くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 国民生活・経済に関する調査会 第4号
平成十年四月八日(水曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事
                尾辻 秀久君
                太田 豊秋君
                中原  爽君
                円 より子君
                山本  保君
                有働 正治君
                阿曽田 清君
    委 員
                小野 清子君
                狩野  安君
                金田 勝年君
                常田 享詳君
                橋本 聖子君
                三浦 一水君
                朝日 俊弘君
                川橋 幸子君
                水島  裕君
                吉田 之久君
                松 あきら君
                栗原 君子君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村岡 輝三君
   参考人
       株式会社西武百
       貨店代表取締役
       副社長      坂本 春生君
       山形県最上町長  中村  仁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (二十一世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件のうち育児・介護と仕
 事の両立支援について)
 (二十一世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件のうち福祉の充実と地
 域の活性化について)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 国民生活・経済に関する調査を議題とし、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、育児・介護と仕事の両立支援及び福祉の充実と地域の活性化について参考人から意見を聴取いたします。
 まず初めに、育児・介護と仕事の両立支援について、お手元に配付の参考人の名簿のとおり、株式会社西武百貨店代表取締役副社長坂本春生君に御出席をいただき、御意見を承ることといたします。
 この際、坂本参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、育児・介護と仕事の両立支援について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人から三十分程度御意見をお述べいただきました後、六十分程度各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの方が質疑を行えるよう各委員一回当たりの発言時間を一分程度とさせていただきたいと存じます。
 また、時間に制約がありますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、坂本参考人にお願いいたします。
#3
○参考人(坂本春生君) それでは、短い時間でございますので、早速でございますがお話を始めさせていただきます。
 お手元に、「「育児・介護と仕事の両立支援」について」という二枚の紙のレジュメと、それから経団連で女性の社会進出に関する部会というのを一九九五年から設けておりまして、私が部会長をいたしておりますが、そのときにつくりました報告書のコピーをお配りさせていただいております。
 まずは、簡単にこのレジュメを御説明させていただきたいと思います。
 きょうの御要請は、私どもの会社における育児・介護支援の先進的な取り組みと、それから育児休業、介護休業等に関する意見を述べよということでございます。したがいまして、まず一番目としましては、私どもの会社でやっております育児・介護関係制度を申し上げます。
 実は、御要請は先進的な取り組みということでございますが、最近随分いろいろな会社ないしは法律もできまして、正確に言いますと先進的だったと申し上げた方がよろしいかと思いますが、かなり私どもは早くから取り組んでおりました。そういうことできょうの御下問があったかと自負しております。
 まず、休暇制度でございますけれども、@に書いてございますように、もうこれは申し上げるまでもございません。
 ただ、出産前休職というのを、私どもは妊娠判明時から出産休暇まで設けております。これは、私、前にグループで西友という会社におりましたけれども、そこにもございませんで、西武がかなり先進的かもしれません。それから出産休暇、育児休職、これはもう法律等々で言われていることでございます。
 ただし、育児休職のところの説明をちょっと見ていただきますと、「出産休暇終了後から子の満一歳の誕生日直後の四月一日まで」と書いてございます。法律では満一歳のお誕生日の前日ということにたしかなっていると思いますが、私どもでは直後の四月一日というふうになっております。お誕生日を迎えて初めての四月一日、年度始めということでございます。これは後ほどまたお話ししたいと思いますが、とりあえずそうなっております。
 それから、介護休暇につきましては、残念ながらまだ私どもの西武百貨店は実施いたしておりませんが、ここに書いてありますように、前におりました西友で一年以内の介護休暇は法律に先んじて設けておりました。
 それから、二番目が時間短縮制度でございますが、これは、括弧の中に「選択的時短制度の内」と書いてございます。ということは、こういう時短制度があるだけではなくて、例えば自己啓発のために勉強に行く時間短縮の制度とか社会貢献をするための時間短縮の制度とか、そういういろいろな時間短縮の制度の中の一つとして育児、介護の時短制度もございます。三十分単位で一日当たり二時間三十分以内。これはかなり多くの企業で既に実施をされていると思います、全部とはいきませんけれども。これは育児時短、子の育児のために子の満一歳の誕生日までとか、小学校入学前時短、子の入学まで、介護時短等々がございます。これが非常に直接的な制度でございます。
 このほかに、関連制度としましては三番目の転勤免除制度がございます。これは、上の制度ももちろん妊娠以外は全部男女両方に適合するものでございますが、特に転勤免除制度につきましては、一定期間ごとに一定期間転勤を免除してください、ないしは一時的に今だけちょっと転勤を免除してくださいということができるような制度がございます。
 定時免除というのは、しばらくずっと転勤しませんというのでございますが、これが特に女性には厚く、結婚したとき、それから二十八歳、これは高卒の女性がちょうど十年間勤め上げたときでございますが、あと三十五、四十五等々、人生の節目に、今までは転勤を自由にしていましたけれども、これからは転勤は勘弁してくださいということができるようになっております。男性は、途中はございませんで、五十と五十五歳の二点でございます。
 それで、この転勤免除を願ったことが即形式的な差になるということはないようにはなっております。ただ、実質的に余り長い間転勤しないということは、やはりキャリアが積まれないという不利はあると思いますけれども、形式的な差別はなくなっております。
 ですから、女性の場合は結婚時とか子育て時とかにこういう申し出が非常に多くございます。
 それから、四番目の期間限定ローテーションと申しますのが、転勤免除中で転勤を必要なところには行きませんよということになっていますけれども、二年間ぐらいなら単身赴任でも行けますというようなことの場合には、二年間だけ家族を置いて、ないしは二年間だけ期限を限って能力開発とキャリア設計のために出ております。したがいまして、介護中というのは非常に難しいかもしれませんが、育児中でも能力アップのチャンスはある。
 それから、五番目が他店舗研修。これも、長い間は無理ですけれども、一カ月ぐらいは学習機会を得るために他店舗へちょっと離れて仕事をしますというのがございます。
 それが以上でございますが、やや広い解釈としまして六番目のパートナー制度、これはいわゆるパート制度でございます。パート職員でございますが、これが七・五時間換算で三千五百人ぐらいおりまして、私どもの中では大変大きな勢力になっておりますけれども、この方たちも育児、介護の支援をしながらという勤め方に、パートを使うことも可能だと思います。
 以上、制度の概要を御説明いたしました。
 二ページ目を見ていただきますと、第二番目の御下問の育児休業・介護休業制度の課題、問題点を述べよということでございましたので、ここに幾つか掲げさせていただきましたので、簡単な説明をさせていただきたいと思います。
 まず一番目、育児休業の期限でございますが、これは先ほど申し上げましたように、当社は満一歳の誕生日が終わりました初めての四月一日、要するに保育園の新年度までということにいたしております。これは実は、私前に一度、そのとき小野先生がおられたことは覚えているんですけれども、育児休業法ができますときに大勢の女性と一緒にこの国会内で意見を聞いていただいたことがありまして、そのときに私は強くあることを要望したのでございます。
 それは、一年間でございますと、ちょっとずれますと、お誕生日が来ても保育園の新年度が始まっていないということがありますと、その間大変に困るわけでございます。そのときも私申し上げたんですけれども、私事で大変恐縮でございますが、私の場合は一人目が十二月で、二人目が七月に生まれました。ですから、二人目の場合はもう二年弱家へ置くようになりまして、ひどく私の両親が困惑をいたしました。それで私は三人目は、一番短距離ということで、これは途中は省略いたしますけれども、四月一日生まれの子をつくりました。ノウハウはちょっと極秘でございますが、それで満一歳でちゃんとめでたく両親に迷惑をかけずに三人目は入りました。でも、そのための苦労たるものや、どうぞ御推察いただきたいと思います。
 こういうことでございまして、本当に困るのでございます。私のころは育児休業法もございませんでしたからそういう休暇はとっておりませんでしたけれども、だからこそ余計に大変だったわけでございます、丸々人に迷惑をかけなきゃいけない。
 ということで、私がおります百貨店は幸いなことにこの辺ちゃんと人情の機微をわきまえておりますので、ぜひぜひこの点は実態に合うようにしていただきたいと思います。
 それから、二番目が休暇中の経済的支援制度でございますが、これは企業の中では当然のことでございますが、ノーワーク・ノーペイで、賃金がいただけないというのは非常に合理的だと思います。ただ、社会的なサポートとして、今多分失業保険会計から出ていると思いますが、休暇する前の平均賃金の二〇%が一年間支払われておりますし、それから復職して六カ月間勤め上げればまた五%が後で払い戻されるというか追加支給されるようなことで、結果として二五%は出ております。ただし、これが十分かどうかの問題がございます。
 それで、失業しているときはノーワーク・ノーペイの原則にかかわらず社会的にはかなり補てんをしていただける。ただ、育児休暇で休んだときないしは今度介護休業ができればそうなるかもしれませんが、そのときは二五%ということなんですが、この率が本当にこれでいいのかどうか。やはり、住宅ローンその他いろいろ大変なことがあると思います。したがいまして、この率を上げた方がいいか、さもなければ、その間何らかの低利融資制度、復職すればまたお金が入るわけですから、そういう経済的支援をきちっとしませんとなかなか休めない、無理して出てきてしまうというようなことがあるようでございます。
 それから三番目でございますが、「休暇中の代替要員制度」と書いてございますが、これは実は申し上げたいのは、大変に優秀でかつロイヤルティーの高い職員ほど休みにくいのでございます。それは、自分も済まないと思いますし、周りもいてもらわなきゃ困ると思いますから、なかなか休みにくうございます。ただ、今は官庁などは、キャリアの女子職員はちゃんと一年間とっているようでございますが、それは政府のおひざ元ですからとれるので、民間ですとなかなか周囲の目が難しいということでございます。
 実は私、経団連で女性の社会進出部会をしましたときに、九五年でしたが、この報告書を出しましたときに、アンケート調査をしました中に、育児休業など会社がいろんな制度を設けていて、女性がそういう育児のための制度をとることについて困るとか迷惑とかそういうふうに感じますかという率直な意見を聞きましたら、これは男女とも何らかの形で迷惑だとか困るという感情を持っておりました。ただ、そのうちの半分ぐらいはやむを得ないというのがついてはおりましたけれども、やっぱり周りに迷惑をかけてつらい思いをしているのは事実でございます。
 そういう中で、どうやって休ませるかということで、一つはきちっと代替要員をつけていただく。いただくといいましても、これは企業でつけるべきなんですが、おかげさまで人材派遣業法の規制緩和をしていただいて、こういうときに人材派遣会社が派遣しやすいように制度はなりましたけれども、実際に企業が活用しているかといいますと、必ずしもそうではない。ですから、これは企業側の努力ですが、何とかこの代替要員を採るようなことが必要じゃなかろうかと思っております。
 実は、私が今いるところではなくて、前の西友というところで職員福祉のカフェテリアプランというのを導入いたしました。これは、厚生省の研究会の成果で、まだ西友とベネッセコーポレーションぐらいしか採用していないようですが、きょうかきのうの読売新聞か何かに多分出ていたと思います。
 要するに、福祉費の総額を決めまして、それを頭割りいたしまして一人当たりの額を均等に決めます。今お給料は大変能力給ですかも人によって違いますが、福祉は非常に人間的、ヒューマニティーですから均等に決めます。それで人にポイントを与えます。一ポイント幾らというポイントを与えて、みんなが同じポイントを持つんです。カフェテリアというのは、食堂で一定のお金の中で欲しい物を持ってくる、そこから出ているわけでございますが、その福祉を今度全部ポイントづけにするわけです。例えば育児休業何点とか、それから歯科、お医者さんにかかる医療補助何点とか、いろいろあります。例えば旅行を格安にする、福祉何点とか、そういう点をつけまして、持ち点の中で自由に使う。全員が使い切れば均等に福祉が得られるという、それがカフェテリアプランでございます。
 実は、私が西友におりましたときにはそのカフェテリアプランの点数の中に育児休業とか育児休暇を非常に格安に、かかったお金だけ点数をいただいちゃうともうこれはパンクしちゃいますから、格安に入れました。それはどういうことかというと、みんなが一緒にとる一定のポイントの中の福祉を自分も行使しているので、自分だけ特別の甘えをしているんじゃないという、その気分を和らげるためにあえてカフェテリアプランの中に入れたんです。というようないろんなことをしませんと制度があってもとりにくい、こういうことがございます。
 それから、次へ進ませていただきます。
 四番目の休暇中のコミュニケーションと復帰後の研修制度、これは、休むときはその気であっても、一年間ないしは十カ月ぐらい育児に専念しっきりになっておりますと、復帰能力の欠如とか低下とかそれから不安感、そういうものに大変さいなまれます。したがって、休んでいるときにも企業とか社会がどうやってコミュニケーションして復帰のためのいろんな社会的な情勢を、インフォメーションを与えるか、出てきたときにどういう一種のリハビリの研修をするか、そういう制度がきちっと企業の中に定着すると非常にいいと思います。
 それから、五番目が能力主義を基本として開かれた人事制度、ここからは直接のものではございませんけれども、実はこれが非常に重要なことでございます。女性の制度ないしは男女ともでありましても、女性が多く使う制度を充実すればするほどある意味では女性と男性のギャップができていくわけです。そういう制度で休んだり休暇をとったり時間を短縮したりすればするほどそういうことを一切しない男性との間に事実上の差ができていって、だんだんその女性のキャッチアップが難しくなるということでございます。そのことともう一つは、休んだことによって、年功序列の賃金体系が非常に強うございますと休んだ期間が全部マイナスになります。
 ということがありますので、その五番目に書いてありますのは、能力主義を基本として開かれた人事制度、年功序列ではなくて、例えば中途採用が非常にされやすい企業制度、人事制度があるということは、それはその人のその時点での能力を評価してよければどんどん昇進させてくださる、何年勤めだということが余り重要じゃない、そういう開かれた、そしてかつ能力主義の制度が定着していれば、これは育児休暇をとろうと育児時短をとろうと介護休暇をとろうと余り差がございません。したがって、こういう制度を意味あるものにするためには、周りの制度を非常に柔軟かつ能力主義評価をちゃんとするような制度にしていかないと非常にギャップだけを深めるということになります。
 この六番も同じことでございます。育児、介護以外の多様な休職、休暇制度、先ほど私どもの会社でボランティア休暇とか教育休暇とかあると申し上げましたけれども、そういう休暇制度があって、男性も女性もそういうものをどんどんとって、あの人はいないね、あっ、それは休暇をとっているんですよというようなことが企業の中で普通に起こっておりますと、育児休業をとろうが介護休業をとろうが余りハンディを感じません。ところが、男性は一日たりとも休まずずっと出ている中で、女性だけが時短をしたり休暇をしたりしますと、これまたやっぱりいろいろやりにくいということで、ぜひこの五、六は、全体の人事システム、休暇システムが柔らかくなっていくことが、ソフトになっていくことが必要と思います。
 七番目に進ませていただきます。
 もうここ以下は言うまでもないと思いますが、一年間の育児休業、もちろん小学校入学までの時短がありましても、やはり肝心の保育制度がきちっとしていないと、これは一年休んでその後が続きません。現にその後やめてしまう方もおられます。したがいまして、ぜひ保育園をふやして、そして保育園をふやすということを厚生省も言っておられますが、それから先日のテレビでは、大田区と世田谷区では二十四時間保育ができたというようなことがあります。それから、私立てはお医者さんと提携して、風邪ぐらいでしたら子供を預かってくださる保育園もあるようでございます。そういう保育園の充実をぜひ、二十四時間保育、これはしょっちゅう二十四時間なんか預ける人はいないと思いますが、何かのとき、それから病院と保育園の提携とか、私がぜひ申し上げたいのは、幼稚園と保育施設が両方あるというのはまことにもったいないと思うんです、これから子供の数も減りますし。
 それから、幼稚園というのは不思議なところで、何か連れていくと、お昼過ぎるとすぐに子供は帰ってくるんです。その後ずっと遊んでいる施設でございますので、何かこれは所管が違うのでなかなかうまくいかないようでございますが、ぜひ保育園と幼稚園を一体運用して、残って保育を受ける児童と早く帰る幼稚園児がいてもよろしゅうございますし、それから、保育園じゃなくて、授業が終わった後の中学校に入学までの学童保育というのがございます。そういう施設としてあいた幼稚園を使うとか、ここは縦割り行政のかたくななところを早くやめて、なるべく施設をまず豊富にする、その上で時間を柔軟化するということに御努力いただきたい、行政としてそういうふうにしていただきたい。
 それから八番目としては、女性の就業に関する税制というのがありますけれども、これも申し上げるまでもなく、今の税制は働く女性には非常に不利にできております。企業から出ます扶養手当とか税制の扶養控除とか、それから健康保険の第三号被保険者というんでしょうか、要するに自分が払わなくても健康保険を受けられるとか、それは専業主婦は可能なんです。私どもは自分で仕事をしておりますからもちろんそれはありません。その上に私どもは育児とか家事サービスとかに大変コストを払いながら自分のやるべき生活を守っているわけでございますので、そういう意味では今の税制はいかがなものかという議論が経団連の女性の社会進出部会でも随分ありました。この辺をちゃんとしていただかないと、むしろ専業主婦の方が楽でいいわという形になってしまう、ないしは、本気でパートをやっている方がパートの扶養控除の限度を超えてしまうと途端にお休みをとられて、私ども小売りが一番忙しい十二月の年末、税金の締め切り日にばたばたとお休みになる方ができる、こういうことがございます。
 なぜ女性に扶養手当とか扶養控除があるかといえば、それは働く男性の背後で守って仕事をよくさせるという意味が多分あると思います。そういうものに価値を見出すということは別に悪いことじゃないんですけれども、そういう理由であれば、私ども働いておりましてもやはり家庭というものは守っておりますので、これはこれからは男女で守ると思いますが、私の世代は女性が主婦をしながら働いておりました。ですから、そういう意味で働く女性に不利な税制というのは次第に直していかないと、女性の育児をしつつ働こうという強い意欲がだんだんにそがれてしまうんじゃないかと思います。
 それから、ここには書いてございませんが、ちょっと追加していただきますと、九番目として介護体制。育児は一定期間来ればこれで終わりというのがあるんですけれども、介護というのは永遠に続きます可能性がありますので、九番目としては、介護保険その他介護体制がきちっと社会的に固まらないと、一人に一回三カ月以内の介護休暇だけいただきましても後が続かない、やっぱりやめてしまうということがございます。
 そして、最後にもう一つ十番としてつけ加えていただきたいのは、やはり基本的には労働時間の短縮でございます。これは、私も大学卒業後ずっと働き続けておりましたけれども、家庭を持っていて、育児をしながら、両親の介護をしながら何が一番楽だったかというと、週休二日制になったときでございます。これは休暇が一日から二日になった二倍ではなくて、実質的には三倍か四倍私は体力的にも精神的にも楽になりました。ですから、働く時間が女性だけじゃなくて男性も含めて短くなり、ワークシェアリングということが非常に大事なことではないかというふうに思う次第でございます。
 以上が私の申し上げたいことの大部分でございます。
 あと、三番目のその他としましては、例えば、ここには特に項目は書いてございませんが、情報化によって在宅勤務、アメリカでは在宅勤務をしている女性の重役さんがいるというようなことを聞きましたけれども、在宅勤務。
 それから、二番目としては家事労働サービス業の健全な発展。私どもは、物を買うのは今分業しておりますけれども、家事労働はまだ分業になっておりませんが、分業できる部分もあると思います。そういう意味で家事労働の分業のための家事労働サービス。
 それから、三番目として大変重要なのは社会的な通念。これはもう精神論でどうしようもないんですが、これも経団連で女性の社会進出部会をつくりましたときに、実はトップの経営者と中間の人事部長などの管理職と職員にアンケートをしたんですが、トップの経営者にアンケートをしまして、お嬢様がいらっしゃる場合だけなんですが、娘さんが男性に伍してばりばりと企業で働くことをどう思いますかとお聞きしましたら、七割の方が非常にいい、ぜひそうあってほしいと思うとお答えいただいたんですが、その方にお嬢様が、娘さんが結婚、育児の時期はどう思われますかと言うと、それでもサポートするお父様は途端に四割に減ってしまわれております。ですから、やはりお父様がそうであり、配偶者がそうであり、そして自分も困難があればなかなか働き続けるというのは難しいんではないか、こんなふうに思う次第でございます。
 以上、大変に個人的な見解でございますけれども、一応御下間に対してお答え申し上げました。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#4
○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。
 以上で坂本参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後三時三十分ごろまでをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑、答弁とも簡潔にお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#5
○小野清子君 私の名前が出てきまして、きょうはありがとうございます。
 三点ほど御質問申し上げます、一分ですから大変忙しいんですが。
 カフェテリアプランで男性の育児休暇は生まれたかどうかが一点。
 それから、被保険者としてお金を払わなくても家庭の主婦の場合にはというお言葉がありましたけれども、片やパートの百万円限度ということをどういうふうにお考えになるのか。やはり、すべて働く者は税金を払いながら働けるだけ十分働いた方がいいのではないかというお話がありますので、その件に関してはどういうふうにお感じになっていらっしゃるか。
 それから、ことしは幼稚園にお残り保育というのに文部省が予算をつけまして、午前中は教育であり午後からは保育という形で新しい制度が生まれました。そういった意味では、今おっしゃられたことに幾分近づいたのかなと思いますけれども、働く方々の出生率が〇・六くらいであって、幼稚園にお子さんを預けるお母さんの場合には二・八人くらいでして、やはり働いている者は非常に出生率が少ない。きのうあたりの新聞を見ますと、二十代の女性は子供を産まなくてもいいという考え方が半分弱近くいるということも非常に大きな問題点だと思いますけれども、現場におられまして、実質面での女性の方々の意識、その辺がわかりましたらお願いしたいと思います。
#6
○参考人(坂本春生君) まず、カフェテリアプランで育児休業をとった男性がいるかという点については、実はまだできましてから二年でございまして日は浅うございますが、残念ながら一人もおりません。ただし、介護休業をとった男性は一人おりました。それだけでございます。
 それから、二番目の百万円の限度につきましては、これは私個人ももう撤廃すべきだと思いますし、お手元に配りました経団連の報告でも、この辺はむしろ働こうとしている女性の意欲をそぐということもありまして、撤廃すべきではないかと。なぜかといいますと、御承知のとおり、昔は大変貧しいために働いていましたけれども、今はそういうことでバートさんをしているんじゃない場合が非常にありますので、もうそこはちゃんと一人前に扱っていいんじゃないか、こういうことでございます。
 それから、三番目のお残り保育、こういう制度がちょっとでも出たことは大変にうれしいことでございます。
 現場でどうかというと、実は私非常に心配しておりまして、何か二極分化を合しつつあるような、一つは、最初はそのつもりじゃなくても途中でくじけていく人たち。特に今までは高卒がおりましたけれども、最近はほとんど、ことしなどは女性も全部大学卒でございます。したがって、途中でくじけていく人たちと、それから逆に、かつては子育てのために仕事をあきらめたんですが、最近は仕事のために子育てをあきらめている女性が何人か出ております、店長とかそういうふうになりますと。ですから、ちょっと二極分化を心配しております。
 以上でございます。
#7
○円より子君 坂本さん、きょうはありがとうございます。
 育児休職などのところで、私も実は十五年前に娘を産みましたときに、七月生まれだったものですから本当に一歳の保育園に入るまでが大変でございまして、私も四月一日にうまく産めばよかったなと思ったんですが、こういった大変いい制度をおつくりになって、先進的な制度だったということでほかの企業でも随分導入されているようですが、最初にこれを導入なさったきっかけになったのは、多分女性の社員の方が多くて、またその方々が大変戦力になっていたということがあったと思うんです。
 しかしながら、今でも少子化で労働力がだんだんなくなるので女性の労働力というものを貴重なものとして重視していかなければいけないということは言われながら、まだまだ日本の社会では出産、育児等で、ちょっときょうは待っている人がいるし、お迎えに行かなきゃいけないから帰りたいということが言いにくいような社会状況がまだまだ厳然としてあると思うんです。そういう中でこういう制度を導入なさるときにいろいろな反対もあったと思うんですが、今後多くの企業が導入に向けてどういったことをすればうまくこういったものが導入していけるのか、それから軌道に乗せられるのかということが一つ。
 それから、まだまだ不十分ではないかという点があるんですが、それは企業だけではなくて、多分先ほどおっしゃった公立の保育園等々、それから企業と公立の保育園とのフレックスタイムなどを導入して連携していくような必要性も十分考えられると思うんですが、今後すべきことが幾つかありましたら教えていただきたいのと、企業、経団連の方々の意識、それから男性の意識を変えていくことが大きな重要なポイントかなと思うんですが、このあたりについてお聞かせいただければと思います。
#8
○参考人(坂本春生君) 導入をすることについてはもう余り抵抗はなくなっていると思います。問題は、さっき申し上げましたように、導入はしますけれども実際に使えるかどうか、そこが一番大きな問題だと思います。
 したがいまして、実際に使える制度を導入するためには、やはり休んでいるときの穴をどうやって埋めるか、昔の代用教員システム、そういうことをきっちり考えること。それからもう一つは、導入を進めるためには、育児、介護もそうだと思いますが、社会的な事業なんだということで、さっきの休職中の扱いとか休業制度、育児休業などの法的な扱いをもう少しきっちり厚くする。さっきの期限の問題それから経済的な問題、そういう社会認識が非常に重要ではないか。そういうものが厚くなれば企業でも社会的責任としてついていくと思います。
 それから、二番目の企業と保育の関係でございますが、実は私どもは企業保育園、星の子学園というのを設けて、一時大変に先進的だといってもてはやされたのでございますが、やめました。それはなぜかといいますと、無理なんです、赤ちゃんをおぶって東上線に乗って池袋まで出てくるのは。それでだんだん人数が減りまして、一人当たりの負担が多くなってやめました。
 したがいまして、私は、保育は地元保育、これを徹底すべきだと思います。一番いいのは駅前保育、駅前になるべく保育所をつくるということです。これを公的、私的含めてぜひお考えいただきたい。企業はそれに対して時間的な余裕をきちっと上げる、こういうパートナーシップがいいと思います。
#9
○円より子君 ありがとうございます。
#10
○松あきら君 先生、きょうは本当にありがとうございます。
 実は私、きのう文教で幼稚園と保育園の関係について御質問いたしました。今、御存じのように少子化で、私の地元の横浜市でも、昭和五十年と平成九年を比べましても、子供たち、幼稚園児が二万三千人ぐらい減っているんです。それに比べまして、保育園児は九千人ぐらいふえているわけですね。ところが、御存じのようにいろいろな観点からなかなか幼稚園から保育園に変えられない。
 一つは学校法人の帰属問題、個人とか私立は大丈夫なんですけれども、そのことを御質問いたしました。つまり、幼稚園をやめて保育園に変えたい、お母さんたちの願いも大きいし、そういう声がとてもあるからお願いしたいということだったんですけれども、通り一遍のきのうの御返事でがっかりしていたんですけれども、実は終わりましてから町村文部大臣がおそばに来てくださって、そしてお残り保育は残念ながら園児を残らせるということで、ゼロ歳児から二歳児までは預かれないんです。実はそれも非常にわかっております、前向きに今考えておりますと。でも残念なことに、実は保育園の方も幼稚園が例えば自分たちのいろんな経営的なことでやめて保育園に変わるというのに対して反対なんかも結構あるというのを聞きまして私もちょっとびっくりしたんですけれども、そういう問題を少しずつ片づけながら、実はうまく保育園をなるべくふやしたいというふうに鋭意努力をしております、必ずもう少ししたらいいお返事差し上げられますから、さっきは言えなかったんですけれどもお待ちくださいという御返事をいただいて、これは非常にうれしいというふうに感じました。
 実は私は二つ質問ありまして、一つは小野先生が質問なさったパートタイム、百万円までの賃金のことについて。これは御返事いただいたからいいんですけれども。
 私は、今性別の特徴はやはり男と女ですからあると思っているんです。しかし、その性別のこだわりというものが深くあるのでいろいろなところに出てきてしまっているんではないか。この性別のこだわりを捨てるためにはもう少し小さいときからの教育が実は大事じゃないか、男の子に対しても女の子に対してもきちんとしたこだわりを捨てさせる教育を与えていくことが肝心なんじゃないかと思うんですけれども、それについてのお考えをいただきたいと思います。
#11
○参考人(坂本春生君) まず最初にちょっと情報として御提供くださいました幼稚園と保育園の関係でございますが、保育園は保育措置という措置なんですね。片一方は教育の一環なんでございます。でも、もう措置は時代おくれだと思いますので、私はやっぱりお役所のお仕事が一本化されることが先ではなかろうかと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、パートタイムは先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それから二番目の性別のこだわりについては、これも経団連報告書の目次のUの「男女がはつらつと働くうえでの障害とその除去のための方策」というところの一行目に「性別へのこだわりの意識」というのがあるんですが、これはどうしてもあるんですね。それをぜひなくしたいと思いますと、やはり教育だと思います。
 ただ、今教育の現場はかなりこだわりがなくなって、大学を出るまでは皆さんもう本当に対等だと思って出ている方が多いんですが、社会へ出た途端に、特に企業へ入った途端に思いがけないギャップがある。ですから、その辺は企業社会が相当その気になって、これは何をやればいいかといいますと、徹底した能力主義とそれから過剰人員をなくすことなんです。人が多いのでせっかくの大卒の女性を採ってもいいかげんな仕事をさせているんです。そんなこと本当はできるはずがないんですけれども、そういう点、私は官庁に就職しまして、非常に人が少ない、立っている者は親でも使え的なところでしたから、もうちょっと女性に甘くしてくださってもいいと思うくらいひどく使われました。人手が足りなければ一生懸命使うんですね。企業は今人手が多過ぎるんです。ですからあんなもったいないことを平気でいたしております。
 ですから、そのためには公的に失業救済をどうするか、転職をどうするかということをきちっとやっていただく必要があるんですが、むだな人をなくす、いる人の能力のアップに企業が熱心になるようなそのことと能力評価による報酬制度、これが企業の常識になる。したがって、休もうがそれから女性であろうが、そのときに能力さえあればきちっと処遇してもらえて昇進できると、こういうふうにする必要があると思います。
#12
○川橋幸子君 きょうはどうもいいお話をありがとうございます。
 二点、税と年金のことについてもう少し坂本さんのアイデアがおありでしたらお聞かせいただきたいと思います。
 税の方の話ですが、専業主婦控除にしましてもいわゆるパート減税にしましても、将来に向けて徐々に徐々にならしていけばよいという意味では、対応に時間をかければ何とかできるかなと思います。だけれども、時間のかけ方というのはどんなふうに考えていけばいいんだろうか、何かそのあたりで具体的なお考え方があって、こうすればうまくいくというようないいお話がありましたら教えていただきたいということが一つです。
 それから年金につきましては、遺族年金の方でございますが、共働きの場合、かつては丸々女性の方が掛け損というんですか、男女の賃金格差は大きいですから御主人の年金の算定基礎に比べたら女性の方がぐっと低くなる。どっちか選択しろといったら自分の方を捨てた方がよいから、掛けた分だけ丸々損と。この辺は一部数年前に修正されて、ある程度自分の保険料納入部分を選択するかどうかのことが出てきたので少しは修正されたわけでございます。でも、はてさて根本的に解決するには、世帯単位を個人単位に変えていく方がよいということはわかるんですけれども、現実問題として、年金の問題というのは、将来に向けての修正じゃなくて、過去に対する既得権の修正をどうやって将来に向けてやっていくかとなると、女性同士が会いましてもなかなか利害が一致しないというんでしょうか、働く女性と専業主婦の間の利害が一致しないということが多うございます。
 このあたり、考え方は世帯単位から個人単位として、どのようにならしていくのか、段階的なやり方というんでしょうか、何かお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
#13
○参考人(坂本春生君) どちらも大変難しい問題でございますが、まず第一番目のいわゆるパート税制の方でございますけれども、これは徐々にというのが非常に難しゅうございまして、徐々にやっていくということは、逆に扶養控除の限度を上げてほしいという要求になってくるんです、現実に困りますから。
 実は、私どもの小売の一部の業界でも今回政府に対して天井を上げるという要求をしているんです。それで、私がなぜそういう要求をするんですかと聞きましたら、実は扶養控除の限度をなくしてほしいんだ、ところが、それがなかなかできないもので困るから上げてもらいたい、そうしないと、とにかくつっかえちゃっているんでということなんです。ですから、その動きが強くなりますので、私は徐々にというのはなかなか本件については難しい。
#14
○川橋幸子君 徐々にという意味は、むしろダウンさせる方の徐々にのつもりでお伺いしたんですけれども。
#15
○参考人(坂本春生君) ですから、徐々にダウンしていけばますます困るんです。だから、徐々にダウンさせていけばさせていくほど業界というか使う方は上げてほしいという陳情が猛烈に起こると思います。そういうことでございます。
 それから二番目の年金は、私は、これはちょっとその時代に生きている人にとっては不平等かもしれませんけれども、新規契約から将来の約束事を変えていくより仕方がないと思います。既得権はもう認めていかない。ですから、これから年金に入る方に将来のお約束をしていく、これしか道はないと思います。
 以上でございます。
#16
○山本保君 どうもありがとうございます。
 私は、実は参議院議員になる前に厚生省の保育の専門官というのをやっておりまして、今保育園について少しあったものですから急速ちょっと電話して調べたんですが、先にちょっとそのことだけ情報提供ということで申し上げます。
 年度途中から入りますのは、五十七年から一応定員の一割まで。定員が決まっていますね。それによって実は保母さんも配置されているのでなかなか難しいのですけれども、定員を超えて入れてもいいよという制度がありまして、ことしから、当初非常に待機が多い場合には一割までふやしていい、途中でどうしてもという場合は一五%、産休明けなんかの場合は定員の二割増しまで入れてもその分措置費は出しますよというふうにはなっているんですけれども、これは知っておるんですが、なかなか実際にはその間の保母さんを雇うことが難しいということで動いてないかなということは今担当が言っておりました。
 それから、さっきちょっとおっしゃった、保育が措置で幼稚園が教育だというのは、これは去年の児童福祉法の改正で変えまして、措置という言葉をなくしまして保育するというふうにしました。
 それで、どうしたかというと、今までだとお役所のように全部この区域はこの保育園と、こういうのをなくしましたので、ですから先ほどおっしゃった駅前などでつくれば、これからは住民の方で保育園を選んで申請できるようになったんです。これは、保育園の方が駅前に出店というかそういうのをつくって、そこへ持っていくことができるように、この四月一日からなんでこれからどう動くかなというところでありますが、ちょっと御紹介だけいたします。
 それで、ちょっとお聞きしたいんですが、実は介護の問題、保育もそうなんですが、雇用保険法がついこの前改正になりまして、介護休業中も二五%手当が出ることになったんです。きのうも実はやったばかりなんですが、大臣とちょっとやり合っておりますのは、介護休業は三カ月間と決まっているんです。それも、きょうだったら七月八日までと決まっているんです、法律上。私も福祉をやった立場からいいますと、こんなの全然介護の実態に合っていない。今はいろんな形でヘルパーさんだとかに来ていただくわけで、何も実の息子や嫁さんが毎日ずっといる必要はないわけです。そんなことをするより、一週間に一度なり二度行って、そしてちゃんと様子を見て専門家との連携をとってやればよろしいのに、三カ月となっているのを変えろ、変えるべきだ、議員立法でも変えるぞと言ったんですが、労働大臣は、労働大臣のくせにと言ったら申しわけないんだけれども、いや、企業の方がその間の人材が困るんだと、こうおっしゃるわけです。
 先ほど坂本さんもそういうことを企業として言われたんだと思うんです。本当にその間とれないんでしょうか。その間、例えば派遣労働者など、法律緩和されたわけですね、この辺で対応できないんだろうか。やっぱり、その場合どうしても企業持ち出しになるので、例えばそこで労働行政でその企業に対して何か手当てするような方策というのが必要なんだろうか、この辺について何かアイデアいただけませんでしょうか。
#17
○参考人(坂本春生君) その点については、意識の問題とさっき言いましたように、非常にとりにくいことはとりにくいと思います。特に介護は男性がおとりになることもありまして、男性だと余計休むということの抵抗がまだありますので、ですから、さっき申し上げましたように、ほかの休暇制度とか中途採用とか、そういうことで企業が余りきちっとしたリジッドなシステムでなくなれば非常にやりやすいと思うんです。ですから、介護制度だけを何とかしようと思われないで、企業の人事制度全体がもっと生活しやすいような、その両方でぜひやっていただきたいと思うんです。
 企業の介護制度につきましては、企業の方はお休みのときないしは時短をしていただきますとそのときは報酬を払いません。ですから、その分で臨時の方を雇うことは可能なんです。ただ、高度な専門の方だとなかなかフィットしないということがあります。でも、それは企業が本気になれば中のローテーションで何とかできると思うんです。ですから、ある一定の通告期間をもって、そして柔軟化していく。突然というのは企業もちょっとできないと思います。あす突然休みたいとか、そういうのがしょっちゅうしょっちゅう続くのは無理ですけれども、あらかじめルールをつくって、その通告期間をもって要員ないしはローテーションを考慮できるような期間さえあれば、あとは企業の努力次第ではないかと思います。
 ただし、その間の経済的支援については、私は、企業が補助金をいただいて払えというんじゃなくて、社会的な保険制度の方からきちっと払っていただくというのが個人にとっては必要じゃないかと思います。
#18
○山本保君 ありがとうございました。
#19
○狩野安君 きようはありがとうございました。
 先ほど能力主義ということでお話しになりましたけれども、最近の新聞にOLという呼び名についていろいろ出ていました。OLというのはオフィスレディーといって、いわゆるコピーをとったりお茶くみをしたりというような方だということですけれども、女性のプロ意識がないということもお話にありますが、そうすると能力主義でやっていったらほとんどの女性が職業を失うんじゃないかというふうに大変心配をしているわけです。プロ意識が足りないというか、いわゆるOLと言われる女性がたくさんおりますので女性が失職するような感じがするんですけれども、そういう面はどういうふうにお考えでしょうか。
#20
○参考人(坂本春生君) 事実、OLという人たちを採らなくなった大商社もございます。ですから、そういう意味では職業のチャンスを失ったということだと思います。
 ただ、私どもの場合の能力主義というのは、仕事の職種で、ジョブサイズと呼んでいるんですが、例えば店では店長が一番上ですけれども、順番に販売部長とか総務部長とかチーフバイヤーとか分けておりまして、そういう職種に賃金を当てはめておりますので、簡単な職種になれば賃金も低いです。低いですけれどもそういう方は必要なんです。
 ですから、私が申し上げる能力主義というのは、高い人ばかり集めるという意味じゃなくて、能力に応じて賃金を払う。能力は何かというと、仕事の必要能力なんです。だから、仕事にいろんな濃淡がありますからそれはそれほど、例えばただ販売をするとか事務をとるとか、そういうのは専門度は低い、したがってお給料も低いです。ですから、それで一生いいという方は一生それをやっていただけばいいと思うんです、男女にかかわらず。そういうふうな能力主義を考えております。
#21
○栗原君子君 今の質問に少しかかわるんですけれども、坂本さんがおっしゃいました、企業社会は徹底した能力主義ということで、能力によって報酬も決めればよろしいと。こういった考え方になりますと、例えば障害者の団体が障害者の雇用率を高めてくれということで今労働省へも随分と働きかけをしておりますし、そして省庁として企業へもそうしたお願いをしているわけでございます。徹底した能力主義をここに持ち込んでいくということになりますと、健康な人で、しかももうけ主義の中からでしたらこういう発想になると思うんですけれども、でも弱い人も一緒にそこで働いていく、そして生活できる、そしてゆとりの持てるような賃金をもらいたいというのは人間共通の願いだろうと思うんです。当面、育児、介護とはかかわらないかもしれませんけれども、そこらあたりはどう取り組んでいらっしゃるでしょうか。
#22
○参考人(坂本春生君) 実は、能力主義が妥当だとは申し上げましたけれども、またほとんどの企業は能力主義に転換し切れておりません。半分ぐらい能力主義ですが、半分ぐらいは年功序列をやっております。ですから、完璧にそういうふうになるまでにはまだかなりの時間がかかると思います。
 能力主義になれば企業の流動性がどんどん出てくるわけです、お給料のいいところ、おもしろいところにどんどん移っていきますから。今のような企業が倒産して初めてどこかへ行かなきゃいけないという事態じゃなくて、しょっちゅう動くようになります。ただ、それは理想であって、まだ来ておりません。仮にそういう時代が来たとしても、私はそれは基本だと思うんです。
 身障者の方の雇用というのはまた別途な要請で、企業の社会的責任として、例えば地球環境問題なども、商売だけでいけばそれはやらなくていいのかもしれませんけれども、それでも今企業は一生懸命やっております。私どももISO14000を一応とったり、これからとろうとしている企業がありますが、そういう企業の社会的責任というのは私は一方にはあると思うんです。
 したがって、身障者の雇用について、法律で決まった率があればそれはきちっと守る、これは企業の社会的責任だと思います。ただし、そのときに余りに能力とかけ離れたお給料が欲しいということは従来よりは言いづらくなると思います。したがって、その人の身障の度合いによってできるお仕事をしていただいて、それに見合うお給料というのが多分企業の原則になると思うんです。もしそれでよくない、ヒューマニズムに欠けるという場合は、私はそれは公的に援助すべきだと思うんです。
 それは、健常者でも能力主義でやっていくときは競争の社会ですから、そういう意味で身障者の方にチャンスを与えないということは非常に悪いことだと思う。ですから、チャンスはぜひお与えしますけれども、それはおできになる範囲内、ないしはちょっとそれの研修をして少し昇進していただくということが基本ではないか。
 ですから、今の雇用問題すべてに関することでございますが、雇用という責任は、余りにも企業の負担が重過ぎる。やはり、雇用の責任というのはきっちり公で持つということがないと、本当の企業の強さ、リストラ、競争力というのは出てこないと思います。その辺は公私を分けてお考えいただきたいと私は企業人として思う次第でございます。
#23
○有働正治君 二、三まとめて簡単にお尋ねしたいと思うのであります。
 女性の社会進出というのは非常に大事だということで、私どもも一層取り組まなければと思っているわけですけれども、一つは、育児休業の問題です。西武さんなり西友さんなりでこれを実際上活用されて取得なされている割合、どんなものだろうか。
 労働省の調査によりましても、必ずしもそう高くないし、しかも、まとめて長期に例えば十カ月以上とられる割合というのは非常に低いという状況のようでありまして、幾つかお述べになりましたけれども、ここらあたりきちっと検討すべき課題がまだあると思うのでありますが、そこらあたりをどのようにお考えなのか、実態を含めてちょっとお聞きできればというのが一点です。
 それから、保育の問題でありますけれども、東京もそうですし、全国もそうですし、まだまだ待機者が相当多いというのが実態だと思うんです。入りたくても入れなくて待たざるを得ないという待機率が非常にまだ高いという状況で、整備もおくれている。
 同時に、お母さんたちとお話ししますと、非常に保育に対する要望というのは多様になってきているという感じがいたします。つまり、ゼロ歳児、小さいときからもっと預けられるようにしていただきたいとか、一定時間だけ預かっていただきたいとか、あるいは延長の問題だとか、あるいは子育て相談の問題、内容上のいろんな相談をやっていただくと助かるなとか、多面的な要望が出されているようでありますけれども、ここらあたりの状況、そういう点からいったら保育行政はまだまだ要望等から見たらおくれているのではないかなと思うわけでありますけれども、そこらあたりどうお感じでおられるのかというのが二点目です。
 もう一点ですけれども、介護保険の問題です。二〇〇〇年四月から導入されると、実際、介護に携わっておられる社員の方等をごらんになっておられまして、なかなか実際上は整備がおくれていたり、保険料が支払われない人がいたりとか、あるいは利用する場合に利用料の問題とか、加入する以上は保険あって介護なしと言われているような状態は少なくともなくさなければならないという声が相当聞こえできますわけですけれども、そこらあたりはやはり課題として多々あるのではないか、社員の皆さんその他を見られてそこらあたりどうお考えなのか、あわせてお聞きできればと思います。
 以上です。
#24
○参考人(坂本春生君) まず、実績がどうかというお話でございますが、育児休業をとった者は私どもで年間大体五十人ぐらいいるんです。これはかなり大部分がとっているとお思いいただいていいと思います、正確にはとれないんですが。ところが、育児短縮時間、これをとっている人は、これは小学校まで短縮できるようになっているんですけれども、九七年十一月現在で八十名しかいないんです。そうしますと、ことしの育児休業をとっている人が五十名いますから、小学校六年までですから、六年間ですから、五、六、三百が本当に短縮をとればとれるんですけれども、そのうち八十名ぐらいしかとっておりません。ですから、実際はとる必要がないか、とれないか、経済問題があるか、そういう支障があると思います。
 それから、経団連で調査いたしました経団連加入企業でございますが、育児休業制度はさすがに一社を除いて九九・九%導入しております。ところが、育児時間短縮制度はほぼ半数の会社しかまだ入れておりません。そんなことでございます。
 それから次の、保育園がおくれているとおっしゃった、それはもう全くそのとおりだと思います。今公立でやっているところが中心でございますから、公務員でいらっしゃいますし、どうしてもかたいんです。ですから、融通がきかないというか、要するに需要者の需要に合わない、これが非常に多うございます。そういう意味もありまして、私は、公立てやる場合でも民間に委託をされるとか、そういうやり方をどんどん入れて、余り公務員ばかりで頑張らない方がいいんではないかというふうに思っている次第でございます。
 それから、さっきの幼稚園と保育園の関係も、山本先生から御説明がございましたけれども、それでもなおかつまだまだもっと幼稚園を活用できるんじゃないかと私は思っております。
 それから、介護に至りましては、これはまだ制度がこれからでございますので大変不安に思っております。育児は先ほど申し上げたようにいつまでという見通しが立つんですけれども、介護は全く見通しが立ちません。そういう意味で、保険料は出すわ、介護の見返りは一体どうなるんだろうかということで、それから企業の方も独自の制度を今まで入れておりませんし、これから入っても、働く者としてはこれは大変難しい問題だと思います。
 ただ、幸いなことに保育をする時期と介護をする時期は違いますから、そういう意味でだんだんに人生の知恵が出てきますのでやりくりはすると思いますけれども、行政的には育児よりはるかにおくれているんではないか、これが実感でございます。
#25
○有働正治君 ありがとうございました。
#26
○吉田之久君 女子学生の新規採用の場合なのでございますが、一般的に短大卒の女子学生については割と受け入れられやすい傾向だと思うんですが、四年生大学を出た人たちに対しては、特に民間会社なんかではちょっと敬遠してしまいますね。というのは、せっかく採用したって、やっと一年、覚えてくれたかなと思った途端に結婚されちゃうという傾向も否定できません。役所なんかはまた別だと思うんですが、そういう傾向はあると思うんですが、経団連や同友会でその種のお話が話題になったことはありますか。あるいはまた、先生自身は現実的にそういう問題をお感じでございましょうか。
#27
○参考人(坂本春生君) お答えいたします。
 まさにおっしゃったとおりでございまして、なぜ女性が伸びていかないか、私は西友で一度調べたことがあるんですけれども、三年、五年、十年で、当然やめる人がいるんですけれども、その率は男女で大変な差があります。ですから、これはもう明らかに先生がおっしゃったとおりでございまして、それは会社のやり方が悪いのか本人事情なのかわかりませんけれども、明らかに差があります。
 それで、西武百貨店でも、例えば店長になっている女性がどのくらいあるかというと、今二名でございまして、八%ぐらいでございます。それから、販売部長が一名とか、もう販売部長なんていうのは何人もいるわけでございますので、本当に一割に満たないというようなことです。百貨店は女性のための物をたくさん売っておりますが、女性のバイヤーですらちゃんとバイヤーで勤まっている方は一割しかおられないんです。ですから、そういう意味でそこまで育たないんです。これは本当にそのとおりでございます。
 それから、四年生大学の人は採用しにくいというのは、実は私ども流通業はメーカーさんとか銀行さんと違いまして、本社員では基幹要員しか採用しません。あとは全部契約社員、パート社員でやっていこうということでございますから、今回採りました五十人の新卒の社員の半分は女性でございますが、それは全員大学出でございます。基幹要員としてしか正社員は採らない、あとはパートさんプラス人材派遣、こういうふうに考えております。
 したがって、先生おっしゃったような途中でやめちゃうような方は、このごろは大変賢くなりまして、御自分でも就職されずに、人材派遣会社に就職されて、働きやすいように働くというような風潮があるようでございます。
#28
○水島裕君 一度参考人のような方からお返事でも聞こうかと思っていたことがあるんですけれども、私も女性が各領域で活発に活動されることを大変望んでいるわけでございますので、例えば機会の平等あるいは評価というのは、男女平等に反して少し女性に有利にしているつもりなのでございます。それでもやはりどうしても女性は伸び悩みが多いので、外国と比較してそういうことがどうかということも一つお伺いしたいんです。
 大学を卒業したあたりでは同じぐらいなんですけれども、私はどちらかといったら医学の方でございますが、だんだんと上まで行って、例えば学会の理事とかになるとほとんどいなくなっちゃうわけです。ですから、そういうところでせっかくそういうふうに思っても裏切られてしまうということが多いわけです。
 それから、能力主義は大変賛成なんですけれども、私は、能力といっても、これは平均してのことでございますけれども、個々の例では全く男性と同じような能力の方もいますけれども、何となく能力が違うんじゃないか、性質が違うんじゃないかと思いますので、個々のそういう違った性質でもって能力判断するのが一つの手と思っているわけでございます。
 ですから、一つの例を申しますと、部長がいて課長が何人かいる。その部長の秘書が女性であって、それが全体の会社あるいはそういうシステムで課長よりもうんと働いている、役に立っているということがしばしばあるわけでございますので、例えば実世界で給料がそういう人の方が課長よりも高い、私はそうしてもいいと思うんですけれども、そういう例があるかどうか。
 最後に、能力主義ということを言いますと、いろんな審議会でもって一人は女性を入れろとかということが非常に多いんですけれども、そういうことについても御意見がございましたらお願いします。
#29
○参考人(坂本春生君) まず最初の、機会平等ではあるけれども伸び悩みというのがあると思いますけれども、この辺は、大変申し上げにくいんですけれども、日本の企業の仕事の仕方の非合理性というのが大変あると思います。男性の場合は、本当につまらない、ばかばかしいと思いつつも、将来像が見えるんです。これをいっとき我慢すればああいうあすがあると思いますから、私もキャリア公務員として入っておりましたから、実にくだらない、もうこんな仕事しなきゃいけないか、なぜこんなむだなことをするかと思いましたけれども、私が課長になればもうちょっとと、その日までと頑張ってやっておりました。
 ところが、女性の場合はまだあすが見えないんです。女性でなった人がいないからあすがないわけじゃないんですが、往々にそう考えがちです。ですから、あすが見えれば我慢することも、見えないから、そうすると自分はこんな能力があるのにこんなつまらない仕事、こんなペイだといって挫折してやめちゃうというのが非常に多いんです。
 ですから、そのためにも、つまらない仕事のやり方はやめて、本当に能力が発揮できるような合理的な仕事、そして長く勤める人が出れば後がどんどんいい循環に変わる、こういうふうに私はお答えしたいと思います。
 それから、能力差という点は、私が見ていますと、少なくともサラリーマンの仕事に関する限り男女の能力差はないと思います。それは、秘書に立派な方がいらっしゃるかもしれませんが、その方にもし部長さんをさせたら秘書にしていらっしゃる主の部長さんより立派かもしれない、ただチャンスがないだけだと思いますが、私はそういう意味で能力差はないと思います。ただ、そこのところがチャンスの問題とかその他でなかなかできないのと、それから今の仕事の能力という中には仕事に関係ないおつき合いとか根回しとか、根回しも必要なんですけれども、非常に非合理的な人間関係の仕事とか、そういうものがあるともしかしたら不利かもしれません。
 それから、さっきおっしゃったお給料の問題でございますけれども、管理職というのは専門職の一つだと、だから部長というものが偉いんじゃなくて、いろんな専門があって、その一つにいわゆる管理職という流れがある。したがいまして、別に部長にならなくても、ある専門職で非常に上へ上がればお給料ではかなり高いお給料をいただけるということでございます。大手の会社でも、技術の方で管理職なんか嫌だ、技術だけずっと研究していきたいという方が、役員待遇になられますけれども、部下は一人もいない、研究者として非常に社長に近いお給料をもらっているという例も出てまいっています。
 したがって、さっき私が申し上げました能力主義の開かれた人事制度という中には、長がつく者が偉いんじゃなくて、それぞれの専門パターンで昇進する、こういうことが入っているというふうに考えております。
 それから、審議会につきましては、実はおかげさまでと申しましょうか、私のところにも大変多くのチャンスを今女性何人ということでいただいているんですけれども、私は審議会程度はそれでもまあ一種のありがたい制度じゃないかと思っておりますが、職業になると、やっぱりアファーマティブというのは、そういう待遇をしてもらった者についてはなかなか苦しいところがございます。げたを履かせてもらっているという点についてはなかなか苦しいところがあります。周囲の見方も厳しいところがございます。
 したがいまして、経団連でも随分議論しましたけれども、できればそういうことをしないでチャンスが等しくなるようにというのが結論でございました。
 以上でございます。
#30
○水島裕君 女性は能力がある、能力主義でいくということでしたら審議会の中に女性を入れなくちゃいけないという必要もないんじゃないかというのが私の質問なんですが。
#31
○参考人(坂本春生君) それは私も基本的にそう思います。
 ただ、それは世代の問題でございまして、今の世代だと実力主義だとほとんどだれもいないんです。ですから、これは過渡的な措置。もうあと十年もしますと余り御苦労なさらないで出てくると思います。
#32
○円より子君 今の自由にチャンスが与えられる社会ということや、それから先ほど川橋先生が質問なさったことに少し関連するんですが、女性の就業に関する税制が働く女性に不利にできていると先ほどおっしゃいました。私も川橋先生も多分皆さんそうだと思うんですが、基本的には世帯単位よりも個人単位にこれからの社会はなっていくと思います。
 しかしながら、今まで育児、介護、家事、すべてにおいてケア役割、アンペイドワークのようなものがほとんど女性に負担がかかっていたという状況の中では、働き続けたくても働けなかった女性も多かったと思うんです。そういった方たちが今、一つは税制で優遇されている、それがわかる。逆にそれが働くことの足かせになっていることもわかっていらっしゃる。でも、現実に外されてしまったら世帯の収入が減ってしまうんじゃないかと、その辺を心配していらっしゃる。そして、一生懸命子育てしていて、共働きで、例えば子供さんのいない方たちが出したコストといただく年金とを考えますと、子供をたくさん産んだ方が損だみたいなおっしゃり方をするわけです。
 そうすると、そのときに子供を育てた方に対して児童手当のようなものを、これにもいろんな異論がありますが、そういった手当をつけるような方策をつけることを一つ考えていらっしゃるのか。また、企業の方も、パート税制といういわゆる配偶者控除や特別配偶者控除、本来は撤廃したいけれども制限額を上げざるを得ないという状況を、もし撤廃した場合にはどういったことをその過渡期に考えていらっしゃるのかというのが一つ。
 それともう一つは、女性たちも最近は、第三号被保険者の受給者であることに肩身が狭いとおっしゃる方や、配偶者控除など要らない、だから私はこれから働きたいとおっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですが、そのときにあるのが年齢制限の壁なんです。男女雇用機会均等法では性別の差別は撤廃されてきましたけれども、アメリカのような年齢によって差別をしてはいけないという法律は日本ではなかなか難しいんじゃないかというところがありまして、この辺の年齢について、試験さえ受けられないというようなこと。また、年功序列の社会では、現実に入ったとしても、急に四十、五十の人が今まで働き続けてきた人と同じような給料をもらうというのは難しいと思いますので、実態として難しいということを言われるんですが、この年齢差別についてどうお考えか、この二点についてお伺いできましたらお願いいたします。
#33
○参考人(坂本春生君) まず、子供に対しての補助といいますか、もしそういう子供がいることに対して報いるのであるならば、私は直接子供に対して払うべきだと思います。それを専業主婦に対して払うというのはおかしいと思います。さっき申しましたように、子育てというのは個人の愛情のたまものでもございますけれども、社会的なものでございますので、私は公的な補助が出る分には、これは妥当なものであれば大変いいことではないかと思います。
 それから二番目の、パート税制を撤廃するためにどうするかということでございますが、私はこれは女子社員に聞きました。もし、今パートの限度が撤廃されたらみんなやめちゃうか、それとも喜んでもっと働くでしょうかと聞きましたら、三十代の人はやめないと自信を持って言う方が数人ございました。
 ですから、一時的には反動はあっても、一時的にさっと引くかもしれません。だけれども、その方たちが引きっきりにはならないと思います。そういう意味では長期的には心配ないと思いますが、企業としてやるべきことは、もう私どもは既にやっておりますが、私どもの流通業は社員の中でバート比率を六割、七割を目指しております。したがって、パートじゃないんです、一部じゃなくて、全体に非常に主力な働き手になっております。ですから、時間は短くてもきっちり仕事では責任を持たせて、きちっと一人前に扱う、これが私はパートから税金をいただいても働きがいがある、そういう方法だと思います。
 それから最後に、年齢によって差別をしないと、これはもう私の持論でございまして、私は定年退職も、実はあの定年制というのは、あの年代になると自然年齢とその方の能力年齢、意欲年齢は十歳は違うと思うんです。ですから、大変残念だと思います。ですから、少なくとも定年までの間については年齢差別は私は撤廃すべきだと思います。
 念のために申し上げますと、日本のように私どもの流通業界に若い女性ばかり働いているというところは珍しゅうございまして、アメリカなどはもっとしっとりとした店員さんがたくさんおられます。もうその辺は、若い人さえ置いていればなんというのはちょっとあれですし、私もお化粧品を買いに行って、二十代の店員さんよりは、まあ三十、四十の店員さんからお顔のお手入れについてお話しいただいた方がよっぽど何となく信頼感があるのではないか、こう思う次第でございます。余計なことを申し上げました。
#34
○円より子君 ありがとうございました。
#35
○朝日俊弘君 大変非合理的な根回しばかりやっているような気持ちで、先ほどちょっと二人で大笑いしていたんですが、一つだけ。
 今話題になったパートの労働者、パートという概念じゃない、むしろ短時間の労働を提供する人たちということなんだろうと思うんですが、その場合に、仕事に応じて当然ペイ、給料をいただく。ただ、社会保障の部分をどうするかという問題が残っていると思うんですよ。私は、基礎的な例えば健康保険とかあるいは年金とかいうところについては、いわゆる短時間の労働の方でも最低限の社会保障のところはきちっと保障しなければいけないんじゃないかと考えているんですけれども、その点は今どんなふうにされていて、これからどんなふうにされようとしているのか。
#36
○参考人(坂本春生君) 今、私どもはパートというのは週二十八時間未満しか働かない方をパートタイマーと申しております。フルタイムというのは週三十七・五時間働いておりますので、そういう方を言っていますので、働きは一日じゅう働いても休む日があればパートでございますが、社会保険につきましては、今たしか極めて短時間労働については企業は負担しなくてよくなっております。その分は無職の方どきっと同じことになっているんだと思うんですが、ある一定期間勤める方には企業はきっちり持つようになっております。これはどこかで境目が出てくると思います。
 ですから、その辺は政策的にどういうふうに決めるかでございますが、私は、少なくとも限度がなくなれば、今短時間しか働いていない方がもっと長時間働くという可能性は十分にありますので、そうなれば私どもは社会保障費も社会保険費もきっちり持たなければいけなくなってくる、それは当然のことだと思っております。
#37
○朝日俊弘君 ちなみに、今はどこで区切っていますか。
#38
○参考人(坂本春生君) 今は多分一日四時間未満ですと要らないと思います。一日四時間以上働かせると社会保険をつけなきゃいけないというふうになっていると思います。したがって一前の西友では四時間以上のパートは採らないということをしておりました。ちょっと私はこれは専門ではありませんが、多分そうだと思います。
#39
○会長(鶴岡洋君) どうもありがとうございました。
 以上で坂本参考人に対する質疑は終了いたしました。
 坂本参考人には、お忙しい中、本調査会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#40
○会長(鶴岡洋君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#41
○会長(鶴岡洋君) 引き続きまして、福祉の充実と地域の活性化について、山形県最上町長中村仁君に御出席をいただき、御意見を承ることといたします。
 この際、中村参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、福祉の充実と地域の活性化について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人から三十分程度御意見をお述べいただきました後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 なお、時間に制約がありますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 また、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、中村参考人にお願いいたします。
#42
○参考人(中村仁君) ただいま御紹介いただきました山形県の最上町長の中村でございます。日ごろ、先生方におかれましては、地方行政に大変な御努力をなさっておりますことにつきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 三十分間という限られた時間でございますので簡単に申し上げたいと思います。しかも、前もって各先生方には資料を差し上げておりますのでごらんになっているかと思いますけれども、まず私どもの地域の状況からお話し申し上げたいと思います。
 私どもの町は、御承知のとおり、ちょうど太平洋と日本海の中間に位置した町でございます。冬になりますというと太平洋からの寒い風あるいはシベリアからの寒い風というふうなことで、地理的にあるいは気象条件も余り恵まれない地域でもございます。しかも、周囲が高い山に囲まれていてその寒い風が町の上空に漂っておりますので、その関係から冬期間は大変恵まれない。しかも、雪の多いところでございまして、多いときですと二メーターぐらいの雪が積もるわけでございます。そういう状況の中で、かつては無医地区状態の町でもございました。
 昭和二十九年、ちょうど今から四十四年前でございますけれども、町村合併をいたしたわけでございます。西小国村、東小国村という二つの村が合併いたしたわけでございますが、いずれも非常に財政的に恵まれない地域でございました。言うなれば、私どもの町は国有林が大体七五%を占めている地域でもあるわけでございます。国有林が多いところは大体経済的に恵まれない地域ではなかったかなというように考えております。自分の山を持つということは税金を納めなくちゃならないというようなことですべて国有地にしてしまったという、そういう関係から国有林が多くなったんではないかという感じがするわけでございます。そんなことから、私どもの町は、言うなれば山林盗伐濁酒密造の村なんという、そういう汚名を受けたような恵まれない地域でもございました。
 昭和二十二年でございますが、私がちょうどインドネシアから復員してまいりますというと、その当時、御承知のとおり、ポツダム宣言によってすべての公職にあった方々が追放されたわけでございましたので、そんな関係から弱冠二十三歳にして収入役を仰せつかりました。それを通算しますというと十二期になるわけでございます。地方行政に五十二年間務めたということになるわけでございまして、長い間町の状況についていろいろ苦労もしましたし、それから私どもの先輩の苦労を私自身も感じてまいりました。そういう状況の中で四十五年に町長に就任をいたしたわけでございます。
 町長に就任すると同時に何を考えたかというと、まずもって恵まれない地域医療、これを何とか確保しなくちゃいけない、住民の命を守ることが行政の原点ではないかという観点から、医療の確保ということに力を入れてまいったところでございます。
 たまたま四十五年、就任と同時に病院が完成しましたので、その後お医者さんの確保に大変な苦労をいたしました。しかも、いずれは高齢化社会が到来するであろうというふうな観点から、町づくりについても、非常に政争の激しい町でございましたので、何とか政争をなくそうというような観点から、広大な三百三十平方キロの、しかも四十の集落で構成されておりますので、それらを解消するためには公平な町づくりが必要であろうというふうなことから考えたのが保健、医療、福祉の拠点整備でありました。
 まず、それらについて整備をやったわけでございますが、私の出身地の方は赤倉温泉という、いわゆる東側にある地域でございます。自分の方からやりますというと必ず問題が出てまいりますので、反対側の西側の方の瀬見温泉という地域があるんですが、そちらの方からまず保健のエリア整備をやろうということでエリア整備をやってまいりました。それが現在に至っているわけでございます。また、中心地、役場のあるどころでございますが、そこは医療のエリア整備をやろうというふうなことでエリア整備をやってまいったわけでございます。反対側の私の方の地域については福祉のエリア整備をやろうというふうなことで、四十五年から着々その整備にかかってまいったわけでございます。
 私も七期目でございますから、そうこうしているうちに四十五年に建設をしました病院も大変老朽化してまいりました。しかも、時代も変わってきておりますので、どうしてもやっぱり病院の近代化を図らなければならないというふうな観点から、いろいろ議会の方にも御相談を申し上げまして、そして病院の改築をすることになったわけでございます。その場所が非常に狭隘でありましたので、何とか場所を変えなくちゃいけないというふうなことで現在の新たな土地六へクタールを求めまして、そこに保健、医療、福祉の総合的な施設の整備を図ろうというふうなことから、ちょうど今から七年ほど前からその整備にかかったわけでございます。
 いろいろ考えてみますというと、私どもの町は非常に地下資源、いわゆる温泉資源に恵まれた地域でございますので、何か医療、保健、福祉について温泉を活用することも一つの方法であるということから、実は温泉を掘ることにいたしたわけでございました。ところが、ちょうどカルデラ地帯でございますので、普通ですと、私どもの町は浅いところですと大体三十八メーター、深いところで四百メーター程度のところから温泉が出るはずなんですが、私どもの総合的な施設を整備するところはカルデラに一番遠いところでございましたので、一千メーターの契約をいたしたわけでございました。
 ところが、一千メーターの契約はしたものの、しかも掘削をしたんですが、なかなか一千メーターでは温泉が出てこなかったわけでございます。実を申し上げますと私も大変困りました。何とかあと二メーターぐらいサービスをしてもらえないかというようなことで業者の方にお願いをいたしたところが、幸いに一千一メーターからお湯が出てきたわけでございます。これが三百六十リッター、五十二度の温泉でございました。そして、温泉を活用して現在の施設整備がすべて完備をいたしたわけでございます。
 私どもの集落は四十集落でございますけれども、余生を送っておる、あるいは家庭で病床にあるすべての老人の方々が心配なくそれぞれの施設の恩恵を受ける。特に、公的介護保険制度がいよいよ平成十二年度から実施されるわけでございますが、その前提としまして整備を目指したわけでございますが、一人の老人も心配なく私どもの施設の中で恩恵を受けることができるというような状態になってきております。
 現在、私どもの役場の職員は、人口が一万二千五百人でございますが、定数が二百四十名でございます。福祉関係の職員は現在三百名の方が働いておるわけでございます。言うなれば、私どものような恵まれない地域にとっては雇用の拡大にもつながっているという大きなメリットにもなっておるわけです。しかも、老人にとっては家庭が生活の基盤でございますから、施設に入所できない方はできるならば家庭の中で生活をしたいという方も非常に多いわけでございますので、これからの公的介護保険制度の実施に伴って受け入れ体制の準備を合いたしております。
 いわゆるケアマネジャーの養成の問題、いろんな問題等がありますけれども、町立病院の院長を中心にしまして、今年度中に行われますケアマネジャーの試験の取り組みについていろいろ勉強いたしているような状況にあるわけでございます。
 それとあわせまして、ことしの四月一日におきまして実施したわけなんですが、厚生省からの補助金をいただきまして、遠隔操作による医療の体制も整備されてまいりました。現在、十二名の老人の方がその恩恵を受けております。しかも、ちょうど十九年ほど前に建設をしました特別老人ホームがちょっと総合的な施設から離れておりますので、そこにも一カ所その施設を配置いたしておるわけです。
 同時に、今度、町立病院ではどうしても対応のできない部分もございますので、郡内の中核の県立病院、新庄県立病院と申しますけれども、そこと私どもの町立病院とを結んでおきまして、そして私どもの町立病院で対応できない部分については県立病院の中央からの指示を受けて対応するという状況にまでなっておるわけでございます。
 現在、十二名の方の状況を見ますというと、やはりどうしても終末医療の対象になっている方が多いようでございます。これからどういうふうに変化するかわかりませんが、いずれにしましても受け入れ体制ができているということで、私どもも非常に喜んでおるわけでございます。同時に、町民にとっても一つの安心感を与えるということになってまいりましたので、ほとんどの対応ができるような状況になってきております。
 ただ、問題は、同じ郡内の町村の中でもまだまだ整備のおくれている地域もあるわけです。しかも、町村の状況によりましても財政状況の大変厳しいところもございますし、私どもの財政も厳しいわけなんですが、しかも小さな町村になってまいりますというとなおさらのこと、ゴールドプラン、いろんなこれからの体制の中で直ちにやるということも容易でない町村もあるわけでございますので、私は、できるならば共同化あるいは公営化ということを郡内の市町村長に呼びかけをいたしております。そして、できるならば私どもの施設整備を利用していただきたい。
 特に、行政は宮城県に近いわけですから、宮城県と行政は違うからということではなくて、お隣の鳴子温泉の鳴子町、そういうところの方々も利用していただきたいということで、今御利用いただいております。仙台の方も老健には一人、それからお隣の行政の違う宮城県の鳴子町からも四名の方が老健を利用しているという状況になっております。
 特別老人ホームにおきましても、十八年前に建設するときに、私は、やがてそういう時代が来るだろうということから、ショートステイの問題、これは四床分だけは設置しておったんですが、なかなか四床分だけでは足りないような状況になってまいりましたので、ちょうど四年前に十二床分をふやしまして、現在十六床分のショートステイを含めておるわけです。
 したがって、特別老人ホームには十六名、八十名ですから、九十六名の老人の方が利用されている、そういう状況の中で、町外の方が約三割を占めておるような状況になっております。老健関係におきましても、五十名の施設でございますが、先ほど申し上げましたように県外の方も利用しているという状況になっております。
 それから、いち早く、ちょうど今から十三年ほど前なんですが、東京都からの委託事業でございます知的障害者の施設、これは八十名の方が入寮されているわけでございます。このことについては、私の方は土地を提供するということで土地を提供しまして、現在八十名の方が入寮いたしておるわけです。
 非常に環境に恵まれた地域でございますし、また、先ほど冒頭に御説明申し上げました、私どもの集落の中で地域住民と溶け込んだ、いわゆる全く住民とのかかわりのないというようなことではなくて、自由に出入りするような環境の中で生活をしているということで、東京都の御父母の方とか、そういう方々から大変喜ばれているような状況でございます。そこには御承知のとおり大断面集成材というアメリカの木材を利用した、夏冬あるいは雪の日も雨の日も風の日も冬期間も自由にその施設の中で運動ができる、そういう施設も完備をいたしております。そこには暖房もありますので、老人の方々が好きな運動もできる、あるいは場合によっては知的障害者の方もそこを利用するというふうなことで整備をされておるわけでございます。
 私は、四十五年に町長に就任した当時から財政が非常に巌しかったわけではございますけれども、やがて公共的な施設を整備する場合には土地の取得が大変だろうということで、苦しみながらも土地の先行取得というようなことで整備を進めてまいりました。広大な面積でございますので、かつての国鉄の駅が七つもあります。その七つの駅前をちょうど十八年ほど前から全部買収いたしました。その当時は非常に安い価格でございましたので、どこの町村長も気がつかないうちに買収をしたわけなんですが、そういう土地が現在非常に大きく活用されておるわけでございます。言うなれば、代替地の土地にも変わってくるとか、あるいは公共施設を建設する場合に容易にその場所を利用して建設できるとか、あるいは公営住宅を建設する場合の用地になるとか、そういうふうな形で進めてまいったわけでございます。
 要は、やっぱり地方行政も発想の転換というものが必要ではないかというふうにかねてから私は考えておるわけでございますが、二十八年間を振り返ってみますというと、そういうことが現在の町づくりに大きく貢献しているんではないかというふうに思っています。
 ややもするというと、福祉は金がかかるということで非常にちゅうちょをする傾向にある町村もあるわけでございますが、何が重大であるかということを考えた場合には、やっぱり福祉の充実ということが私どもに課せられた最大の問題ではないかということで取り組んでまいったわけなんですが、それらが現在実を結んで、町民そのものが大変安心して暮らせる状況になったんではないかというふうに思っております。
 いろいろ申し上げることがたくさんあるわけでございますが、いずれにしましても、これからの行政というものは、特に財政が厳しくなってまいりますので、発想の転換を図りながら、それぞれの町の個性というものがあるわけですから、そういう個性を生かしながら地域づくりをするということが大事ではないかというふうに思っております。私自身も、二十八年間の中で考えてみますというと、発想の転換が功を奏したんではないかなというように思っております。
 かつて七つの駅の駅舎を改修するときに、国鉄の方からは財政が厳しいから駅舎の改築どころではないというふうなことをよく言われました。そういう際に考えたのが、御承知のとおり陸羽東線なんかは、一九〇六年にできました大変古い鉄道が通っておったわけなんですが、そういう地域の中には必ず雪よけのための防雪林というのがあるわけでございます。ところが、余り適当な金がなかったというようなことから非常におかしい状況になっておったわけなんです。私はそういう状況を見ておりましたので、国鉄の方にはできるだけ金は出させたくない、できるならばその防雪林の間伐材を利用させていただければ金はもらわなくともいいだろうというようなことで、国鉄の方の防雪林の間伐材を利用して木材を利用した駅舎をつくったり、あるいは公民館駅というようなことで併設した駅舎の改築を行ったわけでございます。言うなれば発想の転換がそういうようなことで功を奏したんではないかなというように思っているわけでございます。
 いずれにしましても、行政も私は一つの株式会社ではないかというように思っております。住民に対していろんな創意工夫をしながら、その発想の転換の結果によってサービスの提供が新たにできるということ、そういう観点に立っていろいろ行政の推進を図ってまいったわけでございますので、比較的そういう状況の中で、苦しい財政の中にありながらも約六十億投資をしました環境、いわゆる福祉、保健、医療というような形で整備ができてきたものだろうというふうに思っております。しかも六十億の中には、建設省には建設省のメニューがあります。それから、厚生省には厚生省のメニューがあります。農林水産省には農林水産省のメニューがあります。そういうメニューをいかにしてうまく活用するか、あるいは結びつけるかということが我々首長の問題にかかわってくるんではないかというように思っております。
 したがって、六十億の投資の中で、借金も随分ありますけれども、いろいろ地方交付税の対象になるものもあります。病院を建設すれば病院事業債に対する特典もございます。病床数に対する特典もあります。あるいは救急医療に対しては救急医療に対する特典もあるわけでございますから、そういうふうなものを総合的に勘案しますというと、大体半分程度で借金返済も十分できるという状況になってきております。
 財政が厳しくなってまいりましたけれども、町村民の中には、建物はできたものの一体借金をどうするんだというようなことでいろいろ懸念をされる方もありました。しかし、現在こういう厳しい中にあっても投資したことに対して特に大きな問題がなく運営されているわけでございますから、やっぱり早くやったことがよかったんではないかというふうに考えておるところでございます。
 いずれにしましても、これからは何としても福祉は充実をしなくちゃなりません。国民健康保険制度ができたのは昭和十三年でございます。一九三八年なんです。あの当時のことを考えてみますというと、戦争の甚だしきころでございましたので、いわゆる上意下達といいますか、たった一つの指令に基づいて国民健康保険というものが成立をいたしたわけです。私もあのときに、昭和十七年から役場に入っておりますから、いろいろ苦しい思いもしましたけれども、現在の公的介護保険制度には何年かかかっていろんな論議が闘わされました。しかし、直接住民と接するのは私ども町村長でございますから、最も住民にいろいろなことでかかわっているというような観点からいっても、当然当事者になるのは市町村長ではないかなというようなことで、公聴会におきましてもそれらを強調してまいったわけでございます。
 私どもの町は一万二千五百人の人口でございますけれども、私が目をつぶりますというと、どこの家庭がどういう状況にあるか、どこにはどういう老人が寝たきり状況になっているか、大体目に映じてくるわけでございます。そのような観点から、私は公的介護保険制度については事業主体はあくまでも市町村長であるべきだということで強調してまいったわけでございます。しかも、ドイツと違って今度は公的介護保険制度ですから、半分は政府が責任を負うというような状況になっておりますので、なおさらのこと、いろいろ検討してみますというと、当然、我々が考えておったことが昨年度国会を通過したというようなことで大変安心をいたしているわけでございますが、これからの問題としましては受け入れ体制の問題ではないかというように思っております。
 何といっても、いろいろな仕事をするためには、その前提としてケアマネジャーの養成が第一に考えられるわけでございますから、差し当たってケアマネジャーの養成についてどういう手だてをするかということでいろいろ腐心をいたしております。
 この間ようやくテキストなんかも手に入るようになってまいりましたけれども、あれも大変高いんですね、一冊五千円と言いますから。そんなことで、全部の職員に配るということは大変でございますから、町の方でこれを購入して、ことし受験をする院長を初め保健婦、理学療法士あるいはホームヘルパー、そういう方々に勉強してもらおうということで配付をして、ぜひ最上町は受験した者は全部合格するというふうなことで今ハッパをかけております。そして、できるならばそういう資格の取れない町村に私どもの町から応援しようということで今一生懸命取りかかっておるところでございます。
 幸いに、現在、従来は大変苦労してまいりました医師の確保については、山大の医学部の先生方が大変一生懸命取り組んでくださっておりますので、そういうふうな問題は従来と違って心配しないで済むようになってまいりましたので、それだけでも私は非常に今安心感を持っております。今、私どもの院長を初め内科の先生、外科の先生、婦人科の先生、整形外科の先生、みんな一生懸命やってくれておりますけれども、特に私が感謝を申し上げるのは夜間診療をやってくださっているということでございます。
 恐らく夜間診療をやっているところは病院にはないんではないかというふうに思っておりますが、それは何でかと申しますというと、私どもの町は県境でございますし、どちらかというと仙台圏の経済圏に入っておるわけです。農業情勢が非常に厳しくなってきておりますので、しかもことしは減反が三分の一という状況になってきております。三分の一は米がつくれないという状況でございますから、どうしても出稼ぎに行かざるを得ないというような状況にあるわけです。それらの方々がもし体が悪いというようなことで日中休んでしまいますというとお金をもらうことができませんので、できるならば夜間にそういう方々のために診療しましょうというようなことで、院長みずからの発案で夜間診療までやってくださっております。私は、そういう点では非常に安心をして大変感謝を申し上げておるわけでございます。
 最後に申し上げたいことは、日本の行政は縦割り行政でございますので、末端の町村長としては最大の苦しみなんですね。せっかくいろいろやろうと思っても、その縦割り行政のためになかなか効率的にできない場面が出てくるわけです。これは福祉の状況の中にもありますけれども、ようやくそれらに対してそれぞれの各省もわかってまいりましたので、いろいろ解決をされる場面が出てまいりました。しかし、まだまだそういう点が解決されない場面があります。
 例えば学校関係で申しますというと、給食関係は、学校はもちろんでございますが、今は一カ所から幼稚園の方にも同じ給食の供給ができるわけです。ところが、保育所の場合ですと、各保育所にそれぞれの職員を配置し、それぞれの設備を行って、そして五十名なら五十名あるいは百名なら百名のところにそれぞれのそういう供給体制、しかも一食分しか供給することがないわけです。文部省と同じように一カ所で済むものを、なぜ五カ所も六カ所もそういうふうな設備をしなくちゃいけないか、これは非常に不合理な点ではないかと思います。
 もし、それができるとするならば、そういう方々は配置転換で福祉の方の充実に回すことができるわけですから、よりよい福祉の充実ができるんではないかというふうに考えられるわけです。これは文部省と厚生省ですからそれぞれ違うのは当然だろうと思いますけれども、できるならばそういう状況にしていただきたい。
 しかも、私どもの病院を含めまして今考えられるのは、問題はどうしても社会的な入院、そういうふうな方もたくさんおられるわけです。そんなことを考えた場合には、家庭的な事情もあるわけですから、三カ月が過ぎたからもう出ていきなさいというわけにはまいらないことも出てくるわけです。そういう状況を考えますというと、どうしても療養型病床群に転換せざるを得ないということを現在考えております。できるならば、直ちに十五床ぐらいの療養型病床群に病院の一部を切りかえをしていきたい。そうすることによって私どもの老人の方すべての人がそれぞれの恩恵を受けることができるというふうな状況になってきております。
 今温泉を利用した入浴設備も行っておりますし、またデイサービスでは大体八十名の方が利用されております。それは一日に大体十五名ないし十六名程度が精いっぱいでございます。そういうふうな手足の不自由な方あるいは歩行の困難な方が多いわけでございますので、二十名の予定でございましたけれども、どうしても十六名程度が限度であるということで、一週間に何とかもう少しふやしてもらえないかというのが老人の方々の切実な声でもあるわけでございます。
 私は、九月には八選目に向けての選挙が始まります。どうしても福祉の充実というふうなことで、もう一期やれということで今ハッパをかけられております。これからどうなるかわかりませんけれども、これからは私の責任だと思いますので八選目に挑戦するということになるだろうと思いますが、今の状況を見ますというと、福祉を充実したことによって、これもまた無競争になるのかなというような感じも持っているところでございます。
 いずれにしましてもそういうふうな状況で、私どもの老人の方は何ら心配なく生活をするということができるような状況になってまいりましたので、これは私どもの老人のみならず、隣の町あるいは隣の村にも波及をしてまいりたい。しかも、波及効果が非常に大きいわけです。三百名近くの人が働いておりますし、また経済的な効果を見ますというと、大体十五億かあるいは二十億程度の波及効果があるのではないかと思っております。
 今、私どもの町では政府の買い上げ米が昨年度は十万俵でございました。これが一万五千円にしますというと十五億ですけれども、十五億が丸々懐に入るわけではございません、その半分しか入らないわけですから。ところが、福祉を充実したことによって御承知のとおり十五億の金が、商工業者はもちろんのこと、すべての地域に大きな影響を及ぼしているわけでございます。福祉はただ単に金がかかるという問題ではなくて、我々のような恵まれない地域にとっては大きな経済効果をもたらしていくんだということを御理解賜りたいなというふうに思います。
 少し時間がありますけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#43
○会長(鶴岡洋君) どうもありがとうございました。
 以上で中村参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後五時ごろまでをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑、答弁とも簡潔にお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#44
○松あきら君 資料をいろいろ見せていただきまして、今お話も伺っておりまして、どこの町でもあるいは市でもこんなふうにできたら本当にすごいんじゃないかと思いましたけれども、実は私はこの財源は一体どこから出ているんだろうと非常に疑問だったんです、もちろん補助金もあるんでしょうけれども。でも、もう十八年前から七つの駅前を買ったというような、本当に発想の転換でもってその財源も補ったというようなお話も伺って、失礼なんですけれども、多選はいかがかなんという話もありますが、やはり私は実年齢と能力年齢というのは本当に別なんだなということをつくづく感じた次第でございます。
 そしてまた、過疎地における雇用というのは、福祉を基盤としたこういうことで非常に経済効果が上がるんだといういい例でもあるなと思うんです。
 しかし、今おっしゃっておりましたように、最上の町の方たちだけですとやはり人口の問題もありますので、今、仙台とか宮城県の何とか印とかから来ていただいているという話も伺いましたけれども、これだけの施設があれば、例えば距離的な問題さえなければ東京の人だって利用したいわけですよね、近くになかったりすると。しかし、仮に東京から最上まで、ちょっとこれ調べたら往復で二万五千円ぐらいかかるわけです。そういう費用の問題なんかを解決すればもっともっと利用したい人が遠距離でもいるんじゃないか。そして、最上の町のためにも、それも費用がかかるからあれなんですけれども、例えば東京を中心とした関東一円に遠距離バスなんかを定期的に出しますよ、往復させますからそういう方たちも受け入れますよみたいな、そういうことも考えていらっしゃるのかどうか、それを伺いたいと思います。
#45
○参考人(中村仁君) まだ遠距離のことまでは考えておりませんけれども、実は今宅地造成を行っております。八十軒分なんですが、既に三分の一は入居をいたしております。
 それはどういうことかといいますと、知的障害者の方は東京の方がほとんどでございますから、どうしても将来退職した場合には子供さんと一緒にそこで生活をしたいということなんですね。雪が多いものですから、何か特色を生かさなくちゃいけない。幸いにも温泉が出ますので、温泉を活用したならばほかでは味わえないよさというものが出てくるわけでございますので、そういうことを考えた場合には、宅地造成をしても十分うまく御父母の方などの考え方に応ずることができるんではないかということで、まず手始めに今八十軒分の宅地造成をやっております。それは坪当たりにしますと五万円というようなことで、百坪五百万円で分譲いたしております。公共下水道、水道、電気、一切合財、食べるばかりにして、今そういうような状況になっておりますが、今度それが終わったならば、温泉地のあるところにそういう施設を整備していきたいというふうなことを今考えております。
 そこは御承知のとおり、私はいち早く、林野庁の営林署のかつての苗畑なんですが、それを坪当たり三千八百円でだれも気のつかないうちに買収しておりましたので、約四十ヘクタールほどあるんですが、今の価格にしますというと恐らく何十倍にもなっているんじゃないかというふうに思います。そういう土地を利用しますというと、まだ九ヘクタール残っておりますから、そこにそういうものをつくっていきたいなというふうなことで今考えております。
 遠くからのことについては、これからいろいろ先生のお話を参考にして検討してみたいなというように思います。
#46
○有働正治君 大変感銘を受けてお話を聞かせていただきました。
 事前にいただきました資料によりますと、あえて経済効果というのを数量的に試算されて、データも示されているわけでありますけれども、福祉に携わっておられる方々の所得、給料等から約十四億円相当だと十ページの「(2)町職員を含めて計算した場合」に出ています。それから、そういう施設があるために地元でいろんな物品、野菜等々も購入される、そういう影響が二億七千四百万円に達していると。それから、視察、見学者等々も相当多いようで、間接的に宿泊等々を含めて、手土産も含めてでしょうか、二千万円にもなると。こういうことをお書きになっておられるわけでありまして、それらを合計しますと十七億数千万円、それにその方々の税金その他を含めたら相当の金額に上る。
 それから、先ほどのお話だと、米が大体十万俵で、一俵当たり一万五千円として十五億で、実際農家の懐に残るのは半分ぐらいだという点から考えますと、有数の米どころであるにもかかわらず、それよりもはるかに福祉に係る経済の波及効果が大きいということが言えると思うんです。
 実際これほどまでに大きいと予想されて、そこまで最初から計算されてやられたんではないと思うんですけれども、実際こういうのを試算されてみた結果、やはり一大中心産業と言ってもいいんじゃないかなというふうにも感じて、地域の活性化なりこれからの発展、村おこしの上でも非常に重要だと。当初の予想その他から見まして、どういうこういう経済効果についての感想なりをお持ちか、まずちょっとお尋ねしたいと思うのであります。
#47
○参考人(中村仁君) 今、先生おっしゃったとおりで、私はこういう考えを持って、そしていよいよ具現化するときにもどの程度の波及効果があるかということはもちろん考えておりませんでした。
 ところが、いろいろやってみますというと、相当の投資をしているものですから、住民の方からそれだけの借金をやって果たしていいのか、後年度に及ぼす影響も大きいのではないかというような声もあったものですから、では一体その波及効果がどの程度あるかということでいろいろ計算してみますというと、そんなに我々が考えておったようなものではない、非常にすばらしい経済効果を上げられるんだと。私は部落あるいは集落の集まりなんかへ参りますというと必ずそれを申し上げるわけです。そうするというと、地域の方々もようやく納得してくださるわけです。何も心配する必要はないんだよというようなことで申し上げておるわけなんです。
 私どものような小さい集落に有用な企業の誘致問題を議会の方からも年がら年じゅう質問されます、企業をもっと誘致すべきでないかと。私は、産業空洞化の中でなかなかそういう企業は、うちの方より条件のいいところは幾らでもあるわけですからそう簡単には誘致することができないということをお答えしているわけなんですが、なかなかその辺が納得のできないところでございますけれども、ようやく最近この成果があらわれてまいりましたのでそういう質問もなくなってまいりました。
#48
○有働正治君 最近、最上町を福祉の充実と町の活性化とのかかわりについて紹介された本を私拝読させていただきました。松尾芭蕉が非常にへんぴで自然環境も厳しい貧しい町だったということで、記録にも残っている、その松尾芭蕉が「夢は枯野をかけ廻る」という句を最後に詠んで、最上町でそういう緑の野を駆けめぐるような状況に今なってきているんだということがここに書いてありましたけれども、今のお話を聞いて非常に重要な提起ではないかなと感じたわけです。
 ちょっと二点だけ簡潔にお尋ねするんですけれども、例えば列島改造論の中でもそういうのを、つまり往々にして公共事業一辺倒の施策が、公共事業を私ども否定するわけではありません、地域の活性化の上で非常におくれていたり、充実することが必要という前提ですけれども、同時に、こういう福祉の経済効果と公共事業の経済効果等々を考えられた場合に、公共事業の場合は確かに一回きりの経済効果といいますか、福祉の場合にはかなりそれが今後ずっと続くというそういう違いもあろうかと思うんですけれども、ここらあたりの違いなり大事さなり、福祉の経済効果という点から見てどういうお考えなのか、その点が一点。
 それから、全国から視察に来られて、うちではなかなか難しいという御意見等もあろうかと思うんです。その場合に、どういう点で疑問その他が出されて、全国でやっていく上でどこがキーワードになっていくのかというあたりをちょっとお示しいただければと思うのであります。
#49
○参考人(中村仁君) 後段の方から申し上げますと、やはり市町村長はそれぞれ現在の問題についてはいろんな関心を持って取り組もうとする、そういう姿勢をみんな持っているんではないかと思います。
 ただ、財政の問題を考えると、それぞれの市町村はそれぞれの背景があるわけですから、したがって一概にやれないという部面もあるんではないかと思うんです。だけれども、何が重要であるかということを考えた場合には、やろうと思えば私の町のようにやれるわけですから、問題はそれぞれの市町村長さんの考えにあるんではないかなと思います。やったからといって町がつぶれるとか倒産するとかということではないわけですから、それはやっぱりみずからが汗をかいて、何が重要であるか、人の命を守るということが何であるかということを認識してかかればやれないことではないんではないかなというふうに、私は実践してそういうふうに感じております。
 それから、列島改造論の問題なんですけれども、これも実を言うと私は逆の発想だと思って、何をやったかというと、ちょうどポツダム宣言によって農地解放がなされました。ところが、山とか原野というものはあのときには解放にならなかったわけです。たまたま私どもの町は馬産地でございましたから、約二千四百ヘクタールの土地が町の方に解放になったわけです。たった四万円のお金でございました、昭和二十二年の年でございましたけれども。ところが、二千四百ヘクタールの土地を町が所有しておっても何ら生かされないわけです、これは広大な土地でございますから。したがって、それを考えた場合には、農家のための土地の取得というものはなかなか容易ではございませんでしたので、農家の後継者に意欲を持たせようというふうなことで、実は財産の形成を図ろうということから三つの考えを出したわけです。
 一つは、自然を守るために植林をしなさい。一つは、畜産をやるための採草地を造成しなさい。もう一つは何かといいますというと、あの当時はまだカヤぶきの家もあったわけです、今はほとんどカヤぶきの家はありませんけれども。そういうカヤの土地をつくりなさいというふうなことで、三つの条件を提案しまして、最終的には植林をするということが一番多かったわけです。これはほとんど林野庁の方から金をもらいましてやったものですから、現在は一千九百ヘクタールの土地が植林をされております。その結果、山田の方は水が足りないということがなくなってきたわけです。周辺が全部町有地でございますから、外周が国有林になってしまうわけなんです。そういう経済効果も今は出てきている。
 したがって、私どもの町は今現在千三百戸の農家でございますけれども、実質的には一町歩、千九百町歩の土地が得られたわけですから、言うなれば六百人の農家以外の方が山持ちになっているということです。全部町民の、山を持ちたい人には山を持ちなさいと。これは三百坪を千六百円で払い下げをしたわけです。千六百円の金というのは、言うなれば町の方では一町歩、三千坪二十円で貸しておったわけです。ところが、なかなかその二十円も納めてくれない人がおるわけです。はがき代は現在五十円ですけれども、あの当時四十円になってしまったわけです。そうすると、督促状をやるというと二十円がまたマイナスになってくもわけです。そんなことをするよりも、むしろ農家に意欲を持たせようということでそれをやったわけでありますが、おかげさまで現在では千九百町歩の山林が出てまいりました。もう既に二十五年間たっているわけですから、もうあと二、三十年たてば大変な成木になってまいります。全部農家の方は山を持っておりますし、農家以外の方も六百人の方が山を持っているというような状況になってきているわけです。まだふえてくるんではないかと思います。
 その一部をまた町の方では、平たん部約二百ヘクタールほどあるんですけれども、そこを冬期間になりますというとスノーモービル、乗馬あるいは子供の遊び場、いろんな施設を整備しております。新庄まで新幹線ができてまいりますので、私はそれらを拠点に整備をしようというふうなことで、現在五十万人の観光客が入ってまいりますけれども、温泉だけではどうにもなりませんので、それらを整備して誘導策の一環にしようというふうなことも考えております。
#50
○朝日俊弘君 発想の転換を含めて、大変貴重なお話を伺ったと思います。三千三百の自治体がみんな町長さんのような方であると大変いいのではないかと思っています。
 元気のいい話の後でちょっとけちな話を幾つかお聞きしたいと思うんですが、大まかな話は先ほどの話の中で触れられたんですが、いろんな施設をつくっていく、当然財源が要る、補助金と起債とで何とかやっていかれたんだと思いますが、一つは、町の財政として、今例えば公債費の負担比率でいったらどれぐらいの借金を抱えておるのかという、もうちょっと具体的に聞かせていただければと。
 それからもう一つは、実は私も自治体病院の出身でして、自治体病院に行くといつも病院経営が赤字で困るという話をよく聞くわけですが、比較的小規模な町立病院だと思うんですけれども、この病院事業の経営状況がどんなんだろうか。例えば病院事業に対して町の一般会計から相当繰り入れているのか、繰り入れなくても病院事業会計だけで何とかやれているのか、その辺の経営状況、町の経営状況と病院の経営状況をちょっとお知らせいただければと思います。
#51
○参考人(中村仁君) 自治省あるいは県の方からいろいろ私どもの予算編成にはそれぞれの指導があるわけです。危険信号というのは大体公債比率が二〇%を超えた場合ということを言われるわけです。それからもう一つは、一二%から一五%あたりまでは気をつけなさいということを言われておるわけです。現在、私どもの一般会計の公債費の比率は一三%です。それから考えますというと、まだまだ余裕が私はあるんではないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、病院会計でございますけれども、確かに病院は現在は赤字でございます。公債費が現在年間三億程度償還しなくちゃいけません。しかし、その中のことを分析してみますというと、さっきも申し上げましたとおり、その半分程度は救急病院に対する補助とか地方交付税で見られる分とか病院事業債に対する特典とか、そういうものを入れますというと、ちょうど最上町は早くやったというような観点からことしがピークなんです。三億ぐらい出すんですが、その三億のうちの一億七千万程度が一般会計から繰り出しをしておったんですが、あと二、三年もしますというと半分程度になってまいります。だから、そんなに財政を圧迫するということにはならないんではないかというふうに思っております。
 大体、過疎債、辺地債あるいは病院事業債ですね、そういうできるだけ有利な長期債を利用しているわけですから、現在の段階ではむしろ広域関係の負担金よりも少額であるというふうな状況になってきております。
#52
○朝日俊弘君 ありがとうございます。
#53
○栗原君子君 実は私もこちらへ出るまでは長く町議会の方にいたものですから、議論の中で私たちは福祉を充実するようにということを訴えておりました。そうすると男性議員の方から、福祉よりかもっと道路をつくれとか橋をつくれとか、そういう議論の方が強くなってきましてなかなか福祉が進まなかったという体験を持っております。これが一点。
 それで、議会の中で福祉よりかもっとそういう道路とか橋とか、そういった公共の土木事業をやれといったような声がどの程度出ているのかということをお尋ねしたいこと。
 それからもう一つは、いろいろ施設をつくっていらっしゃいますよね。町民体育館とか野球場とかサッカー場とか、さまざまそうした施設をつくっていらっしゃるんですけれども、そうするとどうしてもそこに人を置かなきゃいけませんですよね。よく過疎の町へ行きますと、施設はっくったもののなかなかそこへ人を置くことができないとか、あるいは児童公園をつくりましても草ぼうぼうになっている、そして児童公園を使う子供すらもいない、まあゲートボール場は何とか繁盛しているといったようなことが多く見られるんですけれども、そうした後のケアといいますか、その施設を維持管理するためのそういった予算なり事業というのはどのようにしていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#54
○参考人(中村仁君) 私どもの町の場合ですと、振興公社というものをつくったわけです。福祉は一日も休むことができません。しかし、一般、役場のような場合ですと週休二日制というものがあるわけですから、だけれども福祉は休むわけにはまいりませんので、それを補うために振興公社というものをつくったんです。
 その振興公社の対象になっている人というのはどういう方かといいますというと、六十歳定年でやめられた方であるわけです。そこにはいわゆる保健婦の方もおるしホームヘルパーの方もおりますし、いろんな方がおるわけです。その方々からさらに五年間勤めてもらおう、町に協力してもらおうというふうなことから、十万円ずつの出資をしていただいて、それに町の方でも出資をしまして五百万で振興公社をつくったわけです。その方々からいろいろ派遣をしていただいて、そして福祉の充実を図ろうということでやっているわけでございますから、そういう心配もないということです。
 それからもう一つは、どうしてもマンパワーの問題が出てきたわけです。そういう職員を養成することの方が大事だろうということから、私どもの町には県立の高等学校の分校があるわけでございます。そこに県の教育委員会の方にお願いを申し上げまして福祉課程を設置していただきたいと。県の教育委員会では直ちにこれにこたえてくれました。そして、私どもの院長先生とか総婦長とか看護婦さんとか、そういう方々が指導に行っておるわけです。そんなことから、その方々が卒業しますというとうちの方の施設の職員として採用されて、福祉の資格を取ったりいろいろな資格を取っておるわけです。十分それで対応できているわけです。だから、マンパワーの確保ということは何ら心配する必要もなかったということなんです。
 だから私は、それは考え方によってはいろいろ対応が十分できるんではないかというふうに思っておりますし、また、うちの方の議会の方々は非常に理解があるものですから、私に対して福祉に金をかけ過ぎだとか道路を早くやれなんと言う人は一人もおりません。それは私は大変幸せだなというふうに思っています。
#55
○吉田之久君 町長さん、千一メートルで温泉が出てよかったですが、温泉の温度は何度ぐらいなんですか。
#56
○参考人(中村仁君) 五十二度です。
#57
○吉田之久君 それ一本お掘りになっただけですか、本数は。
#58
○参考人(中村仁君) 一本です。
#59
○吉田之久君 一本。まだふやすお気持ちはないんですか。
#60
○参考人(中村仁君) 今のところ間に合っているものですから。
#61
○吉田之久君 なるほど。
 それから、山林をたくさん町民でお持ちになってというお話を聞きまして、非常に結構なんですが、私も奈良県で、奈良県も山ばかりなんですが、ここのところ木を切っても市場へ運ぶ運び賃も出ない、運送料も出ないぐらい木は全然だめなんです。そんなことは御町では御心配はないでしょうか。
#62
○参考人(中村仁君) おかげさまで作業道、林道が整備されましたから。やっぱり便利の悪いところではどうにもならないんです。特に、私のところの郡内には大山林王もおられるわけです。そういう方々の話を聞いてもそういうお話がなされます。
 しかし、私どもの場合は、昔と違いまして、団地造林をするとき既に、林道、農道あるいは作業道の整備が先決だというふうなことで、大体それに伴って十八億程度の資金が投資をされましたから、どんな山奥にでも林道が整備されましてそういう不便な地域がないというような状況になってきております。これからはどういうふうになるかわかりませんけれども、現在の段階ではそういう心配がないんではないかというふうに思っております。
 国産材の問題はこれからどうなるかわかりませんけれども。
#63
○吉田之久君 特別養護老人ホームの入所者などを見せていただきますと、みすぎ荘二人とか、えんしゅ荘二人とか、大変少人数で預かっていらっしゃるところがありますね。それでもちゃんと人を置いてケアしなきゃならないといたしますとなかなか人件費も大変だと思うんですが、いわゆるボランティアのような方々も手伝ったりなさっているのでございますか。
#64
○参考人(中村仁君) 先生のおっしゃったとおり、我々行政が幾ら一生懸命やってもこれはなかなか徹底を期することができないだろうというふうに思います。したがって、私は何といってもボランティアの協力がなければ福祉の充実ができないと思います。ボランティア活動は、私ども高等学校を中心にしながら、中学校ももちろんでございますが、非常に従来から盛んな地域でございます。盆地的な地域でございますのでお互いが助け合わないというと生活ができない、そういう考え方から芽生えてきたんではないかと思います。
 現在、ボランティアも、毎日のように婦人会の方々が三名程度デイサービスの方に出てきております。それから、ひとり暮らしの老人の方にはまた別の組織が毎日回っておるわけです。しかも、自分のお金を出し合って魚を持っていったりお菓子を買っていったりやっておるわけですけれども、そんなことを考えますというと、いかにボランティアの活動が大変であるかということです。
 つくづく私が最近考えていることは、デイサービスの状況を見ますというと、職員が比較的若いわけですから、しかもデイサービスの対象になっている方は年輩の方が非常に多いわけです。八十歳、九十歳の人がおるわけですから、そういう方は二十歳の職員と話がなかなかかみ合わない部分が多いわけなんです。ところが、ボランティアの方々というのは大体六十歳あるいは五十歳、そういう方々ですから非常に話がかみ合うわけです。だから、私の顔を見るというと、デイサービスを四回ぐらいにふやしてもらえないかと言う人が非常に多いわけです。何とかもう少しふやしていただきたいということで私いつも要求されているわけです。それはなぜかというと、やっぱり一般のボランティア活動の成果ではないかというふうに思っております。
#65
○吉田之久君 いろいろ麗しいお話を承りまして、どうぞ町長、あと四年も八年も頑張ってください。
#66
○円より子君 きょうはお話ありがとうございました。
 この十二ページの「最上町の福祉の状況」の「一人暮らし老人数」のところを見せていただいておりまして、今、全国平均ではたしか六十五歳以上でひとり暮らしをしている女性と男性の数は、女性の場合が六人に一人が六十五歳以上でひとり暮らしをしている。それから、男性の場合が二十人ちょっと切りましたかしら、五、六年前が二十人に一人でしたから、今十八人に一人ぐらい、ちょっとひとり暮らしの方がふえています。そういった状況の中で、六十五歳以上人口でひとり暮らし老人数の割合を見てみますと、女性の場合で十四人に一人、それから男性だと五十人に一人という形でひとり暮らしの老人数は大変割合としては少ないなと、全国平均から見ますと。
 同じ老人問題でも、都市部と逆に過疎化の進んでいる地域とで、過疎化の進んでいる方が大変だと言われ続けてきたんですけれども、今は都市部の方がひとり暮らしがふえてきてまた別の大きな問題が出てきているなんということも言われております。
 そういったこともあるんですが、ここにお書きになっていらっしゃるように、介護者の約七割が女性で、なおかつ家事、育児も担当しておりますし、また介護者のうち、介護者の側が六十五歳以上という形が六割で、健康問題を抱えながらなおかつ介護に当たっていらっしゃるという大変な状況があって、よく二階建ての老名介護なんということも言われますけれども、もちろんそういったときにボランティアの人たちの力をかりてそのネットワークを充実させることも大事かと思うんです。
 例えば、施設のバリアフリーだけではなくて、在宅で介護をしていらっしゃる方たちのために家をバリアフリーにするために補助をするとか、また介護機器をレンタルするとか、そういった在宅介護をよりしやすくするための、介護の労働の負担を少なくするためのそういったソフト面というか、施設をつくるだけではない、そういった方面はどの程度充実なさっているのか、その辺ちょっとお聞かせ願いたいし、また、そういった町長さんが本当に今まで頑張っていらした福祉の充実、地域の活性化には相当数女性たちの意見が入っているのかどうか、そのあたりお聞きしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#67
○参考人(中村仁君) 私の方では、例えば介護の場合、一番大きな問題は寝台の問題なんです。したがって、町の方で既にそういう寝台を獲得しておりますから、現在一カ月千円というようなことでお貸しをしているわけです。介護を要する方もそのベッドを利用して十分に対応できるような形をとっております。大分古くなったものもありますのでいずれは更新しなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っておりますが、今の段階ではいろんな問題が出ていないようでございます。
 同時にまた、女性の方でございますけれども、当然男性の方よりも女の方が多いわけでございますから、昭和十年ころですと平均寿命は男性の方が四十八歳でしたか、女性の方が五十歳というような状況の中で、親孝行をしたいと思うんだけれどもそのときには親がなしというような世代とは違っておりますので、それらを十分に念頭に入れながらソフト面の充実というようなことで整備をいたしておるわけです。
 さっき言った遠隔操作による医療関係の整備、それからもう一つは、同じボランティア活動を健常者の老人の方、雪の多いところでございますから、ややもするというと除雪をしないうちはその集落に参れない地域もあるわけです。その間は、やはり地域の中の健常者の老人の方から見守ってもらうというふうな組織もつくっておるわけです。だから、今の段階ではそういう心配も余りないと言えます。
 それから、介護に当たっている老齢者も大変ふえてきましたけれども、現在の段階では非常に喜んで奉仕をしてくださっているというふうなことで、いろいろ問題がないように私は受けとめております。
#68
○円より子君 今、ベッドを貸し出していらっしゃるということでしたが、寝かせきりにしないということもとても大事だということを書いていらっしゃいますが、ベッドだけじゃなくて、雪の多いところでバリアフリーの町づくりというのは大変かと思うんですが、でもなるべく少し足腰の弱った方たちに外に出ていただいたりということを、それが寝かせきりをつくらない一つの方法かなという気もしまして、そういったバリアフリーの町づくりみたいな点ほどのようになっていますでしょうか。
#69
○参考人(中村仁君) 先ほど申し上げました、一千メーターからの源泉があるわけでございますが、現在この廃湯を利用してハウス栽培をやっております。これは農林水産省の方から補助金をもらってやったわけなんですが、いわゆる健常者、それからノーマライゼーションというような観点から障害者の方からもお手伝いをしていただいて生産の喜びを味わってもらう。そして、生産したものは、病院で呻吟されている方あるいは家庭の中で介護を受けている方、そういう方々に新鮮な果物を供給する。例えば、昨年からメロンづくりもやりました。それからトマト、そういうふうなつくった物をそういう方々に供給して味わってもらう。
 例えば、私は今七十五歳でございますけれども、七十五歳の中村仁がつくったきょうのトマトが朝のメニューに出ておるんだよということになってまいりますというと、病床に呻吟している方々が、あの七十五歳の中村というのはまだ元気かというようなことで、あるいは気持ちの転換にもなってくるだろうというふうなことで、今そういう方々にお手伝いをしていただいて、野菜づくりあるいは花づくり、寝たきり老人の方にきれいな花を病床に飾ってやる、そういうことで参加もしていただいております。
#70
○有働正治君 せっかくの機会なので二、三お尋ねします。
 先ほどの質問とちょっと関連するんですけれども、いわゆる公共事業の波及効果と福祉の波及効果という点で単純に考えた場合、公共事業をやっているときには一時的な効果はあるけれども、なくなるとなかなかそういかないという状況もあると思うんです。
 ところが福祉の場合、例えば施設整備は公共事業的にそのときもあるし、でき上がって職員その他を含めまして事業を進めていくとなると、いわば恒久的な効果がいろいろお話を聞きますとあると。そういう点からいっても、やはりかなり発想の転換ということも必要ではないかという感じもするわけですけれども、そこらあたりがいかがかなという点が一点でございます。
 それと、過疎対策という点で、資料をいただきますと、高校で福祉関連の学校ができて、そこで福祉を学んだ人が地元にかなり残るようになってきていると。そうしますと、若い方が当然残っていかれますと結婚されて子供もできる、そうすると町もだんだんにぎわう、子供の声が聞こえるとか、それらを含めた過疎対策の上でどういう活性化なりなんなりの効果があるのかあたりの実情をちょっと御説明いただけないかと。
 それから、商店の振興という問題がこの中にございまして、地元からできるだけ物品、商品、農産物等々は購入する、お魚を購入するとかお肉を購入するとか、できるだけ公平に仕入れていただくとか、何かいろいろ工夫されつつ、同時に商店の振興になると。そこらあたりの商店の振興とのかかわり、といいますのは、商店の振興問題というのは全国的な大きな問題になっていまして、そこらあたりがどうなのかというあたりもちょっとお話しいただければ助かるなという感じです。
#71
○参考人(中村仁君) 公共投資と福祉の問題でございますけれども、過疎地それから山村地帯にとってはまだまだ公共投資をしてもらわないと困る部分が非常に多いわけです。
 ただ問題は、公共投資といっても、福祉の場合ですと直接住民に接するわけですから、これはやっぱり考え方が違うと思うんです、我々が住民と直接接してやる仕事が福祉でございますから。その他の公共事業というものは、これは大変失礼な話なんですけれども、一過性的な、できた場合には非常に感謝される。あと終わってしまいますと、それは当然だというふうに見られがちなんです、従来よりはよくなったというふうな感じだと思うんですけれども。福祉は、あくまでも毎日毎日が我々との触れ合いの中でやっている仕事でございますから、それは解釈を別にして考えていく必要があるのではないかというふうに私は思います。
 それから第二点の、高校に対する福祉課程の問題。おかげさまでうちの方の分校を卒業された方が三百名の中で三分の一合従事しております。それだけに雇用の拡大にもつながった、それから若い人が定着したということになっております。それでも現在、実を言うと嫁不足でございます。
 私、五日にブラジルから帰ってきたんです。なぜブラジルに行ったかといいますと、私の方にはブラジルから現在六年間ほど少年のサッカーチームがホームステイをしながらやってきているわけです。交流を結んでおります。来年度町制施行四十五周年でございますので、その御恩返しとして、実は少年に夢を与えようというふうなことで、二十五名を引率して宮城県の方々と一緒に私が団長になってブラジルのサッカーチームに行ってきたわけなんです。
 裏を返しますというと、それも大きな目的なんですが、第二点のねらいは、実は花嫁さんを日系二世の中から選べないかということでお伺いしたんです。日本の国と同じように考えておったものですから私は大変苦労しました。日本と違いまして二十二倍の面積のところでございますので、飛行機をチャーターしなければ出かけられないというふうなことで、そこの地域まで約一時間ほどかけて参りまして、日系の方のおるところにその話をつけに行ってまいりました。
 そんなことを考えると、やはり地元の中で定着させるということが大きな問題ではないかということで、実は教育委員会の方にお願いをして福祉課程を設けさせていただいた結果、その分校から今福祉大学に入校するという者もふえてまいりました。それらがやがてまた戦力になってくるのではないかというふうに思います。
 それから、商工業振興、これは当然大きな波及効果がございます。ちょうど私が帰ってきますと、すぐに給食センターが新しく開設したわけなんです。157の問題等がございましたので、新しく福祉関係のことを考えてそこに給食センターも移転したわけです。そうすると、病院の給食も、商工業者もそこで済む、あるいは学校給食の方もそこの一カ所で済むというような効率化が図られるわけですからそこにまとめたわけなんです。言うなれば、最終的にはすべてのものを福祉関係の拠点の中に整備をしよう、そして商工業者もその恩恵を受けられるような形に持っていこうというふうな形にしております。
 同時に、福祉関係を充実したことによって、県の方でも大変注目してくれております。道路のつけかえもしてくれているわけです。県道のつけかえをしてくれておりますので、これが大体六十億ぐらいかかるんだそうでございますけれども、その最終点が私どもの施設のちょうど裏手の方に道路ができます。ますます私どもの福祉関係の総合施設が利便性を得ることができるというような形になってくるわけでございます。これは十六メーターの道路で、県道のつけかえをしてくださっております。
#72
○有働正治君 ありがとうございました。
#73
○山本保君 二つほどひとつお聞きしたいんですけれども、一つは、ここに社会的入院が解消されたと。本当に大変だったと思います。これはなかなか難しいんですが、いわば特別養護老人ホームとか老健施設に入っておられたというのがあるんですが、これはなかなか数字ではわからないと思うんですけれども、在宅の方のお年寄りが非常にお元気になられたというような効果について、数字じゃなくて結構ですが、ひとつ教えていただきたいなということ。
 もう一点は、私もたしか以前施設の職員の研修でそちらにお邪魔したんじゃないかなという気もするんですけれども、温泉のいろんなのがありまして、そのときにはこの地方の方ではなかったのかもしれません。違うかもしれませんが、民間型のこういう福祉のようなサービスというようなものは町の中であるのでございましょうか。きようお聞きしていますと、ほとんど町営のような形でやっておられるということでございますけれども、そんなものがもしありましたら教えていただきたいと思います。
#74
○参考人(中村仁君) 社会的入院というのは当然問題でございますけれども、現在特別養護老人ホームの状況を見ましても、あるいは老健の状況を見ましても、三カ月を過ぎますというと帰りなさいということになってくるわけです、病院も同じなんですが。しかし、いろいろ検討してみますというと、どうしても家庭的な事情で帰れない人がいる。
 特に、私どもの町の場合ですと、冬になりますと寒いし、またひとり暮らしの老人は帰れと言っても帰れないわけです。そういう方々のことを思いますというと、当然ある程度その他のことで考えていかなくちゃならないんではないかというふうに現在思っております。
 言うなればアフターサービスといいますか、老健の中では預かれないものを新たに施設をつくって、そこで冬期間の間帰れない人を預かってもらうというふうな形のものも必要になってくるんではないかというふうに思っております。それができるというと、うちの方の場合は一〇〇%すべてのものが完備したというふうな形になってくるんではないか。
 当然、公的介護保険制度ができますというと経過措置があろうかと思いますが、必ず現在の時点の中でもそういう問題が出てきますので、それらは公的介護保険制度ができたから直ちに帰りなさいということは言えないわけですから、それらについては十分慎重に考えながら、そうなった場合の対応というものもあわせて考えていく必要があるのではないか。
 大体私の町の場合ですと、老健、知的障害者の施設は別としましても、すべてのものが完備しているわけですから、その恩恵が受けられない場合はいわゆるデイサービスを受けるとかあるいはショートステイの方でかわってもらう。そういう形に切りかえることが一つの町の中でできるというメリットがありますので、そういうトラブルが起きないような形に進めていきたいというふうに思っております。
 それから、民間型のものというのは、全国の七割が山村地帯でございますけれども、いずれも私は共通の悩みの中で、民間型というのはなかなか容易ではないのではないかというふうに思っています。民間型というのは、採算がとれなければ来るわけがないわけですから、当然行政主導型にならざるを得ない。特に過疎地あるいは山間地帯の町村はそうならざるを得ないんではないか。そうすることでいわゆるその統一的に一元化した整備というものができるのではないかというふうに思っております。
 仮に、私どもの町に民間のものが病院である、そしてほかのものは公共的なものだというふうになった場合に、一元的にできるかという問題です。私が指示を与えるわけにはまいりませんから、私がうちの方の院長に指示を与えるものとはおのずからこれは違ってくるわけです。幸いにも最上町の場合はすべてが私が関与した施設でございますから、そういう関係からいいますというと、非常にやりやすいといいますか、それから職員そのものも仕事がしやすいという状況ではないかというふうに思っています。
 民間型のものはございません。
#75
○山本保君 さっきお聞きしたこと、これは数字じゃないんですが、町長さんを拝見していますと、もう非常にお元気なお年寄りが多いんだろうなというふうに思っておるんですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#76
○参考人(中村仁君) 今のところ私も元気なものですから、公的介護保険制度をどういうふうな形に進めることができるだろうかということで、その責任の一端を今までやってきたわけですから、集大成としてどうしてもこの次もやりたいということで今張り切っているんです。
#77
○太田豊秋君 今までずっとお話をお聞かせいただきまして、よく世間では多選は弊害が出てだめだなんと、こう言う人もいるわけですが、町長さんの場合にはもう七期という、まさに五十年近く町の中で、そして地方自治一筋というふうな形でここまで御努力なさってきて、もう町の隅々まで全部御承知の上でいろいろな施策をやられている。それがある意味ではびっくりしたのであります。
 例えば平均寿命にいたしましても、まさに過疎の山間部の町とは思えないような形で、全国平均と同じぐらいの男性が七十六・三七、女性が八十二・一〇というふうな、こういった平均寿今まで上げられてこられている。これはまさに、今いろいろな施設を見させていただきましたけれども、一万二千人の人口の中でこれだけの施設を持っているというのは、私も行って住みたいな、安心して住める町じゃなかろうかなと、こんなふうにすら思っていろいろなものを見させていただきました。
 ただ、三世代同居の家庭がかなり多いようでございますから、在宅福祉というふうな中で、やはりある意味では在宅の福祉というものは介護する側の中でだれかが犠牲になっているということが非常に多いわけです。私自身も、私の家庭の中でおばあさんだとかおじいさんだとかいた時代からずっとだれかある女性の中の一人が犠牲になって在宅の介護をしていかなきゃならない、こういったことで今までも日本の介護というのは来ているわけです。
 今度いよいよ介護保険法が出てこれが発効されていきますと、私はその矛盾を感じておりますのは、例えばデイサービスであり、要介護者として認定された場合にマンパワーについてはある程度の費用が出ていくわけです。しかし、在宅介護をしながらやっている人にはそれらの費用みたいなものが出てこない。これは同一家族だからやるべきじゃないんだみたいなことなんでしょうけれども、現実におたくの町でこの在宅介護が始まったときに、そういった単に、何というんですか、家の中で手がありながら、マンパワーがありながら、しかしその要介護者の認定を受けた人は別な人が行ってやってもらわなきゃならない、こういったところに非常に矛盾を感じるわけでありますが、これらのことについてどんなふうにお考えになるのか。
 もう一つには、私どもの筆頭理事の方からお話が出ているのでありますが、おたくの町の場合には、この介護保険法が施行されて移行していった場合に何か問題があるのかな、ほとんど何の問題もない形で移行されていくんじゃなかろうかと、こんなふうに拝聴しておったんですが、その辺についてはいかがでございましょうか。
#78
○参考人(中村仁君) 確かに山形県は三世代家族が日本一なんです。私どもの町も三世代家族が非常に多いんです。
 ただ、問題は、今少産化時代に入っているわけですから、どこの家庭でも一人か二人、最上町の場合ですと一・六ぐらいの出生率、そういう状況を見ますというと、三世代家族といってもほとんどが共稼ぎでございます。農村が大体七割ですから、したがってそういう農村地帯の中で共稼ぎをしないというと生活ができないという状況でございますから、そういう状況の中で在宅の介護を要するということが出てきますというと、だれかがやっぱり仕事をやめなくちゃいけない、そういう状況になってくるわけです。
 そういう方が非常に多くなってくれば我が町の経済にも大きく影響してくるわけです。それが私どもの施設の整備によって救われるとするならば、その分だけ町のプラスになってくるわけです。町がマイナスになっておっても、住民がプラスになるとするならば私はそれでいいんではないかというふうな考え方で整備をしているわけです。必ずしも町がプラスにならなくちゃならないということではない。これは行政としては当然なことなんですから、そういう観点に立って仕事を進めているわけなんですが、そのことを考えるというと、今やっていることが決して私は町にとっては全体から見ればマイナスにはならないというふうに考えております。
#79
○会長(鶴岡洋君) 以上で中村参考人に対する質疑は終了いたしました。
 中村参考人には、お忙しい中、本調査会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト