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1998/10/08 第143回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第143回国会 本会議 第18号
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1998/10/08 第143回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第143回国会 本会議 第18号

#1
第143回国会 本会議 第18号
平成十年十月八日(木曜日)
    ―――――――――――――
  平成十年十月八日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(大蔵委員長提出)
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○岸田文雄君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 大蔵委員長提出、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(大蔵委員長提出)
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。大蔵委員長村井仁君。
    〔村井仁君登壇〕
#7
○村井仁君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 本案は、本日大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものでありまして、我が国証券市場において、各種情報に基づき一部の特定の銘柄の株価が大きく変動したことなどの近時の市場動向にかんがみ、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律のうち、有価証券を借り入れて行う売りつけを空売り規制の対象とする関連規定を早期に施行することにより、公正で透明な証券市場の構築の促進を図ろうとするものであります。
 すなわち、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律において、平成十年十二月一日施行とされている証券取引法に係る改正規定のうち、有価証券を借り入れて行う売りつけに係る空売り規制、具体的には、空売りであるか否かの別の明示義務及び直近価格に満たない価格による売りつけ、いわゆる売り崩しの禁止については、本法の公布の日から起算して十日を経過した日から施行するものとしております。
 以上が、本案の提案の趣旨とその概要であります。
 何とぞ速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)の趣旨説明
#10
○議長(伊藤宗一郎君) この際、保岡興治君外三名提出、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。提出者保岡興治君。
    〔保岡興治君登壇〕
#11
○保岡興治君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 金融機関が破綻した場合に対応していくためのものとして、先週衆議院を通過いたしました金融再生関連法案がありますが、現在、市場の圧力にさらされ、しかも、国民生活に最も影響を与えているのは、我々の身近に多数存在する破綻していない金融機関であり、これらの金融機関が不良債権を速やかに処理するとともに、体質強化を行うことによって、金融機能を正常化することが必要であります。したがって、機を失せずに、市場が待ち望んでいるような思い切った対策を打ち出し、我が国の金融システムに対する内外の信認を回復することが現下の喫緊の課題となっております。
 このような状況を踏まえ、金融システムの早期健全化対策として新たな資本増強の制度を設け、これにより、現下の深刻な状況に迅速かつ有効に対応し、金融システムの再構築と我が国経済の再活性化に資することを目的として、本法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、金融再生委員会が我が国の金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則、すなわち、金融機能の障害の未然防止、金融機関等の経営責任及び株主責任の明確化、金融機関等の再編促進による金融システムの効率化、社会経済的な費用の最小化、早期是正措置との効果的連携並びに情報等の適切かつ十分な開示といった六項目の原則を定めております。
 第二に、預金保険機構に金融機能早期健全化勘定を設け、二〇〇一年三月末までの時限措置として、資本増強制度を創設することとしております。具体的には、協定銀行が預金保険機構から資金の貸し付け等を受けて、金融機関等の普通株式及び優先株式等の引き受けを行うこととしております。この制度においては、存続が極めて困難な金融機関以外を対象とし、金融機能に著しい障害が生じ、信用秩序の維持または企業活動もしくは雇用の状況に甚大な影響を及ぼす等、経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずるおそれがある場合に、優先株式等の引き受けを行うことができることとしております。また、著しい過少資本行の場合には、他に手段がなければ、普通株式の引き受けを通じて協定銀行が経営管理を行うことにより、早期健全化を図る道も設けております。さらに、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びこれに準ずるものについても、優先株式等の引き受け対象としております。
 第三に、株式等の引き受けの承認については、金融再生委員会が、経営の合理化、経営責任、株主責任及び信用供与の円滑化の取り扱いを明確かつ厳格に定め、公表した承認基準により行うこととしております。この承認基準は、金融機関等の自己資本比率に応じたものとして、金融再生委員会が定めることとなります。なお、承認に当たっては、申請金融機関等に対し経営健全化計画の提出及び履行を求め、これを公表するなどの情報開示を行うこととしております。
 第四に、取得した株式等は早期に処分するものとし、特に、普通株式を五〇%超引き受けて子会社化した場合には、原則として一年以内に持ち株比率を五〇%以下に低下させることとしております。
 第五に、株主責任の明確化の環境整備として、資本の減少を行う場合の商法の特例を措置することにいたしております。
 その他、預金保険機構は金融機能の早期健全化のための業務のため日本銀行等からの資金の借り入れ等を行うことができるとともに、政府はその借り入れ等に係る債務の保証をすることができることとする等、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
#12
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕
#13
○岡田克也君 私は、民主党を代表して、自由民主党提出、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について質問いたします。
 昨日、この法案を一読したとき、私は大きな驚きと失望を禁じ得ませんでした。
 我々は、今国会において、金融再生法案を初め関係法案の審議を進め、既に本院において与野党の共同修正を経て、現在参議院において鋭意検討中であります。この金融再生法案において、本年二月に成立した金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律を廃止することとしております。我々は、この金融安定化法と同法に基づく資本注入が失敗であると判断したからこそ、その廃止という結論に至ったはずであります。
 しかし、今回の早期健全化法案は、同じ誤りを見事に繰り返そうとしているのであります。同法案は、その第一条において、我が国の金融システムに対する内外の信頼の回復、我が国の金融機能の早期健全化、我が国経済の活性化をその目的としています。しかし、この法案が成立すれば、我が国の金融システムに対する内外の信頼はさらに低下し、我が国の金融機能の健全化はさらにおくれ、我が国経済はさらに混迷を深めるのではないでしょうか。
 この法案を取りまとめるに至った自由民主党の一貫性のなさ、混乱ぶりにはまことに驚くばかりであります。
 以下、具体的に質問いたします。
 第一に、最終的には税金により担保された公的資本の注入に当たり、基本的な事柄は法律によって規定すべきことは当然であります。しかるに、この法案は、金融安定化法と同様に、法案の骨格となる部分の多くが不透明な政令や規則にゆだねられ、行政による裁量の余地を大きく残しています。例えば、過少資本行や著しい過少資本行の定義、資本注入を受ける金融機関の自己資本比率の上限など、この法案の対象となる金融機関の範囲すら明確ではありません。
 なぜこれらを法律で規定しなかったのか、また、今述べたことについて、それぞれ具体的にどのような自己資本比率を考えているのか、答弁を求めます。
 また、これらの自己資本比率を算定するに当たっての基本的考え方、すなわち有価証券の評価に当たって低価法の採用をどう考えるのか、第二分類債権についてどの程度の引き当てを予定するのかの二点は極めて重要な事柄であります。以上の二点についてどのような考え方をとっているのか、また、なぜ法律により定めなかったのか、さらに、政省令において何らかの規定を置く考えはあるのか、答弁を求めます。
 第二に、我々は、安易な資本注入によって、本来存続が不可能である金融機関を救済することは絶対に避けなければいけません。しかしながら、早期健全化法案においては、自己資本比率が著しい過少資本の状況にあるものであっても、公的資本の注入が可能となっています。自己資本比率が二%未満の銀行も著しい過少資本行に含まれるとの自民党の説明でありますが、自己資本比率一%以下あるいは〇%の銀行も場合によっては資本注入の対象となるのでしょうか、答弁を求めます。
 また、それらの著しい過少資本行に対する資本注入は、金融機関の経営の健全性確保が困難な金融機関は存続させないとした、自民党も共同修正し賛成をされている金融再生法案第三条に反すると考えますが、この点につき答弁を求めます。
 第三に、責任の明確化について質問します。
 公的資本注入を受けるに当たり、当該金融機関の減資による株主責任の明確化、配当の禁止、代表取締役などの経営者の更迭、リストラの徹底は当然の前提であると考えます。しかしながら、早期健全化法案においてはこれらの点が明確になっていません。
 第五条に規定する資本注入の申請に当たっての経営健全化計画の提出とは、具体的にどのような事柄を含むのでしょうか。例えば、配当はどのような資本注入を受けた場合に禁止されるのですか、減資を伴わない資本注入は認めるのですか、代表取締役は辞任するのですか、人件費はどの程度カットされることが条件となるのですか、これらの点についてそれぞれ答弁を求めます。
 第四に、最も重要なことについて、総理及び大蔵大臣に質問をいたします。
 まず、この法案の成立、施行により我が国の金融システムに対する内外の信頼は回復するでしょうか。私にはとてもそうは思えません。そもそも、我が国の金融システムに対する信頼が失われた最大の原因は何でしょうか。不良債権の実態や自己資本比率などについて、正しい情報が開示されていないことが最大の原因であることは明白であります。
 六百九億円と公表されていた兵庫銀行の回収不能債権が、実際には十三倍の七千九百億円あったと破綻後判明したことは余りにも有名であります。また、本年三月の時点で自己資本比率が一〇%を超えているとされていた長銀が、実質的には債務超過状態にあったということも、我が国の金融当局に対する内外の信頼を大きく損ないました。日本政府は数字を操作しているとみなされているのです。
 このような、我が国金融機関の実態を正しくあらわさない情報開示について、総理は、どのように反省をし、かつ今後どのような基本姿勢で改革しようとしているのか、答弁を求めます。
 次に、大蔵大臣は、先般の記者会見において、債権の引き当てを厳しくすること、株式について低価法を採用することについて、金融収縮が進んでいる中では一気に理想的なことはできないと述べておられます。
 しかし、このような考え方こそが、現在の金融危機を招いていると言うべきではないでしょうか。現在の金融危機は極めて厳しい状況にあります。我々に残された時間は少ないのであります。私は、理想論から厳しいことを銀行に課そうとしているのではなく、これ以外に日本の危機を乗り切る道は残されていないからこそ、そういう思いで強制引き当てなどが必要であると主張しているのです。(拍手)
 第二分類債権に対し実態を反映した引き当てを義務づけ、かつ、資本注入を求める金融機関に対しては、その保有株式を低価法で計算することにより不足する資本額を正確に算定し、かつそれに相当する額を思い切って注入する、そのことで一挙に金融機関の早期健全化を図ることが、現在の金融危機の唯一の解決方法であると私は考えます。このような民主党の考え方に対し、大蔵大臣はどのようにお考えか、答弁を求めます。
 最後に、自民党総裁でもある小渕総理にお伺いをいたします。
 自民党提案の早期健全化法案では、不完全な情報開示に基づく中途半端な資本注入しか行うことができません。その結果、金融機関の健全化はなされず、仮に我々が目の前にあるこの金融危機を何とか乗り切ったとしても、本質的な問題は先送りされたままになります。来年三月末には再度大混乱を招く事態が予想されます。ことし三月の失敗があったにもかかわらず同じ過ちを繰り返したとあっては、この法案提出の最高責任者である小渕総裁の責任は免れないと考えますが、いかがでしょうか。
 総理の明快な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 岡田克也議員にお答え申し上げます。
 まず、我が国金融機関の情報開示についてのお尋ねでございますが、我が国金融システムの信認の回復のために、不良債権の開示を積極的に進めていくことが重要であることは言うまでもございません。このような観点から、来年三月期から全金融機関に対し、連結ベースでの米国SEC基準と同様の基準による不良債権の開示を罰則づきで義務づけることといたしております。
 次に、最高責任者としての党の総裁としてということで責任を問われましたが、金融機関等の資本の増強に関する緊急の措置の制度を設けること等により、我が国の金融機関の早期健全化を図り、もって我が国の金融システムの再構築と我が国の経済の活性化に資することを目的とする本法案につきまして、早期に成立することを強く期待いたしております。
 なお、本法案においては、情報開示につきましても具体的な規定が設けられておると承知をいたしております。
 いずれにしても、私といたしましては、金融システム全体の危機を絶対に起こしてはならないという強い決意のもと、金融システムの安定に万全を期すべく、全力を挙げてまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) 岡田委員の御主張は、いわゆる第二分類債権に対してきちんと引き当てを義務づける、また保有株式は低価法で計算をする、そういう厳しい方法によって不足する資本額が幾らであるかを正確に算定して、それに相当する額を注入するならば金融機関の早期健全化を一気に図ることができる、こういう御主張でございます。いわば理論的には極めて明快なお立場、御主張だというふうに承りました。
 それで、私が委員会で申し上げましたのは、ただいま御紹介もいただきましたが、今、各銀行は、まことにこの辺の引き当て、分類が勝手自由でございますので、それは許されることはできない。今、金融監督庁において十九行を中心に細かい検査をやっておられますから、その結果として、貸し倒れの実態等が明らかになってまいると思います。それによって、金融監督庁が検査用のマニュアルを公表するとか、あるいはガイドラインを策定するとかして、ともかく各銀行が一律のスタンダードで処理をしてほしい、それが私は第一段階だと考えております。
 その際、第二分類債権というのは確かに問題の債権でございますが、これを非常に厳しくいたしますと、各銀行はいわゆる信用の回収を図る、あるいはそこから急激な信用収縮が起こる。それは、銀行の側におきましても、また今まで貸し出しを受けていた側におきましても、そういうことが恐らく現実にはどうも起こらざるを得ないであろう。非常に急激にやりますと、そういうことは実は起こる気配がもうかなりございますから、そこはやはり政策的な配慮が必要ではないか。
 殊に、例えば銀行の立場で申しますと、私ども、今、いわゆるベンチャーキャピタルのようなものはできるだけ育成してほしいと考えておりますけれども、銀行からいいますと、それは大した担保もないし、最近のつき合いだし、こんなものは悪い債権にした方がいいという気持ちにどうしてもなりますので、そういう点もやはり考えなければならないのではないかと思います。
 同じようなことは、今の、有価証券の評価に低価法をすべきではないか。それは、その方が厳しゅうございますから、長い目で見れば、金融機関にとってもきっとその方が余裕が出るので、私はそれは行く行くの姿としてはそうあるべきだとすら思いますけれども、今の現実は、低価法と原価法の選択を国際的にも認められておりますし、これもまた、一挙に厳しくやりますと信用を収縮するという問題に恐らくつながる、それも見やすい道理でございますから、これも中長期的な課題として考えていかなければならないのではないかと思っております。
 簡単に申しますと、岡田議員の言われますことは、理論的には極めて明快でございますけれども、政策選択としては、今のような我が国の状況において、それはやはり中長期的な課題とすべきではないかと私どもは考えておりまして、いわば、ベストではないかもしれませんが、ベターなことを考えておりますので、それをもちましてこの法案には反対だというお立場をおとりくださらずに、御再考賜りたいと思うわけでございます。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
#16
○保岡興治君 岡田克也君にお答えします。
 過少資本行、著しい過少資本行の定義についてのお尋ねでございますが、それぞれの定義は金融再生委員会の規則で定めることとしております。
 なお、過少資本行については自己資本比率が四%以上八%未満の金融機関を、また、著しい過少資本行については自己資本比率〇から四%未満の金融機関を念頭に置いております。
 有価証券の低価法による評価及び第二分類債権の引き当てについてのお尋ねでございますが、これらについては、今大蔵大臣が述べられた考えと同じ考えでございます。
 それから、資本増強の対象についてのお尋ねでございますが、著しい過少資本行であっても、地域経済にとって不可欠なものであって、その存続のために地域経済界が一致して協力しようとする場合など、健全化を図って業務を継続させるという方向で公的支援をすることが適切な場合もあるので、対象となる場合もあり得ると考えています。このような場合は、経営の健全性確保も可能と考えられることから、言われました金融再生法第三条に反するものではないと考えているところでございます。
 残余の質問については、他の提出者からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔山本幸三君登壇〕
#17
○山本幸三君 岡田議員にお答え申し上げます。
 経営責任や株主責任の明確化等の具体的内容についてのお尋ねでございますけれども、株式等の引き受け等の要件といたしまして、本法律におきまして、経営健全化計画の確実な履行等を通じて、金融再生委員会が定めて公表する経営責任、株主責任の明確化のための方策等に関する基準に従いまして、これらの方策の実行が見込まれることが挙げられております。
 具体的には金融再生委員会において定めることとなるわけでありますが、配当の停止、必要な場合の減資、役員数の削減、代表権のある役員の退陣等が、自己資本比率の区分その他の要素を勘案して盛り込まれることになると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 西川知雄君。
    〔西川知雄君登壇〕
#19
○西川知雄君 改革クラブの西川知雄でございます。
 私は、平和・改革を代表して、総理、大蔵大臣並びに提出者に質問をいたします。
 日本の金融危機は、深刻な状況に陥っております。マーケットは金融問題に関する日本の国会の議論を注目し、その結果いかんによってマーケットが過敏に反応し、一歩間違えれば世界恐慌への引き金を引きかねない、綱渡りの状況にあると言わざるを得ません。まさに国難、国家としての最大の危機に直面しているのであります。
 平和・改革は、こうした認識のもと、金融危機を深刻に受けとめ、与野党の枠を超えて、政治の責任でこの危機を乗り切ることが最も重要であるとの認識に立ち、今日まで対応してまいりました。
 中でも、金融機関の破綻処理に関するスキームについては、民主党、自由党とともに共同で対案を国会に提出いたしました。その後、まさに昼夜を問わない真剣な自民、民主、平和・改革間の協議の結果、我々野党案をベースに修正がなされ、金融再生法案が衆議院で可決するという、国会の歴史上、画期的な成果を見たのであります。現在、参議院において審議中でありますが、提出者の一人として、速やかな成立を望んでやみません。
 しかし、この金融再生法案が通れば金融危機がすべて解決するかといえば、残念ながらそうではありません。破綻すべき金融機関は市場から退場することは当然であり、その場合は、金融再生法案において適切に処理されるべきであります。
 しかし、他方、金融危機を未然に防ぐためのスキーム、いわゆる早期健全化措置がなければ、マーケットの動向を見ても、到底この危機を乗り越えることは困難であると言わざるを得ません。その意味において、政治の責任で早期健全化の措置を構築することは、内外あるいは市場からの不可欠の要請であると強く認識し、この要請にこたえる必要があると考えるものであります。昨日、国会の会期が延長されましたが、我々は、できる限り与野党の英知を結集し、早期に早期健全化のスキームをつくり上げるべきであると考えるものであります。(拍手)
 さて、今回、自民党から提出されましたいわゆる早期健全化法案は、名前は異なっているものの、さきに衆議院で可決し、現在参議院で審議中の金融再生法案が成立すると廃止することとするいわゆる十三兆円の公的資金導入スキーム、すなわち、十分な情報公開もなく、佐々波委員会の審査も不十分であり、貸し渋り対策にもなっておらず、経営者のモラルハザードを招き、護送船団方式そのものであって、多くの国民から批判を受けたあの金融機能安定化法に極めて似通っているのではないか、そういう疑念が持たれているのであります。
 今回提出された法案は、これらの問題を全く解決しないまま、甘い基準により、すべての金融機関に資本注入の道を開くことになります。廃止される安定化法と今回の早期健全化法案とは、原理原則でどこが違うのか、総理並びに提出者に答弁を求めます。
 参議院で審議中のいわゆる金融再生法案に関する本会議質問において、また委員会において、私は、自民、民主の方々とともに答弁者となりました。その中で、私は、同法律案の第六条、第七条に規定する情報開示に関する質問に対して、具体的には金融再生委員会規則で定めることになりますが、SEC基準以上で査定する、第二分類をさらに細分化する、各分類に応じた引き当て基準を明示するというような内容になるとの答弁を行ったのであります。
 これは、言うまでもありませんが、自由民主党、民主、平和・改革、三会派の合意のもとで答弁をいたしたものであります。もっとも、中小零細企業に対する信用収縮が助長されないように十分に配慮することが前提でありますが、公的資金を導入する以上、厳格かつ正確な金融機関の経営の実態を明らかにすることは、至極当然であります。
 しかしながら、今回自民党から提出されましたいわゆる早期健全化法案は、私のこの答弁に反するものであります。金融再生委員会が承認する基準が、真の自己資本比率の算定に不可欠な債権区分や引き当て率を裁量の範囲にとどめおき、さらに、資本注入のかなめである合理化計画等も、金融機関の業務の遂行に支障がある場合等には公表しないことを許し、そして、貸し渋り解消計画も、公表するとはしておりますが、免除規定を設けるなど、情報公開につき全く不十分な法案となっております。
 総理、この程度の情報開示で十分と認識されておりますか。また、自民党総裁として、この二法案は矛盾していないとお考えですか。明確な答弁を求めます。
 真剣に行った与野党協議の覚書においては、金融再生法案第七条について、金融再生委員会規則に基づき、資産の査定の公表を、国際会計基準を勘案して、速やかに実施すると規定しました。これは、我が国の金融システムに対する国際的な信用を確保し、信用秩序の安定を図る観点から、だれが考えても、グローバルスタンダードに近づけるとしか解釈できない合意を行いました。
 現行の国際会計基準では、一年以下の短期投資は時価または低価、一年を超える長期投資のうちでも市場性のある株式は低価法を適用することになっております。原価法の選択適用は、財務諸表に化粧を施し、見せかけの金融機関の資産内容を国民に公表するにすぎません。
 この早期健全化法案では、今述べました財務内容の実態からはほど遠い原価法の継続を促すなど、国際会計基準に全く逆行しております。与野党覚書に反する法案を作成し、世界の基準とは異なる会計基準の採用を推し進める理由は一体何なのか、総理並びに提案者に答弁を求めます。
 次に、本法案に規定されております十兆円の政府保証枠と予算修正との関係について質問します。
 申すまでもなく、予算と法律との関係は、形式的にも実質的にもその性質、効力を異にしております。予算をもって法律を変更することはできないし、また法律をもって予算を修正することができないのは至極当然であります。
 しかるに、本法案では、廃止されようとしている十三兆円スキームに存在する十兆円の政府保証の枠組みを、予算修正を行わないで流用できるような規定が存在します。これは、法律によって実質的な予算修正を行うことと等しいものであります。いやしくも立法府に所属する者が、しかも予算の提出権を事実として有する政権与党が、みずから提出する議員立法において、憲法上明定された予算と法律の間の本質的な差異をなし崩しにし、形骸化させてしまうようなことは断じて容認することができません。
 今回の法案の財源措置として補正予算を提出するおつもりがあるのかどうか。さらには、本法案のように、予算を実質的に法律によって修正することを、立法府にある者として、また国政の最高責任者として妥当な行為とお考えか、総理並びに大蔵大臣の御見解を伺います。
 参議院で御審議いただいております金融再生法案の第三十七条で、金融再生委員会は、銀行がその業務または財産の状況に照らし預金等の払い戻しを停止するおそれが生ずると認める場合、特別公的管理開始決定をすることができる旨のスキームを用意いたしました。しかし、この早期健全化法案が成立した暁には、明らかに債務超過である金融機関以外はすべて資本注入の対象となり得るとも解釈できます。
#20
○議長(伊藤宗一郎君) 西川知雄君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#21
○西川知雄君(続) 自民党が発表した金融システム早期健全化対策の概要にある措置と金融再生法案の第三十七条の措置との関係はどうなのか。この点につき、総理及び提出者の見解を明確にお聞かせ願います。
 最後に、行政のあり方に関する認識についてお伺いします。
 我が国金融に対する世界からの懸念は、その規模の大きさとともに、その実態の不透明さ及び官僚による裁量行政に大きな原因があります。内外の疑念を払拭するには、少なくとも公的資金導入の主要基準について、当然法律事項として明記すべきであります。
 しかし、本法案では、これらはいずれも法律事項の対象外の措置となっているのであります。これでは、裁量権に基づく護送船団行政を継続し、強化するにほかならないと考えざるを得ません。あいまいな裁量行政の復活であれば、おのずから国民の対応は厳しいものとならざるを得ないのであります。
 小渕総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 西川知雄議員にお答え申し上げます。
 まず、金融機能安定化法の事実上の復活ではないかというお尋ねでございますが、本法案におきましては、新たな金融機関等の資本増強を図る制度を創設することといたしておりますが、資本増強に当たりましては、より厳格な条件をつけるなど、従来の十三兆円スキームとは抜本的に異なる制度としておるところであると承知をいたしております。
 情報開示についてのお尋ねでありますが、本法案には、情報等の適切かつ十分な開示に努めることを施策の原則として規定し、具体的には、資本増強策を講じるに当たり、金融機関から提出された経営健全化計画及びその履行状況についての報告を金融再生委員会が原則として公表することといたしておりまして、情報開示が大幅に後退しているのではないかとの御指摘は当たらないと考えております。
 今回の法案による政府保証枠の設定は予算修正ではないかということでありますが、金融危機管理業務につきましての政府保証枠に関する十年度予算の総則は、金融機能安定化法の廃止により効力を失うことになりますので、今回の法案の附則により新たに政府保証枠を設定することとしても、十年度予算を修正していることにはならないと考えております。
 なお、この法案の附則において、十兆円の政府保証枠が設定されておりますが、ただし書きにおきまして、国会の議決がなされた場合にはこの限りではないと規定されていると承知をいたしております。
 特別公的管理銀行に関するお尋ねでありますが、金融機能再生緊急措置法によれば、銀行がその財産をもって債務を完済することができない場合等に、金融再生委員会により特別公的管理の開始決定が行われるものとこれまた承知をいたしております。一方、早期健全化法案は、こうした場合には株式等の引き受けができないこととされていることから、本法案の成立により、金融機能再生緊急措置法に規定する特別公的管理制度が形骸化することはないと考えております。
 本法案は、銀行救済をちりばめた内容となっているのではないかとのお尋ねでありますが、資本増強に当たって、リストラ、経営責任、株主責任について厳格な条件をつけることとなっていると理解しております。また、経営健全化計画の中で非公表箇所を認めていることにつきましては、信用秩序を損なうおそれのある事項等を念頭に規定いたしたものと理解しております。
 また、本制度が護送船団方式的ではないかとのお尋ねでありました。
 今般の新たな資本増強制度は、株式等の引き受け等の申請について、各金融機関みずからの判断で行われ、それに基づいて、両院の同意を得て任命された委員で構成される金融再生委員会において、法律に規定する手続に従い適切に決定されるものと考えております。したがいまして、今般の資本増強制度に、信用金庫、信用協同組合、労働金庫まで対象とされていることにより、本制度が護送船団方式的であることにはならないものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどの政府保証債の枠の設定につきまして、総理の御答弁を補足いたします。
 従来、金融危機管理業務につきまして、十年度予算の総則におきまして、政府保証枠に関する設定があったわけでございますが、この枠は、金融機能安定化法の廃止によりまして、効力を失うこととなります。
 そこで、改めて枠を設定いたさなければならないことになりますが、日本国憲法八十五条によりまして、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」この規定に基づきまして、新しく債務保証の限度枠を設定いたします方法としては、法律または新たに予算によることとしなければなりません。今回は、この法案の御審議をお願いいたしておりますから、その附則によりまして、新たに政府保証枠を設定することといたしたわけであります。これによりまして、この法案の附則において、十兆円の政府保証枠が新たに設定されることになる、こういうふうに考えております。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
#24
○保岡興治君 西川知雄君にお答え申し上げます。
 本法律案では、新たに金融機関の資本増強を図る制度を創設することといたしておりますが、具体的には、優先株等に加えて普通株の引き受けを可能として、国が積極的に経営関与を行い、その健全化を図ること、また資本増強に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任についてより厳格な条件をつけること、合併等金融再編を十分視野に入れた仕組みとすること、資本増強の決定、これは、与野党合意のもとに新たに設立される金融再生委員会がこれを行うことなどを内容としたものであって、従来の金融機能安定化法の事実上の復活には当たらないと考えております。
 さらに、情報開示についてのお尋ねでございますが、本法案には、情報等の適切かつ十分な開示に努めることを原則として規定しています。この規定は、金融再生法案により、資産査定の実施、公表が義務づけられていることを前提に、金融再生委員会が破綻前の金融機関等に対して資本増強を講じる場合には、さらに情報開示に努めることの基本原則を定めたものでございます。
 具体的には、先ほど総理大臣からお答え申した内容と同趣旨のお答えとさせていただきたいと思います。したがって、情報開示が大幅に後退しているのではないかという御指摘は、当たらないものと考えております。
 残余の質問については、他の提出者からお答え申し上げます。(拍手)
    〔山本幸三君登壇〕
#25
○山本幸三君 西川議員にお答え申し上げます。
 資産評価の方法についてのお尋ねでございますけれども、先ほどの岡田議員の質問に対しまして宮澤大蔵大臣がお答えされましたように、信用収縮の状況や国際会計基準の動向等を勘案しながら、中長期的に検討すべき課題と考えております。
 なお、例えば、現在の我が国の困難な経済状況の中で、有価証券の評価につきまして性急に低価法を強制することは、猛烈な信用収縮を招きかねない等の問題もありまして、そうした点を踏まえつつ検討を行っていくことが重要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#26
○副議長(渡部恒三君) 谷口隆義君。
    〔谷口隆義君登壇〕
#27
○谷口隆義君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対して、質疑を行うものであります。
 この臨時国会における議論が、破綻金融機関の処理策ばかり集中してしまったことは、まことに残念であります。破綻金融機関は、預金者の保護、借り手の支援、決済システムの維持に国が全力をもって当たれば、影響を最小限とすることができます。我々自由党は、破綻金融機関については、これらに配慮した上で清算すべきである、むしろそれより重要なことは、金融システムの安定化であると一貫して主張をしてきた唯一の党であります。
 金融機関の早期健全化対策として重要な政策に、抜本的な経済対策があることは言うまでもありません。景気が回復すれば、金融機関にも不良債権を償却する体力が戻り、第二分類と言われる灰色債権も健全化するのであります。しかるに政府は、長銀救済にこだわる余り、取り返しのつかない時間的ロスを我が国にもたらしたわけであります。長銀問題を政治問題としてしまったのは政府・自民党であることをまずもって指摘したいのであります。
 政府は、不良債権問題に最終決着をつけないまま、金融ビッグバンを開始いたしました。政策手順の誤りは明らかであります。その結果、金融機関のみならず、証券、生保各社は、世界規模の再編の中での生き残りと、一方で不良債権処理を同時に進めなければならないという大変な困難に直面をいたしております。ビッグバン開始後の今、我が国の金融機関の将来像がどのようにあるべきかを明確にした上で、金融機関の体質強化を行わなければならないのであります。
 不良債権に対し貸し倒れ引き当てや償却できない金融機関の体力のなさ、収益性の低さこそが問題であり、そういう意味で、早期健全化とは金融機関の再編合理化に資するものでなくては何の意味もありません。つまり、我が国金融機関の抱える構造問題に対する視点がなければ、ただの問題の先送りにすぎません。これこそが、株安を初めとする先行き不安の本質であり、再編後のグランドデザインを示さないで個別金融機関を救済しても、問題の解決にはならないのであります。
 まず最初に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 我が国金融機関、また金融業界のあるべき姿をどのようにお考えか、明確な答弁を求めます。
 今回提出された金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案は、考え方そのものが旧来の護送船団方式の範疇を全く出ていないと言わざるを得ません。政府は、本年三月、健全な金融機関であるとして、日本長期信用銀行を初め二十一行に対し、公的資金による資金注入を行いました。その長銀は、半年もたたないうちに、明らかに経営に行き詰まっているのであります。これは、資金注入の際の審査がいいかげんであったことを如実に示しております。
 今回の早期健全化法においても、同様に、粉飾査定に基づいて公的資金が使われかねません。また、過少資本や、著しい過少資本等という新しい言葉をつくっておりますが、自己資本比率の分類区分が法律事項とはなっておらず、定義もあいまいであります。破綻金融機関の救済が行われかねません。自由党は、破綻金融機関の救済に税金を使用することは、反対であります。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 第一に、長銀の検査はいつになったら終わるのですか。また、その結果を公表されるおつもりはあるのでしょうか。
 第二に、長銀の扱いはどのようにされるのですか。本当に特別公的管理によって処理をされるおつもりでしょうか。
 第三に、長銀の資産査定や引き当て基準をあいまいにしてしまえば、長銀は健全銀行ということになるのではないでしょうか。
 第四に、この早期健全化法によって、長銀に資本注入を行うことは絶対にありませんか。
 以上、明確な答弁を求めます。
 我が国の未曾有の金融危機は、金融機関への不信、それを監督する立場にある政府への不信、そして自民党への不信が根源にあります。つまり、裁量行政とそれに伴う政官財癒着の構図が続く限り、金融システムの安定化など望むべくもないのであります。正しい情報の開示は、すべての前提であります。この健全化法も欺瞞に満ち満ちており、とても国民の理解と納得が得られるようなものではありません。本法案は、我々自由党が目指す、事前指導型行政から事後チェック型行政への改革、フリー、フェア、オープンな社会の実現とはかけ離れており、全く相入れないものであります。
 次に、提出者にお伺いいたします。
 第一に、この早期健全化法と金融機能安定化法、すなわち十三兆円スキームはどこが違うのですか。いわゆる衣がえではありませんか。
 第二に、不良債権の分類基準等の資産査定の方法、引き当てのガイドライン、自己資本比率の算定方法などは法律事項とはなっておりませんが、これで本当に裁量性を排除できるとお考えでしょうか。
 第三に、資産査定や自己資本比率の虚偽報告に対するペナルティーを、なぜこの法律に書き込まないのですか。虚偽報告には、業務停止命令などの厳しい処分をする必要があるのではないでしょうか。
 第四に、株式等の引き受けを受けた金融機関は経営健全化計画を作成することとしておりますが、本当にそれで十分なのでしょうか。長銀の例を見るまでもなく、いいかげんなものでは許されません。資本注入を行う以上、業務改善命令を発して、リストラや合併を義務づけなければならないのではありませんか。
 第五に、著しい過少資本行とは、すなわち預金の支払いを停止するおそれのある金融機関のことではないのですか。業務停止命令を発する必要があるのではないですか。
 第六に、普通株を取得する必要があるのでしょうか。業務改善命令や業務停止命令を発すれば、優先株で十分なのではないですか。
 第七に、これでは金融機能安定化法、つまり十三兆円スキームの改悪ではないでしょうか。
 以上、お伺いをいたします。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 金融機能再生法案を破綻前金融機関に適用できるように修正し、この健全化法案により、実質破綻している金融機関を救済できるようにして、護送船団行政を継続されるつもりではないのですか。
 この国会において、小渕総理の存在感が全くありません。法案も議員提案であり、鳴り物入りで登場した宮澤大蔵大臣は、みずから法案を提出さえいたしておりません。本来、最も大事な実体経済の悪化に歯どめをかける施策も、何も提案されることはありません。余りにも危機感が欠如していると言わざるを得ません。(拍手)
 最後に、総理にお伺いいたします。
 第一に、みずからは何の手も打つことなく、経済危機を人質に、政策立案や法案化作業に野党を巻き込み、内閣の延命を図るだけが小渕内閣の方針なのですか。
 第二に、このような状況の中で、いまだに自分の内閣を経済再生内閣であるとお考えでしょうか。
 第三に、小渕内閣の存続こそが政治空白であると言われておりますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
 以上、答弁を求めます。
 金融ビッグバンが進行している中で、我が国のオーバーバンキングという状況を見詰め、その是正を行わなければいけないという観点から、実質的に経営破綻している金融機関を救済するために公的資金を投入すべきではありません。問題を先送りするのではなく、金融業界に自律的な再編を促し、国際競争力をつける意味においても大胆に構造改革を行う必要があります。
 今回の処理は、我が国の今後の動向に大きく影響する意味で、極めて重要であります。現在の痛みは、必ずや今後の構造改革に資するものと申し上げ、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 谷口隆義議員にお答え申し上げます。
 まず長銀の検査について冒頭お尋ねがありました。
 長銀に対する検査につきましては、いまだ終了しておらず、検査結果は出ておりませんが、今後できるだけ早急に立入検査に基づく検査結果の取りまとめ等が行えますよう、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 いずれにせよ、個別金融機関の検査結果の公表につきましては、取引先等に不測の損害を与えたり、個別私企業の経営内容を、当事者の意に反して開示することとなる等の問題があるほか、場合によっては信用秩序維持に不測の影響を及ぼすおそれがあります。したがいまして、金融監督庁から公表することは適当でないと考えられます。
 次に、長銀につきまして、特別公的管理によって処理するのかとのお尋ねでありました。
 長銀問題につきましては、与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされたところであります。政府といたしましては、与野党合意を踏まえ修正された金融再生法案が成立することを望むとともに、新しい利用可能な枠組みのもとで適切に対処してまいる所存であります。
 長銀の資産査定等につきましてでございますが、長銀を含め、今回の十九行検査におきまして、三月期における資産の自己査定及びそれに基づいた償却、引き当ての実施状況について、的確な実態把握に努めているところであります。長銀に対する検査につきましてはいまだ終了しておりませんが、検査結果は出ておりませんので、今後、できるだけ早急に立入検査に基づく検査結果の取りまとめ等が行えるよう、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 長銀に対する早期健全化法案により資本注入することは絶対ないかとのお尋ねでありますが、長銀問題につきましては、与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされたところであります。政府としては、与野党合意を踏まえ修正された金融再生法案が成立することを望むとともに、新しい利用可能な枠組みのもとで適切に対処してまいる所存でございます。
 私の金融再生への取り組みについてお尋ねでございますが、金融再生問題につきましては、さきの党首会談を踏まえ、与野党間で精力的に内容の詰めが行われ、また、私自身も、節目節目でみずから決断をいたしました結果、先般、修正法案が衆議院に提出、可決され、参議院で法案審議の運びとなったものでございまして、金融システムの再生と安定を図るためには、早期健全化スキームを含めた法案が一日も早く成立することが必要であると考えております。
 最後に、経済再生内閣について大変厳しい御指摘をちょうだいいたしました。
 私は、経済再生内閣、そのためには何よりも現在の日本の景気を回復することが喫緊の課題でありますが、さらに、この景気を回復するためには金融システムの安定化こそまずなさなければならないことと考え、対処いたしております。これを第一歩と考えております。したがいまして、今国会も若干時間を必要としたという世評もございまするけれども、与野党の話し合い、熱心な御協議によりまして、関係法案も現在衆参で御審議をいただいておるところでございます。
 こうした関係諸法案の一日も早い成立をいただくことによりまして、しばしば申し上げておりますが、一両年のうちに我が国経済を回復の軌道に乗せるよう、内閣の命運をかけて、引き続き最大の努力を続けてまいる決意でございますので、ぜひ御理解と御協力をお願いいたす次第でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、今後の我が国の金融機関、金融業界のあるべき姿ということについてお尋ねがございましたが、いわゆる護送船団方式というのは、行政の側におきましても、金融界におきましても、急速に過去のものになりつつあります。自由競争と市場規律の中で、各銀行の間に激しい競争が、殊に銀行検査の徹底とともに優劣が分かれてまいりますので、起こってまいらざるを得ないと思います。その結果、各行がおのおの自分の得意の分野に特化していくことになる、そして、利用者を中心に、利用者のニーズに応じた特色のあるサービスあるいは商品を売っていくということになるのではないかと考えております。また、中には対外活動に活発に従事する幾つかの金融機関も出てまいるかと思っております。
 それから、先ほどの総理の御答弁を補足いたしますが、いわゆる護送船団方式というのはもう過去のものになりつつあると思いますが、先ほどお話しになりました、取りざたされております長銀のことでございますが、この処理がいわゆる健全化法案の適用の対象になることはあるまい、ないと考えております。
 また、別途、現実の事態になっておるわけではありませんけれども、おっしゃいましたような事態になりますと、それは再生法、金融再生関連法案の分野に属する問題であるというふうに考えております。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
#30
○保岡興治君 谷口隆義君にお答え申し上げます。
 早期健全化法と金融機能安定化法の違い、あるいは十三兆スキームの改悪ではないかというお尋ねでございますが、具体的には、優先株等に加えて普通株の引き受けを可能として、国が積極的に経営関与を行い、その健全化を図ること、資本増強に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任について、より厳格な条件をつけること、合併等金融再編を十分視野に入れた仕組みとすること、資本増強の決定は、与野党合意のもとに新たに設立される金融再生委員会がこれを行うことなど、従来の十三兆スキームとは抜本的に異なる新たな制度とすることといたしております。
 裁量行政の排除についてのお尋ねがございましたが、自由民主党案では、金融監督庁は検査結果を踏まえ、第三、第四分類の債権についての引き当てガイドラインを策定し公表するとともに、第二分類の債権については細分化、引き当てのあり方について早急に検討することとしております。引き当てや自己資本比率の算定方法などについては法律事項となっていませんけれども、ガイドライン等の明示されたルールのもとで行われることから、裁量行政は排除できるものと考えております。
 資産査定や自己資本比率の虚偽報告に対するペナルティーについてお尋ねがございましたが、本法案について虚偽報告に対するペナルティーは設けてはいませんが、現在の制度でも、自己資本比率は企業会計原則に従って適正に算出され、また、自己査定の結果を前提に作成される財務諸表について虚偽の記載を行った者は、刑事上、民事上、それぞれ責任を負うことの処罰規定がございます。これによって、虚偽報告を行った者は責任を問われることになるということだと考えております。
 残余の質問については、他の提出者よりお答えを申し上げます。(拍手)
    〔山本幸三君登壇〕
#31
○山本幸三君 谷口議員にお答え申し上げます。
 まず、経営健全化計画についてのお尋ねでございますけれども、本法案におきましては、株式の引き受け等の申請に際しまして、金融機関等は、経営の合理化、経営責任、株主責任、信用供与の円滑化の取り扱いに関する方策を盛り込んだ経営の健全化のための計画を金融再生委員会に対して提出し、さらに、金融再生委員会の承認があったときは当該計画の公表が定められるなど、きちんとした対応を求めることとしております。
 次に、著しい過少資本行についてのお尋ねがありましたけれども、早期健全化法では、自己資本比率〇%以上四%未満の金融機関を念頭に置いておりますが、これは、預金保険法上の破綻金融機関である預金の支払いを停止するおそれのある金融機関を指すものではございません。
 次に、普通株の取得についてのお尋ねでございますが、その取得につきましては、当該銀行の経営管理等を通じた適切な業務の運営の確保等が不可欠である要件が、第六条第二号に規定されておりまして、国が当該銀行の経営管理等に積極的に関与する必要があることもあり得るものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(渡部恒三君) 春名直章君。
    〔春名直章君登壇〕
#33
○春名直章君 私は、日本共産党を代表して、自民党提出、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について質問いたします。
 今、国民は、最悪の失業率、中小企業倒産の激増など深刻な不況に苦しんでおります。ところが、経済再生を看板に掲げて誕生した小渕内閣は、この二カ月余り、不況打開、国民生活を守る施策は何一つ手を打たず、ただただ銀行支援に熱中してきたのであります。国民の怒りと不信は、まさに頂点に達しております。
 修正された金融再生法案は、ほとんど審議抜きで、議会制民主主義をじゅうりんし、衆議院で強行されました。これだけでも数十兆円もの銀行支援に道を開くものとなったのであります。それは、公的資金投入の対象が破綻銀行だけだった元法を、破綻認定をしないで、破綻前の銀行に対しても、一時国有化の名で国が丸抱えで処理することを可能にしたものであります。
 また、すべての金融機関を対象に、公的資金で不良債権を購入してやるという前代未聞の条文が潜り込まされるなど、銀行と銀行業界応援法に変質させられたのであります。国民が、なぜ我々を助けず、銀行だけを助けるのかと怒りの声を上げるのは至極当然であります。
 ところが、まだこれでも足りないと言わんばかりに、今度は会期を延長してまで早期健全化法案を一気に成立させようとしているのであります。一体どこまで銀行支援に熱中すれば済むのですか。
 そこで、まずお聞きをしたいと思います。
 金融再生法案、早期健全化法案の中には、国民には青天井で負担増を求める内容はふんだんに盛り込まれております。銀行、金融業界にただの一円も負担増を求めるものになっておりません。あるというなら、その条文は一体どこにあるのか。提案者の明確な答弁を求めるものであります。
 この法案には、資本注入ができる場合の一応要件らしいものを書いております。しかし、破綻寸前の銀行であろうと、著しく過少資本の銀行であろうと、八%を超えた優良銀行であろうと、すべての銀行に対して、一定の要件を満たせば資本注入できる仕組みになっているのであります。つまり、破綻していない金融機関でさえあれば、どこでも対象になり得るというものではありませんか。提案者に具体的にお答え願いたいと思います。
 廃止される十三兆円の枠組みは、それでも健全銀行に限るという表看板がありました。今度はその枠組みを廃止し、健全であろうと、そうでなかろうと、資本注入ができるという仕組みになるのであります。これでは、十三兆円の枠組みを使い勝手をよくして復活させただけではありませんか。提案者の答弁を求めたいと思います。
 八%以上の優良銀行への資本注入の条件が三点挙げられ、あたかも厳しい条件が加わったかのような印象を与えています。
 そこで、具体的に伺います。
 急激、大幅な信用収縮を避けるとか、合併などで金融再編成で資本増強が必要との条件がついていますが、それは、資本増強が必要と金融機関が考え、申請すれば税金投入が可能となるということではありませんか。これでは何の歯どめにもならないではありませんか。提案者の答弁を求めたいと思います。
 この法案は、対象となる銀行が無限定という点だけではありません。投入する金額も無限定になるという危険性が高いことも問題であります。
 予算措置として、当面十兆円とされています。国会の議決を経ればこの限りではないとなっているのであります。現に、自民党の池田政調会長は、この資金枠で十分だという気持ちはない、一番早い予算補正の機会に金額を上乗せすべきだと語ったと報道されているではありませんか。十兆円が二十兆に、三十兆に膨らむ危険性があることは明らかであります。提案者の答弁を求めるものであります。
 なぜ八%を超えた優良銀行にまで資本注入が必要なのでしょうか。法案第三条では金融機関等の再編を促進することを原則として掲げていることをあわせて見れば、一目瞭然であります。要するに、大手都市銀行が他の金融機関と合併し、のみ込んでいく、そして一層巨大化をし、金融ビッグバンのもとでも確実に競争に勝ち、もうけを獲得していく、こういう金融機関の再編を後押しするために資本注入を行うということであります。
 なぜ巨大銀行の国際競争力強化のために税金を投入しなければならないのでしょうか、なぜそのために国民が犠牲にならなければならないのでしょうか、国民が納得する提案者の答弁を求めたいと思います。
 今必要なことは、銀行の乱脈、無法な体質を本気で改めさせることであります。銀行はこの間何をしてきたか。バブル期には、地上げ屋やゼネコンと一体となって投機的土地融資を行い、住民を町から追い出し、町を破壊してきました。バブルが崩壊し、不況が深刻化すると、銀行は一転して、貸し渋り、資金回収で多くの企業を倒産に追い込んでまいりました。銀行は、企業を育てるのが仕事じゃありませんか。全く本末転倒であります。今や、銀行への怨嗟の声は国じゅうに広がっています。
 なぜこの銀行に対して青天井で税金を投入して、支援しなければならないのですか。やるべきことは、乱脈、無法な体質そのものを改める厳しい指導ではありませんか。自己資本が低下すれば、真っ先にやるべきは、まず、国際業務からの撤退、リスクの高い業務からの撤退等々、その銀行経営のあり方を正すことではありませんか。大蔵大臣の明確な答弁を求めたいと思います。
 ところが、この法案は、こうした当たり前の指導をしないで、ただひたすら税金投入に突っ走るだけであります。これでは、早期健全化ではなくて、早期税金投入による救済ではありませんか。大体、国内で自己責任、自己負担の原則で預金者保護も借り手保護もできないような銀行に、げたを履かせて国際金融の舞台に出す必要など全くありません。国内銀行としての責任を厳しく果たさせることこそ、政府の責任ではないでしょうか。総理の明確な答弁を求めたいと思います。(拍手)
 また、国が面倒を見なければならないような銀行を、世界は決して信認しないでしょう。税金丸抱えのこうしたやり方は、かえって日本の金融機関と金融行政への信頼を失墜させるだけであることを厳しく指摘するものであります。
 アメリカでは、最近、ヘッジファンドのLTCMが破綻の危機に見舞われたとき、ニューヨーク連銀が仲介に乗り出し、欧米十四の銀行が資金援助して破綻を回避させたと言われています。それでも、アメリカ議会では、こんなことをやればアメリカの金融行政の道徳的権威が失墜する、連銀が介入したことによって公的資金投入につながる危険がある、こういう声が上がっているのであります。
 銀行にいかに税金を投入するか、その道ばかり考えている日本政府の態度とは、余りにも対照的、天地の開きがあると言わざるを得ません。こうしたアメリカの教訓にこそ学ぶべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。
 日本共産党はこのような法案には断固反対であることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 春名直章議員に御答弁申し上げますが、お許しをいただきまして、その前に、先ほど西川議員からお尋ねをいただきました点につきまして、一点答弁漏れがございましたので、この際、御答弁をさせていただきます。
 それは、この法案における資産評価の規定についてでございますが、資産評価の方法につきましてお尋ねがありました。
 その一般的なあり方につきましては、今後、国際会計基準の動向等を勘案しつつ検討していくべき課題と考えております。
 春名議員からお尋ねありました点でございますが、米国ヘッジファンドに関連してのお尋ねでございます。
 不良債権の処理が、金融機関の最大限の自助努力により行われるのは基本でありますが、今回米国でとられた対応は、グローバルな金融市場の混乱を未然に防止するためのものと聞いております。いずれにいたしましても、金融システム全体の危機を絶対に起こさないとの強い決意のもと、金融システムの安定に万全を期すべく、全力を挙げていく所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) 国際業務についてお尋ねがございまして、確かに、日本の銀行が力がありましたときには、もうみんな、地方銀行もかなりたくさん世界に出ていきまして、ちょっと私はステータスシンボルのような印象を持ったことがございますが、こうやって体力が弱まってまいりますと、国際業務あるいは業務の体制を維持することは、かなりの負担でございます。
 したがいまして、早期是正措置などについての議論がありますときに、国際業務から撤退することなどが論じられておるのは、そういうことであると思います。しょせんは経営者自身の経営判断ではございますけれども、全体としては、かなりの銀行が国際業務から撤退するのが現在の趨勢のように思います。
 それから、ヘッジファンドのことでございますが、確かに、ヘッジファンドが破綻しそうになりましたときに、ニューヨークの連銀の総裁がリードして業界から金を出させたということは、よくも悪くもアメリカで非常に大きなニュースになりましたが、ただ、ちょうど私はそのときに行っておりましたものですから、日本について言われましたことは、ともかくアメリカでは各銀行に金があったから処理ができたが、やはりこういうときには日本では公的な処理をしないと、みんなに金融システムの安全性が疑われるのではないかというような指摘もありましたことをつけ加えさせていただきます。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
#36
○保岡興治君 破綻後対策としての金融再生法及び破綻前対策としての今回の早期健全化措置法は、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎ、信用秩序と経済に重大な影響が懸念される状況となったことにかんがみて、公的資金の活用により金融の安定と再生を図ったものでございます。個別銀行の救済を目的とするものではなく、金融システム全体を包括的に再生させることを目指すものでございます。
 資本増強の対象となる金融機関についてのお尋ねでありますが、早期健全化法では、例えば、株式の引き受けによりその資本の増強が図られなければ、当該銀行の業務または我が国における金融機能に著しい障害が生じ、信用秩序の維持または企業の活動もしくは雇用の状況に甚大な影響を及ぼすなど、経済の円滑な運営に極めて重大な支障を生ずるおそれがある場合でなければ株式等の引き受けができないこと等の要件が規定されておるところでございます。すべての金融機関を資本増強の対象とはしておりません。
 十三兆円の復活、増強ではないかとのお尋ねでございましたが、本法案では、これまでの十三兆円スキームは廃止し、新たに金融機関の資本増強の制度をつくることとしています。
 具体的には、優先株等に加えて普通株の引き受けを可能とし、国が積極的に経営関与を行い、その健全化を図る、資本増強に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任についてより厳格な条件をつける、合併等金融機関再編成を十分に視野に入れた仕組みとする、資本増強の決定は、与野党合意のもとに新たに設立される金融再生委員会がこれを行うなど、十三兆円スキームとは抜本的に異なる新たな制度となっております。
 なお、資本注入の条件についてのお尋ねでございましたが、今般の金融機能早期健全化法案の新たな資本増強制度においては、自己資本比率八%以上の優良銀行の優先株等で引き受けの対象となるものは、原則として破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、急激かつ大幅な信用収縮の回避のために必須のもの、並びに合併等金融再編の観点から資本増強を余儀なくされるものを対象とすることを考えております。(拍手)
    〔山本幸三君登壇〕
#37
○山本幸三君 春名議員にお答え申し上げます。
 予算措置についてのお尋ねでございますけれども、附則第四条本文におきまして、平成十年度、金融機能早期健全化業務及び金融再生業務のために、合計で十兆円の範囲内で債務保証ができる旨を規定しております。
 一方で、ただし書きにおきまして、予算総則により十兆円とは異なる金額について国会の議決を得た場合には、十兆円ではなく、その新しい金額が政府保証の限度額になる旨定めております。したがいまして、本案施行に要する経費としては、当面十兆円となる見込みであるとしたところでございます。
 次に、公的資金の使途についてのお尋ねでございますが、本法案の資本増強制度は、特定の規模の金融機関のみを対象としたものではございません。また、その目的は、個別行の救済のためではなく、我が国の金融機能の早期健全化を図り、金融システムの再構築と経済の活性化のためのものでございます。(拍手)
#38
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#39
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十四分散会

ソース: 国立国会図書館
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