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#1
第142回国会 災害対策特別委員会 第6号
平成十年四月二十二日(水曜日)
   午後五時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     瀬谷 英行君     田  英夫君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     緒方 靖夫君     山下 芳生君
     戸田 邦司君     平野 貞夫君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     木庭健太郎君     風間  昶君
     大渕 絹子君     三重野栄子君
     田  英夫君     村沢  牧君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浦田  勝君
    理 事
                清水 達雄君
                田浦  直君
                本岡 昭次君
                但馬 久美君
    委 員
                阿部 正俊君
                芦尾 長司君
                岩井 國臣君
                陣内 孝雄君
                長谷川道郎君
                馳   浩君
                依田 智治君
                足立 良平君
                平田 健二君
                前川 忠夫君
                風間  昶君
                三重野栄子君
                村沢  牧君
                山下 芳生君
                平野 貞夫君
       発  議  者  清水 達雄君
       発  議  者  芦尾 長司君
       発  議  者  前川 忠夫君
       発  議  者  但馬 久美君
   委員以外の議員
       発  議  者  及川 一夫君
       発  議  者  都築  譲君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       阪神・淡路復興
       対策本部事務局
       次長       田中 正章君
       国土庁防災局長  山本 正堯君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        八島 秀雄君
   参考人
       作家・市民=議
       員立法実現推進
       本部代表     小田  実君
       防災科学技術研
       究所所長     片山 恒雄君
       姫路獨協大学経
       済情報学部長   小室 豊允君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○災害対策樹立に関する調査
 (災害被災者支援の在り方に関する件)
○被災者生活再建支援法案(清水達雄君外六名発
 議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浦田勝君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、木庭健太郎君、田英夫君及び大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君、村沢牧君及び三重野栄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(浦田勝君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 災害対策樹立に関する調査のため、本日、参考人として作家・市民=議員立法実現推進本部代表小田実君、防災科学技術研究所所長片山恒雄君及び姫路濁協大学経済情報学部長小室豊允君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(浦田勝君) 災害対策樹立に関する調査のうち、災害被災者支援のあり方に関する件を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 参考人の方々には、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず小田参考人、次に片山参考人、次に小室参考人の順で一人十五分程度、災害被災者支援のあり方について御意見をお述べいただきたいと思います。
 なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず小田参考人にお願いをいたします。小田参考人。
#6
○参考人(小田実君) まず第一に、こういう機会を与えてくださった議員諸氏の努力に感謝します。被災者一同にかわって、私自身も被災者ですが、お礼の言葉を申し上げたいと思います。
 それでは、私たちが、私を含めてなぜ公的援助の実現を求めて動いてきたか、その理由についてまず申し上げます。
 私自身、西宮の被災者として、そしてまたその後、さまざまに救援活動を被災者の一人として行ってきたんです。私の著作活動の中でさまざまな調査をして、朝日新聞刊行の「被災の思想難死の思想」という本にまとめました。そのような活動を通じて一年間やってみた結果、やはりこれは被災者を根本的に救うためには公的援助が必要である、そういう認識に一年かかって達したんです。これは被災者自身の実情といろいろな調査の結果です。そして、それは可能であると。世界各国でやっていることぐらいは可能である、先進各国でやっていることは可能であると、そういう結論に達しました。
 結論の中身を申し上げますと、やはり本当の復興というものは市民生活の再建がないとできない、幾ら復興にお金を費やして建物を建てたり道路をつくったりしても、本当の意味の全体的復興につながらない。それはつぶさに私は自分で調査し、自分で体験し、自分で調べてみた結果なんです。やはり市民生活の根本であるところの生活基盤が破壊されていると。生活基盤の破壊を最小限公的援助で補う、それが一つの土台を形成する。これは個人的な財産の補償ではありません、これは間違いないように申し上げたいと思います。
 生活基盤の回復に必要な公的支援をする、そのことによって市民生活の再建が成る。そういう土台が形成された上で初めていわゆる自助努力による復興が、自分たちの生活の再建が成る。市民の生活の再建が成って初めて真の意味のその地域における復興が成立すると、そういうことをつぶさに私は体験しました。
 そしてもう一つは、例えば島原とか奥尻島の例を私も調べました。その場合は一時金として四百万円、生活基盤回復という名称ではありませんけれども、その意味で支給された四百万円、それに積み立てていけば千三百万円ぐらいになって、かなり自力更生、自助努力による復興は成っているんです。しかし、これは義援金からのものなんです、義援金からのものである。もちろん、御承知のように、阪神・淡路大震災は巨大な震災であって、巨大な義援金の集積が日本全体の市民の手によってなされたんです。しかし、それは分けてみたら、正確に分けるかどうかは別にしましても、この三年間において二十四万円、三十万円、四十万円程度しか手にすることができなかった。これではとても不可能である。
 そうすると、義援金からではできない、これもやはり私たちの認識に達したんです。やはり国家が責任を持って援助をするということがまず必要であろうと。その上でいろんな努力がなされてきたらいいんじゃないかというのが私が結論として考えたことであります。そういうことを考えたんだけれども法制度がないんだと、法制度がないならば私たち自身がつくらなきゃいけない。
 村山富市首相が前例のない大災害とおっしゃるならば、前例のないことを我々は考えなきゃいけない、それを私は議員にも訴えたけれども、なかなか、それぞれの議員が努力されたことを私は多謝としますけれども、しかし議員一人の努力でもできなかったし、政党の努力でもできない、あるいは市民運動が幾ら広がってもできなかった。
 そこで私たちが考えたのは、法制度づくりを一緒にしようじゃないかと。市民立法、これは主権在民の原理に基づいても一番大事なことなんですけれども、やはり市民が主体になって考える。殊に被災した市民たちが自分たちの問題としてとらえる、そしてまた日本全国の市民が同じ問題を自分の問題としてとらえる、そういう方々が集まる必要があるというので、私は市民発議の市民立法という考え方を考えました。市民立法に重ねる形で議員立法をつくっていったらどうかと、市民・議員立法なんです。私たちはそれを考えた。今までの政治のあり方として陳情政治がある、ただお願いする、お願いする、これは効果がなかった。同時にまた、これは主権在民の民主主義の原理に反します。それから抗議政治、けしからぬおまえはというどなり上げる政治、これもやったんです。これは必要なんだけれども、幾らやっても変わらなかった。
 そうすると、やはり市民と議員が手を組んでするということが一番肝心であると、これが本当に議会制民主主義の一番基本的原則にかなうことなんです。私たちがしたことは、自分たちで法案をつくり、こういうものをつくったらどうかということで、最小限の生活基盤の回復だけをまず考えるという法律なんです。それで私たちは素案をつくって、これは超党派でやるべきことなんです。超党派の議員たちに送りつけた。八百人ぐらいいらっしゃると思うんですけれども、それを私たちは手弁当でやったんです。知っている政治家とも話をしなかった。送ったんです。そうすると、見事なことに十七人の方がまずやろうじゃないかと言ってくださった。これはほとんど超党派です。それから出発して延々とやってきまして、御承知のように被災者等支援法案に実って、そして参議院に正式に去年上程されました。そして、二度のつるしに遭って、継続審議になって現在に至っているという状態なんです。
 私は、これは非常に貴重なことだと思うんです。被災者自身の現状認識から出発して、体験から出発して全体のものとして考えようじゃないか、日本全体のものとして考えていこうじゃないか、しかもそれを市民だけでなくて議員も一緒に考えていく、議員と一緒につくり上げていく。このことの意義は、被災者の救援の問題とともに、これからの民主主義のあり方の根本ではないかと私たちは考えているところなんです。
 それで、私たちの果たした成果、これは大いにあったと思うんです。私たちの成果は、個々の政党がどうしたこうしたことではなくて、一つの原理的な土台をつくったと思うんです。どういう原理的土台がというと、やっぱり大災害に対して公的援助が必要であるということ、生活基盤の回復、市民一人一人の生活基盤の回復がないとやっていけないんだということなんです。このことのコンセンサスを私たちはつくってきたと思うんです。このコンセンサスは今市民あるいは議会の中でもかなりでき上がって、例えば生活再建支援法案もそのコンセンサスの上で形成されたものだと私たちは理解します。そういうコンセンサスがなかったんです。二年前には全くゼロだった、あるいは三年前もゼロだったんです。それが今生活基盤の回復だとか公的支援は必要であるということはもう市民権を得ている、あるいは議会の中でもちゃんと普通の市民権を得た言葉としてしゃべられている。そこまでは私たちは形成したんです。その上にいろんな政党の考え方が出てくるのは当然です。しかし、この土台をつくったことは非常に大事なんです。
 その土台に基づき、土台の中で出てきたことは、今まで妄想があったんです、妄念。例えば、政治が天災を引き起こしたわけじゃない、天災に対して政治は責任がないというようなことが最初によく言われたんです。総理大臣が震災を起こしたわけじゃない、そんなの当たり前の話ですよ。私たちの考えることは、天災というのは必ず市民に被災をもたらす。被災を人災に変えないために政治があるんです。そのために市民は税金を払い、国の政治、地方自治体の政治を支えてきているんです、あるいは形成しているんです。これは非常に大事なんです。
 ところが、現実を見ますと、阪神・淡路大震災は被災が人災に変わってしまったんですね。例えば、関連死、孤独死、自殺、餓死。私の前の市立仮設住宅でも餓死が出ています。もう驚くべきことなんです。経済大国でこれは一体何だと。なれば、やはりここで根本的にそういう考え方は間違っていると。政治は責任があるんですよ。政治の責任を果たしていなかったことは事実なんです。それは関連死、孤独死、自殺、餓死。だれも信じがたいことなんです、この経済大国において餓死が出るなんて。私はあちこち講演しているけれども、外国で講演してもだれも信じがたい。しかし、事実なんです。これはやっぱり考えていただきたいと思うんです、政治の要路に立つ人は。
 それからもう一つ。例えば、これは村山富市氏がおっしゃったことだとよく言われているんですけれども、この国の経済システムでは個人財産の補償はできないんだとおっしゃった。そのことの大きな間違いですね。
 例えばアメリカ合衆国というのは、くしくもあの阪神・淡路大震災の一年前のノースリッジ地震においては最高二万二千二百ドルに上るものを支給している。それは連邦政府と州政府の責任において支給している。この事実は厳然たる事実なんです。そして、私たちの調べた限り、ドイツもやっている、あるいはイタリアさえやっている。イタリアさえという言い方は悪いけれども、割と財政的に苦しい国であるイタリアさえも堂々とやっているんです。これはやらなきゃいけないんです、市民には。
 アメリカの根拠は非常に簡単です。アメリカの根拠というのは民主主義国家。我々は民主主義国家ですよ。民主主義国家というものは、市民によって成り立っているんだ、市民の生活が天災によって大きな損害をこうむれば危機に陥る、市民の生活が危機に陥ることイコール民主主義国家の危機である、だからこそ我々は公的援助をするのであるということをしたんです。
 そして、そのときは個人的な財産の補償はしないと言いながら、今度は金融機構の破綻に対しては幾らでも公的援助をする。早々と三十兆円に上るものを、金融機構に行くものを公的支援か何かいろいろな名前をつけながらする。即日決めてしまう。
 しかし、私たちの法案はもう二年にわたってたなざらしになったままここまで来ている。これは一体何だと。三十兆円に上るものに対して、例えば無責任だとか汚職だとか犯罪さえも不問に付してもやるというこの国のあり方は一体何だ。そして、被災者に対しては、地震を引き起こしたのは被災者じゃありません。何の責任もない者に対しては断然壁を厚くして、いろいろ細かな基準を設けてなかなかしようとしない、あるいは一切しようとしない、ほとんどしようとしない。そういう状態でここまで過ぎてきて、この国は一体何だということに当然なると思うんです。
 私は、ここで大事なことは、ちゃんと国の基本を固めたいと思うんですよ。私たちは、阪神・淡路大震災の被災者の救済とともに、この国のあり方を根本からやっぱり問題にして皆さん方に考えていただきたい、これを超党派で考えていただきたいと思うんです。
 そして、我々がやってきたことはそうなんですけれども、これから一番公的援助が必要だと言うと、すぐ財政から出発する人がいるんですね。財政が、金がない金がないと言いながら、実際に金融機構の破綻に対しては三十兆円出すと即刻決めちゃう。
 私は、これは想起していただきたいのは、大日本帝国は関東大震災の翌年の予算を大幅に減らしたんです。例えば、海軍省予算は一八%減らした、内務省予算は二二%減らしたというふうに物すごく減らしました。ただひたすらそれに回さなきゃいけないということをやっているんだけれども、この国の予算を見ますと、阪神・淡路大震災の翌年もそれぞれにふやしていった。
 一体これは何だろう、私は被災者の一人として怒り心頭に発したことがあります。やっぱりこのことを考えていただきたい。財源の問題より先に、この国のあり方の根本の問題として考えていただきたい。予算の再配分とか、あるいは各予算の項目から少しずつ出すとか、いろいろなことが考えられると思うんです。そのことをやっていただきたい。
 この期に及んで、やはりここで大事なことは、まず第一に公的援助が必要であるということ、大災害において公的援助が必要であるという原理原則を立てていただきたい。それからその次には、それは一時的なものではなくて恒久的なものにしていただきたい。阪神・淡路大震災の犠牲者の死をむだにしないためにもぜひ恒久的なものをつくっていただきたい。
 というのは、私は西宮の住人として六甲山を見ています。御存じのように六甲山です。六甲山は山が裂けています。物すごく裂けていますよ、いつ風水害が起こるかわからない。私は雨が降るたびにおびえているんです。起こったらどうするんですか。またやるんですか、また一時的な救済策を考えるのか。それより恒久的なものをここのところでつくらなきゃいけない。しかも、阪神・淡路大震災から出発する。これは遡及しない法律を幾ら論じても仕方がないんですね。やはりここは阪神・淡路大震災から出発しないと、余りにも本末転倒な議論が横行していると思うんです。
 だから、この国のあり方として考えていただきたいのは、災害に対してどう考えるか。まず第一に、土台になるのは国なんです。国が責任をとってやる。国が責任をとる、これは民主主義国家の根本なんです。国が責任をとってやる、土台を形づくる。その上に地方自治体が、やはりこれは住民への配慮をしなきゃいけないからその上に乗る。それで最後にお金が足らぬようになることは決まっているでしょう、そうしたらそれが義援金なんです。義援金がその上に乗る。この三つの土台、一番の土台は国なんです。国の責任なんです。そして地方自治体がその上に乗る。これはピラミッドを考えてください。一番土台になるのは国なんです。その上に地方自治体が乗る。そして義援金が乗る。
 ところが、今までのやり方というのは義援金だけで賄おうとしたんですね。これはむちゃくちゃなんですよ。世界にあるまじき国ですね。だから、そこのところを考えていただきたい。やはり国が責任をとることは国政をつかさどっている皆さん方の責任だと思うんです。ぜひこのことをやっていただきたい。それを真剣に討議していただきたい。
 今三つの法案があるならば、私たちが望んだことは、三つの法案がこのテーブルの上に並んで、三つの法案がそれぞれ互角に闘い、いろんなことを言うと。
 私たちはたたき台を出しました。私たちの法案が最初に提示したのは、例えば全壊五百万円とかいろんなことを考えたけれども、コンセンサスで考えられるのはたたき台として出そうじゃないかといって、年収の所得制限は一千万円、大体八割ぐらいはカバーできると思うんです。それから、全壊が三百万円、半壊が百五十万円、それをテーブルの上に出す。そして野党の方も出す。あるいはまた、今取りざたされている、共同提案されているようなところも出てくる。三つがそれぞれのたたき台を出し合おうじゃないか。三つがそれぞれにわあわあやったらつぶれてしまう。これは一番大事なときですから、それぞれが無理ない範囲で三つの法案をにらみながら出す。そして、ここで堂々と討議をして理非曲直を明らかにする、取るべきものを取る、できないものはできない、それでいろんな議論をしていこうじゃないかと、そのことを私たちは望んできたんです。ところが、それがなかなか実現しない。これからでも遅くないからそれをやっていただきたい。本当に議会制民主主義を真剣に考えるならば、それは一番大事なことじゃないでしょうか。
 今、日本国の中からこの法案を支持する声が山と来ています。皆さん御承知のように、前の方で座り込み、きのうもデモをしました。たくさんの人が歩いてきました。それだけでなくて、今三週間ぐらいの間に私たちに、賛成・支持のファクス、はがきというものが二万千を超えています。二万千が殺到しているんです。今も殺到して来ています。このことをお考えください。
 その中に共通するものがある。人間の国をつくってほしいということなんです。経済大国だけじゃなくて、経済大国を土台にしてちゃんとした人間の国をつくったらどうかと。人間の国という私たちのテーマは、私がいみじくも発した言葉なんです。
 私は朝日新聞の「論壇」に書いたことがあるんですけれども、その前に外国の新聞記者がやってきた。いろんな国の新聞記者がやってきたり、テレビの記者がやってくるんです。その人たち、アメリカ合衆国、西ヨーロッパの人たちは当然この経済大国は公的援助をしていると思ってやってくるんです。していないと知ってびっくりするんです。いみじくも彼らの発した質問というものは、ここは経済大国と違うかと言うんです。私もいみじくも答えた。そのとっさに答えたのは、経済大国かもしれないけれども人間の国とは違うんだと思わず言ってしまったんです。
 そのことが自分のテーマなんです、人間の国をつくろうじゃないかと。経済大国だけではこれはもう人間は死に絶えるということになる。経済大国であるならば、それこそその力を使ってぜひ人間の国をつくろうじゃありませんか。そのことをやっぱりここの場で超党派で議論していただきたい。
 我々の法案はまだ生きています。我々の法案もこれから一つの案として一緒に考えていこうじゃないか、そのことを私は非常に痛感いたします。
 そういうことをしないと本末転倒なんです。つまり、国家がちゃんと面倒を見て、地方自治体も面倒を見て、その上に義援金がある、それが本当のやり方です。ところが、義援金だけでやろうとする。これは本末転倒でしょう。あるいは、これからの災害に備えるけれども、阪神・淡路大震災は附帯決議ぐらいでいいというのも、これも本末転倒じゃありませんか。やはり附帯決議をするならば、真剣にこのことをお考えになって、本当の意味の有効な附帯決議をつけ、本当にそれを実行すること、私たち市民はそれをずっと見守りたいと思うんです。私は運動を続けます。そして私はそれを見守りたい。
 被災者の人たちがたくさんここに来ています。その人たちと一緒にこの行方を、どういうことになろうと、私たちの一番理想的なのは私たちが今提出している被災者等支援法案なんです。その中で一番無理のない形も提示した。一千万円、三百万円、これは幾らでも議論できる。これはたたき台なんです。そのことを含めてこれから討議していただきたい。そして、積極的な方向で新しい国づくりの根本をつくっていただきたいと思うんです。
 私は知事ともしゃべりましたけれども、市民運動の力でここまで来たんだということを知事も喜んでいました。しかし、知事等も含めて、彼も本当はここまでやりたいと思うんですね。しかし、それがいろんな制約からできないと思うんです。市長たちも皆言っています。
 その意味も含めて、私は、このことを真剣に皆さんに討議していただきたい、その結果をぜひ有効なものにしていただきたいということをお願いして、この話を終わりとします。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(浦田勝君) ありがとうございました。
 次に、片山参考人にお願いいたします。片山参考人。
#8
○参考人(片山恒雄君) ただいま御紹介にあずかりました科学技術庁防災科学技術研究所の片山でございます。
 私の専門は土木工学でございまして、その中でも地震工学、それから都市防災といったものが特に専門の分野でございますが、こういう貴重な場を与えていただきましたので、公的支援またはその周辺の問題に関して、私が従来から考えているところの一端を述べさせていただきたいというふうに思います。
 災害対策の基本は事前対策、すなわち予防にあるというのが地震工学をずっと勉強してきたエンジニアとしての基本的な立場でありまして、この基本的なスタンスを初めに示しておきたい。例えば、今国連は国際防災の十年という運動をやっておりまして、世界から自然災害による苦しみを軽減するために力を合わせようという運動を展開しております。ここでも、その基調となる考えは、災害に見舞われる前にアクションをとることの大切さ、災害の防止、軽減、あるいは災害に対して備えておくということが災害発生後の対応策より重要であるというところに置かれております。例えば、地震後の延焼火災といった問題を考えるときに、都市計画や建物の不燃化という対策と、炎に追われた避難をいかに最適化するかという対策を考えるときに、私の基本姿勢は前者に重きを置くというところであります。
 今申し上げたような考え方に従って、一年半ほど前まで私は東京大学で地震工学や都市防災を教えてまいりました。三年前に阪神・淡路大震災が起こるまで、実際には地震が起こって数時間たつまで、私は我が国の構造物があんなに惨めに壊れ、六千人を超える犠牲者が出る震災が起ころうとは考えてもおりませんでした。実際、我が国の構造物は地震に対して十分強くなってきているというふうに信じておりました。エンジニアとしての思い上がりがあったと今は強く反省しております。現在は、防災という言葉のついた唯一の国立の研究機関の長として災害軽減のための活動を指揮しておりますが、大学における私の研究も防災科学技術研究所における研究も基本的には国費、すなわち公的支援によるものであります。したがって、初めに述べた研究者としての基本姿勢とは多少矛盾することは承知の上でございますが、私は自然災害、特に地震災害の被災者の生活再建の一部に公的な支援を行うことに賛成する立場であります。
 兵庫県南部地震が発生した平成七年三月に内閣総理大臣により設置されました防災問題懇談会が同年九月に提言を出しております。この懇談会において自治体の関係の委員の方から被災者の公的支援の必要性に関する意見が話され、最終提言の中においてもこれが取り上げられております。「災害相互支援基金の設立」という項目がそれでありまして、その文案は、「大規模災害による被災者の生活を迅速かつ弾力的に支援するため、全国地方公共団体が毎年度一定の額を拠出して積み立てておき、有事に際して被災地の支援を行う基金の制度を創設することを検討する必要がある。」という文案であります。
 この提言の文案には個人への直接の支援ということははっきりと言われておりませんが、私は、災害の影響は最終的には個人の今、個人の生活、個人の財産への影響としてとらえるべきであるというふうに考えております。大企業の場合、阪神・淡路大震災で地震の直後には極めて大きな被害をこうむったところが幾つもあったという報告がなされております。当然、企業としての大変な努力があったものと思いますけれども、地震から三年たった今、それらの大企業はほぼ震災から立ち直っております。
 これに対して、個人が災害の影響を受ける度合いというのは極めて不公平なものであります。地盤の条件が悪いところに家を持っている方、これは一般論とすると財政的にも豊かとは言えない。そういうところにある家は、これも一般論でありますが、地震で被害を受ける可能性も高い。また、そういう場所では地震後に停電や断水やガスの供給停止が長引くわけであります。震災は極めて不公平に起こるのであります。
 一九八三年五月に日本海中部地震というのが起こり、津波で百人を超える死者が出たことを御記憶であろうと思います。この地震は陸上では液状化による大きな被害を起こしました。地震の後、被災者がどのような経済的な影響を受けたかを詳細に調査したことがございます。その結果、一つはっきりしたことは、もともとお金に余裕のある人は地震保険にも加入している、いろいろな補助金や銀行からの融資、これは当然借金でありますが、これを十分受けていて震災からの立ち直りが早かったという事実であります。
 持つ者と持たざる者との差は平常時においても極めて大きいのでありますが、災害後にはその差がさらに大きくなるのであります。被災者を支援するために公的な財源を使うという道筋をとる以上、しかも公的な財源は無尽蔵にはないということがわかっている以上、いかにして持たざる者を的確にかつ客観的に選んで支援を行うかがこのようなシステムのかぎになります。
 一たんこのような公的支援のシステムを法制化しようとする以上は、それを適用しなければならないような大規模な災害が起こったときにいかにタイムリーにシステムを動かすかが何にも増して大切になります。このような法律を生かすも殺すも制定時の精神を忘れずに被災者の立場に立った運用を考えることであると思います。
 阪神・淡路大震災の後、我が国で一躍有名になりましたアメリカのFEMA、連邦緊急事態管理庁と訳されることが多いんですが、FEMAにはいろいろな種類の個人援助プログラムがあります。もちろん、ほとんどのプログラムは低金利ローンでありますが、そのほかにも現金による援助がありまして、ローンを申請する資格もないような経営者が経営する小企業は最高一万数千ドルの現金による援助が得られるシステムになっております。しかも、FEMAは申請後三週間で小切手を発行するというふうにインターネットでも言っております。
 先ごろのフロリダの竜巻の犠牲者に対して、きのう実はインターネットをのぞいてみたんですけれども、その犠牲者に対して四月十七日の時点で既に一万二千九百人の個人が何らかの支援の申し込みをしておりまして、これに対して三千二百七十万ドル分の支援が既に認められております。援助の申し込みは、料金不要の電話で五月六日まで個人が直接国の機関であるFEMAに行えるようになっております。
 公的支援に道筋をつけたというのが今回の法律に対する多くのメディアの論調でありますが、個人が国の機関に直接電話をして援助を求めるというアメリカの国民性の中には、公的援助を受けるというより自分の税金を取り戻しているという姿勢が見られるような気がいたします。政府のお金とはいえ、もとはといえば自分たちが払った税金であるという立場であります。公的支援という言葉自身が税金というものに対する我々日本国民の後進性をあらわしているのではないかというふうに思います。
 災害への対策は一つの手段では十分ではありません。公的支援があるからといって、災害に対応する個人の自助努力の重要性は少しも小さくはなりません。阪神・淡路大震災のとき、八万件以上の地震保険に対して、建物と家財を合わせて総額で七百六十億円の地震保険が支払われております。御存じのように、我が国の地震保険は高いというのが風評であります。
 ある試算によりますと、百平方メートルの家を建てようとすると、平均一千七百万円が必要であり、これだけのお金を地震保険から得ようとしますと、例えば東京では、火災保険に五万七千八百円、地震保険に七万三千百円、合わせて十三万円以上の保険料を毎年払い続ける必要があります。しかも、大地震で自分の家が全壊するというようなことは日本のような地震国でも何百年に一回ということなのであります。しかし、このようにしてでも自分の資産を自分で守ろうとしている人たちがいるのであって、公的支援という名のもとにこれらの人たちの努力がむだに見えるようなことだけはしたくないというふうに私は思います。
 自助努力のできる人、自助努力をしようとする人にその気を起こさせるために例えば地震保険の料金を安くできるような制度上の工夫も考えていただきたい。現在では一回の地震による地震保険の払い出しの総額は三兆七千億円まで引き上げられております。しかし、この上限額をさらに引き上げて、必ず適正な地震保険が支払われるという印象を国民に与えるというようなこともしていただきたい。
 阪神・淡路大震災のときに老朽化した家屋が大きな被害を受けたという苦い経験を受けて、建築物の耐震改修の促進に関する法律が制定されました。ただし、これによる住宅金融公庫の貸付資金の特例を使って住宅を改修しようという申し込みは極めて少ないというふうに聞いております。法律はできても使ってみようという個人の意欲をそそらない部分がどこかにあるわけであります。こういった部分を早急に改善しない限り法律をつくった意味がないというふうに思います。
 今回のいわゆる公的支援に加えて、国が納税者に提供すべきサービスはほかにもたくさんあります。そしてそれらの多くは、私が冒頭に私のエンジニアとしてのスタンスで述べた、災害対策の基本は事前対策すなわち予防にあるという基本精神にかかわるものであります。
 阪神・淡路大震災のような災害が再びやってくるなどとはだれしも考えたくはありません。しかし、地震国日本に住んでいる限り、またいつの日か予期せぬ震災に見舞われることは避けられないのであります。最近では、阪神・淡路大震災の緊張感が既に薄れつつあるように思われます。公的支援の法制化の議論に伴って、幸い社会の目が地震に対して再び強く向けられております。この機会を逸せずに、防災に対するさらなる公的施策を打ち出してほしいというふうに述べて、私の発言を終わります。
#9
○委員長(浦田勝君) ありがとうございました。
 次に、小室参考人にお願いいたします。小室参考人。
#10
○参考人(小室豊允君) 私は、三年三カ月前の一月十七日の長い一日をいまだに忘れることができません。私自身も家が全壊いたしました。そして町に出ますと、火が飛び交いまして、逃げ惑う子供たち、女性、そして毛布にくるまれた死体、もう何というひどいことが起こったのか、神様も仏様もないのかというようにそのときは思いました。神様、仏様も恨んだわけでありますから、まして一体政府は何をしてくれたのかというようなことも当初は考えたわけであります。
 しかしながら、その後、国、政府がやっていただきました精神的、物的な援助に対して、一部それを依然としてまだ不十分だと言う人もおられるかもわかりませんが、多くの被災者、県民は大変感謝をしております。この被害に公的に援助していただいた直接、間接のものが四兆五千億円といいますと、実は消費税二%に当たるものが私たち被災地に援助されたわけでありまして、そのことに対して国、政府に心からの感謝を申し上げたいというように思います。
 兵庫県あるいは県下の市町、そして我々被災者あるいは県民自身も懸命の努力をいたしました。決して公的な支援のみで自立しよう、復興しようなどということは考えずに、それぞれの立場で私たちは努力をしてまいったわけでございます。
 例えば、兵庫県行政を見てみましても、災害弔慰金や災害援護金の支給、あるいは瓦れきの公費による処理、仮設住宅の建設というようなことを阪神・淡路大震災復興基金も活用して行ってきたところでございます。
 また、住まいの復興に関しましては、恒久住宅から住宅持ち家再建者への利子補給あるいはダブルローン対策、高齢者住宅再建補助等々さまざまな住宅対策が打たれてまいりましたし、今公営住宅への入居が必要な人については大半がもう入居決定を終わっておりまして、未決定の世帯は四千七百世帯にまで少なくなってまいりました。この四月末から募集をいたしますので、八月末までにはこの四千七百世帯の皆さんも公営住宅の入居先を決定いただくということができるのではなかろうか。
 また、雇用は基本でございますが、大変きめの細かい職業紹介なども行政の手によって行われてきましたし、復興基金を活用いたしまして、実質上無利子になります生活復興資金の貸し付けや生活福祉資金のほか、恒久住宅での新たな生活の立ち上がりを支援する高齢者世帯、要援護世帯を対象とした生活再建支援金、中高年世帯を対象とした中高年恒久住宅自立支援金が支給されております。中高年自立支援金につきましては、九七年十二月から受け付けをされておりまして九八年五月から支給開始が予定されておりますし、生活再建支援金につきましては、九七年四月から受け付けをいたしまして九七年八月から支給を開始しております。
 また、県民みずからもみずからの生活だけではなくて思いやりと連帯の精神に基づいて大変ボランティア活動も活発になってまいりまして、被災者みずからがボランティアをやるというような状態まで来まして、間もなく国連のボランティア年に合わせましてボランティア支援センターというようなものも東部新都心というところにつくられる予定でございます。
 私自身もみずからの学問を通じまして、「兵庫ルネッサンス計画」あるいは「逆転−破壊から創造へ−」というような復興計画の著書も二冊出させていただきました。
 それぞれがこれまで随分の努力を官民挙げてしてきた、決してだれがだれを恨んでいるというものではないということをまず皆さん方に御理解をいただきたいというように思うわけであります。
 しかしながら、いまだ二万一千四百七十一戸の仮設住宅で生活をしておられる方がおられます。あるいはまた、有効求人倍率につきましても全国〇・六四に対しまして兵庫県は何と〇・四七ということで、職を得たくてもいまだ得られない人たちがたくさんいるわけであります。そういう意味で、私たち被災県民、住民を励ます意味も込めまして、被災者生活再建支援法案がぜひ早急に成立することを期待せざるを得ないわけであります。
 私は法律学者でございますから、この法案を読ませていただきました。幾つかの意義あるすぐれた面がございます。
 一つは、従来の自然災害の被災者に対しましては、御承知のように応急的で物を配るという現物支給方式でございましたが、本法案は初めて現金給付による生活再建支援の可能性に道を開いたことが第一に大きな意義であろうかと思います。
 第二は、これまでは被災自治体のみの基金でございました。したがいまして、被災から立ち直るために必要な迅速かつ弾力的な運営が必ずしも行われがたかった。それが本法案によりますと、二分の一が国費の御支持をいただけるということで、被災から復興するために最も必要な迅速性、弾力性が図られるのではないかというのが二番目の意義でございます。
 それから三番目は何かと申しますと、従来の被災対策というのは、どちらかというと一部の限定された弱者のみが対象でございました。しかし、本法案を読ませていただきますと、一部の限定的な社会的弱者だけではなくて、平均的、一般的なサラリーマン層もこの救済の対象になるということであります。議員諸氏御承知のように、憲法第二十五条の生存権は決して一部の者の生存権を保障しているわけではございません。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということでありますから、私は、本法案は憲法二十五条の生存権にもかなった大変立派な法律であろうというように思われます。
 もう一つ本法案の意義のあるところは、単に生活再建だけではなくて、住宅再建の支援策についてもそのあり方の検討が行われるということでございますので、これはいわば自立のための両輪であります生活再建、住宅再建、この両方が本法案によって図られているというように思います。
 なお、本法案はこれから起こる自然災害が対象とされているようでございますが、被災いたしました住民を代表いたしまして議員諸氏にぜひ経過的特例措置の必要性を訴えたいわけでございます。
 先ほど言いましたように、まだ多くの人が仮設住宅に住んでおられますし、職を得ようと思っても得られない者がまだ兵庫県下十市十町の被災地にはたくさんおられるわけでございます。したがいまして、阪神・淡路大震災に被災した住民に対しても、この法案が経過的特例措置として適用されますようにぜひお願いをしたいというように考えております。
 そして、肝心なことは、この法案がさまざまな思いと願いはあろうかとは思いますが、一日も早く、一刻も早く成立をしていただきたいということでございます。この法案の成立が私たち被災住民をどれほど励ますことでありましょうか。議員諸氏の一日も早い法案成立への御努力をお願いしたいというように考えております。
 なお、最後にお願いを申し上げたいのは、法案の一日も早い成立を心から期待いたしておりますが、法案が成立いたしましたら、できるだけこれが被災住民のニーズにしなやかに柔軟に対応できるように弾力的運用を図っていただきたいということをお願いいたしまして、私の陳述を終わらせていただきたいと思います。
#11
○委員長(浦田勝君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々は御退席くださって結構でございます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(浦田勝君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(浦田勝君) 被災者生活再建支援法案を議題といたします。
 発議者清水達雄君から趣旨説明を聴取いたします。清水君。
#14
○清水達雄君 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法案につきまして、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 我が国は、気象的、地形的要因により災害を受けやすく、毎年のように風水害、地震・火山災害などさまざまな自然災害が多発し、甚大な人的、物的被害が生じております。これらの災害に適切に対処するため、災害予防、災害応急対策から復旧・復興に至る各段階を通じてこれまで各般にわたる災害対策に関する制度の整備が図られてきたところであります。自然災害により被害を受けた個人に対しましても、応急的対策としての災害救助法に基づく救助、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害弔慰金、災害障害見舞金の支給、あるいは各種資金の貸し付け等、多様な支援が講じられております。
 しかしながら、二十一世紀を目前に控えた現在、国民の生活水準が著しく向上し成熟化する一方で、本格的な高齢化社会が到来するなど、自然災害の被災者を取り巻く社会経済情勢もこれまでとは大きく変化しております。
 かかる状況のもと、平成七年一月発生した阪神・淡路大震災は、大都市直下型の災害であったため、その居住する住宅が全半壊した被災者が約四十六万世帯に上るなど戦後未曾有の大災害となりましたが、被災地におきましては、生活の基盤を破壊された高齢等の被災者の方々の中には自力のみでは自立した生活を開始することが極めて困難である方が少なくない現状となっております。
 そのため、阪神・淡路大震災の被災者に対する生活再建支援対策あるいは住宅対策として、国及び地元地方公共団体が、被災者向け公営住宅の確保、公営住宅の家賃負担軽減等の公的な施策を行うとともに、兵庫県及び神戸市によって設立された財団法人阪神・淡路大震災復興基金が、被災高齢者世帯等への生活再建支援金の支給、被災中高年齢世帯等への中高年自立支援金の支給等各種の事業を行うなど、行政措置として多くの施策が現在講じられているところであります。
 この阪神・淡路大震災の教訓にかんがみれば、現在の社会経済情勢のもとで、被災者の生活をその被災実態に応じ迅速かつ弾力的に支援することにより、一日も早い被災者の生活の立ち上がりを図ることが極めて重要な課題となっており、このための法制度の充実が求められております。
 一方、阪神・淡路大震災後、内閣総理大臣により設置された防災問題懇談会は、平成七年九月、全国地方公共団体が一定額を拠出して被災地の支援を行う基金の制度を創設することについての検討の必要性を提言しております。また、全国知事会におきましても、昨年七月、地震等自然災害による被災者の自立再建を支援する災害相互支援基金の創設に関する決議が行われたところであります。
 これらのことを踏まえたとき、現行制度の運用では対応が困難な分野を補完し、被災者が自立した生活を開始できるよう、今後の自然災害を対象として、被災者の生活再建を公的に支援するための恒久的な法制度を確立することが今何よりも肝要であると考えます。
 本法律案は、以上のような観点に立って、自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等により自立して生活を再建することが困難な被災者に対し、その自立した生活の開始を支援するため、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給する制度を創設しようとするものであります。
 次に、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、この法律における自然災害等の定義についてでありますが、自然災害とは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる災害をいうことといたしております。また、支援の対象となる被災世帯とは、政令で定める自然災害により、その居住する住宅が全壊した世帯、その他これと同等の被害を受けたと認められる世帯として政令で定めるものをいうことといたしております。
 第二に、被災者生活再建支援金の支給についてでありますが、都道府県は、自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定めるものに充てるものとして、その区域内で被災世帯となった世帯のうち、当該世帯に属する者の総理府令で定めるところにより算定した収入の合計額が五百万円以下である世帯の世帯主に対しては百万円を、また収入合計額が五百万円を超え七百万円以下である世帯であってその世帯主の年齢が四十五歳以上であるもの、収入合計額が七百万円を超え八百万円以下である世帯であってその世帯主の年齢が六十歳以上であるもの、または収入合計額が五百万円を超え八百万円以下である世帯であって総理府令で定める要援護世帯であるものの世帯主に対しては五十万円を、それぞれ超えない額の被災者生活再建支援金を支給するものといたしております。
 また、都道府県は、議会の議決を経て被災者生活再建支援金の支給に関する事務の全部を被災者生活再建支援基金に委託することができることといたしております。なお、被災者生活再建支援金の額の算定基準その他この支援金の支給に関し必要な事項は政令で定めることといたしております。
 第三に、被災者生活再建支援基金についてでありますが、同基金は、被災者生活再建支援金を支給する都道府県に対するその支給額に相当する額の交付、都道府県の委託による被災者生活再建支援金の支給等の支援業務を行うものとすることといたしております。
 また、同基金は、支援業務の運営に必要な経費の財源をその運用によって得るために運用資金を設けるものとし、都道府県は、同基金に対し、この運用資金に充てるために必要な資金を相互扶助の観点を踏まえ世帯数その他の地域の事情を考慮して拠出するものとするほか、必要に応じて資金を拠出することができることといたしております。さらに、同基金に運営委員会を置くものとする等、同基金の指定、運営等に関し所要の規定を設けることといたしております。
 第四に、被災者生活再建支援基金に対する国の補助等についてでありますが、国は、同基金に対し、都道府県に対する交付金の額及び同基金が支給する被災者生活再建支援金の額の二分の一に相当する額を補助することといたしております。
 第五に、この法律は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また被災者生活再建支援金の支給に関する規定は、この法律の施行の日の属する年度の翌年度以降の年度において、都道府県の被災者生活再建支援基金に対する資金の拠出があった日として内閣総理大臣が告示する日以後に生じた自然災害の被災世帯について適用することといたしております。
 第六に、自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援のあり方につきまして、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする旨をこの法律の附則において規定することといたしております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
#15
○委員長(浦田勝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#16
○山下芳生君 日本共産党の山下です。
 阪神・淡路大震災から三年三カ月がたちました。今なお苦しむ被災者の皆さんの悲惨な経験を今後の自然災害の被災者の皆さんに二度と繰り返させてはならない、この思いは私も皆さん方も同じだと思います。
 本法案は、今後の自然災害被災者に生活再建支援金を支給するものでありますが、まず最初に、支援金の支給というのはどのような理念、考え方に基づいて行われるのか、御説明を願います。
#17
○清水達雄君 被災者支援につきましては、従来から災害救助法による救助でありますとか災害援護資金の貸し付け、あるいは住宅の復興資金の貸し付けであるとか、あるいは公営住宅の供給、家賃の引き下げ等々いろんな施策が講ぜられてきているわけでございますけれども、住居が全壊して生活基盤に著しい被害を受けた被災者の中には、やっぱり最低限の生活を再建するために、例えば生活必需品の調達でありますとか引っ越したとかなんとか、そういったたぐいの生活再建資金というふうなものがどうしても必要であるというふうなことでございます。
 それに対しまして、被災者の中には、経済力が乏しくあるいは高齢であって自活能力が乏しいなど自力によって生活を再建することが困難な方々もいるわけでございまして、そのような本当に支援が必要な被災者の生活の立ち上がりを迅速かつ確実に支援する、そういうことを目的としてこの支援金の支給というものを考えているわけでございます。
#18
○山下芳生君 生活必需品であるとか引っ越し代ということを想定しているというお答えでした。
 これはまた後で詳しく聞きますが、私は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえるなら、この法案の目的にある自立した生活の開始を支援するためには、その金額は百万円あるいは五十万円では不十分な支援としかなり得ないというふうに思うわけです。阪神・淡路大震災の全壊世帯の被害総額というのは二千五百万円、半壊世帯のそれは一千三百万円に達するという調査もあります。雲仙、奥尻の災害では義援金が中心ではありましたが、一千万円程度の支援金があって初めて生活再建の支えとなりました。発議者が百万円あるいは五十万円を上限としたのはなぜなのか、御説明願います。
#19
○清水達雄君 先ほども申し上げましたように、いろんな支援施策というものがあるわけでございまして、そういうものが行き届いていないような生活再建支援のための支援をしたいという趣旨でやっているわけでございます。
 それで、百万円とか五十万円とかいうのはどういう額かというお話でございますけれども、この上限額につきましては、阪神・淡路大震災の支援措置が現に行われているということがありますし、それから全国知事会の要望、こういったふうなものを頭に置きまして、被災者の自立した生活の開始に必要な金額というふうなことでおおむね百万円ぐらいのものを考えたということでございます。また、その中でより年収の高い世帯につきましては、自己資金によって負担する能力もあるというふうに考えまして、半分の五十万円ということにしたわけでございます。
#20
○山下芳生君 今現在、阪神の被災者の皆さんに行われている支援策を念頭に置いたという御答弁でした。
 現在、阪神・淡路大震災で支給されている高齢者に対する支援金というのは、確かに最高でいいますと五年間で百五十万円です。月一万五千円ないし二万五千円が支給されております。しかし、例えば今低減された家賃、これも月六千円かかります。共益費が一万二千円かかる、コレクティブハウスで巡回費を支払うことになると四千五百円必要だと、これだけでも合計二万二千五百円であります。高齢者生活支援金はそれだけで消えてしまうというのが今実際に阪神で支援を受けている方々からの叫びであります。私は、それを念頭に置いてというのでは、今後、災害被災者が十分自立した生活を開始する支援にはなり得ないのではないかということを思うわけです。
 それから、次にお伺いしますが、被災者生活再建支援金の算定基準は政令委任ということでありますが、理事懇談会の中で示された政令案によりますと、この支援金を定額支給の部分と実費支給の部分とに分けるとありました。
 まず、定額支給について伺いたいんですが、その内容はどういうものなのか。また、上限百万あるいは上限五十万の中で定額支給というのはどの程度の金額を想定されているのか、お答え願えますでしょうか。
#21
○芦尾長司君 おっしゃいましたように、この支援金の額でございますが、第五条に書いてありますように、その算定基準はこれから政令で定めるということになっております。
 これからの検討事項ということになるわけですが、私どもの考え方といたしまして、定額部分と実費部分とに分けたらどうかなという考え方があるわけでございます。
 それで、定額部分というのを設けるといいますのは、支給に際してできるだけ被災者の便宜が図られるよう、また事務処理が簡素化できるよう、こういうことで全壊世帯において必ず必要となるような定型的な経費はとにかく定額支給として基礎的な部分を定める、こういう考え方でございまして、そうして、あらかじめその単価を定めることが難しい経費等については実費支給という考え方でいったらどうかなということを考えておるわけでございます。
 そしてまた定額支給の経費としては、例えば引っ越しの費用でございますとか…
#22
○山下芳生君 定額ですよ。
#23
○芦尾長司君 定額支給の経費としては、引っ越しの費用とか生活必需品であります耐久消費財の購入経費等を考えていったらどうか。
 さらには、実費支給の経費というものには、例えば民間住宅に入りますと公営住宅と違いまして賃貸住宅の礼金といったようなものが必要になってまいりましょうし、さらにはまた地域によって必要性の異なる耐久消費財等も必要になってくるとか、そういったようなことが一応想定されるのではないかなということで、これから検討を進めていこうということでございます。
#24
○山下芳生君 そこで、例えば定額の部分なんですが、それはどの程度の額になるかというのはまだ想定されていないのかもしれません。しかし、一たん想定されれば、それは必ず必要な額としてその想定される額が一律に対象となる被災者に支給されるのか、それとも、今おっしゃいました引っ越し代あるいは生活必需品、耐久財等々の中でその被災者が必要とされるものを積み上げていった額が支給されるのか、あるいはまた、逆に必要な額から不必要なものを差し引いた額が支給されるのか。
 つまり、定額部分は一律に支給されるのか、積み上げが、引き算方式なのか、それはどういうことを想定されているでしょうか。
#25
○芦尾長司君 この支援金でございますけれども、考え方としては、そうした積み上げ計算的なことを考えて今ここで御答弁申し上げておるわけでございますが、少なくとも定額部分については一律といいますか、どういう方々に対しましても必ず支給されるべき部分だろうと思います。それから、その上に実費部分というのが充てられていくのだろうというふうに思います。
 そういったような考え方の中で措置を講じていくという考え方でございますが、要は六党共同提案されましてこういう支援制度というものが設けられたそういう趣旨というものを十分に体してこれから運用は図っていくべきであろう、そういう考え方の中でそういうものを制度化していくというふうに考えております。
#26
○山下芳生君 例えば、もう少し定額の部分を聞きたいんですが、引っ越し代とおっしゃいました。
 引っ越しというのは、被災地ではまず自宅から避難所に引っ越さなければならない、避難所から仮設住宅に引っ越さなければならない、仮設住宅から恒久住宅に引っ越さなければならない。一回で済みませんね。しかし必要な経費であります。これは、例えば引っ越しを三回すれば三回認められるというお考えなのでしょうか。
#27
○芦尾長司君 非常に細かいお話でございまして、これからの検討課題ということにもなろうかと思います。いずれにいたしましてもその限度額の範囲内で引っ越しをなさるということであれば、それが生活再建に必要であればできるだけそれはカウントしていくといったようなことにはなろうかと思いますが、これから政府当局とよく協議していかなげればならぬと思いますけれども、要は本当に何が生活再建につながっていくのかというところに課題があろうかと思います。
#28
○山下芳生君 実費支給の部分について伺いますが、例えば避難先からもとの学校や職場に通学、通勤するために非常に交通費がかさむケースも生まれると思います。病院に通院する場合も同じだと思いますが、こういう交通費については実費支給の中に含まれると想定されているんでしょうか。
#29
○芦尾長司君 これは、現在兵庫県で行っております措置につきましても、例えば通院費というものはカウントされておるわけです。そういったようなことも考えながらこれから考えていかなければならない。
 しかし、先ほども申し上げましたように、何が被災者の自立した生活の開始を支援するかという本法の趣旨というものを十分体してこういうものをどういうふうに考えていくか、政令なり考え方というものをまとめていく必要があるんだろうというふうに思います。
#30
○山下芳生君 先ほど定額部分についてはできるだけ上限いっぱい対象世帯に支給できるようにしたいとおっしゃいましたが、実費部分についてはどのようにお考えでしょうか。やはり、それは積み上げ方式で積み上げられたものということになるんでしょうか。
#31
○芦尾長司君 実費の中にどういうものがこれからメニュー的にカウントされてくるのかということになるわけでございますが、それはやはり被災者の支援という観点からして、できるだけ限度額が満たされるようなそういう考え方でメニューというものも考えなければいかぬのではないかなというふうに思います。
#32
○山下芳生君 政令案によりますと、定額にせよ実費にせよ支給を求める場合には申請が必要だというふうに書いてあります。
 申請の方法ですが、例えば領収書をとっておいで、それに基づいてその都度申請することになるのか。これは、大規模災害の場合、一々生活に必要なものを購入したりあるいは手に入れる際に領収書をそろえておくなどということは事実上不可能ではないかと思うんですが、この点はいかにお考えでしょうか。
#33
○芦尾長司君 この辺、この法律を組み立てる中での一つの考え方としてそういう申請に基づいて被災者に対して支援金を支給していくという構想があるわけでございます。
 そういう基本的な考え方の中で、現実問題として今おっしゃったように、被災の混乱の中でそういうものを用意するのはなかなか大変ではないかということになるわけでございますから、その辺の弾力的な運用というものを政府と十分に協議しながら、被災者の立場に立っても、また現実に事務を取り扱う立場の人に対しても、簡素化が図られるようなそういう方法でやっていく、そういうシステムをこれからつくり上げていかなければならぬのじゃないかなというふうに思います。
#34
○山下芳生君 この支援金ですが、生活再建に必要な額ということですが、必要なものについて支給するということで考えますと、積み上げていけば私はこれは百万円とか五十万円にはおさまらないと思うんですね。必要だ、だから支給するという考え方と、一方で百万円、五十万円という上限を設けるというやり方は矛盾しないでしょうか。
#35
○芦尾長司君 この法律そのものが生活再建の支援を行っていきましょうということでございますから、そういうことの中で、先ほど清水委員の方からも御答弁がありましたように、一つは今阪神・淡路大震災の支援措置が行われておるし、さらには知事会の要望といったようなこともある、そういうものを基礎にして現実的な実施可能な金額としてこの百万円なり五十万円というものが定められたわけでございますから、そういう趣旨を体してこの金額が定められたというふうに御理解いただければありがたいと思います。
#36
○山下芳生君 次に、趣旨説明の中で、この法案というのは現行制度の運用では対応が困難な分野を補完するという表現がありました。
 生活再建支援金の支給というのは、現行制度つまり災害救助法による現物給付とどういう関係にあるのか。災害救助法による救助のメニューの中には、「被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与」という項目があります。生活必需品を支給するということでありますが、これとこの法案が想定している生活に必要な現金の給付というものの関係を御説明いただけますでしょうか。
#37
○芦尾長司君 御承知のように、災害救助法は、災害の発生直後にみずから食糧や住居等を確保することが困難な被災者に対して今おっしゃったような必要な物品等が現物として直接給付される、ある意味では一時的、応急的なものでございます。
 今回のこの生活再建支援というのは、ここが画期的なことだろうと思うんですけれども、自立を図っていく方々に対して支援をしていこう、こういうことであります。ある意味では救助法というのは倒れた人が立ち上がるというところまでをやろうとしたわけでございます。この生活支援金は、さらに一歩踏み出そう、そういうことに対して支援をしていこうということでございますから、当然これは救助法で支給されたからといってそれを差し引くとかいったことがあってはならないと思います。そういうふうに考えております。
#38
○山下芳生君 細かくお聞かせいただきましたけれども、これからの災害に対して本当に適用される場合に大事な問題だと思いましたので質問させていただきました。
 次に、阪神・淡路大震災の場合、全壊、半壊世帯を合わせますと約四十五万世帯であります。うち全壊世帯が二十万、半壊世帯が二十五万。この半壊世帯も大変大きな被害をこうむったわけですが、この法案は全壊世帯、半壊でも取り壊して全壊とみなす部分しか含まれない、対象とされないわけですが、そうした理由はなぜでしょうか。
#39
○芦尾長司君 この法案でございますけれども、災害によって生活基盤に著しい被害を受けて自力により生活を再建することが困難である者に対して自立した生活の開始を支援する、こういうふうに目的にもなっておるわけでございます。そういう意味で、先ほども申し上げておりますような対象経費、引っ越し費用とか耐久消費財の購入経費等を考えておるわけですが、そういうことから考えて、住家を失ってこれらの措置が本当に必要な全壊世帯またはそれと同等の被害を受けた者を対象としようというふうにいたしておるわけでございます。なお、阪神・淡路大震災の措置もそういうようなことで対象は全壊、半壊解体世帯ということになっておるわけでございます。
#40
○山下芳生君 所得制限、年齢制限がかなり厳しく課せられると思いますが、どの程度の被災者をカバーすることになるとお考えなのか、またなぜそういう制限をつけるのか。
 自然災害というのは年齢や所得にかかわりなく生活基盤の破壊が起こる、これが阪神・淡路大震災の教訓の一つだったと思います。とりわけ、中堅層の受けるダメージが大きい、その中堅層の生活基盤の回復が遅れているがために阪神地域の経済回復が遅れているという事実もあるわけです。今度の法案では所得制限、年齢制限、かなり厳しいわけですが、このカバー率そしてその制限を設けた理由について伺いたいと思います。
#41
○清水達雄君 この生活再建支援、自立的な生活を営んでいく立ち上がりの支援ということにつきましては、そういうことをする難しさの程度に応じて支援をしていくということがやっぱり考えの基本にあるわけでございます。
 ですから、所得が高い人よりも所得の低い人の方がやっぱり困難さは大きい、だからそういう人にはもっと多額の支援をする必要があるんじゃないかという考え方によりまして、年収、収入の基準というのは一番大きな要素としてこの支援の額を決めるのに使っているわけでございます。それから、非常に年をとった人というのはやっぱりどうしても若い人に比べて活力もないわけですから、そういう人に対してはより大きな支援というものを考えなくちゃいけないんじゃないかというふうなことで、言うなれば支援の必要性に応じてそういった支援の程度を決めていこうという考え方でございます。
 ですから、こういうことをやって何割の人がカバーされるかということが頭にあるわけじゃないわけでございまして、結果としてこういう所得制限なり年齢制限というようなもので組み立てていったら、これは地域によっても違うと思いますよ。地域によっても違いますけれども、ある地域においては全体としてはこのくらいの人が支援の対象になるという、結果論としてそういうことが出てくるということだと思っております。
#42
○山下芳生君 私は、阪神・淡路の被災地の現状に照らして試算してみましたけれども、大体年収五百万円以下の方というのは三九%、それから年収五百万ないし八百万円で世帯主の年齢が六十歳以上の方が五%、年収五百万円ないし七百万円で世帯主年齢が四十五歳ないし六十歳の方が六%、合計五〇%であります。全壊世帯の五〇%です。半壊世帯のうち、全壊世帯の占める比率というのは阪神の場合ですと四四%ですから、五〇%掛ける四四%イコール二二%程度の支援対象にしかならないのかなというふうに試算しております。それでは私は、被災者の生活再建支援という点で対象が狭過ぎるのではないかという感想を持っているわけです。
 次に、今回の法案の出発点というのはやはり阪神・淡路大震災であったことはもうだれも否定できません。自助努力による生活再建は大規模災害においては限界があるというのがこの震災の教訓であります。しかし、その苦い教訓というのは被災地で現在もなお進行中であります。にもかかわらず、なぜ阪神・淡路大震災を適用対象にしないのか、いかがでしょうか。
#43
○清水達雄君 おっしゃいますように、阪神・淡路大震災による災害、それからまた、そこから立ち上がろうとする被災者の方々の実態というもの、そういう教訓といいますか実態というものが今回のこういう制度を生み出した非常に大きな契機になっているということはおっしゃるとおりだと思います。
 しかし、先ほど来お話のありましたような防災問題懇談会の提言でありますとか全国知事会の考え方なんかも、やっぱりみんなで基金を積み立ててその運用益等で支援をする、そういう体制しかなかなかできないんじゃないかということがありまして、したがいましてこの法律の目的にも書いてあるわけでございますけれども、将来の災害に備えて相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給する、こういう制度の枠組みをつくっているわけでございます。
 したがいまして、阪神・淡路大震災を含めて、こういった枠組みができる以前に生じた災害について遡及してこういう措置をとれということは制度上はできないというふうに思っているわけでございます。
 しかし、新法をせっかくつくっても阪神・淡路には何の効用もないよということでは困りますから、それは行政的措置で同程度の施策が講ぜられるように政府に対してちゃんと要求をして、それが実現できるように努力をしなきゃならぬというふうにはまた一方で思うわけでございます。
#44
○山下芳生君 私どもが超党派の議員の皆さんと練り上げ提出した法案というのは、やはり阪神が出発点なんだから阪神から適用すると、当たり前の法案のスキームを考えました。国が直接必要なお金を支給する、国の責任ということを明記したらそうならざるを得ないはずであります。
 最後に、今、発議者から、しかし阪神にもこの法ができることによって何らかの行政措置を期待するというふうにおっしゃいました。理事懇の説明でも、この法案のスキームと同等な措置が阪神に適用された場合の試算を説明いただきました。新たな費用として五百四十億円、そして支給対象が八万人、この根拠を御説明いただけますでしょうか。
#45
○芦尾長司君 これは理事懇の場でどの程度の規模になるのかなといったような御質問もありましたので、私の方で兵庫県の方から基礎的な数字も聞きながら、一応試算されたものが、この阪神・淡路大震災にこの法案、このスキームで適用されたら千二百五十億ぐらいかかるだろう、そして既に阪神・淡路大震災によって今先行的に措置されておる額がざっと七百億強、七百十億といったような一応の数字を聞いておりますから、それを差し引きいたしまして五百四十億、五百五十億、そうしたオーダーの数字になるのではないかなということを御報告申し上げたわけでございます。まさに一つの概算の数字ではございますが、オーダー的にそうしたことになるのではないかなというふうに御報告を申し上げたわけでございますので御理解いただきたいと思います。
#46
○山下芳生君 最後に、附則の検討課題にある住宅再建支援について、具体的にどういうものを想定されているのかお答え願えますでしょうか。
#47
○清水達雄君 これにつきましては、従来から保険制度でありますとかいろいろ議論があるわけでございますけれども、保険としても成り立たせるということになると非常に難しい面もあるわけでございますが、そういったことも含めましていろんな考え方というものを総合的に検討してほしいという意味で法律の附則に盛り込んだわけでございます。
#48
○山下芳生君 終わります。
#49
○委員長(浦田勝君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めます。
 本法律案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本法律案に対する意見を聴取いたします。亀井国土庁長官。
#50
○国務大臣(亀井久興君) 被災者生活再建支援法案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対して、深く敬意を表するものでございます。
 本法律案につきましては、政府としては特に異存はございません。
#51
○委員長(浦田勝君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#52
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案のありました被災者生活再建支援法案に対し、反対の立場から討論を行います。
 阪神・淡路大震災から三年三カ月余がたち、被災地はもうこれ以上待てないと、公的支援をめぐる国会での議論の行方をかたずをのんで見守っています。
 私ども日本共産党は、震災復興は被災者の生活再建への公的支援がかぎだということを当初から提起し、党として独自の法案大綱も発表し、そういう思いをお持ちの市民の方々、超党派の議員の皆さんと一緒に努力してきました。
 所得二千万円以下の大多数の被災者を対象に全壊五百万円、半壊二百五十万円を限度に生活基盤回復支援金を支給することを柱とする災害被災者等支援法案を練り上げ、六会派三十九名で参議院に提出し、実現のために力を合わせて頑張ってきました。それは画期的な取り組みであり、誇りとするものであります。
 今回の共同提案の素案となった自民党私案の出現自体、被災者、国民の粘り強い運動の成果であることは間違いありません。
 しかしながら、本法案の内容は、被災者の生活再建に十分に資するものとは言いがたく、被災者の皆さんの願いに照らして我が党としては共同提案に加われないものであります。
 以下、三つの点にわたって反対の理由を述べます。
 まず第一に、今最も支援が求められている阪神・淡路大震災の被災者を適用対象にしない点であります。
 孤独死が二百人を超え、日々命が脅かされている仮設住宅居住者、町に人が戻らず営業再開、継続が困難な中小商工業者、二重ローンに苦しんでいる多くの被災者など、被災地では生活再建のための新たな公的支援が緊急、切実に求められているのであります。こうした被災者と、国は私たちを見捨てるのかとの悲痛な叫びに背を向けることはできません。
 なお、附帯決議による同等の行政措置についても、法案の内容を超えることはあり得ず、雲仙、奥尻で行われた支援策に比べても遠く及ばないことは明らかであります。
 第二に、これから起こる災害の被災者に対しても阪神・淡路大震災で行われた以上の支援は行われない点であります。
 本法案の支給対象は、全壊世帯でかつ厳しい収入制限をクリアした極めて限られた世帯のみであります。震災から三年三カ月たった今なお生活を再建することができずに、仮設住宅を初め県内外の仮住まいの生活を余儀なくされているという被災地の実態を見るなら、現在行われている程度の支援策では今後の災害被災者に対して生活再建の力になり得ないことは明らかであります。
 第三に、本法案提出に至る経緯であります。
 自民党は、これまで既に提出されている野党二法案について、一刻も早く充実した審議をとの要求を拒否し続けたばかりか、みずからまとめた法案も委員会での審議の対象とするのではなく、既にある二法案を取り下げて自民党案に一本化することを押しつけてきました。
 そもそも本委員会の任務は、阪神・淡路大震災の教訓を現在と将来に生かすために、少なくとも、阪神・淡路大震災の被災者に適用する、給付額は生活基盤の回復を支援するに足る額とする、給付対象は中堅層も含む広範な世帯とするなどを内容とした支援法案を各委員の英知を結集してつくり上げることにあったと確信するものであります。
 にもかかわらず、自民党が被災地、被災者の実態に照らして、本委員会としてよりよい案を練り上げる態度を最後まで示さなかったことは極めて遺憾であります。
 日本共産党は、災害列島日本の国民の生活と安全を保障する制度を確立するために、また、阪神・淡路大震災の被災者が希望を持って生活再建に立ち上がるために、これまでの超党派有志議員の共同の成果の上に、被災者や公的支援を求めて運動されている皆さんと力を合わせて奮闘することを最後に表明して、反対討論を終わります。
#53
○委員長(浦田勝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 被災者生活再建支援法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#54
○委員長(浦田勝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、本岡君から発言を求められておりますので、これを許します。本岡君。
#55
○本岡昭次君 私は、ただいま可決されました被災者生活再建支援法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    被災者生活再建支援法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、阪神・淡路大震災被災者の生活再建支援について、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、阪神・淡路大震災から三年あまりが経過した。しかし、被災地には今なお、仮設住宅入居者は二万世帯を超えるなど被災地の復興は厳しい実情にある。被災者の多くも、崩壊した生活基盤が回復できず、生活の自立に苦しんでいる。この阪神・淡路大震災の被災者に対し、一日も早く恒久住宅に入居し、生活再建ができるよう、被災地の復興基金事業として実施されている生活再建支援金などを含めて、本法の生活支援金に概ね相当する程度の支援措置が講じられるよう国は必要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#56
○委員長(浦田勝君) ただいま本岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(浦田勝君) 全会一致と認めます。よって、本岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、委員長として一言申し上げます。
 ただいま附帯決議におきまして、阪神・淡路大震災の被災者に対して、被災者生活再建支援金におおむね相当する程度の支援措置を講ずる旨を決議いたしましたが、現在、これらの被災者に対しましては、地元県、市の阪神・淡路大震災復興基金により、月額方式で五年間の生活再建支援金や、同方式で二年間の中高年自立支援金が支給されているところであります。
 本法の制定に当たり、こうした地元県、市の主体性、独自性を生かしながら、地元において被災者の実情を十分把握し、回復興基金により実施されている支援措置の適切な運用が検討されるよう期待するものであります。
 ただいまの決議に対し、亀井国土庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀井国土庁長官。
#58
○国務大臣(亀井久興君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。
 また、委員長から御発言をいただき、その御熱意に対して深く敬意を表するものであります。
 ただいま委員長からありました御発言を地元兵庫県、神戸市にお伝えし、遺漏なきを期する所存でございます。
#59
○委員長(浦田勝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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