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#1
第142回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
平成十年五月二十日(水曜日)
   午後二時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事
                尾辻 秀久君
                太田 豊秋君
                中原  爽君
                円 より子君
                山本  保君
               日下部禧代子君
                有働 正治君
                阿曽田 清君
    委 員
                大野つや子君
                狩野  安君
                常田 享詳君
                橋本 聖子君
                三浦 一水君
                朝日 俊弘君
                川橋 幸子君
                水島  裕君
                吉田 之久君
                松 あきら君
                栗原 君子君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村岡 輝三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (二十一世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 国民生活・経済に関する調査を議題とし、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件について意見表明を行います。
 本調査会は、これまで三年間にわたり二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方をテーマに調査を進めてまいりましたが、このたび最終報告書を取りまとめるに当たり、本日は、これまでの調査結果を踏まえ、委員各位の御意見を伺いたいと存じます。
 本日の議事の進め方でございますが、御意見をお述べになる方は、各会派から一名ずつ、それぞれ十分程度で順次御意見をお述べいただきたいと存じます。
 それでは、順次御意見をお述べ願います。
#3
○太田豊秋君 私は、自由民主党の委員の皆様方の御了解を得まして、代表いたしまして意見の表明をさせていただきます。
 本調査会は、この三年間、公正で活力がある経済社会と豊かで安心して暮らせる国民生活の実現を目指して、少子・高齢化、情報化、国際化に適切に対応するための経済運営のあり方について調査してまいりました。
 御承知のように、今日の我が国経済は、バブル期の過剰な設備のストック調整、バブル崩壊の影響に伴う土地関連の設備投資の落ち込み、個人消費の停滞、さらには金融システム不安や貸し渋り等によって停滞しております。構造面を見ますと、国際競争が激化しており、我が国の産業・雇用の空洞化、経済摩擦、為替レートの大幅な変動等の問題が生じております。
 このような厳しい内外の情勢から、我が国経済はかつてのような高度成長はもとより、これまでのような右肩上がりの成長を前提とすることはできない状況にあります。また、我が国の財政は、景気の長期的な停滞による税収の伸び悩み、巨額の財政赤字を抱え、極めて厳しい状況にあります。このため、政府は財政再建に必要な財政構造改革を実施するための措置を講じることとしております。
 一方、我が国の経済社会を取り巻く状況の変化を見ますと、少子化、長寿命化、あるいは情報化などが予想以上のスピードで進んでおります。また、家族形態の変化、国民の価値観やニーズの多様化などが見られ、こうした変化やニーズに的確にこたえていくための新たなシステムの構築が求められております。
 そこで、現下の厳しい財政状況のもとで、公私の役割を明らかにするとともに、経済社会の変化と国民のニーズに的確にこたえ、豊かな国民生活を実現していくために、政策の力点をどこに置き、どのような経済運営をやっていくべきかについて意見の一端を申し述べたいと思います。
 その第一は、社会資本整備に関してであります。
 公共投資等によって整備される社会資本は、年々積み重ねられる国民共有のストック、資産として経済社会の変化に十分対応できるよう適切に整備されるならば、我が国経済社会の発展や安定、国民生活の安全や豊かさを支える基盤となり、中長期にわたり着実にその効果を発揮するものと考えられる。
 しかし、世界第二位の経済力を有していながらその経済力に見合った豊かさが実感できていないという不満も多く、その一因として、生活関連の社会資本整備の立ちおくれが指摘されております。量的な問題や地域間格差の問題も残されておりますが、これに加えて、いわゆる質の問題、すなわちゆとり、潤い、快適さといった面への配慮が十分ではなく、特に高齢者や障害者、子供が安全で安心して地域社会で暮らすための住宅や生活道路、あるいは交通、都市施設などの生活環境の整備がおくれていることは否めません。
 二十一世紀に向けて一層加速すると予想されております少子・高齢化に対応して、仮に高齢時に体が不自由になっても尊厳を持って自立した生活を送ることができるよう、介護その他の福祉的措置とともに生活環境上のバリアを除去することが重要な課題であります。これは、すべての人が安心して豊かに生活できる生活環境であり、普遍的な価値の創造と言えるものであります。
 また、現下の厳しい財政状況のもとにおいては、効果的、効率的な公共投資を行うことが必要であり、経済社会の変化に応じて公共投資の配分や国と地方の役割分担等について見直しを行うとともに、民間事業者の活用、費用便益分析の手法の確立、公兵事業のコスト低減等の課題にも積極的に取り組む必要があります。
 なお、民間活力の導入を図る観点から、民間資本による社会資本整備、PFIを検討していくことも必要ではないかと考えます。
 第二は、情報化の進展への対応に関してであります。
 情報化の進展は、生活や産業に与える影響は大きく、産業構造を改革する大きな要因にもなっております。特に、マルチメディアを中心とした情報化の進展は、情報移動によるコストや時間的なコストが大幅に縮減されることから、産業全体の生産性の向上をもたらすと同時に、新たな産業や新規雇用の創出などの経済の活性化、さらには就業形態の多様化、遠隔地からの医療や教育による地域間格差の是正など、日常的な生活やコミュニケーションから就労、医療、教育など広範な分野において国民生活に多大な便益をもたらすものと考えられます。このため、高度情報通信基盤の整備が急がれます。そのような考えのもとに今回の補正予算において措置がなされているところであります。
 また、高度情報社会では、文字や画像、音声などを一体とした情報が時間や距離あるいは国境を意識することなく利用者間双方向での利用が可能となることから、世界はいわゆるボーダーレスになってきます。このため、ハード面の整備とあわせて、世界に通用する語学力などを持った人材の育成や国際的、国内的な商取引に関するルールづくりなどのソフト面の対応が求められます。
 さらに、情報通信サービスによる情報の入手や活用が自由にできない者が多数出現するおそれもあります。同時に、虚偽情報の発信、公序良俗に反する情報の流通やネットワークを利用した犯罪の発生が見られるなど、情報化の進展による新たな社会的な問題が生じてきており、こうした点への対応も重要な課題であります。このため、だれもが安心して利用できる高度情報通信基盤の整備や利用者保護のための環境整備などが求められます。
 第三は、社会保障に関してであります。
 我が国の社会保障制度は、この半世紀の間に、生活困窮者などに対する救済制度を中心としたものから国民一般を対象にした社会保険制度を基本とするものになり、その水準は先進諸国に比べてほぼ遜色のないものになっております。しかし、他の先進諸国に比べて劣っているのは介護と育児サービスの分野であり、世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでいる我が国におきましては、介護や育児支援のための基盤を早急に整備していく必要があります。
 そこで、まず育児支援についてであります。
 少子社会は、先進諸国におけるある程度必然的、普遍的な方向性を持っているものであり、また、少子社会の影響、評価についてプラス・マイナス、さまざまな意見があることは承知しております。しかし、子供が少なくなる、人口が減っていくということは決して喜ぶべきことではありません。まして、夫婦が理想とする子供数に実際の子供数が達しておらず、その要因に子育ての経済的負担や仕事との両立の難しさがあるとすればなおさらであります。
 したがって、少子社会や人口減少社会を前提にした対応も必要でありますが、同時に、家族をめぐる状況が大きく変わりつつある中で、子供の健やかな成長のためにどのような対策が必要であるかという観点から施策を見直し、夫婦がともに充実した日常生活を送りながら子育てに喜びを見出していけるような環境を整備していくことが喫緊の課題と言えます。
 このため、子供を育てながら働き続けることができるよう、育児休業期間の延長や休業制度の弾力化など育児休業制度の充実を図るとともに、育児休業の取得を容易にする雇用環境の整備や子育て後の再就職が可能となるような雇用環境の整備を進める必要があります。また、多様な就業形態や生活実態に応じた保育サービスの充実を図るとともに、少なくとも中学に入学するまでの間についての学童保育の実現や若い世代にとって負担感の大きい子育ての経済的負担の軽減が求められます。
 次に、介護についてであります。
 高齢者の介護は、施設中心の考え方から在宅重視へと移行しつつあります。これは、高齢者の多くが可能な限り住みなれた家庭や地域で生活することを望んでいることによるものであり、高齢者みずからの選択によって残存機能を最大限に活用し、尊厳のある自立した生活を可能にすることは、高齢社会において極めて適切な方向であると思います。
 しかし、家族の介護機能の低下や寝たきり期間の長期化などに伴い、在宅で介護する場合には高齢者の家族に大きな負担がかかります。在宅介護を推進していくためには、こうした家族の精神的、肉体的、経済的負担を軽減して、安心して介護が続けられるような環境の整備が必要であります。
 このため、公的な介護サービスの充実を図るとともに、家族が高齢者の介護をしながら働き続けることができるよう、介護休業制度の充実、特に介護休業期間の延長、休業制度の弾力化など、公的介護サービスとの連携を図る必要があります。また、家族の介護についても労働としての適正な評価を行うなど、在宅介護の経済的支援策を講じていくことも必要であると考えます。
 以上、申し上げまして、私の意見表明といたします。
 ありがとうございました。
#4
○円より子君 民主党・新緑風会の委員の方々の御承諾を得まして、会派を代表し、意見表明をさせていただきます。
 私は、この本調査会が二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方として、この三年間さまざまな視点から議論をやってまいりまして、また参考人の御意見等も聞き、初年度そして二年度に出た調査報告をずっと見てまいりましても、かなりの精度で、そしてさまざまな分野においての今後の少子・高齢社会についての分析はできてきたと思っております。そして、問題も相当正確に把握されてきたとは思いますけれども、今大事なことは、これをどう実行に移すかということなんです。そのときに全体を網羅してこういう点が問題であると幾ら言っても、それをすべて解決するには大変な時間がかかります。
 そこで、私は、ぜひともこの少子・高齢社会において、人々が安心してこの日本に生まれてよかった、そしてこの日本で老いていくことがよかったと思えるような社会を築いていくためには重点的な政策を今すぐに実行することが大事だと思っておりまして、その三つの視点というのをきょうは意見表明として述べさせていただきたいと思っております。
 一つは、皆様も御存じだと思いますけれども、つい最近、平成九年十二月三十一日現在の都道府県と市区町村での女性議員の数が発表されました。それによりますと、一年前に比べて、都道府県の女性議員は五人ふえまして九十九人です。それから、市区町村は百人ふえまして二千八百五十五人になっております。本当に年々少しずつですがふえているんですが、これは全体でいいますと、都道府県で三・四%、市区町村で四・七%と、国会における女性議員の数とは比較にならないほどまだ少ないわけです。
 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、少子・高齢社会において、もちろん高齢者がどんどんふえて国民負担率が上がっていくこと、社会保障の費用がふえることは大変問題なんですが、やはり子供の数が減っていくということが一番の問題で、少子・高齢社会で重要視されなければいけないのは少子化の問題だと思うんです。
 なぜ女性たちが子供を産みにくい状況にあるか、そこを考えていくときに、女性が子供を産む数が大変少なくなって問題視された北欧諸国において今また出生率が上がってきた。
 そのスウェーデンなんですが、実は今閣僚をやっていらっしゃる女性が、最初は専業主婦で、そして仕事をしながら最初の子供を産んで、仕事を続けたいと思われたときに、彼女の住んでいる町に保育所がございませんでした。それで、保育所をぜひつくってほしいと周りに言いに行きまして、市議会の議員さんたちにも働きかけたんですが、そのときはほとんどの方が六十代の男性議員さんでした。何も男性の議員でお年を召しているからだめということではないんですが、彼女がそのとき話したときに、なぜそんなに働き続ける必要があるんだ、子供が生まれてかわいい子がいるときにちょっと休んだっていいじゃないか、保育所は必要ではないんじゃないか、そういう御認識しかなかったということで、彼女は周りの女性たちと運動をしまして、保育所をようやくの思いでその町につくったわけです。そこから政治というものがいかに自分たちの生活に直結しているかということを感じまして、彼女はその後者さんの応援で市議会議員になり、そして国会議員になり、そして今閣僚までなったという方の話を聞いたんです。
 今、六十五歳以上のひとり暮らしの女性は六人に一人おります。男性は五年ほど前が二十人に一人でしたが、これが少し多くなりまして十八人に一人になっております。そうしますと、ひとり暮らしになったときに、ちょっとけがをして病院に行くにしても一人では行けないなど、やはり常に嫁という立場の女性や娘や妻がいる男性の場合はひとり暮らしの大変さというのをなかなか身近に感じられないということがあります。
 先ほどの保育園の問題や高齢になってからの介護やさまざまな問題、私はそれこそ女性の視点というものを大切にした抜本的な少子・高齢対策をぜひやってほしいということがありまして、それにはすべての市町村で女性議員をぜひふやす、そういった視点をこの調査会の報告の中にも入れていただきたいというのが一つの問題提起でございます。
 それからもう一つは、既婚女性の就業割合というのが今五一・二%と半数を超えております。また、単独世帯が昭和三十年には三・四%だったのが今は二五・六%と、これもひとり暮らし世帯が大変ふえておりまして、夫がいて妻がいて子供がいるという、日本ではそういった核家族をベースにして今までの社会保障制度はすべてできてきておりますけれども、実はこの世帯は今三四%しかおりません。そのたった三四%の上に成り立っている制度というのは、今までは大変よく機能してきたと思いますけれども、今後は、そうじゃなく、単独世帯、また離婚をした人や死別した女性、またずっと一人のまま子供を産まないでいく女性たちや男性、そういった方たちが不公平感を感じないような制度に変えていく必要、それも早急に変える必要があるんじゃないか。
 そういったことを考えますと、働く女性が子供を産む数というのは大変少ないんです。〇・六〇という出生率、それから結婚した女性の場合は二・九六というふうに差がありますし、大都市では東京が一・〇七ですし、そういうふうに出生率の低い大都市、それから働く女性、そういったところに重点的に住宅政策ですとか不公平感のない年金ですとか児童手当の制度、そういったものをやっていく必要があるんじゃないか、また働く女性のための育児休業制度や保育所の問題をきめ細かくやる必要があるのではないか、また女性が子供を産み育てる間は、もし仮に家庭内に入ったとしても、その後年齢制限なく再就職がしやすい社会、そういったものをつくっていく必要があるのではないかというふうに私は思っておりまして、まず女性の視点を生かした政策、それから大都市部や働く女性、そういったところに重点的に施策を考えるということ、それが大事かなと思っております。
 例えば公共事業の見直し等も、今、東京、大阪、名古屋等の大都市では公共投資額の実績を示す行政投資実績による地域別一人当たり投資額は〇・八倍から〇・九倍と大変薄く、また大都市以外のところは平均でも一・一倍と手厚いという、そういった状況も直さなければいけないのではないかというふうに考えております。
 さて、そういった状況の中で今、市場原理が優先され、規制緩和が行われております。決して大きな政府を目指すわけではございませんが、公平性、効率性の観点から社会保障制度のあり方を見直すときに、たとえ社会保障給付費が増大するからといって、それを抑制するために公的な社会サービスを抑制する政策をもしとれば、家族介護や育児等、数字にあらわれない私的負担がふえると思いますので、そのあたりの規制の緩和と撤廃をしっかり安心できる形で国民のニーズに合わせてやっていく必要があると思います。
 そういったことすべてを考えますと、住宅政策等も含めてできる限り社会保障で、医療だとかそういった面でお金が増大しないような、まず予防という観点から住宅の居住標準見直しを行ったり、ゆとりのある快適な生活ができるよう、病気にならないよう、けがをしないよう、寝たきりをつくらないよう、そういった観点が今後の政策に必要ではないかということを申し上げて、私の意見表明とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○山本保君 公明を代表しまして、これまでたくさんの参考人の方々からの意見もお聞きしまして、それを私も参考にしまして、意見を特に以下四点だけに絞って表明させていただきます。
 第一は、福祉について、福祉といいますか、これからの高齢社会対策についての基本的な考え方、理念の転換を行ったらどうであろうかという提案でございます。
 他国に見られないペースで進む少子・高齢社会の到来とともに、科学技術の進展と経済のグローバル化の中で、経済構造のみならず、社会構造をどのように変えていくべきかということで、橋本首相初め各党もさまざまな形で国の明確な基本的な施策の転換を述べられているわけでございます。
 私は、その考え方としまして、お年寄りが多くなり、そして子供が少なくなってくる日本、これを前提として、その中で国民全員が安心して暮らせるための基本政策を出すのが最も重要ではないかと考えるわけであります。
 しかし、実際には、あたかも長生きすることや子供の数が減ることが何かよくないことであるというような印象を与えている、例えば老人問題でありますとか高齢化対策でありますとか、このような政策が打ち出されているわけであります。
 しかし、昔からといいますか、近代の国家だと思いますが、お年寄りが多い国は立派な国である、よい国であるということは、当然そのように思われて、確定しておるわけであります。つまり、医学や社会保障が進んでいるからこそ安心して長生きできるわけであります。また、子供に関して考えましても、病気がなく、あっても治療体制がしっかりしており、そして一番大きな戦争がない安定した社会においては子供の数が減っていくというのは当然であるという意見も今回あったわけでございます。
 ですから、今問題にしなければならないことは、お年寄りがふえ、そして子供が減る、このことが問題なのではないということであります。問題は、日本社会の仕組み自体がどうであるか。つまり、若者が一番新しい教育を受けた労働力、そしてその安い労働力である若者が次々と輩出されるということ、また経済的に考えれば、社会が安定的に発展していく、経済成長がある、であるからその雇用体制は終身雇用的また年功的な賃金制が当然である、こういうことを前提としたこの社会のシステム自体が実態に合わなくなっている、ここが問題なのであって、決してお年寄りが多いことが問題なのではないという発想の転換でございます。これに基づいた改革がまさに今必要な構造改革ではないかと思うわけでございます。
 一方、現在世界じゅうで福祉という概念、観念が変わりつつございます。一般にウエルフェアからウエルビーイングへと言われているものでありますが、例えば、第一に、特定の少数者を対象とするものからすべての人の予防福祉という考え方、二番目に、最低限度のミニマムの生活保障から各人が最高の人生を生きていくためにお手伝いをするということ、三番目に、行政処分という役所による画一的、強圧的なものから、国民自身が行い、また選択できる多様なサービスを供給するものであるというものに変わりつつあるわけでございまして、このような福祉の転換と、先ほど申し上げた少子・高齢社会は安心できる社会であるための社会構造改革を総合的に遂行していくことが課題であるということを最初に申し上げます。
 二番目に、具体的に問題を提起しますが、民間の非営利団体などのNPO法人とか社会福祉法人等の仕組みの改革について申し上げます。
 三年前の阪神・淡路大震災におきまして、市民の自主的、自発的な活動がこれまでにない迅速、円滑、柔軟といったような利点を発揮しまして、このような活動を社会的に支援する枠組みを整備する意味を提起いたしました。
 私どもは、行政補完的なボランティアというものを超えた形での新しい社会セクターとしてのNPO、非営利公益活動分野を我が国に確立する必要性を声高く申し上げたわけでございます。それは、ひいては国や地方政府による公共サービス提供にかわりまして、多様な価値観を有する市民による自覚と責任に基づく自主的なさまざまな公益活動を行う団体に簡易に法人格を与え、そしてこれが本格的に軌道に乗りますと、公的セクターと民間との競争が始まり、特に高齢者に適した新しい雇用分野も創出されるということも期待されるわけであります。
 今国会で市民団体の非営利活動を認める法人設置の法律が与野党の賛成によりまして成立いたしましたけれども、これに対して税制上の優遇措置等を講ずる必要があるということは多方面から指摘されているところであります。
 もう一方、別の考え方をいたしますと、このような観点から申し上げますと、NPOやボランティアの参入を促すために、現在一番問題になっております介護などにおいて現状はどうか。これは入所型の施設経営を前提としておりますので数億円の基金が必要である、こういう社会福祉法人の設立要件を緩和する必要がございます。在宅介護サービスとか二十四時間の保育サービスなどの現在最も求められているのにかかわらず法的には整備のおくれている分野、この事業を適正に行う体制をつくることが不可欠であるということを二番目に申し上げます。
 第三に、健康・福祉資産としての住宅政策の策定でございます。
 これからの高齢社会を迎えるに当たり、解決すべき我が国の重要課題は、高齢者と子育て世代がともに安心できる快適で豊かな生活を保障する住宅を提供するというシステムではないかと思うわけでございます。
 これまでの福祉行政の目的は、生命維持に必要な食事、衣料、清潔さ、歩行などに対する人的、物的サービスの補助や介護に限定されておりました。これらは一定の要支援状態に至った後に提供される制度でございますので、言うならばお年寄りがぼけたり歩けなくなるのを座して待つようなシステムになっております。これでは予防効果がないばかりか、年金や医療、介護制度に見られるように、このための費用が巨大に累積され、場合によってはモラルハザードを生むおそれもあるわけでございます。
 我が国の医療・福祉費用の大半はランニングコストとして一種の消費、つまりフローでありまして、その都度消えていく性格を持っていますが、安全な住宅や町づくりはその投資が子孫に引き継がれ、健康や福祉のための資本、ストックとして人々の暮らしの基盤となっていくものでございます。
 我が国は住宅や居住環境が極めて低水準にあり、これが老人問題や乳幼児問題の噴出する底流となっているのであります。安心できる住居は、健康、福祉、子供の発達、文化等々の人間生活の基礎であることは言うまでもありません。住居の状態を劣悪なままにして、その結果生じる医療・福祉需要、子供の心身のゆがみなどに事後的に対処するのでは、社会的費用が大きい上に不幸せであります。健康・福祉資産を充実すれば、老人医療費、介護費用を押し下げ、元気な生活が保障される。言いかえれば、予防医療、予防福祉等の施策の中心として健康な居住環境づくりを位置づけるべきであります。
 もう一つの見方とすれば、お年寄りの介護の方針が在宅介護ということが中心になってまいります。公的施設の代替の意味は持つわけでございます。この住宅は、私的財産であるとともに、準公共資本としての政策的位置づけを行うべきであります。また、住宅投資は幅広く消費需要を喚起します、不況対策にも最適である、こういう視点もございます。福祉行政と公共事業の手法を大きく転換すべきだということを申し上げます。
 最後に、子育て支援施策を総合的、計画的に進める体制の整備についで申し上げます。
 我が国の出生率は平成七年には一・四二まで低下いたしました。ただ、こうした出生率の低下を論じ、将来の我が国を云々することは、国家が個人の考えとか思想、価値観に立ち入ることになり、避けなければならないことであることを真摯に受けとめることであります。しかし、従来、日本人の意識の中に、子供を勝手に産んだのだから勝手に育てるべきだとか、子供を産むと子供がかわいそうだというような風潮があることも事実であります。つまり、これを改めまして、子供を産みたい方が産むことを選択できる環境づくり、また生まれた子供は幸せであるという環境づくりはぜひ行わなければならないと考えるわけであります。
 私どもは、出産や子育てを望みながら社会的要因や施策の不備によって断念せざるを得ない若い世代や女性が置かれている状況を改善するとともに、負担を軽減する施策の確立を図り、実施すべきだと考えます。そのために、国、地方公共団体、地域社会、経済界等々の責務を前提とし、施策を全面的に見直すこと、そのための法整備を訴えるわけであります。
 現在、エンゼルプランというような形で政府としてもいろいろ法整備が進み、また事業が行われておりますけれども、縦割り行政の弊害から、その実効性において極めて不十分な状況にあるとの判断に立たざるを得ないわけであります
 以上のようなことから、社会のあらゆる分野における子育て支援の施策を総合的、計画的に遂行するため、その基本事項を高齢社会対策基本法の趣旨をより発展させまして、例えば子育て支援基本法などの策定を図るべきであるということを提案いたしまして、私の意見といたします。
#6
○日下部禧代子君 社会民主党・護憲連合の日下部禧代子でございます。
 まず、これまで本調査会において、省庁との質疑だけではなく、さまざまな分野の専門家、現場からの貴重な御意見を拝聴する機会をいただきましたことに対して感謝の意をあらわしておきたいと存じます。
 さて、今、私たちは、バブル崩壊の後遺症からいかに国を立て直し、来るべき二十一世紀の高齢社会への展望を国民に示すかが問われております。
 戦後、我が国は、ひたすら経済成長へと関心を向け、走り続けてまいりました。その結果、個人金融資産千二百兆円、外貨準備高二千二百億ドル、ネット対外債権九千五百億ドルという目覚ましい経済発展を達成したわけでございます。しかしながら、国としての豊かさが国民一人一人の生活実感と必ずしも一致しているとは言いがたいのが現状でございます。国の経済力が国民生活の豊かさを高めるために効率的に使われていないということでもあります。
 したがって、私たちに課せられているのは、活力ある経済社会と公正で安定した福祉社会とをいかに両立させるのか、そのためにはどのようなシステムの転換が必要とされるのか、どのような経済政策と社会政策の新たなバランスを再構築するかということであろうと思います。
 本格的な高齢社会を目前にした今日、社会政策に求められる緊急の課題は何か。それは、長い人生のさまざまな段階、さまざまな状況において、国民の抱えている不安に対して必要なときに必要な援助をいかにして社会が提供できるかということであります。その不安とは、産むこと、生まれてくることへの不安、病気への不安、失業することへの不安、社会的孤立への不安、老後への不安、そして死に対する不安ということが言えると思います。
 我が国の合計特殊出生率は、一九五〇年の三・六五から年々低下し続け、一九九五年には一・四二と、先進国の中でもイタリア、ドイツに次いで低い国となりました。総務庁によりますと、四月一日現在の十五歳未満の子供の数及び総人口に占める割合においても戦後最低を更新したと発表しております。また、戦後初めて六十五歳以上の老年人口を下回ったということも報道されております。
 スウェーデンでは、一九八三年に一・六一と低下した合計特殊出生率が一九九〇年には二・一三と上昇しております。その理由は、例えば最高四百五十日間の出産育児休業制、あるいはまた児童看護休暇制、また親保険制度、これは詳しく述べる時間がございませんので名称だけにさせていただきますが、労働時間選択制、長期有給休暇制、教育休暇制、あるいはまた児童手当、学生ローン制、男女機会均等オンブズマン制、また保育所の整備など、育児や労働環境あるいは生活環境の整備ということがその出生率の上昇した理由だと言われております。
 これらの制度を充実することによりまして、産むことへの不安、育てることへの不安、あるいはまた家庭と職業を両立させることへの不安を解消したということが言えると思います。
 子供たちは、私たちの未来、歴史の希望であります。私たちの希望に手間や金を惜しんでいては未来は切り開けないのでございます。残念ながら、我が国の現状は、子供を安心して産み育てる環境が整っているとは言いがたいと存じます。
 児童手当の増額あるいは支給要件の緩和、子育て減税を初めとして、保育所の整備におきましては、待機者をゼロにするという完全低年齢児保育の実現、職場内保育所や無認可保育所の法律による位置づけあるいはまた財政援助をするということ、あるいはまた延長保育、休日保育、病児保育、学童保育等々、保育所の整備拡充が急務であると考えます。
 また、児童福祉法が改正になりまして、保育所への入所は措置から利用へとなりました。したがいまして、保育概念というものも、保育に欠ける子という定義を保育を必要とする子供というふうに変えるべきだと考えます。
 四大臣合意によるエンゼルプランを法定化すべきであると思います。
 女性にとって育児と職業による自己実現が可能な社会、それは男性にとっても人間らしい生活を可能にする、そのような視点に立って、企業のあり方、労働のあり方を含め、生活の質を豊かにするためのライフスタイルをつくり上げていくべきだと思います。それは一言で言えば男女共同参画型社会の実現、そのことを大前提とする社会の仕組み、あり方を考えるべきだと存じます。
 人生の最後の段階をどのように安心して過ごすかということは、本当に豊かな福祉社会であるかどうか、あるいはまた人間らしい生き方が約束できる社会がどうかを示すバロメーターでもございます。
 厚生省によりますと、我が国の寝たきりの高齢者は、一九九三年で九十万人、高齢化のピーク時である二〇二五年には二百三十万人に達するという推計が出ております。
 寝たきりのお年寄りという現象は、これは我が国独特の現象であります。私は社会福祉をヨーロッパ、イギリスで学んだわけでございますが、帰国いたしまして、寝たきり老人という言葉を聞き大変に驚きました。そして、特別養護老人ホームを訪問いたしまして、昼間からベッドに寝でいらっしゃるたくさんの御老人を目にいたしましたときの驚きというのは、いまだに私は鮮烈に覚えております。
 寝たきりのお年寄りのその数の膨大さというものが我が国の高齢社会のイメージを暗いものにし、老後への不安、恐怖を増大させていると私は思うわけでございます。世界一の平均寿命の長さを誇ったとしても、そのことが寝たきりを意味するのであっては長生きを喜ぶわけにはまいらないのでございます。
 寝たきりをつくらないための対策を充実すること、そのことは、本人はもちろん、家族にとって重要であるばかりではなく、社会的経費を軽減することにつながるのでございます。病院あるいは地域におけるリハビリテーションの整備はもとより、介護保険制度の実施を控えまして、新ゴールドプランの質量ともにわたる充実が求められていると存じます。エンゼルプランと同じく、このゴールドプランも法律に基づいて計画すべきだと考えております。その時々の財政状況によって左右されるべき性質のものではないからであります。
 高齢になっても障害を持っても、住みなれた場所で家族や友人、地域社会から隔離されずに、しかも自立した生活を続けることを可能にするには、所得保障、医療保障を基本とする多様な福祉サービスが提供されるべきでございますが、何よりもまず居住権の確立と居住権の保障ということが大切であると考えます。安全で快適な住環境の整備、地域コミュニティーの形成と魅力的な町づくり、生活空間の重要性というものが再認識される必要があると考えます。そのためにも基本的権利としての居住権の確立が前提とされるべきであります。
 また、建築基準法においては、公共の建造物に対してはバリアフリー化が定められておりますが、民間の住宅においてもバリアフリーというものを建築基準法を改正して規定すべきだということを提案いたします。地域福祉、在宅福祉の重要性が叫ばれておりますけれども、肝心の住宅が整備していなければ、これは有名無実になります。一度つくられた家屋を改築するということは非常に高くつくものでございます。寝たきりの防止という観点からも住宅政策は非常に重要でございます。
 多様な政策がサービスを利用する者に満足がいくものであるために、しかも効率的に運用されるには、少なくとも次のような基本的理念が確立されるべきだと思います。
 まず、利用者の人権、主体性が尊重される権利性。次に、利用者の生活、生涯をトータルにとらえる全人性。次に、多様なサービスを有機的に結合する連携性あるいは総合性。四番目に、良質なサービスをいつでも利用できる普遍性。次に、地方分権と住民参加。そして、豊かさが実感できる生活環境、生活の質の充実、いわゆる快適性でございます。
 冒頭に述べましたように、今、我が国は社会システムの構造的な改革が迫られております。二十一世紀の高齢社会を痛みばかりが強いられる暗い社会ではなく、一人一人の個性が豊かに輝く、活力と魅力にあふれた社会であるためにも、これまでの産業中心、生産と労働優先、ハード中心だった資源の配分のパターンを、生活、福祉、ソフト重視型へとそのパラダイムを転換することが肝要であります。それは財政支出の構造を変革することであり、それはまた縦割り行政と既得権に基づく硬直的な予算編成からの脱却を意味することでもございます。
 最後に、参議院の調査会としては初めて議員立法いたしました高齢社会対策基本法が施行されてから三年になります。例えば、第十五条の高齢社会対策会議も含めまして、現在どのように機能しているのか、施行後の現状とその経過をチェックする必要があるということを申し述べまして、私の意見表明を終わります。
 ありがとうございました。
#7
○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、今期調査項目である二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方をめぐって、基本的立場を述べます。
 その点で、バブル崩壊後の経済運営をどうやるかは新しい問題で、本調査会でもさまざまな意見が述べられ、調査が行われました。その中で国民生活を守り、豊かに発展させるためにどういう課題があるか、その中で社会保障をそれに係る社会資本整備を含めどう発展させるか深められてきました。前期、高齢社会対策基本法を制定したのは、その精神の重要な発揮と言えましょう。その後、その精神は今期にも受け継がれ、この三年間のうち最初の二年間、一つは経済社会の変化と国民生活・経済をめぐって、二つには経済運営の現状と課題をめぐって調査してきました。その上に立って、社会保障の経済効果が確認され、それを社会資本整備と連携して調査を深めたことは、この間の新しい重要な特徴でした。私は、時間的制約もあり、主として三年目のテーマをめぐって論及することにします。
 第一は、社会保障・社会基盤整備と国民経済をめぐってです。
 その一つである社会保障の経済効果については、参考人及び政府質疑を通じ、社会保障が経済成長に貢献することが確認されました。厚生省は、厚生白書でも繰り返し明記していること、政府系機関でも研究結果で裏づけられていることを認めました。
 調査会では、参考人、対政府質疑の中で、今日活用されている九〇年の産業連関表を活用して試算の有効性を確認するとともに、同じ金額を投入した場合、社会保障や医療・保健部門と公共事業について生産、雇用、GDP、国内総生産波及効果を比較すると、まず全国的規模で考えた場合、生産波及効果は同格であること、雇用効果は社会保障が公共事業の一・四倍、同じく医療・保健が約一・一倍、GDP波及効果、つまり景気波及効果は、社会保障が一・二倍、医療・保健が一・〇七倍と、それぞれ公共事業より大きいことも明らかになりました。
 一方、地域経済とのかかわりで見ても、参考人が述べた大阪府を含め、大半の県で生産波及効果も大きいことが示され、雇用、GDP効果ははるかに大きいことが明らかになりました。町や村づくりとのかかわりで見ても、参考人として出席した山形県最上町の例に示されるように、福祉、社会保障、医療充実がその町や村の経済発展の上でも極めて重要であることが明確になりました。
 これまで経済運営、手法としては、公共事業万能論で、社会保障マイナス一辺倒の見地がはびこってきていたわけですが、この間の調査と検証を通じ、社会保障の経済効果が確認され、むしろ公共事業を上回っていることが確認されたことは、二十一世紀に向けての国民経済発展の上で極めて重要と考えるものです。
 二つには、経済運営と社会保障・社会資本整備、社会資本整備と社会保障の連携についてです。
 この問題では三点について述べます。
 第一点は、逆立ち財政の元凶、ゼネコン奉仕型公共事業を大幅に圧縮し、公共事業を大型プロジェクト優先から社会保障、福祉、暮らし優先に転換することです。
 日本の場合、国と自治体の公費負担は、公共事業約五十兆円、社会保障約二十兆円です。日本のGDP比の国際比較を見ると、公共事業は数倍、社会保障は数分の一で、異常であることが政府答弁でも確認されました。六百二十兆円の公共投資計画や港湾、空港など十五の長期計画も結論先にありきということから、それを使い切るために次々と不要不急の事業、つまりむだや浪費を積み重ねていることが国民的指弾となっています。あまつさえ、政府の全国総合開発計画、五全総は、首都機能移転や六海峡横断プロジェクトなど超大型プロジェクトの推進、破綻が明瞭になった苫小牧東部開発やむつ小川原開発の継続をうたっています。こんなことをすれば国土も財政も地方財政を含めますます荒らされ、破綻してしまいます。
 日本共産党は、投資の配分を大型プロジェクト中心から社会保障、福祉施設、住宅、教育、環境整備など国民生活関連分野に重点を移すことを主張します。特別養護老人ホームの増設、点字歩道、駅のエスカレーター、エレベーター設置などお年寄りや障害者が自由に出歩けるバリアフリーの町づくり、公営住宅、小中学校の老朽化対策など社会保障、福祉、暮らしに密着した分野で投資が必要なものはたくさんあります。こうした方向こそ国民生活基盤の向上、そして日本経済の主役である中小企業の仕事確保、財政再建にもつながるものです。
 第二点は、医療改悪についてです。
 政府は、昨年九月からの医療費値上げに続き、とんでもない医療改悪を進めようとしています。昨年の医療費値上げが政府予測を上回る深刻な影響を及ぼしていることを厚生省も認めました。医療費を押し上げている最大の元凶は、世界でも異常な高薬価です。医療費の三割、八兆円強を占める薬剤費をドイツ並みに引き下げれば約三兆円も医療費を節約でき、医療制度の大改悪は全く必要ありません。
 第三点は、年金改悪についてです。
 政府は、九九年にも年金の大改悪をたくらみ、昨年十二月に年金改革・五つの選択肢を発表しました。ところが、政府の試算は、基礎年金への国庫負担を一切ふやさない、二〇六〇年には年金の積立金を千四百三十四兆円、三・三年分もため込む、年金財政の担い手である将来の被保険者が減り続けることを前提にしたものです。
 しかし、厚生省が公表した数字をもとに、一、国庫負担を九四年の国会決議に基づいて三分の一から二分の一にする、二、巨額の年金積立金を計画的に取り崩す、三、労働条件、育児や介護制度などの改善で高齢者や女性が働きやすい環境をつくり、被保険者を二割程度ふやす、これらを実行すれば、今の給付水準を維持し、保険料負担を据え置いたままでピーク時の二〇二〇年から二〇四〇年の年金費用を賄えます。この後は年金を受け取る人の割合は下がっていきます。
 以上述べた点から見ても、経済運営を社会保障拡充と、社会資本整備も社会保障、福祉を柱とすること、その連携を図るなどあらゆる点で経済運営を国民主人公の方向に大転換することが求められていることは明瞭です。
 大きな柱の第二は、豊かな国民生活の実現、子育て支援、高齢者支援等をめぐってです。
 第一点は、子育て支援についてです。
 子育てと仕事を両立させ、女性の社会進出を保障する上でも、保育所の整備は緊急の課題です。例えば、ゼロ歳児の保育所入所者に対する待機児童数が一割を超えているにもかかわらず、政府の緊急保育対策五カ年計画の施設整備の目標は、このままでは達成不可能となり、地方自治体にも深刻な影響を与えています。保育所、学童保育の拡充、乳幼児医療の無料化、育児休業制度の改善など総合的な施策が必要です。障害者計画も義務規定とし、国の財政措置を含め実効あるものとしなければなりません。
 第二点は、高齢者支援についてです。
 ここでは特に介護保険制度について述べます。というのは、現行のままでは保険あって介護なしは必至であり、自治体も国民もその改善を強く求めています。
 日本共産党は、一、保険料が払えないために低所得者が制度から排除されることがないよう減免制度を充実する、二、新ゴールドプランを達成しても八万人が不足する特別養護老人ホームやホームヘルパーを大幅にふやすなど介護のための基盤整備目標を新制度導入にふさわしく引き上げる、三、利用者負担を軽減するなど現行の福祉水準を後退させない措置をとる、四、高齢者の生活実態を反映した認定基準とすることなど緊要対策を求めるものです。
 第三点として、快適な生活環境の形成の上では、参考人も強調された、住宅、生活環境の整備や福祉の町づくりとバリアフリー化などが重要であることはさきにも述べたとおりで、論をまちません。
 最後に、本調査会のテーマでもある、豊かな国民生活の実現を目指してともかかわって、最近総理府から発表された「社会意識に関する世論調査」は、日本が「全体として悪い方向に向かっている」と答えた人が七二・二%にも上り、前回の五五・五%を大幅に上回るなど、極めて深刻な実態を示しています。消費税増税を初めとする国民いじめの政府の経済政策の失敗に起因していることは明瞭で、二十一世紀に向け、従来の経済運営の根本的転換が国民的課題になっていることを強調し、日本共産党を代表しての見解とします。
#8
○阿曽田清君 私は、本年一月に結成されました自由党所属議員として、今国会より本調査会の審議に参加したばかりでございます。調査会の委員となるのも何分初めてのことでございますので、調査の報告の取りまとめに際しましてどれほど役に立てる意見が述べられるかと恐縮しておりますが、お招きしました参考人のお話や政府への質疑を通じての若干の感想と意見、また自由党の社会保障についての考え方を与えられた短い時間ではありますが述べたいと存じます。
 私が本院の議員になりましてから既に六名の参考人のお話を伺ったところでありますが、そこで感じましたことは、意外に社会保障の雇用に果たす効果が大きいことであります。また、経済効果の波及効果に目を当てますと、直接の影響こそ公共事業、主に建設業ですが、それに劣るところがあるものの、二次、三次の波及効果までを計算しますと、大きな効果を与えることになっております。今後進みます少子・高齢化の人口構造の変化に対応しての社会政策には、この点を大いに政策の策定、また世論の形成に考慮すべきことではないかと感じております。私は、農政を主に政治活動の軸に据えております関係で、この点地域経済の活性化について応用する道が開かれたように受けとめております。
 また、私は熊本で農業協同組合の会長をいたしておりますが、組合運営の環境を顧みますに、組合員構成も地域の過疎化と相まって高齢化の波が押し寄せて活力と元気がなくなっております。
 私は、この点、組合の原点であります組合員の幸せの追求のため、経済的自立、健康の確保、心の豊かさを実現するようにとの組合運動の視点を置いて活動いたしております。中でも健康面や心の豊かさの面に力点を置いており、特に健康管理だけでなく予防から取り組んでおりますし、高齢者についての介護サービスにも取り組みを開始しています。「一人は万人のために万人は一人のために」という協同組合精神を定着させるよう、教育や文化事業、例えば進学ゼミ、パソコン教室、英会話教室、絵画展、郷土芸能の継承や郷土料理の保存等、さらに共同意識の高揚に取り組み、潤いと幸せが実感できる地域づくりを目指しておりますが、行政のみならず、各種団体、企業等にもそれを求めるべきではないでしょうか。
 次に、私が質疑に際しまして、農政に関連して農業者の労災保険の加入条件の緩和した制度の改正を行ってはどうかとの主張をいたしました。この問題は、農業者にも都市に暮らす会社員と同様の勤労環境を整えることは等しい権利であると思いますし、退職金や労災制度でも同等の制度整備をなすべきとの考えに基づくものであります。
 都会と農村を対比して表現すれば、イソップ物語にもあるように、物語のハッピーエンドは森に消えていくということになっております。日本では都会に出ていくことがハッピーエンドになっているように、農村をおくれた地域、日の当たらない地域として決めつけられているようにしか思えません。そのことは農村に暮らす人々に対しての生活保障制度や生活環境整備がおくれている要因となっていると思います。
 私の主張は、労災保険に加入条件を農業一般にして、まず労災保険に農業者も勤労者並みに入れるのだということを普及のためにぜひ検討してほしいということであります。
 現在は特定農作業従事者、農機具の取り扱いを細かく定めての取り扱いとなっており、こうした入り口の条件つきが加入を阻害している要因になっていると感じているのであります。
 農業も育児や介護にかかわるのと同様、機械など人工的な事物を取り扱うのではなく、自然との共生を課題にした営みであります。この点、法律や施策はわかりやすくなじみやすいものにすることが求められるのではないかとこの場をかりて申し上げる次第です。
 次に、自由党が社会保障にどのような考えで臨んでいるかについて述べたいと存じます。
 社会保障政策につきましては、根本的な課題は、病気や障害、高齢といった本人の努力を超えて訪れるリスクに対して安心を与え、生き生きとした生活を支える制度を再構築することであると考えております。
 今、国民は、現行の社会保障政策に対して、給付と負担の関係が不明確であることに不信を高め、さらには加速する少子・高齢社会に直接税と社会保険料を中心とした負担方法では負担する個人自身が生計を維持することが困難であると、漠然とした不安を感じていると我が党は受けとめております。
 自由党はこの点、増大していく社会保障費用に対し、給付と負担の関係を明確化させるため、高齢者医療、基礎年金、介護などの基礎的社会保障部分は主たる財源を消費税で賄うべきであると主張します。この方策をとることにより、世代階層間、所得階層間の負担の公平が図られ、また、現行制度では個人の直接的負担は保険料負担等のため今後重くなっていくのでありますが、消費税を財源とすることは個人の直接的負担を軽減することとなり、財源の安定と将来の社会保障依存への安心感が確保されることになると考えているわけであります。
 社会保障各分野でも抜本改革を構想しております。
 まず、基礎年金部分は国による租税方式の給付体系を確立し、確定拠出型年金を含めた個人年金、企業年金の整備促進等を図ることで、高齢者の生活を保障し、現在の若年層が持つ年金保険料支払いの圧迫感をなくし、さらに個人の選択で将来の生活設計ができる幅広い年金制度を構築すべきと考えております。
 次に、医療制度については、薬価制度の自由化など部分的な競争原理の導入、保険者機能の強化、診療報酬体系見直し等による医療提供体制の適正化を行うほか、現行の拠出金制度の段階的な廃止を行い高齢者医療の主たる財源は消費税を中心とし、市町村ごとに行われている国民健康保険事業の広域化、被用者保険制度について大幅な見直しを行う等、体系的かつ明瞭な医療制度の再構築を図るものとしております。
 次に、介護については、財源の基本的部分は消費税による介護保障制度を確立させ、ボランティアの活用等による地域介護サービス体制の整備や地域格差是正のための措置等を通じ、国民の基本的権利として、どこに住んでいてもだれもが等しく介護支援サービスを受けることができる質の高い介護制度を確立すべきと主張しております。
 以上が我が自由党の社会保障政策に関する基本であります。
 本調査会が、私の主張を交え、私の属する自由党の考えに大いに配慮され、さらにお招きした参考人の英知を積み重ね、三年間の報告が立派にまとめられることを願って、意見といたします。
#9
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございますが、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件にかかわりまして、幾つか感じますことを述べさせていただきたいと思います。
 先般、五月三日の朝日新聞でございますけれども、「四人に三人が「日本は悪い方向に向かっている」――国民の社会意識を探るため、総理府が一九六九年以来毎年行っている世論調査で、日本の先行きに対する悲観的な見方が、前年の五五・五%から一気に七二・二%に増え、過去最高になった。」と、こういったことを報道いたしております。
 まず、私たちは、健康に恵まれ、一定収入があり、さらに生きがいの持てる生活ができ、住みやすい環境づくりなどさまざまございますが、国民のさまざまな不安を取り除くことが大切であると思います。そうした中から幾つか申し上げてみたいと思います。
 とりわけ、このところみんな忙しくなった、こういった声を聞くことが多くなりました。失業率はそのような中で三・九%にもなっております。さらに、働く人たちを見てみますと、いわゆるセブン−イレブンの働き方を強いられている人たちが大変多くなっております。朝七時に出かけまして夜十一時でないと家に帰らないといった働き方になっております。
 とりわけ、昨年女子保護規定の撤廃がございましてから、男女ともにさらに忙しくなってきているように思えてなりません。また一方では、過労死はこのところ後を絶ちません。そうした忙しさの中から少しでも生活の中にゆとりの持てるような状況を政治の責任としてつくる必要があろうかと思います。
 さらに、今日雇用不安も高まっているわけでございます。安心して暮らせる、そしてそれに伴う収入があるといった保障が必要でございます。
 また、年金生活者につきましても、このところ年金生活者の人たちから聞こえてまいります声は、消費税の税率アップによって買い控えをしなければならないとか、あるいは医療保険の改定によって病院に行きたくても行けない、ついつい置き薬で我慢をしている、こうした声も大変強くなってまいりました。さらに、年金生活者の中には、少なくとも生活できるだけの年金をよこしてほしいといった声もございます。先般私も申し上げましたように、七万五千円のおひとり暮らしの年金生活者の方でございますが、医療費が上がりましてから食費には二万円しか回っていないと、こういった意見も出ております。
 さらに、今幾ら年金があれば生活できるのかといったことで私も周りの人たちと議論をしてみましたけれども、一方では、これは先般マスコミでも大蔵省の天下りが報道されておりましたけれども、年金が月に三十万円で暮らせないと、こういったことも言っております。しかし、庶民の暮らしというのは、月三十万円あれば親子四人がぎりぎりの生活をしている状況というのは多うございます。なぜ、年をとりまして年金生活に入った人たちが、とりわけ高級官僚と言える人たちが三十万円の年金生活で暮らせないのか。こうしたことも含めて考えるならば、少なくとも生活を庶民並みの生活に戻していくならば私はできるであろう、このように思います。
 さらに、介護についてでございますけれども、あと二年いたしますと介護保険制度がスタートいたします。これとて、保険あって介護なしとまでも言われておりますように、必ずしもこの介護保険制度が住民のニーズにこたえたものにはなっていない、このように思います。そして、自治体でもこうした介護保険制度について自信がないと答えていらしゃるところも大変多うございます。介護のさたも老後のさたも金次第といったような状況をつくろうとしていることに対して、きちんとした答えが政治の責任として出なければいけないと思います。
 さらに、少子化についてもそうでございますけれども、この間、自治体やあるいは国も含めまして少子化につきましての対策もさまざま講じてまいりました。しかし、出生率というのは一向に上がってまいりません。このところ、一・四二というそういった数字にもなっております。
 ここで考えられますことは、子供を安心して産み、そして育てられる環境づくりをしなければなりません。とりわけ、二十四時間の保育サービスが必要といった声もございますけれども、果たしてそうしたことが企業の側に立ったものであるのか、生活者の側に立った声であるのかということを考えましたときに、子育て中の人が夜間も働かなければならないような状況は解消すべきだと、このようにも考えるわけでございます。安心して子育てのできる状況をつくるならば、やはり生活者の立場に立ったそうした子育て支援の行政サービスをする必要があると、このように思います。
 さらに、過疎と高齢化にかかわりまして、よく私たちのところにもさまざま意見が投げかけられておりますけれども、今高齢化のそうした町が切り捨てられていっているといった声が参ります。鉄道は廃止される。そして、バスに切りかえられてもバス路線さえも切り捨てられていく。車のない高齢者の人あるいは住民は生活すらも困難になってくる。また、そうした町においてはこのところ廃屋が年ごとにふえてきております。今日のそうした国民の暮らしを見ますと、都市型の生活になってきているようにも思いますけれども、日本じゅうどこにおりましても暮らしというのは、やはり人権を基点にいたしまして、都市であろうとあるいはまた過疎地であろうと、安心して住めるような行政のサービスが必要でございます。
 特に、市町村長さんの中から意見が出ておりますけれども、ぜひ高齢者の人に年金をしっかりと上げてほしい、こういった声が出ております。それはなぜかと申しますと、過疎と高齢化の町で唯一町の商店を潤しているのは年金をもらっているお年寄りの人、あるいはまた年金を孫たちにお小遣いとして渡しているお年寄りの人たちだと言うんです。町村におきましては、そうした活性化に大変年金生活者が役立っていただいていると、そういう声も聞きます。そうした中で、生活できる年金をぜひこれからも声を大にして訴えていきたいと、こう考えます。
 最後になりますけれども、やはり今、日本国憲法が制定されまして五十一年になりますけれども、この憲法が基調といたしております平和絶対主義、主権在民、基本的人権、こうしたことがしっかりと暮らしの中に生かされる政治こそ私は必要であると、このように思います。しかし、今平和が脅かされ、あるいは人権が脅かされ、そうした私たちの周りにはさまざまな不安な材料も多々ございます。ぜひ憲法を暮らしの中に生かす政治こそ私たちの責任で進めるべきだと、こんなことを考えました。
 大変雑駁になりましたけれども、雑感を含めながら発表とさせていただきます。
 ありがとうございます。
#10
○会長(鶴岡洋君) 以上で意見表明は終了いたしました。
 委員各位には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本日お述べいただきました御意見は、後日作成いたします報告書案に反映させていきたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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