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1947/12/03 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第20号
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1947/12/03 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第20号

#1
第001回国会 文教委員会 第20号
昭和二十二年十二月三日(水曜日)
    午前十一時十九分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 高津 正道君
   理事 西山冨佐太君
      田淵 実夫君    松澤 兼人君
      松本 七郎君    伊藤 恭一君
      押川 定秋君    久保 猛夫君
      五坪 茂雄君    中山 マサ君
      近藤 鶴代君    坂田 道太君
      松原 一彦君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        文部事務官   清水 勤二君
 委員外の出席議員
        議     院 野本 品吉君
        議     院 川合 彰武君
        文部事務官   剱木 亨弘君
    ―――――――――――――
十一月二十四日
 教職員の恩給増額に關する請願(奥村竹三外二
 名紹介)(第一一七四號)
 東邦産業研究所解散反對の請願(馬場秀夫君紹
 介)(第一一九四號)
 青年師範學校昇格の請願(野本品吉君紹介)(
 第一二〇一號)
 岐阜農林專門學校昇格の請願(伊藤恭一君紹
 介)(第一二一一號)
 民間科學技術研究所に國庫補助の請願(海野三
 朗君外二名紹介)(第一二三〇號)
 學術研究機關に國庫補助の請願(海野三朗君外
 二名紹介)(第一二三二號)
 廣島縣に農民大學設立の請願(田淵実夫君外二
 名紹介)(第一二四〇號)
十二月二日
 教職員の恩給増額に關する請願(伊藤恭一君紹
 介)(第一二八四號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(志賀健次
 郎君外一名紹介)(第一二八七號)
 栃木縣に學藝大學設立の請願(船田享二君紹
 介)(第一三〇一號)
 京都府立盲學校に教員養成所設置の請願(太田
 典禮君紹介)(第一三三三號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 一 陳情書審査の件
  請願
 一 靜岡第二師範學校戰災復興費國庫補助の請
   願(川合彰武君紹介)(第一〇一四號)
 二 聾、盲教育義務制の請願(松谷天光光君紹
   介)(第一一一六號)
 三 伊勢崎市の戰災小學校復舊費國庫補助の請
   願(鈴木強平君外三名紹介)(第一一三七
   號)
 四 教職員の恩給増額に關する請願(奥村竹三
   君外二名紹介)(第一一七四號)
 五 東邦産業研究所解散反對の請願(馬場秀夫
   君紹介)(第一一九四號)
 六 青年師範學校昇格の請願(野本品吉君紹
   介)(第一二〇一號)
 七 岐阜農林專門學校昇格の請願(伊藤恭一君
   紹介)(第一二一一號)
 八 民間科學技術研究所に國庫補助の請願(海
   野三朗君外二名紹介)(第一二三〇號)
 九 學術研究機關に國庫補助の請願(海野三朗
   君外二名紹介)(第一二三二號)
一〇 廣島縣に農民大學設立の請願(田淵実夫君
   外二名紹介)(第一二四〇號)
  日程追加
 一 教職員の恩給増額に關する請願(伊藤恭一
   君紹介)(第一二八四號)
 二 小學校教員の恩給増額に關する請願(志賀
   健次郎君外一名紹介)(第一二八七號)
    ―――――――――――――
#2
○高津委員長代理 會議を開きます。
 本日、松本委員長が用務のため缺勤されますので、代つて私が委員長の職責を行います。
 請願の審議に入るのでありますが、この際松本委員より、新制中學校教室不足による國立病院との紛爭の件について、質疑をいたしたいとのことでありますから、これを許します。松本七郎君。
#3
○松本(七)委員 新制中學の教室不足は、まことに深刻なものがありまして、各縣とも、これが打開策に腐心しておるのでありますが、去る十一月十日に、福岡縣で教室不足に惱み抜いた中學生たちが大擧して國立病院を占據したという事件が起つたことを、十一月十二日附の西日本新聞が報じております。すでに日時も相當經過いたしておりますから、政府も、事件の内容については、詳細御調査濟みのことと存じますので、その眞相を伺うとともに、二、三質問をいたしたいと思うのであります。
 新聞の報道その他で承知いたしましたところによりますと、問題の三宅新制中學は教室不足のために、すでに本年の六月ごろから同校より約二キロ離れた國立筑紫病院の敷地十三萬坪のうち、七千坪の敷地と、七棟の建物との分讓を要求いたしまして、以來八囘にわたつて熊本財務局と交渉を重ね、財務局としても餘裕があるならば學校に分讓したいとの見解から、學校側に對しては一部使用の公約を與え、同時に病院側にも明渡しを要望しておつた模様であります。ところが、學校側ではかる交渉ではどうしても、らちがあかないとして、去る十日午後に至つて生徒約三百名、父兄約百五十名が机やいすをもつて國立筑紫病院に押しかけて、看護婦養成寮に充てられている一棟に侵入して、學校の強行移轉をはかつたというのであります。この問題につきましては、双方ともに言い分がありましようし、新聞などの投書でも、一方では病院の存立を危機に瀕せしめるような過大な要求ではないのだし、兒童も非常にかわいそうであるとして、學校側を擁護する者もありますれば、また反對に、かかる強行手段には絶對反對である。もつと穏やかな具體的交渉をして、まとめる方法がありそうなものだというように主張しております。かかる問題は三宅新制中學に限らず、類似の事件が各地に起つておると聞いておりますし、また將來もこういう問題は起り得ることであろうと思いますので、まず事の眞相を明らかにしていただきまして、併せて次の數點につき御答辯をお願いしたいと存じます。
 まず第一は筑紫病院の一部分讓につき、三宅新制中學と熊本財務局との間に、六月以來、交渉中であつたという右事實を、政府は御承知でありましようか。どうか。またいつごろ御承知になつたか。御承知になつてから後において、この問題の圓滿解決促進のために、大藏省あるいは厚生省と何らかの折衝斡旋をされたかどうか、その經過内容を第二點としてお伺いいたしたいのであります。
 第三には、文部當局としては、この問題に對し、いかに處置されんとするのであるか。このような問題は將來なお多く起ることが豫想されるのでありまして、今後問題處理の指針ともなると思いますから、この際文部當局の對處方針を明らかに示しておかれんことを望みます。
 第四には、これと關連いたしまして承つておきたいのであまりすが、舊軍の施設の賃貸料の問題であります。最近賃貸料が當初の三倍ほどになつておるということでありますが、少なくとも學校に使用する分だけは、當初の賃貸料にすべきであるという要望が非常に高くなつております。これにつき大藏當局といかなる折衝をされておるか、その内容、經過及び文部當局のこれに對する方針を明らかにしていただきたいのであります。
 最後に、ついてに伺つておきたいと思います。それは過日の本委員會で、大學の無給副手を有給にすべしとの觀點から、文部當局の所見を求めましたところ、日高局長から、近く善處するという御答辯があつたのであります。その後どの程度までこれが具體化しておるものか、中間的報告でも結構ですから、この際御説明願いたいのであります。
 以上眞相の説明以下五點につき御答辯願います。
#4
○森戸國務大臣 ただいま松本委員から御質問になりました福岡縣の國立筑紫病院と三宅新制中學校との間に起つておる問題でありますが、これは松本委員の言われたように、新制中學においては各地方での教室がありませんのでもちろんこのたびの追加豫算により、あるいはこれをあてにして新しい建築が行われておりますると同時に、利用し得る施設をこれに轉用することも、十分考えられなければならぬのであります。かような一つの例として、實は筑紫病院の問題があるのでありまするが、全般的に申しますれば、病院自身も、今日の日本の状況からいたしまして、國民健康の状態が國立的な病院を必要といたすことも、十分了解できるのでありますが、他面その施設で遊休的な部分があるならば、また戰時中に過大に擴張されて、これが十分使いこなせていない點があるならば、殊に地方民からこれらの敷地等がむりに供出させられたというような事情があるならば、なおさらこういう點について、地元民が、殊に子弟の教育という公共的な目的に、さような部分を轉換してくれということも、十分な理由があることと存ぜられるのであります。ただ、ただいま申された具體的な問題について、殊に熊本財務局との六月以來の直接交渉の問題は、その地方の問題として止まりまして、私ども實は聞き及んでおりません、問題のむしろ具體的な形は、新聞によつて存じたような次第であります。しかし、約二週間くらい前でありましたか、關係の、福岡縣の地元の人々が見えまして、こういうような事情にあるので、一つ御考慮を願いたいということでありまして、私、文政當局の責任者といたしましては、餘裕があれば、できるだけそういう施設は、殊に今日不足を告げておる新制中學に轉用してもらえるようなふうに、お願いいたしたいと考えておるのであります。同時にこれは厚生省の所管に属することでもあり、日本の保健状態から言いましても、病院というものが必要であることもまた事實であります。しかし實際の事情がどうなつておるかということが、明らかにされなければならず、そうして何分にも厚生省の同意がない限りは、これはできないのであります。ちようど厚生次官、政務次官も文部省の政府委員室に見えまして、地元の學校側の意見も聽き、また病院側の意見もありましようから、そういうものを十分聽いていただいて、殊に施設を必要としておる新制中學の教室、また地元の事情等もあるので、歴史的な關係も考慮して、適當に處理していただくようにということをお願いしたのであります。なお關係者には、直接事務當局の方にも事情をよく説明して、事情に即した決定を仰ぐようにということを申し上げておいたわけであります。その後の事情は、まだ私聞き及んでおりませんが、そういう方向で、いずれ厚生省の側で調査をされておることと存じております。
 文部省が一般的にこういう問題についてどういう考えかたをもつておるかと申しますると、これは福岡縣のみならず、數箇所にこういう問題があるのでありまして、たとえば大阪府では、貝塚市にこういう問題がありまして、これも厚生省とかけ合つておるのであります。一般に病院で、これは戰時の關係上、非常に廣い地所とそうして建物がありまして、それが十分に使いこなせていないのであります。他面、學校の方では教室が足らないで困つており、地元の方では、またそういう病院を建てるためには、むりに土地を出しておる關係もあつて、ぜひともこれは學校に轉用したいという切なる要望もありまして、厚生省の方にはそういうような事情を十分考えて適當に處理してもらいたいということを、實は厚生大臣にも申し入れておる次第でありまして、方針といたしましては、保健という政策を、私ども犠牲にするということは考えておりませんけれども、しかしあいておつて他に轉用し得るものは、公共事業として、殊に最も今日建物を必要とする學校の方に轉用させてもらわなければならぬということを考えておるのであります。
 それから軍その他の施設を學校に轉用するという場合、殊に大藏省では、値段は時價にして取扱うということになりまして、昨年初めから見ると、約三倍の値上りがいたしておるのであります。これは營利會社であろうと、公共施設の學校のようなものであろうと、一律に取扱われておるので、學校等特別な資金をもたないものにとつてはこれは過重な負檐であり、從つて、ややもすれば、營利會社等の手にそういうものが落ちるという可能性が非常に多いのであります。これはまことに遺憾なことだと存じまして、私ども、大藏當局と、この點については十分折衝をいたしておるのであります。さしあたりの問題といたしましては、遊休施設のうち、教育施設については、最も優先的に考えてもらいたいということであります。しかして價格の決定を、時價から、急にそれ以外にするということは、今の現行法ではむつかしいのでありますが、この價格を定めるにあたつては、少なくとも學校に轉用して使えないような施設がある場合には、それを價格に繰入れないように、あるいは學校にする場合には模様替えをしなければならぬ、それについてはいろいろ改造費がかかるが、そういうものは價格の中から引くように、そういう意味で時價の決定を合理的な、實情に即したものにしてもらうように、財務冨局と交渉をいたしておるのであります。これは現行法をおいて、その許す限りの有利な條件をとつて、そして實際の必要に應じようということでありますが、さらに教育目的に轉用する場合には、一般の法律よりは特例を設けるというようなことも、根本的にはそういう點も交渉いたしておるような實情であります。なおこれは拂下價格の問題でありますが、使用料についても、同じことが申されるのであります。最後に無給副手の問題については政府委員から御答辯申し上げます。
#5
○剱木説明員 無給副手の問題についてお答え申し上げます。無給副手を有給化いたすことにつきましては、現在の無給副手を全國的に調査いたしまして、かつ學部及び病院等において、實際その學部の研究なり、仕事をいたします上に、どれだけのものが必要であるかということを十分調査いたしまして、その調査に基いて、大藏當局と折衝いたしてきたのでございますが、今般大體その有給化について、一應決定を見まして、近くこの豫算を議會に追加要求としてお願いすることになつておるはずでございます。現在無給副手の數は、全國に七千百名ばかりございますが、今囘その中で有給化いたすのは二千二百二十三名になつておるのでございます。この二千二百二十三名の中で、最も多いのは、病院におります無給副手を有給化するのでございますが、この數では、なお實際必要の員數としては滿足ができない點もございますけれども、財政の事情から申しまして、現在のところ、これでがまんしなければならぬかと考えております。なおこの點つきましては、日教組の方ともいろいろ相談いたしまして、組合側の方におきましても、これで一應現在の段階としては滿足の意を表しておる次第であります。一應中間的に御報告を申し上げておきます。
#6
○高津委員長代理 次に松原委員より大分青年師範學校校舎確保に關する件について質疑いたしたいとのことでありますから、これを許します。松原一彦君。
#7
○松原(一)委員 ただいまの問題に關連して、私からもう一つ希望を申し上げておきたいと思います。大分青年師範學校は、この夏に文部大臣の御了解を得て、大分縣中津市の舊神戸製鋼所後にあります八面寮という建物に移轉いたしまして、すでに授業を開始しておるのでありますが、最近に門司鐵道局の職員の教習所を設ける必要があるというので、その建物の移轉明渡しを迫られておるのであります。これは事重大な問題であるのであります。すでに文部省で承認をし、この建物を管理しておりまする中津市の市會の承認をも得て、一旦移校し、授業を開始しておる學校を、理不盡にも、あとから同じ政府の機構の中にある運輸省の管下の職員養成所のためにその明渡しを迫ることは、すこぶるおもしろくない事實であると思うのあります。これはただいままだ解決できておらないのでありまして、先般文部省においても師範教育課長を巡遺せられて、その事情はお取調べになつたはずであります。教育優先の原則から申しましても、またかりにそうした原則がないといたしましても、いやしくも一つの建物を確保しておりまするものに、理不盡に明渡しを迫る法はないと信ずるのであります。どうかさような場合、文部省は運輸省戸も十二分に御交渉の上、さようなことがないように御善處を願いたいと思うのであります。これは私の希望を申し上げておきます。ただいま御答辯を承る必要はございませんから、どうぞただいま文部省がおとりになつておりまする御方針を、そのまま強く押していつていただきたいと思います。
#8
○森戸國務大臣 ただいま松原委員からのご希望に對しては、この問題は文部省としては一定の方針をもつておりまして、關係の運輸省と交渉しております。ただいま師範課長がやつておりますが、いずれその經過その他の事情については、必要がありますれば、師範課長から御説明いたさせることにいたします。
    ―――――――――――――
#9
○高津委員長代理 ではこれより請願の審査に入ります。日程第六、青年師範學校昇格の請願、文書表第一二〇一號、紹介議院野本品吉君。
#10
○野本品吉君 ただいま議題として取上げられました問題につきまして、請願の趣旨を申し上げたいと思います。
 さきに全國青年師範學校長會議、全國青年師範學校同窓會連盟、全國師範學校教官連盟及び全國青年師範學校生徒連盟は、高等學校なかんずく定時制高等學校と新制中學の職業科の教育を檐當する教員養成を目的とする大學を、各都道府縣に特設していただきたいということを、請願してまいつておるのであります。新しい憲法によりまして教育機會均等の原則が確立され、この原則に基きまして、すでに今年四月から新制中學の第一歩を踏み出し、さらに來春四月には新制高等學校が發足することになつておりますことは、いまさわ申し上げるまでもないことであります。
 ここで私は日本の再建の問題を考えますときに、戰爭によつてほとんどすべてを失つた日本に、ただ一つ殘されておる偉大な力、尊い寳があると思うのであります。それは實に國民のもつております勤勞力であります。この國民の勤勞力を最高度に發揮すること、これによつてのみ日本再建は可能であると私は確信いたしております。勤勞力は最高度にその能率を發揮する基本的な條件は、勤勞人格の高揚に存すると思うのであります。勤勞人格の高揚なくして勤勞の能率を發揮することはできない、勤勞の能率を發揮することなくして、日本の再建は絶對に不可能であると考えるのであります。このように考えますときに、勤勞青年とこの教育の主たる對象といたしますところの新制高等學候の定時制教育及び新制中學における勤勞教育の問題は、實に教育の中心的な課題であるといわなければならぬと思うのであります。もし定時制高等學校及び新制中學において正しい勤勞教育、職業教育が行われ、そうして彼らの勤勞人格が理想的に陶治され、育成されますときに、ここに初めて日本人のもつておる偉大なる力として勤勞の生産性が最高度に發揮されることになるのであります。しかるにこれらの職務を檐當いたし、任務を檐當いたしますところの教員要請のことを考えますと、まことに遺憾の點が多々あるのでありまして、私のただいま申しましたような教育の成果をあげることが、きわめて困難であろうということを心配しておるものであります。ここに私どもは来年四月から新しく發足しますところの新制高等學校なかんずく定時制の高等學校の教員の養成と新制中學における正しい職業教育の充實のために、これが教員養成機關といたしまして青年師範學校を昇格して、所期の目的を達するようにいたしたいという心からの念願をもつておるわけであります。どうかこれらの問題に關しまして理解ある委員の皆様の御考慮を願いまして、この請願が採擇せられ、これが實現に向つて歩を進められるようにお願い申し上げる次第であります。
#11
○高津委員長代理 ただいまの請願について政府の御意見を伺います。
#12
○剱木説明員 青年師範學校は今まで青年學校の教師の養成機關として存在しておつたのでございますが、新學制のもとにおきましては、青年學校はなくなつてまいりますが、それに代りまして、勤勞青年の教育を檐當すべき定時制の高等學校は、相當重要な役割をもつてくると思います。この勤勞青年教育の教員を養成する機關が、新學制のもとにおいて、ぜひ必要であることは、はつきりわれわれも考えておるわけでございます。しかし一面教員養成の機關はいかにあるべきかという問題につきましては、當文教委員會におかれても小委員會等で御熱心にその檢討をいただいておりまして、そういう御檢討の結果の御結論にも、われわれ十分副うようにしていきたいと思いますので、その教員養成の機關がいかにあるべきかということは、今はつきりこれを決定的に申すわけにいかないと思うのでございます。青年師範の現状は、その大學になるにつきましては、個々の問題といたしては、非常に残念ながら設備その他が十分でございませんので、大学設備基準にあわせるように、急速に内容設備を各個々の學校について充足するということは、國家財政の現状から非常に困難であると思いますが、教員養成機關として新制大學に移行いたします場合に、どういう形態をもつていくかということについては、十分われわれとしても研究いたしまして、この重要なる教員の養成の役を果たしてもらうように處置いたしたいと考えておる次第でございます。
#13
○高津委員長代理 委員諸君の御意見はありませんか。
  (「なし」と呼ぶ者あり)
#14
○高津委員長代理 日程第一、靜岡第二師範學校戰災復興費國庫補助の請願、文書表第一〇一四號、川合彰武君。
#15
○川合彰武君 ただいま議題になりました靜岡第二師範學校戰災復興費國庫補助に關する請願の内容を説明いたしますが、先に御了解を得ておきたいのは、この請願書の内容は、今申し上げました通り國庫補助の請願と同時に、學藝大學の昇格ということもその内容に盛られております。標題が長くなるという關係からでありましようか、標題が單一化されまして、單に國庫補助の請願のみが取上げられておりますが、その内容は國庫補助の請願と同時に、學藝大學昇格の請願をも含んでおるわけであります。
 新學制のもとにおいて學藝大學が設置せられるということは、われわれはアメリカの教育施設團のアドヴァイス、あるいはまたわが國における教育のあり方という觀點から見まして、當然にこれは設置せらるべきものというように信じておるわけであります。そこで私は前提的なすべての問題を抜きにして靜岡縣の第二師範學校の復興と、これを學藝大學として昇格いたしたいという請願に關することのみを申し上げたいと思います。
 本請願者は靜岡縣知事の小林武治君でありまして、靜岡第二師範學校は靜岡縣の西部である濱松市に位置しております。そうしてこの學校は設立以來三十數年を經ており、卒業生は四千數名となつておりまして、その卒業生は單に靜岡縣の教員のみならず、全國府縣にわたつて現在有效に教育のために從事しておると思われます。新學制の實施に伴いまして、各地におかれる同窓生の間にこの學校の昇格という問題がもち上りまして、このために靜岡第二師範學校は學藝大學昇格準備期成會というものが設置せられまして、現下財政緊迫の折柄でありますので、極力國庫の負檐は仰がないという建前のもとに、地元民に今熱心に寄附の觀誘をしておるという状況にあるわけであります。
 なぜ靜岡第二師範學校をば學藝大學に昇格せしむるかという根據としましては、最近において師範學校の學生の募集が募集難に陥つておる。しかしながら靜岡第二師範學校は非常に志望者が多いという點、このこどは學生の質がいいという點、あるいはまた殊にその附近の向學心が強いというようなこと、それと同時に、また靜岡縣の現下の初等教育に從事しておる教員の方々の人數が非常に足らないというようことも、併せて考えておるのでありまして、ぜひとも今後第二師範學校を學藝大學として昇格せしめて、そうして今後におけるところの中等學校の教員の養成機關にせしむる必要があると思われるわけであります。濱松は御承知と通りに、戰時中に爆撃と艦砲射撃、それから地震とによりまして、全國の罹災都市百二十數箇所の中において、罹災率は八割何分と申しまして、全國一の罹災率を示しております。しかしながらさいわいにいたしまして、第二師範學校はかなり郊外にありますために、その罹災はごく微小に終つたわけであります。現有の施設は敷地が二萬六千六百五十四坪、校舎が四千二百二十一坪になつておりまして、比較的に現有施設としてもりつぱなものであります。これに對して今後いろいろな校舎をたくさんつくることが豫定されておるわけでありますが、それらに一應學藝大學として想定せらるべきところの規模と内容を具備するには、約一千萬圓程度の金でいいように見積もられておるのであります。そのうち七百萬圓は地元の人たちが負檐するという態勢を整えまして、現在寄附の準備を進めておるようなわけであります。殘額三百萬圓を國庫に負檐していただくならば、靜岡第二師範學校として完備すると同時に、來るべき學藝大學への昇格の際にも、そのままの形態をもつて學藝大学の内容を具備するようになるようであります。そういうような觀點からいたしますならば、學藝大學が設置せらるべき場合においては、靜岡第二師範學校は第一候補に目されるという折紙を、必ず委員の方々からつけていただけるというように期待しておるわけであります。
 これが大體における請願の趣旨でありまして、何とぞ今申し上げました事情を御斟酌くださいまして、皆さま方の御賛成を得まして、ぜひ御採擇の上、同時にまた政府がこれを實現に移していただくようにお取計らいを願えれば、さいわいと存ずる次第であります。簡單ながら紹介の辭を述べる次第であります。
#16
○高津委員長代理 右の請願に對し政府の御意見をお伺いいたします。
#17
○剱木説明員 靜岡第二師範學校の戰災復興費につきましては、本年度において非常にわずかではございますが、七十萬圓を計上しておるのでございまして、なお來年度につきましては、額その他はもちろん未定でございますが、できるだけ努力をいたしたいと考えております。なお、この師範學校は國民大學その他教員養成の大學となりますことについては、さきにも申し上げました通りに、そのあり方について今いろいろ研究を進めておる次第でありまして、これが實施にあたりましては地方の事情等を十分考慮いたしまして、できるだけ御希望に副うようにいたしたいと考える次第でございます。
#18
○高津委員長代理 御意見はございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
    ―――――――――――――
#19
○高津委員長代理 日程第一〇、廣島縣に農民大學設立の請願、文書表第一二四〇號、田淵実夫君外二名紹介、田淵委員。
#20
○田淵委員 廣島縣に農民大學の設立の請願をしておりますが、この請願の内容を説明いたします。
 本請願は、廣島縣會議長及び廣島縣會議員、廣島縣農林委員長ほか、全縣會議員及び比婆郡町村長の連盟をもつて提出しておるものであります。最初にお斷り申しておきますが、これは農業大學でなく、農民大學と假稱しておるのであります。後ほど申しあげますところで、大よそ、その趣旨をおくみ取り願いたいと思うのであります。
 申すまでもなく農民教育、農業教育は、新制中學校あるいは新制高等學校の任務ではありません。新制中學の三箇年のうち、最後の一箇年において職業教育を重視していることは、まことにしかるべきことと存ずるのでありますが、職員の編成とか、教育の本道などからいたしまして、これに職業教育全部を負檐させることは、ほとんど不可能であろうと存じます。從つてこれによつて農業教育が十全に期待できぬといたしますならば、外の施設制度を考えない限り、義務教育を終えた農村の子弟がそのまま農村に復歸するときに、農民教育はまつたくその實を失うおそれがあると思われるのであります。そこでこの十六、七歳の青年前期にあつて、しかも勤勞農民の子弟として就學の困難な事情にあるところの彼等を振り返るときに、向學心が旺盛であつて、加えて農業に從事しようとしている者に、從來の修練農場の精神を活かして、實際自家の農業を助けながら、高等程度の農業技術と學力を實地に修業させることを本意としたい。こういう趣旨のもとにまず思い立たれたものであります。
 説くまでもなく、修練農場は農林省關係唯一の農民教育機關でありまして、すでに十數年の歴史と實績をもつております。この修練農場的な施設を系統化し、組織化したものとして、高等農林講習所、そういうものの施設を希望する向もあると聞いておるのでありますが、この案に百尺竿頭一歩を進めた形におきまして、新制によるところの農民大學をもつてするのが適當ではないであろうかというふうに考えられるのであります。そこで構想といたしましては、まず廣島縣の修練農場二箇年の修業者を、彼の希望によつて豫科一年、本科一年制といつた大學に包容して、これを本則としてさらに新制中學の卒業者の修練農場への入場、あるいは新制高等學校、新制實務高等學校よりこの案としているところの大學への進學をも許す。こういつた形のものに仕上げたいという希望をもつているのであります。廣島縣の修練農場は、ただいま比婆郡の山の中七塚原という所に設けられております。この七塚原は、明治中期以來、日本の四大農牧場の一としてうたわれた所であります。その後これが農林省より縣に移管されますとともに、漸次に衰微いたしまして、二百町歩を越える農耕地も牧場も寶の持腐されという形であるのであります。このことを惜しみまして、ここにやや復活をはかろうとする考えから修練農場が設けられて、現に活動しておるのであります。この修練農場をただいまのごとく擴充擴化するという線に沿つて、農民大學に發展せしめることは、就學困難にある子弟を救い、しかも農業技術と農業學力の養成によつて農民子弟を活かす途であり、また地理的、立地的條件からいつても、はなはだ望ましいものであるというふうに考えておる次第であります。
 以上のような趣旨のもとに、廣島縣農民大學設立の請願をなすものでありますが、なお最後に附言させていただければ、この農民大學設立の資金につきましては、地元關係者の間において多少の用意をする意圖があるということであります。さいわいにして委員各位の御賛同を得まして、本請願が採擇されんことを望むものであります。
#21
○高津委員長代理 政府の御意見をお伺いします。
#22
○剱木説明員 廣島縣におきますただいまの修練農場を利用いたしまして、農民大學を設置するようにとの御請願の御趣旨でございますが、農民に對しまして農業教育をできるだけ高めていくということは、きわめて重要なことであると考えるのでございますが、この新しい大學制度におきまして、新制中學校で、新制の高等學校を卒業いたしまして、その上になお四箇年の課程をもちまする大學を終了するということが、はたして農民に對して適當であるかどうか。なお大學の問題については、その他にたとえば二箇年くらいで十分それを高めていくという目的を達しはしないかというような點について、今私どもとしては十分研究をいたしておるのでございますが、その御請願の御趣旨に副うように研究していきたいと思います。ただ現在の國情、財政上から申しまして、全國に現在あります專門學校を大學に切りかえるためには、非常な國費の膨張を來すと考えられます點におきまして、この大學を國立といたしまして大學にする時期等については、十分考慮しなければならぬと考えております。
#23
○田淵委員 なお加えさせていただきますが、新制高等學校から、ただいままず農民大學へ進學するというのは、これは本則ではないのでありまして、これはごくまれな變則としてこういうものを設けるというのでありまして、本筋といたしますところは農民義熟式な廣島縣修練農場より、ただちに農民大學へ進むという形をとりたいとのことでございますので、なお御同情と御研究とをお願い申し上げたいと思います。
#24
○剱木説明員 この點につきましては、四月一日から實施になりました新しい學校教育法に基きまして、大學の入學資格は新制高等學校の卒業制十二年の學校教育をやつた者でございまして、六・三・三・四の新學生の體系から申しますと、いわゆる修練農場とか新制中學校の修了者程度から來ますつながりにおける學校の形態においては、いわゆる大學ということが言えるかどうかという問題があると思います。新しい學校教育法の建前から申しますと、六・三・三・四のいわゆる入學資格が新制高等學校卒業以上におきまして定められた大學で、大學として設置したものでなければ、大學という名稱は用いられないことになつておりますので、そういう意味の大學でございましたら、大學と言うことができるかどうかというような點につきましても、十分研究しなければならぬと考えております。
#25
○田淵委員 御趣旨は、はなはだ徹底したのであります。實は私も農民大學の大學という名稱でありますが、この名稱については、御趣旨の點、大いに考慮すべきところがあろうと思います。請願者の趣旨は、この大學は、輕い意味と申すと妙でありますが、夏季大學とか何々大學とかというふうな講習會、こういうものの少し質的に強いものであるというような趣旨が含まれておるのではないだろうか。農民の子弟を修練せしめるところの、そういつた講習會的な施設という意味の大學ではないかというふうに受けとれたのであります。なおこの點は請願者との間でよく打合せをいたしまして、また文部省の御意向を承ろうと存じます。
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#26
○高津委員長代理 次に日程第七、岐阜農林專門學校昇格の請願、文書表第一二一一號、伊藤恭一君紹介を、議題といたします。
#27
○伊藤(恭)委員 この岐阜農林專門學校昇格の請願は、一應以前に保留になつております。今囘の請願は、岐阜農林專門學校を、名古屋帝國大學に合流して、農學部としての、その請願でありますから、その點はつきり申し上げたいと思います。
 わが國農林業上きわめて重要な地歩を占めておる東海地方におきまして、農林學に關する最高の教育竝びに研究機關を設けることは、當地方多年の要望であります。しかして岐阜農林專門學校は、東海地方唯一の官立農林專門學校でありまして、二十數年前からの創立によつて、非常に重大な歴史をもつておるとともに、また嶄新なる設備と、その内容とを擁することをもつて、今次の學制改革によりまして、當然名實ともに單科大學に昇格するということを期待して、一應その請願をいたしたのでありますが、たまたま名古屋帝國大學の方から申込希望がありまして、かつその後の諮般の情勢を檢討しますときに、所期の昇格の目的を達成するためには、この際名古屋大學の農學部として合流することが、最も妥當適切であるというふうに考えられます。すなわち東海地方がもつところの地理的、産業的諸條件から見まして、岐阜農林專門學校は母體とする名古屋大學農學部というものを創設しまして、總合大學本來の機能を發揮して、もつて東海地方における農林業の畫期的の發達をはかるということこそ、まさに當地方多年の要望にこたえるゆえんである。しかもこれが實現は食料事情あるいは治山治水の問題その他現下の國情より見まして、焦眉の急務であるということが考えられます。よつてぜひとも昭和二十三年度から實現するように切望してやみません。なおこの計畫は一大學が二縣にまたがるということはどうかというようようなこともありますが、名大本部と岐阜農專とは、その距離がきわめて近く、しかも交通は非常に便利である。特に濃尾平野を中心とする岐阜縣、愛知縣、この兩縣の農林水産業というものは、實に不可分の關係にありますので、この形態こそ、むしろ合理的であるということを確信するものであります。以前に單科大學昇格の請願をしましたが、これは一時保留になつておりますから、何とぞこの事情を御賢察の上現在ではもう岐阜縣の縣會議員も、農林專門學校の職員も、生徒も、校友會も、同窓會も全部が全面的にこれを非常に熱望しております。なお愛知縣の方におきましては、名古屋帝大の方よりそういう申込があり、一致してこれをぜひとも二十三年度より實現したいという考えのもと推進しておりますから、その邊を御配慮いただきまして、委員諸君の御賛成を得まして、政府においても至急に取上げていただきたいということを請願いたす次第であります。
#28
○剱木説明員 名古屋の名古屋大學は、ただいま法文系及び農學部を缺いておるのでありまして、これを完全なる總合大學といたしますためには、法文系の學部及び農學部はぜひ私どもとしては必要であると考えておるのでございます。そこで農學部を建設する場合におきまして、新たに全然何らの基礎のない所へ農學部を建設するということは財政その他の事情から非常に困難でございまして、この農學部の建設のために、既設の農林專門學校等を利用するということは財政の面からいつても、ぜひ必要なことであると考えるのでございます。ただ岐阜農林專門學校につきましては、最初はやはり單獨で大學になりたいという御希望もありましたし、名古屋大學の方を總合大學にするにいたしましても、法文系と農學部とを同時にこの際建てるということは、財政上相當困難ではないかと考えられます。二十三年度の計畫といたしましては、一應法文系だけで進みたいというふうに考えておつたのでございます。その後學校及び地元におきまして非常な御希望で、二十三年度からこれを農學部にしたいというふうに御希望申出もございましたので、現在のところでは、豫算の關係等もございますので、非常に困難であると思いますが、二十三年度から農學部にすることの可能性につきましては、十分研究をいたしてみたいと考えております。もし二十三年度から實現が非常に困難でございます場合には、二十四年度において全部一應新制大學に切替えます場合に、この總合大學のあり方といたしまして、この名古屋大學に岐阜農專を農學部として充てるということにつきましては、十分考慮していきたいと考えております。
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#29
○高津委員長代理 日程第四、教職員の恩給増額に關する請願、文書表第一一七四號、奥村竹三君外二名紹介、日程追加第一、教職員の恩給増額に關する請願、文書表一二八四號、伊藤恭一君紹介、及び日程追加第二、小學校教員の恩給増額に關する請願、文書表第一二八七號、志賀健次郎君外一名紹介、以上三件は、さきに同趣旨の請願があり、紹介御説明を了しておりますから、これを省略いたします。御意見等がありますれば御發表願います。
 御意見がないようでありますから、本日審査をお願いいたしました諸件につきましての決定は留保いたしますから御了承願います。なお日程第二、第三、第五、第八及び第九は次囘に延期します。
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#30
○高津委員長代理 これより陳情書の審査の件をお諮りいたしますが、本日までに本委員會に付託されました陳情書は四十六件であります。陳情文書表によつて、委員諸君におかれてもごらんのことと思いますが、委員長において内容を檢討しましたところを御披露しますと、次の通りであります。
 專門學校昇格關係二件、總合大學設立、學藝大學設置に關するもの六件、六・三制に關する陳情十一件、新制高等學校實施に關するもの九件、新制中學校確立に關するもの七件、教員恩給増額二件、物資愛護思想普及運動實施一件、民主教育制度確立一件、教科書地方分散一件、勞働者教育充實一件、宗教に關する陳情一件、子女教育徹底に關する陳情一件、成績不良兒童善導に關する陳情一件、公衆道徳思想普及徹底に關する陳情一件、公立中等學校人件費全額國庫負檐に關する件一件。
 以上の通りでありまして、本委員會における會議において、委員諸君より御意見の發表や、請願の審査において審議を畫した同趣旨の陳情が、ほとんど占めておりますので、陳情の趣旨は本委員會において一應了承しおくという程度に止めたいと思いますが、御異議はございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#31
○高津委員長代理 御異議なしと認めます。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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