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#1
第142回国会 国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会 第1号
平成十年二月二十七日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
平成十年一月二十九日国際問題に関する調査会長
において本小委員を左のとおり指名した。
                板垣  正君
                馳   浩君
                山本 一太君
                広中和歌子君
                福本 潤一君
                田  英夫君
                上田耕一郎君
                永野 茂門君
                山崎  力君
同日国際問題に関する調査会長は左の者を小委員
長に指名した。
                板垣  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        板垣  正君
    小委員
                馳   浩君
                山本 一太君
                広中和歌子君
                福本 潤一君
                田  英夫君
                上田耕一郎君
                永野 茂門君
                山崎  力君
   政府委員
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        加藤 一宇君
   参考人
       読売新聞解説部
       次長       杉下 恒夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○対外経済協力に関する件のうち、「二十一世紀
 に向けたODAの在り方」について
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(板垣正君) ただいまから国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 対外経済協力に関する件の調査のため、本日、参考人として読売新聞解説部次長杉下恒夫君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○小委員長(板垣正君) 対外経済協力に関する件を議題といたします。
 本日は、二十一世紀に向けたODAのあり方について政府からの説明聴取、参考人からの意見聴取及びそれに対する質疑を行います。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたびは、御多用中のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、忌憚のない御意見を伺い、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず政府から十五分程度説明を聴取し、次いで杉下参考人から十五分程度御意見を伺った後、午後零時半を目途に質疑を行いたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。
 なお、意見、説明、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず政府から説明を聴取いたします。大島外務省経済協力局長。
#5
○政府委員(大島賢三君) 本日は、この対外経済協力小委員会の場で三回目の御説明を行う機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
 常日ごろ、小委員長を初め委員の諸先生方におかれましては対外経済協力の問題につきまして大変に強い御関心をお向けいただき、かつ御研究をいただいておるということで、私どもとしても大変に心強く感じておるところでございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 本日は若干資料を配付させていただきました。二十一世紀に向けてのODA改革懇談会の報告書、ブルーの報告書が一つございます。それから、レジュメに加えまして、主要援助国における最近の援助体制の動きにつきまして、若干最近動きがございましたので、まとめて後で簡単に触れさせていただきます。それから最後に、ODA改革に関します各種の提言がいろいろなところから出されております。一応そのポイントを比較表の形でまとめさせていただいて、配付させていただいております。
 それでは、まず外務省の方で行いましたODA改革懇談会の最終報告につきまして簡単に御説明をさせていただきます。
 この懇談会は、学識経験者、経済界、マスメディア、NGO、各界を代表されるような方にお集まりいただきまして、池田前外務大臣のとき、昨年の四月二十一日でございますけれども始まりまして、十八回にわたりまして御議論を行っていただいて、本年一月末に小渕外務大臣の方に提出いただいたものでございます。
 懇談会におきましては、途中で財政構造改革に関する緊急意見というのを昨年五月の時点で発表いただき、それから六月下旬の段階で中間報告をとりあえず発表されまして、さらに今回の最終報告ということになったわけでございます。
 ちょうど十年前になりますが、当時、安倍晋太郎外務大臣のときにやや似たような懇談会が組織されまして、ODAの実施効率化委員会ということで、当時はODAを額的、計画的にふやす、そういう段階でございまして、各方面で各側面からODAの増大に伴ってこれをどういうふうに効率的にやっていくかという見地から御議論いただいたということでございます。今回は、ODAの予算が削減されるという流れの中での議論であったわけでございます。
 最終報告では、総論におきまして、ODAの基本精神というものを憲法の前文に求めるという視点を明らかにされた上で、ODAを取り巻きます昨今の内外の情勢の変化、それから基本原則に立ち戻りまして、ODAの理念とか原則、目的というものは一体どういうものであるべきかという基本論に立ち返りましていろいろ議論がございました。その結果が記述されております。
 ODAが実現すべき目的につきましては、国際社会全体の利益のために行動する、そういうことが結局最終的に日本の長期的な開かれた国益につながるということが強調されております。また、日本のODA政策は何であるかということを内外に明らかにするためにODA中期政策というものを政府として示すことが提言されております。
 各論にわたりましても詳細な議論と提言が含まれております。重点分野、それから国民参加、情報公開、開発教育、人材育成、ODAの実施体制、こういった諸側面につきまして、今後のODA改革の指針となるような具体的な提言が多数盛り込まれております。私どもの方で整理をいたしますと数十項目にわたっておるわけでございます。
 最終報告書の主要ポイントにつきまして二、三触れさせていただきますと、まずODAの計画実施に際しまして国別のアプローチを強化すべきことが強調されております。援助受取国の真のニーズに即した援助を実施するために、また、援助政策の一体性、整合性を確保するために、中間報告では外務省を取りまとめの責任者とする国別援助計画の策定をきちんとすべきであるということが既に提言の中に入っておりましたけれども、最終報告におきましては、援助政策の一体性確保のためにODA総合政策協議会といったようなものを政府の中に設置してこの国別計画を充実させるべきであるということが入っております。
 それから、二番目のポイントとしまして、ODAの実施に当たりまして現場の重視ということが強調されております。と同時に、援助実施機関の強化ということが言われております。このために、ODAの業務あるいは権限につきまして政策機関からできるだけ実施機関に移していくこと、それから東京から開発途上地域の援助の現場に移していくこと、こういうことが言われております。そのための体制の強化、それから実施機関の機能強化も必要であるといった観点から種々の提言が行われております。
 それから三番目に、一つの考え方、概念としましてパートナーシップという考え方を強化していく必要があるということが言われております。今後は先進国、それからある程度発展を遂げた中進国、それから開発途上国の三者の間のパートナーシップの推進が極めて重要になってくる、こういった観点から、既に南南協力支援ということが言われてきておりますけれども、最終報告ではそれをさらに一歩進めましてパートナーシップ推進フォーラムといったような考え方が打ち出されておりまして、日本がイニシアチブをとってこういったものを設立していくべきではないかということが言われております。
 最後に、その他でございますけれども、最終報告におきましては、重点分野を明確化する中で、特に人間中心の開発ということを日本の援助政策の中でもっと強調していくべきである、と同時に、貧困対策とかあるいは教育、医療といったような社会開発の分野の重視姿勢を強めていくべきであるということが強く打ち出されていると思います。
 それから、民間企業あるいは地方自治体、NGO、こういった政府以外の国民各層の、あるいは組織のODA活動への幅広い参加も重要なポイントとして踏まえるべきであるという見地から、NGOを通じます援助の拡充、さらに今申し上げたようないろいろな大学、シンクタンク、地方自治体、さらにはNGO、こういった参加者ができるだけ効率的に幅広く援助活動に参加できる制度としまして、プロジェクトの一括委託方式、報告書の言葉ではコントラクトアウト方式と呼ばれております一括委託方式を取り入れるなどして国民参加を推進すべきであるということが言われております。
 さらに、情報公開につきましても、データベース化を進めると同時にその情報公開を図る、それから外務省あるいはいろいろな各実施機関におきまして情報公開担当官を指名して公開を進めるべきであるという提言も入っております。
 さらに、援助活動に携わります人材の育成、活用につきましても、政府の各省庁依存型のリクルートに加えまして、いわゆる世間一般に人材を公募していく公募型の専門家をもっとふやすべきである、公募制度の普及化それから援助関係に関します各種研究機関のネットワーク化を進めて効率を上げるべきである、あるいは人材データバンクの構築を図るべきであるといったような提言も入っております。
 以上が外務大臣に提出されましたODA改革懇談会の幾つかの重要な点であろうと思います。
 次に、外務省以外におきましても、他省庁あるいは経団連等から最近ODAの改革に関しましていろいろな提言が出されております。横長の比較表がそのメーンポイントを整理したものでございます。
 ちょっとごらんいただきますと、一番左が今申し上げました外務省関係のものでございますが、通産大臣の諮問機関として産構審の経済協力部会から九七年六月に意見具申が出されております。それから、経企庁調整局長の私的勉強会という位置づけのようでございますが、経済協力政策研究会から去年の六月、ことしの一月、二回にわたりまして累次の報告が出されております。さらに、経団連から「政府開発援助の改革に関するわれわれの考え」と題しまして昨年四月の段階に発表されております。それから、一番右側、財団法人日本国際フォーラム、これは伊藤憲一さんのところでございますけれども、「発展途上国支援の新方向を探る」と題します提言がございます。
 一言、この一番最後の財団法人の提言につきましては、実はこれはまだ非公開のものでございまして、二週間ぐらいしますと発表になるというふうに承知をいたしておりますが、一応外務省関係の団体でございますので、私どもに関する限りは報告を受けております。したがいまして、対外的な御引用は今の段階ではお控えいただければ幸いでございますが、諸先生方の御参考までにここに含めさせていただきました。
 以上のようないろいろな提言が出されております。
 共通点を拾ってみますと、これら各種の提言等に共通しておりますのは、一つは国別アプローチの強化、それから本格的な国別援助計画の策定の必要性、こういった点につきましてはほぼ共通しているかと思います。と同時に、実施機関の連携強化とか、さらにNGOや民間とのパートナーシップの拡充についても、表現ぶりとかアクセントの置き方等々については若干違いはありますけれども、共通していると思います。
 相違点としましては、産構審の提言それから経企庁の経済協力政策研究会の提言は、ややもすれば経済的利益をODAの意義の中心に置いたようなニュアンスが見られるかと思います。それから、援助実施体制につきましては、外務省のODA改革懇談会それから日本国際フォーラムの提言は外務省を調整の中心に置くということが中心になっておるのに対しまして、通産省の産構審は内閣主導の連携強化を言い、それから経団連は実施機関をむしろ一元化した国際協力庁の設置というものを掲げておられます。
 それから、ODA基本法の問題につきましては、正面から扱っておりますのは最後の日本国際フォーラムの提言、これがODA基本法につきまして国会の事後報告を定める緩やかな基本法の制定というものを提言しております。
 最後に、外務省としては、大臣の方から、この提言、外務大臣に提出されたものにつきましてはよく事務当局で検討の上、できるところから実施すべきであるということで指示をいただいておりまして、現在その実施に向けて準備に入り、まさにできるところから逐次実施していきたいと考えております。
 時間がなくなりましたので最後に一言、二番目にお配りしました主要援助国における最近の援助体制の動きということでございます。
 一番大きな最近の話としましては、フランスにおきまして、政府の中におきます援助体制の組織といいますか、体制変化がございました。従来、一番上にございますように、フランスはやや日本と似ておりまして非常に多元化した制度になっておりました。協力省というものがございまして、これがフランスの旧植民地を対象にやっておりました。それから、外務省が技術協力等をやっておりました。それからあと、日本の大蔵省に相当します経済・財政省というものが有償資金協力とか世界銀行等をやっておりましたが、一番大きな変化は、フランスの旧植民地、アフリカ中心でございますけれども、協力省が基本的には外務省に統合されるという形で整理をされました。ただ、そこには外務大臣とは別途大臣を、これも閣内大臣でございますけれども、置くという形で大きな整理がなされたようでございます。フランスにおきまして、聞きますと三十年ぐらいにわたりましてああでもないこうでもないという議論が続いたようですが、昨今いろいろな状況を反映しましてこういう形で整理がされたというのがフランスの話でございます。
 それから、イギリスにつきましては、既に御案内のとおり、保守党のもとで外務・英連邦省の外局として海外開発庁というものがございましたが、これが独立の国際開発省、DFIDというものに格上げをされまして、国際開発大臣が閣内相ということで置かれております。と同時に、ODAだけに限りませんで、いわゆる援助に関しますいろいろな貿易でございますとか農業政策でございますとか、援助に関する限りは幅広く対応できるような体制をとっておるということでございます。
 アメリカにつきましては、前回御説明の機会を得ましたけれども、法律その他がまだ議会に滞ったままで、その後特に新しい進展はないというふうに理解しております。
 最後に、オーストラリアにおきましてもいろいろ援助の政策体制の見直しが行われておりまして、サイモンズ委員会という財界人をヘッドとします三人の専門家委員会で提言をつくり、政府にそれを諮問し、政府がそれに対する回答を出して今改革の話が進んでいる、こういうふうに承知いたしております。
 以上、御説明させていただきました。ありがとうございました。
#6
○小委員長(板垣正君) ありがとうございました。
 次に、杉下参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。杉下参考人。
#7
○参考人(杉下恒夫君) 杉下でございます。
 私はふだん余り早く起きないんですが、けさ早くうちを出たら女房が何しに行くんだと言うので、国会の参考人だと言ったら、何か悪いことをしたんじゃないかと言われました。私は少しでもきょうお役に立てればと思っております。
 私、ここの席に呼んでいただくのは二度目になるんですが、ちょっと簡単に自己紹介をさせていただきますと、八九年に海外駐在から帰ってまいりましてからほぼ九九年間、経済協力だけを取材しているという変わった記者でございます。なぜ取材しているかというと、やはり私はこのODAが政治行為、経済行為として非常に重要なことだと認識しておりまして、また、多々むだもあったり直さなきゃならない点もあるでしょうが、おおむね目的が達成されて開発途上国の人たちの生活の向上などに貢献しているというふうに前向きにとらえておりまして、そのために、これをもっとよくしてさらに進めていくべきだという観点から、この問題に関心を深く持って取材しているわけです。
 先日も、例のODA予算一〇%削減ということで、いろいろな方、海外の大使の方とか国際機関の方たちが私どものオフィスを訪ねてきまして、随分心配されました。やっぱり突然援助額が減るということを大変心配されたわけです。そういう話の中でも、今、いかに日本のODAというものが世界の中の社会、特に開発途上国の中において大きな存在を占めているものかということを改めて認識して、これをさらによりよく進めていこうということで、私のペンの分野ですが、できることがあればしたいというふうに考えてやっているわけです。
 簡単に言えば、最近のマスコミのODAに対する論調というのは、先生方もごらんになっていてわかると思うんですが、かつてのように厳しい批判、まあ一部週刊誌なんかでこれは全く無意味な批判をしている記事も時々な見かけますが、全体的に大きなメディアの中においては余り厳しい批判というのはなくなってきているんじゃないか。むしろ優しさを感じるような論調が時々社説などに見られるようになっている。
 これはどういうことかということを考えますと、非常にODAに対する理解が深まったとか、記者たちのジャーナリズムから見て経済協力の重要性が認識されたということもあるのかもしれませんが、大きく言うと、やはり一〇%も削減されてかわいそうだとか、マスコミがかみつく対象として少々頼りなくなってきたんじゃないかというようなことがマスコミのODAに対する論調のソフト化の一因ではないか、大きな原因ではないかと私は読んでいるわけです。マスコミに同情されるようになってはODAも少し情けないんじゃないか。やっぱりマスコミから常にきばをむいてたたかれるようないろんな戦う動きのある経済協力、こういったものにまた復活してもらって、そしてその中でまた切磋琢磨しながらいろんな制度なりを改めていくという方が私どもとしてはうれしいような気もします。ですから、最近の論調というものも静かになったからといって喜ばしいというふうには私は考えておりません。
 きょうは、最初に御指定のあった、外務大臣の諮問機関であるODA改革懇談会の最終報告に対する私の印象を述べよということでございますので、簡単に述べさせていただきます。
 ここに大島局長もおられるので余りけなすわけにはいかないんですが、確かに今おっしゃるとおり、全部くまなく読んでみてとりたてておかしな点というのは全くございません。言うことはすべてそのとおりであります。
 ただ、読んでいて新鮮味を全然感じなかったということが一つございます。参議院の国際問題に関する調査会で去年出された中間報告とか、また、さっき局長からも紹介のありました経団連とか経企庁のこういったODA改革案と比べて、一体これがどこが斬新なアイデアなのか。もちろんそのとおりで、すべてがそのとおりになるといいことなんですが、これが出たからといって、今までのいろんな改革案と比べてこれはすばらしいとか、ここはこういう手があったのかというような点は私自身は余り感じませんでした。
 強いて今回、特色というか、読んでいて印象深いというか頭に残ったというのは、国益という言葉を非常に出しているということじゃないかと思うわけです。これはずっと読んでいきますと、総論の初めのところに「国際社会で信頼される国としての存在を確保し、自らの将来の安寧を保障する道につながる」ということで国益を述べているわけです。ODAというものを述べているわけです。それから、目的の中に「広い意味での国益の実現」、「国際社会全体の利益のために行動することが、日本の長期的な「開かれた国益」につながる」ということで述べているわけですね。
 国益という言葉は、前回、私がここの席でもお話しさせていただいて、何人かの先生からちょっと言葉に対する御批判をいただいたような気もするんですが、国益と私が言っているのはやはり国民の利益ということです、何度も申し上げますが。ですから、人道援助というのと国益というのは結びつきにくいかもしれませんが、人道援助によって日本人が、日本が、広く国際社会から尊敬される国民になる、国になるということは、やはりこれは国民の利益であり国の利益であるわけですから、こういったことも私は広い意味で国益と考えているわけです。
 そういう意味で、今回の改革懇談会の最終報告に、ODAというのは必ずしも相手国のためであるとか日本の企業のためとかじゃないんだよ、国民のためになっている行為なんだということを前面にはっきりと述べた点に、私は斬新さというか少し踏み込んでいるなどいう印象を持ちました。
 それから、重点分野の中に国境を越えた協力とか紛争予防といった分野が入っているのも、あちこちで言われていることですが、こういう中で具体的に項目を立てて言っているということもある意味じゃ斬新なというか、他の報告書に比べると進んでいるかなという印象を持って読みました。
 逆に、最も私が不満に感じた分野は、実施体制の改善についての踏み込みが足らないんじゃないかと。これは当然、外務大臣の私的な諮問機関ですからいろいろな制約があると思います。ですから、無責任な発言というか無責任な報告、提言はできないという立場はよくわかりますが、やはり今ODAの実施体制の中で一番求められているのは政策決定の一元化、または実施の一元化。今現在十九省庁にまたがっているような技術協力などを一本化しないことには統一立った政策は実行できないという懸念があるわけです。お立場はわかりますが、こういったことにもうちょっと踏み込んでもらいたかったなということです。
 それから、重点分野の中にもちろん人材育成というのが入っていますが、この人材育成は日本の開発協力の人材育成ということに重点が置いてあるわけですが、むしろ相手国の人づくり、こういった分野にももう一項目立てて同列にするぐらいの強い方針を打ち出してもらえなかったかなと。
 ともかく、よく言われた顔の見える援助にかわって、やはり人づくり援助というのは、相手国の国民の心に残る援助ということで私は一番重要な援助ではないかと。かつて行われた、例えば賠償協力で行われた留学生たち、今会ってみると五十、六十になっている方たちに話しても、彼らの心の中に非常に強くそういうものが残っているということです。そういった人づくりに対する協力というものは非常に持続性があって、全部が一〇〇%生きないかもしれませんが、これは今後の日本の経済協力の中で大きなポイントを占めなきゃならない。もちろん、政府も人づくりというものを前面に出していることは承知しています。ですから、そのくらいの重要性をこの中にも盛り込んでもらえなかったかなというのが私のもう一つの印象です。
 そして、もっと厳しいことを言わせていただければ、それは、この報告書がつくられる段階というものを私の承知する限りは、ODA予算が削られそうだと、一〇%削減なんということが来るとは夢にも思ってなかったようですが、どうも対前年度三%とか四%という伸びが続いていた時代に、もう来年度は下手をするとゼロになるかもしれない、一からゼロかもしれない、ここで何とか予算を確保しなきゃならぬということがこの懇談会ができる一つのきっかけになったように私の記憶では認識しているわけです。そうしますと、それを含めて読んでいると、予算を確保するための算段、特に事務レベルの話、政治的な話、もちろんさっきも言いましたように外務大臣の諮問機関ですからそう政治レベルの話は出てこないとは思いますが、どうも事務をうまくして事務的処理をどうすればいいかというのがここのポイントにあって、政治レベルの話まで踏み込んでいないというところに非常に弱さを感じるんじゃないかと思って読みました。・
 もちろん、もう一回繰り返しますが、個々に言われていることについて私がこれはという首をかしげるような点はございません。ですが、さらにあえて注文をつければ、こういった点がこの最終報告書を読んでいて物足りなかったというのが私の印象でございます。
 あと、時間がないので、今度は最近のODAに対する私の考え方を少し述べさせていただきたいと思います。
 時間がございませんので一つだけ言いますと、これからのODAというのは国民参加型のODAだということでございます。これはもうこれしか言葉はないんじゃないかと考えています。いわゆる国民参加型のODAというのは、ODAが政府だけじゃなくて地方自治体それからNGO、民間企業、そういったものを含んでいくということなんですが、その前にぜひやらなきゃならないと思うのは、もう一回、日本がODAをなぜやるかという国民的な合意というものをつくらなきゃならないんじゃないのか。
 ODAがなかなか広く認識されないという一つの理由は、なぜ我々が税金を使ってODAをやっているかということに対する国民の広い共通認識がないからじゃないか。日本のODAというのは、御承知のとおり、賠償から始まって、途中から黒字還流の対策としてどんどん拡大していきました。その前に、なぜODAをするかという国民的な論議が全く行われていないわけですね。ですから、国民の間でも、ODAは世界一の実績額を持っているけれども一体何でODAをやっているのかという点にまだ理解が十分というか全くされていない部分が多いわけで、まず国民参加型のODAをやる前に、なぜ日本はODAをやるのか、なぜやらなきゃならないか、そういったものに対する合意をつくることが重要じゃないかと考えるわけです。それを踏まえていろいろな、さっき言ったような、今度はNGOとか地方自治体、民間の方たちが参加していくODAという形になってくるのじゃないか。
 中でも、今後重要なのはNGOとの協調じゃないかと考えております。NGOというのはやる気とやりたくてしようがない人たちの集団なわけですね。そしてさらに、セミプロ的ですがある程度の能力も備えています。そして、彼らの潜在能力というのをもっと高めれば、日本の経済協力の一つの歯車として大きな要素をなす可能性を秘めている集団です。こういった人たちがやっていくことによって国民参加型、全国民が参加するODAというものが一層進むのじゃないか。
 NGOが持っているメリットというのは幾つもございます。一つは、国と国のレベルでは、例えば相手が紛争国でなかなか中央政府では入りにくい分野にでも、例えば北朝鮮などのような国でもNGOという形ならいろんな経済協力ができる。外交的な一つの側面としてもNGOを使った経済協力というのは非常に有意義な効果を発揮することもございますし、また、NGOというのは政府がやっているような大きなレベルじゃございませんので、相手国の国民との草の根的なつき合い方、相手国の庶民のニーズというものをいつも把握しているわけでして、そういったものをくみ上げていくことができる。もっと大きいのは、今後、こういう財政改革の中でまず実施人員の大量増加というものがそう望めない中にあって、彼らの人的資源というものは一番大きなわけでして、そういうものをどんどん使っていくことでも非常に重要かと考えております。
 あと、国会とのかかわりということも私はひとつぜひ先生方にお願いしたいと思っていることなんですが、さっきもちょっと局長からも出ましたが、援助基本法またはODA基本法というのでしょうか、そういったものを再考してもらえないだろうか。というのは、国民参加型のODAということになりますと、どうしても国民の代表である先生方のコミットメントというのがもっと重要になってくるのじゃないか。政府だけのことではなく、やはり国会の関与というものが重要だと。
 もちろん私も、前回、ここで援助基本法の制定というものには反対意見を述べた方です。それは、一番危惧したことはやはり国会の過剰な関与、USAIDに見る、余りにもアメリカ議会の過剰な関与がAIDの業務に支障を来してしまっているといったようなことを非常に危惧したわけです。そういうことじゃなく、国会の方々の過剰な関与というものをうまく避ける手段というものも私はあると思うので、そこに先生方の参加を促す意味でも基本法というものをと。さっきも出ました日本国際フォーラムの提言の中にあるのは、実は私もあの中に絡んでいるんですが、ですから適度な関与といったニュアンスを込めて、過剰な関与を避けるうまい便法として何か基本法というものをつくれないだろうかということでお願いしたわけです。
 もう一つは、国民参加型と言うのなら、先生方も日ごろ選挙区の人たちと直接接する機会もあるわけですから、そういう方たちを通して、国会議員を通して国民参加型、国民の経済協力に対する理解を増進するという意味で先生方の力というのは非常に大きいのじゃないかということで、国会の経済協力に対するかかわりをもうちょっとふやしていただきたいというのが私の希望でございます。
#8
○小委員長(板垣正君) ありがとうございました。
 以上で政府からの説明聴取及び参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は挙手を願い、私の指名を待って御発言願いたいと存じます。
 なお、時間が限られておりますので、御発言は五分以内におまとめいただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
#9
○山本一太君 大変参考になる話をありがとうございました。いろいろお聞きしたいことは山ほどあるんですけれども、五分ということですから、少しポイントを絞ってお二人にお聞きしたいと思います。
 杉下次長がおっしゃった、今度のODAの一〇%カットというのは非常にタイミングが悪かったなと。特に改革懇談会の議論の最中に出るような話になってしまいまして、各方面からいろんな心配が随分杉下次長のところにも寄せられたという話だったのですが、私もちょっと国連の動きを見ていまして、こんなに国連の方から悲鳴が上がってくる、やっぱり予想以上のリアクションがあった。御存じのとおり、アナン事務総長は二回も橋本総理に書簡を出されたし、緒方先生も随分日本の国会議員に直接働きかけられたり、ユニセフその他、日本がかなり大口でボランタリーコントリビューションしている機関は悲鳴を上げたわけです。
 私も一応与党では数少ないODAの応援団というふうに自任をしておりまして、随分あっちこっちを回りました。その結果、これだけ財政構造改革が言われている中で、福祉の予算もいろいろ大変な中では、特に国際機関についてはかなりODAは戻ったんじゃないかという感じがしました。
 それと同時に、実は私が感じたことは、先ほど杉下次長がおっしゃった国益重視といいますか、国益は国民の広い意味での利益なんだというのは私は大変賛成なんですが、ODAと国益ということを考えたときに、余りにも今までちょっとおとなし過ぎたんじゃないかと。ODAをサポートする動きの中で、一生懸命、国際機関のODAを減らすことは間違ったメッセージを送るから何とかしてくださいと三役に陳情したり、大蔵省に、陳情という言い方はよくないですけれども、協議に行ったりしている中で改めて思いました。
 今、若い連中と考えているのは、ことし、少しODA外交ということで実際に動きをしようかなと。一つの例としては、アメリカなんかは、大統領制と議院内閣制の違いはあるかもしれませんけれども、議会と行政府が極めてうまくタッグマッチを組んでいまして、クリントンも非常に議会をうまく使っている。国連の改革については議会が承知しないとか、USAIDの話についても議会が承知しないと。こういう話が日本ではなかったということで、これだけ国民の血税を絞ったODAを国際機関にもし出すのであれば、それなりのさっき言った国益、杉下次長のおっしゃった国益よりも私の方がむしろいじましく絡めるような生々しいものかもしれませんけれども、例えば常任理事国入りに絡めるとか、そういうことをもっとパーラメンタリアンの方からやった方がいいんじゃないかなという気が今しています。
 この間、小和田大使が来られたときに自民党の国連貢献議連にお招きしましたが、その前日のレセプションでイタリア大使にお目にかかりました。イタリアは今、御存じのとおり日本の常任理事国入りに反対です。フルチというとんでもない大使がいまして、とんでもないというのは私見ですけれども、イタリア、パキスタン、そういうコーヒークラブと言われている中堅の国々が日本の常任理事国入りを阻止しているわけです、阻止という言い方は正しいかわかりませんけれども。そこで伊大使に、パキスタンにはODAは出しませんよと言うことができる、でもイタリアに対してはどういう対策があるのかな、スパゲッティを食べないことぐらいかなと言って笑ったんです、それは冗談ですが。
 そういう意味で、少しパーラメンタリアンの方から今言った国益、ODAというものを考えた動きをしていくべきじゃないか。今、いろんな準備をしているんですけれども、それについてどう思われるかというのを杉下次長にお聞きしたいと思います。
 もう山ほどあるんですが、それだけちょっとお二人に今の感じをお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(大島賢三君) いわゆるODAと国益の関係でございます。
 私どもとしても、従来は国益という言葉そのものが特に日本の国内におきましていろいろな意味に理解されるところがありましたので、ODAの関連でも何となく国益論争を持ち込むことについてはやや消極的であったということは御指摘のとおりだと思います。
 しかしながら、特に予算も削減される、それから国民の支持についても依然として、国民世論調査なんかで見ますと、漠然とした認識としては七〇%とか八〇%、つまり現状維持でいいとかあるいはもう少しふやすべきであるというところを合わせますと非常に高いレベルの支持がありますけれども、それが本当に強い意見なり信念に基づいた意見であるかというと、そこは必ずしもよくわからないところがある。
 そういうようなこともございますので、ODAというのは本来何なんだ、それから日本のODAは何を目指しているのかということをやはりもうちょっとストレートにわかりやすく訴えていく必要があるという認識で、国益の問題につきましても、基本的にはそうなんだけれどもそれじゃそれはどういうふうに説明し理解していったらいいのかということで、この懇談会の中でもそういう意味で原点に立ち戻って議論しようというふうに展開をしていったというふうに私どもは理解しております。
 そういうことで表現はやや慎重になっておりまして、広い意味での国益あるいは開かれた国益とか啓蒙された見地からの国益とかいろいろございましたけれども、そういう方向が出されてきたことは一つの流れとしては新しいことかなというふうに思います。
 そういうことを今のマルチ外交を含めてどういうふうに使っていくかという点につきまして、これは私の個人的な印象になってしまいますけれども、余りODAそのものを振りかざして、例えば国連の票集め一つにしましても、選挙活動一つにしましても、余り赤裸々にストレートにやるということがその目的に沿うかどうかということは、これは慎重にやらないといけないと思います。
 と申しますのは、やはり援助というものにつきましてはそれ相応の非常に微妙な敏感な部分がございます。これは山本先生はもう十二分に御承知のとおりでございます。ただ、日本が国連を含めていろいろな国際機関、国際的な場で活動していくに当たりまして、常日ごろやっておるODAを通ずる、あるいは経済協力を通ずる活動が非常に広い意味で、あるいは背景的に力になっている、これはまがいもない事実だろうと思います。
 選挙一つやるにしましても、別に選挙にかこつけてODAをばらまくというようなことはやっておりませんけれども、しかし常日ごろの実績がある時点になってその効果をあらわす。常日ごろ日本にこれだけお世話になっている、我々として日本にお返しする気持ちをあらわせるのはこの場、この機会だというようなことは、これは多くの国の代表がいろいろな機会に漏らしてくれる言葉でございます。そういう意味での力というのは私どももありがたいと思いますし、それは我が国の外交を進めていく上での力になっているということでございますので、そういう意味でこれを使っていくということは従来やっておりますし、今後もそれを上手にやっていくということは必要であろうと思っております。
#11
○参考人(杉下恒夫君) 私もおおむね山本先生と同じ意見なんです。
 まず、このODAというものは日本語で訳すと政府開発援助とか経済協力といいますが、現実に私はODAというのはいわゆる純粋な政治行為だと考えているわけです。ですから、当然ODAには政治が絡んでくる、外交ということも絡んできて、いろんな駆け引きといったものが絡むのがODAであって、単なる相手国の経済向上だけが目的じゃなくて、それ以上に政治というものが絡んでくるんじゃないか、僕はそれがODAだというふうに認識しているわけです。ですから、国益とかそういった駆け引き、政治、外交の行為が行われるわけでして、そこに国益が絡むのは当然です。
 それからもう一つは、今、国民になぜ日本が一人一万円も年間払わなきゃならないかというのを納得していただくために、これは日本のためにもなっているんだよということを言ってもいいんじゃないかということなんです。
 例えばアメリカの新援助法なんかははっきりアメリカの経済的なベネフィットということを言っているわけで、日本だけが変に隠すとかえって怪しまれて、今、局長がおっしゃるように余り赤裸々にやるのはいかがなものかとも思いますが、余りにもそれを美しいように隠すと余計何か逆に怪しまれるということもありますので、ODAというのは政治行為で日本の国益のために役立っているんだということを国民にもやはりはっきり言った方がいいんじゃないかということを私は考えています。
 例えば、今、局長がおっしゃるように、一昨年、安保理入りのときのインドに大勝するようなああいった行為はODAの成果であるわけでして、そして赤裸々にやっていないとおっしゃるけれども、結構、国連なんかの場では日本は赤裸々にやっているんじゃないか、いろんなところでODAというものをちらつかせながら。それは当然やっていい行為で、僕はそれを批判するわけじゃないんです。やってもいい。国内において余り美しく言わなくても、それは日本が独自に切れる唯一の外交ツールだと言われているのなら、それをやはり有効に正しく使っていいんじゃないかと私は考えています。
#12
○馳浩君 大島局長に三点と杉下さんに二点、お伺いいたしたいと思います。
 まず、その前に。私はほぼ毎月、大島局長どこうやってひざ詰めのような形でODAに関して議論をさせていただいている。私たち国会議員が担当の局長と毎月こうして議論できるということがまず非常に意義のあることであり、いつかはこの小委員会としての報告が出されるんですが、継続してこういう形で議論ができることを望みますし、もしかしたら私たちのこういった議論が心理的なプレッシャーとして大島局長に届いているとしたら、より喜ばしいことだと思っております。
 その上で、ちょっと細かいことになって非常に申しわけありませんが、まず、ミャンマーへODA円借款二十五億円を支援すると、これをきのう報道で拝見いたしました。報道から私は知ったということで一つ問題点があると思いますが、それはさておき、なぜ今なのか、その背景を御説明いただきたい。
 二点目は、現在の東南アジアの通貨・金融危機に対してODA予算を活用すると。これは平成九年度の予算なのか平成十年度の予算を先取りなのか、あるいは補正なのか、この仕切りは私はわかりませんが、どういった対応をして、ODAの原理原則のもとに東南アジアの通貨・金融危機に対処しようとしておられるのか。これは外務省だけではなくてOECFや輸銀や総動員でやらなければいけない問題だとわかっておりますが、その点も加えて、力強い、今現在の政策的なお考えをお聞かせいただきたい。
 そして、NGOの問題なんですが、NGOの日本側の人材育成というのはもっと外務省はやるべきだと私は思っているんですよ。具体的にNGOの人材を育成するためにどういうような支援をしているのか、するつもりがあるのかという点をお答えください。
 杉下さんには二点ですが、この日本国際フォーラムの提言の中で「ODA大綱の基本理念は有効性を失っていないが「二国間関係重視」をODA原則の冒頭に明記すべき。」としたこの提言の背景というんですか、どういう意味があるのかということをぜひお答えいただきたい。
 もう一点は、まさしくODA基本法の問題でありまして、私も積極的な賛成派だと、国民的合意を得るためにこういった形、緩やかな基本法は必要だという立場でお聞きいたします。過剰な関与を排し、援助年次計画など細部に立ち入る必要なく、国会が事後報告の審査、評価を行うというまさしく適宜な内容だと思いますが、これに関してもうちょっと深く言いたいことがあればぜひ御意見を御開陳いただきたい。この二点であります。
 以上です。
#13
○政府委員(大島賢三君) まず、馳先生のミャンマーの件につきましては、委員長、お許しを得て一枚資料を追加で配付させていただいてよろしゅうございますか。
#14
○小委員長(板垣正君) はい。
#15
○政府委員(大島賢三君) それでは配付させていただきます。
   〔資料配付〕
#16
○政府委員(大島賢三君) ミャンマー・ヤンゴンの国際空港拡張の案件でございますが、冒頭、簡単に事実関係を御説明させていただきます。
 八四年ごろから話がございまして、八四年から八六年にかけまして三回に分けまして交換公文が結ばれて、それで八六年以後最初の工事が着手されておりました。しばらくしまして八八年にクーデター事件が発生しまして、国際的なミャンマーに対する強い措置をとろうということになりまして、その中で工事を停止しました。
 その状況が基本的にはずっと続いておったわけでございますが、ミャンマーに対します今の基本的な援助政策は、特に九五年の段階でスー・チー女史が自宅軟禁から解放されたというようなこともございまして、「民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面は既往継続案件や民衆に直接役立つ基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで検討の上実施していく。」、文章にしますとこういうことでございます。九七年にミャンマー政府からは別途安全面の部分再開の要請がございます。
 こういう流れの中で、案件につきましては、当初つくっておりました案件は第一期から第三期まで区分けで工事をするということになりまして、そこにございますように滑走路、誘導路、エプロン等の拡張、それから管制塔等の部分、それから最終的には旅客ターミナル、消防救難施設等ということでございまして、合わせまして二百七十一億円が八四年から八六年の段階で供与済みで、政府交換公文の署名も終わっておった、こういうことでございます。そのうち、第一期分の中で約四十億円が既に供与されまして、それを受けまして初歩的な盛り土の作業でありますとか舗装とかといったようなことが始まっておった段階でクーデター騒ぎで中断された、こういうのが現状でございます。
 その間、ミャンマーの空港をめぐります状況につきましては、一つは、非常に利用度がふえてきておりまして、発着回数は八八年当時に比べまして五倍以上、三十万人から百六十万人というふうにふえており、一日の発着回数も当然ふえておるわけでございます。それから、九六年からは全日空も週三便、直行便が入っておる。それから、アジアを中心としまして十カ国以上の国際便が乗り入れておるわけでございます。そういう状況で、特に去年の七月にミャンマーがASEANに加盟をいたしまして、当然またそれに伴って人の行き来もふえるといったようなこともあるわけでございます。
 他方、施設の老朽化が非常に進んでおります。滑走路、管制塔、通信施設、滑走路照明、電源施設というようなことで、もともと老朽化がひどいからこれを直そうということだったわけですが、その後、放置をされておる結果いよいよひどくなっておりまして、非常に危険であるということでございます。
 そういうことで一たん工事は中断したものの、私どもとしましても現状は非常に憂慮すべきでございまして、いつ事故があってもおかしくないといいますか、そういう状況も心配される。もしそういう事故が起こりますと、これはやはり日本の責任、法的にはともかく、いろいろな意味での責任ということも起こりかねない。何よりも人命というようなこともございまして、政府、我々の中でここしばらく検討を進めておりました。
 もちろん、ミャンマーに対します政策全般は、今の民主化の問題、人権の問題、軍事政権とアウン・サン・スー・チーさんのNLDとの対話の問題等、当然考慮すべき問題があります。なおかつ、現在いろいろな接触が相互の間であるということは私どもも克明にフォローいたしておりますが、決定的な変化というものはまだ見られません。見られませんが、安全面に限った小規模の工事の再開ということについては、やはりこのままずっと放置し続けるのはいかがなものかという考えを強めるに至りまして、政府の中で検討の結果、いろいろ問題はあり得ることはあるけれども、この部分に限って、基本的には二十五億円ぐらいの非常に優先度の高い、安全性に限った緊急性の高いものについて再開するということで、基本的な方針を政府の中で固めております。
 それを今、与党を初め説明して回りつつあるということでございまして、昨日本意に漏れてしまいまして新聞記事にはなってしまいましたけれども、方針としては少なくとも政府の中で固めて、現在我が国全体としてどうするかということで各党にも御相談を始めておる、こういうことでございます。
 その結果、まずそういう安全面に限った小規模ということですが、はっきりさせておきたいことは、上に書いてございますようなミャンマーに対します基本的な経済協力政策そのものをこの際変更しようとするということではございません。これはいわばオンゴーインクの既往案件で中断していたものを再開する。そういう意味では部分的な変更ということにはなるかもしれませんが、基本的な政策をこの際変えようということまでを考えておるわけではございません。
 それから、もう一点。私どもとしては、軍事政権とNLDの双方にパイプを持って静かに話しかけを行い、できるだけ民主化が進み、憲法も制定され、いい方向にミャンマー情勢が向かうように外交努力を続けております。空港再開案件につきましても、こういう外交努力の一つのてこにできれば、それはそういうふうに使っていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#17
○馳浩君 局長、これは大事なことなんで。アメリカの反応はどうなんですか。
#18
○政府委員(大島賢三君) アメリカにつきましては、援助政策一般につきまして常日ごろ交渉といいますか連絡をとっております。ミャンマーの案件につきましても、我々のレベルでの接触では、こういうことについて再開ということで決定をすることはあり得るということは外交的な接触の中で説明しております。それに対しまして、アメリカの国内では、議会の中に人権問題に特に強い関心を持っておられるロビーグループもございます。それから、今の国務長官、オルブライト長官もアウン・サン・スー・チー女史とは非常に近しい関係を持っておられるということも聞き及んでおります。
 そういうことで、ある種の反応というものは当然あり得るというふうに私ども見ておかなければ、全く歓迎というようなこともないと思います、ある種のことはあると思いますが、そこら辺についてはやはりある程度織り込んでおくことも必要じゃないかというふうに考えております。
 残りの東南アジアの問題でございますが、東南アジアにつきましては、先週末、金曜日に閣議決定を行いまして、今やっておりますものは、まずODAにつきましては、特に緊急医療の必要性があるということでございまして一応十億円を目途に緊急医療の援助を行うと。
 特に、私どもが調べましたところ、インドネシアでは、医薬品の大半は国内で生産をしておりますが、医薬品の生産にかかわる原材料、輸入一般、貿易が今かなり滞っておりますので、そういう原材料も入りにくいというような状況が一つにございます。それからもう一つは、完全に輸入に頼っている医薬品がございます。典型的な例は人工透析の薬剤、これがもう完全に入らなくなっているということでございますので、当面は人工透析プラス若干国内で入りにくい医薬品につきまして、これは現物で調達をいたしまして持ち込むことで現在作業を急いでおるところでございます。
 それから二番目に、二百億円それから追加的に五百億円ということで発表いたしましたが、都合七百億円の円借款を供与いたしまして、これで緊急の輸入代金に用立てるということのほかに、その七百億円を供与しますことによって生じますルピア貨の内貨が積み上がりますので、その内貨を使いまして弱者の救済に向けられるようなプロジェクトをインドネシア政府と既に合意をいたしております。今、最終段階に来ておりまして、準備が整えばできるだけ早く署名をいたしまして実行に移したい、これが二番目でございます。
 それから三番目に、これはODAではございませんけれども、別途輸銀の三千億円の追加的なローンだとかがございます。
 それから四番目に、インドネシア政府からは食糧援助、エルニーニョの影響でこの夏以降あたりから大変に厳しい食糧事情になると。国民が腹をすかせるようになりますとこれはもう大変なことでございますので、この辺につきまして日本としてどういう米の援助の協力が可能かということは、現在、外務省と食糧庁を中心にしまして具体的な検討に入っております。
 主なところはそういう状況でございます。
 それから、最後にNGOでございますが、NGOにつきましては先ほども杉下さんから御説明がございました。基本的には私どももそう思っております。
 特に、外務省がやっておりますNGO支援、NGO補助金という手段を通じてやっておるわけですが、このNGO補助金は向こう三年間、先般成立しました財政構造改革法によりまして毎年一〇%ずつ削減される。そうすると、三年間でほっておいても二七%減ることになりまして、これはもう逃れようがございません。したがって何か別途の支援策を講じなきゃいかぬ、こういうことが一つございまして、これは何とかしたいと思っております。
 それから二番目に、今のは事業補助金でございますが、日本のNGOにぜひ強くなっていただきたいと我々も思っておりますが、事業の補助に加えましてNGOの足腰が強められるような支援を何とかできないか。そうしませんと、欧米の場合には既に強固な体制をとっておりますけれども、日本の場合にはまだそういう意味で体制強化についてもいろいろやっていただく段階にあるというふうに思っておりますので、その辺について制度を少し柔軟にするなりなんなりして支援ができ、かつ、求められればということでございますけれども、そういうことが可能になるような支援策を研究してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#19
○参考人(杉下恒夫君) これは馳先生の質問じゃないんですが、ミャンマーの話は、さっき言ったODA外交という意味でも私は今回再開したのはいいと考えていまして、中国なんかの進出を防ぐ意味でも早目に再開してほしかったので、手続は知りませんが、結果は非常にいいと思って受けとめております。
 それで、先生の御質問なんですが、まずODA大綱についての二国間関係重視という問題でございます。これはどういう意味かと申しますと、これは実は来月五日に総理に我々の提言を手渡しまして公開するものですが、今申し上げたようにもうほぼ公開されているものなんですが、二国間関係重視というのは、例えばいわゆる既得権益構造というものを何とか打破しなきゃならないのじゃないかと。要するに、日本からの援助は毎年これだけもらえるということが織り込み済み、予算の中に織り込んで、黙っていてもお金をもらえるという国が多々出ているのじゃないか。そういった国に対して、やはり二国間の問題は個々に話し合って、例えばその国の自助努力が足らない場合は去年何十億渡したけれどもことしはゼロになるかもしれないとか、そういった二国間の問題を簡単な大きいODAの枠の中じゃなくてその中で話し合おうと。
 二国間関係の重視というのはいろんな部分に入れてあるんですが、これはそういうことです。相手国の努力と実施状況を見ようじゃないかということをその重視の原則の一つに入れるべきだと、百何十カ国、十把一からげじゃないよという意味でODA大綱の中に入れた言葉でございます。
 それからもう一つ、ODA基本法の問題、過剰な関与。実際、基本法というものが何年も前から与野党のいろんな先生方から出ていました。一番危惧したことはやはり過剰な関与。というのは、計画の形成段階において先生方のそれぞれの意見が逐次入ってくるということは非常に実行を妨げたり時間をかけたりするし、それぞれの先生方の御意見もあるだろうし、それぞれの視点からのお話をそれぞれ入れていった場合、ODAというものは政治行為としての迅速性を失ってしまったら意味がなくなるということもございますし、そういう意味で私はそういった事前の細かい分野に対する関与を非常に恐れたわけでございます。そういう意味で基本法というものに余り賛成じゃなかったんです。
 ですから、今回の私たちの緩やかな基本法というのは、本当に大きな理念、原則、日本のODAの理念、原則についての先生方の御意見それから御指導というか、方向づける基本法という意味で書いてあるわけです。
 ぜひ先生方にやっていただきたいと思っておりますのは、いわゆる事後評価、もっと時間をかけてプロジェクトの事後評価をしていただきたい。そういう事後評価が一番大きな、要するに点数をつけられるみたいなものでしょうから、事前にいいかげんな計画形成をしていると必ず事後にそこが出てくるわけです。そういったものを国会の先生方に見てもらうということ。ですから、時間を割いてぜひ定期的に国会の議員による事後評価制度というものを確立していただきたいということでございます。
#20
○馳浩君 ありがとうございます。
#21
○広中和歌子君 外務大臣のODA改革懇談会報告の中で、ODAというのが広い意味の国益であるということが書き込まれたということは、私は当然であろうし、またいいことだろうと思います。そしてまた、杉下参考人は、ODAのこれからのキーワードは国民参加型のODAである、そのためにはODAをなぜ実施するのか国民的合意が必要だとおっしゃいましたけれども、私も当然だと思います。
 それは、広い意味の国益、地球益、そしてまた人道的な意味もあるということ。そして、情けは人のためならず、日本のためになるんだと、そういう世論をだれがどういう形で起こしたらいいのか。日本ではいいアイデアというのはいろいろ出るわけですけれども、いいアイデアと実行の間にかなりの乖離がございます。それを具体的にどういうふうにしていくかということで、マスコミのお立場から、あるいは我々議員たちに、そしてまた外務省を初めとする官側にどのような具体的なサジェスチョンをなされるか、お伺いしたいと思います。
 それから、参加型ということも非常に魅力的なサジェスチョンでございますけれども、民間参加の組織づくり。先ほど大島局長も草の根ODAをどういうふうにやっていくか研究してみたいとおっしゃいましたけれども、研究ばかりやっていてなかなか具体的にできないときにどういうふうにしたらいいのか。現状のまま放置しておけば、日本のNGOは大変体力が弱い、だから任せられない、したがって規模が小さいと、そこで終わってしまうんですね。そこから一歩進めるために何ができるのか、両先生にお伺いしたいと思います。
 それから、日本のODAの額でございますけれども、GDPの七%には遠く及ばず三%を割るような現状でございまして、国民の御理解を得た上で、これはやはり広い国益という視点から見ましてももっとふやしていくべきだと思いますけれども、大島局長はどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
 それから、ちょっと多岐にわたって恐縮なんですが、最近の金融危機でIMFのアプローチが非常に評判になっておりますけれども、支援の条件をもっとつけていいのではないか。この前、インドネシアの民間の方がいらっしゃいまして、インドネシアの経済危機は政治危機と、政治の問題と大いにかかわっているんだ、政治を立て直さない限り金融不安というのは消えないんだというふうにはっきり言っていらっしゃいました。そういうところで、我々は与える側なんですから、私は少なくともユニバーサルに、グローバルに通用するような理念をはっきり言うことは別に問題ないんじゃないかと思うわけでございますが、これも両先生にお伺いしたいと思います。
 草の根ODAを実施するための実施体制についても、人材育成ということだけちょっと触れられましたけれども、具体的な方策というものをぜひ提案していただきたい、また、私ども議員にできることがあれば示唆していただきたいと思います。
 以上でございます。
#22
○政府委員(大島賢三君) 広中先生の御指摘いただいた点、前回も申し上げましたけれども、基本的に私どもも気持ちとして非常に共感をする部分でございます。
 まず一つは、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、日本のODAは何であるかということを中期政策の形で書くことが提言の一つに入っております。従来やっておりました量の拡大を伴う中期拡大目標のようなものはつくっちゃいかぬと。財政再建の関連もございまして、ここの中期政策はそういう量的な拡大はしばらく忘れざるを得ないのでございますが、政策については、これから少なくとも数年間、何をどういうふうに重視してやっていくかということは明らかにしようと思えばできるわけでございますので、それをやれと、こういうことでございます。
 私どもは、従来、本委員会でも触れられたこともございますし、どういう形でできるか、これは外務省だけでつくることはある程度やり得るわけでございますが、政府全体としての中期政策ということになりますと当然いろいろなところに語らなければなりませんので、諮れば語るほど総花的になるおそれもなきにしもあらずですが、これはぜひやってみたいと思っております。
 そういう中で、量につきましては、確かにGNP比で申しますと今申し上げましたように非常に落ちてきておりまして、国際目標の〇・七%はおろか、アメリカが〇・一%、日本が〇・二%でございます。これはもうOECDの援助委員会の中でもほとんどびりけつの方に来ておりまして、これはこれで非常に憂慮すべきことだと思っております。ただ、この辺は、残念ながら少なくとも今の二、三年の間はどう逆立ちしても私どもの力ではどうしようもないという感じがします。ぜひここは政治のお力をお願いしたいところでございます。
 それから、援助に伴います条件の問題でございます。これはまさに今、国際的な援助の議論の場でも、援助の量も大事であるけれども、援助を受け入れる側の体制の問題、これは一部分政治の問題も含むと思いますが、それから汚職の問題、援助を受け取る側のいろいろな問題、これは一口にガバナンスの問題と議論の上では呼んでおりますけれども、このガバナンスをよくしてもらわないことには幾ら援助国側の方で張り切っていろいろなことをやってもしょせんは生きない、生きにくいということでございますので、このガバナンスいということでございますので、このガバナンスを高めるにはどうしたらいいかということで、これがまさに世界銀行を初め国際機関、それから二国間援助を供与している国のいわば共通の問題意識であり悩みでもあるわけでございます。
 場合によりましたらどぎつくやる国もございます。アメリカなんかはかなりそういう意味ではどぎつくやる国でございます。コンセンサスがあるかどうかわかりませんけれども、今の大きな流れは、政策対話をうまくやることによって上手に改善を求めるべき点を伝えていくということで、政策対話方式でございます。相手方のいろいろなビヘービアその他、度が過ぎますとこれはやはり停止だとかそういうことに結びつかざるを得ない、日本にもODA大綱がございますので。
 そういう意味で、道具立ては日本としては持っておるわけでございますが、実際にどういうふうにやっていくかということになりますと、通常的には、政策対話をきちんとやって、ある程度の忍耐が必要でございますけれども説得をやっていくということを重ねる。その上で、どうしても状況が非常に悪いというようなことでしたら、それぞれの国が判断をして適切に対策をとっていく、場合によったらペナルティーのようなことも必要になるケースもあるかもしれませんけれども、基本的にはそういうやり方でやっております。
#23
○広中和歌子君 だから、そこのところが優し過ぎるんじゃないですか、日本は。
#24
○政府委員(大島賢三君) そこはいろいろ難しい点でございまして、これはODA大綱のところでも御批判も含めましていろいろ御意見をいただいたところでございますが、確かに難しいところでございます。
 いわゆる説教調に立ってやれば物事がうまくいくということでもございませんでしょうし、相手の国情、それからその国の発展段階、その国が抱えている特有の問題、こういう相手側の事情はやはり日本としても理解しませんと、日本的あるいは欧米的な考え方の押しつけということになりますと、それはそれでまた反発を生みますし逆効果にもなり得る等々ございますので、この辺は相当難しいところではございます。
 大きな考え方としては、最近、アフリカもそうですしアジアの国々もそうですけれども、日本のODA大綱の考え方を含めて、そういうガバナンスの問題につきましてはいろいろなところで言っておりますので、これはそれなりに浸透しつつあるというふうに私どもは考えております。
#25
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 最初の御質問の国民参加型ODAということ、そして国民合意をどうしてつくればいいかということでございますが、確かに言うことは簡単でなかなか実行できない、それは私どもマスコミも十分に承知しております。
 去年の外務省の経済協力局で行いましたODAの調査によりますと、国民のODAというものに対する認識はどこからかという調査項目の中で、九八%が要するにマスコミだと、新聞、テレビ、ラジオを通したマスコミであるということを言っているわけで、我々が国民とODAの間のいわゆる仲介役をほとんどやっているということはもう否定できない事実だと思うんです。ですから、我々がやはり何かしなきゃならないということは非常に強く認識しております。
 残念ながら、現状におけるマスコミのODA報道というものは、今先生のおっしゃるような国民合意をつくっていくというような方向ではなく、むしろネガティブなイメージをつくることの方に大きな作用をしているということは事実でございます。
 一つだけここで宣伝を兼ねて言わせていただければ、こういったマスコミのODA報道に対する偏見または無知とも言ってもいいものがあるわけでして、そういったものを我々が少しやっていこうということで、私どもは去年、慶応大学の草野先生と二人で国際協力ジャーナリストの会というのを結成しまして、第一回にここにいる山本先生に記念講演をしてもらったんですが、こういったものを徐々にやっていこうと。そして、経済協力に対する関心を持っているジャーナリストというのはかなりいるわけですが、御承知のとおり、大きなマスメディアにいますと外務省を持ったら次は通産省へ行って次は国会へ行ってというような担当をさせられますので、一貫した取材がなかなかできない。我々のジャーナリストの会に入ってもらって、継続して関心ある人たちが勉強して、そして正しい一つの国民のコンセンサスをつくるという方向に向かって微力ながら今スタートをさせたところでございます。
 先生におしかりを受けた具体化しろということで、そういう意味で一つ、具体化した組織でございます。いずれまた先生方の御助力をお願いしたいと思うんですが、確かにそういうことをだれかがしなかったら国民的なコンセンサスというのは生まれないわけで、それにはまず一番大きな影響力を持つ我々がともかくやろうということで実行しました。
 それからもう一つは、ぜひこれは先生方にもお願いしたいのは、最初に申し上げたように、直接選挙区でいろいろな人と接する機会をお持ちの先生方は、ODAは票にならないからと余り避けたりせずに、経済協力とかそういったものをどんどん選挙区の、これは若い人だけじゃなくてお年寄りの方にもこういうものの必要性を説く機会があればぜひ説いていただいて、そんなことをやっていたらあの先生は何だと言われないような雰囲気づくりを、私たちもバックアップしますので、ぜひそういう御努力をしていただきたいというふうに考えております。
 あと、ODA予算については、これは大島局長の話で、もちろんふやした方が私はいいと思います。ただし、〇・七%という目標、または〇・三%とか、今〇・二%でございますが、これにこだわる必要はないと思うんですね。もちろん小さい国の予算とパイが違いますから、日本とかアメリカの国のODAのGNPに対する比率を必ずしも北欧諸国のようなレベルに持っていく必要はないし、DACの最下位じゃなくてある程度のところにいるのでいいんじゃないかというのが私の考えです。確かに最近のようにかつては〇二一%あったのが〇・二%に落ちたという現状は認められませんが、必ずしも〇・七とかそういう数字にこだわる必要はないというふうに考えております。
 もう一つ、おっしゃっていたコンディショナリティーの問題ですね。これは私も言っていくべきだと思っているわけです。
 これは欧米型のシステムかもしれませんが、OECDが出している参加型援助の条件、まず一つは軍事予算が突出していなくて教育とか医療、地方開発に対する予算の配分が適正な国家、それから民主主義、もちろん人権が尊重されている国家、それから女性が参加している国家、それからNGOが参加している国家、これがOECDが九〇年代の初めに出した参加型援助の四要件ということになっているんです。やはりこういったものを今後も日本のODAの執行に関して、大綱はもちろんございますが、大綱というのはあくまで目標だと言っているわけですから、このコンディショナリティーの中に政治問題、特に民主主義の問題、民主化の問題といったものをもうちょっと前面に出してもいいかなと。
 ただ、大島局長もおっしゃるとおり、必ずしも欧米型の民主主義というかシステムだけがすべてじゃないということもあると思いますので、その辺は加味しながら、全く日本のODAは非常に条件が緩いから楽だということも外国の方から聞きますが、そういう感じよりは、やはりある程度の条件をつけるのも一つの重要なポイントじゃないかと考えております。
#26
○福本潤一君 私の方から大島局長に二点と杉下参考人に三点ぐらい、重複しないようにして質問させていただこうと思います。
 大島局長の方に、このODA改革に関する各種提言対照表というのが配られて外務大臣の懇談会の最終報告を聞いたわけですが、一番後ろに書いてある国際フォーラムの提言に沿って若干質問させていただこうと思います。
 最初に、「ODA実施体制」のところで、国際フォーラムの方は「経済協力局を地域別に再編」ということと「外務省の外局として国際援助庁を設置」という形で一つの提言を出していまして、一元化というのを入れているところもありますが、この五つの中では若干違う形で出ておりますので、この点に関して外務省としてはどういうふうに考えておられるかということ。
 ODA改革懇談会にも国際フォーラムにも、学校教育や生涯学習における開発教育の推進というような形で書かれているわけですが、例えば愛媛県に小田町というのがありまして、小田の木と名前をかけてODAの木を指定し、市民の中にODAというのがかなり徹底されているような町村もありますが、こういう普及推進教育というのは案外進んでいないところがあるんじゃないかと思いまして、この普及の仕方の考え方を教えていただければと思います。
 それと、最後のところの基本法の制定に関しては、国際フォーラムの方は緩やかなということで考えておられるようです。先ほど参考人の方からは、時間をかけ過ぎたりしない形で基本法は緩やかにという話がありましたが、ハードのものというのはある程度予算まで絡んでいかないと、例えば建設省の予算を立てるときでも下水道五カ年計画とか長期計画を立てたりしていますからね。そういう意味での基本法に対するこの国際フォーラムの提言に対しての考え方をお伺いしたい。
 それと、東南アジアで緊急医療援助をされているという中で、日本の援助が要するに外国のためだけではなくて日本にも一つの大きな役割を果たしているんだろうということを国民全体にわかってもらうためには、そういう象徴的なものが何か要ると思うんですね。ハードなものを外国につくっただけでこれが役に立っているよという言い方だけではなくて、日本の人類益への貢献だよというような話だけじゃなくてですね。
 そこで、東南アジアの、インドネシアの話が出ましたけれども、ベトナムでも枯れ葉剤でベトちゃん、ドクちゃんの大変な病気等々も生じていると。近年、日本でも焼却炉のダイオキシン問題、また環境ホルモンの問題、深刻な問題というのが出てきていますね。そうすると、史上最強の人工毒物と言われるダイオキシンみたいなものが現地でどういう形になっているのか。また、研究者の試算によったら日本ももう既にベトナムに散布されているのと同じ状態になっているという研究者の報告、三分の一だという人もおりますが、そういう状態になっている現実を踏まえて、日本にも大変な影響がある。と同時に、援助もこれらに関してはきちっとやる、調査研究もする。アメリカはかなりやっておるんでしょうけれども、そういうような象徴的なものをつくっていただいた方がやはり国民にとってはわかりやすいなというふうに思いますので、これは大島局長にお伺いしたいと思います。
 それと、杉下参考人の方には、マスコミの方ですので、昔は批判記事が多かったけれども最近は同情されるようだ、本物ではない、そういうようなのではある意味ではという話が先ほどありました。最近は報道の関係が物すごく日本人に影響を与えるわけですね。それで、それに直接関係者でかかわっている人と、推進する中にコミットしているような人と、全く無関心な人がおられますね。私なんか、官や何かを批判することがマスコミの使命だと思っている人がかなり多いような気もします。そうすると、上田先生とかそういう方からかなり批判されたのは、ODAはもう悪いことばかりだみたいな感じの雰囲気で受け取られておったわけですけれども、そのときにマスコミとしてそういうODAを批判することは我々から見ると過剰に悪だと、もちろんマルコス疑惑のようなところでの金は別個として。そこのマスコミの姿勢を、せっかく読売から来ていただいたので教えていただければと思います。
 それと二番目に、先ほど海外援助というのがかなり減ってきたというのがありましたけれども、今これだけの日本の不況下で、我々はいわゆる支援者も含めていろいろ接触する人が多いですけれども、海外援助よりも国内援助ですよという声も本音のところかなり多いわけですね。人道援助で人類益、国際貢献ということもあると思いますが、我々もいじましくない援助という考え方を前回のここの委員会でも考えて、発言もかなりその方向でまとまっておったようですが、そういう具体的に国内援助をという声に対してもやはりこたえる必要があるという方々に対する御意見をお話しいただければと思います。
 それと、あと国民参加型のODAという非常に貴重な御意見をいただいたわけです、NGO中心にと。最近のNPO法案、恐らく修正で通ると思いますけれども、このNPO、寄附金とかを中心に運営されているようなところに対しての援助方法を今後国としてはどういう形で考えていったらいいかというところもひとつお話しいただければと思います。
 長くなるといけないので、とりあえずこれだけ参考人の方にお願いします。
#27
○政府委員(大島賢三君) まず、外務省の組織、機構にかかわる点についてでございますけれども、福本先生に御指摘いただきましたように、外務省の中の機構についても提言されています。これは伊藤憲一先生のところの国際フォーラムでも累次の指摘も見られるのですが、私どもとしましても、これから国別援助計画をよりよいものにしていくという観点から、政策担当部局であります私どもの外務省経済協力局、それから実施機関でありますJICAにおきましても、従来、非常にある種の縦割りといいますか、機能別の組織になっておりまして、国別に政策を考えそして実施するという観点から見ますと、確かに組織的、機構的な仕組みがそういうふうになっていないと。これは実は、人間を置いて国別見地からの切り口で物事がとらえられるように措置はしておりますけれども、組織、機構的に見てそこがやはり弱いという反省がございます。
 恐らく、外部の方々がごらんになっても、どうもそこら辺はもうちょっと考えた方がいいんじゃないかと。諸外国の組織、機構を見ましても、大体大きなところは地域担当部というものがあって、それで国別、地域別の政策あるいは実施をきちんとやっているというようなことを多くの方が御存じでございまして、やはりその辺は日本も考え直す必要があるんじゃないかと、こういうことでございまして、私どもも、これはできればこういう方向に持っていきたいと思っております。このためには政令を変えたり、若干そういう問題が当然伴いますけれども、そういう方向で検討を進めたいと思っております。
 それから、開発教育の点についても御指摘をいただきましたけれども、実はこれは大変長い議論がこの懇談会の中でございまして、長期的に考えると非常に重要であるということで幾つかの提言がこの中に盛り込まれております。文部省にいろいろ御協力いただく問題もございます。
 一部は、例えばインターンシップ制度を導入して、JICAの中に大学生が夏休みなら夏休みを利用しまして来て実際上の経験を積むといったような非常に実際的なことも行われ始めております。それから、帰国した青年海外協力隊員が学校に出かけていって話をするような機会をふやすとか、こういうこともなされております。
 議論の過程でいろいろ出ましたのは、例えば国家公務員試験あるいは外務省がやっております外交官試験の選択科目の中にこういった開発であるとか国際協力の問題を導入したらどうだとか、そういういろいろなことを通じることによって広い意味での開発教育も進んでいくと。それから、一番確実で確かな開発教育は、国民参加型の協力を広めることそのものが広い意味での教育効果を持つと。直接活動に参加すればまさに生きた教育でございますし、生きた教材に接するわけでございます。
 そういうことでいろいろな見地からこれを進めるということで、私どもこれは大変に重視をしておりますので、文部省への働きかけも含めましてやっていきたいと思っております。
 基本法の問題につきまして一言、先ほど私の尊敬する杉下さんから、基本法論者にお変わりになったということで実は軽いショックを受けております。一つ城が落ちたかなということでございまして、きょうは大変な発見をしてこの部屋を去らざるを得ないかなと思ったわけでございます。
 懇談会の場においては、実は若干の問題提起はございましたけれども、余り議論はなされませんでした。一部の方にはこの基本法制定に支持を述べられる方もおられましたけれども、基本法の問題それからODAと国会との関係については、これは外務大臣の懇談会であるという性格をお考えになったことかなというふうに私もちょっとあれしておりますけれども、それ以上の深い議論はございませんでした。
 基本法についての基本的考え方は、ちょっと歯切れはよくなかったかもしれませんけれども、以前この場で御披露させていただきました。そういうことでございます。
 最後に、医療を含めまして、まさに国民に非常にわかりやすいような象徴的な案件をということでございました。これも本当にありがたい御指摘でございます。
 今、一つだけそういう意味で申し上げますと、中国との間で、中国の方の大気汚染の防止をめぐりましてかなり大きな協力を進めようとしております。これは、まさに橋本総理大臣と李鵬首相の間で、最高レベルで合意されておりますが、中国の大気汚染防止を進めるということは、中国自身の利益でもありますけれども、これが酸性雨になって日本に降りかかってくるおそれがあるということでございますので、そういう意味で、まさに国際協力そのものが日本自身の非常に大きな利益にもかかわるというような性格のものであると思います。中国側も、この問題は、環境問題が非常に深刻化しておりますので非常に積極的に取り組んできておりまして、できれば三月の末にも、合意されております日中双方の専門家会合の第一回会合を開きまして、いよいよ具体的な検討の段階に入る段取りが今進みつつあります。
 こういった種類の協力は、できるだけ多く進めていきたいと思っております。
#28
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 基本法の話は、私も、今度の予算カット、一〇%削減の中で、ちまたに言われているように国会内に族議員がいなかったことが削減の一つの要因じゃなかったかというようなことからも考えて、やはり国会の先生方にもっといろんなODAのことを政策論争していただきたいということからも基本法というものは必要じゃないかというふうに考えるに至ったわけです。また、透明性を高めるという意味でもやはり国会の関与というのは重要だということで、非常にODAを深く考える心から、そういったことが私の方向変換した理由でございます。
 私に対する質問でございますが、マスコミの批判記事ということですね。
 確かにマスコミは、昔から言われるように、犬が人をかんでもニュースにならないけれども人が犬をかんだらニュースになるというようなことから考えますと、むしろODA批判記事が出ることはおおむねうまくいっているんじゃないかと。うまくいっているニュースを毎日書いてもニュースじゃないから、まずいのを見つけてきて書くのがニュースじゃないかというふうな考えもできるわけです。
 それからまた、マスコミがこれだけODAに対してネガティブな記事を書いている割に国民のODAに対する支持というのは、こういう不況下においても相変わらず七〇から八〇%の方がODAというものの実績を認めているわけですね。ですから、マスコミの言うことをみんながうのみにしているというわけではないようです。
 マスコミの社論というんですか、ここに山崎議員もいますけれども、読売新聞の場合、ODAに対する社論というのはございません。例えば安全保障の問題とか再販制度の問題とか、そういうものについては社論というものを掲載しておりますが、経済協力に関してはおおむねいい行為であるということは認めておりまして、ODAについてはどうしようこうしようというような社論はございません。ですから、ある記者がODA批判を書こうとある記者がODAの支持をしようと、これについて特に社論というのはございません。記者それぞれの個人の考え方で書いております。
 それからもう一つ、ODA批判というものはなぜ生まれたかということを分析しますと、基本的にまず一つ言えることは、新聞記者がODAというものの組織が非常に複雑でよくわかっていないということがあるんですね。ですから、一部の方々がした批判をそのままうのみにして書いちゃうことが多々ある。
 それから二つ目は、やはり言われても仕方がないむだとか効率の悪いプロジェクトも幾つかあるだろうと。
 それから、もう最近はなくなったんですが、特に大きかったと思うのは、冷戦時代のイデオロギーによる批判ですね。というのは、日本政府がやることイコール西側陣営にくみする、これはやはりアメリカの戦略の中に入った援助が行われるわけですから、そういうことに対する批判というものがかなりあったと思うんですね。しかし、最近そういったものはだんだん消えつつあります。
 マスコミの方も少しずつ、少なくとも援助のシステムぐらいはわかってくるようになっているわけでして、だんだんそういったものが、今までのような八〇年代後半から九〇年代前半にかけての意味のないODA批判記事というのが少しずつ減ってはいるという一つの理由は、同情もございますが、そういった変化というものはマスコミ側にもあると私は考えています。
 それから、不況の中で国内での批判ということですね。これはもう本当に難しい問題で、私の身近な人間にでもなかなか説明できないという問題になるわけですが、これはどうするかというと、やはりまず国際性ということを、そのODAというものがめぐりめぐって我々の世界に入ってくるというものをどこにどうやって理解していただくかという努力をしなきゃならない。援助をしたものが必ずしも相手国へ行くだけじゃなくて、それがめぐりめぐって日本の我々の日常生活にまで来ているということを、やはり国際の中にいる人間であると、地球の中の一員だという認識をやっぱり国民の皆さんにもうちょっと深めていただくことが最大のODAに対する理解を深める手段じゃないかと。さっき言ったような国内援助を先にせよという批判に対する答えとしてはそれしか手段はないんじゃないかと考えています。
 あとは、NGOとかの協力の問題です。
 先ほど大島局長も、日本のNGOに対する補助、支援、これが事業補助金ばかりじゃなくて日ごろのオーバーヘッドコストみたいなものにまでだんだん関与するというようなことをおっしゃったかと思うんです。これは非常に大きな前進だと思うんですね。NGOが一番困っているのはやはり日常の活動費、例えば御承知のとおり、途上国に行ってプロジェクトのお金は出せますが、そこへ行く飛行機の渡航代が出てこないわけですね。こういったものも少しフレキシブルに使えるようにすれば日本のNGOの活動というものは大きく飛躍していくんじゃないかと。
 注文として、私、去年、皆さんも御承知のCIDA、カナダの国際援助庁のラベル長官とちょっとお話しする機会があったんですが、長官がおっしゃっていたことは、カナダというのはODAとNGOが非常に理想的な協調をしている国と言われています。
 この中でカナダがやっていることは、一番やらなきゃならないことは、まず対等のパートナーとして見なきゃならない。要するに、NGOを政府の下働きのような目で使った限りには、NGOとODAの共同事業というのは絶対に成功しないと。そのためには何をするかというと、まず持っている情報を全部お互いに共有しなきゃならない。要するに、政府が持っている、外務省が持っている、実施機関が持っている、そういった情報をパートナーとなり得るNGOに全部公開して一緒に物を考えなかったら、絶対にそのNGOとODAの協力関係は成立しないということをラベル長官はおっしゃっていました。
 私もまさにそのとおりだと思いますし、政府もだんだんそういう点に改革は進んでいると思いますが、ぜひ注文したいことは、NGOと今後協力するときには必ず対等なパートナーであると。どっちが上、どっちが下ということはない、そういった考えでもって同じ情報を共有する団体としてぜひやっていただきたいというふうに考えております。
#29
○上田耕一郎君 時間もあれなので一間ずつお伺いしたいんですが、この中間報告ですね。この中間報告の中で、一つおっと思ったのは、六十二ページですが、「日本は、開発途上国の経済的自立のために大規模な開発資金を融資することが可能な「円借款」という方式を有している。これは、他の援助国には例のない有効な援助形式である。」と書いてあるんですよね、六十二ページの下段です。
 それで、発展途上国はODAに非常に依存していますし、日本だけでなくて、利子率の低い公的資金の支援はどこでもかなりやっているでしょう。北欧は贈与が多いですけれどもね。これは他国に、他に例のないと書いてあるので、ちょっと局長に御説明いただきたいと思います。
 それから、時間もありませんから聞きたいことはありますけれども省きまして、杉下参考人に。
 イデオロギー批判と言われたんですけれども、それから福本委員がお話しのときにも挙げられたんですけれども、私たちが一番批判してきたのは、イデオロギーも多少ありますけれども、やっぱり事実に基づく批判をしてきたんですね。
 それで、今度の懇談会の報告書も、人道を重視する、それから人間的な開発を重視するとか女性を重視するとか貧困の克服、これは非常にいいことだと思うんです。しかし、非常にいいことなんだけれども、実態としては、例えば食糧援助は非常に日本は低いんです。これは前にも取り上げたことがあるんだけれども、例えば食糧援助のシェアはDACの加盟二十カ国の中で最低、DAC平均が三・五%なのに九四年の実績で日本は〇・四%なんです。だから、人道人道と言いながら、こういうDAC平均よりもはるかに少ない実態が一つある。同時に、なぜそういうことになるかというと、アメリカの戦略援助に対する従属というのが日本のODAの最大の欠陥だと、私たちは事実に基づいてそう思うんです。
 一つのデータ、我々の分析を挙げますと、アメリカ側の戦略的に重視している国というのは三十一カ国あるんです。その三十一カ国に対するODA、日本とドイツは、フランス、イギリスなんかと非常に対照的なんです。アメリカは中南米を非常に重視してそこをやっているんだけれども、日本はアメリカの戦略重視国の中でアジアを主に担当しているんですが、アジアは六カ国です。日本は三十一カ国のうち十八カ国を担当しているんです。ドイツは十七カ国です。フランスは先ほどの最終報告にもあったけれども、旧植民地だったところが主で、だからアフリカが五です。それだけなんです、フランスは。イギリスは一です。そうすると、フランス、イギリスなど、アメリカに対する戦略援助の追従は非常に薄いんだけれども、日本とドイツというのはやっぱりすごいんです。
 これも一つのデータですが、例えばアメリカが特に安全保障を重視している国が十三カ国ありまして、インドネシア、フィリピン等々あるんですけれども、その十二カ国に対して日本は二国間援助の総額の三分の一やっているんです。だから、そのくらい非常に追従していまして、杉下参考人はODAの全体としての積極面を評価されておりますが、私どもは、そのアメリカに対する従属関係が事実として非常に強いと。
 今度の懇談会の報告でも、僕はちょっとこれは重要だなと思いますのは、十八ページ、十九ページに書いてあるんだけれども、今まで日本のODAは政治的条件をつけることに慎重だったというんです。ところが、ODA大綱制定のころからこれは変化してきて、政治的観点からの考慮、言いかえれば援助受取国側の民主化、人権、市場経済化等々、こういうものに政治的条件を重視し始めた。十九ページにはよい統治、グッドガバナンス、民主化促進、こういうところを重視し始めているというんです。
 これはいい意味での民主主義を重視するならいいけれども、結局アメリカに追従して、そういう見方の政治的条件を重視するということが強まっていくことになりますと、掲げた旗は人道重視、人間重視で非常にいいんだけれども、実態としては、どうも冷戦崩壊後もアメリカの一極覇権主義に追随する性格が依然として弱くなるどころか強化されるんじゃないかと思うので、杉下参考人にその問題をお答えいただきたい。
 以上、一問ずつです。
#30
○政府委員(大島賢三君) 上田先生の円借款の御質問でございますが、二、三点だけ絞って申し上げたいと思います。
 一つは、日本が技術協力、無償資金協力それから円借款という大きな三つの手法を持っておりますが、これは非常にユニークといいますか、ほかの国に余り見られないものであること、これは事実でございます。円借款が全体の半分程度ということで来ておりますが、そういう意味で、発展段階に応じ、それから相手国の必要に応じ、この三つの組み合わせをうまくやりながら日本は開発援助活動を展開してきた、これは最近各国とも認めるようになっております。
 従来、円借款が問題になりましたのは、特に調達で日本タイドにして、日本のサービス、物品を輸出振興に使っているんじゃないかと、したがってこれを一般的に国際的に開放されたものにしようと、こういう調達政策をめぐってはいろいろ批判もございました。ある程度我々もそれに配慮しまして、現在においては御承知のとおりほとんど一〇〇%アンタイドにしたわけでございますが、今度は国内からは、それはちょっと行き過ぎたんじゃないかというようなことで、逆の方面から御批判もいろいろございまして若干揺れ動いております。そういう問題はございますけれども、これが非常に大きな役割を果たしたということについては、むしろユニークないい面だろうというふうに思います。
 今、東南アジアがああいうふうに危機に陥っておりますが、これは失敗の例だと言う方もおられます。別には、いや、これはむしろ成功の例で、成功の副作用の問題が今出てきているんだと、そういう分析もなされております。成功ということで、私はそう思っておりますけれども、その成功の陰にいろいろな問題が伏在しておったものが出てきた、そういう意味では副作用だというのが私の個人的な考え方でございます。その成功の上で、円借款が長年にわたって基礎を築いていく上で大変に大きな役割を果たしてきたということも事実だろうと思います。
 欧米諸国は、無償それから商業的な借款をまぜ合わせます混合借款、こういう形が多うございます。日本のように財政投融資というような制度がございませんので、あるいは非常に少ないので、円借款のような制度を持つということがなかなかできないわけでございます。これも日本の特有な例でございますけれども、財投のおかげでこういう制度が可能になって、これがうまく援助の場面で利用されてきたということだろうと思っております。
#31
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 大変難しい御質問でなかなか答えは難しいんですが、基本的に日本という国家が市場経済、民主国家として存在しているわけで、国の国家体制があるわけでして、当然そういった市場経済型国家または民主化支援という形で日本の援助も行われて、そのラインに乗っていくのが、日本が社会主義国家ならまた別ですが、現体制においては、そういうことを日本の国家体制としている限り、やはり民主化支援、市場経済化支援ということが大きな国の方針になると思うんです。
 その場合、それは結果として確かにアメリカ追随型というかアメリカ同調型になるという結果は生まれてくると思うんですが、やはり現体制においてはこれが我々日本国家の行き方として私は間違った方向には行ってないんじゃないかと思うわけですね。現在、世界の流れの方向も市場経済化、民主化ということが流れの中にあって、また多くの国がそれを目指しているなら、やはりそれを支援することは必ずしもアメリカ追随だけでなく、日本という国家の一つの方式にのっとったものだというふうに考えます。
 ただ、私がアメリカとの一線を画さなければならないかなと思っている点は、今度のミャンマーの援助の再開なんかがございますが、やはりアメリカの考え方すべてが教条的に日本に押しつけられるということは日本の援助に対してはふさわしくないと。アジア型という言葉は一体何なのかえたいの知れないものですが、やはりアジアはアジア型のやり方というものも当然あってしかるべきであって、民主主義というのはいろんな形態があると思うんです。欧米型の民主主義が一つのマトリックスというか定型じゃないと思うんですね。
 ですから、そういった意味で、日本がアメリカに対して一つの独自性を保つという意味なら、アジア型または日本という国の過去においてした経験、こういったものをもうちょっとアメリカと違う行き方で強調して主張していくべきだという考えは持っております。
 特に、例えば最近のアジアの通貨危機、経済危機の救済を受ける際、IMFのああいった過度な介入みたいなものに、やはり日本型というものも、日本はある程度はこの地域のリーダーとしての意見というものの主張をすべきではないかというふうに感じます。ただ、それはイデオロギーの問題ではなく、やはりそれぞれの国の持った歴史と生き方の差というものを強調していくべきじゃないかと、私はアメリカとの関係では考えています。
#32
○永野茂門君 時間がありませんので、大島局長に意見を二つ申し上げます。
 一つは、ヤンゴンの国際空港の問題、大変に結構だったと思います。
 二つ目は、基本法の問題ですが、緩やかな基本法については私もつくることに賛成です。外務省、大島局長、ぜひ御検討をお願いしたい、こう思います。
 以上です。
#33
○政府委員(大島賢三君) ヤンゴンにつきまして御理解いただきまして、ありがとうございました。
 基本法の点につきましては、この委員会におきましていろいろ強い御意見を以前から承っております。繰り返しませんけれども、御趣旨は十分によくわかっておるつもりでございますので、私の一存というようなことではもちろんございません。非常に大きな問題でございますので、これはこの場の諸先生方の御意見等も十分踏まえながら、なお慎重にちょっと考えさせていただきたい、こういうふうに思います。よろしくお願いいたします。
#34
○小委員長(板垣正君) 参考人の意見も伺いますか。
#35
○永野茂門君 はい。
#36
○参考人(杉下恒夫君) 私も、それはおっしゃるとおりだと思います。
 ミャンマーの件は、私は非常によき英断だったと思っておりますし、基本法については、私もぜひ局長にも考えていただきたいと思っております。
#37
○山崎力君 参考人と局長にお伺いいたします。
 いろいろあるんですけれども、基本的に突き詰めていきますと、最終的にODAというのは、一種の日本外交、対外的な国家意思の表明という部分はぬぐえないと思うんですが、それに流れる、そこからうかがえる国家意思、日本は何をもって国益と考えているかということの理念というものがなかなかうかがうことができないというところに問題があるんじゃないかなという気がするわけです。そういうふうなことをいろいろ、基盤がないものですから、そのときそのときの場面においてのやり方ということに関してはそれなりに整合性をとっているかもしれないんだけれども、全部通しで見るとぎくしゃくして矛盾が見えてくる。広く言えば、これは日本外交の理念というのは何なのかという、そこのところにも帰着すると思うんですが、その辺についてお伺いしたい。
 具体的に言えばNGOの問題なんです。NGOに対して先ほどもちょっとありましたけれども、対等なパートナーという表現からいけば、NGO側もある意味では財政基盤がしっかりしてなければ対等のパートナーたり得ない。国から援助をされていて対等なパートナーかということがあるわけで、今回のNPO法案も、政府側と与党側の一つの大きな意思として、財政基盤を拡充する大きな問題、具体的に言えば税制上の優遇措置というものが見送られたと。衆議院においては、条文に入れるところを附帯決議にしろということで、最終段階でどんでん返しがあったと。こういったことを見ますと、言葉だけじゃなくて、本気にやる気があるのかいというふうに言いたくなる部分があるわけです、私からすれば。
 それで、NGOということからいけば、ある種の日本政府がやれないことを対外的に、悪い言葉で言えばダミーとしてやれる。これはいい意味でダミーとしてもやれるという部分は確かにあるわけで、そういう意味での協調関係というのは極めて必要ですけれども、それじゃ本来のNGOというのは政府の意思とかかわりのないところで、国民の意思として、あるいは人類的な理念のもとにそれを求める人たちの集団がやろうとすることであって、国家として、あるいは社会として認めてそれを育てようという国民的合意がないところにこれがあったところで非常に難しい。
 西欧において、教会に行って喜捨をするというのは当然の国家、みんなで金を出し合って教会をつくろうという国でできたNGOと、古来、一つの政府のといいますか制度の中で、お上に対しては金を取られるだけ、お上はそれを施すだけということをならされてきた日本国民にNGOの精神というものを根づかせるのは極めて大変だと思うんです。その辺を余りにも今日的な話題に日本では取り上げてそれに乗っかろうとしているんじゃないかというふうに、長い目で見るとかえってどこかで落とし穴が出てくるんじゃないかというふうに危惧するんですが、そういう考え方に対する御感想を杉下参考人並びに大島局長にお伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(大島賢三君) 今の国益全体の中で、山崎先生の御指摘いただきました点は私も先ほど申し上げたとおりでございまして、対等なパートナーという言い方にするか、あるいはNGOと政府の関係は一種の緊張ある協調関係とかいろいろなことで言われておりますが、開発援助に関する限りは非常に貴重なパートナーだ、そうあるべきだというふうに私も思います。
 今、NPO法案が成立に向けていい方向にあるというふうに聞いておりますけれども、NGOも含みます。そういう活動、あるいは日本におけるいわゆる英語で最近言われておりますシビルソサエティーの育成に向けてこういった法案が大きな力を発揮するということで、まだまだ足りないところもあるかもしれませんが、少なくとも第一歩になる重要なステップであるというふうに個人的に私は考えております。望むらくは、財政的な側面について強固な基盤ができるような措置が組み込まれるということであればなお望ましいということじゃないかと思いますけれども、第一歩としては非常に評価すべきものであると考えます。
 ODAの範囲でできることは、先ほど申し上げましたけれども、一般会計、税金に伴います資金の運用について制度面からくる制約等がございますのでなかなか使いにくいとか、さらに工夫が必要とされているとか、いろいろ言われております。これは、私どもとしましてはできるだけ柔軟に受けとめまして、政府としてできるところについてはとにかくできるだけ柔軟に対応することによって要望に沿いたいというふうに思います。
 大きな役割をNGOが果たしていただくということは、これはもう国際的に大きな流れでありますし、現実であります。日本については、ここ十年ぐらい大分変わってきたという印象は大いに持ちますけれども、国際比較をしてみますとまだまだ立ちおくれているというのが現実であろうかと思いますので、国際社会においてこのNGOの果たす役割というのをぜひ強めていただきたい、こういうふうに思います。
#39
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 最初の問題ですが、確かに国益とは何かということで私もおっしゃるとおりだと思うんですね。ぎくしゃくして見えるのは、それは例えばODA大綱とか基本法の理念とかそういったものじゃなくて、もっと大きく、日本という国が国際社会の中においてどういう存在をしようとしているかという大きな枠ができていないからぎくしゃくするのであって、これはもう外交を既に超えた問題じゃないかと。そういった大きな方向があって初めて、経済協力というものの方向もぎくしゃくしないスムーズなものになる。ですから、まず決めてもらいたいのは、日本という国が二十一世紀にどういう国家で存在するのかということが大きなテーマになると思います。
 二つ目のNGOの話なんですが、確かに日本のNGOはお金がなくて非常に皆さん四苦八苦して、極端に言いますと、今、日本のNGOの事業というのは外務省のNGO事業補助金でほとんど食べている。また、ちょっと前までは郵貯ボランティアのお金でやっていると。政府なり公的な資金に頼っている部分がございまして、非常にそういう点、財政基盤が脆弱です。
 ただ、幾つか言えるんですが、日本のODAが、じゃ欧米の国際的なNGOのような組織になることが果たしてそのままいいのかどうかという議論もあると思うんです。というのは、非常にビジネスライクな仕事になりますので、彼らの持っている理念というものが、国家とは違うかもしれませんが、例えばOXFAMとかCAREとかいうものの持っている理念というものが、本当の手づくりというか人間的なものからちょっと外れている部分も出てきているので、日本のODA、NGOの持っている細かさ、小ささというのが非常に人間的であるという点が重要なので、これも余り無視しちゃいけないなと思うわけですね。
 それともう一つは、日本のODA、NGOも確かにまだ、例えばNGOというのは組織が小さいわけですから、日本の場合、横の連絡をもっとしなさいといってもなかなか横の連絡をとりたがらない、協調したがらない、そういった点とか、政府と協力するのは嫌だとか、そういったNGOがあります。いろいろと最近NGOの方とつき合っていて、むしろ驚くのは、私もかなりNGOのことは知っているつもりなんですが、彼らは、日本のNGOというのは私たちが予想している以上に非常に進歩しています。
 ですから、先生がおっしゃったように今日的な話題としてNGOをもてはやしている以上に、もちろん全部じゃございません、でも一部のNGOというものは大変進んでいると。私は、日本のNGOというのは方向は今非常にいいんじゃないかというふうに考えています。
#40
○田英夫君 時間がありませんから簡単に申し上げます。
 今、ちょうど話題になりました国益の問題というのが、やはり我々、討議の大体大詰めになってきたと思うんですが、このことをさらに詰める必要があるんじゃないか。私もかつては非常に厳しい基本法案を出したことがあるんですが、現在の心境を申し上げれば、皆さん一致しておられる緩やかなという表現でいいから基本法をつくった方がいいと。
 その一つの理由は、今まさにおっしゃったような国益という問題についての哲学を一致させておく必要があるんじゃないかという気持ちが強いからなんです。
 山本さんはさっき冒頭のところで、国連安保理の常任理事国になるという問題も材料にしながらやるぐらいのという意味のことを言われたんじゃないかと思うんですが、山本さんがちょうど仲間の方へ加わってくださりそうなときに批判をするとこれは作戦上まずいかもしれませんが、私はここのところが非常に一番大事なところのような気がします。
 私は、逆に、やっぱりODAというのは国際的な発展途上国、弱い立場あるいは貧しい国、そういう国の国民の皆さんを救う、その国民生活を向上させるために役に立つということが基本であるべきで、国益もわかりますけれども、広中さんがおっしゃったように、情けは人のためならずというのはまさにそのとおりではありますけれども、それは結果としてそうなるという状態であるべきじゃないか。初めから国益を振りかざして、力の外交のような形でODAを使うというのはいかがなものかという気がしております。
 ひとつ小委員長にもお願いしたいのは、今後、最後の詰めの我々同士の討議のときにその辺のところを話題にしていただきたいということをお願いして、できましたら特に杉下さんから御感想を伺いたいと思います。
#41
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 田先生のおっしゃることもよくわかるのですが、結果としてということで、私はその辺では国益という、情けは人のためならずは結果としてと。余りさっき言ったように赤裸々に出すということはもちろんよろしくない行為ですが、何のためにするかと、やはり国民の税金を使うて社会慈善活動をしているというようなイメージでは広く納得してもらえないと思うんです。
 ですから、もちろんいいことをしていることはいいことなんですが、それとプラス、これも日本の国のあなたたちの生活にも役立っているのだということをやはり示すべきであって、例えばP7入りのためにどうしろこうしろということは裏ではやっているかもしれませんね。もし常任理事国になった場合、我々がどういうベネフィットがあるかということをやはり国民もわかるわけで、その辺を私はツールとして使っていいんじゃないかと、そこは先生と違うんですが。もちろん、人道面というのも重要です。だから二面はあるんですが、人道面だけではやっぱり私はODAというのは今後国民の支持は得られないんじゃないかと思っています。
#42
○広中和歌子君 今、日本にとっての国益というのが何かということは日本の二十一世紀の将来のあり方につながっていくという御指摘は、大変すばらしいことだろうと思います。
 私、ちょっと先ほど言い忘れたのでございますけれども、戦後アメリカは、世界のGNPの四五%を占める唯一の世界大国であったときに、さまざまな支援をヨーロッパに対して、またアジアの国々、なかんずく日本に対してしてくれたわけです。それは、かなりアメリカにとっては戦略的な支援であったかもしれないけれども、結局はヨーロッパを振興させることにより、また日本を経済的にも強くすることによって、西側世界の構築に非常に力をかしたという例もあるわけでございます。ですから私は、具体的な形での国益というよりは、そういう意味の広い国益も頭に入れているわけでございます。
 アジアに関して、これはある方から聞いたことなので根拠は明らかじゃないんですが、日本はアジアにおいてGDPの七〇%を占めているというわけでございます。そういうことから考えましても、日本は、アジアの発展のために、最低のレベルの人道的な援助はもとより、アジアの経済を健全にする、アジアの人々の生活を非常に豊かなものにすることによって民主主義を育てる、そしてひいてはそれが日本の国益につながる、そういった形のもっとビジョナリーな支援をしていくことが大切なんじゃないかなと思っている次第でございまして、もしコメントがあればよろしくお願いいたします。
#43
○政府委員(大島賢三君) 国益の議論といっても、いろいろなレベルの国益という問題があるんだろうと思います。
 私は、一番重要な国益は、今、広中先生がおっしゃいました、さっき杉下さんからも御言及がありましたけれども、人づくりだろうと思います。日本の経験でいえば例えばフルブライトの計画とか、そういった財産というものが、以前行われた投資が現在どうなっているかということを見れば一日です、これはよく知られている例だろうと思いますが。留学生、それから今営々とやっておりますJICAその他を通じますいろいろな技術協力、こういうものはやはりそのプロジェクトが終わりましても残っていくわけでございまして、こういったものの集積というものが恐らく一番大事な財産であると、私もそういうふうに思います。
 それから、次元がやや商業的になってそれはおかしいんじゃないかという御意見があるいはあるかもしれませんけれども、例えば技術協力にいたしましても、例えば機材を供与いたします、コンピューターを供与します。これは以前、私自身が実際担当して経験したことなんですけれども、例えばIBMがあるいは贈与で、あるいは技術協力の一環でIBMの機材がある途上国に供与されるということになりますと、その国はその協力を通じましてIBMの機材になれます。そうすると、例えば日本の機材というものはもう受け付けられないといったような次元の問題もあります。そういう側面もこの技術協力あるいは経済協力の一面としてあるということは、これは厳然とした事実でございまして、血眼になって各国がやっておるわけでございまして、これをプレーアップする必要はもちろんないし適当でないかもしれませんけれども、そういった次元での問題もあると思います。
 その中間にいろいろな形の国益もあると思いますので、一言にこれをどう割り切るかというのはなかなか難しいと思うんですが、そういう意味での幅広い利益がかかった事業であるという認識を持って私どもはやっていく必要があるというふうに考えます。
#44
○参考人(杉下恒夫君) お答えします。
 国益の問題でございますが、確かにアメリカの戦後の欧州におけるマーシャル・プラン、アジアにおけるガリオア・エロア、ああいったものは我々日本人も非常に感謝しているわけですね、もらった方も喜んでいる。そして同時に、アメリカ側は今先生がおっしゃったように西側世界の構築に非常に寄与した。もっと言えば、コカ・コーラとかフォードのヨーロッパ進出に非常に役立った援助でもあるわけです。それは非常に国益になっていると思うんです。
 それが悪いのかというと、双方が喜んでいるわけですから、そういった援助というものは私は援助の形としていいんじゃないかと。先生のおっしゃるように、アジアにおいても、日本の援助によって日本のいろんなメーカーなり企業の進出の足がかりになっています。それを批判する声もありますが、結果としてそういう形が生まれて、しかも相手国にも日本の技術移転とかそういうものが行われ資本投下というものが行われているなら結果的に悪いことじゃないだろうと思うわけで、国益というのはそういうものではないかと。結果としてそうやって生まれて双方が感謝していればそれでいいんだろうと。
 リージョナルにもうちょっとポイントを当てなさいということですが、日本はそれは戦後アジアを中心にやってきたわけで、もう今は五〇ぐらい切っているんでしょうけれども、まだこのぐらいの比率でやっぱり日本はアジアに対するリージョナルな重点的な援助ということは続けるんじゃないかと。今の比率を減らすということはよくないと思いますが、やはり必要な国、特に日本の援助が必要な国は今むしろアフリカ、南西アジアにふえているわけで、そういったところに少しずつ移転していくのもまたいいんじゃないかと考えています。
#45
○福本潤一君 杉下参考人の方から、なぜODAをやるかの国民的合意というのが必要だという話の中で、賠償と黒字還流というようなスタートのお話があったときに、今、日本自身が逆に被援助国だったということを案外日本の国民というのは若い人を含めて忘れ去っている状況ですので、マスコミの立場でまたこういうところの啓蒙活動をやっていただくとスムーズになるんではないかということ。
 人材育成ということで相手国の人づくりというのも大事だという中で、技術協力しているときに、ハードの建設に対する批判は多いんですが、逆にハードの建設をしているときに具体的な実務をしている人に聞きますと、現地で採用すると技術者として育成せざるを得ないわけですね。生活習慣も、もうほとんど時間が過ぎたりしているような、守る習慣がないようなところを時間を守っていただくとか、アフリカやなんかの現地採用なんかだったらこれは非常に大きな教育効果にもなっているということも杉下参考人もわかっていていただければという含みで、ちょっと最後にコメントさせていただきたいと思いましたので、よろしくお願いします。
#46
○参考人(杉下恒夫君) おっしゃるとおりだと思います。我々も援助を受けたということを事あるごとに、特に戦後五十年のときには随分我々も書いたんですが、忘れちゃっているということもあるんで、事あるごとにまたそういうこともリマインドした方がいいと思います。
 それから人材育成、それは先生おっしゃるとおりです。ですから、特にマスコミも箱物とかそういうものに対する援助を非常に批判しますけれども、箱物というのはやはり経済開発の一つの基礎にあるわけで、これは重要だし、今おっしゃったように、その箱物の建設の期間中に、私も生活慣習までは気がつきませんでしたが、技術移転というのが行われて、そして生活までそうやって移転されているということは非常にいいことなので、人づくりはもちろん重要ですが、箱物も並行してやっていくべきだと考えています。
#47
○山本一太君 田先生のお話があったので。
 私は、きょう杉下参考人のお話を聞いて一つ改めてクリアになったことは、国益というのはやっぱり国民の利益であり、そして国益は必ずしも一国の利益ではなくて、それがひいてはいわゆる地球社会といいますか国際社会の利益になるということが必ずしも少なくないということだと思います。
 田先生がおっしゃった視点というのは私は本当に大切なことだと思います。ここに来られた参考人の先生が、ODAの最後のとりでというのは人道という旗を掲げていくことだと、これなら日本国民の支持を得られるんではないかという話だったんですが、私が地元に帰るたびに後援会でODAの話をすると、うちの村にODAを援助してくれという話がありまして、やはりそれだけではこれからタックスペイヤーの理解を得られないんではないか。
 常任理事国入りに対しては賛否両論あるかもしれませんけれども、私の感覚で言うと、常任理事国入りをすることは日本国家のためであり、日本国民の意識を変えるためであり、ひいてはバランス的にいっても国際社会のためになると、そういうことからきているということだけはちょっと申し上げたいなと。それだけ二言コメントさせてください。
#48
○小委員長(板垣正君) まだまだ質疑もあろうかと存じますが、予定した時間が参りましたので、政府及び参考人に対する質疑はこの程度にさせていただきます。
 一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中、長時間御出席いただき、貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。本小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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