1998/10/16 第143回国会 参議院
参議院会議録情報 第143回国会 行政監視委員会 第4号
#1
第143回国会 行政監視委員会 第4号平成十年十月十六日(金曜日)
午前九時四十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 続 訓弘君
理 事
大島 慶久君
塩崎 恭久君
鈴木 正孝君
田村 公平君
千葉 景子君
渡辺 秀央君
委 員
阿南 一成君
海老原義彦君
加藤 紀文君
木村 仁君
田浦 直君
馳 浩君
山内 俊夫君
脇 雅史君
小川 敏夫君
小宮山洋子君
櫻井 充君
藤井 俊男君
大森 礼子君
松 あきら君
岩佐 恵美君
小泉 親司君
富樫 練三君
高橋 令則君
石井 一二君
政府委員
防衛政務次官 浜田 靖一君
防衛庁長官官房
長 伊藤 康成君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 久雄君
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本日の会議に付した案件
○行政監視、行政監察及び行政に対する苦情に関する調査
(四社事案関連文書の管理実態に関する中間報告に関する件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
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#2
○委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。行政監視、行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。
本日は、防衛庁から四社事案関連文書の管理実態に関する中間報告を聴取することといたします。
それでは、防衛政務次官から報告を聴取いたします。浜田防衛政務次官。
#3
○政府委員(浜田靖一君) 防衛政務次官の浜田靖でございます。四社事案関連文書の管理実態に関する中間報告について御報告をさせていただきます。
調達実施本部の元幹部ほかの背任事件に関連して、先月、防衛庁が組織的に東洋通信機関連資料を大量に焼却処分し、証拠隠しを行っているとの報道がなされたことに伴い、防衛庁は四社事案関連文書の管理実態に関する調査委員会を設置し、調達実施本部等関係部局の職員等から聞き取り調査を行うなど、事実関係の解明のため厳正な調査を実施してまいりましたが、これまでの調査結果を取りまとめましたので中間報告をさせていただきます。
九月十二日以来これまでの間約二百人の職員等から聞き取りを行ってまいりましたが、その結果明らかになった事実関係の中には、強制捜査直前に文書類を自宅に持ち帰る等、国民の疑惑を招いたものがあり、防衛庁職員はみずからの問題として襟を正し徹底した綱紀の粛正を図っていかなければならないと考えております。
こうした事案の再発を防止するため、今後防衛庁は、調達システムのみならず調本の解体をも視野に入れた組織の抜本的見直しを行うとともに、その実効性を確保するための職員の意識面を含めた出直し的改革を行い、国民の信頼を取り戻すことに全力を注いでいく決意でございます。まず、このことを冒頭に申し上げておきたいと思います。
次に、昨年九月以降の経緯をまず御説明いたします。
調本は、昨年九月以降、いわゆる原価差異事案についての事実関係について調査等を行ってまいりましたが、その際、調本職員が地検の事情聴取内容を記したメモ及び当時の会社関係者等からの聞き取り結果などをもとに、事案の一連の処理経過等がわかるように整理した事案処理経過表を作成したほか、そのもととなった東洋通信機に係る聞き取り結果等を本年夏に至りヒアリングファイルとしてまとめ、事実関係認識のベースとして国会、報道機関等への対応に使用いたしました。
また、四社、特に東洋通信機の返還額については、各種検討が行われましたが、本年夏にはそれまでの調査を前提に事案についての防衛庁としての考え方、評価等を取りまとめた「東通事案に対する現時点での評価について」を作成し、地検に提出いたしました。その後、起訴事実及び当時の一部関係者からの見解の提示により従来の見解の前提は覆ったと考えられるため、この見解は撤回したところでございます。
このような背景のもとで、四社事案関連資料の管理状況等について申し上げますと、まず平成九年九月から十月の時期については、捜査当局から四社事案関連資料の提出を求められる可能性があったことから、調達実施本部の関係課において、原資料を提出しても支障のないよう、業務遂行上必要な資料を昨年九月から十月の時期に大量にコピーしております。しかし、この時期に四社事案関連資料を大量に焼却した事実は現在までの調査では確認されておりません。
次に、本年五月についてでございますが、例年年度がわりの五月連休前後には保存期限を経過した大量の文書が焼却されており、本年四月から五月も同様でありました。しかし、四社事案関連資料を大量に焼却した事実は現在までの調査では確認されておりません。
本年八月から九月の時期についてでございますが、四社事案関連資料を含む各種の資料を自己の執務室外に移転していた事例が相当数確認されました。移転された四社事案に関連する主な資料は、ヒアリングファイル、事案処理経過表、地検に提出した評価書、想定問答集等でありました。
一方、現在までのところこの時期には、一部のヒアリングファイルを除き、四社事案関連資料の処分を行ったとの聞き取り結果は得られておりません。また、四社事案関連資料の移転、破棄または焼却に関する組織的な指示が行われたとの聞き取り結果は得られておりません。なお、具体的事例についてはお手元の資料をごらんいただきたいと存じます。
次に、事案発生当時の原価元帳、伝票類、経費率算定資料について申し上げます。
四社事案の返還額の算定については、原価元帳や伝票類は基本的に使用しておらず、これらが昨年九月以降、講本において処分されたとは考えがたいと存じます。なお、担当課で保有していた経費率算定資料については昨年十月以降地検に任意提出されたとの聞き取り結果を得ております。
以上、総括いたしますと、現時点では、四社事案関連資料を組織的かつ大量に焼却した事実及び焼却するよう指示した事実は確認できておりませんが、本年八月から九月の時期にヒアリングファイル等の四社事案関連資料を自己の執務室外に移転した事例等があったことは事実であります。これらの行為自体が背任事件の証拠隠滅に該当するかどうかは捜査当局の判断にまつべきところでありますが、不適切あるいは非難されてもやむを得ないものも含まれておりました。関係者のみなちず、防衛庁としても深く反省しているところでございます。
最後に、再発防止策と国民の信頼回復について申し上げますと、昨年九月以降今日までの防衛庁の動きが国民の目にわかりにくくかつ不透明なものと映り、結果として国民の信頼を大きく損なう事態を招いたことは厳粛に受けとめております。
私としては、二十一世紀に向け、国民に信頼され、魅力ある防衛庁、自衛隊を確立するため、事件の徹底糾明に努めるとともに、組織の現状を真摯に反省し、さらに今回の一連の事件の背景にまで踏み込んだ改善策を国民に示さなければならないと考えております。
具体的には、防衛装備品の調達制度をめぐる基本的課題についての抜本的改善、自衛隊員の再就職のあり方に関する検討を鋭意行ってまいりますとともに、調本の組織につきましても、そのあり方の基本に立ち返って、解体をも視野に入れた徹底的見直しを行う必要があると考えております。これら諸施策の推進に、みずから先頭に立って、職員の意識面を含めた防衛庁の出直し的改革を行い、国民の信頼を取り戻すことに全力を注いでいく決意であります。
最後に、国民の皆様の御理解を賜りますようお願い申し上げ、私の報告とさせていただきます。御審議のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#4
○委員長(続訓弘君) 以上で報告の聴取は終わりました。なお、本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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#5
○委員長(続訓弘君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。行政監視、行政監察及び行政に対する苦情に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。―――――――――――――
#8
○委員長(続訓弘君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。本日はこれにて散会いたします。
午前九時四十九分散会