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1998/12/02 第144回国会 参議院 参議院会議録情報 第144回国会 本会議 第3号
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1998/12/02 第144回国会 参議院

参議院会議録情報 第144回国会 本会議 第3号

#1
第144回国会 本会議 第3号
平成十年十二月二日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十年十二月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員予備員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 大森礼子君から裁判官訴追委員予備員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(斎藤十朗君) この際、欠員となりました裁判官訴追委員予備員一名の選挙を行います。
 つきましては、裁判官訴追委員予備員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官訴追委員予備員に堂本暁子君を指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、第三順位の阿部幸代君を第二順位に、第四順位の福島瑞穂君を第三順位に、第五順位の月原茂皓君を第四順位に、堂本暁子君を第五順位といたします。
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#8
○鶴岡洋君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました小渕総理の所信演説を中心に、山積する内外の諸問題について質問いたします。
 我が国経済は、二年連続でマイナス成長に陥り、失業率は四%を超え、有効求人倍率も〇・四八倍で過去最低記録を更新するなど、これまでに経験したことのない深刻な事態であり、経済危機からの一日も早い脱出が最優先課題となっております。
 昨年来、増税や医療費負担の引き上げなど、政府の誤ったデフレ政策や年金、医療、介護等の社会保障に対する先行き不安などによって消費が大幅に落ち込んでおります。その結果、生産設備や労働力が過剰となるデフレギャップが発生し、今や我が国の需給ギャップは三十兆円とも言われております。今、小渕内閣が最優先して取り組むべきことは、今日の沈滞した国民の消費マインドを喚起し、景気回復を図ることであります。
 世界第二位の経済大国日本の経済の動向は、そのまま通貨・経済危機に瀕しているアジア諸国の経済に連動し、さらには世界経済へと波及していくのであります。先般、クリントン・アメリカ大統領や江沢民中国国家主席が来日した際も、経済問題を中心に広範にわたる諸問題について首脳会談が行われましたが、このような状況を見ましても、我が国のトップリーダーである小渕総理の責任は国内的にも国際的にもまことに重大であります。
 それでは、質問に入ります。
 まず最初に、自民党と自由党の連立問題についてお伺いします。
 七月の参議院選挙では厳しく対立、対決してきた自民党と自由党が、突如として閣外協力から来年通常国会では本格的な連立へと進展するやに言われております。国民は、一体参議院選挙での厳しい審判は何だったのかとの思いがするのではないでしょうか。政治・行政改革、安全保障、税制改革など両党の政策合意を見ると、これまでの自民党政権の政策から相当に踏み込んだ内容となっております。総理、これまでの経緯と今後の見通しを含めて、国民に明確に説明すべきであります。お伺いいたします。
 次に、アジアの通貨・経済危機についてお伺いいたします。
 さきにマレーシアで開かれたAPECは、ロシア、ペルー、ベトナムの新規加盟で二十一カ国・地域となり、地理的にも世界経済的にも巨大な存在となりました。その首脳会議では、深刻なアジアの通貨・経済危機への対応が最大の緊急課題となったことは周知のところであります。
 我が国がこのアジアの通貨・経済危機にいかに取り組み、アジア太平洋経済の安定、世界経済の回復のためにどのように対応するか注目される中で、金融支援策として総額三百億ドルの宮澤構想を提案し、APEC首脳宣言に盛り込まれました。私は、この宮澤構想については率直に評価し、期待しております。また、ヘッジファンドなど短期資本取引の監視強化と取引資本の流れを把握するための作業部会の設置を確認できたことも評価するものであります。
 ただ、ここで総理に一点確認しておきたいことがあります。最後まで紛糾した我が国の水産物、林産物など九分野の早期自主的自由化問題は、来年のWTO、世界貿易機関の閣僚会議で再び協議することになったとのことでありますが、参加各国からは冷ややかな視線が送られたとも言われております。我が国の漁業者や林業者などの関係者、さらには消費者、国民も大変心配しております。政府は来年のWTO交渉にはどのようなスタンスで臨まれるのか、お伺いします。
 次に、第三次補正予算案の骨格になる緊急経済対策についてお伺いします。
 十一月十六日に政府は、過去最大規模の対策として二十四兆円に及ぶ緊急経済対策を決定いたしました。株式市場、外為市場の反応は冷たく、総じて民間の評価も景気回復の力強さに欠けるというものでありましたが、政府はこれによって九九年度には確実にプラス成長を実現すると表明しております。
 しかし、二十四兆円といっても直接的な需要の喚起につながらない部分も多く、消費や設備投資など民間需要を喚起する効果はいささか懸念されるところであります。また、経済の牽引力である設備投資は、昨年の四月から六月期に比べ、ことしの四月から六月期は約八兆円も減少している上、従来型の公共投資も目立つことを考えると、政府の方針どおりはっきりとプラスになるかどうか、非常に疑問であります。
 総理は、八月六日、第百四十三臨時国会における初めての所信表明演説で、政治主導のもとスピーディーに政策を実行してまいりますと、政策決定の迅速化を約束し、六兆円を上回る恒久減税の実施を表明いたしました。以来、四カ月が経過しておりますが、今もって所得税、住民税の恒久減税の中身が具体的には示されておりません。
 総理、経済が非常事態にあることを考えると、こうした悠長なことは許されません。しかも、緊急経済対策の四兆円規模の恒久減税は、金額的には既にことし実施した四兆円の特別減税に相当するものであり、減税規模が大きくなるわけではありません。報道されたところによると、年収七百万円以下の所得層では逆に増税になるおそれがあります。また、減税の需要創出効果はほとんど期待できないとも言われておりますが、恒久減税の具体的な内容とともに総理のお考えをお伺いいたします。
 また、緊急経済対策は二十一世紀を展望した先端電子立国の推進、大都市交通対策、情報ネットワーク化の推進などが盛り込まれており、その方向性はそれなりに評価できますが、景気浮揚効果に対するインパクトはまだ弱いと言わざるを得ません。今日の経済非常事態を考えると、もっと具体的で効果のある緊急対策が必要であります。
 そこで、これは私が常々考えていたことでありますが、景気浮揚対策の一環として全国の高速有料道路の無料化を提案したいと思います。
 総理、アメリカではハイウエーはほとんど無料であります。欧州でも、アウトバーンで有名なドイツを初めEU諸国はすべて無料と聞いております。そのため物流が大変スムーズであることは周知のところであります。
 高速道路は、人間の体に例えれば動脈に相当するものであります。血管が詰まれば病気になります。血管の流れがよくなれば元気になり、健康体になります。全国の高速有料道路を無料化すれば、渋滞の解消、輸送コストの低減、国内旅行の活発化など、相当の経済効果が期待できるのであります。年間十二兆円にはなるであろうとの話もあります。むだの多い公共事業を続けるより、一年間でも試験的に実施する価値が私は十分あると考えますが、総理、御見解を聞かせてください。
 次に、中小零細企業対策についてお伺いします。
 中小零細企業は我が国経済の基盤であり、活力の源泉であります。しかし、バブル崩壊後、仕事量の減少、相次ぐ倒産、金融不安による貸し渋りが中小零細企業の経営を大変圧迫しております。今回の緊急経済対策でも貸し渋り対策が強化されることになっておりますが、政府系金融機関による対応だけでは限界があると思います。総理、どの程度の貸し渋り防止効果があると考えているのか、しかと承りたいのであります。
 また、下請企業は、受け取り拒否、買いたたき、支払い遅延等に直面して非常に厳しい環境にあります。下請企業は、親企業の不当ないじめがあってもみずからその不当性を言い出すことができない状況にあります。下請企業を守るため、特別監視体制等を組み、この不当な企業圧迫を厳しく取り締まる必要があると思いますが、どのように守っていくのか、具体的対応策をあわせてお伺いします。
 次に、地域振興券について自治大臣に確認させていただきます。
 この地域振興券は、本年初めに我が党が総額十兆円規模の減税対策の一環として提案した四兆円規模の商品券構想に端を発するものであります。夏の参議院選挙でも、景気対策の一つとして国民にその実現を訴えてきたところであります。その後、商品券支給法案もつくり、国会へ提出し、いろいろ努力を重ねてきた結果、当初案より後退はいたしましたが、公明党と自民党の合意によって地域振興券という形で実現したものであります。
 この地域振興券は、市区町村が実施主体となって永住外国人も含め約三千五百万人に支給することになり、第三次補正予算案に七千六百九十八億円が計上されており、国民の間では大変期待されております。
 既に公的機関の発行するいわゆる商品券については、東京都港区、板橋区、千葉県野田市、京都府園部町など、地域の活性化に相当の効果を上げて大変好評な事例が各地で見受けられ、既に数百の地方公共団体で実施されたり、計画されております。地域振興券の使用できる範囲が原則として市区町村であることを踏まえると、消費拡大の呼び水として地域経済や商店街の活性化に多大な効果を期待できると私は確信をしております。
 ともかくも国が主導しての地域振興券は、我が国で初めての試みであります。国民の間に多少の戸惑いもあるとも思いますが、無事故でスムーズに実施できるよう万全を期していただきたいと思います。
 次に、少子化対策についてお伺いします。
 少子化の進行で、我が国の人口は二〇〇七年を頂点に減少に転じて、以後二十一世紀を通して減少を続けると予測されております。出生率が減少し、その結果、人口が減少することによい面もあります。しかし、そのことが経済社会と社会生活に深刻な影響をもたらすことも、また事実であります。国が少子化対策に総力を挙げることの重要性は、高齢者の介護対策の重要性に決して劣るものではありません。少子化社会を特集した平成十年版厚生白書は、「少子化の要因への政策的対応は、労働、福祉、保健、医療、社会保険、教育、住宅、税制その他多岐にわたるが、中核となるのは、固定的な男女の役割分業や雇用慣行の是正と、育児と仕事の両立に向けた子育て支援である」と述べております。
 この考えを私は全面的に支持いたしますが、現実には緊急保育対策等五カ年事業、いわゆるエンゼルプランは、財政構造改革法のあおりも受けて目標達成は絶望視されております。また、その他の少子化対策についてもさまざまな施策が展開されておりますが、子育て中の家庭でそれを喜んでいる人はだれもいないと言っても過言ではありません。
 私は、二十一世紀において子供を産み育てることに喜びを持てる社会にするには、その施策の対象となる方々が私たちのことを社会は十分に理解してくれていると実感できるような、例えば児童手当制度の支給額や支給年齢の拡大など思い切った対策が必要と考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、年金問題についてお伺いします。
 本来、年金制度など社会保障制度は国民の生活に安心感を与えるべきものであります。ところが、厚生省の年金制度改革は、保険料を引き上げ、しかも給付水準は引き下げというものであり、国民の不安心理をいたずらにあおるものであります。それでは国民は将来への希望を失い、また、老後の生活不安から財布のひもをかたく締めるのは当然であります。
 公的年金については、現在の年金水準を維持すること、現役勤労世帯の負担が過重にならないようにすることなどを勘案して、現在の基礎年金の国庫負担率三分の一を少なくとも二分の一に直ちに引き上げることが必要だと私は考えております。総理の忌憚のない御意見をお伺いいたします。
 次に、二〇〇〇年四月にスタートする介護保険制度についてでありますが、我が党は、介護保険制度が混乱することなくスタートし、公平かつ安定した運営がなされるよう、党本部に設置した介護保険対策本部を中心に、全国調査と関係団体からヒアリング等を行ってまいりました。現地では、加速度的にふえる要介護者に追いつかない介護施設の整備やマンパワーの確保、それに追い打ちをかける厳しい財政事情など、まことに深刻であります。
 去る十一月九日に開かれた医療保険福祉審議会の老人福祉部会では、各市町村が第一号被保険者の保険料を設定する際、未納者の保険料分をそれ以外の被保険者に転嫁するという案が厚生省から提案されました。国民健康保険の割り戻し上乗せと全く同じ手法であります。これに対し、出席した複数の委員から、まじめに保険料を払う人が減ってしまうとか、保険徴収が困難な国民健康保険の二の舞になるといった意見があったと聞いております。
 相互扶助として加入者が助け合うことは保険の精神ではありますが、これでは助け合いではなく、まじめに保険料を払っている人に一方的にしわ寄せするだけではないかと大変心配しております。政府は、このような諸問題を排除して、二〇〇〇年には介護保険制度が円滑にスタートできるように総力を挙げるべきだと考えますが、具体的対応策と今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 二十一世紀を目前にして加速度的に少子・高齢社会へ進展する中で、我が国の教育を取り巻く社会状況も大きな転換期を迎えております。硬直化した学歴社会、管理型教育を根底から改革し、将来の日本社会の発展を支える豊かな人間性と多様な価値観を持った人づくりが急務であります。
 ところが、教育現場では、いじめ、校内暴力、登校拒否、子供の自殺、未成年者による残虐な凶悪犯罪などが多発し、残念なことに増加傾向にあります。長期経済不況のもと、教育費を捻出するため、家計費の切り詰め、貯蓄の切り崩し、さらに共働き夫婦の増加で少なくなる親子の対話など、教育環境は大変に深刻であります。
 ところが、抜本的な教育改革が一刻の猶予も許されない状況にあるにもかかわらず、相も変わらぬ学術的な議論に終始し、何ら具体的な対策を講じない政府に対し、国民は激しい憤りといら立ちを覚えております。
 今、一番求められていることは、子供たちが強く正しく生き抜くための強靱な心を培う訓練、他の人々の痛みに思いをはせる心、命を大事にする優しい心をはぐくむ教育環境であり、子供たちの多彩な個性と無限の可能性を開花させ、よりよき生き方を教える人間教育の実現であります。
 そこで、私は、次の三点について質問いたします。
 第一点、仮称学生手当制度の創設であります。
 経済不況の中で、高校生、専修学校生、大学生を持つ家庭は過重な教育費に家計を大変圧迫されております。二十一世紀の日本を担う人を育成する教育は、まさに壮大な人材開発事業であり、重要な公共投資であるとの認識に立つべきであります。そして従来の公共投資を抜本的に見直して、人材育成のための公共投資を重点的かつ優先的に予算措置をすべきであります。
 そこで、我々の主張で実現した特定扶養控除に加え、児童手当制度の学生版として、学生一人につき年額二万円の学生手当を出費のかさむ年度末に支給する仮称学生手当制度を創設してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 第二点は、奨学金制度の拡充についてであります。
 長引く経済不況のもとで、奨学金制度の拡充は急務であります。我が党は、希望するすべての学生に奨学金を貸与する新教育ローン制度の早期創設を主張してまいりましたが、その主張が今年度の第一次補正予算案では、奨学金貸与人数の増加という形で一部実現をしました。さらに、来年度の文部省予算要求では、日本育英会の有利子奨学金の貸与人数を二十万人に倍増すること、貸与月額の選択制の導入などが盛り込まれ、一歩前進の内容となっておりますが、ぜひこれは実現を目指したいのであります。
 また、多額の資金を必要とする入学時と年一、二回の学費納入時期に学生が希望すれば奨学金をまとめて貸与するなど、ニーズに即した弾力的かつ適切な対応策を講ずべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第三点は、新学習指導要領についてであります。
 先日、文部省が二〇〇二年度からスタートする学校週五日制の完全実施に対応した小中学校の新学習指導要領を公表しました。これまでの知識詰め込み型教育からの脱却という点では全体的に評価できますが、新学習指導要領を定着させるためには、教員の資質の向上、少人数学級の実現、高校、大学の入試の改善が急務であります。また、多彩な才能を持つ教員の確保と育成には、教員採用試験の年齢制限撤廃、社会人採用枠の拡大、研修制度の充実等を図らなければなりません。新学習指導要領の導入のためにどのように対応されるのか、あわせてお伺いをいたします。
 最後に、深刻の度を増す環境問題についてお伺いいたします。
 ダイオキシン類、廃棄されたPCBの処理、内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンなど化学物質による環境汚染問題が重大な社会問題となっております。約十万とも言われる化学物質が世界じゅうではんらんしており、これらの物質の環境リスクを評価して、どのように管理し、安全を確保していくかが我が国のみならず世界各国の緊急課題となっております。
 世界有数の経済力、技術開発力を持つ我が国は、化学物質の環境及び生態系に与える影響の大きさを踏まえ、化学物質の管理や安全使用、環境基準等について基本方針を改め、内外に明らかにすべきであります。
 そこで、環境保全を重視する視点から、化学物質の安全性に関する仮称化学物質安全基本法の制定が急務であると考えますが、環境庁長官の見解をお伺いいたします。
 また、環境庁が先ごろまとめた土壌中のダイオキシン類に関する検討会中間報告によれば、ダイオキシンで汚染された土壌の対策が必要な暫定基準値として土壌一グラム当たり千ピコグラムと決めました。ところが、WHO、世界保健機構が本年五月に提案した新しい一日許容摂取量、TDIの考え方が反映されていないばかりか、暫定基準値以下であれば対策を講ずる必要がないとも読め、かえって汚染の懸念されている地域周辺住民の怒りを買うことになるのは必至であります。大阪府能勢町の豊能郡美化センターにおいて、国内最高のダイオキシン濃度が発覚し、既に一年も経過しているにもかかわらず、今回の環境庁の対応は余りにも後手であり、全く中途半端と言わざるを得ません。
 今後、最終報告を取りまとめるに当たっては、我が党が既に提案しているように、子供の遊び場や今回の報告で見送られた農用地や公共用水域、事業所など、用途ごとに基準値を定める等、ダイオキシンに汚染されない生活環境の保全と地域住民の不安を解消することが重要だと考えますが、環境庁長官の見解をお伺いいたします。
 以上、小渕内閣が早急に取り組むべき内外の諸問題についてただしてまいりました。
 総理、徳川家康の有名な言葉に、「およそ人の上に立って下の諫めを聞かざる者の、国を失い、家を破らざるは、古今ともこれなし」とあります。政治に携わる者は民の声をしっかりと聞け、さもなくば民を苦しめ、必ずや国を滅ぼすことになるとの言葉でありましょう。
 小渕総理、あなたは我が国のトップリーダーであります。国民の声を真摯に受けとめ、これらの諸問題を一日も早く解決されるため、なかんずく経済の立て直しに総力を挙げて取り組まれることを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(小渕恵三君) 鶴岡洋議員にお答え申し上げます。
 まず、自由党との連立の理由につきまして、国民に明確に説明すべきではないかという御指摘でございました。
 私は、この内閣の最大の使命が、現下の経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことであると考えております。こうした国家と国民に対する重大な責任を全うするためには、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠でございます。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議の経緯は経緯といたしましても、私としては、現下の難局を切り開き責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できればかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策につき真摯に模索してまいりました。
 こうした問題意識に立ち、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在は国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通のものとし、国家と国民のため政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意いたしたところでございます。
 以上、自由党との合意の経緯や背景につきまして私の考えの一端を申し述べましたが、各位の御理解をお願い申し上げる次第でございます。
 なお、私は、自由党との協力に加え、国家国民のための政治の原点を肝に銘じ、各党各会派に対しましても、党派を超えてそのさまざまな御意見に真摯に耳を傾けるとともに、御理解と御協力を広くお願いいたしてまいりたいと考えております。
 次に、林産物、水産物など九分野についてのお尋ねがございました。
 APECでは、自主性の原則を守り、WTOで包括的に交渉を行うとの立場は貫くことができたと考えております。九分野の来年のWTOでの扱いは、今後検討されてまいるところでありますが、我が国は二〇〇〇年からの交渉は包括的なものとすべしとの立場でありまして、林、水産分野については、その実情、輸出入国の貿易関連措置の状況、地球環境問題等の視点も十分考慮に入れまして、交渉に臨んでまいる決意であります。
 次に、緊急対策に盛られた減税につきましてのお尋ねがございました。
 個人所得課税の恒久的減税についてでありますが、個人所得課税につきましては、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から、最高税率を六五%から五〇%へ引き下げるとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることによりまして、減税規模は四兆円を予定いたしておるところであります。
 本年の定額方式は、諸外国の中でも高い課税最低限がさらに高くなるなど、所得税制として本来好ましくはないが、できる限り早期に減税を実施するための臨時異例の一年限りの措置としてとったものであります。
 来年から、今年の定額減税にかえて定率減税を行うことによりまして、今年よりは減税額が減少する所得階層が生じますが、来年の定率減税は恒久的な減税として行うものでありまして、一年限りで打ち切られる特別減税と単純に比較することは適当でないと考えておりまして、このような大規模な減税を一時的でなく、期限を定めず継続して実施することが、最終的に消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。
 次に、具体的御提案といたしまして高速有料道路の無料化について御指摘があり、お尋ねがありました。
 有料道路は、借入金による道路建設を行い、料金収入によりその費用を返済するものとなっておることは御承知のとおりでございます。有料道路を無料化すれば、料金収入以外の新たな国民負担がこれまた必要となってまいります。料金につきましては、公的助成を行いながら物流コスト等にも配慮し、適正なものとなるよう努めてまいりますが、無料化いたしますことは非常に困難であります。
 緊急経済対策における貸し渋り対策について、次にお尋ねがありました。
 今回の緊急経済対策におきましては、中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた信用保証制度及び融資制度の拡充等の施策の強力な推進によりまして、中小企業について総額四十兆円を超える規模の資金需要への対応を可能にすることといたしております。加えまして、貸し渋りに対する監視体制の強化等につきましては、万全を期してまいりたいと思っております。
 次に、親企業の下請企業への不当な圧迫に対する厳正な取り締まりについて御指摘がございました。
 親事業者の下請事業者に対する買いたたき、受領拒否、支払い遅延等の違法行為につきましては、定期調査を行う等、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用に努めており、今後とも同法のより積極的かつ厳正な運用により、これら親事業者の違法行為を厳しく取り締まってまいります。
 次に、児童手当制度の支給額や支給年齢を拡大してはどうかというお尋ねでありました。
 児童手当につきましては、三歳未満の時期に給付を重点化した制度改正を行ったという経緯や児童手当のあり方についてさまざまな意見があることを考えますと、慎重な検討が必要であると考えております。
 次に、年金の問題でありますが、基礎年金の国庫負担率を二分の一へ引き上げるべきとの御意見であります。
 基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
 基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要があり、将来の検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等あわせて議論すべきものと考えております。
 次に、介護保険制度の円滑な施行についてお尋ねがありました。
 まず、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づきまして、介護サービスの供給体制の整備に全力で現在取り組んでおるところでございます。また、保険料を収納率で割り戻す方式につきましては、介護保険の財政運営の安定を図る上で必要な措置であり、関係審議会の意見を踏まえながら、適切に対応する所存でございます。
 次に、学生手当制度の創設についてお尋ねがありました。
 教育費につきましては、教育の機会均等の理念を踏まえ、適切に対処していく必要があると考えており、従来から予算、税制等でさまざまな措置を講じておるところでございます。学生手当制度につきましては、既に育英奨学制度や特定扶養親族控除制度等が設けられていることから困難な問題もあり、慎重な検討が必要であると考えております。
 奨学金制度につきまして、学生が自立して学べるようにするために、さらにこの制度を充実することが重要であります。御指摘の日本育英会の有利子奨学事業につきましては、貸与人員の拡充、貸与月額の選択制の導入など、学生のニーズに配慮した制度となるよう、現在検討を行っておるところでございます。
 最後に、新しい学習指導要領に関してのお尋ねでありました。
 完全学校週五日制のもとで、ゆとりの中で生きる力の育成を目指す新しい学習指導要領の円滑な導入を図ることは、極めて重要な課題であります。広く啓発活動に取り組むとともに、高等学校、大学の入学者選抜の改善、教員採用の改善、研修の充実、教職員の配置のあり方等の検討等、その理念の実現のための積極的な施策を推進してまいります。
 さらに最後に、徳川家康の言葉を鶴岡議員御引用されました。先輩として叱咤、御激励の言葉と拝聴いたした次第でございますが、改めて謙虚にこれを受けとめ、諸課題に取り組んでまいりたい、この決意を表明いたしまして答弁とさせていただきます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(西田司君) 鶴岡議員にお答えをいたします。
 地域振興券についてのお尋ねでありますが、この事業は、子供を持つ若い親の層や所得の低いお年寄りなど、比較的可処分所得の少ない層を対象としており、また、限られた期間内に使い切る地域振興券をお渡しするという仕組みをとることから、地域の消費拡大の効果があり、商店街の活性化など、地域振興に役立つものと考えております。
 今後、このような事業の趣旨を国民の皆様によく周知するよう努めるとともに、直接の事業主体となる市町村の御協力をいただき、所期の効果を上げるよう万全を尽くしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣真鍋賢二君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(真鍋賢二君) 鶴岡先生からの御質問は、化学物質の安全性に関する基本法の制定についてのお尋ねでございます。
 化学物質による環境汚染を防止するため、大気汚染防止法、水質汚濁防止法を初めとして各種の法令に基づく規制等を実施しております。これらの法令に基づく規制は、化学物質による環境汚染の防止に大きな役割を果たしており、引き続き適正かつ効果的に実施していく所存であります。
 さらに、化学物質の環境中への排出量を把握し、環境への負荷の低減を図るための手法として国際的に導入が進められている環境汚染物質排出・移動登録、いわゆるPRTRについてできるだけ早く法制化したいと考えております。
 次に、土壌中のダイオキシン類の暫定ガイドラインに関する御質問でございました。
 この暫定ガイドライン値は、汚染土壌の処理対策上緊急に必要とされていることから、検討会が現時点で知り得る科学的な知見及び諸外国における事例等をもとに緊急に提案したものであります。土地の用途別のガイドライン値の設定等、御指摘の問題につきまして、今後、科学的知見の集積に努め、専門家の意見を踏まえつつ、検討が必要と考えております。
 環境庁といたしましては、まずは検討会からの提案を踏まえ、ガイドラインを設定することが緊要と考えておるところであります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(斎藤十朗君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#13
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理に質問をいたします。
 小渕内閣が発足して四カ月がたちました。七月の参議院選挙は、消費税減税など国民の暮らしを応援する景気対策か、それとも銀行応援のために国民の血税を投入するのかを重大な対立軸として戦われました。この選挙で銀行応援策に熱中した自民党が大敗北を喫したように、国民の審判、選択は極めて明瞭です。
 総理がこの選挙結果を真摯に受けとめる立場に立っていたなら、ただただ銀行支援策に熱中し、有効な景気対策は何一つ講じないという、いわば無策の四カ月を過ごすことはなかったでありましょう。
 今、日本経済の六割を占める個人消費が十一カ月連続で前年比を割り込み、失業、倒産も戦後最悪を記録するなど、国民の暮らしも営業も未曾有の危機に直面しています。この直接の責任が橋本前内閣の九兆円負担増という大失政にあったことは明らかであります。同時に、それに劣らず重大なのがその後を継いだ小渕内閣の経済無策にあったこと、それはあらゆる指標が小渕内閣になってさらに悪化していることを見れば明瞭であります。
 総理は所信表明演説で、「私は、政権発足以来思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりました」と述べました。しかし、あなたの言う「思い切った施策」とは、銀行支援のために六十兆円、国民一人当たり五十万円もの税金を投入するということだけだったではありませんか。国民が求めているのは、暮らしを応援する思い切った施策であります。そういう施策が一つでもありましたか。答弁を求めます。
 日経産業消費研究所の調査によると、実現すれば消費をふやすと思う政策のトップは消費税率を引き下げることとなっています。日本世論調査会の調査では、七九・四%が消費税の引き下げないし廃止を求めています。どの世論調査を見ても、圧倒的多数の国民が景気対策の第一に消費税の減税を挙げています。
 なぜ国民は、政府・自民党が拒否し続ける消費税減税を強く求めるのか。政治家たるものは、こうした声がどこから起こってきているかに目を向けるべきであります。消費税率の三%から五%への引き上げは、国民にとって単に二%の増税というものではありません。税額でいえば実に六七%の大増税になったのであります。だからこそ多くの国民は、消費税の引き下げを強く求めているのであります。
 しかも、消費税の引き下げは、日本経済の六割を占める個人消費を拡大する上で最も効果的であることは、幾つもの理由から明らかであります。
 第一に、消費税減税は消費すればするほど減税効果が生まれ、文字どおり消費拡大に直結した減税であります。同時に、消費者心理をも好転させます。所得のうちどれだけ消費に回すかという消費性向は、九六年度に比べて九七年度は一・一%も落ち込みました。三%に戻すことで一%消費性向が上がれば、それだけでも五兆円の減税分の消費拡大に加えて、四兆円の消費拡大上乗せ効果が生まれるのであります。
 第二に、消費税の減税はすべての層に減税効果が及びます。特に所得の低い層の家計を温める減税になります。
 第三に、消費税増税で売り上げが落ちた上、価格に転嫁できずに身銭を切って消費税を納めている中小業者、地元商店街の皆さんの営業を助けるという効果であります。
 第四に、民間の住宅投資は、九六年度に比べて九七年度は五兆五千億円も減少するなど、増税によって最も落ち込みが激しい分野ですが、消費税の減税は住宅や耐久消費財などの需要を活性化させる効果を持ちます。
 そして、何よりも消費税減税は、政府が本気で景気対策に取り組み始めたという強烈なメッセージを国民はもちろん、内外に送ることになるでしょう。これが大事であります。
 橋本内閣以来今回の緊急経済対策まで、政府・自民党が打ち出した景気対策で、一回でも国民や市場が大歓迎した対策がありましたか。今回の緊急経済対策も、読売新聞の世論調査では、七割から八割が景気対策に効果なしと答えています。今やるべきは、国民が効果なしと言う対策ではなくて、国民が待ち望んでいる対策ではありませんか。
 将来の税制のあり方については、各党いろいろな考え方があります。国民の間でもそれはさまざまであります。日本共産党は、消費税は廃止を目指すべきだと考えています。しかし、今大事なことは、将来像の違いをわきに置いて、緊急の景気対策として国民世論の最大公約数である三%に戻せの声にこたえることであります。現に、将来の税制については我が党と考え方の違う人々の間からも、緊急の景気対策としては消費税の引き下げ以外にはないという声が上がっています。
 今こそ、消費税減税はしないというタブーを打ち破って、文字どおり思い切った施策として、消費税減税を勇気を持って決断すべきではありませんか。消費税減税の景気回復効果とあわせて総理の答弁を求めるものであります。
 日本共産党は、二院クラブの島袋宗康議員、自由連合の石井一二議員とともに、本院に消費税の三%への引き下げ法案を提出いたしました。この機会に、各党各議員の御賛同を心から訴えるものであります。
 次に、雇用失業問題についてお尋ねいたします。
 十月も完全失業率は四・三%で過去最悪でした。日本リサーチ総合研究所の消費者心理調査によりますと、「今後一年間に自分又は家族が失業することの見通し」では、「非常に不安」が全体の二四・九%を占め、「やや不安」を合わせると六八・三%と、回答者の三分の二を超えています。この不安を解消することは、景気対策上も急務であります。
 東京商工リサーチの調査によれば、東証一部上場企業だけを見ても、九七年度下期には前年同期と比べて十二万七千人、NTTや日立など日本を代表する大企業が軒並み大幅な人減らしを行っています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 雇用を守るために今一番大事なことは、一方的な解雇や希望退職の強要をやめさせることであります。そのため、日本共産党は今国会に、一方的な人員整理や解雇の禁止、希望退職という名の退職強要をやめさせる解雇規制法を提出しています。ヨーロッパでは当たり前になっているこうした立法を、今こそ真剣に検討すべきではありませんか。もし、こうした立法を否定するのであれば、大企業の人減らしをやめさせるために、どんな具体的で有効な措置を講じるつもりか、それとも現状でよしという態度をとり続けるのか、明確な答弁を求めます。
 第二は、政府の責任によって新たな雇用をつくり出す問題であります。
 今、日本の労働者は世界に例を見ない長時間・過密労働を強いられています。違法なサービス残業は、政府統計の推計で年間三百時間に及んでいます。これは、民間労働者の数で換算すると四百万人分の雇用に相当します。少なくとも、サービス残業の解消とそれに見合う雇用拡大について直ちに着手すべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 介護、福祉、教育、防災など、国民生活に不可欠な分野の人員不足も深刻であります。
 例えばホームヘルパーは、厚生省の試算でも、介護を必要とする高齢者すべてにサービスを提供するにはあと二十五万人の増員が必要であります。小中学校の三十人学級の実現のためには新たに七万人の教員が必要です。介護や福祉、教育などの施設を拡充するとともに、こうした分野での人材確保のため職業訓練を計画的かつ大規模に実施するなど、思い切った取り組みに足を踏み出すべきではありませんか。
 以上、消費税減税と雇用対策について総理にただしました。これらは、社会保障の拡充、中小企業や農業を守る課題とともに、今の不況を打開する最も大切な柱であります。
 ところが、政府が打ち出した緊急経済対策はどうでしょう。相も変わらぬゼネコン奉仕型の公共事業の積み増しを中心とするものであります。しかし、これでは大手ゼネコンは潤っても雇用も経済も立て直すことができないことは、宮澤内閣以来七回の景気対策で既に証明済みではありませんか。現に、イギリスの新聞ガーディアンはゼネコン生き残りのための要素が大きいと指摘するなど、外国からも酷評が相次いでいます。
 しかも重大なことは、この野方図なゼネコン奉仕の公共事業の浪費が膨大な借金を国と地方の財政にもたらしていることであります。実際、今回の緊急経済対策の結果、国債の発行残高は約三百兆円にも達しています。この結果、国債依存度は、ピークであった一九七九年度を大きく上回り、四〇%近くにもなるのであります。
 このような国家財政の破局を見せつけられた国民は、将来の増税や負担増、福祉、社会保障の切り捨てという絶えざる脅威にさらされ続けることになるのであります。ゼネコン型公共事業の推進は、景気対策に役立たないばかりか、財政の悪化、将来不安、消費意欲の減退などによって不況をさらに深刻化させるという点で、まさに逆立ち対策の典型ではありませんか。
 国の財政だけではありません。大型公共事業促進のために自治体を動員してきた結果、地方自治体の借金も百六十兆円を大きく上回り、地方財政を危機的状況に追い込んでいます。それが自治体本来の役割を放棄させ、福祉・医療・教育などの切り捨てにつながり、国民生活の困難に拍車をかけています。
 このように、百害あって一利なしとも言うべきゼネコン奉仕型の公共事業による浪費をきっぱりやめるべきではありませんか。あわせて総理の答弁を求めます。
 恒久的減税についても、その中身は一握りの高額所得者と大企業に対する減税であります。引きかえに特別減税が打ち切られるため、来年はことしと比べて納税者の八割から九割が増税になります。総理は、昨日、我が党の志位書記局長の質問に答えて、減税額が少なくなる所得階層が生じると答えられましたが、何割の層で少なくなるのか、明確にお答えください。
 次に、新ガイドラインをめぐる問題についてであります。
 政府は、周辺事態法案など、新ガイドラインを具体化するための法案を国会に提出し、その成立をたくらんでいます。重大なことは、これが日本の平和と安全とは何の関係もないどころか、日本を軍事介入の加担者に仕立て上げようとするものだということであります。
 先日発表されたアメリカ国防総省の東アジア戦略報告は、日米同盟を二十一世紀にわたってアメリカのアジア政策のかなめにし、地球規模の日米協力関係をつくり上げると公言いたしました。そして、新ガイドラインとはこうした軍事協力への貢献になるのだとして、その完全実行を迫っているのであります。
 地球規模で行われるアメリカの軍事戦略とは何でしょうか。それは、ことし八月のアフガニスタンやスーダンへの武力攻撃に見られるように、自分たちの言いなりにならない国を軍事力でねじ伏せ、従わせるという、国際法の道理を無視したやり方であります。国連のアナン事務総長も、さきの国連総会の基調報告の中で、この軍事行動について、加盟国による個別の行動は攻撃対象が国家であるなしにかかわらず、解決にはならないと厳しく批判をいたしました。新ガイドラインとそれに基づく関連法案は、このような国際法の道理や国連の警告をも無視したアメリカの軍事行動に無批判に追従、加担していくものではありませんか。そうならないという歯どめ措置が新ガイドラインや関連法案のどこかにありますか。あわせて総理の答弁を求めます。
 しかも、このアメリカの軍事攻撃には、日本の横須賀を母港とするフリゲート艦が参加しています。日本は、アメリカに基地を提供することにより、既に違法な軍事攻撃に加担しているのであります。新ガイドラインにより基地を提供し、さらに後方支援まで行っていくことは、本格的に侵略の加担者になることであり、憲法を正面からじゅうりんするものであることは明白ではありませんか。
 あなたは、昨日、我が党の志位書記局長の質問に、一九八六年の国際司法裁判所の判決について、ガイドラインの後方地域支援とは同列には論じられないと述べました。しかし、判決では、反政府勢力への後方支援でさえ武力行使とみなし得るとしているのですから、まして、国と国との戦争における後方支援を武力行使とは別などという詭弁は世界に通用しないではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 日本共産党は、憲法を守り平和を願うすべての人々と力を合わせて、新ガイドラインと関連法案の撤回のため全力を尽くす決意を表明するものであります。
 次に、日ロ首脳会談と領土問題についてお聞きします。
 十一月二十一日の小渕総理とエリツィン・ロシア大統領の首脳会談で、今後の日ロ問題について一連の合意が行われました。日本とロシアの間の友好と交流の関係を強化することは、日本の平和外交として当然のことであります。しかし、今回の最大の問題である領土問題の交渉のやり方及びその内容には、日本の国民として見過ごせない重大な問題があります。
 第一に、国民に非公開の国際的な密室協議という問題であります。
 本年四月の橋本・エリツィン会談の日本側の提案も、今回のロシア側の回答も非公開であります。しかも、報道によると、日本側の提案には、領土交渉の対象を歯舞、色丹、国後、択捉の四島に限定することを最終的に確認するとともに、国境線の画定だけの合意で平和条約を締結し、施政権はロシアに残すという返還先送りなど、領土問題での一方的譲歩という重大な内容が含まれています。このような国益にかかわる重大問題をなぜ国会にも国民にも明らかにしないのですか。
 第二の問題は、領土交渉の土台をどこに据えるかという問題であります。
 歯舞、色丹はもちろん、南北千島は日本の歴史的領土であります。問題の根源は、第二次世界大戦の終結に当たり、スターリンが領土不拡大の国際的原則を無視して千島の引き渡しを要求し、それをアメリカ、イギリスが認めて、戦後併合を強行したことにあります。
 日本政府は、一九五二年のサンフランシスコ条約で千島列島の放棄を宣言し、その後、国後、択捉は千島ではないという詭弁を持ち出しました。これは、サンフランシスコ条約の解釈変更で日本国民の領土要求を基礎づけようとするものであります。この態度には、北千島を初めから領土要求の枠外に置いているという根本問題とともに、千島列島の一部である択捉、国後についても日本側の要求を国際的に通用する内容で根拠づけることができなくなるという問題点が含まれています。
 サンフランシスコ条約を絶対化せず、国際法の原理に立って歯舞、色丹と全千島列島を返還交渉の対象にすべきではありませんか。総理の見解を問うものであります。
 次に、防衛庁をめぐる背任、証拠隠し、軍事費水増し事件について伺います。
 この問題について総理は、防衛庁において事実関係の徹底的な解明を図り、厳正な処分を行ったと述べました。しかし、防衛庁が発表した最終報告書は、組織的証拠隠しと受け取られてもやむを得ないと言っただけであります。今回のNEC関連企業との装備調達契約をめぐる水増し請求、過払いが、いつからいかなる規模でどのように行われていたのか、事実関係を明らかにしていただきたい。
 しかも、事件はさらに拡大しています。NECに続いて富士重工、三菱重工など我が国有数の軍需企業で次々と調達契約をめぐる水増し請求疑惑が発覚しています。果たして水増しされていないものはあるのか、これが国民の率直な思いではありませんか。輸入品も含めて、防衛庁のすべての調達品について、水増しはなかったか、癒着はなかったか、徹底的に究明すべきではありませんか。
 軍事費は毎年約五兆円にも上ります。それが防衛秘密ということで、国会や国民の批判を受けない聖域となっていることが防衛庁と防衛産業との根深い癒着を覆い隠し、不正の温床となっているのであります。防衛庁の秘密主義を改め、少なくとも軍事発注の公開性を抜本的に高めることが再発防止の最低の条件だと考えますが、いかがですか。
 さらに、今回の事件によって、軍需企業と自民党との癒着、すなわち、中島洋次郎議員の海上自衛隊の次期救難飛行艇の試作機をめぐる贈収賄事件、防衛庁の発注額に応じて自民党への政治献金が割り当てられていたという重大な疑惑も明らかになりました。報道が事実とすれば、政権党と軍事大企業がいかに骨絡みの関係であるかを示していると言えます。
 行政府の長であり、自民党総裁でもある小渕総理には、事実関係をすべて国会と国民の前に明らかにする責任があります。本院への詳細な説明を求めるものであります。
 このことなしに、来年度の軍事予算の編成が許されないことは理の当然だと思いますが、いかがですか。
 次に、政党のあり方とかかわって、今国民の大きな批判が高まっている政党助成金について質問をいたします。
 自民党の中島洋次郎議員が、うその領収書や監査報告書を使って政党助成金を私的に流用するとともに、選挙買収資金にまで充てていた疑いで逮捕されました。問題の深刻さは、政党助成金が、それを私的に流用しようと、買収資金に使おうと、処罰の対象にさえなっていない文字どおりのつかみ金だということであります。
 国民には増税を押しつけながら、政治家は血税を食い物にして私腹を肥やす、選挙の買収資金にまで使う、このどこが議会制民主主義の発展に役立っているというのですか。
 政党の政治資金は、本来、国民の中での日常的な活動と結びついて、国民一人一人に支えられてつくるべきものであります。これこそ近代政党の当然のあり方ではありませんか。ところが、この制度のもとで、各党財政の中で政党助成金の占める比率が年々大きくなり、中には五割、六割、七割を超えている政党もあります。これでは政党や政治家を堕落させるだけではありませんか。
 政党助成金制度は、国民はもちろん、日本に在住する外国人も含めて、一人当たり二百五十円の税金を負担させ、年間三百十四億円を政党間で山分けする制度であります。この結果どういうことになるでしょう。例えば、さきの参議院比例代表選挙での自民党の得票は一千四百万票台でした。ところが、今年度の交付決定額は約百五十二億円、六千万人分以上の税金が流れているのであります。これが、憲法が保障する政党支持の自由を真っ向から踏みにじるものであることは明らかであります。支持しない政党にまで強制献金が強いられることになるわけであります。
 日本共産党は、企業・団体からの献金も政党助成金も一切受け取らず、国民一人一人に根差して活動している政党として、ここまで弊害が明らかになり、腐敗と堕落の温床となっている政党助成金制度を廃止し、企業・団体献金をきっぱりと禁止することを強く主張するものであります。
 最後に、私は、総理に解散・総選挙の決断を求めるものであります。
 参議院選挙での審判の結果、あなたは本院では首班に指名されませんでした。しかも、発足以来の四カ月、選挙で示された民意に逆らった政治を強行し続けました。こうした内閣の存続が許されるはずはありません。今こそ解散・総選挙によって国民の意思を問うことを強く要求して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(小渕恵三君) 市田忠義議員にお答え申し上げます。
 まず、私の就任以来の講じた経済政策についてでございます。
 これまで私は、日本経済を再生させるため、まず総合経済対策の実施に全力を挙げてまいりました。あわせまして、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みを整えました。さらに、経済戦略会議を発足させ、国民の将来に対する自信と安心を高める政策等を検討することといたしました。このように、私は、政権発足以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいったつもりであります。さらに今般、緊急経済対策を取りまとめたところでございます。
 次に、消費税減税についてお尋ねがございました。
 消費税率の引き上げを含む税制改正は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものでありまして、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えます。消費税に限らず、税は低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方を考えましたとき、消費税率の引き下げは困難であり、この点、国民の皆さんにも御理解をいただきたいと考えます。
 なお、消費税減税が当面の景気に与える影響につきましては、税率引き下げの実施までの間に相当の買い控えが発生するなど、さまざまな問題もまたあることを考えなければならぬと思います。
 次に、解雇規制と人減らしの抑制についてお尋ねがありましたが、解雇につきましては、判例の考え方を踏まえて労使間で話し合われるべきものでありまして、一律に規制するような立法措置を講ずることは適切でないと考えます。政府といたしましては、緊急経済対策を迅速かつ効果的に実施するとともに、雇用活性化総合プランに基づき、雇用の維持安定に努めてまいりたいと考えております。
 次に、サービス残業の解消についてお尋ねがありました。
 サービス残業の実態を統計的に把握することはなかなか困難であります。時間外労働の適正化につきましては、これまでも重要課題として取り組んできており、今後とも、さきの国会で成立をいたしました改正労働基準法に基づく時間外労働の上限基準が労使に遵守されるよう的確に指導することなどにより、長時間残業の抑制を図ってまいります。
 次に、介護、福祉、教育、防災分野における人材の確保についてお尋ねがありました。
 福祉等の分野におきまして必要とされる人材の育成は、厳しい雇用失業情勢の改善のためにも重要でありまして、必要となる教育訓練の機会を確保するなど、国民生活に必要な分野での人材の育成に全力で取り組んでまいります。
 次に、緊急経済対策について御指摘がございました。
 今般の対策におきましては、社会資本の整備につきまして、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定確保の観点から、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据え、真に必要な分野、具体的には情報通信・科学技術あるいは環境、福祉・医療・教育などの分野に大胆に重点化することといたしております。
 この緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりプラス成長に転換させ、平成十二年度までには経済再生を図るよう、これまた内閣の命運をかけて努力をいたしておるところでございます。
 公共事業についてお尋ねがありました。
 今般の緊急経済対策におきまして、社会資本の整備につきましては、従来の発想にとらわれることなく、申し上げましたように二十一世紀を見据えて真に必要な分野、情報産業・科学技術、環境、福祉・医療・教育などの分野に重点化いたしておりますが、また、その実施に当たりましては、地方財政の運営に支障が生じないよう配慮するとともに、コスト縮減、費用対効果分析の活用などを通じ、効率的、効果的な実施を図ってまいりたいと考えております。
 次に、個人所得課税の恒久的減税につきまして、減税額が少なくなる所得階層がどのぐらい生じるかとのお尋ねがありましたが、本年の定額方式は、課税最低限が極端に高くなるなど所得税制として本来好ましくはないが、できる限り早期に減税を実施するために臨時異例の一年限りの措置としてとったものであります。来年以降の定率減税は恒久的な減税として行うものでございまして、一年限りで打ち切られる特別減税と単純に比較することは適当でないと考えております。
 次に、日米防衛協力のための指針及び関連法案等に関するお尋ねでありますが、指針に明記したとおり、日米両国の行為は国際法の基本原則、国連憲章等、国際約束に合致するものでありまして、関連法案等でもこの原則に変更はありません。また、対米協力を行うか否か、いかなる協力を行うかは我が国が主体的に判断いたしますので、指針及び関連法案等が米国の軍事行動に無批判に追従、加担するものとの批判は当たらないものと考えます。
 周辺事態安全確保法案に基づく活動についてお尋ねがありましたが、本法案に基づいて実施することを想定しております後方地域支援等の活動は、侵略に加担するものではなく、また、それ自体は武力の行使に該当せず、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。したがいまして、憲法との関係で問題を生ずることはございません。
 次に、平和条約交渉における日ロ双方の提案についてのお尋ねでありました。
 これらの提案は、現在継続中の交渉の内容にかかわる問題であります。その内容を明らかにできないことについてはぜひ御理解を願います。
 平和条約交渉につきましては、従来から我が方の一貫した方針に従い、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、もって両国間の関係を完全に正常化すべく全力を尽くしておるところでありまして、今後ともこの考えに基づきまして交渉を進めてまいりたいと思っております。
 千島列島の扱いについてお尋ねがございました。
 サンフランシスコ平和条約におきまして、我が国は同列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄いたしております。一方、北方四島は我が国固有の領土であります。政府といたしましては、このような従来からの一貫した立場に基づきまして、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、引き続き全力を傾注していく考えであります。
 次に、NEC関連企業との装備品調達契約をめぐる水増し請求、過払いについてお尋ねがありました。
 日本航空電子工業、日本電気及び日本電気電波機器エンジニアリングにつきましては、現在その規模等を明らかにすべく、特別調査などを実施いたしておるところでございます。なお、立件されました東洋通信機及びニコー電子につきましては、過去五年間にさかのぼって国損額を算定し、その返還を早急に実現してまいる所存でございます。
 防衛庁の調達品に関する水増し等のお尋ねでありましたが、防衛庁調達実施本部では、今回の過払い事案の反省を踏まえ、今後五年間で一般確定契約を主体とする企業約二百八十社を中心にそれぞれ個別に綿密な調査を行うとともに、再びこのような事案が起こらないよう、防衛庁として防衛調達機構・制度の抜本的改革に取り組み、防衛調達の透明性の向上を図ってまいる所存でございます。
 防衛調達の公開性に関する御質問でありましたが、防衛装備品はその特殊性から製造会社が限定をされ、随意契約による調達が多くならざるを得ない事情にありますが、再び今回のような事件を起こさないよう、防衛調達の透明性の向上を図るべく、企業間の競争原理を活用する施策を講ずるほか、第三者監視機関によるチェック体制の確立等の施策に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、救難飛行艇をめぐる疑惑及び自民党への政治献金の割り当てについてお尋ねがありましたが、救難飛行艇をめぐる疑惑に係る事件の真相につきましては、今後の捜査等で明らかにされると考えます。また、報道されているような自民党への政治献金の割り当てを防衛庁が行ったという事実は、防衛庁で十分調査いたしましたが、確認されていないと承知いたしております。
 来年度の防衛関係費の編成についてお尋ねがありましたが、これにつきましては、我が国の安全保障上の観点と経済財政事情等を勘案いたしまして、節度ある防衛力の整備を行うことを基本とし、調達価格の抑制等、あらゆる経費につきまして合理化、効率化を図りつつ、所要の編成を行っていくべきものと考えております。
 政党助成金についてのお尋ねがございました。
 まず、使途制限の問題につきましては、政党助成法は政治活動の自由を阻害することのないよう、その使途は制限しないこととされております。
 次に、政党財政のあり方との関係につきましては、この政党交付金は、議会制民主政治における政党の重要性や政治改革の趣旨を踏まえて導入されたものと承知をいたしており、民主政治の発展に重要な意義を持つ制度であります。
 また、政党交付金の各政党への配分との関係で、政党支持の自由を制限するとの御指摘については、その配分は得票数割と議員数割により算定されるものでありまして、また個々の国民の政党支持の自由を何ら制限するものではありません。
 最後に、解散についてのお尋ねがありましたが、我が国は現在、国家的危機ともいうべき内外とも困難な状況にあります。まずは我が国の経済再生に向け、あらゆる施策を果断に実行していくことこそこの内閣の最大の使命であります。改めてこのことに思いをいたすとき、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきであり、解散は全く念頭にございません。(拍手)
#15
○副議長(菅野久光君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開議
#16
○副議長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。渕上貞雄君。
   〔渕上貞雄君登壇、拍手〕
#17
○渕上貞雄君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、小渕内閣総理大臣の所信表明演説につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 まず冒頭、自自連立問題についてお尋ねをいたします。
 連立政権で重要なことは、連立政権の運営のあり方とその政権が何を目指すかということです。社民党がさきがけ、自民党と村山連立政権をつくったのは、強権的で独裁的手法をとる小沢政治の方向に対する強い危惧から、民主的で透明な協議システムと決定ルールを大切にし、憲法の理念に基づく政治を目指したからです。
 ところが、今日の自自連立のありようはいかがでしょうか。自自連立両党の協議内容が国民不在の密室で行われ、極めて不透明な経過をたどっていることは、国民の政治不信をより一層増幅させるものと言わざるを得ません。
 また、自自連立という保守勢力同士の連立によって新保守主義的政策が遂行されるならば、福祉、雇用、環境、平和といった国民生活の課題が自助努力、自己責任にゆだねられ、軽視されるおそれがあります。手法も、小沢流の強権政治の復活のおそれなしとはしません。消費税見直しや閣僚数、議員定数の削減、政府委員の廃止という国民受けする課題を打ち上げる一方で、例えば自衛隊の国連軍参加といった重要な問題が提起されています。自自連立の方向は、ガイドライン関連法案や憲法調査委員会設置、組織犯罪対策法案など、憲法に挑戦する極めて危険な動きに拍車をかけることは必定であります。改憲と軍拡志向は危険と言わざるを得ません。同時に、リベラルな改革を志向していた自民党内の多くの方にとっても、旧来の自民党の古い体質への逆戻りの要素が強まることにもなります。
 私たち社民党は、第二次保守合同である自自連立政権に対し、憂慮を覚える方々と手を携えて鮮明に対決をしてまいります。自民党総裁でもある小渕総理の自自連立に対する御認識をお伺いいたします。
 また、議員定数削減にしましても、参議院においては定数と選挙制度を参議院改革の課題として各派で協議することにしており、小沢党首との合意は、参議院の独自性を否定するものと言わざるを得ませんが、総理の御見解を求めます。
 さて、先月十九日、地方分権推進委員会の第五次勧告が出されましたが、公共事業の大胆な分権化にはほど遠いものであり、組織、権限の温存された巨大官庁であるという批判を免れません。総理、中央省庁のスリム化は失敗したのではないでしょうか。
 一方、恒久的減税の国と地方の負担割合が決まりましたが、税源保障の面では、たばこ税の配分割合の変更にとどまり、地方が望んでいた抜本的税源移譲は行われませんでした。あくまでも当分の間の措置であり、地方財政の現下の危機的状況を打開するためにも、抜本的な国から地方への税源移譲を求めるものです。
 そこで、地方分権推進委員会自体も、当初は提起をしていました国と地方の歳入歳出割合の乖離の矛盾について真正面から検討を行い、今後本格的に国と地方の財政関係の分権化を図っていくために、税財政の分権に焦点を絞った第二次地方分権推進委員会を設置することを提案いたします。総理、いかがでしょうか。
 さて、政府の緊急経済対策は、生活空間倍増であるとか、二十一世紀先導プロジェクトであるとか、一見斬新に見えるものの、従来型の公共事業が大宗を占めていることに変わりはありません。このような大型プロジェクト依存、公共事業依存の対策が効果を上げず、国と自治体の借金をふやすばかりで、悪循環に陥っているのがこの間の教訓ではないでしょうか。現在の深刻な消費不況は、老後の不安や雇用不安など、国民の先行きに対する不安にあると考えます。この不安を解消しない限り不況は回復しないのではないでしょうか。
 総理、所信表明では、なぜか関心が強い年金、福祉、医療、介護の将来の姿について触れられていないのですが、不安の解消策こそが経済を活性化させると考えますが、御意見を求めます。
 そこで、地域振興券についてお伺いいたします。
 当初の商品券構想は景気対策が主であったにもかかわらず、弱者対策とあわせたことによって制度の意義と目的が不明確になってしまいました。そればかりか、地域振興を主たる政策目的としたため、逆に給付対象を選別することが法のもとの平等に反するものとなっています。また、社民党の強い要求で実施されてきた臨時福祉給付金等の支給と異なり、低所得の高齢者に対し、著しい逆差別感を与え、また、所得要件等を設けることなく、十五歳以下の子供を持つ世帯の世帯主に一律に支給することは、著しく不公平な制度です。おつりを出さないことによって、事業者に対する隠れた補助金となる可能性もあります。池田政調会長の言葉をかりて言えば、ポリティカルクーポンというこのような政策は、中長期的な福祉、年金等に対する国民の安心を保障するものとはおよそ無縁のものであり、政府・自民党と一部政党の無原則な政策は、国民の許容するものではありません。
 私は、各自治体に老齢化人口に応じた介護保険基金(仮称)を設置したり、社民党の提案している飲食料品にかかる消費税額戻し金制度を創設したりする方が効果的であります。総理の御見解をお伺いいたします。
 総理は、百万人規模の雇用創出・安定を目指すと述べられていますが、何ら具体的中身は示されておりません。どのように百万人規模の雇用創出を行うのか、お尋ねをいたします。
 社民党は、公共事業における雇用収縮の改善を図るために、政府または自治体の行う公共事業の発注においては、雇用情勢に顕著な改善が見られるまでの当分の間、受注事業主に対して失業者の雇用を促進する措置を義務づけることを提案いたします。総理、このことを受け入れる用意がございますか。
 総理は、失業者をふやさない雇用とか、流動性のある安定雇用社会の構築と述べられています。あたかも働く者にとって有効な施策のように聞こえますが、突き詰めていけば、企業にとって使い勝手のよい雇用の創出であります。したがって、たとえそこで就労することができたとしても、それは先行き雇用不安を抱えての就労でしかなく、真の安定的雇用が確保されたとは言いがたいのであります。
 総理、国民の声に、いや失業者の生の声に今こそ本当に耳を傾けるときです。働く者にとっての雇用確保とは、安定的な就労と安定的な収入の確保であります。このことが何よりも景気回復策の重要施策であります。総理のお考えをお聞かせください。
 総理、来年で新ゴールドプランが終了いたしますが、私たち社民党は、絶対的に不足している福祉基盤の整備のために、スーパーゴールドプランの策定と百万人規模のホームヘルパー等の雇用創出をすることを政策提言しています。雇用創出になり、福祉の充実を通して将来の不安の解決にも資すると思いますが、新ゴールドプラン達成後の施策と福祉ヒューマンパワーの養成による雇用創出に対する総理の御見解を求めます。
 また、子育て後の女性を初め、地域住民が例えば給食や配送サービス等介護福祉分野で開業する際の支援を新事業創出促進法案において明確、積極的に位置づけることを提案いたします。総理、いかがでしょうか。
 老後の生活の柱である年金については、だれもが暮らせる年金水準の実現を図ることが喫緊の課題であると考えています。社民党は、保険料を引き上げず、給付水準を維持し、その財源として基礎年金の国庫負担を、現在の三分の一から来年度二分の一、最終的には全額国庫負担へと移行させるべきと主張してきました。
 さきの国会で総理は、我が党の土井党首の質問に対し、「莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況にかんがみ、国庫負担の引き上げを行うことは困難である」とおっしゃいました。しかし、今回、政府は二十兆円を超える規模の緊急経済対策を打ち出し、財政構造改革法を凍結するとしています。さらには、自民党においても基礎年金の国庫負担率を二分の一にすることが検討されています。状況が刻一刻と変化しつつあると考えます。もう一度御見解をお伺いいたします。
 日本の政党として初めて公的介護システムを提唱した社民党は、介護を社会化し、安心できる高齢社会を築くため、二〇〇〇年にスタートする介護保険制度を円滑に実施することが重要であると考えます。保険あって介護なしとの心配が国会審議の段階からあり、本院においても決議がなされましたが、福祉施設やヒューマンパワーなど介護基盤整備を国の責任で確実、着実に推進し、保険あって介護ありとすることが緊急の課題です。
 特に介護保険料は、基盤整備の状況や地域の事情などによって試算にばらつきがあり、六千円程度になってしまう自治体もあります。そこで、市町村の基盤整備を促進しつつ、利用者である市民の安心に資する観点から、社民党は、制度スタート時からの保険料を全国一律二千五百円とし、三年間据え置き、国の責任で一般財源から財政調整を行うというスキームを提案いたします。総理、いかがですか。
 福祉は、経済成長の単純な恩恵でもなければ、ましてや経済成長の足を引っ張るものでもありません。介護を初めとする福祉の充実は、将来の不安を解消するのに役立つものであり、福祉への投資こそが雇用創出を初めとしたすそ野の広い経済波及効果をもたらし、老後や子育ての不安を一掃できるのです。
 お年寄り一人一人の尊厳を大切にするためにも、特養の全室個室化は大前提であります。それには現在の十倍の部屋の建設が必要です。公共施設や道路のバリアフリー化、住宅の改造、介護機器の開発普及を進めなければなりません。このように福祉の充実で地域経済を下支えし、経済を活性化させる原動力にすべきであると考えます。総理、いかがですか。
 児童買春防止法案、国家公務員倫理法案のような、自社さ三党で共同提案しながら継続審議となっている法案について、早期成立が求められています。とりわけ、自民党内では社民党との連立解消に伴って消極論がふえていると仄聞しておりますが、政党助成金の不正使用問題で中島洋次郎議員が逮捕されるなどの問題もあり、政治改革関連法案の早期成立に向けて総裁としてのリーダーシップを発揮されるよう期待をいたします。総理、いかがでしょうか。
 また、自由党が提出し、継続審議となっている国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案について、自自連立政権ではどうなされるのか、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、新たな日韓漁業協定に関連する漁業振興対策等について、総理に質問いたします。
 排他的経済水域内における資源の確保について、具体的にどのような方策をお考えですか。さらに、協定締結に伴って漁業者の経営安定を図るための新たな措置が必要と考えます。その具体的な検討状況についてもお伺いいたします。
 さて、去る十一月四日、男女共同参画審議会が新たな基本法制定を内容とする提言を取りまとめ、総理に答申しました。
 我が国における女性の地位がいまだ国際的水準からおくれていることを認め、基本法制定を提言したことを私は評価するものであります。しかし、基本法の策定に当たっては、女性差別撤廃条約、ILO百五十六号条約、北京行動綱領などを踏まえ、ぜひとも女性差別の撤廃、個人の尊厳の確保を実現できる男女平等基本法にしていく必要があります。総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに、基本法策定の作業とあわせて、この機会にあらゆる現行法、制度について男女平等の観点から再検討することも必要だと考えます。総理の御見解はいかがでしょうか。
 今回、財政構造改革法の凍結法案を提案されていますが、私たち社民党は、防衛関係費を集中改革期間の今世紀中、対前年度比同額以下とする条項をも停止させることに強い抵抗感を感じずにはいられません。そもそも防衛関係費は国民経済的に見て、いわば消耗的性格の経費です。冷戦終結後の先進各国の防衛費は対前年度マイナスが主流です。防衛庁をめぐるさまざまな汚職事件に接しますと、これまで聖域化されてきた防衛費は、その大胆な抑制により、このような不正の再発を防ぐしかありません。
 宮澤大蔵大臣、かつて大蔵大臣の先輩には、軍縮の断行を訴えたがゆえに凶弾に倒れた浜口雄幸、井上準之助、高橋是清といった信念の方々もいらっしゃいます。大臣の決意のほどをお聞かせください。
 今ヨーロッパでは、多くの国で社民政党が政権を獲得し、新たな社会民主主義の台頭という状況が生まれています。その背景には、経済のグローバル化と市場万能主義の席巻に対する社会的公正、人権、弱者の立場からの揺り戻しがあります。市場競争の真っただ中に国民を追いやる政策は、ヨーロッパの流れからの逆行であり、私は、もう一つの改革の道を描いていくことこそ必要性を痛感しています。市民とともに、二十一世紀の社会的セーフティーネットを構築していく決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(小渕恵三君) 渕上貞雄議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、自由民主党と自由党の合意についてお尋ねがございました。
 既にお答えいたしている点もありますが、改めてお許しをいただきまして、私どもの考え方を申し述べさせていただきます。
 私は、この経済危機を乗り越えて国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、また政治に課せられた最大の責任であると認識いたしております。こうした政治に課せられた責任を全うするために、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であると考えております。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議の経緯は経緯としながらも、私としては、現下の難局を切り開き責任ある政治を実行していくために、より安定的な形での政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真摯に模索してまいりました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首との間で、国家と国民のため政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意いたしたところであります。
 以上、自由党との合意の経緯や背景について申し述べさせていただいたところでございます。
 次に、議員定数の削減の問題につきまして、参議院改革との関連でのお尋ねがございました。
 この問題につきましては、自由民主党と自由党との間で協議を開始することといたしたところでありますが、特に参議院におかれましては、この問題が参議院改革の一つの課題として位置づけられているものと承知をいたしております。したがいまして、各党各会派におかれましても十分な御論議を深めていただきたいと考えております。
 次に、地方分権推進委員会第五次勧告に関しまして、今回の省庁再編は省庁を大くくり編成し、その一環として国土交通省を設置するものでございます。同省の公共事業については、中央省庁等改革基本法及び地方分権推進委員会第五次勧告に即し、国と地方の役割分担の見直しや統合的な補助金制度の導入を進めるとともに、地方支分部局への権限の委譲等を行うことによりスリム化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、国と地方の歳入歳出の割合の乖離についてのお尋ねがありました。
 地方分権推進計画にもありますように、国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合は約三分の二であるのに対し、租税総額に占める地方税の割合は約三分の一となっており、歳出規模と地方税収入との乖離が存在をいたしております。地方税につきましては、地方分権推進計画を踏まえまして、基本的にこの乖離をできるだけ縮小するという観点に立ちまして、課税自主権を尊重しつつその充実確保を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国民の不安の解消策についてのお尋ねでございました。
 特に年金、福祉、医療、介護等の社会保障制度につきましては、国民の信頼にこたえ、将来にわたりまして安定的に運営できる社会保障制度を構築していくことが必要であることは申すまでもございません。このため、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化等社会保障制度構造改革に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 介護保険制度は、保険者である市町村を国と都道府県、医療保険者が重層的に支える仕組みとなっております。このような仕組みによりまして、将来のさらなる高齢化の進行のもとでも、各市町村における安定的な財政運営が図られるものと考えており、御提案の介護保険基金の趣旨は必ずしも明らかではありませんが、新たにそうした基金を今設けるということは考えておりません。
 次に、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度についてでございますが、実務的に対象者の本人確認や対象者の所得を的確に把握するための制度がない現状におきましては、二重給付や不正な受給を防止できないという難しい問題があると考えております。
 次に、雇用の問題でございますが、雇用の創出・安定策についてお尋ねがございました。
 緊急経済対策における雇用活性化総合プランによりまして、このミスマッチ解消や雇用維持等を図るほか、社会資本整備等同対策に盛り込まれた施策を総動員いたしまして、百万人規模の雇用の創出・安定に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 次に、公共事業による雇用促進についてのお尋ねもございました。
 公共事業は地域の雇用確保に資する重要な事業であり、政府といたしましては、第一次補正予算による追加事業の早期執行、緊急経済対策による社会資本の重点的整備を推進いたしまして、雇用の安定・創出に努めてまいります。
 なお、個々の工事におきましての失業者の雇用を義務づけることは、種々の問題があるものと考えております。
 次に、安定的雇用が景気回復のために重要であるとの御指摘でございます。
 緊急経済対策を迅速かつ効果的に実施いたしますとともに、雇用活性化総合プランに基づきまして、新規雇用創出、労働者の就職支援、ミスマッチの解消によりまして雇用の確保に努めてまいるとともに、このような施策によりまして国民の雇用に対する不安を払拭することが日本経済の早期回復に資するものと考えております。
 次に、社民党のスーパーゴールドプランの策定に関連いたしまして、御紹介をされながら、百万人規模のホームヘルパー等の雇用創出の御提言をいただきましたが、訪問介護員、ホームヘルパーの雇用についてのお尋ねにつきましては、これまでも新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、新ゴールドプランに基づきまして、その確保に現在着実に取り組んでおるところでございます。
 新ゴールドプラン終了後のホームヘルパーの養成などの施策につきましては、各地方自治体が作成する介護保険事業計画をも踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
 新事業創出促進法案についてお尋ねでありました。
 この法案は、今後の雇用機会の担い手として期待し得る新たな事業の創出を促す観点から、幅広い政策支援の体系の構築を目指すものであります。御指摘のような例も含めた多様な形態の創業につきましては、信用保証の創設、中小企業事業団による助成、政府の研究開発予算の中小企業への支出目標の導入などの支援を幅広く行ってまいりたいと考えております。
 次に、年金問題につきましてお尋ねがございました。
 基礎年金の国庫負担率を来年度二分の一へ引き上げるべきとの御意見でありましたが、基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
 基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的方法と一体として検討する必要がございまして、将来の検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等とあわせて議論すべきものと考えております。
 また、基礎年金の財源を最終的に全額国庫負担へ移行すべきとの御意見でありましたが、全額国庫負担による税方式につきましては、給付と負担の関係が明確である社会保険方式の長所が失われること、年金の性格が生活保護と類似のものに変化し、資力調査等の導入による給付制限が避けられないのではないかといった問題点があり、慎重な検討が必要であると考えております。
 介護保険の保険料についてのお尋ねでありましたが、市町村間の財政力の格差につきまして、国費を財源とする調整交付金等によりまして調整されることになりますが、サービスの充実度に違いがある場合には、保険料の水準が異なることもあると考えております。このため、新ゴールドプランを着実に推進すること等によりまして、均衡のとれたサービス基盤の整備を進めてまいりたいと考えております。
 福祉の経済効果について御質問でありましたが、所得保障や各種サービスの提供を行う社会保障制度は、安定した購買力を国民に付与したり、新たな産業や労働需要を創出することにより、経済の発展に寄与するという積極的な役割を果たす面もあると認識いたしております。
 一方、今後の本格的な少子・高齢化の進行に伴いまして、社会保障に係る給付と負担の増大が見込まれることから、二十一世紀においても経済の発展、社会の活力を損なわないよう、新ゴールドプランの推進など国民の新たな需要に適切にこたえつつ、制度の効率化や合理化を進めるなど、社会保障構造改革に引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、政治改革関連法案についてのお尋ねがございました。
 私は、所信表明演説で述べましたように、政党助成金の不正使用疑惑により同僚議員が逮捕されたことはまことに遺憾であり、こうした事件が再び起きないよう、政治家個人が厳しく身を律していかなければならないと考えております。また、政治が国民から十分信頼を得られますよう、御提案をいただいております政治改革関連法案の早期成立を期待いたします。
 次に、国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案についてお尋ねがございました。
 この法案は、公の入札などの公正の確保を図り、あわせて政治倫理の確立に資する見地から、自由党の議員立法として提出されたものと承知をいたしております。政府といたしましては、このような国会議員等の政治倫理の確立に資する法律案につきましては、まず各党各会派で十分御議論いただくことが基本であると考えており、その結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいと思います。
 次に、日韓問題についてでありますが、排他的経済水域内における水産資源対策についてお尋ねがございました。
 日韓漁業協定による新しい漁業秩序のもと、漁獲可能量制度の的確な運用や栽培漁業センターの整備等によりまして、適切な資源管理と積極的な水産資源の確保対策を推進いたしてまいります。
 漁業者の経営安定対策についてお尋ねでありました。
 新しい漁業秩序のもとで、関係漁業者の経営の安定を図るよう、必要な対策を実施するための振興基金の創設等を第三次補正予算案に計上することといたしております。
 男女共同参画についてのお尋ねがありました。
 先般、男女共同参画社会基本法に関する答申におきまして、人権尊重や差別的取り扱いの撤廃が盛り込まれており、政府といたしましては、この答申を踏まえ、法律案を次期通常国会に提出することといたしております。また、政府の国内行動計画であります男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましては、男女共同参画の視点に立った社会制度等の見直しについて盛り込まれております。今後とも、男女共同参画社会の実現は政府の最重要課題であるとの認識のもと、最大限の努力をいたしてまいりたいと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政構造改革法の凍結法案との関連におきまして、防衛費について御質問がございまして、防衛費は国民経済的に見ても消耗的な経費であること、また、防衛庁の汚職問題にも御言及がございました。
 もとより、汚職問題につきましてはまことに遺憾なことでございますし、また、防衛費が国民経済計算上、非生産的であることもそのとおりでございますけれども、しかし、国の安全を図るために努力を怠ってならないということもまた御同意をいただけるところであると思います。
 したがいまして、防衛関係費につきましても、極めて厳しい財政事情を勘案しつつ、節度ある防衛力の整備を行うことを基本といたしまして、調達価格の抑制など、あらゆる経費につきまして合理化、効率化を図ってまいる所存でございます。(拍手)
    ─────────────
#20
○副議長(菅野久光君) 渡辺秀央君。
   〔渡辺秀央君登壇、拍手〕
#21
○渡辺秀央君 私は、自由党を代表し、去る十一月二十七日、本院においての小渕総理の所信表明演説に対して質問をいたすものであります。
 まず最初に、さきの十一月十九日に行われました自由党、自民党両党首の会談合意について、総理の所信を伺います。
 このたびの会談は、我々自由党小沢党首と自民党総裁小渕総理との正々堂々とした、国民の面前で行われた、まさに日本国の現状を憂い、国民の深刻な不安を一掃するために、今政治に何を求められているのか、今政治は何をなさなければならないのかを真剣勝負で議論し合った結論が合意書として確認し合ったものであると思います。
 まして、参議院においては数の問題も両党では半数に達することでもなく、したがって、国会対策でもなければ、これまでのような野合と言われるものでもなく、政策を議論し合った結果の基本政策の合意であります。その合意書の冒頭文の書き始めに、「いま、日本は国家的危機の中にある。」と厳しい現状認識を共通の土俵としたものであり、歴史の傍観者たり得ない政治家として、強い決意で責任ある政治を共有し合う誓いを内外に表明したものであると信じます。
 マックス・ウェーバーは、政治とは何かとの質問に、言下に政治とは情熱と判断であると答えたことを思い起こし、小沢、小渕両党首に、私は今ここに、この勇気ある政治へのすさまじい情熱と、そしてこの国難の時期における党利党略を捨てた判断と決断力に対して、改めて敬意を表しつつ、小渕総理の誠実性の中にたくましい指導力を確信して、この合意事項に対する実行性について御所見を伺うものであります。
 次は、経済、税制、社会保障の問題についてであります。
 現下の深刻な経済危機は、我が国の構造問題にその元凶があります。金融システム不安にしても、構造問題の象徴ではあるものの、ほんの一部分にすぎません。今行わなければならない政策は、我が国が避けることのできない構造改革を強力に推進するとともに、なおかつ、改革に伴う痛みを和らげるための政策を同時併用して実行していかなければならないと考えます。
 以下、具体的に我が自由党の政策を述べつつ、御所見を伺うものであります。
 まず第一に、行革減税、つまり行政改革による歳出削減を財源とする大規模な減税を行うことであります。
 我が国財政への懸念から、たとえ政府が恒久減税であると表明しても、国民は財政危機が深刻化すればまた増税になるのではないかとの疑心暗鬼に陥っております。本当の意味での恒久減税を実現するために、行政改革による諸経費の削減額を減税財源に充て、確実なものとすべきであると考えます。
 具体的には、所得税、住民税、法人関係税を来年一月から十兆円、中長期的には十八兆円の規模の減税を行うことであります。所得課税については、累進構造を緩和し、最高税率を初めとするすべての税率を引き下げるべきであります。また、法人課税の実効税率を国際水準並みに引き下げることであります。法人課税には、グローバルスタンダードとの調和を図るため、連結納税制度の導入も欠かせません。
 第二に、行革についてであります。
 総論賛成各論反対ではなく、真剣に行政改革に取り組むことであります。行政改革の本質は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、役所の仕事を減らしてスリムで効率的な政府を構築すれば、国、地方の歳出を一割以上カットして、減税の財源とすることが十分可能なはずであります。
 例えば、国の事業補助金を廃止して、公共事業一括交付金として地方自治体に交付し、真に必要な事業が効率よく行われるようにする、同時に、地方分権の受け皿となる自治体の体力を高めるため、現在約三千ある地方自治体を約三百の市に再編し、国民生活に直結するものはすべて地方に任せて真の地方分権を確立することであります。国家公務員は、離職者の半数不補充を十年間実施することにより、二五%の削減が可能です。同時に、政治家自身がこれらの改革に取り組む決意を示すため、国会議員の定数を衆参両院とも二割を目標に随時削減すべきであると思います。
 第三に、消費税率を抜本的に見直すことであります。
 政府は、バブル崩壊後、数度にわたる経済対策により公共事業の追加を行ってまいりました。確かに景気を下支えする効果はあったかもしれませんが、民需主導へとバトンタッチするための施策が不十分であったため、抜本的な景気回復につながることにならなかったことは明らかであります。GDPの六割を占める個人消費を直接刺激し、住宅投資などを活性化させるために、消費税率を抜本的に見直すべきであります。
 消費税減税は、消費をしなければその恩恵に浴せないため、所得課税の減税や公共事業より波及効果はすぐれていることは申すまでもありません。また、福祉目的財源としての将来の段階的引き上げを凍結とセットで提示することにより国民の理解は得られ、さらに駆け込み需要を誘発することができると思うのです。税率アップによる経済への影響は、所得課税や社会保険料の直接負担を段階的に軽減することによって打ち消すことが十分可能であります。諸外国の例を見ても、付加価値税の税率を上げ下げすることは広く行われているところであることは論をまちません。
 第四に、消費税を福祉目的化し、福祉のナショナルミニマムを国の責任により保障することであります。
 現在、社会を支えている世代の方々、特に若い人たちは、人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料の負担に見合った給付を自分たちが将来受けられるのだろうかという不安を抱いております。また、現在給付を受けている老人や障害者の方々は、その水準を引き下げられるのではないかとの不安を抱いております。
 このような年金制度を初めとする社会保障制度への不信が人生の将来設計を直撃し、先行き不安感が消費低迷の大きな要因となっているのであります。社会保険制度を維持するのではなく、真の安心できる社会保障制度を確立しなければならないということを、政治が国民に自信を持って約束することが大切なときであると思います。
 自由党は、基礎年金、高齢者医療、介護というナショナルミニマムの三本柱は、そもそも保険集団の中で支えることになじまないと考えます。ましてや、今日のような人口構成下にあっては、現行の保険方式によって支え続けることは不可能であり、国民全体で支えていかなければなりません。社会保障の給付水準を安定して維持するために、消費税の使途を福祉目的化し、基礎年金、高齢者医療、介護の財源に限定すべきであると考えます。
 また、社会保険料は課税最低限以下の人たちでも納付せねばならず、非常に逆進性の強い性格を持っておることを改めて指摘しております。直接負担という視点から、税と社会保険料は一体のものとして、総合的に勘案する必要があると思うのであります。消費税を福祉目的税とすることによって、社会保険料の直接負担を引き下げることが可能となります。直接税の減税は、さきに述べた行革減税により行うべきであります。消費税の福祉目的化と行革減税によって、初めてスリムな政府の実現と国民の可処分所得をふやすことが可能となるのであります。
 次に、財政の健全化についてであります。
 自由党は、かねてより経済再建なくして財政健全化なしと一貫して主張をいたしております。実際、九七年度に七兆円の増税を行った結果、マイナス成長となり、税収も法人税を中心に落ち込み、ほぼ当初の増税分に見合う額が税収減となって帳消しとなっておるのであります。財政健全化は、増税によって行うのではなく、行財政一体不可分の見直しによる歳出削減と、たくましく再建された強い経済から得られる税の増収によって達成されていくことが政治の正しい手法であると信じます。
 また、安定成長という巡航速度に達するためには、加速度をつけて立ち上がらなければなりません。ましてや、我が国経済は二年連続のマイナス成長という、戦後初めての異常な状況にあります。かじ取りを誤れば、三年連続のマイナス成長にもなりかねません。財政健全化のためには、経済再建、景気対策を強力に、最優先策としてとらなければならないのであります。
 もはやこれまでのシステム、方法論は通用いたしません。日本経済を根本から立て直すためには、旧来の手法にとらわれない大胆な思い切った発想が必要であります。これらの政策をパッケージとして提示し、同時並行的にスタートさせ、今世紀中にこれら改革を軌道に乗せなければ、日本は沈没してしまうのであります。我々の主張に対し、小渕総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、外交・安全保障問題についてであります。
 十一月十九日に行われた党首会談では、安全保障政策についても、自由党と自民党の間に合意が行われました。我々は、この合意に基づき、安全保障政策が推進されていくものと確信するものであります。
 当面の重要課題は、日米ガイドライン関連法案であります。
 昨年の九月二十三日に行われた日米ガイドラインの最終報告から一年以上が経過しており、これまで成立に消極的であった政府の姿勢は極めて遺憾であり、このままでは日本不信の原因ともなりかねません。これらの問題について自民党と真剣な政策協議を行ってまいりたいと考えます。
 また、事実上国連の平和活動の中心となっているPKO活動についても、積極的に推進する必要があります。
 平成四年に成立したPKO協力法は、当時の自公民三党の妥協の産物であり、その当時はやむを得なかったこととはいえ、法律の中に矛盾や不十分な点があり、これらについても抜本的な見直しを行う必要があります。
 もう一つの重要な課題は、沖縄基地問題の解決であります。
 新沖縄県知事のもと、政府と知事との間に基地問題に関する対話が促進されようとする機運が醸成されつつあることは歓迎すべきでありますが、政府がこれまでしてきたような、その場のつじつま合わせではなく、国の責任において解決するという強い決意を示し、沖縄県民との信頼関係を再構築した上で問題解決に当たるよう求めるものであります。
 北朝鮮問題は、我が国の安全にとって死活的な問題であります。ミサイル発射問題は、我が国が看過することのできない重大な問題であります。今後は、これに備える態勢を早急に整備すべきであります。我が国の安全にとって重大事態に発展すると認められる場合には、ちゅうちょすることなく安全保障会議を開催するとともに、総理官邸に情報の一元化、指揮命令系統の一元化を図るなど、関係法令を整備すること、有事の際に自衛隊など関係機関が超法規的な行動をとることのないよう、有事法制を整備することなどが必要と考えるのであります。
 また、北朝鮮による地下核開発施設などの疑惑解明を国連に対して働きかけるとともに、日本人拉致疑惑を解明すること、選抜ではない、里帰りを希望する日本人妻すべての里帰りを実現することを求めていくべきであります。
 一方で、朝鮮半島の緊張緩和に向けた取り組みは引き続き重要であり、この見地から、米韓両国と緊密な連携のもと、米朝協議や四者協議、さらには、六者協議にかかわっていくことが重要であると考えるものであります。
 以上の点について小渕総理の御所見を承ります。
 さて、最後に私は、政治改革の重要性を指摘しなければなりません。
 以上に述べた日本立て直しのための改革も、政治に対する国民の信頼と協力がなくしてはできません。政治家自身がみずから襟を正すとともに、率先して改革に取り組む姿勢を示す必要があると思います。
 この意味において、総理が所信表明の冒頭に、防衛庁装備品の調達をめぐる背任事件や政党助成金の不正使用疑惑で国会議員が逮捕された事件に対し、遺憾の意を表明し、政治倫理の確立と政治改革関連法案の早期成立を訴えられたことに対し、私も深く同感いたします。加えて私は、国会議員みずからが議員定数削減に真剣に取り組むことによって、これらの構造改革をリードする必要があると考えます。あわせて、国会審議における政府委員制度の廃止などにより、議員同士が国政の基本を真剣に議論し合える制度の導入を図るべきであります。
 これら政治改革を進めることによって、初めて官僚依存の政治からの脱却が可能となると確信をするものであります。
 本音と建前の一体の政治を目指す総理のお人柄に期待しつつ、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(小渕恵三君) 渡辺秀央議員にお答え申し上げます。
 冒頭、自由党との合意について、私が折に触れ読み、そのたびに感銘も受けておりますマックス・ウェーバーの言葉を引用され、私の決断を評価された上で、今後の合意の実行について御指摘がございました。
 結論から申し上げれば、小沢党首提案の政策につきましては、党首間で基本的な方向で一致をいたしております。既に、これに基づきまして両党間で真剣な協議を開始いたしておるところでございます。私は、この両党間の協議を踏まえ、誠実にこれらを実行してまいる決意でございます。
 なお、この合意を決断いたしました背景につきまして若干改めて申し述べさせていただきますと、この経済危機を乗り越えて、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、また、政治に課せられた最大の責任であると常々認識をいたしております。
 こうした政治に課せられた責任を全ういたしてまいりますために、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であります。しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議の経緯といたしましても、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策につきまして真摯に模索してまいりました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通なものとして、国家と国民のため政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意いたしたところであります。
 この合意は、小沢党首提案の政策につきまして、基本的方向で一致したものであり、これを受けまして国家国民の期待と信頼にこたえるよう合意いたしたところであり、この合意を受けまして政治がスピーディーかつ効率的に機能するよう、自由党とともに全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 規制の大幅な撤廃に真剣に取り組むべきであるとの御指摘でありますが、総論賛成各論反対ではなく行政改革をやるべきだという御主張はまことにそのとおりでありまして、政府としては、本年度を初年度とする規制緩和推進三か年計画を着実に実施に移しておるところでございます。また、今月半ば、規制緩和委員会が新たな規制緩和の取り組み課題を見解として取りまとめる予定でありますので、これを受けまして三か年計画を年度内を目途に改定し、一層充実強化していく考えであります。
 次に、議員定数削減につきまして、御主張を交えてお尋ねがございました。
 渡辺議員から具体的な削減率を挙げられました。ただ、この点につきましては、小沢党首との党首間で既に基本的な方向で合意いたしておりまして、したがいまして、これに基づきまして両党間で協議を既に開始をいたしておるところでございまして、この協議を踏まえて真剣に対処いたしてまいりたいと考えております。
 なお、この問題はいわば選挙の土俵づくりと言うべき事柄でありますので、各党各会派におきましても十分御議論を深めていただきたいと思っております。
 自由党は、かねてから経済再建なくして財政健全化なしと御主張されておることは承知をいたしております。したがいまして、経済再建のための景気対策について、私は、政権発足以来思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいったところであります。
 さらに、今般、平成十一年度におきまして、はっきりこれをプラス成長と自信を持って言える需要を創造すること、失業者をふやさない雇用と起業を推進すること、また国際協調を推進することの三点の目標を掲げまして、百万人規模の雇用の創出・安定を目指し、総事業規模にして十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめたところであり、一日も早くこれが実行のできますように御支援、御協力をいただきたいと思います。
 経済構造改革についてお尋ねになりましたが、産業の高コスト構造の是正や新規産業の創出を図る経済構造改革は、質の高い雇用機会を広げ、豊かな国民生活の実現を目指し、将来の発展基盤を固めるために取り組まなければならない重要な課題でありますので、平成十二年度までに経済再生を図るとともに、構造改革への取り組みも引き続き進めてまいりたいと思います。
 次に、安全保障問題につきまして、ガイドライン関連法案についてお尋ねがありました。
 周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、本年四月末に閣議決定をし、国会に提出いたしておるところでございます。政府といたしましては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が早期に国会で御審議され、成立または承認されることを期待いたしております。
 国際平和協力法の見直しでございますが、本法につきましては、附則三条に規定する見直しの作業を行い、去る六月、一部改正を行ったところでございます。
 政府といたしましては、国連を中心とする国際平和のための努力に積極的に寄与するために、これからも憲法の理念に基づき、本法のあり方について検討することはあり得るものと考えております。
 次に、沖縄の問題についてでありますが、沖縄の米軍の施設・区域に関する問題については、政府としては、先般の知事選の結果を踏まえながら、米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向け、同県の協力と理解のもと、SACO最終報告を踏まえ、今後とも強力に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、危機管理体制の整備についてでありますが、政府といたしましては、御指摘のような事態が発生した場合等におきましては、迅速な安全保障会議の開催を含め、適時適切な対応措置をとることといたしております。また、内閣情報集約センターの整備、内閣危機管理監の設置を初め、危機管理に関する内閣機能の強化に努めておるところであり、今後とも危機管理の重要性にかんがみ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 有事法制につきましてでありますが、有事法制は重要な問題であり、この研究は当然必要なことと認識をいたしております。政府としても、これまでも所要の研究を行ってきたところでありますが、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかる問題でもありますが、政府としては、国会における御審議、国民の世論の動向等を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、北朝鮮政策についてお尋ねがありましたが、我が国は、秘密核施設疑惑につきまして、まずは現在進行中の米朝協議を通じ、北朝鮮が核開発について不透明性を払拭することが重要と考えております。また、現在の日朝関係は、御指摘の諸懸案の前進を図る上で極めて困難な状況でありますが、政府としては、あらゆる機会をとらえ、引き続き北朝鮮の真剣な対応を求めていく考えであります。
 朝鮮半島の緊張緩和の問題でございますが、このことは申すまでもなく、極めて重要な問題であります。我が国は、引き続き米朝協議や四者会合等そのための米国及び韓国の努力を支持するとともに、これら両国とも緊密に連携していく考えであります。また、将来的には、我が国やロシアが加わった北東アジアの安全保障及び信頼醸成に関する話し合いの場を設定していくことが検討課題であり、そのような場を通じまして、北東アジア地域全体の信頼醸成を図っていくことが重要であるという点につきましては、渡辺議員御指摘のとおりであり、十二月一日の本院における質疑におきましても、私からそのような趣旨を答弁いたしたところでございます。
 最後に、政治改革に関してお尋ねがありました。
 渡辺議員から、私の所信表明演説に言及された上で、政治倫理の確立、政治改革関連法案の早期成立の必要性について御指摘がありました。また、国会審議における政府委員制度の改革についてのお尋ねもありました。
 私は、かねてよりいわゆる官僚型行政から政治主導型行政への変革を主張いたしてきておるところであり、渡辺議員の御主張は私の考えと重なるものであり、大いに意を強くするものであります。
 最後になりましたが、自由党と相連携して、国家国民のため、この国家的危機にともに対処していくべく、私は全力を挙げる覚悟であることを申し上げて、答弁といたします。(拍手)
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#23
○副議長(菅野久光君) 岩本荘太君。
   〔岩本荘太君登壇、拍手〕
#24
○岩本荘太君 私は、去る七月の参議院選挙で初当選したばかりの新人議員でありますが、今回、参議院の会の皆様のお許しをいただき、小渕内閣総理大臣の所信表明に対して、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 まず、今回の緊急経済対策のいけにえにされようとしている財政改革法の凍結について質問をいたします。
 個人的な体験でありますが、先日、タクシーに乗ったときに今回の経済対策を報ずるニュースが流れておりました。それを聞いてドライバーが、こんなに大盤振る舞いできるお金が一体どこにあったのですかねと言うのであります。あれだけ財政の危機だと大騒ぎして決められた財革法が頭にあるからです。これが庶民の偽らざる気持ちだと私は思っております。
 現下の経済情勢を眺めたとき、だれもが財革法を凍結してでも、まず景気対策を講じてもらいたいと願う気持ちでいっぱいであることは紛れもありません。しかし、同時に国の財政事情を気にしているのも事実であります。現実に年金法の改正などが見え隠れしております。
 昨年、財革法が制定された当時、私は石川県の一職員として外から経緯を眺めておりました。そして何となく不安を感じておりました。というのも、過去何回も財政再建が叫ばれたものの、財政再建より景気対策だという声に押し切られて、最後は赤字国債の発行に至ったケースが多かったことを思い出したからであります。しかし、今回は法律にしてまで取り組もうとするのですから、これまでと対応がひとつ違います。これは本気だろうと思いました。
 ところが、平成十年度当初予算には確かにある程度反映されたものの、その直後から当初予算の方針が全く消えてしまうかのごとき補正、補正の連続です。そしてその後の結果は残念ながら現在のひどい状態です。私と同じ気持ちになっている一般国民がほとんどだろうと思っております。これでは何のための財政改革だったのかと思うのが当然です。
 私は、景気対策より財政改革を先にすべしと言っているのではありません。このような財政の引き締めと緩和が、国民の理解のないまま繰り返されては国民はたまったものではないと言いたいのです。国の財政状態は本当にどうなのか、政権を担当する責任者からしっかりと説明してもらわなければ国民は安心できないのであります。
 国の借金の多寡を云々しているのではありません。財政に対する正しい認識を持っていなければ、国民はいつまた負担増が来るのか不安です。こういう気持ちでは、幾ら懐が暖かくなっても、将来に備えて貯蓄に走ってしまうのは目に見えております。緊急経済対策の実効性は絵にかいたもちでしかありません。
 小渕総理は、今の財政状態をどのように認識し、今後どのように改善していこうと考えておられるのかおられないのか、その点をまず我々国民にはっきりさせてもらいたいのです。単なる財政上の数字合わせでは納得できるものではありません。多くの施策と関連があると思いますので、ぜひ総理に御答弁を願います。
 また、今の赤字国債は、後年、今の若者を含めて我々の子孫に任されるわけですから、迷惑を受ける彼らの理解と了解が大切であります。そこで、若い人に対する国の財政事情の説明がぜひ必要であります。そういう人たちにどう説明しているのか、総理にお伺いいたします。
 また、例えば大学の財政学講座などで取り上げてもらうようお願いする取り組みはいかがでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、地方分権についてお尋ねします。
 総理も施政方針演説の中で、地方分権社会の推進をうたっておられます。私も今まで地方行政を担う一員としてその成果を大いに期待していた一人であります。二十一世紀の望ましい日本社会は地方主権社会だと確信しています。地方のことは地方が自主性を持って決めていく、個性豊かで潤いと活力に満ちた社会、地方を中心とした社会でなければならないと思っております。一極集中型で経済成長に重点を置いた戦後の復興の時代からの変換です。見方によっては経済の時代から文化の時代へ変換する、革命にも匹敵する大きな変換だと言えなくもありません。小手先でなく、国民全体で真剣に取り組んでいかなければなりません。
 今、地方分権推進委員会でも精力的に議論されていることは承知しておりますが、地方の立場から眺めて何点か質問をさせていただきます。
 まず、分権による地方の時代の確立は、単に権限の移譲にとどまらず、財源と人材の移譲が伴わなければ絶対に成功しないことは言うまでもありません。しかし、財源の移譲は税制に直結する難しい問題です。人材の問題にしても、有能な人材の確保が必要です。それぞれ大きな問題を内蔵しております。権限、財源、人材を三位一体として、どのように調和をとって対応していくのか、またこの先、分権社会が進むにつれ、さらに地方からいろいろ要求が出てくることも予想されます。そのときは国は出し惜しみをせず、十分に地方の意を酌み取って対応していただかねばなりません。今後の進め方について、明快なる答弁を総理にお願いいたします。
 分権による地方主権の時代は、住民自身が参画して初めて花開くものであります。行政に携わらない一般住民にも正しく理解してもらい、積極的に参加してもらわなければなりません。これらの人たちにどう啓蒙して、どう体制を整えていくのか。国の問題だ地方の問題だと検討を譲り合うのでなく、国家的な課題としてどう取り組むのか、国としての考え方を地方に示すべきであると考えます。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねいたします。
 平成九年四月、総理大臣が諮問されました食料、農業及び農村に係る基本的な政策に関する調査に対しまして、本年九月に答申がなされました。今後この答申に基づいて基本法を初めとする諸般にわたる法令が提出されることと思われますが、さきの農業基本法がほぼ三十五年続いたことを考えますと、新しい基本法は、この先長期間、日本農業のバイブルとして日本農業のかじ取り役を果たすものと思われます。したがって、さきの基本法の反省も含めて、現場の実態に即した、また現場の声を十分に反映したものでなくてはならないのは当然であります。その辺の御認識に関しまして、一、二点質問をさせていただきます。
 答申は、食料・農業・農村政策の目標の一つとして、地域農業の発展に目を向け、地域の条件や特色を生かした自由で多様な経営展開を進めることを挙げています。今までの護送船団方式からの転換は、地方分権の時代にかなう時宜を得た農業のあり方であると思います。
 そこで、お伺いいたします。これからの農業の担い手でありますが、昭和三十六年に制定された農業基本法に基づいて、ひたすら専業農家の育成に努めてきたのが今までの農政であったと理解していますが、その結果はどうであったか。専業農家は減少の一途をたどり、兼業農家がふえているのが現状です。これだけ長い期間努力してもそうならないのは、日本の体質に合わないと考えざるを得ません。もちろん、大規模経営の専業農家を支援することも大切ですが、日本農業を全体としてとらえれば、地域の実態に即して展開されている兼業による農業に対しても支援が必要と思います。農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、最近、地域によってはサラリーマン生活を終えた高齢者が農業に真剣に取り組む傾向を見受けます。日本農業を支える力として評価すべきであると思います。また、活気と健康が維持されるのであれば、農業政策としてばかりではなく福祉政策としても意味を持つと思います。高齢者農業に対する取り組みについて、農林水産大臣にお伺いします。
 また、福祉政策的観点から何らかの対応が図れないか、厚生大臣にもぜひ答弁をお願いいたします。
 中山間地の活性化対策は、これからの日本にとって大きな課題です。条件不利地だからといって取り残すわけにはいきません。水資源や酸素供給など資源の源であり、また、国民全体の憩いの場でもあります。中山間地に住む人たちだけの問題ではなく、都会に住む人たちの問題としても理解していただかなければなりません。
 デカップリングなどの所得補償制度を検討されているやにも聞いておりますが、生活の条件をしっかり確保することが大切であります。しっかりした教育環境や福祉厚生環境が整っていなければなりません。農林業対策だけでなく、総合的な対策が必要です。日本の国土にかかわる大切な問題です。どのように総合的に取り組んでいかれるのか、ぜひ総理にお答えを願います。
 最後に、参議院に対する新人議員の率直な印象を述べさせていただきます。
 多くの選挙民の皆様方から指摘されたことでもありますが、参議院の機能、存在意義がわからない、参議院が衆議院のカーボンコピーに見えるということであります。私自身も、第百四十三回の臨時国会に参加させていただき勉強いたしました。まだ理解が不十分ではありますが、また諸先輩を前にしてこのようなことを申すのは僣越かと思いますが、衆議院での審議で決定された党議がそのまま参議院に持ち込まれているように見えてならないのです。同じ党派であれば、衆議院にいようが参議院にいようが、意思統一されるのは当然のことかもしれません。しかし、これでは参議院の独自性が見えてきません。
 参議院は参議院として独自に判断を下してこそ、二院制政治が健全に運営されるのだと信じております。押しボタン方式の導入等、参議院改革と呼ばれる改革は幾つか実現されております。その労は多といたしますが、もっと根本的な問題、参議院の独自性をどう発揮するか、個人の意見を尊重する、良識の府としての参議院をどう確立するか、参議院改革の課題は山積していると思います。
 我々参議院の会は、それらの諸課題に取り組むことを旗印にして集まりました。それぞれの主義主張は一切拘束せず、議員経験に関係なく、並列の関係でつながった会派であります。これが良識の府の姿だと思っております。その存在そのものが一つの参議院改革だという信念を持って、今後も参議院改革に積極的に取り組んでいく覚悟であります。現在の二院制の現実とあり方について、政権政党のトップであられる政党人として、小渕総理の御所見をぜひ伺いたいと思います。
 また、これも選挙期間中に学んだことでございますが、国民には今の政治がよく見えないという不満が多いのであります。そのことが政治に対する無関心層、無党派層を拡大させていると考えます。現場と密着した政治でなければ本当の政治とは言えません。現場にいる者の声が届かない、現場にいる者が理解できない政治では国民は離れていくのは当然であります。
 もちろん、政治は決断と実行が大切であることは言をまちません。小渕総理がかつて対人地雷全面禁止条約の際に見せた毅然たる態度はいまだに印象に残っているところであります。が、一方で、総理のやり方がなかなか国民にはよく見えない、そのために支持されないというのも現実であります。
 小渕総理御自身も所信表明の中で、国民一人一人の立場からの御意見を幅広く聞き、総理の考えを直接話す機会を積極的に設けてきたと、現場の声の大切さを述べておられます。大変結構な姿勢であると賛同を覚えるものでありますが、それだけにとどまらず、現場の評価を謙虚に聞く必要があります。そして、評価、理解が得られないときは潔く身を引くのが民主政治の原点であると信じております。現在、総理は国民にどのように評価されていると御認識されているのか、御所見をぜひお伺いするとともに、国民からどのような反応があったときに身を引くのかについても、あわせお伺いいたします。
 私は、いまだいわゆる永田町の政治の駆け引きも政治用語も知らない身であります。選挙民の皆様にわかりやすい政治を公約して当選してまいりました。ぜひわかりやすい答弁をお願いする次第であります。私にお答えいただくというよりも、広く国民の皆様に理解してもらうという姿勢でお答えいただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(小渕恵三君) 岩本荘太議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、財政改革法凍結につきまして町の声を御紹介ございまして、お尋ねがありました。
 財政改革、財政再建というものはこれこそ政治の最大の課題であり、さればこそ過ぐる国会を通じましてこうした法律を制定させていただいてきたところであります。が、しかし、一方で現下の経済の状況を見まするときに、この状況を一日も早く脱却して日本経済をプラス成長に持っていかなければ、日本のみならず世界経済にも大きな責任を果たし得ない、こういう立場で現在おるわけでありまして、財政改革、財政再建と景気回復を両立させていかなければなりませんが、現下は景気回復に全力を挙げる、こういう立場であるわけでございます。
 したがって、財政再建、財政改革を忘れたわけでなく、今回も法律としてはこれを凍結させていただき、いずれ将来におきましては、国、地方の持つ大きな財政赤字につきましてもこれを解消する努力をしていかなければならない、そのためには日本経済を活性化して、国民の皆さんにもその負担に耐え得るような経済状況をつくり上げてまいらなきゃならぬ、こう考えておりますので、ぜひこの点御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 国家財政の現状については、申すまでもありませんけれども、大変厳しい公債発行額になっておりまして、公債依存度も三八・六%に達することでございまして、この結果、十年度末の国及び地方の長期債務残高は約五百六十兆円に達すると見込まれておることは御存じのとおりであります。
 現下の厳しい経済状況にかんがみまして、景気回復に全力を尽くし、財政構造改革法を当分の間凍結することといたしておりますが、少子・高齢化が進む我が国において、将来の社会、世代のことを考えれば、財政構造改革の実現は引き続き重要な課題であることは変わりなく、経済を回復軌道に乗せた段階におきまして、もう一度、二十一世紀初頭における財政、税制の課題につきまして十分検討いたしていかなければならないと考えております。
 次に、我が国の財政事情を特に若い人たちに説明すべきであるという御指摘があり、もっともだと存じております。
 財政状況につきましては、従来から種々の資料を整え、若い人も含め広く国民の皆様に対して御理解を得られるよう努めております。また、各大学において財政学の講義のほか、全学共通の教養教育などにおきまして、我が国の財政についての教育が行われているところでありますが、今後とも一層理解を深めていただけるよう努力してまいりたいと考えております。
 地方分権の進め方についてのお尋ねでありましたが、国と地方の役割分担を踏まえ、国庫補助負担金の整理合理化や事務権限の移譲なども進め、それに応じた地方税財源の充実確保を図ってまいるとともに、地域を担っていく人材の育成確保に積極的に取り組んでまいります。
 このため、五月に決定した地方分権推進計画の内容を踏まえた関連法案を次の通常国会に提出するなど、同計画を着実かつ速やかに実施いたしてまいります。
 地方分権の受け皿整備についてお尋ねがありました。
 政府としては、地方公共団体に対し数値目標を掲げ、住民にこれを公表し、住民の参画のもとで地方行革を推進するなど、情報公開等を通じた行政への住民の参画を進めるよう要請いたしておるところであります。今後とも、地方分権の担い手である地方公共団体の体制整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、農業問題につきまして、特に中山間地域対策につきましてもお話がありました。
 中山間地域は、国土、自然環境の保全、多様な食糧の生産等に重要な役割を果たしております。その活性化のためには、基幹産業である農林業の振興と生活環境基盤の整備、教育環境の改善や福祉施設の整備等が重要であり、関係省庁一体となりましてこれらの施策の充実と効率的な推進に努めてまいりたいと思います。
 次に、二院制の現状のあり方についてのお尋ねがございました。
 二院制の一翼を担う参議院が昨年五十周年という大きな節目を迎えておりまして、この間、斎藤議長を初め各党各会派の方々のたゆまざる努力により組織、運営等各般の改革に取り組まれ、着実な成果を上げておることに改めて敬意を表したいと思います。
 岩本議員が所属されておられる参議院の会の活動、取り組みについて御紹介もありましたが、特に議員が強く訴えられた、良識の府としての参議院をどう確立するかとの観点から、真摯な取り組みをなされておられることにつきましては感銘を受けたところでございます。
 国民からの小渕内閣の評価についてのお尋ねもございました。
 私は、政権発足以来、内政、外交に私なりに全身全霊を打ち込んで取り組んでまいったと思っております。なかんずく、経済再生がこの内閣の最大の使命であることを肝に銘じまして、思い切った政策を果断に決定し、実行に移しつつあるところであります。
 また、私は、この難局に当たりまして、国民の英知を結集することが大前提と考えており、このため、経済戦略会議での取り組みや、中小企業、社会福祉などさまざまな現場を訪ね、関係の方々との対話を重ねてきたところでございます。このことにつきまして、岩本議員から御理解をいただきましたことは大いに意を強くするところでありますが、また、御指摘のように、厳しい叱正の声もございますことは承知をいたしております。できる限り現場の声を謙虚に受けとめ、政策にこれを十分反映できる努力は続けていかなければならないと考えております。さらに最善を尽くすことをお約束いたしたいと思います。
 以上、答弁をさせていただきましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(中川昭一君) 農業の担い手についてのお尋ねでありますが、我が国農業の持続的な発展を図っていくためには、経営感覚にすぐれた意欲ある担い手が地域農業の中心を担う農業構造を実現する必要があります。
 その際、地域農業の実態を踏まえ、兼業農家、高齢農家と農地利用、労働力等の面において機能を分担しつつ、多様な形での農業生産活動が可能となるような体制を確立することが重要であります。このような観点から、地域の実情に応じた担い手の幅広い確保育成に向けた支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、高齢者農業についてのお尋ねでありますが、我が国の農業・農村の活性化のためには多様な人材の就農が求められており、他産業での経験豊かな高齢者が、その意欲と能力を発揮してもらう場を用意することが大切と考えております。
 このため、他産業をリタイアして就農しようとする高齢者に対し、本年度より就農を支援するための無利子資金の貸し付けを行うとともに、今回の第三次補正予算案において就農相談や情報提供の予算を計上するほか、高齢者の利用に配慮した施設等の整備や農村の高齢者が共同で行う農産物の加工等に必要な資金の無利子貸し付けを行っているところであります。
 今後とも、高齢農業者がその有する技術や能力を生かし、生きがいを持って農業に従事できるよう支援してまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(宮下創平君) 岩本議員にお答え申し上げます。
 サラリーマンを終えた高齢者の農業従事についてのお尋ねでございますが、自然に親しみ、農業に従事することは、作物の栽培、収穫を通じた喜びが得られるとともに、他の高齢者との触れ合いを深めるものとして、高齢者の生きがいづくりの面からも大変有意義なものと考えております。そのため、ただいま農水大臣が答弁されましたとおり、農業を営める条件整備を進めることが肝要かと思われます。
 一方、厚生省といたしましては、一般的に農村社会を含めて高齢者の健康づくりや生きがいづくりに関する事業を進めておるところでございますが、サラリーマンを退職した方々が生き生きと活動を続けられる条件を農林水産省とも連携を図りつつ、多面的に整備してまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#28
○副議長(菅野久光君) 小川勝也君。
   〔小川勝也君登壇、拍手〕
#29
○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小渕総理の所信表明演説に対する質問をいたします。
 まず、昨日の我が会派北澤俊美議員の野中官房長官に対する自民党と自由党が連立することは野合であるとの指摘に対して、官房長官は細川政権も野合であるとの誤った認識を示しましたので、念のため申し上げます。
 御承知のとおり、細川政権は、総選挙で当時の自民党が過半数に至らず、民意を反映してできた政権であります。一方、自自連立は、ことしの参議院選挙を非自民で戦い、首班指名選挙では菅直人に投票した自由党を、政権維持だけが目的の小渕内閣が取り込むための連立であり、おのずから違うことを改めて申し上げておきます。
 また、自民党が民主政治を無視し、政権維持のみを目的に政治を行う姿、派閥政治のばっこ、中島洋次郎議員に代表される金にまつわるさまざまな疑惑に対し、国民を代表して不快感をあらわしておきます。
 質問に入ります。
 初めに、行き詰まる政府の景気対策について伺います。
 民主党は、未来型で即効性のある大型の景気対策を要求してまいりました。ばらまき型、旧来型の景気対策に固執し続ける総理の御認識をお伺いいたします。
 総理が過去の失敗から何を学んだか、お尋ねしたいと思います。
 第一に、バブルの終わりの引き金になったいわゆる総量規制に対する評価であります。第二に、数次にわたる総計百兆円にも上る景気対策の効果に対する評価であります。第三に、タイミングを外し、小出しの景気対策を行った橋本前政権の経済対策に対する評価であります。
 さらに大事なことは、景気回復後の経済社会のあり方です。よく経済が患者に例えられ、景気対策はカンフル剤に例えられます。カンフル剤を打たなくても元気な経済にするために総理はどんな方策をお考えか、お尋ねいたします。
 また、景気が好転しない最大の理由は、雇用の悪化、将来の不安の増大による消費の低迷にあります。総理の御認識と具体的対策についてのお考えをお伺いいたします。
 民主党は、安心して暮らせる社会の創出など、具体的には介護、医療、保育などの施策の充実でも十分な景気刺激効果があると主張しています。公共事業は必要なことではありますが、地方における公共事業依存体質を脱却しない限り、地方の基礎的体力は向上していかないこともまた事実であります。公共事業が落ち込めば、地方の経済がまた落ち込むという悪循環をどのように脱却させていくお考えか、お答えください。
 次に、金融問題についてお伺いいたします。
 さきの臨時国会において、民主党の反対にもかかわらず成立した金融機能早期健全化法の施行状況についてお聞きいたします。
 先ごろ発表された大手十八行の九八年九月中間決算では、不良債権はことし三月に比較して、さらに六千七百億円も増加し、二十一兆二千七百億円となりました。また、金融再生法の規定に基づき政府が定めた新しい基準で不良債権額を計算すると、リスク管理債権二十一兆二千七百億円をさらに上回ることが確実であることも明らかになりました。一体不良債権はどこまでふえるのか、本当にこれだけなのか、その疑問が晴れない限り根本的な問題解決はあり得ません。大手銀行が抱える不良債権の金額について、銀行が公表している金額が本当に真実なのか、小渕総理の見解をお尋ねいたします。
 大手十八行は、中間決算の発表と同時に、公的資金による資本増強の方針を表明しました。申請額は最大五兆七千億円に上る規模です。しかし、政府はこの金額では資本増強は不十分と見て、大手銀行に対して申請額の上積みを促しているといいます。つまりは、大手銀行の決算は粉飾で、本当は発表した数字よりもずっと悪いことを政府は知っていて、それを黙認し、もっと公的資金を上積みせよと迫っているわけです。金融システム不安解消のためには、公的資金の投入はやむを得ないものであることは認めますが、実態を隠ぺいして責任追及を回避するというやり方は、まさに盗人に追い銭であり、断じて許すことはできません。大手銀行に対する資本注入についての小渕総理のお考えをお聞かせください。
 行政改革について伺います。
 総理は、施政方針演説の中でも、行政改革を最重要課題の一つと位置づけられています。今までの総理の御発言は、橋本行革の継承であり、小渕総理の行革に対する姿勢、考え方が一向に明らかとなっていません。まずは総理が、御自身の言葉で行革実行に対する決意及びその特徴を明確にしていただきたいと考えます。
 民主党は、行政改革に対して明確な哲学を持っております。ここでその詳細を述べることは控えますが、地方へ、市場へ、民間へ権限を移譲していくことが行革の大前提であります。しかしながら、橋本行革案においては、そのような柱となるべき哲学、理念が欠落しております。特に、現行省庁を単に渡り廊下でつないだだけの一府十二省への再編によるメリットはどこにあるのでしょうか。総理の橋本行革案に対する評価と、行革の哲学をあわせてお聞かせいただきたい。
 さらに、具体的な課題でありますが、国土交通省について伺います。
 橋本前首相は、みずから進めた省庁再編の結果生まれる国土交通省が余りに巨大になることを懸念し、その矛盾解消を地方分権推進委員会に押しつけました。しかし、地方分権推進委員会が血のにじむような努力を行っている最も重要な段階で首相が交代し、結局、委員会ははしごを外されたような形になり、提出された勧告は国土交通省のスリム化にはほとんど役に立たないものとなってしまいました。そこで、改めて中央省庁等改革基本法にある国土交通省の姿及び第五次勧告を見て、この国土交通省がこのままでよいのか、地方支分部局への権限委譲が地方分権と言えるのか、御見解を伺います。
 行革の最後は、情報公開法についてであります。
 この法案は、本来なら省庁再編の以前に当然成立を図るべき法案でありましたが、橋本前政権のメンツのために先送りされました。そこで、総理のこの法案への取り組み姿勢、特に少なくとも次の通常国会での成立を図る意図があるのかないのか、明快な御答弁をいただきたいと思います。
 次に、教育問題について伺います。
 今日、学校は危機的な状況を迎えています。不登校の生徒児童数が十万人を超え、学級崩壊という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。この際、抜本的な教育改革が断行されなくてはなりません。審議会でも次々と答申が出されておりますが、小手先の制度いじりではなく、子供に希望を与え、生きる力をはぐくむ場所として学校が根本的に再生されなくてはなりません。一刻の猶予も許されません。
 先月発表された文部省の調査によりますと、授業がよく理解できない生徒が小学生では約三割、中高生では約六割という結果が出ました。過半数の生徒が理解できない授業が行われていて、学校が子供たちの個性をはぐくむ場所であるはずがありません。一人一人の個性を生かすきめ細かな教育には、三十人学級の早期実現が必須であります。財政構造改革法により、二年間延長された教職員定数改善計画の取り扱いについて、総理の御見解を求めます。
 ゆとりある教育を目指して、完全週五日制の導入、新学習指導要領では内容が三割削減されました。さらに、高等教育についても審議会を通してさまざまな改革が提言されました。しかし、真にゆとりある教育とは何なのかという本質的な議論が十分になされたのでしょうか。
 教育の理念は何か。どのような人材を育成しようとするのか。教育における国、地方自治体、学校、地域、家庭の役割はどうあるべきか。子供たちをどのように育てようとするのか。総理にその理念をお尋ねいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 新しい農業基本法の論議が進んでおります。我が国の食糧自給率は先進国の中でも著しく低く、欧米各国が軒並み七〇から八〇%あるいは一〇〇%を超えている中で、我が国はわずかに四二%であります。今までの農業政策の議論では、食糧安全保障がおざなりにされていたと言わざるを得ません。総理は、食糧安全保障に関してどのような御見解をお持ちなのか。また、我が国が目指す食糧自給率の目標はどの程度に設定されるのか、明示をしていただきます。
 また、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉以降、日本の農業は未曾有の危機に瀕しています。中でも、国際競争力をつけるために規模を拡大した専業農家の疲弊が激しく、このままでは農地が放棄され、国土が荒廃していくのは目に見えています。もとより、農地の価格、物価、賃金などを考えると、日本農業が純粋に国際競争力を得ようとしたのは無謀であったと言わざるを得ません。今こそ、食糧安全保障、国土保全の観点から、ヨーロッパでも実施されている直接所得補償制度を導入すべきだと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 防衛庁調達本部をめぐる背任及び証拠隠滅疑惑に関連して額賀防衛庁長官が辞任し、秋山事務次官以下責任者の処分が発表されるとともに、疑惑にかかわる最終報告が提出されました。
 総理は、さきの国会において本院における防衛庁長官の問責決議を重く受けとめ、即刻罷免させるべきであったにもかかわらず、最終報告まで居座り続けさせたのは時期を失したと言わざるを得ません。総理は、本院においてその反省の弁を明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 事務次官についても、検察の摘発回避に向けて隠ぺい工作をしたとも伝えられ、また三十一人に上る処分者が出たことは、日本の安全保障にとって憂慮すべき深刻な事態と言うべきであります。最終報告によると、地検の捜査の前に資料隠しと見られる行為が行われており、捜査機関に対して非協力的な態度をとるなど、疑惑隠しと見られる実態の一端が明らかになっております。
 防衛庁は、最終報告において初めて組織的証拠隠しを認めておりますが、当初は事実をひた隠しにしていた防衛庁が曲がりなりにも組織的証拠隠滅の事実を認めたことは、我々の追及があったからであり、ひとり政府に任せておいたら適当な報告でごまかしていたはずです。事実、中間報告では組織防衛が見え見えであり、過大請求をめぐる疑惑は、贈収賄事案を含め続々と新たな疑惑が浮上しており、とどまるところを知りません。まさに、国会及び国民の防衛庁に対する信頼を裏切り、自浄能力の欠如を露呈したものであります。
 このような組織的な隠ぺい工作は、天下りと利益誘導に象徴される関連業界とのもたれ合い構造に由来し、提出された調達制度、調達機構に関する改革案も、これまでのいきさつを見れば、その実効性をにわかに信用できません。さきの中間報告において、額賀長官は防衛庁の説明をうのみにしたと批判を浴びましたが、総理は、本調達問題についてどのような指導力を発揮されたのか、また、具体的な調達制度の改善につきどのようにしていくおつもりなのか、お聞かせ願いたい。
 次に、政治腐敗防止に向けた小渕総理の決意について伺います。
 御承知のように、通常国会では与野党を挙げて政治倫理、公務員倫理の確立を目指した議員立法が数多く提出されましたが、一度も審議されないまま継続扱い、たなざらし状態となっております。国会議員の地位を利用したあっせん利得の処罰や国家公務員倫理法などを一刻も早く実現すべきでありますが、総理は一体やる気があるのでしょうか。「早期成立を期待」するという他人事のような所信表明では困るのです。自民党総裁たる小渕総理の見解を聞かせていただきたい。
 また、自由党は既に、国会議員が入札に口出しをすれば刑罰の対象にするという趣旨である国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案を提出しております。これは自由党が基本政策にも高らかに掲げている根幹的政策ですが、連立政権に合意された小渕自民党総裁は、これに賛同するお考えをお持ちでしょうか。自民党内では猛反対の声が上がっているとも聞こえてきますが、この法案に対する自民党の態度を明確にお答えください。
 環境問題についてお尋ねいたします。
 大量生産、大量消費、大量廃棄を行ってきた近代文明によって、資源の枯渇、異常気象、有害化学物質の拡散と蓄積などの環境問題が発生し、地球をむしばんでいます。私たちには、良好な地球環境を将来世代に引き継ぐ責務があります。そのためには、市民一人一人が責任を持ってライフスタイルを転換し、物質の循環が確保され、自然と共生できる社会を速やかに構築しなければなりません。
 スウェーデンの環境団体であるナチュラルステップは、目指すべき循環型社会への羅針盤として、四つのシステム条件を非常にシンプルな形で提示しております。第一に、生物圏の中で、地殻から掘り出した物質の濃度をふやし続けてはならない。第二に、生物圏の中で、人工的に製造した物質の濃度をふやし続けてはならない。第三に、自然の循環と多様性を支える物理的基盤を破壊し続けてはならない。第四に、効率的で公平な資源の利用であります。この四つのシステム条件を満たすような社会を日本も目指すべきであると考えます。
 そのためには、環境政策を最優先課題として取り組むことが必要であると考えますが、小渕総理は環境問題をどの程度の優先度でとらえているのか、また、循環型社会構築のためにどのようなお考えをお持ちなのか伺います。
 二十一世紀を間近にし、我が国は未曾有の不況の中にはいますが、日本人の生活はかつてなく豊かになり、便利な生活を享受しております。しかし、お金がなければ手に入らないもの、お金があれば手に入るものがふえ、お金の相対的な価値が高くなりました。親は子供に対して、勉強すればより豊かな経済生活が送れると教える。幸せを金銭的な尺度ではかるようになった気がいたします。総理の考える二十一世紀の日本、幸せの哲学を披瀝していただきたいと思います。
 日本は今、新たな価値観の創造を含め、経済社会のあり方や教育、行政のあり方など大きな改革が求められ、また、大きな転換を求められている諸課題が山積しています。暮らしを豊かにという経済成長至上主義とも呼べる戦後日本の政治のバイブルは、もはや通用しない時代となりました。今こそ、二十一世紀の日本の哲学とビジョンを持ち、リーダーシップを発揮して、国民に夢と希望を与えられる人だけが日本の総理大臣であるべきだと考えます。円満な人柄から党内で敵が少なく、たまたまなった人が総理大臣であり続けることが、将来の我が国にとって大きな災いをもたらし、国民を不幸に陥れることになると私は指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(小渕恵三君) 小川勝也議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、いわゆる総量規制についてお尋ねがありました。
 平成二年三月に導入された総量規制は、総合的な土地政策の一環として、金融面からも地価問題に積極的に対応し、金融機関の土地関連融資を融資全体に対して均衡のとれた水準にするとの政策目的から講じられたものであります。したがいまして、この措置のみの評価申し上げることは極めて難しいところでありますが、当時の地価をめぐる状況を踏まえれば、適切な措置であったと考えております。
 過去の対策についてお尋ねがありました。
 九〇年代に入ってからの累次の経済対策による公共投資の増加につきましては、バブル崩壊後の民間部門の設備投資の落ち込みを相殺する形で、景気がスパイラル的に悪化していくのを防止し、その下支えに貢献してきたものと考えております。また、減税は、可処分所得の増加を通じて個人消費にプラスに働き、さらに、民間部門のマインドの好転にも寄与したと考えられ、他の施策と相まって景気に効果的に作用したと考えております。
 橋本内閣の経済政策についてお尋ねでしたが、政府としては、昨年来、二十一世紀を切り開く緊急経済対策、二兆円規模の特別減税に加え、金融システム安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めてまいりました。さらに、四月には総合経済対策を策定いたしました。このように、その時々の経済状況に応じて財政・金融両面にわたり、可能な限りの措置を講じてきたところであります。
 現内閣といたしましては、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 景気が回復した後の経済政策についてでございますが、今般の緊急経済対策における景気回復策は、二十一世紀型社会の構築に資するよう、即効性、波及性、未来性の三つの観点を重視して取りまとめたものであります。当面は公的需要を中心に景気の下支えを図りながら、民間消費などの回復を通じた民需主導の経済発展に円滑にバトンタッチすることを目指すとともに、景気回復の動きを中長期的な安定成長につなげるため、二十一世紀の多様な知恵の時代にふさわしい社会の構築に向けた構造改革を推進してまいります。
 経済の現状及びそれに対する対応についてお尋ねがありました。
 現下の日本経済は、金融機関の経営に対する信頼の低下や雇用不安などを背景として、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資が低迷している状況にあり、地価や株価の低下と相まって企業や金融機関の経営環境を厳しいものにいたしております。さらに、貸し渋りや資金回収を招くという、いわば不況の環とも呼ぶべき厳しい状況の中にあります。
 今般の緊急経済対策は、失業者をふやさない雇用と起業を推進することを目標に掲げておりますが、本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、国民の間に生まれている我が国経済社会の将来に対する不安感を払拭するため全力を尽くしてまいりたいと思います。
 次に金融問題でありますが、大手十八行の不良債権額についてのお尋ねがありました。
 不良債権問題につきましては、不良債権のディスクロージャーの拡充等により、金融機関経営に対して市場規律を徹底し、早期処理を促進することが必要であることは申すまでもありません。このような観点から、不良債権額のディスクロージャーにつきましては、従来からその拡充を促しているところでありますが、また、リスク管理債権額につきましては、来年三月期から罰則つきの開示を義務づけておるところであります。
 大手銀行に対する資本注入についてのお尋ねでありましたが、今般の資本増強制度におきましては、金融機関等の自助努力、情報の適切かつ十分な開示等を基本的な原則といたしまして、また、金融機関等が適切に資産の査定、償却、引き当て等を行うことを前提といたしております。政府といたしましては、この制度の趣旨を踏まえ、我が国金融システムの再構築と経済の活性化が図られるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
 橋本行革への評価についてお尋ねがありました。
 中央省庁改革は、本年六月に成立した中央省庁等改革基本法に基づき、二十一世紀に国が果たすべき機能を十全に発揮するため、中央省庁のスリム化を行うとともに省庁の大くくり再編を行うものでありまして、本内閣におきましても最重要課題の一つとして、強い決意でこれを推進してまいりたいと思っております。
 行政改革についての哲学と決意についてお尋ねがありました。
 行政改革は、国の行政組織及び事務事業の運営を簡素かつ効率的なものにするとともに、その総合性、機動性、透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものであります。このような認識に立ちまして、最重要課題であります中央省庁等改革に全力で取り組むとともに、規制緩和、地方分権など、さまざまな課題につきましても、強力にこれを推進してまいる決意であります。
 国土交通省に関するお尋ねがありました。
 今回の省庁再編は、省庁を大くくり編成し、その一環として同省を設置するものであります。同省の公共事業については、中央省庁等改革基本法及び地方分権推進委員会第五次勧告に即し、国と地方の役割分担の見直しや統合的な補助金制度の導入を進めるとともに、地方支分部局への権限の委譲等を行うことによりスリム化に努めてまいりたいと思います。
 情報公開法の制定についてお尋ねがございました。
 情報公開法は、国民に開かれた行政の実現を図るために重要な法律であると私も認識しております。このことはこれまで申し上げてきたところでありますが、今後とも与野党間で十分な御論議をいただき、速やかに国会において成立させていただきたいと考えております。
 次に、文教関係で、教職員配置改善についてでありますが、現在、一人一人の個に応じた多様な教育を展開することができる教職員配置を柱とする第六次改善計画を推進し、鋭意取り組んでおるところでございます。厳しい財政状況の中ではありますが、教育の重要性にかんがみ、現行改善計画につきましては十二年度完成に向けて着実に推進してまいります。
 教育の理念についてのお尋ねもありました。
 次代を担う子供たちがたくましく、心豊かに成長することは、二十一世紀を確固たるものとするための基本と考えております。このことを踏まえ、国、地方公共団体、学校、家庭及び地域社会がそれぞれの基本的役割を果たしつつ、相互に連携を図ることを重視し、今後とも教育改革に取り組んでいく所存であります。
 次に、食糧安全保障並びに食糧自給率についてのお尋ねがございました。
 食糧を安定的に供給していくことは、申すまでもなく国の基本的責務であり、そのために国内農業生産を基本に位置づけ、各般にわたる政策を講じていくことが重要であると考えております。また、食糧自給率の目標につきましても今後検討を進めまして、関係者の努力喚起及び政策推進の指針として適切に策定いたしてまいりたいと考えております。
 次に、直接所得補償についてのお尋ねがありました。
 なるほどヨーロッパで実施されております直接所得補償は、価格支持水準の削減の見返り等として行われておるものでありまして、我が国農業情勢に照らした場合、そのまま適用することには困難な事情があると思います。いずれにいたしましても、農業経営の安定は重要な課題であり、そのあり方につきましては、農政改革の中で十分検討してまいりたいと思います。
 次に、防衛庁長官に対する本院の問責決議についてでありましたが、本決議の重みは十分承知をいたしております。国民の信頼回復のため、防衛庁における証拠隠し疑惑をめぐる真相の解明や調本組織の徹底的見直しなど、再発防止策の推進に全力を尽くすことが額賀前長官の責務と考えてまいりましたが、先月末、同庁の改革に道筋をつけたことを受けまして、同長官から辞職の申し出がありましたので、これを許可いたしたところであります。
 装備品調達制度の改革案についてでありますが、今般の背任事件に関し、問題点をきっちり解明して十分な体制を構築するようにとの私からの指示を受け、額賀前防衛庁長官を中心に防衛調達改革の基本的方向が取りまとめられたところであり、これを踏まえ、企業間の競争原理を活用する施策を講じるほか、内部監査機能強化の観点からの機構改革、第三者機関によるチェック体制の確立等の施策に取り組んでまいる考えであります。
 継続審議となっております国家公務員倫理法案や政治改革関連法案についてお尋ねがありました。
 私は、所信表明演説でも明らかにいたしましたとおり、公務員や政治家それぞれが厳しく身を律し、みずからの職務を全うするよう強く求めるとともに、行政や政治のいずれもが国民から十分な信頼を得られるよう、議員立法として御提案をいただいておる国家公務員倫理法案や政治改革関連法案の早期成立を期待いたしておるところでございます。
 国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、このような国会議員等の政治倫理の確立に資する法律案につきましては、まず各党各会派で十分御議論いただくことが基本であると考えており、その結果を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、環境政策についてお尋ねがありました。
 環境政策は、国民の健康を守り、良好で快適な生活環境の確保を図るとともに、すぐれた自然環境やかけがえのない地球環境を保全する上で極めて重要であると認識いたしております。私は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会システムを見直し、循環を基調とした、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を実現してまいりたいと考えております。
 最後に、二十一世紀における価値観についてお尋ねがありました。
 これを一概に論ずることはなかなか難しいものの、一般論として、これまで以上に個人の選択肢や価値観が多様化、多元化していくものと見込まれ、その中で個々人が自己責任に基づき自由に選択、決定していくようになると考えられます。
 また、二十一世紀におきまして、我が国の経済社会全体としていかなる社会を目指すのかという点につきましては、私の目指すものは、国内的には一人の能力がより自由で、より公正な形で最大限発揮できるような活力ある社会であって、同時に安全や生活のよりどころなど安心が保障される社会であり、その結果、経済的な繁栄にとどまらず、国民が誇りに思うことができ、同時に国際社会の中で信頼されるような国家、いわば富国有徳を目指すべきものと考えております。
 以上、御答弁申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(斎藤十朗君) 石渡清元君。
   〔石渡清元君登壇、拍手〕
#32
○石渡清元君 私は、自由民主党を代表して、先日行われた所信表明演説に関し、経済、金融、税制、社会保障等について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 私たちは今、戦後最悪の不況下にあり、この経済情勢の克服のために、財政出動、減税とともに、規制緩和による新規参入の奨励、新ビジネス創出のための環境整備を図ることが急がれるところであります。このような政策を具体化、推進するに当たり、自信を失いつつある国民、企業者を勇気づけ、需要を大幅に拡大するためにはどうしたらよいか、真剣に対応していかなければなりません。総理の日本経済再生にかける基本認識と今回の緊急経済対策の役割、特徴を伺うとともに、対策全体が早期かつ効果的に推進されるためにはどのように取り組まれるのか、方針をお尋ねいたします。
 今回、設備投資が減少した最大の要因は、現在の経済成長率が大幅に落ち込み、企業の期待成長率が下方屈折を起こしている点であり、不稼働資産が増加し、投資採算が急速に悪化しているため、有利子負担の過剰感が高まっているからであります。このため不況脱出の道筋を明確にし、企業の意欲を引き出すとともに、当面の需給ギャップを埋めるため消費の拡大、公共投資の推進が緊要であります。
 公共投資は雇用を初めとし、景気対策として波及効果が期待されますが、公共投資本来の役割にかんがみ、都市開発、地域開発として二十一世紀につながるものを見きわめ、優先的に厳しく選択するということが重要と考えます。今回の緊急経済対策において民間投資がどの程度期待されるのか、また、社会資本整備の役割とその効果についてどのように見ておられるのか、経済企画庁長官に見解をお伺いいたします。
 これまでの数次の大型経済対策で地方団体の起債残高は急増しており、今後とも地方債の円滑な発行ができるのか、危惧されているところであります。特に、景気低迷による税収減が大きい大都市圏の地方団体を中心に、国の景気対策に伴う地方負担が困難とするところも出てきております。このようなことから、今回の経済対策について、地方負担の問題から消化できないのではないかと懸念する声があります。
 また、財源問題と同時に迅速性、即効性が求められる経済対策が、六月に成立した第一次補正予算の対策が地方議会を通過し、発注、契約に至るまでに半年近くを要したという状況を考えますと、今後地方にも経済対策に迅速に取り組むことが強く求められます。地方財政上の問題とあわせて、この点の答弁を自治大臣に求めます。
 政府は、財政構造改革法を全面的に凍結しつつ、目下景気回復を最優先して政策を運営されておりますが、公債発行残高の急増、超高齢社会の到来を考えますと、財革法の凍結はあくまで当分の間の措置であります。また、経済対策は将来世代の負担増につながりかねないことを肝に銘じた上で、民間活力や企業の努力を引き出す効率的な政策運営を行っていただきたいということを強く要望しておきます。
 今まで日本の企業は、石油ショックや急激な円高等、環境の激変を企業努力により乗り切ってまいりました。今回の不況においても底力を発揮して、生産性向上、新しい市場開拓等によって立ち直ってほしいのであります。政府としても、こうした企業努力を後押しする意味で、新規産業創出や収益拡大のための規制緩和の推進、設備の更新のための投資や研究開発投資を支援する投資減税の拡充等、官民一体の努力が不可欠と考えます。
 今後、経済対策が民間の活力、努力を引き出しつつ、効率的に推進されるには経済企画庁長官の御尽力が期待されますが、長官の御所見をお伺いします。
 次に、金融システム問題についてお伺いをいたします。
 先般の臨時国会はまさに金融国会とも称される国会であり、我が国がバブル崩壊以来抱えてきた不良債権の処理を進め、金融機能の安定とその再生を図るため抜本的な解決策を打ち出すべく、事後的処理の金融再生関連法、事前対応の金融機能早期健全化緊急措置法が成立を見ました。金融システムが正常化へ向かうことが内外から期待されているわけであります。
 そこでまず、金融再生関連法に関してであります。
 同法の成立により、長銀は国の特別公的管理のもとに置かれることになり、国有化第一号として新しい経営陣の手腕が極めて注目されております。
 そこで、金融問題担当大臣に伺います。
 さまざまな取引の継続、中でも健全かつ善意の貸出先への融資の継続は、中小中堅企業の経営安定化の面からも何としても維持されなければなりません。一方で、厳しい資産査定を行い、不良化した債権の整理回収機構への売却など、めり張りある対応も必要でありましょう。
 公的管理を円滑に進めるに当たりどういった点に注意されているのか。近々発足する金融再生委員会での債権の査定、融資判断等について基本的なお考えを伺います。
 一方、事前対応の早期健全化の積極的推進が急務であり、大規模な資本注入の早期実施により、大手行の自己資本比率が国際的に比肩し得る水準の一〇%を上回ることが望ましく、さらに貸し出し余力が高まり、貸し渋りが緩和するよう努力されるべきであります。
 そこで、金融問題担当大臣に、早期健全化の効果的な運用、特に資本の注入規模、貸し渋り緩和効果についてどのように見通しておられるのか、伺います。
 柳沢大臣は、資本注入の条件として、合理化策に加えて前向きなリストラ計画の提出を求める旨を表明されています。こうした点の判断をどのように具体的にされていくのか、計画の実効性担保の方法も含め、大臣のお考えを伺います。
 さらに、政府は、金融関連対策の一環として、長期運転資金確保のため、日本開発銀行の融資拡大、中堅企業への信用保証協会の保証枠新設、より機動的な日銀の資金供給の充実等、あらゆる形で金融正常化を図ろうとしています。こうした施策は総じて貸し渋りの緩和に貢献すると見込まれますが、大蔵大臣は、これらの対策で貸し渋り解消が図られるのか、どのように判断されているかをお伺いいたします。
 次に、税制について伺います。
 我が国が深刻な経済不況から抜け出すには、税制改革を果敢に、そして機敏に実施していかなければなりません。そのためには、景気対策として即効性がある税制とは何かを十分検討し、例えば要望の強い住宅建設促進についても、新たな仕組みを含め、早急に具体化すべきであります。
 先日、個人所得課税の最高税率が五〇%、法人課税の実効税率が四〇・八七%へと国際水準並みに引き下げられることが決まりました。他方、国民の生活、消費面から見ると、特に中所得層の負担軽減等が大きな課題であり、定率減税をどのように組み合わせていくか、総合的に検討せねばなりません。恒久的減税が国民の消費、企業の投資等に大きな刺激を与え、有効需要を喚起するようにしていただきたく、大蔵大臣に税制改革の基本的お考えを伺います。
 他方、地方財政の借入残高は平成十年度で百六十兆円にも及んでおり、地方の財政再建も急務であります。そのためには、地方交付税率や地方消費税率のあり方、またその他の税源等を総合的に見直して、地方財源の充実確保を図るにはどのような方策があるのか、地方分権の推進との関連も踏まえながら、国と地方をあわせた税財政のあり方を抜本的に検討すべきですが、総理のお考えを伺います。
 次に、社会保障問題に関してであります。
 経済対策が国民生活の向上を目指すものとすれば、社会保障政策はその安定を図るものであります。しかし、超高齢社会を間近に控え、昨今の厳しい経済情勢と財政赤字の拡大と相まって、国民の間では社会保障の先行きに対して不安感が高まりつつあることも確かであります。
 平成十二年から介護保険制度が新たにスタートしますが、これを機に年金、医療、福祉等の各分野について横断的に見直し、利用者の立場に立ったサービスの確立と社会保障全体の効率化が望まれます。
 特に、年金制度に関しては若い世代を中心に不安感が強いようであり、その不安感が景気の気を冷やしているとの指摘もあります。それだけに、将来世代の負担が過重なものとならないよう給付と負担のバランスにも十分留意し、将来のしっかりとした年金体制の確立が急がれねばなりません。
 自民党では、国民の老後に備えた自助努力を支援するため、確定拠出型年金の導入も検討しています。総理は、厳しい情勢の中で、国民の将来不安を払拭するために年金を初め社会保障改革をどのように進められようとしているのか、基本的なお考えを伺います。
 また、消費税の福祉目的税化が重要な政策課題として浮上しつつありますが、これは広く税制、財政、社会保障制度などの将来像にも影響してくるものであり、国民各層の意見も幅広く聴取しつつ、真剣に議論することが不可欠であります。消費税の福祉目的税化について、総理と大蔵大臣の現在のところの基本認識を聞かせていただきたいと思います。
 全体として、事前調整から事後チェックへの移行の流れの中で、小渕総理がなすべきことは、アイデアの交換による政策論議と政策の実施過程の問題点を明らかにし、これを除去する方策をとることが政策過程の効率化と経済を活性化する近道であることを指摘し、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(小渕恵三君) 石渡清元議員にお答え申し上げます。
 まず、日本経済再生にかける基本認識と、今回の緊急経済対策の役割及び特徴についてお尋ねがございました。
 今般の緊急経済対策では、まず金融システムの安定化・信用収縮対策、あわせて景気回復策を早急に実施することといたしております。今回の対策を早期かつ効果的に推進するために第三次補正予算を速やかに今国会に提出することといたしており、その一刻も早い成立に向け、御理解と御協力をお願いいたします。
 本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりとしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、改めて内閣の命運をかけて全力を尽くすことを申し上げたいと思います。
 次に、地方税財源についてのお尋ねがありました。
 地方税財源の充実確保は、地方分権を推進する中で極めて重要な課題だと考えております。地方分権の進展に伴いまして、国と地方公共団体の役割分担を踏まえつつ、中長期的に国と地方の税源配分のあり方についても検討をしながら、地方税の充実確保を図るべきと考えております。
 この場合、地方分権推進計画にもありますように、所得、消費、資産の間における均衡のとれた国と地方を通じる税体系のあり方等を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討する必要があると考えております。
 次に、社会保障改革についてのお尋ねがありました。
 社会保障制度につきましては、少子・高齢化の進行に伴う給付と負担の増大が見込まれます中、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化を進めていくことが重要であります。
 このような考え方に立ちまして、年金制度改正につきましては、将来とも安心して年金が受給できる制度を確立するため、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重にしないよう制度の見直しに取り組んでまいります。また、確定拠出型の年金制度の導入についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、消費税の福祉目的税化についてお尋ねがありました。
 今後の少子・高齢化の進展に伴いまして増大する年金、医療、介護等、福祉のための財源を国民にどのようにお願いするかは重要な検討課題であると認識をいたしており、少子・高齢化がさらに進展する二十一世紀を展望しつつ、直間比率を是正していく流れの中で、中長期的な税構造はどうあるべきか、建設的な議論を行っていくことは重要であると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(堺屋太一君) 石渡議員から、緊急経済対策において民間投資がどの程度期待されるものかというお尋ねがございました。
 民間設備投資につきましては、過剰感がかなり強いことから、当分これが大きく伸びるとは期待しにくい状況にあります。政府といたしましては、まず金融不安を解決し、そこから民間企業のマインドを改善し、それが相まってやがて民間投資も出てくる、大体平成十二年度には設備投資を含めて回復が期待できると考えております。
 また、社会資本整備の役割と効果についてお尋ねがございました。
 今回の対策における社会資本整備については、まず第一に景気回復に対する即効性があること、それから民間設備投資あるいは住宅投資、そういったものの誘発効果があること、それから第三番目に未来開発的な意味があること、未来性があること、この三つを原則といたしまして、生活空間倍増戦略プランあるいは産業再生計画等に加えて、さらに二十一世紀先導プロジェクトというのを従来の省庁の枠組みにとらわれない形でつくることにしております。
 こういった経済政策によりまして、先導的なプロジェクトが次々とできてまいります。この社会資本整備の部分だけを考えますと、今後一年間に経済に与える名目的なGDPの上昇は二・一%、それから実質にしますと一・九%程度であります。これに減税等を含めますと名目二・五%、そして実質二・三%の上昇が期待されます。
 また、経済対策における民間活力をいかに推進するか、引き出していくかというお尋ねがございました。
 今次の緊急経済対策では、現下の厳しい情勢にかんがみ、日本経済を一両年のうちに回復軌道に乗せることの第一歩として、総事業費十七兆円を超えるものと六兆円を超える恒久減税、合わせて二十兆円を大きく超える規模のものを用意いたしました。またその内容も、前述のようにかなり斬新なものとなっております。
 これにより、来る平成十一年度は次の三つの目標を掲げております。まず第一に、平成十一年度の経済は自信を持ってプラス成長になると言えるほどの需要をつくり出すこと。二番目には、失業者をふやさない雇用と起業の推進であります。そして第三番目は、国際協調を推進し、とりわけ対外経済摩擦を起こさないようにしていくこと。特に雇用に関しましては、本対策により百万人規模の雇用の創出・安定を目指しております。
 民間の活力、努力を効果的に推進するため、対策としては次のようなものを考えております。
 第一は、先ほども申し上げました金融システムの安定化・信用収縮対策でございまして、資本増強制度等の実効ある運用や貸し渋り対策等によりまして、我が国経済の再生のためにまずなし遂げるべき金融システムの再生を行います。
 第二番目には、新規事業の創造によりまして良質な雇用を確保すること、そして生産性の向上を図るために投資を拡大することに重点を置いております。産業再生計画を策定いたしまして、我が国産業の再生に全力を傾け、特に新たに業を起こす方々を鼓舞し、中小企業を活性化していきたいと考えております。また、民間資本を公共的な事業に活用するためにPFIを推進する予定でございます。
 第三に、税制につきましては、法人税を減税いたしまして国際的な水準の実効税率に引き下げます。これによりまして企業の利益が内部留保になるものがふえますから、また、外国からの投資の拡大も期待されますから、設備投資等に好影響を与えるものと期待できます。さらに、住宅建設、民間設備投資等について、真に有効かつ適切な政策税制を早急に具体化したいと考えております。
 このような政策によりまして、来年度はプラス成長にし、十二年度にははっきりと回復軌道に乗せる年にしたいと思っております。一両年のうちに我が国の経済を回復軌道に乗せるために、政府はこうした政策を揺るぎない態度で推進し、また、国民に対して繰り返し説得、説明をしていかなければならないと思っております。私もそのために全力を尽くす所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(西田司君) 石渡議員にお答えをいたします。
 今回の経済対策の地方団体における実施見込みについてのお尋ねでありますが、事業の早期執行を図るため、関係省庁において予算の執行手続を可能な限り早めるとともに、それぞれの地方団体の意向等もよく踏まえて、適切に対処していただくこととしております。
 また、自治省といたしましても、地方財政は極めて厳しい状況にあることから、補正で追加される公共事業の地方負担分について、全額を補正予算債で措置するとともに、地方債を財源とすることができない事業を円滑に実施するための臨時異例の措置として交付税を増額することとするなど、地方財政の運営に支障が生じないように適切に対処することといたしております。
 また、事業への速やかな対応と円滑な実施について、地方団体に対し、できる限り協力していただくように要請をしているところであります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣柳沢伯夫君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(柳沢伯夫君) 今般、金融機能再生法のもとで特別公的管理銀行となりました長銀の運営につきましてのお尋ねでございましたが、石渡議員も御指摘のとおり、これまでの貸出先への融資がどうなるかについて御関心の高いこと、このことは承知をいたしております。
 この貸付金債権を含む長銀の資産につきましては、先般、資産判定の基準を公表させていただきましたが、今後この基準に基づきまして早急に保有する資産としての適否の判定を行うことといたしております。
 その場合の基本的な考え方は、善意かつ健全な借り手に対する融資を継続するということでありますが、具体的には当該貸出先の財務内容、当該の業界状況、債務の履行状態を中心に実態に即して判断をしてまいりたい、このように考えております。その際、現下の経済の全体的状況も考慮いたしまして、財務内容などにつきましてはやや長い目を持って判断してまいりたい、このように考えております。
 次に、早期健全化法の効果的な運用についてのお尋ねでございました。
 同法は、申すまでもなく、我が国金融機関の早急に取り組むべき不良債権の処理や信用供与の円滑化を支えるために資本増強制度を定めたものでございました。金融機関におきましては、資本政策という企業の経営戦略の根本にかかわる問題ではありますが、みずからの公共的、社会的使命を自覚し、主体的かつ積極的な姿勢を持って申請を行うことになるものと期待をいたしております。
 また、政府といたしましては、資本増強の審査に当たりまして、中小企業等に対する融資姿勢及び金融ビッグバンに対応する前向きの業務再構築への取り組みを重視しておりまして、これらの点についての金融機関の計画を求めることとするとともに、履行の状況の報告徴求など適切なフォローアップを通じまして実効性を確保してまいることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(宮澤喜一君) 日本開発銀行のことにつきましてお尋ねがございましたが、企業金融の中でいわゆる中堅企業になりますと、どうも政府のあるいは民間の中小金融関係機関だけでは不十分でございますために、このたび法律の改正をお願いいたしまして日本開発銀行を活用することにいたしました。これによりまして、長期運転資金確保の道が開けることになると思いますので、中堅企業の手当てができることになると考えております。
 ただ、政府も政府関係機関を中小、中堅動員いたしておりますけれども、我が国は市場経済の国でございますので、どうしても民間金融機関が自由に活動いたしませんとなかなか思うようなことができませんで、やはりそういう意味では、民間金融機関が動けますような信用補完について政府としても財政の支援をしていく、そういう方向をとっておるところでございます。
 それから、税制改正につきまして、先ほど最高税率の引き下げあるいは法人税の実効税率についてのお話がございまして、そのとおり考えておりますが、なお、その中所得者に何か特別な配慮ができないか、考えられないか、定率減税とそれをどう組み合わせるかというようなことの御指摘がございました。
 私どももそういう問題意識は実は持っておるのでございますけれども、今、政府及び自民党の税制調査会においていろいろ検討をいたしておられますので、それを待ちまして決めたいと考えております。(拍手)
#38
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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