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1998/12/01 第144回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第3号
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1998/12/01 第144回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第3号

#1
第144回国会 本会議 第3号
平成十年十二月一日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成十年十二月一日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
     ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

    午後二時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員久野忠治君は、去る十月二十五日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 久野忠治君に対する弔詞は、議長において去る十一月二十四日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに議院運営委員長予算委員長公職選挙法改正に関する調査特別委員長等の要職につき また国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等久野忠治君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
#4
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。肥田美代子君。
    〔肥田美代子君登壇〕
#5
○肥田美代子君 私は、民主党を代表して、昨日の菅直人代表の質問に続き、小渕内閣総理大臣の所信表明演説に関連して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 私は、まず、若い世代の問題と政治離れについて、小渕総理の見解を伺いたいと思います。
 総理、我が国は今、政治のかじ取りに成功すれば繁栄の二十一世紀を手に入れることができます。しかし、かじ取りに失敗すれば衰退の世紀となるでありましょう。私たちの役割は、総理御自身が昨日の答弁でも繰り返し主張されましたように、希望の持てる未来を創造することであります。そのためには、二十一世紀を生き抜く子供たちに信頼される政治の形をつくり上げなければなりません。
 子供は社会を映す鏡だと言われます。子供を見ればその国の文化がわかるとも言われております。その子供たちの世界で今異変が起きております。いじめ、校内暴力、不登校は普通のこととなり、多くの学校で学級崩壊も起きております。学校で飼育されているウサギが殺されるという事件も続いています。衝動的な暴力事件も起きております。他方では、若い世代ほど政治に関心を持たないという調査もあります。
 小渕総理は、こうした若者たちの間で起きていることについて、どのような認識をお持ちですか。また、若者の政治離れについてどのように考え、これをどのように解決しようというおつもりでしょうか、お尋ねいたします。
 私は、政治に対する若い世代の信頼を得るためには、子供の意見表明の機会をつくることが何よりも大切なことだと思っております。
 一九九七年七月、憲政史上初めて、参議院で子ども国会が開かれました。子ども国会で最も関心が高かったのは自然と環境の問題でした。二十世紀は豊かさと引きかえに、大量生産、大量消費、大量廃棄による自然の破壊が進んだ世紀でした。資源は枯渇し、有害物質は地球上に広がり、どんどん蓄積されています。子ども国会では、現在の環境汚染が、母乳や食品を通じて、やがては二十一世紀に生きる自分たちの命を縮めるのではないかという不安を訴えておりました。
 私たち大人は、住み心地のよい地球を子供たちに引き継ぐ責任があります。そのためには、私たちのライフスタイルを変え、循環型社会を追求しなければなりません。子供は、自然を害するものを生産しないという産業構造に変えてほしいと主張しております。これにこたえて、国は環境政策を優先し、我が国の新しい産業や社会システムの未来図を示すことが求められています。
 小渕内閣は、環境政策についてどの程度の優先順位をつけておられますか、総理の御見解を求めたいと思います。
 子供たちは、ダイオキシンなどの化学物質が自然と人間に与える影響に関心を示していました。政府はダイオキシンの規制を延ばしに延ばし、規制された後は、事もあろうに、自治体が濃度測定の際に操作したことが発覚いたしました。また、産業廃棄物の野焼きもいまだに放置されております。子供たちは、そうした政府や行政の環境政策をしっかりと見ております。
 来年の夏、二回目の子ども国会の開催が予定されております。子供たちが自分の未来について意見を表明することは極めて大切なことです。私たち国会議員が気がつかないような、子供にかかわることについて、常に子供自身に聞くというシステムをもっとつくるべきではないかと思っております。子供たちは子ども国会で、子供による環境サミットを提案しております。総理の見解を賜りたいと存じます。(拍手)
 次に、教育改革について質問いたします。
 文部省の調査によれば、授業がよくわかる、大体わかると答えた子供は、小学生では七〇%、中学生では四四%、高校二年生では三七%となっております。中学生や高校生のうち六割から七割の子供が授業がわからないと答えているのです。これは、子供にとって学校がいかにおもしろくないかということのあかしでもあります。不登校の子供がおよそ十万五千人という数字は、それを裏づけていることになります。
 総理は、こうしたたくさんの不登校の子供や授業がわからないという子供の現状をどう思われますか。御意見を伺いたいと思います。また、そうした子供たちに対して、総理の言葉で激励のメッセージを、ここ本会議場から送っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 小中学校の教育の基準となる新しい学習指導要領が公表されました。総合的な学習時間が新設され、教科内容も七割程度に厳選されることになっています。総合的な学習時間は、教科書の枠を超えて、子供たちがみずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、問題を解決する資質や能力を育てることにあります。しかし、他方では、学力低下につながるのでないかという懸念を表明する声も聞きます。この声に押されて受験勉強の時間に回されることがないように、文部省は十分な啓発活動をすべきだと思います。総合的な学習時間を取り入れた背景も含めて、文部大臣の見解をお願いします。
 各教科の内容を現在の七割程度に減らすと、子供たちは教科書中心の詰め込み授業から少しは解放されるかもしれません。しかし、基礎学力と想像力をはぐくむためには、教科内容の厳選だけでは不十分です。教師が授業にゆとりを持ち、一人一人の子供たちとのコミュニケーションができ、心のこもった教材を使って学習するためには、三十人学級の編制が急がれます。新学習指導要領案の趣旨を生かすためにも、学級定員の縮小に対する文部大臣の見解を求めたいと思います。
 教育改革の根本的な課題は、高校、大学の入試制度の改革にあると言わなければなりません。学習指導要領がどれほど高い理想を掲げても、現実には入試制度が大きな壁になることは目に見えています。入試制度は、子供たちのみずから学び考える力を養う上で障害となっております。したがって、大学入試を抜本的に改革すれば教育改革は大きく前進すると思っております。文部大臣は、この点、どう考えておられますか。
 文部省は、中央教育審議会に高校と大学の接続改善を諮問しています。審議会では大学入試の抜本改革にまで踏み込んだ審議が行われることを願っております。そこで、文部省が接続の改善を諮問した趣旨はどこにあるのか、文部大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 幼いときに出会った感動的な一冊の絵本は少年期、青年期の読書への導きになると言われています。読書環境の整備は、まさに政治の役割であると言わなければなりません。
 学校図書館は、子供たちが人生の中で初めて出会う図書館です。子供たちがみずから学び考える力をはぐくむためにも、学校図書館の充実に向けて積極的な取り組みが必要となっています。文部省は、今後、学校図書館の充実に向けてどのような取り組みを構想されておりますか。
 西暦二〇〇〇年には、上野の森に、日本で初めての国立の国際子ども図書館が開館いたします。超党派の国会議員の協力を得て設立を推進してきた国際子ども図書館は、日本とアジア、世界の子供をつなぐ子供文化の情報発信基地となります。この開館を記念して、西暦二〇〇〇年を子ども読書年に制定して、新しい世紀に向かう日本の姿を国際社会にアピールすべきだと考えます。総理大臣の御所見を求めます。(拍手)
 次に、政府の緊急経済対策について、総理の見解を伺います。
 八〇年代、我が国の経済は、日本的経営とかジャパン・アズ・ナンバーワンとか、最大級の言葉でもてはやされました。しかし九〇年代、バブル崩壊と世界経済のボーダーレス化は、そうした日本的な経済構造に警鐘を乱打し、経済構造の改革をなし遂げなければ世界経済の中で日本が生き残ることができないというところに来ております。政府の緊急経済対策は、そうした経済構造を変えていく方向性を明らかにしないまま、従来型の大型公共投資を重視しており、まさに場当たり的な対症療法と言わなければなりません。
 総理は、二十兆円を超える規模の緊急経済対策をよりどころに、二〇〇〇年までに経済再生を図るよう内閣の命運をかけると約束されました。しかし、これまでも政府は、バブル崩壊後八十兆円以上の景気対策を実施しております。しかし、国民の目に見える効果を上げることはできませんでした。
 このため、今、国民の間では、小渕総理が内閣の命運をかけると言っても信じる人は少なく、むしろ圧倒的な国民が緊急経済対策では日本経済は好転しない、そういう厳しい見方をしております。こうした世論は、政府の政策がいつも後手に回り、激変する経済情勢に敏速な対策を打ち出すことのできない自民党政権に対する不信の表明と言わなければなりません。(拍手)
 私たち民主党が景気回復の足を引っ張る財政構造改革法の凍結を盛り込んだ対案を提出したとき、政府・自民党はこれに反対しました。そして今、ようやく事の重大さに気づき、政府も財政構造改革法の凍結法案をこの臨時国会に提出しようとしております。こうした後手後手の経済対策が、長引く不況の原因となっております。
 総理は、政府発の大不況とさえ言われる現状をどのように認識されておられますか。また、過去の大型景気対策はなぜ効果を上げることができなかったのでしょうか。そして、今回の政府の緊急経済対策で本当に経済危機を克服することができるとお考えなのでしょうか。総理の見解を求めたいと思います。
 次に、雇用対策についてお尋ねします。
 日本の経済危機は雇用情勢に大きな変化をもたらしております。十月の有効求人倍率は、九月を〇・〇一ポイント下回る〇・四八倍で、一九六三年以降最低を記録しました。完全失業率は四・三%、失業者数は二百九十万人にも上っており、このうち倒産やリストラで失業した人は九十四万人という過去最悪の数字となっております。
 民主党は、既に百万人雇用創出と新規事業創造のための政策を発表しております。その内容は、介護、保育、教育、環境などの分野に従事する人員を確保するということです。総理が提唱された雇用活性化総合プランと緊急雇用創出特別基金は、私たち民主党の政策と共通した点もございます。しかし、特別基金は中高年の失業者を雇用した企業に補助金を出すという程度の内容であり、積極的に雇用機会をつくり出そうという意欲を感じることができません。
 また、総合プランの実施に当たっては、各省庁間の政策調整が不可欠であり、労働省と通産省は共通した政策課題を掲げて別々に対応しており、総合力を発揮できる環境にあるのかどうか疑わしいのであります。労働大臣、各省庁は今どのような連携をとっておられますか。
 アメリカのクリントン大統領は、第一次政権の四年間で一千万人の雇用拡大に成功しています。この雇用拡大の成功は、クリントン政権の強力な指導と調整力によってもたらされたものでございます。我が国も教訓にすべきでありましょう。総合プランが実施された場合、いつの段階までにどのくらいの雇用創出が見込まれるのでしょうか。数値目標を示した労働大臣の御答弁をお願いいたします。
 現在の雇用情勢の特徴は、これまでの不況の際、雇用の受け皿となってきた中小企業が、その役割を果たせなくなっていることです。経済の中心を担い、技術開発でも大きな役割を果たしている中小企業は、今、倒産、廃業という苦しい状況に直面しております。政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度を拡充させるとともに、金融機関の貸し渋りに対する指導、監視を強め、中小企業の経営の安定化を図る必要があると思います。総理の御見解をお願いします。
 沖縄の失業率は、本土の倍以上、九%を超えております。来春卒業予定の高校生の就職内定率は大変厳しく、全国平均六二・七%です。さらに、沖縄の高校生の内定率は二九・三%という状況にございます。特段の経済、雇用対策が必要であります。沖縄の雇用の悪化は、全国の米軍基地七五%を狭い沖縄に押しつけてきた歴史に大きな原因があります。
 政府は、沖縄の雇用失業対策、そして最重要課題と言える基地の整理縮小及び経済振興策などについて、今後どのように取り組まれるのか、総理並びに文部大臣、労働大臣の見解を賜りたいと思います。(拍手)
 次に、年金制度について質問いたします。
 年金の充実は、安心して老いることのできる社会の基礎的な条件となります。私たち民主党は、年金制度改革の軸は基礎年金の改革にあると考えています。基礎年金は住宅の一階に当たる部分であります。この一階の部分をしっかりと固めることが大切だと思います。
 現在、その基礎年金は、保険料の滞納、免除者の増大によって崩壊寸前にあります。この基礎年金の財政を安定させ、年金に対する国民の信頼を得るためには大胆な改革が必要です。私たち民主党は、来年度の改正では、国庫負担率を現行の三分の一から二分の一にして、国民年金保険料は一人月額三千円、厚生年金保険料率は一%引き下げることを主張しております。
 これは、将来の基礎年金の財源を全額税方式に移行することを展望し、その一部を前倒しで実施しようという内容であります。この方式をとれば、基礎年金制度の財政を安定させることができ、また、所得税非課税世帯や赤字法人にも、減税と同じ経済効果をもたらすことができます。このために必要な財源は、九八年度で二兆二千億円となります。これは、おおむね消費税の一%分の減税に相当いたします。
 高齢化社会が進み、年金の担い手が減少すれば、税負担は当然現役世代に集中してまいります。これを緩和し、国民が広く薄く負担を分かち合うためには、消費税の果たす役割は今後ますます大きくなると見なければなりません。景気対策として、しばらくの間消費税率を引き下げようという意見もあります。しかし、再び引き上げるときの困難さに比べれば経済効果は小さく、到底賛成はできません。むしろ消費税は、その一部または全部を基礎年金の財源など福祉目的税化することが、政策上の重要な選択肢ではないかと思います。
 総理は、これからの年金の費用負担についてどのように考えておられるのでしょうか。また、この臨時国会において、基礎年金の財源は将来全額税方式へ転換するということをはっきりと示すべきだと思います。明快な答弁をお願いいたします。(拍手)
 国民の未来に対する不安を解消するためには、中長期的な税制改革を前倒しで実施するという政治のリーダーシップが必要です。このため、民主党は、子供手当の創設を提案しております。これは、所得税の扶養控除のうち子供にかかわる部分を廃止して、現在の児童手当の対象年齢と給付水準を抜本的に改革し、ヨーロッパ並みの子供手当にしようという内容であります。厚生大臣は、私たち民主党の子供手当の提案について、どう受けとめておられますか。
 私たち民主党が主張するように、所得税率と国民年金料率を引き下げ、扶養控除を廃止し、子供手当の支給を実施すれば、課税最低限の問題も解決するのであります。それにもかかわらず、政府は、所得税減税、法人税減税など減税関連法案はこの臨時国会に提出しないで、通常国会に先送りするということを決めています。なぜこの臨時国会で迅速な処理をしないのでしょうか。総理、その理由をお尋ねいたします。
 来年の通常国会で処理するとなれば、所得税減税は来年四月以降になります。そうなると、総理の減税公約の発表から実に一年間もたってしまいます。これでは、総理の言うスピーディーな内閣ではなく、スローな内閣になってしまうではありませんか。
 現在の個人消費の冷え込みによる経済不況を考えますと、向こう半年間は実に貴重な時間です。その間に景気刺激策を打たなければ、また後手に回ることになると思います。しかも、世論の大勢は、減税関連法案をこの臨時国会で処理し、来年一月から実施してほしいと願っております。総理は、この世論をどのように受けとめておられるのか、見解を伺いたいと思います。(拍手)
 総理、急速に進む少子・高齢化社会を活力のある社会にするためには、女性の社会参加がどうしても重要になってまいります。男女共同参画審議会から、男女共同基本法の制定に関する答申が出されました。女性の社会参加が先進国の中でもおくれている我が国としては、この法律の中に社会的、文化的に形成された性別からの解放を明記して、早急に制定し、質の高い新しい社会づくりに取り組むべきだと思います。総理の御見解をお願いします。(拍手)
 総理、私たちは今、二十世紀の世紀末に生きております。これまでのおよそ百年間は、まさに激動の連続でした。我が国を希望の二十一世紀にするために私たちが取り組まなければならない課題は、余りにもたくさんあります。
 世論調査による国民の関心は、少子・高齢化社会の到来であります。世界でも類を見ない高齢化社会は、きょうこの国で誕生した子供がおよそ五十歳の年齢を迎えるとき頂点に達するのであります。この人々は、二十世紀とは様相の異なる激動の歴史を生きることになります。
 政治にかかわる者が心しなければならないのは、目先の利益や党利党略のみにおぼれることなく、次の世紀を生きる国民にいかなるメッセージを託せるのかということを考えることでありましょう。
 政治の決断によって、少子・高齢化社会は、暗い社会ではなく、気力に満ち、輝く社会にできると信じます。若い人たちが産み育てることの楽しさを分かち合える社会基盤を整えることができれば、人々はきっと、日本の地で老いることのすばらしさ、そのことを感じるに違いありません。そのとき日本は、若い人たちにも高齢の方々にも、希望が約束された大地になると思います。
 総理、あなたは日本のトップリーダーです。総理の一言が歴史を動かすこともございます。小渕総理は、この変動の時代を真剣に生きている人たちに、そして新しい世紀に生きる子供たちに、今何を語りかけようとなさっているのか、私は率直にお尋ねして、民主党を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#6
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 肥田美代子議員にお答え申し上げます。
 若い世代の政治離れについてお尋ねがございました。
 なるほど、各種の選挙の投票率の動向や世論調査の結果などに示されるように、若い世代の政治への関心、参加の問題につきましては、私といたしましても、まことに憂慮すべき問題であると受けとめております。このことは、政治家みずから反省をしなければならないこともあろうかと思いますが、しかし、民主主義というものは、みずからこれに批判する者は批判する政治しか与えられないという言葉がありますが、ぜひ若い皆さんにも、政治に対して注目し、御批判は御批判として、政治に参加されることを心から希望いたしておる次第でございます。
 私は、ただ、さきの阪神・淡路大震災などに示された若い世代の活発なボランティア活動の姿を見まするにつけまして、若い世代は、本来強い社会への関心や参加意欲を持っているものと確信をいたしております。政治の責任として、こうした若い世代の本来持っている関心や意欲を引き出すよう、啓発活動や投票制度の改善などを通じて、環境も整えていくこともまた重要であると考えております。
 いじめの問題についてもお尋ねですが、我が国の次代を担う子供たちのこうした現状を極めて深刻に受けとめており、家庭、学校、地域がそれぞれの責任を自覚し、より一層の連携協力によって、子供たちの健やかな育成を目指した取り組みを強化いたしてまいらなければならないと考えております。
 次に、環境政策についてお尋ねがありました。
 環境問題は、どのくらいこの問題について考えておられるかということでございますが、もとより、環境問題は第一級の政治課題だというふうに心得ております。国民の健康を守り、良好で快適な生活環境の確保を図るとともに、すぐれた自然環境や、かけがえのない地球環境を保全する上で、極めて重要であると認識いたしております。
 私は、環境を基調とした環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築と地球環境の保全を図るために、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 子供環境サミットの開催についてお話がございました。
 子供たちが環境について関心を持ち、活動を行い、意見の表明や交換をすることは重要なことと認識をいたしております。これまでも、全国のこどもエコクラブが集うフェスティバルや、こどもエコクラブアジア会議などを定期的に開催してまいりましたが、今後ともこのような機会をさらに充実いたしてまいりたいと考えております。
 不登校の子供などについてでありますが、教育内容、方法など学校教育の諸条件の改善充実に努め、学校が楽しい学びの場となるよう努力してまいります。子供たちが、一人一人がかけがえのない存在として自分に誇りと自信を持つとともに、何事にも立ち向かう勇気を持って一日一日を大切に歩んでほしい、このことを強く訴えたいと思います。
 子ども読書年についてお尋ねがありましたが、読書は、子供にとって豊かな人間性をはぐくみ、調和のとれた人間へ成長していく上で重要であります。議員御提案の子ども読書年の構想につきましては、私も賛成、賛同するものであり、その実現につき、今後前向きに検討してまいりたいと思っております。(拍手)
 次に、財政問題、経済問題でございますが、我が国経済の現状についてお尋ねがございました。
 現下の日本経済が、金融機関の経営に対する信頼の低下に始まりまして、雇用不安などを背景として、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資が低迷しておる状況にありまして、また、この上、地価や株価の下落と相まって、企業や金融機関の経営環境を厳しいものといたしております。加えまして、貸し渋りや資金回収を招くといういわば不況の環とも呼ぶべき厳しい状況にあることを認識し、一日も早くこの不況の環を断ち切る努力をいたしてまいりたいと考えております。
 過去の対策についてのお尋ねでありましたが、九〇年代に入りましてからの累次の経済対策による公共投資の増加につきましては、バブル崩壊後の民間部門の設備投資の落ち込みを相殺する形で、景気がスパイラル的に悪化していくのを防止し、その下支えに貢献してきたものと考えております。また、減税は、可処分所得の増加を通じて個人消費にプラスに働き、さらに民間部門のマインドの好転にも寄与したと考えられ、他の施策と相まって景気に効果的に作用したとは考えております。
 また、今般の対策によりまして現下の経済危機を克服できるかとのお尋ねでございますが、今回の経済対策は、まず金融システムの安定、信用収縮対策、あわせて社会資本整備、所得課税減税、住宅投資促進策、雇用対策等を緊急に次々実行することといたしており、これらは、短期的に十分な需要を喚起するとともに、供給サイドの体質強化を図るための構造改革を進めることから、景気回復に大きな効果をもたらし、我が国経済を厳しい状況から脱却させるものと考えております。
 貸し渋りの対策についてお尋ねでありましたが、いわゆる貸し渋り、融資回収等による信用収縮を防ぎ、中小あるいは中堅企業等に対する信用供与が確保されるよう、さきに策定をされました中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた諸施策を強力に推進するとともに、貸し渋りに対する監視体制の強化等に万全を期してまいります。
 次に、沖縄問題にお触れになられました。
 そのお尋ねでありますが、沖縄県が直面する深刻な経済状況、とりわけ全国平均の二倍という極めて高い失業率が継続している状況を直視した上で、効果的な振興策を速やかに実施していく必要があると認識いたしております。このため、中断いたしておりました沖縄政策協議会を、今月十一日にも開催することといたしております。
 また、米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、沖縄県の協力と理解のもと、SACO最終報告を踏まえ、今後とも強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、年金の費用負担についてお尋ねがございました。
 基礎年金の国庫負担率を二分の一に引き上げることにつきましては、大変莫大な財源を必要といたしますことから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、来年度の年金改正で実施いたしてまいりますことは非常に困難であると考えております。
 また、将来において全額税方式へ転換することにつきましては、給付と負担の関係が明確であるという社会保険方式の長所が失われることや、年金の性格が生活保護と類似のものに変化し、資力調査等の導入による給付制限が避けられないのではないかといった問題から、慎重な検討が必要であると考えております。
 いずれにいたしましても、基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的な方法と一体として検討することが必要であり、将来の検討課題として、国の財政状況等も踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等とあわせて議論いたしてまいるべきものと考えております。
 恒久的な減税の法案処理についてのお尋ねでありますが、恒久的な減税につきましては、国、地方の分担について精力的に検討を行い、先般、その結論を得たところであります。今後、さらにその具体化に向けて、政府及び党の税制調査会において鋭意検討を行ってまいります。いずれにしても、所要の法案につきましては、来年度予算編成とも関係することや、法案の立案作業に要する期間等を勘案いたしまして、所信表明演説でも申し上げたとおり、来年の通常国会に提出いたします。
 このうち、所得税につきましては、暦年課税であることから来年一月にさかのぼって適用し、法人課税につきましては、既に本年四月から税率の引き下げを実施いたしておりますことから、さらなる引き下げは来年四月から実施することといたしたいと思っております。
 次に、女性の社会参加についてのお尋ねがありました。
 男女共同参画社会の実現は、少子・高齢化、経済活動の成熟化、国際化など、政治、社会環境の急速な変化に対応し、豊かで活力のある社会を目指していく上で、我が国の将来を決定する大きなかぎであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題であると認識いたしております。
 そこで、先ごろ男女共同参画審議会において取りまとめられました基本法の答申を踏まえ、法律案を次期通常国会に提出することにいたしております。また、政府における体制につきましても、将来、内閣府に男女共同参画を担当する局を設ける方針で今考えておるところでございます。
 最後に、来るべき二十一世紀にするために取り組むべき課題についてお尋ねがありました。
 二十一世紀を展望いたしますれば、子供から高齢者まで国民だれもが、それぞれ安心し、明るい希望が持てる、活力のある社会を築いていくことが必要であることは申すまでもありません。こうした社会は、結婚や出産について個人が望む選択ができる環境を整備し、子供を産み育てることに夢を持てる社会であり、また、高齢になっても生き生きと自立した生活を送り、安心して暮らせる社会であろうと考えております。
 こうした社会の実現に向けまして、自立自助を基本としながら、いざというときに国民生活の安定を支えることのできる社会保障制度を基盤とし、国民一人一人がみずからの持てる力を最大限に発揮し、来るべき新しい時代を私たちや私たちの子孫にとって明るく希望に満ちたものとしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮下創平君登壇〕
#7
○国務大臣(宮下創平君) 肥田議員にお答え申し上げます。
 児童手当を拡充して子供手当を創設してはどうかとのお尋ねでございますが、児童手当につきましては、人間形成にとって重要な三歳未満の時期に給付を重点化してきたというこれまでの児童手当制度の改正経緯や、また、児童手当のあり方に関して、子育て支援サービスの充実を優先すべきであるといった意見などさまざまな御意見があること、さらに、子供の扶養控除の取り扱いは、各種控除のあり方等税体系の基本的な問題であることなど、幾多の問題がございますので、慎重な検討が必要であると考えております。(拍手)
    〔国務大臣有馬朗人君登壇〕
#8
○国務大臣(有馬朗人君) 肥田美代子議員にお答え申し上げます。
 まず、新しい学習指導要領についてのお尋ねでありますが、新しい学習指導要領は、完全学校週五日制のもと、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、子供たちに、みずから学び、みずから考える生きる力を育成することを目指すものであります。
 総合的な学習の時間は、教科横断的、総合的な学習など、各学校が創意工夫を生かした教育活動を展開し、子供たちに、学ぶことの楽しさ、わかることの喜びなどを体験させる中で、生きる力を培うことをねらいとして創設するものでございます。
 文部省といたしましては、このような総合的な学習の時間の趣旨を含め、新しい学習指導要領について、学校教育関係者はもちろんのこと、広く保護者の方々などにもその趣旨を理解していただくため、啓発運動を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 第二に、学級編制についてのお尋ねでありますが、文部省といたしましては、極めて厳しい財政状況の中で、当面、現行改善計画の平成十二年度完成に向けて最大限の努力をしているところでございます。
 なお、御指摘の新学習指導要領の実施に必要な教職員の配置のあり方なども含めまして、今後の教職員配置のあり方並びに学級規模や学習集団のあり方などにつきましては、専門家や教育関係者などから成る会議を設置し、検討を開始したところでございます。
 第三に、大学入試改革についてのお尋ねでございますが、平成二年度入試からは大学入試センター試験が実施され、これを利用して各大学が入学者選抜方法の工夫、改善を進めているところであります。近年、各大学の個別試験においても、学科試験だけではなく、面接、小論文の実施や推薦入学の採用などにより、個性的で多様な入試を行う大学がふえていることは望ましい方向と考えております。
 大学入試の改善は、常によりよい方向を求めて不断の努力を続けていくべきものであり、今回の中央教育審議会における初等中等教育と高等教育との接続の改善についての幅広い審議の中で、大学入学者選抜のあり方等についても十分御検討をお願いしたいと考えております。
 中央教育審議会に対します、ただいま申し上げました諮問の趣旨についてのことでございます。
 現在、初等中等教育と高等教育における改革がそれぞれ進展しております。高等学校と大学の多様化、個性化が進む一方で、大学進学率は今後五割を超えることが見込まれております。これまで以上に多様な能力、適性、履歴等を有する学生が大学に進学してくることが予想されております。
 このため、高等学校と大学それぞれの役割分担を明確にした上で、初等中等教育と高等教育とを見通した教育のあり方を考えることが重要な課題となることから、今回、初等中等教育と高等教育との接続の改善について諮問をさせていただいた次第でございます。例えばそこで、大学の教員がもっと初中教育に関心を持つ、逆に高等学校等々の教員たちが大学の教育に理解を深めていくというふうな方策についても考えてもらいたいと思っております。
 今回の審議におきましては、初等中等教育と高等教育との教育面での連携や大学入学者選抜のあり方等について、十分な検討をお願いしたいと考えております。
 第五に、学校図書館についてのお尋ねでありますが、これからの学校教育においては、みずから学び、みずから考え、よりよく問題を解決する能力や豊かな人間性等の生きる力をはぐくんでいくことが極めて重要でございます。このような教育を進めていく上で、児童生徒の主体的な学習活動を支えると同時に、読書活動を通じて、子供たちの豊かな感性や情操、思いやりの心などをはぐくむ学校図書館の役割は、極めて重大であると私も認識しております。
 そのため、子供たちが進んで学校図書館を訪れ、読書活動を楽しむことができるよう、学校図書館の情報化の推進、読書環境の改善など、学校図書館の一層の充実に努めてまいる所存であります。
 第六に、沖縄県の高校生の就職の問題についてのお尋ねでございますが、県内の就職状況の悪化により、来春卒業予定の沖縄県の高校生の就職内定率が極めて悪い状況であることにつきましては、私も大変憂慮しているところでございます。
 沖縄県教育委員会及び県下の各学校においても、県の商工労働関係部局と連携をとりつつ、既に積極的な求人開拓を行っていると伺っておりますが、私自身も、経済団体を訪問し、求人要請を行ったところでございます。
 さらに、労働省の職業安定主管部局と連携して、関係経済団体に求人開拓を要請するなど、積極的な支援を行ってまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#9
○国務大臣(甘利明君) お答えいたします。
 雇用活性化総合プランの実施に当たっての通産省との連携についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、このプランの実施に当たりましては、通産省を初め各省庁との連携が重要であります。特に通産省とは、政労使雇用対策会議あるいは産業労働問題連絡協議会の開催を初め、密接に連携をとっているところであります。
 今回のプランの大きな柱の一つであります中小企業における雇用機会創出のための支援の強化につきましても、今国会に提出をしております中小企業労働力確保法改正案による中小企業における良好な雇用の機会の創出のための施策と、新事業創出促進法案による新たな事業の創出のための施策とを総合的かつ効果的に講ずることといたしております。
 なお、雇用対策につきましては、産業構造転換・雇用対策本部の決定に基づきまして、政府一体となったきめ細やかな対策を講じているところでありまして、今後とも、各省庁と密接な連携を図りつつ、的確な対策を講じてまいりたいと思っております。
 次に、雇用創出の数値目標についてのお尋ねであります。
 雇用活性化総合プランには、中小企業における雇用創出のための支援事業の創設、そして緊急雇用創出特別基金の創設、さらに中高年労働者の失業なき労働移動再就職支援対策の拡充、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充等を盛り込んでおります。
 同プランを初め、緊急経済対策に盛り込まれた施策を総動員いたしまして、一両年中に日本経済を回復軌道に乗せ、百万人規模の雇用の創出、安定を目指して政府一体となって全力で取り組んでまいります。
 最後に、沖縄の雇用失業対策についてのお尋ねであります。
 沖縄県の厳しい雇用情勢に対応しまして、労働省といたしましては、全県を地域雇用開発等促進法に基づきまして雇用機会増大促進地域に指定をいたしますとともに、総合経済対策の一環として緊急雇用開発プログラムを本年六月より実施し、沖縄若年者雇用開発推進事業における助成率の引き上げ等を行っているところであります。
 今後は、これらの施策の積極的な活用を図りますとともに、緊急経済対策の一環としての雇用活性化総合プランの早期実施によりまして、沖縄県の雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 藤井裕久君。
    〔藤井裕久君登壇〕
#11
○藤井裕久君 私は、自由党を代表し、小渕総理の所信表明演説に関連し、我が党の考え方を重点を絞って申し上げ、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 去る十一月十九日、私ども自由党の小沢党首と自民党の小渕総裁との党首会談において、国家と国民生活の安定を図るため、両党はともに協力していくことを合意いたしました。私は、この勇気ある決断をされた両党首に対し、改めて敬意を表するものであります。(拍手)
 今や我が国は、五十年に一度、あるいは百年に一度という危機的状態に陥っております。国は間近に迫った二十一世紀の展望を開くことができず、国民は深刻な将来への不安、生活への不安を抱いております。危機は、政治、行政、経済、教育、社会、外交、安全保障といったあらゆる分野に及んでおり、社会の閉塞感は強まるばかりであります。
 国際的にも孤立を深めております。とりわけ、経済の停滞と不況の長期化は深刻であり、日本発世界恐慌のおそれなしとしない事態に立ち至っております。この事態に対し、誤りなき方向を国民に示すことは、政治の最大の責任であります。
 私ども自由党は、かかる歴史認識に基づき、自由主義を基本理念とし、基本政策である日本再興へのシナリオをまとめ、公表しております。我が党は、かねてより、その基本理念、基本政策について力を合わせて実行するということであれば、どの党とも協力するということを申し上げてまいりました。
 参議院選挙後のさきの臨時国会における首班指名選挙において、我が党は、民主党の菅代表に投票いたしました。従来の発想を抜け切れず、旧来の手法にこだわる自民党政権にかわる政権の樹立こそが国家国民のためであり、この基本理念、政策実現の第一歩と考えたからであります。残念ながら、民主党の皆さんにはいまだその真意を理解していただけず、問題意識を共有するに至っておりません。
 しかるに、自民党の小渕総裁は、自民党と我が党の合意書にありますように、さきの参議院選挙で示された民意を重く受けとめ、我が党とともに日本再興に向け、責任ある政治の実行を決断されたのであります。まさに大英断であります。自由党が自民党との協力に踏み切ったのは、小渕総理のこの決断にあります。合意には、明治以来の因習の打破、憲法解釈にかかわる問題などを含んでおり、いろいろな意見があるのは当然のことと存じますが、総理のもとにおいて誠実に実行されることを確信いたします。(拍手)
 さて、両党首の合意書において、「いま直ちに実行する政策」として、政治・行政改革、安全保障、税制改革など、各分野において合意を得ております。まず、これまでの官僚依存の政治、行政のあり方を改め、政党、政治家がリーダーシップを発揮できる体制を確立することであります。
 明治以来、我が国は、欧米に追いつき追い越せを目指して、官僚主導の中央集権的政治行政システムを続けてまいりました。このシステムが、明治以降戦後の高度成長に至るまで、経済を初めとする我が国の発展に大きく寄与してきたことは紛れもない事実であります。しかし、今や、内外情勢の激変に対応できないまま、深刻な制度疲労に陥っております。我々は、二十一世紀日本の新しい国づくりをリードしていかなければなりません。
 我が党は、このような観点から、国会審議における政府委員制度の廃止、内閣における副大臣、政務次官、補佐官などの導入を主張しております。これは、政治家としての資質を高め、これまでの官僚依存の行政を政治主導に改めるものであります。それによってこそ、官僚のすぐれた能力を本来の行政に集中させることができます。
 また、議員定数の削減は、行政改革など国民に痛みを伴う改革を実行するためには国民の協力が不可欠であり、そのためには政治家みずからが率先して範を示す必要からであります。
 次は、経済、税制、社会保障の問題であります。
 現在、我が国経済は未曾有の危機にあります。昨今の金融システム不安は、実体経済の悪化が大きな要因となっております。政府が平成九年度に国民に九兆円もの負担を求める政策をとったため、日本経済はマイナス成長となりました。景気の悪化に伴う金融機関の財務内容の悪化、それに伴う貸し渋りと資金回収の激化、これによる景気のさらなる悪化と、日本経済はとどまることのないマイナスのサイクルに陥っております。この歯車を一日も早く逆転させなければなりません。
 さきの臨時国会においては、破綻金融機関の処理が大きな争点となりましたが、これは、預金者の保護、借り手の支援、決済システムの維持に万全を期せば、影響は最小限に抑えることができます。しかし、実体経済に悪影響を与えているのは、存続金融機関の抱える不良債権問題なのであります。金融ビッグバンを迎え、健全な金融機関であっても、業務提携や合併等の再編合理化を行わなければ存続は不可能となっております。これが我が国金融システムに対する先行き不安の本質であります。
 我が党が金融機関の早期健全化対策の必要を説き続け、さきの臨時国会において、自民党、平和・改革とともに早期健全化法を修正の上、成立させたのもこの見地からであります。政府は、この健全化法を積極的に活用し、日本の金融システムの安定及び世界の金融秩序の安定のために、万全の施策を講じることを心から期待いたします。
 また、さきの国会では、自由党の発議により、中小企業の貸し渋り対策法が成立いたしました。今国会においても、破綻金融機関の取引先はもとより、一般の中堅企業向けの貸し渋り対策法案を、我が党と自民党との間で協議し、野党の皆様方の協力を得て提出いたします。
 しかしながら、現在、我が国経済は、金融システム不安以外にも数々の問題を抱えています。今行わなければならないのは、我が国経済の根本的立て直しのための政策であり、それなくして本格的な景気回復はありません。以下、具体的に自由党の主張を申し上げます。
 まず第一に、行革減税、つまり行政改革による歳出削減を財源とする大規模な減税を行うことであります。
 我が国財政への懸念から、たとえ政府が恒久減税であると表明しても、国民は、財政危機が深刻化すればまた増税になるのではないかとの疑心暗鬼に陥っております。これでは、場当たり的に繰り返された特別減税と何ら変わるところはなく、安心して減税分を消費や設備投資に回すことができません。本当の意味の恒久減税は、行政改革による経費削減によって行うしかありません。
 具体的には、所得税、住民税、法人関係税を当面十兆円を目途に、中長期的には十八兆円の減税をすることであります。所得課税については、累進税率を緩和し、最高税率を初めとするすべての税率を引き下げるべきであります。また、法人課税の実効税率を国際水準並みに引き下げることであります。法人課税には、グローバルスタンダードとの調和を図るため、連結納税制度の導入も欠かせません。行政改革による歳出削減効果があらわれるまで、当面は赤字国債によらざるを得ませんが、経済が立ち直れば税の自然増収も当然期待できます。
 第二に、本気で行政改革に取り組むことであります。
 総理が、所信表明において、行政改革に真剣に取り組むと表明されたことを率直に評価いたします。加えて、この行政改革を一層実効あらしめるためには、次のような改革をあわせて実行してまいります。
 行政改革の本質は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、国、地方を通じて効率的で簡素な政府を実現することであります。公から民間へ、中央から地方への考え方を基本にして、権限、財源の縮小と移譲を図り、効率的な政府を実現することであります。これによって初めて、従来の事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政への移行が可能となります。国民がみずからの才覚と責任によって自由に活動できる社会、自由で公正な開かれた社会の実現を目指さなければなりません。(拍手)
 現在約三千ある地方自治体を約三百の基礎的地方自治体に再編します。国の個別事業補助金は廃止して、一括交付金として地方自治体に交付し、真に必要な事業が地域の実情に応じて効率よく行われるようにします。
 国会議員の定数を削減し、国家公務員数を十年間で二五%削減するとともに、地方に対して同様の改革を求めます。
 第三に、消費税率を抜本的に見直すことであります。
 政府は、バブル崩壊後、数度にわたる経済対策により公共事業の追加を行ってまいりました。確かに景気を下支えする効果はあったかもしれませんが、民需主導へとバトンタッチするための施策が不十分であったため、結果は、抜本的な景気回復につながらず、巨額の財政赤字を残すことになりました。
 消費税の時限的減税は、消費をしなければその恩恵に浴さないため、所得減税はもとより、公共投資よりも波及効果は大きいのであります。加えて、福祉目的財源としての将来の段階的引き上げをこれとセットで提示することにより、駆け込み需要を誘発することもできます。税率アップによる経済への影響は、所得課税や社会保険料を段階的に軽減することによって打ち消すことが十分可能です。これらによって経済を自律的回復軌道に乗せることができます。
 諸外国の例を見ても、付加価値税の税率を上げ下げすることは広く行われているのであります。当面の需要追加策としてなら、特に特定分野しか潤わない公共事業よりも、国内総生産の六割を占める個人消費を直接刺激し、住宅投資を活性化させるために、消費税率を時限的に凍結することも検討すべきであります。(拍手)
 第四に、消費税は、社会安定の基盤である基礎年金、高齢者医療、介護に限定して使用し、国の責任においてこれを保障することを明確にすることであります。
 出生率の低下は、経済の成熟とそれに伴うライフスタイルの変化によるものであり、先進各国共通の課題であります。とりわけ我が国は、世界に例を見ない速さで人口構成が変化しており、これに歯どめをかけることは容易なことではありません。
 これまで政府は、現行の社会保険制度の維持のみに主眼を置き、見直しのたびに給付水準を引き下げ、負担を引き上げる手法しかとろうとしませんでした。まさに、社会保険あって社会保障なしであります。
 現在、社会を支えている世代の人々は、人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料の負担が増加する一方、それに見合った給付が将来受けられないのではないか、また、現在給付を受けている方は、その水準を引き下げられるのではないか、このような年金制度を初めとする社会保障制度への不信が人生の将来設計を直撃し、先行き不安、消費低迷の大きな要因となっているのであります。
 大切なことは、社会保障のビジョンを明確に示し、社会を担う現役世代の人々の保険料負担累増の懸念を払拭し、他方、お年寄りの給付水準引き下げへの心配を取り除くことにより、国民全体が安心と安定を確保して人生設計を描きやすくすることであります。
 自由党は、基礎年金、高齢者医療、介護という三本柱は、本来、保険集団の中で支えることになじまないと考えております。ましてや、今日のような人口構成下にあっては、現行の保険方式によって支え続けることは不可能であり、国民全体で支えていかなければなりません。もともと消費税は福祉のために導入したはずであります。社会保障の給付水準を安定して維持するために、消費税の使途を福祉目的化し、基礎年金、高齢者医療、介護の財源に限定すべきであります。
 また、社会保険料は、課税最低限以下の方でも納付しなければならず、非常に逆進性の強い性格を持っております。特に、自営業者の方には人頭税的な負担ともなっております。税と社会保険料は、一体のものとして総合的に勘案する必要があります。消費税を福祉目的税とすることによって社会保険料を引き下げることが可能となります。直接税の減税は、さきに述べた行革減税により行うべきであります。消費税率を上げて所得や法人などの直接税を減税するといった考え方では、スリムな政府をつくることはできません。
 第五に、円の国際化についてであります。
 昨今のアジア通貨危機、国際通貨不安の大きな原因の一つとして、過度のドル依存が挙げられます。来年より、いよいよ欧州単一通貨ユーロがスタートいたしますが、我が国としても円の一層の国際化を図るべきであり、円を国際的な通貨として提供することにより、アジア各国の通貨及び経済の安定に資することができるものと考えます。資金援助もさることながら、長期的な視野に立ち、国際経済・通貨のリスクを分散させるために、円の国際化を一層積極的に推進すべきであります。
 なお、財政の健全化について申し上げます。
 自由党は、かねてより、経済再建なくして財政健全化なしと一貫して主張をいたしております。実際、平成九年度に七兆円の増税を行った結果、マイナス成長となり、税収も法人税を中心に落ち込み、ほぼ当初の増税分に見合う額が帳消しになるほどの減収となっております。財政健全化は重要なことであります。しかし、これを増税によって対処するのではなく、行財政一体不可分の見直しによる歳出削減と、たくましく再建された経済から得られる税収増によって達成しなければなりません。財政健全化のためには経済再建最優先策をとらねばならないのであります。
 我が国の経済を安定成長という正常な軌道に乗せるためには、まず加速度をつけて立ち上がる必要があります。ましてや、我が国経済は、二年連続のマイナス成長という戦後初めての異常な状況にあります。かじ取りを誤れば、三年連続のマイナス成長にもなりかねません。目先の景気回復という意味においても、抜本的な経済構造改革という意味においても、今まさに百年に一度あるかないかの試練に直面しているのであります。
 もはやこれまでの方法論は通用いたしません。日本経済を根本から立て直すためには、旧来の手法にとらわれない発想の転換が必要です。同時に、数々の先行き不安を解消するため、大胆な構造改革のビジョンと具体的な政策を一体として提示し、同時並行的にスタートさせ、今世紀中に改革を軌道に乗せなければなりません。
 これら我々の主張に対して、小渕総理の御所見を伺います。
 次に、外交、安全保障について申し上げます。
 八月末に、北朝鮮から発射されたミサイルが我が国の上空を通過するという極めて深刻な事態が発生いたしました。我が国からの事前の中止勧告を無視し、通告もないままミサイルを我が国に向けて発射したことは、近代国家にあるまじき不法な行為であります。北朝鮮では予想を上回るペースでミサイルなど大量破壊兵器の開発が進められており、既に我が国はその射程内に入っていることが明らかになったのであり、我が国の安全にとって重大な事態であります。
 北朝鮮は、この九月に金正日総書記が国防委員長に就任するなど、軍事国家的色彩をますます強めております。北朝鮮との間には、日本人拉致疑惑や日本人配偶者の里帰り問題など、我が国の主権、人権にかかわる問題が未解決となっており、また、最近になって北朝鮮の地下核施設疑惑も指摘されるなど、核兵器開発疑惑は解明されておりません。ミサイル発射問題とあわせてこれらの問題を解決することが、北朝鮮との関係改善の前提でなければならないと考えますが、政府は北朝鮮に対してどのような対応をしていかれるおつもりなのか、総理の御所見を伺います。
 北朝鮮に対しては、米国や韓国、中国と緊密な連携をとり、対応していくことが必要であります。小渕総理は、この十月から十一月にかけて、韓国、ロシア、米国、中国との間に首脳会談を相次いで行われましたが、これら諸国との間に信頼醸成を重ねていくことは北東アジアの平和と安定にとって極めて重要であり、一連の会談は有意義であったと考えます。
 中でも、エリツィン大統領との間に、北方領土問題について、国境線画定作業委員会を設置することで合意したことは、ロシア側に領土問題を協議する場を認めさせたという点で一歩前進であると考えます。しかし、これで直ちに北方領土返還への道筋がつけられたわけではありません。政府は、引き続き領土問題の解決と平和条約の締結に向け粘り強い努力を進めるべきであります。総理の御見解をお尋ねいたします。
 日米関係は我が国にとり最も重要な二国間関係であります。日米が合意した新たな日米防衛協力のための指針を実効あらしめるための法整備を進めることは、日米の同盟国としてのきずなを強め、アジア地域の平和と安定につながっていくものであると考えます。
 自由党はさきの国会で、日本国憲法との関係で、自衛隊の活動がどこまで許されるのかを明確にすることなしに、日米協調の名のもとに、武力行使とそれに関連する行動をなし崩しに拡大させようとするやり方は危険であると主張いたしてまいりました。
 十一月十九日の自民党との党首会談で、小渕総理は小沢党首の提案を受け入れられました。すなわち、日本国憲法の理念に基づき、冷戦後に適した安全保障体制を確立する。我が国の平和と安全は、次の原則に従って確保する。第一に、我が国は、我が国が武力による急迫不正の侵害を受けた場合に限り、武力による阻止、反撃を行い、それ以外の場合には武力による威嚇または武力の行使は一切行わない。第二に、国際連合の総会または安全保障理事会で国連平和活動に関する決議が行われた場合には、国連の要請に従いその活動に参加する。また、この原則に基づいて法制度を整備するというものであります。
 今後、この合意に基づいて法律の整備について検討が行われるものと考えますが、その際、当然のことながら、現在継続審議中の周辺事態法についても、国連決議を受けて行われるいわゆる臨検は、他の国連加盟国が行うのと同様に、国際常識に沿って行われるべきものであり、今後、政府において検討されるべきものと考えます。
 以上の点についての小渕総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、総理、世に「大丈夫のこと、棺を覆うて後に定まる」という言葉があります。総理におかれては、眼前の毀誉褒貶、人気などに拘泥されることなく、政治の大道を歩み、後世の正しい評価が得られることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 藤井裕久議員にお答え申し上げます。
 冒頭、自由党との合意につきまして、私の決断を評価されました上で、今後の合意の実行についての御指摘がございました。
 私が自由党との合意を決断いたしました背景、考え方を改めて申し述べさせていただきますと、私は、政権発足以降、常々申し上げてきたところでありますが、経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の最大の使命であり、また政治に課せられた最大の責任であると認識しております。
 こうした政治に課せられた責任を全うするためには、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行してまいることが不可欠なことであります。しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議の経緯は経緯としながらも、私としては、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形で政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真摯に模索をいたしてまいりました。
 こうした問題意識に立ちまして、自由民主党と自由党との間に真剣な話し合いを数次重ねた結果、私と小沢党首の間で、現在国家的危機のただ中にあるとの時局認識を共通なものとし、国家と国民のため、政権をともにし責任ある政治を行うことで合意したところであります。この合意は、小沢党首提案の政策について基本的方向で一致したものであり、これを受け、国家国民の期待と信頼にこたえるよう合意したところであります。
 私は、この合意を受け、国家国民のため政治がスピーディーかつ効率的に機能するよう、自由党とともに全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。(拍手)
 小沢党首提案の政策につきまして、党首間で基本的な方向では一致しており、既に、これに基づき両党間で真剣な協議を開始しておるところであります。私は、両党間の協議を踏まえ、誠実にこれを実行してまいる決意であります。
 今回のこの合意に関しまして、国会の審議における政府委員制度、あるいは内閣における副大臣制度などの改革についての御指摘がありました。
 私は、かねてより、いわゆる官僚主導型行政から政治主導型行政への変革を主張しており、これらの改革が目指そうとしているものは、私の考えと重なるものだと認識をいたしております。小沢党首が提案されたこれらの改革につきましては、党首間で基本的方向で一致しており、これに基づき両党間で協議を開始することとし、この協議を踏まえ、誠実に対処していく所存であります。
 小沢党首が提案された議員定数の問題につきまして御指摘がありました。
 この問題につきましては、党首間でその基本的方向で一致いたしており、これに基づき両党間で協議を開始することとし、この協議を踏まえ、真剣に対処していく所存であります。なお、この問題は、いわば選挙の土俵づくりというべき事柄でありますので、各党各会派におきましても十分御議論を深めていただきたいものと考えております。
 早期健全化法の活用による金融システムの安定についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のように、金融システムの安定化を実現し、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することは、現下の喫緊の課題であるとの考えは同じくするものであります。先の国会におきまして早期健全化の法律が成立をいたしましたが、これを積極的に活用し、その実を上げていかなければならないと考えております。俗に、仏をつくって魂を入れざれば、このせっかくの法律が生きないわけでございますので、私といたしましては、先の国会で成立したこの法律をもととして、金融システムのより一層の安定化のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 政府といたしましては、したがいまして、金融システムの全体的危機的状況を絶対に起こしてはならない、日本発の金融恐慌を決して起こさないという決意のもとで、資本増強制度の的確な実施などにより、我が国の金融機能の早期健全化を図り、我が国金融システムの再構築と経済の活性化に万全を期してまいりたいと思います。
 次に、個人所得税及び法人課税の減税についてお尋ねがありました。
 しばしば御答弁申し上げておりますが、個人所得課税につきましては、来年以降、最高税率の五〇%への引き下げに定率減税を組み合わせることとしておりますが、税率構造全体の見直しにつきましては、税率構造だけではなく、各種控除を初めとする課税ベース等のあり方も含めた総合的な議論が必要であると考えております。
 法人課税につきましては、来年度以降、実効税率を国際水準並みの四〇%程度に引き下げることといたしております。また、連結納税制度につきましては、引き続き検討を深めていく必要がある課題であると考えております。
 減税の規模につきましては、六兆円超の恒久的減税に加え、真に有効かつ適切な政策税制につきましても精力的な検討を行っておるところでありまして、自民党と自由党との協議の状況も踏まえ、政府及び党の税制調査会において早急に検討が行われることを期待いたしております。
 減税の財源は、当面赤字国債によらざるを得ませんが、一方で、御指摘のように、徹底した経費の節減、国有財産の処分などを進めることはもちろん、長期的には、今後の経済の活性化の状況、行財政改革の推進等と関連づけて財源のあり方の検討をする必要があると考えております。
 裁量行政からルール行政への移行、効率的な政府の実現についてのお尋ねでありましたが、行政のあり方を、いわゆる裁量行政から明確な、具体的なルールに基づく事後チェック型の行政に転換することは、重要な課題であります。政府といたしましては、このような課題を踏まえつつ、規制緩和や地方分権を強力に推進し、効率的な行政の実現を目指してまいります。
 なお、中央省庁改革を推進していくに当たりましては、裁量による恣意的行政を極力排除するよう配慮してまいります。
 次に、基礎的地方公共団体であります市町村の再編成でございますが、大規模な市町村合併により行財政基盤を強化することが重要であり、地方分権推進の上で、市町村みずからが、自主的とはいえ、より効率的な市町村合併を積極的に進めるべきであります。市町村の数を初めから定めることは極めて難しいと考えますが、政府としては、合併推進のための方策を講じ、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、御指摘の一括交付金についてでございますが、行政目的を異にする補助金等のすべてを全般的に総合し、地方公共団体等に交付するという趣旨のものであるとすれば、国が一定の行政水準を維持するためや、国の特定の施策を推進するための政策手段である補助金等の重要な機能を損なう等の問題があると考えます。
 なお、公共事業にかかわる個別補助金のあり方につきましては、地方分権推進委員会において検討が進められてきたところでありますが、十一月十九日に提出いただいた地方分権推進委員会の第五次勧告において、適切な目的を付し、具体的な事業箇所、内容について地方公共団体が主体的に定めることができることなどを内容とする統合的な補助金を創設することとなっております。今後は、第五次勧告の指摘に沿いまして、統合的な補助金の創設を進めていきたいと考えております。
 地方議員の定数及び地方公務員数の削減についてお尋ねがありましたが、地方議員の定数につきましては、地方分権推進計画に従いまして、次期通常国会に向け、その見直しを行うことといたしております。また、地方公務員数については、引き続きその縮減、増員の抑制に積極的に取り組むよう、地方公共団体に要請してまいりたいと思っております。
 次に、消費税についてのお尋ねでありました。
 自由党小沢党首からは、消費税について、税率、福祉目的への限定など抜本的見直しを行うとの御提言をいただいております。
 消費税につきましては、少子・高齢化のさらなる進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものでありまして、長期的に見れば、税率の水準については国民の皆さんに御理解をいただけるものと考えております。
 今後、少子・高齢化の進展に伴って増大する年金、医療、介護等福祉のための財源を国民にどのようにお願いするかは、重要な課題と認識いたしております。少子・高齢化がさらに進展する二十一世紀を展望しつつ、直間比率を是正していく流れの中で、中長期的な税構造はどうあるべきか、建設的な議論を行っていくことが重要と考えております。
 いずれにせよ、小沢党首御提案の政策につきましては、両党間の協議を開始いたしておるところであり、私としては、その協議を踏まえて対応していく考えであります。
 社会保障制度のあり方を見直し、消費税を基礎年金等に限定して使用すべきとの御意見でありますが、社会保障制度につきましては、国民に信頼される、将来にわたって安定的に運営できる制度を構築していくためには、経済と調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化を進めるなど、社会保障構造改革に引き続き取り組んでいくことが重要と考えております。
 消費税を基礎年金、高齢者医療、介護の財源に限定して使用することは、少子・高齢化にどのように対応していくかという、その背後にある問題意識を考えれば、一つの検討に値する御提言であると受けとめており、受益と負担の密接な関係が見出せるかどうか、また社会保険方式のメリットが失われないかどうかといった問題を含め、貴党の御提案を含め、幅広い観点から協議してまいりたいと考えております。
 円の国際化の一層の推進が必要との御指摘でありますが、昨年来のアジア通貨危機や来年のユーロ導入といった内外の経済金融情勢の変化を踏まえれば、我が国にとりまして円の国際化は喫緊の課題であると考えております。政府としては、円の使い勝手をよくするための具体的施策について、幅広い見地から検討を進めておるところでございます。
 次に、大胆な経済対策についてでありますが、私は、政権発足以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりました。さらに、今般、平成十一年度において、はっきりしたプラス成長と自信を持って言える需要を創造すること、失業者をふやさない雇用と起業を推進すること、国際協調を推進することの三点を目標に掲げ、百万人規模の雇用の創出、安定を目指し、総事業費にして十七兆円を超え、恒久的減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめたところであります。
 経済構造改革についてお尋ねがありましたが、産業の高コスト構造の是正や新規産業の創出を図る経済構造改革は、質の高い雇用機会を設け、豊かな国民生活の実現を目指し、将来の発展基盤を固めるために取り組まなければならない重要な課題と考えております。我が国経済の先行き不安を解消するためにも、平成十二年度までに経済再生を図るとともに、同時に構造改革への取り組みを引き続き進めてまいります。
 次に、北朝鮮政策についてのお尋ねがありました。
 我が国は、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、日朝間の諸懸案並びに北朝鮮のミサイル発射や秘密核施設などの国際的問題につきまして、米国、韓国と緊密に連携をしつつ積極的に取り組み、北東アジアの平和と安定のため力を尽くしてまいります。
 私は、最近、韓国、ロシア、米国、中国との首脳会談を行いましたが、これらの会談が北東アジアの平和と安定にとって有意義であったとの点につきまして、藤井議員の御指摘のとおりと考えております。
 北方領土問題についてお尋ねがありました。
 先般の訪ロの際に署名したモスクワ宣言では、平和条約交渉を加速することで一致し、国境画定委員会の設置等の前進が見られました。今後とも、間断なき対話の継続を通じ、さまざまな分野で関係を強化しながら、東京宣言及びモスクワ宣言に基づき、二〇〇〇年までに北方四島帰属の問題を解決し、平和条約を締結するよう全力を尽くしてまいります。
 藤井議員御指摘のように、国境画定委員会はこれを加速するものではありますが、このことをもってすべて楽観するわけにはまいりません。今後とも粘り強い交渉を続けていくべきであるという御主張について、厳しくこれを受けとめて、努力をいたしてまいりたいと思っております。
 最後に、安全保障の問題でありますが、貴党の安全保障の種々の御主張には厳しく耳を傾けてまいりたいと思っております。
 なお、ガイドラインの関係法案につきましてのお尋ねでありますが、御指摘の船舶検査活動の内容については、これまでの安保理決議に基づく諸外国による活動の実績等を踏まえたものと認識をいたしております。
 いずれにしても、政府としては、我が国の平和と安全にとって重要な関連法案等が早期に国会で審議され、成立または承認されることを期待いたしておる次第でございます。
 最後になりましたが、自由党とは相連携して、こうした国家国民のためになる諸案件につきましては、この難局をともに対処してまいりたい。そのために私自身も全力を挙げて努力してまいりたいと思いますので、御協力のほどを心からお願いを申し上げて、答弁とさせていただく次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#13
○副議長(渡部恒三君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
#14
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理に質問いたします。
 まず初めにただしたいのは、小渕内閣が発足以来の四カ月間に一体何をやってきたのかということです。
 この四カ月間に実体経済の悪化はいよいよ深刻となりました。経済の六割を占める個人消費は十一カ月連続で昨年を割り込み、統計史上最悪の連続マイナス記録を更新しつつあります。完全失業者数は二百九十万人、失業率は四・三%を記録し、これも統計史上最悪となりました。企業倒産も、ことしの倒産件数は既に十月で一万六千五百二十七件に及び、戦後最悪の負債総額を記録した昨年の年間倒産件数を既に上回りました。どの指標をとっても最悪記録の更新が続いているではありませんか。
 日本列島が不況の苦しみにあえいでいるときに、総理がやってきたことは何か。大銀行の支援のために六十兆円もの公的資金投入の枠組みをつくることに熱中する、これがすべてではありませんか。六十兆円といえば、消費税による年間税収約十二兆円を丸々五年分ものみ込む額であります。そんな途方もない巨額の資金を、バブルに踊った大銀行の不始末の穴埋めや、大銀行が国際舞台に乗り出す上での体力増強のために使うなど、到底国民の理解を得られるものではありません。(拍手)
 小渕総理は、七月に自民党総裁選に立候補する際の政見で次のように述べていました。経済再建に当たって決して間違ってはならないのは、不良債権を処理したからといって実体経済がよくなるわけではないことであります、私はこのことを肝に銘じ、実体経済をよくするために全知全能を傾けてまいります。
 それから既に四カ月余りが経過しました。総理に伺いますが、あなたはこの間、実体経済をよくするためにどういう全知全能を傾けてきたのですか。特に、戦後最悪にまで落ち込んでいる家計消費を温めるために何をやってきたのですか、まずはっきりとお答え願いたい。
 それでは、小渕内閣が今進めようとしている緊急経済対策は景気回復に役立つものでしょうか。どの世論調査でも、国民の多くは、この対策が景気回復に役立つとは考えていません。最近の朝日新聞の調査でも、緊急経済対策に期待が持てると答えたのはわずか一一%、期待が持てないと答えたのが七六%に達しました。それは、この対策が、規模こそ二十四兆円と巨額ながら、冷え込んでいる家計消費を直接温めるための施策が全く盛り込まれていないからであります。
 第一に、この対策の中心は、またもや従来型の公共投資の積み増しです。しかし、景気対策として公共投資を積み増すやり方は、当初は一定の効果があっても、中長期的には膨大な財政赤字をつくり、経済にマイナスに働くとして政府も一度はみずから否定した、いわば禁じ手の対策のはずです。そのことは、九五年、九六年の財政制度審議会の報告でも明記されていることではありませんか。
 実際、宮澤内閣から橋本内閣までの七年間に、七回にわたって、減税を除いた事業規模で総額七十兆円もの景気対策が行われ、そのうち、実に八割の五十六兆円が公共投資に使われましたが、景気回復にはつながりませんでした。ことし四月に行われた十六兆円を超える総合経済対策も公共投資中心でしたが、これで経済成長率を二%押し上げるという当初の政府の宣伝とは裏腹に、今年度の経済成長見通しはマイナス一・八%と修正されました。
 総理、政府みずからが一たんは禁じ手とし、景気回復に役立たないことが現実でも証明されている愚策をどうして繰り返すのですか。ゼネコンへの救済策としか説明がつかないではありませんか。
 しかも、重大なことは、公共投資積み増し政策に地方自治体を動員してきたことが、自治体財政の危機を加速させていることです。この七年間で、全国の自治体の借金は七十兆から百六十兆円へと二倍以上に膨らみました。全国至るところで、借金の急増を理由に福祉、教育など住民サービス切り捨てが進められ、ここでも景気を冷え込ませる悪循環をつくっています。
 総理は、公共事業中心の景気対策が地方自治体の借金急増の大きな要因になったという事実をお認めになりますか。政府の責任をどう認識していますか。これ以上の自治体への借金の押しつけは中止すべきだと考えますが、いかがですか。
 第二に、緊急対策に盛り込まれている六兆三千億円の減税はどうでしょうか。政府は所得税、住民税で四兆円の減税を行うとしていますが、この減税は最高税率の引き下げと定率減税を組み合わせ、ことしの特別減税を打ち切るかわりに行われるために、減税となるのは一握りの高額所得者だけで、納税者の八割、九割はことしに比べて来年は増税になってしまいます。さきの国会の予算委員会で、私がこのことを事実を示してただしたのに対して、総理はそれを否定できませんでした。
 最近になって、政府税制調査会の加藤会長は、年収七百万円以下の人が特別減税時より増税になると明言しました。総理も同じ認識でしょうか。違うというのなら、一体国民のどれだけの部分が増税になるのですか。国民の多数が増税になるとしたら、不況にさらに逆風を吹きつけるだけではありませんか。答弁を求めるものであります。
 二兆三千億円の法人税の引き下げも大きな問題です。中小企業への軽減税率の拡充は必要と考えますが、一律の法人税の引き下げを行っても、消費大不況のもとで設備投資には向かわず、景気対策としての効果は期待できません。政府は国際水準並みに引き下げると言いますが、これにも根拠はありません。
 確かに日本の法人税は、表面税率では欧米諸国に比べて高いが、欧米にはない引当金や準備金などの税逃れの制度によって課税ベースが著しく狭いために、実質の法人税負担率では日本が高いという根拠はないことは、政府も認めたことです。それならば、一体何のための法人税減税か。どさくさ紛れの不公正きわまる大企業優遇策としか、これも説明がつかないではありませんか。
 第三は、地域振興券と銘打った商品券ですが、実施前からこんなに評判の悪い対策はありません。どの世論調査でも、国民の六、七割が反対の声を上げています。総理は、この構想が国民のかくも大きな反発を招いているのはどうしてだとお考えになりますか。
 この構想は、公明が提案した初めの案でも、景気対策としての効果が期待できないことは広く指摘されていました。商品券が消費に使われたとしても、それによって浮いた現金から貯蓄に回るだけだからであります。それを配付対象を限定したために、いよいよ景気対策としての効果は意味がなくなりました。
 それでは、一体、何のための商品券か。総理は、個人消費の喚起と地域経済の活性化のためと言いますが、この目的が後から取ってつけたものであることは、商品券構想を決めたときに、宮澤蔵相がこれから意義づけを考えると正直に述べていることでも明らかではありませんか。政策を決めてからその目的を考えるというのは、本末転倒だとお考えになりませんか。これでは、この構想が、まじめな景気対策でなく、党利党略の産物だというそしりは免れないと思いますが、いかがですか。総理の見解を問うものであります。
 景気回復のためには、このような方向違いの対策では役に立ちません。景気回復のためには、国内総生産の六割を占める家計消費を温め、日本経済の土台を支えている中小企業を助ける対策に本気になって取り組む必要があります。日本共産党は、先日、次の六つの柱から成る国民生活防衛の緊急要求を提案しました。
 第一に、消費税を直ちに三%に戻し、二兆円規模の庶民に手厚い所得減税とあわせて、七兆円規模の減税を実行すること。第二に、医療と年金で当面四兆円の国民負担の軽減を図るとともに、公共事業や高過ぎる薬価の浪費構造にメスを入れて財源をつくり出し、国民が安心できる社会保障制度をつくること。第三に、中小企業への貸し渋りをやめさせるための実効ある行政指導を行うとともに、中小企業向け官公需をふやすなど仕事を保障すること。第四に、雇用不安を解消するために、一方的解雇の規制、労働時間の短縮による雇用の拡大、失業保険の拡充を図ること。第五に、農家経営を守るために、暴落した米価の補てん、強制減反の中止を行い、災害被害対策を強化すること。第六に、地方財政の危機を打開し、住民の暮らしを守るために、地方交付税の引き上げなどの緊急措置を行うことであります。
 この中でも、私がここで総理に特にただしたいことは、消費税減税についてであります。我が党は、ことしの通常国会でも、さきの臨時国会でも、橋本内閣が九七年に行った消費税増税など九兆円の国民負担増こそ今日の景気悪化の最大の原因であることを明らかにし、消費税の廃止を大目標として掲げつつ、緊急の景気対策として消費税を三%に戻すことを強く求めてきました。
 そして、国会論戦の中で、消費税の減税が、消費拡大に直結した減税であること、すべての所得階層に減税効果が及び、特に消費の落ち込みの激しい低所得者層を潤す減税であること、価格に転嫁できず身銭を切って税金を納めている中小企業の苦境を救うこと、落ち込みの激しい民間住宅建設を活発化することなどを明らかにし、この政策が実行に移されるなら、冷え込んだ家計消費を温める衝撃的な経済効果を生むことを示してきました。
 これに対する政府側の答弁の特徴は、消費税の減税が景気対策として役に立たないという正面からの反論はなかった、できなかったということであります。
 そこで、総理に改めて伺いたい。
 消費税の減税が緊急の景気対策として、特に冷え切った個人消費を活発化させる対策として、それ自体として効果を持つということをお認めになりますか。それを否定しないというのであれば、この対策をタブー視せず、真剣な検討の俎上にのせるべきだと考えますが、いかがですか。(拍手)
 ここで、私は、これまで政府・自民党が消費税減税に反対する際に、その理由としてきたことに対して吟味を加えてみたいと思います。
 その一つは、消費税の減税は将来の税制のあり方に反する、一たん下げたら、上げることが難しいという理由です。しかし、将来の税制のあり方として消費税の税率をさらに引き上げていくということは、自民党の方針かもしれないが、そんなことに国民は一度も賛成した覚えはないのであります。
 大体、消費税率を五%に引き上げることに対しても、国民は一度も信任を与えていません。九六年の総選挙では、当選した衆議院議員のうち三分の二は、消費税増税に反対、凍結、条件つきの公約を掲げました。この公約に忠実なら、そもそも増税はできませんでした。ことしの参議院選挙では自民党は歴史的な敗北を喫しましたが、これは、不況のさなかに消費税増税を押しつけた経済失政への不信任の結果ではありませんか。
 そこで、総理に伺いますが、五%への消費税増税に、国民は一体どの選挙で信任の意思表示をしましたか。ましてや、将来五%以上に消費税を増税していくなどという方向に対して、国民がいつ賛成の意思表示をしましたか。政府・自民党が消費税増税という方針を勝手に持っているからといって、それを理由に、国民多数が切望し、最も効果のある景気対策である消費税減税を拒否するというのは、みずからの党略的立場を国民の利益の上に置くものと言わなければなりません。
 いま一つ、政府・自民党は、消費税減税に反対する理由として、消費税は少子・高齢化社会の進展という構造変化に税制面から対応するものという議論を呪文のように繰り返しています。しかし、なぜ高齢化社会を支える税制の中心に消費税を据える必要があるのか。国民に納得のいく説明は何らされていないのであります。
 私は総理に、三つの問題について、ここで端的にただしたいと思います。
 第一に、政府の推計でも、日本の総人口に占める労働力人口の割合は、一九九七年が五三・八%であるのに対して、高齢化社会のピークになる二〇二五年が五一・八%とほとんど変化はありません。高齢者人口はふえますが、子供の人口が減ること、高齢者や女性の職場進出が進むことなどにより、社会全体で見ますと、一人の働き手が一人の働いていない人を支えるという姿は、現在も将来も変わらないのであります。労働力人口の割合が変わらないのに、税制だけを消費税中心に変える必要がどこにあるのですか。直接税中心、総合累進、生計費非課税という戦後税制の三つの民主的原則を投げ捨てる理由はどこにもないし、この原則に立った税制改革こそ必要だと考えますが、いかがですか、答弁を求めます。
 第二に、政府はよく、高齢化社会をみんなで支えなければならない、それが消費税だと言いますが、消費税を負担しているのはだれか。価格に転嫁できず身銭を切って税金を納めている中小業者の方々、そして転嫁しようのない最終消費者であります。重要なことは、価格にすべて転嫁できる力を持つ大企業は消費税を一円も負担していないということであります。高齢化社会をみんなで支えると言いますが、大企業だけはそのみんなに入らないということを不公正だと考えませんか。みんなで支えると言うのなら、大企業優遇の不公平税制こそ正し、もうけ相応の負担を求めるべきではありませんか。(拍手)
 第三に、政府は、高齢化社会のためと言いながら、孫子の世代に莫大な借金を残す放漫財政を続けているではないかということであります。六十兆円もの公的資金を大銀行に用意した国は世界にありません。年間五十兆円もの税金を公共事業につぎ込み、これから先も十三年間で合計六百三十兆円もの税金を公共事業につぎ込む計画を立てている国も世界にありません。年間五兆円の軍事費は、汚職による水増し分も含め、アメリカに次ぐ世界第二の規模にまで膨れ上がり、アジアでは、日本に次ぐ韓国、台湾、インド、中国の四つの国と地域の軍事費を合計した額に匹敵しています。二十一世紀に向けて、本当に高齢化社会を支える財政について心配するなら、これらの国政上の浪費構造にこそ大胆なメスを入れるべきではありませんか。
 しかも、重大なことは、こうした浪費構造は政官財癒着の構造と一体だということです。ゼネコンや大企業をめぐる腐敗の根には、自民党への政治献金がありました。防衛庁を舞台とした汚職事件の根にも、自民党中島洋次郎議員への贈収賄疑惑、軍事産業からの自民党への政治献金があったことが明るみに出されています。真相の徹底究明とともに、企業献金禁止など腐敗の根を断つための抜本的措置をとるべきではありませんか。
 自民党と自由党の政権連立の合意の中で、消費税の福祉目的税化の方向が合意されたことも重大です。これは、福祉のためだといって果てしのない消費税増税を選ぶのか、それとも福祉水準の切り下げを選ぶのかという、選択しようのない二者択一に国民を追い込み、結局は消費税率の自動的引き上げのレールを引くことになります。将来的に税率を一層引き上げていくのが首相の考えですか。有害無益なこの構想をきっぱり撤回することを私は強く求めるものであります。
 幾つかの角度から吟味してまいりましたが、私は、政府・自民党が消費税減税に反対する際に持ち出してきた理由には一かけらの道理と根拠もないと考えます。同時に、将来どういう税制、財政を目指すかは、政党間にもさまざまな立場があり、国民の間にもさまざまな意見があることも事実であります。
 今、何より大切なことは、戦後最悪の大不況という緊急事態のもとで、将来の税制像、財政像に違いがあっても、それを消費税減税を拒否する理由にしてはならないということではないでしょうか。不況打開のために消費税減税が最も効果のある措置ならば、まずそれに大胆に取り組み、二十一世紀の税制と財政のあり方については、国民的討論を尽くし、選挙による審判を経て決定していくというのが最も道理のある道筋ではないでしょうか。
 日本世論調査会の調査では、消費税の引き下げないし廃止を望む声は七九%を占めました。この声に正面からこたえた政策を実行することこそ、国の経済政策への信頼を回復する最も確かな道であり、そうしてこそ景気回復への道が開かれます。首相がそうした立場からこの問題を真剣に検討することを、重ねて求めるものであります。(拍手)
 日本共産党は、志を同じくする他会派の議員とともに、この国会の冒頭に消費税減税法案を提出しました。各党、各議員の皆さんの御賛同を心から訴えるものであります。
 安保、外交の問題に進みます。
 首相は、さきの日米首脳会談で、ガイドライン関連立法の早期成立をアメリカに約束しました。ガイドラインとは、米軍が日本を拠点にして世界に出撃するときに、その戦争に自動的に参戦していく仕組みです。しかし総理、そもそも、今日の世界の中で、平和のための共同でなく、軍事行動のための新たな共同の仕組みをつくろうとしている国がほかにありますか。軍事行動での共同が日米関係の中心になるのは異常きわまることだと考えませんか。
 ガイドラインの構想は、日本とアジアの平和に逆行する、解決しがたい矛盾をはらんでいます。
 一つは、ガイドラインの発動の範囲が事実上無制限、無限定であるということです。この矛盾が集中的にあらわれるのは台湾問題です。さきの日中両国政府の首脳会談で合意された日中共同宣言では、日本側が一つの中国の立場を尊重することを改めて表明しました。一つの中国という立場に立つならば、台湾をガイドラインの発動対象から除外しないことが中国に対する内政干渉となるという認識が総理にはありますか。安保条約の対象範囲からも、ガイドラインの発動範囲からも台湾を除外するという立場を、この機会に明瞭にすべきではありませんか。答弁を求めます。
 二つは、米軍に自衛隊が協力する際、その協力の内容が戦争行為そのものであるということです。政府は、輸送、補給、通信などの活動は武力行使と一体でないから問題ないとしていますが、これらの兵たん活動は、国際司法裁判所でも武力の行使とみなされているものではありませんか。相手国から敵対行為として攻撃対象とされないという保証はどこにあるのですか。答弁を求めます。
 三つは、自衛隊の出動が、国会の承認すら経ずに、自動的に行われる仕組みとなっていることです。現行法では自衛隊の防衛出動でさえ国会の承認を必要としているのに、日本が武力攻撃を受けてもいないもとでの米軍への参戦を、国会の承認すら求めないで、政府の独断で行うことがどうして許されるでしょうか。こうしたやり方は、国民主権と議会制民主主義を正面から否定するものではありませんか。
 日本共産党は、矛盾に満ち、破綻が明瞭になっているガイドライン関連法案を直ちに撤回することを強く要求するものであります。(拍手)
 憲法問題にかかわって、自民党と自由党との政権合意の中で、国連総会または安全保障理事会で国連平和活動に関する決議が行われた場合には、国連の要請に従いその活動に参加すると述べられているのは重大であります。これは、国連が決定すれば、武力行使を伴う活動であっても日本が参加することを意味しているのですか。そうだとすれば、武力行使を伴う国連軍への参加は憲法上許されないとした従来の政府見解をも覆すものとなります。憲法の平和原則をそこまで崩すつもりですか。総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
 自民党と自由党の政権合意の中で、衆院、参院とも、当面、議員定数を五十ずつ削減することを目標にすることが明記されたことは、我が国の民主主義の前途にとって看過できない重大な問題であります。
 大体、我が国の国会議員の定数を削らなければならないという根拠はどこにあるのですか。国民百万人当たりの各国の国会議員の数を、日本は衆議院、他国は下院で比べてみますと、イギリス十一人、フランス十人、ドイツ八人、イタリア十一人、日本は四人です。日本が多過ぎるということは根拠がありません。国会議員は国民の声を国政に届けるパイプであって、そのパイプが細ければ細いほどいいという主張は、議会制民主主義を否定することにつながるものではありませんか。
 しかも、議員定数を減らすならまず比例代表を削れという声が自民党首脳の中から起こっていることは、極めて重大であります。現行の小選挙区比例代表並立制は、大政党有利に民意をゆがめる反民主的制度です。さきの総選挙では、自民党は、小選挙区制部分では三八%の得票率しかないのに五六%もの議席占有率を得ました。比例代表を削減することは、小選挙区制のそうした害悪を一層拡大し、国民の少数の支持しかないのに、自民党とそれに連合する政党の絶対多数の政権が続くことを制度化するものではありませんか。日本共産党は、民主主義に逆行する議員定数削減の動きに強く反対するものです。(拍手)
 政治がまず身を削るというのなら、政党助成金の制度こそ撤廃すべきであります。仮に衆院と参院で五十人ずつ議員を削減しても、年間予算の削減額はわずか七十二億円です。一方、政党助成金は年間三百十四億円にも上ります。憲法に保障された国民の思想、信条の自由を踏みにじり、自民党中島洋次郎議員の事件が示すように、今や政治腐敗の一つの元凶となりつつある政党助成金こそ撤廃すべきであります。(拍手)総理の見解を求めます。
 最後に、私は、総理に解散・総選挙への決断を求めるものであります。
 そもそも小渕政権は、参議院選挙で自民党が国民の四人に一人の支持しか得られなかった状況のもとで、民意に逆らって成立した政権です。その後のどの世論調査を見ても、支持率は一、二割台、不支持率は過半数を超えています。国民的な存立基盤がもともとない自民党政権が、当面の国会内の数合わせで自由党との連立を組んだことは、国民の政治への信頼をさらに大きく傷つけています。
 こういう無原則、無節操な延命の道をずるずる続けるのではなく、二十一世紀を前にして、日本が進むべき道を国民に問うために、速やかに国会解散・総選挙を行うことを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 志位和夫議員にお答え申し上げます。
 まず、就任以来、実体経済をよくするためにどう取り組んできたか、こういうことであります。
 これまで私は、日本経済を再生させるため、まず総合経済対策の実施に全力を挙げてまいりました。あわせて金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みを整えました。さらに、経済戦略会議を発足させ、国民の将来に対する自信と安心を高める政策等を検討いたしてまいりました。
 このように、私は、政権発足以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりましたが、さらに今般、総事業規模にいたしまして十七兆円を超え、恒久的減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を取りまとめました。これを受けまして編成される第三次補正予算は、国及び地方の財政負担が十兆円を超える規模のものとなります。
 本対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
 家計消費の拡大のために何をしてきたかというお尋ねでありました。
 私は、ただいま申し上げた諸施策を果断に決定し、実行に移すことによりまして、家計消費の拡大も含め、我が国経済の再生を図ってまいりました。特に、税制につきましては、我が国の将来を見据えた抜本的な見直しを展望しつつ、個人所得課税につきまして平成十一年から四兆円規模の恒久的減税を行うことといたしましたが、こうしたことが我が国の家計等のマインドの喚起に役立ってきているものと考えております。
 公共事業の積み増しについてのお尋ねがありました。
 今般の緊急経済対策におきましては、社会資本の整備につきまして、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野、具体的には、情報通信、科学技術、環境、福祉、医療、教育などの分野に大胆に重点化することといたしております。
 この緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりとしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、これまた内閣の命運をかけて努力をいたしてまいります。
 地方財政の借入金に関してのお尋ねでありました。
 現在の我が国経済の厳しい状況により、地方財政は、税収の伸び悩み、低迷が続くとともに、数次の景気対策のための特別減税や公共事業の追加等により借入金が急増し、極めて厳しい状況にあると認識いたしております。したがいまして、地方財政の運営に支障が生じないよう十分配慮しつつ、まずは景気回復に全力を尽くすことが必要であると考えております。
 公共事業の積み増しによる地方団体への借金の押しつけは中止すべきとの御意見でありますが、公共事業の執行につきましては、地方団体の意向を十分に踏まえるとともに、補正予算に伴う地方負担分につきましては、臨時異例の措置として交付税を増額するなど、地方財政の運営に支障が生じないよう適切に対処いたしておるところでございます。
 個人所得課税の減税についてのお尋ねでありますが、本年の定額方式は所得税制として本来好ましくないが、できる限り早期に減税を実施するために臨時異例の一年限りの措置としてとったものでありました。来年から今年の定額減税にかえて恒久的な減税を行うことにより、今年より減税額が減少する所得階層が生じますが、これは、あるべき税制を展望しつつ恒久的な減税として行うものであり、一年限りの特別減税と単純に比較することは適当でないと考えます。
 これまで単年度限りの減税が行われておりましたが、今回の減税は、一時的ではなく、期限を定めず、継続して実施してまいります。このような大規模な減税を恒久的に実施することが消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えます。
 法人課税の見直しについてのお尋ねでありましたが、今回の法人課税の見直しは、我が国企業が国際社会の中で十分競争力が発揮できるようにするとの観点から、その実効税率を国際水準並みに引き下げるという趣旨のものであります。その効果は中小法人にも及び、ひいては我が国経済全体の活性化に寄与することになると考えております。
 次に、地域振興券につきまして御意見がございました。
 地域振興券に係る国民の理解や目的につきまして、この事業の対象者は、若い親の層や所得の低いお年寄りなど比較的可処分所得の少ない層であり、また、限られた期間内に使い切る地域振興券をお渡しするという仕組みをとることから、消費拡大の効果があると考えております。このような事業の趣旨を国民の皆様に周知徹底することによりまして、十分御理解がいただけるものと考えております。
 消費税減税についてお尋ねでありましたが、消費税率五%への引き上げを含む税制改正は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えます。消費税に限らず、税は常に低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方を考えたとき、消費税率の引き下げは困難であり、この点、国民の皆様にも御理解いただきたいと考えております。
 消費税五%、地方消費税を含む、への引き上げに対する国民の意思表示についてお尋ねがありましたが、平成八年十月の総選挙を通じ、自由民主党としては、我々の子供や孫の世代にこれ以上ツケを回してよいのか、お年寄りや障害者の方々が安心して暮らせる社会を皆で支える必要がないかといった点を国民の皆さんに問いかけながら、消費税率引き上げの必要性を国の将来のために訴えてまいりました。その結果、消費税の引き上げが必要であることについては国民の皆様の御理解が深まってきたものと考えております。
 消費税率の問題を含む将来の税制のあり方については、社会経済構造の変化や財政状況などを踏まえ、国民的議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 税制を消費税中心に変えていく必要がどこにあるかとのお尋ねでありますが、少子・高齢化の進展に伴い、二十歳から六十四歳の勤労者世代の人口は相対的に減少していくものと見通されております。このような構造的変化の中で、活力のある福祉社会を構築していくため、税制面からも対応していく必要があり、累次の税制改革の流れにおいて所得課税を税制の中心に据えつつ、消費課税にウエートをやや移してまいっております。今後とも、二十一世紀を展望しつつ、直間比率を是正していく流れの中で、経済社会の構造変化に対応した税制の構築に努めていく必要があると考えております。
 高齢化社会をみんなで支えるという理念のみんなから大企業だけを外しているのではないかということでありますが、これまでの税制改正は、社会共通の便益を補うための負担は国民が広く分担し合うということが望ましいという考えのもとで、所得、消費、資産の間でバランスのとれた税体系を構築する観点から、税体系全般にわたる見直しを行ってきたものであります。こうした中で、法人の税負担に係る公平の確保については、従来から企業関係の租税特別措置等の徹底した整理合理化などに取り組んできているところであり、今後とも一層の努力を続けてまいりたいと考えております。
 次に、公共事業や軍事費に巨費をつぎ込む財政構造にメスを入れるべきではないかという御指摘でありますが、今回の補正予算におきましては、社会資本整備について、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域雇用の安定的確保の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えた真に必要な分野、具体的には情報通信、科学技術や福祉、医療、教育、環境などの分野に大胆に重点化しております。なお、防衛関係費につきましては、装備品の調達価格の抑制に努める等、あらゆる経費について合理化、効率化を図っていく必要があると考えております。
 一連の防衛庁の調達をめぐる疑惑についてお尋ねでありました。
 今般の背任事件に対し、装備品調達についての透明性やチェック体制が十分担保されていないなどの問題があるとの認識をしており、調達機構・制度の抜本的改革に全力で取り組んでまいる所存であります。救難飛行艇をめぐる疑惑も含め、事件の真相につきましては、今後公判等で明らかにされると考えております。
 次に、企業・団体献金についてお尋ねがありました。
 企業、労働組合等の団体献金につきましては、平成六年の政治改革における政治資金規正法の改正により規制が強化され、さらに、改正法附則により、施行後五年を経過した場合の取り扱いについて定められているところであります。この問題につきましては、まず各党各会派におきまして十分御議論をいただくべき問題と考えております。
 次に、いわゆる福祉目的税化との関連で、将来の消費税率の引き上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の問題を含む将来の税制のあり方につきましては、社会経済構造の変化や財政状況などを踏まえ、国民的議論によって検討されるべき課題であると考えます。
 消費税の福祉目的税化についてのお尋ねでありますが、今後の少子・高齢化の進展に伴って増大する年金、医療、介護等福祉のための財源を国民にどのようにお願いするかは、重要な検討課題であると認識いたしております。少子・高齢化がさらに進展する二十一世紀を展望しつつ、直間比率を是正していく流れの中で中長期的な税構造はどうあるべきか、建設的な議論を行っていくことは重要であると考えております。
 消費税減税についての重ねてのお尋ねがありましたが、先ほど申し上げたような税財政のあり方を考えるとき、消費税率の引き下げは困難と考えております。
 次に、安全保障に関しまして、日米防衛協力のための指針に関してのお尋ねでありますが、指針の目的は、アジア太平洋地域の平和と安定の維持が我が国の安全に一層重要となっていることにかんがみまして、平素及び緊急事態に際し、より効果的で信頼性のある日米協力の堅固な基礎を構築することであります。なお、例えばNATOでも、冷戦後の情勢変化を受け、より効果的な平和と安定の確保のため、戦略概念見直しが行われていると承知をいたしております。
 指針のもとでの日米協力に関してお尋ねがありましたが、指針は、より効果的な日米防衛協力関係の構築のためのものであります。また、対米協力を行うか否か、いかなる協力を行うかは、国益確保の観点から我が国が主体的に判断するので、我が国が自動的に参戦との御指摘は当たりません。さらに、日米協力関係は、安保関係に加え、政治経済関係から地域情勢、地球規模問題にまで及ぶ広範なものであります。
 台湾と指針についてのお尋ねでありましたが、周辺事態は、その生起する地域をあらかじめ特定し、あるいは地理的に一概に画するものでないという意味で、地理的概念でなく、事態の性質に着目した概念であります。我が国としては、今後とも日中共同声明を堅持するとともに、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望いたしております。
 台湾と指針及び日米安保条約についてのお尋ねでありますが、指針との関係については先ほど申し上げたとおりであります。また、日米安保条約に関する政府の立場に変更はありません。さらに、我が国としては、先ほども申し上げた台湾に関する基本的立場を堅持しつつ、この問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望いたしております。
 次に、指針における自衛隊の活動と武力の行使との関係についてお尋ねでありますが、国際司法裁判所のニカラグア事件判決は、外国国内の反政府勢力に対する支援の法的評価を行ったもので、指針の後方地域支援とは同列に論じられません。いずれ、周辺事態において後方地域支援として行われる輸送等の行為は、憲法が禁ずる武力の行使や武力による威嚇に当たるものではありません。
 指針に基づき自衛隊が行う活動に対する相手国の対応についてのお尋ねであります。
 指針に基づいて実施することを想定している活動は、それ自体武力の行使には該当いたしません。また、国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対して行う我が国の協力は、国際法の基本原則にも合致し、国際法上許容されるものであり、他国の我が国への武力の行使を国際法上正当化させることはありません。
 次に、国会承認についてのお尋ねでありますが、周辺事態の対応は、武力の行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないこと、迅速な決定を行う必要性があること等を総合的に勘案すれば、必ずしも国会の承認を得る必要はなく、またこれは国民の主権と議会制民主主義を何ら否定するものでないと考えております。
 安全保障に関する自由党との合意についてお尋ねがありました。
 我が国としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し積極的に寄与することが必要であると考えております。今後、国連総会または安保理の決議に基づき国連から要請のあった場合の国連平和活動への参加のあり方につきましては、憲法の理念に基づき、両党の間で十分議論してまいりたいと考えております。
 次に、国会議員の定数削減についてのお尋ねでありました。
 この問題につきましては、先般、自由民主党と自由党の間で協議を開始することといたしたところであります。なお、国会議員の削減問題の背景としては、現下の厳しい社会情勢のもと、政治もみずから効率的な体制を目指すべきでないかとの世論が存在することを御認識いただきたいと思います。定数のあり方につきましては、いわば選挙の土俵づくりというべき事柄でありますので、各党各会派におきましても十分御議論を深めていただきたいと考えております。
 比例代表の定数削減について御指摘がございましたが、この問題は、議員定数削減についての両党間の協議において議論されることとなると認識をいたしております。
 次に、政党助成金についてお尋ねがございました。
 政党助成制度は、民主主義のコストともいうべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つ制度であると考えております。政党交付金につきましては、政党助成法の趣旨を踏まえ、国民の信頼にもとることのないよう適切に使用されることを期待いたしております。
 最後に、解散についてお尋ねがありましたが、我が国は現在国家的危機ともいうべき内外とも困難な状況にあり、まずは我が国の経済再生に向けあらゆる施策を果断に実行していくことこそがこの内閣の最大の使命であります。改めてこのことに思いをいたすとき、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきであり、解散は全く念頭にございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○副議長(渡部恒三君) 中西績介君。
    〔中西績介君登壇〕
#17
○中西績介君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、さきに行われた小渕総理の所信表明演説に対して質問を行います。
 「もともと自民党に対しては、衆議院においても国民は過半数を与えておりません。そうである以上、野党に政権をゆだねるか、衆議院の解散・総選挙を断行し、国民の信を得た正統な政権に道を譲るのが憲政の常道であります。」「経済状況の深刻さから政治的空白は避けるべきだとの意見がありますが、選挙の洗礼も受けず、大胆な改革を行う意思もない政権の継続こそ政治の空白そのものであることを肝に銘ずべきであります。」これは、小沢一郎自由党党首がさきの臨時国会で行った代表質問の一節であります。
 しかし、このように厳しく政権を批判しながら、自民党との連立を志向するなど、朝令暮改も甚だしい愚挙と言えましょう。さらに、このような勢力との連立を無原則に進めんとする小渕総理の政治姿勢は、政権維持のためならなりふり構わない、もはや奇怪な態度というほかありません。
 私たちが経験した自社さ連立政権、最も重視したのは、憲法を尊重し、民主的政策形成合意、特に国民要求を実現するためのものでありました。両党党首間で進められた連立政権合意は全く国民を蚊帳の外に置くものであり、その合意を受けての小沢党首の、小渕内閣の方針として国連軍に参加するとの発言は、全く言語道断であります。
 小渕総理、あなたはそのような合意を本当にしたのですか。国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないとの政府解釈を変更するおつもりですか。私は断じて容認できません。ボキャ貧などといってごまかさず、明確な答弁を求めます。
 また、私は、国民が切実に要求している生活の安定や福祉の充実、雇用の確保と安定など当面する重要課題が、政策なき自自連立によって解決できるとは到底考えられないのであります。さらに、憲法調査常任委員会設置や新ガイドライン関連法案成立を国民的議論なしに強行するのであれば、国民生活改悪、改憲タカ派連立政権と言わざるを得ないのであります。我々社会民主党は、国民とともに、初めに枠組みありきの保守野合政権と断固として対決する決意であることをまず明らかにするものであります。
 そこで総理、なぜそうまでして政権にしがみつくのか、国民に向かってどう説明されるのか、御見解をお伺いします。
 さて、総理は冒頭に、防衛庁の背任事件や証拠隠滅などについて心からのおわびを表明されましたが、「防衛庁において、事実関係の徹底的な解明を図り厳正な処分を行ったところ」と、まるで事件が終わったかのように述べられました。しかし、これら一連の疑惑に続いて、富士重工業のトップが関与した贈収賄疑惑が明るみに出て、政官業癒着の一大汚職事件となりつつある現在、新しい体制で信頼回復に全力を尽くすなどと言っている場合ではありません。こうした構造的腐敗の温床を断ち切らなければ、到底国民の信頼は回復できません。
 この際、国家公務員倫理法、政治改革関連法案の早期成立を実現するとともに、総理みずからのリーダーシップにより、防衛庁を初めとする政官業腐敗の構図を徹底的に暴き出すべきであります。でなければ、汚職列島化している現状を改革することは困難であります。そこで改めて、真相究明及び再発防止に向けた総理の御決意をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、こうした腐敗が根絶されない限り、情報収集衛星やいわゆるTMD構想など巨額の予算を要するものについては、そもそも提案する環境にもないことを付言しておきたいと思います。
 政治家もみずからの政治倫理をはっきりさせなければなりません。野田実議員の失職が記憶に新しい中、逮捕されている中島洋次郎議員の受託収賄疑惑も明らかになりつつあります。政治家がみずからの襟を正し、国民から疑惑を受けることのないよう、政治腐敗防止を確立しなければなりません。
 我が党が強く主張している企業・団体献金をきっぱりと廃止するとともに、あっせん利得処罰法の制定や政治倫理法の強化が急務であります。どのような立派な政策や美辞麗句を並べ立てても、政治への信頼がなければ国民の理解と協力を得ることはできません。政治改革に取り組む総理の毅然とした答えを求めます。あわせて、社会全体を覆っている腐敗や公私の概念の混同にメスを入れ、徹底的にうみを出すんだという総理の決意も伺いたいと存じます。(拍手)
 続いて、緊急経済対策、景気対策について質問いたします。
 総理は、現下の厳しい経済状況から脱却するための対策について、恒久的な減税を入れると総事業規模が二十兆円を大きく上回るという景気対策の柱は、二十一世紀先導プロジェクト、生活空間活性化、産業再生、雇用対策、社会資本の重点的整備だということでありました。一見それらしい文句が並べられていますけれども、中身は従来型の発想に立つ大規模公共事業が中心であり、これでは国民生活の質の向上にはつながらず、財政負担が水膨れするだけであると言わざるを得ません。
 私は、現在の不況の原因は、年金や医療、介護への不安、雇用不安、貸し渋りからくる経営への不安など、生活の先行きに対する国民の不安にあると考えます。したがって、政府が減税とセットで行うべき施策は、大規模公共事業ではなく、これらの不安を解消する政策だと考えますが、総理の御見解を伺います。なお、本年は既に四兆円の減税が実施されています。にもかかわらず、減税の実施だけでは消費の拡大に効果がなかったという事実も踏まえて御答弁いただきたいと思います。
 これまでの政府の対策は、だれもが恩恵を受けるということを立脚点にして、道路や橋、公共建築物、港湾整備などの公共事業を優先してきました。しかし、これは、裏を返せば、だれが恩恵を受けるかわからないということでもあります。二十一世紀へ向けたこれからの対策は、福祉や環境、生活、情報通信の充実等に焦点を当てるべきであります。そうであるからこそ、だれが恩恵を受けるかわからない抽象的な社会や公に立脚するのではなく、具体的な家庭や個人に効果が及ぶような政策こそ進めるべきと考えます。総理の見解を伺います。(拍手)
 次に、貸し渋り問題についてお伺いします。
 政府は、昨年の秋以降たび重なる貸し渋り対策を講じてきましたが、長引く不況と遅々として進まない不良債権の処理を背景に、依然として陰湿かつ広範な貸し渋りがやみません。経営が順調な中小企業や中堅企業にも新規、追加融資を渋ったり、返済すれば新規融資に応ずるとしながら融資しないといった信義則違反の窓口対応が、とりわけ大手銀行に見受けられました。そればかりか、今般の貸し渋り対策を債権回収に悪用するといった、金融機関本来の使命を放棄したかのような事態が起きています。
 こうした貸し渋りは、変化に対するスピードと独創性を誇る中小企業や、あるいは女性を初めとする地域住民の新規開業、経営を著しく損なうだけでなく、健全で活力ある地域社会、そして景気、雇用に不安のない日本経済を構築する上で、致命的な問題です。現在の貸し渋りの実態を、総理はどう認識しておられるのか。また、現在の貸し渋り対策により、中小企業の金融環境が改善したとお考えであるのか。さらに、今後、より一層有効な手だてを検討、実施するおつもりがあるのか。総理の認識を明確に示していただきたいと思います。
 景気の安定は、暮らしを営むためのたつきをまず固めてこそという発想も重視されなくてはなりません。したがって、緊急雇用創出特別基金の創設も含めて、雇用対策に重点が置かれていることは一定の評価をしたいと思います。
 社会民主党は、国民生活最優先の姿勢を鮮明にするためにも、一般会計からの積極的な財政出動を伴う万全の財源措置を講じた上で、失業を生まない、つくらないための緊急雇用対策を取りまとめ、既に世に問うてあるところです。その際、留意したことは、柔軟な発想と少しの工夫があれば実現できる施策に絞ろうということでした。
 例えば、雇用調整助成金の使い勝手をよくするために、中小企業等が地域産業グループなどを単位として労働者の教育訓練を行った場合の申請手続の簡略化や、費用に対する助成等の事務コスト軽減策、及び、深刻の度を増す来春新卒者の内定状況を踏まえた有給のインターンシップ制度創設や、倒産など雇用の激変によって生じる労働者の生活不安に的確に対処するため、内職等の従事者への見舞金支給も含めた未払い賃金の立てかえ払い制度の拡充などであります。
 いずれにしても、雇用不安の解消に不退転の決意で立ち向かおうという熱意のあかしは、既成の枠、概念にとらわれない実効性ある施策をいかに打ち立てられたかという、ごまかしようのない結果をもってはかられることになります。最悪の失業率、最低の有効求人倍率といった現状を踏まえ、また私たちの提案を含め、来年度の予算編成において、一層強力かつ充実した雇用創出、安定化施策とするための具体的手だてはあるのかないのか、はっきりしていただきたいと思います。
 行政改革については、中央省庁の再編が数合わせや機構いじりに終わってはならず、国民にとって必要な行政改革が行われなければなりません。不祥事が後を絶たず、行政への信頼が揺らいでいる中、情報公開法の制定は行政改革の根幹をなすものでありますが、総理は所信表明演説において一言も触れられておりません。総理の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 去る十一月十九日、地方分権推進委員会は、小渕総理に、公共事業のあり方の見直しを中心とする第五次勧告を提出しましたが、推進委員会の試案から大きく後退し、分権型社会の創造という目標から見て、大変残念な内容となっています。その原因の一つは小渕政権の消極的態度であり、それが地方分権に反対する各省庁と族議員の結託を許してしまったと言えます。
 省庁再編の基本中の基本である地方分権の推進が、このような結果となったことに対する総理の責任は重大であると考えますが、総理の地方分権に対する御認識と、小渕政権にとっての地方分権の位置づけについてお伺いをしたいと思います。
 総理、少しでも地方分権を進めようという意思があるのであれば、今後の地方分権推進計画に、直轄事業及び直轄公物の範囲の見直しの具体的内容の拡大や、統合補助金の対象事業の拡大を積極的に盛り込むべきではないでしょうか。また、第六次勧告は断念との声も聞こえますが、橋本前総理が要請したものの今回は勧告されなかった、国及び都道府県からの事務権限の移譲についてはいかがお考えであるか、総理の見解を求めます。
 総理は、日米関係は我が国外交の基軸とし、日米防衛協力のための指針関連法案等の早期成立、承認に議員各位の御理解と御協力をお願いしたいとのことでありましたが、我が党としては断じて容認するわけにはまいりません。
 なぜならば、周辺事態安全確保法案は、我が国周辺の地域という極めてあいまいな言い回しにより対象地域が限定されていないこと、後方地域の定義も極めてあいまいな定義であること、基本計画に活動実施の期間を規定する項目がなく、泥沼化を招く可能性があることなど、日米安保条約を範囲拡大し、アメリカへの軍事的協力を強化して、憲法九条違反、国民生活に重大な影響を及ぼすおそれなど、さまざまな問題点、疑問点があるからであります。(拍手)
 冷戦が終結しているのに、なぜ、政府は日米の二国間同盟の強化ばかりを急ぐのか。国民とともに歩む外交の推進を所信表明演説で提唱されている以上、総理は、抽象的な表現でなく具体的に説明していただきたいと考えます。
 日本は、二国間同盟の強化ばかり目の色を変えるのではなく、多国間安全保障機構の構築にこそエネルギーを費やすべきでないでしょうか。アジア太平洋の平和と安定を強調するならば、日本が提唱すべきは、ヨーロッパのように現在五十五カ国もの国が参加する欧州安全保障協力会議のアジア版の必要性を説き、その実現に努力すべきではないでしょうか。ヨーロッパ、アジアでは条件が異なることも事実です。しかし、障害を一つ一つ乗り越えてこそ、アジア太平洋の平和と安定が実現するものではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。(拍手)
 八月三十日の北朝鮮テポドンロケット発射以後、政府は、朝鮮半島エネルギー開発機構、いわゆるKEDOの経費負担決議への署名を見合わせていました。私は、KEDO設立の意義を考えますと、政府の対応が大変心配でありました。しかし、去る十月二十一日に、政府はKEDOへの協力再開を決め、理事会決議に署名しました。今後KEDOに対する政府の方針について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 また、政府は、この十月来日した韓国の金大中大統領から太陽政策について説明を受けたと聞いています。韓国が推進する太陽政策を日本政府として支持し、進めるべきと思うが、どのようにお考えか。さらには、日朝間の国交正常化交渉再開こそ急ぐべきではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 金大中大統領の日韓共同宣言には、九五年の村山総理談話を踏まえた日本の歴史認識を盛り込むことができ、一定の成果を上げました。しかし、このたびの中国の江沢民国家主席来日では、日中共同宣言に過去の侵略行為の反省とおわびが盛り込まれず、署名がされなかったことは、今後の日中関係を考えますと、残念でなりません。なぜこのような結果になったのか、総理の説明を伺います。
 先月の沖縄知事選では、我が党の推す現職候補が新人候補に敗れるという残念な結果となりましたが、在日米軍基地の整理縮小が沖縄県民の願いであることには変わりはありません。今後、八年間に及んだ大田県政と政府との間で協議された在日米軍基地の整理縮小や、全国平均をはるかに超える失業率に苦しむ沖縄県の振興策をどう継承されるのか。さらに、新たな県政のもとで、政府の基地対策や振興策に変化が出てくるのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、政治の信頼回復について触れたいと存じます。
 大胆に福祉、環境、情報など生活基盤型の公共投資を進め、雇用の確保と安定を促し、国民生活の安定を図ることができるか否かが、補正予算、ひいては臨時国会の重要課題であります。未曾有の経済危機の中で、我が国の進路を示し、政治の責任と役割が改めて問われています。それゆえに、政治が毅然としなければ、現下の危機を乗り越えることは困難であるということに言及せざるを得ないのであります。
 政治への信頼を取り戻すことこそが危機を脱する第一歩であることを改めて申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 中西績介議員にお答え申し上げます。
 まず、国連軍への参加についてのお尋ねでありました。
 我が国としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、積極的に寄与することが必要であると考えております。今後、国連総会または安保理の決議に基づき、国連から要請のあった場合の国連平和活動への参加のあり方につきましては、憲法の理念に基づき両党の間で十分議論してまいりたいと考えております。
 次に、自由民主党と自由党との合意についてでありましたが、国民生活安定などの重要課題と関連でお尋ねがございました。私の考え方を申し述べさせていただきます。
 この経済危機を乗り越え、国家の発展と国民生活の安定を図り、明るい未来を切り開いていくことがこの内閣の使命であり、また政治に課せられた最大の責務であると認識をいたしております。こうした政治に課せられた責任を全うするために、経済再生を初めとする必要な施策を適時適切に実行していくことが不可欠であります。
 しかるに、さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議の経緯は経緯としながらも、私としては、現下の難局を切り開き、国民生活の安定などの重要課題に真正面から取り組み、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形で政権運営、できればよりかたい形でともに政権に協力し合う形が望ましいと考え、そのための方策について真剣に模索をいたしてまいったところであります。
 こうした問題意識に立ち、自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを重ねた結果、私と小沢党首の間で、国家と国民のため、政権をともにし責任ある政治を行うことで合意いたしたところであります。
 以上、自由党との合意の経過や背景につき申し述べたところであります。御理解をお願い申し上げる次第であります。
 次に、防衛庁の背任事件についてお尋ねがございました。
 防衛庁では、徹底的に事実解明を行い、組織的な証拠隠しと受け取られてもやむを得ない事例等があり、また事案への取り組みも不十分な面があったこと等を内容とする報告を取りまとめるとともに、関係者の厳正な処分を行いました。さらに、装備品調達につきましては、透明性やチェック体制の問題があるとの認識のもと、事件の再発防止のため防衛調達改革の基本的方向を取りまとめたところであり、これを踏まえ、防衛調達の抜本的改善等に全力で取り組んでまいる所存でございます。事件の真相は、今後公判等で明らかにされると考えております。
 政治改革への取り組みについてのお尋ねがございました。
 企業や労働組合など団体献金の問題につきましては、政治資金規正法の改正によりまして規制が強化され、さらに改正法附則によりまして施行後五年を経過した場合の取り扱いが定められているところから、各党各会派で十分御議論いただくべきものと考えております。
 また、政治腐敗の防止につきましては、まずは政治家個人が厳しく身を律していくことが大前提であり、その上に立って各党各会派で十分御議論いただくべきものと考えております。なお、この関連で、さきに議員立法として御提案いただいておる政治改革関連法案につきましても、その早期成立を改めて期待いたします。
 次に、社会全体を覆っている腐敗や公私混同についてお尋ねがありました。
 政治、行政の面で、防衛庁の背任事件や同僚議員の政党助成金の不正使用疑惑など、まことに遺憾な事件が続いております。これらの事件につきましては、検察当局において厳正な捜査が行われているものと承知しておりますが、いずれにしても、公務員や政治家が厳しく身を律し、みずから職務を全うするよう強く求めるとともに、行政や政治が国民から十分な信頼を得られますよう、議員立法として御提案いただいております国家公務員倫理法案や政治改革関連法案の早期成立を改めて期待いたすところでございます。
 次に、緊急経済対策に御批判も交えながらお尋ねがございました。
 生活の先行きに対する国民の不安を解消する政策を講ずるべきであったと御指摘でありますが、今般の緊急経済対策におきましては、個人所得課税及び法人課税につきましての恒久的減税を行うことといたしております。また、失業者をふやさない雇用と起業を推進することを目標に掲げるとともに、貸し渋りや融資回収等による信用収縮に対する十分な措置を実施いたしてまいります。
 これらを含め、本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、いわゆる不況の環を断ち切って、国民の間に生まれている我が国経済社会の将来に対する不安感を払拭するため、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 また、福祉、環境、生活、情報通信に関する政策を進めるべきだったとの御指摘でありますが、今般の緊急経済対策におきましては、社会資本の整備につきまして、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野、具体的には情報通信、科学技術、環境、福祉、医療、教育などの分野に大胆に重点化することにいたしておりまして、御指摘のように、いわゆる従来型であるということでなく、ぜひ、今般御審議をいただきます第三次補正予算、御審議をいただきまして、新しい発想をもちましてこれを編成いたしておりますことを改めて御理解いただけるものと確信をいたしております。
 金融機関の貸し渋りの実態につきましてお尋ねでありましたが、最近の民間金融機関の融資動向を見ますと、貸出残高は依然として減少しており、また借入先の企業の側から見ますと、民間金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなったとする中小企業の割合が依然として高い水準にあるなど、厳しいものとなっております。政府といたしましては、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させ、健全な取引先に対し必要な資金供給が円滑に行われない事態が生ずることのないよう、金融機関の融資動向につきましても、引き続き十分注視をいたしてまいりたいと思っております。
 貸し渋り対策に関しまして、中小企業の金融環境の改善に対するお尋ねがございました。
 現在のところ、まだ多くの中小企業は厳しい金融環境に置かれております。このような中、先般決定をされました中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた施策につきましては、このような中小企業の皆様方に大いに利用していただいてきており、今後ともこれら施策を強力に推進してまいりたいと思っております。
 さらに、貸し渋り対策について、いわゆる貸し渋り、融資回収等による信用収縮を防ぎ、中小、中堅企業等に対する信用供与が確保されるよう、政府といたしましては、さきに決定をされました中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた措置を強力に推進するとともに、政府系金融機関の融資、債務保証制度の拡充、こうした緊急経済対策に盛り込まれた諸施策の着実な実施を図り、今後ともさらに貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、雇用政策につきまして、社会民主党の御提案の御説明をちょうだいいたしながらお尋ねをいただきました。
 緊急経済対策を迅速かつ効果的に実施し、百万人規模の雇用の創出、安定、政府といたしましてはこれを強く目指してまいります。とりわけ、雇用活性化総合プランに基づきまして、新規雇用創出、労働者の就職支援、ミスマッチの解消に全力で取り組み、国民の雇用に対する不安を払拭し、再び希望と活力にあふれた経済社会をつくり出してまいりたいと考えております。
 情報公開法についてお尋ねがございました。
 情報公開法は、国民に開かれた行政の実現を図るため重要な法律であると認識をしており、このことはこれまでも申し上げてきたところでありますが、今後とも与野党間で十分御論議をいただき、速やかに国会において成立させていただきたいと考えております。
 次に、地方分権推進委員会第五次勧告に関連をいたしまして、御指摘並びに御質問をいただきました。
 この地方分権についての中で最重要課題であります行政改革を推進し、簡素で効率的な行政システムを確立するためにも、地方分権を強力に推進していく必要があると考えておりますが、このため、五月に決定した地方分権推進計画の内容を踏まえた関連法案を次の国会に提出するなど、同計画を着実かつ速やかに実施してまいりたいと思います。
 新たな地方分権推進計画についてでございますが、地方分権推進委員会の第五次勧告は、直轄事業の見直し等につきまして、委員会の精力的な御審議を経ましていただいたものであり、これを最大限に尊重し、本年度内を目途にこれに対応する地方分権推進計画を作成する旨、本日閣議決定いたしたところであります。本年五月に決定した地方分権推進計画とあわせ、今後とも地方分権を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、国及び都道府県からの事務権限の移譲についてのお尋ねでありました。
 住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が処理するという方向で地方分権を推進していくことが重要であり、特に、基礎的な地方公共団体である市町村への事務権限の移譲に取り組むとともに、その成果を十分上げるため、地方公共団体の行政体制の整備、確立を積極的に支援してまいります。
 次に、ガイドライン関連法案に関しましてお尋ねがございました。
 まず、その意義についてでありますが、指針は、冷戦の終結後、アジア太平洋地域における平和と安定の維持が日本の安全のために一層重要になっていることにかんがみまして、より効果的な日米防衛協力関係を構築するために作成されたものであります。政府といたしましては、指針の実効性確保のための関連法案等が早期に国会で審議をされ、成立または承認されることを期待いたしております。
 次に、アジア太平洋地域における安全保障機構の構築に関するお尋ねでございました。
 私は、米国の存在と関与を前提とした上で、二国間及びARF等の多国間の対話の枠組みを重層的に整備し、域内諸国間の信頼醸成の促進と、これを通じた安全保障環境の向上を図っていくことが、同地域の多様性等の現状により適した対応であると考えております。
 次に、KEDOについてお尋ねがありました。
 KEDOは、北朝鮮による核兵器の開発を阻むための最も現実的かつ効果的な枠組みであり、KEDOの事業を進めることにより、北朝鮮に核兵器開発への口実を与えないようにすることが重要と認識しております。このような認識を踏まえ、我が国としては、今後とも米国、韓国との連携を図りつつ、KEDOの活動に取り組んでいく考えであります。
 次に、韓国が推進いたしております太陽政策を支持していくかということでございましたが、太陽政策と呼ばれる金大中大統領の対北朝鮮政策は、確固とした安保体制をしきつつ、和解と協力を積極的に進めるものと認識をいたしておりまして、我が国もこれを支持いたしておるところであります。申し上げましたように、金大中大統領は、安全保障に対する自国を守るための三原則を、しっかりこれを踏まえながらこうした政策を打ち出しておると認識をいたしております。
 私はまた、我が国は先般の北朝鮮のミサイル発射を受けて北朝鮮に対して毅然とした厳しい対応をとることとしており、北朝鮮との国交の正常化交渉の再開は当面見合わせておるところでございます。
 日中共同宣言についてのお尋ねがございました。
 政府の歴史認識は、九五年の村山内閣総理大臣談話のとおりであり、今回の共同宣言では、国交正常化以降の成熟しつつある日中関係を踏まえ我が国の認識を表明したもので、単純に韓国と比較することはできないと考えております。本宣言は、新たな協力関係を築く基礎として日中双方が高く評価いたしておるところでございます。
 なお、署名は双方とも当初より想定しておりませんで、このことは十一月二十八日の記者会見におきましても江沢民主席自身が明言いたしておるところでございます。
 最後に、沖縄の問題についてお尋ねがございました。
 政府と連携した経済対策の重要性や基地問題の現実的解決を訴えてこられた稲嶺恵一氏が今般沖縄県知事として当選されたことを、政府としては重く受けとめておるところでございます。
 こうした中で、沖縄県が直面する深刻な経済、失業の状況を直視した上で、効果的な振興策を速やかに実施するとともに、同県の協力と理解のもと、SACO最終報告を踏まえ、米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向け、今後とも強力に取り組んでまいる決意であります。
 以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
#19
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時九分散会

ソース: 国立国会図書館
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