか。
#44
○政府委員(松尾邦弘君) 死刑の執行に至る手続につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、今回の三件の執行についてなぜその日になったのかということについて個々具体的に申し述べるということについては、どうか御容赦いただきたいと思っております。
#45
○千葉景子君 個々具体的に述べるのはと言われてしまうと、偶然に同じ日なのかななんということになってしまうわけですけれども、そういう問題ではないというふうに私は思います。
 もう一つそれに関連して伺いたいのは、結局その死刑の確定からその執行までの間というのはある意味では行刑ではないわけですね。刑としては死刑の執行ということになりますので、行刑ではない。ある種特殊な一定の期間ということになるわけですけれども、これはどういう期間ということになるんでしょうか、まずそこをお聞きしたいと思います。確定から執行までの間、これはどういう基本的な考え方に立っているのでしょうか。
#46
○政府委員(松尾邦弘君) 先生お尋ねのとおり、通常の体系としてのこの刑の執行ということではございません。確定後の死刑の執行するまでの特別な拘置という概念でございます。
#47
○委員長(荒木清寛君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(荒木清寛君) 速記を起こして。
#49
○千葉景子君 そこで、その間を規定している根拠とか基準、そういうものはございますか。
#50
○政府委員(坂井一郎君) 処遇の問題でございますので私の方から答えさせていただきたいと思いますけれども、監獄法上は死刑確定者につきましては未決拘禁者に準じて扱うという規定がございまして、処遇といたしましては全部が未決拘禁者とは同じではございませんけれども、今申し上げたように刑質に反しない限りは未決拘禁者の規定を準用するという規定がございますので、それを準用して処遇をしていくということでございます。
#51
○千葉景子君 この未決拘禁者に準じてということは私も承知をしているんですけれども、それ以上に規定といいますか準拠するようなものがないというふうに私も考えます。
 この間のいろいろな問題点についてはまたいろいろな議論をしていきたいと思うんですが、例えばその間というのはおおよそどのくらいの年数になっているんでしょうか。あるいはその執行までの間の長さでその期間が一番長かったケース、あるいは一番短かったケース、あるいは現在確定をしてまだ執行に至っていないという皆さんはおおよそどのくらいの期間経過をしているのか、そういう事実について少し知らせていただきたいと思うんです。
#52
○政府委員(松尾邦弘君) まず、死刑が確定しましてからそれが執行されるまでどのくらいの時間がかかっているのかということでございますが、昭和六十三年の一月から平成九年十二月、昨年の十二月でございますが、この十年間におきまして死刑を執行された者、合計二十八名でございます。判決確定後、執行までの期間でございますが、これは平均で八年十一カ月でございます。
 判決確定後、執行までの最長期間あるいは最短期間につきましてお尋ねでございますけれども、これを明らかにしますと、死刑を執行された者を個々具体的に特定するということに実際にはなるわけでございまして、この点は答弁を差し控えさせていただきます。
 今申し上げましたように、十年間の平均をとりますと九年弱ということでございます。
#53
○千葉景子君 これは重要な事実関係なんですよ。
 例えば、今言ったように、未決拘禁に準じている、しかしそれ以上については特段の根拠規定も持たずに、この間を処遇と言っていいのか何というんですか、している。その期間は平均をしてももう八年以上になる。そして、最長、最短もどのくらいになるか私たちには知らされない。この間のいろいろな問題点というのをどういうふうに考えていったらいいのか。長い時間ですよね、そこをはっきりした根拠もなく。
 それから、先ほど言ったように、どうしてかわかりませんけれども、ある日突然三名同時に執行に至る。その基準とか執行に至る手順が大変不透明あるいは不公正と言ったらいいんでしょうか、そういう状況にあるのではないかというふうに考えざるを得ないんです。これ一つとっても、事実関係というのがこれだけやっぱりわからない、開示をされていない、こういう状態の中でこれまでも論議がされている。
 規約人権委員会でも議論がなされて一定の見解が出されているわけですけれども、それに私たちが真摯に議論するにしても、やっぱり具体的にそういうものが公表され、あるいは説明をされなければ、それにきちっと論議してこたえることがなかなかできないんではないかというふうに思います。
 この辺について、もう少しきちっとした論議の場あるいは環境をつくるつもりはないんでしょうか。
#54
○政府委員(松尾邦弘君) 死刑の確定から執行までに長短があるということは委員御指摘のとおりでございますが、なぜそういうことになるのかという点につきまして、若干その基本的な前提といいますか、そういったことを少し御説明させていただきたいと思います。
 刑事訴訟法の四百七十五条の第二項には、死刑執行の命令は裁判確定の日から六カ月以内にしなければならないという規定がまずございます。ただ、その同項はただし書きがございまして、上訴権回復や再審の請求、非常上告、恩赦の出願等がなされたような場合には、その手続が終了するまでの間はこの六カ月の期間に算入しないとしております。しかし、裁判の執行とはいいましても、死刑は人命を奪う刑罰の執行ということでございますから、すべて機械的に六カ月以内に執行することが妥当性を欠く場合が考えられます。
 法務大臣は、死刑の判決確定後、関係の検察庁の長から死刑執行に関する上申をまず受けますが、それを受けまして、確定記録を取り寄せて関係部局をして判決及び確定記録の内容をまず精査せしめます。その中で、先ほど申し上げた刑の執行停止、再審または非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする事情の有無等について慎重に検討させることになりますが、これらの事由がないと認められた場合に初めて死刑執行命令を発することとしているわけでございます。刑事訴訟法の四百七十六条は、それを受けまして、「法務大臣が死刑の執行を命じたときは、五日以内にその執行をしなければならない。」旨規定しているところでございます。
 確定後、いろいろな期間を経るわけでございますが、基本的にはこういった法律の規定がその根本にあるというふうに御理解いただければと思います。
#55
○千葉景子君 ちょっとこれは事前にあれですけれども、大臣、三名の執行の可能性、準備ができているという上申みたいなものは大臣のもとにはまとめて上がってこられるものなんでしょうか。
#56
○国務大臣(中村正三郎君) まとめて上がってまいります。そうして、どうしてこういう時期にこういう順番でというようなことを私の方から聞き、どうしてこれだけ時間がかかったのかというような説明を受け、そうすると、今刑事局長の説明がありましたように、上訴権の回復だとか再審の請求、非常上告だとかまたは恩赦の可能性だとか、それから共同正犯といいますか共同犯がいた場合、そっちの判決が出るまでの期間を置くとか、そういうことを積み重ねてくるとこれだけの期間になりましたという中で、当局として積み重ねてきた結果によってこうなりましたということで最終的に私が決裁することになって、そして五日以内に執行される、こういうことになるわけでございます。
 ただ、私、今御質問を伺っていて、私も専門家じゃございませんで、ついこの間法務大臣になったばかりでございますが、大変に時間がかかっているということとか、昔ございましたついに刑が執行されることなく獄中で亡くなられた方もいるというようなことを考えますと、やはりそこに委員の御指摘のような疑問というのは私自身考えておりました。
 聞いてみますといろいろ難しいことはあるようでございますが、やはり一層の国民の理解を得るとか理解してもらうためには多少私は考えていく余地があるんじゃないかというふうに考えておりまして、まだ短い期間でございますのでこれからも少し勉強してみようと思っているところでございます。
#57
○千葉景子君 執行の手続について少しお尋ねいたします。
 今回、この三名という確定者について、執行についてはその本人にはいつ知らされるんでしょうか。
#58
○政府委員(坂井一郎君) 死刑執行の事実を本人に告知するのは執行当日の朝といいますか、要するに直前でございます。
#59
○千葉景子君 直前というのはどのぐらいの時間ですか。
#60
○政府委員(坂井一郎君) 何分という時間で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、要するに舎房といいますか部屋に入っておりますので、それから刑場、死刑の執行場まで連れていくその時間のすぐ前ということでございます。要するに、部屋から連れ出すすぐ前ということでございます。
#61
○千葉景子君 逆にこういうふうに聞いたらいいのでしょうか。その告知をされてから実際に刑が執行される、終了するまでどのくらいの時間ですか。
#62
○政府委員(坂井一郎君) 事案によって違いますけれども、普通は一、二時間ということでございます。告知をしてから執行するまでが一、二時間ということでございます。
#63
○千葉景子君 今回はどうだったでしょうか。その三名ということについて告知されてから執行が終わるまで、それぞれ時間はどうだったでしょうか。
#64
○政府委員(坂井一郎君) 個別の話を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、いずれも一、二時間の間に執行したということでございます。
#65
○千葉景子君 立ち会う方は何名で、どういう方ですか。
#66
○政府委員(坂井一郎君) 何名ということはこれまた難しい、各施設によっても若干違うところがございますけれども、立ち会う人につきましては、刑事訴訟法四百七十七条というところで、検察官、検察事務官、刑事施設の長及びその代理者ということでございますので、そういう人たちが立ち会ったということでございます。
#67
○千葉景子君 教誨師の方なども立ち会われますか。
#68
○政府委員(坂井一郎君) 本人がそれまでに宗教教誨等を受けておりまして、最後に宗教教誨を受けたいという希望がございましたら、事前に御連絡して宗教教誨を受けていただくことになっております。
#69
○千葉景子君 その立ち会われる拘置所などの職員の方はどうやって決定をされますか。事前に決められているものなのでしょうか、それともどのような形で指名をされるのでしょうか。
#70
○政府委員(坂井一郎君) これもまた施設によって若干違いますけれども、当然に立ち会う拘置所の職員というのがございまして、要するに刑の執行は拘置所で行いますものですから拘置所長は当然立ち会いますし、それから保安関係の責任者である管理部長、保安課長、それから従来の処遇の担当をしてきた教育課長というような人は当然に職務上立ち会うことになるわけでございます。
 その他の職員につきましては、いろんな基準を設けたりしている場合もあるようですけれども、必ずしもその基準も明確ではなくて、原則的にというか基本的に申し上げますと順点ということです。もっとわかりやすく言えば順番ということです。前にやった人は除くということで、ある種の順番で執行職員を指名する。しかし、いずれにしても、それは最終的には拘置所長、要するに刑の執行をする施設の長の裁量によるということでございます。
#71
○千葉景子君 日本では刑の執行の方法は絞首ということになりますね。
#72
○政府委員(坂井一郎君) そのとおりでございます。
#73
○千葉景子君 具体的にといってもなかなか難しいところですけれども、この絞首で行う執行の方法、それによって死亡の確認に至るまで、概略でよろしいですが御説明いただけますか。
#74
○政府委員(坂井一郎君) これは何とお呼びしていいかわからないんですけれども、この根拠法規というのは、おしかりを受けるかもしれませんけれども、太政官布告という非常に古い法律でやっておりまして、そこの言葉をとりまして踏み板式開落方式、こういうふうに我々は俗称言っております。要するに、ある踏み板がございまして、執行される人に乗っていただくというかそこに立っていただいて、そしてその首にひもといいますか縄といいますか、それをつけまして、そしてその立っているところが開くと。要するに踏み板の上に乗って、その乗っている場所が開くことによって落ちますから、その瞬間に絞首する形になって執行するというのがそのやり方でございます。
#75
○千葉景子君 大臣、大臣に就任なさってからいろいろな視察などもなさっておられるとお聞きしておりますけれども、この刑場については大臣御自身は御視察なさったりしておられますか。
#76
○国務大臣(中村正三郎君) 視察をいたしました。
#77
○千葉景子君 御感想はというのも変な聞き方ですけれども、何か印象あるいは御見解をお持ちになられましたか。
#78
○国務大臣(中村正三郎君) 大変難しい御質問ですけれども、刑場としての形は思いましたより簡素である、しかし簡素であるけれども祭壇に使えるようなところがしつらえてあったり、いろいろな配慮もなされているなと思いました。
 ただ、刑場の設備がどうのということよりか、死刑というものが大変な罰であるということ、そしてやはり法の定めとはいえ、執行される方にも同情は禁じ得ないという気が私は大変あれを見ていたしました。
 これから法律の定めにより裁判が行われ、私どもは執行しなきゃいけないという立場にあるわけでございますけれども、外国で言われます、事前に告知をしてお祈りをしてというようなことがよく報道されたり、また映画等でも見ますけれども、事前に告知するかしないかとか、家族の方が来るのかとか、外国によってはいろんな方が処刑場を見られるというところもあるようだし、いろいろなことをこれから考えていかなきゃいけないなということを感じてまいりました。
#79
○千葉景子君 まだいろいろお聞きしたい部分はあるんですけれども、これを一回目といたしまして、具体的にいろいろな事実をきちっとこの場にも提供いただきながらまた議論をさせていただく機会を持ちたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 さて、この規約人権委員会の指摘の中で、さらにもう一点きょうはお聞きしておきたいと思うんですけれども、在日外国人にかかわる問題も指摘をされております、この項目で言うと見解の十三項目というところに当たるんですけれども。
 実は、私は神奈川県に住んでおりますが、川崎市というところで外国人の皆さんにできるだけ社会に加わっていただき参画をしていただいたり、あるいは地域の行政にもさまざまな形で参加をいただくような機会をと、参政権というところまでには至りませんけれども、外国人市民代表者会議というような形で意見を行政に反映するというような取り組みもされています。
 よく私もその意見を聞かせていただいたりしているんですけれども、その中でもやはり問題になっておりました。そして、この十三項目めでも指摘がされておりますが、今、在日朝鮮・韓国の皆さんなどの学校は、いわゆる学校教育法第一条に伴う一条校と位置づけられておりませんで、各種学校という位置づけになっているんですね。これはまず文部省でしょうか、この区分けをしている理由をお聞かせいただきたいと思います。
#80
○政府委員(工藤智規君) 御案内のとおり、小学校、中学校等の学校教育法一条に基づきます学校につきましては、我が国の国民の育成を目的として設置されているわけでございますが、他方で今御指摘の朝鮮人学校、例えばアメリカンスクールなどもございますが、それぞれの外国人学校というのは、それぞれの国情に合わせて、あるいはそれぞれの国の国民教育をするという観点から当該外国人の子弟のみを中心に運営されている教育機関でございまして、学校教育法の一条で目的とするところとは違うということでございます。
 したがって、必ずしもすべてが各種学校ではないのでございますが、任意の教育施設という形での運営もあるようでございますけれども、一条学校としては設置されていないという状況でございます。
#81
○千葉景子君 形式的にはわかりました。
 ただ、実際この学校が日本の社会の中でもう既に大変長い実績を持ち、そして現実にはそのカリキュラムなども日本の学校に準じて行われている。違いますのは、やっぱり民族の文化あるいは言語、そういうものを大事にするという意味でそういう教育の時間を持っているということは、逆に言えば当然のことであろうと思いますけれども、それを除けばほぼ日本の学校と変わらない、そういう実績を積み重ねてきている。ただ、今言ったように、一条校でないというがゆえに、例えば国立大学の入学資格が得られない、あるいは各種資格試験などの受験資格が与えられないという実情にあるわけです。
 先ほどの形式論からいいますと、それが一条校とそれぞれの学校の違いだと言えばそれまでですけれども、今や国際的なそれぞれの人権を保障し、そして教育の場を保障し、また民族の文化や言語をお互いに尊重し合う、これが基本であると考えれば、日本の大学の受験資格が得られなかったり、あるいは資格試験の受験すらできないというような状況は、もう実態として在日外国人に対するある意味では差別と言って過言ではないのではないか。だからゆえに、この規約人権委員会の十三項目でも、朝鮮人学校の不認定を含むマイノリティーに対する差別の事例に懸念を有するという指摘がされているわけです。
 日本政府の報告書の方では、JRのパスの問題などには改善を見たというようなことは記載をされておりますけれども、この学校の問題については触れられておりません。
 かねてから子供たちの本当に将来の夢をつぶすような取り扱いについての問題点が指摘されておりますけれども、文部省としてはこれをどういうふうに考えているんですか。このままでいいのだと考えているのか、あるいは、いやそうじゃない、何か違った方向性、解決を考えていこうという姿勢を持っておられるのか、いかがですか。
#82
○政府委員(工藤智規君) 大学の入学資格というのは学校制度の根幹にかかわる部分でございまして、学校間の接続の問題でございますとか、全体としての学校教育体系の明確化あるいはその水準の維持という観点から、御案内のとおり、例えば高校以下につきましては学習指導要領という形で一定の法的拘束力のある教育課程を定めたりしている中で設置運営されているわけでございます。それに対しまして各種学校というのは、そういう意味での法的規制は全くなくて、自由に教育活動ができるといういわば強みもあるわけでございます。
 そういう中で、一条学校と各種学校との関係は必ずしも委員御指摘のような形ですぐに解決するものではないと私どもは考えてございまして、確かに人権委員会の方からの御懸念はなされているわけでございますけれども、私どもとしては、将来にわたってもこの学校制度については根幹の維持について慎重に検討していかなきゃいけない問題であると考えているところでございます。
 ただ、他方で、御承知だと思いますけれども、私ども、公立の小中学校というのは日本国民の場合は義務教育になっているわけでございますけれども、日本国民以外の方についても開放といいましょうか、就学のお誘いはしてございまして、在日朝鮮人・韓国人のみならず、すべての外国人に対して日本の義務教育の場で学習していただく機会を提供申し上げているわけでございますが、残念ながらそういう一条学校にはお通いにならない、選択の自由の中で運営されているという実情もあるわけでございます。
 いずれにしましても、いろいろ御指摘もございますので、それぞれの国で仕組みは違うのでございますが、例えば日本人子弟に対する外国での教育の機関はいろいろございますけれども、それがそれぞれの国でどういう扱いを受けているか今調査をしているところでございまして、それぞれの国情あるいは法制度等によって綿密な検討は必要でございますけれども、諸外国の状況も調査いたしながらさらに今後の検討の材料にしていきたいと思ってございます。
#83
○千葉景子君 あしたからどうだとまでは私は言いませんけれども、その姿勢というのが私は非常に問題だと思うんですよ、消極的というか。日本の学校へどうぞと言っていると言いますけれども、そうしたら、そこで例えば朝鮮語、韓国語の教育をやるんですか、そういうことではないわけですよね。それぞれの民族あるいは人種を超えて、文化をお互い尊重し、共有し合っていこうということを考えたら、日本の方を開放しておりますからどうぞ、それに来ないんだったら知りません、こういう問題じゃないと思いますよ。
 各種学校というのも、それはすべて同じように扱えとも私もすぐには申しませんけれども、子供たちがきちっと教育を受け、そして日本の社会の中でもこれから生きていこう、努力をしていこうと言っていることについてもっときちっと受けとめる姿勢があっていいんじゃないかと思うんですけれども、きょうは法務委員会でもございますので、ぜひそれはきちっと検討していただくように私は指摘をしておきたいと思います。もしあれば。
#84
○政府委員(工藤智規君) 日本人で海外に出向いている方もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、その子供たちの就学の状況は先生も御承知だと思いますけれども、日本語学校という形で私どもと同じ教材によって教育をしている学校を運営し、そこで勉強している子供たちもおります。現地のそれぞれの国での学校に入っている子供たちもおります。他方で、その間といいましょうか、現地の学校に通いながら日本語でございますとか日本の文化でございますとかを土日に補習するという形での補習校を運営しているという形態での勉強の仕方もございます。
 そういう意味で、日本国民としての外国での日本人の子供たちも苦労しながらそうやっているわけでございますが、先ほども申しましたように、長く日本に住んでおられるわけでございますから、できれば日本の子供たちと早くから溶け込んでいただいて、しかも必要であればそれぞれの国の文化、言語等を別の形で勉強する機会もないわけではございませんので、そういうものをとれないのかなということも私どもとしては考えているところでございます。
 いずれにしましても、先ほど申しましたように、諸外国でのそれぞれの状況も調査しながらさらに検討してまいりたいと思っております。
#85
○千葉景子君 これまでの長い歴史を考えながら、ぜひこれは再度検討させていただきたいと思います。
 出入国管理にかかわって、ちょっと一、二点だけお聞きをいたします。
 外国人の皆さんのいろいろな意見交換の中で指摘をされている問題で、一つは家族滞在の在留資格がございます。これについては就労が非常に厳しく制約をされているんですね。しかし、今や日本の社会の中でも、家族全員が一生懸命働いてようやく生活を成り立たせているというのがごくごく当たり前の姿です。この根本は、家族滞在というのは、家族だから扶養されていればいいのだということから発想されているんだと思うんです。
 そういう実情を考えますと、日本に滞在をして、しかも問題なく安定した生活をする、それから日本社会へもそういう就労などを通じて参画をし、お互いの交流を深めていくということを考えたときには、この就労について許可の基準あるいは基準を緩和するというようなことがもっとなされてもいいのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
#86
○政府委員(竹中繁雄君) 家族滞在の在留資格を有する外国人の資格外活動許可申請についてでございますけれども、現在のところは申請にかかわる活動内容に応じて個別に判断をしているというところでございます。
 その判断の基準が随分きついじゃないかという御指摘でございますが、同様な御指摘はほかの方面からも伺っているところでございまして、これにつきましては、家族滞在の形態や、それから資格外活動の内容がいろいろと多岐にわたっている事情もございますので、今後さらに検討を加えて対応を考えてまいりたいと思っております。
#87
○千葉景子君 就労をすることによってプラスあるいは本当にお互いに安定感のある関係を築くことができるということもあると思いますので、ここをもう少し、本当に真剣に検討を加えていただきたいと思います。
 他に通告もさせていただいておったんですけれども、時間の制約がございますので、それは決して忘れませずまた別な機会に質問させていただくことで、終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#88
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。質問させていただきます。
 臨時国会がスタートする前日であります十一月二十六日に共生社会に関する調査会が開かれまして、原ひろ子参考人、それから戒能民江参考人お二人から女性に対する暴力について種々意見をお聞きいたしました。いわゆるドメスティックバイオレンス、これは夫や恋人による女性への暴力を意味するとされておりますけれども、これをめぐっての意見が種々交換されたわけでございます。
 こういう女性に対する暴力を考えるに当たりまして、一番の我々の関心事は、暴力の被害を受けた女性の安全の確保と保護がどのように図られているかということですけれども、戒能民江参考人によりますと、独立の福祉法的対応の枠組みがないということ、それからいわゆるシェルターというものですが、事実上公的避難所的機能を果たしているのが婦人相談所の一時保護である、こういう指摘がされました。
 申すまでもなく、この婦人相談所というのは売春防止法第四章「保護更生」の章のところで規定されているものでありまして、この婦人相談所の役割というのは、「性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子」、これを「要保護女子」と呼んでおりますが、この保護更生について各号で規定する業務を行うと規定されております。
 そして、婦人相談員につきましても、要保護女子、つまり売春を行う傾向性を持つ女性についての指導に当たる、こう役割が規定されているわけでありますが、実際、暴力を受けた女性等が相談する場所としては、この婦人相談所あるいは婦人相談員の方が応じておられる、これは売春防止法の枠内での拡大解釈による対応である、ここに問題があるのではないか、こういうような御指摘も受けております。
 それで、要はシェルターのようなもの、それから暴力事案につきましては相談できる体制、これが必要だと思うんですが、この点につきまして、平成七年三月十七日の参議院法務委員会で円より子委員の方から、婦人補導院というものをシェルターとして使うことはできないだろうか、こういう趣旨の質問がなされております。その当時、平成七年三月の時点ですけれども、円委員も、やはりドメスティックバイオレンスに対する救済方法の一つとしてこの婦人補導院というものを一時避難場所、シェルターとして使えないものかという趣旨で質問されているわけであります。
 そこで、時が経過しましたのでまた同じ質問をさせていただきたいと思います。
 この婦人補導院につきましては、売春防止法十七条から三十三条までの補導処分の規定のところで置かれているわけですけれども、この売春防止法十七条二項、「補導処分に付された者は、婦人補導院に収容し、その更生のために必要な補導を行う。」とあるわけですが、この婦人補導院というものは全国に何カ所設置されているか、円委員のときには一カ所ということでしたから多分変わっていないと思うんですが。それから、その婦人補導院の職員というものは何名現在おりますでしょうか。
#89
○政府委員(坂井一郎君) 現在、設置されております婦人補導院は東京の八王子にあります一カ所だけでございまして、職員数は六名でございます。
#90
○大森礼子君 六名。
#91
○政府委員(坂井一郎君) はい。
#92
○大森礼子君 この補導処分に付せられる人というのは売春防止法十七条一項で「第五条の罪を犯した」と。この第五条の罪というのは、勧誘とか誘引とか公衆の目に触れる形で、一般的に客引き行為というふうに言われておりますけれども、こういう罪を犯した「二十歳以上の女子に対して、」「懲役又は禁錮につきその執行を猶予するときは、その者を補導処分に付することができる。」と規定しているわけですが、これまで過去二十年間あるいは過去十年間でこの条文に基づきまして補導処分に付された者というのは何名おりますでしょうか。
#93
○政府委員(坂井一郎君) 過去二十年と申しますと昭和五十三年からでございますが、昭和五十三年が十五名、昭和五十四年が二十一名、五十五年二十名、五十六年二十名というあたりまでは二けた台でございますが、五十七年からは、五十七年五名、五十八年五名、五十九年も五名、六十年四名、それから六十一年からゼロになりまして、あとは大体一けた台の数字が続いておりまして、平成八年、九年につきましては収容者がいないというのが現状でございます。
#94
○大森礼子君 ちょっとわかりやすく、平成元年から平成十年までで何名でしょうか、トータルで。
#95
○政府委員(坂井一郎君) 十名でございます。
#96
○大森礼子君 前回、円委員が聞かれたときには平成四年の五月から収容人員がゼロということでございまして、だからその前後にまた人が入っているのかなという気がします。
 これは判決で補導処分言い渡しですから、これは裁判官がお決めになることだと思うんですが、東京に一カ所しかそういう場所がないとしますと、施設数等それから所在地の関係から地方の裁判所では事実上その言い渡しができなくなるのだろうというふうに思います。関西の人を東京のそういう施設に入れるということが実際的かどうかということもございます。そうすると、刑罰ではないとしましても収容状を発することができるわけですから、そういった意味で強制を伴う。それで、被告人の所在地の関係で扱いに差が出る、つまり施設数が対応していないからでございます。この点、一つ問題があるのではないかということ。
 それから、収容者数が減っていること、これも非常によくわかるんですが、第五条というのはいわゆる客引き行為とありますけれども、これは昔のまだ温泉街が栄えていたときとかそういうときにはよく客引きとか聞いたわけですが、今ほとんど売春は潜在化しているというかデートクラブ方式でありまして、犯罪捜査の実際としても客引き行為でという事案は少なくなっているのではないかなと思います。これが一点。補導処分を支える社会的事実といいますか、これはもう変わってきたのではないかということ。
 それからもう一点は、要するにこの補導処分というのは売春の傾向性というか、これを矯正する目的だと思うのですが、そうすると、客引きをした女性とそれからデートクラブに所属して売春をしている女性とこの扱いに差をつけるのも実はおかしいことではないかなと思うわけです。人目につく行為かどうかということでそんなに矯正目的が変わるのだろうかという気がいたします。
 こういうことを考えますと、この規定というのは社会の実情に合わなくなってきているのではないかと思うのですが、法務省の御見解はいかがでしょうか。
#97
○政府委員(坂井一郎君) 御指摘のとおり、現在収容者といいますか、入っている人がいませんことからいたしますとそうも考えられるわけでございますけれども、逆に考えますと、売春防止法でいわゆる売春をする人たちを受け入れる施設というのは今ここ一カ所しかないということがございます。それで、この婦人補導院というのは矯正施設というよりは恐らく物の考え方としては授産施設というか、余り料理もできない、裁縫もできない、何もできない人たちにそういう技術を教えるというようなことも一つ背景にあったのではないかと思われるわけでございます。
 そういうことからいたしますと、確かに現在収容者はいないわけでございますけれども、唯一残されたこの施設をなくしてしまっていいんだろうかということと、それから客引きのような行為が将来的にもずっとないと果たして言い切れるんだろうかということを考えますと、先生御指摘の点はよく我々もわかっているわけでございますけれども、今すぐこれを廃止するというのも果たしていかがなんであろうかという感じを持っております。
#98
○大森礼子君 売春防止法違反行為をしたそういう女性、それから売春に向かう性行、傾向性のある女性を受け入れる施設としてこの存在意義というのはわかるんですが、要は、だからそれはもう要らない、なくせではなくて、ただそれだけにこの施設を使っているのはむだではないか、もっと広く女性の人権センターとかこういう生きた活用の仕方ができないか。女性の授産施設に近いものとおっしゃいましたけれども、女性の更生を支援するという観点に立ちますと、もっと幅広い機能を持たせてもいいのではないかなと思うわけです。
 それで、この目的だけで収容者も少ないのにちゃんと職員を置いて施設の維持管理をしてと、それだけの価値があるかどうかという意味で聞くのですが、婦人補導院の年間予算はどれくらいでしょうか。平成十年度でいくと幾らでしょうか。それから、これは通告していると思うんですが、平成元年から平成十年までのトータルといいますか、これを収容者一人当たりで割りたいものですから、わかりましたら教えてください。
#99
○政府委員(坂井一郎君) 平成十年度の予算額は五千九百万でございます。
 それから、平成元年から平成十年までをトータルいたしますと六億九千二百五十五万ということになるかと思います。十年間でございます。
#100
○大森礼子君 先ほど平成元年から十年間で収容者は十名とおっしゃいましたよね、十名でよろしいですね。そうしますと、六億九千二百五十五万といいますと、これは一人当たりで果たして割っていいのかどうかという問題もあるんですが、一人の更生のために力を尽くすというのはいいのですが、一方でやっぱり税金の使い方としていいのかと、当然こういう価値判断が入ると思います。
 それで、大臣、これは現場の方は法律のとおり執行するのが行政ですから答えにくいと思うので大臣にお伺いしますが、役割自体は否定しませんけれども、ただその実際の運営でしょうか、収容者、社会の変化、それからこのお金、これだけかかっているということと、これはやっぱり国民からいいますと税金のむだ遣いではないか、こういう意見が当然出ると思うんです。いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(中村正三郎君) 実は私の選挙区にも昔施設がございまして、今廃止をされております。現状をよく見てまいったんですが、これ三十三年ごろの法律だったと思うんですが、職業的売春というもの、それによって生計を立てている人、ほかに職のないという方を売春行為から救うためにはこういう施設が必要という時代につくられた法律でありますから、売春の勧誘の形態も違えば、今それのみを職業にしておられる方がいるのかどうかというと、それ自体が違法行為でありますし、世の中全く変わってきたと思うんです。
 その中で、委員御指摘のとおり、率直に言えば検討を要する事項だと思います。前に前田大臣の時代に検討をするということを御答弁しているということをちょっと伺ったのでございますが、確かに事務当局としては法律があるから法律に従って利用する以外にない、こういう事態もまた予測されるだろうということの答弁しかできないわけですけれども、私はこれは法の改正を含めてやはり検討するべきことじゃないかと思っておりますが、今私ここで断定的に申し上げることもちょっとできませんので、少し勉強してみたいと思っております。
#102
○大森礼子君 今、むしろ大臣の方から言っていただきましたけれども、平成七年三月十七日のこのときの法務大臣の御答弁が、この売春防止法五条につきまして、これからそういう収容すべき人が絶無となるかどうか不透明であるということと、それからそういう補導処分を言い渡す裁判が今後全くなくなるかも確定しがたい、それから、一方で行政改革上やめたらどうかという意見もあるのだが、やめるだけが行革ではないとして、その時点で適正な運営を図るべくいろいろな角度から一度検討してまいりたいというふうにおっしゃっておられるわけです。この時点で既に当時の法務大臣も、法律改正も視野に入れて事務当局で研究してみたいと思いますという御答弁になっているわけです。
 それで、これ事務当局というのはどこになるのかわかりませんが、事務当局の研究の結果みたいなのがもしありましたらお教えいただきたいんです。
#103
○政府委員(坂井一郎君) 我々も、過去二回御質問、それから研究するようにという御意見をいただきまして、研究は続けているところでございます。
 先ほどちょっと私舌足らずだったものですから、予算の関係で六名、六千万ぐらいの年間予算があるというふうに申し上げましたけれども、それはそうなんですけれども、収容者がいないからそれじゃ六人が遊んでいるのかといいますとそうではございませんで、この婦人補導院というのは八王子の少年鑑別所と併設されておりますものですから、そちらの方で実際は仕事をしているということでございますので、何もしないで六人がぼうっとしているという趣旨ではないということだけ御理解をまずいただきたいと思います。
 それで、話は戻りまして、研究しているかということでございますが、もちろん私どもも研究しているわけでございますけれども、先生御案内のとおりでございますが、矯正施設というのは、基本的には犯罪があって裁判所の判決によって強制的に収容される人間を入れるという施設なものですから、もしそういう形で、例えば婦人補導院に入れるのを単なる客引きではなくてほかの罪名も入れるということであれば話が変わってくるんだろうと思います。矯正施設というものの性格上、要するに、前に円先生から御質問がございましたとおり、例えば駆け込み寺のように使うことができるかということになりますと、婦人補導院は御承知のとおり一応の矯正施設でございますから、逃走できないように桟もありますし、外からもかぎがかけられるというような施設でございますので、そういうところを駆け込み寺のように使うことが果たしていかがかというふうには思います。
 要するに、入れる人の中身を変えるということになればまた話は変わってくるんじゃないかということで、これは言ってみれば矯正あるいは法務省だけで云々できるような話ではございませんものですから、検討はいたしておりますけれども、まだこれといった方向性が見出せないというのが現状でございます。
#104
○大森礼子君 先ほどの六名の方が遊んでいるとは当然思わないわけでありまして、ただほかの仕事を手伝っているのもこれも変な形でありまして、本来の仕事ではないと思いますので、そういった意味で一応予算の額と職員の数を聞かせていただきました。
 それで、確かに矯正局長の御答弁ではそういう形になるのはやむを得ないと思います。というのは、やはり法律にこういう施設というものが規定されている以上、それを勝手になくすわけにはいきませんし、そういう法律がずっと存続していること自体、立法府もそれを認めているという暗黙の了解といいますか、黙認していることになりますので、それはよくわかるんです。
 ただ、今御答弁を聞きまして思ったことは、矯正施設という枠組みがあるので現状のような使い方しかできないということなので、その矯正施設という枠組みを取り払えばもっといい活用の仕方があるのだろうと思います。そうしますと、じゃその枠組みを取り払うにはどうしたらいいかというと、やっぱり法律改正によるしかないのかなと思います。この法律改正というのはある意味で立法府の仕事でもあるわけでありまして、むしろ今の余り使われていない現状とかこういう問題点を教えていただければ、どう持っていったらいいかとか、我々も一緒にもちろん考えるわけでございます。
 大臣、先ほど非常に前向きな、ここで断定するわけにはいきませんがとおっしゃいましたけれども、法律改正の必要も否定されなかったということで、非常に積極的な御発言だったと思います。
 それで、私申し上げたいのは、円委員の平成七年三月の質問の後に一つの大きな流れの変化というものがございます。その年の九月にいわゆる北京会議が開かれまして北京宣言と行動綱領を採択、これを受けて平成八年十二月に男女共同参画推進本部による男女共同参画二〇〇〇年プランとか、こういうものが出ております。こういうものを受けまして、また平成十年七月、総理府から「男女共同参画の現状と施策」、こういう流れになっているわけであります。そして、この総理府の「男女共同参画の現状と施策」の中でも、第三章「女性の人権が推進・擁護される社会の形成」、第一節が「女性に対するあらゆる暴力の根絶」、こういうタイトルになっているわけです。
 こういうタイトルになっているわけですが、現実に人権救済になるような、例えばさっき言ったシェルターのような設備ですが、こういうことについては触れられていないわけであります。暴力を受ける女性がまずとりあえず何を必要としているかということをやっぱり考えていく必要があるのではないか。暴力を振るわれている女性が一番最初に思うことは、まずこの暴力をやめさせてほしいということでありまして、その処罰を求めるとか、それは後から来ることであります。
 それで、婦人補導院の設立目的はそれとしましても、時代がシェルターとかを要請する中で、女性の人権というものを問題とする中で、こういう施設を転用あるいは用途目的を変更して使えないということはまことにむだが多いのではないかと思いますので、こういう施設の価値的な使い方というものを法務大臣、ぜひ積極的に考えていただきたいと思います。そうしましても、法務省の役割というのは矯正だけでなくてやはり人権ということに係るわけですから、女性人権センターという形でも構わないわけであります。
 このことは、女性に対する暴力というものに対応するということが、これは福祉の問題なのか、それとも人権の問題なのか、こういうことにもかかわってくると思います。ぜひ人権擁護の省庁であります法務省の方で積極的にこの問題を考えていただきたい、こういうふうに思います。
 戒能民江参考人が著書の中でおっしゃっているわけですけれども、今の公的避難所的機能を事実上果たしているのが婦人相談所の一時保護である。こういうことの中で、これはやっぱり売春防止法上の婦人保護事業という法的枠組みの中ですから、シェルター機能を果たすということは、それは拡大解釈によっても、もう既にそれによる対応は限界に達している、こういうことも指摘されておられますので、何とかきちっとした法整備等をしていただきたいと思います。我々も一生懸命考えていきたいというふうに思います。
 ここまでしゃべったので、大臣にまとめという意味でお伺いしたいと思います。
 ドメスティックバイオレンスの問題、これは女性にとっては大変深刻な問題でございまして、こういうことの一時避難場所等としてシェルターをつくるということです。これも法務省の役割と考えていいのではないか。それから、婦人補導院、繰り返しての質問になりますが、そういう人権センター等の施設に用途を変更してといいますか、そういう形で価値的に活用するということについて、法務大臣の今の御意見、お考えについて、できる範囲で結構ですからお聞かせいただければと思います。
#105
○国務大臣(中村正三郎君) 御指摘のドメスティックバイオレンス、アメリカ等でも大変な問題になっているし、世界的な問題であり、日本でも最近大変な関心を寄せられている問題でありまして、それにどう対応するかということが一つの論点として先生おっしゃられているんだと思います。
 それは、単純に人を傷つけたということになれば刑事事件として傷害ということになってくるわけですが、それを一つの家庭の中の人権問題としてとらえて、それに政府がどう対応する必要があるのかという論点からの考え方が一つ。もう一つは、先ほどから話題になっております、今利用が非常に少なくなってしまった補導院のあり方等をどうするかということでございます。
 ただ、これは法律と申しますか、しゃくし定規だと言われて怒られるかもしれませんが、一つはその施設なり制度が三十三年当時につくられた法律でこれを見直さなきゃいけないということと、家庭内暴力に対して、特に婦人を保護するという意味で、それに特定してシェルターが必要なのかという御論議と二つあると思うんです。両方が解決すればそれをうまく利用しようということになるんだと思いますが、まずドメスティックバイオレンスというものについてどこまで政府が対応するのかということについて勉強しなきゃいけないのじゃないかと思います。婦人ばかりでなく、お子さんが親をという家庭内暴力もあれば、親が子をというのもあるし、いろいろなものがあるので、このことについては少し勉強していかなきゃいけないのじゃないかと思っております。
#106
○大森礼子君 いずれにしましても、婦人補導院、そういう法律にあるから、余り機能していないのにと言うと変ですけれども、税金を使うのもどうかと。こういう観点からも施設の使い方という点で御検討いただきたいと思います。
 最後になりますが、最高裁の方にお尋ねいたします。
 裁判所が非常に利用しにくいということは至るところで聞かれるわけです。こんなに時間がかかるんだったら裁判にするんじゃなかった、やっちゃったから後の祭りという声もよく聞くわけでございます。
 裁判所はいろいろ種類がありますけれども、これから家庭裁判所の役割が非常に大きくなっていくだろうと。いろんな紛争解決のために調停制度というものも非常にふえていくと思います。例えばさっきドメスティックバイオレンスの問題を言いましたけれども、夫婦関係改善の調停なんというものもふえるのではなかろうかと思います。それから、介護の時代になりますと、親の介護をした同居の相続人とそうでない相続人との遺産分割をめぐる争いとか、それから民法改正、嫡出子と非嫡出子の相続分を同じにしようという動きがあります、妥当だと思いますが。そうなれば、その間でまた争いが生じるとか、非常に家庭裁判所の役割というのが大きくなっていくと思います。
 ますます利用範囲が広がるにもかかわらず非常に使い勝手が悪いと言われているのは、家庭裁判所に行く場合に、これはほかの裁判所でも一緒なんですけれども、一応家庭裁判所はファミリーコートとして非常に親しまれる裁判所になってほしいという思いがあるものですから、あえて家庭裁判所を言いますと、仕事を休まなくてはいけない、夜間とか休日とかに利用できるようになると本当にありがたいんだけれどもと、こういうような素朴な要請、要望というものを聞くことがございます。これは本当に絶対無理なことなのかどうか。やはり公務員ということですから、休みを保障しなきゃいけないとか、いろいろな施設の問題あると思いますが、大事なことは、国民のニーズに合ったそういう組織といいますか、役所であるべきだろうというふうに私は思います。
 そこで、最後に最高裁にお尋ねしますけれども、家庭裁判所では、夜間休日利用について、これ実現の必要があるのではないかと思いますが、この点についていかがお考えか。そして、それを実現するために障害があるとすれば実際の障害となるのはどのような点なのか、具体的に幾つか挙げていただきたい。そうすれば、その障害を取り除く方法について我々も真剣に考えたいと思います。
 以上二点についてお願いいたします。
#107
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 家庭裁判所は、委員御指摘のとおり国民にとって身近な事件を扱っているコートでございますので、とりわけ当事者の方々にとって利用しやすいものである、こういった配慮をすることが必要であることは当然だと考えている次第でございます。
 その観点から、今御質問のございました家庭裁判所の事件の取り扱いの時間帯の関係でございますが、原則は、当然でございますが、平日の勤務時間内になるわけでございます。しかしながら、休日におきましても、裁判所の休日に関する法律がございますが、この中に規定されているところではございますけれども、事件の性質によって、また必要性によって、裁判体の判断になるわけでございますが、必要とある場合には休日に事件を取り扱うこともできる、こういう仕組みになっているところでございます。また、夜間につきましても、事件の必要性がある場合にはそのような扱いをすることも実際あるわけでございます。
 私どもといたしましては、さらにその個々の事件を見ながらその必要にこたえていけるような対応を考えていきたい、こう考えている次第でございます。
#108
○大森礼子君 できる、しようと思えばできるというのと、それから普通の体制がそうなるかどうかとまた別だと思うのですね。
 では、逆にお聞きしますが、夜間とか休日とか、こういう利用が全体の何%ぐらいございますか。その数字を示すことはできますでしょうか。
#109
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 現在の実情についてつまびらかな数字は持っておりませんけれども、事件の処理の過程の中にあって休日とか夜間取り扱っている事件は極めて少ないと見ているところでございます。
 その点についてはいろいろ事情はあると思うのでございますけれども、今御指摘のような調停事件を例にとってみますると、当事者の方々、双方出席いただくことが原則でございますので、双方の御都合が合うことが必要になってくる、こういった面が一つあることと、それと、最近の実情から見ると、子供さんを抱えている場合になかなか夜間出にくいという事情もある、こういった事情等もあってのことかと思っているわけでございますが、ただ、必要な事件については十分な対処をしていくようなことを考えていきたいと考えている次第でございます。
#110
○大森礼子君 もう時間がありませんので終わりますが、一般化するための障害はいかがですか、これ原則とするためにと、こういうことをまず聞いたわけなんですが、また改めて聞きます。
 夜間は子供さんがいて出にくい、そうしたら昼間もやっているわけですから。昼間出にくい方のために夜間も拡張することができるかどうかという趣旨でございます。それは相手方のあることです。これは当たり前でございまして、相手方と意見がそろうわけですが、しかし、一方が仕事なんかをしておりますと非常に出にくいということで、例えば夜間の方が都合がつきやすかったらそちらにすればいいじゃないかと、これだけのことでございます。また引き続き質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
#111
○委員長(荒木清寛君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#112
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#113
○橋本敦君 私は、きょうは中島議員にかかわる問題を尋ねたいと思います。
 九六年、九七年の両年にわたっての政党助成金が自民党の本部から群馬県第三選挙区支部、中島議員のところでありますが、それぞれ一千万円交付された事実は明白であります。これをめぐって、中島議員はこれまでに虚偽記載ということで政党助成法違反並びに政治資金規正法違反で起訴をされ取り調べを受けているわけでありますが、この事件はさらにそれだけにとどまらないで、公選法違反の買収容疑、あるいは富士重工の救難飛行艇の受注をめぐっての贈収賄事件という重大な事件にまで発展をしておる状況になっております。
 今、以上のような状況で起訴ないし捜査が行われている事実は、刑事局長、間違いありませんね。
#114
○政府委員(松尾邦弘君) そのお尋ねの事実は間違いございません。
 東京地方検察庁は、まず今年の十一月十九日でございますが、中島洋次郎代議士を政党助成法違反及び政治資金規正法違反の罪でそれぞれ公判請求をいたしております。
 公訴事実の骨子でございますが、簡単に申し上げますと……
#115
○橋本敦君 それはいいです。
#116
○政府委員(松尾邦弘君) よろしいですか。
 それからもう一点は、起訴をした同日、同代議士を公職選挙法違反の疑いで逮捕し、現在、勾留、捜査中でございます。
#117
○橋本敦君 今、刑事局長がおっしゃった十九日に再逮捕したという買収事件に関してきょうは特にただしたいと思うのであります。
 この買収事案の被疑事実の要旨は、要するに、中島議員が自己の当選を得る目的で選挙運動者である関係者に対して選挙運動報酬あるいは投票報酬等の資金として二千万円を交付し、さらには個別に各二十万円を交付したという事案だと思いますが、被疑事実の要旨は間違いありませんか。
#118
○政府委員(松尾邦弘君) 概略そのとおりの内容でございます。
#119
○橋本敦君 そこで、買収資金の問題でありますが、この買収資金が、例えば九六年度は約三百七十万円、そして九七年度は八百四十九万円、これが政党助成金の方から穴埋めに流用されたというように報道されておりますが、これについても今捜査中であることは間違いありませんか。
#120
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの、具体的にどういう資金がどういう用途に充てられたのかという内容になりますと、現在捜査中の事件等にもかかわることになりますのでお答えはいたしかねるところでございますが、あくまで一般論として申し上げますと、現在逮捕・勾留中の買収事件でございますが、このような買収事件等についての資金が問題となる事件につきましては、公判での立証等に備えて、使途のみならず、その資金をどこから得たかという問題について、経路全般について意を尽くして捜査をするということでございますので、一般論でございますが、こういう事件の性質上、捜査の内容はそういうことであるというふうに御理解いただきたいと思います。
#121
○橋本敦君 その資金の具体的な特定は捜査中ですからいいとして、要するに、その資金が政党助成金から穴埋め的に流用されたという状況について、既に報道されているわけですが、こういう報道に関して、検察庁は、その報道で言われている事実も含めて重大な問題として捜査をしているということは間違いないと言えるんじゃないんですか。
#122
○政府委員(松尾邦弘君) これも一般論としてお聞きいただきたいと思いますが、買収事件の資金源が何かということはまさにその事件の一番中枢の問題ということでございますので、それに関連するような証拠関係の収集には検察官は捜査の過程で意を尽くすわけでございますが、その過程で、いろいろの報道に出ている内容等についてもそれなりの関心を払っておることと思います。
#123
○橋本敦君 政党助成金から流用的に資金が全然流されていないということは断定できませんね。そういった問題も含めて慎重に捜査をしているという状況ではないんですか。
#124
○政府委員(松尾邦弘君) 検察庁は真相の解明に向けてあらゆる捜査を尽くすことと思います。
#125
○橋本敦君 もし仮にそうだとして、報道されているところによれば、今お話ししたように、九六年は三百七十万、九七年が八百四十九万としますと、一千万円政党助成金が交付されている何とその半分以上を買収資金に使った、そういう疑惑さえあるという重大な事件になってくるわけであります。
 そもそも、この政党助成金というのがこういったことで私的に流用されてよい金であるはずはないんですが、実際はそういうことがこの中島事件でもやられたことが明らかになっております。そして、その中身としては、虚偽報告をしながら金を浮かして海外旅行やあるいは高級外車の購入などに使ったということも言われている。全くもってのほかだと思うのであります。しかも、選挙犯罪として、選挙の公正を害する最も悪質な買収事犯にまでこういう金が流用され、虚偽報告をされる裏で資金捻出がされているとすれば、政党助成法ということについて、一体何かということを根本的に考え直す必要がある。
 こういうような状況を自治省はどう考えていますか。こういうことでよろしいんですか。
#126
○政府委員(牧之内隆久君) 政党助成金につきましては、これを使途制限すべきではないかという御意見があることは承知をいたしておりますが、政党の政治活動は多岐にわたりますし、また各政党ごとにその内容が異なる面も多いわけでございますので、どのような経費が政党交付金の使途としてふさわしいか、あるいはふさわしくないかということを一つ一つ区分してこれを一律に決めるということになりますと、本来自由であるべき政党の政治活動に公権力が介入をしていくというおそれも出てまいるわけでございます。
 このようなことから、現行法におきましては、その使途の制限を設けずに、使途の報告と公表の制度というのを設けまして国民の監視と批判を仰ぐというような仕組みになっているところでございます。諸外国におきましても、政党助成制度を持っておりますところは使途制限を設けていないというふうに承知をしているところでございます。
#127
○橋本敦君 政党の活動の自由に介入しないという建前から使途制限をしないということの裏をかかれて私的流用、あるいは選挙買収にまで使われるという実態が明らかになった、こういう事態について、これでいいと思うのかどうかと私は聞いているんです。いいとは言えないでしょう。いいんですか。
#128
○政府委員(牧之内隆久君) もちろん、国民の税金をもとにいたしました政党助成金でございますから、その使途につきましては法の趣旨に沿いまして適切な支出をするということが法律も明文をもって期待をしているわけでございまして、今回の事案のような場合は公職選挙法の違反というような、その政党交付金を使っているかどうかということは別にして、そのもの自身が別の法律によって糾弾をされるという話でございますので、当然のことながら他の法律によって禁止をされているような支出に使えないということは自明のことであろうかと思います。
#129
○橋本敦君 あなたはそうおっしゃるけれども、この政党助成法自体が政党活動の自由を拘束してはならぬということで使途の制限はしないと。そういうことが裏をかかれて、虚偽報告は処罰するけれども、政党助成法自体が買収資金に使っちゃいけないとか私的に流用してはいけないとか、そういう制限を設けていないことがこういう結果を生んでおるわけですよ。だから、処罰するとしたら形式的に公選法違反か虚偽記載かということにならざるを得ない。本来、政党助成法そのものがこういった不法な行為を制限、取り締まるという機能を持たないし、また政党の活動の自由を侵してはならぬという理由からそれはやっていないわけです。
 私は、この問題は政党助成制度そのものにかかわる重大な法的仕組みの瑕疵であり欠陥だと思うんですね。これは是正しようがない問題です。この政党助成法は第一条で、政党の政治活動の公明と公正さを図る、こう言っている。そういう政党の政治活動の公明と公正さを図るという法のもとで、まるで逆の私的流用や買収まで行われるということにこれが使われていく。これは大問題じゃありませんか。どう思いますか、自治省は。
#130
○政府委員(牧之内隆久君) 政党助成法による政党交付金の使途は制限されていないわけでありますけれども、今回の事案で買収等の公選法違反が起きたというのは政党助成法の仕組みからきていることではなくて、買収そのものが禁止をされているわけですので、これとの関連で御議論をされるというのはちょっと私理解が及ばないところでございます。
#131
○橋本敦君 そんなこと言ったって、政党助成法でもらった金が使われて私的流用や買収に流れているんですから、政党助成制度そのものに根幹があるじゃありませんか。この議論は果てしないから、あなたの見解では全く話にならぬのでこれ以上やりません。
 いやしくも政党助成金というのは国民の税金から国民の意思に反して強制的に取り上げられた、私どもは憲法違反だと思っているんですが、それはさておいても、国民の税金が政党助成制度の中で私的流用されるどころか買収事犯にまで使われるということになると、これは重大な問題ですね。この問題については、私は法務省としては徹底的に捜査を遂げて厳重な態度で臨んでいただきたいということを強く要望しますが、法務大臣はいかがお考えでしょうか。
#132
○国務大臣(中村正三郎君) 政党助成法によるこのお金が政党活動の自由を保障するということで使途が定められていないという今答弁がございましたけれども、それはまさにそのとおりだと思うんです。
 そこで、どういうふうに使ったかということの虚偽報告があったらいかぬというふうなことになっておるわけですが、この趣旨が政党活動の自由ということを保障するためということになっておりますから、これはなかなか事務当局に聞いても難しい問題ではないか、これをお決めいただくのはやはり国会の御論議ではないかというふうに私は感じております。
#133
○橋本敦君 その論議に入る前に一言、大臣、この中島議員の買収問題については資金がどこから出たか、政党助成金から出たかも含めて徹底的に厳しく捜査をして、法務省としては厳重に処断をすべきであると私は思いますが、その点は大臣も同一のお考えではないでしょうか。
#134
○国務大臣(中村正三郎君) 具体的な内容については、これは検察で今調べているところでありまして、私も承知しておりませんけれども、この政党助成法違反、政治資金規正法違反、公職選挙法違反、各事件については検察庁において真相の解明に必要な証拠の収集に努め、厳正に捜査処理を行い、起訴したものについては公判での立証に万全を尽くします。
#135
○橋本敦君 そこで最後の質問ですが、大臣も今お触れになったんですが、政治改革が大いに論議されなくちゃならぬ、こういう中で、企業献金の全面禁止、そして同時に政党助成制度の廃止という課題も含めて国会では各党が大いに論議をしていく必要がある。そして、国会議員の数の削減などという議論も出されていますけれども、国会議員を百名減らしても約七十二、三億です。政党助成金は年間三百億を超えます。ですから、そういった面からいっても、この政党助成制度をなくすということは今日的な国民の期待にこたえてもやるべき課題だということで、大いに国会では論議をしていく必要があるし、我が党としてはこの制度を一刻も早く廃止するという方向で進めていくべきだ、こう考えております。
 大臣は、この問題は国会で大いに論議されるべきだというお話でございましたが、最後に大臣のその点についての御見解を承って、終わります。
#136
○国務大臣(中村正三郎君) これはまさに我々、私も国会議員でありますから国会議員が決めていかなきゃいけないことでありますけれども、私どもの党のことを言わせていただきますと、党において厳しい定めをつくりまして、そしてみんなで守っていこうということでやっております。これも一つの自由な政党活動の中のやり方で見識のあるやり方だと私は思っておりまして、私どもは守っておりますが、それを守らない人がいたということは極めて遺憾なことでありまして、私どもはみずからを律して、党で定めた基準に従って支出をしていくということに努めているところでございます。
#137
○福島瑞穂君 福島瑞穂です。
 まず、中村法務大臣にお聞きをしたいと思います。
 規約人権委員会は勧告で、二十一項、「委員会は、死刑囚監房に収容されている人々が置かれている状況に深刻な懸念を有し続けている。特に、委員会は、訪問や通信の過度の制限、死刑囚の家族や弁護人への執行の事前告知がなされていないことは規約に違反すると理解している。」という勧告を出しております。
 死刑確定囚に対する事前告知の問題ですが、かつては日本においても行われておりました。一九五三年に発行されております元大阪拘置所長さんが書かれた本の中には、事前告知の状況が詳細に記されております。
 ちょっと読みたいのですが、この所長さんは母親に対して電報を打ちまして、面会に来るようにということを伝えております。
  「Sよ、まだ日はあることだが、是非会って
 おきたいという人があるかい。あればすぐ来て
 もらうように知らせるが」と尋ねた。
  「そうですね。課長さん御存じの、あの池田
 のおばさんね、あの人に是非会いたいですね。
 あのおばさんに十万円の借金があるんですが、
 そんなことなんにも言わずに、ずっと私に差入
 れやら面会にきてくれていました。他人ですが
 本当にいいおばさんです。会って最後のお詫び
 を言いたいのです」
  「そうか、確かそのおばさんの家というのに
 電話があったね……」
  「それから課長さん、私を捕えた○○警察本
 部のN刑事さんにも知らせていただけません
 か。きて下さるかどうかわかりませんが会えた
 らお会いしたいのです。
というくだりがあります。
 それからもう一つ、一九六七年十一月一日夜、大島さんという死刑囚が処刑前夜に書いた文があります。その中でも、
  夜の更けるまで教育課長さんと語りあっても
 話がつきない思いです。僕は生かされて得た心
 でしみじみと思うことは、人の暖かさに素直に
 なって知ったいのちの尊さです。
  前坂君の花の差入れは処刑の前夜もありまし
 た。花好きの僕は最後までよい花に接し得たこ
 とをよろこびます。
というものがあります。
 かつて日本では事前告知がされておりましたけれども、今はされておりません。中村法務大臣は、死刑制度について、情報公開について言っておられますけれども、私は最低限本人と家族には事前告知をしてほしいと思いますが、どうお考えでしょうか。
#138
○国務大臣(中村正三郎君) 委員の御指摘のお話は私個人としてはよく理解できるわけでありまして、私も法務大臣に就任いたしましたときにいろいろ事務当局から話を聞き、私の意見も申しました。
 そういう中で、まず第一に、死刑が執行されたという事実については公表するべきであろうということで公表に踏み切りました。そして、今度は死刑囚のどういう方が処刑をされたかという場所だとかお名前のことについてもいろいろ考えてみました。
 事前告知のことについても、過去の例もお聞きし、そして考えてもみました。その中で、私は今の委員のお話、先ほど申し上げましたようによくわかる。私もそんな考えでいろいろお話しさせていただいたんですが、その後の実際に起こったことだとかいろいろな状況を伺いますと、これはやはり少し勉強してみなきゃいけないな、いろんな問題が起こり得るケースというのはあるんだなということを感じ出しておりまして、そういう中で少しお時間をいただいて考えさせていただきたい、私として結論が今出ない状況にございます。
#139
○福島瑞穂君 ぜひ事前告知をよろしくお願いします。
 次に、受刑者の問題です。
 この勧告の二十七項は、刑務所制度について、受刑者の処遇のあり方について懸念が出ております。御存じのとおり、受刑者や死刑確定囚などの処遇のあり方については国際人権法上確立している分野です。
 中村法務大臣は、死刑確定囚の問題について検討をしてくださるということですが、受刑者についても検討するように部下に命ずるおつもりでしょうか。
#140
○国務大臣(中村正三郎君) 受刑者の収監の待遇についてでございましょうか。
#141
○福島瑞穂君 はい。
#142
○国務大臣(中村正三郎君) それは、私は実は一番関心を持たなければいけないことだと思いまして、東京拘置所であるとかいろいろなところを見て歩きました。沖縄へ行って沖縄の施設も見てまいりましたし、いわゆる代用監獄と言われる警視庁の中の施設も見てまいりまして、話も伺ってまいりました。
 私はその結果、やはり昔と違って、受刑者に対する対応とか処遇は私どもが思っていたよりかはるかに気を使ってみんな務めているという印象を受けてまいりました。ただ、この勧告も受けているわけでありますから、やはり私どもの気がつかないところ、目の届かないところもないとは言えないわけですから、そうした勧告を真摯に受けて、改善すべきは改善することを常に心がけなきゃいけないと思っておりますが、今の状況というのは私はかなりみんな気を使って職務に励んでいるというふうに感じてまいりました。
#143
○福島瑞穂君 ただし、その日本の現状に関して勧告が出ていることは確かですから、無視なさらないでぜひ検討するように部下に命じていただきたいと思います。
 それから、一点ちょっと話が戻って済みませんが、監獄法九条に基づいて死刑確定者の処遇は原則として未決囚に準ずるということであります。ただ現在、一九六三年の法務省矯正局長通達によって、原則として親族以外の者との面会、文通、差し入れは認められておりません。かつては集団によるお茶会やテレビ鑑賞会などあったのですが、現在は廃止されております。死刑制度といっても、かつての方がずっと人道的であったというふうに私は思います。そういう点でも、この点の改善をぜひよろしくお願いします。
 もう一つ、婚外子差別の問題に関してお聞きいたします。
 これは法務省の方で法案をつくっていただきまして、この法案が成立しないことは国会に責任があるというふうに私は考えております。法務省がこの法案を上程してくだされば法律が成立するように努力いたしますが、いかがでしょうか。
#144
○国務大臣(中村正三郎君) 婚外子差別のことについてでございますけれども、これは先生よく御存じの法定相続分の問題があると思います。
 ただ、これもいつも申し上げて恐縮なんですが、まさに国民生活に大変なかかわり合いのある問題でありまして、行政当局に結論を出せと言ってもなかなかこれは出せる問題ではないと思うのでございます。そういう中で、国会で御議論いただいて方向性を出していただくのが、一番ふさわしいというのもちょっと言い方があれですが、そういう種類の問題ではないかと思っているわけであります。
 ただ、先ほども人権の問題で御質問があったときにお答えしたんですが、これは何と申しますか、国民の意見を聞きますと現状肯定の方の方がかなり大きく出るというような現実もあるわけでありまして、そういった世論の中で実際に私どもが法律を提出して法案が通るかどうかということも考えなければいけない。そういう中で、やはり広範な国民の理解と国会の議論がある中で方向性を出していただけたらいいんじゃないか、そういう問題だと私は思っております。
#145
○福島瑞穂君 これはもう法務省は民法改正案を作成していらっしゃるわけですから、あとは国会の責任で頑張りますので、ぜひ上程をお願いいたします。
 では、次に外務省にお聞きしたいと思います。
 今回、規約人権委員会で、九項、「委員会は、人権侵害を調査し、申し立てに対し救済を与えるために利用可能な制度的なシステムの欠如について懸念を持っている。当局がその権限を濫用することがなく、また当局が個人の人権を実際に尊重することを保障するためには、実効性のある制度的システムが必要である。」。十項、「特に、委員会は、警察や入管職員による虐待の申し立てを、調査や救済のために持ち込むことのできる独立の機関が存在しないことに懸念の念を有している。」という勧告が出ております。
 私も、実効性のある人権保障のためにはこのような機関を設立する必要が極めて高いと思います。御存じ国連のパリ原則、一九九二年の国内人権機関の地位に関する原則のポイントは二つです。独立性と調査権限です。このような機関はまだ日本にはありません。政府部内でいかなる機関がこの九項、十項の勧告の実現の任に当たられるのか、外務省、お答えください。
#146
○政府委員(加藤良三君) 御指摘のパラグラフ九、パラグラフ十については、もちろん私どもも承知いたしております。そして、委員御案内のとおり、今申し上げましたパラグラフにおける勧告については、現行制度に関するそれぞれの国内の所管官庁において現在検討がなされていると、我々としてはこれら所管官庁と連絡を密にしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#147
○福島瑞穂君 では、どこがこの勧告の実現の任に当たられるのか、また教えてください。
 拷問等禁止条約について、これは批准について前向きであるというふうにお聞きしておりますけれども、いつごろ批准の予定でしょうか。手続はどこまで進んでいるのでしょうか。
#148
○政府委員(加藤良三君) 先般、九月の御質疑に対しましてお答えしているところでございますけれども、残虐で非人道的な拷問を世界的に禁圧するというその拷問禁止条約の趣旨は日本政府として十分理解しておるわけでございまして、この条約の締結につきましては引き続き政府部内で今検討しておる状況でございます。その意味では、日本政府の鋭意検討するという姿勢は九月の段階と今の段階とで差がございません。今後も鋭意検討を続けてまいります。
 いずれにいたしましても、日本政府は人権の関係の諸条約の目的とか意義とか内容とかその締結の必要性、国内法体制との整合性、こういったものを十分勘案の上、その条約を順次締結してきております。そういう流れの中で鋭意検討をさらに進めてまいりたいと思います。
#149
○福島瑞穂君 何ら批准に障害はないと思いますので、ぜひ批准をよろしくお願いします。
 裁判所にお聞きいたします。
 パラグラフの三十二項、「委員会は、規約で保障された人権について、裁判官、検察官、及び行政官に対する研修を行う規定が存在しないことに懸念を有する。委員会は、このような研修を受講できるようにすることを強く勧告する。裁判官に関しては、規約の規定に習熟させるため、裁判官協議会及びセミナーが開催されるべきである。」という勧告が出ております。
 この勧告を受けて、今後どのような取り組みをされる予定でしょうか。
#150
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 国際人権規約に関する研修等の問題でございますけれども、まず修習生に対して現在どういうことをやっているかということを御説明いたしますと、司法研修所での修習期間中に国際人権規約に関するカリキュラムを組み込んでおります。例えば、外国人事件の諸問題、外国人の刑事事件及び外国人事件の弁護など、そういう表題の講義の際に、日本における外国人の刑事手続をテーマとして取り上げるということがあるわけでございますが、その中で国際人権規約にも触れていく、こういうことがございます。
 それから、正規のカリキュラムのほかにセミナーにおいてもこういうテーマを取り上げております。例えば、国際人権と刑事弁護というセミナーにおきましては、国連がこのB規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約を初めとする条約、規則、基準等を制定して、世界の国々の人権を保障する努力をしているということを取り上げまして、刑事事件の被疑者や被告人の権利に関して研修をしている、こういうことでございます。
 また、裁判官に任官した後の研修におきましても令状事務に関する共同研究とか少年事件の手続の運用に関する共同研究、こういうことをやっておりますが、この共同研究の中で必要に応じてこのテーマに触れていく、言及するということなどをやっております。
 こうした研修につきましては、今回の人権規約委員会の勧告も踏まえまして、必要に応じてこのテーマに関する研修等を行うことを検討してまいりたいと思います。
#151
○福島瑞穂君 この三十二項は、「委員会の「一般的意見」及び第一選択議定書による個人通報に対して委員会が表明した「見解」が、裁判官に配布されるべきである。」とさえ言っております。ぜひ現職の裁判官に対する研修をお願いします。
 きのう十二月二日、寺西裁判官の戒告処分の決定が出ました。十対五ですが、十人のエリート、キャリア裁判官が有効と言い、五人の学者、弁護士出身の最高裁の裁判官が無効、戒告処分をすべきではないというふうにしました。五人の意見は、人権感覚、市民感覚を裁判官はぜひ持ってほしいということをあらわしていると思います。
 ぜひこの見解の配布、その他の人権教育をよろしくお願いします。今後またいろいろ教えてください。
#152
○平野貞夫君 最近、国会議員の刑事犯罪、そして逮捕という事件が続いておりまして、まことに残念なことでございます。
 本院でも友部達夫議員が平成九年の一月二十九日に逮捕され起訴されてずっと勾留されて、国会が開かれるたびにその期間の更新の文書が議長あてに出されておるんですが、友部議員の裁判の日程、期日の見通しみたいなものがおわかりになれば教えていただければありがたいです。
#153
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) お尋ねの事件は、平成九年二月十九日、三月十四日、それから三月二十八日、この三回にわたりまして公訴が提起されました。多数の公訴事実につきまして共犯とされる外四名の者と併合して審理がなされております。
 平成九年の六月二十五日に第一回公判が開かれまして、以来今日まで約一年半になるわけでございますが、その間二十四回の公判が開かれております。ずっと引き続き検察官側の立証が継続されているようでございます。
 以上でございます。
#154
○平野貞夫君 そうしますと、一審の判決の見通しもわからないということだと思います。
 仮にこの事件が二審、終審ということになれば何年たつかわからぬという状況だと思います。そのことは裁判所の責任あるいは法務省の問題ではないと思いますが、この友部議員につきましては、平成九年の四月一日には本院の本会議で議員辞職勧告決議案も出され、可決されましたが、本人はそれに応じていないという状況でございます。
 単純に数えてみますと、友部議員が国会に登院しなくなってからあしたでちょうど二年になります。この二年間国会議員としての活動をやっていないということが言えると思いますが、率直に言って、このことが国民の政治不安の大きな原因の一つになっていますし、また参議院に対する国民の信頼あるいは参議院のあり方に国民が不満を持っているという非常に大きな問題になっているわけでございます。
 そこで、参議院の自律権で本来は処置しなきゃいけない問題だと思います。ただ、非常に難しい問題がございまして、除名をするには懲罰事犯でなければならない。懲罰事犯ということになりますと議院の秩序を乱すということが条件でございますので、友部議員の行動が、詐欺罪のようでございますけれども、議院の秩序を乱すかどうかという一種の憲法判断がそこで要るわけでありますが、私たちは二年たつこの状態を放置できないということで議院運営委員会等に問題の提起をやっておるわけでございます。
 法務行政、司法制度の角度からこの友部議員そのものに適用はできないと思いますが、国民の代表者である、そして国民にかわって国家意思を決めるという国民主権の根本である国会議員が刑事事件を起こして裁判になった場合、公職選挙法違反の場合には非常に早く結論が出る仕組みになっておりますが、何とか国会議員のこの種の犯罪について早く判決をする、そういう制度的な仕組みができないかどうか、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#155
○国務大臣(中村正三郎君) 平野議員はよくおわかりでおっしゃっていると思うんですが、これは裁判の公正性、公平性からいって、国会議員といえども一人の国民ですから、国会議員が持っている機能ということで国会議員だけ特別の裁判を受けるということはなかなか難しいのじゃないかと私は思うわけであります。
 一般論として言えば、日本の裁判が極めて時間がかかるということに国民は不満を持ち、不信を持っていると思います。これは事実だと思います。司法制度改革が今叫ばれ、私ども政府でも司法制度改革をしようということをやっているんですが、その眼目の一つが、やっぱり裁判というのも国民のためにある憲法に定められた一つの機関ですから、国民のために働かなきゃいけない、それには民意を反映する制度にしなきゃいけない。それは陪審だとか再審だとかいろいろな制度もありましょうが、なかんずく裁判の迅速化を図らなきゃいけない。これは司法制度改革の中心的問題になってくると思うんです。
 そういうことを通じて検討していかなきゃなりませんが、そのまず第一には司法の質なり量なりの増加を図らなきゃいけない。それはもう手をかけているわけでありますけれども、また政府に審議会をつくる予定で、その中でいろいろな案が出てきますと国会にお諮りするようになると思いますが、裁判の迅速化というのは、政治家に限らずこれからやっていかなかったらば、日本が法治国家として法を守り、そして国民生活を私どもが安寧に送れるという社会から遠ざかっていっちゃうんじゃないかというぐらいの危機感を私ども持っております。
 そういう面で私どもは努めてまいりたいと思いますが、政治家に限って特別な裁判制度というのは私の範疇では、ここに裁判所いらっしゃいますが、なかなか難しい問題じゃないかと思います。
#156
○平野貞夫君 今の大臣のお話よくわかります。国会議員だからといって特別早くするということはなかなか難しいと思います。一般的に迅速な裁判というのは当然要求されますが、私が提起した問題は、やっぱり参議院の院の自律権のもとで処理するしかないということがただいまの大臣のお話の中でわかりました。
 次に進ませていただきたいと思います。
 一見この法務委員会と関係がないような話になるかと思いますが、実は私はあると思っておりますので御理解いただきたいのでございますが、私が取り上げたい問題は違憲立法審査権と憲法解釈の問題でございます。
 御承知のように、憲法八十一条でございましたか、違憲立法審査権というのは最高裁にあるということが明記されているわけですが、実際政治問題といいますか、国会の議事運営なんかでもそうでございますが、あるいは防衛とか外交とかそういう問題は統治行為論といったことで最高裁は憲法判断を避けているといいますか、していないわけでございます。
 私は、本来はやはり憲法に書いてあることを裁判所はやるべきだという意見なんですが、その統治行為論のいい悪いということは別にしまして、現実でございますから私もそれを否定するわけじゃございませんが、例えばよく話題になることとしまして、自衛隊をめぐる憲法解釈、特に国連の平和活動に参加、協力できるかどうかといった問題についていかにも内閣法制局が憲法の解釈権とか判断権を持つがごとき様相を呈している。そして、国会あるいは政府という政治側にも私はそれを放置している問題があると思うんですが、一部マスコミがそれをいかにも権威ある解釈権のごとく報道して、非常に錯覚が行われているんじゃないかと私は思っておるわけでございます。
 内閣法制局がこういったことについての判断権、解釈権を持つかのごとき風潮というのは、非常に私は憲法の趣旨からいっても問題だと思っております。本来、司法権たる最高裁が判断すべきものでございます。内閣の一部局である法制局が事実上そういう権限を持っているようなことは憲法政治からいっても問題だと思っております。
 私は、そういう憲法に規定された司法権との絡みの中で、内閣の一部局がそういう機能を果たしていることについて、法務大臣として御感想なり御所見があればいただきたいと思います。
#157
○国務大臣(中村正三郎君) 委員が最初に御指摘になりましたように、法務大臣としてこのことについて述べる権能があるかどうかというとなかなか難しいと思いますが、これは委員と私、一緒に国会対策運営をやっていたころのことを思い出すんですが、やはり与野党の中でいろいろな議論がありましたときに、憲法解釈の問題が出てまいります。そういうときに、必ずと言っていいぐらい内閣法制局長官の意見を求めるということは行われてまいりました。しかし、国として言えば、委員のおっしゃるとおり、憲法に関する判断を下せるのは裁判所だと思います。これは厳然たる事実だと思います。
 行政をやる上でどういうふうに憲法なり法律なりを解釈するかという統一的な判断が必要なわけで、そのときに内閣の法制局が行政としての中の憲法解釈なり法律の解釈をして、それによって行政を行っていく、こういうことが行われていることでありまして、私もむしろ国会議員一人に戻ってみました場合には、それは個々の議員がそれぞれの法律なり憲法なりを一義的には理解して解釈するべきものだと思います。ただ、争いがあった場合には、最終的には最高裁で判定をしてもらう、こういうことになるんだと思います。
#158
○平野貞夫君 私も、内閣法制局の仕事として、設置法にあります法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べることができるという、これに基づく仕事は大いにやっていただくべきだと思いますが、ここ三十年ぐらいの内閣法制局の憲法解釈、特に自衛隊や国連活動の問題、発言は、私は相当行き過ぎておると。
 法務省の設置法には、法務大臣の仕事として「最高裁判所との連絡交渉に関する事項」という、やはり司法権とのつなぎの大事な役割を持っておりますので、あえて私ここで申し上げるんですが、自衛権の行使の問題についても、内閣法制局は確かに法律の解釈、憲法の解釈として適切な解釈をしていると私は思いますが、冷戦構造が終結して、そして直接侵略ももちろん心配がありますが、周辺あるいは国際社会の紛争、海賊的行為あるいは侵略的行為を国連の警察行為としてそれにかかわっていくということがここ十年来の新しい国際社会の状況の中で、いつまでも冷戦時代の国際構造を前提にした法制局の文理解釈を続けていたら、日本の国は恐らく鎖国同様の状況だと思います。憲法の理念というものは、国際社会と共同して国際社会の中で名誉ある地位を得よう、こういうことを憲法は理念として書いてあるわけでございます。
 法務大臣と同時に国務大臣でございますので、最近北朝鮮を中心とする東北アジアの情勢も極めて緊迫しております。そこで、いろいろな議論がこれから起こると思いますが、国務大臣中村正三郎先生として私がお願いしたいのは、国連による平和活動に参加する場合、私たち自由党は何も武力行使をしに行けとかそれに積極的に参加しろと言っているわけじゃございません。当然日本国憲法の理念の中で行動されなきゃいかぬことでございます。直接武力の行使にかかわる活動に参加することではなくて後方で支援、けが人を手当てしたりあるいはいろいろなものの輸送をしたりする協力に限定する形だったら、これはもう憲法の解釈のし直しとかなんとかということでなくて、新しい状況での憲法の適用だというふうに私は考えておりますので、ひとつこれから閣議とかあるいはさまざまな問題が起こった場合に、そういう立場を御理解いただいて御活躍いただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#159
○中村敦夫君 前の臨時国会の法務委員会で裁判所からの裁判官の行政機関への出向に関する私の質問に対しまして、最高裁から大変詳しいデータをいただきました。百四十一人という驚くべき数字が発表されました。今、日本の司法システムというのは非常に時代おくれで不透明で効率が悪いという非難が大変強い今日ですけれども、こうした積極的な情報公開の姿勢というのは大変好ましいと思われます。今回に関しては珍しく最高裁、大変評判がいいようですから、頑張っていただきたいと思います。
 そこで、さらに現在の裁判所の運営について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。最高裁にお願いしたいんですが、現在の裁判官の法定定員というのは何人で、欠員の人数は何人かということをお答えください。
#160
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) お答えいたします。
 裁判官の法定の定員は全国で二千九百十九人でございます。これは最高裁の判事十五人を含んでおりますので、下級裁の裁判官だけでございますと二千九百四人になります。
 それから、欠員というお尋ねでございますが、ちょっと最初の答えとして現在員という形で置きかえて答えさせていただきますと、十二月一日現在の裁判官の現在員は二千八百五十八人でございます。したがいまして、欠員は引き算をすれば出てくるということでございますが、それでよろしゅうございましょうか。
#161
○中村敦夫君 それでは、現在裁判所に事務総局というのがありますが、そこに配属されている裁判官の人数は何人いるんでしょうか。
#162
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 現在、最高裁の事務総局に配置されております裁判官は五十一人でございます。
#163
○中村敦夫君 そこで、裁判官がわざわざ事務官で務まる事務総局の仕事をしなきゃならないというこの理由は何なのか。現在、裁判官は圧倒的に不足していると言われているのに、わざわざこうした慣習を維持する特別な理由を簡単に説明してください。
#164
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官が裁判の現場で裁判に携わるというのは、これは本来の仕事であるということはもう間違いございません。ただ、いわゆる司法行政事務というのは裁判所の中にもございまして、どうしてもそれに携わる人間というのが要るわけでございます。
 その中でも、一つは法律的な専門家が携わる、法律家が携わる必要があるような仕事、例えば国会で法律をおつくりいただきますと、それを施行するために最高裁判所の規則をつくる、それには法律家としての素養が必要でございますし、裁判に関係するような規則をつくるわけでございますので、裁判の実務というものについて通じている人がそういう企画立案に当たるということも必要なわけでございます。
 それから、いわゆる官房的な仕事と申しますか、人事とか経理とかそういう仕事も司法行政の中であるわけでございますけれども、こういった仕事でございましても、やはり裁判官の人事をやるというときに、少なくともその企画立案に当たるような中心的なポストには裁判官を充てざるを得ない。経理的なことでございましても、裁判所の建物一つとりましてもやはりこれは特殊な施設でございます。裁判というものを円滑に進めていくにはどういう施設がいいか、どういう設備を整えたらいいかというふうなことは、もちろんその全部を裁判官の資格を有する者が仕事をする必要はございませんけれども、その中心的なところで仕事をする人間にはそういう裁判官の資格と経験を有する者が携わる必要がある、こういうことでやむを得ず一定の人数の者がこういう仕事に携わっております。この点については、なおできるだけ少ない人数で抑えたいとは思っております。
#165
○中村敦夫君 法律に詳しい人間が必要であればそうした事務官を養成するのが筋であると思うんです。やむを得ず裁判官がやっていると、やむを得ずの形をずっと慣習化するということ自体が不思議なわけですよ。
 大体、裁判官の中で事務総局勤めが二十年あって裁判は十年しかやらない、裁判をやらない裁判官がたくさんいるということがあるわけですね。これはまことに異常だと思うんですけれども、どういうふうに考えておられますか。
#166
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) まれにそういうケースもあると存じますが、どうしても経験がそういう仕事も必要だということで同じ方が続けて割合長い期間されるというケースもあるわけでございますが、できるだけそういうことは避けて、ないように努めたいとは思っているところでございます。
#167
○中村敦夫君 事務局に入った裁判官も、これは事務員と同じわけですから事務職員の給与を払うのが普通なんですけれども、そのまま裁判もやらずに裁判官の給与が払われているということなんですが、これはどうしてでしょうか。
#168
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) これは現在いわゆる充て判と申しますが、裁判官の身分を有したままそういう司法行政上の仕事をするということが認められておりますので、そういう形でやって、裁判官の報酬の支払いを受けながら、その身分を有しながらやっているということでございますが、実質的な理由、なぜそうかという点では、やはり先ほど申しましたように、一定の司法行政上のポストについては裁判官の資格、経験を有する人を充てざるを得ない。その場合に、そういう方を持ってくるときに、事務官に転官させますと、給与がダウンしたり、裁判官をやめたり、身分が途切れる、そういうことになるわけでございまして、適材をそういうポストに持ってくるときに、そういう経済的な不利益とか身分上の不利益、不安といいますか、そういうことを負わせたままではなかなか適任者に来ていただくということが難しいという面もございまして、そういうことをやっているわけでございます。
#169
○中村敦夫君 非常に不透明で、しようがないから何となく事情でやっているというような話で、やはり司法機関ですからそういうことは明確にやらないとこれはまずいと思うんです。
 なぜ私がこのような質問をしているかといいますと、現在の司法運営に二つの大きな問題があるんですね。
 一つは、裁判官が圧倒的に少ない、審理が大幅におくれて、まず現実の社会の変化についていけないという状況があるわけですね。それで、その少ない裁判官が多過ぎる担当事件を抱えているわけですから、仕事の内容が当然質的な低下をもたらしているという、これは大変な問題だと思うんです。
 もう一つの問題は、行政訴訟が激増している今日なんですけれども、どうしても判決の傾向が上級裁判所に行くほど国寄りのものになっていく、そうしたケースが圧倒的に多いんですよ。しかも、その判決内容が明らかに世の中の良識と逆行するようなものが目立つということがあるんですね。これはさっき言いました行政機関への出向という問題だとか、また判検交流とその裁判官の行政機関への出向という慣習がやはり国寄りの権力的な癒着を生み出しているということが明確ではないかと考えているからなんです。
 この二つの問題を念頭に置きながら質問したいわけですけれども、裁判官不足だという現状にありながら裁判官が事務総局へ五十一人も行っているわけです。そして、各行政機関へは百四十一人も行っている。大変な矛盾なわけですけれども、これはただ勉強のためだとかいろいろ事情があってというような説明ではちょっと国民は納得できないと思うんです。
 ほかの機関への出向は、各行政機関の要請がある。これは要請はあると思うんです。しかし、それだけの理由ではいはいと裁判官が行くというのは余りにも主体性がないわけです。そうしますと、あえてこの二つの慣習が続いているということは、裁判所の方にとって何かのメリットがあるからじゃないかと考えざるを得ないわけです。なしにわざわざ人員を割いてそういうことをするわけはない。いろいろ調べてみたんですけれども、天下りとかもないようですし、何人かの司法関係者にいろいろと聞いてみたんです、一体何なんだと。大体の意見が一致しているんです。
 まず、裁判官が事務総局に行くというのは、その方が出世の早道になるということなんです。事実そうなっているわけです。なぜそのような構造になっているのか、御説明いただきたいんです。
#170
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官の出世とは何ぞやということもございますけれども、別に事務総局を出世の一つのルートにするとか、そういうふうな人事を考えているわけではございませんので、適材適所というつもりでやっております。結果的にそういう方が目立つこともあるのかもしれませんけれども、特にエリート養成とかそういうことで事務総局を考えるとか、そういう意図は全然ございません。
#171
○中村敦夫君 意図はなくても事実がそうだということは大変な問題だと思うんです。ですから、今の説明ではなかなかわからないんです。
 また、もう一つの方です、裁判官が行政機関へ積極的に出向いていく。これも何かメリットがあるのかというふうに考えるんですけれども、やはり政治家との接触とかさまざまな影響力、人脈というものがそこにできる。そうしますと、最高裁の判事の任命権なんというのは内閣が持っているということです。最高裁判事十五名ですか。そういう関係上、こっちの方が判事になって出世するのにはやはりメリットがあるというふうな説明しか出てこないんですけれども、これはどう考えていますか。
#172
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) そういう裁判所以外のところで仕事をすることの裁判所にとってというか、裁判官にとってのメリットということでございますが、これはこの前の御質問の際にもお答えしたんですが、一つは、裁判官が多様な経験を積むということがあることは前から申し上げているとおりでございます。
 それからまた、やはりこの点もこの前申し上げたと思いますけれども、実務法律家、資格を持って法律実務、特に裁判、そのうちでもなかんずく民事裁判の実務、そういう点の実情、こういうことに通じている人材というのが各方面で求められているわけでございます。裁判所に、裁判官でそういう仕事をしてくれる人はいないだろうかということになった場合に、これは国の事務、国の仕事全体として適正に行われるために協力するというのは、裁判所も国の機関の一つとしてやはり一つの責任ではなかろうか。こういうことで御協力をしているということでございます。
#173
○中村敦夫君 ですから、そういう形式的説明はやっぱり納得がいかないんです。要するに、裁判所がしっかりと自分たちの仕事をやる、そのために一番いいシステムをつくるということならば、裁判官がどんどんいなくなって不足しているということは一番デメリットなのに、あえてそれをやるというその理由の説明がやはり不明確です。相手が言っているからだとか国が言っているからだとかということでは余りにも主体性がないということを確認したいんです。
 法務大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり裁判官の行政機関への大量出向というのは、実質的にどう見たって司法の独立を阻害しているというふうに考えざるを得ないんです。それに対してのいろいろ弁解があるんですが、すべて空疎で、実際の事実というものは否定できないと思うんです。つまり、この国の三権分立というものが成り立っていないんじゃないか。ある意味ではこれは憲法違反だというふうに言えると思うんですが、どうお考えでしょうか。
#174
○国務大臣(中村正三郎君) いろいろな役所に裁判官が出向いて仕事をするということは、さっき答弁がありましたように、私はメリットもあると思うんです。と申しますのは、裁判官というのは大変特殊な裁判所の中でもって仕事をしてまいりますから、世間一般のことがだんだんわからなくなるとか、独善的な判断をするんじゃないかということがよく言われるのでありまして、そういう中で、いろいろな経験を積んで視野を広くして裁判に当たるということのメリットが一つある。
 それからもう一つは、いろいろな役所で、確かに特に複雑な民事事件だとか、刑事もそうでありますけれども、そういったことのわかる人材を欲しがっているという事実も実際にはあると思います。
 ただ、私が思いますのに、法務省に参りましたときに、法務省の訟務局にいっぱい裁判官の方たちが来ているというので、これはやはり国を代表して訴訟を起こすところと裁判をつかさどるところが人事交流をしていると、非常に俗な言葉ですけれども、李下に冠を正さずといいますか、なれ合いになるんじゃないかというような誤解を受ける危険があるというふうに感じまして、そういう問題も指摘してみたんですが、やはり法務省の所掌事務の中に、司法制度に民事、刑事、基本的な法律の立案とか、また訟務の遂行だとか検察の法律的知識だとか、大変な法律的知識を必要とする人がたくさん要るということで、どちらかというと裁判官の能力のある人をかりてきちゃっているような状況にあるんです。ですから、世間一般から見るとちょっとおかしなことになっているということであります。
 こういう理由はあるんですが、さはさりながら、確かに中村委員御指摘のように、ある面から見るとこれはおかしいということになるわけでありまして、これも私は、実は司法制度改革の中でいろいろ御論議をいただいて、方針を見出していただけたら大変ありがたいと思っているんです。
 というのは、片や法曹一元といって司法試験に受かられた方、この中にも何人もいらっしゃいますけれども、弁護士さんでも検察官でも検事でも裁判官でもベースは一緒だと。その中でわかり合って仕事をやっていくんだというような世界もあるわけでありまして、アメリカのように、あるところで活躍した方が今度は選挙でもって検事なりになっていくというようなシステムをとっているところもある。
 だから私は、法曹のボリュームをふやさなきゃいけないということは現実だと思うんです。裁判が遅い、うちの方の法務省も人が足りない、弁護士さんも忙しい。その全体のボリュームをふやしていく中で、法曹一元という思想も入れながら、その中でいかに人員の配置を考えていけばいいか。そういう中で、裁判所もそして行政もあらぬ疑いを受けないようにしていくにはどうしたらいいか。なおかつ、裁判所の方も検察の人も豊富な経験を積んで仕事が円滑にできるようにするにはどうしたらいいか。大変難しい命題だと思いますが、御指摘のような懸念はあるわけでありますから、そういったものを司法制度改革の中で御論議いただけたらというふうに今考えているところでございます。
#175
○中村敦夫君 今のお答えの中で、行政機関へ行って勉強させるというのはパターンで出てくるいつもの答えですけれども、行政機関というところ自体が実は世の中へ行って勉強しなきゃいけないほど非常に狭苦しいところなんですよね。ですから、その説明は成り立たないんですよ。それから、ほかの省庁が欲しい、これも単なる事情なんですよ。省庁が欲しければそこで人材を育てたりあるいは弁護士を起用したり、幾らでも積極的にやる気ならできるわけです。それをやらないでただ借り物だということでありますから、やはり私が質問をしているようなことを幾ら聞いても実態とは全然違った問題になってしまう。
 実態は、結局裁判が上へ行くほど国寄りになってしまうというような弊害、それから審理がおくれるというこの二つの問題がずっと続いているわけですね。最後に法務大臣がその問題を根本的にやっぱり議論していい制度をつくりたいという姿勢を見せていただきましたから、実際にその方向へ努力していただきたいんですよ。そうでないと、この国に三権分立すら成立していないとしたら無法国家のままじゃないかと私は思うわけです。
 質問を終わります。
#176
○委員長(荒木清寛君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#177
○委員長(荒木清寛君) 次に、去る十月十九日から二十一日まで本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。大森礼子君。
#178
○大森礼子君 それでは、委員派遣につきまして御報告申し上げます。
 去る十月十九日から二十一日までの三日間、司法行政及び法務行政に関する実情調査のために長崎県及び熊本県を訪れました。派遣委員は、荒木委員長、石渡理事、大野理事、円理事、橋本委員、福島委員、松岡委員及び私、大森の計八名でございます。
 まず、長崎県におきましては、入国者収容所大村入国管理センター、長崎税関、長崎地方海難審判庁及び長崎海上保安部から概況について説明を聞き、あわせて実情を視察いたしました。
 入国者収容所大村入国管理センターは、収容定員八百名、敷地面積五万三千百十平方メートル、鉄骨四階建ての国内最大の収容施設であり、平成八年に建てられたというだけあって、テレビ監視、放送設備あるいは診療室、レントゲン室等の近代的な設備を持っております。
 同センターは、現在、主として中国人及びベトナム人の集団不法入国者四百十四名を収容しており、これらの者の集団送還を行っております。同センターにおいては、中国人及びベトナム人との間において、言語、風俗習慣、生活様式の違いにより、また同じ中国人であっても出身地ごとにグループをつくるなどして、あるいは本邦での一獲千金の望みを絶たれた失望感などから対立、けんか等が絶えないなど、処遇に困難を伴っているということでありました。
 税関では、通関手続、関税の徴収などの業務を行っておりますが、法務委員会の所管の関係から申しますと、覚せい剤や銃器等のいわゆる社会悪物品の密輸などの取り締まりが非常に重要であります。長崎税関では、これらの社会悪物品をまさに水際で阻止すべく御努力されている職員皆様方のお仕事の一端をかいま見ることができました。
 海難審判庁では、海難審判という準司法手続を通じて、海難の原因を明らかにするとともに、その発生防止に寄与しております。長崎地方海難審判庁の管轄区域は、長崎―熊本間の海岸線が非常に入り組んでおり、その総延長も四千キロメートルと長い上に、多数の離島航路があり、さらには漁業が活発であるため漁船が多いなどといった特徴があります。今回の委員派遣では、実際に行われている海難審判を傍聴させていただくという機会も得まして、専門的知見を活用して海難の発生防止に取り組んでおられる現場を拝見することができました。
 長崎海上保安部は、集団密航事犯あるいは銃器・薬物事犯の取り締まり、さらには船舶交通の安全確保といった業務を行っております。特に、同保安部は第七管区海上保安本部に所属しておりますが、同管区は、東シナ海、対馬海峡を隔てて隣国と間近に接していることもあり、集団密航事犯が頻発しており、これに対処すべく命がけの取り締まりが続けられております。また、集団密航の手口も、隠し部屋を設けて密航者をかくまうなど、ますます巧妙かつ大胆になっているということであり、巡視船艇などによる監視・警戒態勢を強化して警備を実施しているということであります。
 次に、熊本県におきましては、熊本家庭裁判所及び熊本刑務所からそれぞれ概況について説明を聞くとともに、熊本家庭裁判所におきましては、少年事件について所長及び家庭裁判所調査官から御意見を伺い、熊本刑務所におきましては、庁舎及び刑務作業等の実情を視察いたしました。
 熊本における少年事件は全国とほぼ同様の傾向を示しております。少年事件のうち道路交通保護事件は減少傾向にあり、平成七年と平成九年とを比較しますと一・九%減であります。これに対して一般保護事件については微増傾向にあり、同様の比較では八・九%増の三千二百七十五名であります。平成九年に終局した一般保護事件で申しますと、その種別では窃盗が圧倒的に多く、四八・〇%を占め、次いで業務上過失致傷が二五・四%、遺失物等横領が一〇・四%の順となっており、以上で事件の八三・八%を占めております。また、年齢的には十四歳及び十五歳のいわゆる年少少年が一般保護事件の四五・四%を占め、中学生を中心とした低年齢化の傾向を示しております。
 熊本家庭裁判所では、実際に少年事件を扱っている現場の率直な御意見を伺う機会を得ました。そこでの意見の主なものを御報告いたします。
 まず、非行少年に被害者に迷惑をかけたという意識がない場合が多く、また、非行少年の親の方も少年が悪いことをしたという意識に欠ける面があるなど、非行少年及びそれを取り巻く親たちの規範意識が低くなっている傾向にあるといった意見が述べられました。
 次に、一般保護事件では窃盗が圧倒的に多いが、それは、物欲しさというものではなく、スリルやおもしろ半分、あるいは親を困らせるためといったものであり、中には窃取した物を中古店に売却して小遣い稼ぎをするなどといった事例もあること、さらには、少年が麻薬や覚せい剤等の薬物とかかわるのは、最近の少年が無気力、孤独であり、回復力が乏しくなっていることから薬物に依存してしまうのではないかという意見も述べられました。
 また、現在の少年審判は審判官が一人で行っているわけですが、一定の場合に合議制を導入しようという少年法改正の動きに関しまして意見が述べられました。それによりますと、実務の立場から見れば、比率的には低いものの、少年事件の種類によっては合議制を導入することで、審判官一人で審判を行う場合よりも自信を持って判断することができるのではないか等の意見が述べられました。
 熊本刑務所は、犯罪傾向の進んだ者約五百三十名を収容しております。刑務作業は、木工、洋裁、金属等を行っており、熊本刑務所独自のものとして剣道道具及び肥後象眼があります。同刑務所では、刑務作業中の事故防止等の観点からも、刑務作業場内が照明等の工夫により非常に明るく、道具、備品等がきちんと整理されているなど、作業環境に十分な配慮がされておりました。このほか、廊下の至るところにプランターに植えられた花が置いてあり、受刑者を何とか改善更生させようとする職員の皆様の御努力がうかがえました。
 最後になりましたが、今回の調査に当たり、現地関係機関から御協力をいただきましたこと並びに最高裁判所及び法務省当局から御便宜をお図りいただきましたことを、この席をおかりして厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。
#179
○委員長(荒木清寛君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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