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1998/12/01 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 本会議 第2号
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1998/12/01 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 本会議 第2号

#1
第144回国会 本会議 第2号
平成十年十二月一日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十年十二月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十一月二十七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。北澤俊美君。
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#4
○北澤俊美君 私は、民主党・新緑風会を代表して、小渕総理の所信表明演説に関連し、総理並びに関係大臣に質問をいたしてまいります。
 まず、質問に先立ちまして、ことしの夏から秋にかけての豪雨や台風による災害でお亡くなりになられた方々や御家族、関係者の方々に哀悼の意を表明するとともに、被災地の皆様方にお見舞いを申し上げます。民主党・新緑風会といたしましては、今後、災害の復旧に全力を傾注していく決意を表明する次第であります。
 さて、七月三十日に小渕総理を首班とする内閣が発足して、およそ四カ月がたちました。自由民主党は一昨年の衆議院選挙でも、さらにまた、ことしの参議院選挙でも過半数を獲得することができませんでした。自民党は政権維持のためになりふり構わず、他党の議員を引き抜いて衆議院で過半数を確保し、参議院での首班指名の結果を無視して、強引に政権政党の地位を維持してきました。まさに民意なき政権であります。
 衆議院が小選挙区制度になってからの選挙は、政党と政党の公認候補者を選出することによって総理大臣を選ぶ予備選挙的な意味合いも強くなってまいりました。このことは同時に、有権者が政権か反政権かを明確に意思表示することになったのであります。その制度の中で選出された議員が、政権の甘いささやきと権力への渇きに負けて変節することは、許しがたきことであると断定せざるを得ません。もし仮にそれをしようとするならば、辞職し、再度民意にみずからの政治行動を問うことが正道ではないでしょうか。
 この道筋を無視してきたここ二年余の我が国政治は、まさに民主主義崩壊か、あるいは民主主義の真空期間であったと思うのであります。この政治家の無節操とともに、これを受け入れてきた自民党の姿勢は、民主主義に背を向けた国民への背信行為そのものであります。
 私は、今、小渕総理が進めている自自連立について論ずる前提として、まずこのことに対する小渕総理の見解を伺いたいと思うのであります。
 また同時に、この時期、幹事長代理として、巷間、一本釣りを楽しむなどと伝えられ、らつ腕を発揮されたと言われておる野中官房長官にお伺いをいたすのでありますが、あなたは、彼らが国会議員とはいえども権力への誘惑の前に右往左往し、変節するさまざまな人間模様を見てきたことでありましょう。憲政の常道に照らして、政権党の多数派工作について見解をお聞かせいただきたいのであります。
 さて、今回の所信表明演説について二つの欠落を指摘いたします。
 その一つは、小渕内閣の景気対策の目玉として公約に掲げた減税に対する言及がほとんどなかったことであります。
 減税は、退陣した橋本内閣との決定的な違いであり、あなたの目玉政策であったはずであります。経済再生に内閣の命運をかけるとか、思い切った施策を果断に決定し実行に移したと見えを切っておりますが、あなたには危機意識のかけらもないのでしょうか。もっとも、十一月五日に早くも野中官房長官が減税の先送りを表明してしまっておりますので、長官お任せ総理とすれば何も言えなかったのではないでしょうか。しかし、事は重大であります。先送りがどれほど我が国経済に深刻な影響を及ぼすかおわかりですか。総理の見解をお聞かせいただきたいのであります。
 次に、政権の枠組みについてであります。
 十一月十九日に、総理は自由党の小沢党首と連立政権の合意をされました。民意に諮ることもなく、具体的な詰めを先送りしたまま、国会運営、選挙協力を優先させて連立内閣を組むことは野合政治であると断ぜざるを得ないのであります。
 また、内容、すなわち今直ちに実行すべき政策を見ますと、一小渕内閣にとどまらず、自民党の政策はもちろん歴史と伝統にもかかわることであります。おまけに、肩書きは内閣総理大臣と自民党総裁が並んでおります。弁明の逃げ道は閉ざされております。各項目は、まさに国政の根本にかかわるものであります。国連軍参加、消費税、閣僚数、政府委員制度、議員定数などの問題については、合意した以上、あとは実行あるのみでありましょうが、本当に実行されるのか、各項目についてお答えを願いたいのであります。
 さらに、この連立の意味するもの、目的について国民の前に明らかにすべきであると思うのであります。
 さらに、参議院の立場から申し上げますが、昨日の衆議院答弁では、この自自連立は前国会の経験から、特に参議院の過半数割れが発端となったようでありますが、仮にこの自自連立が成立しても参議院の過半数割れは解消しないのであります。安定政権とはほど遠いのであります。ほかに何か企てがおありなのか、それとも参議院はこの程度で何とかなるとでも思っておるのか、参議院軽視ではないのかということを申し上げたいのであります。
 次に、緊急経済対策及び第三次補正予算についてお尋ねをいたします。
 民主党はさきの臨時国会において、金融関連法が成立した後も国会を続けて、恒久減税を含む抜本的な景気対策を取りまとめて、補正予算を成立させるよう政府に提言してきました。しかし、政府は、さきの国会を閉会し、不況に追い打ちをかけました。景気対策の策定と補正予算の編成に手間取り、この国会の開会がおくれたあげく、さらに予算書が間に合わないという不始末であります。まことに残念のきわみであります。
 小渕総理は総裁選出馬に際しても、また八月の参議院本会議でも、恒久的な減税を実施すると約束いたしました。その後、九月の日米首脳会談、十月の先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議でも、日本は減税の実施を公約し、世界各国からも抜本的な景気浮揚策をとるように最後通牒を受けていました。減税抜きの景気対策は公約違反であり、容認するわけにはいきません。総理の釈明を求めるものであります。
 しかも、事業規模で二十三兆円超と、見せかけの規模を膨らませていることも問題であります。今回の補正予算に盛り込まれた景気対策関連の総額はわずか八兆円余りで、民主党が求める国費で二十兆円の対策に比べると不十分であり、しかも構造改革につながる対策が全く欠落していることは納得できません。政府の対策は国民、諸外国、市場の期待を裏切るものであり、十分な景気回復は到底見込めないものであります。
 政府が緊急経済対策を決めた翌日に、ムーディーズは、日本の国債と外貨建て債務の格付を最上位のトリプルAから一ランク下げダブルA1に引き下げました。さらに、経済企画庁の大本営発表では、政府の対策について向こう一年間の押し上げ効果は実質で二・三%と試算されていますが、主な銀行・証券系シンクタンクは、九八年度の押し上げ効果はわずか〇%から〇・三%にとどまり、九九年度でもたったの一・〇%から一・九%にしか効果がないと見ておるのであります。
 国内外からの専門家からも効果が少ないと指摘され、国民からも総スカンの対策で本当に日本の経済を立て直すことができると総理はお考えなのでしょうか。根本から対策をつくり直すつもりがおありかどうか、総理の見解を求めるものであります。
 民主党が従来から財政構造改革法の凍結を主張し、対案まで提出したにもかかわらず、政府・自民党は我々の声を無視してきました。この期に及んで財革法の凍結法案を提出したことは、まさに遅きに失しただけではなく、無節操な政策転換と言わざるを得ず、内閣の責任を厳しく追及したいと思います。総理はいかなる責任をとるのか、明確なる見解を求めるものであります。
 政府の緊急経済対策には、なぜ我が国が未曾有の長期不況から抜け出せないのか、なぜ過去の景気対策は効果がなかったのか等々について的確な分析が欠落しています。役所が旧来型の施策を出し、惰性的に積み上げているだけの対策であります。経済学者を交え真摯に経済政策論争を行った形跡も全く見られないのであります。
 私たちは、現下の経済危機の原因が単なる循環的なものではなく、冷戦構造崩壊や大競争時代の到来による世界経済の大転換、成熟・少子・高齢時代を迎えた社会構造の変化などに我が国の経済システムが適合できなくなっていることにあると考えているのであります。
 政府の緊急経済対策はいかなる理念、原則に基づいているのか、経済政策論についてどこまで議論したのか、過去の対策の効果をどう評価しどの点を修正したのか、総理から詳細に答弁をいただきたい。
 私たち民主党は、六つの理念に基づいて、十一月十二日、「減税 安心 未来への投資」をスローガンとした「構造改革につながる景気・雇用対策」を発表いたしました。六つの理念とは、第一に、将来の日本の構造改革につなげる政策を実施すること、第二に、質も規模も重視すること、第三に、民間、個人、市場の活力を重視すること、第四に、まず現在の危機を脱することに全力を尽くし、将来にわたる持続的成長を達成すること、第五に、国民が安心して暮らせるセーフティーネットを整備充実すること、第六に、地方財政には過大な財政負担を求めることなく国の責任で実施することであります。
 とりわけ、現在の経済にとって重要な五つの要素、すなわち資金、株式、土地・住宅、起業・創業、雇用に活を入れ、元気を取り戻すための斬新な施策を取りまとめました。
 以下、民主党の景気・雇用対策を紹介しつつ、質問をいたしてまいります。
 総理は演説の中で、政権発足以来思い切った施策を果断に決定し、実行に移してきたが、さらに今般、二十兆円を大きく上回る緊急経済対策を取りまとめたと力説されましたが、税制問題についてはこの臨時国会での具体案の提出をせず、通常国会への先送りを決め込んでしまいました。このため、税制問題についての総理の演説内容は、前回の臨時国会冒頭で表明された内容からほとんど一歩も深まっていないというお粗末さであります。
 一体、方針を最初に表明してから四カ月がたって、今なお内容を具体化できず、どうして思い切った施策を果断に決定したと言えるのでしょうか。来年の通常国会に法案を提出しても、実施できるのは早くて夏の初めになってしまうのではありませんか。国民や経済界の間では一月から実際に所得減税を実施すべきだという声が強まっております。なぜこのようにもたついたのか、いつから実際に減税を実施するつもりで検討を行っているのか、まずこのことを明確にしていただきたい。
 その上で、私は、個人所得課税を初めとする当面の減税についての民主党の考え方を申し上げ、総理の認識を具体的に何点かお尋ねいたします。
 第一に、民主党は、経済活力と国民生活の安心をもたらす抜本的税制改革の方向に沿った減税を実施すべきだと考えます。国民生活の安心感を高める中長期的な税制改革を前倒しで実現するという観点に立って実施すべきであります。
 特に、個人所得課税に関しては、橋本内閣が場当たり的な特別減税を繰り返して税制をゆがめた上に、景気対策としても見るべき効果をもたらさなかったという愚策の轍を踏むべきではありません。総理は、我が国の将来を見据えて個人所得課税をどのように抜本的に見直すことが必要と考えているのか、そのことと、当面の所得減税の内容はどのような関係に立つこととなるのか、御所見を賜りたいと思うのであります。
 第二に、総合課税化と課税ベース拡大による不公平是正が不可欠であるということです。
 実際の所得に対する税負担の割合について、依然として大きな不公平が存在していると言われます。個人所得課税改革に当たっては、まず納税者番号制度の導入による総合課税化、各種控除等の見直しによる課税ベースの拡大について方向と時期を明確にした上で、税率引き下げによる減税を前倒し実施するという進め方をとるべきだと考えますが、総理の御所見を賜りたいと思います。
 第三に、すべての所得階層を対象とした税率引き下げの制度減税を実施すべきであるということであります。
 所得税が課税されるすべての所得階層を対象に、各段階の税率を引き下げる制度減税を実施すべきだと考えます。我々は、具体的に所得税の一〇から五〇%の五段階の税率をそれぞれ二割程度ずつ引き下げて八から四〇%とすることを提案いたしております。また、これとあわせて、中間所得層の負担を緩和するために最低税率区分の上限を現行の課税所得三百三十万円から四百万円に引き上げることを提案いたしております。
 総理は、高額所得者層だけが制度減税の恩恵に浴し、その他の所得階層は一時的な定率減税で我慢しろとおっしゃるのでしょうか。それは国民各層一人一人の声に耳を傾けるという総理の政治信条に合致するものなのでしょうか。総理の率直な御見解をお聞かせください。
 第四に、我々は地方財政破綻を招く地方税減税には反対であるということを改めて強く表明いたします。地方へのこれ以上の減税の押しつけは、地方分権推進に逆行するだけでなく、地方財政を破綻のふちに追いやり、結局、国の行う景気対策の効果をも相殺することにしかならないからであります。むしろ、景気回復という観点からも、国から地方への税源移譲等により地方税財源を充実し、国民生活の安心感を高める社会的セーフティーネットの確立を図ることが必要です。
 以上の観点から、少なくとも当面の減税は基本的に国税の範囲内で国の負担によって行うべきであると主張いたしてまいりました。
 先週決着した国、地方の負担割合は、当初の宮澤蔵相案に比較して地方財政へのしわ寄せを減らしたという点では一歩前進ですが、問題が解決したのではないということを強調しておきたいと思うのであります。
 五番目に、税率引き下げ等による所得税減税とあわせて、扶養控除の見直しとセットで、児童手当を抜本的に拡充した子供手当を創設すること、さらに基礎年金国庫負担率二分の一への引き上げによって保険料を直ちに引き下げることを提案いたしております。
 民主党は、消費税の一時引き下げよりも、その財源を基礎年金等の福祉財源の安定化に充てることによって、将来に向けた国民生活の安心の基礎を確立する方向に政策を一歩進めるべきであると考えます。一時的な小手先の景気対策よりも、しっかりとした社会的セーフティーネットを確立することにより、生活不安の解消を図ることこそが現在求められているのではないでしょうか。これらの提案について総理の御所見を賜りたいと思います。
 次に、貸し渋り対策、中小企業対策についてお尋ねいたします。
 今、全国の中小企業は、倒産、廃業の多発に苦しみ、深刻な経営危機に直面しています。一番深刻な問題は中小企業に対する金融機関の貸し渋りであります。破綻金融機関と取引していた中堅企業に対する信用保証制度の確立にもめどがつきました。この法律を早期に成立させるとともに、さらに、政府系金融機関による貸付制度、信用保証制度を拡充させ、あわせて中小企業に対する貸し渋り、資金返済の強要、労働条件への介入を行っている金融機関に対する指導監督を強化すべきであります。
 中小企業対策については、とりわけ、物づくり産業対策と商店街対策に力を入れるべきだと考えております。物づくりの基盤技術を振興する施策を総合的に推進するため、民主党が取りまとめて、与野党で取りまとめ中の物づくり基盤技術振興基本法を早期に制定するとともに、熟練労働者の養成、中小企業の経営基盤強化、工場設置に関する規制の撤廃、緩和、工場アパート、賃貸工場建設の推進を図るべきであります。
 以上の私たちの提唱する貸し渋り対策、中小企業対策を政府はどれだけ実施するのか、総理の御見解を求めます。
 次に、中小企業金融安定化特別保証制度についてでありますが、さきの国会で成立し、既に累計で約二十四万件、金額で六兆円近い利用がなされております。中小企業者にとってはまさに干天に慈雨と評価されております。しかし、一方で多くの問題も指摘され始めました。我が党の調査によれば、信用保証協会は全国で五十二、支所百五十二所、職員約六千名、年間保証額十五兆円の規模であります。これに対し、全国の金融機関の数万の店舗から二カ月で約六兆円という、年間の半分に近い仕事が殺到したのであります。
 したがって、制度としての無保証、無担保に加えて、事実上の無審査状態となり、職員の士気、信条に悪影響を及ぼし、戦後五十年蓄積してきた制度を崩壊させる危険があります。このことは我が国信用補完制度の崩壊であります。
 さらに懸念されることは、財務基盤強化策としての保険公庫八千億円、保証協会二千億円の算出根拠である代位弁済率一〇%、回収率五〇%という見込みは、現場から見れば経験則的に代位弁済率二〇%、回収率ゼロ%に近いとの指摘があります。特に、回収率は時間差がありますので、五〇%を見込むことそれ自体がそもそも現実的ではないわけであります。これはゆゆしい問題であります。これのよって来る原因は、金融機関の不良債権処理を前提とした旧債の振替に利用されているということなのではないでしょうか。そうであるとすれば、明らかに旧債乗りかえ禁止の免責特約に抵触するものであります。しかし、今の時点でこれをチェックする能力はありません。
 中小企業育成、貸し渋り対策が銀行の不良債権回収に利用され、金融バブルを保証バブルに転化し、保証協会のモラルハザードを起こし、やがては保証協会のデフォルトに陥り、またしてもこれに税が使われるという図式であります。この問題提起に対し、通産大臣の見解をお伺いいたします。
 また、すべての前提であり、所信表明でも触れられている四十兆円の根拠についても明らかにしていただきたいのであります。多分、これは第U分類の八十兆をもとにしたことだと思います。第U分類の八十兆とはそもそも不良債権であります。不良債権を救うために保証協会を利用し、保証制度を利用して、それを銀行が悪用して、そして保証協会制度、保証補完制度を崩壊させるということは、国の根幹にかかわる問題であります。
 さらに、このことについては、過般、野中官房長官がはらわたが煮えくり返ると激怒されましたが、氷山の一角であります。地下に潜ってしまいました。利用者からすれば、半分でもゼロよりは助かるということでしょう。庶民の心をとらえ、正義の怒りを表明した野中官房長官の御見解をあわせてお伺いいたしたいのであります。
 なお、議員諸兄にも申し上げますが、この問題は今後も真剣に委員会等で論議すべき問題と提案をいたす次第であります。
 次に、戦後最大の危機に直面している地方財政についてお伺いをいたします。
 平成十一年度は収入不足がさらに増大し、今後行われるであろう減税の影響を除いても八兆八千億円の不足が予想されています。さらに減税の影響が加われば、収入不足が十兆円は超えるのは明らかな状況となっています。地方財政制度の抜本的な改革がなければ、地方財政の好転はあり得ないのです。地方分権が新たな「この国のかたち」を創造するための最重要手段と考えている我々民主党は、国の権限を大胆に地方に移譲すると同時に、財源も国から地方へ大幅に移譲することを訴えています。こうして地方が住民の監視と責任のもとで効率的な行政を行う体制を整えなければ、現在の地方財政危機の根本的な解決策とはならないと考えているのであります。
 そこで総理に伺います。今申し上げましたような構造的な地方における収入不足、公債費負担比率が一五%を超える団体が千八百以上もあるような状況に対して、どのような御認識をお持ちなのか。さらに、この状況を打開するためにどのような対策を講じられるのか、御答弁をお願いします。
 財政状況が困難な自治体は、来年度予算が組めるかどうかという状況になっております。これは緊急の課題であり、このことを念頭に、具体的で明快な答弁をお願いいたします。
 あわせて、現在政府で検討中の減税案について伺います。ここでは、特に地方の財源確保の観点から、今後予定される定率減税部分における住民税について、総理の考えをお伺いします。
 次に、この地方財政危機の大きな原因となっている公共事業について伺います。
 バブル崩壊以降、幾たびも行われてきた景気対策において、地方における社会資本整備事業は大きな役割を果たしてきました。しかし、この地方の協力も限度に達しております。既に景気対策への協力を拒む自治体が出てきています。この理由を自治体に聞きますと、一つには、国が進める事業と自治体が進めたい事業が一致せず、財政事情が苦しい中でやる気になれない。もう一つには、ここ数年の地方債発行増の償還負担が重くなり、これ以上地方債残高の増大を避けたいことが大きな理由であると言います。
 これへの回答は一つであります。景気対策として地方の社会資本整備事業を行うためには、地方が主体的に事業を選択できる財政資金を国が供給することです。我々はこのような観点に立ち、自治体が、すなわち住民が必要と感じる社会資本整備を地方債の発行なくして実現できるよう環境整備を図る所存であります。
 そこで、総理に伺います。
 まず第一に、今回の景気対策では、地方の協力が得られないことから地方単独事業を外していますが、これで本当に地域が必要と考える社会資本整備が可能とお考えなのか。同じ国の財政資金を活用するなら、事業選択は地方に任せた方がよいのではないか、すなわち民主党案を御活用になった方がよいのではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 総理は、早急な雇用の創出及びその安定を目指す観点から、中小企業における雇用創出、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充、職業能力開発対策の充実等から成る雇用活性化総合プランを実施し、特に雇用情勢に機敏に対応し、中高年の失業者に雇用機会を提供できるよう、緊急雇用創出特別基金を創設すると表明されました。
 雇用不安の深刻化に早急に歯どめをかけ、大胆な雇用創出策を実施することは景気対策の最も重要な柱の一つであります。民主党は、既に百万人雇用創出と新規事業創造のための提案を行っておりますが、今回の政府提案は、大筋において私どもの主張に沿うものであると受けとめております。ぜひともこの分野については与野党が一致協力して、知恵を出し合って、早急に抜本的な対策を講じるべきであると考えます。
 そこで次に、総理に特に一点だけ御提案申し上げます。それは、現行法にある失業給付の全国延長給付の要件緩和です。比率要件を四%から三・五%に緩和することで多くの受給者が救われることでしょう。総理の御所見を賜りたいと思います。
 次に、社会保障分野について伺います。
 来年の通常国会では、国民生活に直結する公的年金制度の改革が大きなテーマとなります。そこで、年金問題に絞って政府の基礎年金に対する基本的な考え方を伺います。
 私は、次期年金改正を真に抜本的な改革とするには、土台となる基礎年金の改革が絶対に必要であると考えます。先ごろ示された厚生省の考え方では、現行基礎年金の問題点をほとんど放置しており、小手先の改革案と言わざるを得ません。
 私は、基礎年金の財源は将来的に全額税で賄う方式を真剣に考えるべきだと思います。逆進性の高い定額保険料や保険料の未納、未加入など基礎年金の空洞化につながる懸案が解消でき、厚生年金の保険料も引き下げられ、だれもが基礎年金を受け取れることになるからです。現役世代の年金不信を解消するため、将来とも安定した年金制度を維持していくためには、次期改正で、基礎年金を将来的に全額税方式へ転換することを明確に示しておくべきではないかと考えますが、この点、総理の御見解をお伺いいたします。
 また、基礎年金の将来税方式を展望しつつ、来年度改正では具体的に国庫負担率を現行三分の一から二分の一へ引き上げるべきだと考えます。昨年六月三日の閣議決定では、基礎年金の国庫負担率の引き上げについては、財政再建目標達成後、改めて検討するとされていますが、財革法凍結となれば、閣議決定も当然凍結されるものと考えられます。九四年改正の国民年金法附則第二条に基づき、財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加え、政府として必要な措置を講ずる必要があると考えますが、この点、総理の明快な御答弁をお伺いいたします。
 自民党は前国会終了後、派閥活動が一段と活発になり、公然化しておるようであります。報道もいつの間にやら当然のことのように扱っております。やはり、人間が権力に向かって繰り広げる人間模様ほど興味深いものはないのでしょう。いわく、分裂、世代交代、禅譲など何かと騒々しい限りであります。自民党のおごりであります。国民にとっては危険な兆候であります。なかんずく、派閥の会長職の去就が重要閣僚の進退と連動して悩んでいるかのような発言が公然と報じられております。小渕総理、自民党の派閥は復活したのですか、お伺いをいたします。
 終わりに、再び自自連立について、自由党は理念と政策を大切にする政党であると思っております。私自身、経世会分裂以来のお仲間も多数おいでになります。無節操に党利党略の数合わせに走っているとは思いたくありません。しかし、提示された政策は大変に高いハードルとなっております。多分、連立が成立するにはハードルをかなり下げなければ無理なのではないかと思います。そうすれば、事志と異なって、批判されておるように野党の疲れと権力への渇きに負けたことになります。そんな小沢党首であるはずはないはずであります。多分今は、押してよし、引いてもよしの小沢流でやっていることでありましょう。まだ連立が成立していないので公式的な質問はできませんが、ぜひ代表質問の際にきっちりと事の成り行きを説明していただきますよう、自由党に対し要望をいたしておきます。
 自民党も実は大変なことになっているんではないでしょうか。つい先ごろまで、この国の将来を一緒にやっていくことはできないとか、一人になっても反対するなどという言葉が飛び交っていた小沢党首とにわかに連立すると言われても、国民はただ耳を疑うばかりでありましょう。その理由として、この国の窮状にかんがみとかなどと言っても、それはしょせん自民党の窮状であります。さらには、小渕内閣の窮状であります。結局のところは、政治家の保身以外の何物でもないのであります。その結果、国民の政治不信だけが増幅されることになるのであります。
 このような政治状況に対し、過去幾つかの言葉がありますが、一つは、吉田茂先生の「回想十年」の中に、「政権維持のための」政党の「合同は、邪道である」と言っておられます。また、今日の一方の当事者である小沢さんは、平野さんの著書「小沢一郎との二十年」の中で、「現在の連立政権は、政権維持だけを目的に一緒になっている。三党の枠組みでやりたいのなら早く解散して国民に信を問うべきだ」と厳しく批判したと書かれております。みずからの言葉に忠実であるべきは政治家の務めであります。
 さて、小渕総理、景気対策で行き詰まり、その打開のために連立を組もうとすれば、解散が憲政の常道であります。どうやら小渕内閣も袋小路に入ったようであります。早期に衆議院を解散し、国民に信を問うべきだと考えます。小渕総理の御所見を求めて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(小渕恵三君) 北澤俊美議員にお答え申し上げます。
 冒頭、議員の政党間の移動や参議院での首班指名の結果との関連で、民意とこの内閣についてのお尋ねがありました。
 私は、先般の参議院選挙後、憲法の定めるところにより総理大臣に任命されたところであります。この間、参議院選挙の結果、自由民主党は引き続き第一党であったものの、衆参両院での首班指名の決定が異なったことは十分承知をいたしておるところであります。
 また、議員の党籍の移動につきましては、それぞれ議員御自身の御判断、哲学あるいは主義主張などでそうした結果になっておるわけでありますので、私からこの問題に申し上げる立場にはない、このように考えております。
 減税と経済の現状について御指摘がございました。
 現下の日本経済は、金融機関の経営に対する信頼の低下や雇用不安などを背景として、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資が低迷している状況にあり、地価や株価の低下と相まって、企業や金融機関の経営環境を厳しいものといたしております。さらには貸し渋りや資金回収を招くという、いわば不況の環とも申し上げるべき状況で、厳しい環境にあります。
 こうした中で、今般の緊急経済対策では、個人所得課税につきまして、平成十一年から最高税率の五〇%への引き下げ等による四兆円規模の恒久的減税を行うとともに、法人課税につきましても、平成十一年度から実効税率の四〇%への引き下げを行うことといたしております。本対策におきましては、これらを含め、諸施策を強力に推進いたしてまいりたいと考えております。
 次に、自由党との合意に関しましてでありますが、国連軍参加、消費税、閣僚数、政府委員制度、議員定数の問題についてお尋ねがありました。
 先般の党首間の合意では、小沢党首提案の政策につきましては、基本的方向で一致をいたしていることは当然であります。これに基づきまして、現在、両党間で協議を既に始めておるところであります。議員御指摘の諸問題につきましては、私としては、この両党間の協議を踏まえて実行いたしていく所存であります。
 参議院における自由民主党と自由党との議席数が過半数に達しないとの御指摘があり、参議院軽視ではないかとのお尋ねでありました。
 私といたしましては、自由党との連携に加え、各党各会派に対しましても、党派を超えてさまざまな御意見に真摯に耳を傾けるとともに、御理解と御協力を広くお願いをいたしまして、我々考えております国民に対する責務を果たしてまいりたいと思っておりますので、各党各会派におかれましての御協力も心からお願いをいたすところでございます。
 自由党との合意の目的などにつきまして、国民の前に明らかにすべきとの御指摘がありました。
 私は、政権発足以来常々申し上げてきておるところでございますが、厳しい経済状況を初めとして国家的危機とも言うべき内外とも困難な状況にありまして、この経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣最大の使命であり、また、政治に課せられた最大の責任であると認識をいたしております。こうした政治に課せられた責任を全うするためには、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であります。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返ってみますると、各党に個別課題ごとに御協力をお願いし、真剣なお取り組みをいただいてきたところではありますが、実際問題としてなかなか厳しい難しい面があったと実感いたしておるところでありまして、こうした経緯は経緯としながらも、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できれば、よりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真摯に模索してまいったところでありました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通のものとし、国家と国民のため政権をともにし、責任ある政治を行うこととして合意いたしたところであります。この合意は、小沢党首提案の政策につきまして基本的方向で一致をし、予算の編成や政権のあり方について国家国民の期待と信頼にこたえるよう合意いたしたところであります。
 以上、自由党との合意の経過や背景につきまして考えを申し述べたところであり、各位の御理解をお願い申し上げる次第であります。
 次に、景気対策について、恒久的な減税の実施の先送りをしたとのことであり、公約違反であるという厳しい御指摘を含めたお尋ねでございました。
 恒久的減税につきましては、緊急経済対策におきまして、実は、私は本年八月の所信表明の演説でも申し上げておるところであり、もちろん今般の臨時国会におきましても同様のことを申し上げたわけでございまして、個人所得課税につきまして、平成十一年から最高税率の引き下げ等による四兆円規模の恒久的な減税を行うとともに、法人課税について、平成十一年度から実効税率四〇%程度への引き下げを行うことといたしておるところでございます。
 なるほど、私といたしましては、自由民主党の総裁選挙におきましてこのことを公約といたし、このことが自由民主党の御了解を得た上で、政府の考え方といたしましても実施をいたそうといたしておるわけでございます。現下、この問題につきましては、党並びに政府税調で精力的に検討していただいておるところでございまして、そうした意味で、次期通常国会にこれを提案するということが私の正式のお約束でございまして、このことは必ず実行いたしてまいりたい、このように考えております。
 緊急経済対策につきましては、日本経済を立て直すことができるかとのお尋ねでありました。
 政府は、今般、総事業規模にいたしまして十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めますれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめたところでございまして、これを受けまして編成される第三次補正予算は、国及び地方の財政負担が十兆円を超える規模のものとなります。本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりプラス成長に転換させ、平成十二年度までには経済が再生できますよう、内閣の命運をかけて全力を尽くすことはしばしば申し上げておるところでございます。
 財政構造改革法の凍結法案についてでありますが、少子・高齢化が進む我が国において将来の社会、世代のことを考えますときに、財政構造改革の実現は引き続き重要な課題でありますが、現下の極めて厳しい景気状況にかんがみれば、まずは景気回復に全力を尽くすことが肝要と考えております。したがいまして、財政構造改革を推進するという基本的な考え方はこれを守りつつ、財政構造改革法を当分の間凍結することといたしたものであり、御理解をいただきたいと思います。
 今回の緊急経済対策の理念、原則についてお尋ねがございました。
 今般の緊急経済対策では、まず金融システムの安定化・信用収縮対策、あわせて景気回復策を早急に実施することといたしております。
 本対策における景気回復策は、経済戦略会議の短期経済政策への緊急提言、これを踏まえまして、二十一世紀型社会の構築に資するよう、即効性、波及性、未来性、この三つの観点を重視して取りまとめたものでございます。例えば、社会資本の整備につきましては、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野に大胆に重点化することといたしております。
 また、過去の対策についてもお尋ねでございますが、九〇年代に入ってからの累次の経済対策による公共投資の増加につきましては、バブル崩壊後の民間部門の設備投資の落ち込みを相殺する形で景気がスパイラル的に悪化していくのを防止し、その下支えに貢献してきたものと考えております。また、減税は可処分所得の増加を通じて個人消費にプラスに働き、さらに、民間部門のマインドの好転にも寄与したと考えられ、他の諸施策と相まって景気に効果的に作用いたしたと考えております。
 恒久的減税の実施時期についてお尋ねがございました。
 先ほども御答弁いたしましたが、恒久的な減税につきましては、これまで国、地方の分担について精力的に検討を行いまして、先般その結論を得たところであります。今後、さらにその具体化に向けて政府及び党の税制調査会において鋭意検討を行ってまいります。いずれにいたしましても、所要の法案につきましては、来年度予算編成とも極めて関係することでございますので、法案の立案作業に要する期間等を勘案いたしまして、所信表明でも申し上げたとおり、来年の通常国会に提出をいたします。
 このうち、所得税につきましては、暦年課税であることから来年一月にさかのぼって適用し、法人課税につきましては、既に本年四月からかなり税率の引き下げを実施いたしておることから、さらなる引き下げは来年四月から実施することといたしておる次第でございます。
 個人所得課税の減税についてお尋ねがございましたが、個人所得課税につきましては、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から、最高税率を六五%から五〇%へ引き下げるとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることにより恒久的な減税を行い、減税規模は四兆円を予定いたしておるところでございます。
 かねて、個人所得につきましては最高税率が極めて高いということも言われてきておりますが、一方、これを引き下げることは富裕層に対する、この税率の引き下げはそうした方々に対するものでないかという批判も世にございましたが、しかし、この際はやはり国際的な比率も勘案しつつ、この際、最高税率を引き下げるということにいたした次第でございます。
 税率構造につきまして、各種控除を初めとする課税ベースや課税方式と相まって、所得課税の基本構造を構成いたしておりまして、そのあり方につきましては、課税ベース等のあり方も含めた総合的な議論が必要でありまして、税率構造だけで議論いたしますことは適当ではないと考えます。しかし、現在の景気の状況に照らせば、今申し述べたような、最高税率の引き下げと定率減税の組み合わせが現時点で行い得る最善の策と考えられます。
 納税者番号制度に関しましても、制度目的、プライバシーの問題、経済取引への影響等の諸課題について議論を深めていく必要があると考えております。
 税率構造全体のあり方や各種控除のあり方につきましては、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、課税方式のあり方とあわせて、抜本的な改革に向けて腰を据えて見直しを行っていく必要があると考えております。
 次に、経済対策として今求められておりますのは、生活不安の解消を図るための政策ではないかという御指摘でございます。
 今般の緊急経済対策におきまして、我が国の将来を見据えた抜本的な見直しを展望しつつ、個人所得課税について、平成十一年から四兆円規模の恒久的減税を行うことといたしましたが、これを含めまして、本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、国民の間に生まれている我が国経済社会の将来に対する不安感を払拭するため、全力を尽くしてまいります。
 なお、児童手当につきましては、三歳未満の時期に給付を重点化した制度改正を行ったという経緯から、児童手当のあり方についてさまざまな御意見があることを考えますと、慎重な検討が必要であると考えております。
 また、基礎年金国庫負担率の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、今回の年金改正で実施することは困難と考えております。
 次に、貸し渋り対策につきましてのお尋ねでございました。
 いわゆる貸し渋り、融資回収等による信用収縮を防ぎ、中小中堅企業等に対する信用供与が確保されるよう、さきに決定をされました中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた施策を強力に推進するとともに、貸し渋り対策の強化のための政府系金融機関の融資の拡充や新たな信用保証制度の導入、貸し渋りに対する監視体制の強化等に万全を期してまいります。
 中小企業対策についてのお尋ねでありました。
 政府におきましては、物づくりを支える基盤的技術の維持、活性化が我が国製造業の競争力強化に不可欠との認識のもと、各省連携しつつ、人材育成事業等を実施してきたところでありますが、今後とも施策の強化を図ってまいりたいと考えております。また、中心市街地活性化法等に基づく商店街活性化支援策につきましても、引き続き強力に推進してまいります。
 次に、地方財政についてのお尋ねがございました。
 地方財政につきましての認識、その対策についてでございますが、地方財政は現在の我が国経済の厳しい状況により、多額の財源不足が続き、借入金が急増するなど極めて厳しい状況にあることは十分認識をいたしております。したがいまして、経済対策を着実に執行することによりまして、我が国経済を回復軌道に乗せるよう努めるとともに、毎年度の地方財政対策におきまして、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源の確保に努め、地方財政の運営に支障が生じないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、住民税の定率減税についてお尋ねがありました。
 今回実施することといたしておる恒久的な減税につきまして、地方財政の厳しい現状等を踏まえまして、定率減税を含めた個人住民税の減税規模を一兆一千億にとどめることにいたしておるところであります。
 なお、定率減税を含め、今回の恒久的減税による地方の減収分につきましては、当分の間の措置として、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置、法人税の交付税率の上乗せ、地方特例交付金の創設など、できる限りの措置を講ずることといたしたところであります。
 今回の経済政策は地方単独事業を外しておることから、地域に必要な社会資本整備が可能かとのお尋ねでありました。
 最近の地方財政の状況は急激に悪化し、一段と厳しい状況にあること等を踏まえ、地方単独事業の追加は要請しなかったものであります。
 補助事業につきましては、地方団体がそれぞれ地域の実情を踏まえ、その実施を申請するものであることから、地域の実情に即した社会資本整備が図られるものと考えております。
 また、包括的補助金方式を採用すべきとの御意見でありますが、地方分権推進計画や地方分権推進委員会第五次勧告に沿って、公共事業に関し、できる限り個別の補助金にかえて適切な目的を付した総合的な補助金を交付し、地方団体に裁量的に施行させるなど、補助金の整理合理化を図ることといたしております。
 次に、雇用保険の全国延長給付についての御主張とお尋ねでございましたが、この制度は、年齢、地域、離職理由を問わず、すべての受給資格者を対象に給付日数を延長するものでありますので、その発動基準につきましては慎重に取り扱う必要があり、現時点におきましてはこれを変更することは考えておりません。
 次に、基礎年金の財源を将来的に全額税方式に転換することを明確にすべきとの御意見もありました。
 税方式につきましては、給付と負担の関係が明確である社会保険方式の長所が失われること、年金の性格が生活保護と類似のものに変化し、資力調査等の導入による給付制限が避けられないのではないかといった諸問題があり、慎重な検討が必要であると考えております。
 また、基礎年金の国庫負担率を来年度改正におきまして二分の一へ引き上げるべきとの御意見がありましたが、基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況にかんがみ、来年度の年金改正で実施することは極めて困難であると考えております。
 基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的方法と一体として検討する必要がありまして、将来の検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等をあわせて議論いたしてまいるべきものと考えております。
 次に、自由民主党の派閥についてお尋ねがありました。
 自由民主党におきましては、かねてよりいわゆる派閥の解消を初めとする党改革を進めてきたところでありまして、かつてその弊害が指摘されたような派閥が復活してはならないと考えております。
 一方、政策や国家の将来ビジョンなどを追求する政策グループの存在や活動は党の活性化につながるものであり、また、これは否定すべきものでもありませんが、このことは、かつてのようないわゆる派閥の復活と受けとめられることのないよう、党内において十分戒めていくべきものと考えております。
 最後に、解散の問題についてお触れでございました。
 我が国は現在、国家的危機ともいうべき内外とも困難な状況にあります。まずは我が国の経済再生に向け、あらゆる施策を果断に実行していくことこそこの内閣の最大の使命であると考えております。改めてこのことに思いをいたしますときに、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきであり、解散は全く念頭にありません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(野中広務君) 北澤議員の私に対する質問にお答えをいたしたいと存じます。
 いわゆる議員の政党間移動は、それぞれの議員がみずからの政治信条に基づき、みずからの主義主張と政党の理念、政策等を踏まえて、みずから判断し行動するものでございます。
 他の党から自由民主党への入党につきましても、それぞれその議員各位がみずからの自由意思で、自由民主党の理念、政策等に共鳴をいただいた上で、しかるべく入党手続を踏んで入党されたものでございまして、私は職務上その方々の選挙区及び地元県連の調整を行ったにすぎないのであります。
 議員の政党間の移動につきましては、殊のほか御経験の深い北澤議員でございますので、十分御承知のことと存じます。
 政党の連合、連立についてこれを野合と御指摘されますならば、いわゆる細川内閣が、近年におきましては羽田内閣を含めてその先鞭を切られたものと承知をしておるわけでございます。
 中小企業に対する貸し渋りについて私にお尋ねがございました。
 貸し渋りの対策につきましては、非常に深刻な中小企業の資金運転状況につきまして、小渕総理から早期の対応が通産及び大蔵省に求められまして、国会にも敏速な御審議をお願いいたしまして、十月一日から貸し渋り対応特別保証制度をスタートさせていただいたところでございます。
 連日、各信用保証協会におかれましては、昼夜の別なく、土日もなく、深夜に及ぶまで御苦労を賜っておることをありがたく厚くお礼を申し上げる次第でございますけれども、その中には早い時期に旧債権をこの際に保証協会の保証をもってつけかえようとした、いわゆる貸しはがしとでもいうべき状況がややあらわれたわけでございますので、私どもはその状況について会見で尋ねられて、私自身はらわたが煮えくり返るなどとやや品性に欠ける発言をしたことを思い起こしております。
 しかし、おかげさまで今日、それぞれ関係者の御努力によりまして円滑な保証が進んでおり、連日またそれぞれ保証協会関係職員の皆さんの御苦労をいただいておることを感謝しておるところでございます。
 なお、貸し渋りあるいは旧債権の回収等について、なお金融機関において現実にそのようなことがあるとするならば、都道府県や政府関係当局にお申し出をいただいて、私どもも適切な措置をしてまいりたいと存じておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(与謝野馨君) 旧債の振替についてお尋ねがありました。
 民間金融機関が信用保証協会の保証つき貸付金をもって当該金融機関の既存の債権の回収に充当する、いわゆる旧債の振替については、中小企業者にとって経営上プラスとなる場合以外は原則認めておりません。
 先般創設された貸し渋り対応特別保証制度についても同様の取り扱いをすることとしており、各信用保証協会に対し、所要の指導を行うとともに、かかる趣旨について、当省から金融監督庁に対し、民間金融機関への周知徹底方を要請しているところでもあります。
 また、各都道府県レベルでも、金融関係団体、中小企業団体、信用保証協会等の関係者による地域融資動向に関する情報交換会を設置し、御指摘の点について金融関係団体等に要請し、きめ細かな対応が図られるよう努めているところであります。
 次に、信用保証協会についてのお尋ねがございました。
 まず、さきに答弁したとおり、銀行の既往債権に関するいわゆる旧債振替については、従来より原則これを認めておりません。
 次に、特別保証制度においては、保証要件の大幅な緩和により信用保証協会のモラルハザードが懸念されるが、それを回避するためいわゆるネガティブリストを設け、本リストに該当する場合には保証をしないこととしております。
 また、信用保証協会の財務基盤の強化の観点から、本制度においては特別会計を設け、通常の経理とは別会計とし、新たに必要となる資金について国から全額補助することとしており、第三次補正予算案に所要の予算を計上しております。
 また、本保証制度の実施に当たり、各信用保証協会の窓口において円滑な保証の実行が図られるよう、自治省にもお願いし、都道府県に対し、信用保証協会の窓口の対応状況等を把握し、必要に応じ専門家を派遣する等の要請を行ったところであります。
 総理の所信表明でも触れられている四十兆円の根拠についてのお尋ねですが、この数字については、民間金融機関の自己査定の結果や民間金融機関の貸し出しに占める中小企業向け債権の割合等を考慮し、民間金融機関の不良債権処理が進む過程で発生する中小企業等に対する信用収縮に備えてのセーフティーネットとしては、約四十兆円という数字を念頭に置く必要があると判断したものであります。
 なお、中小企業等貸し渋り対策大綱におきましては「信用保証について特に二十兆円の保証規模を確保すること」とされており、これと政府系金融機関における所要の資金量の確保とあわせ、資金規模において総額四十兆円を超える対応が可能とされているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(斎藤十朗君) 中曽根弘文君。
   〔中曽根弘文君登壇、拍手〕
#9
○中曽根弘文君 私は、自由民主党を代表して、所信表明演説に関し、経済情勢全般、安全保障、外交問題を中心に総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 二十一世紀に向けて世界じゅうで人や物、金、さらに情報の交流が盛んになる中で、日本の経済社会はますます世界との連携が強まっております。グローバルな観点から日本を認識しつつ、日本の主張とその責任を明確にする必要性は一層高まってまいりました。そのような視点がなければ、我が国のありようを正確にとらえることはできません。政治も経済もまさに世界から日本を見ることが不可欠となっております。
 現在の日本経済はかつてない厳しさを経験しておりますが、その要因は国内事情からのみでなく、同時に世界経済の動静からの影響を強く受けた結果とも言えます。
 世界経済を展望しますと、ロシアや中南米などにはまだ不安要因がかなり残っています。しかし、アメリカでは株式など資産価格の上昇を伴う景気拡大が持続しており、欧州では来るべき通貨統合に向けた金利水準の収れんが、強弱はあるにせよ各国の経済活動を刺激し始めています。それに、東西欧州の経済金融交流の活性化が企業のビジネスチャンスを広げ、欧州全体を未知の経済フロンティアへと導きつつあるようであります。
 一方でアジア各国の情勢を見ますと、昨年来、通貨の不安な状態が続き、経済の混乱もいまだ完全におさまってはおりません。ただ、短期資金の流出の一巡、中国を中心とした中華経済圏の安定、国によっては政治情勢の落ちつきなど域内要因に加え、欧米の景気拡大にも支えられて、最悪期は脱しつつあるようにも見られます。
 最初に、総理は世界経済の現状をどう見ておられるのか、さらには将来の見通しについてどのような御見解であるか、承りたいと存じます。
 とりわけ、中国を初めとするアジア経済は日本にとって関連の度合いが高く、非常に重要であります。日本はアジアなくしては生存し得ません。また、アジア諸国も日本なくしては発展し得ません。先日、APECも開催されましたが、日本はリーダーシップを発揮し、アジア経済の立て直しにも大きな役割を果たさなくてはなりません。総理のアジア経済に対する御認識と見通しを伺いたいと存じます。
 さらに、最大の債権国、国際協力援助国としての立場、円の地位の強化拡大等を踏まえつつ、今後この地域に日本はどのような貢献をしていくべきなのか、あわせて承りたいと存じます。
 次に、我が国の経済対策について質問いたします。
 言うまでもありませんが、世界やアジア経済の発展に大きく貢献をするためには日本経済を一日も早く立て直し、牽引力となる必要があります。先般の臨時国会において、金融の再生、早期健全化のための法律が成立いたしました。これにより金融の危機管理に対する国民の理解も深まり、結果的に六十兆円にも及ぶ公的資金の導入が可能となるなど、信用不安の解消に大きな効果が期待され、当面のシステミックリスクは回避されつつあるようであります。この六十兆円の準備は恐らく平時においては前例もなく、日本の底力を示すものであります。
 近く金融再生委員会が発足して、不良債権処理、早期健全化に向け適切な運用、処理がなされていくものと期待していますが、多様な金融の危機管理にいかに迅速に対応し得るか、大規模な資本の注入により早急に貸し渋り解消や金融のリストラ再編を進め得るか、これから正念場を迎えます。金融システムの安定化、早期健全化に対する取り組みについて、金融担当大臣の御決意を伺います。
 我が国が世界恐慌の引き金を引くことが絶対あってはなりません。逆にこのような世界的危機の中で、苦しいときにあっても積極的に世界経済の安定化、健全化のために貢献すべきであります。
 今回、財政構造改革法を全面的に凍結し、四月の十六兆円を上回る経済対策に加え、約二十四兆円とまさに史上最大の緊急経済対策が打ち出されました。対策の総額規模の大きさだけでなく、この対策が国民の雇用不安、中小企業、中堅企業の経営不安等にいかに適切にこたえ、アジア経済の安定にも貢献するか、その真価が問われているのであり、一日も早い補正予算の成立が望まれているところであります。
 この経済対策により景気の足元を固め、早急に景気を回復基調に乗せ、三年連続のマイナス成長を何としても避けねばなりません。民間の幾つかの研究所では来年度もマイナス成長になるであろうと予測しているようでありますが、プラス成長を確実なものとできるのかどうか、経済企画庁長官の見通しをお聞かせいただきたいと存じます。
 さて、企業の倒産が急増し、リストラが進展する中で、現下の雇用情勢は完全失業率が三カ月連続で過去最悪の四・三%で推移する等、戦後最悪の状態にあります。民需が冷え込んでいる大きな原因は雇用不安にあると言っても過言ではありません。今回、一兆円規模の雇用対策が講じられ、百万人の雇用創出を掲げた雇用対策が明らかになりましたが、その内容は、中小企業における雇用創出のための支援と中高年齢者の再就職支援が大きな柱となっております。
 従来の雇用対策は失業者の救済に重点を置いておりましたが、今回、積極的に雇用創出のための戦略的なプログラムを用意している点は、雇用対策を大きく前進させるものとして大いに期待できるものであります。今後、各省庁横断的に協力し合って効果のあるものに仕上げていっていただきたいと思います。
 今回の緊急経済対策、第三次補正予算と来年度予算と合わせて十五カ月予算として一体的、連続的にとらえ、公共事業の執行等、切れ目なく実施するとともに、所得税、法人税の恒久的減税や住宅関連諸税の減税の拡充を行いつつ、景気浮揚力をさらに強めていく必要があります。
 来年度予算の編成も間近に迫っておりますが、大蔵大臣はどのような基本方針で平成十一年度予算を編成されるのか、どの程度の規模で何を重点とされるのか、お聞かせ願いたいと存じます。
 さて、我が国は、経済のみならずさまざまな分野でかつて経験したことのないような難局にあります。このようなときは、与野党を問わず、国を挙げて諸問題の解決に取り組まなくてはなりません。そして民意に従い、従来の発想を打ち破る斬新で機動的な政策を大胆に実行していかなくてはなりません。
 総理は、先月十九日、自由党の小沢党首との会談において、両党の連立に向けた合意をされました。このことにつきましては、国民の皆さんから見れば多少唐突という感があるかもしれませんが、安定した政権基盤の確保という大局的見地からの政治判断であろうと思います。私は、一日も早くこの危機的状況を脱出し明るい将来を築くためにも、ぜひ他の会派の皆さんにも再度呼びかけていくべきではないかと思います。
 このたびの自由党との連携の合意について、改めて自民党総裁でもある総理から国民の皆さんに御説明いただき、さらに他の会派との政党間連携、また、今後の国会運営への対処方針についても御見解をお聞きしたいと存じます。
 次に、外交・安全保障問題について伺います。
 総理は、十月八日の日韓首脳会談を初めとして、先国会閉会後の一カ月余りの短期間に米中ロとの首脳会談やAPECの非公式首脳会議等を精力的にこなされ、相互理解、信頼関係を深められました。これらの会談は、アジア初め世界の経済の安定化、平和の維持のため、非常に大きな意義があったと評価するものであります。
 先月十二日、モスクワで行われた日ロ首脳会談の結果、モスクワ宣言が発表され、両国は平和条約を二〇〇〇年までに締結するよう全力を尽くすとの決意が表明されました。これにより、さきにクラスノヤルスク及び川奈で行われた橋本前総理とエリツィン大統領との口頭での合意が宣言の形で公式文書化したことは、極めて重要な成果であります。
 国境画定委員会につきましては、北方領土に関する我が国の主権の確定が棚上げされ、またはこの問題が先送りされないようにしつつ、早急に交渉を開始し、少なくとも平和条約の一部として同時に解決されるように取り組んでいかなければなりません。今後のロシアとの交渉に関する具体的な取り組み方針について総理のお考えを伺いたいと存じます。
 先月中旬にクアラルンプールで開かれたAPECの一連の会議において、早期自由化の優先九分野や急激な短期資金移動問題に対する方策等が真剣に協議されました。特に、アジアの金融危機への対応は非公式首脳会談の最重要課題でありました。
 その中で、新たに総額三百億ドル規模のアジア資金支援策、いわゆる宮澤プランは、アジアの金融安定に大きく寄与するものとして各国から高く評価され、さらに、日米共同による五十億ドルの金融支援計画も打ち出されましたが、これらの具体化が急がれるところであります。
 また、危機の引き金となったヘッジファンドなどに対し、どこまで規制をすべきか議論され、投機資金の情報開示等について作業部会を設け検討することで合意を見ましたが、これについても急を要することであり、我が国も積極的に推進していく努力が必要であります。
 以上、二点の今後の進め方など具体的構想について大蔵大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
 次に、日米首脳会談についてお尋ねいたします。
 この会談では、クリントン大統領は、総理が公的資金の注入を決断したことや今回の緊急経済対策を評価する一方、我が国に対し、一層の規制緩和による市場の開放が求められました。
 また、ガイドラインの完全実施に必要な立法措置につきましては、その実現に期待するとの表明がありましたが、これは北東アジア地域の安全保障や日米関係の強化を図る上で早期に成立させることが重要であります。
 北朝鮮問題につきましては、弾道ミサイルの発射、秘密核施設疑惑問題等が重要なテーマとして取り上げられましたが、金大中韓国大統領との会談でも、北朝鮮に対する日韓の政策協議の強化が強調されております。
 今後、日米韓の三国が連携を一層強化するとともに、我が国としても安全保障面での情報の収集能力を高め、的確な対応が図れるよう体制を早急に整備すべきと考えます。対北朝鮮政策についてどのような措置を講じていかれるのか、具体的に総理にお尋ねをいたします。
 さて、先週の二十五日に江沢民中国国家主席が来日し、二十一世紀に向けて平和と発展のための友好協力パートナーシップの確立、アジア経済危機の克服のための協調、また環境問題を初めとする幅広い分野での協力、さらに、五年間に一万五千人の青少年の相互訪問等が打ち出され、両国関係にとって大きな成果が得られたと思います。
 韓国の金大中大統領が先日来日されたときに、二十世紀に起きた不幸は二十世紀中に結末をつけたいと述べられ、過去の問題に区切りをつけ、日韓の新しい時代が始まりました。日中関係についても同様に、今回の首脳会談で未来へ向けての新たなスタートができたと考えますが、日中首脳会談の成果について総理の御所見をお伺いいたします。
 さて、先月十五日には、沖縄県の知事選挙が全国民の注目の中で行われ、我が党が応援した稲嶺恵一候補が大差で当選されました。これは、暗礁に乗り上げていた米軍の普天間飛行場の代替施設についての協議や沖縄の振興推進に大きな意義があり、基地問題への現実的対応が期待されるところであります。
 総理として、この選挙結果をどのように受けとめておられるのか、また今後基地問題、沖縄の振興策等にどのように取り組まれるのか、基本的な方針をお聞かせ願います。
 次に、教育問題に関して伺います。
 先日、学習指導要領の改正が発表され、また大学審議会の答申が行われました。詰め込み教育から考えさせる教育への転換、また高い研究水準、個性的な人材育成を目指した大学教育の改革等が提唱され、自主的で大胆な改革を進めようとしており、ぜひ着実に実現していただきたいと思いますが、これらは教育制度や学校での教育方法についての改革であります。
 昨年の神戸の少年による殺傷事件以来、青少年の健全育成の重要性が叫ばれ、家庭教育、社会教育の必要性が再認識されております。大切なのは心豊かな人づくりであろうと思います。戦後五十年を経過した今、戦後の教育について振り返り、二十一世紀に向けての教育制度や社会環境を整備していかなくてはなりません。さらに、教育の憲法ともいうべき教育基本法の見直しも私は必要と考えます。
 あすの日本を担う青少年の育成という観点から、教育というものについてどのようにお考えなのか、また、教育基本法の改正についての御所見なども、総理並びに文部大臣にお伺いしたいと存じます。
 二十世紀も終わりに近づき、間もなく二十一世紀を迎えます。この二十世紀は、核が開発され、多くの人命が戦争で失われるなどの不幸もありましたが、科学技術の急速な進歩などにより、月面に人が立ち、宇宙にも滞在できるようになりました。一方、環境の破壊は人類の将来に大きな不安を投げかけています。私たちは、二十世紀がどういう世紀であったか今ここで検証をし、反省すべきところは反省をして新しい世紀を迎えなくてはなりません。
 二十世紀はいろいろな意味で歴史に残る世紀であります。来る二十一世紀をすばらしいものとするための基礎づくりは、現在の私たちに課せられた大きな使命であり、行政改革を初め改革すべきことはまだまだ数多くあります。二十一世紀への準備をいかにするか、残された時間は多くはありません。特に、私たち政治に携わる者一人一人の責任は身も震えるほど大きなものであります。二十一世紀を間もなく迎えるに当たって、日本をどのような国にしていったらよいとお考えなのか、世界に大きな影響力を持つ日本の総理大臣としての御所見を最後に承りたいと存じます。
 大切なことは、国民や企業の皆さんに、将来どうなるのか、先行きの見通し、展望等をお示しすることであると思います。解決すべき課題も多く、総理大臣の責任は重く、御苦労も多いことと思いますけれども、誇りと夢や希望の持てる明るい時代を切り開く先導者として、思い切った仕事をしていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(小渕恵三君) 中曽根弘文議員にお答え申し上げます。
 まず、世界経済の現状と見通しについてのお尋ねでありました。
 世界経済の現状は、新興市場諸国における通貨、経済の混乱を初めといたしまして、先進国におきましても先行きに対する不透明感が見られるなど、依然として厳しく、将来の見通しにつきましても、引き続き注意深く見守っていく必要があると認識いたしております。
 アジア経済に対する認識についてでございますが、多くのアジア諸国では景気が後退し、総じて厳しい状況にあります。しかし、高い貯蓄率や人的資本の蓄積など、これまで高成長に支えてこられた諸要因は、今回の危機により大きく変わったわけではなく、今後各国の経済改革が進展することにより、再び成長軌道へ回復することを期待いたしております。
 御主張の中で、政治も経済も世界の目から日本を見直すことの必要性を説かれておられます。私も、先般来、各国の首脳とお話をする中で、特にクリントン大統領と日米の経済のあり方につきましてお話をいたしました中で、申すまでもありませんが、世界経済の規模で米国が二五%、あるいは日本が一五%、合わせますと四〇%に近い大きな生産力を持つ二国間が力を合わせていかなければならないことをお互い理解し合って、そしてその責任を痛感いたしておるところでございまして、そうした意味で、日本がその大きな力というものにつき、日本自身も改めてそれを認識し、その責任を果たしていくことは、アジアのみならず世界に対する大きな責任と改めて感じた次第でございます。
 アジア地域に対する我が国の貢献についてもお尋ねがありましたが、我が国は、既に表明いたしましたアジア支援策の着実な実施に加えまして、新たな資金支援スキームや日米共同イニシアチブを表明し、これらの実施に向け今般の緊急経済対策の中でも所要のアジア支援策を盛り込ませていただきました。
 我が国としては、最大の債権国、援助国として今後ともできる限りの支援を行ってまいりますが、御指摘にもありましたように、APEC首脳会議に参加いたしまして、我が国が先般いわゆる宮澤構想として発表させていただいております三百億ドルの支援スキームにつきましては、各国ともその内容につきまして大変な関心を寄せておるところでもございまして、そういった意味で、我が国としてとるべきすべての協力支援につきましても、これを遂行していかなければならない、こう考えた次第でございます。
 次に、自由民主党と自由党との連立に向けた合意の目的と今後の国会運営について、政権与党としてのお立場からのお尋ねもございました。
 御指摘にもありましたように、確かに国民の中に一部唐突感を持たれたということも事実かと思いますし、自由民主党の党内におきましても若干の困惑のありましたことも承知をいたしております。しかし、私といたしましては、このことに関しましては、以下申し上げるような理由によりまして、トップダウンになったかもしれませんけれども、決断をし決定をさせていただいた次第でございます。
 そのことは、厳しい現在の経済状況を初めとして、現在、国家的危機ともいうべき非常に内外とも困難な状況の中で、何としてもこの経済危機を乗り越えて国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、政治に課せられた最大の責任であると認識いたしております。この点は、まさに中曽根議員の御指摘のとおりだというふうに考えております。したがいまして、こうした政治に課せられた責任を全うするためには、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していく必要が不可欠であります。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返りまして、各党に個別課題ごとに御協力をお願いし、真剣なお取り組みを願ってきたところでありますが、実際問題といたしましてなかなか厳しい面のあったことも実感をいたしておるところであり、こうした経緯は経緯として考えましても、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、まさに中曽根議員が言われたより安定的な形での政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真摯に模索をいたしてきたところでございます。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを数次重ねました結果、私と小沢党首の間で、現在国家的危機のただ中にあるとの時代認識を共通のものとし、国家と国民のために政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意したところであります。この合意は、小沢党首提案の政策につきましては基本的な点で一致をいたし、国家国民のために政治がスピーディーにかつ効率的に機能するよう、ともに協力をしてまいりたい、このように考えております。
 また、自由党との協力に加えまして、議員御指摘のように、各党各会派に対しましても、党派を超えて、そのさまざまな御意見には真摯に耳を傾けるとともに、御理解と御協力を広くお願いをしてまいる所存でございます。
 以上、自由党と合意の経緯や背景、今後の国会運営につきまして、私の考えを申し述べさせていただきましたが、各位の御理解をぜひお願い申し上げる次第でございます。
 次に、外交問題につきまして、対ロ交渉についてお尋ねがありました。
 先般の訪ロの際に署名いたしました宣言では、平和条約交渉を加速することで一致をし、国境画定委員会の設置等の前進が見られたことは、中曽根議員御指摘のとおりであります。今後とも、間断なき対話の継続を通じ、さまざまな分野での関係を強化して、東京宣言及びモスクワ宣言に基づき、二〇〇〇年までに北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 モスクワにおきまして、エリツィン大統領初め、プリマコフ首相等とお話を申し上げましたが、私は、日ロの関係を加速していくという点におきましては、ロシア側の責任ある方々のお気持ちも極めて強いものと認識をいたしてまいりました。でありますが、なかなかこの平和条約の締結という問題については、これから間断なき努力を続けていかなければならない、こう考えておりますので、一層この点につきましても努力をいたしてまいりたいと思っております。
 次に、北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 御指摘のありました北朝鮮のミサイル発射及び秘密核施設の問題は、我が国及び北東アジアの安全保障という観点から極めて重要な問題であると認識をいたしております。我が国としては、引き続き安全保障面での情報収集能力の向上を含めた体制の整備に努めるとともに、米国及び韓国と緊密に連携しつつ対北朝鮮政策に積極的に取り組み、北東アジアの平和と安定のために力を尽くす考えであります。
 北朝鮮問題につきましては、現下核問題も含めまして四カ国でこの問題を論議されておりますが、北東アジアというよりアジア全体の平和と安定を考えましたとき、この四カ国とともに我々は近隣のロシア並びに日本も参画した形での六カ国による話し合いも進めるべきであると私自身が主張いたしておるところでございまして、なかなか実現可能性につきましては対象国がございますので難しいことではありますけれども、そうした不断の努力は傾注いたしまして、この地域がいっときも早く安定的な状況になりますよう努力をいたしてまいりたいと思っております。
 次に、日中首脳会談に対するお尋ねであります。
 今次会談では、率直な意見の交換を行うことができ、この点双方とも評価いたしております。江主席も会談終了後、直接私に大変よい会談であったということを申し述べられておりました。また、この会談を踏まえて共同宣言及び協力強化のための共同プレス発表を作成し、双方の一致により日中両国が共同の目標に向けてともに行動する枠組みを示すことができたと考えております。日中関係を今後さらに安定的なものにする上で、未来に向けて新たなスタートの基礎を構築できたものと考えております。
 次に、沖縄県知事選及び同県の基地問題、振興策についてお尋ねがありました。
 さきの沖縄県知事選挙では、政府と連携した経済対策の重要性を訴えてこられた稲嶺恵一氏が当選され、その結果を重く受けとめております。
 沖縄県の振興策につきましては、同県が直面する深刻な経済、失業の状況を踏まえまして、沖縄政策協議会を今月十一日にも開催するなどして本格的な振興策を速やかに実施してまいりたいと思っております。
 また、基地問題につきましては、政府としては、稲嶺氏の新知事としてのお考えを十分拝聴した上、同県の協力と理解のもと、SACO最終報告を踏まえまして、米軍の施設・区域の整理、統合、縮小に向け今後とも強力に取り組んでまいります。
 教育についてのお尋ねがございました。
 教育問題につきましては、中曽根議員、ライフワークとしてもお取り組みをしておられまして、また、その御主張に対しましては、本院の予算委員会等で御質問等をお聞きいたしまして、深い敬意を持っておったところでございますが、この教育について、子供たちの問題について、心豊かな人づくりのため、戦後教育を振り返り、二十一世紀に向けて教育制度や社会環境を整備すべきであるという御主張は、全く私はそのとおりと考えております。子供たちが心豊かに成長することは、二十一世紀を確固たるものにするための基本と考えており、心の教育の推進など教育改革に最善を尽くしてまいりたいと思っております。
 なお、教育基本法の見直しの検討につきましては、戦後教育の基本としてその果たしてきた役割を踏まえ、国民的な議論を積み重ねながら、慎重に行っていくべきものと考えております。
 最後に、二十一世紀を迎えるに当たり、日本の目指す将来像についてのお尋ねがございました。
 私は、二十世紀に生じたさまざまな問題や、特に我が国の戦後の経済社会の限界問題などをきちんと整理整とんして新しい二十一世紀に入るべきだと考えており、その意味でも二十一世紀あるいは新しいミレニアムに入るここ数年が極めて重要な時期と認識をいたしております。このため私は、国際関係におきましても、国内の政治、経済、社会の問題につきましても、今世紀で起こったことはぜひ今世紀で解決したいとの考え方で全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 こうした実際の取り組みと並行いたしまして、二十一世紀における我が国が目指す国のあり方につきましても、私の考え方をお示しすることが、議員御指摘のとおり政治家としての責任であると自覚をいたしており、その意味で、既に本年八月の所信表明演説におきましてその一端をお話しさせていただいたところでありますが、去る十一月二日に大阪大学におきまして、「二十一世紀の日本」をテーマとする公開討論会に出席をいたしまして、その考えるところを直接学生諸君にもお話を申し上げさせていただきました。
 私の目指すものは、国内的には一人の能力がより自由で、より公正な形で最大限発揮できるような活力のある社会であって、同時に安全や生活のよりどころなど安心が保障される社会であり、その結果、経済的な繁栄にとどまらず、国民が誇りに思うことができ、同時に、国際社会の中で信頼されるような国家、いわば富国有徳を目指してまいりたいと考えております。
 中曽根議員の御指摘、御激励にこたえて、これからも全力を挙げて努力をいたすことを改めてお誓い申し上げて、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣柳沢伯夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(柳沢伯夫君) 近く金融再生委員会が発足をするという御指摘をいただきつつ、金融システムの安定化、早期健全化に対する取り組みについてお尋ねをいただきました。
 金融システムの安定化を実現し、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復するとともに、信用供与の円滑化を図ってまいることは現下の喫緊の課題であると心得ておりまして、このような心得のもとで的確に取り組んでまいる所存であります。
 また、金融機関におきましては、金融システム改革、いわゆるビッグバンが進展する中で、戦略的な業務再構築などによる経営の健全化に向けての主体的な取り組みが求められているところであります。政府といたしましても、早期健全化法の実効的な運用を図りまして、我が国金融のリストラ、再編を促してまいることなどにより、金融システム全体としての再構築と経済の活性化に最大の努力を払ってまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(堺屋太一君) 来年度のプラス成長を確実なものにできるかどうか、その見通しについてのお尋ねでございますが、政府は今次の緊急経済対策の策定に当たりまして、平成十一年度において、はっきりプラス成長と自信を持って言えるような需要を創造すること、失業者をふやさないで雇用と起業を推進すること及び国際協調を推進することの三点を目標といたしております。そのために、緊急対策の総事業費は十七兆円を超え、恒久的な減税を含めれば二十兆円をはるかに上回るような規模になったわけであります。
 また、特に厳しさが増すと思われます雇用問題に対しましては、百万人規模の雇用の創出・安定を目指す雇用対策を打ち出しております。
 政府は、さきの臨時国会において決定していただきました金融安定化スキームに加えて、本対策を初めとする諸政策を強力に推進していくことによって、金融の不安、需要の不足、雇用の不安という三点の不況の環を断ち切ること、これによって平成十一年度には我が国経済をはっきりプラス成長に転換させられるように全力を尽くす所存であります。
 なお、十一年度の具体的な成長率については、七―九月のQE、四半期別国民所得統計速報やその他の経済諸指標を踏まえて、政府見通しとして近くお示しする、今月中にもお示しすることができるだろうと考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、十五カ月予算についてのお尋ねでございましたが、御承知のように、ただいま政府といたしましては、現下の厳しい経済情勢から早急に脱却し、内外の信頼を回復することが第一、喫緊のことでございますので、御承知のような緊急経済対策を決定いたしたところでございます。これを受けまして、第三次補正予算を編成いたしました。
 これらの諸措置は、金融システムの安定化あるいは資金循環を円滑にすることなどを通じまして、短期的な需要喚起をすることができると思いますが、それによりまして、現下の厳しい状況からの脱却に役立つと考えております。同時に、しかし長期的には、供給サイドの体質強化を通じまして、二十一世紀に向けて我が国経済の中長期的な安定成長にそれがつながっていくものと考えております。
 したがいまして、十一年度予算の編成に当たりましては、これらの基本認識につきましては変わりがございません。年度末から年度初めにかけまして切れ目なく施策を実行することが重要であると考えておりまして、第三次補正予算と十一年度予算とをいわゆる十五カ月予算として一体的、連続的にとらえ、景気情勢に的確に対応した予算を編成しなければならないと考えております。
 税制につきましては、個人所得課税及び法人課税につきまして六兆円超の恒久的な減税を実施することは既に申し上げてございますが、また、住宅建設あるいは民間設備投資など、本当に有効かつ適切ないわゆる政策税制につきまして、ただいま精力的に検討を進めているところでございます。
 次に、先般のAPECの会議に関しまして、アジアの金融危機に対応するために、私の考えました構想あるいは日米共同イニシアチブにつきましてのお尋ねがございました。
 御承知のようなアジア各国の金融情勢でございますので、去る十月にワシントンでG7の会合がございましたときに、これら各国の大蔵大臣、中央銀行総裁にお集まりをいただきまして、私の考えを御説明いたしました。その際、各国から、できるだけ具体的に早く考えを実現してほしいというお話がございましたので、各国ごとにミッションを派遣することにいたしまして、既に大部分派遣をいたしましたが、十月にインドネシア、十一月にタイ、また十一月にフィリピン、十一月の終わりにマレーシア、ただいま韓国に派遣をいたしておりまして、各国の具体的な要望を承りまして、それをできるだけ早く実現してお役に立ちたいと考えているところでございます。
 それから、いわゆる政府が決定いたしました緊急対策におきましても、これらを具体化するために事業規模一兆円程度のアジア支援策等を実施することといたしておりまして、その内容は、予算面で申しますと、日本輸出入銀行の追加投資五千七百億円、あるいはアジア通貨危機支援資金拠出国債三千六百億円等々を財源といたす措置を考えておるところでございます。
 それからもう一つ、さきのAPECで議論のございましたヘッジファンドについてお尋ねがございました。
 先ほど御指摘がございましたように、APECの会議において、国際的な機関投資家のこのような行動をどういうふうにするのか、透明性を向上させる必要がある、あるいはディスクロージャー等々の問題について議論がございました。また、十月のIMFの会議におきましてもこういうことについての議論は当然にございました。
 この問題でございますが、国際的に短期資本の移動をどの程度に自由にするかということはいろいろな議論がございまして、恐らく中曽根議員におかれましても御所見をお持ちと思います。したがいまして、あえて私個人の考えとして申し上げたいと思いますが、私は、基本的には先進国の間では短期資本の移動はやはり自由であることが大事であろうと考えております。ただ、他方で、先般見ますように、それが新興国に向かっていろいろな、いわばスペキュレーションを起こした、マハティールさんの言うこともあながち間違いではないという点が確かにございますから、そう考えますと、全く野放しにするわけにもどうもいかないであろう。
 私自身といたしましては、基本的に将来に向かってできるだけ自由にしていきたいという気持ちのゆえに、むしろこの際いろいろな意味でのディスクロージャーの要求であるとか、あるいはモニター制でありますとか、そういうものを考えておくべきではないか、そういう考え方を私個人としてはいたしておりますけれども、今後とも、国際会議を通じてこのことはいろいろな形で検討されていくことになりますので、我が国としても積極的にそれに参加をいたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(有馬朗人君) 中曽根弘文議員の御質問にお答えいたします。
 あすの日本を担う青少年の健全育成という観点から、今後の教育についてのお尋ねでございました。
 次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長することは、二十一世紀に向けての基本的な事柄であると考えております。そのため、教育を一層すぐれたものにすべく最大限の努力が必要であると考えております。このことを踏まえまして、文部省といたしましては、教育改革プログラムにより改革の推進に努めてまいりました。
 教育基本法では、教育は人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成を期して行うことを定めており、今後とも、この精神を踏まえ、心の教育の推進や道徳教育の充実など、教育改革に最善を尽くしてまいります。
 なお、教育基本法の見直しの検討につきましては、戦後教育の基本としてその果たしてまいりました役割を踏まえ、国民的な議論を積み重ねながら慎重に行っていくべきものと考えております。(拍手)
#15
○議長(斎藤十朗君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
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ソース: 国立国会図書館
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