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#1
第142回国会 災害対策特別委員会 第3号
平成十年三月二十日(金曜日)
   午前九時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     岩永 浩美君     陣内 孝雄君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     及川 一夫君
     上山 和人君     田  英夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浦田  勝君
    理 事
                清水 達雄君
                田浦  直君
                本岡 昭次君
                但馬 久美君
    委 員
                阿部 正俊君
                岩井 國臣君
                佐藤 静雄君
                陣内 孝雄君
                長谷川道郎君
                馳   浩君
                依田 智治君
                足立 良平君
                平田 健二君
                前川 忠夫君
                及川 一夫君
                田  英夫君
                山下 芳生君
                平野 貞夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       阪神・淡路復興
       対策本部事務局
       次長       田中 正章君
       国土庁計画・調
       整局長      河出 英治君
       国土庁防災局長  山本 正堯君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        八島 秀雄君
   説明員
       大蔵省銀行局保
       険部保険第二課
       長        藤塚  明君
       自治大臣官房参
       事官       滝本 純生君
       消防庁防災課長  益本圭太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (防災体制の整備に関する件)
 (被災者支援対策に関する件)
 (雲仙・普賢岳火山災害対策に関する件)
 (阪神・淡路大震災復興対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浦田勝君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、岩永浩美君が委員を辞任され、その補欠として陣内孝雄君が選任されました。
 また、昨十九日、大渕絹子君及び上山和人君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君及び田英夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(浦田勝君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○田浦直君 皆さん、おはようございます。自由民主党の田浦直でございます。
 災害対策について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 今回、重点施策としてアジア防災センターというものが設けられたということでございますけれども、これはアジアの諸国にとっては大変関心の深いことではないかなと思うわけでございます。また、災害も広域あるいは国際的になってきた面もございますので、時を得たものかというふうにも思いますけれども、その設立の経緯あるいは内容について、まず大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
#5
○国務大臣(亀井久興君) ただいまアジア防災センターについてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、阪神・淡路大震災が発生をいたしました後の平成七年十二月でございますが、我が国の提唱によりましてアジア諸国の防災を担当する閣僚が神戸に集まりましてアジア防災政策会議を開催いたしたわけでございます。その会議におきまして、アジア諸国の多国間での防災協力を進めていこうということで合意がなされました。
 そして、この合意の具体化に向けまして平成八年十月及び平成九年六月にアジア各国の防災担当部局の代表が参加をいたしまして専門家レベルの会議を行ったところでございます。その結果として、我が国にアジアの防災協力の中心となりますアジア防災センターを設置しようということで意見が一致をいたしました。これを受けまして、本年の夏にも神戸にアジア防災センターを設けたいということで現在準備を進めているところでございます。
 このアジア防災センターにおきましては、インターネットとかデータベースを用いました各国の自然災害の状況や災害対策などの防災情報の収集・交換、そして防災対策の分析、さらに防災協力の推進に関する調査でございますとか、災害発生時の各国の緊急援助等に関する情報の収集、防災に関する知識の普及、意識の向上などの活動を行うことにいたしております。
 申し上げるまでもなく、アジア地域は地震や台風、サイクロンなどの災害に対しまして非常に脆弱性の高い地域でございますので、アジア諸国におきます防災対策の推進は緊急の課題でございます。我が国といたしましては、このセンターの活動を通じましてアジア諸国の防災対策の推進に貢献してまいりたい、かように考えております。
#6
○田浦直君 アジアにも自然災害、台風あるいは水害、地震、いろんなものが切れ目なく起こっているような気がするわけで、そういうときに日本が中心になってこのセンターをつくるということでございますから、ぜひしっかりしたものにしてほしいというふうに思うわけでございます。
 それから次に、現在は自然災害に加えまして事故災害というのが大変多くなってきているような気がするわけでございます。これまでの防災基本計画というのが自然災害を中心になされてきておったんではないかなというふうに思うわけですけれども、これから事故災害についても基本計画の中に位置づけをしていくというお考えだというふうに聞いておりますけれども、その内容とかあるいは目的についてまずお尋ねをしたいというふうに思います。
#7
○政府委員(山本正堯君) 今、先生お尋ねのように、近年、社会、産業の高度化、複雑化等々防災を取り巻く社会構造の変化が大変著しいわけでございますけれども、そういったときに各種の大規模な事故による被害、いわゆる事故災害につきましても防災対策の一層の充実強化が求められておるところでございます。
 このため、私どもといたしましては、平成九年六月に防災基本計画を改定いたしまして、先生が今おっしゃいましたような海上災害あるいは航空災害、鉄道災害、道路災害、原子力災害、危険物災害、大規模な火事あるいは林野火災といったような八つの事故災害につきまして、新たに防災基本計画に編を設けまして追加をさせていただいたところでございます。この新たな防災基本計画におきまして、それぞれの災害の態様、それぞれ違っておりますが、そのそれぞれの態様ごとに災害の予防、災害応急対策等という対応の時間的順序を考慮いたしまして対策を講じさせていただくという記述をさせていただいているところでございます。
 安全規制担当省庁を中心とした情報の収集・連絡体制をまず整備する、それから災害対策基本法に基づいて必要な場合には非常災害対策本部を設置する、さらには具体的に、捜索、救助・救急、医療、消火、緊急輸送とか避難収容などの各種災害応急活動につきまして、国、地方公共団体、事業者、公共機関などのそれぞれの役割分担を明確化して適切に対応するというようなことを記述いたしまして、具体的かつ実践的に事故災害対策の充実強化を図っておるところでございます。
 この新しい防災基本計画及びそれに基づきましてそれぞれ各省が作成いたします防災業務計画等に基づきまして対策を講じることによりまして、先生今おっしゃいましたような各種の事故災害に対する総合的、体系的な防災体制の整備が進められ、適切な対策を講じていくことが可能になってきた、こういうふうに思っているところでございます。
#8
○田浦直君 社会とか産業が複雑化、高度化してくるにつれてこれまでの災害という概念が、自然を中心としておったものから、それに加えていろんな事故が起こることによって災害が伴ってくるということが盛んに起こってきているわけでございます。例えばこの前のナホトカ号の事件なんかでも、これも事故災害だというふうに思いますし、原子力の事故なんかもこれもある意味では人為的な災害ということになるわけですから、こういった事故災害について、これからそういうふうな基本計画の中でしっかりと取り組んでいかなければならぬというふうな面があるのじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 そういった意味で、これをこれからどういうふうに発展させていくか、あるいはこれがこの基本計画に取り込まれることによってどのように防災上対策が向上していくものか、そういったものについてお尋ねをしたいというふうに思います。
#9
○政府委員(山本正堯君) 今申し上げましたように、防災基本計画を平成九年六月に改定をさせていただいたわけでございまして、それに基づきまして各省庁が防災業務計画をそれぞれつくることにしております。
 海上災害につきましては、例えば運輸省がそれを具体的に防災業務計画に書いていく、具体的な対策を講じていくという格好になっている、さらにまたこれを各都道府県で地域防災計画に具体的に記述をしていくという格好にさせていただいておるところでございます。
 したがいまして、国の防災基本計画、各省庁の防災業務計画、さらに都道府県の地域防災計画、これらに具体的に事故災害につきましての防災対策を記述することによりまして、いざ事故災害が起こった場合にそのマニュアルに基づいて迅速な対応を図っていくという格好でさらに万全を期してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#10
○田浦直君 そういう意味では、今回基本計画の中に事故災害というものを大きく取り込まれたということは評価したいというふうに思うわけでございます。
 次に、被災者の支援といいますか、そういったものについて二、三お尋ねをしたいというふうに思うわけでございます。
 私も長崎ですので、雲仙・普賢岳が六年以上にわたって災害を起こしたわけでございますが、その間いろんな経験をしてまいったわけでございます。ちょうど当時私も県会議員をしておりましたから、国にも陳情に参ったことがございますし、そういうところからいろいろ感じることがあるわけなんですけれども、例えば、被災者の家族の救済ということになりますと、やはり大きなウエートを占めているのが義援金だというふうに感じるわけなんです。ところが、義援金というものはそのときの社会の好不況によりまして大きく違ってくることがあるわけですね。あるいは被災者の分母によって家族当たりの義援金の額というものの多寡が生じてくるというふうに思うわけです。例えば長崎のこの雲仙岳では、これはおおよそですが一家族千二百万ぐらい、あるいは奥尻では千五百万ぐらいと言われております。それに比べると神戸の方は格段に義援金の額が少ないというふうなことも言われているというふうに思っておるわけでございます。
 私は、救済するのがそういうことであっていいのかなという気持ちがあるわけです。これほど日本も豊かになってきたわけですから、そのような意味では、ひとつ均衡のある救済方法といいますか、そういったものを考えなければいかぬのじゃないかなというふうな気がしておるわけでございます。
 この被災者の生活の再建、自立再生ということについて、私はやはりそろそろ何か転換期が来ているのじゃないかなという気がするわけですけれども、政府においてはこういうことについてどういうふうにお考えなのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
#11
○政府委員(山本正堯君) 今、先生のお尋ねの件でございますけれども、自然災害による被災者の生活再建につきまして、私どももたびたび答弁をさせていただいておりますように、一般的に自然災害により個人が被害を受けた場合には自助努力による回復を原則としておるということでございますけれども、先生が今おっしゃいましたように、政府としましては、雲仙のときも同様でございますが、災害救助法による救助、あるいは基金によるいろんな支援策、あるいは各種融資措置等々の現行制度を最大限活用いたしまして、幅広く、きめ細かく被災者の生活再建を支援しているところでございまして、引き続き政府としまして被災者の生活再建のためにこれらの施策を着実に推進していきたいというふうに考えておるところでございます。
 なおまた、先ほど先生がおっしゃいましたような義援金の点につきましては、義援金はあくまで国民の善意に基づく自主的な拠出でございますので、それの使い方については地域の方々の御要望、御意向等に沿った形での利用がされておるということであろうかというふうに思っております。
#12
○田浦直君 災害の予防とか災害の応急処理というんですか、こういったものについては私も雲仙の対策を見て非常によくやっていただいたというふうな気がしておるわけです。
 阪神でも同じことだと思うんですけれども、これから復旧・復興というところにかかってきているわけですが、その時期に、大きな国の施策とかあるいは県とか市とか、そういったところではいろんなことをしていただいているわけですけれども、個々の被災者の家族というものにとってはなかなか自立再建するというのが今でもまだまだ難しい。これは島原でもそうなんですね。島原というか、雲仙でもそうなんですけれども、難しい方々がたくさんおられるわけでございます。そういう意味において、何かやはり考えなければいかぬのじゃないか。これは自然災害だから私有財産というものは自分で守りなさいと、これが原則なんだということはわかるわけなんですけれども、しかしいつまでもそうであっていいのかなと。やっぱり困った国民を救うというのはこれは政治の課題なわけですから。そういった意味で、せっかく自立再建しようと言っている人たちをそういうことだけで抑えてしまうというのはいかがなものかなという気がするわけです。
 私は、そういう意味では何らかの方策をやっぱり国としても考えなければいかぬのではないかなというふうに思っておるわけですけれども、重ねてのお尋ねになるわけですが、御答弁をお願いしたいと思います。
#13
○政府委員(田中正章君) 今復興・復旧対策が大変大切だという御指摘がございましたので、阪神・淡路で講じております被災者に対する支援の状況についてちょっと御説明をさせていただきたいと思っております。
 先生もよく御案内のように、阪神・淡路については、政府はこれまでに四兆円を超える国費を確保いたしましていわゆるインフラの整備その他をやってきておりますが、実はこの中のおおよそ一兆円を超える額というものは被災者に対する支援、必ずしも現金という形ではないかもしれませんが、そういう形で一兆円を超える額というものも講じてきておるわけでございます。具体的には、例えば公営住宅の大量供給、それから家賃の引き下げ、それから持ち家を再建されようとする方に対する住宅金融公庫の貸し付けの特例、それから御案内のように瓦れきの処理、こういったものを国費で行ってきておるわけでございます。
 それからまた、先生もよく御案内のように、これらに加えて、地方公共団体が阪神・淡路復興基金を活用して住宅、産業、生活、教育などさまざまな分野で百を超える支援事業を展開してきておるわけでございまして、国はこれに対して地方財政上の支援措置を行っているところでございます。
 その一つとして、昨年から阪神・淡路の被災者に対しましては生活再建支援給付金の支給が開始されております。これは月額方式で、一定の世帯に対してでございますが、世帯当たり一万五千円から二万五千円を五年間。それに加えまして、昨年からは中高年の方々にもこういった自立支援金をということで現在受け付けが開始されているような状況でございます。
 政府といたしましては、阪神・淡路の被災者の方々に対しましては実情に応じたきめ細かな措置を講じており、今後ともこれらの施策を通じまして被災地の復興に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#14
○田浦直君 雲仙のときも個人補償、私有財産の補償ということで特別立法をつくってくれということも随分陳情をいたしたわけですけれども、今説明がございましたように二十一分野百項目ですか、あるいは一千億の基金、そういったもので救済は確かにしていただいたというふうに思っておるわけでございます。
 ただ、やはり私有財産だからこれは自分たちで守るべきだということを、どうもここにこだわり過ぎているんじゃないかなと。国民は困っているわけですから、困ったことを救うというのが政治ですから、そういった意味では何らかの方策をやっぱり考えなければいかぬのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。そういったことをぜひ考えていただきたいというふうに思うわけでございます。
 これは全国知事会なんかでもいろんなことを考えておられるというふうに聞いておるんですけれども、そういったことを受けて自由民主党の中でも何らかのことを考えなければいかぬのではないか。議員立法に向けて何か取り組みを合されておる、おおよそ成案もできかかっておるというふうなことを聞いておるわけですけれども、大臣、この件についてどういうふうな御意見をお持ちなのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
#15
○国務大臣(亀井久興君) 被災者の支援につきまして、いわゆる個人の財産を補償するというそうした考え方についてはいかがなものかという従来からの私どもの見解があるわけでございますが、もう既に御承知のとおり、阪神・淡路大震災発生後、内閣総理大臣が設置をいたしました防災問題懇談会におきまして、将来の災害に備えた基金制度について検討が必要であるというような提言がなされているところでございます。
 私といたしましても、何らかの基金制度が必要であるという認識は十分に持っておりますので、十分にそうした方向で検討をいたしてきておるところでございますが、一方におきまして、委員が今御指摘になりましたように、自由民主党におきましても新しい法案を準備ずみということで御検討いただいておるということは十分に承知をしておるところでございますが、議員立法ということでございますから、今その法案の中身につきまして政府としてあれこれ申し上げることは適当ではないというように思いますので、現在の進行状況というものを関心を持って見守っておる状況でございます。
#16
○田浦直君 ぜひ関心を持っていただきたいというふうに思っております。これは法案ができましたらまた重ねて質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 最後になりますけれども、先ほどから私述べておりますように、雲仙・普賢岳災害、おかげさまで随分現在復興をしておるわけでございますけれども、その復興の状況、今後の見込みについてお尋ねをしたいと思います。
#17
○政府委員(山本正堯君) 私ども政府といたしまして、雲仙・普賢岳の大規模火砕流の発生直後、平成三年六月四日でございますけれども、雲仙・普賢岳の非常災害対策本部を設置いたしまして、住宅、民生、農林漁業あるいは中小企業等々についての二十一分野百項目にわたる総合的な被災者等支援対策を決定いたしまして、それに基づきまして地域の復興・復旧に努めておる、こういうことでございます。
 具体的には、現在の復興状況でございますけれども、住宅につきましては、公営住宅の建設が終了いたしました。防災集団移転のための団地造成、あるいは住宅建設等も今現在順調に進んでおるというふうに理解をしております。土石流等の対策としての土木事業関係につきましては、治山・砂防ダム、導流堤が徐々に順次完成を見ておる、こういう状況でございます。
 また、先ほど先生御指摘をいただきました被災者支援対策の関係でございますけれども、災害弔慰金でございますとかあるいは被災者の自立の生活再建に資するような災害の援護資金、あるいは生活福祉資金の貸し付け等を実施いたしております。特にまた、警戒区域の設定に伴って避難等をされた方々に対する支援措置という格好で国の助成、基金事業による助成等々を行っておるわけでございまして、生活安定再建資金の貸し付け、あるいは警戒区域から長期に避難される方々に対する食事の供与事業、あるいは防災集団移転事業、あるいは警戒区域内の農林漁業者とか中小企業者の方々に対する助成措置等々、国の助成措置あるいは基金の事業等々としてきめ細かな支援対策を行ってきておる、こういう状況でございます。
 今後とも引き続きまして地元と連携して地域の復興・復旧について支援を行っていく所存でございます。
#18
○田浦直君 地元におきましても実は「がまだす計画」というものを、これは多分野に分けていろんな計画をして復興への努力をされておるわけです。「がまだす」というのは元気を出すというふうな方言ですけれども、そういった意味ではぜひ国の御支援もできるだけしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 この雲仙の災害というのは、ある意味では非常に特殊な災害ですね。一時的に発生してその復興をするというのじゃなくて、何年間も警戒をしなければいかぬというふうな状況で、雲仙の場合は警戒区域というのが設定されているわけなんです。もう今は解除されましたけれども、何年間か設定されておった。そうすると、そこの住民は家は残っておっても入ってはいけないわけですから、全く仕事はやれない。サラリーマンもどこかよそに家を借りて地元のところまで通勤しなければいかぬというふうな、警戒区域の中の方々というのはある意味では非常に大変な立場だと思うわけなんです。これはもう普通の地震とか台風とかそういった災害とちょっと違うものですから、余り起こらないかもしれませんけれども、しかしながら私の経験からいうとこういう方々は数多く出てくるわけです。私はこういった方々に対しても何らかの支援策というものが必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 そういうことで、ひとつこれは最後の質問になりますけれども、この方々に対する支援策というものをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
#19
○政府委員(山本正堯君) 先ほど御説明申し上げましたように、特に警戒区域の設定に伴いまして避難をする、そこへまた戻れない、長期間避難を強いられる、こういう格好の方々が大変多うございます。そういう災害に対しまして、警戒区域内に住居を有する方々に対する生活安定の再建資金を貸し付ける、あるいは先ほど申し上げましたように食事の供与事業を実施するとか、本格的に集団移転事業を促進する、あるいは警戒区域内に残存する住宅を移転して再建する場合に基金事業からの助成をする、そういったようないろんなきめ細かな支援策を講じておるところでございます。
 それと同時に、先ほど先生おっしゃいましたような「がまだす計画」に基づきまして、地域がいろんな二十七の重点プロジェクトを実施されておる、こういうことでございますので、政府といたしましても、関係省庁と密接な連携をとりながら、この「がまだす計画」の実施を通じた復興・復旧について支援をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#20
○馳浩君 自由民主党の馳です。よろしくお願いいたします。
 まず、阪神・淡路地域の復興対策について伺います。
 これまで総額四兆三千六百億円の予算措置を講じて、道路、港湾、住宅等々のインフラ施設の復興がなされておりますが、いまだに残された課題があるとお聞きしております。
 その一つが、この地域での産業の復興だと聞いております。この点を踏まえて、政府は地元が取りまとめました産業復興支援充実策と地元からの要請でありますワールドパールセンター事業等の七つの事業を復興特定事業として位置づけておられるということでありますが、この両事業の具体的内容、進捗状況、それから地域の経済に与える重要性、そういったものを含めましてお答えいただきたいと思います。
#21
○政府委員(田中正章君) お答え申し上げます。
 被災地の経済の復興というものは、いわゆる地域の活性化をもたらす上で重要な課題である、このように考えておるわけでございます。
 被災地の現在の復興の状況、これは総合的に判断いたしますと、三年たちまして、全体としては大きな落ち込みから回復しつつございますが、やはり、業種、業態などによっては大変地域で厳しい状況も見受けられる、このように承知しておるところでございます。
 お尋ねいただきました、所信にもございます産業復興支援充実策は、このような状況の中で、地元産業の実情を踏まえたきめ細かな施策を展開するために地方公共団体が取りまとめたものでございますが、その主な内容、まずは、被災中小企業、こういったものに対する融資制度の特例の延長とか拡充、あるいは商店街それから地場産業など、どちらかというと復興がおくれている事業者に対するきめ細かな措置、それからこの地域の産業の高度化あるいは新産業の育成、このようなことを内容、柱といたしまして、新規拡充項目が三十四項目、既存の継続中の施策と合わせるといわゆる七十九項目の施策が盛り込まれているものでございます。
 これに対しまして、国としても必要な支援を行うこととしており、例えばでございますが、政府系中小企業金融機関の災害復旧貸し付けの特例の延長措置など、そういったことを講じてきているところでございます。
 それから、お尋ねの産業関連の復興特定事業の関係でございます。これは、まさに被災地に新しい産業を育成していこう、あるいは既存の産業であっても今までの震災前の状況に戻すというだけではなくて高度化をしていこう、こういったようなことで、戦略的なプロジェクトとして、地元の方でいろいろ練られてきたものを新産業構造形成プロジェクトとして、地元の要望も踏まえて国の方で選定をいたしております。これが先生おっしゃられましたように、昨年の七月に神戸東部新都心地区における地域冷暖房施設や神戸ルミナリエなどの四つ、そしてことしの一月には御指摘のワールドパールセンターなどの三つ、合計七つの事業を選定しておるところでございます。これにつきましては、関係する各省庁からいろいろな形での支援措置を今後講じていって、いわばその地域に新しい産業の芽を根づかせていこう、こういう趣旨で実施をしているものでございます。
 以上でございます。
#22
○馳浩君 これは要望でありますが、あの阪神・淡路地域、非常に中小・零細企業、大変多うございます。現下の金融機関等の貸し渋りによりまして、普通の日本全国どこの都市におきましても中小・零細企業が立ち行かない状況になっております中で、とりわけこの地域は、災害からの復旧に力強く頑張っていこうと住民の皆さん、経営者の皆さん方が努力されている時期でありますから、この特例措置の延長等を含めまして円滑な資金の融通、融資に関しましては特段の御配慮をいただきたいと思います。これは、いつまでということは、むしろ地元の要望からすればずっとしてほしいというのは当然ではありますが、声がある限り、できる限りの融資の延長も、それから貸し渋りによっての倒産等を余り引き起こさないように配慮をいただきたいと思います。
 この点もう一段の特段の御配慮をいただきたいということと、今自由民主党としても中心市街地活性化法案ということを既に提出させていただいておると思いますが、これは、この地域におきましても中小・零細企業こそが地域の活性化を担ってきた、経済だけではなく地域を活性化するという大きな重要な役割を持っておるということでこの法案を提出させていただいておると思いますので、この点も踏まえまして、この阪神・淡路地域の人々がまたふるさとに戻って細々とでも自分たちが今まで続けてきた仕事ができますように配慮をしていくということが必要なことだと思いますが、もう一つお答えいただきたいと思います。
#23
○政府委員(田中正章君) おっしゃられますとおりに、中小企業の方々を中心として厳しい状況にあるという御指摘がございました。
 先ほども申し上げましたように、こういった特例措置というものを延長拡充していくこととともに、三年を経過してまいりますと、いわゆる被災地の状況は、経済というものは動いてまいりますから、もとの状況に戻すというだけではなくて、先ほどもちょっと申し上げましたが、既存産業を高度化していく、あるいは新しい形態、新産業の形を誘致していく、こういったこともあわせて両方の措置を講じていかなければいけないと思っております。
 大変に震災というインパクトを受けた中で、全体的に見ますと景気の停滞あるいは実は震災前から抱えておりましたいわゆる経済構造上の問題というようなものもこの地域にはございます。そういったものを克服していかなければいけないという意味では、先生の御指摘というものを受けてまいりたいと思っております。
 また、中心市街地活性化の御指摘も出てまいりましたが、地元の方でも今後そういったものを活用できるかどうか検討がされているやのお話も聞いております。
 以上でございます。
#24
○馳浩君 続きまして、私は石川県選出の参議院議員でありまして、昨年のナホトカ号の事故、これがありましたときに地元の災害対策本部に毎日詰めておりましたが、知事を初め関係行政担当者の意見としては、一義的には船が悪いだろう、二義的には国の責任だというふうな声が非常に多く地元から上がってきたという現実がございます。というのは、油の場合にはなぜ十分な初動体制をとって情報を収集して海上で回収できなかったのかと。
 私も海岸に行きまして重油の回収作業に携わりまして、私のような元気のいい人間でさえ、冬でありましたから、吹雪の吹きつける中で一日七、八時間ずっとやっておりましたも、手もしびれますし、油ですから顔をぬぐうこともできませんからまばたきもなかなかできない。これを七十、八十の高齢者が、とりわけ石川県は能登半島がありまして、漁村それから山村から皆さんが出てきてくださって一生懸命我が郷土をきれいにしようということでボランティア活動としてやっていただいたのであります。それは本当に大変な御努力を、それも連日なさっておりまして、私なんかは一日行っただけで音を上げているぐらいで恥ずかしい話なのではありますが、要は、初動体制ということを考えたならば、情報の一元化あるいは指揮系統の一元化、こういったところがやっぱり国土庁に対して期待されるところではないかと思っております。
 それで、この初動体制の一環としまして、国土庁は中央防災無線網の拡充を行おうとしておりますし、十年度の国土庁の防災関係予算の最大の事業がこの中央防災無線網の整備であります。
 改めて伺いますが、この事業の必要性そしてその具体的内容について、そして何よりも、これは国土庁の仕事じゃないのかもしれませんが、指揮命令系統の一元化ということを地方自治体は望んでおるわけでありまして、この点にも非常に配慮していただきたい。要望が地元から上がってきたときに、すぐそれに対して、こうしなさい、金は国が面倒を見るからもうとにかく現場で早く処理してくれ、要はこう言っていただきたいのが地方の実情なんでありますが、この点も踏まえましてお答えをいただきたいと思います。
#25
○政府委員(山本正堯君) ただいま先生が御指摘なされました、災害が発生した場合に初動出動、初動体制、その初動の体制の整備によりまして、情報をまず収集し、迅速に伝達するというのが大変重要な点でありますことは御指摘のとおりでございます。
 私ども、先生が今おっしゃいましたような中央防災無線網というものを、一般の通信のふくそうに備えまして別途昭和五十三年から国土庁が整備をしてきておるところでございます。この中央防災無線網は、官邸、指定行政機関、指定公共機関、各都道府県等を接続いたしまして、いろんな手段によりまして、例えば電話、ファクシミリあるいは画像伝送等々によりまして情報の収集・伝達手段を確保しておる、こういう状況でございます。
 さらに、首都直下型の大規模地震等の場合にも備えまして、こうした今申し上げましたような既存の中央防災無線網が使用できなくなった場合、二重化に必要な通信手段といたしまして衛星地球局の整備も進めておるところでございます。具体的には、官邸、国土庁、防衛庁にシェルター型の衛星通信設備を既に整備いたしまして、現在立川の予備施設に整備中でございます。また、今年度末までに、現在鋭意整備を進めておりますが、これらのほかに警察庁とか厚生省、海上保安庁、気象庁、建設省、消防庁等について組み立て式の衛星通信設備等の配備も完了したいというふうに思っているところでございます。
 平成十年度、こうした中央防災無線網の一層の整備を図っていこうということで十三億円余の予算を計上させていただきまして、さらに今申し上げましたような機関をふやすとともに、また固定通信系のデジタル化でございますとか、移動通信系の機能の向上でございますとか、そういうものについて図っていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 今後とも、災害情報の収集・伝達体制をさらに強化し、都道府県あるいはまたさらに地域との連携を深めて充実を図ってまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#26
○馳浩君 要は、中央防災無線網を整備された後の問題になりまして、地方等も含めまして、この無線網が整備をされましたら、日ごろから訓練をなさいまして、災害は急にやってくるわけでありまして、そういったときにもすぐに活用のできる体制をとっておいていただきたい。同時に、だれが命令をしたらすぐ次にだれに命令が行くのかという指揮命令系統、コントロール、これも他省庁とも連携をしながら訓練をしておいていただきたいという要望を申し上げておきます。
 続きまして、時間がないので次の質問に移ります。
 予算書を拝見しておりましたら、本年度の国土庁の防災関係予算のもう一つの目玉が、その予算規模からしても地域防災拠点施設の整備と思われます。地域防災拠点施設ということでありますから、本来ならば各都道府県、自治体が主に果たすべき任務であると思いますが、国土庁としてはどのような考え方のもと、この事業を国として推進させていこうとしておられるのか、この事業の中身とともにお伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(山本正堯君) 地域防災拠点施設の整備についてでございますが、地域の防災性の向上と地域住民の安全の向上を図るという目的のもとに、災害時には災害対策本部を設置いたしますなど地域の災害対策活動の拠点という格好のところが必要でございます。
 あるいはまた平常時には、防災に関するPR、訓練等のコミュニティー活動の拠点、あるいは食糧等の備蓄の拠点等が必要であるということでございまして、これらを兼ね備えた施設を整備することが極めて重要であろうかというふうに思うわけでございます。
 今、御指摘いただきました地域防災拠点施設整備モデル事業、平成八年度に創設されたわけでございまして、他の地域のモデルとなるような先進的な、合併した両機能を備えた施設の整備を地方公共団体が行われる、その地方公共団体に対しまして、その整備費の一部、二分の一を国が補助させていただくということによりまして機能を的確に備えた施設の整備を誘導し、さらに地方公共団体における全国的な整備の促進を図っていくということを目的にしておるわけでございます。この地域防災拠点施設の整備につきましては、これまで既に全国十二施設を補助として採択をいたしておるところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも、こういう大変有効な機能を有する施設の整備について、重点的かつ積極的にその整備を支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#28
○馳浩君 非常にすばらしいと思うんですが、全国で今十二施設がもうできたんですか、これは。
#29
○政府委員(山本正堯君) 十二施設について一部でき上がっているところもございます。
 平成八年度採択の箇所が九カ所、それから平成九年度採択のところが三カ所でございます。一部でき上がったところもございます。
#30
○馳浩君 これは心配があるのは大都市圏なんですよね。東京、神奈川、埼玉、静岡、あとは名古屋といいますか愛知県、そして大阪、福岡等、こういう大都市圏には何カ所ぐらい整備されておりますか。
#31
○政府委員(山本正堯君) 地域ごとのモデルとなるような施設ということで、御要望に応じて私どもの方も採択をさせていただいているということでございまして、東京で三カ所、それから近畿で今のところ一カ所、その他地域、宮城県あるいは石川県、岩手県等々が採択させていただいた場所でございます。
#32
○馳浩君 済みません、私、パンフレットを見ながら実は知っておって聞いたんですけれども、どう見てもこれは北海道に一カ所もないんですね、四国にもない。中国地方には赤穂市に一カ所あるのかな、これ。日本海側にもちょっと少ないといったようなこと、全国満遍なくこれはやっぱりモデルとなる事業でありますから整備をしていただきますように要望いたしたいと思います。
 要は、この前のナホトカ号の事件でも、油回収船が名古屋港にあって、そこから日本海側にやつてくるまでに二日間を要して、その間に海が荒れていたということもあるのではありますが、何をやっておるんだ、なぜ日本海側に配備していないんだ、日本海はこんなにタンカーたくさん通っておるのにというふうな御意見等々もありましたので、こういう地域防災拠点施設整備モデル事業でありますが、全国にやはりつくって、各自治体がわざわざ関東とか大都市ばっかり見に行かなくても、地元に、近くの地域にあるというふうにしていただきたいという要望であります。
 続きまして、総務庁の行政監察に基づきます勧告が二点ほど出ておりますので、国土庁にお伺いいたします。
 災害対策基本法二条五号によりますと、国土庁が指定する指定公共機関は、同法三十九条一項において防災業務計画を作成し、かつ六条一項においてその業務を通じて地方自治体に対して協力する義務が課せられている、つまり震災に伴う被害の軽減等防災対策上この指定公共機関は極めて重要な任務を負っていると言えます。
 したがって、その指定自体も適切な指定が望まれるわけでありますが、ことし一月に出た総務庁の行政監察によりますと、指定されることが妥当と見られる法人がいまだ指定されていない状況と指摘されております。具体的にも名前が出ておりまして、NTT移動通信網とか第二電電とか日本テレコム、全日本トラック協会とか、名前も挙げて指摘しておられますが、この点について国土庁、こう指摘を受けたわけでありますが、この見解を伺いまして、あわせてこの勧告を踏まえて今後どう対処されるのか、お聞かせください。
#33
○政府委員(山本正堯君) 私ども国土庁におきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして災害対策の広範な見直し及びその推進に努めてきたところでございます。指定公共機関につきましても見直しを進めておるところでございます。
 先生御指摘のような指定公共機関、今現在三十二あるわけでございますけれども、その中で、例えば通信事業者あるいは輸送事業者等々につきましては、NTTでございますとか日本通運でございますとか既に指定されておるところでございますが、さらに指定公共機関の追加指定について勧告をいただいたわけでございまして、勧告の内容を真剣に受けとめまして、最近の災害の対応や社会経済情勢の変化、あるいはまた当該事業者を指定するに当たっての課題等を勘案しながら、関係省庁と協力しながら勧告の趣旨を踏まえて検討を行っていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#34
○馳浩君 もう一つですが、中央防災会議というのがありまして、この中央防災会議のもとに東海地震に関する地震防災基本計画を作成しておりますが、そのほかにも大都市震災対策推進要綱、それから南関東地域震災応急対策活動要領、南関東地域直下の地震対策に関する大綱を既に作成しておりますが、その内容の見直しがなされていないと今回行政監察で指摘しておられますが、この点を国土庁としてどうとらえ、今後の対処の仕方を教えていただきたいと思います。
 あわせて、南関東地域震災応急対策活動要領において緊急災害対策本部が作成すべきこととなっている緊急輸送ネットワーク確保計画、緊急輸送計画、広域的避難収容実施計画等の作成に不可欠なマニュアルがいまだ作成されていないとも指摘されています。これは、緊急災害対策本部が設置されてからこれらの計画が実施に移されるのでありますが、まさしくマニュアルがないことには緊急災害対策本部が設置されてもこれは泥縄になってしまうわけでありまして、大変困るわけであります。この点の御指摘が行政監察でなされておるという現実を踏まえて、早急に対応をしていただきたいということでありますが、いかがでしょうか。
#35
○政府委員(山本正堯君) 先生今御指摘のように、大都市地域、とりわけ南関東地域の震災対策につきまして、中央防災会議において大都市震災対策推進要綱あるいは南関東の地震対策に関する大綱、南関東の応急対策の活動要領等を定めておるわけでございます。
 これらに基づきまして、関係省庁、関係自治体一体となって各般の施策を講じておるところでございますけれども、阪神・淡路大震災後、防災基本計画が大幅に改定をされまして、震災対策について充実整備が図られたところでございます。その防災計画の整備充実をも踏まえまして、今先生申されました、大都市において大規模な地震が発生した場合の特殊性が痛感されておるわけでございますので、この大綱あるいは要領等に基づく大都市の震災対策をさらに見直し、充実していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
 こうした観点から、私ども既に中央防災会議に大都市震災対策専門委員会というものを設置いたしまして、その委員会において、阪神・淡路大震災の教訓あるいは新たな施策の進展等を踏まえまして、大都市特有の課題に対応するための震災対策のあり方の検討を現在進めておるところでございます。早急にこの検討を進め、結果を得て先生御指摘いただきましたような大綱、要領について内容の見直しを行いたいというふうに考えておるところでございます。
 さらにまたもう一点、具体的にマニュアルの整備ができていないではないかという御指摘をいただいたところでございます。
 先生御指摘のとおり、応急対策をより迅速かつ効率的に行うためにはさらに実践的なマニュアルの整備が重要でございます。私どもといたしましても、応急対策の分野ごとにマニュアルの検討を進めてまいっておるところでございますが、いろんな機関の連携の重要性が改めて認識されたところでございますので、例えば医療と搬送活動をテーマとした調査検討委員会を発足させるなど、既に関係省庁、関係自治体とも連携をしながら検討を鋭意進めておる、こういう状況でございます。この検討の成果を踏まえまして、早急にマニュアルとして取りまとめ、関係機関の具体的な、実践的な応急対策に反映してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#36
○馳浩君 最後になりますが、この震災対策に関する行政監察に基づく勧告を拝見しておりましたら、自治省、とりわけ消防庁に対する勧告が最も多いということであります。
 それで要は、今もお話ありましたが、被害を想定したシミュレーションといいますか、皆さん方、日夜努力しておられる方に対して言うのは失礼でありますが、もうちょっとコンピューター等々を利用して災害の具体的なシミュレーションができないものかなというふうにも思いますが、消防庁としては、今回総務庁からの勧告を受けまして、まさしくより一層対策に取り組んでいただきたいわけでありますが、この今回の勧告をどのように受けとめて、そしてそれに対してどのように対処していかれようとしているのかお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#37
○説明員(益本圭太郎君) 過日の行政監察の勧告内容につきましては、その大宗は地域防災計画の策定ないしその運用にかかわる事項であったと存じております。
 地域防災計画は地方公共団体における総合的な防災対策の基本となるものでございまして、消防庁では阪神・淡路大震災の教訓や防災基本計画の修正等を踏まえ、重点事項を示してその抜本的な見直しを指導してまいりました。その見直しの状況につきましては、昨年末現在で、都道府県レベルでは四十七都道府県中四十六の都道府県が見直し済みでございますが、市町村レベルではいまだ多くの団体が見直しを終えていない状況にございます。
 消防庁といたしましては、今回の勧告等を踏まえまして、去る一月二十九日付で新たに通知を出したところでございますが、今後とも特に市町村における地域防災計画の見直しの進捗が図られるよう、あらゆる機会を通じ指導に努めてまいりたいと考えております。
#38
○本岡昭次君 民友連の本岡です。
 まず初めに、災害被災者支援の立法化を目指す議員立法について質問します。
 本委員会には、既に昨年の通常国会に提出された法案で趣旨説明も終わっております阪神・淡路大震災被災者にも遡求適用する災害被災者等支援法案と、昨年の秋、臨時国会最終段階で新たに本委員会に付託された阪神・淡路大震災の被災者に対する支援法案の二法案が議員立法として継続審議となっております。さらに、先ほどもありましたけれども、自民党も、阪神・淡路大震災の被災者は適用除外としておりますが、今後の災害被災者支援の議員立法を準備されていると聞いております。これらの三法案は、それぞれ制度あるいはまた支援の内容、方法等々違いがございます。しかしながら、自然災害の被災者の生活基盤を回復するために国が何らかの支援をしていく必要があるので、そのための新しい法律をつくろうというところでは一致しております。
 被災者の生活再建というのは、もちろん自助努力が基本であると私も考えます。そして、既に阪神・淡路大震災の被災者には仮設住宅の建設や復興基金による生活再建支援金、家賃補助などさまざまの形で法的支援と言われるようなものが行われていることも知っております。それでもなおかつ新たな被災者支援を国に求めるのはなぜなのかということであります。
 それは、阪神・淡路大震災で生活基盤が崩壊してしまった被災者にとって、これまでの支援策では、崩壊した生活基盤を回復して、政府が言うように自立しなさい、自助努力でやりなさいということができないからなのであります。そのような深刻なダメージを受けた被災者が余りにも多くいるからであります。この現実への対応と今後の震災に対する教訓、これは今いる私たちが次の世代への遺産として残していかなければならないものであると思いますし、それは災害被災者への公的支援という新しい仕組みをつくることであると私は思うのであります。
 この点について、国民の生命、財産を守るのが国の責任であり、我々国会議員の使命でありますが、その責任者としての国土庁長官の御見解を明快に伺っておきたい。
#39
○国務大臣(亀井久興君) 先ほど田浦委員にも御答弁を申し上げたわけでございますが、将来の災害に備えた被災者の支援につきまして何らかの基金制度が必要であろうと、こうしたことは既に防災問題懇談会においても提言をされておるところでございまして、その提言を踏まえて私どもといたしましても検討を続けておるところでございます。
 一方におきまして、今、本岡委員御指摘になりましたように、本委員会におきまして二つの法案が既に提出をされ継続審議になっておるというそのことも承知をいたしておりますし、また自由民主党が新たな将来の被災者の支援についての法案を今御準備いただいておるというそのことも承知をいたしておるところでございますが、その法案の内容等につきましては、議員立法のことでもございますので、政府としてのコメントは控えさせていただきたいと思っております。
 今、本岡委員がお述べになりました現在の阪神・淡路地域の実情、そしてまた被災者の方々が大変生活再建に苦しんでおられるというそのことについては私も十分に認識をしておるところでございまして、何とか地方公共団体と御相談をしながら精いっぱいの支援をしてまいりたい、そのように認識をしておるところでございます。
#40
○本岡昭次君 私は、やっぱり政府の怠慢だと思うんですよ。今も検討を続けておるとおっしゃいましたけれども、議員の側が既に三つも法案を出して何とかせにゃいかぬと言っているのに、政府が検討を続けているというこの差はどうお考えになりますか。怠慢ですよ。そして、自分たちはしないけれども議員立法で成立したらそれはやむなくするとあなた方はおっしゃるんですか。これは政府の責任で基本的にはやらなければならぬ政策なんでしょう。なぜこれを議員立法でなければできないんですか。そこのところをはっきりさせてください。怠慢ですよ。
#41
○国務大臣(亀井久興君) 今怠慢という厳しい御指摘がございましたが、決して私どもそのことをただ傍観しておるということではないわけでございまして、それなりに私どもといたしましてどこまで国としての支援ができるのかというそのことについては十分に検討を続けておるところでございます。
 ただやはり、何と申しましても、自然災害によって受けた個人の財産というものについてこれを国として補償するというそうした考え方はやはり憲法の建前から申しましてもいかがなものかというその趣旨は政府としても一貫をしておるところでございますので、そうしたことではなくて、本当に自立をしようとする被災者の方々のその再建努力というものを支援していくという、そういうことでどこまで政府としてできるのか。そういうことで私どもも鋭意検討しておるところでございます。
 ただ一方、国会の委員会においてそれぞれの政党が本岡委員が今お述べになりましたような観点から法案を提出され、あるいは準備をしていただいているというそのことに対しては私どもも敬意を払いながらその経緯を見守っておるという状況でございます。
#42
○本岡昭次君 敬意を払っていただいてこちらは光栄でございますけれども、しかしあくまで私は怠慢だと思うんですよ。
 それならお伺いしますけれども、国土庁長官として、議員立法として二つ出され、また自民党もやがて出されようとしているこの事態を、敬意を表するというようなそういう儀礼的な言葉じゃなくて、これを歓迎しその成立の一日も早いことを望むということなのか、要らぬことをしてくれるなということなのか、どっちですか。
#43
○国務大臣(亀井久興君) 要らぬことをしてくれるなというような、そんな失礼なことを申し上げるつもりは全くないわけでございまして、国会における御熱意というものは私ども十分に尊重しておるところでございまして、国会の御議論というものが一つの方向に集約をされていくということは、大変私は結構なことであるというように思っておりますし、そのことに対して政府としても精いっぱいの御協力をしていくという態度には変わりはないところでございます。
#44
○本岡昭次君 月曜日にも予算委員会でこの続きはやりたいと思いますので、この辺でおいておきます。
 それで、長官は昨年の十月十五日の予算委員会において、私の質問に答えて次にように答弁なさいました。被災者の仮設住宅から公営住宅への移転に全力を挙げると同時に、被災者の方々の生活再建の支援についても精いっぱいの努力をしていくことが肝要だと思っておりますという内容であります。間違いないと思います、持っておりますが、ここに。
 この答弁を聞いた被災地では、この国土庁長官の精いっぱいの努力ということに期待を持つわけなんです。わらにもすがりたいという言葉がありますが、国土庁長官の一言一言というのは敏感に被災地に響くのであります。
 それでは一体、それから五カ月を経過した今、国土庁長官としてこの被災地の被災者への生活再建に精いっぱい努力したというその内容は何なのか、ここでお聞きしておきたい。
#45
○国務大臣(亀井久興君) 私は昨年九月に就任をいたしまして早々に被災地域を拝見いたしたところでございますが、そのときに仮設住宅あるいは仮設工場を初めといたしましてさまざまな施設の状況もつぶさに拝見をいたしたわけでございます。
 やはり生活再建ということを進めていく上におきましては、まず何よりも住宅の問題が第一でございますので、仮設住宅に入っておられる被災者の方々に一日も早く恒久住宅に移っていただくという、そこから生活の再建というものを始めていただかなくてはいけない。そういったことでございましたので、まず公営住宅の大量供給、そしてまた特に仮設住宅に入っておられる方々を優先的に公営住宅に移っていただくという、そのことのために地元の方にもそのことについて十分に私どもの考え方をお伝えしたところでございます。
 御承知のとおり、三万九千声の公営住宅を供給する計画でございますけれども、現在までその半分ぐらいの既に完成を見ておるというところでございまして、今地元の方が鋭意仮設住宅に入っていただいている皆様方に公営住宅にお移りをいただくようなきめ細かい御相談をしながらそれを進めていただいておるところでございます。
 また、申し上げるまでもございませんけれども、地元の公共団体がつくられました復興基金を活用いたしましてさまざまな施策を講じていただいておるところでございますが、生活再建の支援ということで、特にお年寄りの方、そしてまた自助努力でなかなか難しいいわゆる要援護世帯の方々に対する生活再建支援給付金の交付ということもその後始めたわけでございます。またさらに、四十五歳以上の中高年の方々が公営住宅に移っていただくときの再建支援というそういう意味で既に支給に向かっての手続も始めておるところでございます。
 こうしたことを講じながら、何とか一日も早く生活再建に向かってまず公営住宅へ移っていただくというそのことを一日も早く進めていただきたいということで私ども精いっぱい頑張ってきたところでございます。
#46
○本岡昭次君 精いっぱいという中身は今聞かせていただきましたが、それは現在の仕組みの中における国土庁長官としての精いっぱいであったろうとは思い、いろんな制約も同情はいたします。しかし、被災地から見たときに、とても精いっぱいというふうには受け取れないのであります。後ほど復興基金問題は改めてお聞きいたします。
 そこで、国土庁長官は、先ほどの質問者の答弁にも、田浦さんにも、個人の財産の補償はできない、憲法上の問題云々というようなこともおっしゃいました。ここのところは私はそうではないという立場をとっております。しかし政府はそう言う。しかし財産を補償するという以前に、自然災害によって生活が成り立っておった基盤そのものがつぶれてしまった。そして自立してできるだけ自助努力で頑張っていこうとする、そこのところを何とかするのは国の責務ではないか。こう言っていることに一体どれほどの合意がお互い得られるのかということが一つあるんですね。
 それともう一つは、個人の財産の補償をしないというこの論理ですが、それでは住専に六千八百五十億の国費、税金を投入して、そしてこれは回り回って預金者保護というところに行き着くということで私たちも黙ったわけなんです。また今度三十兆円もの見せ金だといろいろ言われておりますし、そういう部分もありますが、これも要するに今日の金融不安を安定化し、倒産をするような銀行があったときには預金者を保護をすると。預金者の保護をするということで私たちは黙っていくわけなんです。
 この預金者の保護というのは、預金というのはこれは財産じゃないんですか。この財産を、一方では堂々と国の一般会計からの支出を法律で決めて保護しながら、それは私もわずかの預金でも持っていますから保護されたらありがたいと思う、結構だと思う。しかし、自然災害において財産を失ってしまう。銀行の場合は、あの銀行に預けずにこっちの銀行へ預けていたら助かったということで選択の余地がある。選択が間違ったんだ、だからあきらめろと言うことは私はある意味では可能だと思う。ところが、地震というのは選択するわけでもない。好んで地震の起こるところへ住む人もいるわけではない。全く自己責任にかかわらぬところで地震が起こって、今まで自分の生活を維持していた基盤そのものが崩壊していく、それを何とか助けてくれと。国がなぜ支援できないんだという理屈が私はわからなくなってきたんです。
 財産を補てんしないというのならすべてのものをやらないというふうに首尾一貫をすべきでしょう。なぜ預金者の、それは倒産といったら人為的に起こるんですよ。地震で起こるんじゃないんだ。それは経営者が間違ったんだ。間違う経営者を信頼して預けた人は預けたことが間違ったということで、これはもう自己責任にずっと帰していくことはできるんじゃないか。地震はそれはできないでしょう。にもかかわらず、なぜそういう論理を、この震災の被災者のところだけにそれを強調されるのかわからぬです。そこのところを解明していただけませんか。
#47
○国務大臣(亀井久興君) 金融システムを安定化させるためにとりました一連の措置との比較で今御指摘があったわけでございますが、私、委員のおっしゃることもそれなりには理解はできるところでございますけれども、やはり金融システムを安定させるということは、現在の日本経済全体がどうなるかというそうした経済の根幹にもかかわっておるところでございまして、また、対外的な日本の信用を維持していくというそうした観点もあるわけでございます。もとより預金者の保護ということが全くないわけではないということは承知をいたしておりますけれども、そうした今申し上げたようなことを総合的に勘案した上で今回のそうした措置をとったということだと理解をしておるところでございます。
 また一方、阪神・淡路地域の自然災害による被災者の支援ということでございますけれども、先ほど私、個人の財産ということについて言及いたしたわけでございますが、そうした一つの基本的な考え方というものは現在政府に一貫してあるわけでございます。しかし、それを踏まえた上でどこまで生活再建に御協力をできるのかというそのぎりぎりのところを、私何とか財政当局を初めといたしまして政府の中でも十分な意思疎通を図りながら、ぎりぎりの私なりの選択をしてまいりたいというように考えておるところでございます。
#48
○本岡昭次君 今の答弁、もちろん納得できるものではありませんけれども、もうしばらく質問を進めて、また今のところへ戻ってきたいと思うんです。
 それで、阪神・淡路大震災復興基金なるものをつくり、活用して、被災者に対する自立支援をやっておられるというふうに私も認識はしております。
 そこで聞きます。この復興基金は今三千百三十八億二千六百万円の予算規模で、要するにこれ使えるお金のことですね、九千億の利子運用ということで、住宅、産業、生活、教育などの対策として百六事業を計画しています。それで、ことし一月十五日現在で、千三百八億九千八百四十六万円の事業申請を受理しているというのが現状です、大ざっぱに言って。
 それで、このうち住宅対策として平成九年度から十二年度にかけて、被災中高年恒久住宅自立支援制度というのが設けられて、六万件で二百五十億円が計画されております。これは一件当たり平均約四十一万円ということになります。また、生活対策として平成九年度から十二年度にかけて、生活再建支援金が三万件で三百八十億円が計画され、現在三万八百六十八件の申請で三百四十八億七千九百九十六万円の予算が執行中だと見ています。これは一件当たりの平均は約百二十六万円なのであります。
 そして、震災の全体の規模を見ると、消防庁の調査では、全壊が十八万六千世帯、半壊が二十六万九千世帯と言われる被災世帯に対して、この二つの支援制度はそのわずか五分の一の九万世帯に対してしかかかわることはできないという冷厳な事実があるんですね、九万世帯。全体の五分の一です、全半壊世帯。
 しかし、私は、この二つの事業の内容については異論があります。これはもう支援に値しないというふうに私は見ております。しかしながら、被災者個人に現金で支援金が支給されたということは注目したいし、わずかその部分で私は評価をしております。
 そこで、私は大臣にお聞きしたいんですが、これは公的資金が被災者個人に渡されたというふうに理解していいのかどうか。私は、内容だとか制度についていろいろ問題を持ち、賛成できない部分もあるけれども、しかし、現金が被災者に対して公的資金として渡されたということであるならばそれなりに評価したいと思うんですが、もうずばり言ってください。ややこしいことを言ってもらわぬでもいいです。そうですというのか違いますというのか、それを言ってください。大臣言ってください。そうですというのか、そうでないというのか、そういうことです。
#49
○国務大臣(亀井久興君) どちらかはっきり言えということであれば、そうではないということだと思います。
#50
○本岡昭次君 はい、わかりました。公的資金ではないんですか。
 そうすると、この制度そのものを見ると、債券を県と市が発行して、そしてそれの利子補てんを地方交付税がやっていると言うけれども、回りくどいやり方をしていくと本来あれは地方交付税が使われているということであり、県と市のお金が使われているということなんです。そのこともお認めにならぬのですか。
#51
○政府委員(田中正章君) 先ほどの大臣の答弁について少し補足をさせていただきたいと思います。
 先生よく御案内のように、まずこの基金で講じられております二つの生活再建支援金、これは恒久住宅へ移転をする契機に自力での生活再建がなかなか難しい一定の被災高齢世帯などに対して生活の再建に必要な経費を支給する、これはもう先ほども私御答弁させていただきましたが、月額方式でございますが一万五千円から二万五千円、そういうものを給付させていただいています。
 これらはいずれの事業も復興基金の事業として行われているものであり、国が直接被災者個人に支給しているものではございませんが、国としては基金に対して地方財政措置により支援を行っている、こういう内容であるということは議員御案内のとおりでございます。
#52
○本岡昭次君 どうしてそういう回りくどい言い方をするんですか。支援であろうと何であろうと、その原資は国のいわゆる地方交付税なんでしょう。そうだと言いなさい。
#53
○政府委員(田中正章君) この基金に対する国の支援は地方交付税措置で行っております。
#54
○本岡昭次君 だから、地方交付税というのはれっきとした一般会計の中に組まれている費目であり、これは国の税金がそこに投入されたと、回り回って。いろいろ権利、債券を買わせ、発行させ、そしても何か聞いておったら頭が痛くなるような方式で、それなら何で一般会計の中でその費目を組んですとんとおろさぬのかということに突き当たるんです。しかし、今はよろしい。今は公的支援ができないというのをしているということなんですから、それでいいんです。できるんですよ。あなた方はやっているんですよ。やっているんだけれども、していると言えないから何か難しく回りくどいやり方を今やっているということなんです。
 それでお伺いいたしますが、私はその意味で昨年一月三十日の予算委員会で、この復興基金事業の生活再建支援金の具体化に際して、月額二万円を五年間支給すると総額百二十万ということになるわけです。二万五千円であれば百五十万になる。それを毎月渡すというふうなことをせずに一括して渡しなさい、一括して渡すことによって公的支援としての効果が上がるでしょうということを申し上げたんです。
 そうすると、そのとき自治省の政府委員が、個々具体のことにつきまして国の方で一つ一つの実例を、この方がいいあの方がいいというふうに申し上げるつもりはありませんということで、復興基金の主体的な判断で結構ですという答弁があったんですよ。ところが、一括支給はされていない。この質問を聞いて県や市は、一括支給ができるじゃないかということでやり始めたんですが、どこから圧力があったのか、これはそういうふうにはならなかった。
 そして、この事業を見ると、どういうふうになっているかというと、六十五歳以上の高齢化世帯で家が全壊、半壊して解体した世帯ですよ、解体した世帯。半壊で自分の力で修理したらもらえないんです、基本的に。それから恒久住宅へ移転した世帯。所得税または住民税所得割が非課税である世帯ということですね。税金を納めるようなところは渡さぬということになっておるんです。それはそれとしておきましょう。
 ところが、支給対象は何かというと、かつてのかかりつけ病院への通院、職探し、かつてのコミュニティーでの交流のための交通費、同趣旨での電話料金、恒久住宅への引っ越し費用、恒久住宅の敷金、生活必需品と並んであるんです。そうすると、毎月月額で要る種類というのは、交通費は毎月、通院も毎月かもしれない、電話代も毎月要るかもしれない。しかし、引っ越し費用、恒久住宅の敷金、生活必需品が毎月二万円ずつ五年間にわたって要るというようなばかげたことをだれが考えるんですか。これは一時的に要るんでしょう、このお金は。恒久住宅へ移るときに敷金が要る、それから引っ越し費用が要る、最低のものは整えにゃいかぬということでまとまって要るときに渡さずに、何で月々に渡すんですか。ここらのところがお役人仕事といえばお役人仕事かもしれないけれども、全く納得がいかない。
 だから、私は一括支給をすべきだと。そうすれば、せっかく国の税金を渡すのに、もらう人も喜んでもらえるだろうし、毎月毎月そんなものを渡すよりも、地方自治体も助かるし、いろんな意味でこれは重要な意味を持つだろうと言ったにもかかわらずそうはしなかった。
 どうですか、あなた方は引っ越し費用や恒久住宅の敷金や生活必需品が毎月毎月二万円要るというふうにお考えになっておるんですか。おかしいでしょう。
#55
○説明員(滝本純生君) お答え申し上げます。
 基金が行っております生活再建支援金事業など、これまでの具体的な事業につきましては、基金を設置した兵庫県神戸市におきまして、基金の設立の趣旨に沿いまして地元の実情等を十分考慮した上で決定し実施されているものでございます。
 先生御指摘の再建支援金事業につきましては、地元兵庫県神戸市の要望を踏まえまして、また与党のプロジェクトチームにおきましていろいろな角度から検討された上で決定された事業でございます。支援金の支給方法につきましても、その際の地元の要望を踏まえた基本的な検討スキームを基本といたしまして地元の自主的な判断により決定されたものでございます。
 なお、基金にお尋ねいたしましたところ、支援金の支給方法につきましては、先生御指摘の一括支給も含めまして十分に検討した上で、支援金は一時に支給するのではなくて定期的に分割して支給することにより継続的に自立再建を支援すべきであるという考え方に基づきましてその支給方法を決定したとのことでございました。
#56
○本岡昭次君 そうすると、それは与党のプロジェクトチームとかあるいは自治省とか国土庁があれこれと言ったんじゃなくて、自治省の政府委員が答弁したように、自主的に地元の復興基金が決めたことだとあなたはここで明言されたわけですね。わかりました。私は、兵庫県神戸市復興基金に対してこれから物を申していきます。今の疑念はここで言っても仕方がないわけですから。
 ただ、ここではっきりさせておきたいのは、明らかに地方交付税を使った公的資金である、それが被災者に渡ったということが明らかになれば、公的資金を、国の税金なんか出せないという理屈はなくなったということなんですよ。なくなったということなんです。そういう意味で私はこれは評価いたします。そして、これから政府として金が出せないなどとはもう一切言えない、現に出ているんだから。そういうふうに私は理解して今後の問題の解決をしていきたい、こう思うんです。
 それと、自治省がせっかくおいでになっているからお伺いしますが、復興基金の事業計画の今の状況を見たときに、物すごいミスマッチが多いでしょう。私がざっとあなたにもらったこの資料を見ただけでも、事業計画に対して五〇%も事業が充当していないのが約五十事業あります。百六のうちの五十、半分は五〇%もいっていない。八〇%復興だと言っておりますけれども、この計画に対して八〇%以上の申請があったというのはわずか三十四事業です。明らかに被災者のニーズとミスマッチを起こしておる。被災者のニーズとミスマッチを起こすような復興基金の仕事とは何なのかということを私は思わざるを得ぬわけなんです。
 だから、少なくとも地方交付税を使って、そして被災者に公的支援をやっている以上、その中身がこんなミスマッチを起こしたようなことを黙って見ていたらおかしいと思うんですよ。被災者が一体何を一番望んでいるかということはこれを見たら一番よくわかるじゃないですか。生活支援のところに一〇〇%背こうしておるんですよ。そのほかいっぱい書いてあるけれども、だれも申請もしていないという事業が現にある。一日も早くこの事業を組み直しをして、そして被災者の生活支援のところに復興基金として主体的に何ができるかということを、国にばっかり言っておらぬで自分のところでやれということを言うべきですよ、自治省。
 大臣、私の言っていることをおわかりいただいたと思うんですが、そういうことだと思うんですよ。地方自治体にだってやれるようにしてあるんだと。それをきっちりやっているかというとやっていない、こういうふうに私は今断じておるんです。だから国土庁の方としても、この復興基金を被災者のニーズのところでミスマッチが起こらないように、被災者が一番望んでいるところに対して事業を展開していくということをきちっと指導する、交付税が入っておるんですから。そのことを私は最後に要望して終わりますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#57
○国務大臣(亀井久興君) 地元の公共団体がおつくりになっております復興基金というのは、委員が御指摘になりましたように、被災者のための復興基金であることは申し上げるまでもないわけでございますから、その復興基金が今さまざま展開しておられます活動、事業というものが本当に被災者のために役に立っているのかどうか、そのことが一番重要なポイントであることは申し上げるまでもございませんので、その点につきまして復興基金ともまたさらによく御相談をしてみたいと思います。
#58
○本岡昭次君 終わります。
#59
○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。
 先ほどから阪神・淡路大震災の復興についてのいろいろお話が出ておりますけれども、私も被災者の一人といたしましてその角度から質問させていただきます。
 まず、今月の十日、兵庫県に対しまして、阪神・淡路大震災からの今後の復興のあり方について協議しておりました阪神・淡路震災復興計画推進委員会の総括提言が発表されております。これは創造的復興への戦略という形でまとめられております。これによりますと、インフラや住宅確保などの緊急三カ年計画の目標はおおむね達成されたとありますけれども、現段階では高齢化社会への成熟化による価値観の変化やまた産業構造の変革など、その対応や解決なくしては復興、完全回復は不可能と言っております。
 また一方、神戸市の復興のあり方について提言してきました神戸市復興推進懇話会、この方では一日おくれの十一日に最終提言、座長メモとしてまとめられております。この提言の中では、復興のスピードは伸び悩んでおり、従来の進め方ではこれ以上の復興は限界であるとしており、新たな枠組みを用意する必要があると指摘しております。
 これは両方とも時代、社会の進展の中で、新たな対応なくしてこれ以上の復興は不可能としている点が印象に残っております。このことは先ほどもお話がずっとありますけれども、国土庁は防災の担当所管庁といたしまして阪神・淡路大震災の復興に当たってこられたのでありますけれども、これらの提言を通して現在どうごらんになっていらっしゃるのか、また今後の中長期の復興のあり方についてどういう御意見を持っていらっしゃいますかお聞かせください。
#60
○国務大臣(亀井久興君) 確かに、復旧ということについて、おおむねインフラ施設等については完了したということでございますが、復興ということになりますと、まだまだこれから取り組まなくてはならない課題がたくさん残されているということは御指摘のとおりだと思っております。
 特に地元の経済が、今申し上げるまでもありませんけれども、日本全体が大変経済的に落ち込んだ状況でございます。そうした一つの日本全体の流れと今の被災地における経済の状況というものもやはり密接に関連をしておるところでございますので、日本全体の景気回復を図り、二十一世紀に向かっての経済の新しい展望を開いていくというそうした中で被災地における経済を活性化させていく、そういう考え方で取り組んでいかなくてはいけないだろうと思っております。
 特に、先ほども他の委員に御答弁を申し上げた中にございましたように、さまざまな復興特定事業等につきましても、地元の経済界ともいろいろ御相談をいたしながら、新しい産業をどうやってあの地域に生み出していくかというそうした観点からさまざまな分野を切り開いていくという努力も地元とともにやっていかなくてはいけないと思っております。
 また、固有の事業として、例えばケミカルシューズの生産等につきましても、私も仮設工場を拝見させていただきましたけれども、もとになかなか戻らないということと同時に、やはり日本の経済全体の構造が変化をしてきているというそういう中で事業の経営が大変苦しくなってきているという現状もあるわけでございますから、既存のそうした事業をどのようにもとに戻していくかということと同時に、やはりそうした事業の方向転換ということもうまく図っていきながら、また同時に新しい産業も育成していくというそういう総合的な取り組みがなければなかなか復興のスピードというものは思うように進んでいかないのではないか、かように認識をいたしております。
#61
○但馬久美君 もとに戻すことと、それからまた新しく発展させていくこと、この提言には非常に細かくされておりますので、ぜひ提言も深く受けとめて発展させていただきたいと思っております。
 次に、災害被災者の公的支援の問題について伺います。
 地元の兵庫県や神戸市の関係の方々に被災後の話を伺っても、真っ先に口に出てくることは公的支援の実施の話であります。そして、一日も早く手を打っていただきたいとのことです。また、被災者の方々は、先ほどから話がありますように、銀行に三十兆円も投入するのならば、その一部を長い間まじめに働いてきた被災者、庶民の最低の生活を守るためにどうして使ってもらえないのかな、そういうような怒りにも似た話をよく伺っております。
 憲法二十五条に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と明文されております。この条文を改めて見たときに、被災者の救済はまさに国の基本的な義務であると思います。私は、死に直面している国民を救済しないで何のための国政がわかりません。
 今回、この防災全般の管轄省庁であります国土庁は企画調整が主な仕事で、予算執行がそんなにない省庁でありますけれども、国土庁長官はこの災害被災者の公的支援法についてどのような御意見をお持ちですか。先ほどからお話がありますけれども、もう一度お聞かせください。
#62
○国務大臣(亀井久興君) 先ほど来御答弁を申し上げておるところでございますが、将来の被災者の支援につきまして何らかの基金制度が必要であるということにつきましては私も十分に認識をしておるところでございます。
 今、国会に提案をされております二つの法案につきましては、議員立法ということでございますので、そのことに対して私がとやかく申し上げるべきではないわけでございますし、また自由民主党の方でも新しい法案の御準備をいただいておるという状況でございますので、そうしたことで政府としてどういった御協力ができるのか、精いっぱいの御支援ということが具体的にどういうことになっていくのか、そのことをさらに私なりに詰めていきたいというように思っております。
#63
○但馬久美君 私は委員長に要望いたします。
 先ほどから公的支援の法案が三本当ております。これを一本化する必要がもう出てきておりますし、その取りまとめの調整が課題となっております。参議院では災害特で委員長が中心となって行われようとされておりますから、さらに促進すべきである。また、もし委員間でこの調整がつかないのであれば、例えば第三者機関を使ってでも早急に急ぐことが必要であると思いますので、委員長にこれを要望させていただきます。
 次に、震災など自然災害により被害を受けた住宅の復興を円滑に行うために国民のだれもが納得できるような相互扶助を基本とした住宅の災害共済制度の設立について、私たち元新進党時代からも提言していることでありますけれども、政府、特に大蔵省は地震保険があるではないかと反対していると伺っております。
 一つ例を挙げまして、これは農水省の方ですけれども、農協では昭和三十六年から建物更生共済制度を創設しております。この共済の目的は建物及び家財あるいは農機具を入れる小屋などであって、その補償内容は火災や風水害、地震等の三本柱が一括して補償されているもので、加入者には非常に重宝されております。平成八年度における加入者総数は千四百九十四万九千件あり、保有契約の共済金額は百三十八兆円となっておりまして、驚くことに平成六年度の阪神・淡路大震災後の加入率は、対前年比の二〇%もふえた実績を持っております。いわゆる駆け込み加入がありました。このように隠れたベストセラーとなっているんですけれども、今度のこの阪神淡路大震災では十万一千件に対して総額千百八十億円が支払われたのであります。この総額は民間の損害保険全体の七百六十億円をはるかに上回っております。掛金も民間より安くなっているので、これが非常に人気の秘訣であると伺っております。
 このように農協の建物更生の共済制度は地震保険会社の脅威ともなっており、それだけに人気が高いということなのでしょうけれども、別に私は農協の肩を持っているわけではありませんけれども、住宅の災害共済制度の土壌がしっかりあるということをちょっと説明したかったものです。
 近畿ブロック知事会でも提唱しておりますけれども、大蔵省にお尋ねいたします。この住宅の災害共済制度について、どうも反対のようですけれども、どういう御見解が、お聞かせください。
#64
○説明員(藤塚明君) 住宅の再建につきまして、地震の皆共済制度、これが提案されていると承知しておりますけれども、いわゆる皆共済制度につきましては、すべての住宅所有者を強制加入とするということですけれども、そのような負担増を多くの国民が受け入れられるかどうか、そういうコンセンサスがあるのかどうかという問題、また低い負担で大地震に備える共済制度、これが本当に成り立つのかどうか、そういったさまざまな問題点があろうかと考えられるところでございます。したがいまして、この問題につきましては、いろんな角度から慎重な検討が必要であろうかというふうに考えているところでございます。
 それから、現行の地震保険制度でございますけれども、阪神・淡路大震災等を契機としまして、各界からの御要望を踏まえまして、引き受け限度額の引き上げ、また家財の損害認定方法の改善など実施しているところでございまして、今後とも各種の広報を通じまして地震保険の一層の普及拡大に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#65
○但馬久美君 国民に負担をかけるのでそういう共済制度は見合わせるみたいな部分がありますけれども、私は農協の方がこういうような非常に国民にとって有利な制度があるものですから、一応ちょっとお話しさせていただきました。
 次に、近畿ブロック知事会では、地震防災対策措置法に基づいて、地震防災緊急事業五カ年計画について、その推進と所要の予算措置の確保を進言しておりますけれども、その対策内容は市町村、そしてまた都道府県、そして総理大臣等が協議して決めたものです。
 十九項目ありますけれども、この五カ年計画の達成目標はどこに置いているのか、また緊急事業だからという理由で五カ年でその事業を終了させてしまうのか、また未達成の場合はさらに進めていくのか、その所見をお聞かせください。
#66
○政府委員(山本正堯君) 地震防災緊急事業五カ年計画につきましてでございますけれども、これは阪神・淡路大震災を受けまして平成七年に施行されました地震防災対策特別措置法に基づきまして地域防災計画に定められた事項のうち、地震防災上緊急に整備すべき施設、避難地でございますとか避難路でございますとか、そういうような施設等の整備を推進することを、目的といたしまして、各都道府県が定めておる五カ年計画でございます。既に、平成八年度を初年度といたします地震防災緊急整備五カ年計画は、すべての都道府県で策定をされ実施されておるところでございます。
 国土庁といたしまして、平成十二年度までの五カ年計画に定められた事業の推進が大変重要であるというふうに考えておりますが、五カ年計画の意義にかんがみ、あるいはさらに施設の整備の状況等を踏まえまして、今後検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
 八年度の実施状況、おおむね五分の一ずつ大体計画が推進しておるという状況であろうかというふうに考えております。
#67
○但馬久美君 ということは、順調に進んでいるということでございますか。
#68
○政府委員(山本正堯君) 各都道府県によりまして多少の進捗状況に差がございます。あるいはまたさらに、先ほど申し上げましたように十九項目あるわけでございまして、その施設ごとに多少の進捗の差があるということでございますけれども、今のところほぼおおむね進んでおるというふうに理解をいたしております。
#69
○但馬久美君 この事業は当然公共事業で占められているんですけれども、一つだけ民間に対する働きかけと思われるのは、最後の十九番目の老朽住宅の密集市街地にかかわる地震防災対策であります。これはどういう対策がまた地域的な指定は既にできているのか、実際はどういうふうに進んでいるのか、お聞かせください。
#70
○政府委員(山本正堯君) 阪神・淡路の大震災では、特に老朽住宅の密集市街地における被害が非常に甚大であったということから、こうした地域における地域防災対策が非常に重要であるということで、今、先生御指摘の老朽住宅密集市街地の地震防災対策の項目を掲げさせていただいておるということでございます。
 具体的には、地方公共団体におきまして区画整理事業でございますとか土地改良事業でございますとかあるいは市街地再開発事業等によりまして、老朽住宅が密集する市街地の整備を図っていくということによりまして地震に強い町づくりを進めようとするものでございまして、現在、各地方公共団体におきましてこの事業五カ年計画に沿って事業が実施されておるということでございます。
 今後も、計画実現に向けて事業が推進されていくというふうに考えておるところでございます。
#71
○但馬久美君 地震対策の上での老朽住宅の改善ということなんですけれども、一つ私が心配するのは、対策というよりもまさに老朽住宅の締め出し作戦にもとれるんじゃないかなという、そういうような気がいたします。そして、もっと人情味のある対策はないのか、その点とういうふうに老朽住宅に対して考えていらっしゃいますか。
#72
○政府委員(山本正堯君) 私どもといたしまして、防災上の観点から、老朽住宅が密集するところについて、区画整理事業でございますとか市街地再開発事業でございますとか、そういうようなものについての事業は推進を図っていく、これは防災上の観点からも必要であろうかというふうに考えておるわけでございますが、その事業を行う際に、先生御指摘のように生活環境といいますか、そういうようなものとの保全、調和、例えば古い町並みを残すとかコミュニティーを維持するとか、そういったような点についても十分配慮しながら地震防災対策との調和を図っていくというそういう事業の観点からやっていく必要があるというふうに私どもも十分認識をいたしておるところでございまして、地方公共団体、関係省庁と連携を図りながら、そういう観点も踏まえて適切な推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#73
○但馬久美君 ぜひ文化的な面でもそういう点に関して守っていただきたいと思います。
 次に、この緊急事業五カ年計画の施設補強などのハード面の対策のみに十九項目がありますけれども、例えば消防庁が行っているレンジャー部隊の補強のように人的要素にかかわる対策は全く含まれておりませんし、また諸外国にあるような救命犬の訓練とか、またアメリカのFEMAのような防災特殊部隊の創設や訓練などといったような面は全く入っておりません。国土庁としては、ただ自衛隊への要請で行われているだけであると思いますけれども、大臣としてはこの件、どういうふうにお考えでしょうか。
#74
○国務大臣(亀井久興君) 今御指摘になりました点でございますが、確かにこの事業を見る限りにおきましては具体的にそうしたことは見られないところでございますが、今御指摘になりました点についても、私どもといたしまして大変重要なことであるという認識は持っておりますので、今後こうしたことも踏まえて十分に検討してまいりたいと思っております。
 またFEMAについての御指摘がございました。やはりアメリカはFEMAを中心にした総合的な危機管理体制をとっておるわけでございますけれども、私どもとはその国の歴史も違い、また体制も違うということでございますので、国土庁を中心にいたしまして、各省庁並びに地方公共団体、公共機関等との連携を密にしながら備えていくということでやっております。FEMAのあり方についても十分に私ども取り入れられるべきものは取り入れていきたいということで考えておるところでございます。
#75
○但馬久美君 ありがとうございます。
 震災があった後、アメリカのFEMAの初動体制の話はよく出ておりました。日本では自衛隊はある程度の規制がかかって行動が自由でないようなところがありますけれども、やはり私は、神戸の震災の現場で自衛隊の動きが非常に小回りがきかないなということを感じましたし、また防災の特殊部隊の設置は本当に必要不可欠であると思います。アメリカでは、先ほどもお話がありましたように、一たん事が起これば特殊部隊の指揮で災害救助や交通規制のみならず、行政指揮権などかなり権限が付与されております。そういう意味で日本もいわゆる危機管理に対してこういう整備というものを私はぜひ行っていただきたい、また取り入れていただきたい、そういうふうに提言いたしたいと思います。
 次に、広域的な防災対策についてお尋ねいたします。
 先ほど馳議員の方からも似たようなお話がありましたけれども、災害の発生は大体局地的であります。その対策は広域的な対応が要請されますので、災害救助とか医療措置とか、また情報通信、器具類や食糧等の備蓄、災害が大きくなればますます局地的な対応が困難をきわめてくると思います。そうしたことを踏まえて次の二点をお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災において国民から一番非難されたことは、対応の遅いことと責任感の欠如でありました。首相官邸や国土庁の対応について特にマスコミから鋭くその対応の改善を指摘されておりましたけれども、その後既に三年が過ぎまして、国の危機管理体制がどのように充実されたのか、強化されたのか、お聞かせください。
#76
○政府委員(山本正堯君) 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、私ども危機管理体制をさらに一層充実を図る必要があるということでいろんな対策を講じておるところでございます。大規模災害発生時の一次情報収集の強化、あるいは内閣総理大臣への情報体制の整備、先ほどもお話を申し上げましたように中央防災無線網の強化、あるいはまた直下型の地震が発生した場合の内閣の初動体制の整備等々を図ってまいったわけでございます。また、災害対策基本法を二度にわたって改正をいたしまして、ただいま御指摘いただきましたような緊急災害対策本部の設置要件を緩和して一定の要件のもとでできるだけ早く緊急災害対策本部を設置できるようにするとか、あるいは緊急災害対策本部に全閣僚を充てて、本部長である内閣総理大臣が一定の指示権を付与するとか、そういったようなもろもろの施策を講じてきておるところでございます。
 さらにまた、阪神・淡路大震災で状況の把握が非常におくれたという御指摘もいただいたわけでございまして、私ども地域防災情報システムの整備等によりまして、ある一定の時間内にできるだけ早くどの程度の被害があったかということを把握し、その情報を早く伝達し、早く初動体制を整えるというような点についてのシステムを開発し、現在、そのシステムを使うことによりまして災害対策に万全を期しておるところでございます。今後ともいろんな対策について万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
#77
○但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。一もう一点、今回は諸外国との連携についてでございます。
 広域災害防災体制で、結局阪神・淡路大震災では諸外国から大変な御支援をいただいて、この点に関しては本当に感謝しているんですけれども、災害が起きてからでは遅くて、この教訓をむだにしないためにも、日ごろから連携を密にした支援体制を整備しておけば迷うことなくスムーズに解決するということなんですけれども、現在は海外との連携というのはどのように取り組んでいらっしゃるのかお聞かせください。
#78
○政府委員(山本正堯君) 海外との連携でございますが、私ども日米の定期的な会合を持っておる、あるいはまた先ほども御答弁がございましたけれども、アジアの防災センターをつくるということでアジア関係の各国との連携をより一層深めるというようなこともやっておるところでございます。なおまた、具体的に海外からの支援の受け入れ等についても日ごろから体制を整備しておく必要があると、こういうことでございます。
 阪神・淡路以降、防災基本計画を改定いたしまして、海外からの支援受け入れに関する具体的な規定を盛り込み、それに対応する体制を整えたところでございまして、例えば海外からの支援の受け入れは、どういう分野にどういう災害が起こった場合にどういう受け入れの可能性があるのか、あるいはまた受け入れる対応省庁の対応方針を具体的にはどうするんだ、そういう手続をどうするんだというようなことについても、関係省庁連絡会議を設けまして、関係省庁間で十分合連絡を密にしておるということでございます。実際に海外からの支援の申し入れがあった場合に迅速、円滑に対応ができるような体制をさらに今後ともとっていきたいというふうに考えておるところでございます。
#79
○但馬久美君 時間が参りました。
 震災の記憶と教訓を風化させないで私は頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。以上です。
#80
○田英夫君 社民党の田英夫です。
 私は、今までの皆さんの御意見、御質問あるいは政府の答弁を伺っていて改めて思うんですが、災害対策に対する基本的な哲学を転換しなければならないときになっているんじゃないだろうか。にもかかわらず、率直に申し上げて、一番その転換がおくれているのは政府じゃないかという気がしてならないんですね。もちろん阪神・淡路の教訓が直接の動機でありますけれども、災害というのは、さかのぼれば七十数年前の関東大震災までさかのぼる必要があるかもしれませんが、当時は今とは時代が違いますから、余りその結果として教訓というふうに政治の中で生かされなかった。しかし最近は、阪神・淡路はもちろん、先ほど田浦委員からありました雲仙・普賢岳の問題とか、そういうことを一つ一つ教訓にしながら前進をし、改善をしていかなければならないと思うんです。
 結論から言ってしまえば、一番大きな問題というのは、要するに公的資金によって被災者を支援するかどうかという点に絞られてしまうんじゃないかと思います。
 実は、今までもこれが全くなかったわけではありません。既存の法律の中に、御存じのとおり災害弔慰金の支給等に関する法律というのがあります。昭和四十八年にできた法律ですけれども、これは実は、私も当時のことを記憶しておりますけれども、仲間であった自民党の佐藤隆さんが御自身の体験の中から非常に熱心に取り組まれて困難を克服してつくられた。あれはほっておけばできなかったと思いますよ。
 要するに、肉体的といいますか、亡くなった方に対して弔慰金を出す、あるいは大きなけがをされた方に対してお見舞金を出す、こういうことがずっと行われてきて、これも最初は弔慰金が五十万円であったものが、その後何度かの改正を経て現在五百万円になっている。まさに公的資金によって人間の肉体的被害に対して支援をする、こういう制度があるわけです。
 これをもっと物的な被害にまで拡大をすべきではないかということを考えるときじゃないでしょうか。それが今この参議院の災害対策特別委員会に二つの議員立法が出ているその内容であります。
 また、自民党が今検討され、大詰めと聞いておりますが、つくられつつある法案も同様のものと私は理解をしているわけでありまして、阪神・淡路の貴重な体験の中から公的資金で生活被災者の生活再建を図る、こういうことが今現実になりつつあると思うんですが、これに対してやはり国土庁を初め政府の皆さんのお考えは余り変わっていないんじゃないかと思いますが、この点、どなたでもいいですからお答えいただきたいと思います。
#81
○政府委員(山本正堯君) ただいま先生の御指摘でございますが、私どもといたしましていろんな災害復旧に努めるほか、公的な支援をいろんなことに対応した施策としてやらせていただいておるわけでございまして、災害救助法による支援でございますとか、今、先生おっしゃいましたような災害弔慰金の関係の法律による支援でございますとか、あるいはまた災害援護資金の貸し付けでございますとか、公営住宅の建設でございますとか、いろんな意味で施設の災害復旧等々ばかりじゃなくて、そういうソフトな面の人に対する公的な支援を行っておるところでございます。
 ただ、先生おっしゃいましたような弔慰金につきましては、生命、身体という非常に回復しがたい大変貴重なもの、取り返しのつかないものに対する弔意をあらわすというものの法律であるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、私ども災害救助法でございますとか、災害が起こった直後に応急対策として炊き出しとか避難所の確保とかそういうようなものを行います法律、またそれぞれの法律の趣旨に従って支援の措置が講じられておる、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
#82
○田英夫君 大臣も所信表明の中で、阪神・淡路に関連をして「道路、港湾など主要なインフラ施設については復旧が完了いたしましたが、その一方で、今なお約二万四千世帯の方々が仮設住宅で生活を送られているなど、いまだ残された課題が存在することも事実であります。」、こういうふうに述べておられるわけです。
 今までは公的な資金を使っての災害対策というのはインフラの整備というようなまさに公共的なものにむしろ限られていた。それをやるのが公の国や自治体の仕事だという、そういう考えがもうしみ込んでいるんじゃないかと思うんです。阪神・淡路の教訓というのは、そうじゃありませんよということを言っているんじゃないでしょうか。
 私も何度がお見舞いを兼ねて現地の視察をさせていただきました。この東京の国会の中にいて想像つかない被災者の皆さんの実態を、しかも災害直後から現在に至るまで、その中で本当にこれは被災をされた方、その周囲の方でしかわからないような非常に大きな打撃を受けておられる。それは目に見える物的なあるいは肉体的な損害だけじゃないんですね。精神的な損害というのが非常に大きいということを教えています。だからこそ、大の男が三年もたっているのに仕事につこうともせず仮設住宅の中でひとりで暮らして孤独死をしていくというこういうことは普通の神経の状態だったらあり得ない、そういうことが現実に起こっているんですね。しかも、決して一つや二つの例ではない。
 あれだけの大きな災害の場合には人間というものは本当に精神的に大変大きな打撃を受けるものだということをやはり行政もあるいは私どももしっかりと教訓として把握する必要があるんじゃないか。そして、対応を、つまり哲学を転換しなければならないということを教えていると私は思っています。
 私ごとですが、長いこと新聞記者をやっておりましたから、しかもそれは社会部記者という仕事が多かったので数々の災害の現場に行っております。
 最大のものは伊勢湾台風であります。本当に災害のときに被災者というものがどういう状態に陥るのか。阪神・淡路はもちろん一番大きなものですけれども、伊勢湾台風のときもやはり、原因は、地震ではなくて台風という違いがありますけれども、結果は同じように目に見える打撃じゃなくて目に見えない大きな打撃があります。このことをやはり今改めて大きく重く受けとめる必要がある。
 それを救うにはどうしたらいいか。これは公的資金を生活再建という形で災害の直後にまとまった形で支援をしてあげるという、さっき本岡さんも出されましたが、去年の四月から毎月一万五千円ないし二万五千円という形で払われているということ、これは確かに一種の公的援助ですけれども、被災者の皆さんにとってみますと、さっきの御答弁では全く違うんです、実際現場に行ってみると。やっぱりまとまって、うん、これでひとつ頑張ろうという気になるようなそういうものを差し上げなければいけない、効果がないといいますか、そういうことをぜひ温かい目で見ていただきたいと私は思います。
 別の教訓で言えば、例えば伊勢湾台風のときに、ちょうど長良川、木曽川のところに満潮が押し寄せてきたその時間に台風の襲来と重なりましたから高潮になった、満潮と高潮が一緒になった、そして国道一号線の鉄橋にそれが激突をして水の壁ができて両側の堤防が決壊をしたという現実をその直後に私は取材をしておりました。
 今度そこに建設省と水資源公団が御存じのとおり長良川河口堰をつくられた。国道一号線の鉄橋よりもさらに大規模なものがあそこにできてしまっているのを私も目撃して、これは違うんじゃないかと。建設省は初め、利水のためと言われた。そのうちにもう工業用水も余り要らなくなってきた。そうすると、これは治水のために必要ですと。治水のためということは、結局堤防が決壊したりしないような、台風が来ても大丈夫なようなそういう役に立ちますよということになるんでしょうけれども、実はそれが災害の原因になるという警告をいたしましたが、聞く耳持たずという
ことで二千数百億円の巨費を投じて災害の原因をつくったと私は思っているんです。そういう過去の教訓ですね、これをあらゆる問題について生かさなければ私は災害対策とは言えないと思いますよ。
 災害というのは、いつ起こるかわからない。そして、原因も数々ある。地震も津波も、雲仙・普賢岳のような火山もあるし、日本の場合は台風が毎年来ます。そういうことを一つ一つ取り上げて教訓にしていかなければならないと思います。
 そこで話を変えまして、まさに今三つの法案が出つつあるわけですが、二つは既に出ております。その三つを比べてみると、実は非常に重要な部分で共通点があります。それは、先ほどから申し上げているような公的資金を被災者の生活再建のために出すというこの点は全部一致しています、三つとも。自民党案も拝見いたしました。自民党の中の御議論も今続いているようですけれども、要はそこは全部一致しています。それは政府の今までのお考えと違う、率直に申し上げて。しかし、今度の議員立法三つは一番大きなところで、重要なところで共通点があります。繰り返しますが、公的資金を生活再建のために出すという、それから住宅の被害状況によって金額に差をつけて出すという、これも共通しています。全壊とかそういう住宅がやられてしまうということ、何を基準にするかというと結局それが一番被災者の皆さんにとって打撃の大きさをはかる基準になるという考え方ですね。決して公的資金で壊れた住宅を直したり建て直すためのお金を差し上げるというやり方じゃないわけです。ここはまた三つとも共通しています。
 一番三つの違うところは、阪神・淡路に遡及するかしないかです。この点は重要な違いだろうと思います。これからやがて審議されるであろうものを、きょうはこれ以上申し上げませんけれども、やはり私どもはお互いに、政府の皆さんも一緒に何とかこれを実らせるように努力をしなければならないと思います。
 例えば、私も実はその一つの発議者になっておりますけれども、いろいろ考えました。議論もしました。その中で、国土庁もお気づきでしょうけれども、都道府県によって災害に対するいわば温度差があります。台風が始終襲来するような鹿児島とか高知とかそういうところ、あるいは地震の起こり得ると言われている東海とかそういうところ、都道府県によっておのずから災害に対する過去の体験から温度差がある。それを一律に考えていいかどうかという点も私どもも考えました。
 そこで、私どもの法案は都道府県ごとに条例をつくっていただくと。都道府県で条例をつくっていただいて公的資金で生活再建の援助をするということを条例で決めていただく。ただ、条例で決めるということを法律で決めているという。そして、その金額は実は法律で決めております。支援の金額は法律で決めておりますが、なぜ都道府県ごとに条例をつくるということにしたか。これは、さっき申し上げたように都道府県によって温度差がある、また事実起こり得る災害の可能性が違うとすれば、全国一律にしかも自治体が負担をする部分が半分という規定にしたものですから、それを全国一律にしていいかどうかということでそういう配慮をいたしました。
 これ以上もう法案のことについて立ち入って申し上げることはきょうは控えておきますけれども、そういう状況にまで今至っているときに、ぜひ国土庁を初め政府も、国会議員の皆さんあるいはもちろんその根底には阪神・淡路を初めとする被災者の皆さんの声そしてその実態、それをつかんだからこういうことになってきたんです。それをぜひお考えいただきたい。もう皆さん、政府の立場だって阪神・淡路の被災者の皆さんの実態をお調べになることは容易でありますから、むしろそれを正しく把握されれば我々と同じお考えになると私は信じています。
 きょうは、質問というよりも、一方的に意見を申し上げました。どうぞひとつ亀井大臣を初め国土庁の皆さんあるいは政府の皆さんがそうした哲学の転換をされるようにお願いをして終わります。
 ありがとうございました。
#83
○山下芳生君 六千人を超える死者、四十五万世帯に及んだ全半壊の住居の被害など、私は、戦後最大の大災害となった阪神・淡路大震災の教訓を現在と将来にどのように生かすのか、この点に今の時代を生きる政府と国会の責務があると思っています。とりわけ国土庁長官そして災害対策特別委員は、だれにもかわることのできない重要な使命を負っていると、そう認識しております。
 そこで、大臣にお伺いしますが、阪神・淡路大震災の被災地の現状であります。兵庫県内の仮設住宅では孤独死が百九十九人になりました。ことしに入って既に四人が自殺をし、借金苦のために息子が介護をしていた親を殺して心中を図るという事件も起こりました。仮設住宅の居住者のうち病気だと答えた方は六四・九%。兵庫県の調査です。病気だとわかっていても治療に通っていない方が一四・一%。まさに日々命が脅かされているというのが被災地の実態であります。
 ところが長官は、先日の所信表明演説の中で、「被災者に対する支援につきましては、政府としては、現行制度の運用により幅広くかつきめ細かく行っているところでありますが、さらに将来の災害についての議論を注意深く見守ってまいりたいと考えております。」、こうお述べになりました。現在の阪神の被災者支援については、幅広くきめ細かく行っている、十分やっている、あとは将来の災害について議論を見守るんだ、もう阪神の支援は十分やった、終わりだということなんですか。
#84
○国務大臣(亀井久興君) 今、委員が御指摘になったことでございますが、私が所信の中で述べましたことは、現在政府として精いっぱいの被災者の支援を行っておるというそのことについて申し上げたわけでございますが、これですべてもう終わったというような認識をしておるわけではないところでございます。
 先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、いわゆるインフラ施設を初めといたしまして公共的な施設につきましてはほぼ復旧は終わったという段階ではございますけれども、新たに復興という観点から考えますと、まだまだ課題はたくさん残されておりますし、特に被災者の方の生活再建ということについては今後取り組むべき課題はたくさん残されている、そのような認識をいたしております。
#85
○山下芳生君 私が、あえてもう阪神は終わりと認識しているのかということを聞いたのは、どうも政府の動きを見ておりますとそういう御認識になっているんじゃないかという心配をしているからであります。
 改めて、今そうじゃないと。残された課題がある、特に生活再建についてはあるんだと大臣はおっしゃいましたが、では残された生活再建の課題とは一体何なのか、もう少し詳しく御説明いただけますでしょうか。
#86
○国務大臣(亀井久興君) 先ほど、田委員のさまざまな御見識を私大変敬意を払いながら承っていたところでございますが、その田委員の御指摘の中にもあったことでございますが、やはりあれだけの自然災害を突然受けられたわけでございますから、物的な損害というものはもとよりでございますけれども、やはり精神的な損害というものが、損害と申しますか精神的な苦痛というものが、私どもが考えることができないほどひどい状況になっているということも私なりに感じていることでございます。
 今、委員が御指摘になりました、仮設住宅の中で孤独死をされる方がある、また病院に行かなくてはならないということがわかりながらも病院に行かれないという、そうした通常では考えられないような心理状況に陥っておられる方がいらっしゃるという、そうしたことについてもまた政府といたしまして総合的に対策を講じていかなくてはいけないことがあるわけでございまして、医療機関の対応の問題あるいは学校の現場における対応をどうするか、そうしたことも含めてまだまだ課題はたくさん残されているように思っております。
#87
○山下芳生君 物的な影響はもとより精神的な問題、心理的な状況ということをおっしゃいましたが、私はそれは少し実態をゆがめて見ているんじゃないかなと思うんです。なぜそういう心理的な状況が生まれているのか、そこにはやはり物質的な実態が存在しているというふうに思います。
 私は、改めて三年を経過したときの各種の調査にその物質的な実態としての被災者の困難がよくあらわれていると思うんです。例えば住宅の問題ですが、震災前に住んでいた家に戻るめどが立たない人、これは断念した人も含めて、持ち家の約四割、借家の約六割余りに上ると。それから、持ち家を再建した人にも経済的な課題が残っている。蓄えがなくなったと答えた方が半数を超えて、ローン負担が大きいと答えた方が四割近く、二重ローンも一割に達しております。
 それから自営業の方は、一年前、二年目のときの調査では自営業で本格再開にこぎつけた方が約六割だったが、今回四割台に後退をした。一方、休業、廃業の方は急増し、両方の合計は一年前の約二倍の割合になった。つまり、震災後一たん再建を果たしながら、長引く不況や周辺の復興のおくれなどによって、せっかく再建したけれども休業や廃業に追い込まれたケースがふえていっているということであります。
 これは、いずれも神戸新聞のアンケート調査の結果ですが、その中にこういう声があります。東灘区の五十歳代の女性、新築の自宅と店舗が全壊、そして再建しましたが、この年になって二重ローンを組み毎月二十数万円の返済、店の仕事も半分に減り、不安な毎日ですと。あるいは須磨区の七十歳以上の男性の方、全壊した自宅を長男のローンで再建したが、長男が一時失業し契約社員になった。返済の見通しが暗く、このままでは自宅を売らなければならない、こういう切実な声であります。
 ですから、単に心理的な問題というふうに見るとこれは見誤ると思うんです。実態の深刻さがあって、希望がなくなって自殺したり孤独死したりされているわけです。これこそ残された課題ではないのかと私は思います。こういう課題に対して、残された課題だという認識、大臣どうでしょうか。
#88
○政府委員(田中正章君) 大臣がお答えする前に一言答えさせていただきたいと思います。
 今、先生の方からるる被災地の状況についてのお話がございました。確かに三年がたちまして、いろいろな意味で課題というか問題が多様化、個別化してきているという状況、こういうものが見受けられると思います。まさに先ほど来御議論していただいているところでございますが、政府の施策として国費をもってやっております公営住宅の大量供給、家賃の大幅引き下げといったような措置を補完する意味で、まさに阪神・淡路の復興基金、これを活用しまして百を超えるメニューの生活支援、きめ細かな生活支援対策というのを講じてきております。
 もう時間の関係もございますから一々は御説明しませんが、先生御指摘のローンの関係の対策、あるいは中小企業に対する利子補給の話、そういうようなメニューを漸次復興の段階に応じてふやしながら、これは県と市がつくった基金でございますからメニューをふやしながら対応をしてきている。そういう中でも個別化、多様化している人たちにさらにこういう復興基金を活用したきめ細かな措置というのを着実に実施していく、こういう必要があるんじゃないかというふうに思っているところでございます。
#89
○国務大臣(亀井久興君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、心の問題だけを申し上げたわけではないのでございまして、心の問題も含めてまだ残された課題があるというように申し上げたわけでございます。もとより物的なことについてすべて解決されたというように思っているわけではございませんので、その点は改めて申し上げたいと思っております。
 それと同時に、今復興本部の事務局次長から御答弁申し上げたわけでございますが、地元の地方公共団体が一番身近に被災者の実情というものはよく御承知のことでございますから、地元のそうした地方公共団体と十分に御相談をしながら、国としてどういう御支援ができるのかということで今日対策をとっておるところでございまして、先ほど来他の委員からも御指摘がございましたけれども、そうしたことが実情に合わない面があるというような点もございましたので、そうしたことについてもさらに地元との連携を密にしながら対応してまいりたいというように思っております。
#90
○山下芳生君 私は、事務局次長さんがおっしゃったいろいろやっておりますということですが、いろいろやった結果、今被災地はこういう深刻な実態になっているんだということなんです。いろいろやったけれどもこういう実態があるんだ、やったことが足らなかった、あるいは肝心なことが抜けていると。ミスマッチというだけじゃないんです。そこを、いろいろやったからということで済ますわけにはいかない。やはり胸の痛みを感じる必要がある。三年間こういう状態に置いてきたのは政府の責任なんですよ。それをやはり自覚しなければ本当に教訓として現在と将来に生かす対策はとれないというふうに私は思います。
 そこで、事務局次長がおっしゃった、例えば住宅ローンの問題、それから中小企業に対する融資の問題、やられています。しかし、それだって、この間神戸商工会議所が経済実態調査をやりました。震災関連の借入金、融資を受けた事業所の九割近くは負担感を感じている。それはもう借金したって周りに人が戻らないんですから売り上げが落ちて返せない、こういう事態が生まれているんですね。それでローンをいろいろ優遇していますと言ってもこれは実態に合っていないということにならざるを得ません。
 ですから、この実態から、今何が欠けているかこの神戸新聞のアンケート調査の総評として神戸大学の塩崎助教授がおっしゃっています。
 被災地では以前から二極分化が進んでいたが、震災から三年を迎えても是正されず、不況で一層深刻になっている。復興は時間がたてばよくなるはずのものと考えられていたが、時間は解決しない、これが今の現状だと。待っていたらだんだん皆頑張るだろうという状況ではないと。結論として、結局、震災四年目に向けて、生活再建に直接に効果のある復興策が要るということだろうと。
 実際、被災地の被災者の皆さんの生活基盤の回復が進まない現状を反映して、国や自治体に対する要望では四人に三人が生活再建の資金を支給する公的支援を求めていると。いろいろやってきたけれども、一番欠けているのは生活再建に対する資金の給付なんだと。これは四分の三の方が求められているんです。これは将来の問題じゃないです。今の阪神の被災者に生活再建の資金の給付というものをやることを求めているんだとお思いになりませんか、大臣。
#91
○政府委員(田中正章君) 先ほど来阪神・淡路の被災者に対する対応の問題で御指摘を受けております。
 三年たって、私どもも政府として各省庁とも連携を保ちながらいろいろな施策をやってきておるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、阪神・淡路大震災復興基金というものを活用して、いわば自立をしていこう、その際になかなか自立が困難な方々に対しては月額方式ではございますけれども生活再建支援金というものを昨年から支給を始めておるわけでございます。また、加えまして、四十五歳以上、中高年の方々の一定所得以下の方々に対しても自立支援金の支給というものを始めておるわけでございます。
 こういったような形で、自立をしていかれる方々のきっかけというか支援というものについて、いわば地方の基金というものではございますが、この基金がやる事業を地方交付税措置で支援しながら一生懸命施策を打たせていただいているというところでございます。こういう施策も現実に講じておるということだけは御理解いただきたいと思っております。
#92
○山下芳生君 それはもうもちろん知っております。しかし、そういうことをやりながらもなお四分の三の方が公的支援を求めており、それがなければ被災地の本当の生活再建はあり得ないということをアンケートなど実態が示しているわけですよ。
 それで、私は、なぜできないのか、この阪神の被災者に対する、将来ではなく今の被災者に対する公的支援が。これは不思議で仕方がない。やっぱりこれは阪神はもうこれでいいんだと認識しているからじゃないんですか。そう言わざるを得ません。
 今おっしゃった二つのメニュー、被災高齢者世帯等生活再建支援金、それから中高年自立支援金、これは先ほど本岡委員の方から御指摘がありました。全被災世帯の五分の一のカバー率しかないわけです。震災というのは低所得者層とか高齢者層だけにダメージを与えたんじゃない、一生懸命営業して自立していた方の生活基盤を破壊してしまった、中堅層も大変なダメージを受けたというのが大震災の示した教訓であって、そこを何らかの形で支援しないと被災地の経済全体の復興はないというのが今の実態なんですね。ですから、今二つお挙げになったメニュー、確かにこれはカバーされている方には大きな支えになるでしょう。しかし、それで十分ではないということを今の実態は物語っているんじゃないのか。これはどうでしょうか。
 大臣どうですか。もうこれでいいんだ、これが全部カバーできれば、執行されれば大丈夫だ、そんな認識ですか、大臣。
#93
○政府委員(田中正章君) 簡潔にお答えさせていただきます。
 典型的な例としての生活再建支援金のお話をさせていただきましたが、先ほど来先生方にも御答弁しているように、やはり三年たちまして個別化、多様化する問題に対していろいろな施策を打っていかなければいけない。
 一つは、確かに仮設住宅にお住まいの方々、こういう方々の恒久住宅への移行ということの支援をどうしていくか。それからもう一つは、御質問もいただきましたが、やはり地域の活性化の根底となる産業や経済の復興。そのときに中小企業というお話もございました。こういうものについても、政府として中小企業の災害復旧融資の特例、こういったものの延長措置を講じたり、それから新しい基金の中で産業復興の関係の利子補給制度、そんなものも充実策の中で講じてきておるところでございます。
 そういうきめ細かい措置を講じているところだということを御理解いただきたいと思います。
#94
○山下芳生君 だから、そういうことをやってきた結果がまだこういう実態にあるんです。もうこれでいい、今やっておりますという説明で済ますということだとどうしてもとれますよ。だから、結局大臣は生活再建については将来の課題として議論を見守るというふうにおっしゃっている。これは私は被災者にとっては絶対に納得できない、容認できない認識だと思いますよ。
 ですから、自民党の案、御検討中ですが、私もこれ試算いたしました。阪神に適用しないということですが、仮に適用されたとしても大体全被災世帯の二割から三割のカバー率です。要する予算の額も多めに見積もって一千億円程度です。これだったら、今阪神に実際支給されている高齢世帯の生活再建支援金、中高年自立支援金、三百九十億、二百五十億、合わせて六百四十億です、予定されているのが。ですから、阪神に適用されてももう既に執行済みということになるんじゃないかという心配を私はしている。その根底にあるのは、阪神はもう終わったんだ、生活再建は将来の課題だからと。その将来の課題も、結局、今阪神の被災者の皆さんにやっている程度の支援をこれからの災害に対して備えましょうということになっていっているんじゃないか、私はそう認識せざるを得ません。
 そうじゃない、まだ阪神にもっと生活再建のメニューを新たにつくる必要があるんだということなのかどうなのか、最後に大臣にそこの認識を伺って終わります。
#95
○国務大臣(亀井久興君) 今いろいろ御指摘をいただいたわけでございますけれども、先ほど来御答弁をいたしておりますとおり、阪神・淡路の復旧・復興がもう終わったというようなそういう認識は全くいたしておらないところでございまして、今私どもが中心になりまして策定をいたしております二十一世紀に向かっての新しい全国総合開発計画におきましても、阪神・淡路被災地域の復興ということが国政上の重要な課題であるというそうした位置づけも明確にいたしておるところでございまして、これからまた生活再建ということについても残された課題があるということは私も十分に認識をしておるところでございます。
 ただ、今日までの政府の一貫した姿勢というものもあるわけでございますが、そうしたものを踏まえながら、特に被災者と直接日々接しておられる地方公共団体がその復旧・復興のためにどういうこれからまた新しい対策をとっていかれるのか、そのことを十分に踏まえ、御相談をしながら、政府といたしまして精いっぱいの御支援をいたしてまいりたい、そのように考えております。
#96
○山下芳生君 終わります。
#97
○平野貞夫君 自由党の平野でございます。
 大変素人っぽくて基本的な質問から始めたいと思いますが、災害対策基本法の「目的」、これが第一条、それから第三条で「国の責務」という条文がございますが、防災局長、この法律の目的と国の責務というものをどういうふうに認識されて災害対策の施策に当たられているか、一般論としてその解釈といいますか認識をお聞きしたいと思います。
#98
○政府委員(山本正堯君) 災害対策基本法は伊勢湾台風後の昭和三十六年につくられたわけでございますが、その災害対策基本法の第一条の目的で、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関する基本を定めるということによりまして、社会の秩序の維持、公共の福祉の確保に資することを目的とする、こういう条文になってございます。
 すなわち、国を構成いたしております、基礎でございます人と国土を災害から守るということでございまして、そのためにいろんな国、県、市町村、各組織の責務も明確にし、総合的、計画的な行政を一元的にやっていくんだという趣旨だというふうに私どもは理解をいたしております。
#99
○平野貞夫君 先般の大臣の所信表明の中にも冒頭に、「災害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護すること」、これが国政の基本という所信を述べられております。
 そこで私が注目したいのは、国土の保護、保全というのはこれはわかります。財産もわかりますが、生命、身体を保護する、これについての認識でございますが、生命といえばこれは生き死にのことでございますか、身体というのはけがをする、傷害の問題ですか、一般的に言えば。
 しかし、この生命、身体というものの中には、災害を受けた場合、どういうことが起こるかという人間の恐怖心、それから災害を受けた後の自分は生きていけるだろうか、生活していけるだろうかという心の問題といいますか生きがいの問題、心理的な問題。心理的な問題といったって、結局は物質的、金銭的な問題で解決するしかないと思いますが、災害対策基本法に言う生命、身体の保護というものの中に、そういった人の心なり人が将来生活をしていけるかどうか、生きていけるかどうかというものに対する保護、対応という概念は入っておりますか、いませんか。これは大臣にお聞きしたいと思います。
#100
○国務大臣(亀井久興君) 災害対策基本法における国民の身体、生命、財産ということについての御指摘でございますけれども、当然のことながら、とうとい人命が失われる、あるいは大変な肉体的な損害を受けられるというそういうことと同時に、やはり今、委員がお述べになりました災害に対する恐怖心であるとか、また災害の後のさまざまな心理的な問題も含まれるものである、そのように私は受けとめております。
#101
○平野貞夫君 最近の災害被災に対して、これは日本だけじゃございませんが、欧米でも被災者の心のケアといいますか、同時にそれは生活なり将来に対する一つの不安感に対する対応といいますか、それが非常に顕著になっております。
   〔委員長退席、理事情水達雄君着席〕
災害が原因で病気になる、その病気も肉体的な病気でなくて精神的な病気、あるいは生きがいを失う、そういうことから、阪神大震災でも起こっております非常に気の毒な形での自殺とか、そういうことがあるわけでございます。
 私は、日本の災害対策というのが、始まりは聞くところによりますと、明治政府は災害対策費なんというのはつくっていなかったようでございまして、災害復旧に最初に基金的なものをつくったのは日清戦争の賠償金でつくったという話を聞いて、明治政府の一つのやり方というものを勉強したんですが、要するに、官主導の、官僚主導の災害対策の原形が私はここにあるんじゃないかと。自然災害でやられた、被害を受けたものは本来国が面倒を見る必要はないんだ、それはもう自然に任す、それはもう不幸と言うしかないんだ、こういうことから始まって、それでもやっぱり川や道路や橋、そういうものをほうっておくわけにはいかぬというので、そういうものについてはそういう戦争の賠償金を基金にして復旧のもとにしようというような発想から始まっていると思います。
 したがいまして、最近の災害の確かにそういう物質的インフラ整備というのはかなり制度的にも整備されて、それなりにやっておると思うんですが、最近問題になっている、こういう被災を受けた人たちの生活再建あるいは生きがいをどう持つかということに対しては、どうしてもやっぱり政府の方々は具体的にまだそういう体制ができていないんじゃないか。大臣は今はかなり前向きなお話はされたんですが、そういう発想ができていないんじゃないかということを感じるわけでございます。
   〔理事情水達雄君退席、委員長着席〕
 ただいまの答弁の中で、災害対策基本法で生命、身体の保護ということで、心のケア、不安感、そういったものは災害対策として取り扱うんだ、考えるんだ、こういうことならば、私は今まで先生方がるる朝から質問されてきた個人災害救援といいますか、支援、このための仕組み、制度づくり、これは政府の方も、議員立法がやがて三つそろうと思いますが、本来はやっぱり、そういうふうに災害対策基本法の目的や国の責務を感ずるならば、政府案としてなぜ提出をしようとしなかったか、そこをひとつお尋ねしたいと思います。
#102
○国務大臣(亀井久興君) 今、委員がお述べになりましたことでございますが、やはり私は国民の災害に対する恐怖心というようなものを軽減するということから申しましても、さまざまな災害対策が万全にとられているというそういう体制を整備していくことが国民の恐怖心を軽減するということにもつながっていくんだろうと思っておりますし、また被災後の被災者の方々の心の問題等につきましても、当然のことながら、いわゆる物質的な対策というものが十分に整っていくことによって心の問題もまた軽減をされていくというそういうことは確かにあろうと思うわけでございます。
 したがいまして、今生活再建支援のことについての御指摘でございますが、政府といたしまして、そのことに対して全く目をつぶっているとかあるいは知らぬ顔をしているとかそういうことではないわけでございまして、防災問題懇談会においても、将来の災害に備えての基金制度を検討すべきであるというそうした提言も既にいただいておるところでございますから、政府としてどのような新しい対応ができるのかということについては、私も事務当局に対しましても徹底して検討をすべきである、このようなことは常々申しておるところでございます。
 ただ、院におきまして御承知のような法案が出されている現状でございますから、そのことにつきましては私どもも行政府の立場としてその内容についてあれこれ申し上げるべきではないと思っておりますので、その推移を見守っているという状況でございます。
#103
○平野貞夫君 ちょっと角度を変えてお尋ねしますが、阪神・淡路大震災について、被災者の生活再建とかそういうことも含めて、心のケアあるいは不安感の解消、そういったことについて具体的にどういうことを政府としてされたか、あるいは今後どういうふうなことを考えられているか、次長さんで結構でございます。
#104
○政府委員(田中正章君) 心のケアというと大変広い範囲の問題にわたるわけでございます。ただ、阪神大震災を受けた地域におきましても、いわゆる震災で心の健康と申しますか、状態が害されたというか悪くなったというかそういう被災者の方々について、ある意味で言うと専門的な、医療と申し上げたらいいのですかそういうふうな相談が必要という状況が出てきております。
 地元自治体におきましてですけれども、従来の保健所というような対応ではなくて、震災後に被災者の方々がお住まいになっている身近な場所を借りまして、被災地では「こころのケアセンター」と称してございますが、こういったものを設置いたしまして、専門のお医者さんとかあるいは保健婦さんとか、一部そういう心得のあるボランティアの方々にも常駐していただいて被災者に対する相談や指導を行う体制は、これはいわば先駆的なものとして阪神・淡路の被災地でもってとられているわけでございます。たびたび復興基金の話が出てまいりますけれども、国が地方財政措置で支援しております復興基金もこういう「こころのケアセンター」の運営についての助成を行っているということがございます。
 それからもう一つは、ここまで言うとあれかもしれませんけれども、被災されたお子さんというか児童の方々、こういう方々の心のケアということも重要な問題でございまして、地元の自治体の児童相談所において電話相談とか巡回相談などを実施しておりますし、それから学校に国としてスクールカウンセラーの配置、こんなような支援も行っているということでございます。このスクールカウンセラーというのは、学校へ定期的に参って生徒さんのいろいろな心のケアの相談を受けるという方々でございます。
 以上でございます。
#105
○平野貞夫君 大きな道路とか橋とかというそういうふうなインフラ整備も大変大事でございますが、ただいまのお話の、被災者のそういう精神的、心理的なものをどうやっていやしていくか。そして、それがやがて生活再建といいますか、そういったものにつながっていって、本当の被災者の救援、新しい生きがいを被災した方たちが、そういう意志を、そういう志を持つことになると思いますが、そのためには個人を支援する、国の責任で支援していくという制度がどうしてもやはり必要じゃないかと思います。それによって、被災者だけでなく、やはり一般の国民も国に対する信頼感を持つことになると思います。
 先ほど来の議論の中で、まず一つは、生活支援の場合交付税は出しているという話ですが、やっぱり自治体がやっておるということ、それから恐らく今お話しの心のケアの専門的なそういうセンターも実際やっているのは自治体だと思うんです。これをどうして国が直接やろうとしないか、そのことをちょっとお聞きしたい。
#106
○政府委員(田中正章君) 心のケアということだけの問題ではないことかもしれませんけれども、被災地においてきめ細かな支援策というのは、やっぱり被災者の方々の身近にいるまず地方公共団体が提案をし、それを具体化していく過程で国の方でどんな支援ができるか、こういうような形でメニューをふやしていく、こういうような形で阪神・淡路の場合も実施をしております。
 そういうような一環として、「こころのケアセンター」というものも、いわばおっしゃられますように、自治体が保健所だけではない新しいそういう施設、場所を設置することについて、しかもどちらかというと新しい試みとして実施をしていくことをどういう形で支援するかというときに、復興基金というそういう行政的な措置を補完する施策がございまして、これを支援することによって生きてくるような形になっているということでございます。
#107
○平野貞夫君 実際そういう仕事をするのは自治体の方たちの役割だということはわかります。しかし、そういったことが体系的に国の防災計画だとかいわゆる国の方針として示されているかどうかということなんですね。具体的に問題ができて、それに対応する。対応したものに対して国が補助金とかそういったもので支援するという形では私は遅いと思います。それでは本当の安心はできないと思います。
 国際的にも災害の形態がいろいろ変わってきております。先ほど田先生が災害対策に対しての哲学を変えろということはそういう意味でもあったと思います。そういう災害対策のソフトウエアといいますか、そういうものについて、やはり何となく災害対策基本法はそういったものを次の次にしているんではないか。これは国会の問題でございますが、災害対策というものは、そういうインフラ部分の整備とともに、人間それ自身の一人一人を救う、助けるというところに、またそれは被災を受けた人がそういう扱いを受ける一種の権利だと私は思っていますが、そういう観点にやっぱり政府の人たちの考え方を変えていただきたい、こういう思いを持っておりますが、いかがでございましょうか。
#108
○国務大臣(亀井久興君) 大変重要な御指摘をいただいておるところでございまして、災害対策基本法における基本的な考え方を言ってみれば多少といいますか、思い切って転換しなくてはいけないんではないかという、そうしたことも含んでの御指摘でございます。
 私ども今、委員のそうした御意見を承っておりましていろいろ感ずるところもあるわけでございまして、今この場で直ちにどうこうするということは申し上げられる段階ではないわけでございますが、委員の貴重な御提言として承っておきたいと思います。
#109
○平野貞夫君 最後に、質問ではないんですが、先ほど田先生からもお話がありましたように、現在、個人災害救済制度として弔慰金制度という法律があるわけでございます。これはたしか参議院の災害対策特別委員会の議員立法だったと思います。佐藤隆先生が十年ぐらいかかってたしかつくられた。最初は五十万円の見舞金から始まっておるわけなんです。
 それで、私もこの問題に役人の当時かかわったことを記憶しておるんですが、単なる弔慰金、単なる見舞金ではなかったんです。そのころ政府の方たちの、個人の救済を補償するあるいは支援することは憲法上問題があるという非常に厳しい当時は考え方がありまして、やむなく弔慰金という形で生活再建といいますか、家族がしばらくは安心して生活していくという形、そういう思いで参議院の災害対策の先生方が苦労されてつくられた法律でございます。それがいまだに、個人の被災を補償するのは憲法上問題があるという、これはもう二十世紀前半の法律の発想だと思いますが、こういうしっぽをまだやっぱり政府当局の方は持たれているんじゃないか。
 ぜひやはり、新しい時代へ向けて、災害でやられた人一人を救えなくて何が政治かと。そして、全部がそういうわけじゃございませんが、災害を受ける人はほとんど気の毒な人が多いんです。日本じゅういろいろ調べましたら、災害を受けない場所にあるのがお宮とお寺、その次に金持ちなんですよ。常に気の毒な人たちが災害を受けるという我が国の一種の地政学的宿命もありますので、どうかひとつ個人の生活再建等救援の、そしてまた被災者個人の心のケアを、温かく治していくというそういう災害対策にこれから邁進していただけるよう要望して質問を終わります。
#110
○委員長(浦田勝君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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