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1998/12/08 第144回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第5号
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1998/12/08 第144回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第144回国会 本会議 第5号

#1
第144回国会 本会議 第5号
平成十年十二月八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成十年十二月八日
    午後五時開議
 第一 破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案(商工委員長提出)
 第二 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
     ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 平成十年度一般会計補正予算(第3号)
 平成十年度特別会計補正予算(特第2号)
 平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)
 日程第一 破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案(商工委員長提出)
 新事業創出促進法案(内閣提出)
 小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案(伊藤英成君外八名提出)
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案(内閣提出)

    午後七時四十三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○岸田文雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 平成十年度一般会計補正予算(第3号)、平成十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 平成十年度一般会計補正予算(第3号)
 平成十年度特別会計補正予算(特第2号)
 平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 平成十年度一般会計補正予算(第3号)、平成十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長中山正暉君。
    〔中山正暉君登壇〕
#7
○中山正暉君 ただいま議題となりました平成十年度一般会計補正予算(第3号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案の概要について申し上げますと、まず、一般会計予算については、歳出において、信用収縮対策等金融特別対策費、二十一世紀を展望した社会資本整備及び災害復旧等事業費、地域振興券、雇用対策費等緊急経済対策の実施に要する経費について所要額を追加計上するほか、義務的経費の追加等を行うことといたしております。
 また、歳入において、景気低迷による法人税、所得税等の租税及び印紙収入の減収等を見込む一方、公債金の増額等を行うことといたしております。
 この結果、今回の補正後の平成十年度一般会計予算の総額は、歳出歳入とも、第二次補正後予算に対し五兆六千七百六十九億円増加して、八十七兆九千九百十五億円となります。
 次に、特別会計予算については、国立学校特別会計、道路整備特別会計など二十一特別会計において所要の補正を行うこととしております。
 次に、政府関係機関予算については、国民金融公庫、中小企業金融公庫など六政府関係機関において所要の補正を行うことといたしております。
 この補正予算三案は、去る十二月四日本委員会に付託され、宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、昨七日から質疑に入り、景気回復の見通し、中小企業に対する貸し渋り対策の徹底、所得税等の減税の内容と実施時期、消費税のあり方、国連の平和活動への参加問題等、当面の国政の重要課題について論議が行われましたが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。
 本日、質疑を終局し、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党を代表して北村直人君から賛成の意見が、民主党を代表して海江田万里君から反対の意見が、公明党・改革クラブを代表して北側一雄君から賛成の意見が、自由党を代表して西村眞悟君から賛成の意見が、日本共産党を代表して春名直章君から反対の意見が、社会民主党・市民連合を代表して秋葉忠利君から反対の意見がそれぞれ述べられ、次いで、採決の結果、平成十年度補正予算三案は、賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。海江田万里君。
    〔海江田万里君登壇〕
#9
○海江田万里君 私は、民主党を代表して、政府提出の平成十年度第三次補正予算案に対して、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 我が国は未曾有の長期不況にあり、国民は不安な気持ちで毎日を送っております。右肩上がりの経済成長、官主導の経済システム、年功序列、終身雇用制度が揺らぎ、日本経済の仕組みそのものが瓦解しつつあります。私たちは、現下の経済危機の原因が、単なる循環的なものではなく、冷戦構造崩壊や大競争時代の到来による世界経済の大転換、そして熟成、少子、高齢化時代を迎えた社会構造の変化などに我が国の経済システムが適合できなくなっていることにあると考えているところであります。
 民主党は、さきの臨時国会を延長し、恒久減税を含む抜本的な景気対策を早急に取りまとめ、補正予算を成立させるよう提言いたしましたが、政府は早々とさきの国会を閉じ、深刻化する不況を拱手傍観しました。そして、景気対策と補正予算の編成に手間取り、国会開会をおくらせた政府・自民党の責任は重大であります。
 このように、政府・自民党は、甘い経済見通しを続けて景気対策を先送りし続け、経済構造改革を後退させ、経済危機をいたずらに深刻化させております。さらには、年金、医療制度、国家、地方財政に対する国民の不信、不安が人々の消費マインドを冷え込ませ、不況を倍加させる悪循環をつくり出しております。
 ところが、政府の今回行った経済対策においても、今までの失政を省みることなく、その場限りの取り繕いを行っているだけであり、日本全体を破綻に向かって加速させる施策を繰り返しているのであります。
 私たち民主党は、十一月十二日に、減税、安心、未来への投資をキーワードに、国費で総額二十兆円規模の、構造改革につながる景気・雇用対策を発表いたしました。私たちの主張に誠実に耳を傾ければ、このような対処療法にすぎない補正予算になるはずがありません。政府は、日本経済を再生させるという名目で、自民党が戦後築き上げてきたみずからの利権を保持するためだけに経済対策を行っていると言っても過言ではありません。
 以下、具体的に反対の理由を申し述べます。
 第一に、来年一月からの減税が何ら措置されていないことであります。
 現在の経済情勢を考えた場合、目先の需要喚起の財政措置だけではなく、減税についても速やかに前倒しをして行うべきであります。私たち民主党は、中堅所得階層に手厚い所得税減税と、経済への波及効果が大きい住宅減税、法人税が国際水準となるような引き下げなど、約六兆円の減税を提案しております。にもかかわらず、政府は、目先の需要喚起の予算のみを先行させ、減税を通常国会に先送りしてしまったのであります。これでは、景気に対する刺激としては余りにも不十分であると言わざるを得ません。
 今までの政府の景気対策の失敗は、大胆な対策を講ずることなく、場当たり的に小規模の対策を続けてきたことにあります。ツーリトル・ツーレートであります。その失敗を今回も繰り返すものであり、愚の骨頂と言わざるを得ません。
 第二に、今回の経済対策も、公共事業中心の従来型予算編成であることであります。
 本年四月の総合経済対策における事業消化すら円滑に行われていないにもかかわらず、さらに公共事業を追加することの意味は、一体何なのでありましょうか。四月の総合経済対策の都道府県分の契約率は、十月末現在でわずか二五・二%にすぎません。このような状況でさらに追加的な公共事業を行っても、即効的な景気刺激策になるはずもありません。
 また、今回の経済対策の公共事業についても、国が事業の種類、箇所づけまで決めて行うものであり、地方の自主性は全く尊重されておりません。国民が本当に必要とする社会資本とほど遠い、単なる利権保持のための公共事業が延々と続けられているのであります。
 私たち民主党は、公共事業を柱とする社会資本整備は、あくまでも国民の豊かさを実現するためのものであり、環境、安全、福祉等に配慮しながら、透明性、効率性を確保し、限られた資源をニーズが最も高い分野に最適配分することが、景気刺激、雇用増にもつながると考えております。そのためには、中央官庁による過度なコントロールを改め、地方自治体が主体的に事業を選択できるシステムの構築を主張しているところであります。このような主張を全く取り入れず、従来型の公共事業を続けても、早期の景気回復が望めないことは論をまたないところであります。
 第三に、今回の緊急経済対策では、地方に二兆八千億円の支出を強制しているのであります。
 現在、地方自治体の財政状況は極めて苦しくなっております。そのような状況下で地方自治体の支出を強制するという政府の態度は、全く理解できないものであります。最近相次いで財政危機宣言を行った、東京、大阪、愛知、神奈川の四都府県だけで、我が国の行政投資の四分の一を占めております。現下の状況で、今回の経済対策の迅速な実施は不可能に近いと言わざるを得ません。
 また、今回の経済対策における一般公共事業の地方負担分はすべて地方債で賄うこととされており、既に公債費負担比率が警戒ラインである一五%を超えている団体が、全体の五六%、一千八百四十七団体という異常な状況であり、これ以上地方に地方債の発行を強いることは、政府が自治体を強制的に倒産させるものであり、非常識きわまりない政策であると言わざるを得ません。
 第四に、社会的弱者の切り捨てであることであります。
 平成十年度における社会保障関係費については、平成九年度からの自然増が八千億円であったにもかかわらず、従前から民主党が凍結を主張していた財政構造改革法のキャップにより、三千億円に圧縮されたのであります。平成十年度当初予算において、五千億円の福祉切り捨てがなされたのであります。今回の経済対策においても、その中の三千八百億円程度が復活したにすぎず、残りの一千二百億円はいまだに圧縮されたままとなっております。
 私たち民主党は、所得税減税と同時に、所得税の扶養控除の見直しとセットで児童手当を抜本的に拡充した子供手当を創設すること、さらに基礎年金国庫負担率二分の一への引き上げによって、保険料を直ちに引き下げることを提案しております。また、先般の参院選では、育児休業給付を、現行の二五%から六〇%に引き上げる提案を行いました。これは、小手先の景気対策よりも、しっかりとした社会的セーフティーネットを確立することで、生活不安の解消を図ることが景気対策上も不可欠だと考えるからであります。(拍手)
 ところが、政府はこうした施策を一顧だにせず、国民の少子・高齢化社会に対する不安を放置しているのであります。これでは、国民は安心した暮らしを送ることができず、消費をふやそうという気持ちが起こらないことは明々白々であります。
 第五に、財政赤字がさらに拡大することであります。
 平成十年度の国債発行額は三十四兆円程度で、公債依存度は三八・六%となり、戦後最悪となります。また、国債残高はさらに膨張し、約三百兆円となり、将来の負担がさらに増加しております。
 戦後最悪とも言える今日の不況は、まさに自民党歴代内閣の経済政策の失敗によるものであることは明らかです。土木工事主体の公共事業が中心の景気対策は、もはや時代おくれの、効果の乏しい経済対策なのであります。(拍手)
 私たちは、経済構造改革を行った上で、将来の日本社会のビジョンを明確に示し、積極的な財政出動を行うのであれば、それは許されるものであると考えます。ところが、先ほど来指摘させていただいておりますとおり、今回の経済対策も、従来型の場当たり的な、みずからの利権保持のためだけの景気対策にすぎないのであります。このようなことに莫大な予算を投入し、将来の世代にツケ送りをすることは、国民に対する裏切りであると言わざるを得ません。(拍手)
 私たちの提案した景気対策を政府は全面的に受け入れ、直ちに予算案を出し直すべきであります。さもなければ、日本経済はますます混迷の度を深めることになるでありましょう。今行うべきことは、これまでの利権構造にしがみつき、従来型の景気対策を行うことではなく、日本経済の構造的な改革につながる抜本的な景気対策を行うことなのであります。
 このような根源的な改革を行い得ない小渕政権の延命は、不況をさらに悪化させ、経済危機を拡大することにしかなりません。小渕総理の退陣、政権交代こそが最大の景気対策なのであります。そのことを強く申し上げて、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 自見庄三郎君。
    〔自見庄三郎君登壇〕
#11
○自見庄三郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十年度一般会計補正予算(第3号)、(特第2号)及び(機第2号)三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 我が国経済は、金融機関の経営に対する信頼の低下、雇用不安などが重なって、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資が低迷している状況にあり、これが地価や株価の低下と相まって、企業や金融機関の経営を厳しいものとし、さらに貸し渋りや資金回収を招くという、いわば不況の環というべき厳しい状況の中にあります。
 こうした状況から脱却し、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるためには、金融システムを早急に再生するとともに、景気回復策を強力に推進することが必要であります。こうした観点から、政府・与党は、四月の総合経済対策に続き、十一月十六日に、総事業規模にして十七兆円を超える緊急経済対策を決定いたしました。今回の補正予算は、この緊急経済対策に盛り込まれた広範な施策やその他の緊要な措置を実施するための裏づけをなす、まことに重要なものであります。(拍手)
 以下、賛成する主な理由を申し上げます。
 その第一は、本補正予算が金融システムの安定化と信用収縮の防止に積極的に取り組むこととしている点であります。
 具体的には、本補正予算においては、信用収縮を防ぐため、中小、中堅企業等に対する信用供与が適切に確保されるよう、先般閣議決定された中小企業等貸し渋り大綱に基づく施策を推進するとともに、日本開発銀行等の融資、保証制度の拡充のほか、信用保証協会等による新たな信用保証制度の導入等を行うために必要な経費として、信用収縮対策等金融特別対策費を計上いたしております。日本経済再生のためには、経済全体にとってのいわば動脈ともいうべき役割を担う金融システムを再生することがまず必要であり、まことに適切な措置であると考えます。
 賛成の第二の理由は、二十一世紀型社会の構築に資する景気回復策として、適切な措置が講じられていることであります。
 まず、社会資本の整備については、今回の補正予算においては、緊急に内需の拡大を図るため景気回復に即効性のあること、民間投資の誘発効果が大きく地域の雇用の安定的確保に資すること、従来の発想にとらわれることなく二十一世紀を見据えて真に必要な分野に重点化することの三つを基本原則とした措置が講じられております。
 具体的には、省庁横断的に実施する二十一世紀先導プロジェクト、生活空間倍増戦略プラン及び産業再生計画を踏まえ、情報通信、科学技術や環境、福祉、医療、教育などの分野に重点的な投資を行い、二十一世紀を展望した社会資本の緊急整備を行うこととしております。
 さらに、住宅投資が低迷している現状にかんがみ、経済波及効果の高い民間住宅投資の促進策を推進するため、住宅金融対策費を計上するとともに、現下の極めて厳しい雇用情勢を踏まえ、早急な雇用の創出とその安定を図る観点から、中小企業における雇用創出、失業給付期間の訓練中の延長措置の拡充、職業能力開発対策の充実等から成る雇用活性化総合プランを実施し、特に、雇用情勢に臨機に対応し、中高年の失業者に雇用機会を提供できるよう緊急雇用創出特別基金を創設することとしており、このために必要な経費として雇用対策費を計上しております。
 さらに、個人消費の喚起と地域経済の活性化を図るため、一定年齢以下の児童を持つ家庭及び老齢福祉年金等の受給者等を対象として、地域振興券を交付するために必要な経費を計上いたしております。
 また、世界経済リスクへの対応に際しての我が国の役割の大きさを踏まえ、我が国と密接な相互依存関係にあるアジア諸国の実体経済回復の努力を支援し、これら諸国の資金の調達、経済社会基盤整備及び社会的弱者救済等のための支援を行うために必要な経費として、アジア対策費を計上しております。
 以上、本補正予算に賛成する理由を述べましたが、私は、このように、本補正予算が我が国の最優先課題である金融システムの再生と景気回復を図るために必要不可欠なものであるとして、賛成の意を表するものであります。
 本補正予算は、まさに我が国の景気回復のかぎを握る予算であり、ぜひともその速やかな成立を期するものであります。また、政府におかれましては、補正予算の成立後には、諸施策を速やかにかつ確実に実施されますよう強く要望いたしまして、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#13
○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 反対の理由は、この補正予算案が、今日の深刻きわまりない実体経済を回復させる上で役に立たないばかりか、国民生活と財政危機をいよいよ抜き差しならない事態に陥れるからであります。
 小渕内閣は、経済再生を掲げながら、実体経済の回復には何の手も打たず、六十兆円の税金投入の枠組みづくりなど、ひたすら大銀行支援に明け暮れてきました。本補正予算案では、銀行支援に使った国債の穴埋めとして一兆一千五十四億円を計上しています。巨額な税金投入の第一歩をこうして具体化しようとしているのであります。
 ここにも端的に示されているように、小渕内閣が発足後四カ月以上もたって策定した景気対策予算案は、国民そっちのけの、無策と愚策の予算案と特徴づけざるを得ません。(拍手)
 第一に、なぜ無策と言うのかといえば、今日の消費不況を打開する上で必要不可欠な、家計消費を直接温める施策が盛り込まれていないからであります。
 政府が来年に持ち越している減税策は、ことしに比べて、ごく一部の高額所得者の減税、国民の八割、九割は増税という言語道断の方向であります。とりわけ、かなめとなるべき消費税減税を、何らまともな説明もできないまま、ひたすら同じ言葉で拒否し続ける首相の態度は、この内閣、この首相に経済危機を打開する意欲も資格もないことを宣言したと言うべきであります。
 この夏の参議院選挙での自民党の惨敗は、昨年四月の消費税引き上げを初めとした国民負担増に対する国民の明確な審判だったではありませんか。消費税減税は、今日の深刻な不況にあえぎ、そこからの脱却を求める国民が、これこそ当面の最善、最良の策であると実感し、確信し、期待している方策であります。どの世論調査をとっても、七割、八割の国民がそれを望んでいるではありませんか。
 国民が景気回復策として期待していない地域振興券には熱心で、国民の圧倒的多数が期待する消費税減税は拒否し続ける、その上、自民党と自由党との連立合意に盛られた消費税の福祉目的税化によって消費税増税を志向する、こうした小渕内閣の姿勢は、党略的立場を国民の切実な願いに優先させるものであり、国民を幾重にも裏切り、踏みにじり、政治不信をますます増大させるものであります。
 第二に、なぜ愚策と言うかといえば、またもやゼネコン奉仕の公共投資を景気対策の中心に据えているからであります。それに関連して、財政構造改革法の停止法案の提出とともに、十二兆三千二百五十億円もの公債発行を追加し、公債依存度を一気に過去最高の三八・六%にまで膨らませているからであります。
 景気回復のためという公共事業の積み増しが、自治体財政の深刻な悪化をもたらし、それが福祉、教育予算の削減など住民負担となって、国民の将来不安を加速させ、消費不況を悪化させてきました。政府も否定できない事実であります。明々白々の失政ではありませんか。
 本予算案は、この失政を性懲りもなく繰り返すものであります。地方単独事業こそ盛り込まれなかったものの、さらに八・一兆円もの公共事業を執行するために三兆円近い自治体負担が強要され、この予算案によって自治体に押しつけられる負担は、実に四兆円に達します。残されるのは、膨大に膨れ上がる借金です。消費不況の悪循環をもたらすことは明白であります。
 しかも、小渕内閣は、福祉、教育予算などの増額を抑制する財政構造改革の方針を引き続き推進するとしています。国民負担の元凶であるゼネコン奉仕は今後も空前の規模で膨らませ、一方で、国民生活のための予算増は引き続き抑圧するのです。こんな無道な政治はありません。破綻した財政構造改革法はきっぱりと廃止して、国民生活を圧迫する拘束を取り除くこと、さらに、この法によって国民が受けたすべての不利益を回復する措置をとること、我が党は、これを強く要求するものであります。(拍手)
 今景気回復のために求められているのは、この予算案のような方向では断じてありません。日本共産党は、消費税を直ちに三%に戻し、すべての階層が減税となる七兆円減税を実施すること、医療、年金で四兆円の国民負担の軽減を行うこと、中小企業への貸し渋りをやめさせる指導を強めること等々、六項目の緊急対策を発表しています。こうした方向にこそ、今日の深刻な不況を打開する道、政治への信頼回復の道があるのです。
 無反省と無責任、大銀行、ゼネコン奉仕に貫かれた本補正予算案は断じて許されません。誤った方向をあくまでごり押ししようというなら、直ちに衆議院を解散して、国民の審判を仰ぐべきであります。このことを強く主張して、反対討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○岸田文雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 日程第一は、委員会の審査を省略し、本案とともに、内閣提出、新事業創出促進法案及び小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案の両案を追加して、三案を一括議題とし、委員長の趣旨弁明及び報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 日程第一 破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案(商工委員長提出)
 新事業創出促進法案(内閣提出)
 小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#20
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案、新事業創出促進法案、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。商工委員長古賀正浩君。
    〔古賀正浩君登壇〕
#21
○古賀正浩君 ただいま議題となりました三法律案について申し上げます。
 まず、商工委員長提出の破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 現下の我が国経済においては、景気低迷の長期化、金融機関の貸し渋り等により、企業の資金調達は難渋をきわめております。とりわけ破綻金融機関と取引していた企業の資金繰りは大変厳しい状況に置かれており、その事業資金の融通の円滑化を図ることが強く求められております。
 こうした事態に対して、商工委員会では、先国会におきまして、中小企業信用保険法の改正案を提案し、中小企業に対する信用補完制度の拡充を図ったところでありますが、中堅事業者に対しても、そうした信用補完制度の活用による資金融通の円滑化を図る観点から、今般、本法案を提案した次第であります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 本案は、破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に対する資金融通の円滑化を図るため、破綻金融機関等との金融取引を行っていたことにより、銀行その他の金融機関との取引に支障が生じている資本金五億円未満の中堅事業者について、中小企業信用保険公庫がその借入債務に係る公的な信用保証について保険を行うことができるものとしております。
 そして、その付保限度額は、破綻金融機関等関連特別保険にあっては五億円、破綻金融機関等関連特別無担保保険にあっては一億円とし、いずれの保険についても中小企業信用保険公庫の再保険率を九〇%としております。
 なお、本案に盛り込まれた保険制度につきましては、平成十三年三月三十一日までの間に、その施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとしております。
 以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。
 本案は、去る十二月四日商工委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 なお、本案について内閣の意見を聴取いたしましたところ、与謝野通商産業大臣から、政府としては異議はないとする旨の意見が述べられました。
 何とぞ速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
 次に、内閣提出に係る二法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、新事業創出促進法案について申し上げます。
 本案は、現在の厳しい経済情勢下における経済活力の低下等に対処するため、我が国に蓄積された産業資源を活用しつつ、創業等の新たな事業の創出を促進するための措置等を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、個人による創業及び新たな企業の設立による事業の開始を直接支援するための措置を講ずること、
 第二に、中小企業者等の新技術を利用した事業活動を支援するための措置を講ずること、
 第三に、地域に蓄積された産業資源を活用した事業環境を整備するための措置を講ずること
などであります。
 本案は、去る十二月三日本委員会に付託され、翌四日与謝野通商産業大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了し、本日討論の後、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 続きまして、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、最近における社会経済情勢の変化に対応し、小規模企業共済制度の安定的運営の確保と充実を図るための措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、共済金の受給方法について、一時金払いと分割払いの併用を可能にするよう改めること、
 第二に、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本共済金の額を改定すること、
 第三に、中小企業事業団の業務として、共済契約者等の福祉の増進に必要な資金の貸し付けを行うことを追加すること
などであります。
 本案は、去る十二月二日本委員会に付託され、同月四日与謝野通商産業大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了し、本日討論の後、採決を行った結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 次に、新事業創出促進法案及び小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第二 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#25
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。労働委員長岩田順介君。
    〔岩田順介君登壇〕
#26
○岩田順介君 ただいま議題となりました中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、中小企業における雇用機会の重要性にかんがみ、中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置を一層促進するため、新分野進出等に伴い良好な雇用の機会の創出に資する雇用管理の改善に関する計画を作成し、これを実施した中小企業者に対し、雇用保険法に基づく助成及び援助等の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、法の目的に、中小企業における良好な雇用の機会の創出のため、中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置を促進することにより、中小企業の振興及びその労働者の職業の安定その他福祉の増進を図ることを追加するものとすること、
 第二に、中小企業者は、新分野進出等に伴って実施することにより良好な雇用の機会の創出に資する雇用管理の改善に関する計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができるものとすること、
 第三に、新分野進出等を行う中小企業の雇用管理の改善を促進するため、新分野進出等に伴って労働者を雇い入れ、または教育訓練を行って計画の目標を達成した認定中小企業者に対して、雇用保険法に基づく必要な助成及び援助を行うものとすること
などであります。
 本案は、去る十二月二日労働委員会に付託となり、昨七日甘利労働大臣より提案理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#29
○岸田文雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#30
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#32
○議長(伊藤宗一郎君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長坂井隆憲君。
    〔坂井隆憲君登壇〕
#33
○坂井隆憲君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案の主な内容は、
 第一に、地方財政の状況等にかんがみ、地方交付税の総額を確保するため、平成十年度分の総額の特例として、四千億円を加算するとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を一兆六千九百五十五億七千万円増額すること、
 第二に、平成十年度分として交付すべき普通交付税の総額及び特別交付税の総額の特例を設けること、
 そのほか所要の改正を行うこと
であります。
 本案は、去る十二月三日本委員会に付託され、昨七日西田自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。本日採決を行いましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#35
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#36
○岸田文雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 伊藤英成君外八名提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案、内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#37
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案(伊藤英成君外八名提出)
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案(内閣提出)
#39
○議長(伊藤宗一郎君) 伊藤英成君外八名提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案、内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財政構造改革に関する特別委員長麻生太郎君。
    〔麻生太郎君登壇〕
#40
○麻生太郎君 ただいま議題となりました両案につきまして、財政構造改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、伊藤英成君外八名提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案について申し上げます。
 本案は、財政構造改革の推進に関する特別措置法の施行を二年間停止するとともに、その間に財政構造改革のあり方について見直しを行おうとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、財政構造改革の推進に関する特別措置法は、この法律の施行の日から同日以後二年を経過する日までの間、その施行を停止することにいたしております。
 第二に、財政構造改革の推進に関する特別措置法については、財政及び経済状況の変化を踏まえ、財政の健全化の目標及びその達成の期限、その他財政構造改革のあり方について見直しを行い、その施行を停止する期間の末日までに財政構造改革の推進に関し必要な法制の整備を行うことにいたしております。
 本案は、本日提出者池田元久君から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、賛成少数をもって否決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案について申し上げます。
 本案は、財政構造改革を推進するという基本的な考え方は守りつつ、我が国の経済の回復を図るため、財政構造改革の推進に関する特別措置法の施行を停止しようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、財政構造改革の推進に関する特別措置法は、別に法律で定める日までの間、その施行を停止することにいたしております。
 第二に、財政構造改革の推進に関する特別措置法の再施行のために必要な措置につきましては、この法律が施行された後の我が国の経済並びに国及び地方公共団体の財政の状況等を踏まえて講ずることにいたしております。
 本案は、去る十二月一日宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、本日質疑を終局いたしました。
 次いで、本日、児玉健次君外一名から日本共産党の提案に係る修正案が提出された後、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○議長(伊藤宗一郎君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。日野市朗君。
    〔日野市朗君登壇〕
#42
○日野市朗君 私は、民主党を代表し、内閣提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案に反対し、民主党提出、財政構造改革の推進に関する法律の停止に関する法律案に賛成する討論を行います。(拍手)
 我が国の財政状況を見、経済状態を見るとき、その惨たんたる姿に、私は慨嘆せざるを得ないのであります。累積の国家赤字は、平成九年度末、既に三百五十七兆円、国と地方を合わせれば四百八十九兆円に達し、今審議中の第三次補正予算が成立すれば、国と地方を合わせた長期債務残高は五百六十兆円になる見込みであります。平成十年度の単年度で見れば、税収は約五十兆円で、国債発行額は三十四兆円であります。つまり、国家財政は三八・六%を借金に頼るという借金漬けなのであります。しかも、経済は極度の不振にあえいでいます。
 一体、自民党政府は何をやっていたのか。私はその責任を追及したい。自民党政府の施策は全く一貫性を欠いています。
 すなわち、平成九年九月二十九日、政府は財政構造改革の推進に関する特別措置法案、いわゆる財革法案を国会に提出し、民主党の修正案を押し切って採決、可決して、参議院においても十一月二十八日採決、十二月五日、法律第百九号として公布、施行されたのであります。
 ところが、早くも翌年、平成十年五月十一日にはその改正案が国会に提出されました。その内容は、特例公債発行枠を弾力化する措置、財政健全化目標達成年度の延長などを盛り込んだものでありました。これに対し、民主党、平和・改革、自由党は共同で、現在民主党が提出しているものと全く同じ財革法停止法案を提出したのでありますが、停止法案は否決され、財革法改正案は成立しました。
 そして、今度は半年後、政府から停止法案が出てきて、民主党からも対案が提出され、その審議が行われています。
 私が煩をいとわずにこの経過を述べるのは、この経過こそが、最も雄弁に政府の財政や経済に対する定見のなさと無責任さとを示すと考えるからであります。そもそも財政は国家存立の基礎であります。しかるに、わずか一年の間に三度も、財政をめぐる方針の大転換が行われていいものでありましょうか。
 当初、財革法が提出されたとき、政府は、経済のファンダメンタルズのいいうちに財政構造を改革するとの志を語っていました。しかし、その直後に政府は、景気対策の大合唱と族議員の圧力により、志を捨てて、赤字国債の増発に踏み切ったのであります。志を失った財政構造改革は、もはや、景気の悪いときにデフレ政策をとるという形骸のみを残すこととなり、当然のことながら、景気を極度に悪化させました。
 しかも、今回審議されている政府案は、財政構造改革のための積極的な手段を講ずるどころか、その思索すらも停止しているかに見えます。すなわち、財革法を期限も定めずに停止し、そして、講ずべき施策にも何にも言及していないのであります。
 政府・自民党は経済対策の優先を言いますが、経済対策を進めるに当たっても、財政をいかに健全に運営するかの政策が、常に考慮されていなければなりません。しかるに、その考慮の跡さえもない内閣提出の法案は、財政再建政策の放棄に等しい内容と言うべきでありましょう。
 国家財政は国家の一大事であります。二十一世紀を迎え、世界が激動する今、財政への考慮を停止する自民党政権は、もはや日本の政権を担当する能力も気力も失ったと言わざるを得ないのであります。
 現下の不況の根源には、国民の年金や医療や雇用など、生活全般についての不安があります。その不安は、せんじ詰めれば、国家財政への不安なのであります。その不安を取り除かなければなりません。対症療法としての景気対策も必要でありますが、同時に、財政立て直しの断固たる意志を示し、その方策に取り組むことが景気対策として必要なのであります。
 また、このような国債に頼っての財政運営が危険なものであることは論をまちません。国債の値下がりや引き受け手がなくなるなどのことは、決して架空の事柄ではありません。ムーディーズの日本国債格付の引き下げに感情的に反発していても、何にもならないのであります。
 財政の再建のためには、国民と国家の関係を根本から問い直すという大問題にも取り組まなければならないでありましょう。時間のかかる大事業であります。景気がよくなれば財政もよくなるという考えも短絡的に過ぎます。要は、財政再建の努力を休むことなく行わなければならないのであります。
 我が党の提出した法案は、現行財革法の施行を二年間停止し、その間に財政健全化目標及びその達成期限、その他財政構造改革のあり方について見直しを行い、目標期限までに公債発行額及び借入金の総額を対GDP比三%以内に抑え、経済活動が著しく停滞した場合は目標達成期限を延長できるようにするというものであり、国家財政に対する政治の責任を全うしようとするものであります。
 政治家たる同僚諸君の良心に訴え、民主党提出法案に賛成されることを願って、討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#43
○議長(伊藤宗一郎君) 小坂憲次君。
    〔小坂憲次君登壇〕
#44
○小坂憲次君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案に賛成、民主党提出案に反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 我が国経済は、依然としてバブルの後遺症から抜け切れておらず、金融機関の経営悪化や雇用不安などを背景として、消費、設備投資等家計や企業のマインドが冷え込み、民需が低迷する状況にあります。一方で、世界経済に目を転じてみますと、アジア諸国は依然として厳しい経済状況にあり、アメリカにおいても先行きに対する不安感が見られます。こうした内外の厳しい経済環境にあって、我が国発の世界恐慌を生じさせないためにも、我が国経済の再生は急務の課題であります。
 政府・自由民主党は、こうした状況に対処するため、これまでも総合経済対策を策定し、その着実な実施に努めるとともに、金融システムの信認を回復するため、金融再生法、金融早期健全化法等の新たな枠組みの確立を図るなど、経済運営に万全を尽くしてまいりました。さらに、今般、恒久的な減税を含めれば、二十兆円を大きく上回る過去最大規模の緊急経済対策を決定したところであります。
 こうした状況にあって、この法律案は、景気回復に全力を尽くすという姿勢を力強く内外に明らかにするものであり、まことに時宜を得たものと考えます。
 以下、本法律案に賛成する主な理由を申し述べます。
 賛成の理由の第一は、本法律案が、景気回復に全力を尽くすという姿勢を明確にしている点であります。当分の間財政構造改革法の施行を停止することにより、景気回復に資する予算の編成が可能となり、景気回復への強い決意が内外に明らかになると考えます。
 賛成の理由の第二は、本法律案が財政構造改革を推進するという重要な精神を維持している点であります。少子・高齢化が急速に進む我が国において、将来の社会、世代のことを考えれば、財政構造改革は将来世代に対する我々の責務であります。
 本法律案においては、景気回復に全力を尽くすとの姿勢を明らかにする一方で、財政構造改革を推進するという基本的考え方を堅持し、将来において財政構造改革を進めるため、廃止ではなく停止という形をとっております。そして、財政構造改革法の再施行に当たっては、その時点で我が国の経済、国及び地方公共団体の財政状況を踏まえて必要な措置を講ずることとしており、我が国経済が回復軌道に入った後において、財政構造改革に本格的に取り組むことが可能になるものと考えております。
 本法律案の成立により、国を挙げて景気回復に取り組むことがより明確となり、先般決定された二十兆円を大きく超える過去最大規模の緊急経済対策とともに、第三次補正予算や今後の予算編成を通じて、我が国経済の再生が必ずや図られるものと考え、本法律案の一日も早い成立を願うものであります。
 議員各位の御賛同をお願いし、以上で賛成の討論を終わります。(拍手)
#45
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#46
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、伊藤英成君外八名提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#47
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#49
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時五十二分散会

ソース: 国立国会図書館
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