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#1
第142回国会 国土・環境委員会 第9号
平成十年四月九日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     清水 達雄君     林  芳正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         関根 則之君
    理 事
                岩井 國臣君
                山崎 正昭君
                菅野 久光君
                福本 潤一君
                緒方 靖夫君
    委 員
                上野 公成君
                太田 豊秋君
                鴻池 祥肇君
                鈴木 政二君
                永田 良雄君
                林  芳正君
                岡崎トミ子君
                和田 洋子君
                荒木 清寛君
                赤桐  操君
                泉  信也君
                奥村 展三君
                山崎  力君
   衆議院議員
       建設委員長    遠藤 乙彦君
   国務大臣
       建 設 大 臣  瓦   力君
   政府委員
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設省都市局長  木下 博夫君
       建設省河川局長  尾田 栄章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        八島 秀雄君
   説明員
       国土庁長官官房
       審議官      木寺  久君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  浜田 康敬君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○優良田園住宅の建設の促進に関する法律案(衆
 議院提出)
○公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(関根則之君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、清水達雄君が委員を辞任され、その補欠として林方正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(関根則之君) 優良田園住宅の建設の促進に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院建設委員長遠藤乙彦君から趣旨説明を聴取いたします。
#4
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 御紹介を賜りました衆議院建設委員長の遠藤乙彦でございます。
 ただいま議題となりました優良田園住宅の建設の促進に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 住宅は、国民が健康的で文化的な生活を送るための基盤となる生活空間であり、国民生活を一層潤いのある豊かなものとするためには、良好な自然環境に囲まれたゆとりある住宅の供給を促進することが求められております。
 我が国の住宅事情は、近年、着実に改善されてきたところでありますが、大都市地域を中心として、良質でゆとりある住宅がなお不足している状況にあります。また、週休二日制の一般化や高速交通ネットワークの充実などに伴い、国民の生活様式の多様化が進んでおり、居住に対する国民のニーズも多様化、高度化してきております。
 以上の観点から、農山村地域、都市の近郊等における優良な住宅の建設を促進するための措置を講ずることにより、健康的でゆとりある国民生活の確保を図ろうとするのが本法律案の提出の理由であります。
 次に、この法律案の主な内容について申し上げます。
 第一に、市町村は、優良田園住宅の建設の促進に関する基本方針を定めることができることとしております。
 第二に、優良田園住宅を建設しようとする者は、その建設計画を作成し、市町村の認定を受けることができることとしております。
 第三に、国の行政機関または地方公共団体の長は、認定を受けた建設計画に従って土地を優良田園住宅の用に供するため農地法、都市計画法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該優良田園住宅の建設の促進が図られるよう適切な配慮をすることとしております。
 その他、税制上の措置、住宅金融公庫等の融資に当たっての配慮に関する規定を設けることとしております。
 なお、本案は、公布の日から起算して三月を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。
 以上、本法律案の提案理由を簡単に御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(関根則之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 この法案は国民に夢を与える住宅をというふれ込みで国民の一定の願いにこたえる、そういう体裁を持っていると思うんです。しかし同時に、いろいろ考えてみますと、例えば四百兆円のプロジェクト構想とかそういうことが言われる、そういう景気対策的な要素、これも感じざるを得ないんです。そうすると、まじめな住宅政策がなということも一つ疑問に思います。
 特に私が思いますのは、ちょうど日米構造協議というのが八九年から行われました。そのときにアメリカ側が交渉の土台として出したポジションペーパーというのがあるんです。六分野、二百六十項目に分かれたものですけれども、その中に日本の消費者のためにということで大規模な宅地開発、そのために規制緩和を撤廃、これが公共投資GNP一〇%とか、あるいは建設国債をばんばん発行せよとか、そういうことを並べて示されたわけです。そして財界がそれに飛びついた、そういう経過があるのじゃないかと思うんです。そういうルーツということをちょっと思い浮かべると、これは国民本意のものと胸を張って言えるものか、それを委員長にお伺いしたいと思うんです。
#7
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 緒方先生の御質問にお答えをしたいと思います。
 本法案の目的は、自然に恵まれた農山村地域、都市の近郊等におきまして優良な住宅の建設を促進するための措置を講ずることにより、健康的でゆとりある国民生活の確保を図るものでございます。本法案は、第一条にございますように、多様な生活様式に対応し、かつ、潤いのある豊かな生活を営むことができる住宅が国民から求められているという状況に対応しようという趣旨から提案したものでございます。
 どんな夢とかライフスタイルを考えたものかということを具体的にちょっと申し上げますと、いろんなことを実は想定しておりますが、例えば豊かな退職ライフ型。これは退職されてから豊かな老後を実現する新たな居住形態でございまして、いわば悠々自適、晴耕雨読型、これも一つの我が国の伝統的なライフスタイルの一つかと思っております。
 それからもう一つはデュアルハウジング型。要するにウイークデーは都市に住んで、ウイークエンドは田園に住む、これも非常に理想だと思っておりまして、職住近接の都市に住んで、かつ、ゆとりある田園居住を同時実現する、これも夢と言っていいのではないかと思っております。
 それから三つ目に田園通勤型。ちょっと通勤距離は長くなりますけれども、田園から都市の職場へ行く、田園のすばらしい環境のところに住んで都市の職場へ通う。大都市の居住機能の補完、バックアップという形で考えたいと思っておりまして、通勤時間は長くなりますが、その間はゆっくり座れれば読書をしたりいろんな勉強もできる、これも非常に効率的なライフスタイルだと思っております。
 それからあと自然遊住型。これは余暇は自然の懐へ、非常にアウトドア志向の人にはこれでいいと思うんですが、自然との触れ合い、自然環境の重視、都市と農村の交流、国土の保全、こういった多目的な自然との共生を念頭に置いた住宅構想もあり得るかと思います。
 それからもう一つはU・J・Iターン型。これは、帰りなんいざ、ウサギ追いし故郷型と言っていますけれども、地方定住促進、ふるさと再生ですね、非常に過疎化が進んでおりますけれども、そういうところにコミュニティーをつくっていく。やっぱり人間が定住しないとコミュニティーができないものですから、ちゃんとそこに住んでコミュニティーを形成してもらって、有能な人材がそういう地方の活性化に資する、こういったことを大体念頭に置いておるわけでございます。
 財界の要求にこたえるものとなっていないかといった御指摘でございますが、確かにこの構想自体は今言った国民のライフスタイルを実現するという、それをバックアップすることが主目的ですけれども、とともに長引く構造不況に対する景気対策の一環という面も当然私たちも考えております。それはあくまで従であって、主たる目的は国民の夢を二十一世紀に向けてどう実現するか、それをどうバックアップするかということに主眼がある法律であることをぜひ御理解いただきたいと思っております。
 特定の業界その他の財界の声にこたえるというものではなくて、あくまでも優良な住環境を求める国民の声、国民の夢にこたえようとするものであるということをぜひ御理解いただきたいと思っております。
#8
○緒方靖夫君 そう伺うと夢のように感じるんですが、しかし同時にやはり現実の社会でそういうことが可能になる層、これが一体どれだけあるのかということも同時に思わざるを得ないんです。
 もう一つ、これは現実の問題としてあるんですけれども、ある県庁の都市計画担当者は、国土の保全をうたった都市計画の精神に反することにならないのか、そういう感想を述べているんです。それで、本法案の第五条は、「優良田園住宅の用に供するため農地法、都市計画法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該優良田園住宅の建設の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。」という規定があるわけですけれども、この適切な配慮とはどういうことか。例えば、市街地調整地域での開発を特例許可するものになるのではないか。これについて都市局長にお尋ねしたいと思います。
#9
○政府委員(木下博夫君) 法の目的は先ほどからるる御説明がございました。したがいまして、この目的に沿った措置だということがまず前提であろうかと思っております。
 お話のございました五条につきましては、基本的には、開発許可の審査に当たりまして、いわゆる手続の簡素化、迅速化、これを適切に行うということでございますから、法令による許可ができないような案件までを許可しようというようなことでは一切ございません。
#10
○緒方靖夫君 こういう形で実際宅地開発を進めてみた、そして基本方針に基づいて土地の確保をし整備が終わった、しかし実際には住宅が建たない、そういうケースというのはどういうふうに予想を立てておられるでしょうか。
#11
○政府委員(木下博夫君) 御質問の趣旨は、いわば計画の認定をしておきながらそのまま放置されるような、あるいは乱開発に転用されてしまって環境の悪化につながるのではなかろうかという御懸念のもとの御質問だと私は理解いたします。
 言うまでもないわけでございますが、今回の法律そのものは全体的に理念法に近いと申し上げてもいいかと思いますが、そういう中でまず市町村が優良田園住宅の建設の促進に関する基本方針を定めておりますので、この基本方針に沿った形でそれぞれのいわば計画が認定されるということでございます。その際に、基本方針に沿ったものであるかどうかというチェックは言うまでもないことでございますが、あわせて周辺の土地利用の状況とかそれから現在あるいは将来に向かっての公共施設の整備状況、こういうものを多面的に検討した上で市町村がこの計画をいわば認定するわけでございます。
 むしろ私は市町村のやる気がこういうときにあらわれてくると思っておりますし、先ほど委員長からいろんなタイプの御説明をいたしましたが、今国土全体が新しい国づくりということに向かっておりますので、国民の希望するそうした国土利用といいますか、そういうものに沿った形でこの法案が私は貢献できてくるんじゃなかろうかと、こう思っております。
#12
○緒方靖夫君 少し具体的にお聞きしますけれども、例えば宅地として整備する、しかしそこに住宅が建たない、そこで例えばそういうところが、今各地で問題になっておりますけれども廃棄物の処分場に転用されるとかあるいは粗大ごみの置き場になってしまうとか、そういうことの懸念はないのかどうか、その辺についてはどういうふうに考えられますか。
#13
○政府委員(木下博夫君) これからのことでございますから、議員のお話のございました危険性があるかないかということについては余り私がお答えするのは問題であろうと思いますが、今おっしゃいましたように、これから都市の方々と地方の方々が交流するということは私は大変大きな課題であろうと思います。
 そういう意味では、地方の方々もいわば都市の方々と長期的におつき合いする場づくりということでありますから、そこでもっていわば施設その他がどう配置されるかということは住宅の建設と同時に市町村の段階で判断されると思いますから、いささかそういう問題が起こる懸念はないかという御懸念に対して、しっかりと市町村がこれから計画の中で位置づけをしていただくことによって防止できてくるんじゃなかろうかと私どもは期待しております。
#14
○緒方靖夫君 そういう点では確固たるそういうことを阻止する保証はないと、この法律だけでは。そのことは言えるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#15
○政府委員(木下博夫君) ちょっと議論がすり合っていないかもしれませんが、私は今おっしゃったように、それは市町村がやはり建設計画を認定する際にしっかりとした町づくりといいますか、そういうものを持っておりますから、私は市町村の姿勢として周辺の環境を悪化させるような施設立地ということに対してはしっかりとした姿勢、態度をとるものと期待しております。
#16
○緒方靖夫君 終わります。
#17
○委員長(関根則之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#18
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました衆議院建設委員長提案による優良田園住宅の建設の促進に関する法律案に反対の討論を行います。
 大都市部を中心に我が国の住宅事情は依然として改善されていません。農山村地域、都市の近郊等における優良な住宅を望む国民の要求があることは事実ですが、これでは住宅問題解決の方向違いと言わざるを得ません。
 我が党が本法案に反対する最大の理由は、今国会に提出されている都市計画法や農地法の改正と一体となって、貴重な自然環境が残っている本来開発を規制すべき市街化調整区域や農業振興地域での開発を促進するものだからです。都市計画法改正では、現行の市街化調整区域内の大規模開発事業を対象とした地区計画の規定の規制緩和を行い、自然破壊を伴った宅地開発や大型店や大型レジャー施設等の建設が促進されます。農地法の改正は、現行の都道府県知事の二ヘクタール以下の農地転用の許可権限を四ヘクタール以下に緩和、手続の簡素化などにより、農業で生活できない農家の農地転用による開発志向をあおり、農業破壊を一層進めることになります。
 特にこの機会に指摘しておきたいことは、この法案が提出された背景です。一九九四年、当時の永野日経連会長は、農地法を改正して自由に使える空間をふやせば、そこで新事業を起こす人は幾らでもいる、道路はできる、施設はできる、住宅はできる、ショッピングモールもできる、農地法さえ改正すればぱっと目の前が開けるように事業の機会が出てくる、経済の突破口としての国土利用の改善は急務だと述べています。また、経済団体連合会は九七年九月の農業基本法見直しの提言で同じ内容を主張しています。アメリカの経済界からも同趣旨の要求が出されています。このように今回の法律案提出の背景には、アメリカや財界からの強い要求があるということです。
 日本共産党は、市場任せの住宅政策ではなく、住宅は福祉の立場で国民の住宅を保障する政策への転換を求めています。
 以上をもって反対の討論を終わります。
#19
○委員長(関根則之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 優良田園住宅の建設の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#20
○委員長(関根則之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#22
○委員長(関根則之君) 次に、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。建設大臣瓦力君。
#23
○国務大臣(瓦力君) ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国は、その地勢及び気象から豪雨等による災害が多発し、毎年、河川、道路等の公共土木施設に甚大な被害を受けております。このため、政府におきましては、本法に基づき、被災した公共土木施設の復旧について高率の国庫負担を行い、迅速な復旧に努めてきたところであります。
 しかしながら、近年、本法の適用対象とならない公共土木施設である公園の整備が進み、その被災が増加しております。また、前回の本法改正以来およそ十四年が経過し、その間の社会経済状況の変化に対応して災害復旧に関する制度を改める必要があります。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、国庫負担の対象となる施設を追加するとともに、事業採択基準の見直し等を行おうとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、災害復旧事業の充実を図るため、本法に基づく国庫負担を行う公共土木施設に公園を追加することとしております。
 第二に、災害復旧事業に関する事務の簡素化等を図るため、対象となる事業の工事費用の最低額を引き上げるとともに、一カ所の工事とみなす範囲を拡大することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#24
○委員長(関根則之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#25
○菅野久光君 質問に入る前に、きのうの毎日の報道で、千葉の建設省技官が国道工事で収賄の疑いで逮捕された。公務員の綱紀粛正の問題が今大変な問題になっているわけですけれども、まだ疑いですから本当にそうなのかどうかということはこれは警察当局の捜査を見なければわからないわけではありますけれども、こうやって新聞に出るだけで大変私は残念なことだなと、このように思っておりますが、このことについて何か大臣、一言あればお伺いしたいと思います。
#26
○国務大臣(瓦力君) 菅野委員の御指摘はごもっともでございまして、事実関係の詳細はわかりませんが、公務員倫理が今日厳しく問われているときでございまして、このようなことが起こりましたことは極めて遺憾でございます。捜査当局の捜査を待ちまして厳正に対処したい、かように考えておるところであります。
#27
○菅野久光君 このようなことが再発しないように、やっぱり人間というのは何か非常に弱いものを持っているわけですけれども、ぜひ今後こういうことが起きないように内部においても十分ひとつ努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 さて、本論に入りますが、今回の改正は大臣からも趣旨説明にありましたが、対象施設に公園を追加したということ、さらに採択の限度額を都道府県や指定都市は六十万円から百二十万円に、市町村は三十万円から六十万円に引き上げることとしたこと、そして一カ所の工事とみなす被災箇所間の距離を五十メートルから百メートルに拡大する、さらに特殊な工法等の設計費用について補助制度を創設することを内容とし、特に環境保全型災害復旧事業を推進するため、美しい山河を守る災害復旧基本方針を策定しようとするもので、自治体の意見を十分聞いて今回の改正案となったというふうに聞いております。自治体の皆さん方からは大変高い評価を得ていて、いろいろ役所のやることについては批判も多いんですけれども、今回のこの改正案については大変結構なことだと、私もそういったような評価をしております。
 そこでお尋ねをいたしますが、自治体から意見を聞かれたということでありますので、その自治体の意見の中で一番多かったものはどんなことであったか、お伺いしたいと思います。
#28
○政府委員(尾田栄章君) 私ども、災害復旧に際しまして、常々都道府県あるいは市町村の災害あるいは公共施設管理を担当される方々と接しておるわけでございますが、そういう中で一番自治体の方から強い御要望をいただいておりますのは、災害復旧事業あるいはその事務の簡素化でございます。そしてまた、一日も早い復旧ができるように、そういう形での迅速化ということについて強い御要望をいただいております。そして、今回の負担法で改正をお願いいたしております公園事業を追加するようにということにつきましても。強い御要望をいただいておるところでございます。
#29
○菅野久光君 さまざまな意見があったのではないかというふうに思いますが、要望、意見の中で今回の改正案には残念ながら盛り込めなかったというものがあればお伺いしたいというふうに思います。
#30
○政府委員(尾田栄章君) 負担法の対象事業としてどういう事業を加えるかという議論に関しまして、これは前回の改正時におきましても議論が出ておるわけでございますが、上水道事業を対象にするのかどうか、あるいは産業廃棄物処理施設等をどう扱うのかというようなことに関しましていろんな自治体からの御要望もございます。ただ一方、そういう施設につきましてはこれを公共土木施設として考えることが、取り扱うことができるのかどうか、こういう疑問と申しますか、そういう視点からの議論もございます。
 そういう中で、今回改正をお願いいたしております要項につきましては、関係地方公共団体の皆様方からぜひ今回改正をしてほしいという強い要望を受けておるところでございます。
#31
○菅野久光君 実際に災害復旧を直接担当している市町村の意見というものを今後の行政の上にぜひ生かすためにも努力をしていただきたいというふうに思います。
 それで、災害が起きたときの査定の手続、これはどんなことになっておるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
#32
○政府委員(尾田栄章君) 災害復旧事業そのものは基本的に申請事業でございまして、まず被災をした地方公共団体におかれまして、被災施設がどういう被災をしたかという確認をされますとともに、被災の原因が異常な天然現象に基づくものかどうかという確認を申請者の方においてされます。その上でそれぞれの主務大臣の方に対しまして災害報告というものがなされます。その上で国庫負担申請というものが主務大臣に出されまして、これを受けた上で災害査定を行います。これは災害査定官を現地に派遣いたしまして、現地で復旧工法並びに復旧事業費を決定する作業でございますが、そういう作業を行うという手順を踏んで事業を進めておるところでございます。
#33
○菅野久光君 申請があった後、査定は建設省がなさるわけですね。それで、査定が終わった後、復旧工事に着手するまでの期間というのはどの程度になっておりますか。
#34
○政府委員(尾田栄章君) まず、災害が発生をいたしましてから先ほど申しました災害報告、これは一カ月以内に災害報告をいただくということになっております。そして、国庫負担申請につきましては一カ月から二カ月ぐらい、大体一カ月半ぐらいでございましょうか、発災後そのくらいの期間で国庫負担の申請がなされます。
 その後、それを受けての災害査定でございますが、発災後大体二カ月程度、場合によっては三カ月ぐらいかかる場合もございますが、大体二カ月ぐらいで災害査定ができるというのが通常でございます。そして、この災害査定で事業費の決定、工法の決定がされますと、ここからは通常のいろんな土木構造物の普通の発注作業に入るわけでございます。設計、積算を行った上で発注を行うということでございまして、大体一カ月、物によっては二カ月ぐらいかかるというような形でございます。
 ですから、非常に多い台風の事例で申しますと、九月に例えば被災をしたということになりますと、一カ月以内に災害報告がなされ、大体十月までにはそういうのがなされる。そして、十一月ごろには災害査定あるいは事業費の通知、いわゆる現地における災害査定が行われるという形になりまして、それを受けた上で発注作業に入りまして、早ければ年内、通常一月には発注作業が終わる、そしてそれを受けて現地での工事が始まるというのが大体普通のパターンでございます。
#35
○菅野久光君 大体普通のパターンでの説明をいただきましたが、今まで災害復旧の迅速化ということは、これは災害を受けた自治体の方々はみんなそのことを願っていると思うので、そういう要望にこたえるためにいろいろ努力をされたのではないかというふうに思いますが、その努力の跡がわかるようなことがあれば御説明いただければと思います。
#36
○政府委員(尾田栄章君) 今回、迅速化という視点につきましては、先ほど先生からも御指摘ございましたが、机上での査定、現地に行くことなしに行います査定を、従前二百万が限度でございましたが、これを三百万以下のものについては机上で行うという形で進められるようにいたしました。その結果、災害の件数で申しまして約半数が机上審査で済ませられるという形になりました。そういう意味合いでは、災害査定業務の簡素化、迅速化が図れるものというふうに考えております。
 そしてまた、今まで災害査定に際しまして、その前段階としての工法の決定あるいは必要な工事費の算定というような場合に際しまして、地すべり事業あるいはトンネルの事業というような非常に設計に労力、技術力あるいは時間を要するというようなものにつきましては外注をして都道府県では作業される、委託をして作業されるという事例が多いわけでございます。そういうものに対しての補助制度と申しますか、そういうことに対して負担をする、そういう形の措置を講じたところでございます。
#37
○菅野久光君 激甚災害のときには別の法律でいろいろ対応することになっておりますが、普通の災害については災害対策費という予算の項目があると思うんです。それが、例えば頻発したということでその予算がなくなったというようなときに、また災害が起きてできるだけ早く復旧してほしいという要望がある、そういった場合にはどのような対応をなされますか。
#38
○政府委員(尾田栄章君) ただいまのお尋ねは災害復旧費そのものが不足した場合どう対応するのか、その不足することが生じるようなことでは迅速な対応ができないのではないか、こういう視点でのお尋ねかと存じます。
 災害復旧事業に対します国の予算措置といたしましては、その年の災害の発生をあらかじめ予想するということは大変困難でございますので、現在の仕組みといたしましては、当初予算では過去の実績等を勘案した上で最低限の予算というも四を措置するというのが基本的な考え方になっております。そういうことでございますので、災害の発生状況によりましては当初予算が不足をするという事態が発生することも起こるわけでございまして、そういう場合には、予備費等の措置を含めまして現地での災害復旧事業に支障を来さないような措置を講じておるところでございます。
 そしてまた、先生お尋ねの非常に大規模な災害が発生した場合どうかということとで申し上げますと、例えば平成七年に発生をいたしました阪神・淡路の大震災のような場合におきましては、直ちに国会の方で補正予算を御審議いただいてお組みいただいて、それによって予算措置をするという措置を講じていただいておるところでございます。
 いずれにいたしましても、災害が発生して現地において大変不安な日夜を過ごしておられる被災者の方たちの人心の安定を図るという意味でも、遅滞なく対処できるということは大変大事なことだというふうに私ども考えておるところでございます。
#39
○菅野久光君 予算があるとかないとかということに関係なく、災害が出て、もしも予算がないときには予備費などを使って災害復旧に当たるから、国民にある程度安心感を与えるということではきちっとした対応をしているというふうに理解いたしましたが、そういうことでよろしゅうございますか。
#40
○政府委員(尾田栄章君) そのような形で最大限努力をさせていただいているところでございます。
#41
○菅野久光君 工事については、以前はかなり直営事業というのがあったと思うんです。しかし、最近はいろいろリストラなどで設計だとかそういう仕事がほとんどが外注ということになっているというふうに聞いておりますが、今回、調査、設計などについてそれを補助対象にしてくれたということは、これは自治体にとっては本当にありがたい。
 そして、私も、今回の法案の問題について北海道の関係者のところでちょっと聞きました。長年このことを要望していたんだけれどもなかなか実現ができなかったんだが、今度の法改正でこういったようなところについても補助対象にしてもらったのは本当にありがたいということで大変喜んでおりました。しかし、まだもうちょっと拡大してもらえるものも何かあるような口ぶりでありました。私は、何がどうなんだかよくわかりませんけれども、そういった意味で、自治体のいろんな話を聞きながら法改正に当たられた、まさに国民の声といいますか自治体の声というものをこの法案の中に生かされたということは大変結構なことだというふうに思っております。
 さらにこの補助対象を拡大するというようなお考えが、今やったばかりであれですが、今後研究されて、そういったようなことをお考えになるようなことはないかどうか、お伺いしておきたいと思います。
#42
○政府委員(尾田栄章君) 先生に御指摘をいただきましたとおり、従前、公共工事そのものも直営ということで実施しておったわけでございますが、昭和三十四年以降工事そのものは民間の施工業者の方々に施行いただくという形に移行し、現在、設計業務そのものにつきましてもほとんど大部分については民間で実施をいただくという形で進んでまいっております。
 そういう大きな背景の中で、災害復旧事業につきましても、そういう工法の決定、設計にかかわりますところにつきまして新たに補助をする、あるいは負担をするという制度をお願いしておるところでございます。
 これは、近年、先生御指摘のとおり地すべり対策工事あるいは橋梁工事、トンネル等の特殊な工法、そういう災害被災公共施設そのものが非常に地形、地質的に難しいところで工事を展開するという中で、大変難しい形で災害復旧をせざるを得ないということが発生いたしてまいりました。そういう中で、工法を決定する、設計するということに関しても非常に技術力を要するということになってまいりました。また、費用もかかるということになったわけでございまして、そういう事態を受けまして、査定申請に要する費用の一部を新たに補助する制度をお願いいたしておるところでございます。
 先生、さらにこういうものを広げられないかということでございますが、先ほども申しましたが、災害復旧事業は基本的には申請事業という性格でございまして、申請者において関連する資料を整えた上で申請されまして、それを受けた上で個々の負担のありようを考えると、こういう制度でございます。
 ただ、先ほど申したような背景の中で、難しい工事については工法を決定する査定費用の一部を負担することを考えておるわけでございまして、現時点においては許される範囲内ぎりぎりのところまで努力をさせていただいたというふうに存じておりますが、地方公共団体の特に市町村から非常に強い御希望があることは我々も承知をいたしております。
 ただ、現時点においては、ここまでがぎりぎりのところであったというふうに御理解をいただければありがたいと存じます。
#43
○菅野久光君 初めて盛り込んだわけですから、これからどんな状況になっていくかわかりませんが、そういう補助の拡大を願う声というのはまた高まってくるのではないかというふうにも思います。
 今回、限度額を六十万から百二十万、三十万から六十万に上げたということで、それ以下のところは結局補助の対象にならないということから、上げたことによりよかった部分と、それから自治体の負担が余計ふえるのではないかというのと両方出てくるのではないかというふうに思います。地方財政に悪影響を及ぼさないように何らかの措置を考えるべきではないかというふうに思っていますが、この点についてはどのように考えていますでしょうか。
#44
○政府委員(尾田栄章君) 今回、採択限度額の引き上げをお願いしておるわけでございまして、このことによりまして、いわゆる足切りと言われる部分が新たに十四億円程度、これはモデルの計算でございますが、生ずるのではないかと考えております。これに対しまして、今回公園事業を新たに追加するということ、そしてまた先ほどお話がございました災害査定設計委託費の対象の拡大をいたしますこと、そして一カ所の工事を従前の倍、百メートルのところまで一括した一カ所工事として扱うという措置によって救われる部分、そして今回足切りになる災害につきましてもいわゆる災害への交付金で充当する部分がございますので、これを相殺いたしますと地方公共団体に御負担をいただく部分はほぼとんとん、同じぐらいになるのではないかというふうに考えております。
 先ほど申しました足切りになります部分については、地方公共団体の財政力によりまして交付金の充当率が変わってまいりますので一概にどうこうと申せませんが、財政状況の厳しいところについてはかえってプラスになるという面も出てこようかというふうに考えておるところでございます。
#45
○菅野久光君 最後に大臣、いよいよ予算も上がったらすぐ景気対策ということで公共事業の約八一%を前倒しするというようなことが報ぜられておりますけれども、八一%も前倒しをするということは、これは大きな事業ですね。前倒しをしなかったらなかなか八一%というのはいかないのじゃないかということを私は心配します。
 この前、委嘱審査のときもいろいろ申し上げましたけれども、大きい工事というのは大きなゼネコンなどを含めた、そういったところでないと請け負えないということで、またこれは中小になかなか仕事がいかないということになっていくのではないか。それは本当の意味での景気対策にならないのではないかということを、私は前倒しするという気持ちはわかりますけれども、大変心配をしております。
 それについての大臣のひとつお考えを承って、私の質問を終わりたいと思います。
#46
○国務大臣(瓦力君) まずは、昨日参議院におきまして平成十年度の予算が成立をいたしました。委員各位のお力添えによるところでございまして、ありがとうございました。現下の経済情勢はなお極めて厳しいわけでございまして、早速執行に当たりましては地方も含め、景気対策を念頭に置きながら、あとう努力をしていかなければいかぬと思っております。
 なお、執行につきましてはこれは政府全体で考えるわけでございますので、早急にどのあたりを前倒ししていただかなきゃならぬかということを含めて検討に入るものと思いますが、私も前倒しにつきましては規模として大きくなることを期待いたしておるわけでございます。
 なお、当委員会の質疑におきましても、従来型のものよりもきめ細かく検討をしろというようなことでございますし、またきめ細かに地方の景気動向にも配慮しろというようなことは多々各位からの御質問にもございましたので、そういう点にも配意しながら、全力を挙げて景気回復に建設省として役目を果たすべきものは精一杯努力してまいらなきゃならぬと、こういう決意でございます。
#47
○荒木清寛君 本法は、被災した公共土木施設の復旧について高率の国庫負担を行い、迅速な復旧に努める、そういう立法趣旨だという御説明がございました。ただ、今のお話も聞いておりまして、今回の改正がていのいい補助金の切り捨てになっているんではないかという危惧を私も抱くわけです。改正によって自治体の負担がふえる面と軽減される面がおるというお話で、トータルで考えるととんとんであるというのが今の御説明であったわけです。
 ところが、いただいた資料を見る限りは、先ほどの採択限度額の切り上げにより対象外になってしまう分が十四億弱ある。もう一つ資料が出ておりまして、反面、一カ所工事の拡大によって救済される部分がありまして、一億六千五百二十三万ですか、そういう数字が出ております。それ以外に交付金で措置をする分と公園の追加の部分があるからとんとんであるというお話なんですけれども、きちんとした数字が出ているのは十四億と一億六千万でありまして、これだけ見る限りは自治体にとってはかえって負担が重くなるんではないかという懸念を私は持つんです。
 先ほどおっしゃったトータルで同じでありますというその根拠をもう少し示していただけませんか。
#48
○政府委員(尾田栄章君) 先生御指摘のとおり、採択限度額の見直しと申しますか足切りによりまして十三億八千七百万円の負担増が出るわけでございますが、これに対しまして公園の追加で六億四千万、そして一カ所工事延長の拡大、五十メートルを百メートルにするということによりまして一億六千五百万円、そして先ほど御指摘がございました災害査定の設計委託費の対象の拡大をするということによりまして九億六千百万円が新たに市町村から見れば減になるわけでございます。
 それで一番問題になりますのは、今回、足切りになるといいますか、対象外となった災害への交付金の充当部分がどうなるかということでございまして、交付金の充当率が四七・五%から八五・五%、これは地方公共団体の財政力によって異なるわけでございますが、四七・五%ということでございますと、十二億二千二百万円、八五・五%という形で見ますと……済みません、事業費で申しておりましたが、国費で申しますと、対象外となる災害への交付金で充当する地方の負担減というのは、充当率が四七・五%の場合ですと五億八千百万、それに対して充当率が八五・五%でございますと十億四千五百万円ということでございます。そして、先ほど災害査定の委託費の対象拡大、事業費で申してしまいましたが、あくまでも国費での議論をすべきでございますので、国費で申しますと四億八千万、これはどちらでも変わらない、そういう形でございます。
 そういうことでございますので、充当率が四七・五%の場合は三千六百万円の負担増になりますが、八五・五%で見ますと四億二千八百万の負担減になるということでございます。
 そういうことで、大勢としては負担増ということにはならないというふうに考えているということでございます。
#49
○荒木清寛君 今回、採択限度額が二倍になっております。参考資料によりますと、算定手法が図解されていて、同じ程度の工事面積にかかる工事価格が基準になっているようです。要するにコストが二倍になったという図式かと思うんです。
 これはどういうデータを使いましてそういう算定をしたんですか。
#50
○政府委員(尾田栄章君) 災害復旧工事は、従前からブロック積み工法というのが大部分を占めておりますので、このブロック積み工法によりましてどれだけの対象面積が、単位面積当たりの単価がどうかという比較で今回の金額を決めたわけでございます。
 具体的に申し上げますと、採択限度額は、前回昭和五十九年の時点で改正をいたしたわけでございますが、そのときに参考にいたしましたデータは昭和五十七年の数字でございまして、この時点におきます対象面積二十五平方メートルに必要な積みブロックを行いますに要する費用が約六十万円でございます。これを今回の時点で計算いたしますと、百二十万円ということになります。
 そういうことで、今回倍増という形での変更、限度額の引き上げをお願いいたしておるところでございます。
#51
○荒木清寛君 今回は平成八年のデータを使っているんだと思いますが、その後建設業界もリストラでコスト削減をしているわけですし、あるいはセメント、鋼材等の素材の相場も下がっているというふうに聞いているわけでして、この平成八年のデータでよいのか、いささか古いのではないかという懸念も持つわけですが、この点はいかがですか。
#52
○政府委員(尾田栄章君) 平成八年以降のコスト削減の努力は確かにこの数字には入っておらないわけでございますが、このコンクリート積みブロック工法と申しますのは非常に人件費の比率が高い、そういう工種の仕事でございます。そういう意味合いで、労務賃金が非常に影響をいたしております。そういうことでございまして、現時点においても大きな差はないものというふうに考えております。
 なお、災害復旧の工法そのものも、こういうブロック積み工法から、これからは自然に優しいと申しますか自然環境に配慮した形の工法に変えていこうということでございますので、そういう中でまた個々の災害復旧に際しては努力をしてまいりたいと考えております。
#53
○荒木清寛君 前回、昭和五十九年の改正におきましては、下水道が法律の対象施設になったわけでありますが、それならば上水道も当然加えるべきであるという質疑に対しまして厚生省は、上水道もぜひ対象事業として入れていただくように努力したいと答弁をしております。
 だが、今回結果的には対象になっていないわけですが、これはどういうことでしょうか。
#54
○説明員(浜田康敬君) 水道施設の災害復旧につきまして、この負担法の適用対象にすることにつきまして、先生御指摘のように五十九年に国会で御議論がありまして以来、私どもとしても関心を持って、折に触れまして内部的な検討は行ってきたところでございます。
 ただ、今回入っていないではないかというようなことにつきましての背景でございますけれども、五十九年以降の水道施設の災害復旧の件数あるいは事業費について見てみますと、特定の年度、つまり阪神・淡路大震災等の大災害が起こった年度を除きますとほぼ横ばいの状況で、特に大きく増加している状況にはないといったことが一つございます。また、阪神・淡路大震災の際には大変大きな被害を水道施設も受けたわけでございますけれども、この際には内部的には負担法の対象ということも検討しかけたわけでございますが、結果といたしまして先生御案内のとおり特別立法ということで、水道施設につきましても十分の八までの補助率で法律補助ができたというような状況で推移しております関係で、改めて要請するという状況には至らなかったわけでございます。
 ただ、私どもの気持ちといたしましては、できれば法的な根拠を持って災害復旧事業をやっていくということが望ましかろうということでございますので、こうした観点から、今後とも市町村等の意向も聞き、また関係省庁とも折に触れて御相談させていただきながら検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#55
○荒木清寛君 同じく、前回改正時の昭和五十九年四月十七日の委員会質疑の中で国土庁は、「激甚災害の指定基準につきまして、社会経済情勢の変化に対応いたしましてその見直しを行っていくことは、この制度を今後適切に運用していく上で極めて重要なことであろうと考えております。」と答弁をしております。
 その後、基準につきましてどのような改正が行われたんでしょうか。行われていないのであれば、それはなぜなのか説明していただきたい。
#56
○説明員(木寺久君) 激甚災害の指定基準につきましては、昭和四十三年の局地激甚災害制度の創設を初めといたしまして、社会経済情勢の変化に対応して改正を行ってきたところでございます。昭和五十九年以降は指定の改正を行っておりませんが、長期継続災害である雲仙噴火災害についての激甚災害の指定や、極めて大規模かつまれに見る災害である阪神・淡路大震災につきまして激甚災害の早期指定を行うなど、適時適切な運用を行ってきたところでございます。
 今後とも、社会経済情勢の変化に対応しまして、関係省庁と連絡しつつ必要に応じ適切に対処してまいりたいと考えております。
#57
○荒木清寛君 御案内のように地方財政は厳しい状況にあるわけですから、その基準の見直しについても適切な対応を要請しておきます。
 それで、最後に大臣にお尋ねをいたします。
 先ほど自然環境に配慮をした災害復旧という話がございました。建設省は、河川等の災害復旧事業について、環境保全型へ転換をして今までの三面コンクリート張りという改修をやめるということを聞いておりまして、このことは私も地域を回っておりまして、そういうことであれば高く評価をしたいと考えます。
 しかし一方で、政府は公共工事のコスト縮減を政策として推進していますが、こういう環境に配慮をした環境保全型の工事につきましては、自治体の中にはコスト増を懸念する声も一部にはあるようであります。
 そこで、コスト縮減と環境保全型の工事による費用面での兼ね合いにつきましては、大臣としてはどう認識をしていらっしゃいますでしょうか。
#58
○政府委員(尾田栄章君) まず、私の方からこの環境に配慮した工法とコストの関係だけ御説明をさせていただきまして、後ほど大臣の方から御答弁をお願いしたいと存じます。
 確かに、自然環境に配慮をするということによりましてコスト増を招くということを我々自身もある意味では恐れておったと申しますか、そういう状況にあるわけでございます。
 ところが、実際にいわゆる多自然型工法と普通のコンクリートを用いた工法との比較をいたしてみますと、これは河川のいろんな条件によりまして大変にばらつきが出てまいっております。一概に多自然型工法というのが高いということでは必ずしもないようでございます。これは、川の中にあります上あるいは石というようなものをどれだけ使えるか、近くのそういう多自然型工法に使うような木がどれだけ使えるか、こういうような要素との兼ね合いもございまして、必ずしもコスト増につながらないというふうに考えております。
 ただ、この多自然型工法そのものはまだ始まったばかりと申しますか、ここ十年ぐらいのことでございますので、今後ともコスト削減につきましても十分努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、もう一点、災害復旧における一番の問題点は、早急に復旧をしなければならない、そのスピードの点がございます。そういう観点から、従前はコンクリートを主体にした復旧を行ってきたわけでございますが、そういう点を考えますと、多自然型工法ですべてやれるというわけでもございませんし、また日本の非常に急峻な地形条件の中ではコンクリートの三面張りというのもやむを得ない、そういう河状のところもございます。そういうところを十分勘案しながら、その河川に一番合った工法を採択してまいりたいと考えております。
#59
○国務大臣(瓦力君) 自然の材料でございます木や石の使用、また土などで覆うことによりまして植栽の確保、これらのことを考慮に入れながら、なおかつコスト縮減も配慮いたしまして自然の回復力によって自然環境の保全が可能となるような工法を選択する、こういったことをガイドラインは目指しておるわけでございます。そのことについてのコストのあり方につきまして、今、河川局長から答弁がなされましたが、いろいろ工夫はしていかなければならぬ課題がこの中にもあろうと思います。
 もう一点は、環境に配慮した河川整備についての御質問でございますが、昨年、河川法改正をいたしまして、河川環境の整備と保全を目的に加えたわけでありまして、水利自治とあわせて良好な自然環境の保全や河川環境の整備を図ることといたしました。災害復旧事業におきましても、今申し上げました美しい山河を守る災害復旧基本方針を策定いたしまして、河川が本来持っているさまざまな効用、機能の復旧を図ることとしておるわけでございます。
 一層積極的に河川環境の整備と保全に取り組む、荒木委員の御指摘は大変大切な視点でございますので、これらをあわせて復旧事業に当たるように努力をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
#60
○荒木清寛君 終わります。
#61
○緒方靖夫君 私も、先ほどから議論になっております地方負担の問題についてお尋ねしたいと思うんです。
 建設省から過去の実績から推計した資料をいただきました。九六年度災害の実績によると、地方の負担増は六億三千万円、一件のみなし要件の緩和で補助対象となるのは七千五百万円、わずか一二%が救済されるにすぎない。それから、公園の追加を入れても補助の増加分は一億七千万円、負担増の方が三・七倍になるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
#62
○政府委員(尾田栄章君) 採択限度額の見直しによります地方の増加の負担分が十三億六千六百万円でございます。これに対しまして、公園の追加によります負担減が一億七百万円、そして一カ所工事延長を五十から百メートルに変えるということによります負担減が一億六千二百万円、そして災害査定設計委託費の対象の拡大が四億八千万円でございます。
 そして、一番問題となりますのは、対象外になる工事を地方公共団体が施行された場合に交付金で充当されることになるわけでございますが、この額がどうなるかということでございまして、交付金の充当率が四七・五%と財政力が強いところでは五億八千百万円、それに対して財政力が弱くて交付金の充当率が八五・五%と高いところでは十億四千五百万円となるわけでございます。そういうことですので、差し引きいたしまして交付金の充当率が四七・五%という場合には地方公共団体の負担増が三千六百万円でございますが、八五・五%の場合には負担減が四億二千八百万円となるということでございます。
 それぞれの交付金の充当率は毎年違いますが、今申しました数字の間にあることは確かでございます。そういうことで申しますと、負担増ということではなしに負担減になるというふうに考えております。
#63
○緒方靖夫君 いろいろばらつきはあるようですけれども、いずれにしても大きな負担にならない、そういう御説明だと思うんです。
 それで、確かに先ほどから議論を伺っていても、工事費単価が前回の引き上げのときの二倍程度となっている。補助対象となる事業の最低規模も前回改正時と同程度ということですから、そうすると、そういうことかなと。そういう点で、私たちとしてはこの問題については地方負担についても大きなことにならない、そういう理解をして本法案については反対しないというふうに考えています。
 しかし、事業の重点化、そのことを考えてみると、この法案よりもはるかに大きな補助対象の引き上げがあるんです。河川事業で見ると、河川砂防設備地滑り防止施設の修繕費の補助、これが千二百万から千五百万になりますでしょう。それから、海岸保全施設整備事業補助、補修費の補助ですけれども、これが二千五百万から三千万円。それから石堤修繕費補助、一億から一億五千万、低地対策河川事業費補助、これが二十四億円に設定と。そうすると、こういう措置による地方負担増、これは私は著しいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか、この点は。
#64
○政府委員(尾田栄章君) ただいま先生御指摘の採択基準額の引き上げ、これはそれぞれの事業の修繕的な費用に関します採択限度額、基準額の下限額の引き上げでございます。これは、地方分権推進委員会の第二次勧告を受けて、地方分権を図る、そういう零細補助金については地方の方でお願いをする、そういう大きな動きの中での措置でございまして、そういう意味合いでは大きな時代の流れだというふうに受けとめておるところでございます。
 そして、これらの措置によります負担増がどのぐらいかというところは、まだ詳細に積算ができておるわけではございませんが、ざっとしたところでの計算で申しますと、大体一億程度ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#65
○緒方靖夫君 ちょっと明断さを欠く答弁でしたけれども、そんな程度ではないと私は思うんです。ですから、この数字、積算状況等々わかりましたらまた報告していただきたいと思っております。
 いずれにしても、この分野では地方負担の増がやはりかなり大きい、そういうふうに私はいろいろ計算してみて思わざるを得ない、このことを申し上げておきたいと思います。
 それから、おとといスーパー堤防の問題について議論いたしました。そこで私は荒川下流工事事務所のことを取り上げて、四年間でスーパー堤防の事業費が結局四倍近くになっているということを申し上げました。そのときに河川局長は、河川事業全体の伸びの中におさまっているという答弁をされました。そうですね。うなずいておられます。
 そうすると、私は思うんですけれども、そもそもスーパー堤防事業というのは工事する箇所は限られているわけですね。それなのに、この事業をやっていないところまで予算を含めて、そういう形で計算するということ自体がちょっと筋が通らないと思うんです。
 それはそれとして置いておいても、全体として見ても、直近の数字を挙げてみますと、これは九六年度の数字ですけれども、直轄の河川改修の事業費は四千百五十二億二千五百万円、河川局の資料によるとこれが六億七千万円ふえているわけですから〇・一六%増でしょう。スーパー堤防については、九六年度西百億二千万円で五十三億ふえているわけですから一三・二%増なんです。そうすると、この数字を見ても明らかにほかの事業をスーパー堤防事業が食っているということになりませんか。私はそう思うので、河川局長、あの答弁は訂正していただきたいと思っております。
#66
○政府委員(尾田栄章君) 一昨日お答えを申し上げましたのは、河川事業費が伸びておる中で対応をしてきていると、こういう御答弁を申し上げました。今御指摘の平成九年度というのはほとんど伸びがない段階でございますし、平成十年度というのはさらに公共事業全体がマイナス七%という落ち込みの中でございます。
 ですから、河川事業費が伸びておる中ではスーパー堤防以外のところも前年度の額を少なくとも確保した上でスーパー堤防に回してくるという形でまいったわけでございますが、そういう事業費の伸びがないあるいはマイナスという事態の中ではそういうことができないわけでございまして、そういう中でスーパー堤防をどう進めるかというのはまさに大問題だというふうに考えております。
 ただ一方、一昨日も申しましたが、利根川で昭和二十二年九月と同じような洪水が再来をした場合に、これは平成四年当時の試算でございますが、その時点でどういう被害が生ずるかということで申しますと、被害面積が地盤沈下で拡大をする、あるいは人口、資産が集中をするということで、一般的な被害だけで十五兆円という予測といいますか推測をいたしております。これにさらにいろんな間接被害等々を考えればやはり莫大な数字になるわけでございまして、そういう中でこれだけの人口集積を抱えた首都圏あるいは大阪圏において、こういうスーパー堤防という事業の重要性が非常にある。
 一方、一般改修事業についても、これは昨年の九州の大災害を見ましても一般改修も地域から非常に強い御要望をいただいている。そういう中でどういう形で配分をしていくのがいいのか、私どもも大問題だと。特に、どれから公共事業費の伸びが見込めない財政構造改革法のもとでございますので、そういう中でこのスーパー堤防事業をどう考えていくのか、これは大テーマだと受けとめております。
 そしてまた、河川法改正を受けまして、個々の河川に基本方針を定めるとともに整備計画を定めるということになっております。そういう中で、このスーパー堤防事業のあり方自体についても十分見詰めていきたいというふうに考えております。
#67
○緒方靖夫君 かなり率直な答弁だと思うんです。いずれにしても、伸びがないマイナス、その中でスーパー堤防の事業費は伸びているわけで、結局その分が一般改修に食い込むというそのことは事実として、数字はその点では非常に雄弁ですから、その点は認めていただきたいと思うんです。
 それで、今お話がありました例えば利根川の決壊による十五兆円という被害の予測等々がありましたけれども、私はそういうことは確かにあると思うんです。しかし、過去二十年間の水害を見ても、堤防から漏れたことによる被害というのはこの資料によっても二〇%です。破堤を合わせても二五%。一方、内水による被害というのは四〇%を占めているわけです。別の指標で言うと、九五年度の河川等種類別の水害被害を見ますと、直轄の区間の被害というのは一五%。一番多いのは普通河川で一九%、準用河川で一・八%、二級河川で六%、合わせると二六・五%になるわけです。
 確かに、今言われたように利根川のように十五兆円という話はありました。この額の妥当性はともかくとして、大きい被害になることは間違いありません。しかし、こういう中小河川で決壊が多いという現実からすると、今悩みのことを言われました。私は、これから河川事業を進める上でもスーパー堤防をどう位置づけるかということが非常に大事だと思うんだけれども、この間も言いましたけれども、こういう中小河川の改修、現時点ではそこが大変なことは統計にもあらわれているわけですから、そういう重視の仕方が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(尾田栄章君) 確かに数字としての比較で申しますといろんな数字があるわけでございますが、河川の被害で一番の難しいところは、大水害というのはなかなか起こらない、超過確率としてなかなか起こらない。ただ、そういう事象が起こったときは人命損傷をひっくるめ大変大きな被害を受けるわけでございます。ですから、どういうところにどういう形で投資をするのが国として一番水害被害を減らせるのか。
 確かに、中小河川あるいは御指摘の内水被害というものにつきましても頻発をいたしております。ただ、例えば内水被害で申しますと、これはある意味では本川からの水はあふれることなく、その地域に降った水がじわじわと上がってくる、こういう形でございますので人命損傷というところにはなかなか結びつかないといいますか、そのおそれは小さいわけでございます。
 ですから、河川事業をどういう形でどういう配分のもとに進めるのがいいのかというのは、御指摘のとおり大問題、非常に大きなテーマでございます。今後二十年から三十年間どういう事業を進めるかということを河川整備計画の中で盛り込んで、どういうダムをつくるかということまでもひっくるめて地域の皆さん方に御討議をいただこう、こういうことを考えておるわけでございまして、そういう中でこの問題をも十分考えていかなければならないと思っております。
 ただ、一番御理解を得にくいのは、大水害というのはなかなか経験をし得ない、幸いにもし得ないわけでありますが、これが起こったときの怖さ、これをどう実感としてとらえてそういう計画に盛り込めるかというのも大変大事な視点だというふうに考えております。
#69
○緒方靖夫君 かなり何といいますか、これからどうしていくか悩みながらやっていくという肉声が聞こえたような気がするんです。私はそれが非常に大事だと思うんです。
 そこで、大臣に二点お伺いしたいんです。一つはスーパー堤防の問題なんですけれども、前回大臣の答弁の中でも、やはりこれは大事な問題だから、そしてやっていくんだと、一路スーパー堤防を進めていくという印象の答弁をいただいたような気がするんです。限られた財政の中でこの問題をどうするかというのは、今河川局長も述べたように、やっぱり中小のところが実際上決壊することが多い、それに対して手当てをしなければいけない。一方で、私もスーパー堤防を全面的に否定するものじゃありません。それはそれでいいところはあります。できているのを見て、確かに住宅も建つ等々のところはあります。
 ですから、そういう意味でその問題をどうとらえていくのかということについて、政治選択を進めていく際の決断といいますか、それはやっぱり大臣にあるわけですから、その点でもう少しイニシアチブを発揮していただきたい、その点を一点伺いたい。
 それからもう一点、時間がないので一緒に伺いたいんですけれども、先ほども市街化調整区域を宅地にしていこうという法案がここで議員立法という形で通りました。ここで決議されたわけですけれども、こういう状況の中で、そうなると同時に危険箇所がいろいろふえてくる、そういうことも起こり得ると思うんです。例えば、降雨等々で森林にそれがうまい形で作用している、そういうところを伐採するわけですから。
 そういうことで言うと、河川の問題それから開発の問題も含めて安全な国土の形成、そういった点でやはり非常に大きな課題があるなど。その点で大臣の御所見を伺いたいと思います。
#70
○国務大臣(瓦力君) 緒方委員と河川局長の今の質疑応答で私は問題点が整理されたかと思うんです。
 首都圏にいたしましてもまた阪神圏にいたしましても、いわゆる集積された地域でございますので、やはり大河川の影響というのは非常に大きいわけでございますから、スーパー堤防などによって安全確保を図っていくということは私は極めて緊急にして重要なことだと、こう思っております。先般も私もいわゆる河川からスーパー堤防を視察いたしましたし、また非常に地盤が低い地域もございますので安全確保というのは極めて重要な仕事だ。また、それによる緑地の形成も地域に潤いを与えるわけでございますし、自然を守ろうという配慮もしながらスーパー堤防の構築に努めておるわけであります。
 私はどちらかといいますと地方出でございますから、地方から出てきた者にとりましては地方の河川を整備してもらいたいということは多分にございますが、このバランスをどうとりながら限られた予算の中で整備をして安心できる国土をつくるかということでございます。
 今、河川局の悩みというのは、目に見えざる下支えをする、安心、安全の基盤をつくる、こういう中で限られた予算がなお縮減の方向にあるという悩みを十分聞いておりまして、私はこの機会を通じまして緒方委員にもぜひ予算確保のためには先頭に立っていただきたいなと。といいますのは、理解をいただきまして、どうしても我が国は脆弱な国土でございますから、安心できる国土につくり上げていくことが二十一世紀を約束する私ども政治家の努力だと、こういうぐあいに思いまして、きょうはもう議論は整理されたなと私は存じております。
 また、国土の安全に対する建設省の取り組みにつきましてお尋ねでございますが、防災対策は国土管理の基本であることは申すまでもありません。河川、海岸、砂防等の国土保全、また都市の防災構造化等地震対策の事業を計画的に進めてまいらなきゃならぬわけでございます。また一方、ソフト対策として洪水や土砂災害に対する危険箇所の周知、いわゆるハザードマップの作成、公表、加えて警報システムの整備等積極的に今取り組んでおるわけでありまして、新たに本年三月に、建設省防災業務計画に水質事故災害対策、道路災害対策等の事故災害対策編を追加いたしたわけであります。
 この会議も実は主宰をさせていただきましたが、さらに今後安全、安心ができる国土づくり、今申し上げたハード、ソフト両面から防災対策に取り組んでまいりたい、安全を確保したい、こう考えております。
#71
○緒方靖夫君 終わります。
#72
○泉信也君 今回の法律改正に当たりまして限度額が引き上げられるというようなことになるわけですが、この法律改正の過程で農水省及び運輸省との何か議論がなされたのか、特異な論点というようなものがございましたならばお話しいただきたいと思います。
#73
○政府委員(尾田栄章君) 災害復旧事業に関連をいたします省庁が集まりまして、財政当局もひっくるめてでございますが、そういう検討の場を設けて災害復旧事業のあり方について討論を昨年行いました。その結果として、今回のこの改正案のお願いをいたしておるところでございます。
 具体的に申しますと、災害復旧制度検討会ということでございまして、大蔵省、農水省、林野庁、水産庁、運輸省、建設省とオブザーバーとして国土庁がお入りでございますが、こういう省庁が集まりまして災害復旧事業制度の基本的なあり方について議論を行ってまいったところでございます。
#74
○泉信也君 その検討会の議論の過程で、この限度額の引き上げについて問題があるとか、あるいはもっと上げでもいいとか、そんな議論がございましたか。
#75
○政府委員(尾田栄章君) 検討会の中の議論といたしましては幅広い議論を行っておりますが、先ほど来御討議をいただいておりますとおり地方公共団体の負担増を招かないという視点、これは一方財政当局から見れば国庫の負担増を余りしても困るという、そういう二律背反の中でどういうところが一番災害復旧に際しての負担のあり方として適正かという議論を積み重ねました。
 従前対象としておった事業は対象とする中で、いろんな条件を踏まえて今回の改正案をお願いいたしたところでございます。
#76
○泉信也君 局長のお答えは大変難しい選択であったかと思いますが、今度の公園に限ってお尋ねをいたしますと、この限度額の引き上げによって、同趣旨の質問があったかもしれませんが、逆に対象外になるという面積と申しますか、面積はわからないかもしれませんが、件数あるいは想定される金額というようなものがどれくらいになるんでしょうか、対象の外れるものですね。
#77
○政府委員(尾田栄章君) 今回、公園と申しますか従前対象としておりました事業について申しますと、件数で全体の約五%に相当いたします千八百件がいわゆる限度額の引き上げによって対象外になります。これを金額で申しますと、全体の約〇・四%に相当する約十四億円ということでございます。
#78
○泉信也君 そこで、今回の改正によってある意味では対象となる件数は減るというような動きになるかと思いますけれども、災害査定が局長がお答えになりましたようにかなり時間がかかっておるという実態だと思います。一部では紙上審査ということもとられておるようですけれども、具体的にさらに効率的にやる方法というものは何かお考えでございますか。
#79
○政府委員(尾田栄章君) 今回、机上査定を相当ふやしていただきました。これによりまして件数で申しますと約半分が机上査定でできるわけでございまして、金額はともかく、一件一件がそれぞれの事務を伴いますので、そういう意味では相当の事務の簡素化ができたというふうに考えております。
 そして、この机上査定に際しましては、金額そのものもモデル的な単価に延長を掛けてそのまま算定をするという、いわゆる一件一件の積算をすることなしに金額をはじくということも行っておりますので、相当の迅速化が今回の措置でできるのではないかというふうに思っております。
 ただ、どうも災害が、一たん発生をいたしますと、一刻も早く復旧をしてほしい、復旧すべきだという地元の皆さん方の思いが、災害復旧がなかなか進まない、特に地方公共団体が実施をされます災害復旧が進まない、こういう御批判を受けることにつながっておるわけでございますが、数字的に比較をいたしてみますと、私どもが直接行います直轄災と比較しても、そのスピード、迅速性は変わらないというふうに考えております。
 これには、もちろん地方公共団体の職員の方々の大変な御努力が背景にあってそういうことができておるわけでございますが、より簡素化、合理化に向けてやるべきことがないのか、地方公共団体の声も十分受けとめて対応を考えてまいりたいと存じます。
#80
○泉信也君 やや乱暴なお尋ねかもしれませんけれども、例えばある金額を切って、ある金額以下の災害については地方自治体にまず復旧を任せる、そして後でそれが適正であったかどうか査定するというようなやり方ができないか。
 それは災害査定をされる立場から見ても、災害がかなりシーズン的というか季節的に重なる部分もあったり、地域的に重なるというようなこともありますから、自治体を信頼して、一たんやっていただいた後で査定をさせていただく、仕事量を平準化するという意味もありますけれども、そういうことは可能なんでしょうか。
#81
○政府委員(尾田栄章君) この国庫負担法は、基本的に地方公共団体のある意味では仕事として考えられております災害復旧の負担の強さ、負担の重さにかんがみまして大変高額の国庫負担を導入する、こういう制度でございまして、そういう意味合いで対象とする事業についても一つ一つ国会の審議をいただく、こういう形になっておるわけでございます。
 ところが一方、先生御指摘のとおり災害が起こって災害査定まで待っておれない、そういう事態が発生をいたしました場合には、これは応急的な復旧ということで地方公共団体においてまず復旧をしていただいて、その上でその応急復旧されたところも対象に加えた上で災害査定を行ってその部分についても国庫負担の対象にするという制度が既に組み込まれておりまして、応急的に急いで対応しなければならないというものについてはそういう対応を既に各地方公共団体においておとりをいただいているところでございます。
#82
○泉信也君 おっしゃるとおりに応急復旧制度が既にとられておるわけですが、その制度をさらに発展させるという意味で、応急復旧をなされた現場と後で査定するときの比較検討というような事例がございますか。
 例えば、応急復旧をやった断面がこれでよかったと後で認定できた、あるいはこれはやり過ぎだあるいは不足だというような、現場と後で調査したときに乖離があったというような事例が多いのか少ないのか。ちょっと変な質問でございますけれども。
#83
○政府委員(尾田栄章君) 実態的な運用といたしましては、そういう応急的な復旧をするに際しまして、ある意味では事前に工法等について御相談をいただく場合が多いわけでございますし、非常に大きな応急復旧を行う場合には事前に御相談もいただくという形にいたしております。
 そういうことでございますので、大きな手戻りが生じてどうしようもないということに立ち至ったことはないと存じますが、基本的には、それぞれ現地の判断に応じて応急的に対応すべきものは、一々東京サイドにそういうことをやっておっては間に合わないという場合は現地の判断で対応いただく、そしてそれをすべてある意味ではのみ込んだ形で対応を考えていくという形で運用をいたしてきておるところでございます。
#84
○泉信也君 実はこの法案の審査がきょう開かれましたのも、できるだけ早くこの改正法案が実態上生かされるべきだという委員会の意思でこういう会合をさせていただいたわけであります。
 特に、施行日ができた日からということなものですから、おくれればその間に災害が忘れたころじゃなくて忘れないうちに来ることを想定してやっておるわけでございますので、どうぞ建設省におかれましても我々の意思を体してぜひこの施行に遺漏がないように御尽力をさらにいただきたいということを申し述べまして、終わらせていただきます。
#85
○山崎力君 細かい中身の問題に入るといいますか、それ以前の問題でこの問題は我々として、我が党としても賛成でございますので、一つの法律の基本にかかわるところで、これは国土庁さんの方にもかかわるところが出てくると思いますが、若干お尋ねしたいと思います。
 と申しますのは、この災害復旧という言葉の災害が、資料によりますと第二条で「異常な天然現象に困り」ということで自然災害のみを想定しているわけですが、この理由というのはどういうことでこういうふうになったんでしょうか、昭和二十六年という古い法律なんですけれども。
#86
○政府委員(尾田栄章君) 戦後、昭和二十年以降、昭和二十二年九月あるいは昭和二十三年九月、キャスリーン、アイオンというような大台風が日本を襲いました。大変大水害が頻発をしたという背景のもとに、ああいう敗戦後でございますので災害復旧に地方の財政が大変逼迫している中で、災害復旧、特に日本のように自然災害が多い、こういう地形、気象条件のもとでの対応策ということで、シャウプ勧告が昭和二十四年だったと存じますが出されました。その上で、こういう災害の負担について国庫で負担をすべきだと、そういうもとに昭和二十六年、この公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というのが定められたと理解をいたしております。
 そういう意味合いで、戦後の打ち続く水害、それが背景にあったというふうに存じます。
#87
○山崎力君 これは国土庁さんの方の話になると思うんですが、いわゆる防災といいますか、災害対策基本法というのは自然災害ではなくて人為災害も含めているということなんですが、その意味で言えば災害復旧する、これは形態は一応想定している、どういうふうにもとに戻すというのは、いろいろ今度公園を含めるというような形で想定しているわけですけれども、そこのところで言えば、原因が自然であれ人為的なものであれ、そこに住んでいる人たちにとってみれば復旧したいのは当然のことでございまして、そういったもので差が出るということがちょっと私には理解できない。
 災害対策基本法はたしか人為災害を含んでいると思うんですが、その辺の関係はどういうふうに考えたらいいかということを、これは国土庁さんの方の担当になるんでしょうか、ちょっと教えていただければと思います。
#88
○説明員(木寺久君) 御指摘のとおり災害対策基本法におきましては、自然災害のみならず事故災害も対象としているわけでございます。したがいまして、災害の原因が自然現象であるか事故であるかにかかわらず、非常災対本部の設置等活動対策を整えて政府一体となって対応しているところでございます。
#89
○山崎力君 ということになりますと、立法時点での気持ちというのはよくわかるんですが、一方では、別の立場での、担当省庁は違うとして、いわゆる人為災害と私は表現していますけれども、人のなしたといいますか自然でない場合の災害対策、そういった大きな災害対策もあり得るということで想定しているわけです。
 と申しますのは、これは非常に大規模なことになってきているのと、私がそのことを感じたのはナホトカ号の問題でございまして、あれは暴風雨による自然災害だとロシア側は主張しているわけです。阪神・淡路は大災害を起こしましたけれども、あれは早朝ということでまだ余り人の動きがなかったということで、我々がぞっとするのは、例えば新幹線があのとき通っていて何百人あるいは千人単位で死んだ。そういうときに鉄橋というかコンクリート橋の橋脚が壊れてそこから落ちたといった場合、これは自然災害なんだろうか人為災害なんだろうか。
 局長の担当であられる川の問題で言えば、ダムが壊れた、それでそこから洪水が起きた。こういった場合、ダムが壊れるときに例えば許容量を超えるような急激な水量の増加で壊れた、あるいは欠陥工事で壊れた、もう一つ言えばダムの放水のタイミングを規定していたものを管理者が誤って放水してしまって被害を出した。こういった場合、複合汚染という言葉があったんですけれども、自然と人との複合災害という可能性が十分出てくる。
 そういったときにこの法律はどう対応するんだろうということが正直言って見えてこないわけでございます。その点についてちょっと教えていただければと思います。
#90
○政府委員(尾田栄章君) この負担法の限りで申しますと、これはあくまでも公共土木施設が被害を受けた場合の災害復旧を行うに際しての負担のあり方を定めたものでございまして、一般被害に対してどうするかということは、先ほど先生御指摘のとおり災害対策基本法寺別の法律体系で処理せられるべきものだというふうに感じております。
 それから、ダムの操作に関してでございますが、ダムはもちろん洪水調節を目的として持っております。そういうダムにおきまして洪水調節を超えた洪水が起こった場合、その場合でも上流から流れ込んできた水を増量することなく洪水ピーク時においては下流に放流をする、そういうことによってダム自体の安全性を確保する、そういう放流施設を設けておるところでございまして、そういう意味では洪水に対して安全な形のダムをつくるということで我々は対応しておるというふうに考えております。
#91
○山崎力君 いろいろな災害に対しての復旧措置ということは当然いろいろな法律でなされているわけで、今問題になっているのは公共土木施設という一つの限られた法律の審議でございますけれども、さはさりながら、私が先ほど申し上げたことが公共土木施設の災害に及ぼさないとは限らないわけでございます。
 例えば、現実にあった問題ですけれども、県管理のダムが大きな雨で危険水位を超えるようなことになってしまって、そこのところで放流せざるを得なくなった、それが下流において一部弱いところで堤防等の決壊を生んだ。こういう事例が現実には幾らでもあると思うんです、私の知っているのは一回ですけれども。
 そういった場合は、まさに公共土木施設に災害があった、これを自然災害とすればそのとおりの対象のものになる。ところが、そこのところでダム管理者の放流のタイミング、危険水位でこれ以上水がたまるからやろうか、あるいはそこで予定外の放流しなくてもダム自体はよかったんじゃないか、こういう洪水を起こすような水量にはならなかったんじゃないか、これは事後的に検討されるわけですけれども。そのときに管理者の過失があったのかなかったのかということで考えていきますと、まさにこの問題ですら人為災害の余地が十分あると私は思うんです。そういった点、ここは全く今までノータッチで、まさに自然災害だけを問題としてきた。
 都市の公園なんということに入ってきますと、それこそ都市の河川なんか、すぐ川沿いの公園が被害を受けるということは可能性としては、一番脆弱な部分ですから出てくることは十分考えられるということを考えますと、その辺の御検討をいただく時期に来ているんじゃないかなという気がしているんですけれども、その点いかがでございましょう。
#92
○政府委員(尾田栄章君) ただいま御指摘をいただいたような事例、非常に大雨が降って、その上でダムがあっても被害を受けた、それが公共土木施設が被害を受けたというような場合には、この災害負担法の枠内で公共土木施設の復旧を行うということになると考えております。
 洪水の定義といたしましては、各河川にございます量水標の水位が警戒水位以上になった場合というのが対応になっておりますので、そういう事態におきましては当然この負担法の対象となるというふうに考えます。
 ただ、先ほど御指摘をいただいておりますようなナホトカ号と申しますか、外部から何か事が起こってきて、それに人為が絡んでどうと、そしてなおかつそれが公共土木施設に被害を及ぼしたという場合については、今までのところそういう事例もございませんし、現時点においてそれがどういう事象なのかはっきりいたしませんと、個別の案件について具体に被災をした施設の状況と被災に至った異常天然現象というものをどう考えるかというところをよく詰めないと結論が出てこないのではないかと存じます。
#93
○山崎力君 個別の観点からいけばそのとおりだと思うんです。
 これは国土庁さんの方のあれになるのかもしれませんけれども、いわゆる災害のときに、昔の我々の感覚というのは自然災害にどう対応するかということだったわけです。前の災害特で私は言ったんですが、いわゆるナホトカ号のような場合、その補償は原因者がいるわけだから私人間の問題だというような形で対処すると、そこのところの救済のための工事その他公的な負担というものは、いわば先取り特権的な問題になってしまって、法律でこれはその分取らにゃいかぬということになっていると思うわけです。
 そこのところで一つ問題になっているのが、全然別の事件で言えばオウムの問題で、その被害をまず国側、国というかそういったものがまず取れる分取る、それから被害者に分ける。これではあんまりだから議員立法で権利放棄をさせようじゃないかというのが今出てきているわけで、そういったことが災害にも、これからこういうふうな高度社会になってくると想定できない部分はないわけです、理論的に言えば。
 原子力開発の問題もあれば、大規模のダムだって後で壊れてみたら欠陥工事だった、これは人為災害だということだってあり得るわけです。それから、先ほどの点でいけば新幹線とか高速道路なんというのは地震が来て壊れるはずはないということであったわけで、そこのところでもし欠陥が工事その他であれば、これは自然災害なのか人為災害なのかというのは極めて判定が困難な問題でございます。
 ですから、そういった意味でトータルとして申し上げたいのは、災害というものをなぜか我々はもう直に自然災害だというふうに思い込んでいる節があるんですが、これからは人間の起こした災害、それともう一つ言えば自然災害といいますか自然の力プラス人間のつくったものとの複合においての災害、これについての被害というものをどう救済していくかというのは、原因別に簡単に分けて自然災害だけ考えていればいいんだという時代ではなくなっているんではないかというふうな気がしているわけで、そういった点でこの法律もその中の一部に含まれるんではないかというふうに私は思っているわけでございます。
 その点について、局長なり大臣なり、あればお答え願いたいと思います。
#94
○政府委員(尾田栄章君) この法律の枠組み自体はあくまでも自然災害を対象にして、しかも施設そのものも公共土木施設に限っている、こういう法律体系でございますので、先生御指摘のような災害原因が人為的なもので、なおかつその被害自体も公共土木施設以外の一般被害を含んだような、あるいはより広い概念としての被害というようなものについては負担法の範囲を超えた議論だと存じます。
 ですから、そういう新たな災害と申しますか、そういう異常な事態にどう対応するかということについては、これは国土庁さんの方の所管でございますが、現時点においては災害対策基本法の枠内で処理をされていくものだというふうに存じます。
#95
○山崎力君 その点同じ災害でございますので、省庁間の連絡、将来一緒になるということもあるわけでございますから、御検討願いたいということで私の質問を終わらせていただきます。
#96
○委員長(関根則之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(関根則之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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