くにさくロゴ
1998/10/16 第143回国会 参議院 参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第19号
姉妹サイト
 
1998/10/16 第143回国会 参議院

参議院会議録情報 第143回国会 本会議 第19号

#1
第143回国会 本会議 第19号
平成十年十月十六日(金曜日)
   午後二時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成十年十月十六日
   午後二時開議
 第一 北方領土問題の解決促進に関する請願(
  五件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、平成十年度一般会計補正予算(第2号)
 一、金融機能の早期健全化のための緊急措置に
  関する法律案(衆議院提出)
 一、日程第一の請願及び子供の性的搾取・虐待
  をなくすための法的措置に関する請願外四十
  一件の請願
 一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中
  も継続するの件
 一、防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案(本岡
  昭次君外五名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
 一、事務総長辞任の件
 一、事務総長の選挙

     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 平成十年度一般会計補正予算(第2号)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長倉田寛之君。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔倉田寛之君登壇、拍手〕
#5
○倉田寛之君 ただいま議題となりました平成十年度補正予算につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 今回の補正予算は、一般会計予算総則において、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案の規定により、預金保険機構の金融再生勘定の借入金等について十八兆円、金融機能早期健全化勘定の借入金等について二十五兆円の政府保証限度額を定めること等としているものであります。
 補正予算は、去る十月十三日、国会に提出され、衆議院からの送付を待って、昨十五日、宮澤大蔵大臣から趣旨説明を聴取した後、小渕内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行いました。
 質疑では、「今回、金融機関に対し、総額六十兆円もの公的資金による保証枠を設けたが、これで我が国の金融システムの安定化は本当に図れるのか、また、貸し渋りはなくなるのか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣より、「二カ月にわたり、衆参両院で、一連の金融関連法の成立に御努力をいただいてきた、政府としては、これらの法に基づき、国会の意思を受け、金融システムの安定化のために全力を尽くす覚悟である。また、貸し渋りについては、政府としても諸般の対策をとっているところであるが、金融機関が健全化していけば、当然解消していくものと信じている」旨の答弁がありました。
 質疑はこのほか、金融再生委員会の早期発足の必要性、公的資金枠六十兆円と財政規律との関係、追加景気対策の緊要性、防衛庁不祥事と長官の責任問題など、多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 本日、討論を行いましたところ、民主党・新緑風会を代表して内藤委員が反対、自由民主党、公明、自由党を代表して林委員が賛成、日本共産党を代表して笠井委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、平成十年度補正予算は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(斎藤十朗君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。平田健二君。
   〔平田健二君登壇、拍手〕
#7
○平田健二君 私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十年度補正予算案(第2号)に対し、反対の立場から討論を行います。
 現在、我が国の金融は過去に類を見ないほどの危機的状況に直面しております。金融行政について、これまで政府は従来の護送船団方式を固持し、金融機関もその庇護のもとで、抜本的な不良債権処理、情報の開示等を先送りしてまいりました。かかる行政と財界のもたれ合い構造を温存する間に、我が国は急速な勢いで変化する国際金融情勢から完全に取り残され、我が国の金融システムは諸外国から不安視されることになったのであります。この責任が場当たり的対応に終始してきた政府にあることは厳然たる事実であります。
 これらの金融不安に対応するために、今最も必要なことは、強力な政治的リーダーシップのもと、金融機能の安定と再生を図るための措置を講じることであります。
 我々は、現下の金融危機を乗り切らなければ、世界的な金融恐慌を引き起こすおそれも否定できないと判断し、金融機能再生緊急措置に関する修正案を提出するとともに、国民への説明責任を十分に果たした上で、存続可能な金融機関の資本が不足する場合は、思い切って公的資金を投入して早期に健全化策を講ずることを求めてまいりました。こうした施策を講じることによってこそ、国民の負担を最小限に抑えることができるのであります。
 しかるに、今回の金融機能早期健全化法案は、国民への情報開示が全く不十分である上、公的資金投入の基準についても不透明なところが多く、本補正予算がこの金融機能早期健全化法案を前提とする限り、国民の税金をむだにするおそれがあり、決して賛成することはできません。
 以下、本補正予算に反対する主な理由を申し上げます。
 反対の第一の理由は、金融機関の情報開示が極めて不十分であり、国民の納得が得られるものとなっていないことであります。
 経営の実態を公開する明確な裏づけがなく、あいまいな査定によって、存続困難な金融機関に対し、巨額の公的資金を投入しても金融不安を取り除くことは到底できません。そればかりか、本年三月に行われた一兆八千億の資本注入の失敗を繰り返すのみであり、到底これを容認することはできません。
 反対の第二の理由は、資本注入のための明確なルールを設けておらず、広範な行政の裁量権を残している点であります。
 政府は、またしても、あいまいな裁量行政に基づいて二十五兆円もの資本注入を行おうとしているのであります。従来の護送船団方式を断ち切り、明確なルールに基づいた金融行政を行うためには、巨額な資本注入のための基準を法律に明記しなければなりません。それによってこそ、長銀のような存続不可能な金融機関へ公的資金を投入するという愚行を繰り返すことなく、真に有効な税金の使い方を担保することができるのであります。
 反対の第三の理由は、国民に対する説明責任が果たされていないという点であります。
 なぜ二十五兆円の公的資金を投入しなければならないのか、国民に対して何ら説明がされていません。説明することなく国民の理解を得ることは不可能であり、国民の合意なしに血税を投入することは、財政民主主義に反する暴挙であります。
 最後に、国民の血税である公的資金を一円たりともむだにすることなく、金融システムの安定化を図るとともに、一刻も早く我が国経済の再生を図ることこそが、政府が命運をかけて取り組むべき課題であることを強く訴え、私の反対討論を終わります。(拍手)
#8
○議長(斎藤十朗君) 矢野哲朗君。
   〔矢野哲朗君登壇、拍手〕
#9
○矢野哲朗君 私は、自由民主党、公明及び自由党を代表して、平成十年度補正予算に対し賛成の討論を行うものであります。
 我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することは、緊急かつ最重要の課題であります。かかる状況のもと、十分な規模の金融機関への公的資金投入の枠組みを用意することにより、一刻も早く金融システム安定化のための確固たる枠組みをつくり、金融機能の安定と再生を図ることこそが、今何よりも求められているところであります。
 そこで、政府としましては、現下の金融機関の不良債権の状況や金融機関の健全化のための資本増強について、現在の国の財政状況等を勘案し、最大限の努力を行い、総額六十兆円の政府保証枠等の確保を行ったところであります。
 以下、平成十年度補正予算に賛成する主な理由を申し述べます。
 賛成の理由の第一は、本補正予算が預金保険機構の金融再生勘定の借入金等について、十分な政府保証限度額を定めている点であります。
 多くの企業が資金調達が困難となっている現状においては、一刻も早く破綻金融機関からの健全な借り手を保護する措置を講ずることが求められております。かかる要請にこたえ、金融再生勘定は、公的ブリッジバンクの設立、特別公的管理、整理回収機構の不良債権買い取り等の破綻金融機関の処理策を実施するためのものであります。金融再生勘定に十八兆円の政府保証をつけることにより、預金保険機構の金融再生業務を予算面から万全を期すものであり、大いに評価するものであります。
 賛成の理由の第二は、本補正予算が預金保険機構の金融機能早期健全化勘定の借入金等についても、十分な政府保証限度額を定めている点であります。
 金融機能早期健全化勘定は、金融機関の資本を増強することによって、金融システムが本来の機能を発揮できるよう、金融機関の普通株、優先株、劣後債の引き受けを実施するためのものであります。金融機関の自己資本を充実させ、貸し渋りの状況を改善することが緊要であります。本補正予算の成立により、金融機能早期健全化勘定に二十五兆円の政府保証をつけることで、預金保険機構の金融機関に対する資本増強業務を予算面で万全のものとすることができることは間違いありません。
 以上、本補正予算への賛成の理由を申し述べましたが、国民は我が国経済の早期回復と活性化を最も期待していることは明らかであり、そのためには早急に経済の根幹である金融システムを安定させなければなりません本補正予算と金融関連法案の成立により、金融システムリスクが回避され、貸し渋り等が解消され、日本経済の再活性化に資するものと確信をいたしております。
 政府におかれましては、予算成立後の速やかなる金融システム安定化に向けて、具体的施策の実施に努められんことを求め、私の賛成討論といたします。(拍手)
#10
○議長(斎藤十朗君) 八田ひろ子君。
   〔八田ひろ子君登壇、拍手〕
#11
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程されております補正予算案に反対の討論を行います。
 まず初めに、補正予算案を、本会議での財政演説と質疑もなしに、委員会審議のみで強行するなどというのは、三十数年にわたってなかったことであります。今年度の一般歳出に匹敵する四十三兆円もの本補正予算を、このようなわずか二時間にすぎない不十分な審議で成立させるなどは、国会の役割を掘り崩すものであることを厳しく指摘するとともに、こういう途方もない税金投入やルールに反する強引なやり方に、まず厳しく抗議するものであります。
 しかも、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律によって法人への財政援助を禁止し、特例として、国会の議決を経た金額の範囲内でと定めているのは、将来巨額の財政負担をしなければならなくなる危険性があるからです。したがって、今回のように予算総則に書く場合でも、その額にはおのずから節度がなければなりません。それにもかかわらず、その年の税収に匹敵する規模の金額を上限として書き込むこと自体、財政民主主義にも、健全財政主義にももとる財政のモラルハザードとも言うべきものです。
 今、国民が政治、とりわけ予算の使い道に期待しているものは何でしょうか。例えば、深刻な不況のもとで、私学に通う高校生の経済的理由による退学がふえていることが、文部省の中間報告でも指摘されています。新聞の投書欄には、必要なものも買わずに家計簿をにらんでじっと我慢しているなど、生活の現場からの叫び声があふれています。
 私どもが愛知県で行った不況に関するアンケートには、建設業者の方から、毎日が不安との戦いです、倒産をすれば下請に迷惑をかけるという一心で耐えており、毎日が眠れない日々が続いておりますとの声が寄せられています。政治は私たちの暮らしの味方になってほしい、そのためにこそ予算を使ってほしい、これが国民の願いです。
 さきの参議院選挙でも、政治は銀行の応援団か国民の暮らしの守り手かが厳しく問われ、自民党は大敗北したではありませんか。にもかかわらず、今回、政府が持ち出した補正予算案は、この国民の期待には背を向けたまま、銀行には巨額の公的資金をつぎ込む銀行支援策であり、国民の支持もほとんどありません。これが反対する第一の理由です。
 もともと政府・自民党案では、三十兆円だった銀行への税金投入の枠組みは、あっという間に六十七兆円に膨れ上がり、いつの間にか六十兆円という途方もない金額になりました。国の一年間の税収入五十八兆円をも超える巨大な額が決まる経過としては、余りにも理不尽と言うほかなく、一体国民の血税を何と心得ているのか、怒りを禁じ得ません。
 審議の中で、仕組みにおいても、健全な銀行のみならず、破綻から破綻寸前まで、銀行と名がつけばどんな銀行も利用でき、その上、巨大銀行の合併にまで使い道が拡大されてしまったことが明らかになりました。
 また、銀行業界みずからに責任を負わせようとしない今回の六十兆円の税金投入が、モラルハザードを助長することは明らかであります。自己責任、自己負担の原則を確立してこそ、金融業界に健全な自己規律が確立するし、本当の金融システムの信頼が回復するのです。日本の金融業界に健全でまともなルールを確立させるためにも、税金の投入を野方図に拡大するこの予算案は到底容認できません。
 反対する第二の理由は、この六十兆円の枠組みでは、巨大な損失を生ずる可能性があり、我が国の財政をさらに圧迫し、国民に負担がはね返り、ますます経済の悪化を招くことになるからです。審議の中で、宮澤大蔵大臣もお認めになったように、銀行に投入した巨額の公的資金が返ってくる保証は何もないことも明らかになりました。
 大銀行は、融資を打ち切り、強引な資金回収で国内の中小業者を倒産に追い込む一方、リスクの高い国際金融市場での投機に走っています。アメリカのヘッジファンド、LTCMが破綻寸前になった際、住友銀行が一億ドルの投資を行っていたことが明るみに出ました。こんなことで生じた損失も、国民負担となってかぶさってくるおそれさえあります。こうした銀行の無法な体質をたださずに税金で体力をつけても、その体力は海外での投機に使われるだけで、日本の中小企業を初めとする産業をまともにすることには使われません。
 政府は、昨年末、財政構造改革法を強行しました。医療費の値上げ、年金改悪などの社会保障費の切り捨て、消費税の五%への増税が実体経済を冷え込ませる大きな原因ともなっています。さらに、旧国鉄債務の二十八兆円もあります。今回の銀行支援策が、国の財政をさらに圧迫することになります。経済白書でも、「財政赤字の拡大は、財政収支の悪化と将来の負担増への懸念から、家計の将来不安を高めることになり、家計が支出増に慎重になる可能性は否定できない。」と述べているとおり、これらが国民の消費意欲を冷え込ませ、経済をますます悪化させることは明らかです。
 そもそも、実体経済の悪化が金融危機をも増幅させているのです。国民に対しては、お金がない、財政が大変だからと重い負担をさらにふやして将来不安を大きくさせ、銀行には巨額の税金を惜しげもなくつぎ込む、こんな逆立ちした税金の使い方は許せません。
 それにもかかわらず、小渕内閣は、日本列島を覆っている生活と営業の苦しみや不安、国民の怒りの声に全く無関心、無感覚と言うほかありません。今必要なのは、我が党などが共同提案したとおり、消費税を三%に戻すこと、社会保障の連続改悪をやめること、我が国産業の主役である中小企業と農家が、その営業と生活の見通しを持てるような対策をとるなどの本当の意味での景気対策であり、国民の懐を直接暖めることです。
 こうした対策のためにこそ予算は使われるべきであることを主張し、反対討論を終わります。(拍手)
#12
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
     ─────────────
#13
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#14
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#15
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百四十五  
  賛成            百五十八  
  反対             八十七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#16
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。金融問題及び経済活性化に関する特別委員長坂野重信君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔坂野重信君登壇、拍手〕
#18
○坂野重信君 ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下の喫緊の課題であることにかんがみ、金融機関等の不良債権の処理を速やかに進めるとともに、金融機関等の資本の増強に関する緊急措置の制度を設けること等により、我が国の金融機能の早期健全化を図り、もって我が国の金融システムの再構築と我が国の経済の活性化に資することを目的とするものであります。
 委員会におきましては、本法律案に加え、民主党・新緑風会提出の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案を一括して議題といたしました。
 まず、衆議院提出の本法律案について、発議者を代表して衆議院議員保岡興治君より法律案の趣旨及び衆議院における修正部分の説明を、次に、民主党・新緑風会提出の法律案について、発議者を代表して参議院議員峰崎直樹君より趣旨説明を聴取いたしました。
 質疑におきましては、金融機能安定化法と今回の金融機能早期健全化法案の相違点、金融機関の適正な資産査定及び有価証券評価のあり方、資本注入の際の経営者責任・株主責任の明確化、強制的資本注入の妥当性、六十兆円の公的資金枠の積算根拠等、各般にわたり熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 衆議院提出の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について質疑を終了し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して福山哲郎委員より反対、自由民主党、公明、自由党を代表して塩崎恭久理事より賛成、日本共産党を代表して池田幹幸委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(斎藤十朗君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#20
○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、自由民主党、平和・改革、自由党提出の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に反対する立場から討論を行います。
 衆議院送付の自民党、平和・改革、自由党三党が提案する金融早期健全化法案は、金融危機管理のかなめである資産査定や引き当て基準、有価証券評価方法を金融監督庁と銀行業界の談合にゆだね、自律性も誠実さもないいいかげんな金融機関の経営実態を隠ぺいし、経営者や株主の責任追及も不十分なまま、公的資金で金融機関の株式等を引き受け、金融機関の一時的延命に手をかそうとするものであり、極めて無責任な法案です。まさに今日の我が国経済の危機を招いたその場しのぎ、隠ぺい、先送りという従来の金融行政をそのまま踏襲することにほかなりません。
 以下、三党案の問題点を具体的に申し上げます。
 まず、三党案では、現在行われているいいかげんな資産査定と有価証券評価方法が温存されることになります。現行の資産査定スキームは、金融機関が、本来は第V分類に分類されるべき不良債権を第T分類や第U分類に自己査定し、監査法人や金融監督庁がそれにお墨つきを与えることにもなり、粉飾とも呼べるものでございます。
 有価証券の評価には原価法の採用が許され、市場価格が幾ら下がっても評価損を表に出さなくて済むため、金融機関の体力が過大評価され、不良債権の要処理額が恣意的に過小評価されます。その結果、残る不良債権の処理は従来どおり先送りされることになるでしょう。しかし、不良債権は処理しなければ時間の経過とともに増殖するという法則に従えば、今回の資本注入に伴ってある程度減るであろう不良債権が、数年後にはまたもとの水準に戻ってしまうことは明白です。つまり、不良債権は、適正に査定した上、一括処理しなければ永遠になくならない性質のものであります。
 三党案では、金融機関の真の姿から目を背け、将来、より一層病気を悪化させ、国民にそのツケを押しつけることになりかねません。しかし、市場はそんなことはお見通しです。三党案が衆議院を通過して以来、ジャパン・プレミアムがむしろ拡大していることが、この法案の限界を如実に示しているではありませんか。
 提案者は、あるいは資産査定や引き当て基準は金融再生委員会が規則を定めて厳格に行うと強弁されるかもしれません。しかし、第二十一条は、この最も重要な金融再生委員会の権限を金融監督庁に委任してしまっています。権限の委任を受ける金融監督庁が信頼できるものであればまだ救いがありますが、残念ながら創設以来、金融監督庁が信頼される存在となっていないからこそ、金融再生委員会を設置することにしたのではありませんか。それにもかかわらず、金融監督庁に、本来金融再生委員会が担うはずの金融監督行政の根幹の部分を委任してしまうことは、本参議院で可決、成立したばかりの金融再生法が定める財金完全分離、金融行政の一元化にも逆行します。
 さて、市場経済を原則とする国においては、公的資金を投入しなければ経営が立ち行かない事態に立ち至った場合、多かれ少なかれ経営者と株主に経営不振の責任が帰すことは当然です。最近、経済戦略会議や経団連など財界の一部からは、非常時だから銀行の経営責任、株主責任は棚上げして、とりあえず公的資金だという議論が噴出しているようでもございます。しかし、これは、防衛庁の武器調達に関する背任事件の調査と再発防止策を、額賀防衛庁長官や秋山事務次官にゆだねることを容認するのと一脈通じた議論です。膨大な金額の公的資金を投入しながら、最低限の責任追及もしないのであれば、我が国の銀行業界だけでなく、経済界全体にモラルハザードが蔓延します。
 例えば、三月に千七百六十六億円の資本注入を受けた日本長期信用銀行は、公的資金を受け入れた後で百四十億円超の事実上のタコ配当を行い、さらには日本ランディックという関連ノンバンクに二百億円以上の追い貸しという、背任的行為まで行ったあげくに事実上破綻してしまいました。倫理と規律の喪失が国を滅ぼすことは歴史が証明しています。
 実務的に考えても、今日まで不良債権一括処理に手をこまねき、無為に時間を浪費して、ここまで事態を悪化させた能力なき経営者たちに、今後もかじ取りをゆだねるということは、三党案の提案者には本当に金融システムを安定化させる気があるのか、真剣に日本経済の信頼回復の道を目指そうとしているのか疑問と言わざるを得ません。
 さらに、肝心かなめの不良債権処理を中途半端なままに済ませ、いや、それどころか公的資金で不良債権処理を行わせるという順番を間違えた公的資金投入は、金融健全化勘定に預かる数十兆円規模の国民の財産を毀損するおそれが非常に高いと言えます。いいかげんな資産査定で金融機関を水膨れに評価した上で金融健全化勘定が増資を引き受けるのですから、その引き受け価格は当然割高なものになります。三月に公的資金で引き受けた優先株等が大幅に目減りしていることからもわかるとおり、国民負担と財政赤字の拡大を招くことでしょう。このままでは国民経済は銀行と心中させられてしまいます。
 民主党がこの間示しました金融健全化対策は、第U分類債権の細分化や各分類債権ごとに適正な引き当て率を定めることや、有価証券の評価方法に低価法をとることを義務づけるなど、厳格で明確なルールを法律で定め、そのもとで一気に不良債権処理を完了させてしまおうというものでした。もちろん、代表取締役や相談役など責任をとるべき経営者には退いていただきます。不良債権処理に係る損失を剰余金と準備金で埋め切れなければ、その相当額を減資して株主の責任を問います。
 こうした不良債権一括処理の結果、過少資本状態になった銀行に対して、金融再生委員会の判断に基づき、必要な水準まで公的資金による株式引き受けを行うことを可能にしております。不良債権の処理を済ませた後に、公的資金で増資を引き受けるわけですから、実際に国民負担が生ずる可能性は、三党案に比べて格段に低いものでありました。
 金融健全化勘定の二十五兆円とは、国民から金融健全化を目的として二十五兆円の公的資金を預かり、それで金融機関の株式等を引き受けて、一定期間の後にまた国民にお返しするものです。我々の提起した考え方の中では、二十五兆円を国民から預かって二十五兆円以上で国民にお返しすることが可能ですが、政府のやり方では、二十五兆円を国民から預かっても、銀行株の値下がりによって、国民には、例えば十五兆円しか返せないという事態になるのではないでしょうか。
 要するに、三党案は、廃止を決めたばかりの金融機能安定化特別措置法の焼き直しであり、これでは日本の金融システムは何も変わりません。株価も目先の反発にとどまり、昨日の日経平均の終わり値は一万三千円を割り込んでしまいました。また、金融システムの安定を伴わない無意味な財政赤字の拡大によって、日本国債の格下げも一段階にはとどまらない可能性があります。不良債権の処理が完了しないのだから、貸し渋りも永遠に続きます。政府は、早期健全化法案が衆院を通過した直後から、金融機関に資本注入を促す旨を発言しておりますが、まさに法案の限界を認めたようなものではないでしょうか。
 これに対し、私どもが示した金融健全化策は、さきに成立した金融再生法案の原則にのっとり、日本の金融システムを根本から改革するものです。不良債権の処理に一気にめどをつけることから、貸し渋りはおさまり、景気全体によい影響を与えると考えております。
 最後に、我が国金融システムの深い病巣に対する認識と、それを解決するための緊迫感も政治的意思も持たない本法案への賛同者に対して、厳しい警告を発したいと思います。遅くはありません。その場しのぎ、隠ぺい、先送りの金融行政に終止符を打ち、真実に目を向け、新しい金融システムのもと、我が国が国際社会からも信頼を得る道を進もうではありませんか。法案に対する議員各位の適切な判断を期待いたします。
 そして、近い将来、民主党の、私どもの提起が国民からも市場からも必要とされる日が来るであろうことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
#21
○議長(斎藤十朗君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#22
○星野朋市君 私は、自由民主党、公明、自由党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に賛成の立場から討論をいたします。
 景気、経済に大きな影響を与えているのは、金融機関の抱える不良債権問題にほかなりません。破綻金融機関の処理方策に関する議論に一応の決着を見た以上、本来の重要課題である早期健全化に全力を挙げて取り組まなければならないのであります。
 金融システム不安は、銀行セクターの抱えるオーバーキャパシティー問題を初めとする我が国の産業構造問題に直結しており、これが我が国金融機関に対する先行き不安の本質であり、構造改革を断行しなければならないのであります。早期健全化は、個別金融機関の救済であってはならず、我が国金融機関の合理化及び再編に資するものでなければ何の意味もありません。
 以下、賛成する理由を申し上げます。
 賛成の第一の理由は、金融再生委員会が金融機能の早期健全化のため施策を行うに当たって、必要な金融機能の障害の未然防止等の六項目の原則を定めていることであります。これらの原則により、経営者等の責任の明確化と同時に、透明性が確保されたものとして評価できます。
 賛成の第二の理由は、経営の合理化、経営責任、株主責任等を前提に、金融機関の優先株式等の引き受け、さらに、著しい過少資本行等には普通株式の引き受けにより資本の増強を行い、体質強化を図るものであります。さらに、承認に当たって、経営健全化計画の提出等を求め、また、それを公表することとなっております。これにより、モラルハザードの防止と不良債権の処理による金融機関の体質強化が図られ、金融機能の早期正常化が期待されるものとして評価できるものであります。
 第三に、本法案に基づく資本注入を初めとする早期健全化のための施策を講じる際、最も重要なことは、全金融機関が適切に資産を査定し、有価証券を評価し、引き当てを行うことであります。我が国の未曾有の金融危機は、金融機関などへの不信にあります。衆議院から送付された案では、これらの手続を明確に規定し、義務規定としております。
 第四に、これらの資産の査定等に虚偽があっては、破綻金融機関を救済することにつながりかねません。衆議院から送付された案では、虚偽記載に対し、業務停止命令を含む厳しい処分を科すことができるとしております。
 第五に、金融機関の自己資本比率区分によって、早期健全化のための施策、それに伴う経営健全化計画の内容が異なるのは当然であります。衆議院から送付された案では、各区分に対する要件を明確、具体的に書き分けております。
 第六に、早期健全化のための施策として行う資本注入は、融資、融通、つまりファイナンスであって、返済される性格のものであります。衆議院から送付された案では、経営健全化計画において、株式等の消却のための財源確保策を盛り込むこととしており、返済を担保する内容となっております。
 第七に、資本注入を受ける金融機関の作成する経営健全化計画は、必ず履行されなければならないのでありますが、衆議院から送付された案では、経営健全化計画に虚偽があった場合は訂正を求めることとしております。
 また、同時に、経営健全化計画の履行を確保するため、業務改善命令、業務停止命令を含む厳しい処分を科すことができることとしております。加えて、経営健全化計画及びその履行状況の虚偽報告に対しては、罰則を追加しております。
 第八に、これら一連の健全性確保の施策に関する情報の開示について、衆議院から送付された案では、情報の開示を努力規定から義務規定化しております。
 以上が、本法案に賛成する主な理由であります。
 なお、民主党提出の対案については、我々と考え方を異にするため、反対をいたします。
 最後に申し上げます。不良債権問題、金融システム不安は、我が国が乗り越えなければならない構造問題の一部分でしかないと思います。金融機関の早期健全化対策として重要な政策に、抜本的な経済対策があることは言うまでもありません。この難局を乗り切り、経済再建を達成するためには、旧来の陋習にとらわれない大胆な構造改革が必要であります。
 この法案が成立し、金融再生関連法と両々相まって迅速に機能すれば、金融の仲介機能が十分回復し、貸し渋りなどが解消されるものと期待されます。
 金融システムが一日も早く内外の信認の回復が得られるよう機動的な対応を政府に求め、私の賛成討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#23
○議長(斎藤十朗君) 緒方靖夫君。
   〔緒方靖夫君登壇、拍手〕
#24
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に反対する討論を行います。
 反対する理由の第一は、資本を注入する金融機関の対象と規模を無制限に拡大する仕組みがつくられるからであります。
 本法案は、税金を使っての資本注入が健全行に限られていた十三兆円の金融安定化法を、健全銀行から破綻寸前の銀行まですべての銀行に、その経営状態のいかんを問わず、しかも、その回数も額も何の制限もなく、青天井で資本を注入できるという途方もない仕組みをつくり、金融ビッグバンに備えた金融再編促進を総仕上げするものとなっております。
 金融ビッグバンに備えて弱小銀行を整理、淘汰し、巨大銀行中心の金融再編を図るために、体力のある健全銀行にこれほど大規模な公的資金投入の仕組みをつくった例は、世界広しといえども日本以外にはありません。こうして無理やり高歯のげたを履かせて国際社会に送り出しても、日本の銀行が国際競争に勝ち抜く実力を持ち得ないし、むしろ国際的な信頼の失墜を招くものとなることは明らかであります。
 第二に、国民負担は既に巨額に上り、その額も今後膨らみかねないからであります。
 投入額は、当面十兆円から、小出しではなく、内外が驚くような額をどんと投入するとの主張に励まされ、会期末にこの早期健全化勘定が二十五兆円に膨らみ、金融再生勘定の十八兆円、従来からの預金保険機構の特例業務勘定十七兆円、これら合わせて六十兆円となり、三十兆円が二倍に膨張いたしました。大問題になった住専処理での銀行への税金投入額は六千八百五十億円でしたが、今回の額は百倍近くとなります。国内総生産、GDPの一二%という世界に例を見ない税金投入であります。年間税収分に匹敵する額を何らの財源手当てなしに投入すること自体、財政問題としても重大であります。
 金融監督庁が、既に大手十行に十兆円規模の資本注入を一斉に行う意向を表明したとも言われております。さらに、総理諮問機関の経済戦略会議は、早速、数十兆円の公的資金の投入、銀行の申請促進のために銀行の経営責任の問題を分離する、このような提唱を行っております。
 国会審議では、銀行負担増はびた一円たりともないのに、投入する税金は、十七兆円枠は返ってこない。不良債権買い取りは返ってこない方がはるかに多い。株買い取りは損しないように期して頑張るという意味だとの答弁で、投入する資金が返ってくるというのは偽りであることが明らかとなりました。
 全銀協の岸会長は本院参考人質疑で、銀行業界を代表して金融関連法案について、仕組みができること自体がありがたいと述べ、厳格な条件をつけずに、使い勝手をよくしてほしいと法案への期待をあけすけに述べました。本法案は、銀行業界が大歓迎する銀行救済の道をつけたものであります。これこそ、銀行大甘やかしの法案であり、究極のモラルハザード以外の何物でもないではありませんか。
 第三に、税金を投入する銀行がこれまで一体何をしてきたのかという点です。
 銀行は、バブル時代の地上げによる住民追い出し、融資の押しつけなどを行い、その非は棚に上げて、担保物件を競売処分するなど、血も涙もない債権回収で多くの国民に苦難をもたらしています。強引な資金回収で、少なくない中小業者を倒産や自殺に追い込んできました。銀行の押しつけ融資による銀行被害者は、全国で百万人に上ると言われており、今日大きな社会問題となっております。その一方で、ノンバンクや大手ゼネコンなどには無担保の乱脈融資を行い、不良債権の山をつくってきました。その取り立てもせず、そうした不良債権を今回税金で処理する道をつくるなど、到底許すわけにはまいりません。
 住管機構の中坊社長は本院で、銀行はうそをつく、大事な情報を隠す、自分のことしか考えないおごりの態度とモラルの低下に、激しい憤りを感じると述べられました。罪なき国民が銀行の仕打ちにより苦しめられているときに、どうして国民に銀行の乱脈融資の後始末をさせるのか。これほどの理不尽、暴挙はありません。
 今回も、ことし三月の二十一行への一兆八千億円の資本注入のときと同じように、貸し渋り対策がまたもや大義名分にされています。国民を欺くにもほどがあります。十四日の日本銀行九月貸出・資金吸収動向によると、貸出平均残高は前年同月比で二・七%減少、金融機関五業態すべてで貸し渋りが強まっていることが裏づけられました。資本注入後、かえって貸し渋りがひどくなっております。貸し渋りの批判を受けている銀行が、我が行は一切貸し渋りをしていないとたびたび断言するように、銀行は全く無自覚であります。この自覚のない銀行に資本注入を今回増額したからといって、貸し渋り対策になるという保証が全くないことは自明の理ではありませんか。このように公共的役割を投げ捨て、投機に走る大手銀行の体質を是正させることこそ最も肝心であります。
 半年で一万件を超す企業倒産、史上最低の雇用など、長引く不況のもとで景気回復のために求められていることは、銀行救済ではなく国民生活支援であります。消費税をせめて三%にの声も、銀行への税金投入反対の声も、国民世論の多数派を占めるに至っております。日本共産党は、引き続き暮らしを守れの国民の願いを実現するために、全力を挙げていくものであります。
 最後に、日本共産党は銀行業界の自己負担、自己責任の原則を貫く法案を提出いたしましたが、同時に、長銀に破綻認定なしに税金投入反対、十三兆円の銀行救済の枠組み廃止、それにかわる枠組みにも反対という一致点を他の野党と確認してまいりました。ところが、九月十八日の自民、民主、平和・改革三党党首会談での合意を境に、破綻前にも税金投入は認めるという歯どめのない税金投入の道が開かれました。こうした銀行支援の法案がまともな審議なしに、一気呵成に強行可決されようとしていることに、議会制民主主義の根幹にかかわる問題として強く抗議して、反対討論を終わるものです。(拍手)
#25
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#26
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#27
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#28
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百四十五  
  賛成            百五十八  
  反対             八十七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#29
○議長(斎藤十朗君) 沖縄及び北方問題に関する特別委員長から報告書が提出されております日程第一の請願並びに本日法務委員長外二委員長から報告書が提出されました子供の性的搾取・虐待をなくすための法的措置に関する請願外四十一件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#31
○議長(斎藤十朗君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、これらの請願は各委員会決定のとおり採択することに決しました。
     ─────・─────
#33
○議長(斎藤十朗君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
#34
○議長(斎藤十朗君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決しました。
     ─────・─────
#36
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 本岡昭次君外五名発議に係る防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。角田義一君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔角田義一君登壇、拍手〕
#38
○角田義一君 私は、ただいま議題となりました民主党・新緑風会、公明及び自由党の各会派共同提案に係る防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案につきまして、発議者を代表し提案いたします。
 まず、問責決議案の案文及び理由を朗読いたします。
    防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案
  本院は、防衛庁長官額賀福志郎君を問責する。
   右決議する。
    理由
 一、防衛庁長官は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的として各自衛隊を管理し、運営し、これに関する事務を行うことを任務とする防衛庁の最高責任者である。しかるに、額賀福志郎防衛庁長官は、就任以来、このたびの一連の防衛庁の不祥事に当たって、適時・適切に指導力を発揮することなく、三たびにわたる防衛庁の家宅捜索を受け、国政に対する国民の著しい不信を招き、ひいては我が国に対する国際的信用を失墜させた責任は極めて重大である。
 二、額賀福志郎防衛庁長官は、就任以来、不祥事に関する防衛庁内部の調査を、「自浄能力の発揮」と称して一貫して官僚組織任せにし、政治家の立場からみずから調査に当たることなく、事実の解明に主体的・能動的に取り組んだ形跡がうかがえない。防衛庁が、いわば組織ぐるみで引き起こした事件である可能性が極めて濃厚である以上、当該組織に事件の調査を委ねても、国民が期待する事実解明がなされないであろうことは火を見るよりも明らかである。そうであるにもかかわらず、積極的に行動しようとしない額賀福志郎防衛庁長官は、国民の期待に応えるべき国務大臣として不適格である。
 三、額賀福志郎防衛庁長官は、国会において幾度となく、「みずからをむなしくし、私情を挟まないできっちりとした対応をしていくことによって信頼関係の構築に寄与していきたい」とか、「カメのごとく正確に確実に目標に到達するという考えでやっていきたい」とか、ひたすら抽象的な発言を繰り返すだけである。そこには事件解明に向けた積極果敢な取り組みの姿勢がみじんも感じられないばかりか、結果的に国会に十分な情報を提供せず、国民の「知る権利」を著しく侵害している。これは国会軽視であり、国民を裏切る背信行為であると断ぜざるを得ない。十月十四日にようやく公表された「四社事案関連文書の管理実態に関する中間報告」なるものも、到底国民の納得が得られる代物ではない。
 四、我が国の財政事情が極めて厳しい状況にある今日、一切の無駄は許されない。それにもかかわらず、防衛庁が装備品の調達に関して何十億円、あるいは何百億円にのぼるかもしれない、払わなくてもよい国民の血税を無駄に払い、国に損害を与えたことは極めて重大である。たとえ、事実の発生が額賀福志郎防衛庁長官の就任前のことであったにしても、防衛庁の最高責任者としての監督責任、道義的責任、結果責任が問われるのは当然である。今回の一連の不祥事にかんがみ、額賀福志郎防衛庁長官は出処進退を明確にし、みずからけじめをつけるべきことが、国民に対する責任を全うする唯一の方法であることを知るべきである。
  これが、本決議案を提出する理由である。
 以上が本問責決議案の案文及び理由であります。
 次に、提案の趣旨を三点に絞って簡明に御説明申し上げます。(「もういい」「まだあるのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)もちろんあります。
 まず第一は、防衛産業による膨大な過大請求額と、その事実をひた隠しにした防衛庁の体質についてであります。
 過大請求に関する情報は、既に今から五年前の一九九三年五月に、日本工機にかかわる分が調達実施本部にもたらされ、九月には返還されたのであります。その後、翌九四年三月には東洋通信機の過大請求が、また、その翌年、九五年五月には藤倉航装とニコー電子の過大請求が相次いで判明し、それぞれ返還させたのであります。
 このように九三年、九四年、九五年と毎年、防衛産業四社の過大請求が判明し、払い過ぎ分の返還が繰り返されていたのでありますが、これが一般に知るところとなったのは昨年九月の新聞報道によってであります。この間、防衛庁はこの事実をみずから進んで公表せず、隠し通してきた責任は重大であります。
 ちなみに、平成八年度における調達実施本部の原価計算方式による予定価格算定実績は、一兆一千五百七億円でありました。これだけの金額が防衛産業に流れたのであります。過大請求額は、今日まで明らかにされた資料から推定すれば、その一割、千百五十億円が企業に余計に支払われているかもしれないのであります。国民は決してこれを許しません。
 冷戦が終結してから十年、世界は軍備拡張の時代から軍備縮小の時代へと移行しました。加えて、我が国の国家財政が逼迫している折、国民の血税を浪費することは許されないのであります。防衛装備品の調達額に過大請求額が含まれているとするなら、これを直ちに防衛費から減額するのが筋であります。過大請求を常態化させた防衛庁の責任が厳しく問われるべきであります。
 第二に、事もあろうに、過大請求の返還額を圧縮してやるかわりに天下りなどを要求していた事実、そして原価計算のずさんさについてであります。
 過大請求が表面化した直後、調達実施本部は原価差異事案対策検討委員会を設置し、対応に腐心したわけでありますが、その後、返還額を圧縮していた事実が発覚、東京地検が捜査を開始するに至るのであります。そして伝えられる、余りの内容に国民のだれしもが唖然とさせられたのであります。企業側に返還額を圧縮してやるかわりに天下りを求める、実質的に金銭的な対価を求めるといったことが、半ば常態化していたことを知らされたからであります。
 さらに、防衛庁は、本年七月十四日、「東通事案に対する現時点での評価について」と題する上申書を東京地検に提出しております。その上申書では、東洋通信機による過大請求額からの返還額を八億七千万円に圧縮したことについて、現時点でこれにかわる原価差異の算定を行うことは困難であるとし、防衛庁みずからの圧縮処理を正当化したのであります。しかし、逮捕されていた関係者が起訴されたことを受けて、防衛庁は、九月二十五日になって、従来からの返還金額算定の考え方は誤りであったことを認め、上申書は適切でなかった、配慮に欠けていた、間違っていた、撤回すると方向転換をしたのであります。
 これは極めて重大なことであります。いやしくも、当時防衛庁が調達契約の考え方についての粋を集め、防衛庁としての見解をまとめて検察庁に提出した上申書、七月三十日に就任した額賀防衛庁長官も承知している上申書の内容が、検察庁によって事実上否定されたことによって、防衛庁として撤回せざるを得なかった。この重みを防衛庁の最高責任者は重大に受けとめるべきであります。これは一防衛庁だけの問題にとどまらない、内閣全体の問題でもあることを特に強く指摘しておきます。
 第三は、過大請求や返還額の圧縮等にかかわる資料を破棄するなどの証拠隠滅工作が、組織的に行われていたことについてであります。
 これまで三回にわたり、防衛庁は関係書類を隠したり廃棄したりしたのであります。額賀防衛庁長官になってからも一回、証拠隠滅工作が行われていたのであります。国民の生命、身体、財産を防衛すべき防衛庁が組織を挙げてみずからの防衛に奔走する、一体この役所はどうなっておるのか。まさに防衛庁による組織ぐるみの犯罪であり、あいた口がふさがらないとはこのことであります。
 しかも、恐れ入ったことに、防衛庁は九月十二日、証拠隠滅の報道を受けて事実関係の解明のため、長官官房長を委員長とする調査委員会を設置したのでありますが、当の官房長みずからが防衛庁に第一回目の家宅捜索が入った九月三日の直前に関係書類を自宅に持ち帰り、その一部を廃棄していたことが明らかになったのであります。防衛庁は、慌てて九月十六日、調査委員会の委員長を官房長から事務次官にかえたのでありますが、これによって本質的に何が変わったと言えるのでしょうか。証拠隠滅にかかわった人物をその事実関係究明の委員長に据える組織など、どこにもありません。非常識きわまりないことであります。また、後任に同じ組織の事務次官を充てたところで、期待される事実解明がなされるのか、甚だ疑問であります。
 案の定、十月十四日に公表された調査委員会の中間報告なるものは、無味乾燥、無責任、不誠実この上ないものであります。額賀防衛庁長官みずからが九月末までには提出すると言っておきながら、提出はおくれにおくれ、我々の厳しい追及によって提出に至ったのでありますが、その内容たるや、現時点では関連資料を組織的かつ大量に焼却した事実及び焼却するよう指示した事実は確認できていないという、全く常識的には考えられない、あきれるばかりのものであります。どうして長官みずからが査問し、調査の任に当たらないのか。長官は事の重大性を本当に認識しているのか。国務大臣としての責任感がどうしても感じられないのであります。
 以上が提案の趣旨でありますが、私は、今回の一連の事件を考えるに当たって、最後に次のことを指摘しておきたい。
 二十世紀の最後を迎えたこの時期、我が国は未曾有の経済、財政危機の真っただ中にあります。政府・自民党のたび重なる政策的失敗により、国家財政は逼迫し、経済は混迷の度をますます深め、景気は一向に回復の兆しを見せておりません。決して少なくない数の人々が、ある日突然、頼みとするみずからの会社の倒産を知らされ、あるいはリストラに遭い、新たな就職先もないまま、最愛の家族を抱えて、いかんともしがたく、路頭に迷っているのであります。
 あすの生活への不安、これほど人の尊厳を傷つけ、否定するものはありません。政治とは、こうした国民の不安を取り除き、国民の生命と身体、そして財産を守ることであります。それこそが政治に課せられた最大の責務であり、国民から選ばれた我々政治家の務めであります。
 しかるに、今の内閣、特に防衛庁のこのていたらくは何たることか。国家が未曾有の危機に陥っているのに、国民がもがき苦しんでいるというのに、国民を守るどころか、国民の血と汗と涙の結晶である税金をむだに使う。そしてそのことが明らかになるや事実をひたすら隠そうとする。こうした国民無視、国民不在、国民を冒涜した行為が許されてよいのか。我が日本はこんな国家であってよいのか、こんなことで我が日本に二十一世紀を開く展望はあるのか。深く憂慮するのは決して私一人ではありません。多くの人が憂えており、憤っておるのであります。
 政治が今直ちになすべきことは何か、それは改めて言うまでもなく、国民の信頼を回復することであり、政治の責任を明確にすることであります。我々が一致して、額賀防衛庁長官を問責するゆえんは、まさに、この一点にあるのであります。
 何とぞ、本決議案に対して、皆様方の御賛同を賜りますよう心から訴え、演説を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#39
○議長(斎藤十朗君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鴻池祥肇君。
   〔鴻池祥肇君登壇、拍手〕
#40
○鴻池祥肇君 ただいま議題となりました額賀防衛庁長官に対する問責決議案について、自由民主党を代表し、断固反対の討論を行います。
 防衛庁の装備品の調達をめぐる疑惑、過大請求問題、巨額に上る返還額の減額等は、調達実施本部幹部の背任容疑の逮捕に発展し、さらに、関連資料の一部廃棄等が明らかになりつつあることは、まことに遺憾であることは言うまでもありません。
 特に、北朝鮮のミサイル発射問題が発生する中で、我が国の安全、北東アジアの平和と安定が緊要の課題となっており、日米防衛協力の指針の関連法制の整備が急がれています。その中心となるべき防衛庁が、このような不祥事により、国民の信頼を著しく失墜させたことを、防衛庁は深く反省しなければならないと思うのであります。
 しかしながら、これをもって、就任後二カ月半の短期間の中で、事件の真相解明と体制立て直しのために、日夜真剣に取り組む防衛庁長官を問責することは、余りにも短絡、そして党利党略的であると言わざるを得ません。
 すなわち、過大請求はかなり前から始まった疑いがあり、起訴されている東洋通信機の事案が内部で発覚したのは、平成六年二月であり、当時はかの細川内閣の時代でありました。その後も返還額の減額等の一連の不祥事が発生し、長い年月にわたる調達実施本部の癒着、腐敗体質そのものが今糾弾されているのであります。
 したがって、この事態において額賀防衛庁長官に求められる重大な任務と責任は、内部の事実関係の解明のため関係者をさらに徹底的に調査し、責任追及と処分を厳正に行うことであります。そしてそれと並行して、再発防止と国民の信頼の回復のために、調達実施のあり方に根本的なメスを入れることにあります。
 次の問題として、関連書類の焼却処分等の問題、文書管理の実態についてであります。
 このことについては、十月十四日、防衛庁は中間報告を発表しました。この中で、現時点では、四社事案関連資料を組織的かつ大量に焼却した事実及び焼却するよう指示した事実は確認できないが、ヒアリングファイル、事案処理経過表、評価書、想定問答集、その他日常事務関係資料等を自己の執務室以外に移転した事例、移転後破棄等の例があったことは事実であるとしております。
 これらの関連書類の処分等の問題は、その理由のいかんを問わず、疑惑、非難を受けるのは当然である。防衛庁長官は、しかし、既に厳格な措置の第一弾を打ち出し、文書管理の責任者の官房長と二人の調達実施本部の副本部長について、九月二十九日付でその職を解いたところであります。
 このような事態の中で、額賀長官は、的確かつ厳正に防衛庁トップとしての職務を遂行され、しかも、九月中下旬、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2において、日米間で日本、アジアの安全保障について協議される等、山積みする重要問題に精力的に取り組んでおられるところであります。
 また、額賀長官は、今後の防衛庁の信頼回復のため、調達実施本部の組織そのものについても、そのあり方の基本に立ち返って、解体をも視野に入れた抜本的立て直しについて強い決意を示されており、その気概と実行力が大いに期待されているのであります。
 肝要なのは、防衛庁の体制をいかに早急に立て直して、我が国の防衛体制に万全を期すかということであり、いたずらに防衛庁長官の交代を図ることは空白を生み、現場の自衛隊員の士気を低下させ、関係諸国との円滑な協力関係にも支障を来すおそれなしとは言えません。
 額賀長官が、蛮勇を振るって調達実施本部の解体を含め、防衛庁の大改革、癒着、腐敗体質の抜本改善を断行され、内外の信頼を一日も早く回復することを切に願って、問責決議案の反対討論を終わります。(拍手)
#41
○議長(斎藤十朗君) 木庭健太郎君。
   〔木庭健太郎君登壇、拍手〕
#42
○木庭健太郎君 私は、民主党・新緑風会、自由党並びに公明の三会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案について、賛成の立場から討論いたします。
 防衛庁長官は、国家として最も重要な我が国の平和と安全を守ることを任務とする防衛庁の最高責任者であります。その最高責任者である額賀防衛庁長官は、就任して二カ月半の間、北朝鮮のミサイル問題を初め、このたびの防衛庁の不詳事事件に対しても、特に目立ったリーダーシップを発揮した形跡が全くないばかりか、前代未聞の三度にわたる東京地検による防衛庁の家宅捜索を受け、国政に対する国民の信頼を失墜させ、さらには、諸外国からも我が国の威信を著しく傷つけた責任は極めて重大であります。
 また、防衛庁長官が自浄能力を発揮すると言って始まった内部調査についても、一昨日公表された中間報告に至ってはわずか十ページしかなく、肝心な防衛庁幹部による証拠隠滅の有無についてはあいまいな回答に終始するなど、国民が期待する疑惑の解明にはほど遠い、薄っぺらな内容となっております。そこには、防衛庁の最高責任者としての監督責任、道義的責任が全く感じられません。この一カ月もの間、防衛庁長官は何をなさっていたんだという国民の猛烈な怒りと反発を買うのは当然のことであります。このたびの一連の不祥事における防衛庁長官の監督責任を免れることはできません。防衛庁長官は即刻辞任すべきであります。
 以下、順次、防衛庁長官額賀福志郎君問責決議案に対する賛成の理由を申し上げたいと思います。
 問責決議案に賛成する第一の理由は、申すまでもなく、防衛装備品の調達にかかわる防衛産業による膨大な過大請求の実態と、組織的不正を続けてきた防衛庁の体質であります。
 昨年九月の一部報道機関により過大請求の実態が判明いたしましたが、この事件の発端は遠く一九八八年にまでさかのぼっていくことができ、いわば十年越しの防衛庁に巣くう欺瞞体質、ずさんな管理体質と言っても過言ではありません。報道機関の指摘を受けて腰を上げるといった後手後手の対応ではなく、この間、どうして防衛庁はこれらの事実を進んで明らかにしてこなかったのか、過大請求を組織ぐるみで行ってきた防衛庁の責任は重大であります。
 問責決議案に賛成する第二の理由は、過大請求の返還額を圧縮した見返りに、いわゆる天下りの大幅な受け入れを要求していた事実であります。
 一国の防衛にまつわる装備品の調達をめぐって、防衛庁と関連業界との癒着、もたれ合い構造という、本来あってはならないことが堂々と行われていたわけであり、国民を愚弄するゆゆしき一大事と言わなければなりません。遅まきながら、一昨日、自衛隊員の再就職のあり方を見直すための有識者による検討会の初会合というのがありましたが、問題の本質にメスを入れず、小手先だけのことをする、これこそまさに茶番と言わざるを得ません。
 問責決議案に賛成する第三の理由は、防衛庁調達実施本部の背任事件に絡む組織的な証拠隠滅工作疑惑でございます。
 一昨日公表された内部調査の中間報告を見る限り、国民が求めている根本的な疑問に一切答えておらず、説得力に欠ける極めて無責任な報告内容であり、当事者能力ゼロであります。しかも、最終報告の時期の明言を避け、調査引き延ばしの意図も感じられるなど、疑惑の解明に積極的姿勢が見られない防衛庁長官の政治責任のそしりは免れません。
 今般の一連の事件により失われた国民の信頼を回復させ、国政及び国民に対する責任を明確にさせるためにも、防衛庁長官は速やかにみずからけじめをつけ、防衛庁長官の職を辞任することを求め、私の討論を終わります。(拍手)
#43
○議長(斎藤十朗君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
#44
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、額賀福志郎防衛庁長官問責決議案に、賛成の討論を行うものであります。
 今回の防衛庁背任事件は、兵器の調達に当たって、防衛庁と日本電気・NECとその関連企業が共謀して、国民の税金である四兆八千億円にも上る軍事予算を食い物にした重大な事件であります。しかも、防衛庁が組織ぐるみで証拠を隠滅するという恥ずべき行為を行った前代未聞の事件であり、二重三重に国民に対する背信行為として、断じて容認できないものであります。
 既に明らかなように、今回の事件は、防衛庁と東洋通信機の不正な水増し事件からニコー電子の背任事件に拡大し、親会社であるNEC自身も、五年間で百億円以上の水増し請求をしていたのではないかとの疑惑が指摘されるに至っております。このことは、今回の証拠隠滅問題の中間報告で防衛庁みずからが「防衛産業との癒着構造等の問題点を指摘されている」と明記しているように、防衛庁と軍需企業との汚れた構造的癒着関係の氷山の一角にすぎないのであります。
 問責決議案に賛成する第一の理由は、防衛庁長官が、このような防衛庁背任事件の全容を解明する重大な責任を負っていながら、ひたすらみずからの保身のみに終始したことであります。
 防衛庁背任事件は、国の機関である防衛庁調達実施本部の兵器調達行政そのものが、任務に背いて、国家と国民に重大な被害を与えるという犯罪を構成するものとして立件されたものであります。防衛庁長官は、不正な水増し請求を発見した時点で、法令等に基づいて、国に対して損害を与えた事実関係を徹底的に解明し、みずからの責任を明確にすべきでありました。まさに、国の予算執行そのものが犯罪とされている重大で悪質な事件なのであります。
 ところが、防衛庁長官は、ただひたすら信頼関係の構築に寄与していきたいと繰り返すのみで、今日に至るも事件の全容を国民の前に徹底解明する努力を尽くさず、いまだに責任の所在すら明らかにしておりません。
 第二の理由は、防衛庁長官は、防衛庁がことし七月、東京地検に対し、不正水増し事件を正当化するために提出した、いわゆる上申書にあくまでも固執し続けたことであります。
 この上申書なるものは、背任事件で起訴された諸冨元調本本部長らの行為を防衛庁の名において正当化し、検察庁の捜査を妨害しようとする意図に基づくもので、不見識きわまりないものであります。防衛庁長官は、この不当きわまる上申書の存在を前長官から引き継いだにもかかわらず、十分な検討もしないまま、上申書の立場に固執し、検察当局から背任事件、刑事事件として立件されるまで、かたくなに不正、違法な返還のやり方を正当化する主張を繰り返したのであります。
 そのため、防衛庁の中間報告でも認めざるを得なかったように、不正な水増し事件が発覚して以来約一年を経過しながら、防衛庁みずからの手で問題事案の解決ができなかったのであります。この点でも防衛庁長官の責任は重大であります。
 第三の理由は、防衛庁の証拠隠滅問題をめぐる防衛庁長官の責任についてであります。
 一昨日公表された中間報告は、防衛庁が自浄能力を発揮したものとは到底言えないものであります。防衛庁長官は、証拠隠滅の中間報告を、初めは九月末までと言い、国会では、当初の会期末である十月七日までにと、再三にわたって引き延ばしを策してきました。中間報告は、こうした防衛庁長官の国会を無視した不当な引き延ばし工作の中、本院外交・防衛委員会で、我が党を初め野党の強い要求で提出せざるを得なかったものであります。この点でも、国会での真相究明に絶えず背を向けてきた防衛庁長官の態度は、厳しく指弾されなければなりません。
 しかも、その内容に至っては、何をか言わんやであります。防衛庁が提出した中間報告なるものは、全くの官僚の作文でしかなく、防衛庁の組織ぐるみでなかったとの結論先にありきで、これまでの国会答弁と報道等で明るみに出たものを並べただけにすぎず、国民と国会に対する報告に値しないものであります。
 それどころか、中間報告を見れば、防衛庁が、昨年十月から約一年がかりで東京地検の強制捜査に向けた対策を練りに練り続け、東京地検から関係資料の提出を求められ、職員の事情聴取が始まると、事情聴取をされた職員の聞き取り、ヒアリングを実施して対策を講じる。強制捜査が避けられないとなると、強制捜査に備える対応要領を作成する。あげくの果てには水増しの正当性を主張する上申書を提出するといった、組織防衛策に狂奔したことを憶面もなく述べたもので、全くあきれるばかりであります。これが組織ぐるみでないなどと言うのは、防衛庁長官として不見識であるばかりか、無責任きわまるものであります。
 しかも、この証拠隠滅工作が、北朝鮮のロケット発射事件で防衛庁がごった返していたその間隙を縫って行われたという醜態は、多くの国民の厳しい批判を受けております。証拠隠滅事件の解明なしに、国民の信頼を回復できないことは明らかではありませんか。この一連の行動は、額賀防衛庁長官の在任中に行われたことであり、監督責任を有する防衛庁長官の責任は厳しく問われなければなりません。
 以上、主な理由を述べてきましたが、この責任は防衛庁長官にとどまるものではありません。このような防衛庁長官を罷免しない小渕総理の責任も重大であります。
 我が党は、本問責決議案に賛成し、防衛庁長官がこの決議を真摯に受けとめ自己責任をとること、さもなくば、内閣総理大臣が直ちに額賀防衛庁長官を罷免すべきことを強く要求して、討論を終わります。(拍手)
#45
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#46
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 足立良平君外六十二名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#47
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#48
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#49
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十三票  
  白色票           百四十票  
  青色票            百三票  
 よって、本決議案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#50
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 事務総長黒澤隆雄君から事務総長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
   〔黒澤隆雄君事務総長席を退く〕
   〔拍手〕
     ─────・─────
#52
○議長(斎藤十朗君) この際、事務総長の選挙を行います。
 つきましては、事務総長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、事務総長に堀川久士君を指名いたします。
   〔堀川久士君事務総長席に着く〕
   〔拍手〕
     ─────・─────
#54
○議長(斎藤十朗君) 今期国会の議事を終了するに当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
 第十八回参議院通常選挙後に召集された今臨時会も、本日の議事をもって終了する運びとなりました。
 この間、議員各位におかれましては、選挙後の新しい院の構成のもと、長引く不況克服へ向け、金融問題、景気対策を初め、国民生活に深いかかわりを有する重要かつ喫緊の課題について、熱心に審議に当たられました。
 ここに、議員各位の御尽力に対し、心から感謝の意を表する次第であります。
 内外の時局ますます多端の折、議員各位におかれましては、御自愛の上、御活躍くださいますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
 これにて休憩いたします。
   午後四時二分休憩
   〔休憩後開議に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト