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1998/09/22 第143回国会 参議院 参議院会議録情報 第143回国会 労働・社会政策委員会 第6号
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1998/09/22 第143回国会 参議院

参議院会議録情報 第143回国会 労働・社会政策委員会 第6号

#1
第143回国会 労働・社会政策委員会 第6号
平成十年九月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                末広まきこ君
                田浦  直君
                溝手 顕正君
                笹野 貞子君
                長谷川 清君
    委 員
                大島 慶久君
                斉藤 滋宣君
                鈴木 政二君
                小宮山洋子君
                但馬 久美君
                山本  保君
                市田 忠義君
                大脇 雅子君
                鶴保 庸介君
                田名部匡省君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  甘利  明君
   政府委員
       厚生省児童家庭  横田 吉男君
       局長
       労働省労働基準  伊藤 庄平君
       局長
       労働省女性局長  藤井 龍子君
       労働省職業安定  征矢 紀臣君
       局長
   事務局側
       常任委員会専門  山岸 完治君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働基準法の一部を改正する法律案(第百四十
 二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○笹野貞子君 民主党・新緑風会を代表いたしまして、私、笹野と、麗しき小宮山議員と二人で質問をさせていただきます。
 今、私たちが審議しております労働基準法の改正というのは非常に重大な法律の改正だというふうに認識をしておりますが、先日の委員会で労働大臣が、私にしてみるとおやというような御発言をなさいましたので、労働基準法の改正の質問なんですが、それと関連を非常にするというふうに思いますので、そのことについてきょうは質問を
 いたしたいと思います。
 大臣は、これはたしか山本議員の質問に対してだったと思いますが、こういうふうに答弁しております。私も労働省に来まして、それまでのイメージは、労働省予算というのは物すごく膨大だというふうな印象があったので為りますが、ほとんどが特別会計の予算で、いわゆる本予算といいますか、一般会計予算は五千億かそこらしかないということで大変びっくりいたしましたという発言をなさいました。これはきょう、間違うとしかられるので、議事録を急いで取り寄せまして読ませていただきました。
 大臣はお若くて正直な方なのでこういうふうに発言をなされたのですが、私にしたら、大臣は親子二代にわたって政治家をなさっておりまして、もう何でも知っているんじゃないかというふうに思ったのですが、労働省の予算のことについて労働大臣になって初めてびっくりしたということは、私にしたらびっくりいたしました。労働省という省そのものがそういう認識でしかとられていないということは、やっぱり労働行政というのがそれだけ国家の予算取りに力が入っていないということになるのではないかというふうに私は思います。
 そういう意味では、これは応援の意味を兼ねて私は質問をいたしているわけですから、大臣もそういうおつもりで、こういう大臣のお考えに対して現状ではどのような御感想をお持ちか、まずお聞きいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(甘利明君) 労働省を応援していただいている先生の御発言、本当にうれしく思います。
 若干の説明が必要なのでありますが、私ども自民党の議員はそれぞれ政務調査会の部会というところで予算の説明をまず受けます。労働省予算であれば労働部会、私も労働部会員で何回か出ておりました。そのときに、総額の予算としては冒頭に一般会計が幾ら、特別会計が幾らという説明はあるんですが、それよりも我々労働部会員が印象が非常に深いのは、個別施策について幾ら予算がついているかということの説明を我々も聞くわけです。そのときに、一般会計と特別会計合わせわざといいますか、両方合わせてこういう対策には幾らついています、これには幾らという説明を受けます。そうすると、トータルとして、ああ労働省予算というのは相当広範囲に大規模に確保されているなという印象を持つわけです。
 今回も、労働大臣に就任をしまして全般的な概要説明を就任手続で受けるわけですけれども、ところでこの施策について両方合わせわざであるけ六号れども、これを特別会計と一般会計を切り離すとどういう配置になるんですかということをたまたま私が質問をしまして、そうしましたところが、五千億の内訳の政策的経費というのはそれまでのイメージからすると一般会計では意外と少なくて、かなり特別会計を活用しているんだなという印象がありました。その特別会計の使い方がなかなか工夫を凝らして知恵を絞ってうまく活用しているなという印象も当然あるのでありますけれども、これからも一般会計予算もできるだけいろんな機会をとらえて必要な予算は確保していきたいというふうに思っております。
 全体的な財政状況がこういう大変逼迫している状況でございますからおのずと主張にも限度がありますけれども、例えば今回でも景気対策の臨時緊急特別枠等もありますので、こういう機会に労働省施策の充実を図るための一般会計予算の確保ということにこれからも努めていきたいと思っております。
#5
○笹野貞子君 大臣は労働大臣になられて初めて労働省の予算というのを詳しくお知りになって、特別会計というのは労使が出し合っているお金ということを御認識いただいたということは、私は、大臣になるときに一番先に全部労働大臣から始められるとすばらしくこの働く人のための認識がみんなよくなるんじゃないかなという、そんな今考え方を持っております。
 五千億円というこのお金について、私はもう一度もうちょっと御認識いただきたいんです。
 大臣、ちょっとこれは意地悪質問になるかもしれませんが、各省庁は大蔵省に概算要求するために大変御苦労なさっているというふうに思いますし、大蔵省というのはそういう点では大変な権限があったんでしょうね。しかし、この四月から大蔵省がいろいろな不祥事を起こして逮捕されたり、あるいは停職処分になったり減給処分になったりしているんですが、大臣、全部でどのぐらいの方が調べられてどのぐらいが現実に処分になったのか、その人数をおわかりでしょうか。これは質問に入っていないので、大臣、お間違いになつても私の方が意地悪質問ですので、御気楽に。
#6
○国務大臣(甘利明君) 結構な数に上るなという印象はありますが、具体的な数字は把握しておりません。
#7
○笹野貞子君 私から申し上げますと、調査の対象になったのは課長以上で千五十名なんですね。ですから、課長以上で千五十名というのはもう全大蔵省の課長以上が調べられたというのと同じじゃないかというふうに思います。それで現実に処分をされたのはその中の百十二名ということです。この大蔵省が百十二名の処分をされているというのは、私は大蔵省というのはもう壊滅的などうしようもない省に成り下がってしまったんじゃないかというふうに思ったりもしております。
 そこで、大蔵省がいろいろの不祥事の結果、私たちの税金を、例えば住専のときでも六千八百五十億円という、これは労働省の予算よりもまさに多いということなんですね。そして、今問題になっている三十兆円の中からの十三兆円の使い道について今、国会は大変な大きな問題を起こしております。この一連の、つまり私たち労働省が大蔵省から予算をとるのに大変な苦労をしている大蔵省のこの不祥事に対して、御感想で結構です、どのように大臣はお考えになりますか。
#8
○国務大臣(甘利明君) 事実は別として、大蔵省は省の中の省であるという印象を世間一般の方は持っていらっしゃるわけでありまして、国家の予算の作業としての編成を行い、各省折衝でそれぞれ査定をしていくわけでありますから、そこは厳然たる規律と公正な立場で行っていただくと。そのためにそういう意識を持った役人の方々が毅然たる姿勢で取り組んでもらうというのが当然なんでありますが、そういう姿勢に相当欠けている方々が多いということはゆゆしき事態だと思っております。
 ただ、私は、もちろんその大蔵省の中にも優秀な公務員としての使命感に燃えている人はたくさんおられますから、そういう特に新しく入ってこられる方が大蔵官僚としての使命感を失わないように一方で厳しく対処して一方で激励をして、新しい人たちに新しい大蔵省になっていっていただきたいというふうに思っております。
#9
○笹野貞子君 大臣のその御決意を私は聞きたかったんですが、しかし、これは決意だけでは現実問題は解決いたしません。
 雇用保険も、積立金が九年度末には七千億円減少して今三兆二千億円ということを聞いております。そして、この不景気のあおりを受けて一兆数千億円が減少して、もうまさに雇用保険が底をつくんではないかというそういう危惧を抱かざるを得ません。そういう意味で私は、大臣はこれからの労働省の予算、片やもう何兆単位で、大蔵省の不始末のおかげで銀行がつぶれ、証券会社がつぶれ、そしてその失業がわっと出ているわけです。そうすると、大臣は今、大蔵省というのは全然関係がない、労働省とは関係がないというふうに思われていたならば、これは、その不始末のおかげでいろんな大手の銀行がつぶれてみんな失業者になっている、それが雇用保険の適用を受けている、そうすると雇用保険がどんどん少なくなるという物すごい関係があるわけですね。
 私たち女性は、今本当にこれから大変な時期に向かって、育児休業制度はあっても休業補償はたった二五%、介護休業はあっても今はもらっていない。我々女性は、働きながら、いろんな意味で苦しみながら、お金の面でもいろんな面でも女性などというのは公的にもらっていないで頑張っているわけです。
 そういう意味で、片やそういう大蔵省の不祥事、そのとばっちりが労働省に来るんだという認識を持っていただかなければ一般会計の予算のときの要求でも大臣は力が入らないというふうに思いますが、もう一度大臣の御決意をお願いします。
#10
○国務大臣(甘利明君) 先生御指摘の状況については十分承知をいたしておりまして、そこで、これから私の在任中、いつまで本職にいさせていただくかわかりませんけれども、補正予算やあるいは来年度予算、その節目節目で先生並びにこの労働委員会の与野党の先生方の心配されていることをしっかり踏まえて強力に取り組んでいきたい、主張していきたいと思います。
#11
○笹野貞子君 来年度の概算要求のときは、ひとつ大臣、しっかりとこの現実を踏まえて頑張っていただきたいというふうに思います。
 さて、早く小宮山議員にバトンタッチをしないと、重大な質問が待っているわけですから私の質問を早くしなければいけないのですが、実は、前の国会の男女雇用機会均等法の法案の審議のときに労働基準法の女子保護規定と抱き合わせの審議をいたしました。私は、こういう審議のやり方に対して非常に不満でしたから最後のところは賛成をしないでおこうかというふうに思って半分しか手を挙げなかった事実があります。その怒りがまだずっと消えないで、ついにきょうまでその怒りが続いております。
 私は、今度の法案については、これは私の党としては賛成をしょうかな、でも答弁によってはやめようかなというふうに思っているところですけれども、いろいろとまだ大きな問題が残っている。その問題の一つは女性の保護に関する問題だというふうに思います。そういう点では、さきの審議のときに積み残した問題がいっぱいあります。
 その積み残した中の一つは、婦少審、婦人少年問題審議会と中基審の結論がお互いに責任をなすりつけた結果が私は非常に不徹底な結果になったんじゃないかというふうに思いますが、そのところをちょっとおさらいをさせていただきます。
 つまり、お互いの審議会のどういう結果に基づいてあの女子保護規定が最終的には削除されなければならなかったのかというところをちょっとおさらいとしてもう一度お聞かせいただきたいと思います。
#12
○政府委員(藤井龍子君) 昨年、均等法、労働基準法と一括して改正いただいたわけでございますが、この改正に当たりまして基本的考え方をまとめていただきました婦人少年問題審議会の建議というのがございますので、これを御紹介するのが最も適当かと思いますので御紹介させていただきたいと思います。
 婦人少年問題審議会では平成七年から審議が続けられたわけでございますが、そのときにいろいろなことが議論されてございます。
 まず、女性労働の状況でございますが、均等法が施行されて十年余りが経過し、この間に、女性雇用労働者の数が大幅に増加しているということ、それから勤続年数が毎年毎年延びている、それから職域の拡大も見られる、さらには女性の就業、労働に関する国民一般の意識や企業の取り組みも十年前とは大変大きく変化しているというような状況。さらには、週四十時間労働制の実施などによりまして年間の実労働時間が着実に減少しているということ。さらには、育児休業制度や介護休業制度が法制化されるなど職業生活と家庭生活の両立を可能にするための条件整備も進展しているというようなこと。そういう状況の中で、一方では、女子学生、大学卒の学生の就職問題に見られますように、女性が男性と比べて均等な取り扱いを受けていない事例が依然として見受けられるというような状況。これを総合的に審議会で御議論いただきました結果、平成八年の十二月に審議会から全会一致で建議が出されたわけでございます。
 この建議の基本的な考え方は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を確固たるものとするため、企業の募集、採用から定年・退職・解雇に至る雇用管理における女性に対する差別を禁止し、その実効性を確保するための措置を強化するとともに、時間外・休日労働、深夜業にかかる労働基準法の女子保護規定を解消することが必要である。」とされたところでございます。
 こういう建議の基本的考え方とあわせまして、「女性が能力を十分に発揮できるためにも、男女がともに健康でバランスのとれた職業生活と家庭生活を送ることができるような環境の整備が必要」であるという考え方が示されたところでございます。
 これを受けまして、中央労働基準審議会におきまして女子保護規定の撤廃の基本的条件は整ったとの判断のもとに施行期日等々につきまして一定の判断が示され、今回の改正法案に実現されているというものでございます。
 もう少しさかのぼって申し上げますと、一番最初に現行均等法が制定されましたとき、労働基準法の女子保護規定につきましては、婦人少年問題審議会の建議、昭和五十九年三月の建議でございますが、ここで、「女子に対する特別の保護措置は、女子の能力発揮や職業選択の幅を狭める結果をもたらす場合があり、母性保護規定は別として、婦人差別撤廃条約の趣旨に照らせば、本来廃止すべきものであるが、労働時間をはじめとした労働条件等労働環境、女子が家事育児等のいわゆる家庭責任を負っている状況、女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の現状等を考慮し、当面、」ということで、最初の均等法及び労働基準法の女子保護規定の一定の規制というのが残っておったわけでございます。この基本的な考え方を踏まえまして、昨年の均等法改正、基準法改正というのが行われたということになりまして、先ほど申し上げたような平成八年十二月の審議会の建議に基づいて改正をしていただいたということになっておるわけでございます。
 この平成八年十二月の建議の規定をもう少し具体的に御説明申し上げますと、基準法の女子保護規定を解消するということが均等法強化とセットという考え方であるわけでございまして、育児休業法あるいは介護休業制度の法制化あるいは四十時間制の実現等々ということを踏まえると、先ほど五十九年の建議の基本的考え方に沿って判断した結果、総合的に判断し、こういった労働基準法の女子保護規定を解消するのが必要であるという考え方に達したというふうに御説明申し上げてよろしいかと思います。
 ただ、男女ともに仕事と家庭の両立というのを図るのは非常に今後重要なことであるので、これはあくまでも家族的責任を有する労働者にとって両立支援策が必要であるという考え方で、平成八年十二月の婦少審には先ほど御紹介したような両立支援策について必要があるということが示されているというふうに御理解いただきたいと思います。女子のみの規制を残すということがある意味ではいつまでも女性が家族的責任を負うということを法的に認めるということにもなるのではないかというような考え方もあり、男女が家族的責任を負うということを前提にした規定、両立支援規定を設けるべきであるという考え方であると、ちょっと長くなって申しわけございませんでしたが、御説明申し上げたいと思います。
#13
○笹野貞子君 御親切な御説明ですけれども、余り前にやった議論を蒸し返すのはあれですから蒸し返しませんが、しかしその中には幾つかの詭弁がたくさん入っておりまして、確かに勤労条件での均等、平等というのは非常によく語られておりますし、勤労権の実現においては私はそれでいいと思います。ただ、勤労権という権利は、憲法の中の生存権という権利があってそこから生まれた権利であって、最初突然勤労権が出てきたわけじゃないんです。そこを私は総合的に見ていないというふうに思います。
 生存権という権利はこれはいろんな意味を含んでいるわけで、ただ働くだけじゃない。ただ、キリストが言うように、働かざる者食うべからずというそういうことに基づいて勤労権という権利があるのですが、しかし人はパンのみにて生きるにあらずという面もあるわけです。そういう面では、生存権の上で平等というのは何かというその論理が私は欠落しているのではないかというふうに思います。
 そこで、大臣にちょっとこれはきょうはメンタルテストを、おこがましいんですけれどもメンタルテストをしますけれども、大臣、今男性と女性の家事労働の時間は何分ずつかおわかりでしょうか。
#14
○国務大臣(甘利明君) 圧倒的に女性が多いと承知をいたしておりますが、具体的な数字で挙げますと、平成八年で申し上げますと、共働き世帯では妻が四時間三十三分、夫が二十分、夫が職について妻が職についていない家庭でいえば妻が七時間三十分、夫が二十七分、これが週全体の一日平均の数字でございます。
#15
○笹野貞子君 同じ資料を見ていますからお互いに認識が合っているんですが、大臣、この間大臣は激変緩和のこの措置は三年後に制度として頑張りたい、こういう御発言になって、じゃなぜ三年ですかというと、三年たったら男性の意識も変わるでしょう、そのときは男性の意識も妻と一緒に家事労働するというふうに変わるでしょうというふうに大臣は断言されました。すばらしいことですね。三年たって変わるんだったら苦労はありません。
 そこで、大臣も資料をごらんになっているというふうに思いますが、これは平成三年から平成八年の資料が大臣お手元にありますでしょう。このお手元にある資料の共働きしている男性は、平成三年のときは十九分しておりましたですね。それが平成八年、五年たって一体何分ふえましたか。二十分にふえただけです。五年たって、十九分やっていた男性がたった一分ふえているわけですから、三年で大臣、五〇パーずつになりますか。
#16
○国務大臣(甘利明君) 結論から言えば、なかなか大変だと思います。この間、私は……
#17
○笹野貞子君 ちょっと大臣、はっきり語尾を言ってください。
#18
○国務大臣(甘利明君) 結論から申し上げますと、なかなか厳しいかなという思いがあります。この間、私もその家庭責任の一端を果たそうとして、きょうは自分が夕食をつくるからと言いましたら家内にとめられまして、つくるのはいいけれども、後片づけがあなたがつくった方が汚れて大変だからやめてくれと言われましたけれども、とにかく男性側もそうですし、女性側もそうですし、社会全体がそういう意識を変えていくということで、いろいろ合わせわざで環境整備をしていかなければなかなか達成ができないというふうに思っております。
#19
○笹野貞子君 私は、今これを見ても日本の現状というのを大臣はおわかりだというふうに思います。その変えていきたいという努力はわかりますが、努力と現実とは違うということを認識しなきゃいけないんです。法律上の、机上の空論でこうありたいと思うことはそれは大変いいことですが、しかし現実を踏まえない総合的判断というのはあり得ないと思います。先ほど女性局長が総合的判断の上でこのようにすべきだと言いますが、私は総合的判断をしないからこういう誤りになるというふうに思います。そこで私は、時間になりましたので早く小宮山議員に渡さなきゃいけないと心焦っているんですが、どうも労働省は平等論ばかりに力を入れて、働く女性の平等ということは、職場の上の平等というのはとってもいいことです。でも先ほど私が言ったように、総合的に判断した生存権の実現の上でどこかを保護しなければ平等なんてあり得ないというふうに思います。
 そこで大臣に、この女性にとって保護か平等かという議論はもう十年前から続いているんですね。そしてその結論は、実に私は女性に厳しい結論として今度の法改正になっている。ここに私は、労働省は女性に対する何をどういうふうに保護するかという、どんどん女性は子供を産めなくなってきたらこれは一国が滅びるという重大な問題を抱えているということを総合的に判断できないというのはおかしいというふうに思います。もしも今度の法改正が絶対正しいのであるならば、激変緩和なんという変な言葉を使って三年間の猶予をするということ自体おかしいんで、そのために私は大臣に、保護と平等というこの大きなテーマについて大臣はどうお考えになってこれから何を保護するかということをきちっとお話しいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(甘利明君) 基本的に人間として男性と女性が同じ対等の立場に立つと。ただ、その生理的、物理的にどうしようも克服のできない部分については、そこの点に対するカバーを行政がきちっと法的処置も含めてやっていくということに尽きると思います。
 この法改正がなされた後にも女性が子供を産むことに関連してきちっとそれをカバーする部分は残っておりますが、一人の人間として、一人の労働者として男性と仕事上伍していくということについては対等な立場で頑張っていくのが本来の姿であるというふうに考えております。
#21
○笹野貞子君 確かに大臣、これからそのように努力をしていただかなければ一女性が男性と伍して自分の能力を精いっぱい出し合うということはとってもすばらしいですし、楽しいですし、みんな女性はやりたいと思うんです。もしもその方面ばかり一生懸命やると、もう変な男性の食事の用意なんてすることは真っ平ですし、わがままな男の機嫌をとるのなんて真っ平なんですから、女性はみんな独身で子供を産まなくなるということ、それを大臣しっかりお考えいただきまして、日本じゅうの優秀な女性が全部独身であるという世の中が来たら大臣どういたしますか。最後の御質問として聞きます。
#22
○国務大臣(甘利明君) そういう世の中が来ないように願っておりますし、男性の方も女性が結婚をして二人の子供を育てたいという思いがわくぐらい魅力的に努力をしていかなければならないと思っております。
#23
○笹野貞子君 では、小宮山議員にバトンタッチいたします。
#24
○小宮山洋子君 私からは、労働基準法改正につきまして具体的な話を何点か伺いたいと思います。
 まず変形労働時間についてですが、そもそも変形労働時間というのは労働時間を効率的に配分して、突発的なものは除いて時間外労働はないことを前提にしているはずだと思います。
 これまでの答弁の中で、時間外の上限は一般基準より低く設定するとしている、そういう答弁がございましたが、これは時間外労働があることを前提にしているのでおかしいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#25
○政府委員(伊藤庄平君) 一年単位の変形労働時間制は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで効率的に時間管理をしようというものでございますから、御指摘のように突発的な場合等を除いて恒常的な時間外労働はないということを前提にいたしておるわけでございます。
 ただ、その事業場の中で、セクションあるいは置かれた立場によってある人がどうしても残業せざるを得ない限り、やはり三六協定を結んでいただく必要がございますし、それをできるだけ少ないものに抑えていく必要があるわけでございます。
 そういう観点に立ちまして、一年変形制を利用する場合については一般の場合よりも短い時間外労働の上限基準を定める、こういう考えのものでございまして、いわば一人でもいる限り上限を定めなければならないという考えに基づいている内容でございますので、御運解いただきたいと思っております。
#26
○小宮山洋子君 一年単位の変形労働時間制についてですけれども、労働者の健康ですとか家庭生活との調和を考慮して、所定労働時間が限度に達する期間がいたずらに長期間にわたることがないように配慮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。大臣に伺いたいと思います。
#27
○国務大臣(甘利明君) 御指摘の件であります新しい限度時間を継続できる期間につきましては、一定期間、例えば三週間を超えない期間であるとか、そしてその頻度が三月に一回を超えないように制限をする、こういう措置を講じてまいります。
#28
○小宮山洋子君 変形労働時間制の場合の所定労働時間についてですけれども、これはやはり週平均四十時間以下、連合の方ではできれば三十八時間以下というふうに言っていますけれども、労働者の負担を軽減するために通常の労働時間よりは短くするという道筋を明確にするべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#29
○政府委員(伊藤庄平君) 変形労働時間制を利用する場合におきましては、一定日数の休日を確保すること、それから先ほど御指摘ございました時間外労働の限度を短く定めること等、総労働時間の短縮の実現に向けての要件を新たに付加しているところでございます。
 ただ、この所定労働時間を四十時間より短くすることにつきましては、週四十時間労働制、ここ三、四年の間に四十六時間であったものを四十時間までかなり短期間で制度の改正をしてまいりました。そういうことで、現在は中小企業等、この制度を活用しながら四十時間制を完全に定着させていくために今真剣な御努力を願っているところでございます。そういう段階でございますので、平均週四十時間よりも短いものを設定するということは大変困難でございます。私ども、新たに付加した要件を十分に活用いたしまして、総労働時間の短縮に効果を上げるように努力をしてまいりたいと思っております。
#30
○小宮山洋子君 この一年単位の変形労働時間の上限枠の緩和に伴いまして、家族的責任を果たすために必要な時間等への配慮を定めた労働基準法施行規則十二条の六というのがございます。これに実効性を持たせるように、そうした配慮を措置義務にするなど改めて見直す必要があるのではないかと思います。
 その第十二条の六というのは、「労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をするように努めなければならない。」となっているんですが、「努めなければ」ではちょっと、ちょっとというかかなり足りないと思いますので、こういう変更に伴いましてこれを措置義務にするなど強化をする、そういう方向で見直す必要があるのではないかと思いますが。
#31
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました労働基準法施行規則の規定は、私ども変形制を利用する場合のガイドラインに盛り込み、活用しているところでございますが、御指摘ございましたように、「配慮をするように努めなければならない。」と非常に持って回った言い方になっておるところが確かにあるかと存じます。
 こういった点について、ガイドラインの作成の仕方あるいは施行規則をどのように表現していくべきか、これはまた中央労働基準審議会の方に先生の御意見等も紹介しながら検討をさせていただきたいと思います。
#32
○小宮山洋子君 次に、時間外・休日労働についてですけれども、労働大臣が設定することになつている時間外・休日労働の上限ですが、これは男女の労働者の家族的責任を十分に考慮して、激変緩和措置が解消されるまでの間には少なくとも政府が目標としている年間の実労働時間千八百時間を達成する水準になるように設定するべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#33
○政府委員(伊藤庄平君) 時間外労働の上限に関する基準でございますが、もちろん私ども年間の総実労働時間千八百時間ということに向けて、週休二日制に相当する四十時間制の完全定着、それからこの時間外労働の抑制、それから年次有給休暇の取得促進、これらを総合的にしっかりと推進していかなければならないこと、当然でございます。
 したがいまして、時間外労働の上限基準を設定するに当たりましても、そういう点を十分念頭に置いて設定いたしますが、ただ、時間外労働の上限基準はいわば最高の、それ以上の時間外労働については困るという水準でございまして、千八百時間を達成する場合にはいわば平均的に時間外労働はこのぐらいでおさめてほしいという平均の数字になりますので、どうしてもその辺の乖離は出るかと存じますが、気持ちは先生御指摘のように千八百時間に向けて十分そうした時間外の上限基準が役割を果たしていくようなことを念頭に置いて設定をしてまいりたいと思っております。
#34
○小宮山洋子君 次に、深夜業についてなんですが、就業条件等の整備については業種別のガイドラインを設定するということになっていますけれども、これもやはり遅くとも三年が予定されている激変緩和措置が解消されるまでの間ぐらいには国が一律のガイドラインをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#35
○政府委員(伊藤庄平君) 深夜業のガイドラインにつきましては、衆議院での附帯決議等も受けまして、私どもできるだけ早くまず業種別のガイドラインの策定等に入ってまいりたいと思います。
 ただ、深夜業についてはそのあり方、各業種によりまして実態等にかなりの違いがございます。そういった業種別のガイドラインの中でどのような議論がなされ、回数あるいは総時間等についてどのような議論が出てくるか十分見きわめながら、それらを総合的なガイドラインに発展させていきたいと思っております。
 したがいまして、まず労使間でどのような議論が出て、どのような自主的ガイドラインがつくられるかを見きわめていきたいと思いますので、この激変緩和措置三年の間に総合的なガイドラインにできるだけなるように努力はいたしますが、今時期の点について明確にいついつまでというふうに申し上げることは大変困難かと存じますが、精いっぱい努力させていただきたいと存じます。
#36
○小宮山洋子君 その深夜業につきましては、ガイドラインの作成にとどまらず、必要があれば法令で規制することも考えるべきではないかと思いますが、この点、大臣はいかがでしょうか。
#37
○国務大臣(甘利明君) ただいま基準局長がお答え申し上げましたように、深夜業については業種ごとにその必要性が若干異なっておりますので、まず手順としては、まず労使の自主的なガイドラインが適切に作成、運用されるようにこれを援助する、そして次に総合的なガイドラインの作成を急ぎまして、過度の深夜業を抑制するために法令上の措置も視野に入れて引き続いて検討してまいります。
#38
○小宮山洋子君 次に、激変緩和措置の対象となる労働者についてですけれども、家族的責任を有する、この三年間は女性労働者ですけれども、その範囲については小学校卒業までの子を養育する者、これを対象にすべきではないかと先日も伺ったんですけれども、また改めてぜひ伺いたいというふうに思います。
 といいますのは、先ほど笹野委員とのやりとりでもおわかりのように、家事、育児、介護というのは、ほとんどの部分と言っていいほど、諸外国と比べましても日本では女性が担っているわけですね、アンペイドとして。それで、昨今のいろいろ子供をめぐる問題ですとかいろいろありますけれども、特に小学校低学年あるいは小学校在学中の子供というのはやはりしっかり親が見ていかなければいけない年齢だと思います。このあたりについては十分な配慮が必要だと思いますが、この点についていかがでしょうか。
#39
○国務大臣(甘利明君) 私も今、下の子が小学生でございまして、家内が働いておりまして、下の子が戻ってくるときに母親が戻ってこれないという事情が間々あります。私が仕事が何とか切り上がるときには早く帰ろうということにしておりますし、それ以外はベビーシッターさんをお願いしておりまして、先生の御主張は私も自分の体験でわかるのでありますが、いろいろ施策の整合性といいますか、進捗状況というのもございますので、激変緩和措置の対象者については、育児・介護休業法の深夜業の制限を請求できる者の範囲と同様とすることを基本として、より実情に即して検討していきたいというふうに思います。
#40
○小宮山洋子君 今施策の整合性というお話がありましたが、施策よりもやはり人間が先にあるべきだと私は思いますので、この点はやはりお答えには満足いたしません。たくさん質問したい項目がございますので、時間を見ながら、また最後に時間がありましたらもう少しそのあたり伺いたいと思います。
 次に、有期雇用の関係について伺いたいんですけれども、これは今回は三年という形のものを設定する、その幅を広げるということになっていますが、それとは直接には関係してこない部分なので、ちょっと伺い方がうまくできるかどうかわからないんですけれども、現在パートで働いている人たちは繰り返し繰り返し反復でやって、例えば九年とか十年とか正社員と同じように働いている人たちがいるわけです。別にそれを不安定にしておくのがいいということではないのですけれども、そのあたりのすき間と言うと変ですが、そのあたりで、実態としては繰り返し繰り返しの雇用でずっと働いているという人たちがいるんですね。
 その人たちが今回の改正で心配をしていますのは、労働条件を書面で明示する、これは原則論としては確かにいいことなんですけれども、実態面として、そこに雇い入れ期間を入れることによって、これまで反復更新を繰り返してきたのが、一応ここに書かなきゃいけないかなということで書いたことによって、繰り返し働くことができなくなるのではないか、こういうことを実際に心配をしているパートタイムの労働者というのがたくさんいるわけなのです。先日も申し上げましたように、実際にパート労働法が施行されてそこに明記するようになった結果、有期雇用の労働者が二割から四割にふえたという前例もございます。
 そういう中で、書くことが悪いと言っているのではありません、その書くについては、やはり乱用の歯どめとして、どんな場合に有期契約が設定できるのか、あるいは雇いどめの規制ですとか、期間が正社員と同様になったら賃金を均等にするなど、今までそういう働き方をしていた人が一層不利にならないように、そういう働き方がきちんと守られていくように新しい抑制策が必要なのではないかと考えるのですが、この点はいかがでしょうか。
#41
○政府委員(伊藤庄平君) まず、雇い入れ期間を今回の改正法案によりまして書面で明示するということがかえって更新をしにくくするんではないかという点でございますが、この雇い入れ期間を明示して基本的にこの契約期間というものをお互いに認識し合い、それが反復更新される場合等につきまして私ども、衆議院の附帯決議等でも指摘されていますように、そういった反復更新の問題についてどうあるべきか、専門的な学識経験者等の参加も願って研究会で研究をしていくことにいたしております。そういう研究成果を本当に生かしていくためには、やはりこの契約期間というものを労使、当事者がお互いに明らかにし、認識し合っているという基盤がどうしても必要になるわけでございまして、そういった意味でこの雇い入れ期間の明示というのは欠かせないかと存じます。そういったことが無用に途中で更新を妨げることにならないように十分指導をいたしてまいりますし、むしろ契約期間を明示しなかったりすればそれは雇用期間の定めのない契約と理解されるケースも出てくるわけでございまして、そういった意味で、こういった制度の趣旨につきましてぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 こういった有期労働契約の内容の歯どめについて御指摘ございました。
 一つは、やはりこういったものを反復更新していく場合の一定のルールというものは、先ほど答弁申し上げましたとおり、私ども、真剣に学識経験者の参集を願って研究会を開き、成果を出していきたいと思っております。
 ただ、もう一つ、有期労働契約を締結できる場合の規制、あるいは正社員との賃金の均等等の問題につきましては、これはいわば労働基準そのものというよりはいわば契約のあり方なりあるいは賃金の決定の仕組みそのものの問題でございまして、なかなか困難な問題を含んでおるわけでございます。場合によってはこういった方々の雇用機会の場を狭めるとか、あるいは労使で決めるべき賃金の問題についていわば規制が入るというようなことにつきましてどう考えるか、大変難しい問題ではないかと思いますので、その辺の事情があることについてもあわせて御理解をいただきたいと思っております。
#42
○小宮山洋子君 今お話にありましたこれから研究していろいろ決めるということですけれども、その際、有期契約の締結、労働条件、反復更新の実態、裁判例の動向などについてその検討を進めるということですが、有期契約の締結や更新拒否の乱用を抑制して適正な労働条件を確保するよう新たな立法など必要な措置を講じる必要もあるのではないかと考えますが。
#43
○政府委員(伊藤庄平君) この有期労働契約の反復更新の問題につきましては、反復更新の実態あるいは今までの裁判例の動向等について専門的な調査研究の場を設けて検討を進めてまいります。衆議院での附帯決議にありますように、その結果に基づいて法令上の措置を含めて必要な措置を講ずるように努力してまいりたいと存じております。
#44
○小宮山洋子君 次に、裁量労働制について伺いたいと思います。
 導入要件である適用業務の範囲、労使委員会の委員の選任、労使委員会の決議の内容などについて厳格な運用がなされるよう監督をしっかりと実施していただきたいと思います。そして、その監督の実施状況報告につきましても労使委員会に情報を開示すべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#45
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のように、新たな裁量労働制につきましては、真に働く方々が主体的に働き、創造的な能力を発揮できる、そういうことのために利用されるように、届け出段階から十分にチェックを行いますし、御指摘のように、その後の監督につきましても人権等を常に重点対象として取り組んでまいりたいと思っております。
 そういったところから出てまいります監督対象の結果に基づいて不都合な点、法違反等の点があれば厳正な改善指導を行ってまいるわけでございます。
 監督の実施、内容、結果そのものについては、これは守秘義務との関連があり、そのまま開示していくわけにはまいらぬと思いますが、私ども、ただいま申し上げましたように不都合あるいは法違反があれば厳正な改善指導を命じていきますので、そういった改善指導を具体的に命じましたならば、労使委員会においても改善について十分議論がされるように、そういった内容については労使委員会全体で議論できるような形に持っていくことについては十分措置してまいりたいと思っております。
#46
○小宮山洋子君 今の点、ちょっと重ねて伺いますが、改善指導した場合は労使委員会にも開示すると。改善指導をするというのはかなりひどいケースなのではないかというふうに思うんですけれども、そのあたりは、こうなっているということまで含めてできれば開示できないかというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
#47
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働制につきましては、私ども、労働時間等の管理のあり方として新しい時代の働き方に対応する一つの選択肢というふうに考えて新たにスタートさせていただくことになれば、そういう趣旨に即して種々の面からチェック等もしていかなくてはいかぬと思います。
 先ほど、不都合または法令違反と申し上げましたが、必ずしも法令違反等の重大なケースだけでなくて、やはり制度本来の趣旨に即して不都合と思われるようなものについても改善を要請していくというようなことは十分あり得ると思いますので、そういった点については改善を要請した以上、労使委員会等の場で論議されるように必要な措置は工夫してまいりたいと思っております。
#48
○小宮山洋子君 報告される労働時間なんですけれども、これはみなし労働時間ではなく実労働時間でなければならないはずだと思いますが、その把握は十分にできるんでしょうか。
#49
○政府委員(伊藤庄平君) 新たな裁量労働制は、働く方々がもちろん主体的に働くということが前提でございますが、やはり仕事にのめり込み過ぎるというような懸念ももちろんあるわけでございますので、この裁量労働制の実施のためのいわば要件として、労使委員会でそういった対象労働者の勤務の状況に応じて健康管理等の必要な措置を講ずること、この点を具体的な内容をもって労使委員会で決議することを要件といたしております。
 したがいまして、これを履行するためには、事業主は何らかの形で勤務の時間等実情を把握すべき形になります。私ども、実施状況報告におきましてはそういったものを報告させる、こういうことになりますので、みなし労働時間ではなくて実際の勤務状況が報告されるというふうに考えております。
#50
○小宮山洋子君 労使委員会の委員の全員の合意による決議ということになっていますけれども、この場合の全員というのは、出席委員の全員ではなくて指名されている委員の全員ということと解釈してよろしいでしょうか。
#51
○政府委員(伊藤庄平君) 基本的には、先生御指摘のように全員が出席して全員の合意で決議をしていただくということでございますが、仮に労使委員会等で定足数を定めていく場合どうなるかということでございますが、その場合は定足数を満たす全員の委員の合意、こういうことになろうかと存じます。
#52
○小宮山洋子君 定足数を満たす全員の合意ということは、定足数を満たしていれば欠席している委員の同意は要らないということですね。
#53
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のとおりでございます。
#54
○小宮山洋子君 それはちょっと問題ではないかと思いますが。
 また、委員会での発言をもとにして不利益な取り扱いを受けないということが保障される必要があると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#55
○政府委員(伊藤庄平君) 労使委員会は、労使が裁量労働制をめぐる賃金を初めいろいろな諸条件、それから対象労働者の範囲あるいは健康管理上の措置等についてお互いが十分議論し、納得し合って全員一致で決めるという形を法律上定めておりますので、そういった性格上、もしその場での発言によって不利益な取り扱いがあるというようなことがあってはならないことは当然でございます。
 そのために、もしそういうことがあれば、直ちに労使委員会での決議内容の見直し、あるいは有効期間も一年というふうに定めておりますので、もしそういうことがあったら継続的にこの制度は労働側の同意をとることができない、そういった仕組みとしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういったことがないように、例えば指針の作成等に当たりましても、中央労働基準審議会の審議等を踏まえて、そういった必要な措置について対応してまいりたいと思っております。
#56
○小宮山洋子君 そして、この委員会への出席ですとか、出席のために打ち合わせなどをする時間も必要かと思いますけれども、そうした時間は所定労働時間に含まれるということでよろしいでしょうか。
#57
○政府委員(伊藤庄平君) 労使委員会への出席あるいは打ち合わせ等に要する時間を労働時間として取り扱うか否かでございますが、この点はやはり各労使の間で決めていただくべきことかという考えでおります。
 裁量労働制を実施したいために事業主がいろいろな形で便宜供与するというようなことはあり得るかと存じますが、そういったことの中で労働側が自主性を維持し、どうしていくかということは労使関係全体の本当に基本的な問題でもあるわけでございますので、やはりその辺の問題については、事業主からの無用な便宜供与等に至らないように労使間であらかじめルールを十分設定しておくべき課題かと存じております。
#58
○小宮山洋子君 その点につきましては、前から指摘されているように、組合がないところとか労働者が非常に弱い立場にある職場というのが多いわけですので、その点やはり労使委員会へ出る時間の確保というのは重大な要件だと思いますので、ぜひ指針などの中にそのあたりのことは書き込んでいただく必要があるのではないかと思います。
 裁量労働というのは使用者が業務を指示しないこととしているわけですけれども、これと業務上災害の認定との関係はどうなるんでしょうか。
#59
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働の方も業務の遂行方法そのものについては使用者の指示を受けず、本人の裁量にゆだねられていることが条件でございますが、それはあくまで雇用契約に基づく業務を遂行するためのやり方でございまして、遂行中に何らかの災害あるいは疾病ということがあれば当然に業務上として取り扱われるものでございます。
#60
○小宮山洋子君 先日、私が適用される業務の範囲について伺いましたところ、係長とか課長補佐については判断を要するというお答えだったと思います。係長、課長補佐というのは自分で裁量できる立場にあるのかというと、そうではないのではないか。例えば女性保護規定から指揮命令者を外すときに、部下が残っていれば指揮しなければならないとしていたこと、そういう考え方とこれは矛盾するのではないかと思います。自己完結して自由に決定できるとは思えないんですが、この点はいかがでしょうか。
#61
○政府委員(伊藤庄平君) 先般、係長、課長補佐について答弁申し上げたかと存じますが、名称によって一律に裁量労働制の対象者かどうか判断することはできないというふうに思っております。
 要は、一定の物事について、例えば財務であれば財務の基本的な計画の作成あるいはその後におけるファイナンスの戦略、こういったもののいろいろなデータから分析し、調査結果等を活用して企画し立案していくということは、一連の業務として自分のいわば裁量のもとで行うということが必要なわけでございまして、単に係長、課長補佐ということだけで裁量労働になるというものではございません。その辺は指針において具体的な考え方またはパターン等を示していきたいというふうに思っております。
 御指摘ございましたように、部下を指揮命令するから残っていなくちゃいかぬ、そういう点についてでございますが、部下を指揮命令する必要があることと業務遂行に裁量性があるかということはこれまたちょっと別のものでございまして、いわば部下をいつどのような場でどのように指揮命令して動かすかということ自体が本人のいわば裁量に任されている人たちでございまして、いわば部下を指揮しなければならないということ、だからといって今度は逆に裁量労働者の対象の範囲には入らないという意味でもないということが言えるかと存じます。
#62
○小宮山洋子君 今の局長のお話ですと、係長、課長補佐でも逆に言えば裁量労働にはならない人もあるということだと思いますので、そのあたりのことは、おっしゃいましたように、丁寧にわかるように例示などをもって示していただきたいというふうに思います。
 もう一点、適用される業務の範囲について、先日、新卒の総合職には適用されないというふうに言われましたけれども、これは大体どれぐらいまでの期間を考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#63
○政府委員(伊藤庄平君) 総合職の方について裁量労働の考え方に照らして言えば、あるデータ等を分析し、あるいはみずから調査し、それに基づいて物事を企画し立案していく、そういうことが本人のいわば裁量、仕事の進め方等が本人に任されているような方が対象になるわけでございまして、それはいろんなセクションで一例えばどのくらいの経験年数まで来れば許されるかというのは、本来個々の企業によって大分異なるケースが多かろうと思います。私ども、指針作成に当たりましては、そういったことの考えを基本に置いて典型的なパターンを示して、そのくらいの仕事の任され方がなければならないというようなことを例示したりすることによって押さえていくことを考えておるわけでございます。
 したがいまして、総合職の方についても、例えば個々の営業行為を具体的にやっているようなものである限り、やはり裁量労働には何年たってもならない。むしろ、仕事を任されるようになっていった場合に初めて裁量労働対象者になる。それは一律に年数では切れないと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#64
○小宮山洋子君 最後に、大臣と少しまたお話をしたいというふうに思いますけれども、先日来申し上げているように、今回の五十年余りたつての大改正なわけですから、やはり二十一世紀の女性、男性の人間らしい働き方を規定する改正になってほしいという強い希望を持っております。そういう意味では、先ほどの、小学校卒業までの子を養育する者も激変緩和の対象にと、これは激変緩和ですから女性でしたけれども、こういう育児、介護をするための男女の労働者が、やはり子供が小学校を卒業するぐらいまで、あと介護の場合も必要に応じて安心してとれるような、そういう仕組みが規制緩和の一方のセーフティーネットとしてぜひ必要だというふうに思うんですが、そのあたりについてのお考えを改めて伺いたいと思います。
#65
○国務大臣(甘利明君) 働く側からしますと、例えば子供が小学校に上がるまででなくて、それより一年生までの方がもっといい、いや二年生までの方がもっといい、小学校を卒業するまでの方がさらにいいと思うのはもう当然でありまして、私のうちは両方とも女の子ですから、それはもう中学生になっても一人でうちに置くのは心配だ、母親は特にそう思っているんですね。これは働く側からすると、そうやって働くためのストレス、負荷を下げていくということはたくさんの処置があればあるほどいい、それにこしたことはないと思います。
 ただ一方で、こちらの負荷を減らすということはどこかの負荷が高まるということにも当然ある部分なってくるんだと思うんです。企業は、このメガコンペティションの中で、すべての労働者を抱えて極力一人の失業も出さずに国際競争に勝っていかなければならない、そういう戦いをしているわけでありまして、そういう中で労働行政はどこまで負荷がかけられるかということの上限を探っていくことでもあると思います。これにグローバルスタンダードがあるのかどうかは存じ上げておりませんけれども、とにかく新しい政策がスタートする、そして、とにかく小学校へ入るまでの間は対応していこう、それから、現実的な状況を見て、その後どういう検討がなされるかということであるのかなというふうに考えております。
#66
○小宮山洋子君 今回のこの措置だけではなくて、先日来申し上げたように、育児・介護休業法の中での深夜が免除される部分についても、私はぜひ小学校卒業まで必要なのではないかというふうに思います。
 それで、さらにもう一点だけ。
 先ほど笹野委員もいろんな例を引いて話をしましたけれども、男女ともに担うということは、労働の面だけのいろいろな法制とかだけではなくて、意識改革という部分が非常に大切だというふうに思います。その点ではやはり縦割りでやるだけではなくて、文部省とか厚生省とか、どこまで一緒になるのかわかりませんけれども、これは政府全体として、男女ともにちゃんと家族と向き合いながら働ける、そういう仕組みをつくるためにきちんとした取り組みが必要なのではないかと思います。
 一・五七ショックのときに、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議と、一口では言えないような長い名前の、一応縦割りを取っ払ってみんなで考えるための子育て支援のための会議ができましたけれども、これを子育て支援というだけではなくて、人間らしく働ける働き方、生き方全般に広げて検討する必要があるのではないかというふうに思うんですが、その点を最後に伺いたいと思います。
#67
○国務大臣(甘利明君) 委員御指摘のとおり、これは労働省だけの施策ではなくて、もちろん厚生省とも、あるいは文部省とも、政府全体で取り組んでいかなければならない大きな課題であります。少子化社会というのが経済社会全体の活力を大いにそいでしまうということに今つながっているわけでありますから、これは通産省としても深刻な課題として取り組んでいかなければならないわけであります。
 女性が社会進出していくときに、おのれの自己実現ということをそれを通じて図っていく、それは大きな喜びでありますけれども、その喜びが増す反比例で子供を産み育てることの魅力がどんどん減っていくということではいけない。これは働くことに子育てが障害にならないようにしていくということ。
 もう一つは、これは文部省ともかかわりがあるんですが、やっぱり人間の根源的喜びは自分たちの遺伝子を未来に伝えていく、男女が自分たちの子供を持って育てていく、これが人間生きる大きな喜びであるということも同時にしっかりと意識づけていかないと、単に仕事の喜びが拡大してくると。それについては、ちょっと子供を産み育てることが行政施策上バリアが払われていっても面倒くさいし魅力を感じないということではならぬと思いますから、こちらの方からでもそれが人間の根源の喜びなんだということを伝えていかなければならないというふうに思っております。
#68
○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。山本議員の前に少し質問させていただきます。
 先週、参考人の方々から、今回の労働基準法改正案に対しましていろいろと危惧されている点が指摘されました。先週の参考人の意見の中に、新たな裁量労働制を実施するためには、労使委員会において対象業務を選定し、またその対象業務で勤労する労働者の同意が必要とされているわけですが、これは個人の同意ですね、日本においては特に未組織労働組合の企業が約八割弱ある現状では、企業ごとの労使委員会はまず正常な運営は難しいのではないか、そういう意見がありました。
 日本でも、例えば五人以下の企業など中小零細企業の労働者が安心して働ける希望あふれる職場環境を目指すためには、地域別の労使協議会あるいは産業別の労使協議会などを設置して、これからの労使がお互いに対等に話し合える、そういう環境づくりが必要であると思うんですけれども、この点どうお考えかお聞かせください。
#69
○政府委員(伊藤庄平君) まず、労使委員会、裁量労働制の要件といたしておりますこの労使委員会が、未組織労働者が多い中小企業で正常に機能するかどうかという点でございますが、確かに労使委員会につきましては自主的話し合いを担保するために、その委員の選び方は従業員の過半数をまず選挙で選び、さらにその方が指名する委員を過半数の信任を得るためにまた投票をする、こういうふうな厳格な手続によって選ばれる形にいたしておりますし、さらに全会一致で物事を決めなくてはいけない、こういう手順にいたしております。
 したがって、非常にハードルの高い要件になっておるわけでございまして、中小企業一般がこのような措置を講じ得ることができるかどうかということは大変難しい局面も実はあるんではないかと思っております。さらに、中小企業の場合、管理監督者を除いて法律等であるいは指針で示してまいります企画、立案、調査等の仕事を任されて管理監督者以外に自分の裁量で進められている人が本当に存在するかどうか、この辺は監督署の窓口において、中小零細の場合組織が比較的明快で単純であることからその辺は容易に判断し得るわけでございますが、そういったことを考えますと、中小企業においてはそもそも相当限られた範囲でなければこの裁量労働制というものを使うことは正直難しいのではないかと思っております。
 いずれにしましても、こういった法律上義務づけられている労使委員会の機能がきちんと機能するように私ども厳正なチェックをしてまいりたいと思っております。
 産業別あるいは地域別の労使協議の場の必要性でございますが、裁量労働制について申し上げれば、その個々の企業で本当に裁量が許されている人はどういう範囲か、中小企業の場合むしろそれはだれだれであるかという個人名まではっきりしてくるような場でございますので、地域別、産業別での労使協議制でその機能を代替することは不可能かと存じます。もちろん、全体としてのその地域の雇用の問題やあるいは労働条件等につきましても地域全体でいろいろ改善していこうというような取り組みの必要性は私どもも否定するものではございませんし、そういう労使の話し合いの場というものは非常に活発に行われることが重要であるというふうに思っております。
#70
○但馬久美君 そういう中小零細企業の地域での活躍に対して、やはり不安感というのはぬぐい去れないと思います。ドイツやフランスでは経営協議会や従業員協議会がしっかりしておりまして、労働者の保護が担保されているというお話がありました。諸外国ではこういう例がありますので、ぜひ日本でもこれからの課題にしていただきたい、そういうふうに要望いたします。
 次に、先ほどからいろいろお話が出ておりますけれども、新たな裁量労働制の対象業務については、大臣は、対象は企業の中枢部門の企画等の業務をみずからの裁量をもって遂行する者に限定していると、非常にあいまいな答弁をされておるんですけれども、その区分分けが非常に不透明であると思います。これでは、使用者側の一方的な意思が反映する可能性が非常に大きいと思いますし、また考え方によってはホワイトカラー全般に広がって長時間ただ働きを強いられるのではないか、そういう危惧もされているわけです。これは朝日新聞の十七日の社説に載っておりました。
 法の三十八条の四の関係で、企画、立案、調査、分析業務を従来のデザイナーやディレクターなどの十一種に追加されるに当たって、衆議院ではその対象業務の範囲などについて検討する専門機関を設置するということでありますけれども、この専門機関をどういう位置づけでどういう性格のものにするのか、また構成メンバーの人選をどうするのか、これは大変大事なことだと思います。労働省ではこの専門機関についてのアウトラインをどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
#71
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働制の対象につきましては、私ども指針の中で各本社等の組織の実情に即して本当に裁量がゆだねられている分野というものをいろいろ当たり、それらを基本的な考え方とともにそういうものに即して具体的な判断ができるようにできるだけの例を網羅していくわけでございますが、それだけにこの指針の重要性は大変高いわけでございます。
 したがいまして、衆議院の方で御指摘いただきましたように、この指針を中央労働基準審議会で御議論いただくに先立ちまして、この専門的な検討の場を設置して、その議論のための中身をつくっていくということにいたしております。それが中央労働基準審議会で御議論いただく材料になるわけでございますので、この専門的な検討の機関も中央労働基準審議会に諮りまして、学識経験者、場合によりましてはそういった分野の労使の方もいろいろと参加、御意見を述べていただくようなこと等工夫をさせていただきながら、まず立ち上げてまいりたいと思っております。
#72
○但馬久美君 大変大事な問題でありますので、この点しっかりよろしくお願いしたいと思います。
 先週の参考人の意見の中にも、この新しい裁量労働制を実施するに当たりましてとりあえず一年間の実施延長をすることになっております、これを三年間延長してじっくり検討すべきであるという参考人の意見がありました。私も、一年後に全面的に実施する前にモデル的に実施してその結果を分析し、そしてまた実施に踏み切るなり、また従来どおり十一種に限るなり、その時点で判断してはいかがと思いますけれども、大臣はその点どうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#73
○政府委員(伊藤庄平君) 具体的な業務等の特定の問題も絡んでおりますので、まず私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 裁量労働制の実施に当たりましては、事業の重要事項を決定する部門で、企画、調査等一連の業務をみずからの裁量に任されて仕事をしている人たちを拾い上げていくわけでございます。もちろん具体的な特定は労使委員会で全会一致でセクションなり、そういうものを明示して特定をすることになるわけでございますが、そのための指針もいわば、これも本社等が中心になりますので、私ども網羅的にその辺の実情を調べ、本当にこういう人たちの創造的な、あるいは自主的な主体的な働き方をしている部分というものを抽出いたしまして、そういったものの具体的なパターンというものを例示していく、こういう指針にいたしたいと思っておるわけでございます。
 したがいまして、先生御指摘のように、いわば一定のモデルというふうなものが事実上その指針で示されていくわけでございますので、これに基づいて窓口の段階で届け出られた具体的な業務範囲や労働者の範囲をチェックしていけば、先生御指摘の趣旨に沿うような形で的確な運営ができるものと考えております。私ども、まずそういったために衆議院の方で専門的な研究、さらには指針の審議会における議論、そういうことを踏まえて施行時期一年延長ということになりましたので、その期間内に十分そういった形ができ上がるように努力をしてまいる考えでございます。
#74
○但馬久美君 次に、時間外労働時間の基準についてお伺いいたします。
 私は、ある労働組合の方から伺いましたのですけれども、時間外労働は現在指針により一年間の目安時間が三百六十時間となっております。これがほとんど守られていない、青天井になっているということでした。
 今回の改正で、大臣は労使協定で定める労働時間の延長の限度等について労働者の福祉、時間外労働の動向を考慮して基準を定めることができるとなっております。しかし、これはどのように規制力のあるものとして具体策をお考えになっておられるのか、また具体的数値を考えておられるのか、御答弁をお願いいたします。
#75
○国務大臣(甘利明君) 但馬先生に御心配をいただいている件でありますが、新たに法律に基づいて設定をいたします時間外労働の上限に関する基準についてであります。
 この具体的な拘束力といいますかそれについて説明せよということでありますが、これに関しましては他の労働基準法違反事例と同様に、労働基準監督署名によります是正勧告を行いまして厳正に対処していくことといたしております。改正法案の規定によって十分に実効を上げ得るものとしてまいりたいと考えております。
 それから、時間外労働の上限に関する基準の水準につきましては、お話もありましたが、一年間の上限基準について三百六十時間以内とすることとして、その後の状況を踏まえて見直すこととしたいと考えております。
#76
○但馬久美君 ありがとうございました。
 男女共通の時間外規制をきちっと定めていただきたい、そういうふうに要望いたします。
 次に、きょう厚生省にも来ていただいております。よろしくお願いいたします。
 先ほどからも話がありますけれども、家族的責任がいまだに女性に多く求められております。この我が国の現状では、男女ともに時間外労働の削減がなければ、三年程度の女子保護規定の撤廃に伴う激変緩和策では決して改善されるとは思いません。結局女性は職場から締め出されてしまいます。
 また、ある報道にありましたけれども、夫婦ともに流通・サービス産業に勤務する人がふえております。日曜日や祝日に子供をどこに預けるか、そういうことが大問題になっておりますけれども、要するに預けるところがないわけなんですね。親や兄弟が預かってくれるか社内保育で預かってくれるか、それがなければ結局女性もその職場をあきらめなくてはなりません。休日勤務にはこの保育の壁がとても大きいわけです。
 この点、厚生省はモデル事業の十一年度の概算要求をしていると伺っておりますけれども、要求概要がどういうふうになっているのか、お知らせください。
#77
○政府委員(横田吉男君) 最近、就業形態が非常に多様化してきていることに伴いまして保育需要の方も多様化してきております。私ども、こうした事情に対応するために夜間保育でございますとか延長保育、一時保育等さまざまな特別の保育事業を実施してきております。
 お尋ねの休日保育等につきましては、これまでどちらかと申しますと職域がある程度特定のところに偏っているというようなこともございまして、事業所内保育所制度あるいは企業委託型の保育サービス制度というようなことで対応してきたところでございます。
 ただ、最近これ以外にも休日保育等に対する需要がかなり出てきているというふうなこともございまして、私ども、来年度の予算要求におきまして休日保育等について試行的に実施するということで、百カ所程度を実施するに必要な予算を要求しているところでございます。年末にかけまして必要な予算の確保に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
#78
○但馬久美君 このように、育児、介護の施設の整備拡充が強力になされなければ、女子保護規定撤廃についてはその実現のめどは立たないと思うんですね。したがって、この三年間の激変緩和を育児、介護の施設の整備拡充が完了するまで延長するべきではないか、そういうふうにも思うわけなんです。これは労働省、いかがでしょうか。これは最後になります。
#79
○政府委員(伊藤庄平君) この育児、介護等の関連の施策が全体的に進展していかなければならない、その必要性が大きいことは先生御指摘のとおりと存じております。労働時間に関する問題もそういった中での一つの課題として私ども対応させていただきたいと思っております。
 お話がございましたいわゆる激変緩和措置、三年程度ということで進めてまいりたいと思っているわけでございますが、私どもこの三年程度というのは次の施策にリンクしているわけでございまして、この三年程度の激変緩和措置が終了するまでの間には、一定時間を超える時間外労働の免除に関する制度について家族責任を有する男女の労働者について検討し必要な措置を講じていく、こういうことが今回の改正法案の中でうたわれておるわけでございますので、一段といわば次元を高めた時間外労働のあり方に発展させていくと、こういうつもりでおります。そういうことを真剣に検討し必要な措置にこぎつけることによって、先生御指摘のような趣旨に沿うように努力をいたしたいと思っております。
#80
○但馬久美君 ありがとうございました。
#81
○山本保君 私は、この前、労働基準法改正について全般的な立場からお伺いをいたしました。きょうはもう少し細かいことについて、他の委員が聞かれたこともございますけれども、確認の意味もあって質問させていただきますが、その前にもう一度、この前のことでちょっとだけ自分でまとめておきたいと思うんです。
 いろいろ申し上げたんですが、特にその中で最初に労働省の方に注文を申し上げましたのは、労働基準法という法律は、第一条を見ますと、労働条件というのは「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」という定義があるわけであって、決して社会状況の変化であるとか企業の状況が変わったからとか働き方が変わったからということで労働基準法を改正するという理由にはならないんではないか。
 もちろん、全体の調査をし、またいろんな専門家の意見また団体の意見を聞きながら進められているとは思いますけれども、こういう重大な法律改正でありますので、もう少し法の改正趣旨というものをきちんとこの基準法の本質に照らして、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要」、このニーズがどのように変わりつつあるのかということをきちんと立証また論証された上で、それに基づいてこの法律を変えるんですという説明をしていただきたかったということを申し上げました。これについては特に質問をするという気はございませんけれども。
 しかも、このことは労働基準法の改正だけでとどまるものではないということは当然でございます。先ほどから大臣も、特に笹野先生の御質問に対してぢ話があったと思いますけれども、今後の労働行政のさまざまな対応についての基本的な考え方というのを出すのがまず労働省の仕事であるはずでございます。そのために第八次までのいろんな戦略もあったわけでございます。そういうものの中できちんとこの法改正というのが位置づけられるような対応といいますか取り組みをやっていただきたいということを最初に申し上げます。
 それからもう一点、これはぜひ私どももこの法律の施行について少し意見をつけさせていただこうと思っていることではありますけれども、これもきょうはもう時間もありませんので質問という形では行いませんが、先般申し上げましたけれども、特に育児でありますとか介護でありますとか、このような問題はもちろん今まで女性だけに偏ってきた、きょうの議論でも詳細に出ていたとおりであります。この状況がよくないということで変えていくわけでありますけれども、しかしながら現実にそのような仕事を女性がより多く負担しているということは事実でありますので、ぜひこの現実に立った保護のあり方というものについては、理念先行で男女ともに同じであるから同じようにすればいいのだ、こう言いますとどうしても発言力の大きい方に施策というのは振れるわけでありますから、女子労働者でありますとかまたは小さな会社で仕事を行っているというような小さな声を決して無視しないようにお願いしたいということを重ねて最初に申し上げます。
 特に今のことについて私は異存はないと思っておるんですけれども、局長または大臣でも結構でございますが、何か今のこと、大丈夫でございましょうか。よろしくお願いしたいんですが。
#82
○国務大臣(甘利明君) 貴重なお話であります。御指摘の趣旨を踏まえてこれからも取り組んでいきます。
#83
○山本保君 ありがとうございます。
 それでは、条文に即して少しお伺いいたします。
 まず、十四条でございます。契約労働期間の上限の延長でありまして、何度も衆議院でもこの委員会でもお話があったことだとは思いますけれども、私の方からももう一度確認させていただきたいと思っております。
 この中に、「新商品、新役務若しくは新技術の開発又は科学に関する研究に必要な専門的な知識、技術又は経験」というもの、「専門的知識等」と、こういうふうにまとめているようでありますけれども、こういうもので「高度のものとして労働大臣が定める基準」と。こういう方については一年から三年に期限を延長してもよろしいという法律のようでございますけれども、今読み上げましても、なかなか文章の構造も複雑になっておりますし、一体どんなものを考えているのかまだはっきりしないところがあるわけでございますが、この辺について御説明いただけますか。
#84
○政府委員(伊藤庄平君) 今の我が国の産業あるいは経済面で最大の問題は、キャッチアップ時代が終わった後、現在世界に向けて新たな製品あるいは商品、ソフト、そういったものを開発して出ていく、そういったことの必要性が大変重要な状況にあるわけでございます。そういったものに挑戦していく企業におきまして、今まで社内で培ってきた人材、そういう人ではどうしてもその一つの製品開発等のポイントになる部分で人材が足りない、こういう場合に初めて今回三年という延長した部分が利用できるわけでございまして、いわばそういう部分の高度な技術なり知識なり経験を持った人材という趣旨でございます。
 したがいまして、私ども、そういったものを具体的に明らかにしていくためにできるだけこの基準というものを明確につくりたいということで、労働大臣がその高度であることの基準を定めていこうと、こういうふうにいたしております。それら開発研究等に従事した経験年数とその持つ学歴とをクロスさせながら、この高度というものを押さえていく基準を、そういった専門家の意見も聞きながら、最終的には中央労働基準審議会の意見を聞きながら具体化させたいと思っております。
#85
○山本保君 局長、これはもう当然のことですが、ちょっとお聞きしたいんですが、これを見ますと科学の研究と、こうありまして、普通研究といいますと大学などを考えまして教育というものは入らないということになりますね。つまり、非常勤講師などをやっておられる方もたくさんおられます。こういう方の期限が変わるというようなことはないんだということで、教育分野ではないと。確認でございますが。
#86
○政府委員(伊藤庄平君) 直接、教育の分野ということは想定いたしておりません。
#87
○山本保君 わかりました。
 今、審議会の意見を聞いて客観的な大臣の基準を定めていくということでございますけれども、注文したいことは、今のお話を伺う限り、極めて限定され、また新しい分野に対応するものであるというふうに伺うわけでありますけれども、ぜひ今おっしゃったことを客観的な基準という形で、できるだけ客観的に判断できるような形で示していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、三十六条の時間外とか休日労働についてお伺いいたします。
 この分野に関しては一つお聞きしたいわけでございますが、ILO百七十一号、一九九〇年の夜業についての条約がございます。日本はまだ批准していないというふうに聞いておるわけでございますけれども、特に女子の夜業についてという規定もこの中に明確に書かれているわけでありまして、このような国際的な条約について、なぜまだ批准に至っていないのか、どんなような問題があるというふうに考えられているのか、また今後どういう対応をされるつもりなのか、その辺についてお伺いします。
#88
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございましたILOの百七十一号条約、夜業に関する条約でございますが、これは我が国においても深夜業等の問題についていろいろ御議論をしていくべきいわば一つの契機となる重要な条約ではございます。
 ただ、現時点でこの内容と我が国の国内法制との整合性を見ますと、例えば深夜業の定義は、この条約におきましては午前零時から午前五時まで、我が国の労働基準法におきましては午後十時から午前五時までと、こういった深夜業に関する定義の違いがございます。
 さらには、健康の問題につきまして、夜業に従事する方のいわば自己の請求で健康診断を受けること、あるいはその方の健康上の理由がある場合のいわば配置転換等の規定の整備、この辺につきましても、我が国の国内法制が必ずしもこの条約の求めるところと正直まだ一致していない状況にございます。
 衆議院の方で附帯決議等をいただきまして、こういった深夜業と労働安全衛生法の改正等の問題について対応すべしという指摘もいただいているわけでございますが、そういったことを実現していくことによって近づいていけるという余地はあるわけでございますが、やはり現段階では引き続き我が国の国内法令との関係について検討をさせていただかなくてはならない状況にあるわけでございます。
#89
○山本保君 きょうはこれについて詳しく検討する委員会ではありませんので、これ以上議論はいたしませんけれども、今お伺いしておりましても、例えば午前零時から五時までというのも、この条約を見ますと、それを含むと、こうあるわけでありまして、我が国はそれよりも広い範囲にしているわけですから、特にこの条約の意図とずれているということはないんじゃないかという気もいたしますし、それから健康状態についてというのは、これは衛生法の関係もあってどんどん改善が進んでいるわけであります。
 それから、もし健康上の理由で深夜業につけないという場合には、自己が適応する類似の業務に配置転換できるということが書いてあることについておっしゃったんだと思いますけれども、この場合も条文は「実行可能なときにはいつでも」と、こういうふうに書いてあるわけでありまして、何もその状況を無視して必ず使用者がその方を動かさなければならないという、こういう現実を無視した条文でもないというような気もいたします。
 今のお話では、これから批准もしくはこの内容についての実現は努力していくということでありますので、ぜひそれをお願いしたいわけでありますけれども、どうもお聞きしておりましても、この条約自体の批准も、いろんな最近の整備によってもうほとんど問題ないのではないかなという気もいたしますので、ぜひこれについても今後検討していただきたいと申し上げます。
 次に、これに関連いたしまして、先ほどからも小宮山先生のお話にも出てまいりましたけれども、衆議院の附帯決議で、時間外労働等について総合的なガイドラインをつくるということになってお願いし、また労働省の方でもそのようなことが言われているわけであります。細かい話でございますが、このガイドラインには、深夜労働にかかわる時間でありますとか勤務回数でありますとか、その実際の数値であるとか、また職場でのさまざまなシフトの編成等々について含まれるものだというふうに認識しておりますけれども、この辺はそう理解してよろしいでしょうか。
#90
○国務大臣(甘利明君) 先生御指摘のとおり、自主的なガイ下ラインにはそのような具体的な数値等が含まれることになると考えております。
#91
○山本保君 では大臣、ついでにといいますか、もう一つ、その場合に法令上の措置を視野に入れた場合の検討はどのように行っていくのかについてもお答えください。
#92
○国務大臣(甘利明君) その件に関しましては、自主的なガイドラインで決められた数値等の成果も生かして検討することになるというふうに考えます。
#93
○山本保君 局長、もう一つ、通告していなかったんですが、今までの議論でこれはもう聞いておられて明らかだと思いますのでちょっとお聞きしたいんです。といいますのは、このガイドラインというのは遅くとも激変緩和措置の終了までの間に作成するというふうに答弁されていると認識しておりますが、それでよろしいでしょうか。
#94
○政府委員(伊藤庄平君) 今お話ございました労使で自主的なガイドラインをつくっていただく作業、これは私ども法案を成立させていただければ直ちにそういった作業に入ってまいりたいと思っております。したがいまして、当然激変緩和措置の終了を待たずに着手し、できるだけ早くでき上がっていくように努力をいたしてまいる考えでございます。
#95
○山本保君 結構でございます。というのは、先ほどからお話ありましたように、この激変緩和措置自体が三年でこんなことで大丈夫なのかという議論があり、私は先回の議論でも、こんな三年というようなものでなくて、ある意味では女性の、または男性でも同じですけれども、育児や介護に関係する方については永続的に必要ではないかというふうに思っているわけでございます。もし今の答弁が言葉だけになりますと、激変緩和措置はずっと続くのでその間総合的なガイドラインはつくらなくてもいいというようなことに変な解釈が後になって出ると困ったなと思いましたのでお聞きしたわけでございますが、それを待たずにできるだけ早くというお答えでありましたので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 次に、三十八条の四、新裁量労働制でございます。これは先ほど同僚の但馬委員からもお話を伺ったところでありますけれども、もう一度私からもお聞きしたいわけでございます。
 このような新しい裁量労働の枠を広げるというようなことは、言うならば、ブルーカラーと言っては失礼かもしれませんが、いわば生産労働などに従事している方以外の方であればすべてこれに入るというような運用がなされるのではないかという懸念が実際いろいろなところから出されているわけであります。そのようなものではないというお話でございましたが、もう一度この辺について確認したいと思いますが、いかがでございますか。
#96
○政府委員(伊藤庄平君) 新たな裁量労働制は、事業の重要な事項を決定する部門、代表的にはいわゆる本社等でいわば創造的な能力あるいは発想を出していく、そういうことのために、いわば本人に仕事を相当任されて裁量によって仕事の遂行をしている、そういう人たちで、いろんなデータ分析、そういうことを通じていろんな企画し立案をしていく、そういうことをしている人たちでございます。したがいまして、そういったことを前提として労使委員会で具体的に特定をする場合のいろんなモデル、パターンというものも指針で示して、届け出があった際にチェックする、こういうスタイルをとってまいりますので、先生御心配のように、いわば単に調査だけしている人、あるいはいろんな計算等の事務処理的なものだけする人、こういった人全般に広がるということは決してあり得ないというふうに私ども思っておりますし、そのように万全を期してまいるつもりでおります。
#97
○山本保君 これもちょっと通告していなかったことなんですが、先ほどからの議論の中でふっと気がついたわけですが、局長、ちょっとお聞きしたいんです。
 といいますのは、これまでの裁量労働というのは十一業種ということで、施行規則とそれから告示で示されておりますね。ふっと考えますと、まず、今までの十一業種がどうして規則だけで全部十一定められずに一部告示という形になっているのか。何というか二つの構造を持っている、これはどういう意味でございますか。どういうことからこのようになっているんでしょうか。
#98
○政府委員(伊藤庄平君) これにつきましては、若干裁量労働制につきましての労働基準法上の経緯が一つございます。
 この裁量労働制ができました当時は、業種の限定等について法律上措置がございませんで、いわば研究開発職等仕事の遂行の方法が本人に任せられている人たちということ等、労使協定が要件でございました。通達で事実上業務範囲を五業務ほど絞っておったわけですが、これは制限的列挙というよりは、どちらかといいますとあくまで例示で通達等で縛っていたわけでございます。
 ただ、そういったやり方でおりましたところ、平成五年の法改正に際しまして、やはり本社等の業務の実態から見ると労働時間管理というものが大変しにくい、むしろ労働時間管理ができないぐらいに本人のそういった裁量に任されていろんな活動をしている人たちが経済活動の変化とともに本社等で出てきている。ホワイトカラーのそういう人たちの労働時間管理をどうするか、こういう議論が出まして、その際に、裁量労働ということも当然そういう人に当てはめたらどうかという議論もありました。
 私ども、そういった経過の中で、ただ、ホワイトカラーのそういった人たちの労働時間管理がなかなか一律の時間管理になじまない面は認めるものの、やはりそれをやるには、のめり込み過ぎとか健康の問題等についてしっかりと労使で押さえられるルールがなければいけないということで、その段階で、それは引き続き検討することにして、そういう議論がある以上、一応業務範囲については今までの通達等で例示するのではなくて告示で制限的に列挙できる、こういう形にいたしたわけでございます。
 その当時からホワイトカラーのそういった分野の人たちの労働時間管理というのは課題でございまして、今回御提案申し上げている裁量労働制は、その後の検討を重ねてきた結果を踏まえて、今までのものとは大分パターンを異にして、労使委員会あるいはそこでの具体的な業務の特定、健康管理上の措置等々、新たには衆議院の方で本人同意というようなこともつけ加わって、今までの裁量労働制とはかなりパターンの違う厳格なルールのもとでの裁量労働制というものを提案させていただいたわけでございます。
#99
○山本保君 そのように説明していただきますと、何か全体がわかってきたような気がいたします。これまでのような形で決めているのに比べて、法で厳しく制限をした上でやりましょうということだというふうに理解いたしますので、その趣旨をもっときちんと貫いていただきたいと思っておるわけであります。
 今お話が出ました中で、「健康及び福祉を確保するための措置」という言葉が新しい第四号にあるわけで一それに配慮したんだというふうにありましたけれども、これについてもう少し詳しく説明していただけますか。
#100
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働制を実施する場合に、労使委員会で勤務状況、労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康、福祉を確保するための措置を決議しておくことというのを実態的な要件といたしておるわけでございます。
 その具体的な内容につきましては指針で具体的なパターンを示してまいりますが、私ども現在念頭に置いていますのは、把握した対象労働者の労働時間の状況に応じて、例えば代償休日あるいは特別の休日を付与すること、あるいは年次有給休暇を計画的に与える、さらには法定日数以上に付与すること、それからもし仮にオーバーワークというふうなことが認められれば健康診断の回数を法定回数以上にふやしていくこと等々を労使で定めて届け出るというようなことを想定いたしております。当然、これらについてはその後も実施状況については定期的に実施状況の報告が義務づけられておることになりますので、そういったことの実際の運用状況も把握されていく、こういうことになるわけでございます。
#101
○山本保君 今お聞きしましたのは、先ほど小宮山委員からもお話があったことに関連するわけです。衆議院で修正されました四項において、使用者が報告した場合のことについて、その内容について労使委員会にも開示すべきであるというふうに私も思うわけでございます。
 これを見ますと、第四号、今局長が詳しくおっしゃられた健康及び福祉を確保するための措置についてというふうに条文ができているわけでありますから、私は、単に問題があったとかなんとかというときだけ開示するというようなことではなくして、まさに健康、福祉ということに絡めて、例えば実労働時間はどれぐらいであるがみなしはこうであるというようなことがわからなければ、これは健康、福祉というこの目標に合わないわけでございますから、こういうことでお聞きしたわけでございます。
 大臣、まとめ的にお聞きいたしますけれども、今申し上げましたような実施状況報告について、労使委員会にも情報を開示すべきであると考えますけれども、いかがでございますか。
#102
○国務大臣(甘利明君) 労働基準監督機関に提出をする実施状況報告は、お話しのとおり、労使委員会にも開示されるように措置するということとしてまいります。
#103
○山本保君 それから次に、労使委員会の合意のことでありますが、全員の合意ということになっております。先日の議論にもたしかあったかと思うんですが、全員の合意というのは何か一般的によく日本的な談合とか何かを意味するような、つまり、少数者の意見を尊重してそれに配慮するというのがまず民主主義の基本ではないかという、これは労働組合の方には申しわけございませんが、そんな考え方もあるのではないかという気もするわけでして、全員の合意というものをこのようにとることの意味。
 時間もありませんので一緒にお聞きしますけれども、例えばもしその決めたことが、全員で決めた、ところが、それが一月もたってみましたらどうもよくなかった、もしくは誤った情報に基づいておったとかというようなことがあります。それを変えたいといいまして変えるときに、その委員会を招集してください、そしてさあ変えましょうといったとき、いやいやこれでいいんだと片方の方が言って全員合意しないということになったら、変えることすらできなくなるのではないかという何か危惧もあるわけでございますけれども、これはいかがでございますか。
#104
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働制で労使委員会が対象範囲等あるいは健康の問題等決議をいたす際に全会一致といたしているわけでございますが、これは、労使委員会の代表が例えば本社等の裁量労働が問題になるセクションであれば、その職場を代表する方が委員になるわけでございます。そこで基本的な労働時間を初めそういったことについての決議をするわけでございますので、そのスタートに当たって、やはりその職場を代表する方々が委員である以上、全員が一致した形でそのルールというものを定めてほしいという発想で、この法案の議論をしていただきました中央労働基準審議会におきましても、公労使一致してそういったことの必要性を認めて建議を受けたところでございます。
 もちろん、多数決ではなくて全会一致ということであるだけに、先生御心配になられましたように、一たん決めたのだからこれでいいんだというようなことで、その後いろんな不都合な点があっても見直し等が行われていかないのではないか、こういう御懸念でございますが、この点につきましては、この労使委員会の決議については、私ども有効期間を一年というふうに限っていくという措置をいたしたいと思っております。
 また同時に、そうした上で労使どちらか一方から見直しの要求があれば見直しに着手しなければならない、労使委員会を開いて検討を開始しなければならない旨も指針の中であらわしていきたいと思っております。こういうことによりまして、もし不都合な点があれば労使で真剣な話し合いが行われて、いいものになっていくことの措置を織り込んでいくつもりでございます。
#105
○山本保君 私最後に一つだけ、時間がありませんので簡単に答えていただければいいですが、百五条の三というのが新しく紛争の解決の援助ということで労働基準局長に対する権限といいますか、仕事が新しく出ております。この紛争に対してどのような対応をされるつもりなのか、わざわざこれを書いた理由、この辺について。
#106
○政府委員(伊藤庄平君) 労働条件をめぐります個々の労働者と事業主の間で持ち上がりますいろんなトラブル、紛争というもの、近年確かに増加いたしておるわけでございます。特に、こういった経済情勢のもとで解雇あるいは賃金等、労働条件の切り下げ等をめぐる問題が事実上相談がかなり寄せられてきているわけでございます。ただ、これらは労働基準法違反というよりは、その民事的な効力等が問題になる事案でございまして、労働基準局、監督署におきましては、今まで労働基準法違反等については是正し改善していくべき任務を負っているわけでございますが、民事上の問題についてはなかなか権限上入りにくい、こういう問題がございました。
 しかし、そういった事案がふえていることにかんがみまして、今般法律を成立させていただければ、各都道府県労働基準局に専門官を配置すると同時に、学識経験者等のいわば参与というような形で常に意見等を聞ける体制をつくりながら、そういった問題が持ち込まれた場合に、事実関係を整理し、今までの判例理論等に照らして対応、問題を解決すべき道筋を見出して、事業主等に助言あるいは指導を行って、裁判等に行かずとも早期に解決できる道筋をつくるというものでございます。
 このために、私ども全国の労働基準監督署にこの労働基準局におきます専門官とのパイプ役として、法案成立させていただければ、新たにこの十月一日から三百二十人を超える相談員を配置してそういった問題のパイプ役になる、こういう体制を準備いたしておるところでございます。目下の経済情勢のもとで、私どもこういった問題について早急に対応を急いでまいりたいと思っておりますので、ぜひ御理解をいただければ大変ありがたい制度だと思っております。
#107
○山本保君 終わります。
#108
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#109
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#110
○市田忠義君 日本共産党の市田です。
 九月十八日に行われました当委員会での参考人質疑、またこの間の当委員会での審議を通じて、法案のさまざまな問題点が改めて浮き彫りになりました。
 参考人質疑では、どの参考人も慎重審議を主張されました。また、法案の中身については、来年四月一日から女性保護規定が撤廃されるもとで時間外・深夜・休日労働の男女共通規制が法律に明記されていない、罰則つきの法的規制がもし無理というなら、せめて私法的効果を持たせるべきではないかと、そういう具体的な提案もありました。
 裁量労働制については、労働時間は本来時計ではかるものなのに、みなしというはかりを使う、憲法二十七条、労働条件の基準、これは法律で定める、これに果たして合致するのかと。一番大事な労働条件を労使にゆだねて法律にゆだねない、これは憲法上果たして妥当か、参議院の皆さん、ぜひ審議してもらいたいと、こういう提起もございました。また、別の参考人は、裁量労働制を導入した場合に、実際の労働時間とみなし労働時間、この乖離をどう防ぐと。さらに、労使委員会の権限についての疑義も数多く出されました。中には、法案の中身を決めないでどこかに任す、国会の審議権の放棄ではないか、国会の自殺行為だと、こういう指摘もありました。
 そこで、この間の審議の中で明らかになった問題点や参考人質疑なども踏まえて、幾つかの問題について質問をします。
 まず第一は、時間外労働の規制についてであります。
 今回の法案で三十六条に新しく設けられた規定、時間外労働について労働大臣が基準を定めることができると。そして、労使協定がその基準に適合したものとなるようにしなければならない、こういう文言が入っています。この何々となるようにしなければならない、これと同趣旨の文言が使用されている条文が現行労働基準法の中にはかにありますか。あればお示しください。
#111
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました第三十六条の改正条文でございますが、三十六条におきましては第二項で時間外労働の上限基準を定め、第三項で労使はこれに適合したものになるようにしなければならない、それについて労働基準監督署が指導すると、こういう一連の体系をつくり上げている条文は今回初めてでございます。
 先生御指摘のように、「ように」という表現を含んだものとしては、現在、議院修正で昭和六十二年に入りました第百三十四条の規定があろうかと存じますが、これはただいま申し上げたような体系とは違うものでございまして、時間外の上限に関するこういった遵守義務をこういう形で定めたのは今回の改正が初めてでございます。
#112
○市田忠義君 今言われたように、附則第百三十四条、同じように何々となるようにしなければならないという規定、「使用者は、第三十九条第一項から第三項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」、同じ規定ですが、今、伊藤局長は同じような言い方だけれども違うということをおっしゃいましたが、述べられた百三十四条の法的拘束力についてお聞きしたい。
 最高裁は一九九三年六月二十五日、この条文が問題になった沼津交通事件で、この法的拘束力についてこう述べています。「本条は、それ自体としては、」、すなわち何々となるようにしなければならない、こういう規定は、「それ自体としては、使用者の努力義務を定めたものであって、労働者の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない」、こういうふうにしていますが、間違いありませんか。
#113
○政府委員(伊藤庄平君) 先生、判決の一部について御紹介ありました。その一部については御指摘のとおりかと存じます。
 附則の第百三十四条につきまして、直ちにそれを不利益取り扱いの私法的効果を否定するものではない、ただ同時に、こういった附則百三十四条、それから労働基準法三十九条、有給休暇でございますが、これを通して形成される公序良俗、こういうものに違反する場合はその私法的効果を持たない。こういう法理のもとに、裁判におきましては、この沼津交通の事案、いわば年次有給休暇の取得を理由に皆勤手当を控除する措置につきまして、全体として見た場合に年次有給休暇の取得を一般的に抑制する趣旨のものではないこと、また、年次有給休暇の取得により控除されるこの皆勤手当の額が相対的に大きいものでないことから、公序に反するというところまではいかない、こういう論理で、いわば会社側の勝訴となっている事案かと存じます。
#114
○市田忠義君 もう少し端的にお答えいただきたいんですが、その判決の全体はよくわかっていますよ、言われなくても。私法上の効果があるのかと聞いているんですよ。何々となるようにしなければならない、こういう規定の仕方は最高裁の判決でそれは単なる努力義務だ、こういう判決が下っているでしょう、私法上の効果はないんでしょうということをお聞きしているんです。イエスかノーでいいんです。
#115
○政府委員(伊藤庄平君) 大変恐縮でございますが、一種の判例法理でございますので、イエスかノーかだけでは答え切れないことを御容赦願いたいと思いますが。
 この判決におきましては、先ほど来、私どもからすれば今回の遵守義務まで高めた三十六条の改正条文とは性格が異なるというふうに申し上げておりますが、この百三十四条については直ちにこれによって不利益取り扱いの私法的効果を否定するものではない、ただ、附則百三十四条、それから年次有給休暇を定めた三十九条、これを通して形成されている公序良俗に違反するような場合には私法上の効果は否定される、こういうことを最高裁は申していると承知いたしております。
#116
○市田忠義君 では、今度の三十六条で新たに規定された、労働大臣が時間外労働の基準を定める、労使協定がその基準に適合したものとなるようにしなければならない、これは罰則規定はありませんが、私法上の拘束力は持つんですか。
 あなたは前の答弁で、罰則規定はないけれども努力義務を超えた遵守義務だということを確かに委員会でおっしゃっていますが、これは私法的拘束力を持つんですね。最高裁の判決ではこう述べているけれども、最高裁の判決の判断とは違って、こういう規定の仕方でも私法的な拘束力を持つということをあなたはこの委員会でおっしゃるわけですね。
 そうすると、最高裁の判決、最終裁判所で決まった判決と違うことをあなたは言ってこの法案を通そうとしているのと同じじゃないですか。
#117
○政府委員(伊藤庄平君) 先生御指摘になっている沼津交通事件の場合、それからほかの裁判例におきましては、取得を理由とした不利益取り扱いの私法的効果を否定している判決もあるわけでございまして、要は、こういったものが基準法の条文を介して形成されている公序良俗に違反するかどうかという判断で、公序良俗に違反する程度の不利益であれば私法上の効果が否定され、そうでない場合は否定されないわけでございまして、今までの裁判例を見ても、否定されているものもあり否定されていないものもあることは事実でございます。
 したがいまして、今回の三十六条の改正条文は、先ほど申し上げましたように、今までの附則にある百三十四条とは違った、遵守義務として体系を整えておるわけでございますので、もしこれに合理的な理由なく違反しているようなものがあれば、先ほど大臣からも答弁申し上げているとおり、民事上争い得るものと考えておるところでございます。
#118
○市田忠義君 例えば十八日の参考人質疑の中で、中央大学法学部の角田教授が参考人として立たれました。そのときに、一般的に法令の遵守義務とはどういうものかと。国民一般が法律を守らなければならない、そういう遵守義務がありますよ。
 あなたは前のこの委員会で、努力義務と遵守義務は違うんだ、そうおっしゃいましたね。議事録に書いていますよ。単なる努力義務ではなくて、罰則規定はないけれどもこれは遵守義務なんだ、努力義務よりももっと強いものなんだと、そうおっしゃった。
 ところが、この委員会の参考人質疑で角田参考人がこうおっしゃっています。一般的に法令の遵守義務というのは国民に課せられた義務であると思います、その点で言いますと遵守義務の中にはさまざまな段階のものがある、例えば遵守義務を行政指導によって徹底する、それは一番軽いものだ、私法上の効果を与える、これはその次だ、一番重いのが罰則を与える、何で担保させるかで同じ遵守義務といっても中身に違いが出てくる、遵守義務という言葉によって直ちに私法上の効果がありますというふうに受け取ることはできないのではないか、こういうふうに指摘されています。
 遵守義務というのは、あなたがこの間この委員会で言われた努力義務とは違う遵守義務とはどういうことですか。
#119
○政府委員(伊藤庄平君) 努力義務には単に努めなければならないという規定から、いろいろな表現方法があるかと思います。そういう中で、今回の三十六条の改正条文は、大臣が上限の基準を定め、労使に適合しなければならないようにすべき義務を課し、それを指導する、こういう一連の体系をつくり上げていることによって、単なる努力義務ではなくていわば遵守義務としてレベルの高い法体系になっている、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
 私法的な効果につきましては、私法的な効果を法律上否定する措置を講じているかどうかではなくて、そういった立法によってどういう労働条件に関する秩序を形成しようという立法意図があるか、それが公序として成立しているかどうか、そして公序として認められるほどの期待がその条文に込められ、それに違反する形がとられていれば、それは合理的な理由がない限り私法上の効果は十分争い得るものというふうに解釈されるのが法解釈の道だと存じます。
#120
○市田忠義君 全く納得できないですよ、そんな答弁は。最終裁判所である最高裁判所は、そういう規定の仕方は私法的な拘束力を持たない、そういうふうに判決を下しているのに、それとは異なった解釈でこの法案は大丈夫だ、そんなことを国民が納得できますか。大体、法律に上限を明確に書いて、それ以上の残業時間を禁止してほしい、これが労働者の強い願いなんですよ。全くそれに今度の法案はこたえていない。参議院の審議を通じても労働者の願いにこたえるものに仕上げられない。そうなれば本当に参議院の存在意義はどうなるのか。私は、このことを特に指摘して、ほかの問題も論議したいので、次に移ります。
 前回も私は裁量労働制について聞きました。衆参の審議を通じて、あるいは参考人質疑を通じて、新しい裁量労働制について重大な問題点が浮き彫りになりました。
 第一は、裁量労働制が持っている本質的問題、すなわち、何時間働いたかにかかわらず労使が協定で決めた時間だけしか働いたものとみなさないわけですから、労働時間管理を外して際限のない長時間過密労働を労働者に強いることになる。そうした労働を強いられることのないような歯どめが果たして可能なのか。第二には、そういう弊害をこうむる労働者の範囲を限定できるのか。ここに私は質疑が集中したと思うんです。そういう疑義があるから、衆議院の修正でもこの問題に一定の答えを出そうということで恐らく本人同意問題がつけ加えられたのだと思うんです。しかし、それでもなお不明確なために、施行までに一年間の猶予措置を置いて労使委員会で決議すべき事項を定める、そういう指針の内容について専門的機関で検討しようということになった。参考人質疑では、一年では短い、三年ぐらい検討したらどうかという意見もあった。
 しかし、いわば労働条件にかかわる重大な問題を法律で決めないで、国会の外で、指針だとか中基審で議論するんだとか専門機関を置いて検討するんだとか、結局これでは、具体的な事項がはっきりしないまま、国会や国民の前には裁量労働制をどういう労働者に適用するかはあいまいなままで見切り発車するのと同じことだ、これでは参議院としての責任ある審議をしたことにはならない。
 はっきりしない具体的な事項には何があるか。私なりに幾つか整理してみると、実労働時間とみなし労働時間の乖離、この差を埋められるのかどうか。二つ目には、ホワイトカラー全体に広がるおそれがあるのに、対象業務の具体的な限定は国会での議論の外に置かれている、指針で決めるんだとか労使委員会で決めるんだとか、労働基準監督署がきちんと管理するんだとか。しかし、法案では極めて抽象的であいまい、こういう問題がある。三つ目、労使委員会での決議によって本当に業務限定が可能か。四つ目、これはきょう後でも詳しく詰めたいと思いますが、届け出時のチェックで十分是正が可能だ、枠は広がらないと盛んに伊藤局長は言われた、この問題があります。また、臨検監督によって是正が可能か。さらに、そもそも労使委員会の機能そのものが極めて重大な問題をはらんでいる。これは参考人として出られた連合の松浦さんもおっしゃった。多くの方がおっしゃった。
 ほかにも問題がありますが、ざっと挙げただけでも裁量労働制の問題だけでもこれだけ、まだまだ解明しなければならない問題があります。
 そこで、まず対象業務の限定の問題について、前回もお聞きしましたが、改めて聞きたい。
 前回私は、議事録を読み上げて、伊藤局長の衆議院での答弁が意味不明だということを指摘しました。労働大臣にこの説明がわかりますかと私が聞いたら、かなり回りくどい言い方であった、わかりやすいようにもう一回答弁させますと、労働大臣もわからなかった。私は、言っている本人もわからないんじゃないかということを言いましたが、よく考えてみますと、伊藤局長の説明の仕方がまずいんじゃないんです。法案に書いてあることが抽象的、一般的だからなんです。だからああしか言いようがない。あなたの説明の仕方がまずいんじゃないんですよ。だとしたら、なぜ具体的な対象業務を国会に示せないのか。大臣どうですか。
#121
○国務大臣(甘利明君) 具体的に個々にと申しますと、その業務、いろいろ形態が多様化をしているわけでありまして、これとこれがそうだけれどもこれが違うというのは、一つ一つ挙げてすべてを列記するということはなかなか難しいというか不可能だと思います。これはそうでこれはそうではないということまで、日本全国にある企業の該当すると思われるところの具体的な落とし込みについて、これを法律その他で一つ一つすべて決めていくということは不可能に近いんではないか。最終的には、個別個別の対象認定はガイドラインに基づいてそこの現場の事業所の労使委員会で確定することが適切だろうというふうに思います。
#122
○市田忠義君 法律で一つ一つ全部細かいことまで決めろなんて言ってないですよ。余りにも包括的で抽象的で、大臣が聞いても回りくどい言い方でさっぱりわからない、伊藤局長自身が自分で何を言っているかわからないような答弁。私、労働大臣が法律ではそんなことを定められないからそれは労使委員会だ、指針だとおっしゃるだろうと思って、これは後で言います。
 衆議院の委員会の議論では、指針でもそんなことは明らかにできないと伊吹労働大臣が答えているんですよ。指針で具体的にどういうことを明らかにするんだと言ったら、わけのわからぬ答弁。後でその議事録を紹介しますよ。
 大体、一番大事な裁量労働制がどういう人々に適用されるかということが法律でわからないということは、国会と国民に伏せたままで、一番大事な問題は国会に示さないで、それは労働大臣が指針で決めるんだ、労使委員会で決めるんだと。何でそんな大事なことが労働大臣に白紙委任できるんですか。数百万人のホワイトカラーとその家族にかかわる問題なんです。
 そこで私、具体的にもう少し聞きます。
 伊藤局長が五月八日の衆議院の労働委員会で棚橋委員の質問にこう答えておられるんです。棚橋委員の質問はこういう質問なんです。現行法では十一業種ですよね。「現行法の例えば弁護士といったような業種指定から、今回は、例えば企業の本社等の中枢部門で企画、立案等に携わるという、どうしても抽象的な基準でございますので、」わかりにくい、具体的な例示をしてほしい、こう質問されたんです。あなたは何と答えているか。「具体的に申し上げれば、例えば経営戦略、経営計画といったようなものを、部分的に担当するのではなくて、ある意味ではトータルとして一体的に担当しているような方々。この点は、例えば人事、労務関係であれば人員計画のもちろん企画、人事政策の企画、そういったことを策定するためにいわば一体として任されているような人たち」。
 これでは余りよくわからないとあなたは思ったんでしょう、この答弁の最後にこうおつしゃつているんですよ。こういう業務は、こういう業種は絶対に裁量労働制を適用してはならない、導入してはならない、ネガティブなものを具体的に示すと。要するに、こういう業務は適用してはならな
 いんだよ、ネガティブなものを指針で示します、こう答えている。この考えに間違いありませんね。ネガティブなものを指針で示す、そう答えているんです。いいですね、確認して。
#123
○政府委員(伊藤庄平君) 恐縮でございます。私の答弁ですので私の方から答えさせていただきたいと思っていますが。
 今御指摘ありましたこの裁量労働の業務範囲につきましては、先ほどの説明、私自身はよくわかっているつもりでございますので。御指摘ございました、まずはポジティブな部分とネガティブな部分両方を明示することによって裁量労働者の範囲をより明確にする指針上の工夫というのは、これはしてまいる考えでございます。
#124
○市田忠義君 じゃ、ネガティブなものを示すわけですね。それは間違いないですね。そうすると、ネガティブなもの以外は全部オーケーなんですね。要するに、これは適用してはならぬということを指針で書くわけですから、それ以外は全部裁量労働制を導入していいんですね。絶対これはだめだよというのはあるわけですから。そういうことですね。そうじゃないんですか。ネガティブなものとポジティブなものを示して、真ん中もある、こういうことですか。
#125
○政府委員(伊藤庄平君) 指針において業務を示していく場合に、私ども、実際の大企業等の組織、またいろんなもの等を担当しているセクション、こういう実例を集めてモデル的なものから例示をする。また、御指摘ございましたように、絶対だめなものもあわせて例示していくというわけでございまして、絶対だめなものを例示したからといって、じゃ、そこにだめなものとして例示されていないものは裁量労働の対象になるというふうには解釈はいかがなものかと存じますが。
#126
○市田忠義君 そう言うだろうと思って別の答弁も調べてきたんです。あなたが答弁した一週間後に当時の伊吹労働大臣が何と言っているか。こう言っているんですよ。「具体的にどこまでなんだということは、やはり一つ一つの仕事に当たらないとこれはわからないわけで、逆に」「下手なことを書きますと、かえってそれが一つの手がかりになって、今御心配になっているようなことを惹起するおそれもあるわけです。」と。
 その次にこうおっしゃっているんです。問題は労働大臣が示す指針というものをどう書くか。法律にどう書くかじゃないですよ、労働大臣が示す指針をどう書くか、こういうふうに言って、「実態をよくわきまえながらつくらせていただきたいと思いますが、」「ネガティブに、この業務はだめだよと書くということが、」「それ以外の部分で抜けているところが万一あった場合にはオーケーになってしまうという危険がある」と。だからネガティブなものは指針でも書かないんだ、そう言っているんですよ。ネガティブなものを示すとそれ以外はオーケーになるから、そういうことは指針でも書かないと。あなたは書くと言っているんです。労働大臣とあなたの答弁、百八十度違うじゃないですか。どうなんですか。
#127
○政府委員(伊藤庄平君) 指針におきまして対象業務のポジティブな面とネガティブな面を書くわけでございますが、指針はそこは有機的な相関連するものとして書くわけでございまして、ネガティブな方に挙げたらそれ以外はオーケーだとか、ポジティブなものに書いたらそれ以外は全部だめだとか、そういうふうに読めるような、そんな指針はつくるつもりございません。
 そこは十分基本的な業務範囲の考え方と、こういう考え方に即して例示していく場合のポジティブな面とネガティブな面があるわけでございまして、実際各労使委員会で決めていただくときは、そういった範囲に即して、実例に即しながら自分の具体的な会社でどのセクションのどの人たち、こういうふうに特定をしてもらって、それが指針をつくった考え方に反していれば私ども具体的な改善指導等もさせていくわけでございまして、先生のおっしゃるような、ポジティブで書けばそれ以外だめ、ネガティブで書けばそれ以外オーケー、こんな指針にするつもりはございません。
#128
○市田忠義君 大臣の言っておられることと全然違いますが、要するに、そうすると今のを聞いていますと、指針でもあいまいなものしか書けないということなんですよね。余り厳密に書くとあれだから大まかなものを示す。そうですよ、ずっと一貫しているんですよ。指針で例えば具体的にこうだということをほとんどおっしゃってないですよ。この二人の答弁の食い違いがなぜ生じたか。それは、今度の新しい裁量労働制の対象業務をきちんと決めるわけにはいかない、ネガティブリストもうまくない、結局業務の限定などはできっこないんだということをあらわしているんだと思うんです。
 中基審の議論の中でもこういう議論がされている、使用者側からこんな意見が出ているんですよ。例えば、どんな裁量労働であっても管理の中には必ず入っていると。管理のない、裁量労働裁量労働だといっても何らかの形が管理されている。逆に、管理されて指揮されている労働でも一定の自己裁量がないような労働というのは最近はないんだと。要するに、その間には区別がない、大変ややこしいんだ、こう言っていますよ。これは千差万別で、きちんとしたものというのは難しい。
 中基審の議論でこういう議論もありました。また、人事とか一般的な企画とかそういうものになると、これは全部言うならば本社の業務そのものだと。すなわち、本社の業務なんというのはほとんど今度の法律で規定されているような業務が全部入っちゃうじゃないか。それを言うと、いや、指針で決める、労使委員会が決定するんだと。大体こんな大事なことを労使委員会にゆだねるということ自身が大問題だと思うんです。
 そこで私、聞きます。あなたはこの間の議論で、法律では大まかに示すと。指針で具体的に示し、労使委員会は全員一致で決めるんだ、実情に詳しい、現場のことに詳しい労使委員会が決める。しかも、労働基準監督署に届けられたら、届け出の際もチェックするし、労働基準監督官がこの法律、指針に合ったものをきちんと届けられているかどうか見る。その監督行政について私は若干聞きたいというふうに思うんです。
 例えば伊藤局長は、裁量労働制の導入が法律の要件を満たさずに行われた場合は本則三十二条に戻る、そういう答弁をしておられますね。すなわち、三六協定をつくって割り増し賃金を支払う体制で管理していない限り労働基準法違反になると。裁量労働制の導入は法律の要件を満たさないときには本則三十二条に戻るんだ、だから大丈夫なんだと、こういうことをおっしゃっている。
 そこで、具体的に聞きます。
 労使委員会の決議事項には、対象業務、労働者の範囲、みなし労働時間、当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置、苦情の処理に関する措置、本人同意及び不利益取り扱いの禁止、その他命令で定める事項が決議されなければならない、こうなっています。
 そこで、あなたがおっしゃった、このどれが欠けたら本則に戻るんですか。このどれが欠けたら三十二条に戻るのか。どうなんですか。
#129
○政府委員(伊藤庄平君) その各号の部分だけじゃなくて柱書き全体からお読みいただきたいと存じますが、柱書き全体から見まして、まず、そういった企画、立案、調査、分析等の業務で、業務の遂行方法に関して事業主から完全に任されている、こういう状況がなければもとへ戻ります。それから、対象業務、対象労働者の範囲についても、柱書きで縛っておりますので、そういったものについて一連の労働者の範囲、業務の範囲等々につきましてはこれは本則に戻ると。
 ただ、もちろんその中でございました苦情処理等の問題について、これはその機構をつくって、決議して、それを実際に機能、運用するという問題で、これは内容の点でつくっていなければもとに戻りますが、つくって後一つ一つの運用についてその都度本則に戻るかどうかという問題はありますが、柱書き全体からお読みいただければそういった解釈になろうかと存じます。
#130
○市田忠義君 一つでも欠ければ本則に戻りますか。全体が欠けた場合ですか。三十二条に戻る場合にいろんな要件がありますよね、裁量労働制を導入する場合の。どれが欠けたときに本則に戻るんですか。あなたは、大丈夫だ、本則に戻るから、そんな違法なことをやっていたらと、歯どめの問題でおっしゃったんですよ、質問に答えて。だとすれば、どこが欠けたら本則に戻るのか。一つでも欠けたらなのか。全体が欠けるというところまでいかないと本則に戻らないとなれば、ほとんど本則に戻ることはないんじゃないか。
 私の質問の趣旨はおわかりだと思いますが、どこが欠けたら本則に戻るんですか。あなたの説明でいくとなかなか本則には戻らないよということを聞いているんです。
#131
○政府委員(伊藤庄平君) まず、制度実施に当たって労使委員会をつくっていなければ本則に戻ります。本則というか、もともとの時間管理に戻ります。それから、各号でこういうことを全員一致で決議していなければならないというのは絶対的な要件でございますから、一つでも決議から漏れていればこれはもともとの時間管理でやることに戻ります。
 そういった仕組みでございます。
#132
○市田忠義君 もう一度確認しますが、一つでも欠けたら本則に戻るんですね、要件の一つでも欠ければ。今の答弁はそういうことですね。確認しておきますが。
#133
○政府委員(伊藤庄平君) その絶対的な要件として、決議すべきことを定めているどの一つでも決議していなければ、それは裁量労働制にはならないということを申し上げているわけでございます。
#134
○市田忠義君 では、次に質問を進めます。
 先ほど来私がいろいろ指摘してきたように、業務の限定というのはなかなかしがたいと、指針でも、労使委員会でも、法律ではもちろんのこと。そういうときに、監督官では私は判断のしょうがないと思うんですね。労働基準監督署が、監督官が、決議されている事項が書類は整っていても実際に一つ一つの業務に当たらないとわからないというのが前の伊吹労働大臣の答弁なんですよ。形式上はそういうことが決議されて届け出された、しか旧しその書いてあるとおりになっているかどうか、本当にそれがこの規定どおりのものかどうかというのは、よほど厳しい基準がなければ監督行政は私はやれないと思うんですよ。
 監督官はむやみに権限行使はできないわけです。罪刑法定主義の原則からいっても、法律に定められた事項についてのみ監督、指揮、指導できるのであって、その基準があいまいなものについて指導や処分はできないと思うんです。現実には是正勧告すらできなくなる。
 前の衆議院の労働委員会で、こんな基準では、もっと細かいのを示してもらわなかったら困ると、こういう質問に対して伊吹労働大臣は何と答えているか。対象業務が際限なく広がるという心配を持つなら、国権の最高機関である院がお決めになったらいいじゃないかと。院に提起されていないから問題にしているのに、開き直って、そう言うなら院で決めたらいいと。じゃ、法律に書いたらいいじゃないですか。指針なんというのは国会で議論しないんでしょう。労使委員会にゆだねるというのは我々はわからないですよ。だから法律でもっときちんと決めなさいと。決めなかったら労働基準監督官は大変ですよ、仕事ができなくなりますよ。
 じゃ、労働基準監督署の監督行政について幾つか聞きます。
 まず、労働基準法適用事業所というのは全国で幾つありますか。
#135
○政府委員(伊藤庄平君) まず、今数字をお尋ねでございますが、その前に、先生が前段として言われた点について私どもの気持ちをぜひ答弁させていただきたいと存じます。
#136
○市田忠義君 気持ちはいいですよ。聞いたことだけ話したらいい。
#137
○政府委員(伊藤庄平君) 先生、大企業等のそういった中枢部分で働く方々の労働時間管理の実情、またそういった方がどういつだ仕事の状況にあるか、私どもの受けとめておるところをお話しさせていただきたいと存じます。
#138
○市田忠義君 委員長、聞いていることだけに答えさせてください。
#139
○政府委員(伊藤庄平君) それは、監督官が監督できないのではなくて、現在、自主申告制なり、実際に労働時間管理になじまないそういう人たちが確かにおるわけでございまして、私ども、具体的にそういった部分で働いている方々を多数承知しているわけでございます。
#140
○委員長(吉岡吉典君) 質問に答えてください、質問に、時間の関係があるから。
#141
○政府委員(伊藤庄平君) 労災事故等が起きた場合に、そういった方々が実際に自己申告のもとでどういう実態の勤務ぶりであったか等が確認できないケース等があるわけでございます。そういったものに是正の道を開き、重点監督対象として私たちが入って適正な労働条件の秩序をつくり上げられる道筋をつけているわけでございまして、その点はまず申し上げて、お答えさせていただきますが、先ほどの事業所数については、事業所センサスをもとにして算出いたしますと、平成八年十月の時点で全国で四百五十六万事業所ございます。
#142
○市田忠義君 最後のその一言だけ聞きたかったんですよ。あなたのいろんなわかりにくい説明を私は設問していないんです。
 二つ目。じゃ、平成八年、一番新しい資料だと思いますが、臨検監督をやった実施件数は、定期のやつと申告のやつとで分けて、それと合計とをおっしゃってください。要するに、臨検監督を実施した件数ですね、平成八年。
#143
○政府委員(伊藤庄平君) 平成八年に実施しました臨検、定期監督等が約十六万五千件、申告に基つく監督が一万六千件、再監督等を含めましてこれは一万件、合計約十九万件でございます。
#144
○市田忠義君 そうしますと、四百数十万の中の十九万件ですから、パーセントにすると全事業所の中の四%強ですね。計算したらそうなりますよね。
 その次に聞きます。じゃ、その臨検監督をやられた中で労働基準法の違反の数と率はどれぐらいあったか。
#145
○政府委員(伊藤庄平君) 主なもので申し上げますと、まず定期監督を実施した事業場で違反事項の最も多いものが、いわゆる安全基準、危険防止措置等を的確に講じているかどうかの安全関係の問題が約三万三千七百件ほどございます。それから、労働時間について、現在の三十二条の規定から四十条あるいは六十四条の二等、いろんな各条文に照らしての違反が二万二千二百件ほどございます。そのほか、就業規則の変更等について届け出のないものが一万八千件、そのほか、作業主任者の選任とか定期的な機械等の自主検査をやっているかどうか、こういった事項が以下に続く件数でございます。
#146
○市田忠義君 そうしますと、全事業所の中で臨検監督をやった数が大体四%強で、その調べた中で五十数%の違反の率だったと、こういうことになりますよね。それで、違反の率の一番トップが安全衛生に関することで、その次が労働時間の問題ですね。あとはかなり下に落ちるということを今数字でおっしゃいました。
 それから、もう一つ聞いておきたいと思うんですが、実際には時間外労働をさせているんだけれども、三六協定を結ばずに残業をさせている、これは何%ぐらいありますか。
#147
○政府委員(伊藤庄平君) 今、正確な数字、データは持っておりませんが、監督官が定期監督等に行きましてそういった点を調べますと、いわゆる残業しているにもかかわらず三六協定が結ばれていない事業場というのが大体三割前後、違反を見つけて是正をさせている状況にございます。
#148
○市田忠義君 実際に残業をさせているのに三六協定を結ばずに届け出もしていないと、たったそれだけですか。七二%でしょう。数字、間違っていませんか。実際に時間外労働をさせているのに三六協定を結んでいないと、あなたたちの出している資料でそうなっていますよ。あなたは前のここの委員会の質問の中で、三六協定が提起されている、届けられている、その中で目安時間が守られているのは九割を超えていると。その分母はどういう数字なんですか。
#149
○政府委員(伊藤庄平君) 今、先生お持ちの資料、これではないかというふうに定かには申し上げられませんが、私どもが実態を調べたデータの中で、時間外・休日労働に関して協定を締結していない事業場というのが出てきたのが七割くらいあると。その中で、同時に同じ調査で調査した事業場で、時間外・休日労働が行われていないというのが四二%近くあるわけです。そこを掛けていただくと、大体三割前後が違反の、三六協定のないケースという形になるわけでございます。
#150
○市田忠義君 何とか数字のごまかしをやって少ないように見せようとされていますが、先ほど労働基準局長が答えられた中で、労働安全を除いて労働時間に関する違反率が極めて高いと。これはもう数字で明白になります。しかも、年々これが高まっている。六年連続してふえ続けているでしょう。あなたたち労働省が出しておられる資料で、六年連続これがふえ続けている。現状の監督体制のもとでも、到底労働基準法が定着したとは言いがたい。
 そういう状況のもとで、極めて複雑かつあいまいな基準に基づいて、弊害の多い裁量労働制についてどうして監督できるんですか。だれもそんなことは信用できないですよ。労働基準監督官がきちんとやるんだ、二重、三重の歯どめがある、大丈夫だ、安心せよと。でも、現にこういう労働基準法違反の出来事がいっぱいあるのに、基準があいまいでさっぱり監督することが難しいような、こういう新たな裁量労働制が導入されたら、そんなところで果たしてチェックできますか。いかがですか。
#151
○政府委員(伊藤庄平君) まず一つは、労働時間に関する違反が増加しているではないかという点についてでございますが、これはむしろ違反がふえる過程にあったことは、週四十時間制を、ここ四年くらいの間に四十六時間から四十時間まで急速に所定労働時間を短縮させて徹底させてきているわけでございまして、その過程では、生産性が上がらない限り残業に出る、急速三六協定をつくる。いろんな状況が中小企業において行われていた過程でございまして、私ども監督するのは、違反があると思われるところに行くわけでございますから当然そういったところを重点に選ぶわけでございまして、ふえていなければ逆に行政として確実に四十時間制が進んでいる状況ではないというふうに言えるわけでございます。
 それからもう一つ、先ほど冒頭に先生聞かれました四百五十六万事業場、これはすべての事業場、中小零細、一人だけのところも含めての数でございます。ところが、私ども裁量労働制について申し上げているのは本社等の部門で、中小企業では本当に使えないだろうということもきょう午前中も申し上げました。
 そういったことから考えてまいりますと、大企業の事業所のウエートというのは四百五十六万のうち本当にコンマ以下になるわけでございまして、そういったところは私ども最重点監督対象として計画的に臨検等を行っていくことによりまして十分把握できるわけでございまして、全体と大企業等を中心とした裁量労働制は母体が違うということをひとつ御理解いただければと思っております。
#152
○市田忠義君 もう時間がありませんから、できるだけ答弁は短くお願いしたいんですが、裁量労働制の導入されるところは非常にわずかだから十分やれるんだと、この話はまた後で時間があれば詰めて聞きたいと思います。
 それで、裁量労働制にかかわることで別の話をしたいと思います。もうあとわずかですので端的に答えてください。
 みなし労働時間と実労働時間の乖離の問題です。裁量労働制の場合、我々は、際限のない長時間・過密労働が強いられるのではないか、これが最大の弊害だと考えているんですが、端的にお聞きしたい。使用者は、裁量労働制が適用されていない労働者について労働時間管理の責任を負いますね。負うか負わないかだけ。
#153
○政府委員(伊藤庄平君) 労働時間管理の責任は、もちろん裁量労働制が対象になっていない場合はもとよりでございますが、事業主には全体としての管理責任があるかと存じております。
#154
○市田忠義君 それでは、裁量労働制が適用されている個々の労働者については、時間管理の責任を使用者は負いますか。
#155
○政府委員(伊藤庄平君) これも繰り返しの答弁になりますが、裁量労働制を実施するための絶対的な要件として、労働時間等勤務の状況に応じた健康管理の措置をあらかじめ決議しておくことが必要でございます。したがいまして、事業主は何らかの形で労働時間等の勤務状況を把握して、健康管理上の措置を講じていくべき義務が生じるわけでございまして、私ども、大企業等の実際上労働時間管理が極めて難しく、場合によっては自己申告等の形になりかねないそういった分野について的確な労働状況の把握にむしろ資していくための制度としてこの裁量労働制を用いていく考えでございます。
#156
○市田忠義君 では、裁量労働制の場合も時間管理は行うんですね。実労働時間とみなし労働時間の差というのはだから出てくるわけですから、実際には何時間働いたか、ちゃんと時間管理を使用者は裁量労働制を導入した場合もそういう責任はあるんですね。そういうことですか。
#157
○政府委員(伊藤庄平君) その方が会社にいつからいつまでおられていたというような状況、これは事業主が決議に基づいてきちっと把握する義務が生じます。それは、もちろん早く帰られる場合も自由でございますし、場合によっては仕事の状況によって定刻を過ぎるという場合もあるでしょうし、いずれの場合にしても事業主はその状況を把握して、必要な場合には健康管理上の定められた措置を講じていく必要がございます。
#158
○市田忠義君 賃金台帳にはどう書くんですか、みなし労働時間を書くんですね。どうなんですか、裁量労働制は。
#159
○政府委員(伊藤庄平君) 賃金台帳には、その会社の賃金体系がどういうふうになっているかによります。したがいまして、本給その他いろんな手当制度、あるいは業績を反映する仕組み、いろんなものが盛られておれば、それらを賃金台帳に書いていただくことになります。
#160
○市田忠義君 あなたは前の委員会の質問で、こういう問題を指摘されてこういうふうに答えておられるんですね。裁量労働制を導入する場合にはタイムカードの導入を義務づけると。いや、そう言っていますよ。そういう形で時間管理をやるんだ、そうでないと導入はだめなんだと。タイムカードで時間管理をして、そうしなければ裁量労働制は適用されないと、そういうことを答弁で言っていますよ。議事録をあなたよく読んでみなさいよ。自分で言っているんですよ。そのとおりですね。
#161
○政府委員(伊藤庄平君) 先ほど来申し上げていますように、この裁量労働制を実施するための絶対条件として、勤務状況を把握し、それに基づいて健康管理上の措置をすることを労使委員会で決め、実行する体制になっておらなくてはいけません。したがって、勤務状況を把握する方法として、先生が今御指摘になったタイムレコーダーで把握するのも一つの方法としてあるわけでございますし、そのほか例えば出勤簿に入社退社の時間を書かせることも一つの方法でございますし、そういうタイムレコーダーだけではないという意味で今首を振ったわけでございますが、いずれにしてもそういった勤務ぶりは把握しておく義務が生ずるということには変わりございません。
#162
○市田忠義君 もう時間が参りましたから終わりますが、大体、時間管理が義務づけられている労働者にさえタイムカードの義務づけなんかやっていないのに、時間管理をしなくてもよいようなところにタイムカードを義務づけると。余りにもいいかげんな話ですよ。最初からずっと展開してきたように、あいまいな内容でしか法律には書かずに、国民の目の届かない指針や労使委員会で詳しいことは決めるからそこにゆだねろと。そんなことをだれがゆだねられるかと。
 私は、さらに労使委員会の問題や変形時間制の問題、有期雇用の問題、さまざまな追及したい問題があります。引き続きこの委員会でそういう問題について追及していくということを述べて、時間が来ましたので終わります。
#163
○大脇雅子君 前回に引き続きまして、改正法案第三十六条三項の「当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。」という文言について確認をしたいと思います。
 男女共通の時間外労働抑制の実効性を高める措置として、労働大臣が時間外労働の上限基準を定めて三六協定締結の関係当事者に遵守義務を課しているんだと。これは努力義務以上のレベルの高いものであるということで、上限基準を超える三六協定については他の労働基準法違反と同様に厳正に監督すること、これは当然のことだと考えられるわけです。そのような答弁も再三いただいているわけです。
 問題は、しかしその監督に従わず上限基準を超えて締結した三六協定に基づき上限基準を超える時間外労働の業務命令がなされたとき、この業務命令自身の法的効力の問題が議論を呼んでいるわけですが、法的効力を有しないものとして争い得るものと考えますが、どうですか。労働大臣にお願いをいたします。
#164
○国務大臣(甘利明君) ただいまの御指摘でありますが、当然是正勧告を行い厳正に対処するとともに、そのような業務命令は合理的な理由がないものとして民事上争い得るものと考えております。
#165
○大脇雅子君 ただいまの御答弁は大変重要な意義を持つものと考えます。業務命令は合理的な理由がない、そういうものとして民事上争い得るとすれば、時間外労働の上限に関する基準に適合しない労使協定に基づき残業を命ぜられ、これを拒否した労働者が解雇や配転、昇進、昇給等の不利益な取り扱いを受けた場合は、合理的な理由がないものとして争い得ると思いますが、どう考えられますか。労働大臣にお願いします。
#166
○国務大臣(甘利明君) ただいまの御質問でありますが、時間外労働の上限に関する基準に適合しない労使協定に基づき残業を命ぜられ、これを拒否した労働者が解雇や配転、昇進、昇給等の不利益な取り扱いを受けた場合については、合理的な理由がないものとして民事上争い得るものと考えております。
#167
○大脇雅子君 使用者の発する業務命令が労働者の全人格を支配して当たり前であるかのように猛威を振るっているという職場の現状に対して、ただいまの御答弁は厳しい戒めともなり、労働者の権利保障に資する意義は大きいと思います。ぜひ解釈、通達にも明快に規定していただきたいと思います。
 さらに、労働基準監督官に過度の負担をかけては厳正な監督は不可能でありますので、当然しかるべき体制が確立される必要がありますので、大臣、この点もよろしく労働行政の推進としてお願いをいたしたいと思います。
 さて、さまざまな議論を呼んでおります新裁量労働制の問題についてお尋ねをいたします。
 「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」、これに関しましては大企業における本社、事業本部と解するということを言われておりますが、例えば本支店の区別のない中小零細企業においてはどのように解したらよろしいのでしょうか。
#168
○政府委員(伊藤庄平君) この「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」、もちろん御指摘のように本社等を想定いたしておるわけでございますが、中小零細企業について見ればこういった事業運営上の重要な決定が行われる事業場がいわばただ一つといいますか、そういったことで単独事業場、中小企業の事業場そのものというケースももちろんあろうかと存じます。
 ただ、これは理念的にそういったケースがあるわけでございますが、この新たな裁量労働制につきましてのほかの幾つかの要件に照らしてみますと、一般論として申し上げれば、果たして管理監督者を除いて、本当に法律や指針で規定いたしますこういった裁量制を完全に本人にゆだねられている、そういった方が存在するかどうかという問題が一つございます。
 また、労使委員会を法にのっとりいろんな手続を踏んで運営していく、そういった形が実際にとられるかどうか、そういったことを考えますと、中小企業、特に零細企業につきましてはこの裁量労働制というものは相当利用が限定されるという
 ふうに考えておるところでございます。
#169
○大脇雅子君 「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とあるわけですが、この「当該業務の性質上」という一つの枠がはめられ、「企画、立案、調査及び分析の業務」と言われているわけです。
 これを一遍読みますと、「企画、立案、調査及び分析の業務」というのは、これは一体としての業務を意味するんですね。一つ一つの業務ということではなくて、企画、立案、調査及び分析の業務というふうに総体的にとらえるということでよろしいのでしょうか。
#170
○政府委員(伊藤庄平君) この新たな裁量労働制の対象労働者として事業主から任されて本人の裁量で仕事を進める法律上想定している人たちは、こういった一定の資料、データに基づいてそれを調査、分析し、立案して物事を企画していく、こういったことを一部の業務として行う人を想定いたしておるわけでございます。したがいまして、例えば調査だけとかそういう部分に限られている業務、あるいはそういったアシスタント的業務になれば、これは裁量労働制の対象にはならないということでございます。
#171
○大脇雅子君 そういたしますと、実質的に対象となる業務の拡大を防止していくという必要があるという観点から、これはいわゆるポストではありませんね、その業務の中で決められるということですから、補助的な業務は当然含まれないと考えられますが、いかがでしょうか。
#172
○政府委員(伊藤庄平君) 裁量労働制はポスト等で規定できるものではなくて、実際にそのセクションでそういった企画、立案、調査、分析等の業務を任されて行っている人ということになるわけでございます。それは、例えば財務関係なら財務関係というセクションで具体的にどういう人がいるかということを指針等で例示していくわけでございます。したがいまして、単なる補助的な業務ということで従事している方であれば、これは裁量労働制の対象になることはございません。
#173
○大脇雅子君 また、管理監督の業務でもラインの管理監督の業務といったようなものはこれはもう業務上裁量的ではないわけですから、幾ら管理監督であってもそうしたラインの管理監督は当然含まれないと解されますが、よろしいでしょうか。
#174
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のとおり、これはあくまでいわば本人のいろんな、どちらかというと創造的な活動を中心とした分野が対象でございまして、生産ライン等については、それは管理監督者から中間管理者を含めてこの対象になることはございません。
#175
○大脇雅子君 最も重要なその業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるという判断の仕方でございますが、これは労使委員会の決議で定めるのですが、この労使委員会の決議の定め方に当たっては明確な指針を示すべきだというふうに考えますが、これはどうでしょうか。
#176
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のように、この業務の性質上、これを労働者の裁量に大幅にゆだねる必要がある業務というのが企画等の業務のほかにもう一つ重要な要件でございます。これがいわゆる本社等の組織等私ども十分把握、調査した上で、それらのそれぞれのセクションあるいはその人事とか財務とかいろんな分野ごとにどういう仕事がそこにあるかということを例示しながら、実際にそういった裁量にゆだねられている範囲というものを明示して指針に織り込んでいくつもりでございます。
#177
○大脇雅子君 新たな裁量労働制を導入した場合に、労働者の過労を防止する、これが一番重要なことであろうかと思います。みなし労働時間と実態の労働時間が乖離するということでもって過労死や過労自殺というものが生まれるのではないか、そうした不安が今働く人たちの間に蔓延をしているわけです。
 そのために、労働大臣にお尋ねをいたします。こうした新たな裁量労働制を導入した事業場においては労働者の過労を防止するとともに、労働基準監督署の指導監督の実効性を確保するためには、労働時間、成果の評価基準、苦情処理の経過等のデータの保存義務を使用者に課すべきだと考えますが、いかがですか。お尋ねをいたします。
#178
○国務大臣(甘利明君) 先生の御趣旨に沿いまして、命令等で明確にしてまいります。
#179
○大脇雅子君 これは指針などではなく、命令等でしっかりと保存義務を使用者に課していただきたい。そのことによって、さまざまなデータの保存方法があると思いますが、でき得る限り新たな裁量労働制が過労死につながらないように監督をしていただきたいというふうに思います。
 専門家の検討を開始するに際しましては、改めてこれらの課題にこたえるため、十分に諸点に留意していただきたいと思いますが、大臣の御見解をお尋ねいたします。
#180
○国務大臣(甘利明君) 御趣旨を踏まえて対処してまいります。
#181
○大脇雅子君 先ほど労使委員会の合意に関しまして、規則で定足数を明記してあるときはそれはそれでよいということで、この場合の全会一致の基礎というのは委員の全員というふうに理解していいんですか、定足数の全員ということですか。それで、定足数を決めるというのはどこでどのようなパーセンテージを考えておられるんでしょうか。
#182
○政府委員(伊藤庄平君) 労使委員会につきましては、この委員の選出等が行われましたら、運営の仕方について話し合うことになろうかと思います。常に全員でこの会合を開くということもあり得ましょうし、その一定の定足数を決めるということも、労使委員会によってはそういうケースもあろうかと思いますが、いずれにしましてもその定足数なりその会議で決めた会議が成り立つための出席人員の全員というふうに理解をいたしております。
#183
○大脇雅子君 そうすると、全員の出席というのは見込めないからその出席のための定足数を決めるということはよろしいわけですが、やはり労使委員会の全会一致というのはその定足数の全会一致なんですか。やっぱり委任状などとって全委員の一致というふうには考えられないんですか。この点はどのように解したらいいんでしょうか、定足数の定め方にもよりますね。それに対して枠というのはどういうふうにつけるつもりなんでしょうか。
#184
○政府委員(伊藤庄平君) これは現在労働時間短縮のための臨時措置法、ここでも労働時間短縮のための労使委員会をつくって事業場ごとの労働時間短縮を進めるための手法を取り入れておりますが、そこでも同様でございますが、この労使委員会をつくりますと、その運営のためにそれぞれの労使委員会で全員出席を原則にするか一定の定足数を決めて運営するかということになろうかと思います。その際に全員出席というふうに決めてあれば全員の合意になりますし、一定の定足数を決めればその出席すべき委員の全員の合意といいますか、そういうことになるわけでございます。それが今までの取り扱いでございます。
#185
○大脇雅子君 そうしますと、労働時間短縮に関する労使委員会というのは大体どんなふうに決まっておりますか。その定足数に関する規則というものは労働省としてはお調べになったことはございますか。
#186
○政府委員(伊藤庄平君) 申しわけございません。その定足数を具体的にどう定めているかまで把握はいたしておりません。
#187
○大脇雅子君 私は、新裁量労働制についてはこの労使委員会が導入の要件となっているわけですから、ただ単に運用上定足数を満たせば、そして定足数の一致ということではやはり問題だろうかと思います。委員の全員の何らかの意思を確認してそれの全員一致ということでないと、本当の意味の裁量労働制が職場の中で受け入れられるということにはならないのではないかというふうに思いますので、その運用についてはさらに御検討をしていただきたいと思います。
 次に、有期労働法制についてお尋ねをいたします。
 業績悪化や競争力増強を理由とするリストラに際しまして、あるいは人件費、コストの削減の有効な方法として有期契約が我が国では非常に広く用いられている。したがってその結果、その乱用とか悪用で有期契約の雇いどめを理由として理由なくパートや派遣の人たちが解雇されたりするというような、本来の有期的な職務ではなくて恒常的な業務に有期契約が利用されることによってそうした乱用や悪用的な雇用管理が行われているということはたくさん指摘されているわけであります。
 したがって、契約期間の上限について現行の一年から三年とされる今回の改正も、専門的な高度の知識や技術を有する労働者が真に評価され適正に処遇されると同時に、これまでの雇用状況を悪化させたり意に反する流動化を生ずるようなことがあってはならないということであります。有期契約法制の検討については、ぜひとも意に反する不安定雇用を増加させることのないよう検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#188
○国務大臣(甘利明君) 有期労働契約の反復更新に関する検討につきましては衆議院において附帯決議がなされたわけでありますが、この附帯決議並びに先般来先生が御指摘されてきました点を踏まえまして、学識経験者等の専門家による研究会を開催いたしまして、さらに調査、検討を進めていくこととしたいと考えております。
#189
○大脇雅子君 過半数組合代表及び過半数従業員代表の選出手続についてお尋ねをしたいと思います。
 過半数組合代表及び過半数従業員代表の選出手続におきましては、その代表の民主的な選出手続が確立する必要があります。そのために、労使協定の締結の適正手続に関する通達、昭和六十三年一月一日、基発一号というものに、労働者の投票、挙手等という形で民主的選出手続が示されていますが、必ずしも実態でこのような手段がとられているということもないという批判があります。したがって、これを明確に命令に規定する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
#190
○政府委員(伊藤庄平君) この労働者の過半数を代表する者の選出方法につきましては、御指摘のように通達で指導してまいったわけでございますが、これを明確化して民主的な手続で、通達にありますように、労働者の投票などによって選出され、かつ管理監督者でないこと、こういったことを担保する必要がございますので、今般新たな改正法を成立させていただければ、その施行を通じまして、新たに労働基準法の施行規則及び命令でそういった適正化のための措置を規定いたして周知させていくという形にいたしたいと思っております。
#191
○大脇雅子君 民主的な手続で選出されるということが労働者の代表の第一の重要な要件であろうと思います。
 民主的な手続で選出された代表であれば、あらゆる労働者の意見を聴取して、その労働者の利益を代表して発言をするということになるわけですが、今回の改正で、時間外労働の対象となる女性労働者は、これまでは三六協定の従業員代表の方には制限規定があったわけですから入ってこなかったと思うんですが、これからは特に働き方が激変するということも懸念されますから、そういう現場の女性労働者の意見を細かく反映させて三六協定の締結がなされるということが不可欠だと考えます。適切な措置を講ずることを強く要望したいと思います。
 次に、一年単位の変形労働時間制についてお尋ねをいたします。
 一年単位の変形労働時間制は、導入されて以来、労働時間の短縮のために積極的にその役割や機能を果たすべきだというふうに言われ続けてきました。しかし一方、適用対象労働者の家庭生活や社会生活上に十分に配慮した運用がなされてきたかといいますと、さまざまな苦情もあるわけであります。
 今回御答弁で、大体一年の変形労働時間制は三週間を限度とし三カ月を限度としてという歯どめをかけるということでございましたが、この本制度の導入に当たっては、企業における総実労働時間の短縮が図られるように適切な措置が講じられ、さらに所定労働時間の短縮にもつなげていくような方向性が立てられるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#192
○政府委員(伊藤庄平君) 一年単位の変形労働時間制につきましては、今までの導入企業におきましても、休日増あるいは週単位で見て二時間を超える時間短縮等の効果を上げてきておるわけでございますが、今般、その限度時間につきましては、新たな改正の後も、大臣から答弁申し上げましたように、三カ月に三週間を超えない範囲で一回を使う、こういうことを基本にして省令上の措置を講じてまいりたいというふうに答弁申し上げたところでございます。
 こういう措置とあわせまして、新たに要件として付加されます一定日数以上の休日の確保、それから時間外労働につきましても、その上限の基準を一般の企業よりも短いものにする、こういうこととあわせて御指摘のような総労働時間の短縮を実現につなげるように努力をしてまいる考えでございます。
#193
○大脇雅子君 労働時間短縮に最も大きな影響を与えます年休制度というものが、今回、年休付与日数の改定によってさらに一歩前進したわけであります。
 年間総実労働時間を短縮するためには、年次有給休暇の取得率を向上させるための実効力ある方策がぜひとも必要であると考えますが、この点についてどのような方策をお考えでしょうか。
#194
○政府委員(伊藤庄平君) 年次有給休暇につきましては、私ども、ゆとり休暇推進要綱というようなものをつくりまして労使に配付いたしまして、その計画的な年次有給休暇の付与制度、こういうものの活用を図ってきているところでございます。
 今般の改正法案の中では、さらに年次有給休暇の付与日数について増加を図るということのための改正を提案させていただいておりますので、こうした改正を成立させていただければ、この年次有給休暇の取得促進と相まって、より活用が進みますように、そして、目下年間総労働時間の短縮という点で見れば、年次有給休暇の取得率がなお低いということがいわば最大のネックでもございますので、そういったことの解消につながるように引き続き労使の方にゆとり休暇推進要綱の普及、徹底、そういうことを通じまして、計画的に労使間で話し合いながら付与しやすい、とりやすい環境がつくられていくように努めてまいりたいと思っております。
#195
○大脇雅子君 さらに、パート労働者は現行の比例付与の制度が導入されて以来十年有余を経ましても職場で年休が取得しづらいという相談が多いということがパートユニオン等へ数多く寄せられています。
 パート労働者に対する年休付与制度の趣旨にかんがみて、今回の改正に合わせたパート労働者への適用数値の改正内容と取得の促進について事業主への周知徹底を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#196
○政府委員(伊藤庄平君) 今回の改正法案を成立させていただきますと、御指摘ございましたパート労働者につきましての年次有給休暇の比例付与日数も当然これを見直すことになります。新たな改正をするということになります。また、年次有給休暇以外のところでも労働条件の明示に関しまして、雇い入れ通知書の交付の努力義務が今度は完全に義務化される。いろいろパート労働者の方にそういった点につきまして周知徹底すべき事項が出てまいりますので、先生御指摘の点を十分踏まえて、こうした改正内容について事業主に対して周知徹底を図るべく必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
#197
○大脇雅子君 二十一世紀の労働基準法のあり方について、労働基準法が労働条件の最低基準を定めるものであるということ、そしてそれを支えるのが労働省の労働行政であるということ、そしてさらにその基準として男女労働者が健康で安全な労働生活に従事し得ること、そして家庭生活と職業生活が両立することができるという、この二つの基準の確立が必要不可欠であると考えます。
 今回の改正法案にはさまざまな不十分な点、まだなお残っている点等ありますが、質の高い労働条件基準の確立に向けての労働大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わります。
#198
○国務大臣(甘利明君) 今回の五十年ぶりの労働基準法の抜本改正に関しまして、大脇先生を初め与野党の熱心な御議論をいただきました。問題点もはっきりいたしましたし、それについての今後の検討課題も明確になってまいりました。
 すべてが全委員にとって一〇〇%納得のいくというものでないかもしれませんけれども、とにかく先生御指摘の二十一世紀に向けての働き方に対する最低基準の大きな足がかりになるということを確信いたしておりますし、今後の検討課題につきましては、今まで各場面で御答弁をさせていただきましたとおり、真摯に取り組んでいきますことをお約束申し上げます。
#199
○大脇雅子君 終わります。
#200
○鶴保庸介君 私は、自由党を代表いたしまして、引き続き、三回目になりますが、質問をさせていただきます。
 先日、当委員会で参考人に対する質疑がありました。その中でも各参考人からの本当に貴重な御意見をいただいて、そのことを踏まえて新たにちょっと疑問に思ったことをお伺いしたいなというふうに思うわけでありますが、今、各委員、新たな裁量労働制について本当にたくさんいろいろ議論がありました。
 そこで、その対象労働者、その対象事業がどんなものであるかというようなお話が物すごく今大事だと。私も何度も質問させていただいたんですが、いま一つ本当につかみ切れないなという感じであります。じゃ法律ですべてそれを規定するのかという話になればこれも難しいかなというようなお話は、今局長の方からもあったかと思うんですが、少なくともその中で具体的なイメージだけでもつかめないかなというふうに私は考えたんです。
 どんなものが本社業務であるとかということをよくおっしゃいますが、その趣旨といいますか、その辺について海外との比較の中で考えたらどうかなと思って、参考人の方にお伺いをしました。その中で参考人がおっしゃったことですが、新たな裁量労働制というような制度が海外であるのかとお伺いをしましたら、これは日本独特なものである、労働基準法そのものを適用しない、適用除外に当たるような制度というものはあるようだというようなお話でありました。
 その後、私は自分なりに調べさせていただきましたら、フランスやアメリカでの運用というのが、そもそも一部の労働者というか一部の方々には労働基準法の適用そのものがない。少々言葉に語弊があるかもしれませんが、その本音の部分を探ってみますと、いわゆる意気に感じてやられる一部エリートと言われるような方々に対しては、これは労働者と呼ぶにふさわしぐないというような感じであったかという思いがするんです。こうした価値感の是非はともかくといたしまして、こういう制度が我が国の土壌にはなかなか現状の時点では根づいてはいないと思うわけであります。
 海外のこうした制度との比較において、我が国に裁量労働制を導入する趣旨、これは何度もお伺いをいたしましたが、本音の部分はなかなかお伺いをすることは難しいかと思いますが、先ほど申しましたとおり、対象業務であるとか労働者という漠然としたイメージをつかみたいという思いがあるものですから、もう一度お伺いをさせていただきたいと思います。
#201
○政府委員(伊藤庄平君) 我が国の御提案させていただいています新たな裁量労働制と外国におきます類似の制度との関連でございますが、まずアメリカにおきましては、そういったオフィス業務で定常的に裁量制あるいは独立判断を行う人たち、具体的には、これは法律用語に即さないで言えば、通常ビジネススクールあるいはロースクールを出て企業等に入る。その段階から、通常イグゼンプションと呼ばれておる扱いを受けるわけでございまして、いわゆる労働基準法等労働時間法制の適用がないわけでございます。フランスのカードルと呼ばれている形も同趣旨のものでございます。
 ただ、日本の場合はそういった形にいたしておらずに、労使委員会において本当に裁量が認められているかどうかということを労使で話し合った上で特定指定を決める、こういうシステムにいたしておるのが、今回裁量制を提案させていただいているアメリカあるいはフランス等との違いの最大のポイントの一つでございます。
 それから、もう一つ違いますのは、そういった外国のイグゼンプションあるいはカードルと呼ばれる人たちは時間法制の完全な適用除外でございます。ただ、私どもの、これはみなし労働時間という労使で話し合った時間で働いたものとして扱っていく、こういうことにいたしております。
 この結果、我が国の場合、休日労働とか深夜業務、例えば残業が続いて十時過ぎるというような場合については、当然事業主は割り増し率の支払い義務が残る、こういう面からも、先ほど来御議論ございました、事業主は労働時間の管理責任が残っている、こういう形をとっておるわけでございます。
 これは、今までアメリカ等の場合、いわば創造的なあるいは主体性を持った働き方を促進するという観点からこういった制度がとられてきておったわけでございますが、日本の場合非常にホワイトカラーについて学卒から順にある程度育て上げられている中で、本当に裁量制が認められるところに到達して、そういうセクションに配置されれば初めて裁量労働者の対象として可能性が出てくるというような人事管理上の違いもございますので、そういうことから慎重な手続を我が国の新たな裁量労働制についてはとらさせていただいているところでございます。
#202
○鶴保庸介君 なかなか難しい問題だろうと思います。先ほど言いました一部エリートだというようなことはなかなか言えないだろうと思うんです。
 ただ、何度も私も申し上げましたが、先ほど大脇委員からもお話があったとおり、法律で規制できない以上やはり労働行政の中で具体的にこんなことを思っているんだということを、できるだけ国民の皆さんに示せる範囲示すということが今大事なんじゃないかなというふうに本当に強く思うわけであります。
 その意味もありまして、大臣に幾つか確認の意味を込めまして質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 先ほど申しましたとおり、先日の参考人質疑に関連してのお伺いであります。参考人質疑でわかったことですが、海外における労働組合のあり方といったようなものは我が国の状況とは大きく異なるものであるというお話でした。このことを踏まえて、新たな裁量労働制における労使委員会が労働組合の活動を制約するようなことがあってはならない、その意味で労使委員会と労働組合との関係といったものが問題になろうかと思われるんですが、いかがでしょうか。
#203
○国務大臣(甘利明君) 労使委員会と労働組合との関係についての御質問でありますが、裁量労働制に関連する賃金体系の変更等の問題について労使委員会が調査審議することになったといたしましても、これはあくまで新たな裁量労働制の適正な運営を図る観点から行うものでありまして、憲法及び労働組合法によって確立をされた団体交渉権を有する労働組合を制約するものではありません。したがって、労働組合は当然独自の判断に基づきまして賃金体系の変更等の問題について使用者と団体交渉を行うことができるわけであります。
#204
○鶴保庸介君 では、続けて組合のことについてですが、労働基準法三十八条の四第一項で、労使委員会は賃金、労働時間その他当該事業場における労働条件に関する事項について調査審議し、当該事項について意見を述べることになっているというわけですが、三十八条の四第一項第一号から第六号までに記載されたもののほか、同項第七号の「命令で定める事項」についての範囲といったようなものを明確にすべきではないかということ、それに加えて、労使委員会の中で調査審議した事項全般にわたってこの労使委員会が労働者を代表する権限を持つことになるのではないかということが危惧されるわけですが、その権限について、限定するというようなことはいかがですか。
#205
○国務大臣(甘利明君) ただいまの件でありますが、労使委員会は、新たな裁量労働制に関する賃金、労働時間、その他労働条件について調査審議することとなっておりまして、権限及び範囲は新たな裁量労働制の実施に係る事項に限定するように明確にいたします。
#206
○鶴保庸介君 もう一つ確認をさせていただきたいと思います。
 先ほどから市田委員の方からもお話がありました臨検監督の問題であります。基準行政というか、労働行政そのものに対してのお話ですが、新たな裁量労働制が適正に運営されるためには、その裁量労働制を導入した事業場に必ず臨検監督を行うということが必要かと思うんですが、その積極的な対応、労働省の取り組みを、市田委員の方からもお話がありましたが、できるだけ具体的にお話をお伺いしたいと思います。
#207
○国務大臣(甘利明君) ただいま御指摘をいただいた点であります。新たな裁量労働制を導入した事業場を初め、いわゆる本社等の労働時間管理について最重点監督指導の対象とし、特に新たな裁量労働制を導入した事業場につきましては、原則として一定期間内に臨検指導を行うなど、新たな裁量労働制の適正な運営を確保するための効果的な指導監督を行うように努めてまいります。
#208
○鶴保庸介君 それでは、少々、新たな裁量労働制の質問が重なるんですが、新たな裁量労働制は時間外労働に対して割り増し賃金を支払う必要がないという、ありていに言えばそういう制度であろうかと思います。
 今回の改正法案でこの制度を導入する意図、先ほど局長からもその趣旨についてのお話がるるありましたが、年俸制であるとかいわゆる能力給といったようなことの導入を念頭に置いてということではないでしょうが、その辺のところをちょっとお伺いしたいんですが。
#209
○政府委員(伊藤庄平君) 最近におきます人事管理あるいは賃金体系、特にホワイトカラーはいわばそういう生産性が低いというふうな指摘を受ける中で、いろいろと見直しが進んでいることは事実でございます。
 この新たな裁量労働制の導入とは別に、例えば目標管理制度につきましても、私どもシンクタンクに依頼して三千ほどの事業場でそういった状況を調べますと、既に目標管理制度を導入しているというのが四割半ばまで、また今後五年間に導入する予定ありというふうなものを含めますと七割を超えるところまでそういった変化が起きておるわけでございます。ただ、私どもそういった変化に対して、その職場を代表する労働者の代表がやっぱり意見を言い、その変化に参画をしていく道筋がきちんと立っていることが望ましいだろうというふうに考えております。
 今回の裁量労働制は、そういった人事管理制度の変更等の内容を直接規定するものではございません。また、賃金についても特定の賃金体系へということを特別誘導する内容は含んでおりませんが、もし裁量労働制の導入とあわせてそういう変更が行われる場合には、労働側の代表委員がそういったことについてしっかりと話し合い、必要な情報については開示を受けて、その上でこの裁量労働制の導入について合意するかどうかを決定するような道筋をはっきりさせておきたいというのがこの制度導入の一つのねらいでもございます。
#210
○鶴保庸介君 年俸制や能力給の導入といったようなものも頭のどこかの視野に入っているというようなお話なのかもしれません。ただ、そのことを直接的に意図するというわけではないということなのかと思います。
 そういったもので、前回の質問のときにも私、時間がなくてお聞きできなかったんですが、やはり各事業場での裁量労働に対する成果の評価というか、それを客観的に評価する方法というのは非常に難しいと思うんです。この点について、だれが一体どのようにするのかといったこと、これは基本的にはもちろん企業内での私的自治に任せるのでありましょうが、この点について行政側として対応の方針といったようなものをお伺いをしたいと思います。
#211
○政府委員(伊藤庄平君) 能力あるいは成果を重視した人事管理あるいはその評価制度、そして賃金制度等への大きな流れというのは、既にいろんな各企業で創意工夫等が重ねられている状況にあろうかと存じます。
 私ども例えばこの評価制度、典型的なものを申し上げれば、目標管理制度についても、ある一定期の始まりに上司とその直接の担当者がいろいろ話し合って目標あるいは達成すべき課題というものをはっきりさせる、一定期間経過した後に自分自身がそういったものをどこまでやったかということを評価して、その評価者である上司と話し合いに入って、それでお互いにフィードバックし合いながら評価をして確定させたものが人事の方とつながると。こういったものが目標管理制度の典型的なパターンとしてよく挙げられてまいるわけでございますが、そういったものが一つはやはり的確な形で行われていかなければならない、また透明度の高いものでなければならないという課題があろうかと思います。
 裁量労働制はそういった意味で、労働側がそういったところに参画してそういったものの情報開示、また内容についての調査審議を受けながら裁量労働制の導入を決定するという仕組みにいたしているわけですが、行政といたしましても、既にいろんな場で学識者等にお集まりいただいて、そういった民間の変化の状況の把握、それがいろんな意味で望ましい方向に行っているかどうかについての調査研究というものをその都度研究会等を設けて進めてきております。私どもそういったものから出てきている好事例や、あるいは研究会等で学者の方等が望ましい方向として提言するものをできるだけ民間の企業等に向けて提供できるように工夫をいたしておりますので、そういったものが的確な、また透明度の高い評価制度として民間企業で取り入れられるように、そういった面からの工夫をしてまいりたいと思っております。
#212
○鶴保庸介君 それはこの一年間の施行猶予期間、猶予期間と言ったら語弊があるのか、の間でやられていくというお話でしょうか。
#213
○政府委員(伊藤庄平君) 実はこの労働基準法改正案の審議とも並行いたしまして、学識者の方に集まっていただいてこういった我が国の賃金制度、人事管理制度の変化の状況等についていろいろ研究し、いろいろ提言をしていただく作業をお願いしておったわけでございます。
 例えばその間には、先ほども引用させていただきましたが、民間のシンクタンクで多くのそういった大企業等を中心とした事業場でどのような変化が起きているかをアンケート調査する等の作業を行っております。そういうものも取りまとめていろいろ配付に努めておりますが、今後ともそういった新しい実際の企業、現場で進みつつある人事・労務管理等の変化についてはそういう形で我々把握に努めて、いいものについては民間の方へ周知を図っていく、こういうことで常に努力をしてまいりたいと思っております。
#214
○鶴保庸介君 ほぼ答えはわかっておるような質問をさせていただくんですが、それとよく似たことです。その成果評価はその裏返しであります目標設定がまず大事だということが前提としてあるんだと思います。その業務目標の設定とか指示とかというようなことについて、またこれも原則は私的自治であろうかと思いますが、行政としての対応の方針をお伺いしておきたいと思います。
#215
○政府委員(伊藤庄平君) この評価制度に当たりまして目標の設定、これが大変重要だという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、この目標設定等について目標管理制度を導入している中で、面接方式で上司と話し合いながらそういう目標を設定し、あるいは達成すべき課題を設定するというのが、たしかまだ設定している中で、これは多いと評価するか少ないと評価するか、三割少しがそういう面接制度等を導入している状況にございます。
 やっぱりそういったことが本来ならもっと普及して透明度の高いものになる必要があるのかもしれませんし、またこの裁量労働制の導入とそういったものが関連する場合には、労使委員会においてそういった仕組みについて労使が十分話し合って、より透明度の高いそういった評価制度あるいは目標管理制度の設定というふうなものに労使に努力していただければと思っております。
 私ども、そういった場面に対していろんな事例等の提供については十分努力してまいりたいと思っておるところでございます。
#216
○鶴保庸介君 私が用意した質問は各委員からのお話と幾つか重なりがありました。したがいまして、もう何度も何度も同じことを聞くのもなにかと思いましたものですから、最後に大臣にとにかく一つだけお伺いをしておきたい、ちょっとおこがましい言い方をすればくぎを刺しておきたいというような思いがありましてお話をさせていただきたいんです。
 前回、私が質問をさせていただいたときに、最後に大臣が答弁された。その中で一つだけ気になったことは、新たな裁量労働制について労働者の同意があるからこれは問題がないんだ、問題がないとは言われなかったが、納得できる運用になるんだというようなお話をされたような記憶があるんです。ただ、この間の参考人質疑の中でも、本人同意というのは全く役に立たぬだろうというようなきつい御意見もありました。
 問題は、本人の同意といったようなものが幾ら規定をされておってもそれが機能しない場面があるんだということだろうと思います。その認識は大臣も恐らく持っておられると思いますが、この辺の決意といいますか思いをもう一度国民の皆さんにお話をしておかれた方がよろしいかと思います。お願いします。
#217
○国務大臣(甘利明君) 本人同意の件につきましては、この場で出されました懸念を払拭する一つの要件たり得る、それが十分条件であるというふうには考えておりませんが、重要な要素の一つであろうというふうに考えているわけであります。
 そこで、先ほど一部お答えをいたしましたけれども、新たな裁量労働制を導入した事業場はまず最重点監督指導の対象といたします。その上で、原則として一定期間内に臨検指導を行うということを含めて、新たな裁量労働制の適正な運営を確保するための効果的な指導監督を行うように努めてまいります。これらの監督指導に当たっては、本人同意について各労働者個人から同意をとらなければならないことを徹底するとともに、記録の確認であるとか労働者への聴取等を調査するなど、必要な指導監督を実施いたしまして、本人同意を要件とした趣旨が十分に生きたものになるようにしてまいります。
#218
○鶴保庸介君 終わります。
#219
○委員長(吉岡吉典君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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