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#1
第142回国会 国民生活・経済に関する調査会 第5号
平成十年五月十一日(月曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事
                尾辻 秀久君
                太田 豊秋君
                中原  爽君
                円 より子君
                山本  保君
               日下部禧代子君
                有働 正治君
                阿曽田 清君
    委 員
                大野つや子君
                狩野  安君
                金田 勝年君
                常田 享詳君
                橋本 聖子君
                平田 耕一君
                朝日 俊弘君
                川橋 幸子君
                吉田 之久君
                松 あきら君
                栗原 君子君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      塩田 薫範君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部長   上杉 秋則君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       総務庁統計局長  伊藤 彰彦君
       経済企画庁調整
       局長       塩谷 隆英君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       大蔵大臣官房審
       議官       大武健一郎君
       大蔵省主計局次
       長        細川 興一君
       文部省生涯学習
       局長       富岡 賢治君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省保健医療
       局長       小林 秀資君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       資源エネルギー
       庁石炭・新エネ
       ルギー部長    篠原  徹君
       中小企業庁次長  中村 利雄君
       郵政省電気通信
       局長       谷  公士君
       労働省労働基準
       局長       伊藤 庄平君
       労働省女性局長  太田 芳枝君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房総
       務審議官     小鷲  茂君
       建設省道路局長  佐藤 信彦君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村岡 輝三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (二十一世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 国民生活・経済に関する調査を議題とし、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○平田耕一君 よろしくお願いいたします。
 まず、人口構造の変化に伴う経済の動き、推移を少し詳しくお尋ねしたいというふうに思います。
 概略の人口構造の推移と、それに基づくGDPなりGNPなり一人当たりの生産高の推移というものと、それから一人当たりの所得ということにつきまして、二十一世紀といいますともう三年先でありますので、今積み上げて持っていただいている数字でよろしいかなというふうに思いますけれども、推測できる限りで、イメージするために、一人当たりの数字に直して推移を御説明いただけたらありがたいというふうに思いますけれども。
#4
○政府委員(中名生隆君) お答え申し上げます。
 今、委員からお尋ねがございまして、一人当たりで見た実質GDPの成長率、今後どうなるかということでございます。
 今後の一人当たりの成長率でございますが、まず全体のいわゆる実質成長率ということで考えますと、日本経済もこれから成熟化が進んでまいります。それから、人口問題研究所等から予測がされておりますように、労働力人口というのも伸びが鈍化し減少に向かうということでございます。そういう意味で、長期的には全体の成長率というのは低下していくものというふうに考えております。
 ただ、委員も御指摘ございましたように、これは、総人口というのが研究所の中位推計ですと二〇〇七年というのをピークにいたしましてその後は減少に向かうという、そういう人口の動きがございますから、一人当たりということで考えますと今後も堅調に伸びていくというふうに私ども考えております。
 それで、具体的にどういう数字になるかということでございますけれども、この点につきましては、現在、総理の諮問審議会であります経済審議会に経済社会展望部会という部会を設けておりまして、ここで構造改革後の姿ということで中長期的な展望の御議論をいただいております。六月をめどにその報告をまとめたいというふうに考えておりますけれども、この中で今お尋ねのございました一人当たりのGDP成長率等についても御審議の結果が明らかにされるというふうに考えております。
#5
○平田耕一君 それは審議会が審議をされると思いますけれども、経企庁としてお持ちの数字で結構でございますので、二〇〇七年がピークということであれば、余りそう超長期でなくても結構でありますけれども、例えば二〇一〇年とか二〇一五年とか、あるいは大ざっぱに見て二〇五〇年とか十年単位で見るとか、人口を総合的にこれくらいの動きで見て経済成長率をこのぐらいで見ていくと一人当たりこうなるんだというものを、経企庁の数字で結構ですからお教えいただきたいというふうに思うんですけれども。
#6
○政府委員(中名生隆君) お答えを申し上げます。
 今、経済企画庁ではどういう数字を持っているかというお尋ねがございましたけれども、実は経済企画庁といいますか政府の方で正式に発表を申し上げております数字というのは、現行の経済計画でつくっております二〇〇〇年までの数字ということでございます。これは一人当たりじゃなくていわゆる成長率という形で出しておりますが、二〇〇〇年までが構造改革が進んだ場合で実質三%、構造改革が進まない場合は一・七五%という数字でございます。
 それから、一人当たりということでお尋ねでございますので御参考までに申し上げますと、一九九五年から二〇〇〇年までというのは、大体、これは先の予測も含めての数字になりますけれども、人口の伸びというのは年々平均して〇・三%ぐらい過去に比べて低下してきているというふうに考えております。そう考えますと、例えば三%の成長であっても、一人当たりということになりますと単純に〇・三で考えれば二・七、そういう形の姿になろうかと思っております。
 それで、先ほどお答え申し上げましたように、さらに先についてどうなるかということになりますと、この人口の伸びはプラスから先になりますとマイナスへ変わっていくということでありますから、むしろ全体の成長率よりも一人当たりの成長率の方は高い、こういう姿になってくるというふうに考えております。
#7
○平田耕一君 二〇〇〇年から先の数字がないということになりますと、じゃ将来の少子化社会の経済の心配を合しているというのはなぜなのかということをお教えいただけませんか。なぜその経済が心配なのかということがよくわからなくなってくるんですけれども。
#8
○政府委員(中名生隆君) 今、委員からお尋ねがございましたように、人口の伸びが鈍ってくるあるいは減少してくるとどういう点で経済に問題が生じてくるかこういうことでございますけれども、人口の予測の方は先ほど申し上げましたように二〇〇七年といいますかある段階から伸びが鈍って減少に転じてくる。こういうことで考えますと、それに伴いまして、委員も御指摘しておられますように、一人当たりは別にして、全体としての成長率というのは、これが労働力人口の伸び等にも影響してまいりますのでそれだけ下がってくるということが考えられます。
 そういたしますと、税収の面で働いている人からいただく税金がどうなるかという問題がありますし、それから、よく議論をされておりますように、社会保障という面を考えましても年金等の掛金を払う人とそれから年金の給付を受ける人の比率というのが変わってくる、したがってこういう問題に適切に対処する必要が出てくる、こういうことではないかと思っております。
#9
○平田耕一君 質問の趣旨をお話しした方がよかったのかもしれませんけれども、労働人口が減ると経済の総生産高が減るとかというようなことを想定して、税収が減るから、だから年金やいろんなものの負担が難しいという議論になっているとは思っているんですけれども、私は労働力が減っても生産高は減らないんじゃないかと思っているんです。できたらその辺を根拠のある理論で積み上げてほしいなというふうに思ってお尋ねしているんです。なぜ労働力が減ると生産高が減るのかお尋ねしたいんですけれども。
#10
○政府委員(中名生隆君) お答え申し上げます。
 委員が御指摘されておられますように、一人当たりの生産性の伸びということでは今後も堅調な伸びが見込まれるというふうに考えております。この点につきましては、各産業での生産性の伸びを維持する、それから生産性の低い部門から生産性の高い部門へ労働力等がシフトをする、そういうことによって経済全体の生産性を高めていくということは今後とも可能であろうというふうに考えております。
 それから、人口の伸びが鈍化するあるいはその先減少に転じるということになりましても、女性の方々の働いていただく比率が高まってくるとか、あるいは高齢者の方であっても働ける状態にある意欲のある方には働いていただく、そういうことで労働力人口の伸びの鈍化を抑えていく、そういうことも可能である。そういう意味では、今後ともある程度の経済成長というのは可能だというふうに考えております。
 それからまた、人々の豊かさということでは、全体のGDPの成長率といいますよりは一人当たりのGDPというのが重要でございますから、そういう意味では生活の豊かさというのは確保される、そういう方向だろうと考えております。
#11
○平田耕一君 今の御説明でも、あくまで労働力が減ると全体の生産高は減るんだという前提のお話をされるんですけれども、減らないと思うんです。その前提はなぜなのかということを質問しているんです。
 例えば、よくお知りでお答えになっていると思うんだけれども、需要が減るということでもないと思うんです。一人一人の豊かささえレベルアップしていく、物的にもレベルアップしていくということであれば、物であれ何であれ需要量は違う形でふえていくわけです。そうすると、労働力が減っても需要はある。水準が高いものや何かで需要があるとすれば、あとは効率の問題であって、それはまだまだ工夫ができるので、私は、労働力人口の低下でもって経済が先細りになるという心配はないような計算をぜひしてほしいな、それはできるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#12
○政府委員(中名生隆君) 重ねてお答えを申し上げますが、私の申し上げておりますのは、経済の規模あるいは生産性が下がっていくということを決して申し上げているわけでございませんで、それは委員が御指摘のように、生産性を維持していくということは十分可能だろうと思っております。
 生産性を維持していくということは、それだけ一人当たりの豊かさというのは今後についても伸びていく。したがって、人口の伸びが鈍化するあるいは減少するから経済が衰退するということではなくて、一人当たりの豊かさを増進させていくということは可能であるというふうに考えております。
#13
○平田耕一君 そうすると、人間が減ったから食べる物が減るんだということでなくて、よりうまい物を食べよう、より広い家に住もうよということで、要するに需要は一定額あると、数は減るけれども。それを生産するための効率はよくなって、あるだけの労働力で賄っていけるとした場合に、必ず分け前はふえるわけですね、利益も。だから最初に質問した、一人当たり所得というのはどういうふうに推測してみえますかということなんですけれども、一人当たりの所得というのはふえると思うんです。したがって、可処分所得もふえていくということだと思うんです。既に教育費というのは五割とか六割とか言われているわけですけれども、そうした場合には社会ではきっと余り年金の負担とかそういうことも悲観的にならずに負担していけるんじゃないか。
 そういうああすればそう負担を心配せずともやっていけるというような試算をして、経済構造上どこをどうすればいいかということを明確にお示ししていただいて、みんなで示してやっていくという、そういう役所が経企庁やないかなと思うんですけれども、どうですか。
#14
○政府委員(中名生隆君) 先ほどお答え申し上げましたように、委員がいろいろ御指摘になったような点については経済審議会という場で、これは経済企画庁が事務局になっておりますけれども、六月をめどにということで種々の角度から御審議をいただいているということでございます。
 繰り返しになりますけれども申し上げますと、一人当たりの所得の水準というのはこれからも上がっていくというふうに我々ももちろん考えております。それから、そういうGDPあるいは国民所得というものではかりましたフローの数字のほかに、例えば今ちょっとお触れになられました住宅でありますとか土地の問題、あるいはもう少し大きな問題としては環境の問題、こういう面については、人口の伸びが鈍るあるいは減るということになりますと、それだけ負荷が減るといいますか、一人当たりで使えるキャパシティーがふえるということでありますから、それはもちろんプラスの要因だというふうに考えております。
#15
○平田耕一君 ぜひ十分前向きな答えが出るように御検討をいただきたいというふうに思います。
 そうすると、おっしゃったように個人の資産ということでなくても公共の資産も一人当たりのあれはふえるわけですから、道もすいてきたりするわけですから、その分もほかの方に回せるとか、工夫次第でいろいろいいことが多いのじゃないかというふうに思うので、ぜひひとつ余り悲観的にならないようにお願いをしたいなというふうに思います。そして、女性の労働力を期待するとか高齢者の再活用というようなことがいろいろ言われているんですけれども、それも余り必要ないぐらい生産性というのはまだまだ上がる、要するに高速道路の料金所も自動化になってくるし、全部ああいうことをやっていけばどんどん要らなくなってくると思うんです。
 そこで、私が言いたいのは外国人労働者、これについていろいろ考え方があると思いますが、私は余り入れない方がいいのじゃないか、単純労働者についてはきちっと日本だけでやっていく、お互いの国で生きていくということがいいと思っているので、必要ないような社会にしていきたい。いわゆる三Kみたいな仕事もできるだけ機械化するとか、そういうことへの嫌悪感をなくす、みんなで労働はとうといものだというような形にしていくというようなことがいいなと思っているんです。
 外国人労働者の問題につきまして、将来にわたっての考え方といいますか、お役所でお持ちであればお聞かせいただきたいと思うんです。
#16
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生、外国人労働者に関する御質問でございますが、私ども基本的には先生おっしゃるような考え方で対処しているところでございます。
 現状につきましては、外国人労働者の受け入れについて、専門的、技術的分野の労働者は可能な限り受け入れることとするが、いわゆる単純労働者については十分慎重に対応するという点について、これは第八次の雇用対策基本計画で平成七年十二月に閣議決定をいたしているところでございまして、これが政府の基本方針であります。
 今後予想される労働力人口の減少への対応として外国人労働者を安易に導入するということにつきましては、国内で雇用機会が不足している高齢者等への圧迫が生ずるおそれがあること、我が国の労働者と外国人労働者との間で労働市場の二重構造が生ずること、景気変動に伴い失業問題が生ずること、外国人労働者の定住化に伴いましていわゆる社会的コストが増大すること、これはヨーロッパ等の現状においてそういう点があるわけでございますが、そういう我が国経済社会への広範な影響が懸念されることから、この点については今後とも十分慎重に対応する必要があるというふうに考えております。
#17
○平田耕一君 その方向でお願いいたします。
 それから、現状の問題もお願いをしておきますと、もう市町村に至るまで大変多くの外国人の単純労働者というものは浸透してきているように思います。一部の小さなマンションなんかはもう数室借りることによってスラム化しちゃったとかいろんな問題が起こっておろうかと思いますので、現実的な対応をお願いしておきたいというふうに思います。
 申し上げたいことはわかっていただいておると思いますが、労働力人口の減というのはむしろ日本にとってチャンスみたいな形で経済構造改革というものをぜひ進めてもらいたいし、そのことを訴えてもらって、昨今みたいな不況のときでもいろんな夢を持ってやっていけるようにひとついい答えを出してもらいたいというふうに思います。
 もう一つ、二十一世紀に臨むに当たって日本が問題になるのはエネルギーであろうかというふうに思います。エネルギーについても同様に輸入エネルギーに頼っておるわけですけれども、これからそういうようなこともどんな推移になっているのか知りたいと思うんです。
 ちょっと事前には申し上げておいたんですが、現在、輸入エネルギーの一単位当たりの生産高、GDPというものはどんな形で推移してきておるのか、それから、例えば太陽発電であるとか自主エネルギーというものを今後どういうふうに考えておるのかというようなことを御説明いただけたらありがたいと思います。
#18
○政府委員(稲川泰弘君) エネルギーは社会経済を支えるまさに基本的な財の一つでございますが、現状、我が国はエネルギー供給の大半を外国に依存いたしてございます。具体的には、九六年度で一次エネルギー総供給の輸入依存度は約八二%でございます。若干歴史的に見ますと、オイルショックの前の輸入依存度は九五%でございますので、二二%程度国内エネルギーのシェアを増してきたという推移がございます。これは、水力、地熱、新エネルギー等もございますが、基本的には純国産エネルギーとして扱うこととなっております原子力のシェアがふえたところによるものでございます。
 また、御指摘の輸入エネルギー、一次エネルギー総供給の中でそれぞれエネルギー単位当たりの国内総生産がどう推移してきたかということでございますが、現状は、実質国内総生産はキロリットル当たりで約八十万円と計算をされます。これは実質国内総生産の額を原油換算の一次エネルギー総供給量五億九千七百万キロリットルという数字で割ったものでございますが、経緯的に見ますと、七三年度、オイルショックの前の時点ではこれがキロリットル当たり五十五万円でございました。そういう意味では、当時と比べまして約一・五倍単位エネルギー当たりの生産量が増加をしたといいますか、エネルギー効率という見方からすれば上昇をしたというものでございます。
 今後でございますが、もちろん新エネルギー等の推進を図るという前提でございますが、御存じのように新エネルギー、なかなかエネルギー密度が薄くコストも高いということで、現在目標としておりますシェアとしては、現在が一%弱でございますけれども、三%程度というところが二〇一〇年の見込みで議論をしているところでございます。そういう意味で、この一次エネルギー供給の輸入依存度あるいは自主エネルギー率というのは今後大幅に増加するという見込みではございません。
 他方で、エネルギー効率は、いろんな省エネを進め、これを高めていき、全体的なエネルギー輸入総量というものを抑えていく、これをもってエネルギーセキュリティーを実現していくという基本的な方向でございます。
#19
○平田耕一君 今の数字ですと、金額で五十五万の八十万で、単純比較すると一・何倍ですけれども、貨幣価値とかそういうものを入れますとそんなに変わっていないんじゃないんでしょうか。
#20
○政府委員(稲川泰弘君) 今申し上げました数字は名目ではございませんで、実質でございます。したがいまして、実質で七三年以降一・五倍というかなりな効率改善をしたというふうに認識をいたしてございます。
#21
○平田耕一君 ぱっと見てこの数字が、例えばこれからつくる法律ですか、省エネルギー法、省エネしなきゃいかぬという数字が、例えばこれは八十万が九十万とかということではいかぬのですか。八十万がキロリットル当たり百万円になるとか百五十万円になるというような数字を見ていればいいわけですか、そうでもないんですか。
#22
○政府委員(稲川泰弘君) 現在御審議をお願いしております省エネ法は、二〇一〇年をターゲットとしました昨年十二月に開かれました京都会議の炭酸ガスの量を念頭に置きまして、当面九〇年レベルに向けて安定をし、努力目標をつけて、マイナス二%炭酸ガスを減らすということに対してどれだけの省エネをまず行う必要があるか。答えば、五千六百万キロリットル、率にいたしますと一四%強。もう少し比喩的なシェアでいきますと、第二次オイルショックのときにエネルギー量がかなり自然に減りましたが、それが一二%でございましたので、平時におけるオイルショックを起こして第二次オイルショックを上回る省エネを実現するというのがまず需要サイドのターゲットでございます。
 もちろん、省エネを進めるためには機器のエネルギー効率を片方で上げる、あるいは断熱材を入れる、いろんな意味でエネルギー使用に伴うコストは上がってこようかと思います。また産業組織の面でも、エネルギー多消費からエネルギー効率の高い部門へと同じ産業の中でもシフトが起こりますので、そういう意味での構造変革のためのコストがかかろうかと思います。ただ、そのコストを先生から今御指摘のありました五十万とか八十万とかいう実質GDPの数字に置きかえて予測するのは今現在では計算を行ってございません。
 他方で、省エネ法では、機器の効率を従来のものよりも二割、三割上げて、同じテレビを見ながらも消費電力は二割少ないものにするとか、そういった形での努力を続けることといたしてございます。
#23
○平田耕一君 その省エネ法なんかの成果を見て、温暖化防止に向けての一つの省エネというもののでき上がりの一番大枠の我々が見ていかなきゃならない数字というんですか、全体的に経済構造も産業構造も温暖化防止とか省エネ法に沿った形の構造に変換していっているなということを確認する大まかな数字というのは、キロリッター当たり八十万円とか五十五万円という数字、キロリッター当たりの生産高がふえていくということを見ていればいいんじゃないんでしょうか、どうでしょうかという質問なんですけれども。
#24
○政府委員(稲川泰弘君) 基本的な概数としてはまさに先生御指摘のとおりでございまして、恐らくキロリッター当たり今の八十万円強が二割あるいは三割アップする姿になるだろうとは思います。ただ、二〇一〇年に至るまでの各種のコスト、産業構造の変化等をストレートに推測をいたしましてGDPの数字に置きかえることができませんものですから、概念的にはまさに先生おっしゃるような姿かと思いますが、数字としては我々ちょっと今はじきかねているということでございます。
#25
○平田耕一君 そうだと思いますが、我々が生活していくためのイメージとして、どういう生活形態をとっていったらいいのか、企業であればどういう生産形態をとっていったらいいのか、あるいはどういう製品をつくっていったらいいのかという指標が何かわかりにくかったので、個々の今の仕事のエネルギーをどれだけ減らしなさいというのは今すぐわかりますけれども、大きく何かにシフトさせていくという原動力といいますか、数字みたいなものを示して、日本が入れておる重油換算のエネルギーのキロリットル当たりで生み出す価値が八十万なり九十万、これが多くなるものにしましょうよという形の生活なり産業構造にしていくというイメージを何かもう少し具体的につくっていただいて、日本全体でやっていくというと、省エネ法だけで、従来の多消費型の産業に従事している会社の人というのは非常に反発も多いし、それから通産省自体も産業の擁護というんですか、そういう立場になっておられるだろうというふうに思いますので、ぜひひとつ変化をしていけるような指標というものを示していただけるといいなと思って、それが一つ大きなエネルギー問題のもとではないかなと思ってお尋ねをした次第です。
 それで、エネルギーのこの価値というのは、例えばキロリッター当たりの生み出される付加価値というのはやっぱり人口減によって一人当たりはふえますよね。
#26
○政府委員(稲川泰弘君) 一人当たりのエネルギー消費は、オイルショックの前と現在と比べますと二五%ふえてございます。これは経済活動その他という指標とはまた別に、個々の生活が非常に、例えばいろんな電化製品を使う、車も大きくかつ長く乗るという意味で、社会全体がエネルギー消費型に移行をいたしてございます。そういう意味で、オイルショック以後現在まで二五%、四分の一ふえているところでございまして、特にここ最近は民生、いわゆる家庭生活、それから運輸、いわゆる自家用車の世界でございますが、九〇年から九五年の五年間だけでも二割の増加をいたしてございます。
 そういった意味で、今後の個人生活の部面を考えてまいりますと、一人当たりのエネルギー消費というのはかなり増加をするというふうな見通しでございまして、ただ、その増加がそのまま世界的なエネルギーバランスの中で許される状況であるかどうかということを念頭に置きながら今後の対応を考えたい、かようなことでございます。
#27
○平田耕一君 利便性が増せば増すほど一人当たりの使用量はふえている傾向にあると思うんです。私が申し上げたのは、人口減になれば逆にキロリッター当たりの、また一人当たりの生産高というのはふえませんか。そういう指標はおかしいんですか。
#28
○政府委員(稲川泰弘君) 今、直ちに指標を持っておるわけではございませんが、いろんな意味で生産性が上がれば、かつ上がる努力をいたしますが、それと同時にエネルギー効率も向上の努力をいたしますので、一キロリッター当たりの生産額、また付加価値も上がるでしょうから、そういう意味での生産額は今後上昇の方向で経済運営を期待するということだと思います。
#29
○平田耕一君 二十一世紀の経済を推測するための個人の生活を想定すれば一人当たりのエネルギー使用量は若干ふえていくんだろうけれども、それ以上の生産効率のアップとか付加価値の増大でもってこなしていけるというイメージでいいんだろうというふうに思いますが、そういうことでしょうね。ありがとうございました。
 それから、二つの問題をお尋ねしまして、それらの想定をした経済社会の中で今度はそれぞれの現象に対応した企業活動を個々にやっていくわけですけれども、そんな中で、この間からずっと自分の解釈では、シリーズでお尋ねしようと思っているんですけれども、独占禁止法というのは具体的に商工業の活動をしていく上で唯一の、環境とかそういうことじゃなくて、唯一の行動の規範みたいな法律だと思っておるんです。
 この間お尋ねをしたら、独占禁止法は国民の公共の利益のためにということが法律の中にうたってあって、それはいろんな解釈があって、公共の利益というのは国民の総合的な利益を考えるということのための言葉だという解釈とか公共の利益というのはとにかく自由に競争をしていこうということを完全にやろうというための言葉だという、どんな立場でしょうかとお尋ねしたら、根來委員長が今のところ自由にやってくれと、こういうことの解釈をしておるというふうにおっしゃったんですけれども、そうですね。
#30
○政府委員(塩田薫範君) これからの経済社会の中で経済の活性化を図っていくということにつきまして、先生おっしゃるように、なるべく市場の機能を活用していくようにする、独占禁止法は基本的にはそういった自由主義経済といいますか、あるいは市場のメカニズムが円滑に機能するための基本的なルールを定めているものであるということで、独占禁止法だけが経済の基本的なルールだということではないと思いますが、かなり重要なことではないかというふうに考えております。
 そこで、先日も私どもの委員長に対しまして御質問をいただいた、公共の利益という概念が独禁法の中で何カ所か使われておりまして、それについてどのように公取としては解釈をして運用しているのかというお尋ねがございまして、それに対しまして委員長から御答弁をいたしたところでございます。
 基本的には似たようなことを申し上げることになろうかと思いますが、公共の利益の解釈の仕方にはいろいろと学説等がございますけれども、最高裁判所が昭和五十九年に石油カルテルの価格協定の刑事事件におきまして、「「公共の利益に反して」とは、原則としては同法の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを指す」というふうに判示いたしておりまして、これは基本的にはこれまで公正取引委員会がとってきた考え方と合致するというふうに考えているところでございます。
 ちなみに、公取が行いました審決の中で、例えば昭和四十七年の愛媛県LPガス保安協会に対する件というものの審決におきましては、公共の利益について、「自由競争を基盤とする経済秩序そのものと解するのが相当であり、」というふうにいたしているところでございます。
 また、先ほど申し上げました最高裁の判決では、先ほど原則としてこうこうというふうなところを引用いたしましたけれども、さらに、「現に行われた行為が形式的に右に該当する場合」、右というのは「自由競争経済秩序に反すること」ということだと思いますが、「に該当する場合であっても、古法益と当該行為によって守られる利益とを比較衡量して、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という同法の究極の目的」、独禁法の究極の目的、第一条に書いてございますけれども、「に実質的に反しないと認められる例外的な場合を右規定にいう「不当な取引制限」行為から除外する趣旨と解すべきであり、」というふうな判示も行っております。
 ただ、この例外的な場合に該当する具体的な事例というのは判決の中でも必ずしも明らかにされておりませんし、私ども現時点で考えましても、公共の利益に反しないと認められるような具体的な事例というのは実際上はなかなか想像しがたいというふうに考えているところでございます。
#31
○平田耕一君 前回の委員長の答弁を裏づけていただいたと思うんですけれども、それは古いと思うんです。先ほどおっしゃった、例えば市場メカニズムを信じましょう、純粋にそれを守っていきましょうよという立場だと思うんです。
 それで今、じゃ市場というのは正常に機能するのかということが問われ始めている時代ですし、二十一世紀というのはその辺から一遍考えていかないといかぬ。人間が経済活動をする場合に、必ずしも市場というのは先人が言ったように機能していかないんじゃないか。特に、国と国によるいろんな商い自体の成り立ちというものは違うし、決して一本気に市場の機能は信じられぬなという時代に、それからまた自由主義というものは何ぞやということも問われてきた時代に、二十一世紀で、大事な経済法律である肝心の独禁法がそこのところを変えていただいて、むしろ抽象的な言葉でもって国民の総合的な利益というものは最上位に来て、そして段階的にあるいはもっと低位で市場の機能を擁護するという立場になっていただいた方が、今いろんなことで不当廉売だとかカルテルの廃止勧告だとかあって、しかしその結果すべてが寡占につながっていくところもないではないというような、独禁法上の運用で矛盾も結果として出てきておるようなことを私は感じているんです。
 それでまた、業界によってはやるにやれない、はっきり言って新聞みたいに玉虫色の結論を出すというようなこともありますし、そういうようなことをすぱっと裁くためには、そこのところを時代に応じた形で、わからないならわからないで国民の利益という抽象的な言葉で裁こうというふうな形の、思い切ったその辺の解釈というものをぜひ御検討いただきたいと思う者ですが、どうでしょうか。
#32
○政府委員(塩田薫範君) 私がお答えするには考えようによっては非常に重過ぎる御質問だと思うんですけれども、公共の利益という条文の中にある規定をどう解釈するかということのほかに、先生がおっしゃっている話は、多分、現在あるいはこれからの日本の経済のあるべき姿といいますか、望ましい姿を考えたときに、独占禁止法といいますか、市場のルールというものはどうあるべきなのか、今のままでいいのかどうかということを考えるべきではないかということではないかなと。
 今、先生おっしゃったように、現行の独占禁止法は、カルテルは原則として、原則といいますか、競争を制限するようなカルテル等は禁止いたしております。先生のお話の中にちょっと出ましたように、カルテルを禁止する、それで自由に競争する、そういうような土壌をつくろうということになるとかえって寡占化が進行してしまうのではないかというような御懸念もあったやにお聞きをしたわけでありますけれども、市場における競争というのは自由に、あるいは公正かつ自由に行われるということになれば、やはりそこで効率の悪いといいますか、あるいは競争力の弱い企業というのは場合によっては退出といいますか、敗れていくということもあり得ると思います。
 他方、同時に自由である市場ということであれば、新たに参入をするという機会も保障されているわけでありますし、既存の企業がさらに創意工夫をして活躍をしていくということもあるわけでございますので、そういう競争を通じて、個々の企業をとりますと敗れるところも当然出てくると思いますけれども、その市場全体として見ればカルテルを禁止することによって活性化が図られていくということではないかなというふうな感じがいたします。そういうことで、参入を阻害するような法令上の規制をなるべくなくすということと同時に、事業者間で新規参入を妨害するような行為があればそれはきちんと独禁法によって対処をする。あるいは、合併等によって同業者が少数の単位になっていくということで市場構造が競争的でないような形になるもの、そういったものについては現行の独禁法できちんと対処することによって競争が行われるような市場構造といいますか、市場の状態を維持していくということが重要だろうというふうに考えております。
#33
○平田耕一君 何となくおっしゃることも完全ではないんですけれどもわかるような気がするんですが、私ちょっと違う角度で申し上げたいのは、エネ庁の長官お見えですので言いますと、例えば今ではもう石油製品も製品輸入するということであれば、メーカー間の談合というのはこれは人間の行為であって、要するに輸入という形で市場参入できるということで、多少のカルテル行為というのはやっぱり認めていってもいいんじゃないか。
 話をかえて言えば、ガソリンスタンドなんかは、例えばエリアで談合したってガソリンスタンドなんてやろうと思えばだれでもいつでもできるのでやっちまえばいいと、参入できるじゃないかと。
 ただ、本当に個々が商売をするというんじゃなくて複数で商売をするというのは、これは日本の常識ですし、アジアの商習慣ですから、若干その辺のことが欧米とは違うので、集団のカルテルというものをどこまで参入障壁ととるかですけれども、一部のものがというか大部分のものがカルテルをして値段を上げれば上げるほど実は参入は容易なんですよね。ですから、参入ということで考えるのならそれはいいんではないかというふうに思う。
 建設の談合にしたって、つめの伸ばし過ぎというのはいかんのやけれども、中小企業が生きていくためにはやむを得ぬようなところであって、余り値段を上げるといっても大手にとられたり、新規の業者がぼこぼこできるときですから、そういうようなものは日本の商習慣に合っていくんやないか、余り締め過ぎるとこの不況は続くんやないかなと、そんな気もしております。
 二十一世紀に向かっては、ぜひひとつその辺の本当の何というんですか、年数はまだまだ日本の資本主義というのは新しいんですけれども、よく欧米との違いを見ていただいて、どんな規模であってもどんな立場であっても学歴がなくても一生懸命汗を流す人間が企業を起こそうと思えば起こしていけるような、そういう国にしてほしいなというふうに思います。そうしたときに、やっぱり余りにもトラスチックに商売をやって市場でたたき合いをしましょうというのは日本にそぐわぬし、結局人間の行為にそぐわぬような気がしますので、大変抽象的な話ですけれども、希望的なことだけ申し上げまして、時間でございますので質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#34
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 私どもの本調査会、最終報告書の作成の段階でありますけれども、その報告書の項目には社会保障の項がございますし、また、かかわりまして社会保障とその経済効果、そういった項目があるわけでございます。したがって、この社会保障関係につきましてきょうお尋ねをしようと思います。
 昨年、厚生省がお出しになりました資料の中に平成九年から平成十年度にかけましての社会保障関係費の中の特に義務的経費についての数字を挙げた表がございまして、例えばこの社会保障関係費、すなわち年金と医療と福祉でありますけれども、年金については、平成九年から十年にかけての一年間に年金の受給者が約百万人増加する、その経費が千五百億円ほどかかると。医療については、老人医療を受ける者、約七十万人が増加しまして、経費的には五千五百億円。また、福祉等については、特に特養の老人ホームへ入居するお年寄り、一万五千六百名という数字でありますけれども、この経費が一千億。合わせて八千億円ほど費用が自然増、義務的な経費がかかるんだと、こういうことでございました。
 このうち、特に医療にかかわりましては、先ほど申し上げましたように、老人医療に係る約七十万人、この経費が五千五百億でありますけれども、当初、健康保険法の改正が五月の予定、これが九月に延びましたので、その間の経費が五百億ほどかかったということでありまして、結局、医療に係る経費は六千億円ぐらいになるということだったそうであります。そのうちの四分の一近くを国の負担、国庫負担ということでありますと、約千八百億円何がしを仮置きしてということと、それから健康保険法が改正になりまして、九月から新しい外来での薬剤の負担であるとか被用者本人の一割が二割になったとかこういうことがございまして、その医療費関係を計算して九百四十億円ぐらいということだったそうであります。
 したがって、それを差し引きしますと、結局、どうしても医療の中で節約しなければならない経費というのは三千二百十億円、これが最終的に節減をしてほしいという目標であったと思います。したがって、これについて医療費の適正化を行い、あるいは老人医療費の拠出金の負担の見直し、これを合わせまして同額の三千二百十億円を出して相殺したと、こういう形で社会保障関係費の整理が進んで、現在、平成十年度の予算が組まれているということであろうかと思います。
 現在、財政構造改革法の改正が行われるということでございまして、平成十一年度に係ります社会保障関係費を平成十年度の当初予算の百分の百二の上限の枠を撤廃すると、こういう話でございます。
 そうなりますと、結局平成十一年と平成十二年に係ります社会保障関係費の予算立てということについては、それぞれいろいろな要件が出てくるわけでございますけれども、いずれにしても関係省庁として平成十一年度に係ります義務的経費の自然増というもの、このあたりをどういう形でとらえていくのか、これが一つ。
 それからもう一つは、昨年九月から健康保険法が改正になりまして、その関係で医療費、特に被用者保険本人の一割負担が二割になりました。この関係で受診率が低下しているということもあるようでありまして、これが一年ぐらいで回復するのかどうかも含めて省庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#35
○政府委員(田中泰弘君) 先生の方から二点質問がございましたが、一点目について私の方からお答えをしたいと思います。
 平成十一年度の自然増といいますか当然増の見込みについての御質問でございますが、先生今お話がございましたように、平成十年度におきましては概算要求時点で八千億、八千五百億の当然増を見込んでおったわけでございます。平成十一年度におきましても、この当然増の大宗を占めるのは医療費でございますが、この医療費が最近落ちついているといったようなことから、十一年度の自然増、当然増につきましては十年度を下回るのではないかというふうには考えておりますが、いずれにしましても当然増は相当多額に上るものと考えております。
 具体的な当然増の見込みについて、例えば医療費について見ますと、平成九年の四月以降でございますが、医療費の伸びが落ちついております。また、先ほどお話がございました平成九年九月の健保法改正の影響が続いているというふうに認識しております。それからまた、平成十年、この四月には昭和六十年以降初めてのマイナスの医療費改定を行った、こういった例年にない状況がございます。
 したがいまして、当然増の推計につきましては平成十年度の中で医療費の実績を十分に踏まえて検討を行う必要があるという事情がございまして、現段階におきまして確たる数値をお答えすることは難しいということを御理解いただきたいというふうに思います。
#36
○中原爽君 ただいまの御説明にかかわりまして、平成九年度の当初予算、これについては十四兆一千二百三十一億円でございましたけれども、その中で法律に基づく義務的経費という経費がその九一%を予定されておりました。また、平成十年度については現在十四兆四千二百八十億円でありますけれども、法律に基づく義務的経費はこの中のパーセントで言いますと九二%ぐらいになるということであります。こういった九一であるとか九二であるとか、こういう法律に基づく義務的経費の割合ということについては十一年度につきましてどのようにお考えでございましょうか。
#37
○政府委員(田中泰弘君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、厚生省の当然増経費の一番大きな要素なりあるいはまた影響を持っておりますのが医療費でございます。この医療費の動向につきまして、先ほど申し上げましたように従来と違った状況の中にあるわけでございまして、今の時点でどういうふうな状況になるのか特にこの医療費の動向についてぎりぎりまで見きわめる必要があるというふうに今考えているところでございますが、いずれにいたしましても、その当然増の中におきます医療費の伸びというのは相当なものが考えられるというふうに考えております。
#38
○政府委員(高木俊明君) 中原先生の最初の御質問で、昨年九月の医療保険の一部負担の改正の影響というものがどのくらい続くんだろうかという、その辺の見通しをお尋ねございましたので、この点についてお答え申し上げたいと思います。
 先ほど先生からお話がございましたとおり、平成十年度の予算編成に当たりまして、医療費につきましては三千二百億強の縮減をする必要があるという格好になり、その縮減策としまして薬価基準の引き下げを初めとする医療費の適正化あるいはまた今国会に御提案しております国民健康保険法の改正等に伴う老人医療費拠出金の見直し、こういったものの対策によりましてこれを縮減するという格好になっておるわけでありますが、その際に十年度の医療費の伸びをどう見込むかというのがあったわけでございます。
 それで、私どもが昨年九月の改正前、いわゆる昨年御提案しました改正法による、いわゆる参議院で修正が加えられましたけれども、修正後の状況でどの程度医療費の伸びが抑制されるかということを見ておったわけであります。当初、それを九年度の満年度ベースで見ましてマイナス三・二%ぐらい医療費の伸びが前年度より落ちるだろう、このように見ておったわけでありますが、暮れの予算編成の段階になりまして、平成九年九月の一月分でありましたけれども、一部負担の改正後の実績というものが出てまいりました。これを見てみますと、私どもが当初見込んでおりました三・二%よりももう少し落ち込みがきいておりまして、これがマイナス四・六%ということでありました。
 このマイナス四・六%というものがどのぐらい続くかということについては、これは実際に施行され経過を見ないとわからないわけでありますけれども、私どもとしては、当初マイナス三・二%というふうに考えておりましたのを、九月の実績値を織り込みましてマイナス四・六%というふうに十一年度はなっていくだろう、こういうふうに予測を立てたわけでございます。
 それで、現在までのところでありますが、ことしの一月、したがいまして昨年の九月からことしの一月までの医療費の伸びの実績が出ておりまして、これを見ますと四・六%よりもさらに落ち込んでおりましてマイナス四・八%という状況であります。しかし、これはことしの二月にかなりインフルエンザが流行したというようなこともございますから、まだ実績値が整理されておりませんけれども、二月は少し伸びが上がるのではないか。そうしますと、マイナス四・八というようなことにはならないでもうちょっと落ちるだろうと見ております。そういたしますと、今の状況からしますと、おおむね昨年の予算編成の際に平成十年度の予算で見込みましたマイナス四・六というものが現下のところ何とかいけるのではないか。
 ただ、問題は、これまでも過去に何回か一部負担の改定がございましたけれども、これを見てみますと、大体一年ぐらいたちますと抑制効果が消えてしまってもとに戻るという状況が見られるわけであります。
 昨年九月の一部負担の引き上げが果たしてどのぐらいもつか、効果が持続するかということでありますが、これまでは一年ぐらいしかもたなかったのでありますが、今の状況から見ますと何とか十年度は私どもが考えた予定どおりの抑制というものが持続するだろうと見ておりますが、これは正直申し上げまして、もう少し状況を見ませんと確定的なことは申し上げられないんじゃないか、こんなふうに考えております。
 それで、総務審議官も、そういった意味で医療費の伸びというものをもう少し見きわめる必要がある、そうしませんと十一年度の厚生省の当然増というものはなかなか定めにくいと申しておりますけれども、まさにこの夏の概算要求の段階ぐらいまでは最低見守る必要があるのではないか、こんなふうに考えております。
#39
○中原爽君 ただいま御説明がございましたように、前回と申しますか大分前になりますけれども、昭和五十六年で被用者本人一割負担が導入されまして、その関係で受診率等の落ち込みが回復するまで一年ほどかかったということで承知はいたしておりますが、ただいまのマイナス四・六という数字については、これは昭和の時代と大分社会情勢が違っておりますので一概にどの時点、一年で回復するのかどうかということについては、現在、所得税の減税等も含めていろいろ対策はとっておられるわけでありますけれども、個人消費が伸びないということとこの医療費の受診抑制、こういったところの関連があるのかということでお尋ねをしたわけでございます。
 それではもう一点、社会保障に関係をいたしまして国民負担率の問題でありますけれども、簡単に申し上げれば、国民負担率、従来言っておりましたことは、租税と社会保険料の総額が国民所得に占める割合をいうのだ、これが五〇%を超えない方がいいと、こういうお話でございました。
 昨今、予算委員会等でもこの関係の御質問が出まして、従来の国民負担率に加えて潜在的国民負担率といいますか、従来の国民負担率に一般政府財政の赤字を加えたものの数字をいう、これでは既に五〇%を超えているのだと、こういうような質疑がなされておりました。
 この国民負担率の五〇%ということと、ただいま問題にしております社会保障関係費のかかわりについて、まず数字的に五〇%というものの根拠はこれからどういうふうに考えたらいいのかということと、それから、例えばこのパーセントを出すについて政府一般の赤字を加えたものという数字を出していうのか、この二点。五〇%という基準的な言い方がこれから正しいのかどうかということが一つと、それとその計算方式によりまして財政赤字を加えるのか加えないのかということのよしあし、この二つについて御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#40
○政府委員(田中泰弘君) 二点御質問がございました。
 まず第一点目の国民負担率、御指摘のとおり租税と社会保障の国民所得に対する割合でございますが、この割合について、現在、財政改革法の中でも五〇%以内の運営ということが規定されているところでございます。先生も御存じのとおり、この国民負担率という概念は公的な部門の国民経済に対する関与、公的な主体の活動が国民経済に占めるウエート、比重ということでございます。
 この五〇%という判断につきましては、これまでの過去の審議会等の議論の中でも国民経済の半分以下ということが過去にも言われております。また、第二臨調等の中でも言われておりますし、そういう意味で過去のこれまでの国民経済の公的部門のかかわりを半分以下にするというこれまでの流れを受けまして今回の財政構造改革でも取り込まれたのではないかというふうに思っております。国民の経済の活力等を考えた場合に、この半分以下というこれまでの流れを踏襲したというふうに考えているところでございます。
 それから、第二点の一般財政赤字を加味して国民負担率を考えるという問題でございます。
 御指摘のとおり、経済審議会あるいは財政制度審議会の中でもこういう考え方をいわゆる潜在的国民負担率ということでとらえられているところでもございますし、今回の財政構造改革の中でも一般財政赤字を含めてこの国民負担率をとらまえるというふうに規定されているところでございます。
 この考え方は、公的主体の活動によります公共サービスの供給でございますが、租税や社会保障負担だけでは賄い切れないということから公債の発行に頼らざるを得ないということでございまして、このいわゆる財政赤字分でございますけれども、従来は国民負担率の計算の中に含めていなかったわけでございますけれども、結果的には租税や社会保障負担の後の世代への先送りと言えるのではないかというこのような観点から、現在の国民の負担であります国民負担率の中にこの財政赤字を含めてこれをとらまえ、そしてそれを一つの目安にして運営していくというのが現在の財政構造改革法などで取り込まれた考え方というふうに承知しております。
 以上でございます。
#41
○中原爽君 御説明ありがとうございました。
 ただいまお話しありましたように、現在の財政構造改革法の中に出てまいります国民負担率の意味、御説明のとおり財政赤字を含むという形で考えるということでありますけれども、もう一つお話がありましたように、公的な負担分を表現するわけでありますから、しかし今回、先ほど来申し上げておりますように、被用者本人の一割負担が二割になりました。これは表向きは公的負担のところに入ってこない形でありますが、国民一人一人にとっては自己負担分であることには変わりはないわけでありまして、今後この国民負担率で言っております公的負担分と、それから被用者本人が自己負担すべき一割であるとか二割であるとか、あるいは外来の薬剤の自己負担、こういったものとのかかわりを所轄の省庁としてどのようにお考えになるのか、お聞かせいただきたいと思います。公的負担分と自己的負担分のかかわりということであります。
#42
○政府委員(田中泰弘君) お答え申します。
 大変難しい問題でございますが、先ほどもお答えいたしましたが、国民負担率で代表しております公的負担のとらまえ方につきましては、国民経済との関係の中で公的主体の活動がどのようなウエートを占めるかという観点からとらえられております概念でございまして、それはそれとしてそれだけの意味があるというふうに思っております。
 それで、今お尋ねの私的な負担あるいは利用者負担とのかかわりでございます。
 社会保障に係ります負担を考える場合に、国民負担率で代表しております公的負担とそれから今も御指摘ございました利用者負担、この関係をどう考えるか、あるいはこの両方を組み合わせた上で社会保障に係る負担を考えていくというのは、これは当然だろうというふうに思っております。
 ただ、各制度の中で公的な負担と私的な負担、このバランスをどうとっていくかという議論があろうかと思いますが、この関係についての考え方が一昨年の十一月の社会保障関係審議会会長会議の中間まとめの中で述べられておりますので御紹介申し上げたいと思います。
 社会保障サービスなどに関係します利用者負担につきましては、利用者の自覚あるいはコスト意識の喚起を通じまして制度の効率化をもたらすという機能がございます。そういう面でいいますと、公的負担とそれから利用者等の負担の関係は、ある意味では代替関係という面もございますが、先ほど申し上げましたような面がございまして単純な代替関係にあるわけではないということに留意する必要があるというのが会長会議の指摘でございまして、これをもってお答えにかえさせていただきます。
#43
○中原爽君 ありがとうございました。
 もう一点、将来のことになりますけれども、社会保障とこれから予定をされております医療にかかわった制度あるいは医療提供体制を抜本的に改革するという問題でありまして、現在この改革の方向性を示すものについては、「二十一世紀の医療保険制度」という厚生省試案と与党医療保険制度改革協議会が出しておられます「二十一世紀の国民医療 良質な医療と皆保険制度確保への指針」、この二つが出ておるわけでありますが、この二つの試案の中で根本的に違っておるところが一カ所ございまして、それは将来の医療保険の制度体系をどうするかというところが違っております。
 厚生省の案は第一案と第二案がございまして、第一案は全体的に制度を一本化する、第二案については国保、被用者保険と合わせて高齢者の医療を別建てにする、こういう方式でありまして、一案と二案になっております。この一案、二案について、また保険給付の項目のところでA案、B案というのがそれぞれついております。B案はいわゆる足切りの方式でありますし、A案は数字的に三割負担、ただし大病院の外来は五割だと、こういうことでございました。
 当初、この三割とか五割という数字がひとり歩きをするということもいろいろ勘案をされまして、与党協の方ではこの三割とか五割とかいう形の数字はお出しにならなかったというふうに記憶をしているところでありますけれども、今後、やはり抜本改正を進めていくということと社会保障関係の経費をどうするかということは密接な関係があるわけでありまして、御担当の省庁としては、厚生省案とそれから与党協の案で違っておるこの一カ所のことについて、現在の段階で何かお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#44
○政府委員(高木俊明君) 昨年、健康保険法の改正をお願いしまして患者の一部負担の引き上げをさせていただいたわけでありますが、これは、現在もそうなのでありますけれども、医療保険の財政というのは非常に窮迫をしていたわけでありまして、そういった中で何とか当面の財政の安定を図らなきゃいけないというようなことを基調としまして患者の一部負担の引き上げ等をお願いした、こういうことであります。
 しかしながら、これはあくまでも現行制度の枠組みの中での財政の安定ということにとどまるわけでありまして、しかしながら、まさにこれからの二十一世紀の我が国の社会、これが少子・高齢化の社会でありますし、とりわけ世界でも我が国は非常に高い高齢化社会を迎えるわけであります。そういたしますと、これまでの経済情勢もこれからは変わってまいりますし、まさに今申し上げたような少子・高齢社会というそういった人口構造も大きく変わってくる。
 そういたしますと、これまでの社会保障制度の仕組みをそのまま二十一世紀の社会にも抱えていくということは、これは到底不可能なことではないか。まさに二十一世紀の今とば口にありまして、医療保険制度についても抜本的な制度そのものの見直しが要る、こういうふうな視点から抜本改革ということが出てきているというふうに考えております。
 そういたしますと、一つに財政的な点で申し上げるならば、若い人とそれからお年寄りとの負担というものをどう公平にしていくのか、そしてまた若い人の負担が過重にならないような仕組みというものをどうつくっていくのかということがあるわけであります。そういったことで考えてみますと、この患者の一部負担をどう考えるのか。過重な一部負担というのは避けなければいけませんけれども、今申し上げましたような視点から考えた場合に、医療保険の安定的な運営、そしてまたそこにおけるコスト意識の涵養、それからまたモラルハザードをどう防いでいくか等々幅広い問題があるわけでありますが、そういったようなことを考えますと、これは国民的な議論をやはりきちっとして、そして決めていかなきゃいけない問題だというふうに考えておるわけであります。
 それで、医療保険の抜本改革としましては、昨年の十一月以降、まず診療報酬体系の見直し、それから薬価基準制度の見直し、こういう観点で鋭意御議論を重ねてきていただいておりまして、引き続いて高齢者医療制度をどうするかという問題の議論に入っていくという、そういった審議会の動きになっております。
 高齢者医療制度のあり方を考えるに当たっては、これは与党協の中でも言っておりますように、国民健康保険制度そのものをどう考えていくのかということと密接に関係してまいります。そういった中で、制度全体にわたる枠組みというものをやはり考えていく必要があるということになっていくだろうというふうに思います。
 しかしいずれにしましても、当面の問題としては高齢者医療制度のあり方、これを御議論いただきますので、その議論の中で幅広くいろいろな問題が出てくると思いますけれども、私どもとしましては、やはり冒頭申し上げましたような視点から総合的な制度の改革、これが急がれるし、またこれは何としても二〇〇〇年には実施に移すべく努力をしていかなきゃいけない、こんな気持ちで今取り組んでいる、こういう状況でございます。
#45
○中原爽君 ありがとうございました。
 終わります。
#46
○円より子君 民主党・新緑風会の円より子です。
 私は、少子・高齢社会についてこの数年間さまざまなデメリットの方の論議が随分盛んになっているのを見まして、デメリットばかりじゃなく結構メリットがあるんじゃないかと考えている人間でございます。
 それはさておきまして、この十数年、一・五七ショックあたりからずっと見ておりまして、少子化の問題はいわゆる女の人たちの静かなる反乱ではないかと考えている人間なんですが、そう思いますのは、自然環境がどんどん破壊されることに対する反乱であり、また無秩序な住環境と町づくり、それから相変わらず平均賃金に男性と女性の格差があることや、女性が仕事をしながら子供を育てることの困難さ、また男性並みに働くことはどんどん進められても男性の側が家事や育児といったアンペイドワークの方にはなかなか入ってこないという、共生社会が実現しないことに対する反乱とか、さまざまなものがあるのではないかと考えているんです。
 ただ、女性たちの静かな反乱というのは大変せつない悲しい反乱でございまして、それこそおしゃもじでも持って昔のように国会を取り巻いて、こんな不況じゃ困るとか、こんな子供を産み育てられない状況じゃ困ると言えるような積極的な反乱をやれる状況だったらいいんですが、結構豊かになっておりますので見えないガラスの望みたいなものが張りめぐらされていて、何に対して怒っていいのかなかなかわからないという状況がずっとあって、大変閉塞的な気分に大人だけではなく子供たちもなっているのではないか、そんな気がしております。
 そこで、きょうは労働省、厚生省、そして建設省の方々に来ていただいたんですが、少子・高齢社会といいますと割合厚生省、そして労働省の出番が多くて、そこでの議論が多いと思うので、今回は特に住宅問題に焦点を当てて、建設省の方々にメーンで御質問させていただきたいと思っております。
 それは、少子化が即住宅問題と関連しているとは思わないんですけれども、実はつい最近経済企画庁の国民生活局からまた「新国民生活指標」というのが出ました。これで随分都道府県別のランクをつけることに何の意味があるかという議論があることも承知しておりますが、指標よりも基礎表になるものの方がおもしろいと思うんです。
 例えば、東京都は住むという点では最低の四十七位だったわけです。これは「持家比率」というところで見ますと全国平均の五九・八%を大きく下回り、富山と比べましたらもう半分以下です、三九・六%という数字です。それから、借家の一畳当たりの家賃というのは平均が二千四百八十三円ですが、これが四千三百七十九円というふうに、狭くてそして高いということが言えるわけです。
 東京の合計特殊出生率が一・〇七なんですね。もちろん、東京都は若い人たち、シングルの人たちがたくさんおりますから即座に出生率の低さが住居と直接関連があるとは言えないかもしれませんが、例えば、これでいろいろ言われておりますけれども、経企庁の出した「新国民生活指標」の「住む」というところで、下の方から十位までのところに入っている都道府県と出生率の低いところとを照らし合わせてみたんです。そうしましたら、下から十までの間に、ワーストテンの間に六県が、ワーストというのでしょうか、一番低い出生率の十の六つと合致するんです。
 これともう一つ、三菱総研が経済企画庁とは別に去年別のいろんな観点から暮らしへの満足度ということで指標を出しているんですが、ここでも「住居」というところで最下位の十位と出生率の最下位の十位とを照らし合わせますと、下と下の順位の中の七つがこちらは合致するんです。
 こういうことを見ますと、やはり住居というのは出生率、子供を産めるか産めないかということと随分関連があるんじゃないかと私は考えて、今回住宅事情等についての質問をさせていただきたいんです。
 さっき女性たちの反乱と申しましたけれども、現実には女性たちが理想的な子供の数はというときには実際に産んでいる子供の数よりも多く、カップルの中では三人ぐらいが理想という人が一番多いわけですから、産みたいのに産めないという状況は私たちとしては何とかしなきゃいけないんじゃないかと考えるわけです。
 そこで、住宅について御質問したいんですが、まず少子化と住居とか住環境といったような観点からの調査、データみたいなものはございますでしょうか。
#47
○政府委員(小川忠男君) お答えいたします。
 少子化と住宅政策と直接結びつけたような調査は私ども自身ではやっておりません。ただ、いろんな政策を議論する際に、厚生省の人口問題研究所のデータでございますとか今お引きになりましたようないろんな調査結果、これは当然ですが参考にさせていただいております。
#48
○円より子君 今持ち家率のことを言いましたけれども、全国的には持ち家が多いんです。東京では六〇・四%が借家という統計になっておりますけれども、実は年代別で持ち家率、借家率というのが出ておりまして、二十五歳から二十九歳の場合は借家が八七%、三十歳から三十四歳では六八・四%、三十五歳から三十九歳で四八・一%と、日本の持ち家率が六割近くなっておりますのはほとんど高齢者の側が持ち家が多いからだということが言えると思うんです。
 それで、それこそ今おっしゃったように、子供のいる世帯が借家なのか持ち家なのかという比率が、私も探しましたが全然出ていないんですけれども、例えば全国統計の三十歳から三十四歳ぐらいですと一応子供が一人か二人いるという計算をしたところだと、やはりほとんどが借家なんですね。
 住宅水準といいますか居住水準というのは、借家と持ち家とどうなっているか、もちろん御存じだと思いますけれども、ちょっとおっしゃってくださいますか。
#49
○政府委員(小川忠男君) 住宅政策を議論する場合の居住水準という話がございました。現在、私ども、居住水準といたしましては二つの概念を行政的には持っております。一つは、言うなれば最低限の居住水準という意味で、最低居住水準という考え方がございます。それからもう一つは、住宅ストック全体を底上げする、質を向上させる、その際の行政上の指針というふうな意味合いでの誘導居住水準、こういうふうな概念がございます。これは基本的には世帯人員の構成に応じて住戸面積を確保するというふうな観点が一つ。それからもう一つは、設備とか性能についてそれなりの水準を確保するという基準が一つ。
 例えば具体的なことで申し上げますと、標準的な……
#50
○円より子君 居住水準のことは結構です。借家と持ち家の水準についてどうなのかを教えていただけますか。
#51
○政府委員(小川忠男君) 借家と持ち家というよりは、大都市と地方部というふうな形での基準の使い分けをいたしております。
#52
○円より子君 平成五年の住宅統計調査というのが一番最新のものになるんですが、五年ごとですからことしまたなさって、近々、来年でも出るんだと思いますけれども、今おっしゃった持ち家と借家の最低居住水準と誘導居住水準というのがありまして、最低居住水準未満というのがあるわけです。これは、持ち家の場合は二・四%、それから割合いい水準につくってある誘導居住水準以上が持ち家ですと五二・六%ですが、借家ですとこの最低居住水準に満たないものが一六・六%もあります。それから誘導居住水準、これが当たり前の暮らしやすい家なのではないのかと思うんですが、これがようやく二三・七%と、やはり持ち家と借家では随分中身が違うわけです。
 先ほど居住の一人当たりの水準も低いとかありましたけれども、こういうふうに全体で見ましても借家と持ち家は違うわけです。そうしますと、先ほど言ったように、多分子育てをしているあたりの人たちは最も借家に住んでいる割合が多いということは、大変水準の悪い、質の悪い住宅に住んでいる可能性が高いということを言えると思うんです。
 そこでお聞きしたいのは、一九九五年ですから三年前ですか、三年前の六月に住宅宅地審議会が新しい住宅政策の体系というのを答申しておりまして、国、地方公共団体等の公的主体による直接供給、公的支援を中心とするこれまでの住宅政策体系を改めて市場原理に力点を移すということが書かれているんですが、この答申に沿って今後公的な住宅は少なくなさるつもりなのか。今ずっと借家で子育て中の人が多いのではないか、そしてその居住水準が大変悪いのではないかということを私が申し上げたのは、やはり子育て中の人たちに対して良質な賃貸住宅を公的にどんどん建てて支援していくべきではないかと考えているんですが、この答申の意義と、それに沿って建設省はどういう住宅政策をなさろうとしているのか、特に公的な良質な賃貸住宅についてどういうお考えを持っているのかをお聞かせ願えますか。
#53
○政府委員(小川忠男君) 住宅政策の流れを十年、二十年というスパンで見たときに、率直に申し上げましてそれなりの水準まで来つつあるというふうな認識は私ども持っております。
 したがいまして、そういうふうな状況を背景にして、先ほど申されました住宅宅地審議会の答申は、今後の政策として、国の役割もさりながら、やはり基本的には住宅は民間のマーケットで供給されるという原理原則のもとにきちっとした住宅が提供されるような政策の枠組みをむしろ構築すべきであるというふうなことを強調した答申であろうと思います。
 ただ、その場合に、じゃ公的の役割はというふうなことになりますと、やはりそれなりのきちっとした役割はこれからも必要だと思います。一つには、二十一世紀でも社会的保護を必要とする方々がいらっしゃる、これは間違いないと思います。それに対しましては、きちっとした公営住宅あるいは公営住宅を補完するような公的な住宅の供給は依然として必要だと思います。
 ただ、賃貸住宅等々について申し上げますと、例えばでございますが、戦後五十年間かけて公営住宅が何万戸供給できたのか、総力戦でやってきたつもりではございます、つもりではございますが、五十年で二百万戸でございます。したがいまして、仮に向こう数十年間頑張ったにしても、恐らく二百万戸が二百五十万戸になるのが精いっぱいというのが率直なところだと思います。
 したがいまして、賃貸住宅の質が悪い、これは御指摘のとおりだと思います。その場合に、国が直接というふうなことよりは、国は応援はするけれども、もう少しきちっとした形でマーケットの機能も活用しながらレベルをアップしていくような方策はないか、むしろそういうふうな方向に政策のウエートを移すべきではないかというのが答申の考え方であり、現時点での私どもの考えでございます。
#54
○円より子君 ちょっと戻りたいんですが、先ほど私は年代別の借家比率を述べさせていただきましたけれども、この借家の比率が今上がっておりますね、昭和五十三年、五十八年、六十三年、平成五年とずっと。建設省から住宅統計調査が出ておりますけれども、これを見ておりますと持ち家世帯率はどんどん低下しております。六十五歳以上は反対にふえているわけです。持ち家がふえて借家が減っている。六十歳以上もふえています。六十歳以下は少しずつ減っておりまして、特に持ち家比率の低下が著しい、そして借家比率が上がっているのがちょうど子育て、乳児を持っているところの世帯なんです。これはどうしてだと、何かもし理由がありましたら教えていただきたいんですが。
#55
○政府委員(小川忠男君) 今御指摘になりましたここ数年間持ち家比率が統計的には顕著に減少している面があるというのは、実は私どもも非常に着目している点でございまして、その原因については必ずしも正確に理解しているとは思いませんが、一つには、やはり若い世代を中心にして持ち家、資産、したがって生涯の目的というふうな等式が若干崩れつつあるのではないだろうか。むしろ、持ち家であろうが借家であろうがきちっとした居住ができればいいというふうなことで、余り持ち家にはこだわらなくなってきているというふうな点が若干顕在化しつつあるのではないかというふうな点で、非常に着目しながら推移を見守っているという状況でございます。
#56
○円より子君 そうしますと、「第七期住宅建設五箇年計画」というのを建設省は出していらっしゃいますが、この「住宅建設の目標」のところに「人生八十年時代において、国民一人一人がそれぞれの人生設計にかなった住まい方を選択し、実現できるよう、二十一世紀初頭に向け、国民の住生活の質の向上を目指した住宅政策を積極的に推進する。」と書いていらっしゃる。
 八十年という人生では、少しずつ婚姻年齢が上がっているといいましても、女の人の年齢でいきますと、二十代の後半で結婚し三十前あたりに子供を産んでということになりますと、五十前あたりで末っ子が高校を卒業する、そしてその後まだ三十年以上の人生が夫婦である。
 そうしますと、最初大学なり高校を出てひとり暮らしのとき、それから結婚して二人のとき、そして子供ができて三人ないし四人になり、そしてまた二人だけになる。そして、女性の場合ですと、夫と妻との平均寿命に差がありますし、いまだにまだ二歳か三歳夫が年上というカップルが一番多いですから、当然ひとり暮らしの時期が来るということになりますと、子供がいるときには狭い家の中でかっかかっかしながら余り余裕を持てずに子育てをして、そして必死で持ち家を持って、そして今度広い家を持ったら二人になり一人になりと。それではやっぱり大変だろうから、そのライフスタイルに合わせて良質な賃貸住宅、家族の人数とそれからそのとき働いているか働いていないかといったものに合わせながら住宅が変えられればまさにとてもいいことで、それぞれの人生設計にかなった住まい方を選択できるというこの目標設定はとてもいいと思うんですが、ただそれと現実が随分まだまだかけ離れているのではないか。
 国民の側の志向にもどこかに土地というものに対する、バブルがはじけた今も土地というものを持っていないと不安だというところがまだあるかもしれませんが、逆にまたそれを助長してきたのも持ち家推進であったのかなという気もするんですが、じゃその辺はライフスタイルに合わせて今後も賃貸をいいものをふやしていこうというふうなお考えで建設省はやっていらっしゃるんでしょうか。
#57
○政府委員(小川忠男君) 非常にお答えしにくい御質問だと思いますが、今おっしゃいましたように、ライフスタイルといいますかライフステージといいますか、それぞれの人生の設計に応じて持ち家であれ借家であれ自分なりの理想とするきちっとした住宅が持てる、ないしは住めるというふうなことが本来理想であろうと思います。
 ただ、そういうふうな面から見たときに、政府は持ち家主義というか持ち家偏重というふうなことをよく言われるんですが、決して私ども持ち家により力点を置いたというつもりはないのでございますが、結果として持ち家の方に資源配分が多かったというのは間違いない事実だと思います。
 やはり現段階で見たときに、将来に向けて強調するといいますか、てこ入れをする必要がある分野をあえて言えと言われれば、私どもは借家だろうと思います。持ち家については国際的に見ても、完璧とは言いませんけれども、それなりの水準に達しつつある、これは事実だと思います。ただ、それに比べて借家が見劣りしている、これまた否定できない事実だと思います。特にファミリー向けといいますか今繰り返し御指摘になっているような子供を育てるような年齢層に必要となるような賃貸住宅、これが質、量ともに決定的に不足している、これは御指摘のとおりだろうと思います。その意味では、これからの政策の相当程度のエネルギーがそちらの分野に注がれるべきであるというふうな感じを私どもとしては持っております。
#58
○円より子君 今お答えいただきましたのでもうつけ加える必要はないかもしれませんが、先ほど年代別で言いましたけれども、先ほどの建設省のおやりになっている調査でも、借家の三人から五人世帯というのは、都市部だけじゃなくて全国平均でも、ですから都市と地方の別なく誘導居住水準以上の世帯の割合というのが大変低くなっているわけです。ですから、所得が低い人たちだけの問題ではなくて、ぜひともちょうど子育て中の人たちが公的な質のいい住宅に住めるような方策に転換していただきたいし、そちらに努力していただきたいと思っております。
 さて、その居住水準についてなんですが、これは最低居住水準の方は、例えば家族四人ですと五十平米あればいいということになっているんですが、居室の方でいきますと十九・五畳分、三十二・五平米あれば最低居住水準を満たすということで、未満の悪質な住宅だということにはならないんですけれども、誘導居住水準ほどいい住宅じゃないといっても、この最低居住水準以上のところが圧倒的に日本では多いわけです。
 例えば四人で居住面積が十九・五畳といいますと、布団の上げ下げをして、そしてちゃぶ台で食事をして、一つの部屋で食べたり寝たりしていたような昔の時代と違いまして、今はほとんど食卓があって、いす式で食事をして、そして冷蔵庫がありオーブンがあり、それこそ食器洗い機がある。四人といったら子供もそろそろ小学校でしょうから、中学の人もいるかもしれませんね、そうしますと机があり、ベッドも要るでしょう。そうなりますと、居室面積の十九・五畳の多分半分が家具で占められるような状況になってしまいます。そうすると、ほとんど自由に動ける場というのがない。
 実は大変恥ずかしい話ですが、私も余りいい住居に住んでいなかったものですから、今もそうですけれども、娘が四歳のときにアメリカに行きましたときに、ホテルなんかにいないでホームステイしなさいと言われて、いろんなお友達のところに行ったときに、本当にうらやましいほど安くて広い家に住んでいて、娘が、ママ、日本に帰りたくないと言ったんですね。
 考えてみたら、走り回ったりできない。ベッドから飛びおりても、下の人に迷惑だから飛びおりちゃいけません、走るのをやめなさいというような育て方をしなきゃいけない。そして、時には真っすぐに歩くんじゃなくて、カニ歩きみたいに横へ歩かなきゃいけないような、そういう家に住まわせなきゃいけないというのは大変残念なことで、子供は元気で走り回って当たり前というのと全く違う生活をしなきゃいけない。もちろん、電車の中ですとか公共の場ではきちんとおとなしくしているのが当然で、そういうしつけは必要ですけれども、せめて自由に遊べる場が欲しいと思うんですが、道は危険で車がどんどん走っておりますし、やっと十分、十五分、二十分と歩いて公園に行っても、ボール投げをしちゃいけません、また公園は四時で閉まってしまうというような、そういうところで本当に子育てができるのかと思うわけです。
 そこで、また戻ります。ごめんなさい、横道にそれましたが、最低居住水準というのは、これはいつつくられたものなんでしょうか。それで、私は、誘導居住水準の方が当たり前の居住水準ではないか、これをそれこそ最低基準ぐらいにしてもいいのではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(小川忠男君) 最低居住水準という考え方自体は第三期住宅五計、昭和五十一年に概念がつくられております。
 それから、確かに四人で五十平米、少ないではないかと。私も率直に申し上げて非常にミゼラブルな水準だと思います。思いますが、ただ三大都市圏に限定いたしますと、三大都市圏の借家居住世帯でございますが、非常に低い水準だと言わざるを得ないにもかかわらず、それすら満たしていない世帯が現段階でもまだ二〇%いらっしゃるというのもまた事実だと思います。
 したがいまして、私どもとしては、当面の五カ年計画の目標というのはこの二〇%近くの方々をできるだけ早く解消するというふうなのがまず当面の問題意識でございまして、その辺のめどが立てば恐らく最低という概念も相対的に底上げをするといいますか、引き上げる時期が来ると思いますし、できるだけ早く来れば幸せだと思っております。
#60
○円より子君 局長も、もう本当にミゼラブルな状況だというのは認識なさっておりますし、今後どんどん見直しを図って引き上げていきたいというお気持ちもよくわかりますが、水準というのは強制力はないわけですね、例えばこうあってほしい、望ましいという形ですから。
 今まで日本の住宅事情が悪くて最低居住水準すら満たせない世帯がたくさんあるということはよくわかるんですが、今どんどん住宅が建設され、また逆に世帯数よりも多くなっている状況でございます。新しくつくるものに対しては水準ではなくて基準を設定していく、法律で設定して、居室は何平米。諸外国の中には、それこそ寝室部分は何平米必要であるとか、それから居室部分には何平米、居間とか食事をするところでは何平米必要だとか、そういったことの基準ができていると思うんですけれども、日本では最低居住水準すら満たせないようなものがまだまだあることも事実です。
 水準がだんだん上がってきているんだとは思いますけれども、それでもまだ共同のトイレとかそういうものでも一戸と数えていくというところがありますので、新しく建てるものに対しては、これだけはきちんと守りなさいという、誘導居住水準の中には共同住宅に対してもある程度のまとまった空き地等やいろいろの環境への配慮等も全部書いてあります。こういったことをきちんと基準に決められたらどうかと思うんですが、そういった基準を制定することの研究とか、そういった見通しはどうなんでしょうか。
#61
○政府委員(小川忠男君) 最低限の基準を住宅をつくる場合の強制力を持った基準にするというふうなことについては、一つの考え方だとは思いますが、ただ現状でそれを高いレベルで仮に強制したとすれば、私どもの現段階での分析というか見方では、賃貸住宅の供給がとまると思います。採算がとれない。したがって、建設がとまるというふうなことでございますので、どのレベルで、どの程度までの水準に相対的に賃貸住宅のレベルが上がった場合にそういうふうな施策に切りかえるのかというのは、やはり状況を見ながらというふうなことでしか現段階では言えないんじゃないかというふうな感じばいたします。
 それから、もう一つ難しいのは、これは理屈のための理屈みたいな話ですけれども、例えば五十平米といっても、四人世帯の最低居住水準ではございますが、学生さんが一人で住む分には十分だというふうなことがあって、だれが住むのかというふうなこととの相関によってその住宅が広いか狭いかが決まってくるというふうなこともございますので、住宅という物に着目して強制をするというのはテクニカルな面でもかなり難しいし、より基本的には、冒頭申し上げました経済的な要因によって供給される、されないというふうなことが規定される賃貸マーケットというふうなものを考えれば、やはり余り無理な行政手段はとりにくいというのが率直なところだと思います。
#62
○円より子君 そういう形の建築基準をつくると逆に賃貸住宅が減るというふうにおっしゃられると、ああそうなのかと思ってしまう方も多いかもしれませんけれども、それは、例えば逆に無利子の百年返済の住宅融資をするとか家賃が何%以下になるように家賃補助をするとか、いろいろ私はやり方はあると思うので、ぜひともその辺も考えて住宅基準を確立し、そして子育て中の人たちの、住宅に困って子供を産めないとかそしてせっかく子供が好きで生んだのに、子育てがとても狭い住居でしにくいといったことのないような政策をぜひとも今後やっていただきたいと思います。
 高齢者についても、今バリアフリーとよく言われておりますけれども、もう御存じだと思いますけれども、バリアをなくすだけが高齢者の寝たきりを減らすわけではなくて、やはり広さというものも十分必要で、そこで一人で活動できる、車いすでも動けるというような場がなければ現実には寝たきりになってしまうということもあって、結局財政を逼迫するのではないか。最初によい質の住居、また住環境をつくっていくことの方が今後の日本の財政のためにもいいのではないかと思います。その辺のことはもう十分わかってやっていらっしゃるんだと思いますけれども、さらに御検討いただき、実行していただけるようにお願いいたします。
 さて、道路局にお聞きしたいんですけれども、今住宅のことを大分質問させていただきましたが、それぞれ日本の国民というか人々は、それなりに自分で自衛を必死でしょうと思って、自分の住宅はそれなりに子育てしやすいような環境を何とか、貯金をして家を買いたい、つくろう、また少し余裕があればバリアフリーにしていこうというふうにはなさっていると思うんですが、やはりどう考えても住環境がどうにもならない。せっかくここならと思って家を買っても、近所のこんもりとした林があっという間になくなってマンションが建って、何年間がずっと工事の騒音に悩まされるとか、また緑がなくなるとか日照が悪くなるとか、そういった環境はどうにもならないわけです。ですから、町づくりという住環境の整備が住宅だけでなくて必要なのではないかと思います。
 道路についても、高速道路ですとか車の走る道路は随分日本はよくなってきたと思うんですが、車がどんどんふえるに従って逆に子供たちの遊ぶ場、またのんびり散歩をする道路、そういった生活にかかわる住宅周りの道は戦後どんどん悪くなってしまったんじゃないかという気がするんです。そういった生活道路に関してはどういう施策をとっていらっしゃるのか、今後どのように子育て環境、高齢者がふえることも含めて、お考えをお聞かせ願いたいんですが。
#63
○政府委員(佐藤信彦君) 道路の役割でございますが、これは今先生おっしゃられたように、高速道路とかそのほか国道とか、どちらかといいますと人や物を移動します機能がもちろんあるわけでございます。そういうものとともに、人が日常生活を暮らす空間としての機能がございます。空間機能の中には、地下にいろいろ安全施設、ガス、水道等を置くといったようなこともございますが、地上の地表面におきましては子供の生活空間となります。そういった空間を確保することが必要ではないかというふうなことでございます。
 もちろん、高速道路とか国道が整備されることによりまして、生活空間としての道路にいろいろな交通が入ってくるのを避けて、住宅系の地区についての道路の整備が進むことでございますので、高速道路とかそういう交通機能に重点を置いた道路の整備もあわせてやっていかなくてはならないわけでございますが、特にこの住居系の道路、こういったものにつきましては、特に歩行者を優先すべき空間といったことから、子供を初めとしまして、だれもが安心して歩き、あるいはたまり場的な、あるいは集えるような、そういった道路に整備していくといったことを考えております。
 例えばコミュニティー道路というふうに私ども言っておりますが、通過交通が外へよけた後の住宅主体のところにおいては、むしろ車についてはスピードを落とさせるような線形とかそういうものをいろいろもちまして、歩行者を中心としたコミュニティー道路、そういったものを主体としたものとか、それからかなり広幅員の歩道をつくるといったことを進めてきているところでございます。
 ただ、これらのものを単なる道路を中心とした物の考え方でやっていきますと、そこの面的な面では非常に障害が出てくる、ばらばらな整備になります。そういったこともありますので、公安委員会等のゾーンの速度規制などとあわせまして、これらのコミュニティー道路を面的に組み合わせることによりまして、コミュニティ・ゾーン形成事業といったものに平成八年度から取り組んでおります。平成十年度には約百地区が実施予定になっておりますし、今回の五カ年計画が終わります十四年度には、恐らく四百五十の地区がそういった面的な形での住まいに合わせたような道路、そういったものを整備していくといった方向で進めているところでございます。
#64
○円より子君 子育て中にバギーに子供を乗せて歩いておりますと、保育園に行くにしても買い物に行くにしても、道路が本当に歩きにくいといいますか、そういうことは私も感じますし、大勢のお母さんたちからさまざま言われておりまして、ぜひとも生活道路というものを早く改善していただきたいと思いますし、道路だけではなくて、公園、すべて含めて、本当に暮らしやすい町づくりというものが必要なのではないか。
 そのときに、高齢者も子育ての場合も似たようなものだと思いますけれども、どうも厚生省にしてもどこにしても、少子・高齢化というと選挙権のある高齢者の方の予算が多くなってしまいがちで、子供のことが割合なおざりにされていくのかなというところを随分懸念しておりますので、そのあたりしっかり、子供たちが本当に生きやすい町づくり、住宅づくり、そして道づくりというものをぜひ心がけていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
 それでは、建設省から今度は厚生省に移らせていただきますけれども、本日の新聞にちょうど出ていたんですが、「児童福祉対策等に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが総務庁から出されております。
 ここで、これは公立も私立も含めて二百八カ所の保育所の調査をしたんですが、公立保育所九十八のうち、低年齢児の入所を制限している市町村が十五ある。十五といいますのは、ゼロ歳児や一歳児を一律に保育の対象としない方針をとっているところと、低年齢児を受け入れる保育所を限定しているところが十五もあったということで、私立よりも低年齢児の受け入れが悪いということなんです。
 これについて総務庁の方はこういう勧告をしているんです。「低年齢児の入所制限を解消させるとともに、特に公立保育所における改善が図られるよう低年齢児保育の積極的な実施につき都道府県を通じ市町村を指導すること。」と、もう一つ、「現行の保育単価を見直すこと。」と言っております。なぜかといいますと、四歳以上の子供を受け入れる方が国や市町村から保育所の運営費が出る点でメリットがあるということで、低年齢児ですと保育単価は高いのでもらえるんですが、保母一人が担当できる児童数の上限が低いものですから計算上の支弁額が大変低くなって、低年齢児を受け入れると保育所の運営にはかなりきついということがあるらしいので、この保育単価を見直すようにということが勧告で出ているんです。
 この点について、今後、低年齢児は都市部などでは一番ウエーティングの子供が多くて、そして働くお母さんたちが育児休業があけたときにすぐにでも子供を預けたいと思ったり、また育児休業法があってもそれをなかなか実施されない会社も多い。こういう状況下で、最も仕事と子育ての両立には大事な点だと思いますが、この勧告を受けてどうなさるおつもりでしょうか。
#65
○政府委員(横田吉男君) 最近、共働きの家庭がふえておりまして、保育需要も大変多様化してきております。
   〔会長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 御指摘の待機児でございますが、全体として見ますと保育所の定員が百九十万人ほどございまして、そのうちの入所者は百六十万人ということで三十万人程度のあきがあるわけでありますが、地域によりまして大きな違いがございまして、待機児がいるところが存在するということでございます。平成九年四月一日現在の数字をとってみますと、ゼロ歳児で待機しておられる人の数が全国で六千人、待機率が一〇・八%ということで、平均的な待機率二・五%よりも高いという状況になっております。
 私ども、こうした状況につきましては、できるだけ利用者の視点に立って利用しやすい保育所づくりを図るということで昨年児童福祉法を改正いたしまして、本年四月から施行いたしたところでございます。
 乳児の入所につきましても、従来は指定保育制度ということで限定していたわけでありますけれども、本年の四月から、どの保育所においても希望があれば、しかもあいていれば入所をさせなくてはいけないというふうに一般化を図ったところでございます。
 また、単価の点でございますけれども、普通、四歳児以降でございますと三十人に一人の保母さん、ゼロ歳児でございますと三人に一人の保母さんの配置が必要ということでございまして、これの保育単価につきましても、四歳児以上でございますと三万七千六百円程度でございますが、ゼロ歳児でございますと十五万四千円というふうに、保母の配置数に応じまして単価を大きく変えております。
 私どもといたしまして、この行政監察の勧告、必ずしも正確ではないというふうに考えておりますけれども、今後利用者が利用しやすい保育所づくりということを目指してなお一層努力してまいりたいと考えております。
#66
○円より子君 ちょっと時間がありませんので、この保育所の問題はこれだけではなくさまざまございますので、また別の機会にさせていただきたいと思います。
 労働省の方に来ていただいておりますが、きょうは住宅問題等に重点を置いて質問をしてまいりましたけれども、女性が子供を産んでも働き続けられる社会ということで、労働省は女性局を中心に随分頑張っていろいろやってくださっていると思いますが、働き続けている女性たちに対してはいろんな施策がありますし、また今後働き続けることが理想ではないかという気もしますけれども、やはり多様な生き方の中で、子育て中はフルタイムの仕事ではない形で生活したいという女性たちもいるでしょうし、今までの生き方の中では夫の転勤、妊娠、出産、育児等で女性の側が仕事を続けたくてもやめざるを得なかった人もたくさんいるわけです。
   〔理事尾辻秀久君退席、会長着席〕
 ところが、平均寿命が長くなり、子育てを終えてからの時間が大変長くなりましたから、小学校に入るとかそのあたりからもう一度再就職したい、また中学、高校あたりから再就職したいという女性が今大変多くなっているのも事実なんです。平成四年に既婚女性の中で働く女性の割合の方が働いていない女性を上回ったにもかかわらず、この不況下で平成七年には逆転してしまいました。
 そういった状況で、女性たちの、特に中高年の女性の働く雇用環境というのは大変悪くなっております。試験すら受けられないという、採用されるかどうかはともかく、年齢によって差別をされて採用試験も受けられないという状況に関して、これを改めていってほしいと私などはずっと長年思っておりますが、私だけじゃなくて、全国各地を講演で歩きますと、ほとんどの女性たちがそう考えていらっしゃる。
 この年齢差別を撤廃するということについて、労働省では何か研究会をしたり、今後この方向で実施をしていくという検討を進めていらっしゃるのかどうか教えていただきたいんです。
 といいますのは、アメリカ等では御存じのように一九六七年に既に年齢差別禁止法が制定されまして、このときの対象年齢は四十歳から六十歳でしたけれども、その後二度ほどの改正によって、全く対象年齢をつけない、どの年齢であってもとにかく差別をしてはならないという法律ができておりますし、またアイルランドなどでは年齢差別をするのは女性への間接差別ではないかという判例も出ております。そういったことも重ね合わせて、我が国で採用上限年齢を設けて試験すら受けさせないということについて労働省はどのようにお考えか、お聞かせ願えますか。
#67
○政府委員(征矢紀臣君) 今後、少子・高齢化が進む中で、中長期的に見ますと労働力供給が制約される、そういうことも考えられる中で、少子・高齢社会を支える働き手として社会的にも未就業女性等が期待されているところでございます。一方では、出産等により一たん退職した女性等の再就職事情が非常に厳しい、そういう事情、未就業女性等の就業を阻害する要因の存在も指摘されているところでございます。
 こういうような実情を踏まえまして、平成十年度において未就業女性等の就業を阻害する要因についての調査研究を行い、就業を支援するための対策の検討に資することといたしたいというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘の年齢差別禁止法というような考え方につきましては、おっしゃるようにアメリカ等でございますが、直ちに我が国における労働市場の実情に合うかどうかという点につきましては、これはなかなか問題点もございまして、今後の研究課題ではございますが、直ちに実施することは難しいのではないかというふうに考えております。
#68
○政府委員(太田芳枝君) 先生御指摘の子育てを終えた女性の再就職の支援でございますけれども、一たん子供を産んだら自分の手で子供を育てたいというような女性たちも約四割を占めておる状況でございます。そしてかつ、そういう女性たちの再就職の状況というのが、征矢局長も今申しましたように、なかなか厳しいというような実情がございます。
 ですから、私どもといたしましては、育児等のために一たん退職した人たちがその能力にふさわしい再就職の場を得ることができるようにきめ細かな職業相談だとか、それから長い間休んでおりますと能力もさびついてくることもございますので、そういういろいろな能力開発に対する支援とかさらには子供を育てている間もいろいろと自己啓発をしたいというような意識の方もございますので、そういう方々へ対する援助等にも取り組ませていただいているところでございます。
 ともかく、子育てを終えた女性が再就職しやすい社会、そういう社会の実現に向けて今後とも積極的に取り組んでいきたいと思っております。
#69
○円より子君 終わります。
#70
○山本保君 公明の山本保です。
 実は、ちょっと私の手違いがございまして、この総務庁の行政監察の資料が私の手元に届くのがおくれましてちょっと見られなくて、質問したいなと思っていたんですけれども、ちょうど今最後の方で横田児童家庭局長が答弁されましたので、まことに申しわけございませんが、少し御認識を持っていただければと思いまして、簡単なことを一つだけお聞きいたしたいんです。それは、先ほどの円委員の質問とは違いましてもっと簡単な方でございます。
 児童相談所のいわゆる児童福祉司というソーシャルケースワーカーの任用資格が実際には同等程度でよろしいという児童福祉法の規定の最後のいわゆるバスケット規定のところの方が多いということは前々から実は児童福祉関係者が指摘しており、大変心配しているところであります。今回、私も細かい勧告内容を見ておりませんのでどういう形で具体的な事例について指摘されたのかはわかりませんけれども、この勧告が指摘しているものが事実かどうかということとは別にしまして、今児童相談所の一番専門性が高くなければならない職員の任用について、もしくはその研修について心配なところがあるのではないか。
 国会でも、他の委員会などでも児童虐待などについて私も御質問させていただいたわけでありますけれども、児童相談所の職員のこの資格について、法律問題ではありますが、局長、何か今指摘を受けてお考えのところがありましたらお話しいただきたいんですが。
#71
○政府委員(横田吉男君) 児童相談所のあり方につきましては、昨今、児童の虐待、いじめ、あるいは非行事件等が増加している中で、私ども真剣にあり方を考えていかなくてはならないと考えております。そうした中で、御指摘のございました職員の資質、専門性ということをどうしていくかというのも大きな課題であると考えております。
 ただ、もう一つの考え方といたしまして、地方分権の中で職員の資格について各省ごとにそれぞれまた法律で縛るというのはできるだけ避けるべきではないかという御議論もあるわけであります。
 私ども、こうした両様の状況を眺めながら、児童相談所が今後時代に即応して活動ができますように職員の資質の向上なり資格のあり方についても検討していかなくてはならないというふうに考えております。
#72
○山本保君 通告なしでお聞きしまして失礼いたしました。ありがとうございます。
 おっしゃるとおりでございます。今そのように地方の行政人事等の問題もございますが、ただ現行の法律では、医師から始まりまして、さまざまな高い専門性を設定しておって、そしてその最後に同等の者といいますか、準ずる学識経験というのが法律条文にあるわけでございまして、それについてのいわば運用基準については厚生省から示しているところであります。ですから、その任用、運用の基準自体をもう少しきちんと見る必要があるのではないかということを御指摘します。
 実は、私、もう十五年も前になりますが、ある施設で重大な事故が起こりまして、そのとき調べてみましたら、その施設長さんが厚生省の通達にかなっていない方であった。実際上その方に重い落ち度があったとも思えないにしても、しかしながらそういうことがあったことからその方はおやめにならなければなりませんでしたし、さまざまな形で処分がされたということを記憶しております。
 ですから、こういうのはそういう悲しい出来事が起こってからでは遅いわけでございますので、ぜひ積極的な対応をお願いしたいということを申し上げます。
 どうもありがとうございました。
#73
○会長(鶴岡洋君) 答弁はいいんですか。
#74
○山本保君 答弁は結構でございます。
 それでは、きょうは私、時間もちょっと短いので大変恐縮でございます、難しい問題でございますが、年金改革について、少し勉強不足でありますので、もう委員の先生方はよく御存じだと思うんですけれども、少し確認の意味もございましてお願いをしました。
 私ども、ちょうど十二月、政治状況などがございましてか、ほとんど委員会でも取り上げられなかったんじゃないかと記憶しているんですけれども、年金改革について厚生省の審議会で意見を出され、意見といいますか何らかの具体的な提案といいますか、ある選択肢が出されたというふうに報道を受けました。きょう、それについて、本来、国民福祉委員会の方の議題だとは思いますけれども、私どものちょうど調査事項で、先ほど医療問題が出てまいりまして、年金問題についても基本的なところをお聞きしたいと思っております。
 最初に、たしか平成六年の年金制度の大改正によりまして、年金の支給開始年齢でありますとか、また保険料率が引き上げられるような、これまでとは相当違った形での対応策がつくられたわけであります。こういう形で行っていけば二十一世紀の年金問題というのはまず大丈夫ではないかという大変な議論がされた結果での、それまでとは相当考え方の変わった厳しい状況に対応した制度改正があったと思っているわけでございますが、その中でなぜまた今こういう年金問題についての制度改正を急遽といいますか大幅な対応をしなければならないのかということ、また、時間もありませんので一緒にお聞きしますけれども、今回提起されたといいます考え方というようなものはどのような目的、意向を持って厚生省が示されたのであるか、その辺について総合的で結構でございますので教えていただきたいと思います。
#75
○政府委員(矢野朝水君) 公的年金制度といいますのは、御案内のとおり五年に一度財政再計算をするということになっております。これは、五年ほどたちますと世の中のいろんな社会経済状況も変わってくるということでございまして、そういったものに合わせて絶えず見直しをするということでやっておるわけでございます。
 それで、今、委員の御指摘ございましたように、平成六年度が前回の財政再計算ということで改正をしたわけでございますけれども、その後少子・高齢化が非常に進んでまいったわけでございます。これは昨年の一月でございますけれども、新しい人口推計が示されたということでございまして、少子・高齢化が一段と進むという予測が行われたわけでございます。
 そうしますと、現在の公的年金制度というのは、自分の納めた保険料に利子がついて返ってくる、こういう形じゃございませんで、基本的にはその時々の現役の方の納めた保険料で年金を払う、これは賦課方式と称しておりますけれども、こういった財政運営を行っております。したがいまして、少子・高齢化が進むということは受給者とそういう保険料負担される現役の方とのバランスが厳しくなってくる、こういうことになるわけでございますので、年金制度にとりまして非常に大きな影響が出てくる、こういうことになってくるわけでございます。
 それからまた、もう一つ欠きを要素が経済でございまして、少子化がある程度進みましても経済成長が十分期待できるということですと年金制度にとってもそんなに心配することもないわけでございますが、経済もそう成長は期待できないということになりますと、年金制度にとりましては非常に厳しいということになるわけでございます。
 したがいまして、次期制度改正というのは平成十一年度、来年度でございますけれども、既に昨年の五月から年金審議会で審議をお願いしておるわけでございまして、去年の暮れに、十二月に年金審議会として一応一通り議論を終えたということで論点を整理していただいたわけでございます。それにあわせまして厚生省の方で今後の年金の議論の参考にしていただきたいということで五つの選択肢をお示ししたわけでございます。
 これは、従来ですと年金審議会で意見書をいただいて、それをもとに政府原案、たたき台をつくって御議論をお願いする、こういう進め方をしたわけでございますけれども、年金といいますのは御案内のとおり、加入員が七千万人、それから受給者が延べで三千四百万人、年金受給額も年間三十三兆円、こういう巨額に上っておるわけでございまして、国民一人一人に密接に関連する問題でございます。そういうことで、大いに国民的な御議論をお願いしたい、そういう中で、上から何か押しつけるということじゃなくて、ぜひ国民に選んでいただきたい、選択していただきたい、こういう趣旨で議論の素材として五つの選択肢をお示ししたということでございます。
 こういうことで現在年金審でも精力的に御議論をお願いしておりまして、ことしの九月には意見書をいただきたいということで今御議論をお願いしております。それからまた、先般、有識者調査というのも実施いたしまして、近々結果を御報告できると思いますけれども、そういうことで今精力的な御審議をお願いしておりまして、こういったものをもとに政府原案をつくり、関係方面とよく御相談をし、来年の通常国会に法案を提出したいと、こういうことで作業を進めておるということでございます。
#76
○山本保君 詳しい内容についてここの場でこれ以上入ってもなかなか難しいなと思いましたのでただいまのお答えで結構でございますが、一つだけちょっと簡単にお答えいただきたいのは、今賦課方式とおっしゃいましたが、これは賦課方式を加味しているということだというふうに資料にもなっております。ある学者の説などを見ますと、何かもう既に現在でも百五十兆の積立金があって、二十年ぐらいたっても四百兆ぐらいは積立金が残るんじゃないか、あるじゃないかだから、まさに賦課方式は加味しておるんであって、基本的に積み立てを崩していくというような方式を考えればそんなに問題は起こらないんじゃないかという、ちょっと一番極端な議論かもしれませんが、こういうのが一つありますが、簡単にこれについて反論というのはございますか刀
#77
○政府委員(矢野朝水君) 確かに現在、年金積立金は百三十兆ほどございます。厚生年金は約五年半分、五年ちょっと分ぐらい、それから国民年金も二年分ぐらいの積立金があるということでございます。
 ただ、これはこういう積立金を保有することによりまして将来の保険料負担を軽減したいということでやっておるわけでございまして、特に公的年金をめぐりましては世代間の不公平、負担の不公平ということが言われておるわけでございまして、こういった世代間の不公平を少しでも是正をするというためにはこの積立金の運用というのが非常に大きな、有力な手段、方法ではないかと、こう思っておるわけでございます。
 ただ、この積立金というのが現在あるのでこれに手をつけるということになりますと、これは短期的に見ますとその保険料をそんなに上げなくていいということでございますけれども、そういうことをやりますと将来にツケを回すといいますか、将来もっともっと重い負担にあえがなきゃいけないと、こういうことになるわけでございまして、こういった積立金を取り崩したりあるいは積立金を当てにして負担を先送りする、こういったことは問題があるんじゃないかと、こう思っております。
 それで、現在はそういうことでございまして、せいぜい五年分ぐらいでございまして、基本的には賦課方式の要素が非常に強いということでございまして、積み立て方式はそんなに大きな要素ではない、基本的には今の仕組みは賦課方式と、こういうことが言えるわけでございます。私どもは、これは賦課方式を基本としつつも積み立て方式のよさも加味しておるわけでございまして、段階保険料方式ということで段階的に保険料を引き上げていく、そういう中で積立金の運用収入によりまして将来の保険料負担はできるだけ抑制をしていく、こういう考え方で進めておるわけでございます。
#78
○山本保君 非常に難しい問題だと思いますので、議論はこれでこのことについては終わりますが、私個人としましては、少子・高齢社会というのは実は国が豊かであることの証拠であって、老人問題は老人が多いことが問題ではなく、まさに今までの社会システム自体が老人がふえてくる、子供が減ってくるということをまず肯定的にとらえた上でその制度を変えていかなくちゃいけないということが問題なのだと思っておるわけであります。また、これからその辺については議論していこうと思っております。
 お願いしましたことをもう一つだけお聞きします。それは、全然話が違いますが、介護の問題でございます。
 介護問題で私が委員会でも指摘しましたのは、介護問題の一つの大きな問題は、介護サービスに民間の方が自由に参入できない体制になっているんだ、それを一番端的に示しているのが社会福祉法人という、最も責任あり、また力のある法人を取ろうと思いましても何億円というお金を積まなければできない、これは全く現状に合っていなくて、特に在宅支援方式のサービスをする場合にそのようなものは全くナンセンスである、こういうことで数百万円ぐらいの基金でもってまず法人を認めるべきではないかということを昨年十一月、それ以前にも委員会で指摘しましたときに、厚生省の方から、それについては中央社会福祉審議会で法人設立の規制緩和について検討を始めますという御返答を六カ月前にいただきました。六カ月たちましたけれども、これについて最近どういう形で動いているのか、もし御報告があったらお願いしたいと思います。
#79
○政府委員(炭谷茂君) ただいま山本先生がおっしゃいましたように、現在、中央社会福祉審議会の中に社会福祉構造改革分科会というものを設けまして、昨年十一月末以来審議をいたしております。
 この分科会におきましては、社会福祉法人を初めとして社会福祉の基礎的な構造全般の見直しの御審議が行われているわけでございます。既にきょうまで十回にわたりまして精力的な御審議をいただいております。その審議の中におきまして社会福祉法人のあり方につきましても御議論をいただいております。昨年秋、厚生委員会でいただきました先生の御指摘、御意見も審議会の中で出ております。つまり、社会福祉法人の対象となる事業を現在の法律では社会福祉事業という形で概念構成しているわけでございますけれども、その社会福祉事業の範囲をもう少し今日の状況で拡大するなり見直すべきじゃないかという問題、また社会福祉法人の設立要件の緩和、これが先生の御指摘された点でございますけれども、そういう面を緩和すべきじゃないかという御意見も出されております。
 現在のところまだ分科会として結論は得ておりませんけれども、来月までには中間的な取りまとめをされるという形で審議を進めておるわけでございますので、なお結論までもう少しお待ちいただきたいというふうに思っております。
#80
○山本保君 ありがとうございました。
#81
○松あきら君 私は、まず調査会の検討課題の中の子育て支援についてお伺いをしたいと思います。
 国民生活の中でも子育て支援は政治課題の中心だと私は思っております。育児支援ということだけでなくて、やはり子供たちを健やかに育てるということは二十一世紀にこの子供たちを送り出す私たち大人の責任であるというふうに思います。
 しかし、残念なことに今毎日のように凶悪犯罪が起こっており、それも年々低年齢化をしているというふうに私は思います。また、女子中高生の援助交際等を初めとする性をめぐる倫理観の揺らぎの問題、私は援助交際という言葉は大嫌いでございます。まず、マスコミにぜひこの言葉はやめていただきたい。テレビ等でも新聞でも書いてありましたけれども、どうやら援助交際という名前が格好いいと、私もこの耳で聞きましたけれども、テレビで。私は、これは絶対売春だと思っております。この援助交際なんというものをテレビあるいは新聞等ではんらんさせることが安易にこういう行為を起こさせてしまう一つの要因になっているのではないかとも思います。
 警察庁生活安全局がまとめました「少年非行等の概要」があります。平成九年中に性の逸脱行為で補導された女子少年は四千九百十二人となっております。動機別では、遊ぶ金が欲しくてというのが二千三百九人で、全体の四七%を占めているということが出ております。それも、今いろいろ出ておりますけれども、遊ぶ金の中で、なぜ俗に言う売春、援助交際に走っているかというと、今携帯電話を持ちたくてという理由が特に多いそうでございます。子供たちを取り巻く環境は本当にいろいろ多様化しまして、その一つ一つをチェックするというのは大変難しい問題ではありますが、何がそうさせるのか。携帯を所持するには当然のようにお金が必要でございます。警察庁の概要にもありました遊ぶ金欲しさの性の逸脱行為の中に今申しましたことが多く含まれているようでございます。
 そこで、携帯を手に入れるための契約について調べてみましたところ、NTTドコモを初め各社とも未成年の加入を認めておりまして、契約に親、親権者の同意書を必要としております。これは民法四条の未成年者の法律行為に対する親の取り消し権に対処するためでございます。親が子供が携帯を持つことを認めているから電話会社は契約をするというわけです。
 そこで、郵政省にお尋ねをいたします。未成年者の親の同意書は、これは中学・高校生ですね、親の同意書は支払いも同意しているということでございますか、いかがでしょうか。
#82
○政府委員(谷公士君) そのように解釈しております。
#83
○松あきら君 未成年者でも当然働いているというふうに思っております。働いている方はもちろんこの支払いができますけれども、ここにありますように、実はNTTドコモは、親が支払いをしなくてもいい、子供が契約者になれるというふうに出ておりますし、実際そうでございます。それはわかっておりますか。
#84
○政府委員(谷公士君) 私の承知しております限りでは、親権者の同意ということを確認するという手続をとっておると思いまして、契約の当事者としては未成年者が当事者になるということは認めておるわけでございますけれども、同意なしの契約という取り扱いをしているということは私承知しておりません。
#85
○松あきら君 もちろん同意書が必要でございます、ここにございましたけれども。同意書ということは、つまりはっきり言いましてだれが書いても三文判を押しても同意書でございます。支払いをする、これは仮にほかのところでは顧客登録の前に親権者の印鑑証明が必要、親権者に電話確認、あるいは未成年者は受け付けないとか、親権者、つまり契約者は親になっていただいて支払いもしてもらう、使うのは子供でもいいけれども。しかし、このNTTドコモに関しましては、いわゆる同意書を出せばだれが書いても三文判を押してもこれは同意書ということで認められる、これはわかっておりますでしょうか。
#86
○政府委員(谷公士君) 全般的な状況として私ども把握しておりますのは、携帯電話、PHS事業者では、未成年の契約申し込みにつきましては親権者の同意書等の提出を求めるほか、親権者に電話での確認でございますとか、あるいは契約確認書を別途送付する等の手続をとりまして親権者の同意確認に努めていると承知しております。
 ただ、具体的に今御指摘ございましたように個々の事業者の取り扱いについてどうかということにつきまして私ただいま自信を持ってお答えすることはできないわけでございますけれども、中には親権者の印鑑証明書を添付させるという取り扱いをとっているところもあるというふうに承知しております。ただ、御指摘の事業者がどのような扱いをしているかということはただいまちょっとつまびらかにしておりません。
#87
○松あきら君 残念ながら、NTTドコモは同意書だけで、これは現実に一人当たり二万円を超える女の子も珍しくない。しかもそのお金がないので、お小遣い七千円のうち携帯とポケベルで一万五千円はかかる、ゆえに電話代欲しさから援助交際に走る女子高生がふえている。援助交際を思いついたというわけです。携帯がないとすごく不安で、携帯がもう体の一部だというような状況になっているのでございますけれども、私はやはり、ちょっともう時間が全然ない。
 文部省、まず中高生が携帯を持つ必要がまずあると思いますか。働いていない中高生が携帯電話を持つ必要があるかどうか、簡単にお願いします。
#88
○政府委員(富岡賢治君) 時に必要があるという積極的な理由は見出せないと思います。
#89
○松あきら君 じゃ郵政省、働いていない中高生がどれぐらい携帯電話を持っているか御存じですか。
#90
○政府委員(谷公士君) 全体の数としては把握しておりませんが、携帯電話、PHSは今ざっと三千八百万台ぐらいあると思いますので、そういたしますと、国民、幼児も入れまして三・数人に一台という非常に高率の普及をしておるわけでございます。そういう意味で、どの程度かということはわかりませんが、かなりの方がお持ちになっている可能性はあると思います。
 事業者別には、私ども承知しております概数でございますけれども、事業者によってもちろん差はございますが、おおむね携帯ですと事業者の契約のうちの未成年の方の割合は数%、PHSですと十数%程度と承知をいたしております。
#91
○松あきら君 高校生では今四人に一人が携帯あるいはPHSを持っている、中学生も入れると五人に一人が携帯かPHSを持っているという状況であるというふうに聞いております。しかも、NTTドコモがその半数を占めているということなんです。しかも、そのNTTドコモは、今申し上げましたように同意書さえあれば未成年が契約者になれる。しかも、千円の金でも、御存じのように百円でもつくれるわけです、銀行のね、それで契約ができる。そして、その金がないからいわゆる援助交際、売春に走るという実態。
 私は、もう時間がないので、もっともっとたくさん言いたいことがあるんですけれども、やはり安く、二千円でも三千円でも携帯を売る、あるいはただで上げる、そして後は通信費でもうけるというような状況、これは今の日本の社会状況をかんがみましても、それは企業ですからどこの会社も慈善事業はできないという気持ちはよくわかります。しかし、NTTドコモはNTTグループの一員でございますし、郵政省としてもここのところをしっかりと見据えて、きちんとしたことを調べていただいて、こういうことは郵政省が責任を持って、同意書があればいいじゃないか、そういう安易な考えでなくて、私はこれからの日本の子供の教育、将来像ということも考えた契約の内容あるいはやり方というものを考えてぜひやっていただきたい。
 時間がないので、残念でございますけれどもこれで終わらせていただきます。
#92
○日下部禧代子君 まず、大蔵省にお尋ねいたします。
 言うまでもなく、財政構造改革というのは二十一世紀に向けまして我が国の最重要政策でございます。日本に限らず、例えばEU諸国におきましても、単一通貨移行の達成に向けまして、例えば単年度の財政赤字が対GDP比三%以下であることなど、さまざまな経済収れん基準が設定されておりまして、財政の構造改革というものに挑戦していることには変わりはございません。
 EUの議長国であるイギリスでは労働党のブレア内閣がブレア内閣最初の予算を出しております。三月十七日にブラウン蔵相のバジェットスピーチが行われたわけでございますが、そのバジェットスピーチに対しまして、産業界、労働界、あるいはまた大変厳しい論評をいつも発表する主要新聞も、いずれもかなりいい評判だったというふうに思いました。また、当日のマーケットの反応も、株式相場で前日よりも五十ポンドも上昇したということは、これは産業界が非常に好評をもって迎えたということの証拠であろうかというふうに思われます。一世代に一回しか訪れない税と福祉給付の仕組みの抜本的構造改革に踏み出したというふうに言われている予算案でございます。
 もちろん大蔵省は御研究であろうかと思いますけれども、例えば家族及び子供に対する政策でありますと、児童手当も増額しております。あるいはまた単親家庭、あるいは失業者の無職の配偶者、あるいは障害者に対する優遇措置もございます。あるいは若い失業者のため、あるいは二十五歳以上の長期失業者への優遇措置。そして、さらに中小企業の税率を下げるというふうなこと、あるいはまた社会保険料を支払っているすべての被用者の税の減額ということもございます。
 中でもワーキング・ファミリー・タックス・クレジット、これは就労家庭給付というふうに訳したらよろしいかと存じますが、これは一言で言えば、失業給付を受けるよりも就業した方が税率が低くなる、つまり就業するためのインセンティブを与えるというそういう施策も出されております。
 その施策に対しまして、例えばタイムズを初めフィナンシャル・タイムズ、インディペンデントという各紙が、クオリティーペーパーがいろいろな論評をしておりますけれども、財政支出が十分に抑制され、しかも財政の健全性に配慮されたものである、また英国経済のバランスを雇用と公正にしむけるチャンスを与えたものであるとか、それからまた必要な人に対する細心の手助けであり、支援を必要とする人に尊厳と自立性を与えるもの、さらに国を再建するための哲学があるというような、今までイギリスの新聞でこれほどすばらしい論評を加えられた予算案というのは私は見たことがございません。非常にやはりめり張りのよくきいた、国民にその政策の効果が見えるものという点で私はそういう評価を得たのではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、翻って我が国の財政構造改革ということを考えてみますと、非常にこれは残念なことなんですけれども、施策間の横並びあるいは一律抑制、キャップ制あるいは縦割りということでございまして、それが今日の経済の低迷状況を招いているということにも私はなっているんじゃないかなと思うんです。
 今、私たちのこの調査会では少子・高齢社会ということの経済の問題あるいはさまざまな施策について論じているわけでございますが、この少子・高齢社会をマイナスの面だけではなくて、健康でありそれで長寿である、長生きをことほぐことのできる社会にするために必要な財政というものをどのようにシフトしていくのか。今までのハード中心の予算というものを福祉、医療、教育及びソフト中心へと転換していく、そして省庁ごとではなく、横並びではなく、一律削減ではなく、めり張りのきいた実効ある目に見えるシステムにするためには、やはり全体をトータルに見るというその視点が必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 私は今イギリスの予算案を御紹介申し上げましたけれども、大蔵省といたしましてこのイギリスの予算案などを含めましていろいろと他の国の予算案につきまして御研究なさっていることは当然だろうというふうに思いますけれども、大蔵省としてあるべき構造改革ということについてお考えを伺いたいと存じます。
#93
○政府委員(細川興一君) ただいま先生申されましたように、我が国の財政は主要先進国中最悪の危機的な状況にございまして、財政構造改革への取り組みが極めて重要な課題となっているわけでございます。
 先生御承知のように、昨年来、このような状況にかんがみまして、今ほど申されました先進国の各国の事例も踏まえながら、政府・与党の財政構造改革会議において積極的かつ徹底的な議論が行われたところでございます。その中で、例えば各主要経費別の各分野につきましてどのような施策の見直しができるか、あるいは制度改革ができるかというようなことも議論され、その上で一つの手法として各経費ごとにめり張りのきいた量的縮減目標が設定されたところでございます。
 今申し上げましたように、歳出の削減と縮減のための具体的な方策や枠組みを明確にして、これによって今回財政構造改革を進めていこうという考え方に基づいておりまして、単にキャップをかけたということではなくて、そういう制度改革なり施策の見直しの方向について積極的な議論が行われた結果このような財政構造改革の進め方が決められたものと承知いたしております。
#94
○日下部禧代子君 かなり私が御質問申し上げたのと違う答えが返ってきたように思います。めり張りがきいているというふうに、イギリスの場合と考えた場合に、私は与党の一人でございますけれども、残念ながらなかなかそう言えないというふうに思います。
 やはり、どうしてもキャップ制そしてまた他との横並びというところが非常に残念ながら出ているのではないか。やはり、そこのところを乗り越える方策、そしてトータルに見ていくということを何とかこれからの課題として予算案づくりに、ぜひともイギリス内閣も一つの参考として、我々はそういう本当に後の世代の人たちがなるほどと思えるような予算案づくりを私も含めましてやっていかねばならないと思います。大蔵省としてもう少しイマジネーションを豊かにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、引き続きまして、財政の危機的状況ということを今おっしゃいました。政策議論のときいつもその財政の危機的状況ということが出されるわけでございますが、確かにおっしゃるとおり国債それから地方債その他を含めますと五百兆円を超える累積赤字がございます。今我々が予算をつくるときには、これ以上財政赤字をふやさないようにということに努力しながら予算をつくっております。しかしながら、今までに累積された赤字をどうやって減らすのかということについての償還計画というのは非常に重要なことだと思います。その点につきましてどうも全体像が見えないところでございますが、その点につきまして大蔵省の計画、どのような計画をお持ちでいらっしゃるか、お聞きしたいと存じます。
#95
○政府委員(細川興一君) 我が国におきまして公債の償還につきましては、先生御承知のように国債整理基金特会で行っております。その財源として国債残高に対する定率繰り入れ、百分の一・六に相当する金額、毎年度の期首の残高の百分の一・六に相当する金額を基本とし、その他一般会計の剰余金の二分の一を下らない額の繰り入れ等によって行っていく、これによって逐次公債の償還に努めてきておるところでございます。
 ただ、先生今申されましたように大変な危機的な残高の状況になっておりまして、それらの状況を認識して昨年来の財政構造改革法につながったというふうに理解いたしておりますが、今後の問題につきましては、これは諸外国でも一つの手法としては、EUはGDP比三%以下、それからアメリカの場合には財政均衡というようなことを目指して、そういう目標を持って毎年努力していっているわけでございますが、我が国におきましても、今回提案いたしまして二〇〇五年までという年度にはなりましたけれども、まず第一段階として公債の残高の対GDP比が上昇しない財政体質を実現するということで、GDP比三%以下という目標を掲げて、それに向かって努力していくと。
 それから、一昨年の十二月に閣議決定が行われておりますが、そのときの考え方としましては、今の第一段階の目標をクリアした後は、今度は単にGDP比がふえていかないということではなくて、一日も早く公債残高の絶対額が累増していかない、すなわち財政収支均衡の姿を構築して、残高のGDP比を低減させていくという考え方に基づいて次の財政構造改革へ向かっていくという考え方で、現在のところそういうふうに努力していくということで考えております。
#96
○日下部禧代子君 私はもう少し詳しい具体的な計画をお聞きしたかったのでありまして、今御説明のありましたのは重々承知しているところでございまして、その先を聞きたいところでございました。もし、そういうきちっとした、今おっしゃった以上の残高をどうやって償還していくかという具体的なプランがございましたら私のところに届けていただきたいと存じます。
 きょうは非常に短い時間しかございませんのでここで御議論するわけにはいきません。また予算委員会でさせていただくかもわかりませんので、ぜひともその書類をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#97
○政府委員(細川興一君) 今申し上げましたように、諸外国においてもGDP比それから収支均衡というところまでの努力を掲げているところでございますし、我々それに向かって努力していかなければなりませんが、そこまでの努力に達するまでも大変な努力の積み重ねが必要だと思っておりまして、諸外国の例等につきまして機会をいただければ御説明に上がりたいと思います。
#98
○日下部禧代子君 大蔵省どうもありがとうございました。ぜひ後で説明してください。
 それでは厚生省にお尋ね申し上げます。
 昨年の十月に「少子化に関する基本的考え方について 人口減少社会、未来への責任と選択」と題する報告書が厚生省の人口問題審議会から出されました。その報告書のポイントと、それからそれを受けました厚生省の対応につきましてぜひ御説明をいただきたいと思います。まず、優先的な施策というのはどのようなものを考えていくのか、そしてどれに手をつけているのかということも含めましてお願いいたします。
#99
○政府委員(田中泰弘君) お答え申し上げます。
 昨年、人口問題審議会での少子化問題についての基本的な考え方ということで報告をいただいたわけでございますが、まず公的な審議会としてこういう正式な答えを出したのは初めてでございます。
 この報告書によりますと、まず見通しの問題でございますが、低い出生率が続き少子化が進行する中で、生産年齢人口を中心にいたしまして総人口が減少し続ける社会になることは避けられないという見通しを前提といたしまして、少子化の影響、それから要因の分析、それへの対応につきまして社会の慣行や個人の価値観にまで踏み込んで考え方を整理した点に特徴がございます。
 まず、少子化の影響でございますが、今後の労働力不足、それから生産性の低下等により現役世代の手取り所得が減少するといったような国民の生活水準への影響とともに、家族や地域社会の変容、また子供の健全な成長への影響についても指摘をしておりまして、おおむね今後の影響につきましては悲観的な面が多いという予測になっておりまして、少子化の要因への対応が急がれるというふうにしております。
 少子化の要因につきましては未婚率の上昇ということを挙げております。それへの対応につきましては、労働、福祉、保健、教育、住宅等々多岐にわたるわけでございますが、特にその中核となりますのは育児と仕事の両立支援、それから固定的な男女の役割分担や雇用慣行を是正するなど我が国社会全体のあり方を問い直すことが必要であるというふうにしているところでございます。
 対応といたしまして、この報告書にもございますように、この少子化対策は国を挙げて取り組むべき課題と考えております。本報告書の指摘を踏まえまして、関係各省庁を初め関係団体に働きかけを行いますとともに、幅広く国民の皆さんにも議論していただき、真剣に取り組んでいくことが重要と考えております。
 厚生省におきましても、これまでこの報告書の趣旨についてのパンフレットの作成、また昨年十一月には少子社会を考える国民会議を開催いたしまして、少子化問題についての国民の意識の涵養に努めてきたところでございます。今後とも、関係団体によりますシンポジウムの開催、人口減少社会を考えるための国民会議の開催などによりまして、あらゆる機会をとらまえて国民的な議論を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。
#100
○日下部禧代子君 もう少し議論をしたいのですけれども、時間が限られておりますので、ぜひともこの報告書を、今パンフレット、国民会議、シンポジウムというふうにおっしゃいましたけれども、それをもっと具体的な施策に反映させていくそのプロセス、そしてどのような政策に反映されたのかということも大変期待しておりますので、その都度御報告をいただきたいと存じます。
 次に、児童福祉法の改正、保育所の問題についてお伺いしたいと存じます。
 新しい児童福祉法がこの四月から施行されました。この一番の改正の目的というのが、いわゆる今までの措置制度というものから利用するという、福祉制度の我が国の大きな転換の一つかもわからないというふうに思いますが、利用者の選択権を拡大するということだったというふうに思うわけです。どのくらい利用者の選択権が拡大したのかということにつきまして、これは利用者あるいは施設、市町村のそれぞれの立場からの評価というものをぜひとも調査していただきたいというふうに思うわけでございます。具体的には、実施は来年の四月からでございます、新しい法律によって入ってくる方たちは。ぜひともその時点におきまして調査をし、報告をしていただきたいということをまず要望しておきたいと存じます。
 それで、質問でございますが、保育所の費用徴収基準も同時に改正されております。負担強化になったのではないかという指摘も聞こえてきているわけでございますが、実際に負担強化になった階層、もしあるとすれば七つの階層のうちどこの部分なのかそしてそれは全体の何%になるのかということをまずお尋ねしたいと存じます。
#101
○政府委員(横田吉男君) 昨年の児童福祉法の改正によりまして、保育料の基準額表につきましても十年度から従来の十区分から七区分に簡素化をされております。
 実際の保育料負担につきましては、市町村ごとに条例等で定められることになっておりまして、上乗せ等も行っている市町村も多いということで、必ずしも国基準どおりであるとは限りませんけれども、国の精算基準ベースでの試算をしてみますと、今回の改定によりまして負担強化となる者の割合は三二・一%、城となる者の割合が三二・五%でございまして、残り三五・四%の者については据え置きになるというふうに予測いたしております。
#102
○日下部禧代子君 次に、保育所の実態につきまして、総務庁の行政監察局から勧告がきょうなされたというふうに思うわけでございますが、幾つか御質問したかったのですけれども、時間の制限で一つか二つに限られてしまうと思います。特に低年齢児の保育に関して勧告が出されているわけでございます。それも公立の保育所において非常によくない状況であるというふうに勧告が出されております。その理由の一つとして勧告の中にはいわゆる保育単価の問題が出ておりますけれども、この保育単価以外に公立の保育所における延長保育がなかなか伸びていかない理由というのはどういうことがあるんでしょうか。そして、それに対してどのような対策を考えていらっしゃいますか。
#103
○政府委員(横田吉男君) 低年齢児保育あるいは延長保育等の特別保育事業につきましては、最近の保育需要の多様化ということに対応いたしまして私どもも力を入れているところでございます。
 これらの特別保育事業が公立保育所で実施率が低いという理由はいろいろ考えられるかと思います。一つは、いろいろと職員団体等の関係あるいは職員配置等もございまして低年齢児の受け入れにつきましてなかなか公立の方が進みにくい、私立保育所の方が小回りがきくと申しますか対応しやすいといった面もあるのではないかと思います。延長保育につきましても、それだけの職員の配置等が必要になってまいりますので私立保育所の方が対応がしやすいといった点があろうかと思います。
 この点につきまして、私ども、今回の改正を踏まえまして、低年齢児の受け入れにつきましては五十一万人から五十四万人に拡大を図りますとともに、従来、乳児保育等につきましては指定保育所制度ということで一々実施につきまして認可を必要としていたわけでありますけれども、これを利用者が希望すればすべての保育所で入れるようにしなくてはいけないというふうに普遍化を図ったところでございます。
 また、定員を弾力化いたしまして、年度途中、産休明け等の保育需要にも対応しやすいように二〇%まで定員を超えて入所ができるようにいたしたところでございます。
 また、今回の補正予算におきましても必要な設備整備等につきまして所要の予算を計上いたしているところでございます。
 今後とも、こういった低年齢児保育あるいは延長保育等につきまして拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
#104
○日下部禧代子君 それでは、時間がなくなってしまいましたので、質問をしようと思っていたのを後でペーパーでいただきたいと思います。延長保育の実態、あるいは休日保育、それから病児保育、そして学童保育についての現状について後でペーパーをいただきたいと思います。それにもう一つ、いわゆる看護婦さんの院内保育などの職場内の保育所、いわゆる認可外保育所の実態も今回のこの勧告の中にもございました。実態をぜひともいただきたいと思います。
 最後に、エンゼルプランについてでございますが、これはいわゆる四大臣の合意でございます。これをもう少し位置づけをきちっとするような、いわゆる法定化するというお考え、そしてそういう御努力はございませんでしょうか。やはり、このエンゼルプランというのは、新ゴールドプランと同じようにこれからの高齢社会、少子社会に対して大変に重要な政策でございます。そのときの財政の状況によっておくれたり、あるいはなかなか計画ができないのではないかというふうなことを心配しないで済むようなもう少しきちっとした位置づけにするというお考えは、御努力はございませんでしょうか。
 それをお聞きして、質問を終わりたいと存じます。
#105
○政府委員(横田吉男君) エンゼルプランにつきましては、平成六年に子育てをしやすい環境づくりということで四大臣合意のもとにスタートいたしまして、それに基づきまして厚生省としては緊急保育対策等五カ年事業というのを具体的に策定し進めてきているということで、十一年度までの五カ年事業の計画ということで現在進めているところであります。
 十年度予算におきましても、厳しい財政状況の中で二千六百二十一億円、前年度比七・八%増というような予算を確保いたしております。
 これを今後ともいろいろ工夫をいたしながら着実に推進してまいりたいと考えておりますが、現時点で法制化するということまでは困難ではないかというふうに考えております。
#106
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#107
○有働正治君 きょうは主として社会保障の経済的効果をめぐって、事実確認を含めてお尋ねします。厚生省にです。
 社会保障、福祉が経済効果を持つということを昨年の十一月十日の本調査会で私が質問した際に、田中総務審議官が「私どももそういう認識を持っております。」とお答えになりました。その論拠を幾つかお尋ねします。
 厚生白書におきましても、例えばかつての昭和三十三年、三十四年、三十五年版で論及しています。その内容として、投資増大効果、雇用効果、これについて述べています。そして、社会保障は経済成長にマイナスという考え方についても「果たしてそうか」とこれを否定されて、「経済成長という角度から見ても現在、社会保障を充実することの必要性は、われわれの考える以上に大きい」などと明記されているわけであります。この点、間違いないかどうか、事実確認を求めます。
 同時に、もちろん当時と今日では経済、財政状況は違うわけでありますが、白書で述べられたいわば原理、定理とも言える内容ですけれども、今日でも当然有効だと考えるわけでありますけれども、あわせお答えいただければと思います。
#108
○政府委員(田中泰弘君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、昭和三十三年、三十五年の厚生白書の中で述べております。
 昭和三十年代とは御指摘のとおり状況の変化はございます。少子・高齢化が急速に進行しておりますし、また社会保障の経済に占める割合が大変大きくなっております。経済基調の変化、こういった変化がございますが、これまで厚生白書などで述べてきましたとおり、社会保障は、セーフティーネットとして国民生活を支える役割ということとともに、先ほど御指摘ございましたように、所得保障などを通じまして安定した購買力を国民に付与する、また新規産業の創出、また労働需要の創出、こういったことから経済の発展に寄与するという役割はこれまでも果たしてきたと思っておりますし、そういう機能を持っているという認識を持っているところでございます。
#109
○有働正治君 限られた時間ですので、できれば簡潔によろしくお願いします。
 最近の白書で、例えば平成七年版でも「医療と産業」を取り上げまして、「サービスの性格として、医療サービスは単なる最終消費財ととらえられ、経済学的には兵器などと等置されて議論されることもあった。しかし、」ということで、産業連関表による一定の分析も行って、国民総生産を引き上げ、安定した雇用を確保する産業であるなどと述べている。間違いないなら間違いないとお答えいただければと。
 あわせて、例えば三菱総合研究所が長寿社会開発センターの委託事業として公的介護の充実がどういう経済効果を及ぼすかあるいは医療経済研究機構の「福祉充実の経済効果に関する研究」などの研究結果を厚生省からもいただきました。いずれも産業連関表を用いて、福祉施設の生産、あるいはGDP、国内総生産、雇用効果などを試算して、社会保障、福祉などの充実が経済成長に有効であるということを論証しているものと私は承知しているわけでありますが、どう承知しておられるか、簡潔にお示しいただきたいと思います。
#110
○政府委員(田中泰弘君) お答えいたします。
 前段の平成七年の白書の件につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。
 それから、研究論文の関係についての御質問の関係でございます。
 先生御指摘のような形での経済効果についての試算あるいはそれについての説明等がございますが、私どもの認識といたしまして、これらの論文につきましては、社会保障の規模の増大に伴い社会保障が以前にも増して多くの局面で経済に影響を及ぼしている中で、福祉の充実が必ずしも経済にとって阻害要因となるわけではなく、積極的に貢献する面があるという立場から分析を行っているというふうに認識しております。
 以上でございます。
#111
○有働正治君 そこで、今度は総務庁にお尋ねします。
 今、厚生省の担当局長からもお示しいただいたような各種の研究も専門的になされているわけであります。つまり、今日使われています九〇年の産業連関表を使ってその効果を分析する試みであります。
 そこでお尋ねするわけでありますが、産業連関表とは一口で言ってどういう点で重要なものであるということで御認識され仕事に携わっておられるのかどうか。そして、それを活用しての例えば生産誘発効果、波及効果、あるいは雇用誘発効果、組付加価値としての算出によるGDP効果などを試算する有効性。
 その際、例えば一兆円の需要があった場合、直接的な生産波及としての第一次波及効果とともに、そこで生産が行われたところでの労働者の所得の増大、その労働者が消費することに伴う二次的な生産波及効果あるいは三次波及効果。その際、国民の消費性向等も加味して試算することができるわけでありますけれども、こういう一連の生産誘発効果等の分析は日本経済の実態や国民生活の実態を反映した経済波及分析として有効だということは明瞭だと思うのでありますが、その点についてあわせお答えいただければと思います。
#112
○政府委員(伊藤彰彦君) 産業連関表というのは、インプット・アウトプット・テーブル、投入産出表とも言われておりまして、一年間に国内で各産業がどのような原材料や労働力をどれだけ投入してどのような財・サービスをどれだけ生産したか、また生産された財・サービスが産業、家計、輸出等にどのように配分されたかをすべての産業について統一的に把握し、行列の形で一覧表にしたものであります。この表をそのまま読み取ることによりまして表作成年次の産業構造や産業部門間の相互依存関係など国民経済の構造を総体的に把握、分析することが可能であるなど、極めて重要な統計であると認識しております。
 お尋ねの生産の波及の分析あるいは雇用の増大効果、GDP効果等を試算する統計として活用できるかどうかということでございますけれども、産業連関表を用いました各種経済活動の生産波及の効果につきましては、行政機関あるいは民間の研究機関等でさまざまな推計、分析が行われていると聞いておりまして、さまざまな生産波及効果等の分析の一つの手段として使用できるものと理解しております。しかし、これらの推計、分析につきましては、さまざまな前提条件を設定して試算されており、その前提条件の置き方が異なればまた異なった結果になるものと理解しております。
 そして、私どもとしましては、産業連関表という一つの統計表の作成に関する総合調整を担当しておりまして、生産波及の効果等といった経済施策の効果分析に係る事項につきましては所掌外と感じております。
#113
○有働正治君 有効な一つの手段として使用できる、また重要な統計であることは述べられたわけであります。
 そこで、経済波及効果を政府機関の専門官の方にお願いして試算していただいた一覧表を資料として配付させていただきました。
 全国規模で見た場合、それぞれの部門に同じ金額、一兆円の需要、投資があった場合の波及効果で、生産波及効果はごらんのとおり社会保障、医療・保健、公共事業そう大差はないわけで同格的と言っていいと思います。雇用効果を見てみますと、社会保障の方が公共事業の約一・四倍の人数であります。医療・保健が約一・一倍の人数でありまして、雇用効果ははるかに大きい。それから、組付加価値から来るGDP効果を見てみますと、社会保障、医療・保健ともに公共事業を大きく上回って、社会保障は公共事業の約一・二倍、医療・保健が一・〇七倍という結果が示されているわけであります。
 次に、二ページの表をごらんいただきますと、各県、政令市でもこうした試算がやられているわけであります。私は国会の質問で活用したいということで関係自治体から資料をいただきまして、結論部分を整理したものがこの表であります。
 県の場合も政令市の場合も一千億円の需要、投資があった場合として試算したものであります。そして、その中で社会保障の生産波及効果等が公共事業を上回っている場合に米印をつけておきましたけれども、二十道府県の中で十二府県は社会保障の生産波及効果が公共事業を上回り、政令市五つの中で四つ社会保障の方が上回って、雇用効果の方は県及び政令市ともすべての自治体で社会保障の方が公共事業を上回って、大半が二倍、三倍あるいはそれ以上と、組付加価値を通じてのGDP効果も社会保障等がはるかに上回っているという状況であります。
 そこで、総務庁にお尋ねしたいのは、こういう各県、政令市も国と同じ考え方で産業連関表を作成していると承知しているわけでありまして、各県、政令市等のこういう試算活用の有効性は先ほど述べられました国の考え方と同じものと理解していいと思うわけでありますが、結論的にそうであればそのようにお示しいただければ助かります。
#114
○政府委員(伊藤彰彦君) 同じでございまして、全国表と同様さまざまな前提条件を設定して使用されておりますので、前提条件の置き方が異なればまた異なった生産波及の効果等が算出される、こういうことでございます。
#115
○有働正治君 有効性については国と同様であると。もちろんいろんな前提、つまり生産が順次波及していくかどうか、そういう前提があるというものとして私も理解しているわけであります。
 そこで、今度は自治省、厚生省にお尋ねするわけでありますが、まず自治省からですけれども、例えばOECD加盟のそれぞれの国の公共投資、国と自治体の公費負担、合計で結構でございますので、GDPに占める割合、例えばサミット参加国なり主要国でお示しいただければと思います。厚生省に入手し得る統計で同じような割合をお示しいただければと思うわけであります。
#116
○政府委員(二橋正弘君) OECDがつくっております資料によりましてGDPに占める公的資本形成の割合、G7の諸国を申し上げたいと思いますが、地方と国の合計の数字で申し上げます。日本が八・〇、アメリカが〇・三、イギリスが一・九、フランスが二・八、ドイツが二・四、イタリアが二・一、カナダが二主となっております。
#117
○政府委員(田中泰弘君) 国の順序はちょっと違ってくるかと思いますが、社会保障財源のうちで国、地方自治体の公費負担の対GDP比でございます。一九九三年度でございますが、日本が三・九%、フランスが五・〇%、ドイツが七・四%、スウェーデンが二一・四%、イギリスが一三・七%、アメリカは一九九二年度でございますが六・九%、以上でございます。
#118
○有働正治君 ありがとうございました。
 日本の場合、国と自治体の公共事業の公費負担、つまり国民の税金投入というのはおおよそ五十兆円であります。社会保障の公費負担は二十兆であります。そのGDP比を比べますと、今御答弁いただいたように、日本の場合、サミット参加国の公共事業の場合に三倍、四倍、国との違いによっては二十数借と大きな格差があるわけであります。一方の社会保障に対する国と自治体の公費負担は、日本の場合、示された諸国の二分の一、三分の一、四分の一と、こういう実情であります。
 そこで総務庁にお尋ねするわけでありますが、仮に今日の公費負担、公共事業五十兆円、私ども公共事業一般をすべて否定するものではありません。先に総額ありき、そういう結果むだや浪費が多過ぎる、これが国民的課題になってそういうものは削るべきだ、国民に密着した社会保障、福祉、教育、医療等々、そういう公共事業を必要に応じて充実させていくべきだ、そういう点ではまだおくれていると、こういう立場であることは一言申しておきますけれども、ともかくも公共事業五十兆円、社会保障二十兆円、これのGDP効果が今日どうなのか、そしてこれを仮に逆転した場合にGDP効果はどうなるか試算できるわけであります。
 組付加価値がGDPに大局としては相当する。厳密に言えば、全体の四%ほどに当たる家計外消費支出を差し引くわけであります。だから、GDP効果を見るには組付加価値額を見れば大局としてのそれぞれのGDP効果が言えるということになるわけでありまして、この点総務庁にまず確認するわけであります。
#119
○政府委員(伊藤彰彦君) 一九九〇年で組付加価値額は四百四十六兆程度でございまして、そのうち家計外消費は十七兆五千億ぐらいでございますから、先生御指摘のように四%と非常に小さいものでございます。
#120
○有働正治君 その確認の上に、国の予算支出に相当する産業連関表を分析する場合には大きな分類としての大分類の三十二分類という、建設という部門で試算することができるわけであります。医療・保健、社会保障についてはそれを合わせた医療・保健、社会保障部門、そういう大分類のそれぞれの組付加価値を試算してGDP効果を見ることが可能であるわけであります。これについては、政府部門の専門官あるいは大学の専門の教授に私事前に確認いたしましたら、試算のやり方としてはそれで妥当であるという確認も得ているわけであります。
 現在の公共事業五十兆、社会保障二十兆の組付加価値額は約九十八兆円であります。これに対して公共事業二十兆、社会保障五十兆と仮にした場合の組付加価値を計算すると約百一兆円ということです。もちろん幾つかの試算の前提は置いてあるわけであります。先ほどの試算同様であります。しかし、一つの理論上の試算として組付加価値からGDP効果を見るということは、先ほどちょっと御答弁がなかったのであれですけれども、そういうものとして成り立ち得ると思うのでありますけれども、その点だけ総務庁ちょっと確認いたします。
#121
○政府委員(伊藤彰彦君) 先ほどもお答え申し上げましたように、いろいろな推計あるいは分析につきましてはさまざまな前提条件を設定して試算されておりますので、その前提条件の置き方が異なれば異なった結果になると、こういうことでございます。条件としましては、例えば生産能力に限界がないというようなことあるいは過剰在庫がないとか、こんなことでございます。
#122
○有働正治君 前提を置くけれども一つの試算としては成り立ち得ると。
 私は、これは政治判断としてどう政策を実行するかということにつながるわけですけれども、将来展望として日本の場合には、この問題についての国民的議論を抜きにして高齢化社会に対応した日本経済と日本社会の発展の方向はあり得ないということもかんがみて事実確認を求めたわけであります。
 最後に一点だけです。少子対策とのかかわりでございますけれども、本年度予算が、例えば社会福祉施設等の施設整備補助金、緊急保育対策五カ年に基づく多機能保育所の整備費等々が相当減額されています。そこで、前年度からどれくらい減らされたのか、また緊急保育対策五カ年計画の施設整備費の目標と目標残、この事実関係をお示しいただきたい。
 もう一点は、予算が減らされたことで各地方自治体は大変深刻な事態が起きています。千葉県浦安市の実情を聞きましたら、本年度一〇%国が削減するから県も削減するということで、浦安市の場合、ことし春の待機児童が百人にもなるため、二年計画で保育所増設、新設を計画し、工事費として三億九千万円計上したが、県からの補助金はゼロで、国、県合わせた補助金一億四千万円全額市が負担せざるを得ない、千葉県全体でも新年度補助申請二十九件中、採択されたのは三分の一の十件のみで、十九件補助がつかなかったと、こういうのが各県であらわれて深刻な状況にあるわけであります。
 そこで、緊急保育対策五カ年計画の目標等々を達成する上では、きっちり財政措置その他を今後やっていかないと相当深刻だ。その点でどう対応されるか決意を含めてお示しいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#123
○政府委員(横田吉男君) 御質問のございました保育所の整備の多機能保育所の分でございますけれども、十年度予算におきましては七十七億円ということで、対前年度比、財政構造改革の関係もございまして七・五%の減になっております。
 この緊急保育対策等五カ年事業におきます整備目標としては、十一年度一千五百カ所を目標といたしております。十年度までの予定といたしまして九百八十二カ所ということでございますので、残り五百十八カ所ということでございます。これの達成につきましては、本日閣議決定されました補正予算におきまして整備費の前倒しを行うということで五十億円ほど計上することにいたしております。
 五カ年事業、計画どおりいっている部分がある一方、計画どおり進捗していない事業分野もございますが、今後とも予算の確保に努めましてその実現に努めてまいりたいというふうに考えております。
#124
○有働正治君 終わります。
#125
○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。
 私は、現場の直面しておる問題につきまして二、三申し上げて、また御意見を承りたいと思います。
 まず、年金給付年齢の引き上げと六十歳定年制との整合性についてお伺いをいたしますが、御承知のとおりに六十歳定年制をそれぞれの企業が設けて、またその実施を進められておるところでありますが、二〇〇一年から十二年かけまして支給年齢を六十五歳にまで引き上げるということになっております。六十歳から六十四歳の間の支給は、特例で報酬比例部分だけ月々六万五千四百五十八円の基礎年金のみが支給されて、六十五歳にならないと支給されないというようなことであります。六十歳定年をしいておりましても、管理職等は五十八歳で勧奨という形で肩たたきでやめていかれるというところもあるし、五十八歳なり七歳になった時点で管理職を解いて、要するにそのまま六十まで勤めるなら勤めてもいいけれども管理職を解くというようなこと等が行われておりますし、また五十五歳あるいは五十歳から選択的定年といいますか、早くやめる方について割り増しの退職金を出そうというようなことで、それぞれの企業は現実的にはそういうことをとっておるわけであります。
 そういうことからしますれば、六十歳定年までの間に、それぞれの企業の中におきまして、選択的定年なり管理職を解いたりというようなこと等で六十歳まで勤め得ずしてやめなければならない、あるいはやめる方を選択していった方が有利だというようなこと等で会社をやめていかれる、そういう方々の問題をどういうふうに考えておられるかということ。二〇〇一年からそれぞれ延びていきます、我々もやがて六十になったときには六十三ぐらいからでないと完全にもらえないということになりますと、六十歳定年であったにしても三年間は基礎年金だけだというようなことであるとすれば、まさにやめて年金へうまくつないでいくために年金と定年制との整合性がきちんと、安心して老後を迎えられるかどうかというようなことについてまず教えていただきたい。
#126
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまの御質問でございますが、まず六十歳定年の定着状況でございます。
 平成九年の雇用管理調査によりますと、六十歳定年制を導入している企業は導入を予定している企業を含めますと九七・一%となっておりまして、ほぼ定着をしているのではないか。平成十年につきましては、調査時点が二月でございまして、なお進んでいると思いますが、まだ公表する段階には至っておりません。御承知のように本年四月から六十歳定年が義務化されておりますので、したがいまして六十歳未満定年を採用している企業がある場合には法律上無効となるということでございます。
 こういうことを前提といたしまして、ただいま御指摘の点でございますが、おっしゃるように、六十歳定年制ということではありますが、早期退職制度を実施している企業、そういうものも現実にございます。全体としましてはこの企業は七・四%程度でございますが、ただし割合は大企業ほど高くなっておりまして、大企業においては相当多くそういう制度が行われているという現状はございます。この点につきましてはいろいろな問題点が個別にあるわけでありますが、その点は労使間の話し合い、あるいは出向その他の制度、あるいは割り増し退職金、そういうことで本人の同意等も踏まえて行われている制度であるというふうに理解をいたしております。
 今後、先生御指摘のように、二〇〇一年から段階的に年金の支給開始年齢が引き上げられまして、二〇一三年には六五歳になる、こういうこととの関係で高齢者の雇用問題をどうするかということが非常に重要課題でございます。
 基本的な考え方としましては、先生御指摘のように、年金の支給開始年齢と定年制というものがドッキングしていくというのが一番理想の形態でございますが、ただ現実には、一方で、六十歳を過ぎた方々について、これは労使双方にそれぞれ問題点がありまして、直ちに画一的に法律上強制的に定年年齢を引き上げるということは困難である、こういう問題もございます。
 そういうところから今後、当面、高齢者の方々の雇用問題としましては、できるだけ本人の希望に応じて六十五歳までの間働いていただくということで、定年後の再雇用制度等、雇用を継続していただく。その場合には賃金等が下がるケースも多くございますので、これについては雇用保険制度の中で高年齢雇用継続給付というものを六十五歳までの間支給して雇用を継続するというような形、あるいは定年後は雇用という形でなくて社会参加をしたいというような方についてはシルバー人材センター事業の活用というような、高齢者の状況に応じた多様な形態による雇用就業対策、こういうものを進めていく必要があろうということで現在さまざまな対策を進めているところでございます。
 基本的な今後のあり方につきましては、労使あるいは関係者にお集まりいただきまして今後の政策ビジョンを策定してまいりたいというふうに考えておりまして、六十五歳現役社会推進会議というような会議を設置いたしまして現在検討しているところであります。
#127
○阿曽田清君 一歳、二歳、三歳と六十歳から年金受給の間の対策を今雇用保険的な物の考え方で申されましたが、まさにそこは大事なところだと思いますので、勤めやすい環境をどうつくっていくかという意味で、雇用調整助成金等々の適用をきちんと受けやすい環境をつくっていく、継続的に雇った方がよろしいという雇用側の体制に結びつけていただきたいなと思います。
 さらに、高齢者の社会保障の問題と介護休業制度の柔軟性について、時間がありませんので簡単に質問いたします。
 介護保険制度が導入されることでいよいよ公的介護サービスが実施されることになったわけでありますが、やがて実施される過程の中において、一番年金受給者の多い層というのは割合として二十万から六十万層の方々が多いわけです。
 そうしますと、今回介護を受ける方の、種類にもよりますけれども、六段階のうちの三段階、真ん中ぐらいを受けたといたしましても、年間二十七、八万が私の計算ではかかる算段になります。いわゆる介護料とみずから負担しなければならない保険料を足しますと、大体二十八万か九万ぐらいになるのじゃないか。そうしますと払えない人も出てくるわけであります。少ない年金をもらっている方々、いわゆる年金を受給している人たちなり、あるいは介護サービスの中身が高いものだったら高くなってくるわけでありますから、そういう方々の負担というものが賄い切れない状態になってくるのではないかなというふうに思います。その面の、生活をしていくという観点からして、介護を受けた場合に年金では貯えない方々に対しての措置はどういうふうに考えておられるかという点が一つです。
 それから、介護休業制度の柔軟性を考えていただきたいというのは、十一年四月よりいよいよ介護休業、家族一人につき介護のために一回三カ月以内で休業できる、こういうことでありますが、病人が間違いなく介護しているときに亡くなればいいんですけれども、健康になってまた二回三回という山場を越すような状態といいますか現実はそれが多いと思うんです、医療がこれだけ進んできますとなおさらに。
 ですから、三カ月間を一回というような区切り方をするのではなくて、三カ月間の介護休業期間が認められるのであれば、一カ月使い、兄弟と相談して次のときにまた一カ月使うとかというような形で、ひとつ柔軟に取り扱うことができるようにする必要があるのではないかというふうに思いますが、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#128
○政府委員(羽毛田信吾君) 二つお尋ねがございました。介護休業制度につきましては後ほど労働省の方からお答えがあろうかと存じますので、前半の部分で先生がお話しございました、介護保険導入に伴います高齢者の方々の負担についてのお尋ねでございました。
 御案内のとおり、介護保険制度は十二年度からスタートするわけでありますけれども、これは何と申しましても、これだけ介護問題が国民だれしものいわば不安ということになって、それにこたえるという意味から、利用者にとりましてサービス利用が受けやすいような仕組みとするというのを一つの理念にしておりますが、一方、やはり介護の費用は何らかの形で社会全体で支えていかなければなりません。
 そうしたときに、やはり公費負担も入れていくという意味では税負担も二分の一入れていただく、同時に、若い世代、現役世代からの御負担も願う、と同時に、これだけ一般だれしものリスクになったということを考え、また高齢者の方々の経済的な状況の変化というものも考えまして、高齢者御自身も給付の受け手と同時にまた支え手にもなっていただくという観点で制度を仕組もうというのが基本でございます。
 ただ、その際に先生今お話のございましたような過大な負担になってくるというようなことになりますと、これは制度はなかなか難しゅうございますし、また高齢者の方々にとっても非常につらいことになってまいります。したがいまして、保険料の負担の面あるいは利用者負担の面でどのようにこれを配慮していくかという点にかかってくるんだろうと思います。
 高齢者の保険料につきましては、具体論は審議会等の御議論を経て決めることになりますけれども、所得の多寡に応じました所得段階別で保険料を決めるという仕組みをやっていこうということで、先般成立をさせていただきました法案の中でもそのような考えをとっておりますので、こういった定額保険料という中で所得に応じた無理ない負担というようなことを配慮してまいりたいというふうに思っております。
 それから、利用の際の負担の問題でございます。これは、先生御指摘にありましたように、利用給付の中身に応じまして定率の一割負担ということを原則にいたしておりますから、当然給付の、サービスの内容が高ければ負担も高いということになってまいります。
 この定率負担にしておりますゆえんは、やはりサービスを利用される方としない方との公平というような問題、あるいはサービス利用につきまして受益者負担を通じまして費用についての意識というようなものを持っていただくということから、原則としてそういう考え方をとるべきだろう。しかし、そのときにそれが非常に過大になってくるということになりますとこれは大変でございます。ある意味からいうと、低所得の方だけではなくて非常に重くなってくると大変だということで、これは医療保険の世界でもとっているところでございますけれども、高額介護サービス費という制度を導入することにしております。
 したがいまして、こういった一定額以上負担になるというときには、それでいわば負担の頭を打たせる制度を導入することにいたしております。その際に、低所得の方についてはその一般の頭の打たせ方よりも低く設定をするというような配慮をしていく、こういったことを導入することによりまして基本的には先生御懸念のような方向についても配慮をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#129
○政府委員(太田芳枝君) 二つ目の御質問でございますけれども、介護休業の期間につきましては、この法律をつくるときに私どもといたしましては、家族が介護に関する長期的方針を決定できるまでの期間としてやはり三カ月程度が必要だろうというふうに判断をしたこと、また既にこれまで幾つかの企業、事業所で実際に介護休業を導入しておるところがございます。そういうところの実態を調べますと大部分のところが三カ月以内に復帰しているというような実情がございまして、そういうこと等から最長三カ月というふうに決めたものでございます。
 ただ、先生おっしゃいましたように、休業期間につきましては弾力的な取り扱いというのはやはり望ましいということもございますので、現在の育児・介護休業法に「事業主は、」「介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という努力義務を規定してございまして、これにつきましては指針をつくりまして、この点について事業主に対する周知啓発に努めているところでございます。
#130
○阿曽田清君 育児休業ということが非常に充実されていく中で、お年寄り、親を介護するという観点からしますと、ついきのう私の身内が亡くなったんですが、それもやせる思いで非常に実態よりも、あら、御主人えらいやせられましたねと見えるぐらいやせられました。それほどやっぱり看病するのが大変だというふうに感じたわけでありますが、三カ月では足らなかったということであります。できれば、できるだけ身内が看病してやるという意味において、弾力的に、絶えず面倒を見れるというような形へさらに御努力を賜りたいというふうに思います。
 最後に、労災保険制度につきまして、農業者に対しての労災保険の適用については、特別加入の中で特定農作業従事者やあるいは指定農業機械作業従事者ということで分けてそれぞれの適用を考えておられますけれども、私は再三、何で農業者だけが、林業者も漁業者も他の勤労者の方々と同じような形で労災保険が適用になっておるのに、何で農業者だけが十分それと横並び適用になっていないのか。
 ついせんだっても、熊本県の果樹研究同志会の会長さんであった六十歳の方が、まだ現役なんですよ、その方が三十センチの台に乗ってミカンをちぎっておられて、ちょっとしたはずみで倒れられて、道路がセメントの道路でありますが、そこに頭を打って亡くなられたんです。
 二メーター以上でなからぬとだめだとか動力機械でけがしたのでなからぬとだめだとかそういう幾つかの、四項目ぐらいの中で特定農作業従事者の労災保険は認めますよというやり方ではなくて、漁業者も林業者も同じように、波止場から漁場まで行ったら、いわゆる漁場で事故やったのも波止場から漁場まで行く間の事故についてもすべて認められているわけでしょう。林業だってそうじゃないですか。それなら、農業者だったら家からトラックあるいはトラクターで圃場まで行って、圃場で事故があったものはすべて漁場であり山林であるのと一緒だと思うんです。あるいは工場と一緒だと思うんですよ、勤労者の。それを限定つきの作業適用でないとできないということは、農業者が一番そういう意味でも、いわゆる生活保障面で国の施策はおくれておった、やらなきゃならぬことをやっていなかったというのが今日までのことだろうと思います。したがいまして、やはり農業者の方々も他産業の方々と同じような労災保険の適用をきちんとこの際確立するべきときだろうと思います。
 農林大臣にも以前質問したことがあるんですが、労働省とよく相談をして進めますと、こういうことになっているんですけれども、他産業従事者の方々と同じような労災保険のレベルまでいつ達成されますかそれをお聞かせいただきたいと思います。
#131
○政府委員(伊藤庄平君) 先生から御指摘ございました労災保険でございますが、御案内のように、労災保険は本来は使用者と労働者、そういった雇用関係のもとにおきます業務上の災害等について保障をいたす制度でございます。
 ただ、そういった雇用関係にない、いわば農業従事者のようにみずからが事業を経営し作業もされる、こういう方々は制度の対象に従来なっておらなかったわけでございますけれども、こういった方々についても、作業の危険性、発生率が高い、またそういった作業の業務範囲が私生活との部分と明確に分離されるなど、一まとまりの作業としてどう特定できるか、いろんなことを考えた上でそういったみずから経営をされる、事業をされるという方々のそれぞれの特性に応じた特別加入制度という、いわば任意加入でございますが、そういった制度を設けて対処しておるところでございます。
 農業従事者の場合もそういった対象者として、特定の機械を扱う場合にはそういった特別加入制度を設けて対応し、またさらに平成三年には特定の機械ではなくて作業の方まで指定して広げるなど拡大をいたしてきているところでございます。先生から昨年も御指摘ございまして、先生の御趣旨に添えるかということで、農水省ともそういった機械の範囲、これを現状に合わせてどこまで拡大できるかというようなことを鋭意検討を行ってきておるところでございます。
 ただ、先生から御指摘ございましたように、漁業等の場合と同じように一人親方としてすべての業務を認めていくことができるか、こういうことになりますと、全く作業が、海、船の上とかそういうふうに特定されてくるケースと、農業の場合、種々の作業形態、また私生活との明確にならない部分等もございますので、法律上もそういった一人親方ということでなしに、特定の労働省令で定める作業の種類によってこの特別加入制度を認めていくという形になっておりますので、そういったことから御指摘のように一人親方という制度化については大変制度上も難しいわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、先生のかねての御趣旨に添うように、私ども引き続き農水省とも話し合いながら、作業の実態に合った業務範囲の拡大というものは検討を続けてまいりたいと思っておるところでございます。
#132
○阿曽田清君 それなりに少し少し、本当に少しずつ努力しておられるのは見えるんですが、これはすばらしいことなんですよ。農業者の方々も他産業従事者の方々と同じように、作業上の事故に遭ったときは、ちゃんと労災保険に加入しておれば、任意であれ強制であれ入っておればちゃんと労災保険の適用になるんだということがどれだけ若手の方々の励みになるかわからない。それを細かく、これとこれとこれの事業にかかわってけがをした場合は適用するばってん、それに該当しなかったものはだめだというのではなくて、農作業という枠からすると、畑の中で事故をやったものは、これはみんな喜んで事故をやるわけはないわけですから、何かしかやっていて、仕事していてけがをするわけですから、作業工程の中で起こったことについては適用してやるということが私は本当に血の通った行政だろうというふうに思いますので、局長、さらなる御努力をいただきますようにお願いをしまして、質問を終わります。
#133
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、行財政改革にかかわって最初に質問をさせていただきたいと思います。
 行政改革は必要だと私も思っております。しかし、どういった方向で行政改革をするのか、ここがいろいろ問題も出てくる課題であろうと思います。そしてまた、だれのために、何のための行政改革であるかを明確にすることが必要である、こう思います。日本国憲法の社会的不平等を是正し、社会的弱者を守る視点に立って、庶民の暮らし、今、人権、平和、中小零細業者の営業と生活を守り、庶民の仕事と暮らしが十分保障される、こういったことを念頭に置いての行財政改革が必要だと、このように考えております。
 そこで、今日まず行革、これは政府は鳴り物入りでやっていらっしゃるわけでございますけれども、私たちが考えるに、まず行政改革は政官財の癒着の構造をなくするということ、あるいはまた高級官僚の天下りをなくするということ、行政に対して国民の信頼を回復するということ、こういったことになると思います。
 まず、日本の公務員の数でございますけれども、日本の公務員は数にして行革先進国と言われておりますアメリカやイギリスの半分以下という結果も出ております。人口千人当たりにいたしまして、イギリスは七十一人、フランスが九十三人、アメリカ七十一人、ドイツが六十一人、日本は三十七人でございまして、大変低いということが調査の結果でも出ております。しかも、行政需要が増大する中で、臨調行革が始まった一九八一年から九七年までの十七年間に約四万三千人も地方の出先機関を中心に削減をされております。
 例えば、失業者が仕事を求めて相談する窓口、職業安定所あたりも十分対応ができていない状況まで生まれてきているように思います。八一年の七月に六百十八ありました職業安定所が九七年の七月には五百九十六ということになっておりまして、地方の出先が大きく削られていっているということに大変心配をしているものでございます。
 人間らしい生活のために、まず雇用の確保、あるいはまた、職場において不当な扱いを受けたときには駆け込み寺のような、そういう感じのところこそ充実すべきだと思いますけれども、職業安定所にしても労働基準監督署にしても、私たちはもっとここらは充実してほしいと思いますが、こうした国民生活に深い部門においてばさばさと行政改革がなされるということについて、まずお聞きしたいと思います。
#134
○政府委員(西村正紀君) お答えいたします。
 行政改革は、今申しましたように、行政の簡素効率化、あるいは行政の総合性の確保、あるいはスリム化等を進めて民間の活力をさらに発揮させる、また行政の公正、透明性というような観点から進められておるわけでございます。
 定員に関しましては、今のような行政の簡素効率化ということが求められておりますから、各省庁におかれまして、業務範囲の見直しとか合理化、効率化をすることによって定員の縮減をお願いしておるわけでございます。
 しかし、一方ではさまざまな行政需要、新規の行政需要もございますので、真に必要なものにつきましては増員等を行い、適正な定員の管理を進めているところでございます。
#135
○栗原君子君 ぜひ庶民の側に立った行政改革を進めていただきますように要望しておきます。
 そこで、通産省の方にお伺いしたいと思いますけれども、日本経済は今大変不況のどん底にあると言ってもいいと思いますが、規制緩和によって郊外では大型のスーパーの進出が次々となされておりまして、個人商店が廃業に追い込まれる事例が余りにも多いわけでございます。そして、その裏には、商店主あるいはまた事業主が自殺をしたりとか、あるいはまた家族が離散をするといったようなこともなされているわけでございます。市民生活においても、今日の規制緩和というのがまさに弱肉強食のルールを持ち込んでいるように思えてなりません。とりわけ、私もいろいろ地域を回るんですけれども、車社会の生活でないと今生活できない、こういった状況にまで追い込まれております。鉄道とか乗り合いバスは撤退され、そして市町村が運行する自治体のバスも赤字に追い込まれておりまして、結局は廃止されるということになりますと過疎と高齢化の町村においては生活ができない、そういう状況まで来ております。
 それから、町の商店街もそうでございます。私の地元でもございます三原市というところでございますが、かつては大変商店街がにぎわったところでございますけれども、先般参りましたときはシャッターを閉めて店を廃業されたところが本当に多うございまして、きょうは商店街は休みなんですかと、ついこういう聞き方をしたんですけれども、いえ、休みじゃないんです、いつもこんなんですと。幾つかあいているお店もあるんですけれども、そこはお客さんもいないといったような状況になっておりました。
 そうした商店街においても、高齢者とか子供たちとか身体障害者については生活ができにくい状況になっております。きょうも本会議でこうした議論がなされておりましたけれども、通産省においてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#136
○政府委員(中村利雄君) 御指摘のように、ことしの四月でございますけれども、平成九年の商業統計を発表したわけでございます。その中でも、小売店につきましては百四十一万九千店ということで八万店ほど減少いたしておるということで、現在小売商業が大変厳しい状況にあると私ども認識いたしております。
 その原因としましては、消費者のライフスタイルの変化でございますとかモータリゼーションの進展、さらに御指摘のような大型店の出店増というもろもろの要因があったのではないかと思っておるわけでございます。
 商店街は、従来より地域住民の身近な購買機会を確保するあるいは地域コミュニティーの中核としての役割を果たしてきているわけでございますけれども、特に高齢化が進展する中で、高齢者など交通弱者への宅配サービスとかあるいは交流の場の提供によりまして高齢者等が豊かな生活を送ることができる町づくりに貢献していくということが大変期待されているわけでございます。
 そういうことで現在、私ども、商店街というものと町づくりというものが一体となって整備されなければいけないということで、本日の本会議におきましても中心市街地の活性化に関する法律などを御提案し、御審議をお願いしているということでございます。
 したがいまして、特に今回の予算措置等につきましては、近年空洞化が深刻化しています商店街を中心にしまして、タウンマネジメント機関、これはTMOと称しておりますけれども、これを中心としまして中心市街地の商業の総合的、計画的な整備を進めるということで大幅な施策の充実を図っているところでございます。
 加えまして、個々の個応対策ということでございますけれども、第一に、魅力ある商店街、商業集積づくり。二番目に、最近小売商業につきましては情報化が非常に進んでいるわけでございますけれども、情報化等による中小小売業の業務の効率化。具体的には、カードシステムでありますとか製・配・販のネットワークづくりでございますとか、そのようなものでございます。さらに、売れ筋情報などの提供を通じた個店の魅力アップを図るということで、小売店の振興を図るということを今考えているわけでございます。
#137
○栗原君子君 いいことをたくさんおっしゃってくださったんですけれども、実際私はそうならないと思うんです。現実に私たちの身の回りを見てみましても、日用品のディスカウントショップがかなりの駐車場を確保して郊外に進出をしているとか酒のディスカウントショップあるいは靴もそうでございます。だから、荒物屋さんがつぶれたとかあるいは長年続いた本屋さんや衣料品屋さんや酒屋さんがつぶれていっている。これが政府がそうした対策を施すことによってもとの活気のある町に戻るとお考えなんですか。
#138
○政府委員(中村利雄君) 私どもは、今回御提案しています中心市街地活性化法あるいは大規模小売店舗立地法、さらにこれは建設省の提案でございますけれども都市計画法の一部改正ということで、特に都市計画に基づくゾーニングなどを行いまして、中心市街地というものを、郊外との関係も十分含めまして、まず町づくりと一体となって整備をしていく、そういう中で中心市街地における商店街の整備を図って、都市機能の回復、さらには高齢者等の弱者への配慮をした優しい町づくりをしていくということで今予算等をお願いしているわけでございます。
#139
○栗原君子君 随分自信を持っておっしゃっていただいたので、私も期待をいたしております。
 次に、厚生省にお伺いいたしたいと存じます。
 厚生省は医療制度の改革を進めるとおっしゃいましたけれども、庶民の暮らしの観点から見ますと、改革ではなくむしろこれは改悪ではないか、こういうところが見受けられるわけでございまして、昨年九月から医療保険の改正によりまして、病気になっても医療を受けられない深刻な実態が起きておるということを感じるのでございます。
 先般も伺いましたけれども、以前に比べて二・五倍から三倍の医療費がかかるようになったとおっしゃっています。そして、病院に行けばお金がたくさん要るから、まあ置き薬で我慢しようかということになるのでありますが、置き薬がうまく合えばいいんですけれども、合わなければなかなかこれで治らなくて、結局病院へ行くことになる、そうすれば症状が重くなっていて余計に医療費がかかる、こういう状況まで起きております。
 それから、私の知り合いの方なんですけれども、御夫婦で十四、五万円の年金生活者の方なんです。奥様が二万三千円から二万四千円を毎月病院へ持っていっていらっしゃる。そういたしますと、家族の中から、おばあちゃん、もう病院へ行きんさんな、お金が余計要るから、こういう話が出てきたというのでございます。
 それからさらにまた、いろいろ報告をたくさん私たちはちょうだいしておりますけれども、これは長崎でございますが、夫婦で七万五千円の年金生活をしているが、医療費の負担増で食費に二万円しか残らない、仕事を探したが年齢制限で見つからない、こういった人もおります。
 それから、北海道の方で、三月一日にひとり暮らしの女性、七十六歳の女性なんですけれども、孤独死が発見された。この女性は糖尿病や心不全、狭心症、高血圧などで市立病院に通院していたが、医療費の高騰を理由に去年、九七年十二月から通院をやめていた。京都の六十四歳の糖尿病の女性、インシュリンの自己注射の負担が倍以上になって、十月中旬から治療を中断、暮れに意識を失って倒れ、病院に担ぎ込まれたか子おくれで左足を切断したとか、こういうことになっております。
 昨年九月の医療保険の改正のときに、小泉厚生大臣は、一そんなに酷な負担ではない、こうおっしゃいましたけれども、患者負担は二倍から数倍にもはね上がっておる。各地で病気になっても医療を受けられない深刻な実態が起きているわけでございます。特に高齢者とか低所得者を直撃し、生きる権利まで奪うものとなっております。こういった事例がたくさん来ているんです。このことについてどうお考えになるのか、お伺いしたいと思います。
#140
○政府委員(高木俊明君) 我が国の医療保険制度、これは国内ではいろいろ批判がございますけれども、世界的に言えばかなりうまくいっている国の一つと言われております。しかしながら、そういった中でありますけれども、昨今の医療保険財政という面で見ますと、これは我が国の皆保険制度そのものが破綻しかねないほど悪化をしているということであります。
 これはもう申すまでもございませんけれども、一つには、やはり経済が非常にバブル崩壊ということで悪化をしたということの中で保険料収入が非常に低迷をしているという問題があります。しかしながら、医療費の方は、これは高齢化の進展等によりまして確実に増嵩していっているわけであります。そういうような財政の破綻というものを前にして、当面の対応ということで患者の一部負担の引き上げを昨年お願いしたわけであります。
 そういった中で、医療にかかる人と医療にかからない人があるわけでありますが、そういった中でのやはり受益と負担の公平というような角度、あるいはまた、医療というのは一部負担だけではありませんから実際問題として非常に金がかかります。そういった意味で、医療というものに対するコスト意識というものを喚起する必要性があるというようなこと等から一部負担の引き上げをお願いしたわけであります。
 我が国の医療制度の中ではどんなに医療費がかかっても一月六万三千六百円ということで、高額療養費制度というのもございますし、また、先ほどお年寄りのことがございましたけれども、先般の改正におきましても、老人保健制度においては高齢者の方は外来については四回まで、月額二千円まで御負担いただくという形、それに薬代についての負担をお願いしているわけでありますが、その場合でもいわゆる低所得者に関しては薬剤にかかる一部負担を免除するとか、そういった意味では私どもとしてもきめ細かな配慮を行ったつもりでございますけれども、我が国の国民皆保険というものを維持していく上においてはこれはやむを得ないお願いではなかったかというふうに考えております。
 ただ、これからの少子・高齢社会というものをにらんでみた場合に、これまでの我が国の医療保険制度の枠組みで二十一世紀の高齢化の社会というものを乗り切れるかということになると、私どもとしてはこれはなかなか難しいというふうに考えておりまして、そういった意味で、昨年改正の際にも申し上げてきたわけでありますが、平成十二年度から医療保険制度の抜本的な改革というものを実施したいということでありまして、昨年の十一月以降、関係審議会において診療報酬体系の見直し、それからまた薬価基準制度の見直し、こういった問題から検討に入っております。引き続いて、いわゆる老人保健、高齢者保険というもののあり方、それからそれに関連して国民健康保険制度のあり方、こういった問題について見直しをしていきたいというふうに考えております。
 やはり、その原点というのは、これからの高齢社会の中で若い世代の負担というものが過重にならないようなそういった制度というものをどういうふうにつくっていくかということに中心がございまして、そういう意味でいろいろな利害が対立する問題であるだけに非常に難しいわけでありますけれども、国民的な合意を得ながら我が国の皆保険制度というものを今後とも引き続き子供や孫に引き継いでいけるようなそういう制度をつくるべく私どもとしても努力をしていきたいというふうに考えております。
#141
○栗原君子君 私、もう時間がなくなってしまったんです、余り丁寧に説明し過ぎていただきましたものですから。
 皆さんが地域では大変心配でいらっしゃいますものですから、ぜひそうした期待にこたえていけるような制度にしていただきたいということをお願いして、終わります。
 ありがとうございました。
#142
○会長(鶴岡洋君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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