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1998/10/14 第143回国会 参議院 参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第17号
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1998/10/14 第143回国会 参議院

参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第17号

#1
第143回国会 本会議 第17号
平成十年十月十四日(水曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十七号
  平成十年十月十四日
   午後一時開議
 第一 国民の祝日に関する法律の一部を改正す
  る法律案(衆議院提出)
 第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法
  律案(衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議員世耕政隆君逝去につき哀悼の件
 一、日程第一及び第二
 一、議院における証人の宣誓及び証言等に関す
  る法律の一部を改正する法律案(第百四十回
  国会衆議院提出、第百四十三回国会衆議院送
  付)
 一、金融機能の早期健全化のための緊急措置に
  関する法律案(衆第一五号)及び金融機能の
  早期健全化のための緊急措置に関する法律案
  (参第一〇号)(趣旨説明)
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 議員世耕政隆君は、去る九月二十五日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 特に院議をもって永年の功労を表彰せられ さきに文教委員長裁判官弾劾裁判所裁判長等の要職に就かれ また国務大臣としての重任にあたられました 議員正三位勲一等世耕政隆君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
    ─────────────
#4
○議長(斎藤十朗君) 本岡昭次君から発言を求められております。この際、発言を許します。本岡昭次君。
   〔本岡昭次君登壇〕
#5
○本岡昭次君 本院議員世耕政隆君は、去る九月二十五日、肺炎のため忽えんとして逝去されました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 世耕先生は、本年四月、勲一等旭日大綬章受賞の栄に浴されたところでありますが、夏ごろから体調を崩され、御家族の懸命な御介護もそのかいなく、大阪狭山市の近畿大学医学部附属病院において不帰の客となられました。
 私は、ここに、同僚議員各位の御同意を得て、議員一同を代表し、正三位勲一等故世耕政隆先生のみたまに謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 世耕先生は、大正十二年一月六日、近畿大学総長を務め、また長く衆議院議員であった世耕弘一先生の長男として、現在の東京都豊島区に生まれ、紀の国和歌山県新宮市で成長されました。文学に傾倒し、柔道に汗を流し、熊野灘で水泳に熱中する実り多き少年期でありました。
 東京に転じ、旧制日大二中に入学。同中学卒業後、一時文学を志されたと聞いております。しかし、太平洋戦争の戦火が拡大する中、第一回学徒出陣で和歌山連隊に配属、肋膜を患われ帰郷された後、医学の道に進むことを決意されました。日本大学医学部に進学された先生は、卒業後も研究室にとどまり皮膚科の病理学を専攻、博士号を授与されるなど研究者として研さんを積まれるとともに、教育者として後進の指導に当たられ、昭和四十年三月、日本大学医学部教授となられたのであります。その直後、御尊父弘一先生の御逝去により、近畿大学総長に就任、自来三十年余にわたり学園を手塩にかけてはぐくまれてこられました。
 先生が政界に入られたのは昭和四十二年でありました。当時の佐藤総理の「国を癒すを国医という、おやりなさい」との強い勧めにより、衆議院議員総選挙に立候補、当選されたものであります。その後、昭和四十六年参議院議員通常選挙に当選され、五期連続二十七年の長きにわたり本院議員として国政の重責を担われてきました。
 この間、文教委員長、物価等対策特別委員長、大蔵委員長、裁判官弾劾裁判所裁判長などの枢要の役職を歴任され、平成五年三月には永年在職議員として院議をもって長年の功労がたたえられたのであります。
 また、鈴木内閣の自治大臣、国家公安委員長として、地方財政の健全化の推進、地域改善対策特別措置法の成立、参議院議員選挙制度を比例代表区と選挙区選出に改正する公職選挙法の一部改正などに力を尽くされるとともに、ホテル・ニュージャパン火災、羽田沖日航機墜落事件、長崎を襲った大豪雨などの事件や災害に適切、迅速に対応されるなど、その卓越した指導力、政治手腕を遺憾なく発揮されました。
 自由民主党内においても、総務会副会長、政務調査会副会長、文教制度調査会副会長等の要職を歴任、とりわけ総務会には長く籍を置かれ、じゅんじゅんと諭すような語り口から発せられるみずからの信念、政治信条に基づく確固とした発言で重きをなされていたと伺っております。
 先生は、文教委員会に二十年余在籍され、委員長を一年、理事を三年半務められました。対決法案であっても、ふだんと変わらず悠々とした姿に、与野党を超えて信頼が寄せられておりました。
 委員長在任中の第七十二回国会において、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部改正案、学校教育法及び学校図書館法の一部改正案、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案の野党提出三法案が本院を通過しております。残念ながらこれらはいずれも衆議院で審査未了となりましたが、このうち、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部改正案は、先生が理事であった第八十四回国会において、政府の反対の意見表明にもかかわらず成立いたしました。野党提出法案が成立したのは、本院にとりまして、その初期を除けば、これが初めてのことであります。他の二法案につきましても、その趣旨を踏まえた法律が議員立法として成立しているところであります。
 また、私学振興方策について、私学関係者を参考人として招致し、その意見を聞くとともに、参考人を交えた委員間のフリートーキングが先生のリーダーシップのもとで行われたことも注目すべきであります。この自由闊達な討議で得られた成果は、翌年議員立法で成立した私立学校振興助成法に大きな影響を与えました。
 本院の役割として、政争から半歩離れ、長期的、総合的な視野に立ち、議員各自の意見をできる限り尊重し、反映することが求められております。先生の議会人としての実績は、このような期待にこたえた好個の例であるとともに、先生の先見性、広い視野、野党の主張にも十分耳を傾けるという姿勢を示すものであり、高く評価されるものであります。
 世耕先生は、信念として常に志を高く持っていたいと述べておられます。先生の柔和で、まなざし優しく、接する者を温かく包み込む風貌は、まさにこのような信念がつくり上げたものでありましょうし、教育の目的は、人に愛される人、信頼される人、尊敬される人を育成することにあるとする、教育者としての心の構えがあらわれたものでありましょう。
 議員会館の先生の机には、近畿大学のキャンパスの樹木について書きとめたメモがありました。先生が木々の一本一本に気を配ってきた広大なキャンパスには、今野鳥や小鳥が集まり、さえずっております。戦後、新制の大学として発足した近畿大学は、先生の先見性と確たる信念によって、日本の私学の雄として発展を続け、学問のみならずスポーツにおいても目覚ましい成果を見せております。野球部が五冠王、アマチュア日本一に輝いた昨シーズン、先生は部長としてずっとベンチに入り選手を励まされたと聞いております。学生と一体になり、ともに喜ぶありし日の姿が目に浮かびます。
 先生は、ふるさと紀の国の歴史、文化、風土、そこに住む人々を人一倍愛し、地理的関係から社会資本の整備に立ちおくれていた和歌山県に学部や研究施設、短期大学、附属高校を設置するなど、その発展のために多大の功績を残されております。その先生が、ふるさと熊野を詠んだ「樹と人」と題する詩の一節を紹介し、心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 都会に老い衰えると、どうしてかこの地に生れた人々は、幾つか山岳を越え、森林にかげる径、川岸を辿って、此処に帰ってくるのだ。
 おそらく、樹と樹の海の静寂がつくりだす空間の下で、みずからめざめざる深い眠りをねむるべく──。
 世耕先生は、四つの顔を持つ世耕二世として敬愛されてきました。政治家、教育者であるとともに、医学はもとより、科学技術全般に広い関心と知識を持つ学者であり、また歴史、芸術、文化のあらゆる分野に造詣の深い教養の人でありました。
 先生の御長男弘武氏は、父は最期を迎えようとしているとき、病床から、日本の教育と科学技術の将来を語り、平和の尊さを説きましたと明かされました。人間性、ヒューマニティーを根底とする先生の識見と信念から生まれる言葉、行動を思い起こすとき、混迷の今このときに先生を失ったことは、今さらながら惜しみても余りあるものがあります。
 ここに謹んで、故世耕政隆先生の御功績とお人柄をしのび、院を代表して心から哀悼の意を表する次第であります。
     ─────・─────
#6
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教・科学委員長南野知惠子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔南野知惠子君登壇、拍手〕
#7
○南野知惠子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教・科学委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、ゆとりのある国民生活の実現に資するため、成人の日を一月の第二月曜日とし、体育の日を十月の第二月曜日とするものであります。
 なお、本法律案は、衆議院内閣委員長の提出に係るものであります。
 委員会において、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#9
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#10
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#11
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長須藤良太郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔須藤良太郎君登壇、拍手〕
#12
○須藤良太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院商工委員長の提出に係るものでありまして、破綻金融機関等の融資先である中小企業における資金の融通を円滑にするため、倒産関連保証に係る信用保険の限度額を引き上げる等、臨時かつ緊急の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#14
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#15
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#16
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の一部を改正する法律案(第百四十回国会衆議院提出、第百四十三回国会衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長岡野裕君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岡野裕君登壇、拍手〕
#18
○岡野裕君 ただいま議題となりました法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過とその結果を報告申し上げます。
 本法律案は、第百四十回国会の衆議院提出に係るものでありまして、第百四十二回国会において本院で修正議決し、衆議院に送付いたしましたが、継続審査となり、今国会において衆議院で改めて可決され、再び参議院に送付されてきたものであります。
 その内容は、議院における証人について、業務上知り得た他人の秘密に係る証言拒絶の対象者に薬剤師、これを加えるとともに、証人の宣誓及び証言中の撮影及び録音につきましては、委員長または両院合同審査会の会長は、まず当該証人の意見を聞いた上で、さらに委員会または両院合同審査会に諮り、その上でこれを許可することとし、また、証人が撮影及び録音についての意見を述べるに当たっては、その理由について説明することを要しないとするものであります。
 委員会におきましては、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#20
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#21
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#22
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆第一五号)及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(参第一〇号)について、発議者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。衆議院議員保岡興治君。
   〔衆議院議員保岡興治君登壇、拍手〕
#24
○衆議院議員(保岡興治君) 私は、発議者を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 金融機関が破綻した場合に対応していくためのものとして、先日、可決、成立いたしました金融再生関連法がありますが、現在、市場の圧力にさらされ、しかも国民生活に最も影響を与えているのは、我々の身近に多数存在する破綻していない金融機関であり、これらの金融機関が不良債権を速やかに処理するとともに、体質強化を行うことによって金融機能を正常化することが必要であります。したがって、機を失せずに市場が待ち望んでいるような思い切った対策を打ち出し、我が国の金融システムに対する内外の信認を回復することが現下の緊急の課題となっております。このような状況を踏まえ、金融システムの早期健全化対策として新たな資本増強の制度を設け、これにより現下の深刻な状況に迅速かつ有効に対応し、金融システムの再構築と我が国経済の再活性化に資することを目的として、本法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、金融再生委員会が我が国の金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則、すなわち、金融機能の障害の未然防止、金融機関等の経営責任及び株主責任の明確化、金融機関等の再編促進による金融システムの効率化、社会経済的な費用の最小化、早期是正措置との効果的連携並びに情報等の適切かつ十分な開示といった六項目の原則を定めております。
 第二に、預金保険機構に金融機能早期健全化勘定を設け、二〇〇一年三月末までの時限措置として、資本増強制度を創設することとしております。具体的には、協定銀行が預金保険機構から資金の貸し付け等を受けて、金融機関等の優先株式等の引き受けを行うこととしております。また、著しい過少資本行の場合には、他に手段がなければ普通株式の引き受けを通じて、協定銀行が経営管理を行うことにより、早期健全化を図る道も設けております。さらに、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びこれに準ずるものについても、優先株式等の引き受け対象としております。
 第三に、株式等の引き受けの承認については、金融再生委員会が経営の合理化、経営責任、株主責任及び信用供与の円滑化の取り扱いを明確かつ厳格に定め、公表した承認基準により行うこととしております。なお、承認に当たっては、申請金融機関等に対し経営健全化計画の提出及び履行を求め、これを公表するなどの情報開示を行うこととしております。
 第四に、取得した株式等は早期に処分するものとし、特に、普通株式を五〇%超引き受けて子会社化した場合は、原則として、一年以内に持ち株比率を五〇%以下に低下させることとしております。
 第五に、株主責任の明確化の環境整備として資本の減少を行う場合の商法の特例を措置することとしております。
 その他、預金保険機構は、金融機能の早期健全化のための業務のため日本銀行等からの資金の借り入れ等を行うことができるとともに、政府はその借り入れ等に係る債務の保証をすることができることとする等、所要の措置を講ずることとしております。
 以上が金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案の趣旨であります。
 なお、この法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりであります。
 第一に、目的規定に「不良債権の処理を速やかに進める」ということを追加するとともに、この法案に基づく早期健全化のための施策を講ずる前提として、金融機関が適切に資産の査定、引き当て及び有価証券の評価等を行うことを法律に明示すること。
 第二に、金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則を「情報等の適切かつ十分な開示を行うこと」に改めるとともに、金融再生委員会による経営健全化計画の履行状況の公表を義務化すること。
 第三に、経営健全化計画における虚偽記載に対して罰則等を強化すること。
 第四に、経営の合理化、経営責任、株主責任の明確化等に関する資本増強の要件を自己資本比率の各区分に応じて明確かつ具体的に規定すること。
 第五に、健全行の優先株式等の引き受けは、原則として、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、急激かつ大幅な信用収縮の回避のために不可欠なもの及び合併等金融再編の視点から、資本増強を行うことが不可欠なものを対象とすること。
 第六に、特に著しい過少資本行については、金融再生委員会は自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併、銀行業の廃止等の措置のいずれかを選択させた上実施するよう命ずるとともに、資本増強を行うことができるのは、地域経済にとって必要不可欠の場合に限定すること。
 以上であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようにお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(斎藤十朗君) 本岡昭次君。
   〔本岡昭次君登壇、拍手〕
#26
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 バブル崩壊後の金融機関の経営破綻劇は、昨年の今ごろ、前半のクライマックスを迎えようとしていました。北海道拓殖銀行が都市銀行として初めて破綻し、大手証券会社である山一証券も後を追うようにして破綻した、あの大型金融破綻劇であります。あれから早くも一年近い時間が経過しようとしています。この間、政府の対応は場当たり、その場しのぎのびほう策に終始し、我が国の金融システムに対する内外の信頼は大きく損なわれました。多くの金融機関は今、危機的とも言っていい経営状態にあります。
 こうした状況を踏まえれば、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復するため、金融機能の早期健全化のための緊急措置の制度を設けることが必要であることから、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律案は、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下の喫緊の課題であることにかんがみ、適正な資産の査定及び会計処理による金融機関等の経営の健全化を促進し、かつ、金融機関等の再編に資するための金融機関等の資本の増強等に関する緊急措置の制度を設けること等により、我が国の金融機能の早期健全化を図り、もって我が国の金融システムの再構築と我が国の経済の活性化に資することを目的とするものであります。
 第二に、金融再生委員会がこの法律に基づいて講ずる施策は、次の七つの原則によるものとしております。
 一、我が国の金融機能に著しい障害が生ずる事態を未然に防止すること。二、金融機関に対し、経営の状況を改善するよう自主的な努力を促すことにより、経営の合理化を図ること。三、金融機関等の経営責任及び株主責任の明確化を図ること。四、金融機関等の再編を促進すること等により、金融システムの効率化を図ること。五、この法律の目的を達成するための費用が最小となるようにすること。六、早期是正措置と効果的な連携を確保すること。七、金融機関等に資産の査定及び会計処理の基準を遵守させるとともに、経営情報等の適切かつ十分な開示を行うこと。
 第三に、預金保険機構は、金融機関等の発行する株式等の引き受け等を協定銀行に委託できることとしております。
 第四に、発行金融機関等は、金融再生委員会に対し、経営の合理化のための方策を初めとする七項目の方策を定めた経営健全化のための計画を提出しなければならないこととするとともに、当該計画及びその履行状況を公表しなければならないこととしております。
 第五に、発行金融機関等からの株式等の引き受け等を、過少資本の金融機関等であって、厳格な経営責任及び株主責任の明確化と経営の合理化を行う等の要件のすべてに該当する場合に限って行うことができることとしております。
 第六に、合併等を行う金融機関に係る株式等の引き受け等を、当該合併等により、当該金融機関の自己資本の充実の状況が悪化した等の要件のすべてに該当する場合に限って行うことができることとしております。
 第七に、預金保険機構は、金融機能早期健全化業務に係る経理については、金融機能早期健全化勘定を設けて整理しなければならないこととしております。
 第八に、発行金融機関等の自己資本比率の算定においては、その保有する有価証券の評価は低価法により行うものとしております。
 第九に、金融再生委員会は、著しい過少資本の金融機関等である銀行については、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分または特別公的管理の開始の決定をすることができることとしております。
 第十に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正し、金融機関等の資産の査定の基準及び適正な引き当ての割合の基準を定めることとしております。
 以上が本法律案の主要な内容であります。
 なお、衆議院自由民主党、平和・改革及び自由党の与野党三会派も金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案を提出しておりますが、行政による裁量の余地が大きく、資本増強の要件が不明確、銀行の真の経営実態を明らかにすることもなく、国民に対する説明責任は全く無視、その上、自己申告させる銀行の自己資本比率が信用できない現状のもとで、存続不可能な銀行や健全な銀行についても公的資金による資本増強を可能とする極めて問題の多い法案であります。このように多くの問題を抱えた法案では、一時的に危機を乗り切ったように見せかけることはできても、いずれ問題の先送りであったことが明らかになることは必至であります。今日の危機的な我が国経済を、銀行と心中させることはできないのであります。
 これに対して、民主党・新緑風会の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案は、これらの問題点をすべてクリアした、真に抜本的な解決方法であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。江田五月君。
   〔江田五月君登壇、拍手〕
#28
○江田五月君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題になりました金融機能の早期健全化のための法律案二案につき、総理及び大蔵大臣、衆議院送付の法律案の提出者並びに本院に提案された法律案の提出者に質問いたします。
 便宜、衆議院送付の法律案を自民党案、本院に提案された法律案を民主党案と呼ばせていただきます。
 深刻な不況の克服と経済の再建のために金融システムを再生させることは、私たちみんなの緊急の課題です。
 既に、最悪の事態に備えて金融再生関連法が一昨日、本院で可決、成立しました。金融機関が破綻し、または破綻することが目に見えている場合に、特別公的管理等によって破綻や倒産の連鎖を断ち、世界金融恐慌の発生を防ぐ手だてが用意されたところです。あとは、そこまでは行かないが、体力の弱った金融機関に必要な限度で公的資金を投入して、体質を強化し、金融機能を一日も早く健全で力のあるものに立て直さなければなりません。
 しかし、私がまず問題にしたいのは、政府・自民党の早期健全化法の使い方です。
 きょう、あすにも資本注入しないとおかしくなる金融機関が仮にあるとすれば、それは破綻することが目に見えている金融機関であって、早期健全化にはなじまないのではありませんか。破綻処理と早期健全化が仕組みとして車の両輪だというのはそのとおりですが、なぜ、破綻処理策に加えて早期健全化策も事実上同時にでき上がらなければならないのですか。会期切れ寸前に、駆け込みで、議論を省き、真実に目をつぶる欠陥法をつくって、実は破綻に瀕した金融機関も早期健全化の枠組みで救おうという意図があるように思えるのです。総理、大蔵大臣及び両法案の提出者にお伺いします。
 私がそのように疑うのは、単なる邪推ではありません。自民党案と民主党案はほとんど同じで、ちょっときついか緩いかぐらいの違い、まあ程度の差しかないかと思われるかもしれませんが、真実を直視した処理と真実に目をつぶった処理とでは基本にある理念や哲学が大違いなのです。
 そこで、基本理念に関係した質問をいたします。
 そこで伺いたいのは、現在の我が国の金融機関の財務状況をどう見ておられるかということです。先月の末に、新聞が大手銀行の自己資本比率の速報値を報道しました。それによると、軒並み八%以上で、二けたのものも珍しくありません。これなら、別に資本注入など必要ありませんね。ところが、私どもも含めて、現在の状況は極めて悪いというのがまあ常識になっているのです。だから、だれも、一部の人を除けば、健全化のための資本注入は必要だと言っているのです。これは、つまり公表された数字は偽りだとだれもが思っているということではありませんか。偽りと言って悪ければ、真実の財務状況を示していないということです。いかがですか、総理。
 また、金融監督庁は随分検査に手間をかけていますが、結果をありのまま示すと、これらの数字が真実でないことが明らかになるから殊さらゆっくりしているのではありませんか。金融監督庁の責任者である総理大臣に伺います。
 大蔵大臣も日銀総裁も、軒並み八%以上などということには疑問を呈されていますよね。違いますか。大蔵大臣に伺います。
 しかし、私たちは、末弘厳太郎博士を引き合いに出すまでもなく、うその効用という言葉も知っています。真実を隠して危機を通り過ぎる方がいい場合もあるでしょう。私は、自民党案の提出者の皆さんが悪意で国民をだまし続けようとしているとは思いません。恐らく本当の病気を知らないままで健康になった方が連鎖倒産や貸し渋りの悪化などを避けることができ、経費も安くて済むとお考えなのでしょう。だから軒並み八%以上などという偽りの数字をそのままにして資本注入をしようとするのでしょう。違いますか。自民党提案者に伺います。
 しかし、本当にそれでうまくいくのでしょうか。私たちは、これではうまくいかないことを示す格好の事例を知っています。それは今年三月の資本注入です。あのときは、破綻のおそれのない銀行だ、これで貸し渋りはなくなるのだと言って一兆八千億円もつぎ込んだのでしたね。ところが、貸し渋りはなくならず、一千七百六十六億円つぎ込んだ日本長期信用銀行には、ついに破綻処理の道筋がつけられたのです。このお金はだれのお金ですか、返してもらえるのですか。あのとき銀行が書いた立派な健全化計画は何だったのですか。砂に書いたラブレターは、さざ波で消えてしまいます。金融危機管理審査委員会の先生方は責任を感じているのでしょうか。大蔵大臣に伺います。
 総理、あなたは長銀の合併相手とされていた住友信託銀行の社長を公邸に呼んで合併を説得されましたね。あなたの考えていたことがそのまま実現していたら、確かに当座は皆ハッピーだったかもしれません。しかし、長銀や関連ノンバンクの実態は、その後明らかになったとおりです。真実を隠して合併を強行し問題を先送りしていたら、私たちが指摘していたとおり、もっともっと公的資金の投入は際限なく膨れ上がったのではありませんか。お答えください。
 金融の世界にうその効用が通用しないことは、事実が証明しているのです。市場の目はごまかせないのですね。新しくつくる早期健全化のスキームは、前車のわだちを踏んではいけません。
 そこで、自民党案の提出者に伺います。廃止される安定化のスキームから何を学び、そのわだちを踏まないようにどのような工夫をされたのですか、説明してください。
 わだちの一つは、大蔵省任せにしたことです。すべて大蔵省にお任せで、大蔵省が音頭をとってどの銀行にも一律に資本注入するといった愚を繰り返してはいけません。そこで、私たちは、大蔵省から完全分離された独立の金融再生委員会をつくり、その判断で必要な銀行に適切な資本注入を行うことを提案しているのです。自民党案は、再生委員会が監督庁に随分権限をゆだねることになっているのに対し、民主党案にはその種の規定がありませんが、監督庁は委員会の下にあるので、ゆだねても委員会の力がそがれることはないと考えると、これは甘いですか。事務局の構成とか、何か理由があるのでしょう。せっかくついた財政と金融の分離の道筋が、変なところでおかしくなってはいけません。民主党案の提出者に伺います。
 また、もう一つの前車のわだちは、言うまでもなく銀行の財務内容の把握の仕方です。銀行の言うことをうのみにするのか、真実の姿を把握するのかということです。資産査定のあり方で両案には根本的な差がありますね。まず、債権の分類と引き当てですが、自民党案では法律事項になっていません。やはりどうしても裁量行政が懐かしいのですか。行政の裁量がなければ適切な運営はできないとお考えですか。自民党案の提出者に伺います。
 民主党案は、分類と引き当て率をはっきり法律に書いていますね。もう一つの資産査定が有価証券ですが、原価法、低価法といろいろあります。資産の現実の姿を知るためには、低価法がいいことははっきりしています。評価のときだけ突然価が下がったらどうするなどというのはためにする議論でしょう。しかし、自分のところはどうしても原価法でいきたいという銀行はどうしますか。無理やり低価法を押しつけると貸し渋りを助長するとの指摘もあります。
 銀行も私企業であることは確かですが、同時に公共の財産である金融システムを構成し、公共的使命を担っているのですから、公的資金で健全化を図ろうとする以上、資本注入を行う場合の判断基準として低価法をとるのは当然と思います。それに、どうせ市場は株の含み損などはお見通しなのです。民主党案の提出者に伺います。
 真実を知ることは怖いかもしれません。勇気が必要なのかもしれません。しかし、もう私たちはうそで固めた見せかけの安定や繁栄の夢をむさぼっているときではないのではありませんか。裸の王様はもうやめましょう。金融機関の真実の姿を白日のもとにさらし、国民の理解と納得を得た上で、真に必要な場合に限り、そのかわり思い切った額の資金を投入しようではありませんか。そのことは逆に、不必要な資金や損失になって消えてしまう資金の投入を防ぐことにもなるのです。
 こうして、その場しのぎ、隠ぺい、先送りの金融行政を根っこから終わりにし、新しい金融行政で真に国際社会にも信用される金融システムにつくりかえることができるのだと確信します。ピンチの今がチャンスなのです。この好機を逸してはなりません。そのためには、自民党案ではだめで、民主党案をこそ成立させなければなりません。民主党案の提出者に覚悟を伺います。
 私は、特にこの際、総理に伺います。小渕内閣は、金融の再生と早期健全化のために四十三兆円に上る補正予算案を提出しました。つい先週までは十兆円の構想しか持っていなかったはずですね。それがなぜこんなに多額の予算を決断したのか。それは、私たち民主党が六十七兆円の提案をしたからです。しかし、私たちの提案は、真実を明らかにし、みんなが痛みや苦しみを乗り越えながら、新しい時代の扉を開いていこうという決意をすることを前提になされたものです。制度改革と予算はセットです。
 総理、あなたは当然そのことをよく御存じですよね、私たちの代表である菅直人さんと党首会談をされたのですから。それなのにあなたは、予算の提案だけをつまみ食いされた。私たちの鼻を明かしたつもりかもしれませんが、使い方を間違うと、せっかくの公的資金が壮大なむだ遣いになってしまいます。国民は皆、あなたの決断を待っているのです。この国の立て直しのため、おいしいとこどりでなく、制度改革についても厳しい選択をされてはいかがですか。そのことが、大きな壁にぶつかっている我が国に今求められているのです。総理のみがなし得ることです。できなければ交代してもらわなければなりません。
 最後に、大蔵大臣、政治家としてだけでなく、人生の大先輩でもあります。ぜひお聞かせください。本当にあなたは自民党案のようなびほう策で今の金融の状態がよくなるとお思いですか。そのような姿勢で新しい時代を迎えることができると思われますか。宮澤さん、日本国民にはまだよらしむべし、知らしむべからずがふさわしいのですか。真実を前にたじろがない勇気を期待するのは無謀ですか。二十一世紀に続く後進のために、総理経験者のあなたの真実の声を聞かせていただくようお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員保岡興治君登壇、拍手〕
#29
○衆議院議員(保岡興治君) 江田五月君にお答え申し上げます。
 早期健全化策の枠組み整備に関するお尋ねでございますが、現在、国民生活に影響を与えているのは破綻していない金融機関であって、これらの金融機関が不良債権の処理と体質強化を行うことによって、金融機能の正常化をすることが何よりも重要であります。
 今、国民の中に広がっている不安、企業の皆様方に押し寄せている貸し渋りやあるいは大変な資金回収、そしてまた、そこから生まれる将来の金融機関の不安から、新しい時代の立派な国際的に通用する金融サービスをどう手にしていくか、そういったことに今差し迫った喫緊の課題として対応するために本法律案を提出いたしました。そして迅速に思い切った対策を打ち出し、我が国の金融システムに対する内外の信認を回復することが喫緊の課題となっております。
 このような状況を踏まえて、本法律案においては、金融システムの早期健全化対策として新たな資本増強制度を設けており、リストラを条件とするなど体力強化や得意分野への重点化を促すとともに、合併等金融再編を積極的に推進、支援していく仕組みを構築するものとなっておるところでございます。
 うその効用という言葉を言われまして、真実を隠して本当の病気を知らないまま健康になった方が、経費も安くて済むと考えているのかという大変なお尋ねでございますが、自民党としては、従来より金融機関の透明性確保には全力を挙げているところであり、今度の法律案にもその点は十分に配慮した内容になって、いやしくも事実を隠し、国民をだますというようなことはあり得ません。
 早期健全化スキームの改善点についてのお尋ねでありますが、本スキームにおいては、優先株等に加え普通株の引き受けを可能とし、国が積極的に経営関与を行いその健全化を図る、資本増強に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任についてより厳格な条件をつけること、合併等金融再編を十分に視野に入れた仕組みとすること、資本増強の決定は、与野党合意のもとに設立させる新しくできる金融再生委員会がこれを行うことなど、従来の十三兆スキームとは抜本的に異なる内容となっております。さらに、共同修正案において情報開示及びそれを担保する制度等の充実が図られたところでございます。
 債権の分類と引き当てについてのお尋ねでございますが、この法律案に基づく早期健全化のための施策を講ずる前提として、金融機関は金融再生委員会が定めたところにより適切に資産の査定を行うこと、その結果に基づいて適切に引き当て等を行うこと、その保有する有価証券その他の資産を適切に評価することを法律案において明示したところでございます。裁量行政という御批判は当たらないものと考えます。
 以上でございます。(拍手)
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#30
○峰崎直樹君 江田議員にお答えいたします。
 自民党の金融機能早期健全化法案は、破綻に瀕した金融機関を救おうとするものではないかとの御質問でありました。
 先ごろ成立した金融再生法案も、早期健全化法も、金融機関の本当の経営実態や体力を把握することに生命があります。民主党案は、厳格な資産査定と不良債権の引き当て、低価法による有価証券評価によって存続可能な銀行とそうでない銀行を峻別し、前者には早期健全化法案で、後者には金融再生法で対処するものであり、二つの法案がまさに金融危機管理の両輪となっています。
 これに対して、自民党案は、いいかげんな資産査定と水膨れの有価証券評価によって、ある金融機関が存続可能かどうかの判断が恣意的に実際の存続可能性を無視して行われます。早期健全化法案のスキームによって、本来なら再生法によって措置されるべき存続不可能な銀行の一時的延命が行われ、近い将来国民経済により大きな悪影響を及ぼし、納税者の負担を招くことを大変危惧するものでございます。
 次に、金融再生委員会の権限についてのお尋ねがありました。
 昨日、金融再生関連法が成立しました。年内には金融再生委員会が発足し、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案、金融機関の破綻処理などの任務に当たることとなります。
 我々は今、金融機関に公的資金を投入するという議論をしているわけですが、四十三兆円という巨額の税金を使うのであれば、当然のことながら国民に対し、納得のいく説明をすることが大前提であります。そのためには、まず第一に金融機関の真の経営実態を明らかにしなければなりません。本来、金融監督庁はそのためにあるべきですが、金融監督庁は国民や市場の信頼を完全に失ってしまいました。そこで、金融機関の真の経営実態を明らかにするという最も重要な任務は、金融再生委員会にゆだねることにしたわけです。
 しかしながら、自由民主党外提出の法案では巧妙な言い回しにより、資産査定や引き当て率、有価証券の評価方法の基準づくりを金融監督庁に委任するとしています。委任できるではなく、委任するです。つまり、自民党案では、昨日成立したばかりの金融再生委員会は形骸化し、これまでどおり金融監督庁が資産査定や引き当て率、有価証券の評価方法を決めるわけです。結局、何も変わらない。これが自民党案の心髄であり、換骨奪胎とはまさにこのことであります。
 このようなことでは、財政と金融の分離の道筋をおかしくするのではないかとのお尋ねがありました。
 衆議院における金融再生法の修正協議では、大蔵省が手をかえ品をかえ、財政と金融の分離を骨抜きにしようとしたと言われております。しかし、財政と金融の分離は政治が決断したことであります。与野党を問わず、我々政治家はその方針を貫かなければなりません。自民党案には、さきに述べたように、金融再生委員会を形骸化するという問題点があります。共同修正に携わった与野党三会派は、そのことを自覚する必要があると考えます。
 有価証券の評価方法についてお尋ねがありました。
 民主党案では、公的資金による資本増強を申請する金融機関については、有価証券の評価方法は低価法にすることと定めております。公的資金を投入するのであれば、金融機関はありのままの姿を国民に見せる義務があります。したがって、有価証券の評価方法は、化粧を施した原価法ではなく、実態に近い低価法を採用するのが当然です。幾ら化粧を施しても、市場には全く通用しません。何よりもありのままの姿を見せる方が問題を一気に解決することになるのです。
 なお、公的資金による資本増強を申請しない金融機関については、有価証券の評価方法は現行どおり原価法か低価法の選択制です。ただし、市場はそれを見透かしていますから、金融機関の経営者はそれを念頭に置いた上で賢明な選択をすべきと考えます。
 次に、金融機関の真実の姿を明らかにし、国民の理解と納得を得た上で必要な資金を思い切って投入すべきではないかとの質問を受けました。
 御指摘のとおり、金融機関の情報開示を進めることと思い切った公的資金の投入は必ずセットで考える必要があります。ここで情報開示というときに、重要なのは開示される情報の中身です。議員も指摘されているとおり、ディスクローズされるのが金融機関経営のうその数字であっては何の意味もありません。情報開示されるべきは、不良債権に対して銀行経営の健全性を確保するために必要な真の引き当てを行い、市場実勢に合わせた有価証券の評価を行った後の正味の実力です。
 金融機関の真の姿を浮き彫りにするという作業は、間接償却という形で不良債権の一括処理を行うことを同時に意味します。この不良債権の早期一括処理ということが我が国金融システムの安定化にとって大変重要です。不良債権を早期一括処理させた上で、自己資本が毀損し、過少となった部分を大胆な公的資金投入で埋め合わせてやる。これを同時に、場合によっては資本注入の申請を金融機関に義務づけてでもやろうというのが民主党案です。不良債権の処理を完了させてから増資を引き受けるため、公的資金で取得する株式にもロスが発生する可能性は非常に小さいと考えます。
 これに対して、衆議院送付の法案は、引き当て基準を金融監督庁の裁量にゆだね、事実上、行政と銀行業界の談合にゆだねる結果、表に出るのはうその数字ばかりで、実態としては不良債権の完全処理をいつまでも先送りすることになります。そのような状態で公的資金を入れるため、引き受けた株式に損失が発生する可能性も極めて高いと言えます。まさに、廃止が決まった金融機能安定化特別措置法の愚を繰り返す金融機能永久不健全化法案と断ぜざるを得ません。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(小渕恵三君) 江田五月議員にお答え申し上げます。
 まず、早期健全化策の枠組み整備についてのお尋ねでございますが、現在、破綻しておられない金融機関が不良債権処理を速やかに処理するとともに、体質強化を行うことによって、金融機能を正常化することが何よりも必要であります。このため、機を失せずに思い切った対策を打ち出し、我が国の金融システムに対する内外の信認を回復することが現下の喫緊の課題であると考えております。
 次に、主要行の自己資本比率についてお尋ねでありますが、各行は、現在、九月期中間決算の確定作業を行っておるところでありまして、九月末の自己資本比率を現時点で公表している銀行はないと承知をいたしております。
 なお、自己査定結果を踏まえ、外部監査によるチェックを経て公表された主要行の本年三月期決算における自己資本比率は、いずれも八%が確保されていると承知いたしておりますが、いずれにせよ、自己査定の正確性、償却、引き当ての適切性につきましては、現在、金融監督庁の検査でチェックいたしておるところでございます。
 検査結果の公表についてでございますが、金融監督庁におきましては、限られた要員のもと、現在、主要十九行に対する集中検査を可能な限り迅速に実施いたしております。
 なお、個別金融機関の検査結果につきましては、取引先等に不測の損害を与える等の問題があり、当局から公表することは適当でないと考えますが、主要十九行に対する検査結果のうち、集計可能な計数につきましては、どの程度まで公表が可能か、検討してまいりたいと考えております。
 次に、長銀と住友信託銀行の合併を強行した場合、結果的に公的資金の投入額が膨らんだのではないかとのお尋ねでありましたが、長銀問題につきましては、与野党合意を踏まえ、修正された金融再生法が先般成立いたしましたことから、政府といたしましては、この金融再生法のもとで適切に対処してまいる所存であります。
 補正予算についてのお尋ねでありますが、四十三兆円の政府保証限度額につきましては、万全の対応を可能にするために必要な額と認識をいたしております。
 金融機関の情報開示につきましては、今回の法案におきましても、情報等の適切かつ十分な開示が金融再生委員会が施策を講ずる上での原則の一つとされ、また、金融機関において資産の適切な査定を行うことが規定されていると承知をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、破綻処理策と早期健全化策との関係についてお尋ねがございました。
 このごろ、存続可能な金融機関という言葉をよくお聞きになると思いますけれども、いわゆる護送船団時代には存続可能な金融機関という観念はなかったわけで、全部が存続可能であったわけであります。そういう行政が破れまして、初めて存続可能であるか可能でないかということが問題意識に上ってまいりまして、今や存続可能でない、可能性の極めて薄いものは退場をしてもらわなければならないということは、ほぼ一般的な観念になってまいったと思います。
 そこから破綻処理策が必要になったわけでございまして、御承知のように、これは破綻または事実上破綻に近いものの処理でございますが、同時に、この処理策の中で預金者はもとより保護せられますけれども、優良な顧客等は何かの意味でやはり大事にしなければならない、できればレシーバーをつくるというようなことが議論され、法制化されたわけでございます。
 それに対しまして、今度は存続可能な金融機関については、先ほどもお話がございましたが、今我が国の金融機関は決して強い状態にはございませんから、資本を強化する、そして貸し渋りなどが局限化、最小化されますように、また金融システムを回復するために早期健全化の政策が同時に必要になった。この二つの法律あるいは策は、したがいまして護送船団方式が終えんしたことに伴ういわば車の両輪と言われる政策であるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、銀行、殊に主要十九行の自己資本比率はどうも世の中で言われておるほど、そんなに高くはないのではないか、疑っていないかという意味でのお尋ねで、先ほど総理が言われましたように、先般某新聞が発表いたしましたのは九月期までを考えておりますので、九月期の決算はどこも出しておりませんから、これは推測であろうと思います。
 また、主要行が三月期の決算の自己資本比率を外部のオーディティングも入れまして八%になっておるということを言っておられるわけですけれども、私自身も江田議員の言われますように決して偽りだとは思っておりませんけれども、本来各行の分類とか引き当てとかの基準というものが、おのおの各行が自分の方式でやっておるわけでございまして、決まった方式に従ってやっておりませんから、どうしてもそれは恣意的になりやすい、そういうことが基本的にございます。
 したがいまして、金融監督庁の検査がここで行われまして、初めていわゆるマニュアルのようなものができて、それに従って各行が一つの基準できちんと計算をしてみませんと、真実のところどのぐらいあるかということはよくわからないというのが本当のところだろうと思います。
 したがいまして、江田議員の言われましたような感想を私も実は持っておりまして、いずれにしても、そういうきちんとした客観的な統一基準ができて初めてどのぐらいの自己資本比率を持っているか、また、そこから銀行間の優劣が初めて客観的にわかって、そして自由競争が行われることになる。ただいまはそこに至ろうとしてまだ至っていない段階ではないかというふうに考えております。
 それから次に、長銀の問題についてお尋ねがございました。私は、今年三月の資本注入について、各危機管理委員の方々は与えられた時間の中では熱心に真実におやりになったとは思っておりますが、大変に短い時間でございました。しかもその後に、長銀についてはいろいろな事情の変化があり、風説があって今日のような状況になってまいりました。それで、今日の状況から考えますと、これはまだこれからのことでございますけれども、恐らくは先般成立しました金融再生法のもとで委員会が処理をせられることになると思います。
 その際に、三月に一千七百六十六億円の公的資金をつぎ込んだわけだが、これはどうなるかというお尋ねでございました。これはまだこれから起こるはずのことでございますけれども、長銀が特別管理下に仮に入りました場合に、優先株につきましては、管理の開始決定が公告されましたときに、優先株は預金保険機構がそれを取得することになるように法律に書いてございます。
 問題はその取得の対価でございますけれども、これは法律的には後日、株価算定委員会によって決定されます。株価算定委員会が決定いたします場合に、公告時における資産価格が果たして何ほどであるかということ、当然のことながらそれによって決まるわけでございまして、純資産がある場合あるいはひょっとして純資産がない場合、いろんな場合が考え方としては想定されますから、及びいろいろな種類の株がございますから、それによりましてその配分をどうするかというようなことが当然問題になってまいると思います。したがいまして、純資産が残りました場合の価格決定は株価算定委員会によって決定され、それがプラスでございますと保険機構に支払われることになると思います。
 それからもう一つ、劣後ローンが御承知のようにございますけれども、これは特別公的管理下に入りました告示の日に特別公的管理銀行の債務として引き継がれることになります。その債務がどのように処理されるかは、後日特別公的管理銀行が決定をすることになると思います。その点は以上でございます。
 それから最後に、終わりに近いところで私についての何を考えているかをお尋ねがございました。
 率直に申しまして、私はこのたびの二つの法案、一つは成立いたしましたが、一つはただいま御審議中でございますが、につきまして、大変長い期間にわたって両院の御審議に参加をさせていただいたわけでございますけれども、私が率直に感じましたことは、いわゆる護送船団方式はなくなったと申しながら、その間に長いこと生まれました慣習あるいはなれと申しますか、そういうものはなかなか急にはなくなっていない、そのことについての御指摘が大変に何度も厳しくなされたということについて、私は大変に実は感銘を受けております。
 例えて申しますと、責任者の刑事責任はもとよりでございますけれども、経営者としての責任の追及というようなことは護送船団方式のもとではなかったことでございますから、初めてそういうことがしばしば御指摘の対象になった。あるいは、ディスクロージャーということについても随分お話がございました。護送船団方式のもとでは競争がございませんから、ディスクロージャーも入り用がないわけでございまして、本当の競争になりましたら健康なものは健康だとディスクローズする方が得でございます。黙っておるものは何か怪しいということになりますからディスクローズすることが得になる、そういうことになってくるに違いないと私は思っていますが、そういう意味でのディスクロージャーの必要性。あるいは、いろいろなものの評価基準というものが極めてあいまいであって、法定されておりませんから、行政とのなれ合いで決められることが多いというような点についてしばしば御指摘がありまして、また、成立いたしました法律案は既に修正を受けましたし、ただいま御審議中の法案も衆議院で修正があったわけで、これはこれらの点からの修正が多うございまして、それは私どもがともすれば、従来の惰性で気がつきませんでしたそれらの問題についての適切な御指摘であったというふうに考えております。
 そこで、一つだけ私が感じておりますことは、それはそのとおりであってやがて行き着かなければならない姿ではございますけれども、何分にも長い間こういう慣行のもとに銀行は生きてまいり、また、行政が行われていた。それは厳しく改めなければならないことではあるけれども、実際今我が国の経済がこういう姿にありますときに、極限的に悪い姿にありますときに、決してゆっくりとは申しませんけれども、激変が起こるということは、行政の担当者としてはこれはまたこれで心配なことでございます。
 決して厳しくあってはならないと申し上げているのではありませんけれども、銀行、金融界から自由な活気がにわかに萎縮をするというようなことがあってはならないということを私ども考えておりまして、この点は行政をいたしますものと御批判をされるお立場との違いであるかもしれませんが、基本的にこのたびの修正ということは私はさもあるべきことである、ただ、その限度とそれに入りますいろいろな経緯については、一つの行政的な範囲についても御理解を得たい、そういう感じがいたしておりますことを申し添えます。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(斎藤十朗君) 海野義孝君。
   〔海野義孝君登壇、拍手〕
#34
○海野義孝君 私は、公明を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして質問いたします。
 バブル崩壊以後、日本経済が不況に突入してから久しいわけでありますが、不況は深刻の度を増し、大手金融機関の倒産続出や今年夏以降の新たな経営破綻危機の発生など、経済金融有事は日本発の世界恐慌を引き起こしかねない状況にまで至っております。
 この原因は、二年前の住専会社の経営破綻の処理で不良債権処理の全体像を糊塗し、抜本的な不良債権対策を先送りしてきた橋本前内閣の失政によることは論をまちません。しかも、不良債権問題に最終決着をつけないまま金融ビッグバンを開始した政策手順の誤りにより、金融システムは危機的状態となり、抜本的な金融再生に追い込まれたのであります。
 本年二月に政府は金融安定化二法を成立させ、三月決算を乗り越えようとしましたが、しょせん一時しのぎのびほう策にすぎず、今国会での金融再生関連法案の審議に至ったのであります。ビッグバンがスタートし、もはや後戻りできない今日、我が国の金融機関の将来像がどのようにあるべきかを明確にした上で、金融機関の体質強化を行うことが、当面する金融危機を回避し、将来への展望を開くことになると考えます。
 総理は、今回の金融再生法及び金融早期健全化法案によって我が国の金融業界の国際的信用は回復できるとお考えですか。また、二〇〇一年四月からのペイオフによる本格的な金融競争時代への体制は整うとお考えですか。明確な答弁を求めます。
 金融システムの再生には、不良債権処理を進めると同時に、それに伴って生じる過少資本を是正し、過度の信用収縮を防ぐ必要があります。本法案は、破綻前の金融機関に公的資金を使って資本注入するものであり、その枠組みは、一昨日成立した金融再生法による破綻処理策とあわせ、金融再生に欠かせない車の両輪であります。
 早期健全化法案の国会審議で重要なことは、破綻前資本注入の目的が金融システムの安定であり、個別金融機関救済ではないという視点を貫くことであることは言うまでもありません。金融安定化法に基づき三月に実施された資本注入の不透明さは、国民の記憶に強く焼きついているところであります。問題銀行への公的資金投入をカムフラージュするため、市場で資金調達が可能な優良銀行まで横並びさせたのであります。このような抜け道を確実に防ぐ仕組みと運用原則が本法案では確立されているかどうか、提案者にお聞きいたします。
 金融システム安定化のために、二月には金融安定化二法、そして本国会では金融機関の破綻前、破綻後の公的資金投入に関する法案が審議されております。
 金融危機を回避することを大義名分として安易な法の運用がなされてはなりません。重要な点は、金融機関に厳しい自助努力を求めることであります。公的資金頼みの過少資本解消ではなく、まず市場を通じた自己資本増強に銀行はあらゆる手だてを尽くすべきであります。投資家を納得させる将来戦略とリストラ案、そして透明な経営がなければ公的資金投入は一時しのぎの問題先送りになると考えます。総理並びに大蔵大臣は、国民の協力を得て未曾有の金融危機を乗り切るに当たり、金融機関に対してどのような厳しい対応をされるのか、具体的なお考えを伺いたい。
 先般の主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議の声明でも取り上げられましたが、現下の金融危機に対し、政府が必要な措置をとることは国際的な責務であります。
 そこで、現在直視しなくてはならないこと、また、何が今求められているかということであります。病根である不良債権の実態を見据え、金融機関にその一掃を迫る仕組みを構築することこそが根本の課題であります。しかし、残念ながら本法案からはそうした決意が十分には伝わってきておりません。
 特徴的なのは、国際業務に携わる基準である自己資本比率が八%に達していても、経済の円滑な運営に極めて重要な支障が生じるおそれなどの条件に該当すれば支援を受けることができるとしている点であります。しかも、肝心の自己資本比率の算出に当たり、保有有価証券の評価方法でも、含み損が表に出にくい原価法を選ぶことができることになっております。公的資金を投入する以上、金融機関の経営姿勢を厳しくただし、適用基準については一貫性のあるものとすべきだと考えます。提出者の見解を伺いたいと思います。
 我が国の金融機関は、東京証券取引所の上場株式の約四〇%を保有し、株価変動で経営が大きく揺らぐ体質を抱えております。不良債権処理の重圧にこの株式含み損が加わりますと、金融機関の資本不足は一層深刻になります。その結果、金融機関は自己資本比率を上げるために資金回収を強化、貸し渋りを助長する悪循環に陥ることになります。資本注入は、この信用収縮と株価下落の悪循環を食いとめるため重要ですが、早期健全化スキームは審査など手続に時間がかかり、機動的な対応に問題があります。
 株価変動から銀行システムを切り離すため、銀行本体の株式保有を禁止し、銀行持ち株会社や傘下の証券会社へ移管できる立法措置をとるべきだと考えますが、大蔵大臣のお考えはいかがでしょうか。
 一昨日に成立した金融再生法及び本法案の審議を非常に困難にしていることは、金融監督庁の大手十九行の検査結果に著しく長時間を要していることであります。銀行の情報開示が不透明であることは既定の事実でありますが、とりわけ不良債権の実態を明らかにせず、国際的にも厳しい評価を受けていることはまことに残念であります。この点からも、金融監督庁の迅速な検査とその公表により、金融再生二法案の充実した審議と国民の正しい理解を得るためにも、金融監督庁のあり方について再考の余地があると考えます。
 金融再生法が成立するのを待つかのように日本長期信用銀行が特別公的管理を申請し、実質債務超過かどうかあいまいな形で公的資金が投入されることになることは釈然としないものがあります。総理、金融検査・監督のあり方と我が国金融機関の実態を正しくあらわさない情報開示について、どのように反省をし、かつ今後どのような基本姿勢で改革に取り組まれようとされているか、答弁を求めます。
 本法案の重要なほとんどの基準は、金融再生委員会の判断にゆだねられており、再び裁量行政に陥る可能性があります。そこで、金融機関は金融再生法に定めるところにより資産査定、引き当て等を行い、報告書を金融再生委員会に提出し、公表しなければならないが、有価証券、土地等の評価基準と不良債権の分類と引き当て基準については法律において規定するように考えますが、提案者の見解をお聞きいたします。
 過少資本行に対しては、経営健全化計画を提出させ、これを公表する。計画の履行が不十分な場合は業務改善命令を発することができるものとし、優先株式等に対する償還、返済をするための財源を積み立てるようにしたらどうでしょうか。
 次に、経営健全化計画に定めるリストラ策について提案者に伺います。
 健全な自己資本行、過少資本行及び著しい過少資本行等が公的資金の導入を求めるときには、それぞれに応じた金融機関としての責任を明確にしなければならないと考えますが、提案者の答弁を求めます。
 自民党が提案された本早期健全化法案は、各会派の修正要望を取り入れ、法案の中に金融機関の経営改善目標が盛り込まれ、相当改善されたものとはなっております。金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定で合計四十三兆円の公的資金を新たに投入し、金融システムの危機を払拭し、経済再生や国際的信頼を一気に回復しようとすることは評価できます。
 しかしながら、金融再生関連法といい本法案といい、いずれも議員提案であり、小渕総理、宮澤大蔵大臣の金融危機に対する存在感が薄いことはまことに残念であります。こうした危機的状況下にあっては、総理を初め政府のリーダーシップが問われるときであります。
 一部報道によれば、早期健全化法案の改正を待たず、行政命令で強制資本注入を年内にも数十兆円実施すると言われております。厳格な資本注入の運用基準は金融再生委員会の手にゆだねられるところでありますが、金融監督庁の検査結果の公表も待たず、横並びの公的資金導入は銀行のモラルハザードを強め、三月の二の舞となり、金融機関の延命策となる危険があり、裁量行政の復活が懸念されます。この点につき、総理の責任ある答弁を求めます。
 今臨時国会では長銀問題に時間をかけ過ぎ、金融システムの再構築のための法案審議がおくれたことはまことに遺憾であります。
 戦前戦後を通し未曾有の経済不況にあって、金融再生は必要条件ではあるが十分条件ではありません。早急に不況打開のための景気対策国会を開き、国民の不安を吹き飛ばすような大胆な施策と迅速な実行を要望し、総理並びに大蔵大臣の決意を承って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員大野功統君登壇、拍手〕
#35
○衆議院議員(大野功統君) 海野議員から、まず、問題銀行への公的資金の投入を防ぐ仕組み及びその運用基準についてお尋ねがございました。
 今回の健全化法案におきましては、金融機関の自己資本比率の区分ごとに、資本増強に必要とされる要件を明確かつ具体的に規定いたしております。また、資本増強を受ける金融機関の経営健全化計画の公表を義務づける、このようなことなど、情報開示に努めることによりまして、公的資金投入に当たっての透明性を高めることに十分配慮している、このように確信いたしております。
 次に、資本注入の適用基準についてのお尋ねであります。
 今回の健全化法案におきましては、健全行、特に著しい資本過少行に対して資本増強ができる場合を限定するなど、金融機関の自己資本比率の区分に応じて資本増強を行うに当たっての要件を明確かつ具体的に規定しておるところであります。
 また、資本注入の申請を行う金融機関に対しましては、経営健全化計画の提出を求め、リストラ、経営責任の明確化のための方策を講じるように求めることといたしております。
 次に、有価証券等の評価基準等についてのお尋ねでございますけれども、この健全化法におきましては、この健全化法に基づく早期健全化のための措置を講ずる前提として、金融機関は金融再生委員会が定めるところにより適切に資産の査定を行うこと、その結果に基づき適切に引き当てを行うこと、その保有する有価証券その他の資産を適切に評価すること、これを法律案において明示いたしておるところであります。
 残余の御質問につきましては、他の発議者からお答えすることといたします。(拍手)
   〔衆議院議員村田吉隆君登壇、拍手〕
#36
○衆議院議員(村田吉隆君) お答えをいたします。
 まず、注入された資本の償還、返済のための財源を積み立てさせる等すべきではないかという御質問でございました。
 資本増強策を講ずるに当たりまして、金融機関から提出された経営健全化計画及びその履行状況についての報告を金融再生委員会が公表することとなっており、計画の履行が不十分な場合は、業務改善命令も含めて適切な対応を講じることにより、注入された資本の償還、返済が適切になされるよう努めるべきものと考えております。
 なお、修正案においては、経営健全化計画に定める方策に、株式の消却、払い戻し、償還または返済に対応することができる財源を確保するための方策が加えられております。
 次に、金融機関の責任についての御質問ですが、法案では、資本増強に際しての自己資本比率の各区分に応じた要件を、経営の合理化、経営責任並びに株主責任の明確化等に関して具体的に書き分けておりまして、これにより金融機関の責任が明確になるものと考えております。
 お答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(小渕恵三君) 海野義孝議員にお答え申し上げます。
 まず、金融関連法と金融の将来像との関連につきましてお尋ねがございました。
 我が国の金融機関は、金融システムの改革のもと、合併等によりまして金融再編を進めてきておりまして、今後は市場原理と自己責任原則のもとで、創意工夫を発揮して競争力を高めることが期待されます。私といたしましては、金融の信頼を早急に回復し、金融システム改革の足固めをするためにも、金融再生法と車の両輪の役割を果たす早期健全化法案の一日も早い成立が重要と考えております。
 金融機関の自助努力に関するお尋ねでありましたが、経営戦略の策定や経営合理化策の実施等は金融機関の経営者みずからが決定すべき事項であり、政府としても金融機関経営に市場規律と自己責任原則を徹底してきているところであります。
 金融再生法と早期健全化法案におきましても、経営責任及び株主責任の明確化のほか、情報開示の充実につきまして規定しているところでありまして、金融機関に一層の自助努力と、その状況の積極的開示をさらに促してまいりたいと考えております。
 金融検査・監督のあり方と情報開示についてお尋ねがありました。
 金融監督庁におきましては、限られた要員のもと、現在、主要十九行に対する集中検査を可能な限り迅速に実施いたしております。今後とも、厳正で効率的な行政手法の確立に努めるとともに、検査・監督体制の計画的整備を図ってまいりたいと考えております。
 また、金融機関の情報開示の充実は、金融機関経営の透明性を高める上で極めて重要であり、引き続きその拡充を促進してまいりたいと存じます。
 次に、行政命令で強制資本注入を実施することは裁量行政の復活ではないかというお尋ねでありました。
 特別公的管理やブリッジバンクなど、完全に公的な管理のもとにある銀行は別といたしまして、私企業の経営戦略の根幹をなす資本政策に国が強制的かつ直接的に介入することは、株主資本利益率の低下等の問題を勘案し、慎重に判断されるべき問題であると考えております。
 最後に、早急に景気対策国会を開いて、国民の不安を吹き飛ばすよう、大胆な施策を迅速に実施すべきとの御指摘がございました。
 私は、常々明らかにいたしておりますように、経済再生に向け、各般の施策を政治主導のもと、責任の所在を明らかにしながら、スピーディーに実行することにより、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう、内閣の命運をかけて全力を尽くす覚悟であることはまず申し上げておるところでございます。
 このため、金融システムの安定にまず万全を期するとともに、景気回復の基盤を固めるため、第一次補正予算の迅速的確な執行、追加補正予算の編成、恒久的な減税の実施等に加え、現在、効果的な具体策を検討しておるところでございまして、今朝、経済戦略会議からもいろいろ御提言をちょうだいいたしておりますので、それを十分吟味し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、景気対策国会の御提案を承りましたが、まずはこうした取り組みに万全を尽くすことといたしてまいりたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融機関の自助努力が足りないということにつきまして、何分にも長い間の護送船団方式の中で、ぬくもりの中におりましたために、厳しい気風が金融機関の中にも、また、行政の中にも足りませんと猛省を促さなければならないとおっしゃることは、御指摘のとおりと思います。そして金融機関の経営者の立場としましても、今度は激しい競争になるわけでございますから、できるだけ顧客のニーズに適したサービスあるいは商品、これは黙っていてもそうなると思いますけれども、そういう努力をしてくれなければなりませんし、また、ただ担保をとって金を貸すというようなことではなくて、将来これは育つという企業を育てるというのが、やはり私は金融人としての大事な心構えではないかというふうに思っております。
 それから、銀行の株式保有のことでございますが、一般事業会社の株式は当該発行済みの五%でございますか、そういうことはございますけれども、どうもやはり日本の銀行は株を持ち過ぎている、それは率直に言って私はそう思います。もうアメリカなんかと比べるとそれはまことに違いますので、やはり先々は、銀行は原則として株式は持たないという方向の方が私はいいんだと思っておりますけれども、ただこれを急に申しますと直ちに市場に影響を与えますので、これは常に忘れてはならない課題というふうに申し上げたいと思います。
 それから、景気対策につきましては、ただいま総理もお答えになりまして、切れ目のない予算案をつくりまして、その中から補正を抜き出そうと考えておりますし、税制改正も大体の大まかな枠は決まっておりますけれども、問題は、有効な手段というのがなかなかあるようでうまく見つかっておりませんで、実はこのたびの予算の概算要求では、四兆円だけ公共、非公共の別枠をつくっておりまして、この概算要求は実は十月の末というふうにしてございまして、各省庁から即効的ないい考えを出してもらいたいとお願いをしております。
 けさも、今、総理の言われましたように、経済戦略会議からの御提案もございましたが、どうぞこの有効な手段につきまして、いろいろ御教示を仰ぎたいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#39
○議長(斎藤十朗君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕
#40
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、衆議院提出の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について質問します。
 バブルの時代の乱脈経営のツケをなぜ国民の税金で穴埋めしなければならないのか、国民の間に広がるこの怒りと疑問に政府は何一つ答えておりません。それどころか、当初の破綻銀行の処理策から税金投入の対象はとめどなく広がり、きょうから審議される早期健全化法で、銀行とさえ名前がつけばすべてに税金が投入できる、そのことが可能になるという、世界に類を見ない野方図な銀行救済の仕組みがつくられようとしています。
 破綻前の銀行には税金投入を認めなかった三野党案を政府・自民党は換骨奪胎し、破綻寸前の銀行にも税金投入を可能にしました。この日を境に雪崩を打って税金投入の対象は拡大の一途をたどり始めました。金融再生法案の三党修正案に突然盛り込まれた一般銀行からの税金による不良債権の買い取り、そしてついにその総仕上げとして出されてきたのがこの早期健全化法案であります。
 この法案は、バブル処理という性格すら大きく逸脱し、世界的なマネーゲームに日本の銀行を参加させるための体力増強策、銀行応援法と言うべきものであります。
 以下、その内容について質問いたします。
 本法案によって必要となる公的資金の規模は、早期健全化勘定として二十五兆円、これに金融再生勘定の十八兆円、特例業務勘定の十七兆円を合わせると、実に六十兆円という空前の規模となります。今年度一般会計予算の税収見通しが約五十八兆円であることを見れば、異常な規模であることは明瞭であります。これは、国民一人当たり五十万円、四人家族で二百万円、途方もない金額ではありませんか。この金額の根拠は何ですか。明確な答弁を求めるものであります。
 早期健全化法案による資本注入の特徴は、銀行と名がつけばどこにでも税金を投入できるということであります。自己資本比率八%以上のいわゆる健全行の優先株の引き受け条件は、破綻金融機関の受け皿銀行の場合と大規模な信用収縮の場合に加えて、その他特にやむを得ない事由がある場合とされています。一方、特に著しい過少資本行についても、優先株でも普通株でも、その引き受けの条件について、健全行と同じように、その他特にやむを得ない事由がある場合という項目が追加されました。これではありとあらゆることを理由にできるではないですか。どんなに健全経営であっても、あるいはどんなに破綻寸前の状態であっても、いずれも公的資金が入れられるということではありませんか。答弁を求めます。
 資本注入については、対象となる銀行に制限がないことに加えて、その回数も注入金額についても何の規制もないことは明白であります。これでは、資本注入の理由も対象も金額も、すべて無限定ではありませんか。まさにこの早期健全化法案は、銀行に対するルールなき税金投入を力ずくでルールにするものにほかなりません。そうではないと言うのなら、その根拠をお示しください。
 本法案では、破綻金融機関などと合併等を行った受け皿銀行だけでなく、健全な銀行が合併する場合も資本注入を可能としております。このような健全な銀行の合併の場合、金融システム不安に備えるなどという口実は全く通用しないではないですか。これは金融ビッグバンに備え、海外の銀行とマネーゲームで戦えるようにするためのものであり、あからさまな銀行支援ではありませんか。明確な答弁を求めます。こういうことに税金を投入することなど、決して国民の理解を得ることはできないと思いますが、どのように説明するつもりですか。
 保岡議員は、十二日の衆議院金融特で、将来元気になって金融機関が健全な銀行によみがえったときには、国はそこに投下した資本を投下したとき以上に回収できると述べておられます。しかし、ことし三月の二十一行に対する資本注入の結果、公的資金は既に九千億円も目減りしているありさまです。早期健全化法案による買い取り株についても、値上がりする保証は何一つないではありませんか。どうしたらいずれは回収できるということを証明できるのですか。証明できるのであれば、公的資金を使わずに市場で資金調達できるはずではないですか。また、値下がりしたときは一体どうするのですか。はっきり答えていただきたいと思います。
 都市銀行は、さらに貸し渋りを強めております。さきの金融安定化法でも、貸し渋りの解消をうたい文句にしていましたが、宮澤蔵相もお認めになったように、何ら効果がありませんでした。それでは、この早期健全化法案には貸し渋りをなくす具体策があるのでしょうか。何もありません。それは、自民党の山本幸三議員が、十二日の衆議院金融特で、安定化法と同じようなものでありますと答弁されていることからも明らかであります。また、堺屋経済企画庁長官も、早期健全化法ができても、ないそでは振れないが、資本注入でそでをつければ振るようになるかどうかは別問題と述べておられます。早期健全化法が貸し渋りの解消のために役立つ保証は何一つないものと思いますが、いかがですか。
 十月二日付のフィナンシャル・タイムズによれば、経営が破綻したアメリカのヘッジファンドLTCMに住友銀行が一億ドルの投資をしていたとのことです。このまま銀行に税金を投入しても投機目的に使われるだけではないでしょうか。国内では悪らつな貸し渋りを行い、回収した資金で国外ではカジノ経済に明け暮れる。日本の銀行の投機的体質はバブル時代の振る舞いではっきり証明されているではありませんか。銀行の健全化を言うのなら、税金投入でなく、こうした投機的体質を改めることこそが今求められているのではないですか。明確な答弁を求めるものであります。
 自民党の丹羽政調会長代理は、二十五兆円の早期健全化勘定を全額注入すれば、日本の主要十九行は自己資本比率が平均一五%となり、最も優良な香港上海銀行と肩を並べると述べたそうであります。国民は消費税にあえぎ、中小企業は貸し渋りに責めさいなまれ、銀行業界のみが富み栄える、このようなゆがんだ未来像は絶対に許せません。我が党は、銀行業界には一円の負担も求めず、国民には莫大な負担を押しつけるすべてのたくらみに反対するものであります。
 十月九日の日本経済新聞で、ハーバード大学のガルブレイス名誉教授は、バブルの処理を進めるに当たって各国政府の役割は極めて大きいとして、次のように述べています。「非難されるいわれのない国民の所得や雇用、福祉を改善・向上させることがより重要であり、それが政府の使命」である。「そのためにも、日本などで、」「罪もなく打撃を受けた人々を念頭に、社会的要請にこたえられる効果的な政策を実施することが急務である。」。バブルの後始末は、決して銀行の体力増強ではなく、国民救済にこそ置くべきだ、このガルブレイスの指摘は的を射たものだと思われませんか。
 政府は、銀行の乱脈の後始末を罪なき国民に押しつける政策を直ちに放棄するべきであります。そして、何よりも深刻な不況を打開し、この金融問題も解決するために切実に求められている実体経済の回復、そのために五%の消費税を三%に戻すべきである、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員保岡興治君登壇、拍手〕
#41
○衆議院議員(保岡興治君) すべての銀行を公的資金投入の対象とし得るのではないかというお尋ねでございますが、今回の法案においては、ごらんいただくとおわかりのとおり、金融機関の自己資本比率の区分ごとに資本増強を行うに当たっての要件を明確かつ具体的に定めておりまして、これらの要件をすべて満たす場合に限って資本増強を行うこととしています。
 また、金融機関の中でも八%以上の健全行、それに特に著しい過少資本行については、資本増強を受けることができる場合の要件をさらに限定的に定めています。議員御指摘のすべての銀行を公的資金投入の対象とし得るのではないかという御批判は当たりません。
 資本増強の対象及び限度についてお尋ねでございますが、重ねて申し上げますが、本法案の修正案については、資本増強に際しての自己資本比率の各区分に応じた要件を明確かつ具体的に書き分けることによって、その対象の限定についての考え方を示しております。また、必要な限度で適切に資本注入がなされるものと考えております。
 また、個別具体的な資本増強の金額等については、申請を踏まえて金融再生委員会において経営健全化計画の提出を求めるなど、よく検討した上、適切に判断されることとなるものと考えています。(拍手)
   〔衆議院議員山本幸三君登壇、拍手〕
#42
○衆議院議員(山本幸三君) 小池議員にお答え申し上げます。
 健全な銀行の合併に係る資本注入につきましてのお尋ねでありますが、早期健全化法案では、健全な金融機関の合併に係る株式等の引き受け申請の承認を、経営の悪化している金融機関との合併等であって、当該合併等の円滑な実施のため、株式の引き受け等が不可欠な場合に限定しております。本規定が個別銀行の支援を意図するものでないことは言うまでもありません。
 次に、買い取り株の回収に関するお尋ねでございますが、この法案は、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎ、信用秩序と経済に重大な影響が懸念されるという現下の状況にかんがみまして、金融機関の資本の増強により金融機能の早期健全化を図るものであります。
 なお、資本増強策を講ずるに当たりましては、金融機関が提出すべき経営健全化計画に株式の消却、払い戻し、償還または返済に対応することができる財源を確保するための方策を盛り込むこととしております。また、その履行状況の報告につきましては、金融再生委員会が公表することとなっており、計画の履行が不十分な場合は、業務改善命令も含めて適切な対応を講ずることとしております。
 最後に、貸し渋り対策についての御質問でございましたが、不良債権の処理が進み、銀行の健全化が回復すれば、必ず貸し渋りは解消するものと考えます。
 株式等の引き受け等の申請に当たりましては、提出が求められる経営健全化計画の中には、資金の貸し付けその他信用供与の円滑化のための方策を定めることとなっており、それが承認の要件にもなっております。その具体的基準は、金融再生委員会が定めて公表することになっておりますが、そこに中小企業に十分配慮した貸し付けの方針を盛り込むことを明らかにしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(小渕恵三君) 小池晃議員にお答えを申し上げます。
 提案者がお答えいたしておる点もございますが、私に対しましても、この早期健全化法案における貸し渋りの解消の方策等につきましてのお尋ねがございました。
 この点につきましては、ただいま御答弁もございましたが、株式等の引き受け等の申請に当たって提出が求められている経営健全化計画の中で、資金の貸し付けその他信用供与の円滑化のための方策を定め、その承認の要件とすることで、借り手に対する融資の姿勢を重視することといたしております。また、その具体的基準につきましては、中小企業に十分配慮したものとなると考えておりまして、その後も経営健全化計画の履行状況の報告及び公表等によって適切にフォローアップされるものと考えております。
 次に、日本の銀行の投機的体質についてお尋ねがありました。
 バブル経済の生成、崩壊に至る過程におきまして、金融機関がリスク管理体制が不十分なまま、活発な融資を行ってきた面もあったと認識しておりますが、政府といたしましては、金融機関に対する検査やモニタリングを通じて、金融機関のリスク管理の徹底と健全性確保を促進してまいりたいと考えております。
 また、今般の早期健全化措置法案は、資本増強に当たって経営の合理化等を促すものとなっており、これにより、我が国金融機能の早期健全化を図りたいと考えております。
 最後に、金融機関を救済するような税金投入をやめるべきでないかということでございますが、本法案は、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下喫緊の課題であることにかんがみ、金融機関等の不良債権の処理を速やかに進めるとともに、金融機関等の資本の増強に関する緊急措置の制度を設けること等により我が国の金融機能の早期健全化を図り、もって我が国金融システムの再構築と我が国経済の活性化を図るためのものと考えております。したがいまして、今般の資本増強制度は、個別金融機関を救済するといったものでないことはもちろんでございます。
 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)
#44
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 これにて休憩いたします。
   午後三時六分休憩
   〔休憩後開議に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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