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1998/12/04 第144回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第4号
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1998/12/04 第144回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第4号

#1
第144回国会 本会議 第4号
平成十年十二月四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  平成十年十二月四日
    正午開議
 第一 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 第二 日本開発銀行法等の一部を改正する法律案(大野功統君外四名提出)
     ―――――――――――――
  一 国務大臣の演説
     ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 日程第二 日本開発銀行法等の一部を改正する法律案(大野功統君外四名提出)
 宮澤大蔵大臣の財政についての演説及びこれに対する質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。地方行政委員長坂井隆憲君。
    〔坂井隆憲君登壇〕
#6
○坂井隆憲君 ただいま議題となりました市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案についての趣旨弁明を申し上げます。
 市町村合併に関しては、従来からその推進の必要性が指摘されてきましたが、最近では、地方分権の進展などの新たな情勢を背景に、市町村の行財政基盤の充実強化や行政の効率化を図るために、市町村合併が必要であるとの意見が高まってきております。
 御承知のとおり、町村が市となるための人口要件は、地方自治法において、人口五万以上を有することとされておりますが、この要件は昭和二十九年の改正により三万以上から五万以上に引き上げられたものであります。その後、数次にわたり人口要件を緩和する特例措置が講じられた経緯がありますが、現在では、市となるためには、人口五万以上の要件が絶対的となっているのであります。
 さて、現在の市の人口規模を見ますと、人口五万以上のもの四百四十九、四万以上五万未満のもの六十九、三万以上四万未満のもの八十三という状況であり、また三万未満の市も六十九存在しております。
 市と町村では、議員や監査委員の定数、社会福祉関係の事務等に関し差異があることなどから、市となることについての住民の要望は強く、合併を行う際のインセンティブとなるのでありますが、現行の人口要件を満たすことが難しい場合もあると思料されるのであります。
 以上のことから、地方分権の受け皿となる市町村の基盤強化を図り、市町村合併を推進していく一助とするために、合併が行われる場合に限り、市となるべき人口に関する要件を四万以上に緩和する必要があり、本案を提出することとした次第であります。
 以下、その内容について申し上げます。
 本案は、平成十七年三月三十一日までに市町村の合併が行われる場合に限り、合併後の普通地方公共団体が市となるべき人口に関する要件を四万以上としようとするものであります。
 本案は、昨三日地方行政委員会におきまして全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。
 何とぞ速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本開発銀行法等の一部を改正する法律案(大野功統君外四名提出)
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、日本開発銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長村井仁君。
    〔村井仁君登壇〕
#10
○村井仁君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、現下の経済情勢にかんがみ、金融機関のいわゆる貸し渋り等による信用収縮を防ぎ、中堅企業等に対する信用供与を確保するため、日本開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の機能を適切に活用できるよう、時限的措置として所要の法的措置を講ずるものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、企業の資金需要に機動的に対応すべく、長期運転資金の融資等を本格化することにしております。
 第二に、今後見込まれる社債の大量償還に適切に対応できるよう、社債償還資金の融資等ができることにしております。
 第三に、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫について、転貸資金の貸し付けを可能とすることにしております。
 また、その他所要の措置を講ずることにしております。
 本案は、昨十二月三日、提出者大野功統君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、内閣の意見を聴取した後、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 今般、さきに決定されました緊急経済対策を受けて、平成十年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました緊急経済対策について申し述べます。
 最近の経済情勢を概観いたしますと、公共投資には前倒し執行等の効果がようやくあらわれてきたものの、民間需要は低調な動きとなっており、このため、生産は低い水準にあり、雇用情勢も依然として厳しく、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にございます。
 政府としては、こうした経済の現況を踏まえ、金融システムの再生と景気回復を最優先課題として取り組んでおります。
 こうした中で、先般、現下の厳しい経済情勢から早急に脱却し、内外の信頼を回復するため、総事業規模十七兆円超、恒久的減税を含めれば二十兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を決定いたしました。
 本対策におきましては、経済全体にとって、いわば動脈ともいうべき役割を担う金融システムを再生することが日本経済再生のためにはまず必要との認識のもと、金融システムの安定化と信用収縮の防止に取り組むことといたしております。
 具体的には、金融システム安定化策として、先般成立した金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする、新しい枠組みに基づく制度の実効ある運用等を図ることとしております。また、信用収縮を防ぐため、中小、中堅企業等に対する信用供与が確保されるよう、先般閣議決定されました中小企業等貸し渋り対策大綱に基づく施策の推進に加えて、日本開発銀行等の融資、保証制度の拡充のほか、信用保証協会等による新たな信用保証制度の導入等を行うこととしております。
 あわせて、二十一世紀型社会の構築に資する景気回復策として、まず、緊急に内需の拡大を図るため、省庁横断的に実施する二十一世紀先導プロジェクト、生活空間倍増戦略プラン及び産業再生計画も踏まえ、二十一世紀を展望した社会資本の重点的な整備を進めることとしております。また、住宅投資の現状にかんがみ、住宅投資促進策を講ずるとともに、早急な雇用の創出及びその安定を目指し、雇用対策を行うことといたしております。さらに、個人消費の喚起と地域経済の活性化を図るため、地域振興券を交付することといたしております。
 また、世界経済リスクへの対応に際しての我が国の役割の大きさを踏まえ、我が国と密接な相互依存関係にあるアジア諸国の実体経済回復の努力を支援するため、アジア支援策等を実施することといたしております。
 次に、税制について申し上げます。
 個人所得課税につきましては、平成十一年以降、所得税の最高税率を三七%に引き下げることなどにより、国、地方を合わせた最高税率を五〇%に引き下げ、これに定率減税を組み合わせることにより、四兆円規模の減税を実施することといたしております。
 法人課税につきましては、平成十一年四月以降開始する事業年度から、法人税の基本税率を三〇%に引き下げること等により、国、地方を合わせた実効税率を四〇%程度へ引き下げることといたしております。
 その際、地方財政の円滑な運営に十分配慮する観点から、これらの恒久的な減税の実施に伴う当分の間の措置として、国のたばこ税の税率引き下げと同額の地方たばこ税の税率引き上げ、法人税の交付税率の上乗せ、地方特例交付金などの措置を講ずることといたしております。
 政策税制につきましては、現下の厳しい経済情勢に対応するため、景気回復に資するよう、住宅建設、民間設備投資等、真に有効かつ適切なものについて、早急に具体案を得るよう、精力的に検討を進めております。
 これらの税制改正を具体化する法案は、次の通常国会に提出することといたします。
 次に、財政構造改革法の凍結について申し述べます。
 財政構造改革法については、財政構造改革を推進するという基本的考え方は守りつつ、まずは景気回復に向けて全力を尽くすため、これを当分の間凍結することとし、そのための法案を提出したところであります。
 次に、今般提出いたしました平成十年度補正予算の大要について御説明いたします。
 平成十年度一般会計補正予算については、歳出面において、緊急経済対策関連として、信用収縮対策等金融特別対策費二兆千四百二十四億円、二十一世紀を展望した社会資本整備及び災害復旧等事業費三兆九千六百一億円、地域振興券七千六百九十八億円、住宅金融対策費千九百億円、雇用対策費千二百四十六億円並びにアジア対策費五百十億円を計上するとともに、地方交付税交付金四千億円を計上することとしております。このほか、義務的経費の追加等、特に緊要となったやむを得ない事項について措置するとともに、既定経費の節減及び予備費の減額等を行うこととしております。
 他方、歳入面におきましては、租税及び印紙収入について、最近までの収入実績等を勘案して、六兆八千八百四十億円の減収を見込むとともに、その他収入の増加を見込んでもなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として、十二兆三千二百五十億円の公債の追加発行を行うこととしております。なお、追加発行する公債のうち、四兆五千百五十億円が建設公債、七兆八千百億円が特例公債となっております。今回の措置により、平成十年度の公債発行額は三十四兆円となり、公債依存度は三八・六%となります。
 これらの結果、平成十年度一般会計第三次補正後予算の総額は、第二次補正後予算に対し歳入歳出とも五兆六千七百六十九億円増加し、八十七兆九千九百十五億円となります。
 以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うことといたしております。
 財政投融資計画については、緊急経済対策を実施するため、この補正予算において、日本開発銀行、日本輸出入銀行等十六機関に対し、総額二兆四千四百二十五億円を追加することといたしております。
 以上、平成十年度補正予算の大要について御説明いたしました。
 何とぞ、関係の法律案とともに、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#15
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。玉置一弥君。
    〔玉置一弥君登壇〕
#16
○玉置一弥君 私は、民主党を代表して、宮澤大蔵大臣の財政演説に関連し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 昨年来の景気低迷に対する政府の対応は、財政構造改革法の成立を強行し、平成十年度予算は緊縮財政型予算でスタートするなど、景気に対する現状認識の甘さから、まさに政策の失敗の上塗りで、国内景気をますます悪化させてしまいました。また、バブル崩壊の原因をつくったのも政府の政策判断のミスですが、それ以降に発生した不良債権問題を放置し、低金利政策で生き長らえようとした結果、今日の金融機関の経営体質の悪化から、一部金融機関の破綻、金融不安となっています。
 今、私たち政治家が国内外のどんな会合に出ても、金融不安解消と景気回復に話が集中していて、政府の景気対応のおくれが指摘され、信用もどんどん低下している現状であります。
 そこで、まず、政府の政策の失敗の責任の所在と、そのとり方について、総理にお伺いいたします。
 本年七月の参議院選挙で自民党が国民の批判を受け敗北し、橋本政権から小渕政権へかわったことは、橋本前総理が責任をとられたのはわかりますが、自民党政権の中でのたらい回しとしか国民には映らず、政府・自民党としての責任はどのような形であらわされるのか、明快にお答え願います。(拍手)
 緊急経済対策についてお伺いをいたします。
 政府は、十一月の十六日に事業規模約二十四兆円の緊急経済対策を発表し、これによってGDPを二・三%押し上げ、平成十一年度はプラス成長が実現するとしていますが、従来型の公共事業が主体で、個人消費や民間の設備投資拡大につながるような内容にはなっていません。また、今回の補正予算には、私たち民主党と他の友党がそろって要求していた所得税、法人税の減税が含まれておらず、国民の期待にこたえたものではありません。
 総理、大蔵大臣にお伺いいたします。
 今回の補正予算における公共投資八・一兆円、住宅投資一・二兆円、貸し渋り対策五・九兆円による経済効果として、GDPをそれぞれどの程度押し上げるのか。また、減税を平成十一年に先送りしていますが、国民の消費マインドに影響し、実施されても効果が薄れると思うのですが、どうぞお考えをお聞かせください。また、減税の実施の規模と期日を明快にお答えください。本年だけでも数回に上る経済金融対策を実施されていますが、投下された金額とその効果についてお答えください。
 次に、新規事業活性化策についてお尋ねいたします。
 今、日本社会は未曾有の雇用不安に直面しており、新しい付加価値が創造され、雇用が創出されるための対策が不可欠であります。中長期的に新規事業、ベンチャー企業育成策に取り組むことが不可欠ですが、廃業率が開業率を上回る現状において、新規事業だけで必要な雇用を確保することは困難であります。即効性のある景気対策として、過剰設備、過剰雇用に悩む製造業を念頭に置いて、既存技術や労働力の新規分野への進出を促す政策を集中的に実施すべきだと考えます。
 今回政府が提出した新事業創出促進法案において、既存企業の分社化に対応した産業基盤整備基金の債務保証制度の創設などが盛り込まれていますが、こうした措置が一層拡充されるべきであります。さらに、中小企業新分野進出等円滑化法、特定事業者事業革新円滑化法を抜本的に強化し、関連する融資、補助金、税制措置等を充実することが不可欠と考えます。また、MアンドAによる中堅、中小企業の新分野進出を促進して、廃業、清算を回避し、他社に経営や雇用維持を引き継がせる施策も重要であります。
 以上の提案にどう政府はこたえるのか、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、金融ビッグバン後の我が国金融市場のビジョンについてお尋ねをいたします。
 今月からいわゆる金融ビッグバン法が施行されました。銀行による投資信託の窓口販売が解禁になるなど、千二百兆円とも言われている個人金融資産をめぐって、外資系も含め、金融機関による大競争が始まります。しかしながら、我が国の金融機関は、いまだに不良債権の重荷から逃れられず、しかもその重荷はますます重くなるばかりであります。
 公的資金を注入してまで金融機関を支えなければならない状況の中で、今までの不動産担保でしか融資ができず、借り手や投資先の将来性、収益性、技術力等の分析、評価もできなかった国内の金融機関が、対外的に信用度を落とした状況の中で、重荷のない外資系金融機関と、金利の競争も含め、正面から勝負ができるのか、甚だ疑問であります。
 金融ビッグバンに方針の変更があるのか、今後の我が国の金融市場がどのように変化すると考えているのか、総理及び大蔵大臣の御認識と判断をお聞かせください。
 次に、公共投資のあり方についてお尋ねをいたします。
 政府が策定した緊急経済対策の社会資本整備事業は、四月の総合経済対策と同じ規模でありますが、地方の財政状態は危機的状態であり、この四月分の事業が現在でも円滑に消化できていません。一次補正予算で追加された分は、十月末で契約率が二五%というありさまであります。このような未消化の最大の理由は、地方財政の危機的状態にあります。最近相次いで財政危機宣言を行った東京、大阪、愛知、神奈川の四都府県だけで我が国の行政投資の四分の一を占めます。
 地方財政は、過去五年間、毎年七兆円前後と大幅な財源不足が続いております。平成十年度は、特別減税分七千六百億円の減収が上積みされる状況であります。バブル崩壊以降、数次にわたって実施された景気対策の一環としての公共事業の財源を補うため、近年地方債が大幅に増発されたり、地方交付税特別会計からの借り入れなどで、平成十年度末では借入金合計は百六十兆円に達する見込みであります。
 また、今回の経済対策における一般公共事業の地方負担分はすべて地方債で負担をするということでありますが、既に公債費負担比率が警戒ラインである一五%を超えている団体が全体の五六%、千八百四十七団体という異常な状況であり、これ以上地方に地方債の発行を強いることは、自治体を強制的に倒産させる羽目になりかねません。
 政府として、景気対策の地方財政負担を支援するために、消費税財源の配賦を現行地方財政分一%相当を二%相当に引き上げることや、特例交付金の上積みを考えるべきと思いますが、どうお考えか、また、今のままの地方財源で今回の経済対策が迅速に実施できるとお思いか、大蔵大臣、自治大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、雇用問題についてお尋ねいたします。
 雇用不安の深刻化に早急に歯どめをかけ、大胆な雇用創出策を実施することは、景気対策の最も重要な柱の一つであります。まず総理から、今回の百万人雇用創出の具体的積算根拠をお示しいただきたいと思います。
 雇用保険の失業給付積立金は、この三年ほどの雇用情勢の悪化によって急速に取り崩されておりますが、一方、過去の状況から平成五年度以降は保険料軽減措置が実施され、本年度からは国庫負担率の切り下げ措置も行われております。雇用情勢が戦後最悪の事態を迎え、現在のようなときのために積立金はあるのではありませんか。景気回復後に保険料軽減措置等を見直し、財源安定化を図るという方針を明確にした上で、今は、何よりも雇用不安解消のために、積立金を使い切る覚悟で思い切った施策を講じることが必要と考えます。総理並びに労働大臣の御所見をお聞かせください。
 不況及び産業構造変革に対応するためには、地域間、産業間、企業間での労働力需給調整機能を強化し、情報収集とともに、雇用創出、労働移動が円滑に行われるよう支援する必要があります。政府関係機関と各産業の労使並びに地方自治体との連携をどのようにお考えか、総理並びに労働大臣、自治大臣にお伺いをいたします。
 次に、税制問題についてお尋ねをいたします。
 民主党は、活力ある経済活動へのインセンティブを与えるために、すべての課税所得層を対象に、所得税率を一律に二割程度引き下げるとともに、中所得者層の負担緩和を考慮して、最低税率区分の上限を現行の課税所得三百三十万から四百万円に引き上げることを提案しております。その際には、言うまでもなく、納税者番号制度の導入による所得税の総合課税化について、きちんと実施の方向と時期を明確にすることが不可欠の大前提であります。
 また、地方財政破綻を招く住民税減税については反対であり、当面の減税は基本的には国税の範囲内で国の負担によって行うべきであると主張してまいりました。
 民主党は、所得税減税と同時に、所得税の扶養控除の見直しとセットで児童手当を抜本的に拡充した子供手当を創設すること、さらに基礎年金国庫負担率二分の一への引き上げによって保険料を直ちに引き下げることを提案いたしております。また、先般の参議院選挙では、育児休業給付を現行の二五%から六〇%に引き上げる提案を行いました。
 これは、小手先の景気対策よりも、しっかりとした社会的セーフティーネットを確立することで、生活不安の解消を図ることが景気対策上最も不可欠と考えるからであります。
 数日ほど前になりますが、自民党内の有志議員の皆さんも、民主党の主張に共鳴してか、少子化対策として、育児休業給付の引き上げや児童手当の対象年齢拡充などに取り組むとのお考えをまとめられたようであります。税制だけでなく、こうした社会保障や雇用政策上の措置とのパッケージで、将来不安解消のビジョンを示すことが極めて重要だと考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 また、政府がこれまで繰り返し答弁していることに関連し、子育ての全期間を通じ、三歳未満児の経済的負担が一番大きいという実態認識の具体的根拠、英独仏など欧州諸国における児童手当の対象年齢、給付額の水準と我が国の制度との比較について御説明をいただきます。
 財政構造改革法の凍結についてお尋ねをいたします。
 冒頭に述べたように、昨年十一月、大型金融機関の破綻が続く中で、時の橋本内閣は財政構造改革法の成立を強行しました。その後も野党は、景気降下の状況の中で、政府の政策の転換を迫り、財革法を凍結し、景気対策の拡充と財政再建へのビジョンを明確にするよう政府に要求してまいりました。
 なぜ景気が悪くなってから財革法なのか。ことしの通常国会冒頭から財革法凍結が野党統一した要求であったのに、なぜ一年も引っ張ってきたのか。財革法実施のために福祉や社会保障関係の費用まで削減されてしまいましたが、今回の補正予算に復活された様子もありません。これらの費用はこれからどう扱われるのか。また、金融不安と景気対策のために膨大な費用が投下され、すべて公債として将来の負担になりますが、将来の国民の税、社会保障の負担率はどのように変化し、それぞれ何%ぐらいが我が国にとって上限なのか。総理、大蔵大臣にお伺いいたします。
 最後に、今、我が国の危機的状態であることを民主党初め野党の議員も十分に認識し、政府・与党に対し積極的な提言も行い、審議については迅速な対応を心得ているところであります。政府・自民党も、一部の人に頼るだけでなく、素直に野党全体に協力を求めるべきだと思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 玉置一弥議員にお答え申し上げます。
 まず、参議院選挙の結果につきまして、政府・自由民主党の責任についてお尋ねがございました。
 参議院選挙において示されましたのは、国民が、何よりもまず我が国の経済情勢を極めて深刻に感じ、その一日も早い回復を願っておることであるということでありました。
 私は、こうした国民の声を真正面から受けとめ、この内閣を経済再生内閣と位置づけ、さきの臨時国会における金融システムの安定化や緊急経済対策を取りまとめるなど、内閣の先頭に立って全力で取り組んできておるところでございます。私は、国家的危機ともいうべき非常の事態におきまして、経済再生を初めとする諸課題にこうして全身全霊で取り組んでいくことこそが、政府・与党として国家国民に対する責任を全うする道であると確信をいたし、努力をいたしてまいる考えであります。
 緊急経済対策の経済効果につきましてお尋ねがありました。
 本対策では、まず金融システムの安定化、信用収縮対策により、金融システムが健全に機能する基盤を整えることといたしております。また、即効性、波及性、未来性の三つの観点を重視して取りまとめました景気回復策を実施することといたしております。このうち、社会資本整備及び所得課税減税等による今後一年間のGDPへの効果は、名目二・五%程度、実質二・三%程度と試算されます。このほか、住宅投資の促進策、雇用対策、法人課税減税等により、景気回復に大きな効果があるものと期待いたしております。
 減税の効果及びその実施の規模と期日についてのお尋ねでありました。
 個人所得課税につきましては、既に本年四兆円の特別減税を実施いたしております。法人課税につきましては、本年四月以降、税率の引き下げが行われております。
 さらに、個人所得課税及び法人課税の恒久的減税につきましては、私が夏の所信表明演説で申し述べましたとおり、法案を来年の通常国会に提出し、このうち所得税につきましては、来年一月にさかのぼって実施いたしてまいりたいと考えております。また、法人課税につきましては、我が国企業の国際競争力の発揮といった今回の見直しの趣旨や、既に本年四月から税率引き下げを実施していることなどを勘案すれば、さらなる税率引き下げは、平成十一年四月一日以後開始する事業年度から実施することといたしております。
 その効果につきましては、六兆円超という大規模な減税を、一時的でなく、期限を定めず継続して実施いたしていくことから、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えます。また、景気回復に資するよう、真に有効かつ適切な政策減税につきましては、精力的に現下検討させていただいておるところでございます。
 本年中に実施している経済対策についてのお尋ねでありますが、四月に取りまとめました総合経済対策は、事業規模が十六兆円超、このうち、国と地方の減税や社会資本整備の財政負担が十二兆円程度の規模でありまして、現在その効果があらわれてきておるところであります。
 また、今般取りまとめました緊急経済対策は、総事業費十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めますと二十兆円を大きく上回る規模であります。これを受けまして編成された第三次補正予算は、国及び地方の財政負担が十兆円を超える規模のものであります。
 これらの対策は、短期的に十分な需要を喚起するとともに、供給サイドの体質強化を図るための構造改革を進めることから、景気回復に大きな効果をもたらし、我が国経済を厳しい状況から脱却させるものと考えております。
 次に、金融対策についてのお尋ねがございました。
 さきの国会におきまして、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みが整えられ、それぞれ十八兆、二十五兆円の政府保証枠が措置されたところでございます。それぞれの制度の適切な運用が図られることを期待されるところであります。
 産業、特に製造業の問題に造詣の深い玉置議員から、新規事業やベンチャー企業育成等に加えまして、既存の企業の活性化にも大いに意を用いるべしとの御主張がございました。
 私も同じ問題意識を持っておりまして、私が提唱いたしております産業再生計画の構想の中でも、こうした点を盛り込ませていただいておるところであります。こうした観点を踏まえまして、政府としては、今国会に、既存企業の分社化に対応した債務保証の創設などを含む新事業創出促進法案を提出いたしておりまして、その速やかな御審議をお願いいたす次第であります。また、中小企業新分野進出等円滑化法につきましては、中小企業の経営課題に適応するため、抜本的な見直しを検討いたしておるところであります。
 次に、MアンドAによる新分野進出促進などについてお尋ねがございました。
 MアンドAは、中小、中堅企業にとり新分野進出の有効な手段であるとともに、経営が悪化しておる中小、中堅企業の経営資源が継承される意義もあると認識をいたしております。政府といたしましては、MアンドA促進のための普及啓蒙活動を行っておるところであり、今後とも、MアンドA普及のための環境整備を行ってまいりたいと考えております。
 次に、金融ビッグバンの方針に変更があるかとのお尋ねでありましたが、市場規律と自己責任原則を基軸とする金融システム改革の方針には変更はございません。また、今後の金融市場におきまして、各金融機関が、改革による新たな枠組みの中で、得意分野への重点化など創意工夫を発揮し、競争力の強化を図っていくことが期待され、また、改革の着実な進展によりまして、利用者の多様なニーズを満たし、安心して取引のできる金融市場が構築されるものと考えております。
 雇用問題につきましてでありますが、労働大臣からもお答えがあろうかと思いますが、特に、雇用の創出、安定策につきましてであります。
 今回の緊急経済対策におきましては、百万人規模の雇用の創出、安定を目指しておりまして、一定の前提を置いて計算いたしますれば、対策実施後一年間で三十七万人以上の雇用創出効果が見込まれます。このほか、雇用活性化総合プランによるミスマッチの解消や、雇用維持等の雇用安定効果を試算いたしますと、六十四万人程度となります。
 雇用保険に関するお尋ねでありましたが、今般、雇用活性化総合プランにおきまして、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充等のため、積立金を取り崩すほか、雇用安定資金等も活用して雇用の創出、安定のための積極的かつ総合的な対策を講ずることといたしております。雇用保険の給付につきましては、雇用面におけるセーフティーネットとして将来にわたり十分な役割を果たすよう、適切な制度運営に努めてまいります。
 さらに、雇用対策に当たりまして、関係機関の連携についてのお尋ねがございましたが、これまで、政府内では産業構造転換・雇用対策本部を、労使との間では政労使雇用対策会議を、地方公共団体、地方経済団体との間では地域産業・雇用対策推進協議会を設置いたしまして、実効ある雇用対策について意見交換を行うなど、密接に連携してまいりました。今後とも、これら関係省庁、団体間で十分に連携を図りつつ、雇用対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、少子化対策について、将来の不安を解消するビジョンを示すべきであるという御指摘がございました。
 少子化対策につきましては、子育ての社会的支援を総合的かつ計画的に進めていくため、エンゼルプランに基づき、雇用環境の整備、保育サービスの充実、経済的負担の軽減など、各般にわたる施策を実施しておるところであります。私の主宰する少子化への対応を考える有識者会議での議論も踏まえ、引き続き施策の推進を図り、国民の将来不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童手当についてのお尋ねがありました。
 我が国で支給対象を三歳未満としておりますのは、この時期が人間形成の基礎となる極めて重要な時期であることなどを勘案したものであります。
 また、英独仏などの比較につきましては、児童手当との関連性の多い賃金の構造や、税制上の扶養控除などの違いを念頭に置く必要がありまして、単純に比較することは適当でないと考えられますが、我が国の児童手当が第一子及び第二子に月額五千円、第三子以降一万円である一方、英独仏などではおおむね一万円から二万円程度でありまして、その支給対象は原則十六歳から十八歳までで、学生の場合には延長があるわけでございます。
 財政構造改革につきまして、野党が凍結を主張いたしておりましたのに一年も引っ張ってこられたという厳しい御指摘でありますが、少子・高齢化が進む我が国において、将来社会、世代のことを考えますと、財政構造改革の実現は重要な課題であります。ただ、景気の低迷が長引く現下の経済情勢にかんがみますと、まずは景気回復に全力を尽くすことが何よりも肝要と考え、今般、財政構造改革を推進するという基本的考え方は守りつつも、財政構造改革法を当分の間凍結することとし、そのための法案の御審議をお願いいたしておるところであります。
 今後の社会保障関係の費用の取り扱いにつきましてでありますが、第三次補正予算におきましては、新ゴールドプランの推進を初め福祉、医療分野を主要な柱の一つといたしておるところであります。今後の社会保障につきましては、給付と負担の増大が見込まれます中で、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しつつ、制度の効率化や合理化を進めるなど、年金制度の改革、医療制度の抜本的改革など、社会保障構造改革に引き続き取り組んでまいります。
 次に、将来の税、社会保障等の負担率についてのお尋ねでありましたが、租税負担率、社会保障負担率を合わせた国民負担率の水準は、究極的には、国民が必要とする公共支出の水準と表裏をなすものであり、受益と負担のバランスを眺めつつ、その時々の情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事項であることから、両者の将来の水準を定量的にお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにせよ、国民負担率は、今後の少子・高齢化の進展に伴いまして、長期的にはある程度上昇していくことは避けられないと見込まれますが、経済の発展、社会の活力を損なわないよう、極力その上昇を抑制する必要があると考えております。また、世代間の公平という観点からも、将来世代への負担の先送りとなる財政赤字につきましても、できる限りこれを抑制していく必要があると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理が御答弁になられましたので、残りを拾ってお答え申し上げます。
 税のことでございますが、御承知のように、今年の個人所得につきましては四兆円の特別減税がただいま実施され、進行しておるわけでございますし、法人課税は四月から税率の引き下げが行われておるわけでございます。したがいまして、明年の減税につきましては、個人所得については平成十一年分一月一日から、法人につきましては四月に始まる年度から、こういうふうに整理をしておるわけでございます。
 それから、ビッグバンの問題は、確かに、御指摘がございましたように、ビッグバンが始まりますときに、我が国の金融機関がいろいろな意味で不良債権を持ったり手傷を負ったりいたしておりまして、かつては一、二の金融機関はすぐにでも国際的なチャンピオンになるかと思っておりましたが、どうもなかなかそういうふうでもございません。確かに出おくれております。ただ、我が国がこれだけ高い貯蓄率を二十一世紀に向かって維持できますならば、必ず日本の金融機関は国際的な活躍をする場を持つだろうということは期待をいたしておるわけでございます。
 それから、国内的に申しまして、これからの変化は、やはり新しい商品が出て、銀行が自分の得意な分野で活躍をするということになっていかなければならないと思いますが、同時に、各銀行がみんな八%の資本を持って国際的な舞台で仕事をする、これは事実上無理なことでありますし、また入り用もないことのように思われますので、この点は特化してまいるのではないかと思います。
 それから、地方財政は、確かに、私も自治大臣からよく伺いまして、地方財政が非常なピンチにありますことを十分納得いたしました。
 ただ、消費税のことでございますけれども、この消費税の将来について各党いろいろ今御議論の最中でございますから、地方にどうこうということは、今のところはちょっと差し控えた方がいいと思っております。ただ、今、消費税収の地方への配分割合は、事実上四三・六%になっておるわけでございます。
 ただ、このたびの減税案等々のことで自治大臣といろいろ御相談をいたしましたが、地方財政の状況は玉置委員の御承知のとおりのことでございますので、このたびの措置といたしましては、法人税の交付税率を上乗せいたしました。また、たばこ税の一部を地方にお渡しする、あるいはまた富裕団体について地方特例交付金の制度を臨時に設ける等々のことをいたしておりまして、できるだけの配慮をしておるつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#19
○国務大臣(甘利明君) お答えいたします。
 まず、雇用保険に関するお尋ねでありますが、今般策定をいたしました雇用活性化総合プランにおきまして、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充を図りますとともに、受給者増に対応すべく失業等給付の増額を図ることといたしまして、そのための財源を措置するための積立金の取り崩しを行うことといたしております。
 この措置を含めまして、雇用活性化総合プランにおきましては、雇用安定資金等の活用もすることによりまして、雇用の創出、安定のための積極的かつ総合的な対策を講ずることといたしております。
 雇用保険の給付につきましては、失業中の生活の安定及び就職の促進を図るためのセーフティーネットとして、将来にわたり十分な役割を果たしていくことができるように、適切な運営に努めてまいります。
 次に、雇用対策に当たっての関係機関との連携についてのお尋ねであります。
 既に総理からお答えがありましたように、政府におきましては産業構造転換・雇用対策本部、政労使におきましては政労使雇用対策会議、そして地方におきましては地域産業・雇用対策推進協議会を設置いたしております。これらの会議におきまして、情報交換であるとか、あるいは実効ある雇用対策についての意見交換をしっかりとしていきたいというふうに考えております。今後とも、関係省庁、団体とも十分に連携を図りまして、雇用対策を迅速かつ効果的に推進してまいります。(拍手)
    〔国務大臣西田司君登壇〕
#20
○国務大臣(西田司君) 玉置議員にお答えいたします。
 まず、景気対策に伴う地方財政負担に対する措置についてのお尋ねでありますが、ただいま大蔵大臣からもお触れいただきました。国においても、極めて厳しい財政事情のもとで、たばこ税の一部の地方への移譲、交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設により地方税の減収総額の四分の三をカバーするという、できる限りの措置を講ずることとしたものであり、ぜひ御理解を願いたいと思います。
 また、経済対策の地方団体における実施見込みについてのお尋ねでありますが、関係省庁において予算の執行手続を可能な限り早めるとともに、それぞれの地方団体の意向等もよく踏まえて、適切に対処していただくことといたしております。
 自治省といたしましても、地方財政は極めて厳しい状況にあることから、臨時異例の措置として交付税を増額することとするなど、地方財政の運営に支障が生じないように適切に対処することとし、事業への速やかな対応と円滑な実施について、でき得る限り協力していただくよう要請をしておるところであります。
 次に、雇用対策についてのお尋ねでありますが、これは地方行政にとっても極めて重要な課題であり、自治省としては、これまで地方交付税措置等を通じ、地方団体の雇用対策への幅広い取り組みを支援してまいっております。また、今回の緊急経済対策に盛り込まれている公共事業に係る地方負担に対しても所要の地方財政措置を講じ、その円滑な実施を期することといたしております。
 今後とも、雇用創出や労働力需給調整に関し、関係省庁と十分に連携を図りつつ、地方公共団体の取り組みを積極的に支援していただくように進めていく考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(伊藤宗一郎君) 森山眞弓君。
    〔森山眞弓君登壇〕
#22
○森山眞弓君 私は、自由民主党を代表して、宮澤大蔵大臣の財政演説に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 我が国経済は、金融システムに対する懸念や雇用不安などから、先行きに明るい期待感が持てず、国民や企業の気持ちが萎縮してしまい、低迷状態が続いております。世界第二の規模である我が国経済のこうした状況は、単に我が国のみならず、アジア地域の安定にとっても、さらには世界経済全体にとっても重大な問題であります。
 このような危機的状況を考えると、できるだけ迅速な最大限の対応が必要であります。小渕総理は、この極めて厳しい経済の状況から脱却し、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう、内閣の命運をかけて全力を尽くすとの覚悟を持って、政権発足以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してこられました。
 さらに、このたび、百万人規模の雇用の創出、安定を目指して、総事業規模にして十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めれば二十数兆円という緊急経済対策を取りまとめられました。今後は、この対策を早急に実行しなければなりません。そのためには、まず平成十年度第三次補正予算を一日も早く成立させ、国民が安心して生活できるようにする必要があります。
 まず、今回の第三次補正予算に緊急経済対策がどのように反映されているか、大蔵大臣にお伺いします。
 次に、中でも、国民にとって切実な雇用の問題についてお尋ねします。
 このところ、完全失業率が四・三%と、過去最高の水準で推移しております。特に、中高年労働者については、企業のリストラ等による離職が増加しており、再就職も大変難しい状況であります。さらには、いろいろな理由で、失業手当の受給資格がない中高年求職者も少なくありません。こうした中高年者の再就職を促進するためには、これまでの経験等を生かしつつ、新たな職場環境に対応した能力を開発するため、体系的な職業訓練を実施することが緊急に必要であります。
 政府においても、公共職業訓練校等の公共の施設を中心とした訓練の拡充など、懸命に対応しているのは承知しておりますが、職業訓練を希望する者、必要とする者はふえる一方であります。公共の施設による受け入れだけでは限界があり、到底間に合いませんので、我が党としては、民間の専修学校や各種学校等を積極的に活用して、訓練の受け入れ枠を拡大することを強く求めました。
 今回の緊急経済対策においては、雇用活性化総合プランが実施されるとなっておりますが、このプランの中で、再就職のための能力開発に関する取り組みが具体的にはどのようになっているのでしょうか。
 また、これらの措置は当然女性失業者にも同じように行われると思いますが、例えば、夫が失業したので久しぶりに就職を考えるという中年の女性や、幼い子供を抱えた母子家庭の母親など、女性の場合は一段と不利な、難しい条件が重なります。このような女性たちには、何らか特別の配慮をしていただいているのでしょうか。労働大臣にお伺いいたします。
 また、失業率の高い中高年層は、一方で子供の教育費の負担が大きい世代でもあります。雇用不安ということは、いわゆる一流企業のホワイトカラーや、管理職と呼ばれる人々も決して例外ではありません。厳しい情勢を反映して、高校生、大学生等の中に授業料が払えないために退学する、進学をあきらめるというケースが目につくようになってきました。各種の奨学金制度がありますが、十分ではありません。学生が親の経済状況を心配することなく学業を続けることができる手だてが必要です。
 たしか、去る三月、アジアの経済危機に当たって、韓国、タイ、インドネシア等から我が国へ来ている私費留学生に対し、一時金として一人五万円を六千人、計三億円を支給し、緊急援助したことを記憶していますが、今や我が国自身の学生たちの問題になってきたのです。緊急の場合の対応を含む奨学金制度の実情と今後のあり方について、文部大臣のお答えを伺いたいと思います。
 今回の緊急経済対策は、小渕総理自身が強い決意を持って取りまとめられたものであります。この対策を早急かつ着実に実行し、二十一世紀に向けた構造改革にも積極果敢に挑戦しながら、弱い立場にある人々のためにはきめ細かな配慮もしていく、それが政治の役目であると考えます。
 最後に、総理の御決意をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 森山眞弓議員にお答え申し上げます。
 今後の経済運営についてお尋ねがありました。
 政府は、今般の緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、この不況の環を断ち切りまして、平成十一年度には我が国経済をはっきりとプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいります。
 我が国経済を再生させるとともに、国民の間に生まれております我が国経済社会の将来に対する不安を払拭いたしていくことが、政治の果たすべき役割と考えております。緊急経済対策を、そうした意味から早急かつ確実に実行するため、第三次補正予算の一刻も早い成立に向け、御理解と御協力をお願いいたす次第であります。
 今後、当面は公的需要を中心に景気の下支えを図りながら、民間消費などの回復を通じた民需主導の経済発展に円滑にバトンタッチすることを目指すとともに、景気回復の動きを中長期的な安定成長につなげるため、弱い立場にある方々にきめ細かい配慮を行いつつ、二十一世紀の多様な知恵の時代にふさわしい社会の構築に向けた構造改革を推進してまいる決意を改めて申し上げて、答弁とさせていただきます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 緊急経済対策が補正予算にどのように反映されているかというお尋ねでございました。
 まず第一の系列といたしましては、我が国の金融システムの再生、経済全体の資金循環を円滑化するため等々、いわゆる金融システム安定化、信用収縮対策でございます。第二に、社会資本整備あるいは住宅建設促進、雇用対策等の景気回復策に関するもの。それから第三には、世界経済リスクへ対応いたしますために、アジア諸国への支援等の実施を決定いたしております。なお、その他、目立ちます費目といたしましては、例えば地方交付税交付金でございますとか地域振興券等々がございます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#25
○国務大臣(甘利明君) 労働省の先輩であります森山先生の御質問にお答えをいたします。
 まず、能力開発に関する具体的な取り組みでありますが、先般取りまとめました雇用活性化総合プランの中に、特に雇用情勢の厳しい中高年離職者に対する民間教育訓練機関を活用いたしました委託訓練の大幅な拡大や、アビリティーガーデン等を活用した、ホワイトカラー離転職者に対する職業能力開発の積極的展開等の対策を盛り込んだところであります。これらの施策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、女性のための配慮についてのお尋ねであります。
 今回の雇用活性化総合プランにおきましては、育児、介護等のために退職をされた方等で再就職を希望される方に対しまして、セミナーであるとか情報提供、あるいは自己啓発への援助を実施いたします再就職希望者支援事業を拡充することといたしております。また、母子家庭の母親をハローワークの紹介によりまして雇い入れた事業主に対しまして、賃金の一部を助成する特定求職者雇用開発助成金制度などを活用いたしまして、その再就職の支援を行ってまいるところでございます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣有馬朗人君登壇〕
#26
○国務大臣(有馬朗人君) 森山眞弓議員にお答え申し上げます。
 奨学金制度についてのお尋ねでございましたが、家計状況が急変し、緊急に奨学金が必要となった者に対しましては、日本育英会の育英奨学事業におきまして、年間を通じ適宜応急採用を行う制度が現在もございます。この場合、貸与基準につきましては、通常の場合よりも緩やかな学力基準とするとともに、家計基準につきましても、急変後の所得を勘案するなど、弾力的な取り扱いをしているところでございます。この応急採用制度の活用によりまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、日本育英会の育英奨学事業につきましては、学生が自立して学べるようにするため、来年度予算におきまして有利子奨学金の拡充などを要求しているところであり、今後とも育英奨学事業の充実に大いに努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(伊藤宗一郎君) 旭道山和泰君。
    〔旭道山和泰君登壇〕
#28
○旭道山和泰君 旭道山和泰です。
 私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました政府の財政演説に関し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。よろしくお願いします。(拍手)
 私は、相撲の世界から政治の世界に身を置き、約二年が経過しました。それまで私が経験した世界とは全く違う世界であっただけに、がむしゃらに日本じゅうを駆けめぐり、多くの国民の皆様と対話を続けてきました。まさに政治の世界の全国巡業であり、一からのけいこで今日までやってきました。
 しかし、その率直な会話の中で、国民の皆様の声を聞けば聞くほど、政治とはこんなに国民から遠いのか、国民の声は政権には届かないのか、そして、政治にこれほど信頼感がないのかと思い続けてきました。これが私の二年間の印象です。
 専門技術より常識が問われる、これは、アメリカのミネソタ州の知事になった元プロレスラー、ジェシー・ベンチュラー氏の言葉です。もちろん、今日のような複雑かつ多様化した社会では、専門性というのはますます重要性を持つことは言うまでもありません。しかし、その専門性を政治の場で遺憾なく発揮させるためには、その根底にある常識がなくてはならないと思います。常識とは、まさに国民の目線に立つということではないでしょうか。
 しかし、振り返れば、橋本内閣誕生以来、自民党政権は、この国民から遊離した、まさにひとり相撲、国民不在の相撲をとってきたのではないでしょうか。(拍手)
 橋本政権のとった経済失政が今日大不況をもたらし、多くの失業者を生み出し、昨年度に続いて平成十年度もマイナス成長となるのがほぼ確実となりました。
 橋本前総理は自他ともに認める政策通でありました。その専門知識においては、私は足元にも及びません。横綱と幕下かもしれません。しかし、相撲でも、心技体がそろって初めて立派な力士として大成するのです。たとえ技術や体力がすぐれていても、肝心の心、すなわち一国の宰相として庶民の心がわかることが何よりも大事なことだと思います。(拍手)
 景気が悪化しているのに、財政再建が最重要だとして、総額九兆円もの国民負担増を押しつけた結果、日本経済は瀕死の状態に追い込まれました。失礼を省みず申し上げれば、橋本前総理は、結局その専門性におぼれ、国民の常識、国民の心というものを理解されなかったゆえの大失政ではないか、私はそういう感想を強く抱いています。
 なぜ私が前総理のことを言うかといいますと、今国会で、橋本前内閣が強行した財革法の凍結法案が出されているからであります。小渕総理は財革法の失敗に対してどう反省されているのか、お伺いいたします。私は、橋本前総理と同部屋の小渕総理におかれましては、決して同じ失敗を繰り返されないように強く期待するものであります。
 私は、橋本内閣のデフレ政策を初めとする数々の経済政策は失敗だったということを総理みずからが国民の前で認め、謝罪することからスタートするべきだと考えています。総理の国民に対する明確な答弁をよろしくお願いします。
 今国民の間にさまざまな不安が渦巻いています。金融不安、社会保障に対する不安、リストラの恐怖、賃金の据え置き、削減、さらに世界的な格付機関からの国債すなわち我が国の格下げなど、あらゆる不安におびえ、自信や誇りも揺らぎかねない状況に陥っているのであります。
 このような将来に対する不安を払拭するためには、国民一人一人が、将来に対して自信と安心が持てるような確固たるビジョンを示すことであります。その上で、当面する不況に対しては、国と地方が一丸となって立ち向かい、あらゆる知恵を結集し、より迅速でより着実な実行に移すことであり、なかんずく、この第三次補正予算と平成十一年度予算が切れ目なくつながり、効果を発揮させていくことが重要だと思います。
 このたび小渕内閣は、緊急経済対策として、二十四兆円規模の、過去最大の経済対策を打ち出しました。橋本前総理が四月にまとめた総合経済対策を合わせると四十兆円を超える規模となるものの、この経済対策をもってしても、残念ながら、OECDの世界経済見通しでは、平成十一年は〇・二%、平成十二年は〇・七%、世界銀行の発表では、平成十一年はマイナス〇・二%、悲観的ケースでは何とマイナス四%という極めて厳しい予測が出されております。
 体重がどんなに重く、一見体格がよくても、鍛えられていない力士は勝つことはできません。
 緊急経済対策においては、十一年度ははっきりとしたプラス成長へ転換としておりますが、はっきりしていません。政府・与党内においても、平成十一年の経済成長率の考え方については、与謝野通産大臣や森自民党幹事長が一%である旨の発言をしているようですが、総理はどのようにお考えでしょうか。そして、それが達成されない場合の責任についてどのようにお考えか、あわせてよろしくお願いします。
 第三次補正予算案では、重要な柱として、金融システムの安定化、貸し渋り対策で二兆一千億円、事業規模で五兆九千億円が計上されております。しかし、実際に企業の現場に目を向けると、いまだに貸し渋りの実態は深刻です。多くの中小企業の方々は綱渡りの経営を強いられ、連鎖倒産や失業の恐怖は続いております。優良な企業が資金繰りの問題で倒産するのは、何とも忍びがたいものがあります。
 財政的な支援と同時に、我々の強い主張で貸し渋り一一〇番が設置されるなど、監視体制はかなり整備されてきていますが、さらに、不条理な貸し渋り防止のために全力を挙げてやるべきだと考えます。総理の見解をお伺いいたします。
 現在、各金融機関は、中間決算において、早期健全化法に基づく公的資金の申請予定額をそれぞれ公表していますが、その総額は大手行で約六兆円規模と言われております。金融監督庁の間ではこの六兆円という申請予定額では不十分であるという評価もありますが、この点について、小渕総理の答弁を求めます。また、六兆円が緊急経済対策における景気の下支えになり得るに十分な規模なのか、あわせてお伺いします。
 恒久減税について、何点か質問いたします。
 総理がさきの臨時国会で恒久的な減税について明言されてから、既に四カ月が経過しました。総理は、臨時国会の所信表明で、所得課税減税については来年一月以降に実施するとおっしゃられました。国民がこの総理の決意を聞けば、来年の一月の給与から減税がなされるものと考えるのが自然であります。しかし、恒久減税の具体的な審議は通常国会に先送りとなり、実施は四月になると聞いております。
 総理は、立ち合いでいかにも減税をやるぞと仕切っておいて、いざ立ってみたら猫だましを仕掛けたのであります。いや、猫だましならぬ国民だましを仕掛けたのであります。その意味において、総理は国民の期待を裏切ったのであります。その結果、年末年始にかけての消費刺激のチャンスを逃したと言わざるを得ません。私は、一月実施と四月実施ではおのずと景気に対する刺激効果に違いが出てくると考えますが、この点、総理の認識をお伺いいたします。
 私は、所得課税減税について、早急にその具体像を明らかにし、四月実施とは言わず、できる限り前倒しの実施をするべきではないかと考えるものであります。総理の見解をお伺いいたします。
 そもそも、来年から実施される所得課税減税は、恒久減税なのですか、それとも恒久的な減税なのですか。恒久的な減税だとすれば、本格的な恒久減税はいつ行うつもりなのですか。総理の答弁をよろしくお願いします。
 減税規模と配分については、国が二・九兆円、地方が一・一兆円ということになっています。神奈川県のように、ボーナスの減額を余儀なくされるほどの財政危機に直面しているのが実情であり、基本的には国税での減税で対応するべきではないでしょうか。地方分権の流れからいえば、この際、国と地方の税の配分の見直しという観点からもそうするべきであると考えますが、この点について、配分割合の決定を下した宮澤大蔵大臣並びに西田自治大臣の率直なお考えをよろしくお願いします。
 また、最近、政府税調や自民党の関係者から、減税のさらなる上積みを求める声も出ていますが、この点、総理はどのようにお考えか、お伺いいたします。
 我々は、景気刺激効果が高い住宅について、個人の住宅取得を促進し、ローン負担の軽減を図るための施策として、全ローン期間を対象とした住宅ローン利子控除制度を創設すべきであると主張してきましたが、この点について、政府の方針はいまだ定まっておりません。総理の英断を期待したいと思いますが、明確な答弁をお願いします。
 消費税についてお伺いいたします。
 現在、自由党との連立を視野に協議を行っているようですが、消費税に対する両党の考えには開きがあると言わざるを得ません。自由党の主張されるように消費税を一たんゼロにするのと、現行税率を維持するのでは、百八十度違うわけであり、さきの所信表明演説に対する答弁の中で、総理は、引き下げは困難であると答弁されております。この意味は、小渕総理は、消費税率の引き下げはしないということと理解してよろしいのでしょうか。総理の消費税に対する基本的な考えをお聞かせください。
 また、自由党の、一たんゼロにして、段階的に税率を引き上げ、最終的には六%にするという主張について、総理はどのようにお考えか、わかりやすく御説明ください。
 最後に、地域振興券についてお伺いします。
 この地域振興券については、あらゆる方面からさまざまな意見が寄せられています。地方自治体では、既に商品券を実行しているところがあります。野中官房長官の地元である園部町でも大きな実績が出ていると聞いております。この地域振興券の経済的な波及効果についてどのように認識されておられるか、官房長官にお伺いします。
 地域振興券について、初めての試みでもあり、試行的な意味合いも含め、規模も対象も限定されていますが、その後の経済状況によっては追加的な政策を打ち出していくべきであると考えております。総理の認識をお伺いいたします。
 総理、総理は今の日本の状況について、景気が低迷し、国家的危機ともいうべき困難な時期にあるとおっしゃっております。総理におかれましては、こういうときこそ、政策的な詰めを先送りした自自連立という小わざに頼るのではなく、不況をがっぷり四つに組みとめ、寄り切る、力相撲が今求められているのではないでしょうか。総理の相撲に国民から待ったをかけられないよう、一言申し添えて、私の質問を終わらせてもらいます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 旭道山和泰議員にお答え申し上げます。
 旭道山議員から、御自分の経験を踏まえまして、随所に相撲に例えながらの御質問をいただきました。私自身、大変な相撲好きでございますが、南海のハブの愛称のもと、粘り強く、かつ、きっぷのいい取り組みは、強く印象に残っております。既に政治家としてパワーのあふれる御活躍ぶりに対しまして、改めて敬意を表したいと思います。(拍手)
 お尋ねの諸点でございますが、まず、内閣の経済政策について御指摘がございました。
 消費税率の引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という構造変化に税制面から対応したものでありまして、また、医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直し等を行ったものでございます。これらの改革は、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。
 政府といたしましては、昨年来、二十一世紀を
切りひらく緊急経済対策、二兆円規模の特別減税に加えまして、金融システム安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めてまいりました。さらに、四月には総合経済対策を策定いたしました。このように、時々の経済状況に応じて、財政、金融両面にわたり、可能な限り措置を講じてきたところでございます。
 次に、平成十一年度の経済成長率についてのお尋ねもございました。
 私は、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までには経済再生を図りますよう、全力を尽くしてまいります。平成十一年度の具体的成長率につきましては、昨日発表されました七―九月期の四半期別国民所得統計速報やその他の経済諸指標を踏まえまして、政府経済見通しとしてお示しをいたすところでございます。
 次に、貸し渋り対策についてでありますが、私は、この問題に深刻な問題意識を持ちまして、早い段階から、通産大臣あるいは大蔵大臣に対し、前例にとらわれず思い切った対策を講ずべきことを指示してまいりました。今後、さきに決定されました四十兆円を超える規模の資金需要への対応を可能とする中小企業等貸し渋り対策大綱に盛り込まれた施策を強力に推進するとともに、政府系金融機関の融資の拡充や、新たな信用保証制度の導入、貸し渋りに対する監視体制の強化等にさらに万全を期してまいります。
 次に、金融問題でありますが、資本増強の申請予定額についてお尋ねがありました。
 資本増強制度が真に機能を発揮するためには、各金融機関が業務再構築等に主体的に取り組むことが必要だと考えております。この点につきましては、現在、金融監督庁におきまして、申請の意向表明を行った金融機関等から具体的内容のヒアリングを行っておるさなかであります。申請額につきましては、これらの取り組みの中でおのずと定まっていくものと考えます。
 次に、資本増強の下支え効果についてのお尋ねでありました。
 資本増強の規模につきましては、今後、金融機関が主体的に検討していく中でおのずと定まるものではありますが、政府としては、資本増強制度を早急に実効性のあるものとして機能させるよう、環境整備に努めてまいります。
 なお、今般の緊急経済対策は、金融システム安定、信用収縮対策のほか、即効性、波及性、未来性の三原則に沿った景気回復策など、総事業規模にして十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めますれば二十兆円を大きく上回る規模でございます。これらの施策が相まって、我が国経済の再生及び活性化が図られるものと考えております。
 次に、個人所得課税の減税の実施時期等についてお尋ねがございました。
 恒久的な減税につきましては、これまで国、地方の分担について精力的に検討を行いまして、先般、その結論を得たところでありますが、今後、さらにその具体化に向けて、政府及び党の税制調査会において鋭意検討を行ってまいります。
 いずれにしても、具体案につきましては、来年度予算編成とも関係することや、法案の立案作業に要する期間等を勘案いたしまして、所信表明演説で申し上げましたとおり、来年の通常国会に提出をいたします。なお、所得税は暦年課税であることから、来年一月にさかのぼって適用されることになります。
 いずれにせよ、総額四兆円の大規模な減税を、一時的でなく、期限を定めず継続して実施することが、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えます。
 次に、個人所得課税の恒久的減税についてでありますが、個人所得課税につきましては、抜本的見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から、最高税率を六五%から五〇%へ引き下げるとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることにより、総額四兆円の減税を予定いたしております。これまで単年度限りの減税が行われてまいりましたが、今回の減税は、期限を定めない、まさに恒久的な減税を実施するものでございます。
 個人所得課税の見直しにつきましては、我が国の将来を見据えた、より望ましい制度の構築に向けまして、景気動向や財政状況などを見きわめながら、課税ベースや課税方式の見直しとあわせて、抜本的な改革において腰を据えて見直しを行っていくこととなるものと考えております。
 減税規模の上積みについてのお尋ねでありますが、恒久的な減税につきましては、個人所得課税の最高税率の五〇%への引き下げ及び定率減税、法人課税の実効税率の四〇%程度への引き下げにより、合わせて六兆円を超える規模の減税を実施することといたしております。これに加えまして、景気回復に資するよう、真に有効かつ適切な政策減税につきましても、精力的に検討をいたしておるところでございます。
 住宅減税につきましては、政策減税について、今後、政府及び党の税制調査会において、税制として適切なものにつきまして検討していただけるものと考えております。いずれにせよ、住宅ローンに係る政策減税につきましては、中堅所得者のローンによる住宅取得を支援することが肝要であると考えておりまして、来年度税制改正の中でしっかりとした検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、消費税についてお尋ねがございました。
 消費税率の引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとりまして極めて重要な改革であったと考えます。これまで再三申し上げておりますように、消費税に限らず、税は低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方を考えましたとき、消費税率の引き下げは困難であるというのが私の認識であります。いずれにせよ、小沢党首御提案の政策につきましては、現在両党間の協議を始めておるところでありまして、私としては、その協議を踏まえ対応していく考えであります。
 次に、地域振興券についてお尋ねでしたが、この事業の実施によりましては、個人消費の喚起、地域経済の活性化が図られることを期待しておるところであり、まずは、今回の事業が所期の効果を上げるよう、努力してまいる所存でございます。
 以上、御答弁いたしましたが、最後に、私は、政権発足以来、議員の表現をおかりして申し上げれば、まさに不況をがっぷり四つに組みとめ、これを寄り切るべく全力を挙げてまいる所存でございます。よろしく御理解と御支援をお願いいたします。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#30
○国務大臣(宮澤喜一君) 地方財政が非常に悪いので、減税などをする際にもなるべく地方に重荷をかけないようにすべきである、そういう御主張でございました。
 今回、いわゆる所得課税を六五%から五〇%に引き下げますときに、私としては、国税を四〇に、地方を、住民税を一五から一〇にしていただけば五〇になる、そういうふうに当初実は考えておりましたのですけれども、自治大臣のお話を伺いますと、住民税を一五から一〇に引き下げるということは、地方の税収の減りが非常に大きい、そういうお話でございまして、結局、二人でお話をいたしまして、それでは住民税の方は一三にしていただく、国税が、四〇と思いましたが、三七ということにいたしました。
 その結果、減税額は、所得税が二兆九千億円、住民税は一兆一千億円でございますから、従来の国税のウエートが減税の中で非常に大きいということになりました。議員のおっしゃいますような結果になったわけでございます。
 なお、そのほかに、国のたばこ税の一部を地方にお渡しをいたしました。また、法人税の交付税率を上乗せいたしましたのと、地方特例交付金を定めましたので、これらで地方の財政にはかなりのお役に立つものというふうに考えております。(拍手)
    〔国務大臣西田司君登壇〕
#31
○国務大臣(西田司君) 旭道山議員にお答えをいたします。
 国と地方の減税の配分割合についてのお尋ねでありますが、今回の減税については、たびたび申し上げておりますように、厳しい地方財政の状況や地方分権推進の要請を踏まえまして、減税は基本的に国税で行うべきであるとの考え方に立って検討をしてまいりました。その結果、減税の国と地方の分担については、地方の厳しい財政状況を踏まえ、ぎりぎりの措置として負担割合を定めたものであります。
 それによる減収は、ただいまもお話がございましたが、たばこ税の国と地方の配分割合の見直し、その他の措置を講ずることによって、地方分権の流れにも沿っていくものだ、こういう考え方で取り決めたような次第であります。(拍手)
    〔国務大臣野中広務君登壇〕
#32
○国務大臣(野中広務君) 旭道山議員の御質問でありますが、本来自治大臣にお答えいただくべき事項かと存じますが、御指名でございますので私からお答えをさせていただきます。
 地域振興券の効果についてのお尋ねでありますが、この事業は、御承知のように、十五歳以下の子供さんをお持ちの若い親御さんあるいは所得の低いお年寄りなど、比較的可処分所得の少ない層を対象として、地域と使用期間を限定しておりますので、地域の消費を拡大する効果があると考えております。さらに、地域振興に役立つものと考えておるところでございます。
 また、実施をする市町村や商店街等が工夫をしてくださって、さまざまなイベントや地域おこしに結びつけて、これらを府県やあるいは自治省等が交付税等で支援を考えられるならば、なお意外と地域に根づいた、小さくは生まれたけれども大きな子供に育ち、そしていい事業に定着していくのではないかと、私自身は期待をいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#33
○副議長(渡部恒三君) 青山丘君。
    〔青山丘君登壇〕
#34
○青山丘君 私は、自由党を代表して、大蔵大臣の演説に対し質問を行います。
 現在、我が国経済は、二年連続のマイナス成長が確定的という異常な状況にあります。政治がそのかじ取りを誤れば、三年連続のマイナス成長にもなりかねません。
 この未曾有の経済危機は、日本の抱える構造問題が根底にあることを認識しなければなりません。当面する経済対策はもとより、行財政の改革、税制、政治、経済など、構造改革を断行しなければ、本格的な景気回復はあり得ないのであります。今まさに、百年に一度あるかないかの試練に我々は直面していると言わなければなりません。
 このような日本経済を民間需要を中心とした自律的な安定成長軌道に復帰させるために、思い切って経済再建の加速度をつける必要があります。旧来の手法にとらわれない大胆な発想が必要であり、今ほど政治の役割が期待されているときはありません。
 自由党は、さきの国会において、他党と協力して、破綻金融機関と取引をしていた中小企業向けの融資円滑化法及び貸し渋り対策法を成立させました。また、破綻金融機関の取引はもとより、一般の中堅企業向けの貸し渋り対策法案を他党と協力して提出しております。
 また、貸し渋り解消のため、早期健全化法を有効的に活用して、我が国金融機関の体質を強化する必要があります。加えて、今行わなければならない政策は、日本経済が避けることのできない構造改革を促すとともに、改革に伴う痛みをできるだけ和らげるものでなくてはなりません。
 同時に、先行き不安を解消するため、構造改革のビジョンと具体策を提示し、スタートさせる改革を今世紀中に軌道に乗せなければなりません。しばらくはつらく厳しいときが続くかもしれませんが、トンネルを抜ければ必ず明るい未来が開けてくる、国民が確信できるような政策の提示と実行が必要であります。
 そこで、まず大蔵大臣にお伺いいたします。
 我が国経済のこの危機的状況を、全治何年と診断されておられるのでしょうか。お尋ねいたします。
 順次伺います。
 まず、社会資本整備についてであります。
 政府は、バブル崩壊後数度にわたる経済対策には、公共事業を追加してまいりました。確かに景気を下支えする効果はあったと思います。が、財政赤字を積み上げる結果ともなりました。
 大蔵大臣に伺います。
 これは、追加された需要を民間主導へとバトンタッチさせるための施策が不足していたためではありませんか。特に地方都市においては、過度に公共事業に依存している地域が見受けられますが、これでは、日本経済を民需主導、民間需要の体質とすることは容易なことではありません。公共事業による需要を民需へとつないでいくための施策として、どのようなものを実行されようとしているのか、伺いたいのであります。
 次に、雇用対策について伺います。
 国民の先行き不安をあおり、消費落ち込みの大きな要因となっているものに雇用不安があります。現状で雇用を維持することも大切です。が、新規企業の創業に助成金を支給する、いわゆる構造改革に結びつく対策が必要であります。また、行うべきは、職業能力開発、訓練の充実であります。私は、雇用の流動化に資する施策でなくてはならないと考えます。労働大臣の御所見を伺います。
 次に、直接税の減税についてであります。
 十一月二十六日、大蔵大臣と自治大臣は、恒久的な減税の国と地方の負担割合について、基本的考え方において合意されました。この合意では、所得税、住民税について、最高税率の引き下げ、減税額、そして国、地方の負担割合については触れてあるものの、それ以外の課税所得階層については、減税の方法が明らかになっておりません。
 また、減税額については、小渕総理は、十一月十九日、自由党小沢党首と「いま直ちに実行する政策」として、減税規模十兆円を目途とすることで合意されております。
 また、平成十年度分の特別減税四兆円が定額控除方式により行われたことが、恒久減税の妨げになるのではないかと指摘してまいりました。事実、最高税率を引き下げる一方、課税最低限がもとに戻れば、金持ち優遇との指摘は免れ得ず、懸念が現実のものとなっております。
 そこで、伺います。
 まず第一に、恒久減税と言わないで、何ゆえに恒久的な減税と言われるのか、お尋ねいたします。
 第二に、減税の中身として、累進構造の緩和は視野に入っているのでしょうか。
 第三に、減税財源についてであります。
 自由党は、新進党のころより常に恒久減税を主張してまいりました。恒久減税の財源は、短期的にはつなぎのため赤字国債に頼らなければなりませんが、中長期的には財源を明示しなければなりません。我が国財政への懸念から、政府が恒久減税と表明しても、国民は、財政危機が深刻化すればまた増税になるのではないか、これでは特別減税と変わることはない、安心して消費に回すことができません。
 恒久減税のための恒久財源として、行政改革による経費削減を行うべきであります。自由党は、行革による歳出削減を財源とする恒久減税、すなわち行革減税を主張してきました。これこそ真の恒久減税であり、また、経済が立ち直れば税の自然増収も当然期待できます。大蔵大臣の御所見を伺います。
 最後に、財政の健全化と財政構造改革法について伺います。
 自由党は、経済再建なくして財政健全化なし、一貫して主張し、財政構造改革法の廃止を主張してまいりました。デフレ予算により経済を失速させては、財政の健全化など望むべくもありません。実際、平成九年度、政府は七兆円の増税を行いましたが、マイナス成長となり、税収が落ち込み、当初の増税分に見合う額が減収となり、帳消しとなっております。財政健全化は増税によって行うのではなく、行財政一体不可分の見直しによる歳出削減と、たくましく再建された経済から得られる税収増によって達成しなければなりません。
 小渕総理に伺います。
 総理はみずからの内閣を経済再生内閣と位置づけられました。経済再生に内閣の命運をかけると述べてこられましたが、小渕内閣は、経済再建最優先政策をとると理解してよろしいのでしょうか。
 次に、大蔵大臣に伺います。
 財政構造改革法停止法案には、別に法律で定める日まで財政構造改革法を停止するとありますが、これは、日本経済が本格的に回復するまでと理解してよろしいのでしょうか。御所見を伺います。
 易経に「君子は機を見て立ち、日を終うるをまたず」という言葉がありますが、今がそのときであり、機敏に行動されるときと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 青山丘議員にお答え申し上げます。
 自由党がかねて来、経済再建なくして財政健全化なしと一貫して主張されてまいりましたことは承知をいたしております。現内閣といたしましても、経済運営につきましては、この現下の最大の課題にどうこたえていくか、全力を挙げて今取り組ませていただいております。
 まずは、金融システムが健全に機能する基盤を整え、経済の再生を図ることでありまして、私は、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、現下の不況の環を断ち切りまして、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう、内閣の命運をかけて、現下、全力を尽くしてまいっておるところでございます。
 また、財政構造改革につきまして、少子・高齢化が進む我が国において将来の社会、世代のことを考えますとき、この実現は引き続き重要な課題でありますが、まずは景気回復に全力を尽くすため、財政構造改革法を当分の間凍結することとし、法案を提出させていただいておるわけでございます。
 青山議員御指摘の経済再建最優先政策をとるかということでございますが、いずれにいたしましても、不況を克服し経済を再生するということがこの内閣の最大の課題であります。このことに全力投球をいたしてまいりますことを改めて申し上げまして、答弁とさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問が多岐にわたっておりますが、まず、今総理大臣が言われましたように、平成十一年度は我が国の成長率を何とかしてプラスに置きたい、そして十二年度からは経済を回復軌道に乗せたい、こういうのが私どもの政策目標でございます。
 昨日、七月―九月のQEが御承知のように出まして、マイナス〇・七でございますので、そういたしますと、今年度の経済成長の目標はマイナス一・八でございますから、あと十―十二月、一―三月、おのおのプラス〇・七で成長しなければいけないということになるわけでございまして、一段の努力が必要な状況でございますが、しかし、いずれにしても十一年度は何とかしてプラスの成長というものを実現いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、本来ならば、公共事業が行われて、そしてそれが二段ロケットで民間設備投資に、あるいは消費につながるという、そういうパターンがここのところどうも見えないというのは確かにそのとおりでございまして、二段ロケットが点火をしない。
 それは、一つには公共事業のやり方も悪いのではないか、民需につながるようなことをやるべきである、こういう御主張は、このたびの補正でも私どもかなりそういうことは考えておりまして、大変具体的な例でございますけれども、例えば東京都で虎ノ門と新橋の間の環状二号線という長年の課題を着手しようとしておりますけれども、これも市街地再開発事業につなげたいという気持ちがございます。
 それから、ハブ空港でありますとか、あるいは地下鉄十三号線でございますとか、なるべく二段ロケットにつながるような公共事業をすべきだとおっしゃいますことは、私どももまさにそのとおり考え、またその努力をいたしつつあるつもりでございます。
 それから、恒久減税と言わずに何で恒久的な減税と言ったかというお尋ねでございまして、恒久的減税と申しましたのは、今までのように、今年度もそうですが、一遍限りの減税をその都度その都度行うということでは国民の将来への期待感がございませんから、このたびのように、今度は一遍限りでなく、来年度からの減税を、所得税、法人税について考えておるわけであります。ですから、これは一遍限りでないという意味で恒久的と考えておりますが、恒久減税と申し上げませんのは、いずれの日にか我が国は、やはりもっと本格的な直接税、間接税体系を築くべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
 今の経済状態ではできませんが、課税最低限にしても実は決して低いとは言えませんし、その他いろいろなことを直間にわたって二十一世紀の早い段階でいたさなければならないと思っておりまして、それを恒久減税と考えておりますので、ただいまのものを恒久的と申しておるようなことでございます。
 税率構造につきましても、これはやはりいろいろな控除等々との関連もございますので、そういうこととの関連で考えてまいらなければならないと思います。
 そのような減税の財源は、もとより、本来は行財政改革から出なければならない、そのとおりだと思いますけれども、大蔵大臣といたしましては、今のような状況でございますと、なかなかそれは急にまいりませんので、当面は赤字公債によらざるを得ないと思っております。これは本当の姿ではない、やがて恒久減税をいたしますときは、それなりの国の経済の体質を整えなければならないと考えております。
 それから、財政構造改革法を、いつ、どういう状況で施行することになるのかというお尋ねでございましたが、少なくとも、このような経済状況では到底それは考えられない。やはり我が国の経済が少なくともプラスの成長を始めて、その足取りがまずしっかりしたというときでありませんと、この再施行というものは難しいのではないか。また、そのときには我が国の経済体質はかなり変わっていなければなりませんので、再施行と申しましても、今凍結いたしましたようなああいうものそのものが、解凍されて浮かび上がってくるというようなことには恐らくならないのではないか、こういうことを考えております。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#37
○国務大臣(甘利明君) 構造改革に結びつく対策をとのお尋ねであります。
 基本的に、私は、青山先生のお考えに賛同いたします。
 御案内のとおり、我が国は現在、短期的に厳しい雇用失業情勢にありますけれども、中長期的に見ましても、経済活動の国際化とか産業構造の転換であるとかあるいは高齢化が進展をします中で、新たな雇用機会を創出することが大きな課題となっております。そして、産業間、企業間の労働移動が円滑に進められるための支援及び労働者の職業能力開発が重要となってきております。
 今回の緊急経済対策の一環として策定をいたしました雇用活性化総合プランにおきましても、雇用の維持、安定対策のみならず、創業であるとかあるいは異業種進出を行う中小企業に対する支援を内容とします中小企業労働力確保法改正によります新規雇用創出対策、そして民間教育訓練機関や、あるいはアビリティーガーデン等を活用いたしました職業能力開発対策の充実を盛り込んでおりまして、これらの施策の推進によりまして、現下の厳しい雇用失業情勢や経済構造改革に的確に対応していきたいというふうに思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(渡部恒三君) 佐々木憲昭君。
    〔佐々木憲昭君登壇〕
#39
○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに大蔵大臣に質問します。
 今、国民の暮らしと営業は、未曾有の危機に直面しております。十二カ月連続マイナスを記録した家計消費の落ち込み、戦後最悪の失業、中小企業の倒産など、どれをとっても一刻の猶予も許されない事態となっております。多くの国民が、年を越せるかどうかの瀬戸際に立たされているのであります。昨日、経済企画庁が発表した国内総生産も、個人消費の低迷などで民間需要が総崩れとなり、四期連続のマイナス成長となりました。消費の冷え込みが不況をますます深刻化させるという悪循環は、ここできっぱりと断ち切らなければなりません。
 総理は、所信表明演説で、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してきたと言われました。しかし、この四カ月、六十兆円の銀行支援に熱中しただけで、家計を直接支援する政策は何一つ実行しなかったではありませんか。世論調査では、小渕内閣を支持しない理由として、景気対策が評価できないというのが圧倒的多数であります。
景気を一段と後退させたみずからの責任を、総理はどのように感じているのか、答弁を求めます。
 現在の不況は、まさに消費不況であります。したがって、これを打開する中心課題は、冷え切った家計消費をどのようにして温めるか、この一点に尽きます。家計消費が拡大すれば最終消費市場が広がり、商業、流通を活性化させ、製品在庫率を引き下げます。こうして初めて生産を上向かせ、設備投資を刺激することが可能となるのであります。
 幾ら銀行支援を上積みしても景気が全く上向かないのは、それが最終消費市場の拡大につながらないからであります。そのことは既に実証済みではありませんか。実体経済をよくしてこそ、金融不安の解消にもつながるのです。日本経済を正常な回復軌道に乗せる上で、国内総生産、GDPの六割を占める個人消費の拡大が決定的なかぎになることは、もはやだれが見ても明らかであります。
 ところが、政府が提出した緊急経済対策と第三次補正予算案は、全く逆の方向を向いていると言わざるを得ません。
 第一の問題点は、家計への支援に背を向け、相変わらず大手ゼネコンと銀行への支援に重点を置いていることであります。
 政府の緊急経済対策で一般会計に計上される約七兆円のうち、五五%がゼネコン向けの社会資本整備であり、一五%が金融システム安定化対策という名の銀行支援策であります。合わせて実に七割が従来型のゼネコン、銀行支援によって占められているのであります。これでは、失敗した従来の対策を一層悪い形で繰り返すだけではありませんか。これで経済の再生を図ることがどうしてできるでしょうか。
 前年比七・八%減とされていた公共事業関係費は、一次と三次の補正予算によって、逆に五二・四%増の十四兆八千六百億円、過去最大の規模に膨れ上がることになりました。政府は、公共事業の選択基準として即効性、波及性などを挙げていますが、国民の必要性から出発しないこのようなやり方では、ますますむだと浪費を広げるだけであります。
 ある経済学者は、従来型公共事業の景気浮揚効果が少ないため、政府は事業の量的拡大によってそれを補おうとする悪循環に陥っていると指摘しております。財政制度審議会が九五年、九六年に出した報告書は、景気対策のために公共事業をやる国はない、このようなやり方はもうやめるべきだとはっきり結論を出していたではありませんか。
 重大なのは、この報告に反して強引に積み増しした過去最大の公共事業で、国家財政の驚くべきモラルハザードをもたらしたことであります。今度の補正予算案で、九八年度の国債発行額は三十四兆円に増加し、公債依存度は実に三八・六%となり、国債の発行額も依存度も過去最高となりました。このため、今年度末の国債残高は、史上最高の約三百兆円に積み上がるのであります。
 総理、景気回復に役立たず、むだと浪費を広げ、財政赤字を空前の規模に拡大する公共事業一辺倒の政策は、この際きっぱりと改めるべきではありませんか。答弁を求めます。
 第二の問題は、国民が望む消費税引き下げには冷たく背を向ける一方、六割、七割の国民が反対している商品券、地域振興券を盛り込んでいることであります。
 もともと商品券構想は、消費税四兆円分の戻し税の性格を持つと言われていましたが、その消費拡大効果については疑問視されていたものであります。たとえ商品券をもらっても、その分現金を使わなければ消費拡大にならないからです。それが、補正予算案で金額も配付対象も限定されてしまったため、いよいよ景気対策としての意味は失われました。宮澤大蔵大臣がこれから意義づけを考えると述べたのは、もはや景気拡大のためという意義づけができなくなったからではありませんか。
 消費拡大には、何といっても圧倒的多数の国民が切望している消費税の引き下げこそ、最も効果のある対策であります。日本世論調査会の調査でも、七九%の国民が消費税の減税、廃止を望んでおります。買い物をするたびに減税になる、低所得層に厚く、すべての階層が減税になる、住宅、耐久消費財などの消費拡大につながるなど、消費税の減税が抜群の消費拡大効果を持っていることは、どこから見ても明らかであります。(拍手)総理、国民の八割が要望している消費税の引き下げをやらず、望んでもいない政策になぜ熱中するのですか。これでは政治不信をますます広げることになるのではありませんか。答弁を求めます。
 第三の問題は、政府が検討している所得減税が、圧倒的多数の国民にとって増税になることであります。
 小渕内閣が提案している所得税と住民税の減税は、最高税率の引き下げと定率減税の組み合わせであります。これをことしの特別減税の打ち切りにかえて実行するなら、減税になるのはごくごく少数の高額所得者だけであります。どのように計算しても、年収八百万円以下のサラリーマン、すなわち納税者の八割から九割が増税になってしまうのであります。これでは減税ではなく増税政策ではありませんか。
 総理は、ことしの一年限りの特別減税と単純に比較はできないと言われますが、国民生活にとって肝心なのは、ことしよりも来年の所得税がふえるか減るかということであります。庶民の家計を冷え込ませて、どうして消費拡大になるというのでしょうか。そうでないというなら、その根拠を国民の前にはっきりと示していただきたい。
 国民がすべて減税になる方法は、消費税を三%に引き下げること、人的控除の引き上げで二兆円の所得減税を行うこと、この二つを組み合わせた七兆円の庶民減税を断行する以外にありません。政府がすべての階層に対して減税を実行しようというなら、この道に断固として踏み出すべきではありませんか。
 宮澤大蔵大臣は、昨年九月からの二兆円に上る医療費引き上げが景気を悪くした一つの要因であったと認めました。しかし、それは全く改められておりません。日本医師会、日本歯科医師会などもそろって要求しているように、医療費の二兆円の負担増を直ちに値上げ前に戻し、深刻な受診抑制、医療中断をなくすべきであります。また、基礎年金の国庫負担を直ちに二分の一に引き上げるべきであります。
 国民の命と暮らしに密接に関連する予算を抑制して将来不安をあおり、消費大不況に一層拍車をかけてきたのが財政構造改革法であります。政府の緊急経済対策では、この法律を一たん停止して、野方図なゼネコン、銀行支援に道を開きながら、他方で財政構造改革の基本的考え方は守ると述べ、生活関連分野の制度改悪をあくまでも続け、国民に負担増を押しつける計画は撤回していないのであります。これでは、国民の不安は全く解消されないではありませんか。
 財革法は停止ではなくきっぱりと廃止し、医療、年金、社会保障を抜本的に充実させ、将来不安を根本的に取り除くべきではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 我が党は、既に十一月十一日、消費税減税を中心に十一兆円の国民負担の軽減を図る国民生活防衛の緊急対策を実行するよう政府に求めました。庶民の懐を直接暖めるとともに、将来不安を一掃する施策を直ちに実施してこそ、深刻な消費不況を打開することができるのであります。私は、その実現のため全力を挙げることを表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 佐々木憲昭議員にお答え申し上げます。
 まず、政権誕生以来講じてまいりました経済政策についてでありますが、これまで私は、日本経済を再生させるため、まず総合経済対策の実施に全力を挙げてまいりました。あわせまして、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みを整えました。さらに、経済戦略会議を発足させ、国民の将来に対する自信と安心を高める政策等を検討することといたしてまいりました。
 私は、政権発足以来、このような思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりましたが、さらに今般、緊急経済対策を取りまとめ、平成十年度第三次補正予算案を本国会に提出いたしておるところでございます。本対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切り、平成十一年度には我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう全力を尽くしてまいります。
 第三次補正予算で経済再生を図ることができるかという御指摘でございましたが、緊急経済対策を受けて編成された第三次補正予算は、第一に、貸し渋りや融資回収等による信用収縮を防ぎ、中小、中堅企業等に対する信用供与の確保等のための信用収縮対策等金融特別対策費、第二に、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えた社会資本整備費のほか、第三に地域振興券、第四に住宅金融対策費、第五に雇用対策費、第六にアジア対策費、第七に地方交付税交付金等を計上いたしておるところでございまして、緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、不況の環を断ち切って、ぜひ平成十一年度には我が国経済をプラス成長に転換させ、平成十二年度までに経済再生を図るよう全力を尽くすことは申し上げておるところでございます。
 次に、公共事業の積み増しについてのお尋ねでありました。
 今般の緊急経済対策におきまして、社会資本の整備について、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ちまして、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野に大胆に重点化することといたしております。この緊急経済対策を初めとする諸施策を強力に推進することによりまして、経済の再生を図るよう全力を尽くしてまいります。
 次に、消費税減税についてのお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。
 消費税に限りませず、税は低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方を考えますとき、消費税率の引き下げは困難であり、この点、国民の皆さんにも御理解いただきたいと思っております。
 個人所得課税の減税についてのお尋ねでありましたが、個人所得課税につきましては、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から、最高税率を六五%から五〇%へ引き下げるとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることにより、総額四兆円の減税を予定いたしております。
 本年の定額方式は、諸外国の中でも高い課税最低限がさらに高くなるなど、所得税制として本来好ましくありませんが、できる限り早期に減税を実施するために、臨時異例の一年限りの措置としてとったものであります。来年から、今年の定額減税にかえて定率減税を行うことによりまして、ことしより減税額が減少する所得階層は生じますが、来年の定率減税は恒久的な減税として行うものであり、一年限りで打ち切られる特別減税と単純に比較することは適当でないと考えております。
 このような大規模な減税を一時的でなく、期限を定めず継続して実施することが、消費者、企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。
 消費税減税につきましては、申し上げましたように、税財政のあり方を考えるとき、その引き下げは困難であり、この点、改めて国民の皆さんにも御理解を願いたいと思っております。
 医療費につきましてのお尋ねがございましたが、昨年九月の健康保険法の改正は、医療保険制度全般についての改革が求められている状況の中で、大幅な赤字基調にある医療保険制度の運営の危機を回避するために、給付と負担の見直しを行ったものであります。医療保険制度の安定した運営を行うためには、無理のない範囲での公平な負担は必要と考えております。
 基礎年金の国庫負担率につきましてでありますが、基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
 基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要がありまして、将来の検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等とあわせて議論していくべきものと考えております。
 次に、財政構造改革法を廃止せよとの御意見でありました。
 財政構造改革法につきましては、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、財政構造改革を推進するという基本的考え方はこれを守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすため、これを凍結することといたしたところであります。こうした観点から、法律の効力を一たんは働かないようにしておくものの、将来においてその効力が復活し得る法律の停止という形をとることが適当と判断したものであります。
 次に、医療、年金、社会保障についてのお尋ねでありましたが、社会保障制度につきましては、国民の信頼にこたえ、将来にわたって安定的に運営のできる社会保障制度を構築していく必要がございます。このため、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化等、社会保障制度構造改革に引き続き取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) 地域振興券につきましてお話がございまして、そういうものをもらっても、現金を使わなければ同じことになるのじゃないかというようなお話もございました。
 そういう御議論も確かにございますのですが、結局、お子さんのある家庭あるいは老齢福祉年金の受給者の家庭に配るというようなことになって、かなりいろいろ話題になっておるようでございますので、あるいは先ほど官房長官の言われましたような思わざる需要喚起、あるいは地域の振興になるのではないか。行政をやられる方には心してそういうことをお願いいたしたいと思っておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(渡部恒三君) 北沢清功君。
    〔北沢清功君登壇〕
#43
○北沢清功君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま行われました宮澤大蔵大臣の財政演説に関しまして、小渕総理並びに関係大臣に御質問をいたします。
 まず、小渕総理にお尋ねをいたします。
 緊急経済対策を機動的に実施するために、財政構造改革法の当分の間の凍結が図られようとしております。昨年来の議論の中で、私たちが財政構造改革の目的として強く求めてきたものは、政官財の癒着によって肥大化した既得権益を打破し、現在と将来の国民に対して安心と豊かさが提供できる、効率的で信頼ある行政府の再構築を果たすということであります。
 財政上の帳じり合わせに終始し、国民に対して負担増と公共サービスの低下という痛みのみを一方的に強いる手法、選択には、明確に異議を唱えてきたところであります。財政改革に今求められていることは、福祉と環境を重視した財政構造、分権時代にふさわしい国と地方の税財源関係の新しいシナリオ、生活優先の公共事業など、納税者の要請にこたえられる支出が可能となる財政への徹底的なシェープアップではないでしょうか。
 将来、凍結解除する場合でも、単なる現在の財構法の再実施ではなく、このような目標に到達するための具体的な手法を、財政構造のあるべき改革の骨格に据えるべきであると考えますが、御見解をお示しください。
 次に、宮下厚生大臣にお尋ねをいたします。
 現在の深刻な景気の停滞をもたらしている消費不況の根源的な要因は、単純な可処分所得の低迷といった要素というよりは、老後の不安や雇用不安などに象徴される先行きの生活全般に対する不安であるととらえることこそが説得力を持つと考えます。
 そうであるならば、暮らし優先の施策を重視する姿勢を鮮明にするためにも、安心できる生活設計と表裏一体の関係にある年金や介護制度など、社会保障制度の再構築こそ第一義とさるべきであります。この立場からするならば、正しくは公的負担と呼ぶべき国民負担に関し、将来の水準をあらかじめ設ける手法にはもともと無理があると考えます。
 大臣自身も強調されているとおり、社会保障を歳出の側面だけでとらえるのではなく、福祉は投資であるという視点も忘れられてはなりません。何よりも、将来の社会保障負担の姿に合わせて、公的負担と個人負担をセットで検討していくべきでありますし、また、旧来型の発想にとらわれた国民負担率五〇%以下という水準設定論に安易に寄りかかるべきではありません。その見直しを前提とした、NPOの活動の活性化などを初めとする新時代の社会保障のあり方を展望するべきだと考えますが、厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
 次に、宮澤大蔵大臣の本意をただしたいと存じます。
 裏打ち財源もないまま、個人向け減税は四兆円となりました。しかも、その中心メニューに据えられているものが、国、地方を合わせて最高税率の五〇%への引き下げ等です。現行所得税の最高税率五〇%が適用されている納税者割合は〇・二%にも満たない水準にあることは御承知の上で、さらには、不公平税制の最たるものと言える利子所得に対する一律二〇%の分離課税の見直しを放置したままであることに驚きを禁じ得ません。
 今や経団連や日経連でさえも、制度減税実施の前提として、所得の適正把握のための納税者番号制度は必要だとする情勢になっているにもかかわらず、納番制導入に向けた具体的なタイムスケジュールの提示もなく、素通りしようとする姿勢には憤りをすら感じます。
 ここ十年前後の制度減税実施の論拠は、すべて負担累増感の解消にあったと承知をしております。九四年以降は、デフレすら懸念されている物価水準からも、累増感が殊さら高じている状況にあるとは思われません。幾ら景気対策というにしきの御旗があったとしても、一律分離課税の解消や納番制導入に手つかずのまま、とりわけ財源手当てすらなく、なぜ今高額所得優遇の恒久減税なのか。税財政に通暁する宮澤大臣の明確な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 どうしても消費不況対策として有効な減税策を打ちたいのであれば、現状においては、消費意欲の低下傾向と同義の関係にある可処分所得の低迷が最も顕著と思われています低所得者層に、より多くの恩恵が及ぶ定額方式の特別減税にまさる方式は見当たらないことからしても、その継続の道筋を断固選べばよいのであります。御見解をお伺いいたしたいと思います。
 いずれにしても、信なくば立たずの教訓が今こそ問われているのは、政治のみならず、財政であり税制であります。減税を国民の不満をそらすための便法として使うことをやめて、福祉、環境、分権、国民生活重視の財政構造が求められていることを改めて訴えまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 北沢清功議員にお答えを申し上げます。
 私に対してのお尋ねは、将来の財政構造についてということでございます。
 現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、まずは景気回復に全力を尽くすため、財政構造改革法を当分の間凍結することといたしておりますが、少子・高齢化が進む我が国におきまして、将来の社会、世代のことを考えますれば、財政構造改革の実現は引き続き重要な課題であることには変わりなく、経済を回復軌道に乗せた段階におきまして、いま一度、二十一世紀初頭における財政、税制をめぐる諸課題について、さまざまな観点から幅広く検討していかなければならないと考えております。
 北沢議員御指摘のように、常にあるべき姿を念頭に、財政構造のあり方を検討いたしてまいるべきものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) かねて政府の税制調査会から、我が国のいわゆる所得税の最高税率六五%というのは、いかにも国際的に見ても高過ぎる、また、働く意欲というものをそぐではないかという御指摘がありまして、その点を今回訂正いたしました。あえて高額所得者を特に優遇するということでなく、国際並みにいたしたという感じでございます。
 なお、定率の減税でございますが、これは申すまでもなく、納税者間の税負担のバランスを壊さないまま、定額と違いましてバランスを壊さないまま減税をするという長所がございます。
 しかし、御指摘になりましたことは、例えば、いわゆる分離課税の解消、改める、あるいは納税者番号等々、こういう問題はいずれしなければならないだろう。私どもも、所得税の抜本的な改正をいたしますときには、やはりこういう問題は、どういう結論になりますにしても検討しなきゃならない問題であろうと思っておりますが、今回は、そのような恒久的な抜本改正ではない減税として、私どもいたしたつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣宮下創平君登壇〕
#46
○国務大臣(宮下創平君) 北沢議員にお答え申し上げます。
 これからの本格的な少子・高齢化の進行に伴いまして、社会保障に係る給付と負担の増大が見込まれる中で、まず、高齢者介護とかあるいは子育て支援といった国民の新たな需要の変化に適切にこたえていく必要がございますし、さらに、社会保障制度は、御指摘のように、福祉は投資であり、経済の発展に寄与するという積極的な役割を果たす面もあることにも留意しながら、経済と調和のとれた効率的な安定的な制度を確立することが必要であると考えております。
 現在、こうした考え方のもとに、年金制度改革、医療制度の抜本改革等の社会保障構造改革に取り組んでいるところであります。その際、国民経済の活力を維持していくためには、公的な主体による活動を、国民経済全体と調和させつつ、一定の範囲内にとどめることもまた必要であります。
 いずれにいたしましても、国民負担率は、今後の少子・高齢化の進展に伴いまして、長期的にはある程度上昇していくことが避けられないと見込まれますが、持続的で活力ある安定した社会を維持するために、極力その上昇を抑制する必要があるものとも考えております。
 以上です。(拍手)
#47
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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