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1998/09/07 第143回国会 参議院 参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第7号
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1998/09/07 第143回国会 参議院

参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第7号

#1
第143回国会 本会議 第7号
平成十年九月七日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
    ─────────────
  平成十年九月七日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 労働基準法の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第二百五番、選挙区選出議員、富山県選出、谷林正昭君。
   〔谷林正昭君起立、拍手〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、谷林正昭君を地方行政・警察委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 照屋寛徳君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、菅野久光君から同予備員を、須藤良太郎君、真鍋賢二君及び角田義一君から裁判官訴追委員を、竹村泰子君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
 北海道開発審議会委員及び
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員及び皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
     ─────・─────
#9
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 労働基準法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。甘利労働大臣。
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(甘利明君) 労働基準法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 今日、我が国を取り巻く内外の環境は大きく変化し、そのため経済社会も構造変化に直面しております。また、労働者の働き方や就業意識の多様化も進んでおります。このような状況のもとで豊かで安心できる社会、健全で活力ある経済を実現していくためには、働く人々が意欲にあふれ能力を存分に発揮するとともに安心して働くことができるよう、職場における労働条件や環境の整備を進めることが重要であります。このような観点に立って、制定以来五十年を経過した労働基準法について、時代の変化に即応したものとするとともに、その実効性を一層高めるため、中央労働基準審議会において検討を重ねてまいりました。
 政府といたしましては、長期間にわたる検討の結果提出された中央労働基準審議会の建議を踏まえ、本法律案を作成し、ここに提出した次第でございます。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、新商品、新技術の開発等に必要な高度の専門的な知識、技術等を有する労働者を新たに確保する場合や高齢者などについて、労働契約期間の上限を三年とすることとしております。
 第二に、効率的な働き方とそれによる労働時間の短縮を実現するため、一年単位の変形労働時間制について、対象期間における労働日数の限度を定めるなど要件を追加することとしております。
 第三に、時間外労働を適正なものとするため、労働大臣は、労使協定で定める労働時間の延長の限度等について基準を定め、関係労使は労使協定を定めるに当たり、これに適合したものとなるようにしなければならないこととしております。その際、育児または介護を行う女性労働者のうち希望者について、一定期間、通常の労働者より短い限度の基準を定めるとともに、この期間中に政府は育児または介護を行う男女労働者の時間外労働に関する制度のあり方について検討することとしております。
 第四に、事業運営上の重要な決定が行われる事業場における企画、立案等の業務について、労使委員会で、対象となる労働者の具体的な範囲、健康及び福祉を確保するための措置等を全員の合意で決議し行政官庁に届け出ることにより、決議の内容に基づいて裁量労働制の対象とすることができることとしております。
 第五に、児童労働に関する国際的動向に沿って、最低年齢に係る規定を整備することとしております。
 第六に、都道府県労働基準局長が労働条件についての紛争の解決の援助を行うこととしております。
 その他、労働契約締結時の書面による労働条件明示に係る事項の追加、一斉休憩の適用除外、年次有給休暇の付与日数の引き上げ等の所要の改正を行うこととしております。
 なお、この法律は平成十一年四月一日から施行することとしておりますが、紛争の解決の援助に関する部分は平成十年十月一日から、最低年齢に関する部分は平成十二年四月一日から施行することとしております。
 以上が労働基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 なお、労働基準法の一部を改正する法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
 第一に、新たな裁量労働制を適用するに当たり、対象労働者の同意を得なければならないこと及び不同意を理由として不利益取り扱いをしてはならないことを労使委員会で決議することを、制度実施の要件とするものとすること。
 第二に、労使委員会の労働者代表委員については、命令で定めるところにより、任期を定めて指名されるとともに、当該事業場の労働者の過半数の信任を得なければならないものとすること。
 第三に、労働大臣は、労働者の適正な労働条件の確保を図るために、中央労働基準審議会の意見を聞いて、対象となる業務その他労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとすること。
 第四に、新たな裁量労働制の届け出をした使用者は、命令で定めるところにより、定期的に、労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況その他の命令で定める事項を労働基準監督署長に報告しなければならないものとすること。
 第五に、新たな裁量労働制に係る改正規定の施行期日を、平成十一年四月一日から平成十二年四月一日に延期するものとすること。
 第六に、政府は、新たな裁量労働制の規定の施行後三年を経過した場合において、当該規定について、施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 第七に、労働大臣は、激変緩和措置として特定労働者に係る労働時間の延長の限度等についての基準を定めるに当たっては、一年当たりの労働時間の延長の限度を、現行の女性保護規定で一年についての時間外労働の限度として規定する百五十時間を超えないものとしなければならないものとし、政府は、当該激変緩和措置が終了するまでの間において、時間外労働が長時間にわたる場合には、子の養育または家族の介護を行う労働者が時間外労働の免除を請求することができる制度に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 第八に、国は、深夜業に従事する労働者の就業環境の改善、健康管理の推進等、当該労働者の就業に関する条件の整備のための事業主、労働者その他の関係者の自主的な努力を促進するものとすること。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。長谷川清君。
   〔長谷川清君登壇、拍手〕
#12
○長谷川清君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案されました労基法の一部を改正する法律案について、総理大臣並びに労働大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、先般の東日本を中心とする集中豪雨災害でとうとい命を落とされた方々の御冥福をお祈りするとともに、今なお不自由な生活を余儀なくされている被災地の方々に心からお見舞いを申し上げます。そうした方々が一日も早く生活を立て直せるよう、十分な支援を早急に実施するよう政府に求めます。
 本題に入る前に、政府の雇用対策について伺います。
 七月の完全失業者は二百七十万人、完全失業率は四・一%と、雇用情勢が改善する兆しはなく、有効求人倍率は〇・五〇倍で、昨年の八月以降減少し続けております。企業が現在のペースで雇用削減を続けると、緩やかな景気回復を想定しても、来年度以降の完全失業率は五%台にも上昇する、そういう見通しが出ております。
 失業は個人の生活や家庭を脅かし、恒久的な失業者の増加は社会不安を増大させます。我が国の雇用対策の基本であります完全雇用の実現という、そういう観点に立って、総理に現下の雇用情勢に対する所見を伺います。
 失業率が急増している要因には、景気の悪化による労働力の余剰という景気的な要因というものがあると同時に、雇用のミスマッチによる構造的な要因があると思います。
 前者については、衆議院で野党三会派が提案をした金融再生法案を成立させることを初めとして、景気回復を図ることが抜本的な対策になることは言うまでもありません。
 不況が長引く中で、地元の経済が深刻な地域の方々や家族の大黒柱である中高年齢の方々については、まず失業給付金の給付要件の緩和、給付金の増額、給付期間の延長など、緊急措置として実施しなければならないものが多くございます。差し迫った段階に来ていると存じます。政府はそのような措置をとる用意があるのか、労働大臣に伺います。
 失業の構造的な要因については、雇用創出と勤労者のエンプロイアビリティーの向上、つまり勤労者が雇用の需要に応じた職業能力を身につけていくということを念頭に置いた、総合的な政策を講じることが必要であると存じます。
 政府が四月から実施をしている緊急雇用開発プログラム、そして六月に設置されました産業構造転換・雇用対策本部によります対策の効果は、今現在、深刻化する雇用情勢を改善するには至っていない状況で推移しております。行政だけの取り組みには限界があることを示しております。政労使による雇用対策会議を設置して数値目標を明らかにしながら、総合的な雇用創出策を協議せよという提案が既に労働団体からも提起されておりますが、政府はそれに応ずるべきだと私は存じますが、総理、いかがでしょうか、お答えください。
 雇用のミスマッチの解決策として、職業教育と訓練の支援を強化することが重要であります。離職率が高くなっている若年層に対しても、職業訓練や職場適応の支援体制を強化することが雇用の安定につながるのではないでしょうか。こうした職業教育と訓練を行おうとしている事業主あるいは個人に対しましてどのように支援をしていくのか、労働大臣にお尋ねします。
 さて、本題の労働基準法改正案について伺います。
 労働基準法の改正は五十年ぶりの大がかりなものでございまして、私は、そうした重要な審議の当事者としてここに厳粛な思いでおります。我が国において、産業、企業の構造転換、雇用形態の多様化、労働移動等が今急激に進んでおり、また、男女にかかわらず、仕事と家庭生活を両立しやすい労働条件や環境の整備が求められております。そうした背景を念頭に置きまして、労働条件と基準を守るためのルールをいかにしてつくるか、このことこそが今回の改正の目的でなければならないと思います。
 政府は、労働基準法改正を通じまして一体どのようなルールづくりというものを目指しているのか、特に労働分野におきます規制緩和と労働条件と基準を保つこと、この三つの関係というものについてどのようにお考えになっているのか、総理に伺います。
 本法案について、衆議院で真摯な議論が行われ、与野党五党の合意によりまして八項目に及ぶ法案修正が実現をしております。重要な確認答弁であるとか、附帯決議の採決が行われた結果、政府原案は大幅に改善をされております。
 来年四月には改正雇用機会均等法が施行されます。女性保護規定が撤廃をされます。本院では、衆議院におけるこれらの議論を引き継いで審議を深めまして、改正労働基準法の施行が四月に間に合うよう、本臨時国会中の成立を目指して精力的に取り組んでいかなければならぬと思います。
 こうした観点から、四点について質問いたします。
 第一に、男女共通の長時間労働の抑制についてであります。
 女性保護規定の撤廃後、女性にも現在の男性並みの長時間労働が強いられるようになれば、男性も女性も仕事と家庭生活に積極的にかかわっていくという男女共同参画社会の実現が大きく後退をいたします。この点、衆議院修正においては、残業時間を年間三百六十時間以内とする基準を労働大臣が定めることになったのでございます。男女共通の長時間労働に対する歯どめがここでかかっております。これは政府原案より前進をしたものと評価いたします。
 また、育児や家族の介護を行う女性について、激変緩和措置として年間残業時間の上限を百五十時間とすること、そして今後一定の時間外労働を免除する制度の検討を行うことなどが確認をされております。仕事と家庭生活の両立を実現するには、今後の行政の適切な対応が求められておりますし、これが必要であると思いますが、労働大臣に伺います。
 第二に、深夜や休日の勤務について伺います。
 経済社会のグローバル化とサービス経済化の進展に伴って、深夜勤務、休日勤務や変形労働時間による就業が拡大をしております。また、この問題は時間外労働と同じく、女性保護規定撤廃への対応の問題でもございます。
 外国に目を転じてみますると、オランダでは、近年、経済的な規制緩和が進んで、首都アムステルダムのスキポール空港が国際的なハブ空港となったことなどから、二十四時間稼働の世界が広がっていって、深夜労働、こういうものに対するあり方が社会的な課題となっておりました。オランダでは、いたずらに社会経済の変化に流されることなく、労使が話し合いをして、それを通じて深夜労働の上限の規制を含む新しいルールをつくり上げておるのでございます。
 衆議院の審議において、深夜労働について事業主等が就業に関する条件整備を促進することを附則に規定いたしました。附帯決議の中では、深夜業の実効ある抑制方法について検討することを確認いたしております。休日労働についても、ガイドライン設定を検討することとなりました。これらは、政府原案から見れば確かに前進をしたものでございますけれども、今のオランダに見られるようなルールづくりに比べてみますると、第一歩を踏み出した段階だと言わざるを得ないのでございます。今後の社会変化を展望し、深夜・休日労働などのルールの確立について、具体的な方針を労働大臣に伺います。
 第三に、労働の規制緩和による新しい裁量労働制の導入について伺います。
 昨年三月、政府は、規制緩和推進計画の名のもとに労働基準の規制緩和の具体的な方向を打ち出しました。その中で、最も大きな問題は、いわゆる新しい裁量労働制でございます。今ですら長時間労働と企業による拘束、中には過労死をする人が出るほどに健康障害や家庭生活における犠牲というあらゆる問題を抱えているホワイトカラーの人々に対して、労働時間の限度をなくすような制度について、規制緩和を推進する立場の識者からも激しい批判が出ておる状況です。
 こうした懸念を受けて、衆議院の修正においては、本人同意の確認、対象業務等の指針策定、監督署への定期報告、労使委員会の委員の要件などが規定されました。また、施行が一年延期され、専門的な機関や審議会の検討が行われることが確認されております。今後、本人同意の確認の具体的な方法や労使委員会の適正な運営の確保など、修正の内容についていかにこの実効性を上げるかが重要な時期に入っております。労働大臣にこの点を伺います。
 第四に、労働契約の改善について伺います。
 労働基準法は、半世紀を経てなお、労働契約部分の改正は手つかずの状況が続いております。このことが、社会経済の変化と法の乖離が生じているなどと指摘される大きな原因になっているのであります。今回の改正で、労働契約の明示、退職理由の証明など、幾つかの改善が行われたことは評価をいたしております。しかしながら、これらの事項は本来、かなり以前に改正をしなければならなかったものであると思います。労働契約について改善すべき多くの課題が残されておりますので、これらの問題について鋭意検討を継続し、法や施策の改善に向けて取り組みを強めるように労働大臣に強く求めるものであります。
 なお、本法案について、児童労働に関する国際条約への対応等から、年少者の規定を改正する内容が含まれておりますけれども、それに基づいて関連するILO条約を順次批准をしていくのかどうか、その点について、労働大臣に伺います。
 次に、労働者派遣法の改正について質問します。
 労働者派遣事業制度の改正に関する中央職業安定審議会の建議では、労使各側委員の意見が隔たっておりまして、労働者委員からは、労働大臣に対して、建議することについては認められぬという意見が付されております。しかし、政府が作成しております法案要綱では、対象業種を原則自由化すること、契約期間を最長一年とする義務規定を設けること、派遣元に守秘義務を課すことなどが柱になっております。労働側委員の指摘するように、これでは企業には有利だが、労働者にはプラスの面が非常に乏しいという改正の内容になってしまうことが懸念されております。
 雇用の安定と派遣労働者の待遇改善という観点から、法案の要綱を見直す必要があるのではないかと思いますが、そうした問題を積み残し、このまま法案を強硬に臨時国会に上程するのでしょうか、そのお考えを労働大臣にお答えいただきたいのであります。
 最後に、このたびの参議院選挙で示されました民意について触れさせていただきたいと思います。
 今回の選挙で労働基準法改正の問題は主要な争点となりました。私も選挙期間中に全国の職場や地域を訪ね、さまざまな職場で働く勤労者や国民と対話いたしました。その中で、多くの人々がみずからを守るよりどころとしているはずのこの労働基準法が、雇用や権利を不安定にする誤った方向に改正されるのではないかという危惧を多く持っていることを実感いたしました。いわば経済不安、雇用不安に加えまして、今回の労働の規制緩和への不安という問題、この問題が今回の選挙で示された重要な一つの要素であったと確信いたします。
 現下の厳しい経済情勢と雇用不安の中でまじめに働き続けている人々に、雇用不安ではなくて雇用の安定を、労働の規制緩和への不安ではなくて新しい働きのルールの問題を国会が成立せしめてこれを国民に届けることこそが、労働基準法改正の、そして政治の役割ではないかと思います。そうした観点から、私は本院の審議に課せられた課題の重さと責任を今実感している次第でございます。
 今回の法案提案に至る衆議院を初めとする各界の御努力に敬意を表するとともに、本院で本法案にかかわる主要な論点を積極的に解明するよう、政府に強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(小渕恵三君) 長谷川清議員にお答え申し上げます。
 まず、現下の雇用情勢についてお尋ねがございましたが、長引く景気の低迷を反映いたしまして、七月の完全失業率が四・一%と高い水準で推移し、有効求人倍率も過去最低の〇・五〇倍となるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況にあると深く認識をいたしております。
 政労使による雇用対策会議の設置についてお尋ねがありました。
 これまでも雇用対策を企画、実施する際には労使の御意見等を踏まえつつ行ってきたと認識しておりますが、今後とも意見交換等につきましては積極的に行ってまいりたいと考えておりますので、労使合意のもとで開催の要望がありますれば、前向きに検討を進めさせたいと考えております。
 次に、労働基準に関するルールづくりについてお尋ねがありました。
 経済社会の大きな変化の中で、労働者がその能力を十分に発揮し、経済社会を支えていただけるよう、労働環境を整備していくことは大変重要であります。今般の労働基準法の改正も、規制緩和というよりも、むしろこのような視点に立って労働者保護のためのルールを整備し、強化しようとするものでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(甘利明君) 長谷川先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、雇用保険の失業給付についてのお尋ねでありますが、年齢別の就職の困難度等に応じまして給付日数を定めますとともに、離職者の個別の事情や、その時点での雇用失業情勢等に応じて、給付日数を延長できる制度を現在設けているわけでございます。
 労働省といたしましては、こうした制度を適切に運用いたしまして、あわせて、きめ細かな雇用対策を講ずることにより、離職者の生活の安定と早期再就職の促進に全力で取り組んでまいる所存でございます。
 次に、職業教育・訓練についてのお尋ねでございます。
 労働省といたしましては、事業主が労働者に専門的な知識や技能等を習得させたり、あるいは新分野展開等を担う人材の育成に取り組む場合に、助成等の支援を行いますとともに、労働者の自発的な能力開発を支援するために教育訓練給付制度、これは御案内のとおり十二月一日から実行いたしますが、この施策を推進してまいる所存でございます。
 次に、仕事と家庭の両立に向けた男女共通の長時間労働の抑制についてのお尋ねであります。
 今回の改正法案によって設けることといたしております時間外労働の上限基準や、育児、介護を行う女性についての激変緩和措置、この厳正な運用に努めますとともに、その後における一定時間を超える時間外労働の免除制度についても真剣な検討を進めてまいりたいと思っております。
 次に、深夜・休日労働についてのお尋ねであります。
 深夜業につきましては、将来における総合的なガイドラインの策定に資するために、主要業種ごとに自主的なガイドラインが適切に設けられるよう、労使の取り組みについて必要な援助を行いますとともに、深夜業の実効ある抑制施策について検討してまいります。
 また、休日労働についてでありますが、ガイドラインの設定など、その適正化のための適切な措置につきまして、中央労働基準審議会において労使の意見を十分に尊重しつつ、検討が行われますように努めてまいります。
 次に、裁量労働制について衆議院で行われました修正についてのお尋ねであります。
 労働省といたしましては、労使委員会の労働者代表委員の任期あるいは信任手続など、命令で定めるべき内容及び本人同意に関する事項等、労使委員会の決議事項について定める指針の内容につきまして、中央労働基準審議会で十分検討をいただいた上で適切に措置していきたいと思います。
 それから、労働基準監督署に対して決議の届け出があった場合、その内容をチェックいたしまして、法令や指針に適合しないような場合には、これに沿ったものとなるように厳正な指導を行うことによりまして、制度の適切な運用を確保してまいりたいと思います。
 次に、労働契約に関する課題についてのお尋ねであります。
 労働条件の基準とは異なる面を持つ労働契約の効果等に関する事項は、新たな時代に対応したルールのあり方についての問題でありまして、これに対する取り組みについては今後の課題とさせていただきたいと思います。
 年少者に関連するILO条約の批准についてのお尋ねでありますが、今回の改正法案が成立をしますれば、就業の最低年齢に関するILO第百三十八号条約と我が国の法制との主要な相違点は相当解消されるものと考えております。同条約の批准に向けて、なお残された細部の問題、これは他省にかかわるところもございますが、これらの問題について検討を急いでまいりたいと考えております。
 続きまして、労働者派遣法の改正についてのお尋ねがありました。
 これについては、中央職業安定審議会の答申を八月五日にいただいたところでございます。この改正は、労働者の多様な選択肢を確保する観点から、臨時的、一時的な労働力の適正迅速な需給調整のために労働者派遣事業を行えることとするとともに、労働者保護措置を充実しようとするものであります。あわせまして、この改正においては、労働者の雇用の安定と派遣労働者の待遇の改善という観点から必要な措置を講ずることといたしております。
 労働省といたしましては、答申の内容も踏まえ、改正法案の作成を進めているところでありまして、早期に今臨時国会に提出をしたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(斎藤十朗君) 但馬久美君。
   〔但馬久美君登壇、拍手〕
#16
○但馬久美君 私は、公明を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案に対し、小渕総理、甘利労働大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 まず最初に、本案について伺う前に、今深刻な問題になっております失業問題に対しまして、政府の御見解をお伺いいたします。
 本年七月の完全失業率は四・一%となり、史上最悪となった六月の四・三%からは数字的に見れば若干改善したように思います。しかしながら、七月の有効求人倍率は〇・五〇倍と統計開始以来最低を記録し、就業者総数自体も減っており、失業率が改善したのではなく、職が見つからず求職活動をあきらめた人が増加しているにほかなりません。
 まさに事態が深刻化していることを肝に銘ずるべきであります。特に、中高年齢者については、倒産やリストラによる解雇など非自発的な失業が増加し、しかも失業期間が長期化するなど一段と厳しい状態が見られます。また、新卒者を初めとして若年層でも失業率が上昇するという極めてゆゆしい事態を招いているのであります。
 まさに政策不況の典型としての景気の低迷は、企業活力をそぎ、そのリストラを加速させ、国民に雇用不安を抱かせ、大きく消費を落ち込ませ、国民生活を破綻に追い込むという日本列島総不況となっております。こうした実情をかんがみ、雇用を初めとした総理の現状認識を明らかにしていただきたい。
 私たちはかかる深刻な雇用情勢を目の当たりにして、先般打ち出された総合経済対策の緊急雇用開発プログラムでは力不足と言わざるを得ないのであります。当面の経済、財政の軸足を転換し、雇用の確保や創出を重視するよう改め、さらに雇用対策を景気対策の起爆剤に活用するよう施策を講ずるべきと考えます。
 そのため、以下の点について政府の御見解をお聞きいたします。
 その第一は、総理が本部長を務める緊急雇用対策本部の機能強化であります。すなわち、現在の連絡会議的な雇用対策本部を改め、景気回復、創業支援、技術開発、人的資源の育成など、さまざまな分野が一体となって行えるよう機能強化すべきであると考えますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 その第二は、緊急雇用対策推進期間を定め、失業率二%台を目指すことを政府として明言したらいかがでしょうか。また、再就職が困難な中高年齢の失業者に対し、雇用保険の給付日数について一律延長を行うとともに、雇用保険法第二十七条に基づく全国延長給付の給付基準を、基本受給率の四%としております現行水準を早急に引き下げるべきであると考えますが、所管の労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 第三に、現在国民の幸福増進を目指す福祉経済の確立が大きな焦点になっております。それは、今蔓延している国民の将来に対する不安感を払拭するとともに、内需拡大、雇用促進に極めて大きく影響を与えると見られているからであります。
 その福祉経済の確立のための有効な手段として、将来GDP一〇%の経済効果をもたらすと予想されているNPO活動に対する思い切った税制改正など、その支援策を打ち出すとともに、社会保障の構造改革を推進するための社会福祉法人の認可基準の緩和策などを早急に実施すべきではないか。大蔵大臣並びに厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
 第四に、各般の労働行政の実施機関が設けられているわけでありますが、それがうまく活用されていない点であります。
 例えば、就職情報などについて、各職業安定所ではホームページを設け必要な情報の提供を行う一方、管轄区域の企業などの情報をデータベース化するなど、企業に対する積極的な助成金活用のアドバイスが行える体制を整備すべきではないでしょうか。
 また、求職者が自宅で情報を得られるよう、インターネットや電話案内による求人情報を公開し、身近な公的機関等への情報端末機器の配置を進めることや、商工団体、同業組合などで中小企業などを対象とする職業紹介事業を特例として認める措置を講ずるべきと考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 第五に、労働力需給のミスマッチから生じている失業問題を解決する方策として、まず自由に転職できる能力の習得、さらに事業を興すベンチャーを養成するために、学校教育でも積極的に教育訓練や人材育成を行うべきと考えます。特に大学では、起業家の育成、新技術習得等に向けた講座を開設し、受講する人たちへの特別奨学金制度を創設することなどを御提案しますが、労働大臣及び文部大臣の御見解をお伺いいたします。
 それでは、以下、本改正法律案の内容について、労働大臣に順次質問いたします。
 まず、労働契約期間の延長についてでありますが、本法案にある、高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的な知識等を有する場合には、契約期間の上限を三年に延長することができることになりますが、この高度とはどのようなものを想定しているのか、その基準とはどのようなものなのかを明らかにすべきであります。御見解をお尋ねいたします。
 また、有期労働契約の反復更新については、衆議院において、その実態及び裁判例の動向に関して、専門的な調査研究を行う場を別に設けるとの答弁がありますが、どのような機関を想定しているのかお伺いいたします。
 次に、変形労働制についてであります。
 一カ月変形労働時間制については、労使協定によっても導入できるようになり、一定の評価がされておりますが、なお、一週及び一日当たりの上限時間を設けておりません。その理由は何なのか、御見解をお伺いいたします。
 次に、時間外労働については、女性保護規定が解消されるに当たって、私たちは男女共通の労働時間規制を要求してまいりました。経済成長において世界をリードしてきた我が国は、年間千八百時間労働を今もって達成できず、サービス残業が強制されていると言われ続けております。過労死の原因となる長時間労働を解消するためにも、時間外労働については、男女共通の法規制、年間百五十時間にすべきであるとの要求もあります。
 改正案では、労働大臣が時間外労働の限度時間を定めることができるとされ、一歩前進したように見えますが、なおその実効性を危ぶむ声もあることも否定できません。そのため、時間外労働の削減に向け、事業主が新規に労働者を雇用した場合、助成制度を新設してでも時間外労働の削減を実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、新たな裁量労働制についてであります。
 高度な専門的業務については、報酬は労働の量ではなく、その質または業績や成果によって報酬が定められるようになります。しかし、最大の問題として、成果の評価方法が確立していないことが指摘されております。労働大臣が示す指針では、成果の評価方法についてはどのような定めをしようとしているのか、お伺いいたします。
 次に、適正な裁量労働制を実施するため労使委員会が設置されることになりますが、その委員の選任が適正に行われることが何より肝要であります。例えば、パート労働者、契約労働者並びに派遣労働者も労働側の委員候補になれるような措置を確保することが必要と考えますが、これらの要請を踏まえて、大臣は制度的に整備するお考えがおありか、お伺いいたします。
 次に、就業者の働き方が多様化するにつれて、今後とも個別紛争が多発することが必至であります。この労使紛争において、申し立てがあってもその解決に長時間かかり、労働者が不利益をこうむっております。簡易で速やかに紛争解決が行えるよう求められておりますが、今回の改正によって労働者の期待にこたえる制度が構築されるのかどうか、お伺いいたします。
 最後に、このたびの法改正は経済活性化のためと言われております。しかし、将来生活にはかない夢さえ持てないような賃金水準や雇用情勢であれば、国民の消費は手控えられ、経済の活性化とは裏腹に停滞の一途をたどることは必然であります。男女労働者が将来の生活展望ができるような雇用の安定と適正公平な労働条件が保障されることが何より必要なことと思われます。こうした国民の切なる声に対して、総理はどう対処されるのか、その対処方針を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(小渕恵三君) 但馬久美議員にお答え申し上げます。
 雇用などの現状認識についてお尋ねでございます。
 先ほども御答弁申し上げましたが、景気の低迷が引き続いて長引いておりまして、これを反映し、七月の完全失業率が四・一%と高い水準で推移し、有効求人倍率も過去最低の〇・五〇倍となるなど、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあると深く認識しており、諸般の政策につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 雇用対策本部について御提案がございました。
 政府といたしましては、産業構造転換・雇用対策本部におきまして雇用情勢への当面の対処方針を決定し、総合経済対策の強力な推進によりまして、内需拡大、雇用情勢が特に厳しい分野における雇用安定のための対策推進、新規産業の創出等による雇用の拡大等の諸施策を講じておりまして、今後とも政府一体となりまして、総合的に雇用の安定に向け対策を推進してまいりたいと思います。
 雇用安定、労働条件確保に関する認識と対処方針についてのお尋ねでありましたが、労働者が生きがいと自助の気持ちを持ち、雇用の場を通じて、その能力を十分に発揮できることが大切であると考えております。このような認識のもと、機動的な雇用対策の実施や労働基準法制の整備等、労働政策面におきまして的確にこたえてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(甘利明君) 但馬先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、緊急雇用対策推進期間を定め、失業率二%台を目指すとの御提案がございました。
 まず、短期的な雇用対策につきましては、期間を定めまして実施するというよりも、緊急かつ強力に推進すべきものと考えております。
 また、中長期の失業率の目標につきましては、平成七年に策定をされました第八次雇用対策基本計画におきまして、平成十二年度の完全失業率の目安を二カ四分の三%程度とすることとしておりまして、これを踏まえて雇用失業情勢の改善に全力で努めてまいります。
 次に、雇用保険についてのお尋ねでありました。
 その給付日数について、年齢別の再就職の困難度等を考慮して定め、さらに離職者の個別の事情や、その地域の雇用失業情勢などに応じて、給付日数を延長できる制度を現在設けておるわけでございます。したがって、全国延長給付によりまして一律に給付日数を延長するということではなくして、個別の事情等に応じた給付延長を適切に行いまして、離職者の早期再就職の促進に全力で取り組んでいきたいと思っております。
 次に、就職情報の提供体制の整備や商工団体などの活用による就職促進措置についてのお尋ねであります。
 これは基本的に私も同じような認識を持たせていただいておりますが、求人と求職のミスマッチを解消して雇用の安定を図るためには、インターネットの活用等によりまして、できるだけ多くの求人情報を提供することが極めて重要であると私自身も考えております。
 職業紹介事業は、求人者と求職者との間で中立公平な立場から行われる必要があるところでありますので、先ほどの御提案につきましては慎重な対応が必要と考えております。ただ、ネットワーク化を進めるということは非常に大事なことでありまして、新政策でもやりたいと思っております。
 このようなことから、労働省といたしましては、インターネットを活用した情報提供や経済団体と連携した求人情報、産業雇用情報の収集・提供システムのネットワーク化の施策に現在取り組んでいるところであります。
 次に、教育訓練や人材育成についてのお尋ねであります。
 労働省といたしましては、離転職者の再就職の促進、新分野展開等を担う人材を育成するための公共職業訓練の高度化や事業主に対する支援に取り組んでいるところであります。さらに、個人の自発的な能力開発を支援するために教育訓練給付制度、先ほども申し上げましたが、十二月一日からスタートいたしますが、これを創設するなどの施策を推進しているところであります。
 また、文部省においても、大学等において高度の知識、技術等を有する職業人の育成に取り組んでいると承知をいたしておりまして、今後とも学校教育との密接な連携のもとに、職業能力の開発、向上に取り組んでまいります。
 次に、労働契約期間の上限の延長の対象となる高度の専門的知識、技術等を有する労働者の基準につきましては、そのような労働者の能力を十分に発揮することができる環境を整備するという制度の目的に合致するものとなりますように、中央労働基準審議会を初め、関係方面の御意見を伺いながら、具体的な基準を定めたいと考えております。
 続いて、有期労働契約の反復更新に関する調査研究についてでありますが、中央労働基準審議会の建議に沿いまして、学識経験者等の専門家によります研究会を開催し、さらに調査検討を進めていくことといたしております。
 続きまして、一カ月単位の変形労働制についてのお尋ねであります。
 この制度は、労働基準法制定時に設けられまして、長期間にわたりまして利用されていますことから、その利用の実態は業種に応じて差が大きいなど極めて多様であります。
 こうした実態に加えまして、一カ月以内という比較的短い期間の中で、週平均四十時間としなければならないため、過度に所定労働時間の長い週とか日が連続する懸念は少ないのではないかと考えておりまして、一週間及び一日当たりの所定労働時間の上限を設けることといたしてはおりません。
 次に、長時間の時間外労働の抑制についてのお尋ねであります。
 今回の改正法案において、時間外労働の上限に関する基準を労働大臣が定めること及びこの基準を関係労使が遵守すべきことを労働基準法に規定することといたしておりまして、これを労働基準監督署の助言、指導で徹底していくことによりまして、十分実効が上がるものと考えております。
 これに加えまして、時短促進法に基づきまして、中小企業事業主の団体が時間外労働の削減など、労働時間短縮のための相談等の事業を実施した場合には助成をするということなど、同法に基づく援助措置を引き続き実施をしてまいります。
 次に、裁量労働制に係る成果の評価方法についてのお尋ねがありました。
 多くの企業で、人事管理を能力とかあるいは成果を重視したものへと変化をさせようと、現在創意工夫を重ねつつある段階であります。新たな裁量労働制と大きなかかわり合いを持つ評価制度についても、労使委員会を通じて労働者の代表が積極的に関与をして、関係労働者にとっても透明性の高いものとしていくことが望まれるわけであります。
 したがいまして、裁量労働制に係る評価制度につきましても、指針において、労使委員会で話し合い、決議の対象とすべき事項であることを明らかにしていく考えであります。
 続きまして、新たな裁量労働制に関する労使委員会の労働者代表委員についてのお尋ねであります。
 裁量労働制は、御案内のとおり事業運営の重要事項を決定する部門で、仕事の遂行方法が本人の裁量にゆだねられている労働者を対象とするものでありまして、労使委員会の代表につきましても、そういった対象となる労働者を代表する方が民主的な手続で選任されるよう、十分に配慮をしたルールを定めてまいります。
 最後に、個別労使紛争の解決に係る制度についてでありますが、今回の改正法によりまして、当事者の求めに応じまして、都道府県労働基準局において助言や指導を行うことによりまして、簡易迅速に紛争の解決を促す仕組みを創設するということになっております。そのための専門官を配置するとともに、学識者の意見を聞きながら問題の処理に当たることとする等、労働者の期待に十分にこたえることができるようにしたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの御趣旨は、将来NPO活動はGDPの一〇%程度の経済効果をもたらすと予想されるが、これについては税制改正等の支援策を考えるべきではないかという御趣旨であります。
 この問題につきましてはこれから検討をいたしますが、検討に当たりましては、まず実際にどのような団体がNPO法人としての資格を取得するようになりますか、また、どのような活動が展開されるか、その実態を承知いたしました上で、現存の各種の法人や団体に対する課税とのバランスを考えなければならないと思っておりまして、よく検討してまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(宮下創平君) お尋ねの社会福祉法人の認可基準の緩和についてお答え申し上げます。
 社会保障構造改革の一環といたしまして、現在、社会福祉の基盤制度全般の見直しを行っているところでございますけれども、社会福祉法人制度につきましても、身近な地域できめ細かなサービスが提供できますように、設立認可要件の緩和について検討を進めているところでございます。
 こうした社会福祉法人制度の見直しを含めまして、社会福祉制度全般にわたる改革の早期実現に向けて努力をしてまいりたいと存じております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(有馬朗人君) 但馬久美議員に対してお答え申し上げます。
 失業問題を解決する方策としての大学における起業家の養成、新技術習得等に向けた講座の開設、受講する人たちへの特別奨学金制度の創設についてのお尋ねでございますが、厳しい雇用環境や社会の諸分野における構造の変化に対応いたしまして、知識、技術の再教育や高度かつ専門的な知識、技術の習得を図ろうとする社会人の受け入れを大学や大学院において積極的に図っていくことが極めて重要なことであると考えております。そして既に多くの大学、大学院において実行をしております。
 このため、各大学、大学院におきましては、社会人特別選抜等による社会人の正規の学生としての受け入れ、あるいは特定の授業科目の履修を目的とする学生の受け入れの措置を講ずるとともに、社会人を対象とする高度専門職業人養成に関連いたしました修士課程の整備、ベンチャービジネスに関連いたしました科目の設置、公開講座の実施など、さまざまな工夫が講じられてきたところでございます。私自身も大学の特許やベンチャービジネスに関する活力増大に大いに関心を持っておりますので、その方向への努力を一層させていただきたいと存じております。
 文部省といたしましては、今後とも大学、大学院におきます社会人の受け入れの機会の充実を図るとともに、高度の知識、技術を有する職業人や、高度な研究開発能力を有する人材の育成に努めてまいる所存でございます。
 また、これらの社会人が正規の学生として入学する場合には、日本育英会の奨学金の貸与を受けることができるものと既になっております。しかしながら、今後さらに有利子貸与事業の抜本的拡充など、その充実に努めさせていただきたいと存じております。(拍手)
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#22
○議長(斎藤十朗君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#23
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案に対し、総理に質問いたします。
 言うまでもなく、八時間労働制は既に八十年も前にILO一号条約で明記された国際的基準であり、労働基準法の中心をなす大原則でもあります。ところが、衆議院で修正され、本院に送られてきた本法案は、その基本原則を根本から掘り崩すものであります。
 本法案にはさまざまな問題点がありますが、特に重大なのは、日弁連を初めとする法律家団体、連合、全労連など広範な労働組合が共通して問題にしていた新裁量労働制の導入が基本的にはそのまま残っていること、そして労働時間の男女共通規制が行われなかったことであります。各界から多くの疑問や批判の声が寄せられて、参議院での審議への期待が強まっています。本院の任務は極めて大きいものがあります。そうした立場から、幾つかの問題について総理に質問いたします。
 まず第一に、新しい裁量労働制についてであります。
 法案は、これまでその対象がプロデューサー、公認会計士、弁護士など十一業種に限られていた裁量労働制を、新たに一般のホワイトカラー全体にも適用することとしています。
 裁量労働制とは、一日何時間働こうが、労使が決めた時間しか働いていないとみなすものであり、賃金は労働時間ではなく企業が認めた成果で決められます。国際金属労連がこの日本語は翻訳できないと音を上げたと言われるほど世界に例を見ない異常な働かせ方であります。八時間とみなせばそれを超えて働かせても賃金を払わずに済むのですから、企業にとってこれほど好都合なことはありません。労働者は、会社が一方的に決めた仕事の達成目標を成し遂げるために、歯どめのない長時間・過密労働を強いられることは必至です。
 総理、こうした弊害があるからこそ、これまではごく限られた職種にだけしか認められてこなかったのではありませんか。それとも、こうした弊害は生じないと断言できるのですか。明確な答弁を求めます。
 政府は、労使委員会を設けて、その全会一致の決議がなければ裁量労働制の適用はできないのだから乱用は防止できると言っています。また、ホワイトカラー全体には広がらないといいますが、果たしてそうでしょうか。「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」という対象業務の規定は極めて抽象的かつ包括的であり、これでは無制限に広がらざるを得ないではありませんか。
 憲法第二十七条は、勤労条件は法律でこれを定めるとしています。これを受けて労働基準法は、労働者が人たるに値する生活を営み得るための最低の労働基準を法律で定め、その遵守義務を罰則つきで使用者に負わせたものであります。これは、労使の自治に任せれば使用者によって一方的に労働条件が引き下げられていくという、歴史的な経験から導かれたものであります。
 したがって、八時間労働制を大もとから崩す裁量労働制の導入要件を労使委員会にゆだねることは乱用の歯どめにならないばかりか、労働基準法の根本原理にも反するものと言わなければなりません。
 実際、日本の労働組合の組織率は全体でも二二・六%、労働者の多くが働く百人以下の中小企業に至ってはわずか一・五%という状況です。これでどうして対等な労使の話し合いができるというのですか。あわせて答弁を求めます。
 第二に、労働時間の男女共通規制問題についてであります。
 現行労働基準法には時間外・休日・深夜労働の上限規制がありません。そのため、長時間・過密労働による過労死、労災自殺が相次いでいます。そういう中で、昨年、労働基準法の女性保護規定が撤廃され、来年四月にその施行が迫っています。このままでは二千万の女性労働者にもこの状態が広がり、過労死の平等を押しつけることになるではありませんか。女性労働者は働き続けることが困難になるばかりか、家庭生活を破壊され、安心して子供を産み育てることもできなくなるのです。男性にとっても大問題であります。だからこそ、女性保護の撤廃についてはさまざまな意見の違いはあったけれども、本院では、施行までに男女共通の労働時間規制を行えという趣旨の附帯決議が採択されたのであります。
 ところが、本法案は、法律に時間外労働の上限を書き込むこともせず、罰則もありません。どうして本院の意思を尊重しなかったのですか。総理、はっきり答えてください。
 第三に、一年単位の変形労働時間制の要件緩和についてであります。
 変形労働時間制は、もともと仕事に八時間を、休息に八時間を、自由に使える八時間をという、歴史的に確立されてきた八時間労働制を崩し、労働者とその家族の生活のリズムを狂わせるものであります。
 一年単位の変形労働時間制は、前回の法改悪のとき初めて導入されました。そのとき、乱用防止のための措置だとして、一日の上限九時間、一週間の上限四十八時間、そしてこの制度は季節労働者には適用しないの三点が強調されました。
 ところが、本法案は、これらの措置すべてを取り払っているのであります。これでは乱用の勧めにほかならないではありませんか。総理、いかがですか。
 第四に、三年を上限とする有期雇用制の新設についてであります。
 現行の制度では、雇用期間が決められるのは一年以内だけです。それ以上は、期間の定めのない契約、つまり一たん契約すると合理的理由と社会的相当性がない限り会社が勝手に解雇できないことになっているのであります。
 ところが、新しい制度は、三年たてば使用者の側から解雇できるようにするというものであります。こんな制度を労働者は願ってはいません。文字どおり、使用者側の要求をそのまま受け入れたものではありませんか。ただでさえ不安定雇用がふえている今日、この有期雇用制の導入がそれに一層拍車をかけることは火を見るより明らかではありませんか。総理の見解を求めます。
 以上述べたような労働基準法の改悪を一体だれが望んでいるでしょうか。中央労働基準審議会の議論を見ても、衆議院の参考人質疑を見ても、本改悪を主張したのは財界代表だけでした。労働者の代表のただの一人も賛成しなかったのであります。
 さきの参議院選挙の結果は、野党が結束すれば悪法を阻止できる新たな条件をつくり出しました。私は、衆議院で修正されてきた本法案が多くの労働者や法曹団体から厳しい批判を受けていることを真摯に受けとめ、さきの参議院選挙で示された民意を生かす道を衆知を集めて模索することこそが本院の責務であることを特に訴えて、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(小渕恵三君) 市田忠義議員にお答え申し上げます。
 まず、新たな裁量労働制についてお尋ねがございました。
 この制度は、業務の遂行の方法が労働者本人の裁量にゆだねられているものを対象として、労使委員会で全員合意のもとで具体的な業務の範囲を決定し、かつ働き過ぎを防止する措置を講ずることを要件としておりまして、御懸念のような弊害が生ずることのないよう十分配慮された制度と考えております。
 新たな裁量労働制の対象業務と労使委員会についてお尋ねがありましたが、対象は企業の中枢部門の企画等の業務をみずからの裁量をもって遂行する者に限定しておりまして、いたずらに拡大することはありません。また、労使委員会におきまして、業務や労働者の具体的範囲、働き過ぎを防止するための措置等について全員一致で決議し、労働基準監督署に届けることとしておりますことから、適正な運用が確保できると考えております。
 新たな裁量労働制の要件と労働基準法の原則との関係についてでございますが、改正法案は、対象業務の範囲を初め労使委員会が満たすべき要件など基本的な枠組みを定め、労使がこれを遵守することを求めておるものであり、労働基準法の原則に反するものではありません。
 新たな裁量労働制に関する労使委員会の実効性についてお尋ねがございましたが、改正法案では、労働組合がない事業場も含めまして、労働者代表委員の適正な選任を担保するための手続、決議及び議事録の周知義務を加え、委員の全員一致で決議しなければならないことを規定いたしておりまして、労使の十分な話し合いによる適正な運営が確保されるものと考えております。
 本改正案と本院の附帯決議の関係についてもありましたが、本改正法案は、時間外労働協定の適正化指針の実効性を高めるための方策について検討するよう努めることとされた本院の附帯決議を踏まえ、法律に根拠を置く上限に関する基準及びこれに関する労使の遵守義務を定めることとしたものでございます。
 一年単位の変形労働時間制の乱用防止措置についてお尋ねがございましたが、改正法案は、一定日数以上の休日を確保すべきこと、時間外労働の上限に関する基準において通常より低い水準とすることなど、新たな要件を設定いたしております。また、季節的労働者等について、割り増し賃金の支払いをもって清算することを義務づけておりまして、乱用されるおそれはございません。
 最後に、労働契約期間の上限を三年に延長することにつきましては、新商品や新技術の開発などのために社内で得がたい人材を国の内外から確保したり、六十歳以上の高齢者の能力や経験を生かせる雇用の場を確保することを目的といたしておりまして、不安定雇用を増大させたり、解雇を容易にするものではありません。
 また、改正事項につきましては、中央労働基準審議会の審議における労使双方の意見を十分踏まえて改正法案に盛り込んだものでありまして、使用者側の要求をそのまま受け入れたものでは決してありません。
 以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(斎藤十朗君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
#26
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、労働基準法改正法案について総理並びに関係大臣に質問いたします。
 私は、今回の労働基準法改正の意義と課題を次のように考えます。
 第一に、産業構造の変化により第三次産業に働く労働者が増大し、労働者の多様な働き方と流動化が進行する中で、労働基準法制定時に主な対象とされた製造業などに従事する労働者の保護に加えて、多様な働き方をしている労働者の保護も含めて、公正かつ平等な労働条件の法的枠組みを構築しなければならないこと。
 第二に、男女雇用機会均等法改正に伴い、女性労働者についての時間外・休日労働の制限、深夜労働に関する禁止、いわゆる労働基準法における女子のみ保護規定の解消に伴って、健康と生活を保護する男女共通の規制と家族的責任を持つ男女労働者が仕事と家族的責任との両立を保障する措置を規定する必要があること。
 第三に、今回の改正は、労働分野における規制緩和の流れに沿って、新裁量労働制の導入、変形労働時間制や契約期間の緩和など、行政改革委員会規制緩和小委員会の提起していた項目などを盛り込んだ内容となっていて、労働者の弾力的、効率的な働き方を可能とするものが含まれていること。
 以上のように、今般の労働基準法改正法案は、複合した課題にこたえるものであることを十分留意する必要があります。
 その中で、本来、労働基準法が労働条件の最低基準を確保して労働者の保護を図る法律であり、労使自治の前提であるという基本原則を踏まえつつ、多様化した労働者の全体像を見きわめ、それぞれの階層のニーズに適したきめの細かい規制を行い、二十一世紀の働き方の最低基準を保障するセーフティーネットになっているかどうかを鋭く問わなければならないと考えます。
 そこで、次の諸点を質問いたします。
 第一に、憲法二十七条二項は、賃金等労働条件に関する基準はこれを法律で定めるとし、これは人たるに値する生活を営む基準でなければならないと解せられてきました。今般の改正法案は、国際基準からしても労働のセーフティーネットたり得るかどうか、総理大臣にお尋ねいたします。
 第二に、時間外労使協定の実効性を高める措置についてです。
 国際的に非難され続けてきた日本の長時間労働の原因である時間外・休日労働を規制し、早期に年間総労働時間千八百時間を実現し、失業率の上昇を見越して将来必要となるジョブシェアリングを可能とするためには時間外・休日労働の抑制と削減は不可欠であります。
 労働基準法の規定は労働条件の最低基準を設定するものであり、多義的解釈を許すものではなく、明確な文言をもって法文の趣旨を書くという要請から考えると、時間外労働協定に関する労使協定は、労働大臣の定める上限基準に適合しなければならないと明確に規定すべきであります。しかも、上限基準の具体的数値の設定は、現行の目安三百六十時間を段階的に見直していくよう規定すべきであります。
 上限基準を超える協定は、受理を拒否して厳しく指導監督して当然です。そして、基準に適合しない協定及びそれに基づく時間外の残業命令は法的に無効であり、時間外労働の業務命令を拒否した労働者に対する解雇、配転、昇給昇格に対する一切の不利益取り扱いは合理的理由のないものであると考えます。さらに、休日労働についても明確な規制の方向が検討されてしかるべきであり、そのような時間外・休日労働の実効性を高める措置が改正法案はいまだ不十分であると考えますが、いかがでしょうか。労働大臣にお尋ねいたします。
 第三に、均等法改正との関連で、深夜業の規制問題は一九九九年四月までに絶対に男女共通の規制の方向性と道筋をつけなければならないと考えます。必要な業種について、その実態に即した深夜勤務時間・回数、勤務シフト編成等に関する労使による自主的ガイドラインの作成、普及にとどまらず、法改正も視野に入れて今後早急に検討されなければなりません。
 そもそも深夜労働は人間の生態リズムに反するもので、健康上も家庭生活上も常態化することは好ましくありません。できるだけ抑制されるべきだと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 また、実態調査が進められていますが、いつその集約がされますか。法改正も視野に入れた研究会の設置のプログラムはありますか。労働大臣にお尋ねいたします。
 さらに、社会民主党が強く実現を望んでまいりました、医師の判断による場合に加えて、労働者自身の判断によって、健康診断に基づき、深夜業の免除や軽減、昼間労働や他業務への転換などを請求することができる措置が図られるべきと考えます。労働安全衛生法改正をお約束いただけるでしょうか。お尋ねいたします。
 第四に、新裁量労働制は、対象業務や労働者の範囲、労働時間の把握、ノルマ設定や人員配置、成果の公平な評価の物差しが明らかでないまま、長時間労働で健康を害し、過労死、過労自殺に追い込まれる労働者が発生することは絶対に許されません。そのための方策として、制度の導入要件、労使委員会の委員選出の民主的手続の確立、とりわけサービス残業の拡大阻止のため労働基準監督は不可欠です。検討すべき課題をどのようにお考えでしょうか。労働大臣にお尋ねいたします。
 第五に、専門的業務につく労働者を三年を上限とする契約期間で雇用する場合、正規雇用労働者の雇用が掘り崩され、パート・派遣労働者への置きかえなどが不安定就業の増加につながらないよう十分な歯どめが必要であると考えます。判例理論やヨーロッパの立法に倣い、有期雇用に関する新たな法規制が必要と考えます。労働大臣にお尋ねいたします。
 第六に、育児休業、介護休業等家族的責任を男女労働者が十分に果たせるような社会的システムの構築は、二十一世紀の日本の活力を維持するためのかぎであると考えます。総理大臣、厚生大臣にお考えをお尋ねいたします。
 終わりに、今般の労働基準法改正法案は、法制定五十年ぶりの抜本的改正であり、しかも、来る二十一世紀における雇用・労働の権利章典として重要な意義を担っております。
 経済のグローバリゼーションのもとで、国際競争力強化を金科玉条として際限のない競争と規制緩和に突き進むとき、そこに待ち受けるのは世界経済と環境の破壊であります。大量の失業と底なしの労働条件の引き下げ、これまでの労働運動の成果としての支え合いのシステムや制度の崩壊、世界的な貧富の格差の拡大でありましょう。
 国際的労働基準の切り下げの仕掛け人となってきた日本の歴史を考えるとき、アジアの市場に与える影響も大きなものがあります。競争に歯どめをかけ、新しい基準と規制のルールを再構築することが大切でありましょう。
 私は、今般の労働基準法改正が、改正法出て労働者の雇用と健康、家庭崩壊すという事態を招くことが絶対にあってはならないということを訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(小渕恵三君) 大脇雅子議員にお答え申し上げます。
 改正案の意義についてまずお尋ねございましたが、本法案は労働者の意識や働き方の変化に対応して、男女がともに健康で安心して働けるようにするため、労働条件に関するルールの整備を行っておるものでありまして、十分に労働者のセーフティーネットたり得る内容となっておると考えております。
 深夜労働についてお尋ねがございました。
 深夜労働は、生産プロセスの運営上の必要や国民生活の利便から不可欠な面もあると考えております。過度の深夜労働に対してどのような対応が可能かにつきましては、これに従事する労働者の健康等に配慮し、経済活動や国民生活の態様の変化も十分見きわめながら、広範囲な角度から引き続き検討し、適切に対応してまいります。
 育児、介護等の責任を男女の労働者とも果たせるシステムの構築についてのお尋ねでありますが、このような家庭責任を男女がともに担い、また、社会全体でこれを支援することが極めて重要であると考えております。このため、多様なニーズに対応した保育サービスや介護サービスの充実など、育児、介護の支援策等の推進に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(甘利明君) 大脇先生の御質問にお答えさせていただきます。
 まず、時間外労働についてのお尋ねでありますが、新たに法律に基づいて設定をいたします時間外労働の上限に関する基準につきましては、他の労働基準法違反事例と同様に、労働基準監督署名による是正勧告を行いまして、厳正に対処していくこととしておりまして、改正法案の規定によって十分に実効を上げるものと考えております。
 また、休日労働についてでありますが、ガイドラインの設定などその適正化のための適切な措置につきまして、中央労働基準審議会において労使の意見を十分尊重しつつ検討が行われていくよう努めてまいります。
 次に、深夜業の実態調査に関してでありますが、本年七月に実施をしまして、現在その調査票の回収を急いでいる段階であります。今後は、この調査結果を参考といたしまして、労使の自主的なガイドライン策定等を急ぎまして、さらに、過度の深夜業を抑制するための方策についてどのような対応が可能かを含めて、引き続き検討を進めてまいります。
 次に、健康診断等に関する労働安全衛生法の改正についてであります。
 これは、九月三日の衆議院の労働委員会における附帯決議、この趣旨を踏まえて検討していきます。
 続いて、新たな裁量労働制につきましてでありますが、労使委員会の労働者代表委員の任期とか、あるいは信任手続など命令で定めるべき内容及び労使委員会の決議事項について定める指針の内容について、中央労働基準審議会で十分御検討いただいた上、適切に処置いたします。
 また、労働基準監督署において、労使委員会が民主的に構成されているかどうかをチェックするとともに、提出をされました決議の内容が法令や指針に適合していない場合は、これに沿ったものとなるよう厳正な指導を行ってまいります。
 最後に、契約期間の上限についてのお尋ねでありました。
 改正法案においては、御懸念のような問題が生じないよう十分配慮したものといたしております。また、有期雇用の問題については、反復更新の実態、裁判例の動向等について学識経験者等専門家による研究会を開催をしまして、その研究結果に基づきまして、法令上の措置を含め必要な措置を講ずべく検討してまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(宮下創平君) 大脇議員にお答え申し上げます。
 育児、介護等の責任を男女の労働者ともに果たせるシステムの構築についてのお尋ねでございます。
 基本的には、ただいま総理のお答えのとおりでございますけれども、所管大臣としてお答え申し上げたいと思います。
 育児や介護を男女がともに担い、社会全体がこれを支援することは極めて重要なことでございます。このため、少子・高齢化の進行に対応いたしまして、エンゼルプランや緊急保育対策等五カ年事業の着実な推進を図りますとともに、介護保険制度を創設したところでございます。
 今後とも、男女が共同して家庭での責任を果たしていけるような社会の実現を図るために、先般総理のもとに設置されました少子化への対応を考える有識者会議の議論なども踏まえまして、総合的な施策の推進に精力的に取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
#30
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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