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1998/11/30 第144回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第2号
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1998/11/30 第144回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第2号

#1
第144回国会 本会議 第2号
平成十年十一月三十日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成十年十一月三十日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
     ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。菅直人君。
    〔菅直人君登壇〕
#4
○菅直人君 私は、民主党を代表し、小渕総理の所信表明演説に関連し、総理並びに内閣法制局長官に質問いたします。
 質問に先立ちまして、この夏から秋にかけての豪雨や台風による災害でお亡くなりになられた方々と御家族や関係者の方々に深く哀悼の意を表明するとともに、被災地の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。民主党は、災害の復旧に向けて全力を傾注していく決意であります。(拍手)
 さて、七月の三十日、小渕総理を首班とする内閣が発足して、きょうでちょうど四カ月が経過いたしました。この間、小渕総理は、他党との間で二回重要な合意を取り交わされております。一回目は、さきの金融国会において民主党代表の私との間で行った金融再生法案についての合意であります。このとき総理は、僣越ながらリーダーシップを発揮させてもらったと発言されました。しかし、合意に至るプロセスでは小渕総理の意向は何も伝わってこず、顔が見えませんでした。合意直後の訪米中の総理の発言は、合意内容を理解していないとしか思えないものでありました。
 第二回目は、十一月十九日に小沢自由党党首と政権樹立に合意したことです。今回の合意も、総理はその意味内容を十分理解されて行われたものなのか。もしそうなら、さきの所信表明において連立に関する説明があって当然じゃないですか。その連立に関する説明が一切所信表明で行われていない、言及されていないというのは一体どういうことなんですか。金融再生法案のときと同様、官房長官にすべてを任せて進められているとすれば、小渕総理はリーダーシップのかけらもない指導者で、人任せ政権と言わざるを得ないんです。総理、反論があるなら、お聞かせをいただきたいと思います。
 そこで、まず自自連立についてお伺いをいたします。
 第一に、自民党単独政権から自自連立政権になる場合、政権の基本的な性格が大きく変わります。したがって、なぜ自由党と連立を組むのか、その理由をきちんと国民に説明する義務があります。小渕小沢政権、小渕沢政権とやゆされてはいても、内閣総理大臣は小渕総理、あなたであります。この場で国民にわかりやすく御説明をいただきたい。
 第二に、安全保障についての合意では、国際連合の総会または安全保障理事会で国連平和活動に関する決議が行われた場合には、国連の要請に従いその活動に参加するとしておられます。これは、国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないという従来の憲法解釈を変更することを意味します。小渕総理、あなたはこれまでの政府がとってきた憲法解釈を変更するおつもりなのかどうか、明確にお答えをいただきたい。
 それに加えて、内閣法制局長官にお伺いをいたします。日本国憲法のもとで、武力行使を伴う海外派兵に自衛隊の参加が許されるのかどうか、法制局としての見解を求めます。
 第三に、政治・行政改革の合意についてであります。
 合意書では、次の通常国会に向けて閣僚の数を二十人から十七人に減らす、国会議員数を衆参とも五十人を目標に削減する、政府委員制度を廃止する、副大臣制度を導入することになっております。私たちはこれらの点に必ずしも反対ではありません。小渕総理、あなたは本当に次期通常国会でこれらのことを責任を持ってやる、その決意でおられるのか、はっきりしていただきたい。
 これは、それに加えまして、質問通告には入っておりませんでしたけれども、小渕内閣の内閣改造を次期通常国会開催までに行うつもりかどうか、あわせてお聞きをいたします。
 次に、緊急経済対策及び平成十年度第三次補正予算についてお尋ねをいたします。
 さきの臨時国会では、金融以外の景気対策は何も講じず、今国会も、我が党など野党が開催を要求して初めて召集を決めるなど、景気対策のおくれが不況に追い打ちをかけていると言わざるを得ません。
 緊急経済対策の最大の問題は、景気対策のかなめである所得税、法人税など恒久減税が欠落していることであります。
 これでは大きな効果は期待できるはずがありません。政府は、向こう一年間の押し上げ効果は実質で二・三%と試算していますが、多くのシンクタンクはそうした効果は期待できないと予想しております。小渕総理は国内外で恒久減税の実施をこれまで約束してこられたはずです。減税抜きの景気対策は公約違反であります。このような対策で、景気を早期に回復させ、我が国の信頼を取り戻せると本気でお考えなのでしょうか。総理の明快なる御見解を求めます。
 第二の問題は、貸し渋りが全く解消されていないことであります。
 さきの臨時国会で、民主党や自民党の政策新人類の皆さんの活躍により、自民党内の旧人類の抵抗を押しのけて、民主党案を基礎にした金融再生関連四法が成立をいたしました。しかし、自民党などが成立をさせた早期健全化法は、甘い資産査定で中途半端な資本増強を行うにすぎず、不良債権の処理にも貸し渋り解消にも、残念ながら、効果は期待できません。これでは、どんな有効な景気対策を講じても日本経済の真の再生はあり得ないと考えますが、総理の御所見を伺いたい。
 第三の問題点は、政府がビジョンも見通しもなく財政構造改革法を凍結しようとしていることであります。
 さきの通常国会において、民主党を初めとする野党は、財革法を二年間凍結し、その間に財政構造改革のあり方について見直すという趣旨の法案を提出いたしました。よく覚えておられると思います。これを踏みにじって、この期に及んで財革法の凍結案を提出することは、その姿勢として納得できません。橋本内閣の政策の誤りをきちんと認めた上で、反省して路線転換をするのかどうか。小渕総理、その見解を明らかにしていただきたい。(拍手)
 第四の問題は、旧態依然とした公共事業が対策の柱となっていることであります。
 二十一世紀型を強調していますが、従来型の公共事業が広くちりばめられており、対象事業が総花的になり、大きな効果は到底望めません。十二月四日に提出される補正予算においても、都市型事業への大胆な重点配分などが行われるとは伺ってはおりません。
 さらに、中央省庁が幾ら事業規模の拡大を打ち出しても、実際に多くの事業を行う地方自治体の協力は全く望めないのじゃないでしょうか。なぜなら、自治体財政は危機的状況であり、本年四月に政府から押しつけられた事業の消化もままならないのです。私は、各地で、いかに霞が関を怒らせないように補助金を返上するかが陳情の中で一番大変なんだという声を聞いております。
 総理は、本当に今回の経済対策が地方において円滑に実施されるということを自信を持って言えるのか、答弁をお願いします。
 あわせて、戦後最大の危機に直面している地方財政について伺います。この危機の最大の問題は、今後は、従来のような税収による地方財政の好転が望めないことです。そこで、総理に端的に伺います。
 総理は、地方財政危機の原因と現状をどのように認識しているのか。今後、税収増が見込めない中で、どのような対策をとるのか。特に、金利が上昇した場合の影響をどう見込むのか。さらに、地方への財源移譲をいつまでに、どの程度、どの規模で行うのか。御答弁をお願いします。
 政府が緊急経済対策を決めた翌日、アメリカの大手格付会社ムーディーズは、日本の国債と外貨建ての債務の格付を、最上位のトリプルAから一ランク下のダブルA1に引き下げました。ムーディーズの国債格付担当者は、政府の対策では景気は好転せず単に赤字をふやすだけだと疑問を呈しております。
 政府の緊急経済対策と財革法の凍結法の組み合わせは、経済再建にも財政再建にもつながらない、そうした最悪の結果をもたらすのではないでしょうか。総理の明快なる見解を求めます。(拍手)
 次に、税制問題についてお尋ねします。
 政府は、この臨時国会に減税案を提出せず、通常国会への先送りを決め込みました。一体、最初に方針を表明してから四カ月もたった今日、今なお内容を具体化できずに、どうして思い切った施策を果断に決定したと言えるんでしょうか。来年の一月から三月期の景気をどうするかが今後の経済動向に極めて重要な意味を持っているのにもかかわらず、実際に一月の給料日から所得税減税を実施し、一月決算の企業から法人減税が適用されるようにしないのか。私は、総理の景気に対する判断の恐るべき鈍感さを指摘せざるを得ません。いかがですか、総理。(拍手)
 民主党は、活力ある経済活動へのインセンティブを与えるために、すべての課税所得階層を対象に所得税率を、現行の一〇ないし五〇%から八ないし四〇%、つまり八割に引き下げるとともに、中所得層の負担緩和を考慮して、最低税率区分の上限を現行の課税所得三百三十万円から四百万円に引き上げることを提案いたしております。その際には、言うまでもなく、納税者番号制度の導入による所得税の総合課税化について、実施の方向と時期を明確にすることが大前提であります。
 また、地方財政破綻を招く住民税減税については反対であり、当面の減税は基本的に国税の範囲内で国の負担によって行うべきです。(拍手)
 加えて民主党は、税率引き下げ等による所得税減税と同時に、所得税の扶養控除の見直しとセットで児童手当を抜本的に拡充した子供手当を創設すること、さらに、基礎年金国庫負担率二分の一への引き上げによって保険料を直ちに引き下げることを提案しております。これは、ことし実施したその場限りの四兆円の定額減税をやめることによって、来年、とりわけ中低所得層で負担増が生ずることを回避し、しっかりした社会的セーフティーネットを確立することで生活不安の解消を図ることが景気対策上も不可欠だと考えるからです。
 子供手当は、子育ての経済負担の重い家庭の負担を緩和し、子供を産み育てやすい社会環境を整備することを通して少子化の進行にも歯どめをかけることを期待しております。具体的には、まず支給対象を、現行児童手当の三歳未満から十八歳未満、学生の場合には二十三歳未満に引き上げます。給付額、年収制限も現状の倍額に引き上げ、第一子、第二子は一人月額一万円、第三子以降は一人月額二万円を給付し、年収制限は、サラリーマンの場合一千二百万円程度とします。
 これによって、サラリーマン夫婦で子供が二人のいわゆる標準世帯に対して年額二十四万円の給付となります。扶養控除の見直しと組み合わせることで、所得税減税だけでは十分にカバーできない中低所得層の実質負担を軽減することが可能になると考えます。給付総額は約三兆円程度になると試算をしておりますが、その財源の大半は所得税の扶養控除の見直しで賄えると考えております。
 また、基礎年金保険料の引き下げ幅は、国民年金加入の夫婦で年額七万二千円となります。国民年金保険料は、所得税を払っていない所得層に対しても定額制の負担となっており、所得税や消費税などの税制と比べて極めて逆進性の強い負担になっています。つまり、これを引き下げることは、定額減税でもカバーできない低所得層も含め、総額二兆二千億円程度の負担軽減の効果を持つと考えます。
 民主党は、景気回復という観点からも、以上述べたような減税と社会保障充実のトータルなパッケージが極めて重要と考えますが、総理の御見解はいかがでしょうか。それとも、総理は、国民の多くが金持ち優遇の制度減税と一時的な定率減税で満足する、そう考えておられるのでしょうか。
 なお、自由党は、消費税率を一たんゼロにした後、福祉目的税に改めた上で毎年段階的に六%まで税率を上げろと主張しておられます。福祉目的税については、民主党としても真剣に検討しております。そうであればなおのこと、一たんゼロにするというような政策はとるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。総理は、このようなやり方が本当に国民の理解を得ることができるとお考えなのか、その見解を伺います。
 また、今回政府は地域振興券の配付を提案していますが、このような一回限りの措置では、国民の将来不安解消にはつながるものではありません。七千億円という金額からいっても、景気対策としての効果は乏しいと言わざるを得ず、民主党は、今回の景気対策のための政策としては賛成いたしかねます。総理の御所見をお聞かせ願います。
 金融問題についてお尋ねをいたします。
 まず、さきの臨時国会において成立をした金融再生法の規定に基づき、特別公的管理銀行第一号となった長銀についてお尋ねをいたします。
 やはりと言うべきか、長銀は債務超過でした。そして、ついに長銀は経営破綻をいたしました。破綻後、不良債権の飛ばしなど、実態が次々と明るみに出て、長銀が腐り切った銀行であったことが白日のもとにさらされました。小渕総理、あなたは、その長銀は健全な銀行だと言い続け、巨額の税金を投入して救済しようとしました。あなたは完全に判断を誤ったのではないですか。まずは、小渕総理の反省の弁をお聞きいたします。
 長銀の破綻により、ことし三月、旧金融危機管理審査委員会、いわゆる佐々波委員会が税金による引き受けを決定した優先株千三百億円は、わずか半年余りで紙くずとなりました。佐々波委員長を初めとする同委員会の委員は国民に対して巨額の損害を与えたわけであり、これは防衛庁同様、国民に対するいわば背任にほかなりません。この責任をだれがどのようにとるのか、あるいはこれからとろうとするのか、小渕総理にお尋ねをいたします。
 また、乱脈融資により長銀を破綻に導いた経営者の刑事上、民事上の責任は、当然のことながら厳格に追及すべきでありますが、具体的にどのような方策を進めているのか、お答えをお願いします。
 政府は、大手銀行は巨額のデリバティブ取引を行っており、その破綻は金融システムの混乱を招き、日本発の金融恐慌の引き金になるおそれがあると言い続けてきましたが、長銀が破綻しても、金融再生法を適用して国有化したことにより、混乱は生じませんでした。これは、我々民主党が中心になってつくった金融再生法がすぐれた法律であったことを如実に証明するものであります。(拍手)実際に施行してみての金融再生法に対する小渕総理の評価をお聞きしたいと思います。
 金融再生法は、事実上、我々野党案を政府・自民党が丸のみした結果生まれたものです。もう一つの早期健全化法についても民主党案の方が筋が通っているという意見は、政府・自民党の中に当時から相当ありました。しかし結局、二度の丸のみをしたら小渕政権はもたなくなるという政局判断に加えて、他の野党の政治的な妥協もあって、中途半端な自民党案が成立をしてしまったわけであります。
 この早期健全化法に沿って、先ごろ、大手十八行は、公的資金による資本増強の方針を表明しました。申請額は最大五兆七千億円に上る模様です。しかし、政府は、この金額は真に必要な金額の半分にすぎないと見て、大手銀行に対して申請額の上積みを促しているといいます。つまりは、大手銀行の経営内容は本当はもっと悪いことを政府は知っていて黙認し、もっと公的資金を上積みせよと迫っているわけです。しかし、銀行業界には反省の弁もなく、逆に、もっと貸し渋りをするぞと開き直っている始末です。貸し渋りに効果のない資本注入は完全にむだ金です。
 民主党の早期健全化法は、厳しい資産査定と引き当てを行った上で、金融システム不安を一気に解消するために必要十分な思い切った資本注入を行うというものでした。もちろん、経営者の責任は明確にし、厳しいリストラ努力を義務づけることにより、モラルハザードを防ぐことが大前提です。小渕総理、民主党の主張の方が正しかったとは思いませんか。今からでも遅くはありません。不良債権処理も貸し渋り解消も不十分な現行の早期健全化法を、民主党の主張どおりすぐにでも改正すべきではないですか。総理の見解を伺います。(拍手)
 次に、政治腐敗防止に向けた小渕総理の決意についてお伺いします。
 この間、政治家及び官僚の不祥事、汚職事件が相次ぎ、代表質問のたびに新たな事件の責任を追及しなければならない事態は、憤りを通り越して、情けない限りであります。御承知のとおり、通常国会では腐敗防止のための議員立法が数多く提出されましたが、一度も審議をされないまま先送りとなっております。国会議員の地位を利用したあっせん利得の処罰や公務員倫理法などは一刻も早く実現をすべきであります。自民党総裁たる総理の決意を明確にお示しいただきたい。
 今回逮捕された中島洋次郎衆議院議員の事件は、政党助成金の不正使用、虚偽報告、選挙買収など極めて悪質であり、その上、政務次官当時の収賄容疑も明らかになりつつあります。同議員が自民党の比例代表選出であることの責任をどう考えているのか、お聞かせください。
 これも自民党の比例代表選出議員ですが、拡大連座制の適用を受けた野田実衆議院議員の当選無効の判決が最高裁で下されました。拡大連座制は、その導入後、買収事件が大幅に減少するなど成果を上げておりますが、自民党内では、これを緩和すべきという意見があると伝えられています。事実とするならばゆゆしき問題であります。ここで、腐敗防止策を徹底する御決意と、その具体的方策を総理にお示ししていただきたい。
 防衛庁の調達本部をめぐる背任及び証拠隠滅疑惑に関連して、額賀防衛庁長官が辞任し、秋山事務次官以下責任者の処分が発表されるとともに、疑惑に係る最終報告が提出されました。本来、総理は、さきの国会における参議院の防衛庁長官問責決議を受け即刻罷免すべきであり、とうとう一院の決議の重荷に耐えかねて辞任に至ったことは当然であります。また、最終報告においても、組織的証拠隠しの実態、過大請求をめぐる疑惑の全容は解明されておらず、収賄事件を含めて新たな疑惑も浮上しています。
 総理、疑惑の全容解明、物資調達制度の抜本改革にどのように取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 最近、一部に中選挙区制回帰を模索する動きが胎動しております。その裏には、政党の存続のため、派閥の共存のためという党利党略が透けて見えております。総理は、次期総選挙までに現行の小選挙区比例代表並立制という基本的な骨格を変えるお考えがあるのか、それとも、現行制度の枠組みのもとで次期総選挙を迎えるお考えなのか、今、国民の前にはっきりと認識を示していただきたい。
 最後に、外交問題についてお伺いをいたします。
 総理、きょう帰国をされる江沢民中国国家主席との首脳会談は、残念ながら、失敗だったと言えるのではないでしょうか。例えば、ワシントン・ポストがアジアの二大大国の重要問題は未解決のまま残ったと論評し、ニューヨーク・タイムズに至っては、今回の首脳会談が逆に敵意をあおったようだと酷評しているのを、総理はどう思われますか。
 今回の日中共同宣言は、両国首脳の署名もなく、首脳会談後六時間もたって、夜中に発表されました。官邸でのレセプションには私も出席いたしましたが、総理のあいさつは未来のことしか言っていないのに対して、江沢民主席は過去のことに重ねて言及をされました。こうした両者の認識の隔たりが日中間に溝として横たわっていたことで、共同宣言の取りまとめ作業が難航したのではありませんか。
 それに対して、総理が自民党の党内事情に拘束されて、必要な政治的リーダーシップを全く発揮できず、外務官僚任せにしたあげくに、日中間の信頼関係を損なったのではないかと大変懸念しています。日中共同宣言の取りまとめの経緯と問題点について、総理の明確な答弁をいただきます。
 本来、歴史認識は日本自身の問題だと私は考えております。明確な歴史認識を持つことは、二国間の基礎的な信頼関係を構築するのに必要な大前提です。過去の我が国の誤った行動を素直に認め、反省することは当然で、その上で初めて日中が現在と未来の課題について率直に発言し合うという建設的な関係が築かれるのだと私は信じております。相手に言われたからとか、自民党内の意見がこうだからとか、右往左往していては明確な歴史認識を持つことなどできるわけはありません。総理の日中関係の改善と深化にかける決意を、総理の歴史認識とあわせてお尋ねをいたします。(拍手)
 私は、日中交渉において何でも中国の要求するとおりに譲歩しろと言っているわけでは決してありません。先週、江沢民主席と民主党の代表団の一員として会談した際、私は、江沢民主席は日米が中国に対抗しようとしているという中国側の懸念ばかりを表明されるけれども、昨年の真珠湾における江主席の発言などは、逆に米中が日本に対抗しようとしているかに聞こえる面もある、お互いに一方的な見方をするのはやめようではありませんかという趣旨のことを申し上げておきました。
 近年の中国の姿勢は、ソ連と対立をしていた冷戦時代とは変わってきています。つまり、ソ連との対決時代には日米安保条約は中国にとってはプラスの要素であったのに対し、冷戦が崩壊してソ連の脅威がなくなってからは、台湾問題などにとって日米安保条約が目の上のたんこぶと映り始めたと見るべきでしょう。こうした冷静な観点から日中関係をいかに良好に保つかということを考える必要があります。
 日本外交はよく戦略がないと批判されますが、私の見るところ、小渕外交はかわし外交にすぎません。かわし外交とは、この国をいかに導くか、相手国といかにつき合うかという外交戦略を欠き、相手国の圧力をかわすことにエネルギーの大半を費やす外交のことです。しかし、外交戦略を欠くがゆえに、かわし外交はその場しのぎ外交となり、結局相手にずるずると押されて終わる宿命にあります。
 総理が得意そうに説明される対ロシア外交も、半年ごとに首脳会談を開いては領土問題についての提案をお互いに繰り返し、日本側にとって意味のある前進が何も見られないまま、ロシアだけが日本からの経済協力の実をとっているのではありませんか。下手をすれば、小渕総理の対ロシア外交は、半年ごとにロシア大統領と会っては千億円規模の対ロ融資を表明するだけに終わる可能性すらあります。これでは何のための日ロ首脳外交なのか、国民は首をひねるばかりです。
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 菅直人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#6
○菅直人君(続) 外交の小渕を自任される総理は、就任以来わずか四カ月の間に米国、中国、ロシア、韓国の国家指導者と首脳会談を持つチャンスに恵まれました。しかし、外交戦略の欠如したままの首脳会談は、回数を重ねても国民は白けるだけであります。
 終わりに、自自連立政権について一言申し添えておきます。
 自自連立政権の樹立に総理が同意したことは、結果としては民意に諮ることなく政権の枠組みを変えたことになります。前回の総選挙は自社さ政権で戦った選挙であり、自自連立政権は国民の信任を得た政権ではありません。しかも、自自連立の合意内容は、冒頭述べましたように、安全保障や税制など、国政の根本、国家の将来を左右する極めて重い内容を含んでおります。
 このため、私たち民主党は、自自連立政権を成立させるときには早急に解散・総選挙を行うことを要求するとともに、総選挙後には、自自連立政権に取ってかわって政権を担い得る民主中道を軸とする政治勢力の結集を必ずや実現することを国民の皆さんにお約束して、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 菅直人議員にお答え申し上げます。
 総計二十九問に及んでおりますので、誠実にお答え申し上げたいと思いますが、若干答弁時間がかかるかと思いますが、あらかじめお許しをいただきたいと思います。
 まず冒頭、自由党との合意について、私の指導性につきまして御指摘がございました。
 後ほど、今回の合意につきまして私自身の考えをお話しさせていただく考えでありますが、今回の合意に至る過程におきまして、私自身、数次にわたり小沢党首と胸襟を開いた話し合いを行い、総理・総裁として決断したものであります。
 それでは、自由民主党と自由党の合意について私の思いを申し述べたいと思いますが、私は、政権発足以来常々申し上げてきたところでありますが、厳しい経済状況を初めとして、国家的危機ともいうべき内外ともに困難な状況にありまして、この経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、また政治に課せられた最大の責任であると認識をいたしております。
 こうした政治に課せられた責任を全うするためには、経済再生を初めとして必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であります。しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返ってみますと、各党に個別の課題ごとに御協力をお願いし、真剣な取り組みをいただいたところではありますが、実際問題としてなかなか難しい面があったと実感いたしておるところであり、こうした経緯は経緯としながらも、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真摯に模索いたしてまいりました。
 こうした問題意識に立ち、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在国家的危機のただ中にあるとの時局認識を新たに共通のものとし、国家と国民のため、政権をともにし責任ある政治を行うことで合意いたしたところであります。
 この合意は、小沢党首提案の政策につきまして基本的方向で一致し、予算の編成や政権のあり方について国家国民の期待と信頼にこたえるよう合意したところであり、以上、自由党との合意の経緯や背景についての私の考えを申し述べたところであり、各位の御理解をお願いいたす次第であります。(拍手)
 次に、安全保障に関する自由党との合意についてお尋ねもございました。
 我が国としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、積極的に寄与することが必要であると考えております。今後、国連総会あるいは安保理の決議に基づき、国連から要請のあった場合の国連平和活動への参加のあり方につきましては、憲法の理念に基づき両党の間で十分議論いたしてまいりたいと考えております。
 自由党との合意に関し、政治・行政改革の決意についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたように、先般の党首間の合意で、政治・行政改革を含め小沢党首提案の政策について党首間で基本的に一致しており、これに基づき両党間で協議を開始いたしておるところであります。私としては、両党間の協議を踏まえ実行していく決意であります。
 お尋ねが追加されまして、内閣改造につきましてもお触れになられました。
 当然連立内閣の形態にかかわることでございます。したがいまして、与党自民党の動向、あるいは自由党小沢党首との話し合いの上で、この問題につきましては対応してまいりたいと考えております。
 緊急経済対策に恒久的な減税が欠落しているのではないかとのお尋ねがありましたが、個人所得課税について、平成十一年から最高税率の五〇%への引き下げ等による四兆円規模の恒久的減税を行うとともに、法人課税について、平成十一年度から実効税率の四〇%程度への引き下げを行うことといたしております。本対策におきましては、これらを含め諸施策を強力に推進いたすことといたしております。
 次に、貸し渋りの問題でございますが、貸し渋りにつきましては、これまでも信用保証協会等の信用補完制度の拡充、早期健全化法による新たな資本増強の創設等の措置を講じてまいりましたほか、金融機関の融資動向について、健全な取引先に対し必要な資金供給が円滑に行われない事態が生ずることのないよう注視してきたところであります。
 今般の緊急経済対策におきましては、さらに、金融機関への資本増強の審査に当たりまして中小企業等に対する融資の姿勢を重視する、政府系金融機関による融資、債務保証の拡充などにより中堅企業等に対する信用供与を確保するなどの措置を講ずることといたしたところであり、貸し渋り対策には今後とも万全を期してまいりたいと考えております。
 財政構造改革法の凍結法案についてお尋ねでありましたが、少子・高齢化が進む我が国におきまして、将来の社会、世代のことを考えますと、財政構造改革の実現は引き続き重要な課題でありますが、現下の厳しい景気状況にかんがみますれば、まずは景気回復に全力を尽くすことが肝要と考えております。したがいまして、財政構造改革を推進するという基本的な考え方はこれを堅持しつつ、財政構造改革法を当分の間凍結することといたしたものであります。
 次に、緊急経済対策と財革法凍結についてのお尋ねでありましたが、政府は今般、総事業規模十七兆円を超え、恒久的減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめました。これを受けまして編成される第三次補正予算は、国及び地方の財政負担が十兆円を超える規模のものとなります。
 本対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、財政構造改革法につきまして、先ほど申し上げましたとおり、財政構造改革を推進するという基本的考え方はこれを守りつつ、財政構造改革法を当分の間凍結することといたしたものでございます。
 緊急経済対策の内容についてのお尋ねもございました。緊急経済対策では、まず金融システムの安定化、信用収縮対策、あわせて景気回復策を緊急に実行することといたしております。
 景気回復策につきましては、即効性、波及性、未来性の三つの観点を踏まえ、二十一世紀の多様な知恵の時代にふさわしい社会の構築に向けて、供給サイドの構造改革も進める必要があるとの認識に立ち、二十一世紀先導プロジェクト、生活空間倍増戦略プラン、さらに新事業の創出による良質な雇用の確保と生産性向上のための投資拡大に重点を置く産業再生計画を推進いたします。
 それとともに、景気回復への即効性や、民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えた、真に必要な分野、具体的には情報通信、科学技術や、環境、福祉、医療、教育などの分野に大胆に重点化することといたしております。
 次に、自治体財政につきましてのお尋ねもありました。
 今回の経済対策の地方団体における実施見込みについてでございますが、地方財政が極めて厳しい状況にあることは十分承知をいたしております。関係省庁におきまして、それぞれの地方団体の実情をよく踏まえ、地方が対応しやすいよう、各地方団体の希望等も踏まえながら、適切に対処することといたしております。
 また、地方債を財源とすることのできない事業を円滑に実施するため、臨時異例の措置として地方交付税を増額することとするなど、地方財政の運営に支障が生じないよう、これまた適切に対処することといたしております。
 地方財政につきましての認識とその対策について重ねてお尋ねがありましたが、地方財政は、現在の我が国経済の厳しい状況にかんがみ、多額の財源不足が続き、借入金が急増するなど極めて厳しい状況にあることは認識をいたしております。したがいまして、経済対策を着実に執行することにより、我が国経済を回復軌道に乗せることが必要であります。
 また、毎年度の地方財政対策におきまして、御指摘の金利も含め、所要の経費を見込むことにより、地方財政の運営に支障が生じないよう適切に対処するとともに、地方分権推進計画に沿って、国と地方の役割分担を踏まえ、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 恒久的な減税の実施時期についてのお尋ねもありました。
 恒久的な減税につきましては、これまで地方、国の分担につきまして精力的に検討を行い、先般その結論を得たところであります。今後さらに、その具体化に向けて、政府及び党の税制調査会におきまして鋭意検討を行ってまいります。いずれにしても、所要の法案につきましては、来年度予算編成とも関係することから、法案の立案作業に要する期間等を勘案いたしまして、所信表明で申し上げたとおり、来年の通常国会に提出をいたします。
 このうち、所得税につきましては、暦年課税であることから来年一月にさかのぼって適用し、法人課税につきましては、既に本年四月から税率の引き下げを実施いたしておりますので、さらなる引き下げは来年四月から実施することといたしております。
 次に、税制改正全般についてでありますが、特に、民主党のお考えにつきましてお話がございました。したがいまして、それぞれの点につきましてお答えを申し上げますが、若干、これまた時間を要しますことをお許しいただきたいと思います。
 所得税の税率構造、扶養控除の見直しと児童手当についてでありますが、個人所得課税につきましては、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から、最高税率を六五%から五〇%に引き下げるとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることにより、恒久的な減税を行い、減税規模は四兆円を予定いたしております。
 なお、最高税率につきまして、大蔵、自治両省間で十分に協議を重ねました結果、所得税を五〇%から三七%、個人住民税を一五%から一三%にすることにいたしたところでございます。
 税率構造につきましては、各種控除を初めとする課税ベースや課税方式と相まって所得課税の基本構造を構成しておりまして、そのあり方につきましては、課税ベース等のあり方も含め総合的な議論が必要であり、税率構造だけの議論は不適当であります。しかし、現在の景気の状況に照らせば、今述べましたような最高税率の引き下げと定率減税の組み合わせが現時点で行い得る最善の策と考えられます。
 扶養控除につきましては、所得に応じた公平な負担を求める上で、個々人の担税力の差異は基礎的な人的控除により配慮するというのが所得税の基本的考え方であり、子供のいる納税者については、子供の数に応じた扶養控除等を設けて税負担の配慮を行っておるところであります。
 また、児童手当につきましては、三歳未満の時期に給付を重点化した制度改正を行ったという経緯や、児童手当のあり方についてさまざまな御意見があることを考えますと、慎重な検討が必要であると考えております。
 納税者番号制度に関しましては、制度の目的、プライバシーの問題、経済取引への影響等の諸課題について議論を深めていく必要が確かにあると考えております。
 税率構造全体のあり方や各種控除のあり方については、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、課税方式のあり方とあわせて、抜本的な改革に向けて腰を据えた見直しを行っていく必要があると考えております。
 基礎年金国庫負担率の引き上げにより直ちに保険料を引き下げるとの御提案がありましたが、年金は長期的制度であり、短期的な景気対策の観点から制度の根幹を変更することは適当でないこと、基礎年金の国庫負担率の引き上げは莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
 基礎年金国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のため、具体的な方法と一体として検討する必要があり、将来の検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民の負担全体のあり方、社会保険料の税の役割のあり方等とあわせて議論すべきものであると考えております。
 消費税についてお尋ねがありましたが、自由党小沢党首からは、消費税について、税率、福祉目的への限定など抜本的な見直しを行うとの提言をいただいております。消費税率五%への引き上げを含む税制改正は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面で対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。消費税に限らず、税は低い方でいいという面はありますが、税、財政のあり方を考えるとき、消費税の引き下げは困難であり、この点、国民の皆さんの御理解をいただきたいと考えております。
 今後の少子・高齢化の進展に伴って増大する年金、医療、介護等の福祉のための財源を国民にどのようにお願いするかは重要な検討課題であると認識をいたしております。少子・高齢化がさらに進展する二十一世紀を展望しつつ、直間比率を是正していく流れの中で、中長期的な税構造はどうあるべきか、建設的な議論を行ってまいることはこれまた重要と考えております。
 地域振興券についてのお尋ねもありました。この事業につきましては、今回の緊急経済対策の一つの柱として位置づけたところでありまして、若い親の層の子育てを支援し、あるいは老齢福祉年金等の受給者や所得が低い高齢者層の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起、地域経済の活性化を図り、地域振興に資することを期待いたしておるものであります。
 長銀問題についてお尋ねがありました。
 去る十月二十三日、長銀より金融再生法に基づき預金等の払い戻しを停止するおそれが生ずると認められる旨の申し出があり、これを受けまして、金融監督庁の検査結果等を踏まえ、金融再生法第三十六条に基づき特別公的管理の開始決定を行ったところであります。
 また、本年三月の長銀に対する公的資金の投入につきましては、金融危機管理審査委員会におきまして、金融システム安定化のための必要性のほか、その時点での財務状況等をも勘案いたしまして、法律及び審査基準にのっとり厳正に審査され、決定されたものと考えております。
 なお、従来からお答えをいたしておりますように、破綻した金融機関の経営者に対する民事、刑事上の厳格な責任が問われるべきものと考えておるところであり、お尋ねの長銀の旧経営者に対する刑事、民事上の責任追及につきましても、金融再生法の特別公的管理制度の枠組みのもとで責任の解明が図られ、適切に行われていくものと考えております。
 金融再生法に対する評価についてお尋ねがありました。
 金融再生法は、さきの国会におきまして、金融システムの再生と安定を図るための措置について与野党間で精力的な御議論が行われ成立したものであり、その法律に基づき、現在、長銀について特別公的管理の仕組みを適用しておるところであります。政府といたしましては、今後とも、金融再生法を適切に運用すること等により、長銀問題を含め、現下の金融問題について適切に対応し、預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期してまいりたいと思います。
 金融機能早期健全化法を民主党の御主張どおり改正すべきではないかというお尋ねでありますが、現行の早期健全化法におきましては、金融機関等が実態に合った適切な資産査定、引き当て等を行うことを前提としており、また、経営の合理化のための方策、経営責任の明確化のための方策及び信用供与の円滑化のための方策等の実行が見込まれることが資本増強を承認するための要件となっていることなどから、不良債権処理や貸し渋り解消に有効であると考えており、早期健全化法を改正する必要はないと考えております。
 国会議員のあっせん利得行為の処罰についてお尋ねがありました。
 このような行為を処罰する罪の新設を含む立法措置につきましては、かねてから自由民主党等におきましても議論が行われてきたものと承知をいたしております。政府といたしましては、各党各会派で十分御議論いただくことが基本であると考えており、その結果も踏まえ、適切に対処いたしてまいりたいと考えております。
 公務員倫理法についてお尋ねでありました。
 議員立法として国家公務員倫理法案を御提案いただいておるところであり、その早期成立を改めて期待いたします。法律が成立いたしました暁には、その適正な運用に万全を期し、もって国民の信頼回復に努めてまいる所存であります。
 同僚議員の政党助成金の不正使用疑惑などについてのお尋ねがありました。
 私は、所信表明演説でも申し述べたように、政党助成金の不正使用疑惑により同僚議員が逮捕されたことはまことに遺憾であり、こうした事件が再び起こらないよう、政治家個人が厳しく身を律していかなければならないと考えております。
 連座制など政治の腐敗防止についてお尋ねがありました。
 連座制につきましては、各党各会派間におきまして政治改革論議を経て、平成六年に現行の制度ができたものであり、政府といたしましては、現在のところこれを見直す考えは持っておりません。なお、政治腐敗防止につきましては、まずは政治家個人が厳しく身を律するということが必要であります。また、さきに議員立法として御提案をいただいております政治改革関連法案につきましても、早期成立を改めて期待いたします。
 調達実施本部の背任事件及び証拠隠し疑惑につきましてお尋ねでありましたが、防衛庁では、徹底的に事実解明を行い、組織的な証拠隠しと受け取られてもやむを得ない事例等があり、また、その事案への取り組みには不十分な点もあったこと等を内容とする報告を取りまとめるとともに、関係者の厳正な処分を行いました。さらに、事件の再発防止のため、防衛調達改革の基本的方向を取りまとめたところであり、これを踏まえ、調達機構・制度の抜本的改善等に全力で取り組んでまいる所存であります。
 事件の真相は、今後、公判等で明らかにされると考えております。
 衆議院議員の選挙制度の見直しについてもお尋ねがありました。
 この制度は、選挙や政治活動を個人中心の仕組みから政策本位、政党中心への仕組みに転換することを目指して、長期間にわたる政治改革論議を経て導入されたものでありますが、よりよき制度に向けて各党及び各党間でさらに論議を深めることも重要であると考えております。政府といたしましては、これらの論議の結果を踏まえ、的確に対処してまいる所存であります。
 次に、外交問題につきましてお尋ねがございました。
 まず日中首脳会談に関してございましたが、今次会談では率直な意見の交換を行うことができ、その点で双方とも評価いたしておりまして、いろいろ厳しい御指摘もございましたが、江主席御自身、会談終了後、直接私に対しましても、大変よい会談結果である、こう申し述べられておるところでございまして、評価にはいろいろの点があろうかと思いますが、私といたしましては、ともにお互いの立場は立場として主張し合いましたけれども、それぞれの考え方につきまして、お互い、今後未来志向でいたしてまいりますことについては一致いたしたところであります。
 この会談を踏まえまして、共同宣言及び協力強化のための共同プレス発表を作成いたしまして、双方の一致により日中両国が共通の目標に向けてともに行動する枠組みを示すことができたわけでございまして、日中関係を今後さらに安定的なものとする基礎は構築できたものと考えております。
 日中共同宣言の取りまとめに関してでありますが、二十一世紀に向け日中関係をいかに構築していくかという観点から、歴史認識を含め、どのような書き方にするのが最適かにつき活発な議論を行ったため、結果として時間を要したことは事実であります。私は、終始報告を受け、指示を与えたところでございまして、結果は、双方の認識の一致を反映したものであり、また、議論を通じて相互理解が深まったと考えており、私は御指摘は当たらないものと考えております。
 歴史認識と日中関係に関するお尋ねでありますが、歴史認識につきましては、政府の考え方は、申すまでもなく、一九九五年八月十五日の内閣総理大臣談話を基本とし、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものでございます。日中関係につきましては、この考え方を踏まえ、信頼関係を一層強化していくとともに、二十一世紀に向け、平和と発展のための友好協力パートナーシップを強固にしていく考えであります。
 次に、対ロ外交についてお尋ねもいただきましたが、先般の訪ロの際に署名いたしましたモスクワ宣言では、平和条約交渉を加速することでは一致をいたしておりまして、そうした点から国境画定委員会の設置等の前進が見られたところであります。今後とも、日ロ間で経済分野を含めさまざまな分野での関係を強化しつつ、東京宣言及びモスクワ宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約を締結いたしてまいりますように、さらに全力を尽くしてまいりたいと思います。
 米中ロ韓との首脳会談についてお尋ねがありました。
 まず、それぞれ二国間関係の強化等を通じ、アジア太平洋地域における平和と安定の枠組みを一層強固なものにすることを、一連の外交日程の重要な目的といたしてまいりました。また、我が国の経済再生に向けた取り組みにつきましても、我が国経済と世界経済の相互依存関係を強調しつつ、具体的な意見の交換を行ったところであります。
 最後に、解散についてのお尋ねがございましたが、我が国は、現在、国家的危機ともいうべき内外ともに困難な状況にあります。まずは我が国の経済再生に向け、あらゆる施策を果断に実行していくことこそが、この内閣最大の使命であります。
 改めてこのことに思いをいたすとき、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきところでございまして、衆議院の解散につきましては全く念頭にございません。
 残余の質問につきましては、関係政府委員から答弁させます。
 以上。(拍手)
    〔政府委員大森政輔君登壇〕
#8
○政府委員(大森政輔君) 自衛隊の海外派兵についてのお尋ねでございますが、日本国憲法第九条のもとにおきましても、我が国を防衛するための必要最小限度の武力行使は禁止されていないところでありますが、それが現実に許されますのは、我が国に対する急迫不正の侵害、すなわち武力攻撃が発生した場合において、これを排除するために他に適切な手段がなく、必要最小限度の実力の行使にとどまるときに限られると解しているところでございます。
 いわゆる海外派兵とは、一般的に申しますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである、このように定義されているわけでございますが、このような海外派兵は、一般に、今述べました自衛のための必要最小限度を超えるものであり、許されない、従前から申し上げてきているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 村岡兼造君。
    〔村岡兼造君登壇〕
#10
○村岡兼造君 私は、自由民主党を代表して、小渕総理の所信表明演説に対し、総理及び関係閣僚に質問をいたします。
 我が国は、今、戦後最悪の経済状況にあり、国家的危機に直面しております。この難局を乗り越えるためには、従来の発想や手法から脱皮し、全く新たな視点に立った取り組みが必要であります。今般、小渕総理の国家的見地に立った判断により、我が党と自由党との間に立ちふさがっていた過去の確執を乗り越えて、両党による連立に向けて大きく動き出しております。
 言うまでもなく、政治の目指すところは、何よりもまず国民生活の安定であります。そのために必要な施策を適時適切に講じていくことは、政治の責任であります。ところが、先般の参議院議員の選挙の結果、国会運営は混迷し、緊急を要する金融関連法案も思うように審議できずに、政治はその責任を全うできない苦い経験をいたしました。このままの政治状況では、この国家的危機は決して乗り越えることができません。
 今、我々が実現しなくてはならないのは、まず政局の安定であります。その上に立って、この戦後最大の経済危機を何としても乗り越え、国民の皆さんの生活を一日も早く安定させなければなりません。(拍手)この現下最大の政治の責任に深く思いをいたし、今般の小渕総理のお考えがあったのだと思います。これからは、自由党と相協力し、さらに他の各党各会派の理解と協力も広く求めながら、重要政策の実現に最大限の努力を払わなくてはなりません。
 そこで、個別の質問に入る前に、自由党との連立を目指すに至るまでの経緯、そして今後の国会運営にどう対処していかれるおつもりか、まず総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 現在、我が国経済は、バブル経済の崩壊、金融機関の経営破綻、アジア経済の悪化などが重なって、個人消費を初めとする最終需要が縮小し、これが生産、雇用面にも影響を及ぼして、景気は低迷状況が長引いており、極めて厳しい状況にあります。こうした状況を一刻も早く打開し、国民に対し二十一世紀に向けて明るい展望を示すことが現下最大の課題であり、また、アジアを初めとする世界の安定のために我が国が寄与する最大の道であると考えます。
 今年度は、政府経済見通しをマイナス一・八%に下方改定することを余儀なくされました。来る十一年度は、三年連続のマイナス成長を回避し、何としてもプラス成長に転じて回復基盤を固める年にしなければなりません。また、我が国が将来も夢のある、安心して暮らせる国であるためには、引き続き構造改革に取り組んでいくことが必要であります。
 今年度後半から十一年度にかけては我が国経済再生にとって正念場であり、有効な資本増強を初めとする金融システム安定策を実施し、不良債権処理、金融機関の再編を進め、金融機関の信頼性と機能を回復し、我が国実体経済の回復を阻害している要因を取り除かなければなりません。
 小渕総理は、このような厳しい事態を的確に認識され、この時期に緊急経済対策を取りまとめるようリーダーシップを発揮されました。すなわち、百万人規模の雇用創出、安定を目指して、事業規模十七兆円の第三次補正予算による追加措置、六兆円超の減税を含めた総事業規模二十四兆円という大胆な対策を打ち出されました。このような大きな政治判断を下されたことは、国内はもとより、アジアを初めとする海外からも高く評価されております。私は、その決断に深く敬意を表するものであります。(拍手)
 あわせて、この対策を取りまとめるに当たり、我が国の経済がどのような道のりを通って再生し得るのか、そのかなめは何であるかといったフレームワークを明らかにするように指示されました。これは過去の対策には例がないことであり、高く評価されるべきものと考えます。これにより、我が国経済の再生が道のりに沿って順調に進んでいるのかどうか、進んでいないとしたら何が原因であるのか、検証することが可能となりました。ぜひ、この道のりをたどって、一両年のうちに必ずや我が国経済を回復軌道へ導いていただきたいと考えます。
 さて、我が国経済の実態を見ますに、我が国経済の再生にとって金融システムに対する信認の回復が一番の急務であり、試金石であると考えます。先般、金融関連二法が制定され、それぞれ十八兆円、二十五兆円の政府保証枠が措置されました。金融システム全体の危機的な状況を絶対に起こさない、日本発の金融恐慌を決して起こさないとのかたい決意のもと、金融関連二法等の新たな枠組みに基づく措置を迅速かつ適切に講ずるとともに、信用収縮を解消し、民間の経済活動の再活性化を図ることが現在の我が国経済にとって最も重要な対策であると考えます。
 そこでまず、金融対策についてお伺いいたします。
 緊急経済対策においては、対策の最重要課題として、金融システムの安定化、信用収縮対策を挙げられました。これらの施策の実行は、その過程で不良債権処理など痛みを伴うことから、そう容易なことではないと思います。しかしながら、私は、金融機関が自主的にかつ早急に臨時株主総会を開催し、資本注入を受けることを決意し、直ちに資本注入の申請をされるべきであると考えます。
 そして、金融機関は、資本注入により与えられたチャンスを生かし、みずから業務再構築に取り組み、今度こそ不良債権を最終的に処理していただきたい。これこそが、我が国経済の再生のため、どうしても通らなければならない道のりであると考えます。
 また、我が国の金融機関も、これらの試練をくぐり抜けることによって初めて、成長可能性に富むベンチャー企業や健全な中堅、中小企業への融資など、我が国経済社会から求められている機能を果たしながら、健全な企業体として、二十一世紀に向けてその新たな役割を果たしていくことができるでありましょう。
 政府は、早急に関係各省庁の総力を結集して、この問題に取り組むべきであると考えます。総理は、重要な金融システム、信用収縮問題に対して、いかなる体制で、いつごろまでに対策に盛り込まれた内容を実行に移そうとされているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、今回の緊急経済対策のいわゆる景気回復策についてお尋ねいたします。
 対策の中心の一つである社会資本整備について、総理のリーダーシップのもと、二十一世紀先導プロジェクト、生活空間倍増戦略プラン及び産業再生計画を各省庁連携して行うこととしたことは、新しい試みとして大いに期待されるところであります。
 また、社会資本整備については、情報通信、科学技術、環境、福祉、医療、教育、物流効率化、産業競争力強化、農山漁村等地域活性化、民間投資誘発等都市再生、防災に重点的な投資を行うとしたことは、一定の評価ができると思います。また、北海道など特に厳しい経済状況にある地域や不況業種の実情に十分配慮することが必要であります。
 しかし、これらを実効あるものにするためには、地方公共団体の財政の問題があります。今回の景気対策に関連して、地方財政に対する措置をどのようにとられたのか、お伺いをいたします。
 次に、低水準が続いている住宅投資の現状にかんがみ、経済波及効果の大きい住宅投資を促進し、国民の生活の質の向上を図ることが必要です。住宅投資促進策についてどのような施策を講じられるのか、質問をいたします。
 次に、恒久的減税等についてですが、個人所得課税について、平成十一年から最高税率の五〇%への引き下げ等による四兆円規模の減税を行うとともに、法人課税について、平成十一年度から実効税率の四〇%程度への引き下げを行うこととされました。
 国民にこの時期に恒久的減税の道のりを明らかにしたことは、アナウンス効果も相まって、経済によい影響を与えるものと評価いたしますが、恒久的減税を検討する場合、地方財源の円滑な運営には十分配慮する必要があると考えます。その点、どのような対応を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
 また、地域振興券は、文字どおり、地域の振興と消費の拡大を目的としたものでありますが、これについて、まだ国民の皆様の理解が十分でなく、さまざまな意見が出されているところであります。改めて、この施策について総理にお尋ねをいたします。
 次に、財政構造改革法の改正についてお尋ねします。
 本対策では、凍結が決定されました。しかしながら、財政構造改革は将来に向けて極めて重要な考え方であり、今後、政府はいかなる方針で臨んでいかれるのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 次に、今回の経済対策の効果についてでありますが、総事業費は二十四兆円程度と過去最大であります。政府としては、定量的にどのくらいの景気押し上げ効果を見込まれているのか、認識をお伺いいたします。
 さらに、対策では、密接な相互依存関係にあるアジア等を支援することとしております。さきに打ち出された宮澤構想を初めとする支援策が、APECなどの場で、アジア諸国や米国などからどのような評価がなされたのか、総理にお尋ねをいたします。
 また、総理の強いリーダーシップのもと、過去最大の緊急経済対策が決定されたわけでございますが、この対策を担保し実効あらしめるためには、事業規模十七兆円超の第三次補正予算案及び関連法案をこの臨時国会で早急に成立させなければなりません。
 我が党は、補正予算案を取りまとめるに当たって、景気回復に即効性のあるものを対象とすること、民間投資の誘発効果の大きいこと、地域の雇用の安定的確保に資するものであること等に留意すること、従来の経緯、発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野に重点化すること等を原則とするよう、政府に対し強く呼びかけました。今次補正予算にこれらの要求がどのように反映されたのか、大蔵大臣の率直な御答弁をお願いいたします。
 次に、我が党として重要な関心を持っております雇用問題についてお尋ねいたします。
 長引く景気の低迷の影響を受けて、我が国の状況は、完全失業率、完全失業者数、有効求人倍率、いずれの指標を見ても過去最悪の水準となっており、大変厳しい状況に置かれております。全国のハローワークでも、早朝から職を求める人であふれ返る状況が幾度となく報道されているところであります。また、企業の倒産や解雇等の非自発的理由による失業者が増大する中で、特に四十五歳以上の中高年労働者を取り巻く環境は大変厳しいものとなってきており、こうした方の再就職先はなかなか見つからない状況であります。
 このような厳しい状況を改善させるためには、何よりも政府は、緊急経済対策の早急な実施により我が国経済を一刻も早く回復軌道に乗せることが重要であります。さらに、それまでの間、特に中高年を初めとした雇用環境の厳しい層に配慮し、失業者の再就職支援策等的確な雇用対策を実施する必要があります。
 あわせて、創業や企業の異業種進出等による雇用機会の創出を積極的に支援していくことが今後の大きなポイントであり、我が国の雇用の約八〇%を担う中小企業の活性化、新規産業の創出に向けた環境整備、支援等により質の高い雇用を拡大していく必要があります。こうした観点から、今国会に政府より提出されております中小企業における雇用機会の創出のための法律案については、早期に成立させる必要があると考えます。
 今般の緊急経済対策においては、厳しい雇用失業情勢を一刻も早く打開し、二十一世紀に向けて明るい展望を示すために、我が党が主張した百万人という目標を真摯に受けとめ、百万人規模の雇用創出、安定を目指すことが明言されました。そして、その一環の雇用対策として、雇用活性化総合プランや緊急雇用創出特別基金など大胆な施策が盛り込まれ、これに過去最高の一兆円に上る額が確保されており、これは雇用の安定に向けた政府の強い姿勢のあらわれであると高く評価をいたしております。(拍手)
 政府は、国民生活の基盤である雇用の安定を図ることにより国民の将来に対する不安を払拭させるために、これらの施策を迅速かつ積極的に講じていく必要があると考えます。そこで、今後の雇用対策についての総理の決意をお伺いし、あわせて、雇用活性化のための具体策を労働大臣にお伺いをしたいと思います。
 次に、外交問題について御質問をいたします。
 まず、日米関係ですが、今般訪日されたクリントン米国大統領との会談では、二国間関係に加え、世界経済、国際情勢等幅広い協議が行われたと承知しております。大統領訪日の成果及び今後の日米関係全体についての展望について総理の所見をお伺いいたします。
 次に、日ロ関係ですが、今月小渕総理が訪ロし、田中元総理以来二十五年ぶりの我が国総理大臣の公式訪問が実現しました。そこでは、モスクワ宣言が署名されるなど、一定の成果を上げたものと理解しています。総理は、先般の成果をいかに評価し、今後の日ロ関係の進展につなげていかれるおつもりでしょうか。
 また、領土問題につきましては、国境画定委員会及び共同経済活動委員会を設置することになったと承知をいたしておりますけれども、二〇〇〇年までの平和条約締結に向けた今後の見通しについて、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、日中関係についてお伺いします。
 本日まで江沢民国家主席が訪日されておりますが、史上初めての中国国家元首の公式訪問であり、日中平和友好条約締結二十周年という記念すべき年にふさわしい行事であったと考えております。今次訪日の長期的な観点からの日中関係の意義をいかに考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 ところで、十月の金大中韓国大統領の訪日は、日韓両国が二十一世紀に向けた新たなパートナーシップを構築していくことを内外に強く印象づけるものであったと考えます。この成果を踏まえ、総理は今後の日韓関係をどう取り進めていかれるのか、また、これを受けて早速鹿児島において開催された日韓閣僚懇談会の成果について、外務大臣にお伺いをいたします。
 さらに、今般韓国との間で基本合意に至った新たな日韓漁業協定の意義と、これにより大きな影響を受ける水産業への対策等についてお伺いをしたいと思います。
 八月下旬の北朝鮮によるミサイル発射については、安全保障の面から後ほど質問いたしますが、北朝鮮は拉致疑惑に対しても不誠実な対応しか見せておらず、国内世論は依然非常に厳しい状況にあります。それに加え、秘密核施設の疑惑もありますが、総理は、KEDOへの協力を含め、今後どのように北朝鮮政策を進めていかれるのか、その基本方針をお聞かせください。
 今般、マレーシアにおいて開催されたAPEC閣僚会議及び首脳会議では、アジア経済の問題を中心に忌憚のない意見交換が行われたと承知しております。また、早期自主的分野別自由化の問題について、各メンバーが意見の対立を克服し、合意に至ったことは重要であり、総理の御指示のもと、交渉の妥結に向けた外務大臣、通産大臣の尽力に対し、改めて敬意を表します。この機会に、今次APECの成果についてのお考え及び今後の抱負並びにWTOにおける自由化交渉に臨む基本的考え方を外務大臣にお伺いしたいと思います。
 アジア諸国の経済全体を見れば、やや落ちつきが見られ始めているものの、実体経済は依然厳しい状況にあり、その回復努力に対し、国際社会の支援が引き続き重要であります。特にアジア経済と密接な相互依存関係にある我が国に対しては、アジア諸国からの期待がますます高まっているところでありますが、我が国の果たすべき役割について総理の率直な御所見をお聞かせください。
 次に、我が国の安全保障政策についてお尋ねいたします。
 八月三十一日、十二時過ぎに北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、我が国の国土を飛び越えて三陸沖に至ったことは、我が国の安全保障上極めてゆゆしき事態であります。また、これは場合によっては我が国領域内に落下した可能性もあり、周辺海域を航行する船舶や漁船等の安全にとっても極めて危険なものであります。
 我が党は、翌日の九月一日に、全国民とともに強い怒りを持って厳重に抗議するとした幹事長談話と、外交国防関係合同会議では北朝鮮のミサイル発射に対する抗議決議を発表しました。その中で我々は以下の考えを示しました。
 すなわち、今回の北朝鮮の行為は、北東アジアの平和と安定に重大な脅威を与え、国際社会全体に緊張をもたらす暴挙であり、これによって国威を発揚しようとするねらいならば、実に愚かな行動というほかない、また、食糧支援や日本人配偶者帰国問題など、平和的に進めようとするやさきのことだけに背信行為と受け取らざるを得ない、さらに、大量破壊兵器の世界への拡散を断固防ぐという立場で、国際社会と連携して北朝鮮の自制を強く求めると同時に、政府に対しては、北朝鮮に対するエネルギー開発の協力、すなわちKEDOの資金提供や日朝国交正常化への話し合いをこのまま進めていくのか、また、BMD、弾道ミサイル防衛や情報収集衛星による情報収集を含めた我が国防空体制を強化すべきであるとの考えを示したわけであります。
 弾道ミサイル防衛の推進及び我が国独自の情報収集衛星の導入について、総理の御所見をお聞かせください。
 また、日米安保体制の強化が必要であることは言うまでもないことであり、ガイドライン関連法案の成立が急務だと考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、沖縄問題について御質問いたします。
 さきの沖縄知事選挙では、我が党県連の推薦した稲嶺恵一氏が現職の大田知事を破って見事当選いたしました。今回の選挙結果は、沖縄県民が新知事に対して、沖縄の閉塞状況に陥った状況を打破してもらいたい、九・二%という本土の二倍という高い失業率の数字が示す経済状況を一刻も早く、沖縄県の経済雇用情勢の回復のために、政府と協力して早期に振興策の推進に取り組んでもらいたいという期待のあらわれだと思います。(拍手)
 政府は、こうした沖縄県民の期待にこたえるために、現在凍結状況の振興策の具体化を一刻も早く推進することが大切なことだと考えますが、総理のお考えを承りたいと思います。
 次に、沖縄米軍基地の整理、統合、縮小問題についてであります。
 政府は、沖縄県の最も強い要望であった普天間飛行場を初めとする米軍施設・区域面積の約二一%の返還を含むSACO最終報告を日米間で取りまとめました。その後、大田知事が、ことし二月六日、名護市長選の投票日の二日前に海上へリポート建設反対を正式に表明したことから基地問題が全く進まなくなったことは御承知のとおりであります。
 しかし、新知事は、基地問題については、現実的対応によって、SACO最終報告を基本に、米軍の基地の整理、統合、縮小を着実に進めるとの立場にあります。政府は、この際、普天間飛行場の返還問題を含めて、県民が望む基地の整理、統合、縮小への取り組みを推進すべきと考えます。
 あわせて、沖縄の将来は、国際性を生かし、かつ豊かな自然といった地域の特性を生かし、二十一世紀に向けて若者が夢と希望の持てる真に自立した地域経済の発展であると考えますが、総理の沖縄問題に対するお考えをお聞かせください。
 以上、幾つかの重要政策について質問してまいりましたが、今政治に課せられている喫緊の課題は、何といっても金融システムの安定、信用収縮対策を含めた日本の景気回復であります。
 我が国の経済は、二年連続のマイナス成長が確実視され、この半世紀の間に経験したことのない危機的な状況に陥っています。しかも、今回の不況は、単に循環的な要因にとどまらず、高コスト構造や少子・高齢化の進展など、我が国経済が抱えるさまざまな構造問題にも深く根差した複合的な不況と言えます。
 したがって、ここ一、二年の取り組みいかんによっては、輝かしい二十一世紀を迎えることができない可能性があると言っても過言ではなく、今こそ、一致結束して経済の再活性化に向けて総力を挙げて改革に取り組んでいかなければならないと考えます。
 景気を回復し、経済を再生するには、この臨時国会で第三次補正予算案及び関連法案を成立させ、緊急経済対策を実効あらしめねばなりません。そして、日本の将来に明確な方向性を示し、国民が抱く将来への不安を取り除くことが何よりも重要と考えます。また、国民に対してはもちろん、国際社会に向けても、機動力を持ってスピーディーに懸案事項を解決していく覚悟と政治機能の復権をアピールしていかなくてはなりません。
 総理と小沢自由党党首との間に取り交わした合意書の中に、「わが国は、急速な少子・高齢化、情報化、国際化などが進展する中で大きな変革期に直面し、国民の間に国や社会の将来に対する不安感が生じている。これを払拭し、人々に自信と誇りと希望を与えることが政治の責任である。そのためには大胆な構造改革を断行しなければならない。」という一節がありますが、これは党派を超えて広く共感を呼ぶ認識であると思います。そして、何よりも必要なことは、明確な政策とビジョンを持って強い指導力を発揮することであります。
 小渕総理、あなたは辛抱強く、揺るぎない信念と指導力があります。どうぞ持てる力を遺憾なく発揮し、この未曾有の難局を乗り切ってください。我々自由民主党は、自由党とも連携して、国家国民のためにこの危機を一日も早く克服し、安心して暮らせる将来への展望を開かれるよう強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 村岡兼造議員にお答え申し上げます。
 まず、自由民主党と自由党との連立政権及び今後の国会運営についてのお尋ねがありました。政権与党としての強い責任感と実際の国会運営のはざまで大変御苦労されておられるお立場からのお尋ねと拝聴いたしました。
 私は、政権発足以来、常々申し上げてきたところでございますが、厳しい経済状況を初め、国家的危機ともいうべき内外とも困難な状況にありまして、この経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、政治に課せられた最大の責任であると認識をいたしております。こうした政治に課せられた責任を全うするため、経済再生を初めとして、必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であります。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返りまして、各党に個別課題ごとに大変御協力をお願いし、真剣な取り組みをいただいたところではございましたが、実際問題といたしまして、必要な政策をタイムリーに実行する、こういった点でなかなか難しい点があったように実感いたしておるところであり、こうした経緯は経緯といたしましても、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合うという形が望ましいと考え、そのための方策につきまして真摯に模索してまいりました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねました結果、私と小沢党首の間で、現在の国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通なものとし、国家と国民のため、政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意したところであります。この合意は、小沢党首提案の政策につきましても基本的方向で一致し、国家国民のために政治がスピーディーかつ効率的に機能するよう、ともに協力してまいる所存でございます。
 また、自由党との協力に加えまして、各党や各会派に対しましても、党派を超えてさまざまな御意見に真剣に耳を傾けるとともに、御理解と御協力を広くお願いしていく所存でございます。
 以上、自由党との合意の経緯、背景あるいは今後の国会運営につきまして私の考えを申し述べたところであり、国民の皆さん、議員各位の御理解をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
 金融システム、信用収縮問題への対応についてお尋ねがありましたが、政府としては、関係省庁の総力を結集して今取り組ませていただいております。
 まず、さきの臨時国会におきまして真剣な議論を経まして整備されました金融機能再生法及び金融機能早期健全化法に基づく制度の的確な実施に努めております。
 また、貸し渋りや融資回収等による信用収縮を防ぐため、金融機関への資本増強の審査に当たりましては中小企業等に対する融資の姿勢を重視し、さらに、中小企業等貸し渋り対策大綱を着実に実施するとともに、政府系金融機関による融資、債務保証の拡充等の施策を迅速かつ強力に推進してまいる所存でございます。
 今回の緊急経済対策に関する地方財政措置についてお尋ねがありました。
 現下の厳しい地方財政の状況にかんがみまして、補助事業等の地方負担分につきましては、全額、補正予算債で措置するとともに、年度途中の税収の大幅な落ち込みを踏まえまして、地方債を財源とすることのできない事業を円滑に実施するための臨時異例の措置として交付税を増額することとするなど、地方財政の運営に支障が生じないよう適切に対処することといたしております。
 住宅投資促進策についてお尋ねがありました。
 経済波及効果の高い住宅投資を活性化し、国民のゆとりある活動を支える住空間の拡充を図るため、貸付金利の大幅引き下げ、住宅ローン返済困難者対策の実施等、住宅金融公庫融資の貸し付け条件の大幅な改善、二十一世紀にふさわしい広くて良質な住宅の整備、密集市街地等における良好な居住環境の整備などを含めまして、財政、税制等にわたる広範な施策を講じてまいりたいと考えております。
 今般の恒久的な減税を検討する場合、地方財政に十分配慮すべきであるとのお尋ねでありますが、極めて厳しい地方財政の状況を踏まえ、地方の減収分につきましては、当分の間の措置として、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置、法人税の交付税率の上乗せ、地方特例交付金の創設など、できる限りの措置を講ずることといたしたところでございます。
 地域振興券についてもお尋ねがありましたが、この事業につきましては、今回の緊急経済対策の一つの柱として位置づけたところでありまして、若い親の層の子育てを支援し、あるいは老齢福祉年金等の受給者や所得が低い高齢者層の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起、地域経済の活性化を図り、地域振興に資することを期待いたしたものでございます。
 緊急経済対策の効果についてのお尋ねもございました。
 本対策では、まず、金融システムの安定化、信用収縮対策により、金融システムが健全に機能する基盤を整えることといたしております。また、即効性、波及性、未来性の三つの観点を重視して取りまとめました景気回復策を実施することといたしております。このうち、社会資本整備及び所得課税減税等による今後一年間のGDPへの効果は、名目二・五%程度、実質二・三%程度と試算されます。このほか、住宅投資の促進策、雇用対策、法人課税減税等により、景気回復により大きな効果があるものと期待いたしております。
 次に、我が国のアジア支援策に対するアジア諸国や米国などの評価についてのお尋ねがございました。
 APECや二国間会談などの場で、私より我が国自身の経済再生及び対アジア支援策について説明をいたしましたのに対し、高い評価と強い期待が表明されました。
 現下、我が国におきましても厳しい財政状況にありますことにつきましても、諸外国、十分承知をいたしておりまして、その中で、いわゆる三百億ドル支援策等を打ち出したことにつきましては、これにつきましては高く評価をいたし、期待を表明されておるところであり、ぜひ我が国としてはこれを実行いたしていかなければならない、このように考えております。こうしたことによりまして、アジア諸国経済の早期回復のため、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてのお尋ねがございました。
 緊急経済対策におきまして、平成十一年度の三つの目標の一つとして、失業者をふやさない雇用と起業の推進を掲げております。後ほど労働大臣からもお答えがあろうかと思いますが、雇用に関しましては、本対策によりまして百万人規模の雇用の創出、安定を目指しておりまして、雇用活性化総合プランを初め、同対策に盛り込まれた施策を総動員いたしまして、雇用の創出、安定に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、クリントン米国大統領の訪日及び日米関係の展望に関してお尋ねでございますが、基本的に日米間におきましては、極めて、現時点、良好な関係にあります。そうした中での会談でありまして、日米関係の重要性を改めて再確認し、朝鮮半島情勢や世界経済の現下の重要課題につきまして、さらに日米間の連携を強化していくことで見解の一致を見たところであります。
 首脳間で日米協議を継続するために、大統領の招待を受けまして、可能でありますれば来年の五月初めを目途として、米国を公式訪問する考えでございます。
 日ロ関係につきましては、先般の訪ロで、創造的パートナーシップの構築に向けたモスクワ宣言を発表し、両国関係を、信頼の強化を通じて、合意さらには実行の時代へと発展させていく素地ができたと考えております。
 今後ともさまざまな分野で関係を強化しながら、東京宣言及びモスクワ宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くしてまいります。
 江主席の訪日に関してでございますが、今次機会に共同宣言及び協力の強化に関する共同プレス発表を作成いたしまして、平和と発展のための友好協力のパートナーシップの名のもとで、国際社会に大きな役割と責任を有する日中両国が共同の目標に向けてともに行動する枠組みを示すことができました。日中関係を長期にわたってさらに安定的なものとする上で、有意義な基礎を構築できたと考えております。
 次に、日韓関係についてのお尋ねでございますが、金大中大統領訪日の際、私と大統領は、過去の問題に区切りをつけまして、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築していくことを、日韓共同宣言と行動計画の形で宣言いたしました。
 今後、この具体化を通じ、さらに高い次元の友好協力関係に発展させていく考えでございますが、この一環である日韓閣僚懇談会が、一昨日、昨日、鹿児島におきまして開催をされまして、成功裏に私は終了したものと確信をいたしており、両国閣僚間で率直な意見の交換ができましたと考えております。
 次に、日韓漁業協定についてのお尋ねでございましたが、この協定の締結によりまして、日韓間で、国連海洋法条約に基づく新しい漁業秩序を構築していく基礎が築かれたと考えております。
 また、新しい漁業秩序のもとで関係漁業者の経営の安定を図るため、振興基金の創設等の予算措置を講じるほか、関係水域における資源管理や取り締まりについて、関係省庁一体となって取り組みを続けてまいりたいと思っております。
 次に、北朝鮮政策についてのお尋ねでありましたが、我が国は、日朝間の諸懸案とともに、北朝鮮のミサイル発射や秘密核施設疑惑などの国際的な問題について、韓国や米国と緊密に連携しつつ積極的に取り組み、北東アジアの平和と安定のために力を尽くしてまいりたいと思っております。
 また、KEDOにつきましては、北朝鮮の核兵器開発を阻むというその目的を達成するために最も適切な対応を行ってまいる考えであります。
 次に、アジア諸国に対する我が国の役割についてお尋ねがありました。
 我が国は、既に表明したアジア支援策の着実な実施に加えまして、新たな資金支援スキームや日米共同イニシアチブを表明し、これらの実施に向け、今般の緊急経済対策の中でも所要のアジア支援策を盛り込みました。
 我が国といたしましては、村岡議員御指摘のとおり、我が国経済とアジア経済が密接な相互依存関係にあることを十分認識しつつ、今後とも、アジア経済の早期回復のため、できる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。
 弾道ミサイル防衛、いわゆるBMD及び情報収集衛星に関するお尋ねでありますが、BMDにつきましては、先般の安全保障会議の審議を経て、現在政府部内におきまして、共同技術研究に関する必要な調整を進めておるところでございます。いずれにせよ、本件は我が国の防衛政策上も日米安保体制の運用上も重要な課題と認識しており、今後適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、情報収集衛星につきましては、我が国の安全確保、具体的には我が国の安全保障及び危機管理のために必要な情報収集を行うため、これを導入する方針で取り組むことといたしました。
 ガイドライン関連法案についてでありますが、周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、本年四月末に閣議決定し、国会に提出いたしておるところでございまして、政府といたしまして、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が、早期に国会で審議され、成立または承認されることを期待いたしております。
 次に、沖縄振興策についてお尋ねがございました。
 沖縄が直面する深刻な経済、失業の状況のもと、政府と連携した経済対策の重要性を訴えてこられました稲嶺恵一氏が当選されたことを政府としては重く受けとめ、こうした状況を直視した上で、効果的な振興策を速やかに実施してまいりたいと考えております。(拍手)
 なお、沖縄の問題については、米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、沖縄県の協力と理解のもと、SACO最終報告を踏まえ、今後とも強力に取り組んでまいります。
 また、今後の沖縄の力強い持続的発展を図る上で、依存型経済から自立型経済への移行に向けた取り組みが重要であると認識しており、今後とも、こうした取り組みに資する施策の推進に最大限の努力をいたしてまいりたいと思います。
 最後に、景気回復、経済再生につきまして、国民が抱く将来の不安を取り除き、スピーディーに懸案事項を解決していくことが必要である、そのために、総理大臣として持つ信念と指導力でこの難局を乗り切り将来への展望を開いてほしいという、御激励を含めましてお尋ねがございました。
 我々政府といたしましては、政権発足以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいったところでございますが、さらに今般、平成十一年度におきまして、はっきりプラス成長と自信を持って言える需要を創造すること、失業者をふやさない雇用と起業を推進すること、国際協調を推進することの三点の目標を掲げまして、百万人規模の雇用の創出、安定を目指し、総事業規模において十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めますと二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめました。これらを受けまして編成された第三次補正予算は、国及び地方の財政負担が十兆円を超える規模のものとなります。
 本対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいりたいと思います。また、緊急経済対策におきましても、今後の中期的経済の姿と政策対応のあり方につきまして展望を策定することといたしたところでございます。
 村岡議員の大変力強い御激励を受けまして、私も全精力を傾けて以上の政策を遂行いたしてまいりたいと思います。変わらない御支援を心からお願い申し上げて、答弁といたします。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) これからの財政構造改革についてのお尋ねでございましたが、このたび、財政構造改革法につきましては当分の間凍結することといたしまして、そのための法案を国会に御提出いたしました。これは、現下の厳しい情勢にかんがみますと、まずは景気回復に全力を尽くすことが最重要な課題であると考えたからでございます。
 このたびの補正予算によりまして、平成十年度の公債発行額は三十四兆円になると推定されます。したがいまして、公債依存度は三八・六%でございまして、相当高くなります。ただ、これにつきましては、当面の経済運営に当たりまして景気回復が至上命題でございますから、財政当局としてもこれはやむを得ないものと考えております。他方で、この結果といたしまして、今年度末の公債残高は二百九十九兆円に達する見込みであります。
 今後、少子・高齢化が進みます我が国におきまして、将来の社会、世代のことを考えますと、財政構造改革の実現が引き続き重要な課題でありますことは、村岡議員が御指摘になったとおりでございます。したがいまして、経済を回復軌道に乗せました段階におきまして、改めて二十一世紀初頭における財政、税制の課題としてこの問題についてこれを検討し、必要な措置をとらなければならない、かように考えております。
 次に、第三次補正予算におきます社会資本の整備についてのお尋ねでございました。
 御記憶のとおり、八月の予算概算要求の段階におきまして、異例のことではございましたが、別枠を設けて、十月を目途として景気対策臨時緊急措置、特別枠を設けました。これは、当時、議員が御指摘のような方向で将来を考える必要があると判断いたしたためでございます。これをもとに、十月末に至りますまでの間、各省庁において具体的な内容を取りまとめてもらいまして、財政当局としてもその間各省庁の調整を行ってきたところでございます。
 今回、予算案として具体化されたものにつきましては、主として、景気回復に即効性があり、また民間投資の誘発効果が大きく、地域雇用の安定確保に資するとともに二十一世紀をも見据えるといった、そういう観点から取捨をいたしましたが、ただ、こうした原則に合いますものでも将来に余り大きな負担を残しますものはどうか、そういうものは捨象した方がいいといったような、さまざまな角度から検討いたしまして、かねて御主張のありましたように、このたびのような結論に落ちついたところでございます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#13
○国務大臣(甘利明君) 雇用活性化のための具体策についてのお尋ねがありました。
 緊急経済対策の大きな柱の一つとして、雇用活性化総合プランを取りまとめたところでございます。このプランには、中小企業における雇用創出のための支援事業の創設、緊急雇用創出特別基金の創設、そして中高年労働者の失業なき労働移動、再就職支援対策の拡充、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充等を盛り込んでおりまして、これらの施策を迅速かつ効果的に実施をしてまいります。
 特に、中小企業における雇用創出のための中小企業労働力確保法の改正法案を現在提出しておるところでありますが、その早期成立に御協力をぜひお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣高村正彦君登壇〕
#14
○国務大臣(高村正彦君) 日韓閣僚懇談会についてお尋ねでありますが、閣僚懇談会の開催が、十月の金大中大統領訪日の際の日韓共同宣言でうたわれてから二カ月足らずの間に実現したことは、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップが着実に実践されていることの証左であります。今般の閣僚懇談会は、対北朝鮮政策や経済問題など、幅広い分野について自由濶達な意見が交換される場を提供し、また多数の閣僚が一堂に会し、互いの親交を深めることに役立ったと考えております。
 APECの成果と今後の抱負、WTO交渉への考え方についてのお尋ねでありますが、APECにおける成果の第一は、アジア経済の早期回復に向け、我が国の諸施策を含む具体的な対策について合意を見たことであり、成果の第二は、早期自主的分野別自由化等についても、我が国の立場を貫いて妥結に至ったことでありました。引き続き、アジア太平洋地域の共同体精神を深め、一層の協力強化に尽力してまいります。
 また、二〇〇〇年より開始されるWTOの次期交渉は、農業、サービス等の合意済みの分野に加え、鉱工業品関税や投資ルールを含めた包括的な自由化交渉とすべきとの考え方であります。我が国国益にとり実りある交渉となるよう、主導的役割を果たしてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#15
○副議長(渡部恒三君) 神崎武法君。
    〔神崎武法君登壇〕
#16
○神崎武法君 私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました小渕総理の所信演説を中心に、山積する内外の諸問題に対して質問をいたします。
 まず最初に、私たち公明党は、去る十一月七日の公明党全国大会において、新党平和と公明が合流して、新しい公明党として船出いたしました。衆議院では、引き続き改革クラブの皆さんと統一会派公明党・改革クラブとして活動させていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。(拍手)
 今、私たちには三つの声が聞こえます。一つは、公明党を献身的に支え、育ててくださった支援者の、原点を踏まえて新しい公明党よ立てとの声であります。二つには、今我が国が直面している政治経済の閉塞状況を打破せよとの国民の悲痛な叫びであります。そして、三つには、世界の経済動向等への先見性と責任を持てとの、世界から日本の政治に発せられる声であります。
 私どもは、この三つの声を真摯に受けとめて、政治変革の原動力となり、日本政治の閉塞状況を打破するために総力を挙げて戦う決意であります。
 ついこの間まで真っ向から対立していた自民党と自由党が、閣外協力から、通常国会では本格的な連立へと進展するやに言われています。しかし、国民は、余りにも唐突との印象をぬぐえません。自民党と自由党の連立の意味するところを、その経緯も含めて国民に明確に説明すべきであります。
 また、政治・行政改革、安全保障、税制改革についての両党の政策合意を見ますと、これまでの自民党政権の政策からかなり踏み込んだ内容となっています。これらの政策は、「いま直ちに実行する政策」と位置づけられていますが、一体いつまでに具体化するつもりなのか、総理の考えをお伺いいたします。
 小渕内閣が最優先して取り組むべき緊急課題は、言うまでもなくこの深刻な日本経済の立て直しであります。なかんずく我が国の景気の回復は、アジアの経済の安定に不可欠であり、一歩間違えれば日本発の世界恐慌にもなりかねません。
 さて、日本経済の立て直しは、基本的には、これまでの高度成長を前提にしたキャッチアップ型政治、経済、社会システムを、二十一世紀を展望して改革することであります。また、世界第二位の経済大国日本として、みずから率先して世界の国々と調和し協調できる経済構造に改めることでありましょう。
 この二十一世紀を展望したグローバルな政治、経済、社会システムの構築の成否のかぎは、ひとえにトップリーダーの決断と実行力にかかっていることは言うまでもありません。
 先日、来日したクリントン・アメリカ大統領が、東京で一般市民との対話集会に出席して、日米貿易問題、日米安全保障体制、イラク問題、農業問題、アジアの経済危機など、国際問題から日本の国内問題など広範にわたって対話している様子をテレビで見ましたが、これからの日本のトップリーダーは、国民に対するアカウンタビリティーと、国際市場や世界に対して明確なメッセージを発することが何よりも大切であります。
 そこで、この一カ月の間に、クリントン・アメリカ大統領を初めエリツィン・ロシア大統領、江沢民中国国家主席、さらにはAPECにおける各国首脳との会談を重ねられた日本のトップリーダー小渕総理は、世界経済、国際金融の不安定、市場の暴走が懸念される中、今日の我が国の経済危機をいかに認識され、その打開のためにどのように取り組んでいかれるのか、その決意のほどをお伺いいたします。
 また、さきのAPECでは、アジア経済危機を乗り切るため我が国が発表した総額三百億ドルのいわゆる宮澤構想について、各国首脳が大変注目していたとも言われますが、経済危機克服のために立ち上がっているアジア諸国に対しいかなる決意で臨まれるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、緊急経済対策についてお伺いいたします。
 景気は依然深刻な状況にあります。企業倒産は相次ぎ、失業率も戦後最悪の四・三%を記録し、来春の新卒者の就職見通しもまことに厳しいものがあります。さきの日本経済新聞社の調査によると、ボーナスだけでなく、年収そのものも減少傾向が強まっており、三割の企業で社員の平均年収が減少し、変わらないと答えた企業を合わせると過半数の企業で社員のことしの年収はふえないとのことであります。
 こうした数字の背景には、倒産や失業で自殺に追い込まれた人、一家離散、夜逃げ等を余儀なくされた人、住宅ローンが払えず住宅を手放さざるを得なかった人などの悲劇が山積しているのであります。
 「民の憂い募りて国滅ぶ」と古典にありますが、まさに国民の一人一人の苦しみ、悲しみは想像に余りあるものがあります。我々政治家に課せられた責務はまことに重大であります。
 国難ともいうべき非常事態に直面している我が国経済を立て直すためには、非常事態にふさわしく、大胆で即効性があり、かつ着実に消費喚起につながる景気対策の実施が急務であります。
 先般、政府が発表した総事業規模約二十四兆円の緊急経済対策は、来年度にプラス成長を実現して、一両年中には本格的な景気回復軌道に乗せることを政策目標に掲げていますが、甚だ疑問であります。
 確かに、従来型の公共事業偏重を排して、都市基盤整備や物流効率化、情報通信の高度化など、二十一世紀を見据えた投資分野へ重点配分したことなど工夫の跡が見受けられます。中高年失業者の雇用対策、貸し渋り対策、さらに、公明党と自民党とのたび重なる折衝の結果実現した地域振興券の支給なども、不十分ではありますが、厳しい財政事情の中での努力を評価します。
 この地域振興券は、市区町村が実施主体となって永住外国人も含め約三千五百万人に支給することになり、第三次補正予算案に七千六百九十八億円が計上されていますが、国民の中には期待と、また一部には誤解に基づく批判があるようであります。しかし、公的機関の発行する商品券については、東京都の港区、板橋区、千葉県の野田市、埼玉県の川口市など、地域の活性化に相当の効果を上げ、大変好評な事例が全国各地で見受けられるのであります。地域振興券が、消費拡大の呼び水として、地域経済や商店街の活性化に相当の効果を期待できるものと確信しております。(拍手)
 この緊急経済対策で大変残念に思うことは、経済対策の大きな眼目であり、我が党がかねてより主張してきた減税対策の具体化が先送りされた点であります。
 所得税と住民税を九九年から、法人税は九九年度から引き下げることだけを決め、具体的な減税案は次の通常国会に提出するとのことであります。これでは、サラリーマン等の給与から引かれる所得税と住民税が実際に減税されるのは早くても五月ごろになり、また、法人税は四月以降の決算からということになります。これでは、せっかくの年末年始の消費を刺激するチャンスをむざむざと失うことになるのであります。
 総理、あなたは、七月の自民党総裁選挙の際には大型減税を公約し、また、八月の第百四十三臨時国会における所信表明では、政治主導のもとスピーディーに政策を実行してまいりますと、迅速な政策決定を行うと発言され、六兆円を上回る恒久減税の早期実施を国民に約束いたしました。
 総理、中国の古典に「言行は君子の枢機」とあります。これは、人の模範となるべき指導者の言葉と行動は、周囲に与える影響が大変に大きく、一たび発動されたら取り戻すことができないほど重要であるということでありましょう。国民は総理の約束をしかと覚えております。また、大型の恒久減税を戦後最大の経済危機から脱出するきっかけにしなければなりません。そのためにも、これらの恒久減税を繰り上げ実施するよう総力を挙げるべきであります。(拍手)
 また、住宅ローン利子減税制度の創設は、我が党の従来からの主張でもあり、評価しています。しかし、新規に住宅を取得してこの適用を受ける人と、既に苦しい経済状況の中ローン返済をしている人との間に極端な格差が生じます。特に住宅ローンの場合は、二十年から三十五年という長期にわたるために大変深刻であります。この際、私は、思い切って、現在ローン返済中の人も減税適用対象に加えるなど、何らかの形で経済的支援措置を講ずべきだと思います。あわせてお伺いいたします。(拍手)
 行政改革は小渕内閣の経済対策とともに最重要課題であります。さきの防衛庁装備品調達問題のような事件の再発を断固阻止するという視点からも、行政改革は厳格に進めなければなりません。
 第百四十二通常国会で中央省庁改革基本法が制定され、いよいよ中央省庁の改革が具体化されることになります。小渕総理は総裁選のときに、十年間で国家公務員の二〇%削減と三〇%のコスト削減という長期の目標を示しましたが、これは、我が党の主張する、徹底した地方分権と規制緩和を前提にした行政改革で小さくて効率的な政府を目指すという視点から、私は賛成であります。
 ところが、先般まとまった中央省庁改革の方向を決める法案大綱の素案では、総理の閣議での発議権や専門知識を持った民間人の内閣官房任用制度の導入など、総理のリーダーシップを発揮する体制が盛り込まれていますが、肝心の、総理の公約である組織や国家公務員の削減については、行政改革の最大の課題であるにもかかわらず、その輪郭すら示されていません。
 総理は、中央省庁改革のスケジュールは絶対に変えないとも不退転の決意を明言しておられますが、法案作成作業に関して総理の御構想実現のために明確な指示を出されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、行政改革の一環として、特殊法人についても大なたを振るうべきであります。
 現在、八十四の特殊法人に四十八万八千八百人の職員がいます。九九年度には十法人の廃止統合等が計画されているようであります。北海道東北開発公庫、国立教育会館などが廃止対象であり、住宅・都市整備公団、日本開発銀行、雇用促進事業団、年金福祉事業団などは、新法人に移行させるいわばつけかえにすぎません。
 大蔵省から日本道路公団理事へ天下りした元高級官僚の汚職事件。住宅・都市整備公団の空き家住宅問題や分譲住宅の値引き問題。さらには、通産省所管の特殊法人である石油公団が一兆四千億円を超す損失を出した問題。採算を度外視した石油開発会社への巨額の融資が結果的にむだになってしまったのです。このような官僚の汚職や国費のむだについて、政府関係者は国民へどのように説明し、どのような責任をとられるのでしょうか。
 民間会社と違って、何ら自己責任を問われない、倒産の心配のない、親方日の丸的な特殊法人。役人の天下り先である特殊法人。このような特殊法人が果たして必要なのでしょうか。これらの特殊法人に対して、補助金や出資金などの形で国民の血税が年間数兆円も出されています。総理、私は、特殊法人については、当初の目的を終えたものは廃止、民間企業と競合するものは民営化、存続が必要なものは徹底した合理化を図るべきだと考えていますが、総理のお考えを伺います。(拍手)
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険制度については、行政や施設関係者などのいわば制度側からは、依然として第二の国民健康保険になる危険が大きいとの指摘が続いています。また、利用者側の国民の皆さんからは、保険あって介護なしとの心配がこれまた数多く出されていることは周知のところであります。
 公明党は、介護保険制度のスタート時において混乱することなく、また安定した運営の確保を図るという観点から、改革クラブの皆さんと合同で介護保険対策本部を設置し、全国調査と関係団体からのヒアリング等を行ってまいりました。それらの成果をまとめて近く政策提言を行いたいと考えておりますが、ここでは、総括的な視点から三点について厚生大臣にお尋ねをいたします。
 その第一点は、保険者の規模の問題であります。
 財政的に安定した運営をするためには、保険者の規模を大きくするにこしたことはありません。国民健康保険では加入者がわずか百人という例もありますが、その程度の規模では保険原理のリスクの分散が達成できるはずはありません。都市部だけでなく過疎地域を多く抱える地域を考慮すれば、本来、保険者は単に市町村とするのではなく都道府県程度の規模に設定すべきであります。制度改正の重要な課題であると考えますが、いかがでしょうか。
 第二点は、保険料負担やサービスの地域格差についてであります。
 社会保障としての介護サービスは、全国どこでも可能な限り同じ条件で受けられるようにすべきであります。しかし、現時点では、保険料は市町村によって大きく異なってくるようであります。国民健康保険でも、同じ医療サービスを受けていても隣り合った市町村で異なった保険料を支払うのが当たり前になっていますが、こうした状態は是正されるべきであります。それで、介護保険についてはできるだけ均一な保険料とすべきだと考えていますが、どう対処をするおつもりか、お伺いいたします。
 第三点は、保険財政の安定確保の問題であります。
 介護費用は、高齢化の進行によって、制度がスタートする二〇〇〇年度には四・二兆円、その十年後の二〇一〇年度には六・九兆円になると推計されているように、飛躍的に拡大すると見込まれています。その費用は保険料と公費で賄うことになっていますが、公費負担についての具体的な財源は確保されているわけではありません。国民健康保険が、医療費の負担に苦しみ、そして国庫支出金の削減が重なり、結果として保険料の高騰、被用者保険への負担の転嫁などを繰り返してきたことを考えるならば、介護保険の財政の安定運営を図るために確実な財源確保を図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、沖縄米軍基地課題についてお伺いいたします。
 去る十五日の沖縄県知事選挙で新知事が誕生したことを受け、およそ一年間にわたり膠着状態であった沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会、SACOでの合意事項の実行を、小渕内閣の責任で速やかに打開し、前進させなければなりません。
 中でも、暗礁に乗り上げたままの米軍普天間飛行場の返還に伴う代替施設建設問題について、稲嶺次期知事は、移転先として、当初の海上ヘリポート建設案を見直し、沖縄本島北部の陸上部への使用期限つき軍民共用空港建設案を提示されていますが、総理は、普天間問題の早期打開に向けてどのような基本認識と展望を持っておられるのか、まず明らかにしていただきたい。
 具体的には、昨年十一月を最後に開かれていない政府と沖縄県による沖縄政策協議会を早急に再開させるとともに、苦境に陥っている深刻な沖縄経済を立て直す沖縄経済振興二十一世紀プランの策定とその実現を急ピッチで進めるべきであると考えますが、総理のお考えを承りたい。
 また、依然過重な基地負担に苦しむ沖縄県民の心情を十分踏まえて、米軍基地の一層の整理縮小を米国政府に強力に求めていくべきだと考えますが、あわせてお伺いいたします。
 次に、日ロ関係についてお伺いいたします。
 我が国の総理として二十五年ぶりのロシア公式訪問となった今回の首脳会談は、両首脳が日ロ両国を信頼から合意へと発展させることなどを明記したモスクワ宣言をまとめ、両国の二十一世紀を目指して創造的パートナーシップを構築することで一致するなど、一定の成果をおさめました。しかし、反面、北方領土問題については、その解決に向け日ロ間の隔たりの大きさを露呈したと言わざるを得ません。
 エリツィン大統領が今回の会談で示した領土問題に関する提案は、領土問題の解決を平和条約と切り離すもので、いわば領土問題の二〇〇〇年以降への先送りであり、一九九三年に両国が合意した東京宣言を初め、これまで我が国が主張してきた、二〇〇〇年までに北方領土問題を解決して平和条約を締結するとの立場とは大きく乖離するものであります。
 そこで総理にお伺いいたしますが、二〇〇〇年までの領土問題解決というこれまでの外交方針を変えることなく堅持されるのか、その決意とお考えをお伺いいたします。
 また、ロシア政府から新たな提案が示されたことを受けて、総理は今後、日ロ関係の完全正常化に向けて、領土問題の解決と平和条約締結への道筋をいかにつけて、そして北方四島での共同経済活動の実施などにどう対応されようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、永住外国人の地方参政権についてお伺いいたします。
 国内ではここ数十年来、永住外国人の大半を占める在日韓国人を中心に、地方参政権を求める運動が続いています。私は、この問題は、日本と朝鮮半島のこれまでの不幸な歴史を改善していく上でも重要な問題であると考えます。日本には多くの在日韓国・朝鮮人の方が生活されていますが、その多くは、一九一〇年のいわゆる日韓併合後に先祖伝来の土地を取り上げられたりして、生きるために故郷を離れた人、戦争のために強制的に連行された人とその子孫であります。
 戦後、日本の繁栄のために懸命に働き、日本人と全く同じように税金を払いながら、基本的人権の骨格である参政権が与えられていません。これは、在日韓国・朝鮮人の人権問題でもあります。先月来日された金大中韓国大統領も、国会での演説や小渕総理との会談でこの問題に触れておられました。それに対して総理も、幅広い検討を約束されました。三年前の最高裁の判決も、地方参政権の付与は憲法上禁止されておらず、付与するかどうかは国の立法政策にかかわっているとの判断を示しました。
 私どもは、さきの臨時国会で、十月六日に民主党と共同提案で永住外国人に地方選挙権を付与する法律案を提出しましたが、一刻も早く成立するよう、総力で取り組んでいます。総理、今後我が国が国際社会の中で貢献しながら繁栄の道を求めるならば、まずは日本の中で大変御苦労してこられた方々の要求実現に最善を尽くされるべきだと考えます。総理のお考えをお伺いいたします。(拍手)
 以上、小渕内閣が早急に取り組むべき内外の諸問題についてただしてきました。
 福沢諭吉は、あの激動の明治維新を振り返って、あたかも一身にして二世を経るがごとくと回顧されています。小渕総理、あなたも、二十一世紀を目前にして激動する世界の中で、まず今日の我が国の最大の課題である経済の立て直しに総力を挙げて取り組むべきであります。そして、一日も早く景気回復の道筋を立て、しかるべきときに衆議院を解散し、国民にその信を問うのが憲政の常道と考えます。最後に総理のお考えを伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 神崎武法議員にお答え申し上げます。
 冒頭、自由民主党と自由党との合意についてお尋ねがございました。先ほど来御答弁申し上げておりますが、改めて、党首のお尋ねでございますので、本件につきまして私の思いをきちんと申し述べさせていただきたいと思います。
 私は、政権発足以来常々申し上げてきたところでございますが、現下の厳しい経済状況を初めといたしまして、二十一世紀を前にして国家的危機に今日本はおる、こう考えております。内外ともこうした困難な状況にありまして、この経済危機をまずは乗り越え、そして国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、また政治に課せられた最大の責任であると認識をいたしております。
 こうした政治に課せられた責任を全うするためには、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していかなければならぬと考えております。しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返ってみますと、各党に個別の課題ごとに御協力をお願いし、真剣なお取り組みをいただいてきたところではございますが、実際問題といたしまして、必要な政策をタイムリーに実行するという点でなかなか難しい局面があったと実感しております。
 こうした経緯を経緯として考えながらも、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、できればよりかたい形での、ともに政権に協力し合う、こういう形が望ましいと考え、そのための方策について真剣に検討してまいりました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを何回か重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在の国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通なものとして、国家と国民のため、政権をともにし、責任ある政治を行うことで合意いたしたところでございます。
 この合意は、小沢党首提案の政策につきましても基本的方向で一致をし、予算の編成、政権のあり方等につきまして、国民、国家の期待と信頼にこたえるよう合意いたしたところでございます。
 なお、小沢党首提案の政策につきましては、党首間で基本的方向で一致をいたしております。これに基づき、両党間で協議を開始いたしたところであります。私といたしましては、両党間の協議を踏まえ、実行していく決意であります。
 以上、自由党との合意の経緯や背景などにつきまして私の考え方を申し述べたところであり、国民の皆さん、議員各位の御理解をお願いいたす次第でございます。
 我が国の経済危機についての認識でありますが、その打開のためにどう取り組むかとのお尋ねでございました。
 現下の日本経済は、金融機関の経営に対する信頼の低下や雇用不安などを背景として、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資が低迷している状況にあり、地価や株価の低下と相まって企業や金融機関の経営環境を厳しいものとし、さらには貸し渋りや資金回収を招くという、いわば不況の環とも呼ぶべき厳しい状況の中にあります。
 現下の最大の課題は、金融システムが健全に機能する基盤を整え、経済の再生を図ることであり、政府としては、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進してまいりたいと考えております。こうした取り組みは、アジアを初めとする世界の安定と平和にとりまして極めて重要であり、翻って、世界の安定と繁栄なくしては我が国の安全と繁栄はあり得ないと考えております。
 アジア経済危機克服への我が国の対応につきましてお尋ねがありました。
 我が国は、既に表明したアジア支援策の着実な実施に加え、新たな資金支援スキームや日米共同イニシアチブを表明し、これらの実施に向け、今般の緊急経済対策の中でも所要のアジア支援策を盛り込みました。
 我が国としては、今後ともアジア諸国経済の早期回復のため、できる限り支援を行ってまいりたいと考えておりますが、先般のAPEC首脳会議に出席をいたしまして、もとより、我が国として支援をいたすべき国のみならず、支援を必要としない国々も参加しておったわけでございますけれども、多くの国々から、我が国の現在の財政状況等にかんがみまして、なおアジアの経済の復興が日本の経済のためにも、また、日本経済の再興が同時にアジアの経済に大きな影響があるという立場からも、この支援につきまして力強い要請がありましたこと、また、これにこたえていかなければならない、このように考えた次第でございます。
 次に、個人所得課税及び法人課税の恒久的な減税の早期実施につきましてお尋ねがございました。
 神崎議員御指摘のように、私自身も、総裁選挙のときにこのことを申し述べ、一日も早いその実施について考慮いたしておるところでございますが、この税制につきましては、現在、政府並びに党の調査会におきまして精力的にお取り組みをいただいておるところでございます。恒久的な減税に関する法案につきましては、したがいまして、来年度予算編成とも関連することや、法案の立案作業に要する期間等も勘案いたしまして、所信表明演説で申し上げたとおり、来年の通常国会に提出し、来年の四月以降実施することといたしておりまして、御理解をいただきたいと思っております。
 このうち所得税につきましては、当然のことながら、暦年課税でございますので来年一月にさかのぼって、法律が通過いたしますれば、適用することとなり、なお、本年につきましては四兆円の特別減税を実施いたしておるところでございます。
 住宅減税につきましても、御党のお立場を御主張いただき、この問題につきましての御指摘、お尋ねをいただきました。
 ただ、住宅減税に関しましては、現在ローン返済中の人についても何らかの支援措置を講ずべきではないかということでございますが、そうした支援措置を講ずることにつきましては、所得税制のあり方の根幹にかかわる問題であり、単に住宅税制の観点から処理できるものでなく、慎重な対応が必要と考えます。
 いずれにいたしましても、住宅ローンに係る政策減税につきましては、中堅所得者のローンによる住宅取得を支援することが肝要であると考えておりまして、来年度税制改正の中でしっかり検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、中央省庁改革につきましてでございますが、関連法案の来年四月の国会提出を目指して作業を鋭意進めておるところでございます。
 定員の二〇%削減につきましては、大綱原案におきまして、十年間で少なくとも十分の一の計画的削減と独立行政法人への移行によりこれの実現を図ることといたしております。
 また、三〇%のコスト削減につきましては、中央省庁改革に係る作業も見きわめつつ、各省庁がそれぞれ所掌しておる行政分野ごとに行政コストの削減のための目標を設定することとしたいと考えており、現在、政府部内で鋭意検討いたしておるところでございます。
 次に、道路公団理事の汚職事件を初めといたしまして、それぞれ問題についての御指摘がございました。
 まず、この公団の要職にある者が収賄容疑で逮捕、起訴され、国民の大きな不信を招いたことにつき、極めて遺憾であり、かつ、重大なことと認識をいたしております。公団では、本人を解任し、関係者について厳正な措置を行い、再発防止に取り組んでおるところでございます。国民の信頼回復に全力を挙げるよう、建設省を通じて指導してまいりたいと考えております。
 次に、住宅・都市整備公団の空き家住宅問題についてのお尋ねでありますが、空き家の早期解消を図るため、募集段階でのさまざまな努力を行うほか、市場環境の変化を踏まえた適切な価格の見直しを行ってきたところであります。
 なお、住宅・都市公団につきましては、昨年六月の閣議決定に従いまして、住宅関係業務の見直しなど抜本的改革に取り組むことといたしております。
 石油公団の問題についてでありますが、通産省では、石油公団の出融資の回収見通しとともに、情報公開の徹底、事業の審査基準の一層の定量化など、事業運営に係る今後の対応を内容とする報告書を取りまとめたところであり、今後、この報告書の内容を確実に実施するとともに、石油審議会においてこの報告書について中立的、専門的立場からの意見を得ることといたしております。
 次に、特殊法人の整理合理化についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、まず、昨年の三次にわたる整理合理化の閣議決定等、既往の方針に沿いまして、特殊法人の廃止、民営化、統合化を着実に実施に移すとともに、今後とも、特殊法人について不断の見直しを続けていくことにより、整理合理化を含め、その改革を推進してまいります。
 次に、沖縄県の問題でございますが、まず、普天間飛行場代替施設についてお尋ねがありました。
 政府といたしましては、海上ヘリポート案が最良の選択肢であると考えておるところでありますが、他方、地元の頭越しに進めることのない旨しばしば申し上げてまいっておるところでございます。
 そこで、今般当選されました稲嶺氏が、軍民共同空港案を選挙公約としておりますことは十分承知をいたしております。したがいまして、新知事としてのお考えを一日も早く十分拝聴いたしました上、本問題の解決に向けて真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、沖縄の振興策についてでございました。
 沖縄政策協議会につきましてでございますが、県側の要望を踏まえまして、来月十一日にも再開いたしたい、このように考えております。
 そうした中で、今後の沖縄振興策につきまして、御指摘の沖縄経済振興二十一世紀プランを含めまして、沖縄政策協議会等の場におきまして県側の意見をよく聞きながら、適切に対応を図ってまいりたいと考えておりますが、公明党のこの点につきましての力強いバックアップも、改めて御支援をお願いいたす次第でございます。
 次に、沖縄における米軍の施設・区域についてのお尋ねでありましたが、先般の日米首脳会談におきまして、今後とも、日米が最大限の努力を払ったSACO最終報告の実施のために共同して取り組むことで双方の見解が一致したところでありまして、政府といたしましては、沖縄県民の方々の負担軽減のため、県の協力と理解のもと、同最終報告を踏まえ、強力に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、対ロ問題、特に領土問題についてお尋ねがございました。
 先般の訪ロの際署名いたしましたモスクワ宣言では、ロシア側の回答が伝えられたことにかんがみまして、東京宣言及びクラスノヤルスク合意、川奈合意に基づき、平和条約交渉を加速することで一致をしたところでございまして、最高責任者でございますエリツィン大統領の御意思も、この東京宣言を発したときの最初の大統領といたしまして、その熱意につきましてはいささかも衰えるものはないという認識をいたしてまいりました。政府といたしましては、この東京宣言に明記されておりますところに従いまして、ぜひ二〇〇〇年までに北方四島の帰属の問題を解決いたしまして、同条約を締結するよう全力を続けてまいりたいと思います。
 加えまして、日ロ間の平和条約交渉につきまして、私といたしましては、北方領土問題を解決するため、今回その設立で一致した国境画定委員会と共同経済活動委員会を、いわば車の両輪のように並行して進めていく考えでございます。今後とも、共同経済開発の検討を含め、さまざまな分野での関係を強化しながら、東京宣言、モスクワ宣言に基づきまして、申し上げましたように、重ねて二〇〇〇年までに平和条約を締結をするよう、全力を傾けてまいりたいと思っております。
 次に、定住外国人に対する地方選挙権付与についてのお尋ねでございました。
 この問題につきましては、国民主権、地方自治のあり方、国と地方公共団体との関係等の基本的な事柄に関係する問題でございまして、御指摘の最高裁判決を踏まえまして、今後ともさまざまな角度から幅広く検討されなければならないと考えております。各党各会派におきましても十分御議論をいただきたいと念じております。
 次に、経済の立て直しについてのお尋ねでございました。
 現在の最大の課題は、金融システムが健全に機能する基盤を整え、経済の再生を図ることでございまして、政府といたしましては、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりとしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいります。
 ただいま申し上げましたとおり、我が国の経済再生に向けあらゆる施策を果断に実行していくことこそ内閣の最大の使命でございます。改めてこのことに思いをいたすとき、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきであり、したがいまして、現在、解散は全く念頭にありません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮下創平君登壇〕
#18
○国務大臣(宮下創平君) 神崎議員にお答え申し上げます。
 議員からは三つの質問をいただきましたが、最初に、この介護保険システムの性格上、多少数字にわたる点もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 まず第一に、介護保険制度における保険者を、市町村ではなく都道府県程度の規模にすべきではないかとのお尋ねでございますが、介護保険制度は、現在、市町村で実施されている老人福祉制度と老人保健制度を再編成して構築したものであることや、地方分権の流れにかんがみまして、住民に最も身近な行政主体である市町村を運営主体としたところでございます。
 また、複数の市町村による広域的な取り組みを進めますことは、法律上認められておりまして、介護保険制度の円滑な実施を図る上で望ましいことでありますので、国としても必要な支援に努めることといたしております。
 なお、都道府県が保険者となることは想定しておりません。
 次に、保険料の均一化についてのお尋ねでございますが、まず、介護保険の費用につきましては、その全体の二分の一を公費で賄うこととしており、その公費のうちの半分、すなわち全体の二五%を国費をもって充てることといたしております。
 介護保険の六十五歳以上の被保険者、これをいわゆる第一号被保険者と申しておりますが、この第一号被保険者の保険料の設定に当たりましては、二五%の国費のうち五%相当分を調整交付金として充てることによりまして、要介護状態となる可能性の高い後期高齢者の加入割合の相違でございますとか、あるいは高齢者の所得水準の相違等に起因いたします市町村間の財政力の格差を調整することといたしております。
 なお、四十歳から六十四歳までの第二号被保険者につきましては、医療保険者からの納付金を財源として、おのおのの市町村保険者に対し交付金を交付することとなっております。これらにつきましては、各市町村における第一号被保険者と第二号被保険者との比率のいかんにかかわらず、一律に介護給付費の三三%を交付することにより、高齢化率の相違に起因する財政力の格差を調整することといたしております。
 基本的には以上申し上げたとおりでございますが、保険料の水準はサービス量に応じて変わるものであり、施設サービスやホームヘルパー等の在宅サービスが充実している場合とそうでない場合といった介護サービスの充実度の違いにより、第一号保険料の水準が異なることもあると考えております。
 この介護サービスの充実の問題につきましては、新高齢者保健福祉推進十か年戦略、いわゆる新ゴールドプランでございますが、これを着実に実施すること等によりまして、施設サービスや在宅サービスの均衡のとれたサービス基盤の整備を進め、保険料水準についてもできるだけ均衡を図ることといたしております。
 最後の第三問でございますが、保険者である市町村における確実な財源確保についてのお尋ねでございます。
 介護保険制度は、先ほど申し上げたとおり、運営主体である市町村を国、都道府県、医療保険者等が重層的に支え合う仕組みとなっているところでございます。
 具体的に申しますと、給付に要する費用の財源の二分の一は国と都道府県、市町村の公費負担、それによりまして残り三三%は医療保険者からの納付金を財源とした交付金で賄うとともに、都道府県に設置される財政安定化基金から資金の交付または貸し付けを行うなどの調整措置を講じておるところであります。
 なお、介護保険制度における市町村及び都道府県の公費負担部分につきましては、地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとされております。
 こうした措置によりまして、将来のさらなる高齢化の進行のもとにおいても、各市町村における安定的な介護保険制度の運営が図られるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#19
○岸田文雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十二月一日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#20
○副議長(渡部恒三君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十三分散会

ソース: 国立国会図書館
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